説明

抗ムスカリン剤およびベータ−アドレナリンアゴニストを含む組み合わせ

【課題】望ましくない心臓副作用を減少し、かつ活性を有するM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよびβアゴニストの組み合わせを提供する。
【解決手段】(a)β2アゴニストおよび(b)3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態である、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組み合わせを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年5月31日付けスペイン国特許出願番号P200401312からの優先権を主張しており、これを出典明示により援用する。
【0002】
本発明は、ある種の抗ムスカリン剤とβ−アドレナリンアゴニストの新規組み合わせおよび呼吸器疾患の処置におけるそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
β−アドレナリンアゴニスト、特にβ2−アドレナリンアゴニスト、および抗ムスカリン剤、特にM3ムスカリン受容体アンタゴニストは、呼吸器疾患、例えば喘息または慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)の処置に有用な2種類の気管支拡張剤である。
【0004】
両種類の薬剤は、組み合わせて使用され得ることが知られている。国際特許出願WO0238154およびWO03000241は、上記組み合わせの幾つかの例を記載している。
【0005】
有効成分が異なる生理学的経路を介して機能する薬剤の組み合わせは、治療上有用であることが知られている。組み合わせることによって、各有効成分を低濃度で用いても治療上有用な効果が達成され得ることから、治療上の利点が生じることが多い。この結果、薬剤の副作用を最小限にすることができる。すなわち、各有効成分が標的罹患細胞以外の細胞では臨床濃度以下(subclinical)である濃度で存在するように上記組み合わせは処方され得る。それにもかかわらず、かかる組み合わせは、両成分に応答する標的細胞において治療上有効である。
【0006】
上記検討にもかかわらず、呼吸器疾患を処置するのに組み合わせて使用される公知M3ムスカリン受容体およびβ−アドレナリンアゴニストの組み合わせは、心臓において好ましくない作用を有することが知られている。心臓細胞は、気道における細胞と同様に公知M3アンタゴニストおよびβアドレナリンアゴニストの両方に感受性を示すと思われる。心臓副作用は、両種類の薬剤を組み合わせて使用すると、さらに顕著かつ頻繁に起こると思われる。すなわち、公知抗ムスカリン薬剤およびβアドレナリンアゴニストの組み合わせの使用は、望ましくない心臓副作用、例えば頻脈、動悸、アンギナ様病訴および不整脈を随伴するため、特に心臓の基礎疾患を伴う患者の場合、上記組み合わせの治療的価値は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の詳細)
驚くべきことに、M3ムスカリン受容体のある種の特異的アンタゴニスト(以後、本発明M3アンタゴニストと称す)とβ2−アドレナリンアゴニスト(以後、β2−アゴニストと称す)を組み合わせると、当業界で既に提案されている組み合わせよりも心臓副作用、例えば頻脈の発生は著しく減少しながらも、気道での強い活性は保持されていることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、(a)β2−アゴニストおよび(b)式(I)
【化1】

[式中、
Bは、フェニル環、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員ヘテロ芳香族基またはナフタレニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリルまたはビフェニル基であり、
、RおよびRは、各々独立して、水素原子またはハロゲン原子、またはヒドロキシ基、またはフェニル、−OR、−SR、−NR、−NHCOR、−CONR、−CN、−NO、−COORまたは−CF基、または所望により、例えばヒドロキシまたはアルコキシ基により置換され得る直鎖または分枝状低級アルキル基を表し、RおよびRは、各々独立して、水素原子、直鎖または分枝状低級アルキル基を表すか、または共に脂環式環を形成するか、またはRおよびRは共に芳香族、脂環式または複素環を形成し、
nは0〜4の整数であり、
Aは、−CH−、−CH=CR−、−CR=CH−、−CR−、−CO−、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−または−NR−基を表し、RおよびRは、各々独立して、水素原子、直鎖または分枝状低級アルキル基を表すか、またはRおよびRは、共に脂環式環を形成し、
mは0〜8の整数であり、ただし、m=0のとき、Aは−CH−ではないものとし、
pは、1〜2の整数であり、アゾニア二環式環における置換は、2、3または4位であり、不斉炭素の可能な立体配置を全て含み得るものとし、
Dは、式i)またはii)
【化2】

で示される基を表し、
10は、水素原子、ヒドロキシまたはメチル基または−CHOH基を表し、
は、
【化3】

を表し、
は、1〜7個の炭素原子のアルキル基、2〜7個の炭素原子を含むアルケニル基、2〜7個の炭素原子を含むアルキニル基、3〜7個の炭素原子のシクロアルキル基、または
【化4】

から選択される基を表し、
11は、水素またはハロゲン原子、直鎖または分枝状置換または非置換低級アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−CO12、−NR1213を表し、R12およびR13は、同一または異なって、水素および直鎖または分枝状低級アルキル基から選択されるものとし、
Qは、単結合、−CH−、−CH−CH−、−O−、−O−CH−、−S−、−S−CH−または−CH=CH−を表し、
Xは、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンを表す]
で示される、所望によりラセミ混合物、鏡像体、ジアステレオマーおよびそれらの混合物形態でもよい、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組み合わせを提供する。
【0009】
上記式(I)により表される本発明化合物は、1個またはそれ以上の不斉炭素を有し得、可能な立体異性体を全て包含する。単一異性体および異性体の混合物も、本発明の範囲内に含まれる。
【0010】
本明細書で使用されているアルキル基は、典型的には低級アルキル基である。低級アルキル基は、好ましくは1〜8個、好ましくは1〜6個およびさらに好ましくは1〜4個の炭素原子を含む。特に、かかるアルキル基は、メチル、エチル、i−プロピルを含むプロピル、またはn−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを含むブチル基により表されるのが好ましい。本明細書で記載されている1〜7個の炭素原子を含むアルキル基は、上記のC1−4アルキル基または直鎖または分枝状フェニル、ヘキシルまたはヘプチル基であり得る。
【0011】
本明細書に記載されている2〜7個の炭素原子を有するアルケニル基は、直鎖または分枝状基、例えばエテニル、または直鎖または分枝状プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルまたはヘプテニルである。二重結合は、アルケニル基のいかなる位置でもあり得、例えば末端結合であり得る。
【0012】
本明細書に記載されている2〜7個の炭素原子を有するアルキニル基は、直鎖または分枝状基、例えばエチニル、プロピニルまたは直鎖または分枝状ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルまたはヘプチニルである。三重結合は、アルキニル基のいかなる位置でもあり得、例えば末端結合であり得る。
【0013】
本明細書に記載されているアルコキシ基は、典型的には低級アルコキシ基、すなわち1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む基であり、炭化水素鎖は分枝状または直鎖である。好ましいアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシがある。
【0014】
本明細書に記載されている脂環式基または環は、特記しない場合、典型的には3〜8個の炭素原子、好ましくは3〜6個の炭素原子を含む。3〜6個の炭素原子を有する脂環式環には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルがある。
【0015】
本明細書に記載されている芳香族環は、典型的には5〜14個、好ましくは5〜10個の炭素原子を含む。芳香族基の例には、シクロペンタジエニル、フェニルおよびナフタレニルがある。
【0016】
本明細書に記載されている複素環またはヘテロ芳香族基は、典型的にはN、SおよびOから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む、5〜10員基、例えば5、6または7員基である。典型的には、1、2、3または4個のヘテロ原子、好ましくは1または2個のヘテロ原子が存在する。複素環またはヘテロ芳香族基は、単環または2個またはそれ以上の縮合環であり得、少なくとも1個の環が一ヘテロ原子を含むものとする。複素環基の例には、ピペリジル、ピロリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、キヌクリジニル、トリアゾリル、ピラゾリル、テトラゾリルおよびチエニルがある。ヘテロ芳香族基の例には、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、トリアゾリルおよびピラゾリルがある。
【0017】
本明細書で使用されているハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を含み、典型的にはフッ素、塩素または臭素原子である。
【0018】
一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンの例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸または有機酸、例えばメタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸またはマレイン酸から誘導されたアニオンである。さらに、上述の酸の混合物も使用され得る。
【0019】
好ましくは、本発明によるM3アンタゴニストは、式(I)
【化5】

