抗炎症療法のためのケイ素含有生分解性物質
本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、前記サイトカインの活性を低下させることで治療し得る疾患の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、前記サイトカインの活性を低下させることで治療し得る疾患の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素は微量元素であり、その結合したケイ酸塩の形態は人にとって重要である。ケイ素は、組織の強度および弾力性に関与するタンパク質の構成要素である。ケイ素は、結合組織、骨、皮膚、毛髪、爪および血管にも取り込まれる。さらに、ケイ素はからだの防御系、すなわち免疫系を強化し、創傷治癒を促進する。ケイ素の欠乏は、成長障害、骨粗鬆症の危険性を高める骨安定性の低下、ならびに早発性の脱毛、もろい爪および皮膚変化を引き起こす。皮膚における考え得る変化は、シワ形成の増加、乾燥、落屑、角化の増加、掻痒、肥大化および弾力性の低下に起因する痛みを伴う皮膚のひび割れである。さらに、からだの防御系、いわゆる免疫系はケイ素の欠乏により弱くなり、それにより感染症に対する罹病性は増加する。
【0003】
米国特許出願第2006/0178268号は、骨、軟骨、皮膚、動脈、結合組織、関節、毛髪、爪および皮膚の疾患、ならびに骨粗鬆症、リウマチ性疾患、動脈硬化、関節炎、心血管疾患、アレルギー性疾患および変性疾患の治療用の非コロイド状ケイ酸およびホウ酸からなる水溶液を記載する。
【0004】
米国特許出願第2006/0099276号は、第4級アンモニウム化合物、アミノ酸若しくはアミノ酸源またはそれらの組み合わせの同時存在下、ケイ素化合物をオリゴマーへ加水分解することによるシリカ誘導体の製造方法を開示する。シリカ成形品を、感染症、爪、毛髪、皮膚、歯、コラーゲン、結合組織、および骨の疾患、骨減少症を治療するための医薬品、変性(老化)過程に対する細胞形成のための医薬品として使用することができる。
【0005】
米国特許第6,335,457号は、ケイ酸がポリペプチドと複合体を形成する固体物質を開示する。この特許は、この固体物質を含む治療上有効な混合物も開示する。
【0006】
国際公開第2009/018356号は、前立腺ガン、結腸直腸がん、肺がん、乳がん、肝がん、神経細胞のガン、骨のガン、HIV症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、エプスタイン・バーウイルス、線維筋痛、慢性疲労症候群、糖尿病、ベーチェット病、炎症性大腸炎、クローン病、褥瘡、栄養障害性潰瘍、放射線療法または化学療法により弱まった免疫系、血腫またはそれらの組み合わせを予防若しくは治療するためのリン酸ナトリウム化合物、アンモニウム化合物およびケイ酸塩を含有する混合物に関する。
【0007】
国際公開第2009/052090号は、ケイ酸塩を含有する組成物を用いる、炎症性疾患、自己免疫疾患、細菌性若しくはウィルス性感染症およびガンの治療方法を記載する。
【0008】
米国特許出願第2003/0018011号は、脂肪酸および水溶性ケイ酸ポリマーを含む、抗アレルギー剤若しくは抗炎症剤としての医薬品組成物に関する。
【0009】
米国特許第5,534,509号は、不活性担体としての単糖類若しくは糖アルコールとともに、活性剤として水溶性ケイ酸ポリマーを含む、アレルギー、炎症、痛みを治療するための、または末梢血液循環若しくは知覚障害を改善するための医薬品組成物に関する。
【0010】
独国特許第19609551号は、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステルに基づく生体吸収性(連続的)繊維の製造を記載する。この繊維は、生分解性および/または生体吸収性(インプラント)物質用の強化繊維として使用される。この繊維は、生分解性組成物の製造にも使用することができる。
【0011】
国際公開第01/42428号は、皮膚細胞を栄養溶液の表面に適用し、独国特許第19609551号に記載された繊維からなる表面要素により皮膚細胞を成長させる、皮膚インプラントを製造する方法を記載する。
【0012】
欧州特許出願第1262542号は、繊維マトリックスを、独国特許第19609551号に従う細胞支持体および/または指向性構造として使用する、細胞、組織および器官のインビトロにおける生成方法に関する。
【0013】
国際公開第2006/069567号は、独国特許第19609551号に従う繊維マトリックスが1つの層においても使用される多層ドレッシングに関する。この多層ドレッシングは、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍, 慢性下腿潰瘍, 床ずれ, 二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷を治療するために使用される。
【0014】
とりわけ、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806は、本発明に従って使用し得る別のポリヒドロキシケイ酸エチルエステルの製造を記載する。この化合物は、一般的に人間医学、医用工学、フィルター技術、バイオテクノロジーまたは断熱材産業における生体吸収性物質用として記載されている。また、この物質が創傷治療および創傷治癒の分野において有利に使用できることも記載されている。例えば、繊維を外科用縫合材料または強化繊維として使用することができる。不織布材料を、浅い傷の治療において、体液(例えば、血液)の濾過において、または生体反応器の分野における培養補助具として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0178268号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0099276号明細書
【特許文献3】米国特許第6,335,457号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/018356号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2009/052090号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願第2003/0018011号明細書
【特許文献7】米国特許第5,534,509号明細書
【特許文献8】独国特許第19609551号明細書
【特許文献9】国際公開第01/42428号明細書
【特許文献10】欧州特許出願第1262542号明細書
【特許文献11】国際公開第2006/069567号明細書
【特許文献12】国際公開第2008/086970号明細書
【特許文献13】国際公開第2008/148384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物(例えば、繊維状または不織布形態)を、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、前記サイトカインの活性を低下させることで治療し得る疾患の予防および/または治療のために使用できることは、先行技術において開示されていない。創傷治療および創傷治癒のためのポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の使用は前記文献に確かに記載されており、創傷治癒が前炎症過程若しくは抗炎症過程を伴うことが知られているが、先行技術は、特に炎症性疾患および/または自己免疫疾患に対する、前記生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の予防的および/または治療的な一般的使用を記載しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷は除外する)の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、ケイ素含有生分解性物質がポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物であるケイ素含有生分解性物質に関する。本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷は除外する)の予防および/または治療のための生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の使用も含む。
【0018】
本発明は、以下の特許文献:独国特許第19609551号、国際公開第01/42428号、欧州特許出願第1262542号、国際公開第2006/069567号、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806に記載される発明の物質の使用の発明を包含しない。創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷の治療のための、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル繊維不織布材の多層ドレッシングの構成要素としての使用が国際公開第2006/069567号に記載されている。欧州特許出願第1262542号には、本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の種々の再生医療用途が記載されている。本発明に従う用語「再生医療用途」は、欧州特許出願第1262542号に記載される生成物、方法および用途を対象とする。したがって、これらが本発明の課題に関連する場合には、本発明は欧州特許出願第1262542号で論じられる発明に従うケイ素含有生分解性物質の再生医療の使用を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】ケラチノサイトにおけるIL−1β合成についてのELISA分析の結果を示す。
【図1b】ケラチノサイトにおけるIL−1βについてのELISA分析の結果を示す。
