説明

抗炎症剤としての恒久的に荷電したナトリウムおよびカルシウムチャンネルブロッカー

本発明は、神経性炎症の治療のための化合物、組成物、方法、およびキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、参照により本明細書に組入れられるものとする2009年7月10日に提出された米国特許仮出願第61/224,512号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、神経性炎症の治療のための化合物、方法およびキットを提供する。
【背景技術】
【0003】
本発明は、疼痛感受性でないニューロンまたは他の細胞型に対する影響を最小限にしながら、低分子量の薬剤を用いて侵害受容器を標的化することによる、神経性炎症の治療のための方法およびキットを特徴とする。本発明に従えば、小さな親水性の薬剤分子が、疼痛感知ニューロン中には存在するが、他の型のニューロンもしくは他の型の組織にはより少ない程度で存在するか、または全く存在しない受容体/チャンネルを通じた進入を介して疼痛感知ニューロンの細胞内区画へのアクセスを獲得する。神経性炎症は、感覚ニューロンの遠心性(運動)機能により媒介される炎症の様式であり、疼痛感知ニューロン(侵害受容器)により末梢中に放出された前炎症性メディエーター分子が、様々な炎症経路を活性化し、また、血管系に対して作用して、血流および毛細血管透過性を変化させる。
【0004】
神経性炎症は、様々な組織における組織損傷、自己免疫疾患、感染、刺激物への曝露により引き出される末梢性炎症に寄与し、多くの障害(例えば、片頭痛、関節炎、鼻炎、胃炎、結腸炎、膀胱炎、および日焼け)の病因において重要な役割を果たすと考えられる。
【0005】
神経性炎症を減少させる1つの方法は、侵害受容器の興奮性を遮断し、それによって侵害受容器末梢端の活性化および前炎症性化合物の放出を阻害することである。リドカインおよびアルチカインなどの局所麻酔剤は、ニューロン中の電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害することによって作用する。局所麻酔剤は比較的疎水性の分子であり、細胞膜中に、または細胞膜を通して拡散することによりナトリウムチャンネル上のその遮断部位にアクセスすることができる。しかしながら、これらの麻酔剤は、ナトリウムまたはカルシウムチャンネルを遮断し、それによって疼痛感知ニューロンだけでなく、全てのニューロンの興奮性を遮断する。かくして、局所麻酔剤の投与は、閾値の低い圧力および接触受容体の遮断に由来する全身の無感覚、運動性軸索の遮断に由来する運動障害ならびに自律神経線維の遮断に由来する他の合併症などの望ましくないか、または有害な効果をもたらす。局所麻酔剤はまた、心血管系および呼吸器系の平滑筋上のナトリウムチャンネルに対して作用し、有害な効果をもたらす。
【0006】
従って、侵害受容器を選択的に標的化する神経性炎症を減少させるための手法が必要である。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様において、本発明は、チャンネル形成受容体が活性化された場合に侵害受容器中に存在する該受容体を通過して侵害受容器に侵入し、侵害受容器中に存在する電位依存性イオンチャンネルを阻害することができる治療上有効量の化合物であって、チャンネルの外側に適用した場合および受容体が活性化されない場合には前記チャンネルを実質的に阻害しない前記化合物を投与することにより、ヒトなどの患者における神経性炎症を治療するための方法を特徴とする。特定の実施形態においては、前記化合物は電位依存性ナトリウムチャンネルの阻害剤である。このクラスの阻害剤の例は、QX-314、N-メチル-プロカイン、QX-222、N-オクチル-グアニジン、9-アミノアクリジンおよびパンクロニウムである。他の実施形態においては、前記化合物は、リルゾール、メキシリチン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロカイン、アルチカイン、ブピビカイン、メピビカイン、トカイニド、プリロカイン、ジイソピラミド、ベンシクラン、キニジン、ブレチリウム、リファリジン、ラモトリジン、フルナリジン、およびフルスピリレンから選択される化合物の第四級アミン誘導体または他の荷電誘導体である。他の実施形態においては、前記化合物は、カルシウムチャンネルの阻害剤である。このクラスの阻害剤としては、D-890、CERM 11888、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、ドデシルトリメチルアンモニウム、およびテルペン化合物(例えば、セスキテルペン)、ならびにベラパミル、ガロパミル、デバパミル、ジルチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル、もしくはファルネシルアミンの荷電誘導体(例えば、第四級アミン誘導体もしくはグアニル化誘導体)が挙げられる。カルシウムチャンネルの阻害剤のさらに他の例を、式XI-XIVにより、ならびに表1、2および3に記載することができる。さらなる実施形態においては、イオンチャンネル阻害剤は、化合物(1)-(563)のいずれかの荷電誘導体(例えば、第四級アミン誘導体またはグアニル化誘導体)である。誘導体の例は本明細書に記載されている。
【0008】
チャンネル形成受容体を活性化した後、チャンネルを開く第2の化合物の投与により前記化合物を投与することができる。あるいは、チャンネル形成受容体を、患者中に存在する内因性化合物により活性化することができる。
【0009】
本発明はまた、患者における神経性炎症を治療するための組成物および神経性炎症を治療するための患者への該組成物の投与のための説明書を含むキットを特徴とする。この組成物は、チャンネル形成受容体が活性化された場合に侵害受容器中に存在する該受容体を通過して侵害受容器に侵入し、侵害受容器中に存在する電位依存性イオンチャンネルを阻害することができる化合物であって、チャンネルの外側に適用された場合および受容体が活性化されない場合には前記チャンネルを実質的に阻害しない前記化合物を含む。特定の実施形態においては、前記化合物は、本明細書に記載のものなどの、電位依存性ナトリウムチャンネルまたはカルシウムチャンネルの阻害剤である。いくつかの実施形態においては、前記化合物は、QX-314、N-メチル-プロカイン、QX-222、N-オクチル-グアニジン、9-アミノアクリジン、パンクロニウム、または前記侵害受容器の内側に存在する場合、電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害する別の低分子量荷電分子である。他の実施形態においては、前記化合物は、D-890、CERM 11888、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、およびドデシルトリメチルアンモニウム;ベラパミル、ガロパミル、デバパミル、ジルチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル、もしくはファルネシルアミンの第四級アミン誘導体;式(XI)、(XII)、(XIII-A)、(XIII-B)、(XIII-C)、および(XIV)のいずれかに記載の化合物;または化合物(1)-(563)のいずれかの第四級アミン誘導体もしくは他の荷電誘導体である。
【0010】
本発明の組成物、方法、およびキットはいずれも、必要に応じてチャンネル形成受容体を活性化する第2の化合物を特徴としてもよい。一実施形態においては、第2の化合物は、TRPV1、P2X(2/3)、TRPA1、およびTRPM8から選択されるチャンネル形成受容体を活性化する。
【0011】
TRPV1受容体のアクチベーターとしては、限定されるものではないが、カプサイシン、オイゲノール、樟脳、クロトリマゾール、アルバニル(N-アラキドノイルバニルアミン)、アナンダミド、2-アミノエトキシジフェニルボレート (2APB)、AM404、レシニフェラトキシン、ホルボール12-フェニルアセテート 13-アセテート 20-ホモバニレート (PPAHV)、オルバニル(NE 19550)、OLDA(N-オレオイルドーパミン)、N-アラキドニルドーパミン (NADA)、6'-ヨードレシニフェラトキシン(6'-IRTX)、C18 N-アシルエタノールアミン、12-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸などのリポキシゲナーゼ誘導体、インヒビターシステインノット(inhibitor cysteine knot)(ICK)ペプチド(バニロトキシン)、ピペリン、MSK195 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-2-[4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド)、JYL79 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、10-ショーガオール、オレイルジンゲロール、オレイルショーガオール、SU200 (N-(4-tert-ブチルベンジル)-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、アミロカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、およびトリメカインが挙げられる。TRPV1受容体の他のアクチベーターは、O'Dellら、Bioorg Med Chem (2007) 15:6164-6149、およびSextonら、FASEB J (2007) 21:2695-2703に記載されている。さらに他のTRPV1アクチベーターとしては、黒コショウ化合物(例えば、Okumura et al., Biosci Biotechnol Biochem. 74(5):1068-72 (2010)およびRieraら、Br J Pharmacol. 57(8):1398-409 (2009))、テルペノイド(Iwasakiら、Life Sci. 85(1-2)60-69 (2009))、ニッケル(Luebbertら、Pflugers Arch. 459(5):737-50 (2010))、SA13353 ([1-[2-(1-アダマンチル)エチル]-1-ペンチル-3-[3-(4-ピリジル)プロピル]ウレア]; 例えば、Tsujiら、Eur J Pharmacol. 627(1-3):332-9 (2010))を参照されたい、酸化リノール酸代謝物 (Patwardhanら、Proc Natl Acad Sci U S A. 106(44):18820-4 (2009))、硫化ジアリル(Koizumiら、Biochem Biophys Res Commun. 382(3):545-8 (2009))ならびにサンショオールから誘導されるアルキルアミド (Menozzi-Smarritoら、J Agric Food Chem. 57(5):1982-9 (2009))が挙げられる。
【0012】
TRPV1受容体のさらに他のアクチベーターとしては、本明細書に記載のカプサイシノイドおよびカプサイシノイド類似体(例えば、バニロイド(例えば、N-バニリル-アルカンジエンアミド、N-バニリル-アルカンジエニル、およびN-バニリル-シス-モノ不飽和アルケンアミド)、カプシエイト、ジヒドロカプシエイト、ノルジヒドロカプシエイトおよび他のカプシノイド、カプシコニアート、ジヒドロカプシコニアートおよび他のコニフェリルエステル、カプシコニノイド、レシニフェラトキシン、チニアトキシン、シバミド、N-フェニルメチルアルケンアミドカプサイシン誘導体、オルバニル、N-[(4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル)メチル]-9Z-オクタ-デカンアミド、N-オレイル-ホモバニラミド、トリプレニルフェノール(例えば、スクチゲラール)、ジンゲロール、ピペリン、ショーガオール、グアイアコール、オイゲノール、ジンゲロン、ヌバニル、NE-19550、NE-21610、ならびにNE-28345)が挙げられる。さらなるカプサイシノイド、その構造、およびその製造方法は、参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第7,446,226号および第7,429,673号に記載されている。
【0013】
TRPA1受容体のアクチベーターとしては、限定されるものではないが、シンナムアルデヒド、アリル-イソチオシアネート、ジアリルジスルフィド、イチリン、シナモンオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイル、アクロレイン、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、4-ヒドロキシノネナール、メチル p-ヒドロキシベンゾエート、マスタードオイル、3'-カルバモイルビフェニル-3-イルシクロヘキシルカルバメート (URB597)、アミロカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、およびトリメカインが挙げられる。TRPA1受容体の他のアクチベーターは、Taylor-Clarkら、Mol Pharmacol(2007)PMID: 18000030;Macphersonら、Nature(2007) 445:541-545;およびHillら、J Biol Chem.(2007) 282:7145-7153に記載されている。さらに他のTRPA1アクチベーターとしては、フェナム酸NSAIDS (Huら、Pflugers Arch. 459(4):579-92 (2010))、AP18のコンジナー (Defalcoら、Bioorg Med Chem Lett. 20(1):276-9 (2010))、催涙ガスCN、CR、およびCS (Broneら、Toxicol Appl Pharmacol. 231(2):150-6 (2008))、ニコチン(Talaveraら、Nat Neurosci. 12(10):1293-9 (2009))、四川コショウおよびメレゲッタペッパー(Rieraら、Br J Pharmacol. 157(8):1398-409 (2009))、硫化ジアリルニフェジピン、ニモジピン、ニカルジピン、およびニトレンジピン、L型カルシウムチャンネルアゴニストBayK8644 (Fajardoら、Channels (Austin) 2(6):429-38 (2008))、ならびにイソベレラールおよびポリゴジアール (Escaleraら、J. Biol. Chem. 283(35):24136-44 (2008))が挙げられる。
【0014】
P2X受容体のアクチベーターとしては、限定されるものではないが、ATP、2-メチルチオ-ATP、2'および3'-O-(4-ベンゾイルベンゾイル)-ATP、ならびにATP5'-O-(3-チオトリホスフェート)が挙げられる。
【0015】
TRPM8受容体のアクチベーターとしては、限定されるものではないが、メントール、イチリン、ユーカリプトール、リナロール、ゲラニオール、およびヒドロキシシトロネラールが挙げられる。
【0016】
別の態様においては、本発明は、式(XI):
【化1】

【0017】
(式中、R11A、R11B、およびR11Cは各々独立に、HまたはC1-4アルキルから選択され、破線結合の0、1、2または3個は炭素間二重結合を表す(すなわち、式(XI)の化合物は0、1、2、または3個の二重結合を含んでもよい)が、但し、2または3個の炭素間二重結合が存在する場合、該二重結合は互いに隣接しない)
に記載の化合物を特徴とする。いくつかの実施形態においては、式(XI)の化合物を、以下の式(XI-A):
【化2】

【0018】
(式中、R11A、R11B、R11C、およびXはそれぞれ、式(XI)に従うものであり、それぞれの破線結合は任意的な炭素間二重結合を表す)
または式(XI-B):
【化3】

【0019】
(式中、R11A、R11B、R11C、およびXはそれぞれ、式(XI)に従うものである)
により表すことができる。いくつかの実施形態においては、式(XI)の化合物は、
【化4】

【0020】
である。
【0021】
別の態様においては、本発明は、式(XII):
【化5】

【0022】
(式中、R12A、R12B、R12C、およびR12Dは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択されるか;またはR12AおよびR12Bは一緒になって、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成させ;nは1〜5の整数であり;R12EおよびR12Fは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、またはC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;ならびにXは任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の化合物を特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記化合物は、以下の構造:
【化6】

【0023】
を有する。
【0024】
別の態様においては、本発明は、以下の式:
【化7】

【0025】
(式中、R13A-R13JおよびR13O-R13Tは各々独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR13AA、NR13ABR13AC、NR13ADC(O)R13AE、S(O)R13AF、SO2R13AGR13AH、SO2NR13AIR13AJ、SO3R13AK、CO2R13AL、C(O)R13AM、およびC(O)NR13ANR13AOから選択され; R13AA-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R13K、R13L、R13M、およびR13Nは各々独立に、HもしくはC1-4アルキルであるか、またはR13KおよびR13L、またはR13MおよびR13Nは組み合わさって、C=Oを形成するか、またはR13KおよびR13Mは組み合わさって、C=Cを形成し;R13YはHまたはC1-4アルキルであり;R13ZおよびR13Z'は独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;ならびにX-は任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
の1つに記載の構造を有する化合物を特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記化合物を、
【化8】

