説明

抗炎症剤

【課題】 天然由来の成分を用いることにより、より安全で副作用の少なく、更に、効果的に関節炎等を予防・治療することができる抗炎症剤を提供する。
【解決手段】 本発明の抗炎症剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールとを有効成分とすることを特徴とする。また、上記アントシアニジン及びジンゲロールは、アカショウガから抽出されたものであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節炎等を予防又は治療するための抗炎症剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトを含む哺乳類の関節は、運動により常に機械的刺激を受けていることから、容易に炎症や物理的破壊に見舞われる危険にさらされている。このような関節における障害(以下、単に「関節障害」という。)を惹起する要因には、感染、外傷、アレルギー、代謝異常、肥満、血流障害などがある。関節障害の発症率が加齢とともに上昇する傾向も指摘されており、高齢化が進む現代においては、関節障害はひとつの社会問題となりつつある。
【0003】
関節障害は一般に炎症を伴うことから、現在多くの場合、関節障害に対しては抗炎症剤による治療が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景の下、本発明者は、アントシアニジン及びジンゲロール等が関節炎の予防・治療の効果を有することを見出し、更に、これらの両方を含有するアカショウガ(Zingiber officinale Rubra.)を用いることにより、これらの両方を含む抗炎症剤を容易に製造することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、天然由来の成分を用いることにより、より安全で副作用の少なく、更に、効果的に関節炎等を予防・治療することができる抗炎症剤を提供することを目的とする。
また、複数の有効成分を一種類の植物で抽出することによって極めて容易に製造することができる抗炎症剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明の抗炎症剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールとを有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明のリウマチ予防剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールとを有効成分とすることを特徴とする。
更に、本発明のリウマチ治療剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールと、を有効成分とすることを特徴とする。
また、本発明の解熱剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールと、を有効成分とすることを特徴とする。
更に本発明の鎮痛剤は、アントシアニジンと、ジンゲロールとを有効成分とすることを特徴とする。
また、上記アントシアニジン及びジンゲロールは、アカショウガから抽出されたものであることが好ましい。
また、本発明の抗炎症剤、関節炎予防剤、関節炎治療剤、リウマチ予防剤、リウマチ治療剤、解熱剤、及び鎮痛剤は、アカショウガ抽出物を有効成分とすることを特徴とする。
更に上記抗炎症剤、関節炎予防剤、関節炎治療剤、リウマチ予防剤、リウマチ治療剤、解熱剤、及び鎮痛剤は、これらを含む医薬品、飲食品や皮膚外用剤とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の上記抗炎症剤、並びに上記抗炎症剤を含有する関節炎予防剤、関節炎治療剤、リウマチ予防剤、リウマチ治療剤、解熱剤、及び鎮痛剤(以下、単に「抗炎症剤等」とする。)は、ジンゲロールと、アントシアニジンと、を含有することを特徴とする。
ジンゲロールとは、下記化学式(1)に示されるものである。ジンゲロールとして、6‐ジンゲロール、8‐ジンゲロール、10‐ジンゲロール、12‐ジンゲロール等が挙げられる。尚、これらのうちの1種のみを用いても良いし、2種以上併用しても良い。これらのうち少なくとも6−ジンゲロールを含有することが好ましい。ここで、6−ジンゲロールとは、下記化学式にて、n=4のものをいう。
【0007】
【化1】

【0008】
また、ジンゲロールを得る方法として、合成による方法と、植物等から得る方法があるが、植物から抽出することにより得る方法が好ましい。更に、その原料として、ショウガ科の植物であるショウガ(生姜)、やアカショウガ等が挙げられるが、アカショウガを用いることが好ましい。後述するように、アカショウガはアントシアニジンを含有するので、ジンゲロールとアントシアニジンとの両方を得ることができるからである。
アントシアニジンとは、フラビリウムを基本骨格とした化合物の総称ことをいい、これらの一例としてアントシアニン、及びプロアントシアニジン等が挙げられる。
アントシアニンとは、上記アントシアニジンのうち、配糖体となっているものをいい、例えば、アントシアニン1、ヘブンリーブルーアントシアニン、アントシアニンB、デルフィニジン、シアニジン、ペツニジン、ペオニジン、マルビシン等が挙げられるが、これらに限定されない。更に、これらのアントシアニンは1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
プロアントシアニジンとは、フラバン−3−オールおよび/またはフラバン−3,4−ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群をいう。
また、これらのうち少なくともアントシアニンを含有することが好ましい。
また、アントシアニジンを得る原料として、アカショウガ、赤キャベツ、紫イモ、紫トウモロコシ、赤ダイコン、赤シソ、赤米、クランベリー、ビルベリー等を用いることができる。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種類以上併用しても良い。更に、これらのうち特にアカショウガを用いることが好ましい。上述したようにアカショウガには本発明の抗炎症剤のもうひとつの有効成分であるジンゲロールを含有するので、アントシアニジンとジンゲロールとの両方を容易に得ることができるからである。
【0009】
また、アントシアニジンとジンゲロールの含有比は特に限定されないが、質量比〔アントシアニジン:ジンゲロール〕にて、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:1〜1:3であることが好ましい。1:100未満の場合又は100:1を超えると、抗炎症剤としての機能が弱くなるからである。
また、上記アントシアニジンとして、アントシアニンを含有する場合、アントシアニンとジンゲロールの含有比は特に限定されないが、質量比〔アントシアニン:ジンゲロール〕にて、1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:1〜1:3であることが好ましい。1:100未満の場合又は100:1を超えると、抗炎症剤としての機能が弱くなるからである。
