説明

抗癌剤

式Iの化合物:式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから選択され;nは0または1であり;Rは、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから選択され;Rは、アルキル、置換アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、スルホニル、スルホンアミド、およびそれらの組み合わせから選択される;ならびにその誘導体および代謝物。更には式Iの化合物を用いて、不要の細胞増殖を特徴とする状態を有する被験体を予防および/または処置する方法も提供される。式Iの化合物、またはその誘導体もしくは薬学的に許容可能な塩を一つまたは複数含む薬学的化合物も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願への相互参照)
本出願は、2006年2月21日に出願された、その全体が本明細書中で参考として援用される米国仮特許出願第60/775107号(題名「抗癌剤」)に対する優先権および利益を主張する。
【0002】
(連邦政府によって資金を提供された研究の申告)
本発明は、少なくともその一部において、National Institutes of Health Grant CA−112250およびDepartment of Defense Prostate Cancer Research Program Award W81XWH−05−1−0089による資金を提供された。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
最近の研究は、α−トコフェリルスクシナートの癌治療薬としての使用の可能性を示唆している。α−トコフェリルスクシナートは、正常細胞に対し重大な毒性をもたらすことなく、悪性または形質転換した表現形を持つ細胞にアポトーシスを誘導することを示す証拠がある。さらには、乳癌およびメラノーマ腫瘍の増殖の抑制、大腸癌の肝臓への転移の阻止、および腫瘍壊死因子関連のアポトーシス誘導リガンド(TRAIL)に対する大腸癌細胞の感作を含むそのin vivoでの有効性が、多くの動物モデル実験で示されている。このような進歩にもかかわらず、この酸化還元−不活性ビタミンE誘導体のアポトーシスに対する効果の基礎となるメカニズムについては分かっていない。
【0004】
正常細胞に重大な毒性をもたらすことなく癌細胞にアポトーシスを誘導できる新規の抗癌剤が求められている。新規の抗癌剤を見つける一つの方法は、α−トコフェリルスクシナートが前立腺癌細胞内に抗新生物活性を仲介する、一つまたは複数の標的を決定することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
ここでは、
【0006】
【化4】

式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;Rは、水素、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;Rは、アルキル、置換アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、スルホニル、スルホンアミド、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される式Iの化合物:
ならびにその誘導体および代謝物が提供される。
【0007】
また、被験体に薬理学的有効用量の式Iの化合物を投与することを含む、前記被験体の細胞増殖性疾患の防止および/または処置も提供する。式Iの化合物の一つまたは複数を含む薬学的組成物も提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
ここでは:
【0009】
【化5】

式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;Rは、水素、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;Rは、アルキル、置換アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、スルホニル、スルホンアミド、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される式Iの化合物;
ならびにその誘導体および代謝物が提供される。
【0010】
幾つかの特定の実施形態では、式Iの化合物は、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、ならびにそれらの誘導体および代謝物から選択される。
【0011】
更には、薬理学的有効用量の:
【0012】
【化6】

