説明

抗ムスカリン剤およびPDE4阻害剤を含む組合せ剤

【課題】抗ムスカリン剤とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の新規組合せ剤および呼吸器疾患の処置におけるそれらの使用を提供する。
【解決手段】(a)PDE4阻害剤、および(b)一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンであるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組合せ剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年5月31日に出願されたスペイン特許出願番号第P200401312、2005年2月24日に出願されたPCT特許出願番号PCT/EP2005/001969、ならびに両方とも2005年2月25日に出願されたPCT特許出願番号PCT/GB2005/000722およびPCT/GB2005/000740に優先権を主張し、それらは参照により包含される。
【0002】
本発明は、ある抗ムスカリン剤とホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤の新規組合せ剤および呼吸器疾患の処置におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
PDE4阻害剤および抗ムスカリン剤、特にM3ムスカリン受容体アンタゴニストは、喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような呼吸器疾患の処置に有用な薬剤の2個のクラスである。
【0004】
PDE4阻害剤および抗ムスカリン剤は、効果的な療法であり得るが、強力かつ選択的活性を有し、そして有利な作用プロフィールを有する喘息およびCOPD療法の臨床的必要性が存在する。
【0005】
両クラスの薬剤は、併用使用が可能であることが知られている。
【0006】
活性成分が、異なる生理学的経路により作用する薬剤の組合せは、治療的に有用であることが知られている。しばしば、治療的利点は、前記組合せ剤が、より低濃度の各活性成分を用いて治療的に有用な効果を達成し得るために生じる。これは、薬剤の副作用を最小限にすることを可能にする。故に、前記組合せ剤は、各活性成分が、標的疾患細胞以外の細胞中に臨床濃度より低い(subclinical)濃度で存在するように製剤され得る。それにも関わらず、前記組合せ剤は、両成分に応答する標的細胞に治療的に有効である。
【発明の概要】
【0007】
驚くことに、式(I)の抗ムスカリン剤を、1個またはそれ以上のPDE4阻害剤と共に用いたとき、予期せぬ有益な治療的効果が、呼吸管の炎症性または閉塞性疾患の処置において観察され得る。この効果を考慮して、本発明の医薬的組合せ剤は、常套法での単剤療法に用いた個々の化合物の場合よりも低用量で用いることができる。これは、PDE4阻害剤または式(I)の抗ムスカリン剤を単独で投与するときに起こり得るような望まれない副作用を減ずる。
【0008】
従って、本発明は、(a)PDE4阻害剤および(b)式(I)
【化1】

[式中、
Bは、フェニル環、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5員から10員のヘテロ芳香族基、またはナフタレニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリルまたはビフェニル基であり;
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子、またはヒドロキシ基、またはフェニル、−OR、−SR、−NR、−NHCOR、−CONR、−CN、−NO、−COORまたは−CF基、または所望により、例えばヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていて良い直鎖もしくは分枝鎖低級アルキル基(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖または分枝鎖低級アルキル基を示すか、または共に脂環式環を形成する。)を示すか;または、RおよびRは共に、芳香族環、脂環式環またはヘテロ環式環を形成し、
【0009】
nは、0から4の整数であり;
Aは、−CH−、−CH=CR−、−CR=CH−、−CR−、−CO−、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−または−NR−基(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖または分枝鎖低級アルキル基を示すか、またはRおよびRは共に、脂環式環を形成する。)を示し;
mは、0から8の整数であり、m=0ならば、Aは、−CH−ではなく;
pは、1から2の整数であり、アゾニアビシクロ環中の置換基は、不斉炭素の全ての可能性のある配置を含む2、3または4位にあり得;
【0010】
Dは、式i)またはii):
【化2】

〔式中、R10は、水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基または−CHOH基を示し;
は、
【化3】

を示し、
は、1個から7個の炭素原子のアルキル基、2個から7個の炭素原子を含むアルケニル基、2個から7個の炭素原子を含むアルキニル基、3個から7個の炭素原子のシクロアルキル基、または下記:
【化4】

から選択される基を示し、
ここで、R11は、水素またはハロゲン原子、直鎖または分枝鎖置換または非置換低級アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、−CO12、−NR1213(ここで、R12およびR13は、同一かまたは異なり、水素および直鎖または分枝鎖低級アルキル基から選択される。)を示し、
そして、Qは、単結合、−CH−、−CH−CH−、−O−、−O−CH−、−S−、−S−CH−または−CH=CH−を示す。〕
の基を示し;そして
Xは、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンを示す。]
で示される、所望によりそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態の、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組合せ剤を提供する。
【0011】
1個またはそれ以上の不斉炭素を有し得る上記の式(I)で表される本発明の化合物は、全ての可能性のある立体異性体を含む。単一の異性体および異性体の混合物は、本発明の範囲内である。
【0012】
本明細書で用いるアルキル基は、典型的に低級アルキル基である。低級アルキル基は、好ましくは1個から8個、好ましくは1個から6個、およびより好ましくは1個から4個の炭素原子を含む。特に、そのようなアルキル基が、メチル、エチル、i−プロピルを含むプロピル、またはn−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル基を含むブチルを示すことが好ましい。本明細書に記載の1個から7個の炭素原子を含むアルキル基は、上記のC1−4アルキル基または直鎖もしくは分枝鎖ペンチル、ヘキシルもしくはヘプチル基であり得る。
【0013】
本明細書に記載の2個から7個の炭素原子を有するアルケニル基は、エテニル、または直鎖もしくは分枝鎖プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルもしくはヘプテニルのような直鎖または分枝鎖基である。二重結合は、末端結合上のような、アルケニル基中のいかなる位置でもよい。
【0014】
本明細書に記載の2個から7個の炭素原子を有するアルキニル基は、エチニル、プロピニル、または直鎖もしくは分枝鎖ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルもしくはヘプチニルのような直鎖または分枝鎖基である。三重結合は、末端結合上のような、アルキニル基中のいかなる位置でもよい。
【0015】
本明細書に記載のアルコキシ基は、典型的に低級アルコキシ基、すなわち1個から6個の炭素原子、好ましくは1個から4個の炭素原子を含む基であり、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖である。好ましいアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシおよびt−ブトキシが含まれる。
【0016】
本明細書に記載の脂環式基または環は、他に記載がなければ、典型的に3個から8個の炭素原子、好ましくは3個から6個の炭素原子を含む。3個から6個の炭素原子の脂環式環には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0017】
本明細書に記載の芳香環は、典型的に5個から14個、好ましくは5個から10個の炭素原子を含む。芳香族基の例には、シクロペンタジエニル、フェニルおよびナフタレニルが含まれる。
【0018】
本明細書に記載のヘテロ環式基またはヘテロ芳香族基は、典型的に、N、SおよびOから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む、5、6または7員の基のような5員から10員の基である。典型的に、1、2、3または4個のヘテロ原子、好ましくは1個または2個のヘテロ原子が存在する。ヘテロ環式基またはヘテロ芳香族基は、単環または二環もしくはそれ以上の縮合環(少なくとも1個の環が、ヘテロ原子を含む。)であり得る。ヘテロ環式基の例には、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、インドリニル、イソインドリニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、イソキノリル、キノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、キヌクリジニル、トリアゾリル、ピラゾリル、テトラゾリルおよびチエニルが含まれる。ヘテロ芳香族基の例には、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、トリアゾリルおよびピラゾリルが含まれる。
【0019】
本明細書で用いるハロゲン原子には、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、典型的にはフッ素、塩素または臭素原子が含まれる。
【0020】
一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンの例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸のような無機酸またはメタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸またはマレイン酸のような有機酸から誘導されたアニオンである。さらに、上記酸の混合物も使用可能である。
【0021】
好ましくは、本発明のM3アンタゴニストは、式(I)
【化5】

