説明

抗炎症抗体およびその使用

種々の炎症性疾患または障害の治療に用いることのできる補体の活性化を抑制する抗体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
急性炎症反応は、発作および心筋梗塞のような広い範囲の疾患および天然に生じる事象に由来しうる。通常の医学的手法もまた局所的および全身の炎症に至ることがある。炎症を未治療のままにしておくと、酷い組織損失をもたらしかねず、最終的には、多臓器不全および死に至ることもある。障害後の炎症反応との干渉は、組織損失を抑えるための1つの方法でありうる。蓄積されている証拠が、炎症における血清先天性応答または補体系に対する重要な役割が裏付けられる。
【0002】
近年の研究から、天然抗体の重要な役割および補体の古典的経路が炎症反応に関与していることが示唆されている。虚血/再潅流障害は補体の古典的経路を活性化するクローン的に特異的な天然のIgMによって引き起こされ可能性があることが明らかとなっている(Zhangら(2004) Proc. Natl. Acad. Sci. 101(11):3886−3891)。このような研究により病原のIgMが同定され、次いで、米国特許第7,442,783号に記載の天然IgMを結合する自己ペプチドが同定されることになった。米国特許第7,442,783号は、腸モデルにおいて虚血後に天然IgMを結合するための重要なエピトープを表すII型のNMHCタンパク質(マウスNMHC−IIBのアミノ酸592−603に相当(N2自己ペプチド;配列番号:33))内の保存された領域を記載している。
【0003】
炎症性疾患または障害は潜在的には生命を脅かし、費用がかかり、かつ毎年非常に多数の人々が発症する。従って、炎症性疾患または障害の効果的な治療が必要である。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、本発明は、単離された抗体、特に、N2自己ペプチドに結合し且つ炎症を抑制するIgGを特徴とする。前記抗体は補体の活性化を抑制することができ、これによってN2自己ペプチドに対する免疫応答が阻害される。他の実施形態において、前記抗体は、配列番号8または20として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。他の実施形態において、前記抗体は、配列番号2または14として示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する。他の実施形態において、前記抗体は、ATCCアクセッション番号PTA−9392によって生成される。さらに他の実施形態において、前記抗体はATCCアクセッション番号PTA−9393によって生成される。
【0005】
他の態様において、本発明は抗炎症抗体をエンコードする核酸、前記核酸を発現するベクターおよび宿主細胞を特徴とする。
【0006】
さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の抗炎症抗体を患者に投与することによってN2自己ペプチドに対する免疫応答を抑制する方法を特徴とする。さらなる態様において、本発明は、本明細書に記載の単離された抗炎症抗体を含む薬学的組成物を患者に投与することによって患者の炎症性疾患(例えば虚血/再灌流障害)を治療する方法を特徴とする。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な記載および特許請求の範囲に基づいて明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】マウスB細胞ハイブリドーマ12A6(PTA−9392)の抗体の重鎖配列および軽鎖配列を示す図である。(A)はIgG12A6(または12A6IgG)重鎖核酸配列(配列番号1)および配列番号1の重鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図1AはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号3〜6および25〜26)を示す。(B)はIgG12A6(または12A6IgG)軽鎖核酸配列(配列番号7)および配列番号7の軽鎖核酸配列に対応するアミノ酸配列(配列番号8)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図1BはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号9〜12および27〜28)を示す。
【図1B】マウスB細胞ハイブリドーマ12A6(PTA−9392)の抗体の重鎖配列および軽鎖配列を示す図である。(A)はIgG12A6(または12A6IgG)重鎖核酸配列(配列番号1)および配列番号1の重鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号2)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図1AはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号3〜6および25〜26)を示す。(B)はIgG12A6(または12A6IgG)軽鎖核酸配列(配列番号7)および配列番号7の軽鎖核酸配列に対応するアミノ酸配列(配列番号8)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図1BはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号9〜12および27〜28)を示す。
【図2A】マウスB細胞ハイブリドーマ21G6(PTA−9393)の抗体の重鎖配列および軽鎖配列を示す図である。(A)はIgG21G6(または21G6IgG)重鎖核酸配列(配列番号13)および配列番号13の重鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号14)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図2AはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号15〜18および29〜30)を示す。(B)はIgG21G6(または21G6IgG)軽鎖核酸配列(配列番号19)および配列番号19の軽鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号20)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図2BはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号21〜24および31〜32)を示す。
【図2B】マウスB細胞ハイブリドーマ21G6(PTA−9393)の抗体の重鎖配列および軽鎖配列を示す図である。(A)はIgG21G6(または21G6IgG)重鎖核酸配列(配列番号13)および配列番号13の重鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号14)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図2AはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号15〜18および29〜30)を示す。(B)はIgG21G6(または21G6IgG)軽鎖核酸配列(配列番号19)および配列番号19の軽鎖配列に対応するアミノ酸配列(配列番号20)を示す。フレームワーク領域(FVWR)および相補性決定領域(CDR)はヌクレオチドの上方に示す。図2BはCDR1、CDR2およびCDR3ドメインヌクレオチドならびにエンコードされたアミノ酸配列(それぞれ記載の順に配列番号21〜24および31〜32)を示す。
【図3】心筋梗塞後の炎症を抑制するマウス抗N2 mAb(抗N2F(ab’)抗体(21G6))を示すグラフである。
【図4】ヒトIgM損傷を阻害するN2ペプチドおよび抗N2 mAb(抗N2F(ab’)抗体(21G6))を示すグラフである。
【図5】再灌流後の心臓の小血管に放出された抗原への12A6ハイブリドーマの結合を示すグラフである。
【図6】12A6のFab’2断片を21G6と比較した、阻害試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
4.詳細な説明
4.1.定義
便宜上、明細書、実施例、および添付の請求の範囲で使用されるある種の用語を提供する。特記しない限り、本明細書において用いる全ての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。
【0010】
本明細書において用いる「ある(aおよびan)」とは、形容詞の文法的目的語の1または1より多いこと(すなわち、少なくとも1)を意味する。その例として、「エレメント(an element)」は、1つのエレメント、または1より多いエレメントを意味する。
【0011】
「アミノ酸」は、グリシンおよびDまたはL光学異性体を含む天然または合成アミノ酸、およびアミノ酸アナログおよびペプチドミメティックスいずれかを意味するように本明細書において用いる。
【0012】
「抗体」は、免疫グロブリン分子、および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、抗原結合部位を含有する分子を含む結合性分子を意味するように本明細書において用いる。本発明で有用な免疫グロブリン分子はいずれのクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、およびIgA)またはサブクラスのものでもあり得る。天然の抗体および免疫グロブリンは、通常、2つの同一の軽鎖および2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロテトラマー糖タンパク質である。各重鎖は可変ドメイン、続いて多数の定常ドメインを1つの端部に有する。各軽鎖は1つの端部の可変ドメインおよびその他の端部の定常ドメインを有する。抗体は、限定されるものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、二重特異性、キメラ、部分的にまたは十分にヒト化された抗体、十分にヒト化された抗体(すなわち、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスにおいて生成)、ラクダ抗体、および抗イディオタイプ抗体を含む。抗体、または一般には、いずれかの分子は、前記抗体が抗原に優先的に結合し、例えば、もう1つの分子に対して約30%未満、好ましくは20%、10%または1%の交差反応性を有するならば、抗原(または他の分子)に対して「特異的に結合する」。用語「抗体」および「免疫グロブリン」は相互交換的に用いられる。
【0013】
「抗体断片」は、全長未満である抗体のいずれの誘導体も意味するように本明細書において用いる。例示的な実施形態において、抗体断片は全長抗体の特異的結合活性の少なくとも有意な部分を保有する。抗体断片の例は、限定されるものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、Fv、dsFvダイアボディ、ミニボディ、Fd断片、および単一鎖抗体を含む。抗体断片はいずれかの手段によって生産することができる。例えば、抗体断片は無傷抗体の断片化によって酵素的にまたは化学的に生産することができ、それは部分的抗体配列をエンコードする遺伝子から組換えにより生産することができ、あるいはそれは全部がまたは一部が合成により生産することができる。抗体断片は、場合によっては、単一鎖抗体断片であり得る。または、断片は、例えば、ジスルフィド結合によって一緒に連結される複数鎖を含むことができる。また、断片は、場合によっては、マルチ分子複合体であり得る。機能的抗体断片は、典型的には、少なくとも約50のアミノ酸を含み、より典型的には、少なくとも約200のアミノ酸を含むであろう。
【0014】
「抗原結合部位」は、軽鎖の可変領域と会合した重鎖の可変ドメインを意味するように本明細書において用いる。
【0015】
「結合する」または「結合」は、分子の間の検出可能な関係または会合(例えば、生化学的相互作用)を意味するように本明細書において用いる。
【0016】
「細胞」または「宿主細胞」は、本明細書においては交換可能に用いられる用語である。そのような用語は特定の対象細胞のみならず、そのような細胞の子孫または潜在的子孫をも意味すると理解される。ある修飾が突然変異または環境の影響により後の世代で起こり得るので、そのような子孫は、事実、親細胞と同一でないかもしれないが、本明細書において用いる用語の範囲内に依然として含まれる。
【0017】
「含む」および「含んでいる」は、包括的なオープンされた意味で用いられ、さらなるエレメントを含むことができることを意味する。
【0018】
「コンセンサス」配列は、関連配列のファミリーにおいて最もしばしば起こるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成された配列を意味するように本明細書において用いる(例えば、Winnaker, From Genes to Clones, 1987参照)。タンパク質のファミリーにおいて、コンセンサス配列における各位置は、ファミリーにおいてその位置において最もしばしば起こるアミノ酸によって占められる。2つのアミノ酸が同等の頻度で起こるならば、いずれもコンセンサス配列に含めることができる。「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列におけるフレームワーク領域と意味する。
【0019】
「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が同様な側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。同様な側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野において規定されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β−分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、天然免疫グロブリンにおける予測される非必須アミノ酸残基は、好ましくは、同一側鎖ファミリーからのもう1つのアミノ酸残基で置き換えることができる。または、もう1つの実施形態において、飽和突然変異誘発によるなどして、突然変異を天然免疫グロブリンコード配列の全部または一部に沿ってランダムに導入することができ、得られた突然変異体は生物学的活性につきスクリーニングすることができる。
【0020】
「相互作用」とは、2以上の分子の間の物理的会合、例えば、結合を意味する。相互作用は直接的または間接的であってよい。
【0021】
「炎症性疾患」は、ミクロ循環における急性または慢性変化、流体の移動、および炎症細胞(例えば、白血球)および補体の流入および活性化を含む機能的および細胞的調整の複雑な組によって引き起こされる、またはそれに寄与する疾患または障害、および含まれる自己免疫疾患を意味するように本明細書において用いられる。そのような疾患および疾患の例は、限定されるものではないが、再灌流障害、虚血障害、発作、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少症紫斑病、慢性関節リウマチ、腹腔病、過剰−IgM免疫不全症、動脈硬化症、冠動脈病、敗血症、心筋炎、脳炎、移植拒絶、肝炎、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎、グラーベ病)、骨粗鬆症、多発性筋炎、皮膚筋炎、I型糖尿病、痛風、皮膚炎、円形脱毛症、全身エリテマトーデス、苔癬硬化症、潰瘍性大腸炎、糖尿病性網膜症、胎盤炎症性疾患、歯周疾患、動脈炎、若年性慢性関節炎(例えば、慢性虹彩毛様体炎、乾癬、骨粗鬆症、真性糖尿病における腎臓障害、喘息、胎盤炎症性疾患、慢性炎症肝臓病、慢性炎症肺病、肺線維症、肝臓線維症、慢性関節リウマチ、慢性炎症肝臓病、慢性炎症肺病、肺線維症、肝臓線維症、クローン病、潰瘍性大腸炎、火傷、および中枢神経系(CNS;例えば、多発性硬化症)、胃腸系、皮膚および関連構造、免疫系、肝臓−胆嚢系、または病理が炎症成分で起こり得る身体中のいずれかの部位の他の急性および慢性炎症性疾患を含む。
