抗体製剤
抗体、緩衝剤、非イオン性界面活性剤、および凍結乾燥保護剤/凍結防止剤を含む安定医薬製剤。そのような製剤を調製、貯蔵、および使用するための関連方法も開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定な抗体製剤に関する。好ましい安定製剤は、25〜250mg/mlの抗体、10〜30mMの緩衝種、1〜15%のポリオール、0.001%〜0.05%の界面活性剤および5〜7.5のpHを含む。本発明のさらなる態様は、前述の製剤を調製するプロセスを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体(mAb)は、免疫系の細胞において「白血球分化クラスター」または抗原(CD)と定義されている、細胞表面に発現された生理的に重要な分子の特徴付けを可能にしてきた(Scholossman,S.F.ら(1994) Immunol.Today 15(3);98)。個体発生的成長時のリンパ系細胞の分化および成熟における、細胞認識および接着のメカニズムにおける、ならびに免疫応答時の活性化および増殖のメカニズムにおけるCDの役割の定義は、そのそれぞれのmAbを診断および免疫療法で使用するために行なわれ、有望な結果をもたらしている(Dantalら(1991) Curr.Opin.Immunol.3:740)。
【0003】
バイオテクノロジー開発における近年の進歩により、薬物として使用するのに十分に大量の多種多様な生物活性ポリペプチドが提供されている。しかしながら、ポリペプチドは、変性や可溶性凝集体および不溶性凝集体の形成をはじめとする物理的不安定性、ならびに加水分解、酸化、および脱アミド化などの種々の化学的不安定性の結果として、その強力な生物活性を失うことがある。液体医薬製剤中のポリペプチドの安定性は、例えば、pH、イオン強度、温度、繰り返しの凍結融解サイクル、およびプロセッシング時に生じるような機械的剪断力への曝露などの要因によって影響を受けることがある。凝集体形成および生物活性の喪失は、溶液中でのおよび貯蔵バイアル中の液体−空気界面でのポリペプチド分子の物理的撹拌および相互作用の結果として生じることもある。
【0004】
US20030190316号は、グリシン緩衝剤および/またはヒスチジン緩衝剤中に抗体を含む安定化された調製物に関するものであり、塩基性アミノ酸もしくは塩基性アミノ酸誘導体またはそれらの塩を用いてpHを調整することを含む、安定化されたタンパク質含有調製物の調製プロセスも提供している。
【0005】
いくつかの液体医薬組成物は、その中に含まれるポリペプチドの生物活性を安定化するように調剤されているが、液体製剤中でのポリペプチドの分解は、医師にとって問題を起こし続けている。結果として、ポリペプチド成分の安定化を促進し、それにより、その治療的有効性を維持する生理的に適合性のある安定化剤を含む、さらなる医薬組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
発明の目的
本発明の主な目的は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤を得ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤を得ることである。
【0008】
本発明のまた別の目的は、安定な抗体製剤を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の提示
したがって、本発明は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤;抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤;a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む安定な抗体製剤;a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤、c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む安定な抗体製剤;ならびにa)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤、c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】評価した異なる製剤の試験期間中のpH変動性。
【図2】評価した異なる製剤の試験期間中のオスモル濃度(Osmolality)値。
【図3】異なる条件でインキュベートした異なる製剤のサンプルのスペクトルおよびλ最大値が違わないことを示す正規化した蛍光グラフ(fluorescencegraph)。
【図4】サンプルの流体力学半径解析(Hydrodynamic radius analysis)。
【図5】40℃でインキュベートしたサンプルの電荷変異体分布(Charge variant distribution)。
【図6】40℃でインキュベートしたサンプルの電荷変異体分布(ヒスチジントレハロースが強調されている)。
【図7】リン酸塩ベースの製剤中のより多くの酸性変異体を示すリン酸塩およびヒスチジンベースの製剤のイオン交換クロマトグラフィープロファイルの重ね合わせ。
【図8】40℃でインキュベートしたサンプルのモノマー%の減少を示す図。
【図9】40℃でのSECによる分解物(%HMWP+%LMWP)の増加を示す図。
【図10】試験した4つの製剤中のLMWPの増加。4つの製剤は全て同じ傾向に従い、これらの値は、ヒスチジントレハロース製剤がその他の製剤と比べて若干少ない断片化を示すことを除けば、極めてよく似ている。
【図11】試験した4つの製剤中のHMWPの増加を示す傾向。ヒスチジン含有製剤は、リン酸塩サンプルと比べて少ない凝集を示す。
【図12】異なる製剤中のT1hサンプルのpH変動性(variability)。
【図13】凍結および融解を繰り返したサンプルのタンパク質濃度。
【図14】凍結および融解を繰り返した後のリン酸塩およびヒスチジン中の1mlサンプルのSECプロファイル。
【図15】リン酸塩およびヒスチジン製剤の0.5mlサンプルのSECプロファイルの比較。
【図16】繰り返し凍結および融解に供した両製剤の1mlサンプルのSECデータ。
【図17】繰り返し凍結および融解に供した両製剤の0.5mlサンプルのSECデータ。
【図18】リン酸塩サンプルにおける40分での凝集体溶出の可能性を示す1mlサンプルのイオン交換クロマトグラフィープロファイルの重ね合わせ。
【図19】40分でのリン酸塩サンプルにおける凝集体溶出を示すが、ヒスチジンサンプルにおける凝集体溶出は示さない、0.5mlサンプルの重ね合わせ。
【図20】リン酸塩およびヒスチジン製剤中で繰り返しの凍結および融解に供した1mlサンプルのIEXデータ。
【図21】リン酸塩およびヒスチジン製剤中で繰り返しの凍結および融解に供した0.5mlサンプルのIEXデータ。
【図22】凍結状態サンプルのpH変動性。
【図23】凍結状態安定性サンプルのタンパク質濃度。
【図24】リン酸塩凝集のわずかな増加を示す凍結状態安定性のSEC重ね合わせ。
【図25】凍結状態安定性サンプルのサイズ変異体分布のSECデータ。
【図26】凍結状態安定性サンプルのIEXクロマトグラム重ね合わせ。
【図27】リン酸塩およびヒスチジンの凍結状態安定性のIEXデータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤に関する。
【0012】
