説明

抗核形成剤を含有する医薬組成物

【課題】胃又は腸管で見られるpH条件下で溶解度が低い形態(例えば中性、非塩形態)に変換される薬物の経口投与用の医薬組成物の提供。
【解決手段】(i)塩の形態での薬剤化合物の有効量と、(ii)ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸からなる群から選択される水溶性ポリマーからなる抗核形成剤とを含有する固形投薬物としての経口投与のための医薬組成物。組成物は、錠剤中に封入されるか又は圧縮される。薬物製品が化合物Aのカリウム塩であり、化合物Aが:


である医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物製品の塩及び抗核形成剤を含有する経口投与用の医薬組成物(この薬物塩は、胃又は腸管で見られるpH条件下で溶解度が低い形態(例えば中性、非塩形態)に変換される傾向がある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性が比較的低い経口投与薬物は、胃腸管における吸収性が低いことがある。このような薬物の溶解度は、塩形態で薬物を投与することにより向上させることができることが多い。一方、薬物塩の中には、ある所定のpH条件下で比較的溶解度が高いが、pHが変化すると低溶解性の形態に変換されるものがある。例えば、塩基性塩は、中性又は塩基性水溶液中では比較的高溶解性であり得るが、酸性条件下では低溶解性の形態に変換され得る。このような薬物塩を経口投与する場合、通常胃において起こる酸性条件下において、それらの溶解度が失われるか、又は顕著に低下する可能性があり、その結果、全身循環への薬物の吸収が再び低いものとなる。一方、酸性塩は、強酸溶媒(例えばpH<4)中では比較的高溶解性であり得るが、酸性度が低い条件下(例えば約5以上のpH)では低溶解性の形態へ変換され得る。したがって、これらの薬物塩の経口投与の結果、胃での溶解度は十分であるが、より酸性度が低い腸管の環境では適切な溶解度が得られず、全体的な吸収が低くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
場合によって、薬物の有効量が循環系に入り、身体の標的部位に到達できるように、薬物塩を大量に投与することによってこの問題を回避し得る(例えば、投与の量及び/又は頻度を増やすことにより。)。このアプローチの欠点は、薬物の無駄遣いとなることである。別の欠点は、投与頻度を上げることにより、不用意又は意図的な患者の薬物投与計画不履行が起こり得ることである。場合により、不溶性の問題は非常に重大であり、経口投与が実際的な選択肢ではなくなる。したがって、このような薬物及び薬物塩の効率的かつ効果的経口投与を実現する新しい手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ある一定の酸性条件下で薬物の低溶解性形態に変換される薬剤化合物塩を含む、経口投与用の医薬組成物に関する。詳しくは、本発明は、(i)塩の形態での薬剤化合物の有効量(この塩は、その元来のpHの上下の胃腸管−関連pH(あるいは、本明細書中でGI−関連pHと呼ぶ。)において薬剤化合物が低溶解性形態へ変換されることを特徴とする。)と、および(ii)抗核形成剤と、を含有する、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物を含む。
【0005】
「固体投薬物」としての経口投与のための医薬組成物とは、以下に限定されないが、粉末、顆粒、ピル、粉末充てんカプセル、顆粒充てんカプセル及び錠剤を含む何らかの都合のよい固体形態で経口投与される医薬組成物を意味する。
【0006】
「胃腸管−関連pH」(又はGI−関連pH)という用語は、約8未満であるpHを有する液相水性溶媒を意味する。「元来のpH」という用語は、緩衝液非存在下で水中で薬物を溶解することにより得られるpHを指す。GI−関連pHは、酸性pHであり得、ここで「酸性pH」という用語は、7未満のpHを有する液相水性溶媒を指す。GI−関連pH、酸性pH及び元来のpHは、言うまでもなく、同じ温度で測定され、この温度は通常、生理的温度(例えばヒトの場合37℃)である。
【0007】
低溶解性形態への薬物の変換とは、薬物の元来のpHとは異なるGI−関連pH(例えば酸性pH)を有する水性溶媒へ出発薬物形態(ここでは薬物塩)を導入することによりもたらされる、薬物形態における何らかの化学的又は非化学的変化を指す。この変換は、薬物のイオン化状態においてpHにより誘発される変化(例えば、薬物のイオン化された溶解性形態から、電荷が中性の不溶性形態への変換)であり得るか、又はイオン化の変化を伴う、もしくは伴わない、薬物の物理的変化(例えば、水和状態の変化)であり得る。
【0008】
本発明での使用に適切な薬剤化合物塩としては、例えば、中性又は塩基性の範囲の元来のpHを有し、ヒト胃で通常見られる液など、約5未満のpH(例えば、約2から約5の範囲のpH)を有する液相水性溶媒中で低溶解性形態に変化するものが挙げられる。このような薬物塩をヒト対象へ経口投与する結果、吸収が比較的低くなり得、したがって、胃において見られる酸性条件において相対的に不溶性の形態(例えば、遊離フェノールの形成との、金属フェノキシド塩の不均化)へ塩が変換される結果として経口バイオアベイラビリティーが低くなる。本発明での使用に適切なその他の薬物塩としては、例えば、元来のpHが強酸性であり、約6から約8の範囲のpHを有する液相水性溶媒中で低溶解性形態に変化する塩が挙げられる。このような経口投与塩は、腸管で見られる、弱酸性(即ちpH6から7未満)から中性又は弱塩基性状態(7から約8のpH)において、比較的不溶性であり、低吸収性の形態に変化し得る。本発明は、抗核形成剤とともに塩を処方することにより、これらの問題を解決する。抗核形成剤を含有する本発明の経口製剤では、インビトロの溶解試験において溶解度が向上し、抗核形成剤を含有しない類似製剤と比較した動物試験において薬物動態(PK)が向上した。本発明の経口製剤はまた、ヒトにおいて適切なPKも示した。何らかの特定の理論に縛られること無く、循環へとより効率的に薬物が吸収されるように、抗核形成剤は、胃の酸性条件又は腸のpH条件下での薬剤化合物の沈殿を十分に阻害及び/又は遅延させることができる(又は、言い換えれば過飽和を延長させることができる。)と考えられる。
【0009】
本発明の様々な実施形態、態様及び特性は、次の記述、実施例及び添付の特許請求の範囲においてさらに説明されるか、又は、次の記述、実施例及び添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例2において調製された化合物Aのカリウム塩に対するX線粉末回折パターンである。
【図2】図2は、実施例2において調製された化合物Aのカリウム塩に対するDSC曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の医薬組成物への組み込みから有益性を得られる薬剤化合物の塩(即ち、ある一定のpH条件下で低溶解性の形態に変化するもの)は、その元来のpHにおける薬物の溶解度と比較して関心のあるpH条件下で溶解度が低下するか否かを調べるために、pHの関数として薬物の溶解度を測定することにより特定することができる。次の試験を使用し得る:薬物のpKa、元来のpH及び代表的な生理的条件の上下であるpH範囲を適切な間隔でカバーする一連の緩衝化水溶液に薬物を添加する。安定性で妥協することなく平衡状態に到達するのに十分な時間にわたり、あるいは、GI管における滞留時間にふさわしい時間、好ましくは37℃にて、撹拌しながら、各緩衝溶液に薬物を添加し得る。固体がこれ以上溶解しない点まで、薬物を添加する。懸濁液をろ過し、得られた透明な溶液の濃度をアッセイし(例えば、分光法及び/又はHPLC法による。)、各試験pHにおいて溶液中の実際の薬物濃度を求める。溶解度の上昇又は低下から、分子においてpHにより起こるイオン化変化があるか否かを予想することができる。
【0012】
本発明により受容される医薬組成物中で使用される薬剤化合物の塩は、医薬的に許容される塩であると理解される。「医薬的に許容される塩」という用語は、親化合物の有効性を保持し、生物学的に、又は非生物学的に、不適切ではない(例えば、その受容者に対して毒性がなく、又は有害ではない。)塩を指す。適切な塩としては、ベース塩(本明細書中で塩基性塩とも呼ぶ。);即ち、薬剤化合物と塩基との反応により形成される塩、例えばアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム又はカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム又はマグネシウム塩)及びアンモニウム塩など、が挙げられる。適切な溶媒に溶解させた組成物を水酸化アルカリ金属(例えばNaOH又はKOH)の水溶液で処理することにより、組成物のアルカリ金属塩を形成させることができる。適切な塩としてはまた、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸又は安息香酸などの医薬的に許容される酸の溶液と本発明の化合物の溶液を混合することにより形成され得る酸付加塩が挙げられる。
【0013】
本明細書中で使用する場合、「組成物」という用語は、指定した成分を含有する生成物ならびに、指定した成分を合わせることにより直接又は間接的に得られる何らかの生成物を包含するものとする。
【0014】
「有効量」という用語は、本明細書中で使用する場合、研究者、獣医、医師又はその他の臨床家が求める、組織、系、動物又はヒトにおいて、生物学的又は医学的反応を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。この有効量は、治療するべき疾患又は状態の症候の緩和のための「治療上の有効量」であり得る。この有効量はまた、予防するべき疾患又は状態の症候の予防のための「予防上の有効量」でもあり得る。薬剤化合物が酵素(例えばHIVインテグラーゼ、下記参照。)の作用を阻害する場合、この用語はまた、酵素を阻害するのに十分であり、それにより求める反応を引き起こす、活性化合物の量を指す(即ち「阻害有効量」)。
【0015】
薬剤化合物の特定の塩と共に使用するのに適切な抗核形成剤は、特定の抗核形成剤存在下又は非存在下で、適切なpH条件下(例えば、適切なpHで緩衝化され、周囲温度(20℃から25℃)又は生理的(37℃)温度に保持された水溶液)で塩を用いて溶解性試験を行うことにより特定することができる(ここで、抗核形成剤存在下で化合物の過飽和が延長される場合は、その剤が適切であることが示唆される。)。この試験を、一連の濃度で1個の抗核形成剤を用いて行い、さらなる試験を行うための適切な濃度を見つけることができる。一連の薬剤(それぞれ同濃度又は一連の濃度)を用いてこの試験を行い、さらなるインビトロ試験及び/又はインビボPK試験によるさらなるスクリーニングのための1以上の薬剤を選択することもできる。
【0016】
中性又は塩基性pHの元来のpHを有し、強酸性条件下で低溶解性の形態に変化することを特徴とする薬物塩についての適切な溶解性試験は次の通りである:抗核形成剤存在下又は非存在下で、37℃にて平衡化されている緩衝溶液(pH=2−4;500から900mL)を含有するUSP II溶解容器(即ち、撹拌シャフトにより可変速度モーターに連結されている撹拌パドルを備える溶解容器)に薬剤化合物塩の非緩衝溶液(5から10mL)を入れる(溶解容器中の最初の総薬物濃度は約5xから10x(緩衝液中の中性薬物の平衡溶解度)である。)。溶液を撹拌し(例えば、50rpm)、薬物の中性形態の沈殿のために濁り得る。周期的間隔(例えば、5、10、15、20、30、60、120、180及び240分)で液から試料を採り、ろ過する(0.2μmフィルター)。薬物の溶解度が液中で最初の総薬物濃度よりも高くなる適切な溶媒でろ液を希釈する。次に、HPLC分析又はUV分光法により希釈溶液試料中の薬物濃度を求める。次いで、核形成剤の存在下又は非存在下での緩衝溶液中の薬物溶解度の、時間に対するプロットを使用して、薬物過飽和の延長における薬剤の効果を評価する。この試験の使用は、下記の実施例4で例示する。pH範囲の適切な調整を行い同じタイプの試験を使用して、強酸性pH範囲の元来のpHを有し、弱酸性又は塩基性条件下で低溶解性形態に変化することを特徴とする薬物塩との使用に適切な抗核形成剤を特定することができる。
【0017】
本発明の実施形態は、最初に上記で定義されているような医薬組成物(即ち、発明の要約で述べる組成物)であり、ここで、抗核形成剤は水溶性ポリマーを含む。「水溶性ポリマー」という用語は、本明細書中で、水中で溶けやすいか、又は本発明の組成物中で抗核形成活性を与えるのに十分な量で(例えば、少なくとも約0.005mg/mLの量で)水中で溶解するか、もしくは可溶性である、何らかのポリマーを指す。適切な水溶性ポリマーとしては、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸が挙げられる。適切なヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。適切なアルキルセルロースはメチルセルロースである。水溶性ポリマーは、単独で又は混合物中で、本発明において使用できる。製剤処方中の安定化剤として述べられる水溶性ポリマーを使用することが当技術分野で知られており、例えば、これらを使用して、患者への投与(経口又はその他)前に分散液中の薬物粒子の沈殿を防ぐか、又は最小限に抑えることができる。本発明において、これらのポリマーを抗核形成剤として使用することができ;即ち、これらの主要な役割は、経口投与後、対象の胃及び/又は腸において薬物の沈殿を阻害及び/又は遅延させることである。
【0018】
本発明の別の実施形態は、最初に上述したような医薬組成物であり、ここで、抗核形成剤は、低粘性の水溶性ポリマーを含む。「低粘性」という用語は、水溶性ポリマーが、20℃にて、約2から約100センチポアス(cps)の範囲の粘度を有する、2重量%(即ち、ポリマー重量/水重量)水溶液を生成することを意味する(1cps=1mPa 秒)。低粘性の水溶性ポリマーは通常、20℃で約2から50cpsの範囲の粘度(例えば約3から約20cps)を有する2重量%溶液を生成する。適切な低粘性の水溶性ポリマーとしては、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸が挙げられる。適切なヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。適切なアルキルセルロースはメチルセルロースである。低粘性の水溶性ポリマーを単独で又は2以上(例えば2以上のHPMCポリマー)の混合物中で使用することができ、このポリマー混合物は、低粘度領域の平均粘度で2重量%溶液を生成する。ポリマー混合物の平均粘度は通常、各成分ポリマーの粘度とは異なる。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、最初に上述されている医薬組成物であり、ここで、抗核形成剤はヒドロキシアルキルセルロースを含む。この実施形態の態様において、抗核形成剤はHPMC(又は2以上のHPMCの混合物)である。適切なHPMCとしては(単独又は混合物として)、20℃において、約3から150,000cpsの範囲の粘度で水中でポリマーの2重量%水溶液を生成するものである。適切なHPMCとしては、METHOCEL(R)(Dow Chemical)の商標のもと(例えば、METHOCELグレードK100LVP、K4M、K15M及びK100M)及びMETOLOSE(R)(Shin−Etsu)の商標のもと販売されているものが挙げられる。適切なHPMCとしてはまた、U.S.Pharmacopeia標準置換タイプ2208、2906及び2910が挙げられる。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態は、最初に上述されている医薬組成物であり、ここで、抗核形成剤は低粘性ヒドロキシアルキルセルロースを含む。この実施形態の態様において、抗核形成剤は、20℃において、約2から約100cpsの範囲の粘度を有する2重量%水溶液を生成するHPMC(又は2以上のHPMCの混合物)である。この実施形態の別の態様において、抗核形成剤は、20℃において、約2から約50cps(例えば、約3から約20cps)の範囲の粘度を有する2重量%水溶液を生成するHPMC(又は2以上のHPMCの混合物)である。さらに別の態様において、抗核形成剤は、ヒドロキシプロピル含量が約7から約12重量%であり、メトキシ含量が約28から約30重量%であり、2%w/w水溶液に対する粘度が約3から約20cpsであるHPMCである。さらに別の態様において、HPMCは、U.S.Pharmacopeia標準置換タイプ2208、2906又は2910、例えばHPMC2910(6cps)(Shin−Etsu Chemical Co.からPHARMACOATとして入手可能。)などである。
【0021】
本発明の別の実施形態は、最初に上述される、又は先行する実施形態の何れか1つで述べられる医薬組成物であり、ここで、薬剤化合物の塩は、組成物の総重量に対して、少なくとも約5重量%(例えば、少なくとも約10重量%)の量で使用される。そうではない旨が明らかに述べられない限り、薬剤化合物塩の量に対する本明細書中での何れの言及も、化合物の遊離形態の量を指す。したがって、この実施形態において、薬剤化合物の塩は、薬剤化合物の遊離(即ち非塩)形態の少なくとも約5重量%に相当する量で使用される。
【0022】
本発明の別の実施形態は、最初に上述されている、又は先行する実施形態の何れか1つで述べられている医薬組成物であり、ここで抗核形成剤は、組成物の総重量に基づき、少なくとも約0.5重量%(例えば、少なくとも約1重量%)の量で使用される。
【0023】
本発明の別の実施形態は、最初に上述される、又は先行する実施形態の何れか1つで述べられる医薬組成物であり、ここで、薬剤化合物の塩は、組成物の総重量に基づき、約5%から約75重量%の量で使用され、抗核形成剤は少なくとも約0.5重量%(例えば、少なくとも約1重量%)の量で使用される。この実施形態の態様は、このように、次の量の薬剤化合物塩及び抗核形成剤(例えば、低粘性HPMCなどのHPMC)が使用される医薬組成物を含む。
【0024】
【表1】