【0026】
からなる群より選択する。
【0027】
別の態様においては、本発明は、以下の式:
【化9】

【0028】
(式中、nは0〜5の整数であり;R14Aはヘテロシクリルであり、R14B、R14C、R14D、およびR14Eは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルであり;ならびにR14FはH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR14G、NR14HR141、NR14JC(O)R14K、S(O)R14L、SO2R14MR14N、SO2NR14OR14P、SO3R14Q、CO2R14R、C(O)R14S、およびC(O)NR14TR14Vから選択され; ならびにR14G-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される)
に記載の化合物を特徴とする。いくつかの実施形態においては、前記化合物は、
【化10】

【0029】
(式中、X-は製薬上許容し得る陰イオンである)
である。
【0030】
本発明はまた、式(XI)-(XIV)のいずれかに記載の化合物、または化合物(1)〜(563)のいずれかと、製薬上許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。いくつかの実施形態においては、医薬組成物を経口、鼻、または吸入投与のために製剤化する。
【0031】
特定の実施形態においては、本発明の化合物、組成物、方法およびキットを用いて、全体的または部分的に、神経性炎症により引き起こされる任意の障害を治療することができる。そのような障害の非限定例としては、喘息、鼻炎、結膜炎、関節炎、結腸炎、接触皮膚炎、膵炎、慢性咳、副鼻腔炎(例えば、慢性鼻副鼻腔炎)、外傷性脳損傷、敗血症(例えば、多菌性敗血症)、腱障害、慢性蕁麻疹、リウマチ疾患、急性肺損傷、刺激物への曝露、刺激物、汚染物質もしくは化学兵器の吸入、湿疹、膀胱炎、胃炎、尿道炎、片頭痛、乾癬、鼻炎、酒さ、日焼け、化学兵器、催涙ガスの吸入、または汚染物質の吸入が挙げられる。
【0032】
本発明のいくつかの方法およびキットはまた、1種以上のアセトアミノフェン、NSAID、糖質コルチコイド、麻薬、三環系抗うつ剤、アミントランスポーター阻害剤、抗けいれん剤、抗増殖剤、または免疫調節剤を特徴とする。
【0033】
別の実施形態においては、前記組成物を、注射、吸入、または直接接触による関節内、外科的、静脈内、筋肉内、経口、直腸、皮膚、皮下、局所、経皮、舌下、経鼻、経膣、尿道内、膀胱内、くも膜下、硬膜外、粘膜、経耳、または眼内投与によって投与する。さらに別の実施形態においては、前記組成物を長時間にわたる制御放出または持続放出のために製剤化する。
【0034】
「生物学的に活性な」とは、核酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質などの生物分子を含む分子が、自身または他の分子に対して物理的または化学的活性を示すことを意味する。例えば、「生物学的に活性な」分子は、例えば、酵素活性、タンパク質結合活性(例えば、抗体相互作用)、または細胞傷害活性(例えば、抗癌特性)を有してもよい。本明細書に記載の方法およびキットにおいて用いることができる生物学的に活性な薬剤としては、限定されるものではないが、抗体または抗体フラグメント、抗生物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、抗癌剤、増殖因子、およびワクチンが挙げられる。
【0035】
「炎症」とは、免疫系(免疫媒介性炎症)および神経系(神経性炎症)により引き起こされるものなどの任意の型の炎症、ならびに発赤、発熱、腫れ、疼痛、および/または機能喪失などの炎症の任意の症候を意味する。
【0036】
「神経性炎症」とは、ニューロン(例えば、侵害受容器)または中枢神経系もしくは末梢神経系の任意の他の成分により媒介される任意の型の炎症を意味する。
【0037】
「患者」とは任意の動物を意味する。一実施形態においては、患者はヒトである。本発明の方法、およびキットを用いて治療することができる他の動物としては、限定されるものではないが、非ヒト霊長類(例えば、サル、ゴリラ、チンパンジー)、家畜(例えば、ウマ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ラマ)、およびコンパニオン動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ワニ、ヘビ、イヌ、ネコ、魚、ハムスター、および鳥)が挙げられる。
【0038】
本発明において有用な化合物としては、限定されるものではないが、本明細書に記載した化合物のジアステレオマーおよびエナンチオマーなどの異性体、塩、エステル、アミド、チオエステル、溶媒和物、およびこれらの多型、ならびにラセミ混合物および純粋な異性体を含む、これらの製薬上許容し得る形態のいずれかで本明細書に記載されたものが挙げられる。
【0039】
「低分子量」とは、約650ダルトン未満を言う。
【0040】
用語「製薬上許容し得る塩」は、正常な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などを起こすことなしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するのに好適であり、合理的な対危険便益比に見合った塩を表す。製薬上許容し得る塩は当業界でよく知られている。塩は、本発明の化合物の最終的な単離および精製の間にin situで、または遊離塩基を好適な有機酸と反応させることによって別個に調製することができる。代表的な酸付加塩としては、限定されるものではないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。こうした酸付加塩はまた、「製薬上許容し得るアニオン」とも呼ばれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属の塩としては、限定されるものではないが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、ならびに限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含む非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられる。
【0041】
本発明の化合物に関する包括的記載において、置換基中の特定の型の原子の数は一般的には、ある範囲として、例えば、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基、またはC1-4アルキルとして与えられる。このような範囲への言及は、特定の範囲内のそれぞれの整数個の原子を有する基についての特定の言及を含むことが意図される。例えば、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基はC1、C2、C3、およびC4のそれぞれを含む。例えばC1-12ヘテロアルキルは、1個以上のヘテロ原子に加えて1〜12個の炭素原子を含む。他の数の原子、および他の型の原子も、同様に示すことができる。
【0042】
本明細書で用いる場合、用語「アルキル」および接頭辞「アルク-(alk-)」は、直鎖および分岐鎖の基の双方を包含し、環状の基、すなわちシクロアルキルも包含する。環状の基は単環であっても多環であっても良く、好ましくは3〜6個の環炭素原子を有する。環状の基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基が挙げられる。
【0043】
「C1-4アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を有する分岐した、または分岐していない炭化水素基を意味する。C1-4アルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が挙げられる。C1-4アルキルとして、限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびシクロブチルが挙げられる。
【0044】
「C2-4アルケニル」とは、1個以上の二重結合を含み、2〜4個の炭素原子を有する分岐した、または分岐していない炭化水素基を意味する。C2-4アルケニルは、必要に応じて単環または多環式の環を含んでいても良く、その場合それぞれの環は望ましくは3〜6員である。C2-4アルケニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が挙げられる。C2-4アルケニルとして、限定されるものではないが、ビニル、アリル、2-シクロプロピル-1-エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、および2-メチル-2-プロペニルが挙げられる。
【0045】
「C2-4アルキニル」とは、1個以上の三重結合を含み、2〜4個の炭素原子を有する分岐した、または分岐していない炭化水素基を意味する。C2-4アルキニルは、必要に応じて単環、二環、または三環式の環を含んでいても良く、その場合それぞれの環は望ましくは5または6員である。C2-4アルキニル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が挙げられる。C2-4アルキニルとして、限定されるものではないが、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、および3-ブチニルが挙げられる。
【0046】
「C2-6ヘテロシクリル」とは、飽和、部分不飽和もしくは不飽和(芳香族)であり、かつ2〜6個の炭素原子、および独立してN、O、およびSから選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子からなり、上記で定義した複素環のいずれかがベンゼン環に融合した二環の基を含む、安定な5〜7員の単環または7〜14員の二環の複素環を意味する。ヘテロシクリル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシ、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が挙げられる。窒素および硫黄のヘテロ原子は必要に応じて酸化されていてもよい。複素環は、任意のヘテロ原子もしくは炭素原子を介して共有結合して安定な構造を生じることができ、例えば、イミダゾリニル環は環上の炭素原子の位置もしくは窒素原子で結合することができる。複素環内の窒素原子は必要に応じて第四級化されていてもよい。好ましくは、複素環内のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。複素環として、限定されるものではないが、1H-インダゾール、2-ピロリドニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4-ピペリドニル、4aH-カルバゾール、4H-キノリジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダザロニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、b-カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、キサンテニルが挙げられる。好ましい5〜10員の複素環としては、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾオキサゾリニル、キノリニル、およびイソキノリニルが挙げられる。好ましい5〜6員の複素環としては、限定されるものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、およびテトラゾリルが挙げられる。
【0047】
「C6-12アリール」とは、共役π電子を有する炭素原子で構成された環系を有する芳香族の基(例えば、フェニル)を意味する。アリール基は6〜12個の炭素原子を有する。アリール基は、必要に応じて単環、二環、または三環式の環を含んでいても良く、その場合それぞれの環は望ましくは5員または6員である。アリール基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、フルオロアルキル、カルボキシル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、および第四級アミノ基が挙げられる。
【0048】
「C7-14アルクアリール(アルカリール)」とは、アリール基(例えば、ベンジル、フェネチル、または3,4-ジクロロフェネチル)によって置換された7〜14個の炭素原子を有するアルキルを意味する。
【0049】
「C3-10アルクシクロアルキル」とは、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチル)により置換されたアルキルを意味する。
【0050】
「C3-10アルクヘテロシクリル」とは、1個以上のヘテロ原子に加えて3〜10個の炭素原子を有するアルキル置換複素環基(例えば3-フラニルメチル、2-フラニルメチル、3-テトラヒドロフラニルメチル、または2-テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0051】
「C1-7ヘテロアルキル」とは、N、O、S、およびPからなる群より独立に選択される1、2、3もしくは4個のヘテロ原子に加えて1〜7個の炭素原子を有する、分岐した、もしくは分岐していないアルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキルとしては、限定されるものではないが、第三級アミン、第二級アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、ヒドラゾン、イミン、ホスホジエステル、ホスホロアミデート、スルホンアミド、およびジスルフィドが挙げられる。ヘテロアルキルは、場合によって単環、二環、または三環式の環を含んでいても良く、その場合それぞれの環は望ましくは3〜6員である。ヘテロアルキル基は置換されていても置換されていなくてもよい。置換基の例としては、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハライド、ヒドロキシル、フルオロアルキル、ペルフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、第四級アミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が挙げられる。C1-7ヘテロアルキルの例として、限定されるものではないが、メトキシメチルおよびエトキシエチルが挙げられる。
【0052】
「ハロゲン化物」とは、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素を意味する。
【0053】
「フルオロアルキル」とは、フッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0054】
「ペルフルオロアルキル」とは、炭素およびフッ素原子のみからなるアルキル基を意味する。
【0055】
「カルボキシアルキル」とは、式-(R)-COOH (式中、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される)を有する化学的部分を意味する。
【0056】
「ヒドロキシアルキル」とは、式-(R)-OH (式中、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される)を有する化学的部分を意味する。
【0057】
「アルコキシ」とは、式-OR (式中、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される)の化学的置換基を意味する。
【0058】
「アリールオキシ」とは、式-OR (式中、RはC6-12アリール基である)の化学的置換基を意味する。
【0059】
「アルキルチオ」とは、式-SR (式中、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される)の化学的置換基を意味する。
【0060】
「アリールチオ」とは、式-SR (式中、RはC6-12アリール基である)の化学的置換基を意味する。
【0061】
「第四級アミノ」とは、式-(R)-N(R')(R'')(R''')+ (式中、R、R'、R''、およびR'''はそれぞれ独立に、場合により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、アルカリル、アルクシクロアルキル、アルクヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、またはアリール基(本明細書で説明されたもの等)である)の化学的置換基を意味する。Rは置換基としての第四級アミノ窒素原子をもう1つの部分に連結するアルキル基であってよい。窒素原子Nはアルキル、ヘテロアルキル、アルカリル、アルクシクロアルキル、アルクヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアリール、および/またはアリール基の4個の炭素原子に共有結合し、その結果窒素原子の位置で正の電荷が生じる。
【0062】
「荷電部分」とは、生理的pHでプロトンを得て、それによって正に荷電した部分(例えば、アンモニウム、グアニジニウム、もしくはアミジニウム)、またはプロトン化されずに純粋な正味の正電荷を有する部分(例えば、第四級アンモニウム)を意味する。荷電部分は恒久的に荷電していても、一時的に荷電していてもよい。
【0063】
本明細書で用いる場合、用語「親」とは、親化合物に存在するアミン窒素原子の第四級化またはグアニル化によって改変され得る、チャンネル遮断化合物を指す。第四級化およびグアニル化された化合物は、親化合物の誘導体である。本明細書に記載されるグアニジル誘導体は、その荷電していない塩基の形態で提示されている。これらの化合物は塩(すなわち酸付加塩)として、またはin situでプロトン化されて荷電部分を形成する、その荷電していない塩基形態で投与することができる。
【0064】
「治療上有効量」とは、所望の結果、例えば、全体的または部分的に神経性炎症(例えば、喘息、関節炎、結腸炎、接触皮膚炎、糖尿病、湿疹、膀胱炎、胃炎、片頭痛、乾癬、鼻炎、酒さ、または日焼け)により引き起こされる症状、疾患、または病気に罹患している患者(例えば、ヒト)における神経性炎症の減少または排除をもたらすのに十分な量を意味する。
【0065】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】プレチスモグラフィーにより後脚の総容量を測定することによって決定された、ラット後脚における完全Freundアジュバント(CFA)の注入により引き出された浮腫に対する静脈内QX-314(0.4 mg/kg)の効果を示すグラフである。CFAの注入により生じた腫れの程度は、QX-314の投与により減少し、これはQX314による侵害受容器の遮断の結果生じる神経性浮腫の減少を反映している。QX-314単独では、塩水の投与と異なる効果を有さない。
【図2】TRPV1チャンネルを開くカプサイシンの存在下で適用されたN-メチル-ベラパミルによる後根神経節(DRG)ニューロンにおける電位依存性カルシウムチャンネル電流の阻害を示す。薬剤の細胞への進入、およびその遮断作用は、神経膜に存在するTRPV1チャンネルを活性化するカプサイシンの存在下で薬剤を適用することに依存する。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、正に荷電した電位依存性イオンチャンネル阻害剤を投与することによる神経性炎症の治療のための方法およびキットを特徴とする。本発明の実施形態においては、正に荷電した電位依存性イオンチャンネル阻害剤を、単独で投与するか、またはカプサイシノイド(例えば、カプサイシン)、マスタードオイル、もしくは「カイン」薬剤(例えば、アミロカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、もしくはトリメカイン)などのTRPチャンネルアゴニストと共に投与する。
【0068】
疼痛感知ニューロン中の電位依存性イオンチャンネルは、神経性炎症を治療するための戦略を開発する上で現在非常に興味深い。侵害受容器における電位依存性ナトリウムチャンネルの遮断は、侵害受容器末梢端の活性化および前炎症性化合物の放出を阻害することにより、神経性炎症を減少させるか、または排除することができる。ナトリウムチャンネルまたはカルシウムチャンネルを阻害する有機小分子を設計する上での制約は、それらが標的細胞に外部的に適用した場合に活性でなければならないということである。そのような外部的に適用される分子の大多数は疎水性であり、細胞膜を通過することができる。従って、そのような分子は全ての細胞に進入し、かくして、侵害受容器のみに影響するための選択性を示さないであろう。
【0069】
第四級アンモニウム誘導体QX-314などのいくつかの阻害剤は膜非透過性であり、侵害受容細胞の内部に存在する場合にのみ効果的であり、かくして、効果をもたらすためには、一過性受容器電位イオンチャンネル(TRPチャンネル、例えば、TRPAV1、TRPA1、TRPM8、およびP2X(2/3))などのチャンネルまたは受容器を介して細胞膜を通過しなければならない。通常の環境下では、侵害受容器中の多くのTRPチャンネルは活性ではないが、それらを活性化するには有害な温度刺激、機械的刺激、または化学的刺激を必要とする。例えば、侵害受容器中のTRPチャンネルを、TRPV1チャンネルを開くカプサイシンなどの外因性TRPリガンド(すなわち、TRPアゴニスト)により活性化することができる。かくして、侵害受容器を選択的に標的化する1つの手法は、膜不透過性イオンチャンネル阻害剤と、TRPチャンネルから細胞に該阻害剤を通過させる外因性TRPリガンドとを同時投与することである。カプサイシンに加えて、外因性TRPリガンドはまた、別のカプサイシノイド、マスタードオイル、またはリドカインであってもよい。別の例においては、TRPチャンネルは、煙から吸入されるアクロレインなどの外因性刺激アクチベーターまたは催涙ガスなどの化学兵器に応答して活性となってもよい。
【0070】
特定の環境下では、TRPチャンネルを、組織損傷、感染、自己免疫、アトピー、虚血、低酸素症、細胞ストレス、免疫細胞活性化、免疫メディエーター産生、および酸化的ストレスにより生成される内因性炎症アクチベーターにより、外因性TRPアクチベーター/リガンドの非存在下で活性化させることができる。そのような条件下では、内因性分子(例えば、プロトン、脂質、および反応性酸素種)は、侵害受容器上で発現されるTRPチャンネルを活性化し、膜不透過性電位依存性イオンチャンネルブロッカーが内因的に活性化されたTRPチャンネルを通過して侵害受容器の内側にアクセスすることができるようになる。TRPチャンネルの内因性炎症アクチベーターとしては、例えば、プロスタグランジン、一酸化窒素(NO)、過酸化物(H2O2)、4-ヒドロキシノネナールなどのシステイン反応性炎症性メディエーター、内因性アルケニルアルデヒド、エンドカンナビノイド、および免疫メディエーター(例えば、インターロイキン1(IL-1)、神経成長因子(NGF)、およびブラジキニン)が挙げられる。
【0071】
かくして、本発明者らは、電位依存性イオンチャンネルの膜不透過性の正に荷電した阻害剤(例えば、QX-314などの第四級アンモニウム誘導体)を単独で、または外因性TRPリガンドと組合わせて用いて、侵害受容器を選択的に標的化し、患者(例えば、ヒト)における神経性炎症を効果的に治療する(例えば、排除するか、または軽減する)ことができる。
【0072】
本発明を以下でより詳細に説明する。
【0073】
神経性炎症
炎症は局所の発赤、腫れ、および疼痛をもたらす有害な刺激に対する一連の複雑な応答である。炎症は2つの成分を有し、1つは抗原により駆動され、免疫細胞により媒介され(免疫媒介性炎症)、1つは神経系により媒介される(神経性炎症)。神経性炎症は疼痛感知ニューロン(侵害受容器)の遠心性機能の結果生じ、神経ペプチドおよび前炎症性メディエーターである他の化合物が、侵害受容器が活性化された場合に侵害受容器の末梢端から放出される。この放出プロセスはカルシウム流入および小胞のエクソサイトーシスにより媒介され、前炎症性メディエーターとしては、P物質、ニューロキニンAおよびB(集合的にタキキニンとして知られる)、ならびにカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が挙げられる。
【0074】
末梢端化合物の放出は、様々な炎症応答を刺激する。第1に、P物質の放出は、血漿タンパク質が血管内区画から細胞外空間へと漏れ出し(血漿溢出)、浮腫を引き起こすような毛細血管の透過性の増加をもたらし得る。Lewisの三重反応として知られる三つ組の炎症応答(膨疹、発赤、および紅潮)の1成分である膨疹(皮膚の堅い、隆起した腫れ)として、これを検出することができる。第2に、CGRPの放出は血管拡張を引き起こし、血流の増加を誘導する。これを、Lewisの三重反応の別の成分である紅潮として検出することができる。
【0075】
P物質はまた、免疫細胞(例えば、マクロファージ、T細胞、肥満細胞、および樹状細胞)のニューロキニン-1(NK1)受容体を介して、該細胞に対する前炎症性作用を有する。この効果はアレルギー性鼻炎、胃炎、および結腸炎において実証されており、炎症の神経性成分と免疫媒介性成分との接点である。1個の侵害受容器から放出されたP物質は近隣の侵害受容器上のNK1受容体に対しても作用して、それらを感作または活性化し、活性化および求心性/遠心性機能の拡散を引き起こすことができる。
【0076】
侵害受容器のこれらの遠心性機能を、1)末端に対して印加された末梢性の十分な刺激(例えば、つねる)による侵害受容器末端の直接的活性化;2)侵害受容器の1つの末端からの活動電位入力が、末梢中の収束軸索分岐点に到達する際に、分岐点から刺激を受けていない末端の末梢端へ伝播する活動電位をもたらす、軸索反射による刺激を受けていない侵害受容器の間接的な逆行性活性化;および3)末梢へと伝播するCNS中の侵害受容器中枢末端における活動の結果としての活性化により誘発することができる(例えば、GABAによりもたらされる中枢末端の一次求心神経脱分極が、「間違った方法」で伝播する活動電位を開始させるのに十分であってよい)。
【0077】
神経性炎症障害
特定の障害においては、神経性炎症は、組織損傷、自己免疫疾患、感染、ならびに柔組織、皮膚、呼吸器系、関節、尿生殖路および胃腸管、肝臓、および脳における刺激物への曝露により引き出される末梢性炎症に寄与する。神経性炎症障害としては、本明細書に記載のように、喘息、鼻炎、結膜炎、関節炎、結腸炎、接触皮膚炎、糖尿病、湿疹、膀胱炎、胃炎、片頭痛、乾癬、鼻炎、酒さ、および日焼け、膵炎、慢性咳、慢性鼻副鼻腔炎、外傷性脳損傷、多菌性敗血症、腱障害、慢性蕁麻疹、リウマチ疾患、急性肺損傷、刺激物への曝露、刺激物、汚染物質または化学兵器の吸入が挙げられる。
【0078】
喘息
喘息は、気道閉塞、気管支過敏性、および気管支炎症を特徴とする慢性呼吸器障害である。喘息は、天然アレルゲン(例えば、イエダニ、花粉、およびカビ)の吸入、家庭の有機化合物(例えば、石けん、香水、シャンプー、クリーム、およびローション)、医薬品、工業用化合物、食物アレルギー、運動、ホルモン変化、ならびに心理的ストレスなどの様々な刺激により誘導され得る。喘息を慢性的に罹患している患者は、気管支が痙攣時に収縮するそのような刺激に対する過敏症の発作を経験する。喘息発作の間、気道の炎症が気管支収縮および過度の粘液産生を引き起こし、患者は呼吸困難になる。
【0079】
気道の過敏性および閉塞の原因となる細胞としては、感覚および運動ニューロンならびに上皮細胞および平滑筋細胞が挙げられる。喘息は、これらの細胞と、免疫系、具体的には、炎症プロセスを制御するTヘルパー2細胞との一連の複雑な相互作用の結果である。免疫細胞とニューロンとのコミュニケーションが、喘息発作の際に気道に進入する免疫細胞により高濃度で産生されるニューロフィリンにより媒介され得るという証拠が揃ってきた。ニューロフィリンは神経機能の機能的活性を改変し、神経性炎症をもたらす神経ペプチドおよびタキキニンの産生の変化を誘導する(Renzら、Prog. Brain Res. 146:325, 2004)。TRPV1およびTRPA1チャンネルはまた、アレルギー性喘息ならびに咳および鼻炎の神経性成分に寄与する。
【0080】
関節炎
関節炎は、身体の関節に対する炎症および損傷を含む症状の一群である。関節炎は、身体的外傷および加齢(変形性関節炎)、自己免疫疾患(慢性関節リウマチおよび乾癬性関節炎)、感染(敗血症性関節炎)、ならびに痛風(痛風性関節炎)などの多くの原因を有し得る。
【0081】
慢性関節リウマチ(RA)は、関節軟骨の破壊および関節の屈曲/硬直(強直)を特徴とする、主に関節に影響する慢性の全身性炎症障害(滑膜炎)であり、疼痛および運動性の実質的な喪失をもたらす。RAはまた、皮膚、肺、および腎臓における炎症も引き起こす。世界人口の約1%が慢性関節リウマチを発症し、女性は男性よりも危険性が3倍高い。
【0082】
RAにおける自己免疫の原因は完全には理解されていないが、証拠は、異常なBおよびT細胞活性化の関与ならびにTNFおよび他のサイトカインの放出を示唆している。また、タバコの煙とRAとの原因的な関連もあった。研究により、神経性炎症がRAにおける関節疼痛の原因に大きく寄与することが示唆されている。例えば、RAにおける関節損傷の重篤度がP物質のより高い局所濃度と相関することを示したLevineら(J. Immunol. 135:843s, 1985)を参照されたい。
【0083】
結腸炎
結腸炎は、結腸の炎症を特徴とする慢性自己免疫障害の一群である。結腸炎の症候としては、疼痛、腹部の圧痛、疲労、急速な体重減少、潰瘍(潰瘍性結腸炎)、および消化管出血が挙げられる。結腸炎は、アルコール、カフェイン、乳製品、香辛料入り食品、ナッツ類、種子類、肉類、精糖、および生野菜などの多くの食品によっても誘発されることがある。神経機構は結腸炎における炎症プロセスにとって重要であることが知られている。例えば、研究により、マウスにおける誘導性結腸炎の炎症を、NK-1およびCGRP受容体アンタゴニストを用いて軽減することができることが示されている(Nguyenら、Canadian J. Phys. Pharm. 81:920, 2003)。
【0084】
接触皮膚炎
接触皮膚炎は、刺激物またはアレルゲンとの接触により引き起こされる皮膚の表面領域の局所刺激である。北米では、アレルギー性接触皮膚炎の最も一般的な原因はツタウルシおよびウルシなどの植物である。刺激性接触皮膚炎の一般的な原因は、刺激性石けん、洗剤、および洗浄剤などの化合物である。接触皮膚炎の症候としては、発疹、水膨れ、膨疹、蕁麻疹、および焼けるような掻痒が挙げられる。接触皮膚炎における神経性炎症の役割は、例えば、Guy, AMA Arch. Derm. Syphilol. 66:1, 1952で考察されている。
【0085】
胃炎
胃炎とは、胃の内膜の炎症を誘導する障害の総称である。胃炎は、過剰のアルコール消費、アスピリンもしくはイブプロフェンなどのNSAIDの長期使用、および細菌(主にヘリコバクター・ピロリ)による慢性感染により引き起こされる。特定の自己免疫障害も胃炎を引き起こし得る。症候としては、内出血、疼痛(特に、上腹部における)、嘔吐、および膨満が挙げられる。胃炎は、胃癌の危険性の増加も誘導し得る。
【0086】
片頭痛
片頭痛は、男性よりも女性においてより一般的であり、頭痛、吐き気、および知覚の変化を特徴とする神経障害である。片頭痛はいくつかの段階で進行する:1)疲労、大食、首の凝り、気分の変化、および便秘もしくは下痢を含む前駆症状期;2)光もしくはまばゆい光線の白色/多色の閃光からなる視覚の混乱、手および腕における「痺れ」の感覚、聴覚/嗅覚の幻覚、眩暈、顔面のチクチク感/無感覚、ならびに接触に対する過敏性を含む前兆期;3)吐き気、嘔吐、視覚低下、鼻詰まり、下痢、および局所浮腫を伴う拍動性の頭痛を含む疼痛期;ならびに4)疲労および「二日酔い」の感覚を含む後発症状期。
【0087】
片頭痛の原因に関しては多くの理論がある。特に、特定の神経は、刺激を受けた場合、神経性炎症および関連する疼痛を誘導するP物質などの前炎症性メディエーターを放出するという理論がある。
【0088】
鼻炎
鼻水として一般的に知られる鼻炎は、鼻内部粘膜の刺激および炎症を含む障害である。鼻炎は、大量の粘液の生成を特徴とし、鼻水、鼻詰まり、および後鼻漏をもたらす。最近の見積もりによれば、米国だけで5000万人以上が毎年、鼻炎に罹患する。鼻炎は、感染性鼻炎(細菌感染により引き起こされる)、非アレルギー性鼻炎(ホルモン、薬剤、および食品により引き起こされる)、ならびにアレルギー性鼻炎(アレルゲンに対する免疫応答、例えば、花粉症により引き起こされる)に分類される。鼻炎の病因における神経性炎症の役割は、喘息のものと類似しており、環境物質が免疫応答を増強し、ニューロンからのP物質の下流の放出を誘導する。
【0089】
膀胱炎
膀胱炎は、膀胱の炎症である。外傷性膀胱炎、間質性膀胱炎、好酸球性膀胱炎、放射線膀胱炎、および出血性膀胱炎などのいくつかの型の膀胱炎が存在する。膀胱疼痛症候群としても知られる間質性膀胱炎は、尿路痛、頻尿、切迫性、および膀胱における圧力を特徴とする障害である。外傷性膀胱炎と違って、間質性膀胱炎は細菌感染によって引き起こされると示されてはいない。間質性膀胱炎の原因は未知であるが、神経性炎症を含むと提唱されている。例えば、動物試験により、間質性膀胱炎が中枢および末梢神経の両方の上方調節と相関することが示され(Nazifら、Urology 69:24-33(2007)、急性膀胱損傷がP物質およびCGRPの放出の有意な増加をもたらすことが示された(Lucioniら、BJU Int. 101:366-370, 2008)。
【0090】
さらなる神経性炎症障害
さらなる神経性炎症障害が当業者には公知であろうし、それらのものとして、限定されるものではないが、日焼け、血管の炎症、湿疹、酒さ、乾癬、歯肉炎、膵炎、慢性咳、慢性鼻副鼻腔炎、外傷性脳損傷、多菌性敗血症、腱障害、慢性蕁麻疹、急性肺損傷、刺激物への曝露、刺激物、汚染物質、または化学兵器の吸入などの神経性成分を含む炎症症状が挙げられる。
【0091】
電位依存性イオンチャンネルの阻害剤
神経性炎症の治療のための本発明の方法およびキットにおける使用にとって好適である電位依存性イオンチャンネルの阻害剤は、望ましくは、正に荷電した親水性の化合物である。一実施形態においては、前記化合物は恒久的に荷電している(すなわち、一時的でない電荷を有する)。別の実施形態においては、前記化合物は一時的に荷電している。電位依存性ナトリウムチャンネルの好適な阻害剤としては、限定されるものではないが、QX-314、N-メチル-プロカイン(QX-222)、N-オクチル-グアニジン、9-アミノアクリジン、およびパンクロニウムが挙げられる。電位依存性カルシウムチャンネルの好適な阻害剤としては、限定されるものではないが、D-890 (第四級メトキシベラパミル)、CERM 11888(第四級ベプリジル)、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、ドデシルトリメチルアンモニウム、および本明細書に記載の他の化合物(例えば、表1および2に記載の化合物の荷電誘導体を参照されたい)が挙げられる。
【0092】
さらに、本発明の方法において有用であるために好適なサイズのものであり(例えば、約100〜4,000Da、100〜3,000Da、100〜2,000Da、150〜1,500Da、または200〜1,200Da)、容易に改変されて(例えば、正に荷電した第四級アミンとして、または一時的に荷電した例えばグアニル化化合物として)荷電し得るアミン基を有するか、もしくは改変されてアミン基を含み得る、電位依存性イオンチャンネルの多くの既知の阻害剤が存在する。そのような阻害剤としては、限定されるものではないが、リルゾール、メキシリチン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロカイン、トカイニド、プリロカイン、ジイソピラミド、ベンシクラン、キニジン、ブレチリウム、リファリジン、ラモトリジン、フルナリジン、アルチカイン、ブピビカイン、メピビカイン、およびフルスピリレンが挙げられる。
【0093】
炎症の治療のための本発明の方法およびキットに使用できる化合物として、下記の式I〜Xの化合物が挙げられる。
【化11】

