説明

抗癌剤並びにそれに関する転移性悪性黒色腫及び他の癌についての使用

本発明は、転移性悪性黒色腫並びに、これらに限定されるものではないが、リンパ腫、肉腫、癌腫、及び神経膠腫をはじめとする他の癌のための、一般式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体、それらの互変異性形態、立体異性体、多形体、水和物、溶媒和物、及びその薬剤的に許容される塩を開示する。本発明はさらに、式(I)及び式(II)の前記トリアゼン類似体、ならびにそれらの薬剤的に許容される組成物の調製法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転移性悪性黒色腫並びに限定されないがリンパ腫、肉腫、癌腫、及び神経膠腫を包含する他の癌についての、一般式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体、それらの互変異性体、立体異性体、多形体、水和物、溶媒和物、及びそれらの薬剤的に許容される塩に関する。
【0002】
本発明はさらに、式(I)及び式(II)の前記トリアゼン類似体、ならびにそれらの薬剤的に許容される組成物の調製法に関する。
【背景技術】
【0003】
悪性腫瘍である黒色腫は、メラニンを形成でき、最も一般的には、身体の全ての部分の皮膚及び眼、又はまれに性器、肛門、口腔、若しくは他の部位の粘膜において発生する細胞に由来する。主に成人に起こり、新たに発生するか又は色素性母斑もしくは悪性黒子起源であり得る。初期においては、皮膚の形状は真皮内皮接合部での細胞の増殖により特徴づけられ、これはまもなく隣接する組織に浸潤する。細胞は、細胞質の量及び着色の点で異なり;核は比較的大きく、多くの場合、形状が奇異で、好酸性核小体が突出し;有糸分裂像は多数である傾向にある。黒色腫は多くの場合、広範囲に転移し;所属リンパ節、皮膚、肝臓、肺、及び脳に転移する可能性がある。
【0004】
1985年1月に、環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)は、地球を宇宙空間からの紫外線(UV)から保護する地球のオゾン層の減少が、黒色腫をはじめとする皮膚癌の世界的な症例数を増加させることを予測している。EPAは、2050年までに年間200万例の増加を推定し、2050年には、人間の活動(主に長寿命のクロロフルオロカーボン(現在はほとんどの先進国で禁止されている)の大気中への放出)のためにオゾン層は10%減少すると予想される。公衆衛生の取り組みは、人々に日焼け止めを使用すること、ピークの暴露時間中の屋外活動を回避すること、皮膚を頻繁にセルフチェックすること、及び異常に気づいたら皮膚科医の診察を受けることの奨励を重点的に取り組んできた。高レベルの紫外線への暴露は、白内障及び免疫系の機能不全も促進する可能性がある。
【0005】
UV線放射は、特に暴露が赤毛及び色白などの潜在するある遺伝形質と組み合わせて起こった場合、皮膚癌の決定的な危険因子である(1)。皮膚の着色は、色素産生細胞であるメラニン細胞でメラニンが合成され、続いて色素顆粒が隣接するケラチノサイトへ輸送されることから生じる。メラニンは、UVによって細胞質内で生成するフリーラジカルの吸収に重要であり、UV及び可視光線からの直接的シールドとして作用すると一般的に考えられている(2、3)。
【0006】
UV誘発性着色(日焼け)には、ケラチノサイトによるα−メラニン細胞刺激ホルモン(α−MSH)分泌の誘発が必要である。α−MSH及び他の生物活性ペプチドは、プロオピオメラノコルチン(POMC:Pro−Opiomelanocortin)の分解産物である(4)。p53腫瘍抑制遺伝子は、癌における遺伝子変化の最高頻度標的の1つである。p53は、POMC遺伝子の転写制御因子であり、メラニン細胞にメラニンを産生させるタンパク質に翻訳され、このメラニンはUV線を吸収することによって皮膚癌を回避する。p53の直接的突然変異による不活性化は、全てのヒト腫瘍の半分近くにおいて観察される(5)。悪性黒色腫は、間違いなく今日治療するのが最も困難な癌の1つである皮膚癌である。ダカルバジン(DTIC)は、転移性悪性黒色腫を治療するために使用される唯一の薬剤である。しかし、臨床背景において、ダカルバジンの完全寛解(CR)率は10%より低く、したがってまだ対処されていない医学的ニーズであり、さらに良好な薬剤が必要とされている。加えて、ダカルバジンはまた、他の有効な薬剤と併用される場合に二次選択療法としてホジキンリンパ腫にも適応される。化学的には、DTICは、次の構造式:
【化1】

を有する5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドである。
【0007】
しかし、ダカルバジンは肝臓によるインビボ生体内活性化を必要とする。ジメチルトリアゼノ官能基のメチル基の1つは、肝臓ミクロソーム酵素によって、特にシトクロムP450によって活性化され、酸化されて、その結果、ヒドロキシメチル基になる。したがって、ジメチルトリアゼノ官能基の酸化的モノ脱メチル化反応によって、モノメチルトリアゼンを得る。モノメチルトリアゼン代謝産物である3−メチル−(トリアゼン−1−イル)−イミダゾール−4−カルボキサミド(MTIC)をさらに加水分解して、プリン及び核酸生合成における中間体であることが知られている5−アミノ−イミダゾール−4−カルボキサミド(AIC)、及び活性なアルキル化種であると考えられるメチルヒドラジンにする。シトクロムP450酵素も、MTICの代謝において大した役割を果たさない。テモゾロマイドもまた、DNAを求核部位でメチル化する類似のイミダゾテトラジンアルキル化剤である。テモゾロマイドは、経口投与可能であり、さらに親油性が高く、自発的にMTICに変わり、また吐き気を起こしにくいようである(6)。O−メチルグアニン付加物は、DNA複製中にミスマッチを起こし、新たに形成されたDNA鎖に対してシトシンの代わりにチミジンを付加する(7)。優れたCNS生体内分布のために、テモゾロマイドは、一次脳腫瘍およびCNS転移のどちらにおいても放射線増感剤として有用である(8〜11)。テモゾロマイドの薬物動態は子どもで研究され、クリアランスは体表面積と関連する(12)。テモゾロマイドは、脳転移を有する患者において放射線療法と併用される場合、クオリティ・オブ・ライフを改善する。ダカルバジンと異なり、テモゾロマイドは肉腫に対して活性を有する(13〜15)。したがって、肉腫放射線増感において、一次制御のため、ならびに転移の治療のために有用であり得る。テモゾロマイドは、良好な耐容性を示し、副作用が少ない、放射線増感剤である。テモゾロマイドとイリノテカンとの組み合わせは、一部の癌に対しては相加作用以上の効果がある(16)。著者らは、経験により、再発性ユーイング肉腫及びDSRCTにおいて高い奏効率を確認し、これは文献で報告されているよりもさらに高い可能性があることを報告している(17〜19)。テモゾロマイド+イリノテカンの組み合わせは、標準的シクロホスファミドを含むレジメンよりも免疫抑制性が低い(20)。このことは、ユーイング肉腫において特に重要であり得る。その理由は、これらや他の著者らが、リンパ球回復(すなわち、化学療法の初回サイクル後15日の絶対リンパ球数>500)はユーイング肉腫において有意に高い生存率と関連することを示しているからである(21、22)。テモゾロマイド又はダカルバジンはまた、ゲムシタビン及びドキソルビシンリポソームをはじめとする他の薬剤と組み合わせられている(23、24)。DTICの血漿からの消失は二相性であり、最初の半減期は19分であり、最終的半減期は5時間である。腎機能障害及び肝機能障害の患者において、半減期はそれぞれ55分及び7.2時間延長された。尿中の未変化DTICの平均累積的排出は、6時間で注射された用量の40%である。DTIC、糸球体濾過ではなく腎細尿管分泌を受ける。治療濃度で、DTICはヒト血漿タンパク質とはっきりとは結合しない。
【0008】
ヒトにおいて、DTICは広範囲に分解する。未変化DTICに加えて、AICは尿中に排出されるDTICの主な代謝産物である。DTICの正確な作用機構はわからないが、3つの仮説が立てられている:
1.プリン類似体として作用することによるDNA合成の阻害
2.アルキル化剤としての作用
3.SH基との相互作用。
【0009】
したがって、その細胞毒性がインビボでのメチルカルボニウムイオンの生成に関与する、結果として得られるMTIC反応性種の作用の生化学的機構は、主にDNAのアルキル化のためであると考えられる。アルキル化(メチル化)は、主にグアニンのO及びN位で起こる。
【0010】
あるいは、DTICは、代謝されてモノメチルトリアゼンになる前に、酸化されてまずモノヒドロキシメチルになり、最終的にアルデヒドになる。モノメチルトリアゼンは、酸化的モノ脱メチル化の前のアルデヒド形態で、(スキーム1に図示するように)環化されて環状化合物になり、この化合物は二重らせんDNA構造を妨害し、癌細胞の複製をブロックする。そして最終的に、第2の代謝産物であるAICは不活性である。
【0011】
[スキーム1] ダカルバジンの作用の生化学的機構
【化2】

【0012】
ダカルバジンのイミダゾール環系は本来親水性である。したがって、当分野では、メラニンとできる限り有効に結合させて、分子の細胞傷害機能を100パーセント有効にすることが必要とされる。したがって、本発明者らは、増大した親油性を有し、これによってさらに高い標的特異性を提供する新規化合物を提供することを目的とする。したがって、5員複素環式環系を有するチオフェンは、本来親油性であり、メラニンと増大した親和性で有効に結合し得、その結果、有意に低い用量で同じ治療有効性を得ることができ、それ故に毒性を最小限に抑えることができる。このことは、ひいては治療指数(TI)の枠が大きな高特異性を提供する。一般的に、癌患者の治療に関しては、より大きな治療指数が好ましい。これは、非常に高い最大耐量(MTD)の治療レジメンを開始して、最初の化学療法自体において癌細胞に大打撃を与えることが好まれるからである。そうでなければ、生存する癌細胞はDNA損傷を修復して、その後他の器官へ転移するであろう。加えて、最初の治療で生き残った癌細胞は、必要に応じて再度行われる2回目の化学療法に対して耐性になる。それにまた、第1化学療法から得られる免疫系は弱いので、最適以下の用量が2回目の治療で投与され、これは毒性の一因となる。スキーム1に示す様に、DTICと異なって、チオフェン環系と、腫瘍抗原の表面上のSH基との良好な相互作用の結果、有効性が増大する。これは、硫黄(S)が大きな原子であり、したがって5員複素環式芳香族チオフェン環系が空間においてフェニル環と類似し、腫瘍部位でスルフヒドリルと良好に相互作用するために、環の残りにその孤立電子対を提供するからである。加えて、その電子配置のために、複素環式芳香族チオフェン環系は、プリン類似体として作用すること、並びにアルキル化剤として作用することによって、DNA合成の阻害の目的でDTICよりも優れている可能性がある。さらに、DTICとは異なって、アミノイミダゾールカルボキサミド(AIC)は不活性であるが、対応するアミノチオフェンカルボキサミド(ATC)は環の硫黄からの電子非局在化によってインビボで確実に活性になり、有効性が増大する。したがって、新規トリアゼノチオフェン類似体は、活性の増大に関して、ダカルバジンよりも優れた、構造内に本質的に備わったいくつかの利点を有する。
【0013】
その生化学的作用機構に加えて、近年、他の化学療法剤と併用することによってダカルバジンの有効性を有意に増大させることが文献でいくつか報告されている(25、26)。同様に、臨床前背景で、有効性を有意に増大させるために、異種移植片マウス黒色腫モデルにおいてダカルバジンのナノエマルジョン製剤が使用されている(27)。同様に、転帰を改善するために、免疫療法、チロシンキナーゼ阻害剤及び血管形成阻害剤を包含する多くの革新的な治療方針が進められている(28)。文献では、ダカルバジンをインターフェロンと併用した転移性黒色腫の治療は不十分であることが報告されている(29)。
【0014】
前述のように、近年、ダカルバジン及びテモゾロマイドは、転移性悪性黒色腫を治療するために広く用いられている化学療法剤である。しかし、成功率は低く、副作用が高い。したがって、有効な薬剤の開発についての医学的要求は満たされておらず、転移性悪性黒色腫は依然として大きな課題である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
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【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、本明細書で「トリアゼン類似体」と呼ぶ式(I)の化合物を提供する。
【化3】

