説明

抗炎症性ピラゾロピリミジン

【課題】炎症が疾患の進行又は疾患若しくは状態の症状の発現に関与している、疾患及び状態の治療に有用な抗炎症性化合物を提供すること。
【解決手段】一態様では、本発明が、以下の構造式によって表される化合物を提供する。前述の式において、Rは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年11月19日出願の米国仮特許出願第60/629,639号の利益を主張し、この仮特許出願は、本明細書においてその全体が参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロテインキナーゼは広範な種類の細胞過程に関与しており、当該過程の一例としては、成長因子応答、サイトカイン応答、免疫応答、ストレス応答及び細胞周期の調節等が挙げられる。その不適切な調節は癌や炎症を含む種々の疾患を誘発すると考えられているため、プロテインキナーゼは前記疾患の治療にとって重要な薬剤標的となる。
【0003】
炎症状態、特に慢性の炎症疾患は、新薬を製造する開発業者にとって特に関心が高まっている。というのも、当該状態及び疾患は広範に蔓延しており、これらの治療法の向上が必要とされているためである。前記疾患は、不適切なT細胞活性化、調節サイトカイン及びケモカインの発現、免疫耐容性の消失等を含む免疫系の作用により誘発される。免疫応答のモジュレーションは、生成する特定の因子及び応答細胞上に存在する受容体により変動する。前記疾患としては、自己免疫性及び/又は慢性炎症性疾患があり、これらには多発性硬化症及び炎症性腸疾患(IBD;潰瘍性結腸炎及びクローン病を含む)、結腸炎、慢性関節リューマチのような関節疾患、全身エリテマトーデス並びに乾癬のようなその他の疾患で観察されるような核酸の破壊及び不適切な改変に関わる疾患、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)、シェーグレン病、重症筋無力症、甲状腺疾患、アルツハイマー病、ブドウ膜炎及び心臓血管疾患が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、疾患の治療に有用な効果的な抗炎症性化合物が必要とされている。本発明は前記及びその他の要求に対応するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明は炎症が疾患の進行又は疾患若しくは状態の症状の発現に関与している、疾患及び状態の治療に有用な抗炎症性化合物を提供する。
【0006】
一態様では、本発明が以下の構造式により表される化合物を提供する。
【0007】
【化10】

前述の式(I)において、Rは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0008】
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。R及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0009】
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンとなる。
【0010】
別の態様では、本発明が異常な炎症により特徴付けられる障害を治療又は予防する方法を提供し、前記方法には、本発明の化合物の治療上有効な量を被験体に投与することが含まれる。
【0011】
別の態様では、本発明が本発明の化合物の医薬品製剤、並びに炎症性の疾患及び状態の治療に当該化合物及びそれらの医薬品製剤を使用する方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明が本発明の化合物及び医薬品製剤を製造する方法を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明が炎症性の疾患及び状態の治療に使用する化合物及び医薬品製剤を提供する。
特定の実施形態では、本発明の化合物がT細胞活性化抑制剤となる。別の実施形態では、本発明の化合物が単球活性化抑制剤となる。別の実施形態では、本発明の化合物がガンマインターフェロンシグナリング抑制剤となる。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
以下の式を有する化合物であって、
【化1】


式中、
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
はR10置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、R11置換C〜Cシクロアルキル、R11置換C〜Cヘテロシクロアルキル、R12置換ヘテロアリール、又はR13置換アリールであり、ここで、
10はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR13置換アリールであり、
11はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
12は−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
13は−OH、−NH、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール又は置換もしくは非置換アリールであり;
及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成し、
ここでR及びRが水素で、Rが4−メチルフェニルである場合、Rは2−エチルアセチルでない、化合物。
(項目2)
以下の式を有する化合物であって、
【化2】


式中、
はR14置換C〜C20アルキル、非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R15置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換縮合環ヘテロアリール、又はR16置換アリールであり、ここで、
14はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR16置換アリールであり、
15は−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
16は置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換o−ベンジルオキシであり;
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成し、
ここでRが非置換アルキルでない場合、Rは必要に応じて置換2〜20員ヘテロアルキルである、化合物。
(項目3)
以下の式を有する化合物であって、
【化3】


式中、
は置換ナフチル、又は置換もしくは非置換アセナフテニルであり;
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する、化合物。
(項目4)
以下の式を有する化合物であって、
【化4】


式中、
は置換もしくは非置換ナフチル又は置換チオフェニルであり;
は水素又はメチルであり;
及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する、化合物。
(項目5)
項目4に記載の化合物であって、
は置換もしくは非置換ナフチルであり;
は水素である、化合物。
(項目6)
以下の式を有する化合物であって、
【化5】


式中、
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
及びRは独立して、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する、化合物。
(項目7)
及びRが非置換アルキルである、項目6に記載の化合物。
(項目8)
以下の式を有する化合物であって、
【化6】


式中、
はハロゲン、メチル、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルであり;
はC〜C10非置換アルキルであり;
及びRは独立して、水素又はメチルであり;
はメチレンである、化合物。
(項目9)
がハロゲンにより置換されるフェニルである、項目8に記載の化合物。
(項目10)
前記ハロゲンが塩素である、項目9に記載の化合物。
(項目11)
がオルト−クロロフェニルである、項目8に記載の化合物。
(項目12)
がハロゲン、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルである、項目8に記載の化合物。
(項目13)
及びRが水素である、項目8に記載の化合物。
(項目14)
が水素であり、Rがメチルである、項目8に記載の化合物。
(項目15)
以下の式を有する化合物であって、
【化7】


式中、
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は[1,1]−シクロアルキレンである、化合物。
(項目16)
が[1,1]−シクロプロピレンである、項目15に記載の化合物。
(項目17)
以下の式を有する化合物であって、
【化8】


式中、
は置換もしくは非置換チオフェニル−フェニルであり;
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する、化合物。
(項目18)
異常な炎症により特徴付けられる障害を治療又は予防する方法であって、以下の式を有する化合物の治療上有効な量を被験体に投与することを含み、
【化9】


