説明

抗微生物作用リン酸ガラス

本発明は、酸化物ベースに対する重量%で以下の組成、すなわちPを66重量%超、80重量%以下、SOを0〜40重量%、Bを0〜1重量%、Alを6.2重量%超、10重量%以下、SiOを0〜10重量%、NaOを9重量%超、20重量%以下、CaOを0〜25重量%、MgOを0〜15重量%、SrOを0〜15重量%、BaOを0〜15重量%、ZnOを0重量%超、25重量%以下、AgOを0〜5重量%、CuOを0〜10重量%、GeOを0〜10重量%、TeOを0〜15重量%、Crを0〜10重量%、Jを0〜10重量%、Fを0〜3重量%含む、抗微生物作用リン酸ガラスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物作用を有するリン酸ガラスをベースとする抗微生物性ガラス、それから得られるガラスセラミックスおよびセラミックス、ならびにガラス粉末およびガラスセラミックス粉末に関する。ガラス粉末という概念は、本明細書ではガラス繊維、ガラス顆粒、ガラス玉をも含むものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非常に少量のSiOと非常に多量のBないし多量のPを含む化粧品に使用される水溶性ガラスが記載されている。これらのガラスの銀濃度は、0.5重量%未満である。これらのガラスは極端に低い耐加水分解性をもち、水中で完全に溶解するという欠点を有する。これらのガラスの抗菌作用は、遊離したAgイオンおよび/またはCuイオンによって引き起こされる。
【0003】
特許文献2には、Cu、AgおよびZnから組み合わせた創傷感染治療のための抗微生物性物質として使用される銀含有リン酸ガラスが記載されている。これらのガラスの欠点は、これらのガラスが完全に水に溶解することに示される低い耐加水分解性である。これらのガラスは、耐加水分解性の調整に必要なAlを含んでいない。さらに34モル%を有するNaOの濃度は非常に高い。このことは、ガラスの反応性が非常に高く、比較的早く完全に溶解することを意味する。
【0004】
リン酸ガラスないしホウリン酸ガラスは、下記の特許文献3および特許文献4、特許文献5、特許文献6からもよく知られている。
【0005】
この系では、低過ぎる化学耐性と結びつく、その高過ぎる反応性が不利である。
【0006】
特許文献3は、後の工程段階でAgOを用いて抗微生物性にされるガラス繊維を記載している。特許文献3からよく知られているガラス組成は、少量のNaOを有する。特許文献3ないし対応する米国特許(特許文献7)では、比較的高いアルカリ含有量が、KOおよび/またはLiOを使用することによって達成される。しかしこのことは、ガラス組成に混合アルカリ作用が現れる可能性があるという欠点を有する。このことは、結果として非線形の反応性変化を伴う。したがって反応性をもはや厳密に調整することはできない。
【0007】
特許文献4および特許文献5は、同じく、後続の工程段階でAgOによって抗微生物性にされるガラス組成を記載している。特許文献4ないし対応する米国特許(特許文献8)ならびに特許文献5からよく知られているガラスは、Bの割合を有するホウリン酸ガラスである。特許文献5は、さらに、ガラス中の比較的低いリン含有量を特徴としている。
【0008】
特許文献6は、ZnOを非常に高い濃度で含む(35〜45モル%ZnO)ガラスを記載している。この高いZnO濃度は、ガラスの化学耐性にマイナスの影響を及ぼす。このガラスは、長時間の安定性が不十分である。
【0009】
追加でAgOが添加される全てのガラス組成物では、銀ないし銀塊がガラス相の表面に積層した複合材が形成されるので、銀は均一には分布されない。
【0010】
特許文献9には、銀を添加することによってのみその抗微生物作用が達成される可溶ガラスが記載されている。特許文献9のガラスは、その上Znがない。このことは、亜鉛が所望の抗微生物作用に相乗的に寄与するために不利である。
【特許文献1】米国特許第5290554号明細書
【特許文献2】米国特許第6143318号明細書
【特許文献3】特開2001−247333号公報
【特許文献4】特開2001−247336号公報
【特許文献5】特開2001−247335号公報
【特許文献6】特開平08−175843号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2001/0023166号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2001/0006987号明細書
【特許文献9】特開平04−338129号公報
【特許文献10】国際公開第03/062163号パンフレット
【非特許文献1】VDI−Lexikon Werkstoff−Technik(1993)、375〜376頁
【非特許文献2】Bart Gottenbos et al.、Materials in Medicine 10 (1999) 853〜855頁、Oberflaeche von Polymeren
【非特許文献3】Speier et al.、Journal of Colloid and Interface Science 89 68〜76頁(1982)
【非特許文献4】Kenawy et al.、Journal of controlled release 50、145〜52頁(1998)
【非特許文献5】欧州薬局方(第3版)
【非特許文献6】T.Bechert、P.Steinruecke、G.Guggenbichler、Nature Medicine、第6巻、8号、2000年9月、1053〜1056頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の第1の課題は、従来の技術の欠点をなくし、抗微生物作用、高い化学耐性ならびに高い反応性を有するガラス組成物を提供することである。
【0012】
本発明の第2の課題は、アルカリはないが、それでも十分な抗微生物作用ないし高い化学耐性を有するガラス組成物を提供することである。
【0013】
抗微生物作用とは、ここでは、細菌、菌類、藻類、酵母菌などを含む殺生物作用ないし生物静力学作用と理解される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題は、請求項1に記載のガラス組成物、請求項24に記載のガラスセラミックスないし請求項25から29の一項に記載のガラス粉末またはガラスセラミック粉末によって解決される。
【0015】
本発明の抗微生物性リン酸ガラスは、従来の技術のガラスに比べてNaOの割合が高いことを特徴としている。それによって、改良された反応性が殺生物イオンの均一な放出と結びつき、これらのガラス内にAgまたはZnなどの抗微生物性イオンが大変良好に遊離されるので、したがって従来の技術に比べてより高い抗微生物作用が達成される。このようなガラスの別の利点は、9.0%超のNaOの含有量がガラスのTgを下げることである。Tgとは、非特許文献1などに記載されているように、ガラスの転移温度と理解される。このことは、ガラスを比較的低い温度で溶融させることを可能にする。
【0016】
さらに、NaOによって熱膨張率αが上昇するので、ポリマーとの熱安定性が改良される。
【0017】
ガラスポリマー複合体では、PEEKなどの高温ポリマーへの、少なくとも部分的な溶融が可能である。Naを単独で使用する以外に、KまたはLiなどの別のアルカリを使用することも可能である。
