説明

抗マラリア化合物の結晶形態

本発明は、化合物3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノンの多形体、その製造方法、それを含有する医薬組成物および医薬、ならびにある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防におけるかかる多形体、組成物および医薬の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノンの多形体、その製造方法、それを含有する医薬組成物および医薬、ならびにある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防におけるかかる多形体、組成物および医薬の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
寄生原虫感染は、ヒトのマラリアならびに鳥類、魚類および哺乳動物におけるコクシジウム症を含む多くの医学的および獣医学的に重要な疾患に関与している。多くの疾患が宿主の生命を脅かすものであり、畜産の深刻な経済的損失の原因となっており、例えば、アイメリア種、タイレリア種、バベシア種、クリプトスポリジウム種、トキソプラズマ(例えば、トキソプラズマ ブルーセイ、アフリカ睡眠病およびトキソプラズマ クルーズ、シャーガス病)およびプラスモジウム種(例えば、熱帯熱マラリア原虫)、および鞭毛虫、例えばリーシュマニア種(例えば、ドノバン リーシュマニア)が挙げられる。他の懸念を増加させる寄生生物としては、HIVに感染したものを含む免疫不全または免疫障害を有する宿主においてしばしば致死的肺炎を引き起こすニューモシスティス カリニが挙げられる。
【0003】
マラリアは、発展途上国において大きな疾患問題の一つである。ヒトに寄生する最も悪性のマラリアは、寄生熱帯熱マラリア原虫であり、これは、毎年、何億ものマラリアの症例の原因であり、毎年百万人以上の死者の原因であると考えられている(Breman,J.G.,etal.,(2001)Am.Trop.Med.Hyg.64,1−11)。マラリアの治療の一の問題点として、現在の薬に対して寄生虫が耐性を獲得することである。かくして、新たな抗マラリア剤の開発が必要とされている。
【0004】
3,5−ジハロ−2,6−ジアルキル−4−ピリジノール誘導体群(4−ピリドンの互変異性体)が、米国特許3,206,358号に、抗コクシジウム活性を有するとして開示されている。
【0005】
欧州特許出願EP123239は、上記の4−ピリジノール誘導体と抗原虫ナフトキノン、例えば抗マラリアナフトキノンとの増強比での組み合わせを開示している。
【0006】
PCT特許出願WO91/13873A1は、原虫に対して、特にマラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫およびアイメリア種ならびに寄生ニューモシスティス カリニに対する活性を示す、4−ピリドン誘導体群を開示している。
【0007】
PCT特許出願WO2006/094799A2は、4−ピリドン(4−ピリジノン)誘導体およびある種の寄生虫感染、例えばマラリア、特に熱帯熱マラリア原虫による感染症の化学療法の使用を開示している。
【0008】
PCT特許出願PCT/EP2007/055188(WO2007/138048として公開)は、ある種の4−ピリドン(4−ピリジノン)誘導体および寄生虫感染、例えばマラリア、特に熱帯熱マラリア原虫による感染症の化学的治療における使用を開示している。
【0009】
ある種の寄生虫感染、例えばマラリア、特に熱帯熱マラリア原虫による感染症の化学療法に用いるのに特に好ましい4−ピリドン誘導体は、式(I):
【化1】

で示される3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジン−オンおよびその医薬上許容される塩である。
【0010】
PCT特許出願PCT/EP2007/055188(WO2007/138048として公開)(出典明示により本明細書に組み入れる)は、非溶媒和物の遊離塩基としての式(I)で示される化合物の合成を記載している。このようにして得られた式(I)で示される化合物は、「形態1」として指定され、結晶性白色粉末である。
【0011】
形態1としての式(I)で示される化合物は、約±0.1°の誤差で、5.6、11.2、14.1、14.3、16.3、16.8、18.5、20.7、21.0、21.2、22.2、22.5、23.4、24.9、28.3、28.5、31.2、31.5、32.9、34.2、37.1および40.0°の2シータ角(°2θ)を有し、これらがそれぞれ、15.7、7.9、6.3、6.2、5.4、5.3、4.8、4.3、4.2、4.2、4.0、3.9、3.8、3.6、3.2、3.1、2.9、2.8、2.7、2.6、2.4および2.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応している、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる。
【0012】
形態1としての式(I)で示される化合物は、さらに、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られる、図5と実質的に同一のX線粉末回折(XRD)パターンを与えることにより特徴付けられる。
【0013】
形態1としての式(I)で示される化合物はまた、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得した、約±1cm−1の誤差で、349、376、407、595、604、634、811、868、1049、1157、1167、1208、1296、1342、1452、1507、1525、1580、1603、1616、2924、3071および3084cm−1のピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる。
【0014】
形態1としての式(I)で示される化合物は、さらに、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたフーリエ変換(FT)ラマン分光計を用いて所得し、図6と実質的に同じであるラマンスペクトルを与えることにより特徴付けられる。
【0015】
形態1としての式(I)で示される化合物は、さらに、本明細書に記載の方法に従って、オープンプラチナパンを用い、15℃/分の加熱速度で測定した、図8と実質的に同じ熱重量分析(TGA)カーブを与えることにより特徴付けられる。
【0016】
多形は、1つ以上の別個の結晶相で結晶化する元素または化合物の能力として定義される。かくして、多形体は、同じ分子式を有するが、固体の特性はその構造に依存するので、別個の固体であり、別個の多形体は、別個の物理学的特性、例えば異なる溶解プロファイル、異なる融点、異なる分解プロファイル、異なる温度および/または光安定性、異なる安定性、異なる懸濁特性および異なる生理学的吸収速度を示しうる。結晶性固体に溶媒が内包されることにより溶媒和物が得られ、水の場合は水和物となる。
【0017】
化合物の多形体は、別の多形体およびアモルファス相から、限定するものではないが、X線回折(XRD)、赤外スペクトル(IR)、ラマンスペクトル、示唆走査熱量測定(DSC)および固相核磁気共鳴スペクトル(SSNMR)を含む方法により区別することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
形態2
本発明は、「形態2」として指定される式(I)で示される化合物の多形体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたフーリエ変換(FT)ラマン分光計を用いて取得し、図1と実質的に同じラマンスペクトルにより特徴付けられる式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0020】