本発明は、抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤に関する。
【0013】
本発明の一実施形態では、緩衝剤は、TRIS、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、イミダゾール、グリシン、L−アルギニン、ヒスチジンおよびそれらの組合せから選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、緩衝剤は好ましくはヒスチジンである。
【0015】
本発明の別の実施形態では、凍結乾燥保護剤は、ポリオールまたは糖類から選択される。
【0016】
本発明のまた別の実施形態では、凍結乾燥保護剤は、PEG、グリセロール、スクロース、トレハロースおよびマンニトールのように非還元性の性質である。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、凍結防止剤をさらに含む。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、凍結防止剤は、好ましくはトレハロースである。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、界面活性剤をさらに含む。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート(polysorbate)20およびポリソルベート80を含む群から選択される。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、増量剤をさらに含む。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、増量剤は、グリシンおよびマンニトールを含む群から選択される。
【0023】
本発明は、a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0024】
本発明は、a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0025】
本発明は、a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤;ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0026】
本発明の一実施形態では、製剤は、凍結乾燥ケーキまたは粉末である。
【0027】
本発明の一実施形態では、製剤は、注射用滅菌水または注射用静菌水中でさらに再構成される。
【0028】
本発明の主な目的は、抗体、緩衝種、ポリオールおよび界面活性剤を含む安定な液体医薬組成物を提供することである。
【0029】
有利なことに、本発明による組成物の製剤は、貯蔵中に安定である組成物になることが見出された。貯蔵中に安定であるとは、免疫グロブリンが実質的に凝集も分解もせず、許容可能なレベルのインビトロおよびインビボ活性を維持することを意味すると解釈される。
【0030】
本発明の別の態様は、抗体製剤を調製する方法に関する。
【0031】
本発明は、治療的活性成分としての抗体を含む液体医薬組成物およびその調製において有用な方法に関する。本発明の目的のために、医薬組成物または製剤に関する「液体」という用語は、「水性」という用語を含むことが意図される。本明細書で使用される「抗体」という用語は、天然の(ネイティブの)、合成された、および組換えの抗体およびタンパク質、ならびに本明細書の別の場所で適格性が保証されているその生物活性変異体を包含する。「治療的活性成分」により、医薬組成物を対象に投与したとき、その対象内の疾患または状態の治療、予防、または診断に関して所望の治療応答をもたらすように、抗体が組成物に特に組み込まれていることが意図される。
【0032】
より具体的には、本発明の組成物は、その治療的活性成分が、通常は液体医薬製剤中での貯蔵中に凝集体形成を示す抗体を含む安定化された液体医薬組成物である。「凝集体形成」により、溶けたままであり得るオリゴマー、または溶液から沈殿する目に見える巨大な凝集体の形成をもたらすポリペプチド分子間の物理的相互作用が意図される。「貯蔵中」により、一旦調製された液体医薬組成物または製剤が、すぐには対象に投与されないことが意図される。どちらかと言えば、調製後、それは、貯蔵のために、液体形態、凍結状態、もしくは後に液体形態へと再構成するための乾燥形態のいずれか、または対象への投与に好適な他の形態で包装される。液体医薬組成物の貯蔵中のポリペプチドによる凝集体形成は、そのポリペプチドの生物活性に悪影響を及ぼし、医薬組成物の治療効力を失わせることもある。さらに、凝集体形成は、ポリペプチド含有医薬組成物を、注入システムを用いて投与するときに、チューブ、メンブレン、またはポンプの閉塞などの他の問題を引き起こす可能性がある。
【0033】
本発明の安定化された液体医薬組成物は、一定量の緩衝種をさらに含む。これらの緩衝種としては、主に、リン酸塩またはヒスチジンが挙げられる。製剤の緩衝種は、pHを維持することが意図される。リン酸塩製剤のpHを7に設定し、ヒスチジン製剤のpHを6に設定したが、それは、これらのpHがこれらの緩衝種の緩衝範囲にあるからである。
【0034】
本発明の組成物に添加される界面活性剤の安定化量は、抗体含有組成物における凝集体形成または濁りを阻害するのに十分な量である。そのような凝集体形成は、例えば、長期貯蔵、機械的撹拌、凍結および融解によって起こることがある。凝集または濁りの顕著な阻害が観察され、濁り/凝集体形成は、界面活性剤を含む抗体含有組成物では、界面活性剤を含まない同等の製剤よりも少なくとも10%少なく、好ましくは少なくとも50%少なく、より好ましくは少なくとも70%少なく、最も好ましくは少なくとも90%少ない。320nmでの吸光度についてバイアルおよび抗体含有組成物の目視検査をモニタリングして、溶液中のタンパク質分子を維持するポリソルベート80の能力を決定すべきである。主に、溶液中での分子の散乱の結果として生じる320nmでの吸光度は、ポリソルベート80を欠くサンプルでは、はるかに顕著であった。
【0035】
本明細書で使用される「界面活性剤(Surfactant)」は、親水性領域と疎水性領域を有する任意の界面活性剤(detergent)を包含すると定義され、これには、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤が含まれる。好適な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80もしくは「TWEEN」80としても知られる)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20もしくは「TWEEN」20としても知られる)、またはN−ラウリルサルコシン(laurylsarcosine)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、本明細書に記載の製剤に好ましい。そのような非イオン性界面活性剤は、以下の界面活性剤、例えば、ポリオキサマーまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80)から選択することができる。ポリソルベート80は、本発明の組成物に好ましい。界面活性剤は、0.01重量%〜0.5重量%の濃度で存在することができる。
