説明

抗感染剤の安定な液体配合物および調節した抗感染剤投与計画

耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定する方法であって、感染性生物の感受性株による哺乳類の感染症の処置に関しては抗感染剤の有効な投薬計画が既知である方法を提供する。患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための、耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定する方法を提供する。向上した安定性を有する抗感染剤の液体配合物も提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 抗感染剤に対する耐性は、抗感染剤の作用に抵抗するための感染性生物の能力である。一例は細菌における抗生物質耐性の発現であり、それは抗生物質の作用に抵抗する耐性細菌の能力である。抗生物質耐性は、感染症を治療する、または予防するための抗細菌剤、例えば抗生物質の有効性を低減する、または無くす何らかの方法で細菌が変化する際に起こる。
【0003】
[0003] 細菌はこれをいくつかの機構によりなすことができる。例えば、一部の細菌は、抗生物質をそれが害をなすことができる前に中和する能力を発現させ、別の細菌は抗生物質を迅速にくみ出すことができ、さらに別の細菌は抗生物質の攻撃部位をそれが細菌の機能に影響を与えることができないように変化させることができる。
【0004】
[0004] 抗生物質は、感受性のある細菌を殺す、またはその成長を阻害する。時に、その細菌の1つが、それが抗生物質の作用を中和する、または避ける能力を有しているために生き延びる;次いでその1つの細菌が増殖し、抗生物質により殺された全ての細菌に取って代わり、その細菌種の抗生物質耐性株を生じさせる。従って、抗生物質にさらされることは選択圧を与え、それが生き延びている細菌をより抗生物質に耐性がありそうなものにする。加えて、ある時点で抗生物質に感受性があった細菌は、それらの遺伝物質の変異を通して、または耐性の特性をコードしたDNAの断片を他の細菌から獲得することにより、耐性を獲得することができる。
【0005】
[0005] 薬剤耐性は、抗生物質の助け無しで感染症を撃退する能力がより低い危篤の患者を有する病院にとって特に難しい問題である。これらの患者における抗生物質の使用は、薬剤耐性を生じさせる細菌における変化を選択する。不幸なことに、これは強い抗生物質の存在下においてさえも生き延びるより強い能力を有する細菌を生み出すことにより、問題を悪化させる。これらのさらに強い薬剤耐性細菌は、傷つきやすい病院の患者を悩ませ続ける。
【0006】
[0006] 疾病管理予防センター(CDC)の統計によれば、米国内の200万人近い患者が毎年病院内で感染症にかかっており;1992年における13,300人の患者の死亡から増加して毎年それらの患者の内の約90,000人がそれらの感染の結果死亡している;院内感染症を引き起こす細菌の70%より多くが、それらを処置するために最も一般的に用いられる抗生物質の少なくとも1種類に耐性がある;および、抗生物質耐性生物に感染した人々は、より長い院内滞留時間を有しており、より有効性が低い、より毒性が強い、およびより高価である可能性がある、2次または3次選択医薬を用いて処置する必要がありそうである。
【0007】
[0007] 抗微生物物質耐性は、健康管理のコストを上昇させており、疾患の過酷さを増大させ、以前は抗生物質で有効に処置されていた特定の感染症からの併発症またはさらには死亡の割合を増大させている。
【0008】
[0008] 現在、抗感染剤耐性感染性生物に感染した患者に出くわした場合、その患者の感染症をその感染性生物がそれに対する耐性を発現させた抗感染剤で処置しないのが一般的な習慣である。これは代わりの療法、例えば代わりの抗感染剤に頼ることを必要とする。より多くの感染性生物が様々な利用可能な抗感染剤に対する耐性を発現するにつれ、この状況は利用できる療法を制限する。
【0009】
[0009] 病院の環境において、経口医薬を飲むことができない急性疾患の患者における投与のために、静脈内抗生物質療法も必要である。病院の環境において、ほとんどの生物学的利用能が低い抗生物質は、ボーラス注射(bolus injection)またはより一般的には短期静脈内(IV)注入により患者に投与される。病院外の環境では、携帯用注入ポンプが一部の患者、例えば数日または数週間の長期にわたる抗生物質の投与を必要とする嚢胞性線維症の患者に、ボーラス抗生物質投与を超える向上を与える。継続的注入ポンプは、動かせないIV注入設備またはこの環境での繰り返されるボーラス投与に取って代わることにより、患者が移動性を有することおよび病院の環境の外で活動することを可能にする。長い投与期間に伴う1つの問題は、抗生物質が時が経つにつれて分解する可能性があること、または溶液中の抗生物質の安定性を保証するために認められている温度を超える温度にさらされる可能性があることである。
【0010】
[0010] 感受性細菌株に対するセファロスポリンの投与において有効性を得るためには、特定の標的血漿または血中レベル濃度が特定の細菌株により引き起こされた感染症を取り除く結果に達しなければならない。それぞれの株は実験的に決定された最小阻止濃度(MIC)または最小殺菌濃度(MBC)を有し、その上では抗生物質は繁殖を抑制する(静菌作用)、またはその生物を殺す(殺菌作用)能力をそれぞれ有する。セファロスポリン類がその1クラスである静菌性抗生物質は、それらの規則正しく投与される投薬量において、細菌の増殖を止める、または遅らせることにより機能する。MICは通常50パーセント(50%)レベルにおいて測定され、関心のある抗生物質に感受性のある細菌株の正確に計った接種に対する抗生物質の活性を評価する、標準化されたインビトロの実験室検査により決定される。MIC値はそれ自体が変化しやすく、細菌の個々の株に関して実験的に決定しなければならない。MIC50は特定の生物が50パーセント減少する濃度として決定される値である。MIC90は90パーセントの減少がある濃度を示す。さらなる記述無しの”MIC”は、通常は微生物の特定の株に関するMIC50を表すものと受け取られる。抗生物質耐性微生物に関して、通常は、その生物に対する療法的作用には、多数の非耐性MICが必要である。例えば、抗生物質耐性細菌は非耐性生物を処置するのに必要な量の4倍のMIC50を有すると決定される可能性があり、多剤耐性(MDR)株は非耐性のMICのさらに高い倍数を必要とする可能性がある。
【0011】
[0011] ベータ−ラクタム類は時間に依存する抗生物質であり、これはそれらの活性が主にそれらの血清濃度が感染している生物に関するMICを上回ったままである間の時間に関係することを意味している。従って、一般に、より長い注入時間は、短期IV注入に対して、MICを上回る抗生物質の血漿または血中レベルを長期間の間維持する利点を有することが提案されており、実際に用いられている(Craig, et al., Antimicrob. Agents and Chemother. 36 (12): 2577-2583 (1992)。継続注入は、すなわち、ある投薬量からおおよそ次の投薬量の投与に関する時点まで及ぶ注入であり、従ってそれは、短い排出半減期を有する抗生物質、例えばMAXIPIME(登録商標)を用いる場合のような腎排泄される抗生物質に関する有効な濃度(MIC)における、またはその上での血中レベルの維持において有用である。
【0012】
[0012] 短期間またはボーラス投与における投薬量の調節の増大(すなわち、投与される量を増大させること)は、薬物動態吸収曲線を大きくし、従ってMICを上回る時間も増大させ、それは静菌性抗生物質の有効性を増進し得る。しかし、類似の血中レベルを得るためにより多くの抗生物質を投与する必要がある場合、薬物の最大血漿レベル(またはCmax)が増大し、それは高い最大血中レベルと関係する毒性の危険性およびコストの両方を増大させる。それに対し、その抗生物質に関する投与期間を長くする投与計画は、実際には同じ期間にわたってより少ない量の抗生物質が投与されることを必要とする可能性がある(Craig, et al., Antimicrob. Agents and Chemother. 36 (12): 2577-2583 (1992)。
【0013】
[0013] 持続する血漿レベルを、より高い濃度のスパイク(Cmax)無しで得る方法は、非経口で投与される抗生物質のための長期にわたる、または継続的な注入、および経口投与される抗生物質のための制御放出投薬配合物を含む。継続的な、または長期にわたる注入を研究した、および/または推奨した参考文献の数は増えつつあるが、当技術により現在教えられているように、ほとんどの注射可能な静菌性抗生物質は短期静脈内(IV)注入により通常はおよそ1/2時間の投与時間で投与される。MacGowan et al., Clin. Pharmacokinet. 35:391-402 (1998); Tessier et al., Chemotherapy 45:284-295 (1999); Vinks et al., Ther. Drug Monit. 16:341-348 (1994)。
【0014】
[0014] 長期にわたる注入と関係する可能性がある問題は、薬剤が溶液中にある長い期間および薬剤が投与時間の間にさらされる周囲の温度である。ほとんどの非経口抗生物質は、指定された温度範囲において決められた時間の間、通常は標準的な室温(約20〜約25度C)において、またはその近くでのみの保管および使用が認められている。認められた時間および温度範囲より上の温度での保管または使用は、結果として抗生物質の不活性な分解物への分解、従って有効薬剤の実際の量の低下をもたらし、従って結果として安全性および有効性の懸念をもたらす可能性がある。
【0015】
[0015] これらの理由および他の理由のため、感染性生物に感染したヒトを含む哺乳類の感染症を処置する組成物および方法は有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Craig, et al., Antimicrob. Agents and Chemother. 36 (12): 2577-2583 (1992)
【非特許文献2】MacGowan et al., Clin. Pharmacokinet. 35:391-402 (1998)
【非特許文献3】Tessier et al., Chemotherapy 45:284-295 (1999)
【非特許文献4】Vinks et al., Ther. Drug Monit. 16:341-348 (1994)
【発明の概要】
【0017】
[0016] 本明細書において記述される方法は、耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための、耐性で調節した抗感染剤の投薬計画の決定を可能にする。
[0017] 耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための、耐性で調節した抗感染剤の投薬計画の決定の方法を提供する。一部の態様において、感染性生物の感受性株による哺乳類の感染症の処置に関しては抗感染剤の有効な投薬計画が既知であり、その方法は、耐性感染性生物に関する抗感染剤の最小阻止濃度(MIC)または最少致死濃度(MLC)(MICまたはMLC)を決定すること;抗感染剤のMICまたはMLCを、感染性生物の感受性株に関するその抗感染剤のMICまたはMLC(MICまたはMLC)と比較して、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比を得ること;および、既知の投薬計画を調節して耐性で調節した投薬計画を提供することを含む。既知の投薬計画は、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比に比例してパラメーターを修正することにより調節される。その修正は、抗感染剤が耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置に有効であることを可能にする。
【0018】
[0018] 耐性感染性生物による患者の感染症を処置する方法も提供する。一部の態様において、その方法は、患者において耐性感染性生物の感染症を同定すること;ちょうど記述した方法に従って、耐性感染性生物による患者の感染症の処置のための耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定すること;および、耐性で調節した投薬計画に従って患者に抗感染剤を投与してそれにより哺乳類の感染症を処置することを含む。
【0019】
[0019] 患者においてセフェピム(cefepime)耐性細菌感染症を処置する方法も提供する。一部の態様において、その方法は、患者においてセフェピム耐性感染細菌感染症を同定すること;耐性細菌株に関するセフェピムのMIC(MIC)を決定すること;そのMICaの、同じ細菌種の感受性株に関するセフェピムのMIC(MIC)に対する比(MIC/MIC比)を決定すること;MIC/MIC比を用いて修正されたセフェピム投薬計画を決定すること、ここで修正されたセフェピム投薬計画は、患者におけるセフェピムの少なくともそのMICの血漿濃度を、少なくとも、確立されたセフェピム投与計画を用いたセフェピムの患者への投与の後に患者におけるセフェピムの血漿濃度が少なくともそのMICであるのとおおよそ同じ長さの期間にわたって提供する;および、修正されたセフェピム投薬計画に従って患者にセフェピムを投与し、それにより患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置することを含む。