[式中、
・Bは、フェニル環、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含むC〜Cヘテロ芳香族基またはナフタレニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルまたはビフェニル基であり、
・R、RおよびRは、各々独立して、水素原子またはハロゲン原子、またはヒドロキシ基、またはフェニル、−OR、−SR、−NR、−NHCOR、−CONR、−CN、−NO、−COORまたは−CF基、または所望により、例えばヒドロキシまたはアルコキシ基により置換され得る直鎖または分枝状低級アルキル基を表し、RおよびRは、各々独立して、水素原子、直鎖または分枝状低級アルキル基を表すか、または共に脂環式環を形成するか、またはRおよびRは共に芳香族、脂環式または複素環を形成し、
・nは0〜4の整数であり、
・Aは、−CH−、−CH=CR−、−CR=CH−、−CR−、−CO−、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−または−NR−基を表し、RおよびRは、各々独立して、水素原子、直鎖または分枝状低級アルキル基を表すか、またはRおよびRは、共に脂環式環を形成し、
・mは0〜8の整数であり、ただし、m=0のとき、Aは−CH−ではないものとし、
・pは、1〜2の整数であり、アゾニア二環式環における置換は、2、3または4位であり、不斉炭素の可能な立体配置を全て含み得るものとし、
・Dは、式i)またはii)
【化6】

で示される基を表し、
10は、水素原子、ヒドロキシまたはメチル基を表し、そして
およびRは、各々独立して、
【化7】

を表し、
11は、水素またはハロゲン原子または直鎖または分枝状低級アルキル基を表し、Qは、単結合、−CH−、−CH−CH−、−O−、−O−CH−、−S−、−S−CH−または−CH=CH−を表し、そして
・Xは、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンを表す]
を有する、所望によりラセミ混合物、鏡像体、ジアステレオマーおよびそれらの混合物形態でもよいものである。
【0020】
(a)β2−アゴニストおよび(b)式(I)
【化8】

