説明

抗増殖剤としての2,4−ピリミジンジアミン化合物および使用

本発明は、抗増殖活性を有する2,4−ピリミジンジアミン化合物、これらの化合物を含有する組成物、およびこれらの化合物を使用して細胞増殖を阻止し増殖疾患(例えば、腫瘍形成癌)を治療する方法を提供する。他の局面では、本発明は、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物のプロドラッグを提供する。このようなプロドラッグは、それらのプロドラッグ形状で活性であり得るか、または使用する生理学的条件または他の条件下にて活性薬剤形状に変換されるまで、不活性であり得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.関連出願の相互参照)
本願は、35 U.S.C.§ 119(e)に基づいて、仮特許出願第60/494,008号(これは、2003年8月7日に出願された)および仮特許出願第60/572,534号(これは、2004年5月18日に出願された)から優先権を主張している。
【0002】
(2.分野)
本発明は、抗増殖活性を示す2,4−ピリミジンジアミン化合物、これらの化合物のプロドラッグ、中間体、およびこれらの化合物および/またはプロドラッグを製造する合成方法、これらの化合物を含有する医薬組成物、および種々の状況(増殖障害(例えば、腫瘍および癌)の治療を含めて)でのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
(3.背景)
癌は、異常細胞の制御できない成長および転移に特徴がある群の多様な疾患である。一般に、全ての種類の癌には、細胞の成長および分裂の制御における何らかの異常性が関与している。細胞分裂および/または細胞伝達を調節する経路は、細胞の成長を抑制し制限する際のこれらの調節機構の効果が失われるか迂回されるように、変化する。継続した回数の突然変異および自然淘汰によって、異常細胞の群(これは、一般に、単一の突然変異細胞に起源する)は、追加突然変異を蓄積し、それは、他の細胞よりも選択的に成長上で有利となり、それゆえ、細胞塊において優勢な細胞型に進展する。この突然変異および自然淘汰のプロセスは、多くの種類の癌細胞により示される遺伝的な不安定性、体細胞の突然変異または生殖系列に由来の遺伝のいずれかによって獲得される不安定性により、高められる。癌細胞の変異性が高められると、それらが悪性細胞の形成に向かって進展する可能性が高まる。癌細胞がさらに発生するにつれて、一部は、局所的に侵襲性となり、次いで、最初の癌細胞組織以外の組織をコロナイズするように転移する。腫瘍細胞の異質性と共に、この性質によって、癌は、治療し根絶するのが特に困難な病気となっている。
【0004】
伝統的な癌の治療は、癌細胞の高い増殖能力およびそれらのDNA損傷に対する高い感受性を利用している。電離放射線(γ線、X線を含めて)および細胞毒性剤(例えば、ブレオマイシン、シスプラチン、ビンブラスチン、シクロホスファミド、5’−フルオロウラシルおよびメトトレキセート)は、DNAに対する一般的な損傷および染色体構造の不安定化(これらは、最終的に、癌細胞の破壊に至る)に頼っている。これらの治療は、細胞分裂周期のチェックポイントにおいて欠陥を有する種類の癌に、特に有効であり、それは、これらの細胞が細胞分裂を受ける前に損傷したDNAを修復する能力を制限する。しかしながら、これらの治療の非選択的な性質により、しばしば、身体を衰弱させる激しい副作用が起こる。これらの薬剤を全身的に使用すると、通常は健康な臓器および組織を損傷し得、患者の長期的な健康を損ない得る。
【0005】
いかにして癌細胞が発生するかという知見に基づいて、さらに選択的な化学療法(例えば、抗エストロゲン化合物であるタモキシフェン)が開発されているものの、全ての化学療法の有効性は、これらの薬剤に対する耐性の発生に晒される。特に、細胞膜結合輸送体(例えば、MdrI)の発現が高まると、その細胞からの薬剤の流出が高まることに特徴がある多剤耐性表現型が生じる。癌細胞によるこれらの種類の適応によって、特定の種類の化学療法の有効性が制限される。結果的に、増殖疾患の異質性を攻撃し他の化合物を使う療法の過程で発生し得る耐性を克服するのに有効な療法を確立するために、他の化学療法薬を識別することが重要である。さらに、特性および細胞標的が異なる化学療法薬を組み合わせて使用すると、化学療法の有効性が高まり、薬剤耐性の発生が制限される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(4.要旨)
1局面では、本発明は、種々の異なる細胞型(種々の異なる型の腫瘍細胞)に対して抗増殖活性を示す2,4−ピリミジンジアミン化合物を提供する。これらの化合物は、一般に、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミン化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である:
【0007】
【化73】

ここで:
およびLは、それぞれ、互いと関係なく、低級アルキルジルリンカー、低級アルキレンリンカーおよび共有結合から選択される;
は、必要に応じてR基で置換した低級アルキル、
【0008】
【化74】

からなる群から選択され、ここで、Yは、NH、OまたはCHである;
’は、水素、メチルまたは低級アルキルである;
’は、水素、メチルたまは低級アルキルである;
は、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級アルキル、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級シクロアルキル、1個またはそれ以上の環炭素および/またはヘテロ原子にてRまたはR基で必要に応じて置換した低級シクロヘテロアルキル、−(CR−R
【0009】
【化75】

【0010】
【化76】

からなる群から選択され、ここで、Dは、−(CR−であり、
は、NまたはCHであり、そしてZは、O、S、NH、S(O)またはS(O)である;
は、ハロ、フルオロおよび−CFからなる群から選択される;
は、水素である;
各Rは、別個に、水素、メチル、低級アルキルおよびハロからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)OR、−C(S)OR、ハロ、−CFおよび−OCFからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)−NR、−C(S)−NR、−S(O)−NR、−NHC(O)R、−NHC(S)R、−C(O)−NH−(CH−NR、−C(S)−NH−(CH−NR、ハロ、−CF、−OCF
【0011】
【化77】

からなる群から選択される;
各R10は、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−(CH−NR、−OR、−O(CH−R、−O(CH−R、ハロ、−CF、−OCF
【0012】
【化78】

からなる群から選択される;
各R11は、別個に、−OR、−NRおよび−NRからなる群から選択される;
各R12は、別個に、低級アルキル、アリールアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)ORおよび−C(O)NRからなる群から選択される;
各R13は、別個に、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、−C(O)NRおよび−C(O)NHからなる群から選択される;
各R15は、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択される;
各R16は、別個に、水素、メチル、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級分枝アルキルおよび低級シクロアルキルメチルからなる群から選択される;
各R17は、別個に、水素、低級アルキル、メチおよびRからなる群から選択されるか、または、あるいは、R17は、R18と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R18は、別個に、水素、低級アルキルおよびメチルであるか、または、あるいは、R18は、R17と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R19は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各R20は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各mは、別個に、1〜3の整数である;
各nは、別個に、1〜3の整数である;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
各Rは、別個に、−OR、−CF、−OCF3、−NR、−C(O)R、−C(S)R−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(S)NR、−S(O)NR、−C(O)NR、−C(S)NRおよび−S(O)NRからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキルおよび低級シクロアルキルから選択されるか、または、あるいは、2個のRは、それらが結合する窒素と一緒になって、5員〜7員の飽和環を形成し得、該飽和環は、必要に応じて、1個〜2個の追加ヘテロ原子基を含み、該ヘテロ原子基は、O、NR、NR、−C(O)R、NR−C(O)ORおよびNR−C(O)NR;そして
各Rは、別個に、低級モノ−ヒドロキシアルキルおよび低級ジ−ヒドロキシアルキルから選択される。
【0013】
他の局面では、本発明は、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物のプロドラッグを提供する。このようなプロドラッグは、それらのプロドラッグ形状で活性であり得るか、または使用する生理学的条件または他の条件下にて活性薬剤形状に変換されるまで、不活性であり得る。これらのプロドラッグでは、その2,4−ピリミジンジアミン化合物の1個またはそれ以上の官能基は、プロ部分(promoieties)に含まれ、それらは、使用条件下にて、典型的には、加水分解、酵素的開裂または他の何らかの開裂機構によって、その分子から開裂して、これらの官能基が生じる。例えば、第一級または第二級アミノ基は、アミドプロ部分に含まれ得るが、これらは、使用条件下にて、開裂して、この第一級または第二級アミノ基を発生する。それゆえ、これらのプロドラッグは、この2,4−ピリミジンジアミン化合物の1個またはそれ以上の官能基(これらは、使用条件下にて開裂して、活性2,4−ピリミジンジアミン薬剤化合物を生じる)をマスクする特定形式の保護基(これらは、「プロ基」と称する)を含む。この2,4−ピリミジンジアミン化合物内の官能基であって、プロ部分に含めるためにプロ基でマスクされ得る官能基には、アミン(第一級および第二級)、ヒドロキシル、スルファニル(チオール)、カルボキシル、カルボニル、フェノール、カテコール、ジオール、アルキン、ホスフェートなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの官能基をマスクして所望の使用条件下にて開裂可能なプロ部分を生じるのに適当な無数のプロ基は、当該技術分野で公知である。これらのプロ基の全ては、単独で、または組み合わせて、これらのプロドラッグに含まれ得る。これらのプロドラッグに含有できる第一級または第二級アミン基を生じるプロ部分の具体的な例には、アミド、カーバメート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルおよびスルフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。これらのプロドラッグに含有できるスルファニル基を生じるプロ部分の具体的な例には、チオエーテル(例えば、S−メチル誘導体(モノチオ、ジチオ、オキシチオ、アミノチオアセタール)、シリルチオエーテル)、チオエステル、チオカーボネート、チオカーバメート、非対称ジスルフィドなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらのプロドラッグに含有できる開裂してヒドロキシル基を生じるプロ部分の具体的な例には、スルホネート、エステルおよびカーボネートが挙げられるが、これらに限定されない。これらのプロドラッグに含有できるカルボキシル基を生じるプロ部分の具体的な例には、エステル(シリルエステル、オキサミン酸エステルおよびチオエステルを含めて)、アミドおよびヒドラジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
他の局面では、本発明は、1種またはそれ以上の2,4−ピリミジンジアミン化合物および/またはプロドラッグおよび適当なキャリア、賦形剤および/または希釈剤を含有する組成物を提供する。このキャリア、賦形剤および/または希釈剤の正確な性質は、この組成物の所望の用途に依存しており、獣医学用途に適当または許容できる範囲からヒト用途に適当または許容できる範囲までであり得る。
【0015】
これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物は、インビトロアッセイにおいて、異常細胞の増殖(例えば、腫瘍細胞の増殖)の強力な阻害剤である。それゆえ、さらに他の局面では、本発明は、異常細胞(特に、腫瘍細胞)の増殖を阻止する方法を提供する。この方法は、一般に、異常細胞(例えば、腫瘍細胞)を、その増殖を阻止するのに有効な量の2,4−ピリミジンジアミン化合物またはプロドラッグ、またはそれらの受容可能な塩、水和物、溶媒和物、N−オキシドおよび/または組成物と接触させる工程を包含する。この方法は、増殖障害(例えば、腫瘍形成癌)を治療または予防することに向けた療法アプローチとして、インビトロ状況またはインビボ状況において、実行され得る。
【0016】
さらに他の局面では、本発明は、増殖障害を治療する方法を提供する。これらの方法は、獣医学状況での動物において、またはヒトにおいて、実行され得る。これらの方法は、動物またはヒト被験体に、その障害を治療するのに有効な量の2,4−ピリミジンジアミン化合物またはプロドラッグ、またはそれらの受容可能な塩、水和物、溶媒和物、N−オキシドおよび/または組成物を投与する工程を包含する。これらの方法に従って治療できる増殖障害には、腫瘍形成癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
本発明の他の局面には、本明細書中にて以下でさらに詳細に記述するように、この化合物およびプロドラッグを合成するのに有用な中間体および方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(5.詳細な説明)
(5.1 定義)
本明細書中で使用する以下の用語は、以下の意味を有すると解釈される:
「アルキル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された規定数の炭素原子(すなわち、C1〜C6とは、1個〜6個の炭素原子を意味する)を有する飽和または不飽和で直鎖または環状の一価炭化水素ラジカルを意味する。典型的なアルキル基には、メチル;エチル(例えば、エタニル、エテニル、エチニル);プロピル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル、シクロプロパン−1−イル、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル;シクロプロパ−2−エン−1−イル、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イル等);ブチル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル、2−メチル−プロパン−1−イル、2−メチル−プロパン−2−イル、シクロブタン−1−イル、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イル等)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定レベルの飽和を含むことを意図している場合、以下で定義する「アルカニル」、「アルケニル」および/または「アルキニル」との術語が使用される。「低級アルキル」とは、1個〜8個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。
【0019】
「アルカニル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親アルカンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された飽和または不飽和で直鎖または環状のアルキルを意味する。典型的なアルカニルには、メタニル;エタニル;プロパニル(例えば、プロパン−1−イル、プロパン−2−イル(イソプロピル)、シクロプロパン−1−イル等);ブタニル(例えば、ブタン−1−イル、ブタン−2−イル(第二級ブチル)、2−メチル−プロパン−1−イル(イソブチル)、2−メチル−プロパン−2−イル(t−ブチル)、シクロブタン−1−イル等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「アルケニル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親アルケンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する飽和または不飽和で直鎖または環状のアルキルを意味する。この基は、この二重結合の周りで、シスまたはトランスのいずれかの立体配座であり得る。典型的なアルケニル基には、エテニル;プロペニル(例えば、プロパ−1−エン−1−イル、プロパ−1−エン−2−イル、プロパ−2−エン−1−イル、プロパ−2−エン−2−イル、シクロプロパ−1−エン−1−イル);シクロプロパ−2−エン−1−イル;ブテニル(例えば、ブタ−1−エン−1−イル、ブタ−1−エン−2−イル、2−メチル−プロパ−1−エン−1−イル、ブタ−2−エン−1−イル、ブタ−2−エン−2−イル、ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ブタ−1,3−ジエン−2−イル、シクロブタ−1−エン−1−イル、シクロブタ−1−エン−3−イル、シクロブタ−1,3−ジエン−1−イル等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「アルキニル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親アルキンの単一炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有する飽和または不飽和で直鎖または環状のアルキルを意味する。典型的なアルキニル基には、エチニル;プロピニル(例えば、プロパ−1−イン−1−イル、プロパ−2−イン−1−イル等);ブチニル(例えば、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−1−イン−3−イル、ブタ−3−イン−1−イル等)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「アルキルジル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親アルカン、アルケンまたはアルキンの2個の異なる炭素原子の各々から1個の水素原子を除去するか親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子から2個の炭素原子を除去することにより誘導された規定数の炭素原子(すなわち、C1〜C6とは、1個〜6個の炭素原子を意味する)を有する飽和または不飽和で直鎖または環状の一価炭化水素基を意味する。その2個の一価ラジカル中心または二価ラジカル中心の各原子価は、同一または異なる原子と結合を形成できる。典型的なアルキルジル基には、メタンジイル;エチルジイル(例えば、エタン−1,1−ジイル、エタン−1,2−ジイル、エテン−1,1−ジイル、エテン−1,2−ジイル);プロピルジイル(例えば、プロパン−1,1−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、プロパン−2、2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロプロパン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−エン−1,2−ジイル、プロパ−2−エン−1,2−ジイル、プロパ−1−エン−1,3−ジイル、シクロプロパ−1−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,2−ジイル、シクロプロパ−2−エン−1,1−ジイル、プロパ−1−イン−1,3−ジイル等);ブチルジイル(例えば、ブタン−1,1−ジイル、ブタン−1,2−ジイル、ブタン−1,3−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ブタン−2,2−ジイル、2−メチル−プロパン−1,1−ジイル、2−メチル−プロパン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル;シクロブタン−1,2−ジイル、シクロブタン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1,1−ジイル、ブタ−1−エン−1,2−ジイル、ブタ−1−エン−1,3−ジイル、ブタ−1−エン−1、4−ジイル、2−メチル−プロパ−1−エン−1,1−ジイル、2−メタニリデン−プロパン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,1−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1、4−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1−エン−1,3−ジイル、シクロブタ−2−エン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,2−ジイル、シクロブタ−1,3−ジエン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1,3−ジイル、ブタ−1−イン−1、4−ジイル、ブタ−1,3−ジイン−1、4−ジイル等)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定レベルの飽和を含むことを意図している場合、アルカニルジル、アルケニルジルおよび/またはアルキニルジルとの術語が使用される。2個の原子価が同じ炭素原子上にあることを特に意図している場合、「アルキリデン」との術語が使用される。「低級アルキルジル」とは、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルジル基を意味する。好ましい実施態様では、このアルキルジル基は、そのラジカル中心が末端炭素にある飽和非環式アルカニルジル基(例えば、メタンジイル(メタノ);エタン−1,2−ジイル(エタノ);プロパン−1,3−ジイル(プロパノ);ブタン−1、4−ジイル(ブタン)など(これらはまた、以下で定義するアルキレノとも呼ばれている))である。
【0023】
「アルキレン」とは、単独で、または他の置換基の一部として、直鎖の親アルカン、アルケンまたはアルキンの2個の末端炭素原子の各々から1個の水素原子を除去することにより誘導された2個の末端一価ラジカル中心を有する直鎖の飽和または不飽和アルキルジル基を意味する。特定のアルキレン中の二重結合または三重結合の位置は、もし存在するなら、鍵括弧で示されている。典型的なアルキレン基には、メチレン(メタノ);エチレン(例えば、エタノ、エテノ、エチノ);プロピレン(例えば、プロパノ、プロパ[1]エノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロパ[1]イノ等);ブチレン(例えば、ブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエノ、ブタ[1]イノ、ブタ[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノ等)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定レベルの飽和を含むことを意図している場合、「アルカノ」、「アルケノ」および/または「アルキノ」との術語が使用される。好ましい実施態様では、このアルキレン基は、(C1〜C6)または(C1〜C3)アルキレンである。直鎖の飽和アルカノ基(例えば、メタノ、エタノ、プロパノ、ブタノなど)もまた、好ましい。
【0024】
「シクロアルキル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、「アルキル」基の環状型を意味する。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル;シクロブチル(例えば、シクロブタニルおよびシクロブテニル);シクロペンチル(例えば、シクロペンタニルおよびシクロペンテニル);シクロヘキシル(例えば、シクロヘキサニルおよびシクロヘキセニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。「低級シクロアルキル」とは、3個〜8個の環炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。
【0025】
「シクロアルキルアルキル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、直鎖または分枝部分と環状部分とを含むアルキル基を意味する。典型的なシクロアルキルアルキル基には、シクロプロピルメチル、1−シクロプロピルエチ−1−イル、2−シクロプロピルエチ−1−イル、シクロブチルメチル、1−シクロブチルエチ−1−イル、2−シクロブチルエチ−1−イル、シクロペンチルメチル、1−シクロペンチルエチ−1−イル、2−シクロペンチルエチ−1−イル、シクロヘキシルメチル、1−シクロヘキシルエチ−1−イル、2−シクロヘキシルエチ−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。「低級シクロアルキルアルキル」とは、直鎖または分枝部分が1個〜4個の炭素原子を含有し環状部分が3個〜8個の炭素原子を含有するシクロアルキルアルキル基を意味する。
【0026】
「ヘテロアルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、その炭素原子の少なくとも1個をヘテロ原子(例えば、O、SおよびNから選択されるヘテロ原子)で置き換えたアルキル基を意味する。1個より多いヘテロ原子を含むヘテロアルキル基において、それらのヘテロ原子は、同一または異なり得る。アルキル基と同様に、ヘテロアルキルは、構造内にて、直鎖、分枝または環状であり得、そして飽和または不飽和であり得る。典型的なヘテロアリール基には、
【0027】
【化79】

