説明

抗微生物組成物を含む製剤

(A)少なくとも1つの界面活性剤;並びに(B)(i)界面活性特性を有する抗微生物剤;(ii)疎水性物質;及び(iii)極性溶媒を含む、抗微生物組成物を含む製剤を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物組成物を含む製剤に関する。特に、本発明は、抗微生物組成物を含む洗浄方法に使用するための製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な洗浄方法は、眼に見える汚れ及び染みの除去を含む多数の特徴があり、多くの場合において、1つ又は複数の石鹸/洗剤/界面活性剤及び酸化剤の水溶液を使用して実施する。これらの系によって、脂肪/脂質の沈着物及び「汚れ」を構成する可溶性物質を含む汚れを可溶化する。しかしながら、これらの系の顕著な欠点として、それらは典型的には、表面を汚染又は汚す有機及び無機物質を完全には除去せず、それらは大抵、眼で見て簡単には認識できない量まで低減させるのみであり、こうした残留物は、迷惑、損傷、不快な臭い、健康リスク、及び/又は洗浄した表面/物品の損傷を生じる微生物の栄養として働くには十分以上の量であり得る。ある場合には、微生物は、洗浄方法に使用した水から洗浄する表面/物品に導入されることさえあり得る。
【0003】
微生物は、感染又は汚染による健康に対する危険因子を提供することが知られている。それらは、被服などの物品の損傷及び不快な臭いも生じ得る。微生物が基材表面に存在する際には、それらは直ぐに複製し、コロニーを形成する。微生物コロニーは基材表面に、バイオフィルムとして知られているコーティングを形成する。多くの場合、バイオフィルムは、個々の微生物を根絶するよりも困難になり得る多数の異なる種類の微生物からなる。
【0004】
微生物は、ポリサッカリド及び/又は類似の天然ポリマーを含む「萼」を接着機構として含むバイオフィルムを形成して基材に接着する。この接着ポイントなしでは、微生物、特に細菌の複製は進行し得ないか又は少なくとも大きく損なわれる。
【0005】
細菌などの微生物が水性環境にある表面に接着し、さらに細胞分泌物である、金属,
プラスチック、土壌粒子、医療用移植材料及び組織などの任意の種類の物質に微生物を接着させ得る粘着性の糊のような物質を分泌し始めた際に、バイオフィルムが形成される。バイオフィルムは単独の細菌種によって形成され得るが、より多くの場合には、バイオフィルムは細菌並びに真菌、藻類、原虫、くず、及び腐食生成物の複数種からなる。本質的には、細菌バイオフィルムは、細菌及び一定量の水に曝露された任意の表面上に形成され得る。一度表面に接着すると、バイオフィルムの微生物は、周囲の環境条件に応じて、各種の不利又は有利(ヒトの基準で)な反応を起こす。
【0006】
医療、産業、商業、家庭内、及び海の環境などの広範な環境に存在する微生物を破壊し得る多数の抗微生物剤が知られている。既知の抗微生物剤の多くは、各種の用途及び環境に使用するための組成物に含まれている。
【0007】
既知の抗微生物剤及び当該抗微生物剤を含有する組成物は、多数の異なるメカニズムによって微生物を破壊する。
【0008】
例えば、多数の抗微生物剤は微生物に対して毒性であり、そのため、それらが接触した微生物を破壊する。このタイプの抗微生物剤の例は、次亜塩素酸塩(漂白剤)、フェノール及びその化合物、アルセネン、並びに銅、スズ、及び砒素の塩を含む。しかしながら、これらの薬剤の幾つかは、微生物だけでなくヒト及び動物にも非常に毒性である可能性がある。したがって、これらの抗微生物剤を扱うのには危険が伴い、それらを安全に扱うためには、専門家、処理、及び装置が必要となる。したがって、このタイプの抗微生物剤を含む組成物の製造及び廃棄が問題となる。意図した目的に使用することを確実にすることが困難である、個人の物品においては特に、このタイプの抗微生物剤を含有する組成物の使用に関連する問題があり得る。
【0009】
本明細書では、他に示さない限り、「毒性」は、哺乳動物などの複雑な生物に対する毒性を示すことを意図する。「毒性の」なる用語も同様に解される。
【0010】
一度抗微生物剤が環境に入ると、それらは、影響を与えることが意図されていなかった生物の健康に影響を与え得る。さらに、抗微生物剤は、多くの場合において、非常に安定であり、長期間に亘る環境問題を生じさせ得る。
【0011】
一般的に使用されている他の既知の抗微生物剤は、銀、銅、又はスズなどの重金属の有機又は無機の塩を含む。これらの塩は、環境に対する問題を引き起こし得る毒性の洗浄液(rinsate)を生じる。例えば、その様な塩の洗浄液は、水中生物に対して毒性である。また、一度前記毒性化合物が環境に入ると、それらは容易に分解されず、持続的な問題を引き起こし得る。
【0012】
最近使用されている他の抗微生物剤は、抗生物質タイプの化合物を含む。抗生物質は、例えば、選択的に溶液を希釈し、危険な微生物の増殖を破壊又は阻害することによって、微生物内の生化学を混乱させる。抗生物質は効果的であるが、最近、抗生物質は、それらが使用された種の耐性株を選択的に発生させる可能性があると解されている。これらの耐性株は、次いで、既知の抗生物質の使用によって妨げられずに自己複製しうる。かくして、非常に広い環境における広範且つ無計画な抗生物質の使用が、医療環境における計画的な使用に反して、顕著な長期リスクを生じさせ得るという懸念が高まっている。
【0013】
他の微生物制御方法は、次亜塩素酸塩又は過酸化水素などの過酸化物に基づくものであり得る、家庭用漂白剤などの物質中の酸化剤の使用である。これらの物質は、湿潤環境において滅菌及び洗浄するのに有効である。しかしながら、前記物質は、長期の受動的な抗微生物制御及び衛生を与えない。「受動的制御」は、微生物を制御するのに効果的な洗浄計画を必要とせずに、乾燥した環境にあっても、基材が、そのある特性によって自然に微生物感染に対抗することを意味する。
【0014】
他の方法は、微生物細胞に溶解(破裂)剤として作用する第四級アンモニウム化合物などの物質の使用を含む。当該方法は、第四級アンモニウム化合物による消毒に対して高い「生存能力」を有する耐性コロニーが発生し、代替物を使用する必要があり得るため、全ての種の微生物に対して効果的であるわけでないという不利益がある。加えて、これらの物質は高度に水溶性であり、そのため、容易に洗浄除去されるか又はそれらに接触した湿潤物質を容易に汚染し得る。
【0015】
必ずしも、本明細書に記載又は議論した明らかに以前に公開された文献が、従来技術の一部であるか又は一般的な常識であると認めたとは解されるべきではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】WO 2002/62142
【特許文献2】GB−A−2374011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
抗微生物特性を有し、かつ、上述の問題の1つ又は複数を解決する各種の応用及び用途、特に洗浄用の製剤を提供する必要がある。しかしながら、それは単純な問題ではない。使用する可能性がある所定の抗微生物剤の性質及び量の双方について、抗微生物剤の使用を規制する殺生物性製品指令(Biocidal Products Directive)(Directive 98/8/EC)などの規制が存在する。加えて、抗微生物剤は化学反応によって不活性になるため、製剤中の抗微生物剤の潜在的な反応性が重要である。抗微生物剤が化学反応によって不活性化されない場合でも、製剤の他の成分によって活性が抑制される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者は、驚くべきことに、抗微生物特性を提供することが望まれる製剤に、ある抗微生物組成物を包含させることによって、上述の欠点を解決し得ることを発見した。当該方法によって調製した製剤は驚くべき予測し得ない特性を有することも発見した。
【0019】
特に、本発明は、各種の消費者用途に適切な抗微生物組成物を含む製剤を提供する。本発明の範囲内の製剤は、界面活性剤含有製剤、例えば、界面活性剤に基づく製剤である。これらの界面活性剤含有製剤、例えば、界面活性剤に基づく製剤は、少なくとも1つの非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、及び/又は両性界面活性剤を含んでよい。本発明の特定の態様では、前記製剤は、少なくとも1つの非イオン性及び/又は両性界面活性剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の製剤の例は、
バスルーム、キッチン、居間、硬質床洗浄剤、カーペット洗浄剤、家具洗浄剤、ガラス/鏡洗浄剤に使用することが意図されるものなどの表面洗浄剤;
縁の器具及びタンクに入れることが意図されたものなどの硬質トイレ洗浄剤、次亜塩素酸塩漂白剤を含むものを除く液体トイレ洗浄剤などのトイレケア製品;
食器洗浄液並びに食器洗浄用固形物(例えば、粉末及びタブレット)及び液などの食器洗浄機用の調製物などの食器洗浄用製品;
固体洗剤(例えば、粉末及びタブレット)、液体洗剤、及び繊維調整剤、並びに洗剤及び線維調整剤を含む「2イン1」製品などの洗濯用製品;
木、石、コンクリート、又はプラスチックを洗浄するためのものなどのアウトドア用の洗浄用製品、例えば、中庭の洗浄剤、庭用家具洗浄剤/処理剤、BBQ洗浄剤、壁及びフェンスの洗浄剤/処理剤、植物からアブラムシなどの虫を除去するためのものなどの植物用スプレー;
食品保存への使用に適切なものなどの食品用スプレー;
入浴製品;液体及び固体石鹸を含む石鹸、手の除菌剤、制汗剤、及び発汗抑制剤、シャンプーを含むヘアケア製品、例えば、抗頭皮臭気シャンプー、頭のノミの卵を制御するためのシャンプー、及びふけ用シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアムース、ゲル、及びスプレーなどのヘアスタイリング用製品、シェービング用製品などのスキンケア製品、化粧品、並びに脱毛用製品などのパーソナルケア用製品;
乳児用バス、石鹸、拭き取り繊維、保湿剤、おむつかぶれ用クリーム、幼児及び乳児に一般的かつ頻繁に接触する表面の洗浄用製品などの乳児洗浄用製品を含む、乳児用製品;
水虫などの軽度感染症の局所用治療用及び/又は予防用製品、ニキビ/吹き出物の予防/治療用製品を含む、(重度ではないが慢性的な)病気及び疾病の治療のための製品及び応急処置用製品;
足に対して使用するためのもの及び履物、特にスポーツ用の履物の処理/消臭のためのものを含む、足の衛生用製品;
クルマなどの乗り物の洗浄及び/又は消臭のための製品
を含むが、それらに限らない。
【0021】
本発明の製剤は、(i)界面活性特性を有する抗微生物剤;(ii)疎水性物質;及び(iii)極性溶媒を含む抗微生物組成物を含む。
【0022】
とりわけ、本発明の製剤は、(A)少なくとも1つの界面活性剤(本明細書では成分(A)又は少なくとも1つの製剤界面活性剤と称する)並びに(B)(i)界面活性特性を有する抗微生物剤;(ii)疎水性物質;及び(iii)極性溶媒を含む抗微生物組成物を含む。
【0023】
前記製剤界面活性剤(A)は、任意の適切な界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせであってよく、例えば、少なくとも1つの非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、及び/又は両性界面活性剤であってよい。本発明の特定の態様では、製剤界面活性剤(A)は、少なくとも1つの非イオン性及び/又は両性界面活性剤を含む。製剤界面活性剤(A)の選択は、製剤の性質及び意図する目的に依存するであろう。各種の異なる目的を意図する製剤に使用するための適切な界面活性剤は、当業者の知識の範囲内であろう。
【0024】
本発明の製剤のpHは、広範な範囲内で変化してよい。典型的には、本発明の製剤のpHは、本発明の所定の製剤と同一又は類似の目的で使用することを意図する既知の製剤のものと類似するであろう。例えば、ハンドウォッシュ製剤又はシャンプー製剤などの皮膚又は毛髪と接触することが意図される製剤、或いは上述の他のパーソナルケア又は応急処置用製剤は、皮膚を刺激しないpH、例えば、約pH5.5から約pH7.5などの約pH5から約pH8を典型的に有するであろう。一方、キッチン又はバスルーム洗浄などの目的に使用する製剤は、3以下のpHなどの低いpHを有してよく、例えば、約2であってよい。
【0025】
本発明の製剤の1つの好ましい群では、前記製剤界面活性剤(A)が少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。例えば、前記製剤界面活性剤(A)が少なくとも1つの非イオン性界面活性剤から本質的になるものであってよく、又は前記製剤界面活性剤(A)は少なくとも1つの非イオン性界面活性剤からなるものであってよい。前記製剤界面活性剤(A)が少なくとも1つの非イオン性界面活性剤からなる場合は、他のタイプの界面活性剤を含まず、例えば、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び陽イオン性界面活性剤を含まないであろう。これらの製剤において使用してよい非イオン性界面活性剤の例は、下記のものである。
【0026】
本発明の製剤の他の好ましい群では、前記製剤界面活性剤(A)が両性界面活性剤である。両性界面活性剤は、非イオン性界面活性剤との組み合わせ又は単独で使用してよい。両性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との組み合わせを使用する場合には、2種の界面活性剤の重量比が広い範囲で変化してよく、例えば、製剤界面活性剤(A)の全重量に基づいて1%の両性界面活性剤に対して99%の非イオン性界面活性剤から、99%の両性界面活性剤に対して1%の非イオン性界面活性剤まで変化してよい。好ましくは、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が、約等重量で使用される。
【0027】
本発明の1つの態様では、好ましい製剤は、約5重量%(製剤の全重量に対して)までの両性界面活性剤を含むが、より高レベルの両性界面活性剤をある製剤には使用してよい。例えば、本発明は、約5から約8、より好ましくは約5.5から約7.5のpHを有し、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む製剤であって、前記両性界面活性剤が約5重量%(製剤の全重量に対して)までの量で存在する、製剤を提供する。その様な製剤では、界面活性剤の全量は特に限定されず、界面活性剤の全量は、当該技術分野において関連の特定のタイプの製剤に典型的な量であってよい。両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む好ましい製剤の例は、約10重量%の全界面活性剤量を有し、両性界面活性剤は5重量%(製剤の全量に対して)以下である。
