説明

抗原およびEBVGp350/220の受容体の同時刺激によるB細胞活性化および免疫グロブリン分泌の増強

【課題】エプスタインバーウイルスの糖タンパク質350/220もしくは天然に存在するその変異体、CR2受容体に結合するEBV Gp350/220配列を含む融合タンパク質、または合成により誘導されるGp350/220のフラグメントを含むワクチンアジュバント、および、CR2複合体に結合するEBV Gp350/220アジュバント配列とGp350/220以外の少なくとも1つの目的の抗原とを含む免疫刺激組成物の提供。
【解決手段】該アジュバントとEBV 350/220配列を含む抗原以外の目的の抗原とを同時投与することにより、該抗原の免疫原性が増強される。該アジュバントは、目的の抗原に直接的または間接的に共有結合して、免疫原性組成物を形成する。該組成物の最も好ましい実施形態では、少なくとも2つのGp350/220エピトープに対する抗体および該抗原の少なくとも1つのエピトープに対する抗体を生起する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エプスタインバーウイルスの糖タンパク質350/220(Gp350/220)、およびB細胞上のCR2受容体に結合する能力を保持している天然に存在する、もしくは合成により誘導されるGp350/220のフラグメントの使用に関する。本発明はまた、CR2受容体に結合する非補体由来のペプチド、ならびに補体由来のペプチドおよびヘキサペプチドLYNVEAに関する。これらのタンパク質、ペプチドおよびフラグメントは、ワクチンのアジュバントとして、ならびに免疫刺激組成物およびワクチンのアジュバント成分(adjuvanting components)として使用できる。本発明はまた、CR2受容体に結合する非補体由来のペプチドならびに補体由来のペプチドおよびヘキサペプチドLYNVEAの使用に関する。
【0002】
本出願は、米国仮出願第60/089,158号(1998年6月12日出願)に関連するものであり、該仮出願は参照により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
補体とは、微生物の侵入により活性化されて感染に対する重要な防御系を形成する一連の約20種のタンパク質に与えられた名称である。最もよく認められている補体機能は、侵入している細菌もしくは寄生生物の浸透圧溶解および/または食作用を引き起こすものである。感染性生物の細胞壁中の成分は、補体酵素カスケードの複雑で連係した経路を誘発する。このプロセスの間に、最も豊富な成分であるC3は酵素的に活性な形態へと変換され、最終的にはC3aならびにC3bおよび関連ペプチドであるiC3bやC3dgを含む一連の食作用促進ペプチドなどの多数のフラグメントへと切断される。
【0004】
C3aは、マスト細胞および好塩基球を誘発して多くの走化性因子および炎症性因子を放出させるアナフィラトキシンであり、それらの因子は両者とも好中球および他の食作用性細胞の活性化に寄与し、これらの細胞を微生物感染の部位に濃化する。C3bは侵入生物の表面に共有結合する。結合したC3bは食作用性細胞の表面上にあるCR1(CD35)受容体と相互作用する。この相互作用により、活性化された食細胞が該微生物を飲み込むよう誘導され、次いで該微生物は細胞質顆粒と融合して破壊される。この食作用性細胞による侵入微生物の破壊は、細胞性免疫の重要な部分である。
【0005】
20年以上も前に、研究者達は、C3ペプチドが休止しているB細胞を刺激し得ることを見出し、かくしてこの補体成分もまた体液性免疫系においてある役割を担っている可能性があることを示唆している(非特許文献1及び2)。現在では、これらの刺激されたB細胞が、食作用のプロセスを補助する抗菌抗体を産生することがわかっている。細菌が抗体で覆われている場合には、該細菌の撲滅には食細胞が最も有効である。この作用はオプソニン作用と名づけられ、一般に食作用に対し抵抗性のある被包性細菌の撲滅においては特に重要である。オプソニン作用性抗体の産生は、細菌表面抗原がC3ペプチドに結合することにより有利になることが示唆されている。つまり、細菌表面上へのC3の結合がB細胞を刺激して、抗菌抗体を産生させる。したがって、C3は、食作用を直接刺激するだけでなく、B細胞を刺激して侵入微生物に結合する抗体を産生させてさらに食作用を促進する。
【0006】
このC3ペプチドのB細胞刺激特性は、分子全体を必要とするのではなく、ヘキサペプチドLYNVEAを含有する短い配列に含まれる(非特許文献3及び4;参照により組み入れる)。特に、C3分子および該ヘキサペプチド配列を含むより短いペプチドは多量体としてのみ刺激性であり、このことはC3受容体の架橋がB細胞の増殖に必要であることを示している(非特許文献5及び6)。多数のC3分子が単一の細菌に結合できるので、この条件はin vivoにおいて容易に満たされる。
【0007】
より近年の研究から、B細胞上のC3受容体を架橋することの免疫刺激作用は、抗原受容体の刺激についての活性化閾値を低下させることにより媒介されることが示されている。C3受容体が架橋している場合、B細胞の刺激には、抗原がほとんど必要とされないか、あるいはB細胞上の抗原受容体に対する親和性が低い抗原が必要とされる(非特許文献7)。
【0008】
B細胞および食作用性細胞の両者がそれらの細胞表面上にCR1受容体を発現する。しかし、食細胞とは異なり、B細胞は構造的に関連しているCR2受容体(CD21)も発現する。B細胞表面上へのCR2分子の架橋は、C3d、C3dg、C3biおよびiC3bペプチドの刺激作用に直接関与すると思われる。これらは非特許文献8に概説されている。さらに、CR1、CR2および別のタンパク質であるCD19は、B細胞表面上で会合すると思われる。この複合体のいずれかのメンバーを架橋する物質により、増大したB細胞の応答が生じる。このシグナルは、多量体C3ペプチドによるか、またはこれらの会合している1つ以上のタンパク質に対する抗体によりもたらされる(非特許文献9〜11)。
【0009】
CR2分子の架橋がB細胞の活性化を促進することが示されたことにより、C3d配列がアジュバントとして用いられるようになった。Dempseyおよびその共同研究者達は、C3dの1つのコピーを含む鶏卵リゾチームの組換え融合タンパク質が該リゾチームの免疫原性をそれほど変化させないことを実証した。しかし、C3dペプチドの2つのコピーまたは3つのコピーを融合させると、抗リゾチーム抗体のレベルがそれぞれ1000倍および10,000倍増大した(非特許文献12)。
【0010】
補体成分を結合させることに加えて、CR2受容体はB細胞リンパ栄養要求性エプスタインバーウイルス(EBV)に対する受容体としても同定されている(非特許文献13及び14)。EBVは長い間、B細胞マイトジェンおよび抗体合成のポリクローナルアクチベーターとして認識されてきた。in vivoでは、一次EBV感染は非特異的な高ガンマグロブリン血症により特徴付けられている。in vitroでは、EBVで形質転換したB細胞はIgを分泌する。非特許文献15(参照により組み入れる)の概説を参照されたい。
【0011】
EBVは世界人口の95%以上に感染し、感染性単核細胞症の原因物質として最もよく知られている。さらに、EBVはまた、地方病性バーキットリンパ腫、未分化型鼻咽頭癌、X連鎖性増殖性疾患(XLPD)、ヘアリーセル白血病、移植後リンパ増殖性疾患、および幾つかのタイプのホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫および胃癌を含む多くの病理とも非常に関連する。さらに、AIDウイルスに感染した患者を含む免疫抑制患者では異常なEBV誘導性の腫瘍がしばしば見られる。したがって、研究者達は長い間、EBV感染を予防するための安全かつ有効なワクチンを探していた。EBV感染プロセスは、主要なEBV外膜糖タンパク質であるGp350/220のCR2への結合により開始される。この相互作用が食作用または該ウイルスとB細胞膜との融合を刺激し、このことにより、ウイルスゲノムが細胞質に侵入可能になる(非特許文献16)。興味深いことに、幾つかの証拠から、C3dおよびGp350/220がCR2受容体上の異なる部位に結合することが示唆される(非特許文献17)。ウイルスの侵入はGp350/220タンパク質を介するものであり、これらのワクチンの大部分は、抗Gp350/220抗体を生起させることによる感染プロセスの妨害に焦点を当てている。非特許文献18及び19の概説を参照されたい。もちろん、これらのワクチンはもっぱらGp350/220に対する抗体を生起するように設計される。
【0012】