などが挙げられるが、これらに限定されない。特定レベルの飽和を含むことを意図している場合、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」との術語が使用される。「低級ヘテロアルキル」とは、1個〜8個の炭素およびヘテロ原子を有するヘテロアルキル基を意味する。
【0028】
「シクロヘテロアルキル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、ヘテロアルキルの環状型を意味する。シクロヘテロアルキル基の典型的な例には、
【0029】
【化80】

などが挙げられるが、これらに限定されない。「低級シクロヘテロアルキル」とは、3個〜8個の環原子を有するシクロヘテロアルキル基を意味する。
【0030】
「親芳香環系」とは、共役π電子系を有する不飽和で環式または非環式の環系を意味する。具体的には、「親芳香環系」の定義には、環の1個またはそれ以上が芳香族でありかつ環の1個またはそれ以上が飽和または不飽和である縮合環系(例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレン、テトラヒドロナフタレン等)が含まれる。典型的な親芳香環系には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、テトラヒドロナフタレン、トリフェニレン、トリナフタレンなどだけでなく、それらの種々のヒドロ異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「アリール」とは、単独で、または他の置換基の一部として、親芳香環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することにより誘導された規定数の炭素原子(すなわち、C5〜C15とは、5個〜15個の炭素原子を意味する)を有する一価芳香族炭化水素基を意味する。典型的なアリール基には、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどだけでなく、それらの種々のヒドロ異性体から誘導された基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施態様では、このアリール基は、(C5〜C15)アリールであり、(C5〜C10)がさらに好ましい。特に好ましいアリールには、フェニルおよびナフチルがある。
【0032】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、単独で、または他の置換基の一部として、特に明記しない限り、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0033】
「ハロアルキル」とは、単独で、または他の置換基の一部として、その水素原子の1個またはそれ以上をハロゲンで置き換えたアルキル基を意味する。それゆえ、「ハロアルキル」との用語は、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどからパーハロアルキルまでを含むことを意味する。例えば、「(C1〜C2)ハロアルキル」との表現は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1−フルオロエチル、1,1−ジフルオロエチル、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1−トリフルオロエチル、パーフルオロエチルなどを含む。
【0034】
上で定義した基は、よく認識された別の置換基を作り出すために通例使用されている接頭辞および/または接尾辞を含み得る。非限定的な例として、「アルキルオキシ」または「アルコキシ」とは、式−ORの基を意味し、「アルキルアミン」とは、式−NHRの基を意味し、そして「ジアルキルアミン」とは、式−NRRの基を意味し、ここで、各Rは、別個に、アルキルである。他の非限定的な例として、「ハロアルコキシ」または「ハロアルキルオキシ」とは、式−OR’の基を意味し、ここで、R’は、ハロアルキルである。
【0035】
「プロドラッグ」とは、使用条件(例えば、体内)下にて活性2,4−ピリミジンジアミン薬剤を放出するように変換を必要とし得る活性2,4−ピリミジンジアミン化合物(薬剤)の誘導体を意味する。プロドラッグは、しばしば、必ずしもそうではないが、その活性薬剤に変換されるまで、薬理学的に不活性である。プロドラッグは、典型的には、2,4−ピリミジンジアミン薬剤中の官能基をマスクすることにより得られ、これは、その官能基を放出する特定の使用条件下にて変換(例えば、開裂)を受けるプロ部分を形成するように、それゆえ、この活性2,4−ピリミジンジアミン薬剤を形成するように、プロ基(以下で定義する)と共に活性に部分的に必要であると考えられている。このプロ部分の開裂は、例えば、加水分解反応を経由して、自発的に進行し得、または、例えば、酵素により、光により、酸または塩基により、または物理的または環境パラメータの変化(例えば、温度変化)またはそれに晒すことにより、触媒または誘発され得る。この薬剤は、使用条件に対して内生的であり得(例えば、そのプロドラッグが投与される細胞内に存在している酵素、または胃の酸性状態)、または外因的に供給され得る。
【0036】
この活性2,4−ピリミジンジアミン化合物の官能基をマスクしてプロドラッグを生じるのに適当な種々のプロ基だけでなく、得られたプロ部分は、当該技術分野で周知である。例えば、ヒドロキシル官能基は、スルホネート、エステルまたはカーボネートプロ部分としてマスクされ得、これは、インビボで加水分解されて、水酸基を提供し得る。アミノ官能基は、アミド、カーバメート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルまたはスルフェニルプロ部分としてマスクされ得、これは、インビボで加水分解されて、アミノ基を提供し得る。カルボキシル基は、エステル(シリルエステルおよびチオエステルを含めて)、アミドまたはヒドラジドプロ部分としてマスクされ得、これは、インビボで加水分解されて、カルボキシル基を提供し得る。適当なプロ基およびそれらの各個のプロ部分の他の具体的な例は、当業者に明らかである。
【0037】
「プロ基」とは、活性2,4−ピリミジンジアミン薬剤内の官能基をマスクしてプロ部分を形成するのに使用したとき、その薬剤をプロドラッグに変換する種類の保護基を意味する。プロ基は、典型的には、特定の使用条件下にて開裂可能な結合を介して、この薬剤の官能基に結合される。それゆえ、プロ基は、特定の使用条件下にて官能基を放出するように開裂するプロ部分の一部である。特定の例として、式−NH−C(O)CHのアミドプロ部分は、プロ基−C(O)CHを含む。
【0038】
「増殖障害」とは、例えば、細胞がそれらの対応する正常な細胞より多く分裂する場合、異常な細胞増殖に特徴がある疾患または障害を意味する。この異常な細胞増殖は、任意の作用機構または作用機構の組み合わせにより、引き起こされ得る。例えば、1個またはそれ以上の細胞の細胞分裂周期は、細胞がそれらの対応する正常な細胞よりも頻繁に分裂するように影響され得、または、あるいは、1個またはそれ以上の細胞は、抑制信号(これは、通常、それらの分裂数を制限する)を迂回し得る。増殖疾患には、成長が遅いまたは速い腫瘍および癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
「抗増殖性化合物」とは、類似の型の未処理対照細胞と比較して、細胞の増殖を阻止する化合物を意味する。この阻止は、任意の機構または機構の組み合わせにより引き起こされ得、そして細胞増殖抑制的または細胞毒性的に、増殖を阻止するように作動し得る。具体的な例として、本明細書中で使用する阻止には、細胞分裂の停止、細胞が分裂、増殖および/または成長する速度の低下、および/または細胞死の誘発が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
「薬学的有効量」または「治療有効量」とは、特定の障害または疾患またはその症状の1つまたはそれ以上を治療するか、および/または疾患または障害の出現を防止するのに十分な量の化合物を意味する。腫瘍形成性増殖障害に関連して、薬学的有効量または治療有効量は、特に、腫瘍が縮小するか腫瘍の成長速度を遅くするのに十分な量を含む。
【0041】
(5.2 抗増殖性2,4−ピリミジンジアミン化合物)
これらの抗増殖性化合物は、一般に、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミン化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である:
【0042】
【化81】

ここで:
およびLは、それぞれ、互いと関係なく、低級アルキルジルリンカー、低級アルキレンリンカーおよび共有結合から選択される;
は、必要に応じてR基で置換した低級アルキル、
【0043】
【化82】

からなる群から選択され、ここで、Yは、NH、OまたはCHである;
’は、水素、メチルまたは低級アルキルである;
’は、水素、メチルたまは低級アルキルである;
は、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級アルキル、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級シクロアルキル、1個またはそれ以上の環炭素および/またはヘテロ原子にてRまたはR基で必要に応じて置換した低級シクロヘテロアルキル、−(CR−R
【0044】
【化83】

からなる群から選択され、ここで、Dは、−(CR−、
【0045】
【化84】

であり、
は、NまたはCHであり、そしてZは、O、S、NH、S(O)またはS(O)である;
は、ハロ、フルオロおよび−CFからなる群から選択される;
は、水素である;
各Rは、別個に、水素、メチル、低級アルキルおよびハロからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)OR、−C(S)OR、ハロ、−CFおよび−OCFからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)−NR、−C(S)−NR、−S(O)−NR、−NHC(O)R、−NHC(S)R、−C(O)−NH−(CH−NR、−C(S)−NH−(CH−NR、ハロ、−CF、−OCF
【0046】
【化85】

からなる群から選択される;
各R10は、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−(CH−NR、−OR、−O(CH−R、−O(CH−R、ハロ、−CF、−OCF
【0047】
【化86】