【0028】
製剤界面活性剤(A)として使用するための適切な陽イオン性界面活性剤は、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムメトスルフェート、ココトリメチルアンモニウムクロリド、及びセチルピリジニウムクロリドを含むが、それらに限らない。
【0029】
製剤界面活性剤(A)として使用するための適切な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー、ポリエトキシル化ソルビタンエステル、ソルビタンの脂肪エステル、エトキシル化脂肪エステル(1から25単位のエチレンオキシドを含む)、ポリエトキシル化C−C22アルコール(1から25単位のエチレンオキシドを含む)、ポリエトキシル化C−C22アルキルフェノール(5から25単位のエチレンオキシドを含む)、アルキルポリグリコシドを含むが、それらに限らない。例としては、ノニルフェノールエトキシレート(9EO)、ノニルフェノールエトキシレート(2EO)、オクチルフェノールエトキシレート(10EO)、C12/C14合成エトキシレート(8EO)、ステアリルアルコールエトキシレート(7EO)、セトステアリルアルコールエトキシレート(20EO)、ココナッツ脂肪アミンエトキシレート(10EO)、ソルビタンモノラウレートエトキシレート、80%PO/20%EO、ココナッツジエタノールアミン(シャンプーフォームブースター)、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノラウレート4EO、ジイソプロピルアジペート、アルキルポリグルコシド、例えば、C6−20、好ましくはC8−10アルキルグルコシド、例えば、Surfac APG(Seppic(UK)社製、D−グルコピラノースオリゴマーC8−10アルキルグルコシド、CAS 161074−97−1)、及びセトステアリルアステアレートが含まれるが、それらに限らない。他の適切な非イオン性界面活性剤は、Neodol 25−7(C12/15アルコール7エトキシレート(EO)、CAS 68131−39−5)、Surfac LM90/85(C12/15アルコール9エトキシレート(EO)、CAS68131−39−5)、Surfac 65/95(C9/11アルコール6.5エトキシレート(EO)、CAS68439−45−2)、Tomadol PF9(C9/11アルコール6.0エトキシレート(EO)、CAS68439−46−3)、Surfac T80 Veg(ポリソルベート80、ポリオキシエチレンソルベートモノオレート、CAS9005−65−6)、Tween 60(ポリソルベート60、ポリオキシエチレンソルベートモノステアレート、CAS9005−67−8)、Tween 40(ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルベートモノパルミテート、CAS9005−66−7)、Surfac T−20(ポリソルベート20、ポリオキシエチレンソルベートモノラウレート、CAS9005−64−5)、Surfac PGHC(水素化ヒマシ油40EO、CAS61788−85−0)、Ninol49−CE(ココナッツジエタノールアミド、CAS68603−42−9)を含む。
【0030】
製剤界面活性剤(A)として使用するのに適切な両性界面活性剤は、C−C20アルキルアンホアセテート又はアンホジアセテート(例えば、ココアンホアセテート)、C10−C18アルキルジメチルベタイン、C10−C18アルキルアミドプロピルジメチルベタインを含むが、それらに限らない。例としては、ココナッツ両性界面活性ココアミドプロピルベタイン(CAPB)(Surfac B4、CAS61789−40−9)、ココイミダゾリンベタイン、オレオアミドプロピルベタイン、及びトールオイルイミダゾリンが含まれるが、それらに限らない。特に好ましい両性界面活性剤はココアミドプロピルベタインである。
【0031】
他の適切な界面活性剤は、約8未満のpH、例えば、pH5から約pH7又は8の間において非イオン性又は陽イオン性タイプの特性を示すものを含む。その様な界面活性剤の挙動はそれらのpKaなどの因子に依存し、どの界面活性剤が所定の製剤における使用に適切であるかは製剤のpHに依存すると解されるであろう。pHと共に変化する特性を示し、本発明の製剤に使用してよい界面活性剤の例は、8から20、例えば、12又は14の平均炭素鎖長を有するものなどのアミンオキシド、例えば、C10−C18アルキルジメチルアミンオキシド及びC−C22アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、例えば、ジメチルラウリルアミンオキシド(例えば、Surfachem社製のSurfac AO30及びStepha社製のAmmonyx LO)、アルキルエーテルカルボキシレート、及びアルキルエーテルホスフェート、例えば、8から12、例えば12又は14の平均鎖長を有するもの(例えば、UnivarからAkypoRLM 100として市販されているLaureth 11カルボン酸、及びSurfachem社製のLaureth4ホスフェート、及びSchill and Seilacher社製のSilaphos MDE 124)を含むが、それらに限らない。これらの界面活性剤は、非イオン性界面活性剤などの他の界面活性剤と組み合わせて使用してもよい。
【0032】
界面活性剤の好ましい組み合わせは、CAPB及び非イオン性界面活性剤、例えば、APG、アミンオキシド及び非イオン性界面活性剤、例えばAPGを含むが、それらに限らない。
【0033】
本発明の製剤は、当該技術分野において一般的に使用されている他の成分を含んでよい。任意の他の使用成分の性質は、製剤の性質及び意図する目的に依存するであろう。例えば、入浴製品において使用する追加の成分は、トイレ用製品において使用するものとは異なり、それらは更に食器洗浄又は洗濯用製品に使用するものとは異なるであろう。当業者は、異なる各種の用途のための製剤に使用するためにどの成分が適切であるかを認識しているであろう。本発明の製剤において使用してよい追加の成分は、水、抗酸化剤、増粘剤、防蝕剤、起泡剤及び消泡剤、研磨剤、キレート剤、例えば、テトラナトリウムEDTA、塩化ナトリウム、酸、例えば、クエン酸、着色剤、芳香剤、皮膚軟化剤、並びに毛髪及び/又は皮膚リジュビネーティング及び/又は保護剤を含むが、それらに限らない。
【0034】
誤解を避けるために説明すると、本明細書において製剤が界面活性剤を含む又は界面活性剤に基づくと述べる際は、前記製剤が、これらの製剤に使用する抗微生物組成物に存在する界面活性剤に加えて、界面活性剤を含むことを意味する。
【0035】
本発明の製剤における製剤界面活性剤(A)の量は、前記製剤の意図する用途など因子に依存すると解されるであろう。典型的には、本発明の製剤は、1から30重量%の製剤界面活性剤(A)、好ましくは2から25重量%の製剤界面活性剤(A)を含む。家庭用洗浄製品については、界面活性剤(A)の量は、典型的には、約2から10重量%である。食器洗浄用製品については、界面活性剤(A)の量は、典型的には、約10から25重量%、例えば、約15から20重量%である。パーソナルケア製品については、界面活性剤(A)の量は、典型的には、約10から20重量%、例えば、15から20重量%である。これらの割合は例にすぎず、ある製品は、所定のタイプの製品について特定した範囲外の量で界面活性剤(A)を含んでよいと解されるであろう。
【0036】
用語「抗微生物」は、微生物の増殖を阻害及び/又はそれらを殺滅する化合物又は組成物を意味する。用語「殺微生物」は、微生物を殺滅する化合物又は組成物を示すために使用される。本発明に使用する組成物は、抗微生物及び/殺微生物である。
【0037】
微生物は、微視的な(ヒトの眼では見ることができないほど小さい)生物である。微生物の例は、細菌、真菌、酵母、カビ、マイコバクテリウム、藻類の胞子、古細菌、及び原生生物を含む。微生物は、一般的には、単細胞生物である。しかしながら、本明細書で使用する場合には、用語「微生物」はウイルスも含む。
【0038】
好ましくは、本発明の製剤に使用する組成物は、抗細菌、抗真菌、抗藻類、抗胞子、抗ウイルス、抗酵母、及び抗カビ剤、並びにそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの抗微生物剤を含む。より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1つの抗細菌、抗真菌、及び/又は抗カビ剤を含む。
【0039】
本明細書で使用する用語である、抗細菌、抗真菌、抗藻類、抗ウイルス、抗酵母、及び抗カビ剤は、個々の微生物の増殖を阻害するが、必ずしも該微生物を殺滅するわけではない薬剤及び個々の微生物を殺滅する薬剤を指すことを意図する。かくして、例えば、抗細菌なる用語の範囲内に、細菌の増殖を阻害するが、必ずしも細菌を殺滅しない薬剤及び細菌を殺滅する殺細菌剤が含まれる。
【0040】
当業者に理解されるように、例えば「殺細菌」及び「殺真菌」に使用するような「殺」なる用語は、言及する微生物を殺滅する薬剤を記載するために使用する。かくして、これらの例においては、殺細菌は細菌を殺滅する薬剤を示し、殺真菌は真菌を殺滅する薬剤を示す。殺細菌剤の例は、殺マイコバクテリウム剤及び殺結核菌剤を含む。好ましくは、本発明の組成物は、殺細菌、殺真菌、殺藻類、殺胞子、殺ウイルス、殺酵母、及び殺カビ剤、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1つの薬剤を含む。より好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1つの殺細菌、殺ウイルス、殺真菌、及び/又は殺カビ剤を含む。
【0041】
本発明の製剤に使用する組成物は、グラム陰性及びグラム陽性胞子形成生物、酵母、ウイルスを含む広範な生物に対して有効である。
【0042】
例えば、本発明において使用される組成物が有効である微生物は以下のものを含む。
【0043】
ウイルス、例えば、HIV−1(AIDSウイルス)、B型肝炎ウイルス(HVB)、C型肝炎ウイルス(HCV)、アデノウイルス、単純ヘルペス、インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ワクシニア、トリインフルエンザウイルス、トリ気管支炎、仮性狂犬病ウイルス、犬ジステンパー、ニューカッスル病、風疹、トリポリオーマウイルス、ネコ白血病、ネコピコルナウイルス、牛伝染性鼻気管炎、感染性気管支炎(トリIBV)、狂犬病、伝染性胃腸炎ウイルス、マレック病。
【0044】
真菌、例えば、毛瘡白癬菌、黒色アスペルギルス、カンジダアルビカンス、アスペルギルス・フラバス、アスペルギルス・フミガーツス、トリコフィトン・インタージギターレ、アルテルナリア テニウス、フザリウム・オキシスポラム、ゲオトリクム カンディズム、ペニシリウム ジギタツム、フィトフトラ・インフェスタンス、リゾプス ニグリカンス、トリコデルマ ハルジアヌム、トリコフィトン・インテルジキターレ。
【0045】
細菌、例えば、シュードモナス・エルギノーサ、黄色ブドウ球菌、サルモネラ・コレレスイス、アシネトバクター・バウマンニ、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス、カンピロバクター・ジェジュニ、エンテロバクター・エロゲネス、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・セパシア、サルモネラ スコットミューレリ、サルモネラ・チフィ、サルモネラ・チフィリウム、セラチア・マルセセンス、志賀赤痢菌、シゲラ・フレックスネリ、シゲラ・ソネイ、表皮ブドウ球菌、フェカリス菌、フェカリス菌(バンコマイシン耐性)、ストレプトコッカス・ピオゲネス、コレラ菌、カンキツかいよう病菌(柑橘類がん腫病)、アシネトバクター・カルコアセティカス、ボルデテラ・ブロンキセプチカ、クラミジア・シタッシ、エンテロバクター・クロアカ、エンテロコッカス・フェカリス、フソバクテリウム・ネクロホラム、レジオネラ・ニューモフィラ、リステリア・モノサイトゲネス、パスツレラ・マルトシダ、プロテウス・ブルガリス、サルモネラ・エンテリティディス、マイコプラズマ・ガリセプチカム、エルシニア・エンテロコリティカ、エロモナス・サルモニシダ、シュードモナス・プチダ、ビブリオ・アンギラルム。
【0046】
特に、本発明に使用する組成物は、シュードモナス・エルギノーサ(ATCC 15442、PaFH72/a)、大腸菌(ATCC 10536、ECFH64/a、0157:H7(毒素産生株)、CCFRA/896、0157:H7(非毒性株)、CCRAA/6896、ATCC10538)、黄色ブドウ球菌(MRSAを含む(例えば、NCTC 12493 MRSA、ATCC 12493 MRSA)、VISA、ATCC 6538、5a FH73/a)、腸内連鎖球菌(ATCC 10541、EhFH65/a)、ネココロナウイルス(SARSサロゲート)、ネコカリシウイルス(ヒトノロウイルスサロゲート)、サルモネラ・チフィリウム(StFH 68/b)、エルシニア・エンテロコリティカ(YE FH67/b)、リステリア・モノサイトジェネス(Lm FH66/c)、サッカロミセス・セレビシア、バシラス・サブティリス(ATCC 6633)、バシラス・ステアロサーモフィラス(NCTC 10339)、クロストリジウム・ディフィシレ(NCTC 11209)、カンジダアルビカンス(ATCC 1023)、黒色アルペルギルス(ATCC 16404)、マイコバクテリウム・スメグマチス(TB刺激剤)に対して有効である。
【0047】
用語「界面活性特性を有する抗微生物剤」(成分(i))は、微生物の増殖を阻害するか又はそれらを殺滅することが可能であり、水及び他の液体又は固体の界面張力を変化させる効果も有し、及び/又は使用する溶媒の表面張力を低減させる物質を意味する。とりわけ、本発明に使用する界面活性特性を有する抗微生物剤は、微生物の増殖を阻害又はそれらを殺滅し、典型的には、水に導入される際に水の表面張力を低減させる。
【0048】
本発明の界面活性特性を有する抗微生物剤として使用するのに特に適切な化合物の種類は、「quats」としても知られている第四級アンモニウムとして知られている化合物の種類である。これらの化合物は、典型的に、適当なアニオンとともに少なくとも1つの第四級アンモニウム陽イオンを含む。第四級アンモニウム陽イオンは、その溶液のpHからは独立して、永続的に荷電している。
【0049】
前記陽イオンの構造を以下に示す。
【0050】
【化1】