【0020】
[0020] 発熱性好中球減少症の患者に経験的な処置を提供する方法も提供する。その方法は、発熱性好中球減少症の患者を同定すること;確立されたセフェピム投与計画を用いて、セフェピムを用いた患者の処置を開始すること;患者においてセフェピム耐性細菌感染症を同定すること;耐性細菌株に関するセフェピムのMIC(MIC)を決定すること;そのMICaの、同じ細菌種の感受性株に関するセフェピムのMIC(MIC)に対する比(MICR/MIC比)を決定すること;MIC/MIC比を用いて修正されたセフェピム投薬計画を決定すること、ここで、修正されたセフェピム投薬計画は、患者におけるセフェピムの少なくともそのMICの血漿濃度を、少なくとも、確立されたセフェピム投与計画を用いたセフェピムの患者への投与の後に患者におけるセフェピムの血漿濃度が少なくともそのMICであるのとおおよそ同じ長さの期間にわたって提供する;および、修正されたセフェピム投薬計画に従って患者にセフェピムを投与し、それにより患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置することを含む。
【0021】
[0021] 別の観点において、本発明は、セファロスポリン系抗生物質および安定剤を含む安定な液体配合物を提供する。好ましい態様において、セファロスポリン系抗生物質はセフェピムであり、安定剤は酢酸緩衝液である。好ましくは、配合物はアルギニンも含む。得られた液体組成物は、好ましくは約2.5〜約6.5、より好ましくは約4.6〜約5.6のpHを有する。
【0022】
[0022] セファロスポリン系抗生物質を含む第1区画および酢酸緩衝液を含む第2区画を有する容器を含むキットも提供する。1態様において、セファロスポリン系抗生物質はセフェピムであり、第1区画はさらにアルギニンを含む。1態様において、第1区画および第2区画は互いの中に開かれるように形作られている。別の態様において、第1区画および第2区画は分離した容器である。
【0023】
[0023] セフェピムにより処置できる疾患の処置の方法も提供し、その方法は、それを必要とする患者に上記のような安定な液体配合物を静脈内注入により投与することを含み、ここで注入の期間は約2〜約8時間である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】[0024] 図1は、Maxipime(登録商標)の2g用量の継続注入に関する、および0.5時間注入に関する、時間の経過に対する血漿中のセフェピム濃度のグラフを示し、それぞれの投与方式が70kgの対象の血漿濃度を中程度に耐性および耐性の微生物に関するMICより上で維持する期間を図説する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0025] 本発明のよりよい理解のために、下記の限定的でない定義を提供する:
[0026] 本発明書で用いられる”感染性生物”は、哺乳類に感染する細菌、ミコバクテリア、真菌、原生生物、または他の寄生生物である。
【0026】
[0027] ”抗感染剤”は、感染性生物を殺す、または感染性生物の増殖および/または繁殖を止める、もしくは遅らせる能力を有する化学的または生物学的な物である。
[0028] 抗感染剤は、”投薬計画”により投与される。投薬計画には、投薬量および投与間隔の両方が含まれる。投与間隔は、第1用量の投与および次の用量の投与の間の期間である。注入により投与される抗感染剤の場合、投与間隔は第1用量の投与の開始と次の用量の投与の開始の間の時間である。例えば、もし薬剤が注入により1時間かけて、12時間の投与間隔で投与されるなら、第1用量の注入は0の時点において開始され、約1時間の時点で完了する。次いで次の用量の注入は約12時間の時点で開始され、約13時間の時点で完了する、等。継続注入による投与の場合、投与間隔は0である。
【0027】
[0029] 抗感染剤の”最小阻止濃度”(MIC)は、その上では薬剤が感染性生物の増殖および/または繁殖を止める、または遅らせる能力を有する濃度である。
[0030] 抗感染剤の”最少致死濃度”(MLC)は、その上では薬剤が感染性生物を殺す能力を有する濃度である。
【0028】
[0031] 抗感染剤のMICまたはMLCは、ある感染性生物と別の感染性生物の間で異なり得る。抗感染剤のMICまたはMLCは、実験的に、感染性生物株の正確に計った接種に対する抗感染剤の活性を評価する標準化されたインビトロの実験室試験(”感受性試験”)により決定される。MIC50は特定の感染性生物の増殖または繁殖を50パーセント低減する抗感染剤の濃度である。さらなる記述無しの”MIC”は、本明細書において、文脈が別途明示しない限り、感染性生物の特定の株に関するMIC50を意味するように用いられる。
【0029】
[0032] MLC50は、特定の感染性生物の50パーセントを殺す抗感染剤の濃度である。さらなる記述無しの”MLC”は、本明細書において、文脈が別途明示しない限り、感染性生物の特定の株に関するMLC50を意味するように用いられる。
【0030】
[0033] 感染性生物が抗感染剤に対する耐性を獲得する際、その感染性生物に関する抗感染剤のMICまたはMLCは増大する。この文脈において、耐性の獲得の前の感染性生物の株は”感受性である”と定義される。従って、感受性株に関する抗感染剤のMICまたはMLC(MICまたはMLC)は、耐性を獲得した株に関するMICまたはMLC(MICまたはMLC)よりも低いであろう。耐性株により獲得された耐性の程度は異なり得る。例えば、それは時間が経つにつれて、その株が時間が経つにつれて抗感染剤のさらに高い濃度に対して耐性になると共に、変化し得る。または、それは生物の異なる分離株の間で異なり得る。両方の変動の形は感染性生物の1つの種において一緒に存在することができ、しばしば存在するであろう。結果として、MICおよびMLCは感染性生物の同じ種の株の間で異なっていてよく、時間が経つにつれて変化してもよい。
【0031】
[0034] ”時間依存性抗感染剤”は、投与間隔の間でその薬剤の血漿濃度がそのMICまたはMLCよりも上である時間の長さによって、それに関する有効性が主に決定される抗感染剤である。
【0032】
[0035] ”濃度依存性抗感染剤”は、投与間隔の間に到達したその薬剤の最も高い血漿濃度によって、それに関する有効性が主に決定される抗感染剤である。抗感染剤は時間依存性、濃度依存性、または両方であることができる。
【0033】
[0036] ”感受性である”という用語は、血中の抗微生物化合物が抗感染剤、特にセフェピム塩酸塩の既知の投与計画を用いて通常達成できる濃度に到達した場合に阻害され得る感染性生物を指す。
【0034】
[0037] ”中程度である”という報告は、その結果が決定的とは言えないと考えるべきであることを示し、もし微生物が代わりの臨床的に利用できる薬物に対して完全に感受性ではないなら、その試験は繰り返されるべきである。このカテゴリーは、その薬物が生理的に濃縮される体の部位において、または薬物の高い投薬量を用いることができる状況において臨床的に適用できる可能性があることを意味する:このカテゴリーはまた、小さな制御できない技術的な要因が解釈における重大な食い違いを引き起こすのを防ぐ緩衝地帯を提供する。
【0035】
[0038] ”耐性である”という報告は、血中の抗微生物化合物が通常達成できる濃度に到達した場合にその病原が阻害されそうにないことを示す。本明細書で記述される修正された投与計画および修正された投与計画を決定する方法の文脈において、”中程度である”という報告は”耐性である”という報告と均等であり、その修正された投与計画はその株による感染を処置するために開発することができる。
【0036】
[0039] 用語”酢酸緩衝液”は、酢酸および酢酸陰イオンの、望みのpHに調節された平衡化された水溶液を指す。
[0040] 用語”Cmax”は、対象もしくは患者における化合物のピーク血漿濃度、または幾人かの対象についての平均値を指す。
【0037】
[0041] t1/2とも呼ばれる用語”半減期”は、対象または患者における化合物の血漿濃度または投与された量が与えられた濃度または量の2分の1まで減少するのに必要な期間を指す。
【0038】
[0042] 用語”Maxipime(登録商標)”は、(上記で定めたような)セフェピムおよびL−アルギニンの無菌の乾燥混合物であるセフェピムの商業用製剤を指す。
[0043] 用語”ピギーバック(piggyback)”は、大きなバイアルのような形状のボトルを指す。IVバッグ中で再構成するのでは無く、望まれる量のMaxipime(0.5g、1gおよび2gの量で入手できる)を含む希釈液をバイアルの中に入れ、バイアル全体(通常はおよそ100ml容量)を吊るして薬物を注入する。
【0039】
[0044] 用語”Tmax”は、対象もしくは患者における化合物のピーク血漿濃度における時間、または幾人かの対象についての平均値を指す。
[0045] 耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための、耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定する方法を提供する。その方法の態様において、感染性生物の感受性株による哺乳類の感染症の処置に関しては抗感染剤の有効な投薬計画が既知である。一部の態様は、耐性感染性生物に関する抗感染剤の最小阻止濃度(MIC)または最少致死濃度(MLC)(MICまたはMLC)を決定すること;抗感染剤のMICまたはMLCを、感染性生物の感受性株に関するその抗感染剤のMICまたはMLC(MICまたはMLC)と比較して、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比を得ること;および、既知の投薬計画を調節して耐性で調節した投薬計画を提供することを含む。既知の投薬計画は、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比に比例してパラメーターを修正することにより調節される。その修正は、抗感染剤が耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置に有効であることを可能にする。
【0040】
[0046] その方法の一部の態様において、調節は用量における増大、投与間隔の減少、ならびに用量における増大および投与間隔における減少から選択される。一部の態様において、増大された用量は、既知の用量およびMICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比の積である。一部の態様において、減少した投与間隔の長さは、既知の投与間隔およびMICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比の逆数の積である。
【0041】
[0047] その方法の一部の態様において、耐性で調節した投薬計画は、抗感染剤の哺乳類への投与の後に、決定されたMICまたはMLCより上である抗感染剤の血漿濃度を、少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後に抗感染剤の血漿濃度が既知のMICまたはMLCより上であるのとおおよそ同じくらい長い間提供する。
【0042】
[0048] その方法の一部の態様において、耐性で調節した投薬計画は、抗感染剤の哺乳類への投与の後の、決定された抗感染剤のMICまたはMLCより上であり曲線の下である面積(AUC)を示す血漿濃度時間プロフィールを提供し、それは少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後の、既知のMICまたはMLCより上であるAUCとおおよそ同じ大きさである。
【0043】
[0049] その方法の一部の態様において、耐性で調節した投薬計画は、抗感染剤の哺乳類への投与の後に、決定された抗感染剤のMICまたはMLCより上であるピーク血漿濃度(Cmax)を提供し、それは少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後の、既知のMICまたはMLCより上であるCmaxとおおよそ同じ大きさである。
【0044】
[0050] その方法の一部の態様において、感染性生物は細菌、ミコバクテリア、真菌、および原生生物から選択される。
[0051] その方法の一部の態様において、哺乳類はヒトである。
【0045】
その方法の一部の態様において、抗感染剤は抗生物質である。
[0052] その方法の一部の態様において、抗生物質はセファロスポリンである。一部の態様において、セファロスポリン系抗生物質はセフィキシム(cefixime)、セファクロル(cefaclor)、セフロキシムアキセチル(cefuroxime axetil)、セフポドキシム(cefpodoxime)、セフジニル(cefdinir)、セフジトレン(cefditoren)、セフェピム(cefepime)、セフォペラゾン(cefoperazone)、セファゾリン(cefazolin)、セフロキシムナトリウムおよびセフォタキシム(cefotaxime)から選択される。一部の態様において、感染性生物は次のものの1種類以上の株である:エンテロバクター(Enterobacter)、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)亜種イヲフィ(Iwoffi)、シトロバクター・ダイバーサス(Citrobacter diversus)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、モルガネラ・モルガニイ(Morganella morganii)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、プロビデンシア・レットゲリ(Providencia rettgeri)、プロビデンシア・スチュアルティイ(Providencia stuartii)、およびセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)。一部の態様において、感染性生物は次のものの1種類以上の株である:スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(メチシリン感受性株)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)、ビリダンス(Viridans)群ストレプトコッカス、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)(メチシリン感受性株のみ)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、およびストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)。