(式中、
Rは独立して、H、CH、CHOHから選択され、
は独立して、OH、NHR、NR、SHから選択され、
、及びRの少なくとも一方は、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど、電子求引基及び電子供与基から選択され、
及びRは独立して、H、C−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択され、
X、Y、及びZは、独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって結果として得られる複素環式芳香族部分の5員環系は、非置換及び置換チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールである)。
【0017】
もう1つの態様において、本発明は、式(II)の化合物も提供する。
【化4】

、及びRの少なくとも一方は、独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど、電子求引基及び電子供与基から選択される。
【0018】
及びRは独立して、H、C−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択される。
【0019】
X、Y、及びZは、独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって縮合二環系の複素環式芳香族5員環は、非置換及び置換チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールである。一般式(II)の化合物は、3−メチルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(X=Y=C;Z=S;R=R=H)ではない。
【0020】
もう1つの態様において、本発明は、式(I)及び(II)の化合物の薬剤的に許容される塩、たとえば有機及び無機酸付加塩を包含する。
【0021】
もう1つの態様において、本発明は、式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つのトリアゼン類似体或いはその薬剤的に許容される塩及び薬剤的に許容される担体若しくは希釈剤を含む組成物を提供する。
【0022】
別の態様において、本発明は、式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つのトリアゼン類似体又はその薬剤的に許容される塩及び少なくとも1つの化学療法剤及び場合によって薬剤的に許容される担体若しくは希釈剤を含む組成物を提供する。
【0023】
別の態様において、本発明は、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体又はその薬剤的に許容される塩並びに少なくとも1つの化学療法剤及び少なくとも1つの生物学的反応修飾剤及び場合によって薬剤的に許容される担体若しくは希釈剤を含む組成物を提供する。
【0024】
別の態様において、本発明は、患者における癌細胞成長を阻害するか、又は癌細胞を殺す方法であって、それを必要とする対象に対して、癌細胞を殺すために有効な量で、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体又はトリアゼン類似体または他の化学療法剤との組み合わせを含む組成物を投与することによる方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】様々な濃度の化合物1、化合物6、化合物13及びDTICで処理された、A2058ヒト黒色腫細胞から漏出した乳酸塩デヒドロゲナーゼ(LDH)における増加(%)を示す折線グラフである。各点は、4連のウェルの平均から計算された、ビヒクル対照培養物に対する漏出したLDHにおける増加(%)を示す。
【図2】様々な濃度のDTIC及び関連する試験化合物で処理したHS.531.sk正常ヒト皮膚上皮細胞の細胞生存率(%)の棒グラフである(上側のパネル)。下側のパネルの棒グラフは、表示するような120μg/mlでの様々な試験化合物によるHS.531.sk細胞生存率の低下(%)を表す。
【図3】100μg/mlのDTIC並びに試験生成物化合物1、化合物6、及び化合物13で処理したA2058細胞におけるPARP切断を表すウェスタンブロット画像を表す。対照培養物にビヒクルとして0.5%DMSOを添加した。アクチンタンパク質の発現をローディング対照として示す。89kDaで切断したPARPタンパク質の発現をアクチン発現(任意単位)で正規化し、下側のパネルで棒グラフとして表した。
【図4】インビトロでDTIC及び化合物6の存在下でのB16F0コロニー形成の阻害を示す画像である。B16F0細胞を0.1%DMSO(A)、又は100μg/mlのDTIC(B)又は50μg/ml(C)若しくは100μg/ml(D)の化合物6で処理した。0.1%DMSO(a)、又は100μg/mlのDTIC(b)又は50μg/mlの化合物6(c)又は100μg/mlの化合物6(d)で処理した培養物におけるコロニーの平均数及びコロニーの平均面積を、それぞれ棒グラフE及びFで表す。
【図5】化合物6によるG2/M期での細胞周期停止の誘発を表す。B16F0細胞を表示された濃度のビヒクル(0.1%DMSO)又はDTIC又は化合物6のいずれかで24時間、表示するような様々な濃度で処理した。ヨウ化プロピジウムで染色した細胞を、FACS caliburによって細胞サイクルの分布について分析し、細胞サイクルの異なる期の分布(%)を、ModFITソフトウェアを用いて決定した。データは少なくとも3回の独立した実験の代表的な一例として示す。
【図6】対照(A)、100μg/mlのDTIC(B)、及び化合物6(C)で処理された培養物における浸潤されたB16F0細胞を示す顕微鏡写真である。棒グラフ(D)は、20×対物レンズで観察した20の独立したフィールドから計数された、浸潤細胞の平均数を表す。
【図7】化合物6で処理されたB16F0細胞におけるVEGFタンパク質の下方制御を示すイムノブロット画像である。棒グラフは、任意単位でVEGFタンパク質の正規化された発現を表す。各棒グラフは、少なくとも3回の独立した実験から計算された平均発現を表す。
【図8】ヒト内皮細胞遊走に対する化合物6の阻害効果を示す。顕微鏡写真は、DTIC(パネルB及びCでそれぞれ25及び50μg/ml)又は化合物6(パネルE及びFでそれぞれ25及び50μg/ml)のいずれかの存在下でのHUVECの遊走を示す。パネルA及びDは、0.1%DMSOで処理されたビヒクル対照ウェルにおける細胞遊走を表す。棒グラフは、各棒グラフの下に表示した様々な培養条件下での遊走細胞の数を示す。各棒グラフは、20×対物レンズ下で少なくとも20フィールドから計算された遊走細胞の平均を表す。
【図9】化合物6による毛細管様管形成の阻害を示す。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を、DTIC(パネルB及びCでそれぞれ25及び50μg/ml)又は化合物6(パネルE及びFでそれぞれ25及び50μg/ml)のいずれかの存在下、Cultrexでコーティングしたプレート上に置き、内皮毛細管を16時間37℃で形成させた。パネルA及びDは、0.1%DMSOで処理されたビヒクル対照ウェルにおける毛細管様管形成を表す。
【図10】インビボのC57B6JマウスにおけるB16F0腫瘍成長に対する化合物6及びDTICの有効性を示す。上側のパネルは、それぞれ、ビヒクル対照(A及びD)、50及び100mg/kgのDTIC(B及びC)で処置された群並びに50及び100mg/kgの化合物6(E及びF)で処置された群に含まれる屠殺された動物から切除した腫瘍のサイズを表す写真である。下側のパネルの表は、表示された各群(n=6)における平均腫瘍重量を表す。各群で到達した腫瘍成長の阻害(%)は、ビヒクル対照群との比較で計算した。 本発明のこれらの実施形態及び他の実施形態は、以下の詳細な実施例及び添付の図面を参照すると明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
黒色腫は今まで化学療法耐性であり、治療するのが非常に困難であると考えられていた。近年、ダカルバジン及びテモゾラミドが、転移性悪性黒色腫を治療するための化学療法剤として広く使用されている。しかし、成功率は低く、副作用が高い。
【0027】
転移性悪性黒色腫は、依然として中央生存期間が約8ヶ月であり、診断の5年後の生存可能性が5%未満の難病である。併用レジメンに対する奏効率は、標準的ダカルバジンを用いるよりも再現性よく高い。しかし、転移性悪性黒色腫の管理において明確に差をつけるために、薬剤が単独で、より高い完全寛解(CR)率(%)をまず達成する重要な効能を証明する必要がある。その時になって、化学療法剤、インターロイキン、インターフェロン、及び同様の生物学的応答調節物質を含む任意の他の併用法は、悪性黒色腫治療をより管理しやすくし、制御されるようにする。したがって、用法を有効にするためには、おそらくは高メラニン結合部分、たとえば親油性チオフェン系は、前向きな効果を有するDTIC(ダカルバジン)よりも優れた3つの生化学的作用機構全てを有する可能性があり、完全寛解を得るのが有意に増大する治療的処置を提供することができる。したがって、本発明者らの方法についてまず選択した分子構造は、5員複素環式チオフェン環系を含み、これは、フェニル環に対して類似し、フェニル環に類似した形状及びサイズを有し、本来親油性である。加えて、チオフェン環構造は、分子単独での有効性を増大させるのに助けとなる内在したさらなる利点を有する。
【0028】
したがって、本発明は、標的黒色腫細胞と選択的に結合し、正常細胞に危害を加えず、非標的細胞に対する標的細胞の比を増大させ、本明細書に記載する他の関連する利点をさらに提供するという、このまだ満たされていない医学的必要性を満たすことを目的とする。したがって、メラニン結合を増大させる取り組みにおいて、骨格として複素環式チオフェン環系を含むいくつかの化合物がまず検討された。大きな硫黄原子が存在するために、5員チオフェン環系は、空間において親油性6員フェニル環系と類似した大きさ及び形状を実現する。したがって、置換チオフェン環系は、その芳香族性に加えて、環における電子の共鳴非局在化をもたらし、これは有効性の増大に寄与し得る。したがって、試験モードにおいて、いくつかのチオフェン系トリアゼン類似体を合成し、DTICを用いてそれらのインビトロ有効性について評価した。最初に設計された化合物のDTICよりも良好なインビトロ有効性のために、インビボ有効性及び作用モードを含む特徴化をさらに評価した。本発明の新規トリアゼン類似体、これを含む組成物、並びに類似体及び組成物の治療用途における使用を以下に記載する。
【0029】
本発明に関して、「チオフェントリアゼン類似体」、「メラニン結合類似体」、「新規類似体」という語句/表現は、本明細書では以下、本文全体にわたって交換可能に用いられ、式I及び式IIの化合物を意味する。本発明の式(I)及び(II)の化合物、チオフェントリアゼン類似体は、メラニンに関して高い親和性を有し、これによって有効性を増大させてさらに有効にする。さらに、好適な実施形態において、本発明の新規類似体は、メラニンをさらに有効に結合して、標的の非標的に対する比を増大させることができ、これによって毒性を減少させるように特に設計することができる。
【0030】
一実施形態において、メラニン結合類似体は次式によって表すことができる:
【化5】

式中、
Rは独立して、H、CH、CHOHから選択され、
は独立して、OH、NHR、NR、SHから選択され、
、及びRの少なくとも一方は、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど電子求引基及び電子供与基から選択され、
及びRは独立して、H、C−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択され、
X、Y、及びZは独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって結果として得られる複素環式芳香族部分の5員環系は、非置換及び置換チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールである。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、式(II)の化合物も提供する:
【化6】

式中、
、及びRの少なくとも一方は独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど電子求引基及び電子供与基から選択され、
及びRは独立して、H、CH3、−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択され、
X、Y、及びZは独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって縮合二環系の複素環式芳香族5員環は、非置換及び置換チオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールである。一般式(II)の化合物は、3−メチルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン((X=Y=C;Z=S;R=R=H)でない。
【0032】
本発明は、式(I)及び式(II)の化合物の定義と一致して、本明細書で前述の本発明の特定の実施形態のあらゆる組み合わせを対象とすると理解すべきである。
【0033】
本発明の式(I)及び式(II)の好適なチオフェントリアゼン類似体のいくつかは、これらに限定されるものではないが以下のものである:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号1)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号2)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号3)
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−3−メトキシチオフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物番号4)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号5)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸(化合物番号6)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸(化合物番号7)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸(化合物番号8)
{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−(2−ヒドロキシエチル)−カルボキサミド(化合物含号9)
{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−メチルカルボキサミド(化合物番号10)
N−(2−アミノエチル){3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−カルボキサミド(化合物含号11)
4−[ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号12)
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボキサミド(化合物番号13)
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸のカリウム塩(化合物含号14)
3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物番号15)
3−メチル−6−ニトロチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物番号16)
6−アミノ−3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物番号17)
3−メチル−6−フェニルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物番号18)。
【0034】
発明において、式(I)及び(II)の化合物は構造が類似しているのであわせて開示する。たとえば、肝臓ミクロソーム酵素(シトクロムP450)によってインビボで活性化され、続いて酸化的脱メチル化反応によって、式(I)の不活性化合物は活性なモノメチルトリアゼン類似体を提供する。同様に、式(II)の化合物は、インビボ加水分解によって、式(I)から誘導される酵素活性種の類似したモノメチルトリアゼン類似体を提供する。したがって、インビボでのそれらの代謝産物が類似しているために、一実施形態では式(I)の化合物を開示し、別の実施形態では式(II)の化合物を開示した。したがって、便宜上、式(I)及び式(II)の化合物を開示するが、これらは生物学的理由から構造的に類似していると考えるべきである。
【0035】
トリアゼン類似体合成
本発明の別の特性により、スキームに示す様な、一般式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体を調製するためのプロセスが提供され、ここで全ての基は前記定義のとおりである。
【0036】
一般式(I)の化合物(1〜8)は、スキームAに示す様な以下の方法に従って製造することができる。
【0037】
[スキームA]
【化7】