【0022】
「単離された」分子、例えば、単離されたIgMとは、天然環境に存在する他の分子から分離されたまたは精製された状態を意味する。
【0023】
「天然IgM」は、哺乳動物(例えば、ヒト)において天然で生じたIgM抗体を意味するように本明細書において用いる。それらは、個々のモノマーがIgGに似ており、それにより、2つの軽鎖(κまたはλ)および2つの重鎖(μ)を有するペンタマー環構造を有する。さらに、重鎖はさらなるCHドメインを含有する。モノマーは、隣接重鎖の間のジスルフィド結合によってペンタマーを形成する。ペンタマー環は、J鎖および2つの重鎖の間のジスルフィド結合によって閉じられる。その抗原結合部位の多い数のため、IgG抗体は抗原の効果的なアグリチネーターである。対象における天然IgM抗体の生産はB細胞、マクロファージ、および補体系の初期活性化において重要である。IgMは抗体応答で合成された最初の免疫グロブリンである。IgMは米国特許第7,442,783号に記載されており、その内容全体を特定的に本明細書に援用する。
【0024】
「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)および、適当な場合、リボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドを意味するように本明細書において用いる。前記用語は、ヌクレオチドアナログから作成されたRNAまたはDNAいずれかの同等体、アナログおよび、記載される実施形態に適用可能であれば、一本鎖(センスまたはアンチセンス)および二本鎖ポリヌクレオチドを含むと理解されるべきである。
【0025】
「機能的に連結された」は、そのように記載された成分がそれらの意図したようにそれらを機能させるのを可能とする関係にある並置を意味するように本明細書において用いられる。例えば、RNAポリメラーゼが2つのコード配列を単一のmRNAに転写し、次いで、これが、双方のコード配列に由来するアミノ酸を有する単一のポリペプチドに翻訳される場合、コード配列はもう1つのコード配列に「機能的に連結している」。コード配列は、発現された配列が最終的に所望のタンパク質を生産するように処理される限り、相互に隣接している必要はない。コード配列に機能的に連結された発現制御配列は、コード配列の発現が発現制御配列に適合する条件下で達成するように連結される。本明細書において用いるように、用語「発現制御配列」は、それが機能的に連結された核酸配列の発現を調節する核酸配列を意味する。発現制御配列が転写を制御し、調節し、適切であれば、核酸配列の翻訳を制御し、調節する場合、発現制御配列は核酸配列に機能的に連結されている。したがって、発現制御配列は適当なプロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、タンパク質コーディング遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)、イントロン、mRNAの適切な翻訳を可能とするようなその遺伝子の正しいリーディングフレームの維持のためのスプライシングシグナル、および停止コドンを含むことができる。用語「制御配列」は、最小限、その存在が発現に影響し得る成分を含むことが意図され、また、その存在が有利であるさらなる成分、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含むことができる。発現制御配列はプロモーターを含むこともできる。
【0026】
「患者」、「対象」、または「宿主」は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物のいずれかを意味するように本明細書において用いられる。
【0027】
「ペプチド」は、比較的短い長さ(例えば50未満のアミノ酸)のアミノ酸のポリマーを意味するように本明細書において用いる。ポリマーは直線状または分岐していてもよく、それは修飾されたアミノ酸を含むことができ、かつそれは非アミノ酸によって分断されていてもよい。前記用語は修飾されたアミノ酸ポリマーも含む;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションのようないずれかの他の操作。
【0028】
「プロモーター」は、転写を指令するのに十分な最小配列を意味するように本明細書において用いる。また、本発明には、細胞型特異的、組織特異的に制御可能なプロモーター−依存性遺伝子発現をするのに十分であるか、あるいは外部シグナルまたは剤によって誘導可能なプロモーターエレメントも含まれ;そのようなエレメントはポリヌクレオチド配列の5’または3’領域に位置させることができる。構成的および誘導性プロモーターは共に本発明に含まれる(例えば、Bitter et al., Methods in Enzymology 153:516−544,1987参照)。例えば、細菌系でクローニングする場合、バクテリオファージのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)などのような誘導性プロモーターを用いることができる。哺乳動物細胞系でクローニングする場合、哺乳動物細胞のゲノムから(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルスから(例えば、レトロウイルスロングターミナルリピート;アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)由来するプロモーターを用いることができる。また、組換えDNAまたは合成技術によって生産されたプロモーターを用いて、本発明の核酸配列の転写を提供することもできる。組織特異的調節エレメントを用いることができる。例えば、異なる組織で異なって発現される遺伝子またはウイルスからの調節エレメントも含まれる。
【0029】
「特異的に結合する」または「免疫特異的に結合する」は、生理学的条件下で比較的安定である複合体を形成する2つの分子の間の相互作用を意味するように本明細書において用いる。前記用語は、例えば、抗体および抗原(例えば、ペプチド)の相互作用を含む種々の分子に言及するように本明細書では用いられる。特異的な結合は、少なくとも約1×10−6M、一般には少なくとも約1×10−7M、通常、少なくとも約1×10−8M、特に少なくとも約1×10−9Mまたは1×10−10M以上の解離定数によって特徴付けることができる。2つの分子が特異的に結合するか否かを決定するための方法は周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。
【0030】
「ストリンジェンシーハイブリダイゼーション」または「低ストリンジェンシー、中程度ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、または非常に高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする」は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載するように本明細書において用いられる。ハイブリダイゼーション反応を行うためのガイダンスは、参照により組み入れられる、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に見出すことができる。水性および非水性方法が文献に記載されており、いずれを用いることもできる。本明細書において意味する特異的なハイブリダイゼーション条件は以下のものである。1)約45℃における6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続いて、少なくとも50℃における0.2×SSC、0.1%SDSにおける2回の洗浄での低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件(洗浄の温度は低ストリンジェンシー条件では55℃まで上昇させることができる);2)約45℃における6×SSC、続いての、60℃における0.2×SSC、0.1%SDSにおける1回または複数回の洗浄における中程度ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件;3)約45℃における6×SSC、続いての、65℃における0.2×SSC、0.1%SDSでの1回または複数回の洗浄での高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件;および好ましくは4)非常に高いストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は65℃における0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDS、続いての、65℃における0.2×SSC、1%SDSでの1回または複数回の洗浄である。非常に高いストリンジェンシー条件(4)は好ましい条件であって、特記しない限り、用いるべきものである。配列の間における相同性または配列同一性(前記用語は本明細書においては相互交換的に用いる)の計算は以下のように行われる。
【0031】
2つのアミノ酸配列の、または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列を最適な比較目的のために整列させる(例えば、ギャップを第一および第二のアミノ酸の一方または双方に導入することができ、あるいは最適な整列および非相同配列のための核酸配列は比較目的では無視することができる)。好ましい実施形態において、比較目的で整列させる参照配列の長さは参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、なおより好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次いで対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第一の配列中の位置が第二の配列中の対応する位置と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められれば、前記分子はその位置において同一である。
【0032】
2つの配列の間のパーセント同一性は前記配列によって共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の間のパーセント相同性は配列によって共有される保存された位置の数の関数であり、2つの配列の最適な整列のために導入される必要がある、ギャップの数、および各ギャップの長さを考慮に入れる。配列の比較、および2つの配列の間のパーセント同一性および/または相同性の決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施形態において、2つのアミノ酸配列の間のパーセント同一性は、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれか、および16、14、12、10、8、6または4のギャップ重みおよび1、2、3、4、5または6の長さの重みを用い、(延長gcg.comを有する世界的なウェブから入手可能な)GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムに導入されているNeedlemanおよびWunsch((1970)J.Mol.Biol.48:444−453)を用いて決定される。なおもう1つの好ましい実施形態において、2つのヌクレオチド配列の間のパーセント同一性は、NWSgapdna CMPマトリックスならびに40、50、60、70または80のギャップの重み、1、2、3、4、5または6の長さの重みを用い、(延長gcg.comを有する世界的なウェブで入手可能な)GCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを用いて決定される。パラメーターの特に好ましい組(および特記しない限り用いるべきもの)は、12のギャップペナルティー、4のギャップ延長ペナルティー、および5のフレームシフトギャップペナルティーを有するBlossum 62スコアリングマトリックスである。
【0033】
2つのアミノ酸またはヌクレオチド配列の間のパーセント同一性および/または相同性は、PAM120重み残基表、12のギャップ長さペナルティーおよび4のギャップペナルティーを用い、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に取り込まれているE.MeyersおよびW.Miller((1989) CABIOS,4:11−17)のアルゴリズムを用いて決定することができる。
【0034】
「治療する」は対象における障害または疾患のいずれかの治療、または予防または阻害を意味するように本明細書において用いられ、その例として、(a)疾患または障害の素因であり得るが、それを有すると未だ診断されていない対象で疾患または障害が起こるのを妨げること;(b)疾患または障害を阻害し、すなわち、その進行を阻止すること;または(c)疾患または障害を救済すること、または軽減すること、すなわち、緩解を引き起こすことを含む。したがって、本明細書において用いる治療することは、例えば、外科的治療の前に、損傷を防止するための、障害または予防的治療の部位における損傷したまたは障害を受けた組織または細胞の修復および再生を含む。
【0035】
本明細書において用いる「ベクター」は、それが機能的に連結されているもう1つの核酸を輸送することができる核酸分子をいい、プラスミド、コスミドまたはウイルスベクターを含むことができる。好ましいベクターの1つのタイプはエピソーム、すなわち、染色体外複製が可能である核酸である。好ましいベクターは、それらが連結された核酸の自律複製および/または発現が可能なものである。ベクターは、それらが機能的に連結された遺伝子の発現を指令することができる。また、ベクターは宿主DNAに組み込むことができる。本明細書においては、「プラスミド」および「ベクター」は、プラスミド(二本鎖DNAの環状配置)はベクターの最も普通に用いられる形態であるように相互交換的に用いられる。しかしながら、本発明は、同等な機能を果たし、引き続いて当技術分野において公知になるベクターのそのような他の形態を含むことを意図する。ウイルスベクターは、例えば、複製欠陥レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスを含む。
【0036】
4.2 抗炎症抗体
本発明は、部分的には、N2自己ペプチドに結合し且つ炎症を抑制する抗体の同定に基づく。ある種の抗体は、American Type Culture Collectionに受託され、受託番号PTA−9392 (IgG12A6)またはPTA−9393(IgG21G6)が与えられたハイブリドーマから得ることができる。
【0037】
一態様において、本発明は、マウスNMHC−IIB(592−603)(LMKNMDPLNDNV(N2; 配列番号33))のN2自己ペプチドを含むアミノ酸配列に特異的に結合する単離された抗体を提供する。他の態様において、前記抗炎症抗体は、YTN ATG AAR AAY ATG GAY CCN YTN AAY GAY AAY GTNを含む核酸によってエンコードされたアミノ酸配列(配列番号34)に特異的に結合し(ここで、「R」はAまたはGでありうる塩基、「Y」はCまたはTでありうる塩基で、「N」はA,C,GまたはTでありうる塩基である)、前記抗体が投与される患者において炎症を抑制することができる。
【0038】
N2は自己抗原および特には虚血抗原(ischemic antigen)、または損傷している虚血組織に発現または露出した抗原である。天然IgMは損傷組織(特に損傷した虚血状態の組織)に発現または露出したN2を認識かつ結合し、これによって古典的経路において補体を活性化することによって炎症を活性化する。本明細書に記載の抗炎症抗体は、自己抗原を結合中の天然IgM抗体に抵抗し、IgMを結合させ補体を活性化するのに利用可能な自己抗原を中和(titrating out)する。本明細書に記載の抗炎症抗体を患者に投与すると、補体の活性化が抑制され、これによって炎症が阻害される。
