説明

抗ムスカリン活性を有するハロゲン置換3,3−ジフェニルプロピルアミン(トルテロジン)

下記式OR:


[式中、
R1は-H又は-CH3を示し;
R2は-CX3、-CR2-1X2、-CR2-1R2-2X又は-CR2-1R2-2H
(ここで、Xはハロゲンを示し、R2-1及びR2-2は独立して、場合によりハロゲンで置換されていてもよい-H又は-(C1-C4アルキル)を示す。)
を示し;
R3及びR4は独立して、-H、-OCH3、-OH、-CONH2、-S02NH2、-F、-Cl、-Br、-I、-CF3又は1又は2個の-OH、-(Cl-C4アルコキシ)、-COOH又は-CO-0-(C1-C3アルキル)によって置換されていてもよい-(C1-C4アルキル)を示し;及び
R5及びR6は独立して場合によりヒドロキシで置換されていてもよいC1-C6アルキルを示す、ここで、R5及びR6は、少なくとも3個の炭素原子を含み、R5及びR6はアミン窒素と一緒になって環を形成してもよい;
但し、R2は少なくとも1個のハロゲンを含む。]
で表される新規3,3-ジフェニルプロピルアミン及びその任意の立体異性体又は生理的に許容されるその酸付加塩;医薬として使用するための3,3-ジフェニルプロピルアミン、具製造のための3,3-ジフェニルプロピルアミンの使用、及び3,3-ジフェニルプロピルアミンを含む医薬組成物。本発明はまた、3,3-ジフェニルプロピルアミンの投与を含む治療方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な治療的化合物、同一の化合物を含む医薬組成物、当該化合物の医薬としての使用、及び特定の医薬の製造のための当該化合物の使用に関する。本発明はまた、当該化合物の投与を含む治療法に関する。
【0002】
新規な化合物は抗ムスカリン剤である。具体的には、新規化合物は、アセチルコリンによって介在される事象、例えば泌尿器疾患の治療又は制御に有用である。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
米国特許第5,382,600号明細書は、尿失禁の治療な有用な化合物として、(置換)3,3-ジフェニルプロピルアミンを開示する。それは、特に、尿失禁の治療に有用である、トルテロジンの一般名を持ち、N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-3-フェニル-プロピルアミンしても知られている、2-[(1R)-3-(ジイソ-プロプルアミノ)-1-フェニルプロピル)-4-メチルフェノールを開示する。トルテロジンは、米国特許第5,382,600号明細書の実施例22の化合物である。
【0004】
トルテロジンは、好ましくは、国際公開第W0 98/29402号(米国特許第5,922,914号明細書)の方法によって調製される。
【0005】
米国特許第5,559,269号明細書及び同第5,686,464号明細書は、尿失禁の治療に有用なものとしてヒドロキシトルテロジン及びその関連化合物を開示する。ヒドロキシトルテロジンはまた、トルテロジンの主な代謝物である(Nilvebrantら, 1997, Eur J Pharmacol, 327: 195-207)。
【0006】
トルテロジンにおける追加の水酸基の存在は、その親水性を増加させる。この増加を避ける試みとして、WO 99/58478号は、薬学的に活性物質として使用するための置換3,3-ジフェニルプロピルアミンを開示する。
【0007】
国際特許出願WO 98/43942号は、好ましい抗コリン作用性を有し、尿失禁に関連した疾患の治療に使用できる、治療上有効なジアリールプロピルアミンを開示する。
【0008】
Gillbergら、Eur J Pharmacol 349 (2-3): 285-292 (1998)は、m3受容体でのムスカリン様アンタゴニストの効能の減少が、口渇を招く唾液腺に与える効果に比較して膀胱での所望の効果の割合を改善する、ことを示している。従って、M2/m2受容体を越えるムスカリンM3/m3受容体の選択は、膀胱収縮よりも唾液腺に対してより目立った効果を引き起こす。
【0009】
3,3-ジフェニルプロピルアミンの代謝は、in vivoで起こることが認められている。この周知な現象は、その薬物代謝酵素活性によって、薬物清浄率の増加、in vivo半減期の現象、生物学的利用性、薬物相互作用及び対象間の薬物動力学的相違の減少と関連している。
【0010】
Postlindら、Drug Metabolism and Disposition, 26 (4): 289-293 (1993)は、トルテロジンが様々なチトクローム酵素P450によって代謝される、ことを開示している。2つの主な代謝事象は、酵素CYP2D6によって触媒される5-メチル基の酸化及び酵素CYP3Aによって触媒される窒素の脱アルキル化である。
【0011】
従って、当該技術のこのような進歩にもかかわらず、in vivoで代謝する傾向がほとんどない新規3,3-ジフェニルプロピルアミンの開発が望まれている。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
これら及び他の目的のため、本発明の目的は、ムスカリン性受容体に対して異なった親和性側面を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0013】
本発明の目的はまた、治療対象における医薬品の副作用を避けることができる、抗ムスカリン活性を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0014】
別の局面によれば、本発明の目的は、in vivoで容易に代謝される新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、低洗浄性を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0016】
本発明の目的はまた、有利な生物学的利用性を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、in vivoで長半減期を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0018】
本発明の目的はまた、好適な薬物相互作用側面を有する新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0019】
本発明の更に別の目的は、低代謝能群と高代謝群との間で薬物動力学相違が少ない新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0020】
最後に、本発明の目的は、薬物動力学及び薬力学における対象間の変化が少ない新規3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供することである。
【0021】
以下の開示から明らかであろうこれらの及びその他の目的のために、本発明は、第一の局面に従い、下記式:
【0022】
【化1】

【0023】
[式中、
R1は-H又は-CH3を示し;
R2は-CX3、-CR2-1X2、-CR2-1R2-2X又は-CR2-1R2-2H
(ここで、Xはハロゲンを示し、R2-1及びR2-2は独立して、場合によりハロゲンで置換されていてもよい-H又は-(C1-C4アルキル)を示す。)
を示し;
R3及びR4は独立して、1又は2個の-OH、-(Cl-C4アルコキシ)、-COOH又は-CO-0-(C1-C3アルキル)によって置換されていてもよい-H、-OCH3、-OH、-CONH2、-S02NH2、-F、-Cl、-Br、-I、-CF3又は-(C1-C4アルキル)を示し;及び
R5及びR6は独立して、場合によりヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-C6アルキルを示す、ここで、R5及びR6は、少なくとも3個の炭素原子を含み、R5及びR6はアミン窒素と一緒になって環を形成してもよい;
但し、R2は少なくとも1個のハロゲンを含む。]
で表される3,3-ジフェニルプロピルアミン及びその任意の立体異性体又は生理的に許容されるその酸付加塩を提供する。
【0024】
更に、本発明は、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量及びそのための好適な医薬担体を含む医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明はまた、医薬として使用するための本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供する。特に、本発明は、泌尿器疾患を治療するための医薬の製造のための本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの新規使用を提供する。
【0026】
最後に、本発明はまた、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量を泌尿器疾患の治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む当該哺乳動物の泌尿器疾患の治療方法を提供する。
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、下記式:
【0028】
【化2】

