説明

抗体リガンドとしての使用のためのエピトープの定方向拡大のための方法

本発明は、固相合成によって合成したエピトープペプチド混合物を用いた、治療、予防、診断または調査目的に有用な抗体を選択および製造する方法を含み、そのような方法は、既知のエピトープの塩基またはネイティブアミノ酸を置き換えるアミノ酸が何であるか、およびその出現頻度に関する一組の規則によって定義されている。得られた抗体は、既知のエピトープと結合する抗体と関連しているが、明確に異なる。本発明は、治療上もしくは予防上有用、または、調査試薬として、診断ツールとして、タンパク質配列中の種の差異を調べる手段として、もしくはタンパク質配列中の種の差異に関連する問題に打ち勝つ手段として使用するために有用な、抗体を産生する改善された方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2007年5月7日に出願された米国特許出願第60/928,225号、2007年10月16日に出願された米国特許出願第60/999,283号、2007年10月16日に出願された米国特許出願第60/999,284号、および2008年4月17日に出願された米国特許出願第61/124,689号の利益を主張する。本願はまた、2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,229号の一部継続出願であり、この米国特許出願は、2006年4月13日に出願された米国特許出願第60/792,085号の利益を主張する。上記のずべての米国特許出願の開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
近年、抗体は、様々な疾患および状態に対する有効な治療剤のクラスとして、その地位を固めてきている。現在、世界中で21個の認可されている抗体に基づいた薬物が存在し、そのうちのいくつかは流通ルートに入っている。
【0003】
単一の抗体は、1つの抗原に対して特異的であるか、または複数の抗原を認識し得る(非特許文献1;非特許文献2)。しかし、関連するエピトープと結合する抗体は、治療上の有効性を保証しない。抗体は広範囲の結合親和性で結合してもよく、結合立体配置の軽微な差異が、標的タンパク質中のコンホメーションの変化を引き起こし得るか、抗体が他の抗体もしくは標的の結合パートナーと競合する度合を制御し得るか、または、抗原−抗体複合体を認識する免疫細胞からの多様な応答を始動させ得る。
【0004】
事態をより複雑にすることには、自己免疫疾患などの疾患、または内在抗体が自己の組織および器官に対する誤った攻撃となる移植片拒絶などの状態では、疾患の一段階では実行可能な標的である同定したエピトープが、そのように保たれない。この現象、エピトープ拡大(epitope spreading)は、身体が最初のエピトープに隣接する標的タンパク質の一部分を新しいエピトープとして認識し始めるために、害する内在抗体の結合と競合し、それを妨害する治療的または予防的抗体の有効性を減少させる。(非特許文献3)。
【0005】
治療上有用な抗体の調製における別の障害は、免疫原性の低いペプチドおよびエピトープである。治療上有用な抗体は、容易に産生または強力な免疫応答を誘発しない抗原およびエピトープに対して同定されない場合がある。そのような現象は、浸潤病原体または癌、特に免疫回避を行う浸潤病原体に対するワクチン接種および免疫増強治療の分野で、長い間認識されている。以下に、効率的な抗体産生または有効なワクチン接種治療のいずれかのための、免疫反応性の増強をさらに記載する。
【0006】
天然痘、ポリオ、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、Haemophilus influenza、百日咳、破傷風、およびジフテリアなどの感染症を制御する試みの中で、免疫化プログラムは、生きた生物による病原性感染の前に宿主において免疫応答を安全に生じさせるために、数百年前からの技術を使用した。これらのワクチン接種プロトコルは、宿主に実際の病原体の失活型を導入することを必要とし、そうすることで、活性のある免疫応答が生じた。技術の改善が、病原体の様々な種類の失活化の形または免疫原性増強させるためのアジュバントの使用でなされてきたが、一般に従来のワクチン治療に不応性である、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルスなどの感染性因子、ならびにPseudomonas aeruginosa、Neisseria gonorrhea、もしくはMycobacterium tuberculosisなどの細菌またはマラリアもしくは鈎虫症などの寄生虫病を取り扱うことができるワクチンの開発の必要性が、依然として存在する。
【0007】
これらの感染性因子、細菌、および寄生虫病は、生物が「免疫回避」によって宿主の検出を回避する能力を有するため、失活した病原体ワクチン手法を用いて治療することがより困難である。HIVまたはインフルエンザウイルスは、1暦年に満たない期間中にその免疫プロフィールを複数回変更する能力を有しており、一番最近に作製されたワクチンの有効性さえも進行的に無用なものとする。
【0008】
より強力な免疫応答を誘発させることに関する進展は、アジュバントミョウバンなどの免疫活性を追加免疫する抗原/エピトープ非特異的な治療の開発(ワクチンアジュバントの広範な総説には、本明細書に参照により組み込まれているVaccine Adjuvants and Delivery Systems、Manmohan Singh編、2007年Wiley & Sons ISBN:978−0−471−73907−4参照)、およびこれらの病原体の遺伝的基礎の理解に基づいた免疫原の開発(GenBank、米国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)によって管理されているデータベースには、現在、そのデータベース中に850億個を超える塩基対が存在する。病原体に基づいた検索は幅広く使用されているhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/Genbank/)で行われている。後者は、病原体に由来するタンパク質の別々の配列を免疫剤として利用する可能性を開いた。これらのペプチドに基づくワクチンは、抗原決定基に特異的であり、免疫反応性を免疫追加することを意図し、免疫機能を興奮させるように設計された方法を用いて投与する。
【0009】
治療用抗体は特異性が高く有効であることができるが、それらを作製し、治療上活性のある種を同定する手段は、以前として面倒かつ高価である。
【0010】
抗体の作製は、当技術分野で周知である。抗体は、認識されたリガンドと相互作用するB細胞受容体(BCR)に対する応答にして、B細胞によって合成される。生物によって抗原と認知されているものを導入する前、その一部が接種材料と結合する様々な抗体は、宿主中で活性免疫系の背景に存続している。抗原を生物内に導入した際、これらの既存の抗体(生殖系列抗体)は抗原と相互作用して、B細胞増殖事象のカスケードを開始し、これは、親和性成熟と呼ばれるプロセスによって、抗原に対してより高い親和性を有する抗体をもたらす。この天然機構では、様々な結合領域配列を有する、導入した抗原と結合する複数の抗体が産生され、それぞれのクローンB細胞系が特定の抗体を産生する。
【0011】
具体的な標的抗原に対する抗体を作製および産生するために、様々な方法が開発されている。当技術分野では、同一の結合領域を有する抗体(モノクローナル抗体)を多量に産生する利点が見出された。モノクローナル抗体を作製する1つの周知の方法は、ハイブリドーマの作製である。手短に述べると、ハイブリドーマは、マウスB細胞をマウス腫瘍細胞と融合させることによって作製する。得られる組合せは、所望の抗体を産生する、絶え間なしの刺激に依存しない不死の細胞系である。ハイブリドーマ系の均一性により、この系が、臨床的投与のための高度に定義された薬物製品を生成するために魅力的となる。しかし、ハイブリドーマは、臨床的設定において、マウス由来であるという大きな欠点を有し、これは、ヒト免疫系はマウス抗体を外来性であると認識し、したがってそれらを系から除去するからである。
【0012】
この制限に打ち勝つために、「ヒト化抗体」を作製する。遺伝子操作によって作製するヒト化抗体は、ハイブリドーマ由来のマウス抗体の可変領域を保有し、免疫グロブリンの残りの部分、たとえば定常領域は、ヒト免疫グロブリンに由来する。
【0013】
しかし、ヒト免疫系は、これらのヒト化抗体さえも外来タンパク質として認識した。抗体の抗原特異性を提供する相補性決定領域(CDR)は、マウスに由来する場合、ヒトにおいて免疫反応を引き起こす。抗体をさらに改善するため、マウス免疫系の状況下で完全にヒトの抗体を産生するトランスジェニックマウスを作製した(非特許文献4)。あるいは、発現ファージライブラリ技術から採用して、M13などの糸状バクテリオファージに基づく発現系を作製して、ヒト抗体遺伝子産物を提示した。手短に述べると、所望の抗体を同定するために、様々なヒト抗体を発現するファージを目的の抗原またはタンパク質と接触させる。無関係の抗体を発現するファージは抗原と結合せず、洗い流される。抗体配列を結合したファージから回収し、たとえば抗体産生のために、Escherichia coli細胞などの発現系内にクローニングする。
【0014】
この改善にもかかわらず、大量の抗体の産生は依然として、どのようにして所要量を産生するか、挑戦的である。さらに、これらの系は、どちらも抗原の品質に依存する。しかし、ナイーブな材料から精製した抗原の使用は、物流および費用の障壁が原因で制限されている。抗原を産生するために必要な労力の量が、抗体選択プロセスに必要な労力を超えることが報告されている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Notkins, A.L.ら、Curr. Topics Microbiol. Immunol. 252:241頁、2000年
【非特許文献2】De Ciechi, PAら、Mol. Divers. 1:79頁、1995年
【非特許文献3】N. Suciu−Focaら、Immunol. Rev. 1998年、164:241頁
【非特許文献4】Mendez MJら、Nature Genetics 15:146、1997年
【非特許文献5】HustおよびDuebel、Trends in Biotechnology 22:8頁、2004年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、治療上有用である適切な免疫原性抗原を得るための手段および費用を改善することを含めた、抗体を同定および産生する改善された方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
現在、当技術分野において治療用抗体を同定する方法には、プロトタイプ抗体を同定することを期待して、エピトープとの結合について抗体ライブラリの高スループットスクリーニングを行うこと、続いて、可変領域配列のほぼランダムな点突然変異を行って結合特徴がプロトタイプとは異なる候補を作製し、それによりプロトタイプとは異なる生理的効果を示すことが含まれる。
【0018】
本発明は、治療上もしくは予防上有用、または、調査試薬として、診断ツールとして、タンパク質配列中の種の差異を調べる手段として、もしくはタンパク質配列中の種の差異に関連する問題に打ち勝つ手段として使用するために有用な、抗体を産生する改善された方法を含む。この方法は、作製される抗体の、リガンドと反応する多様性を増加させることを目的とする。またさらに、この方法は、低い免疫原性を有するリガンドに対する抗体の作製の問題に打ち勝つことを目的とする。またさらに、この方法は、単一の種に対してのみ反応性を有する抗体を作製することに関する問題に打ち勝つことを目的とする。本発明は、調査研究で使用するための抗体試薬を作製する方法を含む。本発明は、診断ツールとして使用するための抗体試薬を作製する方法を含む。本発明はさらに、疾患を治療するための治療剤として有用な抗体を作製する方法を含む。同じ原理を用いて、抗体をin vivoで産生させ得る、すなわち、抗体産生を刺激する組成物をワクチンとして使用し得る。以下に記載するすべての代表的な方法の免疫化ステップは、本発明の免疫原をワクチンとしてin vivoで使用するために改変することができる。
【0019】
本発明の方法にはまた、目的の抗原に対する抗体応答に関連するパラトープの増強も包含される。本発明の方法にはさらに、結合事象に対して様々な量の下流の結果を誘発する抗原結合特性を有する新規機能性抗体の作製も包含される。
【0020】
手短に述べると、この方法は、目的のタンパク質を選択するステップと、タンパク質内の関連するエピトープを決定するステップと、関連するエピトープを選択するステップと、エピトープの定方向順列置換を行って拡大しているが関連した一連の抗原を作製するステップと、固相合成を行うことで定方向配列ポリマー(DSP)を作製するステップと、DSPを抗体作製の手段と接触させることによって、DSPを一組の抗原として集合的に使用するステップと、作製した抗体の活性を決定するステップと、所望の活性を有する抗体を選択するステップと、抗体を単一種の試薬、複数種の試薬、単一種の診断剤、複数種の診断剤、または代替的に治療剤として利用するステップとを含む。抗体作製の手段は、たとえば、動物であって、DSPおよびそのような動物由来の細胞(たとえばモノクローナル抗体産生にはマウス由来の脾臓細胞)、ファージディスプレイライブラリ、またはB細胞ライブラリによって免疫化する動物である。
【0021】
本発明の好ましい方法は、知られている機能をもたない、既知もしくは予測される調査的関心のある、既知もしくは予測される診断的関心のある、または疾患との関連があるタンパク質を選択するステップと、知られている免疫原性がないものから免疫原性が弱いものから免疫原性が強いものまでの様々な免疫原性を有し得る、タンパク質内のエピトープを選択するステップと、1〜3個のアミノ酸置換+1個のアラニン置換の比を支配する一組の規則に基づいてエピトープの定方向順列置換を行うステップと、固相化学を用いてDSPを合成するステップと、DSPをin vivo設定内に導入するか、または別法としてDSPをin vitro設定内に導入するか、またはさらに別法としてDSPを、ファージディスプレイなどの抗体の表現型と遺伝子型との間の関連性を維持する系と接触させることによって抗体を作製するステップと、抗体を目的のネイティブ分子と接触させることによって作製した抗体の活性を決定するステップと、より高い親和性の抗体、または代替としてより低い親和性の抗体、単一種の反応性、または代替として複数種の反応性、単一の目的分子の反応性または代替として複数分子の反応性の、所望の活性を有する抗体を選択するステップとを含む。特定の実施形態では、所望の活性は、標的の活性に対して拮抗性であり、特定の好ましい実施形態では、所望の活性は標的の活性を遮断する。他の実施形態では、所望の活性は標的タンパク質の活性に対して作用性である。特定の実施形態では、抗体の所望の特徴は、試薬、診断剤、または代替的に治療剤として有用となるものである。さらなる実施形態では、複数の特徴を有する抗体を、単一の試薬、診断剤、または治療剤へと組み合わせる。さらなる実施形態では、前記複数の特徴は、作用剤、拮抗剤、または標的タンパク質に対してヌル活性を含む。
