説明

抗体、ポリペプチドおよびその使用

【課題】MRを阻害し、または血管新生を阻害するのに用いることができる、MRに結合する部分を提供する。
【解決手段】本発明の第1の態様により、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、ヒトマジックラウンドアバウト(MR)の細胞外領域に選択的に結合する抗体を該個体に投与する工程を含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体およびポリペプチド、および特にECSM4抗体および血管新生を阻害するポリペプチドおよびこれらのそのための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
内皮細胞は、すべての血管を裏打ちし、血流と周囲組織との間の交換を調節する単細胞層を形成している。新たな血管は、既存の小血管壁から、培養中に単離されているときでさえ中空の毛細血管を形成する能力のあるこれらの内皮細胞の伸長により生じる。in vivoでは、損傷組織およびある種の腫瘍が近くの内皮細胞に新たな毛細血管の芽を構築するよう刺激する因子を分泌することにより血液供給を誘引する。血液供給を誘引することができない腫瘍はその増殖が大幅に制限される。
【0003】
新たな血管が、毛細血管として既存の小血管壁から発芽する過程を血管新生と呼ぶ。したがって、血管新生は、正常組織の成長および修復、ならびにある種の病態の進行に主要な役割を演じていると思われる。
【0004】
一度血管系が完全に成長すると、血管の内皮細胞は、通常休止したままであり、自然な創傷治癒における新たな血管の形成を除き、新たな血管形成はない。しかしながら、血管増殖の脱制御、および血管密度の異常な増加が、腫瘍発生、糖尿病性網膜症、乾癬および炎症などの疾患または状態において生じる場合がある。したがって、不適切なまたは不所望な血管新生を抑制する能力は、これらの疾患または状態の処置に有用であり得る。
【0005】
ヒトマジックラウンドアバウト(magic roundabout)(MR;内皮細胞特異分子4、ECSM4としても知られる)は、内皮細胞に高度に選択的な発現プロファイルを有することが先に示されている(Huminiecki & Bicknell(2000)、Genome Research、10、1796〜1806;およびWO02/36771)。in vivoでのMRの発現は、活性な血管新生部位、特に腫瘍血管に限定されていることが示された(Huminieckiら(2002)Genomics、 79(4)、547〜552)。
【0006】
この情報に基づき、WO02/36771では、抗体などのMRに結合する部分、およびさらなる機能的な部分を含む複合物が、血管上皮のイメージング、血管内皮に関連する状態の診断または予後判定、抗血管新生治療の効果の評価、内皮損傷の検出、腫瘍または腫瘍新生血管または心臓病または子宮内膜症またはアテローム性動脈硬化症の検出、癌、感染、糖尿病性網膜症、アテローム性動脈硬化症または月経過多などの、血管内皮に関連する増殖性疾患の処置、血管内皮細胞への遺伝子材料の導入、および血管新生の調節を含む、種々の医学的な目的のために有用であり得ることが示唆されている。
【0007】
例えば、WO02/36771は、抗体などのMRに結合する部分、および血管新生の阻害剤などのさらなる部分を含む複合物を教示している(27頁)。WO02/36771はまた、抗体などのMRに結合する部分、および新生血管の成長を破壊または遅延または逆転させる細胞毒性部分などのさらなる部分を含む複合物を教示している(35ページ)。
【0008】
しかしながら、それぞれのケースにおいて、MRに結合する部分は、機能的部分を、使用するための所望の内皮の位置に単に導くに過ぎない。WO02/36771は、MRに結合する部分が、MRを阻害し、または血管新生を阻害するのに用いることができることはもちろん、それがそれ自体機能的であることを示唆してはいない。
【0009】
我々は今回、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体が、血管新生の阻害をもたらすことを示した。
【0010】
WO02/36771には、71〜72頁にわたる段落において、MRを刺激または活性化する抗体、およびMRの刺激および活性化を防止する抗体のいずれもが血管新生を調節するのに用いることができることが記載されている。しかしながら、それは、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体が、血管新生を阻害するのに用いることができることを示唆してはいない。さらに、発明者の知る限りでは、WO02/36771も、他のいかなる文献も、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体が実際に血管新生を阻害するという証拠を何ら示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO02/36771
【特許文献2】米国特許第6,225,118B1号
【特許文献3】WO96/06641
【特許文献4】米国特許第4,348,376号
【特許文献5】米国特許第4,440,859号
【特許文献6】米国特許第4,530,901号
【特許文献7】米国特許第4,582,800号
【特許文献8】米国特許第4,677,063号
【特許文献9】米国特許第4,678,751号
【特許文献10】米国特許第4,704,362号
【特許文献11】米国特許第4,710,453号
【特許文献12】米国特許第4,757,006号
【特許文献13】米国特許第4,766,075号
【特許文献14】米国特許第4,810,648号
【特許文献15】WO94/10323
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Huminiecki & Bicknell(2000)、Genome Research、10、1796〜1806
【非特許文献2】Huminieckiら(2002)Genomics、79(4)、547〜552
【非特許文献3】Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81、6851〜6855
【非特許文献4】Betterら(1988)Science 240、1041
【非特許文献5】Skerraら(1988)Science 240、1038
【非特許文献6】Birdら(1988)Science 242、423
【非特許文献7】Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、5879
【非特許文献8】Wardら(1989)Nature 341、544
【非特許文献9】Winter & Milstein(1991)Nature 349、293〜299
【非特許文献10】J.Hustonら.、(1988)「Protein engineering of antibody binding sites:recovery of specific activity in an anti-digoxin single chain Fv analogue produced in E.coli」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、pp.5879〜5883
【非特許文献11】A.Pluckthun、(June 1991)「Antibody engineering:Advances from use of E.coli expression systems」、Bio/technology vol 9
【非特許文献12】「Monoclonal Antibodies:A manual of techniques」、H Zola(CRC Press、1988)
【非特許文献13】「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Application」、SGR Hurrell(CRC Press、1982)
【非特許文献14】Neubergerら(1998、8th International Biotechnology Symposium Part 2、792〜799)
【非特許文献15】M.Verhoeyen、C.Milstein and G.Winter(1988)「Reshaping human antibodies:Grafting an antilysozyme activity」、Science、239、1534〜1536
【非特許文献16】C.Kettleboroughら、(1991)「Humanisation of a mouse monoclonalantibody by CDR grafting:The importance of framework residues in loop conformation」、Protein Engineering、14(7)、773〜783
【非特許文献17】Vaughanら(1998)Nature Biotechnol.16、535〜539
【非特許文献18】Bauminger & Wilchek(1980)Methods Enzymol.70、151〜159
【非特許文献19】Burrows & Thorpe(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、8996〜9000
【非特許文献20】Ranら(1998)Cancer Res.58、4646〜4653
【非特許文献21】Huangら(1997)Science 275、547〜550
【非特許文献22】Tsaiら(1995)Dis.Colon Rectum 38、1067〜1074
【非特許文献23】Aielloら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92、10457〜10461
【非特許文献24】Senter、P.D.ら(1988)「Anti-tumor effects of antibody-alkaline phosphatase conjugates in combination with etoposide phosphate」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、4842〜4846:Bagshawe(1987)Br.J.Cancer 56、531〜2
【非特許文献25】Bagshawe、K.D.ら(1988)「A cytotoxic agent can be generated selectively at cancer sites」、Br.J.Cancer.58、700〜703
【非特許文献26】Bagshawe(1995)Drug Dev.Res.34、220〜230
【非特許文献27】Rodrigues、M.L.ら(1995)Chemistry & Biology 2、223
【非特許文献28】O'Sullivanら(1979)Anal.Biochem.100、100〜108
【非特許文献29】McGinnら(1996)J.Natl.Cancer Inst.88、1193〜11203
【非特許文献30】Shewach & Lawrence(1996)Invest.New Drugs 14、257〜263
【非特許文献31】Horsman(1995)Acta Oncol.34、571〜587
【非特許文献32】Shenoy & Singh(1992)Clin.Invest.10、533〜551
【非特許文献33】Mitchellら(1989)Int.J.Radiat.Biol.56、827〜836
【非特許文献34】Iliakis & Kurtzman(1989)Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.16、1235〜1241
【非特許文献35】Brown(1989)Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.16、987〜993
【非特許文献36】Brown(1985)Cancer 55、2222〜2228
【非特許文献37】Langら(1998)J.Neurosurg.89、125〜132
【非特許文献38】Coco Martinら(1999)Cancer Res.59、1134〜1140
【非特許文献39】Primusら(1996)Bioconjug.Chem.7、532〜535
【非特許文献40】Doughertyら(1998)J.Natl.Cancer Inst.90、889〜905
【非特許文献41】Zieglerら(1997)J.Natl.Cancer Inst.89、1027〜1036
【非特許文献42】Leeら(1996)Anticancer Res.16、1805〜1811
【非特許文献43】Knudsen & Nielsen(1997)Anticancer Drugs 8、113〜118
【非特許文献44】Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Comm.80、49〜57
【非特許文献45】「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」、J-F Chatal、CRC Press、1989
【非特許文献46】Saikiら(1988)Science 239、487〜491
【非特許文献47】Kuriyamaら(1991)Cell Struc.and Func.16、503〜510
【非特許文献48】Culverら(1992)Science 256、1550〜1552
【非特許文献49】Miller & Vile(1995)Faseb J、9、190〜199
【非特許文献50】Naessanderら(1992)Cancer Res.52、646〜653
【非特許文献51】Martin & Papahadjopoulos(1982)J.Biol.Chem.257、286〜288
【非特許文献52】Curiel Prog.Med.Virol.40、1〜18
【非特許文献53】Wagnerら(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、3410〜3414
【非特許文献54】Cottonら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、6094〜6098
【非特許文献55】Ledley(1995)Human Gene Therapy 6、1129〜1144
【非特許文献56】Michaelら(1995)Gene Therapy 2、660〜668
【非特許文献57】Bischoffら(1996)Science 274、373〜376
【非特許文献58】Rupnick、M.A.ら(2002)PNAS USA 99(16):10730〜10735
【非特許文献59】Goetze、S.ら(2002)Hypertension 40(5):748〜754
【非特許文献60】Sierra-Honigmann、M.R.ら(1998)Science 281:1683
【非特許文献61】Boyle、J.S.、A.Silva、ら(1997)「DNA immunization:induction of higher avidity antibody and effect of route on T cell cytotoxicity.」Proc Natl Acad Sci USA 94(26):14626〜31
【非特許文献62】Biometrics、1977、33(1)、159〜174
【非特許文献63】Hori Y.ら(1996)「Differential effects of angiostatic steroids and dexamethasone on angiogenesis and cytokine levels in rat sponge implants」、Br.J.Pharmacol.118(7):1584〜1591
【非特許文献64】Cross & Claesson-Welsh、2001 Trends Pharmacol Sci.22(4):201〜207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の第1の態様により、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、ヒトマジックラウンドアバウト(MR)の細胞外領域に選択的に結合する抗体を該個体に投与する工程を含む方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
「血管新生を阻害する」により、我々は、血管新生の速度またはレベルを低減するという意味を含める。低減は、血管新生の速度またはレベルの約10%、または約20%、または約30%、または約40%の低レベルの低減であってもよい。好ましくは、低減は、血管新生の速度またはレベルの約50%、または約60%、または約70%、または約80%の中レベルの低減である。より好ましくは、低減は、血管新生の速度またはレベルの約90%、または約95%、または約99%、または約99.9%、または約99.99%の高レベルの低減である。最も好ましくは、阻害は、血管新生の消去またはその検出不能なレベルへの低減をも含むことができる。
【0015】
血管新生の速度またはレベルを決定するための、したがって、抗体が血管新生を阻害するか否か、およびどの程度まで阻害するかを決定するための方法およびアッセイは、当該技術分野で知られている。
【0016】
例えば、本明細書に参照として組み込むGrantらに対する米国特許第6,225,118B1号には、血管新生の複合的なステージ、すなわち、細胞成長における増殖、遊走および分化ステージをモデル化するための多細胞in vitroアッセイが記載されている。
【0017】
TCS CellWorks Ltd、BuckinghamMK18 2LR、UKによるAngioKit、カタログ番号ZHA-1000は、試験化合物の血管新生または抗血管新生特性を分析するための、好適なヒト血管新生モデルである。
【0018】
血管新生の速度またはレベルは、実施例2に記載された大動脈輪アッセイを用いて決定することもできる。
【0019】
好ましくは、抗体はin vivoにおいても、特に哺乳類において、および最も好ましくはヒトにおいて血管新生を阻害する。
【0020】
「MR」により、我々は、ヒトマジックラウンドアバウト遺伝子の遺伝子産物(ECSM4としても知られている)および天然に存在するその変異体を含める。MRのcDNAおよびアミノ酸配列は、Genbankアクセッション番号AF361473およびAAL31867に見出され、および図1に示されている(それぞれ配列番号1および2)。
【0021】
MRは膜貫通型タンパク質であり、細胞外領域を残基1〜467(配列番号3)に、膜貫通領域を残基468〜490に、細胞内領域を残基491〜1007に有することが予想されている(Huminieckiら、2002)。MRの細胞外領域は、残基46〜116(配列番号5)のIgAドメインと、残基151〜209(配列番号6)のIgBドメインとにさらに細分できる免疫グロブリン(Ig)領域を残基46〜209(配列番号4)に、2つのフィブロネクチンタイプIIIドメインを残基252〜335(配列番号7)および347〜432(配列番号8)に有する。MRのアミノ酸残基のナンバリングはAF361473、AAL31867および図1Bに示されたものである。
【0022】
MRの特定のドメインまたは領域を「選択的に結合する」抗体により、我々は、抗体が、Igドメインなどの特定のドメインを、MRの他の任意の領域に関してよりも大きな親和性で結合するという意味を含める。好ましくは、抗体は、MRの特定のドメインを、MRの他の任意の領域よりも少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍または少なくとも50倍大きな親和性で結合する。より好ましくは、抗体は、MRの特定のドメインを、MRの他の任意の領域よりも少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍、または少なくとも10,000倍大きな親和性で結合する。かかる結合は、当該技術分野でよく知られた方法で決定することができる。好ましくは、抗体は、MR内の特定のエピトープを選択的に結合し、他のエピトープとは結合しない。