【0010】
また、本発明の抗炎症剤等は、ショウガオールを更に含有することが好ましい。ここで、ショウガオールとは下記化学式(2)にて示されるものである。
【0011】
【化2】

【0012】
これらうち、6−ショウガオール、8−ショウガオール、10−ショウガオールを含有することが好ましい。ここで、6−ショウガオールとは上記化学式(2)にて、n=4のものをいい、8−ショウガオールとは、上記化学式(2)にてn=6のもの、10−ショウガオールとは上記化学式にてn=8のものをいう。
更には、少なくとも6−ショウガオール、10ショウガオールを含有することが特に好ましい。尚これらのショウガオールは1種のみを用いても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0013】
本発明の抗炎症剤等の原料としてアカショウガを用いる場合、以下の方法にて抽出されたアカショウガ抽出物を抗炎症剤等として使用することができる。
上記アカショウガとして、脱脂したものを用いることが好ましい。脱脂したアカショウガを用いることによって、より最適量のジンゲロールと豊富なアントシアニジン等の有効成分を抽出することができ、また、ショウガオール等の成分を更に含有する抗炎症剤等を得ることができるからである。
脱脂方法としては、例えば、アカショウガを圧搾して油分を分離するだけでも良いが、その圧搾物の残留油分を脱脂用溶媒(脂溶性有機溶媒)により更に抽出分離を行うことが好ましい。
【0014】
このとき、好ましい脱脂用溶媒としては、n−ヘキサン、アセトン等が挙げられる。特に、n−ヘキサンを用いることが好ましい。抽出油分を食用油として使用し得るとともに、脱脂したアカショウガの抽出物を食品素材等に利用しやすくなるからである。尚、上記抽出溶媒は、1種のみを含有するものを用いても良いし2種類以上の混合物を用いても良い。
【0015】
脱脂したアカショウガから有効成分を抽出するための極性溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル等を使用することができる。これらの溶媒を単独で用いても良いし、これらの溶媒を2種以上混合してもよい。
【0016】
好ましくは、水またはエタノールを抽出溶媒として用いると、有効成分が効率よく抽出される。特に、含水エタノールは、抽出の際に有効成分の活性を低下させにくく、抽出物の食品使用における安全面の上でも好ましい抽出溶媒である。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水等を使用することができる。
【0017】
脱脂したアカショウガから有効成分を抽出する抽出温度としては、例えば、含水エタノールを使用する場合、抽出温度20〜100℃、好ましくは60〜80℃程度で行うとよい。抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくくなり、また、抽出温度が高すぎると、有効成分の活性が低下しやすくなるためである。
【0018】
抽出溶媒としての含水エタノールは、エタノール濃度20〜90重量%、好ましくはエタノール濃度30〜70重量%であるとよい。エタノール濃度20重量%以上としたのは、エタノール含有量が少なすぎると、有効成分の抽出量が不十分になりやすいためである。また、エタノール濃度90重量%以下としたのは、エタノール濃度が高すぎると、アカショウガの残留油分が含水エタノール中に溶け出しやすくなるからである。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、エタノール濃度を段階的に変えながら繰り返して行うとよい。
【0019】
有効成分の抽出方法としては、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出など任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。
【0020】
具体的な抽出方法を示すと、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料(脱脂アカショウガ)を投入し、攪拌しながら有効成分を溶出させる。例えば、抽出溶媒として含水エタノールを用いる場合には、抽出原料の5〜100倍量程度(重量比)の抽出溶媒を使用し、30分〜2時間程度抽出を行う。溶媒中に有効成分を溶出させた後、ろ過して抽出残渣を除くことによって抽出液を得る。その後、常法に従って抽出液に希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施し、上記アカショウガ抽出物を得る。
なお、精製方法としては、例えば、活性炭処理、樹脂吸着処理、イオン交換樹脂、液−液向流分配等の方法が挙げられるが、食品等に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままで使用してもよい。
【0021】
上記アカショウガ抽出物は、アントシアニジンと、ジンゲロールとを含有することを特徴としている。
このとき、アントシアニジンの含有量を0.5〜5.0wt%、好ましくは0.5〜3.5wt%、より好ましくは、0.7〜3.0wt%より好ましくは1.0〜2.7wt%、更に好ましくは、1.1〜2.0wt%とすることができる。
また、ジンゲロール含有量を1.0〜10wt%、好ましくは1.0〜7.5wt%、より好ましくは2.0〜6.5wt%、更に好ましくは2.5〜6.0wt%とすることができる。
【0022】
更に、上記アカショウガ抽出物は、ショウガオールを更に含有することが好ましい。ショウガオールを更に含有することにより、更に優れた抗炎症等の機能を有する抗炎症剤等を提供することができるからである。
このとき、ショウガオールの含有量は特に限定されないが、0.05〜0.5wt%、好ましくは0.1〜0.3wt%とすることができる。
【0023】
本発明の抗炎症剤等は、アミノ糖及び/又はその塩を更に含有することが好ましい。より優れた抗炎症機能を有するからである。
上記アミノ糖としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−グリコリルノイラミン酸等があげられるが、グルコサミンが好ましい。アミノ糖の塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等があげられる。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種類以上併用しても良い。また、上記アミノ糖又はその塩のうちの何れか一方のみを用いても良いし、上記アミノ糖及びその塩の混合物を用いても良い。
【0024】
また、グルコサミンは、例えば、甲殻類の殻を脱タンパク質、脱灰分して得られるキチンを濃塩酸で加水分解、脱アセチルし、脱色し、ろ過し、濃縮し、分離し、洗浄し、乾燥して得られるものを用いてもよいし、市販のもの(例えば、協和ハイフーズ社製グルコサミンKHF等)を用いてもよい。