【0036】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは各々、定常領域と可変領域を含む。ほとんどの種では、重鎖可変領域(すなわち、VHドメイン)と軽鎖可変領域(すなわち、VLドメイン)が組み合わさって、「相補性決定領域」またはCDRという、特定のエピトープの抗原結合部位に特に寄与する免疫グロブリン分子の部分から構成された抗原結合ドメインを形成する。通常、重鎖と軽鎖は各々3つのCDRを有しており、これらが組み合わさって、免疫グロブリンの抗原結合部位を形成する。免疫グロブリン分子の「抗原結合ドメイン」は、必ずしもそうではないが、通常、ジスルフィド結合で結合している、1つの重鎖の可変ドメインの少なくとも一部と1つの軽鎖の可変ドメインの少なくとも一部からなる。Fc領域は、抗体のエフェクター機能に必須である。エフェクター機能としては、補体依存性細胞傷害(CDC)を開始すること、貪食細胞および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を開始すること、ならびにトランスサイトーシスにより抗体を細胞障壁の向こうに移動させること挙げられる。さらに、Fc領域は、IgGクラスの抗体の血清半減期を維持するのに極めて重要である(Ward and Ghetie,Ther.Immunol.2:77−94(1995))。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、改変された抗体またはFab、Fcもしくはそれらの部分から選択される機能断片を提供する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、本発明の抗体またはその機能断片を、医薬として許容される希釈剤または担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0039】
組成物は、1以上の緩衝種、1以上のポリオール、および1以上の界面活性剤を含むことができる。
【0040】
組成物は、医薬として許容される担体を含む。医薬として許容される担体としては、食塩水、滅菌水、リン酸塩緩衝食塩水などが挙げられるが、これらに限定されない。患者への送達に好適な他の緩衝剤、分散剤、および無毒な不活性物質を本発明の組成物に含めることができる。組成物は、投与に好適な溶液であってもよく、通常、滅菌性で、かつ望ましくない粒子状物質を含まない。
【0041】
本発明との関連で用いられる緩衝剤は、好ましくは、リン酸塩またはヒスチジンである。最も好ましくは、本発明の製剤で用いられる緩衝剤は、酢酸塩、コハク酸塩、ヒスチジンおよびリン酸塩に限定されない。これらは、そのままでまたは組み合わせて用いることができる。
【0042】
製剤の溶液のpHは、5〜7.5の範囲とすることが望ましく、溶液のpHは、必要に応じて、最終的なpHを所望のレベルに調整して、5.5〜6の範囲とすることが好ましい。
【0043】
本発明との関連で用いられるポリオールは、抗体の安定化剤、張性修飾剤(tonicity modifier)および凍結防止剤(cryoprotectant)および凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)などの、いくつかの役割を果たす還元糖であり、これも、製剤に含められる。最も好ましくは、本発明の製剤で用いられるポリオールは、スクロースまたはトレハロースなどの非還元糖である。
【0044】
当業者に周知の他の医薬として許容される賦形剤もまた、本組成物の一部を形成することができる。これには、例えば、様々な増量剤が含まれ、ここで、増量剤は、グリシンまたはマンニトールから選択される。
【0045】
一実施形態では、製剤の糖成分(スクロースおよびトレハロース)は、多面的な目的を有する:糖は、抗体の安定化剤として働き、抗体を分解から保護する;糖は、(凍結と乾燥の両方を伴う)凍結乾燥プロセスにおいて抗体を保護する凍結防止剤/凍結乾燥保護剤である;糖は張性修飾剤でもあり、その濃度を調整して、製品を等張にすることができる。等張製品は、注射部位での痛みを顕著に軽減することができるので、張性は、本製品のような皮下投与される製品では重要である。スクロースとトレハロースは両方とも非還元糖類であり、タンパク質を安定化するのに広く用いられているので、これらを評価用に選択した。糖の濃度は、皮下投与用の等張溶液を提供するように選択した。
【0046】
本発明の別の実施形態では、製剤スクリーニング試験の結果は、2〜8℃で、凍結/融解に供したとき、製剤間で、HMWPまたはLMWPにそれほど大きな違いが見られなかったことを示している。しかしながら、40℃でインキュベートしたとき、抗体の物理的安定性は、特に凝集に関して、リン酸塩ベースの製剤と比べて、ヒスチジン含有緩衝剤で改善される(図11)。ヒスチジントレハロース製剤のT1hサンプルは、一貫して、最も高いパーセンテージのモノマーを示し、結果として、試験した4つの全製剤のうち最も低い分解物パーセンテージを示した。
【0047】
本発明のまた別の実施形態では、電荷変異体分布は、2〜8℃での、または凍結/融解下での抗体のインキュベーションによって変化しなかった。しかしながら、40℃での抗体のインキュベーションによって、各製剤により与えられる安定化の程度に違いが生じた。ヒスチジンベースの製剤は、この場合もやはり、リン酸塩製剤と比べて、酸性変異体を蓄積するのが遅かった。ヒスチジン製剤の中で、ヒスチジントレハロースは、ヒスチジンスクロースと比べて、一貫して少ない酸性変異体を示し、したがって、高い主要ピーク%を示した(図5:40℃でインキュベートしたサンプルにおける電荷変異体分布。図28:40℃でインキュベートしたサンプルにおける電荷変異体分布)。抗体の効力/生物活性は、どの製剤および/または条件でも変化しておらず、標準と同程度である。異なる製剤を識別するのに十分な活性/効力アッセイがまだ開発されていないために、このような結論に至ったのかも知れない。これは、ヒスチジンベースの製剤がリン酸塩製剤よりも良好に抗体を分解から保護することができるという事実に照らすと、考慮すべき重要な側面である可能性がある。
【0048】
本発明の別の実施形態では、蛍光分光法およびDSCでアッセイしたときの抗体の構造安定性は、試験した製剤のいずれにおいてもそれほど変化していなかった。蛍光実験では、(抗体の3D構造の変化を示すことができる)λ最大値に変化は見られない(図3)。同様に、T0サンプルと40℃サンプルとで見られる融解温度には大きな違いが見られず、これは、抗体の異なるドメインが依然として、試験の開始とほぼ同じように折り畳まれずにいることを示している。
【0049】
本発明を以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものの、実例として与えられるに過ぎないことを理解すべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、かつその精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行ない、それを様々な用途および条件に適合させることができる。
【0050】
本発明は、以下の実施例によってより良好に理解されるであろう。しかしながら、当業者であれば、これらの実施例が、以下に示す特許請求の範囲で定義される本発明の単なる例示に過ぎないことを容易に理解するであろう。
【0051】
本発明を以下の実施例および図によって詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0052】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を表す。
