説明

抗癌剤としてのピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体のコンジュゲート

本発明は、抗癌剤として使用することができるピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体(I)の新規コンジュゲートに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン(PBD)二量体コンジュゲート、これらを含む組成物および特に抗癌剤としてのこれらの治療的用途に関する。本発明はまた、コンジュゲートの調製方法、抗癌剤としてのこれらの用途および二量体自体に関する。
【背景技術】
【0002】
ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体は、細胞のDNAに共有結合することにより作用する抗癌剤である。これらの誘導体は、出願WO00/12508およびWO2005/085260ならびに以下の刊行物Eur.J.Med.Chem.,2005,40,641−654、Tetrahedron Letters,1988,29(40),5105−5108に記載されている。
【0003】
コンジュゲートの化学的性質は、長年にわたり公知であり、細胞毒性剤、例えばマイタンシノイド(WO04103272)、タキサン(WO06061258)、レプトマイシン(WO07144709)またはCC−1065およびこのアナログ(WO2007102069)などの幾つかのファミリーに適用されてきた。コンジュゲートに関して、Monneret C.et al.,Bulletin du Cancer,2000,87(11),829−38、Ricart A.D.et al.,Nature Clinical Practice Oncology,2007,4,245−255、Singh R.and Rickson H.K.,Therapeutic Antibodies:Methods and Protocols,2009,525,445−467も参照。
【0004】
先行技術
ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体コンジュゲートは、出願WO07085930またはWO2009/016516に既に記載されている。使用される二量体は、さらに特定すると、式:
【0005】
【化1】

(式中、Tは、−G−D−(Z)−SZまたは−G−D−(Z)−C(=O)Zにより置換されているアリールまたはヘテロアリール基を表すことができる。)を有する。Gは、単結合もしくは二重結合あるいは−O−、−S−もしくは−NR−を表す。Dは、単結合あるいは以下の基の1種:−E−、−E−NR−、−E−NR−F−、−E−O−、−E−O−F−、−E−NR−CO−、−E−NR−CO−F−、−E−CO−、−CO−E−、−E−CO−F、−E−S−、−E−S−F−、−E−NR−CS−、−E−NR−CS−F−を表し、EおよびFは、−(OCHCHアルキル(OCHCH−、−アルキル(OCHCH−アルキル−−、CHCH−、−(OCHCHシクロアルキル(OCHCH−、−(OCHCHヘテロシクリル(OCHCH−、−(OCHCHアリール(OCHCH−、−(OCHCHヘテロアリール(OCHCH−、−アルキル−(OCHCHアルキル(OCHCH−、−アルキル−(OCHCH−、−アルキル−(OCHCHシクロアルキル(OCHCH−、−アルキル(OCHCHヘテロシクリル(OCHCH−、−アルキル−(OCHCHアリール(OCHCH−、−アルキル(OCHCHヘテロアリール(OCHCH−、−シクロアルキル−アルキル−、−アルキル−シクロアルキル−、−ヘテロシクリル−アルキル−、−アルキル−ヘテロシクリル−、−アルキル−アリール−、−アリール−アルキル−、−アルキル−ヘテロアリール−、−ヘテロアリール−アルキル−から選択される。iおよびjは、0から2000の範囲の整数を表す。Zはアルキル基を表し、pは0または1の値を有する整数である。
【0006】
本発明の化合物の一部を特徴付ける基L=−CHC(=O)NR−(CHCHO)−ALK−は、アミド単位(−CONR−)を含み、WO07085930またはWO2009/016516において単位−E−CONR−F(E=アルキルおよびF=−(CHCHO)−アルキル−)のみに対応し得る。しかしながら、フェニルまたはピリジニル環に結合しており、Lに結合している基Lは、これら2つの特許出願において記載も示唆もされていない。具体的には、これは単位Gにのみ対応し得る。実際、Gは、結合(単結合、二重結合、三重結合)のみあるいは−O−、−S−もしくは−NR−であり得る。リンカー−O−ALK−NR−ALK−S−(CHCHO)−ALK−により特徴付けられる本発明の他の化合物に関して、WO07085930またはWO2009/016516の単位Dはいずれも、アミン基NRおよび結合−S−の組合せを提供しない。以下の二量体が、WO2009/016516に記載されている。
【0007】
【化2】

【0008】
しかし、これらの二量体はいずれも、本発明に記載のものと同様のリンカーを含まない(特に−ALK−S−単位を含まない。)。
【0009】
従って、2つの出願WO07085930およびWO2009/016516は、本発明の化合物を記載も示唆もしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第00/12508号
【特許文献2】国際公開第2005/085260号
【特許文献3】国際公開第04103272号
【特許文献4】国際公開第06061258号
【特許文献5】国際公開第07144709号
【特許文献6】国際公開第2007102069号
【特許文献7】国際公開第07085930号
【特許文献8】国際公開第2009/016516号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Eur.J.Med.Chem.,2005,40,641−654
【非特許文献2】Tetrahedron Letters,1988,29(40),5105−5108
【非特許文献3】Monneret C.et al.,Bulletin du Cancer,2000,87(11),829−38
【非特許文献4】Ricart A.D.et al.,Nature Clinical Practice Oncology,2007,4,245−255
【非特許文献5】Singh R.and Rickson H.K.,Therapeutic Antibodies:Methods and Protocols,2009,525,445−467
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、新規ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体コンジュゲートを提供することである。
【0013】
定義
以下の用語は添付の意味を有する。
【0014】
コンジュゲート:細胞毒性化合物の少なくとも1種の分子に共有結合している細胞結合剤。
【0015】
細胞結合剤;生物学的標的についての親和性を有する分子:細胞結合剤は、例えば、リガンド、タンパク質、抗体、さらに特定するとモノクローナル抗体、タンパク質もしくは抗体フラグメント、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはオリゴ糖であり得る。結合剤の役割は、生物学的活性化合物、例えば細胞毒性剤を生物学的標的に向けることである。
【0016】
生物学的標的:癌性細胞またはこの腫瘍に関連する間質細胞の表面に優先的に局在している抗原(または抗原群);これらの抗原は、例えば成長因子受容体、癌遺伝子産物または突然変異「腫瘍抑制」遺伝子産物、血管新生関連分子または接着分子であってよい。
【0017】
アルキル基:アルカンからの水素原子の除去により得られる飽和脂肪族炭化水素基。アルキル基は、直鎖または分枝鎖であり得る。例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、2,2−ジメチルプロピルまたはヘキシル基を挙げることができる。
【0018】
シクロアルキル基:環式構造内に含まれる3から8個の炭素原子を含む環式アルキル基。例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル基を挙げることができる。
【0019】
アリール基:ヘテロ原子を含まない単環または二環芳香族基。さらに特定すると、フェニルおよびナフチル基が関連する。
【0020】
ヘテロアリール基:環内に含まれ、環を形成する炭素原子に連結している少なくとも1個のヘテロ原子(O、S、N)を含む単環または二環芳香族基。さらに特定すると、ピリジニル、ピロリル、チエニル、フラニル、ピリミジニルまたはトリアゾリル基が関連する。
【0021】
ヘテロシクロアルキル基:環内に含まれ、環を形成する炭素原子に連結している少なくとも1個のヘテロ原子(O、S、N)を含むシクロアルキル基。
【0022】
アルコキシ基:アルキル基が上記定義のとおりである−O−アルキル基。
【0023】
アルカノイルオキシ基:アルキル基が上記定義のとおりである−O−CO−アルキル基。
【0024】
アルキレン基:アルカンからの2個の水素原子の除去により得られる実験式−C2m−の飽和二価基。アルカンは、直鎖または分枝鎖であり得る。例として、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、ブチレン(−CHCHCHCH−)、イソブチレン(
【0025】
【化3】

)またはヘキシレン(−CHCHCHCHCHCH−)基を挙げることができる。直鎖アルキレン基は、さらに特定すると式−(CH−(mは、整数を表す。)であり得る。
【0026】
値の範囲内で、限界値が含まれる(例えば、タイプ「1から6の範囲であるi」の範囲は、限界値1および6を含む。
【0027】
使用される略語
AcOEt:酢酸エチル;ALK:(C−C12)アルキレン基、さらに特定すると(C−C)アルキレン基;TLC:薄層クロマトグラフィー;DAR:薬物抗体比;DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン;DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;DCM:ジクロロメタン;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシラート;DIC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMA:ジメチルアセトアミド;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DME:ジメトキシエタン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;e:モル吸光係数;EEDQ:2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン;EDCl:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド;EDTA:エチレンジアミン四酢酸;Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル;PG:保護基;Hal:ハロゲン原子;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸;LG:脱離基;NHS:N−ヒドロキシスクシンイミド;NMP:N−メチルピロリジノン;RP:減圧;Rf:保持係数;SEC:立体排除クロマトグラフィー;AT:周囲温度;TBDMS:tert−ブチルジメチルシリル;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;TIPS:トリイソプロピルシリル;THF:テトラヒドロフラン;rt:保持時間。
【0028】
[図面]
図1は脱グリコシル化後の実施例1のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
図2は脱グリコシル化後の実施例2のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
図3は脱グリコシル化後の実施例3のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
図4は脱グリコシル化後の実施例4のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
図5は実施例6の脱グリコシル化されていないコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
これらの図面は、デコンボリューション後の各コンジュゲートについて、0から8個のトマイマイシン二量体を保持するものの分布を示す(D:二量体なし、D:x個の二量体)。
【課題を解決するための手段】
【0029】
発明の記述
本発明は、式:
【0030】
【化4】

(式中、
【0031】
【化5】

は、単結合または二重結合を表し、但し、
【0032】
【化6】

が単結合を表す場合、
−−−−が単結合を表し、
Uおよび/またはU’は、同一であり、または異なっており、互いに独立してHを表し、
Wおよび/またはW’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して、OH、−OR、−OCOR、−COOR、−OCOOR、−OCONRR’、N10およびC11が環内に含まれるような環式カルバマート、NRCONRR’、−OCSNHR、N10およびC11が環内に含まれるような環式チオカルバマート、−SH、−SR、−SOR、−SOOR、−SO、−NRSOOR’、NRR’、N10およびC11が環内に含まれるような環式アミン、−NROR’、−NRCOR’、−N、−CN、Halまたはトリアルキルホスホニウムもしくはトリアリールホスホニウム基を表すことを条件とし、
、R、R’およびR’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して、H、HalまたはHal、CN、NRR’、CF、OR、アリールもしくはヘテロアリール基もしくはS(O)R(q=0、1または2)から選択される1個以上の置換基により場合により置換されている(C−C)アルキル基を表し、
あるいは
およびRならびに/またはR’およびR’は、それぞれ、二重結合=CHまたは=CH−CHを一緒に形成し、
YおよびY’は、同一であり、または異なっており、互いに独立してHまたはORを表し、
Mは、CHまたはNを表し、
ALKおよびALK’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して(C−C)アルキレン基を表し、
RおよびR’は、互いに独立してH、またはHal、CN、NRR’、CF、ORもしくはアリールもしくはヘテロアリール基から選択される1個以上の置換基により場合により置換されている(C−C)アルキルもしくはアリール基を表し、
Lは、
−L−L−基(Lは、ALKまたはOALK基を介してMを含む芳香族環に結合しており、以下の基の1種:
−ALK−S−
【0033】
【化7】

−O−ALK−NR−ALK−S−
【0034】
【化8】

を表し、
およびLは、−CHC(=O)−を介してLに結合している−CHC(=O)−NR−(CHCHO)−ALK−基を表す。)、
あるいは
OALK基を介してMを含む芳香族環に結合している−O−ALK−NR−ALK−S−(CHCHO)−ALK−基を表し、
は、Hまたは(C−C)アルキル基を表し、
iは、1から40、特に1から20、好ましくは1から10の範囲の整数を表し、
は、単結合、−O−または−NH−を表し、およびRは、Hまたは(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは(C−C)ヘテロシクロアルキル基を表し、あるいはZは、単結合を表し、およびRは、Halを表す。)の化合物に関する。
【0035】
例示されたものを含む式(I)の化合物は、塩基もしくは医薬的に許容される酸との付加塩の形態またはさらにはこれらの塩基もしくはこれらの塩の水和物もしくは溶媒和物の形態で存在することができる。
【0036】
さらに特定すると、フェニルまたはピリジニル核に結合している2個のALKおよびALK’基は、両方とも、メチレン基を示す。
【0037】
【化9】

