説明

抗炎症マクロライド接合体

本発明は、(a)式I:



(式中、Mは、炎症細胞において蓄積する特性を有するマクロライドから誘導されるマクロライドサブユニット(マクロライド部分)を表し、Dは、抗炎症、鎮痛および/または解熱作用を有するジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを表し、LはMおよびDを共有結合させる結合基である)
により表される新規化合物;(b)その医薬上許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物、(c)その調製のための方法および中間体、ならびに(d)ヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国特許仮出願番号60/643,931(2005年1月13日提出)(全体として本発明の一部として参照される)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般構造式Iにより表される新規抗炎症化合物、その医薬上許容される塩および溶媒和物、これを調製するための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。
【0003】
本発明は、新規目的抗炎症剤を提供する技術的問題の解決に関する。さらに詳細には、本発明は、ジベンゾアズレン部分の抗炎症作用を有する抗炎症剤を提供する。本発明の化合物は、その抗炎症活性および炎症の場所に補充される様々な免疫細胞において蓄積するその能力によりこの問題に対応する。
【背景技術】
【0004】
異なる作用メカニズムを有する抗炎症薬は、特定の炎症メディエーターに対して作用し、かくして治療効果をもたらす。作用のメカニズムにおける差だけでなく、阻害される特定の炎症メディエーターにおける差のために、ステロイドおよび非ステロイド剤は異なる抗炎症作用特性を有し、従って、ある医薬が特定の状態について他のものよりも好適である。さらに、ほとんどの非ステロイド系抗炎症薬は、完全に特異性ではなく、その使用は、特に、多量で、または長期にわたって使用される場合に、望ましくない副作用を伴う。多くの非ステロイド系抗炎症薬は、胃粘膜の統合性を維持するために非常に重要である内因性COX−1酵素の阻害剤として作用する。従って、これらの医薬の使用は、しばしば、胃粘膜を傷つけ、出血することさえある。(Warner T. D. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1999、96、7563−7568.)従って、COX−2を選択的に阻害するが、COX−1を阻害しない薬剤が炎症性疾患の治療において原則として好ましい。さらに、幾つかの抗炎症性化合物(例えば、テオフィリン)は非常に狭い治療指数を有することが知られており(投与量が少し増大すると、毒性効果を引き起こす、および/または投与量が少し減少すると治療効果がなくなる)、これはその使用を制限する。
【0005】
近年、COX−2を特異的にブロックする非ステロイド系抗炎症薬セロコキシブがFDAにより関節リウマチの治療に関して承認された(Luongら、Ann. Pharmacother. 2000、34、743−760)。COX−2は多くの癌および前癌病変においても発現され、選択的COX−2阻害剤は直腸結腸および他の癌の治療および予防に有用であることの証拠が増え続けている。(Taketo、M. M.、J. Natl. Cancer Inst. 1998、90、1609−1620、Fournier et. al. J. Cell Biochem. Suppl. 2000、34、97−102)。
【0006】
ジベンズアズレンが抗炎症活性、特に、TNF−αなどのサイトカインの阻害を示すことは当該分野から公知であり(WO2003084962A1、WO2003084961A1、WO2003084964A1、WO2003099827A1、WO2003099822A2、WO2003097648A1、WO2003097649、WO2003099823、WO2004/078763A1);いくつかのジベンズアズレンは異なるCNS障害において潜在的な用途を有することが知られている(WO2005/041856A1、WO2005/049011A1、WO2005/049010A1、WO2005/049015A1、WO2005/049036A1、WO2005/049020A1、WO2005/049016A1)。これらの刊行物のそれぞれはその全体として出典明示により本発明の一部として参照される。
【0007】
マクロライド、たとえば、マクロライド抗生物質は、かかる分子を投与された対象の異なる細胞内、特に、単核末梢血細胞、腹腔および肺胞マクロファージなどの食細胞内、ならびに気管支肺胞上皮を取り巻く液体中に優先的に蓄積する(Glaude R. P.ら、Antimicrob. Agents Chemother.、1989、33、277−282;Olsen K. M.ら、Antimicrob. Agents Chemother. 1996、40、2582−2585)。さらに、幾つかのマクロライドの比較的弱い抗炎症効果が記載されている。例えば、エリスロマイシン誘導体(Labro M. T. J. Antimicrob. Chemother.、1998、41、37−46;WO 00/42055)およびアジスロマイシン誘導体の抗炎症効果が最近記載されている(EP 0283055)。幾つかのマクロライドの抗炎症効果も、マウスにおけるチモサン誘発性腹膜炎(Mikasaら、J. Antimicrob. Chemother. 1992、30、339−348)およびラット気管における内毒素誘発性好中球蓄積(J. Immunol. 1997、159、3395−4005)などの実験動物モデルにおけるインビトロおよびインビボ研究から公知である。インターロイキン8(IL−8)(Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1997、156、266−271)またはインターロイキン5(IL−5)(EP 0775489およびEP 0771564)などのサイトカインに対するマクロライドの調節効果も知られている。
【0008】
1975年に、TNF−αは、インビトロおよびインビボで腫瘍壊死を引き起こす内毒素誘発性血清因子と定義された(Carswell E. A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1975、72、3666−3670)。抗腫瘍活性に加えて、TNF−αは、ホメオスタシスならびに病体生理的状態において重要な幾つかの他の生物学的活性を有する。TNF−αの主な供給源は、単球、マクロファージ、T−リンパ球および肥満細胞である。
【0009】
抗TNF−α抗体(cA2)が関節リウマチ(RA)にかかっている患者の治療において有効であるという発見(Elliot Mら、Lancet 1994、344、1105−1110)は、RAの可能で有効な医薬として新規TNF−α阻害物質を見出すことへの関心を増大させた。関節リウマチは、関節の不可逆的病理変化により特徴づけられる自己免疫慢性炎症性疾患である。RAに加えて、TNF−α拮抗物質は幾つかの他の病的状態および疾患、例えば、脊椎炎、変形性関節症、痛風よび他の関節炎状態、敗血症、敗血症性ショック、毒素性ショック症候群、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、糸球体腎炎、紅斑性狼瘡、強皮症、喘息、悪液質、慢性閉塞性肺疾患、鬱血性心不全、インスリン耐性、肺線維症、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、ウイルス感染およびAIDSなどにも適用可能である。
【0010】
TNF−αの生物学的重要性の証拠は、TNF−αまたはそのレセプターについての不活性化遺伝子を有するマウスにおけるインビボ実験において得られた。このような動物はコラーゲン誘発性関節炎(Mori L.ら、J. Immunol. 1996、157、3178−3182)および内毒素誘発性ショック(Pfeffer K.ら、Cell 1993、73、457−467)に対して耐性であった。TNF−αレベルが増大する動物を用いた実験において、慢性炎症性多発性関節炎が現れ(Georgopoulos S.ら、J. Inflamm. 1996、46、86−97;Keffer J.ら、EMBO J. 1991、10、4025−4031)、これはTNF−α産生の阻害剤により軽減された。かかる炎症性および病的状態の治療は、通常、非ステロイド系抗炎症薬の適用を含むが、重度の場合において、金塩、D−ペニシリナミンまたはメトトレキサートが投与される。前記医薬は症状に作用するが、病理過程を阻止しない。関節リウマチの治療における新規方法は、テニダップ、レフルノミド、シクロスポリン、FK−506およびTNF−αの活性を中和する生体分子などの医薬を用いて確立された。現在のところ、エタネルセプト(etanercept)という名の可溶性TNFレセプター(Enbrel、Immunex/Wyeth)ならびにインフリキシマブ(infliximab)(Remicade、Centocor)という名のマウスおよびヒトキメラモノクローナル抗体が市場で入手可能である。RA−療法に加えて、エタネルセプトおよびインフリキシマブもクローン病の治療について承認されている(Exp. Opin. Invest. Drugs 2000、9、103)。
【0011】
国際公開番号WO 02/055531 A1(その全体として本発明の一部として参照される)は式IIa:
【化1】


(式中、Mは、炎症性細胞中に蓄積する特性を有するマクロライドサブユニットを表し、Aはステロイドであっても、非ステロイドであってもよい抗炎症サブユニットを表し、LはMおよびAを結合させるリンカー分子を表す)
により表される共役化合物、(b)その医薬上許容される塩、プロドラッグおよび溶媒和物、(c)その調製のための方法および中間体、および(d)ヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるその使用を開示している。WO 02/05531において、多くの共役ステロイド−マクロライド化合物が、マクロライド環のN/9a位のステロイドサブユニットと結合している。
【0012】
米国公開出願第2004 0014685号および国際公開番号WO 04/005310 A2(出典明示によりその全体として本発明の一部として参照される)は、式IIIa:
【化2】


(式中、Mは、炎症性細胞中に蓄積する特性を有するマクロライド由来のマクロライドサブユニット(マクロライド部分)を表し、Sは抗炎症活性を有するステロイド剤由来のステロイドサブユニットを表し、LはMおよびSを結合するリンカー分子を表す)
により表される化合物、その医薬上許容される塩および溶媒和物、その調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるその使用に関する。
【0013】
米国公開出願番号20040077612(その全体として本発明の一部として参照される)は、式IVa:
【化3】



(式中、Mは炎症細胞中に蓄積する特性を有するマクロライド由来のマクロライドサブユニット(マクロライド部分)を表し、Vは抗炎症ステロイドまたは非ステロイドサブユニットまたは抗腫瘍または抗ウイルスサブユニットを表し、LはMとVを共有結合させる結合基を表す)により表される新規化合物、その医薬上許容される塩および溶媒和物、その調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるその使用に関する。
【0014】
米国公開出願番号2004 0097434および国際公開番号WO 04/005309(それぞれ、その全体として本発明の一部として参照される)は式Va:
【化4】

(式中、Mは炎症細胞において蓄積する特性を有するマクロライド由来のマクロライドサブユニット(マクロライド部分)を表し、Dは、抗炎症、鎮痛および/または解熱作用を有する非ステロイド剤(NSAID)由来の非ステロイドサブユニット(非ステロイド部分)を表し、LはMとDを共有結合させる結合基を表す)
により表される新規化合物、その医薬上許容される塩および溶媒和物、その調製のための方法および中間体、ならびにヒトおよび動物における炎症性疾患および状態の治療におけるその使用に関する。
【0015】
米国公開出願番号20050080003(その全体として本発明の一部として参照される)は、鎖Lによりアグリコン型マクロライドサブユニットのN/9a位に結合したステロイドまたは非ステロイド抗炎症系サブユニットDを有するさらなる共役化合物を記載している。
【0016】
米国公開出願番号20040087517および国際公開番号WO2003/070174は、(i)「トランスポートフォア(transportophore)」および(ii)トランスポートフォアを組み入れた結合またはリンカーにより共有結合した「非抗生物質治療剤(non−antibiotic therapeutic agent)」の複合体を開示している。トランスポートフォアおよび複合体は少なくとも2の免疫選択性比を有さなければならない。「トランスポートフォア」はその一部がトランスポーロタンパク質の基質と類似し、基質として認識される化合物として広義に定義される。
【特許文献1】米国特許仮出願番号60/643,931明細書
【特許文献2】WO2003084962A1明細書
【特許文献3】WO2003084961A1明細書
【特許文献4】WO2003084964A1明細書
【特許文献5】WO2003099827A1明細書
【特許文献6】WO2003099822A2明細書
【特許文献7】WO2003097648A1明細書
【特許文献8】WO2003097649明細書
【特許文献9】WO2003099823明細書
【特許文献10】WO2004/078763A1明細書
【特許文献11】WO2005/041856A1明細書
【特許文献12】WO2005/049011A1明細書
【特許文献13】WO2005/049010A1明細書
【特許文献14】WO2005/049015A1明細書
【特許文献15】WO2005/049036A1明細書
【特許文献16】WO2005/049020A1明細書
【特許文献17】WO2005/049016A1明細書
【特許文献18】WO 00/42055明細書
【特許文献19】EP 0283055明細書
【特許文献20】EP 0775489明細書
【特許文献21】EP 0771564明細書
【特許文献22】国際公開番号WO 02/055531 A1公報
【特許文献23】米国公開出願第2004 0014685号公報
【特許文献24】国際公開番号WO 04/005310 A2公報
【特許文献25】米国公開出願番号20040077612
【特許文献26】米国公開出願番号2004 0097434
【特許文献27】国際公開番号WO 04/005309
【特許文献28】米国公開出願番号20050080003
【特許文献29】米国公開出願番号20040087517
【特許文献30】国際公開番号WO2003/070174
【非特許文献1】Warner T. D. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1999、96、7563−7568
【非特許文献2】Luongら、Ann. Pharmacother. 2000、34、743−760
【非特許文献3】Taketo、M. M.、J. Natl. Cancer Inst. 1998、90、1609−1620、Fournier et. al. J. Cell Biochem. Suppl. 2000、34、97−102
【非特許文献4】Glaude R. P.ら、Antimicrob. Agents Chemother.、1989、33、277−282
【非特許文献5】Olsen K. M.ら、Antimicrob. Agents Chemother. 1996、40、2582−2585
【非特許文献6】Labro M. T. J. Antimicrob. Chemother.、1998、41、37−46
【非特許文献7】Mikasaら、J. Antimicrob. Chemother. 1992、30、339−348
【非特許文献8】J. Immunol. 1997、159、3395−4005
【非特許文献9】Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1997、156、266−271
【非特許文献10】Carswell E. A.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1975、72、3666−3670
【非特許文献11】Elliot M.ら、Lancet 1994、344、1105−1110
【非特許文献12】Mori L.ら、J. Immunol. 1996、157、3178−3182
【非特許文献13】Pfeffer K.ら、Cell 1993、73、457−467
【非特許文献14】Georgopoulos S.ら、J. Inflamm. 1996、46、86−97
【非特許文献15】Keffer J.ら、EMBO J. 1991、10、4025−4031
【非特許文献16】Exp. Opin. Invest. Drugs 2000、9、103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の対象を表す式Iにより表される新規化合物、その医薬上許容される塩、水和物、プロドラッグおよびこれらを含む医薬組成物は、これまでに記載されていない。本発明は、新規目的抗炎症剤を提供する技術的問題を解決することに関する。本発明の化合物は、その抗炎症活性および炎症の場所に補充される様々な免疫細胞中で蓄積するその能力によりこの問題に関与する。さらに、本発明の対象を表す化合物は、TNF−αの阻害剤として、またはCOX−1/COX−2の阻害剤として、あるいは、5−LOXの阻害剤またはIL−1βの阻害剤として記載されていない。
【0018】
式Iの化合物は、ジベンゾ[e,h]アズレン部分の抗炎症特性をマクロライド部分によりもたらされる蓄積特性と組み合わせる点で、従来公知の化合物と異なり、前記マクロライド部分は、結合された場合に、(マクロライドがその中に優先的に蓄積する免疫系とともに)炎症状態に冒された器官または組織に補充され、その結果、炎症の軽減が実質的により局所化および/または強化される。構造式Iにより表される新規化合物のこのような作用は、食細胞、例えば、多核白血球、好酸球、末梢および肺胞食細胞などの炎症特性を有する免疫細胞内にマクロライドが蓄積する特異的薬物動態特性のために、マクロライド部分から生じる。式Iの化合物は、改善された薬物動態および/または安全特性を有し、より少ないおよび/またはより良性の副作用をもたらす。
【0019】
本発明の対象である式Iにより表される化合物、かかる化合物の異性形態、その医薬上許容される塩、プロドラッグ、溶媒和物、およびこれらを含む医薬組成物はすでに記載されていないと考えられる。さらに、本発明の化合物はいずれも抗炎症物質あるいは器官または組織中の好酸球蓄積の阻害剤として記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は:
(a)式I:
【化5】


