抗フケ剤
本発明は、特別なカルボン酸アンモニウム、その合成、および、とりわけ抗フケ剤としての適用に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別なカルボン酸アンモニウム、その合成、および、抗フケ剤としてのその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは、白色または灰色の鱗屑の形成を特徴とし、軽度のかゆみを伴う頭皮障害である。鱗屑は、広汎に斑点状に現れる。フケは、若い男性に最も頻繁且つ最も重度に生じ、小児および高齢者には稀であり、それ以外は世界の成人集団全体に共通である。フケは、伝統的に、脂漏症、すなわち発赤した皮膚領域上に載った脂っぽい鱗屑を生じることが公知の炎症性皮膚障害と関連している。しかし、脂漏症が発症してもフケを伴わないことがあり、また、フケは、明らかな脂漏症が見られなくても発症することがある。現在の知識から、用語「フケ」は、特定の疾患単位(disease entity)である脂漏症の同義語としてではなく、頭皮の落剥とかゆみとの複合的な症状を説明するために最もよく使用されることがうかがえる。フケは、脂漏症の症状として生じる可能性があるが、過剰な日光曝露、大気中の環境物質および化粧用ヘア製品(cosmetic hair product)を原因とする頭皮の刺激により生じる可能性もある。フケは、頭部の有髪表面(hairy top)を覆う、皮膚の死滅した外層(「頭皮」)における根本的な異常を反映する。病変部の皮膚細胞は、互いに正しく付着する能力を欠く。結果的に、細胞の塊は鱗屑として頭皮表面から分離する。こうした鱗屑が脱落することによりフケの落剥が生じる。
【0003】
フケと、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)およびマラセチア・グロボーサ(Malassezia globosa)と呼ばれる種類の酵母との間の関係は、認識されて久しい。細菌および酵母は、ヒト頭皮の常在菌(ordinary occupant)である。しかし、フケを有するヒト個体においては、酵母は、普通予想されると思われる数を顕著に超える数で存在する。多くの医師および研究者は、酵母に対する免疫応答を原因とする炎症がフケ状態を生じさせると考えている。
【0004】
したがって、抗フケ剤を組み込むことは、感染頭皮の治療用のヘアケア製品において必須になる。
【0005】
しかし、多くの抗フケ化合物は、長期にわたるフケの防御または組成物中での振舞いについて考慮してあるようにはあまり見えない。したがって、ヘアケア製剤のような組成物中、好ましくは前記製剤の水相中で容易に製剤化できる有効な抗フケ化合物が真に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】線形尺度を視覚化したものである。
【図2】対数尺度を視覚化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的は、代替的な抗フケ化合物を提供することである。
【0008】
驚くべきことに、特別な種類のカルボン酸アンモニウムは抗フケ剤として特に有用であることが見出された。
【0009】
したがって、本発明は、式I
[NRR1R2R3]+[R4−COO]− I
(式中、
Rは、メトキシエチル、メトキシメチル、エトキシエチルまたはエトキシメチルであり、
R1〜R3は、互いに独立にメチルまたはエチルであり、
R4は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルである)
の化合物を指向する。
【0010】
N,N,N−トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムブタノエートなど類似の塩が、精製コルク(refined cork)を溶解するための溶媒として、とりわけ、多量のコルク質の分離に関し、H.Garciaら、Green Chem.、2010、12、367〜369頁に記載されている。
【0011】
加えて、式Iの化合物は、イオン液体または液体塩として見ることができる。典型的には、イオン液体は、有機陽イオンと一般に無機または有機の陰イオンとからなるイオン種である。イオン液体は、好ましくは中性分子を含まず、融点が373K未満である。本特許出願に関する場合、用語「イオン液体」は、化学化合物または化合物と同義語として使用する。
【0012】
式Iの化合物は独特の特性を有し、このことは、この化合物が水溶性で熱的に安定であり容易に生分解すること、また、例において実証するように、この化合物が有効な抗フケ剤であることを意味する。
【0013】
2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基は、例えば、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert.−ブチルである。
【0014】
式I中の置換基R4は、好ましくは2〜4個のC原子を有する直鎖状のアルキル、とりわけ好ましくはエチルまたはn−プロピル、さらにとりわけ好ましくはエチルである。
【0015】
式Iの化合物中の置換基R1〜R3は、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、2つの置換基は同一であり、1つの置換基は異なる。とりわけ好ましくは、R1〜R3のうち2つの置換基はメチルであり、それ以外の置換基はエチルであるか、または、R1〜R3のうち2つの置換基はエチルであり、それ以外の置換基はメチルである。さらにとりわけ好ましくは、R1〜R3のうち2つの置換基はメチルであり、それ以外の置換基はエチルである。
【0016】
置換基Rは、好ましくはメトキシエチルまたはエトキシエチルである。
【0017】
さらなる好ましい組合せは、特許請求の範囲において開示する。
【0018】
好ましい式Iの化合物は、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート
である。
【0019】
とりわけ好ましい化合物は、N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネートである。
【0020】
さらに、本発明は、前述のとおりの式Iの化合物を製造する方法に関し、このとき、式II
[NRR1R2R3]+[Hal]− II
(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は前述のとおりの意味を有する)
のハロゲン化アンモニウムは、イオン交換に次ぐ酸R4−COOH(式中、R4は前述のとおりの意味を有する)との反応により水酸化物に変換される。
【0021】
式IIの化合物は、市販のものであるか、または、例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の手法]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的な文献に記載されている方法により、公知であり前記反応に適している反応条件下にふさわしいものであるように、合成してもよい。本発明においては、それ自体公知の変形も使用できるが、本明細書ではさらに詳細には言及しない。
【0022】
例として、式IIのハロゲン化アンモニウムは、対応するアミンNRR1R2を、10〜100℃の間の温度の溶媒中のハロアルカンHalR3(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は前述のとおりの意味を有する)と反応させることにより合成してもよい。典型的な溶媒は、アセトニトリル、イソプロパノール、トルエン、ヘプタンまたはシクロヘキサンである。
【0023】
本発明の方法において使用できる典型的なイオン交換樹脂は、Merck製品番号104767、分析用のIon Exchanger III(強塩基性陰イオン交換体、OH型)である。この強塩基性陰イオン交換体と同じ特性を有する他のイオン交換樹脂は全て使用できる。
【0024】
イオン交換は、典型的には、ハロゲン化アンモニウム用の溶媒としての水の中で行われる。水以外の他の有用な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールおよびイソブタノールである。対応する水酸化アンモニウム溶液は、R4COOHと反応して式Iの化合物を形成する。置換基R、R1〜R4は、前述のとおりの意味を有する。
【0025】
但し、バイポーラ膜電気透析により、または、ハロゲン化アンモニウムを水酸化銀、水酸化鉛、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物とメタセシス反応させることにより、対応する水酸化物を合成し、この水酸化物を、以下のうち対応する酸と反応させることが可能である。
【0026】
加えて、式Iのイオン液体は、溶媒または溶媒添加物として、相間移動触媒として、抽出剤として、熱伝達媒体として、表面活性物質として、可塑剤として、難燃剤として、電気化学電池中の支持電解質として、または電気化学電池中の添加物として、使用してもよい。
【0027】
前記イオン液体を溶媒として使用する場合、このイオン液体は、当業者に公知の任意のタイプの反応において、例えば、遷移金属触媒反応または酵素触媒反応(例えば、ヒドロホルミル化反応、オリゴマー化反応、エステル化または異性化など)にとって適当であるが、前記リストは網羅的ではない。
【0028】
抽出剤として使用する場合、イオン液体は、イオン液体中の各成分の溶解性によっては、反応生成物を分離除去するためだけではなく、不純物を分離除去するために用いることもできる。加えて、イオン液体は、複数の成分の分離において、例えば、混合物の複数の成分の蒸留分離において、分離媒体として機能することもできる。
【0029】
さらなる可能性のある用途は、ポリマー材料中の可塑剤として、いくつかの材料または用途のための難燃剤として、ならびに、多様な電気化学電池および用途中の(例えば、ガルバニ電池中、蓄電器中または燃料電池中の)支持電解質または添加物としての使用である。
【0030】
本発明による新しい化学化合物(例えばイオン液体)のさらなる適用分野は、固形物を含有する炭水化物(とりわけ、バイオポリマーおよびその誘導体または分解(degredation)生成物)のための溶媒である。加えて、これらの新しい化合物は、コンプレッサー、ポンプまたは水圧器具などの機械のための滑沢剤、作動流体として応用できる。本発明によるイオン液体は、電気化学電池中で、とりわけ電気光学電池用に、または、センサー中の機能的な材料として使用することもできる。
【0031】
式Iのイオン液体の最も好ましい使用は、前述のように抗フケ化合物としての使用である。
【0032】
本発明によるイオン液体は抗フケ剤として使用できるが、その理由は、このイオン液体は、マラセチア、好ましくはマラセチア・フルフルの成長および/または子孫を阻害する能力を有するからである。加えて、直接または間接的に記載される物質が、皮膚および毛髪の状態を向上させ、脱毛を減少させ、抗老化特性を示し、または、活性酸素種および光(可視光、UV光、IR光)などの酸化体を原因とする有害作用に対する酸化防止剤として作用する場合もあると思われる。例示的な毛髪状態としては、以下が挙げられる:毛髪の光沢、毛髪の体積および弾力性の向上、天然および人工の毛髪色の安定性の向上、ならびに毛髪の白髪化の阻害またはカムフラージュの向上。例示的な皮膚状態としては、以下が挙げられる:皮膚バリア機能、皮膚水和、皮膚酸化状態の向上、ならびに創傷治癒過程の補助の向上。