[式中、
Bはフェニル基を表し、
、RおよびRは水素原子を表し、
mは1〜3の整数であり、
nはゼロであり、
Aは、−Oおよび−CH−から選択される基であり、
pは1〜2の整数であり、アゾニア二環式環における置換は2、3または4位であり、不斉炭素の可能な立体配置を全て含み得るものとし、
−OC(O)Dは、2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ、9H−キサンテン−9−カルボニルオキシおよび(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシから選択され、そして
Xは、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンを表す]
で示される、所望によりラセミ混合物、鏡像体、ジアステレオマーおよびそれらの混合物形態でもよい、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組み合わせは、本発明の好ましい実施態様である。
【0021】
上記式(I)により表される本発明のM3アンタゴニストは、1個またはそれ以上の不斉炭素を有し得、可能な立体異性体を全て含む。単一異性体および異性体の混合物も本発明の範囲内に包含される。
【0022】
エステル基、−OC(O)Dが、四級窒素原子を3位に含む環に結合されているM3アンタゴニストは、特に好ましい。
【0023】
上記M3アンタゴニストは、所望によりそれらの純粋鏡像体、その混合物またはそれらのラセミ混合物の形態で使用され得る。典型的には、−OC(O)D基をもつ炭素原子は、(R)立体配置を有する。
【0024】
3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド、(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよび(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドのうちの一つが本発明M3アンタゴニストとして使用されるのが特に好ましい。
【0025】
従って、本発明は、(a)β2アゴニストおよび(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態である、M3ムスカリン受容体のアンタゴニストを含む組み合わせを提供する。典型的には、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドである。
【0026】
典型的には、上記組み合わせは、単一医薬組成物の一部を形成する有効成分(a)および(b)を含む。
【0027】
曖昧さを避けるため、上記式および3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの語は、例えば水溶液中において、解離、部分解離または非解離形態の塩類を包含するものとする。化合物の種々の塩は、溶媒和物形態、すなわち水和物形態で存在し得、これらの形態も全て、本発明の範囲内に含まれるものとする。さらに、化合物の種々の塩および溶媒和物は、本発明の範囲内に含まれる無定形または種々の多形で存在し得る。
【0028】
また、ヒトまたは動物患者の処置で同時、個別または逐次使用される組み合わせ製品として、(a)β2アゴニストおよび(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)である、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む製品が提供される。典型的には、本製品は、ヒトまたは動物患者においてM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、個別または逐次使用を目的としている。
【0029】
さらに本発明は、ヒトまたは動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置において同時、一時(concurrent)、個別または逐次使用される医薬の製造を目的とする、(a)β2−アゴニストおよび(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用に関するものである。
【0030】
また、本発明は、ヒトまたは動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置において(a)β2アゴニストと組み合わせて同時、一時、個別または逐次使用される医薬の製造についての、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用に関するものである。
【0031】
また、本発明は、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストとの同時、一時、個別または逐次併用投与によるヒトまたは動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置で使用される医薬の製造についての(a)β2アゴニストの使用に関するものである。
【0032】
本発明はまた、特に先在する心臓状態または頻脈により悪化する状態に罹患したヒトまたは動物患者において、(a)β2アゴニストとの同時、一時、個別または逐次併用投与によるヒトまたは動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置で使用される医薬の製造についての、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用に関するものである。
【0033】
本発明はさらに、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患に罹患しているかまたは罹患し易いヒトまたは動物患者の処置方法であって、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)β2アゴニストの有効量を上記患者に同時、一時、個別または逐次投与することを含む方法を提供する。
【0034】
典型的には、上記呼吸器疾患は、喘息、急性または慢性気管支炎、気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎、特に喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0035】
典型的には、上記ヒトまたは動物患者は、先在する心臓状態または頻脈により悪化する状態に罹患しており、例えば先在する心不整脈、低血圧または高血圧、アンギナまたはアンギナ様病訴、心筋梗塞の病歴、冠状動脈疾患を有する患者または高齢患者である。好ましくは、患者はヒトである。
【0036】
また、(a)β2−アゴニストおよび(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを、(c)医薬上許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物が提供される。
【0037】
本発明はまた、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患に罹患しているかまたは罹患し易い患者の処置を目的として(a)β2アゴニストと組み合わせた同時、一時、個別または逐次使用についての使用説明書と共に(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む複数パーツのキットを提供する。
【0038】
さらに、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置で同時、一時、個別または逐次使用される、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)β2アゴニストを含むパッケージが提供される。
【0039】
上記の組み合わせ、製品、複数パーツのキットまたはパッケージであって、同時、個別または逐次使用される、(c)(a)PDE IV阻害剤、(b)コルチコステロイド、(c)ロイコトリエンD4アンタゴニスト、(d)egfr−キナーゼの阻害剤、(e)p38キナーゼ阻害剤および(f)NK1受容体アゴニストから選択される別の活性化合物をさらに含む組み合わせ、製品、複数パーツのキットまたはパッケージがさらに提供される。典型的には、追加の活性化合物(c)は、(a)PDE IV阻害剤および(b)コルチコステロイドから成る群から選択される。
【0040】
本発明の一実施態様における組み合わせ、製品、複数パーツのキットまたはパッケージは、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)β2アゴニストを唯一の活性化合物として含む。
【0041】
また、本発明の一実施態様は、ヒトまたは動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置において同時、一時、個別または逐次使用される医薬の製造を目的とする、(b)式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)β2アゴニストの、他の活性化合物の存在を伴わない使用である。
【0042】
