説明

抗微生物使い捨て吸収性物品

吸収性材料及び脂肪族ポリエステルと抗微生物組成物とを含む分解可能な熱可塑性ポリマー組成物を含む使い捨て吸収性物品。抗微生物組成物は、抗微生物成分及び賦活剤成分を含む。脂肪族ポリエステル及び抗微生物組成物は、溶融押出により、不織布及びフィルムなどのウェブに成形され、これらは、匂い制御、微生物成育の制御及び微生物毒素産生の制御を提供するために、使い捨て乳幼児用おむつ、成人向け失禁用製品、女性用衛生物品(生理用ナプキン、パンティライナー及びタンポンなど)、パーソナルケア拭き取り用品及び家庭用拭き取り用品などの使い捨て吸収性物品に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、現在係属中の2006年12月11日付申請の米国特許出願第11/609,237号の一部継続出願であり、その全ての内容は、ここに参照により組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、抗微生物組成物を含む生分解性脂肪族ポリエステルポリマーから形成される使い捨て吸収性物品に関する。これらの使い捨て吸収性物品は、体液の吸収を目的とし、例えば、使い捨て乳幼児用おむつ、女性用衛生製品(生理用ナプキン、パンティライナー及びタンポンなど)、成人向け失禁用製品、パーソナルケア拭き取り用品、並びに微生物制御物質を含む家庭用拭き取り用品が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
非常に様々な使い捨て吸収性物品が当該技術分野において既知である。これらには、発汗、尿、血液及び経血などの体液を吸収するために使用されるパーソナル吸収性物品が挙げられる。このような物品にはまた、同様の液体又は典型的な家庭でのこぼれ物を清掃するために使用される使い捨て家庭用拭き取り用品が挙げられる。これらの使い捨て吸収性物品は、押出フィルム、発泡体、不織布又は場合によっては織布材料の形状の熱可塑性ポリマーから形成される。これらの物品の問題点は、これらは短期間の使用のために設計されているにも関わらず、すぐに廃棄されないことがあり、その結果、微生物が廃棄に先立って成育する機会があり、毒素、刺激物又は匂いの形成についての問題を生じることである。しかしながら、これらの吸収性物品は最終的には廃棄され、そのため、これらの吸収性物品を分解可能な熱可塑性材料で形成できることが非常に望ましい。
【0004】
使い捨て吸収性物品の1つのタイプは、乳幼児用おむつ又はトレーニングパンツ、成人向け失禁用製品、女性用衛生製品(生理用ナプキン及びパンティライナーなど)及び当該技術分野において周知の他のこのような製品などの、使い捨て吸収性衣類である。このタイプの典型的な使い捨て吸収性衣類は、液体透過性の身体側ライナーと液体不透過性の外側カバーとの間に配置された吸収性アセンブリを含む、複合構造として形成される。これらの構成要素は、弾性材及び封じ込め構造など、他の材料及び特徴と組み合わせて、その意図される目的に特定して適した製品を形成することができる。女性用衛生タンポンも周知であり、通常は吸収性アセンブリから、場合によっては流体透過性材料の外側ラップからも構成される。パーソナルケア拭き取り用品及び家庭用拭き取り用品は周知であり、基材材料を通常含み、これは織布、ニット又は不織布材料であり得、多くの場合洗浄溶液及びこれに類するものなどの機能剤を含有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの物品の問題点は、いったん体液又は家庭でのこぼれものが物品の中に吸収されると、種々の微生物がこれらの物品の中で成育できることである。このような物品についての周知の問題は、微生物の成育及び代謝産物に関連する悪臭の発生である。乳幼児用おむつ、成人向け失禁用製品及び女性用衛生製品などの使い捨て吸収性物品については、このような悪臭の発生により、これらの製品の使用者が嫌な思いをする恐れがある。このことは、成人向け失禁用製品及び女性用衛生製品の使用者に特に当てはまり得る。悪臭の発生の問題点には、物品が着用されている間、及び更には物品が廃棄された後、潜在的に検知可能である匂いを挙げることができる。家庭用拭き取り用品の場合、悪臭の発生に関与する微生物は望ましくなく、嫌な思いをさせる恐れがある。更に、このような家庭用拭き取り用品の中での細菌及び他の微生物の成育は、このような微生物の成育に続いてその拭き取り用品が使用された場合に、このような微生物の所望されない拡散を引き起こすことがある。
【0006】
種々の匂い制御解決法には、マスキング、すなわち、香料で匂いを覆うこと、体液中に既に存在している匂い及び分解後に生成される匂いを吸収すること、又は微生物の成育に関連する匂いの生成を防止することが挙げられる。微生物成育の制御により悪臭の生成を制御するアプローチの例には、米国特許第6,767,508号が挙げられ、これは細菌の水性供給源に接触したときに抗微生物活性を有する不均質系を生じさせるためにアルキルポリグリコシド界面活性剤溶液で処理した不織布を使用することを教示している。米国特許第6,855,134号に論じられているように、尿の生体内変換及び尿の分解から生じる主要な強烈な悪臭は、硫黄化合物及びアンモニアである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
タンポンなどのいくつかの使い捨て吸収性物品の使用に関連することが既知である追加的な問題は、有害な毒素を産生する特定の細菌についてのものである。例えば、Stapylococcus aureusにより産生される毒素性ショック症候群毒素(TSST)は、非免疫性のヒトにおいて毒素性ショック症候群(TSS)を引き起こすことが可能である。TSSの発生の増加は、鼻腔挿入において又は生理用品として使用されるもののようなタンポンの存在下でのS.aureusの成育に関連する。このような毒素を低減するのに有効であり、また容易に製造され、好ましくは使用後に分解可能である製品を提供することに対して必要性が存在する。
【0008】
生分解性ポリマーの使用により、埋め立てられる廃棄物の量及び処分場の数が減少すると述べられている。生分解性物質は、堆肥化を導く条件に曝されたとき、分解されるのに適切な特性を有する。生分解性であると考えられる物質の例には、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ラクチドとグリコリドとのコポリマー、ポリ(コハク酸エチレン)及びこれらの組み合わせなどの脂肪族ポリエステルが挙げられる。
【0009】
脂肪族ポリエステルの分解は、加水分解、エステル交換、及び鎖の切断などを含む複数のメカニズムを通して生じる可能性がある。国際公開第94/07941号(Gruberら)に記載されているように、処理中このようなポリマーの不安定性は、高温で生じることができる。
【0010】
マイクロファイバーなどの脂肪族ポリエステルの処理については、米国特許第6,645,618号に記載されている。米国特許第6,111,160号(Gruberら)は、溶融吹込及びスパンボンドプロセスを介して不織布物品を形成するための、溶融安定性ポリラクチドの使用を開示している。
【0011】
抗微生物ポリマー組成物は、米国特許第5,639,466号(Ford et.al.)及び同第6,756,428号(Denesuk)により例証されるように、既知である。抗微生物活性を有する親水性ポリプロピレン繊維への抗微生物剤の添加は、米国特許出願公開第2004/0241216号(Klunら)に記載されている。これらの繊維性材料には、不織布、織布、ニットウェブ及びニットバットが挙げられる。
【0012】
脂肪酸モノエステルなどの抗微生物剤と賦活剤との共力効果は、国際公開WO 00/71183号(Andrewsら)及び米国特許出願公開第2005/0089539号(Scholzら)に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】S.aureusに対する実施例10、11及び13の抗微生物活性の線グラフを示す。
【図2】人工尿の存在下での多数のProteus mirabilisに対する実施例9〜13の抗微生物活性の棒グラフを示す。
【図3】人工尿の存在下での少数のP.mirabilisに対する実施例11及び13の抗微生物活性の棒グラフを示す。
【図4】人工尿の存在下での実施例11〜13の匂い試験後に回収された生きているP.mirabilisの棒グラフを示す。
【図5】実施例9、11及び12からの抽出物の存在下でのS.aureusによるTSST産生の棒グラフを示す。
【図6】標準的なタンポンにおけるのと比較した実施例12におけるS.aureusによるTSST産生の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、抗微生物(好ましくは生体適合性)組成物などの分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルで形成される使い捨て吸収性物品を目的とし、これは好ましくは使用に先立って乾燥している。抗微生物組成物又はこれらの成分は、溶融加工可能で分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマー中の溶融添加物として使用され、抗微生物成分及び賦活剤が挙げられる。抗微生物成分及び賦活剤を含む溶融加工可能で分解可能な脂肪族ポリエステルは、追加的なコーティング及び装填工程なしで、容易にかつ直接に使い捨て吸収性物品に形成することができ、このことは、これらの使い捨て吸収性物品の製造を非常に単純化している。溶融加工された抗微生物成分及び賦活剤は、最終使い捨て吸収性物品の製造及び最終用途の両方に先立って安定であり、拡大された抗微生物活性を提供する。更に、最終使用時に水分に曝露されると、分解可能な脂肪族ポリエステルは少なくとも部分的に分解又は加水分解して、抗微生物組成物又は成分の周囲環境中への放出を助ける。
【0015】
液体透過性の身体側ライナーと液体不透過性の外側カバーとの間に配置された吸収性アセンブリを含む複合構造であるタイプの使い捨て吸収性衣類である本発明の使い捨て吸収性物品について、抗微生物組成物を含む分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマーは、好ましくは、吸収性アセンブリの身体に面する側で又は吸収性アセンブリアセンブリの反対の側で、吸収性アセンブリ内に位置する不織布材料又は遊離繊維の形状である(例えば、吸収性アセンブリのバルク内に分布する)ことができる。あるいは、抗微生物組成物を含む分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマーは、液体透過性の身体側ライナーに形成することができる。あるいは、抗微生物組成物を含む分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマーは、吸収性アセンブリの液体不透過性の外側カバー側に位置できるフィルムに形成することができ、又はこのフィルムは使い捨て吸収性衣類の液体不透過性の外側カバーとして働くことができる。
【0016】
本発明の使い捨て吸収性物品がタンポンであるとき、抗微生物組成物を含む分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマーは、吸収性アセンブリ内に位置する不織布材料又は遊離繊維の形状であることができ、又は不織布であるときにはこれはタンポンの流体透過性の外側ラップとして働くことができる。
【0017】
本発明の使い捨て吸収性物品がパーソナルケア又は家庭用拭き取り用品であるとき、拭き取り用品の基材は、抗微生物成分及び賦活剤を含む脂肪族ポリエステルであること又はこれを組み込むことができる。例えば、織布、ニット又は不織布基材は、繊維のブレンドで作ることができ、そのうちの1つは、抗微生物成分及び賦活剤を含む脂肪族ポリエステルを含む。通常、拭き取り用品は、1回又は限定された使用用途のために、例えば、毛羽立ち又はもつれにより、不織布から形成される。あるいは、脂肪族ポリエステル繊維は、全体的に又は部分的に、より長期にわたって使用され得る拭き取り製品に織り込まれ若しくはニット化され得る。抗微生物成分又は組成物を分解可能な脂肪族ポリエステル繊維に含めることにより、拭き取り用品は長期間の抗微生物活性を得る。脂肪族ポリエステルの中にブレンドされ得る追加的な繊維には、吸収力又は他の特性を高める繊維が挙げられ、これには、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリレート、超吸収性繊維に基づく繊維、及び、竹、ダイズ、アガーべ、ヤシ、レーヨン、セルロース系、木材パルプ又は綿などの天然繊維が挙げられる。
【0018】
抗微生物成分及び賦活剤を含む脂肪族ポリエステルの不織布ウェブは、スパンボンド、吹込マイクロ繊維及びナノ繊維プロセスなどの不織布ウェブを直接製造するための任意の標準的プロセスにより調製することができる。追加的な繊維又はフィラメントは、抗微生物成分及び賦活剤を含む脂肪族ポリエステルで調製することができ、このような繊維又はフィラメントは、所望の長さに切断し、更に毛羽立てなどの種々の既知のウェブ形成プロセスを使用して不織布ウェブに加工することができる。このような場合には、細断した繊維は、ウェブ形成プロセスにおいて他の繊維とブレンドされてもよい。あるいは、抗微生物成分及び賦活剤を含む脂肪族ポリエステルで調製された繊維又はフィラメントは、単独で又は他の繊維と組み合わせて織り込む又はニット化され得る。
【0019】
一態様では、使い捨て吸収性物品は、熱可塑性脂肪族ポリエステルと、この脂肪族ポリエステルに組み込まれる抗微生物成分(抗微生物成分は脂肪族ポリエステルの1重量パーセント超で存在する)と、賦活剤と、を含む溶融成形された脂肪族ポリエステル組成物を含む。脂肪族ポリエステルは、有効な抗微生物組成物を得るために、賦活剤を有する抗微生物成分に対して十分な比率で存在する。抗微生物成分は、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、脂肪族アルコールのヒドロキシ酸エステル、これらのアルコキシル化誘導体(多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシド基を有する)及びこれらの組み合わせから選択される。賦活剤は、分解可能な脂肪族ポリエステル組成物中の抗微生物成分抗微生物活性の強化を提供する。
【0020】
代表的な好ましい脂肪族ポリエステルは、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ブレンド及びこれらのコポリマーである。
【0021】
抗微生物成分は、多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪酸エステル、又は、プロピレングリコールモノエステル及びグリセロールモノエステルなどの多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪酸エステルから選択され得る。例は、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート及びこれらの組み合わせである。
【0022】
本発明の使い捨て吸収性物品には、使い捨ておむつ、成人向け失禁用物品若しくはパッド、女性用パッド、生理用ナプキン、月経用タンポン、歯科用タンポン、医療用タンポン、外科用タンポン、鼻腔用タンポン又は拭き取り用品(パーソナル洗浄若しくは家庭用拭き取り用品)が挙げられ、これらは好ましくは使用に先立って乾燥しているがこれらの最終使用環境において湿っている又は濡れている。これらの使い捨て吸収性物品は、上記抗微生物組成物を含む分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー製の、ポリマーシート、ポリマー繊維、織布ウェブ、ニット化ウェブ、不織布ウェブ、多孔質膜、ポリマー発泡体、熱若しくは接着性積層体、層化組成物及びこれらの組み合わせを使用して形成される。
【0023】
望ましくは、抗微生物組成物の抗微生物成分は、濡れると、微生物が制御されるべき周囲媒体中に放出される。抗微生物成分は、脂肪族ポリエステルが濡れたときに分解及び/又は膨潤して放出され、脂肪族ポリエステルにある程度の自己殺菌特性を付与する。脂肪族ポリエステルの分解は、ある程度まで制御されて、水分に曝露されたときに抗微生物成分の放出特性を調製し得る。抗微生物成分と賦活剤とを有する分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーの抗微生物特性はまた、使用後まで、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー又は分解可能な吸収性物品の分解を潜在的に遅らせる。分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は使用に先立って通常乾燥しており、抗微生物組成物又は成分は分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーマトリックス内で通常安定な形状である。
【0024】
以下の定義された用語に関して、別の定義が特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において示されない限り、これらの定義が適用される。
【0025】
用語「抗微生物」又は「抗微生物活性」は、細菌、真菌、藻類及びウイルスを含む病原性及び非病原性微生物を殺す、病原性及び非病原性微生物の成育/繁殖を防止する、又は、毒素性ショック症候群毒素(TSST)などの分泌タンパク質の産生を制御するために十分な抗微生物活性を有することを意味する。
【0026】
用語「生分解性」又は「分解可能」は、細菌、真菌及び藻類などの天然微生物の作用並びに/又は加水分解、エステル交換、紫外線若しくは可視光線(光分解性)及び酵素機構への曝露などの天然環境因子又はこれらの組み合わせにより分解可能であることを意味する。
【0027】
用語「生体適合性」は、生体組織内で、毒性、有害性又は免疫応答を発生させないことにより、生物学的に適合性のあることを意味する。生体適合性物質はまた、生化学的及び/又は加水分解プロセスにより分解し、生体組織に吸収され得る。
【0028】
「十分な量」又は「有効量」という用語は、組成物中にあるとき、全体として、生物が許容可能な水準に帰するように、1種以上の微生物を低減する、成育を防ぐ、又はコロニー形成単位を排除する抗微生物(例えば、抗ウイルス、抗細菌又は抗真菌を含む)活性を提供する抗微生物成分及び/又は賦活剤の量を意味する。
【0029】
「賦活剤」という用語は、賦活剤を含まない組成物を単独で使用するときには、賦活剤を含む組成物と同程度の抗微生物活性を提供しないというような、抗微生物活性の有効性を強化する成分を意味する。この強化は、抗微生物活性の速度、抗微生物活性の範囲、より大きな活性スペクトル又はこれらの組み合わせにおいて生じ得る。抗微生物成分の非存在下における賦活剤は、感知できるほどのいかなる抗微生物活性も提供することがない。増強効果はまた全ての微生物に対して見られなくてもよい。
【0030】
「脂肪族」という用語は、特に指示がない限り、6〜22個(奇数又は偶数)の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖アルキル又はアルキレン部分を意味する。
【0031】
終点による数の範囲の詳細説明は、その範囲内に包含される全ての数を含む。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
【0033】
の基を指す。
【0034】
本発明で有用な脂肪族ポリエステルには、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)のホモ及びコポリマー、並びに、1種以上のポリオールと1種以上のポリカルボン酸との反応生成物から誘導されるこれらの脂肪族ポリエステルのホモ及びコポリマーが挙げられ、典型的には、1種以上のアルカンジオールと1種以上のアルカンジカルボン酸(又はアシル誘導体)との反応生成物から形成される。脂肪族ポリエステルは、更に、分岐鎖、星型及びグラフトホモ及びコポリマーを形成するために、多官能性ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、ペンタエリスリトール及びこれらの組み合わせから誘導してもよい。脂肪族ポリエステルと1種以上の追加の半結晶質又は非晶質ポリマーとの混和性及び不混和性ブレンドを使用してもよい。
【0035】
脂肪族ポリエステルの有用な1つのクラスは、ヒドロキシ酸の縮合若しくは開環重合によって誘導されるポリ(ヒドロキシアルカノエート)又はその誘導体である。好適なポリ(ヒドロキシアルカノエート)は、下式により表すことができる:
H(O−R−C(O)−)OH
式中、Rは、所望によりカテナリー(炭素鎖内で炭素原子に結合している)酸素原子に置換されている、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であってよいアルキレン部分であり;nはエステルがポリマーであるような数であり、好ましくは、脂肪族ポリエステルの分子量が少なくとも10,000ダルトン、好ましくは少なくとも30,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも50,000ダルトンであるような数である。しかしながら、大きな分子量の脂肪族ポリエステルポリマーほど、良好な機械的特性を有するフィルムを通常生じる。多くの実施形態において抗微生物成分が、高分子量脂肪族ポリエステルポリマーの溶融加工を可能にする脂肪族ポリエステル成分を可塑化することは、本発明の重要な利点である。それゆえに、脂肪族ポリエステルの分子量は、典型的には1,000,000ダルトン未満、好ましくは500,000ダルトン未満、最も好ましくは300,000ダルトン未満である。Rは、1個以上のカテナリー(すなわち、鎖内の)エーテル酸素原子を更に含んでもよい。一般に、ヒドロキシ酸のR基は、ペンダントヒドロキシル基が一級又は二級ヒドロキシル基であるようなものである。
【0036】
有用なポリ(ヒドロキシアルカノエート)には、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(乳酸)(ポリラクチドとしても知られる)、ポリ(3−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(4−ヒドロペンタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシペンタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、及びポリグリコール酸(つまり、ポリグリコリド)のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。上記ヒドロキシ酸の2種以上のコポリマー、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(ラクテート−コ−ヒドロキシプロパノエート)、ポリ(グリコリド−コ−p−ジオキサノン)及びポリ(乳酸−コ−グリコール酸)を用いてもよい。また、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)の2種以上のブレンド、並びに1種以上の半結晶質又は非晶質ポリマー及び/又はコポリマーとのブレンドも使用することができる。
【0037】
脂肪族ポリエステルは、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)のブロックコポリマーであってよい。分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物で有用な脂肪族ポリエステルには、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、星型分岐ランダムコポリマー、星型分岐ブロックコポリマー、樹状コポリマー、超分岐コポリマー、グラフトコポリマー及びこれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0038】
脂肪族ポリエステルの別の有益な部類には、1つ以上のアルカンジオールと1つ以上のアルカンジカルボン酸(又はアシル誘導体)との反応生成物から誘導されるような脂肪族ポリエステルが挙げられる。このような脂肪族ポリエステルは以下の一般式を有する:
【0039】
【化1】