【0022】
あるいは、本発明の方法は、非連続的なエピトープを有することが知られている目的のタンパク質を選択するステップと、エピトープを構成するアミノ酸を選択するステップと、アミノ酸を直鎖ペプチドへと合わせて、定方向順列置換を行って、DSPを作製するステップと、上述の抗体を開発するステップとを含む。
【0023】
本発明のさらに他の実施形態は、2つ以上の目的のタンパク質を選択するステップであって、それぞれの目的のタンパク質に由来する少なくとも1つのエピトープを有するように2つ以上のエピトープを選択するステップと、エピトープを直鎖配列へと合わせて、定方向順列置換を行って、DSPを作製するステップと、上述の抗体を開発するステップとを含む。
【0024】
あるいは、本発明には、目的のタンパク質を選択するステップと、エピトープを構成するアミノ酸を選択するステップと、アミノ酸を直鎖ペプチドへと合わせるステップと、定方向順列置換を行うステップと、固相化学を用いてDSPを合成するステップと、DSPを製薬上許容される塩として調製するステップと、DSPを宿主内に導入するステップと、1週間後に抗体を含む一次組織を宿主から収集するか、別法として1週間より長い期間の後に抗体を含む一次組織を宿主から収集するステップと、作製した抗体の活性を決定するステップと、抗体を試薬、診断剤、または代替的に治療剤として選択および利用するステップとを含む、抗体を産生する方法が包含される。
【0025】
あるいは、本発明には、目的のタンパク質を選択するステップと、第1の種を選択するステップと、さらなる種を選択するステップと、エピトープを構成するアミノ酸を選択するステップと、エピトープ中の種の差異を決定するステップと、アミノ酸を直鎖ペプチドへと合わせるステップと、種の差異を順列置換の規則として用いて定方向順列置換を行うステップと、固相化学を用いてDSPを合成するステップと、DSPを製薬上許容される塩として調製するステップと、DSPを、その配列がDSPの規則を構成する種の1つと同じ宿主内に導入するか、別法として、DSPを、その配列がDSPの規則を構成する種のいずれとも異なる宿主内に導入するステップと、1週間後に抗体を含む一次組織を宿主から収集するか、別法として1週間より長い期間の後に抗体を含む一次組織を宿主から収集するステップと、作製した抗体の活性を決定するステップと、抗体を試薬、診断剤、または代替的に治療剤として選択および利用するステップとを含む、抗体を産生する方法が包含される。
【0026】
あるいは、本発明には、目的のタンパク質を選択するステップと、第1の種を選択するステップと、さらなる種を選択するステップと、エピトープを構成するアミノ酸を選択するステップと、エピトープ中の種の差異を決定するステップと、アミノ酸を直鎖ペプチドへと合わせるステップと、種の差異を順列置換の規則として用いて定方向順列置換を行うステップと、固相化学を用いてDSPを合成するステップと、DSPを製薬上許容される塩として調製するステップと、DSPを、その配列がDSPの規則を構成する種の1つと同じ宿主内に導入するか、または別法として、DSPを、その配列がDSPの規則を構成する種のいずれとも異なる宿主内に導入するステップと、1週間後に抗体を産生する細胞を含む一次組織を宿主から収集するか、または別法として1週間より長い期間の後に抗体を産生する細胞を含む一次組織を宿主から収集するステップと、作製した抗体の活性を決定するステップと、抗体の活性を、抗体を産生した細胞内の遺伝子と相関させるステップと、抗体を試薬、診断剤、または代替的に治療剤として選択および利用するステップとを含む、抗体を産生する方法が包含される。
【0027】
あるいは、本発明には、非連続的なエピトープを有することが知られている目的のタンパク質を選択するステップと、エピトープを構成するアミノ酸を選択するステップと、アミノ酸を直鎖ペプチドへと合わせるステップと、定方向順列置換を行うステップと、固相化学を用いてDSPを合成するステップと、DSPを製薬上許容される塩として調製するステップと、DSPを宿主内に導入するステップと、1週間後に抗体を産生する細胞を含む一次組織を宿主から収集するか、別法として1週間より長い期間の後に抗体を産生する細胞を含む一次組織を宿主から収集するステップと、作製した抗体の活性を決定するステップと、所望の活性を選択するステップと、抗体を試薬または代替的に治療剤として利用するステップを含む、抗体を産生する方法が包含される。
【0028】
手短に述べると、抗体を作製する手段として、目的の抗体を、当業者に知られている手段、たとえば、ファージディスプレイライブラリスクリーニングまたはB細胞増殖スクリーニングを用いて同定する。使用する抗原は、標的エピトープに関連するペプチドの混合物を含む新規組成物である。本発明の方法では、既知のペプチドエピトープの配列を開始点として使用する。エピトープを構成するアミノ酸を、一組の規則によって定義される様々な関連するアミノ酸の導入によって、逐次的に修飾する。その結果は、治療剤中またはそれ自体で治療剤として有用な、関連するペプチドの混合物であり、これは、本明細書において「定方向配列ポリマー」または「DSP」を含む組成物として記載される。そのような組成物は、「DSP組成物」と呼ばれる。DSP組成物を合成する方法では、指定した長さの定義されたペプチド配列のアミノ酸残基の天然の順序を利用および維持する。それぞれのアミノ酸位置は、定義された一組の規則に基づいて変化に供する。好ましい実施形態では、アミノ酸は、Kosiolら、J. Theoretical Biol.、2004年、228:97〜106頁)の表X中に見られる方法に従って置換する。あるいは、アミノ酸は、PCT/US2004/032598、10〜11頁に記載の例示的な置換に従って変化させることができる。あるいは、アミノ酸は、供給源エピトープ中のアミノ酸の差異に従って変化させることができる。本発明の固相合成手順では、ペプチド中の所与の位置のアミノ酸の混合物は、互いに対する比によって定義する。合成を開始する前に、そのような比を、ペプチドに沿ったそれぞれの位置について決定する。得られる定方向順序ペプチド混合物は、多数の関連するペプチド配列を含む。
【0029】
DSPの長さは、元の定義した配列ペプチドのうちの1つ、または元の定義した配列ペプチドの30個の長さであることができる。合わせた配列の長さは、25〜300個のアミノ酸であることができる。
【0030】
合わせたDSP中の他のすべてのアミノ酸と比較したアラニンの割合は、常に10%より高く、90%を超えない。好ましくは、アラニンの割合は20%〜80%である。より好ましくは、アラニンの割合は40%〜75%である。混合物の複雑度は、5×10個を超える異なるペプチドである。好ましくは、混合物の複雑度は、1×1010個を超える異なるペプチドである。より好ましくは、混合物の複雑度は、1×1015個を超える異なるペプチドである。
【0031】
一部の実施形態では、DSPは、癌特異的または癌に増強されるタンパク質およびエピトープに由来する。他の実施形態では、DSPは、自己免疫関連のタンパク質およびエピトープに由来する。さらなる実施形態では、DSPは、感染症に関連するエピトープに由来する。DSPが由来するタンパク質の例には、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、炎症関連タンパク質、アレルギー関連タンパク質、インターロイキンおよびその受容体、ケモカインおよびその受容体、シャペロンおよびその受容体が含まれる。他の実施形態では、DSPは、CD20、血管内皮成長因子(VEGF)、CD52、表皮成長因子受容体(EGFR+)、CD33、HER2、非腫瘍関連タンパク質、たとえば、TNFα、CD25または免疫抑制用の免疫グロブリンE、CD11a、α4−β1インテグリン、感染症関連βケモカイン受容体CCR5、RSVgpPに由来する。他の実施形態では、DSPは、コンビナトリアル化学によって作製したライブラリのスクリーニングを介したものなど、経験的に誘導したペプチド配列に由来する。
【0032】
さらなる実施形態では、DSPは、βプリーツシートまたはαヘリックスなどの一次、二次、三次または四次構造的属性を有するドメインを含むことでのみ知られるタンパク質、セロトニン結合などの特定の活性を有するドメインを含むことでのみ知られているタンパク質、既知の起源を有することでのみ知られているタンパク質、核または細胞質などの特定の細胞区画に属することでのみ知られているタンパク質、特定の目的タンパク質を産生する細胞プロセスなどの細胞性機能ことでのみ知られているタンパク質、抗酸化活性または代謝活性、または生合成活性、または異化活性、またはキナーゼ活性、またはトランスフェラーゼ活性、またはリアーゼ活性、またはリガーゼ活性、またはシグナル伝達活性、または結合活性、または運動性活性、または膜融合活性、または細胞情報交換活性、または生物学的プロセス調節活性、対刺激の応答活性、細胞死関連活性、T細胞活性化関連活性、B細胞活性化関連活性、APC活性化関連活性、炎症性免疫応答関連活性、アレルギー性応答関連活性、感染症応答関連活性、トランスポーター活性、チャネル活性、分泌活性、病原性活性、および細胞骨格組織化活性を有することでのみ知られているタンパク質を含む、タンパク質の群から採用する。
【0033】
本発明の代替の実施形態には、液性の免疫原性を有するが細胞性の免疫原性を有さないタンパク質に対する抗体の作製において、DSPリガンドを使用する方法が包含される。本発明のさらなる代替の実施形態には、細胞性の免疫原性を有するが、液性の免疫原性を有さないタンパク質に対する抗体の作製において、DSPリガンドを使用する方法が包含される。本発明のさらなる実施形態には、免疫原性レベルが低いタンパク質に対する抗体の作製において、DSPリガンドを使用することが包含される。
【0034】
本発明の代替の実施形態には、免疫原性レベルが低いタンパク質に対する抗体の作製において、DSPリガンドを、液性免疫を増加させる要素、代替として細胞性免疫を増加させる要素と組み合わせることによって、DSPリガンドを使用する方法が包含される。本発明の代替の実施形態には、免疫原性レベルが低いタンパク質に対する抗体の作製において、DSPリガンドを、タンパク質の外来性を変更する要素、タンパク質の大きさを変更する要素、タンパク質の複雑度を変更する要素、タンパク質の化学組成を変更する要素、およびタンパク質の抗原提示を変更する要素を含む群から採用する要素と組み合わせることによって、DSPリガンドを使用する方法が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】定方向配列ポリマーを作製する概念ステップを示す模式図である。
【図2】定方向配列ポリマーをリガンドとして用いて抗体を調製するステップを示す図である。
【図3】エピトープ透過性の定方向拡大の好ましい定義された代替規則を示す図である。
【図4】一般的規則構造およびDSP合成の置換の範囲を示す図である。
【図5】偽供給源ペプチドを用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図6A】CD20由来ペプチドを供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図6B】CD20由来ペプチドを供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図7A】Gp100(アミノ酸残基154〜162)を供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図7B】Gp100(アミノ酸残基154〜162)を供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図8A】HLA由来ペプチドおよびHLA模倣由来ペプチドを供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図8B】HLA由来ペプチドおよびHLA模倣由来ペプチドを供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図9A】hTRT由来エピトープペプチドを供給源ペプチドとして用い、経験的に決定した置換規則を適用した、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【図9B】hTRT由来エピトープペプチドを供給源ペプチドとして用い、経験的に決定した置換規則を適用した、DSP合成規則の適用の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
創薬は、2つの主要な要素、すなわち、リード化合物の創出およびリード化合物の最適化に一般化することができる。コンビナトリアル化学(CC)の開発および開拓は、非常に基礎的なレベルでの合理的設計対ランダム作製の使用の分岐を経ている。一方では、CCの使用は、分子の合理的設計において研究者を支援することが見出される。その例は、治療的関心のある2つ以上の活性分子間の構造/活性の関係性(SAR)の発見に見ることができる。他方で、研究者が、特異的活性に基づいて発見された新しい分子の設計を定義するためにCCを使用していることが見出される。その例は、リード化合物の創出で使用するランダムライブラリの作製であり、これによりリード化合物を選び出し、さらに最適化する。
【0037】
ペプチドライブラリの合成に適用するコンビナトリアル化学の最新技術の専門性レベルは上昇し、信頼性が高く、純粋な、多様性の大きいペプチドの混合物が生じている。これらの多様なペプチドライブラリの使用は、リード化合物の創出および最適化に焦点をあてている。この戦略は、特定の活性を実証する単一の、または限定されたペプチドの組を定義することを意図して、ライブラリ中の莫大な数の個々のペプチド配列を、目的の標的に対してスクリーニングすることを伴う。その後、その単一のペプチド、または限定されたペプチドの組は、候補となり、これは標的に対する活性が増加するように修飾する。
【0038】
当業者に対する難題は、観察された活性を担っている単一または限定されたペプチドの組を解析積分、または正確に定義することであった。逆重畳積分に関連する困難は、当業者に、個々のペプチドの分解能、およびペプチド内の個々のアミノ酸が何であるかを本質的に増加させる合成方法を作成するために、多大な労力をもたらしている。
【0039】