【0094】
式Iにおいて、R1A、R1B、およびR1Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OR1H、NR1IR1J、NR1KC(O)R1L、S(O)R1M、SO2R1NR1O、SO2NR1PR1Q、SO3R1R、CO2R1S、C(O)R1T、およびC(O)NR1UR1Vから選択され; R1H、R1I、R1J、R1K、R1L、R1M、R1N、R1O、R1P、R1Q、R1R、R1S、R1T、R1U、およびR1Vはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;X1は-CR1WR1X-、-NR1YC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR1Z-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され; R1W、R1X、R1Y、およびR1Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R1DはH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R1E、R1F、およびR1Gはそれぞれ独立にC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか;またはR1DおよびR1Gは一緒になって少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成させる。好ましい実施形態においては、X1は-NHC(O)-である。式Iの化合物の例としては、麻酔剤のメチル化第四級アンモニウム誘導体、例えば、N-メチルリドカイン、N,N-ジメチルプリロカイン、N,N,N-トリメチルトカイニド、N-メチルエチドカイン、N-メチルロピバカイン、N-メチルブピバカイン、N-メチルレボブピバカイン、N-メチルメピバカインが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム1に記載されるものと同様の方法を使用して調製することができる。式Iの化合物としては、QX-314(CAS 21306-56-9)およびQX-222(CAS 21236-55-5)(下記参照)が挙げられる。
【化12】

【化13】

【0095】
式IIにおいては、R2A、R2B、およびR2Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OR2I、NR2JR2K、NR2LC(O)R2M、S(O)R2N、SO2R2OR2P、SO2NR2QR2R、SO3R2S、CO2R2T、C(O)R2U、およびC(O)NR2VR2Wから選択され;R2I、R2J、R2K、R2L、R2M、R2N、R2O、R2P、R2Q、R2R、R2S、R2T、R2U、R2V、R2Wはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;X2は-CR2XR2Y-、-NR2ZC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR2AA-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R2X、R2Y、R2Z、およびR2AAはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R2DはH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R2EはHまたはC1-4アルキルであり;そしてR2F、R2G、およびR2Hはそれぞれ独立してH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか;またはR2FおよびR2Gは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R2FおよびR2Gが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化14】

【0096】
(式中、R2HはHまたはCH3である)
から選択される。望ましくは、R2FおよびR2Gは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンもしくはアルケニレン、例えば5、6、および7員環の環系を形成する。好ましい実施形態においては、X2は-NHC(O)-である。式IIの化合物の例としては、麻酔剤のN-グアニジル誘導体(例えば、-C(NH)NH2誘導体)、例えば、デスエチルN-グアニジルリドカイン、N-グアニジルプリロカイン、N-グアニジルトカイニド、デスエチルN-グアニジルエチドカイン、デスブチル-N-グアニジルロピバカイン、デスブチル-N-グアニジルブピバカイン、デスブチル-N-グアニジルレボブピバカイン、デスメチル-N-グアニジルメピバカインが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム2〜5に記載されるものと同様の方法を使用して調製することができる。
【0097】
本明細書に記載のグアニジル誘導体(例えば、式IIの化合物)を、荷電していない塩基形態で提供する。これらの化合物を、塩(すなわち酸付加塩)として、またはin situでプロトン化されて荷電部分を形成する、荷電していない塩基形態のいずれかで投与することができる。
【0098】
式IおよびIIの親薬剤の合成は、文献に記載されている。例えば、米国特許第2,441,498号(リドカインの合成)、米国特許第3,160,662号(プリロカインの合成)、ドイツ特許第2235745号(トカイニドの合成)、ドイツ特許第2162744号(エチドカインの合成)、PCT出願公開第WO85/00599号(ロピバカインの合成)、米国特許第2,955,111号(ブピバカインおよびレボブピバカインの合成)、ならびに米国特許第2,799,679号(メピバカインの合成)を参照されたい。
【化15】

【0099】
式IIIにおいては、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R3A、R3B、およびR3Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR3L、NR3MR3N、NR3OC(O)R3P、S(O)R3Q、SO2R3RR3S、SO2NR3TR3U、SO3R3V、CO2R3W、C(O)R3X、およびC(O)NR3YR3Zから選択され;R3L、R3M、R3N、R3O、R3P、R3Q、R3R、R3S、R3T、R3U、R3V、R3W、R3X、R3Y、R3Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;Y3は-CR3AAR3AB-、-NR3ACC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR3AD-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R3AA、R3AB、R3AC、およびR3ADはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R3D、R3E、R3F、およびR3Gはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;R3H、R3J、およびR3Kはそれぞれ独立にC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される。式IIIにおける第四級窒素は本明細書においてN'と同定される。式IIIの化合物の例としては、麻酔剤のメチル化第四級アンモニウム誘導体、例えばN’-メチルプロカイン、N’-メチルプロパラカイン、N’-メチルアロカイン、N’-メチルエンカイニド、N’-メチルプロカインアミド、N’-メチルメトクロプラミド、N’-メチルストバイン、N’-メチルプロポキシカイン、N’-メチルクロロプロカイン、N’,N’-ジメチルフレカイニド、およびN’-メチルテトラカインが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム1に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化16】

【0100】
式IVにおいては、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R4AおよびR4Bはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR4L、NR4MR4N、NR4OC(O)R4P、S(O)R4Q、SO2R4RR4S、SO2NR4TR4U、SO3R4V、CO2R4W、C(O)R4X、およびC(O)NR4YR4Zから選択され;R4L、R4MR4N、R4O、R4P、R4Q、R4R、R4S、R4T、R4U、R4V、R4W、R4X、R4Y、およびR4Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;Y4は-CR4AAR4AB-、-NR4ACC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR4AD-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R4AA、R4AB、R4AC、およびR4ADはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R4C、R4D、R4E、およびR4Fはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;X4はH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびNR4JR4Kから選択され;R4JおよびR4Kはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R4G、R4H、およびR4Iはそれぞれ独立にC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される。式IVにおける第四級窒素は本明細書においてN”と同定される。式IIIの化合物の例としては、麻酔剤のメチル化第四級アンモニウム誘導体、例えばN”,N”,N”-トリメチルプロカイン、N”,N”,N”-トリメチルプロパラカイン、N”,N”,N”-トリメチルプロカインアミド、N”,N”,N”-トリメチルメトクロプラミド、N”,N”,N”-トリメチルプロポキシカイン、N”,N”,N”-トリメチルクロロプロカイン、N”,N”-ジメチルテトラカイン、N”,N”,N”-トリメチルベンゾカイン、およびN”,N”,N”-トリメチルブタンベンが挙げられる。これらの誘導体は、スキーム1に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化17】

【0101】
式Vにおいては、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R5A、R5B、およびR5Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR5M、NR5NR5O、NR5PC(O)R5Q、S(O)R5R、SO2R5SR5T、SO2NR5UR5V、SO3R5W、CO2R5X、C(O)R5Y、およびC(O)NR5ZR5AAから選択され;R5M、R5N、R5O、R5P、R5Q、R5R、R5S、R5T、R5U、R5V、R5W、R5X、R5Y、R5Z、およびR5AAはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;Y5は-CR5ABR5AC-、-NR5ADC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR5AE-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R5AB、R5AC、R5AD、およびR5AEはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R5D、R5E、R5F、およびR5Gはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;R5HはHまたはC1-4アルキルであり;そしてR5J、R5K、およびR5Lはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか;またはR5JおよびR5Kは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R5JおよびR5Kが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化18】

【0102】
(式中、R5LはHまたはCH3である)から選択される。望ましくは、R5JおよびR5Kは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンもしくはアルケニレン、例えば5、6、および7員環の環系を形成する。式Vにおけるグアニル化窒素は本明細書においてN’と同定される。式Vの化合物の例としては、麻酔剤のN-グアニジル誘導体(例えば-C(NH)NH2誘導体)、例えば、デスエチル-N’-グアニジルプロカイン、デスエチル-N’-グアニジルプロパラカイン、デスエチル-N’-グアニジルアロカイン、デスメチル-N’-グアニジルエンカイニド、デスエチル-N’-グアニジルプロカインアミド、デスエチル-N’-グアニジルメトクロプラミド、デスメチル-N’-グアニジルストバイン、デスエチル-N’-グアニジルプロポキシカイン、デスエチル-N’-グアニジルクロロプロカイン、N’-グアニジルフレカイニド、およびデスエチル-N’-グアニジルテトラカインが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム2〜5に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化19】

【0103】
式VIにおいては、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R6AおよびR6Bはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR6K、NR6LR6M、NR6NC(O)R6O、S(O)R6P、SO2R6QR6R、SO2NR6SR6T、SO3R6U、CO2R6V、C(O)R6W、およびC(O)NR6XR6Yから選択され;R6K、R6L、R6M、R6N、R6O、R6P、R6Q、R6R、R6S、R6T、R6U、R6V、R6W、R6X、およびR6Yはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;Y6は-CR6ZR6AA-、-NR6ABC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR6AC-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R6Z、R6AA、R6AB、およびR6ACはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R6C、R6D、R6E、およびR6Fはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;X6はH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびNR6ADR6AEから選択され;R6ADおよびR6AEはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R6GはHまたはC1-4アルキルであり;R6H、R6I、およびR6Jはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか;またはR6HおよびR6Iは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R6HおよびR6Iが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化20】

【0104】
(式中、R6JはHまたはCH3である)から選択される。望ましくは、R6HおよびR6Iは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンまたはアルケニレン、例えば5、6、および7員環の環系を形成する。式Vにおけるグアニル化窒素は、本明細書においてN”と同定される。式VIの化合物の例としては、麻酔剤のN-グアニジル誘導体(例えば-C(NH)NH2誘導体)、例えばN”-グアニジルプロカイン、N”-グアニジルプロパラカイン、N”-グアニジルプロカインアミド、N”-グアニジルメトクロプラミド、N”-グアニジルプロポキシカイン、N”-グアニジルクロロプロカイン、N”-グアニジルテトラカイン、N”-グアニジルベンゾカイン、およびN”-グアニジルブタンベンが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム2〜5に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【0105】
式III〜VIの親薬剤の合成は文献に記載されている。例えば、米国特許第812,554号(プロカインの合成)、Clintonら、J. Am. Chem. Soc. 74:592 (1952)(プロパラカインの合成)、米国特許第2,689,248号(プロポキシカインの合成)、Hadickeら、Pharm. Zentralh. 94:384(1955)(クロロプロカインの合成)、米国特許第1,889,645号(テトラカインの合成)、Salkowskiら、Ber. 28:1921(1895)(ベンゾカインの合成)、Brillら、J. Am. Chem. Soc. 43:1322(1921)(ブタンベンの合成)、米国特許第3,931,195号(エンカイニドの合成)、Yamazakiら、J. Pharm. Soc. Japan 73:294(1953)(プロカインアミドの合成)、米国特許第3,177,252号(メトクロプラミドの合成)、米国特許第3,900,481号(フレカイニドの合成)、ならびにFourneauら、Bull. Sci. Pharmacol. 35:273(1928)(ストバインの合成)を参照されたい。これらの文献の各々を参照により本明細書に組み入れる。
【化21】

【0106】
式VIIにおいて、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R7A、R7B、およびR7Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR7L、NR7MR7N、NR7OC(O)R7P、S(O)R7Q、SO2R7RR7S、SO2NR7TR7U、SO3R7V、CO2R7W、C(O)R7X、およびC(O)NR7YR7Zから選択され;R7L、R7M、R7N、R7O、R7P、R7Q、R7R、R7S、R7T、R7U、R7V、R7W、R7X、R7Y、およびR7Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;X7は-CR7AAR7AB-、-NR7ACC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR7AD-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R7AA、R7AB、R7AC、およびR7ADはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R7D、R7E、R7F、およびR7Gはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;R7H、R7J、およびR7Kはそれぞれ独立にC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される。好ましい実施形態においては、X7は-C(O)NH-である。式VIIの化合物の例としては、麻酔剤のメチル化第四級アンモニウム誘導体、例えばN’-メチルジブカインが挙げられる。これらの誘導体は、スキーム1に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化22】

【0107】
式VIIIにおいては、n=0〜3かつm=0〜3、(n+m)=0〜6であり;R8A、R8B、およびR8Cはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、OR8L、NR8MR8N、NR8OC(O)R8P、S(O)R8Q、SO2R8RR8S、SO2NR8TR8U、SO3R8V、CO2R8W、C(O)R8X、およびC(O)NR8YR8Zから選択され;R8L、R8M、R8N、R8O、R8P、R8Q、R8R、R8S、R8T、R8U、R8V、R8W、R8X、R8Y、およびR8Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;X8は-CR8AAR8AB-、-NR8ACC(O)-、-OC(O)-、-SC(O)-、-C(O)NR8AD-、-CO2-、および-OC(S)-から選択され;R8AA、R8AB、R8AC、およびR8ADはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R8D、R8E、R8F、およびR8Gはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;R8HはHまたはC1-4アルキルであり;そしてR8I、R8J、およびR8Kはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか;またはR8IおよびR8Jは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R8IおよびR8Jが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化23】