第2の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得し、364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1からなる群から選択される5またはそれ以上のポジションでのピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0021】
第3の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得した、364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1でのピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0022】
第4の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得し、364、414、429、587、1074、1270、1527、2937および3087cm−1でのピークを含む、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0023】
第5の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得し、414、429、587、1270および2937cm−1でのピークを含むラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0024】
第6の態様として、本発明は、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られた、図2と実質的に同じX線粉末回折(XRD)パターンにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0025】
第7の態様として、本発明は、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、17.7、18.9、19.6、19.8、20.0、20.3、20.9、22.5、23.3、23.6、23.7、25.4、26.0、26.5、28.0、33.9、37.5、39.1および40.3°からなる群から選択される4またはそれ以上のポジションでの2シータ角を含み、これらがそれぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、5.0、4.7、4.5、4.5、4.4、4.4、4.2、3.9、3.8、3.8、3.7、3.5、3.4、3.4、3.2、2.6、2.4、2.3および2.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0026】
第8の態様として、本発明は、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、17.7、18.9、19.6、19.8、20.0、20.3、20.9、22.5、23.3、23.6、23.7、25.4、26.0、26.5、28.0、33.9、37.5、39.1および40.3°の2シータ角を含み、これらはそれぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、5.0、4.7、4.5、4.5、4.4、4.4、4.2、3.9、3.8、3.8、3.7、3.5、3.4、3.4、3.2、2.6、2.4、2.3および2.2オングストローム(Å)でのd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0027】
第9の態様として、本発明は、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、18.9、19.6、20.0、25.4、26.0、26.5および28.0°の2シータ角を含み、これらがそれぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、4.7、4.5、4.4、3.5、3.4、3.4および3.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0028】
第10の態様として、本発明は、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、18.9、19.6、20.0、25.4、26.0、26.5および28.0°の2シータ角(°2θ)を含み、それらがそれぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、4.7、4.5、4.4、3.5、3.4、3.4および3.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応し、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられ、さらに、約±1cm−1の誤差で、364、414、429、587、1074、1270、1527、2937および3087cm−1でのピークを含む、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得したラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0029】
第11の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、波状アルミニウムパンを用い、15℃/分のスキャン速度で測定し、図3と実質的に同じ示唆走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0030】
第12の態様として、本発明は、本明細書に記載の方法に従って、オープンプラチナパンを用いて、15℃/分の加熱速度で測定して、図4と実質的に同じ熱重量分析(TGA)カーブにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0031】
さらなる態様にとして、本発明は、本発明の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、さらに、1種またはそれ以上の医薬上許容される担体を含んでいてもよい。
【0032】
式(I)で示される結晶性化合物(形態2)は、ある種の寄生虫感染、例えば寄生熱帯熱マラリア原虫、アイメリア種、ニューモシスティス カリニ、クルーズ・トリパノソーマ、トリパノソーマ ブルーセイまたはドノバン リーシュマニアによる寄生原虫感染症により引き起こされる症状の治療または予防において有用であり得る。
【0033】
さらなる態様において、本発明は、ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防において用いるための本発明の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0034】
さらなる態様において、本発明は、ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防において用いるための、本発明の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を提供する。
【0035】
