抗体結合体の質量分析

抗体結合体、式(I)の抗体−薬物結合体、抗体、ならびにそれらのフラグメントおよび代謝産物を投与した後に、親和性分離、クロマトグラフィー、および質量分析法によって生物学的サンプルを検出する、スクリーニングする、および定量する方法が開示される。式I:Ab−(L−D)(式中、Abは、抗体である;Dは、薬物成分である;LはAbへ共有結合し、そしてDへ共有結合したリンカーである;およびpは1、2、3、4、5、6、7、または8である)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
37CFR§1.53(b)の下で出願されたこの非仮出願は、35USC§119(e)の下で、2004年4月7日に出願された米国仮特許出願第60/560,530号、および2005年2月17日に出願され、「MASS SPECTROMETRY OF ANTIBODY CONJUGATES」という名称の、出願番号がまだ割り当てられていない仮特許出願の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、質量分析法によって、抗体−薬物結合体を含む抗体結合体化合物、ならびにそれらのフラグメントおよび代謝産物を検出、分析、スクリーニング、特性解析、および定量するための方法に関する。本発明は、薬物動態試験のための質量分析サンプルを調製するための方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
標的化された抗癌治療薬は、従来型の癌化学療法と比較して、非特異的毒性を減少させて有効性を高めるように設計される。このアプローチは、癌細胞に対して高力価の結合体化小分子治療薬を限定的に送達する、モノクローナル抗体の強力な標的化能力によって具現化される。抗体の薬物動態および生体内分布は、臨床におけるその使用が成功するかどうかを決定する際に重要な役割を果たす。ここで抗体は、作用部位へ送達されて、その目的を達成するために必要とされる長さの時間にわたってその場所に保持されなければならない。これらの抗体−薬物結合体のそのような薬物動態および毒性などの特性を評価するためには、血漿、尿、およびその他の生物学的サンプルからそれらを特性解析して定量できることが有用である。さらに、同一サンプルおよび同一クロマトグラフィー注入試料からこの方法における(抗体に結合体していない)遊離薬物を定量する能力もまた有用である。
【0004】
薬物動態試験においては、小分子治療薬を同定および定量するために、電子衝撃(EI)、化学イオン化(CI)、脱離化学イオン化(DCI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、ならびに逆重畳用のイオン選択の単一イオンモニタリング(SIM)モード(Souppart et al.(2002)Jour. of Chrom.B 774:195−203;Wong et al.(2001)Jour. of Chrom.765:55−62;Yao et al.(1998)Jour. of Chrom.B 718:77−85;Abdel−Hamid et al.(2001)Jour. of Chrom.B 753:401−408;Marques et al.(2001)Jour. of Chrom.762:87−95)を含むタンデム質量分析法(MS/MS)(Yao et al.(2001)Jour. of Chrom.B 752:9−16;Royer et al.(1995)Rapid Comm. in Mass Spec.9:495−502)などの様々な質量分析技術が使用されてきた。これらの方法および機器は、十分な感受性を得るために生体液からの様々な分析物の分離を必要とする。そのような精製は、大きな労働力を必要とし、緩徐で、細胞培地、ヒト血漿、尿、および胆汁などのサンプル中に含まれる当該分析物の濃度が低いために大量のサンプル液を必要とする。
【0005】
分離/単離/精製のフロントエンド工程と質量分析法による検出/特性解析/定量とを結び付けた直接的組み合わせは、複雑な生物学的サンプルについての代謝試験のために有効である。代表的には、LC/MSは抗体の特性解析のために使用され(非特許文献1;特許文献1;特許文献2)、そしてELISAは生物学的マトリックス内での定量のために使用される(Murray et al.(2001)J.Imm.Methods 255:41−56;Kirchner et al.(2004)Clin.Pharmacokinetics 43(2):83−95)。ELISAアッセイは、代表的にはハイスループットスクリーニングに対して感受性であり、敏感に反応する。
【0006】
質量分析法(MS)によるタンパク質分析における最近の進歩は、フロントエンド気相イオン化、例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI、US2003/0027216)および表面増強レーザー脱離イオン化(SELDI、US6020208)などの技術の導入、ならびに機器感度、分解能、質量正確性、バイオインフォマティクス、およびソフトウェア逆重畳アルゴリズムにおける向上によるものである(非特許文献2;非特許文献3)。タンパク質の一次(配列)、二次構造、および三次構造は、MSを用いて精査かつ解明することができる。エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、液体サンプルの大気圧イオン化(API)を提供する。エレクトロスプレープロセスは、蒸発下では、溶液内に含有される種に例示的なイオンを作り出す高電離液滴を作り出す。質量分析計のイオンサンプリングの開口部は、質量分析のためにこれらの気相イオンをサンプリングするために使用できる。質量分析計検出器によって測定された分析物の反応は、液体中の分析物の濃度に依存し、液体流量には依存しない。
【0007】
抗体療法は、癌、免疫障害および血管新生障害を有する患者の標的化された治療および診断について確立されている。一例として、HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ;Genentech,Inc.;カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)は、ヒト上皮成長因子受容体2タンパク質であるHER2の細胞外ドメイン(ECD)へ選択的に結合する組み換えDNA由来ヒト化モノクローナル抗体(ErbB2)である(米国特許第5,821,337号;第6,054,297号;第6,407,213号;第66,390,55号;Coussens et al.(1985)Science 230:1132−9;Slamon,et al.(1989)Science 244:707−12)。トラスツズマブは、HER2へ結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域(cdr)とともにヒトフレームワーク領域を含有するIgG1κ抗体である。トラスツズマブはHER2抗原に結合し、HER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を阻害する(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)。単剤としてのHERCEPTIN(登録商標)は、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を有しており、それらの転移性疾患のための1つ以上の化学療法レジメンを受けていた患者の処置に適応である。パクリタキセルとHERCEPTIN(登録商標)との併用は、腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現する転移性乳癌を有しており、転移性疾患のために化学療法を受けていなかった患者の処置に適応である。HERCEPTIN(登録商標)は、以前に広範な抗癌療法を受けていたErbB2を過剰発現する転移性乳癌を有する患者において臨床的に活性である(Baselga et al.(1996)、J.Clin.Oncol.14:737−744)。
【0008】
抗体療法および診断の目的は、特定の病変または障害の検出および/または処置を可能にするために、高特異性と抗体−抗原相互作用の親和性との組み合わせを活用することである。抗体は、単独で使用されるか、または検出標識、薬物動態修飾因子、放射性同位体、毒素、もしくは薬物などの他の成分と結合体化(すなわち、積載)される。癌の処置において、腫瘍細胞を殺滅もしくは阻害するために細胞毒性剤または細胞増殖抑制剤を局所送達するための抗体−薬物結合体(ADC)、すなわち免疫結合体の使用(非特許文献7;非特許文献8;特許文献3)は、理論的には、腫瘍への薬物成分の標的化された送達および細胞内蓄積を可能にする。ここで、これらの結合体化されていない薬剤の全身性投与は、許容できないレベルの毒性を、排除が求められる腫瘍細胞のみならず正常細胞にも生じさせ得る。(Baldwin et al.(1986)Lancet pp.(Mar.15,1986):603−05;Thorpe,(1985)“Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review,”Monoclonal Antibodies‘84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al.(編),pp.475−506)。それにより、最小の毒性を伴う最高の有効性が探求される。ADCを設計および精錬するための努力は、モノクローナル抗体(MAb)の選択性ならびに薬物結合特性および薬物放出特性に焦点が当てられてきた。ダウノマイシン、ドキソルビシン、メトトレキセート、およびビンデシンを含む薬物結合ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は、いずれもこれらの戦略において有用であることが報告されている(Rowland et al.,(1986)Cancer Immunol.Immunother.,21:183−87)。抗体−毒素結合体において使用された毒素としては、ジフテリア毒素などの細菌毒素、リシンなどの植物毒素、ゲルダナマイシン(Mandler et al.(2000)Jour.of the Nat.Cancer Inst.92(19):1573−1581;Mandler et al.(2000)Bioorganic & Med.Chem.Letters 10:1025−1028;Mandler et al.(2002)Bioconjugate Chem.13:786−791)、メイタンシノイド(EP1391213;Liu et al.,(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:8618−8623)、およびカリケアマイシン(Lode et al.(1998)Cancer Res.58:2928;Hinman et al.(1993)Cancer Res.53:3336−3342)などの小分子毒素が挙げられる。毒素および薬物は、チューブリン結合、DNA結合、またはトポイソメラーゼ阻害を含む機序によって細胞毒性および細胞抑制作用を発揮する。一部の細胞毒性剤は、大きな抗体またはタンパク質受容体リガンドに結合体化すると、不活性もしくは低活性になる傾向がある。
【0009】
例示的な抗体−薬物結合体としては、注射による急性骨髄性白血病の処置のために2000年に承認された、カリケアマイシンに結合したhuCD33抗体であるMYLOTARG(商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、Wyeth Pharmaceuticals)(Drugs of the Future(2000)25(7):686;米国特許第4,970,198号;第5,079,233号;第5,585,089号;第5,606,040号;第5,693,762号;第5,739,116号;第5,767,285号;第5,773,001号)が挙げられる。ジスルフィドリンカーSPPを介してメイタンシノイド薬物成分DM1へ結合されたhuC242抗体から構成される抗体−薬物結合体であるカンツズマブメルタンシン(cantuzumab mertansine)(Immunogen,Inc.)は、結腸癌、膵臓癌、胃癌などのCanAgを発現する癌を処置するための第II相試験に進行している。同様にDM1へ結合した抗前立腺特異的膜抗原(PSMA)モノクローナル抗体から構成される抗体−薬物結合体であるMLN−2704(Millennium Pharm.,BZL Biologics,Immunogen Inc.)は、前立腺腫瘍の有望な治療法として開発中である。オーリスタチンペプチド、オーリスタチンE(AE)およびドラスタチンのモノメチルオーリスタチン(MMAE)合成アナログは、キメラモノクローナル抗体cBR96(癌上のLewis Yに対して特異的)およびcAC10(血液悪性腫瘍上のCD30に対して特異的)へ結合体化させられ、治療剤開発中である(Doronina et al.(2003)Nature Biotechnology 21(7):778−784;Francisco et al.(2003)Blood 102:1458−1465)。
【0010】
治療的使用が承認されたか、または開発中である上記の抗体−薬物結合体(ADC)は、抗体への薬物成分の共有結合のプロセスが大部分は制御されておらず、結果として生じる結合体化生成物が完全に特性解析されていない不均質な混合物である。さらに、薬物負荷(薬物/Ab比)は、組成物または調製物中のADC分子の収集物についての統計的平均である。抗体−薬物結合体組成物の不均質性のために、投与後の生物学的起源から採取された薬物動態サンプルを評価するのは困難である。ELISAアッセイは、抗体−抗原結合の検出に限定される(非特許文献9)。UV分光計は、所定の蛍光またはUV活性薬物成分もしくは代謝産物の全吸光度を測定することはできるが、遊離薬物と抗体−薬物結合体とを区別することはできない。
【特許文献1】国際公開第03/046571号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/046572号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,975,278号明細書
【非特許文献1】Martinら、Cancer Chemother.Pharmacol.(1997)40:p.189−201
【非特許文献2】Cole,R.B.,編、「Electrospray Ionization Mass Spectrometry:Fundamentals,Instrumentation,and Applications」、(1997)Wiley,New York
【非特許文献3】Howard,G.C.およびBrown,W.E.,編、「Modern Protein Chemistry:Practical Aspects」、(2002)CRC Press,Boca Raton,FL,p.71−102
【非特許文献4】Hudziak RMら、Mol Cell Biol(1989)9:p.1165−72
【非特許文献5】Lewis GDら、Cancer Immunol Immunother(1993)37:p.255−63
【非特許文献6】Baselga Jら、Cancer Res.(1998)58:p.2825−2831
【非特許文献7】SyrigosおよびEpenetos、Anticancer Research(1999)19:p.605−614
【非特許文献8】Niculescu−DuvazおよびSpringer、Adv.Drug Del.Rev.(1997)26:p.151−172
【非特許文献9】DiJosephら、Blood(2004)103:p.1807−1814
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様は、親和性分離、クロマトグラフィー、および質量分析法によって、抗体結合体化合物および組成物、抗体、ならびにそれらのフラグメントおよび代謝産物を検出、スクリーニング、および定量するための方法を包含する。質量分析の例示的な方法としては、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、単一イオンモニタリング(SIM)質量分析法(MS)が挙げられる。SIMの実施または技術は、選択イオンモニタリングまたは選択的イオンモニタリングと呼ばれることがある。
【0012】
本発明の1つの態様は、抗体−薬物結合体化合物を検出する方法であって:
(i)式I:
Ab−(L−D)
(式中、
Abは、抗体である;
Dは、薬物成分である;
Lは、Abへ共有結合しており、そしてDへ共有結合しているリンカーである;および
pは、1、2、3、4、5、6、7、または8である)
を有する抗体−薬物結合体化合物を提供する工程と、
(ii)前記抗体−薬物結合体化合物および必要に応じて式I(式中、pは0である)の抗体、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物と、生物学的起源とを接触させる工程と;
(iii)その生物学的起源から生物学的サンプルを採取する工程と;
(iv)分析サンプルを生成するためにその生物学的サンプルを処理する工程と;
(v)前記分析サンプルを分離媒体へ適用して、1つより多いサンプル構成成分の分離を行う工程であって、このとき分離されたサンプル構成成分が式I(式中、pは0、1、2、3、4、5、6、7、または8である)を有する抗体−薬物結合体化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含む、工程と;
(vi)質量分析法によって1つ以上の分離されたサンプル構成成分の質量もしくは質量対電荷比を確定する工程と、
を包含する方法、を包含する。
【0013】
本発明は、哺乳動物、組織、または細胞培養などの生物学的起源中の化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物の相対クリアランスを決定するために、抗体−薬物結合体化合物の混合物をスクリーニングするための方法を包含する。
【0014】
本発明は、質量分析法によって、式Iを有する抗体−薬物結合体化合物の不均質な混合物の化合物を検出する方法を包含し、このとき混合物は1より多い薬物負荷値pを有しており、このときpは1、2、3、4、5、6、7、または8であり得、この方法は、抗体−薬物結合体化合物の不均質な混合物を含むサンプルについて質量分析法を実施する工程と、および混合物の1つより多い化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を検出する工程と、を包含する。
【0015】
本発明は、単一の分析で、LC/MSによって血漿中の遊離薬物および抗体−薬物結合体両方のレベルを定量する方法を包含する。
【0016】
本発明は、抗体−薬物結合体のインビボ代謝を試験する方法を包含する。
【0017】
本発明は、哺乳動物へ投与した後の抗体−薬物結合体の薬物動態分析方法を包含する。
【0018】
本発明は、抗体−薬物結合体治療方法への感受性および応答を測定することによる患者のプロファイリング方法を包含する。
【0019】
本発明は、哺乳動物、組織、または細胞培養への抗体−薬物結合体の投与によるタンパク質もしくは抗原の過剰発現を特徴とする状態または疾患の存在または不存在を診断する診断方法を包含する。
【0020】
本発明は、血漿中の抗体−薬物結合体を単離、浄化、および検出するために、免疫親和性膜(IAM)選択を有する免疫親和性膜/LC/MS方法およびバックエンド質量分析法(MS)と組み合わせた逆相液体クロマトグラフィー(LC)フロントエンド工程を含んでいる。
【0021】
本発明の方法によって分析された抗体結合体および抗体についてのSIM結果は、驚くべきものであり、予想外である。なぜなら、SIMはこれまでそのような大きな分子のために有用であるとは認識されていなかったからである。本発明の方法は、デクラスタリング(declustering)ポテンシャル、pH、および移動相の制御によって、イオンの高分解能およびイオンエンベロープの安定性を結び付けている。さらに、SIMにとって最も豊富な最高ピークイオン以外の高質量イオンの選択によって、低質量範囲で代表的なマトリックス干渉が回避される。
【0022】
本発明は、添付の図面、図、および実施例と組み合わせて、以下の例示的な実施形態の詳細な説明を参照することによって理解され得る。以下の考察は、説明的、例示的、かつ代表的であり、任意の添付の請求項によって規定された範囲を限定すると見なされてはならない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
ここで、本発明の特定の実施形態に対して、参照が詳細になされる。本発明の実施零は、添付の構造および式に図示されている。本発明を列挙した実施形態と組み合わせて記載するが、その列挙された実施形態は、本発明をその形態に限定することは意図されていないことが理解される。対して、本発明は、請求項によって規定された本発明の範囲内に含まれ得る全ての変更、修飾、および等価物を含み得るが意図されている。
【0024】
当業者は、本発明の実施において使用することができるであろう、本明細書に記載した方法および材料に類似するか、または同等の多数の方法および材料を認識する。本発明は、決して本明細書に記載した方法および材料には限定されない。
【0025】
他に規定されない限り、本明細書で使用した技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解される意味と同一の意味を有しており、Singleton et al.,(1994)“Dictionary of Microbiology and Molecular Biology”,2nd Ed.,J.Wiley & Sons,New York,NY;およびJaneway,et al.(2001)“Immunobiology”,第5版,Garland Publishing,New Yorkと一致している。
【0026】
本明細書において商標名を使用する場合は、本出願人らは独立して商標製品調製物、ジェネリック薬、および商標製品の薬学的有効成分を含むことを意図している。
【0027】
(定義)
他に記載しない限り、本明細書で使用した以下の用語および熟語は以下の意味を有することが意図されている:
本明細書で使用する用語「抗体」は、極めて広い意味で使用され、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを包含する。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラ、または他の種由来であり得る。
【0028】
抗体は、特異的抗原を認識してそれに結合できる免疫系によって生成されるタンパク質である(Janeway,et al.(2001)“Immunobiology”,第5版,Garland Publishing,New York)。標的抗原は、一般に多重抗体上でCDRによって認識されるエピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有している。様々なエピトープへ特異的に結合する各抗体は、相違する構造を有する。そこで、1つの抗原は、1つより多い対応する抗体を有し得る。
【0029】
本明細書で使用する用語「抗体」はまた、全長免疫グロブリン分子または全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち当該の標的の抗原もしくはその一部に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子も意味しており、そのような標的としては、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を生成する癌細胞が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書に開示された免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)、クラス(例、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってよい。免疫グロブリンは、任意の種由来であってよい。しかし、1つの態様では、免疫グロブリンはヒト、マウス、またはウサギ起源である。
【0030】
「抗体フラグメント」は、全長抗体の一部分、一般にその抗原結合領域またはその可変領域を含む。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;二重抗体;直鎖抗体;Fab発現ライブラリーによって生成されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、ECD(細胞外ドメイン)、および癌細胞抗原、ウイルス抗原もしくは微生物抗原、一本鎖抗体分子に免疫特異的に結合する上記の任意のエピトープ結合フラグメント;ならびに抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0031】
本明細書で使用する「インタクトな抗体」は、VLおよびVHドメイン、ならびに、完全軽鎖および重鎖定常領域を含む抗体である。
【0032】
本明細書で使用する用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から入手された抗体を意味する。すなわちその集団を構成している個々の抗体は、少量で存在している可能性がある天然型突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的で、単一抗原部位に対して惹起されている。さらに、様々な決定因子(エピトープ)に対して惹起された様々な抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一決定因子に対して惹起される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体によって汚染されずに合成できる点で有益である。修飾語「モノクローナル」は、抗体の性質が抗体の実質的に均質な集団から入手されることを示しており、そして任意の特定方法による抗体の生成を必要とすると見なすべきではない。例えば、本発明によって使用すべきモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製できる、または組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製できる。さらに「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.(1991)Nature,352:624−628;Marks et al.(1991)J.Mol.Biol.,222:581−597の中に記載された技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0033】
本明細書で使用するモノクローナル抗体は、特に、「キメラ」抗体、ならびにそれらが所望の生物学的活性を示す限りそのような抗体のフラグメントを包含する。この「キメラ」抗体において、重鎖および/または軽鎖の一部分が特定種に由来する抗体中の対応する配列と同一もしくは同種であるか、または特定抗体クラスもしくはサブクラスに属するが、他方鎖の残りはまた別の種に由来する抗体内の対応する配列と同一もしくは同種または他の抗体クラスもしくはサブクラスに属している(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al. (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81:6851−6855)。本明細書で使用するキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例、旧世界ザル、類人猿など)およびヒト定常領域配列由来の可変ドメイン抗原結合配列を含む「霊長類化」抗体が挙げられる。
【0034】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分、例えばその抗原結合領域または可変領域を含んでいる。抗体フラグメントの例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;二重抗体;直鎖抗体;一本鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0035】
「インタクトな」抗体は、抗原結合可変領域ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)および重鎖定常領域、CH1、CH2およびCH3を含む抗体である。定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例、ヒト天然配列定常ドメイン)であっても、それらのアミノ酸配列変異体であってもよい。
【0036】
インタクトな抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有し得る。エフェクター機能とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域またはアミノ酸配列変異体Fc領域)に寄与する生物学的活性を意味する。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合;補体依存性細胞毒性;Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例、B細胞受容体;BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。
【0037】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に依存して、インタクトな抗体はさらに様々な「クラス」に割り当てられ得る。インタクトな抗体には5つの主要クラスが存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、ならびにこれらの数種はさらに「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2に分類できる。様々なクラスの抗体に対応する重鎖定常ドメインは、各々α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。様々なクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、周知である。
【0038】
用語「アミノ酸配列変異体」は、天然配列ポリペプチドからある程度相違するアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味する。必要に応じて、アミノ酸配列変異体は、天然抗体の少なくとも1つの受容体結合ドメインまたは天然受容体の少なくとも1つのリガンド結合ドメインと、少なくとも約70%(好ましくは、約80%、より好ましくは少なくとも約90%)の配列同一性を有する。アミノ酸配列変異体は、天然アミノ酸配列のアミノ酸配列内の所定の位置で置換、欠失、および/または挿入を有する。アミノ酸は、慣習的な名称、1文字および3文字コードによって表示される。
【0039】
「配列同一性」は、配列をアライメントして、必要であれば最大配列同一性率を達成するためにギャップを導入した後に、アミノ酸配列変異体内の同一である残基のパーセンテージと規定される。アライメントのための方法およびコンピュータプログラムは、当該技術分野において周知である。そのようなコンピュータプログラムの1つは、1991年12月10日に米合衆国著作権局(ワシントンDC20559)にユーザー文書を持って提出された、Genentech, Inc.によって起草された「Align 2」である。
【0040】
有用なモノクローナル抗体は、特定抗原決定因子に相同である抗体集団である(例えば、癌細胞抗原、ウイルス抗原、微生物抗原、タンパク質、ペプチド、炭水化物、化学物質、核酸、またはそれらのフラグメント)。当該抗原に対するモノクローナル抗体(MAb)は、細胞中の連続細胞系による抗体分子の生成を提供する当該分野において公知の任意の技術を使用することによって調製できる。これらとしては、KoehlerおよびMilstein(1975,Nature 256,495−497)によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbor et al.,1983,Immunology Today 4:72)、およびEBVハイブリドーマ技術(Cole et al.,1985,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)が挙げられるが、それらに限定されない。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、およびIgDを含む任意の免疫グロブリンクラス、ならびにそれらの任意のサブクラスであり得る。本発明において有用なMAbを生成するハイブリドーマは、インビトロまたはインビボで培養することができる。
【0041】
有用なモノクローナル抗体としては、ヒトモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、抗体フラグメント、またはキメラヒト−マウス(もしくは他の種)モノクローナル抗体が挙げられるが、それらに限定されない。ヒトモノクローナル抗体は、当該分野において公知の多数の技術のいずれかによって作製できる(例、Teng et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80,7308−7312;Kozbor et al.,1983,Immunology Today 4,72−79;およびOlsson et al.,1982,Meth.Enzymol.92,3−16)。
【0042】
抗体は、二重特異性抗体であってもよい。二重特異性抗体は、1アームでは第1結合特異性を備えるハイブリッド免疫グロブリン重鎖、および他方のアームではハイブリッド免疫グロブリン重鎖−軽鎖対(二次結合特異性を提供する)を有し得る。この非対称性構造は、二重特異性分子の2分の1内の免疫グロブリン軽鎖の存在が容易な分離方法を提供するため、望ましくない免疫グロブリン鎖組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を促進する(WO94/04690;Suresh et al.,Methods in Enzymology,1986,121:210;Rodrigues et al., 1993,J.of Immunology 151:6954−6961;Carter et al.,1992,Bio/technology 10:163−167;Carter et al.,1995,J.of Hematotherapy 4:463−470;Merchant et al.,1998,Nature Biotechnology 16:677−681)。二重特異性抗体の作製方法は、当該分野において公知である(Milstein et al.,1983,Nature 305:537−539;WO93/08829;Traunecker et al.,EMBO J.10:3655−3659(1991)。そのような技術を用いるて、二重特異性抗体は、本明細書に規定した疾患の処置または予防において、ADCとして結合体化するために調製できる。
【0043】
様々なアプローチによると、所望の結合特異性(抗体−抗原結合部位)を備える抗体可変ドメインが、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合させられる。融合は、ヒンジ、C2、およびC3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインとであり得る。第1重鎖定常領域(C1)は、少なくとも融合の1つ内に存在する軽鎖結合のために必要な部位を含有し得る。免疫グロブリン重鎖融合、および所望であれば免疫グロブリン軽鎖をコードする配列を備える核酸は、別個の発現ベクター内に挿入され、適切な宿主および生物に同時トランスフェクトされる。これは、構造内に使用される3本のポリペプチド鎖の非同等比率が最適な収率を生じさせる場合は、実施形態内の3つのポリペプチドフラグメントの相互比率を調整する際に大きな柔軟性を提供する。しかし、同等比率内の少なくとも2本のポリペプチド鎖の発現が高収率を生じさせる場合、または比率が特に重要ではない場合は、1つの発現ベクター内に2もしくは全3本のポリペプチド鎖に対するコーディング配列を挿入することは可能である。
【0044】
ハイブリッドまたは二官能抗体は、生物学的に(すなわち細胞融合技術により)か、または化学的(特に架橋剤もしくはジスルフィド架橋形成試薬を用いて)のいずれかによって、誘導することができ、そしてインタクトな抗体またはそのフラグメントを含み得る(EP105360;WO83/03679;EP217577)。
【0045】
抗体は、癌細胞抗原、ウイルス抗原、もしくは微生物抗原、または腫瘍細胞もしくはマトリックスへ結合した他の抗体に免疫特異的に結合する抗体の、機能的に活性なフラグメント、誘導体もしくはアナログであり得る。これに関連して、「機能的に活性」とは、フラグメント、誘導体もしくはアナログが、抗体(この抗体から、そのフラグメント、誘導体もしくはアナログが誘導される)が認識した同一の抗原を認識する抗抗イディオタイプ抗体を惹起し得ることを意味する。具体的には、例示的な実施形態では、免疫グロブリン分子のイディオタイプの抗原性は、抗原を特異的に認識するCDR配列に対してC末端にあるフレームワークおよびCDR配列の欠失によって、強化することができる。どのCDR配列が抗原に結合するのかを決定するために、CDR配列を含有する合成ペプチドは、当該分野において公知の任意の結合アッセイによる抗原との結合アッセイにおいて使用できる(例えば、BIAcoreアッセイ)(例えば、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,National Institute of Health,Bethesda,Md;Kabat E et al.,1980,J.of Immunology 125(3):961−969を参照されたい)。
【0046】
その他の有用な抗体としては、抗体分子のペプチン消化によって生成できる可変領域、軽鎖定常領域および重鎖のCH1ドメインを含有するF(ab’)フラグメント、およびF(ab’)フラグメントのジスルフィド架橋を還元することによって生成できるFabフラグメントなどの抗体のフラグメントが挙げられる。他の有用な抗体は、抗体の重鎖および軽鎖二量体、またはFvもしくは一本鎖抗体などの任意の最小フラグメント(SCA)(例えば、米国特許第4,946,778号;Bird,(1988),Science 242:423−42;Huston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;およびWard et al.,(1989)Nature 334:544−54に記載されている)、またはその抗体と同一特異性を備える任意の他の分子である。
【0047】
さらに、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの標準組み換えDNA技術を用いて作製できるヒトおよび非ヒト部分の両方を含む組み換え抗体は、有用な抗体である。キメラ抗体は、様々な部分が様々な動物種に由来する分子(例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有する分子)である(米国特許第4,816,567号;および第4,816,397号、これらは本明細書中に参考として援用される)。キメラ抗体およびヒト化モノクローナル抗体は、例えばWO87/02671;EP184,187;EP171496;EP173494;WO86/01533;US4816567;EP12023;Berter et al.,(1988)Science 240:1041−1043;Liu et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443;Liu et al.,(1987)J.Immunol.139:3521−3526;Sun et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218;Nishimura et al.,(1987)Cancer.Res.47:999−1005;Wood et al.,(1985)Nature 314:446−449;およびShaw et al.,(1988)J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559;Morrison,(1985)Science 229:1202−1207;Oi et al.,(1986)BioTechniques 4:214;US5225539;Jones et al.,(1986)Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.(1988)Science 239:1534;およびBeidler et al.,1988,J.Immunol.141:4053−4060(これらは、各々が本明細書中に参考として援用される)に記載された方法を使用して、当該分野において公知の組み換えDNA技術によって生成できる。
【0048】
完全ヒト抗体は、内因性免疫グロブリン重鎖および軽鎖遺伝子を発現することができないが、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子を発現することのできるトランスジェニックマウスを用いて生成できる。トランスジェニックマウスは、選択された抗原、例えば本発明のポリペプチドの全部または一部を用いて、通常の方法で免疫される。この抗原に対して惹起されたモノクローナル抗体は、従来のハイブリドーマ技術を用いて入手できる。トランスジェニックマウスに保持されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、B細胞分化中に再配列し、続いてクラススイッチングおよび体細胞突然変異を受ける。そこで、そのような技術を使用すると、治療上有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を生成することが可能である。ヒト抗体を生成するための技術の概観については、LonbergおよびHuszar(1995,Int.Rev.Immunol.13:65−93)を参照のこと。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生成するためのこの技術、ならびにそのような抗体を生成するためのプロトコールについての詳細な考察には、例えば、米国特許第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号(各々が、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。他のヒト抗体は、例えばAbgenix,Inc.(カリフォルニア州フレモント)およびGenpharm(カリフォルニア州サンノゼ)から市販で入手できる。
【0049】
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて生成できる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えば、マウス抗体)は、同一エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を誘導するために使用される。(Jespers et al.(1994)Biotechnology 12:899−903)。ヒト抗体は、ファージ提示ライブラリーを含む、当該分野において公知の様々な技術を用いて生成することもできる(HoogenboomおよびWinter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991))。
【0050】
抗体は、抗体の融合タンパク質、またはその機能的に活性なフラグメントであり得る。この融合タンパク質は、例えば抗体が共有結合(例えば、ペプチド結合)を介して、N末端またはC末端のどちらかで抗体ではない他のタンパク質(または、その一部(そのタンパク質の少なくとも10、20または50アミノ酸部分など))のアミノ酸配列へ融合している。抗体またはそのフラグメントは、定常ドメインのN末端で他のタンパク質へ共有結合し得る。
【0051】
抗体は、その抗体がその抗原結合免役特異性を保持することを共有結合が許容する限り、任意のタイプの分子の共有結合によっていずれも修飾されたアナログおよび誘導体を包含する。例えば、抗体の誘導体もしくはアナログは、例えばグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解性開裂、細胞抗体単位もしくは他のタンパク質へのリンケージによってさらに修飾されている誘導体もしくはアナログを含んでいる。任意の多数の化学修飾は、限定されるものではないが特異的化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの存在下での代謝合成など(ただし、決してこれらに限定されない)の公知の技術によって実施できる。さらに、アナログもしくは誘導体は、1つ以上の非天然アミノ酸を含有し得る。
【0052】
ADC中の抗体は、Fc受容体およびアミノ酸残基中に修飾(例、置換、欠失または付加)を有する抗体を包含する。特に、抗体は、抗FcドメインとFcRn受容体との相互作用に関与すると同定されたアミノ酸残基内に修飾を有する抗体を包含する(例えば、WO97/34631(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照されたい)。癌細胞抗原に免疫特異的な抗体は、例えばGenentech,Inc.(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)から市販で入手できる、または例えば化学合成もしくは組み換え発現技術などの当業者に公知の任意の方法によって生成することができる。癌細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、GenBankデータベースまたはそれに似たデータベースから、文献刊行物から、または日常的クローニングおよびシーケンシングによって入手できる。
【0053】
用語「受容体」は、細胞表面上で固有に発現もしくは過剰発現され、そして循環する標的剤(例えば、抗体−薬物結合体)との相互作用を許容する様式で細胞表面上に曝露される、任意のペプチド、タンパク質、糖タンパク質、ポリ炭水化物、または脂質を包含する。受容体を有する細胞は、腫瘍細胞を含んでいる。
【0054】
用語「患者」は、ヒトおよび獣医学被験体を包含する。抗体−薬物結合体を投与するため、または抗体−薬物結合体と接触させるための「哺乳動物」は、ヒト、家畜および農耕動物、非ヒト霊長類、および哺乳動物組織を有する任意の他の動物と分類される任意の動物を意味する。
【0055】
用語「生物学的サンプル」は、(i)血液、胆汁、尿、または便;(ii)組織抽出物;および(iii)細胞培地、細胞溶解液、または細胞抽出物、を意味する。
【0056】
用語「生物学的起源」は、(i)マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、またはヒトなどの哺乳動物;(ii)哺乳動物組織;および(iii)培養細胞、を意味する。
【0057】
用語「標識」は、抗体に共有結合することができ:(i)検出可能なシグナルを提供するため;(ii)第2の標識と相互作用して、第1標識もしくは第2標識から提供される検出可能なシグナルを修飾するため(例えばFRET(蛍光共鳴エネルギー転移));(iii)抗原もしくはリガンドを用いて相互作用を安定化させるため、または結合親和性を増加させるため;(iv)電荷、疎水性、形状、もしくは物理的パラメータによって移動度、例えば電気泳動移動度、または細胞透過性に影響を及ぼすため、または(v)リガンド親和性、抗体/抗原結合、もしくはイオン性複合体形成を調節するために捕捉成分を提供するために機能する、任意の成分を意味する。
【0058】
「アルキル」は、標準、二次、三次もしくは環状炭素原子を含有するC−C18炭化水素成分である。アルキルラジカルの例には:メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、1−ヘプチル、1−オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルなどのC−C炭化水素成分が含まれる。
【0059】
「アリール」は、親芳香環系の単一炭素原子からの1つの水素原子の除去によって引き出される6〜20個の炭素原子の一価芳香族炭化水素ラジカルを意味する。一部のアリール基は、例示的構造内で「Ar」として表される。典型的なアリール基には、ベンゼン、置換ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニルなどから引き出されたラジカルが含まれるが、それらに限定されない。
【0060】
「置換アルキル」、および「置換アリール」は、1つまたは複数の水素原子が各々独立して置換基と置換されているアルキルおよびアリールを意味する。典型的な置換基には、−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NR、−SO、−SOH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR)、−P(=O)(OR)、−PO、−PO、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(=S)R、−COR、−CO、−C(=S)OR、−C(=O)SR、−C(=S)SR、−C(=O)NR、−C(=S)NR、−C(=NR)NR(式中、各Xは独立してハロゲン:F、Cl、Br、もしくはIである;および各Rは独立してH、C−C18アルキル、C−C20アリール、C−C14複素環、または保護基である)が含まれるが、それらに限定されない。上述したアルキレン、アルケニレン、およびアルキニレン基もまた同様に置換されていてよい。
【0061】
「ヘテロアリール」、「ヘテロシクリル」、および「複素環」はすべて、1つまたは複数の環状原子がヘテロ原子、例えば窒素、酸素、および硫黄である環系を意味する。複素環ラジカルは、1〜20個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択される1〜5個のヘテロ原子を含んでいる。複素環は、3〜7個の環員を有する単環式(2〜6個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択された1〜3個のヘテロ原子)または例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系である7〜10個の環員(4〜9個の炭素原子ならびにN、O、P、およびSから選択された1〜3個のヘテロ原子)を有する二環式であってよい。複素環は、Paquette, Leo A.;“Principles of Modern Heterocyclic Chemistry”(W.A. Benjamin, New York, 1968),特に1章、3章、4章、6章、7章および9章;“The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs” (John Wiley & Sons, New York, 1950〜現在),特に13巻、14巻、16巻、19巻および28巻;およびJ. Am. Chem. Soc.(1960) 82:5566に記載されている。
【0062】
複素環の例には、例示するためで限定するためではなく、ピリジル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、酸化硫黄テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ピペリジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、2−ピロリドニル、ピロリニル、テトラヒドロフラニル、ビス−テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス−テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、アゾシニル、トリアジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、チエニル、チアントレニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサチニル、2H−ピロリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、1H−インダゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、4Ah−カルバゾリル、カルバゾリル、β−カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナンスロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシンドリル、ベンゾキサゾリニル、およびイサチノイルが含まれる。
【0063】
例示するためで限定するためではなく、炭素結合複素環はピリジンの2、3、4、5、もしくは6位、ピリダジンの3、4、5、もしくは6位、ピリミジンの2、4、5、もしくは6位、ピラジンの2、3、5、もしくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールもしくはテトラヒドロピロールの2、3、4、もしくは5位、オキサゾール、イミダゾールもしくはチアゾールの2、4、もしくは5位、イソキサゾール、ピラゾール、もしくはイソチアゾールの3、4、もしくは5位、アジリジンの2もしくは3位、アゼチジンの2、3、もしくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、もしくは8位、またはイソキノリンの1、3、4、5、6、7、もしくは8位で結合させられる。さらにより典型的には、炭素結合複素環には、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6−ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、または5−チアゾリルが含まれる。
【0064】
例示するためであって限定するためではなく、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位で、イソインドールもしくはイソインドリンの2位で、モルホリンの4位で、およびカルバゾール、またはβ−カルボリンの9位で結合させられている。さらにより典型的には、窒素結合複素環には、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、および1−ピペリジニルが含まれる。
【0065】
「炭素環」および「カルボシクリル」は、単環としての3〜7個の炭素原子または二環としての7〜12個の炭素原子を有する飽和または不飽和環を意味する。単環式炭素環は3〜6個の炭素原子、より典型的には5もしくは6個の環状原子を有している。二環式炭素環は、例えばビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]もしくは[6,6]系として配列された7〜12個の環状原子、またはビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として配列された9もしくは10個の環状原子を有する。単環式炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキス−1−エニル、1−シクロヘキス−2−エニル、1−シクロヘキス−3−エニル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。
【0066】
「反応性官能基」には、オレフィン、アセチレン、アルコール、フェノール、エーテル、酸化物、ハロゲン化物、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステル、炭酸塩、アミド、シアネート、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、アミン、ヒドラジン、ヒドラゾン、ヒドラジド、ジアゾ、ジアゾニウム、ニトロ、ニトリル、メルカプタン(チオール)、硫化物、二硫化物、スルホキシド、スルホン、スルホン酸、スルフィン酸、アセタール、ケタール、無水物、硫酸塩、スルフェン酸、イソニトリル、アミジン、イミド、イミデート、ニトロン、ヒドロキシルアミン、オキシム、ヒドロキサム酸、チオヒドロキサム酸、アレン、オルトエステル、亜硫酸塩、エナミン、イナミン、ウレア、プソイドウレア、セミカルバジド、カルボジイミド、カルバメート、イミン、アジド、アゾ化合物、アゾキシ化合物、およびニトロソ化合物が含まれるが、それらに限定されない。例示的な反応性官能基には、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、パラ−ニトロフェニル(PNP)炭酸塩、ペンタフルオロフェニル(PFP)炭酸塩、およびマレイミドが含まれる。例えば、Sandler and Karo, Eds. “Organic Functional Group Preparations”, Academic Press, San Diego, 1989を参照されたい。
【0067】
「リンカー」、「リンカー単位」、または「リンク」は、共有結合または抗体を薬物成分へ共有結合させる原子の鎖を含む化学成分を意味する。様々な実施形態では、リンカーはLと規定されている。リンカーには、アルキレン、アリールジイル、ヘテロアリールジイル、例えば−(CRO(CR−、アルキルオキシの反復単位(例、ポリエチレンオキシ、PEG、ポリメチレンオキシ)およびアルキルアミノ(例、ポリエチレンアミノ、Jeffamine(商標))などの部分などの二価ラジカル;ならびにスクシネート、スクシンアミド、ジグリコレート、マロネート、およびカプロアミドを含む二酸エステルおよびアミドが含まれる。
【0068】
例示的なリンカーの略語には:MC=6−マレイミドカプロイル、MP=マレイミドプロパノイル、val−cit=プロテアーゼ開裂型リンカー内のジペプチド部位であるバリン−シトルリン、ala−phe=プロテアーゼ開裂型リンカー内のジペプチド部位であるアラニン−フェニルアラニン、PAB=p−アミノベンジルオキシカルボニル(リンカーの「自己犠牲的」部分))、SPP=N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート、SMCC=N−スクシンイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1カルボキシレート、SIAB=N−スクシンイミジル(4−ヨード−アセチル)アミノ安息香酸が含まれる。
【0069】
用語「キラル」は、鏡像パートナーと重なり合うことができないという特性を有する分子を意味し、他方用語「アキラル」は、それらの鏡像パートナーに重なり合うことができる分子を意味する。
【0070】
用語「立体異性体」は、同一の化学構造を有するが、空間内の原子または基の配列に関して相違する化合物を意味する。
【0071】
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラリティーの中心を備え、それらの分子が相互の鏡像ではない立体異性体を意味する。ジアステレオマーは、相違する物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法やクロマトグラフィーなどの高分解能分析方法下では分離することがある。
【0072】
「エナンチオマー」は、相互の重なり合わない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を意味する。
【0073】
本明細書で使用する立体化学的定義および決まりは、一般にS.P. Parker,編, McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984) McGraw−Hill Book Company, New York;およびEliel, E. and Wilen, S., Stereochemistry of Organic Compounds(1994) John Wiley & Sons, Inc., New Yorkにしたがうものとする。多くの有機化合物は光学活性形で存在する。すなわち、それらは平面偏光の平面を回転する能力を有する。光学活性化合物について記載する場合は、そのキラル中心の周囲での分子の絶対配置を意味するために接頭辞DおよびL、またはRおよびSを使用する。接頭辞dおよびlまたは(+)および(−)は、化合物による平面偏光の回転の記号を表示するために使用するが、このとき(−)もしくはlは化合物が左旋性であることを意味する。(+)もしくはdが前に付いた化合物は、右旋性である。所定の化学構造に対しては、これらの立体異性体は、それらが相互の鏡像であることを除けば同一である。特異的立体異性体は、エナンチオマーとも呼ばれることがあり、そのような異性体の混合物はしばしばエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物はラセミ混合物もしくはラセミ化合物とも呼ばれ、これは化学反応もしくはプロセス内に立体選択もしくは立体特異性がなかった場合に発生することがある。用語「ラセミ混合物」および「ラセミ化合物」は、光学活性が欠けている2つのエナンチオマー種の等モル混合物を意味する。
【0074】
本明細書で使用する慣用句「医薬上許容される塩」は、ADCの医薬上許容される有機塩または無機塩を意味する。例示的な塩には、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、スクシネート、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマレート、グルコネート、グルクロネート、サッカレート、ホルメート、ベンゾエート、グルタメート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、およびパモエート(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩が含まれるが、それらに限定されない。医薬上許容される塩は、酢酸イオン、スクシネートイオンまたはその他の対イオンなどの他の分子の封入体を含むことができる。対イオンは、親化合物上の電荷を安定化させる任意の有機または無機成分であってよい。さらに、医薬上許容される塩は、その構造内に1つより多い荷電原子を有していてよい。複数の荷電原子が医薬上許容される塩の一部である場合は複数の対イオンを有することができる。したがって、医薬上許容される塩は、1つまたは複数の荷電原子および/または1つもしくは複数の対イオンを有することができる。
【0075】
「医薬上許容される溶媒和物」は、1つまたは複数の溶媒分子とADCとの結合を意味する。医薬上許容される溶媒和物を生成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが含まれるがそれらに限定されない。
【0076】
以下の頭字語、用語、および略語を本明細書で使用するが、指示した定義を有する:
BocはN−(t−ブトキシカルボニル)、citはシトルリン(2−アミノ−5−ウレイドペンタン酸)、dapはドラプロイン、DCCは1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DCMはジクロロメタン、DEAはジエチルアミン、DEADはジエチルアゾジカルボキシレート、DEPCはジエチルホスホリルシアニデート、DIADはジイソプロピルアゾジカルボキシレート、DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミン、dilはドライソロイン、DMAPは4−ジメチルアミノピリジン、DMEはエチレングリコールジメチルエーテル(または1,2−ジメトキシエタン)、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DMSOはジメチルスルホキシド、doeはドラフェニン、dovはN,N−ジメチルバリン、DTNBは5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)、DTPAはジエチレントリアミンペンタ酢酸、DTTはジチオトレイトール、EDCIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、EEDQは2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、ES−MSはエレクトロスプレー質量分析法、EtOAcは酢酸エチル、FmocはN−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、glyはグリシン、HATUはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、HPLCは高圧液体クロマトグラフィー、ileはイソロイシン、lysはリシン、MeCN(CHCN)はアセトニトリル、LC/MSは液体クロマトグラフィーおよび質量分析法、MeOHはメタノール、Mtrは4−アニシルジフェニルメチル(または4−メトキシトリチル)、norは(1S,2R)−(+)−ノルフェドリン、PBSはリン酸緩衝食塩液(pH7.4)、PEGはポリエチレングルコール、Phはフェニル、Pnpはp−ニトロフェニル、PyBropはブロモトリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、SECはサイズ排除クロマトグラフィー、Suはスクシンイミド、TFAはトリフルオロ酢酸、TLCは薄層クロマトグラフィー、UVは紫外線、およびvalはバリンである。