[式中、
Bが、フェニル環、1個またはそれ以上のヘテロ原子を含むC〜Cヘテロ芳香族基、またはナフタレニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルまたはビフェニル基;であり、
、RおよびRが、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子、またはヒドロキシ基、またはフェニル、−OR、−SR、−NR、−NHCOR、−CONR、−CN、−NO、−COORまたは−CF基、または所望により、例えばヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されていて良い直鎖もしくは分枝鎖低級アルキル基(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖または分枝鎖低級アルキル基を示すか、または共に脂環式環を形成する。)を示すか;または、RおよびRが共に、芳香族環、脂環式環またはヘテロ環式環を形成し、
【0022】
nが、0から4の整数であり;
Aが、−CH−、−CH=CR−、−CR=CH−、−CR−、−CO−、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−または−NR−基(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、直鎖または分枝鎖低級アルキル基で示されるか、またはRおよびRは共に、脂環式環を形成する。)を示し;
mが、0から8の整数であり、m=0ならば、Aが、−CH−ではなく;
pが、1から2の整数であり、アゾニアビシクロ環中の置換基が、不斉炭素の全ての可能性のある配置を含む2、3または4位にあり得;
【0023】
Dが、式i)またはii):
【化6】

〔式中、R10が、水素原子、ヒドロキシ基またはメチル基を示し;
そして、RおよびRが、それぞれ独立して、
【化7】

を示し、
ここで、R11が、水素またはハロゲン原子、または直鎖もしくは分枝鎖低級アルキル基を示し、
そして、Qが、単結合、−CH−、−CH−CH−、−O−、−O−CH−、−S−、−S−CH−または−CH=CH−を示す。〕
の基を示し;そして
Xが、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンを示す。]
を有する化合物の、所望によりそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態である。
【0024】
(a)PDE4阻害剤および(b)式(I)
【化8】

[式中、
Bが、フェニル基を示し;
、RおよびRが、水素原子を示し、
mが、1から3の整数を示し;
nが0であり;
Aが、−O−および−CH−から選択される基であり;
pが、1から2の整数であり;アゾニアビシクロ環中の置換基が、不斉炭素の全ての可能性のある配置を含む2、3または4位にあり得;
−OC(O)Dが、2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ、9H−キサンテン−9−カルボニルオキシおよび(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシから選択され;そして
Xが、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンを示す。]
で示される、所望によりそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態の、M3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組合せ剤は、本発明の好ましい態様である。
【0025】
より好ましくは、本発明のM3アンタゴニストは、所望によりそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態の、下記の式(I):
【化9】

[式中、Xは、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンを示す。]
を有するものである。
【0026】
1個またはそれ以上の不斉炭素を有し得る上記の式(I)で示される本発明のM3アンタゴニストは、全ての可能性のある立体異性体を含む。単一の異性体および異性体の混合物は、本発明の範囲内である。
【0027】
本発明の特に興味のあるものは、式Ia
【化10】