からなる群から選択される;
各R11は、別個に、−OR、−NRおよび−NRからなる群から選択される;
各R12は、別個に、低級アルキル、アリールアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)ORおよび−C(O)NRからなる群から選択される;
各R13は、別個に、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、−C(O)NRおよび−C(O)NHからなる群から選択される;
各R15は、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択される;
各R16は、別個に、水素、メチル、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級分枝アルキルおよび低級シクロアルキルメチルからなる群から選択される;
各R17は、別個に、水素、低級アルキル、メチおよびRからなる群から選択されるか、または、あるいは、R17は、R18と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R18は、別個に、水素、低級アルキルおよびメチルであるか、または、あるいは、R18は、R17と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R19は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各R20は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各mは、別個に、1〜3の整数である;
各nは、別個に、1〜3の整数である;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
各Rは、別個に、−OR、−CF、−OCF3、−NR、−C(O)R、−C(S)R−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(S)NR、−S(O)NR、−C(O)NR、−C(S)NRおよび−S(O)NRからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキルおよび低級シクロアルキルから選択されるか、または、あるいは、2個のRは、それらが結合する窒素と一緒になって、5員〜7員の飽和環を形成し得、該飽和環は、必要に応じて、1個〜2個の追加ヘテロ原子基を含み、該ヘテロ原子基は、O、NR、NR、−C(O)R、NR−C(O)ORおよびNR−C(O)NR;そして
各Rは、別個に、低級モノ−ヒドロキシアルキルおよび低級ジ−ヒドロキシアルキルから選択される。
【0048】
構造式(I)の化合物の重要な種類には、その化合物が構造式(II)に従った2,4−ピリミジンジアミンであるように、L1およびL2が、それぞれ、共有結合である化合物(それらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)が挙げられる:
【0049】
【化87】

ここで、R、R’、R、R、RおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0050】
構造式(I)および/または(II)の化合物およびそれらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの重要な種類には、Rがフルオロである化合物が挙げられる。
【0051】
構造式(I)および/または(II)の化合物およびそれらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの重要な種類には、R2’が水素である化合物が挙げられる。
【0052】
構造式(I)および/または(II)の化合物およびそれらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの他の重要な種類には、R’およびR’が、それぞれ、互いと関係なく、水素およびメチルから選択される化合物が挙げられる。
【0053】
構造式(I)および/または(II)の化合物およびそれらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの他の重要な種類には、R4’がメチルである化合物が挙げられる。
【0054】
構造式(I)および/または(II)の化合物の他の重要な種類には、構造式(III)〜(V)に従った化合物、およびそれらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドが挙げられる:
【0055】
【化88】

ここで、R、R’、RおよびR’は、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0056】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rおよび/またはRが、
【0057】
【化89】

であるとき、いくつかの実施態様では、RおよびR10は、両方共に、同時に低級アルコキシまたはメトキシにはならない。他の実施態様では、R、RおよびR10は、それぞれ、同時に低級アルコキシまたはメトキシにはならない。さらに他の実施態様では、R、RおよびR10は、それぞれ、メトキシまたは低級アルコキシである。さらに他の実施態様では、Rは、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、−OR、ハロ、−CFおよび−OCFから選択され、そしてRまたはR10の1個は、
【0058】
【化90】

から選択される。特定の実施態様では、RまたはR10の他の1個は、
【0059】
【化91】

以外のものである。さらに他の実施態様では、Rは、水素、低級アルキル、−ORa、ハロ、−CFおよび−OCFから選択され、そしてRまたはR10の1個は、−OCHC(O)R、−OCHC(O)OR、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)NHRおよび−OCHC(O)NRから選択される。特定の実施態様では、RまたはR10の他の1個は、−OCHC(O)R、OCHC(O)OR、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)NHRまたは−OCHC(O)NR以外のものである。
【0060】
さらに他の実施態様では、RおよびRは、それぞれ、互いと関係なく、水素、低級アルキル、−OR、ハロ、−CFおよび−ORから選択され、そしてR10は、
【0061】
【化92】

である。さらに他の実施態様では、Rは、水素であり、そしてRおよびR10は、それぞれ、互いと関係なく、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、−CFおよび−OCFからなる群から選択される。Rが水素であるとき、RおよびR10の特定の組み合わせは、以下のとおりである:
およびR10は、それぞれ、同じ低級アルキルまたはメチルである;
およびR10は、それぞれ、同じ低級アルコキシまたはメトキシである;
は、低級アルキルまたはメチルであり、そしてR10は、−CFである;
は、低級アルコキシまたはメトキシであり、そしてR10は、−CFである;および
は、低級アルキルまたはメチルであり、そしてR10は、−OCFである。
【0062】
さらに他の実施態様では、Rは、ヒドロキシ、メトキシまたはクロロであり、そしてRおよびR10は、それぞれ、互いと関係なく、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシおよびクロロからなる群から選択される。この実施態様に従ったR、RおよびR10の特定の組み合わせは、以下のとおりである:
およびR10は、それぞれ、メチルであり、そしてRは、ヒドロキシ、メトキシまたはクロロである;
およびR10は、それぞれ、クロロであり、そしてRは、ヒドロキシまたはメトキシである;および
は、クロロであり、R10は、メチルであり、そしてRは、ヒドロキシまたはメトキシである。
【0063】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、RおよびRが、それぞれ
【0064】
【化93】

である場合、いくつかの実施態様では、R、RまたはR10の少なくとも1個が−O(CH−NR
【0065】
【化94】

ではないなら、そのRフェニルのR、RおよびR10の1個以下は、水素である。他の実施態様では、これらのRおよびRフェニル環の置換パターンは、その化合物がN2,N4−ビス(3,4,5−置換フェニル)ピリミジンジアミンではないとき、互いに異なる。
【0066】
さらに他の実施態様では、この化合物は、構造式(VI)に従った化合物(それらの塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である:
【0067】
【化95】

ここで、R’、R、RおよびR10は、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0068】
さらに他の実施態様では、RおよびRが、それぞれ、
【0069】
【化96】

であるとき、R、RおよびR10は、各RおよびRフェニル環が一置換されるように、選択される。
【0070】
さらに他の実施態様では、RおよびRが、それぞれ、
【0071】
【化97】

であるとき、R、RおよびR10は、各RおよびRフェニル環が二置換されるように、選択される。特定の1実施態様では、各RおよびRフェニル環は、エチレンジオキシアセタール基で置換されている。
【0072】
さらに他の実施態様では、RおよびRが、それぞれ、
【0073】
【化98】

であるとき、RまたはR環のR10は、1,3−オキサゾリルまたは1,3−オキサゾール−5−イル以外のものであり、そのとき、同じ環のRおよびRは、それぞれ、水素である。特定の1局面では、Rがフルオロであり、そしてLが低級アルキレンであるとき、R、RおよびR10は、前文において定義したとおりである。他の特定の実施態様では、Rが2−(トリフルオロメチル)ベンジルであるとき、Rは、3−(1,3−オキサゾリル)フェニルまたは3−(1,3−オキサゾール−5−イル)フェニル以外のものである。他の特定の実施態様では、この化合物は、N2−[3−(1,3−オキサゾリル)フェニル]−N4−[2−(トリフルオロメチル)ベンジル]−5−フルオロ−2,4−ピリミジンジアミン以外のものである。R10がオキサゾリルである化合物において、このオキサゾリルは、その5位置では連結されていない。特定の実施態様では、そのオキサゾールは、その2位置で連結されている。さらに他の特定の実施態様では、この化合物は、WO 03/040141(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたいずれの化合物でもない。
【0074】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(1)〜(VI)の化合物)において、Rが、
【0075】
【化99】

であるとき、いくつかの実施態様では、RまたはR10の1個は、
【0076】
【化100】

から選択され、ここで、R12は、構造式(I)について先に定義したとおりであり、そしてRまたはR10の他の1個は、
【0077】
【化101】

以外のものである。さらに他の実施態様では、Rは、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシおよびハロから選択され、そしてRまたはR10の1個は、−OCH−Rであり、ここで、Rは、−C(O)NRおよび−C(O)NHRから選択され、そしてRまたはR10の他の1個は、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシおよびハロから選択される。さらに他の実施態様では、Rは、
【0078】
【化102】

であり、ここで、Rは、水素、フルオロまたはCFである。特定の実施態様では、Rは、
【0079】
【化103】

である。
【0080】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(1)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0081】
【化104】

であるとき、いくつかの実施態様では、RおよびRは、それぞれ別個に、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロおよびクロロから選択される。特定の1実施態様では、R、RおよびR13は、それぞれ別個に、ハロ、低級アルキル、メチル、低級アルコキシおよびメトキシから選択される。他の特定の実施態様では、Rは、
【0082】
【化105】

から選択される。
【0083】
が、
【0084】
【化106】

であるいくつかの実施態様(上記特定の実施態様のいずれかを含めて)では、Rは、
【0085】
【化107】

から選択され、ここで、Dは、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0086】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは3,4,5−トリ(低級アルコキシ)フェニルであるとき、いくつかの実施態様では、Rは、
【0087】
【化108】

であり、ここで、Z、Z、およびR16、R17、R18、R19およびR20は、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0088】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(VI)の化合物)において、RまたはR10が、
【0089】
【化109】

であるとき、いくつかの実施態様では、R12は、メチルである。他の実施態様では、R12は、−C(O)Rまたは−C(O)ORであり、ここで、Rは、低級アルキル、エチルまたはメチルである。
【0090】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0091】
【化110】

であるとき、いくつかの実施態様では、(i)各R13は、互いに別個に、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシおよびメトキシから選択される;および/または(ii)Rは、
【0092】
【化111】

から選択され、ここで、Z、Z、およびR16、R17、R18、R19およびR20は、構造式(I)について先に記述したとおりである。特定の実施態様では、Rは、
【0093】
【化112】

であり、ここで、Zは、CHであり、R16は、水素であり、R17およびR18は、一緒になって、オキソ(=O)基を形成し、そしてR19およびR20は、それぞれ、水素またはメチルである;そしてRは、
【0094】
【化113】

であり、ここで、各R13は、互いに別個に、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシおよびメトキシから選択される。
【0095】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが低級アルキルであるとき、いくつかの実施態様では、Rは、
【0096】
【化114】

であり、ここで、Dは、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0097】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0098】
【化115】

であるとき、いくつかの実施態様では、R11は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、−NHCH、−NHCHCHOH、−NHCHCH(OH)CHOH、−NHCHCH(OH)(CH、−N(CH)CHCHOHおよび−N(CH)C(CHCHOHからなる群から選択され、そしてYは、先に定義したとおりである。
【0099】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0100】
【化116】

であるとき、いくつかの実施態様では、この環は、その5位置において、この分子の残りと連結される(
【0101】
【化117】

)他の実施態様では、それは、その6位置において、この分子の残りと連結される(
【0102】
【化118】

)いくつかの実施態様では、R16は、低級n−アルカニル、低級分枝アルカニル、低級シクロアルカニルおよび低級シクロアルカニルメチルから選択される。いくつかの実施態様では、Rは、
【0103】
【化119】

から選択される。
【0104】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0105】
【化120】

であるとき、いくつかの実施態様では、Rは、低級シクロアルキルおよび低級シクロヘテロアルキルから選択され、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の環炭素またはヘテロ原子にて、RまたはR基で置換されている。特定の実施態様では、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、
【0106】
【化121】

から選択され、ここで、RおよびRは、(C1〜C3)アルカニルおよびメチルから選択され、そしてRは、ベンジルである。いくつかの実施態様では、各Rは、メチルである。いくつかの実施態様では、Rは、エチルである。
【0107】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、低級アルキル、イソプロピル、t−ブチル、低級シクロアルキル、
【0108】
【化122】

であるとき、いくつかの実施態様では、Rは、
【0109】
【化123】

から選択され、ここで、R、R、R10およびR13は、構造式(I)について先に定義したとおりである。特定の実施態様では、Rは、これらの置換フェニルの上記実施態様から選択される。他の実施態様では、Rは、
【0110】
【化124】

であり、ここで、RおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。
【0111】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0112】
【化125】

であり、ここで、R15が、低級分枝アルキルまたはt−ブチルであり、そしてRが、
【0113】
【化126】

であるとき、いくつかの実施態様では、RまたはR10の少なくとも1個は、水素以外のものである。他の実施態様では、R、RおよびR10の少なくとも2個は、水素以外のものである。さらに他の実施態様では、R、RおよびR13の少なくとも2個は、水素以外のものである。
【0114】
さらに他の実施態様では、以下のいずれかである:(i)Rは、
【0115】
【化127】

であり、そしてR10は、
【0116】
【化128】

以外のものであるか、または(ii)R10は、
【0117】
【化129】

であり、そしてRは、
【0118】
【化130】

以外のものである。別の(i)の特定の実施態様では、R10は、水素である。別の(i)の特定の実施態様では、Rは、水素である。
【0119】
さらに他の実施態様では、Rが、
【0120】
【化131】

であり、ここで、RおよびRが、水素であるとき、R10は、低級分枝アルキル、t−ブチルまたは−O(CH以外のものであり、ここで、nは、構造式(I)について先に定義したとおりであり、そしてRは、−NRCR、−C(O)OR、−C(O)NRおよび−C(O)NRから選択される。
【0121】
さらに他の実施態様では、Rが、
【0122】
【化132】

であり、ここで、Rが水素であり、そしてR13が、水素、低級アルキルおよびメチルから選択されるとき、Rは、−O(CH以外のものであり、ここで、nは、構造式(I)について先に定義したとおりであり、そしてRは、−NRである。さらに他の実施態様では、この化合物は、WO 01/64656、WO 03/026665またはWO 03/026666(それらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたいずれの化合物でもない。
【0123】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(II)〜(V)の化合物)において、Rが−(CH−Rであるとき、いくつかの実施態様では、Rは、−OR、−NR、−C(O)Rおよび−C(O)NRから選択され、ここで、各Rcは、別個に、水素および低級アルキルから選択される。
【0124】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0125】
【化133】