本発明の組み合わせで使用される好ましいβ2−アゴニストは、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、メタプロテネロール、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リトドリン、リモテロール、サルブタモール、サルメファモール、サルメテロール、シベナデト、ソテネロト、スルホンテロール、テルブタリン、ティアラミド、トルブテロール、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、HOKU−81、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミド塩酸塩一水和物、カルモテロール、QAB−149および5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンズイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾオキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾオキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tert−ブチルアミノ)エタノールおよび1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールであり、所望によりそれらのラセミ混合物、それらの鏡像体、それらのジアステレオマー、およびそれらの混合物形態でもよく、また所望によりそれらの薬理学的に適合し得る酸付加塩でもよい。
【0043】
本発明の組み合わせで使用される好ましいβ2−アゴニストは、アルホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ドペキサミン、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、イソプレナリン、レボサルブタモール、マブテロール、メルアドリン、ノロミロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、(R,R)−ホルモテロール、レプロテロール、リトドリン、リモテロール、サルブタモール、サルメテロール、シベナデト、スルホンテロール、テルブタリン、トルブテロール、GSK−597901、GSK−159797、KUL−1248、TA−2005およびQAB−149であり、所望によりそれらのラセミ混合物、それらの鏡像体、それらのジアステレオマー、およびそれらの混合物形態でもよく、また所望によりそれらの薬理学的に適合し得る酸付加塩でもよい。
【0044】
本発明のM3アンタゴニストは長い作用持続時間を有するため、それらを長時間作用性β2−アゴニスト(LABAとしても知られている)と組み合わせるのが好ましい。すなわち、組み合わせた薬剤は1日1回投与され得る。
【0045】
特に好ましいLABAは、ホルモテロール、サルメテロールおよびGSK−597901、GSK−159797、KUL−1248、TA−2005およびQAB−149であり、所望によりそれらのラセミ混合物、それらの鏡像体、それらのジアステレオマー、およびそれらの混合物形態でもよく、また所望によりそれらの薬理学的に適合し得る酸付加塩でもよい。さらに好ましいのは、サルメテロール、ホルモテロールおよびQAB−149である。さらに好ましいのは、サルメテロールおよびホルモテロール、特にキシナホ酸サルメテロールおよびフマル酸ホルモテロールである。
【0046】
以下のものは、β2−アゴニストの付加塩の形成に適切な酸の例を代表するものと考えられ得る:塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、およびトリフルオロ酢酸。さらに、前述の酸の混合物も使用され得る。
【0047】
本発明の好ましい実施態様は、式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストと、ホルモテロール、サルメテロール、GSK−597901、GSK−159797、KUL−1248、TA−2005およびQAB−149から選択されるLABAの組み合わせである。
【0048】
本発明の特に好ましい実施態様は、式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドであるM3ムスカリン受容体アンタゴニストと、ホルモテロール、サルメテロール、GSK−597901、GSK−159797、KUL−1248、TA−2005およびQAB−149から選択されるLABAの組み合わせである。
【0049】
本発明の別の実施態様は、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド、3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド、および3(R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ)−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドから成る群から選択されるM3アンタゴニストと、ホルモテロール、サルメテロール、GSK−597901、GSK−159797、KUL−1248、TA−2005およびQAB−149から選択されるLABAの組み合わせである。
【0050】
本発明の一実施態様によると、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、式(I)で示される化合物、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であり、β2−アゴニストは、ホルモテロール、特にフマル酸ホルモテロールである。
【0051】
本発明の別の実施態様によると、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、式(I)で示される化合物、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であり、β2−アゴニストは、サルメテロール、特にキシナホ酸サルメテロールである。
【0052】
本発明の組み合わせは、所望により、呼吸器疾患の処置において有用であることが知られている1種またはそれ以上の追加的活性物質、例えばPDE4阻害剤、コルチコステロイドまたはグルココルチコイド、ロイコトリエンD4阻害剤、egfr−キナーゼの阻害剤、p38キナーゼ阻害剤および/またはNK1−受容体アンタゴニストを含み得る。
【0053】
M3−アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わせられ得る適切なPDE4阻害剤の例は、デンブフィリン、ロリプラム、シパムフィリン、アロフィリン、フィラミナスト、ピクラミラスト、メソプラム、ドロタベリン塩酸塩、リリミラスト、ロフルミラスト、シロミラスト、6−[2−(3,4−ジエトキシフェニル)チアゾール−4−イル]ピリジン−2−カルボン酸、(R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソアセトアミド、9−(2−フルオロベンジル)−N6−メチル−2−(トリフルオロメチル)アデニン、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−8−メトキシキノリン−5−カルボキサミド、N−[9−メチル−4−オキソ−1−フェニル−3,4,6,7−テトラヒドロピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン−3(R)−イル]ピリジン−4−カルボキサミド、3−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル]−6−(エチルアミノ)−8−イソプロピル−3H−プリン塩酸塩、4−[6,7−ジエトキシ−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン−1−イル]−1−(2−メトキシエチル)ピリジン−2(1H)−オン、2−カルボメトキシ−4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン1−オン、シス[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール、ONO−6126(Eur Respir J 2003, 22(補遺45):Abst 2557)およびPCT特許出願番号WO03/097613およびPCT/EP03/14722およびスペイン国特許出願番号P200302613で主張された化合物である。
【0054】
M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わされ得る適切なコルチコステロイドおよびグルココルチコイドの例は、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ナフロコルト、デフラザコルト、酢酸ハロプレドン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ピバル酸クロコルトロン、アセポン酸メチルプレドニゾロン、パルミチン酸デキサメタゾン、チプレダン、アセポン酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ハロメタゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、フラン酸モメタゾン、リメキソロン、ファルネシル酸プレドニゾロン、シクレソニド、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、エタボン酸ロテプレドノール、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、フルニソリド、プレドニゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、トリアムシノロン、17−吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウムおよびヒドロコルチゾンプロブテートである。
【0055】