【0029】
の3,3-ジフェニルプロピルアミン及び任意のその立体異性体を提供する。本発明はまた、生理的に許容されるその酸付加塩を提供する。
【0030】
上記式において、R1は-H又は-CH3を示す。本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの1つの実施態様において、R1は水素原子を示す。
【0031】
R2は、-CX3、-CR2-1X2、-CR2-1R2-2X又は-CR2-1R2-2Hを示す。ここで、Xはハロゲンを示し、R2-1及びR2-2は、独立して場合によりハロゲンで置換されていてもよい-H又は-(C1-C4アルキル)を示す。R2は少なくとも1つのハロゲンを含む必要がある。好ましくは、R2は-CX3、-CR2-1X2又は-CR2-1R2-2Xを示す。
【0032】
本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの実施態様において、R2基は通常のフェニル環構造のOR1基に対して反対側(パラ)に位置する。具体的実施態様では、R2は-CX3を示す。R2基の具体的実施態様では、Xはフッ素原子である。
【0033】
具体的実施態様において、R2は-CF3を示す。何かの特別の理論に拘束されるものではないが、C-H結合の結合強度に比較してC-F結合の結合強度は、チトクローム酵素P450による代謝を低下させ又は不可能にする、と考えられる。これは、安全性及びCYP2D6代謝の欠乏には最適である。特定の理論に拘束されるものではないが、-CF3基は、親油性を増加させ、-OR1が-OH(すなわちR1は水素原子を示す)である場合には、分子に好ましい立体的変化を与える当該-OH基の酸性度に誘起効果を与える、と考えられる。
【0034】
置換基R3及びR4は同一でも異なっていてもよい。R3及びR4は独立に、場合により1又は2個の-OH、-(C1-C4アルコキシ)、-COOH又は-CO-O-(C1-C3アルキル)に置換されていてもよい-H、-OCH3、-OH、-CONH2、-SO2NH2、-F、-C1、-Br、-I、-CF3、又は-(C1-C4アルキル)を示す。
【0035】
本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの実施態様では、R3及びR4の少なくとも1つは-Hを示す。具体的実施態様では、R3及びR4は-Hを示す。
【0036】
置換基R5及びR6は同一でも異なっていてもよい。R5及びR6は独立に、場合によりヒドロキシルで置換されていてもよいC1-C6アルキルを示す。ここで、R5及びR6は共に少なくとも3個の炭素原子を含み、R5及びR6はアミン窒素と一緒になって環を形成してもよい。
【0037】
本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの1つの実施態様では、R5及びR6の少なくも1つはC1-C3アルキルを示す。具体的実施態様では、C1-C3アルキルはイソプロピルである。具体的実施態様では、R5及びR6イソプロピルを示す。
【0038】
本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの実施態様では、炭素原子の立体中心は(R)である。本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの実施態様では、炭素原子の立体中心は(S)である。本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの更に別の実施態様では、立体異性体の混合物の形態で存在する。
【0039】
本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの具体的実施態様は、N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン;N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン;及び、N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン 酒石酸塩からなる群を含む。
【0040】
本発明の具体的実施態様では、3,3-ジフェニルプロピルアミンは、N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンである。以下の実施例に記載するように、当該化合物は、ムスカリン性受容体m1〜m4に関して好ましい結合性を示す。特に、ムスカリンアンタゴニストの使用から生じるある副作用は、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンを採用することによってある程度回避され又は減少する、と期待できる。
【0041】
N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン及び本発明に従うその他の化合物は、酵素CYP2D6による代謝を避けることができる、とも考えられる。これは、当該酵素による代謝はトルテロジンの薬物動力学的性において対象間の変化の実質的部分を説明するので、好都合である。CYP2D6は、多様型酵素であり、遺伝的に「低代謝能」群の約10%に相当する。従って、本発明に従う化合物は、薬物動力学における対象間の変化に関連したコスト及び問題を解決する医薬を提供する点で有用である。
【0042】
本発明に従う新規種の化合物は、抗ムスカリン剤である、「抗ムスカリン剤」は、ムスカリン性受容体アンタゴニストを言う。公知の抗ムスカリン剤の例は、トルテロジン、ヒドロキシトルテロジン、2-(ジイソプロピルアミノ)エチル-1-フェニル-シクロペンタンカルボキシレート、プロピベリン、オキシブチニン、トロスピウム、ダリフェナシン、ソリフェナシン、テミベリン、イプラトロピウム及びチオトロピウムを含む。
【0043】
本発明の化合物は、好ましくは薬学的に許容される酸の塩として投与される。好ましい薬学的に許容される有機又は無機塩は、以下の酸の塩を含む:酒石酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、クエン酸、メタンスルホン酸、CH3-(CH2)n-COOH(但し、nは0〜4)、HOOC-(CH2)n-COOH(但し、nは1〜4)、HOOC-CH=CH-COOH及び安息香酸。その他の許容される塩としては、Int. J. Pharm., 33, 201-217 (1986)を参照されたい。特に好ましい塩は酒石酸である。
【0044】
本発明の別の局面によれば、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量及びそのための好適な医薬担体を含む医薬組成物を提供する。
【0045】
本発明に従う化合物は、遊離塩基又は薬学的に許容される酸の塩、又はその溶液の形態で、好適な剤型、例えば許容される医薬手段に従って経口、直腸、経皮的、非経口、鼻腔内又は肺経路による投与のための組成物に処方することができる。本発明に従うかかる医薬組成物は、当業者に周知の適合可能な薬学的に許容される担体材料又は希釈剤と組み合わせて本発明の化合物を含む。担体は、投与に適した有機又は無機の任意の不活性材料:水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、微結晶セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、コロイド状二酸化ケイ素等。かかる組成は、その他の薬学的活性剤及び一般的な添加剤、例えば安定剤、湿潤剤、乳化剤、香料、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、滑剤、直打用滑剤、癒着防止剤、発射薬等を含んでもよい。
【0046】
本発明に従う新規化合物は、任意の好適な方法で投与することができる。本発明に従う化合物は、固形剤又は液剤、例えば錠剤、カプセル剤、粉剤、シロップ剤、エリキシル剤等、アエロゾル、殺菌溶液、懸濁液又はエマルション等に調合することができる。
【0047】
用語「有効量」は、泌尿器疾患を治療するための治療上有効量を言う。用語「治療」及び「治療的に」は、予防を含むあらゆる種類の治療を包含する。特に、「治療上有効量」は、抗-コリン作用性治療に有効であることを意味する。
【0048】
本発明に従う具体的化合物の投薬量は、その効能、投与形式、患者の年齢及び体重、及び治療される症状の重度によって変動する。例えば、医薬は経口的に日に1回又は2回、又はもっと低頻度で、又は断続的に投与することができる。
【0049】
本発明はまた、医薬としての本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンを提供する。特に、本発明は、泌尿器疾患を治療するための医薬の製造のための本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの新規使用を提供する。
【0050】
本発明の化合物は、抗-コリン作用性を有する。従って、それらは、アセチルコリン-介在疾患の治療に有用である。特に、それらは、泌尿器疾患の治療に有用である。
【0051】
「泌尿器疾患」及びその症状は、次のいくつか又は全てを含む:尿意促迫、頻尿、失禁、尿漏れ、遺尿症、排尿困難、排尿躊躇及び空膀胱困難。特に、泌尿器疾患は、例えば不安定な又は過活動膀胱によって起こる尿失禁を含む。
【0052】
過活動膀胱は、種々の泌尿器疾患、例えば、過活動排尿筋(排尿筋不安定、排尿筋過反射)及び神経性尿意促迫、及び排尿筋過活動の症状例えば促迫失禁、促迫排尿、頻尿及びLUTS(下部尿路症状);例えば、閉塞性尿疾患例えば遅発型排尿、排尿後のあとだれ、排尿困難及び/又は許容される速度で排尿するための促迫要求、又は頻尿、乾燥性過活動膀胱及び/又は尿意促迫等のイライラさせる症状を包含する。
【0053】
その他の症状は、頻尿、促迫及び/又は失禁を招くものを含む。過活動膀胱疾患はまた、夜間多尿症及び混合失禁を含む。過活動膀胱は排尿筋不安定に関連することが多く、膀胱機能疾患は、脊髄及び脳損傷例えば多発性硬化症及び卒中を含む中枢神経系(排尿筋過反射)の神経障害に起因する。過活動膀胱症状は、例えば男性の膀胱出口閉塞症(通常、前立腺肥大に起因する)、間質性膀胱炎、局所浮腫及び局所性膀胱癌に起因する過敏、骨盤及び膀胱炎に対する放射線療法に起因する放射線膀胱炎からも起こる。
【0054】
最後に、本発明はまた、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量を泌尿器疾患の治療を必要としているヒトを含む哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物の泌尿器疾患の治療方法を提供する。
【0055】
本発明の化合物は、ヒト、猫及び馬を含む哺乳動物を治療するために使用される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0056】
ここで、本発明は実施例によって更に説明されるが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0057】
本発明に従う化合物の合成を、次の実施例1〜10で詳細に記載する。合成スキームを以下に概略する。
【0058】
【化3】