[式中、Xは、上記の意味を有していて良い。]
で示されるエナンチオマーである。
【0028】
エステル基、−OC(O)Dが、3位に四級窒素原子を含む環と結合するM3アンタゴニストが、とりわけ好ましい。
【0029】
記載のM3アンタゴニストを、所望により、それらの純粋なエナンチオマー、その混合物またはそれらのラセミ体の形態で用いることができる。典型的に、−OC(O)D基を担持する炭素原子は、(R)配置を有する。
【0030】
臭化3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよび臭化(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンのうち1個を、本発明のM3アンタゴニストとして用いることがとりわけ好ましい。
【0031】
従って、本発明は、(a)PDE4阻害剤、および(b)一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンであるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む組合せ剤を提供する。典型的に、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0032】
典型的に、前記組合せ剤には、単一の医薬組成物の一部を形成する活性成分(a)および(b)が含まれる。
【0033】
誤解を避けるために、上記の式および用語(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンは、例えば水溶液中の、解離型、部分的解離型または非解離型の塩を包含することを意味する。化合物の異なる塩は、溶媒和物、すなわち水和物の形態で存在し得、全てのこれらの形態もまた本発明の範囲内である。さらに、化合物の異なる塩および溶媒和物は、本発明の範囲内で不定形または異なる多形体で存在し得る。
【0034】
また、ヒト患者または動物患者の処置における同時、個別または連続使用のための併用製剤としての、(a)PDE4阻害剤および(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む製品を提供する。典型的に、前記製品は、ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、個別または連続使用用である。
【0035】
本発明はさらに、ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、併用、個別または連続使用のための医薬の製造を目的とした、(a)PDE4阻害剤および(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0036】
また、ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置のための(a)PDE4阻害剤と組み合わせて同時、併用、個別または連続使用するための医薬の製造を目的とした、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0037】
また、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストとの同時、併用、個別または連続共投与による、ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における使用のための医薬の製造を目的とした、(a)PDE4阻害剤の使用を提供する。
【0038】
本発明はまた、(a)PDE4阻害剤との同時、併用、個別または連続共投与により、ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置に使用するための医薬の製造を目的とした、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用を提供する。
【0039】
本発明はさらに、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患を有するかまたは発症しやすいヒト患者または動物患者を処置する方法であって、有効量の(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)PDE4阻害剤を該患者に同時、併用、個別または連続投与することを含む方法を提供する。
【0040】
典型的に、該呼吸器疾患は、喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎、特に喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0041】
好ましくは、該患者はヒトである。
【0042】
また、(a)PDE4阻害剤;および、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを、(c)薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0043】
本発明はまた、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患を有するかまたは発症しやすいヒト患者または動物患者の処置のために(a)PDE4阻害剤と合わせて、同時、併用、個別または連続使用するための説明書と共に含む複数部分のキットを提供する。
【0044】
さらに、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、併用、個別または連続使用のための、(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)PDE4阻害剤を含むパッケージを提供する。
【0045】
さらに、同時、個別または連続使用のための、(a)β2アゴニスト、(b)コルチコステロイド、(c)ロイコトリエンD4アンタゴニスト、(d)egfrキナーゼ阻害剤、(e)p38キナーゼ阻害剤および(f)NK1受容体アゴニストから選択される(c)他の活性成分をさらに含む、上記の組合せ剤、製品、複数部分のキットまたはパッケージを提供する。典型的に、さらなる活性成分(c)は、(a)β2アゴニストおよび(b)コルチコステロイドからなる群から選択される。
【0046】
(b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)PDE4阻害剤のみを活性化合物として含む組合せ剤、製品、複数部分のキットまたはパッケージは、本発明の態様である。
【0047】
ヒト患者または動物患者におけるM3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、併用、個別または連続使用のための医薬の製造を目的とした、いかなる他の活性化合物もなしの、b)式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよび(a)PDE4阻害剤の使用もまた、本発明の態様である。
【0048】
本発明の組合せ剤に用いるべきPDE4阻害剤の例は、テオフィリン、塩酸ドロタベリン、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、ロリプラム、テトミラスト、エンプロフィリン、アロフィリン、シパムフィリン(Cipamfylline)、トフィミラスト(Tofim、フィラミナスト(Filaminast)、ピクラミラスト(Piclamilast)、(R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、メソプラム(mesopram)、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソアセトアミド、CDC−801(例えば、Celgene)、CC−1088(例えば、Celgene)、リリミラスト(Lirimilast)、ONO−6126(例えば、小野)、CC−10004(例えば、Celgene)、MN−001(例えば、杏林)、KW−4490(例えば、協和発酵)、マレイン酸ベネフェントリン(Benafentrine dimaleate)、ザルダベリン、トラフェントリン、3−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシベンジル]−6−(エチルアミノ)−8−イソプロピル−3H−プリンヒドロクロライド、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−8−メトキシキノリン−5−カルボキサミド、4−(3−シクロフェニル)−1,7−ジエチルピリド[2,3−d]ピリミジン−2(1H)−オン、N−[9−メチル−4−オキソ−1−フェニル−3,4,6,7−テトラヒドロピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン−3(R)−イル]ピリジン−4−カルボキサミド、3,5−ジクロロ−4−[8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)キノリン−5−イルカルボキサミド]ピリジン−1−オキシド、NIK−616(例えば、日研化学)、CDC−998(例えば、Celgene)、Project PDE4(例えば、Celltech)、EHT−0202(例えば、ExonHit Therapeutics)、5(S)−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−3(S)−(3−メチルベンジル)ピペリジン−2−オン、ND−1251(例えば、Neuro3d)、オグレミラスト(GRC−3886(例えばGlenmark Pharmaceuticals))、アチゾラム、プマフェントリン(Pumafentrine)、4−[6,7−ジエトキシ−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン−1−イル]−1−(2−メトキシエチル)ピリジン−2(1H)−オン、2−4−[6,7−ジエトキシ−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン−1−イル]ピリジン−2−イル]−4−(3−ピリジル)フタラジン−1(2H)オンヒドロクロライド、1−エチル−8−メトキシ−3−メチル−5−プロピルイミダゾ[1,5−a]ピリド[3,2−e]ピラジン−4(5H)−オン、4−(3−ブロモフェニル)−1−エチル−7−メチル−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン、N−[9−アミノ−4−オキソ−1−フェニル−3,4,6,7−テトラヒドロピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン−3(R)−イル]ピリジン−3−カルボキサミド、ヒドロキシプマフェントリン、ならびにPCT特許出願番号WO03/097613、WO2004/058729およびWO2005/049581に例示の化合物を含む群から選択される。