式中、
は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり;
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンであり、
ここでR及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成し、
ここでLが結合で、Rがt−ブチルで、R及びRが水素である場合、Rはパラ−メチルフェニルでない、方法。
(項目19)
が結合で、Rが非置換アルキルで、R及びRが水素である場合、Rはメチルフェニルでない、項目18に記載の方法。
(項目20)
項目18に記載の方法であって、
はR10置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、R11置換C〜Cシクロアルキル、R11置換C〜Cヘテロシクロアルキル、
12置換ヘテロアリール、又はR13置換アリールであり、ここで、
10はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR13置換アリールであり、
11はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
12は−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
13は−OH、−NH、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は置換もしくは非置換アリールであり、
ここでR及びRが水素で、Rが4−メチルフェニルである場合、Rは2−エチルアセチルでない、方法。
(項目21)
項目18に記載の方法であって、
はR14置換C〜C20アルキル、非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R15置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換縮合環ヘテロアリール、又はR16置換アリールであり、ここで、
14はオキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR16置換アリールであり、
15は−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールであり、
16は置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換o−ベンジルオキシであり、
ここでRが非置換アルキルでない場合、Rは必要に応じて置換2〜20員ヘテロアルキルである、方法。
(項目22)
が置換ナフチル又は置換もしくは非置換アセナフテニルである、項目18に記載の方法。
(項目23)
項目18に記載の方法であって、
は置換もしくは非置換ナフチル又は置換チオフェニルであり;
は水素又はメチルである、方法。
(項目24)
項目18に記載の方法であって、
は置換もしくは非置換ナフチルであり;
は水素である、方法。
(項目25)
及びRが独立して、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールである、項目18に記載の方法。
(項目26)
及びRが非置換アルキルである、項目25に記載の方法。
(項目27)
項目18に記載の方法であって、
はハロゲン、メチル、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルであり;
は非置換C〜C10アルキルであり;
及びRは独立して水素又はメチルであり;
はメチレンである、方法。
(項目28)
がハロゲンにより置換されるフェニルである、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ハロゲンが塩素である、項目28に記載の方法。
(項目30)
がオルト−クロロフェニルである、項目27に記載の方法。
(項目31)
がハロゲン、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルである、項目27に記載の方法。
(項目32)
及びRが水素である、項目27に記載の方法。
(項目33)
が水素であり、Rがメチルである、項目27に記載の方法。
(項目34)
が[1,1]−シクロアルキレンである、項目18に記載の方法。
(項目35)
が[1,1]−シクロプロピレンである、項目18に記載の方法。
(項目36)
が置換もしくは非置換チオフェニル−フェニルである、項目18に記載の方法。
(項目37)
前記障害が、感染、外傷、自己免疫疾患、心臓血管疾患、新生物、過形成、中毒、感染、肥満、細胞変性、アポトーシス又は老化、又は分化に応答して生じるか、又はそれらの遠因となる炎症性過程である、項目18に記載の方法。
(項目38)
前記障害が、血管炎、多発性硬化症、糖尿病、炎症性腸疾患、乾癬、慢性関節リューマチ、クローン病、潰瘍性結腸炎、喘息、卒中、アテローム性動脈硬化症及び狼瘡からなる群から選択される、項目18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、複数の標的及び経路の変更因子を検出して判別する上で有用な4種の代表的なBioMAPTM(BioSeek,Inc.[米国カリフォルニア州バーリンゲーム])炎症モデル系を示し、パネル(A)は多数のキナーゼを含むBioMAPモデルで検出及び判別される複数の治療上関連する標的及び経路を示し、パネル(B)は4種の代表的なモデル系の詳細を示す。
【図2】図2は、本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジンの投与により得られた腹腔内炎症のマウスモデルにおいて動員する白血球の数の減少を示す。
【図3】図3は、本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジンの投与により得られた腹腔内炎症のマウスモデルにおけるマクロファージ及び好中球の動員の減少を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
定義
本明細書において使用する略記法は、化学及び生物学の技術分野における従来の意味を有する。
【0016】
置換基は、左から右に記載される従来の化学式により特定される場合、右から左に構造を記載することにより生じる化学的に同一の置換基を等しく包含するものとし、例えば−CHO−は−OCH−と等しいものとする。
【0017】
「アルキル」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特段の記載がない限り、直鎖(即ち未分枝)又は分枝鎖、又は環状の炭化水素基若しくはそれらの組み合わせを意味し、それらは完全飽和、単不飽和又は多不飽和の場合もあれば、所定の数の炭素原子(即ち、C〜C10は1〜10個の炭素を意味する)を有する二価及び多価の基を含む可能性もある。飽和炭化水素基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、第2ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、並びに例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の相同体及び異性体が含まれるが、これらに限定されない。不飽和のアルキル基は、1種以上の二重結合又は三重結合又はその両方を有するものである。不飽和のアルキル基の例には、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、及び3−ブチニル、並びにより高級の同属体及び異性体が含まれるが、これらに限定されない。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と称される。
【0018】
「アルキレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、アルキルに由来する二価基を意味し、例えば−CHCHCHCH−が挙げられるが、これに限定されない。一般的にはアルキル(又はアルキレン)基は炭素原子1〜24個を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本発明では好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」とは、一般的に8個以下の炭素原子を有するより短い鎖のアルキル又はアルキレン基である。
【0019】
[ヘテロアルキル」という用語は、それ自体又は別の用語と組み合わせて、特段の記載がない限り、直鎖又は分枝鎖、又は環状の炭化水素基若しくはそれらの組み合わせを意味し、それらは1個以上の炭素原子及びO、N、P、Si及びSからなる群から選択される1個以上のヘテロ原子からなり、ここで窒素及び硫黄原子は必要に応じて酸化されている場合もあり、又、窒素ヘテロ原子は必要に応じて四級化されている場合もある。ヘテロ原子O、N、P、S及びSiは、ヘテロアルキル基の何れかの内部位置、又はアルキル基が分子の剰余と結合する位置にある場合もある。例としては、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、−CH=CH−N(CH)−CH、O−CH、−O−CH−CH、及び−CNが含まれる。最高2個のヘテロ原子が連続している場合もあり、例えば−CH−NH−OCH及び−CH−O−Si(CHが挙げられる。同様に「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する二価基を意味し、例えば−CH−CH−S−CH−CH−及び−CH−S−CH−CH−NH−CH−が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアルキレン基については、ヘテロ原子が鎖末端の片方又は両方を占有する場合もある(例えばアルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ等)。更に又、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基については、連結基の式が記載される方向によって連結基の方向が示されるわけではない。例えば、式−C(O)R’−は、−C(O)R’−及び−R’C(O)−の両方を示す。前述の通り、本明細書で使用されるヘテロアルキル基には、ヘテロ原子を介して分子の剰余と結合する基、例えば−C(O)R’−、−C(O)NR’−、−NR’R”−、−OR’−、−SR’及び/又は−SOR’が含まれる。「ヘテロアルキル」について言及し、それに続いて特定のヘテロアルキル基、例えば−NR’R”等について言及すると、ヘテロアルキル及び−NR’R”という用語は、余剰のものでも相互排他的なものでもないことが理解される。むしろ、特定のヘテロアルキル基は明確化のために言及されている。従って、本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は、−NR’R”等の特定のヘテロアルキル基を排除するものと解釈してはならない。
【0020】
「アルコキシ」という用語は、酸素ヘテロ原子を介して分子の剰余と結合するアルキルを指す。アルコキシ基のアルキル部分は、何れかの適切な長さとすることができる。一部の実施形態では、アルコキシ基のアルキル部分が、C〜C20アルキル(即ちC〜C20アルコキシ)となる。一部の実施形態では、アルコキシ基のアルキル部分が、C〜C10アルキル(即ちC〜C10アルコキシ)となる。一部の実施形態では、アルコキシ基のアルキル部分が、C〜Cアルキル(即ちC〜Cアルコキシ)となる。
【0021】
本明細書で使用される「アルキルエステリル」とは、式R’−C(O)O−R”を有する部分を指し、ここでR’はアルキレン部分となり、R”はアルキル部分となる。
【0022】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体又はその他の用語との組み合わせにおいて、特段の記載がない限り、それぞれ環状「アルキル」及び「ヘテロアルキル」を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルに関しては、ヘテロ原子が分子の剰余に複素環が結合する位置を占有することがある。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等が含まれる。ヘテロシクロアルキルの例には、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が含まれる。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」という用語は、それぞれシクロアルキル及びヘテロシクロアルキルの二価誘導体を指す。
【0023】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、それ自体又は別の置換基の一部として、特段の記載がない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」のような用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むものとして意図される。例えば「ハロ(C〜C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むものとして意図される。
【0024】
「アリール」という用語は、特段の記載がない限り、単環、又は共に縮合するか共有結合する多環(好ましくは1〜3環)となる場合がある多不飽和の芳香族の炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子1〜4個を含有するアリール基(又は環)を指し、ここで窒素及び硫黄原子は必要に応じて酸化されており、窒素原子は必要に応じて四級化されている。ヘテロアリール基は炭素原子又はヘテロ原子を介して分子の剰余と結合することがある。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルが含まれる。前述のアリール及びヘテロアリール環系それぞれの置換基は、後述する許容可能な置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」という用語は、それぞれアリール及びヘテロアリールの二価誘導体を指す。
【0025】
簡潔に説明すると、「アリール」という用語には、その他の用語(例えばアリールオキシ、アリールチオ、アリールアルキル)と組み合わせて使用する場合、別の部分と組み合わせた前述のアリール環及びヘテロアリール環の両方が含まれる。即ち、「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基と結合する基(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)、例えば炭素原子(例えばメチレン基)が酸素原子等と置き換えられているアルキル基(例えばフェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピル等)を含むものとして意図される。しかし、本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は、1個以上のハロゲンにより置換されるアリールのみを含むものとして意図される。
【0026】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、炭素原子と二重結合する酸素を意味する。
【0027】
前述の用語(例えば「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」、「ヘテロアリール」並びにそれらの二価基の誘導体)の各々は、記載した基の置換形態及び非置換形態の両方を含むものとして意図される。各形態の基に好ましい置換基は後述する。
【0028】
アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルの一価及び二価誘導体基(例えばアルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルとしばしば称される基を含む)は、当該基の炭素原子総数をm’とした場合に0〜(2m’+1)の範囲の数となる、−OR’、=O、=NR’、=NR−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR”’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN及び−NO等から選択される1個以上の種々の基となる場合がある。R’、R”、R”’及びR””は各々独立して、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール(例えば1〜3個のハロゲンにより置換されるアリール)、置換もしくは非置換アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が例えば複数のR基を含む場合、R基の各々は、R’、R”、R”’及びR””基の内の複数が存在する場合に前記基がそれぞれ選択されるのと同様に、独立して選択される。R’及びR”が同じ窒素原子と結合する場合、それらは窒素原子と組み合わさって、4、5、6又は7員の環を形成することができる。例えば−NR’R”は、2−ピロリジニル及び4−モルホリニル等を含むものとして意図される。置換基に関する前述の説明から、「アルキル」という用語は、炭素原子が水素基以外の基と結合する基、例えばハロアルキル(例えば−CF及び−CHCF)及びアシル(例えば−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCH)等を含むものとして意図されることを当業者は理解する。
【0029】
前述のアルキル基に関して記載した置換基と同様に、アリール及びヘテロアリール基(並びにそれらの二価誘導体)の代表的な置換基は様々なものがあり、例えば、1〜芳香環系上の開放原子価の総数の範囲の数となる、−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’”)=NR””、−NR−C(NR’R”)=NR”’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN及び−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C〜C)アルコキシ及びフルオロ(C〜C)アルキルから選択され;ここで、R’、R”、R”’及びR””は各々独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、及び置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が例えば複数のR基を含む場合、R基の各々は、R’、R”、R”’及びR””基の内の複数が存在する場合に前記基がそれぞれ選択されるのと同様に、独立して選択される。
【0030】
アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、必要に応じて式−T−C(O)−(CRR’)−U−の環を形成することがあり、ここでT及びUは独立して−NR−、−O−、−CRR’−又は単結合となり、qは0〜3の整数となる。或いは、アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、必要に応じて式−A−(CH−B−の置換基により置換される場合があり、ここでA及びBは独立して、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−又は単結合となり、rは1〜4の整数となる。このようにして形成された新しい環の単結合の一つは、必要に応じて二重結合により置換される場合がある。或いは、アリール又はヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、必要に応じて式−(CRR’)−X’−(C”C”’)−の置換基により置換される場合があり、ここでs及びdは独立して0〜3の整数となり、X’は、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−又は−S(O)NR’−となる。置換基R’、R”、R”’及びR””は独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、及び置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0031】
本明細書で使用される「ヘテロ原子」又は「環ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)及びケイ素(Si)を含むものとして意図される。
【0032】
本明細書で使用される「置換基」とは、以下の部分から選択される基を意味する:

(A)−OH、−NH、−SH、−CN、−CF、−NO、オキソ、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び、
(B)以下から選択される少なくとも一つの置換基により置換されるアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール:
(i)オキソ、−OH、−NH、−SH、−CN、−CF、−NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び、
(ii)以下から選択される少なくとも一つの置換基により置換されるアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリール:
(a)オキソ、−OH、−NH、−SH、−CN、−CF、−NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及び、
(b)オキソ、−OH、−NH、−SH、−CN、−CF、−NO、ハロゲン、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される少なくとも一つの置換基により置換されるアルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリール。
【0033】
本明細書で使用される「サイズ制限置換基」とは、「置換基」に関して上に説明される置換基の全てから選択される基を意味し、ここで、各置換もしくは非置換アルキルは置換もしくは非置換C〜C20アルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキルとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは、置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキルとなる。
【0034】
本明細書で使用される「低級置換基」とは、「置換基」に関して上に説明される置換基から選択される基を意味し、ここで、各置換もしくは非置換アルキルは置換もしくは非置換C〜Cアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは置換もしくは非置換2〜8員ヘテロアルキルとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは置換もしくは非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルとなる。
【0035】
本発明の化合物は塩として存在する場合がある。従って、本発明には当該塩が含まれる。適用可能な塩の形態の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩、又はラセミ混合物のようなこれらの混合物)、コハク酸塩、安息香酸塩、及びグルタミン酸のようなアミノ酸を含有する塩が含まれる。前記塩は当業者に既知の方法により調製される場合がある。又、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、又はマグネシウム塩又は同様の塩のような塩基付加塩も含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、当該化合物の中性形態を十分な量の所望の酸と直接又は適切な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。許容可能な酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、1水素炭酸、リン酸、1水素リン酸、2水素リン酸、硫酸、1水素硫酸、ヨウ化水素酸又はリン酸等のような無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、ズベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような有機酸に由来する塩が含まれる。又、アルギン酸等のようなアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸等のような有機酸の塩も含まれる。本発明の特定の化合物は、化合物を塩基付加塩又は酸付加塩の何れかに変換できるようにする塩基性及び酸性の両方の官能基を含有する。
【0036】
化合物の中性形態は好ましくは、従来の方法で塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を単離することにより再生される。化合物の親形態は、特定の物理的特性、例えば極性溶媒中の溶解性における種々の塩形態とは異なる。
【0037】
本発明の特定の化合物は、未溶媒和形態でも、並びに水和形態のような溶媒和形態でも存在することができる。一般的に、溶媒和形態は、未溶媒和形態と同等であり、何れの場合にも本発明の範囲内に包含される。本発明の特定の化合物は、多重結晶形態で存在することもあれば、非晶形で存在することもある。一般的に、全ての物理的形態は等価であるか、又はその他の場合にも本発明の意図する用途に適しており、本発明の範囲に含まれる。
【0038】
本発明の特定の化合物は、不斉炭素原子(光学中心)又は二重結合を保有し;絶対的立体化学の観点から、(R)−又は(S)−として、又はアミノ酸の場合は(D)−又は(L)−として定義されることがあるエナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、互変異体、幾何異性体、立体異性体の形態、並びに個々の異性体は、本発明の範囲に包含される。本発明の化合物には、合成及び/又は単離できないほどに不安定であることが当該技術分野で知られているものは含まれない。本発明には、ラセミ体及び光学的に純粋な形態の化合物が含まれる。光学活性の(R)−及び(S)−又は(D)−及び(L)−異性体は、キラル合成素子又はキラル試薬を使用して調製されることもあれば、従来の技法を使用して混合物から分解される場合もある。本明細書に記載の化合物がオレフィン系の結合又はその他の幾何不斉中心を含有する場合は、特段の記載がない限り、化合物にはE型及びZ型の両幾何異性体が含まれることが意図される。
【0039】
本発明の化合物は、当該化合物を構成する1個以上の原子において、不自然な比率の原子同位体を含有することもある。例えば化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素125(125I)又は炭素14(14C)のような放射性同位体で放射標識される場合がある。本発明の化合物の全ての同位体変異型は、放射性であるか否かにかかわらず、本発明の範囲に包含される。
【0040】
「製薬上許容可能な塩」という用語は、本明細書に記載の化合物上に存在する特定の置換基の部分に応じて、比較的非毒性の酸又は塩基により調製される活性化合物の塩を含むものとして意図される。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、当該化合物の中性形態を十分な量の所望の製薬上許容可能な塩基と直接又は適切な不活性溶媒中で接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。製薬上許容可能な塩基付加塩の例には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、又はマグネシウム塩又は同様の塩が含まれる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、当該化合物の中性形態を十分な量の所望の製薬上許容可能な酸と直接又は適切な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。許容可能な酸付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、1水素炭酸、リン酸、1水素リン酸、2水素リン酸、硫酸、1水素硫酸、ヨウ化水素酸又はリン酸等のような無機酸に由来するもの、並びに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、ズベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等のような比較的非毒性の有機酸に由来する塩が含まれる。又、アルギン酸等のようなアミノ酸の塩、及びグルクロン酸又はガラクツロン酸等のような有機酸の塩も含まれる(例えばBerge et al.,“Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1−19を参照)。本発明の特定の化合物は、化合物を塩基又は酸付加塩の何れかに変換することを可能にする塩基性及び酸性の両官能基を含有する。
【0041】
塩形態の他にも、本発明はプロドラッグ型の化合物を提供する。本明細書に記載の化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を起こし、本発明の化合物又はそれらの1種以上の活性代謝産物をもたらすような化合物である。更に、プロドラッグは、ex vivoの環境下で化学的又は生化学的な方法により本発明の化合物に変換することもできる。例えばプロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバ内に入れると、本発明の化合物に緩徐に変換することができる。
【0042】
I.抗炎症性化合物
一態様では、本発明が以下の構造式により表される化合物を提供する。
【0043】
【化11】

