説明

抗体の安定化方法及び安定化された溶液状抗体製剤

本発明は、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制方法、化学的分解物の生成抑制方法、さらに抗体の安定化方法を提供する。また、本発明は、可溶性会合体の生成が抑制された溶液状抗体製剤、化学的分解物の生成が抑制された溶液状抗体製剤、さらに可溶性会合体の生成、化学的分解物の生成および不溶性凝集体の生成が抑制された溶液状抗体製剤ならびに抗体の可溶性会合体の生成抑制剤、抗体の化学的分解物の生成抑制剤および抗体安定化剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、溶液中での抗体の安定化方法および安定化された溶液状抗体製剤に関する。
【背景技術】
バイオテクノロジーの進歩により、抗体を用いた疾患の治療が近年急速に普及している。我が国においても例えばシナジス、レミケード、リツキサン、ハーセプチンなど、種々の抗体製剤が医療現場において提供されている。
抗体を溶液中で長期間保存する際、化学的分解物の生成、不溶性凝集体の生成、可溶性会合体の生成などが起こる。そこで、安定でかつ安全な抗体医薬を提供するために、これらの生成物を抑制するための方法が求められている。
抗体を溶液状態で長期間保存した場合に、抗体のジスルフィド結合やペプチド結合の開裂などの化学的な分解反応が起こる。その結果、品質の劣化により、その活性低下、予期せぬ副作用などが懸念される。
タンパク質は、振とうや熱ストレスなどにより、高次構造が崩壊した分子が凝集し、不溶化される。これら不溶性凝集体が静脈内投与された場合、アナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が起こりやすくなる(特表平10−502938号公報)。
不溶性凝集体の生成を抑制する方法としては、組換えヒトサイトケラチノサイト成長因子(recombinant human keratinocyte growth factor)水溶液の熱ストレスによる不溶性凝集体の生成を抑制するために、100mmol/L以上のクエン酸または0.5%のヘパリンを抗体溶液に添加することが知られている[Journal of Pharmaceutical Science,vol.83,No.12,1657−1661(1994)]。また、抗体水溶液の熱ストレスによる不溶性凝集体生成を抑制する方法としては、グリシンまたはヒスチジン緩衝液を用いること(WO02/13860公報)、2%以上のポリビニルピロリドンを添加すること[Pharmaceutical Research,vol.11,NO.5,624−632,1994]、リン酸緩衝液および塩化ナトリウムおよびマルトースを添加すること(特表平3−504499号公報)などが知られている。
またタンパク質によっては、不溶化には至らないが、2量体、3量体など少数の蛋白質分子からなる可溶性会合体を形成することが知られている。例えば、蛋白質が抗体の場合、可溶性の2量体が形成されやすいとされている[Biochemistry,vol.38,13960−13967(1999)]。また抗体の2量体がヒト体内に投与されると、熱、吐き気、低血圧などの副作用が引き起こされる危険性がある(特表平10−502938号公報)。
可溶性の会合体生成を抑制する方法としては、ニコチン酸誘導体または親油性側鎖を有するα−アミノ酸などを安定化剤として液体免疫グロブリン製剤に含有させる方法が知られている(特表平10−502938号公報)。
以上のように、溶液中での抗体の安定化は化学的分解物の生成、不溶性凝集体生成、可溶性会合体生成といった複数の不安定化要因を克服し、安定な抗体製剤を提供する方法が望まれているが、これまでに知られていない。
【発明の開示】
本発明は、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制方法、化学的分解物の生成抑制方法、さらに抗体の安定化方法を提供することを目的とする。また、本発明は、可溶性会合体の生成が抑制された溶液状抗体製剤、化学的分解物の生成が抑制された溶液状抗体製剤、さらに可溶性会合体の生成、化学的分解物の生成および不溶性擬集体の生成が抑制された溶液状抗体製剤ならびに抗体の可溶性会合体の生成抑制剤、抗体の化学的分解物の生成抑制剤および抗体安定化剤の提供を目的とする。
本発明は以下の(1)〜(25)に関する。
(1)抗体にグリシン及びクエン酸を添加することを特徴とする、溶液中で抗体を安定化する方法。
(2)抗体を安定化する方法が、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制および化学的分解物の生成抑制である上記(1)記載の方法。
(3)抗体にグリシンを添加することを特徴とする、溶液中で抗体の可溶性会合体の生成を抑制する方法。
(4)抗体にクエン酸を添加することを特徴とする、溶液中で抗体の化学的分解物の生成を抑制する方法。
(5)抗体濃度が0.01〜150mg/mLである、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(6)グリシンの濃度が10〜30mg/mLである、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(7)クエン酸の濃度が0.1〜50mmol/Lである、上記(1)、(2)および(4)のいずれか1項に記載の方法。
(8)さらに非イオン性界面活性剤を含有する上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9)溶液のpHが4〜7の範囲内である上記(1)〜(8)いずれか1項に記載の方法。
(10)抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法。
(11)抗体がガングリオシドGD3に対する抗体およびCCケモカイン受容体4(以下、CCR4という)に対する抗体のいずれかの抗体である上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の方法。
(12)グリシンおよび抗体を含有することを特徴とする、抗体の可溶性会合体の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
(13)クエン酸および抗体を含有することを特徴とする、抗体の化学的分解物の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
(14)グリシン、クエン酸および抗体を含有することを特徴とする、抗体の可溶性会合体の生成、化学的分解物の生成および不溶性凝集体の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
(15)抗体濃度が0.01〜150mg/mLである、上記(12)〜(14)のいずれか1項に記載の製剤。