【0033】
本発明によるイオン液体は、マラセチア・フルフルに対する良好な殺微生物活性を示すが、このことは、培地中の細菌の数を再現性よく減少させることができることを意味する。とりわけ、微生物の数は24時間以内にほぼゼロに減少させることができる(接種用菌液(inokulum)は約105微生物/ml、ベルム(verum)の試験濃度は1%で開始)。
【0034】
本発明による化合物の抗殺真菌(antifungicidal)活性は、当業者に公知の試験、例えばDIN58940および58944に基づくものにより、示すことができる。
【0035】
さらに、本発明は、前述のとおりの少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物に関する。
【0036】
したがって、本発明の好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、以下の形態で使用できる:溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、シャンプー剤、防臭剤−クリーム剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、スプレー剤、ポンプスプレー剤、エアゾール剤、つや出し剤(polish)、ワニス剤またはヘアラッカー剤。
【0037】
本発明の組成物は、好ましくは、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤または医薬製品の形態であってもよい。
【0038】
以下の内容においては、医薬製品は、以下に定義するような医療器具を意味するものとする。
【0039】
医療器具に関する1993年6月14日の議会指令93/42/EECを修正した欧州議会および2007年9月5日の議会の指令2007/47/ecは、医療器具を、任意の機器、装置、用具、ソフトウェア、材料または他の物品(単独で使用するか組み合わせて使用するかを問わず、診断および/または治療の目的に特化して使用されその適切な用途に必要なものであるようにそのメーカーが意図しているソフトウェア、ヒトに使用されるようにメーカーが意図しているソフトウェアを包含する)として定義している。器具は、以下の目的のために使用することになる:
・疾患の診断、予防、モニタリング、治療または軽減
・傷害または障害の診断、モニタリング、治療、軽減またはその補償
・生体構造または生理学的過程の調査、代替または改変
・受胎調節。
【0040】
医療器具は、薬理学的、免疫学的または代謝的な手段により、ヒトの体内または体上ではその主要な意図された動作を達成しない器具を包含するが、そのような手段によりその機能を補助されてもよい。
【0041】
本発明による組成物は、前記必要なまたは任意選択的な構成要素を、包含しまたは含み、それらから本質的になりまたはそれらからなっていてもよい。本作用剤または組成物中で使用できる全ての化合物または成分は、公知で市販されているか、または公知のプロセスにより合成できるか、いずれかである。
【0042】
さらに、本発明は、前述のとおりの少なくとも1つの式Iの化合物を、担体と、および、任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤(auxiliary)と混合することを特徴とする、前述のとおりの組成物を調製する方法に関する。
【0043】
担体および任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤は、本発明の組成物の適用分野によって決まり、前記適用分野の当業者には公知である。
【0044】
好ましくは、本発明による少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物は、化粧品製剤である。化粧品製剤は、以下の形態であってもよい:溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、防臭クリーム剤、ゲル剤、シャンプー剤、ローション剤、乳剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、エアゾール剤、スプレー剤およびポンプスプレー剤またはラッカー剤、特に爪用ラッカー剤。
【0045】
製剤または適用によっては、含有量は、組成物全体を基準にして、好ましくは0.01重量%〜10重量%の範囲、好ましくは0.05重量%〜5重量%の範囲、とりわけ好ましくは0.1重量%〜2重量%の範囲内である。
【0046】
適当な製剤は、洗い流し用のシャンプー剤またはローション剤の形態であり、当該製剤は、シャンプーの前もしくは後、カラーリングもしくはブリーチングの前もしくは後、またはパーマの前もしくは後に施用される。毛髪のスタイリングまたはトリートメント用のローション剤またはゲル剤の形態、ブラッシングまたはブローウェービング(blow−waving)用のローション剤またはゲル剤の形態、ヘアラッカー剤、パーマ用組成物、毛髪用の着色料またはブリーチ剤の形態の製剤を選ぶことも可能である。本化粧品製剤は、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存剤、泡安定化剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、アンチグリース(antigrease)剤、組成物自体または毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいはヘアケア用に慣例的に使用される他の原料など、このタイプの組成物中で使用される多様なアジュバントを含んでもよい。
【0047】
前述の全ての用途において、本発明による組成物は、その個々の抗フケ活性を高めるために、有利には、クリンバゾール、ピリチオン亜鉛、ピリチオン銅またはピリチオンナトリウムなど全ての公知の抗フケ剤と組み合わせることができる。
【0048】
本発明による少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物は、通常はいくつかの原料を含む。以下に、通常使用される原料(特に化粧品製剤用の)の例を記載する。
【0049】
加えて、好ましい製剤または適用は、好ましくは以下の群:エチル3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネート、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレート、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、フタル酸ジメチル、ブトピロノキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、o−クロロ−N,N−ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート(carbate)、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシミドまたはピペロニルブトキシドから選択される、とりわけ好ましくは以下の群:3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネート、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレートまたはN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミドから選択される、少なくとも1つの昆虫忌避剤を含む。
【0050】
これらの昆虫忌避剤は、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の量で化粧品製剤中に組み込まれる。
【0051】
加えて、好ましい製剤または適用は少なくとも1つのUVフィルターを含み、その結果、低度の保護特性を有する抗微生物調製物が得られる。UVフィルターは、好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体の群から選択できる。本発明の範囲内で使用されるジベンゾイルメタン誘導体は、それ自体すでに周知であり、とりわけ、明細書FR−A−2326405、FR−A−2440933およびEP−A−O114607に記載されている製品である。
【0052】
原理上は、全ての公知のUVフィルターは、ジベンゾイルメタン誘導体との、また、本発明による式Iの化合物、例えば、UV−A領域および/またはUV−B領域および/またはIRおよび/またはVIS領域において有効な1つまたは複数の付加的な親水性または親油性の日光保護フィルター(吸収体)との組合せに適している。これらの付加的なフィルターは、とりわけ、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、樟脳誘導体、トリアジン誘導体、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体およびポリマー性フィルターおよびシリコーンフィルターから選択でき、出願WO93/04665に記載されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP−A0487404に示されている。生理学的な許容性がすでに実証されているUVフィルターは特に好ましい。UVAおよびUVBフィルターについては両方とも、専門の文献から公知である多くの証明済みの物質がある。
【0053】
これらの有機UVフィルターは、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の量で化粧品製剤中に組み込まれる。
【0054】
本発明によれば、本調製物は、さらなる無機UVフィルターを含むことがさらに好ましいと考えられる。本発明では、例えば、被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000またはEusolex(登録商標)T−AQUA)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄およびさらには酸化セリウムからなる群に由来するものが両方とも好ましい。これらの無機UVフィルターは、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%の量で化粧品調製物中に組み込まれる。とりわけ、本発明においては、UVフィルターは乳剤の1つの相中に組み込まれ、さらなる無機UVフィルターは他の相中に組み込まれることが好ましいと考えられる。
【0055】
さらに、本発明による式Iの化合物を、酸化防止剤、湿潤剤、ビタミン(パンテノールまたはビタミンB6誘導体(例えばナイアシンアミド)またはアスコルビン酸の任意の誘導体など)、皮膚および毛髪のケア用の活性剤(active)、とりわけ、カルニチン、クレアチニン、クレアチン、エクトイン、ジヒドロキシアセトン、四級化活性剤などの水溶性の活性剤、ならびに、トロキセルチンもしくはイソケルセチンなどのバイオフラボノイド、または、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸のようなUVフィルターと組み合わせることが好ましい。
【0056】