前述の式(I)において、Rは、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0044】
、R及びRは、独立して水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。R及びRは、必要に応じて、それらが結合する窒素と連結して、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル又は置換もしくは非置換ヘテロアリールを形成する。
【0045】
は結合、置換もしくは非置換アルキレン、置換もしくは非置換シクロアルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンとなる。一部の実施形態では、Lが結合となり、Rがt−ブチルとなり、R及びRが水素となる場合に、Rがp−メチルフェニルとならない。一部の実施形態では、Lが結合となり、Rが非置換アルキルとなり、R及びRが水素となる場合に、Rがメチルフェニルとならない。
【0046】
一部の実施形態では、式Iの化合物には、それぞれ全ての目的から参考としてその全体が本明細書に盛り込まれる、米国特許5,593,997、米国特許6,383,790、米国特許5,981,533、米国特許6,521,417、米国特許6,921,763、米国特許6,713,474、米国特許6,660,744、米国特許出願2002/0156081、米国特許出願2003/0073218、米国特許出願2005/0085472に記載される化合物が含まれない。一部の実施形態では、本発明の化合物が、前述の特許及び公開された特許出願に記載される特定の化合物以外の化合物となる。
【0047】
一部の実施形態では、本発明の化合物が、10μM以下の濃度で存在する場合にプロテインキナーゼからスタウロスポリンを排除しない式(I)の化合物の化合物サブセットとなる。一部の実施形態では、本発明の化合物が、10μM以下の濃度でキナーゼと接触した場合にプロテインキナーゼ活性を阻害又は著しく低下させない式(I)の化合物の化合物サブセットとなる。一部の関連する実施形態では、本発明の化合物が、化合物の非存在下でおけるキナーゼ活性と比べて1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%超、プロテインキナーゼ活性を低下させない式(I)の化合物の化合物サブセットとなる。一部の関連する実施形態では、前述の通りスタウロスポリンを排除せず、及び/又は前述の通りプロテインキナーゼの活性を阻害又は著しく低下させない化合物が、式(I)の化合物となり、ここでRは置換フェニル(例えばハロゲンにより置換されたもの)となり、R及びRは水素又は非置換C〜C10アルキルとなり、Lは結合又は非置換C〜C10アルキレンとなり、Rは非置換C〜C10アルキルとなる。更に関連する実施形態では、Rが、ハロフェニル、R及びRが水素又はメチル、Lが非置換C〜C10アルキレン、Rが非置換イソプロピルとなる。更に別の関連する実施形態では、Rがメチル、Rが水素又、Lがメチレンとなる。一部の実施形態では、化合物が後に記載する表1の化合物76となる。
【0048】
一部の実施形態では、Rが、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。
【0049】
は又、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリールとなる場合もある。更にRは、ハロゲン(例えばフッ素及び/又は塩素)、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールにより置換されるC〜Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールとなる場合もある。一部の実施形態では、Rが、置換もしくは非置換アリール(例えばフェニル)又は置換もしくは非置換ヘテロアリール(例えばベンゾチオフェニル)となる。
【0050】
一部の実施形態では、Rが以下の式を有する置換フェニルとなる。
【0051】
【化12】