【0051】
基R、R、R、及びRは広範に変化してよく、抗微生物特性を有する第四級アンモニウム化合物の例は、当業者によく知られている。
【0052】
基R、R、R、及びRの各々は、例えば、独立して、置換若しくは非置換であり、及び/又は直鎖若しくは分枝鎖であり、及び/又は割り込まれているか若しくは割り込まれていないアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(芳香族又は非芳香族)へテロシクリル又はアルケニル基であってよい。代替的には、2又はそれ以上のR、R、R、及びRが、窒素原子と共に、置換又は非置換のヘテロ環を形成してよい。基R、R、R、及びRの炭素原子の総数は、少なくとも4でなければならない。典型的には、基R、R、R、及びRの炭素原子の合計数は、10以上である。本発明の好ましい態様では、基R、R、R、及びRの少なくとも1つが8から18の炭素原子を含む。例えば、R、R、R、及びRの1、2、3、又は4つが、8から18の炭素原子又は10から16の炭素原子を含有してよい。
【0053】
基R、R、R、及びRの適切な置換基は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ヘテロシクリル、置換へテロシクリル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、置換アルキルアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、F、Cl、Br、I、-OR'、-NR'R''、-CF3、-CN、-NO2、-C2R'、-SR'、-N3、-C(=O)NR'R''、-NR'C(=O) R''、-C(=O)R'、-C(=O)OR'、-OC(=O)R'、-O(CR'R'')rC(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''C(=O)R'、-O(CR'R'')rNR''SO2R'、-OC(=O)NR'R''、-NR'C(=O)OR''、-SO2R'、-SO2NR'R''、及び-NR'SO2R''[式中、R’及びR”は、独立して、水素、C−Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルであり、rは1から6の整数であるか、又はR’とR”が一緒に環状官能基を形成する]からなる群から選択されてよく、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、及びアリールアルキルに適用するような用語「置換」は、Fから-NR'SO2R''までの上述の置換基を指す。
【0054】
、R、R、及びRの1つ又は複数が割り込まれている際において、適切な割り込む基は、ヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、及びリン含有基(例えば、ホスフィネート)を含むが、それらに限らない。好ましい割り込む基は酸素である。
【0055】
第四級アンモニウムのために適切な陰イオンは、ハロゲン陰イオン、例えば、塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオン、及び非ハロゲンのスルホン酸イオンを含むが、それらに限らない。
【0056】
好ましい第四級アンモニウムは、下式:
(CH(A)
を有するものである。式中、AはR、R、R、及びRについて上述したものである。Xは塩化物イオン、フッ化物イオン、臭化物イオン、又はヨウ化物イオン、及びスルホン酸イオンから選択され(好ましくは塩化物イオン又は臭化物イオン)、nは1から3(好ましくは2又は3)であり、mは1から3(好ましくは1又は2)であるが、n及びmの合計が4である。好ましくは、AはC6−20(例えば、C8−18、すなわち、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18の炭素原子を有するか、又はC8−12)の置換若しくは非置換であり、及び/又は直鎖若しくは分枝鎖であり、及び/又は割り込まれているか若しくは割り込まれていないアルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、又はシクロアルキル基(式中、適切な置換基は、R、R、R、及びRについて上述したものである)である。各基Aは同一であるか又は異なっていてよい。
【0057】
式(CH(A)の化合物の好ましい群は、n=3であり、m=1のものである。その様な化合物では、Aは上述のものであり、好ましくはC6−20の置換若しくは非置換の、及び/又は直鎖若しくは分枝鎖の、及び/又は割り込まれているか若しくは割り込まれていないアルキル、アリール、又はアルキルアリール基であってよい。このタイプの第四級アンモニウム化合物の例は、Cetrimide(大部分がトリメチルテトラデシルアンモニウムブロミドである)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、トリメチルテトラデシルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを含む。
【0058】
式(CH(A)の化合物の他の好ましい群は、式中n=2であり「m=2のものである。その様な化合物では、Aは、R、R、R、及びRについて上述したものであってよい。好ましくは、Aは、C6−20の置換若しくは非置換の、及び/又は直鎖若しくは分枝鎖の、及び/又は割り込まれているか若しくは割り込まれていないアルキル、アリール、又はアルキルアリール基である。例えば、Aは、直鎖で非置換の割り込まれていないC8−12アルキル基又はベンジル基であってよい。これらの化合物では、基Aは同じであるか又は異なっていてよい。このタイプの化合物の例は、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド及びジオクチルジメチルアンモニウムクロリドを含む。
【0059】
上述の好ましい第四級アンモニウム化合物の例は、ベンザルコニウムハライド及びそのアリール環置換誘導体と一般的に称される化合物の群を含む。このタイプの化合物の例は、下式の構造を有するベンザルコニウムクロリドを含む。
【0060】
【化2】

