説明

抗侵食練り歯磨き組成物

本明細書において、フッ化物イオンの源およびリン酸塩類を含む口腔ケア組成物、ならびにその同じものを作る、および用いる方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は2009年12月17日に出願された米国仮特許出願第61/287,292号に対して優先権を主張し、それを本明細書に援用する。
【0002】
[0002] 歯のエナメル質の酸による侵食を低減する抗侵食(anti−erosion)口腔ケア組成物。より詳細には、優秀な抗侵食の利益を提供するフッ化物イオンの源およびリン酸塩類を含有する練り歯磨き組成物。
【背景技術】
【0003】
[0003] 歯のエナメル質の侵食は、痛み、変色、機械的故障、およびより齲食(dental carries)にかかりやすくなることにつながり得る。歯のエナメル質の化学的侵食は、口腔中の酸の存在の結果として生じる可能性がある。主にタンパク質および鉱質である唾液の成分は、ペリクルと共に、侵食的負荷に対する保護において不可欠である。唾液中の鉱質およびタンパク質は化学的障壁を提供して硬組織の脱灰の複雑な動的平衡を減速する、または変化させるのを助け、一方でペリクルは拡散障壁を提供して同じプロセスを成し遂げるであろう。さらに、pHの値ならびにホスフェートおよびフッ化物のような種の存在は、歯の鉱質組成に関する飽和の程度および溶解に関する駆動力を決定するのを助ける。
【0004】
[0004] 口腔ケア組成物が果たすことができる多くの目的の1つは、口腔中のpHを制御するのを助けることである。口のpHを制御することを試みる場合の一般的な戦略は、口腔ケア組成物の配合においてアルカリ化剤を含ませることである。そのアルカリ化剤は酸と反応してその酸を中和し、水および塩を形成する。このプロセスは口腔中のpHを上げる。そのアルカリ化剤は、1当量の酸を中和する能力を有する。限られた量のアルカリ化剤を口腔ケア組成物中に組み込むことができる。アルカリ化剤に対する代替手段は、緩衝系の使用である。緩衝系は、それらの組成に基づいて特定のpH範囲内に留まるように設計することができる。緩衝系は、純粋なアルカリ化剤よりも高い装填量(loading)で口腔ケア組成物中に安全に含ませることもできる。先行技術はpHを維持する目的で口腔ケア組成物中に緩衝系を含ませることを認めているが、これらの緩衝系は酸に基づくエナメル質の侵食に対して保護するのに十分に高い緩衝能力を有しない。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 経口で許容できるビヒクル、フッ化物塩、およびリン酸緩衝剤を含む多構成要素口腔ケア組成物を用いる歯の侵食の予防のための組成物および方法。経口で許容できるビヒクル、フッ化物塩、ならびに好ましくは最終組成物の3.5〜4.5%の重量百分率の12:88から18:82までの比率の一塩基性リン酸ナトリウムおよび二塩基性リン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝剤を含む組成物。歯のエナメル質の酸による侵食を低減するために、経口で許容できるビヒクル、フッ化物塩、ならびに好ましくは最終組成物の3.5〜4.5%の重量百分率の12:88から18:82までの比率の一塩基性リン酸ナトリウムおよび二塩基性リン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝剤を含む組成物を用いる方法。その組成物および方法は、口の酸を中和する高い緩衝能力を有する組成物を提供し、酸に誘導されるエナメル質の侵食を減少させることにより、歯のエナメル質を侵食から保護する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0001] 全体において用いられるように、範囲はその範囲内にあるそれぞれおよび全ての値を記述するための略記として用いられる。範囲内のあらゆる値は、範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書において引用される全ての参考文献をそのまま本明細書に援用する。本開示における定義および引用された参考文献の定義において不一致がある場合には、本開示が統制する。加えて、その組成物および方法は、そこで記述された要素を含んでいてよく、本質的にそれで構成されていてよく、またはそれで構成されていてよい。
【0007】
[0006] 別途明記されない限り、本明細書において、および明細書中の他の箇所において示されている全ての百分率および量は、重量による百分率を指すものと理解されるべきである。与えられた量はその物質の有効重量に基づく。本明細書における具体的な値の列挙は、その値プラスまたはマイナス測定における誤差を説明するためのある程度の変動性を意味することを意図している。例えば、10%の量には、測定における誤差の程度を考慮すれば、9.5%または10.5%が含まれてよく、当業者はそれを認識および理解しているであろう。
【0008】
[0007] その様々な態様の口腔ケア組成物は、好ましくは歯磨剤の形である。この記述全体において用いられる用語“歯磨剤”は、ペースト、ゲル、または液体配合物を意味する。その歯磨剤はあらゆる望まれる形、例えば深い筋が入った(deep striped)形、表面に筋が入った形、多層の形、そのペーストを取り巻くゲルを有する形、またはそれらのあらゆる組み合わせであることができる。