式(II)の置換フェニルの他にも、Rは置換もしくは非置換ベンゾジオキソラニル、置換もしくは非置換アセナフテニル、置換もしくは非置換ナフチル、置換もしくは非置換ベンゾチオフェニル、置換もしくは非置換シクロペンチル、又は置換もしくは非置換チエニルとなる場合がある。関連する実施形態では、置換もしくは非置換ナフチルが置換もしくは非置換ナフタレン−2−イルとなる。或いは、置換もしくは非置換ナフチルが、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリール、置換チエニル、又は非置換シクロペンチルから選択される置換基により置換されるナフタレン−1−イルとなる場合がある。
【0052】
一部の実施形態では、ナフタレン−1−イル置換基が、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキル、置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール;置換もしくは非置換アルキルにより置換されるチエニル;又は非置換シクロペンチルとなる。
【0053】
別の実施形態では、Rが、非置換ベンゾジオキソラニル、或いはハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるベンゾジオキソラニルとなる。
【0054】
或いは、Rは、非置換アセナフテニル、或いはハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるアセナフテニルとなる。
【0055】
は又、非置換ナフタレン−2−イル、或いはハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるナフタレン−2−イルとなる場合もある。
【0056】
一部の実施形態では、Rが、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるナフタレン−1−イルとなる。ナフタレン−1−イル置換基は又、ハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキル、2〜10員ヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールから選択される場合もある。
【0057】
別の実施形態では、Rが、非置換C〜C10アルキルにより置換される、或いはハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキルにより置換されるチエニルとなる。
【0058】
は又、非置換シクロペンチルとなる場合もある。或いは、Rは、非置換ベンゾジオキソラニル、或いはハロゲン及び非置換C〜C10アルキルから選択される置換基により置換されるベンゾジオキソラニル;非置換アセナフテニル、或いはハロゲン及び非置換C〜C10アルキルから選択される置換基により置換されるアセナフテニル;非置換ナフタレン−2−イル、或いはハロゲン及び非置換C〜C10アルキルから選択される置換基により置換されるナフタレン−2−イル;又は非置換C〜C10アルキルにより置換される、或いはハロゲン及び非置換C〜C20アルキルから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキルにより置換されるチエニル;又は非置換シクロペンチルとなる。Rは更に、非置換2〜10員ヘテロアルキルにより置換されるナフタレン−1−イル;又はC〜C10アルキル;又はハロゲン及び非置換C〜C20アルキルから選択される置換基により置換される2〜10員ヘテロアルキルとなる場合がある。
【0059】
一部の実施形態では、Rが、非置換ベンゾジオキソラニル;非置換アセナフテニル;非置換ナフタレン−2−イル;ハロゲン及び非置換C〜Cアルキルから選択される置換基により置換されるナフタレン−2−イル;又は非置換C〜Cアルキルにより置換されるチエニル;又は非置換シクロペンチルとなる。Rは更に、非置換2〜5員ヘテロアルキルにより置換されるナフタレン−1−イル;又はハロゲン及び非置換C〜C20アルキルにより置換されるC〜Cアルキル又は2〜5員ヘテロアルキルとなる場合がある。
【0060】
他の実施形態では、Rが、非置換ベンゾジオキソラニル;非置換アセナフテニル;非置換ナフタレン−2−イル、或いはハロゲンにより置換されるナフタレン−2−イル;非置換C〜Cアルキルにより置換されるチエニル;又は非置換シクロペンチルとなる。
【0061】
一部の実施形態では、Rが、R14置換C〜C20アルキル、非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、R15置換ヘテロアリール、置換もしくは非置換縮合環ヘテロアリール、又はR16置換アリールとなる。又、R14は、オキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル(例えばアルコキシ)、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR16置換アリールとなる。R15は、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。R16は、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換オルトベンジルオキシ(例えばo−ベンジルオキシ)となる。一部の実施形態では、Rが非置換アルキルでない場合、Rが、必要に応じて、置換2〜20員ヘテロアルキルとなる。
【0062】
一部の実施形態では、Rが置換ナフチルとなる。一部の実施形態では、Rが置換もしくは非置換アセナフテニルとなる。一部の実施形態では、Rが置換もしくは非置換チオフェニル−フェニルとなる。一部の実施形態では、Rが置換もしくは非置換ナフチル又は置換チオフェニルとなり、Rが水素又はメチルとなる。
【0063】
一部の実施形態では、Rが、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。
【0064】
は、置換もしくは非置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキル、置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、及び置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される場合がある。一部の実施形態では、Rが窒素(即ち窒素−炭素結合)を介して分子の剰余と連結していない。一部の実施形態では、Rが炭素−炭素結合を介して分子の剰余と連結している。
【0065】
或いは、Rは、非置換C〜C20アルキル;非置換2〜20員ヘテロアルキル;非置換C〜Cシクロアルキル;非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル;非置換アリール;非置換ヘテロアリール;又はハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、オキシ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C20アルキル、2〜20員ヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールとなる。
【0066】
一部の実施形態では、Rが、非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換Cシクロアルキル;非置換フェニル;非置換ベンジル;又はハロゲン、ヒドロキシル、オキシ、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキル、2〜10員ヘテロアルキル、Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルとなる。
【0067】
他の実施形態では、Rが、非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換Cシクロアルキル;非置換フェニル;非置換ベンジル;又はハロゲン、ヒドロキシル及びオキシから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキル又は2〜10員ヘテロアルキルとなる。
【0068】
或いは、Rは、水素、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換アリール、非置換アリールアルキル又は非置換アルキルエステリルとなる。Rは又、非置換C〜C20アルキルとなる場合もある。一部の実施形態では、Rが非置換C〜C10アルキルとなる。他の実施形態では、Rがt−ブチルとなる。
【0069】
一部の実施形態では、Rが、R10置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、R11置換C〜Cシクロアルキル、R11置換C〜Cヘテロシクロアルキル、R12置換ヘテロアリール又はR13置換アリールとなる。又、R10は、オキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル(例えば置換もしくは非置換アルコキシ)、置換もしくは非置換3〜7員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又はR13置換アリールとなる。R11は、オキソ、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。R12は、−OH、ハロゲン、−CF、−NH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。R13は、−OH、−NH、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は置換もしくは非置換アリールとなる。一部の関連する実施形態では、R及びRが水素となり、Rが4−メチルフェニルとなる場合に、Rが2−エチルアセチルとならない。他の関連する実施形態では、R及びRが水素となり、Rがメチルフェニル又はエチルフェニルとなる場合に、Rがアルキルアセチルとならない。
【0070】
特定の実施形態では、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換アルキル、及び置換もしくは非置換ヘテロアルキルから選択される。一部の実施形態では、R及びRは独立して、水素、置換もしくは非置換C〜C10アルキル、又は置換もしくは非置換2〜10員ヘテロアルキルとなる。R及びRは又独立して、水素、非置換C〜C10アルキル及び非置換2〜10員ヘテロアルキルから選択される。或いは、R及びRが独立して水素又はメチルとなる。一部の実施形態では、R及びRが水素となる。
【0071】
一部の実施形態では、R及びRが独立して、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。一部の実施形態では、R及びRが非置換アルキルとなる。
【0072】
一部の実施形態では、Rが、ハロゲン、メチル、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルとなり;RがC〜C10非置換アルキルとなり;R及びRが独立して水素又はメチルとなり;Lがメチレンとなる。Rは又、ハロゲン(例えば塩素)により置換されるフェニルである場合もある。一部の実施形態では、Rがo−クロロフェニルとなる。Rは又、ハロゲン、−OH、−CF、−OCH又は−NHにより置換されるフェニルとなる場合もある。一部の実施形態では、R及びRが水素となる。一部の実施形態では、Rが水素となり、Rがメチルとなる。
【0073】
は、結合となる場合もあれば、非置換C〜C10アルキレン、或いは非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換アリール又は非置換ヘテロアリールにより置換されるC〜C10アルキレンとなる場合がある。一部の実施形態では、Lがメチレンとなる。
【0074】
は又、結合となる場合もあれば、置換もしくは非置換アルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンとなる場合もあり、ここでRが置換フェニル、置換もしくは非置換ベンゾジオキソラニル、又は置換もしくは非置換シクロペンチルである場合、Lは置換もしくは非置換アルキレン、又は置換もしくは非置換ヘテロアルキレンとなる。
【0075】
一部の実施形態では、Lが結合となる場合もあれば、置換もしくは非置換アルキレンとなる場合もあり、ここでRが置換フェニル、置換もしくは非置換ベンゾジオキソラニル、又は非置換シクロペンチルとなる場合に、Lが置換もしくは非置換アルキレンとなる。
【0076】
他の実施形態では、Lが結合となる場合もあれば、非置換C〜C20アルキレンとなる場合もあり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lが非置換C〜C20アルキレンとなる。他の実施形態では、Lが結合となる場合もあれば、非置換C〜C20アルキレンとなる場合もあり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lが非置換C〜C20アルキレンとなる。他の実施形態では、Lが結合となる場合もあれば、非置換C〜C20アルキレンとなる場合もあり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lが非置換C−C20アルキレンとなる。
【0077】
或いは、Lは、結合又は非置換C〜C10アルキレンとなり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lが非置換C〜C10アルキレンとなる。
【0078】
は又、結合となる場合もあれば、非置換C〜Cアルキレンとなる場合もあり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lが非置換C〜Cアルキレンとなる。或いは、Lは、結合となる場合もあれば、メチレンとなる場合もあり、ここでRがフェニル、ベンゾジオキソラニル又はシクロペンチルとなる場合に、Lがメチレンとなる。
【0079】
一部の実施形態では、Lが、置換もしくは非置換[1,1]−シクロアルキレン、例えば置換もしくは非置換[1,1]−シクロプロピレンとなる。一部の実施形態では、Lが、非置換[1,1]−シクロアルキレン、例えば非置換[1,1]−シクロプロピレンとなる。
【0080】
例示的実施形態では、前述の式(II)のR、R、R、R及びRが独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;スルフィドリル;シアノ;ニトロ;置換もしくは非置換アルキル;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換アリール;及び置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。
【0081】
一部の実施形態では、R、R及びRが独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;スルフィドリル;シアノ;ニトロ;置換もしくは非置換アルキル;置換もしくは非置換ヘテロアルキル;置換もしくは非置換シクロアルキル;置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル;置換もしくは非置換アリール;及び置換もしくは非置換ヘテロアリールから選択される。又、R及びRは独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、及び置換もしくは非置換ヘテロアリール、及び置換アリールにより置換されるヘテロアルキルから選択される。特定の実施形態では、R、R、R及びRが同時に水素とならない。
【0082】
他の実施形態では、R、R及びRが独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換C〜C20アルキル、置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキル、置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、又は置換もしくは非置換ヘテロアリールとなる。
【0083】
或いは、R、R及びRが独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;スルフィドリル;シアノ;ニトロ;非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換C〜Cシクロアルキル;非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル;非置換アリール;及び非置換ヘテロアリール;又はハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換ヘテロアリール、非置換アリール、及びハロゲン又は非置換ヘテロアリールにより置換されるアリールから選択される置換基により置換されるC〜C20アルキル、2〜20員ヘテロアルキル、C〜Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールとなる。
【0084】
、R及びRは又独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換C−Cシクロアルキル;非置換5〜8員ヘテロシクロアルキル;非置換アリール;非置換ヘテロアリール;又は非置換アリール、非置換ヘテロアリール、及びハロゲンにより置換されるアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキル又は2〜10員ヘテロアルキルとなる場合もある。
【0085】
別の実施形態では、R、R及びRが独立して、水素、ハロゲン、非置換C〜C10アルキル及び非置換2〜10員ヘテロアルキルから選択される。R、R及びRは又独立して、水素、ハロゲン、メチル又はメトキシとなる場合もある。
【0086】
別の実施形態では、R及びRが独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、置換もしくは非置換C〜C20アルキル、非置換2〜20員ヘテロアルキル、置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキル、置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロアリール、又は、置換アリールにより置換される2〜20員ヘテロアルキルとなる。
【0087】
一部の実施形態では、R及びRが独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;スルフィドリル;シアノ;ニトロ;非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換C〜Cシクロアルキル;非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル;非置換アリール;非置換ヘテロアリール;置換アリールにより置換される2〜10員ヘテロアルキル;又はハロゲン、ヒドロキシル、スルフィドリル、シアノ、ニトロ、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、非置換C〜Cシクロアルキル、非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル、非置換アリール及び非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキル、C〜Cシクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、アリール又はヘテロアリールとなる。
【0088】
他の実施形態では、R及びRが独立して、水素;ハロゲン;ヒドロキシル;非置換C〜C10アルキル;非置換2〜10員ヘテロアルキル;非置換C〜Cシクロアルキル;非置換4〜8員ヘテロシクロアルキル;非置換アリール;非置換ヘテロアリール;ハロアリールにより置換される2〜10員ヘテロアルキル;又は非置換アリール、ハロアリール又は非置換ヘテロアリールから選択される置換基により置換されるC〜C10アルキルとなる。
【0089】
及びRは又、水素、ハロゲン、非置換C〜C10アルキル、非置換2〜10員ヘテロアルキル、又はハロアリールにより置換される2〜5員ヘテロアルキルから選択される場合もある。
【0090】
或いは、R及びRは独立して、水素、ハロゲン、メチル、メトキシ、並びにハロアリールにより置換されるメトキシから選択される。
【0091】
一部の実施形態では、式(I)及び/又は(II)の化合物における前述の各置換基は、少なくとも一つの置換基により置換される。例えば、一部の実施形態では、式(I)及び/又は(II)の化合物における前述の各置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換シクロアルキレン及び/又は置換ヘテロアルキレンが、少なくとも一つの置換基により置換される。他の実施形態では、前記基の少なくとも一つ又は全てが、少なくとも一つのサイズ制限置換基により置換される。或いは、前記基の少なくとも一つ又は全てが、少なくとも一つの低級置換基により置換される。
【0092】
式(I)及び/又は(II)の化合物の他の実施形態では、各置換もしくは非置換アルキルが置換もしくは非置換C〜C20アルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルが置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキルとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキルが置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルが置換もしくは非置換4〜8員ヘテロシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換アルキレンが置換もしくは非置換C〜C20アルキレンとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキレンがC〜Cシクロアルキレンとなり、及び/又は各置換もしくは非置換ヘテロアルキレンが置換もしくは非置換2〜20員ヘテロアルキレンとなる。
【0093】
或いは、各置換もしくは非置換アルキルは置換もしくは非置換C〜Cアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロアルキルは置換もしくは非置換2〜8員ヘテロアルキルとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキルは置換もしくは非置換C〜Cシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキルは置換もしくは非置換5〜7員ヘテロシクロアルキルとなり、各置換もしくは非置換アルキレンは置換もしくは非置換C〜Cアルキレンとなり、各置換もしくは非置換シクロアルキレンはC〜Cシクロアルキレンとなり、及び/又は各置換もしくは非置換ヘテロアルキレンは置換もしくは非置換2〜8員ヘテロアルキレンとなる。
【0094】
一部の実施形態では、本発明の化合物が、化合物13及び/又は化合物57を除き、後述の表1に記載する化合物のサブセットとなる。化合物57は式(I)の範囲に含まれないが、一部の実施形態では、表1の化合物57が本発明の方法で有用となる。一部の実施形態では、本発明の化合物が、化合物57を除き、後述の表1に記載する化合物のサブセットとなる。一部の実施形態では、本発明の化合物が、「活性」として記載される表1中の化合物のサブセットとなる。一部の実施形態では、本発明の化合物に、後述の表2に記載する化合物が含まれない。当業者であれば、本明細書に記載の方法及び/又は当該技術分野で良く知られる方法を使用して、どの化合物が抗炎症性化合物として有用であるかを容易に判断できる(例えば後述のセクションIIIを参照)。
【0095】
II.代表的な合成
本発明の化合物は、一般的によく知られた合成方法の適切な組み合わせにより合成される。本発明の化合物を合成する上で有用な技法は、本明細書の開示内容を鑑みれば当業者に容易に明らかとなり、使用可能となる。以下の考察は、本発明の化合物を組み立てる際に使用可能な様々な方法の一部を説明するために行う。しかし、当該考察は、本発明の化合物を調製する上で有用な反応又は反応順序の範囲を定義することを意図していない。
【0096】
【化13】

スキーム1において、R及びLは前述の通りとなる。手順(i)において、カルボニル化合物1をTHF中でNaH及びマロノニトリルと反応させ、その後手順(ii)において、ジオキサン/HO中でNaHCO及びジメチルスルフェートで処理することにより、該当するアルケン2を形成する。化合物2の環化は、エタノール中でトリエチルアミン及び塩酸t−ブチルヒドラジンの存在下で還流させることにより行い、ピラゾール3を形成する。最後に化合物3をホルムアミドと反応させて、ピラゾロピリミジン4を得る。
【0097】
【化14】