【0053】
実験例
A.mABを含む製剤を以下のように調製することができる。
精製抗体を接線流濾過(Tangential Flow filtaration、TFF)またはUF/DFを用いて所要の高濃度まで濃縮し、その後、緩衝剤を製剤緩衝剤に交換する。
【0054】
精製抗体を接線流濾過(TFF)またはUF/DFを用いて20〜30mg/mlまで濃縮し、その後、緩衝剤を製剤緩衝剤に交換する。次に、このサンプルを凍結乾燥に供し、凍結乾燥したら、所要の最終薬物製品濃度に達するように、ケーキを適量のWFI中で再構築する。
【0055】
大量の製剤原料を凍結乾燥させ、その後、所要の濃度まで製剤緩衝剤中に溶解する。
【0056】
抗体は、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィー技術を用いて、必要な高濃度にまで濃縮される。
【0057】
B.水性製剤の化学的安定性
2〜8℃でインキュベートしたサンプルおよび凍結融解ストレスに供したサンプルは、イオン交換でいかなる変動性も示さなかった。分解(degradation)における違いは、40℃でインキュベートしたサンプルでのみ観察された。
【0058】
40℃でインキュベートしたサンプルのイオン交換クロマトグラフィーは、酸性変異体が、ヒスチジン製剤では、リン酸塩ベースの製剤と比べて、低い程度しか増加しないことを明確に示している。ヒスチジン製剤の中で、トレハロース含有製剤は、ヒスチジンスクロース製剤と比べて、酸性変異体集団が少ない。したがって、イオン交換クロマトグラフィーによると、ヒスチジントレハロースは優れた製剤である。
【0059】
SECによると、2〜8℃でインキュベートしたサンプルおよび凍結融解でストレスをかけたサンプルは、評価した4つの製剤間で分解パターンの違いをほとんどまたは全く示さなかった。
【0060】
しかしながら、40℃でインキュベートしたサンプルは、結果として分解物(HMWPおよびLMWP)の蓄積に影響を及ぼすモノマーの減少速度に違いを示したが、このことは、ヒスチジン/トレハロース製剤が、モノマーの分解についてより遅い速度に従うのに対し、他の3つの製剤がより速く分解するように思われることを示す。同じことは、分解物の増加の図に見られる。
【0061】
HMWPおよびLMWPの増加をより詳細に観察すると、LMWPの増加のパターンが全ての製剤で同様の傾向に従うことが示され(図)、ヒスチジン製剤は、HMWPの蓄積において、リン酸塩ベースの製剤と異なっている(図)。5.5週の最後に、残存するモノマーが最も多くかつ分解物の%が最も低いのは、ヒスチジン/トレハロース含有製剤である。
【0062】
図14〜17のSEC結果は、凝集体が、繰り返しの凍結融解(−80℃)下、リン酸塩/NaClサンプルで4週間にわたって増加し、凝集の増加がHis/Tre製剤で4週間にわたって観察されないことを示している。凝集の増加は、0.5ml充填容量サンプルでは約1.75%、1ml充填サンプルでは1.41%である。
【0063】
図18〜21の弱陽イオン交換クロマトグラフィーは、mAbをリン酸塩/NaCl製剤およびヒスチジントレハロース製剤中で4週間の試験期間にわたって繰り返し凍結(−80℃)および融解したときに、電荷変異体分布がそれほど大きく変化しないことを示している。
【0064】
しかしながら、Phos/NaClサンプルでは、増加量のタンパク質が40分で緩衝剤ピークと共溶出する。図12〜13に示すように、pH、濃度などの他のパラメータは、ある製剤の別の製剤に対する優位性を示していない。
【0065】
図24〜27の凍結状態安定性試験は、電荷変異体プロファイルに違いは見られないが、Phos/NaCl製剤では凝集がわずかに増加し、His/Tre製剤では増加しないことを示している。図22〜23に示すように、pH、濃度などの他のパラメータは、ある製剤の別の製剤に対する優位性を示していない。
【技術分野】
【0001】
本発明は安定な抗体製剤に関する。好ましい安定製剤は、25〜250mg/mlの抗体、10〜30mMの緩衝種、1〜15%のポリオール、0.001%〜0.05%の界面活性剤および5〜7.5のpHを含む。本発明のさらなる態様は、前述の製剤を調製するプロセスを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
モノクローナル抗体(mAb)は、免疫系の細胞において「白血球分化クラスター」または抗原(CD)と定義されている、細胞表面に発現された生理的に重要な分子の特徴付けを可能にしてきた(Scholossman,S.F.ら(1994) Immunol.Today 15(3);98)。個体発生的成長時のリンパ系細胞の分化および成熟における、細胞認識および接着のメカニズムにおける、ならびに免疫応答時の活性化および増殖のメカニズムにおけるCDの役割の定義は、そのそれぞれのmAbを診断および免疫療法で使用するために行なわれ、有望な結果をもたらしている(Dantalら(1991) Curr.Opin.Immunol.3:740)。
【0003】
バイオテクノロジー開発における近年の進歩により、薬物として使用するのに十分に大量の多種多様な生物活性ポリペプチドが提供されている。しかしながら、ポリペプチドは、変性や可溶性凝集体および不溶性凝集体の形成をはじめとする物理的不安定性、ならびに加水分解、酸化、および脱アミド化などの種々の化学的不安定性の結果として、その強力な生物活性を失うことがある。液体医薬製剤中のポリペプチドの安定性は、例えば、pH、イオン強度、温度、繰り返しの凍結融解サイクル、およびプロセッシング時に生じるような機械的剪断力への曝露などの要因によって影響を受けることがある。凝集体形成および生物活性の喪失は、溶液中でのおよび貯蔵バイアル中の液体−空気界面でのポリペプチド分子の物理的撹拌および相互作用の結果として生じることもある。
【0004】
US20030190316号は、グリシン緩衝剤および/またはヒスチジン緩衝剤中に抗体を含む安定化された調製物に関するものであり、塩基性アミノ酸もしくは塩基性アミノ酸誘導体またはそれらの塩を用いてpHを調整することを含む、安定化されたタンパク質含有調製物の調製プロセスも提供している。
【0005】
いくつかの液体医薬組成物は、その中に含まれるポリペプチドの生物活性を安定化するように調剤されているが、液体製剤中でのポリペプチドの分解は、医師にとって問題を起こし続けている。結果として、ポリペプチド成分の安定化を促進し、それにより、その治療的有効性を維持する生理的に適合性のある安定化剤を含む、さらなる医薬組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
発明の目的
本発明の主な目的は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤を得ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤を得ることである。
【0008】
本発明のまた別の目的は、安定な抗体製剤を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の提示