この知識は、製薬的使用のための抗体を選択する方法に応用されている。抗体の選択には、抗体のライブラリは、ファージディスプレイライブラリ、ヒト化抗体のライブラリ、または抗体をスクリーニングする疾患に罹患している患者由来のB細胞の集団であり得る。
【0040】
技術のあらゆる改善にもかかわらず、コンビナトリアルライブラリからの特異的な抗体の同定が強力かつ明確であっても、これは開始点およびそれ自体は治療上有用でないリード抗体の同定としてのみ役割を果たす。同定した抗体は標的タンパク質の活性を遮断しないか、または、場合によっては、治療が軽減することを狙っている状態を悪化させ得る。そのような抗体は、直接治療上有用でない。しかし、突然変異誘発およびそのような抗体に基づいたタンパク質工学によって、治療上有用な機能を有する抗体を作製し得る。
【0041】
抗体のスクリーニング方法は、標的エピトープと結合する抗体を同定するように、一般的に設計されている。標的として、同定した抗体の治療上の有用性に関連するエピトープを選択することが重要である。この考慮は、エピトープ拡大が見られる疾患において特に重要である。関連する抗体を同定する可能性を高めるために、標的エピトープを操作し得る。
【0042】
定義されたペプチドまたは一組のペプチドを使用することは、均一な試料を制御および一貫して生成する能力のため、全タンパク質を使用するよりも有利である。ネイティブタンパク質では、グリコシル化の度合、種類、および再現性、タンパク質の正しい折り畳み、ならびにタンパク質の分解および/または生理活性などの天然現象を考慮しなければならない。他の細胞物質からの精製および単離が、時折、難題をもたらす場合がある。
【0043】
以下にさらに記載する様々な方法によって疾患または状態に関連すると決定されたエピトープは、元の標的に対する弱毒化した結合などの理由により、元のエピトープをスクリーニング標的として使用することによって同定されない抗体の種類が拡大されるように修飾することができる(そのような抗体は、それでも生理的に有効であり得る)。さらに、関連しているが異なる抗体のコレクションを同定するために、一連のそのような修飾したエピトープが有用であり得る。
【0044】
しばらくの間、多発性硬化症の発生の過程中、反応性エピトープは一定に保たれないことが観察されている。すなわち、MSの発生に関連する自己認識は、自己反応性の多様性、可塑性、および不安定性によって特徴づけられた発生プロセスであり、標的エピトープは経時的に、典型的には、ミエリンプロテオリピドタンパク質上の1つのエピトープから、アミノ酸残基が重複するが、1個または数個のアミノ酸が元のエピトープのどちらかの側にシフトしたものへと変化する。この現象の結果は、免疫治療薬が元のエピトープを標的としていた場合、時間が経つにつれてこれは無効となり、これは、薬物機構に対する耐性が原因なのではなく、単に標的が有効でなくなるからである。J. Clin. Invest.、1997年、99:1682〜1690頁。したがって、関連する抗体のコレクションは、宿主によって連続的な様式で産生された一連の望ましくない抗体を相殺するために有効であり得る。
【0045】
関連するペプチドの混合物が単一のペプチドよりも治療上有効であり得ることが、以前に示されている。Lustgartenら、J. Immunol. 2006年、176:1796〜1805頁; Quandtら、Molec. Immunol. 2003年、40:1075〜1087頁。単一のペプチドと対照的なペプチド混合物の有効性は、エピトープ拡大のプロセスによる問題を起こすエピトープの広がりと相互作用する可能性である。(Immunol. Rev. 1998年、164:241頁)したがって、有効性を増加かつ維持するために、これらの以前の治療法を改変しなければならない。たとえば、変更したペプチドリガンド(APL)方法に基づく治療組成物には、元のエピトープから、エピトープ配列内の少数のアミノ酸残基を、元のエピトープペプチド、または他のAPLと組み合わせて変更することによって作製する、複数のペプチドが含まれ得る。Fairchildら、Curr. Topics Peptide & Protein Res. 6、2004年。それぞれのAPLは定義された配列を有するが、組成物は、複数の配列を有するAPLの混合物であり得る。そのような混合物を抗原組成物として使用して、関連する抗体のコレクションを同定し得る。
【0046】
関連する抗体のコレクションを同定し得る別の方法は、ランダム配列コポリマーを、そのような抗体をスクリーニングするエピトープとして使用することである。ランダム配列コポリマーとは、定義されたアミノ酸組成を有するが、定義された配列を有さないペプチドのコレクションである。周知の例は、COP−1、すなわち、Y、E、A、Kの全体的な組成が特定の比であるが、これらのアミノ酸残基の配列は定められていないペプチドの混合物である。治療剤として、アミノ酸含有率およびアミノ酸の比を変えることによってCOP−1を改善するいくつかの手法が存在する。しかし、RSPを使用することの短所が依然として存在する。改善された治療的RSPについては、たとえば、Stromingerら(WO/2003/029276)およびRasmussenら(US2006/0194725)によってさらに改善されたもの、WO/2005/032482、ならびにWO/2005/074579を参照されたい。
【0047】
これらの手法の欠点は、それぞれのモチーフ中で何が有効であるかの定義されていない性質、および大きな可能性として、混合物中のペプチドの大部分が失活している場合があり、有用なエピトープの濃度を下げていることである。さらに、これらの化合物は、製造およびロット間の一貫性を得ることが困難である。したがって、これらのランダムコポリマーを用いて同定した抗体の治療上の有用性は強く期待されず、そのようなスクリーニングの有効性がさらに下がる。本発明は、抗体のスクリーニングに有用なペプチドを作製する以前の方法の最も有用な特性を引き出すが、それぞれの限定を取り除いている。
【0048】
本発明は、治療上有効な抗体を同定するために「定方向配列ポリマー」(DSP)を使用することに関する。この手法を、図1に模式的に示す。DSPとは、ベースペプチド配列に由来する配列を有するペプチドであり、これは、それだけには限定されないが、所望しない免疫応答に関連するネイティブエピトープであり得る。DSPは、ベースペプチド配列とは異なる1つまたは複数のアミノ酸残基を有し、その置換は、置き換えられているアミノ酸残基の特定の特徴を保存することを意図する、定義された規則によって決定される。
【0049】
DSP組成物によって誘発される抗体は、ベースペプチドを認識するものと関連しているが、異なっているものであると予測される。この差異は、容易に曝露されていないエピトープ、たとえば、遷移コンホメーションであるエピトープまたは半分ネイティブ状態の曖昧であるエピトープを認識する抗体の同定に、有利であると予測される。それにもかかわらず、「不透明」または「偽装された」または「マスクされた」エピトープと呼ばれるこれらのエピトープは、コンホメーションが異なる抗体によって接近することができる。小さな残基であるアラニンの含有率が高いため、DSPは、これらの潜在的なエピトープを模倣する機会がより多くなる。
【0050】
DSP組成物に誘発される抗体はまた、そのような抗体は、ベースペプチドに対するその検出可能な結合によってスクリーニングされる抗体とは異なる様式で、標的を認識してそれと結合すると予測されており、したがって、標的の機能を、ベースペプチドに対する抗体とは異なる度合または異なる様式で活性化または失活化させるため、ベースペプチドに対する抗体を超えて有用であり得る。
【0051】
複数のDSPを含むDSP組成物は、配列の任意の所与の位置でベースペプチド配列に対するアミノ酸の変異およびそのようなアミノ酸残基の導入の出現の比を定義する一組の合成規則を適用することによって、合成する。したがって、DSPは単一のペプチドとして合成されず、常に複数の関連するDSPを含む組成物の一部として合成され、その全体的な混合物は、再現可能であり、適用した合成の規則と矛盾がない。DSP組成物を作製するステップの模式図を、ベースペプチドの選択から開始して、図2に示す。
【0052】
I.ベースペプチド配列
有意義なDSP組成物を作製するために、最初に、DSPを誘導するベースペプチド配列を定義する必要がある。ベースペプチド配列は多くの方法で誘導することができる。この目的のために有用なペプチド配列は、タンパク質の活性を拮抗または作用する関連する標的であることが知られている、またはそう考えられているペプチド配列である。これらの配列の一部は既に同定されており、認可された抗体治療薬の標的として使用されている。たとえば、Mascelliら、J. Clin. Pharmacol. 2007年、47:553〜565頁およびCarter P.ら、AACR Education Book、AACR 96th Annual Meeting、2005年4月16〜20日、147〜154頁の表Iを参照されたい。しかし、そのような抗体は、たとえば、標的に対する結合親和性を増加させる、または、元の治療用抗体が反応しないもしくは反応が乏しい、標的の遺伝子変異を有する患者に有効な変異を調製することによって、さらに改善することができる。
【0053】
癌関連のポリペプチドおよびエピトープ
これらのペプチド配列は、たとえば、癌特異的または癌に増強されるタンパク質およびエピトープであり、そのような癌は、白血病、乳房、皮膚、骨、前立腺、肝臓、肺、脳、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓、基底細胞、癌腫、扁平細胞癌、黒色腫、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、胆石症、島細胞腫瘍、原発性脳腫瘍、リンパ性、顆粒球性、毛様細胞、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、卵巣腫瘍、子宮頸部異形成、上皮内癌、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、軟組織肉腫、カポジ肉腫、骨原性肉腫からなる群から選択される。
【0054】
より具体的には、これらのタンパク質およびエピトープは、たとえば、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、CD20(CALMIANSC(配列番号1)、CWWEWTIGC(配列番号2)、Binderら、Blood 2006年、108:1975〜78頁)、血管内皮成長因子(VEGF)、CD52、表皮成長因子受容体(EGFR+)、CD33、HER2;非腫瘍関連タンパク質、たとえばTNFα;CD25((116)ERIYHFV(122)(配列番号4)およびその構造的類似体CWYHYIWEC(配列番号5)、Binderら、Cancer Res. 2007年、67(8):3518〜23頁)または免疫抑制用の免疫グロブリンE、CD11a、α4−β1インテグリン;感染症関連βケモカイン受容体CCR5またはRSVgpP、および、コンビナトリアル化学によって作製したライブラリのスクリーニングなどの、経験的に誘導したペプチド配列である。
【0055】
Gタンパク質共役型受容体
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)とは、7回膜貫通タンパク質(7−TM)としても知られ、細胞外刺激から細胞内シグナルへの翻訳を提供する大きなタンパク質ファミリーである。GPCRのタンパク質ファミリーは、脊椎動物および無脊椎動物間で高度に保存されている。800個を超えるGPCRがヒトゲノム中に存在することが推定されている(Kroeze, W.、J. Cell Science、116:4867頁に総説)。本発明の方法の一実施形態では、DSPの基礎としてGPCRタンパク質を利用し、前記GPCR(配列はhttp://www.expasy.orgから容易に入手可能)は、以下を含む群から採用する。
5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体3B;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体1A;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体1B;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体1D;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体1E;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体1F,2A;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体2A;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体2B;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体2C;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体3A;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体4;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体5A;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体6;5−ヒドロキシトリプタミン(セロトニン)受容体7(アデニル酸シクラーゼ共役型);アデノシンA1受容体;アデノシンA2a受容体;アデノシンA2b受容体;アデノシンA3受容体;アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド1(下垂体)受容体I型;アドレナリン作動性α−1A−受容体;アドレナリン作動性α−1B−受容体;アドレナリン作動性α−1D−受容体;アドレナリン作動性α−2A−受容体;アドレナリン作動性α−2B−受容体;アドレナリン作動性α−2C−受容体;アドレナリン作動性β−1−受容体;アドレナリン作動性β−2−受容体;アドレナリン作動性β−3−受容体;アドレノメデュリン受容体;アンジオテンシンII受容体1型;アンジオテンシンII受容体2型;アンジオテンシンII受容体様1;アルギニンバソプレシン受容体1A;アルギニンバソプレシン受容体1B;アルギニンバソプレシン受容体2(腎性尿崩症);ボンベシン様受容体3;ブラジキニン受容体B1;ブラジキニン受容体B2;脳特異的血管形成阻害剤1;脳特異的血管形成阻害剤2;脳特異的血管形成阻害剤3;バーキットリンパ腫受容体1 