説明

抗微生物組成物を含有する繊維

【課題】抗微生物組成物を含有する繊維を提供する。
【解決手段】抗微生物物質が使用中に磨耗したり、洗い流されたりすることに対して耐性であるように抗微生物物質を耐久的に含有する繊維。繊維中に含まれる抗微生物物質は、錯体形成性ポリマーと、銅、銀、金、スズ、亜鉛およびその組み合わせから選択される錯体形成した金属を含み、菌の耐性種の発生を受けにくい。また、抗微生物組成物が、繊維または多成分繊維を形成する前に、成分ポリマー中に組み込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物組成物を含有する繊維ならびにその製造法および使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物は私たちの周りに存在する。多くのこのような微生物により人間の健康に対する潜在的な影響があるので、抗微生物配合物が、商業的および住居用クリーニングおよび消毒プロセスの至る所に見られる。このような影響のいくつかとしては、例えば、我々が毎日接触し、使用する我々の衣類および他の織物において存在し、急速に増殖し得る、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、酵母および他の単細胞生物に起因する疾患および皮膚感染症が挙げられる。しかしながら、多くの公知抗微生物組成物は、このような織物表面上の永続的使用に不適である。その結果、抗微生物特性を示す繊維およびこれで製造された織物が必要と認識されている。
【0003】
抗微生物特性を示す繊維を提供するための一方法が、Fossらにより、米国特許第6,841,244号において示されている。Fossらは、様々な熱可塑性ポリマーおよび添加剤を、コア−シースまたはサイドバイサイド形のいずれかの二成分形態において含む抗微生物合成繊維を開示してる。Fossらにより開示されている繊維は、使用される抗微生物剤の量を減少させ、従って、このような繊維のコストを下げるために、繊維のある領域に分散された無機抗微生物添加剤を含む。Fossらにより開示されている抗微生物剤は、銅、亜鉛、スズおよび/または銀を含有する無機化合物である。Fossらは、銀のゼオライトを用いて最善の結果が得られることを示唆している。
【特許文献1】米国特許第6,841,244号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
にもかかわらず、抗微生物物質がその意図される使用中に磨耗したり、あるいは洗い流されることに耐性であるように、抗微生物物質を耐久的に含有する新規繊維および織物が依然として必要とされている。細菌の耐性種の発生を受けにくい抗微生物物質を耐久的に含有する新規繊維および織物も必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様において、成分ポリマー組成物および抗微生物組成物を含む繊維が提供され、ここにおいて、抗微生物組成物は、錯体形成性ポリマーと錯体形成した金属を含み、ここにおいて、金属は、銅、銀、金、スズ、亜鉛およびその組み合わせから選択され;錯体形成性ポリマーは、残基A、残基B、残基Cおよびその組み合わせから選択されるモノマー残基を含み;任意に、錯体形成性ポリマーは、≦99.5重量%(あるいは≦99重量%;あるいは98重量%、あるいは≦95重量%;あるいは≦90重量%;あるいは≦85重量%;あるいは≦80重量%;あるいは≦75重量%;あるいは≦70重量%)の残基Bのモノマー残基を含有する;
ここにおいて、残基Aは
【化1】

であり、
残基Bは
【化2】

であり、
残基Cは
【化3】

である;
(式中、
Xは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環であり;
cは0または1であり;
は、H、CHおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、H、CH、C、C−C24アルキルから選択され;
は、H、CH、C、フェニル、−CHCOおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、(I)〜(V):
(I)H;
(II)
【化4】

