説明

抗生物質

本発明は、(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩に関する。また、この塩の有効量による細菌感染症の治療方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本特許出願は、2008年6月15日出願の、米国仮特許出願61/080,809号の優先権を主張し、これらの出願の内容は参照により本明細書に引用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細菌性病原体は、公衆衛生への継続的脅威を引き起こす。実際のところ、細菌感染症は、抗生物質耐性菌の菌株の発生(prevalence)により、慣習的な抗生物質治療をもって治療することが次第に困難になる。たとえば、かつて結核が容易に治療できたという事実に関わらず、その原因物質であるヒト結核菌は、人口のほぼ3分の1を感染させる。実際、世界保健機構は、結核は世界的な緊急事態であると宣言した。抗生物質耐性菌の菌株は、また、バイオテロの潜在的因子でもある。
【0003】
それゆえに、新規な抗生物質を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
要約
本発明のひとつの態様は、下記式:
【0005】
【化1】

【0006】
で表される化合物1、すなわち、7−((3S,5R)−3−アミノ−5−メチルピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸のリンゴ酸塩である。
【0007】
この塩において、リンゴ酸は、D−リンゴ酸、L−リンゴ酸、またはそれらの混合物であり、リンゴ酸および化合物1の比は、1:1でありうる。塩は、溶媒和物の形態であり、当該塩は、製剤的に許容される溶媒、たとえば、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンと複合体を形成しうる。例としては、(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩0.5水和物(malic acid salt hemihydrate)が挙げられる。
【0008】
本発明の他の態様は、上述のリンゴ酸塩による細菌感染症の治療方法である。
【0009】
また、細菌感染症を治療するために用いられる、上述のリンゴ酸塩および製剤的に許容されるキャリヤを含む組成物だけでなく、細菌感染症を治療するための薬剤を製造するための該組成物の使用も、本発明の範囲である。
【0010】
本発明におけるいくつか実施形態の詳細は、後述の本明細書に記載されている。本発明の他の特徴、目的および効果は本明細書および請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の説明
化合物1、すなわち、7−((3S,5R)−3−アミノ−5−メチルピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(7-((3S,5R)-3-amino-5-methylpiperidin-1-yl)-1-cyclopropyl-8-methoxy-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid)を、公知の方法で合成し、当該化合物をリンゴ酸と処理をして、上述のリンゴ酸塩を得ることができる。後述の実施例1では、リンゴ酸塩を得るための合成方法を例示する。
【0012】
化合物1のリンゴ酸塩は、フラッシュカラムクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィー、結晶化、または他の好適な方法によってさらに精製することができる。
【0013】
上記塩は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、大便連鎖球菌(エンテロコッカス・フェカリス菌)(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム菌(腸球菌)(Enterococcus faecium)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coli)および淋菌(Neisseria gonorrhoeae)のような細菌を抑制する。したがって、本発明のひとつの様態は、当該塩の有効量を必要とする患者に投与することによる細菌感染症の治療方法に関する。さらに、当該塩は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、キノロン耐性黄色ブドウ球菌(quinolone-resistant Staphylococcus aureus)、排出関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(efflux-related methicillin-resistant Staphylococcus aureus)、ヘテロバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(hetero vancomycin-intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(vancomycin-intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-resistant Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae)、フルオロキノロン耐性肺炎連鎖球菌(fluoroquinolone-resistant Streptococcus pneumoniae)または多剤耐性肺炎連鎖球菌(multi-resistant Streptococcus pneumoniae)のような薬剤非感受性菌(drug-nonsusceptible bacteria)によって引き起こされる感染症を治療するのに用いることができる。