M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わされ得る適切なLTD4アンタゴニストの例は、トメルカスト、イブジラスト、ポビルカスト、プランルカスト水和物、ザフィルルカスト、リトルカスト、ベルルカスト、スルカスト、シナルカスト、イラルカストナトリウム、モンテルカストナトリウム、4−[4−[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェノキシ)プロピルスルホニル]フェニル]−4−オキソ酪酸、[[5−[[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェノキシ)プロピル]チオ]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ]酢酸、9−[(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−n−プロピルフェノキシ)メチル]−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、5−[3−[2−(7−クロロキノリン−2−イル)ビニル]フェニル]−8−(N,N−ジメチルカルバモイル)−4,6−ジチアオクタン酸ナトリウム塩、3−[1−[3−[2−(7−クロロキノリン−2−イル)ビニル]フェニル]−1−[3−(ジメチルアミノ)−3−オキソプロピルスルファニル]メチルスルファニル]プロピオン酸ナトリウム塩、6−(2−シクロヘキシルエチル)−[1,3,4]チアジアゾロ[3,2−a]−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−9(1H)−オン、4−[6−アセチル−3−[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェニルチオ)プロポキシ]−2−プロピルフェノキシ]酪酸、(R)−3−メトキシ−4−[1−メチル−5−[N−(2−メチル−4,4,4−トリフルオロブチル)カルバモイル]インドール−3−イルメチル]−N−(2−メチルフェニルスルホニル)ベンズアミド、(R)−3−[2−メトキシ−4−[N−(2−メチルフェニルスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチル−N−(4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブチル)インドール−5−カルボキサミド、(+)−4(S)−(4−カルボキシフェニルチオ)−7−[4−(4−フェノキシブトキシ)フェニル]−5(Z)−ヘプテン酸およびPCT特許出願番号PCT/EP03/12581で主張された化合物である。
【0056】
M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わされ得るegfr−キナーゼの適切な阻害剤の例は、パリフェルミン、セツキシマブ、ゲフィチニブ、レピフェルミン、エルロチニブ塩酸塩、カネルチニブ二塩酸塩、ラパチニブ、およびN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル]−4−(ジメチルアミノ)−2(E)−ブテナミドである。
【0057】
M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わされ得る適切なp38キナーゼ阻害剤の例は、クロルメチアゾールエディシレート、ドラマピモド、5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニルスルファニル)−6H−ピリミド[3,4−b]ピリダジン−6−オン、4−アセトアミド−N−(tert−ブチル)ベンズアミド、SCIO−469(Clin Pharmacol Ther 2004, 75(2):Abst PII-7に記載)および Circulation 2003, 108(17, 補遺4):Abst882に記載されたVX−702である。
【0058】
M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストと組み合わされ得る適切なNK1−受容体アンタゴニストの例は、ベシル酸ノルピタンチウム、ダピタント、ラネピタント、塩酸ボホピタント、アプレピタント、エズロピタント、N−[3−(2−ペンチルフェニル)プロピオニル]トレオニル−N−メチル−2,3−デヒドロチロシル−ロイシル−D−フェニルアラニル−アロ−トレオニル−アスパラギニル−セリンC−1.7−O−3.1ラクトン、1−メチルインドール−3−イルカルボニル−[4(R)−ヒドロキシ]−L−プロリル−[3−(2−ナフチル)]−L−アラニンN−ベンジル−N−メチルアミド、(+)−(2S,3S)−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]−2−フェニルピペリジン、(2R,4S)−N−[1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]キノリン−4−カルボキサミド、3−[2(R)−[1(R)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3(S)−(4−フルオロフェニル)モルホリン−4−イルメチル]−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−ホスフィン酸ビス(N−メチル−D−グルカミン)塩、[3−[2(R)−[1(R)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3(S)−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニルメチル]−2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]ホスホン酸1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール(1:2)塩、1'−[2−[2(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)モルホリン−2−イル]エチル]スピロ[ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−4'−ピペリジン]2(S)−オキシド塩酸塩およびEur Respir J 2003, 22(補遺45):Abst P2664に記載された化合物CS−003である。
【0059】
本発明の組み合わせは、同時、一時または逐次的なM3ムスカリン受容体の拮抗作用およびβ−アドレナリン受容体、特にβ2−アドレナリン受容体の刺激による改善を受入れ易い疾患の処置で使用され得る。すなわち、本願は、これらの疾患の処置方法、並びにこれらの疾患の処置を目的とする医薬の製造における本発明組み合わせの使用を包含する。
【0060】
上記疾患の好ましい例は、気管支拡張剤の使用が有益な効果を有すると期待される呼吸器疾患、例えば喘息、急性または慢性気管支炎、気腫または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0061】
組み合わせにおける活性化合物、すなわち本発明M3アンタゴニスト、β2−アゴニストおよび他の所望による活性化合物は、同一医薬組成物または同一または異なる経路による個別、同時、一時または逐次投与を意図した異なる組成物において共に投与され得る。
【0062】
一実施態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置を目的としてβ2−アドレナリンアゴニストと組み合わせた同時、一時、個別または逐次使用についての使用説明書と共に式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む複数パーツのキットを提供する。
【0063】
好ましい実施態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置を目的としてβ2−アゴニストと組み合わせた同時、一時、個別または逐次使用についての使用説明書と共に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む複数パーツのキットを提供する。
【0064】
別の実施態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置で同時、一時、個別または逐次使用される、式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよびβ2−アドレナリンアゴニストを含むパッケージを提供する。
【0065】
別の実施態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置で同時、一時、個別または逐次使用される、式(I)で示されるM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態(特に3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよびβ2−アゴニストを含むパッケージにより構成される。
【0066】
本発明の好ましい実施態様において、組み合わせにおける活性化合物は、一般的なデリバリーデバイスを介した吸入により投与され、それらは同一または異なる医薬組成物で処方され得る。
【0067】
最も好ましい実施態様において、本発明M3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストは、両方とも同一医薬組成物中に存在し、一般的デリバリーデバイスを通した吸入により投与される。
【0068】
一局面において、本発明は、有効成分(a)および(b)が単一医薬組成物の一部を形成することを特徴とする前記の組み合わせを提供する。
【0069】
別の局面において、本発明は、M3ムスカリン受容体アンタゴニスト、β2−アゴニストおよび所望による他の添加物および/または担体を混合し、それ自体公知の方法により製造加工することを特徴とする、前記の医薬組成物の製造方法を提供する。
【0070】
