抗ヒトバンド3モノクローナル抗体

【課題】B3との共結晶化に適した抗B3抗体、又はB3の活性を阻害する抗B3抗体を提供する。
【解決手段】B3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有し、且つB3の立体構造を認識する、抗B3抗体。又は、重鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ特定の配列のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ他の特定の配列のアミノ酸配列を含む、抗B3抗体。この構成を有する抗体は、B3との結晶化リガンドに適する。そのため、この抗体を用いれば、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。又は、この構成を有する抗体は、B3の活性を阻害できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗バンド3抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
バンド3蛋白質(以下、「B3」と称することもある)は、赤血球膜で最初に見つかった複数回膜を貫通する蛋白質である。B3はあらゆる細胞膜に存在するが赤血球膜と腎尿細管上皮細胞膜において特に重要な機能を司っているといわれている。一般的に、B3は赤血球の形態変化に関与するN末端部分と、陰イオンの交換を媒介するC末端部分に区分されている。上記N末端部分は、細胞骨格蛋白質ネットワーク(アンキリン、スペクトリン等)を細胞につなぎ止める役割を持つといわれている。また、それにより赤血球が独特な円盤状形態を獲得し、変形能によって血管内のスムーズな循環が可能になるといわれている。
【0003】
一方で上記C末端部分は、陰イオン(例えばCl、HCO等)交換輸送を行う部分である。B3は陰イオン交換輸送を介して、赤血球の酸素運搬時のメタボリックセンサーとして働いているといわれている。腎尿細管上皮細胞においてはHCOを再吸収しClを排出することでpH調節を行っているといわれている。B3は、陰イオン交換輸送を持つことからanion exchanger(AE)と呼ばれることも多い。現在、少なくとも3種類のAEの存在が知られており、AElは赤血球膜と腎尿細管上皮細胞に、AE2は普遍的にあらゆる細胞の細胞膜に、AE3は脳と心臓の細胞膜に存在している。
【0004】
このようにB3は赤血球の形態変化、又は陰イオン交換輸送において重要な役割を果たす蛋白質であるが、機能や構造には未だ不明な点が多く存在する。そのような背景のもと、これまでにB3の研究用の抗B3抗体がいくつか取得されている。B3は赤血球膜において発現量が高いことから、抗B3抗体を取得する際には、赤血球から精製したB3や赤血球膜を直接免疫することで、モノクローナル抗体やポリクローナル抗体の作製が試みられてきた(特許文献1)。現在入手可能な抗体のほとんどが細胞質側に突出する親水性のN末端部分を認識する抗体である。数は少ないが細胞膜に埋め込まれたC末端部分を認識する抗体も存在する。既知のほとんどの抗体がウエスタンブロットによりスクリーニングされているため、獲得されている抗体はB3の一次配列を認識する(リニアエピトープ認識抗体)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"Monoclonal antibodies against human erythrocyte band 3 protein. Localization of proteolytic cleavage sites and stilbenedisulfonate-binding lysine residues." Jennings et al., J Biol Chem. 1986 Jul 5;261(19):9002-10.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
非特許文献1に記載されている抗体は、リニアエピトープ認識抗体であるため、抗原の天然構造と変性構造を区別なく認識する性質を有している。そのため、天然のB3に対する結合特異性又は親和性に改善の余地があった。また、必ずしも生体細胞膜に発現するB3を効率的に認識できるものではなかった。また、上記抗体は共結晶化リガンドには適していなかった。また、上記抗体はB3の活性を阻害することはできなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、B3との共結晶化に適した抗B3抗体を提供することを目的とする。又は、B3の立体構造を認識する、抗B3抗体を提供することを目的とする。又は、B3の活性を阻害する、抗B3抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、B3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有し、且つB3の立体構造を認識する、抗B3抗体が提供される。この構成を有する抗体は、B3との結晶化リガンドに適していることが、後述する実施例で実証されている。そのため、この抗体を用いれば、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。又は、この構成を有する抗体は、B3の活性を阻害できることが、後述する実施例で実証されている。
【0009】
また本発明によれば、重鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を含む、抗B3抗体が提供される。この構成を有する抗体は、B3との結晶化リガンドに適していることが、後述する実施例で実証されている。そのため、この抗体を用いれば、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。又は、この構成を有する抗体は、B3の活性を阻害できることが、後述する実施例で実証されている。
【0010】
また本発明によれば、上記抗B3抗体をコードするポリヌクレオチド又はベクターが提供される。このポリヌクレオチド又はベクターを用いれば、上記抗B3抗体を生産することができる。
【0011】
また本発明によれば、上記ポリヌクレオチド又はベクターを含有する、細胞又は形質転換体が提供される。この細胞又は形質転換体を用いれば、上記抗B3抗体を生産することができる。
【0012】
また本発明によれば、上記抗B3抗体を含む、B3の結晶化リガンドが提供される。この結晶化リガンドを用いれば、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。
【0013】
また本発明によれば、上記抗B3抗体を含む、B3活性阻害剤が提供される。このB3活性阻害剤を用いれば、B3の活性を阻害することができる。
【0014】
また本発明によれば、上記抗B3抗体を含む、試薬が提供される。この試薬は、B3との結晶化リガンドに適した抗B3抗体を含むため、この試薬を用いれば、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。またこの試薬は、B3の活性を阻害できる抗B3抗体を含むため、この試薬を用いれば、B3の活性を阻害することができる。
【0015】
また本発明によれば、上記抗B3抗体を含む、診断薬又は診断用キットが提供される。この診断薬又は診断用キットは、B3の細胞外領域に特異的であり且つ立体構造を認識する抗体を含むため、生細胞において機能的に発現しているB3の存在を調べることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、B3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有し且つB3の立体構造を認識する抗体、又は特定の配列を有する抗B3抗体を用いることによって、B3の結晶を効率的に生成することができる。又は、高分解能のB3結晶を生成することができる。又は、B3の活性を阻害することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は二次スクリーニングとして行ったBiacore(登録商標)とウエスタンブロットの結果である。
【図2】図2は抗体とB3との複合体形成能をゲル櫨過クロマトグラフィーにより確認した結果である。
【図3】図3はB3のX線回折実験の結果である。
【図4】図4はB3とC4201−104の複合体の分子モデルである。
【図5】図5は抗体がB3の基質輸送活性を阻害する効果を、液体シンチレーションカウンターで測定した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑を避けるために、適宜説明を省略する。
【0019】
(1)抗B3受容体抗体
「B3」は複数回膜を貫通する蛋白質である。B3はあらゆる細胞膜に存在するが、赤血球膜と腎尿細管上皮細胞膜において特に重要な機能を司っているといわれている。B3は一次構造の二次元配向予測から、14回膜を貫通しており、13個の親水性ループがあると推定されている。B3は一般的に、赤血球の形態変化に関与するN末端部分と、陰イオンの交換を媒介するC末端部分に区分されている。上記N末端部分は、細胞質側に突き出ている部分(以下、「40kDaドメイン」と称することもある)を含み、例えば、N末端から359個のアミノ酸を含む。上記C末端部分は、例えば、40kDaドメインに続いて脂質二重層を貫通している部分(以下、「55kDaドメイン」と称することもある)を含む。55kDaドメインのアミノ酸配列は、例えば、配列番号17のアミノ酸配列を含む。55kDaドメインのアミノ酸配列をコードするDNA配列は、例えば、配列番号18のDNA配列を含む。また、B3の膜貫通部位の一部は、複数個の膜貫通部位が膜内でクラスターを形成し、脂質と接触しない状態で存在する可能性が報告されている。B3のDNA配列およびアミノ酸配列は公知である。例えば、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のデータベースであるGenBank等で参照できる(例えば、Accession NP_000333)。
【0020】
B3の陰イオン交換輸送はピンポン機構と呼ばれている。活性中心は通常B3分子あたり1ヶ所である。イオン交換が行われる際には、その活性中心に対して陰イオンが細胞の外側からしか結合できない「外向き型(Eo)」の形態と、内側からしか結合できない「内向き型(Ei)」の形態をとるといわれている。特に、ClとHCOとの交換輸送を非常に高い代謝回転速度で行っているといわれている。B3が赤血球の酸素運搬時のメタボリックセンサーとして作用する場合、例えば、以下のメカニズムが働いていると考えられている。組織CO上昇、O不足→赤血球内CO上昇→水とCOからHCOが作られる→B3によって赤血球の外へHCO輸送→細胞内のH濃度上昇→ヘモグロビンからOが離れる→必要最小限度のOが組織へ供給される。