【0049】
本発明にて好ましいPDE4阻害剤は、テオフィリン、塩酸ドロタベリン、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、ロリプラム、テトミラスト、エンプロフィリン、アロフィリン、シパムフィリン(Cipamfylline)、トフィミラスト、フィラミナスト(Filaminast)、ピクラミラスト(Piclamilast)、(R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、メソプラム、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソアセトアミド、CDC−801(例えば、Celgene)、CC−1088(例えば、Celgene)、リリミラスト(Lirimilast)、ONO−6126(例えば、小野)、CC−10004(例えば、Celgene)、MN−001(例えば、杏林)ならびにPCT特許出願番号WO03/097613、WO2004/058729およびWO2005/049581に例示の化合物である。
【0050】
本発明でさらにより好ましいPDE4阻害剤は、テオフィリン、塩酸ドロタベリン、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、ロリプラム、テトミラスト、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソアセトアミド、エンプロフィリン、アロフィリンならびにPCT特許出願WO03/097613、WO2004/058729およびWO2005/049581に例示の化合物である。最も好ましいPDE4阻害剤は、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、テトミラストならびにPCT特許出願WO03/097613、WO2004/058729およびWO2005/049581に例示の化合物、特にシロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、およびテトミラスト、最も好ましくはロフルミラストおよびシロミラストである。
【0051】
本発明の化合物の組合せ剤の薬学的に許容される塩形態は、大部分が常套法により製造される。成分化合物がカルボン酸基を含むとき、その適する塩は、前記化合物を、対応する塩基付加塩を提供するのに適当な塩基と反応させることにより形成できる。そのような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えば、カリウムエタノラートおよびナトリウムプロパノラート、ならびにピペリジン、ジエタノールアミン、およびN−メチルグルタミンのような様々な有機塩基である。また、本発明の成分化合物のアルミニウム塩も含まれる。
【0052】
ある成分化合物について、酸付加塩を、薬学的に許容される有機および無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸のようなハロゲン化水素酸;硫酸、硝酸、リン酸などのような他の鉱酸およびそれらの対応する塩;およびエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、およびベンゼンスルホン酸のようなアルキル−およびモノアリールスルホン酸;ならびに酢酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、アスコルビン酸などのような他の有機酸およびそれらの対応する塩で該化合物を処理することにより形成できる。
【0053】
従って、本発明の成分化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギネート(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、重亜硫酸塩、ブロマイド、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、クロライド、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテラート(galacterate)(粘液酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、アイオダイド、イセチオン酸塩、イソ−酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩およびフタル酸塩を含むが、これらに限定されない。
【0054】
PDE4阻害剤の薬理学的に許容される酸付加塩の特に好ましい例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、またはマレイン酸の塩から選択される、薬学的に許容される塩である。所望であれば、上記の酸の混合物をPDE4阻害剤の塩の製造に使用することもできる。
【0055】
本発明の医薬組成物において、PDE4阻害剤は、それらのラセミ体、エナンチオマーまたはそれらの混合物の形態で存在できる。ラセミ体からのエナンチオマーの分離は、当技術分野で公知の方法(例えば、キラル相上のクロマトグラフィーなど)により行うことができる。
【0056】
本発明の好ましい態様は、式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストと、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、およびテトミラストから選択されるPDE4阻害剤の組合せ剤である。よりさらに好ましいのは、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)とシロミラストの組合せ剤、および一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)とロフルミラストの組合せ剤である。
【0057】
本発明の特に好ましい態様は、式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストと、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリンおよびテトミラストから選択されるPDE4阻害剤との組合せ剤である。
【0058】
本発明の他の態様は、臭化3(R)−(2−ヒドロキシ−2,2−ジチエン−2−イルアセトキシ)−1−(3−フェノキシプロピル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、および臭化(3R)−3−[(2S)−2−シクロペンチル−2−ヒドロキシ−2−チエン−2−イルアセトキシ]−1−(2−フェノキシエチル)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンからなる群から選択されるM3アンタゴニストと、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリンおよびテトミラストから選択されるPDE4阻害剤との組合せ剤である。
【0059】
本発明の1つの態様によれば、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、式(I)の化合物、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であり、PDE4阻害剤は、ロフルミラストである。
【0060】
本発明の他の態様によれば、M3ムスカリン受容体アンタゴニストは、式(I)の化合物、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化3(R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であり、PDE4阻害剤は、シロミラストである。
【0061】
本発明の組合せ剤は、所望により、呼吸器疾患の処置に有用であると知られている1個またはそれ以上のさらなる活性物質、例えばβ2アゴニスト、コルチコステロイドまたはグルココルチロイド、ロイコトリエンD4阻害剤、egfrキナーゼ阻害剤、p38キナーゼ阻害剤および/またはNK1受容体アンタゴニストなどを含み得る。
【0062】
本発明の組合せ剤に使用される好ましいβ2アゴニストは、アルフォルモテロール(arformoterol)、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール(broxaterol)、カルブテロール、クレンブテロール(clenbuterol)、ドペキサミン、フェノペロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール(ibuterol)、イソエタリン、イソプレナリン、レボサルブテモール(levosalbutamol)、マブテロール、メルアドリン、メタプロテネロール(metaprotenerol)、ノロミロール(nolomirole)、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リトドリン、リモテロール(rimoterol)、サルブタモール、サルメファモール(salmefamol)、サルメテロール、シベナデット(sibenadet)、ソテネロット(sotenerot)、スルホンテロール、テルブタリン、チアラミド、ツロブテロール、GSK−597901、GSK−159797、GSK−678007、GSK−642444、GSK−159802、HOKU−81、(−)−2−[7(S)−[2(R)−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチルオキシ]−N,N−ジメチルアセトアミドヒドロクロライド一水和物、カルモテロール、QAB−149および5−[2−(5,6−ジエチルインダン−2−イルアミノ)−1−ヒドロキシエチル]−8−ヒドロキシ−1H−キノリン−2−オン、4−ヒドロキシ−7−[2−{[2−{[3−(2−フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]−2(3H)−ベンゾチアゾロン、1−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1−ベンゾイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[3−(4−メトキシベンジルアミノ)−4−ヒドロキシフェニル]−2−[4−(1−ベンゾイミダゾリル)−2−メチル−2−ブチルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾキサジン−8−イル]−2−[3−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾキサジン−8−イル]−2−[3−(4−メトキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾキサジン−8−イル]−2−[3−(4−n−ブチルオキシフェニル)−2−メチル−2−プロピルアミノ]エタノール、1−[2H−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4H−1,4−ベンゾキサジン−8−イル]−2−{4−[3−(4−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]−2−メチル−2−ブチルアミノ}エタノール、5−ヒドロキシ−8−(1−ヒドロキシ−2−イソプロピルアミノブチル)−2H−1,4−ベンゾキサジン−3−(4H)−オン、1−(4−アミノ−3−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−2−tert−ブチルアミノ)エタノールおよび1−(4−エトキシカルボニルアミノ−3−シアノ−5−フルオロフェニル)−2−(tert−ブチルアミノ)エタノールであって、所望によりそれらのラセミ体、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマー、およびそれらの混合物の形態であって良く、および所望によりそれらの薬理学的に適合性の酸付加塩の形態であって良い。