(III)−(CHCH(R11)O)H;
(IV)−(CHCH(R11)O)COCHCOCH;および
(V)
【化5】

から選択され;
(ここにおいて、R11は、H、メチルおよびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZおよびXから選択され;ここにおいて、ZはH、ナトリウム、カリウムおよびNHから選択される;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基および0重量%の残基Cのモノマー残基を含有する場合、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、YはXである);
は、H、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(ここにおいて、Rは前記定義のとおりである)、−CO12および−CONRから選択され;ここにおいて、RおよびRは独立して、H、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(ここにおいて、Zは前記定義のとおりである)、C−Cアルキルおよび結合した環構造から選択され、R12は、H、CH、CおよびC−C24アルキルから選択され;
およびRは、独立して、水素、メチル、エチルおよびC−Cアルキルから選択され;
10はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−C10不飽和非環式、C−C10環式、C−C10芳香族、C−Cアルキレンオキシドおよびポリ(C−Cアルキレン)オキシド(ここにおいて、bは2〜20の整数である)から選択される。
【0006】
本発明のもう一つ別の態様において、少なくとも1つの成分ポリマー組成物および少なくとも1つの抗微生物組成物を含む多成分繊維が提供される。
【0007】
本発明のもう一つ別の態様において、2以上の成分ポリマー組成物および前記のような本発明の抗微生物組成物を含む多成分繊維が提供される。
【0008】
本発明のもう一つ別の態様において、本発明の繊維または多成分繊維を含む織物が提供される。
【0009】
本発明のもう一つ別の態様において、本発明の織物を含む織物製品が提供される。
【0010】
本発明のもう一つ別の態様において、本発明の繊維または多成分繊維を製造する方法であって、
(a)成分ポリマー組成物を提供し:
(b)前記のような本発明の抗微生物組成物を提供し;
(c)(a)の成分ポリマー組成物を(b)の抗微生物組成物と混合し;
(d)(c)の生成物を使用して繊維を形成することを含む方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書および請求の範囲において用いられる「繊維(fiber)」なる用語は、紡いで糸にできるか、あるいは接着または様々な方法での交絡、例えば、製織、編組、ブレーディング、縮充、加撚またはウェビングにより織物にすることができ;織物製品の基本的構造要素である単位を意味する。
【0012】
本明細書および請求の範囲において、任意の「追加の繊維」に関して用いられる「最初は含まない」とは、織物を形成するために本発明の繊維または多成分繊維を組み入れる前に、追加の繊維が本発明の抗微生物組成物を含まないことを意味する。しかしながら、いくつかの本発明の抗微生物組成物は、本発明の繊維または多成分繊維を含有する織物中に組み入れられた後に、追加の繊維に移動し得ることに注意すべきである。
【0013】
本明細書および請求の範囲において用いられる「糸(yarn)」なる用語は、製織、編組、ブレーディング、縮充、加撚、ウェビング、または他の織物に織る方法に好適な形態の織物繊維のより糸を意味する。
【0014】
本明細書および請求の範囲において用いられる「織物(fabric)」なる用語は、織ったり、編まれたり、フェルト化されたり、または他の方法で、任意の天然または合成繊維、糸、またはその代替物から製造されるか、またはこれと組み合わせられた任意の物質を意味する。
【0015】
本明細書および請求の範囲において用いられる「シース/コア形」なる用語は、多成分繊維同心シース/コア形および偏心シース/コア形を包含する。
【0016】
本明細書および請求の範囲において用いられる「サイドバイサイド形」なる用語は、本発明の多成分繊維の両成分ポリマーが前記多成分繊維の表面の一部を占有する、多成分繊維偏心シース/コア形の延長物を意味する。
【0017】
「コアシェル形」なる用語は、本明細書において「シース/コア形」なる用語と交換可能に用いられうる。
【0018】
本明細書および請求の範囲において用いられる「アルキル」なる用語は、直鎖、分岐鎖および環状アルキル基を包含する。
【0019】
本明細書および請求の範囲において用いられる「アルケニル」なる用語は、直鎖および分岐鎖アルケニル基のどちらも包含する。
【0020】
本明細書および請求の範囲において用いられる「(メタ)アクリレート」なる用語は、メタクリレートおよびアクリレートのどちらも包含する。
【0021】
いくつかの具体例において、本発明の成分ポリマー組成物は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン);ハロゲン化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT));ポリエーテル;ポリアミド(例えば、ナイロン6およびナイロン6,6);ポリウレタン;セルロースアセテート;レーヨン;アクリル;ポリフェニレンスルフィド(PPS);およびそのホモポリマー、コポリマー、マルチポリマーおよびブレンドから選択されるポリマーを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、本発明の成分ポリマー組成物は、ポリアミド;ポリプロピレン;ポリエチレン;ポリエチレンテレフタレート;およびそのホモポリマー、コポリマー、マルチポリマーおよびブレンドから選択されるポリマーを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、成分ポリマー組成物は、ナイロン6;ナイロン6,6;ポリプロピレン;ポリエチレン;およびそのホモポリマー、コポリマー、マルチポリマーおよびブレンドを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、成分ポリマー組成物は、ポリエチレン;ポリプロピレン;およびそのホモポリマー、コポリマー、マルチポリマーおよびブレンドから選択されるポリマーを含む。
【0022】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、銅、銀、金、錫、亜鉛およびその組み合わせから選択される金属を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅、銀、金およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅、銀、亜鉛およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銅と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は亜鉛と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銀である。
【0023】
本発明のいくつかの具体例において、錯体形成性ポリマーは、少なくとも1つの不飽和または芳香族複素環基を有する少なくとも1つのモノマーを含む。本発明に関する使用に好適な不飽和または芳香族複素環基は、例えば、ある不飽和度を有する5〜7員複素環;N、OおよびS原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族複素環;かかる複素環の異性体およびその組み合わせを含む。本発明に関する使用に好適な他の複素環基は、例えば、互いに縮合して、さらに大きな、N、OまたはS原子の少なくとも1つを有する9〜14員複素環を形成する5〜7員複素環;かかる複素環の異性体およびその組み合わせを包含する。本発明に関する使用に好適なさらなる複素環基は、炭素環と縮合して、さらに大きな9〜14員複素環を形成する5〜7員複素環を包含する。
【0024】