【0014】
「有効量」という語は、処置された患者に治療効果を付与する活性な薬剤の量を意味する。有効量は、当業者には認識されているように、投与経路、賦形剤量、および他の治療療法との併用の可能性に左右されて変動する。「治療する(treating)」という語は、
上述の感染症を持つ、または感染症の症状(symptom)を持つ、または感染症になりやすい体質(predisposition)を治癒する(cure)、治療する(heal)、軽減する(alleviate)、緩和する(relieve)、変化させる(alter)、治療する(remedy)、改善する(ameliorate)、改善する(improve)または影響を与える(affect)ことを目的として、その感染症、感染症の症状、または感染症になりやすい体質を持つ、患者に有効量の活性な薬剤を投与することと規定される。本明細書で用いられる場合、「非感受性(nonsusceptible)」という語は、中間レベルから十分なレベルでの薬剤に対する耐性を意味する。たとえば、メチシリン非感受性細菌は、メチシリン耐性(methicillin-resistant)またはメチシリン低感受性(methicillin-intermediate)細菌でありうる。
【0015】
この方法を実施するために、リンゴ酸塩は、経口で、非経口で、吸入噴霧を通して、または注入容器(an implanted reservoir)を通して、投与されうる。本明細書で用いられる場合、「非経口に」との語は、皮下の(subcutaneous)、皮内の(intracutaneous)、静脈内の(intravenous)、筋肉内の(intramuscular)、関節内の(intraarticular)、動脈内の(intraarterial)、滑液嚢内の(intrasynovial)、胸骨内の(intrasternal)、髄腔内の(intrathecal)、病巣内の(intralesional、または頭蓋内の(intracranial)注射、および任意の適当な注入技術を意味する。
【0016】
経口組成物は、これに制限されないが、錠剤、カプセル、乳剤および水性懸濁剤、分散剤、並びに溶液などの、経口で許容されうる任意の剤形でありうる。錠剤の場合、一般的に用いられる担体(carriers)としては乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、錠剤に一般的に添加される。カプセル形態での経口投与の目的で、有用な希釈剤としては乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁剤または乳剤を経口的に投与する場合には、乳化剤または懸濁化剤と組み合わされた油相中に活性成分を懸濁または溶解させればよい。所望により、ある種の甘味剤、矯味剤または着色剤を添加してもよい。
【0017】
注射可能な滅菌組成物(たとえば、水性または油性溶液)は、適当な分散剤または湿潤剤(たとえば、トゥイーン80)および懸濁剤を用いて公知の方法で調製されうる。注射可能な滅菌製剤(sterile injectable preparation)は、また、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口で許容されうる希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌溶液または懸濁液でありうる。用いられる許容されうる媒体(vehicles)および溶媒(solvents)としては、マンニトール、水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、滅菌した固定油が溶媒または懸濁化媒体(たとえば、合成モノまたはジグリセリド)として従来用いられている。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油、特にポリオキシエチル化体のような製薬上許容されうる天然油のように、注射剤の調製に有用である。これらの油の溶液または懸濁液は、また、長鎖アルコール希釈剤もしくは分散剤、カルボキシメチルセルロース、または類似の分散剤を含みうる。
【0018】
吸入組成物は、医薬の製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを改善するための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または本技術分野において公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、食塩水中の溶液として調製されうる。
【0019】
局所組成物(a topical composition)は、油状、クリーム状、ローション状、軟膏およびこれらに類似した剤形に調製されうる。当該組成物の適当な担体としては、植物油または鉱油、白色ワセリン(white petrolatum)(白色軟パラフィン)(white soft paraffin)、分岐脂肪酸または油、動物性油および高分子量アルコール(high molecular weight alcohols)(C12よりも大きい)などが挙げられる。好ましい担体としては、活性成分を溶解するものがよい。乳化剤、安定化剤、保湿剤および酸化防止剤、また所望により、色または香りを付与する薬剤もまた含まれる。さらに、経皮透過促進剤(transdermal penetration enhancers)も、当該局所組成物中に適用されうる。米国特許3,989,816号および4,444,762号には、このような促進剤の例が記載されている。鉱油、自己乳化蜜ろう(self-emulsifying beeswax)および水の混合物から、クリームを配合することが好ましく、この混合物中に、活性成分がアーモンドオイル等の少量の油中に溶解される。このようなクリームの例としては、約40部の水、約20部のビーズワックス、約40部の鉱油、および約1部のアーモンド油を含むものが挙げられる。アーモンド油のような植物油中の活性成分の溶液を、温めた軟パラフィン(soft paraffin)と混合し、混合物を冷却して軟膏が調製できる。このような軟膏の例としては、約30重量%のアーモンド、約70重量%の白色軟パラフィンを含む。