(式中、Mは、炎症細胞中の蓄積特性を有するマクロライドサブユニットを表し、Dは抗炎症、鎮痛および/または解熱作用を有するジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを表し、LはMとDを共有結合させる結合基を表す)
により表される新規「ハイブリッド」または複合化合物;
(b)1個または複数の前記化合物を、炎症に効き、これによりヒトをはじめとする哺乳動物における炎症を含む障害および状態を治療するために有効な量で含有する組成物;および
(c)かかる障害および状態を治療するためにこれらの化合物を使用する方法に関する。
本発明の化合物は、改善された治療効果および/または改善された副作用特性を有利に提供する。
【0021】
本発明のハイブリッド化合物の好適なマクロライドサブユニットは、制限なく、多員ラクトン環分子から選択することができ、ここにおいて、「員」とは、環中の炭素原子またはヘテロ原子を意味し、「多」とは、約10より多い数、好ましくは10〜約50、さらに好ましくは12、14、15、16、17および18員ラクトン環マクロライドである。14および15員環マクロライドサブユニットが特に好ましく、アジスロマイシンおよびその誘導体およびエリスロマイシンおよびその誘導体がさらに好ましく、9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンおよびその誘導体が最も好ましい。
【0022】
マクロライドサブユニットを選択できる分子のさらに具体的な非制限的例は次の通りである:
(i)アザライド、例えば、エリスロマイシン、ジリスロマイシン、アジスロマイシン、9−ジヒドロ−9−デオキソ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシン、HMR3004、HMR 3647、HMR 3787、ジョサマイシン、エリスロマイシラミン、ABT 773フルリスロマイシン、クラリスロマイシン、チロシン、チルミコシン、オレアンドマイシン、デスミコシン、CP−163505、ロキシスロマイシン、ミオカマイシンおよびロキタマイシン、ならびにその誘導体、例えば、ケトライド(例えば、3−ケトン)、ラクタム(例えば、8a−または9a−ラクタム)および1個または複数の糖部分が欠損した誘導体をはじめとするマクロライド抗生物質。
(ii)マクロライド免疫抑制剤、例えば、FK 506、シクロスポリン、アンホテリシンおよびラパマイシン;
(iii)宿主細胞阻害特性を有するマクロライド抗真菌剤、例えば、バフィロマイシン、コンカナマイシン、ナイスタチン、ナタマイシン、カンジシジン、フィリピン、エトルスコマイシン、トリコマイシン。
【0023】
商業的に入手可能でない前記マクロライドの合成法および一般的なマクロライドの合成操作は当業者に公知であるか、または例えば:Denis A.ら、Bioorg. & Med. Chem. Lett 1999、9、3075−3080;Agouridas C.ら、J. Med. Chem. 1998、41、4080−4100;およびEP−00680967(1998);Sun Or Y.ら、J. Med. Chem. 2000、43、1045−1049;US−05747467(1998);McFarland J. W.ら、 J. Med. Chem. 1997、40、1041−1045;Denis A.ら、Bioorg.& Med. Chem. Lett. 1998、8、2427−2432;WO−09951616(1999);Lartey et al. J Med Chem. 1995、38、1793−1798;EP 0984019;WO 98/56801(それぞれは全体として出典明示により本発明の一部として参照される)において見出すことができる。
【0024】
さらなる好適なマクロライドは公知であり、幾つかは、Bryskier、A. J. ら、Macrolides、Chemistry、Pharmacology and Clinical Use;Arnette Blackwell: Paris、1993、pp 485−491、14(R)−ヒドロキシクラリスロマイシン、エリスロマイシン−11,12−カーボネート、トリ−O−アセチロールアンドマイシン、スピラマイシン、ロイコマイシン、ミデカマイシン、ラサラマイシン(全体として本発明の一部として参照される);Ma、Z.ら、Current Medicinal Chemisty−Anti−Infective Agents、2002、1,15−34;(これも全体として本発明の一部として参照される)ピクロマイシン、ナルボマイシン、HMR−3562、CP−654743、CP−605006、TE−802、TE−935、TE−943、TE−806、6,11−架橋ケトライド、CP−544372、FMA−199、A−179461;およびRomo、D.ら、J. Am. Chem. Soc. 1998、120;12237−12254;(これもその全体として本発明の一部として参照される)に開示されている。特に、14および16員環マクロライドの構造および誘導体については、Bryskierらのpp 487−491、様々なケトライド誘導体および合成は、Maら、特に、すべての構造表およびすべての反応スキーム参照。リンカー部分を用いてジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットと共役した後のこれらのマクロライドはすべて、本発明の範囲内に含まれる。前記の具体的に列挙されたか、または参照されたマクロライド化合物は、商業的に入手可能であるか、またはその合成法が公知である。
【0025】
マクロライドサブユニットが、炎症の部位に補充される免疫系細胞、特に食細胞内に蓄積する特性を有するマクロライド由来であることは重要である。ほとんどの前記定義のラクトン化合物はこの特性を有することが知られている。例えば、14員マクロライド、たとえば、エリスロマイシンおよびその誘導体:15員マクロライド、例えばアジスロマイシンおよびその誘導体、ならびに8a−および9a−ラクタムおよびその誘導体;16−員マクロライド、たとえば、チルミコシン、デスミコシン;およびスピラマイシンは免疫系細胞内に蓄積することが知られているか、または予想される。
【0026】
特定の種類の細胞内で蓄積するマクロライドのさらなる例は:Pascual A.ら、Clin. Microbiol. Infect. 2001、7、65−69(ヒト食細胞および非食細胞におけるケトライドHMR 3647の取り込みおよび細胞内活性);Hand W. L.ら、Int. J. Antimicrob. Agents、2001、18、419−425。(ヒト多核白血球におけるアジスロマイシン蓄積および流出の特性およびメカニズム);Amsden G. W. Int. J. Antimicrob. Agents、2001、18、11−15.(進化したマクロライド:組織指向性抗生物質);Johnson J. D.ら、J. Lab. Clin. Med. 1980、95、429−439.(肺胞マクロファージによる抗生物質取り込み);Wildfeuer A.ら、Antimicrob. Agents Chemother. 1996、40、75−79。(様々な細胞によるアジスロマイシンの取り込みおよびインビボ条件下でのその細胞内活性);Scorneaux B.ら、Poult. Sci. 1998、77、1510−1521。(ニワトリ食細胞におけるチルミコシンの細胞内蓄積、細胞内分布、および流出);Mtairag E. M.ら、J. Antimicrob. Chemother. 1994、33、523−536。(インビトロでのヒト好中球によるジリスロマイシンおよびエリスロマイシン取り込みの調査);Anderson R.ら、J. Antimicrob. Chemother. 1988、22、923−933。(新規マクロライド抗生剤であるクラリスロマイシン(A−56268、TE−031)の細胞取り込みおよび食細胞内生物活性のインビトロ評価);Tasaka Y.ら、Jpn. J. Antibiot. 1988、41、836−840.(肺胞マクロファージによるロキタマイシン取り込み);Harf R.ら、J. Antimicrob. Chemother. 1988、22、135−140.(肺胞マクロファージによるスピラマイシン取り込み)(その全体として本発明の一部として参照される)において見出すことができる。
【0027】
さらに、炎症の部位に補充される免疫系細胞、特に食細胞内の蓄積特性の存在は、この目的について周知の分析法の1つを用いて、本発明の分野における通常の技術を有する人が容易に解明することができる。例えば、Olsen、K. M.ら、Anitmicrob. Agents & Chemother. 1996、40、2582−2585により詳述されている手順を用いることができる。簡単に言うと、試験される細胞、例えば、多核白血球をFicoll−Hypaque遠心分離と、それに続く2%デキストラン沈殿により、健康なボランティアの静脈血から得ることができる。赤血球を浸透圧溶解により除去し、PMNをトリパンブルー排除により評価する。別法として、他の細胞フラクションを分離し、同様に試験することができる。トリチウム化マクロライド化合物(例えば、10μM)を2.5x10細胞とともに120分間インキュベートし(37℃、5% CO、90%相対湿度)、細胞を続いて化合物含有上清から遠心分離により、例えば、シリコン油−パラフィン層(86体積%:14体積%)を通して除去する。化合物の量を、例えば、シンチレーションカウンティングにより決定し、前記バックグラウンドより有意に上昇したスコアは、試験される細胞中のマクロライドの蓄積を示す。Bryskierら、Macrolides、Chemistry、Pharmacology and Clinical Use;Arnette Blackwell: Paris、1993 pp 375−386、381ページ、2列、3行参照。あるいは、化合物を放射標識しないが、化合物の量をHPLCにより決定することができる。
【0028】
使用できる他の分析法は、Bryskier、A. J.ら、Macrolides、Chemistry、Pharmacology and Clinical Use;Arnette Blackwell: Paris、1993 pp 375−386(本発明の一部として参照される)に開示されている。特に、食細胞取り込み測定はpp 380−381、マクロライドの取り込みおよび局在化についての具体的な記載は、pp 381、383および385ならびに382および383の表に記載されている。
【0029】
幾つかの好ましい実施態様において、本発明は式Iにより表される化合物、その塩および溶媒和物に関し、ここにおいて、Mは14または15員ラクトン環マクロライドサブユニット、最も好ましくは式IIにより表されるものである:
【化6】

(式中
(i)ZおよびWは独立して、
【化7】


または結合であり、ここにおいて、
およびRは独立して、Hまたはアルキル(好ましくは、メチルまたはH)である;
は、OH、OR、アルコキシまたは置換アルコキシ(SynまたはAnti配置のいずれか、あるいはその混合物)である;
は、H、R、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキルまたは−C(=X)−NRである;
XはOまたはSである;
ただし、ZおよびWは両方とも同時に
【化8】

または結合であることはないとする、
(ii) UおよびYは独立して、H、ハロゲン、アルキル、またはヒドロキシアルキル(好ましくは、H、メチルまたはヒドロキシメチル)である;
(iii)Rは、ヒドロキシ OR、−O−S、または=Oである;
(iv) Sは、Hまたは式:
【化9】

(式中、
およびRは両方とも水素であるか、または一緒になって結合を形成するか、あるいはRは水素であり、Rは−N(CH)Rである。ここにおいて
は、R、Rまたは−C(O)Rであり、ここにおいて、Rは水素またはシクロアルキル(好ましくはシクロヘキシル)またはアルキル(好ましくはC−Cアルキル)またはアルケニル(好ましくはC−C−アルケニル)またはアルキニル(好ましくはC−C−アルキニル)アリールまたはヘテロアリールであるか、またはC−CアルキルまたはC−CアルケニルまたはC−Cアルキニルまたはアリールまたはヘテロアリールで置換されたアルキルである。(Rは好ましくは水素、メチル、またはエチルである);
10は水素またはRである)
のアグリコン環(例えば、デソサミン基)のC/5位の糖部分である;
(v)SはHまたは式:
【化10】

(式中、R3’はHまたはメチルであり、R11およびR12は独立して水素であり、R11はRであるか、またはR11およびR12は一緒になって結合を形成する)
のアグリコン環(たとえば、クラジノシル基)のC/3位の糖部分である;
(vi) RはH、ヒドロキシ、OR基、アルコキシ(好ましくはC−Cアルコキシ、最も好ましくはメトキシ)、置換アルコキシである;
(vii)AはHまたはメチルである;
(viii)Bはメチルまたはエポキシである;
(ix) EはHまたはハロゲン(好ましくはフッ素)である;
(x)Rはヒドロキシ、OR基またはアルコキシ(好ましくはC−Cアルコキシ、最も好ましくはメトキシ)、置換アルコキシであるか、またはRはRと結合して「ブリッジ」(例えば、環状カーボネートまたはカーバメート)を形成することができる基であるか、あるいはWまたはZが
【化11】

であるならば、RはWまたはZと結合して、「ブリッジ」(例えば、環状カーバメート)を形成できる基である;
(xi) RはC−Cアルキル(好ましくはメチル)である;
(xii)RはH、ヒドロキシ、OR基、C−Cアルコキシ、置換アルコキシまたはRと結合してブリッジ(例えば、環状カーボネートまたはカーバメート)を形成できる基である;
(xiii)RはHまたはC−Cアルキル(好ましくはメチルまたはエチル)である;そして
はヒドロキシルまたはアミノ保護基である;
ここにおいて、サブユニットMは、これによりサブユニットDと結合基Lを介して結合される結合部位を有する。結合部位は、好ましくは1個または複数の以下の部位にある:
a)任意の反応性ヒドロキシ、N、あるいはS、S、またはS(あるいはSおよびSが両方とも)が開裂するならばアグリコン酸素上に位置するエポキシ基;
b)反応性>N−R、−NRあるいはZまたはW上に位置する=O基;
c)R、R、R、およびRのいずれか一つに位置する反応性ヒドロキシ基;
d)ヒドロキシまたは−NR基にまず誘導化され、次いでLの全部または一部と結合できる任意の他の基(例えば、OH→=O→エポキシ→
【化12】

【0030】
1個または複数のR基が独立して式IIのマクロライドサブユニット中に存在してもよく、ここにおいて、Rは、アルキル(好ましくはメチル)、アルカノイル(好ましくはアセチル)、アルコキシカルボニル(好ましくはメトキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル)、アリールメトキシカルボニル(好ましくはベンジルオキシカルボニル)、アロイル(好ましくはベンゾイル)、アリールアルキル(好ましくはベンジル)、アルキルシリル(好ましくはトリメチルシリル)またはアルキルシリルアルコキシアルキル(好ましくはトリメチルシリルエトキシメチル)基から選択することができる保護基を表す。アミノ保護基は、通常の技術により除去することができる。従って、例えば、アルカノイル、アルコキシカルボニルまたはアロイルなどのアシル基は、加溶媒分解、例えば、酸性または塩基性条件下での加水分解により除去することができる。アリールメトキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル)は、木炭上パラジウムなどの触媒の存在下での水素化分解により開裂させることができる。
【0031】
Lは、MとDの間に必要な間隔を提供する様々な結合基から選択できるスペーシングまたは結合基である。例えば、制限なく、Lは式IV:
−(CH−Q−(CH−X IV
(式中
は:−CH−、−OC(=O)−、−C(=O)、NO−、−OC(=O)NH−または−C(=O)NH−から選択される;
は:−NH−、−CH−、−NHC(=O)−、−OC(=O)−、−C(=O)または−Oから選択される
Qは−NH−または−CH−であるか、あるいは存在しない;
ここにおいて、各−CH−または−NH−基はC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、C(O)NHR(式中、RはC−C−アルキル、アリールまたはヘテロアリールである)により任意に置換されていてもよい;
記号mおよびnは独立して0〜4の整数である;
ただし、Q=NHならば、nは0でないとする)
により表される結合基であるように選択される。
【0032】
他の結合基は、これらが必要なスペーサーを提供する限り、用いることができ、当該分野において周知のように、式Iの一つのサブユニットを他のものと結合させる働きをすることができる。結合基は結合の役割しか有さないので、その同一性は広義の実施態様において本発明について必須であると考えられない。
【0033】
式Iにおいて、Dは特に、式IIIのジベンゾ[e,h]アズレンサブユニット:
【化13】

(式中、
X’はそれぞれ、−CH−あるいは−O−;−S−;またはNR10’から選択されるヘテロ原子を意味する;
W’およびZ’は独立して、−CH−、−S−、−O−または−NR11’−である。ただしW’およびZ’は同時に−CH−、酸素、または硫黄でないとする;
’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’は互いに独立して、水素あるいは1個または複数の利用可能な炭素原子と結合した1個または複数の同一または異なる置換基を表し、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロ−C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルキオキシ、C−Cアルカノイル、メタンスルホアニリド、アミノ、アミノ−C−Cアルキル、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、チオール、C−Cアルキルチオ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、シアノ、C−Cアルキルオキシカルボニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニル;ヒドロキシ−C−Cアルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルフィニル;アミノ−C−Cアルキルスルホニル、アミノ−C−Cアルキルスルフィニルである;
’は水素、ハロ、任意に置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ホルミル、ヒドロキシ−C−Cアルケニル、ヒドロキシ−C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルオキソアルキル、チオール、チオ−C−Cアルケニル、チオ−C−Cアルキニル、C−Cアルキルチオール、アミノ、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ、C−Cアルキルアミノ、アミノ−C−Cアルケニル、アミノ−C−Cアルキニル、アミノ−C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、任意に置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、ヒドロキシカルボニルアルキル、シアノ、シアノ−C−Cアルキル、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルフィニル;アミノ−C−Cアルキルスルホニル、アミノ−C−Cアルキルスルフィニルまたはニトロ基または式IIbで表される基:
【化14】

(式中、
およびQは互いに独立して、酸素、硫黄または次の4つの基の意味を有する:
【化15】

(式中、置換基yおよびyは互いに独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されていてもよいC−C−アルキルまたはアリール ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、チオール、C−C−アルキルチオ、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、スルフィニル、C−C−アルキルスルフィニル、シアノ、ニトロの意味を有するか、あるいは一緒になって、カルボニルまたはイミノ基を形成し、Aはそれぞれ、アミノ、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロサイクリックまたはモルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群から選択されるヘテロアリールを意味する)であり;
A’は、アミノ、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロサイクリックまたはモルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群から選択されるヘテロアリールである;あるいは
A’は構造式IIIbにより表される:
【化16】