(16)グリシンの濃度が10〜30mg/mLである、上記(12)、(14)および(15)のいずれか1項に記載の製剤。
(17)クエン酸の濃度が0.1〜50mmol/Lである、上記(13)〜(15)のいずれか1項に記載の製剤。
(18)さらに非イオン性界面活性剤を含有する上記(12)〜(17)のいずれか1項に記載の製剤。
(19)溶液のpHが4〜7の範囲内である上記(12)〜(18)のいずれか1項に記載の製剤。
(20)抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である上記(12)〜(19)のいずれか1項に記載の製剤。
(21)抗体がガングリオシドGD3に対する抗体およびCCR4に対する抗体のいずれかの抗体である上記(12)〜(20)のいずれか1項に記載の製剤。
(22)グリシンを有効成分として含有することを特徴とする、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制剤。
(23)クエン酸を有効成分として含有することを特徴とする、溶液中での抗体の化学的分解物の生成抑制剤。
(24)グリシン及びクエン酸を有効成分として含有することを特徴とする、抗体の安定化剤。
(25)抗体の安定化が、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制、化学的分解物の生成抑制および不溶性凝集体の生成抑制である、上記(24)記載の抗体の安定化剤。
本発明で使用される抗体には抗体断片も含まれる。これら抗体および抗体断片は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれであってもよいが、モノクローナル抗体が好ましい。
また、上記の抗体または抗体断片には、ヒト以外の動物の抗体、遺伝子組換え抗体、それらの抗体断片なども含まれる。
遣伝子組換え抗体としては、ヒト化抗体、ヒト抗体などがあげられ、また、ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体、ヒト型CDR移植抗体などがあげられる。
ヒト型キメラ抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLとヒト抗体のCHおよびCLとからなる抗体をいう。ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイムノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
また、ヒト以外の動物としては、マウス、ラット、ハムスター、ラビットなどがあげられる。
ヒト型CDR移植抗体とは、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRをヒト抗体のVHおよびVLの適切な位置に移植した抗体をいう。
本発明のヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVLのCDRを任意のヒト抗体のVHおよびVLのフレームワーク(以下、FRと表記する)と連結したV領城をコードするcDNAを設計、構築し、ヒト抗体のCHおよびCLをコードするcDNAを有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒト型CDR移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ導入することにより発現させ、製造することができる。
ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、さらにhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属すればいずれのものでもよく、κクラスあるいはλクラスのものを用いることができる。
ヒト抗体とは、元来、ヒト体内に天然に存在する抗体をいうが、最近の遺伝子工学的、細胞工学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗体ファージライブラリーおよびヒト抗体産生トランスジェニック動物から得られる抗体なども含まれる。ヒト体内に存在する抗体は、例えば、ヒト末梢血リンパ球を単離し、EBウィルスなどを感染させ不死化し、クローニングすることにより、該抗体を産生するリンパ球を取得し、これを培養して、培養上清中より該抗体を精製することにより得ることができる。ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することによりFab、scFvなどの抗体断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。該ライブラリーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を表面に発現しているファージを回収することができる。該抗体断片は、さらに、遣伝子工学的手法により2本の完全なH鎖および2本の完全なL鎖からなるヒト抗体分子へも変換することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物をいう。具体的には、例えば、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、該ES細胞をマウスの初期胚へ移植後、発生させることによりヒト抗体産生トランスジェニックマウスを作製することができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物からのヒト抗体の作製方法は、通常のヒト以外の動物で行われているハイブリドーマ作製方法によりヒト抗体産生ハイブリドーマを取得し、培養することで培養上清中にヒト抗体を生成蓄積させることができる。
本発明で使用される抗体断片としては、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、diabody、dsFvおよびCDRを含むペプチドなどがあげられる。
Fabは、IgG型抗体分子を蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖のN末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明で使用されるFabは、抗体を蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。または、該抗体のFabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、Fabを製造することができる。
F(ab’)は、IgG型抗体分子を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち(H鎖の234番目のアミノ酸残基で切断される)、Fabがヒンジ領域のジスルフィド結合を介して結合されたものよりやや大きい、分子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明で使用されるF(ab’)は、抗体を蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。または、下記のFab’をチオエーテル結合あるいはジスルフィド結合させ、作製することができる。
Fab’は、上記F(ab’)のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明で使用されるFab’は、F(ab’)を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができる。または、該抗体のFab’断片をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
scFvは、1本のVHと1本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、Pと表記する)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P−VHポリペプチドで、抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明で使用されるscFvは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
diabodyは、scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。二価の抗原結合活性は、同一とすることもできるし、一方を異なる抗原結合活性とすることもできる。本発明で使用されるdiabodyは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、scFvをコードするDNAをリンカーのアミノ酸配列の長さが8残基以下となるように構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
dsFvは、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残基をシスティン残基に置換したポリペプチドを該システイン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReiterらにより示された方法(Protein Engineering,,697−704,1994)に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。本発明で使用されるdsFvは、抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得し、dsFvをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現べクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRの少なくとも1領域以上を含んで構成される。複数のCDRを含むペプチドは、直接または適肖なペプチドリンカーを介して結合させることができる。本発明で使用されるCDRを含むペプチドは、抗体のVHおよびVLのCDRをコードするDNAを構築し、該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、製造することができる。また、CDRを含むペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoC法(t−ブチルオキシカルボニル法)などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明を適用できる抗体はいかなるものでもよいが、具体例としては、ガングリオシドGD3に対するモノクローナル抗体、CCR4に対するモノクローナル抗体などがあげられる。ガングリオシドGD3に対するモノクローナル抗体としては、マウスモノクローナル抗体KM−641(特許3006943号)、ヒト型キメラ抗体KM−871(特開平5−304989)、ヒト型CDR移植抗体KM−8871(WO01/23432)などがあげられる。CCR4に対するモノクローナル抗体としては、ヒト型キメラ抗体であるKM2760(WO01/64754)、抗CCR4ヒト型CDR移植抗体であるKM8761(WO03/18635)などがあげられる。
本発明において、化学的分解物とは、抗体のジスルフィド結合またはペプチド結合が開裂したものをいう。具体的には、モノクローナル抗体のH鎖またはL鎖の一部または全てが脱落したものがあげられる。また前述のFab断片、Fab断片のH鎖とL鎖がさらに開裂したものなども包含される。
本発明において、不溶性凝集体とは、高次構造変化などにより分子表面の疎水性が増大し、著しく水溶性が低下した分子が集合し、不溶化したものをいう。したがって、不溶性凝集体が生成されることにより溶液状抗体製剤の濁度が増大する。
本発明において、可溶性会合体とは、抗体分子同士が会合しているが、抗体分子の高次構造の変化がないか、または高次構造の変化が比較的軽微であるため、水溶液中で析出しない程度に該会合体の水溶性が維持されているものをいう。したがってこれら可溶性会合体の生成により製剤の濁度の増大は生じない。通常会合する抗体の分子数は比較的少なく、通常2〜4量体である。
本発明の溶液状抗体製剤の製造法は、一般の溶液状製剤の製造で行なわれている方法であれば特に限定されないが、具体的には抗体および添加剤の溶液を予め調製し、それらを混合することにより製造することができる。また抗体または添加剤原料を直接溶媒中に添加し、溶解させることにより製造することもできる。
本発明の溶液中での抗体の安定化方法、溶液中での可溶性会合体の生成抑制方法および溶液中での化学的分解物の生成抑制方法において、抗体濃度としては、0.01〜150mg/mLの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.1〜50mg/mL、より好ましくは1〜20mg/mLがあげられる。
本発明の溶液中での抗体の安定化方法および溶液中での可溶性会合体の生成抑制方法において、添加するグリシンの量は、グリシン濃度として10〜30mg/mLの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは20〜25mg/mL、より好ましくは22〜23mg/mLがあげられる。添加するグリシンの形態としては、グリシン、グリシン塩酸塩などの薬学的に許容されるグリシンの塩類などがあげられる。