【0038】
試薬及び条件:(i)HCl、NaNO、ジメチルアミン、0℃(ii)NH、室温(iii)水性NaOH、メタノール、室温
【0039】
3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル又はその前駆体を亜硝酸ナトリウムでジアゾ化し、続いてジメチルアミンで処理して、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル又はその誘導体を良好な収率で得る。前記エステルをアンモニアで処理して、式(I)のトリアゼン類似体(3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号1)、化合物番号2、化合物番号3、化合物番号4、化合物番号5)を得た。
【0040】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル又はその誘導体をメタノール中水酸化ナトリウム水溶液で加水分解して、式(I)のトリアゼン酸誘導体を得た(化合物番号6、化合物番号7及び化合物番号8)。
【0041】
スキームAで使用した前駆体化合物は、次の方法で製造した:3−アミノ−4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチルを3−アミノチオフェン−2カルボン酸メチル(Aldrich)の臭素化によって調製する。
【0042】
4−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(30)のニトロ化により、4−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチルを得、これを次いで硫酸ジメチルを用いてメチル化して、4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチルを得た。ニトロ基を鉄及びHClで還元して、3−アミノ−4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチルを得た。3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチルを公知手順で調製する(31、32)。
【0043】
一般式(I)の化合物(9〜11)をスキームBに示す様に以下の方法に従って製造することができる。
【0044】
[スキームB]
【化8】

【0045】
試薬及び条件:(i)NHCHCHOH又はNHCH又はNHCHCHNH、室温
【0046】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチルをメチルアミン、エタノールアミン及びエチレンジアミンなどの様々なアミンで処理して、式(I)の対応するトリアゼンアミド類似体を得た(化合物番号9、化合物番号10、及び化合物番号11)。
【0047】
一般式(I)の化合物(12)は、スキームCに示す様な以下の方法に従って製造することができる。
[スキームC]
【化9】

【0048】
試薬及び条件:(i)HCl、NaNO、ジメチルアミン、0℃(ii)NH、室温
【0049】
4−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチルを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化し、続いてジメチルアミンで処理して、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチルを得る。エステルをアンモニアで処理して、必要とされる4−[ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号12)を得た。前駆体化合物である4−アミノチオフェン−2カルボン酸メチルを市販のチオフェン−2−カルボン酸から製造する。チオフェン−2−カルボン酸のニトロ化によって、4−ニトロチオフェン−2−カルボン酸と5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸との分離不可能な混合物を得、これをエステル化して、対応するエステルを得る。鉄粉を用いてニトロ官能基を次に還元してアミンにし、混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離して、4−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチルを得る。
【0050】
一般式(I)の化合物(13)は、スキームDに示す様な次の方法に従って製造することができる。
【0051】
[スキームD]
【化10】

【0052】
試薬及び条件:(i)HCl、NaNO、ジメチルアミン、0℃(ii)NH、室温
【0053】
4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチルを亜硝酸ナトリウムでジアゾ化し、続いてジメチルアミンで処理して、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボン酸メチルを得る。エステルをアンモニアで処理して、必要とされる4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボキサミド(化合物番号13)を得る。4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチルは、従来技術で既知の手順を用いて製造する(33、34、35)。したがって、メチルアクリレートをチオグリコール酸メチルに添加することによって、3−[(メトキシカルボニル)メチルチオ]プロパン酸メチルを定量的収率で得、これをナトリウムメトキシドの存在下で環化して、4−オキソ−2,3,5−トリヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルを得た。4−オキソ−2,3,5−トリヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチルをヒドロキシルアミンで処理し、続いてアンモニアで塩基性化して、4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチルを得た。
【0054】
一般式(I)の化合物(14)は、スキームEで示す様な以下の方法にしたがって製造することができる。
【0055】
[スキームE]
【化11】

【0056】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸をメタノールの存在下、水酸化カリウムで処理することによって、式(I)のトリアゼン類似体の対応するカリウム塩、すなわち化合物番号14を得た。
【0057】
一般式(II)の化合物(15〜17)は、スキームFに示されるように以下の方法にしたがって製造することができる。
【0058】
[スキームF]
【化12】

【0059】
試薬及び条件:(i)HSO、NaNO、0℃(ii)KCO、CHI、アセトン、室温
【0060】
2−アミノチオフェン−3−カルボキサミド又はその誘導体を、亜硝酸ナトリウムを用いて濃硫酸の存在下でジアゾ化し、3H−チオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン又はその誘導体を得た。3H−チオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン又はその誘導体を、炭酸カリウムの存在下、ヨードメタンでメチル化して、式(II)の対応するトリアゼン類似体(化合物番号15、又は化合物番号16又は化合物番号17)を得た。2−アミノチオフェン−3−カルボキサミドを従来技術で公知の手順から製造し(36、37)、ニトロ化混合物の処理によってニトロ誘導体を調製する。
【0061】
一般式(II)の化合物(18)は、スキームGに示す様な以下の方法にしたがって製造することができる。
【0062】
[スキームG]
【化13】