【0025】
本発明の別の実施形態は、最初に上述されている、又は先行する実施形態の何れか1つで述べられている医薬組成物であり、これは、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤をさらに含有する。
【0026】
本発明の別の実施形態は、最初に上述されている、又は先行する実施形態の何れか1つで述べられている医薬組成物であり、この組成物は錠剤に封入又は圧縮される。
【0027】
本発明の別の実施形態は、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物(あるいは、本明細書中で、「組成物C1」又は「C1組成物」と呼ぶ。)であり、これは、式Iの化合物(あるいは、及び、より簡単に、本明細書中で「化合物I」と呼ぶ。)のベース塩の有効量及び抗核形成剤を含有している。式Iは、
【0028】
【化1】

(式中、Rは次のもので置換されているC1−6アルキルであり:
(1)N(R)−C(=O)−N(R)R
(2)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−N(R)R
(3)N(R)SO
(4)N(R)SON(R)R
(5)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SO
(6)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SON(R)R
(7)N(R)C(=O)C(=O)N(R)R
(8)N(R)−C(=O)−HetA、
(9)N(R)C(=O)C(=O)−HetA又は
(10)HetB;
は−C1−6アルキルであるか;又は、
及びRは、式Iの化合物が式IIの化合物:
【0029】
【化2】

となるように、一緒に連結されており;
は−H又は−C1−6アルキルであり;
は、アリール(例えばフェニル)で置換されているC1−6アルキル(アリールは、それぞれが独立に、ハロゲン、−OH、−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、−C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル、−CN、−NO、−N(R)R、−C1−4アルキル−N(R)R、−C(=O)N(R)R、−C(=O)(R)、−CO、−C1−4アルキル−CO、−OCO、−SR、−S(=O)R、−SO、−N(R)SO、−SON(R)R、−N(R)C(=O)R、−N(R)CO、−C1−4アルキル−N(R)CO、2個の隣接する環炭素原子に連結されているメチレンジオキシ、フェニル又は−C1−4アルキル−フェニルである1から4個の置換基で場合によって置換されいる。)であり;
は、
(1)N(R)−C(=O)−N(R)R
(2)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−N(R)R
(3)N(R)SO
(4)N(R)SON(R)R
(5)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SO
(6)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SON(R)R
(7)N(R)C(=O)C(=O)N(R)R
(8)N(R)−C(=O)−HetA又は
(9)N(R)C(=O)C(=O)−HetAであり;
は、−H又は−C1−6アルキルであり;
nは1又は2に等しい整数であり;
各Rは、独立に−H又は−C1−6アルキルであり;
各Rは、独立に−H又は−C1−6アルキルであり;
及びRは、それぞれ独立に、−H又は−C1−6アルキルであるか、又はこれらが結合している窒素と一緒になって、R及びRに結合している窒素に加えて、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を場合によって含有する飽和5もしくは6員複素環を形成し(Sは場合によってはS(O)もしくはS(O)に酸化されており、飽和複素環は場合によっては1もしくは2個のC1−6アルキル基で置換されている。);
HetAは、N、O及びSから独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含有する、5−又は6−員の複素環式芳香族環であり、この複素環式芳香族環は、それぞれが独立に−C1−4アルキル、−C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル又は−COである、1又は2個の置換基で場合によって置換されており;
HetBは、N、O及びSから独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含有する(各SはS(O)もしくはS(O)に場合によって酸化されている。)5−から7−員の飽和複素環であり、この複素環は、それぞれが独立にハロゲン、−C1−4アルキル、−C1−4フルオロアルキル、−C(O)−C1−4アルキル又は−C1−4アルキル(OHで置換される。)である、1から3個の置換基で場合によって置換されている。)である。
【0030】
先行する実施形態の態様において、式Iの化合物において、Rはメチルであり;Rは−Hであり;RはCH−フェニル(このフェニルは、それぞれが独立してブロモ、クロロ、フルオロ、CH、CF、C(O)NH、C(O)NH(CH)、C(O)N(CH、SCH、SOCH又はSON(CHである、1又は2個の置換基で場合によっては置換されている。)であり;全てのその他の可変要素は上記で定義されるとおりである。この態様の特性において、Rは4−フルオロベンジル、3,4−ジクロロベンジル、3−クロロ−4−フルオロベンジル又は4−フルオロ−3−メチルベンジルである。この態様の別の特性において、Rは4−フルオロベンジルである。
【0031】
式Iの化合物はHIVインテグラーゼ阻害剤である。より詳細には、組み換えインテグラーゼにより鎖転移が触媒されるインテグラーゼ阻害アッセイにおいて、式Iにより受容される代表的化合物が試験され、HIVインテグラーゼの活性阻害剤であることが分かっている。例えば、Hazudaら、Virol.1997、21:7005−7011に記載のアッセイを使用して、インテグラーゼ阻害活性を求めることができる。代表的化合物はまた、Vaccaら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1994、91:4096−4100に従い行われるTリンパ細胞の急性HIV感染の阻害に対するアッセイにおいて活性があることも分かっている。式Iにより受容される代表的化合物のさらなる説明、それらの調製方法及びそれらのインテグラーゼ阻害活性及びそれらのHIV複製の阻害を測定するためのアッセイは、WO03/035077で見出すことができる(その記述の全体を参照により本明細書中に組み込む。)。これらの化合物のベース塩(例えばアルカリ金属塩)は通常、中性又は塩基性水溶液中で溶解性である(即ち、これらは通常、元来のpHが≧7である。)が、酸性条件下で、不均化により、低溶解性の遊離フェノール形態に変化し、その結果として、経口投与された場合、化合物の吸収性が低くなり、バイオアベイラビリティーが低下する。抗核形成剤を用いて化合物Iベース塩を処方することにより、経口でのバイオアベイラビリティーが向上し得る。
【0032】
本発明の別の実施形態は、上述の組成物C1であり、ここで、化合物Iのベース塩は、化合物Iのアルカリ金属塩である(例えば、化合物IのNa又はK塩)。
【0033】
本発明の別の実施形態は、上述の組成物C1であり、ここで、化合物Iのベース塩は、化合物Aのベース塩(例えば、Na塩又はK塩などの化合物Aのアルカリ金属塩)であり、化合物Aは:
【0034】
【化3】