【図2a】ケラチノサイトにおけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図2b】ケラチノサイトにおけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図3a】内皮細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図3b】内皮細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図4a】繊維芽細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図4b】繊維芽細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図5a】ケラチノサイトにおけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図5b】ケラチノサイトにおけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図6a】内皮細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図6b】内皮細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図7a】繊維芽細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図7b】繊維芽細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語「ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物」は、一般式:H[OSi8O12(OH)x(OC2H5)6−x]nOH〔式中、xは2〜5であり、n>1(ポリマー)である〕の本発明に従う全ての化合物を表す。
【0021】
本発明のケイ素含有生分解性物質は、好ましくは繊維状、繊維マトリックス、粉末、モノリスおよび/またはコーティングの形態の物質である。このケイ素含有生分解性物質は、下記に記載する方法に従って製造することができる:
(a)少なくとも1つのテトラエトキシシランの加水分解/縮合反応
(b)単相溶液を生成するための、好ましくは反応系の穏やかな混合と同時に行うエバポレーション
(c)単相溶液の冷却、および
(d)シリカゾル材料を生成するための熟成
(e)繊維または繊維マトリックスを生成するためのシリカゾル材料からのスレッドの取り出し、および/または、
粉末を生成するためのシリカゾル材料の乾燥、特に噴霧乾燥若しくは凍結乾燥、および場合により液体調製物を生成するための該粉末の溶媒への溶解、および/または、
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングする物品へのシリカゾル材料のコーティング、および/または、
モノリスを生成するためのシリカゾル材料の型への流し込み。
【0022】
本発明によれば、本発明のケイ素含有生分解性物質は、好ましくは繊維状、繊維マトリックス(不織布)、粉末、液体調製物および/またはコーティングである。
【0023】
本発明の別の実施態様においては、工程(a)において、テトラエトキシシランを、0〜≦7の初期pHで、場合により水溶性溶媒、好ましくはエタノールの存在下、0〜80℃の温度で酸触媒し、工程(b)において、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの範囲の粘度まで単相溶液をエバポレートして、本発明のケイ素含有生分解性物質を前述のとおり製造する。
【0024】
本発明の別の実施態様においては、工程(a)における酸触媒反応を、ケイ素化合物に対して、1:1.7〜1:1.9、好ましくは1:1.7〜1:1.8の範囲のモル比の硝酸水溶液により行い、本発明のケイ素含有生分解性物質を前述のとおり製造する。工程(a)における加水分解/縮合反応は、好ましくは20〜60℃の、好ましくは20〜50℃の温度範囲で、少なくとも1時間行う。好ましくは、工程(a)における加水分解/縮合反応は数時間、例えば8〜16時間行う。また、この反応を4週間の期間で行うこともできる。本発明の好ましい実施態様において、工程(b)は、混合が可能である密閉装置(好ましくは、回転式エバポレータおよび/または攪拌槽)内で、1〜1013mbarの、好ましくは600mbar未満(<600mbar)の圧力下で、場合により、エバポレートする成分の分圧を1〜8m3/h(好ましくは2.5〜4.5m3/h)に低下させるための化学的不活性キャリアガスを連続供給しながら、30〜90℃、好ましくは60〜75℃、より好ましくは60〜70℃の反応温度で、かつ、好ましくは最大80回転/分(好ましくは20〜80回転/分)で反応系を穏やかに攪拌しながら、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜30Pa・sの、好ましくは4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの、特に好ましくは(4℃で10s−1の剪断速度で測定した)約1Pa・sの混合物の粘度までエバポレーションすることにより溶媒(水、エタノール)を除去しながら行う。本発明の別の実施態様において、ケイ素含有生分解性物質を工程(c)において、好ましくは2〜4℃まで冷却する。熟成(工程d)は、好ましくはこの低温下で行う。熟成は数時間または数日、最大で3〜4週間行ってもよい。工程(d)における熟成は、4℃で10s−1の剪断速度で30〜100Pa・sのゾルの粘度および2〜5の損失係数(4℃、10s−1、1%変形)まで行う。
【0025】
工程(e)におけるシリカゾル材料からのスレッドの取り出しは、好ましくは紡糸工程により行う。前記紡糸工程は、例えば独国特許第19609551号および独国特許出願第102004063599号に記載されるような通常の条件で行うことができる。
【0026】
粉末を生成するためのシリカゾルの乾燥は、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥により行う。粉末は、モノリスの粉砕および破砕または本発明の繊維の粉砕および破砕により得ることができる。液体調製物を生成するために、この粉末を溶媒に溶解させる。適当な溶媒は、用途に応じて(例えば、注入用溶液または懸濁液)水性若しくは油性である。
【0027】
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングされる物品は、好ましくはシリカゾル材料で被覆され、物品をシリカゾルに浸すことにより、シリカゾルの散布により、またはスピンコーティングあるいは噴霧により被覆される。
【0028】
工程(d)のシリカゾル材料を、(モノリスを生成するために)型に流し込み、その後乾燥させることができる。
【0029】
さらに、本発明のケイ素含有生分解性物質に関するより具体的な情報は、独国特許第19609551号、国際公開第01/42428号、欧州特許出願第1262542号、国際公開第2006/069567号、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806に見出すことができる。
【0030】
本発明の意味において、表現「生分解性」は、一般的な組織再生(例えば創傷)の間の典型的な条件に物質をさらした場合に、分解する本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の特性を意味する。本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物は、本発明の意味において、特に、37℃に温度調整された0.05Mのトリス緩衝液(pH7.4)(Fluka 93371)中に完全に溶解した48時間後、好ましくは36時間後、とりわけ好ましくは24時間後に「生物学的に分解性」若しくは「生分解性」である。
【0031】
サイトカインおよびケモカインは、感染症、けがおよびガンに対する炎症および反応を制御する。いくつかのサイトカインが外因性および内因性物質に対する反応を増強させるのに対して、別のサイトカインは炎症を抑えることにより治癒を促進する。ほとんど全ての炎症誘発サイトカインの発現および生成は、炎症反応との関係において、NFκb転写因子により制御されるシグナル経路を介して制御されている。したがって、NFκb転写因子は、インターロイキン−1β、インターロイキン−6およびインターロイキン−8の誘導における主要調節分子でもある。インターロイキン−1β、インターロイキン−6およびインターロイキン−8は、炎症増強または炎症開始サイトカインであり、これは、発熱、炎症、組織破壊および場合によりショックおよび死亡を伴う。したがって、IL−1βおよび/またはIL−6および/またはIL−8の生物活性を下げることは、種々の治療手段の目的となり、多数の炎症性疾患においてうまく適用されている。
【0032】
用語「インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患」には、好ましくは以下の疾患が含まれる:自己免疫疾患、アレルギー、腸炎、大腸炎、胃炎、関節炎、心筋炎、皮膚炎、耳炎、肺炎、ショック肺、血液凝固障害、炎症性骨/関節疾患、関節リウマチ、敗血症、敗血性ショック、移植後後遺症、急性および慢性炎症、炎症性大腸炎、移植片対宿主病、ショック、脳卒中、急性呼吸器症候群(ARDS)、乾癬、再狭窄、エイズ、悪液質、頭蓋脳外傷、アレルギー、寄生性感染症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病、移植片拒絶反応、喘息および慢性閉塞性肺疾患、慢性胃炎、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎、尋常性天疱瘡および/またはその他の局所的および全身性感染症。
【0033】