抗体
式Iの抗体単位(Ab−)は、その範囲内に、受容体、抗原、または所定の標的細胞集団と結び付いている他の受容性成分と結合する、または反応性に結び付く、または複合体生成する抗体(Ab)の任意単位を含んでいる。抗体は、治療的、さもなければ生物学的に修飾しようとされる細胞集団の1成分に結合する、それと複合体生成する、またはそれと反応する任意のタンパク質もしくはタンパク質様分子であってよい。1つの態様では、抗体単位は、それと抗体単位が反応する特定の標的細胞集団へ薬物単位を送達するように作用する。そのような抗体には、全長抗体および抗体フラグメントなどの高分子量タンパク質が含まれるがそれらに限定されない。
【0077】
式Iの抗体−薬物コンジュゲート(ADC)内にAbを含む有用な非免疫反応性タンパク質、ポリペプチド、またはペプチド抗体には、トランスフェリン、上皮成長因子(「EGF」)、ボンベシン、ガストリン、ガストリン放出ペプチド、血小板由来成長因子、IL−2、IL−6、例えばTGF−αおよびTGF−βなどのトランスフォーミング成長因子(「TGF」)、ワクシニア成長因子(「VGF」)、インスリンおよびインスリン様成長因子IおよびII、レクチンならびに低密度リポタンパク質由来のアポタンパク質が含まれるがそれらに限定されない。
【0078】
式Iの抗体−薬物コンジュゲート(ADC)内にAbを含み、そして癌の治療において有用な可能性がある抗体には、腫瘍関連抗原(TAA)に対する抗体が含まれるがそれらに限定されない。そのような腫瘍関連抗原は当技術分野において知られており、当技術分野においてよく公知の方法および情報を用いて抗体を生成する際に使用するために調製できる。癌の診断および療法のための有効な細胞標的を発見する試みにおいて、研究者らは1つまたは複数の正常非癌性細胞に比較して1つまたは複数の特定タイプの癌細胞の表面上で特異的に発現する膜貫通さもなければ腫瘍関連ポリペプチドを同定することを目指してきた。しばしば、そのような腫瘍関連ポリペプチドは、非癌性細胞の表面上に比較して癌細胞の表面上でより富裕に発現する。そのような腫瘍関連細胞表面抗原ポリペプチドの同定は、抗体に基づく療法を介して破壊するために癌細胞を特異的に標的とする能力を生じさせてきた。
【0079】
TAAの例には、以下に列挙するTAA(1)〜(35)が含まれるがそれらに限定されない。便宜性のために、これらの抗原に関する情報は、それらはすべて当技術分野において知られているが、下記に列挙する。これらの情報は、抗原の名称、代替の名称、Genbankアクセッション番号および主要な参考文献を含んでいる。抗体によって標的化された腫瘍関連抗原には、言及した参考文献に同定された配列に比較して少なくとも約70%、80%、85%、90%、または95%配列同一性を有する、または言及した参考文献に見いだされる配列を有するTAAと同一の生物学的特性もしくは特徴を実質的に示すすべてのアミノ酸配列変異体およびアイソフォームが含まれる。例えば、変異体配列を有するTAAは、一般に列挙した対応する配列を備えるTAAに特異的に結合する抗体へ特異的に結合することができる。本明細書で詳細に列挙した参考文献内の配列および開示は、明示的に参照して組み込まれる。
腫瘍関連抗原(1)〜(35):
(1) BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型、Genbankアクセッション番号NM_001203) ten Dijke, P., et al. Science 264(5155):101−104(1994), Oncogene 14(11):1377−1382(1997));WO2004063362(請求項2);WO2003042661(請求項12);US2003134790−A1(第38〜39頁);WO2002102235(請求項13;第296頁);WO2003055443(第91〜92頁);WO200299122(実施例2;第528〜530頁);WO2003029421(請求項6);WO2003024392(請求項2;図112);WO200298358(請求項1;第183頁);WO200254940(第100〜101頁);WO200259377(第349〜350頁);WO200230268(請求項27;第376頁);WO200148204(実施例;図4) NP_001194 bone morphogenetic protein receptor, type IB /pid=NP_001194.1−相互参照:MIM:603248;NP_00l194.1;NM_001203_1
(2) E16(LATl、SLC7A5、Genbankアクセッション番号NM_003486) Biochem. Biophys. Res. Commun. 255(2), 283−288(1999), Nature 395(6699):288−291(1998), Gaugitsch, H.W., et al. (1992) J. Biol. Chem. 267(16):11267−11273);WO2004048938(実施例2);WO2004032842(実施例IV);WO2003042661(請求項12);WO2003016475(請求項1);WO200278524(実施例2);WO200299074(請求項19;第127〜129);WO200286443(請求項27;第222頁、第393頁);WO2003003906(請求項10;第293頁);WO200264798(請求項33;第93〜95頁);WO200014228(請求項5;第133〜136頁);US2003224454(図3);WO2003025138(請求項12;第150頁);NP_003477 solute carrier family 7(cationic amino acid transporter, y+system), member 5 /pid=NP_003477.3 − Homo sapiens 相互参照:MIM:600182;NP_003477.3;NM_015923;NM_003486_1
(3) STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原、Genbankアクセッション番号NM_012449) Cancer Res. 61(15), 5857−5860(2001), Hubert, R.S., et al. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96(25):14523−14528);WO2004065577(請求項6);WO2004027049(図1L);EP1394274(実施例11);WO2004016225(請求項2);WO2003042661(請求項12);US2003157089(実施例5);US2003185830(実施例5);US2003064397(図2);WO200289747(実施例5;第618〜619頁);WO2003022995(実施例9;図13A、実施例53;第173頁、実施例2;図2A);NP_036581 six transmembrane epithelial antigen of the prostate 相互参照:MIM:604415;NP_036581.1;NM_012449_1
(4) 0772P(CA125、MUC16、Genbankアクセッション番号AF361486)J. Biol. Chem. 276(29):27371−27375(2001));WO2004045553(請求項14);WO200292836(請求項6;図12);WO200283866(請求項15;第116〜121);US2003124140(実施例16);US2003091580(請求項6);WO200206317(請求項6;第400〜408頁);相互参照:GI:34501467;AAK74120.3;AF361486_1
(5) MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球強化因子、メソテリン、Genbankアクセッション番号NM_005823)Yamaguchi, N., et al. Biol. Chem. 269(2), 805−808(1994), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 96(20):11531−11536(1999), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93(l):136−140(1996), J. Biol. Chem. 270(37):21984−21990(1995));WO2003101283(請求項14);(WO2002102235(請求項13;第287−288号);WO2002101075(請求項4;第308〜309);WO200271928(第320〜321頁);WO9410312(第52〜57頁);相互参照:MIM:601051;NP_005814.2;NM_005823_1
(6) Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質担体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター3b、Genbankアクセッション番号NM_006424) J. Biol. Chem. 277(22):19665−19672(2002), Genomics 62(2):281−284(1999), Feild, J.A., et al. (1999) Biochem. Biophys. Res. Commun. 258(3):578−582);WO2004022778(請求項2);EP1394274(実施例11);WO2002102235(請求項13;第326頁);EP875569(請求項1;第17〜19頁);WO200157188(請求項20;第329頁);WO2004032842(実施例IV);WO200175177(請求項24;第139〜140頁);相互参照:MIM:604217;NP_006415.1;NM_006424_1
(7) Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマホリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復配列(1型および1型様)、膜貫通型ドメイン(TM)および短い細胞質ドメイン、(セマホリン)5B、Genbankアクセッション番号AB040878) Nagase T., et al. (2000) DNA Res. 7(2):143−150);WO2004000997(請求項1);WO2003003984(請求項1);WO200206339(請求項1;第50頁);WO200188133(請求項1;第41〜43頁、第48〜58頁);WO2003054152(請求項20);WO2003101400(請求項11);アクセッション番号:Q9P283;EMBL;AB040878;BAA95969.1. Genew;HGNC:10737;
(8) PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbankアクセッション番号AY358628);US2003129192(請求項2);US2004044180(請求項12);US2004044179(請求項11);US2003096961(請求項11);US2003232056(実施例5);WO2003105758(請求項12);US2003206918(実施例5);EP1347046(請求項1);WO2003025148(請求項20);相互参照:GI:37182378;AAQ88991.1;AY358628_1
(9) ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbankアクセッション番号AY275463);Nakamuta M., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 177, 34−39, 1991;Ogawa Y., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 248−255, 1991;Arai H., et al. Jpn. Circ. J. 56, 1303−1307, 1992;Arai H., et al. J. Biol. Chem. 268, 3463−3470, 1993;Sakamoto A., Yanagisawa M., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 656−663, 1991;Elshourbagy N.A., et al. J. Biol. Chem. 268, 3873−3879, 1993;Haendler B., et al. J. Cardiovasc. Pharmacol. 20, Sl−S4, 1992;Tsutsumi M., et al. Gene 228, 43−49, 1999;Strausberg R.L., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 16899−16903, 2002;Bourgeois C, et al. J. Clin. Endocrinol. Metab. 82, 3116−3123, 1997;Okamoto Y., et al. Biol. Chem. 272, 21589−21596, 1997;Verheij J.B., et al. Am. J. Med. Genet. 108, 223−225, 2002;Hofstra R.M.W., et al. Eur. J. Hum. Genet. 5, 180−185, 1997;Puffenberger E.G., et al. Cell 79, 1257−1266, 1994;Attie T., et al., Hum. Mol. Genet. 4, 2407−2409, 1995;Auricchio A., et al. Hum. Mol. Genet. 5:351−354, 1996;Amiel J., et al. Hum. Mol. Genet. 5, 355−357, 1996;Hofstra R.M.W., et al. Nat. Genet. 12, 445−447, 1996;Svensson P.J., et al. Hum. Genet. 103, 145−148, 1998;Fuchs S., et al. Mol. Med. 7, 115−124, 2001;Pingault V., et al. (2002) Hum. Genet. 111, 198−206;WO2004045516(請求項1);WO2004048938(実施例2);WO2004040000(請求項151);WO2003087768(請求項1);WO2003016475(請求項1);WO2003016475(請求項1);WO200261087(図1);WO2003016494(図6);WO2003025138(請求項12;第144頁);WO200198351(請求項1;第124〜125頁);EP522868(請求項8;図2);WO200177172(請求項1;第297〜299頁);US2003109676;US6518404(図3);US5773223(請求項1a;第31〜34段);WO2004001004;
(10) MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、Genbankアクセッション番号NM_017763);WO2003104275(請求項1);WO2004046342(実施例2);WO2003042661(請求項12);WO2003083074(請求項14;第61頁);WO2003018621(請求項1);WO2003024392(請求項2;図93);WO200166689(実施例6);相互参照:Locus ID:54894;NP_060233.2;NM_017763_1
(11) STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通型上皮抗原2、6回膜貫通型前立腺タンパク質、Genbankアクセッション番号AF455138) Lab. Invest. 82(11):1573−1582(2002));WO2003087306;US2003064397(請求項1;図1);WO200272596(請求項13;第54〜55頁);WO200172962(請求項1;図4B);WO2003104270(請求項11);WO2003104270(請求項16);US2004005598(請求項22);WO2003042661(請求項12);US2003060612(請求項12;図10);WO200226822(請求項23;図2);WO200216429(請求項12;図10);相互参照:GI:22655488;AAN04080.1;AF455138_1
(12) TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbankアクセッション番号NM_017636) Xu, X.Z., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98(19):10692−10697(2001), Cell 109(3):397−407(2002), J. Biol. Chem. 278(33):30813−30820(2003));US2003143557(請求項4);WO200040614(請求項14;第100〜103頁);WO200210382(請求項1;図9A);WO2003042661(請求項12);WO200230268(請求項27;第391頁);US2003219806(請求項4);WO200162794(請求項14;図1A−D);相互参照:MIM:606936;NP_060106.2;NM_017636_1
(13) CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来成長因子、Genbankアクセッション番号NP_003203またはNM_003212) Ciccodicola, A., et al. EMBO J. 8(7):1987−1991(1989), Am. J. Hum. Genet. 49(3):555−565(1991));US2003224411(請求項1);WO2003083041(実施例1);WO2003034984(請求項12);WO200288170(請求項2;第52〜53頁);WO2003024392(請求項2;図58);WO200216413(請求項1;第94〜95頁、第105頁);WO200222808(請求項2;図1);米国特許第5,854,399号(実施例2;第17〜18段);米国特許第5,792,616号(図2);相互参照:MIM:187395;NP_003203.1;NM_003212_1
(14) CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792 Genbankアクセッション番号M26004) Fujisaku et al. (1989) J. Biol. Chem. 264(4):2118−2125);Weis J.J., et al. J. Exp. Med. 167, 1047−1066, 1988;Moore M., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84, 9194−9198, 1987;Barel M., et al. Mol. Immunol. 35, 1025−1031, 1998;Weis J.J., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 83, 5639−5643, 1986;Sinha S.K., et al. (1993) J. Immunol. 150, 5311−5320;WO2004045520(実施例4);US2004005538(実施例1);WO2003062401(請求項9);WO2004045520(実施例4);WO9102536(図9.1〜9.9);WO2004020595(請求項1);アクセッション番号:P20023;Q13866;Q14212;EMBL;M26004;AAA35786.1.
(15) CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29、Genbankアクセッション番号NM_000626または11038674) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.(2003) 100(7):4126−4131, Blood(2002) 100(9):3068−3076, Muller et al. (1992) Eur. J. Immunol. 22(6):1621−1625);WO2004016225(請求項2、図140);WO2003087768, US2004101874(請求項1、第102頁);WO2003062401(請求項9);WO200278524(実施例2);US2002150573(請求項5、第15頁);US5644033;WO2003048202(請求項1、第306および309頁);WO99/558658, US6534482(請求項13、図17A/B);WO200055351(請求項11、第1145〜1146頁);相互参照:MIM:147245;NP_000617.1;NM_000626_1
(16) FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(ホスファターゼアンカータンパク質1aを含有するSH2ドメイン)、SPAP1B、SPAP1C、Genbankアクセッション番号NM_030764) Genome Res. 13(10):2265−2270(2003), Immunogenetics 54(2):87−95(2002), Blood 99(8):2662−2669(2002), Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98(17):9772−9777(2001), Xu, M.J., et al. (2001) Biochem. Biophys. Res. Commun. 280(3):768−775;WO2004016225(請求項2);WO2003077836;WO200138490(請求項5;図18D−1〜18D−2);WO2003097803(請求項12);WO2003089624(請求項25);相互参照:MIM:606509;NP_110391.2;NM_030764_1
(17) HER2(ErbB2、Genbankアクセッション番号M11730) Coussens L., et al. Science(1985) 230(4730):1132−1139);Yamamoto T., et al. Nature 319, 230−234, 1986;Semba K., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 82, 6497−6501, 1985;Swiercz J.M., et al. J. Cell Biol. 165, 869−880, 2004;Kuhns J.J., et al. J. Biol. Chem. 274, 36422−36427, 1999;Cho H.−S., et al. Nature 421, 756−760, 2003;Ehsani A., et al. (1993) Genomics 15, 426−429;WO2004048938(実施例2);WO2004027049(図11);WO2004009622;WO2003081210;WO2003089904(請求項9);WO2003016475(請求項1);US2003118592;WO2003008537(請求項1);WO2003055439(請求項29;図1A〜B);WO2003025228(請求項37;図5C);WO200222636(実施例13;第95〜107頁);WO200212341(請求項68;図7);WO200213847(第71〜74頁);WO200214503(第114〜117頁);WO200153463(請求項2;第41〜46頁);WO200141787(第15頁);WO200044899(請求項52;図7);WO200020579(請求項3;図2);米国特許第5,869,445(請求項3;第31〜38段);WO9630514(請求項2;第56〜61頁);EP1439393(請求項7);WO2004043361(請求項7);WO2004022709;WO200100244(実施例3;図4);アクセッション番号:P04626;EMBL;M11767;AAA35808.1. EMBL;M11761;AAA35808.1.
(18) NCA(CEACAM6、Genbankアクセッション番号M18728);Barnett T., et al. Genomics 3, 59−66, 1988;Tawaragi Y., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 150, 89−96, 1988;Strausberg R.L., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99:16899−16903, 2002;WO2004063709;EP1439393(請求項7);WO2004044178(実施例4);WO2004031238;WO2003042661(請求項12);WO200278524(実施例2);WO200286443(請求項27;第427頁);WO200260317(請求項2);アクセッション番号:P40199;Q14920;EMBL;M29541;AAA59915.1. EMBL;M18728;
(19) MDP(DPEP1、Genbankアクセッション番号BC017023) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99(26):16899−16903(2002));WO2003016475(請求項1);WO200264798(請求項33;第85〜87頁);JP05003790(図6〜8);WO9946284(図9);相互参照:MIM:179780;AAH17023.1;BC017023_1
(20) IL20Rα(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbankアクセッション番号AF184971);Clark H.F., et al. Genome Res. 13, 2265−2270, 2003;Mungall A.J., et al. Nature 425, 805−811, 2003;Blumberg H., et al. Cell 104, 9−19, 2001;Dumoutier L., et al. J. Immunol. 167, 3545−3549, 2001;Parrish−Novak J., et al. J. Biol. Chem. 277, 47517−47523, 2002;Pletnev S., et al. (2003) Biochemistry 42:12617−12624;Sheikh F., et al. (2004) J. Immunol. 172, 2006−2010;EP1394274(実施例11);US2004005320(実施例5);WO2003029262(第74〜75頁);WO2003002717(請求項2;第63頁);WO200222153(第45〜47頁);US2002042366(第20〜21頁);WO200146261(第57〜59頁);WO200146232(第63〜65頁);WO9837193(請求項1;第55〜59頁);アクセッション番号:Q9UHF4;Q6UWA9;Q96SH8;EMBL;AFl84971;AAF01320.1.
(21) Brevican(BCAN、BEHAB、Genbankアクセッション番号AF229053) Gary S.C., et al. Gene 256, 139−147, 2000;Clark H.F., et al. Genome Res. 13, 2265−2270, 2003;Strausberg R.L., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99, 16899−16903, 2002;US2003186372(請求項11);US2003186373(請求項11);US2003119131(請求項1;図52);US2003119122(請求項1;図52);US2003119126(請求項1);US2003119121(請求項1;図52);US2003119129(請求項1);US2003119130(請求項1);US2003119128(請求項1;図52);US2003119125(請求項1);WO2003016475(請求項1);WO200202634(請求項1);
(22) EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Genbankアクセッション番号NM_004442) Chan, J. and Watt, V.M., Oncogene 6(6), 1057−1061(1991) Oncogene 10(5):897−905(1995), Annu. Rev. Neurosci. 21:309−345(1998), Int. Rev. Cytol. 196:177−244(2000));WO2003042661(請求項12);WO200053216(請求項1;第41頁);WO2004065576(請求項1);WO2004020583(請求項9);WO2003004529(第128〜132頁);WO200053216(請求項1;第42頁);相互参照:MIM:600997;NP_004433.2;NM_004442_1
(23) ASLG659(B7h、Genbankアクセッション番号AX092328) US20040101899(請求項2);WO2003104399(請求項11);WO2004000221(図3);US2003165504(請求項1);US2003124140(実施例2);US2003065143(図60);WO2002102235(請求項13;第299頁);US2003091580(実施例2);WO200210187(請求項6;図10);WO200194641(請求項12;図7b);WO200202624(請求項13;図1A〜1B);US2002034749(請求項54;第45〜46頁);WO200206317(実施例2;第320〜321頁、請求項34;第321〜322頁);WO200271928(第468〜469頁);WO200202587(実施例1;図1);WO200140269(実施例3;第190〜192頁);WO200036107(実施例2;第205〜207頁);WO2004053079(請求項12);WO2003004989(請求項1);WO200271928(第233〜234頁、第452〜453頁);WO0116318;
(24) PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbankアクセッション番号AJ297436) Reiter R.E., et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95, 1735−1740, 1998;Gu Z., et al. Oncogene 19, 1288−1296, 2000;Biochem. Biophys. Res. Commun.(2000) 275(3):783−788;WO2004022709;EP1394274(実施例11);US2004018553(請求項17);WO2003008537(請求項1);WO200281646(請求項1;第164頁);WO2003003906(請求項10;第288頁);WO200140309(実施例1;図17);US2001055751(実施例1;図1b);WO200032752(請求項18;図1);WO9851805(請求項17;第97頁);WO9851824(請求項10;第94頁);WO9840403(請求項2;図IB);アクセッション番号:043653;EMBL;AF043498;AAC39607.1.
(25) GEDA(Genbankアクセッション番号AY260763);AAP14954、脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP 14954.1 − ホモ・サピエンス種:ホモ・サピエンス(ヒト) WO2003054152(請求項20);WO2003000842(請求項1);WO2003023013(実施例3、請求項20);US2003194704(請求項45);相互参照:GI:30102449;AAP14954.1;AY260763_1
(26) BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、Genbankアクセッション番号NP_443177.1);NP_443177 BAFF受容体/pid=NP_443177.1 − Homo sapiens Thompson, J.S., et al. Science 293(5537), 2108−2111(2001);WO2004058309;WO2004011611;WO2003045422(実施例;第32〜33頁);WO2003014294(請求項35;図6B);WO2003035846(請求項70;第615〜616頁);WO200294852(第136〜137段);WO200238766(請求項3;第133頁);WO200224909(実施例3;図3);相互参照:MIM:606269;NP_443177.1;NM_052945_1
(27) CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム、Genbankアクセッション番号NP−001762.1);Stamenkovic, I. and Seed, B., Nature 345(6270), 74−77(1990);US2003157113;US2003118592;WO2003062401(請求項9);WO2003072036(請求項1;図1);WO200278524(実施例2);相互参照:MIM:107266;NP_001762.1;NM_001771_1
(28) CD79a(CD79A, CD79α、免疫グロブリン関連α、Igβ(CD79B)と共有的に相互作用してIg M分子と表面上で複合体を形成し、B細胞分化に含まれるシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質) PROTEIN SEQUENCE Full mpggpgv...dvqlekp(1..226;226 aa), pI:4.84, MW:25028 TM:2[P]Gene Chromosome:19q13.2、Genbankアクセッション番号NP_001774.10) WO2003088808, US20030228319;WO2003062401(請求項9);US2002150573(請求項4、第13〜14頁);WO9958658(請求項13、図16);WO9207574(図1);US5644033;Ha et al. (1992) J. Immunol. 148(5):1526−1531;Mueller et al. (1992) Eur. J. Biochem. 22:1621−1625;Hashimoto et al. (1994) Immunogenetics 40(4):287−295;Preud’homme et al. (1992) Clin. Exp. Immunol. 90(l):141−146;Yu et al. (1992) J. Immunol. 148(2) 633−637;Sakaguchi et al. (1988) EMBO J. 7(ll):3457−3464;
(29) CXCR5(Burkittリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球遊走および体液防衛において機能し、HIV−2感染およびおそらくはAIDS、リンパ腫、骨髄腫、および白血病の発生において重要な役割を果たすGタンパク質結合受容体) PROTEIN SEQUENCE Full mnypltl...atslttf(1..372;372 aa), pI:8.54 MW:41959TM:7[P]Gene Chromosome:11q23.3、Genbankアクセッション番号NP_001707.1) WO2004040000;WO2004015426;US2003105292(実施例2);US6555339(実施例2);WO200261087(図1);WO200157188(請求項20、第269頁);WO200172830(第12〜13頁);WO200022129(実施例1、第152〜153頁、実施例2、第254〜256頁);WO9928468(請求項1、第38頁);US5440021(実施例2、第49〜52段);WO9428931(第56〜58頁);WO9217497(請求項7、図5);Dobner et al. (1992) Eur. J. Immunol. 22:2795−2799;Barella et al. (1995) Biochem. J. 309:773−779;
(30) HLA−DOB(ペプチドに結合し、それらをCD4+ Tリンパ球へ提示するMHCクラスII分子のβサブユニット(Ia抗原)) PROTEIN SEQUENCE Full mgsgwvp...vllpqsc(1..273;273 aa, pI:6.56 MW:30820 TM:1[P]Gene Chromosome:6p21.3、Genbankアクセッション番号NP_002111.1) Tonnelle et al. (1985) EMBO J. 4(ll):2839−2847;Jonsson et al. (1989) Immunogenetics 29(6):411−413;Beck et al. (1992) J. Mol. Biol. 228:433−441;Strausberg et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci USA 99:16899−16903;Servenius et al. (1987) J. Biol. Chem. 262:8759−8766;Beck et al. (1996) J. Mol. Biol. 255:1−13;Naruse et al. (2002) Tissue Antigens 59:512−519;WO9958658(請求項13、図15);US6153408(第35〜38段);US5976551(第168〜170段);US6011146(第145〜146段);Kasahara et al. (1989) Immunogenetics 30(l):66−68;Larhammar et al. (1985) J. Biol. Chem. 260(26):14111−14119;
(31) P2X5(細胞外ATPによって作動するイオンチャネルであるプリン性受容体P2Xリガンド作動性イオンチャネル5は、シナプス伝達および神経発生に関与することがあり、欠損症は特発性排尿筋不安定性の病理生理学の原因となることがある) PROTEIN SEQUENCE Full mgqagck...lephrst(1..422;422 aa), pI:7.63, MW:47206 TM:1[P]Gene Chromosome:17pl3.3、Genbankアクセッション番号NP_002552.2) Le et al. (1997) FEBS Lett. 418(1−2):195−199;WO2004047749;WO2003072035(請求項10);Touchman et al. (2000) Genome Res. 10:165−173;WO200222660(請求項20);WO2003093444(請求項1);WO2003087768(請求項1);WO2003029277(第82頁);
(32) CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2) PROTEIN SEQUENCE Full maeaity...tafrfpd(1..359;359 aa), pI:8.66, MW:40225 TM:1[P]Gene Chromosome:9pl3.3、Genbankアクセッション番号NP_001773.1) WO2004042346(請求項65);WO2003026493(第51〜52頁、第57〜58頁);WO200075655(第105〜106頁);Von Hoegen et al. (1990) J. Immunol. 144(12):4870−4877;Strausberg et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci USA 99:16899−16903;
(33) LY64(ロイシンリッチリピート(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質であるリンパ球抗原64(RP105)は、B細胞の活性化およびアポトーシスを調節し、機能の消失は全身性紅斑性狼瘡を有する患者における疾患活動性の増加と関連している) PROTEIN SEQUENCE Full mafdvsc.rwkyqhi(1..661;661 aa), pI:6.20, MW:74147 TM:1[P]Gene Chromosome:5ql2、Genbankアクセッション番号NP_005573.1) US2002193567;WO9707198(請求項11、第39〜42頁);Miura et al. (1996) Genomics 38(3):299−304;Miura et al. (1998) Blood 92:2815−2822;WO2003083047;WO9744452(請求項8、第57〜61頁);WO200012130(第24〜26頁);
(34) FCRHl(C2型Ig様およびITAMドメインを含有する免疫グロブリンFcドメインに対する推定受容体であるFc受容体様タンパク質1は、Bリンパ球分化に役割を果たす可能性がある) PROTEIN SEQUENCE Full mlprlll...vdyedam(1..429;429 aa), pI:5.28, MW:46925 TM:1[P]Gene Chromosome:Iq21−1q22、Genbankアクセッション番号NP_443170.1) WO2003077836;WO200138490(請求項6、図18E−1〜18−E−2);Davis et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci USA 98(17):9772−9777;WO2003089624(請求項8);EP1347046(請求項1);WO2003089624(請求項7);
(35) IRTA2(B細胞発生およびリンパ腫発生に役割を果たす可能性がある推定的免疫受容体である免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転位関連型2;転移による遺伝子の脱調節が一部のB細胞悪性腫瘍において発生する) PROTEIN SEQUENCE Full mllwvil...assaphr(1..977;977 aa), pI:6.88 MW:106468 TM:1[P]Gene Chromosome:1q21、Genbankアクセッション番号NP_112571.1) WO2003024392(請求項2、図97);Nakayama et al. (2000) Biochem. Biophys. Res. Commun. 277(1):124−127;WO2003077836;WO200138490(請求項3、図18B−1〜18B−2);
腫瘍関連抗原およびそれに対する特異的抗体に関する他の開示については、それらのすべてが全体として参照して本明細書に組み込まれる:WO04/045516(2004年6月3日);WO03/000113(2003年1月3日);WO02/016429(2002年2月28日);WO02/16581(2002年2月28日);WO03/024392(2003年3月27日);WO04/016225(2004年2月26日);WO01/40309(2001年6月7日)、および2003年11月17日に提出された米国仮特許出願第60/520842号の“COMPOSITIONS AND METHODS FOR THE TREATMENT OF TUMOR OF HEMATOPOIETIC ORIGIN”を参照されたい。
【0080】
その他の例示的な抗体およびそれらの略語としては、以下が挙げられる:Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ)=全長の、ヒト化抗HER2(MW 145167)、Herceptin F(ab’)=酵素により抗HER2から誘導された(MW 100000)、4D5=ハイブリドーマ由来の、全長の、マウス抗HER2、rhu4D5=一過性発現した、全長ヒト化抗体、rhuFab4D5=組み換えヒト化Fab(MW 47738)、4D5Fc8=突然変異FcRn結合ドメインを有する全長のマウス抗HER2。
【0081】
本発明の抗体−薬物結合体(ADC)の抗体は、ErbB遺伝子によってコードされた受容体へ特異的に結合し得る。抗体は、EGFR、HER2、HER3およびHER4から選択されるErbB受容体へ、特異的に結合し得る。ADCは、HER2受容体の細胞外ドメインへ特異的に結合し、HER2受容体を過剰発現する腫瘍細胞の増殖を阻害し得る。HERCEPTIN(登録商標)(トラスツズマブ)は、ヒト上皮成長因子受容体2タンパク質HER2(ErbB2)の細胞外ドメイン(ECD)へ選択的に結合する(米国特許第5,821,337号;第6,054,297号;第6,407,213号;第6,639,055号;Coussens et al.(1985)Science 230:1132−9;Slamon, et al.(1989)Science 244:707−12を参照のこと)。トラスツズマブは、HER2へ結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域(cdr)とともにヒトフレームワーク領域を含有するIgG1κ抗体である。トラスツズマブはHER2抗原に結合し、そこでHER2を過剰発現するヒト腫瘍細胞の増殖を阻害する(Hudziak RM,et al.(1989)Mol Cell Biol 9:1165−72;Lewis GD,et al.(1993)Cancer Immunol Immunother;37:255−63;Baselga J,et al.(1998)Cancer Res.58:2825−2831)。
【0082】
ADCの抗体は、モノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体)、キメラ抗体、またはヒト化抗体であり得る。ヒト化抗体は、huMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7またはhuMAb4D5−8(トラスツズマブ)であり得る。抗体は、抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント)であり得る。
【0083】
癌を処置または予防するための公知の抗体が、ADCとして結合体化され得る。癌細胞抗原に対して免疫特異的な抗体は、市販で入手できるか、または例えば組み換え発現技術などの当業者に公知の任意の方法によって生成することができる。癌細胞抗原に対して免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列は、GenBankデータベースまたは類似のデータベース、文献刊行物、または日常的クローニングおよびシーケンシングによって入手できる。癌を治療するために利用可能な抗体の例としては、転移性乳癌を有する患者を処置するためのヒト化抗HER2モノクローナル抗体;非ホジキンリンパ腫を有する患者を処置するためのキメラ抗CD20モノクローナル抗体であるRITUXAN(登録商標)(リツキシマブ;Genentech社);卵巣癌を処置するためのマウス抗体であるOvaRex(AltaRex Corporation、マサチューセッツ州);結腸直腸癌を処置するためのマウスIgG2a抗体であるPanorex(Glaxo Wellcome、ノースカロライナ州);頭頸部癌などの上皮成長因子陽性癌を処置するための抗EGFR IgGキメラ抗体であるCetuximab Erbitux(Imclone Systems Inc.、ニューヨーク州);肉腫を処置するためのヒト化抗体であるVitaxin(MedImmune,Inc.、メリーランド州);慢性リンパ球性白血病(CLL)を処置するためのヒト化IgG抗体であるCampath I/H(Leukosite、メリーランド州);急性骨髄性白血病(AML)を処置するためのヒト化抗CD33 IgG抗体であるSmart MI95(Protein Design Labs,Inc.、カリフォルニア州);非ホジキンリンパ腫を処置するためのヒト化抗CD22 IgG抗体であるLymphoCide(Immunomedics,Inc.、ニュージャージー州);非ホジキンリンパ腫を処置するためのヒト化抗HLA−DRであるSmart ID10(Protein Design Labs,Inc.、カリフォルニア州);非ホジキンリンパ腫を処置するための放射標識マウス抗HLA−Dr10抗体であるOncolym(Techniclone,Inc.、カリフォルニア州);ホジキン病または非ホジキンリンパ腫を処置するためのヒト化CD2 MAbであるAllomune(BioTransplant、カリフォルニア州);肺癌および結腸直腸癌を処置するための抗VEGFヒト化抗体であるAvastin(Genentech,Inc.、カリフォルニア州);非ホジキンリンパ腫を処置するための抗CD22抗体であるEpratuzamab(Immunomedics,Inc.、ニュージャージー州およびAmgen、カリフォルニア州);ならびに結腸直腸癌を処置するためのヒト化抗CEA抗体であるCEAcide(Immunomedics、ニュージャージー州)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0084】
(標識抗体)
本発明の抗体は、システインチオールもしくはリシンアミノなどの反応性官能基を通して抗体へ共有結合させることのできる任意の標識成分と結合体化することができる(Singh et al.(2002)Anal.Biochem.304:147−15;Harlow E.およびLane,D.(1999)Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Springs Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Lundblad R.L.(1991)Chemical Reagents for Protein Modification,第2版、CRC Press,Boca Raton,FL)。結合された標識は、(i)検出可能なシグナルを提供するため;(ii)第2の標識と相互作用して、第1標識もしくは第2標識によって提供される検出可能なシグナルを修飾し、例えばFRET(蛍光共鳴エネルギー転移)を起こすため;(iii)抗原もしくはリガンドを用いて相互作用を安定化させるため、または結合親和性を増加させるため;(iv)電荷、疎水性、形状、または物理的パラメータによって移動度(例えば、電気泳動移動度)または細胞透過性に影響を及ぼすため、あるいは(v)リガンド親和性、抗体/抗原結合、またはイオン性複合体形成を調節するための捕捉成分を提供するために機能し得る。
【0085】
本発明の標識抗体は、さらにまた親和性精製剤として使用することもできる。このプロセスでは、標識抗体は、当該分野において周知の方法を用いて、Sephadex樹脂または濾紙などの固相上に固定化され得る。固定化された抗体は、精製すべき抗原を含有するサンプルと接触させられ、その後支持体は、固定化ポリペプチド変異体へ結合している精製すべき抗原を除くサンプル内の全物質を実質的に除去するであろう適切な溶媒を用いて洗浄される。最後に、支持体はグリシン緩衝液(pH5.0)などのポリペプチド変異体から抗原を放出させる別の適切な溶媒を用いて洗浄される。
【0086】
ポリペプチド変異体は、診断アッセイにおいて、例えば特異的細胞、組織、または血清中の当該抗原の発現を検出するためにも有用であり得る。
【0087】
診断的適用のためには、抗体は、代表的には検出可能な成分で標識されるであろう。一般に以下のカテゴリーに分類できる多数の標識を利用できる:
(a)35S、14C、125I、H、および131Iなどの放射性同位体。抗体は、Current Protocols in Immunology,第1巻および第2巻,Coligenら編、Wiley−Interscience,New York,New York,Pubs.(1991)に記載された技術を使用して、放射性同位体を含むか、または試薬が抗体の遺伝子組み換えシステインチオールと反応性である場合は放射性同位体と複合体形成できる試薬を用いて、標識され得る。
(b)希土類キレート剤(ユーロピウムキレート剤)もしくはフルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリンおよびテキサスレッドなどの蛍光標識が、利用可能である。蛍光標識は、例えばCurrent Protocols in Immunology(上記)に開示した技術およびMolecular Probes(Eugene、オレゴン州)からの蛍光標識試薬を用いて、ポリペプチド変異体へ結合体させることができる。
(c)複合体金属イオンと複合体形成できるDOTAまたはクラウンエーテルなどのキレート試薬(US2002/0006379)。
(d)様々な酵素−基質標識が、利用可能であるか、または開示されている(米国特許第4,275,149号)。この酵素は、一般に様々な技術を用いて測定できる色素産生基質の化学変化を触媒する。例えば、この酵素は、分光光度計によって測定できる基質内の変色を触媒することができる。または酵素は、基質の蛍光または化学発光を変化させることができる。蛍光における変化を定量するための技術は、上述されている。化学発光基質は、化学反応によって電気的に誘起され、その後で(例えば、化学照度計を使用して)測定できるか、または蛍光受容体へエネルギーを供与する光線を発光できる。酵素標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼおよび細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ(AP)、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、およびグルコース6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(ウリカーゼおよびキサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが含まれる。酵素を抗体へ結合体させるための技術は、O’Sullivan et al.,Methods for the Preparation of Enzyme−Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay,Methods in Enzym.(J.Langone & H.Van Vunakis編),Academic press,New York,73:147−166(1981)に記載されている。
【0088】
酵素−基質の組み合わせの例としては、例えば以下のものが挙げられる:
(i)基質として水素ペルオキシダーゼを有する西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)であり、ここで水素ペルオキシダーゼが色素前駆体(例えば、オルトフェニレンジアミン(OPD)または3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB))を酸化する;
(ii)色素産生基質としてパラ−ニトロフェニルリン酸塩を有するアルカリホスファターゼ(AP);および
(iii)色素産生基質(例、p−ニトロフェニル−β−Dガラクトシダーゼ)または蛍光産生基質4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトシダーゼを有するβ−D−ガラクトシダーゼ(β−D−Gal)。
【0089】
多数の他の酵素−基質の組み合わせが、当業者にとって利用可能である。これらの一般的概論については、米国特許第4,275,149号および第4,318,980号を参照のこと。
【0090】
時々、標識は、ポリペプチド変異体と間接的に結合体化される。当業者は、これを達成するための様々な技術を認識している。例えば、ポリペプチド変異体は、ビオチンと結合体化することができ、そして上記で言及した任意の標識のカテゴリーはアビジンと結合体することができ、その逆もまた考えられる。ビオチンはアビジンへ選択的に結合するため、そこで標識はこの間接的方法でポリペプチド変異体と結合体することができる。または、標識とポリペプチド変異体との間接的結合体化を達成するためには、ポリペプチド変異体は小ハプテン(例、ジゴキシン)と結合体させられ、そして上述した様々なタイプの標識の1つは抗ハプテンポリペプチド変異体(例えば、抗体)と結合体化される。そこで、標識とポリペプチド変異体との間接的結合体化を達成できる(Hermanson,G.(1996)、Bioconjugate Techniques Academic Press,San Diego)。
【0091】
本発明のポリペプチド変異体は、競合的結合アッセイ直接および間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイ(Zola,(1987)Monoclonal Antibodies:A Manual of Techniques,pp.147−158,CRC Press,Inc.)などの任意の公知のアッセイ法において使用できる。
【0092】
ポリペプチド変異体は、さらにまたインビボ診断アッセイのためにも使用できる。一般に、ポリペプチド変異体は、免疫またはそれを発現する細胞の所在位置を免疫シンチグラフィーにより確認できるように放射性核種(11199Tc、14C、131I、125I、H、32P、または35S)を用いて標識される。
【0093】
検出標識は、結合または認識事象を、局在化し、可視化し、そして定量するために有用であり得る。本発明の標識抗体は、細胞表面受容体を検出できる。検出可能な標識抗体のためのまた別の使用は、ビーズを蛍光標識抗体と結合体化させる工程、およびリガンド結合の際の蛍光シグナルを検出する工程を包含する、ビーズに基づく免疫捕捉法である。類似の結合検出方法は、抗体−抗原相互作用を測定および検出するために表面プラズモン共鳴(SPR)作用を利用する。
【0094】
抗体を染色または標識するために一般に適合する検出標識は、以下の特性を有し得る:(i)標識抗体は、無細胞アッセイおよび細胞ベースアッセイの両方で検出される少量のバイオポリマーを高感受性で検出できるように、低バックグラウンドの高シグナルを生成するはずであり;かつ(ii)標識抗体は、顕著な光の退色なしで、蛍光シグナルを観察、監視および記録できるように光安定性でなければならない。膜または細胞表面、特に生細胞への標識抗体の細胞表面結合を含む適用のためには、標識は、好ましくは(iii)有効な結合体濃度および検出感受性を達成するための良好な水溶性を有し、かつ(iv)細胞の正常な代謝プロセスを中断させることがない、または早期細胞死を誘発しないように生細胞にとって非毒性である。検出可能なシグナルを提供する標識成分としては、蛍光色素、化学発光色素(Briggs et al.,“Synthesis of Functionalised Fluorescent Dyes and Their Coupling to Amines and Amino Acids,”J.Chem.Soc,Perkin−Trans.1:1051−1058(1997)が挙げられる。
【0095】
ペプチド標識方法は周知である。Haugland,2003,Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Molecular Probes,Inc.;Brinkley,1992,Bioconjugate Chem.3:2;Garman,1997,“Non−Radioactive Labelling:A Practical Approach”,Academic Press,London;Means(1990)Bioconjugate Chem.1:2;Glazer et al.(1975)“Chemical Modification of Proteins.Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology”(T.S.WorkおよびE.Work編)American Elsevier Publishing Co.,New York;Lundblad,R.L.およびNoyes,C.M.(1984)“Chemical Reagents for Protein Modification”,第I巻および第II巻,CRC Press,New York;Pfleiderer,G.(1985)“Chemical Modification of Proteins,In Modern Methods in Protein Chemistry”,H.Tschesche編、Walter DeGryter,Berlin and New York;ならびにWong(1991)“Chemistry of Protein Conjugation and Cross−linking”,CRC Press,Boca Raton,Fla.)を参照のこと。
【0096】
十分に近くで2つの成分、蛍光レポーターおよびクエンチャーを用いて標識されたペプチドは、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を起こす。レポーター基は、代表的には、最高輝度で発光させるために適切なストークスシフトで、特定の波長の光によって励起され、アクセプター(もしくはクエンチャー)基へエネルギーを転移させる蛍光色素である。蛍光色素としては、フルオレセインおよびローダミン、ならびにそれらの誘導体などの拡張芳香族性を有する分子が挙げられる。蛍光レポーターは、インタクトなペプチド内でクエンチャー成分によって部分的または有意にクエンチされ得る。ペプチダーゼまたはプロテアーゼによりペプチドが開裂すると、蛍光の検出可能な増加を測定できる(Knight,C.(1995)“Fluorimetric Assays of Proteolytic Enzymes”,Methods in Enzymology,Academic Press,248:18−34)。
【0097】
標識試薬は、代表的には、(i)標抗体の反応性官能基と直接的に反応して識抗体を生成するか、(ii)リンカー試薬と反応してリンカー標識中間物を生成するか、または(iii)リンカー抗体と反応して標識抗体を生成し得る、反応機能性を有している。標識試薬の反応官能基としては:マレイミド、ハロアセチル、ヨードアセトアミドスクシンイミジルエステル(例、NHS、N−ヒドロキシスクシンイミド)、イソチオシアネート、塩化スルホニル、2,6−ジクロロトリアジニル、ペンタフルオロフェニルエステル、およびホスホルアミダイトが挙げられるが、他の官能基もまた使用され得る。
【0098】
例示的な反応官能基は、検出可能な標識(例えば、ビオチンまたは蛍光色素)のカルボキシル基置換基であるN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(NHS)である。標識のNHSエステルは、実施、単離、精製、および/または特性付けるされ得る。またこのNHSエステルは、インサイチュで形成され、抗体の求核基と反応し得る。代表的には、標識のカルボキシル形態は、標識のNHSエステルを生じさせるためにカルボジイミド試薬、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、またはウロニウム試薬、例えばTSTU(O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸塩、HBTU(O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、もしくはHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、およびN−ヒドロキシスクシンイミドの一部の組み合わせを反応させる工程によって達成される。一部の場合には、標識および抗体は、1つの工程で標識−抗体結合体を生成するために標識のインサイチュ活性化および抗体との反応によって結合させることができる。他の活性化および結合試薬としては、TBTU(2−(lH−ベンゾトリアゾ−1−イル)−1−1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩)、TFFH(N,N’,N’’,N’’’−テトラメチルウロニウム2−フルオロ−ヘキサフルオロリン酸塩)、PyBOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩、EEDQ(2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロ−キノリン)、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド);DIPCDI(ジイソプロピルカルボジイミド)、MSNT(l−(メシチレン−2−スルホニル)−3−ニトロ−1H−1,2,4−トリアゾール、およびアリールスルホニルハロゲン化物、例えばトリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリドが挙げられる。例示的な抗体およびテトラメチルローダミン(TAMRA)蛍光色素結合体は:
【0099】
【化5】