化合物4のアミン置換基は、ピリジン(v)の存在下で適切なアシルクロリド(R’−C(O)−Cl)と反応させることにより誘導体化される場合がある。得られるアミドは、乾燥テトラヒドロフラン中でLiAlHと共に還流することにより還元され、化合物6を形成する場合がある。スキーム2においては、R’が置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは非置換アリール、及び置換もしくは非置換ヘテロアリールを示す。一部の実施形態では、−CH−R’部分が、前述の通り定義されるRとなる。
【0098】
有用な合成手順の詳細な考察については、Bishop et al.,J.Am.Chem.Soc.121,627−631(1999)及びBishop et al.,Current Biology,8:257−266(1998)を参照されたい。
【0099】
III.抗炎症性ピラゾロピリミジンを同定する方法
別の態様では、本発明が抗炎症性ピラゾロピリミジン化合物を同定する方法を提供する。前記方法には、候補となる抗炎症性ピラゾロピリミジン化合物を細胞培養アッセイと接触させることが含まれる。前記細胞培養アッセイには、本明細書に細胞培養アッセイの組み合わせとして言及される1種類以上の細胞が含まれる場合がある。前記の細胞培養アッセイの組み合わせには、例えば末梢血単核細胞を持つ又は持たない炎症状態のヒト内皮細胞が含まれるが、これに限定されない。細胞培養アッセイの一つの型では、炎症状態に関連する少なくとも二種類の遺伝子産物の発現における変化が検出される。少なくとも二種類の遺伝子産物の発現における変化は、候補となる抗炎症性ピラゾロピリミジン化合物の非存在下における当該遺伝子産物の発現と比較され、そして、候補化合物が抗炎症作用と同じように(例えば炎症状態を誘導するか、炎症状態を表す遺伝子産物の発現を低減させることにより、又は炎症を抑制する遺伝子産物の発現を増大させることにより)当該遺伝子産物の1種以上の発現を改変させる場合は、それにより前記候補化合物が抗炎症性ピラゾロピリミジン化合物として同定される。細胞培養アッセイ、並びに本発明の前記態様において有用となる、当該アッセイにより得られるデータを分析する方法については、参考として本明細書に盛り込まれる、PCT公開05/023987;04/094992;04/094609;04/022711;03/023753;及び01/067103;及び米国特許6,656,695;及び6,763,307に記載される。
【0100】
一部の実施形態では、分析される遺伝子産物が、E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、CXLC9/MIG、IL−6、CXCL8/IL−8、HLA−DR、CCL2/MCP−1、P−セレクチン、VEGFR2、CD87/uPAR、CD55、CCL26/エオタキシン−3、CD14、CD40、CD69、CD31、CD38、CD142/TF、IL−1α、M−CSF、CD141/TM、エンドセリン−1、LDLR、CXCL10/IP−10、CD3及びIL−2から選択される遺伝子の産物となる。当該試験で分析されることがある追加の遺伝子産物は、例えば、全ての目的から参考としてその全体が本明細書に盛り込まれる、前述のPCR特許公開及び発行済みの米国特許において詳述されている。当該細胞培養アッセイにおいて検出されることがあるその他の代表的な標的及び経路については、後述の図1A及び1Bに示されている。
【0101】
細胞培養アッセイにおける細胞の炎症状態は、TNF−α、TNF−β、IL−1、IL−2、IL−4、IL−12、IL−13、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)、ブドウ球菌エンテロトキシンE(SEE)、毒性ショック症候群毒素(TSST)、リポ多糖類(LPS)、抗CD3抗体、抗T細胞受容体抗体、ヒスタミン及びIFN−γから選択される1種以上の炎症因子を培養物に添加することにより達成される場合がある。炎症因子は一般的に前記炎症状態を誘導する上で十分な量及び時間で添加される。一部の実施形態では、少なくとも一つ、2種又は3種の炎症因子が添加される。追加の炎症因子については、例えば前述のPCR特許公開及び発行済みの米国特許において詳述されている。
【0102】
特定の実施形態では、候補ピラゾロピリミジン化合物の活性が既知の抗炎症性化合物と比較される。これにより、新規の活性プロファイルを有するか、又はその他の抗炎症性化合物と同様の活性プロファイルを有するピラゾロピリミジン化合物を検出することもできる。
【0103】
例示的実施形態では、商標BioMAPTMシステムとして知られる生物学的に多重化された活性プロファイリングシステムが使用されている。有用なBioMAPシステムについては、例えば、参考として本明細書に盛り込まれる、前述のPCR特許公開及び発行済みの米国特許、及びKunkel et al.,ASSAY and Drug Development Technologies,2:431−441(2004)において詳述されている。
【0104】
候補抗炎症性ピラゾロピリミジンをスクリーニングするために細胞及び培養条件を選択する方法、測定する個々のパラメータの最適な組の同定、候補の迅速な同定及び特性評価を行うためのBioMAPの活用等は、本明細書の開示内容及び前述のPCR特許公開及び発行済みの米国特許の開示内容を鑑みれば、生物学及び/又は生化学分野の当業者がよく知るものである。一部の実施形態では、多数の細胞経路、並びに細胞応答を誘発する化合物の迅速な同定が同時にスクリーニングされる。
【0105】
薬剤の生物学的活性は、通常は薬剤を含有しないアッセイの組み合わせと共に、少なくとも一つ及び通常は複数のアッセイの組み合わせにてスクリーニングする薬剤を添加して、アッセイの組み合わせのパネルを作成することによって、スクリーニングされる。薬剤に応答したパラメータの読み取り値の変化が測定され、望ましくは正規化されると、得られたBioMAP読み取り値は、基準となるBioMAP読み取り値と比較することによって評価される場合がある。基準となるBioMAP読み取り値は、因子の存在下及び非存在下における基礎読み取り値、既知の経路の既知の抑制剤が含まれても含まれなくてもよい、他剤により得られたBioMAP読み取り値が含まれる場合がある。分析の対象となる薬剤には、対象となる細胞の対象となる表現型を直接又は間接的に変調する能力を有する何れかの生物学的に活性な分子が含まれる。
【0106】
選択されたマーカーの存在を定量化するには、種々の方法を使用することができる。存在する分子の量を測定する好都合な方法は、蛍光性、発光性、放射性、酵素活性等を有する場合もある検出可能な部分によって、分子を、とりわけ高親和性のパラメータへの結合に特異的な分子を標識付けすることである。蛍光部分は、殆ど如何なる生体分子、構造又は細胞型を標識付けする際にも容易に使用することができる。免疫蛍光部分は、特定の蛋白のみならず、特定の構造、分解産物、又はホスホリル化のような部位修飾にも結合するように指向することができる。個々のペプチド及び蛋白は、例えば細胞内部における緑色蛍光蛋白キメラとして発現することによって、自己蛍光性となるように設計することができる(Jones et al.,(1999)Trends Biotechnol.,17(12):477−81を参照)。従って、抗体はその構造の部分として蛍光染料を与えるように遺伝子的に修飾することができる。適用可能な方法は一般的に当該技術分野で知られており、例えば前述のPCR特許公開及び発行済みの米国特許において詳述されている。
【0107】
特定の実施形態では、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)及び/又は末梢血単核細胞(PBMC)を種々の組み合わせのサイトカインと接触させて、炎症応答を誘導する。代表的なサイトカインの組み合わせは図1Bに示す。炎症応答は図1Bに示す遺伝子産物の存在を検出することにより評価される。
【0108】
IV.炎症により特徴付けられる障害を治療又は予防する方法
別の態様では、本発明が炎症により特徴付けられる障害を治療又は予防する方法を提供し、前記方法には、本発明の化合物の治療上有効な量を被験体に投与することが含まれる。
【0109】
特定の実施形態では、前記障害が、感染、外傷、自己免疫疾患、心臓血管疾患、新生物、過形成、中毒、感染、肥満、細胞変性、アポトーシス又は老化、又は分化に応答して生じるか、又はそれらの遠因となる炎症性過程である。
【0110】
前記障害は、血管炎、多発性硬化症、糖尿病、炎症性腸疾患(例えばクローン病及び潰瘍性結腸炎)、乾癬、関節炎(例えば慢性関節リューマチ、脊椎関節症、痛風性関節炎、骨関節炎及び若年性関節炎)、喘息、卒中、アテローム性動脈硬化症(アテローム性動脈硬化プラーク破壊を含む)、再狭窄、及び狼瘡(全身エリテマトーデスを含む)からなる群から選択される場合がある。
【0111】
異常な炎症に関連するその他の障害には、例えば頭痛(例えば偏頭痛)、気管支炎、生理痛、腱炎、胃炎、血管疾患、ブドウ膜炎、シェーグレン病、硬皮症、ネフローゼ症候群、傷害後の浮腫、心筋虚血、発熱(例えばリューマチ熱、並びにインフルエンザ及びその他のウィルス感染症に関連する発熱を含む)、感冒、月経困難、気腫、急性呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、臓器移植毒性、悪液質、アレルギー反応、アレルギー性接触過敏症、癌(例えば結腸癌、乳癌、肺癌及び前立腺癌を含む固形腫瘍癌;白血病及びリンパ腫を含む造血系悪性疾患;ホジキン病;再生不良性貧血、皮膚癌及び家族性腺腫様ポリープ)、組織潰瘍、消化性潰瘍、限局性腸炎、潰瘍性結腸炎、憩室炎、再発性胃腸病変、胃腸出血、凝血、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、再狭窄、歯周病、表皮水疱症、骨粗鬆症、人工関節インプラントの弛緩、大動脈瘤(腹部大動脈瘤及び脳大動脈瘤)、結節性動脈周囲炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳虚血、頭部外傷、脊髄傷害、神経痛、神経変性障害(急性及び慢性)、自己免疫障害、ハンチントン病、パーキンソン病、偏頭痛、鬱病、末梢神経障害、疼痛(下部背部及び頸部の疼痛、頭痛及び歯痛)、歯肉炎、脳アミロイド血管症、対症療法的又は認知増強、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、眼内血管形成、角膜傷害、黄斑変性、結膜炎、異常な創傷治癒、筋肉又は関節の捻挫又は剥離、腱炎、皮膚障害(例えば乾癬、湿疹、硬皮症及び皮膚炎)、重症筋無力症、多発性筋炎、筋炎、滑液嚢炎、熱傷、糖尿病(I型及びII型糖尿病、糖尿病性網膜症、神経障害及び腎症、インスリン依存性真性糖尿病(IDDM)を含む)、腫瘍侵襲、腫瘍成長、腫瘍転移、角膜瘢痕、強膜炎、免疫不全疾患(例えばヒトのAIDS及びネコのFLV、FIV)、敗血症、早産、低プロトロンビン血症、血友病、甲状腺炎、サルコイドーシス、ベーチェット症候群、過敏症、腎臓疾患、リケッチア感染(例えばライム病、エールリヒア症)、原虫疾患(例えばマラリア、ジアルジア症、コクシジウム症)、生殖障害(好ましくは家畜における)及び敗血症性ショックが含まれる。
【0112】
治療は、哺乳類(例えばヒト、ネコ、イヌ又は家畜)において行うことができ、そして前記治療方法は、製薬上許容可能な担体と組み合わせて式(I)の化合物又はその製薬上許容可能な塩の有効量を投与することを含む。
【0113】
V.抗炎症活性
前述の通り、本発明は、炎症が疾患の進行又は疾患若しくは状態の症状の発現に関与している、疾患及び状態の治療に有用な抗炎症性化合物を提供する。
【0114】
一実施形態では、本発明の化合物が、T細胞活性化抑制剤である式(I)の化合物のサブセットとなる。T細胞活性化抑制剤は、細胞系アッセイ(例えばT細胞を刺激するためにスーパー抗原が使用される前述のBioMAPアッセイ)においてT細胞の活性化を強力に抑制する化合物である。本明細書で使用される「T細胞活性を強力に抑制する」という表現は、E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、CXLC9/MIG、CXCL8/IL−8、CCL2/MCP−1、CD87/uPAR、CCL26/エオタキシン−3、CD40、CD69、CD38、CD142/TF、CXCL10/IP−10又はIL−2から選択される遺伝子産物の少なくとも一つの発現を、細胞系アッセイにおいて少なくとも50%抑制する化合物を指す。T細胞活性化抑制剤は、炎症の遠因となる関節炎、乾癬、血管炎、多発性硬化症、IBD、喘息、アテローム性動脈硬化症又はその他の炎症性疾患の治療に特に有用となる場合がある。本実施形態の代表的なピラゾロピリミジンのT細胞活性化抑制剤化合物には、後述の表1の化合物10、13、15、17、41、48及び54が含まれる。
【0115】
別の実施形態では、本発明の化合物が、単球の活性化及び動員の抑制剤である式(I)の化合物のサブセットとなる。単球活性化抑制剤は、T細胞活性化を軽微に抑制し、単球活性化を強力に抑制し、例えば内皮細胞、線維芽細胞及び平滑筋細胞等を含む複数の細胞型からのMCP−1及びIL−8の生産を強力に抑制する。本明細書で使用される「T細胞活性化を軽微に抑制する」という表現は、E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、CXLC9/MIG、CXCL8/IL−8、CCL2/MCP−1、CD87/uPAR、CCL26/エオタキシン−3、CD40、CD69、CD38、CD142/TF、CXCL10/IP−10又はIL−2から選択される遺伝子産物の少なくとも一つの発現を、細胞系アッセイにおいて50%未満抑制する化合物を指す。本明細書で使用される「単球活性化を強力に抑制する」という表現は、E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、CXLC9/MIG、IL−6、CXCL8/IL−8、CCL2/MCP−1、CD14、CD40、CD69、CD142/TF、IL−1α、M−CSF、CD141/TM又はCXCL10/IP−10から選択される遺伝子産物の少なくとも一つの発現を、細胞系アッセイにおいて少なくとも50%抑制する化合物を指す。本明細書で使用される「MCP−1を強力に抑制する」という表現は、MCP−1遺伝子産物の発現を細胞系アッセイにおいて少なくとも50%抑制する化合物を指す。本明細書で使用される「IL−8を強力に抑制する」という表現は、IL−8遺伝子産物の発現を細胞系アッセイにおいて少なくとも50%抑制する化合物を指す。単球活性化抑制剤は、炎症の遠因となる複数の疾患、例えば慢性関節リューマチ、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、ループス腎炎及び血管炎を治療する場合に特に有用となる場合がある。本実施形態の代表的なピラゾロピリミジンの単球活性化抑制剤化合物には、後述の表1の化合物30、31、36、59、62,63、64、65、72及び76が含まれる。
【0116】
別の実施形態では、本発明の化合物が、ガンマインターフェロンシグナリング抑制剤である式(I)の化合物のサブセットとなる。ガンマインターフェロンシグナリング抑制剤は、T細胞活性化(前記)及び単球活性化(前記)を軽微に抑制するが、IFN−ガンマシグナリング及びコラーゲン生成を抑制する。本明細書で使用される「単球活性化を軽微に抑制する」という表現は、E−セレクチン、ICAM−1、VCAM−1、CXLC9/MIG、IL−6、CXCL8/IL−8、CCL2/MCP−1、CD14、CD40、CD69、CD142/TF、IL−1α、M−CSF、CD141/TM又はCXCL10/IP−10から選択される遺伝子産物の少なくとも一つの発現を、細胞系アッセイにおいて50%未満抑制する化合物を指す。ガンマインターフェロンシグナリング抑制剤は、炎症の遠因となる複数の疾患、例えば慢性関節リューマチ、全身硬化症、COPD、喘息、アテローム性動脈硬化症、肝硬変、肺線維症、サルコイドーシス、ケロイド及び腎線維症を治療する場合に特に有用となる場合がある。本実施形態の代表的なピラゾロピリミジンのインターフェロンガンマシグナリング抑制剤化合物には、後述の表1の化合物7、8、9、11,12及び19が含まれる。
【0117】
VI.医薬組成物