【0038】
さらに特定すると、式(I)の化合物のうち、式(IA)または(IB)の化合物:
【0039】
【化10】

が指摘される。
【0040】
YおよびY’は、さらに特定すると(C−C)アルコキシ基、特にメトキシ基を表す。RおよびR’は、さらに特定すると、互いに独立してHまたは(C−C)アルキル基を表すことができる。特定の形態によれば、U=U’ならびに/またはW=W’ならびに/またはR=R’ならびに/またはR=R’ならびに/またはY=Y’ならびに/またはフェニルもしくはピリジニル核に結合している2個のALKおよびALK’基は同一である。
【0041】
Lは、さらに特定すると以下の1種から選択することができる。
【0042】
−ALK−S−CHC(=O)−NH−(CHCHO)−CHCH
【0043】
【化11】

−O−ALK−NR−ALK−S−CHC(=O)−NH−(CHCHO)−CHCH
【0044】
【化12】

−O−ALK−NR−ALK−S−(CHCHO)−CHCH
これらのうち、ALKは、さらに特定すると(C−C)アルキレン基を表す。特に、ALKは、以下の1種であり得る。−CHCH−、−CHCMe−または−CHCHCMe−。Lは、下記の表Iまたは表IIに記載のものの1種であってもよい。
【0045】
iは、1から40、特に1から20、好ましくは1から10の範囲の整数を表す。iは、1から40の範囲の値のそれぞれをとり得、特に、iは、3、4、5、6、7、8、9または10の値を有し得る。
【0046】
表Iは、式(IA)による化合物の代表例を記載する。この表の各化合物は、M=CH(ベンゼン)またはM=N(ピリジン)の形態で存在することができる。M=Nである化合物は、より水溶性を示す。
【0047】
【表1】


【0048】
本発明による化合物は、結合剤上に存在する反応性化学基(RCG2)に関して反応性である化学基−C(=O)Z(RCG1)を含む。RCG1とRCG2との反応は、共有結合の形成による化合物の結合剤への結合を確保する。従って、化合物は、結合剤にコンジュゲートすることができる。さらに特定すると、Zは、Oを表し、この場合、RCG1は、酸官能基(R=H)またはエステル官能基を表す。さらに特定すると、−C(=O)Zは、−COOH、−COO(C−C)アルキル、特に−COOCHまたは−COOCHCH=CHを表す。好ましくは、エステル官能基のうち、RCG2基に関して、特に抗体上に存在するアミノ基に関して良好な反応性を示す「活性化」エステルが挙げられる。活性化エステルの例は以下:
【0049】
【化13】

(式中、IGは、少なくとも1個の誘導基、例えば−NOまたは−Hal、特に−Fを表す。)のものである。以下の基、例えば
【0050】
【化14】

または
【0051】
【化15】

が関連し得る。別のタイプの−C(=O)Z基は、以下:
【0052】
【化16】

のものである。
【0053】
RCG2の例として、抗体の表面に存在するリシン残基の側鎖により担持されるリシンのイプシロン−アミノ基、ヒンジ領域の糖基または鎖間ジスルフィド結合の還元によるシステインのチオールを挙げることができる(Garnett M.C.et al.,Advanced Drug Delivery Reviews,2001,53,171−216)。さらに近年、他のアプローチ、例えば突然変異によるシステインの導入(Junutula J.R.et al.,Nature Biotechnology,2008,26,925−932;WO09026274)または他のタイプの化学的性質を可能とする非天然アミノ酸の導入(de Graaf A.J.et al.,Bioconjugate Chem.,2009,February 3,2009(総説);DOI:10.1021/bc800294a;WO2006/069246およびChin J.W.et al.,JACS,2002,124,9026−9027(ReCode(登録商標)技術による。)が考慮されている。抗体を用いるこれらの結合方法は、これらの構造により全ての公知の結合剤に適用することができる。
【0054】
従って、本発明による化合物は、式:
【0055】
【化17】

の二量体がMに対してパラ位で共有結合している結合剤の調製において使用することができる。
【0056】
さらに特定すると、結合剤は抗体である。さらに特定すると、二量体は式:
【0057】
【化18】

を有する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】脱グリコシル化後の実施例1のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
【図2】脱グリコシル化後の実施例2のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
【図3】脱グリコシル化後の実施例3のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
【図4】脱グリコシル化後の実施例4のコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
【図5】実施例6の脱グリコシル化されていないコンジュゲートの高分解能質量スペクトルである。
【0059】
これらの図面は、デコンボリューション後の各コンジュゲートについて、0から8個のトマイマイシン二量体を保有するものの分布を示す(D:二量体なし、D:x個の二量体)。
【発明を実施するための形態】
【0060】
式(I)の化合物の調製方法
式(I)の化合物は、スキーム1に従って調製することができる。
【0061】
【化19】

化合物P、P’およびPは、一緒に反応してPをもたらす。LGおよびLG’は、脱離基を示す。Lは、−L−C(=O)Z基を表し得、この場合、Pは、式(I)の化合物を表す。Pが−L−C(=O)Z基を表さない場合、1種以上の反応を使用してLを−L−C(=O)Z基に変換することが必要である。特に、−C(=O)Z
【0062】
【化20】

である場合、−C(=O)Z基=−C(=O)O−(C−C)アルキルまたは−C(=O)O−アリルを末端に有するL基を導入し、続いて−C(=O)OH基に変換し、最終的にN,N’−ジスクシンイミジルカルボナートまたはNHSと反応させることが可能である。−COOアルキル/アリルの−COOHへの変換は、水酸化リチウムによる処理により実施することができる。特にメチルエステルを使用することが特に有利である。N,N’−ジスクシンイミジルカルボナートとの反応は、塩基、例えばDIPEAの存在下で実施され、NHSとの反応は、カップリング剤、例えばDCCの存在下で実施される。同様に、−C(=O)Z
【0063】
【化21】

である場合、−C(=O)Z基=−COOHを導入し、続いてN,N’−カルボニルジイミダゾールと反応させることが可能である(JACS,1958,80,4423;JACS,1960,82,4596)。
【0064】
化合物PおよびP’は、特許出願WO00/12508、WO00/12507、WO2005/040170、WO2005/085260、WO07085930もしくはWO2009/016516に記載されており、または全合成により利用可能である(Mori M.et al.Tetrahedron,1986,42,3793−3806)。Pおよび/またはP’が式:
【0065】
【化22】

のトマイマイシンを表す場合、
後者は、FR1516743の教示に従うことによりストレプトミセス・クロセウス(Streptomyces croceus)株を使用して、あるいは全合成(J.Antibiotics,1983,XXXVI(3),276−282,Z.Tozuka,「Studies on tomaymycin.Total syntheses of the antitumor antibiotics E−and Z−tomaymycins」を参照。)により調製することができる。市販のP/P’化合物も存在する。W/W’基の導入のため、イミン官能基(
【0066】
【化23】

=二重結合)が種々のHW/HW’化合物(例えば、HOまたはアルコールROH)を添加することができる。
【0067】
式Pの化合物に関して
これらの化合物は、式:
【0068】
【化24】

(式中、
L、M、ALK、ALK’、ZおよびRは、上記定義のとおりであり、
EおよびE’は、互いに独立して、−OH基または脱離基を表す。)を有する。
【0069】
Lは、さらに特定するとスキーム2、2’、3、3’、3’’、4、5、5’、6、6’、6’’、7に記載のものの1種を表すことができる。
【0070】
式:
【0071】
【化25】

(式中、L*は、−ALK−SH;−O−ALK−NR−ALK−SH;
【0072】
【化26】

から選択される。)の中間体
も指摘される。
【0073】
本発明において、用語「脱離基」は、PとPまたはP’との不均一反応において、ALKおよびLGまたはLG’を連結する共有結合の電子対を取り去りながら脱離する原子または原子群を示す。脱離基は、さらに特定するとハロゲン原子、特に塩素もしくは臭素またはメシラート、トシラート、ノシラートもしくは−OPPh基から選択される。
【0074】
他の下記のスキームについて、簡略化のため、以下の略語:
【0075】
【化27】

=−ALK−S−およびL=−CHC(=O)−NH−(CHCHO)−ALK−が使用される。
【0076】
【化28】

【0077】
の調製
は、実施例3(スキーム2’)の教示により式
【0078】
【化29】

の対応するハロゲン化ジオールから得られる。
【0079】
【化30】

i.保護基、例えばtert−ブチルジメチルシリルオキシ(TBS)などを使用する2個のアルコール官能基の保護、
ii.n−BuLiまたはマグネシウムをそれぞれ使用する対応する有機リチウムまたは有機マグネシウム誘導体の調製、
iii.アルコール官能基を形成するためのケトンへの求核付加、
iv.対応するチオアセタートの形成を介するチオールの調製(実施例3.7および3.8を参照。)、
v.脱保護、
vi.LGおよびLG’の導入。メシラート基の場合、塩化メタンスルホニルが塩基、例えば第3級アミン(例えばTEAまたはDIPEA)の存在下で使用される。実施例1.4を参照。
【0080】
ハロゲン化ジオールおよび対応する保護ジオールの例は、WO2009/016516の48頁のスキーム1に記載のものである(スキーム1の化合物2および3)。保護ジオールの2つの例は、CAS番号181225−40−1および181225−41−2のものである。
【0081】
ハロゲン化ジオールは、対応する二酸またはジエステル化合物、例えばCAS番号193010−40−1のものの還元により得ることができる。さらに、ピリジン(M=N)の場合:Liebigs Annalen der Chemie,1991,10,987−988またはTetrahedron,2005,61(7),1755−1763を参照(スキーム1の化合物3)。
【0082】
の調製
ALK=CHCHである場
=Hである場合
【0083】
【化31】

段階(i):アミドの形成および酸の活性化:2つの段階が、極性非プロトン性溶媒、例えばDCM中で連続的に実施される:アミン官能基とN−ヒドロキシスクシンイミジルハロアセタートとの反応に続く、カップリング剤、例えばDICの現場添加。
【0084】
≠Hである場合
【0085】
【化32】

段階(ii):メチルエステル形態のカルボン酸およびトリフルオロアセトアミド形態のアミンの保護;反応は、2つの連続的な段階において極性非プロトン性溶媒、例えばDCM中で実施される:メタノールの存在下でのトリメチルシリルジアゾメタンによる処理による酸の保護に続く、無水トリフルオロ酢酸および塩基、例えばTEAの添加によるアミンの保護。
段階(iii):アミンのアルキル化およびエステルの鹸化;反応は、2つの連続的な段階において無水極性非プロトン性溶媒、例えばTHF中で実施される:離核基、例えばハロゲン化アルキルRHalを担持する試薬の存在下での塩基、例えばNaHによる処理に続く水酸化リチウムおよび水の添加によるアミンのアルキル化。
【0086】
段階(i):段階(iii)に続き、R=Hである場合についての段階(i)の反応が繰り返される。
【0087】
ALK≠CHCHである場合
=Hである場合
【0088】
【化33】

【0089】
≠Hである場合
【0090】
【化34】

段階(iv):PEG鎖の伸長;反応は、WO2007/127440に記載のとおり、無水極性非プロトン性溶媒、例えばTHFまたはDMF中で、NaHまたはカリウムナフタレニドの作用により生成されたベンゾフェノン/イミン/PEGアルコールのアルコキシドによるハロゲン化エステルの処理により実施される。
段階(v):Wessjohann L.et al.,Synthesis,1989,5,359−63に従う、パラジウム/炭素の存在下での水素化によるイミンの選択的開裂。
段階(vi):無水トリフルオロ酢酸および塩基、例えばTEAの添加によるアミンの保護。
【0091】
アミノ/PEGアルコールは、例えばi=3、4、7、8については市販されており、またはi=3から12についてはUS7230101に記載の手順に従って、市販のPEGジオールから調製することができる。ベンゾフェノンによるアミン官能基の保護は、ルイス酸、例えばBFエーテラートの存在下での共沸脱水により実施することができる。
【0092】
【化35】

