説明

抗炎症製剤

本発明は、アポシニン、及びペオノールを含む組成物に関する。当該組成物は、炎症性疾患の治療のために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト又は動物の治療のための抗炎症製剤、及び/又は鎮痛剤に関する。
【背景技術】
【0002】
鎮痛のために、NSAID、非ステロイド系抗炎症製剤の使用が知られている。しかしながら、かかる薬物の治療は、望まない副作用{例えば、吐き気、胃逆流、胃潰瘍、及び便秘の如き胃腸管(GIT)関連問題}をもたらし得る。さらに、(例えば、アレルギーや副作用により、又は道義上)慣習的医薬品の使用が不可能な人が増大している。コルチコステロイド抗炎症薬の使用はすでに確立されているが、しかしながら、それらの所望しない副作用は多く、そして免疫抑制、体液うっ滞、及び体重増加を含む。それ故、改良された非慣習抗炎症製剤の必要性がある。GIT問題を引き起こさない製剤の必要性がある。
【発明の開示】
【0003】
本発明に関して、アポシニン(apocynin)、及びペオノール(paeonol)を含む医薬製剤の如き組成物を提供する。
【0004】
アポシニンは、植物フェノール、4−ヒドロキシ−3−メトキシアセトフェノンであり、そして以下の式を有する。
【化1】

【0005】
アポシニンは、植物性物質、及び植物抽出物中に見られ、例えば、ピクロリザ・クロア(picrorrhiza kurroa)、アポシナム・カンナビニウム(apocynum cannabinium)、アポシナム・ベネタム(apocynum venatum)、アポシナム・アンドロサエミフォリウム(apocynum androsaemifolium)、及びヴァニラ・プラニフォリア(vanilla planifolia)の如きヴァニラ種の植物の抽出物中に見られる。
【0006】
本発明の組成物、及び製剤は、「単離された」アポシニンを含み得る。単離アポシニンは、合成された又は植物から抽出、精製されたアポシニンである。あるいは又はさらに、アポシニンは、上述のものの如き植物からの直接抽出物として(例えば、未精製の植物又は根の抽出物形態における化合物の非分解混合物の一部として)本発明の組成物又は製剤中に存在し得る。これらは、「天然型」のアポシニン又は「天然アポシニン」として言及されるだろう。例えば、ピクロリザ・クロアの形態で本発明に関する製剤中に存在するアポシニンは、「天然アポシニン」と言及されるだろう。
【0007】
用語「天然アポシニン」又は「天然型の」アポシニンは、アポシニンが見出される植物種中に見られるものの如きアポシニンのグリコシドも含む。かかるグリコシドは、例えば、アンドロシン(androsin)、及び他のイリドイド・グリコシドを含む。好ましくは、当該組成物は、精製されたアポシニン又は合成型の「単離された」アポシニンを含む。
【0008】
前記組成物は、未精製の植物又は根の抽出物である、「天然」アポシニンの形態における化合物の非分解混合物の一部として、アポシニンを含み得る。当該単離された活性アポシニンとの組合せにおける天然型の活性エンティティーの使用は、単離型(例えば、精製又は合成アポシニン)と天然型(例えば、ピクロリザ・クロア中に含まれるアポシニン)との相乗効果を導き得る。
【0009】
好ましいピクロリザ・クロアは、標準イリドイド・グルコシド画分ベースの標準形態であり、かかる形態はよく知られている。標準形態における好ましいピクロリザ・クロアは、「最小4%のクトキン」に標準化されたピクロリザ・クロリアを含む。最小2%のクトキン〜最小8%のクトキンに標準化されたイリドイド・グルコシド画分も好まれる。下記の実施例において、標準形態のピクロリザ・クロアは、「最小2%のクトキン」としてまとめて知られる標準化イリドイド・グルコシド画分を含む。クトキンは、結晶化により入手され、そして、1:2の比のグルコシド・ピクロシド(picroside)Iとクトシド(kutoside)、及び他の重要でないグリコシドからなる(Sing and Rastogi,1972,Ansariら,1988)。
【0010】
上述のように、前記組成物は、天然型であるアポシニンのみを含み得る、例えばピクロリザ・クロアである。しかしながら、その場合、副作用(例えば、ピクロリザ・クロア中の他の植物化学物質種に起因して起こり得る胃の不調)を防ぐためにピクロリザ・クロアの量を限定することが必要になるだろう。しかしながら、大抵のヒト被験者は、不快にならずに1日あたり2,000mgのピクロリザ・クロア(最小2%のクトキン)まで摂取可能であることに留意すべきである。
【0011】
ペオノールは、2−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノンであり、以下の式により示される。
【化2】

【0012】
それは、植物性物質、及び植物抽出物中に見出され得る。
【0013】
例えば、ペオノールは、ペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)、ペオニア・ラクチフローラ(Paeonia lactiflora)(Paeonia lactiflora)、ペオニア・ベイチー(Paeonia veitchii)、ペオニア・オボバタ(Paeoniaobovata)、グリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、キナンクム・パニクラツム(Cynanchum panniculatum)、レウム・パルマツム(Rheum palmatum)(根茎)、及びスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)(根)において見出され得る。
【0014】
本発明の組成物、及び製剤は、「単離された」ペオノールを含み得、当該ペオノールは合成され又は植物から抽出され精製されたものである。ペオノールは、植物からの直接抽出物として本発明の製剤中に存在し得る(すなわち、未精製植物又は根抽出物の形態における非分解混合物の一部として存在し得る)。これらは、「天然型の」ペオノール又は「天然ペオノール」言われるだろう。例えば、ペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)の形態における本発明の製剤中に存在するペオノールは、「天然ペオノール」として言及されるだろう。当該用語「天然型の」ペオノール又は「天然ペオノール」は、ペオノールが見られる植物種中に見出されるものの如き、ペオノールのグリコシドを含む。かかるグリコシドは、例えば、ペオニン(paeonin)、ペオノリド(paeonolide)、及びペオノシド(paeonoside)を含む。