【0023】
好ましくは、抗体を個体に投与した場合、抗体は、MRを特定のドメインにおいて、当該個体中の任意の他の分子に関してよりも大きな親和性で結合する。好ましくは、該剤は、MRを特定のドメインにおいて、個体中の他の任意の分子よりも少なくとも2倍、または少なくとも5倍、または少なくとも10倍または少なくとも50倍大きな親和性で結合する。より好ましくは、該剤はMRを特定のドメインにおいて、個体中の他の任意の分子よりも少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍、または少なくとも10,000倍大きな親和性で結合する。
【0024】
血管新生の阻害は、不要な、望ましくない、または不適切な血管新生を伴う任意の疾患または状態を治癒するのに有用であり得る。かかる状態は、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症を包含する。
【0025】
癌によって、カポジ肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、固形癌(原発性、および二次性(転移)の両方)、血管腫(毛細血管腫、および若年性(小児)血管腫の両方)を含む血管の腫瘍、血管腫症、血管芽腫が含まれる。
【0026】
本発明の方法によって処置され得る腫瘍は、新たな血管の生成と関連する、任意の腫瘍を含む。
【0027】
語「腫瘍」は、あらゆる形態の新生物性の細胞増殖に関連することとして理解されるものであり、肺、肝臓、血液細胞、皮膚、膵臓、胃、大腸、前立腺、子宮、乳房、リンパ腺、および膀胱の腫瘍を含む。固形腫瘍が特に好適である。しかしながら、白血病およびリンパ腫を含む血液の癌はまた、現在新たな血管形成を伴うと考えられており、本発明の方法によって治療され得る。
【0028】
本発明はしたがって、個体における腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒する方法を含み、該方法は、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体を個体に投与する工程を含む。
【0029】
「治癒する」により、我々は、該方法を、疾患の症状を軽減するために用いること(すなわち、該方法を緩和的に用いること)、または疾患を処置するために用いること、または疾患を予防するために用いること(すなわち、該方法を予防的に用いること)ができるという意味を含める。
【0030】
したがって、本発明は、血管新生が病状に寄与する疾患を有する患者を処置する方法であって、患者にMRの細胞外領域に選択的に結合する抗体を投与する工程を含む方法を含む。
【0031】
典型的には、疾患は、望ましくない新生血管形成に関連し、その治療は、これを問題のない程度に減少させる。
【0032】
治療(処置)は、ヒトまたは動物に対するものであってもよい。好ましくは、本発明の方法はヒトを処置するために用いられる。
【0033】
「抗体」によって、我々は免疫グロブリン分子全体だけでなく、Fab、F(ab')2、Fvなどのその断片、および抗原結合部位を保持したその他の断片もまた含める。同様に、「抗体」という語は、単鎖Fv分子(scFv)やドメイン抗体(dAbs)などの遺伝子操作された抗体の派生物を含む。その語は、また抗体様の分子を含み、これはMRまたはMRの特定領域に結合する分子のためのファージディスプレイ技術または他のランダム選択技術を利用して産生され得る。したがって、抗体という語は、天然の抗体の認識部位(すなわち、エピトープまたは抗原に結合するまたは結び付く抗体の部分)の一部である構造、好ましくはペプチド構造を含むすべての分子を含む。
【0034】
抗体の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域は抗原認識に関わっているが、これは初期のプロテアーゼ消化実験によって最初に認識された事実である。さらなる確認は、げっ歯類の抗体の「ヒト化」によってなされた。げっ歯類起源の可変領域は、ヒト起源の定常領域に融合され得、結果生じた抗体は、げっ歯類のもとの抗体の抗原特異性を保持する(Morrisonら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81、6851〜6855)。
【0035】
抗原特異性が、可変領域によって与えられ、定常領域とは独立していることは、すべて1つまたは複数の可変領域を含む抗体断片の、バクテリアによる発現を伴った実験によって知られている。これらの分子は、Fab様分子(Betterら(1988)Science 240、1041);Fv分子(Skerraら(1988)Science 240、1038):VHおよびVLパートナー領域がフレキシブルなオリゴペプチドを介して連結している単鎖Fv(ScFv)分子(Birdら(1988)Science 242、423:Hustonら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、5879)、および単離されたV領域を含む単独ドメイン抗体(dAbs)(Wardら(1989)Nature 341、544)を含む。特異的な結合部位を保持した抗体断片の合成に関する技術の一般的な総説は、Winter & Milstein(1991)Nature 349、293〜299に見出される。
【0036】
「ScFv分子」によって、我々はVHおよびVLパートナー領域が、フレキシブルなオリゴペプチドを介して連結した分子を意味する。ScFv抗体などの操作された抗体は、本明細書に参照により組み込まれるJ.Hustonら、(1988)「Protein engineering of antibody binding sites:recovery of specific activity in an anti-digoxin single chain Fv analogue produced in E.coli」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85、pp.5879〜5883、およびA.Pluckthun、(June 1991)「Antibody engineering:Advances from use of E.coli expression systems」、Bio/technology vol 9に記載された技術およびアプローチを用いて作製することができる。
【0037】
抗体全体より、むしろ抗体断片を使用することは数倍の優位性がある。断片のより小さなサイズは、標的部位へのよりよい浸透などの、改良された薬理的な性質をもたらし得る。補体結合などの、抗体全体のエフェクター機能は除かれる。Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片をすべて、大腸菌において発現させ、大腸菌から分泌することが可能であり、このようにして上記の断片の大量を容易に生産することが可能となる。
【0038】
抗体全体、およびF(ab')2断片は、「二価」である。「二価」によって、我々は、上記の抗体およびF(ab')2断片が、2つの抗原結合部位をもつことを意味する。対照的に、Fab、Fv、ScFvおよびdAb抗体断片は一価であり、抗原結合部位を1つのみもつ。
【0039】
抗体は、ポリクローナル抗体であってよいが、モノクローナル抗体であると好ましい。ある状況では、特に抗体がヒトの患者に繰り返し投与されるものであれば、モノクローナル抗体が、ヒトのモノクローナル抗体またはヒト化されたモノクローナル抗体であると好ましい。
【0040】
本明細書に記載のような反応性の好適なモノクローナル抗体は、既知の技術によって、例えば、「Monoclonal Antibodies:A manual of techniques」、H Zola(CRC Press、1988)および「Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Application」、SGR Hurrell(CRC Press、1982)に開示されている技術によって調製し得る。生成され得るポリクローナル抗体は、多特異的か、または単一特異的である。ポリクローナル抗体は、単一特異的であることが好ましい。
【0041】
キメラ抗体は、Neubergerら(1998、8th International Biotechnology Symposium Part 2、792〜799)によって議論されている。
【0042】
抗体は、ヒト化抗体であると好ましい。適切に調製された非ヒト抗体は、既知の方法、例えばマウス抗体のCDR領域をヒト抗体の枠組みへ挿入することで「ヒト化」することができる。ヒト化抗体は、本明細書に参照により組み込まれるM.Verhoeyen、C.Milstein and G.Winter(1988)「Reshaping human antibodies:Grafting an antilysozyme activity」、Science、239、1534〜1536、およびC.Kettleboroughら、(1991)「Humanisation of a mouse monoclonalantibody by CDR grafting:The importance of framework residues in loop conformation」、Protein Engineering、14(7)、773〜783、に記載されている技術およびアプローチを用いて作製することができる。
【0043】
抗体は、それらが、ヒト抗MR抗体のアミノ酸配列を有するという意味においてヒト抗体であり得るが、それらはヒトの免疫を必要としない当該技術分野で知られている方法を用いて調製され得る。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を実質的に含むトランスジェニックマウスが利用可能である(Vaughanら (1998)Nature Biotechnol.16、535〜539参照)。
【0044】
本発明の第2の態様は、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用を提供する。
【0045】
この医薬は、不要なまたは不適切な血管新生を伴う任意の疾患または状態を治癒するのに有用であり得る。かかる状態は、本発明の第1の態様に関して上記したものを含む。
【0046】
本発明は、したがって、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体の、腫瘍/癌、特に固形腫瘍、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒するための医薬の調製への使用を含む。
【0047】
本発明の第3の態様は、血管新生を阻害するin vitroにおける方法であって、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体を、in vitroで組織または細胞に投与する工程を含む方法を提供する。細胞は、樹立された細胞系、または個体から取り出された細胞であってもよい。組織または細胞は、好ましくは哺乳類の組織または細胞であり、最も好ましくはヒトの組織または細胞である。
【0048】
本発明の最初の3つの態様のそれぞれの実施形態において、抗体は、MRのIg領域に選択的に結合する。MRのIg領域は、MRの残基46〜209(図3、配列番号4)に位置する。
【0049】
1つの好ましい実施形態においては、抗体は、MRの残基46〜116(図4A、配列番号5)に位置するMRのIgAドメインに選択的に結合する。
【0050】
代替可能な好ましい実施形態においては、抗体は、MRの残基151〜209(図4B、配列番号6)に位置するMRのIgBドメインに選択的に結合する。
【0051】
本発明の最初の3つの態様のそれぞれの実施形態において、抗体は、以下のCDRを組み込んだ、少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する:
CDR1:SASSSVSYMY(配列番号9)
CDR2:LTSNLAS(配列番号10)
CDR3:QQWSSNPLT(配列番号11)。
【0052】
より具体的な実施形態においては、抗体は、アミノ酸配列:
QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)
を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有していてもよい。
好ましくは、軽鎖はカッパ軽鎖である。
【0053】
本発明の最初の3つの態様のそれぞれの実施形態において、抗体は、以下のCDRを組み込んだ、少なくとも1つの重鎖可変領域を有する:
CDR1:DYNLN(配列番号13)
CDR2:VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
CDR3:GRDYFGY(配列番号15)。
【0054】
より具体的な実施形態においては、抗体は、アミノ酸配列:
QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16および17)、
(ここで、K/QはKまたはQのいずれかがその位置に存在することを意味する(Kは配列番号16に存在し、一方Qは配列番号17に存在する))
を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を有していてもよい。
【0055】
より一層特定な実施形態においては、抗体は少なくとも1つの上記に定義したとおりの軽鎖可変領域と、少なくとも1つの上記に定義したとおりの重鎖可変領域とを有する。
【0056】
本発明の第4の態様は、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、該個体に上記に定義した抗体をコードするポリヌクレオチドを投与する工程を含む方法を提供する。
【0057】
本発明の第5の態様は、上記に定義した抗体をコードするポリヌクレオチドの、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用を提供する。
【0058】
本発明の第6の態様は、上記に定義した抗体をコードするポリヌクレオチドをin vitroで組織または細胞に投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitroにおける方法を提供する。
【0059】
本発明の第7の態様は、アミノ酸配列i)からiii)、アミノ酸配列iv)からvi)、または好ましくはアミノ酸配列i)からvi)を含む抗体を提供する:
i) SASSSVSYMY(配列番号9)
ii) LTSNLAS(配列番号10)
iii)QQWSSNPLT(配列番号11)
iv) DYNLN(配列番号13)
v) VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
vi) GRDYFGY(配列番号15)。
【0060】
抗原への結合の特異性を決定するCDRは実験的に決定することができるが、多くのケースにおいて、IgH CDR3が最も重要なCDR領域であることが証明された。本発明は、したがって、アミノ酸配列GRDYFGY(配列番号15)を有するIg重鎖CDR3領域を有する抗体を含む。
【0061】
好ましくは、抗体は、MRの細胞外領域(MRの残基1〜467、図2B、配列番号3)に選択的に結合し、MRへの選択的な結合は、これらのアミノ酸配列の存在により与えられる。好ましくは、抗体はMRの機能を阻害する。かかる機能は、リガンド結合の阻害、他の細胞表面分子との相互作用、および受容体の活性化の阻害を含む。
【0062】
好ましくは、抗体は、以下のCDRを組み込んだ少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する:
CDR1:SASSSVSYMY(配列番号9)
CDR2:LTSNLAS(配列番号10)
CDR3:QQWSSNPLT(配列番号11)。
【0063】
より好ましくは、抗体は、アミノ酸配列:
QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)
を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する。
好ましくは、軽鎖はカッパ軽鎖である。
【0064】
好ましくは、抗体は、以下のCDRを組み込んだ少なくとも1つの重鎖可変領域を有する:
CDR1:DYNLN(配列番号13)
CDR2:VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
CDR3:GRDYFGY(配列番号15)。
【0065】
より好ましくは、抗体は、アミノ酸配列:
QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16および17)
を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する。
【0066】
より一層好ましくは、抗体は、上記本発明の第7の態様に定義された少なくとも1つの軽鎖可変領域と、上記本発明の第7の態様に定義された少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する。
【0067】
最も好ましくは、抗体は、アミノ酸配列:
QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)
を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域と、アミノ酸配列:
QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16および17)
を含む少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する。
【0068】
抗体がヒト化抗体であると好ましい。
抗体が、以下のCDRを有するヒト化抗体であればさらに好ましい:
軽鎖CDR1:SASSSVSYMY(配列番号9)
軽鎖CDR2:LTSNLAS(配列番号10)
軽鎖CDR3:QQWSSNPLT(配列番号11)
重鎖CDR1:DYNLN(配列番号13)
重鎖CDR2:VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
重鎖CDR3:GRDYFGY(配列番号15)。
【0069】
本発明の第8の態様は、アミノ酸配列:
QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)
を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域と、アミノ酸配列:
QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16およびl7)
を含む少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する抗体により選択的に結合されるMRエピトープに選択的に結合する抗体を提供する。
【0070】
別の定義された(defined)抗体により選択的に結合されるMRエピトープに選択的に結合する抗体により、我々は、該定義された抗体に競合する抗体を含める。かかる抗体は、例えば、競合結合アッセイ、好ましくは、当業者によく知られたハイスループット結合アッセイを用いて決定することができる。好適なアッセイは、クロス競合(cross-competition)ELISAを含み、そこでは、MRの細胞外断片を定義された抗体と試験抗体と共にインキュベートし、試験抗体がMRエピトープへの結合に関して、定義された抗体と競合するか否かを決定する。