【0093】
の調製
【0094】
【化36】

i.塩基、例えばKCOなどの存在下での、極性溶媒、例えばDMF、THFまたはMeCN中での−OH官能基の1個(他の2個は、保護基を示すPGおよびPG’により保護されている。)と、式Br−ALK−NHBocのBocにより保護されているブロモアミンとの求核反応(例えばWO07085930の63頁の条件を参照。)
【0095】
代替的形態によれば、式:
【0096】
【化37】

のヒドロキシジエステルによるブロモアミンの求核置換を実施し、次いで続いてエステル官能基を、例えば水素化ホウ素ナトリウムにより還元して−CHOH官能基を生じさせることが可能である。これについて、WO2007/085930の62−63頁に挙げられている求核置換および還元の条件を適用することが可能である。
【0097】
ii.保護基の脱保護
iii.チタンイソプロポキシドの存在下での式HC(=O)−ALK−SSMeのアルデヒドによる還元的アミノ化;反応は、周囲温度において無水極性非プロトン性溶媒、例えばTHF中で実施される。
iv.中間複合体が形成され、この複合体は、還元剤、例えばシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどにより現場で還元される。
v.LGおよびLG’の導入。メシラート基の場合、塩化メタンスルホニルが塩基、例えば第3級アミン(例えばTEA)の存在下で使用される。実施例1.4を参照。
【0098】
スキーム3’’に表される代替的形態は、特にKitagawa T.et al.,JACS,2006,128(45),14448−14449により記載された方法の着想のもと、−ALK−SSMe基を、アセチルチオアルキル鎖を第2級アミン上に導入するために使用されるNHBoc基上に導入することからなる。
【0099】
【化38】

この代替的形態によれば、アルキル化は、中間体Hal−ALK−SCOMe(例えばHal=I)を使用して実施され、次いでチオールが塩基性媒体中での処理により遊離される。
【0100】
vi.極性非プロトン性溶媒、例えばDMF中での炭酸セシウムの存在下でのチオアセチル基を担持するハロゲン化アルキルによるアルキル化。
vii.弱塩基性媒体中でのアセチル基の選択的開裂。
viii.中間体チオールのMeSSOMeとの反応による−SSMe基の形成。
ix.保護基PGおよびPG’の開裂。
x.ヒドロキシル基の離核基LG/LG’、好ましくはメシラート基への変換。
【0101】
【化39】

基=(C−C)アルキルのNH基上への導入は、合成の異なる段階において考えられる(例は、スキーム3’’’に挙げられる。)。この導入は、例えばアルデヒドを使用するヴァラッハ反応を用いることにより実施される(アルキル化NH→NMeがホルムアルデヒドを使用する実施例1.5を参照。)。
【0102】
に関して
Thermo Fisher Scientific,Rockford,IL 61105,USA,Jenkem Technology USA Inc.,2033 W.McDermott Dr,Allen,TX 75013−4675,USAおよびQuanta BioDesign Ltd.,195 West Olentangy Street,Suite O,Powell,Ohio 43065−8720,USAは、NHS−PEG−マレイミドにより示される一般式
【0103】
【化40】

の化合物を販売している。さらに特定すると、CAS番号756525−99−2の化合物が関連し得る。
【0104】
チオールのマレイミド単位への添加は、「Bioconjugate Techniques」,Greg T.Hermanson,2nd Ed.,Elsevier Inc.(ISBN−13:978−0−12−370501−3;ISBN−10:0−12−370501−0)の721頁に記載されている。
【0105】
【化41】

調製は、スキーム3に記載のものと同様であり、PがPにより置き換えられる。
【0106】
スキーム4’に記載の代替的形態は、スキーム2および2’に記載のものと同様の調製に対応する。
【0107】
【化42】

【0108】
i.ジスルフィドの還元による脱保護
【0109】
【化43】

【0110】
の調製
下記のスキーム5’に従って得られる式:
【0111】
【化44】

の化合物Pが使用される。
【0112】
【化45】

【0113】
i.1位において単一保護されており、4位に末端位が離核LG基により官能化されたアルキル鎖を担持するピペラジンによる芳香族環のヒドロキシルのアルキル化。好ましくは、離核基はメシラート基であり、ウィリアムソン反応が無水極性非プロトン性溶媒、例えばTHFまたはDMF中で水素化物の存在下で実施される。
ii.PGおよびPG’基がTBDMSである場合の、好ましくは、酸性媒体中での、例えば塩酸またはTFAの存在下でのBoc、PGおよびPG’基の脱保護。
【0114】
段階iおよびiiの代替的形態によれば、式:
【0115】
【化46】

のヒドロキシジエステルによるブロモアミンの求核置換を実施し、続いてエステル官能基を、例えば水素化ホウ素ナトリウムにより還元して−CHOH官能基を生じさせることが可能である。これについて、WO2007/085930の62−63頁に挙げられている求核置換および還元の条件を適用することが可能である。
【0116】
iii.NHSエステルを生じさせるための酸の最初の活性化後に実施されるカップリング。
iv.脱離基LGおよびLG’の導入。メシラート基の場合、塩化メタンスルホニルが塩基、例えば第3級アミン(例えばTEA)の存在下で使用される。
【0117】
【化47】

【0118】
の調製
下記のスキーム6に従って還元的アミノ化により得られる式:
【0119】
【化48】

の化合物Pが使用される。
【0120】
【化49】

【0121】
v.例えばシアノボロヒドリドおよびチタンイソプロポキシドの存在下で実施される還元的アミノ化による−ALK−SSMe基の導入。
【0122】
スキーム3’’に表されるものと同様であり、Kitagawa T.et al.,JACS,2006,128(45),14448−14449により記載されているアルキル化法を使用する代替的形態は、スキーム6’’に挙げられる。
【0123】
【化50】

【0124】
i.単一保護ピペラジンのアルキル化(スキーム5’の段階i.を参照。)。
vi.酸性媒体中でのBoc基の選択的脱保護。
vii.極性非プロトン性溶媒、例えばDMF中での炭酸セシウムの存在下でのチオアセチル基を担持するハロゲン化アルキルによるアルキル化。
viii.弱塩基性媒体中でアセチル基の選択的開裂および塩基、例えばTEAの存在下での中間体チオールのMeSSOMeとの反応による−SSMe基の形成。
ix.保護基PGおよびPG’の開裂ならびにヒドロキシル基の、好ましくは塩化メタンスルホニルによるメシラートへの変換。
【0125】
【化51】

このスキームは、上記スキーム3から着想を得る。化合物Pは、例えば、WO03068144(図7の化合物10aを参照。)に従って調製されるCAS番号564476−32−0の化合物、あるいはCAS番号309916−91−4の化合物であり得る。様々な鎖長iを有する類縁化合物は、対応するPEG化合物から出発して、WO03068144の図7の同一の原理に従って調製することができる。
【0126】
に関して
【0127】
【化52】

は、下記のスキームに従って調製することができる。
【0128】
ALK=CHCHである場合
【0129】
【化53】

【0130】
ALK≠CHCHである場合
【0131】
【化54】

【0132】
段階(i):メシラート形態のアルコールの活性化;反応は、無水極性非プロトン性溶媒、例えばDCM中で、塩基、例えばTEAの存在下で塩化メシルによる処理により実施される。
段階(ii):メシラート/ハロゲン交換;反応は、極性非プロトン性溶媒、例えばアセトンの還流下で、ハロゲン化ナトリウム、例えばヨウ化ナトリウムを用いて実施される。
段階(iii):塩酸の溶液(例えば、ジオキサン中溶液)またはトリフルオロ酢酸を使用する脱保護。
段階(iv):酸の活性化;反応は、極性非プロトン溶媒、例えばDCM中で周囲温度において、カップリング剤、例えばDCCの存在下でNHSによる処理により実施される。
段階(v):PEG鎖の伸長;反応は、無水極性非プロトン溶媒、例えばTHFまたはDMF中で、テトラヒドロピラン(THP)エーテル形態の単一保護されているPEGジオールのアルコキシドによるハロゲン化エステルの処理により実施される。このタイプの単一保護PEGジオールの調製は、文献に十分に記載されている。例えば、Richard A.et al.,Chem.Eur.J.,2005,11,7315−7321またはSakellariou E.G.et al.,Tetrahedron,2003,59,9083−9090を参照。
段階(vi):0.1N塩酸溶液(例えば、ジオキサンまたはエタノール中溶液)を使用する脱保護。
【0133】
当業者は、下記の実施例の操作条件から着想を得ることができる。
【0134】
コンジュゲートの調製方法
コンジュゲートは、
(i)場合により緩衝化された結合剤の水溶液および式(I)の化合物の溶液を接触させて反応させること、
(ii)次いで、段階(i)において形成されたコンジュゲートを、反応しなかった式(I)の化合物から、および/または結合剤から、および/または形成され得る凝集物から場合により分離すること
からなる方法により得られる。
【0135】
代替的形態によれば、段階(i)において形成したコンジュゲートは、段階(ii)において未反応の結合剤から、および溶液中に存在すると考えられる凝集物から分離される。別の代替的形態によれば、段階(i)のコンジュゲートは、段階(ii)において、未反応の式(I)の化合物および形成され得る凝集物からのみ分離され、反応し得ない結合剤は溶液中に残される。
【0136】
式(I)の化合物は、好ましくは、RCG2基に関して、特に抗体上に存在するアミノ基に関して反応性を示す活性化官能基−C(=O)Zを含む。相対的に非反応性または反応性が不十分な化学基は、当業者に公知の1種以上の化学反応を使用してより反応性の基に容易に変換することができる。例えば−COOH+N−ヒドロキシスクシンイミド→
【0137】
【化55】