【0015】
好ましくは、当該組成物は、精製又は合成型のペオノール、「単離」ペオノールを含む。
【0016】
あるいは又はさらに、当該ペオノールは、天然型で存在し得る。
【0017】
好ましくは、本発明の組成物は、L−グルタミンをさらに含む。
【0018】
好ましくは、本発明の組成物は、充填剤をさらに含む。好ましい充填剤は、少なくとも1つのフラボノイド、好ましくは1又は複数のフラボノイドの混合物を含む。
【0019】
好ましい組成物は、グルコサミンをさらに含む。
【0020】
好ましい組成物は、アポシニン、及びペオノールを含み、ここで、当該アポシニン対ペオノールの(重量)比は、約1:100〜約100:1であり、好ましくは約1:10〜1:30であり、より好ましくは約1:1〜1:20であり、さらにより好ましくは約1:2〜1:10である。
【0021】
好ましい組成物は、単離アポシニン、及び単離ペオノールを含み、そして当該単離アポシニン対単離ペオノールの(重量)比は、1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:6、より好ましくは1:3〜1:6、より好ましくは1:3〜1:5、より好ましくは1:3〜1:4である。当該組成物は、天然アポシニン、及び/又は天然ペオノールも含み得る。
【0022】
上記の比において、アポシニン、及びペオノールの重量は、単離型(例えば、単離アポシニン、及び単離ペオノール)における化合物の重量をいう。
【0023】
好ましい組成物は、アポシニン、及びペオノールを含み、ここでアポシニンは、単離型及び天然型(例えば、ピクロリザ・クロア)において存在する。好ましくは、単離アポシニン対天然型アポシニンの(重量)比は、約10:1〜1:1である(天然アポシニンが最小2%のクトキンに標準化されたピクロリザ・クロアの形態である場合の計算に基づく)。
【0024】
さらに好ましい組成物は、アポシニン、及びペオノールを含み、ここで、アポシニンは単離型で存在し、ペオノールは単離型、及び天然型{例えば、ペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)}で存在する。好ましくは、当該単離ペオノール対天然型のペオノールの(重量)比は、約10:1〜1:1、好ましくは4:1〜2:1である{当該天然ペオノールが牡丹皮としてペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)の形態にある場合の計算に基づく}。
【0025】
好ましい組成物は、アポシニン、及びペオノールを含み、ここでアポシニンは、単離型と天然型(例えばピクロリザ・クロア)で存在し、そしてペオノールは、単離型と天然型{例えばペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)又はグリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)}で存在する。
【0026】
好ましくは、当該組成物は、単離型のペオノール、及びアポシニンの一方又は両方を含む。
【0027】
もし当該組成物が、天然型のみのアポシニン(すなわち単離アポシニンを含まない)、及び天然型のみのペオノールを含む(すなわち単離ペオノールを含まない)ならば、天然型(例えばピクロリザ・クロア)のアポシニンである総組成物の重量%が、少なくとも2.5%(より好ましくは、少なくとも5%)であることが好まれ、及び/又はペオノールが天然型{例えばペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)又はグリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)}である総組成物の重量%が少なくとも2.5%(より好ましくは少なくとも5%)であることが好まれる。
【0028】
もし当該組成物が、天然型(例えば、ピクロリザ・クロア)のみであるアポシニン、及び天然型のみであるペオノールを含むならば(換言すると、もし本発明の組成物が単離アポシニン及び単離ペオノールを含まないならば)、当該天然型のペオノールは、グリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)の形態ではないことが好ましい。
【0029】
もし当該組成物がピクロリザ・クロアである天然型のみのアポシニン、及び天然型のみのペオノールを含み(換言すると、もし本発明の組成物が単離アポシニン、及び単離ペオノールを含まず)、かつ当該ペオノールがグリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)の形態であるならば、当該グリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)とピクロリザ・クロアの重量比は、2:1〜1:3ではないことが好ましい。
【0030】
好ましい組成物は、1:10〜1:40、より好ましくは約1:15〜1:25の比(アポシニン対L−グルタミンの重量比)で、L−グルタミンをさらに含む。
【0031】
好ましい組成物は、1:10〜1:40、より好ましくは約1:15〜1:25の比(アポシニン対グルコサミンの重量比)で、グルコサミンをさらに含む。
【0032】
好ましくは、当該組成物は、結合剤をさらに含む。
【0033】
当該組成物は、ヒトの疾患の治療のための医薬製剤、あるいは非ヒト動物の治療のための獣医学用製剤として使用され得る。
【0034】
製剤(又は組成物)は、医薬として慣習的な担体、希釈剤、香料、乳濁液、及び安定剤の如き追加成分をさらに含み得る。それらは、薬草療法において「慣習的」である追加成分(例えば担体又は希釈剤)を含み得る。好ましくは、当該医薬又は獣医学用製剤(又は組成物)は、以下の1又は複数のものをさらに含む。
【0035】
(1)免疫系を促進するための剤、例えば抗ウイルス、抗菌、及び抗酸化効果を有するラクトフェリン;
(2)蜂花粉の如きビタミンの天然源;
(3)ビタミン、ミネラル、及びアミノ酸の天然源の如き源、例えばクロレラ;
(4)微量元素の源、例えば、クロム、及び/又はバナジウム、及び/又は銅、及び/又は亜鉛、及び/又はマンガン;
(5)味のマスキング剤、例えばヨーグルト、フルーツジュース、蜂蜜、及びシロップ。