本発明の溶液中での抗体の安定化方法および溶液中での化学的分解物の生成抑制方法において、添加するクエン酸の量は、クエン酸濃度として0.1〜50mmol/Lの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.5〜20mmol/L、より好ましくは1〜10mmol/Lがあげられる。添加するクエン酸の形態としては、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの薬学的に許容されるクエン酸の塩類などがあげられる。
本発明の抗体溶液中での抗体の安定化方法は、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制、化学的分解物の生成抑制および不溶性凝集体の生成抑制に効果を奏する。
本発明の製剤における抗体の濃度としては、0.01〜150mg/mLの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.1〜50mg/mL、より好ましくは1〜20mg/mLがあげられる。
本発明におけるグリシンの含有量は、グリシン濃度として10〜30mg/mLの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは20〜25mg/mL、より好ましくは22〜23mg/mLがあげられる。添加するグリシンの形態としては、グリシン、グリシン塩酸塩などの薬学的に許容されるグリシンの塩類などがあげられる。
本発明におけるクエン酸の含有量は、クエン酸濃度として0.1〜50mmol/Lの範囲であればいずれでもよいが、好ましくは0.5〜20mmol/L、より好ましくは1〜10mmol/Lがあげられる。添加するクエン酸の形態としては、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの薬学的に許容されるクエン酸の塩類などがあげられる。
本発明の製剤は、上述の抗体、グリシン、クエン酸のほかに、非イオン性界面活性剤を含有されてもよく、好適なものとして、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類などがあげられる。特に好ましいものとしてポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)などがあげられる。非イオン性界面活性剤の濃度としては、薬学的に許容される範囲であれば特に制限されないが、好ましくは0.01〜10mg/mL、より好ましくは0.05〜1mg/mL、最も好ましくは0.1〜0.3mg/mLがあげられる。
本発明の製剤はpHを適切な値に制御するのが望ましい。適切なpH値としては、好ましくはpH4〜7であり、より好ましくはpH5〜6があげられる。pHには、例えば塩酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酢酸、乳酸、酒石酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの医薬品として許容される種々のpH調節剤が使用することができる。
また本発明の製剤に、以下に例示するような医薬品として許容される添加剤を添加してもよい。
等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの無機塩類、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトールなどの糖及び糖アルコール類、グリセリン、デキストラン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ニコチン酸アミドなどがあげられる。
無痛化剤としてイノシトール、クロロブタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、リドカイン、硫酸マグネシウムなどがあげられる。
保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチルなどのパラベン類、安息香酸、エタノール、エデト酸四ナトリウム、クエン酸、サリチル酸、ソルビトール、ソルビン酸、グリセリン、クロロブタノール、フェノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコールなどがあげられる。
粘稠剤としては、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、グリセリン、ゼラチン、デキストラン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースアルキルエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールなどがあげられる。
酸化防止剤としては、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、チオグリコール酸ナトリウム、α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、L−アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、塩酸システイン、エデト酸ナトリウムなどがあげられる。
本発明の製剤の好ましい投与方法は注射であるが、経皮、経粘膜、経鼻、経肺、経口などの投与形態を用いることもできる。特に好ましい注射での投与方法としては、静脈内、皮下組織内または筋肉内へ注射する方法である。また適切な投与装置を用いて、例えば腫瘍、炎症などの病変部位へ直接投与してもよい。
また本発明の製剤は、使用時に製剤を希釈液で希釈した後に使用することができる。希釈液としては、生理食塩水、糖液などの輸液などがあげられる。希釈された製剤は、点滴、シリンジポンプなどにより速度を制御しながら生体内へ投与することができる。
本発明の溶液状抗体製剤は、例えば無菌ろ過などの一般的な手法により滅菌した後、無菌的環境下でアンプル、バイアル、シリンジなどの注射剤容器中に封入することにより注射剤として使用することができる。また溶液状抗体組成物を容器中に封入する際に、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用いて容器空間部のガス置換を施すことも可能である。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。しかしながら、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
実施例1 試料製剤の調製
第1表に示す処方1〜5の溶液組成物をそれぞれ調製し、無菌ろ過後、ガラス製バイアルに注入し、ゴム栓、アルミキャップで密封し、試料製剤とした。これらの操作は全て無菌的環境下で行った。抗体は、特開平5−304989記載の方法で製造したガングリオシドGD3に対するヒト型キメラ抗体KM−871を用いた。

