説明

抗体を含有する癌治療剤

【課題】トラスツズマブの無効例にも有効であることを特徴とする、癌特異的膜抗原に対する抗体を含有する新規の癌治療剤を提供すること。
【解決手段】上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する、抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を含有する癌治療剤であって、該癌治療剤は、前記癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌の生体に対して用いられ、前記癌治療剤の投与開始時期が、前記生体の血液を体外循環して、該血液から白血球を除去する白血球除去療法の施行中または施行後であることを特徴とする、前記の癌治療剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体を含有する癌治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、わが国における乳癌の罹患数および死亡数の増加は著しい。乳癌はこれまでエストロゲンレセプター(ER)とプロゲステロンレセプター(PgR)の発現状況により手術以外の治療法が決められる傾向にあった。ホルモン療法、抗がん剤療法などの薬物療法が有用であり、奏功率、生存率の改善がみられている。しかし、human epidermal growth factor receptor-related 2(HER2)陽性乳癌の約50%はホルモン受容体陰性でありホルモン療法の対象外であった。最近ではHER2陽性乳癌に対するトラスツズマブを中心とする抗体療法などの分子標的療法が行われ、その有用性が示されており、今後の有力な治療法として期待されている。
【0003】
乳癌細胞は種々の増殖因子とその受容体を発現して、増殖に関連するシグナル伝達系を形成している。1984年に同定された癌遺伝子HER2はその1つであり、ヒト上皮成長因子受容体human epidermal growth factor receptor(EGFR,HER)ファミリーの一員である。受容体は細胞膜貫通型の糖タンパクで、構造的な類似性からHER1、HER2、HER3、HER4が存在している(非特許文献1)。EGF受容体ファミリーは二量体形成を通じてシグナル伝達に寄与しており、リガンドが結合した受容体がもう1つの受容体と二量体を形成することによりシグナル伝達に寄与すると考えられている。
【0004】
HER2受容体を規定するHER2/neuはproto-oncogeneの1つと考えられ、17番染色体(17q21.1)に存在する(非特許文献2)。乳癌をはじめ卵巣癌、肺癌、胃癌など種々の癌においてHER2/neu遺伝子の増幅および過剰発現が認められている。HER2陽性乳癌は、乳癌全体の20%から30%を占める。成人の正常組織ではこの遺伝子の発現は非常に弱い。その自然経過は特異であり、全身療法を施行しない場合は再発が早く、1987年にHER2の増幅が乳癌の予後不良と相関することが報告されて以降、多くの研究においてHER2陽性転移乳癌では経過が不良であることが明らかにされている。
【0005】
1986年に抗HER2モノクローナル抗体がneu形質転換細胞の悪性形質を阻害することが示され、HER2を標的とするトラスツズマブが開発されるに到った。トラスツズマブの原型となったHER2受容体の細胞外ドメインに対するマウスモノクローナル抗体mu4D5は、in vitroにおいてHER2陽性の腫瘍細胞株に対して増殖抑制作用が認められている(非特許文献3)。また、HER2陽性ヒト乳癌細胞株であるSKBR3に対するマウス脾細胞の抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cell cytotoxicity, ADCC)は、マウスモノクローナル抗体で増強されており、in vivoにおいてはADCC活性も抗腫瘍効果に寄与しているとの報告もある(非特許文献4)。しかし臨床応用するにあたり、マウス抗体をそのまま用いてはhuman anti-mouse antibody(HAMA)の出現が問題となる。そこで、HER2受容体の細胞外ドメインに対するマウスモノクローナル抗体の抗原結合部位である可変部のみをヒトIgG1の定常部に移植したヒト化抗体として作製されたものがトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン(登録商標))である。
【0006】
HER2はPI3KやMAPKを含む様々なシグナル伝達経路ネットワークを惹起するが、トラスツズマブはHER2受容体に結合することにより、このシグナル伝達経路を抑制し、細胞周期の停止やアポトーシス、血管新生抑制などを誘導して、直接的に腫瘍細胞増殖抑制作用を示すと考えられる。また、Srcチロシンキナーゼの阻害とそれに伴うPTENの活性化、Aktの脱リン酸化も報告されている。さらに、腫瘍細胞と結合したトラスツズマブのFc部分に、NK細胞をはじめとする免疫細胞に発現するFc受容体が結合し腫瘍細胞殺傷効果を示す(ADCC活性)ことも示されている(非特許文献5から8)。これらの直接的腫瘍細胞増殖抑制作用と、ADCC活性の2つがトラスツズマブの主な作用機序と考えられている。
【0007】