【0036】
前記組成物、及び医薬/獣医学用製剤は、経口投与に好適である。経口投与用の組成物の配合方法は、よく知られている。例えば、投与用組成物は、投与に適した形態において、医薬として許容され得る担体を用いて製造され得る。かかる担体は、タブレット、錠剤、糖衣剤、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして提供され得る。当該担体は、グリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)の如き薬草の結合剤、あるいはリポソーム、ラクトース、トレハロース、スクロース、マンニトール、キシリトール、結晶性セルロース、キト酸、炭酸カルシウム、滑石、酸化チタン、又はシリカ(酸化ケイ素)などの如き1又は複数の医薬として許容され得る担体となり得る。
【0037】
前記組成物は、例えば、活性成分と固形賦形剤を混合すること、(もし必要ならば)当該混合物を細かく粉砕すること、そしてカプセルに入れることにより入手され得る、ここで当該カプセルの例は、ゼラチンカプセル、ゼラチン、及びコーティング剤(例えば、グリセロール又はソルビトール)からなる柔らかい密閉カプセル、あるいはベジタリアンに好適なカプセル組成物である。当該柔らかいカプセルにおいて、前記組成物は、安定剤と共に又は安定剤を含まず、脂肪油、流動パラフィン又は液体ポリエチレングリコールの如き好適な液体中に溶解又は懸濁され得る。
【0038】
剤形(組成物又は製剤)は、標準液体抽出物の形態にもなり得る。標準液体抽出物は、いくつかの環境において、固形剤形(タブレット、及び殻の固いカプセル)と比較して有利となる。それらは、製造間の最小の過程を含み得、そしてコンパクトで便利な形態において、原種の薬草(又は植物など)の真のスペクトルを反映し得る。当該製剤が既に液体形態であるので、優れた生物活性の可能性もある。次いで、いずれかの望まない味を味あうことを最小化するために、規定用量は容易に希釈され得(水、フルーツジュース、氷を加えるなど)、それ故、患者の協力の可能性を増大する。
【0039】
当該製剤は、投与の他の手段、例えば、粘膜投与経路(例えば、直腸、経鼻、膣内)、及び局所的投与にも好適であることが理解されるだろう。これらの方法における使用のための前記組成物の配合方法は、本分野においてよく知られているだろう。
【0040】
前記組成物、及び製剤は、ヒト被験者に対する医薬品として(又はその製造において)使用され得る。それらは、イヌ、ネコ、ウマ科の種、飼育されているキジのような狩猟鳥の如き非ヒト動物のための獣医学用製剤として(又はその製造において)も使用され得る。
【0041】
前記製剤は、炎症性疾患の治療に、特に炎症性関節疾患において、特に好適である。
【0042】
本発明のさらなる態様において、炎症性疾患の治療のために製剤中の(又はその製造における)アポシニン、及びペオノールの使用を提供する。
【0043】
前記炎症性疾患は、炎症性関節疾患、関節炎、及びリュウーマチ様変形性関節症、皮膚炎、(アトピー性)皮膚炎、静脈洞炎、枯草熱症候群(アレルギー性鼻炎、アレルギー性肺疾患)、潰瘍の如き胃腸管の炎症性疾患(胃潰瘍を含む)、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍症候群、セリアック病、過敏性腸症候群、過敏性腸疾患、及びクローン病の如き炎症性疾患となり得る。それらは、季節性掻痒性皮膚炎、蹄葉炎、湿疹様皮膚炎、COPD、歩行困難、窒素尿症、皮膚炎、変形性関節症、股関節異形成、及びその後遺症のウマ胃潰瘍症候群の如き炎症性疾患を治療するために使用され得る。当該炎症性疾患は、例えば負傷又は手術の後(例えば、人工股関節置換手術の如き手術の後)の炎症又は腫れの治療ともなり得る。炎症性疾患の治療は、関節腫瘍の治療を含み得る。
【0044】
好ましくは、前記製剤(又は組成物)は、1日量あたり、アポシニンの1mg/kg体重〜50mg/kg体重、より好ましくは5〜8mg/kg体重の濃度で、対象(ヒト又は動物)に投与される。好ましくは、前記製剤は、1日量あたり、ペオノールの5mg/kg体重〜70mg/kg体重、より好ましくは約10〜45mg/kg体重、さらにより好ましくは約15mg〜25mg/kg体重の濃度で、対象(ヒト又は動物)に投与される。これらの1日量濃度は、単離アポシニン、及び単離ペオノールをベースとする。
【0045】
好ましい態様において、前記製剤(又は組成物)は、1日量あたり、単離アポシニンの1mg/kg体重〜50mg/kg体重、より好ましくは4〜8mg/kg体重の濃度で、対象(例えばヒト)に投与される。好ましくは、前記製剤は、1日量あたり、単離ペオノールの5mg/kg体重〜70mg/kg体重、より好ましくは約10〜45mg/kg体重、さらにより好ましくは約15mg〜25mg/kg体重の濃度で、対象(ヒト又は動物)に投与される。より好ましくは、当該製剤は、天然ペオノール{例えばペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)、例えば牡丹皮の形態}が、1日量あたり、天然ペオノールの1mg/kg体重〜50mg/kg体重、より好ましくは4〜8mg/kg体重の濃度で、対照(例えばヒト)に投与されることをさらに含む。
【0046】
好ましくは、当該製剤(又は組成物)は、天然形態でアポシニンをさらに含み、そして1日量あたり、天然アポシニンの0.25mg/kg〜15mg/kg、より好ましくは1〜3mg/kgの濃度で、対象に投与される。
【0047】
1回分は、「負荷用量」として、治療の初期、例えば最初の1〜3日間で増大(例えば2倍)され得る。それ故、負荷用量として、当該製剤(又は組成物)を、対象(ヒト又は動物)に、1日量あたり、アポシニンの1mg/kg体重〜100mg/kg体重、より好ましくは5〜16mg/kg体重の濃度で投与し得る。好ましくは、当該製剤を、ヒト又は動物対象に、負荷用量で、1日量あたり、ペオノールの5mg/kg体重〜140mg/kg体重、より好ましくは約10mg/kg〜90mg/kg体重、さらにより好ましくは約15mg/kg〜50mg/kg体重の濃度で投与される。これらの1日量濃度は、単離アポシニン、及び単離ペオノールをベースとする。
【0048】
好ましくは、前記製剤(又は組成物)は、L−グルタミン、及び/又はグルコサミンをさらに含み、そしてその一方又は両方を、前記対象に、1日量あたり、L−グルタミン、及び/又はグルコサミンの1mg/kg体重〜280mg/kg体重、より好ましくは20mg/kg体重〜280mg/kg体重、さらにより好ましくは100mg〜180mg/kg体重の濃度で投与する。