【0039】
本発明は、図1および2に示す相補性決定領域(「CDR」)」の1以上を含む重鎖可変領域(「VH」)を有するN2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体を包含する。本発明はまた、図1および2に示すVL相補性決定領域を含む軽鎖可変領域(「VL」)を有するN2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体も包含する。
【0040】
IgG12A6(12Α6 IgG)
ハイブリドーマPTA−9392、IgG12A6(12A6 IgGともいう)から生産されたIgGの重鎖可変領域のヌクレオチド配列を図1Aに示し(配列番号1)、アミノ酸配列も図1Bに示す(配列番号2)。重鎖可変領域のCDR1ドメインは配列番号1(配列番号3で示す)によってエンコードされた配列番号2(配列番号4で示す)に対応し、重鎖可変領域のCDR2ドメインは配列番号1(配列番号5で示す)の領域によってエンコードされた配列番号2(配列番号6)の領域に対応する。重鎖可変領域のCDR3ドメインは、図1Aの配列番号1(配列番号25で示す)領域によってエンコードされた配列番号2(配列番号26で示す)の領域に対応する。
【0041】
IgG12A6の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は図1Bに示し(配列番号7)、そのアミノ酸配列は図1Bにも示す(配列番号8)。軽鎖可変領域のCDR1ドメインは配列番号7(配列番号9で示す)によってエンコードされた配列番号8(配列番号10で示す)に対応し、軽鎖可変領域のCDR2ドメインは配列番号7(配列番号11で示す)の領域によってエンコードされた配列番号8(配列番号12)の領域に対応する。軽鎖可変領域のCDR3ドメインは、図1Bの配列番号7(配列番号27で示す)領域によってエンコードされた配列番号8(配列番号28で示す)の領域に対応する。遺伝子暗号の縮重のため、他のヌクレオチド配列は本明細書において列挙したアミノ酸配列をエンコードし得る。
【0042】
cDNA、ゲノムまたは混合物いずれかからの、しばしば、(修飾された制限部位などを除いた)天然配列における、本発明の核酸組成物は標準的技術に従って突然変異させることができる。コード配列については、これらの突然変異は要望どおりアミノ酸配列に影響し得る。特に、天然V、D、J、定常、スイッチおよび本明細書において記載された他のそのような配列と実質的に同一な、またはそれに由来するヌクレオチド配列が考えられる。
【0043】
例えば、単離された核酸は、図1Aに示されたヌクレオチド配列を有するIgG12A6(または12A6 IgG)重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号1)、または配列番号1に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である配列を含むことができる。核酸分子は配列番号3の重鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。さらに、核酸分子は配列番号5の重鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。また、核酸分子は配列番号25の重鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。例示的な実施形態において、核酸分子は配列番号3の重鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号5の重鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号25の重鎖CDR3ヌクレオチド配列、またはその一部分を含む。本発明の核酸分子は重鎖配列、例えば、配列番号1、配列番号3、配列番号5、配列番号25またはその組合せを含むことができ、あるいは配列番号1、3、5または25に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。さらに、本発明の核酸分子は、ストリンジェントな条件、例えば、低、中程度、高または非常に高いストリンジェンシー条件下で配列番号1、3、5または25にハイブリダイズする重鎖配列を含むことができる。
【0044】
もう1つの態様において、本発明は、重鎖ポリペプチド、例えば、配列番号2、4、6または26の重鎖ポリペプチドをエンコードする核酸分子に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有する核酸分子を特徴とする。また、本発明は、天然抗体の重鎖可変領域またはその一部分、例えば、配列番号2、4、6または26の重鎖可変領域をエンコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸分子を特徴とする。
【0045】
もう1つの実施形態において、単離された核酸は、図1Bに示すヌクレオチド配列を有するIgG12A6(12A6 IgG)軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号7)、または配列番号7に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一である配列をエンコードする。前記核酸分子は配列番号9の軽鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。もう1つの実施形態において、前記核酸分子は配列番号11の軽鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。別の実施形態において、前記核酸分子は、配列番号27の軽鎖CDR3ヌクレオチド、またはその一部分を含むことができる。例示的な実施形態において、前記核酸分子は配列番号9の軽鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号11の軽鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分、および配列番号27の軽鎖CDR3ヌクレオチド配列、またはその一部分を含む。本発明の核酸分子は軽鎖配列、例えば、配列番号7、9、11、27またはその組合せを含むことができ、あるいは配列番号7、9、11または27に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。さらなる核酸分子は、ストリンジェントな条件、例えば、低、中程度、高または非常に高いストリンジェンシー条件下で配列番号7、9、11または27にハイブリダイズする軽鎖配列を含むことができる。
【0046】
核酸分子は軽鎖ポリペプチド、例えば、配列番号8、10、12または28の軽鎖ポリペプチドをエンコードする核酸分子に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有することができる。また、本発明は、天然抗体の軽鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号8、10、12または28の軽鎖可変領域をエンコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸分子を特徴とする。
【0047】
もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸は、CDR1領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体重鎖可変領域またはその一部分をエンコードすることができる。例えば、核酸は、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有する重鎖可変領域をエンコードすることができる。なおもう1つの実施形態において、本発明は、配列番号6のアミノ酸を含む重鎖CDR2ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸はCDR2領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体重鎖可変領域またはその断片をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。
【0048】
さらにもう1つの実施形態において、本発明は、配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸はCDR1領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体軽鎖可変領域をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号12のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。単離された核酸は配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2ドメイン、またはその断片または修飾形態をエンコードすることもできる。この核酸はCDR2領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体軽鎖可変領域をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号10のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。
【0049】
重鎖または軽鎖可変領域をエンコードする核酸はネズミまたはヒト起源のものであり得、あるいはネズミおよびヒトアミノ酸配列の組合せを含むことができる。例えば、核酸は配列番号2のCDR1(配列番号4および/または配列番号2のCDR2(配列番号6)および/または配列番号2のCDR3(配列番号26)を含む重鎖可変領域、およびヒトフレームワーク配列をエンコードすることができる。加えて、前記核酸は配列番号8のCDR1(配列番号10)および/または配列番号8のCDR2(配列番号12)および/または配列番号2のCDR3(配列番号26)を含む軽鎖可変領域、およびヒトフレームワーク配列をエンコードすることができる。本発明は、さらに、前記核酸を含有するベクター、および発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0050】
本発明はまた、IgG12A6重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域のポリペプチドおよび断片も特徴とする。本明細書に記載の核酸によってエンコードされるポリペプチドのいずれも本発明の範囲にある。例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドは、例えば、配列番号8、10、12、28のアミノ酸配列、またはその断片または組合せ;または配列番号2、4、6、26またはその断片または組合せを含む。本発明のポリペプチドは、配列番号8、10、12、28、2、4、6または26とは異なり、少なくとも、20、10、5、4、3、2または1以下のアミノ酸を有するポリペプチドを含む。例示的なポリペプチドは、生物学的活性、例えば、N2自己ペプチドに結合する能力および/または補体の活性化を阻害する能力を保有するポリペプチドである。もう1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、軽鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号8、10、12または28の軽鎖可変領域ポリペプチドに対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。もう1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、重鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号2、4、6または26の重鎖可変領域ポリペプチドに対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号8および配列番号2のアミノ酸配列を含み、さらにIRES配列を含むポリペプチドを特徴とする。
【0051】
本発明の一実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0052】
他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。さらに別の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号26のアミノ酸を有するVH CDR3を含む。
【0053】
本発明の一実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0054】
他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。さらに別の実施形態において、さらに別の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号10のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号12のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号28のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0055】
本発明はまた、図1および2に示した1以上のVH CDRおよび1以上のVL CDRを含む抗体も提供する。特に、本発明は、VH CDR1およびVL CDR1、VH CDR1およびVL CDR2、VH CDR1およびVL CDR3、VH CDR2およびVL CDR1、VH CDR2およびVL CDR2、およびVH CDR2およびVL CDR3、VH CDR3およびVH CDR1、VH CDR3およびVL CDR2、VH CDR3およびVL CDR3、または any combination thereof of the図1および2に示したVH CDRおよびVL CDRのそれらの任意の組み合わせを含む抗体を提供する。
【0056】
一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号12のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号4のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号28のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0057】
他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号12のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態において、他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号6のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号28のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0058】
他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号10のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号12のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、配列番号14のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号28のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0059】