したがって、本発明は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤;抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤;a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む安定な抗体製剤;a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤、c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む安定な抗体製剤;ならびにa)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤、c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】評価した異なる製剤の試験期間中のpH変動性。
【図2】評価した異なる製剤の試験期間中のオスモル濃度(Osmolality)値。
【図3】異なる条件でインキュベートした異なる製剤のサンプルのスペクトルおよびλ最大値が違わないことを示す正規化した蛍光グラフ(fluorescencegraph)。
【図4】サンプルの流体力学半径解析(Hydrodynamic radius analysis)。
【図5】40℃でインキュベートしたサンプルの電荷変異体分布(Charge variant distribution)。
【図6】40℃でインキュベートしたサンプルの電荷変異体分布(ヒスチジントレハロースが強調されている)。
【図7】リン酸塩ベースの製剤中のより多くの酸性変異体を示すリン酸塩およびヒスチジンベースの製剤のイオン交換クロマトグラフィープロファイルの重ね合わせ。
【図8】40℃でインキュベートしたサンプルのモノマー%の減少を示す図。
【図9】40℃でのSECによる分解物(%HMWP+%LMWP)の増加を示す図。
【図10】試験した4つの製剤中のLMWPの増加。4つの製剤は全て同じ傾向に従い、これらの値は、ヒスチジントレハロース製剤がその他の製剤と比べて若干少ない断片化を示すことを除けば、極めてよく似ている。
【図11】試験した4つの製剤中のHMWPの増加を示す傾向。ヒスチジン含有製剤は、リン酸塩サンプルと比べて少ない凝集を示す。
【図12】異なる製剤中のT1hサンプルのpH変動性(variability)。
【図13】凍結および融解を繰り返したサンプルのタンパク質濃度。
【図14】凍結および融解を繰り返した後のリン酸塩およびヒスチジン中の1mlサンプルのSECプロファイル。
【図15】リン酸塩およびヒスチジン製剤の0.5mlサンプルのSECプロファイルの比較。
【図16】繰り返し凍結および融解に供した両製剤の1mlサンプルのSECデータ。
【図17】繰り返し凍結および融解に供した両製剤の0.5mlサンプルのSECデータ。
【図18】リン酸塩サンプルにおける40分での凝集体溶出の可能性を示す1mlサンプルのイオン交換クロマトグラフィープロファイルの重ね合わせ。
【図19】40分でのリン酸塩サンプルにおける凝集体溶出を示すが、ヒスチジンサンプルにおける凝集体溶出は示さない、0.5mlサンプルの重ね合わせ。
【図20】リン酸塩およびヒスチジン製剤中で繰り返しの凍結および融解に供した1mlサンプルのIEXデータ。
【図21】リン酸塩およびヒスチジン製剤中で繰り返しの凍結および融解に供した0.5mlサンプルのIEXデータ。
【図22】凍結状態サンプルのpH変動性。
【図23】凍結状態安定性サンプルのタンパク質濃度。
【図24】リン酸塩凝集のわずかな増加を示す凍結状態安定性のSEC重ね合わせ。
【図25】凍結状態安定性サンプルのサイズ変異体分布のSECデータ。
【図26】凍結状態安定性サンプルのIEXクロマトグラム重ね合わせ。
【図27】リン酸塩およびヒスチジンの凍結状態安定性のIEXデータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤に関する。
【0012】
本発明は、抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤に関する。
【0013】
本発明の一実施形態では、緩衝剤は、TRIS、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、イミダゾール、グリシン、L−アルギニン、ヒスチジンおよびそれらの組合せから選択される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、緩衝剤は好ましくはヒスチジンである。
【0015】
本発明の別の実施形態では、凍結乾燥保護剤は、ポリオールまたは糖類から選択される。
【0016】
本発明のまた別の実施形態では、凍結乾燥保護剤は、PEG、グリセロール、スクロース、トレハロースおよびマンニトールのように非還元性の性質である。
【0017】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、凍結防止剤をさらに含む。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、凍結防止剤は、好ましくはトレハロースである。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、界面活性剤をさらに含む。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート(polysorbate)20およびポリソルベート80を含む群から選択される。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、製剤は、増量剤をさらに含む。
【0022】
本発明のさらに別の実施形態では、増量剤は、グリシンおよびマンニトールを含む群から選択される。
【0023】
本発明は、a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0024】
本発明は、a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0025】
本発明は、a)約100mg/ml〜約150mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤;ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む安定な抗体製剤に関する。
【0026】
本発明の一実施形態では、製剤は、凍結乾燥ケーキまたは粉末である。
【0027】
本発明の一実施形態では、製剤は、注射用滅菌水または注射用静菌水中でさらに再構成される。
【0028】
本発明の主な目的は、抗体、緩衝種、ポリオールおよび界面活性剤を含む安定な液体医薬組成物を提供することである。
【0029】
有利なことに、本発明による組成物の製剤は、貯蔵中に安定である組成物になることが見出された。貯蔵中に安定であるとは、免疫グロブリンが実質的に凝集も分解もせず、許容可能なレベルのインビトロおよびインビボ活性を維持することを意味すると解釈される。
【0030】
本発明の別の態様は、抗体製剤を調製する方法に関する。
【0031】
本発明は、治療的活性成分としての抗体を含む液体医薬組成物およびその調製において有用な方法に関する。本発明の目的のために、医薬組成物または製剤に関する「液体」という用語は、「水性」という用語を含むことが意図される。本明細書で使用される「抗体」という用語は、天然の(ネイティブの)、合成された、および組換えの抗体およびタンパク質、ならびに本明細書の別の場所で適格性が保証されているその生物活性変異体を包含する。「治療的活性成分」により、医薬組成物を対象に投与したとき、その対象内の疾患または状態の治療、予防、または診断に関して所望の治療応答をもたらすように、抗体が組成物に特に組み込まれていることが意図される。