したがって、CR2受容体複合体を介してB細胞を活性化するための安全かつ有効なアジュバントが依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Hartmann、Transplant. Rev. 23:70-104(1975)
【非特許文献2】Hartman & Bokisch, J. Exp. Med.142:600-610(1975)
【非特許文献3】Lambris et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:4235-39(1985)
【非特許文献4】Frade et al., BBRC 188:833-42(1992)
【非特許文献5】Servis & Lambris, J. Immunol. 142:2207-12(1989)
【非特許文献6】Tsokos et al., J. Immunol. 144:1640-45(1990)
【非特許文献7】Mongini et al., J. Immunol. 159:3782-91(1997)
【非特許文献8】Frade, Seminars in Immunology 2:159:64(1990)
【非特許文献9】Nemerow et al., J. Immunol. 135:3068-73(1985)
【非特許文献10】Kozono et al., J. Immunol. 160:1565-72(1998)
【非特許文献11】Carter & Fearson, Science 256:105-07(1992)
【非特許文献12】Dempsey et al., Science, 271:348-50(1996)
【非特許文献13】Fingeroth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:4510-14(1984)
【非特許文献14】Frade et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:1490-93(1985)
【非特許文献15】Giovana & Blaese, Adv. Immunol. 37:99-149(F. J. Dixon編, 1985)
【非特許文献16】Tanner et al., Cell 50:2-3-213(1987)
【非特許文献17】Barel et al., J. Immunol. 141:1590-1595(1988)
【非特許文献18】Morgan, Vaccine, 10:563-571(1992)
【非特許文献19】Spring et al., J. Natl. Cancer Ctr. 88:1436-41(1996)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、CR2複合体に結合するワクチンアジュバントを提供することにより、これらの要望に応えるものである。これらのアジュバントは、エプスタインバーウイルス糖タンパク質350/220もしくはその天然に存在する変異体、CR2受容体に結合するのに十分なEBV350/220配列を含む融合タンパク質、またはCR2受容体に結合する能力を保持している組換えもしくは合成により誘導されるGp350/220のフラグメントを含む。本発明のアジュバントはまた、CR2受容体に結合する非補体由来のペプチド、ならびに補体由来のペプチドおよびヘキサペプチドLYNVEAに関連するペプチドを含む。該アジュバントを目的の抗原(EBV 350/220配列を含む抗原以外のもの)と同時投与することにより、該抗原の免疫原性が増強される。好ましい実施形態では、該アジュバントは目的の抗原と直接的または間接的に共有結合して免疫原性組成物を形成している。該組成物の好ましい実施形態では、少なくとも1つのGp350/220エピトープに対する抗体および該抗原の少なくとも1つのエピトープに対する抗体が生起される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、エプスタインバーウイルスの主要な外側エンベロープ糖タンパク質であるGp350/220を示す。パネル1Aおよび1BはそれぞれGp350およびGp220の配列を示す。
【図2】図2は、抗IgD、抗IgD-Gp350および抗IgD-デキストランに応答している精製末梢B細胞の割合(%)を示す。
【図3】図3は、各種濃度の抗IgD-Gp350に応答している精製末梢B細胞の割合(%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、Gp350/220のアジュバント作用(adjuvanting effects)を認識することにより、当業界における安全かつ有効なアジュバント、免疫原性組成物およびワクチンへの要望に応えるものである。該タンパク質の従来の使用は、もっぱら抗Gp350/220抗体の作製に焦点を当てたものであり、この使用以外に発展させることができなかった。したがって、EBV感染はB細胞の非特異的アクチベーターであると思われるが、本発明は、EBV Gp350/220のB細胞活性化活性を目的の抗原の1以上のコピーと結び付けることによる、抗原特異的B細胞への刺激作用を対象にしている。そのような組成物を用いることにより、該抗原に特異的な表面Igを保有するB細胞は、該抗原の受容体CR2受容体のGp350/220が媒介する架橋とにより同時に刺激され得る。この同時刺激により、目的の抗原に特異的な抗体の増大産生が起こる。したがって、本発明は、Gp350/220を、抗原特異的免疫応答の生起、刺激または増強のためのアジュバントとして、または免疫刺激組成物のアジュバント成分として提起する。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、Gp350/220以外の少なくとも1つの抗原エピトープを含む1つ以上の成分が、EBV Gp350/220に直接的または間接的に結合されている。好ましくは、該成分は既存のEBVワクチンに配合される。こうしてEBV Gp350/220成分に対する抗体および上記成分の別の少なくとも1つのエピトープに対する抗体が生起される。EBV感染の過程において、ウイルス膜内の複数のGp350/220のコピーがB細胞表面上のCR2受容体と架橋するようである。したがって、好ましい実施形態では、CR2架橋を促進するために、Gp350/220成分は複数のGp350/220配列のコピーを含む。
【0018】
別の実施形態では、少なくとも1つのGp350/220のコピーが少なくとも1つの抗原エピトープを含む成分に直接的または間接的に結合される。好ましい実施形態では、2以上のGp350/220のコピーを該成分に直接的または間接的に結合させる。また、該成分(1つまたは複数)が少なくとも1つの抗原エピトープの複数のコピーを呈示することも好ましい。それぞれの場合において、Gp350/220配列は、該成分の免疫原性を増大させるためのアジュバントとして機能する。成分は、ハプテン、T細胞依存性(TD)抗原、2型T細胞非依存性(TI-2)抗原を含む任意の抗原性成分であってよく、それらの定義は当業界で周知であり、Roit, Essential Immunology, (1994)Blackwell Scientific Publications;およびPaul, Fundamental Immunology, (1989) Raven Press(これらの両者は、その全文を参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。
【0019】
成分は単純な化学化合物;細菌性多糖を含む多糖;天然に存在する、組換えもしくは合成のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド;合成ペプチド;組換え融合タンパク質;または上記のいずれかの化学的もしくは酵素的フラグメントであり得る。成分は他のEBV抗原に特異的なエピトープを含み得る。好ましい実施形態では、該成分は、EBVに特異的ではないが、他の感染性疾患、アレルゲン、腫瘍抗原または免疫刺激に応答する症状に対する抗体を生起する。
【0020】
多価エピトープ抗原が一価の抗原よりも刺激性が高いことは十分に確立されている。この増大した免疫原性は、より有効な抗原受容体の架橋を促進する多価抗原の能力によりもたらされると思われる。したがって、本発明の目的のためには、該成分または目的の抗原が、複数の抗原エピトープのコピーを含むか、あるいは該抗原の複数のコピーを含む、より大きな構築物の一部として呈示されるかのいずれかであることが非常に好ましい。in vitroでの使用の場合、該多価エピトープ成分は、最初にBrunswickら, J. Immunol. 140:3364(1988)において記載されたデキストランに結合させた抗IgDまたは抗IgMのような抗原類似体であってもよい。
【0021】