【0061】
式中、Rは、R、R、R、及びRについて上述したものである。好ましくは、RはC8−19アルキル基であるか、又はベンザルコニウムクロリドがC8−18アルキル基の混合物、好ましくは直鎖で非置換の割り込まれていないアルキル基n−C17からn−C1837、主にn−C1225(ドデシル)、n−C1429(テトラデシル)、及びn−C1633(ヘキサデシル)の混合物として提供及び/又は使用される。
【0062】
他の好ましい第四級アンモニウムは、ベンゼン環が置換されているもの、例えば、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリドを含む。例えば、等モル量のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びアルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロリドを含有する混合物が使用されてよい。
【0063】
例えば、1つ又は複数のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及び1つ又は複数の式(CH(A)の化合物、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロリドの混合物を使用してよい。
【0064】
典型的には、第四級アンモニウム化合物の混合物が使用される。これらの混合物では、第四級アンモニウム化合物が任意の適切な不活性成分と混合されてよい。市販のベンザルコニウムクロリドは、多くの場合、異なるアルキル鎖長の化合物の混合物を含有する。市販のベンザルコニウムクロリドの例は以下の表に示す。
【0065】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【0066】
1つのCAS番号が多くの場合に2以上の混合物を示すことが認められるであろう。市販の調製物のCAS分類は、典型的には、所定の範囲内の量で特定の化合物を含む混合物をカバーする。上述のCAS番号を有する組成物は、本発明において使用してよい所定のCAS番号を有する組成物の例に過ぎない。
【0067】
、R、R、Rがヘテロ原子によって割り込まれている、適切な第四級アンモニウム化合物は、ドミフェンブロミド((ドデシルジメチル−2−フェノキシエチル)アンモニウムブロミド)及びベンゼトニウムクロリド(ベンジルジメチル[2−[2−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]アンモニウムクロリド)を含む。
【0068】
本発明で使用するのに適切な他の第四級アンモニウム化合物は、アルキルピリジニウム化合物、例えば、セチルピリジニウムクロリド、及び架橋環状アミノ化合物、例えば、ヘキサミニウム化合物を含むが、それらに限らない。
【0069】
使用してよい第四級アンモニウム化合物の他の例は、セタルコニウムクロリド;セチルピリジニウムクロリド;グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド;セテアラルコニウムクロリド;ゼフィランクロリド(R);ヒアミン3500;ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヒアミン1622(R);セタルコニウムクロリド;セチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;トリトンK12;セチルトリメチルアンモニウムブロミド;リターダー(Retarder)LA;1−ヘキサデシルピリジニウムクロリド;グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド;ベンゼトニウムクロリド CAS121−54−0;セタルコニウムクロリド CAS 122−18−9;セトリミド CAS 8044−71−1;セチルピリジニウムクロリド(無水物)CAS 123−03−5;ステアラルコニウムクロリド CAS122−19−0:及びセトリモニウムブロミド CAS 57−09−0を含む。
【0070】
特に好ましい第四級アンモニウムクロリドは、ベンジルジメチル−n−テトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチル−n−ドデシルアンモニウムクロリド、n−ドデシル−n−テトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びベンジル−C12−C16−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルココアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ−n−デシルジメチルアンモニウムクロリドを含む。
【0071】
適切な混合物の例は、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、及びアルキル(C14、50%;C12,40%、C16、10%)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド(約2:1:1:2.67の比率)を含む組成物である。
【0072】
他の適切な混合物は、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、及びアルキル(C14、50%;C12,40%、C16、10%)ジメチルベンジルクロリド(約2:1:1:2.67の比率)の混合物である。
【0073】
他の適切な混合物は、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリド、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びアルキルC14、50%;C12,40%、C16、10%)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド(約2:1:1:2.67の比率)の混合物である。
【0074】
界面活性特性を有する他の市販の抗微生物剤の例は、BAC 50(Thor biocides社製)及びNobac(ベンザルコニウムクロリド、Mason Quats社製)を含む。
【0075】
本発明において使用する界面活性特性を有する抗微生物剤は、第四級アンモニウム化合物に限定されない。任意の適切な界面活性特性を有する抗微生物剤を使用してよい。
【0076】
界面活性特性を有する他の抗微生物剤は、アニオン性及びカチオン性界面活性物質並びに両性物質を含んでよい。例としては、第四級ビスアンモニウム界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、アルギニンに基づく陽イオン性界面活性剤、陰イオン性アミノ酸に基づく界面活性剤、及びそれらの混合物、例えば、アルキルベタインとアルキルアミンオキシドとの混合物が含まれる。
【0077】
本発明において使用するのに適切なベタインの例は、Macat(登録商標)Ultra(Mason Chemical Company社製)である。Macat(登録商標)Ultra CGは、水中に30%ココ(C12)アミドプロピルジメチルグリシン(ベタイン)を含む。
【0078】
本発明において使用するのに適切なアルキルアミンオキシドの例は、Macat(登録商標)Ultra CDO(Mason Chemical Company社製)であり、水中に30%のココ(C12)アミドプロピルジメチルアミンオキシドを含む。
【0079】
上述の界面活性特性を有する抗微生物剤の任意の1つ又は複数が、本発明に使用する組成物中の成分(i)として使用されてよい。
【0080】
本発明において使用する組成物中の成分(i)の量は、組成物が使用される製剤の意図する用途及び成分(i)として使用する特定の化合物などの多数の因子に依存して変化するであろう。
【0081】
好ましい成分(i)は、少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物を含む。第四級アンモニウム化合物の組み合わせが使用されてよい。1つ又は複数の第四級アンモニウム化合物及び1つ又は複数の他の界面活性特性を有する界面活性剤の組み合わせが使用されてよい。
【0082】
疎水性物質(成分(ii))として使用するのに適切な化合物は、シラン、シロキサン、シリコーン、ポリシロキサン、フッ素含有脂肪族化合物、及びそれら混合物を含む。これらの疎水性物質は、ポリアルキレングリコールなどの他の物質と組み合わせて使用してよい。
【0083】
疎水性物質は典型的には化学的に不活性である。疎水性物質は、非共有結合によって流動体の他の成分と結合することが可能である。
【0084】
本明細書で使用する用語「フッ素含有脂肪族化合物」は、CからC20の直鎖若しくは分枝鎖のアルカン若しくはアルケンであり、少なくとも0.1フッ素原子を1炭素原子当たりに含み、最大では完全にフッ素化されている。典型的には、フッ素含有脂肪族化合物は、平均で1から2のフッ素原子を1炭素原子当たりに含有するであろう。
【0085】
疎水性物質は、例えば、少なくとも1つのポリシロキサン、好ましくは少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含んでよい。例えば、異なる分子量及び/又は粘度を有する2以上のポリシロキサンの混合物が使用されてよい。ポリシロキサンの混合物を使用する際には、混合物は、約500まで、より好ましくは50から200まで(例えば、約100)のモノマー単位を含有する少なくとも1つのポリソロキサン、及び500超、より好ましくは750から1000モノマー単位を含有する少なくとも1つのポリシロキサンを好ましくは含む。これらのポリシロキサンは、典型的には、35から750センチストーク、好ましくは35から400センチストーク、より好ましくは35から150センチストローク、例えば、約100センチストロークの粘度を有する。
【0086】
これらのポリシロキサンは、典型的には、20℃で20mN/m未満の表面張力、例えば、20℃で5から19mN/m、より好ましくは7から14mN/m、最も好ましくは20℃で8から12mN/m(例えば、20℃で約10mN/m)の表面張力を有する。
【0087】
本発明において使用する組成物に含めてよい他の疎水性物質は、式(HC)[SiO(CHSi(CH及び(HC)[SiO(CH)H]Si(CHを有するもの並びにそれらの混合物から選択される短鎖シロキサンを含み、nは1から24、より好ましくは1から12、最も好ましくは1から8の整数であり、例えば、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12、特に、1、2、3、又は4である。これらの物質は、多くの場合は、(ポリ)ジメチルシロキサン(CAS # 9016−00−6)及び(ポリ)メチルヒドロシロキサンの各々が参照される。これらの物質は、典型的には、環境温度及び圧力(例えば、約20℃で大気圧)で液体である。
【0088】
これらのシロキサンは、典型的には、約100から約2000g/mol、好ましくは約148から約1864(例えば、約162から約1864又は約148から約1528)、より好ましくは約148から約976(例えば、約162から約976又は約148から約808)、例えば、約148から約680(例えば、約162から約680又は約148から約568)、特に、約148から約384(例えば、約162から約384又は約148から約328)の分子量を有する。
【0089】
好ましい(ポリ)ジメチルシロキサンの例は、ヘキサメチルジシロキサン(CAS # 107−46−0)、オクタメチルトリシロキサン(CAS # 107−51−7)、デカメチルテトラシロキサン(CAS # 141−62−8)、ドデシルメチルペンタシロキサン(CAS # 141−62−8)、ドデカメチルペンタシロキサン(CAS # 141−63−9)である。これらの(ポリ)ジメチルシロキサンは、式(HC)[SiO(CHSi(CHの化合物に相当し、式中、nは各々1、2、3、及び4である。
【0090】
単鎖シロキサンは、典型的には、0.1から100センチストローク、好ましくは2から20センチストロークの粘度を有する。好ましいシロキサンは、0.5から5センチストローク、例えば、0.65、1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10センチストロークの粘度を有する。
【0091】
単鎖シロキサンは、その比較的低い分子量のために、比較的揮発性である。例えば、それらは、大気圧条件下で約120℃未満、例えば、約100から120℃の沸点を有する。ヘキサメチルジシロキサンは、例えば、大気圧条件下において約101℃の沸点を有する。
【0092】