実施例2 安定性試験
実施例1で調製された各試料製剤を40℃、1ヶ月間保存した後、以下の試験項目について安定性試験を行った。
(1)内容液の目視観察
各試料製剤の内容液を、白色蛍光灯下、ゆるやかに攪拌しながら目視で観察し、濁りの有無を判定した。
(2)濁度測定
試料製剤の内容液を石英ミクロセルに採取し、紫外分光光度計(日立U−3300型)で、波長400nmにおける吸光度(O.D.400)を測定した。
(3)ゲルろ過HPLC
試料製剤の内容液について、以下の条件でHPLCによる分析を行なった。
(HPLC条件)
カラム:TSKgel G3000 SWXL(東ソー)
移動相:0.3mol/L塩化ナトリウムを含む、0.5mol/Lリン酸塩緩衝液
測定波長:280nm
流速:1mL/mln
注入量:40μL
装置:LC−10Aシステム(島津製作所)
HPLCチャート上で、未変化体ピークより高分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を可溶性会合体ピーク面積として、以下の式(1)により可溶性会合体含量を算出した。

またHPLCチャート上で、未変化体ピークより低分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を化学的分解物ピーク面積として、以下の式(2)により化学的分解物含量を算出した。

(1)内容液の目視観察および(2)濁度(O.D.400)測定の結果を第2表に示した。
第2表において濁度(O.D.400)の値は測定値から初期値を差し引き、保存期間(40℃、1ヶ月)中の増加量を示したものである。

全ての処方(処方1〜5)において、内容液の目視観察の結果、濁りは観察されなかった。また全ての処方において濁度(O.D.400)の増大は殆ど認められなかった。
ゲルろ過HPLCの結果を第3表に示した。第3表の値は測定値から初期値を差し引き、保存期間(40℃、1ヶ月間)中の増加量を示したものである。

処方1(リン酸)と処方2および3(クエン酸)との比較において、化学的分解物の増加量は処方1よりも処方2および3の方が少なかった。以上のことから、溶液中へのクエン酸の添加により、化学的分解物の増加を低減できることが明らかとなった。
また処方2およびと処方4との比較において、可溶性会合体の増加量は処方2よりも処方4の方が少なく、溶液中のグリシンの添加により可溶性会合体の増加を低減できることが明らかとなった。
さらに処方4にポリソルベート80を添加した処方5においても、溶液の安定性が維持された。
実施例3 不溶性凝集体抑制効果の確認1(試料調製)
第4表に示す処方7〜11の溶液組成物をそれぞれ調製し、孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ガラス製試験管に注入した。試験管の口をシリコン製の栓で密封し試料製剤とした。抗体は特開平5−304989に開示されているガングリオシドGD3に対するヒト型キメラ抗体KM−871を用いた。

実施例4 不溶性凝集体抑制効果の確認1(安定性試験)
実施例3で調製した各試料製剤を70℃、270秒間保存した後、以下の試験項目について安定性試験を行った。
(1)内容液の目視観察
各試料製剤の内容液を、白色蛍光灯下、ゆるやかに攪拌しながら目視で観察し、濁りの有無を判定した。
(2)濁度測定
試料製剤の内容液を石英ミクロセルに採取し、紫外分光光度計(日立U−3300型)で、波長400nmにおける吸光度(O.D.400)を測定した。
(1)内容液の目視観察および(2)濁度(O.D.400)測定の結果を第5表に示した。