【0040】
式中、R’及びR’’はそれぞれ1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖であってよいアルキレン部分であり;mは、エステルがポリマーであるような数であり、脂肪族ポリエステルの分子量が好ましくは少なくとも10,000ダルトン、好ましくは少なくとも30,000ダルトン、最も好ましくは少なくとも50,000ダルトンであるが、1,000,000ダルトン未満、好ましくは500,000ダルトン未満、最も好ましくは300,000ダルトン未満であるような数である。各nは独立して0又は1であり、R’及びR’’は1個以上のカテナリー(すなわち、鎖内の)エーテル酸素原子を更に含んでもよい。
【0041】
脂肪族ポリエステルの例には、(a)以下の二塩基酸(又はその誘導体):コハク酸、アジピン酸、1,12ジカルボキシドデカン、フマル酸、グルタル酸(glutartic acid)、ジグリコール酸、及びマレイン酸のうちの、1つ以上と;(b)以下のジオール:エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、−ヘキサンジオール、5〜12個の炭素原子を有するアルカンジオール、ジエチレングリコール、300〜10,000ダルトン、好ましくは400〜8,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール、300〜4000ダルトンの分子量を有するプロピレングリコール、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシドから誘導されるブロック又はランダムコポリマー、ジプロピレングリコール及びポリプロピレングリコールのうちの、1つ以上と;(c)所望により、少量、つまり0.5〜7.0モル%の、グリセロール、ネオペンチルグリコール及びペンタエリスリトールのような2個を超える官能基を有するポリオール、から誘導されるホモ及びコポリマーが挙げられる。
【0042】
このようなポリマーには、ポリブチレンスクシネートホモポリマー、ポリブチレンアジペートホモポリマー、ポリブリレンアジペート−スクシネートコポリマー、ポリエチレンスクシネート−アジペートコポリマー、ポリエチレングリコールスクシネート及びポリエチレンアジペートホモポリマーを挙げてもよい。
【0043】
市販の脂肪族ポリエステルには、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(ブチレンスクシネート)及びポリ(ブチレンアジペート)が挙げられる。
【0044】
有用な脂肪族ポリエステルには、半結晶質ポリ乳酸から誘導されるものが挙げられる。ポリ乳酸又はポリラクチドは、その主要な分解生成物として乳酸を有する。脂肪族ポリエステルポリマーは、乳酸二量体、ラクチドの開環重合により調製され得る。乳酸は、光学的に活性であり、二量体は、4つの異なる形態:L,L−ラクチド、D,D−ラクチド、D,L−ラクチド(メソラクチド)、及びL,L−とD,D−とのラセミ混合物の形態で現れる。
【0045】
ポリラクチドは、好ましくは、脂肪族ポリエステルポリマーの固有結晶化度を最大にする、高い鏡像異性体比を有する。ポリ(乳酸)の結晶化度の程度は、脂肪族ポリエステルポリマー主鎖の規則性及び他の脂肪族ポリエステルポリマー鎖と結晶化する能力に基づく。比較的少量の1種の鏡像異性体(D−など)が反対の鏡像異性体(L−など)と共重合する場合、脂肪族ポリエステルポリマー鎖は、不規則な形状となり、結晶性が低下する。結晶化度が好ましい場合、結晶化度を最大にするために、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が1種の異性体であるポリ(乳酸)を有することが望ましい。
【0046】
D−ポリラクチドとL−ポリラクチドとの、およそ等モルのブレンドもまた有用である。このブレンドは、D−ポリ(ラクチド)及びL−(ポリラクチド)のいずれか単独(〜190℃)より高い融点(〜210℃)を有する固有の結晶構造を形成し、改善された熱安定性を有する(H.Tsuji et.al.,Polymer,40(1999)6699〜6708を参照されたい)。
【0047】
また、ポリ(乳酸)と他の脂肪族ポリエステルとの、ブロックコポリマー及びランダムコポリマーを含むコポリマーを使用してもよい。有用なコモノマーには、グリコリド、β−プロピオラクトン、テトラメチルグリコリド、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、2−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシイソ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシエチル酪酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシ−β−メチル吉草酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、及びα−ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。
【0048】
また、ポリ(乳酸)と、1種以上の他の脂肪族ポリエステル、又は1種以上の他のポリマーとのブレンドを使用してもよい。有用なブレンドの例には、ポリ(乳酸)及びポリ(ビニルアルコール)、ポリエチレングリコール/ポリスクシネート、ポリエチレンオキシド、ポリカプロラクトン並びにポリグリコリドが挙げられる。
【0049】
分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーの分子量は、脂肪族ポリエステルポリマーが溶融物として加工され得るように選択すべきである。ポリラクチドについては、例えば、分子量は、約10,000〜1,000,000ダルトンであり得、好ましくは約30,000〜300,000ダルトンである。「溶融加工可能」とは、分解可能な脂肪族ポリエステルが流体であるか、又は、物品(例えば、繊維、不織布若しくはフィルム)を加工するのに用いられる温度で汲み上げること若しくは押出成形することができ、その温度で物理的特性が目的とする分解可能な吸収性物品には使用できなくなるまでは分解しない若しくはゲル化しないことを意味する。本発明の吸収性使い捨て物品を形成するために使用される材料は、押出成形、鍛造、熱プレス及びこれらに類するものによりフィルムにされ得る。本発明の使い捨て吸収性物品を形成するために使用される材料は、スパンボンド、吹込マイクロ繊維、溶融紡糸及びこれらに類するものなどの溶融加工を使用して、繊維又は不織布にすることができる。特定の実施形態はまた、射出成形することもできる。通常、脂肪族ポリエステルポリマーの重量平均分子量(M)は、数平均分子量(M)に対する粘度の対数−対数プロットにより決定するとき、絡み合い分子量を上回る。絡み合い分子量を上回ると、プロットの勾配は約3.4となり、他方、より低分子量である脂肪族ポリエステルポリマーの勾配は1である。
【0050】
脂肪族ポリエステルは、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の典型的には少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも65重量%を構成する。
【0051】
溶融加工の場合、好ましい抗微生物成分は揮発性が低く、溶融加工条件下で有意に分解しない。好ましい抗微生物成分は、2重量%未満、より好ましくは0.10重量%未満の水を含有する(Karl Fischer分析により測定)。
【0052】
分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物中の抗微生物成分含量は(すぐ使用できる状態で)、典型的には、少なくとも1重量%、2重量%、5重量%、10重量%であり、場合によっては15重量%を超える。低引張り強度が所望される又は許容可能である特定の実施形態では、抗微生物成分は、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の20重量%超、25重量%超、又は更には30重量%超を構成する。
【0053】
抗微生物成分には、1種以上の、多価アルコールの脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪族エーテル、若しくはこれらの(エステル及び/若しくはエーテルのいずれか又は両方の)アルコキシル化誘導体、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。より具体的には、抗微生物成分は、多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪酸エステル(好ましくは多価アルコールの(C〜C12)飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪酸エステル(好ましくは多価アルコールの(C〜C18)不飽和脂肪酸エステル)、多価アルコールの(C〜C22)飽和脂肪族エーテル(好ましくは多価アルコールの(C〜C18)飽和脂肪族エーテル)、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪族エーテル(好ましくは多価アルコールの(C〜C18)不飽和脂肪族エーテル)、これらのアルコキシル化誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。それらがモノエステル、ジエステル、モノエーテル、又はジエーテルであってよい、スクロースのエステル及びエーテルでない限り、好ましくは、エステル及びエーテルは、モノエステル及びモノエーテルである。モノエステル、ジエステル、モノエーテル及びジエーテルの様々な組み合わせを、本発明の組成物において使用することができる。
【0054】
好ましくは、多価アルコールの(C〜C14)飽和及び(C〜C22)不飽和モノエステル及びモノエーテルは、少なくとも純度80%(20%以下のジエステル及び/若しくはトリエステル、又は、ジエーテル及び/若しくはトリエーテルを有する)、より好ましくは純度85%、更により好ましくは純度90%、最も好ましくは純度95%である。不純エステル又はエーテルは、仮にあるとしても、十分な抗微生物活性を有しない。
【0055】
有用な多価アルコールの脂肪酸エステルは、下式:
(R−C(O)−O)−R
を有することができ、式中、Rは、(C〜C14)飽和脂肪酸(好ましくは(C〜C12)飽和脂肪酸)、又は(C〜C22)不飽和(好ましくは、C〜C18)不飽和、ただしポリ不飽和を含む)脂肪酸の残基であり、Rは、多価アルコールの残基(典型的には及び好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、及びスクロースであるが、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトールなどを含む広範な他のものを使用することもできる)であり、n=1又は2である。R基は、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基(好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、又はスクロースの残基)を含む。多価アルコールの好ましい脂肪酸エステルは、C、C、C10、C11、及びC12飽和脂肪酸から誘導されるエステルである。多価アルコールがグリセリン又はプロピレングリコールである実施形態においては、n=1であるが、多価アルコールがスクロースであるときは、n=1又は2である。一般に、C10〜C12脂肪酸から誘導されるモノグリセリドは、食品等級物質及びGRAS物質である。
【0056】
ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸及びヘプタン酸のグリセロールモノエステル、並びに/又は、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸及びヘプタン酸のプロピレングリコールモノエステルのような脂肪酸モノエステルは、グラム陽性菌、真菌、酵母及び脂質コーティングウイルスに対して活性を有するが、単独ではグラム陰性菌に対して活性を通常有さない。脂肪酸モノエステルを以下に記載する賦活剤と組み合わせると、組成物はグラム陰性菌に対してより大きな活性を有することができる。
【0057】
代表的な脂肪酸モノエステルには、ラウリン(モノラウリン)酸、カプリル(モノカプリル)酸、及びカプリン(モノカプリン)酸のグリセロールモノエステル、並びに、ラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸のプロピレングリコールモノエステル、並びに、スクロースのラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸モノエステルが挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪酸モノエステルには、オレイン(18:1)、リノール(18:2)、リノレン(18:3)及びアラコン(arachonic)(20:4)不飽和(多不飽和を含む)脂肪酸のグリセリン及びプロピレングリコールモノエステルが挙げられる。18:1は、例えば、18個の炭素原子と1個の炭素−炭素二重結合とを意味する。好ましい不飽和鎖は、シス異性体形態において少なくとも1個の不飽和基を有する。特定の好ましい実施形態では、本組成物で使用するのに好適な脂肪酸モノエステルには、GML又は取引表記ラウリシジン(LAURICIDIN)(通常、モノラウリン又はグリセロールモノラウレートと称されるラウリン酸のグリセロールモノエステル)として既知のもの、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノカプリレート、及びこれらの組み合わせのような、ラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸の既知のモノエステルが挙げられる。
【0058】
代表的なスクロースの脂肪酸ジエステルには、スクロースのラウリン酸、カプリル酸、及びカプリン酸ジエステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
多価アルコールの脂肪酸エーテルは、好ましくは次式:
(R−O)−R
であり、式中、Rは(C〜C14)飽和脂肪族基(好ましくは(C〜C12)飽和脂肪族基)、又は(C〜C22)不飽和(好ましくは、C〜C18)不飽和、ただしポリ不飽和を含む)脂肪族基であり、Rは多価アルコールの残基である。好ましい多価アルコールには、グリセリン、スクロース又はプロピレングリコールが挙げられる。グリセリン及びプロピレングリコールの場合、n=1であり、スクロースの場合、n=1又は2である。好ましい脂肪酸エーテルは、(C〜C14)アルキル基(より好ましくは(C〜C12)アルキル基)のモノエーテルである。
【0060】
代表的な脂肪族モノエーテルには、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル及びカプリリルプロピレングリコールエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。他の脂肪族モノエーテルには、オレイル(18:1)、リノレイル(18:2)、リノレニル(18:3)、及びアラキドニル(arachonyl)(20:4)不飽和及びポリ不飽和脂肪族アルコールのグリセリン及びプロピレングリコールモノエーテルが挙げられる。特定の好ましい実施形態では、本組成物で使用するのに好適な脂肪族モノエーテルには、ラウリルグリセリルエーテル、カプリルグリセリルエーテル、カプリリルグリセリルエーテル、ラウリルプロピレングリコールエーテル、カプリルプロピレングリコールエーテル、カプリリルプロピレングリコールエーテル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。不飽和鎖は、好ましくは、シス異性体形において少なくとも1個の不飽和結合を有する。
【0061】