IgG21G6(21G6 IgG)
ハイブリドーマPTA−9393、IgG21G6(21G6 IgGともいう)から生産されたIgGの重鎖可変領域のヌクレオチド配列を図2Aに示し(配列番号13)、アミノ酸配列も図2Aに示す(配列番号14)。重鎖可変領域のCDR1ドメインは配列番号13(配列番号15で示す)によってエンコードされた配列番号14(配列番号16で示す)に対応し、重鎖可変領域のCDR2ドメインは配列番号13(配列番号17で示す)の領域によってエンコードされた配列番号14(配列番号18で示す)の領域に対応する。重鎖可変領域のCDR3ドメインは配列番号13(配列番号29で示す)の領域によってエンコードされた配列番号14(配列番号30で示す)の領域に対応する。
【0060】
IgG21G6の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列は図2Bに示し(配列番号19)、そのアミノ酸配列も図2Bに示す(配列番号20)。軽鎖可変領域のCDR1ドメインは配列番号19(配列番号21で示す)によってエンコードされた配列番号20(配列番号22で示す)に対応し、軽鎖可変領域のCDR2ドメインは配列番号19(配列番号23で示す)の領域によってエンコードされた配列番号20(配列番号24)の領域に対応する。軽鎖可変領域のCDR3ドメインは、配列番号19(配列番号31で示す)領域によってエンコードされた配列番号20(配列番号32で示す)の領域に対応する。 遺伝子暗号の縮重のため、他のヌクレオチド配列は本明細書において列挙したアミノ酸配列をエンコードし得る。
【0061】
cDNA、ゲノムまたは混合物いずれかからの、しばしば、(修飾された制限部位などを除いた)天然配列における、本発明の核酸組成物は標準的技術に従って突然変異させることができる。コード配列については、これらの突然変異は要望どおりアミノ酸配列に影響し得る。特に、天然V、D、J、定常、スイッチおよび本明細書において記載された他のそのような配列と実質的に同一な、またはそれに由来するヌクレオチド配列が考えられる。
【0062】
例えば、単離された核酸は、図2Aに示したIgG21G6(または21G6 IgG)重鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号13)、または配列番号13に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%一致する配列を含むことができる。ある実施形態では、配列番号13の位置19〜21にあるヌクレオチドは、TCT,TCC,TCA,TCG,CCT,CCC,CCA,CCG,AGTおよびAGCからなる群より選択される。核酸分子は配列番号15の重鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。さらに、前記核酸分子は配列番号17の重鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。また、前記核酸分子は配列番号29の重鎖CDR3ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。例示的な実施形態において、核酸分子は配列番号15の重鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号17の重鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号29の重鎖CDR3ヌクレオチド配列、またはその一部分を含む。本発明の核酸分子は重鎖配列、例えば、配列番号13、配列番号15、配列番号17、配列番号29またはその組合せを含むことができ、あるいは配列番号13、15、17または29に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。さらに、本発明の核酸分子は、ストリンジェントな条件、例えば、低、中程度、高または非常に高いストリンジェンシー条件下で配列番号13、15、17または29にハイブリダイズする重鎖配列を含むことができる。
【0063】
もう1つの実施形態において、本発明は、重鎖ポリペプチド、例えば、配列番号14,16,18または23の重鎖ポリペプチドをエンコードする核酸分子に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有する核酸分子を特徴とする。ある実施形態では、配列番号14の位置7のアミノ酸配列はセリンまたはプロリンを含む。本発明はまた、抗体の重鎖可変領域またはその一部分、例えば、配列番号14,16,18または30の重鎖可変領域をエンコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸分子も特徴とする。
【0064】
もう1つの実施形態において、単離された核酸は、図2Bに示すヌクレオチド配列を有するIgG21G6(21G6 IgG)軽鎖可変領域ヌクレオチド配列(配列番号19)、または配列番号19に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一である配列をエンコードする。前記核酸分子は配列番号21の軽鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分を含むことができる。もう1つの実施形態において、前記核酸分子は配列番号23の軽鎖CDR2ヌクレオチド配列、またはその部分を含むことができる。別の実施形態において、前記核酸分子は、配列番号31の軽鎖CDR3ヌクレオチド、またはその一部分を含むことができる。例示的な実施形態において、前記核酸分子は配列番号21の軽鎖CDR1ヌクレオチド配列、またはその一部分、配列番号23の軽鎖CDR2ヌクレオチド配列、および配列番号31の軽鎖CDR3ヌクレオチド配列、またはその一部分を含む。本発明の核酸分子は軽鎖配列、例えば、配列番号19,21,23,31またはその組合せを含むことができ、あるいは配列番号19,21,23または31に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%配列同一性を有するヌクレオチドを含むことができる。さらなる核酸分子は、ストリンジェントな条件、例えば、低、中程度、高または非常に高いストリンジェンシー条件下で配列番号19,21,23,31にハイブリダイズする軽鎖配列を含むことができる。
【0065】
核酸分子は軽鎖ポリペプチド、例えば、配列番号20,22,24または32の軽鎖ポリペプチドをエンコードする核酸分子に対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有することができる。また、本発明は、天然抗体の軽鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号20,22,24または32の軽鎖可変領域をエンコードする核酸配列にハイブリダイズする核酸分子を特徴とする。
【0066】
もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸は、CDR1領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体重鎖可変領域またはその一部分をエンコードすることができる。例えば、核酸は、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有する重鎖可変領域をエンコードすることができる。さらにもう1つの実施形態において、本発明は、配列番号30のアミノ酸を含む重鎖CDR3ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸はCDR2領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体重鎖可変領域またはその断片をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号16のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。
【0067】
さらにもう1つの実施形態において、本発明は、配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1ドメインをエンコードする単離された核酸、またはその断片または修飾形態を提供する。この核酸はCDR1領域のみをエンコードすることができるか、あるいは全抗体軽鎖可変領域をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR2ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。単離された核酸は配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3ドメイン、またはその断片または修飾形態をエンコードすることもできる。この核酸はCDR2領域のみをエンコードすることができるか、あるいは抗体軽鎖可変領域全体をエンコードすることができる。例えば、前記核酸は配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR1ドメインを有する軽鎖可変領域をエンコードすることができる。
【0068】
重鎖または軽鎖可変領域をエンコードする核酸はネズミまたはヒト起源のものであり得、あるいはネズミおよびヒトアミノ酸配列の組合せを含むことができる。例えば、核酸は配列番号14のCDR1(配列番号16)および/または配列番号14のCDR2(配列番号18)および/または配列番号14のCDR3(配列番号30)を含む重鎖可変領域、およびヒトフレームワーク配列をエンコードすることができる。さらに、前記核酸は配列番号20のCDR1(配列番号22)および/または配列番号20のCDR2(配列番号24)および/または配列番号20のCDR3(配列番号32)を含む軽鎖可変領域、およびヒトフレームワーク配列をエンコードすることができる。本発明は、さらに、前記核酸を含有するベクター、および発現ベクターを含む宿主細胞を含む。
【0069】
本発明はまた、IgG21G6重鎖可変領域および/または軽鎖可変領域のポリペプチドおよび断片も特徴とする。本明細書に記載の核酸によってエンコードされるポリペプチドのいずれも本発明の範囲にある。例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドは、例えば、配列番号20,22,24または32のアミノ酸配列、またはその断片または組合せ;または配列番号14,16,18または30またはその断片または組合せを含む。本発明のポリペプチドは、配列番号20,22,24,32,14,16,18または30とは異なり少なくとも、20、10、5、4、3、2または1以下のアミノ酸を有するポリペプチドを含む。例示的なポリペプチドは、生物学的活性、例えば、N2自己ペプチドに結合する能力および/または補体の活性化を阻害する能力および/または炎症を抑制する能力を保有するポリペプチドである。もう1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、軽鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号20,22,24または32の軽鎖可変領域ポリペプチドに対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。もう1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、重鎖可変領域、またはその一部分、例えば、配列番号14,16,18または30の重鎖可変領域ポリペプチドに対して少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%および99%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。もう1つの実施形態において、本発明は、配列番号20および配列番号14のアミノ酸配列を含み、さらにIRES配列を含むポリペプチドを特徴とする。
【0070】
本発明の一実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。 他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0071】
他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。さらに別の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号30のアミノ酸を有するVH CDR3を含む。
【0072】
本発明の一実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0073】
他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含む。他の実施形態において、他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。他の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。さらに別の実施形態において、さらに別の実施形態において、N2自己ペプチドに免疫特異的に結合する抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号24のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む。
【0074】
一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号16のアミノ酸配列を有するVH CDR1および配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0075】
他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。他の実施形態において、他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を有するVH CDR2および配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0076】
他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号22のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含む。他の実施形態において、本発明の抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号24のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含む。好ましい実施形態において、本発明の抗体は、配列番号30のアミノ酸配列を有するVH CDR3および配列番号32のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む。
【0077】
4.3 修飾された抗炎症抗体
本明細書に記載の性質を有するその他の抗N2抗炎症抗体を生成することもできる。抗体の生成方法は当該分野では周知であり、修飾された抗N2抗炎症抗体の生成に用いてもよい。
【0078】
ある実施形態において、重鎖および軽鎖のV領域ドメインは同一ポリペプチド上で発現させ、フレキシブルなリンカーによって接合して、単回鎖Fv断片を形成し、scFV遺伝子を引き続いて所望の発現ベクターまたはファージゲノムにクローン化することができる。McCaffertyら.,Nature (1990)348:552−554に一般的に記載されているように、フレキシブルな(Gly4−Ser)リンカー(配列番号35)によって接合された抗体の完全なVHおよびVLドメインを用いて、一本鎖抗体を生産することができ、これはディスプレイパッケージを抗原親和性に基づいて分離可能とすることができる。抗原と免疫反応性の単離されたscFV抗体を、引き続いて、本方法で用いるために医薬製剤に処方することができる。