(式中、R12’は水素または任意に置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、任意に置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを表す);
nは0〜5の整数を表す;
10’は水素または任意に置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、任意に置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、アリールアルキル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを表す;
11’は水素または任意に置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、任意に置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、アリールアルキル、カルボキシ、任意に置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを表す)
ならびにその医薬上許容されるエステル、および溶媒和物を表す。
【0034】
Lとの結合部位は、R’−R’の間;好ましくはR’位の任意のジベンゾ[e,h]アズレン位置である。
【0035】
本明細書に含まれる式中の太字の結合は、結合が紙面から隆起していることを示す;ダッシュ付結合は、結合が紙面から下にあることを意味し、一方、破線は紙面より下または上のいずれかである結合を表す。平行な実線と破線は一重結合または二重結合のいずれかを表す。本明細書において特に記載しない限り、次の用語は以下に記載する意味を有する:
【0036】
「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖飽和一価炭化水素ラジカルを意味する。好ましい直鎖または分岐鎖アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。メチルが最も好ましい。アルキル基は、ハロゲン(好ましくはフッ素または塩素)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくはメトキシまたはエトキシ)、アシル、アシルアミノ シアノ、アミノ、N−(C1−C4)アルキルアミノ(好ましくはN−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C1−C4−アルキル)アミノ(好ましくはジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、アリール(好ましくは、フェニル)またはヘテロアリール、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ、アリールオキシアリール、ニトロ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル置換アルキル、カルボキシル−シクロアルキル、カルボキシル置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル置換ヘテロアリール、カルボキシルヘテロサイクリック、カルボキシル置換ヘテロサイクリック、シクロアルキル、シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、およびオキシカルボニルアミノを包含する1から5個までの置換基で置換されていてもよい。このような置換アルキル基は、この「アルキル」の定義の範囲内に含まれる。アルキルのこの定義は、アルコキシなどのアルキル部分を有する他の基にも適用される。
【0037】
「アルケニル」とは、2〜10、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖一価炭化水素ラジカルであって、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有するものを意味する。アルケニル基はアルキルと同じ基で置換されていてもよく、このような任意に置換されていてもよいアルケニル基は「アルケニル」なる用語に含まれる。エテニル、プロペニル、ブテニルおよびシクロヘキセニルが好ましい。
【0038】
「アルキニル」とは、2〜10、好ましくは2〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖を有し、少なくとも1個、好ましくは3個以下の炭素−炭素三重結合を含有する直鎖または分岐鎖一価炭化水素ラジカルを意味する。アルキニル基はアルキルと同じ基で置換することができ、置換された基もアルキニルのこの定義の範囲内に含まれる。エチニル、プロピニルおよびブチニル基が好ましい。
【0039】
「アルコキシ」とは、前記定義のような直鎖または分岐鎖C1−10アルキル基であって、指定された数の炭素原子を含有し、酸素原子を介して親分子と結合するものを意味する。たとえば、C1−4アルコキシとは、少なくとも1個、最高で4個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖アルコキシを意味する。本明細書において定義される「アルコキシ」の例としては、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ−2−オキシ、ブトキシ、ブト−2−オキシ、2−メチルプロプ−1−オキシおよび2−メチルプロプ−2−オキシが挙げられる。
【0040】
「シクロアルキル」とは、アリールまたはヘテロアリール基と任意に縮合した単環を有する3〜8個の炭素原子を有する環状基を意味する。シクロアルキル基は、下記の「アリール」について特定されるように置換することができ、置換シクロアルキル基は「シクロアルキル」のこの定義の範囲内にある。好ましいシクロアルキルは、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0041】
「アリール」とは、フェニルなどの単環またはナフチルなどの複数の縮合環を有する、6〜14個の炭素原子を有する不飽和芳香族炭素環基を意味する。アリールは任意に脂肪族またはアリール基とさらに縮合していてもよく、あるいは1個または複数の置換基、例えば、ハロゲン(フッ素、塩素および/または臭素)、ヒドロキシ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシまたはアリールオキシ、C−Cアルキルチオまたはアリールチオ、アルキルスルホニル、シアノまたは第一または非第一アミノで置換することができる。
【0042】
「ヘテロアリール」とは、2〜10個の炭素原子および1〜4個のヘテロ原子、例えば、O、SまたはNを有する単環または二環式芳香族炭化水素を意味する。ヘテロアリール環は任意にもう一つ別のヘテロアリール、アリールまたは脂肪族環状基と縮合していてもよい。この種類の例は、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、インドール、ピリジン、オキサゾール、チアゾール、ピロール、ピラゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンであり、フラン、ピロール、ピリジンおよびインドールが好ましい。この用語は、前記アリールについて特定されたのと同じ置換基で置換された基を包含する。
【0043】
「ヘテロサイクリック」とは、単環または多環および1〜10個の炭素原子および1〜4個の、窒素、硫黄または酸素から選択されるヘテロ原子を有する飽和または不飽和基を意味し、ここで、縮合環系において、他の環はアリールまたはヘテロアリールであってよい。ヘテロサイクリック基はアルキル基について特定されたように置換することができ、このような置換されたヘテロサイクリック基は本定義の範囲内にある。
【0044】
アリール、ヘテロアリールまたはヘテロ環は、1、2またはそれ以上の置換基で任意にさらに置換することができる。置換基はハロ(塩素またはフッ素)、C−Cアルキル(好ましくはメチル、エチルまたはイソプロピル)、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、C−Cアルキルオキシカルボニル(好ましくは、メチルオキシカルボニル)チオール、C−Cアルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ(好ましくは、N,N−ジメチルアミノまたはN,N−ジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくはメチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル(好ましくは、メチルスルフィニル)である。
【0045】
「任意に置換されていてもよいアルキル」なる用語は、1、2、3またはそれ以上の置換基で任意にさらに置換されていてもよいアルキル基に関する。このような置換基は、ハロゲン原子(好ましくはフッ素または塩素)、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ(好ましくは、メトキシまたはエトキシ)、チオール、C1−C4アルキルチオ(好ましくは、メチルチオまたはエチルチオ)、アミノ、N−(C−C)アルキルアミノ(好ましくは、N−メチルアミノまたはN−エチルアミノ)、N,N−ジ(C−C−アルキル)−アミノ(好ましくは、ジメチルアミノまたはジエチルアミノ)、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル(好ましくは、メチルスルホニルまたはエチルスルホニル)、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル(好ましくはメチルスルフィニル)である。
【0046】
本発明はさらに、本発明の化合物の医薬上許容される塩を包含する。本発明の化合物の医薬的に好適な塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸または硫酸)あるいは有機酸(例えば、酒石酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、コハク酸、メタンスルホン酸、シュウ酸およびp−トルエンスルホン酸)との塩を包含する。
【0047】
本発明はさらに、式Iの化合物のプロドラッグ、すなわち、哺乳動物対象に投与された場合に式(I)の活性な親ハイブリッド薬剤をインビボで放出する化合物も包含する。式Iの化合物のプロドラッグは、式Iの化合物中に存在する官能基を修飾して、インビボで開裂して親化合物を放出するようにすることにより調製される。プロドラッグは、式Iの化合物のヒドロキシ、アミノ、またはカルボキシ基が、インビボで開裂して、それぞれ遊離ヒドロキシル、アミノまたはカルボキシ基を再生することができる任意の基と結合している式Iの化合物を包含する。プロドラッグの例としては、これに限定されないが、式Iの化合物のエステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステル誘導体)、あるいは生理的pHにされるか、または酵素作用により、活性な親薬剤に変換される任意の他の誘導体を包含する。
【0048】
本発明はさらに、式Iの化合物の溶媒和物(好ましくは水和物)またはその塩を包含する。
【0049】
式Iの化合物は1個または複数のキラル中心を有し、個々の置換基に応じて、幾何異性体も包含し得る。空間におけるその原子の配列が異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。互いに鏡像でない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれ、互いに重ね合わせることができない鏡像であるものは「エナンチオマー」と呼ばれる。化合物がキラル中心を有する場合、一対のエナンチオマーが可能である。エナンチオマーはその不斉中心の絶対配置により特徴づけられ、CahnおよびPrelogのR−およびS−配列則により、あるいは分子が偏光面を回転する方法により記載され、右旋性または左旋性(すなわち、それぞれ(+)または(−)異性体)として表示される。キラル化合物は個々のエナンチオマーまたはエナンチオマーの混合物として存在し得る。等しい割合のエナンチオマーを含有する混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。本発明は、式Iの化合物のすべての個々の異性体を包含する。本明細書および請求の範囲における特定の化合物の記載および命名は、個々のエナンチオマーおよび混合物、ラセミまたは他の混合物を包含することを意図される。立体異性体の立体化学の決定および分割法は当該分野において周知である。
【0050】
本発明はさらに、オキシムまたは類似の基が存在する場合に生じるsyn−anti型の立体異性体、およびその混合物も包含する。オキシムの末端二重結合した原子の1つに結合した最高のCahn Ingold Prelog最優先基をオキシムのヒドロキシル基と比較する。立体異性体は、オキシムヒドロキシルが最優先の基としてC=N二重結合を通る基準平面の同じ側にあるならば、Z(zusammen=同じ)またはSynと表示される;他の立体異性体はE(entgegen=反対)またはAntiとして表示される。
【0051】
「医薬上許容される賦形剤」とは、一般的に安全で、非毒性であり、生物学的にも、他の方法でも望ましくないことがない医薬組成物の調製において有用な賦形剤を意味し、獣医学的用途ならびに人間の医薬用途について許容される賦形剤を包含する。「医薬上許容される賦形剤」とは、本出願において用いられるように、1および1より多いこのような賦形剤を包含する。
【0052】
状態、疾患または症状を「治療する」または「治療」とは:
(1)状態、障害または症状にかかっているか、またはかかりやすいが、まだ前記状態、障害または症状の臨床的または亜臨床的症状を経験または示していない哺乳動物において発症する状態、障害または症状であって、少なくとも1つの臨床的症状の出現を予防または遅延させること、
(2)状態、障害または症状の阻害、すなわち、疾患またはその少なくとも1つの臨床的または亜臨床的症状の発症の阻止または軽減、
(3)疾患の軽減または減衰、すなわち、状態、障害または症状あるいは少なくとも1つのその臨床的または亜臨床的症状の退縮を引き起こすことを包含する。
【0053】
治療される対象にとっての利点は、患者または医師に対して統計的に有意であるかまたは少なくとも認知できるかのいずれかである。
【0054】
「治療的に有効な量」とは、状態、障害または症状を治療するために哺乳動物に投与された場合、かかる治療を行うために十分な化合物の量を意味する。「治療的に有効な量」は、化合物、疾患およびその重さならびに治療される哺乳動物の年齢、体重、身体的状態および反応性に応じて変わるであろう。
【0055】
急性炎症の4つの伝統的な症状は、発赤、体温上昇、患部の腫れ、および痛み、ならびに罹患器官の機能の喪失である。
【0056】
特定の状態に関連する炎症の症状および兆候は次のものを包含する:
関節リウマチ−関連する関節の疼痛、腫れ、温覚および圧痛;全身および朝のこわばり;
インスリン依存性糖尿病−膵島炎;この状態は、網膜症、神経障害、腎症;冠動脈疾患、末梢血管障害、および脳血管疾患をはじめとする炎症成分を有する様々な合併症につながり得る;
自己免疫性甲状腺炎−息の衰弱、不活発、息切れ、顔、手および足ののむくみ、末梢浮腫、徐脈;
多発性硬化症−痙性、視界不良、目まい、脚弱、知覚障害;
ぶどう膜網膜炎−暗視能力の低下、周辺視覚の喪失;
紅斑性狼瘡−関節痛、発疹、光過敏性、熱、筋肉痛、手足のむくみ、尿検査異常(血尿、円柱尿、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血管内血栓、心膜炎;
強皮症−レイノー病;手、腕、脚および顔の腫れ;皮膚の肥厚;指および膝の疼痛、腫れおよび硬直、胃腸障害、拘束性肺疾患;心膜炎;腎不全;
炎症性成分を有する他の関節炎状態、例えば、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、敗血症性関節炎および多発性関節炎−熱、疼痛、腫れ、圧痛;
他の炎症性脳障害、たとえば、髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS認知症脳炎−光恐怖症、認知機能障害、記憶喪失;
他の眼の炎症、例えば、網膜炎−視力の低下;
炎症性皮膚障害、例えば、湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性、接触性)、乾癬、UV照射により誘発されるやけど(日光および類似のUV源)−紅斑、疼痛、落屑、腫れ、圧痛;
炎症性腸疾患、例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎−疼痛、下痢、便秘、直腸出血、熱、関節炎;
喘息−息切れ、喘鳴;
他のアレルギー障害、例えば、アレルギー性鼻炎−くしゃみ、掻痒、鼻水
卒中後の脳損傷などの急性外傷に関連する状態−感覚消失、運動喪失、認識消失;
心筋虚血による心臓組織損傷−疼痛、息切れ;
肺損傷、例えば、成人呼吸窮迫症候群において起こるもの−息切れ、過呼吸、酸化の減少 、肺浸潤;
感染に伴う炎症、例えば、敗血症、敗血症性ショック、骨髄炎、毒素性ショック症候群−熱、呼吸不全、頻脈、低血圧、白血球増加症;
特定の器官または組織に関連する他の炎症状態、例えば腎炎(例えば、糸球体腎炎)−乏尿、尿検査異常;
炎症を起こした虫垂−熱、疼痛、圧痛、白血球増加症;
痛風−関連する関節の疼痛、圧痛、腫れおよび紅斑、血清および/または尿中尿酸濃度の上昇;
炎症を起こした胆嚢−腹痛および圧痛、熱、吐き気、白血球増加症;
慢性閉塞性肺疾患−息切れ、喘鳴;
鬱血性心不全−息切れ、水泡音、末梢浮腫、慢性静脈洞炎、鼻ポリープ、嚢胞性線維症、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎;
II型糖尿病−末端器官合併症、例えば、心臓血管、眼、腎臓、および末梢血管障害;
肺線維症−過呼吸、息切れ、酸化の減少;
血管疾患、例えば、冠動脈疾患、アテローム性動脈硬化症および再狭窄−疼痛、感覚消失、脈の減少、機能消失;および
移植片拒絶反応に至る同種免疫−疼痛、圧痛、熱。
【0057】
亜臨床的症状は、制限なく、臨床症状の徴候に先行する炎症の外観についての診断マーカーを包含する。亜臨床的症状の一種、例えば、炎症性リンパ球様細胞の器官または組織中の浸潤または蓄積あるいは病原体を認識する局部的または末梢的に活性化された炎症性リンパ球様細胞あるいは前記器官または組織に特異的な抗原の存在などの免疫学的症状である。リンパ球様細胞の活性化は、当該分野において公知の技術により測定できる。
【0058】
治療的に有効な量の活性成分を宿主内の特定の場所に「送達する」とは、特定の場所で治療的に有効な活性成分の血中濃度をもたらすことを意味する。これは、例えば、宿主に活性成分を局所または全身投与することにより達成できる。
【0059】
好ましくは、式IIにより表される化合物において、
ZおよびWは一緒になって、−N(R)C(O)−、−C(O)N(R)−、>C−NR、−C(O)−、>C=N−R、−CHNR−または−NRCH−であり、最も好ましくは、−NCHCH−、−NHCH−、−CHNH−、−C(O)NH、−NHCO−である;
、RはメチルまたはHである;
はOHまたはメトキシである;
XはOである;
はH、メチル、または−C(=X)−NRである;
AはHまたはメチルである;
U、YはH、F、メチルまたはヒドロキシメチルである;
はヒドロキシ、−O−S、または=Oである;
はH、ヒドロキシまたはメトキシである;
はOH、メトキシあるいはWまたはZと環状カーバメートブリッジを形成する基である;
はメチルである;
はH、OH、メトキシあるいはRと環状カーボネートまたはカーバメートブリッジを形成する基である。
結合は、マクロライドのN/9aまたはN/8a位のZの窒素またはR12の炭素またはR11の酸素(両方ともS糖のC/4”位)による。
はH、メチルまたはエチルである;
はH、N(CH、NH(CH)またはN(CH)CHCHである;
はHである。
結合部位は、好ましくはC/3位であるか;またはS糖のC/3’位またはC/11位またはWまたはZのアミノ基、あるいはS糖のC/4”位による。
【0060】
Mが式IIを有するものであり、(i)ZがNCHであり、WがCHであり、Rがヒドロキシであるか;または(ii)ZがNHであり、Wが=COであり、Rがメトキシである式I内の化合物も好ましい。(この項に記載されている化合物はすぐ上の項におけるのこりの選択を満足しても、しなくてもよいが、好ましくは満足するものである)。
【0061】
本発明のさらなる態様は、式Iにより表される化合物の調製法に関する。一般に、式Iの化合物は次のようにして得ることができる:L鎖の一端をまずマクロライドサブユニットMと結合させ、次いで、鎖の他端をジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットDと結合させる;あるいはL鎖の一端をまずジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットDと結合させ、次いで、鎖の他端をマクロライドサブユニットMと結合させるか、あるいは最終的に鎖の一部分をマクロライドサブユニットMと結合させ、一方、鎖の他端をジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットDと結合させ、鎖部分の両端を次いで化学的に結合させて、鎖Lが形成される。
【0062】
式Iの化合物の調製において用いられる中間体の保護誘導体を用いるのが望ましいことは当業者には理解されるであろう。官能基の保護および脱保護は当該分野において公知の方法により行うことができる。ヒドロキシルまたはアミノ基は、例えば、Green T.W.;Wuts P. G. M.有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis):John Wiley and Sons、New York、1999において記載されているようにして、任意のヒドロキシルまたはアミノ保護基で保護することができる。アミノ保護基は、通常の技術により除去することができる。例えばアシル基、例えば、アルカノイル、アルコキシカルボニルおよびアロイル基は、加溶媒分解、例えば、酸性または塩基性条件下での加水分解により除去することができる。アリールメトキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル)は、木炭上パラジウムなどの触媒の存在下での水素化分解により開裂させることができる。
【0063】
さらに詳細には、式Iの化合物は次の方法により調製することができる。
a)Xが−NH−である式Iの化合物は、式V:
【化17】

(式中、Lは脱離基(例えば、ヒドロキシ)である)
により表されるジベンゾ[e,h]アズレンサブユニット、および式VIa:
【化18】

により表されるマクロライドサブユニットの遊離アミノ基を反応させることにより形成することができる。
【0064】
反応は一般に、非ステロイド系抗炎症サブユニットのカルボン酸を活性化誘導体、例えば、ハロゲン化物、混合無水物、またはカルボン酸のカルボジイミドとの反応物(例えば、−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)およびベンゾトリアゾール)にその場であらかじめ変換することにより行われる。反応は塩基、例えば、有機塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、室温で、窒素およびアルゴンなどの不活性雰囲気下で進行する。反応は、完全に変換するために数時間から数日を要する。
【0065】
例えば、Lが−K−NH−(式中、Kはマクロライドと結合した結合分子Lの一部である)である場合、式Iの化合物は、マクロライド環上の>NH基を>N−K−NH基に誘導化し、誘導化マクロライドを式V(式中、Lは脱離基である)により表されるジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットとスキームIに従って反応させることにより形成できる。
【0066】
式Vにより表されるものを包含するすべてのジベンゾアズレンサブユニットは、特許出願WO 03/097648、WO 03/097649、WO 03/099823、WO 03/099827、WO 03/084964およびWO 01/87890(それぞれ、出典明示により本発明の一部として参照される)に従って合成される。
【0067】
構造式VIaの出発マクロライドサブユニットの調製は、PCT WO 02/055531 A1(全体として本発明の一部として参照される)に記載されている。Bright、米国特許第4,474,768号およびBright、G.M.ら、J. Antibiot. 1988、41、1029−1047も参照(それぞれ、その全体として本発明の一部として参照される)。
【化19】