【0108】
(式中、R8KはHまたはCH3である)から選択される。望ましくは、R8IおよびR8Jは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンまたはアルケニレン、例えば5、6、および7員環の環系を形成する。式Vにおけるグアニル化窒素は本明細書においてN’と同定される。好ましい実施形態においては、X8は-C(O)NH-である。式VIIIの化合物の例としては、麻酔剤のN-グアニジル誘導体(例えば-C(NH)NH2誘導体)、例えば、デスエチル-N-グアニジルジブカインが挙げられる。これらの誘導体は、スキーム2〜5に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化24】

【0109】
式IXにおいては、n=0〜6であり;R9A、R9B、R9C、R9D、およびR9Eはそれぞれ独立にH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OR9I、NR9JR9K、NR9LC(O)R9M、S(O)R9N、SO2R9OR9P、SO2NR9QR9R、SO3R9S、CO2R9T、C(O)R9U、およびC(O)NR9VR9Wから選択され;R9I、R9J、R9K、R9L、R9M、R9N、R9O、R9P、R9Q、R9R、R9S、R9T、R9U、R9V、およびR9Wはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;X9は-CR9XR9Y-、-O-、-S-、および-NR9Z-から選択され;R9X、R9Y、およびR9Zはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;Y9はNR9AANR9ABNR9ACまたはNR9ADZ9であり;R9AA、R9AB、およびR9ACはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、およびC2-4アルキニルから選択され;R9ADはHまたはC1-4アルキルであり;Z9は、
【化25】

【0110】
であり;R9F、R9G、およびR9Hはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、およびC2-4アルキニルから選択されるか;またはR9FおよびR9Gは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R9FおよびR9Gが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化26】

【0111】
(式中、R9HはHまたはCH3である)から選択される。望ましくは、R9FおよびR9Gは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンまたはアルケニレン、例えば、5、6、および7員環の環系を形成する。好ましい実施形態においては、X9=-O-である。式IXの化合物の例としては、N-グアニジル誘導体(例えば-C(NH)NH2誘導体)、例えば、N-グアニジルフルオキセチン、およびメチル化第四級アンモニウム誘導体、例えば、N,N-ジメチルフルオキセチンが挙げられる。これらの誘導体は、スキーム1〜5に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【化27】

【0112】
式Xにおいては、W3はO、NH、NCH2R10J、NC(O)CH2R10J、CHCH2R10J、C=CHR10J、もしくはC=CHR10Kであり;W1-W2はS、O、OCHR10K、SCHR10K、N=CR10K、CHR10L-CHR10K、もしくはCR10L=CR10Kであり;R10A、R10B、R10C、R10D、R10E、R10F、R10G、およびR10Hはそれぞれ独立にH、OH、ハロゲン化物、C1-4アルキル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;R10JはCH2CH2X10AもしくはCH(CH3)CH2X10Aであり;R10LはHもしくはOHであり;R10KはH、OH、もしくは基:
【化28】

【0113】
であり;X10AはNR10MR10NR10P、もしくはNR10QX10Cであり;X10BはNR10RR10S、もしくはNX10Cであり;R10M、R10N、R10P、R10R、およびR10Sはそれぞれ独立にC1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択されるか、またはR10RおよびR10Sは一緒になって少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成させ;R10QはHもしくはC1-4アルキルであり;X10Cは、
【化29】

【0114】
であり;R10T、R10UおよびR10Vはそれぞれ独立にH、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、およびC2-4アルキニルから選択されるか、またはR10TおよびR10Vは一緒になって2個の窒素原子を有する複素環を完成させる。R10TおよびR10Vが2個の窒素原子を有する複素環を形成する場合、得られるグアニジン基は、望ましくは、
【化30】

【0115】
(式中、R10UはHまたはCH3である)から選択される。望ましくは、R10TおよびR10Vは組み合わさって2〜4個の炭素原子のアルキレンまたはアルケニレン、例えば、5、6、および7員環の環系を形成する。式Xの化合物の例としては、N-グアニジル誘導体(例えば-C(NH)NH2誘導体)およびメチル化第四級アンモニウム誘導体が挙げられる。式XのN-グアニジル誘導体としては、限定されるものではないが、N-グアニジルアモキサピン、デスメチル-N-グアニジルトリミプラミン、デスメチル-N-グアニジルドチエピン、デスメチル-N-グアニジルドキセピン、デスメチル-N-グアニジルアミトリプチリン、N-グアニジルプロトリプチリン、N-グアニジルデシプラミン、デスメチル-N-グアニジルクロミプラミン、デスメチル-N-グアニジルクロザピン、デスメチル-N-グアニジルロキサピン、N-グアニジルノルトリプチリン、デスメチル-N-グアニジルシクロベンザプリン、デスメチル-N-グアニジルシプロヘプタジン、デスメチル-N-グアニジルオロパタジン、デスメチル-N-グアニジルプロメタジン、デスメチル-N-グアニジルトリメプラジン、デスメチル-N-グアニジルクロルプロチキセン、デスメチル-N-グアニジルクロルプロマジン、デスメチル-N-グアニジルプロピオマジン、デスメチル-N-グアニジルプロクロルペラジン、デスメチル-N-グアニジルチエチルペラジン、デスメチル-N-グアニジルトリフロペラジン、デスエチル-N-グアニジルエタシジン、およびデスメチル-N-グアニジルイミプラミンが挙げられる。式Xのメチル化第四級アンモニウム誘導体としては、限定されるものではないが、N,N-ジメチルアモキサピン、N-メチルトリミプラミン、N-メチルドチエピン、N-メチルドキセピン、N-メチルアミトリプチリン、N,N-ジメチルプロトリプチリン、N,N-ジメチルデシプラミン、N-メチルクロミプラミン、N-メチルクロザピン、N-メチルロキサピン、N,N-ジメチルノルトリプチリン、N-メチルシクロベンザプリン、N-メチルシプロヘプタジン、N-メチルオロパタジン、N-メチルプロメタジン、N-メチルトリメプラジン、N-メチルクロルプロチキセン、N-メチルクロルプロマジン、N-メチルプロピオマジン、N-メチルモリシジン、N-メチルプロクロルペラジン、N-メチルチエチルペラジン、N-メチルフルフェナジン、N-メチルペルフェナジン、N-メチルフルペンチキソール、N-メチルアセトフェナジン、N-メチルトリフロペラジン、N-メチルエタシジン、およびN-メチルイミプラミンが挙げられる。これらの誘導体を、スキーム1〜5に記載のものと同様の方法を使用して調製することができる。
【0116】
本明細書に記載のようにグアニル化もしくは第四級化することができるアミン窒素を含んでもよい他のイオンチャンネルブロッカーとしては、限定されるものではないが、オルフェナドリン、フェンベンザミン、ベプリジル、ピモジド、ペンフルリドール、フルナリジン、フルスピリレン、プロピベリン、ジソピラミド、メタドン、トルテロジン、トリジヘキセチル塩、トリペレナミン、メピラミン、ブロムフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、カルビノキサミン、酢酸レボメタジル、ガロパミル、ベラパミル、デバパミル、チアパミル、エモパミル、ジクロニン、プラモキシン、ラモトリジン、ミベフラジル、ガバペンチン、アミロライド、ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、ニトレンジピン、コカイン、メキシレチン、プロパフェノン、キニジン、オキセサゼイン、アルチカイン、リルゾール、ベンシクラン、リファリジン、およびストリキニーネが挙げられる。さらに他のイオンチャンネルブロッカーを改変して、第四級化またはグアニル化に好適な窒素原子を組み込むことができる。これらのイオンチャンネルブロッカーとしては、限定されるものではないが、フォスフェニトイン、エトトイン、フェニトイン、カルバマゼピン、オキシカルバゼピン、トピラマート、ゾニサミド、およびバルプロ酸の塩が挙げられる。
【0117】
本明細書に記載の方法に従って第四級化またはグアニル化することができるさらに他の誘導体を含むこれらのチャンネルブロッカーの例を、表1に提供する。
【表1】

【0118】

【0119】

【0120】

【0121】
カルシウムチャンネルブロッカー
陽イオン性カルシウムチャンネルブロッカーの例としては、D-890、CERM 11888、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、およびドデシルトリメチルアンモニウムが挙げられる。他の例示的化合物としては、本明細書に記載の方法に従って調製することができる、ベラパミル、ガロパミル、デバパミル、ジルチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル、Normanら、Agricultural and Biological Chemistry 49(10):2893-8 (1985)に記載のものなどのテルペン化合物(例えば、セスキテルペン)、およびカルシウムチャンネルの他の阻害剤(例えば、Triggle, European Journal of Pharmacology, 375:311-325 (1999)、Ellerら、British Journal of Pharmacology, 130:669-677 (2000)、およびYamamotoら、Current Topics in Medicinal Chemistry, 9:377-395 (2009)を参照されたい)の任意の荷電誘導体、例えば、第四級アミン誘導体が挙げられる。
【0122】
例えば、Yamamotoらは、以下のN型カルシウムチャンネルブロッカーを提供しており(表2)、これを本明細書に記載の方法に従って改変する(例えば、第四級化またはグアニル化)することができる。
【表2】

【0123】

【0124】

【0125】

【0126】

【0127】

【0128】

【0129】

【0130】

【0131】
ファルネシルアミン化合物
式(XI):
【化31】

【0132】
(式中、R11A、R11B、およびR11Cは各々独立に、HまたはC1-4アルキルから選択され、0、1、2、または3個の破線結合は炭素間二重結合を表す(すなわち、式(XI)の化合物は0、1、2、または3個の二重結合を含んでもよい)が、但し、2または3個の炭素間二重結合が存在する場合、その二重結合は互いに隣接しない)
に記載の構造を有する化合物を、カルシウムチャンネルブロッカーとして本発明において用いることもできる。0、1、または2個の二重結合を含む化合物を、文献で公知の方法、例えば、親トリエンの部分的または全体的水素化に従って調製することができる。
【0133】
いくつかの実施形態においては、式(XI)の化合物を、以下の式(XI-A):
【化32】

【0134】
(式中、R11A、R11B、R11C、およびXはそれぞれ式(XI)に記載の通りであり、それぞれの破線結合は任意的な炭素間二重結合を表す)
により表すことができる。
【0135】
さらに他のファルネシルアミン化合物としては、式(XI-B):
【化33】

【0136】
(式中、R11A、R11B、R11C、およびXはそれぞれ式(XI)に記載の通りである)
に記載の構造を有する化合物が挙げられる。
【0137】
式(XI)の化合物の例としては、
【化34】

【0138】
が挙げられる。
【0139】
システイン由来化合物
アミノ酸誘導体、例えば、米国特許第7,166,590号またはSekoら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11(16):2067-2070 (2001)(それぞれ参照により本明細書に組入れられるものとする)に記載のものを、本発明において用いることもできる。例えば、式(XII):
【化35】

【0140】
(式中、R12A、R12B、R12C、およびR12Dは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;またはR12AおよびR12Bは一緒になって、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成させ、nは1〜5の整数であり、R12EおよびR12Fは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、もしくはC3-10アルクヘテロシクリルから選択され、ならびにXは任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の構造を有する化合物が、N型カルシウムチャンネルブロッカーであってよい。
【0141】
式(XII)の化合物の例としては、
【化36】

【0142】
が挙げられる。
【0143】
フルナリジンおよび関連化合物
本発明において用いることができるさらに他の化合物は、フルナリジンおよび関連化合物の荷電誘導体である(例えば、それぞれ、参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第2,883,271号および第3,773,939号、ならびにZamponiら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 19: 6467 (2009)を参照されたい)。例えば、式(XIII-A)、(XIII-B)、および(XIII-C):
【化37】


【0144】
(式中、R13A-R13JおよびR13O-R13Tは各々独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR13AA、NR13ABR13AC、NR13ADC(O)R13AE、S(O)R13AF、SO2R13AGR13AH、SO2NR13AIR13AJ、SO3R13AK、CO2R13AL、C(O)R13AM、およびC(O)NR13ANR13AOから選択され;ならびにR13AA-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;
R13K、R13L、R13M、およびR13Nは各々独立に、HもしくはC1-4アルキルであるか、またはR13KおよびR13L、もしくはR13MおよびR13Nは組み合わさって、C=Oを形成するか、またはR13KおよびR13Mは組み合わさってC=Cを形成し;
R13YはHまたはC1-4アルキルであり;
R13ZおよびR13Z'は独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;ならびに
X-は任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の化合物を、例えば、Zamponiらに従って調製し、本発明において用いることができる。
【0145】
式(XIII-A)〜(XIII-C)に記載の化合物の例としては、
【化38】

【0146】
が挙げられる。
【0147】
ミベフラジル誘導体
参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第4,808,605号に記載のものなどのミベフラジルの誘導体を用いることもできる。ミベフラジル誘導体の例としては、式(XIV):
【化39】

【0148】
(式中、
nは0〜5の整数であり;
R14Aはヘテロシクリル(例えば、ベンズイミダゾールなどのヘテロアリール)であり、
R14B、R14C、R14D、およびR14Eは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルであり;ならびに
R14FはH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR14G、NR14HR141、NR14JC(O)R14K、S(O)R14L、SO2R14MR14N、SO2NR14OR14P、SO3R14Q、CO2R14R、C(O)R14S、およびC(O)NR14TR14Vから選択され;ならびにR14G-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される)
の化合物が挙げられる。
【0149】
式(XIV)の化合物の例は、
【化40】

【0150】
である。
【0151】
4-ピペリジニルアニリン化合物
4-ピペリジニルアニリン化合物(例えば、表2の化合物(86)〜(88))の荷電誘導体を、文献で公知の、および本明細書に記載の方法に従って調製することができる。例えば、化合物(86)〜(88)の荷電N-アルキル誘導体(例えば、N-メチル)を調製し、本明細書に記載の組成物、方法、およびキットにおいて用いることができる。
【0152】
本明細書にキシアノ方法に従って第四級化またはグアニル化することができるさらに他のチャンネルブロッカーは、例えば、参照により本明細書に組入れられるものとするPCT公開第WO 2004/093813号(例えば、表5、6、および8を参照)に記載されている。例えば、表3に示されるチャンネルブロッカーを、本明細書に記載のように第四級化またはグアニル化することができる。
【表3】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