【0021】
以上のようにB3は赤血球の形態変化、又は陰イオン交換輸送において重要な役割を果たす蛋白質であるが、機能や構造には未だ不明な点が多く存在する。過去にB3の研究用の抗B3抗体がいくつか取得されているが、B3の構造や機能を解明するたに十分な機能性を有する抗体は得られていない(Jennings et al., J Biol Chem. 1986 Jul 5;261(19):9002-10.)。例えば、B3との共結晶化に適した抗体や、B3の活性を阻害する抗体は得られていなかった。B3の研究は古くから行われているにもかかわらず、未だ十分な機能性抗体が得られていないことは、B3の抗体作成が不確実性の高い研究分野であることを物語っている。なお、不確実性が高い理由としては、例えば以下の理由が考えられる。i)多数回膜貫通型蛋白質であるため取り扱いが難しいこと、ii)55kDaドメインの異種組換え体による大量生産が困難なこと、iii)EoとEiの形態変化が頻繁に起こるため、蛋白質全体の構造が揺らぎやすいこと、iv)40kDaドメインが可溶性であるために、大きな抗原性を持つこと、v)グリコホリンAやアンキリンなどの赤血球内在性タンパク質との相互作用が大きく、B3の抗原性が損なわれること。
【0022】
そのような中、本願発明者らは後述の実施例に記載の手順によって、B3との共結晶化に適した抗体、又はB3の活性を阻害する抗体を取得することに成功した。近年、抗体作成関連技術は様々な技術が開発されているが(例えば、ハイブリドーマ法、免疫又は非免疫ライブラリーを用いたファージディスプレイ法、細胞ディスプレイ法、培養B細胞株を用いるIn vitro抗体作成システム、特定の動物又は昆虫に免疫する方法、DNAシャッフリング法等)、後述の実施例に記載のとおり、ウイルスとリポソームを利用するなど、各種条件下で実験を行ったことによって、所望の機能性抗体が得られたことは大変驚くべきことであった。
【0023】
本発明の一実施形態は、新規の抗B3抗体である。この抗B3抗体は、例えば、B3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有し、且つB3の立体構造を認識する、抗B3抗体である。この構成を有する抗B3抗体は、後述する実施例で実証されているように、B3との結晶化リガンドに適している。又は、B3の活性を阻害することができる。
【0024】
又は、この構成を有する抗B3抗体は、B3の立体構造を認識するため、リニアエピトープ性抗体に比べて結合特異性が高い。なぜならば、立体構造は1次配列よりも多くのバリエーションを持つためである。又は、この構成を有する抗B3抗体は、後述する実施例で実証されているように、B3に対する親和性が高い。そして、この構成を有する抗B3抗体は、B3の立体構造を認識するという観点、結合特異性が高い観点、及び親和性が高い観点から、共結晶化リガンドに適している。なぜならば、膜蛋白質と抗体を共結晶化する際に、生成する結晶に含まれる膜蛋白質は、天然状態をできるだけ保持していることが好ましいためである。また、膜蛋白質と抗体を共結晶化する際に、使用する膜蛋白質と抗体の複合体は、高純度であることが好ましく、そのためには結合特異性が高い方が良いからである。また、膜蛋白質との共結晶化に使用する抗体は、精製や結晶化等の工程の間、膜蛋白質との結合を持続する必要があり、そのためには親和性が高い方が良いからである。
【0025】
又は、上記の構成を有する抗B3抗体は、細胞外領域に特異的であり且つ立体構造を認識するため、生細胞において機能的に発現しているB3に対して、特異的に結合することができる。そのような効果を有する抗体は、B3が生細胞において機能的に発現しているかどうかを調べるための試薬として有用である。
【0026】
また、上記抗B3抗体は、B3の55kDaドメインの細胞外領域の一部をエピトープとして認識する抗体であってもよい。この一部は、例えば、B3の細胞外第2ループ領域であってもよい。上記細胞外第2ループ領域のアミノ酸配列は、例えば、ETNGLE(配列番号19)を含む。
【0027】
また、上記抗B3抗体は、抗体重鎖可変領域の重鎖CDR1が配列番号1のアミノ酸配列、重鎖CDR2が配列番号2のアミノ酸配列、重鎖CDR3が配列番号3のアミノ酸配列をそれぞれ含む、抗B3抗体であってもよい。この抗B3抗体は、抗体軽鎖可変領域の軽鎖CDR1が配列番号4、軽鎖CDR2が配列番号5、軽鎖CDR3が配列番号6のアミノ酸配列をそれぞれ含んでいてもよい。又は、VH、VL、重鎖FR1〜4、軽鎖FR1〜4が、それぞれ配列番号7、8、9、10、11、12、13、14、15、16のアミノ酸配列を含んでいてもよい。
【0028】
このアミノ酸配列が特定された抗B3抗体は、後述する実施例で実証されているように、B3との結晶化リガンドに適している。又は、B3の活性を阻害することができる。又は、B3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有する。又は、B3の立体構造を認識することができる。
【0029】
なお一般的に、抗体のアミノ酸配列にある程度の欠失、置換、付加等が生じても、抗体の機能はある程度保たれることが知られている。そのため、上記のアミノ酸配列が特定された抗B3抗体は、ある程度の欠失、置換、付加等が生じていてもよい。そのような欠失、置換、付加等がなされた抗体は、例えば、部位特異的変異導入法、ランダム変異導入法、又は抗体ファージライブラリを用いたバイオパニング等によって作製できる。欠失、置換、付加等を導入した変異型抗体から、野生型と同様の活性のある抗体を選択する際には、後述する実施例に記載のように、各種キャラクタリゼーションを行うことで選択することが可能である。
【0030】
部位特異的変異導入法としては、例えばKOD -Plus- Mutagenesis Kit(TOYOBO CO., LTD.)を使用できる。また、抗体ファージライブラリを用いたバイオパニングの典型的な操作は、固定化した標的蛋白質に抗体ファージライブラリを反応させ、結合しなかったファージ抗体を洗浄により除去した後に、結合したファージ抗体を溶出し大腸菌に感染させて増殖させる、という操作を数回行うことで標的蛋白質に特異的なファージ抗体を取得することである(改訂版 抗体実験マニュアル, 羊土社(2008):211-221.)。
【0031】
本明細書において、抗B3抗体において1〜数個のアミノ酸が別のアミノ酸に置換している場合には、アミノ酸側鎖の性質が保存されている別のアミノ酸に置換していることが好ましい。例えばアミノ酸側鎖の性質としては、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、脂肪族側鎖を有するアミノ酸(G、A、V、L、I、P)、水酸基含有側鎖を有するアミノ酸(S、T、Y)、硫黄原子含有側鎖を有するアミノ酸(C、M)、カルボン酸及びアミド含有側鎖を有するアミノ酸(D、N、E、Q)、塩基含有側鎖を有するアミノ離(R、K、H)、および、芳香族含有側鎖を有するアミノ酸(H、F、Y、W)を挙げることができる(括弧内はいずれもアミノ酸の一文字標記を表す)。これらの各グループ内のアミノ酸同士の置換は保存的置換と総称される。あるアミノ酸配列に対する1〜数個のアミノ酸残基の欠失、付加、又は他のアミノ酸による置換により修飾されたアミノ酸配列を有するポリペプチドがその生物学的活性を維持することは一般に知られている(Mark et al., Proc Natl Acad Sci U S A.1984 Sep;81(18):5662-5666.、Zoller et al., Nucleic Acids Res. 1982 Oct 25;10(20):6487-6500.、Wang et al., Science. 1984 Jun 29;224(4656):1431-1433.)。
【0032】
ここで、上記の配列番号1のアミノ酸配列は、1個の塩基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であっても良い。上記抗B3抗体に含まれるアミノ酸配列がそのような欠失等を受けている場合でも、欠失等を受けていない場合に対して、類似の効果を有すると考えられる。なお、上記「付加」には挿入の概念を含む。
【0033】
また、上記の配列番号3、又は5〜6のアミノ酸配列は、それぞれのアミノ酸配列の1〜2個の塩基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であっても良い。上記抗B3抗体に含まれるアミノ酸配列がそのような欠失等を受けている場合でも、欠失等を受けていない場合に対して、類似の効果を有すると考えられる。ここで上記「1〜2個」は好ましくは1個である。なぜならば、上記「1〜2個」が少ないほど、アミノ酸配列が欠失等を受けていない場合の抗B3抗体に、近い特性を有していることになるからである。
【0034】
また、上記の配列番号2、又は4のアミノ酸配列は、それぞれのアミノ酸配列の1〜3個の塩基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であっても良い。上記抗B3抗体に含まれるアミノ酸配列がそのような欠失等を受けている場合でも、欠失等を受けていない場合に対して、類似の効果を有すると考えられる。ここで上記「1〜3個」は好ましくは1〜2個であり、より好ましくは1個である。なぜならば、上記「1〜3個」が少ないほど、アミノ酸配列が欠失等を受けていない場合の抗B3抗体に、近い特性を有していることになるからである。
【0035】
また、上記の配列番号7〜16のアミノ酸配列は、それぞれのアミノ酸配列の1〜数個の塩基が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列であっても良い。上記抗B3抗体に含まれるアミノ酸配列がそのような欠失等を受けている場合でも、欠失等を受けていない場合に対して、類似の効果を有すると考えられる。ここで上記「数個」は10、8、6、4、又は2個であってもよい。この数は少ないほど好ましい。なぜならば、上記「数個」が少ないほど、アミノ酸配列が欠失等を受けていない場合の抗B3抗体に、近い特性を有していることになるからである。
【0036】