トラスツズマブはHER2を標的としており、その治療効果はHER2タンパクの発現の程度により大きく異なる。測定法や材料などによりその陽性率は大きく異なることが知られているが、HER2蛋白の過剰発現、DNAの増幅を調べるため、免疫組織化学方法(immunohistochemical method: IHC法)とfluoresence in situ hybridization(FISH)が広く行われている。また、トラスツズマブは術後補助療法に利用すると高い効果が得られることがHERA試験をはじめとする複数の大規模臨床試験で明らかになっている。
【0008】
これまでの様々な検討から、トラスツズマブ投与によりHER2を阻害すると、乳癌の自然経過に大きな影響を与えることがわかっている。しかし、トラスツズマブはHER2過剰発現乳癌すべての自然経過を変更するものではないこともわかってきており、初回トラスツズマブ単剤投与に反応する症例は、HER2過剰発現乳癌の約1/3以下であるといわれている。前記IHC法により2+および3+と判断されたHER2陽性の転移性乳癌患者を対象とした多施設臨床研究において、ファーストラインでのハーセプチン単剤の全奏効率は26%であり(非特許文献9)、セカンドラインでのハーセプチン単剤の全奏効率は23.1%であった(非特許文献10)。これと同様に顕微鏡的転移癌の場合、かなりの割合の腫瘍がトラスツズマブに耐性であることが示唆されている。またハーセプチンが有効であった患者においても、その大部分がその後ハーセプチンに対する耐性を獲得することが報告されている(非特許文献11から13)。しかし、トラスツズマブ耐性の機序については明確には解明されていない。現在のところ耐性機序として、(1)トラスツズマブの到達が不十分なため、HER2の細胞外領域の阻害が十分ではないこと、(2)HER2発現の減少、(3)下流にあるHER2機能調節因子が変化していること(p27kip1の低下、PTENの消失または不活性化など)、(4)代替経路によるシグナル伝達が生じること(insulin-like growth factor I receptor:IGF1Rの過剰発現)、(5)免疫能の低下、特にADCC活性の低下、などの可能性が示唆されている。
【0009】
上記(5)に掲げた免疫能と耐性機序に関する検討はあまり活発ではない。近年、トラスツズマブの主たる作用機序の1つであるADCC活性に関わる因子であるNK細胞について、その機能が明らかにされてきている。NK細胞にはNK細胞の機能を抑制する抑制性レセプターが発現していることが分かり、その一つとして同定されたのがレクチン様レセプターkiller cell lectin-like receptor G1(KLRG1)である。これまでNK細胞に関して明らかにされた抑制性レセプターのリガンドのほとんどは、MHCクラスI分子にかかわるものであったが、2006年にM. Itoらにより、KLRG1のリガンドがMHCクラスI分子以外であることが報告された。
【0010】
KLRG1は、ラット好塩基球性白血病細胞株RBL-2H3に発現する機能分子MAFA(mast cell function-associated antigen)として発見された(非特許文献14)。このKLRG1は、RBL-2H3細胞では抗KLRG1抗体でKLRG1を架橋することにより、Fcレセプター刺激による脱顆粒反応が抑制される。ラットKLRG1のcDNAクローニングから、細胞外領域にC型レクチン様の構造を持ち、細胞内領域にITIM(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif)をもつII型膜貫通タンパク質のホモ二量体であることが、Pechtらにより報告されている(非特許文献15)。ヒトおよびマウスでは、KLRG1がNK cellやT cellの一部に発現するが(非特許文献16から18)、健常人では末梢血NK cellの約50%に発現がみられることがわかっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Pinkas-Kramarski, R., I. Arloy and Y. Yarden (1997) ErbB receptors and EGF-like ligands: cell lineage determination and oncogenesis through combinatorial signaling. J Mammary Gland Biol Neoplasia, 2:97-107.
【非特許文献2】Schechter, A.L., D.F. Stern, L. Vaidyanathan, S.J. Decker, J.A. Drebin, M.I. Greene and R.A. Weinberg (1984) The neu oncogene: an erb-B-related gene encoding a 185,000-Mr tumour antigen. Nature, 312:513-516.
【非特許文献3】Hudziak RM, Lewis GD, Winget M, Fendly BM, Shepard HM, Ullrich A (1989) p185HER2 monoclonal antibody has antiproliferative effects in vitro and sensitizes human breast tumor cells to tumor necrosis factor. Mol Cell Biol, 9(3):1165-72.