あるいは−COO(C−C)アルキル→−COOH→−COOH+N−ヒドロキシスクシンイミド→
【0138】
【化56】

に変換することができる。
【0139】
抗体および式(I)の化合物の場合に適用可能な方法の例は、実施例1に挙げられるものである。
【0140】
結合剤の水溶液は、例えば緩衝液、例えばリン酸カリウムまたはN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES緩衝液)などを使用して緩衝化することができる。緩衝液は、結合剤の性質に依存する。式(I)の化合物は、極性有機溶媒、例えばDMSOまたはDMA中に溶解される。
【0141】
反応は、一般に20から40℃の温度において行われる。反応の継続時間は、1から24時間の間で変動し得る。結合剤と式(I)の化合物との反応は、屈折率および/または紫外線検出器を用いるSECによりモニタリングして、これから進行の状態を決定することができる。グラフト化度が不十分である場合、反応をより長時間行うことができ、および/またはさらなる式(I)の化合物を添加することができる。コンジュゲーションに使用することができる具体的な条件のより詳細については、実施例パートに挙げられた一般的方法を参照することができる。
【0142】
当業者は、段階(ii)の分離のために利用可能な種々のクロマトグラフィー技術を有する。コンジュゲートは、例えば立体排除クロマトグラフィー(SEC)により、吸着クロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、IEC)により、疎水相互作用クロマトグラフィー(HIC)により、親和性クロマトグラフィーにより、混合担体、例えばセラミックヒドロキシアパタイト上でのクロマトグラフィーにより、またはHPLCにより精製することができる。透析または膜分離による精製も使用することができる。
【0143】
用語「凝集物」は、2種以上の結合剤間に形成され得る会合を意味すると解され、結合剤は、コンジュゲーションにより改変されているか、または改変されていない。凝集物は、多数のパラメーター、例えば溶液中の結合剤の高濃度、溶液のpH、高い剪断力、グラフト化された二量体の数およびこれらの疎水性または温度の影響下で形成され得(J.Membrane Sci.,2008,318,311−316への導入に引用された参考文献を参照。)、これらの一部の影響は正確に把握されないことがある。タンパク質または抗体の場合、AAPS Journal,「Protein Aggregation and Bioprocessing」,2006,8(3),E572−E579を参照することができる。凝集物の含有率は、公知技術、例えばSECを使用して決定することができる(これに関して、Analytical Biochemistry,1993,212(2),469−480を参照。)。
【0144】
段階(i)または(ii)後、コンジュゲートの溶液を限外濾過および/または膜分離の段階(iii)に供することができる。こうして、これらの段階の最後に水溶液のコンジュゲートが得られる。
【0145】
抗体
抗体(これに関して、Janeway et al.,「Immunobiology」,5th edition,2001,Garland Publishing,New Yorkを参照。)は、特に出願WO04043344、WO08010101、WO08047242およびWO05009369(抗CA6)に記載のものから選択することができる。抗体は、特にモノクローナル、ポリクローナルまたは多重特異的であり得る。抗体フラグメントも関連し得る。ネズミ、ヒト、ヒト化またはキメラ抗体も関連し得る。
【0146】
コンジュゲート
コンジュゲートは、一般に、結合剤に結合している1から10個程度のピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体(これは、グラフト化度または薬物抗体比(DAR)である。)を含む。この数は、結合剤および二量体の性質ならびにさらにはコンジュゲーションに使用される操作条件(例えば、結合剤に関する二量体の当量数、反応時間、溶媒の性質および考えられる共溶媒の性質)に応じて変動する。結合剤および二量体を接触させることは、異なるDARにより互いに個々に異なる幾つかのコンジュゲート;場合により未反応の結合剤(不完全反応の場合);および考えられる凝集物を含む混合物をもたらす。従って、最終溶液について、例えばUV分光法により決定されるDARは、平均DARに対応する。
【0147】
結合剤が抗体である場合、UV分光法は、DARを決定するために使用される方法であり得る。この方法は、Antony S.Dimitrov(Ed.),LLC,2009,「Therapeutic Antibodies and Protocols」,vol.525,445,Springer Scienceに提示のものから着想を得る。この方法は、分離段階(ii)後にLO1およびLO2と示される2つの波長において、コンジュゲートの溶液の吸光度を計測することからなる。コンジュゲーション前に計測された裸抗体およびピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体の以下のモル吸光係数が使用される。
【0148】
LO1およびLO2におけるコンジュゲートの溶液の吸光度(ALO1およびALO2)は、SECスペクトル(これにより「DAR(SEC)」を計算することが可能となる。)の対応するピークに基づき、または慣用のUV分光光度計(これにより「DAR(UV)」を計算することが可能となる。)を使用することにより計測される。吸光度は、以下の形で表現することができ:
LO1=(c×eD LO1)+(c×eA LO1
LO2=(c×eD LO2)+(c×eA LO2
これらの式について、
およびcは、それぞれ、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体に関するコンジュゲートの部分および抗体に関するコンジュゲートの部分の溶液中の濃度を示し、
D LO1およびeD LO2は、それぞれ、コンジュゲーション前の2つの波長LO1およびLO2におけるピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体のモル吸光係数を示し、
A LO1およびeA LO2は、それぞれ、2つの波長LO1およびLO2における裸抗体のモル吸光係数を示す。
【0149】
用語「裸抗体」は、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体が結合していない抗体、即ちコンジュゲーション段階前の抗体を意味すると解される。
【0150】
これら2つの式の解は、以下:
【0151】
=[(eA LO1×A LO2)−(eA LO2×ALO1)]/[(eD LO2×eA LO1)−(eA LO2×eD LO1)]
=[ALO1−(c×eD LO1)]/eA LO1
となる。
【0152】
平均DARはc/cに対応する。ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体の場合、2つの波長LO1=280nmおよびLO2=320nmが考慮される。SECスペクトルに基づき計測された平均DARは、好ましくは1から10、好ましくは1.5から7である。
【0153】
コンジュゲートは、抗癌剤として使用することができる。結合剤の存在により、コンジュゲートは、健常細胞ではなく腫瘍細胞に関して高度に選択性となる。このことにより、抗癌活性を有する式(I)の化合物を腫瘍細胞の近接周囲または直接的に腫瘍細胞内部に向けることが可能となる(これに関して、癌の治療におけるモノクローナル抗体のコンジュゲートの使用を記載している以下の刊行物を参照:「Antibody−drug conjugates for cancer therapy」,Carter P.J.et al.,Cancer J.,2008,14,154−169;「Targeted cancer therapy:conferring specificity to cytotoxic drugs」,Chari R.,Acc.Chem.Res.,2008,41,98−107)。固形または非固形癌を治療することが可能である。
【0154】
コンジュゲートは、一般に1から10mg/mlの濃度において緩衝化水溶液の形態で配合される。この溶液は、このままの注入形態で注入することができ、あるいは注入溶液の形態に再希釈することができる。
【実施例】
【0155】
化学シフト(デルタ(ppm))は、ppmで表現する。
【0156】
方法A:高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)
スペクトルは、Waters UPLC−SQD装置により、ポジティブおよび/またはネガティブエレクトロスプレーモード(ES+/−)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:ACQUITY BEH C18 1.7μm−2.1×50mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)、B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:50℃;流速:1ml/分;勾配(2分):0.8分で5から50%のB;1.2分:100%のB;1.85分:100%のB;1.95分:5%のB。
【0157】
方法B:高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)
スペクトルは、Waters ZQ装置により、ポジティブおよび/またはネガティブエレクトロスプレーモード(ES+/−)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:XBridge C18 2.5μm 3×50mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)、B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:70℃;流速:0.9ml/分;勾配(7分):5.3分で5から100%のB;5.5分:100%のB;6.3分:5%のB。
【0158】
方法C:質量分析(MS)
スペクトルは、WATERS GCTの装置(LCを用いない直接導入)により化学イオン化(反応ガス:アンモニア)を使用して記録した。
【0159】
方法D:高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)
スペクトルは、Waters UPLC−SQD装置により、ポジティブおよび/またはネガティブエレクトロスプレーモード(ES+/−)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:ACQUITY BEH C18 1.7μm−2.1×50mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)、B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:70℃;流速:1ml/分;勾配(2分):1分で5から50%のB;1.3分:100%のB;1.45分:100%のB;1.75分:5%のB。
【0160】
方法E:高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)
スペクトルは、Waters UPLC−SQD装置により、ポジティブおよび/またはネガティブモードのエレクトロスプレーイオン化モード(ES+/−)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:ACQUITY BEH C18 1.7μm−2.1×50mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)、B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:70℃;流速:1ml/分;勾配(4分):3.15分で5から100%のB;3.75分:5%のB。
【0161】
方法F:高圧液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)
スペクトルは、Waters UPLC−SQD装置により、ポジティブおよび/またはネガティブモードのエレクトロスプレーイオン化モード(ES+/−)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:ACQUITY BEH C18、1.7μm−2.1×30mm;溶媒:A:HO(0.1%ギ酸)、B:CHCN(0.1%ギ酸);カラム温度:45℃;流速:0.6ml/分;勾配(2分):1分で5から50%のB;1.3分:100%のB;1.45分:100%のB;1.75分:5%のB。
【0162】
方法G:コンジュゲートの脱グリコシル化および質量分析(HRMS)
脱グリコシル化は、グリコシダーゼを使用する酵素的消化についての技術である。脱グリコシル化は、500μlのコンジュゲート+100μlのTris HClの50mM緩衝液+10μlのグリカナーゼ−F酵素(100単位の凍結乾燥酵素/100μlの水)から出発して実施する。混合物をボルテックスにかけ、37℃において一晩維持する。次いで、脱グリコシル化された試料をHRMSにより分析する。場合に応じて、試料のHRMS分析は、事前の脱グリコシル化を行うことなく実施することもできる。両方の場合、質量スペクトルは、Waters Q−Tof−2装置によりポジティブエレクトロスプレーモード(ES+)で得た。クロマトグラフィー条件:カラム:4μm BioSuite 250 URH SEC 4.6×300mm(Waters);溶媒:A:25mMギ酸アンモニウム+1%のギ酸:B:CHCN;カラム温度30℃:流速0.4ml/分;均一濃度70%A+30%B(15分)。
【0163】
本特許出願に記載の全ての中間体化合物は、式(I)の化合物の調製におけるこれらの使用について特許請求される。さらに特定すると、各実施例について、記載される全ての中間体化合物は、式(I)のそれぞれの化合物の調製におけるこれらの使用について特許請求される。
【0164】
[実施例1]
1.1.コンジュゲートの調製
コンジュゲートは、hu2H11(WO2008010101の15頁にhu53 2H11としても公知。これは、アミノ酸配列の配列番号24を有するVHを含む抗体である。)およびN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{3−[3−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル]プロパノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートを反応させることにより調製する。
【0165】
516μgのN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{3−[3−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル]プロパノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートの540μlのDMA中溶液を、0.05M濃度のN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、0.05M濃度のNaClおよび2mM濃度のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を有する2.16mlの水性緩衝液(pH=8)中の8.19mgのhu2H11に添加する。ATにおいて3時間撹拌した後、混合物をMillex(登録商標)−SV 0.45μM(PVDF Durapore Millipore)に通して濾過し、HClの添加によりpH=6.5としたリン酸緩衝塩中で予備平衡化したSuperdex(商標)200プレップグレードカラム(Hiload(商標)26/60 GEカラム)上で精製する。対象となる分画を合わせ、Amicon Ultra−15(Ultracel 50k Millipore)上で濃縮し、次いで10%のスクロースおよび5%のNMPを含む10mM濃度のヒスチジンを有する水性緩衝液中で予備平衡化したSephadex G−25(NAP−5およびNAP−10GEカラム)に通して濾過する。
【0166】
得られたコンジュゲート(2.5ml)を、分光光度法により4−{2−[メチル(2−メチル−2−メルカプトプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンの吸光係数(e319nm=8848M−1cm−1およびe280nm=8634M−1cm−1)およびhu2H11の吸光係数(e280nm=208380M−1cm−1)を使用して定量し、1.52mg/mlの濃度における抗体分子当たり平均3.8個のトマイマイシン二量体が測定された。
【0167】
1.2.N−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{3−[3−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル]プロパノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアート
【0168】
【化57】

9.82mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−メルカプトプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンの50μlのDMA中溶液および6.8mgのN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[3−(2,5−ジオキソ−2,5−ジヒドロピロール−1−イル)プロパノイルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアートの50μlのDMA中溶液を、樹脂上に支持された3.3mgのジイソプロピルエチルアミン(3.72mmol/g)に添加する。得られた混合物をATにおいて24時間撹拌し、次いでシリカ(Interchrom Puriflash Silica 15/35U 2G)に通して、DCM中0から10%のメタノール勾配を使用して濾過する。所望の生成物を含む分画を合わせ、RP下で濃縮し、次いでシリカ(Interchrom Puriflash Silica 15/35U 2G)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中0から10%のMeOHの勾配を使用して精製する。所望の生成物を含む分画を合わせ、RP下で濃縮する。1.16mgのN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{3−[3−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)−2,5−ジオキソピロリジン−1−イル]プロパノイルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートをこうして得る。LC/MS(E):rt=1.38分;[M+H]:m/z 1322。
【0169】
1.3.4−{2−[メチル(2−メチル−2−メルカプトプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン
【0170】
【化58】

40mgのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩および36.6mgのNaHCOの680μlの水中溶液を、40mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−メチルジスルファニルプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンの2.1mlのメタノールおよび930μlのDMF中溶液に添加する。混合物をATにおいて45分間撹拌し、次いでRP下で濃縮し、シリカ(Merck SuperVarioFlash 15gカラム、Si60 15−40μm)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM/アセトニトリルの9:1混合物中0から10%のMeOH勾配を使用して精製する。所望の生成物を含む分画を合わせ、RP下で濃縮する。21mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−メルカプトプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンをこうして得る。LC/MS(E):rt=1.28分;[M+H]:m/z 809;[M+HO+H]:m/z 827。
【0171】
1.4.4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン
【0172】
【化59】