【0068】
この方法は、マクロライド中のNH基がマクロライドの糖環S(すなわち、Rが水素である場合のデソサミン糖)の3’位に結合している場合にはスキームIIに従って行うこともできるか:
【化20】

あるいは糖環Sの4”位(すなわち、R11が水素である場合のクラジノース糖)で結合していえる場合はスキームIIIに従って行うことができる:
【化21】

【0069】
反応物質マクロライドサブユニットは、対応するマクロライドをクラジノース糖上の4’’位にヒドロキシ置換基を有する、対応するマクロライドを酸化して、4’’位に=O置換基を得、4’’位の
【化22】

をエポキシ基
【化23】

に変換し、エポキシ基を適当な反応物質で開裂させて、反応物質マクロライドサブユニット(M−CH−NH−K−NH)を得ることにより形成できる。
b)式I (式中、Xは−OC(O)−である)により表される化合物は、式Vにより表されるジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットおよび式VIb:
【化24】

により表されるマクロライドサブユニットの遊離ヒドロキシル基を反応させることにより形成できる。
【0070】
反応は一般に、非ステロイド系抗炎症サブユニットのカルボン酸を活性化誘導体、例えば、ハロゲン化物、混合無水物、またはカルボン酸のカルボジイミド(例えば、−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド(EDC)およびベンゾトリアゾール)との反応物にその場で変換することにより行われる。反応は典型的には室温で、窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下で行われる。反応は完了するのに数時間から数日を要する。
【0071】
構造式VIbの出発マクロライドサブユニットは公知化合物であるか、またはCosta A. M.ら、Tetrahedron Letters 2000、41、3371−3375(その全体として本発明の一部として参照される)に記載されているものなどの類似の化合物について記載されている手順に従って得ることができる。
【0072】
例えば、結合Lが−K−O−である場合、式Iの化合物は、(1)マクロライド上の>NH基を誘導化して>N−K−OH基にし、(2)誘導化マクロライドをジベンゾ[e,h]アズレン抗炎症サブユニットD上の遊離カルボン酸基とスキームIVに従って反応させることにより、形成することができる:
【化25】

【0073】
結合基−K−OHは、マクロライドサブユニットの第一または第二窒素原子と次のようにして結合させることができる。マクロライドサブユニットをアルケノイル誘導ミカエルアクセプター、例えば、CH=CH(CHC(O)O−アルキル(例えば、メチルアクリレート)と反応させる。エステル基(すなわち、−C(O)O−アルキル)を次いで、例えば、無水有機溶媒中、金属水素化物(例えば、LiAlH)を用いて還元して、結合基−K−OH(すなわち、M−K−OH)を有するマクロライドサブユニットを得る。還元は典型的には、低温、好ましくは0℃以下で行われる。
【0074】
この方法は、NH基がマクロライド中の糖環の3’位(例えば、マクロライドの5位の糖)で結合している場合にも行うことができる。
c)式I(式中、Xは−OC(O)−であり、Qは−CH−またはNHであり、Xは−NH−である)により表される化合物は、式:
【化26】

(式中、4’’は、クラジノース糖などの糖S上の4位である)により表されるマクロライドサブユニット、および式:
【化27】

の遊離アミノ基を有する誘導化ジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットをアセトニトリルなどの溶媒中で反応させることにより調製でき、以下に示すようなミカエル生成物を得る。
【化28】

【0075】
誘導化ジベンゾ[e,h]アズレンサブユニット(すなわち、D−C(O)−NH−K−NH)は、適当なアミン(結合基−K−NHを有する)をジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットのカルボン酸基と反応させることにより形成できる。
d)式I(式中、Xは−OC(O)NH−であり、Xは−NH−である)により表される化合物は、マクロライドサブユニットおよび遊離アミノ基を有する誘導化ジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを以下に示すように反応させることにより調製できる。
【化29】


e)式I(式中、Xは−OC(O)NH−であり、Xは−NH−である)により表される化合物は、マクロライドサブユニットおよび遊離カルボン酸基を有するジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを以下に示すように反応させることによっても調製できる。
【化30】


f)式Iの化合物は、脱離基L(例えば、Br)を有するマクロライドサブユニット、およびジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを以下のように反応させることにより調製できる。
【化31】


出発マクロライドサブユニットは、マクロライド環の3位に結合した糖基を開裂させ、次いでマクロライドを式L−L−L(式中、Lは脱離基である)の反応物質と反応させることにより調製できる。
g)式Iの化合物は、脱離基L(例えば、Br)を有するマクロライドサブユニット、およびジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを以下のように反応させることにより調製できる。
【化32】


h)式Iの化合物は、脱離基L(例えば、Br)を有するマクロライドサブユニット、およびジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを以下のように反応させることにより調製できる。
【化33】

【0076】
16員環マクロライドは伝統的にそのアグリコンの置換パターンに基づいてサブファミリーに分類される。このファミリーの主なプロトタイプは、ロイコマイシン、スピラマイシンおよびチロシンにより表すことができる。
【0077】
チロシンは代表的な16員マクロライドであり、2個の二重結合を有する(チロノリド)および5−ヒドロキシル基に結合したジサッカライドに加えて第三のサッカライド置換基(β−D−ミシノース)ベータ−D−ミコシンを有する、高度に置換されたアグリコンを有する。ジサッカライドからのミカロースの加水分解により、デスミカロシル−チロシン(デスミコシン)を得た。
【0078】
デスミコシンにおける修飾の潜在的な位置:
【化34】

【0079】
例えば、16員環マクロライドハイブリッドは、C−20アルデヒド基の還元的アミノ化により調製できる。
【0080】
【化35】

【化36】

【0081】
この反応は、17員アザライド、例えば、8a−アザ−ホモデスミコシンおよびその誘導体(例えば、ジおよびテトラヒドロ誘導体)にも用いることができる。
【0082】
16員環マクロライド誘導化における他の可能性は、エポキシ化による二重結合の変換、およびエポキシ基の適当な反応物質(例えば、ジアミン)での開裂であり、反応物質マクロライドサブユニット(M−CH−NH−K−NH)を得る。
【0083】
9位のケトンもヒドロキシルアミン塩酸塩により修飾することができ、対応するオキシムが得られ、次に還元されてアミンが得られる。
【0084】
本発明のさらなる態様は、炎症の軽減、および望ましくない炎症性免疫応答により特徴づけられるか、または関連する炎症性疾患、障害および状態、特にTNF−αおよびIL−1の過度の分泌により誘発されるか、または関連するすべての疾患の治療における式Iの化合物の使用に関する。
【0085】
本発明の組成物に関連して用いられる「医薬上許容される」なる語句は、分子的実体およびかかる組成物の他の成分であって、生理学的に許容性であり、典型的には哺乳動物(例えば、ヒト)に投与された場合に有毒な反応をもたらさないものを意味する。好ましくは、本明細書において用いられるように、「医薬上許容される」なる用語は、連邦または州政府の管理機関により認可されているか、または米国薬局方または他の一般に認知された薬局方において、哺乳動物、さらに詳細にはヒトにおける使用について記載されていることを意味する。
【0086】
一般的および好ましい有効量の化合物、その医薬的な塩、その溶媒和物、またはそのプロドラッグを以下の表に示す。
【表1】