1つの実施形態では、Gp350/220の少なくとも1つのコピー、好ましくは2つ以上のコピーを、Contrib. Microbiol. Immunol. 第10巻, 48-114頁(J.M.CruseおよびR.E. Lewis Jr.編, 1989)のW.E.DickおよびM. Beurret, Conjugate Vaccinesに記載のものなどの多糖-TD抗原組成物、またはLeesら, Vaccine 1160-66(1994);米国特許第5,585,100号(MondおよびLees);および米国特許出願第08/468,359号(出願日:1995年6月6日)(MondおよびLees)(それらの各々は参照により本明細書に組み入れる)の二重コンジュゲート組成物(dual conjugate compositions)のいずれかに結合させる。
【0022】
CR2結合に必要な配列は、EBVエンベロープ糖タンパク質Gp350(Gp340としても知られている)および関連するスプライス変異体Gp220(Beiselら, J. Virol. 54, 665-674(1985))のアミノ酸配列内に含まれ、本明細書中ではそれらの例をそれぞれ図1Aおよび1Bに示す。他の配列は当業界で公知である。
【0023】
本発明の目的のためには、Gp350/220とはさらに、非補体由来のペプチド、またはCR2に結合してCR2へのEBV Gp350/220の結合を妨害する他の分子、またはそれらの両者をいう。好ましくは、Gp350/220とは、EBV Gp350/220アミノ酸配列、そのフラグメント、変異体、誘導体または類似体を含む任意のポリペプチド配列であって、該Gp350/220、Gp350/220フラグメント、変異体、誘導体または類似体の配列の少なくとも一部がヒトCR2 B細胞受容体に結合する該ポリペプチド配列をいう。そのような配列は、完全長タンパク質、Gp350/220配列を含む組換えもしくは合成ポリペプチドもしくはペプチド、組換え融合タンパク質、またはそれらのいずれかの化学的もしくは酵素的に誘導されたフラグメント内に含まれ得る。Gp350/220のCR2結合領域は研究されてなかったが、そのような同定は当業者であれば行うことが可能である。さらに、アミノ酸21〜26の間またはアミノ酸372〜378の間にあるGp350/220タンパク質部分がCR2結合に必要な配列を含むことが示唆されている。Tannerら, Cell 203-213 (1987);およびNemerowら, 61:1416-20 (1987)。
【0024】
本明細書中でいうGp350/220ポリペプチドの「変異体」とは、Gp350ポリペプチドまたはGp220ポリペプチド(例えば、配列番号1および2)のいずれか一方と実質的に同一であるが、1つ以上の欠失、挿入もしくは置換のためにGp350またはGp220とは異なるアミノ酸配列を有する、天然に存在するもしくは合成的にプログラムされたポリペプチドを意味する。異なるEBV株のDNAを配列決定することにより幾つかのGp350/220変異体配列が既に同定されており、当業者であればそれらを容易に入手できる。該変異体アミノ酸配列は、好ましくは配列番号1または2のGp350/220ポリペプチドのアミノ酸配列と少なくとも60%、65%、70%または80%同一であり、さらに好ましくは少なくとも85%同一であり、さらにより好ましくは少なくとも90%同一であり、最も好ましくは少なくとも95%同一である。同一性の割合(%)は、例えば、Devereuxら(Nucl. Acids Res. 12:387, 1984)に記載されており、かつウイスコンシン大学の遺伝学コンピューターグループ(the University of Wisconsin genetics Computer Group:UWGCG)から入手可能であるGAPコンピュータプログラム、バージョン6.0を用いて配列情報を比較することにより決定できる。このGAPプログラムは、SmithおよびWaterman(Adv. Appl. Math 2:482, 1981)に概説されているように、NeedlemanおよびWunsch(J. Mol. Biol. 48:443, 1970)のアライメント法を利用している。GAPプログラムの好ましいデフォルトパラメータとしては以下のものが挙げられる:(1)ヌクレオチドについては単項比較マトリックス(一致のものについては値1であり、非一致のものについては0をあてる)、およびSchwartzおよびDayhoff編, Atlas of Protein Sequence and Structure, National Biomedical Research Foundation, 353-358頁, 1979に記載されているようにGribskovおよびBurgess, Nucl. Acids Res. 14:6745, 1986の重み付き比較マトリックス;(2)各ギャップに対しては3.0のペナルティ、および各ギャップ内の各記号に対しては追加の0.10のペナルティ;(3)末端のギャップに対してはペナルティなし。
【0025】
変異体は保存的置換された配列を含んでもよく、これは所与のアミノ酸残基が同じような生理化学的特性を有する残基で置きかえられることを意味する。保存的置換の例としては、1つの脂肪族残基が別のもの(例えば、Ile、Val、LeuまたはAla)と互いに置換されること、または1つの極性残基が別のものと置換されるいこと(例えば、LysとArg;GluとAsp;またはGlnとAsn)が挙げられる。他のそのような保存的置換(例えば同じような疎水性特性を有する全領域同士の置換)がよく知られている。天然に存在するGp350/220変異体も本発明に包含される。そのような変異体の例は、選択的mRNAスプライシング事象やGp350/220ポリペプチドのタンパク質分解性切断により生じるタンパク質、およびGp350/220ポリペプチドの対立遺伝子変異体である。タンパク質分解による変化としては、例えば、異なる種類の宿主細胞において発現させた際のN末端またはC末端の相違が挙げられ、これはGp350/220ポリペプチドからの1つ以上の末端アミノ酸のタンパク質分解性除去によるものである。
【0026】
Gp350/220ポリペプチドの変異体および誘導体は、Gp350/220ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の突然変異により得てもよい。そのアミノ酸配列の改変は自然に起こってもよいし、あるいは多くの慣用法のいずれかにより達成してもよい。突然変異は、突然変異配列を含み、かつ元の配列のフラグメントへの連結を可能にする制限部位で挟まれているオリゴヌクレオチドを合成することにより特定の遺伝子座に導入することができる。連結した後、得られた再構築配列は、所望のアミノ酸挿入、置換または欠失を有する類似体をコードする。
【0027】
あるいはまた、オリゴヌクレオチドにより指令される部位特異的突然変異誘発法を用いて、予め定めたコドンが置換、欠失または挿入により改変されうる改変遺伝子を得ることができる。前述の改変を作製するための典型的な方法は、Walderら(Gene 42:133, 1986);Bauerら(Gene 37:73, 1985);Craik(BioTechniques, January 1985, 12-19);Smithら(Genetic Engineering: Principles and Methods, Plenum Press, 1981);Kunkel(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488, 1985);Kunkelら(Methods in Enzymol. 154:367, 1987);および米国特許第4,518,584号および同第4,737,462号により記載されており、それらは全て、参照により組み入れるものとする。
【0028】
Gp350/220ポリペプチドは、グリコシル基、ポリエチレングリコール(PEG)基、脂質、リン酸エステル、アセチル基などの他の化学的部分との共有結合もしくは凝集によるコンジュゲートを形成することにより、Gp350/220ポリペプチド誘導体を作製するように改変され得る。Gp350/220ポリペプチドの共有結合性誘導体は、該化学的部分をGp350/220ポリペプチドのアミノ酸側鎖上もしくはGp350/220ポリペプチドのN末端もしくはC末端にある官能基、またはそれらの細胞外ドメインと結合させることにより調製することができる。本発明の範囲内にあるGp350/220ポリペプチドの他の誘導体としては、例えばN末端もしくはC末端融合体としての組換え培養下での合成による、Gp350/220ポリペプチドもしくはペプチドと他のタンパク質もしくはペプチドとの共有結合もしくは凝集によるコンジュゲートが挙げられる。例えば、該コンジュゲートは、Gp350/220ポリペプチドのN末端にシグナルまたはリーダーポリペプチド配列(例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)のα因子リーダー)を含み得る。該シグナルまたはリーダーペプチドは、翻訳と同時に、または翻訳後に、該コンジュゲートがその合成部位から細胞膜もしくは細胞壁の内側もしくは外側の部位へと輸送されるように指令する。Gp350/220ポリペプチドのコンジュゲートは、Gp350/220ポリペプチドの精製および同定を容易にするための付加されたペプチドを含んでもよい。そのようなペプチドとしては、例えば、ポリHisまたは米国特許第5,011,912号およびHoppら, Bio/Technology 6:1204, 1988に記載のような抗原同定ペプチドが挙げられる。