【0046】
[0053] その方法の一部の態様において、感染性生物は、決定されたMICを耐性を定義する既知のMIC標準と比較することにより耐性であると決定される。
[0054] その方法の一部の態様において、感染性生物は、決定されたMLCを耐性を定義する既知のMLC標準と比較することにより耐性であると決定される。
【0047】
[0055] その方法の一部の態様において、MICまたはMLCは拡散法により決定される。
[0056] その方法の一部の態様において、MICまたはMLCは希釈法により決定される。
【0048】
[0057] その方法の一部の態様において、既知の投薬計画を用いた哺乳類の抗感染剤での処置は、耐性で調節した投薬計画を決定する前に開始される。
[0058] その方法の一部の態様において、既知の投薬計画を用いた哺乳類の抗感染剤での処置は、耐性で調節した投薬計画を決定する前には開始されない。
【0049】
[0059] その方法の一部の態様において、抗感染剤の薬物動態は、耐性で調節した投薬計画で抗感染剤が投与される用量において線形である。
[0060] その方法の一部の態様において、抗感染剤の薬物動態は、耐性で調節した投薬計画で抗感染剤が投与される用量において線形ではない。
【0050】
[0061] 耐性感染性生物による患者の感染症を処置する方法も提供する。一部の態様において、その方法は、患者において耐性感染性生物の感染症を同定すること;本明細書において記述した方法に従って、耐性感染性生物による患者の感染症の処置のための耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定すること;および、耐性で調節した投薬計画に従って患者に抗感染剤を投与してそれにより哺乳類の感染症を処置することを含む。
【0051】
[0062] 処置の方法の一部の態様において、哺乳類における耐性感染性生物の感染症は、決定されたMICを耐性を定義する既知のMIC標準と比較することを含む方法により同定される。
【0052】
[0063] 処置の方法の一部の態様において、哺乳類における耐性感染性生物の感染症は、決定されたMLCを耐性を定義する既知のMLC標準と比較することを含む方法により同定される。
【0053】
[0064] 患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置する方法も提供する。一部の態様において、その方法は、患者においてセフェピム耐性感染細菌感染症を同定すること;耐性細菌株に関するセフェピムのMIC(MIC)を決定すること;そのMICの、同じ細菌種の感受性株に関するセフェピムのMIC(MIC)に対する比(MIC/MIC比)を決定すること;MIC/MIC比を用いて修正されたセフェピム投薬計画を決定すること、ここで、修正されたセフェピム投薬計画は、患者におけるセフェピムの少なくともそのMICの血漿濃度を、少なくとも、確立されたセフェピム投薬計画を用いたセフェピムの患者への投与の後に患者におけるセフェピムの血漿濃度が少なくともそのMICであるのとおおよそ同じ長さの期間にわたって提供する;および、修正されたセフェピム投薬計画に従って患者にセフェピムを投与し、それにより患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置することを含む。
【0054】
[0065] その方法の一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画に従うセフェピムの投与は、投薬間隔の約70%から約80%までの間、少なくともMICの患者の血漿中のセフェピムの血漿濃度を提供する。
【0055】
[0066] その方法の一部の態様において、修正された投薬計画は、確立されたセフェピム投薬計画により投与されるものよりも高い用量のセフェピムの投与を含む。
[0067] その方法の一部の態様において、修正された投薬計画は、確立されたセフェピム投薬計画のセフェピム投薬間隔よりも短い投薬間隔でのセフェピムの投与を含む。
【0056】
[0068] その方法の一部の態様において、修正された投薬計画は、確立されたセフェピム投薬計画により投与されるものよりも高い用量のセフェピムの投与、および確立されたセフェピム投薬計画(egimen)のセフェピム投薬間隔よりも短い投薬(osage)間隔でのセフェピムの投与を含む。
【0057】
[0069] その方法の一部の態様において、患者は1種類以上のグラム陽性微生物に感染している。
[0070] その方法の一部の態様において、患者は1種類以上のグラム陰性微生物に感染している。
【0058】
[0071] その方法の一部の態様において、患者は次のものの1種類以上の株に感染している:エンテロバクター、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・エルジノーサ、アシネトバクター・カルコアセティカス亜種イヲフィ、シトロバクター・ダイバーサス、シトロバクター・フロインディ、エンテロバクター・アグロメランス、インフルエンザ菌(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、ハフニア・アルベイ、クレブシエラ・オキシトカ、モラクセラ・カタラーリス(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、モルガネラ・モルガニイ、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアルティイ、およびセラチア・マルセッセンス。
【0059】
[0072] その方法の一部の態様において、患者は次のものの1種類以上の株に感染している:スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)、ビリダンス群ストレプトコッカス、スタフィロコッカス・エピデルミディス(メチシリン感受性株のみ)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、およびストレプトコッカス・アガラクティエ(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)。
【0060】
[0073] その方法の一部の態様において、患者はストレプトコッカス・ニューモニエにより引き起こされる中程度〜重症の肺炎を有する。一部の態様において、肺炎は併発菌血症、シュードモナス・エルジノーサによる感染、クレブシエラ・ニューモニエによる感染、およびエンテロバクターによる感染の内の1種類以上と関係している。
【0061】
[0074] その方法の一部の態様において、患者は尿道感染症に関して処置される。一部の態様において、その感染症は重症の大腸菌または(Escherichia cofior)クレブシエラ・ニューモニエの感染症である。一部の態様において、その感染症は軽度から中程度までの大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、またはプロテウス・ミラビリスの感染症である。一部の態様において、その感染症は併発菌血症と関係している。
【0062】
[0075] その方法の一部の態様において、その感染症はスタフィロコッカス・アウレウスのメチシリン感受性株により引き起こされる、またはストレプトコッカス・ピオゲネスにより引き起こされる無併発性(Uncomplicated)皮膚または皮膚組織感染症である。
【0063】
[0076] その方法の一部の態様において、その感染症は併発性腹腔内大腸菌、ビリダンス群ストレプトコッカス、シュードモナス・エルジノーサ、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター種、またはバクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)感染症である。一部の態様において、その方法はさらにメトロニダゾールの患者への投与を含む。
【0064】
[0077] その方法の一部の態様において、その細菌株に関するMICは約8μg/mL以下であり、その細菌株に関するMICは約32μg/mL以上であり、MIC/MIC比は少なくとも約4である。
【0065】
[0078] 一部の態様において、確立されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内に投与される1から2gまでのセフェピムである。一部の態様において、療法的投与期間は約10日間までである。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも4から8gまでのセフェピムの静脈内投与を含む。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の3時間以下の投与間隔での1から2gまでのセフェピムの静脈内投与を含む。
【0066】
[0079] その方法の一部の態様において、確立されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内に投与される2gのセフェピムである。一部の態様において、療法的投与期間は約10日間までである。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも8gのセフェピムの静脈内投与を含む。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の3時間以下の投与期間での2gのセフェピムの静脈内投与を含む。
【0067】
[0080] その方法の一部の態様において、確立されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間約8時間ごとに静脈内に投与される2gのセフェピムである。一部の態様において、療法的投与期間は約10日間までである。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の8時間ごとの少なくとも8gのセフェピムの静脈内投与を含む。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の2時間以下の投与期間での2gのセフェピムの静脈内投与を含む。
【0068】
[0081] その方法の一部の態様において、確立されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内または筋肉内に投与される0.5から1gまでのセフェピムである。一部の態様において、療法的投与期間は約10日間までである。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも2から4gまでのセフェピムの静脈内または筋肉内投与を含む。一部の態様において、修正されたセフェピム投薬計画は、療法的投与期間の間の3時間以下の投与間隔での0.5から1gまでのセフェピムの静脈内または筋肉内投与を含む。
【0069】
[0082] 本明細書で用いられる”セフェピム塩酸塩”は、米国食品医薬品局(FDA)によりMAXIPIME(登録商標)(セフェピム塩酸塩、USP)として認可された抗生物質およびFDAによりMAXIPIME(登録商標)をリストされた薬物として引用する出願について認可されたあらゆるセフェピムを含む組成物を指す。MAXIPIME(登録商標)(セフェピム塩酸塩、USP)は、Elan Pharmaceuticals, Inc.により米国内で流通されている。
【0070】
[0083] 追加の態様において、下記でより完全に記述するが、セフェピムは持続する継続注入で投与される。
[0084] MAXIPIME(登録商標)(セフェピム塩酸塩、USP)は、半合成の、スペクトルの広い、非経口投与のためのセファロスポリン系抗生物質である。化学名は1−[[(6R,7R)−7−[2−(2−アミノ−4−チアゾリ−グリオキシルアミド]−2−カルボキシ−8−オキソ−5−チア−1−アザビシクロ[4.2.0]オクタ−2−エン−3−イル]メチル]−l−メチルピロリジニウムクロリド,7−(Z)(O−メチルオキシム),一塩酸塩,一水和物(1-[[(6R,7R)-7-[2-(2-amino-4-thiazoly-glyoxylamido]-2-carboxy-8-oxo-5-thia-1-azabicyclo[4.2.0]oct-2-en-3-yl]methyl]-l-methylpyrrolidinium chloride,72-(Z)(O-methyloxime),monohydrochloride,monohydrate)であり、それは次の構造式に対応する:
【0071】
【化1】