【0079】
本発明の抗体は、可変領域、またはその一部分、例えば、相補性決定領域(CDR)が非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて創製されるものであり得る。キメラ、CDR−グラフテッド、およびヒト化抗体は本発明内のものである。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスで創製され、次いで、例えば、可変フレームワークまたは定常領域において修飾されて、ヒトにおける抗原性を低下させた抗体は本発明の範囲内のものである。抗体が少なくとも1つの抗原結合部分を有する限り、いずれの修飾も本発明の範囲内のものである。
【0080】
キメラ抗体(例えば、マウス−ヒトモノクローナル抗体)は当技術分野において知られた組換えDNA技術によって産生することができる。例えば、ネズミ(または他の種)のモノクローナル抗体分子のFc定常領域をエンコードする遺伝子を制限酵素で消化して、ネズミFcをエンコードする領域を除去し、ヒトFc定常領域をエンコードする遺伝子の同等部分を置換する(Robinson et al.,国際特許公開PCT/US86/02269;Akira,et al.,欧州特許出願184,187;Taniguchi,M.,欧州特許出願171,496;Morrison et al.,欧州特許出願173,494;Neuberger et al.,国際出願WO 86/01533;Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号;Cabilly et al.,欧州特許出願125,023;Better et al.,(1988 Science 240:1041−1043);Liu et al.,(1987)PNAS 84:3439−3443;Liu et al.,1987,J.Immunol.139:3521−3526;Sun et al.,(1987)PNAS 84:214−218;Nishimura et al.,1987,Canc.Res.47:999−1005;Wood et al.,(1985) Nature 314:446−449;およびShaw et al.,1988,J.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559参照)。
【0081】
キメラ抗体は、抗体結合に直接的には関与しないFv可変領域の配列を、ヒトFv可変領域からの同等な配列で置き換えることによってさらにヒト化することができる。ヒト化抗体を創製するための一般的な方法は、その全ての内容を参照により本明細書に組み入れる、Morrison,S.L.,1985,Science 229:1202−1207、Oi et al.,1986,BioTechniques4:214、およびQueen et al.,の米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号および米国特許第5,693,762号によって提供される。これらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも1つからの免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは一部をエンコードする核酸配列を単離し、操作し、および発現させることを含む。そのような核酸の源は当業者に周知であり、例えば、7E3、抗GPIIbIIIa抗体生産ハイブリドーマから得ることができる。次いで、キメラ抗体をエンコードする組換えDNA、またはその断片を適当な発現ベクターにクローン化することができる。または、適当なヒト化抗体をCDR置換によって生産することができる。米国特許第5,225,539号;Jones et al.,1986 Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.,1988 Science 239:1534;およびBeidler et al.,1988 J Immunol.141:4053−4060。
【0082】
ヒト化またはCDR−グラフテッド抗体はCDR−グラフティングまたはCDR置換によって生産することができ、ここに、免疫グロブリン鎖の1、2または全てのCDRは置き換えることができる。例えば、その全ての内容を明示的に参照により本明細書に組み入れる、米国特許第5,225,539号;Jones et al.1986 Nature 321:552−525;Verhoeyan et al.1988 Science 239:1534;Beidler et al.1988 J.Immunol.141:4053−4060;Winterの米国特許第5,225,539号参照。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するのに用いることができるCDR−グラフティング方法を記載する(その内容をここに明示的に引用して援用する、1987年3月26日に出願されたUK特許出願GB2188638A;Winterの米国特許第5,225,539号)。
【0083】
ヒト化またはCDR−グラフテッド抗体は、ドナーCDRで置換された(免疫グロブリン重鎖および/または軽鎖の)、少なくとも1つまたは2つであるが、一般的には全ての受容体CDRを有するであろう。好ましくは、ドナーはげっ歯類抗体、例えば、ラットまたはマウス抗体であり、受容体はヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークであろう。典型的には、CDRを提供する免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供する免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態において、ドナー免疫グロブリンは非ヒト(例えば、げっ歯類)である。アクセプターフレームワークは天然に生じる(例えば、ヒト)フレームワークまたはコンセンサスフレームワーク、またはそれに対して約85%以上、好ましくは90%、95%、99%以上同一の配列であり得る。
【0084】
特定の抗体のCDRの全ては非ヒトCDRの少なくとも一部で置き換えることができ、あるいはCDRのいくつかのみを非ヒトCDRで置き換えることができる。ヒト化抗体のFc受容体への結合に必要なCDRの数を置き換えるのが必要なのに過ぎない。
【0085】
また、特定のアミノ酸が置換され、欠失され、または付加されたキメラおよびヒト化抗体は本発明の範囲内にある。特に、好ましいヒト化抗体は、抗原への結合を改良するようにフレームワーク領域においてアミノ酸置換を有する。例えば、ヒト化抗体は、ドナーフレームワーク残基と、または受容体フレームワーク残基以外のもう1つのアミノ酸と同一であるフレームワーク残基を有するであろう。もう1つの例として、マウスCDRを有するヒト化抗体において、ヒトフレームワーク領域に位置したアミノ酸は、マウス抗体における対応する位置に位置するアミノ酸で置き換えることができる。ヒト化抗体の別の例には、マウス可変領域を有するがヒトFc領域を有するようには修飾されないマウスモノクローナル抗体である。そのような置換は、いくつかの場合においてヒト化抗体の抗原への結合を改良することが公知である。
【0086】
また、本明細書に記載の抗体にアミノ酸の置換、除去または添加を行って炎症を抑制または阻害することもできる。例えば、IgG定常部の297位のアスパラギンをアラニン(N297A)で置換してグリコシル化を抑制して、補体を活性化しFc受容体を結合する能力を活性化することもできる(例えば、Leatherbarrow RJ, et al. (1985) Effector functions of a monoclonal aglycosylated mouse IgG2a: binding and activation of complement component CI and interaction with human monocyte Fc receptor.(英語からの翻訳) Mo I Immunol 22(4):407−415; Tao MH & Morrison SL (1989) Studies of aglycosylated chimeric mouse−human IgG. Role of carbohydrate in the structure and effector functions mediated by the human IgG constant region. (英語からの翻訳) J Immunol 143(8):2595−2601; and Kabat (1987) Sequences of Proteins of Immunological Interest (In: US Department of Human Servicesを参照されたい)。これら参照物の内容を本明細書に明示的に援用する。
【0087】
本発明の抗体断片は、当業者に公知の慣用的手法を用いて得られる。例えば、抗体のペプシンでの消化により、F(ab’)2断片および複数の小さな断片が生じる。抗体のメルカプトエタノール還元により、個々の重鎖および軽鎖が生じる。抗体のパパインでの消化により、個々のFab断片およびFc断片が生じる。
【0088】
本発明はまた、抗炎症抗体を生成する方法も特徴とする。前記方法には、例えば、非保存領域、ドメインまたは本明細書に開示の残基の1以上を置換または除去することによって抗体の配列を変えること、および変えられたポリペプチドについて、N2への結合および補体活性化の阻害を調べることを含む。
【0089】
ある実施形態において、修飾された抗体は、配列番号8の少なくともCDR1領域(配列番号10)、またはその抗原結合部分、および/または配列番号8の少なくともCDR2領域(配列番号12)、またはその抗原結合部分を含むことができる。もう1つの実施形態において、修飾された抗体は、配列番号2の少なくともCDR1領域(配列番号4)、またはその抗原結合部分、および/または配列番号2の少なくともCDR2領域(配列番号6)、またはその抗原結合部分を含むことができる。例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号8のCDR1領域(配列番号10)および配列番号8のCDR2領域(配列番号12)またはその抗原結合部分を含む。もう1つの例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号2のCDR1領域(配列番号4)および配列番号2のCDR2領域(配列番号6)またはその抗原結合部分を含む。また、修飾された抗体は、配列番号8のCDR1領域(配列番号10)および配列番号8のCDR2領域(配列番号12)を含むことができ、修飾された抗体は、配列番号2のCDR1領域(配列番号4)、および配列番号2のCDR2領域(配列番号6)またはその抗原結合部分を含む。
【0090】
ある実施形態において、修飾された抗体は、配列番号20の少なくともCDR1領域(配列番号22)、またはその抗原結合部分、および/または配列番号20の少なくともCDR2領域(配列番号24)、またはその抗原結合部分を含むことができる。修飾された抗体は、配列番号14の少なくともCDR1領域(配列番号16)、またはその抗原結合部分、および/または配列番号14の少なくともCDR2領域(配列番号18)、またはその抗原結合部分を含むことができる。例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号20のCDR1領域(配列番号22)および配列番号20のCDR2領域(配列番号24)またはその抗原結合部分を含む。また、修飾された抗体は、配列番号8のCDR1領域(配列番号10)および配列番号8のCDR2領域(配列番号12)を含むことができ、修飾された抗体は、配列番号2のCDR1領域(配列番号4)、および配列番号2のCDR2領域(配列番号6)またはその抗原結合部分を含む。もう1つの例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号14のCDR1領域(配列番号16)および配列番号14のCDR2領域(配列番号18)またはその抗原結合部分を含む。修飾された抗体はまた配列番号20(配列番号22)のCDR1領域および配列番号20 (配列番号24)のCDR2領域も含み得、修飾された抗体は、配列番号14(配列番号16)のCDR1領域および配列番号14(配列番号18)のCDR2領域またはそれらの抗原結合部位を含み得る。
【0091】
もう1つの実施形態において、修飾された抗体は、配列番号2の少なくともCDR1領域(配列番号4)、またはその抗原結合部分、および/または配列番号2の少なくともCDR2領域(配列番号6)、またはその抗原結合部分を含むことができる。例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号8のCDR1領域(配列番号10)および配列番号8のCDR2領域(配列番号12)またはその抗原結合部分を含む。もう1つの例示的な実施形態において、修飾された抗体は、配列番号2のCDR1領域(配列番号4)および配列番号2のCDR2領域(配列番号6)またはその抗原結合部分を含む。また、修飾された抗体は、配列番号8のCDR1領域(配列番号10)および配列番号8のCDR2領域(配列番号12)を含むことができ、修飾された抗体は、配列番号2のCDR1領域(配列番号4)、および配列番号2のCDR2領域(配列番号6)またはその抗原結合部分を含む。
【0092】
修飾された抗体は、受託番号PTA−9392またはPTA−9393を有するATCCに受託されたハイブリドーマによって生じた抗体の結合親和性と同様な、例えば、それよりも大きな、それよりも小さな、またはそれと同等なN2自己抗原に対する結合親和性を有するヒト抗体であり得る。もう1つの実施形態において、抗体は非ヒト抗体、例えば、ウシ、ヤギ、マウス、ラット、ヒツジ、ブタ、またはウサギであり得る。例示的な実施形態において、非ヒト抗体はネズミ抗体である。また、抗体は組換え抗体であり得る。例示的な実施形態において、抗体はヒト化抗体である。修飾された抗体はIgG抗体であり得る。もう1つの実施形態において、単離された抗体は、寄託番号PTA−9392またはPTA−9393を有するATCCに受託されたハイブリドーマによって生じた免疫グロブリンと同一の抗原特異性を保有する。ある実施形態において、前記抗体はアクセッション番号PTA−9392またはPTA−9393を有するATCCに受託されたハイブリドーマによって生じた抗体と同一の抗原特異性を保有する(ここで、前記抗体はヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体またはそれらの断片である)。
【0093】
抗体を修飾して、例えば、溶解性を増大させ、および/または精製、同定、検出および/または構造的特徴付けを容易とすることができる。例示的な修飾は、例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)、プロテインA、プロテインG、カルモジュリン結合ペプチド、チオレドキシン、マルトース結合タンパク質、HA、myc、ポリ−アルギニン、ポリ−His、ポリ−His−AspまたはFLAG融合タンパク質およびタグの付加を含む。種々の実施形態において、抗体は一つまたは複数の異種融合を含むことができる。例えば、ペプチドは同一融合ドメインの複数コピーを含有することができるか、あるいは2以上の異なるドメインに対する融合を含むことができる。前記融合はペプチドのN末端において、前記ペプチドのC末端において、あるいは前記ペプチドのNおよびC末端の双方において起こることができる。また、リンカー配列を本発明のペプチドおよび融合ドメインの間に含めて、融合タンパク質の構築を容易とし、あるいはタンパク質発現、または融合タンパク質の構造的拘束を最適化するのは本発明の範囲内のものである。もう1つの実施形態において、ペプチドは、融合ペプチドおよび本発明のペプチドの間にプロテアーゼ切断部位を含有して、タンパク質発現の後に、またはその後にタグを除去するように構築することができる。適当なエンドプロテアーゼの例は、例えば、Xa因子およびTEVプロテアーゼを含む。