であるとき、いくつかの実施態様では、Rは、
【0126】
【化134】

であり、ここで、Rは、−OR、メトキシ、イソプロポキシ、−OCHC(O)OR、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)NRおよび−OCHCHNRから選択される;そしてRおよびR10は、構造式(I)について先に定義したとおりである。特定の実施態様では、RおよびR10は、以下の組み合わせの1つから選択される:
およびR10は、それぞれ、同じ低級アルキルまたはメチルである;
は、低級アルキルまたはメチルであり、そしてR10は、ハロ、フルオロまたはクロロである;および
およびR10は、それぞれ、同じハロ、フルオロまたはクロロである。
【0127】
本明細書中で記述した化合物において、Rが、R基で必要に応じて一置換した低級アルキル、Rで必要に応じて一置換した低級シクロアルキルおよび−C(R−Rから選択され、ここで、RおよびRが、構造式(I)について先に定義したとおりであり、および/またはLが、低級アルキレンリンカーであるとき、いくつかの実施態様では、Rは、モノ−置換フェニル、3−ヒドロキシフェニル、3−ハロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ハロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジハロフェニル、3,4−ジクロロフェニルまたは3,4−ジクロロフェニル以外のものである。特定の実施態様では、Rは、Rが−CFである化合物において定義された基以外のものである。他の特定の実施態様では、この化合物は、US 2003/0171359および/またはWO 03/032997(それらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述されたいずれの化合物でもない。
【0128】
本明細書中で記述した化合物(例えば、構造式(I)〜(V)の化合物)において、Rが、
【0129】
【化135】

であり、そしてRが、
【0130】
【化136】

であるとき、いくつかの実施態様では、Rは、
【0131】
【化137】

であり、そしてR10は、
【0132】
【化138】

である。他の特定の実施態様では、R、RおよびR10は、それぞれ、互いと関係なく、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、フルオロおよびクロロから選択される。他の特定の実施態様では、Rは、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシおよびメトキシから選択される。Rは、水素、低級アルコキシおよびメトキシから選択され、そしてR10は、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、フルオロおよび
【0133】
【化139】

から選択される。
【0134】
が、
【0135】
【化140】

である本明細書中で記述した全ての化合物において、Dは、−CH−、−CF−、−CHCH−、−CF−CF−および−CH−CH−CH−からなる群から選択される。
【0136】
低級アルキル置換基または低級アルキル基含有置換基(例えば、低級アルコキシ基など)を有する本明細書中で記述した化合物の全てにおいて、いくつかの実施態様では、この低級アルキル置換基は、飽和直鎖、分枝または環状アルキル(すなわち、アルカニル)である。
【0137】
本明細書中で記述した化合物のさらに他の代表的な実施態様は、以下の表1〜14で図示している。
【0138】
【化141】

【0139】
【化142】

【0140】
【化143】

【0141】
【化144】

【0142】
【化145】

【0143】
【化146】

【0144】
【化147】

【0145】
【化148】

【0146】
【化149】

【0147】
【化150】

【0148】
【化151】

【0149】
【化152】

【0150】
【化153】

【0151】
【化154】

【0152】
【化155】

【0153】
【化156】

【0154】
【化157】

【0155】
【化158】

【0156】
【化159】

【0157】
【化160】

【0158】
【化161】

【0159】
【化162】

【0160】
【化163】

【0161】
【化164】

【0162】
【化165】

【0163】
【化166】

【0164】
【化167】

【0165】
【化168】

【0166】
【化169】

【0167】
【化170】

【0168】
【化171】

【0169】
【化172】

【0170】
【化173】

【0171】
【化174】

【0172】
【化175】

【0173】
【化176】

【0174】
【化177】

【0175】
【化178】

【0176】
【化179】

【0177】
【化180】

【0178】
【化181】

【0179】
【化182】

【0180】
【化183】

【0181】
【化184】

【0182】
【化185】

【0183】
【化186】

【0184】
【化187】

【0185】
【化188】

【0186】
【化189】

【0187】
【化190】

【0188】
【化191】

【0189】
【化192】

【0190】
【化193】

【0191】
【化194】

【0192】
【化195】

【0193】
【化196】

【0194】
【化197】

【0195】
【化198】

【0196】
【化199】

【0197】
【化200】

【0198】
【化201】

【0199】
【化202】

【0200】
【化203】

【0201】
【化204】

【0202】
【化205】

【0203】
【化206】

【0204】
【化207】

【0205】
【化208】

【0206】
【化209】

【0207】
【化210】

【0208】
【化211】

【0209】
【化212】

【0210】
【化213】

【0211】
【化214】

【0212】
【化215】

【0213】
【化216】

【0214】
【化217】

【0215】
【化218】

【0216】
【化219】

【0217】
【化220】

【0218】
【化221】

【0219】
【化222】

【0220】
【化223】

【0221】
【化224】

【0222】
【化225】

【0223】
【化226】

【0224】
【化227】

【0225】
【化228】

【0226】
【化229】

【0227】
【化230】

【0228】
【化231】

【0229】
【化232】

当業者は、本明細書中で記述した2,4−ピリミジンジアミン化合物がプロドラッグを作成するためにプロ基でマスクできる官能基を含み得ることを理解する。このようなプロドラッグは、通常、それらの薬剤形状に変換されるまで、薬理学的に不活性であるが、そうである必要はない。例えば、エステル基は、通例、胃の酸性状態に晒されたとき、酸触媒加水分解を受けて、親カルボン酸を生じるか、腸または血液の塩基性状態に晒されるとき、塩基触媒加水分解を受ける。それゆえ、被験体に経口投与したとき、エステル部分を含む2,4−ピリミジンジアミンは、そのエステル形状が薬理学的に活性であるかどうかとは関係なく、それらの対応するカルボン酸のプロドラッグと見なされ得る。
【0230】
本発明のプロドラッグでは、任意の利用可能な官能部分は、プロ基でマスクされ得、プロドラッグが生じる。これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物内にて、プロ部分に含めるためにプロ基でマスクされ得る2,4−ピリミジンジアミン化合物には、アミン(第一級および第二級)、ヒドロキシル、スルファニル(チオール)、カルボキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。所望の使用条件下にて開裂可能なプロ部分を生じるためにこのような官能基をマスクするのに適当な多数のプロ基は、当該技術分野で公知である。これらのプロ基の全ては、単独で、または組み合わせて、本発明のプロドラッグに含まれ得る。
【0231】
例証的な実施態様では、これらのプロドラッグは、構造式(I)〜(VI)に従った化合物であり、ここで、R、RおよびRは、それらの先に定義した代替物に加えて、プロ基であり得る。
【0232】
他の例証的な実施態様では、これらのプロドラッグは、構造式(I)〜(VI)に従った化合物であり、ここで、R2’およびR4’は、それぞれ、互いに別個に、プロ基である。本発明のこの実施態様に従ったプロ基の具体例には、−C(O)CH、−C(O)NHRおよび−S(O)が挙げられるが、これらに限定されず、ここで、Rは、低級アルキル、(C5〜C15)アリールおよび(C3〜C8)シクロアルキルからなる群から選択される。
【0233】
当業者は、本明細書中で記述した化合物およびプロドラッグの多くだけでなく、本明細書中で具体的に記述および/または図示した種々の化合物が、互変異性、配座異性、幾何異性および/または光学異性の現象を示し得ることを理解する。例えば、これらの化合物およびプロドラッグは、1個またはそれ以上のキラル中心および/または二重結合を含み得、結果として、立体異性体(例えば、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、鏡像異性体およびジアステレオマーおよびそれらの混合物(例えば、ラセミ混合物))として、存在し得る。他の例として、これらの化合物およびプロドラッグは、いくつかの互変異性形状(エノール形状、ケト形状およびそれらの混合物)で、存在し得る。本明細書および請求の範囲内の化合物名、式および化合物の図は、可能な互変異性形状、立体異性形状、光学異性形状または幾何異性形状の1つだけを表わし得るので、本発明は、本明細書中で記述した有用性の1つまたはそれ以上を有する任意の互変異性形状、立体異性形状、光学異性形状および/または幾何異性形状の化合物またはプロドラッグだけでなく、これらの種々の異なる異性体形状の混合物を包含し得ることが理解できるはずである。この2,4−ピリミジンジアミンの核構造の周りでの回転が限られている場合、アトロープ異性体もまた可能であり、これらもまた、本発明の化合物および/またはプロドラッグに具体的に含まれる。
【0234】
種々の置換基の性質に依存して、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグは、塩の形状であり得る。このような塩には、医薬品用途に適当な塩(「薬学的に受容可能な塩」)、獣医学用途に適当な塩などが挙げられる。このような塩は、当該技術分野で周知であるように、酸または塩基から誘導され得る。
【0235】
いくつかの実施態様では、この塩は、薬学的に受容可能な塩である。一般に、薬学的に受容可能な塩は、その親化合物の所望の薬理活性の1つまたはそれ以上を実質的に保持しかつヒトに投与するのに適当なものである。薬学的に受容可能な塩には、無機酸または有機酸を使って形成された酸付加塩が挙げられる。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するのに適当な無機酸には、限定ではなく例として、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など)、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するのに適当な有機酸には、限定ではなく例として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、パルミチン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸など)、アリールスルホン酸s(例えば、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸など)、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプタン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などが挙げられる。
【0236】
薬学的に受容可能な塩には、また、その親化合物に存在している酸性部分が金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたはアルミニウムイオン)で置き換えられるかまたは有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなど)と配位するかいずれかのときに形成された塩が挙げられる。
【0237】
これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグだけでなく、それらの塩はまた、当該技術分野で周知であるように、水和物、溶媒和物およびN−オキシドの形状であり得る。
【0238】
(5.3 合成方法)
これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグは、市販の出発物質および/または通常の合成方法により調製された出発物質を使用して、種々の異なる合成経路を経由して、合成され得る。これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグを合成するのに通常適合され得る適当で代表的な方法は、米国特許第5,958,935号で見られ、その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。多数の2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグだけでなくそれらの中間体の合成を記述している具体例は、係属中の米国出願番号第10/355,543号(これは、2003年1月31日に出願された(2004年2月12日に公開されたUS 2004−0029902)、WO 03/63794、係属中の米国出願番号第10/631,029(これは、2003年7月29日に出願された)、WO 2004/014312、係属中の出願番号第 号(これは、2004年7月30日に出願され、弁護士整理番号第28575/US/US/US号として、識別される)および国際出願第 号(これは、2004年7月30日に出願され、弁護士整理番号第28575/US/US/PCT号として、識別される)で記載されており、それらの内容は、本明細書中で参考として援用されている。本明細書中で記述した化合物の全て(プロドラッグを含めて)は、これらの種々の方法に従って、またはその通常の改造により、調製できる。
【0239】
これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物およびプロドラッグを合成するのに使用できる種々の代表的な合成経路は、以下のスキーム(I)〜(XI)で記述されている。スキーム(I)〜(XI)では、同じ番号を付けた化合物は、類似の構造を有する。これらの方法は、通常、スキーム(XII)で図示しているように、対応するN2−および/またはN4−アルキル化化合物およびプロドラッグを合成するように、適合され得る。
【0240】
代表的な1実施態様では、これらの化合物は、以下のスキーム(I)で図示しているように、置換または非置換ウラシルまたはチオウラシルから合成できる:
【0241】
【化233】

スキーム(I)では、R、R、R、R、LおよびLは、構造式(I)で先に定義したとおりであり、Xは、ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI)であり、そしてGおよびG’は、それぞれ、互いに別個に、OおよびSからなる群から選択される。スキーム(I)を参照すると、ウラシルまたはチオウラシル2は、標準的な条件下にて、標準的なハロゲン化剤POX(または他の標準的なハロゲン化剤)を使用して、その2位置および4位置で、二ハロゲン化されて、2,4−ビスハロピリミジン4が生じる。R置換基に依存して、ピリミジン4では、そのC4位置にあるハライドは、そのC2位置にあるハライドよりも、求核試薬に対して反応性が高い。この反応性の差は、まず、2,4−ビスハロピリミジン4を1当量のアミン10と反応させて4N−置換−2−ハロ−4−ピリミジンアミン8を生じることにより、続いて、アミン6と反応させて構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンを生じることにより、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンを合成するのに利用できる。2N,4N−ビス(置換)−2,4−ピリミジンジアミン12および14は、2,4−ビスハロピリミジン4を、それぞれ、過剰の6または10と反応させることにより、得ることができる。
【0242】
殆どの状況では、このC4ハライドは、このスキームで図示しているように、求核試薬に対してより反応性が高い。しかしながら、当業者が認識するように、このR置換基の種類によって、この反応性は、変わり得る。例えば、Rがトリフルオロメチルであるとき、4N−置換−4−ピリミジンアミン8と対応する2N−置換−2−ピリミジンアミンとの50:50混合物が得られる。このR5置換基の種類とは無関係に、この反応の位置選択性は、当該技術分野で周知のように、溶媒および他の合成条件(例えば、温度)を調節することにより、制御できる。
【0243】
スキーム(I)で描写された反応は、その反応混合物がマイクロ波によって加熱されるとき、より迅速に進行し得る。この様式で加熱するとき、以下の条件が使用され得る:Smith Reactor(Personal Chemistry)にて、封管中(20barの圧力)で、エタノール中にて、175℃で、5〜20分間加熱する。
【0244】
ウラシルまたはチオウラシル2出発物質は、業者から購入され得るか、または有機化学の標準技術を使用して調製され得る。スキーム(I)において出発物質として使用できる市販のウラシルおよびチオウラシルには、限定ではなく例として、ウラシル(Aldrich #13、078−8;CAS Registry 66−22−8);2−チオ−ウラシル(Aldrich #11、558−4;CAS Registry 141−90−2);2,4−ジチオウラシル(Aldrich #15、846−1;CAS Registry 2001−93−6);5−ブロモウラシル(Aldrich #85、247−3;CAS Registry 51−20−7;5−フルオロウラシル(Aldrich #85、847−1;CAS Registry 51−21−8);5−ヨードウラシル(Aldrich #85、785−8;CAS Registry 696−07−1);5−ニトロウラシル(Aldrich #85、276−7;CAS Registry 611−08−5);5−(トリフルオロメチル)−ウラシル(Aldrich #22、327−1;CAS Registry 54−20−6)が挙げられる。別の5−置換ウラシルおよび/またはチオウラシルは、General Intermediates of Canada,Inc.,Edmonton,CA(www.generalintermediates.com)および/またはInterchim,Cedex,France(www.interchim.com)から入手できるか、または標準技術を使用して調製され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0245】
アミン6および10は、業者から購入され得るか、または、あるいは、標準技術を使用して合成され得る。例えば、適当なアミンは、標準的な化学反応を使用して、ニトロ前駆体から合成され得る。特定の代表的な反応は、実施例の項で提供する。また、Vogel,1989,Practical Organic Chemistry,Addison Wesley Longman,Ltd.and John Wiley & Sons,Inc.を参照のこと。
【0246】
当業者は、いくつかの場合、ウラシルまたはチオウラシル2上のアミン6および10 および/または置換Rおよび/またはRが合成中に保護を必要とする官能基を含み得ることを認識する。使用される任意の保護基の正確な種類は、保護される官能基の種類に依存しており、当業者に明らかである。適当な保護基を選択する指針だけでなく、それらを結合し除去する合成戦略は、例えば、Greene & Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3d Edition,John Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)およびそこで引用された参考文献(以下、「Greene & Wuts」)で見られる。
【0247】
出発物質として5−フルオロウラシル(Aldrich #32、937−1)を使用するスキーム(I)の特定の実施態様は、以下のスキーム(II)で図示する:
【0248】
【化234】