として示される。
【0100】
図示したように、抗体の1つ以上の反応性アミノ基(例えばリシン)は、TAMRAなどの蛍光色素のNHS活性エステルのヒドロキシスクシンイミド基を置換し、1つ以上のTAMRA色素成分の抗体への結合体化をもたらす。他の蛍光色素に近接する所定の蛍光色素は自己消光することがある。蛍光またはUV吸光度によって測定される輝度(分子吸光係数)が分子内の色素成分の数と線形に相関していない場合には、自己消光作用が認められる。図8は、脱グリコシル化後のトラスツズマブ−ローダミン結合体の逆重畳スペクトルを示している。図9は、定量のために使用される図8の脱グリコシル化後のトラスツズマブ−ローダミン結合体のスペクトルの逆重畳前の荷電イオン(m/z)を示している。本発明の分離法、検出法、および定量法は、色素負荷および生成物分布(図39)を特性解析できるが、他方蛍光またはUV分光法では特性解析できない。
【0101】
(薬物成分)
式Iの抗体−薬物結合体(ADC)の薬物成分(D)は、細胞毒性または細胞増殖抑制作用を有する任意の化合物、成分、または基を含んでいる。薬物成分は、ミクロチューブリン阻害剤、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、またはDNAインターカレーターとして機能できる化学療法薬を含んでいる。式Iの抗体−薬物結合体内の薬物成分は、他の作用機序を有する可能性があり、任意のそのような機序に限定されない。
【0102】
式Iの抗体−薬物結合体化合物内の例示的薬物成分Dは、細胞毒性剤、特に癌治療に使用される細胞毒性剤である。そのような薬物としては、一般に、DNA傷害剤、代謝拮抗剤、天然産物およびそれらのアナログが挙げられる。例示的なクラスの細胞毒性剤としては、ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤およびチミジル酸シンターゼなどの酵素阻害剤、DNAインターカレーター、DNA開裂剤、トポイソメラーゼ阻害剤、薬物のアントラサイクリンファミリー、ビンカ薬、マイトマイシン、ブレオマイシン、細胞毒性ヌクレオシド、薬物のプテリジンファミリー、ジイネン系、ポドフィロトキシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、分化誘導剤、およびタキソールが挙げられる。例示的な薬物成分としては:メトトレキセート、メトプテリン、ジクロロメトトレキセート、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、シトシンアラビノシド、メルファラン、ロイロシン、ロイロシデイン、アクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、マイトマイシンC、マイトマイシンA、カルミノマイシン、アミノプテリン、タリソマイシン、ポドフィロトキシンならびにエトポシドもしくはエトポシドリン酸塩などのポドフィロトキシン誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール、タキソテールレチノイン酸、酪酸、N−アセチルスペルミジン、カンプトテシン、カリケアマイシン、エスペラマイシン、エンジイン、ならびにそれらの誘導体およびアナログが挙げられるが、それらに限定されない。
【0103】
式Iの抗体−薬物結合体(ADC)の薬物成分(D)は、構造:
【0104】
【化6】

