説明

抗寄生虫治療薬および抗癌治療薬ならびにリジン特異的デメチラーゼ阻害物質として有用なポリアミン類

ポリアミン、ポリアミン/グアニジノ、およびポリアミン/ビグアニド化合物が開示される。当該化合物は、抗癌および抗寄生虫処置に有用である。当該化合物は、酵素リジン特異的デメチラーゼ1の阻害物質としても有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2005年8月10日に出願された米国仮出願第60/707,420号、の利益を主張する。これらの仮出願の全内容は、参照により本願に組み込まれている。
【0002】
技術分野
本発明は、癌および/または寄生虫感染の処置、ならびにリジン特異的デメチラーゼの阻害に有用な、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物を含むポリアミン化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリアミン類は、真核細胞および原核細胞の両方に含まれており、細胞周期および細胞分裂の制御に顕著な関わりがある。ポリアミン類似体などの、ポリアミン生合成を特異的に処置する剤は、癌、寄生虫性疾患、および他の感染症の処置における治療効果が示されている。これらの抗増殖効果は、ポリアミン生合成の阻害、ダウンレギュレーションおよび/またはポリアミン異化のアップレギュレーションがもたらす、天然細胞内ポリアミン類の剤誘導減少の結果であると、ある程度実証されている。
【0004】
例えば、Wang and Casero, J, Biochem. 139:17 (2006);Casero et al., Proc. West. Pharmacol. Soc. 48:24 (2005);Casero et al., J. Med. Chem. 44:1 (2001);米国特許第5,889,061号、第6,392,098号、および第6,794,545号;米国特許出願第2003/0072715号、第2003/0195377号、ならびに国際特許出願WO 98/17624、WO 00/66587、WO 02/10142、およびWO 03/050072を参照。Bi et al., Bioorgan. Med. Chem. Letters 16:3229 (2006)は強力な抗トリパノソーマ活性を有する、新規のアルキルポリアミノグアニジン類およびアルキルポリアミノビグアニド類を論じている。
【0005】
酵素、リジン特異的デメチラーゼ−1(LDS1)は、遺伝子発現の制御において重要な役割を果たしていることが示されている;Shi et al., Cell 119:941 (2004)参照。WO 2006/071608は、リジン特異的デメチラーゼ−1に関与する特定の方法を論じている。癌治療および癌予防などの分野における、遺伝子発現の重要性の観点から、LSD1の阻害は、癌および非制御細胞増殖の治療および予防においてとても興味深いものである。
【発明の開示】
【0006】
発明の開示
本発明は、ポリアミン、ポリアミン/グアニジン、およびポリアミン/ビグアニド化合物、ならびに癌の処置および予防のためのこれらの化合物の使用を包含する。本発明はまた、リジン特異的デメチラーゼ−1の阻害、およびリジン特異的デメチラーゼ−1に関与する病気の処置のためのこれらの化合物の使用に関する。
【0007】
一態様において、本発明は、式(M):
E−X−A−NH−B−NH−A−X−E (M)
式中、
それぞれのEは独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C4〜C15置換または非置換シクロアルキル、C〜C15置換または非置換分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、C〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアルキルまたはヘテロアラルキル、C〜C24置換または非置換ヘテロアリールからなる群から選択され;それぞれのAは独立して、C〜C置換または非置換n−アルキルであり;Bは独立して、C〜C12n−アルキルまたはC〜Cシクロアルキルから選択され;それぞれのXは、独立して、−NH−、−NH−C(=NH)−NH−、および−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される;
で表される化合物、および全ての塩、溶媒和物、水和物ならびにこれらの立体異性体を包含する。
【0008】
別の態様において、Bは独立してC〜C8n−アルキルから選択される。
別の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−および−NH−CC(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される。別の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−である。別の態様において、少なくとも1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。別の態様において、それぞれのXは独立して、−NH−C(=NH)−NH−および−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−から選択される。別の態様において、両方のX基は、−NH−C(=NH)−NH−である。別の態様において、両方のX基は、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。別の態様において、1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−であり、もう1つのXは、−NH−C(=NH)−NH−C(=NH)−NH−である。
【0009】
別の態様において、本発明は、ポリアミン/グアニジンまたはN−アルキル化ポリアミン/グアニジン化合物;例えばポリアミノビスグアニジンもしくはポリアミノビグアニド、またはそれらのN−アルキル化変異を包含する。N−アルキル化ポリアミドグアニジンは、グアニジンのイミン窒素がアルキル化されたポリアミノグアニジンを意図し、例えば2−メチルグアニジン誘導体などである。一態様において、それぞれのAは−(CH―であり、Bは−(CH―である。別の態様において、それぞれのAは−(CH―であり、Bは−(CH7―である。
【0010】
一態様において、化合物は、式(I)
【化1】

【0011】
式中、nは1〜12の整数であり、mおよびpは独立して1〜5の整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C15置換または非置換シクロアルキル、C〜C15置換または非置換分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C20置換または非置換ヘテロアリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、およびC〜C24置換または非置換ヘテロアラルキルからなる群から選択され、それぞれのRは独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルから選択される、で表されるポリアミノグアニジン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0012】
一態様において、化合物は、少なくとも1つまたは両方のRがC〜C20置換または非置換アリール、例えば単環置換または非置換アリールなどである式(I)の化合物であり、限定することなく、置換または非置換フェニルを含む。別の態様において、化合物は、それぞれのRがフェニルである式(I)の化合物である。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、nは4である。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、nは7である。
【0013】
一態様において、化合物は、少なくとも1つまたは両方のRが、C8〜C12またはC1〜C8置換または非置換アルキル、例えば直鎖アルキルなどである、式(I)の化合物である。1つまたは両方のRは、C1〜C8置換または非置換直鎖アルキル、例えばメチルまたはエチルなどであってもよい。一態様においては、それぞれのRがメチルである。それぞれのまたは両方のRは、C4〜C15シクロアルキル基、例えば直鎖アルキル基を含むシクロアルキル基などを含んでも、またはこれであってもよく、ここで、シクロアルキル基は、分子にそのアルキルまたはシクロアルキル部分のいずれかを介して結合している。例えば、それぞれのまたは両方のRは、シクロプロピルメチルまたはシクロへキシルメチルであってもよい。
【0014】
一態様において、1つのRは、シクロプロピルメチルまたはシクロヘキシルメチルであり、もう1つのRは、直鎖アルキル基、例えば直鎖C1〜C8非置換アルキル基であり、これは限定することなく、エチル基を含む。一態様において、Rは、C3〜C15分岐アルキル基、例えばイソプロピルである。RがC1〜C8置換アルキル基である場合、置換アルキルはあらゆる置換基で置換されてもよく、これは第1級、第2級、第3級または第4級アミンを含む。したがって、一態様において、Rは、アミンで置換されたC1〜C8アルキル基であり、Rは、例えばアルキル−NHまたはアルキル−アミン−アルキル部分、例えばyおよびzは独立して1〜8の整数である−(CHNH(CH)zCHなどであってもよい。一態様において、Rは−(CHNHである。
【0015】
一態様において、化合物は式(I)で表され、少なくとも1つのRが、C〜C24置換または非置換アラルキルであり、一態様においては、アラルキルは、そのアルキル部分(例えばベンジル)を介して分子に結合する。一態様において、それぞれのRは、アラルキル部分であり、ここで当該部分のアルキル部は2つのアルキル基で置換され、当該部分はアルキル基を介して分子に結合する。例えば、一態様において少なくとも1つまたは両方のRがC〜C24アラルキルであって、ここでアルキル部は2つのフェニル基で置換され、例えばRが2,2−ジフェニルエチルまたは2,2−ジベンジルエチルである場合などである。一態様において、式(I)のそれぞれのRは2,2−ジフェニルエチルであり、nは1、2または5である。一態様において、式(I)のそれぞれのRは2,2−ジフェニルエチルであり、nは1、2または5であり、mおよびpはそれぞれ1である。
【0016】
一態様において、少なくとも1つのRは水素である。少なくとも1つのRが水素である場合、もう1つのRは、Rに関する上記のいかなる部分であっても良く、これはアリール基、例えばベンジルなどを含む。
【0017】
上記の式(I)の化合物はいずれも、少なくとも1つまたは両方のRが水素、またはC〜C置換または非置換アルキルである化合物を含む。一態様において、それぞれのRは非置換アルキル、例えばメチルなどである。一態様において、それぞれのRは水素である。
【0018】
上記の式(I)の化合物はいずれも、qが1であり、mおよびpが同一である化合物を含んでもよい。したがって、式(I)のポリアミノグアニジン類は、ポリアミングアニジンコアに関して対称であってもよい(例えばRを除く)。あるいは、式(I)の化合物は、非対称であっても良く、例えば、qが0である場合である。一態様において、mおよびpは1である。一態様において、qは0である。一態様において、nは1〜5の整数である。
【0019】
この開示によって、R、R、m、n、pおよびqの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(I)に関して記載されたそれぞれのR、R、m、n、pおよびqが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0020】
式(I)の代表的な化合物は、例えば:
【化2】

を含む。
【0021】
一態様において、化合物はポリアミノビグアニドまたはN−アルキル化ポリアミノビグアニドである。N−アルキル化ポリアミノビグアニドは、少なくとも1つのビグアニドの少なくとも1つのイミン窒素がアルキル化されたポリアミノビグアニドを意図する。一態様において、化合物は式(II):
【化3】