【0049】
当該1日用量は、当業者に知られた単一のカプセル、タブレット、若しくは他の固形又は液体形態として提供され得、あるいは、合わせて全1日量となる分割用量(例えば1〜3用量)において提供され得る。当該アポシニン、及びペオノールの用量は、カプセル又はタブレットなどに一緒に提供され得、あるいは、当該2つは、連続投与のために、別々のカプセル又はタブレットとして提供され得る。
【0050】
本発明の他の態様において、少なくとも1回分のアポシニン、及び少なくとも1回分のペオノールを含む、炎症性疾患の治療又は予防用製剤のための部品のキットを提供する。当該部品のキットを、例えば、アポシニンの如き1回分又は1回分の一部を含むブリスターパック、及びペオノールの1回分又は1回分の一部を含む別々のカプセルとして提供し得ることが企図される。当該パックは、1回分の連続投与のための指示と共に提供され得る。一緒に又は別々に投与されるとき、当該化合物は、当該各成分の好適な血液レベルを維持するために投与されるべきである。別々に投与されるとき、化合物(アポシニン、及びペオノール)は、お互いに4時間以内、好ましくは2時間以内、最も好ましくは実質的に同時に投与されるべきである。
【0051】
前記製剤は、他の知られた慣習的投与技術が可能であるけれども、例えば錠剤又はカプセル形態において、経口投与されることが好ましい。
【0052】
本発明のさらなる態様において、アポシニン、及びペオノールを含む組成物を、必要とするヒト被験者又は非ヒト動物対象に投与するステップを含む、炎症性疾患の治療方法を提供する。本発明のさらなる態様において、炎症性疾患の治療用製剤の製造におけるアポシニン、及びペオノールの使用を提供する。
【0053】
好ましくは、当該組成物/製剤は、単離形態におけるアポシニンを含む。
【0054】
好ましくは、当該組成物/製剤は、単離形態におけるペオノールを含む。
【0055】
本発明の組成物、製剤、及び用量は、抗炎症特性を有する他の成分を含み得る。しかしながら、ペオノール、及びアポシニン(単離型、及び/又は天然型)は、当該組成物、製剤、及び用量の抗炎症活性の実質的に全てを示す(又は導く)ことが好ましい。
【0056】
当該組成物、製剤、方法、及び使用は、他の(慣習的な)薬物又は製剤と組み合わせて使用され得る。例えば、本発明の組成物は、例えばアレルギー性気道疾患、静脈洞炎などの如き炎症性疾患の治療において、抗ヒスタミン薬と組み合わせて使用され得る。
【0057】
本発明は、例示的な実施例を参照して詳細に記載されるだろう。
【実施例】
【0058】
実施例1
以下の成分を、慣習的な手法において混合する。この例は、以下の動物(ヒトではない)の例において使用される配合である。
【表1】

【0059】
当該混合物を、分割し、そして経口投与のためのカプセル形態において、用量に好適な形態に製造した。
【0060】
投与スケジュール(動物)
下記の動物例において、上記実施例1を、実施例1及び/又はAPPAミックスという。その後の試験において、当該ミックス(実施例1)を、25キログラム体重につき1日2回5グラムの割合で、あるいは(イヌについて)25キログラム体重につきアポシニン及びペオノールの1日に180ミリグラムと900ミリグラム(1回分につき90mg、及び450mg)の割合で餌の中に与えた。ウマについて、当該ミックス(実施例1)を、75〜100キログラム体重につき1日2回5グラムの割合で、あるいは75〜100キログラム体重につきアポシニン及びペオノールの1日に180ミリグラムと900ミリグラム(1回分につき90mg、及び450mg)の割合で餌の中に与えた。上記は、通常の1日量である。下記の試験において、当該動物に負荷用量で始め(1〜7日間)、そしていったん臨床的有益性が測定されたら、用量を上記まで低減する。
【0061】
D−tox(Natural Animal Feeds,Monmouthshire,UKから入手可能)を結合剤として使用した。それは植物にみられるフラボノイド抗酸化物質群ベースであり、そのいくつかは水溶性環境で機能し、そのいくつかは脂溶性環境で機能する。D−toxは、少量のピクロリザ・クロア(天然型のアポシニン)も含む。
【0062】
各D−toxの20グラムは、以下の内容を(およそ)含む:
アンゼリカ・シネンシス 0.250g
(Angelica sinensis)
ビー・ポレン 0.2g
(Bee pollen)
ブルプレウルム・ファルカタム 0.05g
(Bulpleurum falcatum)
カプシクム・フルテスケンス 0.05g
(Capsicum frutescens)
シトラス・パルプ 2g
(Citrus pulp)
クラタエガス・オキシカントイデス(ベリー) 1.5g
(Crataegus oxycanthoides)(berries)
クルクマ・ロンガ 1.5g
(Curcuma longa)
エレウテロコックス・センチコサス 0.5g
(Eleutherococcus senticosus)
ギンコ・ビロバ 1g
(Ginkgo biloba)
グリキリザ・グラブラ 0.5g
(Glycyrrhiza glabra)
マイタケ 0.025g
(Maitake)
レシチン(ホスファチジルコリン) 1.8g
メチオニン 0.15g
N−アセチルシステイン 0.05g
ピクロリザ・クロア 0.5g
(Picrorhiza kurroa)
リボフラビン(B2) 0.065g
ロスマリナス・オフィシナリス 0.75g
(Rosemarinus officinalis)
シサンドア・キネンシス(果実) 1.25g
(Schizandra chinensis)
スクテラリア・ビアカレンシス(根) 1g
(Scutellaria biacalensis)
シリバム・マリアナム 1.5g
(Silybum marianum)
タラクサクム・オフィキナレ(葉) 1g
(Taraxacum officinale)
バッキニウム・ミルティルス 1g
(Vaccinum myrtilis)
ビタミンC(アスコルビン酸) 2g
ジンジャー・オフィキナレ 1g
グルタミン・ペプチド 0.2g
統計 20.04g
【0063】
それ故、172gのD−Toxは、約4.3gのピクロリザ・クロア(Picrorhiza kurroa)(天然型の中にはアポシニン)を含む。
【0064】
ヒトについての実施例