好ましい補助剤は、安定化剤、可溶化剤、着色料および臭気改善剤(odour improver)からなる群に由来する。
【0057】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、慣例的な添加剤、例えば、動物性および植物性の脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0058】
粉末剤およびスプレー剤は、慣例的な添加剤、例えば、乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。加えて、スプレー剤は、慣例的な噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含んでもよい。
【0059】
溶液剤および乳剤は、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの慣例的な添加剤、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、とりわけ綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ならびに、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0060】
懸濁剤は、液体賦形剤などの慣例的な添加剤、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガント、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0061】
石鹸剤は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解産物、イセチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖などの慣例的な添加剤、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0062】
界面活性剤含有製品は、脂肪アルコールスルフェートの塩、脂肪アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸卵白(albumen)加水分解産物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物油および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどの従来の担体、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0063】
顔および体用の油剤は、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油などの合成油、植物油および油性の植物抽出物、パラフィン油もしくはラノリン油などの天然油などの慣例的な添加剤、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0064】
さらなる典型的な化粧品施用形態は、シャンプー、リップスティック、リップケア用スティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、粉末のメーキャップ、乳剤のメーキャップおよびワックスのメーキャップ、ならびに、日焼け止め、日光を浴びる前および日光を浴びた後用の調製物でもある。
【0065】
本発明による好ましい調製物の形態としては、とりわけ乳剤が挙げられる。
【0066】
本発明による調製物の水相は、任意選択的に有利には、低炭素数のアルコール、ジオールまたはポリオール、およびそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似の製品、さらに、低炭素数のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオールまたはグリセロール、ならびに、とりわけ、1つまたは複数の増粘剤を含み、増粘剤は、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から、とりわけ有利にはポリアクリレート、好ましくは、いわゆるカーボポール、例えばカーボポールのグレード980、981、1382、2984または5984からなる群に由来するポリアクリレートからなる群から、それぞれの場合により個別にまたは組み合わせて選択されてもよい。
【0067】
本発明による化粧品調製物および皮膚用調製物は、多様な形態で存在してもよい。したがって、本発明による化粧品調製物および皮膚用調製物は、例えば、溶液剤、水不含調製物、油中水(W/O)または水中油(O/W)タイプの乳剤またはマイクロエマルション、例えば水中油中水(W/O/W)タイプの多相乳剤(multiple emulsion)、ゲル剤、固形スティック剤、軟膏剤またはエアゾール剤であってもよい。エクトインまたはヒドロキシエクトインを、カプセル封入された形態で、例えば、コラーゲンマトリックスおよび他の従来のカプセル封入材料(例えばセルロースカプセル封入として)中で、ゼラチン、ワックスマトリックス中で、またはリポソームでカプセル封入して、投与することも有利である。とりわけ、DE−A4308282に記載されているようなワックスマトリックスは好都合であると証明されている。乳剤が好ましい。O/W乳剤はとりわけ好ましい。乳剤、W/O乳剤およびO/W乳剤は、従来の方式で入手可能である。
【0068】
使用できる乳化剤は、例えば、公知のW/OおよびO/W乳化剤である。さらなる従来の共乳化剤(co−emulsifier)を本発明による好ましいO/W乳剤中で使用することは有利である。市販製品Ceralution C(Sasol)は、乳化剤としてとりわけ有利であることが証明されている。
【0069】
本発明による有利な共乳化剤は、例えば、HLB値が11〜16である、さらにとりわけ有利にはHLB値が14.5〜15.5である物質からなる群に主に由来するO/W乳化剤であるが、これは、O/W乳化剤が飽和基RおよびR'を有する場合に限る。O/W乳化剤が、不飽和基Rおよび/またはR'を有する場合、またはイソアルキル誘導体の場合は、そのような乳化剤の好ましいHLB値は、それより低いかまたは高い場合もある。
【0070】
本調製物は、例えば、増粘剤、軟化剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体または皮膚を着色する染料および/または顔料、ならびに、化粧品中で通常使用される他の原料など、このタイプの調製物中で通常使用される化粧品アジュバントを含んでもよい。
【0071】
本発明による乳剤は有利であり、例えば、前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪性物質、ならびに、このタイプの調製物に通常使用されるように、水および乳化剤を含む。
【0072】
脂質相は、有利には、以下の物質群から選択してもよい:
・鉱油、ミネラルワックス、
・カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに、例えばヒマシ油などの天然油、
・脂肪、ワックスおよび他の天然および合成の脂肪性物質、好ましくは、低炭素数のアルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールとの脂肪酸のエステル、または、低炭素数のアルカン酸との、もしくは脂肪酸との脂肪アルコールのエステル、
・ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、およびそれらの混合体。
【0073】
本発明の目的のために、乳剤、オレオゲル(oleogel)またはヒドロディスパーション(hydrodispersion)またはリポディスパーション(lipodispersion)の油相は、有利には、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルカンカルボン酸のエステル、ならびに、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルコールからなる群から、または、芳香族カルボン酸のエステル、ならびに、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルコールからなる群から選択される。したがって、このタイプのエステル油は、有利には、以下からなる群から選択できる:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、n−ステアリン酸ブチル、n−ラウリン酸ヘキシル、n−オレイン酸デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ならびに、このタイプのエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバ油。
【0074】
油相は、さらに有利には、分枝および非分枝の炭化水素、およびワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルからなる群、または、飽和および不飽和、分枝および非分枝のアルコール、ならびに脂肪酸トリグリセリド、具体的には、鎖長が8〜24、とりわけ12〜18炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルからなる群から選択してもよい。脂肪酸トリグリセリドは、有利には、例えば、合成、半合成および天然の油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、パーム核油などからなる群から選択してもよい。
【0075】
このタイプの油およびワックスの成分の任意の望ましい混合物は、有利に、本発明の目的のために用いることもできる。ワックス、例えばパルミチン酸セチルを、油相の唯一の脂質成分として用いることも有利と考えられる。
【0076】
先に引用した全ての出願、特許および刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
本発明による化合物およびその製造方法ならびに組成物を、以下の例により、さらに例証的に、但し非限定的に、実証する。
【実施例】
【0078】
(実施例1)N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート(1136)の合成
A.アルキル化
【0079】
【化1】
【0080】
250mLのアセトニトリル中の200mLのN,N−ジメチルエチルアミンの溶液を、機械的な撹拌を用いて混合し、80℃に加熱する。この溶液に、282gの2−ブロモエチルメチルエーテルを、撹拌しながらゆっくり加え、この反応混合物を80℃で3時間撹拌する。
【0081】
3時間後、この反応混合物を2.5Lの酢酸エチルに加える結果、臭化物生成物が沈殿する。濾過および乾燥の後、343gの白色の固形物が得られる。
【0082】
B.陰イオン交換
【0083】
【化2】
【0084】