【0063】
M3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤と組合せ得る、適するコルチコイドおよびグルココルチコイドの例は、プレドニゾロン、メチルプレゾニドン、デキサメタゾン、ナフロコート(naflocort)、デフラザコート、酢酸ハロプレドン、ブデソニド、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ヒドロコルチゾン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、ピバル酸クロコルトン、アセポン酸メチルプレゾニドン、パルミチン酸デキサメタゾン、トリプレダン(tipredane)、アセポン酸ヒドロコルチゾン、プレドニカルベート(prednicarbate)、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、ハロメタゾン、スレプタン酸メチルプレゾニドン、フロ酸モメタゾン、リメキソロン、ファルネシル酸プレゾニドン、シクレソニド、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ハロベタソール、エタボン酸ロテプレドノール、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、フルニゾリド、プレドニゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、トリアムシノロン、17−吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレゾニドンナトリウムおよびヒドロコルチゾンプロブテート(hydrocortisone probutate)である。
【0064】
M3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤と組合せ得る、適するLTD4アンタゴニストの例は、トメルカスト(tomelukast)、イブジラスト、ポビルカスト(pobilukast)、プランルカスト水和物、ザフィルルカスト、リトルカスト(ritolukast)、ベルルカスト(verlukast)、スルカスト(sulukast)、シナルカスト(cinalukast)、イラルカストナトリウム、モンテルカストナトリウム、4−[4−[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェノキシ)プロピルスルホニル]フェニル]−4−オキソ酪酸、[[5−[[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェノキシ)プロピル]チオ]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]チオ]酢酸、9−[(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−n−プロピルフェノキシ)メチル]−3−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−ピリド[1,2−a]ピリミジン−4−オン、5−[3−[2−(7−クロロキノリン−2−イル)ビニル]フェニル]−8−(N,N−ジメチルカルバモイル)−4,6−ジチアオクタン酸ナトリウム塩;3−[1−[3−[2−(7−クロロキノリン−2−イル)ビニル]フェニル]−1−[3−(ジメチルアミノ)−3−オキソプロピルスルファニル]メチルスルファニル]プロピオン酸ナトリウム塩、6−(2−シクロヘキシルエチル)−[1,3,4]チアジアゾロ[3,2−a]−1,2,3−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−9(1H)−オン、4−[6−アセチル−3−[3−(4−アセチル−3−ヒドロキシ−2−プロピルフェニルチオ)プロポキシ]−2−プロピルフェノキシ]酪酸、(R)−3−メトキシ−4−[1−メチル−5−[N−(2−メチル−4,4,4−トリフルオロブチル)カルバモイル]インドール−3−イルメチル]−N−(2−メチルフェニルスルホニル)ベンズアミド、(R)−3−[2−メトキシ−4−[N−(2−メチルフェニルスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチル−N−(4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブチル)インドール−5−カルボキサミド、(+)−4(S)−(4−カルボキシフェニルチオ)−7−[4−(4−フェノキシブトキシ)フェニル]−5(Z)−ヘプテン酸およびPCT特許出願番号PCT/EP03/12581において請求される化合物である。
【0065】
M3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤と組合せ得る、適するegfrキナーゼ阻害剤の例は、パリフェルミン、セツキシマブ、ゲフィニチブ、レピフェルミン、エルロチニブ塩酸塩、カネルチニブ(canertinib)二塩酸塩、ラパチニブ、およびN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル]−4−(ジメチルアミノ)−2(E)−ブテナミドである。
【0066】
M3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤と組合せ得る、適するp38キナーゼ阻害剤の例は、エジシル酸クロルメチアゾール、ドラマピモッド(doramapimod)、5−(2,6−ジクロロフェニル)−2−(2,4−ジフルオロフェニルスルファニル)−6H−ピリミド[3,4−b]ピリダジン−6−オン、4−アセタミド−N−(tert−ブチル)ベンズアミド、SCIO−469(Clin Pharmacol Ther 2004, 75(2)に記載される:Circulation 2003, 108(17, Suppl. 4): Abst 882に記載されるAbst PII−7およびVX−702)である。
【0067】
M3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤と組合せ得る、適するNK1受容体アンタゴニストの例は、ノルピタンチウム(nolpitantium)ベシル酸塩、ダピタント、ラネピタント、ボフォピタント(vofopitant)塩酸塩、アプレピタント、エズロピタント、N−[3−(2−ペンチルフェニル)プロピオニル]−スレオニル−N−メチル−2,3−デヒドロチロシル−ロイシル−D−フェニルアラニル−アロ−スレオニル−アスパラギニル−セリンC−1.7−O−3.1ラクトン、1−メチルインドール−3−イルカルボニル−[4(R)−ヒドロキシ]−L−プロリル−[3−(2−ナフチル)]−L−アラニンN−ベンジル−N−メチルアミド、(+)−(2S,3S)−3−[2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ]−2−フェニルピペリジン、(2R,4S)−N−[1−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−2−(4−クロロベンジル)ピペリジン−4−イル]キノリン−4−カルボキサミド、3−[2(R)−[1(R)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3(S)−(4−フルオロフェニル)モルフォリン−4−イルメチル]−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−ホスフィン酸ビス(N−メチル−D−グルカミン)塩;[3−[2(R)−[1(R)−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]エトキシ]−3(S)−(4−フルオロフェニル)−4−モルホリニルメチル]−2,5−ジヒドロ−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]ホスホン酸 1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール(1:2)塩、塩酸1’−[2−[2(R)−(3,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4,5−トリメトキシベンゾイル)モルフォリン−2−イル]エチル]スピロ[ベンゾ[c]チオフェン−1(3H)−4’−ピペリジン]2(S)−オキシドおよびEur Respir J 2003, 22(Suppl. 45): Abst P2664に記載される化合物CS−003である。
【0068】
本発明の組合せ剤は、M3ムスカリン受容体およびPDE4阻害剤の同時、併用または連続的拮抗作用による改善に感受性の全ての疾患の処置に使用され得る。従って、本発明には、これらの疾患の処置方法、ならびにこれらの疾患の処置のための薬剤の製造における本発明の組合せ剤の使用が含まれる。
【0069】
そのような疾患の好ましい例は、気管支拡張薬の使用が、有益な効果を有すると期待される呼吸器疾患、例えば喘息、急性または慢性気管支炎、肺気腫または慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。
【0070】