処方7では目視観察の結果、明らかな白濁が認められ、濁度(O.D.400)も高い値を示した。一方、処方8、処方9、処方10および処方11では内容液の目視観察の結果、濁りは観察されず、また濁度(O.D.400)の値も処方7に比べ顕著に低いことが確認された。
実施例5 不溶性凝集体抑制効果の確認2(試料調製)
第6表に示す処方12〜16の溶液組成物をそれぞれ調製し、孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ガラス製試験管に注入した。試験管の口をシリコン製の栓で密封し試料製剤とした。抗体はWO03/18635に開示されているCCR4に対するヒト型CDR移植抗体KM8761を用いた。

実施例6 不溶性凝集体抑制効果の確認2(安定性試験)
実施例5で調製された各試料製剤を70℃、210秒間保存した後、以下の試験項目について安定性試験を行った。
(1)内容液の目視観察
各試料製剤の内容液を、白色蛍光灯下、ゆるやかに攪拌しながら目視で観察し、濁りの有無を判定した。
(2)濁度測定
試料製剤の内容液を石英ミクロセルに採取し、紫外分光光度計(日立U−3300型)で、波長400nmにおける吸光度(O.D400)を測定した。
(1)内容液の目視観察および(2)濁度(O.D.400)測定の結果を第7表に示した。

処方12では目視観察の結果、明らかな白濁が認められ、濁度(O.D.400)も高い値を示した。一方、処方13、処方14、処方15および処方16では内容液の目視観察の結果、濁りは観察されず、また濁度(O.D.400)の値も処方12に比べ顕著に低いことが確認された。
実施例7 可溶性会合体および化学的分解物抑制効果の確認(試料調製)
第8表に示す処方17〜21の溶液組成物をそれぞれ調製し、無菌ろ過を実施後、ガラス製バイアルに注入し、ゴム栓、アルミキャップで密封し、試料製剤とした。これらの操作は全て無菌的環境下で行った。抗体はWO03/18635に開示されているCCR4に対するヒト型CDR移植抗体KM8761を用いた。

実施例8 可溶性会合体および化学的分解物抑制効果の確認(安定性試験)
実施例8で調製された各試料製剤を40℃、1ヶ月間保存した後、内容液を以下の条件でゲルろ過HPLCにより分析し安定性を評価した。
(HPLC条件)
カラム:TSKgel G3000 SWXL(東ソー)
移動相:0.3mol/L塩化ナトリウムを含む、0.05mol/Lリン酸塩緩衝液
測定波長:280nm
流速:1mL/mln
注入量:40μL
装置:LC−10Aシステム(島津製作所)
HPLCチャート上で、未変化体ピークより高分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を可溶性会合体ピーク面積として、以下の式により可溶性会合体含量を算出した。

またHPLCチャート上で、未変化体ピークより低分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を化学的分解物ピーク面積として、以下の式により化学的分解物含量を算出した。

ゲルろ過HPLCの結果を第9表に示した。結果は測定値から初期値を差し引き、保存期間(40℃、1ヶ月)中の増加量を示している。

可溶性会合体および化学的分解物のいずれにおいても、処方17と処方18、処方19、処方20および処方21とを比較した結果、優れた安定性を有することが明らかとなった。
実施例9 製剤の安定性確認(試料調製)
第10表に示す処方22の溶液組成物を調製し、無菌ろ過を実施後、ガラス製バイアルに注入し、ゴム栓、アルミキャップで密封し、試料製剤とした。これらの操作は全て無菌的環境下で行った。抗体はWO03/18635に開示されているCCR4に対するヒト型CDR移植抗体KM8761を用いた。

実施例10 製剤の安定性確認(40℃保存)
実施例9で調製された試料製剤を40℃、1ヶ月間保存した後、内容液を以下の条件でゲルろ過HPLCにより分析し安定性を評価した。
(HPLC条件)
カラム:TSKgel G3000 SWxL(東ソー)
移動相:0.3mol/L塩化ナトリウムを含む、0.05mol/Lリン酸塩緩衝液
測定波長:280nm
流速:1mL/mln
注入量:40μL
装置:LC−10Aシステム(島津製作所)
HPLCチャート上で、未変化体ピークより高分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を可溶性会合体ピーク面積として、以下の式(1)により可溶性会合体含量を算出した。