(式中、波線は、抗体−薬物結合体(ADC)のリンカー(L)へのDの硫黄原子の共有結合を示している。Rは、独立してHであってもC−Cアルキルであってもよい。アミド基を硫黄原子へ結合させるアルキレン鎖は、メタニル、エタニル、またはプロピルであり得る。すなわち、mは1、2、または3である)を有するメイタンシノイドを含む。
【0105】
メイタンシン化合物は、タンパク質、チューブリンの重合の阻害により、有糸分裂中の微小管の形成を阻害することによって、細胞増殖を阻害する(Remillard et al.(1975)Science 189:1002−1005;米国特許第5,208,020号)。メイタンシンは、東アフリカの灌木Maytenus serrataから単離され、メトトレキセート、ダウノルビシン、およびビンクリスチンのような従来の抗癌化学療法薬より100倍から1,000倍以上細胞毒性であることが証明されている(米国特許第3,896,111号)。続いて、一部の微生物が、メイタンシノールおよびメイタンシノールのC−3エステルなどのメイタンシノイドも生成することが発見された(米国特許第4,151,042号)。メイタンシノールの合成C−3エステルおよびメイタンシノールのアナログについてもまた報告されている(Kupchan et al.,(1978)J.Med.Chem.21:31−37;Higashide et al.(1977)Nature 270:721−722;Kawai et al.,(1984)Chem.Pharm.Bull.32:3441−3451)。メイタンシノールのアナログ(これからC−3エステルが調製される)は、芳香環(例えば、デクロロ)上およびC−9、C−14(例、ヒドロキシル化メチル基)、C−15、C−18、C−20およびC−4,5で修飾されたメイタンシノールを含んでいる。天然型および合成C−3エステルは、以下の2つの群に分類できる:
(a)単純なカルボン酸を有するC−3エステル(米国特許第4,248,870号;第4,265,814号;第4,308,268号;第4,308,269号;第4,309,428号;第4,317,821号;第4,322,348号;および第4,331,598号)、および
(b)N−メチル−L−アラニンの誘導体を有するC−3エステル(米国特許第4,137,230号および第4,260,608号;およびKawai et al.,(1984)、Chem.Pharm.Bull.32:3441−3451)。(b)群のエステルは、(a)群のエステルよりはるかに細胞毒性であることが見いだされた。
【0106】
メイタンシンおよびメイタンシノイドは、高度に細胞毒性であるが、癌治療におけるそれらの臨床使用は、主として腫瘍に対する選択性が乏しいことによる重度の全身性副作用によって、大きく限定されている。メイタンシンを用いた臨床試験は、中枢神経系および消化器系への重篤な副作用のために中止されていた(Issel et al.,(1978)Can.Treatment.Rev.5:199−207)。
【0107】
メイタンシノイド薬物成分は、それらが:(i)醗酵もしくは化学修飾、発酵産物の誘導体化によって調製するために比較的入手し易い、(ii)抗体への非ジスルフィドリンカーによる結合体化に適合する官能基を用いた誘導体化に受け入れられる、(iii)血漿中で安定である、そして(iv)様々な腫瘍細胞株に対して有効であるために、抗体−薬物結合体における魅力的な薬物成分である。
【0108】
他の薬物成分を用いた場合と同様に、メイタンシノイド薬物成分の全ての立体異性体(すなわちDのキラル炭素でのRおよびS立体配置の任意の組み合わせ)は、本発明の化合物であると企図される。1つの実施形態では、メイタンシノイド薬物成分(D)は、以下の立体化学配置を有する:
【0109】
【化7】

メイタンシノイド薬物成分の例示的な実施形態は、構造:
【0110】
【化8】

を有するDM1、(CR=CHCH;DM3、(CR=CHCHCH(CH);およびDM4、(CR=CHCHC(CHを含む。
【0111】
式Iの抗体−薬物結合体(ADC)の薬物成分(D)はまた、ドラスタチンおよびそれらのペプチドアナログおよび誘導体、オーリスタチン(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)も含む。ドラスタチンおよびオーリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、ならびに核および細胞分割を妨害し(Woyke et al.(2001)Antimicrob.Agents and Chemother.45(12):3580−3584)、そして抗癌活性(米国特許第5,663,149号)および抗真菌活性を有する(Pettit et al.(1998)、Antimicrob.Agents Chemother.42:2961−2965)ことが証明されている。ドラスタチンおよびオーリスタチン薬物成分は、ペプチド薬物成分のN(アミノ)末端またはC(カルボキシル)末端により抗体へ結合させることができる(WO02/088172)。オーリスタチンEの変異体は、米国特許第5,767,237号;第6,124,431号に開示されている。
【0112】
式Iの抗体−薬物結合体(ADC)の薬物成分(D)の実施形態には、“Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands”, US Ser. No. 10/983,340, filed Nov. 5, 2004に開示されており、構造:
【0113】
【化9】

を有するN末端結合モノメチルオーリスタチン薬物成分DおよびDを含む。式中、DおよびDの波線はリンカーのA、W、またはYに対する共有結合部位を示しており、各場所では独立しており:
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、C−C20アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
は、Hおよびメチルから選択され;
またはRおよびRは一緒に炭素環を形成して式−(CR−(式中、RおよびRは、独立してH、C−CアルキルおよびC−C炭素環から選択され、nは2、3、4、5および6から選択される)を有し;
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
は、H、C−Cアルキル、C−C炭素環、C−C20アリール、C−Cアルキル−(C−C20アリール)、C−Cアルキル−(C−C炭素環)、C−C複素環およびC−Cアルキル−(C−C複素環)から選択され;
各Rは、独立してH、OH、C−Cアルキル、C−C炭素環およびO−(C−Cアルキル)から選択され;
は、HおよびC−Cアルキルから選択され;
10は、C−C20アリールまたはC−C複素環から選択され;
Zは、O、S、NH、またはNR12(式中、R12はC−Cアルキルである)であり;
11は、H、C−C20アルキル、アリール、C−C複素環、−(R13O)−R14、または−(R13O)−CH(R15から選択され;
mは、1〜1000の範囲内の整数であり;
13は、C−Cアルキルであり;
14は、HまたはC−Cアルキルであり;
15の各発生は、独立してH、COOH、−(CH−N(R16、−(CH−SOH、または−(CH−SO−C−Cアルキルであり;
16の各発生は,独立してH、C−Cアルキル、または−(CH−COOHであり;
18は、−C(R−C(R−(C−C20アリール)、−C(R−C(R−(C−C複素環)、および−C(R−C(R−(C−C炭素環)から選択され;そして
nは、0〜6の範囲内の整数である。
【0114】
薬物成分Dの例示的な実施形態は、MMAEである:
【0115】
【化10】

薬物成分Dの例示的な実施形態は、MMAFである:
【0116】
【化11−1】

MMAEおよびMMAF免疫結合体は、Senter et al.,Proceedings of the American Association for Cancer Research,Volume 45,Abstract Number 623,2004年3月28日提出、に開示されている。
【0117】
代表的には、ペプチドをベースとする薬物成分は、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメント間でペプチド結合を生成する工程によって調製することができる。そのようなペプチド結合は、例えば、ペプチド化学の分野において周知の液相合成法(例えば、E.SchroderおよびK.Luebke,“The Peptides”,第1巻,pp.76−136,1965,Academic Pressを参照のこと)によって調製することができる。オーリスタチン/ドラスタチン薬物成分は:米国特許第5,635,483号;第5,780,588号;Pettit et al.(1989)、J.Am.Chem.Soc.111:5463−5465;Pettit et al.(1998)、Anti−Cancer Drug Design 13:243−277;Pettit,G.R.,et al.Synthesis,1996,719−725;ならびにPettit et al.(1996)、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1 5:859−863の方法によって調製することができる。
【0118】
式Iの化合物のために有用なまた別のクラスの薬物成分は、カリケアマイシン(米国特許第5,053,394号;第4,970,198号;第5,079,233号;第5,773,001号;第5,606,040号;第5,739,116号;第5,264,586号;第5,384,412号)およびエスペラマイシン(米国特許第5,877,296号)のエン−ジインファミリーである。
【0119】
(リンカー)
「リンカー」(L)は、1つ以上の薬物成分(D)および抗体単位(Ab)へ連結させて式Iの抗体−薬物結合体(ADC)を生成するために使用できる二官能または多官能成分である。抗体−薬物結合体(ADC)は、薬物および抗体へ結合させるために反応性官能基を有するリンカーを使用して簡便に調製できる。システインチオール、リシンアミノ、アスパラギン酸カルボン酸を含む抗体(Ab)の様々な官能基は、薬物成分または薬物−リンカー試薬の官能基との結合を生成することができる。
【0120】
1つの態様では、リンカーは、抗体上に存在するシステインなどの求核基と反応性である求電子基を有する。例えば、抗体のシステインチオールは、リンカー上の求核基と反応性であり、リンカーとの共有結合を生成する。有用な求電子基としては、マレイミドおよびハロアセトアミド基が挙げられるが、それらに限定されない。抗体のシステインチオールは、Klussman, et al.(2004),Bioconjugate Chemistry 15(4):765−773の第766頁、および実施例4のプロトコールによると、薬物成分−リンカー、またはリンカー試薬のマレイミドもしくはα−ハロカルボニルなどの求電子性官能基と反応することができる。
【0121】
1つの実施形態では、ADCのリンカーLは式:
−A−W−Y
(式中、
Aは、抗体(Ab)のシステインチオールへ共有結合したストレッチャー単位(Stretcher unit)である;
aは、0または1である;
各Wは、独立してアミノ酸単位である;
wは、独立して0〜12の範囲内の整数である;
Yは、薬物成分へ共有結合したスペーサー単位である;および
yは、0、1または2である)を有する。
【0122】
例示的な実施形態は、Dはアミノ酸のC末端カルボキシル基と、yが1または2である場合にスペーサー単位と結合を形成し得、yが0である場合にスペーサー単位のカルボキシル基と結合を形成し得、wおよびyが各々0である場合にストレッチャー単位のカルボキシル基と、そしてa、w、およびyが各々0である場合に薬物単位のカルボキシル基との結合を形成し得る窒素原子を有する薬物単位(成分)である実施形態を含む。用語「薬物単位」および「薬物成分」は同義語であり、本明細書では互換的に使用されることが理解される。
【0123】
(ストレッチャー単位)
ストレッチャー単位(A)は、存在する場合は、抗体単位をアミノ酸単位(W)へ連結させることができる。これに関連して、抗体(Ab)は、ストレッチャー単位の求電子性官能基との結合を形成できる遊離システインチオール基を有する。本実施形態の例示的なストレッチャー単位は、式IIIaおよびIIIb(式中、Ab、W、Y、D、wおよびyは上記に定義したとおりであり、およびR17は、(CH、C−Cカルボシクリル、O−(CH−、アリール、(CH−アリール、アリール−(CH−、(CH−(C−Cカルボシクリル)、(C−Cカルボシクリル)−(CH、C−Cヘテロシクリル、(CH−(C−Cヘテロシクリル)、−(C−Cヘテロシクリル)−(CH−、−(CHC(O)NR(CH−、−(CHCHO)−、−(CHCHO)−CH−、(CHC(O)NR(CHCHO)−、(CHC(O)NR(CHCHO)−CH−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−、−(CHCHO)C(O)NR(CHCHO)−CH−および−(CHCHO)C(O)NR(CH−(式中、rは独立して1〜10の範囲内の整数である)から選択される二価ラジカルである)の大括弧内に記載されている。
【0124】
III−VIなどの式Iの例示的な実施形態すべてからのADCは、明示的に記載していない場合でさえ、1〜4つの薬物成分が抗体に連結していると理解されたい(p=1〜4)。
【0125】
【化11−2】

例示的なストレッチャー単位は、式IIIaのストレッチャー単位であり、マレイミド−カプロイル(MC)(式中、R17は−(CH−である)に由来する:
【0126】
【化12】

例示的なストレッチャー単位は、式IIIaのストレッチャー単位であり、マレイミド−プロパノイル(MP)(式中、R17は−(CH−である)に由来する:
【0127】
【化13】

また別の例示的なストレッチャー単位は、式IIIa(式中、R17は−(CHCHO)−CH−であり、rは2である)のストレッチャー単位である:
【0128】
【化14】

また別の例示的なストレッチャー単位は、式IIIa(式中、R17は(CHC(O)NR(CHCHO))−CH−(式中、RはHであり、各rは2である)のストレッチャー単位である:
【0129】
【化15】

また別の例示的なストレッチャー単位は、式IIIb(式中、R17は−(CH−である)のストレッチャー単位である:
【0130】
【化16】

また別の実施形態では、ストレッチャー単位は抗体単位の硫黄原子とストレッチャー単位の硫黄原子との間のジスルフィド結合を介して、抗体単位と連結している。この実施形態の例示的なストレッチャー単位は、式IV(式中、R17、Ab−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは上記に定義したとおりである)の大括弧内に記載されている。
【0131】
【化17】

さらにまた別の実施形態では、ストレッチャーの反応基は、抗体の遊離システインチオールとの結合を形成できるチオール反応性官能基を含有する。チオール反応性官能基の例には、マレイミド、α−ハロアセチル、スクシンイミドエステルなどの活性化エステル、4−ニトロフェニルエステル、ペンタフルオロフェニルエステル、テトラフルオロフェニルエステル、無水物、酸性塩化物、塩化スルホニル、イソシアネートおよびイソチオシアネートが含まれるが、それらに限定されない。この実施形態の例示的なストレッチャー単位は、式VaおよびVb(式中、−R17−、Ab−、−W−、−Y−、−D、wおよびyは上記に定義したとおりである)の大括弧内に記載されている。
【0132】
【化18】

また別の実施形態では、リンカーは、分枝状多官能リンカー成分を通して1つより多い薬物成分を抗体へ共有結合させるための樹状型リンカーであり得る(Sun et al.(2002)Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 12:2213−2215;Sun et al.(2003)Bioorganic & Medicinal Chemistry 11:1761−1768)。樹状型リンカーは、薬物対抗体のモル比、すなわちADCの力価に関連している負荷量を増加させることができる。そこで、抗体が反応性システインチオール基を1つしか有していない場合は、樹状型リンカーを通して多数の薬物成分を結合させることができる。樹状型リンカー試薬の以下の例示的な実施形態は、クロロエチルナイトロジェンマスタード官能基との反応によって9つまでの求核薬物成分試薬を結合体するのを可能にする。
【0133】
【化19】

(アミノ酸単位)
リンカーは、アミノ酸残基を含み得る。アミノ酸単位(−W−)は、存在する場合は、本発明の抗体−薬物結合体(ADC)内で抗体(Ab)を薬物成分(D)に連結する。
【0134】
アミノ酸単位−W−は、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、ペンタペプチド、ヘキサペプチド、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、ウンデカペプチド、またはドデカペプチド単位である。アミノ酸単位を含むアミノ酸残基としては、天然型、ならびに小さなアミノ酸およびシトルリンなどの非天然型アミノ酸アナログが挙げられる。各−W−単位は、独立して以下の大括弧内に記載した式:
【0135】
【化20】

(式中、R19は、水素、メチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、ベンジル、p−ヒドロキシベンジル、−CHOH、CH(OH)CH、−CHCHSCH、−CHCONH、−CHCOOH、−CHCHCONH、−CHCHCOOH、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHC(=NH)NH、−(CHNH、−(CHNHCOCH、−(CHNHCHO、−(CHNHCONH、−(CHNHCONH、−CHCHCH(OH)CHNH、2−ピリジルメチル−、3−ピリジルメチル−、4−ピリジルメチル−、フェニル、シクロヘキシル、
【0136】
【化21】