【0059】
これらの実施例は単に例示であり、この概念の変化は当業者によって容易に達成できることが理解されよう。
【0060】
実施例1 4-トリフルオロメチルアニソール
【0061】
【化4】

【0062】
窒素雰囲気下で、1250 mL アセトン中の4-トリフルオロメチルフェノール(100.0 g; 0.617 mol, Aldrich)、粉末炭酸カルシウム(87.7 g; 0.635 mol, Aldrich)及びヨードメタン(54.0 mL; 0.867 mol, Aldrich)の機械攪拌混合物を全8時間リフラックスした(5:04 pm)。
【0063】
母液のアリコートのガスクロマトグラフィー(GC; a Hewlett Packard B5890装置)は、生成物を示し、出発物質のフェノールは検出されなかった。スラリーを濾過し、淡黄色固体をアセトン(200 mL)で洗浄した。淡黄色固体濾液を25℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、淡黄色油状固体を得た。この原料をエーテル(1000 mL)及び10% NaOH水溶液(100 mL)に分配した。エーテル層をMgS04上で乾燥し、濾過し、エーテルで洗浄した。ほとんど無色の濾液を20〜30℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、淡黄色油を得た;97.75g。1H-NMR及び13C-NMRは、4-トリフルオロメチルアニソールと一致した。GCは、99.5%の所望化合物を示した。収率は89.9%であった。
1H-NMR(CDC13, ppm): 7.56及び7.52 (Ar 2H); 6.97及び6.95 (Ar 2H); 3.84 (OCH3)。
【0064】
実施例2 (2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-フェニル メタノール
【0065】
【化5】