さらなる態様において、本発明は、ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状を患っているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該ヒトまたは動物対象に、有効量の本発明の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)を投与することを含む方法を開示する。一の態様において、対象はヒトである。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防用の医薬の製造における、本発明の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)の使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の式(I)で示される化合物の形態2のラマンスペクトルを示す。x−軸は、cm−1単位での波数、y−軸は、任意の単位の強度である。ラマンスペクトルは、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を有するFTラマン分光計を用い、本明細書に記載の方法に従って取得する。
【図2】図2は、本発明の式(I)で示される化合物の形態2のXRDパターンを示す。XRDパターンは、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で取得する。
【図3】図3は、本発明の式(I)で示される化合物の形態2に関する示唆走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。DSCは、15℃/分のスキャン速度で、波状アルミニウムパンを用い、本明細書に記載の方法に従って行った。
【図4】図4は、本発明の式(I)で示される化合物の形態2に関する熱重量分析(TGA)カーブを示す。TGAは、15℃/分のスキャン速度で、オープンプラチナパンを用い、本明細書に記載の方法に従って測定した。
【0038】
【図5】図5は、式(I)で示される化合物の形態1のXRDパターンを示す。XRDパターンは、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で取得する。
【図6】図6は、式(I)で示される化合物の形態1のラマンスペクトルを示す。x−軸はcm−1単位での波数であり、y−軸は任意の単位の強度である。ラマンスペクトルは、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を有するFTラマン分光計を用い、本明細書に記載の方法に従って取得する。
【図7】図7は、式(I)で示される化合物の形態1に関する示唆走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。DSCは15℃/分のスキャン速度で、波状アルミニウムパンを用いて、本明細書に記載の方法に従って行った。
【図8】図8は、式(I)で示される化合物の形態1に関する熱重量分析(TGA)カーブを示す。TGAは、15℃/分のスキャン速度で、オープンプラチナパンを用い、本明細書に記載の方法に従って測定した。
【図9】図9は、式(I)で示される化合物の形態3のXRDパターンを示す。XRDパターンは、2シータ角の単位で表され、0.02°2θステップでの銅Kα−放射線(45kV/40mA)を有する回折計を用い、ホットステージを用いて約190℃の温度で、本明細書に記載の方法に従って取得する。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、他の多形体またはアモルファス相よりも有利な薬理特性および他の利点を示す、式(I)で示される化合物の結晶形態(形態2)を提供する。本発明の結晶形態は、常温、例えば23℃で、形態1よりもより熱力学的に安定である。
【0040】
形態1および形態2の相対的な熱力学安定性
式(I)で示される化合物の形態1および2は、いずれも常温で安定である。式(I)で示される化合物の形態1および2間の比較ライプニング試験を、i)アセトンおよび1−プロパノール混合物中、23℃;ii)アセトン中、10℃およびiii)アセトン中、50℃で行った。各々のライプニング試験において、形態1は形態2に変化した。これらの結果は、形態2が、10℃および50℃の間で形態1よりも熱力学的に安定であることを示している。
【0041】
当業者には、ある化合物のより熱力学的に安定な多形体が、他の多形体またはアモルファス相よりも、多くの利点があることは明らかだろう。例えば、より熱力学的に安定な多形体の使用は、化合物の製造プロセスの間および製剤化の間に多形体が変化するリスクを最小限にし、ならびに、最終生成物および医薬製品の安定性および保存性を最大限にすることが期待される。
【0042】
本発明(形態2)の結晶形態のさらなる望ましい特性は、非吸湿特性を含む。
【0043】
式(I)で示される化合物の多形体は、限定するものではないが、X線粉末回折(XRD)、赤外スペクトル(IR)、ラマンスペクトル、示唆走査熱量測定(DSC)および固相核磁気共鳴スペクトル(SSNMR)を含む多くの慣用的な分析法を用いて、特徴付けられ、区別される。
【0044】
本明細書で用いられる「式(I)で示される化合物の形態2」は:
1)1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて、本明細書に記載の方法に従って取得した、図1と実質的に同じラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I)で示される化合物の結晶形態;
2)2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られ、図2と実質的に同じX線粉末回折(XRD)パターンにより特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物;
3)15℃/分のスキャン速度で、波状アルミニウムパンを用い、本明細書に記載の方法に従って測定した、図3と実質的に同じ示唆走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、式(I)で示される結晶性化合物;
4)15℃のスキャン速度で、本明細書に記載の方法に従って測定し、実質的に図4と同じ熱重量分析(TGA)カーブにより特徴付けられる式(I)で示される結晶性化合物;
のいずれかを意味する。
【0045】
形態2のラマンスペクトル
本発明の式(I)で示される化合物の結晶形態(すなわち、形態2)のラマンスペクトルは、慣用的な装置を用い、分析化学の当業者に公知の方法および物理的評価を用いて測定することができる。図1のラマンスペクトルは、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得した。cm−1単位の波数(x軸)を、散乱光の強度(y軸)に対してプロットする。式(I)で示される化合物の形態2のラマンスペクトルにおいて観察された代表的なピークは以下の通りである:364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1
【0046】
これらのラマンピークのすべてが、分析試料を式(I)で示される化合物の形態2と確定的に同定するために必ずしも必要でないことは当業者には明らかだろう。式(I)で示される化合物の形態2は、364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1からなる群から選択される5個またはそれ以上のポジションでのピークの存在により同定することができる。特に、少なくとも、414、429、587、1270および2937cm−1でのピークが存在し、一の態様において、2、3または4個のさらなるピークが存在し、さらなる態様において、上記すべてのピークが存在する。
【0047】
観察されたラマンピークのわずかな変化は、用いる特定の分光計および分析者の調製技術に基づくものであると考えられる。ある程度の誤差が、上記に報告した各々のピークアサインメントに存在する。上記ピークアサインメントにおける誤差は、約±1cm−1である。一の態様において、上記ピークアサインメントにおける誤差は、±1cm−1である。
【0048】