式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;Rは、水素、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;Rは、アルキル、置換アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、スルホニル、スルホンアミド、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される式Iの化合物;
ならびにその誘導体および代謝物を動物に投与することを含む、細胞増殖性疾患の防止および/または処置のための方法も提供する。例示的実施形態では、XはOであり、X−Rはヒドロキシもしくはカルボン酸のどちらかである。
【0013】
幾つかの特定の実施形態では、式Iの化合物は、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、ならびにそれらの誘導体および代謝物から選択される。
【0014】
本明細書に記載する方法によれば、式Iの化合物は、一般的にはアポトーシス、細胞周期停止、細胞分化、またはDNA合成停止の一つまたは複数を含むが、これらに限定されない抗増殖性効果を示す。本明細書に開示する方法は、特にヒトでの使用に好適である。
【0015】
一つまたは複数の式Iの化合物および薬学的担体を含む、薬学的組成物も提供する。幾つかの特定の実施形態では、薬学的組成物は、式Iの次の化合物の一つまたは複数を含む:2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、および2カルボキサミドブチル)クロマン−6−酪酸、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン。
【0016】
一つの例示的実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の、一つまたは複数の式Iの化合物を、許容可能な担体と共に含む。別の例示的実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の、式Iの化合物を一つまたは複数を、許容可能な担体および一つまたは複数の補助剤と共に含む。別の例示的実施形態では、薬学的組成物は、治療有効量の、一つまたは複数の式Iの化合物を、許容可能な担体、一つまたは複数の補助剤、および一つまたは複数の希釈剤と共に含む。これら例示のどの実施形態でも、一つまたは複数の式Iの化合物は、薬学的に許容可能なそれらの塩でよい。これら例示のどの実施形態でも、一つまたは複数の式Iの化合物は、式Iの誘導体でよい。
【0017】
本発明の化合物および方法は、癌の発生を処理、阻害、または遅延させるのに有用であるが、これらに限定されない。前記化合物および方法は、前癌および他の有害な細胞増殖事象の処理にも有用である。本発明によれば、式Iの化合物は、有害な細胞増殖に苦しむ被験体に投与される。前記化合物および方法は、白血病、非小細胞肺癌、大腸癌、CNS癌、メラノーマ、卵巣癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、リンパ腫および乳癌を含む癌の処置に有用であるが、これらの癌に限定されるものではない。更には、それらは、前癌状態の個体、ならびにこれらの疾患に罹りやすい個体での、これらの癌の防止に有用である。
【0018】
用語「処置」は、正常細胞への破壊効果を最小限にとどめながら、有害な増殖細胞を部分的または全体的に破壊することに関する。本発明によれば、細胞処理の望ましいメカニズムは、アポトーシス、細胞周期停止、細胞分化、またはDNA合成停止の一つまたは複数を含むが、これらに限定されない。
【0019】
用語「防止」は、臨床的に明らかに不要である細胞増殖の発生を防止すること、またはリスクを有する個体に於いて、望ましくない急速な細胞の増殖の、前臨床的に明らかな段階の開始を防止することに関する。この定義には、悪性細胞の転移の防止、または悪性細胞の進行を停止させること、もしくは逆行させることも包含するものとする。これには、前癌および癌の発生リスクがある個体の予防的処置も含まれる。
【0020】
用語「治療有効」および「薬理学的有効」は、代替治療法に典型的に伴う有害な副作用を回避しつつ、疾患重傷度および発生頻度を改善するという目的が達成される、各作用物質の量を表すものである。
【0021】
処置の目的とする場合の用語「被験体」は、不要の、急激な細胞増殖を特徴とする障害を有するヒトまたは動物の被験体を包含する。このような障害としては、癌および前癌が挙げられるが、これらに限定されない。防止の方法の場合、被験体は、ヒトまたは動物の被験体であり、好ましくは、癌のような不要の急激な細胞増殖を特徴とする障害を獲得するリスクのあるヒト被験体である。被験体は、発癌性作用物質への暴露、不要の、急激な細胞増殖を特徴とする障害を遺伝的に起こしやすい等のリスクを持ち得る。ヒトの処置に有益であるだけでなく、本発明の化合物はまた、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、およびブタといったペットおよび家畜を含むが、これらに限定されない哺乳動物の獣医学的処置にも有用である。好ましくは、被験体はヒトを意味する。
【0022】