また、上記抗B3抗体は、受領番号NITE AP-1153のハイブリドーマにより生産される抗B3抗体であってもよい。又は、上記ハイブリドーマにより生産される抗B3抗体の重鎖、V、重鎖CDR1〜3、軽鎖、V、もしくは軽鎖CDR1〜3のアミノ酸配列、又はそれらのアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含む抗体であってもよい。このとき上記「80%以上」は好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上である。なぜならば、相同性が高いほど、上記のハイブリドーマにより生産される抗B3抗体に近い特性を有していることになるからである。なお、上記のハイブリドーマにより生産される抗B3抗体は、上記のアミノ酸配列が特定された抗B3抗体と同様の機能を有する。
【0037】
本発明の実施形態に係る抗B3抗体が結合するB3の由来は特に限定しないが、ヒト、又はヒトを除く哺乳類(マウス、モルモット、ラット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、及びチンパンジー)のいずれか1種以上であってもよい。
【0038】
また、上記抗B3抗体は、モノクローナル抗体であってもよい。この場合の抗B3抗体は、B3を高い特異性で認識するため、効率的にB3に結合できる。
【0039】
また、上記抗B3抗体は、キメラ抗体(マウス−ヒトキメラ抗体等)、マウス抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体からなる群から選ばれる1種以上の抗体であってもよい。
【0040】
また、上記抗B3抗体は、抗原結合活性を有する抗体断片(以下、「抗原結合性断片」と称することもある)であっても良い。この場合、安定性が上昇する、又は抗体の生産効率が上昇する等の効果が得られる。
【0041】
また、上記抗B3抗体は、B3の野生型又は変異型に結合する抗体であってもよい。ここで、変異型とは、個体間のDNA配列の差異に起因するものを含む。この変異型のB3のアミノ酸配列は、野生型のアミノ酸配列に対し、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有している。なぜならば、相同性が高いほど、野生型に結合する抗体に近い特性を有していることになるからである。
【0042】
また、上記抗B3抗体のクラスは、IgM、IgD、IgG、IgA、IgE、IgX、IgY、IgW、IgNARであってもよい。
【0043】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体をコードする塩基配列を含む、ポリヌクレオチド又はベクターである。上記ポリヌクレオチド又はベクターを用いれば、当該技術分野で公知の方法を利用することによって、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を作製できる。
【0044】
上記のベクターとしては、例えば大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC12、pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5、pC194)、酵母由来プラスミド(例えばpSH19、pSH15)、動物細胞発現プラスミド(例えばpA1-11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neo)、λファージなどのバクテリオファージ、HIV、アデノウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルスなどのウイルス由来のベクターなどを用いることができる。これらのベクターは、プロモーター、複製開始点、又は抗生物質耐性遺伝子など、蛋白質発現に必要な構成要素を含んでいてもよい。
【0045】
本発明の他の実施形態は、上記ポリヌクレオチド又はベクターが導入された宿主細胞又は形質転換体である。上記宿主細胞又は形質転換体を用いれば、当該技術分野で公知の方法によって、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を作製できる。上記宿主細胞は、ヒトや他の哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ハムスターなど)の細胞であってもよい。哺乳動物細胞としては、例えば、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO(dhfr)細胞)、マウスL細胞、マウスAtT-20、マウスミエローマ細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞、ヒトHEK293細胞などが挙げられる。又は、Escherichia属菌、Bacillus属菌、酵母、鳥類細胞、又は昆虫細胞であってもよい。
【0046】
上記のポリヌクレオチド又はベクターの細胞への導入と抗体の生産は、当該技術分野で公知の方法に従って行うことができる。ポリヌクレオチド又はベクターの細胞への導入方法として例えば、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法、アデノウイルスによる方法、レトロウイルスによる方法、又はマイクロインジェクションなどを使用できる(改訂第4版 新 遺伝子工学ハンドブック, 羊土社(2003):152-179.)。抗体の細胞を用いた生産方法としては、例えば、"タンパク質実験ハンドブック,羊土社(2003):128-142."に記載の方法を使用できる。なお、抗B3抗体は、化学合成もしくは無細胞翻訳系で合成された抗体であってもよい。
【0047】
抗体の精製方法は、例えば、硫酸アンモニウム、エタノール沈殿、プロテインA、プロテインG、ゲルろ過クロマトグラフィー、陰イオン、陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、又はレクチンクロマトグラフィーなどを用いて達成され得る(タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):27-52.)。
【0048】
本明細書において「抗体」は、抗原上の特定のエピトープに特異的に結合することができる分子を意味する。抗体は、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体であってもよい。また、抗体は様々な形態で存在することができ、例えば、Fv、Fab、F(ab')、Fab'、diabody、一本鎖抗体(例えば、scFv)、dsFv、CDRを含むペプチド、多価特異的抗体(例えば、二価特異的抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体などが挙げられる。
【0049】
ポリクローナル抗体は、例えば、抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために、哺乳類(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ハムスターなど)、鳥類、昆虫等に、目的の抗原を含む免疫原を投与することによって抗体を生成することが可能である。免疫原の投与は、1つ以上の免疫剤、および所望の場合にはアジュバントの注入を必要とすることもある。アジュバントは、免疫応答を増加させるために使用されることもあり、フロイントアジュバント(完全又は不完全)、ミネラルゲル(水酸化アルミニウム等)、界面活性物質(リゾレシチン等)を含む。免疫プロトコールは、当該技術分野で公知であり、選択する動物宿主に合わせて、免疫応答を誘発する任意の方法によって実施される場合がある(タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):86-91.)。
【0050】
モノクローナル抗体は、集団を構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じることが可能な突然変異を除いて、同一であるものを含む。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、異なるエピトープ(抗原決定基)に対応する異なる抗体を典型的に含む、通常のポリクローナル抗体とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一のエピトープに対応する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンによって汚染されていないハイブリドーマ培養から合成できる点で有用である。「モノクローナル」という形容は、実質的に均一な抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本明細書におけるモノクローナル抗体は、"Kohler G, Milstein C., Nature. 1975 Aug 7;256(5517):495-497."に掲載されているようなハイブリドーマ法と同様の方法によって作ることができる。あるいは、本発明で使用されるモノクローナル抗体は、米国特許第4816567号に記載されているような組換え法と同様の方法によって作ることができる。又は、本明細書におけるモノクローナル抗体は、"Clackson et al., Nature. 1991 Aug 15;352(6336):624-628."又は"Marks et al., J Mol Biol. 1991 Dec 5;222(3):581-597."に記載されているような技術と同様の方法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。又は、"タンパク質実験ハンドブック, 羊土社(2003):92-96."に掲載されている方法で作製してもよい。
【0051】
Fvは、完全な抗原認識部位を含む抗原結合性断片又はその同等物である。この領域は、非共有結合による1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。この配置において、各可変ドメインの3つのCDRは相互に作用してV−V二量体の表面に抗原結合部位を形成する。
【0052】
Fabは、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体が一部のジスルフィド結合を介して結合した、抗原結合性断片又はその同等物である。Fabは、例えば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。
【0053】
F(ab')は、Fab領域及びFc領域を含む抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち、Fabに相当する部位を2つ含む、抗原結合性断片又はその同等物である。F(ab')は、例えば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を、蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。また、例えば、下記のFab'をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させることで、作製することができる。