0.77kgのMerck製品番号104767、分析用のIon Exchanger III(強塩基性陰イオン交換体、OH型)をG3型のガラスフィルター中の水で洗浄し、乾燥させる。その後、500mLの水中の130gのN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミドの溶液を加える。その結果得られるN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(hydroxoyethylammonium)ヒドロキシドの水溶液を、濾過によりイオン交換樹脂から分離する。イオン交換後の溶液のpHは約pH14であり、臭化物の含有量は約181mg/Lである。
【0085】
C.プロピオン酸を用いた中和
【0086】
【化3】
【0087】
撹拌しながら、12.5mLのプロピオン酸を、N−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドの256mLの水溶液に室温で加える。溶媒の蒸留後、35gのN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネートが透明な液体として得られる。
1H NMR(d6−DMSO):δ=3.74(m,2H),3.54(t,2H),3.42(q,2H),3.30(s,3H),3.05(s,6H),1.78(q,3H),1.24(t,3H),0.86(t,3H)。
【0088】
(実施例2):
以下のチャレンジ試験手順を用いて、抗微生物有効性を試験した。
【0089】
このチャレンジ試験手順は、混入物のない本発明による抗微生物製品を適当な微生物の所定の接種菌液で行うこと、および、接種されたこの製品を所定の温度、例えば室温で保管することからなる。試験製品中で生存している生物の数を特定の時間間隔で定量する。
【0090】
欧州薬局方(pharmacopea)(Ph.Eur.5、Ausgabe、Grundwerk、2005、§5.1.3)に記載されている説明により、チャレンジ試験は、これ以降に示す手順に従って実施される。
【0091】
接種菌液の製造
特定の微生物(micro−organsism)の新鮮なストック培養物を、細菌については寒天培地Bの表面上に、真菌については寒天培地Cの表面上に接種する。十分な胞子が形成されるまで、この細菌培養物をインキュベートする(30〜35℃で18〜24時間)。細菌を回収するために、塩化ナトリウムを含有する(9g/l)滅菌済溶液で寒天培地の表面を洗い流し、適切な容器の中に注ぐ。懸濁液中の微生物の濃度は、同じ溶液を用いて、108微生物/mlに近い濃度に調節する。その作業後直ちに、この懸濁液の試料を回収し、微生物濃度(単位:CFU/ml)を、膜濾過または寒天プレート上での計数の方法により測定する。この値は、接種菌液の値の定量に役立つ。この懸濁液は、直ちに使用しなければならない。
【0092】
微生物数の定量の方法
接種された調製物(発明による抗微生物薬製品も含有する)中の微生物の数を定量するために、接種菌液の調製物用のものと同じ寒天培地を使用する。
【0093】
1%の使用イオン液体を含有する水性の懸濁液/溶液(=ベルム)に、試験微生物(マラセチア・フルフル)の懸濁液を、濃度が105〜106微生物/mlの調製物に達するような方式で、接種する。接種体積は、全試験溶液の1%v/vを超えるべきではない。この懸濁液を、十分にホモジナイズされるように混合する。
【0094】
水のみ(=プラセボ)を同じ方式で処理する。ベルムの場合の微生物の生存率がプラセボの場合より有意に低くなった時点で、ベルムの抗殺真菌活性を検出する。
【0095】
接種された調製物を、日光を避けて20〜25℃で保管する。試験を開始するために、試験調製物(接種された微生物と本発明による抗微生物製品とを含有する)からの1gまたは1mlの試料を、異なる時間間隔(本発明者らの場合、0、2分、5分、30分、1時間、3時間、6時間、24時間)で回収し、寒天プレートまたは膜濾過の方法を用いて微生物の数を測定する。いかなる抗微生物性の残存活性も、希釈、濾過または特定の不活性化により排除されることを確認することが重要である。
【0096】
結果:
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート=1136
この化合物は、以下の表において実証するように、マラセチア・フルフルに対する独特の抗殺真菌活性を示す(各個々の表の1番目の部分は微生物の総数対インキュベーション時間を線形尺度で、2番目の部分は対数尺度で表すものである)。
【0097】
【表1】
【0098】
図1は、線形尺度を視覚化したものである
図2は、対数尺度を視覚化したものである。
【0099】
マラセチア・フルフルに対する活性は抗フケ組成物の能力にとって鍵となる役割を果たすことから、そのような製品製剤中に組み込むには1136はとりわけ適している。加えて、そのような製品製剤の場合、1136は皮膚の天然の微生物叢の望ましくない微生物マラセチア・フルフルの成長を選択的に阻害するが、望ましい微生物の成長は影響を受けないかまたは影響が少ないと考えられる(例えばスタフィロコッカス・エピデリミディス(Staphylococcus epiderimidis))ことはとりわけ興味深いと思われる。
【0100】
以下の表は、前述の試験系中の表皮ブドウ球菌に対する1136の結果を示すものである。
【0101】
【表2】
【0102】
適用の例:
【0103】
【表3】
【0104】
手順:相Bを相Aに、撹拌しながら加える。相Cを混合し、相AとBとを合わせたものに加える。均質になるまで撹拌する。
【0105】
前記の製剤は、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油(Basilic oil)、イクタモール(Ichtammol)、ティーツリー(Melaleuca Alternifolia)、ヤグルマギク(Centaurea Cyanus)、インドセンダン(Melia Azadirachta)、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ(Tussilago farfara)、ゴボウ(Arctium lappa)、硫酸亜鉛、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、ケトコナゾール。
【0106】
【表4−1】
【0107】
【表4−2】
【0108】
【表4−3】
【0109】
前記の製剤は、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド(Bromid)、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム(Circonium)、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート(Sesquichlorohydrate)、乳酸、トリクロサン。
【0110】
【表5−1】
【0111】
【表5−2】
【0112】
【表5−3】
【0113】
ヘアケア用途のためのさらなる製剤例
D)下記の製剤は、1136を以下の量で含有する:製剤A(0.25%1136)、製剤B(0.5%1136)、製剤C(1.0%1136)、製剤D(2.0%1136)、製剤E(3.0%1136)、製剤F(4.0%1136)。製剤A〜Fは、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート、乳酸、トリクロサン。
【0114】
【表6】
【0115】
E)下記の製剤は、1136を以下の量で含有する:製剤G(0.01%1136)、製剤H(0.05%1136)、製剤I(0.1%1136)。製剤G〜Iは、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート、乳酸、トリクロサン。
【0116】
【表7】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別なカルボン酸アンモニウム、その合成、および、抗フケ剤としてのその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
フケは、白色または灰色の鱗屑の形成を特徴とし、軽度のかゆみを伴う頭皮障害である。鱗屑は、広汎に斑点状に現れる。フケは、若い男性に最も頻繁且つ最も重度に生じ、小児および高齢者には稀であり、それ以外は世界の成人集団全体に共通である。フケは、伝統的に、脂漏症、すなわち発赤した皮膚領域上に載った脂っぽい鱗屑を生じることが公知の炎症性皮膚障害と関連している。しかし、脂漏症が発症してもフケを伴わないことがあり、また、フケは、明らかな脂漏症が見られなくても発症することがある。現在の知識から、用語「フケ」は、特定の疾患単位(disease entity)である脂漏症の同義語としてではなく、頭皮の落剥とかゆみとの複合的な症状を説明するために最もよく使用されることがうかがえる。フケは、脂漏症の症状として生じる可能性があるが、過剰な日光曝露、大気中の環境物質および化粧用ヘア製品(cosmetic hair product)を原因とする頭皮の刺激により生じる可能性もある。フケは、頭部の有髪表面(hairy top)を覆う、皮膚の死滅した外層(「頭皮」)における根本的な異常を反映する。病変部の皮膚細胞は、互いに正しく付着する能力を欠く。結果的に、細胞の塊は鱗屑として頭皮表面から分離する。こうした鱗屑が脱落することによりフケの落剥が生じる。
【0003】
フケと、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)およびマラセチア・グロボーサ(Malassezia globosa)と呼ばれる種類の酵母との間の関係は、認識されて久しい。細菌および酵母は、ヒト頭皮の常在菌(ordinary occupant)である。しかし、フケを有するヒト個体においては、酵母は、普通予想されると思われる数を顕著に超える数で存在する。多くの医師および研究者は、酵母に対する免疫応答を原因とする炎症がフケ状態を生じさせると考えている。
【0004】
したがって、抗フケ剤を組み込むことは、感染頭皮の治療用のヘアケア製品において必須になる。
【0005】
しかし、多くの抗フケ化合物は、長期にわたるフケの防御または組成物中での振舞いについて考慮してあるようにはあまり見えない。したがって、ヘアケア製剤のような組成物中、好ましくは前記製剤の水相中で容易に製剤化できる有効な抗フケ化合物が真に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】線形尺度を視覚化したものである。
【図2】対数尺度を視覚化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的は、代替的な抗フケ化合物を提供することである。
【0008】
驚くべきことに、特別な種類のカルボン酸アンモニウムは抗フケ剤として特に有用であることが見出された。
【0009】
したがって、本発明は、式I
[NRR1R2R3]+[R4−COO]− I
(式中、
Rは、メトキシエチル、メトキシメチル、エトキシエチルまたはエトキシメチルであり、
R1〜R3は、互いに独立にメチルまたはエチルであり、
R4は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルである)
の化合物を指向する。
【0010】
N,N,N−トリメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムブタノエートなど類似の塩が、精製コルク(refined cork)を溶解するための溶媒として、とりわけ、多量のコルク質の分離に関し、H.Garciaら、Green Chem.、2010、12、367〜369頁に記載されている。