【0022】
式中、nは1〜12の整数であり、mおよびpは独立して、1〜5の整数であり、qは0または1であり、それぞれのRは独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、C〜C24置換または非置換ヘテロアラルキルからなる群から選択され、それぞれのRは独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルである、で表されるポリアミノビグアニド、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0023】
一態様において、少なくとも1つまたはそれぞれのRはC〜C置換または非置換アルキル、例えば、式(I)に関して上記したものなどである。例えば、RがC〜C置換アルキルである場合、置換アルキルはあらゆる置換基で置換されてもよく、これは第1級、第2級、第3級または第4級アミンを含む。したがって、一態様において、Rは、アミンで置換されたC1〜C8アルキル基であり、例えばRは、例えばアルキル−NHまたはアルキル−アミン−アルキル部分、例えばyおよびzは独立して1〜8の整数である、−(CHNH(CH)zCHなどであってもよい。
【0024】
一態様において、Rは−(CHNHである。Rは、C〜C15置換または非置換シクロアルキルまたはC〜C15置換または非置換分岐アルキル、例えば式(I)について上記したものなどである。一態様において、RはC〜C20置換または非置換アリール、例えば、式(I)に関して上記したものなどである。一態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、nは4である。別の態様において、qは1であり、mおよびpは3であり、nは7である。
【0025】
一態様において、化合物は、少なくとも1つまたは両方のRがC〜C24置換または非置換アラルキルである式(II)の化合物であり、一態様において、アラルキルはアルキル部分を介して分子に結合する。一態様において、それぞれのRは、アラルキル部分であり、ここで当該部分のアルキル部は1つまたは2つのアリール基で置換され、当該部分はアルキル部分を介して分子に結合する。例えば、一態様において、少なくとも1つまたは両方のRはアルキルであり、ここでアルキル部は2つのフェニルまたはベンジル基で置換され、例えばRが2,2−ジフェニルエチルまたは2,2−ジベンジルエチルである場合などである。一態様において、式(II)のそれぞれのRは2,2−ジフェニルエチルであり、nは1、2または5である。一態様において、式(II)のそれぞれのRは2,2−ジフェニルエチルであり、nは1、2または5であり、mおよびpはそれぞれ1である。
【0026】
上記の式(II)の化合物はいずれも、少なくとも1つまたは両方のRが水素、またはC〜C置換または非置換アルキルである化合物を含む。一態様において、それぞれのRは非置換アルキル、例えばメチルなどである。一態様において、それぞれのRは水素である。
【0027】
上記の式(II)の化合物はいずれも、qが1であり、mおよびpが同一である化合物を含んでもよい。したがって、式(II)のポリアミノグアニジン類は、ポリアミングアニジンコアに関して対称であってもよい(例えばRを除く)。あるいは、式(II)の化合物は、非対称であっても良く、例えば、qが0である場合である。一態様において、mおよびpは1である。一態様において、1は0である。一態様において、nは1〜5の整数である。一態様において、q、m、およびpはそれぞれ1であり、nは1,2または5である。
【0028】
この開示によって、R、R、m、n、pおよびqの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(II)に関して記載されたそれぞれのR、R、m、n、pおよびqが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0029】
式(II)の代表的な化合物は、例えば:
【化4】

を含む。
【0030】
一態様において、化合物はポリアミンである。一態様において、ポリアミンは、式(III):
【化5】

【0031】
式中、nは、1〜12の整数であり、mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;RおよびRは独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;R、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC〜C置換または非置換アルキルから選択され;そしてここで、mおよびpは同一の整数でないか、もしくはR、R、R、RおよびRの少なくとも1つがC〜C置換または非置換アルキルである、のいずれかである、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0032】
一態様において、RはC〜C置換または非置換アルキルである。RがC〜C置換アルキルである場合、置換アルキルはあらゆる置換基で置換されてもよく、これは第1級、第2級、第3級または第4級アミンを含む。したがって、一態様において、Rは、アミンで置換されたC1〜C8アルキル基であり、Rは、例えばアルキル−NHまたはアルキル−アミン−アルキル部分、例えばyおよびzは独立して1〜8の整数である−(CHNH(CH)zCHなどであってもよい。一態様において、Rは−(CHNHCHCHである。
【0033】
一態様において、RおよびRの1つまたは両方は水素である。RおよびRの1つのみが水素である場合、水素でないRまたはRは、本明細書中に記載のあらゆる部分であってもよく、例えばC〜C置換または非置換アルキルなどであり、これは環状アルキル基、例えば、シクロプロピルメチルまたはシクロヘプチルメチルなどを含む。
【0034】
一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、C〜C置換または非置換アルキルであり、これは限定することなく、置換または非置換n―アルキル(例えばn−ペンチルなど)、置換または非置換分岐(C〜C)アルキル(例えば2−メチルブチルなど)、または置換または非置換(C〜C)シクロアルキル(例えばシクロヘキシルメチルなど)を含む。より大きな鎖状アルキル(直鎖、分岐および環状)も考慮され、例えばC〜C15置換または非置換アルキルなどである。
【0035】
およびRの1つまたは両方が、C〜C置換または非置換n−アルキルである場合、当該部分はあらゆるn−アルキルであってもよく、例えばメチルまたはエチルなどである。一態様において、RおよびRの両方は、C〜C置換または非置換アルキルであり、ここでRおよびRの1つはn−アルキル部分であり、もう1つは、少なくとも3つの炭素原子を含むと解される環状部分である。あるいは、RおよびRの両方がC〜C置換または非置換n−アルキルであってもよい。
【0036】
およびRの1つまたは両方が置換アルキルである場合、直鎖、分岐または環状であろうと、当該アルキルは1または2以上の置換基で置換されてもよく、これは「置換アルキル」として記載されたものなどであり、あらゆるハロゲンで置換されたアルキルを含み、例えば、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、またはマルチハロアルキルなどであり、これはペルハロアルキルを含み、例えばペルフルオロアルキルおよびペルクロロアルキル、例えばトリフルオロメチルまたはペンタクロロエチルなどである。
【0037】
一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、C〜C20置換または非置換アリールである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、C〜C20置換アリールであり、アリール基は、1または2以上の置換基で置換されてもよく、これは例えば「置換アリール」として記載されたものなどである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、C〜C20置換アリールであり、アリール基は1または2以上のアルコキシ(例えば−OCHなど)、アルキル(tert−ブチルなどの分岐アルキルを含む)、またはハロ基(例えばフルオロなど)で置換されてもよい。
【0038】
一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、ハロ置換アリールまたはハロ置換アラルキルであり、例えば、2,4,5−トリフルオロフェニルまたは2,4,5−トリフルオロベンジルである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方はジ−アルキルーモノアルコキシ置換アリールまたはアラルキルであり、例えば4,5−ジ−tert−ブチル−2−メトキシベンジルまたは4,5−ジ−tert−ブチル−2−メトキシフェニルなどである。
【0039】
一態様において、RおよびRの両方1つまたは両方は、C〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、例えばアルキル部分を介して分子と結合したアラルキルまたはヘテロアラルキルである。置換アラルキルは、1または2以上の置換基で置換されてもよく、例えば「置換アラルキル」として記載されたものであり、置換ヘテロアルキルは1または2以上の置換基で置換されても良く、例えば、「置換ヘテロアルキル」として記載されたものである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、少なくとも1つの窒素原子を有する置換ヘテロアラルキルである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、少なくとも1つの窒素原子を有している単環ヘテロアラルキルである。一態様において、RおよびRの1つまたは両方は、1−(2−N−メチルピロリル)−メチルである。
【0040】
一態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つはC〜C置換または非置換アルキルである。R、R、R、RおよびRは、C〜C置換または非置換アルキルであってもよい。一態様において、R、R、R、RおよびRの少なくとも1つ、または少なくとも2つ、または少なくとも3つがC〜C置換n−アルキルであり、例えばメチルまたはエチルなどである。一態様において、R6およびR5の両方はメチルまたはエチルである。一態様において、少なくとも1つのRおよびRはメチルまたはエチルである、一態様において、Rはメチルである。
【0041】
この開示によって、R、R、R、R、R、R、R、m、n、y、zおよびpの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(III)に関して記載されたそれぞれのR、R、R、R、R、R、R、m、n、y、zおよびpが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0042】
式(III)の代表的な化合物は、例えば:
【化6】

を含む。
【0043】
一態様において、ポリアミンは式(IV):
【化7】

【0044】
式中、A、R10およびR11は独立して、(CHまたはエテン−1,1−ジイルであり;nは1〜5の整数であり;R12およびR13は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルケニル、およびC〜C置換または非置換アルキルからなる群から選択され;A、R10、R11、R12およびR13の少なくとも1つがアルケニル部分を含む、で表される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物である。
【0045】
別の態様において、A、R10およびR11のいずれか1つまたは2つ以上がアルケニルである場合、アルケン部は、窒素原子を結合する直接の鎖から分岐する;すなわち、A、R10およびR11に隣接する1つの窒素から、他の隣接する窒素までの最も短い軌道に沿った炭素ノードにおいて、1つ以上のsp混成炭素は生じない。例えば、Aがエタンである場合、Aを含むセグメントは、−CHC(=CH)−CH−の形であり、A部分を含む窒素の間の最も短い炭素軌道における3つのノードは、1だけsp炭素を有する。Aがプロペンである場合、Aを含むセグメントは−CHC(=CHCH)−CH−または−CHC(−CH=CH)−CH−の形である、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0046】
一態様において、Aは(CHであり、nは1である。一態様において、Aはエテン―1,1―ジイルである。一態様において、Aは(CHであり、R12およびR13の1つまたは両方はアルケニル部分、例えばプロペン−2−イルなどを含む。
【0047】
一態様において、R10およびR11の少なくとも1つまたは両方は、エテン−1,1,−ジイルである。一態様において、R10およびR11の両方が(CH例えばCH(ここでn=1)である。
【0048】
一態様において、R12およびR13の少なくとも1つまたは両方は水素である。一態様において、R12およびR13の少なくとも1つまたは両方はC〜C置換または非置換アルケニル、例えばプロペン−2−イルである。一態様において、R12およびR13の少なくとも1つまたは両方はC〜C置換または非置換アルキル、例えばメチルまたはエチルなど、もしくは式(I)、(II)または(III)のいずれかに関して上記した、あらゆるC〜C置換または非置換アルキルである。
【0049】
この開示によって、A、n、R10、R11、R12、およびR13の1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(II)に関して記載されたA、n、R10、R11、R12、およびR13が、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0050】
式(IV)の代表的な化合物は、例えば:
【化8】