GTP結合タンパク質(ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体5);カドヘリン;カルシトニン受容体;カルシトニン受容体様;カルシウム感知受容体(低カルシウム尿高カルシウム血症1;カンナビノイド受容体1(脳);カンナビノイド受容体2(マクロファージ);CD97分子;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体1;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体2;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体3;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体4;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体5;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体6;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体7;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体8;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体9;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体様1;ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体様2;ケモカイン(C−X3−Cモチーフ)受容体1;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4;ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体6;ケモカイン結合タンパク質2;ケモカインオーファン受容体1;ケモカイン様受容体1;コレシストキニンA受容体;コレシストキニンB受容体;コリン作動性受容体ムスカリン作用剤1;コリン作動性受容体ムスカリン作用剤2;コリン作動性受容体ムスカリン作用剤3;コリン作動性受容体ムスカリン作用剤4;コリン作動性受容体ムスカリン作用剤5;染色体7オープンリーディングフレーム9;凝固因子II(トロンビン)受容体;凝固因子II(トロンビン)受容体様1;凝固因子II(トロンビン)受容体様2;凝固因子II(トロンビン)受容体様3;補体成分3a受容体1;補体成分5a受容体1;コルチコトロピン放出ホルモン受容体1;コルチコトロピン放出ホルモン受容体2;クリプトクロム1(フォトリアーゼ様);システイニルロイコトリエン受容体1;システイニルロイコトリエン受容体2;ドーパミン受容体D1;ドーパミン受容体D2;ドーパミン受容体D3;ドーパミン受容体D4;ドーパミン受容体D5;ダッフィ血液型ケモカイン受容体;EGFラトロフィリンおよび7回膜貫通ドメイン含有1;EGF LAG7回貫通G型受容体1(flamingo相同体Drosophila);EGF LAG7回貫通G型受容体2(flamingo相同体Drosophila);EGF LAG7回貫通G型受容体3(flamingo相同体Drosophila)カドヘリン;egf様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2;egf様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様3;egf様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様1;内皮分化リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体6;内皮分化リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体7;内皮分化スフィンゴ脂質Gタンパク質共役型受容体8;内皮分化リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体2;内皮分化リゾホスファチジン酸Gタンパク質共役型受容体;内皮分化スフィンゴ脂質Gタンパク質共役型受容体1;内皮分化スフィンゴ脂質Gタンパク質共役型受容体3;内皮分化スフィンゴ脂質Gタンパク質共役型受容体5;エンドセリン受容体A型;エンドセリン受容体B型カドヘリン;エプスタイン−バーウイルス誘導性遺伝子2(リンパ球に特異的なGタンパク質共役型受容体);配列類似度62を有するファミリー(C2ドメイン含有)メンバーA;卵胞刺激ホルモン受容体;ホルミルペプチド受容体1;ホルミルペプチド受容体様1;ホルミルペプチド受容体様2;frizzled相同体1(Drosophila);frizzled相同体10(Drosophila);frizzled相同体2(Drosophila);frizzled相同体3(Drosophila)(Gタンパク質共役型受容体68);frizzled相同体4(Drosophila);frizzled相同体5(Drosophila)(嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーHメンバー2);frizzled相同体6(Drosophila);frizzled相同体7(Drosophila);frizzled相同体8(Drosophila);frizzled相同体9(Drosophila);Gタンパク質共役型胆汁酸受容体1;Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーB;Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーC;Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD;Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ6メンバーA;Gタンパク質共役型受容体1ケモカイン(C−Cモチーフ)受容体10;Gタンパク質共役型受容体101;Gタンパク質共役型受容体103;Gタンパク質共役型受容体107;Gタンパク質共役型受容体108;Gタンパク質共役型受容体109B;Gタンパク質共役型受容体110;Gタンパク質共役型受容体111;Gタンパク質共役型受容体112;Gタンパク質共役型受容体113;Gタンパク質共役型受容体114;Gタンパク質共役型受容体115;Gタンパク質共役型受容体116;Gタンパク質共役型受容体119;Gタンパク質共役型受容体12(ウロテンシン2受容体);Gタンパク質共役型受容体123;Gタンパク質共役型受容体124;Gタンパク質共役型受容体125;Gタンパク質共役型受容体126;Gタンパク質共役型受容体128;Gタンパク質共役型受容体132;Gタンパク質共役型受容体133;Gタンパク質共役型受容体135;Gタンパク質共役型受容体137;Gタンパク質共役型受容体139;Gタンパク質共役型受容体143;Gタンパク質共役型受容体146;Gタンパク質共役型受容体15;Gタンパク質共役型受容体150;Gタンパク質共役型受容体151;Gタンパク質共役型受容体152;Gタンパク質共役型受容体155;Gタンパク質共役型受容体156;Gタンパク質共役型受容体157;Gタンパク質共役型受容体158;Gタンパク質共役型受容体160;Gタンパク質共役型受容体161;Gタンパク質共役型受容体162;Gタンパク質共役型受容体17;Gタンパク質共役型受容体171;Gタンパク質共役型受容体172A;Gタンパク質共役型受容体172B;Gタンパク質共役型受容体173;Gタンパク質共役型受容体174;Gタンパク質共役型受容体175;Gタンパク質共役型受容体176;Gタンパク質共役型受容体18;Gタンパク質共役型受容体19;Gタンパク質共役型受容体20;Gタンパク質共役型受容体21;Gタンパク質共役型受容体22;Gタンパク質共役型受容体23(メラニン凝集ホルモン受容体1);Gタンパク質共役型受容体25;Gタンパク質共役型受容体26;Gタンパク質共役型受容体27;Gタンパク質共役型受容体3;Gタンパク質共役型受容体30;Gタンパク質共役型受容体31;Gタンパク質共役型受容体32;Gタンパク質共役型受容体34;Gタンパク質共役型受容体35;Gタンパク質共役型受容体37(エンドセリン受容体B型様モチリン受容体);Gタンパク質共役型受容体37様1;Gタンパク質共役型受容体39(遊離脂肪酸受容体1、遊離脂肪酸受容体3);Gタンパク質共役型受容体4(ケモカイン(Cモチーフ)受容体1);Gタンパク質共役型受容体42(遊離脂肪酸受容体2);Gタンパク質共役型受容体44;Gタンパク質共役型受容体45;Gタンパク質共役型受容体50;Gタンパク質共役型受容体52;Gタンパク質共役型受容体55;Gタンパク質共役型受容体56;Gタンパク質共役型受容体6(神経ペプチドB/W受容体1、神経ペプチドB/W受容体2、ケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体3、プロラクチン放出ホルモン受容体);Gタンパク質共役型受容体61;Gタンパク質共役型受容体62;Gタンパク質共役型受容体63;Gタンパク質共役型受容体64;Gタンパク質共役型受容体65;Gタンパク質共役型受容体75;Gタンパク質共役型受容体77;Gタンパク質共役型受容体78;Gタンパク質共役型受容体81;Gタンパク質共役型受容体82;Gタンパク質共役型受容体83;Gタンパク質共役型受容体84;Gタンパク質共役型受容体85;Gタンパク質共役型受容体87;Gタンパク質共役型受容体88;Gタンパク質共役型受容体89A;Gタンパク質共役型受容体92;Gタンパク質共役型受容体97;Gタンパク質共役型受容体98;Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーA;ガラニン受容体1;ガラニン受容体2;ガラニン受容体3;γ伝達活性ポリペプチド1;γ−アミノ酪酸(GABA)B受容体1;γ−アミノ酪酸(GABA)B受容体2;胃抑制ポリペプチド受容体;ガストリン放出ペプチド受容体;GLI病因関連1様1;グルカゴン受容体オプシン1(錐体視物質)中波感受性(2型色覚異常);グルカゴン様ペプチド1受容体;グルカゴン様ペプチド2受容体;グルタミン酸受容体代謝型1;グルタミン酸受容体代謝型2;グルタミン酸受容体代謝型3;グルタミン酸受容体代謝型4;グルタミン酸受容体代謝型5;グルタミン酸受容体代謝型6;グルタミン酸受容体代謝型7;グルタミン酸受容体代謝型8;ゴナドトロピン放出ホルモン(2型)受容体2;ゴナドトロピン放出ホルモン受容体;成長ホルモン放出ホルモン受容体;成長ホルモン分泌促進物質受容体;グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質);HCRT;ヒスタミン受容体H1;ヒスタミン受容体H2;ヒスタミン受容体H3;ヒスタミン受容体H4;ヒポクレチン(オレキシン)神経ペプチド前駆体;ヒポクレチン(オレキシン)受容体1;ヒポクレチン(オレキシン)受容体2;インターロイキン8受容体α;インターロイキン8受容体β;KISS1受容体;LanCランチビオティック合成酵素成分C様1(細菌性);ラトロフィリン1;ラトロフィリン2;ラトロフィリン3;ロイシンに富んだ反復含有Gタンパク質共役型受容体4;ロイシンに富んだ反復含有Gタンパク質共役型受容体5;ロイシンに富んだ反復含有Gタンパク質共役型受容体6;ロイコトリエンB4受容体;ロイコトリエンB4受容体2;黄体形成ホルモン/絨毛性ゴナドトロピン受容体;MAS1癌遺伝子;MAS1癌遺伝子様;MAS関連GPRメンバーF;MAS関連GPRメンバーX1;MAS関連GPRメンバーX2;MAS関連GPRメンバ
ーX3;MAS関連GPRメンバーX4;メラニン凝集ホルモン受容体2;メラノコルチン1受容体(αメラニン形成細胞刺激ホルモン受容体);メラノコルチン2受容体(副腎皮質刺激ホルモン);メラノコルチン3受容体;メラノコルチン4受容体;メラノコルチン5受容体;メラトニン受容体1A;メラトニン受容体1B;ナトリウム利尿ペプチド受容体A/グアニル酸環化酵素A(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体A);ナトリウム利尿ペプチド受容体B/グアニル酸環化酵素B(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体B);ナトリウム利尿ペプチド受容体C/グアニル酸環化酵素C(心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体C);ニューロメディンB受容体;ニューロメディンU受容体1;ニューロメディンU受容体2;神経ペプチドFF受容体1;神経ペプチドFF受容体2;神経ペプチドY;神経ペプチドY受容体Y1;神経ペプチドY受容体Y2;神経ペプチドY受容体Y5;ニューロテンシン受容体1(高親和性);ニューロテンシン受容体2;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーAメンバー2;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーEメンバー1;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーEメンバー2;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーGメンバー1;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーDメンバー4;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーJメンバー4;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーAメンバー4;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーAメンバー5;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーADメンバー1;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーHメンバー1;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーHメンバー2;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーHメンバー3;嗅覚受容器ファミリー10サブファミリーJメンバー1;嗅覚受容器ファミリー11サブファミリーAメンバー1;嗅覚受容器ファミリー12サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー12サブファミリーDメンバー3;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーAメンバー4;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーBメンバー11;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーBメンバー2;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーCメンバー3;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーFメンバー1;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーHメンバー1;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーJメンバー2;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーLメンバー13;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーLメンバー3;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーMメンバー4;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーSメンバー2;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーWメンバー1;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーCメンバー11;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーCメンバー3;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーCメンバー6;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーDメンバー1;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー4サブファミリーNメンバー4;嗅覚受容器ファミリー5サブファミリーIメンバー1;嗅覚受容器ファミリー5サブファミリーLメンバー2;嗅覚受容器ファミリー5サブファミリーPメンバー2;嗅覚受容器ファミリー5サブファミリーPメンバー3;嗅覚受容器ファミリー5サブファミリーVメンバー1;嗅覚受容器ファミリー51サブファミリーBメンバー2;嗅覚受容器ファミリー51サブファミリーBメンバー4;嗅覚受容器ファミリー51サブファミリーEメンバー1;嗅覚受容器ファミリー51サブファミリーEメンバー2;嗅覚受容器ファミリー52サブファミリーAメンバー1;嗅覚受容器ファミリー52サブファミリーBメンバー4;嗅覚受容器ファミリー52サブファミリーHメンバー1;嗅覚受容器ファミリー56サブファミリーBメンバー4;嗅覚受容器ファミリー6サブファミリーAメンバー2;嗅覚受容器ファミリー6サブファミリーBメンバー3;嗅覚受容器ファミリー6サブファミリーWメンバー1擬似遺伝子;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーAメンバー17;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーAメンバー5;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーCメンバー2;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーDメンバー4;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーEメンバー5擬似遺伝子;嗅覚受容器ファミリー7サブファミリーEメンバー91擬似遺伝子;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーBメンバー8;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーDメンバー1;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーGメンバー2;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーGメンバー5;嗅覚受容器ファミリー8サブファミリーUメンバー1;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーAメンバー1;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーDメンバー2;嗅覚受容器ファミリー1サブファミリーFメンバー1;嗅覚受容器ファミリー2サブファミリーCメンバー1;嗅覚受容器ファミリー3サブファミリーAメンバー1;嗅覚受容器ファミリー3サブファミリーAメンバー2;嗅覚受容器ファミリー3サブファミリーAメンバー3;嗅覚受容器ファミリー6サブファミリーBメンバー2;オピエート受容体様1;オピオイド受容体δ1;オピオイド受容体κ1;オピオイド受容体μ1;オプシン1(錐体視物質)長波感受性(1型色覚異常);オプシン1(錐体視物質)短波感受性(3型色覚異常);オプシン3(エンセファロプシンパノプシン(panopsin));オプシン4(メラノプシン);オプシン5;オキソエイコサノイド(OXE)受容体1;オキソグルタル酸(α−ケトグルタル酸)受容体1;オキシトシン受容体;膵臓ポリペプチド受容体1;副甲状腺ホルモン受容体1;副甲状腺ホルモン受容体2;血小板活性化因子受容体;プロゲスチンおよびadipoQ受容体ファミリーメンバーVII;プロゲスチンおよびadipoQ受容体ファミリーメンバーVIII;プロキネチシン受容体1;プロキネチシン受容体2;プロリンに富んだタンパク質PRP2;プロスタグランジンD2受容体(DP);プロスタグランジンE受容体1(サブタイプEP1)42kDa;プロスタグランジンE受容体2(サブタイプEP2)53kDa;プロスタグランジンE受容体3(サブタイプEP3);プロスタグランジンE受容体4(サブタイプEP4);プロスタグランジンF受容体(FP);プロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)受容体(IP);プリン作動性受容体P2Y Gタンパク質共役型10;プリン作動性受容体P2Y Gタンパク質共役型12;プリン作動性受容体P2Y Gタンパク質共役型13;プリン作動性受容体P2Y Gタンパク質共役型14;プリン作動性受容体P2Y Gタンパク質共役型5;プリン作動性受容体P2Y、Gタンパク質共役型1;プリン作動性受容体P2Y、Gタンパク質共役型11;プリン作動性受容体P2Y、Gタンパク質共役型2;ピリミジン作動性受容体P2Y、Gタンパク質共役型4;ピリミジン作動性受容体P2Y、Gタンパク質共役型6;リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体1;リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体2;リラキシン/インスリン様ファミリーペプチド受容体3;網膜変性症の遅い網膜Gタンパク質共役型受容体;網膜の外セグメント膜タンパク質1;網膜色素上皮由来ロドプシン相同体;ロドプシン(オプシン2;杆体色素)(網膜色素変性症4常染色体優性);セクレチン受容体;血清アミロイドA2;重篤な新生児副甲状腺機能亢進);シグナル配列受容体α(トランスロコン関連タンパク質α);シグナル配列受容体β(トランスロコン関連タンパク質β);smoothened相同体(Drosophila);ソマトスタチン受容体1;ソマトスタチン受容体2;ソマトスタチン受容体3;ソマトスタチン受容体4;ソマトスタチン受容体5;コハク酸受容体1;表面;タキキニン受容体1;タキキニン受容体2;タキキニン受容体3;味覚受容体1型メンバー1;味覚受容体1型メンバー2;味覚受容体2型メンバー1;味覚受容体2型メンバー16;味覚受容体2型メンバー3;味覚受容体2型メンバー4;味覚受容体2型メンバー9;味覚受容体2型メンバー38;味覚受容体2型メンバー5;トロンボキサンA2受容体Gタンパク質共役型受容体137B;甲状腺刺激ホルモン受容体;チロトロピン放出ホルモン受容体;微量アミン関連受容体1;微量アミン関連受容体2;微量アミン関連受容体3;微量アミン関連受容体5;微量アミン関連受容体8;微量アミン関連受容体9;膜貫通7スーパーファミリーメンバー3;膜貫通タンパク質11;膜貫通タンパク質86B;血管作動性腸管ペプチド受容体1;血管作動性腸管ペプチド受容体2;鋤鼻1受容体1;異種栄養性およびポリトロープレトロウイルス受容体;
感染症因子
他の実施形態では、そのようなベースペプチド配列は、AIDS、AIDS関連複合体、水疱瘡(水痘)、感冒、サイトメガロウイルス感染症、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、手足口病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(Flu)、ラッサ熱、麻疹、マルブルク出血熱、感染性単核球症、流行性耳下腺炎、灰白髄炎、進行性多巣性白質脳症、狂犬病、風疹、SARS、天然痘(痘瘡)、ウイルス脳炎、ウイルス胃腸炎、ウイルス髄膜炎、ウイルス肺炎、西ナイル病、および黄熱からなる群から選択される、ウイルス感染症の病態に関連するエピトープである。
【0056】
他の実施形態では、そのようなベースペプチド配列は、炭疽、細菌性髄膜炎、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、カンピロバクター症、ネコ引っ掻き病、コレラ、ジフテリア、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染症、ノカルジア症、百日咳(pertussis、whooping cough)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、野兎病、腸チフス、チフス(流行性チフスを含む)、および尿路感染症からなる群から選択される、細菌感染症の病態に関連するエピトープである。
【0057】
他の実施形態では、そのようなベースペプチド配列は、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャーガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、糸状虫症、自由生息アメーバ感染症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポラ症、黒熱病、リーシュマニア症、マラリア、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、蟯虫感染症、プラスモジウム、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、トリキネラ症、旋毛虫症、鞭虫症、トリコモナス症、およびトリパノソーマ病(アフリカトリパノソーマ病を含む)からなる群から選択される、寄生虫感染症の病態に関連するエピトープである。
【0058】
抗体産生に、およびワクチンとして有用なエピトープ配列の一部の例を、以下の表に示す:
【0059】
【表1−1】

【0060】
【表1−2】

経験的に誘導したベースペプチド配列
上記セクションに記載のように、病状または有害な反応に対して何らかの有意性を有するペプチド配列を、関連するエピトープの実験調査によって同定し得る。これらの配列には、疾患または状態の治療に有用であることが証明された、天然に存在しないペプチド配列が含まれていてもよく、例は、国際特許出願公開WO2006/031727、米国特許第6,930,168号および関連する科学出版物Sternら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA、2005年、102:1620〜25頁中に見出される。
【0061】
さらに、エピトープは、合成コンビナトリアルペプチドライブラリの位置走査によって(たとえば、D. Wilsonら、上記; R. Houghtenら、上記; Hernandezら、Eur J Immunol.、2004年、34:2331〜41頁参照)、または、目的のタンパク質全体の重複するペプチド配列を作製することによって、候補配列を同定し、エピトープを追求する疾患および種に適したin vitroもしくはin vivoのアッセイ系で、これらのペプチドを免疫反応性について試験することによって(たとえば、Current Protocols in Immunology、John E Coligan、Ada M Kruisbeek、David H Margulies、Ethan M Shevach、Warren Strober編、NIH、John Wiley & Sonsに記載の、そのような目的のために有用な任意の読取りアッセイを用いて)、経験的に決定する。たとえば、多発性硬化症薬の設計には、適切な系の例は、MSに罹患しているヒト対象に由来する細胞を使用する。
【0062】
候補エピトープを同定した後、容易に利用可能な参照文献、たとえばWO2000/042559に記載のモデリングおよび予測アルゴリズムを用いて、追加の関連するエピトープの有望な組を作製し、たとえば、WO2005/103679、WO2002/073193およびWO99/45954に記載の利用可能な予測方法を用いて、これらの有望なエピトープのアラインメントおよび予測される結合の分析を行う。最も高い予測される活性/結合を有するペプチドを選択し、予測される配列の40%をとり、それぞれの位置における任意の所与のアミノ酸の割合を得る。これらの割合を用いて、DSP合成内へのアミノ酸の取り込みの規則を作成する。
【0063】
ベースペプチド配列の他の供給源
上記セクションに記載した方法および結果に加えて、免疫エピトープデータベースで同定され、それに含まれるエピトープ配列(http://www.immuneepitope.org/home.doから利用可能、リーダーAlex Sette、米国立アレルギー感染症研究所(National Institute of Allergy and Infectious Diseases)、米国立衛生研究所(National Institute of Health)が出資)、またはSan DiegoのMixtures SciencesもしくはベルギーGhentのAlgonomicsなどの商業団体によって実行および開示されている方法によって同定された任意の配列を、ベースペプチド配列として使用し得る。