【0087】
さらに、本発明は、有効量の本発明の化合物、ならびに医薬上許容される賦形剤、例えば、担体または希釈剤を含有する医薬組成物に関する。
【0088】
本発明の化合物の有効性は、炎症または抗炎症効果を評価するための任意の方法により評価できる。この目的のために、制限なく、対照超音波を超微粒気泡の注入と併せて使用すること、炎症性サイトカイン(例えば、TNF−α、IL−1、IFN−γ、IL−6、IL−8、IL2、およびIL−5)の測定、活性化免疫系細胞の測定並びに観察(浮腫の軽減、紅斑の減少、掻痒または灼熱感の軽減、体温の低下、罹患器官の機能の改善)をならびに以下に記載される任意のものをはじめとする多くの公知の方法がある。
【0089】
医薬組成物
さらに、本発明は有効量の本発明の化合物、並びに医薬上許容される賦形剤、例えば、担体または希釈剤を含有する医薬組成物に関する。
【0090】
本発明の方法における使用に関して、式Iの化合物をバルク物質として投与することが可能であるが、例えば、医薬処方中活性成分を提供するのが好ましく、ここにおいて、例えば、薬剤は、投与経路および標準的調剤実施例に関して選択された医薬上許容される担体との混合物である。
【0091】
本発明の化合物の対応する製剤は、予防(制限なく、前述の「治療」の定義に関連して論議し、定義された1以上の臨床または亜臨床的症状の再発の予防、遅延または阻害を包含する)、ならびにいくつかの疾患および病的炎症状態、例えば:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、炎症性鼻疾患、例えば、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープ、消化管疾患、例えば、クローン病、結腸炎、腸炎、潰瘍性大腸炎、皮膚炎症、例えば、湿疹、乾癬、アレルギー性皮膚炎、神経皮膚炎、掻痒症、結膜炎および関節リウマチの治療において用いることができる。
【0092】
「担体」なる用語は、活性化合物が一緒に投与される希釈剤、賦形剤、および/またはビヒクルをさす。本発明の医薬組成物は、1より多い担体の組み合わせを含有することができる。このような医薬担体は、無菌液体、例えば、水、塩溶液、水性デキストロース溶液、水性グリセロール溶液、および、例えば、石油、動物、植物または合成起源のもの、たとえば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などをはじめとする油であってよい。水または水溶液、塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液が担体として、特に注射溶液に好ましく用いられる。好適な医薬担体は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」E.W. Martin著、第18版に記載されている。医薬担体の選択は、意図される投与経路および標準的調剤実施例に関して選択することができる。医薬組成物は、担体に加えて、任意の好適なバインダー、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、および/または可溶化剤を含むことができる。
【0093】
「医薬上許容される賦形剤」とは、一般に安全で、非毒性であり、生物学的にも、他の方法でも望ましくないことはない医薬組成物の調製において有用な賦形剤を意味し、獣医学的用途ならびに人間の医薬用途に許容される賦形剤を包含する。本出願において用いられるように、「医薬上許容される賦形剤」は、1および1以上のかかる賦形剤を包含する。
【0094】
本発明に従って使用される医薬組成物は、経口、非経口、経皮、吸入、舌下、局所、移植、経鼻、または経腸投与(または他の粘膜投与)される、懸濁液、カプセルまたは錠剤であって、1以上の医薬上許容される担体または賦形剤を用いて通常通り処方できる形態であり得る。
【0095】
異なる送達経路に応じて、異なる組成物/処方要件が存在し得る。すべての化合物が同じ投与経路により投与される必要があるとは限らないと理解される。同様に、組成物が1より多い活性成分を含むならば、これらの成分は同じかまたは異なる経路により投与できる。一例として、本発明の医薬組成物は、ミニポンプの使用によるか、または粘膜経路により、例えば、鼻スプレーまたは吸入用エアゾルまたは摂取可能な溶液として、あるいは組成物が注射可能な形態により、例えば静脈内、筋肉内または皮下経路により送達されるために処方される非経口により送達されるために処方できる。別法として、処方は複数の経路により送達されるために設計することができる。
【0096】
本発明はさらに、治療的に有効な量の式Iの化合物または医薬上許容されるビヒクルと混合された塩の1つを含有する医薬処方に関する。本発明の医薬処方は、経口、粘膜および/または非経口投与に適した液体、例えば、滴剤、シロップ、溶液、すぐに使用できる注射溶液であるか、または凍結乾燥製品の希釈により調製されるが、好ましくは固体または半固体、例えば、錠剤、カプセル、顆粒剤、散剤、ペレット、ペッサリー、坐剤、クリーム、軟膏(salve)、ジェル、軟膏(ointment);あるいは溶液、懸濁液、乳液、または経皮経路または吸入による投与に適した他の形態であってよい。
【0097】
本発明の化合物は、即時、遅延型、修飾、持続型、パルス型、または制御放出用途のために投与できる。
【0098】
化合物は、器官または組織において局在化した炎症、例えば、クローン病の治療用処方に組み入れることもでき、ここにおいて、これは経口または経直腸投与できる。経口投与用処方は、炎症の部位での化合物のバイオアベイラビリティーを可能にする賦形剤を組み入れることができる。これは、腸および遅延放出型処方の異なる組み合わせにより達成できる。式Iの化合物は、当該分野において周知のように、好適な処方を使用できる浣腸の形態において適用されるならば、クローン病および腸炎の治療において用いることもできる。
【0099】
幾つかの実施態様において、経口組成物は、持続型、遅延型または位置決定放出型(例えば、腸、特に結腸放出)錠剤またはカプセルである。この放出特性は、制限なく、胃内の条件に耐性であるが、病巣または炎症部位が特定されている結腸またはGI管の他の部分において内容物を放出するコーティングの使用により達成できる。あるいは、単に崩壊を遅らせるコーティングにより遅延放出を達成できる。あるいは1個または複数の適当なコーティングおよび他の賦形剤の選択により、2つの(遅延型および位置決定型放出)特性を一つの処方中に組み合わせることができる。このような処方は、本発明のさらなる特徴を構成する。
【0100】
経口投与用処方は、腸における炎症部位での化合物のバイオアベイラビリティーを可能にするために設計できる。これは、遅延放出型処方の異なる組み合わせにより達成できる。式Iの化合物は、これに対して好適な処方を使用できる浣腸の形態で化合物が適用されるならば、クローン病および腸炎の治療においても用いることができる。
遅延型または位置決定型放出および/または腸溶コーティングされた経口処方に好適な組成物は、耐水性、pH感受性であり、腸液により消化または乳化されるか、または吸湿した場合に、遅いが一定の速度で剥がれ落ちる物質でフィルムコーティングされた錠剤処方を包含する。適当なコーティング材料は、これに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸とそのエステルのポリマー、およびその組み合わせを包含する。可塑剤、例えば、これに限定されないが、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート、トリアセチンおよびヒマシ油を用いることができる。フィルムを着色するために顔料も用いることができる。坐剤は、担体、例えば、カカオ脂、坐剤基剤、例えばSuppocire C、およびSuppocire NA50(Gattefosse Deutschland GmbH、D−Weil am Rhein、Germanyにより供給される)および水素化ヤシ油およびパーム核油(C8−C18トリグリセリド)のエステル交換反応、グリセロールおよび特別な脂肪酸、またはポリグリコシル化グリセリド、およびwhitepsol(水素化植物油誘導体と添加剤)のエステル化により得られる他のSuppocire型賦形剤を用いることにより調製される。浣腸は、本発明の適当な活性化合物および溶媒または懸濁液用賦形剤を用いることにより処方される。懸濁剤は、微粉化合物、ならびに懸濁液安定化剤、増粘剤および乳化剤、例えば、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシビニルポリマーおよびその塩、アルギン酸およびその塩、プロピレングリコールアルギネート、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミドポリマー、ポリビニルメタクリレート、ポリエチレングリコール、プルロニック、ゼラチン、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマー、可溶性デンプン、プルランならびにメチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートのコポリマー、レシチン、レシチン誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、およびプルロニックおよびpH範囲6.5〜8の適当な緩衝系を含有する適当なビヒクルを用いることにより製造される。保存料、マスキング剤の使用が好適である。微粉化粒子の平均直径は、1から20マイクロメートルの間であるか、または1マイクロメートル未満である。化合物はその水溶性塩形態を用いることにより処方中に組み入れることもできる。
【0101】
別法として、物質を錠剤のマトリックス、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースまたはアクリルおよびメタクリル酸エステルのポリマー中に組み入れることができる。これらの後者の物質も圧縮コーティングにより錠剤に適用することができる。
【0102】
医薬組成物は、治療的に有効な量の活性物質を、投与方法に応じて異なる形態を有し得る医薬上許容される担体と混合することにより調製できる。医薬組成物は、通常の医薬賦形剤および調製法を用いることにより調製できる。経口投与用形態はカプセル、散剤または錠剤であってよく、ここで、通常の固体ビヒクル、例えば、ラクトース、デンプン、グルコース、メチルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、マンニトール、ならびに通常の液体経口賦形剤、例えばこれに限定されないが、エタノール、グリセロール、および水を添加することができる。すべての賦形剤を崩壊剤、溶媒、造粒剤、湿潤剤およびバインダーと混合することができる。経口組成物の調製に固体担体(例えば、デンプン、糖、カオリン、バインダー崩壊剤など)が用いられる場合、製剤は制限なく散剤、顆粒またはコーティングされた粒子を含有するカプセル、錠剤、ハードゼラチンカプセル、または顆粒剤の形態であり、固体担体の量は変化し得る(1mgから1gの間)。錠剤およびカプセルが好ましい経口組成物形態である。
【0103】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、意図される投与方法に好適な任意の形態、例えば、溶液、懸濁液、または乳液であってよい。液体担体が典型的に溶液、懸濁液、および乳液の調製において用いられる。本発明の実施において用いることが想定される液体担体は、例えば、水、塩溶液、医薬上許容される有機溶媒、医薬上許容される油脂など、ならびにその2以上の混合物を包含する。液体担体は、他の好適な医薬上許容される添加剤、例えば、可溶化剤、乳化剤、栄養素、緩衝剤、保存料、懸濁化剤、増粘剤、粘度調節剤、安定剤などを含有することができる。好適な有機溶媒としては、例えば、一価アルコール、例えば、エタノール、および多価アルコール、例えば、グリコールが挙げられる。好適な油としては、大豆油、ココナツ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油などが挙げられる。非経口投与に関して、担体は油性エステル、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなどであってもよい。本発明の組成物は、マイクロ粒子、マイクロカプセル、リポソーム封入物、ならびにその任意の2以上の組み合わせであってもよい。
【0104】
本発明において有用な経口組成物の医薬上許容される崩壊剤の例としては、これに限定されないが、デンプン、α化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、アルギネート、樹脂、界面活性剤、発泡性組成物、水性珪酸アルミニウムおよび架橋ポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0105】
本発明において有用な経口組成物の医薬上許容されるバインダーの例としては、これらに限定されないが、アカシア;セルロース誘導体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース;ゼラチン、グルコース、デキストロース、キシリトール、ポリメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、トラガカント、キサンタン樹脂、アルギネート、マグネシウム−アルミニウム珪酸塩、ポリエチレングリコールまたはベントナイトが挙げられる。
【0106】
経口組成物の医薬上許容されるフィラーの例としては、これに限定されないが、ラクトース、アンヒドロラクトース、ラクトース一水和物、シュークロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(特に微結晶セルロース)、ジヒドロ−またはアンヒドロ−リン酸カルシウム、炭酸カルシウムおよび硫酸カルシウムが挙げられる。
【0107】
本発明の組成物において有用な医薬上許容される潤滑剤の例としては、これに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、エチレンオキシドのポリマー、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウムナトリウムステアリルフマレート、およびコロイド状二酸化珪素が挙げられる。
【0108】
経口組成物の好適な医薬上許容される着臭剤の例としては、これに限定されないが、合成アロマおよび天然芳香油、例えば、油、花、果実の抽出物(例えば、バナナ、リンゴ、スミノミザクラ、モモ)およびその組み合わせ、および類似のアロマが挙げられる。その用途は、多くの因子に依存し、最も重要なのは、医薬組成物を摂取する集団の感覚許容性である。
【0109】
経口組成物の適当な医薬上許容される色素の例としては、これらに限定されないが、合成および天然色素、例えば、二酸化チタン、ベータカロテンおよびグレープフルーツピールの抽出物が挙げられる。
【0110】
経口組成物の医薬上許容される甘味料の好適な例としては、これに限定されないが、アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよびシュークロースが挙げられる。
【0111】
医薬上許容される緩衝剤の好適な例としては、これに限定されないが、クエン酸、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0112】
医薬上許容される界面活性剤の好適な例としては、これに限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベートが挙げられる。
【0113】
医薬上許容される保存料の好適な例としては、これに限定されないが、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、溶媒、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、第四アンモニウム塩、およびパラベン(例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンなど)が挙げられる。
【0114】
医薬上許容される安定剤および酸化防止剤の好適な例としては、これに限定されないが、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、チオ尿素、トコフェロールおよびブチルヒドロキシアニソールが挙げられる。
【0115】
本発明の化合物は、例えば、坐剤、例えば、ヒトまたは獣医学的医薬において使用するための通常の坐剤用基剤を含有するものとして、またはペッサリー、例えば、通常のペッサリー用基剤を含有するものとして処方することができる。
【0116】
経皮または粘膜外部投与に関して、式Iの化合物は、軟膏またはクリーム、ゲルまたはローションの形態において調製することができる。軟膏、クリームおよびゲルは、水または油性基剤を用い、適当な乳化剤またはゲル化剤を添加して処方できる。本発明の処方は、呼吸器吸入剤として特に重要であり、ここで式Iの化合物は、圧力下でエアゾルの形態において送達される。ほとんどの粒子について5μm以下のマイクロ粒子サイズを達成するために、例えばラクトース、グルコース、高級脂肪酸、ジオクチルスルホコハク酸のナトリウム塩、または最も好ましくはカルボキシメチルセルロース中で均質化した後、式Iの化合物を微粉化することが好ましい。吸入処方に関して、活性物質を分配するために、エアゾルを気体または液体プロペラントと混合することができる。吸入剤またはアトマイザーまたはネブライザーを用いることができる。このような装置は公知である。例えば、Newmanら、Thorax、1985、40:61−676 Berenberg、M.、J. Asthma USA、 1985、22:87−92参照。バードネブライザーも用いることができる。例えば、米国特許第6,402,733号;第6,273,086号;および第6,228,346号参照。
【0117】
皮膚への局所適用に関して、本発明の薬剤は、例えば、1以上の次の物質との混合物中に懸濁または溶解させた活性化合物を含有する適当な軟膏として処方できる:鉱油、流動ワセリン、白色ペトロラタム、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水。このような組成物は他の医薬上許容される賦形剤、例えば、ポリマー、油、液体担体、界面活性剤、緩衝剤、保存料、安定剤、酸化防止剤、保湿剤、皮膚軟化剤、着色剤、および着臭剤も含有することができる。