19.6μlの塩化メタンスルホニルを、−25℃に冷却した22mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンおよび53μlのTEAの0.5mlのDCM中溶液に添加する。30分間撹拌した後、混合物を加水分解し、有機相を水により洗浄し、次いでMgSOで脱水し、RP下で濃縮する。こうして得られた残留物(22mg)を、20mgのトマイマイシンの0.7mlのDMF中溶液に添加し、さらに30mgのKCOおよび12mgのKIを添加する。混合物を30℃において2時間撹拌し、次いで4mlの水により加水分解する。得られた沈殿物を水により洗浄し、真空下で乾燥させ、次いでDCM中で溶解させ、RP下で濃縮し、シリカ(Merck SuperVarioFlash 15gカラム、Si60 15−40μm)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、DCM中0から5%のMeOHの勾配を使用して精製する。所望の生成物を含む分画を合わせ、RP下で濃縮する。8mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンをこうして得る。H NMR(500MHz,d−クロロホルム):1.28(s,6H);1.76(d,J=6.4Hz,6H);2.39(s,3H);2.43(s,3H);2.60(s,2H);2.91(s,2H);2.97(s,4H);3.91(d,J=4.2Hz,2H);4.00(s,6H);4.09(s,2H);4.27(s,4H);5.27(s,4H);5.61(q,J=6.4Hz,2H);6.85(s,2H);7.00(s,2H);7.56(s,2H);7.65(d,J=4.2Hz,2H)。LC/MS(A):rt=0.74分;[M+H]:m/z 855;[M−H]:m/z 853。
【0173】
1.5.4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0174】
【化60】

365μlのギ酸を、0℃に冷却した322mgの4−[2−(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピルアミノ)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンの262μlのホルムアルデヒド中懸濁液に添加する。混合物を100℃において1と1/4時間加熱した。周囲温度に戻した後、混合物を加水分解し、次いで5N水酸化ナトリウム水溶液をpH=12が得られるまで添加する。水相をAcOEtにより3回抽出し、合わせた有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮する。310mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0175】
H NMR(300MHz,d−DMSO):1.26(s,6H);2.39(s,3H);2.40(s,3H);2.60(s,2H);2.88(t,J=5.7Hz,2H);4.13(t,J=5.7Hz,2H);4.45(d,J=6.0Hz,4H);5.31(t,J=6.0Hz,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.22分;[M+H]:m/z 333;[M+HCO2H−H]:m/z 377。
【0176】
1.6.4−[2−(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピルアミノ)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0177】
【化61】

270μlの2−(メチルジチオ)イソブチルアルデヒドおよび730μlのチタンイソプロポキシドを、390mgの4−[2−アミノエトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン(WO07085930の101頁に記載の4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンからBoc基を脱保護した後に調製)の2mlのTHF中懸濁液に添加する。20分後、追加の270μlの2−(メチルジチオ)イソブチルアルデヒドおよび追加の730μlのチタンイソプロポキシドを添加し、混合物をATにおいて2時間撹拌する。次いで、6mlのエタノールを混合物に添加し、混合物をATにおいて20分間撹拌し、次いで124mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを混合物に添加する。45分間撹拌した後、追加の124mgのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを添加し、1時間撹拌した後、混合物をRP下で濃縮し、残留物をAcOEtおよび水中で希釈する。得られた沈殿物を濾別し、1MのHCl水溶液中で溶解させる。得られた水相を5M水酸化ナトリウム水溶液により塩基性pHとし、DCMにより3回抽出し、合わせた有機相をRP下で濃縮する。322mgの4−[2−(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピルアミノ)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0178】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.26(s,6H);1.81(broad m,1H);2.39(s,3H);2.67(broad s,2H);2.94(broad t,J=5.7Hz,2H);4.11(t,J=5.7Hz,2H);4.45(d,J=5.5Hz,4H);5.32(t,J=5.5Hz,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.24分;[M+H]:m/z 347。
【0179】
[実施例2]
2.1.コンジュゲートの調製
コンジュゲートを、実施例1と同様に、hu2H11およびN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートを反応させることにより調製する。得られたコンジュゲートを、分光光度法により4−{2−[メチル(2−メチル−2−メルカプトプロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジンの吸光係数(e319nm=8848M−1cm−1、e280nm=8634M−1cm−1)およびhu2H11の吸光係数(e280nm=208380M−1cm−1)を使用して定量する。抗体分子当たり平均5.6個のトマイマイシン二量体が測定された。
【0180】
2.1.N−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]−エトキシ}プロパノアート
【0181】
【化62】

5.5mgのN,N’−ジスクシンイミジルカルボナートおよび15μlのDIPEAを、12mgの3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパン酸の1mlのTHFおよび1mlのDCM中溶液に添加する。ATにおいて3時間後、4mlのDCMを添加し、得られた有機相を水により2回洗浄し、MgSOで脱水し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Interchrom Puriflash Silica 15/35U 2G)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中3から8%のメタノールの勾配を使用して精製する。8mgのN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートをこうして得る。LC/MS(E):rt=1.36分;[M+2 HO+Na]:m/z 1270;[M+HO+Na]:m/z 1252;[M+HO+H]:m/z 1229;[M+H]:m/z 1211。
【0182】
2.2.3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパン酸
【0183】
【化63】

17.5μlの水酸化リチウム水溶液および100μlの水を、18mgのメチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアートの270μlのTHF中溶液に添加する。2時間後、混合物をDCM中で希釈し、リン酸緩衝液をpH=3まで添加する。得られた水相をDCMにより3回抽出し、合わせた有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Interchrom Puriflash Silica 15/35U 2G)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中3から15%のメタノールの勾配を使用して精製する。11.5mgの3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}−エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパン酸をこうして得る。LC/MS(D):rt=0.88分;[M+HO+Na]:m/z 1154;[M+HO+H]:m/z 1133;[M+H]:m/z 1115。
【0184】
2.3.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]−エトキシ}プロパノアート
実施例1に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル]メチルアミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアートから調製する。
【0185】
【化64】

LC/MS(D):rt=0.93分;[M+HO+H]:m/z 1146;[M+H]:m/z 1128。
【0186】
2.4.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)−アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアート
【0187】
【化65】

73.7mgのメチル 3−[2−(2−{2−[2−(2−ヨードアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロパノアートの1mlのDMFおよび39μlのDIPEA中溶液を、45mgの4−{2−[(2−メルカプト−2−メチルプロピル)(メチル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンの1mlのDMF中溶液に添加する。ATにおいて24時間後、混合物をRP下で濃縮し、シリカ(Analogix Super Flash SiOSF25−8g)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中0から10%のメタノールの勾配を使用して精製する。53mgのメチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートをこうして得る。
【0188】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.21(s,6H);2.40(s,3H);2.50 to 2.56(m,4H);2.87(t,J=5.8Hz,2H);3.15 to 3.23(m,4H);3.40(t,J=5.8Hz,2H);3.47 to 3.52(m,12H);3.59(s,3H);3.62(t,J=6.2Hz,2H);4.13(t,J=5.8Hz,2H);4.45(d,J=5.8Hz,4H);5.31(t,J=5.8Hz,2H);6.85(s,2H);7.98(t,J=5.8Hz,1H)。LC/MS(A):rt=0.35分;[M+H]:m/z 620;[M+2H]2:m/z 310.5(ベースピーク);[M−H+HCOH]:m/z 664。
【0189】
2.5.メチル 3−[2−(2−{2−[2−(2−ヨードアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロパノアート
【0190】
【化66】

117.4mgのN−ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセタートの3mlのDCM中溶液を、100mgの3−(2−{2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパン酸に添加する。ATにおいて2時間後、330μlのMeOHを添加し、混合物を0℃に冷却する。360μlのトリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン中2M溶液を添加する。1時間後、混合物を50μlの酢酸の添加により中和し、次いで飽和NaHCO水溶液をpH=8が得られるまで添加する。有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Interchrom Puriflash Silica 15/35U 10G)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中0から10%のメタノールの勾配を使用して精製する。132mgのメチル 3−[2−(2−{2−[2−(2−ヨードアセチルアミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]−プロパノアートをこうして得る。
【0191】
H NMR(400MHz,d−DMSO):2.54(t,J=6.4Hz,2H);3.20(q,J=5.8Hz,2H);3.41(t,J=5.8Hz,2H);3.48 to 3.53(m,12H);3.60(s,3H);3.63(t,J=6.4Hz,2H);3.65(s,2H);8.27(broad t,J=5.8Hz,1H)。LC/MS(A):rt=0.54分;[M+H]:m/z 448;[M+HCOH−H]:m/z 492。
【0192】
2.6.4−{2−[(2−メルカプト−2−メチルプロピル)(メチル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0193】
【化67】

198mgのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩の730μlの水中溶液を、80mgの4−{2−[メチル(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンの1.95mlのメタノール中溶液に添加する。ATにおいて2時間後、混合物をRP下で濃縮し、残留物を10mlの水中で溶解させる。水相を水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH=8とし、次いでAcOEtにより2回抽出する。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液により洗浄し、RP下で濃縮する。68mgの4−{2−[(2−メルカプト−2−メチルプロピル)(メチル)アミノ]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0194】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.28(s,6H);2.43(s,3H);2.54(s,2H);2.62(s,1H);2.91(t,J=5.7Hz,2H);4.15(t,J=5.7Hz,2H);4.45(d,J=5.8Hz,4H);5.30(t,J=5.8Hz,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.11分;[M+H]:m/z 301。
【0195】
[実施例3]
3.1.コンジュゲートの調製
コンジュゲートを、実施例1と同様に、hu2H11およびN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾ−ジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)プロパノアートを反応させることにより調製する。
【0196】
得られたコンジュゲートを、分光光度法により、1−(1−メチル−1−(メチルジスルファニル)エチル)−3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ベンゼンの吸光係数(e319nm=8460M−1cm−1およびe280nm=10531M−1cm−1)およびhu2H11の吸光係数(e280nm=208380M−1cm−1)を使用して定量する。抗体分子当たり平均4.2個のトマイマイシン誘導体が測定された。
【0197】
3.2.N−ヒドロキシスクシンイミジル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアート
実施例2と同様に、3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパン酸から調製する。
【0198】
【化68】

LC/MS(F):rt=1.27分;[M+H]:m/z 1123。
【0199】
3.3.3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパン酸
実施例2と同様に、メチル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチル−エチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートから調製する。
【0200】
【化69】

LC/MS(F):rt=1.19分;[M+H]:m/z 1026。
【0201】
3.4.メチル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]フェニル−4−イル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアート
実施例2と同様に、メチル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−メチルエチルスルファニル]アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートから調製する。
【0202】
【化70】

LC/MS(F):rt=1.28分;[M+H]:m/z 1040。
【0203】
3.5.メチル 3−(2−{2−[2−(2−{2−[1−(3,5−ビス(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−メチルエチルスルファニル]−アセチルアミノ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアート
実施例2と同様に、3,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)ベンゼンから調製する。
【0204】
【化71】

H NMR(400MHz,d−DMSO):1.64(s,6H);2.53(t,J=6.2Hz,2H);2.93(s,2H);3.15(q,J=6.0Hz,2H);3.37(t,J=6.0Hz,2H);3.49(m,12H);3.59(s,3H);3.62(t,J=6.2Hz,2H);4.49(d,J=5.6Hz,4H);5.13(t,J=5.6Hz,2H);7.14(s,1H);7.32(s,2H);7.84(t,J=6.0Hz,1H)。LC/MS(B):rt=2.98分;[M+H]:m/z 532;ベースピーク:m/z 354;[M−H+HCOH]:m/z 576。
【0205】
3.8.3,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)ベンゼン
【0206】
【化72】

43mgの5−ヒドロキシメチル−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)−3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼンの1mlの酢酸/THF/水(3/1/1)混合物中溶液を、ATにおいて4.5時間撹拌し、RP下で濃縮し、次いで残留物を3mlの水中で溶解させる。水相のpHを10%NaCO水溶液の添加により7とし、次いで水相をAcOEtにより抽出する。有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮する。18mgの3,5−ビス(ヒドロキシメチル)−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)ベンゼンをこうして得る。
【0207】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.76(s,6H);3.19(s,1H);4.48(d,J=5.9Hz,4H);5.14(t,J=5.9Hz,2H);7.13(s,1H);7.36(s,2H)。MS(C):CI:[M+NH:m/z 230。
【0208】
3.9.5−ヒドロキシメチル−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)−3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼン
【0209】
【化73】