【0054】
Fab'は、F(ab')のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した、抗原結合性断片又はその同等物である。例えば、F(ab')を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。
【0055】
scFvは、1本のVと1本のVとを適当なペプチドリンカーを用いて連結した、抗原結合性断片又はその同等物である。scFvは、例えば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体のVおよびVをコードするcDNAを取得し、V−ペプチドリンカー−Vをコードするポリヌクレオチドを構築し、上記ポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。
【0056】
diabodyは、scFvが二量体化した抗原結合性断片又はその同等物であり、二価の抗原結合活性を有する。二価の抗原結合活性は、同一であることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。diabodyは、例えば、scFvをコードするポリヌクレオチドをペプチドリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、上記ポリヌクレオチドをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。
【0057】
dsFvは、VおよびV中にシステイン残基を導入したポリペプチドを上記システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させた、抗原結合性断片又はその同等である。システイン残基に導入する位置はReiterらにより示された方法(Reiter et al., Protein Eng. 1994 May;7(5):697-704.)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
【0058】
上記のFv、Fab、F(ab')、Fab'、scFv、diabody、dsFv(以下、「Fv等」と称することもある)の生産方法は特に限定しない。例えば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体におけるFv等の領域をコードするDNAを発現用ベクターに組み込み、発現用細胞を用いて生産できる。
【0059】
CDRを含むペプチドは、V又はVのCDRの1つ以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接又は適当なペプチドリンカーを介して結合させることができる。CDRを含むペプチドの生産方法は限定されず、例えば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体のV又はVのCDRの1つ以上をコードするDNAをベクターに組み込み、発現用の細胞を用いて生産できる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBOC法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって製造することもできる。
【0060】
キメラ抗体は異種生物間における、抗体の可変領域と、抗体の定常領域とを連結したもので、遺伝子組換え技術によって容易に構築できる。キメラ抗体を生成する方法は、当該技術分野で公知である。例えば、マウス−ヒトキメラ抗体は、"Roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973."に記載の方法で作製できる。標的抗原に対するマウスモノクローナル抗体の、マウス軽鎖V領域およびマウス重鎖V領域をコードするDNA断片をクローニングし、これらのマウスV領域をコードするDNAを、ヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結して発現させることによってマウス−ヒトキメラ抗体が得られる。マウス−ヒトキメラ抗体を作製するための基本的な方法は、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びV領域配列を、哺乳類細胞の発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体C領域をコードする配列に連結する。あるいは、クローン化されたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びV領域配列をヒト抗体C領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結する。ヒト抗体C領域の断片は、任意のヒト抗体のH鎖C領域及びヒト抗体のL鎖C領域のものとすることができ、例えばヒトH鎖のものについてはCγ1、Cγ2、Cγ3又はCγ4、及びL鎖のものについてはCλ又はCκを各々挙げることができる。
【0061】
ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン由来のフレームワーク(FR)領域、さらにヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有し、所望の抗原に結合する。抗原結合を改変する、好ましくは、改善するために、ヒトフレームワーク領域のアミノ酸残基は、CDRドナー抗体からの対応する残基と置換されることが多い。これらのフレームワーク置換は、当該技術分野で周知の方法(例えば、抗原結合に重要なフレームワーク残基を同定するために、CDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングによって、および特定の位置で異常なフレームワーク残基を同定するための配列比較)によって実施される(Riechmann et al., Nature. 1988 Mar 24;332(6162):323-327.)。抗体は、当該技術分野で既知の種々の手法を使用してヒト化することが可能である(Almagro et al., FRont Biosci. 2008 Jan 1;13:1619-1633.)。例えば、CDRグラフティング(Ozaki et al., Blood. 1999 Jun 1;93(11):3922-3930.)、Re-surfacing (roguska et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1994 Feb 1;91(3):969-973.)、およびFRシャッフル(Damschroder et al., Mol Immunol. 2007 Apr;44(11):3049-3060. Epub 2007 Jan 22.)などが挙げられる。
【0062】
ヒト抗体は、典型的には、抗体を構成する重鎖の可変領域、重鎖の定常領域、軽鎖の可変領域、および軽鎖の定常領域を含む領域がヒトイムノグロブリンをコードする遺伝子に由来する抗体である。主な作製方法としてはヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法、ファージディスプレイ法などがある。ヒト抗体作製用トランスジェニックマウス法は、内因性Igをノックアウトしたマウスに機能的なヒトのIg遺伝子を導入すれば、マウス抗体の代わりに多様な抗原結合能を持つヒト抗体が産生される。さらにこのマウスを免疫すればヒトモノクローナル抗体を従来のハイブリドーマ法で得ることが可能である。例えば、"Lonberg et al., Int Rev Immunol. 1995;13(1):65-93."に記載の方法で作成できる。ファージディスプレイ法は、典型的には大腸菌ウイルスの一つであるM13やT7などの繊維状ファージのコート蛋白質(g3pやg10pなど)のN末端側にファージの感染性を失わないよう外来遺伝子を融合蛋白質として発現させるシステムである。例えば、"Vaughan et al., Nat Biotechnol. 1996 Mar;14(3):309-314."に記載の方法で作成できる。
【0063】
また、本発明の実施形態に係る抗B3抗体は、CDR-grafting(Ozaki et al., Blood. 1999 Jun 1;93(11):3922-3930.)によって任意の抗体に抗B3抗体の重鎖CDRをグラフティングすることで作製してもよい。又は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体の重鎖CDR領域をコードするDNAと、公知のヒト又はヒト以外の生物由来の抗体の、重鎖CDR領域を除く領域をコードするDNAとを、当該技術分野で公知の方法に従ってベクターに連結後、公知の細胞を使用して発現させることによって得ることができる。またこのとき、抗B3抗体の標的抗原への作用効率を上げるために、当該分野で公知の方法(例えば、抗体のアミノ酸残基をランダムに変異させ、反応性の高いものをスクリーニングする方法、又はファージディスプレイ法など)を用いて、重鎖CDR領域を除く領域を最適化することが好ましい。特に、抗B3抗体の標的抗原への作用効率を上げることができるため、例えば、FRシャッフル(Damschroder et al., Mol Immunol. 2007 Apr;44(11):3049-3060. Epub 2007 Jan 22.)、又はバーニヤゾーンのアミノ酸残基又はパッケージング残基を置換する方法(特開2006-241026、又はFoote et al., J Mol Biol.1992 Mar 20;224(2):487-499.)を用いて、FR領域を最適化することが好ましい。
【0064】
重鎖(heavy chain)は、全長抗体の主な構成要素である。典型的には、軽鎖(light chain)とジスルフィド結合および非共有結合によって結合している。重鎖のN末端側のドメインには、同種の同一クラスの抗体でもアミノ酸配列が一定しない可変領域(VH)と呼ばれる領域が存在し、一般的に、VHが抗原に対する特異性、親和性に大きく寄与していることが知られている。例えば、"Reiter et al., J Mol Biol. 1999 Jul 16;290(3):685-98."にはVHのみの分子を作製したところ、抗原と特異的に、高い親和性で結合したことが記載されている。さらに、"Wolfson W, Chem Biol. 2006 Dec;13(12):1243-1244."にはラクダの抗体の中には、軽鎖を持たない重鎖のみの抗体が存在していることが記載されている。