【0118】
このような局所組成物に好適な医薬上許容されるポリマーの例としては、これに限定されないが、アクリルポリマー;セルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロース;天然ポリマー、例えば、アルギネート、トラガカント、ペクチン、キサンタンおよびキトサンが挙げられる。
【0119】
指摘されるように、本発明の化合物は、鼻内または吸入により投与することができ、乾燥粉末吸入器または加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーからのエアゾルスプレーの形態で、好適なプロペラント、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFA 134AT””)または1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA)、二酸化炭素または他の好適なガスを用いて投与することができる。加圧エアゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することにより決定できる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたはネブライザーは、例えば、エタノールおよびプロペラントの混合物を溶媒として用いて、活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができ、これはさらに潤滑剤、例えば、ソルビタントリオレエートを含有することができる。
【0120】
吸入器において用いられるカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンから製造)は、化合物および好適な粉末ベース、例えば、ラクトースまたはデンプンの粉末ミックスを含有するように処方できる。
【0121】
吸入による局所投与に関して、本発明の化合物はネブライザーによるヒトまたは獣医学的医薬における使用のために送達することができる。
【0122】
本発明の医薬組成物は0.01〜99%(重量/体積)の活性物質を含有することができる。
【0123】
投与は1日1回、1日2回、またはさらに頻繁に行うことができ、疾患または障害の維持相の間に減少させることができ、例えば、毎日または1日2回のかわりに1または2日おきに1回にすることができる。用量および投与頻度は臨床症状に依存し、これは緩解期の管理を確認し、当業者に公知の急性期の少なくとも1、さらに好ましくは1より多い臨床症状が減少するか、または存在しない。
【0124】
本発明の化合物の治療効果は、インビトロおよびインビボ実験において、例えば次のようにして決定された。
【0125】
生物学的実施例において分析されたサイトカインは、多量で発現された場合、炎症のマーカーであり、細胞増殖、および肺好酸球増加の場合、これらの免疫細胞の挙動もその活性化、したがって 炎症のマーカーである。従って、炎症性サイトカイン発現(すなわち、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−2、およびIL−5)の減少または細胞増殖、脱顆粒または好中球、好酸球蓄積における分泌および減少は化合物の抗炎症活性の尺度である。肺好中球は特にCOPDおよび肺好酸球増加症のモデルとして、喘息のモデルとしての働きをする。プロスタグランジンおよびロイコトリエン(ならびに5−Lox)も有効な炎症メディエーターであり、前者はシクロオキシゲナーゼ2経路において産生され、後者はリポオキシゲナーゼ経路において産生される。
【0126】
5−Lox阻害分析
RBL−2H3細胞系(ATCC 2256)を10%FBS(Invitrogen)で補足されたDMEM培地(Invitrogen)中、5%CO、90%湿度の雰囲気中、37℃で成長させる。細胞をトリプシン化し、新鮮なDMEM培地で洗浄し、1x10細胞/ミリリットルに調節する。500μL/ウェルの細胞懸濁液を24穴プレート(Falcon)に移し、本明細書において記載されている培養条件で一夜成長させる。試験化合物の10 mM溶液をDMSO(Sigma)中で調製し、フェノールレッドを含まないDMEM培地(Invitrogen)中に操作濃度で溶解させる。細胞を含有するウェル中に試験化合物の希釈物を導入し、一方、対照サンプルについては、フェノールレッドを含まないDMEM培地のみを使用する。細胞および添加剤を30分間インキュベートする。Calcimycin A23187(Sigma)を最終濃度250 nMになるように添加し、45分間インキュベートした。10μLの細胞上清を使用して、ELISA(R&D systems)を用いてロイコトリエンB4レベルを決定した。5−10Xの刺激剤であるロイコトリエンB4(LTB4)の合計濃度をサンプル中で計算し、合計阻害を式:
%阻害=(1−LTB4サンプル濃度/LTB4正の対照濃度)*100
を用いて計算した。
【0127】
10μM濃度またはそれより低い濃度でのロイコトリエンB4阻害のIC50値はカットオフ値であり、これは好ましいインビトロ阻害剤を決定するために使用された。ジロイトンを比較のための標準として使用し、化合物はジロイトン以下のIC50値を有するのが好ましい。すなわち、IC50濃度は10μm以下でなければならない。化合物1、2、4、5、28、31、32、35、38、40、43、44が最も有効な化合物に含まれ、5μmより低いIC50値を有する。
【0128】
インビトロでのヒト抹消血の単各細胞におけるTNF−αおよびIL−1β分泌の測定
Ficoll−Hypaque(Amersham−Pharmacia)上でPMBCを分離した後にヘパリン化全血から末梢血単各細胞(PMBC)を得た。TNF−αを測定するために、3.5−5x10細胞を200μLの合計体積中、18〜24時間の期間、マイクロタイター平底プレート(96ウェル、Falcon)上、10%の熱不活性化ヒトAB血清(Croatian Centre For Transfusion Medicine、Zagreb)、100単位/mLのペニシリン、100 mg/mLのストレプトマイシンおよび20 mM HEPES(Invitrogen Life Technologies)で補足されたRPMI 1640培地中で培養した。細胞を37℃で、5% COおよび90%湿度の雰囲気中でインキュベートした。負の対照中の細胞を培地(NC)中でのみ培養し、一方、1μg/mLのリポ多糖を添加することにより、正の対照中のTNF−αの分泌を刺激した(LPS、E. coli serotype 0111:B4、Sigma)(PC)。試験物質のTNF−α分泌に対する影響を、LPS(TS)で刺激された細胞培養物にこれらを添加した後に試験した。細胞上清中のTNF−αレベルを製造業者(R&D Systems)の提案に従ってELISAにより決定した。試験感度は、<3pg/mL TNF−αであった。IL−1βの測定は、1x10細胞/ウェルおよび0.1 ng/mLのLPSを使用する以外はTNF−α測定について記載したように行った。IL−1βをELISA(R&D Systems)により測定した。TNF−αまたはIL−1β産生の阻害(%)を次式により計算した:
%阻害=[1−(TS−NC)/(PC−NC)]x 100。
【0129】
IC50値は、TNF−α産生の50%が阻害される物質の濃度として定義された。20μM以下の濃度においてIC50を示す化合物は活性であると見なされた。グラフパッドプリズムソフトウェアを用いてIC50を計算した。
【0130】
この分析において、最も活性な化合物は3、5、7、9、10、11、12、13、15、17、20、23、24、27、29、30、34、35、38、42、43、45、48であり、IC50値は3μmより低かった。
【0131】
RAW 264.7細胞によるTNF−α分泌の測定
細胞をDMEM培地中10%ウシ胎仔血(FBS)(Invitrogen Life Technologies)中、37℃で、5%COおよび90%湿度の雰囲気中で成長させた。20 000細胞/ウェルを96穴プレート(Falcon)中にプレートした。負の対照中の細胞を培地(NC)中のみで培養し、一方、500 pg/mLリポ多糖(LPS、i−・コリ血清型0111:B4、Sigma)(PC)を添加することにより、正の対照中のTNF−αの分泌を刺激した。試験物質のTNF−α分泌に対する影響を、LPS(TS)で刺激された細胞培養物にこれらを添加した後に評価した。細胞上清中のTNF−αレベルを製造業者(R&D Systems、Biosource)の示唆に従ってELISAにより決定した。TNF−α産生の阻害(%)を次式により計算した:
%阻害=[1−(TS−NC)/(PC−NC)]x100。
【0132】
IC50値は、TNF−α産生の50%が阻害される物質の濃度として定義された。10μMまたはそれ以下の濃度でIC50を示す化合物は活性であると見なされた。
【0133】
ヒトプロスタグランジン−Hシンターゼ−1(hPGH−1)およびヒトプロスタグランジン−Hシンターゼ−2(hPGH−2)阻害検定
hPGH−1およびhPGH−2をコードする遺伝子を、ヒト胎盤cDNAライブラリー(Stratagene)からの白金pfx DNAポリメラーゼ(Invitrogen Life Technologies)を用いてPCRで増幅させた。hPGH−1について用いられるプライマー配列は次の通りであり: 5’ ATATAAGCTTGCGCCATGAGCCGGAGTCTTC 3および5’ ATATGGATCCTCAGAGCTCTGTGGATGGTCGC 3’;hPGH−2については次の通りである:5’ ATATAAGCTTGCTGCGATGCTCGCCCGC 3’および5’ ATATGGATCCCTACAGTTCAGTTCAGTCGAACGTTC 3。PCR産物をpcDNA3.1 Hygro(+)プラスミド(Invitrogen Life Technologies)のHindIIIおよびBamHI制限部位中にクローンし、配列を配列決定により確認した。
【0134】
COS−7細胞(ATCC)をトランスフェクトし、DMEM培地中10%ウシ胎仔血清(Invitrogen Life Tecnologies)中、37℃、5% COおよび90%湿度の雰囲気中で、24穴プレート(Falcon)中、完全密濃度まで成長させた。1μgプラスミドDNA(PGH−1またはPGH−2遺伝子を含有するpcDNA Hygro 3.1(+)、または負の対照サンプルについてはpcDNA Hygro 3.1(+))を1.5μlのLipofectamine 2000(Invitrogen Life Technologies)と製造業者のアドバイスに従って組み合わせた。トランスフェクションの24〜48時間後、DMEM中試験化合物を細胞に、培地を除去することなく添加し、40分後、アラキドン酸(Sigma)を添加して、最終20μM濃度にした。30分後、上清を除去し、PGE−2検定キット(Cayman)を用い、製造業者の指示に従って、プロスタグランジンE2(PGE−2)を測定した。PGE−2の産生は負の対照においては検出されなかった。
【0135】
%阻害は次式に従って計算された:
%阻害=(1−サンプルPGE−2濃度/正の対照PGE−2濃度)*100。
化合物15は10μmより低いIC50値でCOX−2を阻害する。
化合物は、少なくとも1の阻害機能(すなわち、阻害PGE−2)において正の対照よりも優れているならば、活性であると見なされる。
【0136】
マウスにおけるLPSにより誘発されるTNF−αの過度の分泌のインビボモデル
マウスにおいてTNF−α分泌をすでに記載された方法に従って誘発させた(Badger A. M. Et al.、J. of Pharmac. and Env. Therap. 279 1996 1453−1461)。試験において、8〜12週令のオスBALB/cマウスを6〜10匹のグループにおいて使用した。動物を溶媒のみでLPSで刺激せずに(負の対照)、あるいは溶媒と、LPSで刺激して(正の対照)p.o.処理するか、またはLPS(E. coli 血清型0111:B4、Sigma)でのi.p.処理の30分前に物質の溶液で25μg/動物の用量で処理した。2時間後、Roumpun(Bayer)およびKetanest(Park−Davis)のi.p.注射により動物を安楽死させた。各動物からの血液サンプルを「vacutaner」管(Becton Dickinson)中に集め、製造業者の指示に従い、血漿を分離した。血漿中のTNF−αレベルをELISA(Biosource、R&D Systems)により製造業者により指示された方法に従って決定した。試験感度は、<3 pg/mL TNF−αであった。TNF−α産生の阻害(%)を次式により計算した:
%阻害=[1−(TS−NC)/(PC−NC)]*100
30%またはそれ以上のTNF−α産生の阻害を10mg/kgの用量で示す化合物は活性であると見なされた。
【0137】
鎮痛作用についてのライジング試験
この試験において、刺激物質(通常、酢酸)をマウスの腹腔中に注射することにより痛覚を誘発する。動物は特徴的な身もだえ(writhing:試験の名称になった)で反応する(Collier H. O. J.ら、Pharmac. Chemother. 1968、32、295−310;Fukawa K.ら、J. Pharmacol. Meth.、1980、4、251−259;Schweizer A.ら、 Agents Actions、1988、23、29−31)。この試験は、本発明の化合物の鎮痛効果の決定に適している。
【0138】
8〜12週齢のオスBALB−/cマウス(Charles River、イタリア)を使用した。メチルセルロースを対照群に、酢酸を0.6%の濃度でi.p.投与する30分前にp.o.投与し、一方、試験群には、標準(アセチルサリチル酸)またはメチルセルロース中試験物質を、0.6%酢酸(volume 0.1 mL/10 g)のi.p.投与の30分前にp.o.投与した。マウスをそれぞれガラス漏斗の下に置き、20分間での各動物の身もだえの回数を記録した。身もだえの阻害(%)を次式に従って計算した:
%阻害=(対照群における身もだえの回数の平均値−試験群における身もだえの回数)/対照群における身もだえの回数x100。
サリチル酸と同じかまたはより良好な鎮痛作用を示す試験化合物は活性であると見なされた。
【0139】
マウスにおいてLPSにより誘発されたショックのインビボモデル
8〜12週齢のオスBALB/cマウス(Charles River、イタリア)を使用した。セラチア・マルセッセンス(Serratie marcessans)(Sigma、L−6136)から単離されたLPSを無菌塩溶液で希釈した。第1回のLPS注射を4μg/マウスの用量で皮内投与した。18〜24時間後、LPSを200μg/マウスの用量でi.v.投与した。対照群に、前記方法で2回LPS注射を投与した。試験群に、各LPS投与の半時間前に物質をp.o.投与した。24時間後の生存率を観察した。
40%またはそれ以上の生存率を30mg/kgの用量でもたらす化合物は活性であると見なされた。
【0140】
マウスにおける肺好酸球増加症のモデル
体重20〜25gのオスBalb/Cマウスをランダムにグループに分け、0日および14日にオボアルブミン(OVA、Sigma)をi.p.注射することにより感作させた。12日に、OVA(正の対照または試験群)またはPBS(負の対照)のi.n.(鼻内)適用によりマウスを攻撃試験に付した。OVAのi.n.投与の48時間後に、動物を麻酔し、肺を1mLのPBSでリンスした。細胞をCytospin 3 cytocentrifuge(Shandon)で分離した。細胞をDiff−Quick(Dade)中で染色し、好酸球のパーセンテージを少なくとも100細胞の鑑別計算により決定した。
【0141】
化合物を毎日i.n.またはi.p.で誘発試験の2日前から試験完了まで異なる用量で投与した。化合物をカルボキシメチルセルロース中またはラクトース溶液中のいずれかの懸濁液として投与した。
フルチカゾンおよびベクロメタゾンを比較のための標準的抗炎症物質として使用した。
化合物21および35は、ビヒクル処理された対照群と比較した場合、BAL液中の相対的好酸球数の統計的に有意な抑制を示す。
化合物は、少なくとも1つの刺激物質での刺激後に、数なくとも1つの刺激機能(すなわち、好酸球数の抑制)において正の対照(すなわち、フルチカゾンまたはベクロメタゾン)よりも良好であるならば、「活性」であると見なされる。
【0142】
CD1マウスにおけるホルボール12−ミリステート13−アセテート誘発性耳浮腫
30〜40gのオスCD1マウス(Iffa Credo、フランス)をランダムにグループ分けし(ビヒクル処理試験群、デキサメタゾン処理対照群ならびに分析される化合物で処理された群において、n=8)。試験化合物、デキサメタゾン、ならびにビヒクル(Trans−phase Delivery System、ベンジルアルコール10%、アセトン40%、およびイソプロパノール50%を含有)(すべて、Kemika、クロアチアから入手)をホルボール12−ミリステート13−アセテート(PMA)(Sigma、USA)の投与の30分前に左耳の内部表面に局所投与した。試験化合物を500、250または100μg/15μL/耳の1回量で投与し、デキサメタゾンを50μg/15μL/耳の1回量で投与した。30分後、0.01 % PMAのアセトン中エマルジョンを各動物の同じ部分に12μL/耳の体積で局所投与した。処理および攻撃(刺激)の間、吸入麻酔の使用により動物を麻酔した。攻撃の6時間後、動物を100%CO雰囲気中で窒息により安楽死させた。耳介浮腫を評価するために、8mmディスクを左および右耳介から切り出し、秤量した。未処理耳の8mmディスクの重量を処理された反対の耳の重量から差し引くことにより、浮腫の程度を計算した。
【0143】
化合物14は、CD1マウスにおいてPMAにより誘発された耳浮腫を100μg/耳の用量で統計的に有意に阻害する。
化合物は、少なくとも1つの刺激物質(例えば、PMA)での刺激後に、正の対照(すなわち、デキサメタゾン)よりも少なくとも1つの阻害機能(すなわち、耳浮腫)において良好であるならば「活性」であると見なされる。
【0144】
実施例1〜51の化合物は、少なくとも2つの調査された試験において活性を示す。しかしながら、これらの結果は、化合物の生物学的活性を示すのみであって、本発明をなんら制限しない。
【0145】
実施例に関する調製法
中間体
【化37】