【0066】
全てのガラス容器を105℃のオーブンで一晩乾燥し、窒素ガスで暖めた。4口の3 Lフラスコ中で窒素ガス雰囲気下にて、1300 mLの無水テトラヒドロフロンの4-トリフルオロメチルアミソール(97.75 g; 0.555 mol)溶液を、ドライアイス-アセトンバス中で機械的に攪拌した。2.5 M n-ブチルリチウムのヘキサン(269 mL; 0.672 mol)溶液を、-67℃〜-71℃で56分かけて滴下した。別の漏斗を無水THF(2×50 mL)で洗浄した。
【0067】
ドライアイス-アセトンバス中で32分間攪拌後、このバスを氷浴と交換した。淡橙色溶液を氷浴中で97分かけて0℃まで昇温し、濃琥珀色溶液を得た。ベンズアルデヒド(68.5 g; 0.646 mol, Aldrich)の200 mL無水THF溶液を0〜10℃(主に7〜9℃)で49分間かけて滴下した。滴下を続けると、反応溶液の色が濃琥珀色から淡橙色に変化した。別の漏斗を無水THF(2×50 mL)で洗浄し、氷浴を除いた。
【0068】
淡橙色溶液を窒素下で1時間、5.5℃〜17.5℃に昇温しながら攪拌した。淡橙色溶液を氷浴で再度冷却した。20% NH4Cl(500 mL)水溶液を7〜11℃で13分で滴下した。得られた混合物をエーテル(2000 mL)で抽出した。エーテル抽出物を水(1000 mL)、10% NaHCO3(1000 mL)水溶液及び飽和食塩水(1000 mL)で順次洗浄した。エーテル層をMgS04上で乾燥し、45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、淡黄色油状固体を得た;160.65 g。GCは、高沸点成分と共に、いくらかの出発物質の4-トリフルオロメチルアニソール及びベンズアルデヒドを示した。この油状固体をヘキサン(200 mL)に懸濁し、一晩冷蔵庫で冷却した。
【0069】
スラリーを吸引濾過し、淡黄色固体をスパチュラーで押しつぶした。次いで、このケーキをヘキサン(250 mL)で洗浄し、淡黄色結晶性固体を得た;116.0 g。GCは、86.5%の生成物の他、いくらかの残渣の低沸点成分を示した。黄色の濾液を35℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、黄色粘性油を得た;39.2 g。GCは、ほとんど低沸点成分を示し、他にいくらかの残渣の生成物を示した(17.7%)。
【0070】
固体を室温でヘキサン(250 mL)とジエチルエーテル(50 mL)の混合液中で45分間攪拌した。スラリーを吸引濾過し、ヘキサンで洗浄し、白色の結晶性固体を得た;82.85g。mp =83〜85℃。1H-NMR及び13C-NMRは所望のアルコールと一致した。GCは、所望のアルコールのみを示した。
【0071】
エーテル-ヘキサン濾液を35℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、黄色スラッシュを得た;33.0 g。GCは不純物アルコールを示した(69%)。各濾液をヘキサン(100mL)及びエーテル(25 mL)に懸濁し、白色固体を得た。試料を密封し、室温で保存した、この2つのスラリーを同一のブフナー漏斗に吸引濾過し、4:1のヘキサン:エーテル(50 mL)で洗浄し、白色固体を得た;3.0 g。mp =82〜85℃。1H-NMRは、所望のアルコールを示し、他に少量の不純物を示した。GCは99%の所望のアルコールを示した。この固体を最初の収量物と混合した。総収率= 85.85 g (収率54.8%)。
1H-NMR (CDCl3, ppm): 7.6 (Ar 1H); 7.5 (Ar 1H); 7.2-7. 4 (Ar 5H); 6.9 (Ar 1H); 6.05 (OH); 3.82 (OCH3); 2.75及び2.74 (d J=4.7Hz, CH)。
【0072】
実施例3 (2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-フェニル メタン
【0073】
【化6】

【0074】
Jones試薬の調製:三酸化クロム(23.5 g; 0.235 mol)を47 mL脱イオン水に溶解し、氷浴で冷却した。濃硫酸(19.7 mL; 0.37 mol)を5〜15℃で15分で滴下した。追加の水(18mL)を加え、沈殿した固体を溶解し、この赤色溶液を別の漏斗に移した。
【0075】
酸化:1000 mLの4口フラスコ中で、650 mLアセトン中の(2-メトキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-フェニル メタノール(85.6 g; 0.303 mol)の機械攪拌溶液を水浴中で20℃に冷却した。Jones試薬を49分かけて滴下した。温度を20〜25℃の範囲に維持した。添加の最後に、緑色固体がフラスコの底に凝集した。淡橙色母液のアリコート(5滴)をエーテル(1 mL)及び10% NaHC03(0.5 mL)水溶液で分配した。乾燥(Na2SO4)エーテル層を分析した。TLC(薄層クロマトグラフィー)は、所望のケトンを示し、出発物質のアルコールは検出できなかった。25分後、攪拌スラリーを一部、イソプロパノール(15 mL;0.196 mol)で処理し、過剰の酸化剤を破壊した。更に15分後、固体炭酸ナトリウム(62.3 g; 0.742 mol)を5分で少しずつ加えた。次いで、母液を予め湿らせたセライト 545 (30 g)パッドで青緑色タール状固体からデカントした。青緑色タールをアセトン(3×100 mL)で洗浄した。淡黄色濾液を40℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、2層の淡黄色油状水混合物を得た。この原料をエーテル(1000 mL)に溶解し、10% NaHC03 (400 mL)水溶液及び飽和食塩水(400 mL)で順次洗浄した。
【0076】
エーテル層をMgSO4で乾燥し、濾過し、ロータリーエバポレーターで45℃で濃縮し、淡黄色油を得た;83.95 g。この油を更にクーゲルロールで、50℃、0.15〜0.4トール、30分間濃縮した;83.55 g。GCは、99.7%の所望のケトンを示した。1H-NMRは、所望のケトン及びいくらかの検出できる不純物を示した13C-NMRは、先のスペクトルと類似し、いくらかの検出できる不純物についても同様であった。収率は98.3%あった。
1H-NMR(CDC13, ppm): 7.8-7.4 (芳香族 7H); 7.05 (芳香族 1H); 3.77(OCH3)。
【0077】
実施例4 N,N-ジイソプロピル ブロモアセトアミド
【0078】
【化7】

【0079】
窒素雰囲気下、375 mL無水ジクロロメタンのブロモアセチルブロミド(103.65 g; 0.51 mol, Aldrich)の機械的攪拌溶液を氷浴で冷却した。125 mLの無水ジクロロメタンのジイソプロピルアミン(130 mL; 0.93 mol, Aldrich)溶液を4〜11℃で92分かけて滴下した。黄色スラリーを氷浴中で46分間攪拌した。得られた灰色スラリーを吸引濾過し、少量のジクロロメタンで洗浄し、白色固体を得た。
【0080】
琥珀緑色濾液を氷水(4×200 mL)、10% NaHCO3水溶液(200 mL)及び飽和食塩水(200 mL)で順次洗浄した。赤琥珀色層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、赤色油を得た; 97.15 g。GCは、主成分(94.6%)及び2種の少量不純物を示した。MSは、主な揮発性成分が所望の成分であることを示した。M+イオンが222及び224 m/zに、弱いが検出できた。
【0081】
この油を100 mLヘキサンに溶解し、-30℃に70分間冷却した。ガラス棒でその溶液を摩砕すると直ちに沈殿を生じた。得られた固体をヘキサン(100 mL)に溶解し、固体を砕き、吸引濾過し、少量のヘキサンで洗浄し、黄褐色固体を得た;73.45 g。
【0082】
非補正mp =59〜61℃;文献値 mp = 64〜65.5℃。1H-NMR及び13C-NMRは所望のアミドと一致した。GCは、97.5%の所望の生成物を示した。収率は64.3%であった。
1H-NMR(CDC13, ppm): 4.0(1Ha); 3.85 (2H); 3.45 (1Hb); 1.43及び1.41 (6H); 1.30及び1.28 (6H)。
【0083】
実施例5 ジエチル N,N-ジイソプロピルアミノカルボニルメチル リン酸エステル
【0084】
【化8】