【0029】
本発明の目的のためには、Gp350/220とはまた、補体C3の抗体またはその一部分以外のCR2結合分子として定義されるGp350/220類似体をいう。そのような分子は天然に存在するタンパク質から選択してもよいし、あるいは完全に合成してもよい。当業者であれば、既知の受容体に結合する分子を選択するために多くの方法が利用可能であることが分かる。例えば、精製または組換えCR2は、ファージ発現ライブラリーにおける結合を検出するためのプローブとして用いることができる。CR2に結合するタンパク質を発現するクローンを単離し配列決定することが可能である。C3産物に該当しない任意のクローンを選択し、B細胞刺激特性について試験する。あるいはまた、CR2に結合する別の天然に存在するまたは合成の配列は、Menzelら、米国特許第5,521,066号(参照により組み入れる)の機能的選択方法により選択することができる。
【0030】
さらに、Gp350/220類似体は、合理的薬物設計の原理を用いて得ることができる。そのような設計は、Gp350/220に結合するCR2ポリペプチドの一部分の3次元構造を決定する工程、Gp350/220またはC3bペプチドの結合部位と思われる部位について3次元構造を分析する工程、推定反応性部位に結合すると予測される分子を合成する工程、および該分子の結合およびアジュバント的活性化活性を測定する工程を含む。
【0031】
エプスタインバーウイルスは世界人口の95%以上に感染し、感染性単核細胞症の原因物質として最もよく知られている。さらに、EBVはまた、地方病性バーキットリンパ腫、未分化型鼻咽頭癌、X連鎖性増殖性疾患(XLPD)、ヘアリーセル白血病、移植後リンパ増殖性疾患、および幾つかのタイプのホジキンリンパ腫、T細胞リンパ腫および胃癌を含む多くの病理とも非常に関連する。さらに、AIDウイルスに感染した患者を含む免疫抑制患者では異常なEBV誘導性の腫瘍がしばしば見られる。したがって、研究者達は長い間、EBV感染を予防するための安全かつ有効なワクチンを探していた。Gp350/220タンパク質を介するウイルスの侵入はウイルス感染における必須の過程なので、これらのワクチンのほとんどが抗Gp350/220抗体を生起させることによる感染プロセスの妨害に焦点を当ててきた。Morgan, Vaccine, 10:563-571(1992);およびSpringら, J. Natl. Cancer Ctr. 88:1436-41(1996)の概説を参照されたい。もちろん、これらのワクチンはもっぱらGp350/220に対する抗体を生起するように設計される。
【0032】
本発明はまた、本発明のGp350/220ペプチドの結合を妨害するペプチドにも関する。さらに別の実施形態では、本発明は、CR2受容体に結合する非補体由来のペプチド、ならびに補体由来のペプチドおよびヘキサペプチドLYNVEAをベースとするペプチド、ならびにそれらのフラグメント、変異体、誘導体および類似体に関する。
【0033】
該アジュバントおよび免疫原性組成物は、組換え技術を用いて作製できる。組換えタンパク質および融合タンパク質の作製および発現は当業界では周知であり、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第1〜3巻,(第2版, 1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press (参照により本明細書に組み入れる)にあるような慣用の手法を用いて行うことができる。組換えGp350/220の作製および精製は当業界で公知である。Tannerら, Cell 203-213 (1987)(参照により組み入れる)。Gp350/220融合タンパク質は、CR2結合活性を保持しているGp350/220ポリペプチドを、該Gp350/220配列の精製を補助するための別のポリペプチドをコードする配列と融合させることによっても設計できる。そのような融合の一例は、Gp350ポリペプチドをコードする配列と、New England Biolabs, Inc.のpMAL-c2ベクターのmalE遺伝子の産物をコードする配列またはヘキサヒスチジン配列との融合である。そのような融合は、該融合タンパク質のアフィニティ精製を可能にする。さらに、精製後に該融合タンパク質から非Gp350配列を取り除く方法は当業界では周知である。該アジュバントまたは組成物はまた、トランスジェニック植物内または植物産物内に発現させることも可能である。該アジュバントまたは組成物は、次いで、該植物または植物産物の一部分として経口的に投与してもよいし、あるいは該植物または植物産物から精製した後で投与してもよい。
【0034】
本発明はまた、Gp350/220配列の発現を指令するプラスミドおよび組換えウイルスベクターのような組換え核酸ベクターも包含する。組換え核酸ベクターの構築および発現は当業界では周知であり、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第1〜3巻,(第2版, 1989), Cold Spring Harbor Laboratory Pressに含まれる技法が挙げられる。そのような核酸ベクターは、ウイルスおよび細菌のような生物学的ベクターに含まれていてもよく、好ましくは、弱毒化したウイルス、細菌、寄生虫およびウイルス様粒子などの非病原性または弱毒化微生物に含まれる。1つの実施形態では、該核酸ベクターは、好ましくは細菌の表面上で、またはウイルスキャプシドもしくはエンベロープの部分として、生物学的ベクター内のGp350/220の発現を指令する。該生物学的ベクターを患者に投与することにより、細菌、ウイルスまたは寄生虫抗原に対する免疫応答が増強される。あるいはまた、Gp350/220は、少なくとも1つの抗原性成分との融合タンパク質として発現されてもよい。好ましい実施形態において、該融合タンパク質は、有効な抗原提示を可能にするために、細菌、ウイルス、寄生虫または粒子の表面上で発現される。該生物学的ベクターを患者に投与することにより、該成分の少なくとも1つのエピトープに対する免疫応答の増強が起こる。同様に、プラスミドおよびウイルス核酸ベクターを用いて、酵母または他の真核細胞におけるGp350/220またはGp350/220融合タンパク質の発現を指令するようにできる。
【0035】
1つの実施形態では、Gp350/220は哺乳動物腫瘍細胞の表面上で発現される。これらの細胞を用いて、腫瘍特異的抗原に対する抗体を誘導する。別の実施形態では、哺乳動物宿主細胞は、Gp350/220を少なくとも1つの抗原性成分との融合タンパク質として発現するようにプログラムされる。次に、該宿主は該成分の少なくとも1つのエピトープに対する免疫応答を惹起する。
【0036】
本発明のアジュバントは、少なくとも1つの抗原性成分と同時投与してもよい。好ましい実施形態では、該アジュバントを好ましくは該抗原性成分と結合させて、免疫原性(免疫刺激性)組成物を形成する。該アジュバントまたは免疫原性組成物はまた、追加の免疫刺激性成分と結合させてもよい。免疫モジュレーターおよび/または細胞標的化成分のようなこれらの免疫刺激性成分は上記免疫応答をさらに増強する。これらの物質(entities)は同時投与され、好ましくは該アジュバントまたは免疫原性組成物に化学的に結合される。そのような物質としては、例えば、(1)無毒化リポ多糖または誘導体、(2)ムラミルジペプチド、(3)細胞表面決定基と相互作用して該構築物を免疫学的に関連のある細胞にターゲッティングさせ得る炭水化物、脂質およびペプチド、(4)IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、GM-CSF、TGF-βおよびIFN-γなどのインターロイキン、(5)1以上の普遍的T細胞エレメント(TCE)、(6)CD40リガンド、および(7)細胞表面成分と相互作用し得る抗体が挙げられる。1つの実施形態では、該組成物のアジュバント活性または免疫原性は、同時係属出願(引用により本明細書に組み入れる):Induction and Enhancement of the Immune Response to Type 2 T Cell-independent Antigens Conjugated to Lipid or Lipid-containing Moieties of Mond and Snapper(1998年3月16日出願;出願番号は未指定)に記載されているように、アジュバント性リポタンパク質との同時投与または結合により増強できる。