【0018】
上記の課題は、請求項13に記載の広範にアルカリがないガラス組成物、請求項24に記載のガラスセラミックス、ないし請求項25から29のいずれか一項に記載のガラス粉末またはガラスセラミックス粉末によって解決される。
【0019】
本発明の第2の態様の組成物は、さらに、それらはほとんどスズがない、すなわち不純物を除いてSnが含まれないことを特徴としている。ガラス中のSnは、イオンのAg+の金属銀への還元を促進するので、Sn含有ガラスは望まれない着色をする。
【0020】
さらに、請求項40から43に記載のプラスチックガラスないしガラスセラミック複合体が好ましくは使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のガラス組成では、AgOを導入する場合に、AgOは従来の技術とは異なりガラス内に均一に分散する。
【0022】
不純物を除いてガラス組成中に銀が存在しない場合には、すなわちAgO=0重量%となる場合には、このガラスは、抗微生物作用を達成するために好ましくは5重量%を超えるZnOを含む。
【0023】
このことは特に、銀が酸化作用を示さない形で例えば硝酸銀としてガラスに添加されず、酸化条件下で溶融されず、ガラスの着色が阻止される場合に好ましい。そのような銀含有ガラスでは、光を照射するかレドックス法などによって、ガラスが着色することがあり得るからである。
【0024】
銀の添加は、非常に頻繁にガラスの着色を招く。銀を酸化作用を示さない形の混合物、例えば硝酸銀(AgNO)としてガラスに添加する場合に、そのような着色を避けることができる。さらにこのガラスは、ガラス内で酸化状態が達成され、したがってAgの金属Agへの還元をなくすために、好ましくは酸素発泡を用いるなどの酸化条件下で溶融される。このことは、酸化的溶鉱炉調整によるような槽調整によっても達成することができる。そのようなプロセスを実施することで、銀を添加する場合に、ガラスの着色も、続く加工でのポリマーの着色もなくすことができる。アルカリ、アルカリ土類などの別の成分も、硝酸塩、過酸化物などのように好ましくは酸化作用成分として添加することができる。
【0025】
アルカリ、アルカリ土類などの別の成分も好ましくは硝酸塩として原料混合物に添加することができる。
【0026】
硝酸塩の総含有量は、好ましくは0.5または1.0重量%を超え、特に好ましくは2.0重量%を超え、非常に好ましくは3.0重量%を超える。
【0027】
ガラスの着色を伴わない乃至ほとんど伴わない強い抗微生物作用が要求され、硝酸塩などの酸化作用添加剤を溶融時に混合物に添加することができない場合には、1重量%以下の銀濃度が特に好ましい。
【0028】
一発展形態では、少量のアルカリを含むガラス組成の場合には、このガラス組成はアルミニウムがなく、亜鉛以外の重金属もない。亜鉛を添加することによって、そのようなガラス組成では抗微生物作用が強化される。
【0029】
ガラス組成物ないしそれから得られるガラスセラミックスないしそれから得られるガラス粉末ないしセラミックス粉末は、化粧品や医薬品における使用で、毒性上問題がなく、Znを除く重金属がない。
【0030】
ガラスが直接人、特に皮膚組織または体液と接触する分野における使用に関しては、アルカリがなく、アルミニウムがない特別な組成が適している。
【0031】
ガラス組成物ないしそれから得られるガラスセラミックスは、製品自体の保存または外部への抗微生物作用を達成するため、すなわち抗微生物作用物質、特に亜鉛または銀などのイオンを遊離するために使用される。
【0032】
着色およびラッカ塗布などにおいて製品中の抗微生物作用/殺生物作用を利用できるようにするための、ガラス組成物ないしガラスセラミックスないしガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末の使用に関しては、毒性上問題のないことが前提条件ではない。この場合には、組成はCrまたはCuOを含み得る。
【0033】
本発明のガラス組成物ないしガラスセラミックスないしガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、製品自身の保存および/または外部への抗微生物作用を達成するため、すなわち抗微生物作用物質、特に亜鉛または銀などのイオンを遊離するために使用される。
【0034】
ガラスないしガラスセラミックスないしガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、耐加水分解性が十分に高い場合にはコーティング、すなわち保護膜としてポリマーに塗布することができる。
【0035】
製品中の抗微生物作用/殺生物作用を利用できるようにするために、ガラス組成物ないしガラスセラミックスないしガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末を着色およびラッカ塗布などで使用する場合には、毒性上問題のないことが前提条件ではなく、この組成はCrまたはCuOを含み得る。
【0036】
アルカリがない組成は、特定のプラスチックまたはラッカで、ポリマー鎖が切れず、それによって重合物質が局所的に破壊されないという特定の条件下で使用する場合に有利である。
【0037】
それによって、重合物質の機械的および光学的性質が、不利な影響を受けないことが確かめられた。
【0038】
特にポリカーボネートなどのポリマー鎖は攻撃されないので、ポリカーボネートの機械的および光学的性質は、混和剤としての本発明のガラス粉末によって不利な影響を受けない。
【0039】
従来の技術からよく知られているケイ酸ガラスに比べて、ここに記述されているリン酸ガラスは、より反応性が高く、したがってより良い抗微生物作用を有する。さらに、ここに記述されているリン酸ガラスは、Tgがより低く、したがって比較的低い温度で容易に加工することができる。
【0040】
さらに、ここに記述されている比較的低い温度で溶融するガラスを高溶融ポリマーと混合すると、ガラスは一部または完全に溶融するので、ガラスはポリマーへの内的結合を形成し、このことはポリマー内に非常に均一に分散することを招く。記述されているようなガラスの溶融は、本発明のポリマーガラス複合材を、殺生物性質をもつプラスチック中間材料ないしプラスチック製品に加工する場合などに達成することができる。それに関しては、特にポリマーガラス複合材の押し出し成形による溶融を参照することが望ましい。この溶融によって抗微生物作用が増大し、ポリマーガラス複合材のより高い強度が達成される。さらに、この材料の可燃性ないし温度耐性が上昇する。特許文献10などの従来の技術からよく知られていて、プラスチックに混和することができるケイ酸ガラスでは、そのような溶融は観察されない。さらにそのような混合物の抗微生物作用は、プラスチックに本発明のガラスを混合する場合より明らかに低くなる。
【0041】
本発明のガラス組成は、さらに消炎性および創傷治癒性を有する。このことは、化粧品、医薬品の分野で使用する場合に特に有利である。
【0042】
アルカリ含有ガラス組成は、酸化物ベースに対する重量%で以下の成分を含んでいる。
66重量%超、80重量%以下
SO 0〜40重量%
0〜1重量%
Al 6.2重量%超、80重量%以下
SiO 0〜10重量%
NaO 9重量%超、20重量%以下
O 0〜25重量%