成分(ii)は、一般的に強力に疎水性でもある。これは、成分(ii)が水の塊から反発され、それによって実質的に水に不溶であることを意味する。用語「実質的に水に不溶」は、物質が、典型的に、20℃で2g/100g(水)未満の溶解度、例えば、1g/100g(水)未満の溶解度、好ましくは0.5g/100g(水)未満、例えば、0.1g/100g(水)未満、例えば、0.01g/100g(水)未満の溶解度を有する。
【0093】
成分(ii)として使用するのに適切な上述の物質は、単独又は組み合わせて使用してよい。特に、異なる分子量のシロキサン及び/又はポリシロキサンの混合物を使用してよい。多数の市販のシロキサン/ポリシロキサンが混合物として提供されており、これらは混合物から成分を分離する必要なく使用してよい。本発明の成分で使用するのに適切な市販のシロキサンの詳細は、例えば、http://www.clearcoproducts.com/standard_pure_silicones.htmlに記載されている。
【0094】
例えば、2、3、4、5、又はそれ以上のシロキサンの混合物が使用されてよい。シロキサンの組み合わせを使用する場合は、等量又は異なる量で物質が使用されてよい。例えば、個々のシロキサンが等モル量で使用されてよく、又は各シロキサンの重量が同一であってよい。2種のシロキサンの混合物が使用される際は、他の適切な比(シロキサン全体のモル量又は重量について)が、0.1:99.9から99.9:0.1、好ましくは1:99から99:1、より好ましくは95:5から5:95、例えば、10:90から90:10、又は25:75から75:25の範囲である。例えば、ヘキサメチルジシロキサンとオクタメチルトリシロキサンとの組み合わせを使用する場合は、上述の任意の比が使用されてよい。1つの特定の組み合わせは、95:5の比でヘキサメチルジシロキサン:オクタメチルトリシロキサンを含む。
【0095】
2又はそれ以上のシロキサン又はポリシロキサンを使用するのが、本発明の好ましい態様である。ヘキサメチルジシロキサンとオクタメチルトリシロキサンとの組み合わせの使用は、単鎖シロキサン、例えば、上述の高分子量のポリシロキサンの1つ又は複数と共にこれらの物質の1つ又は双方の使用であり、好ましい。
【0096】
本発明に使用する抗微生物組成物は、極性溶媒である成分(iii)を含む。適切な極性溶媒は、水、アルコール、エステル、ヒドロキシ及びグリコールエステル、ポリオール、及びケトン、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0097】
適切なアルコールは、直鎖又は分枝鎖のCからのアルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、プロパノール異性体の混合物、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソ−ブタノール、ブタノール異性体の混合物、2−メチル−1−ブタノール、n−ペンタノール、ペンタノール異性体の混合物、及びアミルアルコール(異性体の混合物)、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0098】
適切なエステルは、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソ−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、イソ−ブチルアセテート、sec−ブチルアセテート、アミルアセテート(異性体の混合物)、メチルアミルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、及びイソ−ブチルイソブチレート、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0099】
適切なヒドロキシ及びグリコールエステルは、メチルグリコールアセテート、エチルグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、ブチルジグリコールアセテート、エチルラクテート、n−ブチルラクテート、3−メトキシ−n−ブチルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ポリソルバンO、2−メチルプロパン酸−2,2,4−トリメチル−3−ヒドロキシペンチルエステル、メチルグリコール、エチルグリコール、イソ−プロピルグリコール、3−メトキシブタノール、ブチルグリコール、イソ−ブチルグリコール、メチルジグリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、イソブチルジグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、モノヘキシルエーテル、及びジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0100】
適切なポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、及びジプロピレングリコール、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0101】
適切なケトンは、イソブチルへプチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、メチルイソ−ブテニルケトン、ペント−オキソン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソ−ホロン、メチルブチルケトン、エチルプロピルケトン、メチルイソ−ブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソ−アミルケトン、エチルブチルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、及びジエチルケトン、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。
【0102】
抗微生物組成物において使用するのに好ましい極性溶媒は、水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール、並びにそれらの混合物を含むが、それらに限らない。組成物が、水、又は水と上述のアルコールから選択される1つ又は複数のアルコールとの混合物を含むことが特に好ましい。その様な混合物では、好ましくは、水が主要な成分である。
【0103】
抗微生物組成物は、上述の成分(i)、(ii)、及び(iii)に追加の成分を含有してよい。例えば、1つ又は複数の抗微生物剤(iv)が含まれてよい。任意の適切な追加の抗微生物剤、例えば、EPA(米国環境保護庁)一覧(Listing)及びEC殺生物剤指示書(Biocides Directive)に記載のものが使用されてよい。
【0104】
適切な追加の抗微生物剤(IV)は、両性化合物、ヨードフォア、フェノール化合物、及び窒素に基づくヘテロ環式化合物を含む。
【0105】
好ましくは、追加の抗微生物剤は、室温及び気圧において水溶性である。
【0106】
追加の抗微生物剤(iv)の例は、ポリマービグアニジン(例えば、ポリヘキサメチレンビグアニジン(PHMB))、イソチアザロン、オルトフェニルフェノール(OPP)、及びニトロブロモプロパン(例えば、ブロノポール(INN)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール)、及びポリマー第四級アンモニウム化合物を含む。本発明の1つの態様では、抗微生物組成物(B)はイソチアザロンを含まない。
【0107】
特に好ましい追加の抗微生物剤(iv)は、ポリマービグアニジンを含む。特に好ましい追加の抗微生物剤(iv)は、ポリヘキサメチレンビグアニジン(PHMB)である。PHMBはArch BiocidesからVantcilの商品名で市販されている。
【0108】
本発明で使用するのに好ましい抗微生物組成物(B)は、1つ又は複数の第四級アンモニウム化合物及び少なくとも1つのポリマービグアニジン、例えば、PHMBを含むものを含む。例えば、抗微生物組成物(B)は、1つ又は複数の第四級アンモニウム化合物及び少なくとも1つのポリマービグアニジン、例えば、PHMBを唯一の抗微生物活性剤として含んでよい。
【0109】
本発明に使用される抗微生物組成物は、典型的には、(I)成分(i)及び成分(ii)を混合する工程;(II)工程(I)で形成した混合物に極性溶媒を添加する工程;並びに(III)透明溶液が形成されるまで得られた混合物を攪拌する工程を含む方法によって作製される。
【0110】
成分(i)が固体である場合には、工程(I)は、成分(i)を溶解するのに十分な極性溶媒中で実施してよい。代替的には、成分(i)として使用してよい幾つかの物質は溶液で市販されている。この場合には、これらの物質を、市販されている形態のままで工程(I)で使用してよい。
【0111】
典型的には、工程(I)で使用した混合物は、約1から約25重量%の極性溶媒、より好ましくは約2から約8重量%の極性溶媒を含む。工程(I)で使用した溶媒の量が多すぎる場合には、コロイドが形成しない。当業者は、使用する溶媒の適当な量を容易に決定し得るであろう。多すぎる溶媒を使用した場合には、初期の曇っている溶液が透明にならない(透明溶液はコロイドの形成と関連する)。工程(I)で典型的に使用する極性溶媒は水であるが、他の極性溶媒が代替的又は追加で使用されてよい。
【0112】
1つ又は複数の追加の抗微生物剤(iv)が使用される場合には、これらは工程(I)で導入されるか又は工程(II)で添加されてよい。それらが工程(I)で添加される場合には、少なくとも一部の追加の抗微生物剤がコロイド粒子に含まれてよい。追加の抗微生物剤が工程(II)で添加される場合には、それらは極性溶媒に単純に溶解する可能性が高い(言うまでも無く、それらが溶媒に可溶性である場合に限る)。しかしながら、それらはコロイドの外側表面に結合してもよい。
【0113】
典型的には、前記組成物を製造する方法は、攪拌しながら室温で実施される。工程(I)では、成分(ii)が極性溶媒に不溶性であるため、前記混合物は最初、曇っている。
【0114】
典型的には、工程(I)は、溶液が透明になった際に完了する。この透明な溶液は、成分(i)及び(ii)並びに追加の抗微生物剤(iv)(使用される場合)のコロイド又はミセルを含有する。
【0115】
極性溶媒に可溶性でない抗微生物剤が使用される場合は、コロイドの一部を形成するように工程(I)において添加される。
【0116】
工程(I)では、成分は、コロイド構造(例えば、ミセル及び小胞)の形成を最大化するように任意の様式で混合されてよい。これは、成分(ii)に成分(i)を又はその逆にゆっくりと添加して、混合(例えば、一晩攪拌)することによって達成されてよい。成分の添加速度は、多くの場合には、コロイドの形成を妨げ得る「ショック」を防止するように制御されることが必要である。適切な添加速度を決定することは当業者には日常的な作業の範囲であろう。混合工程は、超音波混合技術を使用してもよい。
【0117】
前記組成物は、濃縮形態(極性溶媒を少量のみ含むか又は全く含まない)で調製され、使用時に極性溶媒(例えば、水)で希釈されてよい。
【0118】
本発明において使用する組成物では、成分(i)及び(ii)の大半(50%超、好ましくは75%超、より好ましくは90%超、最も好ましくは実質的に全て(少なくとも97%)又は100%)が、これらの成分の双方を含有するコロイド中に存在する。追加の抗微生物剤が使用される場合には、この物質はコロイドに含有されてよく、及び/又は極性溶媒に溶解されてもよい。
【0119】
コロイド又はコロイド分散物は、視覚的には均質な溶液である異種成分からなる混合物である。コロイド中の粒子による光の散乱であるチンダル現象のために、幾つかのコロイドは半透明である。他のコロイドは、不透明であるか又は僅かに色が着いていてよい。本発明の組成物中のコロイドは典型的には不透明ではない。
【0120】
コロイドでは、分散相が、連続相全体に亘って均一に分布した微小粒子又は液滴から形成される。分散した相の粒子又は液滴のサイズは、典型的には、1ナノメートルから1マイクロメートルである。このサイズの範囲にある分散相を有する異種成分からなる混合物は、コロイドゾル、コロイドエマルション、コロイドフォーム、コロイドサスペンション、又はコロイドディスパーションと称されてよい。
【0121】
分散相の粒子又は液滴は、コロイド中に存在する表面の化学物質によって大きく影響を受ける。例えば、コロイド粒子は、多くの場合において、電荷を有し、そのため、互いに誘引又は反発する。連続相及び分散相の双方の電荷並びに相の移動性が、当該相互作用に影響を与える因子である。
【0122】
典型的には、抗微生物組成物中の成分(i)の成分(ii)に対する分子数の比は、約100:1から5:1、好ましくは約90:1から約8:1、より好ましくは約80:1から約15:1、更に好ましくは約70:1から25:1又は約20:1、最も好ましくは約40:1から約60:1、例えば、約50:1である。
【0123】