【0020】
薬剤組成物中の担体は、組成物中の活性成分と適合し(好ましくは、当該活性成分を安定化でき)、治療される対象に対して有害でないという意味で「許容されうる」ものでなければならない。たとえば、シクロデキストリン(抽出物の活性化合物の一以上と特定の可溶性がより高い複合体を形成する)などの可溶化剤が、活性成分を送達するための医薬の賦形剤として用いられうる。他の担体としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウムおよびディーアンドシーイエロー(D&C Yellow)♯10が挙げられる。
【0021】
上述の化合物1のリンゴ酸塩は、WO2007/110836に記載された(3S,5S)−3−アミノ−5−メチルピリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(化合物1’)のリンゴ酸塩のような異性体の塩(an isomeric salt)と、どんな比率でも(たとえば、1:1のようにして)共に用いられうる。化合物1’の構造は下記に示す:
【0022】
【化2】

【0023】
化合物1のリンゴ酸塩は、in vitroでのアッセイにより細菌の成長を抑制する効果を予め評価されうる。当該化合物は、in vivoアッセイで、細菌感染症を治療する際の有効性を評価されうる。たとえば、感染症を有する動物(たとえば、マウスモデル)に当該化合物を投与し、その治療効果をアクセスする。この結果に基づいて、適当な投与量の範囲および投与経路もまた決定されうる。
【0024】
さらに説明することなく、上記説明により、本発明を適切に実施できると考えられる。したがって、下記特定の実施例は、単に詳細に説明することを意図しており、残りの開示を限定するものではないと、解される。本明細書に列挙された、特許を含む、すべての公報は、参考で全体を本明細書中に引用される。
【実施例】
【0025】
実施例1
化合物1のリンゴ酸塩の合成
当該塩の合成経路を下記式に例示する。
【0026】
【化3】

【0027】
(1)(2S)−5−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル((2S)-5-Oxo-pyrrolidine-1,2-dicarboxylic acid 1-tert-butyl ester 2-methyl ester)(化合物3)
ピログルタミン酸(pyroglutamic acid)(15.0g)のメタノール(60.0mL)懸濁液に、塩化チオニル(27.6g)を30℃未満(<30°C)の温度で撹拌しながら添加した。1時間後、反応の終了をHPLCで確認した。減圧下で溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解した。トリエチルアミン(13.5g)を30℃未満の温度でゆっくりと添加した後、混合物をろ過した。一部分のろ液に、DMAP(1.5g)を加えて、続けて30℃未満の温度で、BocO(27.8g)を添加した。反応の終了をHPLCで確認した後、混合物を0℃まで冷却し、1N HCl(13.0mL)を、30℃未満の温度で添加し、10分間撹拌した。有機層を除去し、HO(20.0mL)で洗浄し、減圧下で留去した。その後、得られた残留物に、tert−ブチルメチルエーテル(27.0mL)を添加し、撹拌しながら0℃に冷却した。ゆっくりと析出した結晶をろ過して、化合物3(21.9g、77.3%)を得た。
【0028】
(2)(2S,4R)−4−メチル−5−オキソ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル((2S,4R)-4-Methyl-5-oxo-pyrrolidine-1,2-dicarboxylic acid 1-tert-butyl ester 2-methyl ester)(化合物4)
3Lフラスコに、化合物3(103.6g)の無水THF(1200.0mL)の溶液を添加した。その後、反応混合物をN下で−72℃まで冷却した。1.0M LHMDSのTHF(440.0mL)溶液を−10℃まで冷却して、反応溶液温度が−64℃未満の温度に維持できる速度で、反応混合物に添加した。添加後、反応混合物を撹拌しながら45分間、−65℃未満の温度に維持した。その後、ヨードメタン(65.7mL)を65℃未満の温度で滴下し、2時間−72℃未満の温度で撹拌した。この混合物を、室温(ambient temperature)まで温め、3時間撹拌した。酢酸(38.9mL)のTHF(300.0mL)溶液を添加し、反応を終了した。溶媒を減圧下で除去し、引き続きHO(700.0mL)および酢酸エチル(500.0mL)を添加して10分間撹拌した。水層を除去して、酢酸エチル(300.0mL)で抽出した。混合した溶媒(combined organic layers)を減圧下で留去して化合物4(139.8g)を得た。
【0029】
(3)(1S,3R)−4−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−3−メチル−ブチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル((1S,3R)-4-Hydroxy-1-hydroxymethyl-3-methyl-butyl)-carbamic acid tert-butyl ester)(化合物5)