総アルコキシレートが比較的低く維持される限り、前述の脂肪酸エステル及び脂肪族エーテルのアルコキシル化誘導体(例えば、残りのアルコール基がエトキシ化及び/又はプロポキシル化されたもの)もまた、抗微生物活性を有する。好ましいアルコキシル化水準は、米国特許第5,208,257号に開示されている。エステル及びエーテルがエトキシル化されている場合、エチレンオキシドの総モル数は、好ましくは5未満、より好ましくは2未満である。多価アルコールの脂肪酸エステル又は脂肪族エーテルは、従来技術により、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化及び/又はプロポキシル化することができる。アルコキシル化化合物は、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの混合物、並びに類似のオキシラン化合物からなる群から選択される。
【0062】
分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、典型的には、すぐ使用できる状態の組成物又は分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルポリマー組成物の総重量を基準として、少なくとも1重量パーセント(重量%)、少なくとも2重量%、5重量%超、少なくとも6重量%、少なくとも7重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%又は少なくとも20重量%の総量の、脂肪酸エステル、脂肪族エーテル、アルコキシル化脂肪酸エステル又はアルコキシル化脂肪族エーテルを含む。用語「すぐ使用できる状態の」は、使用のために意図された形態の組成物を意味し、通常は分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物である。好ましい実施形態では、これらは、すぐ使用できる状態の組成物の総重量を基準として、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下又は35重量%以下の総量で存在する。あるいは、これらの比率は、脂肪族ポリエステルに対して考えてもよく(脂肪族ポリエステル100重量部を基準として)、つまり150部以下の脂肪酸エステル、100部以下の脂肪酸エステル、67部以下の脂肪酸エステル、及び54部以下の脂肪酸エステルである。特定の組成物は、更に加工するための「マスターバッチ(masterbatch)」として使用することを目的とする場合、より高濃度であってよい。本明細書で使用するとき、用語「マスターバッチ」は、溶融加工される組成物に添加される濃縮物を指す。
【0063】
1つ以上の脂肪酸モノエステル、脂肪族モノエーテル、アルコールのヒドロキシル酸エステル又はそのアルコキシル化誘導体を含む、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物又は抗微生物組成物は、少量のジ脂肪酸エステル若しくはトリ脂肪酸エステル(つまり、脂肪酸ジエステル若しくはトリエステル)、ジ脂肪族エーテル若しくはトリ脂肪族エーテル(つまり、脂肪族ジエーテル若しくはトリエーテル)、又はこれらのアルコキシル化誘導体を含むことができる。好ましくは、このような成分は、上記のような抗微生物成分の抗微生物有効性を保存するために、抗微生物成分の総重量の10重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下を構成する。
【0064】
抗微生物成分の追加のクラスは、好ましくは次式:
−O−(−C(O)−R−O)H、
のヒドロキシル官能性カルボン酸の脂肪族アルコールエステルであり、式中、Rは(C〜C14)飽和アルキルアルコール(好ましくは、(C〜C12)飽和アルキルアルコール)又は(C〜C22)不飽和アルコール(ポリ不飽和アルコールを含む)の残基であり、Rは、ヒドロキシカルボン酸の残基であり、ヒドロキシカルボン酸は、以下の式:
(CROH)(CHCOOH
を有し、式中、R及びRはそれぞれ独立してH又は(C〜C)飽和直鎖、分岐鎖若しくは環状アルキル基、(C〜C12)アリール基、又は(C〜C12)アラルキル若しくはアルカリル基であり、アルキル基は飽和直鎖、分岐鎖若しくは環状であり、R及びRは、所望により、1つ以上のカルボン酸基によって置換されていてよく、p=1又は2であり、q=0〜3であり、n=1、2、又は3である。R基は、1つ以上の遊離ヒドロキシル基を含んでよいが、好ましくはヒドロキシル基を含まない。好ましいヒドロキシカルボン酸の脂肪族アルコールエステルは、分岐鎖又は直鎖C、C、C10、C11、又はC12アルキルアルコールから誘導されるエステルである。ヒドロキシ酸は典型的には、1個のヒドロキシル基及び1個のカルボン酸基を有する。
【0065】
一態様では、抗微生物成分には、(C〜C)ヒドロキシカルボン酸の(C〜C14、好ましくはC〜C12)飽和脂肪族アルコールモノエステル、(C〜C)ヒドロキシカルボン酸の(C〜C22)モノ若しくはポリ不飽和脂肪族アルコールモノエステル、前述のいずれかのアルコキシル化誘導体、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ヒドロキシカルボン酸部分は、脂肪族及び/又は芳香族基を含んでよい。例えば、サリチル酸の脂肪族アルコールエステルが可能である。本明細書で使用するとき、「脂肪族アルコール」は、偶数又は奇数の炭素原子を有するアルキル又はアルキレン多官能性アルコールである。
【0066】
代表的なヒドロキシカルボン酸の脂肪族アルコールモノエステルには、オクチルラクテート、2−エチルヘキシルラクテート(Purac,Lincolnshire IL製のPurasolv EHL、ラウリルラクテート(Chemic Laboratories,Canton MA製のChrystaphyl 98)、ラウリルラクチルラクテート(lacate)、2−エチルヘキシルラクチルラクテートのような乳酸の(C〜C12)脂肪族アルコールエステル;グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、酒石酸及びサリチル酸の(C〜C12)脂肪族アルコールエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
総アルコキシレートが比較的低く維持される限り、ヒドロキシル官能性カルボン酸基の脂肪族アルコールエステルのアルコキシル化誘導体(例えば、残りのアルコール基がエトキシ化及び/又はプロポキシル化されたもの)もまた、抗微生物活性を有する。好ましいアルコキシル化水準は、ヒドロキシカルボン酸1モル当たり5モル未満、より好ましくは2モル未満である。
【0068】
エステル結合を含む上記抗微生物成分は、加水分解に感受性であり、具体的には極端なpHレベル(4未満又は10超)で水に曝露することにより、又はエステルを対応する酸及びアルコールに酵素的に加水分解することができる特定の細菌により分解され得、これは特定の用途で望ましい場合がある。例えば、物品は、少なくとも1個のエステル基を含む抗微生物成分を組み込むことにより、急速に分解するように作製してもよい。多用途家庭用拭き取り製品のためなどに使い捨て物品の持続性の強化が所望される場合、加水分解感受性基を有さない抗微生物成分を使用してもよい。例えば、脂肪族モノエーテルは、通常の加工条件下で加水分解感受性ではなく、微生物の攻撃に対して耐性を有する。
【0069】
抗微生物組成物を含む分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーの抗微生物組成物に含むことができる更に追加的な成分には、カチオン性アミン抗微生物化合物が挙げられ、これには抗微生物プロトン化第三級アミン及び小分子第四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0070】
代表的な小分子第四級アンモニウム化合物には、塩化ベンザルコニウム及びそのアルキル置換誘導体、ジ−長鎖アルキル(C〜C18)第四級アンモニウム化合物、ハロゲン化セチルピリジニウム及びその誘導体、塩化ベンゼトニウム及びそのアルキル置換誘導体、オクタニジン、並びにこれらの適合性のある組み合わせが挙げられる。好適な小分子第四級アンモニウム化合物は、典型的には、少なくとも1つのC〜C18直鎖若しくは分枝鎖アルキル又はアラルキル鎖を結合した1つ以上の第四級アンモニウム基を含む。好適な化合物には、Lea & Febiger,Chapter 13 in Block,S.,Disinfection,Sterilization and Preservation,4th ed.,1991に記載のものが挙げられる。このクラスの代表的な化合物は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム及びオクテニジンのようなアルキル置換ベンゼトニウムハロゲン化物である。第四級アンモニウム抗微生物成分の追加的例は、C〜C18のアルキル鎖長、好ましくはC12〜C16のアルキル鎖長、より好ましくは鎖長の混合を有するベンザルコニウムハロゲン化物、例えば、40%のC12アルキル鎖、50%のC14アルキル鎖及び10%のC16鎖を含む塩化ベンザルコニウム(Lonza Group Ltd.からBarquat MB−50として入手可能);フェニル環のアルキル基によって置換されたベンザルコニウムハロゲン化物(Barquat 4250として入手可能);C〜C18アルキル基を有するジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物又はこのような化合物の混合物(LonzaからBardac2050、205M及び2250として入手可能);並びに、塩化セチルピリジニウム(Merrell LabsからCepacol Chlorideとして入手可能なセパコールクロリド)のようなセチルピリジニウムハロゲン化物;ベンゼトニウムハロゲン化物及びアルキル置換ベンゼトニウムハロゲン化物(Rohm and HaasからHyamine 1622及びHyamine 10Xとして入手可能)である。有用なプロトン化第三級アミンは、少なくとも1個のC〜C18アルキル基を有する。使用されるとき、カチオン性抗微生物成分は、典型的には少なくとも1.0重量%、好ましくは少なくとも3重量%、より好ましくは5.0重量%超、更に好ましくは少なくとも6.0重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少なくとも20.0重量%、場合によっては25重量%超の濃度で、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物に添加される。好ましくは、濃度は50重量%未満、より好ましくは40重量%未満、最も好ましくは35重量%未満である。分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーの抗微生物組成物に添加できるカチオン性アミン抗微生物化合物は、防腐剤として働くために添加されてもよく、いくつかの場合には、抗微生物組成物を含む分解可能な脂肪族ポリエステルポリマーの抗微生物活性を強化し得る。
【0071】
分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、特にグラム陰性菌(例えば、Escherichia coli及びPseudomonas sp)に対する抗微生物活性を強化するために、賦活剤(好ましくは共力剤)を含む。賦活剤成分には、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、(C〜C)飽和若しくは不飽和アルキルカルボン酸、(C〜C16)アリールカルボン酸、(C〜C16)アラルキルカルボン酸、(C〜C12)アルカリルカルボン酸、フェノール化合物(特定の酸化防止剤及びパラベンなど)、(C〜C10)モノヒドロキシアルコール、キレート剤、グリコールエーテル(すなわち、エーテルグリコール)又は分解すると上記賦活剤の1つを放出するオリゴマーを挙げてもよい。このようなオリゴマーの例は、グリコール酸、乳酸又は少なくとも4〜6個の反復単位を有する両者のオリゴマーである。所望により、様々な組み合わせの賦活剤を用いることができる。
【0072】
α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸及び他のカルボン酸である賦活剤は、好ましくは、プロトン化された遊離酸の形態で存在する。酸性賦活剤の全てが遊離酸の形態で存在する必要はないが、以下に列挙する好ましい濃度は遊離酸の形態で存在する量を指す。製剤を酸性化する、又は、あるpHで緩衝化して抗微生物活性を維持するために、追加の、非α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、又は他のカルボン酸である賦活剤を添加してもよい。脂肪族ポリエステル成分が加水分解されるのを避けるために、好ましくは、約2.5超、好ましくは約3超、最も好ましくは約3.5超のpKaを有する酸が用いられる。更に、カルボン酸基を含むキレーター(chelator)賦活剤は、好ましくは、遊離酸の形態で、少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2個のカルボン酸基を有して存在する。以下に記載する濃度は、これを前提とする。プロトン化された酸の形態である賦活剤は、抗微生物効果を上昇させるだけでなく、脂肪族ポリエステル成分に組み込まれたとき、適合性を改善させると考えられる。
【0073】
1つ以上の賦活剤は、所望の結果を生むために好適な濃度で、本発明の組成物に使用される。賦活剤は、典型的には、すぐに使用できる状態の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の総重量を基準として、0.1重量%超、好ましくは0.25重量%超、より好ましくは0.5重量%超、更により好ましくは1.0重量%超、最も好ましくは1.5重量%超の総量で存在する。好ましい実施形態では、賦活剤は、すぐに使用できる状態の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の総重量を基準として、20重量%以下又は15重量%以下の総量で存在する。このような濃度は、典型的には、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、他のカルボン酸、キレート剤、フェノール、エーテルグリコール、及び(C〜C10)モノヒドロキシアルコールに適用される。
【0074】
賦活剤成分の、抗微生物成分の総濃度との比は、重量基準で、好ましくは10:1〜1:300、より好ましくは5:1〜1:10の範囲内である。
【0075】
α−ヒドロキシ酸のタイプの賦活剤は、典型的には次式:
16(CR17OH)n2COOH
の化合物であり、式中、R16及びR17はそれぞれ独立して、H又は(C〜C)アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状)、(C〜C12)アリール又は(C〜C12)アラルキル若しくはアルカリル基(アルキル基は直鎖、分岐鎖又は環状)であり、R16及びR17は所望により、1つ以上のカルボン酸基によって置換されていてよく、n2=1〜3であり、好ましくはn2=1〜2である。
【0076】
代表的なα−ヒドロキシ酸には、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、2−ヒドロキシブタン酸、マンデル酸、グルコン酸、グリコール酸、酒石酸、α−ヒドロキシエタン酸、アスコルビン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、及びヒドロキシカプリル酸、並びにこれらの誘導体(例えば、ヒドロキシル、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、アルキル基、ハロゲン並びにこれらの組み合わせによって置換された化合物)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましいα−ヒドロキシ酸には、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸及びマンデル酸が挙げられる。これらの酸は、D、L、又はDL形であってよく、遊離酸、ラクトン、又はこれらの部分的塩として存在してもよい。全てのこれらの形態は、用語「酸」に包含される。酸は、遊離酸形態で存在することが好ましい。他の好適なα−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号(Yu)に記載されている。
【0077】
β−ヒドロキシ酸賦活剤は、典型的には、次式:
【0078】
【化2】