である。
【0035】
さらに本発明の別の実施形態は、上述の組成物C1であり、ここで、式Iのベース塩は化合物Aのカリウム塩である。この実施形態の態様において、化合物Aのカリウム塩は、化合物Aの形態Iの結晶性カリウム塩であり、形態IのK塩は、5.9、12.5、20.0、20.6及び25.6の屈折度で、2Θ値(即ち2Θ値での反射)を含む、銅Kα放射(即ち、放射源は、Cu Kα1及びKα2放射の組み合わせである。)を用いて得られるX線粉末回折パターンを特徴とする無水結晶性塩である。
【0036】
本発明のさらに他の実施形態は、最初に上述されている、又は組成物C1の先行する実施形態の何れか1つで述べられている組成物C1を含み、次の特性(i)から(v)の1以上が組み込まれている:
(i−a)化合物Iベース塩が少なくとも約5重量%の量で使用されるか;
(i−b)化合物Iベース塩が少なくとも約10重量%の量で使用されるか;又は
(i−c)化合物Iベース塩が約5から約75重量%又は約5から約60重量%又は約15から約50重量%の範囲の量で使用される;
(ii−a)抗核形成剤が少なくとも約0.5重量%の量で使用されるか;
(ii−b)抗核形成剤が少なくとも約1重量%の量で使用されるか;又は
(ii−c)抗核形成剤が約0.5から約20重量%又は約1から約20重量%又は約2から約15重量%の範囲の量で使用されるか;
(iii−a)抗核形成剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸及びメチルセルロースからなる群から選択される水溶性ポリマーを含有するか;
(iii−b)抗核形成剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸及びメチルセルロースからなる群から選択される低粘性の水溶性ポリマーを含有するか;
(iii−c)抗核形成剤が、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、低粘性のヒドロキシアルキルセルロース)を含有するか;又は
(iii−d)抗核形成剤がHPMCである(例えば、HPMC2910などの低粘性のHPMC);
(iv−a)組成物C1が、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤をさらに含有するか;
(iv−b)組成物C1が、微晶質セルロースである希釈剤、クロスカメロースナトリウムである崩壊剤及びステアリン酸マグネシウムである潤滑剤をさらに含有するか;
(iv−c)組成物C1が、第一の希釈剤、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤をさらに含有するか;
(iv−d)組成物C1が、微晶質セルロースである第一の希釈剤、ラクトース又は第二リン酸カルシウムである第二の希釈剤、クロスカメロースナトリウムである崩壊剤及びステアリン酸マグネシウムである潤滑剤をさらに含有するか;又は
(iv−e)組成物C1が、第一の希釈剤(例えば、微晶質セルロース)約10から約85重量%、第二の希釈剤(例えば、ラクトース又は第二リン酸カルシウム)約10から約85重量%、崩壊剤(例えば、クロスカメロースナトリウム)約1から約10重量%及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)約0.5から約10重量%をさらに含有する;
(v−a)組成物C1が封入されるか;
(v−b)組成物C1が封入されて、約5mgから約1000mg(例えば、約5mgから約900mg又は約5mgから約60mg又は約10mgから約400mg)の量で化合物Iのベース塩を含有するカプセルを提供するか;
(v−c)組成物C1が錠剤へと圧縮されるか;又は
(v−d)組成物C1が、約5mgから約1000mg(例えば、約5mgから約900mg又は約5mgから約600mg又は約10mgから約400mg)の量で化合物Iのベース塩を含有する錠剤に圧縮される。
【0037】
繰り返すが、本明細書中での薬剤化合物の塩の量に対する何れの言及も、その遊離、非塩形態での薬物の量を意味することに留意されたい。したがって、例えば、約5mgから約1000mgの量で化合物Iのベース塩を含有する錠剤組成物は、化合物1親(遊離フェノール)の約5mgから約1000mgに相当する薬物塩の量を含有する錠剤組成物を意味する。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態は、固体投薬物としての、経口投与のための医薬組成物(あるいは、本明細書中で「組成物C2」又は「C2組成物」と呼ぶ。)であり、化合物Aのカリウム塩約5から約75重量%(例えば、約5から約60重量%)、HPMC(例えば、HPMC2910などの低粘性HPMC)約0.5から約20重量%(例えば、約2から約15重量%)、微晶質セルロース約10から約85重量%(例えば、約15から約75重量%)、ラクトース又は第二リン酸カルシウム約10から約85重量%(例えば、約10から約50重量%)、クロスカメロースナトリウム約1から約10重量%(例えば、約1から約5重量%)及びステアリン酸マグネシウム約0.5から約10重量%(例えば、約0.5から約3重量%)を含有する。この実施形態の態様において、組成物C2中の化合物Aのカリウム塩は、化合物Aの形態Iのカリウム塩である。別の態様において、組成物C2は錠剤に封入又は圧縮されている。この態様の特性において、カプセル又は錠剤は、約5mgから約900mg(例えば、約5mgから約600mg又は約10mgから約400mg)の量で化合物Aのカリウム塩(例えば、形態I)を含有する。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、固体投薬物としての、経口投与のための医薬組成物(あるいは、本明細書中で「組成物C3」又は「C3組成物」と呼ぶ。)であり、化合物Aのカリウム塩約50重量%及びHPMC(例えば、HPMC2910などの低粘性HPM)約0.5から約20重量%(例えば、約1から約20重量%又は約2から約15重量%又は約5重量%)を含有する。この実施形態の態様において、この組成物は、微晶質セルロース約10から約85重量%(例えば、約15から約75重量%)、ラクトース又は第二リン酸カルシウム約10から約85重量%(例えば、約10から約50重量%)、クロスカメロースナトリウム約1から約10重量%(例えば、約1から約5重量%)及びステアリン酸マグネシウム約0.5から約10重量%(例えば約0.5から約3重量%)をさらに含有する。この実施形態のさらなる態様において、組成物C3中の化合物Aのカリウム塩は、化合物Aの形態Iのカリウム塩である。別の態様において、組成物C3は錠剤に封入又は圧縮されている。この態様の特性において、カプセル又は錠剤は、約5mgから約900mg(例えば、約5mgから約600mg又は約10mgから約400mg)の量で化合物Aの(例えば、形態Iの)カリウム塩を含有する。
【0040】
別段の指示がない限り、本明細書中の重量%は、組成物中の全成分の総重量を基にする(先述のように、薬物塩化合物の重量%は、親薬物の重量%として表されることに留意すること。)。
【0041】
上記で開示したように、本発明の医薬組成物は、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含み得る。希釈剤(当技術分野で「充てん剤」とも呼ばれる。)は、組成物に対して嵩を与えるために使用される物質である。例えば、実際的な大きさの錠剤へと組成物を圧縮できるように十分な嵩を与えるために希釈剤を使用することができる。適切な希釈剤としては、無水第二リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微晶質セルロース、粉末化セルロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、マンニトール、デキストリン、デキストロース、デキストレート、カオリン、ラクチトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、デンプン、スクロース及びタルクが挙げられる。本発明の態様において、本発明の医薬組成物中で使用される希釈剤は、ラクトース、微晶質セルロース、マンニトール、無水第二リン酸カルシウム又は第二リン酸カルシウム二水和物である。別の態様において、医薬組成物が組成物C1である場合、希釈剤は、ラクトース又は微晶質セルロースである。さらに別の態様において、医薬組成物が組成物C1である場合、希釈剤は微晶質セルロースである。
【0042】
本発明の医薬組成物中での使用のための微晶質セルロースの適切な形態としては、以下に限定されないが、AVICEL PH−101、AVICEL PH−102、AVICEL PH−103及びAVICEL PH−105(これらは全て、FMC Corporationから入手可能)として販売されている物質及びそれらの混合物が挙げられる。したがって、例えば、組成物C1中で使用される微晶質セルロースは、AVICEL PH−102もしくはAVICEL PH−105又はこれらの混合物であり得る。
【0043】
本発明の医薬組成物(例えば、圧縮錠剤組成物及びカプセル封入顆粒化組成物)は、2以上の希釈剤(例えば、微晶質セルロース及びラクトース又は第二リン酸カルシウム)を含有し得、これは、組成物の調製において混合物として使用することができるか、又は同時に別々に添加できるか、又は、調製プロセス(本発明の医薬組成物を調製するための方法は下記で述べる。)の別の段階で添加できる。したがって、本発明の別の態様において、本発明の医薬組成物は、第一の希釈剤(例えば、微晶質セルロース)及び第二の希釈剤(例えば、ラクトース又は第二リン酸カルシウム)を含有する。
【0044】
崩壊剤は、投与後にその分解又は崩壊を促進するために組成物中で使用される、物質又は物質の混合物である。適切な崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ酸、クロスカメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリアクリリンカリウム、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン及びデンプンが挙げられる。本発明の医薬組成物中で使用される崩壊剤は、クロスカメロースナトリウム、クロスポビドン又はグリコール酸ナトリウムデンプンなどの超崩壊剤であり得る。本発明の態様において、医薬組成物が組成物C1である場合、崩壊剤は超崩壊剤クロスカメロースナトリウムである。
【0045】
潤滑剤は、組成物の剤形に依存する1以上の機能を有し得る。潤滑剤は、例えば、圧縮錠剤が圧縮装置に付着するのを防ぐことができ、その圧縮又はカプセル封入前に組成物の造粒を介して調製される顆粒の流動性を向上させ得、及び/又はカプセルの充てんにおいて造粒されていない粉末の流動性を向上させ得る。適切な潤滑剤としては、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、軽油、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、ポリエチレングリコール、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸亜鉛及びステアリルフマル酸ナトリウムが挙げられる。本発明の態様において、本発明の組成物中で使用される潤滑剤はステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸である。別の態様において、医薬組成物が組成物C1である場合、潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0046】
医薬組成物の活性成分及び/又はその他の成分の酸化的分解を防ぐ又は最小限に抑えるために、本発明の医薬組成物中に抗酸化剤を使用することができる。適切な抗酸化剤としては、トコフェロール又はそのエステル、没食子酸アルキル(例えば、没食子酸プロピル)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。本発明の医薬組成物は、例えばBHAを含む。
【0047】
本発明の医薬組成物を圧縮錠剤又はカプセルへと調合することができる。造粒により圧縮錠剤を調製することができ、調合物の全体的な粒径は、小さな粒子の永続的凝集により大きくする。湿式又は乾式造粒を行うことができる。例えば、混和物中の粒子が互いにくっついて大きな粒子を形成するように乾燥混和物を湿らせるのに十分な溶媒(例えば、水又はアルコール共溶媒と水)を用いて乾燥成分(例えば、薬剤化合物の塩、抗核形成剤、希釈剤又は2種類の希釈剤、崩壊剤及び場合によっては抗酸化剤)の良く混合した混和物を湿らせ、次いで篩にかけ、粉砕するか、又は粒子の大きさを操作することにより、湿式造粒を行うことができる。形成後、次に、得られた湿った顆粒を乾燥させ、適切な大きさの粒子(即ち顆粒)に製粉し、この顆粒を潤滑剤と混和し、潤滑化した顆粒を錠剤に圧縮することができる。
【0048】
湿気に感受性のある組成物の場合、非水性溶媒を用いた湿式造粒又は乾式造粒の何れかにより、造粒を行うことができる。乾式造粒はまた、組成物が、温度に感受性であり、湿った顆粒の乾燥の間に用いられる温度において崩壊が起こる場合、湿式造粒の代わるものとして魅力的であり得る。例えば、薬剤化合物の塩、抗核形成剤、潤滑剤の第一の部分及び場合によっては他の成分(例えば、希釈剤及び崩壊剤又は2種類の希釈剤及び崩壊剤)を乾燥混合し、次いでこの混和した混合物をスラグに圧縮するか、又はこの混和した混合物を成形体に圧延することにより、乾式造粒を行うことができる。次いでスラグ又は成形体をある大きさにして(例えば、メッシュスクリーン又は破砕ミルに通すことによる。)、乾燥顆粒を得ることができ、次いでそれを潤滑剤の残部(及び場合によっては、混和物中に希釈剤又は複数の希釈剤を用いる場合、希釈剤又は複数の希釈剤のさらなる量)と混和し、潤滑化した顆粒を錠剤に圧縮することができる。
【0049】
何らかの不快な味を覆い隠すために糖衣を、又は錠剤が大気による分解を受けるのを防ぐためにフィルムコーティングを圧縮錠剤にかけることができる。適切なフィルムコーティング懸濁液としては、1、2又は3種類の次の成分の組み合わせが挙げられる:カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルナバ蝋、酢酸フタル酸セルロース、セチルアルコール、製菓用の糖、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、液体グルコース、マルトデキストリン、メチルセルロース、微晶質ワックス、Opadry I及びOpadry II、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコール、シェラック、スクロース、タルク、二酸化チタン及びゼイン。錠剤に懸濁液を噴霧し、次いで乾燥させることにより、フィルムを塗布することができる。本発明との使用に適切なフィルムコーティング法及び材料は、Remington’s Pharmaceutical Sciences.第18版、A.R.Gennaro編、1990、Mack Publishing Co.,pp.1665−1675に記載されている。
【0050】
例えば、医薬組成物の成分(即ち、薬剤化合物の塩及び抗核形成剤及び場合によっては希釈剤及び/又は潤滑剤などの1以上のその他の成分)、充てんカプセル(例えば、硬ゼラチンカプセル)を混和成分の適切な量と乾燥混和し、カプセルを密封することにより、本発明のカプセル封入医薬組成物を形成させることができる。あるいは、上述のように湿式又は乾式造粒により成分を顆粒にし、カプセルに顆粒の適量を充てんし、密封することができる。非顆粒混和物の全体の流動特性が低い場合、顆粒の使用が好ましい。
【0051】
本発明の医薬組成物の固体投与形態(例えば、カプセル及び圧縮錠剤)の調製に適切な技術及び装置は、Remington’s Pharmaceutical Sciences.第18版、A.R.Gennaro編、1990、Chapter89に記載されている。
【0052】
本発明は、上記で定義している式Iの化合物のベース塩の有効量、抗核形成剤、第一の希釈剤、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含有する圧縮錠剤医薬組成物調製のための方法(あるいは、本明細書中で、「プロセスP1」又は「P1プロセス」と呼ばれる。)を含み、この方法は、
(A)化合物Iのベース塩、抗核形成剤、第一の希釈剤なし又は全て又は第一の部分、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤の第一の部分の混合物を混和することと;
(B)(i)1以上のスラグを形成させるために、混和した混合物を圧縮するか、又は(ii)成形体を形成させるために、混和した混合物を圧延し、次いで、顆粒を形成させるために、得られた1以上のスラグ又は得られた成形体の大きさを合わせることと;
(C)第一の希釈剤の全てと、第一の希釈剤なしで、又は第一の希釈剤の残部と、潤滑剤の残部とともに、顆粒を混和することと;および
(D)錠剤を得るために、段階Cの潤滑化顆粒を圧縮することと、を含む。
【0053】
P1プロセスの実施形態は、次のような特性(i)から(xiv)の1以上を組み込む、記載されるような方法を含む:
(i−a)化合物Iのベース塩が化合物Iのアルカリ金属塩であるか;
(i−b)化合物Iのベース塩が化合物Iのナトリウム塩又はカリウム塩であるか;
(i−c)化合物Iのベース塩が化合物Aのベース塩であるか;
(i−d)化合物Iのベース塩が化合物Aのアルカリ金属塩であるか;
(i−e)化合物Iのベース塩が化合物Aのカリウム塩であるか;又は
(i−f)化合物Iのベース塩が、化合物Aの形態Iの結晶性カリウム塩である;
(ii)化合物Iのベース塩が少なくとも約5重量%(又は少なくとも約10重量%又は約5から約75重量%の範囲又は約5から約60重量%の範囲又は約15から約50重量%の範囲)の量で使用される;
(iii−a)抗核形成剤がヒドロキシアルキルセルロース(例えば、低粘性ヒドロキシアルキルセルロース)であるか;又は
(iii−b)抗核形成剤がHPMC(例えば、HPMC2910などの低粘性HPMC)である;
(iv)抗核形成剤が、少なくとも約0.5重量%(又は少なくとも約1重量%又は約0.5から約20重量%の範囲又は約1から約20重量%の範囲又は2から約15重量%の範囲の量)の量で使用される;
(v)第一の希釈剤が微晶質セルロースである;
(vi)第一の希釈剤が、約10から約85重量%(又は約15から約75重量%)の範囲の量で使用される;
(vii)第二の希釈剤がラクトース又は第二リン酸カルシウムである;
(viii)第二の希釈剤が、約10から約85重量%(又は約10から約50重量%)の範囲の量で使用される;
(ix)崩壊剤がクロスカメロースナトリウムである;
(x)崩壊剤が、約1から約10重量%(又は約1から約5重量%)の範囲の量で使用される;
(xi)潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである;
(xii)潤滑剤が、約0.5から約10重量%(又は約0.5から約3重量%)の範囲の量で使用される;
(xiii−a)(E)圧縮錠剤を被覆することをさらに含むか;又は
(xiii−b)(E)フィルムコーティング懸濁液で圧縮錠剤を被覆して、コーティングが圧縮錠剤の重量の約1から約5%である被覆錠剤を得ることをさらに含む;
(xiv−a)化合物Iのベース塩(例えば、化合物Aのカリウム塩)が、錠剤1個あたり約5mgから約1000mgの範囲の量で使用されるか;又は
(xiv−b)化合物Iのベース塩(例えば、化合物Aのカリウム塩)が、錠剤1個あたり約5から約600mg(例えば、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg又は約600mg)の範囲の量で使用される。