114μlのヒドラジン水和物を、336mgの1−{3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]−5−(ヒドロキシメチル)フェニル}−1−メチルエチルチオアセタートの3.7mlのアセトニトリル中溶液に添加する。ATにおいて3時間後、混合物をRP下で濃縮し、残留物をシリカ(Biotage 25+M)上でのフラッシュクロマトグラフィーにより、ヘプタン中0から55%AcOEtの勾配を使用して精製する。230mgの5−ヒドロキシメチル−1−(1−メルカプト−1−メチルエチル)−3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼンをこうして得る。
【0210】
H NMR(400MHz,d−DMSO):0.08(s,6H);0.92(s,9H);1.76(s,6H);3.19(s,1H);4.48(d,J=5.7Hz,2H);4.71(s,2H);5.14(t,J=5.7Hz,1H);7.10(s,1H);7.33 to 7.42(m,2H)。MS(C):CI:[M+NH:m/z 344。
【0211】
3.10.1−[3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1−メチルエチルチオアセタート
【0212】
【化74】

404μlのチオ酢酸および376mgのヨウ化亜鉛を、1gの1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−3,5−ビス[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼンの4.7mlの1,2−ジクロロエタン中溶液に添加する。混合物を50℃において40分間加熱する。ATに戻した後、塩を濾過により除去し、有機相をRP下で濃縮し、残留物をシリカ(Biotage 40+M)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりヘプタン中0から30%AcOEtの勾配を使用して精製する。248mgの1−[3−[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]−5−(ヒドロキシメチル)フェニル]−1−メチルエチル チオアセタートをこうして得る。
【0213】
H NMR(400MHz,d−DMSO):0.08(s,6H);0.91(s,9H);1.79(s,6H);2.17(s,3H);4.48(d,J=5.6Hz,2H);4.70(s,2H);5.16(t,J=5.6Hz,1H);7.11(s,1H);7.33(s,1H);7.35(s,1H)。LC/MS(A):rt=1.23分;[M+Na]:m/z 391
【0214】
3.11.1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−3,5−ビス[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼン
【0215】
【化75】

ヘキサン中1.6M溶液としての10.5mlのn−BuLiを、−71℃に冷却した4.32gの1−ブロモ−3,5−ビス[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼン(G.T.Crisp and P.D.Turner,Tetrahedron,2000,56(42),8335)の150mlのTHF中溶液に滴加する。1時間30分後、4.27mlのアセトンを滴加する。混合物をATに戻し、次いで飽和NHCl水溶液により加水分解する。水相を100mlのAcOEtにより抽出し、合わせた有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Biotage 65+M)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりヘプタン中0から20%AcOEtの勾配を使用して精製する。2.48gの1−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−3,5−ビス[(tert−ブチル)ジメチルシラニルオキシメチル]ベンゼンをこうして得る。
【0216】
H NMR(400MHz,d−クロロホルム):0.11(s,12H);0.96(s,18H);1.59(s,6H);1.69(s,1H);4.76(s,4H);7.21(s,1H);7.33(s,2H)。LC/MS(B):rt=6.43分;[M+Na]:m/z 447;ベースピーク:m/z 407。
【0217】
[実施例4]
4.1.コンジュゲートの調製
コンジュゲートを、実施例1と同様に、hu2H11およびN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートを反応させることにより調製する。得られたコンジュゲートを、分光光度法により吸光係数e320nm=7876M−1cm−1およびe280nm=4334M−1cm−1(トマイマイシン二量体について)ならびにe280nm=208380M−1cm−1(hu2H11について)を使用して定量する:抗体分子当たり平均3.13個のトマイマイシン二量体が測定された。
【0218】
4.2.N−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]−ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]−エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアート:
実施例2に従って、3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパン酸から調製する
【0219】
【化76】

LC/MS(B):rt=3.27分;[M+H]:m/z 1309;[M+2H]2+:m/z 655。
【0220】
4.3.3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパン酸
実施例2に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートから調製する
【0221】
【化77】

LC/MS(B):rt=3.16分;[M+H]:m/z 1212;[M+2H]2+:m/z 606。
【0222】
4.4.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル]−ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]−エトキシ}プロパノアート
実施例2に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)−アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートから調製する
【0223】
【化78】

H NMR(500MHz,d−DMSO):1.22(s,6H);1.69(m,8H);2.37(m,2H);2.40(m,2H);2.48(m,2H);2.53(t,J=6.1Hz,2H);2.72(m,2H);2.92(m,2H);3.04(m,2H);3.11(s,2H);3.19(q,J=5.4Hz,2H);3.39(t,J=5.4Hz,2H);3.42(m,4H);3.49(m,12H);3.59(s,3H);3.62(t,J=6.1Hz,2H);3.86(s,6H);3.88(m,2H);4.10(m,4H);4.22(m,2H);5.17(d,J=13.0Hz,2H);5.22(d,J=13.0Hz,2H);5.55(m,2H);6.94(s,2H);7.09(s,2H);7.38(s,2H);7.77(d,J=3.9Hz,2H);8.01(t,J=5.4Hz,1H)。LC/MS(B):rt=3.30分;[M+H]:m/z 1225;[M+2H]2+:m/z 613(ベースピーク)。
【0224】
4.5.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(4−{4−[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル]ピペラジン−1−イル}−1,1−ジメチル−4−オキソブチルスルファニル)アセチルアミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアート
実施例2に従って、4−(2−[4−(4−メルカプト−4−メチルペンタノイル)ピペラジン−1−イル]エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンから調製する
【0225】
【化79】

H NMR(500MHz,d−DMSO):全てのシグナルは幅広である、1.22(s,6H);1.71(m,2H);2.20 to 2.58(partially masked m,8H);2.75(m,2H);3.12(m,2H);3.19(m,2H);3.47 to 3.53(m,18H);3.60(m,5H);4.18(m,2H);4.46(m,4H);5.31(m,2H);6.86(s,2H);8.00(m,1H)。LC/MS(B):rt=2.20分;[M+H]:m/z 717;[M−H+HCOH]:m/z 761。
【0226】
4.6.4−(2−[4−(4−メルカプト−4−メチルペンタノイル)ピペラジン−1−イル]エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
実施例2に従って、4−(2−[4−(4−メチル−4−(メチルジスルファニル)ペンタノイル)ピペラジン−1−イル]エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンから調製する
【0227】
【化80】

H NMR(400MHz,d−DMSO):1.32(s,6H);1.76(m,2H);2.36 to 2.53(partially masked m,6H);2.66(s,1H);2.75(t,J=5.5Hz,2H);3.40 to 3.52(m,4H);4.18(t,J=5.5Hz,2H);4.46(s,4H);5.30(very broad m,2H);6.86(s,2H)。LC/MS(B):rt=0.76分;[M+H]:m/z 398;[M−H]:m/z 396。
【0228】
4.7.4−(2−[4−(4−メチル−4−(メチルジスルファニル)ペンタノイル)ピペラジン−1−イル]エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0229】
【化81】

344μLのTEA、次いで10分撹拌した後に748mgの4−メチル−4−(メチルジスルファニル)ペンタン酸、417μlのジイソプロピルカルボジイミドおよび69mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物を、600mgの4−[2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンの12mlのDMF中溶液に添加する。ATにおいて15時間後、混合物をRP下で濃縮し、15mlの水を添加し、抽出をAcOEtにより2回実施する。合わせた有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Analogix Super Flash SiOSF25−80g)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中2から10%のMeOHの勾配を使用して精製する。390mgの4−(2−[4−(4−メチル−4−(メチルジスルファニル)ペンタノイル)ピペラジン−1−イル]エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0230】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.26(s,6H);1.79(m,2H);2.36(m,2H);2.39(s,3H);2.40 to 253(partially masked m,4H);2.75(t,J=5.6Hz,2H);3.45(m,4H);4.18(t,J=5.6Hz,2H);4.46(d,J=5.9Hz,4H);5.30(t,J=5.9Hz,2H);6.86(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.42分;[M+H]:m/z 444;[M−H+HCOH]:m/z 488。
【0231】
4.8.4−[2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0232】
【化82】

19mlのHClのジオキサン中4M溶液を、2.3gの4−(2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンの33mlのジオキサン中溶液に添加する。ATにおいて12時間後、得られた沈殿物を焼結ガラス漏斗上での濾過により回収し、MeOH中で溶解させ、次いでRP下で濃縮し、残留物を40mlのMeOH/水の1/1混合物中で希釈する。得られた溶液をMega BE−SCX、25GM 150ML(Varian)上で堆積させる。相をMeOHにより洗浄した後、対象となる生成物をアンモニアのメタノール中2N溶液により溶出させる。MeOH/NH相をRP下で濃縮する。1.6gの4−[2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0233】
H NMR(400MHz,d−DMSO):2.40(m,4H);2.68(m,6H);4.15(t,J=5.7Hz,2H);4.44(m,4H);5.29(m,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.10分;[M+H]:m/z 268;[M+2H]2:m/z 134.5;ベースピーク:m/z 113。
【0234】
4.9.4−(2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
【0235】
【化83】

779mgの水素化ホウ素ナトリウムおよび2.29gのCaClを、3.1gのジエチル 4−[2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ]ピリジン−2,6−ジカルボキシラートの105mlのEtOH中溶液に添加する。ATにおいて3時間後、混合物を加水分解し、RP下で濃縮する。水を得られた残留物に添加し、得られた水相をAcOEtにより4回抽出する。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液により洗浄し、次いでRP下で濃縮する。2.4gの4−(2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ)−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジンをこうして得る。
【0236】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.39(s,9H);2.43(m,4H);2.73(t,J=5.6Hz,2H);3.30(partially masked m,4H);4.17(t,J=5.6Hz,2H);4.45(d,J=5.9Hz,4H);5.30(t,J=5.9Hz,2H);6.86(s,2H)。LC/MS(A):rt=0.24分;[M+H]:m/z 368。
【0237】
4.10.ジエチル 4−[2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ]ピリジン−2,6−ジカルボキシラート
【0238】
【化84】

4.5mlのTEA、次いで2mlの塩化メタンスルホニルを、0℃に冷却した5gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの102mlのDCM中溶液に添加する。1時間後、混合物をATに戻す。さらに1時間撹拌した後、混合物を加水分解し、有機相を水により2回洗浄し、MgSOで脱水し、RP下で濃縮する。140mlのDMFをこうして得られた残留物(6.7g)に添加し、混合物を60℃とする。次いで、190mgのケリダム酸のジエチルエステル(Scrimin P.,Tecilla P.,Tonellato U.and Vendrame T.J.,Org.Chem.,1989,54,5988)および549mgのKCOを添加し、混合物を80℃において20時間加熱する。RP下で濃縮した後、混合物を加水分解し、AcOEtにより3回抽出し、合わせた有機相を飽和NaCl溶液により洗浄し、RP下で濃縮し、残留物をシリカ(Analogix Super Flash SiOSF25−150g)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりヘプタン中60から85%のAcOEtの勾配を使用して精製する。3.1gのジエチル 4−[2−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)エトキシ]ピリジン−2,6−ジカルボキシラートをこうして得る。
【0239】
H NMR(400MHz,d−DMSO):1.34(t,J=7.2Hz,6H);1.39(s,9H);2.44(m,4H);2.76(t,J=5.7Hz,2H);3.30(partially masked m,4H);4.34(t,J=5.7Hz,2H);4.38(q,J=7.1Hz,4H);7.74(s,2H)。LC/MS(B):rt=2.81分;[M+H]:m/z 452;[MH+HCOH]:m/z 496。
【0240】
[実施例5]
5.1.4−{2−[4−(2−メチル−2−(メチルジスルファニル)プロピル)ピペラジン−1−イル]エトキシ}−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン
実施例1に従って、4−[2−(ピペラジン−1−イル)エトキシ]−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−ピリジンから調製する
【0241】
【化85】