【0063】
試薬及び条件:(i)HSO、NaNO、0℃(ii)KCO、CHI、アセトン、室温
【0064】
3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミドを濃硫酸の存在下、亜硝酸ナトリウムでジアゾ化して、6−フェニル−3H−チオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オンを得た。6−フェニル−3H−チオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オンを炭酸カリウムの存在下、ヨードメタンでメチル化して、式(II)の対応するトリアゼン類似体、すなわち化合物番号18を得た。
【0065】
別の実施形態において、式(I)のトリアゼン類似体の合成法は、金属硝酸塩及び酸を用いて対応するアミン化合物のジアゾ化することを含み;結果として得られるジアゾ化生成物を塩基の存在下でアミンと反応させることができ;最終的にトリアゼンエステルをカルボン酸又はカルボン酸アミドに変換することができる。
【0066】
ジアゾ化段階で使用される金属硝酸塩が、亜硝酸ナトリウム又は亜硝酸カリウムから選択され、酸が無機酸又は有機酸から選択される、式(I)のトリアゼン類似体の合成法。無機酸は、塩酸、硫酸などであってもよく、有機酸は安息香酸、パラトルエンスルホン酸などであってもよい。
【0067】
ジアゾ化生成物をアミンと反応させることができ、アミンが、メチルアミン、エチルアミンなどの第1級アミン、又はジメチルアミン、ジエチルアミンなどの第2級アミンから選択される、式(I)のトリアゼン類似体の合成法。
【0068】
式(I)のトリアゼン類似体の合成法であって、カルボン酸の類似体は、金属水酸化物を溶媒の存在下で使用して、対応するエステルの加水分解によって製造することができる。金属水酸化物は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどから選択することができ、溶媒は、水、メタノール、エタノール、又はその混合物から選択される方法。
【0069】
式(I)のトリアゼン類似体の合成法であって、カルボキサミドの類似体は、対応するエステルを溶媒中塩基の存在下、周囲温度でアミンで処理することによって製造することができる。アミンは、アンモニア、メチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミンなどから選択することができ、塩基は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、トリエチルアミンなどから選択され、溶媒は、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、アセトン、水又はその混合物から選択される。
【0070】
別の実施形態において、本発明は、式(I)、及び式(II)の化合物の薬剤的に許容される塩、たとえば有機及び無機酸付加塩を包含する。前記式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体並びにその誘導体は、溶媒和物又は薬剤的に許容される塩の形態、たとえば酸付加塩若しくは塩基付加塩であってもよい。このような塩としては、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、アミノ酸、及び当分野で公知の他の好適な塩が挙げられる。
【0071】
別の実施形態において、本発明は、式(I)、及び式(II)の光学活性化合物の光学エナンチオマー又はジアステレオマーを包含する。
【0072】
トリアゼン類似体を含む組成物
本発明は、前述のようなメラニン標的類似体を、薬剤的に許容される担体若しくは希釈剤との混合物で含み得る、医薬又は獣医学的組成物(以下、単に医薬組成物と呼ぶ)を提供する。本発明は、前述のようなメラニン標的類似体を、薬剤的に許容される担体若しくは希釈剤との混合物で含み得る医薬組成物を提供する。
【0073】
本発明の医薬組成物は、組成物が対象に投与されることを可能にする任意の形態であってもよい。たとえば、組成物は、固体、液体又は気体(エアゾル)形態であってもよい。典型的な投与経路としては、これらに限定されるものではないが、経口、局所、非経口、舌下、及び直腸が挙げられる。本明細書で用いられる非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技術を包含する。本発明の医薬組成物は、組成物を対象に投与するとその中に含まれる活性成分が、体内に吸収され得るように処方される。対象に投与される組成物は、1以上の投与形態をとり、この場合、たとえば、錠剤は単一投与形態であってもよく、局所形態のトリアゼンの容器は複数の投与形態を含んでもよい。
【0074】
医薬組成物の調製で用いられる物質は、薬剤的に純粋で、用いられる量で非毒性でなければならない。医薬組成物中の活性成分の最適用量が様々な因子に依存することは、当業者には明らかであろう。関連する因子としては、これらに限定されるものではないが、対象の種類(たとえば、ヒト)、活性成分の特定の形態、投与方法及び用いられる組成物が挙げられる。
【0075】
一般的に、医薬組成物は、本明細書で前述のようなメラニン標的類似体又はその誘導体を、1以上の担体との混合物で含んでもよい。担体は粒状であり得るので、組成物はたとえば、錠剤又は粉末形態である。担体は液体であってもよく、この場合、組成物は、たとえば経口シロップ又は注射可能な液体である。加えて、担体は気体状であってもよく、たとえば、吸入器による吸入投与において有用なエアゾル組成物を提供する。
【0076】
経口投与を対象とする場合、組成物は好ましくは固形又は液体形態のいずれかであり、ここで、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態が、固体又は液体として本明細書で考えられる形態に含まれる。
【0077】
経口投与用固体組成物として、組成物を、粉末、顆粒、圧縮錠、丸薬、カプセル、チューインガム、水などの形態に処方することができる。このような固体組成物は、典型的には、1以上の不活性希釈剤又は可食担体を含む。加えて、1以上の以下のアジュバントが存在してもよい:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、又はゼラチンなどのバインダー;デンプン、ラクトース又はデキストリン、シクロデキストリンなどの賦形剤、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロテックスなどの潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素などの流動促進剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味料、ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジフレーバーなどの矯味矯臭剤、及び着色剤。
【0078】
組成物が、カプセル、たとえば、ゼラチンカプセルの形態である場合、前記種類の物質に加えて、エチレングリコール又は脂肪油などの液体担体を含み得る。
【0079】
組成物は、液体、たとえばエリキシル剤、シロップ、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形態であってもよい。液体は、2つ例を挙げると、経口投与用又は注射による送達用であってもよい。経口投与を対象とする場合、好適な組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味料、保存料、色素/着色剤及び調味料のうちの1以上を含む。注射により投与されることを意図される組成物中に、界面活性剤、保存料、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、緩衝液、安定剤及び等張剤のうちの1以上を含めることができる。
【0080】
本発明の液体医薬組成物は、溶液、懸濁液などの形態であるかどうかによらず、以下のアジュバントの1以上を含み得る:滅菌希釈剤、たとえば注射用水、塩溶液、好ましくは生理食塩水、リンガー液、等張塩化ナトリウム、固定油、たとえば合成モノ又はジグリセリド(溶媒又は懸濁媒として機能し得る)、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒;殺菌剤、たとえばベンジルアルコール又はメチルパラベン;酸化防止剤、たとえばアスコルビン酸又は重硫酸ナトリウム;キレート化剤、たとえばエチレンジアミン四酢酸;緩衝液、たとえば酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩及び浸透圧を調節するための薬剤、たとえば塩化ナトリウム又はデキストロース。非経口製剤を、アンプル、使い捨て注射器又はガラス若しくはプラスチックで作られた複数回投与バイアル中に封入することができる。生理食塩水が好適なアジュバントである。注射可能な医薬組成物は好ましくは滅菌である。
【0081】
非経口又は経口投与のいずれかを対象とする液体組成物は、適切な投与量が得られるようなある量の式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を含まなければならない。典型的には、この量は組成物中の本発明の化合物の少なくとも0.1%である。経口投与を対象とする場合、この量は、組成物の0.1〜80重量%の間で変化し得る。好適な経口組成物は、4%〜約50%の活性なトリアゼン化合物を含む。好適な本発明の組成物及び製剤は、非経口投与形態が少なくとも0.01重量%〜1重量%の式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を含むように調製される。
【0082】
医薬組成物は、局所投与を対象としたものであってもよく、この場合、担体は、適切には溶液、エマルジョン、軟膏又はゲル基剤を含み得る。基剤は、たとえば次のものの1以上を含み得る:ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱油、希釈剤、たとえば水及びアルコール、並びに乳化剤及び安定剤。増粘剤が局所投与用医薬組成物中に存在してもよい。経皮投与を対象とする場合、組成物は、経皮貼付剤又はイオン泳動装置を含んでもよい。局所処方は少なくとも0.1〜約10%w/v(単位体積あたりの重量)濃度の式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を含んでもよい。
【0083】
組成物は、直腸投与を対象とし、たとえば、直腸中で融解して、薬剤を放出する、坐剤の形態であってもよい。直腸投与用組成物は、適切な刺激性のない賦形剤として脂肪性基剤を含み得る。このような基剤としては、これらに限定されるものではないが、ラノリン、ココアバター及びエチレングリコールが挙げられる。組成物は、固形又は液体の投与単位の物理的形態を変更する様々な物質を含んでもよい。たとえば、組成物は、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体の周りにコーティングシェルを形成する物質を含んでもよい。コーティングシェルを形成する物質は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、及び他の腸溶性コーティング剤から選択することができる。あるいは、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体をゼラチンカプセル中に入れてもよい。
【0084】
本発明の医薬組成物は、気体状投与単位から構成されていてもよく、たとえば、エアゾルの形態であってもよい。エアゾルという用語は、コロイド状のものから、加圧パッケージで構成されるシステムまで様々なシステムを表すのに用いられる。送達は、液化ガス若しくは圧縮ガスによるか、または式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を投薬する適切なポンプシステムによってもよい。本発明の化合物のエアゾルは、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を送達するための単相、二相、または三相システムで送達することができる。エアゾルの送達は、必要な容器、活性剤、バルブ、サブコンテナー、スペーサーなどを含み、これらは併せてキットを形成してもよい。好適なエアゾルは、必要以上の実験をおこなわず当業者が決定してもよい。
【0085】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、式(I)の化合物及び/又は式(II)或いはその薬剤的に許容される塩、並びに少なくとも1つの化学療法剤及び場合によって薬剤的に許容される希釈剤又は担体を含む。
【0086】
前記化学療法剤が、ダカルバジン(DTIC)、テモゾラミド、メトトレキサート、ドキソルビシン、シトキサン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソテレ、タキソール、タモキシフェン、ゲフィニチブ、アドリアマイシン、ゲムシタビン、メルファラン、ストレプトゾシン、フロキシウリジン、6−メルカプトプリン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、マイトマイシン−C、アムサクリン、プロカバジン(procabazine)、カペシタビン、アバスチン、ハーセプチン、ベキサール、ベルケード、ゼヴァリン、ゼローダ、アービタックス(セツキシマブ)、リツキシマブ、キャンパス(アレムツズマブ)などからなる群から選択される、前述の組成物。
【0087】
注射によって投与されることが意図される組成物は、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を水と組み合わせて、溶液を形成することによって調製することができる。界面活性剤を添加して、均一な溶液又は懸濁液の形成を促進することができる。界面活性剤は、トリアゼン類似体又は誘導体と非共有的に相互作用して、式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体の溶解または均質な懸濁を促進する化合物である。
【0088】
有効量の本発明の化合物又は組成物を使用して、黒色腫及び他の癌を有する細胞の疾患を治療する。これらの細胞は、典型的には哺乳動物の細胞である。有効量の式(I)及び/又は式(II)のトリアゼン類似体を投与する方法は、当分野で周知であり、吸入、経口又は非経口形態の投与を包含する。このような投与形態としては、これらに限定されるものではないが、非経口溶液、錠剤、カプセル、持続放出性インプラント及び経皮送達システム;又はドライパウダー吸入器若しくは加圧複数回投与吸入装置を用いる吸入投与システムが挙げられる。投与量及び頻度は、有害な影響なしに薬剤の有効なレベルを得るために選択される。一般的には、有効性を得るために約0.01〜100mg/kg/日、典型的には、経口若しくは静脈内投与される場合は約2〜10mg/kg/日、鼻内又は吸入により投与される場合は約0.1〜4mg/kg/日の範囲の用量である。
【0089】
式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つの化合物又はその薬剤的に許容される塩、並びに少なくとも1つの化学療法剤及び少なくとも1つの生物学的反応修飾剤及び場合によって薬剤的に許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【0090】
前述の少なくとも1つの生物学的反応修飾剤を含む組成物であって、前記生物学的反応修飾剤が、モノクローナル抗体、インターフェロン(インターフェロン−γ)、インターロイキン(IL−I、IL−2、IL−9、IL−11、IL−12)、様々な種類のコロニー刺激因子(CSF、GM−CSF、G−CSF)、TNF−α受容体遮断薬s(TNF−α)などからなる群から選択される組成物。
【0091】
トリアゼン類似体を含むキット、ならびにその調製及び使用
本発明の別の実施形態において、前述のトリアゼン類似体を、医薬用途の本発明のトリアゼン類似体(メラニン標的類似体)を生成させるためのキット中に含めることができる。このようなキットは、一般的に、このような配合物を処方するために、病院、診療所または日常的にすぐに利用できる他の医療施設で使用される。患者において癌細胞成長を阻害するかまたは癌細胞を殺す方法であって、前記患者に対して治療上有効な量の式(I)及び式(II)の化合物を投与することによる方法。
【0092】
癌に罹っている患者を治療する方法であって、前記癌があらゆる種類(固形、液性、及びリンパ管由来)のものであり、これらに限定されるものではないが、転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、肉腫(ユーイング肉腫)、癌腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞及び非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、口腔咽頭扁平上皮癌であって、前記対象に、有効量の式(I)及び/又は式(II)の化合物を投与するステップを含む方法。
【0093】
前述の患者において癌細胞成長を阻害するかまたは癌細胞を殺す方法であって、癌細胞が身体のあらゆる部分由来であり、これらに限定されるものではないが、脳、肺、副腎、下垂体、胸部、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、睾丸、頸部、食道上部、下部、若しくは中部などのヒト身体のあらゆる器官由来であり、あらゆる種類の一次又は二次腫瘍のいずれかである方法。
【0094】
式(I)及び式(II)の化合物を患者に対して、これらに限定されるものではないが、腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内、直腸内などのあらゆる送達様式により投与する方法。
【0095】
エマルジョン中異なるサイズのナノ粒子を用いて、それらを必要とする患者に対して、式(I)及び/又は式(II)の化合物を投与する方法。
【0096】
抗腫瘍活性
本発明者らは、式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体の腫瘍を抑える可能性を評価した。A2058細胞中のMTT取り込みに基づく細胞増殖分析から、DTIC(表1)と比較すると、式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体が腫瘍細胞増殖の阻害において、より良好な有効性を示すことがわかった。式(I)及び式(II)のトリアゼン類似体の一部の50%阻害濃度(IC50)は、標準薬(DTIC)によって示される活性と比較すると、より良好な活性を示すことが判明した。
【0097】
同様に、式(I)の化合物6は、C57B6JマウスのB16F0黒色腫異種移植片モデルにおいて、DTICよりも良好な抗腫瘍活性を示した。加えて、化合物6はまた、試験した2つの用量レベルで、用量反応阻害を示した。しかし、DTICは、試験した同じ2つの用量レベルで統計的に有意な用量反応を示さなかった(図10)。DTICが用量反応を示さなかったことは、DTICが血管新生プロモータであることを示す文献の報告と一致し、一方、本発明者らは、化合物6が血管形成阻害物質であることを見いだした(図7、9)。
【0098】
本発明は、以下に記載する実施例によって説明され、この実施例は説明のみのために記載され、本発明の範囲を制限するとみなされるべきではない。当業者には明らかな変化及び変更は、添付の特許請求の範囲で定義される、本発明の範囲及び性質内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0099】
実施例1:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物1)の合成
【化14】

【0100】
ステップa:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(0.5g、3.18mmol)及び濃HCl(1.3mL、12.73mmol)のHO(7.5mL)溶液に、NaNO(0.24g、3.50mmol)を5分間0℃で数回に分けて添加した。0〜5℃で0.5時間撹拌した後、反応混合物をKCO(1.66g、12.09mmol)及びジメチルアミン(1.3mL、40%、11.46mmol)のHO(9mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×30mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(80:20)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡オレンジ色固体(600mg、88%)、mp74〜76℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.33(1H、d、J=5.6Hz)、7.24(1H、d、J=5.6Hz)、3.87(3H、s)、3.52(3H、s)、3.29(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z214(M+H)
【0101】
ステップb:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウムの氷冷(0〜5℃)溶液(20mL)に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(600mg)のTHF(5mL)溶液を5分間添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、沈殿した固体を濾過し、乾燥して粗生成物を得、これを、クロロホルム−メタノール(98:2)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色固体(400mg、72%)、mp168〜170℃として組成生物を得た。IR(ニート)vmax3337、3172、2923、1636、1599、1348、1219、1117、884、771cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ8.28(2H、br s)、7.35(1H、d、J=5.6Hz)、7.31(1H、d、J=5.6Hz)、3.58(3H、br s)、3.20(3H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z221(M+Na)
【0102】
実施例2:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド(化合物2)の合成
【化15】

【0103】
ステップa:
3−アミノ−4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノチオフェン−2カルボン酸メチル(1g、6.36mmol)の酢酸(10mL)溶液に、臭素(0.32mL、6.36mmol)の酢酸(1mL)溶液をゆっくりと5分間室温で添加し、同じ温度で16時間撹拌した。反応混合物を氷冷水中に注加し、クロロホルムで抽出した(3×100mL)。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(95:5)を溶離液として使用するシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色固体(0.5g、33%)、mp58〜60℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.29(1H、s)、5.63(2H、br s)、3.85(3H、s)。
【0104】
ステップb:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノ−4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチル(0.5g、2.11mmol)及び濃HCl(0.85mL、8.47mmol)のHO(5mL)溶液に、NaNO(160mg、2.33mmol)を数回に分けて5分間0℃で添加した。0.5時間(0〜5℃)で撹拌した後、反応混合物をKCO(1.1g、8.04mmol)及びジメチルアミン(0.85mL、40%、7.6mmol)のHO(6mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜10℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×30mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡オレンジ色油状物(0.5g、81%)として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.38(1H、s)、3.80(3H、s)、3.53(3H、br s)、3.28(3H、br s)。
【0105】
ステップc:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(10mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボン酸メチル(500mg)のTHF(5mL)溶液を5分間添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、酢酸エチルで抽出した(3×50mL)。合したEtOAc層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(98:2)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色固体(250mg、53%)、mp194〜196℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ7.85(1H、s)、7.75(1H、br s)、7.56(1H、br s)、3.56(3H、br s)、3.21(3H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z277、279(M+H)
【0106】
実施例3:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボキサミド(化合物3)の合成
【化16】

【0107】
ステップa:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(2.0g、12.7mmol)及び濃HCl(5mL、50.8mmol)のHO(30mL)溶液に、NaNO(0.96g、14.08mmol)を数回に分けて5分間0℃で添加した。0.5時間0〜5℃で撹拌した後、反応混合物をKCO(6.65g、48.26mmol)及びジメチルアミン(5.14mL、40%、45.7mmol)のHO(36mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜10℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×100mL)。合した層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(80:20)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡オレンジ色固体(2.5mg、91%)、mp74〜76℃として生成物を得た。
【0108】
ステップb:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(2g、9.38mmol)を15分間、0〜−5℃で濃硫酸(20mL)にゆっくりと添加した。次いで、濃硝酸(0.54mL、70%、10.7mmol)を前記反応混合物に10分間添加し、同じ温度で1時間、室温で16時間撹拌した。混合物を氷冷水中に注加し、水酸化アンモニウムで塩基性化した。溶液をクロロホルムで抽出し(3×100mL)、合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(80:20)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、黄色固体(450mg、26%)、mp128〜130℃として生成物を得た。
【0109】
ステップc:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(35mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル(400mg)のTHF(10mL)溶液を5分間添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(50:50)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、黄色固体(90mg、26%)、mp240〜246℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ8.22(1H、s)、8.05(1H、s)、7.91(1H、s)、3.63(3H、s)、3.26(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z266(M+Na)
【0110】
実施例4:4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−3−メトキシチオフェン−2,5−ジカルボキサミド(化合物4)の合成
【化17】