フラスコに、化合物4(50.0g)のTHF(400.0mL)溶液を添加し、N下で撹拌しながら溶液を0℃まで冷却した。溶液温度が−5℃〜5℃の範囲を維持できる速度で、NaBH(22.0g)を分割して(in portions)反応混合物に添加し、その後、無水エタノール(100.0mL)を同じ温度で滴下して添加した。反応混合物を、−5℃〜5℃で5時間維持し、その後室温まで温め、終夜で撹拌した。反応の終了をTLCで確認して、反応を5〜15℃に冷却した。酢酸(37.0mL)を、反応温度が5〜15℃に維持できるよう、pH=5までゆっくりと添加した。その後、混合物中にHO(100.0mL)を添加し、10分間撹拌し、続いて酢酸エチル(150.0mL)を添加し10分間撹拌した。水層を酢酸エチル(75.0mL)で抽出し、これらの有機層はフラスコ中で混合した。その後、フラスコに飽和食塩水(150.0mL)を撹拌しながら添加し、続いて炭酸ナトリウム(14.5g)の添加によりpHを7未満にした。分離した有機層は、食塩水(150mL×2)で洗浄し、減圧下で留去した。残留物に酢酸エチル(100.0mL)およびトルエン(100.0mL)を加え、減圧下で蒸留して化合物5(41.2g、90.9%)を得た。
【0030】
(4)(2S,4R)−メタンスルホン酸 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−5−メタンスルホニルオキシ−4−メチル−ペンチルエステル((2S,4R)-Methanesulfonic acid 2-tert-butoxycarbonylamino-5-methanesulfonyloxy-4-methyl-pentyl ester)(化合物6)
5(40.8g)の酢酸エチル(347.0mL)の溶液をN下0℃まで冷却した。トリエチルアミン(70.7g)および塩化メタンスルホニル(59.8mL)を0±5℃で滴下して添加した。反応溶液は、0±5℃で1時間撹拌した。反応の終了をTLCで確認した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(350.0mL)を撹拌しながら添加した。有機層を除去し、減圧下で留去して、化合物6(66.7g、97.9%)を得た。
【0031】
(5)(3S,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチル−N−ベンジル−ピペリジン((3S,5R)-3-(tert-Butoxycarbonylアミノ)-5-methyl-N-benzyl-piperidine)(化合物7)
ベンジルアミン(57.8g)をフラスコに移し、N下45℃に加熱した。フラスコに、化合物6(65.7g)のジメトキシエタン(65.0mL)の溶液を滴下して添加した。添加している間、反応温度を約50±5℃に維持した。同じ温度で終夜撹拌した後、炭酸カリウム(32.8g)の水(200.0mL)の溶液を添加した。混合物は室温まで冷却して、酢酸エチル(300mL)を添加した。有機層を除去して、HO(200.0mL´2)で洗浄して、減圧下で留去した。残留物に、溶離液として酢酸エチル/ヘプタン1:14を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを行い、油状の生成物7を得た。
【0032】
【化4】

【0033】
(6)(3S,5R)−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−メチルピペリジン((3S,5R)-3-(tert-butoxycarbonylamino)-5-methylpiperidine)(化合物8)
化合物7(4.8g)、活性炭(active carbon)(0.5g)、およびメタノール(100.0mL)の混合物を0.5時間混合し、ろ過した。ろ液を水素化用フラスコに移し、パラジウム炭素(palladium on carbon)(7.5%、1.0g)を添加した。フラスコ中の空気を、数回、真空下で除去してHで置換した。その後、混合物を45±5℃に加温して、水素下で36時間混合した。混合物をろ過し、ろ液を減圧下で留去して、化合物8(2.9g、85.8%)を得た。
【0034】
【化5】

【0035】
(7)1−シクロプロピル−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸のホウ素エステル(Boron ester of 1-Cyclopropyl-7-fluoro-8-methoxy-4-oxo-1,4-dihydro-quinoline-3-carboxylic acid)(化合物9):
反応器に、酸化ホウ素(boron oxide)(2.0kg、29mol)、氷酢酸(8.1L、142mol)、および無水酢酸(16.2L、171mol)を入れた。得られた混合物を少なくとも2時間還流して、その後40℃に冷却し、その温度で、1−シクロプロピル−7−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロ−キノリン−3−カルボン酸(14.2kg、51mol)を添加した。混合物を、少なくとも6時間還流し、その後約90℃に冷却した。トルエン(45L)を反応に添加した。50℃で、tert−ブチルエチルエーテル(19L)を添加し、沈殿物を生じさせた。混合物は、その後、20℃に冷却し、ろ過をして沈殿物を単離した。単離された固体を、tert−ブチルエチルエーテル(26L)で洗浄し、40℃(50torr)で真空オーブン中で乾燥させ、化合物9を86.4%の収率で得た。
【0036】
【化6】

【0037】
(8)7−((3S,5R)−3−アミノ−5−メチルピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸(7-((3S,5R)-3-Amino-5-methylpiperidin-1-yl)-1-cyclopropyl-8-methoxy-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid)(化合物1)