【0065】
CDR(相補性決定領域、complementarity determining region)は、抗体において、実際に抗原に直接接触して結合部位を形成している領域である。一般的にCDRは、抗体のFv(可変領域:重鎖のV領域(VH)と軽鎖のV領域(VL)とから構成されている)上に位置している。また一般的にCDRは、5〜20アミノ酸残基程度からなるCDR1、CDR2、CDR3が存在する。そして、特に重鎖のCDRが抗体の抗原への結合に寄与していることが知られている。またCDRの中でも、一般的にはCDR3が抗体の抗原への結合における寄与が最も高いことが知られている。例えば、"Willy et al., Biochemical and Biophysical Research Communications Volume 356, Issue 1, 27 April 2007, Pages 124-128"には重鎖CDR3を改変させることで抗体の結合能を上昇させたことが記載されている。また、CDRは抗体の抗原に対する特異性を決定する領域であるため、抗体間でアミノ酸配列が大きく異なり、超可変領域ともよばれている。CDR以外のFv領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれ、FR1、FR2、FR3およびFR4からなり、抗体間で比較的よく保存されている(Kabat et al.,「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept. Health and Human Services, 1983.)。即ち、抗体の反応性を特徴付ける要因は重鎖CDR3であり、次に重鎖CDRであるといえる。
【0066】
重鎖CDR3は、抗体の重鎖のCDRに存在していて、抗原に直接接触して結合部位を形成している領域である。一般的に、重鎖CDRには重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3が存在し、重鎖CDR3が結合における寄与が最も高い。CDRの定義およびその位置を決定する方法は複数報告されており、これらの何れも採用し得る。例えば、Kabatの定義(Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))、又はChothiaの定義(Chothia et al., J. Mol. Biol.,1987;196:901-917)を採用してもよい。本明細書においては、Kabatの定義を好適な例として採用するが、必ずしもこれに限定されない。また、場合によっては、Kabatの定義とChothiaの定義の両方を考慮して決定しても良く、例えば、各々の定義によるCDRの重複部分を、又は、各々の定義によるCDRの両方を含んだ部分をCDRとすることもできる。そのような方法の具体例としては、Kabatの定義とChothia aの定義の折衷案である、Oxford Molecular's AbM antibody modeling softwareを用いたMartinらの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989;86:9268-9272)がある。
【0067】
本明細書において「結合する」とは、物質間の連結を意味する。連結は共有結合又は非共有結合のいずれであってもよく、たとえば、イオン結合、水素結合、疎水性相互作用、又は親水性相互作用が挙げられる。本明細書において抗原抗体反応における「認識する」とは、抗体工学分野で通常用いられる意味で使用でき、例えば、特異的に結合するという意味を含む。
【0068】
本明細書において「立体構造を認識する」は、例えば、抗体が天然状態の構造を有する抗原に特異的な結合性を有し、且つ変性状態の構造を有する抗原に特異的な結合性を有さないことを意味する。また「特異的な結合性を有さない」とは、抗体が抗原に完全に結合しない場合、又は抗体の抗原への結合量が著しく低い場合の、抗体の機能を表現するものである。例えば、ドットブロット法で結合性を検証した場合に、結合性を有さない抗体によって見られるドットの強度は、結合性を有する抗体によって見られるドットの強度に比べて、0.05、0.01、又は0.001倍であってもよく、それらの値以下、又はそれらの値の範囲内であっても良い。又は、結合性を有さない抗体は、表面プラズモン共鳴測定装置によって測定した結合速度定数(Ka)が、結合性を有する抗体に対して0.1、0.05、又は0.01倍であってもよく、それらの値以下、又はそれらの値の範囲内であっても良い。また「天然状態」は、例えば、未変性状態の野生型抗原に対して、同程度の立体構造又は活性を有している状態を含む。ここで同程度は、80%以上、90%以上、又は100%を含む。「変性状態」は、例えば、抗原をSDS-PAGEに供した後の状態を含む。又は、例えば、Bio-dot(Bio-Rad)を用いて抗原をニトロセルロース膜に吸引させたあと、1%SDS含有溶液で変性させることによって生じさせてもよい。又は、抗原に熱や圧力を与えることで変性させてもよい。変性状態の抗原の活性は、未変性状態の野生型抗原に対して、例えば10、5、1、又は0.1%であってもよく、それらの値以下、又はそれらの値の範囲内であっても良い
【0069】
本明細書において「アミノ酸」とは、アミノ基とカルボキシル基を持つ有機化合物の総称である。本発明の実施形態に係る抗B3抗体が特定のアミノ酸配列を含むとき、そのアミノ酸配列中のいずれかのアミノ酸が化学修飾を受けていてもよい。そのような場合でも、本発明の実施形態に係る抗B3抗体は、特定のアミノ酸配列を含むといえる。一般的に、蛋白質に含まれるアミノ酸が生体内で受ける化学修飾としては、例えばN末端修飾(例えば、アセチル化 、ミリストイル化等)、C末端修飾(例えば、アミド化、グリコシルホスファチジルイノシトール付加等)、又は側鎖修飾(例えば、リン酸化、糖鎖付加等)等が知られている。
【0070】
本明細書において、「結晶化」とは、蛋白質を結晶として析出させることである。結晶化によって得られる結晶は、X線結晶構造解析を行うことで、X線を当て散乱したX線の回折像から該蛋白質の3次元構造を解析できる。蛋白質の3次元構造を解析した結果は、たとえば、蛋白質立体構造に基づく薬剤設計(SBDD;Structure Based Drug Design)に使用できる。なお、蛋白質の結晶化法には、静止バッチ法、自由界面拡散法、微量透析法、蒸気拡散法などを含む。蒸気拡散法は、一般的に、沈澱剤を含む蛋白質溶液を、より高濃度の沈澱剤を含む緩衝液の入った容器中に置き、密閉空間における飽和蒸気圧の差により結晶化を促す方法である。溶液の配置によりハンギングドロップ法、シッティングドロップ法、サンドイッチドロップ法に分類できる。また、市販の沈殿剤又は結晶化用キットを使用することもできる。
【0071】
本明細書において「共結晶化」とは、蛋白質に化合物を結合させた状態で、又は蛋白質が含まれる水溶液中に化合物を混在させた状態で、蛋白質と上記化合物をともに結晶化させることを含む。このとき、上記化合物を結晶化リガンドという。共結晶化は、例えば、膜蛋白質にその膜蛋白質に対する抗体を結合させた状態で、ともに結晶化させることを含む。
【0072】
(2)結晶化リガンド等
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を含む、B3の結晶化リガンドである。この結晶化リガンドを用いれば、B3の結晶、又はB3の一部分の結晶を効率的に生成することができる。又は、上記の結晶化リガンドを用いれば、B3を高分解能で結晶化させることができる。上記分解能は、例えば、2、3、4、6、8、又は10オングストロームであってもよく、それらいずれかの値以上、又はそれらの値の範囲内であってもよい。なお本明細書において「B3の結晶化リガンド」とは、B3又はB3の一部分の結晶化を促進させるために用いられるリガンドを意味する。本明細書において「B3の一部分」は、例えば、B3の55kDaドメイン、55kDaドメインの細胞外領域、又は細胞外第2ループ領域を含んでいても良い。
【0073】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を含む、B3活性阻害剤である。このB3活性阻害剤を用いれば、B3の活性を阻害することができる。又は、B3の活性低下が関連する種々の機能を増加させることができる。なお、B3の活性は、例えば基質交換輸送活性が挙げられる。B3の基質は、例えば陰イオン(例えば、Cl、HCO)が挙げられる。又は、B3の基質は無機リン酸、ピリドキサールリン酸、又はホスホエノールピルビン酸等であっても良い。
【0074】
ここで、上記「阻害」が生じている状態は、抗B3抗体を作用させる前後で、B3の活性が有意に減少している状態を含む。例えば、抗B3抗体を作用させる前に比べて、B3の活性が0.7、0.6、0.4、0.2、0.1、又は0.01倍に減少している状態を含む。この倍率は、ここで例示したいずれか1つの値以下、又はいずれか2つの値の範囲内であってもよい。なお阻害強度は、例えば、後述の実施例に記載の通りイオン輸送活性を測定することで評価できる。イオン輸送活性は、後述する実施例に記載するように、シンチレーションカウンターで測定することで評価してもよい。また本明細書において「有意に」は、例えば統計学的有意差をスチューデント(Student)のt検定(片側又は両側)を使用して評価し、p<0.05であるときを含む。
【0075】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を含む、細胞膜内外のイオン濃度調節剤である。このイオン濃度調節剤を用いれば、細胞膜内外の各種イオンが関連する種々の機能を調節することができる。
【0076】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を含む、試薬である。この試薬は、例えば、B3を共結晶化するための試薬として使用できる。又は、B3の活性を阻害する作用を利用して、赤血球等のイオン輸送の関与するメカニズムを調べるための試薬として使用できる。又は、生細胞に発現する機能的なB3を検出するための試薬として使用できる。
【0077】
また、本発明の実施形態に係る抗B3抗体、又は上記B3活性阻害剤を用いれば、B3の活性を阻害する作用を利用して、B3が関連する疾患の治療を行うことができる。抗体は低分子化合物に比べてターゲットへの結合特異性に優れており、組換えDNA技術等により適切に設計すれば副作用を抑えることも可能である。またこれらを用いれば、例えば、細胞膜内外のイオン濃度を調節することができる。この調節作用により、例えば、イオン濃度の偏りによって引き起こされる疾患を治療することができる。またこれらは、例えば、再生医療における細胞又は組織の機能や生存率を維持するための添加剤、又は畜産において動物の成育を補助するための添加剤として使用できる。