【0011】
加えて、式Iの化合物は、イオン液体または液体塩として見ることができる。典型的には、イオン液体は、有機陽イオンと一般に無機または有機の陰イオンとからなるイオン種である。イオン液体は、好ましくは中性分子を含まず、融点が373K未満である。本特許出願に関する場合、用語「イオン液体」は、化学化合物または化合物と同義語として使用する。
【0012】
式Iの化合物は独特の特性を有し、このことは、この化合物が水溶性で熱的に安定であり容易に生分解すること、また、例において実証するように、この化合物が有効な抗フケ剤であることを意味する。
【0013】
2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基は、例えば、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert.−ブチルである。
【0014】
式I中の置換基R4は、好ましくは2〜4個のC原子を有する直鎖状のアルキル、とりわけ好ましくはエチルまたはn−プロピル、さらにとりわけ好ましくはエチルである。
【0015】
式Iの化合物中の置換基R1〜R3は、同一であっても異なっていてもよい。好ましくは、2つの置換基は同一であり、1つの置換基は異なる。とりわけ好ましくは、R1〜R3のうち2つの置換基はメチルであり、それ以外の置換基はエチルであるか、または、R1〜R3のうち2つの置換基はエチルであり、それ以外の置換基はメチルである。さらにとりわけ好ましくは、R1〜R3のうち2つの置換基はメチルであり、それ以外の置換基はエチルである。
【0016】
置換基Rは、好ましくはメトキシエチルまたはエトキシエチルである。
【0017】
さらなる好ましい組合せは、特許請求の範囲において開示する。
【0018】
好ましい式Iの化合物は、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート
である。
【0019】
とりわけ好ましい化合物は、N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネートである。
【0020】
さらに、本発明は、前述のとおりの式Iの化合物を製造する方法に関し、このとき、式II
[NRR1R2R3]+[Hal]− II
(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は前述のとおりの意味を有する)
のハロゲン化アンモニウムは、イオン交換に次ぐ酸R4−COOH(式中、R4は前述のとおりの意味を有する)との反応により水酸化物に変換される。
【0021】
式IIの化合物は、市販のものであるか、または、例えば、Houben−Weyl、Methoden der organischen Chemie[有機化学の手法]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的な文献に記載されている方法により、公知であり前記反応に適している反応条件下にふさわしいものであるように、合成してもよい。本発明においては、それ自体公知の変形も使用できるが、本明細書ではさらに詳細には言及しない。
【0022】
例として、式IIのハロゲン化アンモニウムは、対応するアミンNRR1R2を、10〜100℃の間の温度の溶媒中のハロアルカンHalR3(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は前述のとおりの意味を有する)と反応させることにより合成してもよい。典型的な溶媒は、アセトニトリル、イソプロパノール、トルエン、ヘプタンまたはシクロヘキサンである。
【0023】
本発明の方法において使用できる典型的なイオン交換樹脂は、Merck製品番号104767、分析用のIon Exchanger III(強塩基性陰イオン交換体、OH型)である。この強塩基性陰イオン交換体と同じ特性を有する他のイオン交換樹脂は全て使用できる。
【0024】
イオン交換は、典型的には、ハロゲン化アンモニウム用の溶媒としての水の中で行われる。水以外の他の有用な溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールおよびイソブタノールである。対応する水酸化アンモニウム溶液は、R4COOHと反応して式Iの化合物を形成する。置換基R、R1〜R4は、前述のとおりの意味を有する。
【0025】
但し、バイポーラ膜電気透析により、または、ハロゲン化アンモニウムを水酸化銀、水酸化鉛、水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムなどの金属水酸化物とメタセシス反応させることにより、対応する水酸化物を合成し、この水酸化物を、以下のうち対応する酸と反応させることが可能である。
【0026】
加えて、式Iのイオン液体は、溶媒または溶媒添加物として、相間移動触媒として、抽出剤として、熱伝達媒体として、表面活性物質として、可塑剤として、難燃剤として、電気化学電池中の支持電解質として、または電気化学電池中の添加物として、使用してもよい。
【0027】
前記イオン液体を溶媒として使用する場合、このイオン液体は、当業者に公知の任意のタイプの反応において、例えば、遷移金属触媒反応または酵素触媒反応(例えば、ヒドロホルミル化反応、オリゴマー化反応、エステル化または異性化など)にとって適当であるが、前記リストは網羅的ではない。
【0028】
抽出剤として使用する場合、イオン液体は、イオン液体中の各成分の溶解性によっては、反応生成物を分離除去するためだけではなく、不純物を分離除去するために用いることもできる。加えて、イオン液体は、複数の成分の分離において、例えば、混合物の複数の成分の蒸留分離において、分離媒体として機能することもできる。
【0029】
さらなる可能性のある用途は、ポリマー材料中の可塑剤として、いくつかの材料または用途のための難燃剤として、ならびに、多様な電気化学電池および用途中の(例えば、ガルバニ電池中、蓄電器中または燃料電池中の)支持電解質または添加物としての使用である。
【0030】
本発明による新しい化学化合物(例えばイオン液体)のさらなる適用分野は、固形物を含有する炭水化物(とりわけ、バイオポリマーおよびその誘導体または分解(degredation)生成物)のための溶媒である。加えて、これらの新しい化合物は、コンプレッサー、ポンプまたは水圧器具などの機械のための滑沢剤、作動流体として応用できる。本発明によるイオン液体は、電気化学電池中で、とりわけ電気光学電池用に、または、センサー中の機能的な材料として使用することもできる。
【0031】
式Iのイオン液体の最も好ましい使用は、前述のように抗フケ化合物としての使用である。
【0032】
本発明によるイオン液体は抗フケ剤として使用できるが、その理由は、このイオン液体は、マラセチア、好ましくはマラセチア・フルフルの成長および/または子孫を阻害する能力を有するからである。加えて、直接または間接的に記載される物質が、皮膚および毛髪の状態を向上させ、脱毛を減少させ、抗老化特性を示し、または、活性酸素種および光(可視光、UV光、IR光)などの酸化体を原因とする有害作用に対する酸化防止剤として作用する場合もあると思われる。例示的な毛髪状態としては、以下が挙げられる:毛髪の光沢、毛髪の体積および弾力性の向上、天然および人工の毛髪色の安定性の向上、ならびに毛髪の白髪化の阻害またはカムフラージュの向上。例示的な皮膚状態としては、以下が挙げられる:皮膚バリア機能、皮膚水和、皮膚酸化状態の向上、ならびに創傷治癒過程の補助の向上。
【0033】
本発明によるイオン液体は、マラセチア・フルフルに対する良好な殺微生物活性を示すが、このことは、培地中の細菌の数を再現性よく減少させることができることを意味する。とりわけ、微生物の数は24時間以内にほぼゼロに減少させることができる(接種用菌液(inokulum)は約105微生物/ml、ベルム(verum)の試験濃度は1%で開始)。
【0034】
本発明による化合物の抗殺真菌(antifungicidal)活性は、当業者に公知の試験、例えばDIN58940および58944に基づくものにより、示すことができる。
【0035】
さらに、本発明は、前述のとおりの少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物に関する。
【0036】
したがって、本発明の好ましい一実施形態では、本発明による組成物は、以下の形態で使用できる:溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、シャンプー剤、防臭剤−クリーム剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、スプレー剤、ポンプスプレー剤、エアゾール剤、つや出し剤(polish)、ワニス剤またはヘアラッカー剤。
【0037】
本発明の組成物は、好ましくは、化粧品製剤、皮膚用製剤または医薬製剤または医薬製品の形態であってもよい。
【0038】
以下の内容においては、医薬製品は、以下に定義するような医療器具を意味するものとする。
【0039】
医療器具に関する1993年6月14日の議会指令93/42/EECを修正した欧州議会および2007年9月5日の議会の指令2007/47/ecは、医療器具を、任意の機器、装置、用具、ソフトウェア、材料または他の物品(単独で使用するか組み合わせて使用するかを問わず、診断および/または治療の目的に特化して使用されその適切な用途に必要なものであるようにそのメーカーが意図しているソフトウェア、ヒトに使用されるようにメーカーが意図しているソフトウェアを包含する)として定義している。器具は、以下の目的のために使用することになる:
・疾患の診断、予防、モニタリング、治療または軽減
・傷害または障害の診断、モニタリング、治療、軽減またはその補償
・生体構造または生理学的過程の調査、代替または改変
・受胎調節。
【0040】
医療器具は、薬理学的、免疫学的または代謝的な手段により、ヒトの体内または体上ではその主要な意図された動作を達成しない器具を包含するが、そのような手段によりその機能を補助されてもよい。
【0041】
本発明による組成物は、前記必要なまたは任意選択的な構成要素を、包含しまたは含み、それらから本質的になりまたはそれらからなっていてもよい。本作用剤または組成物中で使用できる全ての化合物または成分は、公知で市販されているか、または公知のプロセスにより合成できるか、いずれかである。
【0042】
さらに、本発明は、前述のとおりの少なくとも1つの式Iの化合物を、担体と、および、任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤(auxiliary)と混合することを特徴とする、前述のとおりの組成物を調製する方法に関する。
【0043】
担体および任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤は、本発明の組成物の適用分野によって決まり、前記適用分野の当業者には公知である。
【0044】
好ましくは、本発明による少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物は、化粧品製剤である。化粧品製剤は、以下の形態であってもよい:溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、防臭クリーム剤、ゲル剤、シャンプー剤、ローション剤、乳剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、エアゾール剤、スプレー剤およびポンプスプレー剤またはラッカー剤、特に爪用ラッカー剤。