本発明のいくつかの具体例において、錯体形成性ポリマーは、イミダゾールチオフェン;ピロール;オキサゾール;チアゾール;およびそれぞれの異性体(例えば、チアゾール−4−イル、チアゾール−3−イルおよびチアゾール−2−イル);テトラゾール;ピリジン;ピリダジン;ピリミジン;ピラジン;アゾール;インダゾール;トリアゾールおよびそれぞれの異性体(例えば、1,2,3−トリアゾールおよび1,2,4−トリアゾール);およびその組み合わせ、例えばイミダゾール1,2,3−トリアゾール−1,2,4−トリアゾール;ベンゾトリアゾール;メチル−ベンゾトリアゾール;ベンゾチアゾール;メチルベンゾチアゾール;ベンズイミダゾールおよびメチルベンズイミダゾールから選択される少なくとも1つの不飽和または芳香族複素環基を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、錯体形成性ポリマーはイミダゾールを含む。
【0025】
いくつかの具体例において、本発明の錯体形成性ポリマーは、(a)不飽和または芳香族複素環基を含有するモノマーおよび(b)不飽和または芳香族複素環基を含有しないモノマーのコポリマーを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、錯体形成性ポリマー中のモノマー(a)の、モノマー(b)に対する比は、95:5〜5:95;あるいは80:20〜20:80;あるいは60:40〜40:60である。これらの具体例のいくつかの態様において、(a)のモノマーは1−ビニルイミダゾールである。これらの具体例のいくつかの態様において、(a)のモノマーは1−ビニルイミダゾールであり、(a)のモノマーの(b)のモノマーに対する比は、95:5〜5:95;あるいは80:20〜20:80;あるいは60:40〜40:60である。
【0026】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、銀と錯体形成する不飽和または芳香族複素環基を含有する少なくとも1つのモノマーを含む錯体形成性ポリマーを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、不飽和または芳香族複素環基を含有する少なくとも1つのモノマーの銀に対する重量比は、95:5〜5:95;あるいは90:10〜10:90;あるいは80:20〜20:80である。これらの具体例のいくつかの態様において、銀の不飽和または芳香族複素環基を含有するモノマーに対するモル比は、10:1〜1:10;あるいは4:1〜1:4;あるいは2:1〜1:2である。これらの具体例のいくつかの態様において、不飽和または芳香族複素環基を含有する少なくとも1つのモノマーは1−ビニルイミダゾールである。
【0027】
本発明のいくつかの具体例において、錯体形成性ポリマーはさらに、任意の、架橋性物質を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、錯体形成性ポリマーは、少なくとも0.5重量%の架橋性物質;あるいは>2重量%の架橋性物質;あるいは>5重量%の架橋性物質:あるいは>8重量%の架橋性物質;あるいは>10重量%の架橋性物質;あるいは>20重量%の架橋性物質;あるいは>30重量%の架橋性物質;あるいは>40重量%の架橋性物質;あるいは>50重量%の架橋性物質;あるいは<60重量%の架橋性物質;あるいは0.5〜60重量%の架橋性物質;あるいは<0.1重量%の架橋性物質;あるいは0重量%の架橋性物質を含むことができる。
【0028】
本発明に関する使用に好適な架橋性物質は、抗微生物組成物の物理的および化学的安定性が、架橋性物質を含めることにより実質的に影響を受けないならば、任意の公知の架橋性物質を包含する。本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、アリルメタクリレート(ALMA);ジビニルベンゼン(DVB);エチレングリコールジアクリレート(EGDA);エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA);1,3−ブタンジオールジメタクリレート(BGDMA);ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA);トリプロピレングリコールジアクリレート(TRPGDA);トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA);トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)およびその組み合わせから選択される多官能性(メタ)アクリレート架橋性物質を含有するポリマーを含むことができる。これらの具体例のいくつかの態様において、抗微生物組成物は、TMPTMA、TMPTAおよびその組み合わせから選択される架橋性物質を含有するポリマーを含むことができる。これらの具体例のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、TMPTA架橋性物質を含むことができる。
【0029】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、≦200nm;あるいは≦150nm;あるいは≦100nm;あるいは≦75nm;あるいは≦50nm;あるいは≦25nm;あるいは≦20nm;あるいは≦15nm;あるいは≦10nm;あるいは1〜10nm;あるいは1〜8nm;あるいは≦5nmの平均粒子サイズを示す。
【0030】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、抗微生物組成物を含有する繊維の≦33%の平均断面積である平均粒子サイズを有する。
【0031】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、≦500000;あるいは≦100000;あるいは≦50000;あるいは≦10000;あるいは1000〜10000;あるいは5000〜10000;あるいは500〜5000の数平均分子量示す錯体形成性ポリマーを含む。
【0032】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は銀を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、抗微生物組成物は0.5〜60重量%の金属;あるいは0.5〜15重量%の金属;あるいは20〜100000ppmの金属;あるいは≧20ppmの金属;あるいは20〜4000ppmの金属;あるいは20〜1500ppmの金属;あるいは30〜75ppmの金属;あるいは≧50ppmの金属を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅、銀、亜鉛およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅および銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は亜鉛および銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銀である。
【0033】
本発明のいくつかの具体例において、抗微生物組成物は、銀および(a)1−ビニルイミダゾールおよび(b)不飽和または芳香族複素環基を含有しない少なくとも1つのモノマーを含む錯体形成性ポリマーを含む。
【0034】
本明細書および請求の範囲において用いられる場合、「銀」なる用語は、本発明の抗微生物組成物中に組み入れられる金属銀を意味する。抗微生物組成物中に組み入れられる銀の酸化状態(Ag、Ag1+またはAg2+)に関して拘束されることを望まないが、脱イオン水(DI)中硝酸銀などの銀溶液中でポリマーを洗浄することにより、銀を抗微生物組成物中に添加することができる。DI以外に、他の液体メディア、例えば水、水性緩衝溶液および有機溶液、例えばポリエーテルまたはアルコールを使用できる。銀の他の供給源としては、これらに限定されないが、酢酸銀、クエン酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ピクリン酸銀および硫酸銀が挙げられる。これらの溶液中の銀の濃度は、既知量の銀を抗微生物組成物に添加するために必要な濃度から飽和銀溶液まで変化し得る。
【0035】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維は、≧0.01重量%;あるいは0.01〜30重量%;あるいは0.01〜20重量%;あるいは0.1〜15重量%;あるいは0.1〜10重量%の抗微生物組成物を含む。