【0072】

[0085] セフェピム塩酸塩MAXIPIME(登録商標)は、白色〜淡黄色の粉末である。セフェピム塩酸塩MAXIPIME(登録商標)は、無水物に基づいて計算して、mgあたり825μg以上911μg以下のセフェピム(01924)の均等物を含む。それは非常に水に溶けやすい。
【0073】
[0086] MAXIPIME(登録商標)は、セフェピム塩酸塩およびL−アルギニンの無菌の乾燥混合物である。それは表示された量の90.0パーセント以上115.0パーセント以下のセフェピム(C1924)の均等物を含む。おおよそ725mg/gのセフェピムの濃度において、L−アルギニンは構成された溶液のpHを4.0〜6.0で調整するために添加されている。新しく構成されたMAXlPIME(登録商標)の溶液の色の範囲は無色〜琥珀色であろう。
【0074】
[0087] 注射のためのMAXIPIME(登録商標)(セフェピム塩酸塩、USP)は、セフェピムの活性に基づいて500mg、1gおよび2gの用量で供給される。これらの投薬量は、様々な容器、例えばADD−Vantage(登録商標)バイアル、ピギーバックボトルならびに15および20mLバイアル中で供給される。
【0075】
[0088] ”確立されたセフェピム投与計画”は、FDAに認可されておりMAXIPIME(登録商標)の処方情報(Prescribing Information)にリストされているセフェピム投与計画である。
【0076】
[0089] 一般に行われているFDAに認可された成人および小児用投薬計画および投与経路を、表1で概説する。それらの投薬計画において、MAXIPIME(登録商標)は約30分間かけて静脈内に投与される。
【0077】
表1
60mL/分より大きいCrCLを有する患者におけるMAXIPIMEに関する推奨される投薬スケジュール
【0078】
【表1】

【0079】
併発菌血症と関係する症例を含む。
**または好中球減少症の解決まで。発熱は解決しているが7日間を超える間好中球減少症のままである患者において、継続される抗微生物療法の必要性は頻繁に再評価されるべきである。
【0080】
***投与のIM経路は、大腸菌による軽度〜中程度の無併発性または併発性UTIに関してIM経路が薬物投与のより適切な経路であると考えられる場合にのみ適応される。
[0090] 肝機能欠陥を有する患者には調節は不要である。
【0081】
[0091] 腎機能欠陥(クレアチニンクリアランスが60ml/分以下)を有する患者では、MAXIPIME(登録商標)の用量は、腎排出のより遅い速度を補うように調節される。推奨されるMAXIPIME(登録商標)の初期用量は、血液透析を受けている患者における場合を除き、正常な腎機能を有する患者におけるものと同じであるべきである。腎不全を有する患者におけるMAXlPIME(登録商標)の推奨される用量を表2に示す。
【0082】
[0092] 血清クレアチニンのみが利用できる場合、クレアチニンクリアランスを見積もるために次の式(コッククロフトおよびゴールトの式)を用いてよい。血清クレアチニンは腎機能の定常状態を表すはずである:
【0083】
【化2】