【0064】
II.定方向配列ポリマーの合成規則
DSPを逐次的に作製するステップには、以下が包含される。
【0065】
(a)病態との関連性が知られているまたは考えられているタンパク質を同定する。
【0066】
(b)タンパク質内から、それぞれが固定配列を有しており、病態に関連しており、免疫学的に関連性のある、ペプチドまたは複数のペプチドを選択する。ペプチドが記載されていない場合は、目的の病態の治療に有用なペプチドを作製する。1つの例示的な方法は、目的のタンパク質の全長に集合的にわたるペプチドのライブラリを作製することである。これは、たとえば、部分的エンドペプチダーゼ消化またはペプチド合成によって行い得る。標的病態を有する患者の血清中で検出される抗体を用いた結合親和性決定などの適切な検出方法を用いて、ライブラリを、免疫学的に関連するペプチドについてスクリーニングする。ペプチドを、病態の治療に有用な免疫原性について、in vitroまたはin vivoの実験系でさらに検査し得る。
【0067】
(c)アミノ酸置換は、2組の規則、すなわち定義された規則または経験的規則のどちらかに基づいて決定し、以下に記載する。
【0068】
(d)規則に従ったDSPの固相合成を行い、DSPの製薬上許容される配合物を治療剤として送達する。
【0069】
DSPを含む組成物の合成の規則を、以下に概要を示す。手短に述べると、DSPは、ベースペプチド配列と同じ長さまたはその長さの倍数のどちらかである、定義された長さを有するポリペプチドであることが想定される。ベースペプチド配列のそれぞれの残基位置について、1つまたは複数の置換残基が定義されている。合成の規則は、その位置、第1の置換残基、第2の置換残基、第3の置換残基、およびアラニンが任意の所与の残基位置を占有する、元のベースペプチド残基間の比を定義する。
【0070】
置換残基は、以下のいずれかに従って定義する(1)元の残基の関連する特徴と置換残基のそれとの合理的な比較および類似性の発見、または(2)塩基配列からの軽微な変異を有する実際のペプチドの比活性の報告されている実験結果の比較。これら2つの手法のどちらかによって定義した置換残基は、本明細書中で「保存的置換」と呼ぶ。
【0071】
合理的な比較および類似度の発見の例は、Kosiolら、J. Theoretical Biol.、2004年、228:97〜106頁によって記載されている方法である。アミノ酸はマトリックスでグループ化されており、文献中ではPAM置換マトリックスと呼ばれている。図4は、Kosiolによる、大きさ、荷電、疎水性などの残基の特徴に基づいた、アミノ酸の類似度およびグループ化を示す表であり、参照文献中に表Xで示される。図4では、グループ化されたアミノ酸は互変可能であるとみなされ、グループ間に共通する特徴を保持する可能性が高い。
【0072】
塩基配列からの軽微な変異を有するペプチドの比活性を示す実験結果の比較も、置換規則の基礎として用いることができる。観察された変化を担っているペプチドの配列のアラインメントを行い、新しいアミノ酸の種類およびその存在の割合を書き留めた。ペプチドの任意の所与の位置で複数のアミノ酸置換が存在する場合は、アミノ酸の出現頻度および元の配列と比較した活性の変化の規模を考慮して、主要な置換の順序を決定する。DSPを合成する規則の生成をもたらす全体的な方法の例は、ライブラリを用いて(Molec.Immunol.40:1047〜1055頁;Molec.Immunol.40:1063〜74頁;J Autoimmunity 20:199〜201頁;およびJ.Immunol 163:6424〜34頁)、目的のタンパク質全体を表す重複するペプチドの変更したペプチドリガンドを作製することによって(Atkinsonら、J.Clin.Invest.94:2125〜29頁;Meiniら、J. Clin.Invest.92:2633〜43頁)、またはde novo(米国特許第7,058,515号;第6,376,246号;第6,368,861号;第7,024,312号;第6,376,246号;第7,024,312号;第6,961,664号;第6,917,882号)について、見つけることができる。手短に述べると、目的の細胞物質が、調べるペプチドの免疫反応性を順位づけるためのアッセイ系として選択された。そのようなアッセイ系は、in vitroまたはin vivoの系のどちらかであることができ、獲得または自然免疫反応性を含むことができる。アッセイ系の読取りは、タンパク質の活性化状況の状態のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーション、タンパク質の局在化の変化、タンパク質をコードしているmRNAの発現、タンパク質の相対濃度、特定の細胞種の産生の変化、細胞表現型の変化、細胞の活性化の変化、細胞数の変化、器官の大きさまたは機能の変化、動物挙動または表現型の変化であることができる。アッセイまたは複数のアッセイを行った後、結果を分析して、任意の特定のアミノ酸の、保存的置換としての普及を決定する。ペプチド配列内の所与の位置で3個より多くの残基が免疫機能の変化を生じるとして同定された場合、第1に調べたペプチド中に現れる頻度、第2に誘発された変化の規模によって、上位3個の残基である。選択した後、残基の相対量を定義する。図5に示すように、それぞれのカセット「y」は、塩基(a)、一次変化(b)、二次変化(c)、および三次変化(d)について約0〜100の範囲の互いに対する一組のアミノ酸を有し、アラニン(e)は約5〜1000の比を有している。DSP合成の規則は、指定した順序のカセットの組合せが続く。同じブロックを、連続的に、または別のブロックによって分離されて、繰り返すことができる。カセット配列の一方の側には、NおよびC末端モディファイヤーが存在する。カセットの数はDSPの最終的な長さの要件によって指示され、これは、25個のアミノ酸より長く、300個アミノ酸より短いことが必要である。
【0073】
図5に記載のように、本発明は、複数のエピトープが別々のカセットとして定義され、逐次的に合成させることを想定している。同じDSP内のカセット比は、異なるアミノ酸の比を有し得る。さらに、3個未満の非アラニンアミノ酸置換が存在する場合、「欠失した」置換の割合を塩基配列に加える。さらに、カセットは、全体的なDSP合成中に任意の順序で複数回出現させて配置し得る。NおよびC末端修飾は、それぞれDSPカセット全体の前および後に存在する。図7Aに示すように、単一のベースペプチド配列は、別々のカセットとして定義した複数の比、この例ではy1、y2、およびy3を有し得る。個々のカセットは、図7B中に示すように、全体的なDSP合成中に任意の順序で複数回出現させて配置することができる。図8Aおよび8Bに示す合成規則は、別々のカセットとして定義された複数の比を有する単一のベースペプチド配列の部分を有する、本発明のDSPを記載している。
【0074】
図9は、本発明が、特定の位置でアミノ酸の経験的に誘導した比をどのように想定しているかを実証している。この例では、トランスジェニックNOD.BCD2.5マウスに由来する糖尿病誘発性T細胞を用いたT細胞活性化アッセイから誘導したデータを使用する(J. Immunol. 166:908〜17頁; J. Autoimmunity 20:199〜201頁)。細胞を、コンビナトリアル十量体ライブラリを用いて再度調べ、阻害活性を有するいくつかの異なるペプチドがもたらされた。最も高い活性を有するペプチドを用いて、それぞれの位置でアミノ酸を作製し、様々なアミノ酸の互いに対する比を生成した。
【0075】
カセットは複数回繰り返し得る。所望の数の複数回のカセット後、DSPの所望の長さに依然として達していない場合は、同じプロセスを、場合によっては元の、置換の、第2の置換の、およびアラニン残基の間で異なる比を用いて適用することによって、DSP配列をさらに定義づける。
【0076】
カセットの間に、エピトープ認識を支援するアミノ酸配列を付加し得る。たとえば、βシート構造、αへリックス、またはベンドを形成することが知られている、またはその可能性が高い配列を導入し得る。たとえば、βシートモチーフにはMayoら、Protein Sci.、1996年7月;5(7):1301〜15頁、コイルドコイルαヘリックスモチーフにはWalshaw, J.ら、Biochem Soc Symp. 2001年;(68):111〜23頁、ヘリックスおよびヘアピンドメインにはKarle, ILら、Proc Natl Acad Sci USA 2000年3月28日;97(7):3034〜7頁を参照されたい。
【0077】
NまたはC末端DSPモディファイヤーを合成規則に付加し得る。そのようなモディファイヤーの目的には、それだけには限定されないが、標的化部分として使用するRDGに基づくアミノ酸配列(米国特許第5,773,412号;第5,770,565号)、またはDR−標的化部分として、AKAVAAWTLK AAA(米国出願公開第2006/0018915号)などのHLA−DR種の幅広いアレイと結合することが知られているペプチドの場合において、特定のタンパク質との結合を増強させることが含まれる。そのようなモディファイヤーには、持続放出送達系が含まれる送達系に対する複合体形成を増強する部分が含まれ得る。モディファイヤーは、吸収性のマトリックス構築体/PLGAなどの合成可能な主鎖であることができる。モディファイヤーは、D−アミノ酸などのプロテアーゼ耐性部分であることができる。
【0078】
したがって、任意の所与のベースペプチド配列について、一組の合成規則を適用して、再現可能な一貫したDSPの混合物を含む組成物が得られる。
【0079】
III.ペプチド合成方法
ペプチド合成に適した任意の既知の固相合成を用いて、DSPを含む組成物を合成してよく、たとえば、Merrifield(J. Am. Chem. Soc.、1963年、85:2149頁)に最初に記載されたものおよびその任意の変形がある。より詳細には、合成は、Fmoc保護アミノ酸を用いて、固相ペプチド合成(SPPS)手法によって複数のステップで行う。SPPSは、必要に応じて側鎖保護を用いて、ポリマー担体(ビーズ)に、保護したアミノ酸誘導体を逐次的に付加することに基づいている。塩基で不安定なFmoc基をN−保護に用いる。保護基を除去した後(ピペリジン加水分解による)、カップリング試薬(TBTU)を用いて次のアミノ酸混合物を付加する。最終アミノ酸がカップリングされた後、N末端をアセチル化する。
【0080】
得られるペプチド(そのC末端を介してポリマー担体と結合している)をTFAで切断して、粗ペプチドを得る。この切断ステップ中、すべての側鎖保護基も切断する。ジイソプロピルエーテルで沈殿させた後、固形物を濾過し、乾燥させる。得られるペプチドを分析し、2〜8℃で保管する。
【0081】
さらに、制御された比で、ペプチド配列中の任意の所与の位置で、複数のアミノ酸種を取り込む合成を可能にする任意のペプチド合成方法が、本発明で使用するために適している。さらに、下に記述するように、DSPはペプチド模倣体であるか、または非天然もしくは修飾アミノ酸が含まれていてもよく、そのような化学種をその時点までに合成されたポリマーに付加することを可能にすることに適応する必要性が生じている。
【0082】
合成には、非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体が含まれ得る。一部の実施形態では、DSPは、天然に存在する誘導体および合成誘導体、たとえばセレノシステインからなる。アミノ酸にはさらに、アミノ酸類似体が含まれる。アミノ酸「類似体」とは、異なる立体配置を有する、アミノ酸の化学的に関連する形態、たとえば、異性体、またはL−立体配置ではなくD−立体配置、またはアミノ酸のおおよその大きさおよび形状を有する有機分子、またはポリペプチド中で重合させた際にプロテアーゼ耐性であるようにペプチド結合に関与している原子が修飾されているアミノ酸である。
【0083】
本発明で使用するためのDSPは、L−もしくはD−アミノ酸またはその混合物からなることができる。当業者によって知られているように、L−アミノ酸はほとんどの天然タンパク質中に存在する。しかし、D−アミノ酸は市販されており、本発明のDSPを作製するために使用するアミノ酸の一部または全部と置き換えることができる。本発明は、D−およびL−アミノ酸をどちらも含むDSP、ならびに本質的にL−またはD−アミノ酸のどちらかからなるDSPを企図する。
【0084】
特定の実施形態では、本発明のDSPには、様々な化学部分を置換または付加することによってさらに修飾された直鎖DSPが含まれる。一実施形態では、そのような修飾は、対象におけるDSPのタンパク質分解を阻害するような残基の位置および十分な量のものである。たとえば、アミノ酸修飾は、配列中に少なくとも1つのプロリン残基が存在することであってよく、残基は、カルボキシおよびアミノ末端のうちの少なくとも1つ中に存在し、さらに、プロリンは、カルボキシおよびアミノ末端のうちの少なくとも1つの4個の残基以内に存在することができる。さらに、アミノ酸修飾は、D−アミノ酸の存在であり得る。
【0085】
特定の実施形態では、対象DSPはペプチド模倣体である。ペプチド模倣体とは、ペプチドおよびタンパク質に基づく、またはそれに由来する化合物である。本発明のDSPペプチド模倣体は、典型的には、1つまたは複数のネイティブアミノ酸残基の構造的修飾によって、たとえば、1つまたは複数の非天然アミノ酸、コンホメーション拘束、等配電子置換などを用いて、得ることができる。対象ペプチド模倣体は、ペプチドおよび非ペプチド合成構造の間の構造的空間の連続体を構成する。
【0086】