【0036】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維は、≧10ppm;あるいは10〜1000ppm;あるいは10〜500重量%;あるいは10〜400ppm;あるいは10〜300ppm;あるいは10〜250pm;あるいは10〜200ppm;あるいは10〜150ppm;あるいは10〜100ppm;あるいは100ppm未満;あるいは10〜50ppmの金属濃度を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅、銀、亜鉛およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、亜鉛と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銀である。
【0037】
本発明のいくつかの具体例において、繊維又は多成分繊維は、難燃剤、着色剤、顔料、染料、毛髪染料、静電防止剤、増白化合物、核形成剤(nucleating agent)、酸化防止剤、UV安定剤、増量剤、柔軟剤、滑剤、硬化促進剤、親水性物質、疎水性物質、汚染防止物質、防臭物質、抗微生物剤、消毒剤から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む。
【0038】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維は、任意に、前記のような抗微生物剤をさらに含むことができる。好適な抗微生物剤には、例えば、繊維または多成分繊維の物理的および化学的安定性がこのような配合により実質的に影響を受けないならば、任意の従来の抗微生物剤が含まれる。これらの具体例のいくつかの態様において、抗微生物剤は、3−イソチアゾロン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート;2−ブロモ−2−ニトロプロパンジオール;グルタルジアルデヒド;2−n−オクチル−3−イソチアゾロン;4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−3−イソチアゾロン;ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキシド;亜鉛2−ピリジンチオール−1−オキシド;オキシビスフェノキシアルシン;p−ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル;トリス(ヒドロキシメチル)ニトロメタン;ジメチロール−ジメチル−ヒダントイン;ベンズイソチアゾロン;ポリヘキサメチレンビグアニド;2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル;銀ナトリウム水素ジルコニウムホスフェート(例えば、AlphaSan、Milliken&Companyから入手可能);銀ゼオライト(例えば、Zeomic(登録商標) AJ、Sinanenから入手可能);リン酸カルシウム上で交換された銀(例えば、Apiscider(登録商標)、Sangiから入手可能);銀ガラス(例えば、Ionopure(登録商標)、Ishizuka Glassから入手可能)およびその組み合わせから選択することができる。
【0039】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維は、任意に消毒剤をさらに含むことができる。好適な消毒剤には、例えば、このような配合により繊維または多成分繊維の物理的および化学的安定性が実質的に影響を受けないならば、任意の公知の消毒剤が含まれる。これらの具体例のいくつかの態様において、消毒剤は、アルコール(例えば、エタノール)、第四アンモニウム消毒剤、フェノール系消毒剤、ハライドベースの消毒剤(例えば、塩素ベースの消毒剤および臭素ベースの消毒剤)、ビクアニド消毒剤、クロルヘキシジン消毒剤、ヨードフォア消毒剤、クエン酸消毒剤、過酸化物消毒剤およびその組み合わせから選択することができる。これらの具体例のいくつかの態様において、消毒剤は、ハライドベース消毒剤(例えば、N−ハラミン)から選択することができる。これらの具体例のいくつかにおいて、消毒剤は、N−ハラミン、漂白剤、ヒダントインおよびその組み合わせから選択することができる。
【0040】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、少なくとも1つの成分ポリマー組成物および少なくとも1つの抗微生物組成物を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、少なくとも1つの成分ポリマー組成物および少なくとも1つの抗微生物組成物の少なくとも1つが混合される。
【0041】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、2以上の成分ポリマー組成物および少なくとも1種の抗微生物組成物を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、2以上の成分ポリマー組成物は、異なる化学的または物理的性質を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、2以上の成分ポリマー組成物の少なくとも1つは、少なくとも1種の抗微生物組成物の少なくとも1つと混合される。
【0042】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形、サイドバイサイド形、パイウェッジ形、中空パイウェッジ形、セグメント化リボン形、セグメント化クロス形、アイランド−イン−シー形、チップ付きの3つに分かれた形および複合形から選択される断面を示す。これらの具体例のいくつかにおいて、多成分繊維は、シース/コア形を示す。これらの具体例のいくつかにおいて、多成分繊維は、パイウェッジ形;中空パイウェッジ形およびアイランド−イン−シー形から選択される断面を示す。
【0043】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形を示し、ここにおいて、シースは抗微生物組成物を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、シースは、≧10ppm;あるいは10〜1000;あるいは10〜500ppm;あるいは10〜400ppm;あるいは10〜300ppm;あるいは10〜250ppm;あるいは10〜200ppm;あるいは10〜150ppm;あるいは10〜100ppm;あるいは100ppm未満;あるいは10〜50ppmの金属濃度を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は、銅、銀、亜鉛およびその組み合わせから選択される。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銅と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は亜鉛と銀の組み合わせである。これらの具体例のいくつかの態様において、金属は銀である。
【0044】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形を示し、ここにおいて、抗微生物組成物の平均粒子サイズは、シースの平均厚さの≦33%;あるいは≦25%;あるいは≦20%;あるいは≦15%である。
【0045】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形を示し、ここにおいて、シースは、≧0.01重量%;あるいは0.01〜100重量%;あるいは0.01〜90重量%;あるいは0.01〜80重量%;あるいは0.01〜75重量%;あるいは0.01〜70重量%;あるいは0.01〜50重量%;あるいは0.01〜30重量%;あるいは0.01〜20重量%;あるいは0.1〜15重量%;あるいは0.1〜10重量%の抗微生物組成物を含む。
【0046】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形を示し、ここにおいて、シースは、多成分繊維の平均断面積の≦80%;あるいは≦75%;あるいは≦70%;あるいは≦60%;あるいは≦50%;あるいは≦40%;あるいは≦30%;あるいは≦25%;あるいは≦20%;あるいは≦10%;あるいは≧30%を含む。