である。
【0051】
一態様において、ポリアミンは式(V):
【化9】

【0052】
式中、nは1〜8の整数であり;mは独立して1〜8の整数であり;R15およびR14は独立して、水素、C〜C置換または非置換n−アルキル、(C〜C)分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルからなる群から選択され;R16およびR17は独立して、水素またはC〜C置換または非置換アルキルであり;ここで当該化合物は、R17がC〜C置換または非置換アルキルである場合を除いて、3つより多い第2級アミノ基を含まず、該化合物は、ホスホン酸メチルまたはヒドロキシ部分を含まない、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0053】
一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方は、水素である。R15およびR14の1つのみが水素である場合、水素ではないR15またはR14は上記のあらゆる他の部分であってもよく、例えばC〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール(例えば4−イソプロピルベンジル、2−フェニルベンジル、3,3−ジフェニルプロピルなど、または式(I)〜(IV)のいずれかに関して上記した、あらゆるC〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール)などである。
【0054】
一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方が、C〜C置換または非置換n−アルキル、または(C〜C)分岐アルキルであり、例えばメチル、エチル、3−メチル−ブチル、2−エチル−ブチル、5−NH−ペンタ−1−イル、プロパ−1−イル−メチル(フェニル)フォスフィン酸塩など、または式(I)〜(IV)のいずれかに関して上記した、あらゆるC〜C置換または非置換n−アルキルまたは(C〜C)分岐アルキルである。
【0055】
一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方は、C〜C置換または非置換n−アルキルであり、例えばメチル(フェニル)フォスフィン酸部分で置換されたn−アルキル、またはNH置換n−アルキルである。一態様において、R15およびR14の両方が、C〜C置換または非置換n−アルキルまたは(C〜C)分岐アルキルであり、例えばR15およびR14が両方3−メチル−ブチルである場合や、R15およびR14が両方2−エチル−ブチルである場合である。R15およびR14は異なるC〜C置換または非置換n−アルキル部分であってもよく、例えばR15およびR14の1つがプロピルであり、もう1つがエチルである場合である。
【0056】
一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方が、C〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルである。一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方は、2つの環を有するC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、例えば、2−フェニルベンジル、4−フェニルベンジル、2−ベンジルベンジル、3−ベンジルベンジル、3,3−ジフェニルプロピル、3−(ベンゾイミダゾリル)−プロピルなどである。
【0057】
一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方は、1つの環を有するC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、例えば、4−イソプロピルベンジル、4−フルオロベンジル、4−tert−ブチルベンジル、3−イミダゾリル−プロピル、2−フェニルエチルなどである。一態様において、R15およびR14の1つが、C〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、例えば他の式に関して記載した特定の置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキル部分のいずれかなどであり、R15およびR14のもう1つは、水素、またはC〜C置換または非置換n−アルキルまたは(C〜C)分岐アルキルであり、例えばエチル、メチル、3−メチルブチルなどである。
【0058】
式(V)のあらゆる化合物に関して、mおよびnは同一であるか、異なっていてもよい。一態様において、mはnと等しくなく、例えばmが1でありnが2である場合である。例えば、一態様において、mは1であり、nは2であり、R15およびR14の両方が2−ベンジルベンジルである。しかしながら、m、n、R15およびR14の可能な全ての組み合わせが意図されると理解される。
【0059】
一態様において、R16およびR17の少なくとも1つまたは両方は水素である。一態様において、R15およびR14の少なくとも1つまたは両方は、C〜C置換または非置換アルキルであり、例えばメチル、エチル、および例えば−NH−C〜Cアルキルで置換されたC〜Cアルキルであり、例えばR16およびR17の少なくとも1つまたは両方が−(CHNHCHCHである場合である。
【0060】
この開示によって、R10、R11、R12、R13、mおよびnの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(V)に関して記載されたR10、R11、R12、R13、mおよびnが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0061】
式(V)の代表的な化合物は、例えば:
【化10】

である。
【0062】
一態様において、ポリアミンは、式(VI):
【化11】

【0063】
式中、nは、1〜12の整数であり;mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;R18およびR19は独立して、水素、C〜C非置換アルキル(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル、イソプロピル、ペンチル、シクロブチル)、少なくとも2つの環を含むシクロアルキルで置換されたC〜Cn−アルキル、少なくとも2つの環を含むC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルから選択され;
【0064】
ここで、R18およびR19が少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換された同一のC〜Cn−アルキル部分であるか、少なくとも2つの環を含む同一のアリールである場合、nは1であり;R18およびR19の少なくとも1つは、少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキル、または少なくとも2つの環を含むC〜C24置換もしくは非置換アラルキルである、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0065】
一態様において、R18およびR19の少なくとも1つまたは両方が、少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキルである。少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基は、スピロ、融合、架橋シクロアルキル基であってもよい。少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキルの代表例は、例えば、2−(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]へプチル)エチルおよび2−(デカフドロナフチル)エチルなどの部分を含む。一態様において、R18およびR19の両方が、2−(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]へプチル)エチルである。一態様において、R18およびR19の1つが、2−(6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]へプチル)エチルまたは2−(デカフドロナフチル)エチルであり、R18およびR19のもう1つが水素またはエチルなどのC〜C非置換アルキルである。
【0066】
一態様において、R18およびR19の少なくとも1つまたは両方が、少なくとも2つの環を含むC〜C24置換もしくは非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルであり、環は融合していてもよいが必須ではない。式(VI)に関する置換アラルキルまたはヘテロアラルキルは、アリールまたはヘテロアリール基で置換されたアルカノイル部分、すなわち−C(=O)−アリール、−C(=O)−アラルキル、−C(=O)−ヘテロアリール、および−C(=O)−ヘテロアラルキルを意図し、含む。
【0067】
一態様において、アラルキルまたはヘテロアラルキル部分のアルキル部は、アルキル部分を介して分子に結合する。例えば、R18およびR19の少なくとも1つまたは両方が、アラルキル部分であってもよく、例えば、2−フェニルベンジル、4−フェニルベンジル、3,3,−ジフェニルプロピル、2−(2−フェニルエチル)ベンジル、2−メチル−3−フェニルベンジル、2−ナプチルエチル、4−(ピレニル)ブチル、2−(3−メチルナプチル)エチル、2−(l,2−ジヒドロアセナフサ−4−イル)エチルなどである。別の態様において、R18およびR19の少なくとも1つまたは両方が、ヘテロアルキル部分であってもよく、例えば、3−(ベンゾイミダゾリル)プロパノイル、l−(ベンゾイミダゾリル)メタノイル、2−(ベンゾイミダゾリル)エタノイル、2−(ベンゾイミダゾリル)エチルなどである。
【0068】
一態様において、それぞれのm、nおよびpは同一であり、例えばm、nおよびpがそれぞれ1である場合である。
【0069】
この開示によって、R18、R19、m、nおよびpの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(VI)に関して記載されたR18、R19、m、nおよびpが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0070】
式(VI)の代表的な化合物は、例えば:
【化12】

を含む。
【0071】
一態様において、ポリアミンは式(VII):
【化13】

【0072】
式中、nは1〜12の整数であり;mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;qは0または1であり;R20およびR21は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルケニル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキニル、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
【0073】
ここで当該化合物は、t−ブチル、イソプロピル、2−エチルブチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、3−ブテニル、イソペンタ―2−エニル、2−メチルプロパン−3−オリル、エチルチイル、フェニルチイル、プロピノイル、1−メチル−lH−ピロール−2−イル、トリフルオロメチル、シクロプロパンカルバルデヒド、ハロ置換フェニル、ニトロ置換フェニル、アルキル置換フェニル、2,4,6−トリメチルベンジル、ハロ−S−置換フェニル、例えばパラ−(FS)−フェニル、アジドおよび2−メチルブチルなどからなる群から選択される、少なくとも1つの部分を含む、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0074】
一態様において、qは1である。一態様において、qは1であり、nは1である。
一態様において、R20およびR21の少なくとも1つは水素である。一態様において、R20およびR21の少なくとも1つは、C〜C置換または非置換アルキルであり、例えば式(I)〜(VI)に関して上記した、あらゆる置換または非置換アルキル部分などである。一態様において、R20およびR21の少なくとも1つは、C〜C24置換または非置換アラルキルであり、例えば式(I)〜(VI)に関して上記した、あらゆる置換または非置換アラルキルなどである。
【0075】
この開示によって、R20、R21、m、n、qおよびpの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(II)に関して記載されたR20、R21、m、n、qおよびpが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0076】
式(VII)の代表的な化合物は、例えば:
【化14】

を含む。
【0077】
一態様において、ポリアミンは式(VIII):
【化15】

式中、mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;Xは−(CH−またはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり;nは1〜5の整数であり;R22およびR23は独立して、水素、n−ブチル、エチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルおよびベンジルからなる群から選択され;
【0078】
ここでnが5である場合、R22およびR23の少なくとも1つが水素であり;R22がエチルである場合、R23が水素、n−ブチル、、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルまたはベンジルからなる群から選択され;R23がエチルである場合、R22が水素、n−ブチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルまたはベンジルからなる群から選択され;Xがシクロヘキサ−1,3−ジイルである場合、R22およびR23はどちらもベンジルまたはシクロプロピルメチルではない、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0079】
一態様において、Xは−(CH(例えばnが1であるCH)である。一態様において、XはCHであり、mおよびpは両方1である。一態様において、Xはシクロヘキサ−1,3−ジイルである。一態様において、Xはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり、mおよびpは両方1である。別の態様において、mおよびpは同一ではなく、例えばmが3でありpが4である場合である。
【0080】
この開示によって、R22、R23、m、nおよびpの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(VIII)に関して記載されたR22、R23、m、nおよびpが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0081】
式(VIII)の代表的な化合物は、例えば:
【化16】