【0157】

【0158】

【0159】

【0160】

【0161】

【0162】

【0163】

【0164】

【0165】

【0166】

【0167】
合成
荷電改変イオンチャンネルブロッカーの合成は、親のイオンチャンネルブロッカー、リンカー、かさ高い基、および/もしくは荷電した基のアルコール、アミン、ケトン、スルフヒドリルまたはカルボキシル官能基の選択的保護および脱保護を含んでもよい。例えば、アミン類について一般的に使用される保護基としては、tert-ブチル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、9-フルオレニルメチル、アリル、およびm-ニトロフェニルなどのカルバメートが挙げられる。アミンについて一般的に使用される他の保護基としては、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、スルホンアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミド、トリメチルシリルエタンスルホンアミド、およびtert-ブチルスルホニルアミドなどのアミドが挙げられる。カルボキシルについて一般的に使用される保護基の例としては、メチル、エチル、tert-ブチル、9-フルオレニルメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジル、ジフェニルメチル、O-ニトロベンジル、オルト-エステル、およびハロ-エステルなどのエステルが挙げられる。アルコールについて一般的に使用される保護基の例としては、メチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、テトラヒドロピラニル、エトキシエチル、ベンジル、2-ナフチルメチル、O-ニトロベンジル、P-ニトロベンジル、P-メトキシベンジル、9-フェニルキサンチル、トリチル(メトキシ-トリチルを含む)、およびシリルエーテルなどのエーテルが挙げられる。スルフヒドリルについて一般的に使用される保護基の例としては、ヒドロキシルで使用される保護基と同じものの多くが挙げられる。さらに、スルフヒドリルは、還元型(例えば、ジスルフィドとして)または酸化型(例えば、スルホン酸、スルホン酸エステル、もしくはスルホン酸アミド)で保護することができる。保護基は、分子中の他の保護基を除き、それぞれを除去するために選択条件(例えば、酸性条件、塩基性条件、求核試薬による触媒、ルイス酸による触媒、または水素化)が必要とされるように選択することができる。アミン、アルコール、スルフヒドリル、およびカルボキシル官能基に保護基を付加するために必要な条件、ならびにこれらの除去のために必要な条件は、T.W. GreenおよびP.G.M. Wuts, 「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」(第二版)、John Wiley & Sons, 1991およびP.J. Kocienski, 「保護基(Protecting Groups)」Georg Thieme Verlag, 1994に詳細に記載されている。
【0168】
荷電改変イオンチャンネルブロッカーを、当業者に良く知られた技術を使用して調製することができる。改変を、例えば、J. March「高等有機化学:反応、メカニズムおよび構造(Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure)」John Wiley & Sons, Inc., 1992, 第617頁に記載された技術を使用して、親のイオンチャンネルブロッカーのアルキル化によって行うことができる。アミノ基のグアニジン基への変換は、標準的な合成プロトコルを使用して達成することができる。例えば、Mosherはアミノイミノメタンスルホン酸のアミンとの反応による一置換グアニジンの一般的な調製方法を記載している(Kimら、Tetrahedron Lett. 29:3183 (1988))。第一級および第二級アミンのグアニル化のためのより便利な方法は、Bernatowiczが1H-ピラゾール-1-カルボキシアミジン塩酸;1-H-ピラゾール-1-(N,N’-ビス(tert-ブトキシカルボニル)カルボキシアミジン;または1-H-ピラゾール-1-(N,N’-ビス(ベンジルオキシカルボニル)カルボキシアミジンを用いて開発した。これらの試薬は、アミンと反応して一置換グアニジンを与える(Bernatowiczら、J. Org. Chem. 57:2497 (1992); およびBernatowiczら、Tetrahedron Lett. 34:3389 (1993)を参照されたい)。さらに、チオウレアおよびS-アルキル-イソチオウレアは、置換グアニジンの合成において有用な中間体であることが示されている(Possら、Tetrahedron Lett. 33:5933 (1992))。特定の実施形態においては、グアニジンは2個の窒素原子を有する複素環の一部である(例えば、下記の構造を参照されたい)。
【0169】
環系は、アルキレンまたは
【化41】

2〜4個の炭素原子のアルケニレン、例えば5、6、および7員環の環系を含み得る。そのような環系を、例えばSchlamaら、J. Org. Chem., 62:4200 (1997)に開示された方法を用いて調製することができる。
【0170】
荷電改変イオンチャンネルブロッカーを、スキーム1に示す親化合物中のアミン窒素のアルキル化によって調製することができる。
【化42】

【0171】
あるいは、荷電改変イオンチャンネルブロッカーを、グアニジン基の導入によって調製することができる。親化合物を、スキーム2に示すようなシナミド、例えば、メチルシアナミド、またはスキーム3に示すようなピラゾール-1-カルボキシアミジン誘導体[式中ZはHまたは好適な保護基である]と反応させることができる。あるいは、親化合物を、スキーム4に示すように、臭化シアン、続いてメチルクロロアルミニウムアミドと反応させることができる。2-(メチルチオ)-2-イミダゾリンなどの試薬を使用して好適に官能化された誘導体を調製することもできる(スキーム5)。
【化43】


【0172】
アミン窒素原子を含む任意のイオンチャンネルブロッカー(例えば化合物(1)−(563)から選択される化合物または式(I)−(XIV)の化合物)を、スキーム1〜5に示すように改変することができる。
【0173】
TRPV1アゴニスト
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるTRPV1アゴニストとしては、限定されるものではないが、侵害受容器上のTRPV1受容体を活性化し、少なくとも1種の電位依存性イオンチャンネル阻害剤の進入を可能とする任意のものが挙げられる。好適なTRPV1アゴニストは、カプサイシンまたはバニロイドファミリー分子のメンバーである別のカプサイシノイドである。天然のカプサイシノイドは、カプサイシン自体、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、およびノニバミドであり、その構造を以下に提供する。
【化44】