【0078】
また、本明細書において「治療」とは、被験者の疾患又は疾患に伴う1つ以上の症状の、予防あるいは症状改善効果を発揮しうることをいう。なお、治療薬は予防薬を含む。
【0079】
また、治療薬は、単独で投与することも可能ではあるが、薬理学的に許容される1つあるいはそれ以上の担体、又はDDS等と一緒に混合し、製剤学の技術分野において知られる任意の方法により医薬製剤化して用いることが好ましい。
【0080】
投与経路は、治療に際して最も効果的なものを使用するのが好ましく、例えば、静脈内、皮下、口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内、腹腔内、眼内、又は経口投与等をあげることができる。また、全身又は局部的に投与することができる。特に好ましい投与経路は、非経口投与である。
【0081】
投与形態としては、注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座剤、噴霧剤、軟膏、テープ剤などがあげられる。非経口投与には、注射剤、座剤、噴霧剤が適している。抗体医薬を投与する場合には、注射剤として用いることが効果的である。注射用の水溶液は、アンプル、バイアル、ステンレス容器、又はプラスチック容器内で保存してもよい。また注射用の水溶液は、例えば生理食塩水、ブドウ糖、水酸化Na、リン酸水素Na水和物、リン酸二水素Na、クエン酸水和物、トレハロース、D−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化Na、アルコール、又は非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート、HCO-50)等を配合してもよい。
【0082】
座剤はカカオ脂、水素化脂肪又はカルボン酸などの担体を用いて調製することができる。また、噴霧剤は有効成分と、受容者の口腔及び気道粘膜を刺激せず、かつ有効成分を含有する物質を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体、などを用いて調製することができる。この担体としては具体的には乳糖、グリセリンなどが例示できる。有効成分を含有する物質と、用いる担体の性質に合わせて、エアロゾル、ドライパウダーなどの製剤化が可能である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示する成分を添加することもできる。
【0083】
カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、散剤などは、経口投与の場合に適当な製剤である。乳剤及びシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖などの糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ゴマ油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類などの防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミントなどのフレーバー類などを添加剤として用いて製造できる。さらに、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤などは、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトールなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチンなどの結合剤、脂肪酸エステルなどの界面活性剤、グリセリンなどの可塑剤などを添加剤として用いて製造できる。
【0084】
また治療薬は、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。このようにして得られる製剤は安全で低毒性である。
【0085】
投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.001、0.1、1、10、500、又は1000mgであってもよく、ここで例示したいずれか2つの値の範囲内であってもよい。投与間隔は、例えば1、7、14、21、28、又は35日であってもよく、ここで例示したいずれか2つの値の範囲内であってもよい。投与量、投与間隔、投与方法は、被験者の年齢や体重、症状、対象臓器等により変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。また、適切な化学療法薬と併用で投与してもよい。
【0086】
本明細書において「被験者」とは、ヒト又はヒトを除く哺乳類(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、サル、チンパンジー、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター等)を含む。
【0087】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を含む、診断薬、又は診断用キットである。この診断薬又は診断用キットを用いれば、生細胞で発現するB3が機能的な構造を有しているかどうかの診断ができる。又は、B3の構造変化によって起こる疾患の診断ができる。診断用キットは、抗B3抗体を用いる際の使用方法もしくは使用例を記載した指示書、その指示書の所在を記載した文面、又は種々のバッファーを含んでいてもよい。
【0088】
抗B3抗体と、B3との結合強度又は結合の有無を調べる方法としては、ELISA法、表面プラズモン共鳴測定装置(例えばBiacore(登録商標))を用いた方法、FACS分析など、当該技術分野で公知の方法をいずれも使用できる。ELISA法は、典型的には、測定したい物質と特異的に反応する抗体もしくは既知量の抗原を固相化したマイクロプレートに、測定したい物質と酵素標識抗原とを同時に加えて反応させ、プレートに結合した酵素標識物の酵素活性を比色法や蛍光法により計測して、特異的相互作用を測定する方法である。HPLC法等と比較して非常に高感度な検出が可能である。表面プラズモン共鳴測定装置を用いた方法は、分子標識の必要なしに、特異的相互作用について結合反応から平衡状態及び解離反応までをリアルタイムに測定することが可能である。典型的な測定操作としては、リガンドをセンサー表面に固定化した後、マイクロ流路系を介して反応物質を含む試料溶液を添加することにより、センサー表面でおこる特異的相互作用を微細な質量変化として測定する。その測定原理に表面プラズモン共鳴(Surface plasmon resonance、SPR)とよばれる光学現象を採用することで信頼性のある測定が行える。測定結果をもとに、結合速度定数(Ka)、解離速度定数(kd)、及び解離定数(KD)を算定でき詳細な解析が可能である[Jonsson et al., Biotechniques. 1991 Nov;11(5):620-7.、Fivash et al., Curr Opin Biotechnol. 1998 Feb;9(1):97-101.]。FACS分析は、典型的には、フローセル内を流れる細胞にレーザー光をあて、細胞からの前方散乱光、側方散乱光からパラメータを測定することで、抗体の結合状態を解析する手法である。
【0089】
本発明の実施形態に係る抗B3抗体は、Ka(1/Ms)が例えば、1.0×103、5.0×103、1.0×104、5.0×104、1.0×105、又は5.0×105であってもよく、それらの値以上又は、それらの値の範囲内であっても良い。又は、kd(1/s)が例えば、5.0×10-4、1.0×10-4、5.0×10-5、1.0×10-5、1.0×10-6、1.0×10-7、又は5.0×10-8であってもよく、それらの値以下又は、それらの値の範囲内であっても良い。又は、KD(M)が例えば、5.0×10-8、1.0×10-8、5.0×10-9、1.0×10-9、5.0×10-10、1.0×10-10、又は5.0×10-11であってもよく、それらの値以下又は、それらの値の範囲内であっても良い。
【0090】
本発明の他の実施形態は、ウイルスを用いて抗原蛋白質を発現させる工程と、上記抗原蛋白質を生物に免疫し、抗体を取得する工程と、上記抗体と変性状態の抗原蛋白質とを接触させ、結合性を有さない抗体を選抜する工程と、上記抗体とリポソームに包埋した抗原蛋白質とを接触させ、結合性を有する抗体を選抜する工程とを含む、抗B3抗体の生産方法である。この生産方法を適切に用いれば、本発明の実施形態に係る抗B3抗体を生産することができる。
【0091】
本発明の他の実施形態は、本発明の実施形態に係る抗B3抗体と、B3を発現している細胞と、を接触させる工程を含む、B3の活性を阻害する方法である。この方法は、in vivo又はin vitroで行うことが可能である。この方法によれば、イオン輸送を阻害することで、細胞膜内外のイオン濃度を調節することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記実施形態に記載の構成を組み合わせて採用することもできる。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
<実施例1>
(1)免疫および抗体産生ハイブリドーマのサプクローニング
ヒトのB3を発現するバキュロウイルスをgp64トランスジェニックマウス(BALB/c系)に数回繰り返し皮下注射し、免疫応答を惹起させた。その後、抗体価の上昇したマウスから脾臓細胞を摘出し、ミエローマ細胞と融合させ、抗体産生ハイブリドーマを作製した。抗体価の上昇は段階希釈系列に対してリポソームELISAを行い検定した。
【0095】
なお、ヒトのB3を発現するバキュロウイルスは以下の手順で調製した。まず、ヒトB3のアミノ酸360から911をコードするcDNA配列のC末端にヒスチジンタグを付加したアミノ酸配列(配列番号20)をコードするcDNAをpFastBac1(Invitrogen, Carlsbad, CA)に組み込み、pFastBac1-B3-Hisベクターを作成した。次に、説明書(Bac-To-Bac Baculovirus Expression System)に従い、pFastBac1-B3-HisベクターをDH10BacコンピテントセルにトランスフォーメーションしてB3-Hisを含むバクミドを得た。そのバクミドをSf9細胞にトランスフェクションして、組み替えウイルスを作成した。Sf9細胞(Invitrogen)は完全培地(10%ウシ胎児血清(Sigma)、100units/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを含むGrace's supplemented media(GIBCOBRL))で27℃で10cm径ディッシュに継代培養した。大量培養は1L容量のスピナーフラスコ(Wheaton)にて完全培地に0.001%pluronic F-68(GIBCO BRL)を添加して行なった。