を含む。
【0082】
一態様において、ポリアミンは式(IX):
【化17】

【0083】
式中、pは1〜5の整数であり;R24はアミノ置換シクロアルキル(例えば、第1級、第2級、第3級または第4級アミンで置換されたシクロアルキル基)、またはC〜C置換または非置換アルカノイル(置換アルカノイルは、「置換アルキル」として記載されたような、1または2以上の置換基で置換されてもよく、これは限定しないが、メチルおよびアルキルアジド基で置換されたアルカノイルを含む)であり;R25はC〜C置換または非置換アルキル、またはC〜C24置換もしくは非置換アラルキルであり、例えば式(I)〜(VIII)に関して上記したものなどである、で表されるポリアミン、またはその塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0084】
一態様において、R24はアミノ置換C〜C24シクロアルキルであり、例えば、5−NH−シクロへプチル、3−NH−シクロペンチルなどである。一態様において、R25はC〜C置換または非置換アルキルであり、これはシクロアルキルで置換されたn−アルキルを含む。一態様において、R25はシクロプロピルメチルまたはエチルであり、R24は5−NH−シクロへプチルまたは3−NH−シクロペンチルである。一態様において、R24はC〜C置換または非置換アルカノイルであり、R25はC〜C24置換または非置換アラルキル、例えば4−フェニルベンジルなどである。
【0085】
この開示によって、R24、R25およびpの1つ1つのあらゆる組合せが具体的におよび個別に記載されているように、式(II)に関して記載されたR24、R25およびpが、これらの全ての組合せを意図し、含むことは、理解され、明確に伝えられる。
【0086】
式(IX)の代表的な化合物は、例えば:
【化18】

を含む。
【0087】
本明細書に記載の全ての式に関して、例えば式(I)〜(IX)など、明記していない場合でも、記載された式の構造的特徴に一致する範囲において、1つの式において記載されたあらゆる置換基が他の式における同じ置換基について説明するように意図される。例えば、記載された式の構造的特徴に一致する範囲において、式IにおけるRは、他の式における他のRについて説明することを意図している。同様に、例えばC〜C置換または非置換アルキルについて等のあらゆる説明は、記載された式の構造的特徴に一致する範囲において、他の式における他のC〜C置換または非置換アルキルについて説明することを意図している。
【0088】
特定の塩として記載されたあらゆる化合物は、かかる塩またはその形状に、その化合物を限定することを意図していないことも理解される。同様に、化合物が塩として記載されている場合、その構造は正電荷もしくは負電荷、またはその位置を明確に示しても、示さなくてもよく、その全ての可能性が意図される。例えば、4HBr塩として記載された化合物は、その化合物をHBr塩のみに限定するものではなく、当該化合物はHBr塩の+または−電荷を示しても、示さなくてもく、むしろ全ての可能性を意図する。
【0089】
式(I)〜(IX)の化合物などの、ポリアミン化合物のいずれも、保護形であってもよく、例えばあらゆる1または2以上のアミン(例えば−NH−)が、保護基(Pg)によって保護される場合、例えば(−NPg−)においてなどである。Pgはあらゆる保護基であってもよく、例えばメシチル(例えばNMes)、Boc(例えば−NBoc)または他の保護基、例えば、T. W. Green, P. G. M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscience, New York, 1999において記載されるものであり、これはその全体において参照により本願に組み込まれる。
【0090】
本発明の範囲内および/または式(I)〜(IX)の1または2以上のいずれかとして記載された化合物は、(限定することなく)以下の表Aに記載の化合物を含む。
別の態様において、本発明は、式(M)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0091】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、式(II)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0092】
別の態様において、本発明は、式(III)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、式(IV)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0093】
別の態様において、本発明は、式(V)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、式(VI)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0094】
別の態様において、本発明は、式(VII)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、式(VIII)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0095】
別の態様において、本発明は、式(IX)の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
別の態様において、本発明は、表Aまたは表Bに記載の化合物の1または2以上を治療的に効果的な量で投与することにより、癌を処置する方法を包含する。
【0096】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量において、1または2以上の化合物、ここで当該化合物は少なくとも1つのグアニジン部分または少なくとも1つのビグアニド部分を含む、を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0097】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(M)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0098】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(I)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0099】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(II)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0100】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(III)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0101】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(IV)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0102】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(V)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0103】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(VI)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0104】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(VII)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0105】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(VIII)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0106】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の式(IX)の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
【0107】
別の態様において、本発明は、ヒストンデメチラーゼ酵素、例えばLSD1などを阻害する方法であって、当該酵素を阻害するのに十分な量の表Aまたは表Bに記載の化合物の1または2以上を当該酵素に接触させることによる前記方法を包含する。当該酵素を、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%阻害することができる。
詳細な説明
【0108】
本発明の詳細な説明
この開示は、本明細書において記載される化合物の全ての塩を含む。本発明は、本明細書において挙げられた化合物のあらゆる塩の全ての非塩化合物、ならびに本明細書において挙げられた化合物のあらゆる塩の他の塩も含む。一態様において、化合物の塩は、薬学的に許容し得る塩を含む。薬学的に許容し得る塩は、自由化合物の生物活性を保持する塩であり、薬剤または医薬品として、ヒトおよび/または動物に投与することができるものである。
【0109】
塩基性化合物の所望の塩は、その化合物を酸と処置することによる、当業者に周知の方法によって製造することができる。無機酸の例は、限定することなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸を含む。有機酸の例は、限定することなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、スルホン酸、およびサリチル酸を含む。アミノ酸を有する塩基性化合物の塩、例えばアスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩も製造することができる。
【0110】
酸性化合物の所望の塩は、その化合物を塩基と処置することによる、当業者に周知の方法によって製造することができる。酸性化合物の無機塩の例は、限定することなく、アルカリ金属塩およびアルカリ土類塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩;アンモニウム塩;およびアルミニウム塩などを含む。酸性化合物の有機塩の例は、限定することなく、プロカイン、ジベンジルアミン、N−エチルピペリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアルニン、およびトリエチルアミン塩などを含む。アミノ酸を有する酸性化合物の塩、例えばリジン塩なども製造することができる。
【0111】
この開示は、本明細書に記載の化合物の全ての溶媒和物を含み、例えば、水和物(あらゆる割合の、例えば一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物)、メタノラート、エタノラートである。
本明細書に記載のあらゆる化合物は、複合の塩および溶媒和物形状で生じてもよく、例えばヒクレート(hyclate)(モノヒドロクロリドヘミエタノラート半水和物)形状である。
【0112】
この開示は、本明細書に記載の化合物の全ての立体異性体を含み、これは光学的に純粋または実質上光学的に純粋な形状のジアステレオマーおよび光学異性体、ならびに、限定しないがラセミ混合物を含む、あらゆる割合の立体異性体の混合物を含む。立体異性体が化学構造または化学名において明記されていない限り、当該化学構造または化学名は、表現された化合物の全ての可能な立体異性体を意図する。
【0113】
この開示は、本明細書に記載の化合物の全ての結晶または非結晶形状を含み、これは全ての多形体、多結晶、および非結晶形ならびにこれらの混合物を含む。
【0114】
用語「アルキル」は直鎖、分岐鎖、環状基およびこれらの組み合わせを含む飽和脂肪酸基を意味し、これは特定の数の炭素を有し、数が特定されていない場合は、12炭素原子までを有する。「直鎖状(Straight-chain)アルキル」または「直鎖(linear)アルキル」基は、環状でも分岐でもないアルキル基を意味し、一般的に「n−アルキル」基と呼ばれる。
【0115】
〜Cn−アルキルは以下の群からなる:−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCH−、−CHCHCHCHCHCHCH−、および−CHCHCHCHCHCHCHCH−。アルキル基の他の例は、限定することなく、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ネオペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびアダマンチルなどの基を含む。環状アルキル基は1つの環、これは限定することなく、
【0116】
シプロへプチルなどの基を含み、または多架橋もしくは融合環、これは限定することなく、アダマンチルまたはノルボルニルなどの基を含む、からなることができる。環状アルキル基は、環状部に加えてアルキル基を含むこともでき、例えば、2,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン、2−メチルデカリン(2−メチルデカヒドロナフタレン)、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチルなどである。
【0117】
「置換アルキル」は、限定しないが、1または2以上の置換基、例えばハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモ、および/またはヨード置換アルキル基を含み、これはモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルまたはマルチハロアルキルなどであり、ペルハロアルキル、例えばペルフルオロアルキル、ペルコロラルキル、トリフルオロメチルまたはペンタクロロエチルを含む)、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ(NH、NHアルキルおよびN(アルキル)を含む)、
【0118】
ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルアミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、アジド、チオアルキル、−OS(O)−アルキル、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキシアミド、または本発明の目的に必要な場合は、保護基で好適にブロックできる官能基、で置換されたアルキル基を意味する。置換アルキル基の例は、限定することなく、CF、CFCF、ならびに他のペルフルオロおよびペルハロ基;−CH−OH;−CHCHCH(NH)CHなどを含む。アルキル基は他のアルキル基、例えばC〜C24シクロアルキル基、で置換することもできる。
【0119】
用語「アルケニル」は、直鎖状(直鎖)、分岐鎖、環状基およびこれらの組み合わせを含む不飽和脂肪酸基を意味し、これは特定の数の炭素を有し、数が特定されていない場合は、12炭素原子までを有し、少なくとも1つの二重結合(−C=C−)を含む。アルケニル基の例は、限定することなく、−CH−CH=CH−CH;および−CH−CH−シクロへキセニル、ここでエチル基はシクロへキセニル部のあらゆる空いている炭素原子価に付くことができる、を含む。
【0120】
用語「アルキニル」は、直鎖状(直鎖)、分岐鎖、環状基およびこれらの組み合わせを含む不飽和脂肪酸基を意味し、これは特定の数の炭素を有し、数が特定されていない場合は、12炭素原子までを有し、少なくとも1つの三重結合(−C≡C−)を含む。「炭化水素」または「ヒドロカルボニル」は直鎖状、分岐鎖、または環状のアルキル、アルケニルまたはアルキニル基のあらゆる組み合わせ、およびこれらのあらゆる組み合わせを意味する。
【0121】
「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、および「置換炭化水素鎖」または「置換ヒドロカルボニル」は、限定しないが、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキシアミド、または「置換アルキル」に関して上記したあらゆる基、または本発明の目的に必要な場合は、保護基で好適にブロックできる官能基などの基を含む、1または2以上の置換基で置換された対応する基である。
【0122】
「アリール」または「Ar」は、単環(限定しないが、フェニルなどの基を含む)、互いに結合した2または3以上の環(限定しないが、ビフェニルおよびp−ジフェニルベンゼンを含む)、または2または3以上の縮合環(限定しないが、ナフチル、アントリル、またはピレニルをなどの基を含む)を有する芳香炭素環基を意味し、非置換および置換アリール基の両方を含む。特定されない限り、アリール類は、6〜20炭素原子を環部に含む。アリール類に関する好ましい範囲は、6〜12炭素原子を環部に含む。
【0123】
「置換アリール類」は、限定しないが、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキシアミドなど、または「置換アルキル」に関して上記したあらゆる基、またはまたは本発明の目的に必要な場合は、保護基で好適にブロックできる官能基などの基を含む、1または2以上の置換基で置換されたアリール類。
【0124】
「アラルキル」はアルキル置換アリール基を表し、ここであらゆるアリールがアルキルに付くことができ;アルキル部は、それぞれ1〜6炭素原子の1、2、もしくは3つの直鎖、またはそれぞれ3〜6炭素原子の1、2、もしくは3つの分岐鎖もすくはこれらのあらゆる組み合わせを含むことができる。アラルキル基は、アルキル基で結合された2つのアリール基からなり、例えば、ジフェニルメタンまたは2−メチル−1−(フェニルエチル)ベンゼンなどである。
【0125】
アラルキル基が置換基として示される場合は、当該アラルキル基は分子の残り(reminder)に、そのアルキル部分またはアリール部分のあらゆる空いた原子価において結合することができる;例えばトリルアラルキル基は、芳香環部分における5つの水素のいずれかを分子の残りで置き換えること、またはメチル部分におけるアルファ水素の1つを分子の残りで置き換えることによって当該分子の残りに結合することができる。好ましくは、アラルキル基はアルキル部分を介して、分子の残りに結合する。
【0126】
好ましいアリール基はフェニルであり、これは置換されることも非置換であることもできる。置換フェニル基のための置換基は、低級アルキル(−C〜Cアルキル)またはハロゲン(塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、もしくはフッ素(F);ヒドロキシ(−OH)、または低級アルコキシ(−C〜Cアルコキシ)、例えばメトキシ、エトキシ、プロプロキシ(プロポキシ)(n−プロポキシまたはi−プロポキシのいずれか)、およびブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシ);好ましいアルコキシ置換基はメトキシである。置換フェニル基は好ましくは1または2つの置換基を有する;より好ましくは1つの置換基を有する。
【0127】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、および「ヘテロアルキニル」はそれぞれ、特定の数の炭素を含み(数が特定されていない場合は、12炭素原子までを有する)、1または2以上のヘテロ原子を、その基の主な分岐、または環状基のパートとして含む、アルキル、アルケニルおよびアルキニル基である。ヘテロ原子は、限定しないが、N、S、O、およびPを含む;NおよびOが好ましい。
【0128】
ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、およびヘテルアルキニル基は、水素を取り除くことができるあらゆる原子価において、分子の残りへ結合してもよく、例えば、ヘテロ原子または炭素原子においてである(原子価が水素の取り除きによって、かかる原子において原子価が空いている場合)。ヘテロアルキル基の例は、限定しないが、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−S−CH−CH−CH、−CH−CH(CH)−S−CH、−CH−CH−NH−CH−CH−、1−エチル−6−プロピルピペリジノ、およびモルホリノを含む。
【0129】
ヘテロアルケニル基の例は、限定しないが、−CH=CH−NH−CH(CH)−CH−を含む。「ヘテロアリール」または「HetAr」は、単環(限定しないが、例えば、ピリジル、イミダゾリル、チオフェン、またはフリルを含む)、または2もしくは3以上の縮合環(限定しないが、例えばインドリジニル、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、またはベンゾチエニルを含む)を有し、少なくとも1つのヘテロ原子、限定しないが、N、O、P、またはSなどのヘテロ原子を含む、を有する芳香炭素環基を意味する。特定されていない限り、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、およびヘテロアリール基は、1〜5のヘテロ原子および1〜12の炭素原子を有する。
【0130】
「置換ヘテロアルキル」、「置換ヘテロアルケニル」、「置換ヘテロアルキニル」、および「置換ヘテロアリール」基は、限定しないが、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アルキニル、置換または非置換ベンジル、置換または非置換炭化水素鎖、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、ベンジルオキシ、フェニル、ベンジル、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、カルボキシアルデヒド、カルボアルコキシおよびカルボキシアミドなどの基、または「置換アルキル」に関して上記したあらゆる基、または本発明の目的に必要な場合は、保護基で好適にブロックできる官能基を含む、1または2以上の置換基で置換されたヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、およびヘテロアリール基を意味する。
【0131】
かかる置換ヘテロアルキル基の例は、限定しないが、窒素または炭素において、フェニルまたはベンジル基で置換され、炭素または窒素の空いた原子価によって分子の残りへ付いたピペラジン、−NH−SO−フェニル、−NH−(C=O)O−アルキル、−NH−(C=O)O−アルキル−アリール、および−NH−(C=O)−アルキルを含む。化学的に可能である場合、ヘテロ原子(単数または複数)および/または基の炭素原子を置換することができる。「ヘテロアラルキル」基は少なくとも1つのアルキル基で置換されたヘテロアリールである。化学的に可能である場合、ヘテロ原子(単数または複数)は酸化形であることもできる。
【0132】
用語「アルコキシ」は酸素原子に繋がったアルキル、アルケニル、アルキニル、または炭化水素鎖を意味し、これは特定の数の炭素を有し、数が特定されていない場合は、12炭素原子までを有する。アルコキシ基の例は限定しないが、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ(プロポキシ)(n−プロポキシまたはi−プロポキシのいずれか)、およびブトキシ(n−ブトキシ、i−ブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシのいずれか)を含む。
【0133】
本明細書で用いられる用語「ハロ」および「ハロゲン」は、グループVIIa元素(2005 IUPAC Periodic Table, IUPAC Nomenclature of Inorganic Chemistryにおけるグループ17元素)を意味し、Cl、Br、FおよびI置換基を含む。
【0134】
「保護基」は以下の特徴を表す化学基を意味する:1)所望の官能基と選択的に反応し、高収率で、保護が望まれた計画された反応に対して安定な基質を生じる;2)所望の官能基を得るために保護された基質から選択的に取り除かれる;3)かかる計画された反応において存在または生成する他の官能基(単数または複数)に適応する試薬によって高収率で取り除かれる。
【0135】
好適な保護基の例は、Greene et al. (1999) Protective Groups in Organic Synthesis, (Wiley-Interscience., New York)において見出すことができる。アミノ保護基は、限定しないが、メシチレンスルホニル(Mts)、ベンジルオキシカルボニル(CBzまたはZ)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、t−ブチルジメチルシリル(TBSまたはTBDMS)、9−フルオロエニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル、ベンゼンスルホニル、2−ピリジルスルホニル、または好適な光解離性保護基、例えば6−ニトロベラトリルオキシカルボニル(Nvoc)、ニトロピペロニル、ピレニルメトキシカルボニル、ニトロベンジル、ジメチルジルネトキシベンジル、5ブロモ7−ニトロインドリニルなどを含む。
【0136】
ヒドロキシル保護基は、限定しないが、Fmoc、TBS、光解離性保護基(例えばニトロベラトリルオキシメチルエーテル(Nvom))、Mom(メトキシメチルエーテル)、およびMem(メトキシエトキシメチルエーテル)、NPEOC(4−ニトロフェネチルオキシカルボニル)ならびにNPEOM(4ニトロフェネチルオキシメチルオキシカルボニル)を含む。
【0137】
特定の化合物
本発明において有用な化合物の例は表Aに表現される。化合物は塩、例えば臭化水素酸またはトリフルオロ酢酸塩として表現されているが、表における開示は、当業者に十分理解されるように、当該化合物の非塩、非水和物/非溶媒和物形状だけでなく、表現された化合物の全ての塩、水和物、および溶媒和物、ならびに当該化合物の非塩を包含すると理解される。
【0138】
【表1】