【0085】
250 mLの3口フラスコに、テフロン(登録商標)被覆熱電対、蒸留塔及び60 mLの追加の漏斗を備え付けた。N,N-ジイソプロピルブロモアセトアミド(67.9 g;0.306 mol)をフラスコに入れ、マントルヒーターで加熱した。固体が溶解した後、茶色油を磁気的に攪拌し、窒素雰囲気下で110℃に加熱した。そのままの亜リン酸トリエチル(57 mL; 0.332 mol, Aldrich)を104〜117℃で30分間で滴下した。ブロモエタン副生成物を35〜45℃で蒸留し、100 mLフラスコに回収した。
【0086】
滴下の最後に、赤琥珀色油を窒素雰囲気下で3時間、110℃で加熱した。蒸留物の量は25.5 gであった。エーテル中のアリコート(1滴)のGCは、所望の生成物を示し、出発物質のブロミドは検出できなかった。赤琥珀色油をいくらかのエーテルと共に500 mLフラスコに移し、45℃でロータリーエバポレーターでエーテルを揮発させた:88.3 g。次いで、この赤琥珀色油を75℃で0.15〜0.4トールで1時間、クーゲルロールで濃縮し、残渣の低沸点不純物を除くと赤琥珀色油が残った;78.3 g。GCは、僅かな低沸点成分と共に94%の生成物を示した。1H-NMRは所望の生成物と一致し、2種の異なったイソプロピル基を示した。13C-NMRはまた、所望のジエチルリン酸エステルと一致した。収率は91.6%であった。
1H NMR (CDC13, ppm): 4.07-4.25 (5H); 3.45 (1H); 3.07及び2.99 (2H); 1.3-1.45 (12H); 1.18-1.25 (6H)。
【0087】
実施例6 N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロ-メチルフェニル)-3-フェニルプロペンアミド(異性体混合物)
【0088】
【化9】

【0089】
全てのガラス容器を105℃で一晩乾燥し、熱窒素ガス下で取り付けた。3口の1000 mLフラスコ中に、95%水素化ナトリウム(7.8 g;0.309 mol)を窒素雰囲気下、磁気攪拌しながら、無水テトラヒドロフラン(70 mL)中で懸濁した。N,N-ジイソプロピルアミノ-カルボニルメチル リン酸ジエチル(79.65 g; 0. 285 mol)の125 mL無水THF溶液を24〜27℃で83分間で滴下した。追加の漏斗を20 mL無水THFですすぎ、反応容器に取り付けた。得られた琥珀色溶液を窒素雰囲気下にて室温で19分間攪拌した後、(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-フェニル メタン(83. 55 g;0.298 mol)の125 mL無水THF溶液を108分で滴下した。滴下中、穏やかな発熱反応が23〜27℃で生じた。追加の漏斗を20 mL無水THFですすぎ、反応容器に取り付けた。室温で38分間攪拌した後、赤琥珀色溶液をマントルヒーターを使って55℃で加熱した。
【0090】
55℃で17時間後、発熱を止めた。赤琥珀色溶液のアリコート(5滴)をエーテル(1 mL)及び水(0.5 mL)に分配した。GCは、その過添加によるケトンのかなりの量と共に、2種の異性体生成物を57:43の比率で示した。明らかな反応を伴うことなく、水(300mL)を茶琥珀色溶液に加え、混合物をエーテル(1000 mL及び500 mL)で抽出した。併せたエーテル層を飽和食塩水(2×200 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥した後、吸引濾過した。GCは、アリコートと同様な結果を与えた。茶琥珀色濾液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、茶色油を得た; 118.05 g。この油をクーゲルロール、144〜146℃、0.3 トールで蒸留し、淡黄色蒸留物(45.2 g)及び濃茶色タール(68.15 g)を得た。TLC及びGCは、容器残渣中の所望のオレフィンからケトンが一部単離されるに過ぎないことを示した。ほとんどケトンを含む蒸留物には、所望のオレフィンが混在していた。
【0091】
容器残渣からの茶色タールを120 mLの3:1 ヘキサン:酢酸エチルに溶解し、同時に熱線銃で加熱した。室温で一晩放置した後、結晶性固体が生成した。この固体を濾取し、ヘキサンで洗浄し、琥珀色を除き、無色のプレートを得た;17.2 g。mp =110〜112℃。GCは、主なオレフィン生成物のみを示した。1H-NMR及び13C-NMRは、単一のオレフィン異性体を示した。
【0092】
琥珀色濾液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、茶色タールを得た;53.65 g。この原料を熱線銃で暖めながら、3:1 ヘキサン:酢酸エチル(100 mL)に溶解した。1.4×105 N/m2 (20 psi)で極端に圧縮し及び2.5×105 N/m2 (36 psi)の溶媒圧をかけた、予備湿潤Biotage 75L シリカゲルカラムにこの溶液を導入した。試料を4:1 ヘキサン:酢酸エチル(2×50 mL)ですすぎ、充填(chase)した。次いで、カラムを10 000 mL ヘキサン及び2000 mL 酢酸エチルの混合溶液、4000 mL ヘキサン及び1000 mL 酢酸エチルの混合溶液で順次溶出した。予備湿潤及び試料導入を含む1000 mLの空隙容量を集めた後、425 mLずつ分画を集め、組成をTLCで解析した。TLCは、いくらかの純粋ケトン及び混合オレフィンを示した;28.85 g。2種の所望のオレフィンを含む分画を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。総収率= 17.2 + 28.85 = 46.05 g (リン酸エステルを基にして収率39.9)。
【0093】
分析(オレフィンA及びBの遊離塩基1:1混合物):1H NMR(CDCl3, ppm): 7.6 (芳香族 1H); 7.45 (芳香族 1H); 7.3 (芳香族 5H); 6.95 (芳香族 1H); 6.6及び6.2 (オレフィンシングレットA及びB, 1H); 4.2-4.4(1H); 3.75及び3.70 (OMeシングレットA及びB, 1H); 3.3(1H); 3.4 (1H); 1.42 (ダブレットB Me); 1.28 (ダブレットA Me), 1.09 (ダブレットA Me); 0.84 (ダブレットB Me)。
【0094】
実施例7 N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミド
【0095】
【化10】