【0079】
により表される化合物であり、式中、R18、R19及びR20はそれぞれ独立して、H又は(C〜C)アルキル基(飽和直鎖、分岐鎖又は環状基)、(C〜C12)アリール、又は(C〜C12)アラルキル若しくはアルカリル基(式中、アルキル基は直鎖、分岐鎖又は環状)であり、R18及びR19は、所望により、1つ以上のカルボン酸基によって置換されていてよく、m=0又は1であり、n3=1〜3(好ましくはn3=1〜2)であり、R21はH、(C〜C)アルキル、又はハロゲンである。
【0080】
代表的なβ−ヒドロキシ酸には、サリチル酸、β−ヒドロキシブタン酸、トロパ酸、及びトレトカン酸が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物で有用なβ−ヒドロキシ酸は、サリチル酸、β−ヒドロキシブタン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。他の好適なβ−ヒドロキシ酸は、米国特許第5,665,776号に記載されている。
【0081】
所望の結果を生じる量で、1つ以上のα若しくはβ−ヒドロキシ酸賦活剤を分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物に組み込んでもよく、並びに/又は、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物を含む物品の表面に適用してもよい。それらは、すぐ使用できる状態の組成物を基準として、少なくとも0.25重量%、少なくとも0.5重量%及び少なくとも1重量%の総量で存在してもよい。これらは、すぐに使用できる状態の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の総重量を基準として、20重量%以下、10重量%以下又は5重量%以下の総量で存在してもよい。
【0082】
α若しくはβ−ヒドロキシ酸賦活剤の、総抗微生物成分との重量比は、最大50:1、最大30:1、最大20:1、最大10:1、最大5:1又は最大1:1である。α−ヒドロキシ酸賦活剤と、総抗微生物成分との比は、少なくとも1:120、少なくとも1:80、又は少なくとも1:60であってよい。好ましくは、α−ヒドロキシ酸賦活剤と、総抗微生物成分との比は、1:60〜4:1の範囲内である。
【0083】
低濃度の水を含む系では、エステル交換が、脂肪酸モノエステル及びこれらの活性成分のアルコキシル化誘導体の減少の原則経路である可能性があり、賦活剤を含有するカルボン酸の減少がエステル交換のために生じる可能性がある。したがって、特定のα−ヒドロキシ酸(AHA)及びβ−ヒドロキシ酸(BHA)はAHA又はBHAのヒドロキシル基の反応によりエステル抗微生物剤又は他のエステルをエステル交換する可能性が低いと考えられるため、これらが特に好ましい。例えば、フェノールのヒドロキシル基は非常に酸性のアルコールであり、したがって反応する可能性が非常に低いため、サリチル酸は、特定の製剤中で特に好ましい可能性がある。無水物又は低水分含量製剤における他の特に好ましい化合物には、乳酸、マンデル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸及びグリコール酸が挙げられる。ヒドロキシル酸ではないが、ヒドロキシル基を含まない安息香酸及び置換安息香酸も、エステル基を形成しにくいため、好ましい。
【0084】
α−及びβ−カルボン酸以外のカルボン酸も、好適な賦活剤である。それらは、典型的には12個以下の炭素原子を有するアルキル、アリール、アラルキル、又はアルカリルカルボン酸が挙げられる。これらの好ましいクラスは、以下の式:
22(CR23n2COOH
によりあらわすことができ、式中、R22及びR23はそれぞれ独立して、H又は(C〜C)アルキル基(直鎖、分岐鎖又は環状基であってよい)、(C〜C12)アリール基、アリール基及びアルキル基の両方を含有する(C〜C12)基(直鎖、分岐鎖又は環状基であってよい)であり、R22及びR23は所望により、1つ以上のカルボン酸基によって置換されていてよく、n2=0〜3であり、好ましくはn2=0〜2である。カルボン酸は、(C〜C)アルキルカルボン酸、(C〜C16)アラルキルカルボン酸、又は(C〜C16)アルカリルカルボン酸であってよい。代表的な酸には、酢酸、プロピオン酸、ソルビン酸、安息香酸、ベンジル酸、及びノニル安息香酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
1つ以上のこのようなカルボン酸は、すぐに使用できる状態の組成物の総重量を基準として上記と同一の量で所望の結果を生じるために十分な量で本発明の組成物において使用され得る。
【0086】
キレート剤(chelating agent)(つまり、キレート化剤(chelator))は、典型的には、溶液中で複数の配位部位に金属イオンが配位することが可能である有機化合物である。典型的には、これらのキレート剤は、ポリアニオン性化合物であり、多価金属イオンと最善に配位する。代表的なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(例えば、EDTA(Na)、EDTA(Na)、EDTA(Ca)、EDTA(K))、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、アジピン酸、コハク酸、ポリリン酸、酸性ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン五酢酸、1−ヒドロキシエチレン、1,1−ジホスホン酸、及びジエチレントリアミンペンタ−(メチレンホスホン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。特定のカルボン酸、特にα−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸、例えばリンゴ酸及び酒石酸もまた、キレート化剤として、機能することができる。
【0087】
また、シデロフォアのような第一鉄及び/又は第二鉄イオン、並びに鉄結合タンパク質に高度に特異的に結合する化合物も、キレート化剤として含まれる。鉄結合タンパク質には、例えば、ラクトフェリン及びトランスフェリンが挙げられる。シデロフォアには、例えば、エンテロケリン(enterochlin)、エンテロバクチン、ビブリオバクチン、アンギバクチン、ピオケリン、ピオヴェルジン及びアエロバクチンが挙げられる。
【0088】
特定の実施形態では、本発明の組成物に有用なキレート剤には、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、コハク酸並びにこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。好ましくは、EDTAの遊離酸又はモノ若しくはジ塩形態のいずれかが用いられる。
【0089】
1種以上のキレート剤を、所望の結果を生むために好適な濃度で、本発明の組成物に使用してもよい。それらは、上記カルボン酸と同様の量で用いることができる。
【0090】
キレート剤(α−又はβ−ヒドロキシ酸以外の)の総濃度の、抗微生物成分の総濃度との比は、好ましくは、重量基準で、10:1〜1:100、より好ましくは1:1〜1:10の範囲内である。
【0091】
フェノール化合物賦活剤は、典型的には、以下の一般構造:
【0092】
【化3】