成分(i)の分子の任意の追加の抗微生物剤の分子に対する比は、使用する場合には、典型的には、約1:2又は約1:1から約50:1、好ましくは約2:1から約30:1、より好ましくは約4:1から約20:1、最も好ましくは約8:1から約15:1、例えば、約10:1である。
【0124】
典型的な組成物では、(i)及び(iv)の分子の総数に対して(ii)の全分子は、約5に対して80、例えば、約10に対して約60、例えば、約50である。
【0125】
典型的には、成分(i)は、組成物の重量の約0.01から約50重量%、例えば、約0.02から約40重量%、例えば、約0.05から約30重量%、好ましくは約0.1から約20重量%(例えば、0.2から15重量%又は0.5から10重量%)の量で組成物中に存在する。
【0126】
典型的には、成分(ii)は、組成物の重量の約0.001から約10重量%、例えば、約0.002から約5重量%、例えば、約0.003から約2重量%、好ましくは約0.005から約1重量%(例えば、0.008から0.8重量%又は0.1から0.5重量%)の量で組成物中に存在する。成分(ii)の量は、多数の因子、使用するコロイド形成物質、及びその特性(例えば、粘度及び揮発性)に依存して変化するであろう。
【0127】
典型的には、極性溶媒成分(iii)は、組成物の重量の約10から約99.999重量%、例えば、約50から約99.999重量%、例えば、約80から約99.99重量%、好ましくは約90から約99.9重量%、より好ましくは約95から約99.8重量%(例えば、97から99.7重量%又は97.5から99.6重量%)の量で組成物中に存在する。
【0128】
典型的には、PHMBなどの追加の抗微生物剤は、組成物の重量の約0.001から約10重量%、例えば、約0.005から約5重量%、例えば、約0.01から約2重量%、好ましくは約0.05から約1重量%(例えば、0.1から0.5重量%)の量で組成物中に存在する。
【0129】
本明細書で使用するコロイドなる用語は、例えば、球状又は柱状であってよい、小胞及びミセルを含むが、それらに限らない各種のコロイド構造を包含する。
【0130】
本発明において使用するのに適切な抗微生物組成物は、WO 2002/62142、GB−A−2374011、及び英国特許出願第PCT/GB2008/002436を含むが、それらに限らない。
【0131】
本発明の製剤は、典型的に、製剤が主な目的を達成することを可能にする適合成分と組み合わせて、上述の抗微生物組成物を含む。これは、例えば、本発明の洗剤製剤(例えば、液体洗剤)は、上述の抗微生物組成物と共に、必須の洗浄特性を提供する成分を含有するであろう。
【0132】
以下に、本発明の製剤の非限定的な例を示す。
【0133】
(A)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤;
(B)(i)少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、(ii)少なくとも1つのシロキサン又はポリシロキサン、(iii)少なくとも1つの極性溶媒、典型的には水、及び(iv)少なくとも1つの追加の抗微生物剤、例えば、ポリマービグアニジン、例えば、PHMBを含む、抗微生物組成物;並びに
上述の他の適合する成分
を含む、製剤。
(A)は、例えば、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤のみを含んでよく、すなわち、前記製剤が他の界面活性剤、例えば、両性界面活性剤を含まない。前記ポリマービグアニジンは、例えば、唯一の追加の抗微生物剤であってよい。1つの態様では、前記追加の抗微生物剤はイソチアザロンを含まない。
【0134】
(A)少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び少なくとも1つの両性界面活性剤、ただし、両性界面活性剤の全量は製剤の全量の5重量%以下である;
(B)(i)少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、(ii)少なくとも1つのシロキサン又はポリシロキサン、(iii)少なくとも1つの極性溶媒、典型的には水、及び(iv)少なくとも1つの追加の抗微生物剤、例えば、ポリマービグアニジン、例えば、PHMBを含む、抗微生物組成物;並びに
上述の他の適合する成分
を含む、製剤。
前記ポリマービグアニジンは、例えば、唯一の追加の抗微生物剤であってよい。1つの態様では、前記追加の微生物剤は、イソチアザロンを含まない。
【0135】
約8以下、例えば、約5から約8のpHを有し、かつ、
(A)非イオン性又は陽イオン性のタイプの特性を約8未満のpHで示す、少なくとも1つの界面活性剤;
(B)(i)少なくとも1つの第四級アンモニウム化合物、(ii)少なくとも1つのシロキサン又はポリシロキサン;(iii)少なくとも1つの極性溶媒、典型的には水、及び(iv)少なくとも1つの追加の抗微生物剤、例えば、ポリマービグアニジン、例えば、PHMBを含む、抗微生物組成物;並びに
上述の他の適合する成分
を含む、製剤。
(A)は、例えば、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤のみを含んでよく、すなわち、前記製剤は、他の界面活性剤、例えば、両性界面活性剤を含まない。前記ポリマービグアニジンは、例えば、唯一の追加の抗微生物剤であってよい。1つの態様では、前記追加の抗微生物剤は、イソチアザロンを含まない。
【0136】
本発明の製剤は、一定量の上述の抗微生物組成物を事前に調製した初期の製剤に導入することによって製造されてよい。例えば、抗微生物組成物が、適切な市販の界面活性剤組成物に導入され得るであろう。
【0137】
代替的には、前記抗微生物組成物は、製剤を製造する方法における工程の1つの間に添加することによって、製剤中に包含されてよい(初期の製剤を形成すること無く)。
【0138】
本発明の特定の製剤を作製するために使用する方法は、製剤の性質及び作製する条件に依存し得る。しかしながら、製剤を作製する方法にかかわらず、抗微生物組成物が、製剤の他の成分のいずれかと混合するまでに事前に形成されていることが重要である。
【0139】
理論につなげることを意図しないが、抗微生物組成物のコロイド構造が製剤中で維持されると解されるであろう。
【0140】
前記抗微生物組成物の構造の維持が、以下の利点の1つ又は複数を提供し得る。
【0141】
使用する際に、本発明の製剤は、それらが適用される表面で又は表面上で、微生物のコロニーの形成を実質的に低減又は制御する作用を有する。これは、本発明の製剤が、それらが表面に適用された際に、当該表面上に存在する任意の微生物を殺滅する(いわゆる、「湿式殺滅(wet kill)」)だけでなく、それらは、表面で新たな微生物のコロニーが形成するのを妨げるという残存効果も有する(いわゆる、「乾式殺滅(dry kill)」)。抗微生物組成物中に存在するコロイドが、製剤の残りが除去された後であっても、表面上に維持され、表面上の前記コロイドの存在が微生物のコロニーの増殖/バイオフィルム形成を妨げると解される。
【0142】
同じ量の抗微生物剤を含有するが、抗微生物剤が上述のように抗微生物組成物内に含まれていない製剤と比較して、本発明の製剤は、使用した際に増大した抗微生物効力を有し得る。本発明において使用する抗微生物組成物において使用する界面活性剤自体が一定の抗微生物特性を有しないため、これは特に驚くべきことである。これは、所望の効果を得るために、本発明の製剤に必要とされる抗微生物剤の量が、従来技術で必要とされる量よりも低いことを意味する。
【0143】
本発明の製剤は、以下の利点の一つ又は複数も有してよい。
【0144】
前記抗微生物組成物が、細菌、真菌、及びカビを含む広範な微生物に共通の特徴である微生物の表面に対する接着及び結合を物理的に阻害するために、本発明の抗微生物効果が達成されると解され、前記組成物は広範な微生物に有効である。かくして、本発明の利点は、広範な微生物が表面に接着及び結合することを妨げることが可能であり、そのため、バイオフィルムが形成するのを妨げることが可能であることである。多数のコロニーの形成が実質的に妨げられるであろう。かくして、コロニーの増殖能力は、実質的に低減又は阻害される。したがって、本発明は、微生物の制御において一般性がある。
【0145】
典型的には、本発明の製剤は、哺乳動物に非常に毒性である物質を含有する必要がない。前記抗微生物組成物において使用する抗微生物剤は、典型的には、よく知られたものであり、かつ、広く理解されており、かつ、試験された抗微生物剤である。既知の抗微生物剤の効力は、本発明の製剤において増幅される。したがって、低い毒性を有する抗微生物剤が、抗微生物組成物において使用されてよい。対照的に、公衆衛生の既知の技術のための多数の「新規」抗微生物剤は、より「強力」でより毒性があり、かつ/又は試験が殆どされていない物質を使用する。
【0146】
本発明において使用する抗微生物組成物は、高度に持続する残留物又は洗浄液を生じる物質又は重金属及びそれらの塩を含有する物を本発明の製剤に導入しない。かくして、長期間の危険が生じるリスクが大幅に低減される。
【0147】
本発明において使用する抗微生物組成物は、微生物の自己複製生化学経路を阻害しない。したがって、耐性が生じるリスク及び耐性株が生じるリスクが低い。
【0148】
本発明の製剤において使用する抗微生物組成物は、多くの場合において、染料を「定着」させるために使用するものと類似の偽防蝕剤効果を提供する。抗微生物組成物の成分(ii)は、水に不溶性であり、本発明の製剤で処理された表面に対して強力な親和性を有する。例えば、成分(ii)は、布の繊維に強力な親和性を有する。かくして、例えば、洗濯方法、例えば、洗濯機による洗濯において、疎水性成分(ii)は繊維に接着及び結合(非化学的)する。上述のように、本発明の製剤では、成分(ii)が、抗微生物剤及び成分(ii)を含有するコロイド構造の形態で存在する。かくして、成分(ii)が布の表面などの表面に結合する際は、抗微生物剤が表面に結合する効果がある。したがって、それらは、表面上に留まり、洗浄及び乾燥後においても抗微生物効果を提供する。
【0149】
本発明の製剤中の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の使用は、ある場合には、製剤の抗微生物特性を向上する。
【0150】
一般的な規則として、抗微生物効力は、抗微生物剤の濃度が増大すると増大する。しかしながら、本発明の製剤は、例えば洗濯及び家庭の清掃の過程の間に、それらが顕著に希釈された環境にあっても驚くべきことに効果的であり得る。
【0151】
本発明の製剤は、抗微生物剤(i)の全濃度が約300から約40ppm又は約50ppm、例えば、約200から約75ppm、又は約150から約100ppmほど低い際に、効果的である。従来の抗微生物組成物(例えば、第四級アンモニウム化合物を含むもの)において、抗微生物剤の濃度は少なくとも約400ppmでなければならないと解されているため、これは驚くべきことである。換言すると、本発明の製剤は、本発明の製剤の使用が意図される環境/条件において認められる微生物のレベル/濃度に対して抗微生物効果を提供するのに効果的である。
【0152】
本発明の製剤において使用する抗微生物組成物は、使用時に抗微生物効果を提供するだけでなく、製剤の保存効果も有し得るという二重の効果を有し得る。これは、典型的には、本発明の製剤に追加の保存剤を添加する必要が無く、及び/又は製剤の保存期間が改善され得ることを意味する。
【0153】
上述のように使用される成分(ii)の定義内の短鎖シロキサンの使用は、他の特定の利点を提供し得る。例えば、コロイドが壊れた(例えば、表面で磨耗により)場合には、これらの比較的揮発性の物質が蒸発し、表面に持続的に残らない。
【0154】
前記コロイドは、典型的には、それらが適用される表面に脂っぽい感触を与えない。
【0155】
本発明で使用する抗微生物組成物は、製剤に非常に良好な手に対する感触を与え、これは、入浴用製品、石鹸、手の衛生用品などのパーソナルケアのための製剤に重要である。
【0156】
皮膚に対して使用する製品は、抗真菌、抗微生物、臭い防止、感染リスクの低減、及び/又は治癒の促進という利点を提供し得る。例えば、乳児用製品、例えば、ナッピークリームは、おむつかぶれ等の状態が発生するのを低減し得る。
【0157】
本発明のヘアケア製品は、頭皮の臭いを防止/低減し、及び/又は皮膚に付着したアタマジラミの卵の機能を低減するために使用し得る。
【0158】
食品用スプレーは、微生物が発生するのを妨げることによって食品の損傷を低減/防止し得る。
【0159】
本発明の更なる態様によれば、本発明の製剤は、当該製剤が提供される表面における微生物のコロニー形成を防止するために提供される。
【0160】
本発明は、ここから、以下の非限定的な実施例によって説明する。
【実施例】
【0161】
以下の成分を、下記実施例において使用した。
【0162】
【表2】