【0054】
P1プロセスの別の実施形態は、化合物Aのカリウム塩の有効量、低粘性HPMC、微晶性セルロース、第二リン酸カルシウム、クロスカメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムを含有する圧縮錠剤医薬組成物を調製するための方法であり、この方法は、
(A)化合物AのK塩、HPMC(例えばHPMC2910)、第二リン酸カルシウム、クロスカメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムの第一の部分の混合物を混和することと;
(B)成形体を形成させるために、混和した混合物を圧延し、次いで、顆粒を形成させるために、得られた成形体をある大きさにすることと;
(C)微晶性セルロース(例えばAVICEL PH−102)及びステアリン酸マグネシウムの残部と顆粒を混和することと;
(D)錠剤を得るために、段階Cの潤滑化顆粒を圧縮することと;および
(E)場合によっては、水性フィルムコーティング懸濁液(例えばOpadry Iの懸濁液)で圧縮錠剤を被覆することと、を含む。
【0055】
この実施形態の態様は、次の特性を組み込む、述べられるような方法である:
(i)化合物Aのカリウム塩が、少なくとも約5重量%(又は少なくとも約10重量%又は約5から約75重量%の範囲又は約5から約60重量%の範囲又は約15から約50重量%の範囲)の量で使用される;
(ii)HPMCが、少なくとも約0.5重量%の量で(又は少なくとも約1重量%又は約0.5から約20重量%の範囲又は約1から約20重量%の範囲又は約2から約15重量%の範囲)の量で使用される;
(iii)微晶質セルロースが、約10から約85重量%(又は約15から約75重量%)の範囲の量で使用される;
(iv)第二リン酸カルシウムが、約10から約85重量%(又は約10から約50重量%)の範囲の量で使用される;
(v)クロスカメロースナトリウムが、約1から約10重量%(又は約1から約5重量%)の範囲の量で使用される;
(vi)ステアリン酸マグネシウムが、約0.5から約10重量%(又は約0.5から約3重量%)の範囲の量で使用される;及び
(vii)任意のコーティングが、圧縮錠剤重量の約1から約5重量%である。
【0056】
本発明はまた、最初に上述の、又はP1プロセスの先行する実施形態の何れかに記載の、プロセスP1により調製される圧縮錠剤医薬組成物を含む。
【0057】
本発明は、上述のような式Iの化合物のベース塩の有効量、抗核形成剤、第一の希釈剤、場合によっては第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含有する圧縮錠剤医薬組成物を調製するための方法(あるいは、本明細書中で「プロセスP2」又は「P2プロセス」と呼ばれる。)を含み、この方法は、
(A)化合物Iのベース塩、抗核形成剤、第一の希釈剤、場合によっては第二の希釈剤及び崩壊剤の混合物を湿式造粒し、次いで、場合によっては湿式造粒した混合物を製粉することと;
(B)段階Aの造粒混合物を乾燥させることと;
(C)段階Bの乾燥混合物を製粉することと;
(D)段階Cの製粉混合物を潤滑剤で潤滑化することと;および
(E)段階Dの潤滑化混合物を錠剤へと圧縮することと、を含む。
【0058】
P2プロセスの実施形態は、次のような特性(i)から(xiii)の1以上を組み込む、記載されているような方法を含む:
(i−a)化合物Iのベース塩が化合物Iのアルカリ金属塩であるか;
(i−b)化合物Iのベース塩が化合物Iのナトリウム塩又はカリウム塩であるか;
(i−c)化合物Iのベース塩が化合物Aのベース塩であるか;
(i−d)化合物Iのベース塩が化合物Aのアルカリ金属塩であるか;
(i−e)化合物Iのベース塩が化合物Aのカリウム塩であるか;又は
(i−f)化合物Iのベース塩が化合物Aの形態Iの結晶性カリウム塩である;
(ii)化合物Iのベース塩が少なくとも約5重量%(又は少なくとも約10重量%又は約5から約75重量%の範囲又は約5から約60重量%の範囲又は約15から約50重量%の範囲)の量で使用される;
(iii−a)抗核形成剤がヒドロキシアルキルセルロース(例えば、低粘性ヒドロキシアルキルセルロース)であるか;又は
(iii−b)抗核形成剤がHPMC(例えば、HPMC2910などの低粘性HPMC)である;
(iv)抗核形成剤が、少なくとも約0.5重量%(又は少なくとも約1重量%又は約0.5から約20重量%の範囲又は約1から約20重量%の範囲又は約2から約15重量%の範囲)の量で使用される;
(v)第一の希釈剤が微晶質セルロースである;
(vi)第一の希釈剤が、約10から約85重量%(又は約15から約75重量%)の範囲の量で使用される;
(vii)任意の第二の希釈剤がラクトース又は第二リン酸カルシウムである;
(viii)任意の第二の希釈剤が約10から約85重量%(又は約10から約50重量%)の範囲の量で使用される;
(ix)崩壊剤がクロスカメロースナトリウムである;
(x)崩壊剤が、約1から約10重量%(又は約1から約5重量%)の範囲の量で使用される;
(xi)潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである;
(xii)潤滑剤が、約0.5から約10重量%(又は約0.5から約3重量%)の範囲の量で使用される;
(xiii−a)本プロセスが(F)圧縮錠剤を被覆することをさらに含むか;又は
(xiii−b)本プロセスが(F)フィルムコーティング懸濁液で圧縮錠剤を被覆して、コーティングが圧縮錠剤の重量の約1から約5%である被覆錠剤を得ることをさらに含む。
【0059】
本発明はまた、最初に上述の、又はP2プロセスの先行する実施形態の何れかに記載の、プロセスP2により調製される圧縮錠剤医薬組成物を含む。
【0060】
本発明はまた、疾患又は状態の治療又は予防を必要とする患者における疾患又は状態の治療又は予防のための方法も含み、この方法は、(i)疾患又は状態の治療又は予防に適切な薬剤化合物の有効量(薬剤化合物は塩の形態であり、塩は、その元来のpHの上下のGI−関連pH(例えば酸性pH)において薬剤化合物が低溶解性形態へ変換されることを特徴とする。)と、(ii)抗核形成剤と、を含有する医薬組成物を固体投薬物として経口投与することを含む。この医薬組成物は、発明の要約で最初に定義したような組成物に対応する。この方法の実施形態は、最初に定義した医薬組成物がその上述の実施形態で置き換えられる、記載されるような方法を含む。
【0061】
本発明のC1、C2及びC3組成物及びP1及びP2プロセスにより調製された圧縮錠剤組成物は、HIVインテグラーゼの阻害、HIVによる感染の治療又は予防、AIDSなどの結果として起こる病態の治療、予防又は発症遅延に有用である。AIDSの治療、AIDSの予防、AIDSの発症遅延、HIV感染の治療又はHIV感染の予防は、以下に限定されないが、HIV感染の幅広い状態:AIDS、ARC、症候のある及び無症候性の両方、及び、HIVへの急性又は潜在曝露の治療又は予防、を含むものとして定義される。例えば、本発明の組成物は、輸血、体液交換、咬傷、偶発的な針刺し又は手術中の患者血液への曝露などによるHIVへの過去の曝露が疑われる場合、HIVによる感染の治療又は予防に有用である。
【0062】
本発明は、上記で最初に定義したような組成物C1を患者に投与すること、又は上記で最初に定義したようなP1又はP2プロセスにより調製された圧縮錠剤組成物を投与することを含む、HIVインテグラーゼの阻害を必要とする患者において、HIVインテグラーゼを阻害するための方法を含む。本発明はまた、HIV感染の治療もしくは予防又はAIDSの治療、予防もしくは発症遅延を必要とする患者における、HIV感染の治療もしくは予防のための、又はAIDSの治療、予防もしくは発症遅延のための方法を含み、この方法は、上記で最初に定義したような組成物C1を患者に投与すること、又は上記で最初に定義したようなP1又はP2プロセスにより調製された圧縮錠剤組成物を投与することを含む。これらの方法において、場合によってはHIV抗ウイルス剤、抗感染剤及び免疫調節剤から選択される1以上の抗HIV剤と組み合わせて、C1組成物及び本発明のP1−及びP2調製した圧縮錠剤組成物を使用できる。これらの方法の実施形態は、C1組成物が先行するその実施形態の何れか1つ(とりわけ、C2及びC3組成物を含む。)で述べられているC1組成物であり、圧縮錠剤組成物が、上述のP1及びP2プロセスの実施形態から得られる組成物である、記載のような方法を含む。
【0063】
「対象」という用語は(本明細書中で「患者」と交換可能に使用される。)、処置、観察又は実験の対象である、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0064】
別の薬剤と組み合わせて、本発明の医薬組成物を使用するか、又は投与する場合(例えば、抗HIV剤と組み合わせてC1組成物を投与する場合)、本組成物及び薬剤を個別に又は一緒に投与することができ、個別に投与する場合、本組成物及び薬剤を同時に又は異なる時間に(例えば、交互に)与えることができる。
【0065】
本発明はまた、本薬剤化合物により治療又は予防されている疾患又は状態の治療又は予防(i)での使用のための、(ii)のための医薬品としての使用のための、又は(iii)のための医薬品の調製での使用のための、塩の形態の薬剤化合物及び、最初に定義したような、及び発明の要約で述べたような抗核形成剤を含む、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物も含む。これらの使用の実施形態は、最初に定義したような医薬組成物が上述のその実施形態で置き換えられる、記載のような使用を含む。
【0066】
本発明はまた、(a)HIVインテグラーゼ阻害のための、(b)HIVによる感染の治療又は予防のための、又は(c)AIDSの治療、予防又は発症遅延のための、(i)医薬品における使用のための、(ii)医薬品としての使用のための、又は(iii)医薬品の調製での使用のための、最初に定義したような本発明の組成物C1も含む。これらの使用の実施形態は、最初に定義したようなC1組成物が上述の実施形態で置き換えられる、述べられているような使用を含む(とりわけ、C2及びC3組成物を含む。)。これらの使用において、HIV抗ウイルス剤、抗感染剤及び免疫調節剤から選択される1以上の抗HIV剤と場合によって組み合わせて、本発明のC1組成物を使用することができる。
【0067】
「抗HIV剤」という用語は、1以上の次の使用に有効である(式Iの化合物以外の)薬剤を意味する:インテグラーゼ又はHIV複製もしくは感染に必要な別の酵素の阻害、HIV感染の予防、HIV感染の治療、AIDS発症遅延、AIDSの予防及びAIDSの治療。
【0068】
組成物C1と組み合わせて使用するのに適切なHIV抗ウイルス剤としては、例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤(例えば、インジナビル、ロピナビル(場合によってはリトナビル、サキナビル又はネルフィナビルとともに。)、ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤(例えば、アバカビル、ラミブジン(3TC)、ジドブジン(AZT)又はテノフォビル)及び非ヌクレオシドHIV逆転写酵素阻害剤(例えば、エファビレンツ又はネビラピン)が挙げられる。遊離型で、又は医薬的に許容される塩の形態でこれらの薬剤を使用することができる。これらの薬剤をそれ自身だけでも使用することができるが、通常、適切な医薬組成物に組み込まれる。
【0069】
本発明はまた、塩の形態で経口投与される薬剤化合物の薬物動態を向上させるための方法も含み、この方法において、この塩は、その元来のpHの上下のGI−関連pH(例えば酸性pH)において薬剤化合物が低溶解性形態へと変換されることを特徴とし、この方法は、抗核形成剤を含む固体製剤医薬組成物中の成分として、上記薬剤化合物塩を投与することを含む。薬物の薬物動態(PK)の向上は、本明細書中で、同じ方法により及び抗核形成剤を含有しない類似組成物を使用した薬剤化合物塩の経口投与により得られる相当する値と比較して、抗核形成剤を含有する組成物中で薬剤化合物塩の経口投与の結果としての、1以上の次のPKパラメーターが向上することを意味する:ピーク血漿濃度(Cmax)、最低血漿濃度(Cmin)、時間に対する血漿濃度の曲線下の面積により測定した場合の血流中の薬物量(AUC0−t;tは24時間など、最後の試料採取時間である。)及び半減期(T1/2)。
【0070】
この方法の実施形態は、上に列挙された医薬組成物が上述の医薬組成物の実施形態で置き換えられている、述べられるような方法を含む。
【0071】
本発明はまた、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物中の抗核形成剤の使用を含み、この組成物は塩の形態の薬剤化合物を含み、この塩は、その元来のpHの上下のGI−関連pH(例えば酸性pH)において薬剤化合物が低溶解性形態へと変換されることを特徴とし、この使用は、薬剤化合物のPKを向上させるためのものである。本発明は、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物中での抗核形成剤の使用をさらに含み、この組成物は塩の形態の薬剤化合物を含み、この塩は、その元来のpHの上下のGI−関連pH(例えば酸性pH)において薬剤化合物が低溶解性形態へと変換されることを特徴とし、この使用は、薬剤化合物のPKを向上させるための医薬品の製造におけるものである。これらの使用の実施形態は、対応する方法の請求項についての実施形態に類似する。
【0072】
経口投与に適切な固体形態で本発明の医薬組成物を投与することができる。例えば、カプセル又は錠剤の形態で組成物を投与することができる。単回投与又は分割投与で、1日あたり、哺乳動物(例えばヒト)体重1kgあたり約0.001から約1000mgの投与量範囲で活性成分を与えるように、組成物を投与することができる。ある好ましい投与量範囲は、単回又は分割投与で1日当たり約0.01から約500mg/kg体重である。
別の好ましい投与量範囲は、単回又は分割投与で1日当たり約0.1から約100mg/kg体重である。
【0073】
治療を受ける患者に対して症状に応じて調整するために、投与量を活性成分約1から約1000mg(特に、活性成分1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900及び1000mg)を含有する、経口投与用の錠剤又はカプセルの形態で、組成物C1及びその実施形態(以下に限定されないが、C2及びC3組成物を含む。)を適切に与えることができる。とりわけ、化合物Aのカリウム塩(例えば、形態Iの)を含有する本発明の医薬組成物は、好ましくは、カプセル又は錠剤として成人に投与され、ここで、投与量は、1日2回、化合物A 100mgから600mgである。
【0074】
何れかの特定の患者に対する具体的な投与レベル及び投与頻度は、使用する具体的な薬剤化合物の活性、代謝安定性及びその化合物の作用時間、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与様式及び時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、特定の症状の重症度及び受容者が受けている治療を含む様々な因子に依存する。特定の患者に適切な特定の薬物の適正な投与レベルは、妥当な実験で当業者により決定され得る。
【0075】
本明細書中で使用する場合、「アルキル」という用語は、指定範囲の炭素数を有する、何らかの直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。したがって、例えば、「C1−6アルキル」(又は「C−Cアルキル」)は、ヘキシルアルキル及びペンチルアルキル異性体ならびに、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルの何れかを指す。別の例として、「C1−4アルキル」は、n−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルを指す。
【0076】
「アルキレン」という用語は、指定範囲の炭素数を有する、何らかの直鎖又は分枝鎖アルキレン基(又は「アルカンジル」)を指す。したがって、例えば、「C1−6アルキレン−」は、CからCの直鎖又は分枝鎖アルキレンの何れかを指す。本発明に関して特定の関心のあるアルキレンのクラスは、-(CH1−6であり、特定の関心のあるサブクラスは、−(CH1−4−、−(CH1−3−、−(CH1−2−及び−CH−を含む。アルキレン−CH(CH)−もまた関心がある。
【0077】
「ハロゲン」(又は「ハロ」)という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素(あるいは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。)を指す。
【0078】
「ハロアルキル」という用語は、1以上の水素原子がハロゲン(即ち、F、Cl、Br及び/又はI)で置換されている、上記で定義されるアルキル基を指す。したがって、例えば、「C1−6ハロアルキル」(又は「C−Cハロアルキル」)は、1以上のハロゲン置換のある上記で定義するようなC−Cの直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。「フルオロアルキル」という用語は、ハロゲン置換基がフルオロに限定されていることを除き、類似の意味を有する。適切なフルオロアルキルは、一連の(CH0−4CF(即ち、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピルなど)を含む。
【0079】
「アリール」という用語は、少なくとも1個の環が芳香族である、(i)フェニル又は(ii)9−又は10−員の二環式の、縮合炭素環系を指す。アリールは通常、フェニル又はナフチルであり、より多くの場合、フェニルである。
【0080】
「HetA」という用語は、N、O及びSから独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含有する、場合によって置換されている5又は6員の芳香族複素環を指す。ある実施形態において、HetAは、ピリジニル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル及びオキサジアゾリルからなる群から選択される、場合によって置換されている芳香族複素環であり、それぞれ独立して、C1−4アルキル、−C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル又は−CO−C1−4アルキルである1又は2個の置換基により場合によって置換されている。安定した化合物が得られるならば、HetAが、何れかの環原子(即ち、何れかの炭素原子又は何れかのヘテロ原子)において式Iの化合物の残りの部分と連結され得ることを理解されたい。
【0081】
「HetB」という用語は、N、O及びSから独立して選択される1から4個のヘテロ原子を含有する、場合によって置換されている5から7員の飽和複素環を指す。ある実施形態において、HetBは、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアジンアニル(thiazinanyl)及びテトラヒドロピラニルからなる群から選択される、場合によって置換されている飽和複素環であり、それぞれ独立に−C1−4アルキル、−C1−4ハロアルキル、−C(O)CF、−C(O)CH又は−CHCHOHである、1又は2個の置換基により、場合によって置換されている。安定した化合物が得られるならば、HetAが、何れかの環原子(即ち、何れかの炭素原子又は何れかのヘテロ原子)において式Iの化合物の残りの部分と連結され得ることを理解されたい。別の実施形態において、HetBは:
【0082】
【化4】