【0093】
を有する化合物であり、式中、mは0〜3(特に1〜3)であり、nは1〜3(特に1〜2)であり、各R24は独立して、所望により鎖内若しくは鎖上のO(例えばカルボニル基など)又は鎖上のOHによって置換されていてよい、12個以下の炭素原子(特に8個以下の炭素原子)を有するアルキル又はアルケニルであり、各R25は独立して、H又は所望により鎖内若しくは鎖上のO(例えばカルボニル基など)又は鎖上のOHによって置換されていてよい、8個以下の炭素原子(特に6個以下の炭素原子)を有するアルキル若しくはアルケニルであるが、R25がHである場合、nは好ましくは1又は2である。
【0094】
フェノール賦活剤の例には、ブチル化ヒドロキシアニソール、例えば、3(2)−tert−ブチル−4−メトキシフェノール(BHA)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフェノール、2,6−ジ−tert−4−ヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−オクチルフェノール、2,6−ジ−tert−4−デシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−4−ブチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルフェノール、3,5−ジ−tert−ブチルフェノール、4,6−ジ−tert−ブチル−レゾルシノール、メチルパラベン(4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル)、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、2−フェノキシエタノール、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。フェノール化合物の1種のグループは、R25がHであり、R24が8個以下の炭素原子を有するアルキル又はアルケニルであり、nが0、1、2又は3である上記の一般構造を有するフェノール種であり、特に少なくとも1つのR24がブチル、具体的にはtert−ブチルであり、特にこれらの非毒性メンバーが好ましい。あるフェノール共力剤は、BHA、BHT、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン及びブチルパラベン並びにこれらの組み合わせである。
【0095】
追加の賦活剤は、C〜C10モノヒドロキシアルコール(例えば、オクタノール及びデカノール)を含む5〜10個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルコールである。特定の実施形態では、本発明の組成物で有用なアルコールは、n−ペンタノール、2ペンタノール、n−ヘキサノール、2メチルペンチルアルコール、n−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デカノール及びこれらの混合物の群から選択される。
【0096】
更なる賦活剤は、エーテルグリコールである。代表的なエーテルグリコールには、次式:
R−O−(CHCHR’’’’O)(CHCHR’O)H、
のものが挙げられ、式中、RはH、(C〜C)アルキル、又は(C〜C12)アラルキル若しくはアルカリルであり、各R’は独立してH、メチル又はエチルであり、n=0〜5、好ましくは1〜3である。例には、2−フェノキシエタノール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、商品名DOWANOL DB(ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル)、DOWANOL DPM(ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル)及びDOWANOL TPnB(トリ(プロピレングリコール)モノブチルエーテル)として入手可能な製品ライン、並びにDow Chemical Company,Midland Michiganから入手可能な多くの他のものが挙げられる。
【0097】
賦活剤を放出するオリゴマーは、多くの方法により調製することができる。例えば、オリゴマーは、標準的なエステル交換技術により、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸又はこれらの混合物から調製してもよい。典型的には、これらのオリゴマーは、少なくとも2個のヒドロキシ酸単位、好ましくは少なくとも10個のヒドロキシ酸単位、最も好ましくは少なくとも50個のヒドロキシ酸単位を有する。例えば、乳酸とグリコール酸とのコポリマーは、実施例の部分に示すように調製してもよい。
【0098】
あるいは、(C〜C)ジカルボン酸及びジオールのオリゴマーは、標準的なエステル交換技術により調製してもよい。これらのオリゴマーは、好ましくは少なくとも2個のジカルボン酸単位、好ましくは少なくとも10個のジカルボン酸単位を有する。
【0099】
用いられる賦活剤放出オリゴマーポリエステルは、典型的には、10,000ダルトン未満、好ましくは8,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する。
【0100】
これらのオリゴマーポリエステルは加水分解され得る。加水分解は、酸性又は塩基性環境、例えばpH5未満又は8超で加速することができる。オリゴマーは、組成物中又は用いられる環境中に存在する、例えば哺乳類の組織又は環境中の微生物に由来する、酵素により酵素的に分解され得る。
【0101】
本発明の組成物は、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の相溶性を促進するために及び表面を濡らすために及び/又は微生物に接触しこれを制御若しくは殺すのを助けるために又は毒素産生を防止するために、1種以上の界面活性剤を含むことができる。本明細書で使用するとき、「界面活性剤」という用語は、水の表面張力及び/又は水と不混和性液体との間の界面張力を減少させることが可能な両親媒性物質(共有結合している極性及び無極性領域の両方を有する分子)を意味する。この用語は、石鹸、洗剤、乳化剤、及び界面活性剤などを含むことを意味する。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性、又は両性であってよい。様々な従来の界面活性剤を使用してもよいが、界面活性剤の選択においては、仕上がった分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物と相溶性であり、抗微生物組成物の抗微生物活性を阻害しないことを判定することが重要であり得る。当業者は、ブレンドを作製して、本明細書の実施例に記載するように、抗微生物活性を試験することにより、界面活性剤の適合性を決定することができる。様々な界面活性剤の組み合わせを使用することができる。好ましい界面活性剤は、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、ポロキサマー、アルキルラクテート、カルボン酸塩、カチオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせに基づく界面活性剤から選択され、より好ましくは、(C〜C22)アルキル硫酸塩、ジ(C〜C18)スルホコハク酸塩、C〜C22アルキルサルコシネート(sarconsinate)及びこれらの組み合わせから選択される。
【0102】
所望の結果を生じるために好適な濃度で、1つ以上の界面活性剤を本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の中で及び/又はその上で使用してもよい。いくつかの実施形態では、組成物中で使用されるとき、これらは分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の総重量を基準として約0.1重量%〜約20重量%の総量で存在する。
【0103】
また、組成物は更に有機及び無機充填剤を含んでもよい。これらの物質は、脂肪族ポリエステルポリマー組成物の分解速度を制御するのを助け得る。例えば、多くのカルシウム塩及びリン酸塩が好適であり得る。代表的な充填剤には、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウムナトリウム、リン酸カルシウムカリウム、リン酸四カルシウム、α−リン酸三カルシウム、β−リン酸三カルシウム、リン酸カルシウムアパタイト、リン酸八カルシウム、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物、フッ化カルシウム、クエン酸カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムが挙げられる。特に好適な充填剤は、リン酸三カルシウム(ヒドロキシアパタイト)である。
【0104】
本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物を含む使い捨て吸収性物品は、本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物から形成されるシート、ウェブ又は繊維を使用してこれらを製造するための当該技術分野において既知のプロセスにより、製造され得る。これらの分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、特別な処置又は変換プロセスなしに使い捨て吸収性物品に直接形成されるウェブ及びそれと同様のものを形成するために使用される。分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物ウェブ又は繊維は、使用に先立って、乾燥しており、安定な形状であり、最終使用環境に置かれるまでそれを維持する。乾燥により、有意に添加された水分がなく、水分がその環境と平衡にあることを意味する。通常、使い捨て吸収性物品は、添加水分がない乾燥環境でパッケージ化され、最終使用消費者により開封及び使用されるまで水分に曝露されない。最終使用環境に置かれると、流体を吸収して又は水分に曝露されて、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物ウェブ又は繊維の抗微生物活性を発現し、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は分解を開始又は加速する。この分解は、使用に続く廃棄後も継続する。
【0105】
分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、これらの独自の特性の組み合わせに起因して、女性用タンポンでの使用に特に好適である。例えば、本明細書に記載の抗微生物組成物は、細菌を必ずしも殺さない濃度で毒素性ショック症候群毒素(TSST)を低減するのに特に有効である。これにより、この物品は潜在的に有用な細菌を殺すことなく、しかしながらそれでもTSSTからの保護を提供しながら、使用することができる。これは、低装填レベルの抗菌組成物及び/又は賦活剤成分で通常行われる。
【0106】
本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物はまた、不快な匂いを有意に低減することが判明しており、このようなものは、Proteus mirabilisによる尿のアンモニアへの変換により多くの場合匂いが生じる拭き取り用品又は使い捨て吸収性衣類に有用である。本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物はまた、長期間にわたっての接触時に皮膚上の微生物活性を低減するために使用することができる。これらの用途は、より高い装填レベルの抗微生物組成物又は成分で通常は行われる。本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、吸収性繊維性材料として又は吸収性材料中の添加繊維として又は吸収性材料に近接するカバーウェブ若しくはフィルムとして又は皮膚と接触しているカバーウェブとして使用することができる。これらの使用には、おむつのためのトップシート、ベッドパッド又は女性用パッドが挙げられる。これらの使用では、本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、スパンボンドウェブ又はそれと同様の不織布に形成され、身体接触環境で使用され得る。この場合、装填レベルは、長期間にわたって細菌を殺す又はその成育を阻害するために十分であるべきである。本発明の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物は、吸収性コアの中で又はそれに近接して使用されるとき、匂いの産生を阻害するために細菌を殺すのに比較的高い装填レベルの抗微生物組成物を有することができる。
【0107】
本発明の組成物を含む不織布ウェブ及びシートはまた、拭き取り用途で特に重要である良好な引張り強度を有することができ、湿潤性及び流体吸収力を可能にするための高い表面エネルギーを有することができる。表面エネルギーを低下(接触角を増加)させ、撥水性を付与するために、追加的な溶融添加物(例えば、フッ素性化学物質溶融添加物)を分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物に添加することができる。撥水性が所望される場合、半角技術を用いて平坦フィルム上で測定した接触角は、好ましくは70°超、好ましくは80°超、最も好ましくは90°超である。
【0108】
脂肪族ポリエステルからの抗微生物成分の放出速度は、可塑剤、界面活性剤、乳化剤、賦活剤、保湿剤、湿潤剤並びに他の成分を組み込むことにより、影響を受ける場合がある。好適な保湿剤及び/又は湿潤剤には、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどの多価アルコールを挙げてもよい。
【0109】
所与の使用環境での抗微生物活性のレベルは、抗微生物成分及び賦活剤の重量パーセント並びに界面活性剤及び湿潤剤のような追加的な成分の存在及び重量パーセントなどの組成物の仕上がりに関連する。抗微生物活性のレベルは、使い捨て吸収性物品中に存在する本発明の分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル材料の量、並びに、どこで及びどのようにこの材料が使い捨て物品に組み込まれるかにも関連する。抗微生物活性のレベルに影響を与える追加的側面は、使い捨て吸収性物品内の分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステルの総表面積である。それゆえに、使い捨て吸収性物品内の分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル材料を所与の重量として、抗微生物活性を増大させる1つの方法は、より小さな繊維直径、それゆえに単位重量当たりでより大きな表面積を有する不織布又は繊維を使用することである。
【0110】
好ましい実施形態では、本発明の物品は、使用まで乾燥維持される。これは、脂肪族ポリエステルを潜在的な分解から、並びに、存在し得る任意の抗微生物エステルを加水分解から保護する。存在する水分の量は好ましくは少ない。パッケージ化された物品中の使用に先立っての水の量は、典型的には10重量%未満、好ましくは8重量%未満、通常は5重量%未満である。湿った環境において物品が水分を吸収しないように保護するパッケージ化が使用され得る。例えば、物品は、ポリオレフィン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephalate)、ポリエチレンナフチレートなど)、フルオロポリマー(例えば、Allied Signal(Morristown,PA)から入手可能なAclar)、PVDC、PVCの保護フィルム、セラミックスバリアコーティングされたフィルム、並びにこれらの積層体及びブレンドでパッケージ化され得る。
【0111】
本発明の抗微生物組成物を製造する1つのプロセスでは、溶融形態の脂肪族ポリエステルを、抗微生物成分に対して十分な量で混合し、測定可能な抗微生物活性を有する脂肪族ポリエステルポリマー組成物を得る。賦活剤及び所望により界面活性剤を脂肪族ポリエステルポリマー組成物の溶融物に添加し、並びに/又は、分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物を含む物品の表面上にコーティングして、抗微生物成分を強化することができる。
【0112】
脂肪族ポリエステルポリマー組成物を溶融加工するための様々な装置及び技術が、当該技術分野において既知である。このような装置及び技術は、例えば、米国特許第3,565,985号(Schrenk et al.)、同第5,427,842号(Bland et.al.)、同第5,589,122号及び同第5,599,602号(Leonard)、並びに同第5,660,922号(Henidge et al.)に開示されている。分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物を溶融加工するための溶融加工装置の例には、押出成形機(一軸又は二軸)、Banburyミキサー及びBrabender押出成形機が挙げられるが、これらに限定されない。使い捨て吸収性物品中に所与の重量で含まれた任意の所与の分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の抗微生物活性を最大化するために、マイクロ又はナノ繊維などの非常に小さな繊維直径を有する繊維を使用することが望ましいものであり得る。熱可塑性材料でナノ繊維を製造する方法は既知であり、例えば、米国特許第4,536,361号、同第6382,526号及び同第6,695,992号に教示されている。ポリ乳酸系マイクロ又はナノ繊維、及びこのような繊維の不織布ウェブを、例えば、米国特許出願公開第2006/0084340(A1)号に教示されているような種々の方法を使用して、製造することも既知である。それゆえに、本発明のいくつかの使い捨て吸収性物品には、繊維直径が約1マイクロメートル若しくは好ましくはそれ未満である分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の不織布及び/又は繊維で物品を製造することが好ましいものであり得る。
【0113】
分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の成分を、押出成形機内で混合し、押出成形機を通して運搬して、好ましくは溶融物中でポリマー分解又は副反応の生じない、測定可能な抗微生物活性を有する材料を得ることができる。加工温度は、生分解性脂肪族ポリエステルと抗微生物成分とを混合し、フィルム、不織布又は繊維として組成物を押出成形するのを可能にするのに十分である。可能性のある分解反応には、エステル交換、加水分解、鎖の切断及びラジカル鎖分解が挙げられ、加工条件はこのような反応を最低限に抑えるべきである。
【0114】
以下の実施例によって、本発明は更に明確にされるが、これらの実施例は代表的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0115】
(実施例1及び2)
ペレット化ポリ乳酸(Polymer 4032D及び4060DとしてNatureWorks LLCから入手したPLAポリマー)を、Brabenderミキサーに添加し、混合トルクが安定化するまで180℃でブレンドすることにより、バッチBrabender混合装置を用いて試料を調製した。次いで、他の成分をミキサーに添加し、組成物全てが均質になったと思われるまでブレンドした。次に、圧盤が177℃である水圧プレスを用いて、混合物を加圧し、シート状にした。このシートの試料の微生物活性を、日本工業規格試験番号Z2801:2000を用いて、グラム陽性菌(Staphylococcus aureus ATCC#6538)及びグラム陰性菌(Pseudomonas aeruginosa ATCC#9027)について試験した。成分を添加しない対照ポリ乳酸シート上でも、同じ試験を行った。この試験から得られたデータを以下の表1に示す。
【0116】
フィルム試料の抗微生物試験:
JIS Z2801(日本工業規格−抗微生物活性試験)を応用した以下の試験プロトコルを用いて、押出成形又は加圧したフィルムの抗微生物特性を評価した。およそ4cm×4cmの正方形の試験材料をイソプロパノール又は70%エタノールで拭き、無菌ペトリ皿に配置した。各二重反復試験試料に0.4mLの対象となる生物(一晩培養物を0.2%TSBに1:5000で希釈したStaphlyococcus aureus ATCC#6538又はPseudomonas aeruginosa ATCC#9027)を播種した。次に、2cm×2cmの正方形のポリエステルフィルムを播種材料上に配置した。次に、試料を80%の相対湿度で37℃において18〜24時間インキュベートした。インキュベート後、試験試料をペトリ皿から回収し、各々を10mL無菌Difco Dey Engley中和培養液(NB)中に移した。NBと試験材料とを含有する試験管を60秒間にわたって超音波浴に置き、次に、60秒間にわたって混合して材料からNB中に細菌を放出させた。次に、NBをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に希釈し、TSB寒天上にプレーティングし、プレートを37℃で24〜48時間にわたってインキュベートし、コロニー形成単位(CFU)を数えることにより、生菌を計数した。この試験方法の検出限界は、100CFU/試料であると見なされた。
【0117】
【表1】