【非特許文献4】Piccart-Gebhart MJ, Procter M, Leyland-Jones B, Goldhirsch A, Untch M, Smith I, Gianni L, Baselga J, Bell R, Jackisch C, Cameron D, Dowsett M, Barrios CH, Steger G, Huang CS, Andersson M, Inbar M, Lichinitser M, Lang I, Nitz U, Iwata H, Thomssen C, Lohrisch C, Suter TM, Ruschoff J, Suto T, Greatorex V, Ward C, Straehle C, McFadden E, Dolci MS, Gelber RD; Herceptin Adjuvant (HERA) Trial Study Team (2005) Trastuzumab after adjuvant chemotherapy in HER2-positive breast cancer. N Engl J Med, 353(16):1659-72
【非特許文献5】Clynes RA, Towers TL, Presta LG, Ravetch JV (2000) Inhibitory Fc receptors modulate in vivo cytoxicity against tumor targets. Nat Med, 6(4):443-6.
【非特許文献6】Izumi Y, Xu L, di Tomaso E, Fukumura D, Jain RK (2002) Tumour biology: herceptin acts as an anti-angiogenic cocktail. Nature, 416(6878):279-80
【非特許文献7】Gennari R, Menard S, Fagnoni F, Ponchio L, Scelsi M, Tagliabue E, Castiglioni F, Villani L, Magalotti C, Gibelli N, Oliviero B, Ballardini B, Da Prada G, Zambelli A, Costa A (2004) Pilot study of the mechanism of action of preoperative trastuzumab in patients with primary operable breast tumors overexpressing HER2. Clin Cancer Res., 10(17):5650-5
【非特許文献8】Barok, et al., (2007) Trastuzumab causes antibody-dependent cellular cytotoxicity-mediated growth inhibition of submacroscopic JIMT-1 breast cancer xenografts despite intrinsic drug resistance. Molecular Cancer Therapeutics, 6:2065-2072.
【非特許文献9】Vogel, et al., (2002) Efficacy and safety of trastuzumab as a single agent in first-line treatment of HER2-overexpressing metastatic breast cancer. Journal of Clinical Oncology, 20:719-26.
【非特許文献10】Sawaki, et al., (2004) Efficacy and safety of trastuzumab as a single agent in heavily pretreated patients with HER-2/neu-overexpressing metastatic breast cancer. Tumori, 90:40-3.
【非特許文献11】Mukohara, et al., (2010) Mechanisms of resistance to anti-human epidermal growth factor receptor 2 agents in breast cancer. Cancer Science, Epub ahead of print.
【非特許文献12】Wilken, et al., (2010) Primary trastuzumab resistance: new tricks for an old drug. Annals of the New York Academy of Sciences, 1210:53-65.
【非特許文献13】Hubalek, et al., (2010) Resistance to HER2-targeted therapy: mechanisms of trastuzumab resistance and possible strategies to overcome unresponsiveness to treatment. Wiener medizinische Wochenschrift, 160:506-512.
【非特許文献14】Ortega Soto E, Pecht I (1988) A monoclonal antibody that inhibits secretion from rat basophilic leukemia cells and binds to a novel membrane component. J Immunol, 141(12):4324-32.
【非特許文献15】Abramson J, Xu R, Pecht I (2002) An unusual inhibitory receptor--the mast cell function-associated antigen (MAFA). Mol Immunol, 38(16-18):1307-13.