自己免疫疾患には、特に以下の疾患が含まれる:円形脱毛症、抗リン脂質症候群、筋萎縮性側索硬化症、多腺性内分泌障害−カンジダ症−外胚葉性ジストロフィー(多腺性自己免疫疾患)、側頭動脈炎、アテローム性動脈硬化症、自己免疫腸疾患、CREST症候群、クローン病、皮膚筋炎、ジューリング疱疹状皮膚炎、真性糖尿病1型、後天性表皮水疱症、線維筋痛、慢性自己免疫胃炎、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、PANDAS、甲状腺機能亢進症、特発性血小板減少性紫斑病、膠原病、若年性関節リウマチ、冠動脈性心疾患、頭蓋下顎機能障害、クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症、硬化性苔癬、線状IgA水疱症、ライム関節炎、エリテマトーデス、混合性結合組織病、アジソン病、バセドー病、重症筋無力症、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血(ビールマー病)、ヴェールホーフ病、重症筋無力症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ性多発筋痛、関節リウマチ、シェーグレン症候群、硬皮症、全身強直性症候群、交感性眼炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、ヴェゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、自己免疫肝炎、水疱性類天疱瘡、脂漏性天疱瘡、多発性血管炎、多発神経障害、ライター症候群、リウマチ熱、チャーグ・ストラウス症候群、副鼻腔炎、サルコイドーシス、高安動脈炎、トキソプラズマ症、糸球体腎炎、橋本甲状腺炎、ベーチェット病、再発性多発軟骨炎、全軟骨炎、全身性軟骨軟化症、多発性軟骨炎、多腺性自己免疫不全症、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病(アナフィラキシー性紫斑病、アレルギー性血管炎)、白斑、セリアック病、自己免疫性腎炎および血管炎および/または自己免疫性白血病。
【0034】
本発明の化合物により好ましくは治療される疾患は、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および/または尋常性天疱瘡である。
【0035】
ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の適する投与量は、一般的に、1日あたり総量で0.001〜100mg/kg(体重)であり、1回または複数回で投与する。好ましくは、1日あたり0.01〜25mg/kg、より好ましくは0.1〜5mg/kgの投与量で使用する。しかしながら、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の生分解特性は、長期間、この化合物を高い投与量で投与することができ、例えばモノリスの形態の蓄積として体内(例えば皮下)で分解されることも意味する。
【0036】
本発明の物質またはそれらの前駆体(例えば、上記の工程(d)のシリカゾル)は、医薬品において一般的な担体物質、フィラー、崩壊調整剤、バインダー、潤滑剤、吸収剤、希釈剤、香料調整剤、顔料等を所望の投与量に代えて調製することができる。Remington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack出版社、イーストペンシルベニア(1980)が参照される。
【0037】
本発明の物質を、所望の経口、経粘膜(例えば、舌下腺、口腔、直腸、鼻腔または膣)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、静脈内)、経皮経路または局所的(例えば、皮膚上への直接投与または露出器官若しくは創傷への局所塗布)の投与形態において投与することができる。
【0038】
経口投与について、特に、タブレット、被覆タブレット、フィルム被覆タブレット、カプセル、ピル、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、エマルションまたは溶液を考慮してよい。
【0039】
タブレット、被覆タブレット、カプセル等は、例えば、上述したように、工程(d)で得られたシリカゾル材料を、モノリスを生成するためにタブレット状またはカプセル状の型に流し込むことにより得ることができる。しかしながら、上述した粉末状の本発明の物質を用いて、タブレットおよびカプセルを一般的な方法により調製することもできる。既知の添加剤、例えば、デキストロース、糖、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドンなどの希釈剤、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの崩壊剤、デンプンまたはゼラチンなどのバインダー、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクなどの潤滑剤、および/またはカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースまたは酢酸ポリビニルなど蓄積効果を達成するための薬剤を、本発明の物質若しくはそれらの前駆体に添加することができる。また、タブレットは複数の層から構成されていてもよい。本発明の物質を含むカプセルは、例えば、本発明の物質若しくはそれらの前駆体と不活性担体(例えば、ラクトースまたはソルビトール)を混合し、それらをゼラチンカプセルによりカプセル化することにより調製することができる。それに対して、被覆タブレットは、タブレットと同様にして調製されたコアをタブレットコーティングにおいて通常使用される薬剤(例えば、ポリビニルピロリドンまたはシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタンまたは糖)でコーティングすることにより調製することができる。被覆タブレットのシェルも複数の層からなっていてよく、上述したタブレット用の添加剤を使用することができる。
【0040】
非経口投与、注射および点滴調製物を使用することもできる。関節注射について、対応して調製された結晶懸濁液を使用することもできる。筋肉注射については、例えば注射または懸濁用の水溶液および油性溶液ならびに対応するデボー製剤などの液体調製物を適用できる。直腸投与に関して、全身治療若しくは局所治療のいずれに対しても本発明の物質を、坐薬、カプセル、溶液(例えば浣腸の形態)および軟膏の形態で使用することができる。さらに、調製物として膣用薬剤を挙げることができる。注射若しくは懸濁液用の溶液などの液体調製物は、例えば、上述した粉末状の本発明の物質に適当な水溶液または油性溶液を加えることにより得ることができる。別の種類の調製物は、当業者に既知である。本発明の物質の溶液若しくは懸濁液は、サッカリン、チクロまたは糖などの薬剤の味覚改良剤およびバニラまたはオレンジ抽出物などの香味料をさらに含むことができる。さらに、本発明の物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの懸濁化助剤またはp−ヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤を含むことができる。適当な坐薬は、例えば、適切な担体(例えば、天然脂肪若しくはポリエチレングリコールまたはそれらの誘導体)を混合することにより調製することができる。
【0041】
経皮投与に関しては、または局所投与用のゲル、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、粉末、ミルクおよびチンキとしての調製物に関しては、パッチが可能である。絆創膏は、先行技術において記載されるように、好ましくは本発明の物質から作られた繊維または繊維マトリックス(不織布)からなる。
【0042】
本発明の別の実施態様においては、本発明の物質若しくはそれらの前駆体を、例えば被覆すべき物質若しくは物品を上述した工程(d)におけるシリカゾル材料に浸漬することにより、前記シリカゾル材料を散布またはスピンコートあるいは噴霧することによる被覆工程により被覆させることができる。
【0043】
上述した投与形態は、製造工程で添加することのできる他の活性医薬成分を含んでいてよい。
【実施例】
【0044】
1.ポリヒドロキシケイ酸エチルエステルからの本発明の繊維マトリックスの調製
加水分解/縮合反応の誘導物質として、1124.98gのTEOS(テトラヒドロキシシラン)を攪拌容器内に投入した。313.60gのエタノールを溶媒として加えた。混合物を攪拌した。これとは別に、1NのHNO3(55.62g)を水(120.76g)で希釈し、TEOS−エタノール混合物に添加した。混合物を18時間攪拌した。
【0045】
その後、この工程により得られた混合物を、担体流を供給して攪拌(60回転/分)しながら、1Pa・sの動的粘度(剪断速度10s−1、4℃)まで、62℃の温度でエバポレートした。
【0046】
その後、密閉されたポリプロピレン熟成ビーカーにおいて溶液を、安静下で直立させて、約55Pa・sの動的粘度(剪断速度10s−1、4℃)および3.0の損失係数まで、4℃の温度で熟成させた。
【0047】
次いで、熟成により得られたゾルを繊維に紡いだ。繊維の製造は、一般的な紡織装置において行った。このために、−15℃まで冷却した圧縮シリンダーに紡織材料を充填した。紡織材料にノズルを介して圧力をかけた。局部温度に応じて、またそれによる紡織材料の粘度に応じて、形成された紡糸スレッドは約50μmの直径を有していた。流動性のハチミツ様材料は、圧縮シリンダーの下部に配置された2mの長さの紡織シャフト内に自重により落下した。温度は25℃、相対湿度は19%であった。スレッドが交換台上に達した際、それらは実質的に円筒形を保持していたが、未だ流動性であり、それらの接触面で繊維束(不織布)として互いに接着した。
【0048】
2.ケラチノサイトにおける構成的および誘導インターロイキン−1β合成