【0118】
PMLは、Capmul PG12として、Abitec Corp.から入手した、プロピレングリコールモノラウレート抗微生物成分を意味する。
【0119】
BAは、安息香酸賦活剤を意味する。
【0120】
DOSSは、ジオクチルスルホスクシネートナトリウム塩界面活性剤を意味する。
【0121】
PLA 4032Dは、Natureworks LLCからの半結晶質ポリ乳酸である。
【0122】
PLA 4060Dは、Natureworks LLCからの非晶質ポリ乳酸である。
【0123】
上記データは、グラム陽性菌及びグラム陰性菌の両方を殺すことにおけるシート形状の分解可能な脂肪族ポリエステルポリマー組成物の広域スペクトル有効性を示す。
【0124】
オリゴマー乳酸賦活剤及びマスターバッチの調製:
オリゴマー賦活剤を実施例3〜14で用い、以下の手順を用いて調製した。ガラス反応器(周囲気圧)に、同一部の85%乳酸水溶液(City Chemicals)及び70%グリコール酸水溶液(Sigma−Aldrich)を充填した。沸騰水を沸騰除去し、酸モノマーを残した。次に、反応器の温度を、乳酸及びグリコール酸の縮合重合が始まる163℃まで上昇させた。反応を24時間進行させ、あるバッチでは、分子量1,000〜8,000M、別のバッチでは、700〜1,000Mの、2種の酸のランダムコポリマー又はオリゴマーを得た。
【0125】
実施例3〜14で用いた予め合成したペレットを、Werner Pfleiderer ZSK−25二軸押出成形機で調製した。押出成形機は10個の領域を有し、それぞれが熱伝達流体を循環させるためのチャネルを備えるバレル部位を有し、第一の(供給)部位以外は全て熱要素を有していた。混練区画を領域2の後半、領域3の前半、領域5の全て、領域6の前半、領域8の全て、及び領域9の前半で用いたことを除き、スクリューの配置はらせん状運搬スクリュー区画であった。領域5及び9の押出成形機排気栓はふさがっていた。ポリ乳酸PLA 6251D(Natureworks LLC)のペレットを、3.6kg/時間の速度で押出成形機の第一領域に添加した。抗微生物脂肪酸モノエステルを、0.5kg/時間の速度で、ダイナテック(Dynatec)S−05モデルグリッド溶融装置を用いて、押出成形機の第4領域に投入した。グリッド溶融装置は、ギアポンプを用いて、移送管を通して押出成形機に入る液体モノエステルを計量した。ポンプ及び管は、プロピレングリコールモノラウレートを用いるときは室温で、グリセロールモノラウレートを用いるときは70℃で操作した。上記オリゴマー賦活剤を、加熱したタンク内で120℃に加熱し、それを0.5kg/時間の速度で押出成形機の領域7に供給する定量ポンプに重力送りした。定量ポンプを押出成形機の排出に使用し、直径6.35mmの開口部を有するストランドダイに供給した。押出成形したストランドを、長さ2.4mの水トラフ内で冷却し(水道水を継続的に供給しながら)、次いで、水槽の出口で、コンエア(Conair)ペレット製造機を用いて長さ約6.35mmのペレットにペレット化した。押出成形機のスクリュー速度を100RPMに維持し、以下のバレル温度プロファイルを用いた:領域1−160℃、領域2−200℃、領域3−177℃、領域4〜9−160℃。定量ポンプを電気的に加熱し、それは177℃に設定された温度設定点に調節可能であり、ポンプ速度を手動で調節して、溶融ポンプの入口へ70〜140N/cm(100〜200ポンド/インチ)の圧力を維持した。
【0126】
以下に列挙する組成を有する3種のマスターバッチを調製した。ペレットを頻繁に攪拌しながら、強制空気樹脂乾燥機内で乾燥させ、ペレットの集塊を防いだ。
【0127】
マスターバッチ#1:80%のPLA 6251D、10%のグリセロールモノラウレート(GML)及び10%のオリゴマー賦活剤(OLGA)。
【0128】
マスターバッチ#2:80%のPLA 6251D、10%のプロピレングリコールモノラウレート(PML)及び10%のオリゴマー賦活剤(OLGA)。
【0129】
マスターバッチ#3:90%のPLA 6251D及び10%のグリセロールモノラウレート(GML)。
【0130】
(実施例3〜5)
吹込マイクロファイバー不織布ウェブを、従来の溶融吹込装置を用いて、上記マスターバッチから製造した。31mm(軸直径)円錐形二軸押出成形機(C.W.Brabender Instruments)を使用して、脂肪族ポリエステルポリマー溶融物を測定及び加圧するために用いられる容積流量ギアポンプを供給した。幅25cmの、幅1cm当たり8個のオリフィスを有する穿孔オリフィス溶融吹込ダイを使用した。各オリフィスは、直径0.38mmであった。押出成形機の温度は185℃であり、ダイの温度は180℃であり、空気加熱器の温度は200℃であり、吸気圧は103kPaであった。ダイを通る総ポリマー流量は、約3.6kg/時間であった。賦活剤も抗微生物構成成分も含有しない対照試料、対照2を調製した。賦活剤を含有しないが抗微生物成分を有する対照試料、対照3も調製した。賦活剤又は抗微生物添加剤を10%未満しか有しない試料については、追加の未使用PLA樹脂をマスターバッチに添加した。不織布ウェブの特徴を以下の表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
(実施例6〜8)
プロピレングリコールモノラウレート(PML)を抗微生物成分として使用したことを除き、実施例3〜5と同様に吹込マイクロファイバー不織布ウェブを製造した。不織布ウェブの特徴を以下の表3に示す。
【0133】
【表3】