【0032】
より具体的には、本発明の組成物は、その治療的活性成分が、通常は液体医薬製剤中での貯蔵中に凝集体形成を示す抗体を含む安定化された液体医薬組成物である。「凝集体形成」により、溶けたままであり得るオリゴマー、または溶液から沈殿する目に見える巨大な凝集体の形成をもたらすポリペプチド分子間の物理的相互作用が意図される。「貯蔵中」により、一旦調製された液体医薬組成物または製剤が、すぐには対象に投与されないことが意図される。どちらかと言えば、調製後、それは、貯蔵のために、液体形態、凍結状態、もしくは後に液体形態へと再構成するための乾燥形態のいずれか、または対象への投与に好適な他の形態で包装される。液体医薬組成物の貯蔵中のポリペプチドによる凝集体形成は、そのポリペプチドの生物活性に悪影響を及ぼし、医薬組成物の治療効力を失わせることもある。さらに、凝集体形成は、ポリペプチド含有医薬組成物を、注入システムを用いて投与するときに、チューブ、メンブレン、またはポンプの閉塞などの他の問題を引き起こす可能性がある。
【0033】
本発明の安定化された液体医薬組成物は、一定量の緩衝種をさらに含む。これらの緩衝種としては、主に、リン酸塩またはヒスチジンが挙げられる。製剤の緩衝種は、pHを維持することが意図される。リン酸塩製剤のpHを7に設定し、ヒスチジン製剤のpHを6に設定したが、それは、これらのpHがこれらの緩衝種の緩衝範囲にあるからである。
【0034】
本発明の組成物に添加される界面活性剤の安定化量は、抗体含有組成物における凝集体形成または濁りを阻害するのに十分な量である。そのような凝集体形成は、例えば、長期貯蔵、機械的撹拌、凍結および融解によって起こることがある。凝集または濁りの顕著な阻害が観察され、濁り/凝集体形成は、界面活性剤を含む抗体含有組成物では、界面活性剤を含まない同等の製剤よりも少なくとも10%少なく、好ましくは少なくとも50%少なく、より好ましくは少なくとも70%少なく、最も好ましくは少なくとも90%少ない。320nmでの吸光度についてバイアルおよび抗体含有組成物の目視検査をモニタリングして、溶液中のタンパク質分子を維持するポリソルベート80の能力を決定すべきである。主に、溶液中での分子の散乱の結果として生じる320nmでの吸光度は、ポリソルベート80を欠くサンプルでは、はるかに顕著であった。
【0035】
本明細書で使用される「界面活性剤(Surfactant)」は、親水性領域と疎水性領域を有する任意の界面活性剤(detergent)を包含すると定義され、これには、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性界面活性剤が含まれる。好適な界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80もしくは「TWEEN」80としても知られる)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ポリソルベート20もしくは「TWEEN」20としても知られる)、またはN−ラウリルサルコシン(laurylsarcosine)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、本明細書に記載の製剤に好ましい。そのような非イオン性界面活性剤は、以下の界面活性剤、例えば、ポリオキサマーまたはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート20もしくはポリソルベート80)から選択することができる。ポリソルベート80は、本発明の組成物に好ましい。界面活性剤は、0.01重量%〜0.5重量%の濃度で存在することができる。
【0036】
免疫グロブリンサブユニットポリペプチドは各々、定常領域と可変領域を含む。ほとんどの種では、重鎖可変領域(すなわち、VHドメイン)と軽鎖可変領域(すなわち、VLドメイン)が組み合わさって、「相補性決定領域」またはCDRという、特定のエピトープの抗原結合部位に特に寄与する免疫グロブリン分子の部分から構成された抗原結合ドメインを形成する。通常、重鎖と軽鎖は各々3つのCDRを有しており、これらが組み合わさって、免疫グロブリンの抗原結合部位を形成する。免疫グロブリン分子の「抗原結合ドメイン」は、必ずしもそうではないが、通常、ジスルフィド結合で結合している、1つの重鎖の可変ドメインの少なくとも一部と1つの軽鎖の可変ドメインの少なくとも一部からなる。Fc領域は、抗体のエフェクター機能に必須である。エフェクター機能としては、補体依存性細胞傷害(CDC)を開始すること、貪食細胞および抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を開始すること、ならびにトランスサイトーシスにより抗体を細胞障壁の向こうに移動させること挙げられる。さらに、Fc領域は、IgGクラスの抗体の血清半減期を維持するのに極めて重要である(Ward and Ghetie,Ther.Immunol.2:77−94(1995))。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、改変された抗体またはFab、Fcもしくはそれらの部分から選択される機能断片を提供する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、本発明の抗体またはその機能断片を、医薬として許容される希釈剤または担体とともに含む医薬組成物を提供する。
【0039】
組成物は、1以上の緩衝種、1以上のポリオール、および1以上の界面活性剤を含むことができる。
【0040】
組成物は、医薬として許容される担体を含む。医薬として許容される担体としては、食塩水、滅菌水、リン酸塩緩衝食塩水などが挙げられるが、これらに限定されない。患者への送達に好適な他の緩衝剤、分散剤、および無毒な不活性物質を本発明の組成物に含めることができる。組成物は、投与に好適な溶液であってもよく、通常、滅菌性で、かつ望ましくない粒子状物質を含まない。
【0041】
本発明との関連で用いられる緩衝剤は、好ましくは、リン酸塩またはヒスチジンである。最も好ましくは、本発明の製剤で用いられる緩衝剤は、酢酸塩、コハク酸塩、ヒスチジンおよびリン酸塩に限定されない。これらは、そのままでまたは組み合わせて用いることができる。
【0042】
製剤の溶液のpHは、5〜7.5の範囲とすることが望ましく、溶液のpHは、必要に応じて、最終的なpHを所望のレベルに調整して、5.5〜6の範囲とすることが好ましい。
【0043】
本発明との関連で用いられるポリオールは、抗体の安定化剤、張性修飾剤(tonicity modifier)および凍結防止剤(cryoprotectant)および凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)などの、いくつかの役割を果たす還元糖であり、これも、製剤に含められる。最も好ましくは、本発明の製剤で用いられるポリオールは、スクロースまたはトレハロースなどの非還元糖である。
【0044】
当業者に周知の他の医薬として許容される賦形剤もまた、本組成物の一部を形成することができる。これには、例えば、様々な増量剤が含まれ、ここで、増量剤は、グリシンまたはマンニトールから選択される。
【0045】