(式中、は分子の残りの部分との結合点を指す。)からなる群から選択される。
【0083】
式Iの化合物において、R及びRは、これらが結合している窒素と一緒に、R及びRに結合している窒素に加えて、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を場合によって含有する、飽和5又は6員複素環を形成することができ、ここでSは、場合によってはS(O)又はS(O)に酸化されており、この飽和複素環は、1又は2個のC1−6アルキル基で場合によって置換されている。ある実施形態において、R及びR及びそれらが結合している窒素により形成される飽和複素環は、4−モルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピペリジニル、1−ピペラジニル(C1−4アルキル(例えば、メチル)で場合によって置換されている。)及び1−ピロリジニルからなる群から選択される。
【0084】
そうではない旨が明らかに述べられない限り、本明細書中で引用した範囲は全て、全てを含む。例えば、「1から4個のヘテロ原子」を含有するように説明される複素環は、その環が1、2、3又は4個のヘテロ原子を含有することを意味する。別の例として、約5から約75重量%の範囲で化合物薬剤塩を含有する医薬組成物は、その組成物が親薬剤の約5重量%、親薬剤の約75重量%又はその間の何れかの量を含有し得ることを意味する。
【0085】
式Iにおいて、又は本発明の医薬組成物で塩において使用できる化合物が示され、述べられる何らかの他の式において、いずれかの可変要素(例えば、R及びR)が複数回出現する場合、各出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義と独立である。また、置換基及び/又は可変要素の組み合わせは、組み合わせの結果として安定な化合物が得られるような範囲で許される。
【0086】
「安定な」化合物は、調製し、単離することができ、その構造及び特性が持続するか、又は本明細書中に記載の目的のための化合物の使用(例えば、本発明の医薬組成物における塩形態での使用)を可能にするのに十分な時間にわたり基本的に不変であるようにされ得る化合物である。
【0087】
置換基及び置換基パターンの選択の結果、本発明においてその塩を使用できるある種の式Iの化合物は不斉中心を有し得、立体異性体の混合物として、又は個別のジアステレオマーもしくは鏡像異性体として生じ得る。これらの化合物の全ての異性体型の塩は、個別であれ、混合物中であれ、本発明の医薬組成物において使用できる。
【0088】
式Iの化合物はまた、ケト−エノール互変異性により互変異性体としても存在し得る。式Iのヒドロキシピリミジノン化合物の互変異性体の全ての塩は、単独及び混合物中の両方で、本発明の医薬組成物において使用することができる。
【0089】
本明細書中で使用する略語には次のものが含まれる:
ACN=アセトニトリル、
AIDS=後天性免疫不全症候群、
ARC=AIDS関連症候群、
CBz=ベンジルオキシカルボニル、
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン、
DMADC=ジメチルアセチレンジカルボキシレート、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
DSC=示差走査熱量測定、
EtOH=エタノール、
Eq.=当量、
GI=胃腸、
HIV=ヒト免疫不全ウイルス、
HPLC=高速液体クロマトグラフィー、
HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
IPA=イソプロピルアルコール、
KF=水に対するKarl Fisher滴定、
LC=液体クロマトグラフィー、
LCAP=LC面積%、
LCWP=LC重量%、
Me=メチル、
MeOH=メタノール、
MSA=メタンスルホン酸、
MTBE=メチル第三級ブチルエーテル、
MW=分子量、
NMM=N−メチルモルホリン、
NMR=核磁気共鳴、
PK=薬物動態、
TG=熱重量分析、
THF=テトラヒドロフラン、
XRPD=X線粉末回折。
【0090】
次の実施例は、単に本発明及びその実施を説明するものである。本実施例は、本発明の範囲又は精神を限定するものとして解釈されるべきものではない。
【実施例1】
【0091】
化合物A及びその結晶性カリウム塩の調製
段階1:Streckerアミン形成
【0092】
【化5】