【0096】
1000 mLのParrボトル中に、N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロペンアミド(46.05 g;113.6 mmol)の異性体混合物を500 mLの95%エタノール溶液に溶解した。10%パラジウム・カーボン触媒(2.0 g)を加圧し、2.1×105〜2.8×105 N/m2 (30〜40 psi)の水素ガスを5回通じた。次いで、ボトルを2.7×105 N/m2 (38.5 psi)に加圧し、室温で振盪した。3時間後、4.8×104 N/m2 (7 psi)に圧力を低下させた。アリコート(5滴)をセライトの小栓で濾過し、試薬アルコール(0.5 mL)で洗浄した。GCは、約82%の変換を示し、残余にはほとんどオレフィンはなかった。反応混合物をParr振盪機で2.8×105 N/m2 (40.5 psi)に加圧した。
【0097】
更に20時間(総23時間)後に、水素ガス圧を更に6.9×103 N/m2 (1 psi)に落とした。上でワークアップしたアリコートのGCは所望の生成物を示し、出発物質のオレフィンは検出されなかった。触媒をブフナー漏斗でセライトパッドによって吸引濾過し、試薬アルコール(200 mL)で洗浄した。ひだ濾紙による黒色濾液の重力濾過により、少量の触媒を除いた。ブフナー漏斗での小量のセライトパッドによる追加の濾過により、エタノール(100mL)で洗浄後に少量の触媒を除去した。次いで、灰色濾液をシリカゲル(10〜15 g)栓によって洗浄し、エタノール(100mL)で洗浄し、更に灰色の濾液を得た。この濾液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、淡灰色固体を得た;58.35 g。
【0098】
この固体をクロロホルム(300mL)に溶解し、触媒はフラスコの底に凝固した。触媒をブフナー漏斗で少量のセライトパッドによって吸引濾過し、クロロホルム(100 mL)で洗浄した。淡黄色濾液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、白色固体を得た;49.35 g。この固体をボトルに移し、一定の重量になるまで、真空で50℃で110分間乾燥させた;44.6 g (収率96.4%)。mp =92〜94℃。1H-NMR及び13C-NMRは、所望の飽和アミドに一致した。
1H NMR(CDC13, ppm) : 7.45 (芳香族 2H); 7.2 (芳香族 5H); 6.85 (芳香族 1H); 5.05 (PhCH, 1H); 4.05 (1H); 3.8 (OCH3); 3.4 (1H); 3.0 (2H); 1.05-1.35 (12H)。
13C NMR(CDC13, ppm) : 169.6; 159. 8; 143.8; 133.6; 128.3; 128.1; 126.3; 125.0; 124.9; 124.6; 110.8; 55.7; 48.7; 46.0; 41.1; 39.9; 21.0, 20.8, 20.6。
【0099】
実施例8 N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロ-メチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン
【0100】
【化11】

【0101】
固体のN,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロ-メチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミド(41.9 g; 102.8 mmol)を1000 mLに一口フラスコに加え、無水テトラヒドロフラン(10+5 mL)を追加した。フラスコにClaisen頭部を付け、リフラックスコンデンサー及び窒素気泡管を接続した。Claisen頭部上のセプタムを通して、テフロン(登録商標)被覆熱電対を挿入した。1M 水素化アルミニウムリチウムのTHF (400 mL;400 mmol)溶液を窒素雰囲気下、セプタムの付いた100 mL目盛り付きシリンダーを用いて、フラスコにカニューレ挿入した。磁気攪拌溶液を窒素下でリフラックスするまで加熱した。赤色溶液を4時間リフラックスで加熱した。
【0102】
一晩室温まで冷却後、アリコート(5滴)をエーテル(0.5 mL)及び水(0.5 mL)中でクエンチした。混合物を酢酸エチル(0.5 mL)で抽出し、Na2SO4上で乾燥した。GCは、僅かのノルフルオロアミンと共に、約12:1の生成物:出発物質であるアミドを示した。琥珀色溶液を再度リフラックスするまで加熱し、リフラックスを維持した。更に2時間リフラックス(総6時間)、上でワークアップしたアリコートのGCは、50:41の生成物:出発物質のアミドの混合物を示した。黄色-橙色溶液を更に2時間、再度リフラックスした(総8時間)。上でワークアップしたアリコートは、生成物:出発物質のアミドの52:39混合物を示した。
【0103】
黄色溶液を氷浴で冷却した。8〜15℃で68分間、20 mLプラスチックシリンジから水(15mL)を滴下した。次いで、15% NaOH(15 mL)水溶液を10〜17℃で36分間滴下した。水(45mL)を12〜25℃で39分間滴下した。氷浴が室温になるまで、スラリーを一晩攪拌した。
【0104】
スラリーを吸引濾過し、塩を酢酸エチル(600 mL)で洗浄した。淡黄色濾液を飽和食塩水(2×300 mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。乾燥剤を濾別後、淡黄色濾液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、黄色の粘性油を得た;41.2 g。GCは、2:1の割合の生成物:出発物質のアミドを示し、残渣としてジフルオロ-及びノルフルオロ-不純物を示した。この油をクロロホルム(40 mL)に溶解した。
【0105】
この溶液を2.8×105 N/m2 (20 psi)で極端に圧縮し及び1.4×105 N/m2 (36 psi)の溶媒圧をかけた、予備湿潤Biotage 75Mシリカゲルカラムに加えた。試料を充填(chase)し、追加のクロロホルム(2×25 mL)でカラムにすすいだ。次いで、カラムを8000 mL クロロホルムと80 mL 試薬アルコールとの混合、4000 mL クロロホルムと445 mL 試薬アルコールとの混合で順次溶出した。予備湿潤及び試料導入を含む500 mLの空隙容量を集めた後、425 mLずつ分画を集め、TLCで解析した。選んだ試料をGCによっても解析した。この情報に基づいて、通常の成分を含む分画を混合し、45℃でロータリーエバポレーターで濃縮した後、クーゲルロールで25〜50℃、0.5トール未満で濃縮した後、次の結果を得た:
分画7〜8: GCは、アミド(5%)、ジフルオロ不純物(1.3%)及びノルフルオロ不純物(1.6%)が混在した、91%の所望のアミンを示した。91%検定に基づく収率= 16.4%。
分画9〜23: オフホワイト固体;15.25g;1H-NMRは、所望のアミン及びいくらかの残渣エタノールを示した。GCは、98%の所望のアミン及び2% ジフルオロ不純物を示した。クーゲルロールで50℃、0.2トールで1時間、固体を更に乾燥した;14.65 g (収率36.3%)。1H-NMRは、僅かなエタノール及び所望のアミンのみを示した。mp = 61〜63℃。
分画24〜28: GCは、83%の所望のアミン及び16%のジフルオロ不純物を得た。
1H NMR(CDC13, ppm): 7.5 (1H); 7.4 (1H); 7.3 (4H); 7.2 (1H); 6.8 (1H); 6.9 (1H); 4.4 (PhCH, 1H); 3.8 (3H, OMe); 3.0 (2H); 2.4 (2H) ; 2.2 (2H); 1.0 (12H)。
【0106】
実施例9 N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロ-メチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン
【0107】
【化12】