【0045】
製剤または適用によっては、含有量は、組成物全体を基準にして、好ましくは0.01重量%〜10重量%の範囲、好ましくは0.05重量%〜5重量%の範囲、とりわけ好ましくは0.1重量%〜2重量%の範囲内である。
【0046】
適当な製剤は、洗い流し用のシャンプー剤またはローション剤の形態であり、当該製剤は、シャンプーの前もしくは後、カラーリングもしくはブリーチングの前もしくは後、またはパーマの前もしくは後に施用される。毛髪のスタイリングまたはトリートメント用のローション剤またはゲル剤の形態、ブラッシングまたはブローウェービング(blow−waving)用のローション剤またはゲル剤の形態、ヘアラッカー剤、パーマ用組成物、毛髪用の着色料またはブリーチ剤の形態の製剤を選ぶことも可能である。本化粧品製剤は、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、保存剤、泡安定化剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、アンチグリース(antigrease)剤、組成物自体または毛髪を着色する染料および/または顔料、あるいはヘアケア用に慣例的に使用される他の原料など、このタイプの組成物中で使用される多様なアジュバントを含んでもよい。
【0047】
前述の全ての用途において、本発明による組成物は、その個々の抗フケ活性を高めるために、有利には、クリンバゾール、ピリチオン亜鉛、ピリチオン銅またはピリチオンナトリウムなど全ての公知の抗フケ剤と組み合わせることができる。
【0048】
本発明による少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物は、通常はいくつかの原料を含む。以下に、通常使用される原料(特に化粧品製剤用の)の例を記載する。
【0049】
加えて、好ましい製剤または適用は、好ましくは以下の群:エチル3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネート、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレート、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド、フタル酸ジメチル、ブトピロノキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、o−クロロ−N,N−ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート(carbate)、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシミドまたはピペロニルブトキシドから選択される、とりわけ好ましくは以下の群:3−(N−n−ブチル−N−アセチルアミノ)プロピオネート、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレートまたはN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミドから選択される、少なくとも1つの昆虫忌避剤を含む。
【0050】
これらの昆虫忌避剤は、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の量で化粧品製剤中に組み込まれる。
【0051】
加えて、好ましい製剤または適用は少なくとも1つのUVフィルターを含み、その結果、低度の保護特性を有する抗微生物調製物が得られる。UVフィルターは、好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体の群から選択できる。本発明の範囲内で使用されるジベンゾイルメタン誘導体は、それ自体すでに周知であり、とりわけ、明細書FR−A−2326405、FR−A−2440933およびEP−A−O114607に記載されている製品である。
【0052】
原理上は、全ての公知のUVフィルターは、ジベンゾイルメタン誘導体との、また、本発明による式Iの化合物、例えば、UV−A領域および/またはUV−B領域および/またはIRおよび/またはVIS領域において有効な1つまたは複数の付加的な親水性または親油性の日光保護フィルター(吸収体)との組合せに適している。これらの付加的なフィルターは、とりわけ、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、樟脳誘導体、トリアジン誘導体、β,β−ジフェニルアクリレート誘導体、p−アミノ安息香酸誘導体およびポリマー性フィルターおよびシリコーンフィルターから選択でき、出願WO93/04665に記載されている。有機フィルターのさらなる例は、特許出願EP−A0487404に示されている。生理学的な許容性がすでに実証されているUVフィルターは特に好ましい。UVAおよびUVBフィルターについては両方とも、専門の文献から公知である多くの証明済みの物質がある。
【0053】
これらの有機UVフィルターは、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の量で化粧品製剤中に組み込まれる。
【0054】
本発明によれば、本調製物は、さらなる無機UVフィルターを含むことがさらに好ましいと考えられる。本発明では、例えば、被覆二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000またはEusolex(登録商標)T−AQUA)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄およびさらには酸化セリウムからなる群に由来するものが両方とも好ましい。これらの無機UVフィルターは、一般に、組成物全体を基準にして、0.5重量%〜20重量%、好ましくは2重量%〜10重量%の量で化粧品調製物中に組み込まれる。とりわけ、本発明においては、UVフィルターは乳剤の1つの相中に組み込まれ、さらなる無機UVフィルターは他の相中に組み込まれることが好ましいと考えられる。
【0055】
さらに、本発明による式Iの化合物を、酸化防止剤、湿潤剤、ビタミン(パンテノールまたはビタミンB6誘導体(例えばナイアシンアミド)またはアスコルビン酸の任意の誘導体など)、皮膚および毛髪のケア用の活性剤(active)、とりわけ、カルニチン、クレアチニン、クレアチン、エクトイン、ジヒドロキシアセトン、四級化活性剤などの水溶性の活性剤、ならびに、トロキセルチンもしくはイソケルセチンなどのバイオフラボノイド、または、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸のようなUVフィルターと組み合わせることが好ましい。
【0056】
好ましい補助剤は、安定化剤、可溶化剤、着色料および臭気改善剤(odour improver)からなる群に由来する。
【0057】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、慣例的な添加剤、例えば、動物性および植物性の脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0058】
粉末剤およびスプレー剤は、慣例的な添加剤、例えば、乳糖、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。加えて、スプレー剤は、慣例的な噴射剤、例えば、クロロフルオロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルを含んでもよい。
【0059】
溶液剤および乳剤は、溶媒、可溶化剤および乳化剤などの慣例的な添加剤、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油、とりわけ綿実油、ピーナッツ油、小麦胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ならびに、ソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0060】
懸濁剤は、液体賦形剤などの慣例的な添加剤、例えば、水、エタノールまたはプロピレングリコール、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステルおよびポリオキシエチレンソルビタンエステル、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガント、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0061】
石鹸剤は、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸タンパク質加水分解産物、イセチオネート、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物抽出物、グリセロール、糖などの慣例的な添加剤、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0062】
界面活性剤含有製品は、脂肪アルコールスルフェートの塩、脂肪アルコールエーテルスルフェート、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸卵白(albumen)加水分解産物、イソチオネート、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルスルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物油および合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどの従来の担体、またはこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0063】
顔および体用の油剤は、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油などの合成油、植物油および油性の植物抽出物、パラフィン油もしくはラノリン油などの天然油などの慣例的な添加剤、またはこれらの物質の混合物を含んでもよい。
【0064】
さらなる典型的な化粧品施用形態は、シャンプー、リップスティック、リップケア用スティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ルージュ、粉末のメーキャップ、乳剤のメーキャップおよびワックスのメーキャップ、ならびに、日焼け止め、日光を浴びる前および日光を浴びた後用の調製物でもある。
【0065】
本発明による好ましい調製物の形態としては、とりわけ乳剤が挙げられる。
【0066】