【0096】
Sf9細胞を1L容量のスピナーフラスコ(Wheaton)に2×106個/ml濃度で500ml培養し、上記で作成した組み換えウイルスをMOI(multiplicity of infection)=5で感染させ、72時間後の培養液を実験に用いた。この培養液を1000×g、10分間遠心し、沈澱および上清に分離した。沈澱を細胞破砕緩衝液(20 mM Tris-HCl pH 7.4、0.25 M sucrose、10 mM MgCl2、1 mM EDTA、0.5mM PMSF、2 mM DTT)に懸濁し超音波破砕後、10000×g、30分遠心し、さらに上清を100000×g、1時間超遠心し、沈澱をリン酸緩衝液(PBS)に懸濁し細胞膜画分とした。1000×gの遠心後の上清を10000×g、15分遠心後、上清を45000×g、30分遠心し、沈澱をPBSに懸濁後さらに45000×g、30分遠心し、沈澱をPBSに懸濁し発芽型ウイルス画分(BV画分)とした。BV画分におけるB3の発現は、抗His抗体(品名;His-1, シグマ社製. cat No. H1029)を用いてウエスタンブロットで確認した。その結果、野生型バキュロウイルスを感染させた場合と比較して、B3の発現による抗体結合を確認した。
【0097】
(2)融合細胞サブクローン株の一次スクリーニング
96穴細胞培養プレート内に分種して培養されたサブクローン株の培養上清に対して、リポソームELISA法よって抗体産生能を確認した。その結果、計2288ウェルのハイブリドーマに対して試験し、54の抗体産生株が選別された。
【0098】
上記リポソームELISA法の概要は、ヒト赤血球から精製したB3を脂質二重膜に埋め込んだビオチン化リポソームを、ストレプトアビジンを介してプレートに固定し、ELISA法を行うというものである。具体的には以下の通り実施した。
【0099】
(2−1)B3包埋リポソームの調製
以下の手順によって、B3を精製した。少量のEDTA粉末を含む遠沈管に採取されたヒト血液(400mL)に対して3000×g、4℃、5分間の遠心分画を行い、上清(血清)および界面成分(白血球)を除去した。沈殿を5B8(5mM炭酸水素ナトリウム溶液)に懸濁させることで溶血させ、3000×g、5分間の遠心分画後の上清を除去する操作を繰り返すことにより、赤血球膜(ホワイトゴースト;WG)を獲得した。100mgのWGを氷上で等mLの5B8に懸濁した。これを32000×g、4℃、30分間遠心して上清を除き等量の5B8に再懸濁(この操作を「洗浄」と呼ぶ)を行った。その後10mMホウ酸水溶液(pH9.5)に置換したのち、終濃度10μMのHDIDS(4,4-diisothiocyanatodihydrostilbene-2,2-disulfonic acid)を添加し、37℃の温浴中で90分反応させた。3回洗浄後蛋白質定量を行い、1mg/mLとなるように5B8で懸濁したのち終濃度10μg/mLのトリプシン(TPCK-trypsin(Sigma))を添加し、氷上に30分静置した。続いてWGを0.5%(w/v)BSAを含む5B8で3回洗浄したのち10mM水酸化ナトリウム溶液に置換し、氷上で30分間静置したのち5B8で3回洗浄されたWGを4℃で攪拌しながら終濃度500mMとなるようにNaClを徐々に添加し一晩放置後、5B8で3回洗浄した。これらの操作により40kDaドメインおよび膜表在性蛋白質の除去を行った。3回の洗浄後、10mM Tris-HCl(pH8.0)に懸濁し、終濃度0.62%(w/v)のC12(Octaethylene glycol monododecyl ether, Anatrace)を添加・懸濁することでB3の可溶化を行い、100000×g、4℃、30分間超遠心後の上清を回収した。これをPOROS−S 1.7mL(Applied Biosystems)を分離担体とする陰イオン交換クロマトグラフィーにより精製した。Buffer A(10mM Tris-HCl(pH8.0)、0.1%(w/v) C12)に対して0−0.3M NaClのリニアグラジエントで溶出させ、およそ0.15M付近の画分を回収した。これをBuffer Aにより透析したのち、5mLのDEAE-toyopearl(東ソー)へ吸着させ、10mM Tris-HCl(pH8.0)、 0.1%(w/v) C12、300mM NaClで溶出させ、10mM Tris-HCl(pH8.0)に透析した。タンパク収量はBCA protein assay kit(Thermo scientific)を用いた562nmの比色定量法を採用した。
【0100】
次に、精製したB3を、1%オクチルグルコシドを含むPBSにより可溶化した5μg/mlの16:0 biotinyl CAP-PEを含む1mg/mlの鶏卵由来フォスファチジルコリン溶液に最終濃度0.1mg/mlとなるように加え、30分氷上で静置した。次いで1mlに対し30mgのBio-Beadsを加え、4℃で1時間撹拌する作業を2度行った。さらに1mlに対し100mgのBio-Beadsを加え1晩撹拌し、Bio-Beadsを取り除いた。以上の手順により、ビオチン化したB3包埋リポソームを調整した。
【0101】
(2−2)リポソームELISAの実施
B3包埋リポソームをPBSで10倍希釈し、Immobilizer streptavidin coat plateへ100μL添加し、1時間室温で静置した。200μLのPBSで3回洗浄後、1%BSAを含むPBSを加え、1時間室温で静置することでブロッキングを行った。200μLのPBSで3回洗浄後、上記の培養上清を加え1時間室温で静置した。200μLのPBSで3回洗浄後、二次抗体として2000倍希釈anti-mouse IgG-HRP conjugateを加え1時間室温で静置した。PBSによる洗浄後、HRPの発色基質であるABTS溶液(Roche社)を100μL加え15分反応させ、100μlの1% SDSを加えることで反応を停止させた。次いでSpectraMax2e micro plate reader(Molecular device社)により405nmの吸光度を測定した。
【0102】
(3)融合細胞サブクローン株の二次スクリーニング
上記抗体産生株の培養上清について、以下の手法を用いて、二次スクリーニングを行った。
【0103】
(3−1)B3−抗体結合におけるカイネティクス測定
表面プラズモン共鳴測定装置(BiacoreT100;GE社)を用いた。抗マウスFc抗体が共有結合で固定化されたセンサーチップ(CM5)に培養上清を送液したのちB3精製標品を送液することで、B3−抗体複合体がチップ表面上で形成され、次いで緩衝液を通すことでB3が脱着する。この全過程におけるレスポンス変化から複合体の形成能を確認し、形成能を有するものについてはさらに結合速度定数と解離速度定数をレスポンスカーブのカーブフィッティング(1:1結合モデル)により算出した。
【0104】
(3−2)ウエスタンプロッティング
B3 0.05μgをSDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。展開されたゲルをPVDF膜に転写し、培養上清希釈液で一次反応を、HRP標識した抗マウスIgG抗体で二次反応を行い、変性したB3に対する抗体の結合性を調査した。
【0105】
以上により、B3に特に高い親和性で結合し、かつ変性条件下での結合性を持たない4種類の抗体産生細胞株(C4201A1、C4203D3、C4204C3、C4206G7)が選択された(図1;Biacore(登録商標)とウエスタンブロットの結果)。
【0106】
(4)モノクロ一ナル抗体の取得と結晶化
次いでパッチピッキング、限界希釈を繰り返してシングルクローン化した。樹立された細胞(シングルクローン)をマウスに腹腔注射し、腹水内にモノクローナル抗体を大量産生させた。獲得されたモノクローナル抗体は精製後Fabフラグメント化し、B3との複合体形成能をゲル濾過クロマトグラフィーにより確認した。ここで用いたB3は、上述の(2−1)と同様の方法で調整した。C4201A1、C4203D3、及びC4204C3由来のシングルクローンを、それぞれC4201−A1−10、C4203−D3−26、及びC4204−C3−48と命名した。C4201−A1−10由来のFab(C4201−104)を用いたときのゲル濾過クロマトグラフィーの結果を図2に示す。
【0107】
図2のゲル濾過クロマトグラフィーのメインピーク(矢印部分)を濃縮し、蒸気拡散法により共結晶化を実施した。得られた結晶に関して、X線回折実験を実施したところ、分解能3オングストロームの回折データが得られた(図3)。なお、共結晶化に用いる抗体を、B3に対して高い親和性で結合し、且つB3の立体構造を認識しない抗体(変性条件下でのB3に対する結合性を有する抗体)に変えて、共結晶化を試みた。その結果、C4201−104を用いた場合に比べると、結晶化効率が著しく低かった。また、高解像度の回折データは得られなかった。
【0108】
さらにC4201−A1−10から抽出したmRNAからcDNAを作成し、抗体のVH又はVL領域をコードする遺伝子配列の解読を行うことにより、同領域のアミノ酸配列を決定した。CDRのアミノ酸配列を表1に示す(配列番号1〜6)。また、VHは配列番号7、重鎖FR1は配列番号9、重鎖FR2は配列番号10、重鎖FR3は配列番号11、重鎖FR4は配列番号12、VLは配列番号8、軽鎖FR1は配列番号13、軽鎖FR2は配列番号14、軽鎖FR3は配列番号15、軽鎖FR4は配列番号16で示されるアミノ酸配列であった。また、C4201−A1−10を、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託した。受領番号はNITE AP-1153、受領日は2011年10月19日である。
【0109】
【表1】

【0110】
(5)抗体の結合部位の確認
B3とC4201−104の複合体について、PEG300を沈殿剤に含む条件で結晶化し、その回折データから、3.6オングストローム分解能で複合体の分子モデルを構築することができた。当該モデルにより、C4201−104はB3の55kDaドメインの細胞外第2ループ領域をエピトープとすることが判明した(図4)。
【0111】
(6)基質輸送活性阻害実験