【非特許文献16】Hanke T, Corral L, Vance RE, Raulet DH (1998) 2F1 antigen, the mouse homolog of the rat "mast cell function-associated antigen", is a lectin-like type II transmembrane receptor expressed by natural killer cells. Eur J Immunol., 28(12):4409-17
【非特許文献17】Butcher S, Arney KL, Cook GP (1998) MAFA-L, an ITIM-containing receptor encoded by the human NK cell gene complex and expressed by basophils and NK cells. Eur J Immunol., 28(11):3755-62
【非特許文献18】Blaser C, Kaufmann M, Pircher H (1998) Virus-activated CD8 T cells and lymphokine-activated NK cells express the mast cell function-associated antigen, an inhibitory C-type lectin. J Immunol., 161(12):6451-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
トラスツズマブ治療は、再発治療から再発予防目的の術後補助療法、術前治療へと適応が拡大されつつあり、さらなるHER2陽性癌の根治性向上への発展が期待される。適応が拡大されたことにより、トラスツズマブ投与対象例が大きく増加することが見込まれる。しかしながら、現状では、対象症例中には多数のトラスツズマブ投与無効群が存在している。本発明は、トラスツズマブの無効例にも有効であることを特徴とする、癌特異的膜抗原に対する抗体を含有する新規の癌治療剤を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、末梢血から白血球を除去すると、その後末梢を循環するKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比が低減することを見出し、更に上皮性癌の担癌モデルの血液から白血球を除去する白血球除去療法の施行中または施行後に、抗HER2モノクローナル抗体(トラスツズマブ)を投与すると、従来は抗HER2モノクローナル抗体の投与が無効であった担癌モデルにおいても抗癌効果を発揮できることを発見し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば以下の発明が提供される。
【0014】
(1) 上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する、抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を含有する癌治療剤であって、該癌治療剤は、前記癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌の生体に対して用いられ、前記癌治療剤の投与開始時期が、前記生体の血液を体外循環して、該血液から白血球を除去する白血球除去療法の施行中または施行後であることを特徴とする、前記の癌治療剤。
(2) 前記白血球除去療法の施行中または施行後に、前記生体にNK細胞活性化剤が投与される、(1)に記載の癌治療剤。
(3) 前記NK細胞活性化剤が、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、GM-CSFからなる群から選択されるサイトカインである、(1)または(2)に記載の癌治療剤。
(4) 前記白血球除去療法が、前記生体から血液を採取し、該血液を遠心分離して、または白血球に対して親和性を有する除去材に前記血液を接触させて、該血液中の白血球を除去した後、該生体に返血する工程を含む、(1)から(3)の何れかに記載の癌治療剤。
(5) 前記生体の血液中のKLRG1陽性NK細胞とKLRG1陰性NK細胞の濃度比が、前記白血球除去療法の前と比較して減少している状態で、前記癌治療剤を前記生体に投与する、(1)から(4)の何れかに記載の癌治療剤。
(6) 前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原が、HER2である、(1)から(5)の何れかに記載の癌治療剤。
(7) 前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体が、トラスツズマブである、(6)に記載の癌治療剤。
(8) 前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原が、CEAである、(1)から(5)の何れかに記載の癌治療剤。
(9) 前記上皮性癌が乳癌である、(1)から(8)の何れかに記載の癌治療剤。
(10) 前記上皮性癌が胃癌である、(1)から(8)の何れかに記載の癌治療剤。
【0015】