【0094】
融合遺伝子を作成する技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をエンコードする種々のDNA断片の接合は、連結用の平滑末端またはスタガー末端、適当な末端を提供するための制限酵素消化、適切には粘着末端のフィリングイン、望ましくない接合を回避するためのアルカリ性ホスファターゼ処理、および酵素的連結を使用して、慣用的技術に従って行われる。もう1つの実施形態において、融合遺伝子は、自動DNAシンセサイザーを含む慣用的技術によって合成することができる。または、遺伝子断片のPCR増幅は、2つの連続的遺伝子断片の間に相補的突出を生起させ、引き続いてアニールしてキメラ遺伝子配列を創製することができるアンカープライマーを用いて行うことができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology,eds.Ausubel et al.,John Wiley & Sons:1992参照)。
【0095】
抗体はポリマーへの結合に基づいて化学的に修飾することができる。プライマーは、典型的には、それが付着する抗体が生理学的環境のような水性環境中で沈殿しないように水溶性である。ポリマーは、重合度を制御することができるように、アシル化のための活性エステル、またはアルキル化のためのアルデヒドのような単回の反応性基を有することができる。好ましい反応性アルデヒドは耐水性であるポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、またはそのモノC1−C10アルコキシまたはアリールオキシ誘導体である(米国特許第5,252,714号参照)。ポリマーは分岐または非分岐であってよい。好ましくは、最終産物の調製の治療的使用のために、ポリマーは薬学的に許容されるものであろう。水溶性ポリマー、またはその混合物は、所望であれば、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキサイド/エチレンオキサイドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコールからなる群より選択することができる。
【0096】
4.4 抗体の調製法
細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトで用いるある範囲の用量を処方するのに用いることができる。抗体の用量は、好ましくは、ほとんどまたは全く毒性がないED50を含むある範囲の循環濃度内にある。用量は、使用する投与形態および利用する投与経路に依存してこの範囲内で変化し得る。本発明の方法で用いるいずれの抗体についても、治療的有効用量は細胞培養アッセイからまず見積もることができる。用量は動物モデルで処方して、細胞培養で決定されたIC50(すなわち、兆候の半最大阻害を達成するテスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0097】
もう1つの実施形態において、抗体の単回ボーラスを、組織障害に先立って、それと同時に、またはそれに引き続いて投与する。典型的には、単回用量注射は組織障害後数時間、数日または数週間であろう。本発明は、抗炎症抗体が再灌流障害を抑制または阻止するという知見に部分的には基づく。単回単位投与送達は障害の部位に直ぐ隣接させることができるか、あるいは例えば、障害の部位へ排出する、またはそこへ流れる容器に対するものとすることができる。
【0098】
抗炎症抗体は、最初に、標的器官または組織の損傷の時点に先立った時点において投与する。これは、再灌流障害の履歴を有する対象、または外科的治療を受けようとしている対象のような、再灌流障害の危険性があると決定される対象において有用なアプローチであろう。
【0099】
なおもう1つの実施形態において、抗炎症抗体の単回ボーラスに続いて、連続的注入またはさらなる単回ボーラス送達として抗炎症抗体を引き続いて投与する。抗炎症抗体は数時間、数日、数週間、数ヶ月または数年の期間にわたって順次に暴露させて投与することができる。加えて、さらなる治療剤を、抗炎症抗体の投与に先立って、または引き続いて組み合わせて投与することができると考えられる。抗炎症抗体とともに投与することができる他の治療剤は、限定されるものではないが、抗凝集剤および補体阻害剤を含む。
【0100】
本抗炎症抗体は薬学的に許容される担体中にて提供することができるか、あるいは全身および局所または局所化された投与を含む種々の投与様式のために処方することができる。技術および処方は、一般的には、Remmington’s Pharmaceutical Sciences, Meade Publishing Co.,Easton,PAに見出すことができる。ある実施形態において、前記抗体は経粘膜または経皮送達のために提供される。そのような投与のために、浸透すべきバリアーに対して適切な浸透剤をポリペプチドとともに処方で用いる。そのような浸透剤は一般には当技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与では、胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。加えて、洗剤を用いて浸透を容易とすることができる。経粘膜投与は鼻スプレーを介して、または坐薬を用いて行うことができる。局所投与では、本発明の組成物は当技術分野において一般的に公知の軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに処方される。
【0101】
本発明の薬学的組成物は、抗炎症抗体を担体、賦形剤および添加剤または補助剤を用いて、対象への投与に適した形態にすることによって調製される。頻繁に使用される担体または補助剤は炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトールおよび他の糖、タルク、乳タンパク質、ゼラチン、澱粉、ビタミン、セルロースおよびその誘導体、動物および植物油、ポリエチレングリコール、ならびに滅菌水、アルコール、グリセロールおよび多価アルコールのような溶媒を含む。静脈内ビヒクルは流体および栄養補給剤を含む。保存剤は抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤および不活性ガスを含む。他の薬学的に許容される担体は、例えば、、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th ed.Easton:Mack Publishing Co.,1405−1412,1461−1487(1975)およびThe National Formulary XIV.,14th ed.Washington:American Pharmaceutical Association (1975)に記載された、水性溶液、非毒性賦形剤(塩を含む)、保存剤、緩衝液などを含み、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。薬学的組成物の種々の成分のpHおよび正確な濃度は当技術分野においてルーチン的技量に従って調整される。Goodman and Gilman’s the Pharmacological Basis for Therapeutics(7th ed.)参照。
【0102】
薬学的組成物は投与単位にて好ましくは調製され、投与される。固体投与単位は錠剤、カプセルおよび坐薬であり、例えば、アルギネートベースのpH依存性放出ゲルキャップを含む。対象の治療では、化合物の活性、投与の方法、障害の性質および重症度、対象の年齢および体重に応じて、異なる日用量が必要である。しかしながら、ある状況下では、より高いまたはより低い日用量が適切であろう。日用量の投与は、個々の投与単位の形態での単一投与によって、またはいくつかのより小さな投与単位によって、および特定の間隔での小分けされた用量の複数投与によって行うことができる。
【0103】
本発明による薬学的組成物は治療上有効量にて局所または全身投与することができる。この使用のための有効な量は、勿論、疾患の重症度、および対象の体重および一般的状態に依存するであろう。前記したように、インビトロで用いる用量は、薬学的組成物のインサイチュー投与で有用な量において有用なガイダンスを提供することができ、動物モデルを用いて、特定の障害の治療のための有効な用量を決定することができる。種々の考慮は、例えば、その各々を参照により本明細書に組み入れる、Langer,Science,249:1527,(1990);Gilman et al.(eds.)(1990)に記載されている。
【0104】
1つの実施形態において、本発明は、抗体結合ペプチドをそのような治療を必要とする対象に投与するのに有用な薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物の「投与」は、当業者に公知のいずれの手段によって達成することもできる。好ましくは、「対象」とは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0105】
抗炎症抗体は非経口、腸、注射、迅速注入、鼻咽頭吸収、皮膚吸収、直腸および経口投与することができる。非経口投与用の薬学的に許容される担体製剤は滅菌または水性もしくは非水性溶液、懸濁液およびエマルジョンを含む。非水性溶媒の例はプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。閉塞包帯用の担体を用いて、皮膚の透過性を増加させ、抗原の吸収を増強させることができる。経口投与用の液体投与形態は、一般には、液体投与形態を含有するリポソーム溶液を含む。適当な固体または液体医薬製剤形態は、例えば、顆粒、粉末、錠剤、被覆錠剤、(ミクロ)カプセル、坐薬、シロップ、エマルジョン、懸濁液、クリーム、エアロゾル、点剤、またはアンプル形態の注射溶液、および活性化合物が遅延放出される製剤、その製剤において、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨張剤、滑沢剤、香味料、甘味剤のような賦形剤および添加剤および/または補助剤、および精製水のような当技術分野において通常使用される不活性希釈剤を含有するエリキシルである。疾患または障害が胃腸障害である場合、経口処方または坐薬処方が好ましい。
【0106】
滅菌注射溶液は、必要な量(例えば、約10μg〜約10mg/kg)の抗体結合ペプチドを適当な溶媒に取り込み、次いで、滅菌濾過によるなどして滅菌することによって調製することができる。さらに、粉末は、凍結乾燥または真空乾燥のような標準的技術によって調製することができる。
【0107】
もう1つの実施形態において、抗炎症抗体は、GI管中での徐放のための、または活性の意図する部位への長期活性剤放出特徴を有する標的器官移植のための徐放特徴用の生分解性担体で調製される。生分解性ポリマーは、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ酢酸を含む。リポソーム処方を用いることもできる。
【0108】
抗炎症抗体を送達するもう1つの手段は、抗体結合ペプチドを修復を必要とする部位または組織へ至急送るものを宿主細胞に送達することによる。または、細胞は、三次元構造に形成された生体適合性生分解性または非生分解性スポンジ(例えば、コラーゲン、または他の細胞外マトリックス物質)、コットン、ポリグリコール酸、ネコ腸縫合、セルロース、ゼラチン、デキストラン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリカルボネート、ポリテトラフルオロエチレン、またはニトロセルロース化合物を含む種々の送達ビヒクルと共に送達される(例えば、その開示は参照により本明細書に組み入れられる、Naughton et al.に対する米国特許第5,858,721号参照)。
【0109】
有効成分に適合するいずれの投与経路を用いることもできる。好ましいのは、皮下、筋肉内または静脈内注射のような非経口投与である。投与すべき有効成分の用量は、患者の年齢、体重および個々の応答にしたがって、医薬処方に基づいて依存する。
【0110】
患者のための非重み付け一日量は約2.5〜5.0mg/Kgの間、例えば、約2.5〜3.0mg/Kg、約3.0〜3.5mg/Kg、約3.5〜4.0mg/Kg、約4.0〜4.5mg/Kg、および約4.5〜5.0mg/Kgであり得る。
【0111】
非経口投与用の薬学的組成物は、有効成分および適当なビヒクルを含む注射可能形態に調製することができる。非経口投与用のビヒクルは当技術分野において周知であり、例えば、水、生理食塩水、リンゲル液および/またはデキストロースを含む。ビヒクルは、医薬製剤の安定性および等張性を維持するために少量の賦形剤を含有することができる。引用した溶液の調製は通常の様式に従って行うことができる。
【0112】
本発明を特定な実施形態を参照して記載してきたが、前記記載の内容は、特許請求の範囲の意味および目的を超えることなく当業者によって行うことができる、保存的アミノ酸置換をはじめとする全ての修飾および置換を含む。組成物は、所望であれば、有効成分を含有する一つまたは複数の単位投与形態を含有することができるパックまたはディスペンサーデバイスにて供することができる。パックは、例えば、ブリスターパックのような、金属またはプラスチックホイルを含むことができる。パックまたはディスペンサーデバイスには投与用の指令書を伴うことができる。
【0113】
4.5 抗炎症抗体で治療することができる疾患および疾患
抗炎症抗体は、天然IgG抗体の結合によってトリガーされる多数の炎症性疾患および疾患を治療するのに用いることができる。例えば、抗炎症抗体を用いて、再灌流障害、虚血障害、発作、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少症紫斑病、慢性関節リウマチ、腹腔病、高IgG免疫不全症、動脈硬化症、冠動脈病、敗血症、心筋炎、脳炎、移植拒絶、肝炎、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎、グラーベ病)、骨粗鬆症、多発性筋炎、皮膚筋炎、I型糖尿病、痛風、皮膚炎、円形脱毛症、全身エリテマトーデス、苔癬硬化症、潰瘍性大腸炎、糖尿病性網膜症、胎盤炎症性疾患、歯周疾患、動脈炎、若年性慢性関節炎(例えば、慢性虹彩毛様体炎)、乾癬、骨粗鬆症、真性糖尿病における腎臓障害、喘息、胎盤炎症性疾患、慢性炎症肝臓病、慢性炎症肺病、肺線維症、肝臓線維症、慢性関節リウマチ、慢性炎症肝臓病、慢性炎症肺病、肺線維症、肝臓線維症、クローン病、潰瘍性大腸炎、火傷障害(または熱障害)、および中枢神経系(CNS;例えば、多発性硬化症)、胃腸系、皮膚および関連構造、免疫系、肝臓−胆嚢系、または病理が炎症成分で起こり得る身体中のいずれかの部位の他の急性および慢性炎症性疾患のような炎症性疾患または障害を治療することができる。したがって、本明細書では、本明細書に記載の抗炎症抗体を患者に投与することによって患者の虚血性抗原に対する免疫応答の活性化を抑制する方法を記載する。
【0114】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の抗炎症抗体を含む薬学的組成物を患者に投与することによって、例えば虚血/再灌流障害といった患者の炎症性疾患または障害を治療する方法を特徴とする。
【0115】
再灌流または虚血障害のような炎症疾患は、例えば、発作または心筋梗塞として天然に生じるエピソード後に起こり得る。再灌流または虚血障害は外科的手法の間におよび/または後にも起こり得る。障害を引き起こし得る例示的な外科的手法は血管形成術、ステンティング手法、アトローム切除術およびバイパス外科治療からなる群より選択される血管−腐食性技術を含む。例示的な実施形態において、再灌流または虚血障害は心臓のような心血管組織で起こる。
【0116】