【0071】
本発明の第9の態様は、本発明の第7または第8の態様で定義した抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0072】
1つの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列:
i) AGT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TAC ATG TAC(配列番号18)
ii) TCT CAC ATC CAA CCT GGC TTC T(配列番号19)
iii)CAG CAG TGG AGT AGT AAC CCA CTC ACG(配列番号20)
のうちの少なくとも1つを含む。
【0073】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列i)、ii)およびiii)のうちの2つまたは3つすべてを含む。
【0074】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列:
CAA ATT GTT CTC ACC CAG TCT CCA GCA CTC ATG TCT GCA TCT CCA GGG GAG AAG GTC ACC ATG ACC TGC AGT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TAC ATG TAC TGG TAC CAG CAG AAG CCA AGA TCC TCC CCC AAA CCC TGG ATT TAT CTC ACA TCC AAC CTG GCT TCT GGA GTC CCT GCT CGC TTC AGT GGC AGT GGG TCT GGG ACC TCT TAC TCT CTC ACA ATC AGC AGC ATG GAG GCT GAA GAT GCT GCC ACT TAT TAC TGC CAG CAG TGG AGT AGT AAC CCA CTC ACG TTC GGT GCT GGG ACC AAG CTG GAG CTG AAA(配列番号21)
を含む。
【0075】
代替的なまたは追加の実施形態においては、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列:
iv)GAC TAC AAC CTG AAC(配列番号22)
v) GTA ATT AAT CCA AAC TAT GGT ACT AGT TAC AAT CAG AAG TTC AAG GGC(配列番号23)、および
vi)GGG AGG GAT TAC TTC GGC TAC(配列番号24)
の少なくとも1つを含む。
【0076】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列iv)、v)およびvi)のうちの2つまたは3つすべてを含む。
【0077】
好ましくは、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列:
CAG GTC AAG(またはA/CAA)CTG CAG GAG TCA GGA CCT GAG CTG GTG AAG CCT GGC GCT TCA GTG AAG ATA TCC TGC AAG GCT TCT GGT TAC TCA CTC ACT GAC TAC AAC CTG AAC TGG GTG AAG CAG AAC AAA GGA AAG AGC CTT GAG TGG ATT GGA GTA ATT AAT CCA AAC TAT GGT ACT AGT TAC AAT CAG AAG TTC AAG GGC AAG GCC ACA TTG ACT GTA GAC CAA TCT TCC AGC ACA ACC TAC ATG CAG CTC AAC AGC CTG ACA TCT GAG GAC TCT GCA GTC TAT TAC TGT GCA AGA GGG AGG GAT TAC TTC GGC TAC TGG GGC CAA GGG ACC ACG GTC ACC GTC TCC TCA
を含む。
(3番目のコドンにAAGを有するポリヌクレオチドが配列番号25であり、3番目のコドンにAAAを有するポリヌクレオチドが配列番号26であり、3番目のコドンにCAAを有するポリヌクレオチドが配列番号27である)。
【0078】
最も好ましくは、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つのヌクレオチド配列:
CAA ATT GTT CTC ACC CAG TCT CCA GCA CTC ATG TCT GCA TCT CCA GGG GAG AAG GTC ACC ATG ACC TGC AGT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TAC ATG TAC TGG TAC CAG CAG AAG CCA AGA TCC TCC CCC AAA CCC TGG ATT TAT CTC ACA TCC AAC CTG GCT TCT GGA GTC CCT GCT CGC TTC AGT GGC AGT GGG TCT GGG ACC TCT TAC TCT CTC ACA ATC AGC AGC ATG GAG GCT GAA GAT GCT GCC ACT TAT TAC TGC CAG CAG TGG AGT AGT AAC CCA CTC ACG TTC GGT GCT GGG ACC AAG CTG GAG CTG AAA(配列番号21)、
および少なくとも1つのヌクレオチド配列:
CAG GTC AAG(またはA/CAA)CTG CAG GAG TCA GGA CCT GAG CTG GTG AAG CCT GGC GCT TCA GTG AAG ATA TCC TGC AAG GCT TCT GGT TAC TCA CTC ACT GAC TAC AAC CTG AAC TGG GTG AAG CAG AAC AAA GGA AAG AGC CTT GAG TGG ATT GGA GTA ATT AAT CCA AAC TAT GGT ACT AGT TAC AAT CAG AAG TTC AAG GGC AAG GCC ACA TTG ACT GTA GAC CAA TCT TCC AGC ACA ACC TAC ATG CAG CTC AAC AGC CTG ACA TCT GAG GAC TCT GCA GTC TAT TAC TGT GCA AGA GGG AGG GAT TAC TTC GGC TAC TGG GGC CAA GGG ACC ACG GTC ACC GTC TCC TCA(配列番号25〜27)
を含む。
【0079】
1つの実施形態においては、2つのコード領域は、同じポリヌクレオチド上、例えば、ScFv抗体の発現のためのポリヌクレオチド上にあってもよい。
【0080】
本発明の第10の態様は、MRのIg領域(残基46〜209、配列番号4)を選択的に結合するが、ペプチド LLQPPARGHAHDGQALSTDL(MRの残基91〜109、配列番号28)またはペプチドLSQSPGAVPQALVAWRA(MRの残基 165〜181、配列番号29)には選択的に結合しない抗体を提供する。
【0081】
1つの実施形態においては、本発明は、MRのIgA領域(残基46〜116、配列番号5)を選択的に結合するが、ペプチドLLQPPARGHAHDGQALSTDL(MRの残基91〜109、配列番号28)には選択的に結合しない抗体を含む。
【0082】
別の1実施形態においては、本発明は、MRのIgB領域(残基151〜209、配列番号6)を選択的に結合するが、ペプチドLSQSPGAVPQALVAWRA(MRの残基165〜181、配列番号29)には選択的に結合しない抗体を含む。
【0083】
本発明の第11の態様は、本発明の第10の態様に定義された抗体をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0084】
本発明の第12の態様は、上記本発明の第7、8および10の態様に定義された抗体と、細胞毒性部分とを含む化合物(compound)を提供する。
【0085】
細胞毒性部分は、新生血管系における細胞、あるいは新生血管系に非常に近接しており、かつこれに関連している細胞に対して、直接あるいは間接的に毒性を有することが好ましい。
【0086】
「直接的に細胞毒性を有する」によって、我々は、その部分がそれ自身、細胞毒性を有するものであるという意味を含める。「間接的に細胞毒性を有する」によって、我々は、その部分が、それ自体は細胞毒性は有しないけれども、例えば、さらなる分子に対するその作用によって、または、それに対するさらなる作用によって、細胞毒性を誘導することができるものであるという意味を含める。
【0087】
1つの実施形態において、細胞毒性部分は、細胞毒性化学療法剤である。細胞毒性化学療法剤は当該技術分野においてよく知られている。
【0088】
抗癌剤などの細胞毒性化学療法剤は、メクロレタミン(HN2)、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン)およびクロラムブシルなどのニトロジェンマスタードを含むアルキル化剤;ヘキサメチルメラミン、チオテパなどのエチレンイミンおよびメチルメラミン;ブスルファンなどのアルキルスルフォネート;カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(メチル-CCNU)およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン)などのニトロソウレア;およびデカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾール-カルボキサミド)などのトリアゼン;メトトレキセート(アメトプテリン)などの葉酸類似体;フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FUdR)およびシタラビン(シトシンアラビノシド)などのピリミジン類似体;およびメルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)およびペントスタチン(2'-デオキシコフォルマイシン)などのプリン類似体および関連する阻害剤を含める抗代謝産物を含む。ビンブラスチン(VLB)およびビンクリスチンなどのビンカアルカノイド;エトポシドおよびテニポシドなどのエピポドフィロトキシン;ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミスラマイシン)およびマイトマイシン(マイトマイシンC)などの抗生物質;L-アスパルギナーゼなどの酵素;およびインターフェロンアルフェノム(alphenomes)などの生物反応修飾物質を含める天然産物。シスプラチン(cis-DOP)およびカルボプラチンなどのプラチナ配位錯体;ミトキサントローネおよびアンスラサイクリンなどのアンスラセンジオン;ヒドロキシウレアなどの置換された尿素;プロカルバジン(N-メチルヒドラジン、MIH)などのメチルヒドラジン誘導体;およびミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミドなどの副腎皮質抑制剤;タキソールおよびその類似体/誘導体;およびフルタミドおよびタモキシフェンなどのホルモンアゴニスト/アンタゴニストを含むその他の薬剤。
【0089】
これらの薬剤の多くは、以前に抗体および他の標的部位送達剤に付加されており、したがって、これらの薬剤を含む本発明の化合物は、当業者によって容易に製造され得る。例えばカルボジイミド結合(carbodiimide conjugation)(Bauminger & Wilchek(1980)Methods Enzymol.70、151〜159;参照により本明細書に組み込む)を、ドキソルビシンを含む様々な薬剤を抗体に結合するために用いることができる。
【0090】
カルボジイミドは、一般式R-N=C=N-R'(式中RおよびR'は、脂肪族化合物または芳香族化合物であってもよい)を有する一群の化合物を含むものであり、ペプチド結合の合成に用いられる。調製手順は簡単であり、比較的迅速であり、穏やかな条件下で行われる。カルボジイミド化合物は、カルボキシル基を攻撃して、それらを遊離のアミノ酸にとって反応性の高い部位に変化させる。
【0091】
水溶性のカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)は、抗体に機能的な部分を結合させることにおいて特に有用であり、腫瘍ホーミングペプチドにドキソルビシンを結合させるために用いることができる。ドキソルビシンと抗体との結合は、ドキソルビシンによって供与されるアミノ基と、抗体またはペプチドなどの抗体によって供与されるカルボキシル基の存在を必要とする。
【0092】
ペプチド結合の直接の形成にカルボジイミドを用いることに加え、EDCはまた、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルなどの活性を有するエステルを調製するために用いることができる。アミノ基にのみ結合するNHSエステルは、次に、ドキソルビシンの1つのアミノ基によりアミド結合の形成を誘導するために用いることができる。EDCおよびNHSの組合せでの使用は、結合物形成の収率を高める目的で、結合に一般的に用いられる(Bauminger & Wilchek、supra、1980)。
【0093】
抗体に細胞毒性部分を結合させる他の方法を用いることもできる。例えば、過ヨウ素酸ナトリウム酸化後の、適切な反応物の還元的アルキル化は、グルタルアルデヒド架橋を行うことができるため、用いることができる。しかしながら、本発明の化合物を作製するために、どの方法が選択されるかに関わらず、決定は、抗体がそのターゲティング能力を維持し、付加された機能的分子がその関連する機能を維持するように行わなければならない。
【0094】
本発明のさらなる実施形態において、細胞毒性部分は、細胞毒性ペプチドまたはポリペプチド部分であり、それにより、我々は、細胞死を導く任意の部分を含める。細胞毒性ペプチドおよびポリペプチド部分は当該技術分野においてよく知られており、例えばリシン、アブリン、シュードモナス外毒素、組織因子などを含む。それらを抗体などのターゲティング部分に連結させる方法もまた、当該技術分野においてよく知られている。細胞毒性剤としてのリシンの使用は、参照により本明細書に組み込むBurrows & Thorpe(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、8996〜9000に開示されており、局所的な血液凝固および腫瘍の梗塞を生じる組織因子の使用は、Ranら(1998)Cancer Res.58、4646〜4653およびHuangら(1997)Science 275、547〜550により記載されている。Tsaiら(1995)Dis.Colon Rectum 38、1067〜1074は、モノクローナル抗体に結合されたアブリンA鎖について記載しており、参照により本明細書に組み込む。他のリボソーム不活化タンパク質は、細胞毒性剤としてWO96/06641に記載されている。シュードモナス外毒素もまた、細胞毒性を有するポリペプチド部分として用いることができる(例えば、Aielloら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92、10457〜10461を参照;参照により本明細書に組み込まれる)。
【0095】
TNFαおよびIL-2などのある種のサイトカインもまた、細胞毒性剤として有用であり得る。
【0096】
ある種の放射性原子もまた、十分量投与されれば細胞毒性を有し得る。したがって、細胞毒生部分は、使用する際、細胞毒性を奏するように標的部位に十分な量の放射活性を送達する放射性原子を含むことができる。適切な放射性原子は、リン-32、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、レニウム-186、レニウム-188、またはイットリウム-90あるいは隣接する細胞、オルガネラ、または核酸を破壊するに十分なエネルギーを発する他の任意の同位体を含む。好ましくは、本発明の化合物における同位体および放射性元素の密度は、4000cGy(好ましくは、少なくとも6000、8000あるいは10000cGy)を超える用量が標的部位、好ましくは標的部位における細胞およびそれらのオルガネラ、特に核へ運ばれるようなものである。
【0097】
放射性原子は、既知の方法で結合分子に付加することができる。例えばEDTAあるいは他のキレート化試薬を抗体に付加し、111Inまたは90Yを付加するのに用いることができる。チロシン残基は、125Iまたは131Iで標識することができる。
【0098】
細胞毒性部分は、好適な間接的に細胞毒性を有するポリペプチドであってもよい。特に好ましい実施形態において、間接的に細胞毒性を有するポリペプチドは、酵素活性を有し、かつ比較的無毒のプロドラッグを細胞毒性薬剤に変換することのできるポリペプチドである。ターゲティング部分が抗体である場合、このタイプのシステムは、しばしばADEPT(抗体指向性酵素プロドラッグ療法(Antibody-Directed Enzyme Prodrug Therapy))と呼ばれる。このシステムは、ターゲティング部分が酵素部分を患者の体内の所望の部位(すなわち、腫瘍と関連する新たな血管組織などの、MRを発現している部位)へ位置付けること、酵素が当該部位に局在化する時間を見越してから、酵素の基質であり、触媒反応の終産物が細胞毒性化合物であるプロドラッグを投与することを要する。このアプローチの目的は、所望の部位における薬剤濃度を最大化し、正常組織における薬剤濃度を最小化することである(Senter、P.D.ら(1988)「Anti-tumor effects of antibody-alkaline phosphatase conjugates in combination with etoposide phosphate」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、4842〜4846:Bagshawe(1987)Br.J.Cancer 56、531〜2;およびBagshawe、K.D.ら(1988)「A cytotoxic agent can be generated selectively at cancer sites」、Br.J.Cancer.58、700〜703を参照)。
【0099】
細胞毒性物質は、アルキル化剤、DNAに挿入される薬剤、ジヒドロ葉酸還元酵素、チミジンシンテターゼ、リボヌクレオチド還元酵素、ヌクレオチドキナーゼまたはトポイソメラーゼなどの任意の鍵酵素を阻害する薬剤、あるいは任意の他の細胞構成物と相互作用することによって細胞死を引き起こす薬剤などの、任意の既に存在する抗癌剤であってもよい。エトポシドは、トポイソメラーゼ阻害剤の例である。
【0100】
報告されたプロドラッグシステムは、次のものを含む:大腸菌β-グルクロニダーゼによって活性化されたフェノールマスタードプロドラッグ(Wangら、1992およびRofferら、1991)、ヒトβ-グルクロニダーゼによって活性化されたドキソルビシンプロドラッグ(Bossletら、1994)、コーヒー豆α-ガラクトシダーゼによって活性化された別のドキソルビシンプロドラッグ(Azoulayら、1995)、コーヒー豆α-D-ガラクトシダーゼによって活性化されたダウノルビシンプロドラッグ(Gessonら、1994)、大腸菌β-D-ガラクトシダーゼによって活性化された5-フルオロウリジンプロドラッグ(Abrahamら、1994)、およびカルボキシペプチダーゼAによって活性化されたメトトレキセートプロドラッグ(例えば、メトトレキセート-アラニン)(Kuefnerら、1990、Vitolsら、1992およびVitolsら、1995)。これらおよび他のものを表1に含めた。
【0101】
【表1】