以下の製剤を、ヒトの試験において使用し、実施例1Hという。この混合物はO型カプセル(総量650mg)に詰め、そしてかかるカプセルを午前午後の1日2回の割合(体重60〜80kgのヒトをベースとして)で与える。例外的な事例(下記のものではない)として、当該用量を、治療の始めで増大し得る(例えば、最初の1〜3日間において2倍)。
【表2】

【0065】
実施例A
対象は、左及び右膝関節、並びに左手首関節に変形性関節疾患の生後12ヶ月以来の病歴を有する5歳の雄、ハンガリービズラ犬(Hungarian Vizsla)だった。3年超に渡り、複合的な慣習的「ジョイントミックス(joint mixes)」を使用している。これらは、慣習的なNSAID(COX阻害剤)、グルコサミン、コンドロイチン、ハルパゴフィタム spp(Harpagophytum spp)、s−アデノシルメチオニン(SAMe)、及びMSM{メトニル(methonyl)・スルフォニル・メタン}と併せて抗酸化植物ベースミックス(例えば、D−Tox)を含んでいる。結果は、満足できるものであり、改善された移動性をもたらしたが、当該対象は臨床的に健康ではなく、偶発的な逆行に苦しんだ。NSAIDにより、当該対象は、たとえ1/4の推奨用量でも多くのGIT関連問題に苦しんだ。前記実施例1のミックスを、上述の投与計画で導入した。12時間内に、当該対象は臨床的に健康となり、当該対象は約5週間にわたりそのままであった。さらなる主な利益は、実施例1に関する処置の間、いかなるGIT関連問題生じないことである。
【0066】
実施例B
対象は、8歳の雌のワイマラナー犬(Weimaraner)であり、2年超に渡り右肩の歩行困難(関節の受け皿に関連することが明らかではなく、靭帯/腱、及び筋肉に関連するものかもしれないもの)の断続的な病歴を有していた。歴史的に、これは十分に治療することが困難であり、休養と時間を必要とする。当該対象を動くことが困難な著しい歩行困難状態にした最近の突然発症により、上述のスケジュールで実施例1に関する処置を促された。6時間以内に、当該イヌは臨床的に健康となり、それを持続している。
【0067】
実施例C
対象は、12歳の雄のラブラドール・レトリーバー(Labrador Retriever)犬であり、肩の歩行困難の長い病歴を有していた。これまでは、ヒアルロン酸の関節内注入、その後NSAIDの筋肉内注入による支援のみだった。当該対象を「十分に健康」とすることが可能であるのは、これらの「重度の措置」のみだった。上述のスケジュールでの実施例1による処置から24時間内に、当該対象は、数年間そうであったのと同じくらい健康になった。当該対象は、伏せた後に起き上がる際、不快感を示さなかった。
【0068】
実施例A、B、Cに関するように、以下の事例研究において、実施例1(「APPA Mix」)を、上記の投与形画に従って投与する。
【0069】
実施例D
ウマ:2005年5月、このウマは、数ヶ月間命が不安定となる非常にひどい事故にみまわれた。そのウマは、後肢の両方にひどい裂傷、及び右後ろ足のひざに損傷を負った。獣医は、感染により生存のチャンスはほとんどないと診断し、もし生き残っても、二度と乗れないだろうと言った。後ろ足のひざを綺麗にするための大手術、ボックスでの数ヶ月間の休養、及び抗生物質の注入の後、そのウマは最終的に再度、外に出ることができたが、獣医はまだ健康になることはないだろうと思っていた。しかしながら、2005年9月の終わりに、そのウマを一連の実施例1(APPAミックス)の措置に供し、そして改善はほぼすぐだった。2ヶ月以内に、そのウマは(ひそかに)再度乗れるようになった。2006年3月の始め、その獣医は再度「正常に」働き始める健康上の完全保証をそのウマに与え、私たちは非常にゆっくりとする必要があるが、そのウマが以前にしていたこと(上級の調馬)に戻れない理由はなかった。馬主は『私は「栄養補助食品」が本当に効果的に働くなんて以前は決して信じなかった、でも間違っていたと確信したよ!私のウマをよみがえらせてくれてありがとう!』と述べた。
【0070】
実施例E
イヌ科の動物:リジー・ホプキンス(Lizzie Hopkins)と呼ばれる16歳のグランド・バセット・グリフォン・バンディーン(Grand Basset Griffon Vendeen)。リジーは、いつも運動によく対処していた。昨年、10日間、毎日7マイル、問題なくサウス・ウエスト・コースト道路(SWCP)を歩いた。注目すべき病歴は、生後15ヶ月での右側の肩の怪我のみであり、それは激しい運動のあと数日間与えられるジュニア・アスピリンによく応答していたが、最近は応答していなかった。2005年3月に関節炎の発現と診断された。早朝の運動に抵抗し始め、午後1.5時間後に混迷の徴候を見せ始めた。リジーは、APPAの措置を始め、そして、段階的な改善後、今や、混迷せず、運動に抵抗することも全くなく、毎日7マイル歩くことが可能となった。
【0071】
実施例F
ウマ:ハグ・ミー・ペッピー(Hug Me Peppy)、安定名ヒューイ(Huey)は、13歳のライニング(Reining)クラスにて競走するクォーター馬である。ヒューイは、Cortaflex(グルコサミン・ベース・ミックス)を2年間使用し、良い結果を得ていたが、最近APPAに変えた。ヒューイの持ち主は言う、「その結果は信じられないよ、あの馬はかつて後ろ足を少し引きずっていたのに、今の動きを見たら、あなたは違う馬だと思うはずさ。ヒューイは、今や、非常に乗りやすくなり、そのステップに本当のバネを持っている。あの馬にまだ数年先の計画があると思うとすごいことさ。こんなに素晴らしい栄養補助食品を開発してくれてありがとう」。
【0072】
実施例G
ウマ:ウィリアムは、18.3hh、11歳のTB×ID去勢馬であり、この4年間超に渡り多数の足の怪我があり、それは筋肉の凝り、関節のクリッキング、及び後ろ足のひざのヘマトーマ(haematoma)の原因となっている。獣医は、アデクアン(Adequan)(関節内ポリ・スルフェイティド・アミノグリカン)の使用を推奨したが、持ち主は、APPAの使用を決定した。ウィリアムは、今や、関節に凝りはなく、後ろ足のひざのヘマトーマはかなり低減した。
【0073】
実施例H
ウマ:ダブリン・ダイス(Dublin Dice)は12歳のTB競走馬であり、レース後、関節腫瘍を示した。X線により全く重大な問題ではないとされていたが、仕事を休んだ。ダブリンにAPPAを処方し、そして1週間内に改善が見られた。今や、健康であり、完全に仕事に復帰し再び走る予定である。
