説明

抗体精製

【課題】抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物から、宿主細胞タンパク質(HCP)が減少した抗体調製物を作製するための方法を提供する。
【解決手段】(a)平衡化緩衝液中の第一のイオン交換樹脂に混合物を適用すること;(b)複数の洗浄工程でHCPを樹脂から洗浄すること;及び(c)第一の溶出液を形成させるために、溶出緩衝液で樹脂から抗体を溶出すること;を含む方法。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体及び少なくとも1つの宿主細胞タンパク質(HCP)を含む混合物から、HCPが減少した抗体調製物を作製する方法であり、HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の第一のイオン交換樹脂に混合物を適用すること(樹脂1リットル当り抗体30グラム超が適用される。);
(b)複数の洗浄工程でHCPを樹脂から洗浄すること;及び
(c)第一の溶出液を形成させるために、溶出緩衝液で樹脂から抗体を溶出すること;
を含む方法。
【請求項2】
樹脂1リットル当り抗体約35から70gが適用される、請求項1の方法。
【請求項3】
樹脂1リットル当り抗体約70gが適用される、請求項1の方法。
【請求項4】
抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物が、混合物を第一のイオン交換樹脂に適用する前に、プロテインA捕捉に供されない、請求項1の方法。
【請求項5】
複数の洗浄工程が少なくとも第一の洗浄と第二の洗浄を含み、第一の洗浄から第二の洗浄へ、伝導率の増加が存在する、請求項1の方法。
【請求項6】
第一の洗浄が平衡化緩衝液を用いて行われ、並びに第二の洗浄が溶出緩衝液及び水の混合物を用いて行われる、請求項5の方法。
【請求項7】
溶出緩衝液及び水の混合物が約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水を含む、請求項6の方法。
【請求項8】
溶出緩衝液及び水の混合物が約45%の溶出緩衝液及び約55%の水を含む、請求項7の方法。
【請求項9】
溶出緩衝液が20mMのリン酸ナトリウム及び150mMの塩化ナトリウムを含む、請求項8の方法。
【請求項10】
pH7で実施される、請求項1の方法。
【請求項11】
約pH5と約pH7の間のpHで実施される、請求項1の方法。
【請求項12】
pH5で実施される、請求項1の方法。
【請求項13】
第一のイオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である、請求項1の方法。
【請求項14】
陽イオン交換樹脂がカラム中に形成され、並びに抗体及び少なくとも1つのHCPを含む混合物がカラムに適用される、請求項13の方法。
【請求項15】
陽イオン交換樹脂が、スルホナート基に付着された、メタクリラートをベースとした合成ポリマー性樹脂を含む、請求項14の方法。
【請求項16】
第一の溶出液をウイルス不活化工程に供することをさらに含む、請求項1の方法。
【請求項17】
ウイルスの不活化がpHウイルス不活化によって達成され、ウイルス的に不活化された調製物を形成する、請求項16の方法。
【請求項18】
ウイルス的に不活化された調製物が第二のイオン交換樹脂に適用され、ウイルス的に不活化された調製物を第二のイオン交換樹脂に適用する前に、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度が、第二のイオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整される、請求項17の方法。
【請求項19】
第二のイオン交換樹脂のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲であり、及びウイルス的に不活化された調製物のpHが約pH7.7から約pH8.3の範囲にあるように調整される、請求項18の方法。
【請求項20】
第二のイオン交換樹脂のpHが約pH8.0であり、及びウイルス的に不活化された調製物のpHが約pH8.0であるように調整される、請求項19の方法。
【請求項21】
第二のイオン交換樹脂の伝導度が約3.5mS/cmから約5.2mS/cmの範囲であり、ウイルス的に不活化された調製物の伝導度が約3.5mS/cmから約5.2mS/cmの範囲にあるように調整される、請求項18の方法。
【請求項22】
第二のイオン交換樹脂の伝導度が約5.0mS/cmであり、及びウイルス的に不活化された調製物の伝導度が約5.0mS/cmであるように調整される、請求項21の方法。
【請求項23】
第二のイオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂である、請求項18の方法。
【請求項24】
陰イオン交換樹脂がQセファロース樹脂である、請求項23の方法。
【請求項25】
第二のイオン交換樹脂がカラム中に形成され、及び第一の貫流が得られるように、ウイルス的に不活化された調製物がカラムに適用される、請求項18の方法。
【請求項26】
第二の溶出液が得られるように、第一の貫流が疎水性相互作用カラムに適用される、請求項25の方法。
【請求項27】
疎水性相互作用カラムがフェニルセファロースカラムである、請求項26の方法。
【請求項28】
疎水性相互作用カラムに適用される第一の貫流が、疎水性相互作用カラム材料1リットル当り抗体約20から約40gを含む、請求項26の方法。
【請求項29】
疎水性相互作用カラムに適用される第一の貫流が、疎水性相互作用カラム材料1リットル当り抗体約30から約36gを含む、請求項28の方法。
【請求項30】
第二の溶出液が産物ピーク分画に供されない、請求項26の方法。
【請求項31】
HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の陽イオン交換樹脂に混合物を適用すること(陽イオン交換樹脂への適用前に、混合物はプロテインA捕捉に供せされておらず、及び樹脂1リットル当り抗体30グラム超が適用される。);