【0102】
(この表の出典は、Bagshawe(1995)Drug Dev.Res.34、220〜230であり、そこから、これらの様々なシステムについての完全な参照を得ることができ、タキソール誘導体は Rodrigues、M.L.ら(1995)Chemistry & Biology 2、223に記載されている)。
【0103】
本発明の酵素部分の一部を形成するのに適した酵素は、以下のものを含む:カルボキシペプチダーゼG、G1およびG2(グルタミン酸化したマスタードプロドラッグのため)、カルボキシペプチダーゼAおよびB(MTXを基にしたプロドラッグのため)、およびアミノペプチダーゼ(2-α-アミノシルMTCプロドラッグのため)などのエキソペプチダーゼ:例えばトロンボリシン(トロンビンプロドラッグのため)などのエンドペプチダーゼ:フォスファターゼ(例えばアルカリフォスファターゼ)またはスルファターゼ(例えばアリールスルファターゼ)(リン酸化または硫酸化されたプロドラッグのため)などの加水分解酵素:ペニシリンアミダーゼおよびアリルアシルアミダーゼなどのアミダーゼ:β-ラクタマーゼなどのラクタマーゼ:β-グルクロニダーゼ(β-グルクロノミドアントラサイクリンのため)、α-ガラクトシダーゼ(アミグダリンのため)、およびβ-ガラクトシダーゼ(β-ガラクトースアントラサイクリンのため)などのグリコシダーゼ:シトシンデアミナーゼ(5FCのため)などのデアミナーゼ:ウロキナーゼおよびチミジンキナーゼ(ガンシクロビルのため)などのキナーゼ:ニトロレダクターゼ(CB1954およびアナログのため)、アゾレダクターゼ(アゾベンゼンマスタードのため)およびDT-ジアホラーゼ(CB1954のため)などのレダクターゼ:グルコースオキシダーゼ(グルコースのため)、キサンチンオキシダーゼ(キサンチンのため)、およびラクトペルオキシダーゼなどのオキシダーゼ:DL-ラセマーゼ、触媒抗体およびシクロデキストリン。
【0104】
プロドラッグは、細胞毒性薬剤にくらべて比較的無毒である。一般的に、適切なin vitro細胞毒性試験において検定した場合に、毒性は10%未満、好ましくは1%未満である。
【0105】
プロドラッグを細胞毒性薬剤に変換することのできる部分は、化合物の他の部分から単離されても活性を有するようであるが、(a)化合物の他の部分と一緒に存在するとき、および(b)化合物が標的細胞に、付加、隣接または取り込まれるときにのみ活性を有する必要がある。
【0106】
化合物のそれぞれの部分がポリペプチドである場合、2つの部分は、ポリペプチドを架橋するための従来の任意の方法、例えばO'Sullivanら(1979)Anal.Biochem.100、100〜108に一般的に述べられている方法などによって結合することができる。例えば、抗MR抗体は、チオール基で濃縮することができ、さらなる部分はこれらのチオール基と反応することができる二価性の薬剤、例えばヨード酢酸(NHIA)またはN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)のN-ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させることができる。アミドおよびチオエーテル結合、例えばm-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルでなされたものは、一般的にジスルフィド結合よりもin vivoではより安定である。
【0107】
代替可能に、化合物は組み換えDNA技術によって、融合複合物として製造することができ、そこでは、1本のDNAが、お互い隣り合うか、または化合物の所望の性質を壊さないリンカーペプチドをコードする領域によって分けられた、本発明の化合物の2つの部分をコードするそれぞれの領域を含む。あるいは、化合物の2つの部分は全体的にまたは部分的に重なっていてもよい。
【0108】
DNAは、その後、本発明の化合物を含むポリペプチドを産生するために、適切な宿主において発現される。
【0109】
細胞毒性部分は、放射線感受性増強物質であってもよい。放射線感受性増強物質は、フルオロピリミジン、チミジン類似体、ヒドロキシウレア、ゲムシタビン、フルダラビン、ニコチンアミド、ハロゲン化ピリミジン、3-アミノベンズアミド、3-アミノベンゾジアミド、エタニキサドール、ピモニダゾール、およびミソニダゾール(例えば、McGinnら(1996)J.Natl.Cancer Inst.88、1193〜11203:Shewach & Lawrence(1996)Invest.New Drugs 14、257〜263:Horsman(1995)Acta Oncol.34、571〜587:Shenoy & Singh(1992)Clin.Invest.10、533〜551:Mitchellら(1989)Int.J.Radiat.Biol.56、 827〜836:Iliakis & Kurtzman(1989)Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.16、 1235〜1241:Brown(1989)Int.J.Radiat.Oncol.Biol.Phys.16、 987〜993:Brown(1985)Cancer 55、2222〜2228を参照)を含む。
【0110】
細胞内への遺伝子の送達、例えば、p53遺伝子またはサイクリンDの送達もまた、それらの放射線感受性を増強することができる(Langら (1998)J.Neurosurg.89、125〜132:Coco Martinら(1999)Cancer Res.59、1134〜1140)。
【0111】
さらなる部分は、照射により細胞毒性を有することとなる、または細胞毒性部分を放出するものであってもよい。例えば、ボロン-10同位体は、適切に照射されると、細胞毒性を有するα粒子を放出する(例えば、Goldenbergに対する米国特許第4,348,376号:Primusら(1996)Bioconjug.Chem.7、532〜535を参照)。
【0112】
同様に、細胞毒性部分はフォトフリンなどの、光力学的療法において有用なものであってもよい(例えば、Doughertyら(1998)J.Natl.Cancer Inst.90、889〜905を参照)。
【0113】
細胞毒性部分は、直接または間接的に細胞毒性を奏する核酸分子であってもよい。例えば、核酸分子は、標的部位での局在化により細胞の中に入り、それらの死を導くことができるアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。それゆえに、オリゴヌクレオチドは、必須遺伝子の発現を妨げるもの、またはアポトーシスを引き起こす遺伝子発現の変化を導くものであってもよい。
【0114】
好適なオリゴヌクレオチドの例は、bcl-2(Zieglerら(1997)J.Natl.Cancer Inst.89、1027〜1036)およびDNAポリメラーゼαおよびトポイソメラーゼIIα(Leeら(1996)Anticancer Res.16、1805〜1811)に向けたものを含む。
【0115】
ペプチド核酸は、従来の核酸の代わりに有用であり得る(Knudsen & Nielsen(1997)Anticancer Drugs 8、113〜118を参照)。
【0116】
本発明の第13の態様は、上記本発明の第12の態様において定義された化合物をコードするポリペプチドであって、抗体および細胞毒性部分が、融合されたポリペプチドであるものを提供する。
【0117】
本発明の第14の態様は、上記本発明の第7、第8および第10の態様において定義された抗体と、容易に検出できる部分とを含む化合物を提供する。
【0118】
上記に定義されたような抗MR抗体と、容易に検出できる部分とを含む化合物は、適切な検出方法と組み合わせて、個体内の化合物の位置を検出するため、およびしたがって、個体内の血管新生の位置および広がりを同定するため、ならびに個体内で血管新生を阻害するために用いることができる。
【0119】
「容易に検出できる部分」によって、我々は、当該部分が本発明の化合物の患者への投与の後に標的部位に位置した場合に、体外および標的の位置する部位の外から、典型的には非侵襲的に検出することができるという意味を含める。したがって、本発明の本実施形態の化合物は、イメージングおよび診断に有用である。
【0120】
典型的には、容易に検出可能な部分は、イメージングに有用な放射性原子であるか、またはそれを含む。好適な放射性原子は、シンチグラフィー研究のためには、テクネチウム-99mまたはヨウ素-123を含む。他の容易に検出できる部分は、再びヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン、または鉄などの核磁気共鳴イメージング(MRI)のためのスピンラベルを含む。明らかに、本発明の化合物は、当該部分が容易に検出されるために、十分な量の適切な同位体原子を有する必要がある。
【0121】
放射性あるいは他のラベルは、本発明の化合物に既知の方法で組み込むことができる。例えば、抗体がポリペプチドであれば、それは生合成することができ、または適切なアミノ酸前駆体、例えば水素の代わりにフッ素-19を伴うものを用いた化学アミノ酸合成によって合成することができる。99mTc、123I、186Rh、188Rh、および111Inなどのラベルは、例えば、抗体のシステイン残基を介して付加することができる。イットリウム-90はリジン残基を介して付加することができる。IODOGEN法(Frakerら(1978)Biochem.Biophys.Res.Comm.80、49〜57)は、ヨウ素-123を組み込むために用いることができる。参考文献(「Monoclonal Antibodies in Immunoscintigraphy」、J-F Chatal、CRC Press、1989)は、他の方法について詳細に記載している。
【0122】
本発明の第15の態様は、上記本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0123】
典型的な原核ベクタープラスミドは、Biorad Laboratories(Richmond、CA、USA)から入手可能なpUC18、pUC19、pBR322およびpBR329、 Pharmacia(Piscataway、NJ、USA)から入手可能なpTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540および pRIT5、Stratagene Cloning Systems(La Jolla、CA 92037、USA)から入手可能なpBSベクター、Phagescriptベクター、Bluescriptベクター、pNH8A、pNH16A、 pNH18A、pNH46Aである。
【0124】
典型的な哺乳動物細胞ベクタープラスミドは、Pharmacia(Piscataway、NJ、USA)から入手可能なpSVLである。このベクターは、クローニングした遺伝子を発現させるために、SV40後期プロモーターを用いており、最も高いレベルの発現は、COS-1細胞などのT抗原産生細胞において見られている。誘導可能な哺乳動物発現ベクターは、これもPharmacia(Piscataway、NJ、USA)から入手可能なpMSGである。このベクターは、クローニングした遺伝子を発現させるために、マウス乳房腫瘍ウイルスの長い末端反復配列のグルココルチコイド誘導性プロモーターを用いる。
【0125】
有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403〜406およびpRS413〜416であり、一般的にStratagene Cloning Systems(La Jolla、CA 92037、USA)から入手可能である。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母選択マーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3を組み込んでいる。プラスミドpRS413〜416は、酵母セントロメアプラスミド(YCps)である。
【0126】
当業者によく知られた方法を、コード配列および、例えば適切な転写または翻訳制御配列を含む発現ベクターを構築するために用いることができる。1つのかかる方法は、ホモポリマーテール(homopolymer tail)を介した連結を伴う。ホモポリマーポリdA(またはポリdC)テールがDNA断片の露出した3'-OH基に付加され、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼによりクローニングされる。断片は、その結果、線形化されたプラスミドベクターの末端のポリdT(またはポリdG)テールにアニーリングすることができる。アニーリング後に残されたギャップはDNAポリメラーゼによって補充し、遊離末端はDNAリガーゼによって連結することができる。
【0127】
別な方法は、粘着末端を介した連結を伴う。適合する粘着末端は、好適な制限酵素の作用により、DNA断片およびベクター上に生成することができる。これらの末端は、相補的な塩基の対合を介して迅速にアニールし、残ったニックはDNAリガーゼの作用により閉鎖することができる。
【0128】
さらなる方法は、リンカーおよびアダプターと呼ばれる合成分子を用いる。平滑末端を有するDNA断片は、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ、または突出した3'末端を除去し、陥凹した3'末端を充填する大腸菌DNAポリメラーゼIによって生成する。所定の制限酵素用の認識配列を含む平滑末端化した2本鎖DNAの断片である合成リンカーは、T4 DNAリガーゼにより、平滑末端化されたDNA断片に連結することができる。これらをその後適切な制限酵素で消化して粘着末端を生成し、適合する末端を有する発現ベクターに連結する。アダプターも連結に用いる1つの平滑末端を含む化学合成DNA断片だが、事前に形成された1つの粘着末端も保有する。
【0129】
様々な制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカーは、International Biotechnologies Inc.、New Haven、CN、USAを含む、多くの供給元から商業的に入手可能である。
【0130】
本発明のポリペプチドをコードするDNAを改変するための望ましい方法は、Saikiら(1988)Science 239、487〜491により開示されたポリメラーゼ連鎖反応を用いることである。この方法では、酵素的に増幅されるべきDNAは、2つの特異的なオリゴヌクレオチドプライマーによって挟まれ、これらのプライマー自身は、増幅されたDNAに取り込まれるようになる。この特異的なプライマーは、当該技術分野で知られた方法を用いて発現ベクターへのクローニングのために用いることができる、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含んでもよい。
【0131】
本発明の第16の態様は、本発明の第9、第11および第13の態様に定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第15の態様に定義されたベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0132】
例えば、組換えバクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌)、例えば、酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces cerevisiae)、例えばウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)で形質転換された昆虫細胞の系、例えばウイルスまたは細菌発現ベクターでトランスフェクトされた植物細胞の系、例えばアデノウイルス発現ベクターでトランスフェクトされた動物細胞の系を用いる系を含む、多くの発現系が知られている。
【0133】
ベクターは、たとえベクターが、他の原核でない細胞種における発現のために使用されるものであっても、原核生物での増殖のための、Col E1 oriなどの、原核レプリコンを含むことができる。ベクターもまた、それで形質転換された大腸菌などの細菌宿主細胞において、遺伝子の発現(転写および翻訳)を導くことができる原核プロモーターなどの、適切なプロモーターを含むことができる。
【0134】
プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合および転写が起こるようにするDNA配列によって形成される発現制御要素である。代表的な細菌宿主に適合したプロモーター配列は、典型的には、本発明のDNAセグメントを挿入するために、都合のよい制限部位を含むプラスミドベクターに与えられている。
【0135】
好適な宿主細胞中のポリヌクレオチドは、本発明の抗体または化合物を産生するために発現させることができる。したがって、ポリヌクレオチドは、既知の技術に従って、本明細書中に含まれる教示を考慮して適切に改変されて、発現ベクターを構築するために用いることができ、これはその後本発明の抗体または化合物の発現および産生のために、適切な宿主細胞を形質転換するのに用いられる。かかる技術は、1984年4月3日にRutterらに対して発行された米国特許第4,440,859号、1985年7月23日にWeissmanに対して発行された米国特許第4,530,901号、1986年4月15日にCrowlに対して発行された米国特許第4,582,800号、1987年6月30日にMarkらに対して発行された米国特許第4,677,063号、1987年7 月7日にGoeddelに対して発行された米国特許第4,678,751号、1987年11月3日にItakuraらに対して発行された米国特許第4,704,362号、1987年12月1日にMurrayに対して発行された米国特許第4,710,463号、1988年7月12日にToole,Jrらに対して発行された米国特許第4,757,006号、1988年8月23日にGoeddelらに対して発行された米国特許第4,766,075号、および1989年3月7日にStalkerに対して発行された米国特許第4,810,648号に開示されたものを含み、このすべてが本明細書に参照により組み込まれる。
【0136】
ポリヌクレオチドは、適切な宿主への導入のための広範な他のDNA配列に連結していてもよい。随伴(companion)DNAは、宿主の性質、宿主へのDNAの導入法、およびエピソーム性の維持または組み込みが所望されるか否か左右される。
【0137】
一般的に、ポリヌクレオチドは、プラスミドなどの発現ベクターに、発現のために適切な方向、および正しい読み枠で挿入される。必要ならば、DNAは、所望の宿主によって認識される、適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に結合されるが、そのような制御配列は、発現ベクターにおいて一般的に利用可能である。したがって、DNAインサートは、適切なプロモーターに作動可能に連結されていてもよい。細菌プロモーターは、大腸菌lacIおよびlacZプロモーター、T3およびT7プロモーター、gptプロモーター、ファージλPRおよびPLプロモーター、phoAプロモーターおよびtrpプロモーターを含む。真核プロモーターは、CMV極初期プロモーター、HSVチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、およびレトロウイルスLTRのプロモーターを含む。他の好適なプロモーターは、当業者に知られている。発現構築物はまた、望ましくは、転写開始および終止のための部位、および転写された領域においては、翻訳のためのリボソーム結合部位を含む(Hastingsら、国際公開WO98/16643、1998年4月23日公開)。
【0138】
ベクターは、その後、標準的な技術により宿主に導入される。一般的に、すべての宿主がベクターによって形質転換されるわけではなく、したがって、形質転換された宿主細胞について選択する必要がある。1つの選択方法は、発現ベクターに、すべての必要な制御要素を有する、形質転換細胞における選択可能な特性をコードするDNA配列マーカーを組み込むことを伴う。これらのマーカーは、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼ、G418またはネオマイシン耐性、および大腸菌および他の細菌での培養のためのテトラサイクリン、カナマイシンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含む。
【0139】
あるいは、そのような選択可能な特性のための遺伝子は、所望の宿主細胞を共形質転換するために用いる、他のベクター上に存在することができる。
【0140】
本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞は、次に、ポリペプチドの発現を許容するために、十分な時間、および本明細書で開示された教示を考慮して、当業者に知られた適切な条件下で培養し、その後ポリペプチドを回収することができる。
【0141】
抗体または化合物は、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むよく知られた方法により、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。最も好ましくは、高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に用いる。
【0142】
本発明の第17の態様は、本発明の第7、第8または第10の態様において定義された抗体、または、抗体および細胞毒性部分が融合されたポリペプチドである、本発明の第12の態様において定義された化合物を産生する安定した宿主細胞系を提供し、前記抗体または化合物は、本発明の第9、第11および第13の態様において定義された外因性ポリヌクレオチド、または本発明の第15の態様において定義されたベクターの前記細胞系への組み込みによりもたらされる。
【0143】
本発明の第18の態様は、本発明の第7、第8および第10の態様において定義された抗体、または本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第12および第14の態様において定義された化合物と、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物または製剤を提供する。
【0144】
「薬学的に許容し得る」により、製剤が無菌でありかつ発熱物質を含まないことが含まれる。好適な薬学的担体は、薬学の技術分野でよく知られている。
【0145】
担体は、本発明の化合物と適合しており、かつそのレシピエントにとって有害ではないという意味において、「許容し得る」ものでなければならない。典型的には、担体は、無菌でありかつ発熱物質を含まない水または生理食塩水であるが、他の許容し得る担体を用いてもよい。
【0146】
1つの実施形態においては、本発明の医薬組成物または製剤は、非経口的投与用、より具体的には静脈内投与用のものである。
【0147】
好ましい実施形態においては、医薬組成物は患者への静脈内投与、例えば注射による投与に好適である。
【0148】
非経口投与に適した製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および製剤を対象となるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性または非水性の無菌注射液、ならびに懸濁化剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の無菌懸濁物を含む。
【0149】
代替可能な好ましい実施形態においては、医薬組成物は、患者への局所投与に好適である。
【0150】
好ましくは、製剤は、有効成分の1日用量もしくは単位、1日副用量、またはその適切なフラクションを含有する単位投薬量である。
【0151】
本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は、通常、任意に無毒な有機もしくは無機の、酸性もしくは塩基性の付加塩の形態の有効成分を含む医薬製剤の形態で、薬学的に許容し得る投薬形態にて、経口的にまたは任意の非経口経路により投与される。処置する疾患および患者、ならびに投与経路に応じて、組成物を種々の用量で投与してもよい。