【0009】
[0008] この記述全体において用いられる表現“キャリヤー”または“水性キャリヤー”は、本明細書における使用のためのあらゆる安全かつ有効な物質を意味する。そのような物質には、例えば、増粘剤、湿潤剤、イオン性有効成分、緩衝剤、抗歯石剤、研磨性の艶出し物質(abrasive polishing materials)、過酸化物の源、アルカリ金属重炭酸塩類、界面活性剤、二酸化チタン、着色剤、香味系、甘味剤、抗微生物剤、ハーブ剤(herbal agents)、脱感作剤、汚れを低減する薬剤、およびそれらの混合物が含まれる。
【0010】
[0009] 抗侵食性口腔ケア組成物を調製するため、好ましくはリン酸緩衝剤およびフッ化物の源を経口で許容できるビヒクルの中に組み込む。
[0010] リン酸緩衝剤は通常は、溶液への酸の添加の際のpHの変化に抵抗するのに役立つリン酸塩類の組み合わせである。(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版 AR Gennaro ed. 2000中のPJ Niebergall,“イオン性の溶液および電解質平衡”を参照。)リン酸緩衝剤を形成するために組み合わせて用いることができるリン酸塩類の限定的でない例には、式XHPO(一塩基性リン酸塩)またはXHPO(二塩基性リン酸塩)の可溶性リン酸塩類が含まれ、ここでXはナトリウムまたはカリウムであってよい。その一塩基性リン酸塩および二塩基性リン酸塩の比率は、12:88から18:82まで、好ましくは14:86から18:82まで、最も好ましくは16:84であることができる。そのリン酸緩衝剤の重量百分率は、好ましくはその緩衝剤構成要素の個々の重量百分率の組み合わせである。最終組成物中のリン酸緩衝剤の好ましい重量百分率は、3.5から4.5%まで、最も好ましくは3.75%である。
【0011】
[0011] フッ化物イオンを放出する塩類を経口で許容できるビヒクル中に組み込みことができ、それは典型的には水中でフッ化物イオンを放出するそれらの能力により特性付けられる。約1000〜約9000ppmのフッ化物イオン、好ましくは約2500〜約8800ppmのフッ化物イオンを提供する水溶性フッ化物塩を用いるのが好ましい。フッ化物イオンを放出する塩類の適切な例には、水溶性無機金属塩類、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズおよびフルオロケイ酸ナトリウムが含まれる。フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウムおよびフッ化第一スズが好ましいフッ化物イオンを放出する塩類である。
【0012】
[0012] 語句“経口で許容できるビヒクル”は、以下の構成要素のいずれか1つまたは組み合わせを含有していてよいあらゆる歯磨剤、練り歯磨き、マウスウォッシュ(mouthwash)、ロゼンジ、またはトローチを意味する:溶媒、アルカリ化剤、湿潤剤、増粘剤、界面活性剤、研磨剤、抗歯石剤、着色剤、香味剤、染料、カリウムを含有する塩、および抗細菌剤。
【0013】
[0013] アルカリ化剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、N−ケイ酸ナトリウム(PQ Corporationから入手可能な、34.6%水中3.22重量比のケイ酸ナトリウム)が含まれるアルカリ金属化合物を、経口で許容できるビヒクル中に、その組成物の約0.5〜約15重量%、好ましくは約1.0〜約8重量%、最も好ましくは約1.0〜約5.0重量%の範囲の量で組み込むことができる。上記のアルカリ金属化合物の混合物を用いてもよい。水酸化ナトリウムが好ましいアルカリ化剤である。
【0014】
[0014] その経口で許容できるビヒクルの調製において用いられる湿潤剤は一般に、グリセロール、ソルビトールおよび200〜1000の範囲の分子量のポリエチレングリコールのような湿潤剤の混合物であるが、他の湿潤剤の混合物および単一の湿潤剤を用いてもよい。その湿潤剤の含有量は、好ましくはその歯磨剤構成要素の約10重量%〜約50重量%、好ましくは約20〜約40重量%の範囲内である。水の含有量は、約20〜約50重量%、好ましくは約30〜約40重量%の範囲内であることができる。
【0015】
[0015] その経口で許容できるビヒクルの調製において用いられる増粘剤(thickner)には、有機および無機増粘剤が含まれる。その経口で許容できるビヒクル中に含ませることができる無機増粘剤には、Huber Corporationから入手できるZeodent 165、およびW.R.Graceから入手できるSylox 15のような非晶質シリカ類が含まれる。天然および合成ガム類ならびにコロイド類の有機増粘剤も、その歯磨剤構成要素を調製するために用いることができる。そのような増粘剤の例は、カラギーナン(アイリッシュモス(Irish moss))、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースである。無機増粘剤は、その経口で許容できるビヒクル中に0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の濃度で組み込むことができる。有機増粘剤は、その組成物中に0.1〜3重量%、好ましくは0.4〜1.5重量%の濃度で組み込むことができる。