【0093】
【表2】

【0094】
アセトンシアノヒドリン(11.5kg、12.3L)を5ガロンのオートクレーブに入れ、この容器を5psi窒素圧下に置いた。オートクレーブを10℃に冷却し、GCアッセイにより調べて変換が完了するまで(0.5%a未満)、30psiに圧をかけたアンモニアガス(〜3.44kg)をこの容器に入れた。生じた懸濁液をポリ瓶に移し、オートクレーブをMTBE(およそ17L)でリンスした。次に、反応混合物を100Lの抽出器に入れ、次いでMTBE(15L)を入れ、混合物を撹拌し、慎重に層を分離した。MTBE(5L)で水層を逆抽出し、慎重に層を分離した。有機層を合わせ、インラインフィルターを介して、バッチ濃縮器を備える100Lフラスコに入れ、バッチを約20Lに濃縮し(15−20℃、低真空)、過剰なアンモニアを除去した。MTBE中の溶液として、NMRにより97%アッセイ回収率(11.1kg)でアミノニトリルを得た。
【0095】
段階2:ベンジルオキシカルボニル(CBz)保護基の付加
【0096】
【化6】

【0097】
【表3】

【0098】
5Lの付加漏斗、サーモカップル及び窒素インレットを含む、目で見て清潔な100Lフラスコに、MTBE中のシアノアミンbの59重量%溶液(4.44アッセイkg)を入れた。MTBE(62.5L)で溶液をさらに希釈し、濃度を約15mL/gとした。次に、バッチ温度を35℃以下に維持するような速度で、クロロギ酸ベンジル(1.20当量、10.42kg、61.10mol)を15分間にわたり付加漏斗を介して入れた。次いで、バッチ温度を35℃以下に維持しながら、DIEA(1.3当量、8.88kg、68.70mol)を1.5時間にわたり黄色のスラリーに添加した。DIEAを添加するにつれて、スラリーの可溶性が僅かに向上したが、撹拌を停止すると2相になっていることが観察された。反応混合物を20から25℃にて16時間熟成させ、その後、DI水(20L、4.5mL/g)をバッチに入れた。次いで、バッチを100L抽出器に移し、相を分離した。次に、水3x10L、次に塩水15Lで有機層を洗浄した。10μmインラインフィルターを介して有機層を100L丸底フラスコに移し、続いて、溶媒を90:10のヘプタン:MTBEに変えた。溶媒変更の際に結晶化が起こり、生じた白色結晶生成物をろ過し、90:10のヘプタン:MTBE 3x5Lで洗浄した。99HPLC A%を超えて、生成物総量10.1kg(88%回収率)を得た。平均単離収率86%で3回のバッチにおいて生成物総量26.7kgを得た。
【0099】
段階3:アミドキシム形成
【0100】
【化7】

【0101】
【表4】

【0102】
IPA(40mL)中のアミノニトリル(15g)の溶液を撹拌しながら60℃に温め、この温度で、20分間にわたり水中のNHOH(5.05mL)を添加した。次いで透明な混合液を60℃にて3時間熟成させたところ、この温度で2時間後、溶液から生成物が結晶化し始めた。次いで、スラリーを0℃から5℃に冷却し、n−ヘプタン(40mL)を20分間にわたり滴下添加した。0℃から5℃にて2時間撹拌した後、スラリーをろ過し、ヘプタン溶液(60mL)中の20%IPAでケーキを洗浄し、次に、室温にて窒素気流を用いて真空乾燥させ、純粋なアミドキシムを88%回収率で得た。
【0103】
段階4:ヒドロキシピリミジノンの形成
【0104】
【化8】

【0105】
【表5】

【0106】
メタノール(12L)中のアミドキシム(2.90kg)のスラリーにジメチルアセチレンジカルボキシレート(1.77kg)を20分間にわたり添加した。スラリーの温度が15分から20分間にわたり20℃から30℃に上昇するようにゆっくりとした発熱が起こった。1.5時間後、HPLCにより、中間体シス/トランス付加化合物への変換が95%を超えたことが示された。次に、減圧下で溶媒をキシレンに変え(最高温度=50℃)、2体積[2x7.5L]を添加し、最終体積を7.5Lに減少させた。次に、反応混合物を90℃に加熱し、残ったMeOHを窒素スイープにより流出させながら、この温度を2時間維持した。次に、温度を3.5時間にわたり10℃の上昇で125℃まで上昇させ、この温度を2時間維持した。次に、温度を最終的に135℃へ5時間上昇させた。次いで、反応混合物を60℃に冷却し、MeOH(2.5L)を添加した。30分後、MTBE(9L)をゆっくりと添加し、シードベッドを形成させた。次に、14時間、バッチを0℃に冷却し、次いでさらに−5℃に冷却し、1時間熟成させた後、ろ過した。固形物を10%MeOH/MTBE(6L、次に4L;前もって0℃に冷却)で置換洗浄し、ろ過ポットにて窒素スイープ下で乾燥させ、2.17kg(51.7%補正収率;99.5重量%)を得た。
【0107】
HPLC法:カラム:ZorbaxC−8 4.6mmx250mm;12分間にわたり、40%ACN/60% 0.1%HPOから90%ACN/10% 0.1%HPO、3分間維持し、次いで、1分間にわたり40%ACNに戻す。保持時間:アミドキシムd−2.4分、DMAD−6.7分、中間体付加化合物−8.4及び8.6分(8.4分ピークがより速く環化する。)、生成物e−5.26分、キシレン−10.4から10.7分周辺で数ピーク。
【0108】
段階5:N−メチル化
【0109】
【化9】

【0110】
【表6】

【0111】
DMSO(16L)中のピリミジンジオールe(2kg)の溶液に、MeOH中のMg(OMe)の溶液(11.95kg)を添加し、その後、40℃にて30分間、過剰なMeOHを真空下で蒸発させた(30mmHg)。次いで混合物を20℃に冷却し、その後、MeI(1.38L)を添加し、混合物を20℃から25℃にて2時間撹拌し、次いで60℃にて5時間、密封フラスコ中で圧力下で撹拌した。HPLCにより、反応が完了したことが分かった。次に、混合物を20℃に冷却し、その後、MeOH(14L)を添加し、次いで、60分間にわたり2M HCl(20L)をゆっくりと添加した(発熱)。次いで、亜硫酸ナトリウム(5重量%、2L)を添加して過剰なIを不活性化したところ、溶液が白色に変化した。
【0112】
次いで水(40L)を40分間にわたり添加し、スラリーを氷浴中で40分間撹拌し、次いでろ過した。最初に水(20L)、次いでMTBE:MeOH 9/1(30L)でろ過ケーキを洗浄し、O−メチル化された副産物を除去した。HPLCにより、洗浄後、O−メチル化副産物が0.5A%未満となったことが分かった。N気流を用いて一晩室温にて真空下で固形物を乾燥させ、N−メチルピリミドン(70%回収率、出発物質及び生成物の純度に対して補正)1.49kgを得た。
【0113】
段階6:アミンカップリング
【0114】
【化10】

【0115】
【表7】

【0116】
4℃のEtOH(14L)中のN−メチル化ピリミジノンf(1.4kg)のスラリーに4−フルオロベンジルアミン(1.05kg)を15分間にわたりゆっくりと添加したところ、アミンの最初の1モル当量の添加の間に9℃への発熱が観察された。このスラリーは非常に粘度が高くなり、激しく撹拌する必要があった。反応物物を2時間にわたり72℃に温め、1時間45分、この温度に維持した。溶液が45℃で非常に粘性になり、50℃へのわずかな発熱が観察され、その後、スラリーは流動性になり、72℃にて1時間後均一になった。反応終了時のHPLC試料アッセイ(HPLC法は、上記段階4で用いたものと同様である。)により、0.5A%Ν−メチル化ピリミジノン未満であることが分かった。次に、反応物を60℃に冷却し、酢酸(0.55L)を30分間にわたり添加し、次いで、水(6.7L)を30分間にわたり添加して、次に種晶(3.0g)を添加し、結晶化を開始させた。60℃にて30分後、30分間にわたりさらに水(7.3L)を添加し、反応混合物を一晩、周囲温度まで冷ました。13時間後、温度が20℃となり、この時点で反応混合物をろ過し、50%水/EtOH(2x4L)でスラリーを洗浄した。固形物をろ過ポットにて真空/N気流下で恒量になるまで乾燥させ、白色固体生成物を得た(上記段階4で用いたものと同様のHPLC法により求めたところ、1.59kg;90%補正収率;99%LCWP及び99.7%LCAP)。
【0117】
段階7:CBz−アミドの水素化
【0118】
【化11】

【0119】
【表8】

【0120】
下記の反応条件下でステンレス鋼水素化容器をMeOH、Pd/C触媒及びMSAで前処理した。次に、前処理済み容器中のMeOH(80mL)中で、CBz−アミドg(10g)をスラリー化した。室温にてMSA(1.45mL)をスラリーに一度に添加した。5%Pd/C(0.15g、50%wet)もまた水素化容器に添加した。3回連続の真空/水素パージサイクルを介してこの容器に水素を入れ、その後、混合物に対して50℃にて3−4時間、50psigで水素化を行った。水素化後、水(8mL)を反応混合物に添加し、混合物を撹拌し、触媒をろ過し、4:1 MeOH:水(20mL)で洗浄した。1N NaOH(22.4mL)をゆっくりと添加することにより、合わせたろ液のpHをpH7から8.0に調整したところ、固形物が沈殿した。スラリーを0−5℃にて4時間撹拌し、固形物をろ過し、水(30mL)で洗浄し、回収して、50℃にて真空乾燥を行った。96%収率(KFに対して補正)、89%LCWP、99.8%LCAP、KF=11重量%で白色結晶性固体(7.7g)として生成物アミン(水和物として)を得た。
【0121】
HPLC法A(生成物アッセイ):カラム:25cmx4.6mm Zorbax RX−C8;移動相:A=0.1%HPO、B=CHCN、0分(80%A/20%B)、20分(20%A/80%B)、25分(20%A/80%B);流速:1.0mL/分;波長:210nm;カラム温度:40℃;保持時間:デス−フルオロアミン副産物−5.5分、アミン生成物−5.85分、トルエン−16.5分、Cbz−アミド−16.82分。
【0122】
HPLC法B(生成物精製):カラム:25cmx4.6mm YMC−basic;移動相:A=pH=6.1に調整した25mmol KHPO、B=CHCN、0分(90%A/10%B)、30分(30%A/70%B)、35分(30%A/70%B);流速:1mL/分;波長:210nm;カラム温度:30℃;保持時間:デス−フルオロアミン−9.1分、アミン−10.1分、トルエン−24.2分、Cbz−アミド−25.7分。
【0123】
段階8:オキサジアゾールカップリング
パートA:オキサジアゾールK塩の調製
【0124】
【化12】

【0125】
【表9】

【0126】
温度が5℃以下に留まるような速度で、0℃にて、トルエン(32L)中の、5−メチルテトラゾール(2.50kg)、トリエチルアミン(3.03kg)の混合物に、エチルオキサリルクロリド(4.01kg)をゆっくりと添加した。生じたスラリーを0−5℃にて1時間撹拌し、次いで、トリエチルアミン/HCl塩をろ別した。冷トルエン(5℃)27Lで固形物を洗浄した。合わせたろ液を0℃に維持し、40−50分間にわたりトルエンの熱溶液(50℃、15L)にゆっくりと添加し(Nガス発生)、次いで、溶液を60−65℃にて1時間熟成させた。20℃に冷却した後、10%塩水5Lでトルエン溶液を洗浄し、次いで溶媒をエタノールに変えた(8Lまで減少させ、次いでEtOH 17Lを添加し、次に8Lまで濃縮し、EtOH 33Lを添加して最終体積を41Lに調整した。)。エタノール溶液を10℃に冷却し、KOH水溶液(8.0L)を30分間にわたり添加し、次いで、室温にて、生じた粘性のあるスラリーを40分間撹拌したところ、その間、オキサジアゾールK塩が晶出した。固形物をろ別し、EtOH 11Lで洗浄し、最後にMTBE 15Lで洗浄した。窒素気流を用いて固形物を20℃にて一晩真空乾燥し、K塩 i 4.48kg(90.8%)を得た。
【0127】
パートB:オキサジアゾールカップリング
【0128】
【化13】

