説明

抗炎症剤

【課題】 抗炎症作用を有する組成物を提供し、ひいては該組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品を提供することにある。
【解決手段】 キントキの成分を含有することを特徴とする抗炎症組成物、及び該組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗炎症効果目的とした組成物、及び該組成物を含む飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
抗炎症作用を有する飲食品は、関節炎(関節リウマチ、変性性骨関節炎など)、腫脹、アレルギー性鼻炎、花粉症、皮膚などの炎症性疾患に対しての治療、改善、予防に有効である。抗炎症剤として医薬品ではステロイド性抗炎症薬(ベタメタゾン、デキサメタゾン、プレトニゾロン等)などが知られているが、いずれも副作用がある。食品ではグルコサミン、コンドロイチン、MSM(メチルサルフォニルメタン)、アスタキサンチン、甜茶、デビルズクロー、カテキンなどが知られているが、より効果の高い新しい素材が求められている。
【0003】
キントキ(Grateloup angusta(Okamura)kawaguchi et Wang)は紅藻類ムカデノリ科の海藻である。日本全域の外洋に面した潮間帯によく見られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、抗炎症作用を有する組成物を提供し、ひいては該組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、キントキに顕著な抗炎症作用があることを見出した。すなわち本発明は、以下の構成を有する。
(1)キントキの成分を含有することを特徴とする抗炎症組成物。
(2)上記(1)に記載の組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、キントキの成分を含有することを特徴とする抗炎症組成物、及び該組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に関わるキントキとは学名:Grateloup angusta(Okamura)kawaguchi et Wangをさす。
【0008】
本発明に関わるキントキは海藻全体をそのまま用い、これらを乾燥した乾燥体、もしくは乾燥後粉砕した粉末を用いることもできる。また、これらを水抽出、熱水抽出、酸性下での抽出、アルカリ性下での抽出、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等有機溶媒で抽出した抽出物を用いることもできる。
【0009】
本発明に関わる抗炎症剤を製造するには、上記の方法で製造したキントキの成分を用いることができ、常法に従って公知の医薬用無毒性担体と組み合わせて製剤化すればよい。本発明に関わる抗炎症剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば、経口投与剤としては錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳化剤等の液剤、凍結乾燥剤等があげられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。上記医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、でんぷん、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルでんぷん、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて安定化剤、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤等の慣用の添加剤を適宜添加することができる。本発明に関わる抗炎症剤において、キントキ成分の投与量は、患者の年齢、体重、症状、疾患の程度、投与スケジュール、製剤形態等により、適宜選択、決定されるが、例えば、一日当たり生海藻等価量として0.01−100g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【0010】
また、本発明に関わるキントキは、毒性を有することは報告されていないことから、抗炎症を目的とした飲食品として摂取することもできる。本発明に関わるキントキの成分は、特定保健用食品、栄養機能食品、又は健康食品等として位置付けることができる。機能性食品としては、例えば、キントキの成分に適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した状態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、ペースト状等に形成したものを用いることができる。この飲食品は、そのまま食用に供してもよく、また種々の食品(例えばハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわ、パン、バター、粉乳、菓子など)に添加して使用したり、水、酒類、果汁、牛乳、清涼飲料水等の飲物に添加して使用したりしてもよい。かかる食品の形態における本発明のキントキの成分の摂取量は、年齢、体重、症状、疾患の程度、食品の形態等により適宜選択・決定されるが、例えば、一日当たり生海藻等価量として0.01−100g/kg体重程度とされ、一日数回に分けて投与してもよい。
【実施例】
【0011】
以下に本発明をより詳細に説明するために実施例を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0012】
実施例 キントキメタノール抽出物の抗炎症作用
被験試料として生のキントキのメタノール抽出物を用いた。キントキの粗切物(1kg)を10倍量のメタノールに一日浸漬し、減圧乾固した結果、0.2%程度の抽出物を得た。9週齢の雄ddYマウスを右後ろ肢足蹠の容積と厚さを測定し(0時間の測定値)、蒸留水で懸濁したキントキのメタノール抽出物(500mg/kg体重)を経口投与した。コントロールとして蒸留水のみを経口投与した。1時間後、右後ろ肢足蹠皮下へ生理食塩水で溶解した1%カラゲニンを50μl注射投与した。注射の2時間後、4時間後に右後ろ肢の容積と厚さを測定した。その結果を表1に示す。それぞれの値はコントロール群の平均値を100%としたキントキメタノール抽出物投与群のカラゲニン浮腫形成抑制率を示す。有意差検定はStudentのt−testによって行った。***はコントロールに対しp<0.005を示す。
【表1】

【0013】
この結果より、キントキ抽出物はマウスのカラゲニン誘発浮腫形成を有意に抑制することが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明により、キントキの成分を含有することを特徴とする抗炎症組成物及び該組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品を提供することが可能となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キントキの成分を含有することを特徴とする抗炎症組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物を含有する飲食品、動物飼料、化粧品又は医薬品。

【公開番号】特開2012−131761(P2012−131761A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294742(P2010−294742)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(300076688)有限会社湘南予防医科学研究所 (54)
【Fターム(参考)】