加えて、天然IgG抗体の結合によってトリガーされる疾患または疾患は、病原免疫グロブリン(例えば、本明細書において記載されたB−1細胞)を生産する天然または病原性IgGおよび/またはB細胞を対象から除去し、または不活化し、それにより、対象に存在する病原免疫グロブリンおよび/またはB細胞の量を減少させることによって、対象において治療または予防することができる。
【0117】
本明細書において記載された方法は、病原免疫グロブリン、例えば、本明細書において記載された病原性IgG、および/または病原性IgGを産生するB−細胞(例えば、本明細書において記載されたB−1細胞)を対象から除去し、または不活化し、それにより、対象に存在する病原免疫グロブリンおよび/またはB細胞の量を減少させることを含むことができる。
【0118】
1つの実施形態において、前記除去または不活化工程はエクスビボで行われる。病原免疫グロブリンまたはB細胞は血液灌流によって除去することができる。または、B細胞は、B細胞特異的抗体(例えば、抗B−1抗体または抗CD5抗体または抗CD11G/CD18)を用いて除去することができる。病原免疫グロブリン、例えば、IgGは、対象からの血液を固定化抗原(例えば、虚血特異性抗原)または固定化抗イディオタイプ抗体と接触させることによって除去することができる。病原免疫グロブリンの除去または不活化工程は、抗イディオタイプ抗体を対象に投与することによって行うことができる。もう1つの実施形態において、B細胞の除去または不活化工程は、トキシン、例えば、リシンまたはジフテリアトキシンにカップリングされたB細胞標的化部位(例えば、抗体または抗原)を対象に投与することによって行われる。前記対象は哺乳動物、例えば、げっ歯類(例えば、マウス)または霊長類(例えば、ヒト)である。例示的な実施形態において、対象は、例えば、発作としての天然に生じるエピソードに続いて再灌流または虚血障害を維持し、除去工程は、天然に生じるエピソードの後数分、1〜5時間、5〜10時間、10〜20時間、1日〜5日以内に行われる。もう1つの例示的な実施形態において、再灌流または虚血障害は心血管組織、例えば、心臓で起こり、再灌流または虚血障害は、外科的手法に先立って、その間および/または後に病原免疫グロブリンおよび/またはB細胞を対象から除去することによって予防しおよび/または減少させる。例えば、除去工程は、外科的手法に少なくとも1〜5時間、5〜10時間、10〜20時間、または1、2または3日先立って行うことができる。また、除去工程は、外科的手法の間におよび後に適当な時間間隔で継続することもできる。
【実施例】
【0119】
一般的に記載してきた本発明は以下の実施例を参照することによってより容易に理解でき、これは本発明のある局面および実施形態の説明の目的のためだけに含めるものであり、断じて本発明を限定する意図のものではない。
【0120】
実施例1:虚血/再灌流障害の機序
本実施例は、補体系が欠乏したマウスが虚血/再灌流障害に対して耐性であったことを示す。
虚血/再灌流障害の機序を調べるために、補体C3が欠乏したマウスを後足モデルで処理した。C3−/−マウスを、透過性指数のほぼ50%低下に基づいて障害から部分的に保護した(Weiser et al.(1996)J.Exp.Med.1857−1864参照)。したがって、補体C3はこのマウスモデルにおいて十分な障害の誘導に必須である。
【0121】
Weiserらの実験はどのようにして補体が活性化されたかを同定しなかった。血清補体系は少なくとも3つの区別される経路、古典的、レクチンまたは代替経路によって活性化することができる。いずれの経路が関与するかを知ることは重要である。というのは、それは障害についてのメカニズムを示唆するからである。例えば、古典的経路は免疫グロブリンのIgMおよびIgGイソタイプによって、または血清認識タンパク質C−反応性タンパク質によって非常に効果的に活性化される。他方、レクチン経路はマンナン結合レクチン(MBL)によるマンナンのような特異的炭水化物の認識に従って活性化される(Epsteinら、(1996) Immunol8,29−35)。双方の経路において、補体C4は、中枢補体C3の切断を触媒するC2との酵素複合体を形成するにおいて必要である。対照的に、代替経路は、C3のその活性形態(C3b)変換への自然発生的に導き、および外来性または自己−組織への付着を活性化する。前記経路は密接に調節される。というのは、全ての宿主細胞はC3コンベルターゼを不活化し、または置き換えることによって、補体経路の増幅の阻害剤を発現するからである(Muller−Eberhard,H.J.,(1988)Ann.Rev.Biochem.57,321−347)。関与する経路を決定するための1つのアプローチはC4が欠乏したマウスの使用であり、すなわち、古典的またはレクチン経路を介してC3コンベルターゼを形成することができない。後足モデルにおけるC3またはC4いずれか欠乏したマウスと野生型(WT)対照との比較により、C4もまた十分な障害の誘導に必要であることが明らかとなった(Weiserら、前記)。この知見は、それが抗体またはMBLが関与し得ることを示唆するので重要であった。
【0122】
実施例2:天然IgMは虚血再灌流(I/R)障害を媒介する
本実施例は、免疫グロブリンが欠乏したマウスが虚血/再灌流障害に対して耐性であったことを示す。
抗体がI/R障害の媒介に関与したかを判断するために、免疫グロブリンを全く欠乏するマウス、RAG2−/−(レコンビナーゼ活性化遺伝子−2欠乏)を、腸モデルにおいて補体欠乏動物と共に特徴付けた。重要なことには、RAG−2−(−マウスは、補体欠乏動物で観察されたのと同様なレベルまで保護された(Weiserら、前記)。RAG2−/−動物は成熟リンパ球もまた失っているので、病原効果が抗体依存性であると判断するのは重要であった(Shinkaiら(1992) Cell 68,855−867)。障害が血清抗体によって媒介されたことを確認するために、欠乏マウスを正常マウス血清(Weiser et al.,前記)または精製されたIgM(Williamsら(1999)J.Appl.Physiol 86;938−42)いずれかで再構築した。双方の場合に、再構築されたRAG−2−/−マウスはもはや保護されず、障害が回復した。後者の実験において、腸障害のモデルをこのモデルで用い、障害は主として補体によって媒介されると考えられる。
【0123】
これらの結果の解釈は、虚血の間に、ネオ抗原が内皮細胞表面で発現されるかまたは露出されるかのいずれかであるということである。循環IgMは新しい決定基を認識し、補体の古典的経路に結合し、それを活性化するように見える。抗原の性質は公知ではないが、IgGよりはむしろIgMが、補体の活性化に対して主な原因であるように見える。というのは、プールされたIgGでの欠乏マウスの再構築はマウスにおいて障害を有意には回復しなかったからである。代わりの仮説は、改変された内皮表面を認識し、新しい抗原部位を暴露する低レベルの補体活性化を誘導するMBL経路のようなもう1つの初期事象があり、前記経路はIgMの欠乏によって増幅されるというものである。
【0124】
実施例3:病原性IgMはB−1細胞の産物である
循環IgMの大部分は天然抗体、すなわち、再編成された生殖系遺伝子の産物を表すと考えられるため、リンパ球のB−1画分の欠乏を担うマウスもまた保護される可能性がある。B−1細胞は、それらが低レベルのIgDおよびCD23を発現し、大部分が細胞表面タンパク質CD5を発現する点でより慣用的なB−2細胞とは区別される表現型を有する(Hardyら(1994) Immunol.Rev.:137,91;Kantorら(1993) Annu.Rev.Immunol.11,501−538,1993)。B−1細胞は、マウスにおける低下した循環、末梢リンパ節および脾臓における制限された頻度によってやはり区別され、主として、腹腔内に主として局所化される。病原性IgMの源としてのB−1細胞についての役割を調べるために、抗体欠乏マウス(RAG−2−/−)を5×105腹腔B−1細胞で復元し、処理前ほぼ30日休息させた。循環IgMレベルは養子免疫伝達後1ヶ月以内に正常な範囲近くに到達する。腸虚血モデルにおけるB−1細胞復元マウスの特徴付けにより、B−1細胞は病原性IgMの主な源であったことが確認された(Williamsら(1999)前記参照)。これは重要な観察であった。なぜならば、B−1細胞天然抗体のレパートリーは、慣用的B−2細胞について予測されるよりもかなり限定されているからである。したがって、病原性抗体は生殖系の産物を表す可能性がある。
【0125】
実施例4:Cr2−/−マウスは虚血再灌流障害から保護される
Cr2−/−ノックアウトマウスの初期特徴付けは、B−1aまたはCD5+B−1細胞の頻度のほぼ50%低下を明らかにした(Ahearnら(1996)Immunity 4:251−262)。Cr2−欠乏マウスのもう1つの株の特徴付けは同様な低下を同定しなかったが(Molinaら(1996) Proc.Natl.Acad.Sci.(USA 93,3357−3361)。CD5+細胞の頻度の差が株のバックグラウンドまたは環境の差の変動によるか否かは公知ではない。Cr2−/−マウスにおけるB−1a細胞の低下した頻度にかかわらず、IgMの循環レベルは正常な範囲内にあった。これらの知見は、IgMのレパートリーがCr2−欠乏動物において異なることを示唆した。この仮説を検定するために、腸I/Rモデルにおけるマウスを特徴付けた。驚くべきことに、Cr2−/−マウスは補体−抗体欠乏マウスとして同等に保護された(図3)。腸モデルにおける処理後5日間の期間にわたる生存の比較は、Cr2−欠乏動物と比較したWTの死亡率の有意な増加を示した。増加した死亡率と合致して、障害の劇的な低下が、処理したWTまたはCr2−/−欠乏マウスから収穫された組織切片で観察された。
【0126】
腸の粘膜層に対する広範な障害が、プールされたIgMまたはB−1細胞で復元されたWTマウスまたはCr2−/−マウスで観察された。対照的に、処理されたCr2−/−マウスから単離された組織切片は偽対照のそれと同様であった。したがって、IgMの正常な循環レベルにもかかわらず、Cr2−欠乏マウスは障害から保護された。これらの結果は、病原性抗体の源としてのB−1細胞の重要性を確認するのみならず、補体系は天然抗体のレパートリーの形成または維持に幾分関与することを示唆する。例えば、補体はB−1細胞の陽性選択に関与し得る。
【0127】
実施例5:病原性IgMの同定
この実施例は、正常なB−1細胞からの特異的なハイブリドーマクローンの創製、および病原性IgMを精製する1つのクローンの同定を記載する。病原性IgMは、抗体欠乏マウスに対する障害をin vivoで回復することが示された。
【0128】
補体受容体CD21/CD35の欠乏を担うマウスにおける実験は、前記マウスが病原性抗体を失っていることを明らかとした。この知見は予期せぬものであった。なぜならば、それらはその血液中に正常なレベルのIgMを有するからである。これらの知見は、B−1細胞といわれるB細胞の特別な集団が病原性IgMを分泌することを担うという仮説に導く。例えば、正常なマウスからのB−1細胞での受容体欠乏マウス(Cr2−/−)の移植は障害を回復させ、B−1細胞の重要性が確認される。特異的抗体または障害を担う抗体を同定するために、ハイブリドーマクローンのパネルを、正常なマウスから収穫された腹腔B−1細胞の豊富化されたプールから構築した。腹腔細胞の豊富化された画分からハイブリドーマを調製するための一般的アプローチは、IL−10で7日早く処理し、引き続いて、磁性ビーズでの陰性選択によってCD23陰性B細胞につき豊富化されたマウスから腹腔細胞を収穫することを含む。豊富化されたB細胞は、IgM、Mac−1およびCD23特異的Mabでの染色に続いてのFACSによって分析される。豊富化された集団は、24時間のLPSとの培養によってさらに活性化される。活性化された細胞は、PEGの存在下で融合パートナーミエローマ細胞とハイブリダイズさせ、HAT−選択培地で増殖させる。ハイブリドーマは、ELISAによってIgM分泌クローンにつきスクリーニングし、陽性細胞はIgMの精製のために拡大培養する。
【0129】
22のIgM−分泌ハイブリドーマクローンを、クローンの各々からの同等量のIgM産物をプールすることによって分析した。プールされたIgMでの抗体欠乏マウスの処理は、血清からのプールされたIgMで見られたのと同様な障害を回復した。この知見により、病原性IgMは生じた22のハイブリドーマの中にあったことが確認された。プールを2つの画分、すなわち、1〜11および12〜22、および2つの画分での処理マウスに分けることによって、病原性抗体は、クローン#22を誘導したプールと共に分画されることが見出された。最後に、マウスをクローン17または22いずれかで復元した。クローン22は障害を回復し、他方、他のクローンはそうしなかった。
【0130】
実施例6:B−1細胞選択への補体の関与
2つの異なるモデルがB−1細胞の発生を説明するために提唱されている。系列仮説は、B−1細胞が区別される集団として初期胎児生命で発生することを提唱する(Kantorら(1993)前記)。あるいは、B−1細胞は、慣用的B細胞として同一先祖から発生するが、それらの環境、すなわち、抗原との遭遇に応じて、それらはB−1に発生し、またはB−2細胞表現型を保有する(Wortis,H.H.(1992) Int.Rev.Immunol.8,235;Clarke,J.(1998) Exp.Med.187,1325−1334)。それらの起源にかかわらず、B−1細胞はB−2細胞と同一の頻度で成人骨髄から補充されず、およびそれらの表現型は初期胎児肝臓B細胞または新生骨髄(BM)細胞のそれとより同様であることが公知である。初期起源と合致して、それらのレパートリーはより近位のVH遺伝子の発現に偏る傾向があり、N−ヌクレオチドの付加は制限されている(Guら(1990) EMBO J9,2133;Feeney J.(1990) Exp.Med.172,1377)。成人BM幹細胞による低下した補充を仮定すれば、B−1細胞は自己−更新され、抗原刺激はそれらの更新、拡大または初期選択においてさえ重要であろうことは合理的に見える(Hayakawaら(1986) Eur.J.Immunol.16,1313)。事実、慣用的モデルに固有なことには、B−1細胞は抗原選択されなければならない。
【0131】
B−1細胞の陽性選択についてのB−細胞受容体(BCR)シグナリング要件を裏付ける証拠は、BCRシグナリングを改変する突然変異を担うマウスから来る。例えば、CD19、vav、またはBtkを通じてのBCRシグナリングが損なわれると、B−1細胞の発生に劇的に影響する。対照的には、CD22−またはSHIP−1欠乏マウスのような陰性選択の喪失はB−1細胞頻度の増加に至り得る(O’Keefe et al.(1996)Science 274,798−801;Shultz et al.(1993) Cell 73,1445)。2つの区別されるIg導入遺伝子VH12(B−1細胞表現型)またはVHB1−8(B−2細胞表現型)を担うマウスでの最近のエレガントな実験はB−1細胞が自己抗原によって陽性的に選択されるという観察を支持する。例えば、VH12単独、またはB1−8と共にVH12を発現するB細胞はB−1細胞の表現型を発達させた。他方、B1−8導入遺伝子のみを発現したB細胞はあったとしても少数が同定された。したがって、これらの結果は、トランスジェニックB細胞と自己−PtCとの遭遇の結果、VH12を発現するものが拡大されることを示唆した。B−1細胞の選択はHardy et al.によって最近報告された((1994) Immunol.Rev.137,91)。これらのモデルにおいて、Thy1.1に対して特異的な免疫グロブリン導入遺伝子を発現するB細胞が選択され、同族抗原を発現するマウスにおいて拡大された。対照的に、導入遺伝子+B−1細胞は、代替アロタイプThy1.2を発現したマウスでは見出されなかった。
【0132】