グルコサミンの塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩(例えばグルコサミン6−硫酸)、リン酸塩(例えば、グルコサミン6−リン酸)等があげられる。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0025】
上記アカショウガ抽出物と上記アミノ糖及び/又はその塩との組成比は特に限定されないが、重量比で1:100〜100:1、好ましくは1:50〜50:1、特に好ましくは1:5〜1:20である。この組成比の範囲内とすることにより、より優れた抗炎症機能を有するからである。
【0026】
また、本発明の抗炎症剤等は、グリコサミノグリカン及び/又はその塩を更に有効成分として更に含有することができ、このグリコサミノグリカンとしては、例えば、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸等があげられるが、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸等が好ましく用いられる。尚、これらは1種のみ用いても良いし2種以上併用しても良い。また、グリコサミノグリカンの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等があげられる。尚、これらは1種のみ用いても良いし2種以上併用しても良い。また、グリコサミノグリカン又はその塩のうちの何れか一方のみを用いても良いし、上記アミノ糖及びその塩の混合物を用いても良い。
【0027】
コンドロイチン硫酸は、軟骨を中心に一般に動物の結合組織に分布するムコ多糖類の一種であり、組織中では、蛋白質と結合し、プロテオグリカンとして存在する。
コンドロイチン硫酸は、精製したものを用いてもよいし、プロテオグリカン、軟骨抽出物または乾燥軟骨粉末の形態で用いてもよい。
コンドロイチン硫酸をプロテオグリカンの形態で得るには、例えば、サメ、クジラなどの水産動物、牛、豚などの哺乳動物または鳥等の軟骨を原料とし、中性塩法、アルカリ法、酵素法、オートクレーブ法などの公知の方法、例えば特開2001−247602号公報に記載の方法に従って抽出し、脂肪・固形分などを除去した後、乾燥すればよい。また、脂肪・固形分を除去した後、更に蛋白分解酵素を用いて除蛋白処理し、アルコール沈殿による公知の方法、例えば特開2001−247602号公報に記載の方法に従って精製すれば、コンドロイチン硫酸またはその塩を精製された状態で得ることができる。また、コンドロイチン硫酸またはその塩は、市販のもの(例えば、マルハ株式会社製コンドロイチン硫酸ナトリウム等)を用いても良い。
【0028】
コンドロイチン硫酸の塩における塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩があげられるが、ナトリウム塩が好ましく用いられる。尚、これらは1種のみ用いても良いし2種以上併用しても良い。
【0029】
本発明の予防剤または治療剤は、更に必要に応じて他の疾患の予防または治療のための成分を含有していてもよい。また、関節炎の予防または治療に有効な任意の他の成分が添加されていてもよい。
関節炎の予防または治療に有効な他の成分としては、例えば、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、マグネシウム、マンガン、セレン、シリコン、亜鉛、S−アデノシルメチオニン、コラーゲン、コラーゲン加水分解物、ゼラチン、ゼラチン加水分解物、ブロメライン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、ルチン、カロチノイド、フラボノイド、抗酸化ビタミン、γ−リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ボスウェリア、カプサイシン、キャッツクロー、デビルズクロー、フィーバーフュー、ショウガ、ネトルス、ナイアシアミド、ターメリックおよびクルクミン等があげられる。関節炎の予防または治療に有効な該他の有効成分は精製物であっても該成分の含有物または抽出物であってもよい。
【0030】
本発明の抗炎症剤等は、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害活性を有する。シクロオキシゲナーゼ(COX)はアラキドン酸に2分子の酸素を導入添加し、プロスタグランジンG2(PGG2)を合成する反応と、PGG2の15−ヒドロペルオキシドを切断し、プロスタグランジンH2(PGH2)を生成する2種類の反応の触媒をする酵素で、プロスタグランジン類(PGs)、トロンボキサン生合成の律速酵素の一つである。
COXには1型、2型の2種類が知られており、1型は構成酵素で、ほとんどの組織や細胞で構成的に発現されている。2型は炎症にかかわるサイトカインであるインターロイキン(IL)-1α、腫瘍壊死因子(TNF)-α、リポポリサッカライド(LPS)などや、成長因子、また、多くの発癌物質による刺激に対し、誘導発現される。これにより、2型のCOXを阻害することによって炎症を抑えることができる。従って、関節炎、解熱、鎮痛等の効果を有する。
本発明の抗炎症剤等は、1型のCOXの活性を促進し、更に2型のCOXを阻害するものである。これにより、2型のCOXのみを選択的に阻害するので、胃腸障害や腎障害などの副作用を軽減し、且つ優れた抗炎症作用、解熱、鎮痛作用を有する。
更に、本発明の抗炎症剤等は、アジュバント関節炎・コラーゲン関節炎等に対する予防効果、治療効果を有する。これにより、慢性的な炎症を抑制することができ、これらの病気を効果的に予防・治療することができる。
更に、本発明の抗炎症剤等は、急性炎症においても、効果的に予防・治療することができる。
尚、本発明が適用できる関節炎としては、特に制限がなく、クラミジア関節炎、慢性吸収性関節炎、腸疾患性関節炎、淋菌性関節炎、痛風関節炎、ジャクー関節炎、若年性関節炎、ライム関節炎、アルカプトン尿性関節炎、化膿性関節炎、変形性関節症、肩関節周囲炎、過度の運動負荷による関節炎、慢性関節リウマチ等のいずれであってもよいが、特に慢性関節リウマチに有効である。
【0031】
本発明の抗炎症剤等は、各種飲食品の素材として使用することができる。飲食品としては、例えば、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。これらの飲食品に本発明の抗炎症剤等を適宜配合するとよい。
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに、健康維持機能をもった本抗炎症剤には、他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤、例えば、抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス)、健康食品素材(V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン
、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、シジミエキス、スッポン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、霊芝、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、 EPA、 DPA、 甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ローズマリー、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、ローズマリー、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、α−リポ酸、生コーヒー豆エキス)なども配合することができる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0032】
具体的な製法としては、本発明の抗炎症剤等を粉末セルロースとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に飲食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また、本発明の抗炎症剤等を、例えば、油脂、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に溶解して液状にし、飲料に添加するか、固形食品に添加することが可能である。必要に応じてアラビアガム、デキストリン等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、飲料に添加するか固形食品に添加することも可能である。
【0033】
本発明の抗炎症剤等を飲食品に適用する場合の添加量としては、健康を維持することが主な目的であるので、飲食品に対して有効成分の含量が合計1〜20wt%であるのが好ましい。
【0034】
本発明の抗炎症剤等は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明の抗炎症剤を適宜配合して製造することができる。
本発明の抗炎症剤に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0035】
本発明の抗炎症剤等の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤、液剤等の形態で経口投与することができるが、非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、溶液の状態、または分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。
投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5〜1000mg、子供では通常0.5〜500mg程度投与することができる。
抗炎症剤等の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.3〜15.0wt%、非経口投与による場合は、0.01〜10wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
【0036】
本発明の本発明の抗炎症剤等は、皮膚外用剤(化粧品、医薬品および医薬部外品を含む。)として用いても、抗炎症効果を期待することができる。
本発明の抗炎症剤等を配合しうる皮膚外用剤の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、本発明の抗炎症剤等を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0037】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明による抗炎症剤等の他に、その抗炎症効果を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0038】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0039】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0040】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0041】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベン
ゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられ
る。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0042】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0043】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0044】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等ノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラ
ヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0045】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、ナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピ
ルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0046】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙
げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【0047】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。尚、これらは1種のみを配合しても良いし、2種類以上併用しても良い。
【実施例】
【0048】
以下に本発明を具体化した実施例について説明する。
実施例1:抗炎症剤等(アカショウガ抽出物)の製造
実施例1の抗炎症剤等(アカショウガ抽出物)を以下の方法にて製造した。
原料としてのアカショウガは、インドネシア産のものを用いた。まず、アカショウガをスライスして乾燥させ、乾燥物100kgを得た。この乾燥物10kgを破砕し、4倍量の重量比でn−ヘキサンで還流し、圧搾物に残存する油分を除いて脱脂物とした。次いで、この脱脂物をエタノール濃度40wt%の含水エタノール80℃で2時間抽出し、エタノール抽出液を乾固させてアカショウガ抽出物(実施例1)1.5gを得た。なお、アカショウガ抽出物(実施例1)の含有成分をHPLC分析したところ、6−ジンゲロールが2wt%、アントシアニンが1wt%、6−ショウガオールが0.2wt%、10−ショウガオールが0.5wt%含有されていた。