ある程度の誤差がピークアサインメントにおいて起こり得るので、式(I)で示される化合物の試料の特定の形態を同定するためのラマンスペクトルの比較の一般的な方法は、試料のラマンスペクトルを、式(I)で示される化合物のある形態のラマンスペクトル、例えば形態2のものと重ね合わせる方法である。例えば、当業者は、式(I)で示される化合物、例えば本明細書に記載の方法を用いて得た形態2の試料のラマンスペクトルを、図1と重ね合わせ、当業者の見解および知識を用いて、容易に、試料のラマンスペクトルが、式(I)で示される化合物の形態2のラマンスペクトルと実質的に同じラマンスペクトルであるか否か決定することができる。ラマンスペクトルが、図1と実質的に同じである場合、試料は、容易におよび実際に化合物または式(I)の形態2であると同定することができる。
【0049】
形態2のXRDパターン
式(I)で示される化合物の形態2のX線粉末回折パターンは、分析化学の当業者に公知の慣用的な装置および方法を用い、および物理的評価を用いて測定することができる。図2の回折パターンは、Philips X’Celerator Real Time Multi Strip(RTMS)検出器を備えたPhilips X’Pert Pro回折計で、銅Kα放射線を用いて取得した。試料をゼロバックグラウンドホルダーにパックし、2から40°2θまで、以下の装置パラメータでスキャンした:40mA、45kV、0.02°2θステップ、40秒ステップタイム。試料は、分析の間25rpmでスピンさせた。
【0050】
式(I)で示される化合物の形態2の粉末試料を用いて、図2のXRDパターンを得た。2シータ角(x−軸)を、秒あたりのカウント率であるピーク強度(y−軸)に対してプロットする。各々の結晶形態のXRDパターンは、固有のものであり、2シータ角(°2θ)、d−スペーシング(Å)および/またはピークの相対明度で表すことができる回折ピークの固有のセットを示す。
【0051】
2シータ回折アングルおよび対応するd−スペーシング値は、XRDパターンの種々のピークの位置を示す。D−スペーシング値は、ブラッグ式を用いて観察された2シータ角および銅Kα波長から計算される。観察された2シータ角およびd−スペーシングの僅かな変化は、用いる特定の回折計および分析者の試料調製技術によるものであると考えられる。相対ピーク明度に関しては、より大きな変化が予想される。相対ピーク明度の大きな変化が、結晶形態の違いから生じる好ましい配向により観察され得る。観察された2シータ角およびd−スペーシングの変化は、値を測定する時の温度に依存して観察され得る。化合物の正確な結晶形態の同定は、主に、相対ピーク明度に重点を置くレーザーで観察された2シータ角またはd−スペーシングに基づくべきである。式(I)で示される化合物の形態2を同定するために、ある特徴的な2シータ角ピークは、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、18.9、19.6、20.0、25.4、26.0、26.5および28.0°で生じ、それぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、4.7、4.5、4.4、3.5、3.4、3.4および3.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する。
【0052】
当業者は、これらの特徴的な2シータ角ピークまたはd−スペーシングから形態2を同定できるが、場合によっては、式(I)で示される化合物の形態2の同定のために、さらなる2シータ角またはd−スペーシングを用いることが好ましい。
【0053】
式(I)で示される化合物の形態2は、典型的には、上記したピークに加えさらなる2シータ角ピークを示す。例えば、式(I)で示される化合物の形態2は、さらに、実質的に、17.7、19.8、20.3、20.9、22.5、23.3、23.6、23.7、33.9、37.5、39.1および40.3°でのさらなる2シータ角ピークであり、それぞれが、5.0、4.5、4.4、4.2、3.9、3.8、3.8、3.7、2.6、2.4、2.3および2.2オングストローム(Å)でのd−スペーシングに対応するものにより特徴付けることができる。
【0054】
一の態様において、少なくとも4個、より特別には、上記した全てのものを、式(I)で示される化合物の形態2の同定に用いる。
【0055】
上記した式(I)で示される化合物の形態2のXRDパターンの特徴に基づいて、当業者は、容易に形態2を同定することができる。当業者には、本明細書に記載の方法を用いて得られた式(I)で示される化合物の形態2の試料のXRDパターンが、さらなるピークを示し得ることは明らかである。
【0056】
ある程度の誤差が、上記した個々の2シータ角アサインメントおよびd−スペーシングには存在する。2シータ角およびd−スペーシング決定における誤差は、回折スキャン角を大きくすることにより、またはd−スペーシングが小さくなると共に減少する。誤差は、値を測定するときの実際の温度を含む多くの因子に依存するだろう。上記した2シータ角の誤差は、各々の上記したピークアサインメントにおいて約±0.1°である。一の態様において、上記した2シータ角の誤差は±0.1°である。
【0057】
ある程度の誤差が2シータ角およびd−スペーシングアサインメントにおいて起こり得るので、式(I)で示される化合物の試料の特定の形態を同定するためのXRDパターンを用いる一般的な方法は、試料のXRDパターンを、式(I)で示される化合物のある形態のXRDパターン、例えば形態2のものと重ね合わせる方法である。例えば、当業者は、式(I)で示される化合物、例えば本明細書に記載の方法を用いて得た形態2の試料のXRDパターンを、図2と重ね合わせ、当業者の見解および知識を用いて、容易に、試料のXRDパターンが、式(I)で示される化合物の形態2のXRDパターンと実質的に同じものであるか否か決定することができる。XRDパターンが、図2と実質的に同じである場合、試料は、容易におよび実際に化合物または式(I)の形態2であると同定することができる。
【0058】
形態2のDSCサーモグラム
示唆走査熱量測定(DSC)は、冷却システムを有するTA Instruments Q1000 Differential Scanning Calorimeterで行った。
【0059】
DSCサーモグラムは、温度に対する秒あたりのワット単位での熱流をプロットする。式(I)で示される化合物の形態2のDSCサーモグラムは、図3に示されるように、約201℃で始まる小さい吸熱を示し、これは、形態2から形態3への固体状態での多形体変化に対応する。この吸熱の積分により計算される多形体変化のエンタルピーは、約20J/gである。この温度で観察される多形体を、式(I)で示される化合物の形態3と指定する。約276℃で、DSCサーモグラムにシャープなピークが観察され、これは式(I)で示される化合物の形態3の融解に対応する。
【0060】
観察された吸熱の有意な変化は、式(I)で示される化合物の形態2のDSCサーモグラムについては、用いる装置およびパンの形状、分析者の試料調製技術、および試料粒度および重量によるものと考えられる。(I)で示される化合物の形態2については、特に有意な変化が、試料の粒度に応じて観察される。通常、ある程度の誤差が、上記の吸熱特徴には存在する。式(I)で示される化合物の形態2については、誤差は、±20℃のオーダーである。
【0061】
形態1のDSCサーモグラム
比較のために、式(I)で示される化合物の形態1の図7に示されるDSCサーモグラムは、約107℃で始まる小さい吸熱を示し、これは、形態1から形態3への固体状態での多形体変化に対応する。この吸熱の積分により計算したこの多形体変化のエンタルピーは、約10J/gである。この温度で観察された多形体は、式(I)で示される化合物の「形態3」として指定され、すなわち、形態2のサーモグラムについて上記した、形態2の加熱時に観察されたものと同じ多形体である。約276℃で、DSCサーモグラムにおいてシャープなピークが観察され、これは、式(I)で示される化合物の融解に対応する。
【0062】
形態3のXRDパターン