補体はどこでB−1細胞発生にフィットするか?B−1a細胞頻度の総じての低下、およびI/R障害に関与するIgMを発現するB−1細胞のより特異的な喪失は、B−1a細胞の陽性選択または維持いずれかにおけるCD21/CD35についての役割を示唆する。補体に対する1つの可能な役割は、それが同族抗原との遭遇に際してBCRシグナリングを増強することである。CD21/CD35欠乏マウスの生化学的実験および分析は、慣用的B細胞の活性化および生存における共受容体シグナリングの重要性を示す(Carroll,M.C.,(1998)Ann.Rev.Immunol.16,545−568;Fearon et al.(1995) Annu.Rev.Immunol.13,127−149)。B−1細胞が、同様に、共受容体シグナリングを利用して、BCRシグナルを増強させるようである。例えば、細菌はホスホリルコリンのような典型的なB−1細胞抗原を発現し、補体リガンドC3dでの細菌のコーティングはBCRでの共受容体の架橋を促進するであろうことは不合理ではない。したがって、より低濃度で発現された抗原は、同族B−細胞がそれを認識し、拡大するか、または陽性に選択されるためには、補体増強を必要とするであろう。補体受容体についてのもう1つの役割は、リンパ系区画内の小胞樹状細胞(FDC)へ抗原を局所化するにおけるものである。しかしながら、B−1細胞の主な集団は腹腔組織を占めるので、それらがリンパ系構造内でFDCに遭遇するかは明らかでない。B−1細胞が陽性選択を受ける現実の部位または複数部位が公知ではない。それらは初期胎児発生において、または新生BMにおいて同族抗原に遭遇するに違いない可能性がある。これが当てはまれば、これらの区画内の間質細胞上の補体受容体は、B細胞への提示のために抗原に結合することが予測される。補体受容体は発生の双方の段階に参画する可能性がある。第一に、それらは初期陽性選択における抗原シグナリングを増強するであろう。第二に、選択されたB−1細胞が末梢部位で補充されるにつれ、補体受容体はBCRシグナリングの増強に再度関与するであろう。
【0133】
腹腔B−1リンパ球の陽性選択における補体および補体受容体についての提案された役割には、補体−リガンド被覆抗原(自己−および非自己)の相互作用があり、その作用の結果、細胞表面でCD21/CD19共受容体BCRの共連結が生じ、シグナリングおよび陽性選択が増強されることになる。
【0134】
実施例7: 12A6ハイブリドーマおよび21G6ハイブリドーマ
マウスハイブリドーマのパネルを調製して非筋ミオシンII重鎖のN2領域を同定した。かくして、担体タンパク質(KLH)に結合したN2ペプチド(Ac−LMK MDPLNDNV(配列番号33))をマウスに免疫付与した。マウスおよびヒトではこの領域(N2)は高度に保存され、同一であった。2種のハイブリドーマを選択してさらに同定し、in vitroでもin vivoでもN2ペプチドを結合することを明らかにした。重要なことは、マウス心筋梗塞モデルでは、一方のハイブリドーマを100μgのFab’2断片で事前処理(Fc片を除去)すると、虚血/再灌流障害は阻害される。12A6はIgG2bアイソタイプである。そのVHはDH:DSP2/DFL16.1と対になった生殖細胞系3609.11.169配列にうおいて最も密接にマッチし、その軽鎖はJK1を有するVκ8−27である。21G6はIgG1イソタイプであり、そのVHはJ558.35;DH:DSP2.6/DSP2.4/DSP2.3およびJH:JH3とマッチする。その軽鎖はVκhf24およびJK4である。
【0135】
マウス抗N2 mAbは心筋梗塞後の炎症を抑制する。B6マウスを1時間のLAD閉塞に供した後、24時間再灌流した。閉塞(15分)前、生食水または150μgの抗N2F(ab’)抗体(21G6)をマウスに静注した。再灌流後、血清トロポニンI値(A)およびマウスのIgM沈着(B)を分析し、ステューデントのt検定を用いてそれぞれの統計学的有意差を評価した(図3)。
【0136】
N2ペプチドおよび抗N2 mAbはヒトIgMによる傷害を阻止する。図4は(A)RAG−1−/−マウスを1時間のLAD閉塞に供した後、24時間再灌流したものを示す。閉塞(15分)前、生食水または200μgのN2ペプチドと一緒に、10例のドナーからプールした400μgのhIgMをマウスに静注した。エバンスブルーおよびTTCにより心筋部分を染色した。心筋梗塞面積を左室のリスク領域(AAR)の梗塞割合として表した。(BおよびC)RAG−1−/−マウスを(A)で処置し、hIgM沈着(B)または血清トロポニンI値(C)を分析した。(D)RAG−1−/−マウスを1時間のLAD閉塞に供し、24時間再灌流した。閉塞(15分)前、生殖水または150μgの抗N2F(ab’)抗体(21G6)と一緒に400μgのhIgMをマウスに静注し、心筋部分を(A)と同様に分析した。(E)RAG−1−/−マウスを(D)と同様に処置し、hIgM沈着を分析した。全パネルについて、ステューデントのt検定を用いて統計学的有意差を評価した。
【0137】
実施例8:12A6ハイブリドーマ抗体はin vivoでN2自己ペプチドに結合する
抗N2抗体の特異性。60分間のLAD閉塞および30分間の再灌流前にB6マウスに蛍光標識した抗N2抗体(12A6)および抗CD31抗体を静注した。治療後、心を摘出、固定し共焦点顕微鏡によって分析した。リスク領域(左室)を非リスク領域(右室)と比較した。図5には個々の抗体染色の量およびリスク領域および非リスク領域における合成像を示す。抗N2抗体により処置したB6マウスにおける血清トロポニンI値の効果。1時間のLAD閉塞および24時間の再灌流前に生食水、12A6F(ab’)2(150μg)または21G6F(ab’)2(150μg)をB6マウスに静注した。再灌流24時間後、血清トロポニンI値を測定した。結果を図6に示す。
【0138】
参照による援用
本明細書において言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、参照により本明細書に、あたかも各個々の刊行物または特許が参照により具体的かつ個々に一体化されることを示すようにその全体が組み入れられる。コンフリクトする場合、本明細書中のいずれの定義も含む本出願が支配する。
【0139】
また、参照によりその全体が組み入れられるのは、いずれものポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列であり、これは、延長tigr.orgを伴う世界的ウェブでのThe Institute for Genomic Research(TIGR)、または延長ncbi.nlm.nih.govを伴う世界的ウェブでのNational Center for Biotechnology Information(NCBI)によって維持されるもののような公のデータベースへのエントリーに関連するアクセッション番号を参照する。
【0140】
均等物
当業者であれば、通常の実験程度を用いれば、本明細書において記載された発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、それを確認することができるであろう。そのような均等物は特許請求の範囲に含まれることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N2自己ペプチドに特異的に結合する単離された抗炎症抗体。
【請求項2】
ATCC寄託番号PTA−9392を有するハイブリドーマまたはATCC寄託番号PTA−9393を有するハイブリドーマによって生成される抗体の抗原特異性を有する、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
前記ハイブリドーマがATCC寄託番号PTA−9392を有する、請求項2に記載の抗体。
【請求項4】
前記ハイブリドーマがATCC寄託番号PTA−9393を有する、請求項2に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体がヒト、ヒト化またはキメラ抗体、あるいはそれらいずれかの抗体断片である、請求項2に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体がIgGである、請求項1に記載の抗体。
【請求項7】
請求項1に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項8】
請求項2に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項9】
単離された抗体であって、前記抗体が、a)配列番号4からなる群より選択される重鎖可変(VH)相補性決定領域(CDR)1を含むアミノ酸配列;b)配列番号6からなる群より選択されるVH CDR2を含むアミノ酸配列;c)配列番号26からなる群より選択されるVH CDR3を含むアミノ酸配列;d)配列番号10からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR1を含むアミノ酸配列;e)配列番号12からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列;およびf)配列番号28からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項10】
a)配列番号4からなる群より選択される重鎖可変(VH)相補性決定領域(CDR)1を含むアミノ酸配列;b)配列番号6からなる群より選択されるVH CDR2を含むアミノ酸配列;c)配列番号26からなる群より選択されるVH CDR3を含むアミノ酸配列;d)配列番号10からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR1を含むアミノ酸配列;e)配列番号12からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR2を含むアミノ酸配列;およびf)配列番号28からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR3を含むアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の抗体。
【請求項11】
請求項9に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項12】
単離された抗体であって、前記抗体が、a)配列番号16からなる群より選択される重鎖可変(VH)CDR1を含むアミノ酸配列;b)配列番号18からなる群より選択されるVH CDR2を含むアミノ酸配列;c)配列番号30からなる群より選択されるVH CDR3を含むアミノ酸配列;d)配列番号22からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR1を含むアミノ酸配列e)配列番号24からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列;およびf)配列番号32からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離された抗体。
【請求項13】
単離された抗体であって、a)配列番号16からなる群より選択される重鎖可変(VH)CDR1を含むアミノ酸配列;b)配列番号18からなる群より選択されるVH CDR2を含むアミノ酸配列;c)配列番号30からなる群より選択されるVH CDR3を含むアミノ酸配列;d)配列番号22からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR1を含むアミノ酸配列e)配列番号24からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列;およびf)配列番号32からなる群より選択されるVL CDR3を含むアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の単離された抗体
【請求項14】
請求項12に記載の抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
N2自己ペプチドに特異的に結合する単離された抗炎症抗体であって、前記抗体が、a)配列番号4および16からなる群より選択される重鎖可変(VH)相補性決定領域(CDR)1を含むアミノ酸配列;b)配列番号6および18からなる群より選択されるVH CDR2を含むアミノ酸配列;c)配列番号26および30からなる群より選択されるVH CDR3を含むアミノ酸配列;d)配列番号10および22からなる群より選択される軽鎖可変(VL)CDR1を含むアミノ酸配列;e)配列番号12および24からなる群より選択されるVL CDR2を含むアミノ酸配列;およびf)配列番号28および32からなる群より選択されるVL CDR3を含むアミノ酸配列を含む、単離された抗炎症抗体
【請求項16】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項15に記載の単離された抗炎症抗体。
【請求項17】
前記抗体がFab断片、F(ab’)断片またはscFvである、請求項15に記載の単離された抗炎症抗体。
【請求項18】
前記抗体がIgG抗体である、請求項15に記載の単離された抗炎症抗体。
【請求項19】
請求項15に記載の抗炎症抗体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物
【請求項20】
配列番号2,4,6,26,8,10,12,28,14,16,18,30,20,22,24または32のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項21】
N2自己ペプチドに特異的に結合する、請求項20に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項22】
PTA−9392およびPTA−9393からなる群より選択されるATCC寄託番号を有する細胞によって生成される、請求項15に記載の単離された抗炎症抗体。
【請求項23】
a)配列番号1,3,5,25,7,9,11,27,13,15,17,29,19,21,23または31と少なくとも96%一致するヌクレオチド配列を含む核酸分子;およびb)ストリンジェント条件下で配列番号1,3,5,25,7,9,11,27,13,15,17,29,19,21,23または31にハイブリダイズする核酸分子からなる群より選択される、単離された核酸分子。
【請求項24】
配列番号2,4,6,26,8,10,12,28,14,16,18,30,20,22,24または32のアミノ酸配列を含むポリペプチドをエンコードする単離された核酸分子。
【請求項25】
N2自己ペプチドに結合する抗炎症抗体をエンコードする、請求項24に記載の単離された核酸配列。
【請求項26】
請求項24に記載の核酸を含むベクター。
【請求項27】
請求項26に記載のベクターを含む細胞。
【請求項28】
有効量の請求項2に記載の単離された抗炎症抗体を患者に投与することを含む、炎症性疾患または障害を治療する方法。
【請求項29】
前記炎症性疾患または障害が虚血/再灌流障害である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者が哺乳類である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳類がヒトである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記虚血/再灌流障害が心筋梗塞、脳卒中または外科的処置の後に生じる、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
有効量の請求項2に記載の単離された抗炎症抗体を患者に投与することを含む、炎症性疾患または障害を治療する方法。


【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2013−512679(P2013−512679A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542241(P2012−542241)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/059234
【国際公開番号】WO2011/071883
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(512146269)デシミューン セラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】