【0016】
[0016] 発泡特性を提供するために、その経口で許容できるビヒクル中に界面活性剤を組み込むことができる。その界面活性剤は、好ましくは本質的に陰イオン性または非イオン性である。陰イオン性界面活性剤の適切な例は、高級アルキルサルフェート類、例えば、好まれるのはラウリル硫酸カリウムまたはナトリウム、高級脂肪酸モノグリセリドモノサルフェート類、例えば硬化ヤシ油脂肪酸の一硫化(monosulfated)モノグリセリドの塩、アルキルアリールスルホネート類、例えばナトリウム ドデシルベンゼンスルホネート、高級脂肪スルホアセテート類(higher fatty sulfoacetates)、1,2 ジヒドロキシプロパンスルホネートの高級脂肪酸エステル類である。その界面活性剤は一般にその経口で許容できるビヒクル組成物中に0.5〜10.0重量%、好ましくは1.0〜5.0重量%の濃度で存在する。
【0017】
[0017] 研磨剤をその経口で許容できるビヒクル中に組み込むことができ、好ましい研磨剤はケイ酸含有(siliceous)物質、例えばシリカである。好ましいシリカは、沈降非晶質水和シリカ、例えばCrosfield Chemicalsにより市場に出されているSorbosil AC−35、またはHuber CompanyからのZeodent 115であるが、ヒドロキシアパタイト、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、無水リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、オルトリン酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、アルミナ三水和物、ケイ酸アルミニウム、か焼アルミナ、チタニア、およびベントナイトが含まれる他の研磨剤を用いてもよい。その練り歯磨き組成物中の研磨剤の濃度は、通常は5から40重量%まで、好ましくは10から25重量%までの範囲内であろう。
【0018】
[0018] 脱感作カリウムイオンの源は一般に硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、重炭酸カリウムおよびシュウ酸カリウムが含まれる水溶性カリウム塩であり、硝酸カリウムが好ましい。そのカリウム塩は一般に、その歯磨剤構成要素の1種類以上の中に1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%の濃度で組み込まれる。
【0019】
[0019] その実施において有用な抗歯石の効能を有するピロリン酸塩類には、水溶性塩類、例えば二アルカリまたは四アルカリ金属ピロリン酸塩類、例えばNa4P2O7(TSPP)、K4P2O7’、Na2P2O7’、Na2H2P2O7およびK2H2P2O7’が含まれる。ポリリン酸塩類には、水溶性アルカリ金属トリポリリン酸塩類、例えばトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸カリウムが含まれる。そのピロリン酸塩類はその歯磨組成物中に0.5〜2.0重量%、好ましくは1.5〜2重量%の濃度で組み込まれ、そのポリリン酸塩類はその歯磨組成物中に1.0〜7.0重量%の濃度で組み込まれる。
【0020】
[0020] 着色剤、例えば顔料および染料をその実施において用いることができる。顔料には、非毒性の水に不溶性の無機顔料、例えば二酸化チタンおよび酸化クロムの緑色、群青色、および桃色、ならびに酸化第二鉄類、ならびにFD&C染料のカルシウムまたはアルミニウム塩類をアルミナ上で延ばす(extending)ことにより調製される水に不溶性の染料レーキ類(dye lakes)、例えばFD&C緑色1号レーキ、FD&C青色2号レーキ、FD&C R&D30号レーキおよびFD&C黄色15号(#Yellow 15)レーキが含まれる。その顔料は5〜1000ミクロン、好ましくは250〜500ミクロンの範囲の粒径を有し、0.5〜3重量%の濃度で存在する。
【0021】
[0021] 用いられる染料は一般に、現在食品医薬品化粧品法(Food Drug & Cosmetic Act)の下で食品および摂取される薬物における使用に関して保証されている食品着色添加物であり、それにはFD&C赤色3号(テトラヨードフルオロセインのナトリウム塩)、FD&C黄色5号(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸のナトリウム塩)、FD&C黄色6号(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホネートのナトリウム塩)、FD&C緑色3号(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウムフェニル)メチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−G)−3,5−シクロヘキサジエンイミン](4-{[4-(N-ethyl-p-sulffobenzyno)-phenyl]-(4-hydroxy-2-sulfoniumphenyl)mewthylene}-[1-(N-ethyl-N-p-sulfobenzyl)-G)-3,5cyclohexadienimine])の二ナトリウム塩(slat))、FD&C青色1号(インジゴチン(indigo tin)のジベンジルジエチルジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸の二ナトリウム塩)のような染料およびそれらの様々な割合での混合物が含まれる。