【0084】

[0093] 女性は男性のクレアチニンクリアランス値の85%を与えられる。
[0094] 一般に行われているFDAに認可された成人の投与スケジュールは、表2に示すように、腎機能に基づいて変化する。
【0085】
表2
推奨される成人の患者におけるMAXIPIME(登録商標)の投与スケジュール
(正常な腎機能、腎不全、および血液透析)
【0086】
【表2】

【0087】
[0095] 持続式携帯型腹膜透析を受けている患者において、MAXIPIME(登録商標)は、通常推奨される用量で、48時間ごとの投薬間隔で投与されてよい(表2参照)。
【0088】
[0096] 血液透析を受けている患者において、透析の開始時に体内に存在するセフェピムの総量のおおよそ68%は3時間の透析期間の間に除去されるであろう。血液透析の患者に関するMAXIPIME(登録商標)の投薬量は、1g q24hである発熱性好中球減少症以外の全ての感染症の処置に関して1日目に1g、続いて500mg q24h(24時間ごとに)である。MAXIPIME(登録商標)は、それぞれの日の同じ時間に、血液透析の日に血液透析が完了した後投与されるべきである(表2参照)。
【0089】
[0097] 静脈内注入に関して、1gまたは2gのピギーバック(100mL)ボトルは、50または100mLの適合するIV液を用いて構成される。あるいは、500mg、1g、または2gのバイアルを再構成し、適切な量の得られた溶液を、適合するIV液と共にIV容器に入れる。次いで得られた溶液を約30分間かけて投与する。
【0090】
[0098] MAXIPIME(登録商標)の投与に関する追加の情報を処方情報において入手することができ、それを本明細書に援用する。
[0099] セフェピムは細菌の細胞壁の合成の阻害により作用する殺菌剤である。セフェピムは、広い範囲のグラム陽性およびグラム陰性細菌を含む広いスペクトルのインビトロ活性を有する。セフェピムは染色体にコードされたベータラクタマーゼ類に低い親和性を有する。セフェピムはほとんどのベータラクタマーゼ類による加水分解に高度に耐性であり、グラム陰性細菌細胞の中への迅速な浸透を示す。細菌細胞内で、セフェピムの分子標的はペニシリン結合タンパク質(PBP)である。
【0091】
[0100] セフェピムは下記の微生物の〜ほとんどの株に対して、インビトロおよび臨床での感染症の両方において有効であることが示されている:
好気性グラム陰性微生物:
エンテロバクター
大腸菌
クレブシエラ・ニューモニエ
プロテウス・ミラビリス
シュードモナス・エルジノーサ
好気性グラム陽性微生物:
スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株のみ)
ストレプトコッカス・ニューモニエ
ストレプトコッカス・ピオゲネス(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)
ビリダンス群ストレプトコッカス。
【0092】
セフェピムは下記の微生物のほとんどの株に対してインビトロ活性を有することが示されている:
好気性グラム陽性微生物:
スタフィロコッカス・エピデルミディス(メチシリン感受性株のみ)
スタフィロコッカス・サプロフィチカス
ストレプトコッカス・アガラクティエ(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)
好気性グラム陰性微生物:
アシネトバクター・カルコアセティカス亜種イヲフィ
シトロバクター・ダイバーサス
シトロバクター・フロインディ
エンテロバクター・アグロメランス
インフルエンザ菌(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)
ハフニア・アルベイ
クレブシエラ・オキシトカ
モラクセラ・カタラーリス(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)
モルガネラ・モルガニイ
プロテウス・ブルガリス
プロビデンシア・レットゲリ
プロビデンシア・スチュアルティイ
セラチア・マルセッセンス。
【0093】
[0101] セフェピムは、その微生物が上記でリストされていてもいなくても、それに対してセフェピムが有効であるあらゆる微生物による感染症を処置するために本明細書で記述されているように用いることができる。
【0094】
[0102] 従って、微生物の耐性株による哺乳類の感染症を処置する方法および耐性で調節した投薬計画を決定する方法を本明細書において提供し、ここで微生物はグラム陽性微生物またはグラム陰性微生物である。
【0095】
[0103] 1態様において、グラム陰性微生物は、例えば、および限定するわけでは無く、次のものの1種類以上の株である:エンテロバクター、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・エルジノーサ、アシネトバクター・カルコアセティカス亜種イヲフィ、シトロバクター・ダイバーサス、シトロバクター・フロインディ、エンテロバクター・アグロメランス、インフルエンザ菌(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、ハフニア・アルベイ、クレブシエラ・オキシトカ、モラクセラ・カタラーリス(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、モルガネラ・モルガニイ、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアルティイ、およびセラチア・マルセッセンス。
【0096】
[0104] 1態様において、グラム陽性微生物は、例えば、および限定するわけでは無く、次のものの1種類以上の株である:スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)、ビリダンス群ストレプトコッカス、スタフィロコッカス・エピデルミディス(メチシリン感受性株のみ)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、およびストレプトコッカス・アガラクティエ(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)。
【0097】
[0105] MAXIPIME(登録商標)は、次の感染症の処置に関して認可されている:
ストレプトコッカス・ニューモニエにより引き起こされる肺炎(中程度〜重症)、併発菌血症;シュードモナス・エルジノーサ、クレブシエラ・ニューモニエまたはエンテロバクター種と関係する症例を含む;
感染症が重症である場合の、大腸菌もしくはクレブシエラ・ニューモニエにより引き起こされる、または感染症が軽度〜中程度である場合の、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、もしくはプロテウス・ミラビリスにより引き起こされる無併発性および併発性尿道感染症(腎盂腎炎を含む)、これらの微生物による併発菌血症と関係する症例を含む;
スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株のみ)またはストレプトコッカス・ピオゲネスにより引き起こされる無併発性皮膚および皮膚組織感染症。
【0098】
大腸菌(Eschefichia coli)、ビリダンス群ストレプトコッカス、シュードモナス・エルジノーサ、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター種、またはバクテロイデス・フラジリスにより引き起こされる、併発性腹腔内感染症(メトロニダゾールとの組み合わせで用いられる)。
【0099】
MAXIPIME(登録商標)は、発熱性好中球減少症の経験的療法に関しても認可されている。
[0106] MICおよびMLCは、様々な定量的技法、例えば希釈法および拡散法を用いて決定することができる。
【0100】
[0107] 希釈法に関する標準化された手順は、例えば米国臨床検査標準委員会(National Committee for Clinical Laboratory Standards)、Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically - Third Edition. Approved Standard NCCLS Document M7-A3, Vol. 13, No. 25, NCCLS, ペンシルバニア州ヴィッラノバ、1993年12月)において記述されている。その方法は、標準化された接種物の濃度および標準化された抗感染剤(例えばセフェピム粉末)の濃度を有するブロスまたは寒天または均等物を利用する。
【0101】
[0108] セフェピムの場合、ある態様において、MICの値は次の基準に従って解釈される:
表3
【0102】
【表3】

【0103】

注釈:これらの種からの分離株は、特殊化された希釈検査法を用いて感受性に関して検査されるべきである。(米国臨床検査標準委員会、Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically -- Third Edition. Approved Standard NCCLS Document M7-A3, Vol. 13, -No. 25, NCCLS, ペンシルバニア州ヴィッラノバ、1993年12月)。また、2μg/mLより大きいMICを有するヘモフィルス(Haemophilus)属の種の株も決定的とは言えないと考えるべきであり、さらに評価されるべきである。
【0104】
[0109] 希釈法を実施する際、実験室対照感染性生物を対照として用いてよい。実験室対照感染性生物は、耐性の機構およびそれらの遺伝子発現に関して固有の生物学的特性を有する感染性生物の特別な株である;その特別な株はそれらの現在の状態において臨床的に重要である。
【0105】
[0110] 例えば、セフェピム粉末は示した品質管理株に対して試験した際に次のMIC値(表4)を与えるはずである:
表4
【0106】
【表4】

【0107】

[0111] 拡散法に関する標準化された手順も、感染性生物、例えば細菌の抗感染剤、例えば抗生物質に対する感受性の再現性のある見積もりを与える。1つのその標準化された手順は、標準化された接種物の濃度の使用を必要とする。(米国臨床検査標準委員会、Performance Standards for Antimicrobial Disk Susceptibility Tests--Fifth Edition. Approved Standard NCCLS Document M2-A5, Vol. 13, No. 24, NCCLS, ペンシルバニア州ヴィッラノバ、1993年12月)。この手順は抗感染剤(例えば30μgのセフェピム)をしみ込ませた紙のディスクを用いて感染性生物の抗感染剤(例えばセフェピム)に対する感受性を検査する。解釈は上記で希釈法を用いた結果に関して記述したものと同じである。
【0108】
[0112] 例えば、30pgのセフェピムのディスクを用いる標準的な単一ディスク感受性試験の結果を与えるそのアッセイからの報告は、次の基準に従って解釈される:
表5
【0109】
【表5】