【0146】

【表2】

【0147】
9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンアミンM1およびM4を国際特許出願WO 02/055531 A1に記載されている手順に従って調製することができる。アミンM5を国際特許出願WO 2004/09449 A1に記載されている手順に従って調製することができる。アミンM2、M3およびM6−M10を国際特許出願WO 2004/005310 A2に記載されている手順に従って調製することができる。
【0148】
【化38】

【0149】
【表3−1】

【表3−2】

【0150】
中間体D1〜D17、D23およびD24は国際特許出願WO 01/87890 A1に記載されている手順に従って調製することができる。中間体D18−D21は、国際特許出願 WO 03/084964 A1に記載されている手順に従って調製することができる。中間体D22は国際特許出願WO 03/097648 A1に記載されている手順に従って調製することができる。
(実施例1)
【0151】
化合物1:(式I:M=M1、L=L1、D=D1);
アルゴン下、化合物D1(120 mg;60%純度と仮定して約0.18ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.228 mL;1.64ミリモル)を添加し、透明な溶液が得られた。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(49 mg;0.36 ミリモル)、化合物M1(144 mg;0.18ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(139 mg;0.73ミリモル)を添加した。反応混合物を4時間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。107mgの化合物1を得た。
MS(m/z): 1170.79 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3435、3058、2971、2936、2876、2831、2786、1736、1656、1546、1459、1421、1377、1327、1252、1165、1109、1053、1012、1000、957、896、863、836、805、760、733、701、639
(実施例2)
【0152】
化合物2:(式I:M=M5、L=L1、D=D1);
アルゴン下、化合物D1(125 mg;純度70%と仮定して約0.22ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.277 mL;1.99ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(60 mg;0.44ミリモル)、化合物M5(105 mg;0.22ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(169 mg;0.88ミリモル)を添加した。反応混合物を4時間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。90 mgの化合物2を得た。
MS(m/z): 855.54 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3415、3060、2971、2934、2875、1720、1655、1546、147、1459、1375、1352、1254、1162、1089、1052、1037、1001、973、958、899、850、809、760、733、704、670
(実施例3)
【0153】
化合物3:(式I:M=M6、L−L1、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(80 mg;0.24ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.299 mL;2.14ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。次に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(64 mg;0.48ミリモル)、化合物M6(189 mg;0.24ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(183 mg;0.95ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で7時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。136 mgの化合物3を得た。
MS(m/z): 1110.26 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3433、2969、2934、2876、1729、1664、1618、1560、1544、1528、1459、1379、1327、1256、1177、1105、1082、1055、1012、999、960、902、865、840、795、760、732、661
(実施例4)
【0154】
化合物4:(式I:M=M7、L=L2、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(35 mg;0.10ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.140 mL;1ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。次に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(27 mg;0.2ミリモル)、化合物M7(75 mg;0.10ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(76.40 mg;0.40ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。43 mgの化合物4を得た。
MS(m/z): 1139.39 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3424、3060、2970、2936、2876、2831、1728、1656、1618、1560、1545、1457、1421、1376、1327、1268、1178、1109、1051、995、972、896、838、795、759、732、640
(実施例5)
【0155】
化合物5:(式I:M=M1、L=L1、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(80 mg;0.24ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.299 mL;2.14ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(64 mg;0.48ミリモル)、化合物M1(189 mg;0.24ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(183 mg;0.95ミリモル)を添加した。反応混合物を5時間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。173 mgの化合物5を得た。
MS(m/z): 1110.79 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3440、3059、2971、2936、2876、2831、2786、1728、1659、1615、1548、1531、1455、1377、1327、1267、1181、1166、1109、1053、1012、960、896、863、837、805、759、732、700、674、640
(実施例6)
【0156】
化合物6:(式I:M=M5、L=L1、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(80 mg;0.24ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.299 mL;2.14ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。次に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(64 mg;0.48ミリモル)、化合物M5(113 mg;0.24ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(183 mg;0.95ミリモル)を添加した。反応混合物を6時間室温で撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。121 mgの化合物6を得た。
MS(m/z): 795.56 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3376、3061、2972、2934、2875、1712、1651、1614、1549、1455、1415、1374、1350、1330、1267、1253、1181、1137、1089、1052、958、896、839、810、757、665
(実施例7)
【0157】
化合物7:(式I:M=M10、L=L4、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(60 mg;0.18ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.233 mL;1.67ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(48 mg;0.48ミリモル)、化合物M10(149 mg;0.18ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(137 mg;0.71ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。139 mgの化合物7を得た。
MS(m/z): 1153.00 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3444、3057、2972、2936、2875、2831、2786、1736、1660、1620、1547、1456、1403、1378、1344、1329、1268、1167、1110、1085、1053、1012、957、894、864、836、804、759、732、698、638
(実施例8)
【0158】
化合物8:(式I:M=M9、L=L1、D=D2);
アルゴン下、化合物D2(80 mg;0.24ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.298 mL;2.14ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(64 mg;0.48ミリモル)、化合物M9(188 mg;0.24ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(182 mg;0.95ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。82mgの化合物8を得た。
MS(m/z): 1109.65 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3444、3055、2972、2937、2879、2832、1732、1688、1660、1616、1526、1456、1404、1378、1346、1330、1285、1267、1246、1169、1109、1054、1010、969、961、935、902、891、864、839、803、757、697、665、639
(実施例9)
【0159】
化合物9:(式I:M=M1、L=L1、D=D3);
化合物D3(100 mg;0.34ミリモル)をMeOH(15mL)中に溶解させた。化合物M1(269 mg;0.34ミリモル)、NaBHCN(21.3 mg;0.34ミリモル)および1滴の酢酸を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。反応混合物体積を減圧下で蒸発させることにより減じ、残留物をEtOAcおよびNaHCOの50%溶液間で抽出した。有機相をHOで2回、食塩水で1回洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、6:1:0.1)。13 mgの化合物9を得た。
MS(m/z): 1070.34 [MH]
(実施例10および11)
【0160】
化合物10:(式I:M=M1、L=L1、D=D4);
化合物11:(式I:M=M1、L=L1、D=D5);
アルゴン下、化合物D4およびD5の混合物(36 mg;HPLC−MSによると混合物中31/50のおよその比)の乾燥CHCl(3 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.138 mL;0.99ミリモル)を添加して、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(30 mg;0.22ミリモル)、化合物M1(87 mg;0.11ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(84 mg;0.44ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で3回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5;CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1およびEtOAc−EtN、96:4)。22 mgの化合物10および31 mgの化合物11を得た。
化合物10:MS(m/z): 1084.26 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3448、3059、2971、2935、1729、1655、1638、1551、1524、1458、1376、1284、1167、1109、1053、1012、958、896、834、804、759、732、695、670
化合物11:MS(m/z): 1098.21 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3424、3058、2971、2935、1730、1655、1560、1545、1476、1459、1376、1251、1167、1109、1053、1012、957、897、835、805、759、732、641
(実施例12)
【0161】
化合物12:(式I:M=M1、L=L1、D=D6);
化合物5:(式I:M=M1、L=L1、D=D2);
アルゴン下、化合物D2およびD6の混合物(171 mg;HPLC−MSによると混合物中約51/46の比)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.633 mL;4.54ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(136 mg;1.01ミリモル)、化合物M1(399 mg;0.50ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(387 mg;2.02ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5;次にEtOAc−EtN、96:4)。18 mgの純粋な化合物12および43 mgの化合物5を得た。
化合物12:MS(m/z): 1112.29 [MH]
(実施例13)
【0162】
化合物13:(式I:M=M1、L=L1、D=D7);
アルゴン下、化合物D7(100 mg;0.27ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.338 mL;2.42ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73 mg;0.54ミリモル)、化合物M1(213 mg;0.27ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(207 mg;1.08ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。186 mgの化合物13を得た。
MS(m/z): 1144.62 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3427、3060、2971、2936、2875、2831、2786、1727、1659、1619、1549、1531、1455、1377、1327、1267、1248、1166、1095、1053、1012、960、896、866、837、817、796、757、665、639
(実施例14)
【0163】
化合物14:(式I:M=M9、L=L1、D=D7);
アルゴン下、化合物D7(100 mg;0.27ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.338 mL;2.42ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73 mg;0.48ミリモル)、化合物M9(213 mg;0.27ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(207 mg;1.08ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHC3−MeOH−NHOH、90:8:1)。36 mgの純粋な化合物14を得た。
MS(m/z): 1143.60 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3449、3057、2971、2936、2880、2832、1733、1688、1659、1618、1575、1546、1527、1461、1402、1377、1346、1330、1285、1266、1247、1169、1108、1053、1009、963、937、902、890、865、838、818、796、758、724、696、663、635
(実施例15)
【0164】
化合物15:(式I:M=M6、L=L1、D=D7);
アルゴン下、化合物D7(80 mg;0.21ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.271 mL;1.94ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(58 mg;0.43ミリモル)、化合物M6(171 mg;0.21ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(165 mg;0.86ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。103 mgの化合物13を得た。
MS(m/z): 1144.38 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3432、2970、2935、2875、1726、1655、1618、1577、1547、1524、1459、1377、1324、1267、1179、1167、1107、1054、1012、999、961、899、866、841、818、795、759、665
(実施例16)
【0165】
化合物16:(式I:M=M7、L=L2、D=D7);
アルゴン下、化合物D7(37 mg;0.10ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.140 mL;1ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(27 mg;0.2ミリモル)、化合物M7(75 mg;0.10ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(76.40 mg;0.40ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。38 mgの化合物16を得た。
MS(m/z): 1173.29 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3430、3057、2970、2935、2870、1729、1665、1619、1560、1550、1458、1380、1329、1259、1177、1108、1075、1051、1012、993、970、895、867、838、816、795、763、742、663、641
(実施例17)
【0166】
化合物17:(式I:M=M1、L=L1、D=D8);
アルゴン下、化合物D8(200 mg;0.54ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.588 mL;4.22ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(146.6 mg;1.08ミリモル)、化合物M1(427.6 mg;0.54ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(373.2 mg;1.95ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。270 mgの化合物17を得た。
MS(m/z): 1145.13 [MH]
(実施例18)
【0167】
化合物18:(式I:M=M4、L=L1、D=D8);
水(10.0 mL)および濃HCl(1.0 mL)の溶液に、化合物17(100 mg;0.09ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応を塩化ナトリウムで飽和させ、水性水酸化アンモニウムでpH8に調節した。溶液をEtOAcで抽出し(3x10 mL)、抽出物を無水KCO上で乾燥させ、蒸発させた。54 mgの化合物18を得た。
MS(m/z): 986.51 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3444、3062、2972、2936、2876、1709、1655、1618、1560、1545、1476、1457、1375、 1327、1265、1174、1100、1074、1050、958、899、863、838、820、802、762、728、633
(実施例19)
【0168】
化合物19:(式I:M=M5、L=L1、D=D8);
アルゴン下、化合物D8(100 mg;0.27ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.294 mL;2.11ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73.2 mg;0.54ミリモル)、化合物M5(128.8 mg;0.27ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(186.5 mg;0.97ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。57 mgの化合物19を得た。
MS(m/z): 829.3 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3432、2970、2932、2875、1710、1656、1616、1562、1545、1476、1458、1424、1374、1266、1248、1181、1099、1052、960、839、819、802、762
(実施例20)
【0169】
化合物20:(式I:M=M1、L=L1、D=D9);
アルゴン下、化合物D9(200 mg;0.57ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.622 mL;4.46ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(155 mg;1.15ミリモル)、化合物M1(452 mg;0.57ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(395 mg;2.06ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。170 mgの化合物20を得た。
MS(m/z): 1125.2 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3434、2971、2936、2881、1722、1657、1619、1526、1459、1377、1327、1267、1167、1110、1053、1012、960、898、837、815、762、730
(実施例21)
【0170】
化合物21:(式I:M=M4、L=L1、D=D9);
水(8.0 mL)および濃HCl(0.8 mL)の溶液に、化合物20(80 mg;0.07ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応を塩化ナトリウムで飽和させ、水性水酸化アンモニウムでpH8に調節した。溶液をEtOAcで抽出し(3x10 mL)、抽出物を無水KCO上で乾燥させ、蒸発させた。61 mgの化合物21を得た。
MS(m/z): 966.53 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3424、2970、2936、2875、2731、2619、1697、1655、1630、1561、1535、1509、1450、1400、1374、1265、1175、1111、1074、1050、1008、978、846、833、762、702、669
(実施例22)
【0171】
化合物22:(式I:M=M5、L=L1、D=D9);
アルゴン下、化合物D9(100 mg;0.29ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.310 mL;2.23ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(77.4 mg;0.57ミリモル)、化合物M5(136.1 mg;0.29ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(197.2 mg;1.04ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤: CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。89 mgの化合物22を得た。
MS(m/z): 809.35 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3424、2972、2934、2875、1710、1656、1614、1545、1458、1374、1351、1267、1180、1140、1090、1052、960、839、816、760、665
(実施例23)
【0172】
化合物23:(式I:M=M1、L=L1、D=D10);
アルゴン下、化合物D10(100 mg;0.29ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.307 mL;2.23ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(76.5 mg;0.56ミリモル)、化合物M1(223.4 mg;0.29ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(195 mg;1.02ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。150 mgの化合物23を得た。
MS(m/z): 1128.43 [MH]、IR(KBr) cm−1: 3442、3063、3972、2937、1875、2831、2787、1726、1656、1618、1597、1572、1535、1459、1377、1327、1268、1250、1171、1109、1053、1003、960、897、866、837、816、760、666、640
(実施例24)
【0173】
化合物24:(式I:M=M6、L=L1、D=D10);
アルゴン下、化合物D10(100 mg;0.29ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.307 mL;2.23ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(76.5 mg;0.56ミリモル)、化合物M1(223.4 mg;0.29ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(195 mg;1.02ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。180 mgの化合物24を得た。
MS(m/z): 1128.3 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3438、3062、2970、2936、2875、1726、1657、1618、1597、1572、1528、1460、1377、1326、1269、1252、1171、1107、1055、1002、960、900、866、840、814、763、726、640
(実施例25)
【0174】
化合物25:(式I:M=M1、L=L1、D=D11);
化合物23:(式I:M=M1、L=L1、D=D10);
アルゴン下、化合物D10およびD11の混合物(30 mg;(HPLC−MSによると混合物中約50/50の比)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.092 mL;0.66ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(22.8 mg;0.17ミリモル)、化合物M1(66.6 mg;0.08ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(58.1 mg;0.30ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。30 mgの化合物25および23の混合物(HPLC−MSによると混合物中約50/50の比)を得た。
化合物25:MS(m/z): 1130.2 [MH]
(実施例26)
【0175】
化合物26:(式I:M=M1、L=L1、D=D12);
アルゴン下、化合物D12(80 mg;0.25ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.315 mL;2.26ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(68 mg;0.50ミリモル)、化合物M1(199 mg;0.25ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(193 mg;1.00ミリモル)を添加した。 反応混合物を室温で6時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。207 mgの化合物26を得た。
MS(m/z): 1092.49 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3433、2972、2936、2877、2831、2787、2831、2787、1727、1655、1617、1544、1493、1458、1377、1328、1278、1259、1167、1110、1092、1053、1012、960、897、863、838、806、757、690、665、618
(実施例27)
【0176】
化合物27:(式I:M=M6、L=L1、D=D12);
アルゴン下、化合物D12(80 mg;0.25ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.315 mL;2.26ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(68 mg;0.50ミリモル)、化合物M6(199 mg;0.25ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(193 mg;1.00ミリモル)を添加した。 反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。139 mgの化合物27を得た。
MS(m/z): 1092.32 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3423、3062、2970、2936、2877、1726、1655、1617、1542、1523、1493、1460、1377、1326、1258、1177、1109、1054、1012、999、960、900、861、840、795、757、691、665、644、618
(実施例28)
【0177】
化合物28:(式I:M=M7、L=L2、D=D12);
アルゴン下、化合物D12(60 mg;0.19ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.236 mL;1.69ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(51 mg;0.38ミリモル)、化合物M7(155 mg;0.19ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(144 mg;0.75ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5;次にCHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。34 mgの純粋な化合物28を得た。
MS(m/z): 1121.23 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3428、3062、2937、2831、1728、1660、1616、1519、1494、1456、1379、1328、1276、1258、1176、1110、1049、995、896、838、795、757、666、618
(実施例29)
【0178】
化合物29:(式I:M=M1、L=L1、D=D13);
化合物D13(200 mg;0.64ミリモル)をMeOH(10 mL)中に溶解させた。化合物M1(507 mg;0.64ミリモル)、NaBHCN(40 mg;0.64ミリモル)および1滴の酢酸を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。減圧下での蒸発化により反応混合物体積を減じ、残留物をEtOAc(10 mL)およびNaHCOの50%溶液(10 mL)間で抽出した。有機相をHO(2x 10 mL)および食塩水(10 mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。38 mgの化合物29を得た。
MS(m/z): 1088.6 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3448、2972、2936、2876、2824、2169、1719、1655、1638、1561、1542、1459、1380、1256、1167、1118、1053、1013、957、896、833、805、772、753、727
(実施例30)
【0179】
化合物30:(式I:M=M1、L=L1、D=D14);
アルゴン下、化合物D14(100 mg;0.31ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.332 mL;2.38ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(82.7 mg;0.61ミリモル)、化合物M1(241.3 mg;0.31ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(210.3 mg;1.10ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。35 mgの化合物30を得た。
MS(m/z): 1102.70 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3435、2972、2937、2877、1721、1639、1552、1526、1483、1460、1440、1380、1256、1209、1167、1111、1092、1053、1013、958、897、873、833、807、751
(実施例31)
【0180】
化合物31:(式I:M=M4、L=L1、D=D14);
水(10.0 mL) および濃HCl(1.0 mL)の溶液に、化合物30(100 mg;0.09ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応を塩化ナトリウムで飽和させ、水性水酸化アンモニウムでpH8に調節した。溶液をEtOAc(3x10 mL)で抽出し、抽出物を無水KCO上で乾燥させ、蒸発させた。81 mgの化合物21を得た。
MS(m/z): 944.56 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3438、2973、2937、2877、1709、1638、1560、1554、1529、1483、1459、1439、1383、1303、1257、1210、1171、1112、1074、1051、993、978、957、873、833、809、772、747、653、627
(実施例32)
【0181】
化合物32:(式I:M=M8、L=L3、D=D14);
アルゴン下、化合物D14(27 mg;0.08ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.101 mL;0.72ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(22 mg;0.16ミリモル)、化合物M8(69 mg;0.08ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(62 mg;0.32ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。16 mgの化合物32を得た。
MS(m/z): 1174.19 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3449、3061、2972、2937、2877、2831、2789、1730、1649、1552、1528、1483、1460、1379、1257、1167、1110、1053、1013、958、898、871、833、806、771、733、700
(実施例33)
【0182】
化合物33:(式I:M=M5、L=L1、D=D14);
アルゴン下、化合物D14(200 mg;0.61ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.664 mL;4.76ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(165.4 mg;1.22ミリモル)、化合物M5(290.6 mg;0.61ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(421 mg;2.20ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。150 mgの化合物33を得た。
MS(m/z): 787.66 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3426、2972、2935、2876、1712、1634、1556、1530、1483、1463、1439、1383、1300、1271、1256、1210、1180、1136、1091、1052、992、957、895、873、832、807、771、747、724、653、626
(実施例34)
【0183】
化合物34:(式I:M=M6、L=L1、D=D14);
アルゴン下、化合物D14(83 mg;0.25ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.275 mL;1.97ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(68.6 mg;0.51ミリモル)、化合物M6(200 mg;0.25ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(174.5 mg;0.91ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。186 mgの化合物34を得た。
MS(m/z): 1102.40 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3433、3082、2971、2935、2875、1720、1638、1578、1560、1554、1528、1483、1460、1439、1382、1272、1256、1209、1167、1109、1055、997、958、901、873、833、807、770、750、702、654、627
(実施例35)
【0184】
化合物35:(式I:M=M2、L=L1、D=D14);
化合物30(300 mg;0.27ミリモル)をMeOH(20 mL)中に溶解させ、NaOAcx3HO(185 mg;48.92ミリモル)およびI(73.3 mg;2.89ミリモル)で処理した。溶液を500 Wハロゲンランプで照射し、周囲温度で撹拌した。2時間後、TLCは、出発化合物が新しい、より極性の高い物質へ完全に変換されたことを示した。1 M Naを滴下することにより、過剰のIを排除した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。50 mgの化合物35を得た。
MS(m/z): 1088.3 [MH]
(実施例36および39)
【0185】
化合物36:(式I:M=M1、L=L1、D=D15);
化合物39:(式I:M=M1、L=L1、D=D16);
アルゴン下、化合物D15およびD16の混合物(100 mg;HPLC−MSによると混合物中約53/22の比)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.380 mL;2.73ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(80 mg;0.6ミリモル)、化合物M1(230 mg;0.3ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(230 mg;1.20ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。29 mgの化合物36および13 mgの化合物39を得た。
化合物36:MS(m/z): 1167.35 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3448、3059、2971、2935、2875、1735、1719、1638、1578、1560、1524、1499、1468、1422、1376、1300、1248、1166、1110、1053、1013、958、897、835、760、670。
化合物39:MS(m/z): 1171.37 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3448、3061、2971、2935、2875、2787、1735、1719、1702、1655、1578、1560、1546、1524、1492、1459、1425、1376、1341、1293、1167、1110、1053、1012、959、897、764、697、669、625
(実施例37)
【0186】
化合物37:(式I:M=M5、L=L1、D=D15);
アルゴン下、化合物D15(70 mg;0.30ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.380 mL;2.73ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(80 mg;0.60ミリモル)、化合物M5(140 mg;0.30ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(230 mg;1.20ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。44 mgの化合物37を得た。
MS(m/z): 752.19 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3385、3061、2972、2934、2875、2127、1710、1688、1637、1562、1533、1470、1423、1376、1353、1302、1250、1163、1089、1052、1000、958、897、760
(実施例38)
【0187】
化合物38:(式I:M=M7、L=L2、D=D15);
アルゴン下、化合物D15(30 mg;0.10ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.140 mL;1.00ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(27 mg;0.20ミリモル)、化合物M7(98 mg;0.12ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(76.4 mg;0.40ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。12 mgの化合物38を得た。
MS(m/z): 1096.21 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3425、3057、2970、2934、2870、1721、1688、1639、1580、1561、1525、1469、1423、1377、1302、1175、1110、1050、996、941、895、760、742.
(実施例40)
【0188】
化合物40:(式I: M=M1、L=L1、D=D17);
アルゴン下、化合物D17(100 mg;純度50%と仮定すると約0.16ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.265 mL;1.9ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(51 mg;0.38ミリモル)、化合物M1(150 mg;0.19ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(145.7 mg;0.76ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。22 mgの化合物40を得た。
MS(m/z): 1093.33 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3432、3059、2970、2935、2875、1710、1656、1616、1562、1544、1526、1510、1469、1423、1377、1326、1246、1166、1107、1076、1053、1012、960、836、761
(実施例41)
【0189】
化合物41:(式I:M=M3、L=L1、D=D14);
アルゴン下、化合物D14(28 mg;0.09ミリモル)の乾燥CHCl(10 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.118 mL;0.85ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(23 mg;0.17ミリモル)、化合物M3(70 mg;0.09ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(65.5 mg;0.34ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。25 mgの化合物41を得た。
MS(m/z): 1130.23 [MH]
(実施例42)
【0190】
化合物42:(式I:M=M1、L=L1、D=D18);
アルゴン下、化合物D18(50 mg;0.15ミリモル)の乾燥CHCl(3 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.183 mL;1.31ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(39 mg;0.29ミリモル)、化合物M1(116 mg;0.15ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(112 mg;0.58ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。84 mgの化合物42を得た。
MS(m/z): 1115.29 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3448、3062、2972、2937、2881、2834、2788、1719、1655、1578、1561、1543、1494、1458、1447、1405、1377、1250、1221、1167、1094、1054、1013、958、900、836、815、770、713、669
(実施例43)
【0191】
化合物43:(式I:M=M7、L=L2、D=D18);
アルゴン下、化合物D18(50 mg;0.15ミリモル)の乾燥CHCl(3 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.183 mL;1.31ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(39 mg;0.29ミリモル)、化合物M7(120 mg;0.15ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(112 mg;0.58ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をシリカゲルカラム上で2回精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5;次にCHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。56 mgの化合物432を得た。
MS(m/z): 1115.29 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3447、2971、2936、2875、2831、1729、1655、1578、1561、1542、1494、1447、1405、1379、1271、1221、1176、1109、1095、1053、995、959、878、836、813、771、739、713、670、640
(実施例44)
【0192】
化合物44:(式I:M=M11、L=L1、D=D19);
化合物M5(89.7 mg;0.19ミリモル)をCHCN(5 mL)中に溶解させ、次いで化合物D19(68 mg;0.19ミリモル)およびKCO(39 mg;0.28ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。34 mgの化合物44を得た。
MS(m/z): 740.28 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3424、2968、2931、2874、1774、1717、1655、1638、1630、1604、1578、1561、1493、1447、1406、1375、1337、1271、1243、1220、1132、1100、1055、994、972、943、885、836、817、765、715、685、669
(実施例45)
【0193】
化合物45:(式I:M=M1、L=L1、D=D20);
アルゴン下、化合物D20(44.4 mg;0.14ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.150 mL;1.08ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(37.2 mg;0.28ミリモル)、化合物M1(108.7 mg;0.14ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(95 mg;0.50ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。84 mgの化合物45を得た。
MS(m/z): 1097.3 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3438、2971、2935、2875、2789、1719、1655、1578、1560、1544、1459、1377、1255、1167、1109、1093、1053、1012、1001、959、902、836、760、641
(実施例46)
【0194】
化合物46:(式I:M=M11、L=L1、D=D21);
化合物M5(70 mg;0.15ミリモル)をCHCN(5 mL)中に溶解させ、次いで化合物D21(50 mg;0.15ミリモル)およびKCO(30 mg;0.22ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。32 mgの化合物46を得た。
MS(m/z): 722.25 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3426、2925、2854、1623、1501、1484、1445、1409、1365、1265、1228、1146、1118、1098、1039、1005、968、939、874、834、812、768、732、710、670、606
(実施例47)
【0195】
化合物47:(式I:M=M5、L=L1、D=D21);
化合物M5(70 mg;0.15ミリモル)をCHCN(5 mL)中に溶解させ、次いで化合物D21(50 mg;0.15ミリモル)を添加した。反応混合物を80℃で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。97 mgの化合物47を得た。
MS(m/z): 740.26 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3433、3056、2974、2933、2875、1719、1638、1578、1560、1488、1459、1427、1372、1255、1231、1161、1092、1045、1032、962、803、759、737、703、670、652
(実施例48)
【0196】
化合物48:(式I:M=M1、L=L1、D=D21);
化合物D21(45 mg、0.16ミリモル)をMeOH(10mL)中に溶解させた。化合物M1(128 mg、0.16ミリモル)、NaBHCN(10.2 mg)および1滴の酢酸を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。23 mgの化合物48を得た。
MS(m/z): 1053.38 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3388、3051、2970、2930、2853、2249、1719、1655、1638、1585、1561、1542、1498、1459、1377、1278、1166、1107、1082、1053、1012、957、902、835、809、757、736、642
(実施例49)
【0197】
化合物49:(式I:M=M5、L=L1、D=D22);
化合物D22(35 mg、0.13ミリモル)をMeOH(10mL)中に溶解させた。化合物M5(60 mg、0.13ミリモル)、NaBHCN(8.2 mg)および1滴の酢酸を添加した。反応混合物を室温で一夜撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:9:1.5)。8 mgの化合物49を得た。
MS(m/z): 738.22 [MH]
IR(KBr) cm−1: 3423、2954、2925、2852、1774、1710、1686、1655、1638、1629、1578、1561、1546、1499、1459、1421、1376、1256、1169、1081、1054、1035、958、896、807、758、670
(実施例50)
【0198】
化合物50:(式I:M=M5、L=L1、D=D23);
化合物D23(50 mg;0.16ミリモル)および化合物M5(77 mg;0.16ミリモル)の無水EtOH(30 mL)中溶液に、パラジウム(10%炭素上)(50 mg)を触媒として添加した。混合物を5barで20時間水素化した。150 mgの粗生成物を濾過および蒸発化後に得、これをシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。40 mgの化合物50を得た。
MS(m/z): 769.2 [MH]
(実施例51)
【0199】
化合物51:(式I:M=M5、L=L1、D=D24);
アルゴン下、化合物D24(100 mg;0.28ミリモル)の乾燥CHCl(5 mL)中懸濁液に、トリエチルアミン(0.390 mL;2.ミリモル)を添加し、透明溶液を得た。その後、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(77 mg;0.57ミリモル)、化合物M5(136 mg;0.28ミリモル)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(219 mg;1.14ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、粗生成物をシリカゲルカラム上で精製した(溶離剤:CHCl−MeOH−NHOH、90:8:1)。180 mgの化合物51を得た。
MS(m/z): 809.1 [MH]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】



[式中:
Mはマクロライドサブユニットを表す;
Dはジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットを表す;
LはMおよびDのそれぞれが共有結合するリンカー分子である]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩および溶媒和物ならびにその個々のジアステレオ異性体。
【請求項2】
Mが、式II:
【化2】

II
[式中:
(i)ZおよびWは、独立して、>C=O、>CH、>CH−NR、>N−Rまたは>C=N−R、あるいは結合である;ここにおいて、
およびRは、独立して、水素またはアルキルである;
は、ヒドロキシ、アルコキシ、置換アルコキシまたはORである;
は、水素、R、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、または−C(X)−NRである;ここにおいて、Xは=Oまたは=Sである;
ただし、ZおよびWは両方とも同時に>C=O、>CH、>CH−NR、>N−Rまたは>C=N−Rまたは結合であり得ないとし、
(ii) UおよびYは、独立して、水素、ハロゲン、アルキル、またはヒドロキシアルキルである;
(iii)Rは、ヒドロキシ、OR、−O−S基または=Oである;
(iv) Sは、Hまたは式:
【化3】