【0047】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、シース/コア形を示し、ここにおいて、シースは、多成分繊維の≦30重量%;あるいは≦25重量%;あるいは≦20重量%;あるいは≦15重量%;あるいは≦10重量%;あるいは≦5重量%を含む。
【0048】
本発明のいくつかの具体例において、多成分繊維は、パイウェッジ形、中空パイウェッジ形およびアイランド−イン−シー形から選択される断面を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、多成分繊維は、標準的パイウェッジ形および中空パイ形から選択される断面を示し、ここにおいて、多成分繊維は、≧2;あるいは≧4;あるいは≧6;あるいは≧8;あるいは2〜64;あるいは2〜32;あるいは2〜16;あるいは2〜8;あるいは16〜32のパイウェッジセグメントを含む。これらの具体例のいくつかの態様において、多成分繊維は、≧300;あるいは2〜1200;あるいは2〜650;あるいは2〜500;あるいは2〜400;あるいは50〜400;あるいは100〜400;あるいは200〜400;あるいは300〜400アイランドを含む、アイランド−イン−シー形を有する断面を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、各パイウェッジセグメントまたはアイランドは、≧0.01重量%;あるいは0.01〜30重量%;あるいは0.01〜20重量%;あるいは0.1〜15重量%;あるいは0.1〜10重量%の抗微生物組成物を含む。
【0049】
本発明の繊維および多成分繊維は、様々な織物および織物製品において用いることができる。
【0050】
本発明のいくつかの具体例において、本発明の繊維または多成分繊維を含む織物が提供される。これらの具体例のいくつかの態様において、織物は、任意に、少なくとも1つの追加の繊維をさらに含み、ここにおいて、少なくとも1つの追加の繊維は、最初抗微生物組成物を含まない。これらの具体例のいくつかの態様において、本発明の繊維または多成分繊維は、少なくとも1つの追加の繊維とブレンドされる。
【0051】
本発明のいくつかの具体例において、少なくとも1つの追加の繊維は、例えば、天然繊維、合成繊維、無機繊維、その組み合わせおよびブレンドを含み得る。追加の繊維は、任意のデニールのものであってよく;多フィラメントまたは単フィラメントであってよく;仮よりまたは加撚されていてもよく;複数のデニールのフィラメントを加撚および/または溶融により単糸中に組み入れることができ;例えば、シース/コア形、サイドバイサイド形、パイウェッジ形、セグメント化リボン形、セグメント化クロス形、チップ付きの3つに分かれた形および複合形をはじめとする任意の種類の断面を示す多成分繊維であってよい。
【0052】
本発明に関する使用に好適な天然繊維は、例えば、絹、木綿、ウール、亜麻、毛皮、毛髪、セルロース、ラミー、麻、リネン、木材パルプおよびその組み合わせを包含する。
【0053】
本発明に関する使用に好適な合成繊維は、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレン;ハロゲン化ポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル;ポリアラミド、例えば、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(例えば、DuPontから入手可能なKevlar(登録商標)繊維);ポリ−m−フェニレンテレフタルアミド(例えば、DuPontから入手可能なNomex(登録商標)繊維);メラミンおよびメラミン誘導体(例えば、Basofil Fibers,LLCから入手可能なBasofil(登録商標)繊維);ポリエスエル、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル/ポリエーテル:ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6,6;ポリウレタン、例えば、Noveonから入手可能なTecophilic脂肪族熱可塑性ポリウレタン;アセテート;レーヨンアクリル;およびその組み合わせをはじめとする物質に由来することができる。
【0054】
本発明に関する使用に好適な無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、ボロン繊維およびロックウールが挙げられる。
【0055】
本発明のいくつかの具体例において、織物は、100重量%;あるいは≦75重量%;あるいは≦50重量%;あるいは≦40重量%;あるいは≦30重量%;あるいは≦20重量%;あるいは≦10重量%;あるいは≦5重量%の本発明の繊維または多成分繊維を含む。これらの具体例のいくつかの態様において、少なくとも1つの追加の繊維は、木綿、ウール、ポリエステル、アクリル、ナイロン、絹、ならびにその組み合わせおよびブレンドから選択される。
【0056】
本発明のいくつかの具体例において、本発明の織物を含む織物製品が提供される。これらの具体例のいくつかの態様において、織物製品は、衣類、衣類用芯地、室内装飾品、カーペット、詰め物、裏張り、壁装材、屋根葺き材、家庭用包装材、断熱材、寝具、布巾、タオル、手袋、敷物、フロアマット、掛け布、家庭用リンネル製品、バーランナー、布製バッグ、天幕、乗物用カバー、ボート用カバー、テント、農業用カバー、ジオテキスタイル、自動車用ヘッドライナー、フィルター、封筒、タグ、ラベル、おむつ、婦人衛生用品(例えば、生理用ナプキン、タンポン)、ランドリーエイド(例えば、布ドライヤーシート)、創傷処置製品および医療品(例えば、滅菌ラップ、キャップ、ガウン、マスク、ドレーピング)から選択される。
【0057】
本発明のいくつかの具体例において、本発明の多成分繊維を含むフィルターメディアが提供される。これらの具体例のいくつかの態様において、多成分繊維は、パイウェッジ形、中空パイウェッジ形およびアイランド−イン−シー形から選択される断面を示す。これらの具体例のいくつかの態様において、フィルターメディアは空気濾過のために用いることができる。これらの具体例のいくつかの態様において、フィルターメディアは水の濾過のために用いることができる。
【0058】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維は非導電性である。これらの具体例のいくつかの態様において、繊維または多成分繊維は、AATCC試験法76−1978に記載されている手順に従って測定すると、≧10000オーム;あるいは≧1000000オーム;あるいは≧1×10オームの電流に対する抵抗を示す。
【0059】
本発明のいくつかの具体例において、繊維または多成分繊維を形成する前に、少なくとも1つの成分ポリマー組成物および少なくとも1つの抗微生物組成物が混合される。
【0060】
本発明のいくつかの具体例において、少なくとも1つの成分ポリマー組成物および少なくとも1つの抗微生物組成物が、繊維または多成分繊維の形成の間に混合される。
【0061】
本発明の繊維および多成分繊維は、所定の成分ポリマー組成物に関する使用に好適な公知の繊維形成技術を用いて調製することができる。最も広く行われている繊維形成技術のいくつかには、例えば、押出、メルトブロー、ウェットスピニングおよびドライスピニングが含まれる。これらの方法のそれぞれにおいて、繊維原料を軟化させて流動可能な状態にし、ダイおよび/または紡糸口から押し出して、原繊維を形成し、これを次いで典型的には機械的に操作して、所望の製品繊維または多成分繊維を形成する。例えば、原繊維を延伸することができる。典型的な押出操作において、成分ポリマー組成物をまず溶融させ、これを次いでダイおよび/または紡糸口を通して押し出して、原繊維を形成し、これを冷却する前に、機械的に操作して、所望の繊維または多成分繊維を得ることができる。典型的なメルトブロー操作において、熱可塑性物質を含有する成分ポリマー組成物をまず溶融させ、これを次いでダイおよび/または紡糸口から吹き出させて、原繊維を形成し、これを次いで、冷却して、繊維製品を得る。典型的なウェットスピニング操作において、成分ポリマー組成物の溶液および溶媒をダイおよび/または紡糸口を通して押し出して、原繊維を形成し、これを次いで凝固浴(例えば、硫酸ナトリウムの水中溶液)中に通して、製品繊維を得ることができる。典型的なドライスピニング操作において、成分ポリマー組成物の溶液および溶媒をダイおよび/または紡糸口を通して空気中に押し出して、固体繊維を形成する。これらの方法により形成された繊維は、しばしば、ベルトなどの表面上に集められて、不織ウェブを形成するか、または他の方法で処理し、化学的または機械的に操作して、その物理的または化学的性質を変更または向上させる。