【0049】
実施例2:アカショウガ抽出物に含有される各成分の製造
以下の方法にて、アカショウガから、以下の方法にて、アカショウガに含有される成分〔6−ジンゲロール(実施例2−1)、4−ジンゲロール(実施例2−2)、8−ジンゲロール(実施例2−3)、10−ジンゲロール(実施例2−4)、6−ショウガオール(実施例2−5)、及び10−ショウガオール(実施例2−6)、アントシアニン分画(実施例2−7)〕を得た。
【0050】
実施例2−1:6−ジンゲロールの製造方法
アカショウガ(1kg)を粉砕し、その粉砕物に3倍量のヘキサンを加えて60℃にて攪拌した。得られた抽出液をろ過し、その後、濾液を濃縮してヘキサン抽出物(70g)を得た。このヘキサン抽出物を逆相HPLC(カラム:イナートシルODS、10×250mm,ジー・エル・サイエンス社製、移動相:70%メタノール,3.5mL/分、検出UV:280nm)にて繰り返し分離精製を行い、6−ジンゲロール(50mg)を得た。得られた6−ジンゲロールは、NMR(1H−13C)スペクトルを市販の標準品と比較することで同定した。
【0051】
実施例2−2〜実施例2−4:6−ジンゲロール以外のジンゲロール、及びショウガオールの製造方法
実施例1で得た抽出物をHPLC(Prep.ODS,20×250mm,90%メタノール)で精製分離を行い、4−ジンゲロール(実施例2−2)5mg、8−ジンゲロール(実施例2−3)6mg、10ジンゲロール(実施例2−4)、6−ショウガオール(実施例2−5)、10−ショウガオール(実施例2−6)を得た。
【0052】
実施例2−7:アントシアニン分画の製造方法
アカショウガ(1kg)を粉砕し、その粉砕物に5倍量の1%の蟻酸を含有するメタノールを加えて70℃で2時間攪拌した。その後、得られた抽出液をろ過し、その濾液を濃縮して抽出物(100g)を得た。抽出物(10g)を水(100mL)に懸濁した後、前処理したダイアイオンHP−20(200g)カラムに通した。そのカラムを水(200mL)で洗浄した後、30%エタノールで溶出を行った。この溶出液を濃縮してアントシアニン分画を得た。このアントシアニン分画のアントシアニン含有量は、1%であった。
【0053】
試験例1:アジュバント関節炎に対する予防効果
アジュバント関節炎に対するアカショウガ抽出物の予防効果を確認するために、下記の飼育条件にて飼育されたラット右足根部皮下に下記の方法にてアジュバントを投与して関節炎を惹起した。惹起翌日からアカショウガ抽出物を下記の方法にて4週間連続経口投与し、足根部の浮腫の状態を経時的に観察するとともに、炎症に及ぼす被験物質の効果を確認した。
【0054】
1.試験物質の調製方法
1−1:被験物質
被験物質として、実施例1のアカショウガ抽出物を1度に2日分を秤量し、0.5%CMC−Naで懸濁したものを用いた。このとき、10mg/5mL/kgの高用量の被験物質をまず調製し、その液を希釈して1mg/5mL/kgの低用量の被験物質を調製した。
1−2:陽性対照物質(比較例)
市販のIndomethacin(Lot
No.122K0718,Sigma−Aldrich,Inc.)を用い、必要量を秤量し、注射用水で0.5mg/5mL/kgになる様に調製して使用した。用時調製とし、全例の投与終了を確認後廃棄した。
1−3:溶媒
本試験例では、溶媒として0.5%CMC−Na水溶液を用いた。調製はカルボキシメチルセルロース−Na(Lot
082K−153,Sigma−Aldrich,Inc.)を必要量秤量し、市販の注射用水で所定の濃度となるように溶解した。保存は機密状態で冷暗所にて行い、使用期限を調製後7日とした。
【0055】
2.使用動物及び飼育条件
7週齢のSD系(CrjBgi:CD)IGSラット、雄性SPF、28匹を、オリエント株式会社より入手し、7日間以上馴化・検疫を行った。馴化・検疫期間中の体重及び一般状態の観察により異常のないことを確認した生存例の動物を用いた。群分け時の体重範囲は279.3〜328.7g、惹起時の体重範囲は283.7〜333.9g、剖検時の体重範囲は293.4〜440.8gであった。
【0056】
3.投与
試験物質はラット用胃ゾンデおよび注射筒を用いて、惹起翌日から1日1回、28日強制経口投与した。
【0057】
4.群構成
下記表1に示されるように、1群7例とし、以下の4群を設定した。各個体には惹起翌日から28日間強制経口投与を行い、投与期間中は1週間に2回の割合で足根部の浮腫を、投与終了翌日に左右のX線写真を撮影し、骨に及ぼす被験物質の効果を確認した。
【0058】
【表1】

【0059】
5.アジュバント関節炎モデルの作製
Freund‘s incomplete ajuvante(FIA)1mLに対してMycobacterium butyricum(LotNo.5129117, Difco) 死菌菌体10mgの割合で、1.0mg/0.1mLの溶液を作製した。FIAと菌体を十分に懸濁し、右後肢足蹠皮下に約1.1mLずつ投与した。
【0060】
6.観察項目及び観察方法
6−1:足蹠容積の測定
アジュバント惹起直前、惹起後(投与)3,6,10,13,17,20,24,27日目に、右後肢の足蹠容積を毎週2回Digital Pletysmometer, LE7500,(Panlab SL, Spain)を用いて測定し、浮腫の程度を測定し、惹起時の容量に対する増加を算出した。
6−2:X線写真での関節部の観察
投与27日目に摘出した後、後肢を10%中性緩衝ホルマリン液で固定し、足根関節の部分を中心に指節関節部を含む範囲で軟X線(SOFTEX−M−60型、ソフテックス株式会社製、4mA、40kV、60cm)で写真撮影した。足根関節部および指節間関節部について、−(正常)〜5+(最重度)で判定し、下記表2示す方法によりradiographic indexを求めた後、各項目における点数を合計して、関節破壊の程度を判定した。
【0061】
【表2】

【0062】
7. 統計処理
各測定値はGraphpad Instat program(Ver.3.5、USA)を用いてDunnett‘s testを行い、有意差検定を行った。
【0063】
8.結果
8−1.足根部の浮腫
表3に右の足根部の容積を示した。表3によれば、惹起部位の右足根部は、惹起前では1.68〜1.90mLに対して、3日目に3.17〜4.63
mLと2倍以上に腫大し、6日以降24日目まで徐々に腫大し、27日目で少し減少していた。各群で比較すると、3日目でVehicle(control)群の平均は4.14に対して、被験物質(アカショウガ抽出物)1mg/kg群では4.05、被験物質(アカショウガ抽出物)10mg/kgでは3.75mLとやや減少傾向を示し、Indometacin 0.5mg/kgでは3.35mLと抑制を認めた。24日目ではVehicle群の平均は5.01 mL、被験物質1mg/kgは4.98mL、被験物質10mg/kgは4.02mL、Indometacin 0.5mg/kgは3.19mLと、被験物質群でやや低値を示し、10mg/kgの方が抑制を認めた。