またHPLCチャート上で、未変化体ピークより低分子量側に溶出された成分のピーク面積の総和を化学的分解物ピーク面積として、以下の式(2)により化学的分解物含量を算出した。

ゲルろ過HPLCの結果を表11に示した。結果は測定値から初期値を差し引き、保存期間(40℃、1ヶ月)中の増加量を示している。

クエン酸およびグリシンを含む処方22は、可溶性会合体および化学的分解物のいずれの点において優れた安定性を有することが確認された。
実施例11 製剤の安定性確認(70℃保存)
実施例9で調製した製剤の内容液を孔径0.2μmのフィルターでろ過し、ガラス製試験管に注入した。試験管の口を栓で密封し試料とした。70℃、210秒間で保存した後、以下の試験項目について安定性試験を行った。
(1)内容液の目視観察
各試料製剤の内容液を、白色蛍光灯下、ゆるやかに攪拌しながら目視で観察し、濁りの有無を判定した。
(2)濁度測定
試料製剤の内容液を石英ミクロセルに採取し、紫外分光光度計(日立U−3300型)で、波長400nmにおける吸光度(O.D.400)を測定した。
(1)内容液の目視観察および(2)濁度(O.D.400)測定の結果を第12表に示した。

クエン酸およびグリシンを含む製剤である処方22は、不溶性凝集体の点においても優れた安定性を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
本発明により、溶液中での抗体の安定化方法および安定化された溶液状抗体製剤を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体にグリシン及びクエン酸を添加することを特徴とする、溶液中で抗体を安定化する方法。
【請求項2】
抗体を安定化する方法が、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制および化学的分解物の生成抑制である請求の範囲1記載の方法。
【請求項3】
抗体にグリシンを添加することを特徴とする、溶液中で抗体の可溶性会合体の生成を抑制する方法。
【請求項4】
抗体にクエン酸を添加することを特徴とする、溶液中で抗体の化学的分解物の生成を抑制する方法。
【請求項5】
抗体濃度が0.01〜150mg/mLである、請求の範囲1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
グリシンの濃度が10〜30mg/mLである、請求の範囲1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
クエン酸の濃度が0.1〜50mmol/Lである、請求の範囲1、2および4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
さらに非イオン性界面活性剤を含有する請求の範囲1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
溶液のpHが4〜7の範囲内である請求の範囲1〜8いずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である請求の範囲1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
抗体がガングリオシドGD3に対する抗体およびCCケモカイン受容体4(以下、CCR4という)に対する抗体のいずれかの抗体である請求の範囲1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
グリシンおよび抗体を含有することを特徴とする、抗体の可溶性会合体の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
【請求項13】
クエン酸および抗体を含有することを特徴とする、抗体の化学的分解物の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
【請求項14】
グリシン、クエン酸および抗体を含有することを特徴とする、抗体の可溶性会合体の生成、化学的分解物の生成および不溶性凝集体の生成が抑制された溶液状抗体製剤。
【請求項15】
抗体濃度が0.01〜150mg/mLである、請求の範囲12〜14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
グリシンの濃度が10〜30mg/mLである、請求の範囲12、14および15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
クエン酸の濃度が0.1〜50mmol/Lである、請求の範囲13〜15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
さらに非イオン性界面活性剤を含有する請求の範囲12〜17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
溶液のpHが4〜7の範囲内である請求の範囲12〜18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項20】
抗体がヒト化抗体またはヒト抗体である請求の範囲12〜19のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項21】
抗体がガングリオシドGD3に対する抗体およびCCR4に対する抗体のいずれかの抗体である請求の範囲12〜20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
グリシンを有効成分として含有することを特徴とする、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制剤。
【請求項23】
クエン酸を有効成分として含有することを特徴とする、溶液中での抗体の化学的分解物の生成抑制剤。
【請求項24】
グリシン及びクエン酸を有効成分として含有することを特徴とする、抗体の安定化剤。
【請求項25】
抗体の安定化が、溶液中での抗体の可溶性会合体の生成抑制、化学的分解物の生成抑制および不溶性凝集体の生成抑制である、請求の範囲24記載の抗体の安定化剤。

【国際公開番号】WO2005/033143
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【発行日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−514512(P2005−514512)
【国際出願番号】PCT/JP2004/014903
【国際出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000001029)協和醗酵工業株式会社 (276)
【Fターム(参考)】