HPLCで観測しながら、化合物8(2.0g)、化合物9(4.2g)、およびトリエチルアミン(3.9mL)のアセトニトリル(32.0mL)溶液を50℃に少なくとも12時間、撹拌しながら加熱した。この後、再冷却した溶液を減圧下で蒸留した。残留物を25℃に冷却し、水酸化ナトリウム溶液(9.3g、30%)をゆっくりと加えた。反応はHPLCで観測した。この後、再冷却された溶液を減圧下、50℃で蒸留した。残留物を25℃に冷却し、酢酸(2.5g)を加えてpH8.0に調整した。その後、ジクロロメタン(80.0mL)を撹拌しながら加えた。分離した有機層を減圧下で蒸留して、塩酸塩溶液(hydrochloride solution)(12.2g、30%)を加えた。反応混合物を混合し、35℃12時間加熱し、HPLCで観測した。この後、反応混合物を25℃に冷却し、沈殿物をろ過した。この沈殿物を50℃で水に溶解させて、水酸化ナトリウム水溶液(3.0g、30%)でpH=7.9に中和した。沈殿物をろ過して、真空下、24時間50℃で乾燥して、化合物1(2.9g、82.9%、純度99.9%)を得た。
【0038】
(9)7−((3S,5R)−3−アミノ−5−メチルピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピル−8−メトキシ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸 D,L−リンゴ酸塩0.5水和物(7-((3S,5R)-3-amino-5-methylpiperidin-1-yl)-1-cyclopropyl-8-methoxy-4-oxo-1,4-dihydroquinoline-3-carboxylic acid D,L-malic acid salt hemihydrate)(化合物1のリンゴ酸0.5水和物(the malic acid hemihydrate of Compound 1))
エタノール(14mL)および精製水(9.8mL)を混合し、60±2℃に加熱した。化合物1(2.8g)、dl−リンゴ酸(1.0g)、および活性炭(activated carbon)(0.13g)を溶液に添加した。同じ温度で10分間撹拌した後、混合物をろ過した。ろ液を0±2℃に冷却して、30分間撹拌して、沈殿物を得て、この沈殿物を真空下で2時間45±2℃で乾燥して、所望の塩(2.5g、64.7%、98.9%純度)を得た。
【0039】
【化7】

【0040】
化合物1’のリンゴ酸塩0.5水和物の合成
化合物1’のリンゴ酸塩0.5水和物をWO2007/110836の記載と同様にして調製した。
【0041】
実施例2
細菌の抑制
化合物1および化合物1’のリンゴ酸塩ならびにシプロフロキサシン(ciprofloxacin)を用いて、8つのATCC標準株(8 ATCC reference strains)(すなわち、大腸菌(E. coli)ATCC 25922、緑膿菌(P. aeruginosa)ATCC 27853、黄色ブドウ球菌(S. aureus)ATCC 29213、大便連鎖球菌(E. faecalis)ATCC 29212、肺炎連鎖球菌(S. pneumonia)ATCC 49619、インフルエンザ菌(H. influenzae)ATCC 49247、インフルエンザ菌(H. influenzae)ATCC 49766、および淋菌(N. gonorrhoeae)ATCC 49226)および10の臨床株(10 clinical strains)(すなわち、ふたつの黄色ブドウ球菌株(S. aureus strain)、ひとつの大便連鎖球菌株(E. faecalis strain)、ひとつのエンテロコッカス・フェシウム菌株(E. faecium strain)、ふたつの大腸菌株(E. coli strains)、ふたつの緑膿菌株(P. aeruginosa strains)、およびふたつのインフルエンザ菌株(H. influenzae strains))への抑制効果を試験した。
【0042】
最小発育阻止濃度(MICs)(minimum inhibitory concentrations)を、米国臨床検査標準委員会(CLSI)(the Clinical and Laboratory Standards Institute)のガイダンスに従って、微量液体希釈法(broth microdilution method)により測定した。たとえば、“Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacterial That Grow Aerobically”,CLSI 2006,Approved standard−7th Ed.M7−A7;および“Performance standards for Antimicrobial Susceptibility Testing,”CLSI 2007,17th Informational Supplement,M100−S17、を参照。なお、CLSIの推薦する淋菌(N. gonorrhoeae)のための微量液体希釈(BMD)法がないため、髄膜炎菌(N. meningitis)に推薦されているBMD法を用いた。
【0043】
3つの化合物のそれぞれを、水に溶解させて、滅菌ろ過(sterile filtration)をして、保存液を準備した。保存液を分割して−20℃で保存した。感受性試験の前に、それぞれの保存液を培地媒体(broth medium)に希釈して、2Xストック(2X stock)とした。これらの濃度は、最終作用濃度(the final working concentration)の2倍の濃度である。この2Xストック(2X stock)を、96ウエルマイクロタイタープレート(the 96-well microtitre plates)の1ウエルにつき、50μL分注した。プレートは、新しいもの、または使用前に−80℃で保存しておいたものが用いられた。
【0044】