【0064】
【表3】

【0065】
表4に右の指節間関節部の障害の程度を示した。
【0066】
【表4】

【0067】
表4によれば、controlでは、足根関節部に3+から5+の骨膜炎と2+および3+の骨破壊を全例(7例)で、指節間関節部では+から4+の骨膜炎と+もしくは2+の骨破壊を全例で認め、総合判定では3+から5+であった。
アカショウガ抽出物1mg/kgでは、足根関節部に3+から5+の骨膜炎と2+および3+の骨破壊を全例(7例)で認めた。指節間関節部では#25に障害が認められず、+から5+の骨膜炎を6例で、+もしくは2+の骨破壊を5例で認められ、総合判定では2+から5+と個体のバラツキを認め、障害の程度はVehicle群とほとんど同じであった。
アカショウガ抽出物10mg/kgでは、足根関節部に2+から5+の骨膜炎と+から3+の骨破壊を全例(7例)で認めた。指節間関節部では#32と#36で障害を認めず、+もしくは2+の骨膜炎を5例で、+もしくは3+の骨破壊を4例で認め、総合判定では2+から5+と個体のバラツキを認め、障害の程度はVehicle群よりやや抑制傾向を認めた。
Indometacin0.5mg/kgでは、足根関節部に2+もしくは3+の骨膜炎を全例(7例)で、+の骨破壊を5例で認めた。指節間関節部では#44で障害を認めず、+の骨膜炎を6例で、+の骨破壊を1例で認め、総合判定では2+とVehicle群より著しい抑制を認めた。
反対側の左足根関節部では、Indometacin 0.5mg/kg群を除く各群において、数例で散発的に軽度の足根関節部の骨膜炎を認めた他は、骨に対する障害を認めなかった。
【0068】
アカショウガ抽出物投与により浮腫の程度は抑制され、1mg/kg群より10mg/kg群の方が抑制の程度は強く、用量に相関していた。骨破壊の抑制程度は弱かったが10mg/kgではやや骨膜炎と骨破壊を抑制していた。これにより、実施例1のアカショウガ抽出物は、リウマチ等関節炎の予防、治療効果を有する旨が確認されたことが判る。
【0069】
試験例2:コラーゲン関節炎に関する予防効果
実験動物
DBA/1Jマウス(雄、5週齡)
実験方法
マウスの尾基部にウシII型コラーゲン溶液(コラーゲン技術研究所)とFreund Complete Adjuvantの等量混合エマルジョン(100μL)を皮内投与した。3週間後に同様の操作で、追加免疫を行った。追加免疫から4〜12日目にかけて足に浮腫を発症したマウスを、平均浮腫強度が均等になるように4群に分けた。群分けしたマウスの1群には5%アラビアゴム液を、2〜4群には実施例1のアカショウガ抽出物をそれぞれ5、10、20mg/kgになるように1日1回経口投与した。投与開始から31日目まで、投与を継続するとともに、3または4日ごとに、浮腫強度の測定を行った。有意差検定には、クラスカルワーリス検定を用いた。尚、浮腫強度(関節炎スコア)の判定は、下記に示す5段階とし、左右両足の合計値(最高16)で評価を行った。
浮腫強度:0:正常足、1:発赤のみまたは極弱い浮腫、2:明らかな浮腫を認めるまたは、指に炎症、3:発赤を伴うひどい浮腫、4:3の程度のひどいもの。その結果を表5及び図1に示す。
【0070】
【表5】

【0071】
結果
表5及び図1に示すように,アカショウガ抽出物を投与したマウスの関節炎スコアは、1群(control)と比較して,概ね低値で推移した。10mg/kg投与群では投与開始11および21日目において、20mg/kg投与群では21日目において、それぞれcontrol群と比較して有意な関節炎スコアの減少が認められた。この結果より、アカショウガ抽出物は本モデルにおいて,経口投与で関節炎を抑制することが明らかになった。これにより、実施例1のアカショウガ抽出物は、リウマチ等の関節炎の予防、治療効果を有することが判る。
【0072】
試験例3:COX阻害作用
COX Inhibitor Screening Assay kit
(Cayman Chemical Corporate)を用い、COX Inhibitor Screening Assay kitに添付していた説明書にしたがって実験を行った。その結果のうち1型のCOX(以下、「COX1」とする。)に及ぼす作用を図2に示し、2型のCOX(以下「COX2」とする。)に及ぼす作用を図3に示す。
【0073】
結果
図2によれば、アカショウガ抽出物は、全ての濃度においてCOX1の活性を促進することが確認された(図2)。一方、COX2に対する抑制作用が全ての濃度で確認された(図3)。これにより、実施例1のアカショウガ抽出物は、全ての濃度においてCOX2のみを選択的に阻害することが確認され、従って、解熱、鎮痛作用を有し、且つ胃腸障害や腎障害などの副作用を軽減させることが確認され、更に、リウマチ等の関節炎の予防、治療効果を有することが確認された。
【0074】
試験例4:Writhingモデル(抗急性炎症試験)
試験法としては、Whittle法を用いた。アカショウガ抽出物を5%のアラビアゴムに懸濁してサンプルとした。それぞれの投与量(10、50、 100mg/kg)でマウスに経口投与後55分後に2% pontamine sky blueを尾静脈注射(10mL/kg)した。5分後に1%酢酸(10mL/kg)を腹腔内投与した。1%酢酸を投与してから15分間、writhing数を記録した。その結果を図4に示す。
2% pontamine sky blueを投与してから、20分目に開腹して、8mLの生理食塩水で腹腔をよく洗い、その洗浄液を脱脂綿で濾過後収集して、0.1mLの1N NaOH水溶液を添加し、生理食塩水で10mLにした。590nmにて吸光度を測定し、腹腔内漏出色素量を算出した。その結果を図5に示す。
【0075】
結果
実験の結果、アカショウガ抽出物は、10mg/kgの投与量において、controlと比べて、有意にwrithingの減少を認めた(抑制率38.7%、P<0.05)。また、50、100mg/kgの投与量において、有意な抑制作用が見られた(抑制率各44.1%、58.0%、
P<0.01)(図4)。一方、酢酸による血管透過性増加への作用において、10mg/kg投与群はcontrolと比べて、色素漏出量が減少した(抑制率25.5%、P>0.05)。50mg/kg投与群と100mg/kg投与群は有意に色素漏出を抑制した(抑制率各51.9%、50.1%、P<0.05)(図5)。
【0076】
以上の結果から、アカショウガ抽出物は酢酸による引き起こすマウス急性炎症に対する鎮痛、抗炎症効果を有することが確認された。従って、実施例1のアカショウガ抽出物は、解熱剤、鎮痛剤として用いることができることが判る。
【0077】
試験例5:細胞RAW264.7におけるLPS刺激によるPGE産生に及ぼす作用の測定
試験例5−1:実施例1のアカショウガ抽出物におけるRAW264.7細胞のPGE産生に及ぼす作用の測定