そのようなペプチド模倣体は、非加水分解性などの属性を有することができ、類似しているが明確に異なるコンホメーションを提示して、天然に存在するエピトープペプチドを用いて容易に同定されると関連しているが異なる抗体を同定し得る。たとえば、ペプチド模倣体は、天然に存在するエピトープペプチドがペプチドとして捉えない場合があるが、全タンパク質の一部として関連するコンホメーションを保持していてもよいか、またはコンホメーションが遷移してもよい。例示目的のために、本発明のペプチド類似体は、たとえば、ベンゾジアゼピン(たとえば、Freidingerら、「Peptides: Chemistry and Biology」、G.R. Marshall編、ESCOM Publisher: オランダLeiden、1988年参照)、置換γラクタム環(Garveyら、「Peptides: Chemistry and Biology」、G.R. Marshall編、ESCOM Publisher: オランダLeiden、1988年、123頁)、C−7模倣体(Huffmanら、「Peptides: Chemistry and Biology」、G.R. Marshall編、ESCOM Publisher: オランダLeiden、1988年、105頁)、ケトメチレン偽ペプチド(Ewensonら、J. Med. Chem.、1986年、29:295頁;およびEwensonら、「Peptides: Structure and Function (Proceedings of the 9th American Peptide Symposium)」、Pierce Chemical Co.、イリノイ州Rockland、1985年)、βターンジペプチド核(Nagaiら、Tetrahedron Lett.、1985年 26:647頁;およびSatoら、J. Chem. Soc. Perkin Trans.、1986年、1:1231頁)、β−アミノアルコール(Gordonら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、1985年、126:419頁;およびDannら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、1986年、134:71頁)、ジアミノケトン(Natarajanら、Biochem. Biophys. Res. Commun.、1984年、124:141頁)、およびメチレンアミノ修飾体(Roarkら、「Peptides: Chemistry and Biology」、G.R. Marshall編、ESCOM Publisher: オランダLeiden、1988年、134頁)を用いて作製することができる。また、一般に、Session III: Analytic and synthetic methods、「Peptides: Chemistry and Biology」、G.R. Marshall編、ESCOM Publisher: オランダLeiden、1988年も参照されたい。
【0087】
DSP組成物の分子量は、ポリペプチド合成中、またはDSPを合成した後に調節することができる。ポリペプチド合成中に分子量を調節するためには、ポリペプチドが所望するおおよその長さに達した際に合成が停止するように、合成条件またはアミノ酸の量を調節する。合成後、所望の分子量を有するポリペプチドを、分子量サイジングカラムまたはゲル上のポリペプチドのクロマトグラフィーなどの任意の利用可能な選択手順、および所望の分子量範囲の収集によって、得ることができる。また、本発明のポリペプチドは、高分子量種を除去するために部分的に加水分解する、たとえば、酸または酵素的加水分解し、その後、精製して酸または酵素を除去することができる。
【0088】
一実施形態では、所望の分子量を有するDSPは、保護されたポリペプチドを臭化水素酸と反応させて、所望の分子量プロフィールを有するトリフルオロアセチルポリペプチドを形成することが含まれる方法によって、調製し得る。この反応は、1つまたは複数の試験反応によって事前に決定された期間および温度で行う。試験反応中、時間および温度を変化させ、試験ポリペプチドの所与のバッチの分子量範囲を決定する。そのポリペプチドのバッチで最適な分子量範囲をもたらす試験条件を、そのバッチで使用する。したがって、所望の分子量プロフィールを有するトリフルオロアセチルポリペプチドは、保護されたポリペプチドを臭化水素酸と、試験反応によって事前に決定された時間および温度で反応させることが含まれる方法によって、産生することができる。その後、所望の分子量プロフィールを有するトリフルオロアセチルポリペプチドをピペリジン水溶液で処理して、所望の分子量を有する毒性の低いポリペプチドを形成する。
【0089】
好ましい一実施形態では、所与のバッチからの保護されたポリペプチドの試験試料を、臭化水素酸と、約10〜50時間、約20〜28℃の温度で反応させる。いくつかの試験反応を実行することによってそのバッチの最良の条件を決定する。たとえば、一実施形態では、保護されたポリペプチドを、臭化水素酸と、約17時間、約26℃の温度で反応させる。
【0090】
特定の実施形態では、DSPを合成後に修飾する。そのような修飾は、たとえば、DSPを作製して、続く抗体応答を調査、診断、または治療のいずれかの状況において応用性を有するDSPの特徴に向けるために有用である。合成後修飾の例には、それだけには限定されないが、グリコーゲンなどの糖、シトルリンなどの代替アミノ酸、リン酸部分(事前にリン酸化されたアミノ酸も合成中に付加することができる)、様々な長さのPEG付加物、ビオチン、蛍光部分、担体タンパク質とのカップリング、スルフィド橋などの特定の二次構造を形成する変更、または、たとえばリシン側鎖を介してDSPの分枝化を可能にする修飾が含まれる。一実施形態では、合成後修飾は、酵素を用いて行う。さらなる実施形態では、合成後修飾は、手動で、従来技術で周知の化学複合体形成技術を用いて行う。
【0091】
本発明のさらなる実施形態は、ペプチジルアルギニンデイミナーゼによるDSPの合成後修飾である。α−アミノ酸として、シトルリンは式C6H13N3O3を有する。シトルリンは以下の構造を有する。
【0092】
【化1】

これは、オルニチンおよびリン酸カルバモイルから、尿素サイクル中で、ならびに一酸化窒素合成酵素によって触媒されるアルギニンの副産物として、産生される。シトルリンはDNAによってコードされていないが、翻訳後修飾事象中にペプチジルアルギニンデイミナーゼによってタンパク質に付加される。患者の関節リウマチの診断は、シトルリン化タンパク質に対する免疫応答と相関することが示されている(Migliorini, P.、Autoimmunity Reviews、4:561〜564頁)。本発明の一実施形態は、関節リウマチの診断剤として使用する抗体のリグナドとしてのシトルリン化DSPを作製することである。
【0093】
本発明のさらなる実施形態は、DSPの特定のグリコーゲン化された形態を使用して、リガンドのそのような形態に対する抗体を作製することである。一実施形態では、リガンド自体が抗体である。本発明の一実施形態では、DSPの翻訳後修飾は、グリコーゲン合成酵素を用いて、または当技術分野で周知の化学複合体形成技術を用いて行う。
【0094】
定義
用語「抗体」とは、それだけには限定されないが、任意の種もしくは任意の断片に由来するIgG、IgM、IgA、または免疫グロブリンに由来する任意の修飾および/もしくは操作したペプチドの、単鎖および複数鎖がどちらも含まれ、(1)標的を含む分子構造を認識し、(2)分子構造の少なくとも一部と相互作用することによって標的と結合し、(3)標的の生理活性変更する、もしくは(4)標的を保有する宿主の反応を、標的に向かうように変更する、任意の免疫グロブリンペプチドを意味する。抗体は、たとえばヒト化抗体などのキメラであってよく、抗体は、天然に存在するペプチドのCDR領域の部位特異的突然変異誘発によって操作し得る。抗体には、完全長ならびにFabおよびFab’断片などのネイティブ免疫グロブリンの超可変領域を含むペプチドのみだけでなく、結合領域が連続的または非連続的なペプチド配列を含むかどうかにかかわらず、天然に存在する抗体の結合領域を含む、短い合成または操作したペプチドも含まれる。後者の場合、合成または操作したペプチドは、元の非連続的なアミノ酸ストレッチのペプチド配列を1つの連続的な配列として含む。
【0095】
用語「会合する」とは、「共存する」または「相互関係にある」ことを意味する。この用語は、必ずしも略式の関係を示すわけではないが、そのような関係性は存在し得る。
【0096】
用語「結合」とは、たとえば、生理的条件下における共有、静電気、疎水性、イオンおよび/または水素結合の相互作用による2つの分子間の直接会合をいい、塩橋および水橋などの相互作用も含まれる。
【0097】
用語「HLA分子」とは、任意のクラスII主要組織適合複合体糖タンパク質を意味する。
【0098】
用語「免疫調節」とは、T細胞受容体(「TCR」)による主要組織適合複合体(「MHC」)および抗原によって形成された複合体の認識を介して、免疫系が特定の抗原決定基に対して応答を開始する能力を増加または低下させるプロセスを意味する。
【0099】
用語「免疫抑制」とは、器官または骨髄の同種移植のレシピエントにおける免疫応答および反応性の抑制を意味する。
【0100】
用語「MHC活性」とは、MHC分子が、免疫応答を、たとえばT細胞を活性化することによって刺激する能力をいう。MHC活性の阻害剤はこの活性を抑制することができ、したがって、MHCによるT細胞の活性化を阻害する。好ましい実施形態では、対象阻害剤は、特定のクラスII MHCアイソタイプまたはアロタイプによる活性化を選択的に阻害する。そのような阻害剤は、生物中のすべてのMHC活性と干渉することなしに特定の望ましくないMHC活性を抑制し、したがって、動物の全身免疫応答を損なわせずに、動物、たとえば哺乳動物、好ましくはヒトにおける所望しない免疫応答を選択的に治療できる場合がある。
【0101】
用語「器官に特異的なタンパク質」または「器官に特異的な抗原」とは、特定の器官を構成する細胞によって主にまたは排他的に発現されるタンパク質を意味する。
【0102】
用語「患者」とは、ヒトならびに家畜および他の獣医学的対象を含めた、動物、好ましくは哺乳動物をいう。
【0103】
用語「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で互換性があるように使用する。これらの用語は、未修飾のアミノ酸鎖をいい、また、リン酸化、グリコシル化および脂質修飾などの軽微な修飾も含まれる。用語「ペプチド」および「ペプチド模倣体」は相互排他的ではなく、実質的な重複が含まれる。
【0104】
「ペプチド模倣体」には、リン酸化、キャップ、脂肪酸修飾などの、非天然の主鎖および/または側鎖構造を含めたアミノ酸鎖の任意の修飾された形態が含まれる。以下に記載するように、ペプチド模倣体は、アミノ酸鎖および非ペプチド小分子の間の構造的連続体を含む。ペプチド模倣体は、一般に、認識可能なペプチド様ポリマー単位構造を保持する。したがって、ペプチド模倣体は、HLAタンパク質と結合して、自己免疫疾患を患っている患者において自己反応性T細胞を活性化させる複合体を形成する機能を保持し得る。
【0105】
用語「アミノ酸残基」は当技術分野で知られている。一般に、アミノ酸および保護基を指定するために本明細書中で使用する略記は、生化学命名法のIUPAC−IUB委員会(IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature)の推奨に基づいている(Biochemistry (1972年) 11:1726〜1732頁参照)。特定の実施形態では、本発明の適用において使用するアミノ酸は、タンパク質中に見出される天然に存在するアミノ酸、またはアミノおよびカルボキシル基を含む、そのようなアミノ酸の天然に存在する同化もしくは異化産物である。特に適切なアミノ酸側鎖には、以下のアミノ酸のものから選択される側鎖が含まれる:グリシン、アラニン、バリン、システイン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、リシン、アルギニン、プロリン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファン。
【0106】
用語「アミノ酸残基」にはさらに、本明細書中で言及する任意の特定のアミノ酸の類似体、誘導体および同属種、ならびにC末端またはN末端が保護されたアミノ酸誘導体(たとえば、N末端またはC末端の保護基で修飾されたもの)が含まれる。たとえば、本発明は、側鎖が延長または短縮されている一方で、それでもカルボキシル、アミノまたは環化のための他の反応性前駆官能基をもたらすアミノ酸類似体、および適切な官能基を有する変異体側鎖を有するアミノ酸類似体の使用を企図する)。たとえば、対象化合物には、たとえば、シアノアラニン、カナバニン、ジエンコル酸、ノルロイシン、3−ホスホセリン、ホモセリン、ジヒドロキシフェニルアラニン、5−ヒドロキシトリプトファン、1−メチルヒスチジン、3−メチルヒスチジン、ジアミノピメリン酸、オルニチン、またはジアミノ酪酸などのアミノ酸類似体が含まれることができる。他の天然に存在するアミノ酸代謝物または本発明で適切な側鎖を有する前駆体が、当業者に理解され、本発明の範囲内に含まれる。
【0107】
本発明のDSP中で使用するアミノ酸のほとんどは、特定の幾何学異性体または立体異性体で存在し得る。好ましい実施形態では、対象DSPを形成するために使用するアミノ酸は(L)−異性体であるが、非固定位置で、またはDSPのペプチド模倣体の場合などに、(D)−異性体もDSP中に含まれ得る。
【0108】
本明細書中で使用する「予防する」とは、障害または状態の、たとえば、1つまたは複数の症状の発症を、遅延または妨げることを意味する。
【0109】
本明細書中で使用する「治療する」とは、障害または状態の、たとえば1つまたは複数の症状の、重篤度を少なくとも下げるまたはその効果を寛解させることを意味する。
【0110】
本明細書中で使用する「治療レジメン」には、1つまたは複数のDSP組成物を含む1つまたは複数の組成物の、投与の治療的、対症的および予防的モダリティーが包含される。特定の治療レジメンは、特定の投薬パターンにおいて一定期間持続してもよく、これは、特定の疾患または障害の性質、その重篤度および患者の全体的な状態に依存して変異し、1日1回、またはより好ましくは36時間毎もしくは48時間毎もしくはそれより長くから、1カ月または数カ月に1回まで延長され得る。
【0111】
用語「構造−活性の関係性」または「SAR」とは、薬物の分子構造を変更することで、受容体、酵素などとのその相互作用が変更される様式をいう。
【0112】
本発明の実施では、適切かつ別段に指定しない限りは、当技術分野の技術範囲内にある、細胞生物学、細胞培養学、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、ウイルス学、組換えDNA学、および免疫学の慣用技術を用いる。そのような技術は文献中に記載されている。たとえば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、SambrookおよびRussell編(Cold Spring Harbor Laboratory Press:2001年);論文、Methods In Enzymology (Academic Press, Inc.、ニューヨーク); Using Antibodies、第2版、HarlowおよびLane、Cold Spring Harbor Press、ニューヨーク、1999年; Current Protocols in Cell Biology、Bonifacino、Dasso、Lippincott−Schwartz、Harford、およびYamada編、John Wiley and Sons, Inc.、ニューヨーク、1999年;ならびにPCR Protocols、Bartlettら編、Humana Press、2003年;PHARMACOLOGY A Pathophysiologic Approach、Josehp T. DiPiro、Robert Talbert、Gary, Yee、Gary Matzke、Barbara Wells、およびL.Michael Posey編、第5版、2002年 McGraw Hill;Pathologic Basis of Disease、Ramzi Cotran、Vinay Kumar、Tucker Collins、第6版、1999年、Saundersを参照されたい。