【0111】
ステップa:
4−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル:4−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(5g、23.14mmol)を15分間0〜−5℃で濃硫酸(25mL)にゆっくりと添加した。次いで、濃硝酸(3.2mL、70%、34.7mmol)を前記反応混合物に10分間添加し、同じ温度で1時間撹拌した。混合物を氷冷水中に注加し、酢酸エチルで抽出した(3×100mL)。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、黄色半固体(1.2g、20%)として生成物を得た。
【0112】
ステップb:
4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル:4−ヒドロキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル(650mg、2.5mmol)のアセトン(20mL)溶液に、炭酸カリウム(0.68g、5mmol)を室温で添加した。硫酸ジメチル(0.36mL、3.73mmol)を反応混合物に撹拌しながらゆっくりと添加し、触媒量のKIを添加した。混合物を4時間還流し、冷却した反応混合物を濾過し、固体をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で除去し、残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(90:10)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色固体(0.3g、45%)、mp80〜82℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ4.08(3H、s)、3.94(3H、s)、3.92(3H、s)。
【0113】
ステップc:
3−アミノ−4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル:4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)−3−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル(0.9g、3.27mmol)のメタノール(20mL)溶液に濃塩酸(0.3mL)を添加した。前記溶液に鉄粉(0.91g、16.36mmol)を添加し、続いて塩化アンモニウム水溶液(0.87g、16.3mmol、水:5mL)を室温で添加した。反応混合物を撹拌し、70℃に1時間温め、次いで室温まで放冷した。溶液を濾過し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。溶液を酢酸エチルで抽出した(4×100mL)。合した有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させて、淡黄色固体(0.65g、81%)、mp120〜124℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ5.39(2H、br s)、4.01(3H、s)、3.87(3H、s)、3.85(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z246(M+H)
【0114】
ステップd:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノ−4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(0.6g、2.44mmol)、濃HCl(1mL、9.8mmol)のHO(10mL)及びアセトン(10mL)溶液に、NaNO(0.19g、2.7mmol)を数回に分けて5分間0℃で添加した。0〜5℃で0.5時間撹拌した後、反応混合物を、KCO(1.28g、9.3mmol)及びジメチルアミン(1mL、40%、8.78mmol)のHO(8mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜10℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×100mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(80:20)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡オレンジ色油状物として生成物を得た(0.45g、62%)。H NMR(400MHz、CDCl):δ3.93(3H、s)、3.88(3H、s)、3.82(3H、s)、3.53(3H、br s)、3.26(3H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z324(M+Na)
【0115】
ステップe:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−3−メトキシチオフェン−2,5−ジカルボキサミド:水酸化アンモニウムの氷冷(0〜5℃)溶液(20mL)に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−メトキシ−5−(メトキシカルボニル)チオフェン−2−カルボン酸メチル(400mg)のTHF(5mL)溶液を5分間添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、酢酸エチルで抽出した(10×50mL)。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をクロロホルム−メタノールから結晶化して、灰白色固体(80mg、22%)、mp226〜228℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ7.86(1H、s)、7.81(1H、s)、7.73(1H、s)、7.35(1H、s)、3.72(3H、s)、3.59(3H、br s)、3.21(3H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z294(M+Na)
【0116】
実施例5:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド(化合物5)の合成
【化18】

【0117】
ステップa:
3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル:乾燥ジメチルホルムアミド(25.6mL、333.2mmol)の氷冷(0〜5℃)溶液に、オキシ塩化リン(15.6mL、166.6mmol)を撹拌しながら15分間滴加した。この冷混合物に、アセトフェノン(10g、83mmol)を、反応混合物の温度を45〜55℃に維持しつつ10分間滴加した。反応混合物をゆっくりと室温にし、30分間静置した。反応混合物に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(23.1g、333.2mmol)の乾燥DMF(33mL)全溶液7mLを添加し、混合物を70〜80℃で5分間撹拌した。次いで残りのヒドロキシルアミン塩酸塩のDMF溶液を、反応混合物の温度が145〜155℃を越えて上昇するような速度で添加した。添加が完了した後、反応混合物を30分間室温にし、冷水(0.5L)で希釈した。溶液をクロロホルムで抽出し、クロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(98:2)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、油状物(7g、52%)として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.64−7.67(2H、m)、7.43−7.53(3H、m)、6.02(1H、s)。
【0118】
ステップb:
3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチル:チオグリコール酸メチル(1g、9.43mmol)のメタノール(5mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(0.5g、9.43mmol)のメタノール(5mL)溶液を添加し、0.5時間撹拌した。前記混合物に、3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル(1.22g、7.5mmol)のDMF(3.5mL)溶液を10分間室温で滴加し、混合物を60℃で2時間撹拌した。次いで、ナトリウムメトキシド(1g、18.6mmol)のメタノール(10mL)溶液を室温で滴加し、撹拌を2時間60℃で続けた。混合物を室温にし、冷水中に注加し、15分間撹拌した。溶液をクロロホルムで抽出し(3×100mL)、合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(92:8)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色固体(1.1g、50%)、mp130〜132℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ7.62−7.65(2H、m)、7.38−7.48(3H、m)、7.00(1H、s)、4.29(2H、br s)、3.74(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z234(M+H)
【0119】
ステップc:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチル:3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチル(5g、21.4mmol)及び濃HCl(9mL、85.8mmol)のHO(51mL)溶液に、アセトン(30mL)を添加して、生成物を溶解させた。次いで、NaNO(1.7g、23.6mmol)を数回に分けて15分間0℃で添加した。0〜5℃で1時間撹拌した後、反応混合物をKCO(11.2g、81.5mmol)及びジメチルアミン(8.5mL、40%、77.2mmol)のHO(60mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×100mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡褐色固体(3.8g、76%)、mp92〜94℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ7.78−7.80(2H、m)、7.64(1H、s)、7.46−7.52(3H、m)、3.84(3H、s)、3.60(3H、s)、3.28(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z290(M+H)
【0120】
ステップd:
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(80mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチル(2.2g)のTHF(15mL)溶液を5分間添加し、続いて触媒量のPEG−400を添加し、混合物を36時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、クロロホルムで抽出した。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(94:6)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、生成物を得た。粗生成物をクロロホルム−ヘキサンから再結晶して、黄色固体(170mg、8%)、mp220〜222℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3343、2922、2855、1642、1595、1221、1023、880、841cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ8.30(1H、br s)、7.64−7.66(2H、m)、7.53(1H、s)、7.30−7.41(3H、m)、6.34(1H、br s)、3.59(3H、s)、3.20(3H、s);13C NMR(100MHz、CDCl):δ164.7、151.1、146.7、133.9、128.9、128.5、125.8、125.4、114.7、43.6、36.5;LC−MS(陽イオンモード):m/z297(M+Na)
【0121】
実施例6:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸(化合物6)の合成
【化19】

【0122】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(200mg、0.93mmol)のメタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウム(93mg、2.3mmol)の水(2mL)溶液を添加し、室温で2時間撹拌した。混合物を氷冷水で希釈し、希HClで酸性化し、クロロホルムで抽出した。合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(80:20)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色固体(70mg、38%)、mp108〜110℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3402、3082、2923、1708、1218、1116、1066、1016、880、773cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ12.21(1H、s)、7.47(1H、d、J=5.2Hz)、7.30(1H、d、J=5.2Hz)、3.65(3H、s)、3.28(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z200(M+H)
【0123】
実施例7:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸(化合物7)の合成
【化20】

【0124】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル(550mg)のメタノール(10mL)溶液に、水酸化ナトリウムの水溶液(5mLの水中0.25g)を室温で添加し、混合物を14時間撹拌した。過剰のメタノールを減圧下で蒸発させ、残留物を氷冷水で希釈した。溶液を希HClで酸性化し、分離した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥して、黄色固体として生成物を得た(450mg、86%)。粗生成物をクロロホルム−メタノールから再結晶した(290mg)、mp184〜186℃。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ13.26(1H、br s)、8.00(1H、s)、3.59(3H、s)、3.25(3H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z245(M+H)
【0125】
実施例8:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸(化合物8)の合成
【化21】

【0126】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸メチル(1.8g、6.22mmol)のメタノール(50mL)溶液に、水酸化ナトリウム(1.24g、31.1mmol)の水(15mL)溶液を添加し、室温で16時間撹拌した。混合物を氷冷水で希釈し、希HClで酸性化した。混合物を30分間撹拌し、沈殿した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥した。固体を、ヘキサン−酢酸エチル(70:30)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、生成物を得た。粗固体をヘキサン−クロロホルムから再結晶して、淡ピンク色固体(1.1g、61%)、mp162〜166℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax2923、2853、1708、1260、1220、1173、1042、1020、879、836cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ12.15(1H、br s)、7.58−7.60(2H、m)、7.44(1H、s)、7.32−7.40(3H、m)、3.65(3H、s)、3.25(3H、s);13C NMR(100MHz、CDCl):δ162.8、153.3、149.7、133.3、129.1、129.0、125.9、120.1、113.4、44.3、37.0;LC−MS(陽イオンモード):m/z298(M+Na)
【0127】
実施例9:{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−(2−ヒドロキシエチル)−カルボキサミド(化合物9)の合成
【化22】

【0128】
エタノールアミン(5mL)のTHF(5mL)氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(500mg)のTHF(5mL)溶液を5分添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、溶液を酢酸エチルで抽出した(3×50mL)。合したEtOAc層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて生成物を得、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶して、淡オレンジ色固体(430mg、77%)、mp118〜122℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3397、3278、2926、1621、1353、1298、1220、1083、1007、882、775cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ8.86(1H、br s)、7.31(1H、d、J=5.6Hz)、7.28(1H、d、J=5.2Hz)、3.78−3.82(2H、m)、3.60−3.64(2H、m)、3.57(3H、br s)、3.23(3H、br s)、2.76(1H、t、J=5.0Hz);LC−MS(陽イオンモード):m/z243(M+H)
【0129】
実施例10:{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−メチルカルボキサミド(化合物10)の合成
【化23】

【0130】
メチルアミン(3mL)のTHF(5mL)氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(500mg)のTHF(5mL)溶液を5分間添加し、室温で36時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、溶液をクロロホルムで抽出した(3×100mL)。合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(98:2)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、生成物を得、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶して、淡オレンジ色固体(380mg、76%)、mp98〜102℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3297、3082、2929、1637、1380、1348、1299、1221、1109、1016、882、776cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ8.35(1H、br s)、7.29(1H、d、J=5.2Hz)、7.27(1H、d、J=5.2Hz)、3.57(3H、br s)、3.21(3H、br s)、3.00(3H、d、J=4.8Hz);LC−MS(陽イオンモード):m/z213(M+H)
【0131】
実施例11:N−(2−アミノエチル){3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−カルボキサミド(化合物11)の合成
【化24】

【0132】
エチレンジアミン(5mL)のエタノール(5mL)氷冷(0〜5℃)溶液に、3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(250mg)のエタノール(5mL)溶液を5分間添加し、室温で24時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、塩化ナトリウムで飽和させた。溶液をTHFで抽出した(3×100mL)。合したTHF層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(90:10)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色固体(60mg、22%)、mp98〜100℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ8.65(1H、br s)、7.30(1H、d、J=5.2Hz)、7.28(1H、d、J=5.2Hz)、3.50−3.57(5H、m)、3.24(3H、br s)、2.91(2H、t、J=6.0Hz)。
【0133】
実施例12:4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物12)の合成
【化25】