【0074】
実施例I
イヌ科の動物:6歳の雄のハンガリービズラ犬(Hungarian Viszla)であり、生後12ヶ月以来、左及び右の膝関節、並びに左手関節に変形性関節疾患の病歴を有する。3年超に渡り、複合的な「ジョイントミックス(joint mix)」を使用している。これらは、NSAID(COX阻害剤)、グルコサミン、コンドロイチン、ハルパゴフィタム spp(Harpagophytum spp.)、s−アデノシルメチオニン(SAMe)、及びMSM{メトニル(methonyl)・スルフォニル・メタン}と併せて抗酸化植物ベースミックス(例えば、D−Tox)を含んでいる。結果は、満足できるものであり、改善された移動性をもたらしたが、臨床的に健康ではなく、偶発的な逆行を有した。NSAIDにより、たとえ1/4の推奨用量でも多くのGIT関連問題があった。APPAミックス(実施例1)を、上述の投与計画で導入した。12時間内に、当該ハンガリービズラ犬は臨床的に健康となり、約18ヶ月間にわたりそのままである。さらなる主な利益は、実施例1に関する処置の間、いかなるGIT関連問題生じないことである。
【0075】
実施例J
イヌ科の動物:9歳の雄のワイマラナー犬(Weimaraner)であり、2年超に渡り右肩の歩行困難(関節の受け皿に関連することが明らかではなく、靭帯/腱、及び筋肉に関連するものかもしれないもの)の断続的な病歴を有していた。歴史的に、これは十分に治療することが困難であり、休養と時間を必要とする。当該ワイマラナー犬を動くことが困難な著しい歩行困難状態にした最近の突然発症により、APPAミックスの投与を促された。6時間以内に、当該ワイマラナー犬は臨床的に健康となり(歩行困難がなくなり)、今までのところ、18ヶ月間持続している。
【0076】
実施例K
イヌ科の動物:対象は、12歳の雄のラブラドール・レトリーバー(Labrador Retriever)犬であり、肩の歩行困難の長い病歴を有していた。これまでは、「十分に健康」にすることが可能なヒアルロン酸の関節内注入、その後NSAIDの筋肉内注入による支援のみだった。APPAミックスの補充から24時間内に、その犬は、数年間そうであったのと同じくらい健康になった。当該犬は、伏せの後に起き上がる際、不快感を示さなかった。
【0077】
実施例L
イヌ科の動物:9歳の雄のワイマラナー犬(Weimaraner)であり、歩行困難、及び運動不能の原因となる、損傷領域周辺の腫張を伴う左前の浅指屈筋損傷の病歴を有する。慣習的な治療は、休養、及び相対的静養を必要とし、特にスポーツ好きの品種であるイヌ科の動物において達成することは常に困難であった。APPAミックスは、この問題を実質的に解決し、24時間以内に健康としたが、損傷した腱が非常に活発な運動により誘発されるときに再び悪化され得る。APPAミックスは臨床的徴候を解決した。
【0078】
実施例M
ヒト:40歳、女性であり、スキーの際に被った半月版の断裂により病初で引き起こされる変形性膝関節の問題の病歴(1990年代初頭以来)を有する。その翌年以来、この変形性関節疾患は、痛みなしで階段を登ること、及び特に膝関節に関するような活動、膝立ちのような活動がもはや不可能な段階まで、着実に進行している。整形外科の専門家による相談と治療計画、及びとりわけ関節内注射(コルチコステロイド、及び/又はヒアルロン酸)に関するものは、当初いくらかの救済を提供したが、最近は、もはやそうではなかった。一連の実施例1Hの措置を始めた。10日間以内で、当該患者は、腫れの縮小、及びいくらかの自由な動きを観察した。28日間までに、当該患者は、わずかな不快感を伴うが完全な移動性を報告し、そして、彼女は、今や、自由に歩くことが可能で、かつ不快感もない。階段を登ること、及び膝立ちすることは、現在、不快感なく可能となった。
【0079】
実施例N
ヒト:35歳、女性であり、左手のP5指節間関節の屈曲の不快感を有する。この臨床的問題は、当該患者に指を曲げることを不可能なままにし、それ故、テニスの如きスポーツ動作を著しく妨げていた。一連の実施例1Hの措置を開始した。10日間以内に当該患者は、不快感の減少、及び自由な動きの増大が観察された。28日間までに、彼女は自由な動きを報告し、そして、今や、自由にかつ不快感なく指節間関節を動かすことができると報告した。
【0080】
実施例O
ヒト:82歳、女性であり、右人工股関節(寛骨大腿関節)全置換術の病歴を有し、左股関節に痛み/不快感の増大を観察し始めている。一連の実施例1Hの措置を始めた。10日間以内に当該患者は、不快感の著しい減少、及び痛みのない自由な動きの増大を観察した。21日間までに、当該患者は、更なる痛ましい出来事なしに左股関節の自由な動きを報告した。
【0081】
実施例P
ヒト:58歳、男性であり、連続的で絶え間ない痛みを与え、時折急に発症する腰のけいれんについて45年の病歴を有する。過去に、痛みの軽減薬なら何でも処方されたが助けとはならなかった。この問題は、カイロプラクティック/整骨療法によりかつて緩和され得ただけだった。腰のけいれんの発症後、最近の激しい肉体労働により引き起こされ得、かつ多くの重いものを持ち上げることに関連する当該患者の右足の痛みを放散したけれども、カイロプラクティック担当者との臨床相談は数日間できなかった。一連の実施例1Hの措置を始めた。15時間以内に、当該患者は腰の不快感における著しいかつ顕著な減少、及び痛みのない自由な動きをする増大した能力を観察した。24時間内までに、当該患者は自由な動きと痛みのない動きを報告したが、彼は、彼のカイロプラクティック担当者を訪れてしまうまでは本当に気楽に幸せを感じられないと言った。
【0082】
実施例Q
ヒト:32歳、女性であり、減少した屈曲能力による運動の制限を伴う左膝窩滑液包炎の病歴を有している。この患者は、大きな成功なしに長期の理学療法を経験してきている。一連の実施例1Hを始めた。10日以内に、当該患者は不快感の減少、及び自由な動きの増大を観察した。28日間までに、当該患者は、通常その関節に対して予期される能力と近い痛みのない屈曲能力を伴った著しく優れた自由な動きを報告した。
【0083】
実施例R
イヌ科の動物:7歳、雄のラブラドール犬であり、自由な行動能力を著しく低減する111級両側股関節異形成を有する。いくらかの増大した自由な行動を提供したコンドロイチンとグルコサミンの軟骨保護ミックスによる数年間の栄養補助の後、改善された痛みのない動きを提供できるのかどうか決定するための代替案として、一連のAPPAミックス措置を始めた。10日以内に、持ち主は、コンドロイチンとグルコサミンの軟骨保護ミックスと比較して不快の減少、及び明らかに増大した自由な動きを観察した。21日間までに、当該対象は、ほぼ完全な動作を報告し、そして、伏せから起き上がるとき、及び/又は階段を上がるとき、及び/又はジャンプするとき、及び/又は運動するときに更なる痛みの臨床的徴候を観察しなかったことをさらに報告した。