形態1から得られる式(I)で示される化合物の形態3は、5.9、11.8、13.7、14.2、14.5、15.4、16.3、17.7、18.5、18.9、19.8、20.6、21.4、22.0、23.6、23.9、28.0、28.7、32.8および37.5°での2シータ角(°2θ)を含み、これらがそれぞれ、15.0、7.5、6.5、6.2、6.1、5.7、5.4、5.0、4.8、4.7、4.5、4.3、4.1、4.0、3.8、3.7、3.2、3.1、2.7および2.4オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、約190℃で銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる。
【0063】
式(I)で示される化合物の形態3は、さらに、2シータ角の単位で示され、本明細書に記載の方法に従って、ホットステージを用いて約190℃、0.02°2θステップで、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を用いる回折計で取得される、図9と実質的に同じX線粉末回折(XRD)パターンを与えることにより特徴付けられる。
【0064】
式(I)で示される化合物の形態3により与えられるXRDパターンにおいて観察されるピークは、異なるように見えることは当業者には明らかだろう。例えば、上記したXRDパターンの測定で用いた約190℃と異なる温度で測定した場合、観察されるピーク位置はシフトし得る。
【0065】
形態2の熱重量分析(TGA)カーブ
熱重量分析(TGA)は、TA Instruments Thermal Analysis System,Model TGA Q500を用いて行った。
【0066】
TGAカーブ(またはトレース)は、異なる温度での試料の重量(または重量%)をプロットしたものである。式(I)で示される化合物の形態2のTGAカーブ(またはトレース)は、常温と200℃でのごくわずかな重量変化を示し、これは、非溶媒和形態の形態2と一致する。
【0067】
観察されたカーブ(トレース)のわずかな変化は、用いる特定の装置およびパン形状、分析者の試料調製技術、試料の大きさ、および分析前の試料の保存条件によるものであると考えられる。ある程度の誤差が、上記したカーブ(トレース)には存在する。
【0068】
上記した分析法のいずれかを、単独または組み合わせて、式(I)で示される化合物の多形体を同定するのに用いることができる。加えて、他の物理的評価方法もまた、式(I)で示される化合物の形態2を同定するのに用いることができる。結晶形態または溶媒和物の同定の物理的評価に有用であると当業者に知られている適当な方法の例としては、限定するものではないが、x−線粉末回折(XRD)、赤外スペクトル(IR)、ラマンスペクトル、示唆走査熱量測定(DSC)および固体核磁気共鳴スペクトル(SSNMR)が挙げられる。これらの方法は、単独または他の方法と組み合わせて、式(I)で示される化合物の未知の形態の試料を特徴付け、式(I)で示される化合物の他の形態から形態2を区別するために用いることができる。
【0069】
本発明は、純粋な形態および式(I)で示される化合物の他の形態との混合物としての、式(I)で示される化合物の形態2を含む。「実質的に純粋」は、組成物が、組成物中の式(I)で示される化合物の他の形態と比較して、少なくとも90%以上、より特別には少なくとも95%以上の式(I)で示される化合物の形態2を含むことを意味し、一の態様において、少なくとも97%の式(I)で示される化合物の形態2を含むことを意味する。
【0070】
医薬組成物
式(I)で示される化合物の形態2は、通常、必ずしもではないが、患者に投与される前に医薬組成物に処方される。一の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物の形態2を含む医薬組成物に関する。他の態様において、本発明は、式(I)で示される化合物の形態2および1種またはそれ以上の医薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0071】
賦形剤は、処方の他の成分に適合する、受容者に有害でないという意味で「許容」されなければならない。
【0072】
本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量の式(I)で示される化合物の形態2を取り出すことができ、ついで、患者に提供できるバルク形態、例えば錠剤、カプセル、ボトル中の粉末またはサッシェまたはシロップ(溶液または懸濁液)に調製され、パッケージしてもよい。別法として、本発明の医薬組成物は、安全かつ有効な量の式(I)で示される化合物の形態2を含有する物理的に別個の形態である単位剤形に調製され、パッケージしてもよい。単位剤形に調製される場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、約0.1mg〜5000mgの、他の態様において約0.1mg〜1000mgの、さらなる態様において約0.1mg〜100mgの、さらに別の態様において0.1mg〜約50mgの式(I)で示される化合物の形態2を含有する。
【0073】
本発明の医薬組成物は、典型的には、式(I)で示される化合物の形態2を含有する。しかしながら、ある具体例において、本発明の医薬組成物は、任意に、さらに、1種またはそれ以上のさらなる活性治療化合物を含んでいてもよい。本発明の医薬組成物は、典型的には、1種以上の医薬上許容される賦形剤を含有する。しかしながら、ある具体例において、本発明の医薬組成物は、1種の医薬上許容される賦形剤を含有する。
【0074】
本明細書で用いられる場合、「医薬上許容される」なる用語は、医薬での使用に適していることを意味する。
【0075】
式(I)で示される化合物の形態2および医薬上許容される賦形剤は、典型的には、所望の投与経路により患者に投与するのに適した剤形に処方されるだろう。例えば、剤形は、(1)経口投与に適したもの、例えば錠剤、カプセル、カプレット、ピル、トローチ、散剤、シロップ、エリキシル、懸濁液、溶液、エマルジョン、サッシェおよびカシェ;(2)非経口投与に適したもの、例えば滅菌溶液、懸濁液および復元粉末;(3)経皮投与に適したもの、例えば経皮パッチ;(4)直腸投与に適したもの、例えば坐剤;(5)吸入に適したもの、例えばエアロゾールおよび溶液;および(6)局所投与に適したもの、例えばクリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、泡およびゲルを含む。
【0076】
適当な医薬上許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて変化するだろう。加えて、適当な医薬上許容される賦形剤は、それらを組成物にサーブする特定の方式により選択される。例えば、ある医薬上許容される賦形剤は、均一な剤形の生産を容易にする能力に関して選択され得る。ある医薬上許容される賦形剤は、安定な剤形を生産するのを容易にする能力に関して選択される。ある医薬上許容される賦形剤は、患者に投与された場合、式(I)で示される化合物の形態2の臓器または体の一部から他の臓器または体の一部への輸送または移動を容易にする能力に関して選択される。ある医薬上許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを増強する能力に関して選択される。
【0077】
適当な医薬上許容される賦形剤は、以下のタイプの賦形剤を含む:希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流相促進剤、抗粘着剤、吸着剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、密度修飾剤、乳化剤、甘味剤、フレーバー剤、フレーバーマスキング剤、着色剤、抗ケーキング剤、保湿剤、キレート化剤、可塑剤、粘度増強剤、還元剤、酸化防止剤、保存剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤、等張性調節剤、バルク剤および緩衝化剤。当業者には、ある種の医薬上許容される賦形剤が、1またはそれ以上の方法で与えられ、処方中にどれくらいの量の賦形剤が存在するか、および処方中に存在する他の成分に応じて別の方法で提供してもよいことは明らかだろう。