【0152】
ヒトの治療において、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は単独で投与することができるが、一般的に、意図する投与経路および標準的な薬学的プラクティスを考慮して選択された好適な薬学的賦形剤、希釈剤または担体と混合して投与する。
【0153】
例えば、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は、迅速放出、遅延放出または制御放出用途のために、風味剤または着色剤を含有してもよい、錠剤、カプセル、オビュル(ovule)、エリキシル、溶液または懸濁液の形態で、経口投与、口腔内投与または舌下投与することができる。本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物はまた、海綿体内注射(intracavernosal injection)によっても投与することができる。
【0154】
かかる錠剤は、微結晶セルロース、ラクトース、クエン酸、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウムおよびグリシンなどの賦形剤、デンプン(好ましくはトウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種のケイ酸塩錯体(complex silicate)などの分解剤(disintegrant)、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアカシアなどの造粒バインダーを含有することができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクなどの滑沢剤が含まれてもよい。
【0155】
同様のタイプの固形組成物はまた、ゼラチンカプセルのフィラーとして用いることができる。この点において好ましい賦形剤は、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖または高分子量ポリエチレングリコールを含む。水性懸濁物および/またはエリキシルに関して、本発明の化合物は、様々な甘味剤または風味剤、着色物質または色素と共に、乳化剤および/または懸濁化剤と共に、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリン、およびこれらの組合せと共に組み合わせることができる。
【0156】
本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物はまた、非経口的に投与すること、例えば、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、髄腔内投与、脳室内投与、胸骨内投与、頭蓋内投与、筋肉内投与もしくは皮下投与することができ、または、これらを輸液技術により投与することができる。これらは、無菌水溶液の形態で最も良好に用いられ、これは、他の物質、例えば、溶液を血液と等張にするための十分な塩またはグルコースを含有してもよい。この水溶液は、必要に応じて適切に干渉化(好ましくはpH3〜9に)すべきである。無菌条件下での好適な非経口製剤の調製は、当業者によく知られた標準的な薬学的技術によって容易に達成される。
【0157】
非経口投与に好適な製剤は、抗酸化剤、バッファー、静菌剤、および製剤を対象となるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性または非水性の無菌注射液、および懸濁化剤および増粘剤を含み得る、水性および非水性の無菌懸濁物を含む。製剤は、単位用量または多用量の容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアル内に提供してもよく、使用の直前に、無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを要するフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保管してもよい。即時調製の注射溶液および懸濁物は、先に記載されたような種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0158】
ヒト患者への経口および非経口投与に関して、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物の1日投与量のレベルは、通常、成人1人あたり1〜1000mg(すなわち、約0.015〜15mg/kg)であり、単一のまたは分割された用量で投与される。
【0159】
したがって、例えば、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物の錠剤またはカプセルは、必要に応じて、1回に1個または2個またはそれ以上を投与するために、1mgから1000mgまでの活性薬剤を含むことができる。医師は、いずれにせよ、任意の個々の患者にとって最も好適な実際の投与量を決定し、それは、年齢、体重および特定の患者の応答により異なる。上記の投与量は、平均的なケースの典型例である。もちろん、より多いまたはより少ない投与量範囲が有効である個々の例があり得、そのようなことは、この発明の範囲内である。
【0160】
本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物はまた、鼻腔内にまたは吸入により投与することができ、ドライパウダー吸入器の形態、または、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、1,1,1,2テトラフルオロエタン(HFA134A、または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA227EA))などのヒドロフルオロアルカン、二酸化炭素または他の好適なガスを使用する、加圧された容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で都合よく供給される。加圧エアロゾルの場合、その用量単位は計量された量を送達するのためのバルブを設けることにより決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、活性化合物の溶液または懸濁物を、例えばエタノールと噴射剤との混合物を溶媒として用いることにより含むことができ、これは、潤滑剤、例えばトリオレイン酸ソルビタンをさらに含むことができる。インヘラーまたは吸入器で用いるためのカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本発明の化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含むように調剤することができる。
【0161】
エアロゾルまたはドライパウダー製剤は、好ましくは、それぞれの計量された用量または「一吹き(puff)」が、患者に送達するために、少なくとも1mgの本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物を含むように調製される。当然のことながら、エアロゾルでの全1日用量は患者ごとに異なり、単回の用量で、または、より一般的には、1日の間に分割された用量で投与することができる。
【0162】
あるいは、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は、座剤もしくはペッサリーの形態で投与することができ、または、それらは、ローション、液体、クリーム、軟膏または粉剤の形態で局所適用してもよい。本発明の化合物はまた、例えば皮膚パッチを用いることにより、経皮的に投与することもできる。それらはまた、特に眼の疾患を処置するために、眼を介した経路により投与することもできる。
【0163】
眼科用途のために、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は、等張な、pHを調整した無菌生理食塩水中の微粉懸濁液として、または、好ましくは、等張な、pHを調整した無菌生理食塩水中の溶液として、任意に塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤と組み合わせて調剤することができる。あるいは、それらはワセリンなどの軟膏中に調剤することができる。
【0164】
皮膚に局所適用するために、本発明の抗体、ポリヌクレオチドまたは化合物は、例えば、以下の1種または2種以上のものの混合物中に懸濁または溶解された活性化合物を含有する好適な軟膏として調剤することができる:鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水。あるいは、それらは、例えば、以下の1種または2種以上のものの混合物中に懸濁または溶解された好適なローションまたはクリームとして調剤することができる:鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水。
【0165】
口中への局所投与のための好適な製剤は、風味付の基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に有効成分を含むドロップ、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に有効成分を含むトローチ、および好適な液体担体中に有効成分を含むマウスウォッシュを包含する。
【0166】
獣医用途のために、本発明の化合物は、通常の獣医プラクティスにしたがった、好適な許容し得る製剤として投与され、獣医師が、特定の動物に最も適切な投与レジメンおよび投与経路を決定する。
【0167】
本発明の第19の態様は、医薬に使用するための、本発明の第7、第8もしくは第10の態様において定義された抗体、または本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第12または第14の態様において定義された化合物を提供する。
【0168】
本発明の第20の態様は、本発明の第7、第8もしくは第10の態様において定義された抗体、または本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第12または第14の態様において定義された化合物の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用を提供する。
【0169】
不要な、または望まない血管新生を伴う状態は上記した。
【0170】
本発明の第21の態様は、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、本発明の第7、第8もしくは第10の態様において定義された抗体、または本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第12または第14の態様において定義された化合物を該個体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0171】
1つの実施形態においては、抗体などのポリペプチドは、注射可能な持続放出薬剤送達システムを用いて送達することができる。これらは、注射の頻度を減らすために特別に設計されている。かかるシステムの例は、組換えヒト成長ホルモン(rhGH)を生分解性ミクロスフェアに封入したNutropin Depotであり、これは、一度注射されると、持続する期間にわたり、rhGHをゆっくりと放出する。
【0172】
ポリペプチドは、外科的に埋め込まれた、薬剤を所定の部位に直接放出するデバイスによって投与することができる。例えば、Vitrasertは、CMV網膜炎を処置するためにガンシクロビルを眼に直接放出する。この毒性剤の疾患の部位への直接適用は、顕著な全身性の副作用なしに、有効な治療を達成する。
【0173】
エレクトロポレーション治療(EPT)システムもまた、ポリペプチドの投与に用いることができる。細胞にパルス電場を送る装置は、細胞膜の薬剤に対する透過性を増大させ、細胞内薬剤送達の顕著な向上をもたらす。
【0174】
ポリペプチドはまた、エレクトロインコーポレーション(electroincorporation)(EI)によっても送達することができる。EIは、皮膚表面上の直径30ミクロンまでの小粒子が、エレクトロポレーションに用いられるのと同一または類似の電気パルスを経験した場合に生じる。EIにおいては、これらの粒子は、角質層を通り、皮膚のより深い層へ導かれる。粒子は薬剤もしくは遺伝子で負荷もしくは被覆されていることができ、または、単に皮膚に孔を生じさせる「弾丸」として作用し、その孔を介して薬剤を侵入させることができる。
【0175】
ポリペプチド送達の代替可能な方法は、熱感受性のReGel注射可能システムである。体温より下では、ReGelは注射可能な液体であるが、体温では、ゆっくりと侵食され、溶解して既知の安全な生分解性ポリマーになるゲルリザーバを直ちに形成する。活性薬剤は、長期にわたり、バイオポリマーが溶解するにしたがって送達される。
【0176】
ポリペプチド医薬品はまた、経口的に送達することもできる。この方法は、ビタミンB12の体内への経口的取り込みの天然のプロセスを用いて、タンパク質およびペプチドを共送達する。ビタミンB12取り込みシステムに乗ることにより、タンパク質またはペプチドは、腸壁を通して移動することができる。ビタミンB12アナログと薬剤との間に複合体が合成され、これは、複合体のビタミンB12部分における内因子(IF)に対する顕著な親和性、および複合体の薬剤部分の顕著な生物活性の両方を保持する。
【0177】
ポリヌクレオチドは、任意の効果的な方法、例えば、非経口的に(例えば、静脈内、皮下に、筋肉内に)あるいは経口的手段、鼻腔的手段、またはオリゴヌクレオチドが患者の血流に到達および循環することを可能にするその他の手段によって投与することができる。全身に投与されたポリヌクレオチドは、好ましくは局所的に投与されるポリヌクレオチドに加えて与えられるが、また局所的な投与がなされない場合にも有用である。成人ヒトへの1回の投与あたり約0.1から約10グラムの範囲の投与量が、この目的には効果的である。
【0178】
ポリヌクレオチドは、以下に説明するような好適な遺伝子構築物として投与し、患者に送達してそこで発現させることができる。典型的には、遺伝子構築物中のポリヌクレオチドは、細胞内で抗体または化合物を発現することができるプロモーターに作動可能に連結している。
【0179】
ポリヌクレオチドを送達する遺伝子構築物は、DNAまたはRNAであってもよいが、DNAであると好ましい。
【0180】
好ましくは、遺伝子構築物はヒト細胞への送達に適している。
【0181】
遺伝子構築物を動物体内の細胞へ導入する手段および方法は、当該技術分野において知られている。例えば、本発明の構築物は、細胞内に、構築物が細胞のゲノムに挿入されるように、任意の好都合な方法、例えばレトロウイルスを伴う方法によって導入することができる。例えば、Kuriyamaら(1991)Cell Struc.and Func.16、503〜510においては、精製レトロウイルスが投与されている。上記のようなポリヌクレオチドを含むレトロウイルスDNA構築物は、当該技術分野でよく知られた方法を用いて作製することができる。そのような構築物から活性を有するレトロウイルスを産生するために、通常10%ウシ胎児血清(FCS)を含むDulbecco's改変Eagle's培地(DMEM)で生育させたエコトロピックpsi2パッケージング細胞系が用いられる。細胞系のトランスフェクションは、リン酸カルシウム共沈降によって好都合に行われ、安定な形質転換体は、G418を終濃度1mg/ml(レトロウイルス構築物がneoR遺伝子を含むことを前提として)で添加することにより選択される。独立したコロニーを単離し、増幅し、培養上清を取出し、ポアサイズ0.45μmのフィルターを通してろ過し、-70℃で保存する。腫瘍細胞へのレトロウイルスの導入には、10μg/mlのポリブレンが添加されたレトロウイルス上清を直接注入するのが好都合である。直径10mmを超える腫瘍には、0.1mlから1mlの間、好ましくは0.5mlのレトロウイルス上清を注入することが適切である。
【0182】
あるいは、Culverら(1992)Science 256、1550〜1552に述べられているように、レトロウイルスを産生する細胞が注入される。このようにして導入されたレトロウイルス産生細胞は、レトロウイルスベクター粒子を活発に産生させるため、ベクターの持続的生産が、腫瘍塊内でin situに生じるように操作される。こうして、増殖する内皮細胞は、レトロウイルスベクター産生細胞と混合されれば、in vivoで成功裡に形質導入され得る。
【0183】
標的化されたレトロウイルスはまた、本発明の使用のために利用可能であり、例えば、特異的な結合親和性を与える配列特異性を、すでに存在するウイルスのenv遺伝子内に組み込むことができる(遺伝子療法のための当該標的化ベクターおよび他の標的化ベクターの総説に関しては、Miller & Vile(1995)Faseb J、9、190〜199を参照)。
【0184】
他の方法は、細胞内への構築物の単純な送達を伴うものであり、これは、細胞内における、限定された時間の、または、ゲノム中への組み込みの後、より長い時間の発現のためのものもである。後者のアプローチの例は、リポソームを含む(Naessanderら(1992)Cancer Res.52、646〜653)。
【0185】
イムノリポソームの調製には、MPB-PE(N-[4-(p-マレイミドフェニル)ブチリル]-フォスファチジルエタノールアミン)を、Martin & Papahadjopoulos(1982)J.Biol.Chem.257、286〜288の方法に従って合成する。MPB-PEをリポソーム二重層に組み込み、リポソーム表面に抗体、またはその断片を共有結合できるようにする。リポソームには、標的細胞に送達するために、本発明のDNAまたは他の遺伝子構築物を、例えば、DNAまたは他の遺伝子構築物の溶液中で上記のリポソームを形成させ、0.8MPaまでの窒素圧下、ポアサイズ0.6μmおよび0.2μmのポリカーボネートメンブレンフィルターを通して連続的に押し出すことによって、都合よく負荷する。押し出し後、捕捉されたDNA構築物は、80000×gで45分間の超遠心分離によって、遊離しているDNA構築物から分離される。脱酸素処理したバッファー中で、新しく調製したMPB-PEリポソームを新たに調製した抗体(またはその断片)と混合し、カップリング反応を、窒素雰囲気中、4℃にて、一定の回転数で一晩回転させて行う。イムノリポソームは、80000×gで45分間の超遠心分離によって、結合していない抗体から分離する。イムノリポソームは、腹腔内に、あるいは直接腫瘍に注入してもよい。
【0186】
送達の他の方法は、担体として抗体-ポリリジン架橋(Curiel Prog.Med.Virol.40、1〜18参照)、およびトランスフェリン-ポリカチオン結合(Wagnerら (1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、3410〜3414)を介して外来のDNAを保持するアデノウイルスを含む。これらのうちの最初の方法においては、ポリカチオン-抗体複合体が本発明のDNA構築物、または他の遺伝子構築物と共に形成され、そこでは抗体は、野生型アデノウイルスまたは変異体アデノウイルスのいずれかに特異的であり、それには抗体に結合する新たなエピトープが導入されている。ポリカチオン部分は、リン酸骨格との静電的な相互作用を介してDNAに結合する。アデノウイルスは、改変されていないファイバーおよびペントンタンパク質を含むので、細胞内に取り込まれ、細胞内に、本発明のDNA構築物を一緒に運び込む。ポリカチオンはポリリジンであると好ましい。
【0187】
ポリヌクレオチドはまた、それが例えば、下に述べるように、アデノウイルス粒子内に存在しているアデノウイルスによって送達してもよい。
【0188】
代替可能な方法において、DNA巨大分子を細胞内へ運び込むために、受容体媒介性のエンドサイトーシスを利用する、高効率核酸送達システムが用いられる。これは、鉄輸送タンパク質トランスフェリンを核酸に結合するポリカチオンに結合することによって達成される。ヒトトランスフェリン、またはニワトリのホモログであるコンアルブミンまたはそれらの組合せが、小さなDNA結合タンパク質であるプロタミンまたは多様なサイズを有するポリリジンにジスルフィド結合を介して共有結合される。これらの改変されたトランスフェリン分子は、それらの本来の受容体への結合能力、および細胞内への効果的な鉄輸送を誘導する能力を維持している。トランスフェリン-ポリカチオン分子は、核酸の長さとは無関係に(短いオリゴヌクレオチドから21キロ塩基対のDNAまで)、本発明のDNA構築物または他の遺伝子構築物と、電気泳動的に安定な複合体を形成する。トランスフェリン-ポリカチオン分子と本発明のDNA構築物または他の遺伝子構築物の複合体が、腫瘍細胞に供給されると、細胞における構築物からの高レベルの発現が期待される。
【0189】
Cottonら(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89、6094〜6098の方法によって調製された、欠損を有する、または化学的に不活化されたアデノウイルス粒子のエンドソーム破壊活性を利用した、本発明のDNA構築物または他の遺伝子構築物の受容体を介する高効率の送達もまた用いることができる。このアプローチは、アデノウイルスがリソソームを通過することなく、エンドソームからそのDNAを放出することが可能なように適応しているという事実にもとづいているようであり、例えば本発明のDNA構築物または他の遺伝子構築物に結合したトランスフェリンの存在下、構築物は、アデノウイルス粒子と同様の経路によって細胞に取り込まれる。
【0190】
このアプローチは、複雑なレトロウイルス構築物を用いる必要がなく、レトロウイルス感染によって生じるゲノムの恒久的な改変がなく、標的化された発現システムが、標的化された送達システムに結合しており、このため、他の細胞種への毒性を減少させるという利点を有する。
【0191】
当然のことながら、「裸のDNA」および、カチオン性および中性脂質と複合体形成したDNAもまた、本発明のDNAを処置されるべき患者の細胞へ導入することに有用であり得る。遺伝子治療への非ウイルス的アプローチは、Ledley(1995)Human Gene Therapy 6、1129〜1144に記載されている。
【0192】
WO94/10323に記載された改変アデノウイルスシステムなどの代替可能な標的化された送達システムもまた知られており、そこでは、DNAは典型的に、アデノウイルス、またはアデノウイルス様粒子内に担時されている。Michaelら(1995)Gene Therapy 2、660〜668は、ファイバータンパク質に細胞選択的な部分を加えるためのアデノウイルスの改変を記載している。Bischoffら(1996)Science 274、373〜376に記載されているものなどの、P53欠損ヒト腫瘍細胞において選択的に複製する変異体アデノウイルスもまた、細胞内への本発明の遺伝子構築物を運び込むことに有用である。このように、当然のことながら、本発明の更なる態様は、本発明の遺伝子構築物を含むウイルス、またはウイルス様粒子を提供する。他の適切なウイルス、ウイルスベクターまたはウイルス様粒子は、レンチウイルスおよびレンチウイルスベクター、HSV、アデノ随伴ウイルス(AAV)およびAAVベースのベクター、ワクシニアウイルスおよびパルボウイルスを含む。
【0193】
本発明の遺伝子構築物は、当該技術分野においてよく知られた方法を用いて調製することが可能である。
【0194】
本発明の第22の態様は、本発明の第7、第8もしくは第10の態様において定義された抗体、または本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチド、または本発明の第12または第14の態様において定義された化合物を、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitroの方法を提供する。
【0195】