である)を有しており、wは0〜12の範囲内の整数である)を有する。
【0137】
19が水素以外である場合は、R19が結合している炭素原子はキラルである。R19が結合している各炭素原子は、独立して(S)または(R)立体配置、またはラセミ混合物にある。従って、アミノ酸単位は、エナンチオマー的に純粋であっても、ラセミ性であっても、またはジアステレオマー性であってもよい。
【0138】
例示的な実施形態では、wは、1、2、または3であり、一本鎖アミノ酸、ジペプチド、およびトリペプチドアミノ酸単位各々を生成し得る。アミノ酸単位Wは、天然および非天然アミノ酸から選択される。側鎖を有する炭素は、DまたはL(RまたはS)のいずれかの立体配置であり得る。アミノ酸単位Zは、アラニン、2−アミノ−2−シクロヘキシル酢酸、2−アミノ−2−フェニル酢酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、γ−アミノ酪酸、α,α−ジメチルγ−アミノ酪酸、β,β−ジメチルγ−アミノ酪酸、オルニチン、およびシトルリン(Cit)であり得る。アミノ酸単位Zは、必要に応じて、側鎖の反応性官能基が保護されているアミノ酸の保護形態を含む。アセチル、ホルミル、トリフェニルメチル(トリチル)、およびモノメトキシトリチル(MMT)を用いて保護されたリシンを含む保護アミノ酸試薬および中間産物は、周知である。他の保護アミノ酸単位としては、トシルもしくはニトロ基で保護されたアルギニン、アセチルまたはホルミル基で保護されたオルニチンが挙げられる。
【0139】
アミノ酸単位は、1つの実施形態では、腫瘍関連プロテアーゼを含む1つ以上の酵素によって酵素分解され、薬物成分(−D)を遊離させ得る。このアミノ酸単位は、薬物(D)を放出して提供する際に、インビボでプロトン化される。有用な−W−単位は、特定の酵素(例えば、カテプシンB、CおよびD、またはプラスミンプロテアーゼ)による酵素分解に対する選択性について、設計および最適化され得る。
【0140】
例示的な−W−アミノ酸単位としては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、またはペンタペプチドが挙げられる。例示的なジペプチドとしては:バリン−シトルリン(vcまたはval−cit)、アラニン−フェニルアラニン(afまたはala−phe)を含んでいる。例示的なトリペプチドには:グリシン−バリン−シトルリン(gly−val−cit)およびグリシン−グリシン−グリシン(gly−gly−gly)をが挙げられる。
【0141】
(スペーサー単位)
存在する場合(y=1または2)、スペーサー単位(−Y−)は、アミノ酸単位が存在する場合(w=1〜12)はアミノ酸単位(−W−)を薬物成分(D)へ連結させる。または、スペーサー単位は、アミノ酸単位が存在しない場合にはストレッチャー単位を薬物成分へ連結させる。スペーサー単位は、さらにアミノ酸単位およびストレッチャー単位のいずれも存在しない場合(w、y=0)は、薬物成分を抗体単位へ連結させる。スペーサー単位には、自己犠牲的および非自己犠牲的の2つの一般的タイプがある。非自己犠牲的スペーサー単位は、スペーサー単位の一部または全部が抗体−薬物結合体または薬物成分−リンカーからのアミノ酸単位の開裂、特に酵素的開裂後に薬物成分に結合したままであるスペーサー単位である。グリシン−グリシンスペーサー単位またはグリシンスペーサー単位を含有するADCが腫瘍細胞関連プロテアーゼ、癌細胞関連プロテアーゼまたはリンパ球関連プロテアーゼによって酵素的開裂を受ける場合は、グリシン−グリシン−薬物成分またはグリシン−薬物成分はAb−A−W−から開裂される。1つの実施形態では、独立した加水分解反応が標的細胞内で発生し、グリシン−薬物成分結合を開裂させて薬物を遊離させる。
【0142】
また別の実施形態では、−Y−は、そのフェニレン部分がQ(式中、Qは、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−ハロゲン、−ニトロまたは−シアノである;およびmは0〜4の範囲内の整数である)と置換されているp−アミノベンジルカルバモイル(PAB)単位(スキーム2および3を参照)である。
【0143】
非自己犠牲的スペーサー単位(−Y−)の例示的な実施形態は:−Gly−Gly−;−Gly−;−Ala−Phe−;−Val−Cit−である。
【0144】
1つの実施形態では、スペーサー単位(y=0)、または薬学的に受容可能な塩もしくはその溶媒和物が存在しない薬物成分−リンカーまたはADCが提供される。
【0145】
または、自己犠牲的スペーサー単位を含有するADCは、−Dを遊離することができる。1つの実施形態では、−Y−は、PAB基のアミノ窒素原子を介して−W−へ連結されており、炭酸塩、カルバメートもしくはエーテル基を介して−Dへ直接的に結合されているPAB(パラ−アミノベンジルオキシカルボニル)基であるが、このときADCは例示的な式X:
【0146】
【化22】

(式中、Qは、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−ハロゲン、−ニトロもしくは−シアノである;mは0〜4の範囲内の整数である;およびpは1〜4の範囲内である)を有する。
【0147】
自己犠牲的スペーサーとしては、PAB(Carl et al.(1981)J.Med.Chem.24:479−480;Chakravarty et al.(1983)J.Med.Chem.26:638−644;米国特許第6,214,345号)、2−アミノイミダゾール−5−メタノール誘導体などのPAB基に電子的に類似する芳香族化合物(Hay et al.(1999)、Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)、およびオルトもしくはパラ−アミノベンジルアセタールが挙げられる。アミド結合加水分解されると環化する、置換および非置換4−アミノ酪酸アミド(Rodrigues et al.,(1995)、Chemistry Biology,2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]およびビシクロ[2.2.2]環系(Storm,et al.,(1972)、J.Amer.Chem.Soc,94:5815)ならびに2−アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry,et al.,(1990)、J.Org.Chem.,55:5867)などのスペーサーを使用できる。グリシンで置換されているアミン含有薬物の除外(Kingsbury,et al.,(1984)、J.Med.Chem.,27:1447)もまた、ADCにおいて有用な自己犠牲的スペーサーの例である。
【0148】
スペーサー単位(−Y−)には、さらにまた式XIおよびXII:
【0149】
【化23】

によって表されるものが含まれる。
【0150】
式Iの抗体−薬物結合体化合物の実施形態には、XIIIa(val−cit)、XIIIb(MC−val−cit)、XIIIc(MC−val−cit−PAB):
【0151】
【化24】

【0152】
【化25】

が含まれる。
【0153】
式Iaの抗体−薬物結合体化合物の他の例示的な実施形態にはXIVa−e:
【0154】
【化26】

【0155】
【化27】

そしてRは、独立してHまたはC−Cアルキルであり;nは1〜12である、
が含まれる。
【0156】
(抗体−薬物結合体)
式IのADCの例示的な実施形態は、以下の構造および略称:
【0157】
【化28】

【0158】
【化29】

を有する。
【0159】
その他の例示的な抗体−薬物結合体は、抗体、例えばトラスツズマブ(Tr)がアミノ基を通してリンカーへ連結しており、およびpが1〜約8である構造:
【0160】
【化30】

【0161】
【化31】

を有する。
【0162】
DM1がBMPEOリンカーを通してトラスツズマブのチオール基へ連結している例示的な抗体−薬物結合体は、構造:
【0163】
【化32】

(式中、Trはトラスツズマブである;nは0、1、または2である;およびpは1、2、3、4、5、6、7、または8である)を有する。
【0164】
式Iの抗体−薬物結合体(ADC)は、以下に略述する合成方法を用いて作製できる。ADCは、薬物および抗体へ結合させるために反応性官能基を有するリンカー試薬または薬物−リンカー試薬を使用して簡便に調製できる。1つの態様では、リンカー試薬は、抗体上に存在する求核基と反応性である求電子基を有する。抗体上の有用な求核基としては、スルフヒドリル、ヒドロキシルおよびアミノ基が含まれるが、それらに限定されない。抗体の求核基のヘテロ原子は、リンカー試薬上の求核基と反応性であり、リンカーとの共有結合を生成する。有用な求電子基としては、マレイミドおよびハロアセトアミド基が挙げられるが、これらに限定されない。求電子基は、抗体結合のための簡便な部位を提供する。
【0165】
別の実施形態では、リンカー試薬または薬物−リンカー試薬は、共有結合を生成するために抗体上に存在する求電子基と反応性である反応性求核官能基を有する。抗体上の有用な求電子基としては、アルデヒドおよびケトンカルボニル基が挙げられるが、それらに限定されない。リンカー上の有用な求核基としては、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジドが挙げられるが、それらに限定されない。抗体上の求電子基は、リンカーへ結合するための簡便な部位を提供する。
【0166】
カルボン酸官能基およびクロロホルメート官能基もまた、リンカーにとって有用な反応性部位である。なぜなら、それらは、薬物の第2級アミノ基と反応し、アミノ結合を生成し得るからである。さらにまた反応性部位として有用であるのは、カルバメート結合を生成するために薬物のアミノ基(例えば、N−メチルバリンであるが、それに限定されない)と反応し得るリンカー上の炭酸塩官能基(例えば、p−ニトロフェニル炭酸塩であるが、これに限定されない)である。代表的には、ペプチドをベースとする薬物は、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメント間でペプチド結合を生成する工程によって調製することができる。そのようなペプチド結合は、例えばペプチド化学の分野においてよく知られている液相合成法(E.SchroederおよびK.Luebke,(1965)“The Peptides”,volume 1,pp.76−136,Academic Pressを参照のこと)によって調製することができる。
【0167】
抗体単位は、リンカー、ストレッチャー単位、アミノ酸単位、スペーサー単位、または薬物成分のいずれかとの直接的結合を形成できる。抗体単位は、抗体のヘテロ原子を介してリンカー単位との結合を形成できる。抗体単位上に存在する可能性のあるヘテロ原子には、硫黄(1つの実施形態では、抗体のスルフヒドリル基から)、酸素(1つの実施形態では、抗体のカルボニル、カルボキシル、またはヒドロキシル基から)、および窒素(1つの実施形態では、抗体の第1または第2級アミノ基から)が含まれる。これらのヘテロ原子は、抗体の自然状態にある抗体、例えば天然型抗体上に存在することもできるし、化学修飾を介して抗体内に導入することもできる。
【0168】
1つの実施形態では、抗体は、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するように化学修飾できる1つ以上のリシン残基を有する。抗体単位は、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してリンカー単位へ結合する。リシンを修飾するために使用できる試薬としては、N−スクシンイミジルS−アセチルチオ酢酸塩(SATA)および2−イミノチオラン塩酸塩(Traut試薬)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0169】
別の実施形態では、抗体は、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するように化学修飾できる1つ以上の炭水化物基を有することができる。抗体単位は、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してリンカー(例えば、ストレッチャー単位)へ結合する。
【0170】
さらにまた別の実施形態では、抗体は、酸化されてアルデヒド(−CHO)基を提供し得る1つ以上の炭水化物基を有することができる(例えば、Laguzza,et al.(1989)、J.Med.Chem.32(3):548−55を参照のこと)。対応するアルデヒドは、ストレッチャー上の反応性部位との結合を形成できる。抗体上のカルボニル基と反応できるストレッチャー上の反応性部位としては、ヒドラジンおよびヒドロキシルアミンが挙げられるが、それらに限定されない。薬物単位を結合または会合させるためにタンパク質を修飾するための他のプロトコールは、Coligan et al., “Current Protocols in Protein Science”, vol. 2, John Wiley & Sons(2002)に記載されている(本明細書中に参考として援用される)。
【0171】
代表的には、ペプチドタイプのリンカーは、2つ以上のアミノ酸および/またはペプチドフラグメント間でペプチド結合を生成する工程によって調製することができる。そのようなペプチド結合は、例えばペプチド化学の分野において周知の液相合成法(E.SchroederおよびK.Luebke,“The Peptides”,volume 1,pp.76−136,(1965),Academic Pressを参照のこと)によって調製することができる。
【0172】
また別の実施形態では、リンカーは、溶解性または反応性を変調した基を用いて置換することができる。例えば、スルホネート(−SO)またはアンモニウムなどの荷電置換基は、試薬の水溶性を増加させ、リンカー試薬と抗体もしくは薬物成分との結合反応を促進するか、またはADCを調製するために使用された合成経路に依存してAb−L(抗体−リンカー)とD、もしくはD−L(薬物−リンカー試薬)とAbとの結合反応を促進することができる。
【0173】
本発明の化合物は、架橋剤試薬:BMPEO、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC−SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ−EMCS、スルホ−GMBS、スルホ−KMUS、スルホ−MBS、スルホ−SIAB、スルホ−SMCC、スルホ−SMPB、およびSVSB(スクシンイミジル−(4−ビニルスルホン)安息香酸)、ならびにPierce Biotechnology,Inc.,Customer Service Department,P.O.Box 117,Rockford,IL.61105 USA,1−800−874−3723,International +815−968−0747から市販で入手できるビス−マレイミド試薬:DTME、BMB、BMDB、BMH、BMOE、BM(PEO)およびBM(PEO)を用いて調製されたADCを明示的に企図しているが、これらに限定されない。Applications Handbook and Catalog,2003−2004の第467〜498頁を参照のこと。ビス−マレイミド試薬は、逐次的または同時的な方法において、抗体のシステイン残基のチオール基のチオール含有薬物成分またはリンカー中間物への結合を可能にする。抗体のチオール基、薬物成分、標識、またはリンカー中間物と反応性であるマレイミド以外の他の官能基としては、ヨードアセトアミド、ブロモアセトアミド、ビニルピリジン、ジスルフィド、ピリジルジスルフィド、イソシアネート、およびイソチオシアネートが挙げられる。
【0174】
【化33】

有用なリンカー試薬は、他の市販入手源(例えば、Molecular Biosciences Inc.(コロラド州ボールダー))を通して入手され得るか、またはToki et al.(2002)、J.Org.Chem.67:1866−1872;Firestone et al.への米国特許第6,214,345号;WO02/088172;US2003130189;US2003096743;WO03/026577;WO03/043583;およびWO04/032828に記載されている方法にしたがって合成され得る。
【0175】
マレイミドストレッチャー単位およびパラ−アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)自己犠牲的スペーサー単位を有する例示的なバリン−シトルリン(val−citもしくはvc)ジペプチドリンカー試薬は構造:
【0176】
【化34】

(式中、Qは、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−ハロゲン、−ニトロもしくは−シアノである;およびmは0〜4の範囲内の整数である)を有する。
【0177】
マレイミドストレッチャー単位およびPABスペーサー単位を有する例示的なphe−lys(Mtr)ジペプチドリンカー試薬は、Dubowchik,et al.(1997)、Tetrahedron Letters,38:5257−60によって調製することができ、構造:
【0178】
【化35】

(式中、Mtrはモノ−4−メトキシトリチルであり、Qは、−C−Cアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−ハロゲン、−ニトロもしくは−シアノである;およびmは0〜4の範囲内の整数である)を有する。
【0179】
例示的な薬物−リンカー試薬には:マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−ヒドロキシメチルアミノベンジルオキシカルボニル−MMAF(MC−val−cit−PAB−MMAF):
【0180】
【化36】

が含まれる。
【0181】
マレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−p−ヒドロキシメチルアミノベンジルオキシカルボニル−MMAE(MC−val−cit−PAB−MMAE):
【0182】
【化37】