スキーム(II)では、R、R、LおよびLは、スキーム(I)について先に定義したとおりである。スキーム(II)によれば、5−フルオロウラシル3は、POClでハロゲン化されて、2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン5が生じ、これは、次いで、過剰のアミン6または10と反応されて、それぞれ、N2,N4−ビス置換5−フルオロ−2,4−ピリミジンジアミン 11または13が生じる。あるいは、非−ビス−2N,4N−二置換−5−フルオロ−2,4−ピリミジンジアミン9は、2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン5と1当量のアミン10とを反応させて(2−クロロ−N4−置換−5−フルオロ−4−ピリミジンアミン7を生じることにより)、続いて、1当量以上のアミン6と反応させることにより、得られる。
【0249】
他の代表的な実施態様では、本発明の2,4−ピリミジンジアミン化合物は、以下のスキーム(IIa)および(IIb)で図示されているように、置換または非置換シトシンから合成され得る:
【0250】
【化235】

スキーム(IIa)および(IIb)では、R、R、R、R、L、LおよびXは、スキーム(I)について先に定義したとおりであり、そしてPGは、保護基を表わす。スキーム(IIa)を参照すると、シトシン20のC4環外アミンは、まず、適当な保護基PGで保護されて、N4−保護シトシン22が生じる。この状況で有用な保護基に関する特定の指針については、Vorbriiggen and Ruh−Pohlenz,2001,Handbook ofNucleoside Synthesis,John Wiley & Sons,NY,pp.1−631(「Vorbriiggen」)を参照のこと。保護シトシン22は、標準的な条件下にて、標準的なハロゲン化試薬を使用して、そのC2位置でハロゲン化されて、2−クロロ−4N−保護−4−ピリミジンアミン24が生じる。アミン6との反応に続いて、そのC4環外アミンを脱保護し、そしてアミン10と反応させると、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。
【0251】
あるいは、スキーム(IIb)を参照すると、シトシン20は、アミン10または保護アミン21と反応されて、それぞれ、N4−置換シトシン23または27が生じる。次いで、これらの置換シトシンは、先に記述したようにハロゲン化され、脱保護され(N4−置換シトシン27の場合)、そしてアミン6と反応されて、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。
【0252】
スキーム(IIa)および(IIb)において出発物質として使用され得る市販のシトシンには、シトシン(Aldrich #14、201−8;CAS Registry 71−30−7);N4−アセチルシトシン(Aldrich #37、791−0;CAS Registry 14631−20−0);5−フルオロシトシン(Aldrich #27、159−4;CAS Registry 2022−85−7);および5−(トリフルオロメチル)−シトシンが挙げられるが、これらに限定されない。スキーム(IIa)において出発物質として有用な他の適当なシトシンは、General Intermediates of Canada,Inc.,Edmonton,CA(www.generalilltermediates.com)および/またはInterchim,Cedex,France(www.interchim.com)から入手できるか、または標準技術を使用して調製され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0253】
さらに他の代表的な実施態様では、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物は、以下のスキーム(III)で図示しているように、置換または非置換 2−アミノ−4−ピリミジノールから合成され得る:
【0254】
【化236】

スキーム(III)では、R、R、R、R、L、LおよびXは、スキーム(I)について先に定義したとおりであり、そしてZは、後にスキームIVに関連して詳細に述べるように、脱離基である。スキーム(III)を参照すると、2−アミノ−4−ピリミジノール30は、アミン6(または、必要に応じて、保護アミン21)と反応されて、N2−置換−4−ピリミジノール32が生じ、これは、次いで、先に記述したようにハロゲン化されて、N2−置換−4−ハロ−2−ピリミジンアミン34が生じる。任意の保護(例えば、もし、第一工程にて、保護アミン21を使用したなら)に続いて、アミン10と反応させると、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが得られる。あるいは、ピリミジノール30は、アシル化剤31と反応できる。
【0255】
スキーム(III)において出発物質として使用できる適当な市販の2−アミノ−4−ピリミジノール30は、General Intermediates of Canada,Inc.,Edmonton,CA(www.aeneralintermediates.com)および/またはInterchim,Cedex,France(www.interchim.com)から入手できるか、または標準技術を使用して調製され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0256】
あるいは、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物は、以下のスキーム(IV)で図示しているように、置換または非置換4−アミノ−2−ピリミジノールから調製され得る:
【0257】
【化237】

スキーム(IV)では、R、R、R、R、LおよびLは、スキーム(I)について先に定義したとおりであり、そしてZは、脱離基を表わす。スキーム(IV)を参照すると、4−アミノ−2−ピリミジノール40のC2−ヒドロキシルは、アミン6との反応によってN2−置換−2,4−ピリミジンジアミン42が生じるように、そのC4−アミノよりも求核試薬に対して反応性が高い。化合物44(これは、良好な脱離基Zを含む)またはアミン10との引き続いた反応により、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。化合物44は、事実上、N2−置換−2,4−ピリミジンジアミン42のC4−アミノで置き換えることができる任意の脱離基を含み得る。適当な脱離基Zには、ハロゲン、メタンスルホニルオキシ(メシルオキシ;「OMs」)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ(「OTf」)およびp−トルエンスルホニルオキシ(トシルオキシ;「OTs」)、ベンゼンスルホニルオキシ(「ベシレート」)およびメタニトロベンゼンスルホニルオキシ(「ノシレート」)が挙げられるが、これらに限定されない。他の適当な脱離基は、当業者に明らかとなる。
【0258】
置換4−アミノ−2−ピリミジノール出発物質は、購入され得るか、または標準技術を使用して合成され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0259】
さらに他の代表的な実施態様では、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物は、以下のスキーム(V)で図示しているように、2−クロロ−4−アミノピリミジンまたは2−アミノ−4−クロロピリミジンから調製され得る:
【0260】
【化238】

スキーム(V)では、R、R、R、R、L、LおよびXは、スキーム(1)について定義したとおりであり、そしてZは、スキーム(IV)について定義したとおりである。スキーム(V)を参照すると、2−アミノ−4−クロロピリミジン50は、アミノ10と反応されて、4N−置換−2−ピリミジンアミン52が生じ、これは、化合物31またはアミン6との反応に続いて、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。あるいは、2−クロロ−4−アミノ−ピリミジン54は、化合物44と反応され、続いて、アミン6と反応されて、構造式(I)に従った化合物が生じ得る。
【0261】
スキーム(V)にて出発物質として使用するのに適当な種々のピリミジン50および54は、General Intermediates of Canada,Inc.,Edmonton,CA(www.generalintermediates.com)および/または Interchim,Cedex,France(www.interchim.com)から商業的に入手できるか、または標準技術を使用して調製され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0262】
あるいは、4−クロロ−2−ピリミジンアミン50は、スキーム(Va)で図示しているように、調製され得る:
【0263】
【化239】

スキーム(Va)では、RおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。スキーム(Va)では、ジカルボニル53は、グアニジンと反応されて、2−ピリミジンアミン51が生じる。m−クロロ過安息香酸、トリフルオロ過酢酸または尿素−過酸化水素錯体のような過酸との反応により、N−オキシド55が生じ、これは、次いで、ハロゲン化されて、4−クロロ−2−ピリミジンアミン50が得られる。対応する4−ハロ−2−ピリミジンアミンは、適当なハロゲン化試薬を使用することにより、得られる。
【0264】
さらに他の代表的な実施態様では、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物は、以下のスキーム(VI)で図示しているように、置換または非置換ウリジンから調製できる:
【0265】
【化240】

スキーム(VI)では、R、R、R、R、L、LおよびXは、スキーム(I)について先に定義したとおりであり、そして上付き文字PGは、スキーム(IIb)に関連して述べたように、保護基を表わす。スキーム(VI)によれば、ウリジン60は、アミン10または保護アミン21との反応により、それぞれ、N4−置換シチジン62または64が生じるように、C4反応中心を有する。N4−置換62または64の酸触媒脱保護(「PG」が酸不安定性保護基を表わすとき)により、N4−置換シトシン28が生じ、これは、引き続いて、そのC2−位置でハロゲン化され、そしてアミン6と反応されて、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。
【0266】
シチジンはまた、以下のスキーム(VII)で図示しているように、類似の様式で、出発物質として使用できる:
【0267】
【化241】

スキーム(VII)では、R、R、R、R、L、LおよびXは、スキーム(I)で先に定義したとおりであり、そして上付き文字PGは、上で述べたように、保護基を表わす。スキーム(VII)を参照すると、ウリジン60と同様に、シチジン70は、アミン10または保護アミン21との反応により、それぞれ。N4−置換シチジン62または64が生じるように、C4反応中心を有する。次いで、シチジン62および64は、スキーム(VI)について先に記述したように処理されて、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミンが生じる。
【0268】
スキーム(VI)および(VII)は、リボシルヌクレオシドを使って例示されているものの、当業者は、対応する2’−デオキシリボおよび2’,3’−ジデオキシリボヌクレオシドだけでなく、リボース以外の糖または糖類似物を含むヌクレオシドもまた機能することを理解する。
【0269】
スキーム(VI)および(VII)において出発物質として有用な多数のウリジンおよびシチジンは、当該技術分野で公知であり、これには、限定ではなく例として、5−トリフルオロメチル−2’−デオキシシチジン(Chem.Sources #ABCR F07669;CAS Registry 66、384−66−5);5−ブロモウリジン(Chem.Sources Int’l 2000;CAS Registry 957−75−5);5−ヨード−2’−デオキシウリジン(Aldrich #1−775−6;CAS Registry 54−42−2);5−フルオロウリジン(Aldrich #32、937−1;CAS Registry 316−46−1);5−ヨードウリジン(Aldrich #85、259−7;CAS Registry 1024−99−3);5−(トリフルオロメチル)ウリジン(Chem.Sources Int’l 2000;CAS Registry 70−00−8);5−トリフルオロメチル−2’−デオキシウリジン(Chem.Sources Int’l 2000;CAS Registry 70−00−8)が挙げられる。スキーム(VI)および(VII)において出発物質として使用できる別のウリジンおよびシチジンは、Canada,Inc.,Edmonton,CA(www.generalintermediates.com)および/またはInterchim,Cedex,France(www.interchim.com)から入手できるか、または標準技術を使用して調製され得る。適当な合成方法を教示している多数の教本参考文献は、後に提示する。
【0270】
当業者が認識するように、上記の代表的な方法または他の周知手段によって合成された特定の2,4−ピリミジンジアミン化合物はまた、別の2,4−ピリミジンジアミン化合物を合成するための出発物質および/または中間体として、利用され得る。具体例は、以下のスキーム(VIII)で図示されている:
【0271】
【化242】

スキーム(VIII)では、R、R、R、L、Y、RおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。各Ra’は、別個に、Rであり、そして例示したRと同一または異なり得る。スキーム(VIII)を参照すると、カルボン酸またはエステル100は、アミン102との反応により、アミド104に変換され得る。アミン102では、Ra’は、酸またはエステル100のRと同一または異なり得る。同様に、カーボネートエステル106は、カーバメート108に変換され得る。
【0272】
第二の具体例は、以下のスキーム(IX)で図示されている:
【0273】
【化243】

スキーム(IX)では、R、R、R、L、YおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。スキーム(IX)を参照すると、アミド−110または116は、ボラン−メチルスルフィド錯体112を使うボラン還元により、それぞれ、アミン114または118に変換され得る。2,4−ピリミジンジアミン出発物質から2,4−ピリミジンジアミン化合物を合成するのに適当な他の反応は、当業者に明らかとなる。
【0274】
2,4−ピリミジンジアミン環の2位置および/または4位置にあるアミン基でアルキル基を含む化合物は、通常のアルキル化手順を使用して、調製できる。この2,4−ピリミジンジアミンの4位置でアミノ基を選択的にメチル化する代表的なスキームは、スキーム(XII)で図示されている:
【0275】
【化244】