(b)複数の洗浄工程でHCPを陽イオン交換樹脂から洗浄すること;
(c)溶出緩衝液で陽イオン交換樹脂から抗体を溶出して、第一の溶出液を形成させること;
(d)第一の溶出液をウイルス不活化工程に供すること;
(e)ウイルス的に不活化された調製物を陰イオン交換樹脂に適用して、第一の貫流を得ること;並びに
(f)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む、請求項1の方法。
【請求項32】
陽イオン交換樹脂がpH7であり、及び樹脂1リットル当り抗体約35gが適用される、請求項31の方法。
【請求項33】
陽イオン交換樹脂がpH5であり、及び樹脂1リットル当り抗体約70gが適用される、請求項31の方法。
【請求項34】
複数の洗浄工程が、平衡化緩衝液を用いる第一の洗浄、並びに溶出緩衝液及び水の混合物を用いる第二の洗浄で樹脂を洗浄することを含む、請求項31の方法。
【請求項35】
溶出緩衝液及び水の混合物が約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水を含む、請求項34の方法。
【請求項36】
陰イオン交換樹脂へウイルス的に不活化された調製物を適用する前に、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度が、陰イオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整される、請求項31の方法。
【請求項37】
第一の溶出液が、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む、請求項31の方法。
【請求項38】
第一の貫流が、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む、請求項31の方法。
【請求項39】
第二の溶出液が、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む、請求項31の方法。
【請求項40】
HCPが減少した抗体調製物が得られるように、
(a)平衡化緩衝液中の陽イオン交換樹脂に混合物を適用すること(陽イオン交換樹脂はpH7であり、及び樹脂1リットル当り抗体約35グラムが適用され、又は陽イオン交換樹脂はpH5からpH7の範囲のpHであり、及び樹脂1リットル当り抗体約35から約70gが適用され、又は陽イオン交換樹脂はpH5であり、及び樹脂1リットル当り抗体約70グラムが適用される。);
(b)平衡化緩衝液を用いる第一の洗浄並びに溶出緩衝液及び水の混合物を用いる第二の洗浄を含む洗浄工程で、陽イオン交換樹脂からHCPを洗浄すること;
(c)溶出緩衝液で陽イオン交換樹脂から抗体を溶出して第一の溶出液を形成させること;
(d)第一の溶出液をウイルス不活化工程に供すること(ウイルスの不活化はpHウイルス不活化によって達成され、ウイルス的に不活化された調製物を形成する。);
(e)ウイルス的に不活化された調製物を陰イオンイオン交換樹脂に適用すること(第一の貫流が得られるように、ウイルス的に不活化された調製物を陰イオン交換樹脂に適用する前に、ウイルス的に不活化された調製物のpH及び伝導度は陰イオン交換樹脂のpH及び伝導度と実質的に同様であるように調整される。);
(f)第二の溶出液が得られるように、第一の貫流を疎水性相互作用カラムに適用すること;
を含む、請求項1の方法。
【請求項41】
陽イオン交換樹脂に適用する前に、抗体混合物が、プロテインA捕捉に供されない、請求項40の方法。
【請求項42】
溶出緩衝液及び水の混合物が約40から50%の溶出緩衝液及び約50から60%の水を含む、請求項40の方法。
【請求項43】
第一の溶出液が、HCPELISAによって測定された場合に、混合物より約90から約100倍の範囲少ないHCPを含む、請求項40の方法。
【請求項44】
第一の貫流が、HCPELISAによって測定された場合に、第一の溶出液より約840から約850倍の範囲少ないHCPを含む、請求項40の方法。
【請求項45】
第二の溶出液が、HCPELISAによって測定された場合に、第一の貫流より約3から約5倍の範囲少ないHCPを含む、請求項40の方法。
【請求項46】
プロカテプシンLが減少した抗体調製物が得られるように、HCPがプロカテプシンLを含む、請求項1から45の何れか一項の方法。
【請求項47】
第一の溶出液が、カテプシンL速度論(kinetic)アッセイによって測定された場合に、約25から約60RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む、請求項46の方法。
【請求項48】
カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、第一の貫流が、約0.4から約4RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む、請求項46の方法。
【請求項49】
カテプシンL速度論アッセイによって測定された場合に、第二の溶出液が、約0.5から約1.5RFU/秒/mg抗体の範囲のカテプシンL活性を含む、請求項46の方法。
【請求項50】
プロカテプシンLのレベルが再現可能に低い、請求項46から49の何れか一項の方法。
【請求項51】
抗体が抗腫瘍壊死因子−α(TNFα)抗体又はその抗原結合部分である、請求項1から45の何れか一項の方法。
【請求項52】
抗TNFα抗体又はその抗体結合部分がヒト化抗体、キメラ抗体又は多価抗体である、請求項51の方法。
【請求項53】
抗TNFα抗体又はその抗体結合部分がインフリキシマブ又はゴリムマブである、請求項51の方法。
【請求項54】
抗TNFα抗体又はその抗体結合部分がヒト抗体である、請求項51の方法。
【請求項55】