【0134】
ステップa:
4−ニトロチオフェン−2−カルボン酸:硫酸(3.0mL、5.505g、56.17mmol)を硝酸(2.0mL、2.98g、49.6mmol)に0〜10℃でゆっくりと添加した。添加が完了した後、チオフェン−2−カルボン酸(2.8g、21.87mmol)を前記ニトロ化混合物に15分間同じ温度でゆっくりと添加し、混合物を1時間撹拌した。反応混合物を氷冷水中に注加し、30分間撹拌した。沈殿した固体を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥した。濾液を酢酸エチルで抽出した。合した酢酸エチル層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。合した生成物をヘキサン(2×50mL)とともに撹拌し、固体を濾過し、乾燥して、灰白色固体(2.8g、75%)、mp110〜118℃として生成物を得た。生成物は、HPLC及びH NMRによると2つの化合物の混合物であり、次の段階に進めた。
【0135】
ステップb:
4−ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル:ニトロチオフェン−2−カルボン酸(6.8g、39.3mmol)のメタノール(50mL)溶液に、塩化チオニル(6mL、78.6mmol)を撹拌下、室温で滴加した。反応混合物を2時間還流し、室温にした。混合物を氷冷水中に注加し、15分間撹拌した。沈殿した固体を濾過し、冷水で洗浄し、乾燥して、灰白色固体(6.2g、85%)として生成物を得た。H NMRは、これが2つの化合物の混合物であることを示し、粗生成物を次の段階に進めた。
【0136】
ステップc:
4−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル:ニトロチオフェン−2−カルボン酸メチル(7g、37.43mmol)の水(150mL)とメタノール(50mL)の溶液に、濃塩酸(4.5mL)を添加した。前記溶液に、鉄粉(10.5g、188mmol)を添加し、続いて塩化アンモニウム(10g、187mmol)を室温で添加した。反応混合物を撹拌して70℃に1時間温め、次いで室温まで放冷した。溶液を濾過し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。溶液をクロロホルムで抽出した(4×100mL)。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(90:10及び少量のトリエチルアミン)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、4−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(1.8g、31%)、mp76〜78℃を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.31(1H、d、J=1.6Hz)、6.40(1H、d、J=1.6Hz)、3.85(3H、s)、3.63(2H、br s)。
【0137】
カラムを同じ溶媒系でさらに溶出して、5−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(0.5g、8.5%)、mp70〜72℃を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.45(1H、d、J=4.0Hz)、6.09(1H、d、J=4.0Hz)、4.29(2H、br s)、3.81(3H、s)。
【0138】
ステップd:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル:4−アミノチオフェン−2−カルボン酸メチル(1.7g、10.82mmol)及び濃HCl(4.6mL、43.5mmol)のHO(20mL)溶液に、NaNO(0.84g、12.17mmol)を数回に分けて5分間0℃で添加した。0〜5℃で0.5時間撹拌した後、反応混合物をKCO(5.8g、42mmol)及びジメチルアミン(4.6mL、40%、40.9mmol)のHO(30mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×100mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(80:20)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上クロマトグラフィーにかけ、明赤色固体(250mg)として生成物を得、これをクロロホルム−ヘキサンから再結晶した(110mg)、mp90〜92℃。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.93(1H、d、J=1.6Hz)、7.31(1H、d、J=1.6Hz)、3.88(3H、s)、3.31(6H、br s)。
【0139】
ステップe:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド:水酸化アンモニウム(5mL)の氷冷(0〜5℃)溶液に、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸メチル(110mg)のTHF(2mL)溶液を5分間添加し、室温で20時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、クロロホルムで抽出した。合した有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をクロロホルム−メタノール(99:1)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡赤色固体(60mg、60%)、mp128〜130℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3372、3189、1648、1609、1219、1120、1088、865、772cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ7.68(1H、d、J=1.2Hz)、7.28(1H、d、J=1.2Hz)、6.18(2H、br s)、3.29(6H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z199(M+H)
【0140】
実施例13:4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボキサミド(化合物13)の合成
【化26】

【0141】
ステップa:
3−[(メトキシカルボニル)メチルチオ]プロパン酸メチル:メチルアクリレート(4.25g、49.5mmol)を20分かけて、チオグリコール酸メチル(5g、47.16mmol)及びピペリジン(0.10mL)撹拌溶液に室温で滴加した。アクリレートの約半分が導入されたら、さらにピペリジン(0.10mL)を添加した。アクリレートの添加が完了した後、反応混合物を1時間室温で撹拌した。混合物を100mLのクロロホルムで希釈した。クロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させて、油状物(9g、100%)として生成物を得た。
【0142】
ステップb:
4−オキソ−2,3,5−トリヒドロチオフェン−3−カルボン酸メチル:ナトリウムメトキシド(1.68g、31.25mmol)の乾燥THF(15mL)溶液の撹拌スラリーに、3−チアヘキサン二酸ジメチル(5g、26.03mmol)のTHF(10mL)中溶液を室温で5分間添加した。反応混合物を2時間還流加熱し、室温まで冷却し、氷冷水中に注加し、希HClで酸性化した。溶液をクロロホルムで抽出し、合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(95:5)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色油状物(1.6g、39%)として生成物を得た。
【0143】
ステップc:
4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル塩酸塩:4−オキソ−3−メトキシカルボニルテトラヒドロチオフェン(6.5g、40.62mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.84g、40.62mmol)及びアセトニトリル(30mL)の混合物を還流下で1時間撹拌した。混合物を次いで冷却し、分離した固体を濾過し、乾燥エーテルで洗浄して、標記化合物を得た(4.9g、62%)、mp192〜196℃。
【0144】
ステップd:
4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル:4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル塩酸塩(290mg)を水(20mL)中に溶解させ、アンモニア溶液で塩基性化した。溶液をクロロホルムで抽出し、合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させて、淡黄色油状物(150mg、65%)として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.92(1H、d、J=3.6Hz)、6.08(1H、d、J=3.6Hz)、4.79(2H、br s)、3.85(3H、s)。
【0145】
ステップe:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボン酸メチル:4−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル(200mg、1.27mmol)及び濃HCl(0.5mL、5.09mmol)のHO(5mL)溶液に、NaNO(96mg、1.39mmol)を数回に分けて5分間、0℃で添加した。0〜5℃で0.5時間撹拌した後、反応混合物をKCO(665mg、4.8mmol)及びジメチルアミン(0.5mL、40%、4.57mmol)のHO(5mL)溶液に0℃で添加した。混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、氷冷水中に注加した。溶液をクロロホルムで抽出した(3×30mL)。合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−EtOAc(90:10)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡赤色油状物(20mg、8%)として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ8.00(1H、d、J=2.8Hz)、6.97(1H、d、J=3.6Hz)、3.85(3H、s)、3.34(6H、br s)。
【0146】
ステップf:
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボキサミド:水酸化アンモニウムの氷冷(0〜5℃)溶液(5mL)に、4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボン酸メチル(110mg)のTHF(2mL)溶液を5分間添加し、室温で36時間撹拌した。溶液を氷冷水中に注加し、クロロホルムで抽出した。合したクロロホルム層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(98:2)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡赤色固体(25mg、25%)、mp168〜172℃として生成物を得た。IR(ニート)vmax3324、3125、2917、2851、1655、1600、1367、1336、1090cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ8.55(1H、br s)、8.19(1H、d、J=3.6Hz)、7.15(1H、d、J=3.6Hz)、5.84(1H、br s)、3.56(3H、br s)、3.19(3H、br s);LC−MS(陽イオンモード):m/z199(M+H)
【0147】
実施例14:3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸のカリウム塩(化合物14)の合成
【化27】

【0148】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸(実施例4:300mg、1.50mmol)のメタノール(15mL)溶液に、水酸化カリウム(84mg、1.50mmol)のメタノール(5mL)溶液を室温で添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。溶液を濾過して不純物を除去し、減圧下で蒸発させて、褐色固体(290mg、81%)、mp274〜280℃として化合物を得た。H NMR(400MHz、DO):δ7.36(1H、d、J=5.6Hz)、7.10(1H、d、J=5.6Hz);LC−MS(陽イオンモード):m/z238(M+H)
【0149】
実施例15:3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物15)の合成
【化28】

【0150】
ステップa:
2−アミノチオフェン−3−カルボキサミド:2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジチアン(10g、65.78mmol)のエタノール(200mL)及びトリエチルアミン(2mL)溶液に、シアノアセトアミド(5.52g、65.78mmol)を室温で5分間添加した。反応混合物を3時間還流し、室温にした。エタノール(約150mL)を減圧下で除去し、内容物を氷冷水中に注加し、15分間撹拌した。溶液を酢酸エチルで抽出し(3×100mL)、合したEtOAc層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をクロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として用いたシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色固体(4.9g、53%)、mp150〜152℃として生成物を得た。
【0151】
ステップb:
3H−チオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:2−アミノチオフェン−3−カルボキサミド(5g、35.21mmol)の濃硫酸(40mL)氷冷溶液(0℃)に、亜硝酸ナトリウム(2.5g、35.21mmol)の濃硫酸(30mL)冷(0℃)溶液を30分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に保たなければならない)。添加後、混合物を同じ温度(0℃)で3時間撹拌した。混合物を撹拌しながら15分間ゆっくりとクラッシュアイス中に注加し、同じ温度で15分間撹拌した。溶液を酢酸エチルで抽出し(4×200mL)、合したEtOAc層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(95:5)を溶離液として用いるシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡赤色固体(1.0g、18%)、mp175〜176℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ15.18(1H、s)、8.16(1H、d、J=5.6Hz)、7.64(1H、d、J=5.6Hz);13C NMR(100MHz、DMSO−d):δ159.1、153.8、132.0、126.1、121.2;LC−MS(陰イオンモード):m/z152(M−H)
【0152】
ステップc:
3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:3H−チオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(80mg、0.522mmol)のアセトン(50mL)溶液に、炭酸カリウム(144mg、1.04mmol)、ヨードメタン(0.04mL、0.627mmol)及びヨウ化カリウム(触媒)を室温で連続して添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。溶液を濾過し、固体をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、氷冷水で希釈し、10分間撹拌した。溶液をクロロホルムで抽出し(4×75mL)、合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(90:10)を溶離液として用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、灰白色固体(50mg、57%)、mp104〜108℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ8.17(1H、d、J=5.6Hz)、7.64(1H、d、J=5.6Hz)、3.95(3H、s);13C NMR(100MHz、CDCl):δ159.4、153.9、130.7、125.6、121.7、37.3。
【0153】
実施例16:3−メチル−6−ニトロチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物16)の合成
【化29】

【0154】
濃硫酸(5mL)の氷冷(−10℃)溶液に、3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(0.6g、3.6mmol)を10分間添加し、硝酸(0.4mL、9mmol)を前記反応混合物に5分間添加し、混合物を室温にし、1時間撹拌した。混合物を氷冷水中に注加し、15分間撹拌した。沈殿した固体を濾過し、ヘキサン−クロロホルム(1:1)を溶離液として用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって濾過及び精製して、淡黄色固体(390mg、51%)、mp164〜168℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ8.60(1H、s)、3.99(3H、s)。
【0155】
実施例17:6−アミノ−3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物17)の合成
【化30】

【0156】
3−メチル−6−ニトロチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(1.25g、5.9mmol)のメタノール(50mL)溶液に、濃塩酸(0.6mL)を添加した。前記溶液に、鉄粉(1.67g、29.5mmol)を添加し、続いて塩化アンモニウム(1.57g、29.5mmol)の水(10mL)溶液を室温で添加した。反応混合物を撹拌し、70℃に1時間温め、次いで室温まで放冷した。溶液を濾過し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化した。溶液を酢酸エチルで抽出した(4×100mL)。合した有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物を、ヘキサン−酢酸エチル(60:40)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、淡黄色固体(80mg、7.5%)、mp190〜194℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、DMSO−d):δ7.40(2H、s)、6.11(1H、s)、3.82(3H、s);LC−MS(陰イオンモード):m/z181(M−H)
【0157】
実施例18:3−メチル−6−フェニルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(化合物18)の合成
【化31】