【0139】
【表2】

【0140】
【表3】

【0141】
【表4】

【0142】
【表5】

【0143】
【表6】

【0144】
【表7】

【0145】
【表8】

【0146】
【表9】

【0147】
【表10】

【0148】
【表11】

【0149】
【表12】

【0150】
【表13】

【0151】
【表14】

【0152】
【表15】

【0153】
【表16】

【0154】
【表17】

【0155】
【表18】

【0156】
合成方法―アルキルポリアミン類の合成
対称置換または非対称置換ポリアミン類似体両方を含む、ポリアミン類似化合物の合成に関して、いくつかの合成方法が利用できる。これらの方法のいくつかは、以下の文献に記載されている:Saab et al, J. Med. Chem. 36:2998 (1993);Bellevue et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:2765 (1996);Sirisoma et al., Tetrahedron Lett. 39:1489 (1998);Zou et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:1613 (2001), and Casero et al., J. Med. Chem. 44:1 (2001)。
【0157】
【化19】

【0158】
スキーム1は、様々なポリアミン類似体への有用な経路を図解している。テトラメシチル化中間体8は、両方の端末窒素において、容易にアルキル化することが可能である。これは、これらの窒素における水素が隣接メシチル保護基によって酸性になっているからである。1.2〜1.4当量のアルキルハライドまたはトシレートの存在下におけるアルキル化は、主として一置換生成物9を提供し、二置換物質または不反応出発物質は分離され、リサイクルされる(Bellevue et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:2765 (1996);Zou et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11 :1613 (2001))。
【0159】
生じた一アルキル化誘導体を脱保護化し(AcOH中の30%HBr)、異なるアルキルハライドで再アルキル化し、非対称置換中間体11を得る。そして11の脱保護化で所望の非対称置換アルキルポリアミンを得る。2.2当量のアルキルハライドによる、NaHおよびDMFの存在下での8の処置は、ビス置換中間体10を提供し、これは脱保護化によって対応する対称置換アルキルポリアミンを生じる。したがって、3つの異なったアルキルポリアミンを単一の中間体から容易に合成することができ、中央炭素鎖をあらゆる所望の長さ(n=0〜8)にすることができる。中間体8の合成は、既に報告した合成(Bellevue et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 6:2765 (1996); Zou et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:1613 (2001))を用いて、多量に、容易に達成される。
【0160】
スペルミジン様類似体:
【化20】