CaO 0〜25重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0重量%超、25重量%以下
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜3重量%
【0043】
NaOの含有量は、好ましくは9.5重量%超、特に好ましくは10重量%超、非常に好ましくは10.5重量%超である。非常に好ましい実施形態は、11重量%超ないし11.5重量%超のNaOを含む。
【0044】
アルカリ含有ガラス組成は、Naを含む場合には、不純物を除いてLiおよびKがないことが好ましい。
【0045】
本発明の第2実施形態では、アルカリがないガラス組成は酸化物ベースに対する重量%で以下の成分を含んでいる。
66重量%超、80重量%以下
SO 0〜40重量%
0〜1重量%
Al 0〜3.9重量%
SiO 0〜10重量%
CaO 0〜25重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 1〜25重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜3重量%
【0046】
その場合に総アルカリ含有量は、0.4重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、非常に好ましくは0.01重量%未満であり、この組成は不純物を除いてほとんどSnがない。
【0047】
前述のガラス組成から出発して得られる本発明のガラスないしガラスセラミックスまたはガラス粉末では、驚いたことに記述された組成範囲で十分な化学耐性、高い反応性および肌にとって中性の値ないしpH中性値が確認された。このガラス、特にガラス粉末は、殺生物作用を、少なくとも生物静力学作用を有する。水溶液で肌にとって中性の値ないしpH中性値であることに基づいて、ガラスないしそれから得られるガラス粉末ないしそれから得られるガラスセラミックスまたはそれから得られるガラスセラミックス粉末は、人との接触で皮膚に調和する。さらにこのガラスは、毒性上問題がない。重金属の負荷は、好ましくはPbで20ppm未満、Cdで5ppm未満、Asで5ppm未満、Sbで10ppm未満、Hgで1ppm未満、Niで10ppm未満が好ましい。水と接触する場合に、本発明のガラスでは、ガラス表面と液状媒体間でNaイオンまたはCaイオンなどのイオン交換が起こる。ガラスを形成する、すなわち網目を形成するP成分を変えることによって、反応性ないし溶解速度を調節することができる。イオン交換およびガラスの溶解によって殺生物イオンの遊離度を調節することができる。ガラスの化学耐性を要求に応じて得るため、すなわち低過ぎない耐加水分解性を得るために、アルカリ含有ガラスはAlを好ましくは6重量%超の濃度で含む。好ましくはNa/Alの比率は、2:1〜1:1重量%である。NaとAlは、1:1のモル比でガラス網目の構成に寄与する。そして過剰のNaは網目修飾成分の働きをする。したがって、Na/Alの比率によってガラスの反応性を直接調節することができる。
【0048】
アルカリ含有ガラス組成に、NaOやCaOをも適切に導入することによって、NaO含有量が高いと網目は緩くなり、したがってZn、Agのような導入された殺生物イオンが容易に放出されるようになるので、網目形成は停止し、ガラスの反応性を調節することができる。ガラスマトリクスがNaOを単独で含む場合には10重量%超のNaO含有量が特に好ましく、およびNaOとCaOの導入ではNaO>5重量%ならびにCaO>5重量%が特に好ましいと判明した。
【0049】
アルカリがないガラス組成の場合には、網目修飾アルカリ土類イオンを適切に導入することによって、アルカリ土類含有量が高いと網目は緩くなり、したがってZnのような導入された殺生物作用イオンが容易に放出されるようになるので、網目形成は停止し、ガラスの反応性を調節することができる。
【0050】
水溶液中のNaイオンないしCaイオン、ならびにガラス網目形成に寄与しないホスホルオキシドのOH基のイオン交換によって、pH値を肌にとって中性の値に調節することができる。ガラス網目形成に寄与しないホスホルオキシドのOH基の割合は、一方では混合物組成によって決められ、他方では溶融時間などの溶融パラメータ、原料の純度などの影響を受ける。
【0051】
アルカリなしではないガラス組成で、NaO含有量ならびにCaO含有量を、P含有量ないしガラス網目構成に寄与しないホスホルオキシドのOH基に対して、適切に調整することによって、水と接触しているガラスのpH値を、ガラス組成を変化させることによるか溶融パラメータを変えることによって厳密に調節することができる。4.0〜7.0の広いpH値範囲にわたる調節が達成される。
【0052】
アルカリがないガラス組成では、CaO含有量を、P含有量ないしガラス網目構成に寄与しないホスホルオキシドのOH基に対して、適切に調節することによって、水と接触しているガラスのpH値を、ガラス組成を変化させることによるか溶融パラメータを変えることによって厳密に調節することができる。4.0〜8.5、特に好ましくは4.5〜7の広いpH値範囲にわたる調整が達成される。
【0053】
Caは特別な機能を果たすので、5重量%超のCaOの割合を含むガラスが特に好ましい。Caが存在する場合には、ガラスは生物活性となり得る。この生物活性は、とりわけ粒子表面に鉱物膜、所謂ヒドロキシアパタイト膜を形成することを特徴としている。この膜は人の組織体の硬質組織に非常によく似ていて、したがって硬質組織にも軟質組織にも非常に良く適合する。
【0054】
ガラスの抗微生物作用が亜鉛のようなイオンまたは少量の銀によって引き起こされるガラス組成が存在する場合には、アルカリ含有ガラスではこの抗微生物作用は、さらにNa、Kのような遊離アルカリイオンまたはアルカリ土類イオンによって、アルカリがないガラスでは、CaまたはBaなどのアルカリ土類イオンによって促進される。細胞の浸透平衡が破壊されるので、抗微生物作用が現れる。非常に好ましい実施形態では、ガラス組成はCaおよびZnを、重量%で1:1〜1:2の比率で含む。例えばこれは、8重量%のCaOと8.5重量%のZnOを含む実施形態によって達成される。
【0055】
この1:1〜1:2の比率でCaおよびZnを含む好ましい実施形態は、一方では所望の抗微生物作用を有し、他方では特に「生体適合性のある」、すなわち特に身体組織との接触に適合することを特徴としている。
【0056】
毒性上問題がないことを特徴とする本発明の実施形態は、肌に塗るためのクリームないしローションまたは類似の提供形での使用に特に適している。
【0057】
医療の分野では、美容および医療分野での皮膚紅斑、刺激などの皮膚炎症の低下ないし回避、ならびに創傷手当が可能性のある利用である。
【0058】
その他の適用分野は、食品の保存である。
【0059】
医療、美容などの分野での利用などの、ガラス、それから得られるガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末が人と接触する分野での適用に関しては、ガラスは好ましくは別の重金属を含まない。そのような適用例では、好ましくは特に純粋な原料が使用される。
【0060】
本発明のガラスないしそれから得られるガラス粉末ないしこの出発ガラスから得られる本発明のガラスセラミックスの殺生物作用ないし生物静力学作用は、液状媒体、特に水中でのイオンの遊離によって引き起こされる。ガラスないしそれから得られるガラス粉末およびガラスセラミックスは、細菌、菌類、ならびにウィルスに対して殺生物作用を示す。この作用は、特に亜鉛の存在によるものである。