【0163】
Vantocil TG (PHMB), ポリヘキサメチレンビグアニジン(Arch Chemicals Ltd, West Yorkshire, UK製)
PHMB水溶液, 20% w/w
【0164】
【表3】

【0165】

飲料水
【0166】
界面活性剤
Surfachem, Leeds, UK製のSurfac 65/95, Surfac 65/95 pH 9.5, Surfac 65/95 pH 2.5, Neodol 25-7, Neodol 91-8, Surfac LM 90/85, Surfac T80, Surfac APGI, Surfac PGHC, 及びNimol 49 CE。
Aldrich, UK製のTween 60, Tween 40, 及び Tween 20。
Greylands, Manchester, UK製のGland 3。
Tomah, USA製のTomadol PF9。
Surfachem製のSurfac AO30 (アミンオキシド)
Surfac B4
下記実施例の各々で使用した抗微生物組成物は、以下の方法によって作製した。
【0167】
参照例1
抗微生物組成物G5の調製
工程1
Mason Quat MQ624Mを、3.85重量%の3cST(Byotrol)シリコーン(Clearco)に混合し、室温で最低30分にわたって攪拌した。得られた混合物は透明であり、更に12時間放置した。
工程2
工程1の生成物130gに、500gのVantocil TG(UK)又はVantocil P(US)及び370gの水を添加した。これを室温で30分間に亘って攪拌し、Vantocilを完全に溶解した。
【0168】
これらの工程によって、10重量%の第四級アンモニウム、10重量%のPHMB、及び0.5重量%のシリコーンを含む抗微生物組成物G5が製造された。
【0169】
実施例1
大腸菌K12 O Rough H48を用いた懸濁試験による細菌活性の評価
本試験の目的は、大腸菌K12 O Rough H48に対する本発明の製品の殺細菌活性を評価することである。
【0170】
【表4】

【0171】
試験生物
大腸菌K12 O Rough H48
試験生物はLBAプレートで4度に維持した。1つのコロニーを使用して、100mlフラスコのLBに播種して、37℃で16時間に亘ってインキュベートし、静止期に至った。対数増殖期の培養については、4mlのLBに1つのコロニーを播種して、37℃で16時間に亘ってインキュベートした。次いで、1mlの細菌懸濁物を100mlのLBに添加して、約0.375のOD600まで増殖させた。次いで、各生物はLBを用いて連続的に希釈し、LBAプレートにプレーティングし、1ml当たりのコロニー形成単位数を決定した。
【0172】
試験条件の検証
1.選択した実験条件の検証
1mlのウシアルブミン溶液(BSA)を、約3.0×10cfu/mlを含有する1mlの細菌試験懸濁物を入れた試験管に入れ、20℃の試験温度で2分間に亘ってインキュベートした。その終わりに、8mlのLBを添加した。この混合物を10分間の試験接触時間に亘ってインキュベートした。次いで、前記溶液を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまで希釈した。0.1mlのこれらの試験溶液をピペットで取り、12〜15mlのLBAにプレーティングすることを三回重複して実施した。これは、3.0×10及び3.0×10cfu/mlに相当する。そのプレートは37℃で24時間に亘ってインキュベートした。
試験結果は、細菌懸濁物の0.05倍以上であるべきである
【0173】
2.中和剤の毒性検証
9mlの中和剤(NF)を試験管に入れて、約3.0×10cfuを含有する1mlの細菌懸濁物と混合した。その混合物を20℃で10分間に亘ってインキュベートした。その懸濁物を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまでLBAを使用して希釈した。次いで、0.1mlを12〜15mlのLBAを含有する3つのプレート上にピペットで取った。そのプレートを37℃で24時間に亘ってインキュベートした。
試験結果は、細菌懸濁物の0.05倍以上であるべきである。
【0174】
3.希釈−中和検証
1mlのウシアルブミン溶液(BSA)を、1mlのLBを含む試験管に入れて、20℃で5分間に亘ってインキュベートした。次いで、1mlを取って、8mlの中和剤(NF)を添加した。5分のインキュベートの後に、1mlの細菌懸濁物を添加した。その混合物を20℃で10分間に亘って放置した。その懸濁物を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまでLBを使用して希釈し、次いで、0.1mlを12〜15mlのLBAにプレーティングすることを三回重複して行った。
試験結果は、中和剤毒性検証の0.5倍以上であるべきである。
【0175】
試験方法
選択した試験条件は
温度:20℃
接触時間2分
干渉物質:ウシアルブミン溶液(0.3%)
製品試験溶液:Byotrol product G5(0.5%(v/v)飲用水で希釈)+表示の界面活性剤/界面活性剤混合物、pHは表示のように調節した。
【0176】
1mlのBSAを1mlの細菌試験懸濁物(約3×10cfu/ml)に添加して、20℃で5分間に亘ってインキュベートした。この終わりに、8mlの製品試験溶液を添加した。2分間の接触時間の後に、1mlの一定分量をピペットで0mlの中和剤(NF)中にとった。1mlのこの混合物を連続的な希釈(LB+NF)に使用した:10−1、10−2、10−3、10−4、10−5、10−6、及び10−7。1mLの連続的な希釈物を12〜15mlのLBAを含むペトリ皿にプレーティングすることを2回重複して実施した。
【0177】
参照例1に上述したように作製した0.5%のG5溶液及び下の表1に記載した界面活性剤を含有する製品試験溶液を試験した。
【0178】
【表5】

【0179】
表1は、G5及び5%v/vの試験した界面活性剤の組み合わせが抗微生物活性を有することを示す。
【0180】
参照例1に記載したように作製した0.5%v/vのG5溶液及び0.1から30%v/vの量で非イオン性界面活性剤Tomadol PF9を含む製品試験溶液を試験して、結果を表2に示す。
【0181】
【表6】

【0182】
表2は、G5及び非イオン性界面活性剤Tomadolの組み合わせが、30%v/vまでの界面活性剤の濃度で抗微生物活性を有することを示す。
【0183】
実施例2
大腸菌K12 Rough H48を用いた懸濁試験による更なるサンプルの殺細菌活性の評価
実施例1に記載したものと類似の試験手法を実施した。参照例1に記載したように作製した0.5%のG5溶液及び下の表1に記載の界面活性剤を含む製品試験溶液を試験した。
【0184】
【表7】

【0185】
実施例3
大腸菌K12 O Rough H48を用いた残存効力試験
本試験の目的は、典型的な家庭の条件を用いて、大腸菌K12 O Rough H48に対する本試験の製品の残存効力を評価することである。
【0186】
【表8】