実施例1においてポリヒドロキシケイ酸エチルエステル(図においてはPKSEEと略する)から調製した繊維マトリックスの、ケラチノサイトにおける構成的インターロイキン−1β合成への影響を確認するために、各ウェルに200000個のケラチノサイトと3mlの成長培地を含む6ウェル細胞培養プレートを使用した。次いで、この細胞培養プレートを適当なプラスチックハンガーを取り付けた。ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の試験の場合、それぞれ1cm2のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル繊維マトリックスをハンガーに注入し、1mlの培地で覆った。コントロールでは、ハンガーに1mlの培地を補充した。プラスチックハンガーの内容物を、薄膜により細胞培養培地から分離した。しかしながら、薄膜の浸透性により、ハンガーの内容物と細胞培養培地との間で溶解物質の交換をすることができる。培養プレートを2〜4日間培養した。その後、細胞培養上清中のインターロイキン−1βの絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−1βELISAキット:R&D Systems製]により測定した。図1aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−1β合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0049】
初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図1bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の誘導インターロイキン1β合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0050】
3.ケラチノサイト、内皮細胞および線維芽細胞における構成的および誘導インターロイキン−6合成
インターロイキン−1βの代わりに、細胞培養上清中のインターロイキン−6の絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−6ELISAキット:R&D Systems製]により測定した以外は実施例2に記載されたのと同様の試験を行った。図2aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0051】
初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図2bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の、IL−1βにより誘導されたインターロイキン−6合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0052】
ケラチノサイトの代わりに内皮細胞および線維芽細胞に対して、同様の試験を行った。図3aは、培養後72時間での内皮細胞における構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図3bは、72時間後の内皮細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図4aは、培養後72時間での線維芽細胞における構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下を示す(スチューデントtテスト)。図4bは、線維芽細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0053】
4.ケラチノサイト、内皮細胞および線維芽細胞における構成的および誘導インターロイキン−8合成
インターロイキン−1βの代わりに、細胞培養上清中のインターロイキン−8の絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−8ELISAキット:R&D Systems製]により測定した以外は実施例2に記載されたのと同様の試験を行った。図5aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0054】
さらに、初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図5bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の、IL−1βにより誘導されたインターロイキン−8合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0055】
ケラチノサイトの代わりに内皮細胞および線維芽細胞に対して、同様の試験を行った。図6aは、培養後72時間での内皮細胞における構成的ンターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図6bは、72時間後の内皮細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図7aは、培養後72時間での線維芽細胞における構成的インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下を示す(スチューデントtテスト)。図7bは、線維芽細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0056】
図1a、2a、3a、4a、5a、6aおよび7a:*;p<0.05(コントロールとの比較);n=9
図1b、2b、3b、4b、5b、6bおよび7b:*;p<0.05(コントロールとの比較);n=12
統計評価はスチューデントtテストにより行った。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、前記サイトカインの活性を低下させることで治療し得る疾患の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素は微量元素であり、その結合したケイ酸塩の形態は人にとって重要である。ケイ素は、組織の強度および弾力性に関与するタンパク質の構成要素である。ケイ素は、結合組織、骨、皮膚、毛髪、爪および血管にも取り込まれる。さらに、ケイ素はからだの防御系、すなわち免疫系を強化し、創傷治癒を促進する。ケイ素の欠乏は、成長障害、骨粗鬆症の危険性を高める骨安定性の低下、ならびに早発性の脱毛、もろい爪および皮膚変化を引き起こす。皮膚における考え得る変化は、シワ形成の増加、乾燥、落屑、角化の増加、掻痒、肥大化および弾力性の低下に起因する痛みを伴う皮膚のひび割れである。さらに、からだの防御系、いわゆる免疫系はケイ素の欠乏により弱くなり、それにより感染症に対する罹病性は増加する。
【0003】
米国特許出願第2006/0178268号は、骨、軟骨、皮膚、動脈、結合組織、関節、毛髪、爪および皮膚の疾患、ならびに骨粗鬆症、リウマチ性疾患、動脈硬化、関節炎、心血管疾患、アレルギー性疾患および変性疾患の治療用の非コロイド状ケイ酸およびホウ酸からなる水溶液を記載する。
【0004】
米国特許出願第2006/0099276号は、第4級アンモニウム化合物、アミノ酸若しくはアミノ酸源またはそれらの組み合わせの同時存在下、ケイ素化合物をオリゴマーへ加水分解することによるシリカ誘導体の製造方法を開示する。シリカ成形品を、感染症、爪、毛髪、皮膚、歯、コラーゲン、結合組織、および骨の疾患、骨減少症を治療するための医薬品、変性(老化)過程に対する細胞形成のための医薬品として使用することができる。
【0005】
米国特許第6,335,457号は、ケイ酸がポリペプチドと複合体を形成する固体物質を開示する。この特許は、この固体物質を含む治療上有効な混合物も開示する。
【0006】
国際公開第2009/018356号は、前立腺ガン、結腸直腸がん、肺がん、乳がん、肝がん、神経細胞のガン、骨のガン、HIV症候群、関節リウマチ、多発性硬化症、エプスタイン・バーウイルス、線維筋痛、慢性疲労症候群、糖尿病、ベーチェット病、炎症性大腸炎、クローン病、褥瘡、栄養障害性潰瘍、放射線療法または化学療法により弱まった免疫系、血腫またはそれらの組み合わせを予防若しくは治療するためのリン酸ナトリウム化合物、アンモニウム化合物およびケイ酸塩を含有する混合物に関する。
【0007】
国際公開第2009/052090号は、ケイ酸塩を含有する組成物を用いる、炎症性疾患、自己免疫疾患、細菌性若しくはウィルス性感染症およびガンの治療方法を記載する。
【0008】
米国特許出願第2003/0018011号は、脂肪酸および水溶性ケイ酸ポリマーを含む、抗アレルギー剤若しくは抗炎症剤としての医薬品組成物に関する。
【0009】
米国特許第5,534,509号は、不活性担体としての単糖類若しくは糖アルコールとともに、活性剤として水溶性ケイ酸ポリマーを含む、アレルギー、炎症、痛みを治療するための、または末梢血液循環若しくは知覚障害を改善するための医薬品組成物に関する。
【0010】
独国特許第19609551号は、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステルに基づく生体吸収性(連続的)繊維の製造を記載する。この繊維は、生分解性および/または生体吸収性(インプラント)物質用の強化繊維として使用される。この繊維は、生分解性組成物の製造にも使用することができる。
【0011】
国際公開第01/42428号は、皮膚細胞を栄養溶液の表面に適用し、独国特許第19609551号に記載された繊維からなる表面要素により皮膚細胞を成長させる、皮膚インプラントを製造する方法を記載する。
【0012】
欧州特許出願第1262542号は、繊維マトリックスを、独国特許第19609551号に従う細胞支持体および/または指向性構造として使用する、細胞、組織および器官のインビトロにおける生成方法に関する。
【0013】
国際公開第2006/069567号は、独国特許第19609551号に従う繊維マトリックスが1つの層においても使用される多層ドレッシングに関する。この多層ドレッシングは、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍, 慢性下腿潰瘍, 床ずれ, 二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷を治療するために使用される。
【0014】