本発明の第23の態様は、本発明の第7、第8もしくは第10の態様において定義された抗体、または抗体および細胞毒性部分が融合されたポリペプチドである本発明の第12の態様において定義された化合物を製造する方法であって、本発明の第9、第11および第13の態様において定義されたポリヌクレオチドを発現させること、または、本発明の第17の態様において定義された安定な宿主細胞系を培養する工程を含む方法を提供する。
【0196】
我々はまた、MRの細胞外断片(残基1〜467、図2B、配列番号3、MR細胞外ドメインとしても知られている)が、bFGFおよびVEGF誘導性の遊走を含む、内皮細胞の遊走を阻害することを示した。興味深いことに、MR細胞外ドメインは、内皮細胞の接着に影響しないようである(データは示さない)。MR細胞外ドメイン、およびHUVEC遊走アッセイにおいて阻害活性を示すその断片は、不要な、望まないまたは不適切な内皮細胞の遊走が病因に寄与する状態において、治療的に有用であることが予測される。
【0197】
我々はまた、MR細胞外ドメインが内皮細胞の増殖を阻害することを示した。MR細胞外ドメイン、および実施例5に記載されたものなどのアッセイにおいて抗増殖活性を示すその断片は、不要な、望まないまたは不適切な内皮細胞の増殖が病因に寄与する状態において、治療的に有用であることが予測される。
【0198】
本発明の第24の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を提供する。
【0199】
当然のことながら、1つの実施形態においては、「内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するMR細胞外ドメインの断片」は、内皮細胞の遊走を阻害し、かつ内皮細胞の増殖を阻害しなくてもよく、または内皮細胞の増殖を阻害し、かつ内皮細胞の遊走を阻害しなくてもよい。代替的な実施形態においては、「内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するMR細胞外ドメインの断片」は、内皮細胞の遊走および内皮細胞の増殖の両方を阻害してもよい。この実施形態においては、MR細胞外ドメインの断片は、内皮細胞の遊走および/または増殖を必ずしも同程度に阻害する必要はない。
【0200】
「内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害する」により、我々は、内皮細胞の遊走および/または増殖の速度またはレベルを低減するという意味を含める。低減は、内皮細胞の遊走および/または増殖の速度またはレベルの約10%、または約20%、または約30%、または約40%の低レベルの低減であってもよい。好ましくは、低減は、内皮細胞の遊走および/または増殖の速度またはレベルの約50%、または約60%、または約70%、または約80%の中レベルの低減である。より好ましくは、内皮細胞の遊走および/または増殖の速度またはレベルの約90%、または約95%、または約99%、または約99.9%、または約99.99%の、高レベルの低減である。最も好ましくは、阻害は、内皮細胞の遊走および/または増殖の消失、または検出不可能なレベルへのその低減を含むこともできる。
【0201】
内皮細胞の遊走の速度またはレベルを決定するための、したがって、任意の具体的なMR細胞外ドメインの断片が、内皮細胞の遊走を阻害するかどうか、およびどの程度まで阻害するかを決定するための方法およびアッセイは当該技術分野において知られており、実施例4に記載されたHUVECアッセイを含む。同様に、内皮細胞の増殖の速度またはレベルを決定するための、したがって、任意の具体的なMR細胞外ドメインの断片が、内皮細胞の増殖を阻害するかどうか、およびどの程度まで阻害するかを決定するための方法およびアッセイは当該技術分野においてよく知られており、実施例5に記載されたHUVECアッセイを含む。
【0202】
「内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するMR細胞外ドメインの断片」により、我々は、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な切断されたもしくは欠失を含むMR細胞外ドメイン、またはMR細胞外ドメインの少なくとも450の連続したアミノ酸残基を含むポリペプチドを含める。より好ましくは、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MR細胞外ドメインの少なくとも400、または少なくとも350、または少なくとも300、または少なくとも250、または少なくとも200、または少なくとも150、または少なくとも100、または少なくとも90、または少なくとも80、または少なくとも70、または少なくとも60、または少なくとも50、または少なくとも40、または少なくとも30、または少なくとも20、または少なくとも15、または少なくとも10の連続したアミノ酸残基を含む。内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片が、MR細胞外ドメインの少なくとも60の連続したアミノ酸残基を含めば特により好ましい。内皮細胞の遊走および/または増殖の阻害は、例えば、実施例4および5に記載されたHUVECアッセイを用いて試験することができる。
【0203】
1つの実施形態においては、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MRのIg領域(残基46〜209、配列番号4)からなるか、またはこれを含む。
【0204】
別な実施形態においては、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MRのIgAドメイン(残基46〜116、配列番号5)またはMRのIgBドメイン(残基151〜209、配列番号6)からなるか、またはこれを含む。
【0205】
我々は、MR細胞外ドメインが内皮細胞の接着を阻害しないようであること(データは示さない)、および、好ましくは、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片が内皮細胞の接着を阻害しないことを示した。
【0206】
したがって、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走を阻害するその断片は、内皮細胞の接着を阻害することなく内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するのに用いることができる。
【0207】
本発明の第25の態様は、医薬に使用するためのMR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を提供する。
【0208】
本発明の第26の態様は、個体内の不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う任意の疾患または状態を治癒する方法を提供し、この方法は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を、該個体に投与する工程を含む。
【0209】
したがって、本発明は、内皮細胞の遊走および/または増殖が病理に寄与する疾患または状態を有する患者を処置する方法を含み、この方法は、患者にMR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を投与する工程を含む。
【0210】
本発明の第27の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片の、不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う任意の疾患または状態を治癒するための医薬の調製への使用を提供する。
【0211】
脂肪組織量がその血管系により調節されていることが示されている(Rupnick、M.A.ら(2002)PNAS USA 99(16):10730〜10735)。さらに、食欲および代謝の既知の調節剤であるレプチンがまた、内皮細胞の遊走(Goetze、S.ら(2002)Hypertension 40(5):748〜754)および血管新生(Sierra-Honigmann、M.R.ら(1998)Science 281:1683)の両方を調節することも知られている。したがって、内皮細胞の遊走の阻害は、脂肪組織量を減少させ、肥満を処置するのに有用であり得る。
【0212】
不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う疾患または状態は、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症を含む。
【0213】
本発明は、したがって個体における、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒する方法を含み、この方法は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を該個体に投与する工程を含む。
【0214】
本発明はまた、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片の、個体における、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒するための医薬の調製における使用を含む。
【0215】
本発明のさらに別の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片を、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するためのin vitroの方法を提供する。細胞は、樹立された細胞系、または個体から取り出された細胞であってもよい。組織または細胞は、好ましくは哺乳類組織または細胞、および最も好ましくはヒト組織または細胞である。
【0216】
さらに、当然のことながら、MRの細胞外断片またはその活性断片をコードする核酸の投与もまた、治療的に有用であり得る。
【0217】
本発明のさらなる態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードする、医薬に使用するためのポリヌクレオチドを提供する。
【0218】
本発明のさらなる態様は、したがって個体における不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う任意の疾患または状態を治癒する方法であって、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを該個体に投与する工程を含む方法を提供する。
【0219】
本発明のさらに別の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドの、不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う任意の疾患または状態を治癒するための医薬の調製への使用を提供する。
【0220】
本発明のまた別の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するin vitroの方法を提供する。細胞は、樹立された細胞系、または個体から取り出された細胞であってもよい。組織または細胞は、好ましくは哺乳類の組織または細胞であり、最も好ましくはヒトの組織または細胞である。
【0221】
本発明の追加の態様は、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。本発明はまた、MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド、またはかかるポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細胞を含む。
【0222】
本発明のさらなる態様は、MR細胞外ドメイン、もしくは内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するその断片、またはMR細胞外ドメインもしくはその断片をコードするポリヌクレオチドと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0223】
好ましくは、医薬組成物は、患者への静脈内投与に適している。
【0224】
医薬製剤、投与経路、ベクター、細胞系などの好ましい選択は、MR細胞外ドメインまたはその断片を用いた内皮細胞の遊走および/または増殖の抑制に向けられた本発明の態様において、抗MR抗体に向けられた本発明の態様に関して上記した好ましい選択と同じである。
【0225】
我々はまた、MR細胞外ドメインが、in vitroの大動脈輪アッセイ、およびin vivoのスポンジ血管新生アッセイにおいて、血管発芽の形成を阻害するのに十分であり、血管新生の阻害において治療的に有用であると予見できることを示した。さらに、ラット大動脈輪アッセイまたはスポンジ血管新生アッセイにおいて阻害活性を示すMRの細胞外ドメインの断片(例えば、組換えにより、またはデノボペプチド合成により作製されたもの)もまた、血管新生の阻害に有用であることが予見される。
【0226】
本発明のさらなる態様は、したがって、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、該個体にMR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を投与する工程を含む方法を提供する。
【0227】
「血管新生を阻害するMR細胞外ドメインの断片」により、我々は、血管新生を阻害するのに十分な、切断された、もしくは欠失を有するMR細胞外ドメイン、またはMR細胞外ドメインの少なくとも450個の連続アミノ酸残基を含むポリペプチドを含める。より好ましくは、血管新生を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MR細胞外ドメインの、少なくとも400個、または少なくとも350個、または少なくとも300個、または少なくとも250個、または少なくとも200個、または少なくとも150個、または少なくとも100個、または少なくとも90個、または少なくとも80個、または少なくとも70個、または少なくとも60個、または少なくとも50個、または少なくとも40個、または少なくとも30個、または少なくとも20個、または少なくとも15個、または少なくとも10の連続アミノ酸残基を含む。血管新生を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片が、MR細胞外ドメイン少なくとも60個の連続アミノ酸残基を含めば、特により好ましい。血管新生の阻害は、例えば、実施例2に記載された大動脈輪アッセイ、または実施例3に記載されたスポンジ血管新生アッセイを用いてテストすることができる。
【0228】
1つの実施形態においては、血管新生を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MRのIg領域(残基46〜209、配列番号4)からなるか、またはこれを含む。
【0229】
別の実施形態においては、血管新生を阻害するのに十分な細胞外ドメインの断片は、MRのIgAドメイン(残基46〜116、配列番号5)またはMRのIgBドメイン(残基151〜209、配列番号6)からなるか、またはこれを含む。
【0230】
本発明の別の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を提供する。
【0231】
本発明のさらなる態様は、医薬に使用するためのMR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を提供する。
【0232】
本発明のさらに別の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用を提供する。
【0233】
本発明のまた別の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を、組織または細胞にin vitroにおいて投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitroの方法を提供する。
【0234】
さらにまた、当然のことながら、MRの細胞外断片またはその活性断片をコードする核酸の投与もまた、抗血管新生療法の有用な態様である。
【0235】
本発明のさらなる態様は、したがって、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを投与する工程を含む方法を提供する。
【0236】
本発明のさらなる態様は、医薬に使用するためのMR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0237】
本発明のさらに別の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドの、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用を提供する。
【0238】
本発明のまた別の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを、組織または細胞にin vitroにおいて投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitroの方法を提供する。
【0239】
本発明の追加の態様は、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0240】
本発明の他の態様は、MR細胞外ドメインもしくは血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド、またはかかるポリヌクレオチドを含むベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0241】
本発明のさらなる態様は、MR細胞外ドメインもしくは血管新生を阻害するその断片、またはMR細胞外ドメインもしくはその断片をコードするポリヌクレオチドと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0242】
好ましくは、医薬組成物は、患者への静脈内投与に適している。
【0243】
治癒すべき疾患または状態、医薬製剤、投与経路、ベクター、細胞系などの好ましい選択は、MR細胞外ドメインまたはは血管新生を阻害するその断片に向けられた本発明の態様において、抗MR抗体に向けられた本発明の態様に関して上記した好ましい選択と同じである。
【0244】
本明細書で参照したすべての文献は、その全体において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
本明細書中の先に公開された文献のリストまたは議論は、必ずしも当該文献が従来技術の一部または共通の一般的知識であることの承認ととるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1A−1】プラスミドN1を作製するのに用いたインサートのDNA配列(配列番号1)を示した図である。(配列番号1)。
【図1A−2】プラスミドN1を作製するのに用いたインサートのDNA配列(配列番号1)を示した図である。(配列番号1)。
【図1B】インサートによりコードされるアミノ酸配列(配列番号2)を示した図である。
【図2A】プラスミドNH10を作製するのに用いたインサートのDNA配列(配列番号30)を示した図である。
【図2B】プラスミドNH10を作製するのに用いたインサートによりコードされるアミノ酸配列を示した図である。
【図3】MRのIg領域のアミノ酸配列(残基46〜209、配列番号4)を示した図である。
【図4A】MRのIgAドメインのアミノ酸配列(残基46〜116、配列番号5)を示した図である。
【図4B】MRのIgBドメインのアミノ酸配列(残基151〜209、配列番号5)を示した図である。
【図5】MRの構造の画像的な表示を示した図である。
【図6A】抗体(MR-7)およびMRの可溶性細胞外ドメイン(MR Ecto)の、大動脈輪アッセイにおける新生血管の形成に対する効果を示したグラフおよび表である。
【図6B】MRの可溶性細胞外ドメイン(MR細胞外ドメイン、MR Ecto)の、大動脈輪アッセイにおける新生血管の形成に対する効果を、ヒトIgGの対照と共に示したグラフおよび表である。
【図7A】抗体または可溶性MR細胞外ドメインの存在下におけるラット大動脈からの発芽形成を示した図である。
【図7B】抗体または可溶性MR細胞外ドメインの存在下におけるラット大動脈からの発芽形成を示した図である。
【図8】MRの可溶性細胞外ドメイン(MR細胞外ドメイン)の、スポンジ血管新生アッセイにおける新たな血管の形成に対する効果を示したグラフおよび表である。
【図9A】初代ヒト内皮細胞の、血管内皮増殖因子(VEGF)誘導性の遊走が、MR細胞外ドメインにより阻害されたことを示すグラフおよび表である。
【図9B】初代ヒト内皮細胞の、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)誘導性の遊走が、MR細胞外ドメインにより阻害されたことを示すグラフおよび表である。
【図10】MR細胞外ドメイン(Robo4-Fc)が、初代ヒト内皮細胞の増殖を阻害したことを示すグラフおよび表である。
【発明を実施するための形態】
【0247】
本発明を、以下の実施例および図を参照することにより、より詳細に解説する。
【0248】
図1Aは、プラスミドN1を作製するのに用いたインサートのDNA配列を示す(配列番号1)。図1Bは、インサートによりコードされるアミノ酸配列を示す(配列番号2)。この配列は全長MRアミノ酸配列である。
【0249】
図2Aは、プラスミドNH10を作製するのに用いたインサートのDNA配列を示す(配列番号30)。図2Bは、プラスミドNH10を作製するのに用いたインサートによりコードされるアミノ酸配列を示す。この配列は、MR細胞外ドメインとよばれ、これは、MRの細胞外断片全体のアミノ酸配列である(残基1〜467、配列番号3)。
【0250】
図3は、MRのIg領域のアミノ酸配列を示す(残基46〜209、配列番号4)。
【0251】
図4Aは、MRのIgAドメインのアミノ酸配列を示す(残基46〜116、配列番号5)。図4Bは、MRのIgBドメインのアミノ酸配列を示す(残基151〜209、配列番号5)。
【0252】
図5は、MRの構造の画像的な表示を示す。
【0253】
図6Aは、抗体(MR-7)およびMRの可溶性細胞外ドメイン(MR Ecto)の、大動脈輪アッセイにおける新生血管の形成に対する効果を示したグラフおよび表である。
【0254】
図6Bは、MRの可溶性細胞外ドメイン(MR細胞外ドメイン、MR Ecto)の、大動脈輪アッセイにおける新生血管の形成に対する効果を、ヒトIgGの対照と共に示したグラフおよび表である。
【0255】
図7は、抗体または可溶性MR細胞外ドメインの存在下におけるラット大動脈からの発芽形成を示す。ラット大動脈のセクションを、培地のみ(A)、または100μg/mlのMR-7抗体を含む培地(B)、または15μg/mlの可溶性MR細胞外ドメイン(残基1〜467)(C)の存在下で5日間培養した。各処置群について4つの写真を示し、これらは、2つずつ用意した大動脈からの発芽レベルの代表的なものである。
【0256】
図8は、MRの可溶性細胞外ドメイン(MR細胞外ドメイン)の、スポンジ血管新生アッセイにおける新たな血管の形成に対する効果を示したグラフおよび表である。
【0257】
図9Aは、初代ヒト内皮細胞の、血管内皮増殖因子(VEGF)誘導性の遊走が、MR細胞外ドメインにより阻害されたことを示すグラフおよび表である。
【0258】
図9Bは、初代ヒト内皮細胞の、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)誘導性の遊走が、MR細胞外ドメインにより阻害されたことを示すグラフおよび表である。
【0259】
図10は、MR細胞外ドメイン(Robo4-Fc)が、初代ヒト内皮細胞の増殖を阻害したことを示すグラフおよび表である。
【0260】
[実施例1]
抗体の調製
用いたcDNA構築物は、表2に記載のとおりであった。
【0261】
【表2】