スキーム(XII)では、L、L、R、R、RおよびRは、構造式(I)について先に定義したとおりである。上記スキームは、通常、他のN−アルキル化化合物を合成するのに適合できる。
【0276】
鏡像異性体的またはジアステレオマー的に純粋な化合物は、当該技術分野で公知であるように、鏡像異性体的またはジアステレオマー的に純粋な出発試を使用して、キラル特異的合成によって、合成できる。あるいは、特定の鏡像異性体、ジアステレオマーおよび/またはそれらの混合物は、通常のキラル分離技術を使用して、単離できる。
【0277】
上で述べた多くの合成スキームは、保護基を使用することを説明していないものの、当業者は、いくつかの場合において、特定の置換基(例えば、Rおよび/またはR)が保護を必要とする官能基を含み得ることを認識する。この保護基の正確な種類は、とりわけ、保護する官能基の種類および特定の合成スキームで使用される反応条件に依存しており、そして当業者に明らかとなる。保護基を選択する指針および特定の用途に適当なそれらの結合および除去のための化学反応は、例えば、Greene & Wuts(上記)で見られる。
【0278】
本明細書中で記述したプロドラッグは、上記方法の通常の改良により、調製され得る。あるいは、このようなプロドラッグは、構造式(I)、(II)、(III)、(IV)および/または(V)の適当に保護された2,4−ピリミジンジアミンと適当なプロ基とを反応させることにより、調製され得る。本明細書中で記述しているように、このような反応を実行しその生成物を脱保護してプロドラッグを得る条件は、周知である。
【0279】
ピリミジン一般だけでなくスキーム(I)〜(IX)で記述された出発物質を合成するのに有用な方法を教示している多数の参考文献は、当該技術分野で公知である。特定の指針については、以下を参照のこと:Brown,D.J.,「The Pyrimidines」、in The Chemistry of Heterocyclic Compounds,Volume 16(Weissberger,A.,Ed.),1962,Interscience Publishers,(A Division of John Wiley & Sons),New York(「Brown I」);Brown,D.J.,「The Pyrimidines」、in The Chemistry of Heterocyclic Compounds,Volume 16,Supplement I(Weissberger,A.and Taylor,E.C.,Ed.),1970,Wiley−Interscience,(A Division of John Wiley & Sons),New York(「Brown II」);Brown,D.J.,「The Pyrimidines」、in The Chemistry of Heterocyclic Conzpounds,Volume 16,Supplement II(Weissberger,A.and Taylor,E.C.,Ed.),1985,An Interscience Publication(John Wiley & Sons),New York(「Brown III」);Brown,D.J.,「The Pyrimidines」、in The Chemistry of Heterocyclic Compounds,Volume 52(Weissberger,A.and Taylor,E.C.,Ed.),1994,John Wiley & Sons,Inc.,New York,pp.1−1509(「Brown IV」);Kenner,G.W.and Todd,A.,in Heterocyclic Compounds,Volume 6,(Elderfield,R.C.,Ed.),1957,John Wiley,New York,Chapter 7(ピリミジン);Paquette,L.A.,Principles ofModern Hete ocyclic Chemistry,1968,W.A.Benjamin,Inc.,New York,pp.1−401(ウラシル合成 pp.313,315;ピリミジン合成 pp.313−316;アミノピリミジン合成 pp.315);Joule,J.A.,Mills,K.and Smith,G.F.,Heterocyclic Chemistry,3rd Edition,1995,Chapman and Hall,London,UK,pp.1−516;Vorbruggen,H.and Ruh−Pohlenz,C.,Handbook of Nucleoside Synthesis,John Wiley & Sons,New York,2001,pp.1−631(アシル化によるピリミジンの保護 pp.90−91;ピリミジンのシリル化 pp.91−93);Joule,J.A.,Mills,K.and Smith,G.F.,Heterocyclic Chemistry,4th Edition,2000,Blackwell Science,Ltd,Oxford,UK,pp.1−589;and Comprehensive Organic Synthesis,Volumes 1−9(Trost,B.M.and Fleming,I.,Ed.),1991,Pergamon Press,Oxford,UK。
【0280】
(5.4 抗増殖性化合物の活性)
活性2,4−ピリミジンジアミン化合物は、標準的なインビトロ細胞増殖アッセイで測定したとき、約1mM以下の範囲のIC50で、所望の細胞(例えば、腫瘍細胞)の増殖を阻止する。もちろん、当業者は、例えば、100μM、20μM、10μM、1μM、100nM、10nM、1nMまたはそれ以下の程度のそれより低いIC50を示す化合物が治療用途で特に有用であり得ることを理解する。この抗増殖活性は、細胞増殖抑制性または細胞毒性であり得る。特定の細胞型に特異的な抗増殖活性が望ましい場合、この化合物は、所望の細胞型での活性についてアッセイされ得、そして他の細胞型に対する活性の欠如についてカウンタースクリーンされ得る。このようなカウンタースクリーンでの「不活性」の程度、または活性対不活性の所望の割合は、異なる状況について変わり得、そして使用者により選択され得る。
【0281】
(5.5 抗増殖性化合物の用途)
この抗増殖性化合物である2,4−ピリミジンジアミン化合物(それらの種々の塩、プロドラッグ、水和物またはN−オキシドを含めて)は、種々の状況における細胞増殖を阻止するのに使用され得る。この方法のいくつかの実施態様によれば、細胞または細胞集団は、細胞または細胞集団の増殖を阻止するのに有用な量のこのような化合物と接触される。この化合物は、細胞毒性的に細胞を殺すように作用するか、または細胞を殺すことなく増殖を阻止するように作用する。
【0282】
いくつかの実施態様では、これらの方法は、増殖障害の治療に対する療法アプローチとして、実行され得る。それゆえ、特定の実施態様では、これらの2,4−ピリミジンジアミン化合物(および本明細書中で記述した種々の形状)は、動物被験体(ヒトを含めて)を治療するのに使用され得る。この方法は、一般に、この被験体に、この障害を治療するのに有効な量の本発明の化合物またはそれらの塩、プロドラッグ、水和物またはN−オキシドを投与する工程を包含する。1実施態様では、この被験体は、哺乳動物であり、これには、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類および霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。他の実施態様では、この被験体は、ヒトである。
【0283】
種々の細胞増殖障害は、本発明の化合物で治療され得る。1実施態様では、これらの化合物は、罹患した被験体における種々の癌を治療するのに使用される。癌は、伝統的に、癌細胞が生じる組織および細胞型に基づいて、分類される。癌腫は、上皮細胞から生じる癌と見なされているのに対して、肉腫は、結合組織または筋肉から生じる癌と見なされている。他の癌の種類には、白血病(これは、造血細胞から生じる)、および神経系細胞の癌(これは、神経組織から生じる)が挙げられる。非侵襲性腫瘍については、腺腫は、腺性組織を備えた良性上皮性腫瘍と見なされているのに対して、軟骨腫(chondomas)は、軟骨から生じる良性腫瘍と見なされている。本発明では、記述した化合物は、癌腫、肉腫、白血病、神経細胞腫瘍および非侵襲性腫瘍に含まれる増殖障害を治療するのに使用され得る。
【0284】
特定の実施態様では、これらの化合物は、種々の組織型から生じる固形腫瘍を治療するのに使用され、これには、骨、乳房、気道(例えば、膀胱)、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭部、頸部、甲状腺、副甲状腺の癌、およびそれらの転移性形態が挙げられるが、これらに限定されない。
【0285】
具体的な増殖障害には、以下が挙げられる:a)乳房増殖障害には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌腫、乳管癌、非浸潤性小葉癌および転移性乳癌が挙げられるが、これらに限定されない;b)皮膚の増殖障害には、基底細胞腫、扁平上皮癌、悪性黒色腫およびカポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されない;c)気道の増殖障害には、小細胞および非小細胞肺癌腫、気管支狭窄(adema)、胸膜肺芽細胞腫および悪性中皮腫が挙げられるが、これらに限定されない;d)脳の増殖障害には、脳幹および視床下部の神経膠腫、小脳および大脳の星細胞腫、髄質芽細胞腫、上衣腫瘍、オリゴデンドログリア髄膜腫、および神経外笂葉性および松果体腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない;e)雄性生殖器の増殖障害には、前立腺癌、精巣癌および陰茎癌が挙げられるが、これらに限定されない;f)雌性生殖器の増殖障害には、子宮癌(子宮内膜)子宮頚部、卵巣、膣、産卵口癌、子宮肉腫、卵巣肺細胞腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない;g)消化管の増殖障害には、肛門、大腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃(胃)、膵臓の癌−島細胞、直腸、小腸および唾液腺の癌が挙げられるが、これらに限定されない;h)肝臓の増殖障害には、肝臓癌、胆管癌、混合肝細胞性胆管癌および一次肝臓癌が挙げられるが、これらに限定されない;i)眼の増殖障害には、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫および横紋筋肉腫が挙げられるが、これらに限定されない;j)頭部の増殖障害および癌には、喉頭、下咽頭、鼻咽頭、中咽頭の癌、および唇および口腔の癌、扁平上皮頸部癌、転移性副鼻腔癌が挙げられるが、これらに限定されない;k)リンパ腫の増殖障害には、多様なT細胞およびB細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、ホジキン病、および中枢神経系のリンパ腫が挙げられるが、これらに限定されない;1)白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病および有毛細胞白血病が挙げられるが、これらに限定されない;m)甲状腺の増殖障害には、甲状腺癌、胸腺腫および悪性胸腺腫が挙げられる;n)尿路の増殖障害には、膀胱癌が挙げられるが、これらに限定されない;o)肉腫には、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫および横紋筋肉腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0286】
増殖障害の記載は、上記の病気には限定されず、制御できない成長および悪性腫瘍に特徴がある他の障害を包含することが理解できるはずである。さらに、増殖障害には、本明細書中で記述された種類の腫瘍および癌の転移性形態が挙げられることが理解できる。本発明の化合物は、本明細書中で記述された障害に対する有効性、および定評のある治療的に有効なレジメンについて、試験され得る。有効性には、以下でさらに記述するように、腫瘍の減少または緩解、細胞増殖速度の低下、または細胞の成長に対する細胞増殖抑制効果または細胞毒性効果が挙げられる。
【0287】
(5.6 併用療法)
本発明の化合物は、単独で、または互いに組み合わせて、または他の定評のある抗増殖療法に対する補助剤として、またはそれらと併用して、使用され得る。それゆえ、本発明の化合物は、伝統的な癌療法(例えば、γ−線およびX線の形態での電離放射線)と併用され得、放射性化合物の移植により外部または内部に送達され得、そして腫瘍の外科的な除去に対する追跡治療として使用され得る。
【0288】
他の局面では、本発明の化合物は、治療する障害または病気に有用な他の化学療法薬と併用され得る。これらの化合物は、同時に、順次に、同じ投与経路により、または異なる経路により、投与され得る。
【0289】
1実施態様では、本発明の化合物は、他の抗癌剤または細胞毒性剤と併用され得る。種々の種類の抗癌および抗新生物化合物には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ビンカアルキロイド、タキサン、抗生物質、酵素、サイトカイン、白金配位錯体、置換尿素、チロシンキナーゼ阻害薬、ホルモンおよびホルモンアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキル化剤には、限定ではなく例として、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロランブシル、エチレンイミン、メチルメラミン、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)およびカルムスチンが挙げられる。代表的な代謝拮抗剤には、限定ではなく例として、葉酸類似メトトレキセート;ピリミジン類似フルオロウラシル、シトシンアルビノシド(arbinoside);プリン類似メルカプトプリン、チオグアニンおよびアザチオプリンが挙げられる。代表的なビンカアルキロイドには、限定ではなく例として、ビンブラスチン、ビンクリスチン、パクリタキセルおよびコルヒチンが挙げられる。代表的な抗生物質には、限定ではなく例として、アクチノマイシンD、ダウノルビシンおよびブレオマイシンが挙げられる。抗新生物剤として代表的な酵素には、L−アスパラギナーゼが挙げられる。代表的な配位化合物には、限定ではなく例として、シスプラチンおよびカルボプラチンが挙げられる。代表的なホルモンおよびホルモン関連化合物には、限定ではなく例として、副腎皮質ステロイドプレドニゾンおよびデキサメサゾン;芳香化酵素阻害薬アミノグルテチミド、フォルメスタンおよびアナストロゾール;黄体ホルモン化合物ヒドロキシプロゲステロンカプロエート、メドロキシプロゲステロン;および抗女性ホルモン化合物タモキシフェンが挙げられる。
【0290】
これらのおよび他の有用な抗癌化合物は、Merck Index,13th Ed.(O’Neil M.J.ら著) Merck Publishing Group(2001)およびGoodman and Gilmans The Pharmacological Basis of Therapeutics,10th Edition,Hardman,J.G.and Limbird,L.E.著、pg.1381−1287,McGraw Hill,(1996)で記載されており、両方の内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0291】
本発明の化合と併用して有用な別の抗増殖性化合物物には、限定ではなく例として、成長因子レセプタに対して向けられた抗体(例えば、抗−Her2);T細胞を活性化する抗体(例えば、抗−CTLA−4 抗体);およびサイトカイン(例えば、インターフェロン−αおよびインターフェロン−γ、インターロイキン−2およびGM−CSF)が挙げられる。
【0292】
(5.7 処方および投与)
このような疾患を治療または予防するのに使用するとき、これらの活性化合物は、単独で、1種またはそれ以上の活性化合物の混合物として、またはこのような疾患および/またはこのような疾患に付随した症状を治療するのに有用な他の薬剤との混合物または配合で、投与され得る。これらの活性化合物はまた、他の障害または疾患を治療するのに有用な薬剤(例えば、ステロイド、膜安定化剤)との混合物または配合で、投与され得る。これらの活性化合物またはプロドラッグは、そのまま投与され得るか、もしくは活性化合物またはプロドラッグを含有する医薬組成物として投与され得る。
【0293】
本発明の活性化合物(またはそれらのプロドラッグ)を含有する医薬組成物は、通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造のすり潰し、乳化、カプセル化、取り込みまたは凍結乾燥プロセスによって、製造され得る。この組成物は、1種またはそれ以上の生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または補助剤(これらは、これらの活性化合物を医薬として使用できる製剤に加工するのを促進する)を使用して、処方され得る(Remingtons’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Hoover,J.E.ed.,Mack Publishing Co.(2003)を参照のこと)。
【0294】
この活性化合物またはプロドラッグは、先に記述したように、これらの医薬組成物にそのまま処方され得るか、もしくは水和物、溶媒和物、N−オキシドまたは薬学的に受容可能な塩の形状で処方され得る。典型的には、このような塩は、対応する遊離酸および塩基よりも水溶液中で溶解性が高いが、対応する遊離酸および塩基よりも溶解度が低い塩もまた、形成され得る。
【0295】
本発明の医薬組成物は、事実上いずれの投与様式(例えば、局所、眼内、経口、口内、全身、経鼻、注射、経皮、直腸、膣内など)にも適当な形態をとり得、もしくは吸入またはガス注入による投与に適当な形態をとり得る。
【0296】
局所投与には、この活性化合物またはプロドラッグは、当該技術分野で周知であるように、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、座剤などとして、処方され得る。
【0297】
全身処方には、注射(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下腔内または腹腔内注射)による投与向けのものだけでなく、経皮、経粘膜、経口または肺投与向けのものが挙げられる。
【0298】
有用な注射可能製剤には、この活性化合物の水性または油性ビヒクル無菌懸濁液、溶液または乳濁液が挙げられる。これらの組成物はまた、処方化剤(例えば、懸濁液、安定化剤および/または分散剤)を含有し得る。注射用の処方は、単位剤形(例えば、アンプル)または多用量容器で存在し得、そして追加防腐剤を含有し得る。
【0299】
あるいは、この注射可能処方は、使用前、適当なビヒクルで再構成するための粉末形状で提供され得、これには、無菌で発熱物質のない水、緩衝液、デキストロース溶液などが挙げられるが、これらに限定されない。この目的のために、この活性化合物は、任意の公知技術(例えば、凍結乾燥)で乾燥され得、そして使用前に再構成され得る。
【0300】
経皮投与には、その処方において、バリアを浸透するのに適当な浸透剤が使用される。このような浸透剤は、当該技術分野で公知である。
【0301】
経口投与には、これらの医薬組成物は、例えば、薬用ドロップ、錠剤またはカプセル剤の形態をとり得、これらは、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶メチルセルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグルコール酸ナトリウムデンプン);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、レシチン))を使う通常の手段によって、調製される。これらの錠剤は、例えば、糖、フィルムまたは腸溶剤皮を使う当該技術分野で周知の方法により、被覆され得る。
【0302】
経口投与用の液状製剤は、例えば、エリキシル剤、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとり得るか、もしくは、使用前に水または他の適当なビヒクルで再構成するための乾燥製品として提供され得る。このような液状製剤は、薬学的に受容可能な添加剤(例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンドオイル、油性エステル、エチルアルコール、クレモフォアまたは分別した植物油);および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはプロピル、またはソルビン酸))を使う通常の方法により、調製され得る。これらの製剤はまた、適当なら、緩衝塩、防腐剤、香味料、着色剤および甘味料を含有し得る。
【0303】
経口投与用の製剤は、周知のように、この活性化合物またはプロドラッグを徐放するように適当に処方され得る。
【0304】
舌下投与には、これらの組成物は、通常の様式で処方された錠剤または薬用ドロップの形態をとり得る。
【0305】
直腸および膣内投与経路には、この活性化合物は、(滞留浣腸用の)溶液、座剤または軟膏として処方され得、これは、ココアバターまたは他のグリセリドのような通常の座剤基剤を含有する。
【0306】
経鼻投与、もしくは吸入またはガス注入による投与には、この活性化合物またはプロドラッグは、好都合には、適当な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素または他の適当な気体)を使用して、加圧パックからのエアロゾル噴霧剤または噴霧器の形態で、送達できる。加圧エアロゾルの場合、その投薬単位は、計量した量を送達するバルブを提供することにより、決定され得る。吸入器または注入器で使用するカプセルまたはカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセルおよびカートリッジ)は、この化合物と適当な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)との粉末ミックスを含有して、処方され得る。
【0307】
眼内投与には、この活性化合物またはプロドラッグは、目に投与するのに適当な溶液、乳濁液、懸濁液などとして、処方され得る。化合物を目に投与するのに適当な種々のビヒクルは、当該技術分野で公知である。非限定的な具体例は、米国特許第6,261,547号;米国特許第6,197,934号;米国特許第6,056,950号;米国特許第5,800,807号;米国特許第5,776,445号;米国特許第5,698,219号;米国特許第5,521,222号;米国特許第5,403,841号;米国特許第5,077,033号;米国特許第4,882,150号;および米国特許第4,738,851号で記載されている。
【0308】
長期間にわたる送達には、この活性化合物またはプロドラッグは、移植または筋肉内注射により投与するためのデポー製剤として、処方できる。その活性成分は、適当な高分子または疎水性材料(例えば、適当なオイル中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂を使って、または難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)として、処方され得る。あるいは、付着性ディスクまたはパッチ(これは、経皮吸収のために、この活性化合物をゆっくりと放出する)として製造された経皮送達系が使用され得る。この目的のために、この活性化合物の経皮浸透を促進するために、浸透向上剤が使用され得る。適当な経皮パッチは、例えば、米国特許第5,407,713.号;米国特許第5,352,456号;米国特許第5,332,213号;米国特許第5,336,168号;米国特許第5,290,561号;米国特許第5,254,346号;米国特許第5,164,189号;米国特許第5,163,899号;米国特許第5,088,977号;米国特許第5,087,240号;米国特許第5,008,110号;および米国特許第4,921,475号で記載されている。
【0309】
あるいは、他の医薬送達系が使用され得る。リポソームおよび乳濁液は、この活性化合物またはプロドラッグを送達するのに使用され得る送達ビヒクルの周知の例である。ある種の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO))もまた使用され得るが、通常、高い毒性という代償を払うことになる。
【0310】
これらの医薬組成物は、もし望ましいなら、パックまたはディスペンサー装置で提供され得、これは、この活性化合物を含有する1個またはそれ以上の単位剤形を含み得る。このパックは、例えば、金属またはプラスチック箔(例えば、ブリスター包装)を含み得る。このパックまたはディスペンサー装置には、投与説明書が添付され得る。
【0311】
(5.8 有効投薬量)
本発明の活性化合物またはプロドラッグ、もしくはそれらの組成物は、一般に、所期の結果を達成するのに有効な量(例えば、治療する特定の疾患を治療または予防するのに有効な量)で、使用される。この化合物は、治療上の恩恵を得るように、治療的な投与され得る。治療上の恩恵とは、治療する基礎障害の根絶または改善、および/または患者が依然として基礎障害に苦しんでいるにもかかわらず、その基礎障害に関連した1つまたはそれ以上の症状の根絶または改善を意味する。治療上の恩恵には、また、改善が実感されるかどうかとは無関係に、その疾患の進行を停止または遅延することが挙げられる。
【0312】
投与される化合物の量は、種々の要因に依存しており、これには、例えば、治療する特定の適応症、投与様式、治療する適応症の重症度、および患者の年齢および体重、特定の活性化合物のバイオアベイラビリティーなどが挙げられる。有効投薬量の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0313】
有効投薬量は、最初は、インビトロアッセイから概算され得る。例えば、動物に使用する初期投薬量は、インビトロアッセイ(例えば、実施例の項で記述したインビトロアッセイ)で測定される特定化合物のIC50以上である活性化合物の循環血液または血清濃度を達成するように、処方され得る。特定化合物のバイオアベイラビリティーを考慮して、このような循環血液または血清濃度を達成する投薬量を計算することは、当業者の能力の範囲内である。指針として、Fingl & Woodbury,「General Principles」、In:Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics,Chapter 1,pp.1−46,最新版、Pagamonon Pressおよびその中で引用された参考文献を参照のこと。
【0314】
初期投薬量はまた、インビボデータ(例えば、動物モデル)から概算され得る。化合物が上記種々の疾患を治療または予防する効力を試験するのに有用な動物モデルは、当該技術分野で周知である。投薬量は、典型的には、約0.0001または0.001または0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であるが、特に、その化合物の活性、そのバイオアベイラビリティー、投与様式および上述の種々の要因に依存して、これより高くまたは低くされ得る。投薬量および投薬間隔は、治療効果または予防効果を維持するのに十分な血漿レベルの化合物を生じるように、個別に調節され得る。例えば、これらの化合物は、特に、投与様式、治療する特定の適応症および担当医の判断に依存して、1週間に1回、1週間に数回(例えば、1日おき)、1日に1回または1日に複数回で、投与され得る。局所投与または選択的摂取(例えば、局部局所投与)の場合、この活性化合物の有効局部濃度は、血漿濃度には関係し得ない。当業者は、過度の実験をすることなしに、有効局部投薬量を最適化できる。
【0315】
好ましくは、この化合物は、実質的な毒性を引き起こすことなく、治療または予防の恩恵をもたらす。この化合物の毒性は、標準的な医薬手順を使用して、測定され得る。毒性と治療(または予防)効果との用量比(LD50/ED50)は、治療指数である(LD50は、集団の50%を死なせる用量であり、そしてED50は、集団の50%に治療的に有効な用量である)。高い治療指数を示す化合物が好ましい。
【0316】
(5.9 キット)
本明細書中で記述した化合物および/またはプロドラッグは、キットの形態で組み立てられ得る。いくつかの実施態様では、このキットは、投与用の組成物を調製する化合物および試薬を提供する。この組成物は、乾燥または凍結乾燥形態、または溶液(特に、無菌溶液)中であり得る。この組成物が乾燥形態であるとき、その試薬は、液状処方を調製する薬学的に受容可能な希釈剤を含有し得る。このキットは、これらの組成物を投与または調剤する装置(これには、注射器、ピペット、経皮パッチまたは吸入剤が挙げられるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0317】
これらのキットは、本明細書中で記述した化合物と併用する他の治療化合物を含み得る。いくつかの実施態様では、これらの治療薬は、他の抗癌および抗新生物化合物である。これらの化合物は、別個の形態で提供され得るか、または本発明の化合物と混合され得る。
【0318】
これらのキットは、この組成物の調製および投与、組成物の副作用、および何らかの他の関連情報についての使用説明書を含む。これらの使用説明書は、任意の適当な形式であり得、これには、印刷物、ビデオテープ、コンピューター読み取り可能ディスク、または光ディスクが挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0319】
(6.実施例)
(6.1 インビトロ細胞実験)
本明細書中で記述した方法を使用して、表1〜14(上記)で図示した化合物を合成した。これらの化合物の塩は、標準技術を使用して、調製した。
【0320】
標準的なインビトロ抗増殖アッセイを使用して、種々の異なる腫瘍細胞系に対する種々の化合物のIC50を測定した。試験した腫瘍細胞系は、以下のとおりである:A549(肺);H1299(肺)、ACHN(腎臓/p53wt)、CAKI(腎細胞癌)、NCI−H460(肺);HCT116(大腸/p53wt);HELA(子宮/p53wt)、HUH7(肝臓/p53wt)、HUVEC(原発性内皮)、LNCAP(前立腺)、HT−29(大腸);MCF−7(乳房);MCF−7(乳房/ERポジティブ)、MDA MB435S(乳房);MDA MB231(乳房/ERネガティブ)、DU145(前立腺);BxPC−3(膵臓);SKOV−3(卵巣);HepG2(肝臓)、NDHF原発性正常ヒト真皮線維芽細胞)、SKMEL28(乳房/p53mut)、SKMEL5(乳房/p53wt)、U20S(骨)およびPC3(前立腺)。これらの化合物のA549細胞およびH1299細胞に対する活性は、表1〜14(上記)で報告する。これらの表において、「+」とは、特定の化合物が3点アッセイで20μM以下のIC50を示したことを意味し、「−」とは、>20μMのIC50を意味する。「−/+」の値は、特定の化合物が3点アッセイで>20μMのIC50を示したがそれより高い点(例えば、6点)のアッセイでは≦20μMのIC50を示したことを意味する。「+/−」とは、特定の化合物が3点アッセイで≦20μMのIC50を示したがそれより高い点(例えば、6点)のアッセイでは>20μMのIC50を示したことを意味する。空白は、特定の化合物が特定の細胞系に対して試験しなかったことを意味する。試験した化合物の多くは、A549および/またはH1299細胞に対して、ナノモル範囲のIC50を示した。
【0321】
これらの化合物の多くは、他の細胞系に対して試験した。それらの活性は、以下の表15で記録しており、ここで、「+」、「−」、「−/+」または「+/−」の値は、表1〜14について説明したとおりである。細胞系が括弧内の値を含む場合、その値は、このアッセイを実行した接種密度を意味する。
【0322】
【化245】