【0037】
どのような形態の結合も本発明の範囲内である。結合の方法は当業者に周知であり、Brunswickら, J. Immunol., 140:3364(1988);Wong, S.S., Chemistry of Protein Conjugates and Crosslinking, CRC Press, Boston(1991);Brenkeleyら, “Brief Survey of Methods for Preparing Protein Conjugates With Dyes, Haptens and Cross-Linking Agents,” Bioconjugate Chemistry, 3, No.1 (1992年、1月);およびHermanson, G.T. Bioconjugate Techniques, Academic Press, San Diego (1996)の異種ライゲーション法(heteroligation techniques)が挙げられ、それら文献の各々は特に引用により組み入れる。
【0038】
共有結合による結合の好ましい方法は、第08/124,491号(1993年9月22日出願:今は放棄されている)の一部継続出願であり米国特許第5,651,971号として1997年7月29日に発行された出願番号第08/408,717号(1995年3月22日出願)の一部継続出願である出願番号第08/482,616号および同第08/482,666号(1995年6月7日出願)(第08/482,616号は今は放棄されている)で述べられており、米国特許第5,693,326号として1997年12月2日に発行された継続出願第08/408,717号、出願第08/456,694号(1995年6月1日出願)でさらに述べられ、かつ一部継続出願第08/124,491号、出願第08/124,491号(1993年9月22日出願)(これらの開示は全て引用により特に本明細書に組み入れる)でさらに述べられている、多糖のCDAP(1-シアノ-4-“ジメチルアミノ”-ピリジニウムテトラフルオロボレート)活性化によるものである。
【0039】
本発明のアジュバントおよび免疫原性組成物は、それらが免疫系に対して生物学的効果を誘導する点で、医薬組成物であるとみなすことができる。本発明の医薬組成物が抗原を含有し、かつ製剤学上許容される担体、ビヒクルまたは希釈剤中に好ましくは懸濁、溶解、配合またはカプセル化して生物に投与しようとする場合、それはワクチンと呼ぶことができる。特許請求の範囲に記載の本発明のアジュバントおよび免疫原性組成物は、医薬組成物として、単離したB細胞にin vitroで適用してもよいし、あるいはワクチンとして患者に直接投与してもよい。
【0040】
本発明はまた、アジュバント量の該アジュバントを抗原と共に投与すること、または免疫刺激量の該ワクチンの組成物を投与することによる、患者の治療または患者の便宜のための治療に関する。
【0041】
患者とは、ここでは免疫刺激が必要である任意のヒトもしくは非ヒト動物、またはその治療が有益であり得る任意の被験者として定義され、ヒトおよび非ヒト動物が含まれる。そのような治療しようとする非ヒト動物としては、EBV Gp350/220の受容体を有する全ての家畜化および野生の脊椎動物、特にタマリンのような非ヒト霊長類が挙げられる。注目すべきことに、マウスは通常はCR2を発現せず、したがってGp350/220のアジュバント作用に応答しない。しかし、B細胞上でCR2を発現するトランスジェニックマウスの作製は当業者の技術範囲内である。したがって、そのようなCR2トランスジェニックマウスは本発明の目的に対する患者を構成するであろう。勿論、当業者であれば、抗原の選択が特定の系におけるワクチン接種の対象である疾患または病的状態に依存することを理解されよう。
【0042】
免疫刺激量とは、免疫応答を刺激できるワクチンの量をいう。本明細書で用いる免疫応答とは、外来物質に応答して身体の免疫グロブリン産生または抗体産生を引き起こす一連の生物学的効果として定義される。したがって、免疫応答とは、B細胞表面Ig受容体分子の刺激によるin vivoもしくは培養下でのB細胞の活性化をいう。免疫応答の測定は当業者の通常の技術範囲内にあり、P. Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology: Practice and Theory of Enzyme Immunoassays, (Burdon & van Knippenberg編, 第3版, 1985) Elsevir, New York;およびAntibodies:A Laboratory Manual, (Harlow & Lane編, 1988), Cold Spring Harbor Laboratory Pressにシリーズで記載されている方法、ならびに対向流免疫電気泳動法(CIEP)、ラジオイムノアッセイ、放射免疫沈降法、固相酵素免疫検定法(ELISA)、ドットブロットアッセイおよびサンドイッチアッセイ(米国特許第4,376,110号および同第4,486,530号を参照:これらは全て引用により組み入れるものとする)のような手法を用いた抗体レベルの測定が含まれる。免疫応答の測定にはまた、抗体産生の前に起こり得るかまたは抗体産生の増大を合図し得るB細胞活性化事象の検出または測定も含まれる。そのような測定としては、B細胞増殖アッセイ、リン酸化アッセイ、細胞質内遊離カルシウム濃度のアッセイ、および当業界で公知のB細胞活性化を測定する他の方法が挙げられる。代表的なアッセイは、Monginiら, J. Immunol. 159:3782-91(1997);Fradeら, BBRC 188:833-842(1992);Tsokosら, J. Immunol. 144:1640-1645(1990);Delcayreら, BBRC 159:1213-1220(1989);およびNemerowら, J. Immunol. 135:3068-73(1985)(それらの各々は引用により組み入れる)に提示されている。
【0043】
本発明の実施には、免疫応答を促進、増強または刺激することが含まれる。これらの作用は、従来には存在しなかった免疫応答を確立すること;目的の免疫応答を最適化または増大させること;アイソタイプのスイッチング、記憶応答またはそれらの両者の増大を特徴とする二次応答を確立または増大させること;病原体に対する統計的に増大した免疫防護効果をもたらすこと;抗原の低いまたは限られた投与量から同等またはより大きな体液性免疫応答または他のB細胞活性化の指標を生起すること;抗原の同等の投与量に対して増大した体液性免疫応答または他のB細胞活性化の指標を生起すること;あるいは、in vivoまたはin vitroでのB細胞活性化に対する親和性閾値を低下させること、を意味する。
【0044】
好ましくは、免疫刺激量とは、患者において、疾患または病的状態を予防、改善あるいは治療するのに十分な免疫応答を刺激することができるワクチンの量をいう。同様に、アジュバント量とは、抗原と共に投与した場合、該抗原に対する特異的免疫応答を増強するアジュバントの量をいう。治療とは、患者における、または患者の便宜のための、成分または抗原に対する免疫応答を促進、増強または刺激することとして定義される。そのような治療は、実験、予防または改善を含む任意の目的のためのものであり得る。
【0045】
治療は、静脈内、腹腔内、体内注射、関節内、脳室内、髄腔内、扁桃内、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、膣内または経口を含む当業者によく知られている任意の方法により該医薬組成物を投与することを含む。好ましい投与方法は静脈内、筋肉内、鼻腔内、経口および皮下注射である。該組成物はまた、例えば筋肉内または皮下内のいずれかによる特定の領域への注射により局所的に投与してもよい。該免疫学的組成物は、徐放カプセル剤、ペレット、浸透圧送達装置またはポンプのような徐放形態で投与してもよい。
【0046】
二次追加免疫は1週間後から数ヶ月後の範囲の間隔で投与できる。一次および二次接種物の投与量は当業者であれば容易に決定できるが、許容し得る範囲は1接種物当たり0.01μgから100μgである。
【0047】