マウス由来のマクロファージ様細胞RAW264.7を0.1mM非必須アミノ酸混合物、10%牛胎児血清(FCS)、ペニシリン(100 units/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)を含有するMinimum Essential Medium(MEM)培地に1×10
cells/mLの濃度でサスペンドし、48穴プレートに200μLずつ播種した。
【0078】
48〜72時間培養後、培地を吸引除去し、無血清培地(FCSを入れていない培地)で3回洗った後、新たに無血清培地170μLを各ウェルに加えた。
その後、無血清培地で200μg/mLに調整したLPS溶液を10μL加えた(終濃度10μg/mL)。Controlのウェルには無血清培地を10
μL加えた。無血清培地で1,3,10,30,100μg/mL濃度に調整したアカショウガ抽出物サンプル液および8.9μg/mL濃度のIndomethacin(25μMに相当する)を各3ウェル,20
μLずつ添加した(アカショウガ抽出物終濃度0.1,0.3,1,3,10μg/mL;Indomethacin終濃度0.89
μg/mL,2.5μMに相当する)。Controlのウェルには、無血清培地を20μLずつ加えた。
【0079】
そして、20時間培養し、その後、培養上清を収集して、培養上清中のPGE濃度を測定した。PGEの測定は、Prostaglandin E2 EIA Kit−Monoclonalに添付していた説明書にしたがって行った。その結果を図6に示す。
【0080】
図6によれば、アカショウガ抽出物は、0.1〜10μg/mLの濃度において、LPS刺激によるRAW264.7細胞のPGE産生への抑制作用を認めた。
以上の結果から、アカショウガ抽出物は、炎症因子PGEの産生を抑制することを確認した。それで、抗炎症作用の一つのメカニズムとして、アカショウガ抽出物が、COX2の活性を阻害し、炎症因子PGEの産生を抑制することによるものと考えられる。
【0081】
試験例5−2:上記実施例2の6−ジンゲロール、アントシアニン分画及びこれらの混合物におけるRAW264.7細胞のPGE産生に及ぼす作用の測定
無血清培地で、〔実施例2−1の6−ジンゲロール〕:〔実施例2−7アントシアニン分画〕=10:1,2:1,1:1,1:2,1:10に調整したサンプル溶液および6−ジンゲロールだけとアントシアニン分画だけの溶液を各3ウェル,20μLずつ添加した(〔実施例2−1の6−ジンゲロール〕:〔実施例2−7のアントシアニン分画〕(純粋なアントシアニンで計算)の終濃度の割合(0.1:0.01,0.1:0.05,0.1:0.1,0.05:0.1,0.01:0.1,0.1:0,0:0.1μg/mL)こと以外は上記試験例5−1と同様の方法で行った。その結果を図7に示す。尚、図7において、「G0.1A0」、「G0.1A0.01」、「G0.1A0.05」、「G0.1A0.1」、「A0.1G0.01」、「A0.1G0.01」、「A0.1G0.05」「A0.1G0」は、〔実施例2−1の6−ジンゲロール〕:〔実施例2−7のアントシアニン分画〕(純粋なアントシアニンで計算)の終濃度の割合がそれぞれ(0.1:0),(0.1:0.01),(0.1:0.05),(0.1:0.1),(0.01:0.1),(0.05:0.1),(0:0.1)μg/mLであることを示している。
【0082】
図7によれば、6−ジンゲロールだけ或いはアントシアニン分画だけで,0.1
μg/mLにおいて,LPS刺激によるRAW264.7細胞のPGE産生を抑制した(両方はLPSグルプと比べて、共にP<0.01; 抑制率各37.8%,54.0%)。6−ジンゲロールとアントシアニン分画を10:1〜1:10の範囲で様々な割合で配合することによって、6−ジンゲロールのみの場合、及びアントシアニン分画のみの場合と比較してRAW264.7細胞のPGE産生を更に抑制した。各グループは、LPSグループ6−ジンゲロールグループおよびアントシアニン分画グループと比べて全てP<0.01で、抑制率は約80%に上がった。
これにより、6−ジンゲロールおよびアントシアニン分画は、炎症因子PGEの産生を抑制することを確認した。さらに、6−ジンゲロールとアントシアニン分画は、RAW264.7細胞における炎症因子(PGE)産生抑制作用において、相乗作用があり、これらの混合物は、炎症因子PGEの産生を更に抑制することを確認した。
【0083】
試験例6:ヒト抹梢血由来単球の走化性
方法
ヒト抹梢血から得られた単球分画を実施例1のアカショウガ抽出物(濃度;100、33.3、11.1、3.7μg/mL)にて暴露し、細胞走化装置(TAXIScan、エフェクター細胞研究所)にセットし、マクロファージ走化因子(MCP−1)で刺激した際の遊走する細胞の数を測定した。その結果により得られた画像データを用いて細胞遊走の様子をTAXIScan Analyzaにて解析した。各測定における単位時間(秒)あたりの細胞の遊走数との関係を図8に示す。尚、図8において「抽出物」とは、実施例1のアカショウガ抽出物を用いたものである。
その結果、アカショウガ抽出部の濃度が高いほど遊走する細胞が減少することが確認された。
これにより、実施例1のアカショウガ抽出物は、関節炎をはじめとする慢性炎症を予防する作用を有することが判った。
【0084】
試験例7:NO産生抑制試験
試験例7−1:アカショウガ抽出物及びその構成成分のNO産生抑制試験
継代培養したRAW264.7(10cells/mL)細胞を、48穴プレートに200μLずつ播種した。24時間後に培地を無血清培地に交換し、LPS(終濃度10μg/mL)およびサンプル(実施例1、2)を加えて24時間培養した。上清(100μL)を回収し,グリース法により、NO量を定量した。その結果を表6に示す。
【0085】
【表6】

【0086】
表6によれば、アカショウガエキスは、100μg/mLで約50%のNO産生抑制作用を示している。また、含有成分では,6−ショウガオールの作用が比較的強いことが判る。また、これらの結果から、アカショウガ抽出物及びそれらの構成成分(特にショウガオール)にマクロファージの活性化を抑制することができることが判る。
【0087】
試験例7−2:アカショウガ抽出物と塩酸グルコサミンとの混合物のNO産生抑制試験
方法
試験サンプルとして、塩酸グルコサミン(和光純薬工業製),及び実施例1のアカショウガ抽出物を用いた。継代培養したRAW264.7(106 cells/mL)細胞を,48穴プレートに200 mLずつ播種した。次に24時間培養後に図10及び図11の濃度となるよう調製した各サンプルを添加した無血清培地に交換し,6時間培養を行った。その後,LPS(終濃度10 mg/mL)およびサンプルを加えて24時間培養した。上清(100 mL)を回収し,グリース法により,NO量を定量した。なお,サンプル処理のプロトコルは,文献〔Meininger C. J. et al., Glucosamine inhibits inducible nitric
oxide synthesis. Biochem. Biophys. Commun. 279, 234-239 (2000).〕を参考にした。ここで、〔Meininger C.