【0108】
N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-3-フェニルプロパンアミン(1.0 g; 2.54 mmol)の1.5 mLスルホン及び2,6-ルチジン(0.3 mL; 2.58 mmol)の磁気攪拌スラリーの一部分を、ヨウ化トリメチルシリル(1.0 mL; 7.03 mmol)で処理した。更に沈殿が生成されることはなかった。このスラリーを窒素下、92〜103℃で加熱し、黄色溶液を得た。
【0109】
92〜103℃で20時間加熱した後、アリコート(1滴)を取り、0.1 mL tert-ブチルメチルエーテルと混合した後、0.05%ギ酸を含む24 mLの50%アセトニトリル水溶液で希釈した。液体クロマトグラフィー(LC)は、フェノール及びトリメチルシリル化フェノールへの48%の変換を示した。赤色溶液を窒素下、再度93〜102℃で加熱した。上でワークアップしたアリコートのLCは、フェノール及びトリメチルシリル化フェノールへの69.1%の変換を示した。
【0110】
93〜102℃で計約6日間維持した後、LCは、フェノール及びトリメチルシリル化フェノールへの約93%の変換を示した。
【0111】
電気スプレイ MS (陽イオン) MH+ = m/z 380。
1H NMR (CDC13, ppm): 7.3 (芳香族 7H); 6.9 (芳香族 2H); 4.5 (1H); 3.3 (2H); 2.8 (1H); 2.4 (2H); 1.3 (12H)。
13C NMR (CDC13, ppm): 159. 5; 143.6; 133.0; 128.5; 128.4; 126.6; 125.5; 125.4; 124.5; 118.5; 48.4 (iPrCH); 42.4 (CH2N); 39.8 (PhCH); 33.4 (CH2); 19.6 (iPr CH3)。
【0112】
実施例10 N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-3-フェニルプロパンアミンの酒石酸塩(1:1)
【0113】
【化13】

【0114】
N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチル-フェニル)-3-フェニルプロパンアミン(326.5 mg; 0.86 mmol)の4 mL無水エタノールの磁気攪拌溶液を、固体L-酒石酸(135 mg; 0.90 mmol)で処理し、1 mL無水エタノールで追跡した。得られた溶液を1時間リフラックスで加熱した。茶色溶液を氷浴で冷却した。沈殿は生じなかった。冷却茶色溶液を45℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、金色のクリープ状泡を得た;461.4 mg。この泡をエーテル(5 mL)に懸濁し、吸引濾過し、エーテルで洗浄し、フィルター上に直ちに粘着性となる金色固体を得た。この吸湿性固体をメタノール(10 mL)に溶解し、25〜50℃でロータリーエバポレーターで濃縮し、約2 mL体積を得た。懸濁液が茶色油となるまで、更にエーテル(5 mL)を加えた。混合物を再度濃縮し、金色泡を得た;451.5 mg。この泡をスパチュラーで壊し、45℃で終夜真空乾燥した。
【0115】
茶-金色ガラスの量 = 436.4 mg。CDCl3に不溶。LCは、電気スプレイのネガティブイオンモードで、378 m/zにM-1イオンを有する所望のアミノ-フェノール、及び149 m/zにM-1イオンを有する酒石酸を示した。1H-NMRは、様々な脂肪族プロトンシグナルの好適な低磁場シフトを有する1:1酒石酸塩と一致した。13C-NMRは、2個の四級芳香族炭素原子及びトリフルオロメチル炭素原子が欠落している以外は、酒石酸の2個の固有の炭素原子及びフェノール性アミンの全ての炭素原子を示した。
【0116】
電気スプレイ MS (陰イオン) M-1 = m/z 378 (基本); M-1= 149 (酒石酸塩)。
1H NMR (CD30D, ppm): 7.3 (芳香族 7H); 6.9 (芳香族 1H); 4.0 (3H); 3.6 (2H); 3.0 (2H); 2.5 (2H); 1.3 (12H)。
13C NMR (CD30D, ppm): 176. 5 (酒石酸塩 CO2H); 159.1; 143.03; 129.7; 129.2; 127.9; 126.1; 126.1; 116.5; 73.8 (酒石酸塩 CH); 56.4 (iPrCH); 47.6 (CH2N); 43.2 (PhCH); 33.2 (CH2); 18.0 (iPr CH3)。
【0117】
実施例11 N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンのin vitroムスカリン性受容体の結合検定
ムスカリン性受容体サブタイプM1〜M4に対する試験化合物の親和性を測定した。競合的放射性リガンド結合実験は、11種の薬物濃度を2点採用した。[3H] N-メチルスコポラミン(NMS)を各受容体サブタイプの平衡解離定数(Kd)に等しい濃度でアンタゴニスト放射性リガントとして使用した。非特異的結合(全体の90〜95%)を過剰(5FM)に加えた冷アトロピンで明確にした。総結合をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で測定した。CHO細胞中で不変的に発現したクローン化ヒト受容体は、全ての結合部位の起点である。膜をPerkin Elmer Life Sciences (Beltsville, MD)のReceptor Biology部門から購入した。検定をシンチレーション近接アッセイ(SPA)形式で行った。11μlの薬物希釈、11μlの放射性リガンド及び178μlの膜/SPAビーズ懸濁液(5〜15pgタンパク質/プレートの10 mlPBSで室温で30分間インキュベートし、次いで低速遠心分離及び2 ml PBSに再懸濁した、100 mgのWGA-被覆SPAビーズ)を添加することによって、結合混合物を適用性のある96-ウェル Wallac Micro-Betaプレートで形成させた。密封し、室温で1時間インキュベーションした後、プレートをWallac Micro-Betaシンチレーション カウンターで計数した。
【0118】
データを片側競合モデルに適合させることによって、IC50値を評価した:
Y = T/(1+10log(X)-log(IC50))
[式中、Yは濃度Xで結合された特異的CPM、Tは競合剤の非存在下に結合された特異的CPMを示す。]
阻害定数(Ki)をCheng-Prushoff方程式(Cheng, Y; Prushoff, W H, Biochem Pharmacol 22: 3099-3108, 1973)を用いて計算した。曲線当てはめ及びKi計算をGraphPad Prism, version 3.0 (San Diego, CA)を用いて実行した。結果を次の表1に示す。
【0119】
【表1】