【0262】
「Fc」は、pIGベクターのFc領域のことを指す。これは、ベクター末端内の、ヒトIgG定常ドメインのヒンジ、CH1、CH2である(マルチクローニングサイトおよびスプライスアクセプター領域を含む)。ベクターのヌクレオチド配列は、
【0263】
【化1】

【化2】

【0264】
(配列番号31)である。
【0265】
遺伝子免疫を用いて抗MR抗体を産生するためのプラスミドベクターN1およびNH10の作製は、以下のように行った。N1(膜結合)およびNH10(可溶性)をコードするプラスミドベクターN1およびNH10は、以下のように作製した。
【0266】
N1は、NotI消化によって全長MR pBluescript KS+を取り出すことにより作製した。生成物は、ゲルから洗浄し、pcDNA3(NotIで消化したもの)に連結した。
【0267】
NH10は、MRの細胞外ドメインを、5'HinDIIIサイトおよび3'NotIサイトを組み込んだプライマーを用いて増幅することにより作製した。これを、同じ酵素で消化したpcDNA3ベクターに連結した。
【0268】
抗MR抗体を産生するためのマウスの遺伝子免疫は、以下のように行った。
【0269】
構築物N1およびNH10を、(Boyle、J.S.、A.Silva、ら(1997)「DNA immunization:induction of higher avidity antibody and effect of route on T cell cytotoxicity.」Proc Natl Acad Sci USA 94(26):14626〜31)に報告された方法にしたがって、3つの異なる遺伝的バックグラウンドに由来するマウスを免役するのに用いた。マウスは、2週間に1回の、エンドトキシンフリーのプラスミド100μgの筋肉内注射により免疫した。DNA構築物による免疫に続き、マウスに、それぞれ、200μlの精製したMR細胞外ドメインを、最後の追加免疫として静脈内注射し、その後、ハイブリドーマを作製するために脾臓を採取した。表3に示すように、3つの異なる遺伝的系統のマウスを、遺伝子免疫に対して適切な免疫応答をするその能力についてテストした。
【0270】
【表3】

【0271】
免疫のためのスケジュールを表4に示す。
【0272】
【表4】

【0273】
免疫の過程の最中に、試験採血を、抗MR抗体について、以下の捕捉ELISAを用いてアッセイした。このELISAは、上清中の融合タンパク質のレベル、またはハイブリドーマ上清中の融合タンパク質に対する抗体の存在/レベルを測定するのに用いることができる、強力かつフレキシブルなアッセイである。これは極めて感度が高く、0.001〜0.5μg/mlの範囲のヒトIgGを検出する。これは低いバックグラウンドを有し、典型的には、OD405=0.07の範囲である。これに比較して、この系(MR-pIG)におけるニートな(neat)ハイブリドーマ上清は、OD405>1.0(いくつかのケースでは>2.0)の陽性の結果を与える。
【0274】
ELISA法の概要
プレートを5μg/mlのFc特異的なヤギ抗ヒトIgGでコーティングし、PBS中の1%BSAでブロッキングし、融合タンパク質上清またはヒトIgG対照を加え、検出抗体またはヤギ抗ヒトアルカリホスファターゼコンジュゲートを加え、コンジュゲートされていない検出抗体を用いた場合には2次コンジュゲートを加え、pNPP基質を加え、20〜30分後に3MのNaOHで停止させる。
【0275】
pIG融合タンパク質用の捕捉ELISAのための詳細なプロトコル
(1)プレートをPBS、例えばSigma I-2136で希釈した2〜5μg/mlの精製されたコンジュゲートされていないヤギ抗ヒトIgG抗体(Fc特異的)、50μL/ウェルでコーティングし、プレートをそっと軽くたたき、ウェルの底部が均一に被覆されるようにする。
(2)+4℃で一晩インキュベートする。プレートは、乾燥を防ぐために湿潤な容器中に保たれている限り、このようにして少なくとも1週間保存することができる。
(3)PBS-Tween 20(0.04%Tween 20)で3回、毎回プレートを浸し、乾燥するまでティッシュペーパー上に叩き付けることにより洗浄する。
(4)200μl/ウェルの、PBS中の1%BSAによりブロッキングする。室温で1〜2時間、または+4℃で一晩インキュベートする。プレートは、上記ポイント(2)のように、ブロッキングした状態で保存することができる。
(5)洗浄工程(工程3)を繰り返す。
(6)プレートを、融合タンパク質上清、例えばMR-ecto-pIGでコーティングする。0.5から1.0μg/mlの融合タンパク質を含む上清は極めて優れた結果をもたらすため、精製または濃縮する必要はない。室温で1時間インキュベートする。ヒトIgGを、上清の代わりにFcドメインを検出するための陽性対照として用いることができ、上清中に存在するNABA-pIG融合タンパク質の量を提供するために滴定する。
(7)洗浄工程(工程3)を繰り返す。
(8)pIGドメインを、PBS中1/5000に希釈したヤギ抗ヒトIgG-アルカリホスファターゼコンジュゲート(陽性対照)、またはPBS中様々に希釈した(1/10から1/1000)、試験採血からのマウス血清を用いて検出する。室温で1時間インキュベートする。これに、2次コンジュゲート(抗マウスアルカリホスファターゼ)の追加の工程が続く。室温でさらに1時間インキュベートする。
(9)洗浄工程(工程3)を繰り返す。(代替的な方法を用いる場合は、検出抗体の使用と2次コンジュゲートとの間にも行う)
(10)錠剤から作出したSigma pNPP基質、50μl/ウェルを用いて色の変化を測定する。暗中20〜30分インキュベートし、50μl/ウェルの3M NaOHの添加により反応を停止する。色の変化を405nmで読み取る。
【0276】
抗MR抗体は、以下のようにして作製した。上記の免疫したマウスから採取した脾臓を、NSO細胞に融合した。得られたハイブリドーマを、MRを認識する抗体を産生するその能力について、ELISAを用いてテストした。確認された抗体のうちの1つを、さらなる研究のために選択した-MR7。
【0277】
MR7抗体は、以下のようにして特徴づけられた。
MR7を、MRの種々のドメインを認識するその能力について、ELISAを用いてテストした。MR7がMR IgAドメインを認識することが見出された。MR7の相補性決定領域(CDR)をコードするDNA配列を、以下に示すプライマーを用いたPCR増幅および標準的なシーケンシング技術により決定した。
【0278】
プライマー
11種の5'プライマー(表5に列挙)を、カッパ鎖のCDRを増幅するのに用いた。
【0279】
【表5】

【0280】
MR7カッパ鎖5'末端を増幅したプライマー配列は、MK5であった。
【0281】
3'プライマーの配列は、GTTTGATCTAGAGCTTGGTCCC(配列番号43)であり、これは、CDR3の後から増幅し、生成物をクローニングする必要がある場合には、XbaI制限サイトを生成物の末端に付加する。同じ産物が、5'ミックスを3'定常領域プライマーTTGGAGGGCGTTATCCACCT(配列番号44)と共に用いた場合に産生された。
【0282】
重鎖プライマー
5'プライマーは、
ATCGGATCCAGGTSMARCTGCAGSAGTCWGG(配列番号45)
であり、3'プライマーは、
CTCGAATTCTGAGGAGACGGTGACCGTGGTCCCTTGGCCCC(配列番号46)
であった。
【0283】
これらのプライマーについての冗長コードを表6に示す。
【0284】
【表6】

【0285】
MR7配列
MR7抗体の軽鎖および重鎖V領域のアミノ酸配列を以下に示す。CDRには下線を付してある。
【0286】
MR7カッパV領域:
【化3】

【0287】
(配列番号12)。
【0288】
MR7重鎖V領域:
【化4】

【0289】
(配列番号16〜17)。
【0290】
MR7抗体の軽鎖および重鎖V領域のヌクレオチド配列。CDRには下線を付してある。
【0291】
MR7カッパV領域:
【化5】

【0292】
(配列番号21)。
【0293】
MR7重鎖V領域:
【化6】

【0294】
(配列番号25〜27)。
【0295】
[実施例2]
抗体MR7およびMR細胞外ドメイン(MR残基1〜467の細胞外断片)は大動脈輪アッセイにおいて血管発芽の形成を阻害する
概要
MRの血管新生における役割を、ラット大動脈輪アッセイを用いて調査した。ラット大動脈の断片をマトリゲルに埋め込み、抗体MR7または精製MR細胞外ドメインタンパク質のいずれかで処置した。発芽する血管を5日間成長するに任せた後、3名の独立した観察者によりスコアリングした。20〜25の別個の実験についての平均スコアを図6Aおよび6Bに示す。スコア間の信頼性はLandisとKochの方法を用いて評価した。算出した加重カッパ値は、MR7については0.96およびMR細胞外ドメインについては0.93であった。これらのカッパ値は、独立したスコアラーの間に高度の一貫性があることを示すものである。
【0296】
方法
200g〜300gのラット(6〜8週齢)から大動脈を採取し、直ちにMCDB131倍地中に配置した。結合組織を除去し、大動脈を1mm〜1.5mmの輪に切断した。48ウェルプレートをPBSで1:1に希釈した110μlのマトリゲル(BD Biosciences)でコーティングし、37℃で30分間ゲル化させた。大動脈輪をウェル中に配置し、その場で40μlのマトリゲルの重層によりシールした。抗体(100μg/ml)またはMR細胞外ドメイン(可溶性robo4細胞外ドメイン)(15μg/ml)を、終容量250μlの、20%ウシ胎児血清50μg/mlの内皮細胞増殖添加物を含有するMCDB 131にてウェルに加えた。培地を2日後に交換し、5日後に大動脈を分析および撮影した。
【0297】
結果
大動脈輪断片の代表的な顕微鏡写真を図7A-Cに示す。図が示すとおり、大動脈輪のMR7またはMR細胞外ドメインによる処置は、大動脈切片からの血管の発芽の顕著な減少をもたらした。
【0298】
大動脈輪アッセイの統計学的分析
大動脈輪を、血管の成長にしたがって、以下のように0(低)から4(高)の尺度でスコアリングした:0=成長なし、1=血管少数、2=血管中程度、3=血管多数だが、大動脈輪の周囲に散発的な発芽中心、および4=多数の血管が大動脈輪のすべての領域から発芽。
【0299】
すべての実験は、3名の独立した研究者によって盲検によりスコアリングを行った。スコアラー間の信頼性はLandisとKochの方法(Biometrics、1977、33(1)、159〜174)を用いて評価した。加重カッパを試験者の、評価者間信頼性を確立するために算出した。加重カッパは、
【0300】
【数1】

【0301】
により得られ、ここで、po(w)およびpe(w)は、式:
【0302】
【数2】

【0303】
で算出される加重された実測および予想一致率(agreement)である。
【0304】
iは、1検者に関するカテゴリーを表し、jは、第2の検者に関するカテゴリーを表す。riは1検者に関するカテゴリーiの件数の総計を表し、cjは、他の検者に関するカテゴリーjの件数の総計を表す。
【0305】
カテゴリー間の差異は1とみなし、したがって、追加の中間(transition)カテゴリーの記述のための新たなカテゴリーの導入により、1つのカテゴリーと他のカテゴリーとの差異は、0.5ポイントとみなした。カテゴリーの総数はしたがってg=9である。件数はn=80である。
【0306】
1検者ではカテゴリーiであり、かつ第2の検者ではカテゴリーjであったケースの観察された頻度fijに関する加重wijは、
【0307】
【数3】