別の態様では、本発明が、製薬上許容可能な賦形剤、及び前述の式(I)の範囲内の化合物のような本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0118】
本発明の化合物は、広範な種類の経口型、非経腸型及び局所投与型で調製・投与することができる。経口用調製物には、患者による内服に適した錠剤、丸薬、粉末、糖剤、カプセル、液体、ロゼンジ、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等が含まれる。本発明の化合物は又、注射により、即ち、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内又は腹腔内に投与することもできる。又、本明細書に記載の化合物は、吸入により、例えば鼻内に投与することもできる。更に、本発明の化合物は経皮投与することもできる。本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジンは又、眼内、膣内及び直腸内の経路により、例えば坐剤、吸入剤、粉末及びエアロゾル製剤を使用することにより投与することもできる(ステロイド吸入剤の例については、Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照)。従って、本発明は又、製薬上許容可能な担体又は賦形剤及び式(I)の化合物又は式(I)の化合物の製薬上許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。
【0119】
本発明の化合物は又、抗炎症性ピラゾロピリミジンコーティングステントを使用して投与される場合もある。前記ステントは血管内に挿入される場合があり、血管の構造支持体となる足場として機能することで、血管を開放状態に保持し、血管の血流を改善することも可能である。抗炎症性ピラゾロピリミジンコーティングステントは、抗炎症性ピラゾロピリミジン、並びに必要に応じて適切な医薬用賦形剤のような追加の薬剤でコーティングされているステントを指す。抗炎症性ピラゾロピリミジンコーティングステントは、一般的に抗炎症性ピラゾロピリミジンを周囲の組織に経時的に放出させる。前記ステントが抗炎症性ピラゾロピリミジンに吸着、含浸、共有結合又はイオン結合させることもできることは、当業者の理解するところである。
【0120】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するには、製薬上許容可能な担体が固体又は液体の何れであってもよい。固体形状の調製物には、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒が含まれる。固体担体は、希釈剤、着香剤、結合剤、保存料、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料として機能することもある1種以上の物質であってもよい。製剤及び投与の手法の詳細については、科学文献及び特許文献(例えば最新版のRemington’s Pharmaceutical Sciences,Maack Publishing Co.,Easton PA(“Remington’s”)を参照)に詳述されている。
【0121】
粉末では、担体が微細分割固体となっており、微細分割された活性化合物との混合物中に含まれている。錠剤では、活性化合物が必要な結合特性を有する担体と適切な比率で混合され、所望の形状及び大きさに圧縮成型される。
【0122】
前記粉末及び錠剤は、好ましくは活性化合物の5%又は10%〜70%を含有する。適当な担体とは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂等である。「調製物」という用語は、他の担体を伴う又は伴わない活性化合物が担体により包囲されることでそれと会合しているカプセルを提供する担体となる、カプセル化材料を使用した活性化合物の製剤を含むものとして意図される。同様にカシェ剤及びロゼンジ剤も、本発明の医薬品製剤に含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェ剤及びロゼンジ剤は、経口投与に適した固体投与形態として使用できる。
【0123】
適切な固体賦形剤は炭水化物又は蛋白の充填剤であり、乳糖、スクロース、マンニトール又はソルビトールのような糖類;トウモロコシ、コムギ、コメ、バレイショ又はその他の植物由来の澱粉;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はカルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース;及びアラビアゴム及びトラガカントのようなガム類;並びにゼラチン及びコラーゲンのような蛋白が含まれるが、これらに限定されない。所望により、例えば交差結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、又はそれらの塩(例えばアルギン酸ナトリウム)のような、錠剤崩壊剤又は可溶化剤を添加することもできる。
【0124】
糖剤のコアには、濃縮された糖溶液のような適切なコーティングが施されており、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有する場合もある。染料又は顔料を錠剤又は糖剤のコーティングに添加することで、医薬品の同定又は活性化合物の量(即ち用量)の明確化を行うこともある。本発明の医薬品製剤は又、例えばゼラチンでできたプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及びコーティング(例えばグリセロール又はソルビトール)でできたソフトシールカプセルを使用して経口投与することもできる。プッシュフィットカプセルは、乳糖又は澱粉のような充填剤又は結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、及び必要に応じて安定化剤と混合した抗炎症性ピラゾロピリミジンを含有してもよい。ソフトカプセルにおいては、抗炎症性ピラゾロピリミジンが、安定化剤の使用の有無に関係なく、油脂類、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールのような適切な液体中に溶解又は懸濁される場合もある。
【0125】
坐剤の調製では、脂肪酸グリセリド又はカカオ脂の混合物のような低融点ワックスを最初に溶融させ、そこに活性化合物を例えば攪拌により均質に分散させる。次に溶融した均質な混合物を好都合な大きさの金型に注ぎ込み、放冷することで固化させる。
【0126】
液体形態の調製物には、溶液、懸濁液及び乳液、例えば水又は水/ポリエチレングリコール溶液が含まれる。非経腸注射では、液体調製物を水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液として製剤することができる。
【0127】
経口投与に適した水溶液は、水中に活性成分を溶解して、適切な着色剤、着香剤、安定化剤及び濃厚化剤を所望により添加することで調製することができる。経口投与に適した水性懸濁液は、微細分割活性成分を粘稠な物質、例えば天然又は合成のガム類、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム、及び分散剤又は水和剤、例えば天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)又はエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)と共に水に分散することにより作成できる。水性懸濁液も又、1種類以上の保存料、例えばエチル又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート、1種類以上の着色剤、1種類以上の着香剤、及び1種類以上の甘味剤、例えばスクロース、アスパルテーム又はサッカリンを含有してもよい。製剤は浸透圧モル濃度に応じて調整することができる。
【0128】
又、使用直前に経口投与用の液体形態調製物に変換することを意図している固体形態の調製物も含まれる。当該液体形態には、溶液、懸濁液及び乳液が含まれる。前記調製物は、活性成分の他に、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味剤、分散剤、濃厚化剤、可溶化剤等を含有する場合もある。
【0129】
油脂懸濁液は、ピーナツ油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油のような植物油中、或いは流動パラフィンのような鉱物油中、或いはこれらの混合物中に抗炎症性ピラゾロピリミジンを懸濁することで製剤することができる。前記油脂懸濁液は、蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコールのような濃厚化剤を含有してもよい。甘味剤を添加することにより、内服しやすい味の経口用調製物、例えばグリセロール、ソルビトール又はスクロースにすることができる。これらの製剤は、アスコルビン酸のような抗酸化剤を添加することにより保存性を付すことができる。注射用油脂ビヒクルの例については、Minto,J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102,1997を参照されたい。本発明の医薬品製剤は又、水中油の乳液の形態とすることもできる。油層は前記の植物油又は鉱物油、或いはそれらの混合物となってもよい。適切な乳化剤には、天然ガム類(例えばアカシアガム及びトラガカントガム)、天然ホスファチド(例えば大豆レシチン)、脂肪酸及び無水ヘキシトールに由来するエステル又は部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が含まれる。前記乳液は又、シロップ及びエリキシル剤の製剤の場合と同様に甘味剤及び着香剤を含有してもよい。当該製剤は又、粘滑剤、保存料又は着色剤を含有してもよい。
【0130】
本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジンは、局所経路により経皮送達することができ、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、乳液、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗料、粉末及びエアロゾルとして製剤される。
【0131】
本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジンは、体内において緩徐に放出する微小球として送達することもできる。例えば、微小球は、皮下において緩徐放出する薬剤含有微小球の皮内注射(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995を参照)を介して;生分解性の注射用ゲル製剤(例えばGao Pharm.Res.12:857−863,1995を参照)として;又は経口投与用の微小球(例えばEyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997を参照)として、投与することができる。経皮及び皮内の経路では何れも、場合によっては、数週間又は数ヶ月間に渡る一定速度又はほぼ一定速度の活性剤の送達が可能となる。
【0132】
本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジン医薬品製剤は、塩として提供することができ、多くの酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等と共に形成することができる。塩は、相当する遊離塩基形態よりも、水性又はその他のプロトン溶媒中でより可溶性が高くなる傾向を有する。他の場合では、製剤が、使用前に緩衝剤と混合される、1mM〜50mMヒスチジン、0.1%〜2%スクロース、2%〜7%マンニトール、pH4.5〜5.5中の凍結乾燥粉末となる場合がある。
【0133】
別の実施形態では、本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジン製剤が、非経腸投与、例えば静脈内(IV)投与又は身体腔部若しくは臓器管腔内への投与のために使用される。一般的に投与用製剤は、製薬上許容可能な担体中に溶解される抗炎症性ピラゾロピリミジンの溶液を含む。使用可能な許容可能なビヒクル及び溶媒の例には、水及びリンゲル溶液、等張性の塩化ナトリウムがある。更に、滅菌不揮発性油も溶媒又は懸濁媒体として従来より使用されている。この目的では、合成のモノグリセリド又はジグリセリドのような何れの商標の不揮発性油も使用することができる。更に又、オレイン酸のような脂肪酸も注射剤の調製において同様に使用することができる。前記溶液は滅菌されており、一般的には望ましくない物質を含有しない。又、前記製剤は、従来の、(他の化合物では)よく知られた滅菌手法により滅菌されることもある。前記製剤は、生理学的条件に近似するために必要に応じて、pH調節剤及び緩衝剤、毒性調節剤、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等のような、製薬上許容可能な副次的物質を含有する場合がある。前記製剤の抗炎症性ピラゾロピリミジンの濃度は、大きく変動することがあり、選択された特定の投与様式及び患者の必要性に従って、主に液量、粘度、体重等に基づき選択される。IV投与の場合は、製剤が、滅菌された注射用調製物、例えば滅菌された注射用水性又は油性懸濁液であってもよい。前記懸濁液は、適切な分散剤又は水和剤及び懸濁剤を使用して当該技術分野で知られる通りに製剤することができる。滅菌された注射用調製物は又、非毒性の非経腸投与許容の希釈剤又は溶媒中の滅菌された注射用溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタノール溶液)であってもよい。
【0134】
別の実施形態では、本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジン製剤が、細胞膜と融合するか、又はエンドサイトーシスに付されるリポソームを使用することによって、即ち、エンドサイトーシスをもたらす細胞の表面膜蛋白受容体と結合するような、リポソームに結合したリガンド又はオリゴヌクレオチドと直接結合したリガンドを使用することによって、送達されることが可能となる。リポソームを使用することで、とりわけリポソーム表面が標的細胞に特異的なリガンドを担持するか、その他の態様で特定の臓器に優先的に指向される場合に、in vivoで抗炎症性ピラゾロピリミジンの送達を標的細胞に集中させることができる(例えばAl−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989を参照)。
【0135】
医薬品調製物は好ましくは単位用量形態である。当該形態では、調製物が適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。単位用量形態はパッケージ化された調製物であってもよく、パッケージには、パック入り錠剤、カプセル及び、バイアル又はアンプル入りの粉末のように、種々の量の製剤を含有してもよい。又、前記単位用量形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤又はロゼンジ剤そのものであってもよく、或いはこれらのうちの適切な数がパッケージ化された形態中にあるものであってもよい。
【0136】
単位用量調製物中の活性成分の量は、変動する場合があり、特定の用途及び活性成分の力価に応じて0.1mg〜10000mg、より一般的には1.0mg〜1000mg、最も一般的には10mg〜500mgに調整される場合がある。組成物は、所望によりその他の適合する治療薬を含有してもよい。
【0137】
VII.治療薬の組み合わせ
本発明の化合物が多様な疾患の治療に有用であることは、当業者に理解されるところである。又、特定の疾患の治療に本発明の化合物を使用する時には、本発明の化合物を当該疾患に使用される種々の既存の治療薬と組み合わせられるか、その他の態様で同時投与される場合があることも、当業者に理解されるところである。例えば慢性関節リューマチの治療では、本発明の化合物を、TNF−α阻害剤、例えば抗TNFモノクローナル抗体及びTNF受容体免疫グロブリン分子(例えばEnbrel.RTM)、低用量メトトレキセート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシラミン、オーラノフィン、又は非経腸若しくは経口用の金製剤のような薬剤と組み合わせられるか、同時投与される場合がある。