【0078】
当業者は、本発明の使用に適当な量で適当な医薬上許容される賦形剤を選択するための知識を有し、行えるだろう。加えて、医薬上許容される賦形剤を記載し、適当な医薬上許容される賦形剤を選択するのに有用な当業者が入手できる多くのリソースが存在する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)
【0079】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技法および方法を用いて調製される。当該分野で通常用いられるいくつかの方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(MackPublishingCompany)に記載されている。
【0080】
一の態様において、本発明は、安全かつ有効な量の式(I)で示される化合物の形態2および賦形剤を含む、固体または液体経口剤形、例えば液体、錠剤、ロゼンジまたはカプセルに関する。賦形剤は、希釈剤または充填剤の形態であってもよい。適当な希釈剤および充填剤は、一般的に、限定するものではないが、ラクトース、シュークロース、グルコース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、他のポリマー(または糖アルコール)、スターチ(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびゼラチン化スターチ)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、および二価リン酸カルシウムを含む。液体剤形は、一般的に、水性または非水性液体賦形剤、例えばエタノール、オリーブオイル、グリセロール、合成または天然モノまたはポリグリセライド油、例えばMyglyol(市販されている中鎖トリグリセライド)、グルコース(シロップ)または水(例えば、さらにフレーバー剤、懸濁化剤、界面活性剤または着色剤を含む)中の式(I)で示される化合物の形態2の懸濁液または溶液からなる。組成物が錠剤、カプセル、カプレット、ピル、トローチ、散剤またはロゼンジの形態である場合、固体処方の調製に用いられる慣用的ないずれの医薬賦形剤を用いることができる。かかる賦形剤の例としては、ラクトース、シュークロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、他のポリオール(または糖アルコール)、スターチ(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびゼラチン化スターチ)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶セルロース)、硫酸カルシウム、および二価リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、スターチ、セルロース、ラクトースおよびシュークロースが挙げられる。組成物がカプセルの形態である場合、例えば上記した賦形剤または半固体、例えばカプリン酸のモノまたはジ−グリセライド、GelucireTMおよびLabrasolTM、またはハードカプセルセル、例えばゼラチンを用いる通常のカプセル処方が適している。組成物がソフトシェルカプセル、例えばゼラチンである場合、分散液または懸濁液の調製に慣用的に用いられる医薬賦形剤、例えばガムおよびオイルを考えてもよく、ソフトカプセルシェルに組み入れることができる。
【0081】
経口固体剤形は、さらに、結合剤の形態の賦形剤を含んでいてもよい。適当な結合剤は、限定するものではないが、スターチ(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、およびゼラチン化スターチ)、シュークロース、ポリエチレングリコール、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドンおよびセルロースおよびその誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース)を含む。経口固体剤形は、崩壊剤の形態の賦形剤を含有してもよい。適当な崩壊剤は、限定するものではないが、スターチ、セルロース、クロスポビドン、スターチグリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸およびナトリウムカルボキシメチルセルロースを含む。経口固体剤形は、さらに、滑沢剤の形態の賦形剤を含有してもよい。適当な滑沢剤は、限定するものではないが、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、タルクおよび液体パラフィンを含む。
【0082】
さらに、本発明は、式(I)で示される化合物の形態2を医薬上許容される賦形剤と一緒に混合することを含む、医薬組成物の製造方法を提供する。
【0083】
組成物A
以下の組成物Aを、成分(a)を成分(c)、(d)および(b)を含有する水溶液中に、ビーズミル装置を用いて懸濁して、ミクロン以下の微粒子を得た。成分(e)、(f)および(g)は、分散剤および加工補助剤として用いた。最終懸濁液をスプレー乾燥して、スプレー乾燥粉末を得た。スプレー乾燥粉末を、ゼラチンカプセルにカプセル化し、その大きさは、必要用量のサイズにより決定する。
【0084】
【表1】

【0085】
式(I)で示される化合物の形態2は、全身性投与を含む、適当な投与経路により投与することができる。全身性投与は、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与および吸入による投与を含む。非経口投与は、腸内、経皮または吸入以外の投与経路を意味し、典型的には注射または注入により行われる。非経口投与は、静脈内、筋肉内および皮下注射または注入を含む。吸入は、口または鼻を介して吸入される患者の肺への投与を意味する。局所投与は、皮膚への適用、ならびに眼、口腔(例えば、舌下)、直腸、膣内および鼻腔投与を含む。
【0086】
経口投与用の製剤は、適当には、式(I)で示される化合物の形態2を制御/持続放出するように処方される。
【0087】
式(I)で示される化合物の形態2は、単回投与してもよく、または複数回の投与を、所定の期間種々の間隔で行う投与計画に従って投与してもよい。例えば、投与は1日1、2、3または4回投与してもよい。投与は所望の治療効果が得られるまで行ってもよく、あるいは、所望の治療効果を維持するために無期限に行ってもよい。投与量はまた、目的の治療の性質に応じて変化し、例えば、治療する症状の予防と比較して、より多い量の化合物を症状の改善のために用いてもよい。式(I)で示される化合物の形態2の適当な投与計画は、化合物の薬物動態特性、例えば吸収性、分散性および半減期に依存し、当業者により決定され得る。加えて、式(I)で示される化合物の形態2の、投与期間を含む適当な投与計画は、化合物の投与経路、治療する症状、治療する症状の重症度、治療する患者の年齢および身体的条件、治療する患者の治療歴、同時治療の性質、所望の治療効果および当業者の知識および経験に基づく他の因子に依存する。さらに、適当な投与計画は、個々の患者の投与計画に対する応答または、時間と共に個々の患者が必要とする変更に応じて調節を必要とし得ることは当業者に理解されるだろう。また、式(I)で示される化合物の形態2が本明細書に記載したような1またはそれ以上のさらなる活性治療剤と組み合わせて投与される場合、式(I)で示される化合物の形態2の投与計画はまた、必要に応じて、1種またはそれ以上のさらなる治療剤の性質や量に応じて変化し得ることは明らかだろう。