【0158】
ステップa:
3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボニトリル:硫化ナトリウム(0.95g、12.23mmol)のDMF(12.5mL)懸濁液に、3−クロロ−3−フェニルプロプ−2−エンニトリル(2g、12.23mmol)のDMF(5mL)溶液を室温で5分間添加し、混合物を60〜70℃で2時間撹拌した。次いで、クロロアセトニトリル(0.77mL、12.23mmol)を反応混合物に滴加し、再度60〜70℃で2時間撹拌した。次に、ナトリウムメトキシド(0.66g、12.23mmol)のメタノール(5mL)溶液を滴加し、撹拌を同じ温度で1時間続けた。混合物を室温にし、冷水中に注加し、15分間撹拌した。分離した固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥した。固体をヘキサン−クロロホルムから再結晶して、淡褐色固体(150mg、8%)、mp158〜160℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.52−7.54(2H、m)、7.37−7.41(3H、m)、6.75(1H、s)、4.48(2H、s);LC−MS(陰イオンモード):m/z199(M−H)
【0159】
ステップb:
3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド:3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボニトリル(150mg)の水酸化ナトリウム水溶液(20mL、10%)懸濁液にエタノール(10mL)を添加し、混合物を1時間還流させた。反応混合物を室温にし、析出した結晶を濾去し、冷水で洗浄し、乾燥して、明黄色固体(70mg、45%)、mp180〜182℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ7.56−7.58(2H、m)、7.33−7.41(3H、m)、6.79(1H、s)、5.68(1H、s)、5.21(1H、s);LC−MS(陽イオンモード):m/z241(M+Na)
【0160】
ステップc:
6−フェニル−3H−チオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド(0.37g、1.7mmol)の濃硫酸(20mL)氷冷溶液(0℃)に、亜硝酸ナトリウム(120mg、1.86mmol)の濃硫酸(8mL)冷(0℃)溶液を10分間添加した(添加中、温度は−5〜0℃に維持しなければならない)。添加後、混合物を0℃で1時間、そして室温で1時間撹拌した。反応混合物を冷却し、撹拌しながら15分間ゆっくりとクラッシュアイス中に注加し、同じ温度で15分間撹拌した。溶液を酢酸エチルで抽出し(3×50mL)、合したEtOAc層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させて、灰白色固体(200mg、39%)、mp178〜180℃として生成物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ12.30(1H、br s)、7.86(1H、s)、7.73−7.75(2H、m)、7.49−7.54(3H、m);LC−MS(陰イオンモード):m/z228(M−H)
【0161】
ステップd:
3−メチル−6−フェニルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン:6−フェニル−3H−チオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(250mg、1.1mmol)のアセトン(25mL)溶液に、炭酸カリウム(300mg、2.18mmol)、ヨードメタン(0.08mL、1.31mmol)及びヨウ化カリウム(触媒)を連続して室温で添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。溶液を濾過し、固体をアセトンで洗浄した。アセトンを減圧下で蒸発させ、氷冷水で希釈し、10分間撹拌した。溶液をクロロホルムで抽出し(4×75mL)、合したCHCl層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物を、クロロホルム−メタノール(95:05)を溶離液として使用してシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにかけて、黄色固体(110mg、42%)、mp220〜222℃として生成物を得た。IR(KBr)vmax3095、2924、1680、1298、1248、1102、977、829cm−1H NMR(400MHz、CDCl):δ7.78(1H、s)、7.70−7.73(2H、m)、7.45−7.51(3H、m)、4.09(3H、s);13C NMR(100MHz、CDCl):δ155.1、153.8、153.3、132.2、130.2、129.4、126.7、125.4、119.5、37.4;LC−MS(陽イオンモード):m/z244(M+H)
【0162】
インビトロ及びインビボ抗黒色腫成長可能性の評価
実施例19:MTTに基づく分析を用いた細胞増殖分析
MTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド]取り込みに基づく細胞増殖分析を、若干の変更を加えた標準的手順を用いて実施した(38)。試験化合物の細胞傷害有効性をヒト悪性黒色腫A2058細胞においてMTT細胞増殖分析キット(Roche Applied Sciences(ドイツ))によって評価した。分析は製造元によって提供された指示にしたがって実施した。手短に説明すると、等しい数の細胞を96穴平底プレート中、100μlの培地中に播種し、DTIC又はその誘導体化合物のいずれかに150μg/mlまでの様々な濃度で3日の期間中暴露した。ビヒクル対照培養物ウェルに最高0.5%のDMSOのみを添加した。その後、0.5mg/mlのMTT試薬を各ウェルに添加し、マイクロプレートを37℃、5%COの存在下でさらに4時間インキュベートした。最後に、可溶化溶液を添加することによって細胞を可溶化し、37℃で一夜インキュベートした。ホルマザン結晶を完全に可溶化させた後、吸光度をマイクロプレートリーダー(BioRad(米国))で540nmで読み取った。4連ウェルから得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞増殖の阻害(50%阻害濃度、IC50)を決定した計算で使用した。
【0163】
【表1】

A2058、ヒト悪性黒色腫細胞におけるDTICおよびその関連する化合物の腫瘍を抑える可能性
【0164】
実施例20:LDH漏出分析を用いた細胞傷害性
MTT分析から得られたデータから(表1)、化合物1、化合物6及び化合物13を選択し、それらの細胞傷害可能性をLDH漏出分析においてさらに検証した。図1は、表示された異なる濃度でのDTIC及び表示する他の試験化合物での漏出LDHにおける増加(%)に関する細胞生存率の減少を示す。
【0165】
DTIC及びその誘導体化合物の細胞傷害可能性は、培養上清中への漏出した乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を測定することによって評価した(LDH Cytotoxicity Detection KitPlus、Roche Applied Sciences(ドイツ))。漏出LDHは、細胞傷害性化合物によって加えられた細胞損傷に正比例する。手短に説明すると、細胞を様々な濃度の試験化合物で処理し、48時間インキュベートした。ビヒクル対照培養物ウェルに最高0.5%のDMSOのみを加えた。無細胞培養上清を触媒及び色素溶液と混合し、室温で15分間インキュベートした。最後に、反応を停止させ、マイクロプレートリーダー(BioRad(米国))で492nmにて光学密度を測定した。4連のウェルから得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞傷害可能性(50%阻害濃度、IC50)を決定する計算で使用した。LDHの漏出対薬剤濃度によって示される細胞生存率の低下のプロットを図1に示す。
【0166】
実施例21:腫瘍選択性
次に、DTIC誘導体化合物が、正常な細胞に影響を与えないか又はほとんど与えずに黒色腫細胞を選択的に殺すことができるかどうかをチェックするために、本発明者らは正常なヒト上皮HS.531.sk細胞に対する試験化合物の影響を評価した。LDH漏出分析は、100μg/mlまでの用量のDTIC及びその誘導体化合物が、正常細胞皮膚細胞成長に影響を及ぼさないことを示す。一方、120μg/mlのDTIC、化合物1、化合物3及び化合物4は、正常細胞生存率においてそれぞれ5.8%、4.2%、2.4%、及び2.4%減少させた。したがって、この観察結果から、化合物3及び化合物4が正常細胞に影響を及ぼさないかまたはほとんど及ぼさずに黒色腫細胞を殺すのにDTICよりも高い選択性を有することは明らかである(図2)。
【0167】
実施例22:A2058ヒト黒色腫細胞におけるアポトーシス細胞死可能性に対するトリアゼン化合物の影響
カスパーゼによるPARPのタンパク質分解的切断は、アポトーシスの顕著な特徴とみなされる。カスパーゼ−3は、113−kDaのPARPを切断して、89kDa及び24−kDaのポリペプチドを生成させる(39)。次に、DTIC及び試験生成物化合物1、化合物6及び化合物13の相対的アポトーシス可能性を評価するために、PARP切断分析をA2058細胞に関して実施した。PARP切断は、先に記載したようなウェスタンイムノブロット分析を用いることによって評価した(40)。図3は、100μg/mlの固定用量での試験化合物によるPARP切断の有効性の比較を示す。ウェスタンブロット画像は、化合物番号3で処理したA2058細胞において89kDaのPARPの切断されたサブユニットの発現は、同じ濃度のDTICで処理された細胞においてよりも56.6%高いことを示す。この観察結果は、化合物番号3がA2058ヒト黒色腫細胞においてより良好なアポトーシス細胞死可能性を示すことを示唆する。
【0168】
実施例23:B16F0マウス黒色腫細胞及びA375ヒト黒色腫細胞におけるDTIC及び化合物6による細胞増殖阻害の効果の比較
MTTベースの細胞増殖分析を先に記載した方法論にしたがって用いることにより、DTIC及び化合物6の抗腫瘍成長可能性の比較を、B16F0マウス黒色腫細胞及びA375ヒト黒色腫細胞においてさらに試験した(実施例19)。手短に説明すると、等しい数のB16F0又はA375細胞いずれかを、96穴平底プレート中、100μlの培地中に播種し、様々な濃度のDTIC又は化合物6のいずれかで3日間処理した。ビヒクル対照培養物ウェルに最高0.5%のDMSOのみを添加した。MTT試薬を添加した後、細胞を可溶化し、細胞内ホルマザン形成を、マイクロプレートリーダー(BioRad(米国))で540nmにて熱量測定によって読み取った。4連のウェルから得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞増殖の阻害(50%阻害濃度、IC50)を決定するための計算で使用した。
【0169】
【表2】

B16F0マウス黒色腫及びA375ヒト黒色腫細胞におけるDTIC及び化合物6の抗腫瘍成長可能性の比較
【0170】
実施例24:B16F0マウス黒色腫細胞及びA375ヒト黒色腫細胞に対するDTIC及び化合物6の細胞傷害可能性の比較
B16F0マウス黒色腫細胞及びA375ヒト黒色腫細胞に対するDTIC及び化合物6の細胞傷害可能性の比較を、先に記載した方法論(実施例20)に従って培養上清中への漏出乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)を測定することによってさらに評価した(LDH Cytotoxicity Detection KitP|us、Roche Applied Sciences(ドイツ))。4連のウェルから得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞傷害可能性(50%阻害濃度、IC50)を決定するための計算において使用した(表3)。
【0171】
【表3】

B16F0マウス黒色腫及びA375ヒト黒色腫細胞におけるDTIC及び化合物6の細胞傷害可能性の比較
【0172】
実施例25:MCF−7ヒト胸部腫瘍細胞、MIA−PaCa2ヒト膵臓腫瘍細胞及びDU145ヒト前立腺腫瘍細胞における化合物1及び化合物6の抗腫瘍有効性
化合物1及び化合物6の抗腫瘍成長可能性をMCF−7ヒト胸部腫瘍細胞、MIA−PaCa2ヒト膵臓腫瘍細胞及びDU145ヒト前立腺腫瘍細胞において、先に記載したようなMTTベースの細胞増殖研究(実施例19)を用いることによって評価した。4連のウェルから得られた結果(平均OD±SD)を、試験化合物の細胞増殖(50%阻害濃度、IC50)の阻害を決定するための計算において使用した(表4)。
【0173】
【表4】