【0138】
本発明の化合物は又、骨関節炎の治療のために既存の治療薬と組み合わせて使用することも可能である。組み合わせて使用する上で適切な薬剤には、標準的な非ステロイド系抗炎症剤(以下、NSAIDと称する)、例えばピロキシカム、ジクロフェナク、プロピオン酸類(例えばナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びイブプロフェン)、フェナメート類(例えばメフェナミン酸)、インドメタシン、ズリンダック、アパゾン、ピラゾロン(例えばフェニルブタゾン)、サリシレート(例えばアスピリン)、COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ及びロフェコキシブ)、鎮痛剤及び関節内治療薬(例えばコルチコステロイド)及びヒアルロン酸(例えばヒアルガン及びシンビスク)が含まれる。
【0139】
本発明の活性成分(即ち式(I)の化合物)は、その他の炎症メディエーターの抑制剤と組み合わせて投与される場合があり、それらは、基本的に当該抑制剤のクラス及びそれらの例からなる群より選択される1種以上のメンバーを含み、それらには、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、アグレカナーゼ阻害剤、TACE阻害剤、ロイコトリエン受容体拮抗剤、IL−1プロセシング及び放出阻害剤、IL−1RA、H受容体拮抗剤;キニン−B−及びB−受容体拮抗剤;プロスタグラジン阻害剤(例えばPGD−、PGF−、PGI−及びPGE−受容体拮抗剤);トロンボキサンA(TXA2−)阻害剤;5−及び12−リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエンLTC−、LTD/LTE−及びLTB−阻害剤;PAF−受容体拮抗剤;種々の親水性基を伴ったオーロチオ基の形態の金製剤;免疫抑制剤(例えばシクロスポリン、アザチオプリン及びメトトレキセート);抗炎症性糖質コルチコイド;ペニシラミン;ヒドロキシクロロキン;抗痛風剤(例えばコルヒチン)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤(例えばアロプリノール)及び尿酸排泄剤(例えばプロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロン)が含まれる。
【0140】
本発明の化合物は又、抗癌剤(例えばエンドスタチン及びアンジオスタチン)又は細胞毒性剤(例えばアドリアマイシン、ダウノマイシン、シスプラチン、エトポシド、タキソール、タキソテレ)、及びアルカロイド(例えばビンクリスチン)、及び代謝拮抗剤(例えばメトトレキセート)と組み合わせて使用される場合もある。
【0141】
本発明の化合物は又、血管拡張剤(例えばヒドララジン)、β−アドレナリン作用性受容体拮抗剤(例えばプロプラノロール)、カルシウムチャンネルブロッカー(例えばニフェジピン)、α−アドレナリンアゴニスト(例えばクロニジン)、α−アドレナリン作用性受容体拮抗剤(例えばプラゾシン)、及びHMG−CoA還元酵素阻害剤(抗高コレステロール血症剤)(例えばロバスタチン又はアトルバスタチン)から選択される、アテローム性動脈硬化症(例えば高血圧)、心筋虚血(例えば狭心症、うっ血性心不全)及び心筋梗塞の転帰を排除することを目的とした抗高血圧剤及びその他の心臓血管剤と組み合わせて使用される場合もある。
【0142】
本発明の活性成分は又、1種以上の抗生物質、抗カビ剤、抗原虫剤、抗ウィルス剤又は同様の治療薬と組み合わせて投与される場合もある。
【0143】
本発明の化合物は又、抗欝剤(例えばセルトラリン)、抗パーキンソン剤(例えばL−ドーパ、レキップ、ミラペックス、MAOB阻害剤(例えばセレギン及びラサギリン)、comP阻害剤(例えばTasmar)、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDA拮抗剤、ニコチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト及びニューロン酸化窒素シンターゼ阻害剤)、及び抗アルツハイマー剤(例えばドネペジル、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリン又はメトリフォネート)のようなCNS剤と組み合わせて使用される場合もある。
【0144】
本発明の化合物は又、骨粗鬆症剤(例えばロロキシフェン、ラソフォキシフェン、ドロロキシフェン又はフォソマックス)、及び免疫抑制剤(例えばFK−506及びラパマイシン)と組み合わせて使用される場合もある。
【0145】
本発明は又、本発明の活性剤を単独で、又は意図する組み合わせを形成する1種以上のその他の治療薬と共に製剤することに関しており、例えば、前記の種々の薬剤が種々の半減期を有するような場合に、比較的均一な投薬を達成する種々の放出時間を伴う前記薬剤の制御放出形態を形成する;又は、非ヒト患者の場合は、組み合わせて使用される前記薬剤が前記飼料組成物と混合として存在する薬品添加飼料投与形態を形成することによる製剤が含まれる。本発明によれば更に、薬剤の組み合わせが、組み合わせて投与する前記薬剤の同時投与により達成される同時投与;例えば異なる投与形態及び投与経路による同時投与;組み合わせを構成する個々の薬剤が前記患者に同時に投与されないとしても、治療中の患者において当該薬剤の所望の血漿中濃度が維持されるようにする多様ながら規則的且つ継続的な投薬スケジュールに従った組み合わせの使用が提供される。
【0146】
本発明は又、哺乳類、例えばヒト、ネコ、家畜又はイヌ(好ましくはイヌ)に本発明の化合物又はその塩を投与することを含む、炎症の過程及び疾患を治療する方法又は医薬組成物に関しており、ここで前記炎症の過程及び疾患は前述の通り定義され、前記抑制性化合物は以下の条件下においてその他の1種以上の治療活性剤と組み合わせて使用される:A)関節が重篤な炎症を起こしており、同時に細菌、カビ、原虫及び/又はウィルスに感染している場合は、前記抑制性化合物が、1種以上の抗生物質、抗カビ剤、抗原虫剤及び/又は抗ウィルス剤の治療薬と組み合わせて投与される;
B)疼痛及び炎症の多重治療が望まれる場合は、前記抑制性化合物が、基本的に以下からなる群から独立して選択される1種以上のメンバーを含む、その他の炎症メディエーターの抑制剤と組み合わせて投与される:
(1)NSAID;
(2)H受容体拮抗剤;
(3)キニン−B−及びB−受容体拮抗剤;
(4)PGD−、PGF−、PGI−及びPGE−受容体拮抗剤からなる群から選択されるプロスタグラジン阻害剤;
(5)トロンボキサンA(TXA2−)阻害剤;
(6)5−、12−及び15−リポキシゲナーゼ阻害剤;
(7)ロイコトリエンLTC−、LTD/LTE−及びLTB−阻害剤;
(8)PAF−受容体拮抗剤;
(9)1種以上の親水性基を伴ったオーロチオ基の形態の金製剤;
(10)シクロスポリン、アザチオプリン及びメトトレキセートからなる群から選択される免疫抑制剤;
(11)抗炎症性糖質コルチコイド;
(12)ペニシラミン;
(13)ヒドロキシクロロキン;
(14)抗痛風剤(例えばコルヒチン)、キサンチンオキシダーゼ阻害剤(例えばアロプリノール);及びプロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロンから選択される尿酸排泄剤;
C)老齢哺乳類において認められる疾患状態、症候群及び症状に関して高齢の哺乳類を治療する場合は、前記抑制性化合物が、基本的に以下からなる群から独立して選択される1種以上のメンバーと組み合わせて投与される:
(1)記憶の消失及び障害に対処するための認知治療薬;
(2)以下からなる群から選択されるアテローム性動脈硬化症、高血圧、心筋虚血、狭心症、うっ血性心不全及び心筋梗塞の転帰を排除することを目的とした抗高血圧剤及びその他の心臓血管剤;
a.利尿剤;
b.血管拡張剤;
c.β−アドレナリン作用性受容体拮抗剤
d.アンジオテンシンII変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)単独又は必要に応じて中性エンドペプチダーゼ阻害剤との組み合わせ;
e.アンジオテンシンII受容体拮抗剤;
f.レニン阻害剤;
g.カルシウムチャンネルブロッカー;
h.交感神経遮断剤;
i.α−アドレナリンアゴニスト;
j.α−アドレナリン作用性受容体拮抗剤;及び、
k.HMG−CoA還元酵素阻害剤(抗高コレステロール血症剤);
(3)ビンカアルカロイド(例えばビンブラスチン及びビンクリスチン)のような抗有糸分裂剤から選択される抗新生物剤;
(4)成長ホルモン分泌促進薬;
(5)強力な鎮痛剤;
(6)局所及び全身麻酔薬;及び、
(7)H−受容体拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤及びその他の胃保護剤。
【0147】
本明細書で使用される「治療する」という用語は、当該用語を適用する障害又は状態、又は当該障害又は状態の1種以上の症状を逆行、緩解、進行抑制又は予防することを指す。本明細書で使用される「治療」という用語は、治療する行為を指し、この「治療する」という用語は直前で定義した通りである。
【0148】
本明細書で使用されている用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用しており、当該用語及び表現の使用においては、提示・説明する特徴と等価なもの又はその一部分を排除する意図はなく、請求項に記載される本発明の範囲内で種々の変更が可能であることが了解されている。更に、本発明の何れかの実施形態の何れか1種以上の特徴は、本発明の範囲から外れることなく、本発明のその他何れかの実施形態のその他何れか1種以上の特徴と組み合わせる場合もある。例えば、本発明の抗炎症性化合物の特徴は、本明細書に記載の疾患状態の治療方法及び/又は医薬組成物に等しく適用される。本明細書で引用される全ての出版物、特許及び特許出願は、全ての目的から参考としてその全体が本明細書に盛り込まれている。
【実施例】
【0149】
実施例1
種々のピラゾロピリミジン化合物の抗炎症特性を、以下に詳述する方法を使用して試験した。
【0150】
サイトカイン、抗体及び試薬
組み換えヒトインターフェロン−γ(IFN−γ)、TNF−α、インターロイキン(IL)−1β及びIL−4を、R&D Systems(米国ミネソタ州ミネアポリス)から入手した。ヒスタミンはSigma(米国ミズーリ州セントルイス)から入手した。マウス抗体は以下の市販品、即ち、ネズミIgG及び抗ヒト血管内皮成長因子受容体−2(VEGFR−2)(mIgG1;Sigma)、抗ヒト組織因子(mIgG1;Calbiochem[米国カリフォルニア州サンディエゴ])、抗ヒト細胞間接着分子−1(ICAM−1)(mIgG1;Beckman Coulter[米国カリフォルニア州フラトン])及び抗ヒトE−セレクチン(mIgG1;HyCult Biotechnology[オランダ ウーデン])から入手した。ヒト血管細胞接着分子−1(VCAM−1)(mIgG1)、HLA−DR(mIgG2a)、CD3(mIgG1)、CD40(mIgG1)、CD69(mIgG1)、MIG(mIgG1)、MCP−1(mIgG1)、CD14(mIgG1)、IL−1α(mIgG1)、P−セレクチン(mIgG1)、DAF(mIgG2a)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化受容体(uPAR)(mIgG1)及びCD38(mIgG1)に対するマウス抗体は、BD Biosciences(米国カリフォルニア州サンホゼ)から入手した。エオタキシン−3(mIgG1)、IL−8(mIgG1)及びM−CSF(mIgG1)に対するマウス抗体は、R&D Systemsから入手した。ブドウ球菌エンテロトキシンB、S・アウレウス由来の毒性ショック症候群毒素−1(ブドウ球菌エンテロトキシンF)(スーパー抗原[SAG]と総称する)、及びサルモネラ・エンテリティディス由来のリポ多糖類(LPS)は、Sigmaから入手した。
【0151】
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)は、Kunkel et al.,2004,FASEB J18:1279−1281に記載の通りに培養した。末梢血単核細胞(PBMC)は、Hisopaque−1077(Sigma)における遠心分離によりバフィーコート(Stanford Blood Bank[米国カリフォルニア州スタンフォード])より調製した。アッセイ系は4種類、即ち3C、4H、SAG及びLPSを使用した。3C系においては、HUVECをサイトカインIL−1β(1ng/ml)、TNF−α(5ng/ml)及びIFN−γ(20ng/ml)の存在下において、マイクロプレート(Falcon;BD Biosciences)中で24時間培養した。4H系においては、HUVECをIL−4(5ng/ml)及びヒスタミン(10μM)の存在下において培養した。SAG系においては、HUVECをPBMC(7.5x10)及びSAG(20ng/ml)と共に培養した。LPS系においては、HUVECをPBMC(7.5×10)及びLPS(2ng/ml)と共に培養した。化合物は刺激の1時間前に添加し、全24時間の刺激時間の間存在させた。細胞系の酵素結合免疫吸着試験(ELISA)は、記載に従って実施した(Kunkel et al.,2004,FASEB J18:1279−1281を参照)。
【0152】
データ分析
ELISAにより測定した各パラメータの平均の光学密度の数値を、実験当たり3連の試料から計算した。ウェル間の変動係数は測定したパラメータに応じて1〜12%であり、対照全体では平均5%であった。所定の読み取り値、系及び投与に関する測定日間の変動は、全体的変動に最も大きく寄与していた(全変動の10〜60%の範囲)が、本発明者等の多変量解析法と一貫して、全ての測定の誤差境界を同時に与えるために予測エンベロープを使用することにより調整される。エンベロープは平均周囲の測定値の変動性を推定する(全データを中心とする)。複数の実験から得た同様の測定値を組み合わせることにより、全体の誤差の測定が確立されると同時に、各実験の特定の偏向が排除される。所定の信頼限界内の反復プロファイルを正確に分類するために必要な反復の回数に関しては、広範な研究が行われており、投与当たり少なくとも3種の重複ウェル、及び少なくとも3種の独立した反復の必要性が得られている(未公開の観察結果)。
【0153】
機能類似性マップ
各実験内において、平均の光学密度値を使用して、投与対照(例えば化合物又はsiRNA)と一致対照(例えば培地又はジメチルスルホキシド)のパラメータ値の間の比率を求めた。次に前記の正規化されたパラメータの比率をlog10に変換した。log標示の比率は全てのピアソン相関の計算に使用した。相関はAT&T GraphVizソフトウエアを使用した多次元スケーリングにより2次元で視覚化した。化合物間の距離はその類似性を表しており、プロファイルが偶然ではなく任意の水準で同様である化合物の間には、線が引かれている。有意な相関は、以下を行うことにより求めた:(a)プロファイルの観察されたピアソン相関分布における所定の閾値を超える相関数を同定する、(b)実験的なプロファイルを複数回並べ替えることにより得られた無作為化データから計算された相関を使用してこの閾値を超えるピアソン相関の平均数を計算する、(c)誤検出率(FDR)が最小限となるようにピアソン相関閾値を再選択する(FDRから有意な相関が擬陽性となる確率を得る)、及び(d)前記カットオフピアソン相関値を実験プロファイル間の相関に適用する。これにより、5%FDRにおいて、実験プロファイルに由来する相関の95%が偶然でないことが確実となる。
【0154】
結果を以下の表1に示す。前記表の構造13はPP1であり、本発明の化合物ではない。「+」は、化合物が5μモル濃度の試験で活性でなかったことを意味している。一実施形態では、本発明の化合物が以下の表1の化合物1〜57以外の化合物となる。一実施形態では、本発明の方法が、PP1以外の表1に示す化合物を使用して実践されている。一実施形態では、本発明の方法が、「活性」欄に「活性」と同定された表1の化合物を使用して実践されている。一実施形態では、本発明の方法が、以下の表1の化合物1〜57以外の化合物を使用して実践されている。
【0155】
【化15】