の形状を得るために、類似の戦略を用いることもできる。
【0161】
必要なポリアミン骨格構造の合成のために、他の方法を使用でき、これは炭素窒素結合および選択的窒素保護を伴う;これらの手順のいくつかをスキーム2に示す。
【0162】
【化21】

【0163】
標準のペプチド結合技術(方法A、Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))によって、アミノプロピル(または他のアミノアルキル)部分を選択的に保護第1級アミン、例えば12など、に加えることができる。したがって、保護ベータアミノプロピオネート13(Dcc、HoBt、N−メチルモルホリン)による12の処置は、対応するアミン14を提供し、そしてこれをジボラン(Woster et al., 1989)の存在下で還元し、所望の第2級アミン16を得る。
【0164】
化合物16を還元アミン化(方法B)によって直接合成してもよく、ここでシアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で、適したアルデヒド15を12に加える。アリルアセテート官能基を含むアルキル置換基もまた、立体配置の保持とともに進められる、パラジウム触媒結合反応によって、12に付加することができる(Method C, Sirisoma et al., Tetrahedron Lett. 39:1489 (1998))。この方法は、フタルイミドまたはベンジルアミンを、窒素の合成等価体として、アリルアセテート部位へ導入するために用いることができる。そして、これらの窒素は脱保護化および官能化することができる。
【0165】
合成方法―ポリアミノグアニジン類の合成
【化22】

【0166】
ポリアミノグアニジン類の合成は、スキーム3に概説するように行うことができる。必要なアミン19(必要な場合は対応するアルキルまたはアラルキルシアニドから製造される)を臭化シアンと反応し(Goldin et al., U.S. Patent No. 6,288,123 (2001))対応するアミノシアニド20を得る。所望のアミンが市販されていない場合、適したシアノ化合物から触媒反応(Bellevue et al., 1996, Zou et al., 2001)によって製造できる。
【0167】
そして中間体21(Bellevue et al., 1996, Zou et al., 2001)を20(シクロベンゼン、還流)と結合し、次いで脱保護化し(AcOH中の30%HBr)、一般構造3のアルキルポリアミノグアニジン類を得る。これらの方法を用いて、置換ポリアミノグアニジン類似体(例えばR=H、メチル、エチル、シクロプロピルメチレン、シクロヘプチルメチレン、フェニル、ベンジル)を合成することができる。N−Boc保護基を用いた類似経路(示していない)も用いた。
【0168】
合成方法−ポリアミノビグアニド類の合成
ポリアミノビグアニドの合成は、Bi et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 16:3229 (2006)に記載され、スキーム4に概略される。
【0169】
【化23】

【0170】
スキーム4に概略されるように、一般構造4のアルキルポリアミノビグアニドの合成のために同様の戦略を用いる。アミン類23(必要な場合は対応するアルキルまたはアラルキルシアニドから製造される)を対応するシアノグアニジン類24に変換し(NaN(CN)、BuOH/HO)(Gerhard, R.; Heinz, B.; Herbert, F. J. Praktische Chem. (Leipzig), 1964, 26, 414-418)、既に述べたように、メシチル保護目標分子を得るために、21と組み合わせる。上記のような脱保護化により置換ビグアニド類4を得る。N−Boc保護基を用いた類似経路(示していない)も用いた。
【0171】
合成方法−固相合成
【化24】

【0172】
固相合成技術は、スキーム5に示すように、アルキルポリアミン類およびそれらのアルファメチル同族体の早く効果的な合成のために用いられる。化合物22は、Wang et al. , J. Am. Chem. Soc, 95(4):1328 (1973)に記載のように、市販のトリチル塩化物樹脂を用いて製造することができ、ここで付加したアミンは、付加の前に第1級または第2級であり、アルファメチルは存在または不在であり、X基は保護アミンまたはアジドもしくはフタルアミドのような合成等価体のどちらかである。そして、この中間体を、脱保護化し、対応する第1級アミン23に変換する。
【0173】
鎖延長のために3つの戦略を用いることができる:1.25を製造するために、シアノ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で、アルデヒド類24で還元的アミノ化する;2.ペプチド結合条件下で適したカルボキシレート26の添加(Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))、次いで生じたアミンのジボラン還元化により、27を生じる;3.28のような保護ハライドによる直接アルキル化(Woster et al., J. Med. Chem. 32:1300 (1989))により、中間体29を得る。そして、これらのステップの繰り返しにより、様々な、所望の置換基を有する、アルキルポリアミン類およびアルファ−メチル−アルキルポリアミン類を得る。
【0174】
生物学的応用−リジン特異的デメチラーゼ−1(LSD1)阻害物質
ヒストン類は、真核細胞に存在し、DNAの補助骨格として働く(時々、DNA糸を補助するタンパク質スプールと比較される)。ヒストン類は、他のタンパク質およびDNAと共に、細胞核のクロマチンを形成する。これらのDNAとの近接接合のため、ヒストン類は遺伝子調節の役割を果たす。ヒストンタンパク質の尾部は、遺伝子発現に影響する共有結合修飾の好発部位である。
【0175】
酵素、リジン特異的デメチラーゼ−1(LDS1;BHC110およびKIAA0601としても知られる)は、ヒストンH3のリジン4を脱メチル化することによる、ヒストン尾部の共有結合修飾に影響する酵素である。Shi et al. (Cell, 119:941 (2004))は、次いで標的遺伝子の抑制解除が続く、LSD1のRNAi阻害がH3リジン4でメチル化を増加することを示した。したがってLSD1は明らかにヒストンH3の脱メチル化によって、転写を抑制する。逆に、LSD1の抑制は、脱メチル化を防ぐことにより、転写を可能にする。
【0176】
LSD1およびモノアミンオキシダーゼ(MAO)の観察されたホモロジーのため、Lee et al. (Chemistry & Biology 13:563 (2006))は様々なMAO阻害物質を、そのLSD1を阻害する能力に関して試験した。彼らは、トラニルシプロミン((1R,2S)−2−フェニルシクロプロパン−1−アミン)を、2マイクロモル未満のIC50を有する阻害物質として特定した。標的のP19胚性癌腫細胞をトラニルシプロミンで処置すると、Egr1およびOct4遺伝子の転写抑制解除を導く。
【0177】
国際特許出願WO 2006/071608は、真核ヒストン脱メチル化活性のモニタリング方法、メチル化ヒストン活性化遺伝子を上方抑制または下方抑制する方法、およびタンパク質のレベルまたはヒストンデメチラーゼの活性を調節することによって、病気(例えば癌などの過剰増殖性の病気)を処置または予防する方法に関する。
【0178】
遺伝子調節の重要性、およびLSD1を阻害または調節することによる遺伝子調節に影響する能力の観点から、当該酵素の阻害物質は重要な治療可能性を有しているかもしれない。表Bは、LSD1阻害活性について試験した化合物を示す。化合物は遊離塩基として表現されているが、当業者に十分理解されるように、当該表における開示が、当業者に十分理解されるように、当該化合物の非塩、非水和物/非溶媒和物形状だけでなく、表現された化合物の全ての塩、水和物、および溶媒和物、ならびに当該化合物の非塩を包含するとことは理解される。本明細書に開示したポリアミン、ポリアミン/グアニジン、およびポリアミン/ビグアニド化合物のいくつかは、LSD1阻害物質としての活性を有している。
【0179】
図24、図25、図26、図27、図28、図29、図30、図31、図32および図33は本明細書に記載された化合物のいくつかのLSD1活性における効果を示す。本明細書び記載された化合物は、式(I)〜(IX)の化合物、表Aの化合物、および表Bの化合物を含む、LSD1の阻害物質として有用である。さらに具体的には、ポリアミン/グアニジンおよびポリアミン/ビグアニド化合物が、LSD1の阻害物質として有用であり、例えば式(I)および(II)の化合物などである。
【0180】
約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも25%阻害することができ;約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも50%阻害することができ;約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも75%阻害することができ;
【0181】
約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも90%阻害することができ;約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも95%阻害することができ;または、約10マイクロモル以下の化合物の濃度で、約1マイクロモル以下の化合物の濃度で、約100ナノモル以下の化合物の濃度で、約10ナノモル以下の化合物の濃度で、約1ナノモル以下の化合物の濃度で、当該酵素を少なくとも99%阻害することができる。
【0182】
【表19】