【0174】
本発明の組成物および方法における使用のための他の好適なカプサイシノイドおよびカプサイシノイド類似体および誘導体としては、例えば、バニロイド(例えば、N-バニリル-アルカンジエンアミド、N-バニリル-アルカンジエニル、およびN-バニリル-シス-モノ不飽和アルケンアミド)、カプシエート、ジヒドロカプシエート、ノルジヒドロカプシエートおよび他のカプシノイド、カプシコニエート、ジヒドロカプシコニエートおよび他のコニフェリルエステル、カプシコニノイド、レシニフェラトキシン、チニアトキシン、シバミド、N-フェニルメチルアルケンアミドカプサイシン誘導体、オルバニル、N-[(4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル)メチル]-9Z-オクタ-デカンアミド、N-オレイル-ホモバニラミド、トリプレニルフェノール(例えば、スクチゲラール)、ジンゲロール、ピペリン、ショーガオール、グアイアコール、オイゲノール、ジンゲロン、ヌバニル、NE-19550、NE-21610、ならびにNE-28345などの、天然および合成のカプサイシン誘導体および類似体が挙げられる。さらなるカプサイシノイド、その構造、およびその製造方法は、参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第7,446,226号および第7,429,673号に記載されている。
【0175】
さらなる好適なTRPV1アゴニストとしては、限定されるものではないが、オイゲノール、アルバニル(N-アラキドノイルバニルアミン)、アナンダミド、2-アミノエトキシジフェニルボレート (2APB)、AM404、レシニフェラトキシン、ホルボール12-フェニルアセテート 13-アセテート 20-ホモバニレート (PPAHV)、オルバニル(NE 19550)、OLDA(N-オレオイルドーパミン)、N-アラキドニルドーパミン (NADA)、6'-ヨードレシニフェラトキシン(6'-IRTX)、C18 N-アシルエタノールアミン、12-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸などのリポキシゲナーゼ誘導体、インヒビターシステインノット(ICK)ペプチド(バニロトキシン)、ピペリン、MSK195 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-2-[4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド)、JYL79 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、10-ショーガオール、オレイルジンゲロール、オレイルショーガオール、およびSU200 (N-(4-tert-ブチルベンジル)-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)が挙げられる。
【0176】
さらに他のTRPV1アゴニストとしては、アミロカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、およびトリメカインが挙げられる。
【0177】
TRP1Aアゴニスト
本発明の方法およびキットに使用できるTRP1Aアゴニストとしては、侵害受容器または掻痒受容器上のTRP1A受容体を活性化し、少なくとも1種の電位依存性イオンチャンネル阻害剤の進入を可能とする任意のものが挙げられる。好適なTRP1Aアゴニストとしては、限定されるものではないが、シンナムアルデヒド、アリル-イソチオシアネート、ジアリルジスルフィド、イチリン、シナモンオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイル、アクロレイン、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、4-ヒドロキシノネナール、メチルp-ヒドロキシベンゾエート、マスタードオイル、および3'-カルバモイルビフェニル-3-イルシクロヘキシルカルバメート(URB597)が挙げられる。さらに他のアゴニストとしては、アミロカイン、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、およびトリメカインが挙げられる。
【0178】
P2Xアゴニスト
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるP2Xアゴニストとしては、侵害受容器または掻痒受容器上のP2X受容体を活性化し、少なくとも1種の電位依存性イオンチャンネル阻害剤の進入を可能とする任意のものが挙げられる。好適なP2Xアゴニストとしては、限定されるものではないが、2-メチルチオ-ATP、2'および3'-O-(4-ベンゾイルベンゾイル)-ATP、およびATP5'-O-(3-チオトリフォスフェート)が挙げられる。
【0179】
TRPM8アゴニスト
本発明の方法、組成物、およびキットにおいて使用できるTRPM8アゴニストとしては、侵害受容器または掻痒受容器上のTRPM8受容体を活性化し、少なくとも1種の電位依存性イオンチャンネル阻害剤の進入を可能とする任意のものが挙げられる。好適なTRPM8アゴニストとしては、限定されるものではないが、メントール、イシクリン、ユーカリプトール、リナロール、ゲラニオール、およびヒドロキシシトロネラールが挙げられる。
【0180】
さらなる薬剤
必要に応じて、神経性炎症を治療するために典型的に使用される1種以上のさらなる生物活性剤を、本明細書に記載の本発明の組成物と共に使用することができる。生物活性剤としては、限定されるものではないが、アセトアミノフェン、NSAID、糖質コルチコイド、麻薬(例えば、オピオイド)、三環系抗うつ薬、アミントランスポーター阻害剤、抗けいれん薬、抗増殖剤、および免疫調節剤が挙げられる。生物活性剤を、治療上有効である当業界で公知の任意の製剤、用量、または投与を用いて、本発明の組成物の投与の前に、それと同時に、またはその後に投与することができる。
【0181】
本発明の組成物と共に、神経性炎症に罹患している患者(例えば、ヒト)に投与することができる非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)としては、限定されるものではないが、アセチルサリチル酸、アモキシプリン、ベノリレート、ベノリラート、コリンサリチル酸マグネシウム、サリチルサリチル酸、サリチルアミド、ジクロフェナク、アセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、ブロムフェナク、エトドラク、インドメタシン、ナブメトン、オキサメタシン、プログルメタシン、スリンダック、トルメチン、イブプロフェン、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、カルプロフェン、デキシブプロフェン、デクスケトプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルビプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ケトロラック、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、フルフェナム酸、メクロフェナム酸、トルフェナム酸、フェニルブタゾン、アムピロン、アザプロパゾン、クロフェゾン、ケブゾン、メタミゾール、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェナゾン、スルフィンピラゾン、ピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、テノキシカム、およびCOX-2阻害剤であるセレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、ならびに製薬上許容し得るその塩が挙げられる。
【0182】
本発明の組成物と共に、神経性炎症に罹患している患者(例えば、ヒト)に投与することができる糖質コルチコイドとしては、限定されるものではないが、ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸デオキシコルチコステロン、アルドステロン、および製薬上許容し得るその塩が挙げられる。
【0183】
本発明の組成物と共に、神経性炎症に罹患している患者(例えば、ヒト)に投与することができる麻薬としては、限定されるものではないが、トラマドール、ヒドロコドン、オキシコドン、モルヒネ、および製薬上許容し得るその塩が挙げられる。
【0184】
本発明の組成物と共に、神経性炎症に罹患している患者(例えば、ヒト)に投与することができる抗増殖剤および免疫調節剤としては、限定されるものではないが、アルキル化剤、白金剤、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼ阻害剤、ジヒドロ葉酸リダクターゼ阻害剤、抗腫瘍剤、抗生物質、抗有糸分裂剤、アロマターゼ阻害剤、チミジル酸シンターゼ阻害剤、DNAアンタゴニスト、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ポンプ阻害剤、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、リボヌクレオシドリダクターゼ阻害剤、TNF-αアゴニスト、TNF-αアンタゴニストもしくはスカベンジャー、インターロイキン1(IL-1)アンタゴニストもしくはスカベンジャー、エンドセリンA受容体アンタゴニスト、レチノイン酸受容体アゴニスト、ホルモン剤、抗ホルモン剤、光力学剤、およびチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0185】
組成物の製剤化
本発明の組み合わせの投与は、標的領域(例えば、任意の炎症組織または粘膜表面)の炎症の減少をもたらす好適な任意の手段によるものであってよい。電位依存性イオンチャンネルの阻害剤を、任意の好適な担体物質中に任意の適切な量で含有させることができ、一般的には、合わせて組成物の総重量の1〜95重量%となる量で存在する。前記組成物は、関節内、経口、非経口(例えば静脈内、筋肉内)、直腸内、皮内、皮下、局所、経皮、舌下、鼻内、膣内、小胞内、尿道内、くも膜下、硬膜外、耳内、もしくは眼内投与、あるいは注射、吸入、または鼻、尿生殖器、胃腸、生殖器もしくは口腔粘膜との直接接触による投与のために好適な投与形態で提供することができる。
【0186】
従って、前記組成物は、例えば、錠剤、カプセル、ピル、粉末、顆粒、懸濁液、乳濁液、溶液、ヒドロゲルを含むゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、ドレンチ、浸透送達デバイス、坐剤、浣腸剤、注射可能物質、インプラント、スプレー、イオン導入送達のための好適な調製物、またはエアロゾルの形態であってよい。前記組成物を、慣用的な製剤化の手順に従って製剤化することができる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000, A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins編, Philadelphia, およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, J. SwarbrickおよびJ. C. Boylan編, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkを参照されたい)。
【0187】
本明細書に記載のように、組合せ療法の各化合物を、当業界で公知の様々な方法で製剤化することができる。例えば、組合せ療法の第1および第2の薬剤を、一緒に、または別々に製剤化することができる。望ましくは、第1および第2の薬剤を、薬剤を同時もしくはほぼ同時に投与するために一緒に製剤化する。
【0188】
個々に、もしくは別個に製剤化された薬剤を、キットとして一緒に包装することができる。非限定例として、限定されるものではないが、例えば、2種のピル、ピルと粉末、坐剤とバイアル中の液体、2種の局所用クリームなどを含むキットが挙げられる。キットは、患者への単位用量の投与を補助する任意の成分、例えば、粉末形態を再構成するためのバイアル、注射用シリンジ、特別注文のIV送達系、吸入器などを含んでもよい。さらに、単位用量キットは、組成物の調製および投与についての説明書を含んでもよい。
【0189】
キットは、一人の患者のための1回使用の単位用量として、特定の患者のための(定常量での、もしくは治療が進行するにつれて個々の化合物の効力が変動し得る)複数回使用として製造することができ;またはキットは複数の患者に投与するのに適した複数回用量を含んでいてもよい(「バルク包装」)。キットの構成成分は、カートン、ブリスターパック、瓶、チューブなどに組み立てることができる。
【0190】
制御放出製剤
本発明の各化合物を、単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と共に、米国特許出願公開第2003/0152637号および第2005/0025765号(それぞれ、参照により本明細書に組入れられるものとする)に記載のような制御放出(例えば、持続放出または定量放出)投与のために製剤化することができる。例えば、本発明の化合物を、単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と共に、カプセルまたは錠剤中に組入れ、炎症部位に投与することができる。
【0191】
単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と共に、本発明の化合物の持続放出を提供することができる、治療しようとする部位(例えば、痛い外科的切開部、創傷、または関節)への局所浸潤または注射にとって好適な任意の製薬上許容し得るビヒクルまたは製剤を用いて、必要に応じて、炎症の排除または軽減の延長を提供することができる。当業界で公知の遅延放出製剤としては、特殊コーティングされたペレット、外科的挿入のため、あるいは埋込み、挿入、輸液もしくは注射のための持続放出微粒子、例えば、ミクロスフェアもしくはマイクロカプセルとしてのポリマー製剤またはマトリックスが挙げられ、活性薬剤の遅延放出が、マトリックスからの持続的拡散もしくは制御された拡散および/または調製物のコーティングの選択的破壊もしくはポリマーマトリックスの選択的破壊によってもたらされる。患者の好ましい局所部位への薬剤の持続的または即時的送達のための他の製剤またはビヒクルとしては、例えば、懸濁液、乳濁液、ゲル、リポソームおよび皮下または筋肉内投与にとって許容し得る任意の他の好適な当業界で公知の送達ビヒクルもしくは製剤が挙げられる。
【0192】
様々な生体適合材料を、単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と組合わせた本発明の化合物の制御放出を提供するための制御放出担体として用いることができる。当業者には公知の任意の製薬上許容し得る生体適合ポリマーを用いることができる。生体適合性制御放出材料は、約1年以内、好ましくは、約3ヶ月以内、より好ましくは、約2ヶ月以内にin vivoで分解することが好ましい。より好ましくは、制御放出材料は、1〜3ヶ月以内に有意に分解し、少なくとも50%の材料が非毒性残渣に分解し、体内から除去され、本発明の化合物の100%が約2週間、好ましくは、約2日〜約7日以内の期間内に放出されるであろう。分解性制御放出材料は、放出が持続的であるだけでなく、望ましい放出速度を提供するように、好ましくは、表面浸食またはバルク浸食による加水分解によって分解すべきである。しかしながら、これらの製剤の薬物動態的放出プロフィールは、所望の期間にわたって所望の可逆的局所麻酔作用を提供する、一次的、ゼロ次的、二相的または多相的であってよい。
【0193】
好適な生体適合性ポリマーを、制御放出材料として用いることができる。ポリマー材料は、生体適合性、生分解性ポリマーを含んでもよく、特定の好ましい実施形態においては、好ましくは、乳酸とグリコール酸のコポリマーである。本発明の製剤において有用である好ましい制御放出材料としては、ポリ無水物、ポリエステル、乳酸とグリコール酸のコポリマー(好ましくは、乳酸とグリコール酸の重量比は4:1以下である、すなわち、80重量%以下の乳酸と20%以上のグリコール酸である)および触媒または分解増強化合物を含有する、例えば、少なくとも1重量%の無水マレイン酸などの無水物触媒を含有するポリオルトエステルが挙げられる。ポリエステルの例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびポリ乳酸-ポリグリコール酸コポリマーが挙げられる。他の有用なポリマーとしては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリンおよびフィブリノゲンなどのタンパク質ポリマーならびにヒアルロン酸などの多糖類が挙げられる。
【0194】
当業者には公知の任意の方法により、ポリマー材料を調製することができる。例えば、ポリマー材料が乳酸とグリコール酸のコポリマーから構成される場合、このコポリマーを米国特許第4,293,539号(参照により本明細書に組入れられるものとする)に記載の手順により調製することができる。あるいは、乳酸とグリコール酸のコポリマーを、当業者には公知の任意の他の手順により調製することができる。他の有用なポリマーとしては、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン、ポリホスホエステル、多糖類、タンパク質ポリマー、多糖類の可溶性誘導体、タンパク質ポリマーの可溶性誘導体、ポリペプチド、ポリエステル、およびこれらのもののいずれかのポリオルトエステルまたは混合物またはブレンドが挙げられる。本発明において有用である製薬上許容し得るポリ無水物は、水不安定性無水結合を有する。薬剤放出の速度を、用いられる特定のポリ無水物ポリマーおよびその分子量により制御することができる。多糖類は、ポリ-1,4-グルカン、例えば、スターチグリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、およびその混合物であってよい。生分解性親水性または疎水性ポリマーは、ポリ-1,4-グルカンの水溶性誘導体、例えば、加水分解アミロペクチン、加水分解アミロペクチンのヒドロキシアルキル誘導体、例えば、ヒドロキシエチルスターチ(HES)、ヒドロキシエチルアミロース、ジアルデヒドスターチなどであってよい。ポリ無水物ポリマーは分枝状であっても、または線状であってもよい。本発明において有用であるポリマーの例としては、(ポリ(乳酸)および/もしくはポリ(グリコール酸)のホモポリマーおよびコポリマーに加えて)ポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン無水物](PCPP)、ポリ[ビス(p-カルボキシ)メタン無水物](PCPM)、重合不飽和脂肪酸のポリ無水物、追加のカルボン酸を含むように改変されたアミノ酸から調製されたポリ無水物ポリマー、芳香族ポリ無水物組成物、ならびにポリ無水物と脂肪酸末端化ポリ無水物などの他の物質とのコポリマー、例えば、不飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪族酸のダイマーおよび/もしくはトリマーのモノマーから重合させたポリ無水物が挙げられる。ポリ無水物を、参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第4,757,128号に記載の方法に従って調製することができる。ポリオルトエステルポリマーを、例えば、参照により本明細書に組入れられるものとする米国特許第4,070,347号に記載のように調製することができる。ポリホスホエステルを、米国特許第6,008,318号、第6,153,212号、第5,952,451号、第6,051,576号、第6,103,255号、第5,176,907号および第5,194,581号(それぞれ、参照により本明細書に組入れられるものとする)に記載のように調製および使用することができる。
【0195】
タンパク質ポリマーを用いることもできる。タンパク質ポリマーおよびその可溶性誘導体としては、ゲル化生分解性合成ポリペプチド、エラスチン、アルキル化コラーゲン、アルキル化エラスチンなどが挙げられる。生分解性合成ポリペプチドとしては、ポリ-(N-ヒドロキシアルキル)-L-アスパラギン、ポリ-(N-ヒドロキシアルキル)-L-グルタミン、N-ヒドロキシアルキル-L-アスパラギンおよびN-ヒドロキシアルキル-L-グルタミンと他のアミノ酸とのコポリマーが挙げられる。提言されるアミノ酸としては、L-アラニン、L-リジン、L-フェニルアラニン、L-バリン、L-チロシンなどが挙げられる。
【0196】
さらなる実施形態においては、効果において、単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と組合わせて、本発明の化合物のための担体として作用する制御放出材料は、ペクチン(ポリガラクツロン酸)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸、ムチン)もしくは非毒性レクチンなどの生体接着性ポリマーを含むか、またはそのポリマー自体が生体接着性である、例えば、ポリ無水物もしくはキトサンなどの多糖類であってよい。
【0197】
生分解性ポリマーがゲルを含む実施形態においては、1つのそのような有用なポリマーは、熱ゲル化ポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)ブロックコポリマー、例えば、BASF Wyandotte社製のPluronic(商標)F127である。そのような事例においては、局所麻酔製剤を、30℃以上で急速にゲル化する(例えば、患者に注射した場合)自由流動性液体としてシリンジを介して注射することができる。次いで、このゲル系は、投与部位で、一定用量の本発明の化合物を単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と共に放出する。
【0198】
経口使用のための固形投与形態
経口使用のための製剤としては、非毒性の製薬上許容される賦形剤と共に活性成分を混合物中に含有する錠剤が挙げられる。これらの賦形剤は、例えば、不活性の希釈剤または増量剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖類、マンニトール、微結晶性セルロース、ジャガイモデンプンなどのデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、もしくはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、微結晶性セルロースなどのセルロース誘導体、ジャガイモデンプンなどのデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、もしくはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、もしくはポリエチレングリコール);ならびに潤滑剤、滑剤、および癒着防止剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、水素添加植物油、もしくはタルク)であってよい。他の製薬上許容し得る賦形剤は、着色料、香料、可塑剤、保湿剤、緩衝化剤などであってよい。
【0199】
錠剤、カプセル、もしくは他のビヒクル中に2種以上の化合物を一緒に混合することができるか、または仕切ることができる。一例においては、第1の化合物の放出の前に第2の化合物の実質的な部分が放出されるように、第1の化合物を錠剤の内側に含有させ、第2の化合物を外側に含有させる。
【0200】