一実施形態では、製剤の糖成分(スクロースおよびトレハロース)は、多面的な目的を有する:糖は、抗体の安定化剤として働き、抗体を分解から保護する;糖は、(凍結と乾燥の両方を伴う)凍結乾燥プロセスにおいて抗体を保護する凍結防止剤/凍結乾燥保護剤である;糖は張性修飾剤でもあり、その濃度を調整して、製品を等張にすることができる。等張製品は、注射部位での痛みを顕著に軽減することができるので、張性は、本製品のような皮下投与される製品では重要である。スクロースとトレハロースは両方とも非還元糖類であり、タンパク質を安定化するのに広く用いられているので、これらを評価用に選択した。糖の濃度は、皮下投与用の等張溶液を提供するように選択した。
【0046】
本発明の別の実施形態では、製剤スクリーニング試験の結果は、2〜8℃で、凍結/融解に供したとき、製剤間で、HMWPまたはLMWPにそれほど大きな違いが見られなかったことを示している。しかしながら、40℃でインキュベートしたとき、抗体の物理的安定性は、特に凝集に関して、リン酸塩ベースの製剤と比べて、ヒスチジン含有緩衝剤で改善される(図11)。ヒスチジントレハロース製剤のT1hサンプルは、一貫して、最も高いパーセンテージのモノマーを示し、結果として、試験した4つの全製剤のうち最も低い分解物パーセンテージを示した。
【0047】
本発明のまた別の実施形態では、電荷変異体分布は、2〜8℃での、または凍結/融解下での抗体のインキュベーションによって変化しなかった。しかしながら、40℃での抗体のインキュベーションによって、各製剤により与えられる安定化の程度に違いが生じた。ヒスチジンベースの製剤は、この場合もやはり、リン酸塩製剤と比べて、酸性変異体を蓄積するのが遅かった。ヒスチジン製剤の中で、ヒスチジントレハロースは、ヒスチジンスクロースと比べて、一貫して少ない酸性変異体を示し、したがって、高い主要ピーク%を示した(図5:40℃でインキュベートしたサンプルにおける電荷変異体分布。図28:40℃でインキュベートしたサンプルにおける電荷変異体分布)。抗体の効力/生物活性は、どの製剤および/または条件でも変化しておらず、標準と同程度である。異なる製剤を識別するのに十分な活性/効力アッセイがまだ開発されていないために、このような結論に至ったのかも知れない。これは、ヒスチジンベースの製剤がリン酸塩製剤よりも良好に抗体を分解から保護することができるという事実に照らすと、考慮すべき重要な側面である可能性がある。
【0048】
本発明の別の実施形態では、蛍光分光法およびDSCでアッセイしたときの抗体の構造安定性は、試験した製剤のいずれにおいてもそれほど変化していなかった。蛍光実験では、(抗体の3D構造の変化を示すことができる)λ最大値に変化は見られない(図3)。同様に、T0サンプルと40℃サンプルとで見られる融解温度には大きな違いが見られず、これは、抗体の異なるドメインが依然として、試験の開始とほぼ同じように折り畳まれずにいることを示している。
【0049】
本発明を以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すものの、実例として与えられるに過ぎないことを理解すべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を確認することができ、かつその精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を行ない、それを様々な用途および条件に適合させることができる。
【0050】
本発明は、以下の実施例によってより良好に理解されるであろう。しかしながら、当業者であれば、これらの実施例が、以下に示す特許請求の範囲で定義される本発明の単なる例示に過ぎないことを容易に理解するであろう。
【0051】
本発明を以下の実施例および図によって詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0052】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を表す。
【0053】
実験例
A.mABを含む製剤を以下のように調製することができる。
精製抗体を接線流濾過(Tangential Flow filtaration、TFF)またはUF/DFを用いて所要の高濃度まで濃縮し、その後、緩衝剤を製剤緩衝剤に交換する。
【0054】
精製抗体を接線流濾過(TFF)またはUF/DFを用いて20〜30mg/mlまで濃縮し、その後、緩衝剤を製剤緩衝剤に交換する。次に、このサンプルを凍結乾燥に供し、凍結乾燥したら、所要の最終薬物製品濃度に達するように、ケーキを適量のWFI中で再構築する。
【0055】
大量の製剤原料を凍結乾燥させ、その後、所要の濃度まで製剤緩衝剤中に溶解する。
【0056】
抗体は、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーなどのカラムクロマトグラフィー技術を用いて、必要な高濃度にまで濃縮される。
【0057】
B.水性製剤の化学的安定性
2〜8℃でインキュベートしたサンプルおよび凍結融解ストレスに供したサンプルは、イオン交換でいかなる変動性も示さなかった。分解(degradation)における違いは、40℃でインキュベートしたサンプルでのみ観察された。
【0058】
40℃でインキュベートしたサンプルのイオン交換クロマトグラフィーは、酸性変異体が、ヒスチジン製剤では、リン酸塩ベースの製剤と比べて、低い程度しか増加しないことを明確に示している。ヒスチジン製剤の中で、トレハロース含有製剤は、ヒスチジンスクロース製剤と比べて、酸性変異体集団が少ない。したがって、イオン交換クロマトグラフィーによると、ヒスチジントレハロースは優れた製剤である。
【0059】
SECによると、2〜8℃でインキュベートしたサンプルおよび凍結融解でストレスをかけたサンプルは、評価した4つの製剤間で分解パターンの違いをほとんどまたは全く示さなかった。
【0060】
しかしながら、40℃でインキュベートしたサンプルは、結果として分解物(HMWPおよびLMWP)の蓄積に影響を及ぼすモノマーの減少速度に違いを示したが、このことは、ヒスチジン/トレハロース製剤が、モノマーの分解についてより遅い速度に従うのに対し、他の3つの製剤がより速く分解するように思われることを示す。同じことは、分解物の増加の図に見られる。
【0061】
HMWPおよびLMWPの増加をより詳細に観察すると、LMWPの増加のパターンが全ての製剤で同様の傾向に従うことが示され(図)、ヒスチジン製剤は、HMWPの蓄積において、リン酸塩ベースの製剤と異なっている(図)。5.5週の最後に、残存するモノマーが最も多くかつ分解物の%が最も低いのは、ヒスチジン/トレハロース含有製剤である。
【0062】
図14〜17のSEC結果は、凝集体が、繰り返しの凍結融解(−80℃)下、リン酸塩/NaClサンプルで4週間にわたって増加し、凝集の増加がHis/Tre製剤で4週間にわたって観察されないことを示している。凝集の増加は、0.5ml充填容量サンプルでは約1.75%、1ml充填サンプルでは1.41%である。
【0063】
図18〜21の弱陽イオン交換クロマトグラフィーは、mAbをリン酸塩/NaCl製剤およびヒスチジントレハロース製剤中で4週間の試験期間にわたって繰り返し凍結(−80℃)および融解したときに、電荷変異体分布がそれほど大きく変化しないことを示している。
【0064】
しかしながら、Phos/NaClサンプルでは、増加量のタンパク質が40分で緩衝剤ピークと共溶出する。図12〜13に示すように、pH、濃度などの他のパラメータは、ある製剤の別の製剤に対する優位性を示していない。
【0065】