組み合わせ、すなわち本発明M3アンタゴニスト、β2−アゴニストにおける活性化合物および他の所望による活性化合物は、処置される疾患の性質によって、適切な経路により、例えば経口経路(シロップ、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、放出制御型製品、速溶型製品、トローチ剤等として)、局所経路(クリーム、軟膏、ローション、鼻スプレーまたはエアロゾル等として)、注射(皮下、皮内、筋肉内、静脈内等)または吸入(乾燥粉末、溶液、分散液等として)により投与され得る。
【0071】
医薬製剤は、好都合には単位用量形態で与えられ得、製薬業界でよく知られている方法のいずれかにより製造され得る。どの方法も全て、有効成分(複数も可)を担体と配合する工程を含む。一般に、製剤は、有効成分を、液体担体または微細分割固体担体またはそれらの両方と均一および緊密に配合し、次いで必要ならば、生成物を所望の製剤に成形することにより製造される。
【0072】
経口投与に適切な本発明製剤は、各々予め定められた量の有効成分を含む個別単位、例えばカプセル剤、カシェ剤または錠剤として、粉末または顆粒として、水性液体または非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油液体エマルジョンまたは油中水液体エマルジョンとしての形態をとり得る。有効成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストの剤型をとり得る。
【0073】
シロップ製剤は、一般的に、風味剤、甘味剤および/または着色剤を伴う液体担体、例えばエタノール、天然、合成または半合成油、例えば落花生油およびオリーブ油、グリセリンまたは水中の化合物または塩の懸濁液または溶液により構成される。
【0074】
組成物が錠剤形態である場合、固体製剤の製造に常用されるものであればいずれの医薬用担体でも使用され得る。上記担体の例には、セルロース、ステアレート、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸、タルク、ゼラチン、アラビアゴム、澱粉、乳糖およびショ糖がある。
【0075】
錠剤は圧縮または成形により製造され得、所望により1種またはそれ以上の副成分を含んでいてもよい。圧縮錠剤は、所望により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、潤滑剤、表面活性剤または分散剤と混合され得る、自由流動形態、例えば粉末または顆粒の有効成分を適切な機械において圧縮することにより製造できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた活性化合物を含む、所望により乾燥され、ふるいにかけられてもよい粉末ブレンドの混合物を適切な機械で成形することにより製造され得る。錠剤には、所望によりコーティングまたは割線が施され得、その中の有効成分の放出に修飾が加えられる(すなわち遅延型または制御型にする)ように製剤化され得る。
【0076】
組成物がカプセル形態である場合、例えば硬ゼラチンカプセルで前述の担体を用いることによる、常用の封入法が適切である。組成物が軟ゼラチンカプセル形態である場合、分散液または懸濁液の製造に常用される医薬用担体、例えば水性ゴム、セルロース、シリケートまたは油が考えられ得、それらは軟ゼラチンカプセルに組込まれる。
【0077】
吸入による肺への局所送達用の乾燥粉末組成物は、例えば、吸入器または注入器で使用される、種々の第一次パッケージング系(例、例えばゼラチンでできたカプセルおよびカートリッジまたは例えば薄片アルミホイルのブリスター)の形態をとり得る。
【0078】
製剤のパッケージングは、単位用量型または多用量型送達に適切であり得る。多用量型送達の場合、製剤は、予め定量化されているかまたは使用時に定量化され得る。すなわち乾燥粉末吸入剤は、3群:(a)単回投与、(b)複数回単位投与および(c)複数回投与装置に分類される。
【0079】
製剤は、一般的に本発明化合物吸入用粉末混合物および適切な粉末基剤(担体物質)、例えば乳糖または澱粉を含む。乳糖の使用が好ましい。各カプセルまたはカートリッジは、一般的に2μg〜400μg間の各治療有効成分を含み得る。別法として、有効成分(複数も可)は、賦形剤を用いない形態をとり得る。
【0080】
第一のタイプの単回投与吸入剤については、単回用量は、小さな容器(ほとんどの場合硬ゼラチンカプセルである)中へ製造会社により量り入れられている。まず、カプセルを個別の箱または容器から取出し、吸入器のレセプタクル領域へ挿入しなければならない。次に、ピンまたは剃刀でカプセルを開口または穿孔して、吸入気流の一部をカプセルに通すことにより粉末を浮遊させて運ばせるかまたは吸入中における遠心力によりこれらの穿孔を通してカプセルから粉末を放出させ得る。吸入後、空になったカプセルを再び吸入器から除去しなければならない。ほとんどの場合、カプセルを挿入および除去するのには吸入器の取外しが必要であり、これは、患者によっては困難で負担となる場合もあり得る操作である。吸入粉末についての硬ゼラチンカプセルの使用に関連した他の欠点は、(a)周囲の空気からの吸湿に対する防御性が乏しいこと、(b)破砕または窪ませる誘因である、極度の相対湿度にカプセルを先に暴露した後の開口または穿孔に伴う問題、および(c)カプセル破片の吸入の可能性である。さらに、若干のカプセル吸入剤については、不完全な放出が報告されている(例、Nielsen et al. 1997)。
【0081】
国際公開第92/03175号の記載によると、カプセル吸入器には貯蔵部を有し、そこから個々のカプセルが受入チャンバーへ移され得、そこで穴があけられ、空にされるものもある。他のカプセル吸入器には、投薬量放出のために空気導管と整列され得るカプセルチャンバーを伴う回転式貯蔵部を有するものもある(例、国際公開第91/02558号および英国特許2242134)。それらは、ブリスター吸入器と共に複数回単位用量吸入器のタイプを含むが、ディスクまたはストリップにおいて供給される単位用量の数は制限される。
【0082】
ブリスター吸入剤では、カプセル吸入剤よりも湿気に対する医薬の防御性は改善されている。カバーおよびブリスターホイルに穴をあけるかまたはカバーホイルを剥すことにより、散剤を手にすることができる。ブリスターストリップをディスクの代わりに用いるとき、投薬量の数は増加し得るが、患者にとって空のストリップを交換するのは不便である。従って、上記装置は、ストリップを輸送し、ブリスターポケットを開くのに使用される技術を含め、組込まれた投薬システムと共に使い捨てであることが多い。
【0083】
複数回投薬吸入器が、予め定量された量の粉末製剤を含むことはない。それらは、比較的大きな容器および患者が操作しなければならない投薬量定量原理により構成される。容器は、容積排気量により大量の粉末から個々に分離される複数回投薬量を保持する。回転性メンブラン(例、欧州特許0069715)またはディスク(例、英国特許2041763、欧州特許0424790、ドイツ国特許4239402および欧州特許0674533)、回転式シリンダー(例、欧州特許0166294、英国特許2165159および国際公開第92/09322号)および回転式円錐台(例、国際公開第92/00771号)を含め、様々な投薬量定量原理が存在し、それらは全て容器からの粉末で満たされるべき空洞を有する。他の複数回投与装置は、計量スライド(例、米国特許第5201308号および国際公開第97/00703号)またはある一定容量の粉末を容器からデリバリーチャンバーまたは空気導管へ移すための局所または周囲に凹所を伴う計量プランジャー(例、欧州特許0505321、国際公開第92/04068号および国際公開第92/04928号)を有する。
【0084】
再現性のある用量の計量は、複数回投与吸入装置に関する主たる関心事の一つである。
【0085】
用量計量カップまたは空洞の充填はほとんどの場合重力の影響下にあるため、粉末製剤は、良好かつ安定した流動特性を呈するものでなくてはならない。
【0086】
再充填単回投与および複数回単位投与吸入器については、投薬量計量の正確さおよび再現性は、製造業者により保証され得る。他方、複数回投与吸入器は、かなり多数の投薬量を含み得、投与開始にかかる手間の数は一般的に少ない。
【0087】
複数回投与装置における吸息気流は投薬計量空洞部を直進することが多いため、また複数回投与吸入器の大きくて堅固な投薬計量システムはこの吸息気流により乱され得ないため、粉末塊は、空洞部から単に連行されるだけであり、放出中に凝集分解(de-agglomeration)はほとんど達成されない。
【0088】
従って、独立した分解手段が必要である。しかしながら事実上、それらは吸入器設計の一部であるとは限らない。複数回投与装置では投薬数が多いため、装置中の残留投薬量に影響を及ぼすことなく、空気導管の内壁および凝集分解手段への粉末接着は最小限にされなければならず、および/またはこれらのパーツの定期的掃除が可能でなくてはならない。複数回投与吸入器の中には、処方された数の用量が摂取された後に交換され得る使い捨て薬剤容器を有するものもある(例、国際公開第97/000703号)。使い捨て薬剤容器を備えた上記の半永久的複数回投与吸入器の場合、薬剤の蓄積を阻止するための必要条件はより厳しいものである。
【0089】
乾燥粉末吸入器による適用に加えて、本発明組成物は、噴射ガスまたはいわゆるアトマイザー手段により作動するエアロゾルで投与され得、薬理学的活性物質の溶液が高圧下で噴霧され得ることにより、吸入可能な粒子の霧が生じる。これらのアトマイザーの利点は、噴射ガスの使用を完全に省き得ることである。
【0090】
上記アトマイザーは、例えばPCT特許出願番号WO91/14468および国際特許出願国際公開第97/12687号に記載されており、これらについては出典明示により援用する。
【0091】