上記のようにして得られた抗体の、B3の低分子イオン輸送活性への影響を、赤血球膜を小胞膜(ROV)又は反転膜小胞(IOV)として再構築したものを用いて評価した。
【0112】
(6−1)赤血球の取得
ヒト血液(10mL程度)を少量のEDTA粉末を含む遠沈管に採取し、3000×g、4℃、5分間の遠心分画を行い、上清(血清)および界面成分(白血球)の除去された赤血球を回収した。これをPBSで穏やかに懸濁し、3000×g、4℃、5分間の遠心を数回繰り返し洗浄したあと、CPDA液(カーミCA液)にて保存した。
【0113】
(6−2)膜小胞(ROV)の調整
赤血球をBuffer A(0.5mMリン酸緩衝液(pH8))に懸濁し、1時間氷上静置したあと、20000×g、30分の遠心を行い、Buffer Bに再度懸濁し、懸濁液を18G針の装着されたシリンジで10分間吸引吐出を繰り返し、赤血球を小胞化した。
【0114】
(6−3)反転膜小胞(IOV)の調整
赤血球をBuffer B(4mM MgSOを含む0.5mMリン酸緩衝液(pH8))に懸濁し、1時間氷上静置したあと、20000×g、30分の遠心を行い、Buffer Bに再度懸濁し、懸濁液を18G針の装着されたシリンジで10分間吸引吐出を繰り返し、赤血球を小胞化した。
【0115】
(6−4)密度勾配遠心による小胞の抽出
上記で作成した懸濁液5.5mLを、蒸留水で膨潤させたデキストランT110(Pharmacosmos)5.5mLの入った試験管の上に重層したものを100000×g、4℃、2時間で超遠心を行い、水相/デキストラン相の境界面に位置する小胞分画を回収した。
【0116】
(6−5)透過活性測定
抗体存在又は非存在下で[35S]NaSOを輸送基質として、以下の操作によりROV、IOVの透過活性のカウントを行った。アッセイ溶液50μL(200mM Sucrose、25mM MES-NaOH、100mM Na2SO4、IOV又はROV 5μg)に、C4201−A1−10、C4203−D3−26、又はC4204−C3−48由来のFab 25μgを添加し、氷上1時間、次いで30℃、5分間静置して平衡化を行い、所定量の[35S]NaSOを添加し、ボルテックス混和した。30℃、10分間のインキュベーション後、スピンカラム(Ultrafree-MC Durapore PVDF 0.22um)に移し、13000×g、1minの遠心ののち、200mM Sucrose(4℃)で洗浄する操作を2回繰り返し、カラムユニットをガラスバイアルに移し、クリアゾルを10mL添加したものを液体シンチレーションカウンター(Tri-Carb 2800TR、PerkinElmer社製)で測定した(図5)。なお図5において、HOT(−)は[35S]NaSO非添加、Ab(−)は抗体非添加、CPMはcount per minuteを表している。
【0117】
C4201−A1−10、C4203−D3−26、C4204−C3−48由来の抗体に対して試験した結果、C4201−A1−10由来の抗体はIOVおよびROVに、C4203−D3−26、C4204−C3−48由来の抗体はROVに対して、抗体添加によって顕著な[35S]カウント数低下が観察された。これは上記抗体が主に細胞外側からB3の陰イオン輸送活性に影響を与えることを示唆する。
【0118】
以上のように、本実施例に記載の手順で抗体を作成することによって、1)B3の立体構造を認識する、2)B3に対する親和性が高い、3)特定のアミノ酸配列を有する、4)B3の55kDaドメインの細胞外第2ループ領域に特異的な結合性を有する、5)B3との共結晶化リガンドに適している、又は6)B3の基質輸送活性を阻害する、抗体が得られた。得られた抗体は、例えば、B3の共結晶化リガンドや、B3の基質輸送活性阻害作用を利用した試薬等として有用である。
【0119】
酸素は我々の生命維持には必須であるが、過剰な酸素の供給は細胞・組織において有害である。血液が循環する際、赤血球膜B3は0.3〜0.7秒という非常に短い時間で、活動的な細胞と非活動的な細胞を区別し、必要な酸素量を決定し、必要最小限量の酸素を供給する調節因子として働いている。上記抗体は、例えば、一人から採取した400ccの血液を利用することによって、その人の持つ赤血球膜B3の構造を明らかにすることができる。一人一人の膜蛋白質の立体構造や翻訳後修飾を知ることのできる唯一の蛋白質が赤血球膜B3であり、高分解能で結晶構造を解くために、上記抗体が有用である。この利点を利用することで、遺伝的にB3に変異を持つ家系(遺伝性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、東南アジア型卵形赤血球症など)の赤血球膜B3の構造を知ることが可能となり、新しい治療方法の開発に繋がる可能性がある。また、高脂血症、糖尿病、高血圧などの症状を持つ人、妊婦、幅広い年齢層の人、スポーツ選手などの赤血球膜B3の構造の違いを比べることで、治療薬の開発、病態の改善方法、老化のメカニズムの解明、オリンピック選手の強化・育成に活かせるかもしれない。また、輸血用赤血球の有効期限は一般的に21日間とされているが、B3の構造を解くことで有効期限を伸ばす鍵が見つけられるかもしれない。
【0120】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解され
るところである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的な結合性を有し、且つバンド3の立体構造を認識する、抗バンド3抗体。
【請求項2】
前記細胞外領域が、細胞外第2ループ領域である、請求項1に記載の抗バンド3抗体。
【請求項3】
前記細胞外第2ループ領域が、配列番号19のアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の抗バンド3抗体。
【請求項4】
バンド3の活性を阻害する、請求項1〜3いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項5】
バンド3を発現するウイルスを含む抗原を免役して得られる、請求項1〜4いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項6】
モノクローナル抗体である、請求項1〜5いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項7】
天然状態のバンド3に対して特異的な結合性を有し、
変性状態のバンド3に対して特異的な結合性を有さない、
請求項1〜6いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項8】
重鎖CDR1が配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1において1個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
重鎖CDR2が配列番号2のアミノ酸配列、又は配列番号2において1〜3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
重鎖CDR3が配列番号3のアミノ酸配列、又は配列番号3において1〜2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、請求項1〜7いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項9】
軽鎖CDR1が配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4において1〜3個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖CDR2が配列番号5のアミノ酸配列、又は配列番号5において1〜2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含み、
軽鎖CDR3が配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号6において1〜2個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を含む、請求項8に記載の抗バンド3抗体。
【請求項10】
前記欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列が、保存的アミノ酸で置換されたアミノ酸配列である、請求項9に記載の抗バンド3抗体。
【請求項11】
重鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ配列番号1、2、および3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1、2、及び3が、それぞれ配列番号4、5、および6のアミノ酸配列を含む、抗バンド3抗体。
【請求項12】
バンド3の55kDaドメインの細胞外領域に特異的に結合する、請求項11に記載の抗バンド3抗体。
【請求項13】
バンド3の活性を阻害する、請求項11又は12に記載の抗バンド3抗体。
【請求項14】
受領番号NITE AP-1153のハイブリドーマにより生産される、請求項11〜13いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項15】
抗原結合性断片である、請求項1〜14いずれかに記載の抗バンド3抗体。
【請求項16】
請求項1〜15いずれかに記載の抗バンド3抗体をコードする、ポリヌクレオチド又はベクター。
【請求項17】
請求項16に記載のポリヌクレオチド又はベクターを含有する、細胞又は形質転換体。
【請求項18】
請求項1〜15いずれかに記載の抗バンド3抗体を含む、バンド3の結晶化リガンド。
【請求項19】
請求項1〜15いずれかに記載の抗バンド3抗体を含む、バンド3活性阻害剤。
【請求項20】
請求項1〜15いずれかに記載の抗バンド3抗体を含む、試薬。
【請求項21】
請求項1〜15いずれかに記載の抗バンド3抗体を含む、診断薬、又は診断用キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103881(P2013−103881A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246364(P2011−246364)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度 文部科学省 科学技術試験研究委託事業「創薬に繋がる輸送体膜蛋白質の構造、機能の解明」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【Fターム(参考)】