【0088】
典型的な1日の投与量は、選択された投与経路に応じて変化し得る。経口投与の典型的な1日の投与量は、約0.01〜約75mg/kg、一の態様において、約0.01〜約25mg/kg、さらなる態様において、約0.1〜約14mg/kgである。非経口投与の典型的な1日の投与量は、約0.001〜約10mg/kg;一の具体例において、約0.01〜約6mg/kgである。一の具体例において、化合物の1日の投与量は、100−1000mg/日である。
【0089】
式(I)で示される化合物の形態2はまた、他の活性治療剤と組み合わせて用いてもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)で示される化合物の形態2とさらなる活性治療剤の組み合わせを提供する。式(I)で示される化合物の形態2を同じ病態に対して活性な第2の治療活性剤と組み合わせて用いる場合、各々の化合物の用量は、化合物を単独で用いる場合と異なっていてもよい。適当な用量は、当業者により容易に評価されるだろう。治療において用いるのに必要な本発明の化合物の量は、治療する症状の性質および患者の年齢および状態に応じて変化し、最終的に主治医または獣医師の判断により決定されるだろう。
【0090】
本発明の化合物は、単独で用いても、あるいは、1またはそれ以上のさらなる活性治療剤、例えば他の抗寄生虫剤、例えば抗マラリア剤と組み合わせて用いてもよい。
【0091】
他の活性治療剤は、抗マラリア剤、例えばクロロキン、メフロキン、プリマキン、キニン、アルテミシニン、ハロファントリン、ドキシシクリン、アモジキン、アトバキン、タフェノキン、ダプソン、プログアニル、スルファドキシン、ピリメタミン、クロルシクログアニル、シクログアニルおよびファンシダールを含む。
【0092】
上記した組み合わせは、有利には、医薬処方の形態で用いるために用いることができ、かくして、上記したような組み合わせを医薬上許容される賦形剤と一緒に含む医薬処方が本発明の態様に含まれる。かかる組み合わせの個々の成分は、いずれの有利な経路により、別個にまたは同時に、別個または組み合わせ医薬処方の形態で投与してもよい。
【0093】
逐次投与である場合、本発明の化合物または1個またはそれ以上のさらなる活性治療剤のいずれを最初に投与してもよい。同時投与である場合、組み合わせは、同じまたは別個の医薬組成物で投与してもよい。同じ処方に組み合わせた場合、本発明の化合物および1またはそれ以上のさらなる活性治療剤は、安定かつ互いにおよび処方の他の成分と適合していなければならない。別個に処方する場合、本発明の化合物および1またはそれ以上のさらなる活性治療剤は、いずれの有益な処方、有利には、当該分野でかかる化合物に関して知られている方法で提供され得る。
【実施例】
【0094】
以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、何ら本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0095】
形態2の調製
式(I)で示される化合物の形態1を、PCT特許出願PCT/EP2007/055188(WO2007/138048として公開)に記載の方法により調製した。
【0096】
実施例1
式(I)で示される化合物の形態1は、下記スキーム1の方法を用いて、式(I)で示される化合物の形態2に変換することができる:
【化2】

【0097】
形態2は、形態1のテトラヒドロフランおよび水の混合物からの再結晶により調製することができる。特に、これはテトラヒドロフランおよび水中での結晶化を用いる研究室スケールでの方法である。
【0098】
実施例2
形態1(700mg)を、トリフルオロエタノール(10ml)中に常温で数時間スラリー化し、形態2をシードし、24時間寝かして、所望の多形体形態2を得た。
【0099】
実施例3
形態1(60mg)を、トリフルオロエタノール(1ml)中に10〜40℃(温度サイクル)で48時間スラリー化して、所望の多形体形態2を得た。
【0100】
実施例4
形態1(200g、1.0wt)を、テトラヒドロフラン(884ml、4.42vol)および水(180ml、0.90vol)の混合物中に懸濁した。懸濁液を加熱還流して、透明で黄色がかった溶液を得た。溶液を、反応容器にインライン濾過すると、いくらかの固体沈殿が生じた。得られた懸濁液を加熱還流して、すべての固体を溶解させた。溶媒レベルを超えて、固体が反応容器の壁面に形成し始めた。混合物を65℃に保持し、テトラヒドロフラン(52ml、0.26vol)および水(11ml、0.055vol)を加えた。温度をゆっくりと56℃に冷却し、形態2のシード(1g、0.005wt)を固体で加え、得られた濁った溶液を、0.5時間撹拌した。56℃の温度で、水(260ml、1.3vol)を165分にわたって加えた。溶液を30分間56℃に保持した。懸濁液を3時間にわたって徐々に0℃に冷却した。懸濁液をさらに10時間0℃に保持した。混合物を濾過し、濾過ケークをアセトン(380ml、1.9vol)/テトラヒドロフラン(40ml、0.2vol)混合物で処理し、ついで、アセトン(2x420ml、2.1vol)で処理した。減圧下50℃で乾燥して多形体形態2を白色固体として得た(86%収率)。
【0101】
実施例5
形態1(8.81kg、1.0wt)を、テトラヒドロフラン(41.5L、4.7vol)および水(8.5L、0.96vol)の混合物中に懸濁した。懸濁液を加熱還流して、透明で黄色がかった溶液を得た。溶液を、反応容器にインライン濾過した。濾過した溶液を62℃に加熱し、すべての固体を溶解した。混合物を60℃に冷却し、形態2の固体のシード(43g、0.005wt)を加えた。得られた懸濁液を、0.75時間、58−59℃で撹拌し、ついで、水(11.4L、1.29vol)を117分にわたって加えた。溶液を87分間58℃で保持した。懸濁液を4時間にわたって徐々に0〜5℃に冷却した。懸濁液を0〜5℃でさらに9時間保持した。混合物を濾過し、濾過ケークをアセトン(17.0L、1.93vol)/テトラヒドロフラン(2.0L、0.22vol)混合物、ついで、アセトン(2x19L、2.16vol)で洗浄した。減圧下50℃で乾燥して、多形体形態2を白色固体として得た(83%収率)。
【0102】
ラマンスペクトル
ラマン分析を、マイクロステージを備えたFTラマン分光計で行った。約5〜20mgの試料を、ステンレス鋼または金メッキ試料カップに置いた。試料の上部に圧力を加え、粉末を滑らかな面に固めた。
【0103】
式(I)で示される化合物の形態2のラマンスペクトルにおいて観察された代表的なピークは、以下の通りであった:364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1
上記したピークアサインメントにおける誤差は約±1cm−1である。一の態様において、上記したピークアサインメントにおける誤差は±1cm−1である。
【0104】
X線粉末回折(XRD)
図2の回折パターンを、銅Kα放射線を用いる、Philips X’Celerator Real Time Multi Strip(RTMS)検出器を備えたPhilips X’Pert Pro回折計を用いて取得した。試料をゼロバックグラウンドホルダーに置き、2〜40°2θで、以下の装置パラメータを用いてスキャンした:40mA、45kV、0.02°2θステップ、40秒のステップタイム。試料は分析の間25rpmで回転させた。
式(I)で示される化合物の形態2の粉末試料を用いて、図2XRDパターンを得た。
【0105】
式(I)で示される化合物の形態2は、それぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、4.7、4.5、4.4、3.5、3.4、3.4および3.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、18.9、19.6、20.0、25.4、26.0、26.5および28.0°での特徴的な2シータ角ピークにより同定することができる。