最も有効な結果のためのその染料の濃度は、総重量の0.0005パーセントから2パーセントまでの量でその歯磨組成物中に存在する。
【0022】
[0022] あらゆる適切な香味または甘味物質もその歯磨剤組成物に組み込むことができる。適切な香味成分の例は、香味油、例えば、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン、サッサフラス、チョウジ、セージ、ユーカリ、マヨラマ、桂皮、レモン、およびオレンジの油、ならびにサリチル酸メチルである。適切な甘味剤には、スクロース、ラクトース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、シクラミン酸ナトリウム、ペリラチン(perillatine)、およびサッカリンナトリウムが含まれる。適切には、香味および甘味剤は合わせてその製剤の0.01%から5%まで、またはより多くを構成することができる。
【0023】
[0023] 抗細菌剤は、フェノールおよびビスフェノール化合物、ハロゲン化ジフェニルエーテル類、例えばトリクロサン、安息香酸エステル類およびカルバニリド類に基づく非陽イオン性抗細菌剤、ならびに陽イオン性抗細菌剤、例えばクロルヘキシジンジグルコネートである。そのような抗細菌剤は、その組成物の約0.03から約1重量%までの量で存在することができる。
【0024】
[0024] 非陽イオン性抗細菌剤または抗細菌剤がその歯磨剤構成要素のいずれかの中に含まれる場合、好ましくは、約0.05から約5%までの、その薬剤の口の表面への送達および保持、ならびにそれの口の表面上での保持を増進する薬剤も含まれる。有用なそのような薬剤は、米国特許第5,188,821号および第5,192,531号において開示されており;合成陰イオン性ポリマー性ポリカルボキシレート類、例えば無水マレイン酸またはマレイン酸と別の重合可能なエチレン的に(ethylenically)不飽和な単量体の1:4〜4:1コポリマー類、好ましくは、約30,000〜約1,000,000、最も好ましくは約30,000〜約800,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル/無水マレイン酸が含まれる。これらのコポリマー類は、例えばISP Technologies, Inc.(ニュージャージー州バウンドブロック08805)から入手可能なGantrez.の例えばAN 139(M.W.500,000)、AN 119(M.W.250,000)および好ましくはS−97医薬グレード(M.W.700,000)として入手可能である。その増進剤は、存在する場合、0.05から約3重量%までの範囲の量で存在する。
【0025】
[0025] 本明細書で記述した組成物を調製するために、香味料および甘味料、ならびにフッ化物の源、抗歯石成分としてのポリホスフェート類、ならびに同様のもの(例えばサッカリン、フッ化ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム)を、その組成物の第1部分として、水中で溶解させる。湿潤剤、例えばプロピレングリコールおよびポリエチレングリコール成分を、好ましくはいずれかの有機性増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースおよび/またはキサンタン、および顔料、例えば二酸化チタンと共に、その組成物の第2部分として分散させる。次いで、追加の湿潤剤、例えばソルビトールをその組成物の第2部分に添加し、均質なスラリーが形成されるまで混合するのが好ましい。次いで第1部分および第2部分を互いに添加し、その混合物を滑らかなゲルが形成されるまで混合することができる。次いで結果として得られたゲルを好ましくは真空ミキサーに移し、研磨剤、例えばシリカをそのゲルのタンクに添加し、次いで高速で真空下で10〜20分間混合することができる。界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)および追加の香味をその真空タンクに添加し、その成分を真空下でさらに5〜10分間混合することができる。結果として得られた製品は、均質な、半固体の、押し出し成形可能なペースト製品である。
【0026】
[0026] 歯磨組成物の調製は当技術で周知である。米国特許第3,996,863号、第3,980,767号、第4,328,205号、および第4,358,437号は、練り歯磨きおよびその歯磨剤の製造に利用することができるその製造の方法を開示している。
【0027】