マレイミドカプロイル−MMAF(MC−MMAF):
【0183】
【化38】

およびマレイミドカプロイル−MMAE(MC−MMAE):
【0184】
【化39】

そして、Doronina et al.(2003)、Nature Biotechnology 21(7):778−784;Francisco et al.(2003)、Blood 102:1458−1465;および“Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands”,米国特許出願第10/983,340号(2004年11月5日出願)に従って調製され得る。
【0185】
抗体−薬物結合体化合物は、抗体の結合間ジスルフィド結合を還元し、その後にチオエーテル結合を介してマレイミド薬物を還元された抗体のシステインチオール基へ結合体化させることによって合成できる。その結果として、これらの抗体結合体は非共有的ファンデルワール相互作用によって一緒に保持され、ジスルフィド結合還元後に、変性条件(逆相クロマトグラフィー)下で軽鎖および重鎖に分離される。アミノ基(例えば、リシン残基)を通して結合体化されている抗体は、結合間ジスルフィド結合の還元および開裂を必要としない。
【0186】
抗体結合体は、逆相HPLC法(PLRP−S 2.0×50mm、8μm、1000Åカラム)と、API 3000質量分析計とを組み合わせて、最初に特性解析された。図15は、(上)トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE;ならびに還元および変性後にクロマトグラフィーにより単離されたフラグメント:軽鎖、m/z=1675(上から2番目);1MMAEを備える軽鎖、m/z=2251(上から3番目);および3MMAEを備える重鎖、m/z=1832(下)のクロマトグラムを示している(Kadkhodayan,M.およびMann,E.“New Strategies in Characterization and Quantitation of Antibody−targeted Drug Conjugates in Plasma using LC/LC/MS”,51st Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Montreal,Quebec,2003年6月8日〜12日)。
【0187】
(薬物負荷)
薬物負荷値は、式Iの分子内の1抗体当たりの薬物成分の平均数であるpによって表される。式IのADCの組成物には、1〜約8種の範囲内の薬物と結合体化抗体の収集物、すなわち混合物が含まれる。抗体と薬物成分との結合体化によるADCの各調製物は、抗体に結合した1つ以上の薬物を有する製剤分子の潜在的分布をもたらすか、または抗体が薬物成分に連結されていない場合は、p=0である。結合体化反応からのADCの調製物における1抗体当たりの薬物の平均数は、本発明の方法、すなわちLC/MSによって特性解析することができる。結合体化反応からのADCの調製物中の1抗体当たりの薬物の平均数は、本発明の方法、すなわちLC/MSによって特性解析することができる、そしてSanderson et al.(2005)、Clinical Cancer Res.11:843−852に記載されたように、遊離薬物のレベルを測定するためのカテプシンB開裂後のELISAアッセイによって、間接的に特性解析することができる。どちらの方法も1抗体当たりの薬物の平均数を提供するが、LC/MS法はインタクトな1抗体当たりのp(薬物)の分布、ならびに軽鎖フラグメントおよび重鎖フラグメントについてのさらなる情報を提供する。この重要な分布パラメーターは、ADC組成物の個別分子の分離ならびにそれらの特性解析および定量により、本発明の方法によって決定され得る。サンプルの構成要素の分離は、本方法の分離媒体工程および質量分析法工程の両方で行われる。本発明の方法の分離媒体工程の高分解能は、複雑な不均質ADCサンプルから分離されたサンプル構成成分の分離、精製、および定量を提供する。本発明の方法の質量分析法工程の高分解能および正確性は、分離されたサンプル構成成分の検出および定量を提供する。
【0188】
本発明の方法は、ADCの1抗体当たりの結合薬物の量(負荷)ならびに重鎖および軽鎖などのフラグメント上の薬物成分の分布を決定することができ、そして抗体のサブフラグメント位置、または特定アミノ酸残基で共有結合した薬物成分の位置を確認することさえできる。
【0189】
一部のADCについては、pは、抗体上の結合部位数によって限定され得る。例えば、上述した例示的な実施形態におけるように、結合が抗体のシステインチオールに対してである場合は、抗体はシステインチオール基を1つしか有していないかまたは数個有していることもあるし、十分に反応性のチオール基(それを通してリンカーを結合し得る)を1つしか有していないかまたは数個有していることもある。リシンなどの低反応性アミノ酸残基は、結合体化すべき抗体内でより多数である場合があるが、非反応性および薬物成分または薬物−リンカー試薬との反応には利用できない場合がある。例えば、p>5などの高い薬物負荷は、所定の抗体−薬物結合体の凝集、不溶性、毒性、有効性の欠如、または細胞透過性の消失を引き起こすことがある。
【0190】
代表的には、理論的最大値よりも少ない薬物成分が結合体化反応中に抗体へ結合体化される。抗体は、例えば、アミン反応性薬物−リンカー中間物またはリンカー試薬と反応しない多数のリシン残基を含有することができる。最も反応性のリシン基しかアミン反応性リンカー試薬と反応しない可能性がある。同様に、最も反応性のシステインチオール基しかチオール反応性リンカー試薬と反応しない可能性がある。一般に、抗体は、もしあったとしても、多くの薬物成分に連結し得る遊離および反応性システインチオール基は含有しない。本発明の化合物の抗体における大多数のシステインチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在し、部分または完全還元条件下で、ジチオトレイトール(DTT)またはtris(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)などの還元剤を用いて還元させなければならない。さらに、リシンまたはシステインなどの反応性求核基を明らかにするための変性、または部分変性条件に曝露させることができる。ADCの負荷(薬物/抗体比)は、(i)抗体に対する薬物−リンカー中間物もしくはリンカー試薬のモル過剰を限定すること、(ii)結合体化反応時間もしくは温度を限定すること、および(iii)システインチオール修飾のための部分的もしくは限定的還元条件、を含む数種のパラメーターによって制御できる。
【0191】
抗体の1つより多い求核基が薬物−リンカー中間物、またはリンカー試薬、およびその後に薬物成分試薬と反応する場合は、その結果として生じた生成物は、抗体へ結合した薬物成分の分布(例えば、1、2、3)を有するADC化合物の混合物である。ポリマー逆相(PLRP)および疎水的相互作用(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬物負荷値によって混合物中の化合物を分離することができる。単一の薬物負荷(p)を有するADCの調製物が、単離され得る(“Effect of drug loading on the pharmacology,pharmacokinetics,and toxicity of an anti−CD30 antibody−drug conjugate”,Hamblett,K.J.ら、Abstract No.624,American Association for Cancer Research;2004 Annual Meeting,2004年3月27日〜31日,Proceedings of the AACR,Volume 45,2004年3月;“Controlling the Location of Drug Attachment in Antibody−Drug Conjugates”,Alley,S.C.ら、Abstract No.627,American Association for Cancer Research;2004 Annual Meeting,2004年3月27日〜31日,Proceedings of the AACR,Volume 45,2004年3月)。しかし、これらの単一負荷値のADCは、薬物成分が抗体上の相違する部位でリンカーを介して結合され得るため、それでもまだ不均質混合物であることがある。
【0192】
(抗体−薬物結合体の投与)
本発明の抗体−薬物結合体(ADC)は、処置すべき状態にとって適切な任意の経路によって、生物学的起源と接触させるか、または生物学的起源に投与することができる。ADCは、代表的には哺乳動物へ、非経口的(すなわち、点滴、皮下、筋肉内、静脈内、皮内、クモ膜下、および硬膜外)に投与される。式IのADCと接触させられ得る、すなわち投与され得る生物学的起源としては、(i)マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、またはヒトなどの哺乳動物;(ii)哺乳動物組織;および(iii)培養細胞、が挙げられる。生物学的サンプルは、生物学的起源から1回、または定期的、周期的、もしくは無作為間隔で採取される。生物学的サンプルとしては、(i)血液、胆汁、尿、または便;(ii)組織抽出物;および(iii)細胞培地、細胞溶解液、または細胞抽出物が挙げられる。
【0193】
(薬学的処方物)
本発明の治療用抗体−薬物結合体(ADC)の薬学的処方物は、薬学的に受容可能な非経口キャリアを用いて、そして単位用量注射形態で、代表的には非経口投与、すなわちボーラス、静脈内、腫瘍内投与用に調製される。所望の純度を有する抗体−薬物結合体(ADC)は、凍結乾燥調製物または水溶液の形状で、任意で薬学的に受容可能な希釈剤、キャリア、賦形剤または安定剤と混合される(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)第16版,Osol,A.編)。
【0194】
受容可能な希釈剤、キャリア、賦形剤、および安定剤は、使用される用量および濃度では生物学的起源受容者にとって非毒性であり、リン酸、クエン酸、およびその他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸およびメチオニンなどの抗酸化物質;保存料(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメチオニウム;塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、もしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリシンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグアールガムやデキストリンを含む他の炭水化物;グルコース、マンノース、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトールなどの糖類;EDTAなどのキレート剤;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属複合体(例、Zn−タンパク質複合体);および/またはTWEENTM、PLURONICSTMもしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。例えば、凍結乾燥抗ErbB2抗体調製物は、WO97/04801(明示的に本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0195】
薬学的有効成分は、例えばコアセルベーション技術または界面重合によって調製された、コロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン内のマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル内に取り込むことができる。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第16版,Osol,A.編(1980)に開示されている。
【0196】
徐放性調製物が調製され得る。徐放性調製物の適切な例としては、ADCを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは成形された製品(例えば、フィルム、またはマイクロカプセル)の形態にある。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、もしくはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびγ−エチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン−酢酸ビニル、LUPRON DEPOTTM(乳酸−グリコール酸コポリマーと酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェアなどの分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0197】
(抗体−薬物結合体の代謝産物)
本発明の範囲内には、本明細書に記載したADC化合物のインビボ代謝産物もまた、そのような代謝産物が先行技術に照らして新規かつ非自明である範囲で包含される。そのような代謝産物は、例えば、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化、酵素的開裂などの結果として生じ得る。したがって、本発明は、その代謝産物を産生するために十分な期間にわたって本発明の化合物を哺乳動物と接触させる工程を含むプロセスによって生成される、新規かつ非自明な化合物を包含する。本発明の方法は、抗体、および分離されたサンプル構成成分である抗体−薬物結合体の代謝産物の、検出および特性解析をさらに包含する。
【0198】
代謝産物は、代表的には、抗体−薬物結合体混合物を検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgより多い)でラット、マウス、モルモット、サルなどの動物、またはヒトへ、代謝が起こるのに十分な時間(代表的には、約30秒間〜30時間)にわたって投与する工程と、尿、血液、もしくは他の生物学的サンプルを処理してその代謝産物を単離する工程とによって同定され得る。代謝産物の構造は、本発明の質量分析方法によって決定される。
【0199】
そのような代謝産物の例は、インビボαHer2(トラスツズマブ)−MC−MMAFカニクイザル(Macaca fascicularis)TK試験からの血漿サンプルの分析中に観察された。図41は、抗オーリスタチン親和性膜によって捕捉かつ単離された小タンパク質(8178MW)を示す。図42において薬物動態プロファイルが示すように、このタンパク質の濃度は10時間後にプラトーに到達するまで経時的に増加し、試験期間(5日間)を通してその濃度を維持する。
【0200】
(薬物動態)
半減期、クリアランス、曲線下面積(AUC)、および分布容積を含む、哺乳動物における薬物動態(PK)を決定するための治療剤の循環レベルのモニタリングは、安全性/毒性限界および適切な投与レジメンを確定するために不可欠である(Welling,P.(1997)、Pharmacokinetics Processes,Mathematics,and Applications,第2版,American Chemical Society,Washington,DC)。バイオアベイラビリティは、通常は投与された用量のパーセンテージとして表示される、投与された化合物が投与された剤形から全身循環に到達する程度である。化合物の半減期は、化合物のピーク血漿濃度の50%が排泄または生体内変換(代謝)によって取り除かれるために必要な時間である。治療指数は、その化合物の所望の治療活性と望ましくない毒性副作用との間の選択性を表示する。本発明の方法からの薬物動態測定値は、抗体と抗体−薬物結合体(ADC)の吸収、分布、代謝、および排泄(ADME)を解明する。
【0201】
(生物学的サンプルの処理)
生物学的起源への抗体−薬物結合体混合物の投与後に、式Iの抗体−薬物結合体化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含む生物学的サンプルが採取される。生物学的サンプルは、シリンジまたはカニューラによる液体の抜去を含む、任意の手段によって採取できる。生物学的サンプルは、血液もしくは血清、血漿などの血液製剤、脳脊髄液もしくは他の体液、例えば唾液、尿、リンパ、胆汁、便、汗、または呼吸蒸気であり得る。
【0202】
質量分析のための抗体−薬物結合体サンプルの調製は、公知の技術によって一般に実施できる。例えば、“Modern Protein Chemistry:Practical Aspects”,Howard,G.C.and Brown,W.E.,Eds.(2002)、CRC Press,Boca Raton,Fl.を参照のこと。
【0203】
生物学的サンプルの処理は、不純物を除去し、サンプル構成成分の分離を妨害するかまたはデータ収集もしくは分析を不明瞭にし得るサンプル不均質性を減少させるために役立つ。あるいは、もしくは加えて、処理は、サンプルの取り扱いを単純にし、分解から保護し、サンプル容積を最小限に抑え、または質量分析において当該のサンプル構成成分(分析物)を選択する。または、もしくはそれに加えて、処理は、生物学的サンプルを、薬物代謝もしくは薬物動態作用を決定する際に対象となる代謝産物、フラグメント、または誘導体へ転換する。
【0204】
分析用サンプルを生成するための生物学的サンプルの処理は、さらにまた、調製する工程、固定化する工程、遠心分離、単離する工程、消化する工程、血球凝固を誘導もしくは防止する工程、加水分解工程、または精製工程によって実施できる。
【0205】
免疫親和性膜(IAM)選択クロマトグラフィー(固定化抗原を使用する)は、血漿から抗体−薬物結合体を選択的に単離した(実施例1、2、3)。免疫親和性技術は、強力な非共有的抗原−抗体相互作用に起因して高特異性を提供する。抗原は固相支持体上に固定化され、タンパク質を含有する生物学的起源由来のサンプルが加えられ、例えばアルブミンのような非特異的タンパク質が洗い流され、そして当該のタンパク質が溶出される。例示的な免疫親和性膜選択媒体としては:POROS(登録商標)AL−50樹脂、Monolith CIM(Convection Interactive Media(登録商標)、BIA Separations、スロベニア)エポキシディスクおよびEMPORE(登録商標)親和性膜(3M、ミネソタ州セントポール)が含まれる。質量分析計に導入する前に自動カラム洗浄およびスイッチングのためには、PROSPEKT−2(登録商標)機器(Chromatographic Specialties,Inc.、オンタリオ州ブロックビル)が使用された(実施例1)。
【0206】
図28は、LC/MS分析用の分析サンプル形成のための免疫親和性膜(IAM)選択結合のマルチウェル型真空マニホールド法を示す(実施例2)。投与された抗体−薬物結合体の抗体に対して特異的な抗原は、マルチウェルプレートを構成する容器各々における膜へ共有結合されている。抗体−薬物結合体組成物を摂取した哺乳動物(生物学的起源)由来の血漿または血清サンプルは、手動ピペッティングまたは自動ロボット式分注によって適用される。膜結合抗原に対して特異的なサンプル構成成分が結合させられる。膜が洗浄され、非特異的タンパク質および他の非特異的サンプル構成成分を溶出する。結合した抗体は、例えばPNGaseFを用いて膜上で脱グリコシル化され得る。結合したサンプル構成成分は、隔離された受容容器もしくはウェルを備えるサンプルプレート内に溶出させることができる。溶出されたサンプルは、次に手動ピペッティングまたはロボット式移動によって取り扱い、逆相クロマトグラフィーによって分離し、そして分離したサンプル構成成分を質量分析法によって分析した。
【0207】
例示的な実施形態では、生物学的サンプルはトリプシン消化を用いて消化することができる。トリプシン消化のためには、サンプルは、DTTで還元され、ヨード酢酸ナトリウムをでS−カルボキシメチル化され、そして次いでトリプシンで消化され得る。消化したサンプルは:(i)逆相HPLC、例えばNucleosil C18カラム;(ii)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、例えばTSK 3000SWxLカラム;または(iii)TSKボロン酸塩カラムを使用するボロン酸塩親和性クロマトグラフィーを含む方法によって処理することができる。
【0208】
(分離方法および媒体)
分析サンプルを生成するためには、1つより多いサンプル構成成分の分離を実行するために生物学的サンプルを分離媒体へ適用することができる。分離方法としては、親和性、クロマトグラフィー、および電気泳動法が挙げられる。親和性方法としては、親和性クロマトグラフィー、抗体/抗原免疫親和性、免疫親和性クロマトグラフィー、吸着、免疫吸着、および固定化親和性マトリックスが挙げられる。クロマトグラフィー法としては、HPLC、疎水的相互作用(HIC)、アニオン交換、カチオン交換、逆相、順相、イオン対逆相、薄層、およびサイズ排除が挙げられる。電気泳動法としては、一次元、スラブゲル、キャピラリー、ポリアクリルアミド、変性、天然、自由溶液、濾紙、二次元、等電集束、および勾配電圧が挙げられる。その他の分離方法としては:透析、遠心分離、磁気、磁気ビーズ、免疫磁気(WO2003087772)、沈殿、浮遊、沈降、免疫沈降、およびゲル濾過が挙げられる。
【0209】
分離方法は、1つ以上の物理−化学的特性(溶出時間、疎水性、親水性、移動時間、比率、速度、クロマトグラフィー保持時間、溶解性、分子量もしくはサイズ、正味電荷、荷電状態、イオン電荷、等電点、解離定数(pKa)、抗体親和性、電気泳動移動度、イオン化ポテンシャル、双極子モーメント、水素結合能力、および気相内でのイオン移動度が挙げられるが、それらには限定されない)によって、生物学的サンプルの構成成分の分離を行い得る。
【0210】
抗体−薬物結合体は、分析前にPNGaseFを用いて酵素的に脱グリコシル化することができる。インタクトな結合体および還元された結合体の両方を分析するために、API 3000質量分析計に結合した逆相カラム(PLRP−S 2.0×50mm、8μm、4000Å)を使用した(Mann et al.“A Novel Approach to Characterization of Trastuzumab−DM1 Conjugates using LC−MS for Confirmation of Statistically Calculated Distributions”,51st Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Montreal,Quebec,2003年6月8日〜12日)。トラスツズマブ−DM1サンプルを分析した(図6および7)。還元方法は、結合体した抗体と1,4−ジチオトレイトール(DTT)とを37℃で30分間にわたり反応させる工程を包含した(図13および14)。DM1もまた還元中に開裂されるが、116ダルトンのリンカーフラグメントは、結合体化部位に結合されたままである。トラスツズマブ−DM1結合体ロットおよびそれらの対応する前駆体(トラスツズマブ−SPPリンカー結合体)は、LC/MSを用いてインタクトのサンプルおよび還元されたサンプルを分析する工程によって評価した。各軽鎖(0、1、または2)および重鎖(0、1、2、3、4、または5)上のDM1またはリンカー成分の数は相違することがあり、各抗体は、多数の可能な組み合わせを可能にする1対の軽鎖および重鎖を有している。
【0211】
例示的な逆相クロマトグラフィー吸着剤は、PLRP−S(Polymer Laboratories、マサチューセッツ州アマースト)などの高度に架橋結合したポリスチレン粒子である。
【0212】
例示的な実施形態では、生物学的サンプルはDionex Pro Pac WCX−10カラム上でのカチオン交換クロマトグラフィー(IEC)によって精製することができる。画分を採取し、Centricon−30を用いて濃縮した。
【0213】
(質量分析法)
本発明の方法は、生物学的サンプルに由来する抗体混合物の分析に適している。ここでこの混合物の様々な化学的構成成分が、最初に、親和性またはクロマトグラフィーを含む1つ以上のプロセスによって単離、分離、または部分分離される。このプロセスは、構成成分を連続的に、またはバッチ法で溶出させるか、あるいは質量分析法によって直接的に検出されるようにする。フラグメント化、脱アミド化、グリコシル化、酸化、例えばN末端およびC末端の部分配列情報、二量体および凝集状態を含む抗体の様々な構造的特徴および特性は、質量分析から引き出すことができる。生物学的サンプル内の1つ以上の化学的構成成分は、投与される抗体−薬物結合体の配列、構造、および分子量が分かっているため、その正確な質量の測定によって高度に特異的方法で特性解析できる。
【0214】
高い質量正確性、高感受性、および高分解能が可能である様々な質量分析システムが、当該分野において公知であり、本発明の方法において使用できる。そのような質量分析計の質量分析装置としては、四極子(Q)、飛行時間(TOF)、イオントラップ、磁気セクターもしくはFT−ICRまたはそれらの組み合わせが含まれる。質量分析計のイオン源は、主にサンプル分子イオン、または偽性分子イオン、および所定の特性解析可能なフラグメントイオンを産生するはずである。そのようなイオン源の例としては、大気圧イオン源、例えばエレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)が挙げられる。ESIおよびMALDIは、質量分析のためにタンパク質をイオン化するために最も一般的に使用される2つの方法である。ESIおよびAPCIはLC/MSのために最も一般的に使用されるイオン源技術である(Lee,M.“LC/MS Applications in Drug Development”(2002)、J.Wiley & Sons,New York)。
【0215】
表面増強レーザ脱離イオン化(SELDI)は、ハイスループット質量分析を可能にする表面に基づくイオン化技術の例である(米国特許第6,020,208号)。代表的には、SELDIは、タンパク質および他の生体分子の複合混合物を分析するために使用される。SELDIは、溶液中で分析物、例えばタンパク質と相互作用するための「タンパク質チップ」などの化学的に反応性の表面を使用する。そのような表面は、分析物と選択的に相互作用し、そしてそれらをその上に固定化する。そこで、本発明の分析物はチップ上で部分精製し、次に質量分析計において迅速に分析することができる。基質表面上の様々な部位で様々な反応性成分を提供することによって、スループットを増加させることができる。
【0216】
市販で入手できる質量分析計は、サンプリングして、全質量スペクトルを同時に、かつ混合物内の複数の構成成分に対して十分なスペクトルを獲得して質量分析シグナルの強度またはピーク面積が定性的に表示していることを保証することを可能にする頻度で記録することができる。これは、全質量について観察される溶出時間が質量分析装置によって修飾されたり歪曲されたりしないことも保証し、さらにこれは定量的測定値が一過性シグナルの存在度を測定する必要によって弱化されないことを保証するのに役立つ。
【0217】
LC/LC/MSによって小分子および抗体−薬物結合体を同時定量するための方法が開発された。これを完遂するために、各部分を独立して開発し、後に組み合わせた。LC/MS/MS法は、さらにまたオンライン固相抽出法(SPE)のためのPROSPEKT−2(登録商標)機器(Spark Holland)、クロマトグラフィー分離のためのSYNERGI(商標)C12(Phenomenex、カリフォルニア州トランス)逆相クロマトグラフィー、および検出用のAPI 3000質量分析計(Kadkhodayan,M.およびMann,E.“New Strategies in Characterization and Quantitation of Antibody−targeted Drug Conjugates in Plasma using LC/LC/MS”,51st Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Montreal,Quebec,2003年6月8日〜12日;Beaudry et al.(1998)Rapid Commun.Mass Spectrom.12:1216−1222;Simpson et al.(1998)Rapid Commun.Mass Spectrom.12:75−82)を使用して、そして実施例1に詳述されるように、薬物成分および代謝産物を定量するために開発した。本方法のこの小分子部分は、オーリスタチンおよびメイタンシノイド薬物について0.3〜750ng/mLの範囲を有していた。血漿中の線形曲線を得た(R=0.999)。
【0218】
抗体種の定量は、当該の各種由来のイオン(LCおよびLC+1D)を用いる単一イオンモニタリング(SIM)によって遂行した。これにより、血漿中の相対量の各結合体種の比較が可能になった。溶液および血漿中の線形曲線は、抗体の未修飾(LC)および結合体化(LC+D)軽鎖両方について、各々図16および17に示されている。
【0219】
図18は、0.1ng/mLのLOQの、ラット血漿中の遊離薬MMAEについての検量線を示した図である。LC/LC/MS抗体法は、PROSPEKT−2機器上で小分子SPE法と組み合わせた。組み合わされた方法は、抗体結合体の親和性単離、遊離薬のオンラインSPE抽出、小分子の逆相分離を実施し、その後に結合体した抗体の逆相分離を実施する。免疫親和性カラム(遊離薬物を含有する)からの廃棄物の流れは、それが廃棄される前にC18 SPEカートリッジを通して方向付けられる。SPEカートリッジが溶出され、その間に血漿が親和性カラムから洗浄され、最後に親和性カラムが溶出される。2つのデータファイルは、そこで1回の血漿注入から注入され、インビボでの結合体化抗体のための貴重な定量データを提供する。
【0220】
(エレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析)
抗体などの相当に高分子量の化合物の質量は、大多数の質量分析計によって容易に決定できる質量対電荷比(m/z)で検出することができる(2000〜3000までの代表的なm/z範囲)。エレクトロスプレーイオン化質量分析ESI−MSは、特に、荷電、極性または塩基性化合物のために、そして優秀な検出限界で多荷電化合物を分析するために適合する。ESIは、150,000以上の分子量(MW)の抗体および抗体−薬物結合体などの大きな生体分子の検出および特性解析を可能にする。高質量イオンについては、代表的には一連の多荷電分子イオンが観察される。陽イオンについての分子量は、測定されたm/z比−カチオン(C+)の質量にそのイオン上の電荷数(n)を積算することによって決定される。
【0221】
MW=n(m/z−nC+)
エレクトロスプレーイオン化(ESI)は、液体分離法(フロントエンド)ならびにMS/MS法(バックエンド)と適合する(“Electrospray Ionization Mass Spectrometry:Fundamentals,Instrumentation,and Applications”,Cole,R.B.編(1997)Wiley,New York)。ペプチド、タンパク質、または他の生体分子の希釈溶液は、シリンジポンプ、フローインジェクション、またはLC/MSによって質量分析計システムへ導入することができる。ESI−MSデータは、多数のスキャンを一緒に平均化する工程と、良好なピーク強度および形状を提供するためにデータを平滑化する工程とによって獲得することができる。低質量化合物については、観察された最も豊富なピークは、しばしば作製された陽イオン中の[M+H]イオンおよび作製された陰イオン中の[M−H]イオンである。二価および三価イオンならびに二量体もまた観察されることがある。二価陽イオンは、質量(MW+2C+)÷2(式中、MWは分子量であり、Cは、H、Na、またはNH4+などのイオン化カチオンである)で観察される。極めて低質量の化合物を除いて、検出されたイオンは多価である。ESIのソフトなイオン化状態のために、しばしば多価イオンが観察される。このため、単一分子量を表す高分子についてのESIスペクトルでは多数のm/zピークが観察される。分子量の計算は、2つの未知数を有する2つの方程式を解くか、または高分子の質量を自動的に計算できる供給業者からの逆重畳積分ソフトウェアを購入するかのいずれかによって遂行できる。
【0222】
タンパク質のESIは、分子量が増加するにつれて増加する傾向を示す電荷数の多価イオンを生成する。所定のイオン種上の電荷数は、:(i)1つの電荷が相違する2つの荷電状態を比較し、連立方程式を解く工程;(ii)同一電荷を有するが相違する付加質量を有する種を探す工程;および(iii)分解同位体クラスターについて質量対電荷比を試験する工程などの方法によって決定することができる。ESIおよびESI−MSの方法ならびにこれらの方法を実施するために必要とされるパラメーターは、当該分野において周知である。エレクトロスプレーイオン化プロセスの穏やかさにより、質量分析法によってインタクトな抗体結合体を直接的に検出することが可能になる。
【0223】
1つの実施形態では、タンパク質、抗体、抗体フラグメントまたは抗体−結合体(高分子)のQ1質量スペクトルは、本方法の一部として行われる。高分子の適切な質のQ1質量スペクトルは、以下のとおりに入手できる:
タンパク質エンベロープが移動する可能性が存在するため、クロマトグラフィーのために使用されるすべての溶媒は新しく生成され、観察された範囲内でスペクトルエンベロープの位置を解明するために溶出溶媒へ酸が添加される。100,000質量単位を超えるタンパク質については、ギ酸などの酸を、例えば溶媒A(水)およびB(アセトニトリル)の両方の溶出溶媒中において約0.1%(容量)で使用できる。100,000質量単位以下のタンパク質については、AおよびB溶媒の両方についてトリフルオロ酢酸(TFA)などの強酸を約0.05%(容量)で使用できる。酸、溶媒およびDPのパラメーターはインタクトなおよび還元された抗体のイオン化に影響を及ぼす。図1には、酸を還元する0.2%〜0.05%のイオン化作用が示されている。ギ酸の量が減少するにつれて、インタクトなグリコシル化抗体であるトラスツズマブは、より多数の電荷を取り上げ、エンベロープをさらに左へ、そしてm/zの観察された範囲(1800〜3000m/z)へ移動させる。図1における質量スペクトルCおよびDは、デクラスタリングポテンシャル(DP)電圧が30〜120Vから70〜190Vへ増加するにつれて、抗体上の電荷はよりさらに増加することを示している。従って、印加電圧、溶媒組成、およびイオン対合剤は、考慮および調整しなければならない因子である。
【0224】
タンパク質エンベロープが移動しないことを証明するために、イオンを広範囲のm/zから選択し、濃度対ピーク強度をプロットした(図2)。広範囲のm/zにわたって直線性を得ることができる。図2は、抗体の軽鎖のQ1スキャンから入手された抗HER2抗体であるトラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))の荷電状態を示している。インタクトな抗体もしくは重鎖、フラグメントもしくはADCの量を定量するためには、抗体の脱グリコシル化が提案されている。グリコシル化は低イオン化効率、したがって減少した感受性に寄与する。それはさらに、一般に非線形(二次)検量線を生じさせる。図3は、グリコシル化されたトラスツズマブのESI−MSおよびスペクトラル逆重畳を示した図である。図4は、インタクトなトラスツズマブ(αHer2)および脱グリコシル化されたインタクトなトラスツズマブのESI−MSによる定量のための検量線を示している。図5は、軽鎖(LC)および重鎖(HC)の還元されたトラスツズマブのESI−MSによる定量のための検量線を示した図である。
【0225】
抗体もしくは抗体フラグメント結合体を定量する場合は、抗体の脱グリコシル化は質量スペクトルの不均質性を減少させ、感受性を増加させる可能性があり、したがって分析を単純化する。図6は、PNGaseFを用いた脱グリコシル化およびDM1の加水分解的開裂後の、抗体結合体であるトラスツズマブ−SPP−DM1のESI−MSを示した図である。図7は、図6の生データの逆重畳スペクトルを示した図である。
【0226】
1つの実施形態では、定量のための荷電イオン範囲が決定される。定量のために荷電イオン範囲を選択する場合は、マトリックス干渉を示さないスペクトル範囲が選択される。これは各タンパク質について実験的に、そしてQ1スペクトル(図21)を実行し、2251.9(このときスペクトルの領域にはマトリックス干渉は見られない)などの荷電イオンを選択する工程によって決定される。
【0227】
別の実施形態では、各種を定量する目的で正確な質量対電荷比(m/z)を決定するために逆重畳積分表が使用される。Analyst(商標)(Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティ)などの逆重畳分析ソフトウェアプリケーションは市販で入手でき、そして/または質量分析計を用いて提供される。逆重畳ソフトウェアは一般に、ユーザーへ逆重畳質量の表ならびにこれらの質量を計算するために使用される、m/zイオンのサブテーブル(それからSIM法のために選択されたイオンを抽出できる)を提供する。
【0228】
正確なm/zを使用して、定量すべき全種についてSIM法が生成される。最大の信号雑音比を備える荷電状態はマトリックス干渉のために必ずしも定量にとって最高の荷電状態であるとは限らないため、各種についての数個のm/z荷電イオンを選択することができる。マトリックス干渉および分解能が欠如するために、しばしば最高の荷電状態はより高いm/z範囲(約1800〜2700)内にある。1つの例示的な実施形態では、1〜10個のイオンについての滞留時間は各々150〜200マイクロ秒である。10個を超えるイオンがモニタリングされる場合は、滞留時間は75〜100へ調整されなければならない。
【0229】
図22は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの免疫親和性膜(IAM)選択、還元および変性によって単離されたラット血漿および溶液サンプルのクロマトグラムを示している。図23は、ラット血漿中でのトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの脱グリコシル化され還元されたフラグメントの単一イオンモニタリング(SIM)を示した図である:(上)軽鎖;(中)1MMAEを備える軽鎖;(下)3MMAEを備える重鎖。図24は、149ng/mLのLOQを備える、ラット血漿中のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの1MMAE薬物成分(LC+1MMAE)を備える軽鎖の2251m/zイオンについての検量線を示した図である。
【0230】
SIM法は、所望の種を定量するためにサンプルマトリックスにおける検量線を調製するために使用できる。DPは各イオンについて調整することができ、試験サンプルは、図1に示したような各種についてこの変量を実験により決定するために実行することができる。良好なDP開始点は、10電圧単位の増分で50〜150ボルトである。図10におけるトラスツズマブ結合体のLC+1MMAEの定量下限(LOQ)は140ng/mLである。この方法が最適化されると、サンプルマトリックスにおいて検量線が作成され、市販で入手できるソフトウェアを用いて獲得されたデータが処理される。二重親和性カラム法(実施例1)は直線性、および全プレート変動性について試験した。この膜から回収された2つの抗体からの抗体検量線は、0.14μg/mL〜75μg/mLの範囲について大きな直線性(R=0.9993)(図10)、および全プレート精密度(図11)を証明した。
【0231】
定量は、当該の各種由来のイオン(LCおよびLC+1)を用いる単一イオン・モニタリング(SIM)によって遂行した。これは血漿中の相対量の各結合体種の比較を可能にした。溶液(R=0.9993および0.9986)ならびに血漿(R=0.9980および0.9994)中の検量線は、未修飾トラスツズマブ(図16)および抗体−薬物結合体であるトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(図17)各々について入手された(Kadkhodayan,M.およびMann,E.“New Strategies in Characterization and Quantitation of Antibody−targeted Drug Conjugates in Plasma using LC/LC/MS”,51st Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Montreal, Quebec,2003年6月8日〜12日)。図19は、(上)還元された、および変性したトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの全イオンクロマトグラム;(中)1MMAEを有する軽鎖の質量スペクトル;および(下)3MMAEを有する重鎖の質量スペクトルを示している。図20は、還元されたトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE:(上)LC+1MMAEおよび(下)HC+3MMAEのフラグメントの逆重畳質量スペクトルを示した図である。
【0232】
図25は、抗EphB2R抗体−薬物結合体である2H9−MC−vc−PAB−MMAEの2つの調製物のLC分析を示した図である。フラグメントの指定;LC+0、LC+1、HC+0、HC+1、HC+2、HC+3、HC+4。2H9は、エフリンB受容体に対する強度の親和性を有するIgG1抗体である。2H9はさらにまた、還元後に10個までの反応性システインチオール基に対するポテンシャルを有する、5個のジスルフィド基を有する。図26は、特性解析のためのQ1データ収集を用いた、2つの調製物2H9−MC−vc−PAB−MMAEのLC/MS分析を示した図である。表1は、ADCの2つの調製物である2H9−MC−vc−PAB−MMAEのフラグメントの統合領域をまとめており、軽鎖および重鎖上の薬物負荷、したがって1抗体当たりの相薬物負荷を確定している。2H9当たりの全平均薬物負荷は、2つのHCおよび2つのLCフラグメントの合計から計算した。図25および26の一番上にあるADC調製物についての2H9当たりの総平均薬物負荷は、3.5MMAE/2H9であった。図25および26の一番下にあるADC調製物についての2H9当たりの総平均薬物負荷は、5.1MMAE/2H9であった。
【0233】
【表1】