本発明による調製物の水相は、任意選択的に有利には、低炭素数のアルコール、ジオールまたはポリオール、およびそれらのエーテル、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルまたはモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチルまたはモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテルおよび類似の製品、さらに、低炭素数のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオールまたはグリセロール、ならびに、とりわけ、1つまたは複数の増粘剤を含み、増粘剤は、有利には、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖およびその誘導体、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から、とりわけ有利にはポリアクリレート、好ましくは、いわゆるカーボポール、例えばカーボポールのグレード980、981、1382、2984または5984からなる群に由来するポリアクリレートからなる群から、それぞれの場合により個別にまたは組み合わせて選択されてもよい。
【0067】
本発明による化粧品調製物および皮膚用調製物は、多様な形態で存在してもよい。したがって、本発明による化粧品調製物および皮膚用調製物は、例えば、溶液剤、水不含調製物、油中水(W/O)または水中油(O/W)タイプの乳剤またはマイクロエマルション、例えば水中油中水(W/O/W)タイプの多相乳剤(multiple emulsion)、ゲル剤、固形スティック剤、軟膏剤またはエアゾール剤であってもよい。エクトインまたはヒドロキシエクトインを、カプセル封入された形態で、例えば、コラーゲンマトリックスおよび他の従来のカプセル封入材料(例えばセルロースカプセル封入として)中で、ゼラチン、ワックスマトリックス中で、またはリポソームでカプセル封入して、投与することも有利である。とりわけ、DE−A4308282に記載されているようなワックスマトリックスは好都合であると証明されている。乳剤が好ましい。O/W乳剤はとりわけ好ましい。乳剤、W/O乳剤およびO/W乳剤は、従来の方式で入手可能である。
【0068】
使用できる乳化剤は、例えば、公知のW/OおよびO/W乳化剤である。さらなる従来の共乳化剤(co−emulsifier)を本発明による好ましいO/W乳剤中で使用することは有利である。市販製品Ceralution C(Sasol)は、乳化剤としてとりわけ有利であることが証明されている。
【0069】
本発明による有利な共乳化剤は、例えば、HLB値が11〜16である、さらにとりわけ有利にはHLB値が14.5〜15.5である物質からなる群に主に由来するO/W乳化剤であるが、これは、O/W乳化剤が飽和基RおよびR'を有する場合に限る。O/W乳化剤が、不飽和基Rおよび/またはR'を有する場合、またはイソアルキル誘導体の場合は、そのような乳化剤の好ましいHLB値は、それより低いかまたは高い場合もある。
【0070】
本調製物は、例えば、増粘剤、軟化剤、保湿剤、界面活性剤、乳化剤、保存剤、消泡剤、香料、ワックス、ラノリン、噴射剤、組成物自体または皮膚を着色する染料および/または顔料、ならびに、化粧品中で通常使用される他の原料など、このタイプの調製物中で通常使用される化粧品アジュバントを含んでもよい。
【0071】
本発明による乳剤は有利であり、例えば、前記脂肪、油、ワックスおよび他の脂肪性物質、ならびに、このタイプの調製物に通常使用されるように、水および乳化剤を含む。
【0072】
脂質相は、有利には、以下の物質群から選択してもよい:
・鉱油、ミネラルワックス、
・カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドなどの油、さらに、例えばヒマシ油などの天然油、
・脂肪、ワックスおよび他の天然および合成の脂肪性物質、好ましくは、低炭素数のアルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコールもしくはグリセロールとの脂肪酸のエステル、または、低炭素数のアルカン酸との、もしくは脂肪酸との脂肪アルコールのエステル、
・ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのシリコーン油、およびそれらの混合体。
【0073】
本発明の目的のために、乳剤、オレオゲル(oleogel)またはヒドロディスパーション(hydrodispersion)またはリポディスパーション(lipodispersion)の油相は、有利には、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルカンカルボン酸のエステル、ならびに、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルコールからなる群から、または、芳香族カルボン酸のエステル、ならびに、鎖長が3〜30炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルコールからなる群から選択される。したがって、このタイプのエステル油は、有利には、以下からなる群から選択できる:ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、n−ステアリン酸ブチル、n−ラウリン酸ヘキシル、n−オレイン酸デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ならびに、このタイプのエステルの合成、半合成および天然の混合物、例えばホホバ油。
【0074】
油相は、さらに有利には、分枝および非分枝の炭化水素、およびワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテルからなる群、または、飽和および不飽和、分枝および非分枝のアルコール、ならびに脂肪酸トリグリセリド、具体的には、鎖長が8〜24、とりわけ12〜18炭素原子の飽和および/または不飽和、分枝および/または非分枝のアルカンカルボン酸のトリグリセロールエステルからなる群から選択してもよい。脂肪酸トリグリセリドは、有利には、例えば、合成、半合成および天然の油、例えばオリーブ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ピーナッツ油、菜種油、アーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、パーム核油などからなる群から選択してもよい。
【0075】
このタイプの油およびワックスの成分の任意の望ましい混合物は、有利に、本発明の目的のために用いることもできる。ワックス、例えばパルミチン酸セチルを、油相の唯一の脂質成分として用いることも有利と考えられる。
【0076】
先に引用した全ての出願、特許および刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
本発明による化合物およびその製造方法ならびに組成物を、以下の例により、さらに例証的に、但し非限定的に、実証する。
【実施例】
【0078】
(実施例1)N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート(1136)の合成
A.アルキル化
【0079】
【化1】
【0080】
250mLのアセトニトリル中の200mLのN,N−ジメチルエチルアミンの溶液を、機械的な撹拌を用いて混合し、80℃に加熱する。この溶液に、282gの2−ブロモエチルメチルエーテルを、撹拌しながらゆっくり加え、この反応混合物を80℃で3時間撹拌する。
【0081】
3時間後、この反応混合物を2.5Lの酢酸エチルに加える結果、臭化物生成物が沈殿する。濾過および乾燥の後、343gの白色の固形物が得られる。
【0082】
B.陰イオン交換
【0083】
【化2】
【0084】
0.77kgのMerck製品番号104767、分析用のIon Exchanger III(強塩基性陰イオン交換体、OH型)をG3型のガラスフィルター中の水で洗浄し、乾燥させる。その後、500mLの水中の130gのN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミドの溶液を加える。その結果得られるN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム(hydroxoyethylammonium)ヒドロキシドの水溶液を、濾過によりイオン交換樹脂から分離する。イオン交換後の溶液のpHは約pH14であり、臭化物の含有量は約181mg/Lである。
【0085】
C.プロピオン酸を用いた中和
【0086】
【化3】
【0087】
撹拌しながら、12.5mLのプロピオン酸を、N−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドの256mLの水溶液に室温で加える。溶媒の蒸留後、35gのN−エチル−N,N−ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムプロピオネートが透明な液体として得られる。
1H NMR(d6−DMSO):δ=3.74(m,2H),3.54(t,2H),3.42(q,2H),3.30(s,3H),3.05(s,6H),1.78(q,3H),1.24(t,3H),0.86(t,3H)。
【0088】
(実施例2):
以下のチャレンジ試験手順を用いて、抗微生物有効性を試験した。
【0089】
このチャレンジ試験手順は、混入物のない本発明による抗微生物製品を適当な微生物の所定の接種菌液で行うこと、および、接種されたこの製品を所定の温度、例えば室温で保管することからなる。試験製品中で生存している生物の数を特定の時間間隔で定量する。
【0090】
欧州薬局方(pharmacopea)(Ph.Eur.5、Ausgabe、Grundwerk、2005、§5.1.3)に記載されている説明により、チャレンジ試験は、これ以降に示す手順に従って実施される。
【0091】
接種菌液の製造
特定の微生物(micro−organsism)の新鮮なストック培養物を、細菌については寒天培地Bの表面上に、真菌については寒天培地Cの表面上に接種する。十分な胞子が形成されるまで、この細菌培養物をインキュベートする(30〜35℃で18〜24時間)。細菌を回収するために、塩化ナトリウムを含有する(9g/l)滅菌済溶液で寒天培地の表面を洗い流し、適切な容器の中に注ぐ。懸濁液中の微生物の濃度は、同じ溶液を用いて、108微生物/mlに近い濃度に調節する。その作業後直ちに、この懸濁液の試料を回収し、微生物濃度(単位:CFU/ml)を、膜濾過または寒天プレート上での計数の方法により測定する。この値は、接種菌液の値の定量に役立つ。この懸濁液は、直ちに使用しなければならない。
【0092】
微生物数の定量の方法
接種された調製物(発明による抗微生物薬製品も含有する)中の微生物の数を定量するために、接種菌液の調製物用のものと同じ寒天培地を使用する。
【0093】
1%の使用イオン液体を含有する水性の懸濁液/溶液(=ベルム)に、試験微生物(マラセチア・フルフル)の懸濁液を、濃度が105〜106微生物/mlの調製物に達するような方式で、接種する。接種体積は、全試験溶液の1%v/vを超えるべきではない。この懸濁液を、十分にホモジナイズされるように混合する。
【0094】
水のみ(=プラセボ)を同じ方式で処理する。ベルムの場合の微生物の生存率がプラセボの場合より有意に低くなった時点で、ベルムの抗殺真菌活性を検出する。
【0095】