とりわけ、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806は、本発明に従って使用し得る別のポリヒドロキシケイ酸エチルエステルの製造を記載する。この化合物は、一般的に人間医学、医用工学、フィルター技術、バイオテクノロジーまたは断熱材産業における生体吸収性物質用として記載されている。また、この物質が創傷治療および創傷治癒の分野において有利に使用できることも記載されている。例えば、繊維を外科用縫合材料または強化繊維として使用することができる。不織布材料を、浅い傷の治療において、体液(例えば、血液)の濾過において、または生体反応器の分野における培養補助具として使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0178268号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2006/0099276号明細書
【特許文献3】米国特許第6,335,457号明細書
【特許文献4】国際公開第2009/018356号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2009/052090号パンフレット
【特許文献6】米国特許出願第2003/0018011号明細書
【特許文献7】米国特許第5,534,509号明細書
【特許文献8】独国特許第19609551号明細書
【特許文献9】国際公開第01/42428号明細書
【特許文献10】欧州特許出願第1262542号明細書
【特許文献11】国際公開第2006/069567号明細書
【特許文献12】国際公開第2008/086970号明細書
【特許文献13】国際公開第2008/148384号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物(例えば、繊維状または不織布形態)を、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、前記サイトカインの活性を低下させることで治療し得る疾患の予防および/または治療のために使用できることは、先行技術において開示されていない。創傷治療および創傷治癒のためのポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の使用は前記文献に確かに記載されており、創傷治癒が前炎症過程若しくは抗炎症過程を伴うことが知られているが、先行技術は、特に炎症性疾患および/または自己免疫疾患に対する、前記生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の予防的および/または治療的な一般的使用を記載しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷は除外する)の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、ケイ素含有生分解性物質がポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物であるケイ素含有生分解性物質に関する。本発明は、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷は除外する)の予防および/または治療のための生分解性ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の使用も含む。
【0018】
本発明は、以下の特許文献:独国特許第19609551号、国際公開第01/42428号、欧州特許出願第1262542号、国際公開第2006/069567号、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806に記載される発明の物質の使用の発明を包含しない。創傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷若しくは擦傷の治療のための、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル繊維不織布材の多層ドレッシングの構成要素としての使用が国際公開第2006/069567号に記載されている。欧州特許出願第1262542号には、本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の種々の再生医療用途が記載されている。本発明に従う用語「再生医療用途」は、欧州特許出願第1262542号に記載される生成物、方法および用途を対象とする。したがって、これらが本発明の課題に関連する場合には、本発明は欧州特許出願第1262542号で論じられる発明に従うケイ素含有生分解性物質の再生医療の使用を含まない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1a】ケラチノサイトにおけるIL−1β合成についてのELISA分析の結果を示す。
【図1b】ケラチノサイトにおけるIL−1βについてのELISA分析の結果を示す。
【図2a】ケラチノサイトにおけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図2b】ケラチノサイトにおけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図3a】内皮細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図3b】内皮細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図4a】繊維芽細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図4b】繊維芽細胞におけるIL−6についてのELISA分析の結果を示す。
【図5a】ケラチノサイトにおけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図5b】ケラチノサイトにおけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図6a】内皮細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図6b】内皮細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図7a】繊維芽細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【図7b】繊維芽細胞におけるIL−8についてのELISA分析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語「ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物」は、一般式:H[OSi8O12(OH)x(OC2H5)6−x]nOH〔式中、xは2〜5であり、n>1(ポリマー)である〕の本発明に従う全ての化合物を表す。
【0021】
本発明のケイ素含有生分解性物質は、好ましくは繊維状、繊維マトリックス、粉末、モノリスおよび/またはコーティングの形態の物質である。このケイ素含有生分解性物質は、下記に記載する方法に従って製造することができる:
(a)少なくとも1つのテトラエトキシシランの加水分解/縮合反応
(b)単相溶液を生成するための、好ましくは反応系の穏やかな混合と同時に行うエバポレーション
(c)単相溶液の冷却、および
(d)シリカゾル材料を生成するための熟成
(e)繊維または繊維マトリックスを生成するためのシリカゾル材料からのスレッドの取り出し、および/または、
粉末を生成するためのシリカゾル材料の乾燥、特に噴霧乾燥若しくは凍結乾燥、および場合により液体調製物を生成するための該粉末の溶媒への溶解、および/または、
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングする物品へのシリカゾル材料のコーティング、および/または、
モノリスを生成するためのシリカゾル材料の型への流し込み。
【0022】
本発明によれば、本発明のケイ素含有生分解性物質は、好ましくは繊維状、繊維マトリックス(不織布)、粉末、液体調製物および/またはコーティングである。
【0023】
本発明の別の実施態様においては、工程(a)において、テトラエトキシシランを、0〜≦7の初期pHで、場合により水溶性溶媒、好ましくはエタノールの存在下、0〜80℃の温度で酸触媒し、工程(b)において、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの範囲の粘度まで単相溶液をエバポレートして、本発明のケイ素含有生分解性物質を前述のとおり製造する。
【0024】
本発明の別の実施態様においては、工程(a)における酸触媒反応を、ケイ素化合物に対して、1:1.7〜1:1.9、好ましくは1:1.7〜1:1.8の範囲のモル比の硝酸水溶液により行い、本発明のケイ素含有生分解性物質を前述のとおり製造する。工程(a)における加水分解/縮合反応は、好ましくは20〜60℃の、好ましくは20〜50℃の温度範囲で、少なくとも1時間行う。好ましくは、工程(a)における加水分解/縮合反応は数時間、例えば8〜16時間行う。また、この反応を4週間の期間で行うこともできる。本発明の好ましい実施態様において、工程(b)は、混合が可能である密閉装置(好ましくは、回転式エバポレータおよび/または攪拌槽)内で、1〜1013mbarの、好ましくは600mbar未満(<600mbar)の圧力下で、場合により、エバポレートする成分の分圧を1〜8m3/h(好ましくは2.5〜4.5m3/h)に低下させるための化学的不活性キャリアガスを連続供給しながら、30〜90℃、好ましくは60〜75℃、より好ましくは60〜70℃の反応温度で、かつ、好ましくは最大80回転/分(好ましくは20〜80回転/分)で反応系を穏やかに攪拌しながら、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜30Pa・sの、好ましくは4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの、特に好ましくは(4℃で10s−1の剪断速度で測定した)約1Pa・sの混合物の粘度までエバポレーションすることにより溶媒(水、エタノール)を除去しながら行う。本発明の別の実施態様において、ケイ素含有生分解性物質を工程(c)において、好ましくは2〜4℃まで冷却する。熟成(工程d)は、好ましくはこの低温下で行う。熟成は数時間または数日、最大で3〜4週間行ってもよい。工程(d)における熟成は、4℃で10s−1の剪断速度で30〜100Pa・sのゾルの粘度および2〜5の損失係数(4℃、10s−1、1%変形)まで行う。