抗体−薬物結合体であるトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの類似のLC/MS同定および特性解析を実施した。1つの調製物は、1.0(MMAE/LC)の軽鎖負荷および2.9(MMAE/HC)の重鎖負荷、このため7.8(MMAE/トラスツズマブ)の総薬物負荷を生じさせた。また別の調製物は、1.0(MMAE/LC)の軽鎖負荷および1.6(MMAE/HC)の重鎖負荷、このため5.1(MMAE/トラスツズマブ)の総薬物負荷を生じさせた。
【0234】
図28〜31は、LC/MSによる血漿サンプルの薬物動態(PK)分析の結果を示している。Sprague−Dawley系ラットに抗体、トラスツズマブ当たり平均8.7〜5.3MMAEの薬物成分が負荷されたトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの2つの調製物いずれかが投与された。図28および29は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(8.7MMAE/トラスツズマブ)、2mgのMMAE/kg(図28);およびトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(5.3MMAE/トラスツズマブ)、2mgのMMAE/kg(図29)が投与されたSprague−Dawley系ラットからの血漿由来LC/MSサンプルについてのPK分析を示した図である。結合体した薬物成分を含む、および含まない様々な重鎖および軽鎖の濃度を計算した。図30は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(5.3MMAE/トラスツズマブ)のLC(軽鎖)およびHC(重鎖)フラグメントのMMAE結合体化のレベルの百分率比のプロットを示した図である。図31は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの2種の調製物についての経時的な薬物(MMAE)対抗体(トラスツズマブ)比率変化の比較を示した図である。1つの調製物は、8.7MMAE/トラスツズマブの薬物対抗体比を有しており、もう1つの調製物は、5.3の比率を有する図31に示した調製物である。
【0235】
図32〜36は、薬物負荷作用についての比較薬物動態試験の結果を示している。単一ロットの抗体−薬物結合体であるトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFを調製した。クロマトグラムからのピークは、抗体、トラスツズマブ当たりの2、4、および6MMAFの薬物負荷を示したMSによって同定した(図32)。図32は、(上)0、2、4、6の薬物負荷値を有するトラスツズマブ−MC−vc−MMAFの粗混合物;(上から2番目)6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−MMAF;(中央)4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−MMAF;(下から2番目)2の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−MMAF;(下)トラスツズマブの疎水的相互作用クロマトグラム(HIC)を示している。
【0236】
各主要ピーク下の構成成分を分離し、単離し、そしてLC/MSによって特性解析した。図33は、(上)2の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(中央)4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下)6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの還元および変性後のLC/MS分析を示した図である。2の薬物負荷(上)を有するサンプルは、軽鎖フラグメントの53.1% LCおよび46.9% LC+1ならびに重鎖フラグメントの51% HCおよび49.0% HC+1を示した。LC、LC+1、HC、およびHC+1についての全面積は、1.9MMAF/Abの総薬物負荷計算値を生じさせた。4の薬物負荷(中)を有するサンプルは、軽鎖フラグメントの60.1% LCおよび39.9 LC+1ならびに重鎖フラグメントの49.1% HC+1、48.1% HC+2、および2.8% HC+3を示した。LC、LC+1、HC+1、HC+2、およびHC+3についての全面積は、3.9MMAF/Abの総薬物負荷計算値を生じさせた。6の薬物負荷(下)を有するサンプルは、軽鎖フラグメントの55.2% LCおよび44.9% LC+1ならびに重鎖フラグメントの7.6% HC+1、46.7% HC+2、および45.7% HC+3を示した。LC、LC+1、HC+1、HC+2、およびHC+3についての全面積は、5.5MMAF/Abの総薬物負荷計算値を生じさせた。図34は、(上)2の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(中央)4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下)6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの重鎖上の0、1、2、および3MMAF薬物成分を有するフラグメントの質量による特性解析を伴うMS分析を示した図である。
【0237】
遊離薬物であるMMAFは、2(51.73gのADC/kg)の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;4(26.12mgのADC/kg)の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;および6の薬物負荷(17.59mgのADC/kg)を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFが投与されたラット由来の血漿中で検出された。第5日に、2の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFを摂取したラットにおいて遊離MMAFは1.80ng/mLであった。第5日に、4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFを摂取したラットにおいて遊離MMAFは9.09ng/mLであった。第4日に、6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFを摂取したラットにおいて遊離MMAFは50.81ng/mLであった。血漿中の遊離薬物の存在は、2、4、および6の薬物負荷を有する3種のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFが投与されたラット由来の血漿中で検出された経時的な薬物/Ab比において測定された減少と一致している(実施例9)。
【0238】
図35は、免疫親和性膜選択膜/LC/MSによって分析されたラット血漿サンプル由来の、2の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;および6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFのクリアランスについての経時的な薬物(MMAF)対抗体(トラスツズマブ)比の変化の比較を示した図である(実施例2)。図36は、免疫親和性膜選択膜/LC/MSによって分析されたラット血漿サンプル由来の2、4および6の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFについて経時的に軽鎖および重鎖の結合体化レベルの比較によって薬物対抗体比の変化をさらに詳細に示している。
【0239】
図37および38は、類似の薬物負荷を用いて、抗体−薬物結合体中の薬物成分MMAEとMMAFとの間の差についての比較薬物動態試験の結果を示している。ラットには、ビヒクル対照;5.3の平均薬物負荷を有する20.2mgのADC/kgのトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE;および4の薬物負荷を有する26.12mg/kgのトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFが投与された。これらの投与は、投与された薬物の量を本質的に標準化する。第4日のLC/MS分析は、クリアランスされたトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE血漿サンプルが、重鎖フラグメントは結合体されたままの薬物を本質的に有しておらず、軽鎖フラグメントはLC当たり0.9MMAEを有していることを示すことを証明した。第4日のLC/MS分析は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF血漿サンプルが、重鎖フラグメントがHC当たりの0.9MMAFを有しており、軽鎖フラグメントはLC当たり0.4MMAFを有していることを証明した。図37は、5.3の平均薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEラット血漿サンプル;および4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFについて経時的に薬物(MMAE)対LC(軽鎖)および薬物(MMAE)対HC(重鎖)比における経時的な薬物/抗体比への変化の比較を示した図である。このグラフは、フラグメントの分解の相対比は:HC−MMAE>HC−MMAF>LC−MMAF>LC−MMAEであることを示している。図38は、平均薬物負荷値5.3を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEラット血漿サンプル;および4の薬物負荷を有するトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの対HC(重鎖)からのLC(軽鎖)および薬物(MMAE)の相対薬物消失率を示した図である。
【0240】
抗HER2抗体Fabである4D5は、メイタンシノイド薬物成分DM1との結合体化の前後に分析した。図40は、毎秒カウント数(cps)対原子量単位(amu)における強度をプロットしている逆重畳質量分析解析を示している。裸の4D5 Fab(左上)は、主として単一質量を示している。ジスルフィド基の還元後に、裸の4D5は軽鎖および重鎖に分離する(左下)。抗体−薬物結合体の調製物である4D5 Fab−SPP−DM1は、0、1、2、3、および4つのDM1薬物成分を有する種の分布を示している(右上)。抗体ジスルフィド基とSPPリンカーのジスルフィド結合の還元後に、4D5 Fab−SPP−DM1の調製物は、フラグメントに残留している部分リンカー(SP)を有する重鎖および軽鎖種(右下)へ指定できるフラグメントを示した。
【0241】
抗体−薬物結合体の代謝産物は、薬物動態サンプルから本発明の方法によって単離かつ特性解析することができる。例えば、図41は、カニクイザルのインビボ血漿サンプル由来の抗オーリスタチン抗体親和性膜上に捕捉された8178amuの質量を有するトラスツズマブ−MC−MMAFの代謝産物の計数毎秒(cps)対原子質量単位(amu)での強度をプロットした質量分析を示した図である。図42は、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与120時間後までの複数の時点に採取された、カニクイザルからのインビボ血漿サンプル由来の抗オーリスタチン抗体親和性膜上に捕捉された8178質量単位(+1636m/zの5イオン)の代謝産物のピーク面積を示した図である。
【0242】
図43は、カニクイザルへのトラスツズマブ−SMCC−DM1の投与後に複数の時点(時間)に採取された血漿サンプル由来の質量分析法によって検出された軽鎖フラグメントのプロットを示した図である。軽鎖フラグメントは、0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したようなそれらの質量を特徴とし、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総軽鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【0243】
図44は、インキュベーション時点(時間)での、緩衝液(PBSおよび0.5% BSA)中のトラスツズマブ−SMCC−DM1のサンプルから質量分析法によって検出された軽鎖フラグメントのプロットを示した図である。軽鎖フラグメントは、0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したようなそれらの質量を特徴とし、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総軽鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【0244】
図45は、カニクイザルへのトラスツズマブ−SMCC−DM1の投与後に複数の時点(時間)で採取された血漿サンプル由来の質量分析法によって検出された重鎖フラグメントのプロットを示した図である。重鎖フラグメントは、0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したようなそれらの質量を特徴とし、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総重鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【0245】
図46は、インキュベーション時点(時間)での、緩衝液中のトラスツズマブ−SMCC−DM1のサンプルから質量分析法によって検出された重鎖フラグメントのプロットを示した図である。重鎖フラグメントは、0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したようなそれらの質量を特徴とし、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総重鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【0246】
図47は、(上の線)抗体薬物結合体の緩衝液サンプル、トラスツズマブ−MC−MMAF;および(下の線)70時間までの複数の時点に、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与後のカニクイザルから採取された血漿サンプル内の薬物成分に結合体化したままである抗体のプロットを示した図である。薬物成分に結合体した抗体の分画は、LC/MS法(実線)および二重ELISA試験(点線)によって測定された。LC/MSおよびELISA法は、緩衝液およびインビボの両方での薬物動態サンプルについて良好に相関している。
【0247】
図48は、LC/MS(点線)およびELISA試験(実線)によって60時間までの時点に、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与後のカニクイザルから採取された血漿サンプル中のFab抗体薬物結合体、4D5 Fab−MC−vc−PAB−MMAEのμg/mLでの定量のプロット図を示した図である。結果の比較は、表2に提供されている。
【0248】
【表2】

【実施例】
【0249】
(サンプルおよび試薬)
HPLC用アセトニトリルは、Burdick and Jackson(ミシガン州マスキーゴン)から購入した。ギ酸(FA)はMallinckrodt(ニュージャージー州フィリップスバーグ)から購入した。トリフルオロ酢酸(TFA)および1,4−ジチオ−DL−トレイトール(DTT)は、Avocado Research Chemicals Ltd.(マサチューセッツ州ワードヒル)から購入した。PNGaseF酵素は、Prozyme(カリフォルニア州サンリアンドロ)から購入した。PLRP−Sポリマーカラムは、Polymer Laboratories(マサチューセッツ州アマースト)から購入した。
【0250】
(機器器械)
本明細書に記載した本発明の実施形態のためには、Applied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティ)から購入したAPI 3000質量分析計を使用した。CTC HTS−PALオートサンプラーは、Leap Technologies(ニュージャージー州カールボロ)から購入した。Shimadzu高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)ポンプ(LC−10AD)およびシステムコントローラー(SCL−10A)は、Shimadzu Corporation(メリーランド州コロンビア)から購入した。Keystone Scientific ホットポケットカラムヒーターは、Thermo(メリーランド州ウォルサム)から購入した。スイッチング弁は、Valco Instruments Co.Inc.(テキサス州ヒューストン)から購入した。
【0251】
(小タンパク質のためのHPLC法)
逆相HPLC法は、PLRP−S 8μ、1000Å、2.0×50mm架橋結合ポリスチレン/ジビニル−ベンゼンカラムを用いて還元された抗体検出のために使用した。移動相AおよびBは、各々水およびアセトニトリル中の0.05% TFAから構成された。カラム温度を70℃へ加熱した。標準物質およびサンプル分析のために9分勾配を使用した:(0.0〜1.0分、500μL/分、0% B;1.0〜1.1分、500〜250μL/分、0〜30% B;1.0〜1.1分、250μL/分、30% B;1.1〜1.5分、250μL/分、30% B;1.5〜5.5分、250μL/分、30−50% B;5.5〜6.5分、250μL/分、50〜80% B;6.5〜7.5分、250μL/分、80% B;7.5〜7.6分、250μL/分、0% B;7.6〜9.0、250μL/分、0% B)。この方法のための注入量は、サンプルが希釈液であるために100〜300μLである。特性解析のための注入量は、10〜20μLであり得、一方膜サンプルのための注入量は200〜500μLであり得る。スイッチング弁(Valco Instruments,Co,Inc.、テキサス州ヒューストン)を使用してサンプル緩衝液は、廃棄物へ転換される(0.0〜1.8分間)。抗体の軽鎖(LC)、および重鎖(HC)は、各々およそ4.41および4.76分間で溶出する。
【0252】
(大タンパク質のためのHPLC法)
逆相HPLC法はPLRP−S 8μ、4000Å、2.0×50mm架橋結合ポリスチレン/ジビニル−ベンゼンカラムを用いてインタクトな抗体検出のために使用した。移動相AおよびBは、各々水およびアセトニトリル中の0.1% FAから構成された。カラム温度を70℃へ加熱した。8分勾配を標準物質およびサンプル分析のために使用した:(0.0〜2.5分、500μL/分、0% B;2.5〜3.5分、500μL/分、50% B;3.5〜5.0分、500μL/分、50〜100% B;5.0〜6.4分、500μL/分、100% B;6.4〜6.5分、500μL/分、100〜0% B;6.5〜8.0、500μL/分、0% B)。この方法のための注入量は10μLである。スイッチング弁はサンプル緩衝液を廃棄物へ転換させる(0.0〜2.5分間)。インタクトな抗体は約3.5分間で溶出する。
【0253】
(質量分析計(MS)の条件)
小タンパク質のためにはQ1スキャンモード(1200〜2500m/z、および高分子のためには1800〜3000m/z)を使用して全スキャンモードのためにAPI 3000上のデータを獲得した。デクラスタリングポテンシャル(DP)は、起源での流量溶液に依存して30〜120または70〜250ボルトへ傾斜した。以下の追加のパラメーターを使用した:ネブライザーガス(NEB)は12.0、カーテンガス(CUR)は10.0、イオンスプレー電圧(IS)は5500、温度(TEM)はカラム流量に依存して300〜500、集束ポテンシャル(FP)は400V、入口ポテンシャルは10.0V、およびデフレクター(DF)は−100Vであった。還元された抗体の単一イオン・モニタリング(SIM)法は、75VのDP電圧を使用した。
【0254】
(実施例1)
(免疫親和性クロマトグラフィーおよび逆相HPLCカラムスイッチング法)
ADCを分析して小分子薬物成分および代謝産物を定量するための、カラムスイッチング、免疫親和性/LC/MS法を使用した。質量分析計に導入する前に自動カラム洗浄およびスイッチングのためにはPROSPEKT−2(登録商標)機器(Chromatographic Specialties,Inc.、オンタリオ州ブロックビル)を使用した。免疫親和性/LC/MS法。免疫親和性/LC/MS法は、抗体結合体の親和性単離、遊離薬のオンラインSPE抽出、小分子の逆相分離を実施し、その後に結合体した抗体の逆相分離を含んでいる。免疫親和性カラム(遊離薬物を含有する)からの廃棄物の流れは、それが廃棄される前にC18 SPEカートリッジを通して方向付けられる。SPEカートリッジが溶出され、その間に血漿が親和性カラムから洗浄され、最後に親和性カラムが溶出される。2つのデータファイルは1回の血漿注入から注入され、インビボでの結合体化抗体のための貴重な定量データを提供する。
【0255】
LC/MS/MS法は、オンラインSPE(固相抽出)のためにPROSPEKT−2機器、クロマトグラフィー分離のための逆相クロマトグラフィー(SYNERGI C12)、および検出のためのAPI 3000質量分析法を使用する。小分子方法は、MMAEおよびMMAFオーリスタチン薬物について0.3〜750ng/mLの範囲を有していた。血漿中の線形曲線を得た、R=0.999(Kadkhodayan,M.およびMann,E.“New Strategies in Characterization and Quantitation of Antibody−targeted Drug Conjugates in Plasma using LC/LC/MS”, 51st Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, American Society for Mass Spectrometry, Montreal, Quebec, June 8−12,2003)。さらに、本方法の抗体部分は0.14〜300μg/mLの範囲を有し、溶液および血漿中のどちらでも線形であった(R=0.999)。
【0256】
(実施例2)
(免疫親和性膜の選択および逆相HPLC法)
生物学的サンプルを特性解析かつ定量するために免疫親和性膜(IAM)選択および逆相HPLC法が開発された(Mann,E.およびKadkhodayan,M.“Antibody Isolation and Quantitation using LC/MS and a Novel 96−Well Immunoaffinity Membrane”,52nd Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Nashville,TN,2004年5月23日〜27日)。96のサンプルの同時浄化を可能にする96ウェルフォーマットで、市販で入手できる親和性膜を使用した。膜の負荷、洗浄および溶出のために圧ゲージ(Aldrich)を装備した真空マニホールドを使用した。圧ゲージは全洗浄のための20psi、ならびに抗原の固定化、血漿サンプルの適用およびタンパク質溶出などの重要な工程のためには5psiで維持した。血漿などの生物学的サンプルを各ウェルに送達し、インキュベートし、洗浄し、そして0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)を用いて、LC/MSによるサンプル分析のためにオートサンプラー内へ直接的に配置した2mLの四角形96ウェルプレート内へ送達した。
【0257】
LC/MSサンプル分析のためには、逆相カラム(PLRP−S、2.0×50mm、8μ、1000Å)を装備したAPI 3000四重極質量分析計を使用した。0.05% TFAを含むアセトニトリルおよび水を用いて8分のHPLC勾配を利用した。
【0258】
抗原固定化および抗体捕捉条件を評価して調整した(緩衝液の選択、濃度、およびpH)。EMPORE膜上のアゾラクトン官能基と抗体抗原(Ab)上のアミン基との間の安定性結合形成を含む固定化化学は下記の通りである。トラスツズマブを捕捉するための、抗HER2の細胞外ドメイン(ECD)、ヒト上皮成長因子受容体2タンパク質、HER2(ErbB2)(米国特許第5,821,337号;第6,054,297号;第6,407,213号;第6,639,055号;Coussens et al. (1985) Science 230:1132−9;Slamon, et al. (1989) Science 244:707−12)。洗浄の回数および順序(PBS、希釈tween 20洗浄剤、およびMillipore(商標)水)は最高効率の洗浄戦略を決定するために最適化した。最適な溶出量は、各抗原−抗体系について最適化する必要がある。EMPORE膜は、有害な作用を伴わずに、例えば30回まで正常に再使用可能である。
【0259】
【化40】

アザラクトン親和性膜は、最適化条件を利用して調製し、直線性および全プレート変動性について試験した。この膜から回収された2つの抗体からの抗体検量線は、75μg/mL〜0.14μg/mLの範囲について大きな直線性(R=0.9993)を証明した(図10)。全プレート変動性実験は全プレートについて6.0% CVならびに図11における96ウェル(8×12)を表す以下の行および列については2.5から8.0%を生じさせた。そこで曲線計数下面積は、全プレートにわたって受容可能な精密度を示している。
【0260】
所定の抗体は、1つ以上の糖残基を用いてグリコシル化される。図12で分析されたモノクローナル抗体は、脱グリコシル化の前(上)および後(下)のグリコシル化抗体のスペクトルを示している。荷電イオンの不均質性は、大きな正確度および感受性を生じさせる糖除去によって大きく減少させられる。PNGaseFを用いる脱グリコシル化などの膜上酵素反応を実施できる(図12)。
【0261】
(親和性膜固定化法)
1)固定化のための抗原化合物の調製。当該の分析物を捕捉するために適切な抗原または抗体が選択され、そしてタンパク質は固定化の前に、(1M硫酸ナトリウムおよび0.1Mリン酸ナトリウム、pH=7.5)または(1Mクエン酸アンモニウムおよび0.1Mリン酸ナトリウム、pH=7.5)のどちらかの高塩溶液に転換させられなければならない。アザラクトン親和性膜を用いた反応効率は、pHが高くなるに伴って増加することがある(pH=9まで)。しかしタンパク質は高pHレベルでは不安定性であるため、7.5〜8.0のpHは反応性と安定性との間で最適な妥協である可能性がある。NAP 5、10または25カラム(Pharmacia)はサンプルを緩衝液交換するために使用される。タンパク質は、さらにまた最高の反応条件のために可能な最高濃度で維持されなければならない。
【0262】
2)3M Empore(商標)親和性96ウェルプレートへの抗原/抗体の固定化。親和性膜は、タンパク質が添加されるまで密封容器内で直立していなければならない。代表的標的量のタンパク質は1ウェル当たり100μgである(だが意図された使用に基づいてこれより多量または少量を加えることができる)。1ウェル当たり必要とされる高塩タンパク質溶液の容量(工程1)は、80μLの最小量を用いて計算される。親和性膜を含有するパッケージが開封され、1ウェル当たり100μgのタンパク質が加えられる。膜は2時間にわたり37℃でインキュベートされる。溶液の添加から初期5分間以内に、膜は目に見えて膨潤する可能性がある。
【0263】
3)3M Empore(商標)親和性膜をクエンチする。タンパク質溶液は軽度の真空(−10mmHg)を用いて膜を通して吸引されなければならない。膜上の未反応アザラクトン部位をクエンチするためにはエタノールアミンを使用する。約500μLの3Mエタノールアミンを加えてpHを8へ調製し、真空マニホールドを用いて膜を通して吸引する。また別の500μLの3Mエタノールアミン(pH=8)を加え、37℃で1時間にわたり膜をインキュベートする。膜を通して真空によってエタノールアミンを吸引し、500μL PBS(リン酸緩衝食塩液)を用いて各ウェルを洗浄する。
【0264】
4)非特異的結合部位のブロッキング。親和性膜の各ウェルに約1mLの0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えた。これを室温で15分間にわたりインキュベートした。真空によって各ウェルを通してBSA溶液を吸引し、さらに1mLのPBSを用いて洗浄した。これで膜の使用準備が整う。膜は、1ウェル当たりPBS中に溶解された200μLの0.02%アジ化ナトリウムと一緒に4℃で被覆された溶液中に保存する。必要であれば、ウェルが乾燥するのを防止するために追加のPBSを追加する。
【0265】
(親和性膜の使用方法)
1)3M Empore(商標)親和性96−ウェル膜上の標的の捕捉。血漿中の標的タンパク質または抗体を捕捉するためには、固定化抗原/抗体を用いて調製された免疫親和性膜を使用する。溶液中の標的タンパク質/抗体は膜を用いて捕捉できるが、しかしウェルへの非特異的結合は問題となることがある。使用前に、1mL PBS(リン酸緩衝食塩液)を用いて各ウェルを洗浄する。標的タンパク質/抗体を含有する純粋の血漿または血清100μLを膜へ加える。膜を37℃で30分間インキュベートする。穏やかな真空(−10mmHg)を用いて膜を通してサンプルを吸引する。
【0266】
2)捕捉された標的を洗浄/脱グリコシル化する。各ウェルは、1mL洗浄液を用いて連続して洗浄しなければならない:1回はPBSを用いて、1回はPBS+1.6% Tween 20を用いて、そして水を用いて3回。捕捉された化合物の脱グリコシル化が所望である場合は、膜の各ウェルへ100μLの脱グリコシル化液を添加し、37℃で2時間にわたり膜上でインキュベートする。膜脱グリコシル化反応に続いて1mLの水を用いて各ウェルを2回洗浄する。(脱グリコシル化溶液=110μLのN−グリカナーゼ酵素(Prozyme)+8140μLの水+2750μLの80mMリン酸ナトリウム(pH=7.5)。
【0267】
3)標的の溶出。各抗体−抗原対は、親和性に基づいて固有の溶出容積を有する。使用前に化合物のために必要な溶出容積を実験によって決定する。各ウェルに2mLを加えて3M Emporeブロッキング緩衝液を用いて2mLのsquare well deep well 96ウェルプレートを処理し、プレートを37℃で15分間インキュベートし、水でプレートを5回すすぎ洗いし、そしてプレートを乾燥させる。これは標的の粘着を防止するためにプレートを被覆する。この被覆は、それが有機溶媒中に溶解するため、水溶液中でしか使用できない。高pH(代表的には300〜500μLの0.2% TFA)を用いて標的を、穏やかな真空によりブロックされた96ウェルプレート内へ溶出させる。溶出した標的は、分析の用意が整う。
【0268】
4)サンプルの還元。サンプル還元が必要とされる場合は、96ウェルプレート内のサンプルへ8μLの還元液を加える。ピペットを用いて穏やかに混合する。被覆された96ウェルプレートを37℃で1時間にわたりインキュベートする。(還元液=900μLの5 M酢酸アンモニウムおよび100μLの1M tris−(2−カルボキシ−エチル)−塩酸ホスフィン(TCEP))。
(実施例3)
NANOMATE ESIチップ法
抗体−薬物結合体血漿サンプルを質量分析するための自動ナノエレクトロスプレーチップ法が開発された(Kadkhodayan,M.およびMann,E.“Rapid Antibody Characterization and Quantitation using Automated Chip−based Nanoelectrospray/MS”,52nd Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics,American Society for Mass Spectrometry,Nashville,TN,5月23〜27, 2004)。
【0269】
NANOMATE 100およびESI CHIPを装備したAPI 3000を使用した。NANOMATE 100機器システムは、質量分析計内へ自動ナノスプレー注入を行うために100本の個別ノズルを含有するESIチップを利用する市販で入手可能なナノスプレーインターフェースであり、高感受性(低LOQ)、減少したサンプル消耗、自動化、およびサンプル・キャリーオーバー利得の排除とともに低く制御された流量を生じさせた。サンプルは導電性ピペットチップに通して吸引して、チップ上のノズルの背部へ送達された。ピペットに高電圧を適用し、100nl/分のエレクトロスプレー噴流を形成した。NANOMATEの設定は、サンプルピークの前に0.2分のベースライン値を提供するために5mLのサンプル吸引量の後に3mLのエアギャップであった。使用したガス圧は0.4psiであり、ナノスプレーのための適用電圧は陽モードで1.6kVであった。1分間の注入時間が最適のS/N(信号対雑音)比を有すると見いだされた。
【0270】
NANOMATE(登録商標)(Advion BioSciences, Inc.、ニューヨーク州イサカ)ESIチップ法を用いて、インタクトな抗体および還元された抗体各々を分離するために2種の相違する溶媒系を使用した。還元法は、還元剤としてのTris(2−カルボキシエチル)−塩酸ホスフィン、およびアルキル化剤としてのN−エチルマレイミドを使用する工程を含んでいた。全サンプルは、NAP5カラムを用いて溶媒交換した。最終組成物は、0.1%ギ酸を含む50%アセトニトリル中の2.5mM酢酸アンモニウムであった。
【0271】
インタクトな抗体および還元された抗体のためのイオン化条件は、酸百分率、イオン対剤濃度および有機溶媒の選択などの様々なパラメーターを調査することによって最適化した。DP電圧は、高品質データを入手する際に重要なパラメーターであった。最適化条件を用いて、様々な抗体の特性解析は炭水化物分布についての情報を明らかにした。
【0272】
ナノエレクトロスプレー流量(100nL/分)によって入手した検量線は、5〜15%の範囲内のCV(%)の従来型LC/MS流量(300μL/分)と比較したときに感受性における40倍の増加を示した。本方法の線形範囲は、1分間の注入時間を用いて400フェムトグラム(2.7アトモル)の絶対感受性で4〜300pg/μLであった。
(実施例4)
トラスツズマブおよびMC−MMAEの結合体化によるトラスツズマブーMC−MMAEの調製
500mMのホウ酸ナトリウムおよび500mMの塩化ナトリウム(pH8.0)中に溶解したトラスツズマブを過剰の100mMジチオトレイトール(DTT)で処理した。37℃で約30分間インキュベーションした後、Sephadex G25樹脂に通して溶出することで緩衝液を交換し、1mM DTPAを含むPBSを用いて溶出した。チオール/Ab値は、溶液の280nmでの吸光度およびDTNB(Aldrich、ワイオミング州ミルウォーキー)との反応によるチオール濃度からの還元された抗体濃度の決定および412nmでの吸光度の決定によってチェックした。PBS中に溶解した還元された抗体は氷上で冷却した。
【0273】
DMSO中に溶解した薬物リンカー試薬、マレイミドカプロイル−モノメチルオーリスタチンE(MMAE)、すなわちMC−MMAEを知られている濃度でアセトニトリルおよび水中に希釈し、PBS中の冷却した還元された抗体トラスツズマブへ添加した。約1時間後、反応をクエンチし、任意の未反応抗体チオール基をキャッピングするために、過剰なマレイミドを加えた。反応混合物は遠心分離によって濃縮し、トラスツズマブ−MC−MMAEを生成し、PBS中のG25樹脂に通した溶出によって脱塩し、無菌条件下で0.2μmフィルターに通して濾過し、貯蔵のために冷凍した。
(実施例5)
トラスツズマブおよびMC−MMAEの結合体化によるトラスツズマブーMC−MMAFの調製
トラスツズマブ−MC−MMAFは、実施例4の方法にしたがってトラスツズマブおよびMC−MMAFの結合体化によって調製した。
(実施例6)
トラスツズマブおよびMC−VAL−CIT−PAB−MMAEの結合体化によるトラスツズマブー−MC−VAL−CIT−PAB−MMAEの調製
トラスツズマブ−MC−val−cit−PAB−MMAEは、実施例4の方法にしたがってトラスツズマブおよびMC−val−cit−PAB−MMAEの結合体化によって調製した。
(実施例7)
トラスツズマブおよびMC−VAL−CIT−PAB−MMAFの結合体化によるトラスツズマブ−MC−VAL−CIT−PAB−MMAFの調製
トラスツズマブ−MC−val−cit−PAB−MMAFは、(“Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands”, US Ser. No. 10/983,340, filed Nov. 5, 2004)および実施例4の方法にしたがってトラスツズマブおよびMC−val−cit−PAB−MMAFの結合体化によって調製した。
(実施例8)
ラットにおけるトラスツズマブ−MC−VAL−CIT−PAB−MMAEの薬物動態試験
42匹の雌性Sprague−Dawley系ラット(各75〜80g)には、ビヒクル(第1群)、抗体−薬物結合体であるトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(第2〜6群)、または遊離薬物であるモノメチルバリンオーリスタチン、MMAE(第7群)を投与した。第2および3群には、8.7MMAE/Trの平均薬物負荷を備えるTr−MC−val−cit−PAB−MMAEの調製物を投与した。第4、5および6群には、5.3MMAE/Trの平均薬物負荷を備えるTr−MC−val−cit−PAB−MMAEの調製物を投与した。ADCの用量は、薬物成分への匹敵する曝露を送達するように、すなわち第2および4群(840μgのMMAE/m)、ならびに第3および5群(2105μgのMMAE/m)に調整した。第6群は4209μgのMMAE/mの最高用量を摂取した。
【0274】
【表3】