【0062】
本発明のいくつかの具体例を以下の実施例において詳細に説明する。以下の実施例において記載される全てのフラクションおよびパーセンテージは、特に記載しない限り重量基準である。
【実施例】
【0063】
(実施例1)
架橋ポリマー生成物の製造
次のプロセスを用いてポリマー製品を調製した:(a)280gの試薬等級のアルコール溶液(90重量%EtOH、5重量%MeOH、5重量%PrOH)を、スターラー、窒素ガスパージ出口を有する水冷式還流凝縮器、IR TOW TC Adapter Model TCA/1温度調節器に接続された熱電対、Harvard Apparatus22シリンジドライブにより制御された同時供給ラインおよび1/4インチ配管を取り付けたQG−50 FMIポンプにより制御されたモノマーフィードラインを備えた1リットルの反応釜中に供給した;(b)反応釜の内容物を一定して穏やかに撹拌しながら80℃に加熱した;(c)40gのラウリルアクリレート、40gの1−ビニルイミダゾール、10gのアクリル酸および10gのトリメチロールプロパントリアクリレートを試薬等級のアルコール溶液(25g)中に含有するモノマー混合物を2時間にわたって一定速度で反応釜に供給し、t−アミルパーオキシピバレート(Akzo Noble Polymer Chemicalsから入手可能なTriganox(登録商標) 125−C75)(2g)の試薬等級のアルコール溶液(30g)中溶液を2時間にわたり一定速度で反応釜に同時供給した;(d)(c)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(e)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(f)(e)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(g)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(h)(g)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(i)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(j)(i)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(k)(j)の生成物を室温に冷却して、21重量%のポリマー固形分を含有するポリマー溶液としてポリマー生成物を得た。
【0064】
(実施例2)
抗微生物組成物の調製
架橋イミダゾール含有ポリマーと錯体形成した銀を含む抗微生物組成物を次のようにして調製した:(a)均質な10gの実施例1の生成物ポリマー溶液のサンプルに、2.0gの水性水酸化アンモニウム溶液(28重量%)を添加した;(b)硝酸銀の水性溶液(0.5gの脱イオン水中0.43gのAgNO)を(a)の生成物に撹拌しながら添加して、2.13重量%の銀を含有する生成物淡黄色透明溶液を形成する;(c)(b)の生成物を次いで真空オーブン中、60℃で48時間乾燥すると、8.98重量%の銀を含有し、食卓塩と類似した均一な粒子サイズの乾燥された固体が残る。
【0065】
(実施例3)
非架橋ポリマー生成物の調製
次のプロセスを用いてポリマー生成物を調製した:(a)280gの試薬等級のアルコール溶液(90重量%EtOH、5重量%MeOH、5重量%PrOH)を、スターラー、窒素ガスパージ出口を有する水冷式還流凝縮器、IR TOW TC Adapter Model TCA/1温度調節器に接続された熱電対、Harvard Apparatus22シリンジドライブにより制御された同時供給ラインおよび1/4インチ配管を取り付けたQG−50 FMIポンプにより制御されたモノマーフィードラインを備えた1リットルの反応釜中に供給した;(b)反応釜の内容物を一定して穏やかに撹拌しながら80℃に加熱した;(c)45gのラウリルアクリレート、45gの1−ビニルイミダゾールおよび10gのアクリル酸を試薬等級のアルコール溶液(25g)中に含有するモノマー混合物を2時間にわたって一定速度で反応釜に供給し、t−アミルパーオキシピバレート(Akzo Noble Polymer Chemicalsから入手可能なTriganox(登録商標) 125−C75)(2g)の試薬等級のアルコール溶液(30g)中溶液を2時間にわたり一定速度で反応釜に同時供給した;(d)(c)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(e)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(f)(e)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(g)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(h)(g)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(i)t−アミルパーオキシピバレート(2g)を反応釜に供給した;(j)(i)の生成物を一定して穏やかに撹拌しながら30分にわたり80℃に維持した;(k)(j)の生成物を室温に冷却して、21重量%のポリマー固形分を含有するポリマー溶液としてポリマー生成物を得た。
【0066】
(実施例4)
抗微生物組成物の調製
架橋イミダゾール含有ポリマーと錯体形成した銀を含む抗微生物組成物を次のようにして調製した:(a)実施例3の生成物ポリマー溶液の均一な10gサンプルを2.0gの水性水酸化アンモニウム溶液(28重量%)に添加した;(b)硝酸銀の水性溶液(0.5gの脱イオン水中0.40gのAgNO)を(a)の生成物に撹拌しながら添加して、1.96重量%の銀を含有する生成物淡黄色透明溶液を形成する;(c)(b)の生成物を次いで真空オーブン中、60℃で48時間乾燥すると、7.77重量%の銀を含有し、食卓塩と類似した均一な粒子サイズの乾燥された固体が残る。
【0067】
(実施例5)
押出用ポリプロピレンの調製
押出実験(実施例6〜10)のそれぞれにおいて用いられるポリプロピレンはSigma−Aldridge Corporationから入手したアイソタクチックポリプロピレン(CAS#9003−07−0)であり、12.0g/10分の報告されているメルトインデックス(ASTM D1238、230℃/2.16kg)で、平均Mw=〜250000、平均Mn=67000を有していると記載されていた。アイソタクチックポリプロピレンをペレット形態において受け取り、ドライアイスを用い、Waringブレンダーを用いて粉砕して、食卓塩と類似した均一な粒子サイズを得た。
【0068】
(実施例6〜10)
押出
押出実験のそれぞれを、ストランドダイを装備した単軸Randcastle Microtruder(RCP−0625型)を用いて行った。有名なRandcastle Microtruderは、バレルに沿った3つの調節可能な温度領域およびダイの1つの調節可能な温度領域を特徴とする。押出実験のそれぞれについて、調節可能な温度領域の全てを押出プロセス全体にわたって350℃に維持した。押出実験のスクリュー速度は押出プロセスの間10から50rpmの間で変化した。押出実験の全てにおいて、押出物を手でダイから引っ張り出して、生成物繊維を集めた。押出実験のすべてにおいて、生成物繊維は均一なコンシステンシーを示した。ICPにより分析すると、生成物繊維は、表Bに記載するような銀濃度を示した。
【0069】
押出実験のそれぞれにおいて用いられた手順は次の通りである:
(a)押出実験のそれぞれについて、表Aに記載する組成を有する混合物をRandcastle Microtruderに供給し;さらに
(b)(a)のフィード混合物を用いて製造された生成物繊維をダイから手で引っ張り出した。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分ポリマー組成物および抗微生物組成物を含む繊維:
ここにおいて、前記抗微生物組成物は、錯体形成性ポリマーと錯体形成した金属を含み、ここにおいて、金属は、銅、銀、金、スズ、亜鉛およびその組み合わせから選択され;および、ここにおいて、前記錯体形成性ポリマーは、残基A、残基B、残基Cおよびその組み合わせから選択されるモノマー残基を含む;
ここにおいて、残基Aは
【化1】