【実施例】
【0113】
(実施例1)
仮想のベースペプチドからのDSP組成物の調製。
【0114】
理解を容易にするために、例示として、既知のエピトープを表す2つの仮想のペプチド配列に由来するDSP組成物の調製を記載し、図6に示す表に表す。この例示では、カセットはそれぞれ5個のアミノ酸からなる(x1、x2、x3、x4、x5=y中でTHMCE、y中でPWKNA)。THMCEは、a=7、b=1、c=1、d=1、e=10のインプット比を有すると定義されている。PWKNAは、a=1、b=3、c=3、d=3、e=20のインプット比を有すると定義されている。合成では、それぞれのペプチドのそれぞれのアミノ酸位置を占有するアミノ酸のグループが何であるかは、Kosiolら、J. Theoretical Biol. 228:97〜106頁、2004年によって記載されているアミノ酸置換の好ましい方法を用いて、図4に示すように決定し(または、好ましい程度は低いが、アミノ酸を系統的に変更する等価な手段)、得られる集合的なDSP組成物中におけるそのような位置のそれぞれを占有するアミノ酸の全体的な比を上に示す。それぞれのカセットyおよびyは、2回が2回繰り返され、yの順序が生じる。Nは、カセット内の配列を繰り返す回数であり、本仮想例ではN=2である。MNは、任意の種類の修飾部分であることができる。MNは、固相合成方法に受け入れられるものでなければならない。この仮想の例では、αVβ3などの特定のインテグリン上のRGDに基づく配列モチーフなど、DSPを対象内の特定の位置へと標的化するアミノ酸の修飾部分を選択する。本例では、C末端モディファイヤーもRGDに基づくモチーフであるが、D−アミノ酸からなる。
【0115】
上述のDSP組成物は、本開示中の他の箇所に記載の固相ペプチド合成方法を用いて調製する。
【0116】
DSP組成物を用いて、B細胞ライブラリをDSP組成物に曝露することによってB細胞ライブラリのスクリーニングを行い、DSPと結合するB細胞系列を自己選択させ、増殖する。増殖するB細胞を単離し、抗体のCDR領域の配列決定を行って、DSPに対する抗体を同定する。
【0117】
あるいは、固定したDSP組成物を、抗体のアレイを発現するファージディスプレイライブラリに曝露することができる。インキュベーション後、結合していないファージを洗い流し、DSPと結合したものを単離して配列決定する。
【0118】
(実施例2)
供給源ペプチドとしてGp100(アミノ酸残基154〜162)からのDSP組成物の調製。
【0119】
図7A〜Bは、Gp100(アミノ酸残基154〜162)を供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す。得られるペプチドのそれぞれの位置のアミノ酸が何であるかを定義するための方法および規則は、実施例1に上述されている。実施例1と同様に、固相ペプチド合成方法を用いてDSP組成物を合成する。
【0120】
(実施例3)
供給源ペプチドとしてHLAペプチドからのDSP組成物の調製。
【0121】
図8A〜Bは、HLA由来ペプチドおよびHLA模倣由来ペプチドを供給源ペプチドとして用いた、DSP合成規則の適用の例を示す。得られるペプチドのそれぞれの位置のアミノ酸が何であるかを定義するための方法および規則は、実施例1に上述されている。実施例1と同様に、固相ペプチド合成方法を用いてDSP組成物を合成する。
【0122】
(実施例4)
供給源ペプチドとしてhTRT由来エピトープペプチドからのDSP組成物の調製。
【0123】
図9A〜Bは、hTRT由来エピトープペプチドを供給源ペプチドとして用い、経験的に決定した置換規則を適用した、DSP合成規則の適用の例を示す。得られるペプチドのそれぞれの位置のアミノ酸が何であるかを定義するための方法および規則は、実施例1に上述されている。実施例1と同様に、固相ペプチド合成方法を用いてDSP組成物を合成する。
【0124】
以下に追加の参照文献のリストを示し、それらのそれぞれの内容は全体で本明細書に参照により組み込まれている。
【0125】
【化2】

【0126】
【化3−1】

以下の参照文献は、ベースペプチド配列として有用なエピトープの例示的な供給源である。左側の数字は、表Iの参照番号である。
【0127】
【化3−2】

【0128】
【化4】

【0129】
【化5】

本出願の他の箇所中で参照した任意の特許、特許出願、特許公開、または科学文献の内容は、その全体が本明細書中に組み込まれている。
【0130】
【化6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
定方向配列ポリマー(DSP)を含む組成物を抗原として使用することを含む、抗体を製造する方法であって、前記DSP組成物を、
A.(1)目的のエピトープアミノ酸配列である、第1のベースペプチド配列を選択するステップと、
A.(2)固相ペプチド合成によって前記DSPの第1のカセットを合成するステップであって、
前記定方向配列ポリマーの第1のカセットのそれぞれのアミノ酸位置について、
(i)プール中にa0の相対的モル濃度で存在する、前記第1のペプチド配列中の対応する位置に見出されるアミノ酸、
(ii)アミノ酸類似度に従って定義され、前記混合物中にa1の相対的モル濃度で存在する、前記選択したアミノ酸配列中の前記位置に見出される前記アミノ酸の一次置換物、
(iii)適用できる場合は、アミノ酸類似度に従って定義され、前記混合物中にa2の相対的モル濃度で存在する、前記選択したアミノ酸配列中の前記位置に見出される前記アミノ酸の二次置換物、
(iv)適用できる場合は、三級アミノ酸類似度に従って定義され、前記混合物中にa3の相対的モル濃度で存在する、前記選択したアミノ酸配列中の前記位置に見出される前記アミノ酸の三次置換物、および
(v)A:前記混合物中に一定の相対的モル濃度Aで存在するアラニン
からなるアミノ酸の混合物からランダムに選択されるアミノ酸をDSP内に取り込み、
前記混合物中のアミノ酸が、合成を開始する前に決定した、互いに対して一定のモル濃度インプット比で存在し、
前記相対的モル量Aが、前記DSPの全アミノ酸濃度の50%を超えており、a0およびa1のそれぞれが、0.05〜50%の範囲内であり、a2およびa3のそれぞれが、0〜50%の範囲内であり、そしてa0+a1+a2+a3=100−Aであるステップと、
A.(3)前記DSPの長さを、
(a)ステップ(2)を2〜15サイクル繰り返し、同じ条件下で前記DSPを伸長すること、
(b)ステップ(2)を2〜15サイクル繰り返し、前記DSPを伸長し、それぞれのサイクルにおいて、前記混合物中の異なるアミノ酸のインプット比を使用すること、
(c)複数のベースペプチドに基づくカセットを用いてステップ(1)および(2)を2〜15サイクル繰り返し、前記DSPを伸長すること、または
(d)ステップ(2)の単一のサイクルで合成した2〜15個のカセットをアセンブルすること、または
(e)第1のカセットはステップ(2)の1つの条件下で合成し、第2およびそれ以降のカセットはステップ(2)の第2の条件下で合成した2〜15個のカセットをアセンブルすること
によって伸長するステップと、
A.(4)任意選択で、ステップ(2)および(3)を2〜15サイクル繰り返すことによって前記DSPをさらに伸長するステップであって、それぞれのサイクルにおいて、前記DSPの新しいカセットが、ステップ(2)の以前のサイクルによって指定された以前の前記カセットのいずれとも独立して設計されており、
ステップ(3)および(4)で選択したサイクル数が、前記DSPの最終的な長さが約25〜300個のアミノ酸残基となるように選択されるステップと、
B.(1)前記DSPを、抗体を作製する手段と接触させるステップと、
B.(2)前記DSPと結合する候補抗体を選択するステップと、
B.(3)前記候補抗体を同定し、第1のベースペプチド、さらには前記第1のベースペプチド配列が由来するタンパク質に対する前記候補抗体の結合親和性を決定するステップと、
B.(4)有用な量の前記候補抗体を産生するステップと
を含む方法で調製し、それによって抗体を製造する方法。
【請求項2】
抗体を作製する前記手段がファージディスプレイライブラリである、請求項1に記載の抗体を製造する方法。
【請求項3】
抗体を作製する前記手段がB細胞ライブラリである、請求項1に記載の抗体を製造する方法。
【請求項4】
抗体を作製する前記手段がヒト化した細胞ライブラリである、請求項1に記載の抗体を製造する方法。
【請求項5】
前記エピトープのアミノ酸配列が癌に関連するエピトープである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エピトープが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、CD20、血管内皮成長因子(VEGF)、CD52、表皮成長因子受容体(EGFR+)、CD33、HER2から選択されるタンパク質を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記エピトープの前記アミノ酸配列が、TNFα、CD25または免疫抑制用の免疫グロブリンE、CD11a、α4−β1インテグリン、感染症関連βケモカイン受容体CCR5、RSVgpPに関連するエピトープである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記エピトープのアミノ酸配列が、配列番号1〜2からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記エピトープのアミノ酸配列が、感染症因子によって引き起こされるか、またはその存在に付随して見出される病態に関連している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記感染症因子が、AIDS、AIDS関連複合体、水疱瘡(水痘)、感冒、サイトメガロウイルス感染症、コロラドダニ熱、デング熱、エボラ出血熱、手足口病、肝炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、HPV、インフルエンザ(Flu)、ラッサ熱、麻疹、マルブルク出血熱、感染性単核球症、流行性耳下腺炎、灰白髄炎、進行性多巣性白質脳症、狂犬病、風疹、SARS、天然痘(痘瘡)、ウイルス脳炎、ウイルス胃腸炎、ウイルス髄膜炎、ウイルス肺炎、西ナイル病、および黄熱からなる群から選択される疾患または状態を引き起こすか、またはそれに付随して見出されるウイルスである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記感染症因子が、炭疽、細菌性髄膜炎、ボツリヌス中毒、ブルセラ症、カンピロバクター症、ネコ引っ掻き病、コレラ、ジフテリア、淋病、膿痂疹、レジオネラ症、らい病(ハンセン病)、レプトスピラ症、リステリア症、ライム病、類鼻疽、MRSA感染症、ノカルジア症、百日咳(pertussis、whooping cough)、ペスト、肺炎球菌性肺炎、オウム病、Q熱、ロッキー山紅斑熱(RMSF)、サルモネラ症、猩紅熱、細菌性赤痢、梅毒、破傷風、トラコーマ、結核、野兎病、腸チフス、チフス(流行性チフスを含む)、および尿路感染症からなる群から選択される疾患または状態を引き起こすか、またはそれに付随して見出される細菌である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記感染症因子が、アメーバ症、回虫症、バベシア症、シャーガス病、肝吸虫症、クリプトスポリジウム症、嚢虫症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコックス症、蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、糸状虫症、自由生息アメーバ感染症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポラ症、黒熱病、リーシュマニア症、マラリア、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、蟯虫感染症、プラスモジウム、疥癬、住血吸虫症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、トリキネラ症、旋毛虫症、鞭虫症、トリコモナス症、およびトリパノソーマ病(アフリカトリパノソーマ病を含む)からなる群から選択される疾患または状態を引き起こすか、またはそれに付随して見出される寄生生物である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のベースペプチド配列は、前記タンパク質中で非連続的である、1つまたは複数のペプチドの2つ以上の元の配列を含み、前記元の配列は、前記第1のベースペプチド配列中で連続的となる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記元の配列が、2つ以上のペプチドに由来する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法によって製造した抗体を含む組成物。
【請求項16】
疾患を治療するための医薬品の製造のための、請求項15に記載の組成物の使用。
【請求項17】
前記抗体が、複数の種のタンパク質を認識するモノクローナル抗体である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記定方向配列ペプチドを合成後に修飾する、請求項15に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2010−540410(P2010−540410A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507464(P2010−507464)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/005919
【国際公開番号】WO2009/023047
【国際公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(397080324)ペプティミューン,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】