本発明の組成物またはワクチンの投与にはどのような製剤学上許容される担体も用いることができる。担体は固形、粉末または液体であってよく、例えば、水、油(例えば石油系油、動物油、植物油、落花生油、大豆油、鉱物油、ゴマ油など)が挙げられる。静脈内投与の場合、滅菌等張水溶液が好ましい担体である。生理食塩水溶液、デキストロース水溶液およびグリセロール溶液もまた、特に注射用溶液のための液状担体として用い得る。適切な製剤学上担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版(A. Gennaro編, Mack Pub., Easton, Pa., 1990)(引用により組み入れる)に記載されている。
【0048】
該免疫学的組成物はまた、可溶化剤、乳化剤、安定化剤、矯味矯臭剤、およびアジュバントなどの他の成分と共に製剤化してもよい。アジュバントは、本明細書中では、抗原と組合せた場合に、該抗原に対する特異的免疫応答を増強する任意の組成物として定義される。一般的なアジュバントとしては、ミョウバン、フロイント、Titermax(CytRyx Corp.)、RIBI T-700アジュバント(RIBI Immunochemical)およびSTIMULONアジュバントQS21(Aquila Biopharm)が挙げられる。
【0049】
Gp350/220配列のCR2刺激活性は、CR2またはCR2関連タンパク質(例えばCR1およびCD19)に結合する他の分子で代用してもよい。具体的には、これらとしては、補体C3d、C3dg、C3bi、iC3b、およびヘキサペプチドLYNVEAを含みCR2に結合するそれらのペプチド、ならびにCR1、CR2またはCD19に対する抗体が挙げられる。しかし、ワクチンにおいて自己由来の配列(autologous sequences)を使用すると、自己免疫応答を引き起こす可能性が出てくる。
【0050】
このシナリオは、内因性のタンパク質がB細胞に対して刺激性が高い場合に特に問題となる。免疫系は通常(および必ず)補体成分を「自己」抗原として認識するが、C3dもしくは関連ペプチドと外来抗原とのコンジュゲートまたは融合体は、このタンパク質を異例な状況で提示する。さらに、そのような構築物は、天然の状況では稀にしか生じないC3dエピトープを提示する可能性がある。事実、補体成分に対する自己免疫応答の生起が特に好ましい場合がある。何故ならば、アジュバント的応答を生起するためにはこれらの分子の複数コピーが必要であり、この機構は天然では見られないからである。いずれにしても、宿主にC3dの改変形態を提示することによって、C3dに対する寛容性を破壊し、それにより多数のC3由来の補体成分に対する抗体を誘導する、非常に高い可能性が生ずる。当業者であれば容易に理解するように、補体に対して抗体ができると、重篤な自己免疫病態が引き起こされるであろう。
【0051】
これに対して、Gp350/220配列は以下のさらなる理由により、補体成分と比較して、免疫刺激組成物のアジュバントおよびアジュバント性成分として非常に好ましい。
【0052】
1)Gp350/220アジュバントのエピトープに対して生起させた抗体は、EBV感染または感染性に対する防護をもたらす点で、それ自体有利である。
【0053】
2)補体成分に連結させた抗原が低分子量である場合、得られる構築物も低分子量である。低分子量の構築物のin vivoでの半減期は短い場合が多く、この急速な排除は免疫原性を損なう。これに対して、より大きなGp350/220ポリペプチドをベースとする組成物は、C3dをベースとするものよりも長く有効な半減期を有することが予想される。
【0054】
3)有効な抗原提示はB細胞上の抗原受容体の架橋に依存する。C3bよりも、より大きなGp350/220タンパク質にはより多いコピー数の抗原が連結できるので、Gp350/220をベースとする構築物の方が抗原性が高い。
【0055】
4)CR1、CR2またはCD19に対して生起させた抗体は高価であり、かつ生産が難しい。さらに、抗体配列を用いたワクチン接種は、自己免疫反応を含む望ましくない免疫応答を生起し得る。
【0056】
5)Gp350/220ワクチン成分の安全性および有効性は既に調べられているが、C3成分の毒性はわかっていない。補体の活性化は急性の炎症性応答を引き起こすので、補体をベースとするアジュバントは炎症を刺激する可能性がある。
【0057】
6)当分野では、おそらくは組換えにより生産されるC3dポリペプチドのフォールディングにおける問題のために、C3d-融合タンパク質は合成および精製が難しいことが示唆されている。
【0058】
7)C3dの正確なフォールディングはCR2結合にとって重要である。抗原を用いて遺伝子操作した構築物では、C3dのフォールディングを歪ませてC3dの受容体への結合を低下もしくは喪失させる抗原が存在する可能性がある。これに対して、より大きなGp350/220タンパク質におけるCR2結合ドメインのフォールディングは、抗原との融合により破壊される可能性はほとんどない。
【0059】
以下の実施例により本発明を説明するが、それらはいかなる意味においても限定しようとするものではない。
【実施例】
【0060】
<実施例1:コンジュゲートおよびコントロールの調製>
(試薬)
精製した組換えEBV Gp350およびレスピレトリシンシチウムウイルス(Respiratory Syncitial Virus)(RSV)糖タンパク質FGはSmithKline Beecham Biologicalsからそれぞれ538μg/mlおよび319μg/mlで入手した。次に、これらのタンパク質をFILTRON Microsep濃縮器を用いてそれぞれ1mg/mlおよび0.8mg/mlまで濃縮した。5×HEは、75mM HEPES、10mM EDTA、pH 7.3である。SATA(BioAffinity Systems製、N-ヒドロキシスクシンイミジル S-アセチルチオアセテート)はジメチルホルムアミド(DMF)中、10mM溶液として調製した。ヒトIgD特異的モノクローナル抗体δIA6.2(150mM HEPES、2mM EDTA, pH 7.3中、25mg/ml)はAlabama大学(Birmingham)のJohn Kearny博士から恵贈されたものであり、Halistaら, Ped. Res. 43:496-503(1988)(引用により組み入れる)に記載されている。SIA(BioAffinity Systems製、N-ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセテート)はDMF中、10mMとし、但し、抗Ig-Dexの調製の場合にはDMF中、100mMとした。HEHは5×HE中、0.5Mヒドロキシルアミンである。
【0061】
Leesら, J. Immunol. 145:3594-3600(1990)(引用により本明細書に組み入れる)に概略的に記載されているようにして、Gp350およびRSV FGを抗IgD抗体と結合させて、抗IgD-Gp350および抗IgD-FGを作製した。簡単に説明すると、0.5mg(500μl)のGp350を50μlの10mM SATA(DMF中)と混合することによりチオール化してGp350-SATAを得た。同様に、0.5mg(625μl)のFGを25μlの5×HEおよび50μlの10mM SATA(DMF中)に添加してFG-SATAを得た。該抗-IgD抗体をヨードアセチル化するために、2mg(80μl)のδIA6.2を13.3μlの10mM ヨードアセトアミド(水中)に添加した。10分後、26.6μlの10mM SIA(DMF中)を添加して、δIA6.2-SIAを得た。
【0062】
上記の反応の各々を室温で約2時間進行させ、次に10mM MES、150mM NaCl、2mM EDTA、pH6で一夜透析した。このSIA反応物を暗所にて保持した。
【0063】
(抗Ig-Gp350(抗IgD-Gp350))
169μl(約0.5mg)のδIA6.2-SIAを560μl(約0.5mg)のGp350-SATAおよび80μlのHEHに添加した。次に、この反応物をFILTRON Microsep 10を用いて約200μlまで濃縮し、暗所にて4℃で一夜インキュベートした。次に、この反応物を、1時間にわたりメルカプトエタノール中、0.2mMとした後でヨードアセトアミド中、10mMとすることにより、反応停止させた。このコンジュゲートを、PBSで平衡化した1×60cmのS400HRカラムにかけた。空隙容量フラクションをプールし、Millipore 0.2μ Millexフィルターを通して濾過滅菌した。得られた抗Ig-Gp350調製物は、HPLC分析により測定したところ、5%未満の未結合δIA6.2を含んでいた。
【0064】
(抗Ig-FG(抗IgD-FG))