【0025】
工程(e)におけるシリカゾル材料からのスレッドの取り出しは、好ましくは紡糸工程により行う。前記紡糸工程は、例えば独国特許第19609551号および独国特許出願第102004063599号に記載されるような通常の条件で行うことができる。
【0026】
粉末を生成するためのシリカゾルの乾燥は、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥により行う。粉末は、モノリスの粉砕および破砕または本発明の繊維の粉砕および破砕により得ることができる。液体調製物を生成するために、この粉末を溶媒に溶解させる。適当な溶媒は、用途に応じて(例えば、注入用溶液または懸濁液)水性若しくは油性である。
【0027】
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングされる物品は、好ましくはシリカゾル材料で被覆され、物品をシリカゾルに浸すことにより、シリカゾルの散布により、またはスピンコーティングあるいは噴霧により被覆される。
【0028】
工程(d)のシリカゾル材料を、(モノリスを生成するために)型に流し込み、その後乾燥させることができる。
【0029】
さらに、本発明のケイ素含有生分解性物質に関するより具体的な情報は、独国特許第19609551号、国際公開第01/42428号、欧州特許出願第1262542号、国際公開第2006/069567号、国際公開第2008/086970号、国際公開第2008/148384号、PCT/EP2008/010412およびPCT/EP2009/004806に見出すことができる。
【0030】
本発明の意味において、表現「生分解性」は、一般的な組織再生(例えば創傷)の間の典型的な条件に物質をさらした場合に、分解する本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の特性を意味する。本発明のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物は、本発明の意味において、特に、37℃に温度調整された0.05Mのトリス緩衝液(pH7.4)(Fluka 93371)中に完全に溶解した48時間後、好ましくは36時間後、とりわけ好ましくは24時間後に「生物学的に分解性」若しくは「生分解性」である。
【0031】
サイトカインおよびケモカインは、感染症、けがおよびガンに対する炎症および反応を制御する。いくつかのサイトカインが外因性および内因性物質に対する反応を増強させるのに対して、別のサイトカインは炎症を抑えることにより治癒を促進する。ほとんど全ての炎症誘発サイトカインの発現および生成は、炎症反応との関係において、NFκb転写因子により制御されるシグナル経路を介して制御されている。したがって、NFκb転写因子は、インターロイキン−1β、インターロイキン−6およびインターロイキン−8の誘導における主要調節分子でもある。インターロイキン−1β、インターロイキン−6およびインターロイキン−8は、炎症増強または炎症開始サイトカインであり、これは、発熱、炎症、組織破壊および場合によりショックおよび死亡を伴う。したがって、IL−1βおよび/またはIL−6および/またはIL−8の生物活性を下げることは、種々の治療手段の目的となり、多数の炎症性疾患においてうまく適用されている。
【0032】
用語「インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患」には、好ましくは以下の疾患が含まれる:自己免疫疾患、アレルギー、腸炎、大腸炎、胃炎、関節炎、心筋炎、皮膚炎、耳炎、肺炎、ショック肺、血液凝固障害、炎症性骨/関節疾患、関節リウマチ、敗血症、敗血性ショック、移植後後遺症、急性および慢性炎症、炎症性大腸炎、移植片対宿主病、ショック、脳卒中、急性呼吸器症候群(ARDS)、乾癬、再狭窄、エイズ、悪液質、頭蓋脳外傷、アレルギー、寄生性感染症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病、移植片拒絶反応、喘息および慢性閉塞性肺疾患、慢性胃炎、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎、尋常性天疱瘡および/またはその他の局所的および全身性感染症。
【0033】
自己免疫疾患には、特に以下の疾患が含まれる:円形脱毛症、抗リン脂質症候群、筋萎縮性側索硬化症、多腺性内分泌障害−カンジダ症−外胚葉性ジストロフィー(多腺性自己免疫疾患)、側頭動脈炎、アテローム性動脈硬化症、自己免疫腸疾患、CREST症候群、クローン病、皮膚筋炎、ジューリング疱疹状皮膚炎、真性糖尿病1型、後天性表皮水疱症、線維筋痛、慢性自己免疫胃炎、グッドパスチャー症候群、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、PANDAS、甲状腺機能亢進症、特発性血小板減少性紫斑病、膠原病、若年性関節リウマチ、冠動脈性心疾患、頭蓋下顎機能障害、クリオグロブリン血症、寒冷凝集素症、硬化性苔癬、線状IgA水疱症、ライム関節炎、エリテマトーデス、混合性結合組織病、アジソン病、バセドー病、重症筋無力症、ナルコレプシー、尋常性天疱瘡、悪性貧血(ビールマー病)、ヴェールホーフ病、重症筋無力症、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ性多発筋痛、関節リウマチ、シェーグレン症候群、硬皮症、全身強直性症候群、交感性眼炎、巨細胞性動脈炎、潰瘍性大腸炎、脈管炎、ヴェゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、自己免疫肝炎、水疱性類天疱瘡、脂漏性天疱瘡、多発性血管炎、多発神経障害、ライター症候群、リウマチ熱、チャーグ・ストラウス症候群、副鼻腔炎、サルコイドーシス、高安動脈炎、トキソプラズマ症、糸球体腎炎、橋本甲状腺炎、ベーチェット病、再発性多発軟骨炎、全軟骨炎、全身性軟骨軟化症、多発性軟骨炎、多腺性自己免疫不全症、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病(アナフィラキシー性紫斑病、アレルギー性血管炎)、白斑、セリアック病、自己免疫性腎炎および血管炎および/または自己免疫性白血病。
【0034】
本発明の化合物により好ましくは治療される疾患は、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および/または尋常性天疱瘡である。
【0035】
ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の適する投与量は、一般的に、1日あたり総量で0.001〜100mg/kg(体重)であり、1回または複数回で投与する。好ましくは、1日あたり0.01〜25mg/kg、より好ましくは0.1〜5mg/kgの投与量で使用する。しかしながら、ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の生分解特性は、長期間、この化合物を高い投与量で投与することができ、例えばモノリスの形態の蓄積として体内(例えば皮下)で分解されることも意味する。
【0036】
本発明の物質またはそれらの前駆体(例えば、上記の工程(d)のシリカゾル)は、医薬品において一般的な担体物質、フィラー、崩壊調整剤、バインダー、潤滑剤、吸収剤、希釈剤、香料調整剤、顔料等を所望の投与量に代えて調製することができる。Remington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack出版社、イーストペンシルベニア(1980)が参照される。
【0037】
本発明の物質を、所望の経口、経粘膜(例えば、舌下腺、口腔、直腸、鼻腔または膣)、非経口(例えば、皮下、筋肉内、ボーラス注入、動脈内、静脈内)、経皮経路または局所的(例えば、皮膚上への直接投与または露出器官若しくは創傷への局所塗布)の投与形態において投与することができる。
【0038】
経口投与について、特に、タブレット、被覆タブレット、フィルム被覆タブレット、カプセル、ピル、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、エマルションまたは溶液を考慮してよい。
【0039】
タブレット、被覆タブレット、カプセル等は、例えば、上述したように、工程(d)で得られたシリカゾル材料を、モノリスを生成するためにタブレット状またはカプセル状の型に流し込むことにより得ることができる。しかしながら、上述した粉末状の本発明の物質を用いて、タブレットおよびカプセルを一般的な方法により調製することもできる。既知の添加剤、例えば、デキストロース、糖、ソルビトール、マンニトール、ポリビニルピロリドンなどの希釈剤、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの崩壊剤、デンプンまたはゼラチンなどのバインダー、ステアリン酸マグネシウムまたはタルクなどの潤滑剤、および/またはカルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースまたは酢酸ポリビニルなど蓄積効果を達成するための薬剤を、本発明の物質若しくはそれらの前駆体に添加することができる。また、タブレットは複数の層から構成されていてもよい。本発明の物質を含むカプセルは、例えば、本発明の物質若しくはそれらの前駆体と不活性担体(例えば、ラクトースまたはソルビトール)を混合し、それらをゼラチンカプセルによりカプセル化することにより調製することができる。それに対して、被覆タブレットは、タブレットと同様にして調製されたコアをタブレットコーティングにおいて通常使用される薬剤(例えば、ポリビニルピロリドンまたはシェラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタンまたは糖)でコーティングすることにより調製することができる。被覆タブレットのシェルも複数の層からなっていてよく、上述したタブレット用の添加剤を使用することができる。