組合せ剤中の活性化合物、すなわち、本発明のM3アンタゴニスト、PDE4阻害剤および全ての他の任意な活性化合物を、同じ医薬組成物中で一緒に、または同じかまたは異なる経路による個別、同時、併用または連続投与を意図した異なる医薬組成物で投与することができる。
【0071】
1つの態様において、本発明は、式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニストを、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置のためのPDE4阻害剤と組み合わせて、同時、併用、個別または連続使用するための説明書と共に含む、複数部分のキットを提供する。
【0072】
好ましい態様において、本発明は、一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置のためにPDE4阻害剤と組み合わせて同時、併用、個別または連続使用するための説明書と共に含む複数部分のキットを提供する。
【0073】
他の態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、併用、個別または連続使用のための、式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよびPDE4阻害剤を含むパッケージを提供する。
【0074】
他の態様において、本発明は、M3拮抗作用に応答する呼吸器疾患の処置における同時、併用、個別または連続使用のための、式(I)のM3ムスカリン受容体アンタゴニスト、特に一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン(特に、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン)であるM3ムスカリン受容体アンタゴニストおよびPDE4阻害剤を含むパッケージから構成される。
【0075】
本発明の好ましい態様において、組合せ剤中の活性化合物は、共通の送達デバイスからの吸入により投与され、それらは、同じかまたは異なる医薬組成物中に製剤され得る。
【0076】
最も好ましい態様において、本発明のM3アンタゴニストおよびPDE4阻害剤は、両方とも同じ医薬組成物中に存在し、共通の送達デバイスからの吸入により投与される。
【0077】
1つの局面において、本発明は、活性成分(a)および(b)が、単一の医薬組成物の部分を形成することを特徴とする、本明細書中に定義される組合せ剤を提供する。
【0078】
他の局面において、本発明は、M3ムスカリン受容体アンタゴニスト、PDE4阻害剤および所望により他の添加物および/または担体が、それ自体公知の方法により混合および加工されることを特徴とする、本明細書中に定義される医薬組成物の製造方法を提供する。
【0079】
組合せ剤中の活性化合物、すなわち、本発明のM3アンタゴニスト、PDE4阻害剤および全ての他の任意の活性化合物を、処置されるべき疾患の性質に依存して、任意の適する経路、例えば、(シロップ、錠剤、カプセル、ロゼンジ、制御放出型調製物、速溶性組成物、ロゼンジなどとして)経口的に;(クリーム、軟膏、ローション、鼻腔用スプレーまたはエアロゾルなどとして)局所的に;注射により(皮下、皮内、筋肉内、静脈内など)または吸入(乾燥粉末、溶液、分散液などとして)により投与することができる。
【0080】
前記医薬製剤は、都合良くは、単位用量剤形で提供でき、かつ薬学分野でよく知られている何らかの方法により製造され得る。全ての方法には、活性成分(複数可)を担体と結合させる工程が含まれる。典型的に、前記製剤を、活性成分を液体担体または微粉化した固体担体または両方と均一および密接に結合させ、その後、必要であれば産物を所望の製剤に成形することにより製造する。
【0081】
経口投与に適する本発明の製剤は、それぞれ一定量の活性成分を;粉末または顆粒としてか;水性液体または非水性液体中、溶液または懸濁液としてか;または、水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして含むカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような個別単位として供され得る。前記活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして供され得る。
【0082】
シロップ製剤は、典型的に、液体担体、例えばエタノール、ピーナッツ油およびオリーブ油のような天然、合成または半合成油、グリセリンまたは水中、香味剤、甘味剤および/または着色剤と共に、化合物または塩の懸濁液または溶液から構成される。
【0083】
前記組成物が錠剤形のとき、固形製剤を製造するために常用される何らかの医薬的担体を用いることができる。そのような担体の例には、セルロース、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸塩またはステアリン酸、タルク、セラチン、アカシア、デンプン、ラクトースおよびスクロースが含まれる。
【0084】
錠剤は、所望により1個またはそれ以上の副成分と共に、圧縮または成形により作製され得る。圧縮された錠剤は、粉末または顆粒のような自由に流動する形態の活性成分を適する機械で圧縮することにより製造され得、所望により結合剤、滑剤、不活性希釈剤、滑剤、界面活性剤または分散剤と混合されて良い。成形錠剤は、活性化合物を不活性液体希釈剤で湿らせ、所望により乾燥またはふるい分け工程を含む、粉末混合物の混合を適する機械中で成形することにより作製され得る。錠剤は、所望により被覆されるかまたは割線を入れてよく、かつその中の活性成分の修飾された(すなわち、遅延または制御)放出を提供するように製剤され得る。
【0085】
前記組成物がカプセルの形態であるとき、任意の慣用のカプセル封入、例えば硬ゼラチンカプセル中に上記の担体を用いるのが適する。前記組成物が、軟ゼラチンカプセルの形態であるとき、分散液または懸濁液の製造に常用される任意の医薬的担体、例えば水性ゴム、セルロース、ケイ酸塩または油などが考慮され得、そして軟ゼラチンカプセル中に封入される。
【0086】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、例えば、吸入剤または吸入器での使用のための、異なる初めの包装システム(例えばゼラチン製の例えばカプセルおよびカートリッジ、または例えば薄板状アルミニウムホイルのブリスターなど)で供され得る。
【0087】
前記製剤の包装は、単位用量または複数用量送達に適し得る。複数用量送達の場合には、前記製剤は、予め定量され得るかまたは使用時に定量され得る。従って、乾燥粉末吸乳剤は、3個の群:(a)単一用量、(b)複数単位用量、および(c)複数用量デバイスに分類される。
【0088】
製剤には、一般的に、本発明の化合物およびラクトースまたはデンプンのような適する粉末基剤(担体物質)の吸入ための粉末混合物が包含される。ラクトースの使用が好ましい。それぞれのカプセルまたはカートリッジには、典型的に、2μgから400μgの各治療的活性成分が含まれ得る。あるいは、活性成分(複数可)は、賦形剤なしで供され得る。
【0089】
第一型の単一用量吸入剤について、単一用量は、ほとんど硬ゼラチンカプセルである小さい容器中に製造業者により量り入れられている。カプセルを、別個の箱または容器から取り出し、かつその吸入剤の受容部位に挿入しなければならない。次に、前記カプセルを開けるか、ピンまたは切刃で孔を開けて、吸入の際の遠心力を用いてこれらの孔を通してカプセルから粉末を飛散させるか、排出させるために、吸気流が通ることを可能にしなければならない。吸入後、空カプセルを吸入器から再び取り外さなければならない。ほとんどの場合、ある患者に困難かつ煩わしいであろう操作である吸入器の分解が、カプセルの挿入および取り外しに必要とされる。吸入粉末用の硬ゼラチンカプセルの使用に関する他の欠点は、(a)周囲空気からの吸湿に対する弱い保護、(b)カプセルが崩壊または分離をもたらす極度の相対湿度に前もって暴露された後の、開封またはせん孔の問題、および(c)カプセル断片の吸入可能性である。さらに、多くのカプセル吸入器について、不十分な放出が報告されている(例えば、Nielsen et al, 1997)。
【0090】
いくつかのカプセル吸入器は、WO92/03175に記載の通り、貯蔵庫を有し、そこから個々のカプセルが収納チャンバーに移ることができ、そこで、せん孔および排出が成される。他のカプセル吸入器は、用量放出のための空気路と直線上に並び得るカプセルチャンバーを有する回転式貯蔵庫を有する(例えば、WO91/02558およびGB2242134)。それらには、ディスクまたはストリップ上に供される限定された数の単位用量を有するブリスター吸入器と共に複数単位用量型の吸入器が含まれる。
【0091】
ブリスター吸入器は、カプセル吸入器よりも優れた薬剤の湿度保護をもたらす。粉末の利用は、カバーならびにブリスターホイルをせん孔すること、またはカバーホイルを剥離することにより可能である。ブリスターストリップをディスクの代わりに用いるとき、用量の数を増すことができるが、空のストリップを除去することが患者にとって不便である。それ故、そのような装置はしばしば、ストリップの輸送およびブリスターポケットの開口に用いる技術を含む、組み込み用量システムを用い、廃棄可能である。
【0092】
複数用量吸入器には、予め測定された量の粉末剤形が含まれない。それらは、比較的大きな容器、および患者により用いられるべき用量測定方式(principle)で構成される。前記容器は、容積置換(volumetric displacement)により粉末の医薬物質から個々に分離される複数用量を担持する。回転可能膜(例えば、EP0069715)またはディスク(例えば、GB2041763;EP0424790;DE4239402およびEP0674533)、回転可能シリンダー(例えば、EP0166294;GB2165159およびWO92/09322)および回転可能錐台(例えば、WO92/00771)を含む様々な用量測定方式が存在し、それらは全て、容器からの粉末で充填されるべき空洞を有する。他の複数用量デバイスは、送達チャンバーまたは空気路へ容器から一定量の粉末を移動させるために、局部または円周のくぼみを有する測定用スライド(例えば、US5201308およびWO97/00703)または測定用プランジャー(例えば、EP0505321、WO92/04068およびWO92/04928)を有する。
【0093】
再現性のある用量測定は、複数用量デバイスにとって主要な問題の1つである。
【0094】
粉末製剤は、用量測定カップまたは空洞の充填は、ほとんどが重力の影響下であるため、良好および安定な流動性を示さなければならない。
【0095】
再充填された単一用量および複数単位用量吸入器について、用量測定精度および再現性は、製造業者により保証され得る。他方で、複数用量吸入器は、より多数の用量を含み得るが、一方、投与準備の処理数は、一般的に減少する。
【0096】