【0120】
In vitro結合
トルテロジン酒石酸塩(R (+)エナンチオマー)、及び本発明に従うN,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンのラセミ体及び実施例9を試験した。トルテロジンのS (-)エナンチオマーは、ムスカリン性受容体に比較的低親和性であるため、N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンの活性は、主にR (+)エナンチオマーに存在すると推定され、測定されたN,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンのR (+)エナンチオマーのKiは、表中の値の約半分であると予測される。両化合物は、4種のムスカリン性受容体サブタイプに強力な親和性を示した(低〜サブ-ナノモーラーKi)。競合性ムスカリン性アンタゴニストとしては、トルテロジンは、低ムスカリン性受容体サブタイプ選択性を有するものとされており、膀胱受容体の活性の唾液腺受容体の活性に対する好ましい比率ではない(Nilvebrantら, Neurourol Urodyn 15: 310-311 (1996))。
【0121】
N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンは、m3受容体では比較的有効ではなかった。Gillbergら, Eur J Pharmacol 349 (2-3): 285-292 (1998)は、m3受容体での効力の減少が、口渇を招く唾液腺での効果に対する膀胱での所望の効果の比率を改善できることを、示唆している。従って、ムスカリン性M2/m2受容体を越えるムスカリン性M3/m3受容体の選択性が、膀胱よりも唾液腺に対して際立った影響を与えることができるので、本発明に従う化合物は、in vivoでの唾液腺を越える尿管に対する抗ムスカリン性効果の機能的選択性を示す点で有用である。
【0122】
実施例12 本発明に従うその他の化合物の調製
本発明に従うその他の化合物は、実施例1〜10に記載の一般的方法を用いて、好適な出発化合物を使用して容易に合成した。出発化合物は、上の情報を用いて当業者により選択することができる。
【0123】
特に、5-トリフルオロメチル基は、場合によりC1-C4アルキルで置換されたトリハロメチル及びモノ−又はジハロメチルを含む、本発明に従う位置での対応する任意の基と交換できる。このC1-C4アルキルは場合によりハロゲンで置換される。
【0124】
実施例13 CYP2D6代謝からの保護
[14C]-標識N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミンを実施例1〜9の一般的方法に準じて合成した。約10μMの当該化合物を、100 mM リン酸カルシウム緩衝液(pH 7.4)及び1 mM P-NADPH中に酵素P450 CYP2D6 (20 pmol)を含むミクロソームで、37℃で、最終体積250μlで20分間インキュベートした。
【0125】
親薬物及び標準的方法を用いるHPLCによるその代謝について、インキュベーションを解析した。得られたラジオクロマトグラムから各代謝物の量を計算した。生成した代謝物の保持時間を、合成した基準対照物の保持時間と比較し、生成した代謝物の同一性を電子スプレイイオン化質量分析法によって更に確認した。本発明に従う化合物は、5-トリフルオロメチル置換基で容易にはヒドロキシル化されなかった。
【0126】
従って、本発明に従う3,3-ジフェニルプロピルアミンは、酵素P450 CYP2D6で酸化される傾向が高くない。3,3-ジフェニルプロピルアミン、例えばトルテロジンの酸化は、一般的に、対象間の薬物毒力学的変化を招く低代謝能群及び高代謝群間の薬物動力学的相違に重要な要因として有力である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

[式中、
R1は-H又は-CH3を示し;
R2は-CX3、-CR2-1X2、-CR2-1R2-2X又は-CR2-1R2-2H
(ここで、Xはハロゲンを示し、R2-1及びR2-2は独立して、場合によりハロゲンで置換されていてもよい-H又は-(C1-C4アルキル)を示す。)
を示し;
R3及びR4は独立して、1又は2個の-OH、-(Cl-C4アルコキシ)、-COOH又は-CO-0-(C1-C3アルキル)によって置換されていてもよい-H、-OCH3、-OH、-CONH2、-S02NH2、-F、-Cl、-Br、-I、-CF3又は-(C1-C4アルキル)を示し;及び
R5及びR6は独立して、場合によりヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-C6アルキルを示す、ここで、R5及びR6は、少なくとも3個の炭素原子を含み、R5及びR6はアミン窒素と一緒になって環を形成してもよい;
但し、R2は少なくとも1個のハロゲンを含む。]
で表される3,3-ジフェニルプロピルアミン及びその任意の立体異性体又は生理的に許容されるその酸付加塩。
【請求項2】
前記R2基が、通常のフェニル環構造においてOR1基の反対側に位置している、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項3】
Xがフッ素原子を示す、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項4】
R2が-CX3を示す、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項5】
R3及びR4の少なくとも1つが-Hを示す、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項6】
R3及びR4がいずれも-Hを示す、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項7】
R5及びR6の少なくとも1つがC1-C3アルキルを示す、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項8】
R5及びR6の少なくとも1つがイソプロピルを示す、請求項7記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項9】
R5及びR6がいずれもイソプロピルを示す、請求項7記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項10】
炭素原子の立体中心が(R)である、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項11】
炭素原子の立体中心が(S)である、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項12】
立体異性体の混合物の形態で存在する、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項13】
N,N-ジイソプロピル-3-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン;N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン;及び、N,N-ジイソプロピル-3-(2-ヒドロキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)-3-フェニルプロパンアミン 酒石酸塩からなる群より選ばれる、請求項1記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量及びそのための好適な医薬担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
医薬として使用するための、請求項1〜13のいずれか1項記載の3,3-ジフェニルプロピルアミン。
【請求項16】
泌尿器疾患を治療するための医薬の製造のための、請求項1〜13のいずれか1項記載の3,3-ジフェニルプロピルアミンの使用。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項記載の3,3-ジフェニルプロピルアミンの治療上有効量を泌尿器疾患の治療を必要としている哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む当該哺乳動物の泌尿器疾患の治療方法。

【公表番号】特表2006−524677(P2006−524677A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506554(P2006−506554)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001333
【国際公開番号】WO2004/096751
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(504396379)ファルマシア・アンド・アップジョン・カンパニー・エルエルシー (130)
【Fターム(参考)】