更に本発明によれば、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌の生体の治療方法であって、該生体の血液を体外循環して該血液から白血球を除去する白血球除去療法を施行すること、及び該生体に、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する、抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を投与すること、を含む、上記の治療方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体を投与しても従来は抗癌効果が発揮されなかった生体においても、有効な抗癌効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の癌治療剤は、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する、抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を含有する癌治療剤であって、(1)前記癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌の生体に対して用いられ、かつ(2)前記癌治療剤の投与開始時期が、前記生体の血液を体外循環して、該血液から白血球を除去する白血球除去療法の施行中または施行後であることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体を投与しても従来は抗癌効果が発揮されなかった生体においても、有効な抗癌効果を得ることが可能である。末梢血から白血球を除去すると、末梢血を循環するKLRG1陽性NK細胞が低減し、NK細胞中のKLRG1陰性細胞の比率が増加すること、すなわち、KLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比が低減することから、白血球除去により癌特異的膜抗原に対する抗体のADCC活性が高まる理由は、以下のように推定される。癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌に対するNK細胞のADCC活性はKLRG1により制御されている。NK細胞にはKLRG1抗原が発現しているものと発現していないものがあり、KLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌に対しては、KLRG1陰性細胞のみがADCC活性を発揮し、KLRG1陽性細胞は、上皮性癌細胞上のKLRG1リガンドにより機能を抑制され、ADCC活性を発揮できない。末梢血から白血球を除去すると、生体内のKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比が低減し、KLRG1陽性NK細胞の相対的な存在比率が減少して、前記癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌に対するNK細胞のADCC活性が増大すると推定される。
【0019】
本明細書において、生体は、生きている生物体を広く包含し、ヒト、並びにヒト以外の動物の何れでもよいが、好ましくはヒトであり、具体的には、上皮性癌患者が挙げられる。
【0020】
本発明で言う上皮性癌としては、乳癌、胃癌、卵巣癌、肺癌、食道癌、大腸癌、十二指
腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、胆嚢癌、胆管癌、唾液腺癌などが挙げられ、好ましくは乳癌及
び胃癌である。
【0021】
上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原としては、HER2、carcinoembryonic antigen (CEA)、mucin 1(MUC-1)、epithelial cell adhesion molecule(EpCAM)、epidermal growth factor receptor(EGFR)、cancer antigen 125(CA125)などが挙げられる。好ましくは、HER2、及びCEAである。
【0022】
上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体としては、上記した癌特異的膜抗原に対する抗体であれば特に限定されないが、好ましくは抗HER2抗体、及び抗CEA抗体である。抗HER2抗体の好ましい例としては、トラスツズマブが挙げられる。
【0023】
KLRG1に対するリガンドの例としては、E−カドヘリン、N−カドヘリン、R−カドヘリンからなる群から選択されるリガンドが挙げられる。
【0024】
白血球除去療法とは、血液を末梢血管から体外に取り出し、白血球を選択的に除去する手段によって前記血液から白血球を除去し、白血球が除去された血液を末梢血管から体内に戻す治療法である。白血球除去療法の施行後とは、白血球除去療法の施行直後から白血球除去療法の効果が持続している期間のことであり、好ましくは、白血球除去療法の施行直後から白血球除去療法後3日以内である。白血球除去療法の施行中とは、白血球除去療法が開始されてから終了するまでの期間を指す。白血球除去療法が連続して複数回行われる場合は、初回の白血球除去療法から最終回の白血球除去療法までの連続した一連の期間を指す。例えば、週1回の白血球除去を3ヶ月連続で実施するプロトコールを1クールとして、1クールないし2クールの治療を行う白血球除去療法の場合、白血球除去療法の施行中とはこの1クールないし2クールの期間のことである。
【0025】