【0040】
非経口投与、注射および点滴調製物を使用することもできる。関節注射について、対応して調製された結晶懸濁液を使用することもできる。筋肉注射については、例えば注射または懸濁用の水溶液および油性溶液ならびに対応するデボー製剤などの液体調製物を適用できる。直腸投与に関して、全身治療若しくは局所治療のいずれに対しても本発明の物質を、坐薬、カプセル、溶液(例えば浣腸の形態)および軟膏の形態で使用することができる。さらに、調製物として膣用薬剤を挙げることができる。注射若しくは懸濁液用の溶液などの液体調製物は、例えば、上述した粉末状の本発明の物質に適当な水溶液または油性溶液を加えることにより得ることができる。別の種類の調製物は、当業者に既知である。本発明の物質の溶液若しくは懸濁液は、サッカリン、チクロまたは糖などの薬剤の味覚改良剤およびバニラまたはオレンジ抽出物などの香味料をさらに含むことができる。さらに、本発明の物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどの懸濁化助剤またはp−ヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤を含むことができる。適当な坐薬は、例えば、適切な担体(例えば、天然脂肪若しくはポリエチレングリコールまたはそれらの誘導体)を混合することにより調製することができる。
【0041】
経皮投与に関しては、または局所投与用のゲル、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、粉末、ミルクおよびチンキとしての調製物に関しては、パッチが可能である。絆創膏は、先行技術において記載されるように、好ましくは本発明の物質から作られた繊維または繊維マトリックス(不織布)からなる。
【0042】
本発明の別の実施態様においては、本発明の物質若しくはそれらの前駆体を、例えば被覆すべき物質若しくは物品を上述した工程(d)におけるシリカゾル材料に浸漬することにより、前記シリカゾル材料を散布またはスピンコートあるいは噴霧することによる被覆工程により被覆させることができる。
【0043】
上述した投与形態は、製造工程で添加することのできる他の活性医薬成分を含んでいてよい。
【実施例】
【0044】
1.ポリヒドロキシケイ酸エチルエステルからの本発明の繊維マトリックスの調製
加水分解/縮合反応の誘導物質として、1124.98gのTEOS(テトラヒドロキシシラン)を攪拌容器内に投入した。313.60gのエタノールを溶媒として加えた。混合物を攪拌した。これとは別に、1NのHNO3(55.62g)を水(120.76g)で希釈し、TEOS−エタノール混合物に添加した。混合物を18時間攪拌した。
【0045】
その後、この工程により得られた混合物を、担体流を供給して攪拌(60回転/分)しながら、1Pa・sの動的粘度(剪断速度10s−1、4℃)まで、62℃の温度でエバポレートした。
【0046】
その後、密閉されたポリプロピレン熟成ビーカーにおいて溶液を、安静下で直立させて、約55Pa・sの動的粘度(剪断速度10s−1、4℃)および3.0の損失係数まで、4℃の温度で熟成させた。
【0047】
次いで、熟成により得られたゾルを繊維に紡いだ。繊維の製造は、一般的な紡織装置において行った。このために、−15℃まで冷却した圧縮シリンダーに紡織材料を充填した。紡織材料にノズルを介して圧力をかけた。局部温度に応じて、またそれによる紡織材料の粘度に応じて、形成された紡糸スレッドは約50μmの直径を有していた。流動性のハチミツ様材料は、圧縮シリンダーの下部に配置された2mの長さの紡織シャフト内に自重により落下した。温度は25℃、相対湿度は19%であった。スレッドが交換台上に達した際、それらは実質的に円筒形を保持していたが、未だ流動性であり、それらの接触面で繊維束(不織布)として互いに接着した。
【0048】
2.ケラチノサイトにおける構成的および誘導インターロイキン−1β合成
実施例1においてポリヒドロキシケイ酸エチルエステル(図においてはPKSEEと略する)から調製した繊維マトリックスの、ケラチノサイトにおける構成的インターロイキン−1β合成への影響を確認するために、各ウェルに200000個のケラチノサイトと3mlの成長培地を含む6ウェル細胞培養プレートを使用した。次いで、この細胞培養プレートを適当なプラスチックハンガーを取り付けた。ポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物の試験の場合、それぞれ1cm2のポリヒドロキシケイ酸エチルエステル繊維マトリックスをハンガーに注入し、1mlの培地で覆った。コントロールでは、ハンガーに1mlの培地を補充した。プラスチックハンガーの内容物を、薄膜により細胞培養培地から分離した。しかしながら、薄膜の浸透性により、ハンガーの内容物と細胞培養培地との間で溶解物質の交換をすることができる。培養プレートを2〜4日間培養した。その後、細胞培養上清中のインターロイキン−1βの絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−1βELISAキット:R&D Systems製]により測定した。図1aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−1β合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0049】
初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図1bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の誘導インターロイキン1β合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0050】
3.ケラチノサイト、内皮細胞および線維芽細胞における構成的および誘導インターロイキン−6合成
インターロイキン−1βの代わりに、細胞培養上清中のインターロイキン−6の絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−6ELISAキット:R&D Systems製]により測定した以外は実施例2に記載されたのと同様の試験を行った。図2aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0051】
初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図2bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の、IL−1βにより誘導されたインターロイキン−6合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0052】
ケラチノサイトの代わりに内皮細胞および線維芽細胞に対して、同様の試験を行った。図3aは、培養後72時間での内皮細胞における構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図3bは、72時間後の内皮細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図4aは、培養後72時間での線維芽細胞における構成的インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下を示す(スチューデントtテスト)。図4bは、線維芽細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−6合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0053】
4.ケラチノサイト、内皮細胞および線維芽細胞における構成的および誘導インターロイキン−8合成
インターロイキン−1βの代わりに、細胞培養上清中のインターロイキン−8の絶対量および相対量をELISA分析[ヒトIL−8ELISAキット:R&D Systems製]により測定した以外は実施例2に記載されたのと同様の試験を行った。図5aは、培養後72時間での構成的インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0054】
さらに、初めの24時間にIL−1β(500ユニット/ml)を加えることによりケラチノサイトを活性化する点で異なる以外は、同様にして別の試験を行った。次いで、数回洗浄することにより、外因的に加えたIL−1βを培養物から除去し、培養物を24時間通常成長培地で培養した。図5bは、未処理培養物と比較して、本発明の物質で処理したケラチノサイト培養物の、IL−1βにより誘導されたインターロイキン−8合成における著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0055】
ケラチノサイトの代わりに内皮細胞および線維芽細胞に対して、同様の試験を行った。図6aは、培養後72時間での内皮細胞における構成的ンターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図6bは、72時間後の内皮細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。図7aは、培養後72時間での線維芽細胞における構成的インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下を示す(スチューデントtテスト)。図7bは、線維芽細胞におけるIL−1β誘導インターロイキン−8合成の著しくかつ大幅な低下(スチューデントtテスト)を示す。
【0056】
図1a、2a、3a、4a、5a、6aおよび7a:*;p<0.05(コントロールとの比較);n=9