H NMR(400MHz,d−DMSO):1.25(s,6H);2.39(s,3H);2.40(s,2H);2.44 to 2.57(partially masked m,8H);2.69(t,J=5.7Hz,2H);4.14(t,J=5.7Hz,2H);4.45(d,J=5.7Hz,4H);5.29(t,J=5.7Hz,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(B):rt=0.51分;[M+H]:m/z 402。
【0242】
[実施例6]
6.1.コンジュゲートの調製
コンジュゲートを、実施例1と同様に、hu2H11およびN−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾ−ジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)−アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートを反応させることにより調製する。得られたコンジュゲートを、分光光度法により吸光係数e319nm=7789M−1cm−1およびe280nm=4362M−1cm−1(トマイマイシン二量体について)およびe280nm=208380M−1cm−1(hu2H11について)を使用して定量する。抗体分子当たり平均2.90個のトマイマイシン二量体が測定された。
【0243】
6.2.N−ヒドロキシスクシンイミジル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)−エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパノアート
実施例2に従って、3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパン酸から調製する。
【0244】
【化86】

LC/MS(F):rt=1.02分;[M+H]:m/z 1225;[M+HO+H]:m/z 1243
【0245】
6.3.3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパン酸
実施例2に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパノアートから調製する。
【0246】
【化87】

LC/MS(F):rt=0.97分;[M+H]:m/z 1129
6.4.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス[(S)−2−エタ−(E)−イリデン−7−メトキシ−1,2,3,11a−テトラヒドロピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン−8−イルオキシメチル]ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}−エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアート
実施例2に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]エトキシ}プロパノアートから調製する。
【0247】
【化88】

H NMR(500MHz,d−DMSO):吸収は幅広である、1.20(s,6H);1.58 to 1.73(m,6H);2.38(s,3H);2.52 to 3.07(m,13H);3.36 to 3.63(m,23H);3.67 to 3.91(m,8H);4.06 to 4.26(m,6H);5.02 to 5.26(m,4H);5.33 to 5.60(m,2H);6.39 to 7.42(m,6H);7.76(m,2H)。
【0248】
LC/MS(A):rt=0.77分;[M+H]:m/z 1142;[M+2H]2+:m/z 571.5(ベースピーク)。
【0249】
6.5.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[2−(2−{[2−(2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イルオキシ)エチル](メチル)−アミノ}−1,1−ジメチルエチルスルファニル)アセチル(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアート:
実施例2に従って、メチル 3−{2−[2−(2−{2−[(2−ヨードアセチル)(メチル)アミノ]エトキシ}−エトキシ)エトキシ]エトキシ}プロパノアートから調製する。
【0250】
【化89】

H NMR(400MHz,d−DMSO):50/50の回転異性体の分割:1.22(s,3H);1.24(s,3H);2.41(s,3H);2.53(t,J=6.2Hz,2H);2.56(m,2H);2.80(s,1H);2.88(t,J=5.9Hz,2H);3.05(s,2H);3.35 to 3.58(m,18H);3.59(s,3H);3.62(t,J=6.2Hz,2H);4.13(t,J=5.9Hz,2H);4.45(d,J=5.9Hz,4H);5.29(t,J=5.9Hz,2H);6.85(s,2H)。LC/MS(B):rt=2.18分;[M+H]:m/z 634;[M−H+HCOH]:m/z 678。
【0251】
6.6.メチル 3−{2−[2−(2−{2−[(2−ヨードアセチル)(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアート
【0252】
【化90】

117.4mgのN−ヒドロキシスクシンイミジルヨードアセタートの6.5mlのDCM中溶液を、215mgのメチル 3−(2−{2−[2−(2−(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートに添加する。ATにおいて2時間後、混合物をRP下で濃縮し、残留物をシリカ(Analogix Super Flash SiO SF25−24g)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中0から6%のMeOHの勾配を使用して精製する。210mgのメチル 3−{2−[2−(2−{2−[(2−ヨードアセチル)(メチル)アミノ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}−プロパノアートをこうして得る。H NMR(400MHz,d−DMSO):55/45の回転異性体の分割、2.54(t,J=6.2Hz,2H);2.83(s,1.35H);3.02(s,1.65H);3.36 to 3.55(m,16H);3.60(s,3H);3.63(t,J=6.2Hz,2H);3.83(s,1.1H);3.88(s,0.9H)。LC/MS(A):rt=0.62分;[M+H]:m/z 462。
【0253】
6.7.メチル 3−(2−{2−[2−(2−(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアート
【0254】
【化91】

3mlのHClのジオキサン中4M溶液を、390mgのメチル 3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロパノアートの5.3mlのジオキサン中溶液に添加する。ATにおいて12時間後、混合物をRP下で濃縮し、残留物を最少のメタノール中で溶解させ、Mega BE−SCX、10GM 60ML(Varian)上で堆積させる。相をMeOHにより洗浄した後、対象となる生成物をアンモニアのメタノール中2N溶液により溶出させる。メタノール/NH相をRP下で濃縮する。270mgのメチル 3−(2−{2−[2−(2−(メチルアミノ)エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)プロパノアートをこうして得る。H NMR(400MHz,d−DMSO):2.28(s,3H);2.54(t,J=6.2Hz,2H);2.59(t,J=5.9Hz,2H);3.44(t,J=5.9Hz,2H);3.47 to 3.54(m,12H);3.60(s,3H);3.63(t,J=6.2Hz,2H)。LC/MS(A)(ELSD):rt=0.30分;[M+H]:m/z 294。
【0255】
6.8.メチル 3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]プロパノアート
【0256】
【化92】

2mlのトリメチルシリルジアゾメタンのヘキサン中2M溶液を、0℃に冷却した500mgの3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]プロパン酸の4.8mlのMeOH中溶液に添加する。2時間後、混合物を120μlの酢酸の添加により中和し、次いでRP下で濃縮し、残留物をシリカ(Analogix Super Flash SiO SF25−40g)上でのフラッシュクロマトグラフィーによりDCM中0から5%のメタノールの勾配を使用して精製する。400mgのメチル 3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)−エトキシ]プロパノアートをこうして得る。H NMR(400MHz,d−DMSO):1.38(s,9H);2.54(t,J=6.2Hz,2H);2.80(broad s,3H);3.29(partially masked t,J=5.9Hz,2H);3.45 to 3.55(m,14H);3.59(s,3H);3.63(t,J=6.2Hz,2H)。LC/MS(A):rt=0.84分;[M+Na]:m/z 416(ベースピーク);LC/MS(A):rt=0.84分;[M+Na]:m/z 416(ベースピーク)。
【0257】
6.9.3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]−プロパン酸
【0258】
【化93】

85.4mgのNaHを、0℃に冷却した520mgの3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロパン酸の14mlのTHF中溶液に添加する。5分間撹拌した後、150μlのヨードメタンを添加する。次いで、混合物をATにおいて2時間撹拌し、次いでさらに150μlのヨードメタンを添加する。ATにおいて12時間後、混合物を加水分解し、次いで0℃における水性酢酸の添加により酸性pHとする。水相をAcOEtにより3回抽出し、合わせた有機相をMgSOで脱水し、RP下で濃縮し、得られた粗製生成物を同一プロトコルに従って85mgのNaHおよび176μlのヨードメタンとさらに2時間再度反応させる。500mgの3−[2−(2−{2−[2−((tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]プロパン酸をこうして得る。LC/MS(F):rt=1.01分;[M+H]:m/z 380。
【0259】
=−OMeであり、Y=Y’=−OMeである式(IA)の化合物によるMDA−MB−231、MDA−A1およびHCT116細胞系の増殖の阻害の評価
MDA−MB−231、MDA−A1またはHCT116細胞を、これらの指数増殖期においてトリプシン処理し、これらのそれぞれの培養培地(DMEM/F12 Gibco #21331、10%FCS Gibco #10500−056、2nMグルタミン Gibco #25030(MDA細胞について);DMEM Gibco #11960,10%FCS Gibco #10500−056、2mMグルタミン Gibco #25030(HCT116細胞について))中で再懸濁させる。細胞懸濁液をCytostar96ウェル培養プレート(GE Healthcare Europe、#RPNQ0163)中に、5000個の細胞/ウェル(MDA−MB−231、MDA−A1、HCT116)の密度において血清を含有する完全培養培地中で播種する。4時間培養した後、トマイマイシン二量体の連続希釈物を、各濃度についてトリプリケートにおいてウェルに添加する。細胞を、細胞毒性剤の存在下で5%COを含有する雰囲気下で37℃において3日間培養する。4日目に、10μlの14C−チミジン溶液(0.1μCi/ウェル、Perkin Elmer #NEC56825000)を各ウェルに添加する。14C−チミジンの取り込みは、実験の開始96時間後にMicroBeta放射能カウンター(Perkin Elmer)を使用して計測する。データは、細胞毒性剤により処理した細胞を用いて得られたカウントと、対照ウェルの細胞(培養培地単独により処理)を用いて得られたカウントとの比を決定することにより、生存%の形で表現する。
【0260】
【表2】

=−OMeである試験化合物が、強力な抗癌活性を有することが見出される。このことにより、別のZ基を特徴とする類似の化合物が同一の活性を示す可能性があると想定することができる。
【0261】
hu2H11−細胞毒性剤コンジュゲートによるMDA−MB−231細胞系の増殖の阻害の評価
MDA−MB−231細胞を、これらの指数増殖期においてトリプシン処理し、これらの培養培地(DMEM/F12 Gibco #21331、10%FCS Gibco #10500−056、2nMグルタミン Gibco #25030)中で再懸濁させる。細胞懸濁液をCytostar96ウェル培養プレート(GE Healthcare Europe、#RPNQ0163)中に、5000個の細胞/ウェルの密度において血清を含有する完全培養培地中で播種する。4時間培養した後、抗体−細胞毒性剤イムノコンジュゲートの連続希釈物を、10−7から10−12Mで減少する濃度(各濃度についてトリプリケート)においてウェルに添加する。細胞を、抗体−細胞毒性剤イムノコンジュゲートの存在下で5%COを含有する雰囲気内で37℃において3日間培養する。4日目に、10μlの14C−チミジン溶液(0.1μCi/ウェル、Perkin Elmer #NEC56825000)を各ウェルに添加する。14C−チミジンの取り込みは、実験の開始96時間後にMicroBeta放射能カウンター(Perkin Elmer)を用いて計測する。データは、イムノコンジュゲートにより処理した細胞を用いて得られたカウントと、対照ウェルの細胞(培養培地単独により処理)を用いて得られたカウントとの比を決定することにより、生存%の形で表現する。ある実験*において、裸抗体hu2H11を、実験開始時に1μMの濃度においてウェルに添加し、増殖の阻害を上記のとおり計測した。
【0262】
【表3】

【0263】
非開裂性トマイマイシン二量体コンジュゲートの単量体安定性
国際出願WO09016516の実施例3および5に記載のトマイマイシン二量体を用いて調製した非開裂性hu2H11コンジュゲートは、3−5℃における数ヵ月の貯蔵後に、これらの単量体純度の経時的に減少する傾向を有する。具体的には、最初の単量体純度が97.5%程度である、抗体分子当たり平均3から3.5個のトマイマイシン二量体を示す、10%のスクロースおよび5%のNMPを含有する10mMのヒスチジン濃度を有するpH6.5の水性緩衝液中で配合されたこれらのコンジュゲートは、6から8ヵ月後に単量体純度が6から15%低下し得る。この現象は、抗体分子当たり平均3.5個のトマイマイシン二量体を有し、同一貯蔵条件下で4ヵ月後に99%超の単量体純度を保持する実施例3のコンジュゲートを用いると観察されず、従って、この特定のコンジュゲートのより良好な安定性が示唆される。長い期間モノマー純度を保持するコンジュゲートを利用可能とすることができることは、コンジュゲートの分野において所望される、一般的な目的である。
【0264】
進行性ヒト乳腺腺癌MDA−MB−231を保有する雌SCIDマウスに対するhu2H11−細胞毒性剤コンジュゲートの抗腫瘍活性の評価
C1(国際出願WO09016516の実施例5に記載のトマイマイシン二量体を用いて調製)およびC2(実施例3のコンジュゲート)と称される同一抗体hu2H11の2種のコンジュゲートを、雌SCIDマウスに皮下移植した計測可能な哺乳動物腫瘍MDA−MB−231に対して、4種の用量レベルにおいて評価した。対照群は処理しなかった。2種のコンジュゲートの用量はμgトマイマイシン二量体/kgで挙げる。これらを、C1について13日目、C2について24日目に、静脈内(IV)ボーラスタイプの注射により80、40、20および10μg/kgにおいて投与した。
【0265】
コンジュゲートの抗腫瘍活性の評価に関して、動物を毎日秤量し、カリパス定規を使用して腫瘍を週2回計測した。抗腫瘍活性は、最大耐量(MTD)において評価した。コンジュゲートに関連して最低20%の体重損失または10%(以上)の致死率をもたらす用量を、毒性とみなす。動物の体重は腫瘍の重量を含む。式:重量(mg)=[長さ(mm)×幅(mm)]/2に従って腫瘍の重量を計算する。効力パラメーターは、ΔT/ΔC、平均退縮率、部分的または完全な退縮(PRおよびCR)および実験終了時における腫瘍不含マウス(TFM)の数である。
【0266】
各処理マウス(T)および対照マウス(C)の腫瘍体積の変化は、規定の観察日の腫瘍の体積から実験開始日の腫瘍の体積を差し引くことにより、各腫瘍について計算する。平均ΔTは処理群について計算し、平均ΔCは対照群について計算する。次いで、比ΔT/ΔCを計算し、百分率として表現する:ΔT/ΔC=(デルタT/デルタC)×100。
【0267】
用量は、40%未満のΔT/ΔCについて治療的に活性であり、10%未満のΔT/ΔCについて極めて活性であるとみなす。ΔT/ΔCが0未満である場合、用量は高度に活性であるとみなし、次いで退縮率を計算する(Plowman J.,Dykes D.J.,Hollingshead M.,Simpson−Herren L.and Alley M.C.,Human tumor xenograft models in NCI drug development:Feibig H.H.BA,editor.Basel:Karger.;1999,pp.101−125)に従う。)。
【0268】
腫瘍退縮率は、処理の1日目の腫瘍体積と比較した規定の観察日の処理群における腫瘍体積の減少率と定義する。腫瘍退縮率は、規定の時間tにおいて、各動物について計算する。次いで、平均退縮率を群について計算する。
【0269】
【数1】