白血球除去療法の施行中または施行後に、NK細胞活性化剤を生体に投与しても良い。NK細胞活性化剤としては、interferon-alpha(IFN-α)、interferon-beta(IFN-β)、interferon-gamma(IFN-γ)、interleukin-2(IL-2)、interleukin-12(IL-12)、interleukin-15(IL-15)、granulocyte macrophage colony-stimulating factor(GM-CSF)からなる群から選択されるサイトカインが使用できる。これらのサイトカインを単独で使用しても良いし、複数組み合わせて使用しても良い。
【0026】
本発明において、生体の血液から白血球を除去する方法は特に限定されないが、例えば流入口及び流出口を有し、血液から白血球を選択的に除去することが可能な手段を有する装置を使用して、生体から採血した血液を該流入口から流通させ、該流出口から流出する白血球を選択的に除去した血液を回収して生体の体内に戻すことにより、生体の末梢血から白血球を選択的に除去しても良い。
【0027】
白血球を選択的に除去することが可能な手段としては、例えばヘモネティクス社の血液成分採血装置コンポーネントコレクションシステム(CCS)で採用されている遠心分離機や、白血球に対して親和性を有する除去材などの手段がある。白血球に対して親和性を有する除去材の形状は、液相で血液との接触頻度を高くするため、表面積が大きいことが望ましい。例を挙げると、不織布、繊維状、綿状、糸状、束状、簾状、織布等の繊維状構造体、スポンジ等の高分子多孔質体、あるいはビーズ状、ゲル状等の構造が挙げられる。特に白血球の吸着性、分離材としての取り扱い性からみて織布、不織布が好ましく、中でも白血球との多点的な接触が可能である点で不織布が最も好ましい。
【0028】
不織布などの繊維状構造体を用いる場合、繊維径が細胞吸着能力に寄与するため、有効な平均繊維径のものを用いることが重要である。繊維径が大きすぎる場合には白血球の吸着量及び吸着速度が低下し、小さすぎる場合には血小板吸着量が増加する点から、本発明におけるフィルター材の平均繊維径の範囲は、0.5μm以上50μm以下が好ましい、更に好ましくは1μm以上40μm以下、最も好ましくは1.5μm以上35μm以下である。
【0029】
白血球除去材の材質は、血球にダメージを与えにくいものであれば特に制限はなく各種のものを用いることができる。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリクロロプレン、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロースジアセテート、エチルセルロース等が挙げられる。好ましくはポリエステル、ポリオレフィンで、特に好ましくはポリエステルである。
【0030】
前記白血球除去材を流入口及び流出口を有する容器に充填し、末梢血を前記流入口から流通させることによって、末梢血から白血球を選択的に除去することができる。容器形状としては、流入口と流出口を有する容器であれば特に限定はないが、例を挙げると、白血球選択除去材を積層状に充填できる容器や、円柱状、三角柱状、四角柱状、六角柱状、八角柱状等の角柱状容器、更に、白血球選択除去材を円筒状に巻きこれを充填できる容器、または、血液の流れが円筒の外周より入り内側へと流れ、最も内側に集まり流出口より出ることを特徴とする容器等が良好な形状となる。
【0031】
白血球選択除去材の容器への充填密度は、容器中に該白血球選択除去材を充填した時の一定体積当たりの重さをいうが、該容器への該白血球選択除去材の充填密度は0.05g/cm3以上0.5g/cm3以下が好ましい。更に白血球選択除去効率を上げ、目詰まりを抑制し、圧損の上昇を防ぎ流れをスムーズにする点より好ましい充填密度は0.075g/cm3以上0.4g/cm3以下、最も好ましくは0.1g/cm3以上0.35g/cm3以下である。
【0032】
体外循環による白血球除去は、対象者、及び対象者の疾患の状態等によっても異なるが、一般に1回当たり流速30ml/分の条件で30分〜90時間血液循環することにより行うことができる。流速及び時間は、例えば採用する白血球除去材の量や吸着特性等をふまえて適宜設定することができる。また、白血球除去は、癌特異的膜抗原に対する抗体を投与する前または投与している間のいずれで行っても良い。抗体投与前に体外循環処置を行う場合は、抗体投与は、体外循環処置後、体外循環処置の効果が持続している間に行う。「抗体を投与している間」とは、抗体の投与が開始されてから終了するまでの期間を指す。抗体の投与が連続して複数回行われる場合は、初回の抗体投与から最終回の抗体投与までの連続した一連の期間を指す。例えば、2〜3週間に1回の投与を3ヶ月連続で実施するプロトコールを1クールとして、1クールないし2クールの治療を行う抗体の場合、「抗体を投与している間」とはこの1クールないし2クールの期間のことである。
【0033】
また本発明によれば、バッチ式にて接触処理した処理血液を得、その一旦プールした血液を静脈内投与することも可能である。この場合も、実質的に上記体外循環による処置の場合に準じて行うことができる。尚、採血量及び処理された血液の投与量は、一般に、1日当たり150〜450ml程度である。
【0034】
血液を処理するときは、血液の抗凝固目的で抗凝固剤を血液中に加えることができる。抗凝固剤を例示すると、抗凝固活性を有する化合物であれば、特に限定されないが、ヘパリン、低分子ヘパリン、メシル酸ナファモスタット、メシル酸ガベキセート、アルガトロバン、クエン酸ナトリウム等が好適例として挙げられ、好ましくはヘパリンあるいはメシル酸ナファモスタットが良好に用いられる。
【0035】