【0323】
【化246】

【0324】
【化247】

【0325】
【化248】

【0326】
【化249】

(6.2 インビボ異種移植実験)
化合物107、858、164、211および156を、それらが標準的な異種移植実験においてA549細胞から発生した腫瘍を縮小する能力について、試験した。化合物141および211は、H1299腫瘍に対して試験した。明白な腫瘍が現れて予め選択した容量(約40〜150cm)であるとき、以下の表16で明記したように、試験化合物をマウスに投与した。予備結果は、表16で記録している。
【0327】
【化250】

【0328】
【化251】

本発明は、理解し易くするために、ある程度詳細に記述しているものの、添付の請求の範囲内において、ある種の変更および改良が実行され得ることは明らかである。従って、記述した実施態様は、限定ではなく例示と見なされ、本発明は、本明細書中で示した詳細には限定されず、添付の請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で変更され得る、
整数の範囲が本明細書中で記述されているとき、その記述は、各整数が明白に描写されるごとく、端点および介在している各整数を含むと解釈されることが理解できるはずである。具体例として、「1〜6の整数」との記述は、明白に、1、2、3、4、5および6を記述すると解釈される。
【0329】
本願全体にわたって引用した全ての文献および特許の参考文献の内容は、全ての目的について、本願で参考として援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌細胞の増殖を阻止する方法であって、該癌細胞を、構造式(I)に従った2,4−ピリミジンジアミン化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)の有効量と接触させる工程を包含する、方法:
【化1】

ここで:
およびLは、それぞれ、互いと関係なく、低級アルキルジルリンカー、低級アルキレンリンカーおよび共有結合から選択される;
は、必要に応じてR基で置換した低級アルキル、
【化2】

からなる群から選択され、ここで、Yは、NH、OまたはCHである;
’は、水素、メチルまたは低級アルキルである;
’は、水素、メチルたまは低級アルキルである;
は、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級アルキル、RまたはR基で必要に応じて一置換した低級シクロアルキル、1個またはそれ以上の環炭素および/またはヘテロ原子にてRまたはR基で必要に応じて置換した低級シクロヘテロアルキル、−(CR−R
【化3】

【化4】

からなる群から選択され、ここで、Dは、−(CR−、
【化5】

であり、
は、NまたはCHであり、そしてZは、O、S、NH、S(O)またはS(O)である;
は、ハロ、フルオロおよび−CFからなる群から選択される;
は、水素である;
各Rは、別個に、水素、メチル、低級アルキルおよびハロからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)OR、−C(S)OR、ハロ、−CFおよび−OCFからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、−OR、−(CH−NR、−O(CH−R、−O(CH−R、−C(O)−NR、−C(S)−NR、−S(O)−NR、−NHC(O)R、−NHC(S)R、−C(O)−NH−(CH−NR、−C(S)−NH−(CH−NR、ハロ、−CF、−OCF
【化6】