【0156】
【化16】

【0157】
【化17】

【0158】
【化18】

【0159】
【化19】

【0160】
【化20】

【0161】
【化21】

【0162】
【化22】

【0163】
【化23】

【0164】
【化24】

【0165】
【化25】

【0166】
【化26】


【0167】
表1において、「活性」という用語は、(試験した4つの系(3C、4H、SAG及びLPS)の)少なくとも3種のパラメータが、前記の99%予測エンベロープに入らない活性を同時に示したことを示している。
【0168】
以下の表2には、10μモル濃度で試験した系において活性を示さなかった特定の化合物を示す。一実施形態では、本発明の化合物が、表2に示す化合物以外の化合物となる。一実施形態では、本発明の方法が以下の表2に示す化合物以外の化合物を使用して実践されている。
【0169】
【化27】

【0170】
【化28】


【0171】
実施例2
以下の化合物は、特定のピラゾロピリミジン化合物に関する説明のための特性データを示す。全ての出発物質及び合成試薬は、特段の記載がない限り市販品の販売元から調達した。容易に市販品を入手できない酸クロリドは、Ward and Rhee,1991,Tetrahedron Lett.32:7165−7166に記載の通り、ジエチルエーテル中の過剰量のオキサリルクロリド及び触媒量のDMFを使用して相当するカルボン酸を処理することによって合成した。有用なプロトコルは、Hanefeld et
al.,1996,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1996,1545−1552から採用した。命名法の如何なる相違も本明細書に開示した実施例の説明上の価値を制限することを意図していないことは、当業者の理解するところである。
【0172】
1−t−ブチル−3−(2,5−ジメチルベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン。
白色粉末;
【0173】
【化29】

1823のHEMS(EI)分子イオン計算値:309.19535、測定値:309.19386。
【0174】
1−t−ブチル−3−(3,5−ジメチルベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0175】
【化30】

1823のHEMS(EI)分子イオン計算値:309.19535、測定値:309.19439。
【0176】
1−t−ブチル−3−(3,4−ジクロロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0177】
【化31】

1617ClのHEMS(EI)分子イオン計算値:349.08610、測定値:349.08621。
【0178】
1−t−ブチル−3−(4−クロロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0179】
【化32】

1618ClのHEMS(EI)分子イオン計算値:315.12507、測定値:315.12545。
【0180】
1−t−ブチル−3−(4−メトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0181】
【化33】

1721OのHEMS(EI)分子イオン計算値:311.17461、測定値:311.17454。
【0182】
1−t−ブチル−3−(2−メトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0183】
【化34】


【0184】
1−t−ブチル−3−(2−クロロベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0185】
【化35】

1618ClのHEMS(EI)分子イオン計算値:315.12507、測定値:315.12449。
【0186】
1−t−ブチル−3−(2−メトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0187】
【化36】

1721OのHEMS(EI)分子イオン計算値:295.17970、測定値:295.17922。
【0188】
1−t−ブチル−3−(4−メチルベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0189】
【化37】

1721のHEMS(EI)分子イオン計算値:295.17970、測定値:295.18068。
【0190】
1−t−ブチル−3−シクロペンチルメチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イルアミン
白色粉末;
【0191】
【化38】

1523のHEMS(EI)分子イオン計算値:273.19535、測定値:273.19565。
【0192】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(1’−ナフチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0193】
【化39】

1919のHEMS(EI)分子イオン計算値:317.16427、測定値:317.16247。
【0194】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(2’−ナフチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0195】
【化40】

1919のHEMS(EI)分子イオン計算値:317.16427、測定値:317.16359。
【0196】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(m−フェノキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0197】
【化41】

2121OのHEMS(EI)分子イオン計算値:359.17483、測定値:359.17325。
【0198】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(m−ベンジルオキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0199】
【化42】

2223OのHEMS(EI)分子イオン計算値:373.19049、測定値:373.18833。
【0200】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(m−(2’,6’−ジクロロ)ベンジルオキシフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0201】
【化43】

2221ClOのHEMS(EI)分子イオン計算値:441.11263、測定値:441.11050。
【0202】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−ピペロニルピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0203】
【化44】

1617のHEMS(EI)分子イオン計算値:311.13841、測定値:311.13777。
【0204】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(p−t−ブチルフェニル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0205】
【化45】

1925のHEMS(EI)分子イオン計算値:323.21125、測定値:323.21024。
【0206】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(1’−ナフチルメチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:白色粉末;
【0207】
【化46】

2021のHEMS(EI)分子イオン計算値:331.17993、測定値:331.17951。
【0208】
4−アミノ−1−t−ブチル−3−(1’−ナフトキシメチル)ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン:ベージュ色粉末;
【0209】
【化47】

2021OのHEMS(EI)分子イオン計算値:347.17483、測定値:347.17408。
【0210】
実施例3
以下の実施例は、本発明の方法において有用な化合物が好中球及び単球の動員を低減する、並びにマウス腹腔内炎症モデルにおける白血球の総数を低減する能力を示す。
【0211】
本発明の抗炎症性ピラゾロピリミジン化合物(前記表1の化合物30)の単回用量(200μl中10mg/kg)を6匹のマウスの群に腹腔内投与する一方で、6匹のマウスの別の群にはビヒクルのみを腹腔内注射した。15分後、炎症刺激(チオグリコレート2
00μl)を各マウスに腹腔内投与した。腹腔洗浄液は、刺激投与から4時間後及び24時間後に採取した。
【0212】
炎症性の浸潤物は、Ca++/Mg++非含有PBS 10mlの注射、マッサージ及び廃液により回復した。全体回収細胞は血球計で計数した。結果は図2に示す(6匹のマウスの平均±SD)。
【0213】
好中球、単球、リンパ球及び好酸球は、Wright−Geimsa染色により染色した腹腔洗浄液の塗抹を分析することにより集計した。結果は図3に示す(6匹のマウスの平均±SD)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−87152(P2012−87152A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−21013(P2012−21013)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2007−543462(P2007−543462)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【出願人】(507162496)バイオシーク, インコーポレイテッド (2)
【出願人】(507162500)
【Fターム(参考)】