(式中:
およびRはどちらも水素であるか、または一緒になって、結合を形成するか、またはRは水素であり、Rは−N(CH)Rである;ここにおいて、
は、R、Rまたは−C(O)R(ここで、Rは、水素またはアルキルまたはアルケニルまたはアルキニルまたはシクロアルキルまたはアリールまたはヘテロアリールあるいはC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、アリールまたはヘテロアリールで置換されたアルキルである)である;
10は水素またはRである)
の糖部分である;
(v)Sは、Hまたは式:
【化4】

(式中:
3’は、水素またはメチルである;
11は水素、RであるかまたはO−R11は、R12およびC/4”炭素原子とともに>C=Oまたはエポキシ基を形成する基である;
12は、水素またはO−R11基およびC/4”炭素原子とともに>C=Oまたはエポキシ基を形成する基である)
の糖部分である;
(vi)Rは、水素、ヒドロキシ、ORまたはアルコキシである;
(vii)Aは、水素またはメチルである;
(viii)Bは、メチルまたはエポキシである;
(ix)Eは、水素またはハロゲンである;
(x)Rは、ヒドロキシ、OR、アルコキシであるか、またはRは、RおよびC/11およびC/12炭素原子とともに環状カーボネートまたはカーバメートを形成する基であるか;あるいはWまたはZが>N−Rであるならば、Rは、WまたはZとともに環状カーバメートを形成する基である;
(xi)RはC−Cアルキルである;
(xii)Rは、水素、ヒドロキシ、OR、C−C−アルコキシ、あるいはRおよびC/11およびC/12炭素原子とともに環状カーボネートまたはカーバメートを形成する基である;
(xiii)Rは、水素またはC−C−アルキルである;そして
は、ヒドロキシルまたはアミノ保護基である;
ここにおいて、Mは、これにより結合基Lを介してDと結合する結合部位を有する)
で示される基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
結合部位が以下の1個または複数にある、請求項2記載の化合物:
a)S、S上に位置する任意の反応性ヒドロキシ、窒素、またはエポキシ基、あるいはSまたは/およびSが開裂するならば、アグリコン酸素;
b)ZまたはW上に位置する反応性>N−Rまたは−NRまたは=O基;
c)R、R、R、およびRのいずれか一つに位置する反応性ヒドロキシ基;および
d)まず誘導化してヒドロキシまたは−NR基にすることができる任意の他の基。
【請求項4】
Lが式IV:
−(CH−Q−(CH−X
IV
(式中、
は−CH−、−C(O)−、OC(O)−、N−O−、−OC(O)NH−または−C(O)NH−から選択される;
は−NH−または−NHC(O)−、−OC(O)−、−C(O)−、−Oまたは−CH−である;
Qは−NH−または−CH−であるか、あるいは存在しない;
ここにおいて、各−CH−または−NH−基は任意にC−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、またはC(O)NHRにより置換されていてもよい;
ここにおいて、Rは、C−C−アルキル、アリールまたはヘテロアリールである;
mおよびnは、独立して、0〜4の整数である:ただし、QがNHであるならば、nは0以外の数である)
で示される基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Dが式III:
【化5】

式III
(式中:
X’は、個々に、ヘテロ原子−O−;−S−;−CH−またはNR10’を表す;
W’およびZ’は、独立して、−CH−、S、OまたはNR11’である:ただし、WおよびZは同時に−CH−、酸素、または硫黄でないとする;
’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’は、互いに独立して、水素または任意の利用可能な炭素原子と結合した1個または複数の同一または異なる置換基を意味し、ハロゲン、C−Cアルキル、ハロ−C−Cアルキル、ヒドロキシ、C−Cアルキオキシ、C−Cアルカノイル、メタンスルホアニリド、アミノ、アミノ−C−Cアルキル、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−Cアルキル)アミノ、チオール、C−Cアルキルチオ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、シアノ,C−Cアルキルオキシカルボニル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニル;ヒドロキシ−C−Cアルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルフィニル;アミノ−C−Cアルキルスルホニル、アミノ−C−Cアルキルスルフィニルである;
’は、水素、ハロ、置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ホルミル、ヒドロキシ−C−Cアルケニル、ヒドロキシ−C−Cアルキニル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルオキソアルキル、チオール、チオ−C−Cアルケニル、チオ−C−Cアルキニル、C−Cアルキルチオール、メタンスルホアニリド、アミノ、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ、C−Cアルキルアミノ、アミノ−C−Cアルケニル、アミノ−C−Cアルキニル、アミノ−C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、ヒドロキシカルボニルアルキル、シアノ、シアノ−C−Cアルキル、スルホニル、C−Cアルキルスルホニル、スルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルホニル、ヒドロキシ−C−Cアルキルスルフィニル;アミノ−C−Cアルキルスルホニル、アミノ−C−Cアルキルスルフィニルおよびニトロ基または式IIb:
【化6】

IIb
(式中、
およびQは、独立して、酸素、硫黄、または以下:
【化7】

(当該置換基において、
およびyは、互いに独立して、水素、ハロゲン、置換されていてもよいC−C−アルキルまたはアリール(ここにおいて、置換されていてもよいアルキルまたはアリールは前記のような意味を有する)、ヒドロキシ、C−C−アルコキシ、C−C−アルカノイル、チオール、C−C−アルキルチオ、スルホニル、C−C−アルキルスルホニル、スルフィニル、C−C−アルキルスルフィニル、シアノ、ニトロの意味を有するか、または一緒になって、カルボニルイミノ基を形成する)
で示される基である;
A’は、アミノ、N−(C−C−アルキル)アミノ、N,N−ジ(C−C−アルキル)アミノ、置換されていてもよいアリール、ヘテロサイクリックあるいは、モルホリン−4−イル、ピペリジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、イミダゾール−1−イルおよびピペラジン−1−イルからなる群から選択されるヘテロアリールであるか;または
A’は、構造IIIb;
【化8】

IIIb
(式中、R12’は、水素または置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを表す)
で示される基であり;
nは0〜5の整数である)
で示される置換基である;
10は、水素または置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、カルボキシ、置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、アリールアルキル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを意味する;
11’は、水素または置換されていてもよいC−CアルキルまたはC−Cアルケニル、C−Cアルキニル基、置換されていてもよいアリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリック基、C−Cアルコキシ、C−Cアルキルチオール、C−Cアルカノイル、アロイル、オキソ−C−Cアルキル、C−Cアルカノイルオキシ、アリールアルキル、カルボキシ、置換されていてもよいC−Cアルキルオキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、カルバモイル、N−(C−C−アルキル)カルバモイル、N,N−ジ(C−C−アルキル)カルバモイル、シアノ−C−Cアルキル、C−Cアルキルスルホニル、C−Cアルキルスルフィニルを表す)
で示されるジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットから誘導される、請求項1記載の化合物、あるいはその医薬上許容されるエステル、塩および溶媒和物。
【請求項6】
式IIの基におけるZおよびWが一緒になって:
−N(CH)−CH−、−NH−CH−、−CH−NH−、−C(O)−NH−または−NH−C(O)−である;
AおよびBがメチルである;
Eが水素である;
がヒドロキシまたはメトキシである;
が、デソサミン糖を表し、ここで、Rは水素、メチル、アミノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノから選択される;
およびR10が水素である;
が、ヒドロキシまたはO−S基であり、ここで、Sはクラジノース糖を表し、ここにおいて、
11が水素であるか、またはO−R11は、R12およびC/4”炭素原子とともに>C=Oまたはエポキシ基を形成する基である;R12は水素またはO−R11およびC/4”炭素原子とともに>C=Oまたはエポキシ基を形成する基である;
13がメチルである;
Uが水素である;
Yがメチルである;
がヒドロキシ、メチルまたはエチルである;
が水素、ヒドロキシ、メトキシまたはRおよびC/11およびC/12炭素原子とともに環状カーボネートまたはカーバメートブリッジを形成する基である;
がヒドロキシあるいはWまたはZとともに環状カーバメートブリッジを形成する基であるか、あるいはRが、RおよびC/11およびC/12炭素原子とともに環状カーボネートまたはカーバメートブリッジを形成する基である;
がメチルである;
ただし、結合がN/9a位のZの窒素を介するか、またはR12の炭素を介するか、またはR11の酸素を介する(両方ともS糖のC/4”位である)、請求項2記載の化合物。
【請求項7】
が−CH−または−OC(O)−である;
が−NHC(O)−である;
Qが−NH−であるかまたは存在しない、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
式:
【化9】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式:
【化10】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
式:
【化11】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
式:
【化12】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
式:
【化13】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
式:
【化14】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
式:
【化15】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
式:
【化16】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
式:
【化17】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
式:
【化18】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項18】
式:
【化19】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項19】
式:
【化20】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項20】
式:
【化21】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項21】
式:
【化22】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項22】
式:
【化23】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項23】
式:
【化24】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項24】
式:
【化25】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
式:
【化26】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項26】
式:
【化27】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
式:
【化28】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項28】
式:
【化29】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
式:
【化30】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項30】
式:
【化31】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項31】
式:
【化32】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項32】
式:
【化33】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化34】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項34】
式:
【化35】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項35】
式:
【化36】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項36】
式:
【化37】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項37】
式:
【化38】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項38】
式:
【化39】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項39】
式:
【化40】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項40】
式:
【化41】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項41】
式:
【化42】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項42】
式:
【化43】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項43】
式:
【化44】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項44】
式:
【化45】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項45】
式:
【化46】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項46】
式:
【化47】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項47】
式:
【化48】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項48】
式:
【化49】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項49】
式:
【化50】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項50】
式:
【化51】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項51】
式:
【化52】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項52】
式:
【化53】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項53】
式:
【化54】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項54】
式:
【化55】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項55】
式:
【化56】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項56】
式:
【化57】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項57】
式:
【化58】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項58】
式:
【化59】

で示される、請求項1記載の化合物。
【請求項59】
LおよびR9’が一緒になって:
−(CH−NH−C(O)−CH=CH−;
−(CH−NH−C(O)−(CH−;
−(CH−NH−C(O)−(CH−C(O)−O−(CH−;または
−(CH−NH−(CH−を含み;
ここにおいて、nは2〜3である、請求項5記載の化合物。
【請求項60】
’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’が互いに独立して、水素あるいは利用可能な炭素原子と結合した1個または複数の同一または異なる置換基を意味し、ハロゲン、またはC−Cアルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項61】
W’およびZ’の一方がSであり、W’およびZ’の他方が−CH−である、請求項5記載の化合物。
【請求項62】
X’が個々に、ヘテロ原子−O−;−S−;−CH−、NH、またはNC(O)−アリールを意味し;
W’およびZ’が独立して、−CH−、S、O、またはNHであり(ただし、WおよびZは同時に−CH−、SまたはOでないとする);
’、R’、R’、R’、R’、R’、R’およびR’が互いに独立して、水素あるいは任意の利用可能な炭素原子と結合した1個または複数の同一または異なる置換基を意味し、ハロゲンまたはC−Cアルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項63】
式I:
【化60】

(式中、Lは式IV:
−(CH−Q−(CH−X
IV
(式中、
は:−CH−、−C(O)−、OC(O)−、N−O−、−OC(O)NH−または−C(O)NH−から選択される;
は−NH−または−NHC(O)−、−OC(O)−、−C(O)−、−Oまたは−CH−である;
Qは−NH−または−CH−であるか、または存在しない;
ここにおいて、各−CH−または−NH−基は、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C(O)R、C(O)OR、またはC(O)NHRにより置換されていてもよく、
ここにおいて、Rは、C−C−アルキル、アリールまたはヘテロアリールである;
mおよびnは独立して、0〜4の整数である:ただし、QがNHならば、nは0でないとする)
で示される基を表す)
で示される化合物を調製する方法であって、工程(a)〜(f):
a)Xが−NHC(O)−である式Iの化合物については、式V:
【化61】


(式中、Lは脱離基を表す)
で示される化合物と、式VIa:
【化62】

VIa
で示されるマクロライドの遊離アミノ基を反応させることによる工程;
b)Xが−OC(O)−である式Iの化合物については、式Vの化合物と、式VIb:
【化63】

VIb
により表されるマクロライドの遊離ヒドロキシル基を反応させ;
が−OC(O)−であり、Qが−NH−であり、Xが−NHC(O)−である式Iの化合物については、式:
【化64】

により表されるマクロライドと、式:
【化65】


により表される化合物の遊離アミノ基を反応させることによる工程;
c)Xが−OC(O)NH−であり、Xが−NHC(O)−である式Iの化合物については、式:
【化66】

により表されるマクロライドと、式:
【化67】

により表される化合物の遊離アミノ基を反応させることによる工程;
d)Xが−CH−であり、Qが−NH−であり、Xが−NHC(O)−である式Iの化合物については、式:
【化68】

により表されるマクロライドと、式Vの化合物を反応させることによる工程;あるいは
f)式Iの化合物については、脱離基Lを有する式VIIfまたは式VIIgまたは式VIIhにより表されるマクロライド:
【化69】


をジベンゾ[e,h]アズレンサブユニットの遊離カルボン酸と反応させることによる工程のうちの1つを含む方法。
【請求項64】
請求項1〜62記載の化合物、あるいはその医薬上許容される塩または溶媒和物および医薬上許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項65】
望ましくない炎症性免疫応答により特徴づけられるか、または望ましくない炎症性免疫応答を伴う炎症性疾患、障害、または状態の治療法であって、これを必要とする対象に有効量の請求項1〜62のいずれか1項記載の化合物あるいはその医薬上許容される塩または溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項66】
前記疾患、障害または状態がTNFαまたはIL−1の過度の分泌により誘発されるかあるいはTNFαまたはIL−1の過度の分泌を伴う請求項65記載の方法。
【請求項67】
これを必要とする対象における、白血球の炎症組織中への浸潤を伴う免疫またはアナフィラキシー障害の治療法であって、前記対象に治療的に有効な量の請求項1〜62のいずれか1項記載の化合物あるいはその医薬上許容される塩または溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項68】
障害が、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、および嚢胞性線維症からなる群より選択される請求項67記載の方法。
【請求項69】
疾患、状態、または障害が、肺、関節、眼、腸、皮膚、および心臓の炎症状態または免疫障害からなる群より選択される請求項65または67記載の方法。
【請求項70】
前記障害が、喘息、成人呼吸窮迫症候群、気管支炎、気管支拡張症、閉塞性細気管支炎、嚢胞性線維症、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、骨髄炎、静脈洞炎、鼻ポリープ、痛風性関節炎、ブドウ膜炎、結膜炎、炎症性大腸炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、遠位直腸炎、乾癬、湿疹、皮膚炎、にきび、心筋梗塞損傷、慢性炎症、内毒素性ショック、慢性静脈洞炎、肺線維症、びまん性汎細気管支炎、および平滑筋増殖障害からなる群より選択される請求項65記載の方法。
【請求項71】
病気に冒された器官または組織における炎症を軽減または抑制する方法であって、前記器官または組織に、治療的に有効な量の請求項1記載の化合物あるいはその医薬上許容される塩または溶媒和物を送達することを含む方法。
【請求項72】
炎症性サイトカイン産生、ロイコトリエン産生、5−リポキシゲナーゼ阻害、プロスタグランジン産生、肺好酸球増加、ならびにショック、および浮腫を伴う免疫応答からなる群より選択される1以上の炎症プロセスを阻害する方法であって、前記炎症プロセスを阻害するために有効な量の請求項1記載の化合物に炎症に冒された器官または組織をさらすことを含む方法。
【請求項73】
前記炎症プロセスが炎症性サイトカイン産生を含む方法であって、TNF−α、IL−1α、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−2、IL−5、およびIFN−αの少なくとも1つの産生を対照白血球と比較して減少させるために有効な量の請求項1記載の化合物にヒト末梢白血球をさらすことをさらに含む、請求項72記載の方法。
【請求項74】
炎症プロセスがTNA−αおよび/またはIL−1β分泌を含む、請求項72記載の方法。
【請求項75】
炎症プロセスが、ロイコトリエン産生/5−Lox産生を含み、前記化合物にさらされないか、または前記化合物にさらされる前の器官または組織と比較して、ロイコトリエンB4の産生を減少させるために有効な量の請求項1記載の化合物に前記器官または組織をさらすことを含む、請求項72記載の方法。
【請求項76】
炎症プロセスが前記器官または組織に関連する疼痛を引き起こし、無痛覚を誘発するために有効な量の請求項1記載の化合物に器官または組織をさらすことを含む、請求項72記載の方法。
【請求項77】
炎症プロセスが肺好酸球増加を含む、請求項72記載の方法。
【請求項78】
炎症プロセスが抗原誘発性ショックを伴う、請求項72記載の方法。
【請求項79】
炎症プロセスの阻害が、サイトカイン、ロイコトリエンB4、プロスタグランジンE2、好酸球増加、または免疫応答を少なくとも50%阻害することを含み、請求項1記載の化合物の量が20μM未満である、請求項72記載の方法。

【公表番号】特表2008−532927(P2008−532927A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550873(P2007−550873)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/001079
【国際公開番号】WO2006/075255
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(506261316)グラクソスミスクライン・イストラジヴァッキ・センタル・ザグレブ・ドルズバ・ゼー・オメイェノ・オドゴヴォルノスティオ (25)
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE ISTRAZIVACKI CENTAR ZAGREB D.O.O.
【Fターム(参考)】