169μl(約0.5mg)のδIA6.2-SIAを890μl(約0.5mg)のFG-SATAおよび117μlのHEHに添加した。次に、この反応物をFILTRON Microsep 10を用いて約200μlまで濃縮し、暗所にて4℃で一夜インキュベートした。次に、この反応物を、1時間にわたりメルカプトエタノール中、0.2mMとした後でヨードアセトアミド中、10mMとすることにより、反応停止させた。このコンジュゲートを、PBSで平衡化した1×60cmのS200HRカラムにかけた。空隙容量フラクションをプールし、Millipore 0.2μ Millexフィルターを通して濾過滅菌した。HPLC分析を用いて測定したところ、この抗Ig-FG調製物は20%未満の未結合δIA6.2を含んでいた。
【0065】
抗Ig-Gp350コンジュゲートおよび抗Ig-FGコンジュゲートのタンパク質濃度を、OD280により1mg/ml/吸光度単位を用いて算出した。
【0066】
(抗Igコントロール(抗-IgD))
112μl(約0.33mg)のδIA6.2-SIAを12.5μlのHEHに添加した。この反応物を4℃で一夜インキュベートした。次に、この反応物を、1時間にわたりメルカプトエタノール中、0.2mMとした後でヨードアセトアミド中、10mMとすることにより、反応停止させた。次に、この反応物をPBSで透析して、抗Igコントロールを得た。抗Igコントロールのタンパク質濃度を、OD280により0.7mg/ml/吸光度単位を用いて算出した。
【0067】
(抗Ig-デキストラン(抗IgD-Dex))
Leeら, Vaccine 12:1160-66(1994);米国特許第5,585,100号(MondおよびLee);および米国特許出願第08/468,359号(1995年6月6日出願:MondおよびLee)(引用により組み入れる)に本質的に記載されているようにして、高分子量デキストランT2000(Pharmacia)をδIA6.2と結合させた。AECMデキストランをBrunswickら, J. Immunol. 140:3364(1989)(引用により組み入れる)の方法により調製し、S400HRカラムで分画した。このサイズ分画したAECMデキストランを生理食塩水に15.5mg/mlで懸濁した。774μlのAECMデキストランを100μlの5×HEおよび100μlの100mM(DMF中)と混合することによりDEX-SIAを得た。別の反応において、3mgのδIA6.2(PBS中、20mg/ml)を50μlの5×HEおよび24μlの10mM SATA(DMF中)と混合した。各反応物を室温で約2時間インキュベートし、次に10mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、2mM EDTA、pH5に対して暗所にて一夜透析した。
【0068】
約3mgのDEX-SIAおよび約3mgのSAYA処理抗体を0.5Mヒドロキシルアミンを含有する75μlの5×HEと混ぜ合わせた。この反応を暗所にて4℃で一夜進行させた。次にこの反応物を、1時間にわたりメルカプトエタノール中、0.2mMとした後で、未反応のチオール基を消費させるためにヨードアセトアミド中、10mMとすることにより反応停止させた。未結合のタンパク質を、PBSで平衡化した1×60cmのS400HRカラムでのゲル濾過により除去した。空隙容量フラクションをプールし、Millipore 0.2μ Millexフィルターを通して濾過滅菌した。タンパク質濃度は、OD280により0.71mg/mlタンパク質/吸光度単位を用いて測定した。デキストラン濃度は、Monsignyら, Anal. Chem 175:525(1988)のレゾルシノールアッセイを用いて測定した。このコンジュゲートのタンパク質/デキストラン比を求めたところ、約1mg/mgであった。
【0069】
(抗CR2抗体)
抗CR2特異的抗血清HB5はGeorge Tsokos博士(Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, MD.)からの恵贈であった。
【0070】
<実施例2:Gp350/220配列のアジュバント作用の実証>
本発明の組成物を投与することにより得られる増強された免疫刺激効果を以下のin vitroモデルにより実証する。B細胞はヒト末梢ヒト血から一般的な方法により精製した。次に、この精製B細胞をマイクロタイタープレート内で、実施例1で記載した各種濃度のGp350、抗Ig抗体、FG、抗Ig-デキストランまたは抗Ig-Gp350の存在下または不在下で200,000細胞/ウェルにて培養した。刺激を与えた48時間後にトリチウム化チミジンをその培養物に添加した。トリチウム化チミジンを添加した18時間後に、細胞を収集し、取り込まれたトリチウムの量を液体シンチレーション分光分析により測定した。
【0071】
抗Ig-Gp350は本発明の抗原含有組成物のin vitroモデルを提供し、そこにおいて、抗IgD抗体による膜結合Ig受容体の架橋は、抗原によるIg受容体の架橋を刺激する。抗IgDに結合させたRSVウイルスコート糖タンパク質FGは、CR2を結合することが知られていない同じ位のサイズのタンパク質の提示のためのコントロールとして用いた。取り込まれたトリチウムの量は該細胞の増殖活性を反映する。そのため、これは試験化合物の免疫刺激効果の尺度となる。
【0072】
表1のデータから、Gp350に結合させた抗Igが0.01μg/mlという低い濃度であっても高レベルの増殖を刺激したことが実証される。これに対して、糖タンパク質FGに結合させた抗Igは刺激性ではなかった。
【0073】
この実験から、Gp350/220が関心のある抗原の優れた担体となることが実証される。Gp350/220配列は、低い抗原濃度であっても免疫応答性を増強するアジュバント作用を賦与する。
【表1】

【0074】


<実施例3:Gp350/220配列のアジュバント作用は抗CR2抗体により減弱される>
B細胞をヒト末梢ヒト血から精製し、マイクロタイタープレート内で200,000細胞/ウェルで、刺激物質(抗Ig-デキストランまたは抗Ig-Gp350)の存在下または不在下で、抗CR2抗体HB5を用いて、または用いずに培養した。刺激物質を加えた72時間後にトリチウム化チミジンを培養物に添加した。トリチウム化チミジンを添加した18時間後に、細胞を収集し、取り込まれたトリチウムの量を液体シンチレーション分光分析により測定した。
【0075】
表2のデータから、抗Ig-デキストランの刺激効果はCR2に特異的な抗体の添加により増強されることがわかる。これに対して、抗Ig-Gp350の刺激効果は抗CR2の添加により減弱され、このことは抗Ig-Gp350のGp350部分がCR2複合体を介して作用することを示唆している。
【表2】

【0076】


<実施例4:Gp350/220配列は長期にわたるB細胞刺激応答を開始させる>
抗Ig-Gp350に応答している細胞の割合(%)を、Brunswickら, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 86:6724-28(1989)(引用により組み入れる)に記載のようなインド-1ローディングアッセイ(indo-1 loading assay)を用いて測定した。簡単に説明すると、ヒト末梢ヒト血から精製したB細胞にインド-1をロードし、抗Ig、抗Ig-dexおよび抗Ig-Gp350を最終濃度1.0μg/mlで添加することにより刺激した。カルシウム流出量(calcium flux)を測定して、該刺激物質に応答している細胞の割合(%)を算出するのに用いた。
【0077】
図2は、このアッセイの間にわたって応答している細胞の割合(%)を示す。抗Ig-Gp350および抗Ig-dexの両者は、刺激の4分以内に該B細胞の約40%を活性化する。このレベルは、少なくとも刺激後8分間(アッセイの期間)まで比較的一定に保たれる。これに対して、未結合の抗Ig抗体(抗IgD)の刺激効果は刺激の2分後に最大になり、8分までに20%にまで低下する。
【0078】
<実施例5:長期にわたるB細胞刺激応答を開始するためには低レベルのGp350/220配列が必要である>
抗Ig-Gp350による刺激に感受性であるB細胞を、実施例4に記載のインド-1ローディングアッセイを用いて分析した。簡単に説明すると、インド-1をロードしたB細胞を各種濃度の抗Ig-Gp350で刺激し、カルシウム流出量を1分毎に9分間にわたり測定した。図3から、0.1μg/mlという少ない抗Ig-Gp350でも、単離B細胞の約1/3において安定な応答を引き起こすことがわかる。
【0079】