【0110】

注釈:これらの種からの分離株は、特殊化された拡散検査法を用いて感受性に関して検査されるべきである。(米国臨床検査標準委員会、Performance Standards for Antimicrobial Disk Susceptibility Tests--Fifth Edition. Approved Standard NCCLS Document M2-A5, Vol. 13, No. 24, NCCLS, ペンシルバニア州ヴィッラノバ、1993年12月)。26mmより小さいゾーン(zone)を有するヘモフィルス属の種の分離株は決定的とは言えないと考えるべきであり、さらに評価されるべきである。S.ニューモニエ(S. pneumoniae)の分離株は、1pgオキサシリン(oxacillin)ディスクに対して検査するべきである;20mmより大きい、またはそれと等しいオキサシリンゾーンの大きさを有する分離株は、セフェピムに感受性であると考えてよい。
【0111】
[0113] 標準化された希釈法を用いる場合のように、拡散法は実験室手順の技術的観点の精度を試すために実験室対照感染性生物の使用を必要とする。実験室対照感染性生物は、耐性の機構およびそれらの遺伝子発現に関して固有の生物学的特性を有する感染性生物の特別な株である;その特別な株はそれらの現在の微生物学的状態において掛け値なしに臨床的に重要である。拡散法に関して、30pgセフェピムディスクはこれらの実験室検査品質管理株において次のゾーン直径を与えるはずである(表6):
表6
【0112】
【表6】

【0113】

[0114] 別の観点において、本発明は例えばセフェピムのようなセファロスポリン系抗生物質を含む安定な組成物、さらにこれらの組成物の投与の有益な方法を提供する。具体的には、本発明はセフェピム(Maxipime(登録商標))の安定性を様々な温度において長期間の間維持することが可能な配合物、キットおよび方法を提供する。
【0114】
[0115] 病院の環境において、ほとんどの生物学的利用能が低い抗生物質は、ボーラス注射またはより一般的には短期静脈内(IV)注入により患者に投与される。
[0116] 健康な成人男性のボランティア(試験対象)(n=9)において、セフェピム500mg、1gおよび2gの1回の30分IV注入の後の様々な時点で観察されるセフェピムの平均血漿濃度を表7に要約する。
【0115】
【表7】