であり;
残基Bは
【化2】

であり;
残基Cは
【化3】

である;
式中、Xは、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環であり;
cは0または1であり;
は、H、CHおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、H、CH、C、C−C24アルキルから選択され;
は、H、CH、C、フェニル、−CHCOおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、(I)〜(V):
(I)H;
(II)
【化4】

(III) −(CHCH(R11)O)H;
(IV) −(CHCH(R11)O)COCHCOCH;および
(V)
【化5】

から選択され;
ここにおいて、R11は、H、メチルおよびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZおよびXから選択され;ここにおいて、ZはH、ナトリウム、カリウムおよびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基および0重量%の残基Cのモノマー残基を含有する場合、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、さらにYはXであり;
は、H、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(ここにおいて、Rは前記定義のとおりである)、−CO12および−CONRから選択され;ここにおいて、RおよびRは独立して、H、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(ここにおいて、Zは前記定義のとおりである)、C−Cアルキルおよび結合した環構造から選択され、およびR12は、H、CH、CおよびC−C24アルキルから選択され;
およびRは、独立して、水素、メチル、エチルおよびC−Cアルキルから選択され;
10はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−C10不飽和非環式、C−C10環式、C−C10芳香族、C−Cアルキレンオキシドおよびポリ(C−Cアルキレン)オキシド(ここにおいて、bは2〜20の整数である)から選択される。
【請求項2】
繊維が多成分繊維である請求項1記載の繊維。
【請求項3】
2以上の成分ポリマー組成物を含む多成分繊維:
ここにおいて、2以上の成分ポリマー組成物が、異なる化学的または物理的性質を示し、ここにおいて、成分ポリマー組成物の少なくとも1つが、錯体形成性ポリマーと錯体形成した金属を含む抗微生物組成物を含み、ここにおいて、金属は銅、銀、金、スズ、亜鉛およびその組み合わせから選択され;および、ここにおいて、錯体形成性ポリマーは、残基A、残基B、残基Cおよびその組み合わせから選択されるモノマー残基を含む;
ここにおいて、残基Aは
【化6】