本明細書は本明細書中に引用した参考文献の教示を参照することにより最もよく理解されるものであり、それら参考文献は全て、引用により本明細書に組み入れるものとする。本明細書中の実施形態は本発明の実施形態の説明を提供するものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載の発明に多くの他の実施形態が包含されること、および本明細書および実施例は単に代表的な例にすぎないと考えるべきであり、本発明の真の範囲および精神は以下の請求の範囲により示されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エプスタインバーウイルス(EBV)Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープに対する体液性免疫応答促進用の医薬組成物の製造のための少なくとも2つのEBV Gp350/220配列の使用であって、
該EBV Gp350/220配列は、CR2受容体(CR2)と結合し、EBV Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープを含む少なくとも1つのタンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖と共有結合され、かつ該タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖と同一分子上にあるように結合されている、
前記使用。
【請求項2】
前記EBV Gp350/220配列がEBV Gp350/220(配列番号1または配列番号2)のアミノ酸21〜26を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記EBV Gp350/220配列がEBV Gp350/220(配列番号1または配列番号2)のアミノ酸372〜378を含む、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
前記EBV Gp350/220配列が配列番号1又は配列番号2のEBV Gp350/220配列と少なくとも90%同一であるEBV Gp350/220のアミノ酸変異体または誘導体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記EBV Gp350/220配列が配列番号1又は配列番号2のEBV Gp350/220配列と少なくとも95%同一であるEBV Gp350/220のアミノ酸変異体または誘導体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記EBV Gp350/220配列が配列番号1又は配列番号2のEBV Gp350/220配列と少なくとも90%同一であるEBV Gp350/220のフラグメントである、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
前記EBV Gp350/220配列が配列番号1又は配列番号2のEBV Gp350/220配列と少なくとも95%同一であるEBV Gp350/220のフラグメントである、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
前記医薬組成物がCR2に結合する前記EBV Gp350/220配列の複数のコピーを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記医薬組成物がEBV Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープを含む複数の前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖がEBV Gp350/220のエピトープ以外の前記抗原エピトープを1コピー含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の使用。
【請求項11】
前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖がEBV Gp350/220のエピトープ以外の前記抗原エピトープの複数のコピーを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
EBV Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープを含む前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖がハプテン、T細胞依存性抗原および2型T細胞非依存性抗原から選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記医薬組成物によって生起される抗体がEBV以外のアレルゲン、腫瘍抗原または感染性疾患に特異的である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記医薬組成物がEBVに特異的な抗体をさらに生起する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記医薬組成物が製剤学上許容される担体をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記結合がCDAP(1-シアノ-4-ジメチルアミノ-ピリジニウムテトラフルオロボレート)の化学作用によるものである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
EBV Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープを含む少なくとも1つのタンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖および少なくとも2つのEBV Gp350/220配列が組み換え融合タンパク質からなる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
それぞれがEBV Gp350/220のエピトープ以外の抗原エピトープを含む少なくとも2つのタンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖および少なくとも2つのEBV Gp350/220配列が組み換え融合タンパク質からなる、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
前記医薬組成物を生物学的ベクターを介して投与する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
前記生物学的ベクターが植物もしくは植物産物、細菌、寄生生物、ウイルスもしくはウイルス様粒子、酵母、哺乳動物または他の真核細胞から選択されたものである、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記EBV Gp350/220配列が細菌、ウイルスキャプシドもしくはエンベローブ、寄生生物または哺乳動物腫瘍細胞の表面上で発現される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用。
【請求項22】
前記医薬組成物が細菌、ウイルス、寄生生物または腫瘍特異的抗原に対する免疫応答を増強する、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記EBV Gp350/220配列が1以上の天然の、合成のまたは化学的な分子、スペーサー、リンカー、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、抗原または多糖が前記EBV Gp350/220配列と前記抗原エピトープを含む前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖との間に介在するように前記タンパク質、ペプチド、ポリペプチドまたは多糖と結合される、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−214477(P2012−214477A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116568(P2012−116568)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2000−553593(P2000−553593)の分割
【原出願日】平成11年6月10日(1999.6.10)
【出願人】(500213720)ザ・ヘンリー・エム・ジャクソン・ファンデイション・フォー・ジ・アドヴァンスメント・オヴ・ミリタリー・メディシン、インコーポレイテッド (5)
【出願人】(301075606)
【出願人】(500472028)
【Fターム(参考)】