接種された調製物を、日光を避けて20〜25℃で保管する。試験を開始するために、試験調製物(接種された微生物と本発明による抗微生物製品とを含有する)からの1gまたは1mlの試料を、異なる時間間隔(本発明者らの場合、0、2分、5分、30分、1時間、3時間、6時間、24時間)で回収し、寒天プレートまたは膜濾過の方法を用いて微生物の数を測定する。いかなる抗微生物性の残存活性も、希釈、濾過または特定の不活性化により排除されることを確認することが重要である。
【0096】
結果:
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート=1136
この化合物は、以下の表において実証するように、マラセチア・フルフルに対する独特の抗殺真菌活性を示す(各個々の表の1番目の部分は微生物の総数対インキュベーション時間を線形尺度で、2番目の部分は対数尺度で表すものである)。
【0097】
【表1】
【0098】
図1は、線形尺度を視覚化したものである
図2は、対数尺度を視覚化したものである。
【0099】
マラセチア・フルフルに対する活性は抗フケ組成物の能力にとって鍵となる役割を果たすことから、そのような製品製剤中に組み込むには1136はとりわけ適している。加えて、そのような製品製剤の場合、1136は皮膚の天然の微生物叢の望ましくない微生物マラセチア・フルフルの成長を選択的に阻害するが、望ましい微生物の成長は影響を受けないかまたは影響が少ないと考えられる(例えばスタフィロコッカス・エピデリミディス(Staphylococcus epiderimidis))ことはとりわけ興味深いと思われる。
【0100】
以下の表は、前述の試験系中の表皮ブドウ球菌に対する1136の結果を示すものである。
【0101】
【表2】
【0102】
適用の例:
【0103】
【表3】
【0104】
手順:相Bを相Aに、撹拌しながら加える。相Cを混合し、相AとBとを合わせたものに加える。均質になるまで撹拌する。
【0105】
前記の製剤は、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油(Basilic oil)、イクタモール(Ichtammol)、ティーツリー(Melaleuca Alternifolia)、ヤグルマギク(Centaurea Cyanus)、インドセンダン(Melia Azadirachta)、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ(Tussilago farfara)、ゴボウ(Arctium lappa)、硫酸亜鉛、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、ケトコナゾール。
【0106】
【表4−1】
【0107】
【表4−2】
【0108】
【表4−3】
【0109】
前記の製剤は、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド(Bromid)、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム(Circonium)、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート(Sesquichlorohydrate)、乳酸、トリクロサン。
【0110】
【表5−1】
【0111】
【表5−2】
【0112】
【表5−3】
【0113】
ヘアケア用途のためのさらなる製剤例
D)下記の製剤は、1136を以下の量で含有する:製剤A(0.25%1136)、製剤B(0.5%1136)、製剤C(1.0%1136)、製剤D(2.0%1136)、製剤E(3.0%1136)、製剤F(4.0%1136)。製剤A〜Fは、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート、乳酸、トリクロサン。
【0114】
【表6】
【0115】
E)下記の製剤は、1136を以下の量で含有する:製剤G(0.01%1136)、製剤H(0.05%1136)、製剤I(0.1%1136)。製剤G〜Iは、当然ながら、以下のリストの中の1つまたは複数の活性剤を含有してもよい:
亜鉛ピリチオン、ピロクトンオラミン、ケトコナゾール、トロポロン、ヒノキトール、硫化セレン、サリチル酸、クリンバゾール、サリチル酸ナトリウム、シクロピロクスオラミン、ニーム、メボウキ油、イクタモール、ティーツリー、ヤグルマギク、インドセンダン、ファルネソール、イオウ、クロトリマゾール、クロタミトン、サリチル酸亜鉛、フキタンポポ、ゴボウ、硫酸亜鉛、ローズマリー、ミルトリモニウムブロミド、乳酸、ジグルコン酸クロロヘキシジン、フェノキシイソプロパノール、イソプロパノール、ファルネソール、グリコール酸、タンニン酸、アルコール、トリクロサン、グルコン酸亜鉛、亜鉛PCA、樟脳、アルミニウム塩、乳酸ナトリウム、ポリアミノプロピルビグアニド、亜鉛アセテート、クエン酸トリエチル、エチルヘキシルグリセロール、アルミニウムシルコニウム、テトラクロロハイドレックスGLY、ペンテト酸、ジイソプロピルアミンアミノエチルプロパノール、リシノール酸亜鉛、アルミニウムセスキクロロヒドレート、乳酸、トリクロサン。
【0116】
【表7】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
[NRR1R2R3]+[R4−COO]− I
(式中、
Rは、メトキシエチル、メトキシメチル、エトキシエチルまたはエトキシメチルであり、
R1〜R3は、互いに独立に、メチルまたはエチルであり、
R4は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルである)
の化合物。
【請求項2】
Rがメトキシエチルまたはエトキシエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R4がエチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート
である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
式II
[NRR1R2R3]+[Hal]− II
(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は請求項1から4の一項に記載の意味を有する)
のハロゲン化アンモニウムが、イオン交換に次ぐ酸R4−COOH(式中、R4は請求項1から4の一項に記載の意味を有する)との反応により水酸化物に変換される、請求項1から3のいずれかに記載の化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物。
【請求項7】
溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、シャンプー剤、防臭剤−クリーム剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、スプレー剤、ポンプスプレー剤、エアゾール剤、つや出し剤、ワニス剤またはヘアラッカー剤の形態であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を、担体と、および任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤と混合することを特徴とする、請求項6または7に記載の組成物を調製する方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の化合物の、抗フケ剤としての使用。
【請求項1】
式I
[NRR1R2R3]+[R4−COO]− I
(式中、
Rは、メトキシエチル、メトキシメチル、エトキシエチルまたはエトキシメチルであり、
R1〜R3は、互いに独立に、メチルまたはエチルであり、
R4は、2〜4個のC原子を有する直鎖状または分枝状のアルキルである)
の化合物。
【請求項2】
Rがメトキシエチルまたはエトキシエチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R4がエチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N−エチル−N,N−ジメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N−ジエチル−N−メチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリメチル−2−エトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムプロピオネート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシメチルアンモニウムブタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−エトキシエチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシメチルアンモニウムペンタノエート、
N,N,N−トリエチル−2−メトキシエチルアンモニウムペンタノエート
である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
式II
[NRR1R2R3]+[Hal]− II
(式中、HalはCl、BrまたはIであり、R、R1〜R3は請求項1から4の一項に記載の意味を有する)
のハロゲン化アンモニウムが、イオン交換に次ぐ酸R4−COOH(式中、R4は請求項1から4の一項に記載の意味を有する)との反応により水酸化物に変換される、請求項1から3のいずれかに記載の化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の少なくとも1つの式Iの化合物を含む組成物。
【請求項7】
溶液剤、懸濁剤、乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、シャンプー剤、粉末剤、油剤、ワックス剤、ペンシル剤、シャンプー剤、防臭剤−クリーム剤、防臭スティック剤、ロールオン剤、スプレー剤、ポンプスプレー剤、エアゾール剤、つや出し剤、ワニス剤またはヘアラッカー剤の形態であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載の少なくとも1つの化合物を、担体と、および任意選択的にさらなる活性化合物または補助剤と混合することを特徴とする、請求項6または7に記載の組成物を調製する方法。
【請求項9】
請求項1から4のいずれかに記載の化合物の、抗フケ剤としての使用。
【図1】
【図2】
【図2】
【公表番号】特表2012−528087(P2012−528087A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512224(P2012−512224)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002643
【国際公開番号】WO2010/136104
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002643
【国際公開番号】WO2010/136104
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】
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