試験を行うにあたって、インフルエンザ菌(H. influenzae)および淋菌(N. gonorrhoeae)をチョコレート平板(chocolate plates)上に二次培養したのを除いて、その他の全ての種は、凍結した細菌の分離株(the frozen bacterial isolates)の一定量を羊血液寒天(sheep blood agar)上に二次培養した。全ての平板培地(plate media)はBBL(ベクトン・ディッキンソン・マイクロバイオロジー・システム(Becton Dickinson Microbiology System)、コッキーズビル(Cockeysvill)、MD)で購入した。抗菌性感受性試験の前日に、全ての細菌は、前培養を行い、新鮮な開始用培養物(fresh starting cultures)を得た。試験を行う際は、大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、および大便連鎖球菌(E. faecalis)には、ミューラー・ヒントン培地(Mueller-Hinton broth)(MHB、Trek Diagnostics、West Essex、イギリス)を用いた;肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)および淋菌(N. gonorrhoeae)の試験には、3%溶解ウマ血液含有MHB(MHBHB)(MHB containing 3% lysed horse blood)を用いた;ならびにインフルエンザ菌(H. influenzae)の試験には、Haemophilus Testing Medium broth(HTM)を用いた。
【0045】
試験当日、まず最初に、新鮮な前培養平板(subcultured plate)から、それぞれの細菌の0.5マクファーランドの懸濁液(0.5 McFarland suspension)を調整した。大腸菌(E. coli)、緑膿菌(P. aeruginosa)、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、および大便連鎖球菌(E. faecalis)の0.5マクファーランドの懸濁液は水で調整し、淋菌(N. gonorrhoeae)および肺炎連鎖球菌(S. pneumonia)の0.5マクファーランドの懸濁液はMHBで調整し、インフルエンザ菌(H. influenzae)の0.5マクファーランドの懸濁液はHTMで調整した。その後、それぞれの懸濁液百マイクロリットル(One hundred microlier)を、必要に応じてMHB、MHBHB、またはHTMの10mLに移して、1×10CFU/mLを含有する懸濁液を得た。その後、懸濁液を上記記載のように96ウエルマイクロタイタープレート中に分注した(50μL/ウエル)。淋菌(N. gonorrhoeae)を5%CO下でインキュベートしたのを除いて、全てのプレートを、大気中35℃で終夜インキュベートした。インキュベート時間および条件はCLSIのガイドラインに記述されているとおりに行った。白金耳量の最終接種物(the final inoculum)を用いて、それぞれの単離物の純度確認を行った。
【0046】
化合物1のリンゴ酸塩は、試験を行った細菌株へのMICsがシプロフロキサシンに比べて低く、または同程度に低く、これはこの化合物が効果的に細菌を抑制していることを示している。化合物1のリンゴ酸塩は、いくつかの黄色ブドウ球菌(S. aureus)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、および緑膿菌(P. aeruginosa)株を抑制するのにより効果的であった。
【0047】
薬剤耐性細菌(drug-resistant bacteria)の抑制
化合物1のリンゴ酸塩、化合物1’のリンゴ酸塩、ならびに化合物1および化合物1’のリンゴ酸塩の混合物について、シプロフロキサシン耐性肺炎連鎖球菌(ciprofloxacin-resistant S. pneumoniae)およびレポフロキサシン耐性肺炎連鎖球菌(levofloxacin-resistant S. pneumoniae)の抑制効果を試験した。MICsは微量液体希釈法で測定した。
【0048】
化合物1のリンゴ酸塩、化合物1’のリンゴ酸塩、化合物1および化合物1’のリンゴ酸塩の混合物、シプロフロキサシン(CIP)(ciprofloxacin)ならびにレポフロキサシン(Levo)(levofloxacin)のMIC50およびMIC90値を下記表に示した:
【0049】
【表1】

【0050】
上記表に示すように、試料のうちでは、化合物1のリンゴ酸塩、ならびに化合物1および化合物1’のリンゴ酸塩の混合物が、シプロフロキサシン感受性および耐性黄色ブドウ球菌(S. aureus)、ならびにレポフロキサシン感受性および耐性肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)をより効果的に抑制することがわかる。
【0051】
薬物動態学的研究
化合物1のリンゴ酸塩および化合物1’のリンゴ酸塩のそれぞれを、pH約4.5の0.7%乳酸および3%ブドウ糖の水溶液、およびpH約5.4の2.5% L-グルタミン酸水溶液に溶解し、薬物動態学的研究に用いる溶液を調製した。
【0052】
体重300〜400gの雄のSprague−Dawleyラット(バイオラスコタイワンカンパニーリミテッド(BioLASCO Taiwan Co., Ltd.)、台北、台湾)に、生存している期間(in-life phase)の前日に、ペントバルビタール麻酔をしながら、血液採取のためのポリエチレン(PE−50)カニューレ(cannula)を頸静脈(jugular vein)中に埋め込んだ。
【0053】