【0270】
部分退縮(PR):退縮は、腫瘍体積の減少が処理の開始時の腫瘍体積の50%に達する場合に、部分的であると定義する。
【0271】
完全退縮(CR):完全退縮は、腫瘍の体積=0mmである場合に得られる(CRは、腫瘍の体積を計測することができない場合に存在するとみなす。)。
【0272】
TFM:腫瘍不含マウスは、実験終了時(処理100日超)に検出可能な腫瘍を示さないマウスと定義する。
【0273】
【表4】

【0274】
単一用量投与スキームによれば、本実験においてこれら2種のコンジュゲートについて試験された最大用量(80μg/kg)は、毒性であることが判明し、体重損失および致死をもたらす。
【0275】
MTD(40μg/kg)において、C1は極めて活性であり、最低で9.6%の体重損失、7%のΔT/Δおよび5匹のSCIDマウスについて3匹のPRをもたらす。20および10μg/kgのより低い用量においてもPRをもたらさない抗腫瘍活性が観察された。
【0276】
MTD(40μg/kg)において、C2は高度に活性を示し、最低で5%の体重損失および96.2%の腫瘍退縮をもたらし、6匹のマウスについて6匹のPRを示し、1匹のTFMを含む。C2は、20μg/kgのより低い用量においても極めて活性であり、腫瘍退縮は66.4%であり、6匹のマウスについて4匹がPRを示す。抗腫瘍活性は、10μg/kgの最低用量においても観察されたが、退縮またはPRをもたらさなかった。
【0277】
結論として、C2は、強力な抗癌活性を示し、C1よりも良好な活性を示し、同一用量のC1を用いて観察されなかったMTDにおける腫瘍退縮、PRおよびTFMを示したことが見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
【化2】

は、単結合または二重結合を表し、但し、
【化3】

が単結合を表す場合、
−−−−が単結合を表し、
Uおよび/またはU’は、同一であり、または異なっており、互いに独立してHを表し、
Wおよび/またはW’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して、OH、−OR、−OCOR、−COOR、−OCOOR、−OCONRR’、N10およびC11が環内に含まれるような環式カルバマート、NRCONRR’、−OCSNHR、N10およびC11が環内に含まれるような環式チオカルバマート、−SH、−SR、−SOR、−SOOR、−SO、−NRSOOR’、NRR’、N10およびC11が環内に含まれるような環式アミン、−NROR’、−NRCOR’、−N、−CN、Halまたはトリアルキルホスホニウムもしくはトリアリールホスホニウム基を表すことを条件とし、
、R、R’およびR’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して、H、HalまたはHal、CN、NRR’、CF、OR、アリールもしくはヘテロアリール基もしくはS(O)R(q=0、1または2)から選択される1個以上の置換基により場合により置換されている(C−C)アルキル基を表し、
あるいは
およびRならびに/またはR’およびR’は、それぞれ、二重結合=CHまたは=CH−CHを一緒に形成し、
YおよびY’は、同一であり、または異なっており、互いに独立してHまたはORを表し、
Mは、CHまたはNを表し、
ALKおよびALK’は、同一であり、または異なっており、互いに独立して(C−C)アルキレン基を表し、
RおよびR’は、互いに独立してH、またはHal、CN、NRR’、CF、ORもしくはアリールもしくはヘテロアリール基から選択される1個以上の置換基により場合により置換されている(C−C)アルキルもしくはアリール基を表し、
Lは、
−L−L−基(Lは、ALKまたはOALK基を介してMを含む芳香族環に結合しており、以下の基の1種:
−ALK−S−
【化4】

−O−ALK−NR−ALK−S−
【化5】

を表し、
およびLは、−CHC(=O)−を介してLに結合している−CHC(=O)−NR−(CHCHO)−ALK−基を表す。)、
あるいは
OALK基を介してMを含む芳香族環に結合している−O−ALK−NR−ALK−S−(CHCHO)−ALK−基を表し、
は、Hまたは(C−C)アルキル基を表し、
iは、1から40、特に1から20、好ましくは1から10の範囲の整数を表し、
は、単結合、−O−または−NH−を表し、およびRは、Hまたは(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたは(C−C)ヘテロシクロアルキル基を表し、あるいはZは、単結合を表し、およびRは、Halを表す。)
の化合物。
【請求項2】
式:
【化6】

の請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式(IA)または(IB):
【化7】

の請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
YおよびY’が、(C−C)アルコキシ基、さらに特定するとメトキシ基を表す、請求項1から請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Lが、
−ALK−S−CHC(=O)−NH−(CHCHO)−CHCH
【化8】

−O−ALK−NR−ALK−S−CHC(=O)−NH−(CHCHO)−CHCH
【化9】

;−O−ALK−NR−ALK−S−(CHCHO)−CHCH
から選択される、請求項1から請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Lが、
【化10】

から選択される、請求項1または請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Lが、
【化11】

から選択される、請求項1または請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
−COZが−COOH、
−COO(C−C)アルキル、−COOCH、−COOCHCH=CH
【化12】


【化13】

基を表し、IGは、少なくとも1個の誘導基、さらに特定すると
【化14】

もしくは
【化15】

または
【化16】

を表す、請求項1から請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
以下:
【化17】

の1つから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
コンジュゲートを調製する方法であって、
(i)場合により緩衝化された結合剤の水溶液および請求項1から9の一項に定義される化合物の溶液を接触させて反応させること、
(ii)次いで、段階(i)において形成されたコンジュゲートを、反応しなかった式(I)の化合物から、および/または結合剤から、および/または形成され得る凝集物から場合により分離すること
からなる方法。
【請求項11】
−C(=O)Z基が、共有結合の形成による式(I)の化合物の結合剤への結合を確保するように、結合剤上に存在する化学基に関して、特に抗体上に存在するアミノ基に関して反応性である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
段階(ii)が、
−段階(i)において形成したコンジュゲートを、未反応の結合剤から、および溶液中に存在すると考えられる凝集物から分離すること、
あるいは
−段階(i)のコンジュゲートを、未反応の式(I)の化合物および形成され得る凝集物からのみ分離し、反応しなかった結合剤は溶液中に残すこと
からなる、請求項10および請求項11に記載の方法。
【請求項13】
結合剤が、リガンド、タンパク質、抗体、さらに特定するとモノクローナル抗体、タンパク質もしくは抗体フラグメント、ペプチド、オリゴヌクレオチドまたはオリゴ糖である、請求項10から12の一項に記載の方法。
【請求項14】
反応を20から40℃の温度において行い、および/または反応の継続時間が1から24時間の間で変動する、請求項10から請求項13に記載の方法。
【請求項15】
段階(i)または(ii)後、コンジュゲートの溶液を限外濾過および/または膜分離の段階(iii)に供する、請求項10から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項10から15の一項に記載の方法により得ることができるコンジュゲート。
【請求項17】
結合剤が、1から10、好ましくは1.5から7の平均DARを特徴とする抗体、好ましくはモノクローナル抗体であり、
DARは、式DAR=c/cにより計算され、
式中、
=[(eA LO1×ALO2)−(eA LO2×ALO1)]/[(eD LO2×eA LO1)−(eA LO2×eD LO1)]であり、
=[ALO1−(c×eD LO1)]/eA LO1であり、
LO1およびALO2は、SECスペクトルの対応するピークに基づき計測される波長LO1およびLO2におけるコンジュゲートの水溶液の吸光度を示し、
D LO1およびeD LO2は、それぞれ、コンジュゲーション前の2つの波長LO1およびLO2におけるピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体のモル吸光係数を示し、
A LO1およびeA LO2は、それぞれ、2つの波長LO1およびLO2における裸抗体のモル吸光係数を示し、
LO1=280nmおよびLO2=320nmである、
請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
請求項1から9の一項に記載の化合物の、式:
【化18】

の二量体がMに対してパラ位で共有結合している結合剤の調製における使用。
【請求項19】
結合剤が、抗体、好ましくはモノクローナル抗体である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
二量体が、式:
【化19】

を有する、請求項18または請求項19に記載の使用。
【請求項21】
YおよびY’が、(C−C)アルコキシ基、さらに特定するとメトキシ基を表す、請求項18から請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1から9の一項に記載の化合物の結合剤との反応後、式:
【化20】

の二量体がMに対してパラ位で共有結合している結合剤。
【請求項23】
二量体が、請求項20および21のいずれかに定義されるとおりである、請求項22に記載の結合剤。
【請求項24】
癌細胞または腫瘍に関連する間質細胞上に局在している抗原または抗原群についての親和性を有する、請求項23に記載の結合剤。
【請求項25】
抗体、好ましくはモノクローナル抗体である、請求項22から請求項24に記載の結合剤。
【請求項26】
請求項10から15の一項に記載の方法により得ることができるコンジュゲートの溶液。
【請求項27】
抗癌剤として使用するための、請求項1から9の一項に記載の化合物。
【請求項28】
抗癌剤として使用するための、請求項16または請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
請求項1から9の一項に記載の化合物あるいは請求項16もしくは請求項17に記載のコンジュゲートおよび少なくとも1種の賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項30】
式P
【化21】

の化合物
あるいは式:
【化22】

(式中、L*は、
−ALK−SH、
−O−ALK−NR−ALK−SH、
【化23】

から選択され、
L、M、ALK、ALK’、R、ZおよびRは、請求項1から9の一項に定義されるとおりであり、
EおよびE’は、互いに独立して、−OH基または脱離基を表す。)
の化合物の、
請求項1から9の一項に記載の式(I)の化合物の調製における中間体としての使用。
【請求項31】
脱離基が、ハロゲン原子またはメシラート、トシラート、ノシラートもしくは−OPPh基から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
以下:
【化24】


(−COOH末端官能基は、−COO(C−C)アルキル末端官能基、特に−COOMe末端官能基により置き換えられていてよいことおよび−SH末端官能基は、ジスルフィド官能基、特に−SSMe官能基により置き換えられていてよいことが理解される。)の1種から選択される化合物の、
請求項1から9の一項に記載の式(I)の化合物の調製における中間体としての使用。
【請求項33】
請求項1から9の一項に記載の化合物の、抗癌剤の製造における使用。
【請求項34】
請求項16または請求項17に記載のコンジュゲートの、抗癌剤の製造における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−503143(P2013−503143A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526097(P2012−526097)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051709
【国際公開番号】WO2011/023883
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】