経口使用のための製剤はまた、チュアブル錠として、または活性成分が不活性の固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微結晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリン)と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油性の媒体、例えば、ピーナッツ油、液体パラフィン、もしくはオリーブオイルと混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。粉末、顆粒、およびペレットを、例えば、ミキサー、流動床装置もしくはスプレー乾燥装備を用いる従来の様式で錠剤およびカプセルの下で上記の成分を用いて調製することができる。
【0201】
化合物の錠剤、カプセル、ペレット、もしくは顆粒製剤の好適なコーティングによるか、または好適なマトリックス中に化合物を含有させることにより、溶解または拡散制御放出を達成することができる。制御放出コーティングは、上記の1種以上のコーティング物質ならびに/または、例えば、シェラック、蜜蝋、グリコワックス、カストルワックス、カルナバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル酸樹脂、dl-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、塩化ポリビニル、酢酸ポリビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸、メチルメタクリル酸、2-ヒドロキシメタクリル酸、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコールメタクリル酸、および/もしくはポリエチレングリコールを含んでもよい。制御放出マトリックス製剤において、マトリックス材料は、例えば、メチルセルロース水和物、カルナバワックスおよびステアリルアルコール、カルボポル934、シリコン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、塩化ポリビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フッ化炭素を含んでもよい。
【0202】
本発明の化合物および組成物を経口投与のために含有させることができる液体形態としては、水性溶液、好適な風味のシロップ、水性もしくは油性懸濁液、および綿実油、ゴマ油、ココナッツ油、もしくはピーナッツ油などの食用油を含む風味付けされた乳濁液、ならびにエリキシル剤および同様の製薬ビヒクルが挙げられる。
【0203】
一般に、ヒトに投与する場合には、本発明の組み合わせの化合物のいずれかの経口投与量はその化合物の性質に依存し、当業者によって容易に決定することができる。典型的には、そのような投与量は、通常約0.001mg〜2000mg/日、望ましくは約1mg〜1000mg/日、より望ましくは約5mg〜500mg/日である。1日に200mgまでの投与量が必要な場合がある。
【0204】
組み合わせ療法中のそれぞれの薬剤の投与は、各々1日1〜4回で1日〜1年であってよく、患者の生涯にわたる場合さえあり得る。多くの場合、慢性的・長期投与が指示されるであろう。
【0205】
局所製剤
本発明の組成物はまた、単独で、または本明細書に記載の1種以上の生物活性剤と共に、活性成分を0.0001%〜25%(w/w)、またはそれ以上含有する局所ビヒクルを用いて局所的使用に適合させることもできる。
【0206】
好ましい組み合わせにおいて、活性成分は、好ましくはそれぞれ0.0001%〜10%(w/w)、より好ましくは0.0005%〜4%(w/w)の活性剤である。クリームは1日に1〜4回、または必要に応じて適用することができる。
【0207】
本明細書に記載の方法を実施するにあたり、本発明の組成物を含有する局所ビヒクル、または本発明の組成物を含有する組合せ療法を、好ましくは患者の炎症部位に適用する。例えば、クリームを、患者の関節炎を起こしている指のある手に適用することができる。
【0208】
経鼻投与および吸入投与のための製剤
本発明の医薬組成物を、経鼻投与または鼻内投与のために製剤化することができる。経鼻投与にとって好適な製剤は、担体が固体である場合、例えば、約20〜500μmの範囲の粒径を有する粗粉末を含み、鼻経路を介する急速な吸入によりこれを投与する。担体が液体、例えば、鼻スプレーまたは点鼻剤である場合、1種以上の製剤を水性または油性溶液と混合し、鼻経路中で吸入またはスプレーすることができる。
【0209】
吸入による投与のためには、活性成分を、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の好適な気体の使用と共に、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で都合良く送達することができる。加圧されたエアロゾルの場合、一定量を送達するためのバルブを提供することにより用量単位を決定し、例えば、化合物と、ラクトースもしくはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する、吸入器または注入器における使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤化することができる。
【0210】
(実施例)
以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を制限することを意図するものではない。
【実施例1】
【0211】
QX-314の静脈内注射を用いる神経性炎症の治療
図1は、プレチスモグラフィーにより後脚の総容量を測定することによって決定された、ラット後脚における完全Freundアジュバント(CFA)の注入により引き出された浮腫に対する静脈内QX-314(0.4 mg/kg)の効果を示すグラフである。CFAの注入により生じた腫れの程度は、QX-314の投与により減少し、これはQX314による侵害受容器の遮断の結果生じる神経性浮腫の減少を反映している。QX-314単独では、塩水の投与と異なる効果を有さない。
【実施例2】
【0212】
カプサイシンにより活性化されたTRPV1チャンネルを介する後根神経節ニューロンへのN-メチル-ベラパミルの進入
公知のカルシウムチャンネルブロッカーであるベラパミルの荷電誘導体であり、D-890と構造的に関連するN-メチル-ベラパミルを、カプサイシンによるTRPV1チャンネルの活性化を介して後根神経節ニューロンに充填することができる。次いで、内部に充填されたN-メチル-ベラパミルは、前記ニューロン中の電位依存性カルシウムチャンネルの長く続く阻害をもたらす。薬剤の細胞への進入、およびその遮断作用は、ニューロンの膜に存在するTRPV1チャンネルを活性化するカプサイシンの存在下で薬剤を適用することに依存する。
【0213】
図2に、TRPV1チャンネルを開くカプサイシンの存在下で適用されたN-メチル-ベラパミルによるDRGニューロン中の電位依存性カルシウムチャンネル電流の阻害を示す。トレースは、ホールセル様式で記録された、分離されたラット後根神経節ニューロン中の電位依存性カルシウムチャンネルを介する電流を示す。内部CsClに基づく溶液を用いて、155 mMのN-メチル-D-グルカミンのバックグラウンド(Na電流を排除するため)上で2 mMのBa2+により電流を伝えた。-80 mV〜-20 mVの電圧ステップにより、カルシウムチャンネルを開いた。チャンネルが開く時、細胞中に流入するBa2+イオンにより、内向きの電流を伝える。
【0214】
各パネルは、1μMのカプサイシンのみ(上段パネル)、300μMのN-メチル-ベラパミルのみ(中段パネル)、またはTRPV1チャンネルを開く1μMのカプサイシンの存在下で適用された300μMのN-メチル-ベラパミル(下段パネル)への細胞の曝露の前および3分後のカルシウムチャンネル電流を示す。カプサイシンのみまたはN-メチル-ベラパミルのみを用いる対照実験はそれぞれ、薬剤を洗浄除去した場合に急速に逆転する弱く一時的な効果をもたらす。しかしながら、前記組合せは、薬剤の洗浄除去後も持続するカルシウムチャンネル電流の阻害をもたらし、これはN-メチル-ベラパミルと一致し、TRPV1チャンネルを通過して進入し、細胞の内側に捕捉されたまま残存し、内側からカルシウムチャンネルを遮断した。
【0215】
他の実施形態
本発明の記載された方法および系の様々な改変および変形が、本発明の範囲および精神から逸脱することなしに、当業者には明らかであろう。本発明を特定の望ましい実施形態と関連付けて記載したが、特許請求された本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、医学、免疫学、薬学、内分泌学、または関連する分野における当業者には明らかである、本発明を実施するために記載された方法の様々な改変が、本発明の範囲内にあることが意図される。
【0216】
本明細書中で言及した全ての刊行物は、それぞれの独立した刊行物が具体的かつ個々に参照によって組み込まれるのと同じ程度に、参照によって本明細書に組み込まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における神経性炎症を治療する方法であって、該患者に、(i)チャンネル形成受容体が活性化された場合に侵害受容器上に存在する該チャンネル形成受容体を通じて前記侵害受容器に侵入することができ、かつ、(ii) 前記侵害受容器中に存在する電位依存性イオンチャンネルを阻害することができ、ただし前記化合物は前記チャンネルの外側に適用された場合および前記受容体が活性化されない場合には該チャンネルを実質的に阻害しないものである、前記化合物の治療上有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記化合物が電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物がQX-314、N-メチル-プロカイン、QX-222、N-オクチル-グアニジン、9-アミノアクリジン、パンクロニウム、または前記侵害受容器の内側に存在する場合に電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害する別の低分子量の荷電分子である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物が、リルゾール、メキシリチン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロカイン、トカイニド、プリロカイン、アルチカイン、ブピバカイン、メピビシン、ジイソピラミド、ベンシクラン、キニジン、ブレチリウム、リファリジン、ラモトリギン、フルナリジン、およびフルスピリレンからなる群より選択される化合物の第四級アミン誘導体または他の荷電誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物がカルシウムチャンネルを阻害する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物が、D-890、CERM 11888、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、およびドデシルトリメチルアンモニウム;ベラパミル、ガロパミル、デバパミル、ジルチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル、もしくはファルネシルアミンの第四級アミン誘導体;式(XI)、(XII)、(XIII-A)、(XIII-B)、(XIII-C)、および(XIV)のいずれかに記載の化合物;ならびに化合物(45)〜(563)のいずれかの第四級アミン誘導体もしくは他の荷電誘導体である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、化合物(1)〜(563)のいずれかの第四級アミン誘導体または他の荷電誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記チャンネル形成受容体が前記化合物の投与の前に活性化されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記チャンネル形成受容体を活性化する第2の化合物を投与することをさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の化合物が、TRPV1、P2X(2/3)、TRPA1、およびTRPM8から選択されるチャンネル形成受容体を活性化する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の化合物がTRPV1受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがカプサイシン、カプサイシノイド、オイゲノール、アルバニル(N-アラキドノイルバニラミン)、アナンダミド、2-アミノエトキシジフェニルボレート (2APB)、AM404、レシニフェラトキシン、ホルボール12-フェニルアセテート 13-アセテート 20-ホモバニレート (PPAHV)、オルバニル(NE 19550)、OLDA(N-オレオイルドーパミン)、N-アラキドニルドーパミン (NADA)、6'-ヨードレシニフェラトキシン(6'-IRTX)、C18 N-アシルエタノールアミン、12-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸などのリポキシゲナーゼ誘導体、インヒビターシステインノット(ICK)ペプチド(バニロトキシン)、ピペリン、MSK195 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-2-[4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド)、JYL79 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、10-ショーガオール、オレイルジンゲロール、オレイルショーガオール、SU200 (N-(4-tert-ブチルベンジル)-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、またはトリメカインから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の化合物がTRPA1受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがシンナムアルデヒド、アリル-イソチオシアネート、ジアリルジスルフィド、イチリン、シナモンオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイル、アクロレイン、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、4-ヒドロキシノネナール、メチル p-ヒドロキシベンゾエート、マスタードオイル、および3'-カルバモイルビフェニル-3-イルシクロヘキシルカルバメート (URB597)、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、またはトリメカインから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の化合物がP2X受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがATP、2-メチルチオ-ATP、2'および3'-O-(4-ベンゾイルベンゾイル)-ATP、ならびにATP5'-O-(3-チオトリホスフェート)から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の化合物がTRPM8受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがメントール、イチリン、ユーカリプトール、リナロール、ゲラニオール、およびヒドロキシシトロネラールから選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
1種以上のアセトアミノフェン、NSAID、糖質コルチコイド、麻薬、三環系抗うつ剤、アミントランスポーター阻害剤、抗けいれん剤、抗増殖剤、または免疫調節剤を投与することをさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法を用いて、喘息、結膜炎、敗血症、副鼻腔炎、咳、関節炎、結腸炎、接触皮膚炎、湿疹、胃炎、膀胱炎、尿道炎、片頭痛、乾癬、鼻炎、酒さ、日焼け、外傷性脳損傷、急性肺損傷、化学兵器、催涙ガスの吸入、または汚染物質の吸入を治療する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が、注射、吸入、または直接接触による関節内、外科的、静脈内、筋肉内、経口、直腸、皮膚、皮下、局所、経皮、舌下、経鼻、経膣、尿道内、膀胱内、くも膜下、硬膜外、粘膜、経耳、または眼内投与を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物を長時間にわたる制御放出または持続放出のために製剤化する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
a)(i)チャンネル形成受容体が活性化された場合に侵害受容器中に存在する該受容体を通じて該侵害受容器に侵入することができ、かつ(ii) 前記侵害受容器中に存在する電位依存性イオンチャンネルを阻害することができる、化合物、ただし該化合物は前記チャンネルの外側に適用した場合および前記受容体が活性化されない場合には該チャンネルを実質的に阻害しないものである;ならびに、
b)前記化合物を患者に投与して神経性炎症を治療するための説明書、
とを含むキット。
【請求項20】
前記化合物が電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害する、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記化合物がQX-314、N-メチル-プロカイン、QX-222、N-オクチル-グアニジン、9-アミノアクリジン、パンクロニウム、または前記侵害受容器の内側に存在する場合に電位依存性ナトリウムチャンネルを阻害する別の低分子量の荷電分子である、請求項20に記載のキット。
【請求項22】
前記化合物がリルゾール、メキシリチン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロカイン、トカイニド、プリロカイン、アルチカイン、ブピバカイン、メピビシン、ジイソピラミド、ベンシクラン、キニジン、ブレチリウム、リファリジン、ラモトリギン、フルナリジン、およびフルスピリレンからなる群より選択される化合物の第四級アミン誘導体または他の荷電誘導体である、請求項19に記載のキット。
【請求項23】
前記化合物がカルシウムチャンネルを阻害する、請求項19に記載のキット。
【請求項24】
前記化合物がD-890、CERM 11888、N-メチル-ベラパミル、N-メチルガロパミル、N-メチル-デバパミル、およびドデシルトリメチルアンモニウム;ベラパミル、ガロパミル、デバパミル、ジルチアゼム、フェンジリン、ミベフラジル、もしくはファルネシルアミンの第四級アミン誘導体;式(XI)、(XII)、(XIII-A)、(XIII-B)、(XIII-C)、および(XIV)のいずれかに記載の化合物;ならびに化合物(1)〜(563)のいずれかの第四級アミン誘導体もしくは他の荷電誘導体から選択される、請求項19に記載のキット。
【請求項25】
c)前記チャンネル形成受容体を活性化する第2の化合物、
をさらに含む、請求項19〜24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
前記第2の化合物が、TRPV1、P2X(2/3)、TRPA1、およびTRPM8から選択されるチャンネル形成受容体を活性化する、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
前記第2の化合物がTRPV1受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがカプサイシン、カプサイシノイド、オイゲノール、アルバニル(N-アラキドノイルバニラミン)、アナンダミド、2-アミノエトキシジフェニルボレート (2APB)、AM404、レシニフェラトキシン、ホルボール12-フェニルアセテート 13-アセテート 20-ホモバニレート (PPAHV)、オルバニル(NE 19550)、OLDA(N-オレオイルドーパミン)、N-アラキドニルドーパミン (NADA)、6'-ヨードレシニフェラトキシン(6'-IRTX)、C18 N-アシルエタノールアミン、12-ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸などのリポキシゲナーゼ誘導体、インヒビターシステインノット(ICK)ペプチド(バニロトキシン)、ピペリン、MSK195 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-2-[4-(2-アミノエトキシ)-3-メトキシフェニル]アセトアミド)、JYL79 (N-[2-(3,4-ジメチルベンジル)-3-(ピバロイルオキシ)プロピル]-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、10-ショーガオール、オレイルジンゲロール、オレイルショーガオール、およびSU200 (N-(4-tert-ブチルベンジル)-N’-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)チオウレア)、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、またはトリメカインから選択される、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記第2の化合物がTRPA1受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがシンナムアルデヒド、アリル-イソチオシアネート、ジアリルジスルフィド、イチリン、シナモンオイル、ウィンターグリーンオイル、クローブオイル、アクロレイン、ヒドロキシ-α-サンショオール、2-アミノエトキシジフェニルボレート、4-ヒドロキシノネナール、メチル p-ヒドロキシベンゾエート、マスタードオイル、および3'-カルバモイルビフェニル-3-イルシクロヘキシルカルバメート (URB597)、アルチカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、カルボカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、シクロメチカイン、ジブカイン(シンコカイン)、ジメトカイン(ラロカイン)、エチドカイン、ヘキシルカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン(オラカイン)、メタブトキシカイン、ピペロカイン、プリロカイン、プロカイン(ノバカイン)、プロパラカイン、プロポキシカイン、リゾカイン、ロピバカイン、テトラカイン(アメトカイン)、またはトリメカインから選択される、請求項26に記載のキット。
【請求項29】
前記第2の化合物がP2X受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがATP、2-メチルチオ-ATP、2'および3'-O-(4-ベンゾイルベンゾイル)-ATP、ならびにATP5'-O-(3-チオトリホスフェート)から選択される、請求項26に記載のキット。
【請求項30】
前記第2の化合物がTRPM8受容体のアクチベーターであり、該アクチベーターがメントール、イチリン、ユーカリプトール、リナロール、ゲラニオール、およびヒドロキシシトロネラールから選択される、請求項26に記載のキット。
【請求項31】
1種以上のアセトアミノフェン、NSAID、糖質コルチコイド、麻薬、三環系抗うつ剤、アミントランスポーター阻害剤、抗けいれん剤、抗増殖剤、または免疫調節剤を投与することをさらに含む、請求項19〜30のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
式(XI):
【化1】