【0061】
直接人と接触しない分野での利用に関しては、本発明のガラスないしガラス粉末ないしガラスセラミックスは、特に強い殺生物作用を達成するために、重金属イオンも比較的高い濃度で含むことができる。そのような重金属イオンは、Ag、Cu、Ge、TeおよびCrである。本発明のガラスないしガラス粉末ないしガラスセラミックスは、ポリマー、塗料およびラッカに添加することができる。
【0062】
本発明のガラスまたはそれから得られるガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の好ましい利用分野は、殺生物作用ないし生物静力学作用を達成するためのポリマーへの使用である。一方ではポリマー自身の保存が中心になり、これはすなわち、ポリマーを細菌および菌による発病から保護することである。さらにそれによって生物静力学ないし殺生物性ポリマー表面を作り上げることができ、その場合にイオンなどの出来る限り殺生物作用のない物質が周囲に放出される。別の目的は、特に殺生物作用物質を遊離するポリマーを提供することである。
【0063】
したがって本発明の別の態様では、以下のものを含むプラスチックガラス複合材が提供される。
−プラスチック材料
−前述のアルカリ含有またはアルカリがないガラス組成をベースにした
−ガラスおよび/またはガラスセラミックス
【0064】
驚いたことに、本発明の好ましい実施形態では、ガラスマトリクスにアルカリが存在しない場合でも、アルカリがないガラスを使用する際に強い抗微生物作用が達成されることが判明した。アルカリイオン量によって通常ガラスの反応性が調節され、したがって抗微生物作用の強度は時間的にも定量的にも調節できる。ここに記述されているアルカリがないガラスでは、アルカリイオンなしでも様々な反応性に調節することができる。本発明のアルカリがないガラスでは、ガラス表面における反応によって、ガラスのアルカリ土類が水性媒体のHイオンと交換する。Znなどの抗微生物作用イオンを添加することによって、ガラス組成の抗微生物作用はさらに強化することができる。したがって本発明のガラス組成物ないしガラスセラミックス組成では、アルカリ土類含有量を変えることによって、ならびに抗微生物作用亜鉛自身によっても抗微生物作用を調節することができる。
【0065】
アルカリがないガラス組成またはポリマー中のそのようなガラス組成から成るガラスセラミックスまたはガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を使用する場合にも、アルカリ含有のそれらを使用する場合にも、ポリマーによってカプセル化されるので、これが水性媒体の遮蔽に基づいて不十分な抗微生物性しかないことが予想される。驚いたことに、しかし非常に少量のAgおよび/またはZn、Cr、Cuのような別の殺生物イオンを添加しただけで、ポリマーマトリクス中のガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末の著しい抗微生物作用が現れることが判明した。
【0066】
このことは、従来の方法で製造されるポリマーの非常に少量の水分量ですでに、銀イオンおよび/または別の殺生物イオンをガラスマトリクス中で「活性化」し、そのようにして長時間の抗微生物作用を達成するのに十分であるので、驚くべきことである。
【0067】
そのようなガラス組成、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を含むポリマーガラス複合体を加熱すると、ガラスはそれぞれ調整された加工温度にしたがって部分的に溶融し、それによって抗微生物作用が増大する。強度などの複合材の別の性質もプラスの影響を受ける。
【0068】
本発明の一発展形態では、ガラス組成はCaおよびZnをも含み、CaOおよびZnOの総量は、このガラス組成中5〜40重量%の範囲にあるように計画される。好ましくはこの総量でのZnO量は、0.1重量%を超え、好ましくは1重量%を超える。
【0069】
先に記述されているように、本発明の組成を有するガラスないしそれから得られるガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、ポリマー内で生物静力学作用ないし殺生物作用を示す。これは、ポリマーを保存するため、特に菌による発病または細菌による破壊から保護するために利用することができる。ポリマーに抗微生物性表面を備えることも考えられる。そのような抗微生物性表面は、抗微生物作用物質、特にイオンを外部へ、すなわちポリマー表面の外側へ出来るだけ遊離ないし放出しないようにするものである。
【0070】
本発明のガラスは、特にアルカリがないガラスでも、抗微生物作用イオンがポリマーマトリクスからゆっくり遊離することも可能にする。
【0071】
その場合にポリマーの水分量ならびにポリマーマトリクス中を移動するイオンの拡散が重要な役割を果たす。一般にここではガラスマトリクス中の殺生物イオン量ないしポリマー中のガラス濃度も前述の利用でのものより高い。この遊離は、ガラスの一部または完全な溶解に関連付けることができる。特に好ましい実施形態では、ポリマーマトリクスも一部または完全に溶融する。これは特にポリマーマトリクスが水溶性の場合である。
【0072】
本発明の一発展形態では、ガラス、それから得られるガラスセラミックス、ならびにそれから得られるガラス粉末またはガラスセラミックス粉末が、耐加水分解性が十分な場合にはポリマーそのものに含まれるだけでなく、コーティング、すなわち保護膜としてポリマーに塗布され得ることが意図される。
【0073】
ポリマーとの相容性を保証し、反応性を調節するために、CaO量は好ましくは1重量%を超え、好ましくは7.7重量%を超える。1重量%を超えるCaO量のその他の利点は、ガラスの温度耐性を増大することである。
【0074】
ここに記述されているガラスのその他の利用分野は、塗料およびラッカでの使用である。目的は、塗料の保存および/または、黴が着いた面の被害などでの殺生物/生物静力学膜または殺生物作用の外部への達成である。
【0075】
高いリン含有量に基づいて、本発明のガラス、ガラス粉末、ガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末は、イオン交換ないしイオン遊離による殺生物作用以外に生物活性作用をも有する。本発明のガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、したがって特に生体適合性がある、すなわち特に身体組織に適合するものである。
【0076】
好ましい実施形態では、Znを完全または一部好ましくはCaによって、しかしMgによっても代用することで重金属量を減少することができる。そのような物質は、良好な環境適合性を保証する。
【0077】
本発明のガラス、ガラス粉末、ガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末では、ガラス表面における反応ないしガラスの局部的溶解によってイオンが交換ないし遊離される。したがって抗微生物作用は、とりわけイオンの遊離に因るものである。イオン交換ないしイオン遊離による抗微生物作用は、細胞の成長を遅らせる。
【0078】