[0027] 本発明は、以下の実施例に関連してさらに記述することができる。その実施例は単に説明的なものであり、記述され、特許請求される本発明の範囲を決して制限しない。
【実施例】
【0028】
実施例1−練り歯磨き配合物
[0028] 練り歯磨きの形の本発明の口腔ケア組成物を調製した(練り歯磨きX)。この口腔ケア組成物の組成を以下の表1で列挙する。
【0029】
【表1】

【0030】
[0029] 練り歯磨きXを以下のように調製する:
サッカリン、フッ化ナトリウム、硝酸カリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウムを、第1部分として水中で溶解させる。
【0031】
ピロリン酸四ナトリウム、有機性増粘剤(CMCおよびキサンタン)、および二酸化チタンを、第2部分としてポリエチレングリコール600およびグリセリン中で分散させる。
【0032】
ソルビトールを第2部分に添加し、均質なスラリーが形成されるまで混合する。
第1部分を第2部分およびソルビトールの混合物に添加し、滑らかなゲルが形成されるまで混合する。
【0033】
結果として得られたゲルを真空ミキサーに移す。
次いでシリカをそのゲルのタンクに添加し、高速で真空下で10〜20分間混合する。
次いでラウリル硫酸ナトリウムおよび香味をその真空タンクに添加し、真空下で5〜10分間混合する。
【0034】
練り歯磨きX対フッ化物を含有する練り歯磨きおよび商業的な抗侵食練り歯磨き(ProNamel(登録商標))の緩衝作用を説明するために、pH滴定実験を計画した。この実験において、練り歯磨きを水で1:2の比率で希釈した。その練り歯磨きスラリーを、0.1M HCl溶液で滴定した。
【0035】
【表2】

【0036】
[0030] 表1は、1グラムの練り歯磨きスラリーのpHをpH6まで下げるのに必要な酸溶液の量を示す。その結果は、練り歯磨きXの緩衝能力は通常のフッ化物を含有する練り歯磨きの緩衝能力の約9倍であることを示しており、これは練り歯磨きXの使用によりより大きな程度の酸の中和が期待されるであろうことを示している。
【0037】
[0031] 練り歯磨きXの酸に誘導されるエナメル質の侵食に対して保護する能力を、酸負荷試験において試験した。この実験において、研磨したエナメル質を5%クエン酸で10秒間処理した。次いでその酸でエッチングした(etched)エナメル質を、練り歯磨きスラリー(1:1 練り歯磨き:水)に5分間曝露した。その処理された表面を、酸処理の前、酸処理の後、および練り歯磨き処理の後にプロフィロメトリー(profilometry)を用いて定量化した。表3は、3種類の練り歯磨きによりもたらされた磨耗の減少を示す。その結果は、本発明のリン酸緩衝系が3種類の試験した組成物の内で最も大きい摩耗の減少をもたらしたことを示している。
【0038】
【表3】

【0039】
[0032] そのpH滴定およびプロフィロメトリーの結果は、本発明の口腔ケア組成物における独特の高能力リン酸緩衝剤のフッ化物の源との組み合わせは、酸に曝露された際の歯のエナメル質の侵食の減少における著しい向上という意外な結果をもたらすことの証拠を提供している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
a)経口で許容できるビヒクル;
b)フッ化物イオンの源;ならびに
c)12:88から18:82までの比率の一塩基性リン酸ナトリウムおよび二塩基性リン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝剤
を含み、その最終製品中のそのリン酸緩衝剤の重量百分率が3.5〜4.5重量%である、単一構成要素の抗侵食練り歯磨き。
【請求項2】
一塩基性リン酸ナトリウムの二塩基性リン酸ナトリウムに対する比率が16:84である、請求項1に記載の単一構成要素の抗侵食練り歯磨き。
【請求項3】
最終製品中のそのリン酸緩衝剤の重量百分率が3.75重量%である、いずれかの前記の請求項に記載の単一構成要素の抗侵食練り歯磨き。
【請求項4】
以下の:
a)以下:
i)経口で許容できるビヒクル;
ii)フッ化物イオンの源;ならびに
iii)12:88から18:82までの比率の一塩基性リン酸ナトリウムおよび二塩基性リン酸ナトリウムを含むリン酸緩衝剤
を含み、その最終製品中のそのリン酸緩衝剤の重量百分率が3.5〜4.5重量%である組成物を口腔に送達することを含む、歯の侵食を低減する方法。
【請求項5】
一塩基性リン酸ナトリウムの二塩基性リン酸ナトリウムに対する比率が16:84である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
最終製品中のそのリン酸緩衝剤の重量百分率が3.75重量%である、請求項4または5に記載の方法。

【公表番号】特表2013−514987(P2013−514987A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544874(P2012−544874)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060970
【国際公開番号】WO2011/084673
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】