複数用量デバイス中の吸気流が、しばしば用量測定空洞を真っ直ぐ横切り、かつ、複数用量吸入器の大量および固定用量測定システムが、この吸気流により撹拌され得ないため、粉末塊が空洞から単に取り込まれ、放出中にほとんど脱凝集されない。
【0097】
その結果、個別の崩壊手段が必要である。しかしながら、実際のところ、それらは常に吸入器デザインの一部であるというわけではない。複数用量デバイス中の多数の用量のため、デバイス中の残りの用量に影響することなく、空気路の内壁への粉末の付着および脱凝集手段を最小化し、および/またはこれらの部分の定期的清掃を可能にしなければならない。いくつかの複数用量吸入器は、規定回数の用量を摂取後に取り替えられ得る使い捨て薬剤容器を有する(例えば、WO97/000703)。使い捨て薬剤容器を有するそのような半永久的複数用量吸入器に関して、薬剤蓄積を防ぐための要求は、さらに厳しい。
【0098】
乾燥粉末吸入器を介する適用とは別に、本発明の組成物は、噴射ガスを介して操作されるエアロゾルか、または吸入可能粒子の霧が得られるように薬理学的活性物質の溶液を高圧下でスプレーすることができる、いわゆる噴霧器(atomiser)により投与され得る。これらの噴霧器の利点は、噴射ガスの使用が、全く不必要であることである。
【0099】
そのような噴霧器は、参照によりその内容が本明細書の一部を構成する、例えばPCT特許出願WO91/14468号および国際特許出願WO97/12687号に記載される。
【0100】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物は、例えば水溶液または懸濁液として、または適する液化噴射剤の使用により定量用量吸入器のような加圧パックから送達されるエアロゾルとして製剤され得る。吸入に適するエアロゾル組成物は、懸濁液か溶液のどちらかであり得、一般的に、活性成分(複数可)およびフルオロカーボンまたは水素を含むクロロフルオロカーボン、またはそれらの混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラ−フルオロエタン、とりわけ1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはそれらの混合物のような適する噴射剤を含む。二酸化炭素または他の適するガスもまた、噴射剤として使用できる。エアロゾル組成物は、噴射剤以外の賦形剤を含まなくて良いか、または所望により界面活性剤、例えばオレイン酸またはレシチン、および共溶媒、例えばエタノールのような当業者によく知られているさらなる製剤賦形剤を含んでいて良い。加圧式製剤は、典型的に、バルブ(例えば、定量バルブ)で封をされ、マウスピースを備えたアクチュエータ中に組み込まれたキャニスター(例えば、アルミニウムキャニスター)中に保持され得る。
【0101】
吸入による投与のための薬剤は、所望により、制御された粒子サイズを有する。気管支系への吸入に最適な粒子サイズは、通常、1−10μ、好ましくは2−5μである。約20μのサイズを有する粒子は、典型的に、末梢気道に達するために吸入されるときには大きすぎる。これらの粒子サイズを達成するため、もたらされる活性成分の粒子を、常套法、例えば微粒子化法または超臨界流体法によりサイズを低下することができる。所望の画分を、空気分級またはふるい分けにより分離することができる。好ましくは、前記粒子は結晶であり得る。
【0102】
微粉化粉末で多用量の再現性を達成することは、それらの流動性の悪さおよび極度の凝集性のために困難である。乾燥粉末組成物の効果を改善するため、前記粒子は、吸入器中では大きく、呼吸管へ放出されるときには小さくなければならない。故に、ラクトース、マンニトールまたはグルコースのような賦形剤が、典型的に用いられる。賦形剤の粒子サイズは、通常、本発明の吸入薬剤よりも大きいであろう。前記賦形剤がラクトースであるとき、それは典型的に、粉末ラクトース、好ましくは結晶性アルファラクトース一水和物として存在し得る。
【0103】
加圧エアロゾル組成物は、典型的に、バルブ、とりわけ定量バルブ付きキャニスターに充填され得る。キャニスターは、所望により、可塑性物質、例えば、WO96/32150に記載のフルオロカーボンポリマーで被われていて良い。キャニスターは、口腔送達に適するアクチュエータ中に組み込まれ得る。
【0104】
経鼻送達用の典型的な組成物には、吸入用の上記のもの、およびさらに、所望により緩衝液、抗菌剤、粘膜接着剤、等張性修飾剤および粘度修飾剤のような常用の賦形剤と組み合わせて、水のような不活性ビヒクル中、溶液または懸濁液の形態の非加圧性組成物が含まれ、それらは、鼻用ポンプにより投与され得る。
【0105】
典型的な皮膚および経皮製剤には、常套の水性または非水性ビヒクル、例えばクリーム、軟膏、ローション、またはペーストが含まれるか、または薬用プラスター、パッチまたは膜の形態である。
【0106】
本発明で用いられ得る(a)PDE4阻害剤および(b)M3ムスカリン受容体アンタゴニストの比は、様々である。活性物質(a)および(b)は、それらの溶媒和物または水和物の形態で存在し得る。化合物(a)および(b)の選択に依存して、本発明の範囲内で用いられ得る重量比は、様々な塩形態の異なる分子量に基づいて変化する。本発明の医薬的組合せ剤は、典型的に(b):(a)を、1:5から500:1、好ましくは1:10から400:1の範囲の重量比で(a)および(b)を含み得る。
【0107】
下記に記載の重量比は、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンとして表される化合物(b)、ならびに本発明に特に好ましいロフルミラストおよびシロミラストであるPDE4阻害剤に基づく。
【0108】
本発明の医薬的組合せ剤は、(a)およびロフルミラストの場合(b)を、例えば1:10から300:1、好ましくは1:5から200:1、好ましくは1:3から150:1、最も好ましくは1:2から100:1の範囲の(b):(a)の重量比で含む。
【0109】
(a)および(b)の組合せを含む本発明の医薬組成物は、通常、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよびロフルミラストが、単一用量当たり0.5から5000μg、好ましくは1から2000μg、より好ましくは5から1000μg、さらに好ましくは10から800μgの用量で共に存在するように投与される。
【0110】
例えば、本発明の範囲をそれに限定するものではないが、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンを(b)として用い、そしてロフルミラストを(a)として用いる組合せ剤である本明細書の組成物には、例えば20から1000μgの臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよび5から500μgのロフルミラストが含まれ得る。
【0111】
例えば、本発明の活性物質の組合せ剤は、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよびシロミラストの場合の(a)を、(b):(a)が約1:30から400:1、好ましくは1:25から200:1、好ましくは1:20から100:1、最も好ましくは1:15から50:1の範囲の重量比で含む。
【0112】
(a)および(b)の組合せを含む本発明の医薬組成物は、通常、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよびシロミラストが、単一用量当たり1から10000μg、好ましくは5から5000μg、より好ましくは10から2000μg、さらにより好ましくは20から800μgの投与量で共に存在するように投与される。
【0113】
例えば、本発明の範囲をそれに限定するものではないが、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンを(b)として用い、そしてシロミラストを(a)として用いる組合せ剤である本発明の組成物は、例えば5から5000μgの臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンおよび15から300μgのシロミラストを含み得る。
【0114】
本発明の組合せ剤に適用され得る可能性のある用量の上記の例は、一回適用当たりの投与量について言及すると理解される。しかしながら、これらの例は、本発明の組合せ剤を多数回投与する可能性を除くものとして理解されてはならない。薬剤を必要とする患者に依存して、多数回の吸入適用を受け得る。例として、患者は、本発明の組合せ剤を、例えば各処置日の朝に2回または3回(例えば、MDIなどの粉末吸入器で2または3回吸入)受け得る。上記の用量例は、一回適用当たり(すなわち、吸入当たり)の用量例としてのみ理解されるべきであるため、本発明の組合せ剤の多数回適用は、上記例の複数倍用量に至る。本発明の組合せ剤の適用は、例えば1日1回か、または抗コリン剤の作用期間に依存して、1日2回、または2または3日毎に1回、または“必要に応じて”いつでも(不定期に1日3回またはそれ以上)可能である。
【0115】
好ましくは、前記組成物は、患者が、1回用量を投与し得るように、単位投与量形態、例えば錠剤、カプセルまたは定量エアロゾル用量である。
【0116】
各用量には、20μgから1000μg、好ましくは50μgから300μgの本発明のM3アンタゴニストまたはそれらの医薬的に許容される塩、および1μgから300μg、好ましくは5μgから100μgの本発明のPDE4阻害剤が適当に含まれる。
【0117】
治療効果を達成するために必要な各活性剤の量は、もちろん、特定の活性剤、投与経路、処置を受ける対象、および処置される特定の障害または疾患により変化する。
【0118】
活性成分は、所望の活性を示すのに十分に、1日に1回から6回投与され得る。好ましくは、前記活性成分は、1日に1回から2回投与される。
【0119】
全ての活性剤は、同時に投与されるか、または時間内に非常に間近に投与されると考えられる。あるいは、1個または2個の活性剤を朝に摂取し、その他(複数可)をその日の午後に摂取する。または、もう1つの計画において、1個または2個の活性剤を1日2回摂取し、その他(複数可)を、1日2回行われる投薬のうち1回と同時に、または別個に1日1回摂取することができる。好ましくは少なくとも2個、より好ましくは全ての活性剤を、同時に共に摂取することであろう。好ましくは、少なくとも2個、より好ましくは全ての活性剤を、混合剤として投与することができる。
【0120】
本発明の活性物質組成物は、好ましくは吸入器、とりわけ乾燥粉末吸入器を用いて送達される吸入のための組成物形態で投与されるが、しかしながら、任意の他の形態または非経腸適用もしくは経口適用が可能である。ここで、吸入組成物の適用は、好ましい適用形態、とりわけ閉塞性肺疾患の治療においてまたは喘息の処置のための好ましい適用形態の具体例である。
【0121】
下記の調製物形態を、製剤例として記載する:
【実施例】
【0122】
実施例1
【表1】