からなる群から選択される;
各R10は、別個に、水素、低級アルキル、−(CH−OH、−(CH−NR、−OR、−O(CH−R、−O(CH−R、ハロ、−CF、−OCF
【化7】

からなる群から選択される;
各R11は、別個に、−OR、−NRおよび−NRからなる群から選択される;
各R12は、別個に、低級アルキル、アリールアルキル、−OR、−NR、−C(O)R、−C(O)ORおよび−C(O)NRからなる群から選択される;
各R13は、別個に、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、−C(O)NRおよび−C(O)NHからなる群から選択される;
各R15は、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択される;
各R16は、別個に、水素、メチル、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級分枝アルキルおよび低級シクロアルキルメチルからなる群から選択される;
各R17は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択されるか、または、あるいは、R17は、R18と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R18は、別個に、水素、低級アルキルおよびメチルであるか、または、あるいは、R18は、R17と一緒になって、オキソ(=O)基を形成し得る;
各R19は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各R20は、別個に、水素、低級アルキル、メチルおよびRからなる群から選択される;
各mは、別個に、1〜3の整数である;
各nは、別個に、1〜3の整数である;
各Rは、別個に、水素、低級アルキル、低級シクロアルキル、低級シクロアルキルアルキル、フェニルおよびベンジルからなる群から選択される;
各Rは、別個に、−OR、−CF、−OCF、−NR、−C(O)R、−C(S)R,−C(O)OR、−C(S)OR、−C(O)NR、−C(S)NR、−S(O)NR、−C(O)NR、−C(S)NRおよび−S(O)NRからなる群から選択される;
各Rは、別個に、水素、低級アルキルおよび低級シクロアルキルから選択されるか、または、あるいは、2個のRは、それらが結合する窒素と一緒になって、5員〜7員の飽和環を形成し得、該飽和環は、必要に応じて、1個〜2個の追加ヘテロ原子基を含み、該ヘテロ原子基は、O、NR、NR−C(O)R、NR−C(O)ORおよびNR−C(O)NR;そして
各Rは、別個に、低級モノ−ヒドロキシアルキルおよび低級ジ−ヒドロキシアルキルから選択されるが、但し:
(i)R
【化8】

であるとき、RおよびR10は、両方共に、同時に低級アルコキシまたはメトキシにはならないか、またはRが3,4,5−トリメトキシフェニルまたは3,4,5−トリ(低級アルコキシ)フェニルであるとき、Rは、
【化9】

である;
(ii)Rが低級アルキルであるとき、Rは、
【化10】

である;
(iii)R
【化11】

であり、そしてLが低級アルキレンであるとき、Rは、3−(1,3−オキサゾリル)フェニル以外のものである;
(iv)R
【化12】

であり、ここで、R15がt−ブチルであり、そしてR
【化13】

であるとき、R、RおよびR10またはR、RおよびR13の少なくとも2個は、水素以外のものである;
(v)R
【化14】

であり、ここで、R15がt−ブチルであり、そしてR
【化15】

であり、ここで、RおよびRが、それぞれ、水素であるとき、R10は、−(CH−OHまたは−O(CH−R以外のものであり、ここで、Rは、−NR、−C(O)R、−C(O)NRおよび−C(O)NRから選択される、
方法。
【請求項2】
およびLが、それぞれ、共有結合である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
が、フルオロである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
’およびR’が、それぞれ、水素である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
’が、水素であり、そしてR’が、メチルである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
が、
【化16】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
が、非置換シクロプロピル、非置換シクロブチル、非置換シクロペンチル、非置換シクロヘキシル、
【化17】

から選択され、ここで、RおよびRが、(C1〜C3)アルカニルおよびメチルから選択され、そしてRが、ベンジルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
が、水素である;Rが、
【化18】

から選択される;そしてR10が、
【化19】

以外のものである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
10が、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)OCHCHから選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
が、水素である;Rが、
【化20】

以外のものである;そしてR10が、
【化21】

から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
が、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)CHCHから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
が、
【化22】

以外のものであり、そしてR10が、
【化23】

以外のものである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
およびRが、それぞれ、水素であり、そしてR10が、−OCHNHRである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
、RおよびR10が、それぞれ、互いと関係なく、水素、メチル、メトキシ、ヒドロキシメチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択されるが、但し、R、RおよびR10の少なくとも2個が、水素以外のものである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表1A〜1Dのいずれか1つのいずれかの化合物から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
が、
【化24】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
が、水素であり、そしてR15が、低級分枝アルキルおよび低級シクロアルキルから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
15が、t−ブチルまたはシクロプロピルである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
が、
【化25】

である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
が、水素である;Rが、
【化26】

から選択される;そしてR10が、
【化27】

以外のものである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
10が、メチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
のR12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)CHCHから選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
が、水素である;Rが、
【化28】

以外のものである;そしてR10が、
【化29】

から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
が、水素、メチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
10のR12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)CHCHから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表2のいずれかの化合物から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
が、低級アルキルである、請求項3に記載の方法。
【請求項30】
前記低級アルキルが、分枝している、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
が、i−プロピルまたはt−ブチルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
が、
【化30】

である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
が、水素である;Rが、
【化31】

から選択される;そしてR10が、
【化32】

以外のものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
10が、水素、メチル、トリフルオロメチルおよびクロロから選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
のR12が、メチルである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
が、水素である;Rが、水素であり、そしてR10が、
【化33】

から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
12が、メチルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表3のいずれかの化合物から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項39】
が、
【化34】

から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項40】
19およびR20が、それらが結合する炭素原子がキラルであるように、互いに異なる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、RおよびS鏡像異性体のラセミ化合物である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、R鏡像異性体に富んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、実質的に、S鏡像異性体を含まない、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、S鏡像異性体に富んでいる、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、実質的に、R鏡像異性体を含まない、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
が、
【化35】

である、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
、RおよびR10が、それぞれ、互いと関係なく、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロおよび−OCHC(O)NHRから選択されるが、但し、R、RまたはR10の少なくとも1個が、水素以外のものである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
が、水素である;Rが、
【化36】

から選択される;そしてR10が、水素、メチルおよびクロロから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)OCHCHから選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
が、水素であり、Rが、水素、メチルおよびクロロから選択される;そしてR10が、
【化37】

から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
12が、メチル、−C(O)CH、−C(O)OCHおよび−C(O)OCHCHから選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
基およびR基上の置換基が、別個に、表4または表6で記述されたいずれかの組み合わせから選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項53】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表4または表6のいずれかの化合物から選択される、請求項46に記載の方法。
【請求項54】
が、
【化38】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項55】
Dが、−CH−CH−、−CF−CF、−CH−および−CF−から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
が、
【化39】

である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
、RおよびR10が、それぞれ、互いと関係なく、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロ、フルオロ、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)NR、−OCHC(O)OR、トリフルオロメチルおよび−O(CH−OHから選択されるが、但し、R、RまたはR10の少なくとも1個が、水素以外のものである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表5のいずれかの化合物から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
が、
【化40】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項60】
11が、表7で列挙した任意のR11基から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表7のいずれかの化合物から選択される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
が、
【化41】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項63】
が、
【化42】

である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
各R、RおよびR10が、前記化合物がN2,N4−ビス(置換フェニル)−2,4−ピリミジンジアミンではないように、選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
各R、RおよびR10が、他のものとは関係なく、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、トリフルオロメトキシ、低級直鎖アルコキシ、ハロ、−O(CHNR、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)NRおよび−OCHC(O)ORから選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
、RおよびR10が、それぞれ、互いと関係なく、水素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、トリフルオロメトキシおよびクロロから選択されるが、但し、RおよびRの両方上のR、RおよびR10の少なくとも1個が、水素以外のものである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
およびRの両方上のR、RおよびR10が、水素以外のものである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
のRおよびRが、それぞれ、水素である;RのR10が、−OCHC(O)NRまたは−OCHC(O)NHRである;RのRおよびR10が、互いと関係なく、水素、メチルおよびクロロから選択される;そしてRのRが、ヒドロキシ、
【化43】

から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表8のいずれかの化合物から選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項70】
が、
【化44】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項71】
が、
【化45】

であり、ここで、Dが、−CHCH−である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
、RおよびR10が、互いと関係なく、水素、メチル、メトキシ、フルオロおよびクロロから選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表10のいずれかの化合物から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
が、
【化46】

である、請求項3に記載の方法。
【請求項75】
が、
【化47】

である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
16が、水素、低級直鎖アルカニル、低級分枝アルカニル、低級環状アルカニルおよび低級環状アルカニルメチルから選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表13のいずれかの化合物から選択される、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、インビトロ抗増殖アッセイにて少なくとも1個の腫瘍細胞系に対して≦20μMのIC50を有する表1〜14で図示されたいずれかの化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項79】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ia)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化48】

ここで:
mは、1〜3の整数である;
21は、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロゲンおよびクロロから選択される;
22は、水素、低級アルコキシ、メトキシ、ハロゲン、クロロ、
【化49】

から選択される;
23は、水素、メチル、低級アルキル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロゲン、クロロ、トリフルオロメチル、−OCHC(O)NHR
【化50】

から選択される;そして
24は、水素およびメチルから選択されるが、但し、(i)R22
【化51】

であるとき、R23は、
【化52】

以外のものである;そして(ii)R23が、
【化53】

であるとき、R22は、
【化54】

以外のものである。
方法。
【請求項80】
21およびR22が、それぞれ、水素であり、そしてR23が、−OCHC(O)NHR
【化55】

から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
22が、水素、メトキシ、クロロ、
【化56】

から選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
12が、メチルである、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
21が、水素であり、そしてR22が、
【化57】

であり、ここで、R12が、メチルである、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ib)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化58】

ここで:
15は、t−ブチルおよびシクロプロピルから選択される;
21、R22およびR23は、請求項79で定義したとおりである、
方法。
【請求項85】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ic)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化59】

ここで:
14は、i−プロピルおよびt−ブチルから選択される;
21、R22およびR23は、請求項79で定義したとおりである、
方法。
【請求項86】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Id)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化60】

ここで:
は、NおよびCHから選択される;
は、NH、O、SおよびS(O)から選択される;
16は、水素およびメチルから選択される;
19は、請求項1で定義したとおりである;
20は、請求項1で定義したとおりである;
24は、請求項79で定義したとおりである;
41は、水素、低級アルキル、メチル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロ、トリフルオロメチルおよび−CHOHから選択される;
42は、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−OCHC(O)NHR
【化61】

から選択され、ここで、R12は、請求項1で定義したとおりである;そして
43は、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、−OCHC(O)NHR、−OCHC(O)OR
【化62】

から選択され、ここで、R12は、請求項1で定義したとおりであるが、但し:
(i)R42が、
【化63】

であるとき、R43は、
【化64】

以外のものである;そして
(ii)R43が、
【化65−1】

であるとき、R42は、
【化65−2】

以外のものである、方法。
【請求項87】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ie)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化66】

ここで:
、Z、R16、R19、R20、R24、R41、R42およびR43は、請求項86で定義したとおりである、
方法。
【請求項88】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(If)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化67】

ここで:
は、NおよびCHから選択される;
pは、0または1である;
は、水素およびフルオロから選択される;
24は、請求項79で定義したとおりである;
51は、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、トリフルオロメチル、CHOHおよび−C(O)OCHから選択される;
52は、水素、低級アルキル、メチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、トリフルオロメチル、CHOHおよび−OCHC(O)NRから選択され、ここで、Rは、請求項1で定義したとおりである;そして
53は、水素、低級アルキル、メチル、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、トリフルオロメチル、CHOH、−OCHC(O)ORおよび−OCHC(O)NHRから選択され、ここで、Rは、請求項1で定義したとおりである、
方法。
【請求項89】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ig)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化68】

ここで:
28は、水素またはメチルである;
16は、請求項86で定義したとおりである;そして
21、R22、R23およびR24は、請求項79で定義したとおりである、
方法。
【請求項90】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ih)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化69】

ここで:
24は、請求項79で定義したとおりである;
61は、HおよびClから選択される;
62は、−CHNHBoc、−CHNH、−C(O)NH、−C(O)NH−CH−C(O)OH、−C(O)NH−CH−C(O)OMeおよび−C(O)NH−CHCH−N(Et)から選択される;
63は、HおよびClから選択される;
71は、Hである;
72は、H、OMe、Clおよび−C(O)NHから選択される;そして
73は、H、OMeおよびClから選択される、
方法。
【請求項91】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ii)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化70】

ここで:
各R24は、別個に、請求項79で定義したとおりである;そして
30は、アルカニルおよびアルケニルから選択される、
方法。
【請求項92】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ij)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化71】

ここで:
24は、請求項79で定義したとおりである;
81は、水素、メチルおよびメトキシから選択される;
82は、水素、メトキシおよびクロロから選択される;そして
83は、メチル、メトキシ、ハロおよびフルオロから選択される、
方法。
【請求項93】
前記2,4−ピリミジンジアミン化合物が、構造式(Ik)、(Il)、(Im)または(In)に従った化合物(それらのプロドラッグ、塩、水和物、溶媒和物およびN−オキシドを含めて)である、請求項1に記載の方法:
【化72】

ここで:
91は、もし存在するなら、水素である;
92は、もし存在するなら、低級アルコキシ、メトキシ、ハロ、クロロおよびフルオロから選択される;
93は、もし存在するなら、低級アルコキシ、メトキシ、ハロおよびクロロから選択される;そして
96は、水素、低級直鎖アルカニル、低級分枝アルカニル、低級シクロアルカニルおよび低級シクロアルカニルメチルから選択される、
方法。
【請求項94】
前記癌細胞が、腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項95】
前記腫瘍細胞が、膀胱、肺、大腸、乳房、前立腺、膵臓、卵巣または肝臓の腫瘍細胞である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
癌の治療に向けた療法アプローチとして、インビボで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項97】
前記癌が、転移性腫瘍である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記癌が、乳癌、大腸癌、膵臓癌、肺癌、神経癌、食道癌、胃癌および黒色腫からなる群から選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記化合物が、医薬組成物の形状で投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
前記化合物が、経口または静脈内投与される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記被験体が、ヒトである、請求項100に記載の方法。

【公表番号】特表2007−501793(P2007−501793A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522744(P2006−522744)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/025409
【国際公開番号】WO2005/013996
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(504075153)リゲル ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】