図24〜27の凍結状態安定性試験は、電荷変異体プロファイルに違いは見られないが、Phos/NaCl製剤では凝集がわずかに増加し、His/Tre製剤では増加しないことを示している。図22〜23に示すように、pH、濃度などの他のパラメータは、ある製剤の別の製剤に対する優位性を示していない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤。
【請求項2】
抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤。
【請求項3】
前記緩衝剤が、TRIS、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、イミダゾール、グリシン、L−アルギニン、ヒスチジンおよびそれらの組合せから選択される、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項4】
緩衝剤が好ましくはヒスチジンである、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項5】
前記凍結乾燥保護剤が、ポリオールまたは糖類から選択される、請求項2に特許請求された製剤。
【請求項6】
前記凍結乾燥保護剤が、PEG、グリセロール、スクロース、トレハロースおよびマンニトールのように非還元性の性質である、請求項5に特許請求された製剤。
【請求項7】
前記製剤が凍結防止剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項8】
前記凍結防止剤が好ましくはトレハロースである、請求項7に特許請求された製剤。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20およびポリソルベート80を含む群から選択される、請求項9に特許請求された製剤。
【請求項11】
前記製剤が増量剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項12】
前記増量剤が、グリシンおよびマンニトールを含む群から選択される、請求項11に特許請求された製剤。
【請求項13】
a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項14】
a)約50mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤およびc)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項15】
a)約100mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤;ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項16】
前記製剤が凍結乾燥ケーキまたは粉末である、請求項15に特許請求された製剤。
【請求項17】
前記製剤が、注射用滅菌水または注射用静菌水中でさらに再構成される、請求項15に特許請求された製剤。
【請求項1】
抗体、緩衝剤および医薬として許容される賦形剤を含む製剤。
【請求項2】
抗体またはその断片、緩衝剤および凍結乾燥保護剤を含む製剤。
【請求項3】
前記緩衝剤が、TRIS、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、イミダゾール、グリシン、L−アルギニン、ヒスチジンおよびそれらの組合せから選択される、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項4】
緩衝剤が好ましくはヒスチジンである、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項5】
前記凍結乾燥保護剤が、ポリオールまたは糖類から選択される、請求項2に特許請求された製剤。
【請求項6】
前記凍結乾燥保護剤が、PEG、グリセロール、スクロース、トレハロースおよびマンニトールのように非還元性の性質である、請求項5に特許請求された製剤。
【請求項7】
前記製剤が凍結防止剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項8】
前記凍結防止剤が好ましくはトレハロースである、請求項7に特許請求された製剤。
【請求項9】
界面活性剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項10】
前記界面活性剤が、ポリソルベート20およびポリソルベート80を含む群から選択される、請求項9に特許請求された製剤。
【請求項11】
前記製剤が増量剤をさらに含む、請求項1または2に特許請求された製剤。
【請求項12】
前記増量剤が、グリシンおよびマンニトールを含む群から選択される、請求項11に特許請求された製剤。
【請求項13】
a)約25mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項14】
a)約50mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤およびc)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項15】
a)約100mg/ml〜約250mg/mlの抗体、b)pH5〜pH7.5を提供する緩衝剤;c)約0.001%〜約0.05%の非イオン性界面活性剤;ならびにc)凍結乾燥保護剤および/または凍結防止剤を含む、安定な抗体製剤。
【請求項16】
前記製剤が凍結乾燥ケーキまたは粉末である、請求項15に特許請求された製剤。
【請求項17】
前記製剤が、注射用滅菌水または注射用静菌水中でさらに再構成される、請求項15に特許請求された製剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2013−511510(P2013−511510A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539465(P2012−539465)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055296
【国際公開番号】WO2011/061712
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(509129222)バイオコン リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】BIOCON LIMITED
【住所又は居所原語表記】20th KM,Hosur Road, Electronics City, Bangalore, Karnataka 560 100 India
【出願人】(512131966)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055296
【国際公開番号】WO2011/061712
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(509129222)バイオコン リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】BIOCON LIMITED
【住所又は居所原語表記】20th KM,Hosur Road, Electronics City, Bangalore, Karnataka 560 100 India
【出願人】(512131966)
【Fターム(参考)】
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