【0106】
さらなる2シータ角ピークが、基本的に以下の位置:17.7、19.8、20.3、20.9、22.5、23.3、23.6、23.7、33.9、37.5、39.1および40.3°に存在し、これらはそれぞれ、5.0、4.5、4.4、4.2、3.9、3.8、3.8、3.7、2.6、2.4、2.3および2.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する。
上記2シータ角の誤差は、各々の上記したピークアサインメントに関して約±0.1°である。一の態様において、上記した2シータ角の誤差は±0.1°である。
【0107】
示唆走査熱量測定(DSC)
DSCを、冷却システムを備えたTA Instruments Q1000 Differential Scanning Calorimeterで測定した。試料を波状アルミニウムパンにおいて、15℃/分の加熱速度で、25から300℃まで加熱した。
式(I)で示される化合物の形態2に関して、誤差は、±20℃のオーダーであり、融解熱に関しては±10J/gである。
【0108】
熱重量分析(TGA)
TGAを、TA Instruments Model Q500システムで測定した。試料をオープンプラチナパンに置いた。
式(I)で示される化合物の形態2のTGAは、常温と200℃でごくわずかな重量変化を示し、これは、非溶媒和形態である形態に一致する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
±0.1°の誤差で、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、18.9、19.6、20.0、25.4、26.0、26.5および28.0°の2シータ角(°2θ)を含み、これらが、それぞれ、17.6、8.8、6.2、5.4、5.8、4.7、4.5、4.4、3.5、3.4、3.4および3.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°の2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンにより特徴付けられる、式(I):
【化1】

で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項2】
さらに、約±0.1°の誤差で、5.0、10.1、14.2、15.1、16.4、17.7、18.9、19.6、19.8、20.0、20.3、20.9、22.5、23.3、23.6、23.7、25.4、26.0、26.5、28.0、33.9、37.5、39.1、40.3°の2シータ角(°2θ)を含み、これらが、それぞれ、17.6、8.8、6.2、5.8、5.4、5.0、4.7、4.5、4.5、4.4、4.4、4.2、3.9、3.8、3.8、3.7、3.5、3.4、3.4、3.2、2.6、2.4、2.3および2.2オングストローム(Å)のd−スペーシングに対応する、2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°の2θステップで用いる回折計で得られたXRDパターンを与えることにより特徴付けられる、請求項1記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項3】
2シータ角の単位で表され、本明細書に記載の方法に従って、銅Kα−放射線(45kV/40mA)を0.02°の2θステップで用いる回折計で得られ、図2と実質的に同じX線粉末回折(XRD)パターンを与えることにより特徴付けられる、請求項1または請求項2記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項4】
約±1cm−1の誤差で、364、414、429、587、1074、1270、1527、2937および3087cm−1でのピークを含む、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得したラマンスペクトルにより特徴付けられる、式(I):
【化2】

で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項5】
さらに、約±1cm−1の誤差で、364、414、429、587、600、642、811、1074、1153、1167、1209、1270、1346、1527、1602、1617、2937、3057、3071および3087cm−1でのピークを含む、本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたFTラマン分光計を用いて取得したラマンスペクトルを与えることにより特徴付けられる、請求項4記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項6】
本明細書に記載の方法に従って、1064nmの励起レーザーおよび4cm−1のスペクトル分解能を有する液体窒素で冷却したGe検出器を備えたフーリエ変換(FT)ラマン分光計を用いて取得し、図1と実質的に同じラマンスペクトルを与えることにより特徴付けられる、請求項4または請求項5記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項7】
請求項1〜3いずれか1項により特徴付けられ、さらに、請求項4〜6のいずれか1項により特徴付けられる、式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項8】
さらに、本明細書に記載の方法に従って、オープンプラチナパンを用い、15℃/分の加熱速度で測定して、図4と実質的に同じ熱重量分析(TGA)カーブを与えることにより特徴付けられる、請求項1〜7いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)および1種またはそれ以上の医薬上許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項10】
治療において用いるための、請求項1〜8いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項11】
ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防において用いるための、請求項1〜8いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項12】
ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状の治療または予防用の医薬の製造における、請求項1〜8いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)の使用。
【請求項13】
ある種の寄生虫感染により引き起こされる症状、例えばマラリア、特に、熱帯熱マラリア原虫による感染症により引き起こされる症状を患っているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該ヒトまたは動物に、有効量の請求項1〜8いずれか1項記載の式(I)で示される結晶性化合物(形態2)。
【請求項14】
対象がヒトである、請求項13記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−504914(P2011−504914A)
【公表日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535385(P2010−535385)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066360
【国際公開番号】WO2009/068623
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】