【0134】
実施例3〜5及び対照2及び対照3を引張り強度及び硬さ特性について試験した。INS(登録商標)TRON Model5544汎用引張試験機を使用し、5.1cmの標点距離で25.4cm/分のクロスヘッド速度を用い、ピーク力引張り強度を測定した。被検査物寸法は、10.2cmの長さであった。不織布ウェブの縦方向(MD)及び横方向(CD)を試験した。ピーク力における被検査物の伸長(%)を記録した。10回反復試験を行い、各試料ウェブの平均を求めた。結果を以下の表4に示す。
【0135】
Gurley剛軟度試験機モデル4151E(Gurley Precision Instruments)を使用して、ウェブの硬さ特性を測定した。長さ3.8cm×幅2.5cmの被検査物をウェブから切断したが、長さ方向はウェブの縦方向においてであった。各被検査物を、MD及びCDの両方に偏位させ、両方向の振子偏位(pendulum deflection)の平均を算出することにより試験した。試験機を用いて、振子偏位測定値及び機械の設定をガーレー剛性指数(mg)に変換した。10回反復試験を行い、各試料ウェブの平均を求めた。結果を以下の表4に示す。
【0136】
【表4】

【0137】
【表5】

【0138】
【表6】

【0139】
【表7】

【0140】
表7は、最終CFU/試料数による時間ゼロのCFU/試料数の商のlogを取ることにより算出した。
【0141】
【表8】

【0142】
【表9】

【0143】
【表10】

【0144】
表10は、最終CFU/試料数による時間ゼロのCFU/試料数の商のlogを取ることにより算出した。
【0145】
表5〜10に提示された結果は、グラム陽性及びグラム陰性菌の両方に対する実施例の組成物の広域スペクトル有効性を示す。
【0146】
(実施例9〜13)
上記のように調製したマスターバッチを未希釈PLAとブレンドして実施例9〜13を調製して使用し、スパンボンド不織布実施例を調製した。これらのマスターバッチの組成物は、以下である:PLA中20% PML、PLA中30% OLGA、及びPLA中10% PEG 400。これらのマスターバッチを作製するために使用したPLAはPLA 6202Dであり、報告された百分率はマスターバッチ組成物中の成分の重量百分率である。使用したOLGAは、上記のように調製され、約1000の分子量(M)を有した。
【0147】
これらの実施例は、NatureWorks,LLCから入手されたPLA 6202D樹脂で調製された。商品名Capmul PG−12のプロピレングリコールモノラウレートは、ABITEC Corporationから入手された。PLAと添加物とのマスターバッチは、実施例3〜8に使用されたマスターバッチについて上述した手順を使用して、化合された。全ての材料を使用に先立って乾燥させた。5.1cm(2.0インチ)の一軸押出成形機を使用してダイを供給し、スパンボンド不織布を得た。ダイは、合計512個のオリフィス孔を有し、脂肪族ポリエステルポリマー溶融押出量は0.50g/孔/分(33.83ポンド/hr)であった。ダイは、200mm(7.875インチ)の横断長さを有した。孔直径は0.889mm(0.040インチ)であり、L/D比は6であった。未希釈PLAの溶融押出成形温度を215℃に設定し、一方、添加物を有するPLAの溶融押出温度は添加物によった:実施例9(185℃)、実施例10〜12(175℃)及び実施例13(162℃)。
【0148】
調製されたスパンボンド不織布実施例の組成物を表11に記載する。抗微生物組成物の抗微生物成分としてのプロピレングリコールモノラウレートと、賦活剤成分としてのOLGAとを含む実施例に加えて、一実施例は、湿潤剤としてポリエチレングリコールも含んだ。また、対照例のスパンボンド不織布対照4を、PLAのみを含むように調製した。表11の実施例のいくつかの物理的特性を表12に記載する。
【0149】
【表11】

【0150】
実施例11に使用された湿潤剤は、ポリエチレングリコール400であった。
【0151】
【表12】

【0152】
スパンボンド不織布実施例についての抗微生物及び匂い低減試験
時間−殺菌方法
AATCC 100−2004(繊維材料上の抗微生物仕上げの評価)を応用した以下の試験プロトコルを用いて、不織布ウェブの抗微生物特性を評価した。およそ4×4cmの正方形の試験材料を無菌ペトリ皿内に配置した。各二重反復試験試料に1mlの対象となる生物(一晩培養物から0.2%[v/v]トリプシン大豆ブロス培地(TSB)に1:5000で希釈したStaphlyococcus aureus ATCC#6538若しくはPseudomonas aeruginosa ATCC#9027、又は、人工尿[Sarangapani et al.,J.Biomedical Mat.Research 29:1185]に1:5000で希釈したProteus mirabilis ATCC#14153)を播種した。次に、試料を80%の相対湿度で37℃において18〜24時間インキュベートした。インキュベート後、試験試料をペトリ皿から回収し、各々を20mL無菌Difco Dey Engley中和培養液(NB)中に移した。NBと試験材料とを含有する試験管を60秒間にわたって超音波浴に置き、次に、60秒間にわたって混合して材料からNB中に細菌を放出させた。次に、NBをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に希釈し、TSB寒天上にプレーティングし、プレートを37℃で24〜48時間にわたってインキュベートし、コロニー形成単位(CFU)を数えることにより、生菌を計数した。この試験方法の検出限界は、200CFU/試料であった。
【0153】
匂い制御試験方法:
Proteus mirabilus ATCC# 14153の一晩培養物を5%[v/v]TSBで人工尿(Sarangapani et al.,J.Biomedical Mat.Research 29:1185に従って調製)に1:50,000に希釈して、1mL当たりおよそ10個の細胞濃度を得た。この播種材料5mLを、100mLのPyrex瓶中でおよそ1gの不織布材料上にピペット滴下した。瓶を密封し、37℃で24時間にわたってインキュベートした。4人の人に彼らの鼻の下で瓶を簡単に開くよう頼み、アンモニア臭について質問した。いくつかの実験では、試料に、およそ1mL当たり10個の、より多く希釈した細菌懸濁液を播種した。いくつかの実験では、ウシ血清アルブミン(BSA)を人工尿に1%添加し、追加的タンパク質の存在下での材料有効性を判定した。いくつかの実験では、試料に50mLのNBを添加し、次に10分間にわたって水浴中において超音波で混合することにより、試料中に残っている生菌を測定した。これらの試料の希釈物をTSB寒天上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートし、CFUを数えた。
【0154】
TSST−1阻害:不織布抽出物
4.5gの示された不織布実施例を振盪しながら37℃において100mLのPBS中でおよそ24時間にわたってインキュベートして、抽出物を得た。ブレインハートインフュージョン(BHI)(Difco)を抽出物に添加して、1XBHIの最終濃度を得た。0.2μmの孔径膜を使用して、BHIを有するこれらの抽出物を無菌濾過した。BHIを有する抽出物5mLに、1:500に希釈したTSST産生性S.aureus株FRI1169の一晩培養物を播種した。37℃で24時間にわたって振盪しながらインキュベートした後、培養物を3200×gで10分間にわたって遠心分離して細胞を除去し、上清をToxin Technology(Sarasota,FL)TSST EIAキットの指示に従ってTSSTについて試験した。
【0155】
TSST阻害:タンポン嚢法(tampon sac method)
Reiser et al.(J.Clin.Microbiol.25:1450)により記載のタンポン嚢法から以下の試験プロトコルを適合させた。すすいだ透析膜(Spectra/Por、10,000分子量カットオフ、幅32mm)に乾燥した試験材料を添加し、およそ50℃の溶融1%ブレインハートインフュージョン(BHI)寒天に浸漬した。1mL当たりおよそ10個の細胞に希釈したTSST産生性S.aureus株FRI1169の一晩培養物100μlをこの膜に播種しておいた。市販のタンポンの重量と等しい重量の試験材料を使用した。24時間のインキュベート後、試料を回収し、これらの重量増加を測定し、ジップロックの袋の中に配置し、無菌リン酸緩衝生理食塩水を添加して、乾燥重量の最大4倍の総重量増加をもたらした。試験材料をジップロックの袋の中でおよそ1分間揉むことにより、流体を抽出した。得られた抽出物を希釈し、生菌数計測のためにプレーティングし、TSSTをToxin TechnologyのTSST EIAキットの指示に従って定量した。
【0156】
図1は、方法AATCC 100を使用するStaphlyococcus aureusに対する実施例10、11及び13の抗微生物活性を示す。この時間−殺菌曲線は、抗微生物ポリマー系の同調可能な性質を示す。抗微生物組成物成分の比率は、生きている微生物を時間と共にゆっくりと低減するように、又は、検出不可能なレベルにまで生きている微生物の数を迅速に低減するように、調整され得る。これらの値は、二重反復試験試料からの平均を示す。
【0157】
図2は、方法AATCC 100を使用して、人工尿の存在下で多数の生物を投与されたときに24時間後に実施例9〜13から回収された生きているP.mirabilisを示す。これらのデータは、抗微生物ポリマーの組成物が、比較的多数の微生物(およそ10CFU/試料)を投与されたときでも、生きている微生物を有意に低減させずに成育を阻害するか、又は、微生物を殺すかのいずれかに調整できることを示す。対照4並びに実施例9及び10は、初期播種材料(t=0)に比較してP.mirabilisの成育を許容した一方、実施例11及び12は成育を阻害し、実施例13は生きているP.mirabilisを検出不可能なレベルにまで低減した。これらの値は、二重反復試験試料からの平均を示す。
【0158】
図3は、方法AATCC 100を使用して、人工尿の存在下で少数の生物を投与されたときに24時間後に実施例11及び13から回収された生きているP.mirabilisを示す。これらのデータは、抗微生物ポリマーの組成物が、少数の播種材料の生物(およそ10CFU/試料)を投与されたときにも成育を阻害するか又は微生物を殺すかのいずれかに調整可能であることを示す。対照4は、初期播種材料に比較してP.mirabilisの成育を許容した一方、実施例11は成育を阻害し、実施例13は生きているP.mirabilisを検出不可能なレベルにまで低減した。
【0159】
図4は、人工尿の存在下での実施例11〜13の匂い試験後に回収された生きているP.mirabilisが、特定の比率の微生物組成物成分に曝露されたときに減少することを示す。実施例12及び13から回収された生きている細菌数の減少は、これらの試料における匂いの欠如に相関する(表13)。
【0160】
図5は、光学密度単位当たりの毒素産生に調整され、抽出物を添加されなかった対照培養物において産生されたTSSTの百分率として表現された、材料実施例からの抽出物の存在下でインキュベートされたS.aureusによるTSST産生を示す。これらのデータは、S.aureus培養物が抗微生物ポリマー実施例からの抽出物の存在下で成育するときに、TSST産生が減少することを示す。抗微生物組成物成分の比率は、抗微生物ポリマーからの抽出物を全く含有しない対照S.aureus培養物と比較して、毒素産生がほとんど根絶されるように調整され得る。S.aureus培養物の成育において抽出物の効果はほとんどなかったが、示された全培養物における光学密度の違いは2倍未満であった(データは示されていない)。
【0161】
図6は、タンポン嚢法を使用して試験したときの、標準的なタンポンと比較した実施例12におけるS.aureusによるTSST産生の低減を示す。値は、実施例12において産生されたTSSTに対して標準化され、3回の反復試験の平均である。
【0162】
【表13】