【0116】
Maxipimeの製品の挿入物。
[0117] その製品の挿入物で詳しく述べられているセフェピムの薬物動態の試験は、セフェピムの排出は主に腎排泄によることを報告しており、それは健康な対象において平均(±SD)半減期が2.0(±0.3)時間であり全身クリアランスが120.0(±8.0)mL/分であるその迅速な排出を説明している。その迅速なクリアランスは、長期にわたる、または継続的な注入を有益にするセフェピムの薬物動態の別の特徴である。セフェピムの薬物動態は、250mg〜2gの範囲にわたって線形であった。臨床的に適切な用量を9日間の期間の間与えられた健康な成人男性のボランティア(n=7)のPK試験において、蓄積の証拠は無かった。0.5時間の注入に関する血漿濃度のおおよそのグラフを図1に示す。
【0117】
[0118] セフェピムの継続注入のモデルを用いたさらなる薬物動態試験が、一度薬物が定常状態に達した全投薬時間のほぼ100パーセントにおいて耐性だが感受性のある微生物に関するMICより上の薬物濃度を提供することがモンテカルロシミュレーションにより示されている(図1)。
【0118】
[0119] たとえ数学的なモデルがセフェピムの継続的な持続性注入の利点が有益である可能性があることを証明しても、先行技術の参考文献は、長期にわたる、または継続的な注入の時間の間の再構成されたMAXIPIME(登録商標)製品の安定性が問題になる可能性があるという懸念を示しており、例えばScaglione, et al., Expert Rev. Anti. Infect. Ther. 4:479-490(2006); Soy, et al., Curr. Opin. Crit. Care 12:477-482(2006)を参照。現行の表示に従って再構成されて用いられるMAXIPIME(登録商標)は十分な安定性を有しているが、周囲の室温においてMAXIPIME(登録商標)が再構成の後にかなり急速に色を変化させて琥珀色〜暗褐色の溶液を与える可能性があることを文書で裏付ける製品報告書が存在する。推奨された溶液において再構成された製品でのこの変色は、臨床家がその溶液を投与のために用いることができないことを意味する。何が変色を引き起こすのかは完全には理解されていないが、それは分解物が形成されて溶液中で検出可能であるために起こる。酢酸緩衝液の添加は、再構成されたMAXIPIME(登録商標)の配合物の分解を低減する、または無くす可能性があり、それはこの出来事に取り組み、長期にわたる、または継続的な注入の時間にわたる、特に室温より上の温度における使用に関する安定性も向上させる可能性がある。
【0119】
[0120] MAXIPIME(登録商標)は添付文書に従って無菌のバイアルから再構成され、約50mL〜約100mLの適合する液体に添加され、次いで30分間かけて注入される。適切な適合する液体は、例えば注射のための滅菌水、パラベン類またはベンジルアルコールを含む注射のための滅菌静菌水、0.9%塩化ナトリウム注射剤、5%および10%デキストロース注射剤、M/6乳酸ナトリウム注射剤、5%デキストロース、乳酸加リンゲルおよび5%デキストロース注射剤、5%デキストロース注射剤中Normosol−RTM、およびNormosol−MTMである。
【0120】
[0121] Maxipimeの添付文書は、配合物の再構成および保管に関して下記の用法を提供している:
”静脈内注入のため、1gまたは2gのピギーバック(100mL)ボトルを、50mLまたは100mLの適合するIV液を用いて構成する。あるいは、500mg、1g、または2gのバイアルの再構成は、得られた溶液の適切な量を、適合するIV液の1種類を含むIVバッグに添加することによりなされてよい。得られた溶液はおおよそ30分間かけて投与するべきである(原文で強調されている)。Y型投与セットを用いる間欠性IV注入は、適合する溶液を用いて成し遂げることができる。しかし、セフェピムを含む溶液の注入の間は、他の溶液を中断するのが望ましい。これらの溶液は、制御された室温20°〜25℃(68°〜77°F)において24時間、または2°〜8℃(36°〜46°F)の冷蔵庫の中で7日間まで保管することができる。”。
【0121】
[0122] 本明細書で述べられているように、Maxipime(登録商標)の改善された投与の方式は、長期にわたる、または継続的な注入によるものである。8時間の認可された投与間隔に関して、長期にわたる、または継続的な注入の期間は約1時間から約8時間まで続いてよい。約4時間から約8時間までの期間がより好ましく、約6時間〜約8時間の期間が最も好ましい。
【0122】
溶液の安定化は、例えば、2(2)グラムのMaxipime(登録商標)のバイアル中での約10〜約110mLの約2.5〜約6.5のpHに調節した約0.1M〜約0.76M酢酸緩衝液の添加により成し遂げることができる。別の例では、約0.2M〜約0.5Mの濃度範囲で約4.6〜約5.6のpHを有する約30から約80mLまでの酢酸緩衝液が存在する。より狭い例では、pHは約4.6であり、酢酸緩衝液のモル濃度は約0.2Mである。
【0123】
[0123] 酢酸緩衝液のpHは、溶液中で酢酸よりも強く、より濃縮された酸を添加することにより都合よくより酸性に調節することができ、それはまた塩酸(HCl)のような医薬的に許容できるものでなければならない。酢酸緩衝液のpHは、酢酸イオンよりも強く、より濃縮された塩基を添加することにより都合よくより塩基性に調節することができ、それはまた水酸化ナトリウム(NaOH)のような医薬的に許容できるものでなければならない。緩衝系のpHの調節のための滴定法は、当業者に周知である。
【0124】
[0124] pH4.6における0.2M酢酸緩衝液を用いて再構成されたバイアル配合物としてのMaxipimeに関して上記の調合法に従った場合、大きな容積のIV容器中への希釈は結果として緩衝液の希釈に起因すると考えられる不安定性をもたらし、長期にわたる、または継続的な、すなわち30分間を超える注入のための使用に適さないであろう。例えば、十分な0.2M酢酸緩衝液を用いてピギーバック配合物を50〜100mLの体積に再構成して望みのモル濃度および約4.6のpHを与えた後、現行の添付文書に従って注入すると、おそらく結果として大きな体積(50〜100mL以上)の酸性緩衝液の短い期間、すなわち30分間での注入による静脈の刺激および酸性血症をもたらすであろう。この理由のため、長期にわたる、または継続的な注入およびより小さい体積の希釈剤が好ましい。pH、緩衝液の触媒作用および温度のセフェピムの安定性に対する影響のさらなる議論に関しては、Fubara et al., J. Pharm. Sci. 87:1572-1576 (1998)を参照、それをそのまま本明細書に援用する。
【0125】
[0125] 広い観点において、本発明は、安定化されたMaxipime配合物の継続注入による抗生物質療法を必要とする患者の、長期にわたる、または継続的な非経口投与のための組成物を提供する。
【0126】
[0126] 本発明の別の観点において、組成物は高温でのセフェピム/Maxipimeを用いた患者の非経口投与の期間を安全に延長するために提供される。
[0127] 別の観点において、本発明は携帯用継続注入ポンプ装置中でのセフェピムの安定性を延長するための組成物を提供する。
【0127】
[0128] さらに別の観点において、単位用量のセフェピム/アルギニンとの混合のために酢酸緩衝液を含む組成物を提供し、時間の経過および約25℃より上の温度における増大した安定性を有する配合物を提供する。
【0128】
[0129] 従って、本発明の1態様は、セフェピムの約0.5〜約2gの単位用量を有する容器および約2.5〜約6.5のpHに調節した約10〜約110mLの0.1M〜約0.76M酢酸緩衝液を含む酢酸緩衝溶液を有する別の容器を含むキットである。
【0129】
[0130] 別の態様において、セフェピムの約0.5〜約2gの単位用量を有する容器および約4.6〜約5.6のpHを有する約0.2M〜約0.5Mの濃度範囲の約30から約80mLまでの酢酸緩衝液を含む酢酸緩衝溶液を有する別の容器を含むキットを提供する。
【0130】
[0131] さらなる態様において、セフェピムの約0.5〜約2gの単位用量を有する容器ならびに約4.6のpHおよび約30から約80mLまでの体積を有する溶液を含む約0.2Mの酢酸緩衝溶液を有する別の容器を含むキットを提供する。
【0131】
[0132] さらに別の態様において、2個以上の区画を有する単一の無菌の容器を含むキットを提供し、ある区画はセフェピム組成物を含み、別の区画は酢酸緩衝液を含み、その区画は一方が他方に対して開かれて区画の内容物の混合を可能にすることができる。
【0132】
[0133] 本発明の別の観点において、単独の容器中にセフェピム、アルギニンおよび酢酸緩衝液の凍結乾燥させた組成物を含む配合物を提供し、それは約0.5gから約2gまでの量のセフェピムを有する。
【0133】
[0134] 本発明の別の観点は、次のものを含む製品を提供する:a)セフェピムの約0.5〜約2gの単位用量を有する容器および酢酸緩衝溶液を有する別の容器;b)セフェピムの投薬量および酢酸緩衝液の混合物の調製についての情報を提供する印刷物;ならびにc)2種類の容器および印刷された情報を含む包装。
【0134】
[0135] 本発明の別の観点は、次のものを含む製品を提供する:a)セフェピムの約0.5〜約2gの単位用量を有する容器および約2.5〜約6.5のpHに調節した約10〜約110mLの0.1M〜約0.76M酢酸緩衝液を含む別の容器;b)セフェピムの投薬量および酢酸緩衝液の混合物の調製についての情報を提供する印刷物;ならびにc)2種類の容器および印刷された情報を含む包装。
【0135】
[0136] 本発明のさらに別の観点は、次のものを含む製品を提供する:a)約0.5から約2gまでの量のセフェピムを有する単独の容器中にセフェピム、アルギニンおよび酢酸緩衝液の凍結乾燥させた組成物を含む配合物;b)セフェピムの投薬量および酢酸緩衝液の混合物の調製についての情報を提供する印刷物;ならびにc)その容器および印刷された情報を含む包装。
【0136】
[0137] 本明細書で記述される製品は、本明細書で記述されるセフェピム/アルギニンまたはセフェピム/アルギニン/酢酸緩衝液組成物の単位用量を含む、バルク量またはより少ない量を含んでいてよい。容器(the container or containers)と関係する印刷物または添付文書は、選択される病気の処置における組成物の使用に関する指示、投薬量の選択に関する、および投与のための組成物を調製するための方法に関する指示を提供することができる。製品はさらにセフェピム組成物および酢酸緩衝液を含む多数の容器または区画を含んでいてよく、それは本明細書においてキットとも呼ばれ、場合によりさらに希釈剤、例えば注射のための滅菌水、パラベン類またはベンジルアルコールを含む注射のための滅菌静菌水、0.9%塩化ナトリウム注射剤、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、5%および10%デキストロース注射剤、M/6乳酸ナトリウム注射剤、5%デキストロース、乳酸加リンゲルおよび5%デキストロース注射剤、5%デキストロース注射剤中Normosol−RTM、およびNormosol−MTMを含んでいてよい。それはさらに、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、および/または使用のための指示を有する添付文書を含む、商業的な、および使用者の視点から望ましい他の物質を含んでいてよい。セフェピム組成物は、多数回の、または1回の用量の容器の中に封入することができる。セフェピム組成物および酢酸緩衝液は、場合により使用のために組み立てることができる構成部品を含むキットにおいて提供することができる。例えば、凍結乾燥された形の酢酸緩衝液を含むセフェピム組成物および適切な希釈剤を、使用の前に組み合わせるために分離された構成要素として提供してよい。製品は、ある区画がセフェピム組成物を含み、別の区画が酢酸緩衝液を含み、その区画が互いにアクセスして成分の混合を引き起こすことができる、分離された区画を有する単一の容器であってもよい。
【0137】
[0138] 本明細書で記述した方法および適用に対する他の適切な修正および適合は適切であり、本発明の範囲またはそのあらゆる態様から逸脱すること無くなされてよいことは、関連技術の当業者にはすぐに明らかであろう。本発明は特定の態様に関連して記述されたが、それは本発明を述べられた特定の形に限定することを意図するものではなく、それどころか、それは下記の特許請求の範囲により定められる本発明の精神および範囲内に含まれる可能性がある代替物、修正および均等物を含むことを意図する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐性感染性生物による哺乳類の感染症の処置のための耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定する方法であって、感染性生物の感受性株による哺乳類の感染症の処置に関しては抗感染剤の有効な投薬計画が既知であり、次のことを含む方法:
耐性感染性生物に関する抗感染剤の最小阻止濃度(MIC)または最少致死濃度(MLC)(MICまたはMLC)を決定すること;
抗感染剤のMICまたはMLCを、感染性生物の感受性株に関するその抗感染剤のMICまたはMLC(MICまたはMLC)と比較して、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比を得ること;および
既知の投薬計画を調節して耐性で調節した投薬計画を提供すること;
ここで、既知の投薬計画は、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比に比例してパラメーターを修正することにより調節される。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、既知の投薬計画の調節が用量における増大、投与間隔の減少、ならびに用量における増大および投与間隔における減少から選択される;または
既知の投薬計画を調節して耐性で調節した投薬計画を提供することが抗感染剤の用量を増大することを含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、増大された用量が、既知の用量およびMICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比の積である方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、減少した投与間隔の長さが、MICのMICに対する比またはMLCのMLCに対する比の逆数による既知の投与間隔の掛け算の積である方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、耐性で調節した投薬計画が、抗感染剤の哺乳類への投与の後に、決定されたMICまたはMLCより上である抗感染剤の血漿濃度を、少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後に抗感染剤の血漿濃度が既知のMICまたはMLCより上であるのとおおよそ同じくらい長い間提供する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、耐性で調節した投薬計画が、抗感染剤の哺乳類への投与の後の、決定された抗感染剤のMICまたはMLCより上であり曲線の下である面積(AUC)を示す血漿濃度時間プロフィールを提供し、それが少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後の、既知のMICまたはMLCより上であるAUCとおおよそ同じ大きさである方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、耐性で調節した投薬計画が、抗感染剤の哺乳類への投与の後に、決定された抗感染剤のMICまたはMLCより上であるピーク血漿濃度(Cmax)を提供し、それが少なくとも、既知の投薬計画に従う抗感染剤の哺乳類への投与の後の、既知のMICまたはMLCより上であるCmaxとおおよそ同じ大きさである方法。
【請求項8】
感染性生物が細菌、ミコバクテリア、真菌、および原生生物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
哺乳類がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
抗感染剤が抗生物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
抗生物質がセファロスポリン系抗生物質である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
セファロスポリン系抗生物質がセフィキシム、セファクロル、セフロキシムアキセチル、セフポドキシム、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフォペラゾン、セファゾリン、セフロキシムナトリウムおよびセフォタキシムから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