【0084】
実施例S
イヌ科の動物:12歳、雌であり、ステロイド刺激試験は陰性だったが、昨今クッシング様症状(Cushinoid)と思われた。ここ数年間で、当該対象は、無気力となり、そして今や骨関節炎のせいと思われる不快感と共に動いていた。一連のAPPAミックス措置を始め、当該対象の持ち主(ヒト MD)は、今や著しく活動的、遊び好きとなり、幸せになったように見え、そして餌を騒がずに非常に良く食べるようになったと報告する。しかしながら、当該対象の動きは実際は少々歩行困難のようであるが、当該対象はときどきそのように歩いており、変形性関節症よりむしろ関節の癒着の結果としてウサギ跳ねを使用している。持ち主は「・・・明らかに違う」と満足している。
【0085】
実施例T
ヒト:24歳、男性であり、脛骨及び腓骨の骨折に関与する急性外傷(内果に関与するだけでなく、踵骨を骨折するPott様骨折)の病歴を有する。当該患者はいくらかの運動性を取り戻すために多数の外科手術を経験していた。しかしながら、当該患者は、持続的な痛み、腫れ、及び部分的に限られる移動性を経験していた。一連の実施例1Hの措置を始めた。2日以内に、当該患者は、腫れの減少、及び増大された痛みのない移動性を報告した。45日間までに、当該患者は、不快感のない改善された移動性を報告したが、まだ正常ではなかった。しかしながら、現在、痛みのない顕著な著しく自由な動きが、事故以来、初めて可能となった。
【0086】
実施例U
ウマ:8歳、スタンダードブレット・メア(Standardbred Mare)であり、断続的な歩行困難を伴う右指節間P1/P2関節の変形性関節疾患と診断されていた。上記実施例1に記載のように、一連のAPPAミックス措置を始めた。5日以内に、当該対象は、臨床的に健康となり、そして当該変形性関節症に関するさらなる臨床的徴候を示さなかった。しかしながら、8週間後、当該対象が右前脚において再度歩行困難になったとして、獣医のアドバイスを求めた。受診において、当該APPAミックスを止めてしまっていたこと、及び数十日前に、持ち主がAPPAミックスを当該対象に最後に補給したことが明らかになった。再度、前記治療プロトコールに基づきAPPAミックスの措置を始め、24時間内に、当該対象は著しく改善し、その前よりも完全な健康状態に戻り、そして当該APPAミックスの継続的供給が続けられている。
【0087】
実施例V
ウマ:7歳、長距離レースに使用されたスパニッシュブレッド種の雄ウマ(Spanishbred Stallion)であり、断続的な歩行困難の長い病歴を有する。獣医の検査において、当該ウマは、左よりも右により不快感を示す右及び左の後ろ脚のひざ関節(足根骨−中足骨の関節)の変形性関節疾患(変形性関節症)と診断された。一連のAPPAミックス(実施例1)の措置を始めたところ、当該ウマは徐々に改善を示し、数日後、健康状態となり、そして10日間までに完全な健康状態に戻った。その時以来、当該ウマは成功裏に競走しており、国際長距離乗馬会(50+キロメートル)である、全国大会で2位となっている。
【0088】
実施例W
ヒト:21歳、男性であり、おそらく裂傷/損傷腱画に起因する、慢性指節間関節弛緩症、腫れ、及び不快感を有する。一連の実施例1Hの措置を薦められた。5日後、当該患者は、著しく改善された関節を報告し、腫れの低減に気が付いた。21日間までに、当該患者は、正常な関節の動きと機能を報告し、臨床試験により確認された。そしてその時以来、当該患者はこの問題に起因するさらなる不快感を報告していない。
【0089】
実施例X
ヒト:53歳、女性であり、季節性アレルギーの結果である可能性のある、炎症を起こし痛みを伴う上顎洞を有する。以前に、当該患者は症状の緩和のために抗ヒスタミン薬を使用していた。一連の実施例1Hの措置を、抗ヒスタミン薬の代替物として提示した。当該患者は、3〜4時間後、顕著な症状の改善を報告した。しかしながら、当該問題は複雑で解決されず、抗ヒスタミンを取り込んでもいた。次いで、当該患者は正常に戻ったことを報告した。当該患者は、抗ヒスタミン薬の使用と実施例1Hの措置の組合せが、抗ヒスタミン薬のみを使用するよりも、この季節性アレルギー性の副鼻腔問題をより完全にかつより素早く改善することに気が付いた。その時以来、当該患者は、季節性のアレルギー問題の再発の際にはいつでも、最初の選択肢として、この併用療法を使用している。
【0090】
比較実施例1
実施例Aの対象を、事前にD−toxにより処理した、ここで当該D−toxにはアポシニン(天然型)を含む。当該患者の症状のいくらかの改善があったが、他の医薬がさらに必要だった。
【0091】
出願人は、ペオノールとアポシニンを一緒に組み合わせた効果が、これらのどちらかだけを使用する試験から期待されるものよりもむしろよい効果であることを主張する。換言すると、ペオノールとアポシニンを一緒に使用するとき、相乗効果となることが明らかである。実際に、それら自体を使用したとき、ペオノールやアポシニンは、臨床的に観察され得た抗炎症活性、及び/又は鎮痛作用は示さなかった。
【0092】
前記製剤に使用される植物抽出物、及び他の試薬は、当業者に容易に入手可能なものである。例えば、牡丹皮、及びペオノールは、例えば、中国のXUANCHENG BAICAO PLANTS INDUSTRY&TRADE CO.,LTDの如き草本、及び植物抽出物のバルクサプライヤーから入手され得る。L−グルタミン、及びグルコサミンは、良質原料サプライヤーからバルクにおいて容易に入手されるが、店/薬局にも販売され得る。アポシニンは、ドイツの精製化学製品サプライヤーであるSigma Tau(その商業部門であるa.k.a.Aldritch)から入手可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポシニン、及びペオノールを含む組成物。
【請求項2】
アポシニンが単離アポシニンの形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