【0163】
表13の結果は、上記方法を使用する匂い制御における材料実施例の有効性を示す(+は強い匂いを示し、−は匂いがほとんど又は全くないことを示す)。この有効性は、他の抗微生物化学物質を中和し得る、より高濃度のタンパク質(BSAなど)の存在下でも維持される。多数の生物を制御するためにはポリマー組成物に対するより高い比率の抗微生物組成物が必要とされ得る一方、より少数の生物を制御するためにはより低い比率で十分であり得る。
【0164】
(実施例14)
以下の手順を用いて、抗微生物押出成形フィルムを製造した。マスターバッチペレットを化合するために使用される共回転する二軸押出成形機を用いて、脂肪族ポリエステルポリマー及び添加物を溶融、ブレンド及び供給した。スクリュー区画を、領域2、4及び6で混練ブロックと共に組み立てた。押出成形機は、9個の温度制御可能なバレル領域を有し、領域1には乾燥ペレット用入口、領域3及び5には液体注入口を備える。重量喪失重力測定供給機(K−tron)を使用して、乾燥したペレットを領域1において供給した。4032D半結晶質ポリ乳酸(PLA)(Natureworks LLC)ペレットをまず樹脂乾燥機内で60℃において一晩乾燥させた。グリッド溶融装置(Dynatec)を用いて、プロピレングリコールモノラウレート(PML)(Capmul PG−12)(Abitec)を溶融させ、押出成形機の領域3に供給した。計量ポンプ(Zenith pump)を用いて、押出成形機の領域5に賦活剤(OLGA)を供給した。賦活剤を、ポンプの真上の加熱ポットから重力送りした。押出成形機からの溶融物を定量ポンプに、次いで幅15.24cmのコート−ハンガーダイに供給した。押出品を、直径15.24cmの温度制御されたロール上に水平に押し出した。得られたウェブを、270°の巻角でロールの周囲に引っ張った。次に、ウェブを、180°の巻角で、直径15.2cmの温度制御された第二ロールの周囲に巻き付けた。次いで、ウェブをニップで引き、芯の周囲に巻き付けた。2.5ミクロン単位で、フィルム厚を測定した(μm)。ダイ調節ボルトを用いて、フィルム厚を±15ミクロンに維持した。フィルムの組成を以下の表14に示す。
【0165】
【表14】

【0166】
(実施例15)
ポリカプロラクトン(PCL、タイプFB 100)(Solvay Chemicals)をベース脂肪族ポリエステルポリマーとして用いたことを除き、実施例14のように押出成形したフィルムを調製した。フィルムの組成を以下の表15に示す。
【0167】
【表15】

【0168】
押出成形したフィルムの抗微生物特性を、以下の表16、17及び18に示す。
【0169】
【表16】

【0170】
表16〜17中の値0は、試験の検出限界:約100CFU/試料を下回る結果を示す。
【0171】
これらの結果は、賦活剤なしのPMLの添加(対照6)は、グラム陽性菌数を対照(対照5)よりも低減することを示す。抗微生物成分なしのOLGAの添加は抗微生物効果をほとんど有さない(対照7)。しかしながら、PMLとOLGAの両方の添加(実施例14及び15)は、非常に強い抗微生物活性を有する組成物を生じ、生菌を検出未満のレベルに低減した。
【0172】
【表17】

【0173】
これらの結果は、賦活剤なしのPMLの添加(対照6)は、グラム陰性菌数を対照(対照5)よりも低減しなかったことを示す。抗微生物成分なしのOLGAの添加は抗微生物効果をほとんど有さない(対照7)。しかしながら、PMLとOLGAの両方の添加(実施例14及び15)は、非常に強い抗微生物活性を有する組成物を生じ、生菌を検出未満のレベルに低減した。
【0174】
【表18】

【0175】
表18は、最終CFU/試料数による時間CFU/試料数の商の常用対数10を取ることにより算出した。
【0176】
特定の代表的な実施形態及び詳細を、本発明を説明する目的で論じてきたが、以下の特許請求の範囲に示される、本発明の真の範囲から逸脱することなく、本発明で種々の修正を行うことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物で形成される、乾燥供給される使い捨て吸収性物品であって、抗微生物組成物を含み、繊維性吸収性材料と、
a)熱可塑性脂肪族ポリエステル;
b)多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪族エーテル、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪族エーテル、(C〜C22)アルコールの(C〜C)ヒドロキシ酸エステル、これらのアルコキシル化誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるこれらに組み込まれる抗微生物成分であって、前記アルコキシル化誘導体が多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシド基を有するが、ただし、スクロース以外の多価アルコールの場合には、前記エステルがモノエステルを含み、前記エーテルがモノエーテルを含み、スクロースの場合には、前記エステルがモノエステル、ジエステル又はこれらの組み合わせを含み、前記エーテルがモノエーテル、ジエーテル又はこれらの混合物を含み、前記抗微生物成分が前記脂肪族ポリエステルの1重量%を超える量で存在する、抗微生物成分;並びに、
c)α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C〜C)飽和若しくは不飽和アルキルカルボン酸、(C〜C16)アリールカルボン酸、(C〜C16)アラルキルカルボン酸、(C〜C12)アルカリルカルボン酸、フェノール化合物、(C〜C10)アルキルアルコール、エーテルグリコール、分解すると上記賦活剤の1つを放出するオリゴマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、前記脂肪族ポリエステルの0.1重量%を超える賦活剤であって、ただし、フェノール化合物は0.5重量%を超える量である、賦活剤、からなる押出成形されたウェブ又は繊維の形状の分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物から形成される1つ以上の構成要素と、を含み、前記抗微生物組成物が前記抗微生物成分と賦活剤により形成される、使い捨て吸収性物品。
【請求項2】
前記抗微生物成分が、多価アルコールの(C〜C12)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C〜C18)不飽和脂肪酸エステル、又はこれらのアルコキシル化誘導体から選択される場合に、前記抗微生物成分の純度がモノエステルの重量の85%を超える、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項3】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が前記抗微生物成分とは異なる界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項4】
前記界面活性剤が、硫酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、ポロキサマー、アルキルラクテート、カルボン酸塩、カチオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項5】
前記界面活性剤が、(C〜C22)アルキル硫酸塩、ジ(C〜C18)スルホコハク酸塩、C〜C22アルキルサルコシネート及びこれらの組み合わせから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記使い捨て吸収性物品が、
トップシートと、
前記トップシートに接合したバックシートと、
一般的に、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される繊維性吸収性材料と、を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項7】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が不織布を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が繊維又はナノ繊維を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物繊維が前記吸収性材料のバルク内に分布する、請求項8に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項10】
前記使い捨て吸収性物品がタンポンであり、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物がTSSTの産生を阻害するために十分な量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項11】
前記使い捨て吸収性物品がタンポンであり、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物がTSSTの産生を阻害するために十分な量で存在する、請求項9に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項12】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が、Pseudomonas aeruginosa又はStaphylococcus aureusの成育を阻害するために十分な量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項13】
前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が3時間以内にPseudomonas aeruginosa又はStaphylococcus aureus細菌の99%を殺すために十分な量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項14】
前記使い捨て吸収性物品が、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物から形成される繊維から少なくとも一部が形成される織布、不織布又はニット化拭き取り用品である、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項15】
前記使い捨て吸収性物品が、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物から形成される繊維から少なくとも一部が形成される家庭用拭き取り用品である、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項16】
体液を吸収するための使い捨て吸収性物品であって、吸収性材料と、分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物から少なくとも一部が形成される少なくとも1つの構成要素と、を含み、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物が、
a)熱可塑性樹脂脂肪族ポリエステル;
b)そこに組み込まれる抗微生物成分であって、前記抗微生物成分が多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪酸モノエステルであり、前記抗微生物成分が前記脂肪族ポリエステルの1重量%を超える量で存在する、抗微生物成分;
c)賦活剤であって、前記賦活剤がα−ヒドロキシ酸又はオリゴマー(分解するとα−ヒドロキシ酸を放出する)のいずれかであり、前記賦活剤が前記脂肪族ポリエステルの1重量%を超える量で存在する、賦活剤、を含む、使い捨て吸収性物品。
【請求項17】
前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸を含み、前記抗微生物成分がグリセリルモノラウレート及び/又はプロピレングリコールモノラウレートを更に含み、前記賦活剤が乳酸及びグリコール酸のオリゴマーを更に含む、請求項16に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項18】
体液を吸収するための使い捨て吸収性物品であって、吸収性材料及び分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物を含み、前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物がa)ポリ乳酸、b)グリセリルモノラウレート及び/又はプロピレングリコールモノラウレート、並びにc)乳酸及びグリコール酸のオリゴマーを含む、使い捨て吸収性物品。
【請求項19】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ブレンド及びこれらのコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項20】
前記脂肪族ポリエステルが半結晶質である、請求項19に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項21】
前記抗微生物成分b)及び前記賦活剤c)と異なる可塑剤を更に含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項22】
前記抗微生物成分が前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の5重量%を超える量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項23】
前記抗微生物成分が前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の10重量%を超える量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項24】
前記脂肪族ポリエステルが前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の少なくとも65重量%を含む、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項25】
前記抗微生物成分b)が(C〜C12)プロピレングリコールモノエステル、グリセロールモノエステル、第四級アンモニウム化合物及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項26】
前記抗微生物成分b)が、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート、ラウロイルエチルアルギネート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項27】
前記賦活剤が安息香酸、サリチル酸、マンデル酸、乳酸、グリコール酸、グリコール酸オリゴマー、乳酸オリゴマー、グリコール酸/乳酸コポリマーオリゴマー、リンゴ酸、アジピン酸、コハク酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸、及びこれらの部分的に又は完全に中和された塩、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項28】
前記賦活剤が前記分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の0.1〜20重量%を超える範囲の量で存在する、請求項1に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項29】
パーソナル化粧品又は洗浄拭き取り用品であって、
a)熱可塑性脂肪族ポリエステル;
b)多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪酸エステル、多価アルコールの(C〜C14)飽和脂肪族エーテル、多価アルコールの(C〜C22)不飽和脂肪族エーテル、(C〜C22)アルコールの(C〜C)ヒドロキシ酸エステル、これらのアルコキシル化誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるこれらに組み込まれる抗微生物成分であって、前記アルコキシル化誘導体が多価アルコール1モル当たり5モル未満のアルコキシド基を有するが、ただし、スクロース以外の多価アルコールの場合には、前記エステルがモノエステルを含み、前記エーテルがモノエーテルを含み、スクロースの場合には、前記エステルがモノエステル、ジエステル又はこれらの組み合わせを含み、前記エーテルがモノエーテル、ジエーテル又はこれらの混合物を含み、前記抗微生物成分が前記脂肪族ポリエステルの1重量%を超える量で存在する、抗微生物成分;並びに、
c)α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、キレート剤、(C〜C)飽和若しくは不飽和アルキルカルボン酸、(C〜C16)アリールカルボン酸、(C〜C16)アラルキルカルボン酸、(C〜C12)アルカリルカルボン酸、フェノール化合物、(C〜C10)アルキルアルコール、エーテルグリコール、分解すると上記賦活剤の1つを放出するオリゴマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される、前記脂肪族ポリエステルの0.1重量%を超える賦活剤であって、ただし、フェノール化合物は0.5重量%を超える量である、賦活剤、からなる分解可能な熱可塑性脂肪族ポリエステル組成物の繊維から少なくとも一部が形成される繊維性吸収性材料を含み、前記抗微生物組成物が前記抗微生物成分と賦活剤により形成される、パーソナル化粧品又は洗浄拭き取り用品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2011−517976(P2011−517976A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504084(P2011−504084)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/039375
【国際公開番号】WO2009/126512
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】