感染性生物が次のものの1種類以上の株である、請求項11に記載の方法:エンテロバクター、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・エルジノーサ、アシネトバクター・カルコアセティカス亜種イヲフィ、シトロバクター・ダイバーサス、シトロバクター・フロインディ、エンテロバクター・アグロメランス、インフルエンザ菌(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、ハフニア・アルベイ、クレブシエラ・オキシトカ、モラクセラ・カタラーリス(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、モルガネラ・モルガニイ、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアルティイ、またはセラチア・マルセッセンス。
【請求項14】
感染性生物が次のものの1種類以上の株である、請求項11に記載の方法:スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)、ビリダンス群ストレプトコッカス、スタフィロコッカス・エピデルミディス(メチシリン感受性株のみ)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、またはストレプトコッカス・アガラクティエ(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)。
【請求項15】
感染性生物が、決定されたMICを耐性を定義する既知のMIC標準と比較することにより耐性であると決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
感染性生物が、決定されたMLCを耐性を定義する既知のMLC標準と比較することにより耐性であると決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
MICまたはMLCが拡散法により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
MICまたはMLCが希釈法により決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
既知の投薬計画を用いた哺乳類の抗感染剤での処置が、耐性で調節した投薬計画を決定する前に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
既知の投薬計画を用いた哺乳類の抗感染剤での処置が、耐性で調節した投薬計画を決定する前に開始されない、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
抗感染剤の薬物動態が、耐性で調節した投薬計画で抗感染剤が投与される用量において線形である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
抗感染剤の薬物動態が、耐性で調節した投薬計画で抗感染剤が投与される用量において線形ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
耐性感染性生物による患者の感染症を処置する方法であって、次のことを含む方法:
患者において耐性感染性生物の感染症を同定する;請求項1〜22のいずれか1項に記載の方法に従って、耐性感染性生物による患者の感染症の処置のための耐性で調節した抗感染剤の投薬計画を決定する;
および耐性で調節した投薬計画に従って患者に抗感染剤を投与してそれにより哺乳類の感染症を処置する。
【請求項24】
哺乳類における耐性感染性生物の感染症が、決定されたMICを耐性を定義する既知のMIC標準と比較することを含む方法により同定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
哺乳類における耐性感染性生物の感染症が、決定されたMLCを耐性を定義する既知のMLC標準と比較することを含む方法により同定される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置する方法であって、次のことを含む方法:
患者においてセフェピム耐性感染細菌感染症を同定する;
耐性細菌株に関するセフェピムのMIC(MIC)を決定する;
そのMICの、同じ細菌種の感受性株に関するセフェピムのMIC(MIC)に対する比(MIC/MIC比)を決定する;
MIC/MIC比を用いて修正されたセフェピム投薬計画を決定する、ここで、修正されたセフェピム投薬計画は、患者におけるセフェピムの少なくともそのMICaの血漿濃度を、少なくとも、確立されたセフェピム投与計画を用いたセフェピムの患者への投与の後に患者におけるセフェピムの血漿濃度が少なくともそのMICであるのとおおよそ同じ長さの期間にわたって提供する;
修正されたセフェピム投薬計画に従って患者にセフェピムを投与し、それにより患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置する。
【請求項27】
修正されたセフェピム投薬計画に従うセフェピムの投与が、投薬間隔の約70%から約80%までの間、少なくともMICの患者の血漿中のセフェピムの血漿濃度を提供する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
修正された投薬計画が、確立されたセフェピム投薬計画により投与されるものよりも高い用量のセフェピムの投与を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
修正された投薬計画が、確立されたセフェピム投薬計画のセフェピム投薬間隔よりも短い投薬間隔でのセフェピムの投与を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
修正された投薬計画が、確立されたセフェピム投薬計画により投与されるものよりも高い用量のセフェピムの投与、および確立されたセフェピム投薬計画のセフェピム投薬間隔よりも短い投薬間隔でのセフェピムの投与を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
患者が1種類以上のグラム陽性微生物に感染している、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
患者が1種類以上のグラム陰性微生物に感染している、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
患者が次のものの1種類以上の株に感染している、請求項26に記載の方法:エンテロバクター、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・エルジノーサ、アシネトバクター・カルコアセティカス亜種イヲフィ、シトロバクター・ダイバーサス、シトロバクター・フロインディ、エンテロバクター・アグロメランス、インフルエンザ菌(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、ハフニア・アルベイ、クレブシエラ・オキシトカ、モラクセラ・カタラーリス(ベータ−ラクタマーゼ産生株を含む)、モルガネラ・モルガニイ、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、プロビデンシア・スチュアルティイ、およびセラチア・マルセッセンス。
【請求項34】
患者が次のものの1種類以上の株に感染している、請求項26に記載の方法:スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン感受性株)、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ストレプトコッカス・ピオゲネス(ランスフィールドのA群ストレプトコッカス)、ビリダンス群ストレプトコッカス、スタフィロコッカス・エピデルミディス(メチシリン感受性株のみ)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス、およびストレプトコッカス・アガラクティエ(ランスフィールドのB群ストレプトコッカス)。
【請求項35】
患者がストレプトコッカス・ニューモニエにより引き起こされる中程度〜重症の肺炎を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
肺炎が併発菌血症、シュードモナス・エルジノーサによる感染、クレブシエラ・ニューモニエによる感染、およびエンテロバクターによる感染の内の1種類以上と関係している、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
患者が尿道感染症に関して処置される、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
感染症が重症の大腸菌またはクレブシエラ・ニューモニエの感染症である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
感染症が軽度から中程度までの大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ、またはプロテウス・ミラビリスの感染症である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
感染症が併発菌血症と関係している、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
感染症がスタフィロコッカス・アウレウスのメチシリン感受性株により引き起こされる、またはストレプトコッカス・ピオゲネスにより引き起こされる無併発性皮膚または皮膚組織感染症である、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
感染症が併発性腹腔内大腸菌、ビリダンス群ストレプトコッカス、シュードモナス・エルジノーサ、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター種、またはバクテロイデス・フラジリス感染症である、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
さらにメトロニダゾールの患者への投与を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
発熱性好中球減少症の患者に経験的な処置を提供する方法であって、次のことを含む方法:
発熱性好中球減少症の患者を同定する;
確立されたセフェピム投与計画を用いて、セフェピムを用いた患者の処置を開始する;
患者においてセフェピム耐性細菌感染症を同定する;耐性細菌株に関するセフェピムのMIC(MIC)を決定する;
そのMICの、同じ細菌種の感受性株に関するセフェピムのMIC(MIC)に対する比(MIC/MIC比)を決定する;
MIC/MIC比を用いて修正されたセフェピム投薬計画を決定する、ここで、修正されたセフェピム投薬計画は、患者におけるセフェピムの少なくともそのMICRの血漿濃度を、少なくとも、確立されたセフェピム投与計画を用いたセフェピムの患者への投与の後に患者におけるセフェピムの血漿濃度が少なくともそのMICであるのとおおよそ同じ長さの期間にわたって提供する;および
修正されたセフェピム投薬計画に従って患者にセフェピムを投与し、それにより患者においてセフェピム耐性細菌感染症を処置する。
【請求項45】
その細菌株に関するMICが約8μg/mL以下であり、その細菌株に関するMICが約32μg/mL以上であり、MIC/MIC比が少なくとも約4である、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
確立されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内に投与される1から2gまでのセフェピムである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
療法的投与期間が約10日間までである、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも4から8gまでのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の3時間以下の投与間隔での1から2gまでのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
確立されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内に投与される2gのセフェピムである、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
療法的投与期間が約10日間までである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも8gのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の3時間以下の投与期間での2gのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
確立されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間約8時間ごとに静脈内に投与される2gのセフェピムである、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
療法的投与期間が約10日間までである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の8時間ごとの少なくとも8gのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の2時間以下の投与期間での2gのセフェピムの静脈内投与を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
確立されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間約12時間ごとに静脈内または筋肉内に投与される0.5から1gまでのセフェピムである、請求項45に記載の方法。
【請求項59】
療法的投与期間が約10日間までである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の12時間ごとの少なくとも2から4gまでのセフェピムの静脈内または筋肉内投与を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
修正されたセフェピム投薬計画が、療法的投与期間の間の3時間以下の投与間隔での0.5から1gまでのセフェピムの静脈内または筋肉内投与を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
次のものを含む安定な液体配合物:
セファロスポリン系抗生物質またはその医薬的に許容できる形;および
安定剤。
【請求項63】
安定剤が酢酸緩衝液を含む、請求項62に記載の安定な液体配合物。
【請求項64】
約2.5〜約6.5のpHを有する、請求項62に記載の安定な液体配合物。
【請求項65】
約4.6〜約5.6のpHを有する、請求項64に記載の安定な液体配合物。
【請求項66】
セファロスポリン系抗生物質がセフェピムである、請求項62に記載の安定な液体配合物。
【請求項67】
約0.5〜約2gのセフェピムを含む、請求項66に記載の安定な液体配合物。
【請求項68】
酢酸緩衝液の濃度がおおよそ0.2Mである、請求項63に記載の安定な液体配合物。
【請求項69】
調製された後約8時間の間その色を変化させない、請求項62に記載の安定な液体配合物。
【請求項70】
さらにアルギニンを含む、請求項66に記載の安定な液体配合物。
【請求項71】
次のものを含むキット:
a) セファロスポリン系抗生物質またはその医薬的に許容できる形を含む第1容器;および
b) 安定剤を含む第2容器。
【請求項72】
セファロスポリン系抗生物質がセフェピムである、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
第1容器がさらにアルギニンを含む、請求項71に記載のキット。
【請求項74】
安定剤が酢酸緩衝液である、請求項71に記載のキット。
【請求項75】
さらにセフェピムの投薬量および酢酸緩衝液の混合物の調製についての情報を提供する説明書のセットを含む、請求項71に記載のキット。
【請求項76】
セファロスポリン系抗生物質を含む第1区画、および酢酸緩衝液を含む第2区画を含む容器を含むキットであって、第1区画および第2区画が互いの中に開かれるように形作られているキット。
【請求項77】
第1区画がさらにアルギニンを含む、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
セフェピムにより処置することができる感染症の処置の方法であって、それを必要とする対象に、注入により、請求項62に記載の安定な液体配合物を投与することを含み、注入の期間が約2〜約8時間である方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−514902(P2011−514902A)
【公表日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−549795(P2010−549795)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/035794
【国際公開番号】WO2009/111422
【国際公開日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】