以下の実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
<実験例1>
白血球除去器を用いた体外循環によるマウス末梢血のKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比の低減
(A)方法
(1)マウス用白血球除去器
マウス用白血球除去器は、輪切りにした1mlシリンジの中に、直径4.8mmの円形に打ち抜いた不織布を積層する構造とした。白血球除去器のメインフィルターには、平均繊維直径1.8μmのポリエステルの繊維よりなる不織布(73.5g/m2目付)10枚(参考例1)、または平均繊維直径2.56μmのポリエステルの繊維よりなる不織布(96.1g/m2目付)3枚(参考例2)を用いた。メインフィルターの他に、白血球除去器には第1プレフィルターとして平均繊維直径33μmのポリエステル繊維からなる不織布(50g/m2目付)、第2プレフィルターとして平均繊維直径12μmのポリエステル繊維からなる不織布(30g/m2目付)、第3プレフィルターとして平均繊維直径12μmのポリエステル繊維からなる不織布(100g/m2目付)をそれぞれ3枚、4枚、3枚、充填した。該シリンジの両端は直径5mmのシリコン栓により密封し、両端を切り落とした注射針(26G、テルモ)を両シリコン栓に刺し、血液流入口および血液流出口とした。該除去器の内容量は50μl以下となるようにした。
【0037】
(2)マウスの血液体外循環装置
マウス血液体外循環用の回路は、外径4mm・内径0.5mmのシリコンチューブと外径0.6mm・内径0.3mmのウレタンチューブ2本、およびミニフィッティング(VPY106、アイシス)を組み合わせて作製した。該回路の内容量は90μlとした。体外循環の動力としてはペリスタポンプ(SJ−1211H型、アトー)を使用し、流速は64μl/minとした。体外循環中、該回路中のミニフィッティングより抗凝固剤ACD−A(テルモ)をマイクロシリンジポンプにて8μl/minで持続投与することとした。該マウス用白血球除去器を該回路に接続後、ACD−Aと生理食塩水を11:14に混合した溶液を送液し、10分間プライミングした。
【0038】
(3)マウスの血液体外循環試験
マウスは、7週齢、雌のBALB/cAnNCrlCrlj(日本チャールス・リバー)を使用した。該マウスをイソフルランで麻酔し、頸静脈上を剃毛後、皮膚を切開して両頸静脈を露出した。この両頸静脈にサーフローF&F(テルモ)を留置して脱血および返血口とし、該回路と接続した。実験動物の血液学(関正利ら、ライフサイエンス社、1981年)を参考に、各マウスの全血液量を算出し、全血液量の2倍量を体外循環にて処理することとした。
【0039】
(1)で作製した、メインフィルターに平均繊維直径1.8μmのポリエステルの繊維よりなる不織布を用いたマウス用白血球除去器による体外循環を参考例1、メインフィルターに平均繊維直径2.56μmのポリエステルの繊維よりなる不織布用いたマウス用白血球除去器による体外循環を参考例2とし、該マウス用白血球除去器を接続せずにチューブ回路のみを介した体外循環を参考例3とした。
【0040】
体外循環開始直前および体外循環終了直後にマウスから血液を採取し、該血液を蛍光標識された抗マウスCD3抗体、抗マウスCD49b抗体、および抗マウスKLRG1抗体により染色した。CD3陰性・CD49b陽性の細胞をNK細胞として、フローサイトメーター(Cytomics FC 500、Beckman Coulter)によりKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比と白血球濃度を測定した。体外循環開始直前のKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比をA、体外循環終了直後の該濃度比をBとした時、次式(i)により計算される値をKLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比の低減率とした。
【0041】
低減率(%)=100x(A−B)/A ・・・ (i)
【0042】
また、体外循環開始直前にマウスから採取したマウス血液の白血球濃度をC、体外循環終了直後に該マウス用白血球除去器の血液流出口から採取したマウス血液の白血球濃度をDとした時、次式(ii)により計算される値を白血球除去率とした。
【0043】
白血球除去率(%)=100x(C−D)/C ・・・ (ii)
【0044】
体外循環後は、生理食塩水を2分30秒送液して該マウス用白血球除去器および該回路内の血液をマウスへ返血した。また、傷口は止血の後、縫合した。全てのマウスは、認定されたプロトコールに基づく施設のガイドラインに従って維持され、取り扱われた。
【0045】
(B)結果
参考例1及び参考例2の白血球除去率は、それぞれ98.9%、56.2%であった。
KLRG1陽性NK細胞/KLRG1陰性NK細胞の濃度比、及びその低減率について、表1にまとめた。
【0046】
【表1】

【0047】
参考例1および2は、参考例3に比べて、KLRG1陽性NK細胞とKLRG1陰性NK細胞の濃度比の低減率が大きかった。すなわち、マウス血液を体外循環して白血球除去器により末梢血中の白血球を除去すると、その体外循環直後にはKLRG1陽性NK細胞とKLRG1陰性NK細胞の濃度比が低下することが明らかとなった。
【0048】
<実験例2>
担癌マウスに対する抗体を含有する癌治療剤の抗腫瘍効果
(A)方法
(1)担癌マウス体外循環試験