化合物1または化合物1’の溶液を、静脈注射(IV)により2.5mg/kg(N=3)の用量、またはチューブによる経口(oral gavage)(PO)により5mg/kg(N=4)の用量でラットに投与した。服用レベルは、当該化合物の塩基フリーの形態(the free base form of the compounds)に基づいている。PO研究の場合、ラットに、終夜、不断給水をして断食させ、その翌日に服用させた。一連の血液試料を、服用前の5、10(IVのみ)、15および30分、ならびに服用後の1、2、4、6、8、12および24時間、動物から採取し、へパリン化血漿(heparinized plasma)を遠心分離後、回収(recovered)した。血漿中の試料化合物の濃度は、定量下限を2ng/mLとする液体クロマトグラフィー−質量分析(MDS SCIEX、API 3000、Applied Biosystems、CA、USA)によって測定した。
【0054】
標準的な薬物動態学的パラメータは、WinNonlin(Version 4.0、Pharsight、CA、USA)を用いたノンコンパートメント解析(non-compartmental analysis)により評価した。服用時から無限大(the time of dosing to infinity)における濃度時間曲線下面積(AUC(0−inf))(the area under the concentration vs. time curve)は、線形台形公式(the linear trapezoidal rule)によって計算された。経口のバイオアベイラビリティ(%F)は、ラットの静脈血漿暴露(the intravenous plasma exposure)に対する経口投与後の血漿暴露(plasma exposure)の用量標準化の比(the dose-normalized ratio)から計算され、下記式で表される:
【0055】
【数1】

【0056】
式中、Dは用量を表し、AUCは、0から無限大の血漿濃度時間曲線下面積(the area-under-the-plasma-concentration-time-curve from 0 to infinity)を表す。
【0057】
化合物1のリンゴ酸塩のIV注射の場合、終末相半減期(the terminal half-life)(t1/2)および服用時から無限大における曲線下面積(AUC(0−inf))は、それぞれ、2.466±0.801時間(h)および1.530±0.066μg´h/mLである。化合物1のリンゴ酸塩のPO投与の場合、半減期(the terminal half-life)(t1/2)、最高血中濃度(the maximum of concentration)(Cmax)、最高血中濃度到達時間(the time at the maximum of concentration)(Tmax)、および服用時から無限大における曲線下面積(AUC(0−inf))は、それぞれ、3.581±1.704時間(h)、0.622±0.170μg/mL、0.250±0.000時間(h)、および1.404±0.464μg×h/mLである。
【0058】
化合物1のリンゴ酸塩の経口のバイオアベイラビリティ(%F)は、約45.9±15.2%であり、化合物1’のリンゴ酸塩の経口のバイオアベイラビリティ(%F)は、13.2±3.3%であった。よって、化合物1のリンゴ酸塩の経口投与が、化合物1’のリンゴ酸塩の経口投与よりも効果的であった。
【0059】
他の実施形態
本明細書に開示された全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合わせられうる。本明細書に開示のそれぞれの特徴は、同一の、均等な、または類似の目的を達成する他の特徴により置換されうる。よって、そうでないと明記しない限り、開示されたそれぞれの特徴は、等価な、または類似の特徴の一例に過ぎない。
【0060】
当業者であれば、上述した記載から本発明の本質的な特徴を容易に認識することができ、本発明の思想および範囲から逸脱することがなく、発明に種々の変更および修飾を施し、種々の用途および条件に適合させることができる。よって、他の実施形態もまた、特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩。
【請求項2】
前記リンゴ酸および前記(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の比が1:1である、請求項1に記載の塩。
【請求項3】
前記塩が水和物の形態である、請求項1に記載の塩。
【請求項4】
前記塩が、(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩0.5水和物である、請求項3に記載の塩。
【請求項5】
前記リンゴ酸および前記(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の比が1:1である、請求項4に記載の塩。
【請求項6】
前記リンゴ酸が、D−リンゴ酸である請求項1に記載の塩。
【請求項7】
前記リンゴ酸が、L−リンゴ酸である請求項1に記載の塩。
【請求項8】
前記リンゴ酸が、D,L−リンゴ酸である請求項1に記載の塩。
【請求項9】
前記リンゴ酸が、D−リンゴ酸である請求項5に記載の塩。
【請求項10】
前記リンゴ酸が、L−リンゴ酸である請求項5に記載の塩。
【請求項11】
前記リンゴ酸が、D,L−リンゴ酸である請求項5に記載の塩。
【請求項12】
(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩および製薬上許容されるキャリヤを含む薬剤組成物。
【請求項13】
(3S,5S)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩をさらに含む請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記(3S,5R)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩および前記(3S,5S)−7−[3−アミノ−5−メチル−ピペリジニル]−1−シクロプロピル−1,4−ジヒドロ−8−メトキシ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸のリンゴ酸塩の比が約1:1である請求項13に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