【0183】
生物学的応用−癌の処置
いくつかのポリアミン化合物およびポリアミン類似体が、強力な抗癌活性を示した。ポリアミン類およびポリアミン類似体はポリアミン輸送システムを介して細胞内に入り、ポリアミン生合成酵素オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)およびS−アデノシルメチオニン・デカルボキシラーゼ(AdoMet−DC)を下方制御すると考えられている。
【0184】
ビス(エチル)ポリアミン類似体の抗腫瘍活性は、スペルミジン−スペルミン−N−アセチルトランスフェラーゼ(SSAT)をさらに誘発する能力、ポリアミン後変換経路における律速段階のためと考えられる。これに続く、生じたアセチル化ポリアミン類のポリアミンオキシダーゼ(PAO)媒介酸化は、過酸化水素を生成し、これは細胞死プログラムを最終的に開始する。研究は、SSAT誘発の有無のおけるアポートシスを誘発すること、およびチューブリン脱重合への介入によって、主要細胞増殖をSSATの誘発を介して阻害する類似体を明らかにした。
【0185】
最近のデータは、ヒトポリアミンオキシダーゼが1つの異なる形状で存在すること、および哺乳類スペルミジンオキシダーゼ(SMO(PAOh1)によるポリアミン類似体の酸化が同一の類似体の抗腫瘍効果において役割を果たし得ることを示している。この仮説は、アルキルポリアミン類似体N1−エチル−N11−[(シクロヘプチル)メチル]−4,8−ジアザウンデカン(CHENSpm)がポリアミンオキシダーゼにより解毒され、抗ミクロスポリジウム(antimicrosporidial)類似体BW−1(N,N’−ビス[3−[([1,1’−ビフェニル]−2−イルメチル)アミノ]プロピル]−l,7−ヘプタンジアミン)がEncephalitoozoon cuniculiのポリアミンオキシダーゼの基質であるという事実にサポートされている。現在では、アルキルポリアミン類が様々な周知または未知の経路により、腫瘍細胞増殖に影響することができることが証明された。
【0186】
本発明の方法を用いて、病気を「処置すること(treating)」または「処置する(to treat)」ことは、病気または病気の症状のいずれかを、緩和、改善、安定、戻す、減速、遅延、予防、減少または除去するために、1または2以上のポリアミン類またはポリアミン類似体を、追加の治療薬と共にまたはなしで投与することとして定義される。ポリアミン類またはポリアミン類似体の「治療的使用」は、上記のように、病気を処置するために(病気を予防することも含む、1または2以上のポリアミン類またはポリアミン類似体を用いることとして定義される。「治療的に効果的な量」は、上記のように、病気を処置する(予防することも含む)ために十分な量で定義される。予防または抑制は、部分的または全面的であってもよい。
【0187】
本明細書に記載の化合物は、抗癌活性を有し、これは肺癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌の主な形状を代表する、様々なヒト腫瘍細胞タイプにおいて実証された。したがって、本明細書に記載の化合物は、肺癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌を含む癌の処置または肺癌、乳癌、前立腺癌および結腸癌を含む癌の予防に用いられる。
【0188】
実験結果およびプロトコル
96時間選択した化合物にさらした後、H157、H82およびA549細胞におけるMTS用量反応実験を行った。MTSは、細胞における代謝活性を測定する、標準的な比色分析である。MTS実験は、Promega CorporationのCellTiter 96(R) AQUeuos One Solution Cell Proliferation Assayによって行った。簡潔には、細胞を100ul培地/ウェルを含む96ウェル組織培養プレートに3000細胞/ウェルで蒔き、一晩付着させた。
【0189】
培地を吸引し、試験する化合物を適した濃度で含む新鮮な培地に置き換え、96時間、37℃で、5%COにおいてインキュベートした。処置に続けて、20ulのMTS反応薬をそれぞれのウェルに加え、37℃で1.5時間インキュベートした。それぞれのウェルの吸光度を490nmで測定し、コントロールと比較した、試験化合物の存在下での細胞の代謝活性を判断するために用いた。試験化合物のIC50値は、この結果を基に抽出した。
【0190】
H157、H82およびあ549細胞に関する結果は表2、3および4に夫々示される。96時間暴露に加え、72時間暴露に関する結果が、H157細胞における化合物49−TDW−29Cに関して示される。第一の列には、化合物識別子が記載され、第二の列にはIC50値が記載される(範囲が示されている場合、例えば1〜10uMなど、これはIC50がこの2つの端点の間のどこかに位置することを意味する;端点は実際に試験した濃度であり、その1つはIC50よりも低く、もう1つはIC50より高い)。
【0191】
図1は、化合物46−TDW−23cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図2は、化合物49−TDW−9の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図3は、化合物42−TDW−21cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図4は、化合物46−TDW−19cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。
【0192】
図5は、化合物49−TDW−17cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図6は、化合物40−TDW−37の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図7は、化合物42−TDW−4の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図8は、化合物49−TDW−29cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。
【0193】
図9は、化合物49−TDW−32cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図10は、化合物46−TDW−35cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図11は、化合物39−TDW−3の、H157、A549およびH82細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図12は、化合物39−TDW−12cの、H157およびA549細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。
【0194】
図13は、化合物39−TDW−20cの、H157およびA549細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図14は、化合物39−TDW−47cおよび39−TDW−43の、H157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図15は、化合物42−TDW−9、42−TDW−4c/6、40−TDW−35、42−TDW−38およびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図16は、化合物46−TDW−34c、42−TDW−12、40−TDW−48、46−TDW−44cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。
【0195】
図17は、化合物42−TDW−20c、46−TDW−22、46−TDW−39、49−TDW−29cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図18は、化合物39−TDW−43、42−TDW−48c、46−TDW−9、46−TDW−23cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。図19は、化合物42−TDW−35c、46−TDW−44およびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験の結果を描写する。
【0196】
235、MCF7、435、およびBENSpmのH157細胞における、MTT用量反応実験を行った。MTTは細胞における代謝活性を測定する、標準的な比色分析である。簡潔には、細胞を含んでいない約200ulの培地を96ウェルプレートのカラムAに加え、ブランクとして用いた。次に、細胞を含む200ulの培地を残りのウェルに加え、一晩インキュベートした。残りのウェルは、約4000〜5000MCF7細胞/ウェル、3000231細胞/ウェル、12,000468細胞/ウェル、または9000MCF10A細胞/ウェル含む。
【0197】
インキュベーションに続けて、ウェルの中の培地を吸引し、200ulの新鮮な培地で96ウェルプレートのカラムAおよびBを入れ替えた。カラムBをコントロールとして用いた。次に試験する化合物を含んだ200ulの新鮮な培地を残りのウェルに加え、96時間インキュベートした。0.1マイクロモル〜50マイクロモルの範囲の濃度で、化合物を定期的に試験した。
【0198】
96時間のインキュベーションに続けて、それぞれのウェルの培地を吸引し、100ulの、無血清培地中、5mg/mlのMTT3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−臭化ジフェニルテトラゾリウム溶液で入れ替え、4時間インキュベートした。MTT溶液でのインキュベーションに続き、MTT溶液をウェルから取り除き、200ulの1:1Etoh+DMSO溶液で入れ替え、20分間インキュベートした。Etoh+DMSO溶液でのインキュベーションに続き、プレートを540nmで読みとり、コントロールと比較した、試験化合物の存在下での細胞の代謝活性を判断するために用いた。試験化合物のIC50値は、この結果を基に抽出した。
【0199】
231、MCF7、435、および10A細胞における異なる濃度での化合物9−TDW−47cによる処置の96時間後のMTT分析を図20に示す。化合物390TDW−47cの異なる濃度での、8、12、および24時間暴露に続く、231細胞における化合物390TDW−47cの経時変化を図21に示す。化合物390TDW−47cの異なる濃度での、4、8、12、および24時間暴露に続く、435細胞における化合物390TDW−47cの経時変化を図22に示す。化合物390TDW−47cの異なる濃度での、4、8、12、および24時間暴露に続く、MCF7細胞における化合物390TDW−47cの経時変化を図23に示す。
【0200】
選択した化合物での暴露の続く、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、SSAT(スペルミジン−スペルミン−N−アセチルトランスフェラーゼ)活性実験を行った。SSAT活性を判断するための詳細なプロトコルは、Casero et al., Cancer Research, 49:3829 (1989)に記載される。簡潔には、処置細胞を暴露時間で収集することにより、SSAT活性を測定した。そして、細胞をスペルミジンおよび1−[14C]アセチル補酵素Aで5分間溶解および処置した。酵素活性は、1分あたり、細胞タンパク質mgあたりに形成した[14C]アセチルスペルミジンのピコモル(pmol/mgP/分)で測定した。
【0201】
結果を表5(H157)、表9(H82)、および表12(A549)にそれぞれ示した。表5および12において、化合物識別子、処置濃度、コントロール活性、暴露後のSSAT活性および暴露時間を列1、2、3、4、および5にそれぞれ記載した。表5および12における活性は、1分あたりのプロテインmgあたろのSSATのピコモルで報告する。表9は、化合物識別子、処置濃度、活性および暴露時間を列1、2、3、および4にそれぞれ記載する。H82細胞に関して、SSAT誘導が観測されず、しがたって、コントロールおよび暴露後の活性に値を記載しない。
【0202】
暴露後のH157およびH82細胞におけるプトレッシン、スペルミジン、およびスペルミンポリアミンレベルを化合物を選択するために行った。ポリアミンレベルは、Kabra et al. , J. Chromotography, 380:19 (1986)に記載のように、プレカラムダンシル化ラベリング、逆相高圧液体クロマトグラフィー方法を用いて判断した。この結果を、表6および11に、それぞれH157およびH82細胞にかんして示す。化合物識別子、処置濃度、観察ポリアミンレベル、および暴露時間を列1、2、3、および4にそれぞれ記載する。ポリアミンレベルは増加(inc)、減少(dec)または変化なし(N/C)として報告する。ある場合においては、特定のレベルのプトレッシン、スペルミジン、および/またはスペルミンを記載する。
【0203】
化合物46−TDW−34Cによる処置後のH157細胞におけるSMO(スペルミンオキシダーゼ)活性を表7に示す。SMO活性を測定するための詳細なプロトコルは、Wang et al., Cancer Research, 61 :5370 (2001)に記載される。化合物識別子、処置濃度、コントロール活性、処置後の活性および暴露時間を列1、2、3、4、および5にそれぞれ記載する。活性結果は、1分あたり、細胞タンパク質mgあたりに形成した[14C]アセチルスペルミジンのピコモル(pmol/mgP/分)で報告する。
【0204】
H157におけるODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)活性実験を行った。ODC活性を測定するための詳細なプロトコルは、Pegg et al., Methods Enzymology, 94:158 (1983)に記載される。結果を表10に記載する。化合物識別子、処置今度、コントロール活性、処置後の活性、および暴露時間を列1、2、3、4および5にそれぞれ記載する。活性結果は、1時間あたりの細胞タンパク質mgあたりのCO放出のピコモルで報告する。
【0205】
H157細胞における処置誘導細胞周期測定を行った。10uMの濃度における、24時間の細胞の重要な化合物への暴露に続けて、細胞を収集し、細胞周期分析のために、調製しFACSに移動した。(Carlisle et al., Clinical Cancer Research 8:2684 (2002)およびその参考文献を参照。)結果を表8に示す。結果は、G1期、S期およびG2/M期の細胞の割合を表す。
【0206】
【表20】