【0308】
で算出される。
【0309】
一致率の強さは、カッパ統計値が<0.00であった場合は不良、0.00〜0.20の値については軽度、0.21〜0.40については一応ありと、0.41〜0.60については中等度と、0.61〜0.80についてはかなりありと、0.81〜1.00については高度とみなされる。
【0310】
次にデータを一緒に照合し、分散分析およびKruskall Wallis法により分析した。得られたp値は、対照群と、MR7または細胞外ドメインのいずれかで処置したものとの間の極めて有意な差異を示すものである。
【0311】
[実施例3]
MR細胞外ドメイン(MR残基1〜467の細胞外断片)はin vivoにおいて血管発芽の形成を阻害する
MR細胞外ドメインの、in vivoにおいて血管新生を阻害する能力を、雌のC57ブラックマウスに対して行ったスポンジ血管新生アッセイ(Hori Y.ら(1996)「Differential effects of angiostatic steroids and dexamethasone on angiogenesis and cytokine levels in rat sponge implants」、Br.J.Pharmacol.118(7):1584〜1591)を用いてテストした。すべてのマウスは、背部の皮膚の下に、皮下無菌ポリエーテルスポンジ(型式611〜9)ディスク(15×5×5mm)を、第0日に受けた。試験試薬を皮膚を介して直接スポンジに、2日ごとに21日間注射した(注射量100μl)。マウス2頭の群は、PBS対照、10ng/mlの塩基性線維芽増殖因子(bFGF)、または10ng/mlのbFGF+100μg/mlのMR細胞外ドメインのいずれかを受けた。動物を第21日に切皮し、スポンジを摘出し、3.7%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィンで包埋した。5ミクロンの切片をヘマトキシリンおよびエオジンで染色し、Axiocamデジタルカメラを備えたZeiss Axioskop 2 plus 顕微鏡を用いて、倍率20×にてデジタル写真を撮った。スポンジに侵入している血管の数を、血管新生の1つの指標として計数した。
【0312】
bFGFのみ(対照)を注射したマウス、およびbFGFとMR細胞外ドメインとの両方を注したマウスからのスポンジ間で明らかな差異があった。この差異は、
a)MR細胞外ドメインで処置したスポンジにおける、対照と比較して有意に少ない血管数(図8:Studentのt検定によりp=0.0014)、
b)MR細胞外ドメインで処置したスポンジからの極めて大きな血管の欠如、および
c)MR細胞外ドメインで処置したスポンジにおける大幅に低い線維芽細胞密度、
であった。
【0313】
[実施例4]
MR細胞外ドメイン(MR残基1〜467の細胞外断片)は、初代ヒト血管内皮細胞の遊走を阻害する
初代ヒト血管内皮細胞(HUVEC)遊走アッセイは、BD Biosciences、Bedford、MA、USAからカタログ番号354143として入手可能なBD BioCoat(商標)血管内皮細胞遊走用血管新生システムを用いて行った。このキットを使用するための指示書はhttp://www.bdbiosciences.com/discovery_labware/Products/drug_discovery /insert_systems/angiogenesis_system/pdf /Endothelial_Cell_Migration_Instruct.pdfに見出すことができる。このシステムは24マルチウェルインサートシステムを用いたものであり、フィブロネクチンで上面が均一にコーティングされた、ポアサイズ3ミクロンのBD Falcon FluoroBlok PETメンブレンからなる。細胞遊走の定量は、細胞の、蛍光色素カルセインAMによるポストラベルと、蛍光プレートリーダーにおける遊走細胞の蛍光の測定とにより達成した。FluoroBlokメンブレンは、490〜700nmの光の透過を>99%の効率で効果的にブロックし、これは、遊走しなかった標識細胞が検出からブロックされることを意味する。
【0314】
上部チャンバーには、50,000個/ウェルの1%熱不活化ウシ胎児血清(FCS)を添加したMCDB131培地中のHUVECを播種した。下部チャンバーには、750μlのMCDB 131+1% FCS中のbFGF(5 ng/ml)、VEGF(10 ng/ml)およびMR細胞外ドメイン(100μg/ml)を負荷したか、または負荷しなかった。22時間、37℃でのインキュベーションの後、インサートメンブレンをハンクス平衡塩溶液(HBSS)中の4μg/mlのカルセインAM(Molecular Probes)で90分間染色した。メンブランした底側の蛍光を、485/530nmの励起/放出波長で測定した。画像を、Axiocamデジタルカメラを備えたZeiss Axiovert 135顕微鏡を用いて、倍率1O×にて撮影した。
【0315】
bFGFおよびVEGFのいずれも内皮細胞の遊走を刺激することが知られている(Cross & Claesson-Welsh、2001 Trends Pharmacol Sci.22(4):201〜207)。図9Aおよび9Bに示すとおり、MR細胞外ドメインが、bFGFまたはVEGFのいずれかによって誘導された HUVEC細胞の遊走を有意に阻害することが示された。
【0316】
[実施例5]
MR細胞外ドメイン(MR残基1〜467の細胞外断片)は内皮細胞の増殖を阻害する
6ウェルプレートの1ウェルあたり5×104個の初代ヒト血管内皮細胞(HUVEC)を、処置(6.25、12.5、25、50もしくは100μg/mlのMR細胞外ドメイン(Robo4-Fc)または100μg/mlのヒトIgG)を含む、または対照として処置を含まない、1.5mlの完全増殖倍地中に播種した。37℃での4日間のインキュベーションの後、細胞をPBS中で洗浄し、1mlのトリプシン溶液の添加によりウェルから剥離した。すべての細胞が剥離した後、400μlの細胞懸濁液を19.6mlのIsotonバッファー(Beckman Coulter)に移し、各サンプル中の細胞数をCoulter Particle CountおよびSize Analyser(Beckman Coulter)にて決定した。実験は3重に行い、かつ3回反復した。
【0317】
図10に示すとおり、12.5μg/mlのMR細胞外ドメインの存在下でのインキュベーションは、HUVEC細胞の増殖を対照レベルの約75%に減少させ、より高い濃度のMR細胞外ドメインは、より強い抗増殖効果を有した。
【0318】
[実施例6]
MRの細胞外領域に特異的に結合する抗体を投与することによる、望まない血管新生を示す患者の処置
望まない血管新生を示す患者を、MRの細胞外領域に特異的に結合する抗体を含む医薬組成物の生理食塩水溶液の静脈内輸液により処置する。輸液は毎週、3〜6カ月の期間投与する。
【0319】
[実施例7]
MRの細胞外領域を投与することによる、望まない血管新生を示す患者の処置
望まない血管新生を示す患者を、MR細胞外ドメインを含む医薬組成物の生理食塩水溶液の静脈内輸液により処置する。輸液は毎週、典型的には3〜6カ月間投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、ヒトマジックラウンドアバウト(MR)の細胞外領域(残基1〜467、配列番号3)に選択的に結合する抗体を該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項2】
MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用。
【請求項3】
MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体を、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitro方法。
【請求項4】
抗体がMRのIg領域(残基46〜209、配列番号4)に選択的に結合する、請求項1から3のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項5】
抗体がMRのIgA領域(残基46〜116、配列番号5)に選択的に結合する、請求項4に記載の方法または使用。
【請求項6】
抗体がMRのIgB領域(残基151〜209、配列番号6)に選択的に結合する、請求項4に記載の方法または使用。
【請求項7】
抗体が、以下のCDR:
CDR1:SASSSVSYMY(配列番号9)
CDR2:LTSNLAS(配列番号10)
CDR3:QQWSSNPLT(配列番号11)
を組み込んだ少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項8】
抗体が、アミノ酸配列QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、請求項7に記載の方法または使用。
【請求項9】
抗体が、以下のCDR:
CDR1:DYNLN(配列番号13)
CDR2:VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
CDR3:GRDYFGY(配列番号15)
を組み込んだ少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項10】
抗体が、アミノ酸配列QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16〜17)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、請求項9に記載の方法または使用。
【請求項11】
抗体が、請求項7または8に記載の少なくとも1つの軽鎖可変領域と、請求項9または10に記載の少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する、請求項1から6のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項12】
それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、請求項1から11のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチドの、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用。
【請求項14】
請求項1から11のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチドを、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitro方法。
【請求項15】
アミノ酸配列i)からiii)、アミノ酸配列iv)からvi)、または好ましくはアミノ酸配列i)からvi):
i) SASSSVSYMY(配列番号9)
ii) LTSNLAS(配列番号10)
iii)QQWSSNPLT(配列番号11)
iv) DYNLN(配列番号13)
v) VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
vi) GRDYFGY(配列番号15)
を含む抗体。
【請求項16】
以下のCDR:
CDR1:SASSSVSYMY(配列番号9)
CDR2:LTSNLAS(配列番号10)
CDR3:QQWSSNPLT(配列番号11)
を組み込んだ少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
アミノ酸配列QIVLTQSPALMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMYWYQQKPRSSPKPWIYLTSNLASGVPARFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELK(配列番号12)を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域を有する、請求項16に記載の抗体。
【請求項18】
以下のCDR:
CDR1:DYNLN(配列番号13)
CDR2:VINPNYGTTSYNQKFKG(配列番号14)
CDR3:GRDYFGY(配列番号15)
を組み込んだ少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、請求項15に記載の抗体。
【請求項19】
アミノ酸配列QVK/QLQESGPELVKPGASVKISCKASGYSLTDYNLNWVKQNKGKSLEWIGVINPNYGTTSYNQKFKGKATLTVDQSSSTTYMQLNSLTSEDSAVYYCARGRDYFGYWGQGTTVTVSS(配列番号16〜17)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を有する、請求項18に記載の抗体。
【請求項20】
請求項16または17に記載の少なくとも1つの軽鎖可変領域と、請求項18または19に記載の少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する、請求項15に記載の抗体。
【請求項21】
請求項17に記載の少なくとも1つのカッパ軽鎖可変領域と、請求項19に記載の少なくとも1つの重鎖可変領域とを有する抗体により結合されるMRエピトープに選択的に結合する抗体。
【請求項22】
請求項15から21のいずれかに記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項23】
ヌクレオチド配列:
i) AGT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TAC ATG TAC(配列番号18)
ii) TCT CAC ATC CAA CCT GGC TTC T(配列番号19)
iii)CAG CAG TGG AGT AGT AAC CCA CTC ACG(配列番号20)
iv) GAC TAC AAC CTG AAC(配列番号22)
v) GTA ATT AAT CCA AAC TAT GGT ACT AGT TAC AAT CAG AAG TTC AAG GGC(配列番号23)、および
vi) GGG AGG GAT TAC TTC GGC TAC(配列番号24)
の1つまたは複数を含む、請求項22に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
ヌクレオチド配列CAA ATT GTT CTC ACC CAG TCT CCA GCA CTC ATG TCT GCA TCT CCA GGG GAG AAG GTC ACC ATG ACC TGC AGT GCC AGC TCA AGT GTA AGT TAC ATG TAC TGG TAC CAG CAG AAG CCA AGA TCC TCC CCC AAA CCC TGG ATT TAT CTC ACA TCC AAC CTG GCT TCT GGA GTC CCT GCT CGC TTC AGT GGC AGT GGG TCT GGG ACC TCT TAC TCT CTC ACA ATC AGC AGC ATG GAG GCT GAA GAT GCT GCC ACT TAT TAC TGC CAG CAG TGG AGT AGT AAC CCA CTC ACG TTC GGT GCT GGG ACC AAG CTG GAG CTG AAA(配列番号21)を含む、請求項22または23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
ヌクレオチド配列CAG GTC AAG(またはA/CAA)CTG CAG GAG TCA GGA CCT GAG CTG GTG AAG CCT GGC GCT TCA GTG AAG ATA TCC TGC AAG GCT TCT GGT TAC TCA CTC ACT GAC TAC AAC CTG AAC TGG GTG AAG CAG AAC AAA GGA AAG AGC CTT GAG TGG ATT GGA GTA ATT AAT CCA AAC TAT GGT ACT AGT TAC AAT CAG AAG TTC AAG GGC AAG GCC ACA TTG ACT GTA GAC CAA TCT TCC AGC ACA ACC TAC ATG CAG CTC AAC AGC CTG ACA TCT GAG GAC TCT GCA GTC TAT TAC TGT GCA AGA GGG AGG GAT TAC TTC GGC TAC TGG GGC CAA GGG ACC ACG GTC ACC GTC TCC TCA(配列番号25〜27)を含む、請求項22または23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項24に記載のヌクレオチド配列と、請求項25に記載のヌクレオチド配列とを含む、請求項22または23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
MRのIg領域(残基46〜209、配列番号4)を選択的に結合するが、ペプチドLLQPPARGHAHDGQALSTDL(配列番号28)またはLSQSPGAVPQALVAWRA(配列番号29)には選択的に結合しない抗体。
【請求項28】
MRのIgA領域(残基46〜116、配列番号5)を選択的に結合するが、ペプチドLLQPPARGHAHDGQALSTDL(配列番号28)には選択的に結合しないか、またはMRのIgB領域(残基151〜209、配列番号6)を選択的に結合するが、ペプチドLSQSPGAVPQALVAWRA(配列番号29)には選択的に結合しない、請求項27に記載の抗体。
【請求項29】
請求項27または28に記載の抗体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項15から21または27から28のいずれかに記載の抗体と、直接的または間接的な細胞毒性部分とを含む化合物。
【請求項31】
細胞毒性部分が、直接細胞毒性を有する化学療法剤、直接細胞毒性を有するポリペプチド、比較的無毒なプロドラッグを細胞毒性薬剤に転換することができる部分、放射線感受性増強物質、直接細胞毒性を有する核酸、直接的または間接的な細胞毒性ポリペプチドをコードする核酸分子、治療的ポリペプチドをコードする核酸分子、または放射性原子から選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
放射性原子が、リン-32、ヨウ素-125、ヨウ素-131、インジウム-111、レニウム-186、レニウム-188またはイットリウム-90のいずれかである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
抗体と細胞毒性部分とが、融合されたポリペプチドである、請求項30または31に記載の化合物。
【請求項34】
請求項33に記載の化合物をコードするポリヌクレオチド。
【請求項35】
請求項15から21または27から28のいずれかに記載の抗体と、容易に検出可能な部分とを含む化合物。
【請求項36】
容易に検出可能な部分が、好適な量のヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、テクネチウム-99m、ガドリニウム、マンガン、または鉄のいずれかを含む、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
請求項22から26、29または34のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項38】
請求項22から26、29または34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項37に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項39】
請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項33に記載の化合物を産生する安定した宿主細胞系であって、該細胞系への請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載の外来ポリヌクレオチド、または請求項37に記載のベクターの組み込みによりもたらされる宿主細胞系。
【請求項40】
請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項30から33もしくは35から36のいずれかに記載の化合物と、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項41】
患者に注射により投与するために適した、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
医薬に使用するための、請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項30から33もしくは35から36のいずれかに記載の化合物。
【請求項43】
請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項30から33もしくは35から36のいずれかに記載の化合物の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用。
【請求項44】
それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項30から33もしくは35から36のいずれかに記載の化合物を、該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項45】
請求項15から21もしくは27から28のいずれかに記載の抗体、または請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチド、または請求項30から33もしくは35から36のいずれかに記載の化合物を、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitro方法。
【請求項46】
請求項15から21もしくは26から28のいずれかに記載の抗体、または請求項33のいずれかに記載の化合物を生産する方法であって、請求項22から26、29もしくは34のいずれかに記載のポリヌクレオチドを発現させる工程、または請求項39に記載の安定した宿主細胞系を培養する工程を含む方法。
【請求項47】
腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を個体において治癒する方法であって、MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体を該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項48】
MRの細胞外領域に選択的に結合する抗体の、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒するための医薬の調製への使用。
【請求項49】
MR細胞外ドメイン(配列番号3)、または内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片。
【請求項50】
医薬に使用するための、MR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片、あるいはMR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項51】
MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片、またはMR細胞外ドメインまたはその断片をコードするポリヌクレオチドと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項52】
患者への静脈内投与に適している、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を伴う疾患または状態を個体において治癒する方法であって、MR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片、あるいはMR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを、該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項54】
MR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片、あるいはMR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドの、不要な、望ましくないまたは不適切な内皮細胞の遊走および/または増殖を伴う疾患または状態を治癒するための医薬の調製への使用。
【請求項55】
不要な、望ましくない、または不適切な内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を伴う疾患または状態が、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される、請求項53または54に記載の方法または使用。
【請求項56】
MR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片、MR細胞外ドメインまたは内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、内皮細胞の遊走および/または増殖を阻害するin vitro方法。
【請求項57】
MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項58】
MR細胞外ドメイン、または内皮細胞の遊走および/もしくは増殖を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド、または請求項57に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項59】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片。
【請求項60】
それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法であって、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を、該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項61】
腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を、それを必要とする個体において治癒する方法であって、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を、該個体に投与する工程を含む方法。
【請求項62】
医薬に使用するための、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片。
【請求項63】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片の、血管新生を阻害するための医薬の調製への使用。
【請求項64】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片の、腫瘍/癌、乾癬、アテローム性動脈硬化症、月経過多、子宮内膜症、関節炎(炎症性およびリウマチ性の両方)、黄斑変性症、パジェット病、網膜症およびその血管合併症(増殖性網膜症および未熟児網膜症、および糖尿病性網膜症を含む合併症)、良性の血管増殖、線維症、肥満および炎症から選択される疾患または状態を治癒するための医薬の調製における使用。
【請求項65】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片を、組織または細胞に in vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitro方法。
【請求項66】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを投与する工程を含む、それを必要とする個体において血管新生を阻害する方法。
【請求項67】
医薬に使用するための、MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド。
【請求項68】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドの、血管新生を阻害するための医薬の調製における使用。
【請求項69】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを、組織または細胞にin vitroで投与する工程を含む、血管新生を阻害するin vitro方法。
【請求項70】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項71】
MR細胞外ドメイン、または血管新生を阻害するその断片をコードするポリヌクレオチド、または請求項60に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項72】
MR細胞外ドメインもしくは血管新生を阻害するその断片、またはMR細胞外ドメインもしくはその断片をコードするポリヌクレオチドと、薬学的に許容し得る担体とを含む医薬組成物。
【請求項73】
患者への静脈内投与に適している、請求項72に記載の医薬組成物。

【図1A−1】
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【図1A−2】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図5】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2012−50442(P2012−50442A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207275(P2011−207275)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【分割の表示】特願2004−570309(P2004−570309)の分割
【原出願日】平成15年11月20日(2003.11.20)
【出願人】(598176569)キャンサー・リサーチ・テクノロジー・リミテッド (57)
【氏名又は名称原語表記】CANCER RESEARCH TECHNOLOGY LIMITED
【Fターム(参考)】