であり、
残基Bは
【化7】

であり、
残基Cは
【化8】

である;
式中、Xは、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環であり;
cは0または1であり;
は、H、CHおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、H、CH、C、C−C24アルキルから選択され;
は、H、CH、C、フェニル、−CHCOおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、(I)〜(V):
(I)H;
(II)
【化9】

(III) −(CHCH(R11)O)H;
(IV) −(CHCH(R11)O)COCHCOCH;および
(V)
【化10】

から選択され;
ここにおいて、R11は、H、メチルおよびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZおよびXから選択され;ここにおいて、ZはH、ナトリウム、カリウムおよびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基および0重量%の残基Cのモノマー残基を含有する場合、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、さらに、YはXであり;
は、H、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(ここにおいて、Rは前記定義のとおりである)、−CO12および−CONRから選択され;ここにおいて、RおよびRは独立して、H、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(ここにおいて、Zは前記定義のとおりである)、C−Cアルキルおよび結合した環構造から選択され、およびR12は、H、CH、CおよびC−C24アルキルから選択され;
およびRは、独立して、水素、メチル、エチルおよびC−Cアルキルから選択され;
10はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−C10不飽和非環式、C−C10環式、C−C10芳香族、C−Cアルキレンオキシドおよびポリ(C−Cアルキレン)オキシド(ここにおいて、bは2〜20の整数である)から選択される。
【請求項4】
多成分繊維が、シース/コア形、サイドバイサイド形、パイウェッジ形、中空パイウェッジ形、セグメント化リボン形、セグメント化クロス形、アイランド−イン−シー形、チップ付きの3つに分かれた形および複合形から選択される断面を示す請求項2または3のいずれか1項に記載の多成分繊維。
【請求項5】
多成分繊維が、シース/コア形を有する断面を示し、シースが抗微生物組成物を含む請求項2または3のいずれか1項に記載の多成分繊維。
【請求項6】
錯体形成性ポリマーが、1−ビニルイミダゾールと、不飽和または芳香族複素環基を含有しないモノマーとのコポリマーを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の繊維または多成分繊維。
【請求項7】
抗微生物組成物が、繊維または多成分繊維を形成する前に、成分ポリマー組成物中に組み入れられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の繊維または多成分繊維。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の繊維または多成分繊維を含む織物。
【請求項9】
請求項8記載の織物を含む織物製品。
【請求項10】
織物製品が、衣類、衣類用芯地、室内装飾品、カーペット、詰め物、裏張り、壁装材、屋根葺き材、家庭用包装材、断熱材、寝具、布巾、タオル、手袋、敷物、フロアマット、掛け布、家庭用リンネル製品、バーランナー、布製バッグ、天幕、乗物用カバー、ボート用カバー、テント、農業用カバー、ジオテキスタイル、自動車用ヘッドライナー、フィルター、封筒、タグ、ラベル、おむつ、婦人衛生用品、ランドリーエイド、創傷処置製品および医療品から選択される請求項9記載の織物製品。
【請求項11】
(a)少なくとも1つの成分ポリマー組成物を提供し;
(b)錯体形成性ポリマーと錯体形成した金属を含む少なくとも1つの抗微生物組成物を提供し、ここにおいて、金属は、銅、銀、金、スズ、亜鉛およびその組み合わせから選択され;および、ここにおいて、少なくとも1つの錯体形成性ポリマーは、残基A、残基B、残基Cおよびその組み合わせから選択されるモノマー残基を含み;
ここにおいて、残基Aは
【化11】

であり;
残基Bは:
【化12】

であり;
残基Cは:
【化13】

であり;
式中、Xは、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環であり;
cは0または1であり;
は、H、CHおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、H、CH、C、C−C24アルキルから選択され;
は、H、CH、C、フェニル、−CHCOおよび−COから選択され;ここにおいて、Rは、(I)〜(V):
(I)H;
(II)
【化14】

(III) −(CHCH(R11)O)H;
(IV) −(CHCH(R11)O)COCHCOCH;および
(V)
【化15】

から選択され;
ここにおいて、R11は、H、メチルおよびフェニルから選択され;nは1〜20の整数であり;YはOH、SOZおよびXから選択され;ここにおいて、ZはH、ナトリウム、カリウムおよびNHから選択され;ただし、ポリマーが0重量%の残基Bのモノマー残基および0重量%の残基Cのモノマー残基を含有する場合、Rは−CHCOまたは−COであり、Rは(V)であり、およびYはXであり;
は、H、メチル、フェニル、スルホン化フェニル、フェノール、アセテート、ヒドロキシ、フラグメントO−R(ここにおいて、Rは前記定義のとおりである)、−CO12および−CONRから選択され;ここにおいて、RおよびRは独立して、H、メチル、エチル、C(CHCHSOZ(ここにおいて、Zは前記定義のとおりである)、C−Cアルキルおよび結合した環構造から選択され、およびR12は、H、CH、CおよびC−C24アルキルから選択され;
およびRは、独立して、水素、メチル、エチルおよびC−Cアルキルから選択され;
10はC−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−C10不飽和非環式、C−C10環式、C−C10芳香族、C−Cアルキレンオキシドおよびポリ(C−Cアルキレン)オキシド(ここにおいて、bは2〜20の整数である)から選択される;
(c)(a)の成分ポリマー組成物を(b)の抗微生物組成物と混合し;
(d)(c)の生成物を使用して繊維を形成すること
を含む、繊維を製造する方法。
【請求項12】
繊維が多成分繊維である請求項11記載の方法。

【公開番号】特開2007−51406(P2007−51406A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−185358(P2006−185358)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】