【0129】
【表10】

【0130】
500mL丸底フラスコにオキサジアゾールK塩i(33.8g)、次にACN(280mL)及びDMF(0.33mL)を激しく撹拌しながら加えた。次に、生じたスラリーを0−5℃に冷却し、内部温度を5℃未満に維持するために、オキサリルクロリド(23.7g)を20分間にわたり添加した。次に、生じたアシルクロリド含有スラリーを1時間熟成させた。
【0131】
2L丸底フラスコに、遊離アミンh(30g)、次にTHF(821mL)を添加した。生じたスラリーを0−5℃に冷却し、その後、NMM(21.56g)を添加し、得られたスラリーを低温で10分間撹拌した。既に調製したアシルクロリド含有スラリーを、温度が5℃を超えないように、20分間にわたりゆっくりと、遊離アミンスラリーに添加した。次に、スラリーを0−5℃にて1.5時間熟成させた。この時点で、HPLCにより、アミンhは示されなかった(<0.5%LCAP、100%変換)。次に、NHOH(水中30%)(69mL)を3分間にわたり添加することにより、反応混合物を不活性化した。次に、生じた黄色のスラリーを10℃未満の温度でさらに1時間撹拌した。次に、HCl(2N)(500mL)でこの黄色のスラリーをpH2−3に酸性化した。生じた赤ワイン色の溶液にIPA(920mL)を添加した。次に、室温にて、1100mLの最終体積まで低沸点有機溶媒を減圧下(40torr)で蒸発させたところ、この体積で結晶性化合物Aが沈殿し始めた。次に、水(400mL)をこの新しスラリーへと10分間にわたり添加し、スラリーを室温にて一晩熟成させた。熟成させたスラリーをろ過し、得られた固形物を水(170mL)で洗浄し、次いで、冷MeOH(300mL、前もって氷浴で冷却)でさっと洗浄し、最後に水(700mL)でさっと洗浄した。得られた固形物を真空及び窒素気流下で一晩乾燥させ、化合物A35.5g(91%収率)を得た。
【0132】
段階9:化合物Aの結晶性カリウム塩の形成
室温にて、アセトニトリル(50mL)及び無水化合物A(5.8g、97.4重量%)を機械式撹拌装置及び窒素インレットを備えたジャケット付きの125mL丸底フラスコに入れた(即ち、窒素下で結晶化を行った。)。固形物が完全に溶液となるまで、生じたスラリーを45℃にて撹拌した。次に、形態Iの結晶性の化合物AのK塩を種晶(0.184g、理論的K塩に対して3重量%)として溶液に加えた。次に、KOH水溶液30%w/v溶液(0.98eq.、2.33mL、0.0125モル)を添加し、45℃にバッチを維持しながら、次のように添加を行った:
5時間にわたり0.466mL、0.0932mL/hr(20mol%)
7時間にわたり1.864mL、0.2663mL/hr(80mol%)。
【0133】
母液中の化合物Aの濃度を測定して4g/L未満となるまで、生じたスラリーを20℃に冷却した。バッチをろ過し、ケーキをACN(3x12mL)で洗浄し、次いで、熱重量分析により調べてACN及び水の量が1重量%未満となるまで、45℃にて真空下で少量の窒素スイープを用いて乾燥させた。HPLC分析により>99A%で、化合物AのK塩を得た。
【実施例2】
【0134】
化合物Aの形態Iの結晶性カリウム塩
パートA:調製
機械式撹拌装置、付加漏斗、窒素インレット(即ち、窒素下で反応を行う。)及びサーモカップルを備えた1L丸底フラスコにエタノール(147mL)、水(147mL)及び化合物A(97.9g HPLCによるアッセイ)を入れた。KOH水溶液(45%w/w、0.98eq.、18.5mL、216モル)を21℃にて10分間にわたり、懸濁液に添加した。生じた懸濁液を0.5時間撹拌し、その結果、固形物の殆どが溶解し、その後、機械式撹拌装置、付加漏斗、窒素インレット及びサーモカップルを備えた5L丸底フラスコへと直接、1μmフィルターに通してバッチをろ過した。1:1(v/v)水/EtOH(48mL)で1Lフラスコをリンスし、リンス液を5Lの結晶化容器にろ過して入れた。ろ過した溶液に化合物Aの形態IのK塩(200mg)を室温にて種晶として添加し、次いで1時間熟成させ、状態のよいシードベッドを形成させ、その後、20℃にて1.5時間にわたり、懸濁液をEtOH(1.57L)で希釈した。次に、バッチを約4℃に冷却し、母液中の化合物Aの濃度を測定して4.7g/Lになるまで熟成させた。バッチをろ過し、50mL EtOHで結晶化容器をリンスしフィルターに通し、ケーキをEtOH(2x100mL)で洗浄し、次いで、NMRにより存在するEtOHの量がカリウム塩に対してNMRにより約0.4モル%となるまで、真空及び窒素テント下で乾燥させた。88%収率(HPLCによるアッセイで91.5g、HPLC分析により99面積%)で化合物Aのカリウム塩を得た。
【0135】
パートB:特性決定
約12分間にわたる2.5から40°2Θの連続スキャン(即ち、40秒/ステップで、0.02°ステップサイズ)、2RPSステージ回転及びゴニオスキャン軸を用いて、Philips Analytical X’Pert Pro X線粉末解析計において、パートAに記載のようにして調製したK塩のXRPDパターンを得た。銅K−α1(Kα1)及びK−α2(Kα2)線を線源として使用した。周囲条件下で実験を行った。XRPDパターンにおける特徴的な2Θ値(図1で示す。)及び対応するd−スペーシングには、次のものが含まれる:
【0136】
【表11】

【0137】
また、窒素雰囲気下の圧着ピンホールアルミニウムパン中で、室温から350℃まで10℃/分の加熱速度で、TA Instruments DSC2910示差走査熱量計によってもパートAに記載のように調製したK塩を分析した。DSC曲線(図2で示す。)から、ピーク温度約279℃の1本の鋭い吸熱及び約230.0J/gmの付随する融解熱が示された。吸熱は融解によるものと考えられる。
【0138】
室温から約350℃まで、10℃/分の加熱速度で、窒素下で、Perkin−Elmer Model TGA7を用いて熱重量分析を行った。TG曲線から、250℃までの加熱の間に0.3%の重量損失が示された。
【0139】
VTI Symmetrical Vapor Sorption Analyzer Model SGA−Iにおいて吸湿性データを得た。5−95%相対湿度及びバック、5%相対湿度変化/ステップで、室温にてデータを回収した。平衡状態は、180分の最大平衡時間で、5分間で0.01重量%の変化であった。このデータから、95%RHで25℃にて平衡化した場合、物質が1.8%重量上昇したことが示された。5%RHに平衡化する場合、物質はおよそその乾燥重量に戻った。吸湿性実験後の物質のXRPD分析から、物質の相の変化がなかったことが示された。
【0140】
Brinkmann Metrohm 716 DMS Titrinoを用いて、HCl滴定によっても、パートAに記載のように調製したK塩をアッセイした。アッセイの結果から、塩が一カリウム塩であることが示された。
【実施例3】
【0141】
化合物Aカリウム塩を含有する圧縮錠剤の調製
パートA
【0142】
【表12】

【0143】
ブレンダー(Turbula(R)Type T2Fシェーカーミキサー、Basel、Switzerland)中で10分間、粒外ステアリン酸マグネシウムを除き上記で挙げる成分の全てを混和することにより、遊離フェノールベースで化合物A100mgを含有する圧縮錠剤を調製した。12MPa(4KN)まで1x0.5インチの長方形工具を用いて、ベンチトッププレス(Auto Carver Model Auto「C」、カタログ番号3888、Carver,Inc.,Wabash,Indiana)においておよそ1gの重量の混和材料の一部を成形体(又はスラグ)に圧縮した。次に、1mm孔の篩に通すことによりスラグを顆粒の大きさにした。Turbulaブレンダー中で5分間、粒外ステアリン酸マグネシウムと顆粒を混和し、13/32インチ標準凹面ラウンド工具とともにAuto Carverプレスを用いて、潤滑化した顆粒を錠剤に圧縮した。15KNまでの力で圧縮することにより、下記の薬物動態学実験(実施例5参照)で使用する錠剤を調製し、5から15KNの力の範囲で圧縮することにより、インビトロ溶解試験(実施例4参照)用の錠剤を調製した。
【0144】
インビトロ溶解試験に対して先行する段落に記載のようにして、同じサイズであるが、10重量%及び15重量%HPMC(V.5重量%HPMC)を含有する錠剤を調製したが、この場合、ラクトース及び微晶質セルロースの量をそれぞれ、14.6及び12.8重量%及び、43.9及び38.4重量%に減らし、さらなるHPMCを添加した。さらに、インビトロ溶解試験に対して先行する段落に記載のようにして、同じサイズであるがHPMCを含有しない錠剤(即ち、「参照」錠剤)も調製したが、ラクトース及び微晶質セルロースの量をそれぞれ、17.1及び51.2重量%に増量して、HPMCがない分を補充した。
【0145】
パートB
【0146】
【表13】

【0147】
パートAで述べるものと同様の手段を用いて、上記表で述べる組成を有する圧縮錠剤を調製した。
【実施例4】
【0148】
インビトロ溶解試験
次のようにして、実施例3のパートAで述べたようにして調製した錠剤(即ち、遊離フェノールベースで化合物A100mg及び0、5、10又は15重量%HPMCを含有する錠剤)の溶解特性を試験した:溶解溶媒として0.01N HCl(pH=2)500mLを含有するUSPタイプII溶解容器へ、0、5、10又は15重量%HPMCを含有する2個の錠剤を添加した(周囲温度)。錠剤を容器の底へ沈ませた後、100rpmで60分間、溶媒を撹拌し、次いで、さらに最長で120分間、150rpmで撹拌した。5、10、15、20、30、60、90及び120分及び試験終了時(180分)に、溶媒から試料(5mL)を採取した。50:50(体積:体積)アセトニトリル:水で各試料を1:1希釈し、次いでHPLC又はUV分光法により分析し、溶液中の化合物Aの濃度を求めた(注意:HPLC及びUV法は同等であるとした;特定の試験に対する方法の選択は、装置の利用可能性などの要因に基づいた。)HPLC:カラム=Agilent Zorbax RX−C8;移動相=60:40(v.v)0.1%HPO:ACN;流速=1.5mL/分;カラム温度=周囲温度;注入体積=20μL;検出波長=303nm;運転時間=5分間。
【0149】
UV:試料採取=25秒ポンプ時間及び3秒待ち時間で少量採取;光路長=1mm;波長=303nm。
【0150】
HPMCを含有する錠剤は、HPMCを含有しない参照錠剤と比較して、薬物過飽和が延長することが分かったが、120及び180分の溶解時間でHPMC含有錠剤に対する薬物濃度は参照錠剤に対して達成される濃度よりも少なくとも2倍高かった。10重量%及び15重量%HPMCの錠剤は、溶解容器中で崩壊がより遅いことが示され、5重量%HPMC含有錠剤よりも薬物放出が遅かったが、それでもなお、同様に過飽和が延長された。
【0151】
上記試験と同様であるが、非製剤化バルク化合物AのK塩及び顆粒中の製剤化バルクを用いて、37℃にて(生理的温度)行ったインビトロ溶解試験から、2.5重量%に相当するHPMCレベルでさえも、HPMCのより顕著かつ好ましい効果が示された。60から180分の溶解時間において、HPMCなしでの溶解に対して、HPMC存在下での製剤化及び非製剤化バルク薬物の溶解に関して薬物溶解度が10倍促進されることが観察された。
【実施例5】
【0152】
薬物動態試験
実施例3のパートAに記載のように調製し、化合物AのK塩100mg(遊離フェノールベース)及び5重量%HPMCを含有する圧縮錠剤を経口投与したビーグル犬において、化合物Aに対する薬物動態学的(PK)値を求めた。専用に飼育したオスのビーグル犬(Marshall Farms)を全ての試験で使用した。USDAガイドラインに従い、AAALAC認定を受けた施設でイヌを飼育した。WP−IACUCにより承認されたプロトコール下で研究を行った。投与前にイヌの体重を測定し、記録した。イヌの体重は、およそ8から10kgの範囲であった。各試験において同様の体重のイヌを用いた。各試験で3又は4匹のイヌを用いた。投与量は、およそ10mg/kg体重(即ち10mpk)であった。
【0153】
投与:一晩絶食させた後、全てのイヌに対して、投与のおよそ30分前にペンタガストリン(0.064mg/kg、0.1mL/kg)を皮下注射した。錠剤処方、次いで水5mL/kgをイヌに経口投与した。投与から2時間後に水を元に戻し、投与から4時間後に餌を元に戻し。投与前及び、投与から0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6、8及び24時間後に、橈側皮静脈に留置した21ゲージカテーテルから血液を採取した。遠心分離(2500gで15分)により血漿を分離し、翌日のLC/MS/MSのために−70℃で一晩保存した。
【0154】
試料調製及び分析:固相抽出を用いて血漿試料を抽出した。Waters Xterra MS C 18、2x50mm、5μm HPLCカラムに血漿抽出物を注入し、水中0.1%ギ酸及びアセトニトリル中0.1%ギ酸からなる4.61分の勾配を用いて分析した。TurboIon Sprayインターフェースを用いて試料抽出物をイオン化し、陽イオン化モードで、選択した反応モニタリング(SRM)で監視した。LC/MS/MSアッセイのダイナミックレンジは、イヌ血漿50μL分割量に基づき、5−8000ng/mLであった。
【0155】
PK計算:WinNonLin v3.1の線形台形、非コンパートメントモデルを用いて、最終試料採取までの時間に対する血漿濃度のプロットに対する曲線下の面積(AUC0−24hrs)、観測最大血漿濃度(Cmax)及びCmaxの時間(Tmax)を計算した。Excel(R)97 SR−2(f)を用いて、平均及びSDを計算した。Windows(登録商標)用のSigmaPlot v.8.0を用いて、血漿プロファイルを得た。
【0156】
化合物AのK塩の5重量%メチルセルロース水溶液、バルク薬物の乾燥充てんカプセル(DFC)及び実施例3に記載のように調製したHPMC不含の参照錠剤を用いて、同様のPK試験を行った。このデータから、参照錠剤及び乾燥充てんカプセルに対して得られたAUC0−24hrs値と比較して、HPMC含有錠剤に対するAUC0−24hrsが2倍向上したことが分かった。HPMC含有錠剤のAUC0−24hrsは、メチルセルロース溶液の値に相当した。
【実施例6】
【0157】
化合物Aカリウムを含有するフィルムコーティング圧縮錠剤の調製
【0158】
【表14】