【0123】
実施例2
【表2】

【0124】
実施例3
【表3】

【0125】
実施例4
【表4】

【0126】
実施例5
【表5】

【0127】
実施例7
【表6】

【0128】
薬理学的活性
驚くことに、式(I)の抗ムスカリン剤を、1個またはそれ以上のPDE4阻害剤と共に用いたとき、呼吸管の炎症性または閉塞性疾患の処置において予期しない有益な治療効果が観察され得る。この効果を考慮して、本発明の医薬的組合せ剤を、常用法での単剤療法で用いる個々の化合物の場合よりも、より少用量で用いることができる。このことは、例えばPDE4阻害剤が投与されるときに起こり得るような望まれない副作用を減じる。
【0129】
従って、本発明の組合せ剤は、治療的に有利な特性を有し、それにより、これは全ての種の患者における呼吸器疾患の処置に特に適するようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎の処置のための、(a)ロフルミラスト以外のPDE4阻害剤、および(b)一価または多価酸の薬学的に許容されるアニオンであるアニオンXを有する塩形態の(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンであるM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む、医薬組成物。
【請求項2】
(b)M3ムスカリン受容体アンタゴニストが、臭化(3R)−1−フェネチル−3−(9H−キサンテン−9−カルボニルオキシ)−1−アゾニアビシクロ[2.2.2]オクタンである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
PDE4阻害剤が、オグレミラスト、テオフィリン、塩酸ドロタベリン、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリン、ロリプラム、テトミラスト、エンプロフィリン、アロフィリン、シパムフィリン(cipamfylline)、トフィミラスト(tofimilast)、フィラミナスト(filaminast)、ピクラミラスト、(R)−(+)−4−[2−(3−シクロペンチルオキシ−4−メトキシフェニル)−2−フェニルエチル]ピリジン、メソプラム(mesopram)、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−2−[1−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1H−インドール−3−イル]−2−オキソアセトアミド、β−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−1,3−ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−プロパンアミド(CDC−801)、CC−1088、リリミラスト(Lirimilast)、CC−10004およびMN−001の、所望によりそれらのラセミ体、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態、ならびに所望によりそれらの薬理学的に適合性の酸付加塩の形態を含む群から選択される、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
PDE4阻害剤が、オグレミラスト、シロミラスト、ロフルミラスト、デンブフィリンおよびテトミラストの、所望によりそれらのラセミ体、それらのエナンチオマー、それらのジアステレオマーおよびそれらの混合物の形態、ならびに所望によりそれらの薬理学的に適合性の酸付加塩形態を含む群から選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
PDE4阻害剤がオグレミラストである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
活性成分(a)および(b)が、単一の医薬組成物の一部を形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
同時、個別または連続使用のための、(a)β2アゴニスト、(b)コルチコステロイド、(c)ロイコトリエンD4アンタゴニスト、(d)egfrキナーゼ阻害剤、(e)p38キナーゼ阻害剤および(f)NK1受容体アゴニストから選択される(c)他の活性化合物をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
活性化合物(c)が、(a)β2アゴニストおよび(b)コルチコステロイドからなる群から選択される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎の処置のための、同時または併用使用のための併用製品として、(a)請求項1および請求項3から5のいずれか一項に定義のPDE4阻害剤および(b)請求項1または2に定義のM3ムスカリン受容体アンタゴニストを含む製品。
【請求項10】
請求項7または8に定義の(c)活性化合物をさらに含む、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎の処置のための医薬の製造のための、(a)請求項1および請求項3から5のいずれか一項に定義のPDE4阻害剤と組み合わせた(b)請求項1または2に定義のM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項12】
喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎の処置のための医薬の製造のための、(b)請求項1または2に定義のM3ムスカリン受容体アンタゴニストと組み合わせた(a)請求項1および請求項3から5のいずれか一項に定義のPDE4阻害剤の使用。
【請求項13】
喘息、急性もしくは慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支過敏症または鼻炎の処置のための医薬の製造のための、(a)請求項1および請求項3から5のいずれか一項に定義のPDE4阻害剤および(b)請求項1または2に定義のM3ムスカリン受容体アンタゴニストの使用。

【公開番号】特開2012−211183(P2012−211183A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−152730(P2012−152730)
【出願日】平成24年7月6日(2012.7.6)
【分割の表示】特願2007−513838(P2007−513838)の分割
【原出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(598032139)アルミラル・ソシエダッド・アノニマ (69)
【氏名又は名称原語表記】Almirall, S.A.
【Fターム(参考)】