ヌードマウス(BALB/c−nu/nu、6週齢、雌、日本SLC)の皮下に0.2mlのPBSに懸濁した5.0×106個のHER2陽性Pan−cadherin陽性ヒト乳癌細胞株HCC1569を接種した。4週間後、この担癌マウスを次の3群に分け、各処理を実施した。一切の処置を施さない群を比較例1、トラスツズマブのみを投与する群を比較例2、上記参考例2で使用したマウス用白血球除去器による体外循環で末梢血の白血球を除去した後にトラスツズマブを投与する群を実施例1とし、各群n=6とした。
【0049】
体外循環は前記の方法に従って実施され、トラスツズマブは体外循環実施直後に、マウスの体重1g当たり5μg腹腔内に投与された。全ての処置はマウス毎に週当たり1回、5週間に渡って実施された。全てのマウスは、認定されたプロトコールに基づく施設のガイドラインに従って維持され、取り扱われた。
【0050】
(2)腫瘍体積の測定
腫瘍体積は、週に1度、caliperを用いて、腫瘍の長さと幅と厚さを測定し、次式にしたがって算出された。
【0051】
腫瘍体積(mm3)=長さ(mm)×幅(mm)×厚さ(mm)
【0052】
(B)結果
各群の処置前および1〜5週経過後の腫瘍体積と、処置前に対する処置後の腫瘍体積のそれぞれの増加率について、n=6の平均値を解析し(実施例1の4および5週経過後のみn=5)、表2の結果を得た。
【0053】
【表2】

【0054】
比較例1では、処置前の腫瘍体積に対し、1週経過後で197%、5週間後で1203%と、毎週腫瘍体積の増加を確認した。比較例2では、1週経過後で165%、5週間後で1195%と、比較例2と同等に腫瘍体積が増加した。すなわち、トラスツズマブ単独投与は、ヒト乳癌細胞株HCC1569に対して有効ではないことが分かる。
【0055】
これに対し、実施例1では1週経過後で72%と腫瘍体積の減少が観察され、また5週経過後では376%と、比較例1および2に対して腫瘍体積の増加を1〜5週経過後の全てにおいて有意に抑制した(比較例1に対して、実施例1は1週経過後p=0.0005、2週経過後p=0.0001、3週経過後p=0.0046、4週経過後p=0.0101、5週経過後p=0.0144で有意に抑制され、比較例2に対して、実施例1は1週経過後p=0.0037、2週経過後p=0.0001、3週経過後p=0.0029、4週経過後p=0.00004、5週経過後p=0.0001で有意に抑制されていた。(unpaired student's t test))。すなわち、トラスツズマブ単独投与が有効でないヒト乳癌細胞株に対し、末梢血の白血球除去後にトラスツズマブを投与すると、顕著な抗腫瘍効果が発揮された。上記実験例1から明らかなように、末梢血の白血球を除去すると、末梢血中のKLRG1陽性NK細胞とKLRG1陰性NK細胞の濃度比が低減する。本実施例では、トラスツヅマブ抵抗性の原因となるKLRG1陽性NK細胞の相対的な存在比率が減少したので、トラスツズマブの抗腫瘍効果が発揮されたものと推定された(表2)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する、抗体依存性細胞障害活性を有する抗体を含有する癌治療剤であって、該癌治療剤は、前記癌特異的膜抗原が陽性であり、かつKLRG1に対するリガンドが陽性である上皮性癌の生体に対して用いられ、前記癌治療剤の投与開始時期が、前記生体の血液を体外循環して、該血液から白血球を除去する白血球除去療法の施行中または施行後であることを特徴とする、前記の癌治療剤。
【請求項2】
前記白血球除去療法の施行中または施行後に、前記生体にNK細胞活性化剤が投与される、請求項1に記載の癌治療剤。
【請求項3】
前記NK細胞活性化剤が、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-12、IL-15、GM-CSFからなる群から選択されるサイトカインである、請求項1または2に記載の癌治療剤。
【請求項4】
前記白血球除去療法が、前記生体から血液を採取し、該血液を遠心分離して、または白血球に対して親和性を有する除去材に前記血液を接触させて、該血液中の白血球を除去した後、該生体に返血する工程を含む、請求項1から3の何れかに記載の癌治療剤。
【請求項5】
前記生体の血液中のKLRG1陽性NK細胞とKLRG1陰性NK細胞の濃度比が、前記白血球除去療法の前と比較して減少している状態で、前記癌治療剤を前記生体に投与する、請求項1から4の何れかに記載の癌治療剤。
【請求項6】
前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原が、HER2である、請求項1から5の何れかに記載の癌治療剤。
【請求項7】
前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原に対する抗体が、トラスツズマブである、請求項6に記載の癌治療剤。
【請求項8】
前記上皮性癌細胞で発現する癌特異的膜抗原が、CEAである、請求項1から5の何れかに記載の癌治療剤。
【請求項9】
前記上皮性癌が乳癌である、請求項1から8の何れかに記載の癌治療剤。
【請求項10】
前記上皮性癌が胃癌である、請求項1から8の何れかに記載の癌治療剤。

【公開番号】特開2012−131722(P2012−131722A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284045(P2010−284045)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000116806)旭化成クラレメディカル株式会社 (133)
【Fターム(参考)】