系内に組み込まれた抗微生物ガラス表面は、放出以外にある役割も果たす。ガラス表面の抗微生物作用は、同様に抗微生物作用イオンの存在に因るものである。しかしさらに、表面電荷、すなわち粉末のゼータポテンシャルは、特にグラム陰性菌の抗微生物作用を有し得ることもよく知られている。正の表面電荷は細菌を引きつけるが、グラム陰性菌は正のゼータポテンシャルを有する表面では成長しない、すなわち増殖できないので、したがって抗微生物作用は、グラム陰性菌への正の表面電荷から出発している。これに関しては、非特許文献2を参照することが望ましい。
【0079】
正の表面電荷をもつ粉末中の抗微生物作用は、非特許文献3、非特許文献4に記載されている。ガラスを形成する、すなわち網目を形成するP成分を変えることによって、ガラスの溶解速度を調節することができる。イオン交換およびガラスの溶解によって殺生物イオンの遊離度を調節することができる。
【0080】
特に水溶液のリン酸塩の遊離によって、pH値を適切に、特に肌にとって中性の値に調節することができる。
【0081】
アルカリ含有ガラスでZnOまたはCaOのようにNaOを適切に導入することによって、高いNaO量では網目が緩くなり、したがってZn、Agなどの導入された殺生物作用イオンが容易に放出されるので、網目形成が停止し、ガラスの反応性が調節される。アルカリがないガラスでは反応性は、CaOまたはZnOを適切に導入することによって制御される。CaOまたはZnOなどのアルカリ土類イオンを適切に導入することによって、高いCaO量では網目が緩くなり、したがってZn、Agなどの導入された殺生物作用イオンが容易に放出されるので、網目形成が停止し、ガラスの反応性が調節される。Caが存在する場合にガラスは生物活性になるので、特に5重量%を超える重量部を有するCaOを含む本発明のガラスが特に好ましい。特に好ましい実施形態は、CaおよびZnを1:1〜1:2重量%の比率で含む。
【0082】
水溶液中でのNaイオンないしCaイオンのイオン交換によって、pH値はpH=7などの中性値に調節することができる。P量が増加するか、溶融時間などの溶融パラメータ、原料の純度などによって、例えばホスホルオキシドの遊離OH基の割合が変わることによってガラスの網目が変化する場合には、弱酸性環境へずれることも起こり得るので、pH=5.5の肌にとって中性なpH値が生じる。
【0083】
網目形成成分P量に対してNaO量ならびにCaO量を適切に調整することによって、水と接触しているガラスのpH値を、ガラス組成を変えることによって厳密に調節することができるようになる。4〜8の広いpH値範囲にわたる調節が達成される。
【0084】
本発明のガラスないしそれから得られるガラス粉末ないしこの出発ガラスから得られる本発明のガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末の殺生物ないし生物静力学作用は、液状媒体、特に水中でのイオン遊離によって引き起こされる。ガラスないしそれから得られるガラス粉末およびガラスセラミックスは、細菌、菌類ならびにウィルスに対して殺生物作用を有する。
【0085】
ここに記述されているガラスから、ガラスセラミックスないしセラミックスが得られる。これは続いて、中間材料(ガラス帯状物またはリボンなど)またはガラス粉末またはガラス繊維などの製品で可鍛化工程を行うことによって製造される。この可鍛化工程に続いて、所望の粒径に調節するために新たな粉砕が必要となり得る。
【0086】
粉砕プロセスを用いてガラス組成は、100μm未満の粒径のガラス粉末に粉砕される。50μm未満ないし20μm未満の粒径が適切であると判明した。10μm未満ならびに5μm未満の粒径が特に適している。2μm未満の粒径が非常によく適していることが判明した。
【0087】
この粉砕プロセスは、乾燥でも、非水溶性粉砕媒体ないし水溶性粉砕媒体を用いても実施することができる。
【0088】
特定の効果を組み合わせるために、異なる組成および粒径を有する組成範囲から成る異なるガラス粉末を混合することができる。
【0089】
それぞれ粉末の粒径、濃度および組成にしたがって、4.0〜8.0のpH値が達成される。
【0090】
異なる組成および粒径を有するガラス粉末の混合は、個々のガラス粉末の特別な性質を調整するために相乗的に組み合わせることができる。したがって、例えば粒径によってガラス粉末の抗微生物作用を制御することが可能である。
【0091】
このガラス粉末のガラスは、網目形成体としてPを含み、その場合に橋かけ度はとりわけ溶融パラメータの影響を受けやすい。
【0092】
NaOは、アルカリ含有ガラスでは融剤として、ガラスが溶融する際に投入される。5重量%未満の濃度の場合には、溶融挙動はマイナスの影響を受ける。さらにイオン交換に必要な機構は、もはや抗微生物作用を達成するには十分ではない。30重量%より高いNaO濃度の場合には、化学耐性が低過ぎるか、反応性が高過ぎる。さらに溶融挙動はマイナスの影響を受ける。
【0093】
アルカリ含有ガラスでは、ガラス網目を構成するためにアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物が必要である。ガラス組成中のアルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物の割合によって、このガラスでガラスに所望の反応性を調節することができる。
【0094】
アルカリがないガラスでは、ガラス網目を構成するためにアルカリ土類酸化物が必要である。ガラス組成中のアルカリ土類酸化物の割合によって、ガラスに所望の反応性を調節することができる。
【0095】
Caが存在する場合にガラスは身体組織に対して特に適合するので、特に5重量%を超える重量部を有するCaOを含む本発明のガラスが特に好ましい。
【0096】
Al量は、結晶化安定性の化学耐性を高め、抗微生物作用を制御するのに役立つ。これはその他にガラス網目の構成に一部寄与する。Alは好ましい実施形態では、アルカリ含有ガラス組成に6.2重量%を超えて添加される。アルカリ含有ガラスでは、6.2%未満のAl量の場合には、反応性は高過ぎ、すなわちこのガラスはあまりに速く消散してしまい、したがって抗微生物性イオンの遊離における長時間の作用が達成されない。
【0097】
アルカリがないガラスの場合には、3.9重量%未満の非常に少ないAl量によってアルカリがないガラスの反応性が高くなるので、驚くことに抗微生物性イオンの遊離における長時間の作用が達成される。したがってAl量によってアルカリ含有ガラスでもアルカリがないガラスでも抗微生物性イオンの遊離における長時間の作用が達成される。
【0098】
ZnOは、ガラスの高温成形性に関する重要な成分である。これは結晶化安定性を改良し、表面張力を高める。
【0099】
ZnOは抗微生物性を有し、本発明の好ましい形態では抗微生物作用を達成するために使用され、すなわち亜鉛を除いて他の重金属がない組成の場合に好ましい。
【0100】
さらに、これは炎症を抑え創傷を治療する効果を促進することができる。炎症を抑え創傷を治療する効果を達成するために、20重量%までのZnOを含むことができる。好ましい実施形態は、10重量%超のZnOまたは12重量%超のZnOを含む。抗微生物作用のある純ガラスでは、ガラスマトリクスは亜鉛なしで構成することもできる。Znの代わりにこのガラスは好ましくはCaを含む。この場合には抗微生物作用は、ガラスマトリクスに導入されるAg、Te、Ge、Cr、Cuなどの殺生物作用イオンによって達成される。それに適合する物質は、AgOまたはCuOである。