MCF−7ヒト胸部腫瘍細胞、MIA−PaCa2ヒト膵臓腫瘍細胞及びDU145ヒト前立腺腫瘍細胞におけるDTIC、化合物1及び化合物6の抗腫瘍成長可能性の比較
【0174】
実施例26:B16F0マウス黒色腫細胞コロニー形成分析
化合物6及びDTICのクローン形成効率を、先に記載した手順に若干の変更を加えたものに準拠して試験した(41)。手短に説明すると、B16F0細胞を集め、6ウェルプレート中に播種した(100細胞/ml)。細胞を2日間成長させ、その後、細胞を0.1%DMSO又は100μg/mlのDTIC又は50μg/ml及び100μg/mlの化合物6のいずれかを含むMEMとともにさらに8日間インキュベートした。試験薬剤を含む新鮮な培地を24時間ごとに取り替えた。最後に、ウェルをPBSで3回洗浄し、メタノール中で15分間固定した。細胞をギムザ染色で染色し、顕微鏡下で観察した。染色されたウェルの画像をデジタルで記録し(Kodak Image Station 4000MM, Carestream Health Inc.,(コネチカット州ニューヘーブン))、コロニー数を数え、NIH Image Jソフトウェアを用いることによって分析した。図4は、DTIC及び化合物6で処理したウェルにおけるB16コロニー成長の阻害を示す。化合物6は、DTICと比較してB16腫瘍細胞コロニー成長において有意な阻害を示した。37.6%、55.2%及び68.7%成長阻害がそれぞれ100μg/mlのDTIC、50μg/ml及び100μg/mlの化合物6によって達成された。
【0175】
実施例27:化合物6で処理したB16F0マウス黒色腫細胞の細胞サイクル分析
化合物6及びDTICで処理したB16F0細胞の細胞サイクル分析を、若干の変更を加えて先に記載したようにしてフローサイトメトリーによって分析した(42)。手短に説明すると、B16F0細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含むDMEM中、4.5g/lのD−グルコースの存在下で培養した。サブコンフルエント細胞を、DTIC又は化合物6のいずれかで処理し、24時間インキュベートした。細胞を集め、緩衝液(PBS+2%FBS)中単細胞懸濁液を調製した。細胞を冷PBSで2回洗浄し、次いで冷70%エタノールで30分間固定した。エタノールを遠心分離によって除去し、細胞を懸濁させ、細胞数を1mlあたり10細胞に調節した。細胞をPBSで2回洗浄し、次いで細胞をヨウ化プロピジウムで30分間37℃にてRNaseの存在下で染色した。最後に、細胞をFACS Caliburフローサイトメトリー(BD Biosciences(米国))で分析した。図5は、DTIC及び化合物6によって調節された細胞サイクルの異なる期における細胞の分布を表す。
【0176】
実施例28:B16F0マウス黒色腫細胞浸潤分析
B16F0のインビトロ浸潤能に対するDTIC及び化合物4の阻害効果を、マトリゲル(BME −Cultrex(登録商標)、R&D Systems(米国))でコーティングした細胞培養インサート(Becton Dickinson(米国))(8μmポア膜を有する)を用いることによって実施した細胞浸潤分析で試験した。等しい数(50000)のB16F0細胞を各インサートウェル中に塗布し、2時間37℃にて5%COの存在下で付着させた。その後、マトリゲル層を通過する細胞浸潤を試験化合物の存在下又は非存在下で実施した。100μg/mlのDTIC又は化合物6のいずれかを浸潤アセンブリの下側のチャンバー中に塗布した。0.1%DMSOをビヒクル対照培養物チャンバー中に塗布した。24時間処理した後、細胞を含むマトリゲル層をコットンプラグで除去し、膜の反対側上の浸潤細胞をメタノールで5分間固定し次いでギムザで染色した。染色された膜をガラススライド上に載せ、浸潤細胞数を光学顕微鏡下(Nikon Eclipse TS 100)、20ランダムフィールド中で数えた(20×対物レンズ)。化合物6は、インビトロB16黒色腫細胞培養実験においてビヒクル又はDTICと比較すると、悪性腫瘍細胞浸潤を有意に減少させた(図6)。
【0177】
実施例29:化合物6は血管内皮成長因子(VEGF)産生B16F0細胞を阻害する。
B16F0細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)及び4.5g/lのD−グルコースを含むダルベッコの修飾イーグルレッド培地(DMEM)(Sigma Life Science(米国))中で培養した。等しい数の細胞(5×10)を培養皿(35×10mm、11.7cm)中に播種した。細胞を50μg/mlのDTIC又は化合物4のいずれかで24時間処理した。0.1%DMSOのみとともにインキュベートした細胞をビヒクル対照とみなした。24時間後、細胞溶解物を調製し、先に記載したようにして適切な変更を加えてウェスタンブロット分析により血管内皮成長因子(VEGF)発現について分析した(43)。ウェスタンブロット分析に関して、等量のB16F0細胞溶解物タンパク質を12.5%SDS−PAGE中、還元条件下で分離し、ニトロセルロース膜(Bio−Rad(米国))上に移した。膜をSuperBlock(Thermo scientific(米国))でブロックし、続いてVEGF抗体(Abcam(英国))と4℃で一夜反応させた。結合した抗体をホースラディッシュペルオキシダーゼ接合二次抗体でプローブし、化学発光が向上した特異的免疫反応を生じさせた(Thermo scientific(米国))。ストリップされた膜を、内部ローディング対照として抗アクチン抗体を用いて再度生じさせた。免疫反応性バンドの画像をKodak Image Station 4000MM(Carestream Health Inc.,(コネチカット州ニューヘーブン))で記録し、Kodak molecular Imaging software, Version 4.5による濃度測定によって分析した。図7は、化合物6で処理したB16F0細胞におけるVEGFタンパク質の下方調節を示す、代表的なイムノブロット画像である。
【0178】
実施例30:内皮細胞遊走分析
内皮細胞遊走分析の方法論は、先に記載したものと本質的に同じであり、若干の変更を加えた(43)。FALCON(商標)Cell Cultureインサート(Becton Dickinson(米国))(そのPET膜中に8μmポアを有する)を0.1mg/mlのコラーゲンでコーティングした。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を細胞培養インサート(Becton Dickinson)に5×10細胞/インサートの密度で添加した。細胞を、インサートを通って18時間、様々な濃度のDTIC又は化合物6のいずれかの存在下で遊走させた。遊走アセンブリを含む対照培養物に0.1%DMSOのみを添加した。遊走しなかった細胞をコットンプラグでこすり落とし、遊走した細胞をメタノールで5分間固定し、次いでギムザで染色した。インサートの膜を次いでガラススライド上に載せた。膜の孔を通って遊走した細胞を20ランダムフィールドにおいてNikon Eclipse TS 100顕微鏡下、20×対物レンズで計数した。図8は、化合物6で処理した内皮細胞の遊走の有意な阻害を示す。
【0179】
実施例31:インビトロ毛細管形成分析
インビトロ毛細管形成分析は、10mg/mlの基底膜抽出物(BME−Cultrex(登録商標)、R&D Systems(米国))床上で培養した、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いて実施した。インビト内皮管形成分析のプロトコルは、先に記載したのと同じであり、若干の変更を加えた(44)。手短に説明すると、400マイクロリットルのCultrexを4℃にて24穴培養プレートの各ウェル中にコーティングし、37℃で1時間ゲル化させた。HUVECを、10%ウシ胎仔血清及び4.5g/l D−グルコースを添加したDMEM400μlでウェルあたり7.5×10細胞の密度で播種した。細胞を次いでDTIC又は化合物6のいずれかで、表示した所望の濃度で16時間処理した。ビヒクル対照培養物に0.1%DMSOのみを添加した。Nikon Coolpixカメラを備えたNikon Eclipse TS 100顕微鏡下で写真を撮影した。化合物6は用量に依存して毛細管形成の阻害を示し、対照的に、DTICはインビトロ培養条件で、ヒト内皮細胞を用いて毛細管形成を促進した(図9)。
【0180】
実施例32:C57B6JマウスのB16F0黒色腫異種移植片モデルにおける化合物6の腫瘍成長を抑える素質
化合物6の黒色腫成長に対するインビボ有効性をC57B6JマウスのB16F0黒色腫異種移植片モデルで評価した(45)。6週齢のC57B6Jマウス(体重18〜22g)をNational Institute of Nutrition(NIN)(インド、ハイデラバード)から購入した。動物実験のプロトコルは、Institutional Ethics Committee(IAEC)により承認された。全ての実験は、Committee for the Purpose of Control and Supervision of Experiments on Animals(CPCSEA)ガイドライン及びOECDガイドラインにしたがって実施した。動物に標準的飼料を自由に摂取させ、活性炭濾過しUVに暴露した水を適宜与えた。動物を制御された温度(24〜26℃)、湿度(45〜70%)、及び12h/12hの明/暗サイクルで維持した。黒色腫形成を誘発するために、サブコンフルエントB16F0細胞を簡単なトリプシン処理によって集め、1×10細胞を0.2mlのリン酸緩衝塩溶液中、皮下注射した。薬剤処置は、触診可能な腫瘍の発生後に開始した(細胞移植の3〜5日後)。薬剤をリン酸塩緩衝塩溶液(10%DMSO、v/v)中で調製し、異なる用量のDTIC又は化合物6を、腹腔内経路によって毎日投与した。ビヒクル処置対照動物には10%DMSOのみを投与した。14日の処置後、CO吸入によって動物を屠殺し、腫瘍を切除し、計量した。図10は、C57B6JマウスのB16F0黒色腫異種移植片モデルにおいて様々な濃度のDTIC及び化合物6による腫瘍成長の阻害の効果の比較を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

一般式I
(式中、
Rは、独立して、H、CH、CHOHから選択され;
は、独立して、OH、NHR、NR、SHでから選択され;
、及びRの少なくとも1つは、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど電子求引基及び電子供与基から選択され;
及びRは、独立して、H、C−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択され;
X、Y、及びZは、独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって、前記複素環式芳香族部分の結果として得られる5員環系は、非置換及び置換されたチオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールである)
の化合物又はその薬剤的に許容される塩。
【請求項2】
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−4−ブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボキサミド;
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−3−メトキシチオフェン−2,5−ジカルボキサミド;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボキサミド;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−ニトロチオフェン−2−カルボン酸;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]−5−フェニルチオフェン−2−カルボン酸;
{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−(2−ヒドロキシエチル)−カルボキサミド;
{3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−N−メチルカルボキサミド;
N−(2−アミノエチル){3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル](2−チエニル)}−カルボキサミド;
4−[ジメチルアミノ]ジアゼニル]チオフェン−2−カルボキサミド;
4−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−3−カルボキサミド;
3−[(ジメチルアミノ)ジアゼニル]チオフェン−2−カルボン酸のカリウム塩
を特に含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(II):
【化2】

一般式II
(式中、
、及びRの少なくとも1つは、独立して、H、N=N−N(CH、N=N−NHCH、N=N−N(CH)CHOH、CONH、CONHR、CONR、CONHNH、CONHNHR、CONHNR、COOCH、COOCHCH、COOH、COSH、CN、C≡CH、SONH、SONHR、SONR、SOH、SOCH、SOCHCHNH、NHCHCOOH、NHCH(CH)COOH、NO、CF、Cl、Br、F、I、CCl、Ph(C)、CH、C、n−C、イソ−C、n−C、イソ−C、tert−C、OH、OCH、NH、NHCHなど電子求引基及び電子供与基から選択され;
及びRは、独立して、H、C−C10アルキル、アルケニル、アルキロール、アルキルアミンなどから選択され;
X、Y、及びZは、独立して、C、N、O、及びSから選択され、したがって前記縮合二環系の複素環式芳香族5員環は、非置換及び置換されたチオフェン、フラン、チアゾール、イソチアゾール、及びフラゾールであり;一般式(II)の化合物は、3−メチルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン(X=Y=C;Z=S;R=R=H)でない)
の化合物又はその薬剤的に許容される塩。
【請求項4】
3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン;
3−メチル−6−ニトロチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン;
6−アミノ−3−メチルチオフェノ[2,3−d]1,2,3−トリアジン−4−オン;
3−メチル−6−フェニルチオフェノ[3,2−d]1,2,3−トリアジン−4−オン;
を特に含む、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
請求項1及び3記載の式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つの化合物又はその薬剤的に許容される塩、並びに薬剤的に許容される希釈剤又は担体を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1及び3記載の式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つの化合物又はその薬剤的に許容される塩、並びに少なくとも1つの化学療法剤及び場合によって薬剤的に許容される希釈剤又は担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
前記化学療法剤が、ダカルバジン(DTIC)、テモゾラミド、メトトレキサート、ドキソルビシン、シトキサン、5−フルオロウラシル、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、イリノテカン、トポテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、タキソテレ、タキソール、タモキシフェン、ゲフィチニブ、アドリアマイシン、ゲムシタビン、メルファラン、ストレプトゾシン、フロキシウリジン、6−メルカプトプリン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、マイトマイシンC、アムサクリン、プロカバジン(procabazine)、カペシタビン、アバスチン、ハーセプチン、ベキサール、ベルケード、ゼヴァリン、ゼローダ、アービタックス(セツキシマブ)、リツキシマブ、キャンパス(アレムツズマブ)などからなる群から選択される、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
請求項1及び3記載の式(I)及び/又は式(II)の少なくとも1つの化合物又はその薬剤的に許容される塩、及び/又は少なくとも1つの化学療法剤並びに少なくとも1つの生物学的反応修飾剤及び場合によって薬剤的に許容される希釈剤又は担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
前記生物学的反応修飾剤が、モノクローナル抗体、インターフェロン(インターフェロン−γ)、インターロイキン(IL−1、IL−2、IL−9、IL−11、IL−12)、様々な種類のコロニー刺激因子(CSF、GM−CSF、G−CSF)、TNF−α受容体遮断薬(TNF−α)などからなる群から選択される、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
患者において癌細胞成長を阻害するか又は癌細胞を殺す方法であって、前記患者に治療上有効な量の請求項1〜9記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項11】
前記癌が、あらゆる種類(固形、液性、及びリンパ管由来)であり、これらに限定されないが、転移性悪性黒色腫、リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、肉腫(ユーイング肉腫)、癌腫、脳腫瘍、中枢神経系(CNS)転移、神経膠腫、乳癌、前立腺癌、肺癌(小細胞及び非小細胞)、結腸癌、膵臓癌、頭頸部癌、口腔咽頭扁平上皮癌である、請求項10記載の癌に罹っている対象を治療する方法。
【請求項12】
癌細胞が、身体の任意の部分、及びこれらに限定されるものではないが、脳、肺、副腎、下垂体、胸部、前立腺、膵臓、卵巣、胃腸管、腎臓、肝臓、脾臓、睾丸、頸部、食道上部、下部、若しくは中部などの人体の任意の器官由来のあらゆる種類の一次又は二次腫瘍である、請求項10記載の患者において癌細胞成長を阻害するか、または癌細胞を殺す方法。
【請求項13】
患者に対して、特に腹腔内(IP)、静脈内(IV)、経口(PO)、筋肉内(IM)、皮内(IC)、真皮内(ID)、子宮内、直腸内などをはじめとする任意の様式によって、請求項1〜9記載の化合物を投与する方法。
【請求項14】
エマルジョン中異なるサイズのナノ粒子を用いて、それを必要とする患者に対して、請求項1〜9記載の化合物を投与する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−502900(P2012−502900A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526634(P2011−526634)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000504
【国際公開番号】WO2010/029577
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(511047103)カシナ ライラ イノバ ファーマシューティカルズ プライベート リミテッド (2)
【Fターム(参考)】