吸入による肺への局所送達用噴霧組成物は、例えば水溶液または懸濁液として、または適切な液化噴射剤が使用された、加圧パック、例えば定量化投薬量吸入器から送達されるエアロゾルとして処方され得る。吸入に適切なエアロゾル組成物は、懸濁液または溶液であり得、一般的に有効成分(複数も可)および適切な噴射剤、例えばフルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロエタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはそれらの混合物を含み得る。二酸化炭素または他の適切な気体もまた、噴射剤として使用され得る。エアロゾル組成物は、噴射剤以外の賦形剤については不含有であり得るかまたは所望により当業界でよく知られている追加的処方用賦形剤、例えば界面活性剤、例えばオレイン酸またはレシチンおよび共溶媒、例えばエタノールを含み得る。加圧製剤は、一般的に、バルブ(例、計量バルブ)で閉じたキャニスター(例、アルミ缶)に保持され、口金を備えた作動装置へ取付けられる。
【0092】
吸入投与用医薬の場合、望ましくは粒子サイズが制御されている。気管支系への吸入に最適な粒子サイズは、通常1〜10μ、好ましくは2〜5μである。サイズが20μを越える粒子は、吸入時に小気道へ到達するには一般的に大き過ぎる。これらの粒子サイズを達成するため、製造された有効成分の粒子は、慣用的手段、例えば微粉化または超臨界流体技術により縮小され得る。所望のフラクションは、風力分級またはふるい分けにより分離され得る。好ましくは、粒子は結晶性である。
【0093】
微粉化粉末は流動性が乏しく、過度の凝集傾向を示すことから、それらによる高い投薬量の再現性の達成は困難である。乾燥粉末組成物の有効性を改良するためには、粒子は、吸入器中にある間は大きいが、気道への放出時には小さくあるべきである。すなわち、賦形剤、例えば乳糖、マンニトールまたはグルコースが一般的に使用される。賦形剤の粒子サイズは、通常本発明の範囲内で吸入される医薬よりかなり大きい。賦形剤が乳糖であるとき、それは、典型的には粉砕された乳糖、好ましくは結晶性アルファ乳糖一水和物として存在する。
【0094】
加圧エアロゾル組成物は、一般的にバルブ、特に計量バルブを取付けたキャニスターへ充填される。国際公開第96/32150号に記載されているところによると、キャニスターは、所望によりプラスチック材料、例えばフルオロカーボンポリマーでコーティングされ得る。キャニスターは、頬側への送達に適合させた作動装置へ取付けられる。
【0095】
鼻への送達用の典型的組成物は、吸入について上述したものを含み、さらには不活性賦形剤、例えば水中の溶液または懸濁液形態である非加圧組成物を含み、所望により鼻用ポンプにより投与され得る慣用的賦形剤、例えば緩衝液、抗菌剤、粘膜付着剤、張性修飾剤および粘稠性修飾剤と組み合わせてもよい。
【0096】
典型的な皮膚および経皮製剤は、慣用的水性または非水性賦形剤、例えばクリーム、軟膏、ローションまたはペーストを含むかまたは薬用硬膏、パッチまたは膜の形態をとる。
【0097】
(a)β2アゴニストおよび(b)M3ムスカリン受容体アンタゴニストが本発明に従って使用され得る比率は変動し得る。活性物質(a)および(b)は、恐らくはそれらの溶媒和物または水和物形態で存在し得る。化合物(a)および(b)の選択によって、本発明の範囲内で使用され得る重量比は、様々な塩形態の異なる分子重量に基づいて変化する。本発明による医薬の組み合わせは、(a)および(b)を一般的には1:5〜500:1、好ましくは1:10〜400:1の範囲の(b):(a)重量比で含み得る。
【0098】
下記に示した重量比は、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドとして表される化合物(b)および本発明による特に好ましいβ2アゴニストサルメテロールおよびホルモテロールの遊離塩基に基づいている。
【0099】
本発明による医薬の組み合わせは、(a)およびホルモテロールの場合における(b)を、例えば、1:10〜300:1、好ましくは1:5〜200:1、好ましくは1:3〜150:1、さらに好ましくは1:2〜100:1の(b):(a)重量比で含み得る。
【0100】
(a)および(b)の組み合わせを含む本発明医薬組成物は、通常、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよびホルモテロールが、単回投与量当たり5〜5000μg、好ましくは10〜2000μg、さらに好ましくは15〜1000μg、さらに好ましくは20〜800μgの用量で共に存在するように投与される。
【0101】
例えば、本発明の範囲をそれらに制限しない場合、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドを(b)として使用し、フマル酸ホルモテロールを(a)として使用している組み合わせである、本発明による組成物は、例えば20〜1000μgの3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよび2.5〜30μgのフマル酸ホルモテロールを含み得る。
【0102】
例えば、本発明による活性物質の組み合わせは、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよびサルメテロールの場合における(a)を、約1:30〜400:1、好ましくは1:25〜200:1、好ましくは1:20〜100:1、さらに好ましくは1:15〜50:1の範囲の(b):(a)重量比で含み得る。
【0103】
(a)および(b)の組み合わせを含む本発明医薬組成物は、通常、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよびサルメテロールが、単回投与量当たり5〜5000μg、好ましくは10〜2000μg、さらに好ましくは15〜1000μg、さらに好ましくは20〜800μgの用量で共に存在するように投与される。
【0104】
例えば、本発明の範囲をそれらに制限しない場合、3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドを(b)として使用し、キシナホ酸サルメテロールを(a)として使用している組み合わせである、本発明による組成物は、例えば20〜1000μgの3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドおよび15〜300μgのキシナホ酸サルメテロールを含み得る。
【0105】
本発明による組み合わせに適用され得る可能な用量の上記の例は、単回適用当たりの用量を指すものと理解すべきである。しかしながら、これらの例は、本発明組み合わせを複数回投与する可能性を排除するものとして理解するべきではない。医学的必要性によっては、患者は、複数回適用を受ける場合もあり得る。一例として、患者には、各処置日の午前中に例えば2または3回(例、パウダー吸入器により2または3吹き、MDI等)本発明の組み合わせが投与され得る。上述の用量例は、単に単回適用当たり(すなわち一吹き当たり)の用量例として理解すべきであるため、本発明組み合わせの複数回適用は、上述の例の複数回投薬量に相当する。本発明による組成物の適用は、例えば1日1回、またはコリン抑制剤の作用持続時間によっては1日2回、または2日または3日毎に1回であり得る。
【0106】
好ましくは、組成物は、単位用量形態、例えば錠剤、カプセル剤または定量エアロゾル用量形態であり、そのため患者には単回用量が投与され得る。
【0107】
各用量単位は、適切には20μg〜1000μg、好ましくは50μg〜300μgの本発明M3アンタゴニストまたはその医薬上許容される塩および1μg〜300μg、好ましくは5μg〜100μgの本発明β2−アゴニストを含む。
【0108】
治療効果の達成に要求される各有効成分の量は、勿論、特定有効成分、投与経路、処置下の対象、および処置されている特定の障害または疾患により変化する。
【0109】
有効成分は、所望の活性を呈するのに充分であるように、1日1〜6回投与され得る。好ましくは、有効成分は、1日1回または2回投与される。
【0110】
有効成分は、同時に、または時間的に非常に接近した形で投与されると考えられる。別法として、1種または2種の有効成分が朝に、そして他(複数も可)は同日のそれ以降に摂取され得る。または別のシナリオでは、1種または2種の有効成分は、1日2回、そして他(複数も可)は1日1回、1日2回行なわれる投薬のうちの1回と同時または別々に摂取され得る。好ましくは、少なくとも2種、およびさらに好ましくは全部の有効成分は、同時に共に摂取される。好ましくは、少なくとも2種、およびさらに好ましくは、全有効成分は、混合物として投与される。
【0111】
本発明による活性物質組成物は、好ましくは吸入器、特に乾燥粉末吸入器の助けで送達される吸入用組成物の形態で投与されるが、しかしながら、他の形態または非経口または経口適用も可能である。このため、吸入組成物の適用は、特に閉塞性肺疾患の治療または喘息の処置について、好ましい適用形態を具体的に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、0.3μg/kgのホルモテロールと10μg/kgの化合物1または10μg/kgのチオトロピウムとの組み合わせの心拍数に対する経時効果を示す。賦形剤の効果もまた、対照標準として示されている。
【図2】図2は、3μg/kgのサルメテロールと10μg/kgの化合物1または10μg/kgのチオトロピウムとの組み合わせの心拍数に対する経時効果を示す。賦形剤の効果もまた、対照標準として示されている。
【図3】図3は、3μg/kgのサルメテロールと100μg/kgの化合物1または10μg/kgのチオトロピウムとの組み合わせの心拍数に対する経時効果を示す。賦形剤の効果もまた、対照標準として示されている。
【図4】図4は、3μg/kgのサルメテロールと100μg/kgの化合物2または10μg/kgのチオトロピウムとの組み合わせの心拍数に対する経時効果を示す。賦形剤の効果もまた、対照標準として示されている。
【実施例】
【0113】
以下の製品形態が、処方例として挙げられる。
処方例1
【表1】