【0101】
溶融プロセス中にガラスマトリクスに直接導入する以外に、このイオンは、イオン交換によってもガラス表面領域のみに導入することができる。
【0102】
AgO、CuOは、基本ガラスの抗微生物作用を強化するために、抗微生物作用添加剤として添加することができる。
【0103】
本発明のガラスは、皮膚に炎症を起こす作用を生じさせない。
【0104】
pH作用、表面効果による作用、およびAg、CuまたはZn放出を組み合わせることによって、個々の作用の合計を遙かに越えるほどの抗微生物作用の著しい増大が達成される。製品中の遊離Ag、Cu、Znイオン濃度は、この場合明らかに1ppm未満である。
【0105】
その場合のAg、Cu、Znの導入は、溶融の際に相当する塩によって行うかまたは溶融後ガラスのイオン交換によって行うことができる。
【0106】
塗料およびラッカで使用される場合などで色の効果を達成するために、Fe、CoO、CuO、V、Crなどの単独または複数の色を与える成分が、4重量%未満、好ましくは1重量%未満の総濃度でガラスに添加される。
【0107】
要求される組成範囲にある組成を有するガラス、ガラス粉末、ガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末は、衛生紙類、化粧品、塗料、ラッカ、モルタル、医薬品、美容利用、食品添加物の分野、ならびに脱臭製品、制汗剤での使用、ならびに皮膚炎症、急性および慢性創傷の治療用製品、ならびに歯の手入れ/歯の衛生および口腔清掃/口腔衛生分野ならびに歯の充填、歯冠、装入物などのデンタル製品への使用に関する全ての要求を満足する。
【0108】
ガラス粉末は、それぞれ適する形で使用することができる。異なる組成を有する組成範囲から成る異なるガラス粉末を混合することは、同じく可能である。特定の効果を組み合わせるために他のガラス粉末と混合することも、同じく可能である。
【0109】
フッ素のような成分は、それぞれ利用分野にしたがって、ガラスに合計5重量%の濃度まで添加することができる。この実施形態は、抗微生物および炎症抑制作用の他に、この実施形態によって、エナメル質を硬くするフッ素が少量の濃度で遊離できるので、特に歯の清掃および歯の衛生の分野での使用が見出される。
【0110】
デンタル分野での特に好ましい利用は、記述されているガラスをデンタル製品に使用することである。本発明のガラスを単独で、または歯の充填、歯冠、装入物用の他の材料と組み合わせて使用することが特に適している。この場合に本発明のガラスないしガラスセラミックスおよびそれから得られるガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末を、重合物質との複合材として使用することが特に好ましい。
【0111】
記述されているガラスのポリマー分野での使用は、これによって限定されるものではなく、特にバイオガラスの添加に適するポリマーが存在する。このものは、特にPMMA、PVC、PTFE、PEEK、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、PGA生分解性ポリマー、LGA生分解性ポリマーまたはバイオポリマーコラーゲン、フィブリン、キチン、キトサン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリ尿素、ポリウレタン、有機フルオロポリマー、ポリアクリルアミドおよびポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリスチレンおよびスチレン共重合体、ポリビニルエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニリデンクロライド、ビニルポリマー、ポリオキシメチレン、ポリアジリジン、ポリオキシアルキレン、合成樹脂ないしアルキル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂または不飽和ポリエステル樹脂、導電性高分子、高温高分子、無機高分子、ポリフェニルオキシドシリコーン、セルロース、セルロースエステル、セルロースエーテル、酵素、ゼラチン、天然樹脂、核酸、多糖、タンパク質、絹糸、澱粉または羊毛などのバイオポリマーである。
【0112】
好ましくは本発明のガラスは、ポリカーボネートなどのアルカリ感応性ポリマーとの使用においては、少量のアルカリを有するか、好ましい実施形態ではアルカリがない。
【0113】
特に、ポリマー中の抗微生物性添加剤としてなどの、以下の製品での使用が適している。
【0114】
すなわち、
切断板、
手袋、
ゴミ箱、
ナイフのグリップ、
食器、例えば箸、
錠剤、
テーブルクロス、
織物用繊維、
【0115】
冷蔵庫、
自動食器洗い機、
洗濯物用乾燥機、
洗濯機、
電話、
キーボード、
アイロン、
炊飯器、
【0116】
ハンドル、
自動車計器、
肘掛け、
鍵、
ドア取っ手、
灰皿、
変速レバー、
スイッチ、
【0117】
ボールペン、
フロッピー(登録商標)ディスク、
オーディオビデオカセット、
コンパクトディスク(CD)、
クリップボード。
【0118】
さらにそのようなガラス、ガラスセラミックス、ガラス粉末、またはガラスセラミックス粉末は、衣料産業分野での、好ましくは化学繊維への添加剤としての使用も見出される。
【0119】
すなわち、
衣類、
靴下、
下着、
ハンカチ、
トイレタオル、
壁布、
枕カバー、
枕詰め物、
水着、
水泳帽への使用が考えられる。
【0120】
本発明のガラス、本発明のガラスセラミックス、それから得られるガラス粉末またはガラスセラミックス粉末を含むことができる化学繊維ベースまたはポリマーベースのその他の製品は、
【0121】
床用絨毯、
コンタクトレンズ、
コンタクトレンズホルダー容器、
遊び場用砂、
プラスチック硬貨、
紙幣、
玩具、
腕時計、
潜水服。
【0122】
特に床用絨毯用の繊維への使用に関しては、抗微生物性ガラス粉末が繊維への添加剤として特に適している。
【0123】
粉砕によって得られる、本発明に記述されているガラスないしそれから得られるガラスセラミックス、またはそれから得られるガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は水溶性であるが、十分な化学耐性を有する。このガラスないしガラス粉末は、まずイオン交換ないしイオン放出によって作用し、このことは表面反応および金属イオン遊離と関連する。
【0124】
驚くべきことに、本発明のガラス粉末またはガラスセラミックス粉末は、高い反応性と、従来の技術で記述されている生物活性ガラスまたはそのようなガラスから製造されたガラス粉末のグループより高い抗微生物作用を示す。
【0125】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。
【0126】
まず抗微生物作用を有するアルカリ含有ガラス組成について述べる。原料から、ガラスを白金ルツボ内で溶融し、続いてリボンに加工した。このリボンを、乾燥粉砕を用いてd50=4μmの粒径の粉末にさらに加工した。
【0127】
本発明のガラス粉末に粉砕でき、抗微生物作用を有するガラスの組成および性質を表1に示す。この組成は、酸化物ベースに対する重量%での合成値に関するものである。
【0128】
【表1】