【0159】
ブレンダー(Patterson−Kelly Vブレンダー;以下、「V−ブレンダー」と呼ぶ。)中で10分間、粒外微晶質セルロース、ステアリン酸マグネシウム及びOpadry White以外の上記で挙げた成分全てを混和し、次いで同じブレンダー中で粒内ステアリン酸マグネシウで5分間潤滑化することにより、遊離フェノールベースで化合物A 400mgを含有する圧縮錠剤を調製した。次に、60barのロール圧で、25mm刻み付きロールを用いて、Alexanderwerk WP 120ローラー圧縮装置を用いてこの混和物をリボン状にローラー圧縮した。続いて、2.0mm及び0.8mmのサイズのスクリーンを備えた回転式細密造粒機(WP120ローラ圧縮装置の一体部分)を用いてこのリボンを顆粒状にした。次に、V−ブレンダーにおいて10分間、粒外微晶質セルロースと顆粒を混和し、次いで5分間、同じブレンダー中で粒外ステアリン酸マグネシウムを用いて潤滑化を行った。次いで、2x16/32”標準ラウンド凹面工具を用いて、回転式錠剤プレス(Korsch)において、潤滑化顆粒を800mgイメージ錠剤(image tablets)に圧縮した。10から15キロポンド(kp−1kgf)になるようにコア錠剤の硬度を測定した。次に、Vectorフィルム被覆装置(1.3L pan)にてOpadry Whiteでコア錠剤を被覆し、コア錠剤に対しておよそ4%増量のフィルムコーティング錠剤を得た。
【実施例7】
【0160】
化合物Aカリウム塩を含有するフィルムコーティング圧縮錠剤の調製
実施例6に記載の手段に従い、次の組成を有する圧縮錠剤を調製した。
【0161】
【表15】

【0162】
前述の明細書は、説明の目的で与えられる実施例とともに本発明の原理を教示するが、本発明の実施は、次の特許請求の範囲内に入る、通常のバリエーション、適応及び/又は変更を全て包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)塩の形態での薬剤化合物の有効量(この塩は、その元来のpHの上下のGI−関連pHにおいて薬剤化合物が低溶解性形態へ変換されることを特徴としている。)と、および
(ii)抗核形成剤と
を含有する、固形投薬物としての経口投与のための医薬組成物。
【請求項2】
抗核形成剤が、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポリアクリル酸からなる群から選択される水溶性ポリマーを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
組成物の総重量に基づき、薬剤化合物の塩が約5%から約75重量%の量で使用され、抗核形成剤が少なくとも約0.5重量%の量で使用される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
組成物が、錠剤中に封入されるか又は圧縮される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
式Iの化合物
【化1】

(式中、Rは次のもので置換されているC1−6アルキルであり:
(1)N(R)−C(=O)−N(R)R
(2)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−N(R)R
(3)N(R)SO
(4)N(R)SON(R)R
(5)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SO
(6)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SON(R)R
(7)N(R)C(=O)C(=O)N(R)R
(8)N(R)−C(=O)−HetA、
(9)N(R)C(=O)C(=O)−HetA又は
(10)HetB;
は−C1−6アルキルであるか;又は、
及びRは、式Iの化合物が式IIの化合物:
【化2】

となるように、一緒に連結されており;
は−H又は−C1−6アルキルであり;
は、アリールで置換されているC1−6アルキル(このアリールは、それぞれが独立に、ハロゲン、−OH、−C1−4アルキル、−C1−4アルキル−OR、−C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル、−CN、−NO、−N(R)R、−C1−4アルキル−N(R)R、−C(=O)N(R)R、−C(=O)(R)、−CO、−C1−4アルキル−CO、−OCO、−SR、−S(=O)R、−SO、−N(R)SO、−SON(R)R、−N(R)C(=O)R、−N(R)CO、−C1−4アルキル−N(R)CO、2個の隣接する環炭素原子に連結されているメチレンジオキシ、フェニル又は−C1−4アルキル−フェニルである1から4個の置換基で場合によって置換されている。)であり;
は、
(1)N(R)−C(=O)−N(R)R
(2)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−N(R)R
(3)N(R)SO
(4)N(R)SON(R)R
(5)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SO
(6)N(R)−C(=O)−C1−6アルキレン−SON(R)R
(7)N(R)C(=O)C(=O)N(R)R
(8)N(R)−C(=O)−HetA又は
(9)N(R)C(=O)C(=O)−HetAであり;
は、−H又は−C1−6アルキルであり;
nは1又は2に等しい整数であり;
各Rは、独立に−H又は−C1−6アルキルであり;
各Rは、独立に−H又は−C1−6アルキルであり;
及びRは、それぞれ独立に、−H又は−C1−6アルキルであるか、又はこれらが結合している窒素と一緒になって、R及びRに結合している窒素に加えて、N、O及びSから選択されるヘテロ原子を場合によって含有する飽和5もしくは6員複素環を形成し(Sは場合によってはS(O)もしくはS(O)に酸化されており、飽和複素環は場合によっては1もしくは2個のC1−6アルキル基で置換されている。);
HetAは、N、O及びSから独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含有する、5−又は6−員の複素環式芳香族環であり、この複素環式芳香族環は、それぞれが独立に−C1−4アルキル、−C1−4ハロアルキル、−O−C1−4アルキル、−O−C1−4ハロアルキル又は−COである1又は2個の置換基で場合によって置換されており;
HetBは、N、O及びSから独立に選択される1から4個のヘテロ原子を含有する(各SはS(O)もしくはS(O)に場合によって酸化されている。)、5−から7−員の飽和複素環であり、この複素環は、それぞれが独立に、ハロゲン、−C1−4アルキル、−C1−4フルオロアルキル、−C(O)−C1−4アルキル又は−C1−4アルキル(OHで置換される。)である1から3個の置換基で場合によって置換されている。)である。)
のベース塩の有効量及び抗核形成剤を含有する、固体投薬物としての経口投与のための医薬組成物。
【請求項6】
化合物Iのベース塩が、化合物Iのアルカリ金属塩である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
抗核形成剤が、少なくとも約1重量%の量で使用される、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項8】
希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤をさらに含有する、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項9】
組成物が錠剤に封入又は圧縮されている、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
薬物製品が化合物Aのカリウム塩であり、化合物Aが:
【化3】

である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項11】
化合物Aのカリウム塩が、化合物Aの形態Iのカリウム塩である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
抗核形成剤がヒドロキシアルキルセルロースを含有する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
第一の希釈剤、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤をさらに含有する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
抗核形成剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり;第一の希釈剤が微晶質セルロースであり;第二の希釈剤がラクトース又は第二リン酸カルシウムであり;崩壊剤がクロスカメロースナトリウムであり;潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
化合物Aのカリウム塩が、遊離フェノールベースで約5%から約75重量%の量で使用され;ヒドロキシプロピルメチルセルロースが約0.5から約20重量%の量で使用され;微晶質セルロースが、約10から約85重量%の量で使用され;ラクトース又は第二リン酸カルシウムが約10から約85重量%の量で使用され;クロスカメロースナトリウムが約1から約10重量%の量で使用され;ステアリン酸マグネシウムが約0.5から約10重量%の量で使用される、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
化合物Aのカリウム塩が、化合物Aの形態Iのカリウム塩である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
組成物が錠剤に封入又は圧縮されている、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
化合物Aのカリウム塩が、遊離フェノールベースで、約5mgから約900mgの量で使用される、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
(A)化合物Aカリウム塩、抗核形成剤、第一の希釈剤なし又は全て又は第一の部分、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤の第一の部分の混合物を混和することと;
(B)(i)1以上のスラグを形成させるために、混和した混合物を圧縮するか、又は(ii)成形体を形成させるために、混和した混合物を圧延し、顆粒を形成させるために、得られた1以上のスラグ又は得られた成形体の大きさを合わせることと;
(C)第一の希釈剤の全てと、又は第一の希釈剤なしで、又は第一の希釈剤の残部と潤滑剤の残部とともに顆粒を混和することと;および
(D)錠剤を得るために、段階Cの潤滑化顆粒を圧縮することと
を含む、圧縮錠剤の医薬組成物(この医薬組成物は、化合物Aのカリウム塩の有効量、抗核形成剤、第一の希釈剤、第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含有している。)を調製するための方法。
【請求項20】
抗核形成剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースであり;第一の希釈剤が微晶質セルロースであり;第二の希釈剤がラクトース又は第二リン酸カルシウムであり;崩壊剤がクロスカメロースナトリウムであり;潤滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
化合物Aカリウム塩が約5%から約75重量%の量で使用され;ヒドロキシプロピルメチルセルロースが約0.5から約20重量%の量で使用され;微晶質セルロースが約10から約85重量%の量で使用され;ラクトース又は第二リン酸カルシウムが約10から約85重量%の量で使用され;クロスカメロースナトリウムが約1から約10重量%の量で使用され;ステアリン酸マグネシウムが約0.5から約10重量%の量で使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(A)化合物Aカリウム塩、抗核形成剤、第一の希釈剤、第二の希釈剤及び崩壊剤の混合物を湿式造粒し、次いで、湿式造粒した混合物を場合によっては製粉することと;
(B)段階Aの造粒した混合物を乾燥させることと;
(C)段階Bの乾燥混合物を製粉することと;
(D)段階Cの製粉した混合物を潤滑剤で潤滑化することと;および
(E)段階Dの潤滑化混合物を錠剤へと圧縮することと
を含む、圧縮錠剤医薬組成物(この医薬組成物は、化合物Aのカリウム塩の有効量、抗核形成剤、第一の希釈剤、場合によっては第二の希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤を含有している。)を調製するための方法。
【請求項23】
抗核形成剤を含む固体製剤医薬組成物中の成分として薬剤化合物の塩を投与することを含む、塩の形態(この塩形態は、その元来のpHの上下のGI−関連pHにおいて薬剤化合物が低溶解性形態へ変換されることを特徴としている。)で経口投与される薬剤化合物の薬物動態を向上させるための方法。
【請求項24】
請求項5又は請求項10に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、HIVインテグラーゼの阻害を必要とする患者においてHIVインテグラーゼを阻害するための方法。
【請求項25】
請求項5又は請求項10に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、HIV感染の治療又は予防を必要とする患者における、HIV感染の治療又は予防のための方法。
【請求項26】
請求項5又は請求項10に記載の医薬組成物を患者に投与することを含む、AIDSを治療、予防又は発症を遅延させることを必要とする患者における、AIDSを治療、予防又は発症を遅延させるための方法。
【請求項27】
HIVインテグラーゼの阻害、HIV感染の治療もしくは予防又はAIDSの治療、予防もしくは発症遅延における使用のための、請求項5又は請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項28】
HIVインテグラーゼの阻害、HIV感染の治療もしくは予防又はAIDSの治療、予防もしくは発症遅延のための医薬品の調製における使用のための、請求項5又は請求項10に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−63999(P2013−63999A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−260995(P2012−260995)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2007−544548(P2007−544548)の分割
【原出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】