投与溶液は、試験第1日に10mL/kgの容量で単回静脈内ボーラス尾静脈注射によって投与した。全投与溶液は所定濃度の10%以内であった。動物の体重は、試験第1日の投与前およびその後は1日1回測定した。全血は、血液パラメーターおよび完全血球数のためにEDTA含有チューブ内へ採取した。臨床化学パラメーターのために全血を血清分離装置内へ採血した。血液サンプルは、試験第4日ならびに試験第3および5日の投与前に採血した。全血サンプルはさらにリチウムヘパリン含有チューブ内へ採血し、血漿は後の分析のために−70℃で冷凍した。
【0275】
第1、2、3、4、5、および7群における全動物は、試験中の5日間を通して健康であるように見えた。40.4mg/kgのトラスツズマブ−MC−val−cit−PAB−MMAE(5.3、システイン)が投与された第6群の動物2匹は試験第4日に死亡しているのが見いだされた。この群の残り4匹の動物は瀕死であり(不活発で、尿路生殖領域における黄色排泄物)であったため、第4日に安楽死させて剖検した。第2、4、および7群における動物には匹敵する量のMMAE(840μg/m)を投与し、匹敵する体重変化を示した。しかし12.5mg/kgのトラスツズマブ−MC−val−cit−PAB−MMAE(8.7種の薬物/抗体)が投与された第3投与群および20.2mg/kgのトラスツズマブ−MC−val−cit−PAB−MMAE(5.3種の薬物/抗体)が投与された第5群における高用量のMMAE(2105μg/m)が投与された動物は、第5日までに体重における有意に相違する変化を有した(p<0.05)。
(実施例9)
ラットにおけるトラスツズマブ−MC−VAL−CIT−PAB−MMAFの薬物動態試験
Sprague−Dawley系ラット(各75〜80g)には、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF(第1、2、3群)、または裸の、非結合体抗体トラスツズマブ(第4群)のHPLC単離系を各々投与した。第1群ラットは、HPLC生成した、2種の薬物/Ab結合体を摂取した。第1群ラットは、HPLC生成した、4種の薬物/Ab結合体を摂取した。第1群ラットは、HPLC生成した、6種の薬物/Ab結合体を摂取した。各ラットは、時点0に単回ボーラス注射を摂取した。
【0276】
【表4】

血液(0.2mL)を次の時点に採血した:第1〜4群:投与の0、3分後、1、6および24時間後、2、3、4、8、11、14、21、28日後。血漿サンプルは、実施例2の免疫親和性膜選択および逆相HPLC法によって分析した。薬物動態試験結果は、図35および36にプロットした。
(実施例10)
カニクイザルの毒性/安全性
ラット薬物動態試験に類似して、カニクイザルをADCで処置し、その後に血漿サンプルの分析、ならびに肝酵素測定、そして様々な器官に及ぼす作用の検査および分析を実施した。肉眼的観察所見は、体重の変化ならびに病変および出血の徴候を含んでいた。臨床的病理学パラメーター(血清化学および血液学)、組織病理学、および剖検を投与された動物について実施した。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】図1は、様々なギ酸(FA)濃度およびデクラスタリングポテンシャル(DP)下での、インタクトなグリコシル化抗体トラスツズマブのQ1質量スペクトルを示す。
【図2】図2は、Q1スキャンからのトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの軽鎖の広範囲の荷電状態にわたる標準曲線から抽出された、Q1イオンの直線性を示す。
【図3】図3は、グリコシル化されたトラスツズマブのESI−MSおよびスペクトラル逆重畳を示す。
【図4】図4は、様々な濃度でのインタクトなトラスツズマブ(αHer2)および脱グリコシル化されたインタクトなトラスツズマブの、ESI−MSによる定量のための検量線を示す。
【図5】図5は、還元されたトラスツズマブの様々な濃度での軽鎖(LC)および重鎖(HC)の、ESI−MSによる定量のための検量線を示す。
【図6】図6は、脱グリコシル化後の、抗体−リンカー結合体であるトラスツズマブ−SPPのESI−MSを示す。
【図7】図7は、図6の生データの逆重畳スペクトルを示す。
【図8】図8は、脱グリコシル化後のトラスツズマブ−ローダミン結合体の逆重畳スペクトルを示す。
【図9】図9は、定量のために使用される、図8の脱グリコシル化後のトラスツズマブ−ローダミン結合体のスペクトル逆重畳前の荷電イオン(m/z)を示す。
【図10】図10は、モノクローナル抗体−薬物結合体の軽鎖についての血漿検量線を示す。LOQ=定量の下限。
【図11】図11は、血漿中のモノクローナル抗体(3μg)の全プレート正確性および精度を示す。
【図12】図12は、親和性膜上で実施されたモノクローナル抗体重鎖の脱グリコシル化の作用を示す。
【図13】図13は、還元されたトラスツズマブ−SPP−DM1のクロマトグラム(上)および質量スペクトル(中および下)を示す。
【図14】図14は、還元されたトラスツズマブ−SPP−DM1軽鎖および重鎖の逆重畳質量スペクトルを示す。
【図15】図15は、(上)トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE;および全イオンクロマトグラムから抽出された個別イオン:軽鎖、m/z=1675(上から2番目);1MMAEを有する軽鎖、m/z=2251(上から3番目);および3MMAEを有する重鎖、m/z=1832(下)、のクロマトグラムを示す。
【図16】図16は、還元されたトラスツズマブ軽鎖の血漿および溶液サンプルについてのLC/LC/MS検量線を示す。
【図17】図17は、1MMAEを有する還元されたトラスツズマブ軽鎖(LC+1MMAE)の血漿および溶液サンプルについての、LC/LC/MS検量線を示す。
【図18】図18は、0.1ng/mLのLOQを有する、ラット血漿中の遊離薬物MMAEについての検量線を示す。
【図19】図19は、還元され、かつ変性したトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの(上)全イオンクロマトグラム;(中)1MMAEを有する軽鎖の質量スペクトル;および(下)3MMAEを有する重鎖の質量スペクトルを示す。
【図20】図20は、還元されたトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの逆重畳質量スペクトルを示す:(上)LC+1MMAEおよび(下)HC+3MMAEのフラグメント。
【図21】図21は、3種の濃度(100nM(上);1000nM(中);および2000nM(下))の血漿溶液中のでのトラスツズマブの質量スペクトルQ1スキャンを示す。
【図22】図22は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの免疫親和性膜(IAM)選択、還元および変性によって単離されたラット血漿および溶液サンプルのクロマトグラムを示す。
【図23】図23は、ラット血漿中でのトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの、脱グリコシル化されて還元されたフラグメントの単一イオンモニタリング(SIM)を示す:(上)軽鎖;(中)1MMAEを有する軽鎖;(下)3MMAEを有する重鎖。
【図24】図24は、149ng/mLのLOQを有する、ラット血漿中のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEの1MMAE薬物成分(LC+1MMAE)を有する軽鎖の、2251m/zイオンについての検量線を示す。
【図25】図25は、抗EphB2R抗体−薬物結合体である2H9−MC−vc−PAB−MMAEの2つの調製物のLC分析を示す。フラグメントの指定;LC+0、LC+1、HC+0、HC+1、HC+2、HC+3、HC+4。上のクロマトグラムは、3.5MMAE/2H9である。下のクロマトグラムは、5.1MMAE/2H9である。
【図26】図26は、抗体のMMAE分布を決定し得る、2H9−MC−vc−PAB−MMAEの2つの調製物のQ1 LC/MS特性解析を示す。上の質量スペクトルのLot Aは、3.5MMAE/2H9である。下の質量スペクトルのLot Bは、5.1MMAE/2H9である。各種の複数ピークは、N−エチルマレイミド(NEM)の添加によるものであることに注意されたい。
【図27】図27は、LC/MS分析の前の抗体単離のための、96ウェル、真空マニホールド、免疫親和性膜(IAM)選択を使用するためのサンプル調製工程を示す。
【図28】図28は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(8.7MMAE/トラスツズマブ)が2mgMMAE/kgで投与された、Sprague−Dawley系ラットの血漿由来LC/MSサンプルについてのPK分析を示す。
【図29】図29は、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(5.3MMAE/トラスツズマブ)、2mg MMAE/kgが投与された、Sprague−Dawley系ラットの血漿由来LC/MSサンプルについてのPK分析を示す。
【図30】図30は、ラット血漿由来の、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE(5.3MMAE/トラスツズマブ)のLC(軽鎖)およびHC(重鎖)フラグメントの、MMAE結合体化レベルの百分率比のプロットを示す。
【図31】図31は、ラット血漿由来の2種の調製物である、トラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAE:8.7および5.3MMAE/トラスツズマブ)についての、経時的な薬物(MMAE)対抗体(トラスツズマブ)比の変化の比較を示す。
【図32】図32は、(上)0、2、4、6の薬物負荷のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの粗混合物;(上から2番目)薬物負荷6のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(中央)薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下から2番目)薬物負荷2のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下)トラスツズマブの疎水的相互作用クロマトグラム(HIC HPLC)を示す。
【図33】図33は、(上)薬物負荷2のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(中央)薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下)薬物負荷6のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの、還元後のLC/MS分析を示す。
【図34】図34は、(上)薬物負荷2のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(中央)薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;(下)薬物負荷6のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFの、重鎖のMS分析を示す。
【図35】図3は、免疫親和性膜選択膜/LC/MSによって分析されたラット血漿サンプル由来の、薬物負荷2のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;および薬物負荷6のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFのクリアランスについての、経時的な薬物(MMAF)対抗体(トラスツズマブ)比の変化の比較を示す。
【図36】図36は、免疫親和性膜選択膜/LC/MSによって分析されたラット血漿サンプル由来の、薬物負荷2のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAF;および薬物負荷6のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFのクリアランスについての、経時的な薬物(MMAF)対LC(軽鎖)および薬物(MMAF)対HC(重鎖)比の変化の比較を示す。
【図37】図37は、平均薬物負荷値5.3のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEラット血漿サンプル;および薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFについて、経時的な薬物(MMAE)対LC(軽鎖)および薬物(MMAE)対HC(重鎖)比の変化の比較を示す。
【図38】図38は、平均薬物負荷値5.3のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAEラット血漿サンプル;および薬物負荷4のトラスツズマブ−MC−vc−PAB−MMAFのHC(重鎖)からの薬物消失およびLC(軽鎖)からの薬物(MMAE)消失の相対比率を示す。
【図39】図39は、抗体に対する1当量、5当量、8当量、12当量、および20当量のモル過剰のTAMRA−NHSで、テトラメチルローダミン(TAMRA)のNHSエステルの抗体2H7に対する5回の結合体化反応のLC分析を示す。
【図40】図40は、4D5 Fab(左上)、4D5還元(左下)、4D5 Fab−DM1(右上)、および4D5 Fab−DM1還元(右下)の計数毎秒(cps)対原子質量単位(amu)での強度をプロットした、逆重畳質量分析を示す。
【図41】図41は、カニクイザルのインビボ血漿サンプル由来の抗オーリスタチン抗体親和性膜上に捕捉された、8177.9amuの質量を備えるトラスツズマブ−MC−MMAFの代謝産物の計数毎秒(cps)対原子質量単位(amu)での強度をプロットした質量分析を示す。
【図42】図42は、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与120時間後までの複数の時点において採取された、カニクイザルからのインビボ血漿サンプル由来の抗オーリスタチン抗体親和性膜上に捕捉された8178質量単位(+1636m/zの5イオン)の代謝産物のピーク面積を示す。
【図43】図43は、カニクイザルへのトラスツズマブ−SMCC−DM1の投与後に複数の時点(時間)において採取された血漿サンプル由来の質量分析法によって検出された軽鎖フラグメントのプロットを示す。軽鎖フラグメントは、その質量によって0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したと特性解析され、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総軽鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【図44】図44は、インキュベーション時点(時間)での、質量分析法によって検出された緩衝液中のトラスツズマブ−SMCC−DM1のサンプルから軽鎖フラグメントのプロットを示した図である。軽鎖フラグメントは、その質量によって0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したと特性解析され、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総軽鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【図45】図45は、カニクイザルへのトラスツズマブ−SMCC−DM1の投与後に質量分析法によって検出された、複数の時点(時間)で採取された血漿サンプル由来の重鎖フラグメントのプロットを示す。重鎖フラグメントは、その質量によって0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したと特性解析され、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総重鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【図46】図46は、インキュベーション時点(時間)での、質量分析法によって検出された緩衝液中のトラスツズマブ−SMCC−DM1のサンプルから重鎖フラグメントのプロットを示した図である。重鎖フラグメントは、その質量によって0、1、および2つのDM1薬物成分へ結合体したと特性解析され、トラスツズマブ−SMCC−DM1からの総重鎖フラグメントに対する百分率比が指定されている。
【図47】図47は、(上の線)抗体薬物結合体、トラスツズマブ−MC−MMAFの緩衝液サンプル;および(下の線)70時間までの複数の時点に、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与後のカニクイザルから採取された血漿サンプル内の薬物成分に結合体したままである抗体のプロットを示す。薬物成分に結合体した抗体の分画は、LC/MS法(実線)および二重ELISA試験(点線)によって測定された。
【図48】図48は、LC/MS(点線)およびELISA試験(実線)によって60時間までの時点に、トラスツズマブ−MC−MMAFの投与後のカニクイザルから採取された血漿サンプル中のFab抗体薬物結合体、4D5 Fab−MC−vc−PAB−MMAEのμg/mLでの定量のプロット図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体−薬物結合体化合物を検出するための方法であって、該方法は、以下:
(i)式I:
AB−(L−D)
を有する抗体−薬物結合体化合物を提供する工程であって、
式中、
Abは、抗体である;
Dは、薬物成分である;
Lは、Abへ共有結合され、かつDへ共有結合されているリンカーである;そして
pは、1、2、3、4、5、6、7、または8である、工程と;
(ii)該抗体−薬物結合体化合物および必要に応じて式I(式中、pは0である)の抗体またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を、生物学的起源と接触させる工程と;
(iii)該生物学的起源から生物学的サンプルを採取する工程と;
(iv)分析サンプルを生成するために該生物学的サンプルを処理する工程と;
(v)1つより多いサンプル構成成分の分離を行うために、該分析サンプルを分離媒体へ塗布する工程であって、分離されたサンプル構成成分が式I(式中、pは0、1、2、3、4、5、6、7、または8である)を有する抗体−薬物結合体化合物またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含む、工程と;
(vi)質量分析法によって、1つ以上の分離されたサンプル構成成分の質量もしくは質量対電荷比を確定する工程と、を包含する方法。
【請求項2】
工程(iii)、(iv)、および(v)を、1回以上繰り返す工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生物学的起源が、哺乳動物、組織、および細胞培養物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的サンプルが、血液、胆汁、尿、または便である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記生物学的サンプルが血液であり、該血液が処理されて血漿を生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記生物学的サンプルが血液であり、該血液が処理されて血清を生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記生物学的サンプルが、インビボ生物学的起源から採取される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生物学的起源が哺乳動物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記哺乳動物が、マウス、ラット、イヌ、サル、およびヒトから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的サンプルが、血液サンプルまたは排出物である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記生物学的サンプルが、インビトロ生物学的起源から採取される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記インビトロ生物学的起源が、細胞、組織、および器官から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記生物学的サンプルが、調製する工程、固定化する工程、遠心分離、単離する工程、消化する工程、血球凝固を誘導もしくは防止する工程、加水分解工程、または精製工程によって処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記生物学的サンプルが、免疫親和性膜選択によってさらに処理される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記分析サンプルが、細胞溶解液、組織溶解液、または器官溶解液である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分析サンプルが変性させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記分析サンプルが、ホルムアミド、ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリルから選択される変性剤によって変性させられる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分析サンプルが、還元剤を用いて処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記還元剤が、DTTまたはTCEPである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分析サンプルが、前記生物学的起源由来のサンプルを免疫親和性吸着剤と接触させる工程および該分析サンプルの溶出によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記免疫親和性吸着剤が、ポリスチレン、制御孔ガラス(controlled−pore−glass)、ガラス、シリカゲル、シリカ、ポリアクリルアミド、磁気ビーズ、ポリアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシ、アガロース、デキストラン、セルロース、ならびにそれらのコポリマー、混合物およびグラフトから選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記免疫親和性吸着剤が、小粒子、ビーズ、膜、フリット、スライド、プレート、微細加工チップ、アルカンチオール−金層、および無孔表面から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記免疫親和性吸着剤がアゾラクタム官能基を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記免疫親和性吸着剤が多孔性ポリマーモノリスを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記免疫親和性吸着剤が、収集リザバーと流体連絡している少なくとも1つの貫通チャネルを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記免疫親和性吸着剤が、貫通容器内に構成されており、ここで前記生物学的起源由来のサンプルが、1つの端部もしくは開口部から導入され、そしてサンプルが別の端部もしくは開口部から溶出される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫親和性吸着剤が、各々が別個の収集レザバーと流体連絡している複数の貫通チャネル内に分配されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記容器およびリザバーが、12×8(列×行)の96マイクロタイターウェルフォーマット、または24×16(列×行)の384マイクロタイターウェルフォーマットで構成されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記免疫親和性吸着剤が、有機化合物、脂肪酸、阻害剤、タンパク質、ペプチド、酵素、補酵素、受容体、親和性タグ、核酸、抗体、抗原、ビオチン、アビジン、炭水化物、レクチン、色素、および分子認識に関係するタンパク質表面ドメインから選択される固定化リガンドを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記固定化リガンドが抗原である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
脱グリコシル化試薬を用いて分析サンプルを処理する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記脱グリコシル化試薬がPNGaseFである、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記分析サンプルが分離媒体へ断続的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記分析サンプルが分離媒体へ連続的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記分離媒体がクロマトグラフィー支持体である、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記クロマトグラフィー支持体が逆相吸着剤である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記逆相が、ポリスチレン、またはポリスチレンのグラフトもしくはコポリマーである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記クロマトグラフィー支持体からの流出物が、質量分析法によって断続的に分析され、1つより多い分離かつ除去された前記構成成分の質量対電荷比を確定する、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記分離かつ除去された構成成分の質量対電荷比が、単一イオンモニタリング(SIM)質量分析法によって確定される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
質量分析法によって1つ以上の分離されたサンプル構成成分を定量する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
サンプル構成成分が重鎖抗体フラグメントまたは軽鎖抗体フラグメントを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記重鎖抗体フラグメントまたは軽鎖抗体フラグメントが1つ以上の薬物成分をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
Abが抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記抗体フラグメントが、Fab、Fab’、F(ab’)、Fフラグメント、二重抗体、直鎖抗体、および一本鎖抗体分子から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
Abが、ヒト化抗体huMAb4D5−1、huMAb4D5−2、huMAb4D5−3、huMAb4D5−4、huMAb4D5−5、huMAb4D5−6、huMAb4D5−7およびhuMAb4D5−8からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
Abがヒト化抗体huMAb4D5−8である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
Abが抗ErbB2抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
Abが、4D5エピトープへ結合する抗ErbB2抗体である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
式Iを有する前記抗体−薬物結合体化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物が、前記生物学的起源内の腫瘍関連抗原もしくは細胞表面受容体へ結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記抗体−薬物結合体化合物の抗体が、以下(1)〜(35):
(1) BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体IB型、Genbankアクセッション番号NM_001203);
(2) E16(LAT1、SLC7A5、Genbankアクセッション番号NM_003486);
(3) STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原、Genbankアクセッション番号NM_012449);
(4) 0772P(CA125, MUC16、Genbankアクセッション番号AF361486);
(5) MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球促進因子、メソテリン、Genbankアクセッション番号NM_005823);
(6) Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質キャリアファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸トランスポーター3b、Genbankアクセッション番号NM_006424);
(7) Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマホリン5b Hlog、セマドメイン、7トロンボスポンジンリピート(1型および1型様)、膜貫通ドメイン(TM)および短細胞質ドメイン、(セマホリン)5B、Genbankアクセッション番号AB040878);
(8) PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、Genbankアクセッション番号AY358628);
(9) ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbankアクセッション番号AY275463);
(10) MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、Genbankアクセッション番号NM_017763);
(11) STEAP2(HGNC_8639、IPCA−I、PCANAPl、STAMPl、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質、Genbankアクセッション番号AF455138);
(12) TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体潜在的カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbankアクセッション番号NM_017636);
(13) CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌由来成長因子、Genbankアクセッション番号NP_003203またはNM_003212);
(14) CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタイン・バーウイルス受容体)またはHs.73792 Genbankアクセッション番号M26004);
(15) CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連β)、B29、Genbankアクセッション番号NM_000626);
(16) FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAPlA(リン酸アンカータンパク質1aを含有するSH2ドメイン)、SPAP1B、SPAP1C、Genbankアクセッション番号NM_030764);
(17) HER2(Genbankアクセッション番号M11730);
(18) NCA(Genbankアクセッション番号M18728);
(19) MDP(Genbankアクセッション番号BC017023);
(20) IL20Rα(Genbankアクセッション番号AF184971);
(21) Brevican(Genbankアクセッション番号AF229053);
(22) Ephb2R(Genbankアクセッション番号NM_004442);
(23) ASLG659(Genbankアクセッション番号AX092328);
(24) PSCA(Genbankアクセッション番号AJ297436);
(25) GEDA(Genbankアクセッション番号AY260763;
(26) BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、NP_443177.1);および
(27) CD22(B細胞受容体CD22−Bアイソフォーム、NP−001762.1);
(28) CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連α、Igβ(CD79B)と共有結合的に相互作用して表面上にIgM分子との複合体を形成し、B細胞分化に関係するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質、Genbankアクセッション番号NP_001774.1);
(29) CXCR5(Burkittリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球移動および体液性防衛において機能し、HIV−2感染およびおそらくAIDS、リンパ腫、骨髄腫、および白血病の発生において役割を果たすGタンパク質結合受容体、Genbankアクセッション番号NP_001707.1);
(30) HLA−DOB(ペプチドに結合してそれらをCD4+Tリンパ球へ提示するMHCクラスII分子のβサブユニット(Ia抗原)、Genbankアクセッション番号NP_002111.1);
(31) P2X5(細胞外ATPによって作動させられるイオンチャネルであるプリン作動性受容体P2Xリガンド作動性イオンチャネル5は、シナプス伝達および神経組織発生に関係している可能性があり、欠損は特発性排尿筋不安定の病理生理学の原因となることがある、Genbankアクセッション番号NP_002552.2);
(32) CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb−2、Genbankアクセッション番号NP_001773.1);
(33) LY64(ロイシンリッチリピート(LRR)のI型膜タンパク質であるリンパ球抗原64(RP 105)は、B細胞活性化およびアポトーシスを調節し、機能の消失は全身性紅斑性狼瘡を有する患者における疾患活動性の上昇と関連している、Genbankアクセッション番号No.NP_005573.1);
(34) FCRH1(C2型Ig様およびITAMドメインを含有する免疫グロブリンFcドメインに対する推定受容体であるFc受容体様タンパク質1は、Bリンパ球分化に役割を果たす可能性がある、Genbankアクセッション番号NP_443170.1);および
(35) IRTA2(B細胞発生およびリンパ球発生において役割を果たす可能性がある推定免疫受容体である免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転位関連2;転位による遺伝子の調節不全が一部のB細胞悪性腫瘍において発生する、Genbankアクセッション番号NP_112571.1)、
から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原もしくは細胞表面受容体へ結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記抗体−薬物結合体化合物が、0.1〜10mg/kg(体重)の用量で哺乳動物へ投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
Lが、Abのアミノ、カルボキシル、またはチオール基へ共有結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
Lが、N−スクシンイミジル−4(2−ピリジルチオ)プロパノエート(SPDP)、スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)およびN−スクシンイミジル−4−(2−ピリジルチオ)ペンタノエート(SPP)から選択されるリンカー試薬から形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
Lが、マレイミドカプロイル(MC)、マレイミドプロパノイル(MP)、およびマレイミドカプロイル−バリン−シトルリン−パラ−アミノベンジルオキシカルボニル(MC−vc−PAB)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項55】
Dが、構造:
【化1】

(式中、波線は、抗体−薬物結合体のリンカー(L)へのDの硫黄原子の共有結合を示しており、
Rは、独立してHおよびC−Cアルキルから選択される)
を有するメイタンシノイドである、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
Dが、構造:
【化2】

を有するDM1である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
Dがオーリスタチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
Dが、構造:
【化3】

を有するMMAEである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
Dが、構造:
【化4】

を有するMMAFである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記抗体−薬物結合体が、トラスツズマブ−MC−MMAFであり、分離されたサンプル構成成分が、約8178amuの質量を有する代謝産物である、請求項1に記載の方法。
【請求項61】
前記代謝産物が、インビボ血漿サンプル由来の抗オーリスタチン抗体親和性膜上で捕捉される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
哺乳動物中において化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物の相対クリアランスを決定するために、抗体−薬物結合体化合物の混合物をスクリーニングするための方法であって、該方法は、以下:
(i)式I:
Ab−(L−D)
を有する抗体−薬物結合体化合物を提供する工程であって、
式中、
Abは、抗体である;
Dは、薬物成分である;
Lは、Abへ共有結合し、かつDへ共有結合しているリンカーである;そして
pは、1、2、3、4、5、6、7、または8であり、
該混合物は、必要に応じて抗体、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含み、このとき、pは0である、工程と;
(ii)該混合物を哺乳動物へ投与する工程と;
(iii)該混合物が投与された哺乳動物から血液サンプルもしくは排出物を採取する工程と;
(iv)必要に応じて該血液サンプルもしくは排出物を処理し、分析サンプルを生成する工程と;
(v)該血液サンプル、排出物、もしくは分析サンプルを分離媒体へ適用し、1つより多いサンプル構成成分の分離を行う工程であって、このとき分離されたサンプル構成成分が式I(式中、pは0、1、2、3、4、5、6、7、または8である)を有する抗体−薬物結合体化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含む、工程と;
(vi)質量分析法によって、1つ以上の分離されたサンプル構成成分の質量もしくは質量対電荷比を確定する工程と、
を包含する、方法。
【請求項63】
前記哺乳動物が、マウス、ラット、イヌ、サル、およびヒトから選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記血液サンプルもしくは排出物が、前記分析サンプルを生成するために調製する工程、固定化する工程、単離する工程、消化する工程、加水分解する工程、または精製工程によって処理される、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
工程(iii)、(iv)、および(v)を、1回以上繰り返す工程をさらに包含する、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
化合物を検出するための方法であって、該方法は、以下:
(i)抗体−薬物結合体化合物の不均質混合物について質量分析法を実施する工程と;
(ii)該混合物の1つ以上の化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を検出する工程であって、このとき該抗体−薬物結合体化合物の不均質混合物が、式I:
Ab−(L−D)
式中、
Abは、抗体である;
Dは、薬物成分である;
Lは、Abへ共有結合し、かつDへ共有結合しているリンカーである;そして
該混合物は1つより大きい薬物負荷値pを有する化合物を包含し、pは1、2、3、4、5、6、7、または8であり得る、工程と、
を包含する、方法。
【請求項67】
前記混合物の化合物の量が、選択的イオンモニタリング質量分析法によって決定される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
質量分析法を実施する前に、前記混合物を還元剤と接触させる工程をさらに包含する、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
質量分析法を実施する前に、前記混合物を変性剤と接触させる工程をさらに包含する、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
抗体−薬物結合体化合物を検出するための方法であって:
(i)抗体結合体化合物を処理して分析サンプルを生成する工程であって、このとき該抗体結合体化合物が、リンカーによって薬物成分、蛍光色素成分、および親和性標識から選択される小分子成分へ共有結合された抗体を含む工程と;
(ii)分析サンプルを分離媒体へ適用し、1つ以上のサンプル構成成分の分離を行う工程であって、このとき分離されたサンプル構成成分が抗体結合体化合物、またはそれらのフラグメントもしくは代謝産物を含む工程と;
(iii)質量分析法によって、1つ以上の分離されたサンプル構成成分の質量もしくは質量対電荷比を確定する工程と、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公表番号】特表2007−532882(P2007−532882A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507477(P2007−507477)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/011675
【国際公開番号】WO2005/101017
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(596168317)ジェネンテック・インコーポレーテッド (372)
【氏名又は名称原語表記】GENENTECH,INC.
【出願人】(506339280)
【出願人】(506339291)
【Fターム(参考)】