【0129】
以下に、表の実施例1および2における組成のガラス粉末の1重量%水性懸濁液中の60分後のpH値および導電率を表2に示す。
【0130】
【表2】

【0131】
表1の実施例2における抗微生物作用を表3に示す。実施例2の粒径d50=4μmのガラス粉末の0.001重量%水性懸濁液を測定した。値0は、例えば260000E.coli細菌の初期開始値に対して、懸濁液に細菌がもはや存在しない、すなわちこのガラス粉末の抗微生物作用が全てのコロニー形成単位を殺したことを表している。
【0132】
【表3】

【0133】
表1の実施例2のガラス組成の粒径d50=4μmのガラス粉末に関して、1%重量水溶液で5.1のpH値が確認された。
【0134】
特に表1の実施例3のガラス組成は、抗微生物作用および炎症抑制作用ならびに身体組織との特別な適合性に関連付けられるpH中性値を示しているので、特に好ましい形態を表している。
【0135】
以下に、粒径d50が4μmで、増殖試験の表1の実施例1、2、7のガラス組成を有する、異なるアルカリ含有ガラス粉末の抗微生物作用を示す。
【0136】
増殖試験では、抗微生物表面の効果を定量するための試験方法が問題となる。その際、簡単に言うと、表面の抗微生物効果は、周囲の培地に娘細胞が放出されるか、およびどのくらい放出されるかを特徴付ける。試験の実施は、非特許文献6に記載されている。
【0137】
このガラス粉末は、様々なポリマーに均一に導入された。使用したポリマーは、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)およびポリアミドPAであった。
【0138】
使用したガラスは中性から酸性のpH値に調整されるので、通常アルカリの存在下で誘導される連鎖停止反応が、ここではポリマー中で十分に抑えることができた。
【0139】
病原菌としてブドウ球菌Epidermidisを使用した。この病原菌では皮膚に存在する細菌が重要である。
【0140】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でポリプロピレン(PP)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例1のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表4に示す。開始ODとは、周囲の培地内の光学密度と理解される。増殖(娘細胞の形成)および表面から周囲の培地への細胞の放出によって、培地の透過率が減少する。特定波長でのこの吸収は、表面の抗微生物作用と関連している。開始OD値が高いほど、表面の抗微生物作用は強い。ODの大きさの定義は、以下の全ての表に関するものである。
【0141】
【表4】

【0142】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でポリプロピレン(PP)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例7のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表5に示す。
【0143】
【表5】

【0144】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例1のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表6に示す。
【0145】
【表6】

【0146】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例2のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表7に示す。
【0147】
【表7】

【0148】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でポリアミド(PA)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例1のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表8に示す。
【0149】
【表8】

【0150】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でポリアミド(PA)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、表1の実施例2のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を表9に示す。
【0151】
【表9】

【0152】
以下に、アルカリがないガラスに関する本発明を、実施例に基づいて詳しく説明する。
【0153】
記述されるアルカリがないガラスは、通常の溶融プロセス以外に、ゾルゲル法によって製造することもできる。
【0154】
このアルカリがないガラスを、原料から、白金ルツボ内で溶融し、続いてリボンに加工した。このリボンを、乾燥粉砕を用いてd50=4μmの粒径の粉末にさらに加工した。
【0155】
本発明のガラス粉末に粉砕できるアルカリがないガラスの組成および性質を表10に示す。この組成は、酸化物ベースに対する重量%での合成値に関するものである。
【0156】
【表10】

【0157】
表10の実施例1に関する抗微生物作用を、表11に示す。実施例1の粒径がd50=4μmのガラス粉末の0.001重量%水性懸濁液を測定した。
【0158】
【表11】

【0159】
表10の実施例2に関する抗微生物作用を、表12に示す。実施例2の粒径がd50=4μmのガラス粉末の0.01重量%水性懸濁液を測定した。
【0160】
【表12】

【0161】
以下に、粒径d50が約4μmで、増殖試験での表10の実施例1のガラス組成を有するガラス粉末の抗微生物作用を示す。
【0162】
増殖試験では、抗微生物表面の効果を定量することができる試験方法が特に好ましい。その際、簡単に言うと、表面の抗微生物効果は、周囲の培地に娘細胞が放出されるか、およびどのくらい放出されるかを特徴付ける。試験の実施は、非特許文献6に記載されている。
【0163】
このガラス粉末は、ポリマーに均一に導入された。
【0164】
病原菌としてブドウ球菌Epidermidisを使用した。この病原菌では皮膚に存在する細菌が重要である。
【0165】
それぞれ挙げられた濃度(重量%)でアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)およびポリスチレン(PS)に均一に導入された、粒径d50が4μmで、実施例1のガラス組成を有するガラス粉末に関して、48時間以上観察した増殖を、様々なポリマー型について表13〜14に示す。開始ODとは、周囲の培地内の光学密度と理解される。増殖(娘細胞の形成)および表面から周囲の培地への細胞の放出によって、培地の透過率が減少する。特定波長でのこの吸収は、表面の抗微生物作用と関連している。開始OD値が高いほど、表面の抗微生物作用は強い。
【0166】
【表13】