J. et al., Glucosamine inhibits inducible nitric oxide synthesis. Biochem.
Biophys. Commun. 279, 234-239 (2000).〕に示された塩酸グルコサミンのNO産生抑制作用を示すグラフを図9に示す。
また、サンプルとして実施例1のアカショウガ抽出物を用い、アカショウガ抽出物の濃度とNO産生抑制作用との関係を図10に示し、サンプルとして実施例1のアカショウガ抽出物とグルコサミン塩酸との混合物を用い、アカショウガ抽出物と塩酸グルコサミンの混合比とるNO産生抑制作用との関係を示すグラフを図11に示す。
【0088】
結果
塩酸グルコサミンは次ページの図9に示すように,21.5〜215
μg/mLで,NO産生抑制作用を示すことが報告されている。一方,赤ショウガエキスは,10〜200μg/mLでNO産生抑制作用を示した(図10)。さらに,塩酸グルコサミン(100 μg/mL)と赤ショウガエキス(10 μg/mL)を共存させた際に,塩酸グルコサミン(100 μg/mL)あるいは赤ショウガエキス(10 μg/mL)単独処理時と比較して,より強いNO産生抑制作用が認められた(図11)。しかしながら,赤ショウガエキスを100 μg/mLに増量した際には,NO産生抑制作用の減弱が認められた。この結果より,本試験例によれば、塩酸グルコサミン:赤ショウガエキス=10:1とすることにより,相乗的NO産生抑制作用がみられることが判明した。
【0089】
以下に本発明の抗炎症剤(アカショウガ抽出物)の配合例を挙げるが、下記配合例は本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
アカショウガ抽出物 0.5
100.0wt%
【0090】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
キウイ果汁 4.0
キウイフレーバー 0.6
色素 0.02
アカショウガ抽出物 1.0
100.0wt%
【0091】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
アカショウガ抽出物 0.4
100.0wt%
【0092】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
アカショウガ抽出物 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0093】
配合例8:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
アカショウガ抽出物 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0094】
配合例10:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
アカショウガ抽出物 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0095】
配合例9:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
アカショウガ抽出物 1.0
100.0wt%
【0096】
配合例5:ソフトカプセル
アカショウガ油 87.0wt%
乳化剤 12.0
アカショウガ抽出物 1.0
100.0wt%
【0097】
配合例11:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
アカショウガ抽出物 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0098】
配合例12:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
アカショウガ抽出物 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0099】
配合例13:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
アカショウガ抽出物 1.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0100】
配合例14:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
アカショウガ抽出物 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0101】
配合例15:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
アカショウガ抽出物 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上説明したように、本発明の抗炎症剤等は、リュウマチ等の関節炎の予防、治療に用いることができ、更に、胃腸障害や腎障害などの副作用を軽減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】実施例1のアカショウガ抽出物におけるコラーゲン関節炎に関する予防効果を示すグラフである。
【図2】実施例1のアカショウガ抽出物におけるCOX1に及ぼす影響を示すグラフである。
【図3】実施例1のアカショウガ抽出物におけるCOX2に及ぼす影響を示すグラフである。
【図4】実施例1のアカショウガ抽出物においてWrithingモデルにおける1%酢酸を投与してから15分間のwrithing数との関係を示すグラフである。
【図5】実施例1のアカショウガ抽出物においてWrithingモデルにおける腹腔内漏出色素量の関係を示すグラフである。
【図6】実施例1のアカショウガ抽出物に対するRAW26.7細胞におけるLPS刺激におけるPGE2産生抑制作用を示すグラフである。
【図7】実施例2の6−ジンゲロール、アントシアニン分画、及びその混合物に対するRAW26.7細胞におけるLPS刺激におけるPGE2産生抑制作用を示すグラフである。
【図8】アカショウガ抽出物の各濃度のヒト抹梢血由来単球をMCP−1で刺激した場合における単位時間(秒)あたりの遊走細胞計測数との関係を示すグラフである。
【図9】塩酸グルコサミンのNO産生抑制用を示すグラフである。
【図10】実施例1のアカショウガ抽出物のNO産生抑制作用を示すグラフである。
【図11】実施例1のアカショウガ抽出物と塩酸グルコサミンとの混合物のNO産生抑制作用を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アントシアニジンと、ジンゲロールと、を有効成分とする抗炎症剤。
【請求項2】
ショウガオールを更に含有する請求項1に記載の抗炎症剤。
【請求項3】
前記アントシアニジン及びジンゲロールはアカショウガから抽出されたものでる請求項1に記載の抗炎症剤。
【請求項4】
前記ショウガオールはアカショウガから抽出されたものである請求項2又は請求項3の何れか1項に記載の抗炎症剤。
【請求項5】
アカショウガ抽出物を有効成分とする抗炎症剤。
【請求項6】
アミノ糖及び/又はその塩を有効成分として更に含有する請求項1〜5に記載の抗炎症剤。
【請求項7】
前記アミノ糖はグルコサミンである請求項6に記載の抗炎症剤。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とする関節炎予防剤。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とする関節炎治療剤。
【請求項10】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とするリウマチ予防剤。
【請求項11】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とするリウマチ治療剤。
【請求項12】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とする解熱剤。
【請求項13】
請求項1〜7の何れか1項に記載された抗炎症剤を有効成分とする鎮痛剤。
【請求項14】
アントシアニジンと、ジンゲロールと、を有効成分とする2型シクロオキシゲナーゼ阻害剤。
【請求項15】
ショウガオールを更に含有する請求項12に記載の2型シクロオキシゲナーゼ阻害剤。
【請求項16】
前記2型シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、1型シクロオキシゲナーゼの活性を促進するものであることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の2型シクロオキシゲナーゼ阻害剤。
【請求項17】
請求項1〜7の何れか1項に記載の抗炎症剤を含有する医薬品。
【請求項18】
請求項1〜7の何れか1項に記載の抗炎症剤を含有する飲食品。
【請求項19】
請求項1〜7の何れか1項に記載の抗炎症剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項20】
請求項8に記載の関節炎予防剤を含有する医薬品。
【請求項21】
請求項8に記載の関節炎予防剤を含有する飲食品。
【請求項22】
請求項8に記載の関節炎予防剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項23】
請求項9に記載の関節炎治療剤を含有する医薬品。
【請求項24】
請求項9に記載の関節炎治療剤を含有する飲食品。
【請求項25】
請求項9に記載の関節炎治療剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項26】
請求項10に記載のリウマチ予防剤を含有する医薬品。
【請求項27】
請求項10に記載のリウマチ予防剤を含有する飲食品。
【請求項28】
請求項10に記載のリウマチ予防剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項29】
請求項11に記載のリウマチ治療剤を含有する医薬品。
【請求項30】
請求項11に記載のリウマチ治療剤を含有する飲食品。
【請求項31】
請求項11に記載のリウマチ治療剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項32】
請求項12に記載の解熱剤を含有する医薬品。
【請求項33】
請求項12に記載の解熱剤を含有する飲食品。
【請求項34】
請求項12に記載の解熱剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項35】
請求項13に記載の鎮痛剤を含有する医薬品。
【請求項36】
請求項13に記載の鎮痛剤を含有する飲食品。
【請求項37】
請求項13に記載の鎮痛剤を含有する皮膚外用剤。
【請求項38】
アントシアニジンと、ジンゲロールと、を含有することを特徴とするアカショウガ抽出物。
【請求項39】
前記アカショウガ抽出物は、アカショウガ抽出物の全重量を100wt%とした場合、アントシアニジンを0.5〜5.0wt%、ジンゲロールを1.0〜10wt%含有することを特徴とする請求項38に記載のアカショウガ抽出物。
【請求項40】
上記アカショウガ抽出物は、ショウガオールを更に含有することを特徴とする請求項38又は請求項39に記載のアカショウガ抽出物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−210993(P2007−210993A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216320(P2006−216320)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】