(式中、R11A、R11B、およびR11Cは各々独立に、HまたはC1-4アルキルから選択され、X-は任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の化合物。
【請求項33】
前記化合物が以下の構造:
【化2】

を有する、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
式(XII):
【化3】

(式中、
R12A、R12B、R12C、およびR12Dは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択されるか;またはR12AおよびR12Bは一緒になって、少なくとも1個の窒素原子を有する複素環を完成させ;
nは1〜5の整数であり;
R12EおよびR12Fは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、またはC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;ならびに、
Xは任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の化合物。
【請求項35】
前記化合物が以下の構造:
【化4】

を有する、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
下記式:
【化5】

(式中、
R13A-R13JおよびR13O-R13Tは各々独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR13AA、NR13ABR13AC、NR13ADC(O)R13AE、S(O)R13AF、SO2R13AGR13AH、SO2NR13AIR13AJ、SO3R13AK、CO2R13AL、C(O)R13AM、およびC(O)NR13ANR13AOから選択され;
R13AA-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択され;
R13K、R13L、R13M、およびR13Nは各々独立に、HもしくはC1-4アルキルであるか、またはR13KおよびR13L、またはR13MおよびR13Nは組み合わさって、C=Oを形成するか、またはR13KおよびR13Mは組み合わさって、C=Cを形成し;
R13YはHまたはC1-4アルキルであり;
R13ZおよびR13Z'は独立に、H、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルから選択され;ならびに、
X-は任意の製薬上許容し得る陰イオンである)
に記載の構造を有する化合物。
【請求項37】
前記化合物が、
【化6】

からなる群より選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
下記式:
【化7】

(式中、
nは0〜5の整数であり;
R14Aはヘテロシクリルであり、
R14B、R14C、R14D、およびR14Eは各々独立に、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリルであり;ならびに、
R14FはH、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-4ヘテロアルキル、C7-14アルクアリール、C3-10アルクシクロアルキル、およびC3-10アルクヘテロシクリル、OR14G、NR14HR141、NR14JC(O)R14K、S(O)R14L、SO2R14MR14N、SO2NR14OR14P、SO3R14Q、CO2R14R、C(O)R14S、およびC(O)NR14TR14Vから選択され; ならびにR14G-R13AOは各々独立に、H、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、およびC2-4ヘテロアルキルから選択される)
に記載の構造を有する化合物。
【請求項39】
前記化合物が、
【化8】

(式中、Xは製薬上許容し得る陰イオンである)
である、請求項37に記載の化合物。
【請求項40】
請求項32〜39のいずれか1項に記載の化合物と、製薬上許容し得る賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項41】
化合物(1)〜(563)のいずれかの第四級アミン誘導体または他の荷電誘導体を含む医薬組成物。
【請求項42】
前記組成物が経口投与のために製剤化されたものである、請求項40または41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記組成物が経鼻投与のための製剤である、請求項40または41に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記組成物が吸入投与のための製剤である、請求項40または41に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−532887(P2012−532887A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519763(P2012−519763)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041537
【国際公開番号】WO2011/006073
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(502072134)プレジデント アンド フェロウズ オブ ハーバード カレッジ (92)
【氏名又は名称原語表記】President and Fellows of Harvard College
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【出願人】(596115687)チルドレンズ メディカル センター コーポレーション (25)
【Fターム(参考)】