天然アポシニンを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記天然アポシニンが、1又は複数のピクロリザ・クロア(picrorrhiza kurroa)、アポシナム・カンナビニウム(apocynum cannabinium)、アポシナム・ベネタム(apocynum venatum)、アポシナム・アンドロサエミフォリウム(apocynum androsaemifolium)、若しくはヴァニラ・プラニフォリア(Vanilla planifolia)の如きヴァニラ種、あるいはその抽出物、あるいはアポシニン・グリコシドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
単離ペオノールを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
天然ペオノールを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記天然ペオノールが、1又は複数のペオニア・スッフルチコーサ(Paeonia suffruticosa)、ペオニア・ラクチフローラ(Paeonia lactiflora)、ペオニア・ベイチー(Paeonia veitchii)、ペオニア・オボバタ(Paeoniaobovata)、グリキリザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、キナンクム・パニクラツム(Cynanchum panniculatum)、レウム・パルマツム(Rheum palmatum)、若しくはスクテラリア・バイカレンシス(Scutellaria baicalensis)、あるいはその抽出物、あるいはペオノール・グリコシドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
L−グルタミンをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
充填剤が、少なくとも1つのフラボノイドを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
グルコサミンをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
アポシニン及びペオノールを含み、当該アポシニン対当該ペオノールの重量比が約1:100〜約100:1である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
アポシニン及びペオノールを含み、当該アポシニン対当該ペオノールの重量比が約1:10〜約1:30である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
アポシニン及びペオノールを含み、当該アポシニンが単離形態及び天然形態で存在し、かつ単離アポシニン対天然アポシニンの重量比が約10:1〜1:1である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物を含む、医薬用又は獣医学用製剤。
【請求項15】
炎症性疾患の治療のための、請求項14に記載の医薬用又は獣医学用製剤。
【請求項16】
1mg/kg体重〜50mg/kg体重に相当する単離アポシニンの単位用量、及び5mg/kg体重〜70mg/kg体重のペオノールの単位用量を含む、医薬用又は獣医学用組成物。
【請求項17】
前記単離アポシニンの単位用量が、5mg/kg体重〜8mg/kg体重に相当する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ペオノールの単位用量が、約10〜45mg/kg体重である、請求項16又は17に記載の組成物。
【請求項19】
天然形態のアポシニンをさらに含み、ここで当該天然アポシニンの単位用量が0.25mg/kg〜15mg/kg、より好ましくは1〜3mg/kgである、請求項16〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
アポシニンの少なくとも1回分の投与量、及びペオノールの少なくとも1回分の投与量を含む、炎症性疾患の治療又は予防用製剤の部品のキット。
【請求項21】
炎症性疾患の治療のための製剤中の(又はその製造における)アポシニン、及びペオノールの使用。
【請求項22】
必要とするヒト又は非ヒト動物対象に、アポシニン及びペオノールを含む組成物を投与するステップを含む、炎症性疾患の治療方法。
【請求項23】
前記アポシニンが1mg/kg体重〜50mg/kg体重の単離アポシニンに相当する投与量で前記対象に投与され、かつ前記ペオノールが5mg/kg体重〜70mg/kg体重の単離ペオノールに相当する投与量で前記対象に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記アポシニンの1日量が、単離アポシニンの5〜8mg/kg体重に相当する、請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
L−グルタミン、グルコサミン、結合剤、ペオノール、及びアポシニンを、360:360:172:90:18の重量比で含む、組成物。
【請求項26】
L−グルタミン、グルコサミン、結合剤、ペオノール、及びアポシニンを、360:360:172:90:18の重量比で含み、ここで、前記結合剤は総組成物重量の約4〜4.6、好ましくは約4.3の割合で天然型のアポシニンを含む、組成物。
【請求項27】
実施例1に実質的に記載される、組成物。
【請求項28】
炎症性疾患の治療用製剤の製造における、アポシニン、及びペオノールの使用。
【請求項29】
実施例1Hに実質的に記載される、組成物。
【請求項30】
L−グルタミン、グルコサミン、天然ペオノール、単離ペオノール、及び単離アポシニンを、50:50:100:350:100の重量比で含む、組成物。

【公表番号】特表2008−534666(P2008−534666A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504848(P2008−504848)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001279
【国際公開番号】WO2006/106350
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507333029)エーケーエル インフラメトリー リミティド (2)
【Fターム(参考)】