【0207】
【表21】

【0208】
【表22】

【0209】
【表23】

【0210】
【表24】

【0211】
【表25】

【0212】
【表26】

【0213】
【表27】

【0214】
【表28】

【0215】
【表29】

【0216】
【表30】

【0217】
【表31】

【0218】
【表32】

【0219】
【表33】

【0220】
【表34】

【0221】
【表35】

【0222】
【表36】

【0223】
【表37】

【0224】
【表38】

【0225】
【表39】

【0226】
引用を特定して本明細書において参照された文献、特許、特許出願および発行された特許出願は、それらの全体として参照することにより本願に組み込まれる。
【0227】
理解の明確化の目的で、説明および例をもって上述の発明をある程度詳細に説明したが、特定の小さな変更や改良が実施されることは当業者には明らかである。したがって、当該説明および例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】化合物46−TDW−23cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図2】化合物49−TDW−9の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図3】化合物42−TDW−21cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図4】化合物46−TDW−19cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図5】化合物49−TDW−17cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【0229】
【図6】化合物40−TDW−37の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図7】化合物42−TDW−4の、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図8】化合物49−TDW−29cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図9】化合物49−TDW−32cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図10】化合物46−TDW−35cの、H157、A549、H82およびBeas2B細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【0230】
【図11】化合物39−TDW−3の、H157、A549およびH82細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図12】化合物39−TDW−12cの、H157およびA549細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図13】化合物39−TDW−20cの、H157およびA549細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図14】化合物39−TDW−47cおよび39−TDW−43の、H157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図15】化合物42−TDW−9、42−TDW−4c/6、40−TDW−35、42−TDW−38およびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【0231】
【図16】化合物46−TDW−34c、42−TDW−12、40−TDW−48、46−TDW−44cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図17】化合物42−TDW−20c、46−TDW−22、46−TDW−39、49−TDW−29cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図18】化合物39−TDW−43、42−TDW−48c、46−TDW−9、46−TDW−23cおよびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図19】化合物42−TDW−35c、46−TDW−44およびBENSpmのH157細胞における、96時間MTS用量反応実験。
【図20】化合物9−TDW−47cによる処置の96時間後のMTT分析。
【0232】
【図21】231細胞における化合物390TDW−47cの経時変化。
【図22】435細胞における化合物390TDW−47cの経時変化。
【図23】MCF7細胞における化合物390TDW−47cの経時変化。
【図24】特定のポリアミノグアニジン類およびポリアミノビグアニド類によるLSD1の阻害。
【図25】腫瘍細胞増殖におけるXB1−54−13Bの効果。
【図26】腫瘍細胞増殖におけるB182の効果。
【図27】LSD1活性のXB1−54−13Bによる用量依存的阻害の動態検査。
【図28】LSD1活性のB182による用量依存的阻害の動態検査。
【図29】XB1−54−13BによるLSD1活性の阻害に関するラインウィーバー・バーク図ならびにVmax(umol/mgタンパク質/分)およびK(μM)値の表。
【0233】
【図30】ジメチルH3K4、ジメチルH3K9のレベルにおけるXB1−54−13Bの効果を証明し、細胞核抗原をプロファイリングするゲル。
【図31】メチル化ヒストンH3K4のレベルにおけるXB1−54−13Bの定量的効果。
【図32】メチル化ヒストンH3K9のレベルにおけるXB1−54−13Bの定量的効果。
【図33】分泌Frizzled関連タンパク質1、2、4、および5ならびにGAPDHにおけるXB1−54−13BおよびB182の効果。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

【化2】

【化3】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
qは、0または1であり;
それぞれのRは独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルから選択され;
およびRは独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
、R、R、RおよびRは独立して、水素およびC〜C置換または非置換アルキルから選択され;
A、R10およびR11は独立して、(CH1〜5またはエテン−1,1−ジイルであり;
12およびR13は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルケニルおよびC〜C置換または非置換アルキルからなる群から選択され;
15およびR14は独立して、水素、C〜C置換または非置換n−アルキルまたは(C〜C)分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルからなる群から選択され;
16およびR17は独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルであり;
18およびR19は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜C置換n−アルキル、少なくとも2つの環を含むC〜C24置換もしくは非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルから選択され;
20およびR21は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
式(VIII)のXは、−(CH1〜5−またはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり;
22およびR23は独立して、水素、n−ブチル、エチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルおよびベンジルからなる群から選択され;
24は、アミノ置換シクロアルキル、またはC〜C置換または非置換アルカノイルであり;
25は、C〜C置換または非置換アルキル、またはC〜C24置換または非置換アラルキルである、
からなる群から選択される式で表される化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項2】
化合物が式(I):
【化4】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
qは、0または1であり;
それぞれのRは独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C15置換または非置換シクロアルキル、C〜C15置換または非置換分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、C〜C20置換または非置換ヘテロアリール、C〜C24置換または非置換アラルキル、およびC〜C24置換または非置換ヘテロアラルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルから選択される、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項3】
化合物が式(II):
【化5】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
qは、0または1であり;
それぞれのRは独立して、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
それぞれのRは独立して、水素、またはC〜C置換または非置換アルキルである、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項4】
化合物が式(III):
【化6】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
およびRは独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、C〜C20置換または非置換アリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
、R、R、RおよびRは独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキルから選択され;そしてここで
mおよびpが、同一の整数でないか、もしくは、
、R、R、RおよびRの少なくとも1つが、C〜C置換または非置換アルキルである、のいずれかである、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項5】
化合物が式(IV):
【化7】

式中:
A、R10およびR11は独立して、(CHまたはエテン−1,1−ジイルであり;
nは、1〜5の整数であり;
12およびR13は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルケニルおよびC〜C置換または非置換アルキルからなる群から選択され;
A、R10、R11、R12、R13の少なくとも1つがアルケニル部分を含む、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項6】
化合物が式(V):
【化8】

式中:
nは、1〜8の整数であり;
mは、1〜8の整数であり;
15およびR14は独立して、水素、C〜C置換または非置換n−アルキル、C〜C置換または非置換分岐アルキル、C〜C20置換または非置換アリールまたはヘテロアリール、およびC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルからなる群から選択され;
16およびR17は独立して、水素もしくはC〜C置換または非置換アルキルであり;
ここで:
該化合物は、R17がC〜C置換または非置換アルキルである場合を除いて、3つより多い第2級アミノ基を含まず;
該化合物は、ホスホン酸メチルまたはヒドロキシ部分を含まない、
で表される化合物である、請求項1の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項7】
化合物が式(VI):
【化9】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して1〜5の整数であり;
18およびR19は独立して、
水素、
〜C非置換アルキル、
少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキル、
少なくとも2つの環を含むC〜C24置換または非置換アラルキルまたはヘテロアラルキルから選択され;
ここで、
18およびR19が、少なくとも2つの環を含むシクロアルキルで置換された同一のC〜Cn−アルキル部分であるか、少なくとも2つの環を含む同一のアリール部分である場合、nは1であり、
18およびR19の少なくとも1つは、少なくとも2つの環を含むシクロアルキル基で置換されたC〜Cn−アルキルまたは少なくとも2つの環を含むC〜C24置換または非置換アラルキルである、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項8】
化合物が式(VII):
【化10】

式中:
nは、1〜12の整数であり;
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
qは、0または1であり;
20およびR21は独立して、水素、C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルケニル、−C(=O)−C〜C置換または非置換アルキニル、およびC〜C24置換または非置換アラルキルからなる群から選択され;
ここで該化合物は、t−ブチル、イソプロピル、2−エチルブチル、1−メチルプロピル、1−メチルブチル、3−ブテニル、イソペント―2−エニル、2−メチルプロパン−3−オリル、エチルチイル、フェニルチイル、プロピノイル、1−メチル−lH−ピロール−2−イル、トリフルオロメチル、シクロプロパンカルバルデヒド(シクロプロピルカルボニル)、ハロ置換フェニル、ニトロ置換フェニル、アルキル置換フェニル、2,4,6−トリメチルベンジル、ハロ−S−置換フェニル、パラ−(FS)−フェニル、アジドおよび2−メチルブチルからなる群から選択される、少なくとも1つの部分を含む、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項9】
化合物が式(VIII):
【化11】

式中:
mおよびpは独立して、1〜5の整数であり;
Xは、−(CH−またはシクロヘキサ−1,3−ジイルであり;
nは、1〜5の整数であり;
22およびR23は独立して、水素、n−ブチル、エチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、シクロプロピルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イル、ベンジルからなる群から選択され;
ここで:
nが5である場合、R22およびR23の少なくとも1つが水素であり;
22がエチルである場合、R23が水素、n−ブチル、エチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルおよびベンジルからなる群から選択され;
23がエチルである場合、R23が水素、n−ブチル、エチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルエタ−2−イルおよびベンジルからなる群から選択され;
Xがシクロヘキサ−1,3−ジイルである場合、R22およびR23は同一のベンジルまたはシクロプロピルメチル部分ではない、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項10】
化合物が式(IX):
【化12】

式中:
pは、1〜5の整数であり;
24は、アミノ置換C〜C15シクロアルキル、またはC〜C置換または非置換アルカノイルであり;
25は、C〜C置換または非置換アルキル、またはC〜C24置換または非置換アラルキルである、
で表される化合物である、請求項1に記載の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは水和物。
【請求項11】
化合物が表Aに記載された化合物である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
抗癌剤または抗寄生虫剤としての化合物と、使用説明書を含むキット。
【請求項14】
ポリアミン、ポリアミノグアニジン、ポリアミノビグアニド化合物を、ヒストンデメチラーゼを少なくとも約50%阻害するのに十分な量投与することを含む、ヒストンデメチラーゼを阻害する方法。
【請求項15】
ポリアミノグアニジンまたはポリアミノビグアニド化合物を、ヒストンデメチラーゼを少なくとも約50%阻害するのに十分な量投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物を治療的に効果的な量で投与することを含む、癌を処置する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物を治療的に効果的な量で投与することを含む、非制御細胞増殖を処置する方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物を治療的に効果的な量で投与することを含む、寄生虫感染を処置する方法。
【請求項19】
ヒストンデメチラーゼ酵素を阻害する方法であって、該酵素を阻害するのに十分な量で、1または2以上の請求項1に記載の化合物を、該酵素に接触させることによる、前記方法。
【請求項20】
化合物が、少なくとも1つのグアニジン部分または少なくとも1つのビグアニド部分を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
酵素がリジン特異的デメチラーゼ−1である、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2009−509922(P2009−509922A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526193(P2008−526193)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/031198
【国際公開番号】WO2007/021839
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(508041161)ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ (2)
【出願人】(508041172)ウェイン ステイト ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】