【0167】
【表14】

【0168】
【表15】

【0169】
本発明のリン酸ガラス組成により、初めて長時間の抗微生物作用を有するガラス組成物が示される。特にそのようなガラス組成物のガラス粉末ないしガラスセラミックス粉末は、ポリマーマトリクス内に導入される場合には抗微生物作用も示す。
【0170】
さらに、そのようなガラス組成物を含み、高い抗微生物作用ならびに高い耐性を特徴とするポリマーガラス複合体が示される。ポリマーをガラス粉末と混合してポリマーガラス粉末混合物が生じるように製造されたそのようなポリマーガラス複合材が特に好ましい。このポリマーガラス粉末混合物は、それから混合機内で、ポリマーガラス粉末混合物を機械により混ぜ合わせながら、+50〜+350℃の範囲の温度まで加熱するなどの熱処理を受ける。するとプラスチックガラス複合材が形成され、その際にガラスは一部溶融可能で、ガラスと特に高溶融ポリマーとの内的結合が作られ、それによって、ガラスがポリマー中に非常に均一に分散するようになる。
【0171】
得られたプラスチックガラス複合材は、粉砕によって、顆粒などに、または射出などによって直接プラスチック中間材料またはプラスチック最終製品にさらに加工することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物ベースに対する重量%で以下の組成、すなわち
66重量%超、80重量%以下
SO 0〜40重量%
0〜1重量%
Al 6.2重量%超、10重量%以下
SiO 0〜10重量%
NaO 9重量%超、20重量%以下
CaO 0〜25重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 0重量%超、25重量%以下
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜3重量%
を含む、抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項2】
10.0〜20重量%のNaO、好ましくは12.0〜20重量%のNaOを含むことを特徴とする請求項1に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項3】
10重量%超、15重量%以下のNaOを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成。
【請求項4】
0.01重量%未満のBを含み、好ましくは不純物を除いてホウ素がないことを特徴とする請求項1に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項5】
5〜25重量%のCaOを含むことを特徴とする請求項1から4の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項6】
ZnOを5〜20重量%含むことを特徴とする請求項1から5の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項7】
ZnOを12重量%超、20重量%以下含むことを特徴とする請求項1から5の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項8】
AgOを0重量%以上、1.2重量%未満含むことを特徴とする請求項1から7の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項9】
CuOを0重量%超、10重量%以下含むことを特徴とする請求項1から8の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項10】
AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+J+F+ZnOの合計が0.01〜30重量%であることを特徴とする請求項1から9の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項11】
ZnO+CaO+MgOの合計が10〜25重量%であることを特徴とする請求項1から10の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項12】
67〜76重量%のPを含むことを特徴とする請求項1から11の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項13】
酸化物ベースに対する重量%で、
66重量%超、80重量%以下
SO 0〜40重量%
0〜1重量%
Al 0〜3.9重量%
SiO 0〜10重量%
CaO 0〜25重量%
MgO 0〜15重量%
SrO 0〜15重量%
BaO 0〜15重量%
ZnO 1〜25重量%
AgO 0〜5重量%
CuO 0〜10重量%
GeO 0〜10重量%
TeO 0〜15重量%
Cr 0〜10重量%
J 0〜10重量%
F 0〜3重量%
を含む、抗微生物作用リン酸ガラス組成物であって、
アルカリ酸化物含有量の合計が、0.4重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、非常に好ましくは0.01重量%未満であり、この組成物は、避けられない不純物を除いてほとんどSnがないことを特徴とする抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項14】
0.01重量%未満のAlを含むことを特徴とする請求項13に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項15】
0〜1重量%のAgOを含むことを特徴とする請求項13または14の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項16】
0重量%以上、0.5重量%未満のAgOを含むことを特徴とする請求項13から15の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項17】
AgO+CuO+GeO+TeO+Cr+J+Fの合計が0.01〜30重量%であることを特徴とする請求項13から16の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項18】
ZnOを1.5〜22重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項13から17の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項19】
ZnOを5〜22重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項13から18の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項20】
ZnOを12重量%超、20重量%以下の範囲で含むことを特徴とする請求項13から19の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項21】
5〜25重量%のCaOを含むことを特徴とする請求項13から20の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項22】
CuOを0.01〜10重量%の範囲で含むことを特徴とする請求項13から21の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス組成物。
【請求項23】
ZnO+CaO+MgOの合計が10〜25重量%であることを特徴とする請求項13から22の一項に記載の抗微生物作用リン酸ガラス。
【請求項24】
請求項1から23の一項に記載のガラス組成をもつ出発ガラスから得られることを特徴とする抗微生物作用リン酸ガラスセラミックス。
【請求項25】
ガラス粉末が、請求項1から23の一項に記載のガラス組成をもつガラスを含むか、ガラスセラミックス粉末が、請求項24に記載のガラスセラミックスを含むことを特徴とする抗微生物作用ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項26】
ガラス粒子またはガラスセラミックス粒子の大きさが、平均で20μm未満であることを特徴とする請求項25に記載の抗微生物作用ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項27】
ガラス粒子またはガラスセラミックス粒子の大きさが、平均で10μm未満であることを特徴とする請求項25に記載の抗微生物作用ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項28】
ガラス粒子またはガラスセラミックス粒子の大きさが、平均で5μm未満であることを特徴とする請求項25に記載の抗微生物作用ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項29】
ガラス粒子またはガラスセラミックス粒子の大きさが、平均で1μm未満であることを特徴とする請求項25に記載の抗微生物作用ガラス粉末またはガラスセラミックス粉末。
【請求項30】
化粧品に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項31】
脱臭製品に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項32】
医薬品および薬剤に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項33】
プラスチックおよびポリマーに使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項34】
衛生紙類の分野で使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項35】
食品に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項36】
洗剤に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項37】
塗料およびラッカに使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項38】
モルタル、セメントおよびコンクリートに使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項39】
口腔衛生品、歯の清掃品、口腔清掃品、口蓋衛生品、口蓋清掃品に使用するための、請求項1から29の一項に記載の抗微生物作用ガラスまたはガラス粉末またはガラスセラミックスまたはガラスセラミックス粉末。
【請求項40】
ポリマーと、
請求項1から25の一項に記載のガラスおよび/またはガラスセラミックスの出発ガラスの組成をもつガラスおよび/またはガラスセラミックスと、を含む抗微生物性プラスチックガラス複合材。
【請求項41】
ポリマーと、
請求項26から29の一項に記載のガラス粉末および/またはガラスセラミックス粉末と、を含む抗微生物性プラスチックガラス複合材。
【請求項42】
ポリマーが、熱可塑性、熱硬化性または弾性プラスチックであることを特徴とする請求項40または41に記載の抗微生物性プラスチックガラス複合材。
【請求項43】
ポリマーが、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネートの1種から選択されることを特徴とする請求項40から42の一項に記載の抗微生物性プラスチックガラス複合材。
【請求項44】
AgO、ZnOを含むガラス組成の全成分と、別の抗微生物作用成分を混合するステップと、
抗微生物性ガラスまたはガラスセラミックスをルツボ内で溶融するステップとを含む、請求項1から25の一項に記載の抗微生物性リン酸ガラス組成物の製造方法。
【請求項45】
ルツボが、白金ルツボ、石英ルツボまたはZACルツボであることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
溶融ガラスおよび/または溶融ガラスセラミックスを紐状ガラス、所謂リボンに変形することを特徴とする請求項44または45の一項に記載の方法。
【請求項47】
ポリマーをガラス粉末と混合して、ポリマー/ガラス粉末混合物を得るステップと、
このポリマー/ガラス粉末混合物を混合機内で+50〜+350℃の範囲の温度まで加熱して、プラスチックガラス複合材を得るステップと、を含むことを特徴とするプラスチックガラス複合材の製造方法。
【請求項48】
ポリマーガラス粉末混合物を、+50〜+350℃の範囲の温度まで加熱することを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
請求項47または48の一項に記載のプラスチックガラス複合材を製造するステップと、
このポリマーガラス複合材を粉砕して顆粒にするステップと、を含むことを特徴とするプラスチックガラス複合材顆粒の製造方法。
【請求項50】
請求項47から49の一項に記載のプラスチックガラス複合材を製造するステップと、
このプラスチックガラス複合材をさらに加工して、プラスチック中間材料またはプラスチック製品にするステップと、を含むことを特徴とするプラスチック中間材料またはプラスチック製品の製造方法。

【公表番号】特表2006−518697(P2006−518697A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501909(P2006−501909)
【出願日】平成16年2月20日(2004.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001670
【国際公開番号】WO2004/076371
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(504299782)ショット アクチエンゲゼルシャフト (346)
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr.10,D−55122 Mainz,Germany
【Fターム(参考)】