請求項12に記載の組成物の有効量を、必要とする患者に投与することを含む、細菌感染症の治療方法。
【請求項16】
前記細菌感染症が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、大便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム菌(Enterococcus faecium)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coli)、または淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の感染症である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記細菌感染症が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus epidermidis)、キノロン耐性黄色ブドウ球菌(quinolone−resistant Staphylococcus aureus)、排出関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(efflux−related methicillin−resistant Staphylococcus aureus)、ヘテロバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(hetero vancomycin−intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(vancomycin−intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin−resistant Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Penicillin−resistant Streptococcus pneumoniae)、フルオロキノロン耐性肺炎連鎖球菌(fluoroquinolone−resistant Streptococcus pneumoniae)、または多剤耐性肺炎連鎖球菌(multi−resistant Streptococcus pneumoniae)の感染症である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項13に記載の組成物の有効量を、必要とする患者に投与することを含む、細菌感染症の治療方法。
【請求項19】
細菌感染症が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、大便連鎖球菌(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム菌(Enterococcus faecium)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coli)、または淋菌(Neisseria gonorrhoeae)の感染症である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細菌感染症が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin−resistant Staphylococcus epidermidis)、キノロン耐性黄色ブドウ球菌(quinolone−resistant Staphylococcus aureus)、排出関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(efflux−related methicillin−resistant Staphylococcus aureus)、ヘテロバンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(hetero vancomycin−intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン低感受性黄色ブドウ球菌(vancomycin−intermediate Staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin−resistant Staphylococcus aureus)、ペニシリン耐性肺炎連鎖球菌(Penicillin−resistant Streptococcus pneumoniae)、フルオロキノロン耐性肺炎連鎖球菌(fluoroquinolone−resistant Streptococcus pneumoniae)、または多剤耐性肺炎連鎖球菌(multi−resistant Streptococcus pneumoniae)の感染症である請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2011−528354(P2011−528354A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518807(P2011−518807)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/050241
【国際公開番号】WO2010/009014
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(505367785)タイゲン バイオテクノロジー カンパニー,リミテッド (10)
【Fターム(参考)】