図1b、2b、3b、4b、5b、6bおよび7b:*;p<0.05(コントロールとの比較);n=12
統計評価はスチューデントtテストにより行った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、損傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷または擦傷は除外する)の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、ケイ素含有生分解性物質がポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物であるケイ素含有生分解性物質。
【請求項2】
前記物質が繊維状、繊維マトリックス、粉末、液体調製物、モノリスおよび/またはコーティングである請求項1に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項3】
(a)少なくとも1つのテトラエトキシシランの加水分解/縮合反応
(b)単相溶液を生成するための、好ましくは反応系の穏やかな混合と同時に行うエバポレーション
(c)単相溶液の冷却、および
(d)シリカゾル材料を生成するための熟成
(e)繊維または繊維マトリックスを生成するためのシリカゾル材料からのスレッドの取り出し、および/または、
粉末を生成するためのシリカゾル材料の乾燥、特に噴霧乾燥若しくは凍結乾燥、および場合により液体調製物を生成するための該粉末の溶媒への溶解、および/または、
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングする物品へのシリカゾル材料のコーティング、および/または、
モノリスを生成するためのシリカゾル材料の型への流し込み
により製造される、請求項2に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項4】
請求項3に従って製造され、工程(a)において、テトラエトキシシランを、0〜≦7の初期pHで、場合により水溶性溶媒、好ましくはエタノールの存在下、0〜80℃の温度で酸触媒し、工程(b)において、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの範囲の粘度まで単相溶液をエバポレートする、請求項3に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項5】
工程(a)における酸触媒反応を、ケイ素化合物に対して、1:1.7〜1:1.9、好ましくは1:1.7〜1:1.8の範囲のモル比の硝酸水溶液により行う、請求項4に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項6】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、疾患が、自己免疫疾患、アレルギー、腸炎、大腸炎、胃炎、関節炎、心筋炎、皮膚炎、耳炎、肺炎、ショック肺、血液凝固障害、炎症性骨/関節疾患、関節リウマチ、敗血症、敗血性ショック、移植後後遺症、急性および慢性炎症、炎症性大腸炎、移植片対宿主病、ショック、脳卒中、急性呼吸器症候群(ARDS)、乾癬、再狭窄、エイズ、悪液質、頭蓋脳外傷、アレルギー、寄生性感染症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病、移植片拒絶反応、喘息および慢性閉塞性肺疾患、慢性胃炎、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎、尋常性天疱瘡および/またはその他の局所的および全身性感染症および/または急性および慢性炎症状態から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項7】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患の予防および/または治療のためケイ素含有生分解性物質であって、疾患が、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および/または尋常性天疱瘡から選択される、請求項6に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項1】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患(ただし、損傷欠陥、例えば慢性糖尿病性神経症性潰瘍、慢性下腿潰瘍、床ずれ、二次癒合感染創、非刺激性一次癒合創傷、例えば特に解離性裂傷または擦傷は除外する)の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、ケイ素含有生分解性物質がポリヒドロキシケイ酸エチルエステル化合物であるケイ素含有生分解性物質。
【請求項2】
前記物質が繊維状、繊維マトリックス、粉末、液体調製物、モノリスおよび/またはコーティングである請求項1に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項3】
(a)少なくとも1つのテトラエトキシシランの加水分解/縮合反応
(b)単相溶液を生成するための、好ましくは反応系の穏やかな混合と同時に行うエバポレーション
(c)単相溶液の冷却、および
(d)シリカゾル材料を生成するための熟成
(e)繊維または繊維マトリックスを生成するためのシリカゾル材料からのスレッドの取り出し、および/または、
粉末を生成するためのシリカゾル材料の乾燥、特に噴霧乾燥若しくは凍結乾燥、および場合により液体調製物を生成するための該粉末の溶媒への溶解、および/または、
ケイ素含有生分解性物質によりコーティングする物品へのシリカゾル材料のコーティング、および/または、
モノリスを生成するためのシリカゾル材料の型への流し込み
により製造される、請求項2に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項4】
請求項3に従って製造され、工程(a)において、テトラエトキシシランを、0〜≦7の初期pHで、場合により水溶性溶媒、好ましくはエタノールの存在下、0〜80℃の温度で酸触媒し、工程(b)において、4℃で10s−1の剪断速度で0.5〜2Pa・sの範囲の粘度まで単相溶液をエバポレートする、請求項3に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項5】
工程(a)における酸触媒反応を、ケイ素化合物に対して、1:1.7〜1:1.9、好ましくは1:1.7〜1:1.8の範囲のモル比の硝酸水溶液により行う、請求項4に記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項6】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患の予防および/または治療のためのケイ素含有生分解性物質であって、疾患が、自己免疫疾患、アレルギー、腸炎、大腸炎、胃炎、関節炎、心筋炎、皮膚炎、耳炎、肺炎、ショック肺、血液凝固障害、炎症性骨/関節疾患、関節リウマチ、敗血症、敗血性ショック、移植後後遺症、急性および慢性炎症、炎症性大腸炎、移植片対宿主病、ショック、脳卒中、急性呼吸器症候群(ARDS)、乾癬、再狭窄、エイズ、悪液質、頭蓋脳外傷、アレルギー、寄生性感染症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病、移植片拒絶反応、喘息および慢性閉塞性肺疾患、慢性胃炎、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎、尋常性天疱瘡および/またはその他の局所的および全身性感染症および/または急性および慢性炎症状態から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載のケイ素含有生分解性物質。
【請求項7】
インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8活性の増加を伴う疾患、ならびに/あるいは、インターロイキン−1βおよび/またはインターロイキン−6および/またはインターロイキン−8の活性低下が治癒過程に有益である疾患の予防および/または治療のためケイ素含有生分解性物質であって、疾患が、皮膚の急性および慢性炎症、乾癬、皮膚アレルギー、寄生性皮膚感染症、アトピー性皮膚炎、特に神経皮膚炎、皮膚筋炎および/または尋常性天疱瘡から選択される、請求項6に記載のケイ素含有生分解性物質。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【公表番号】特表2013−520462(P2013−520462A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554315(P2012−554315)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052560
【国際公開番号】WO2011/104214
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(504142961)バイエル・イノヴェイション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Innovation GmbH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052560
【国際公開番号】WO2011/104214
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(504142961)バイエル・イノヴェイション・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (22)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Innovation GmbH
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]