【0187】
試験生物
大腸菌K12 O Rough H48
試験生物は4℃でLBAプレート上に維持した。一つのコロニーを使用して、LBを含む100mlフラスコに播種して、37℃で16時間に亘ってインキュベートし、静止期に至った。対数増殖期の培養については、4mlのLBに1つのコロニーを播種して、37℃で16時間に亘ってインキュベートした。次いで、1mlの細菌懸濁物100mlのLBに添加して、約0.375のOD600まで増殖させた。次いで、各生物の連続的な希釈をLBを用いて実施し、LBAプレートにプレーティングして、1ml当たりのコロニー形成単位数を決定した。
【0188】
試験条件の検証
1.選択した実験条件の検証
1mlのウシアルブミン溶液(BSA)を、約3.0×10cfu/mlを含有する1mlの細菌試験懸濁物を含む試験管に入れ、20℃の試験温度で2分間に亘ってインキュベートした。その終わりに、8mlのLBを添加した。この混合物を10分間の試験接触時間に亘ってインキュベートした。次いで、前記溶液を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまで希釈した。0.1mlのこれらの試験溶液をピペットで取り、12〜15mlのLBAにプレーティングすることを三回重複して実施した。これは、3.0×10及び3.0×10cfuに相当する。そのプレートは37℃で24時間に亘ってインキュベートした。
試験結果は、細菌懸濁物の0.05倍以上であるべきである
【0189】
2.中和剤の毒性検証
9mlの中和剤(NF)を試験管に入れて、約3.0×10cfuを含有する1mlの細菌懸濁物と混合した。その混合物を20℃で10分間に亘ってインキュベートした。その懸濁物を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまでLBAを使用して希釈した。次いで、0.1mlを12〜15mlのLBAを含有する3つのプレート上にピペットで取った。そのプレートを37℃で24時間に亘ってインキュベートした。
試験結果は、細菌懸濁物の0.05倍以上であるべきである。
【0190】
3.希釈−中和検証
1mlのウシアルブミン溶液(BSA)を、1mlのLBを含む試験管に入れて、20℃で5分間に亘ってインキュベートした。次いで、1mlを取って、8mlの中和剤(NF)に添加した。5分のインキュベートの後に、1mlの細菌懸濁物を添加した。その混合物を20℃で10分間に亘って放置した。その懸濁物を3.0×10及び3.0×10cfu/mlまでLBを使用して希釈し、次いで、0.1mlを12〜15mlのLBAにプレーティングすることを三回重複して行った。プレートは37℃で24時間に亘ってインキュベートした。
試験結果は、中和剤毒性検証の0.5倍以上であるべきである。
【0191】
試験方法
1.担体の事前処理
担体を、イソプロパノール(70%v/v)を用いてスプレーによって洗浄及び殺菌した。過剰のイソプロパノールを使用して、表面全体を完全に覆った。過剰のイソプロパノールを流し出して除去した。10分間に亘って更に乾燥させた。
【0192】
2.担体の最初の播種
最初に〜10CFUの細菌でタイル表面に播種することを試みた。適用容量は10μLである。10μLの適用した容量は滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalskyスパチュラ)によってタイル表面全体に広げた。播種したタイルは50分間に亘って乾燥させる。
【0193】
3.担体に対する製品の適用
1mLの殺菌製品を事前処理した担体表面に適用した。適用した殺菌製品は、滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalskyスパチュラ)によって表面全体に広げた。過剰な殺菌製品で表面処理を10分間に亘って実施した。事前処理した担体を清浄環境において一晩保存し、プロフェッショナルケアワイプで覆った。
【0194】
4.担体の播種
タイル表面の播種は〜10CFU細菌を使用して実施した。適用した容量は10μLであった。イソプロパノールが残存している場合には、適用した細菌の一部が殺滅される可能性がある。10μLの適用した容量は、滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalskyスパチュラ)を用いてタイル表面全体に広げた。播種したタイルは50分に亘って乾燥させた。
【0195】
5.水を用いたすすぎ
タイル表面を10mLの滅菌水(ミリポア水)ですすいだ。すすいだ後、タイルを1時間まで、表面が視覚的に乾燥するまで乾燥させた。
【0196】
6.乾燥磨耗サイクル
磨耗サイクルを磨耗工程として用いた。乾燥磨耗サイクルを、プロフェッショナルケアワイプで包んだコルクブロックを前後に動かして実施した。通常の手による圧力を適用した。ビスコースを含まないプロフェッショナルケアワイプは、quat又はPHMBを吸収しない。
【0197】
7.湿式磨耗サイクル
ミリポア水をスプレーして、プロフェッショナルケアワイプを濡らした。スプレーは、約30cmはなれて一度に実施した。湿式磨耗サイクルを磨耗工程として用いた。湿式磨耗サイクルを、濡れた(ミリポア水)プロフェッショナルケアワイプで包んだコルクブロックを前後に動かすことによって実施した。通常の手による圧力を適用した。濡れた表面を少なくとも10分間に亘って乾燥させた。
【0198】
8.担体の最後の播種
タイルを〜10CFUの細菌を用いて播種した。適用容量は10μLであった。適用した容量を滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalsky spatula)を用いてタイル表面全体に広げた。播種したタイルを5から10分間に亘って乾燥させた。生存している細菌を500μL LB+NFに溶解した。適用したLB+NFは、滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalskyスパチュラ、使い捨て)を用いてタイル表面全体に広げた。中和剤は生存細菌に対する殺滅効果を有しなかったが、タイル上の殺菌製品を不活性化した。生存細菌を溶解するために、タイルを室温で30分間に亘ってインキュベートした。溶解した生存細菌は滅菌プラスチックスパチュラ(Drigalskyスパチュラ)を用いて回収した。
【0199】
9.生存細菌の測定
回収した液体から滅菌ピペットでサンプル回収した。100μLのサンプルを900μLのLB+NFに適用した。100μLのサンプルに対する10−4までのLB+NFにおける連続的な希釈を実施して、希釈物を寒天プレートに移した。
【0200】
【表9】

【0201】
試験結果
上述の手法を用いて試験した水性製剤を、下の表3に示す。
【0202】
【表10】

【0203】
水のみを使用した際は、残存効果が認められなかった(対数(LOG)減少を参照のこと)。G5のみで3.5の対数減少を与えた。界面活性剤のみでは残存効力を有しなかった(3未満の対数減少は実験誤差の範囲内である)。G5を界面活性剤と組み合わせると、顕著な残存効力を示した(7の対数減少)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1つの界面活性剤;及び
(B)(i)界面活性特性を有する抗微生物剤;(ii)疎水性物質;及び(iii)極性溶媒を含む抗微生物組成物
を含む、製剤。
【請求項2】
前記界面活性剤(A)が、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び/又は少なくとも1つの両性界面活性剤を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
陰イオン性界面活性剤を含まない、請求項1又は2に記載の製剤。
【請求項4】
前記界面活性剤(A)は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤から本質的になる、請求項1から3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
前記疎水性物質(ii)が、シロキサン、ポリシロキサン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
疎水性物質(ii)が、式(H3C)[SiO(CH3)2]nSi(CH3)3及び(H3C)[SiO(CH3)H]nSi(CH3)3を有するものから選択される、少なくとも1つのシロキサンを含む、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記組成物(B)が追加の抗微生物剤(iv)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記組成物(B)が、成分(i)、(ii)、及び任意に(iv)から作製されるコロイドを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記界面活性特性を有する抗微生物剤(i)が第四級アンモニウム化合物である、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記第四級アンモニウム化合物が、式
(CH3)n(A)mN+X-
[式中、各Aは、独立に、置換若しくは非置換の、及び/又は直鎖若しくは分枝鎖の、及び/又は割り込まれているか若しくは割り込まれていない、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、又はアルケニル基を表わすか、或いはR、R、R、及びRの2つ以上が窒素原子と共に、置換若しくは非置換のヘテロ環式基を形成し、基A中の炭素原子及びCHの総数は少なくとも4であり;
基Aの置換基は、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、置換アルキルアリール、アリールアルキル、置換アリールアルキル、F、Cl、Br、I、−OR’、−NR’R”、−CF、−CN、−NO、−CR’、−SR’、−N、−C(=O)NR’R”、−NR’C(=O)R”、−C(=O)R’、−C(=O)OR’、−OC(=O)R’、−O(CR’R”)C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”C(=O)R’、−O(CR’R”)NR”SOR’、−OC(=O)NR’R”、−NR’C(=O)OR”、−SOR’、−SONR’R”、及び−NR’SOR”からなる群から選択され;
R’及びR”は、独立に、水素、C−Cアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、又はアリールアルキルであり、rは1から6の整数であるか、或いはR’とR”とが一緒に環式官能基を形成し;
アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、及びアリールアルキルに適用される用語「置換」は、Fから−NR’SOR”までの上述の置換基であり;
はハライド又はスルホネートであり;及び
nは1から3であり、mは1から3であるが、nとmとの合計は4である]
を有する、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
n=2、m=2、各Aが同一であるか又は異なり、直鎖で非置換の割り込まれていないC8−12アルキル基又はベンジル基である、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
前記第四級アンモニウム化合物がベンザルコニウムハライドであるか又はそのアリール環置換誘導体である、請求項10に記載の製剤。
【請求項13】
前記ベンザルコニウムハライドが式:
【化1】

[式中、RはR、R、R、及びRについて規定したとおりである]
を有する、請求項12に記載の抗微生物組成物。
【請求項14】
前記第四級アンモニウム化合物が、ドミフェンブロミド及びベンゼトニウムクロリド、ベンジルジメチル−n−テトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチル−n−ドデシルアンモニウムクロリド、n−ドデシル−n−テトラデシルジメチルアンモニウムクロリド、及びベンジル−C12−C16−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジルココアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ−n−デシルジメチルアンモニウムクロリド、Maquat A、並びにそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の製剤。
【請求項15】
前記成分(i)の成分(ii)に対する分子の比が、約40:1から約60:1である、請求項1から14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
前記シロキサンが、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペントラシロキサンの少なくとも1つを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
前記極性溶媒が、水、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコール、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1から16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
前記少なくとも1つの追加の抗微生物剤(iv)が、ポリマービグアニジン、イソチアザロン、オルトフェノールフェノール、及びニトロブロモプロパンから選択される、請求項7から17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
前記追加の抗微生物剤がポリヘキサメチレンビグアニジンである、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
抗微生物成分(i)及び(iv)(存在する場合)の全分子数が、成分(ii)の全分子に対して約5から約80である、請求項1から19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
前記界面活性剤(A)が、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤及び少なくとも1つの両性界面活性剤を含むが、両性界面活性剤の全量が製剤の全重量に対して5%以下である、請求項1から3及び5から20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
前記界面活性剤(A)がアミンオキシドを含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項23】
表面洗浄剤、トイレケア製品、食器洗浄用製品、洗濯用製品、アウトドア用の洗浄用製品、食品用スプレー、パーソナルケア製品、乳児用製品、応急処置用製品、足の衛生用製品、又は車洗浄用製品の形態にある、請求項1から22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
表面への適用において、表面における又は表面上の微生物コロニー形成を実質的に低減又は制御するために働く、請求項1から23のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の製剤の他の成分と抗微生物組成物とを混合する工程を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の製剤の製造方法であって、前記抗微生物組成物が、
(I)(i)界面活性特性を有する抗微生物剤及び(ii)疎水性物質を共に混合する工程;並びに(II)工程(I)の生成物に(iii)極性溶媒を添加する工程;並びに(III)透明溶液が形成されるまで、得られた混合物を攪拌する工程
を含む方法によって調製される、方法。
【請求項26】
前記抗微生物組成物が事前に調製した界面活性剤含有製剤と混合される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(i)界面活性特性を有する抗微生物剤;(ii)疎水性物質;及び(iii)極性溶媒を含む、請求項1及び4から21のいずれか一項に規定の抗微生物組成物の、界面活性剤含有製剤に抗微生物特性を与えるための使用。
【請求項28】
表面における又は表面上の微生物のコロニー形成を実質的に低減又は制御するための、請求項1から24のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項29】
本明細書に一般的に記載の、界面活性剤及び抗微生物組成物を含む製剤。
【請求項30】
本明細書において実施例に一般的に記載の製剤。

【公表番号】特表2010−539276(P2010−539276A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524579(P2010−524579)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003149
【国際公開番号】WO2009/037445
【国際公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(510015486)バイオトロル・ピーエルシー (2)
【Fターム(参考)】