抗TNFα抗体又はその抗原結合部分が、1×10−8M又はそれ以下のK及び1×10−3−1又はそれ以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離し(何れも、表面プラズモン共鳴によって測定される。)、並びに、標準的なインビトロL929アッセイにおいて、1×10−7M又はそれ以下のIC50でヒトTNFα細胞毒性を中和する単離されたヒト抗体である、請求項54の方法。
【請求項56】
抗TNFα抗体又はその抗体結合部分が、以下の特性
a)表面プラズモン共鳴によって測定された場合に、1×10−3−1又はそれ以下のKoff速度定数でヒトTNFαから解離する;
b)配列番号3のアミノ酸配列又は位置1、4、5、7若しくは8において、単一のアラニン置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列又は位置1、3、4、6、7、8及び/又は9における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号3から修飾されたアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメインを有する;
c)配列番号4のアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10若しくは11において、単一のアラニン置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列又は位置2、3、4、5、6、8、9、10、11及び/又は12における1個から5個の保存的アミノ酸置換によって配列番号4から修飾されたアミノ酸配列を含む重鎖CDR3ドメインを有する、
を有する単離されたヒト抗体である、請求項54の方法。
【請求項57】
抗TNFα抗体又はその抗原結合部分が、配列番号1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)及び配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)を有する単離されたヒト抗体である、請求項54の方法。
【請求項58】
抗TNFα抗体又はその抗原結合部分がアダリムマブである、請求項54の方法。
【請求項59】
請求項1から45の何れか一項の方法を用いて作製された、HCPELISAによって測定された場合にHCPが実質的に存在しない抗体調製物。
【請求項60】
請求項1から45の何れか一項の方法を用いて作製された、HCPが減少した抗体調製物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項61】
HCPが減少した抗体(HCPのレベルは、HCPELISAによって測定された場合に、抗体の1mg当りHCPの約70ng以下を含む。)及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項62】
HCPのレベルが、HCPELISAによって測定された場合に、抗体1mg当りHCP約13ng以下を含む、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項63】
HCPのレベルが、HCPELISAによって測定された場合に、抗体の1mg当りHCPの約5ng以下を含む、請求項61に記載の医薬組成物。
【請求項64】
HCPELISAアッセイによって測定された場合にHCPの検出可能なレベルを有さない、抗体を含む組成物。
【請求項65】
請求項1から45の何れか一項の方法を用いて作製された、プロカテプシンLが実質的に存在しない抗体調製物。
【請求項66】
請求項1から45の何れか一項の方法を用いて作製された、プロカテプシンLが減少した抗体調製物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項67】
抗体プロカテプシン−Lが減少した抗体及び医薬として許容される担体を含み、プロカテプシン−Lのレベルが約3.0RFU/秒/mg抗体のカテプシン活性以下である、医薬組成物。
【請求項68】
抗体が抗腫瘍壊死因子−α(TNFα)抗体又はその抗原結合部分である、請求項59から67の何れか一項に記載の組成物又は調製物。
【請求項69】
請求項68に記載の組成物又は調製物をヒト対象に投与することを含む、TNFα活性が有害である疾患を治療する方法。
【請求項70】
包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約70ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品。
【請求項71】
包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約13ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品。
【請求項72】
包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤がアダリムマブの1mg当りHCPの約5ng以下を含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品。
【請求項73】
包装材料と、アダリムマブと、及びアダリムマブ製剤が、約3.0RFU/秒/mgアダリムマブのカテプシンL活性によって示されるレベルを上回らないプロカテプシンLのレベルを含むことを示す、包装材料内に含有されるラベル又は添付文書とを含む製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79244(P2013−79244A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−255474(P2012−255474)
【出願日】平成24年11月21日(2012.11.21)
【分割の表示】特願2009−504272(P2009−504272)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(503448572)アボツト・バイオテクノロジー・リミテツド (30)
【Fターム(参考)】