【0114】
処方例2
【表2】

【0115】
処方例3
【表3】

【0116】
処方例4
【表4】

【0117】
処方例5
【表5】

【0118】
処方例7
【表6】

【0119】
薬理学的活性
上記組成物は、式IのM3アンタゴニストとβ2−アゴニストを組み合わせた、本発明の好ましい実施態様の具体例である。これらの新規組み合わせは、当業界で既に知られているM3アンタゴニストおよびβ2−アゴニストの組み合わせに関する顕著な治療上の利点を提示する。
【0120】
特に、式IのM3アンタゴニストとβ2−アゴニスト、例えばサルメテロールまたはホルモテロールの組み合わせの場合、チオトロピウムブロミドとサルメテロールまたはホルモテロールの治療上均等内容である組み合わせよりも、心臓副作用、例えば頻脈の誘発が著しくかつ一貫して少ない。
【0121】
以下の比較例は、本発明の最も好ましいM3アンタゴニスト、すなわち3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド、および3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミドを含む組み合わせの有利な特性を記載している。
【0122】
材料および方法
Centre d'Elevage du domaine des Souches(CEDS、メジル、フランス国)から入手した体重が16〜19Kgの雄ビーグル犬3匹を、標準的な温度、湿度および光周期の条件下で犬小屋に入れた。動物には標準的実験食餌および水を自由に摂取させた。
【0123】
実験前に、動物をほぼ18時間絶食させ、水は自由に与えた。各イヌをその犬小屋から連れ出し、秤量し、スリング・スーツ・レストレーナー(sling suit restrainer)により実験を実施する部屋へ連れていった。
【0124】
左頭部静脈にカニューレを挿入して、試験物質を投与し、ECGを記録(および心拍数を計算)するための表面心電計リードを動物に取付けた。
【0125】
各イヌに全処置(または賦形剤、すなわち0.9%食塩水溶液)を施し、最低限として6日間のウォッシュ・アウト期間をもうけた。組み合わせまたは賦形剤は、3分灌流で、0.5mg/kgの総量で投与された。心拍数に対する効果を、投与の最後、および投与後5時間まで15分毎に、プログラム AcqKnowledge III(バージョン3.5.3)を備えたコンピューターに基づくデータ捕捉システムMP100WSW(バイオパック・システムズ、インコーポレイテッド、サンタバーバラ、米国)により評価した。
【0126】
結果
予備実験を実施して、心拍数に対する3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド(以後、化合物1と称す)、3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンブロミド(以後、化合物2と称す)チオトロピウム、サルメテロールおよびホルモテロールの効果を試験することにより、組み合わせで投与するのに最適な用量(すなわち、最大下(位の)心拍数増加を生じるもの)を確認した(データは示さず)。選択された用量は以下の通りであった:
・化合物1:10および100μg/kg
・化合物2:100μg/kg
・チオトロピウム:10μg/kg
・サルメテロール:3μg/kg
・ホルモテロール:0.3μg/kg。
【0127】
以下の組み合わせを試験した:
・化合物1、10μg/kg+ホルモテロール、0.3μg/kg
・化合物1、10μg/kg+サルメテロール、3μg/kg
・化合物1、100μg/kg+サルメテロール、3μg/kg
・化合物2、100μg/kg+サルメテロール、3μg/kg
・チオトロピウム、10μg/kg+ホルモテロール、0.3μg/kg
・チオトロピウム、10μg/kg+サルメテロール、3μg/kg
【0128】
各処置について、心拍数の最大増加およびこの最大変時性効果が50%まで下降するのに要する経過時間(t50%)を測定した。
【0129】
【表7】

【0130】
表1に要約されたデータのニューマン−クールズ事後検定による一方向ANOVAを用いた統計分析は、心拍数に対する最大効果間に差異が無いこと、および効果の持続時間は、(a)についてはチオトロピウム+ホルモテロールとは異なり(p<0.01)、(b)については、チオトロピウム+サルメテロールとは異なり(p<0.01)、(c)についてはチオトロピウム+サルメテロールとは異なる(p<0.05)ことを示している。
【0131】
表1および図1〜4に要約された結果は、以下の効果を示す:
化合物1(10μg/kg)+ホルモテロールの組み合わせがもたらす心拍数の増加は、チオトロピウム+ホルモテロールの場合よりも少なかったが、差異は統計的に有意ではない(図1)。
【0132】
化合物1(10μg/kg)+ホルモテロールにより誘発される変時性効果は、40±18分で最大増加の50%より低い値に低下し、チオトロピウム+ホルモテロールは、それに155±26分を要した。この差異は、統計的に有意であった(図1)。
【0133】
化合物1(10μg/kg)+サルメテロールの組み合わせがもたらす心拍数の増加もまた、チオトロピウム+サルメテロールの場合よりも少なかった。差異は統計的に有意ではなかった(図2)。
【0134】
化合物1(10μg/kg)+サルメテロールにより誘発される変時性効果は、25±10分で最大増加の50%より低い値に低下し、チオトロピウム+サルメテロールは、それに130±10分を要した。この差異は、統計的に有意であった(図2)。
【0135】
高用量(100μg/kg)での化合物1+サルメテロールの組み合わせがもたらす最大頻脈効果は、10分の1用量でのチオトロピウム+サルメテロールの組み合わせが誘発する同効果よりも僅かに大きいだけであった。この小さな差異は、統計的有意には達しなかった(図3)。
【0136】
また、この高用量100μg/kgでの化合物1+サルメテロールの組み合わせがもたらす変時性効果の持続時間は、10分の1用量(10μg/kg)でのチオトロピウム+サルメテロールの組み合わせがもたらす同時間(t50%=130±10分)よりも統計的に短い(t50%=65±18分)(図3)。
【0137】
化合物1の場合と同様に、化合物2を100μg/kgの高用量でサルメテロールと組み合わせて投与したとき、最大頻脈効果は、10分の1用量でのチオトロピウム+サルメテロールの組み合わせがもたらす同効果よりも僅かに大きかった。また、化合物1の場合と同様に、この小さな差異は、統計的有意には達しなかった(図4)。
【0138】
驚くべきことに、高用量100μg/kgでの化合物2+サルメテロールの組み合わせの場合にはまた、変時性効果の持続時間が、10分の1用量でのチオトロピウム+サルメテロールの組み合わせの場合(t50%=130±10分)よりも著しく短かった(t50%=35±5分)。
【0139】
これらの結果は、本発明M3アンタゴニストとLABAの組み合わせが誘発する心臓副作用が、市販のM3アンタゴニスト、例えばチオトロピウムとLABAの組み合わせの場合よりも少ないことを立証している。
【0140】
従って、本発明の組み合わせは治療上有益な特性を有していることから、それらは、心臓の基礎疾患を有する患者を含め、あらゆる種類の患者における呼吸器疾患の処置に特に適切である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)β2アゴニストおよび(b)3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンの、一価または多価酸の医薬上許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態である、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組み合わせ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−12407(P2012−12407A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215066(P2011−215066)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【分割の表示】特願2006−508319(P2006−508319)の分割
【原出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(598032139)アルミラル・ソシエダッド・アノニマ (69)
【氏名又は名称原語表記】Almirall, S.A.
【Fターム(参考)】