用語「増殖性細胞」、「増殖細胞」、「急激に増殖している細胞」、「有害な増殖細胞」、「有害な急激に増殖している細胞」、「不要の、急激に増殖している細胞」等は、被験体中の癌細胞、前癌細胞、および他の異常な、急激な分裂を行っている細胞を指す。
【0023】
本明細書で使用する「誘導体」は、アポトーシス、細胞周期停止、細胞分化、またはDNA合成停止を誘導する誘導体の能力によって測定した場合、実質的に等価な活性を有する式Iの化合物に構造的に関連した任意の化合物を包含するものとする。例を挙げると、そのような化合物には、その塩、エステル、代謝物、およびプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。このような化合物は、代謝メカニズムによる様に、in vivoで形成されてもよい。
【0024】
用語アルキルを単独またはハロアルキルもしくはアルキルアリールのように他の用語と一緒に用いる場合、それはC〜C10の直鎖または枝分かれしたアルキルラジカルを含み、例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。用語「ハロアルキル」は、一つまたは複数のハロラジカルで置換したC〜C10の直鎖または枝分かれしたアルキルラジカルを含む。ハロアルキルラジカルの幾つかの例としては、トリフルオロメチル、1,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピル等が挙げられる。用語「ハロ」は、F、Cl、Br、およびIから選択されるラジカルを含む。本発明のアルキルラジカル置換基は、アジドのような他の基(例えばアジドメチル、2−アジドエチル、3−アジドプロピル等)でも置換され得る。
【0025】
用語アリールは、単独で、またはアルキルアリール、ハロアリール、もしくはハロアルキルアリールの様な他の用語と組み合わせて用いる場合、フェニル、ビフェニル、およびベンジルのような芳香族ラジカル、ならびにナフチル、アントリル、フェナントレニル、フルオレニル、およびインデニル等の様な融合アリールラジカルを含む。用語「アリール」はまた、芳香環の中に炭素および一つまたは複数のヘテロ原子(例えば、O、N、またはS)を有するアリールである「ヘテロアリール」を包含する。ヘテロアリールの例としては、インドリル、ピロリル等が挙げられる。「アルキルアリール」または「アリールアルキル」は、ブチルフェニル、プロピルフェニル、エチルフェニル、メチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、tert−ブチルフェニル等のアルキル−置換アリール基を指す。「ハロアリール」は、一つまたは複数の置換可能位置がハロラジカルで置換されたアリールラジカルを指し、例としてはフルオロフェニル、4−クロロフェニル、2,5−クロロフェニル等が挙げられる。「ハロアルキルアリール」は、ハロアルキル置換基を有するアリールラジカルを指す。ハロアルキルアリールの例としては、ブロモメチルフェニル、4−ブロモブチルフェニル等のラジカルが挙げられる。カルボキサミドは、基−CONHを指し、スルホンアミドは基−SONHを指す。
【0026】
式Iの化合物のファミリーには、その薬学的に許容可能な塩も含まれる。句「薬学的に許容可能な塩」とは、アルカリ金属塩を形成する、および遊離酸または遊離塩基の付加塩を形成するのに一般的に用いられる塩を含む。該塩の性質は、それが薬学的に許容可能であれば重要ではない。式Iの化合物の好適な薬学的に許容可能な酸付加塩は、無機酸から、または有機酸から調製できる。そのような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、カルボン酸、硫酸、およびリン酸である。相応しい有機酸は、脂肪酸、脂環式酸、芳香族酸、アリール脂肪族酸、ヘテロ環式酸、カルボン酸、およびスルホン酸の部類から選択でき、その例としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマール酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、アンボン酸、パモン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルゲン酸(algenic acid)、β−ヒドロキシ安息香酸、ガラクタル酸、およびガラクツロン酸が挙げられる。式Iの化合物の好適な薬学的に許容可能な塩基付加塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛から作られた金属塩が挙げられる。あるいは、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)およびプロカインから作られた有機塩は、式Iの化合物の塩基付加塩の形成に用いることができる。これらの塩は全て、例えば、適切な酸または塩基を式Iの化合物と反応させることによって、式Iの対応する化合物から通常の手段により調製できる。
【0027】
有害な、急激に増殖している細胞を防止および/または処置するための、例えばそのような処置を必要としている被験体中の癌の発生を処置する、防止する、または遅延させるための薬学的組成物も提供される。薬学的組成物は、治療有効量の式Iの化合物、またはそれらの誘導体もしくは薬学的に許容される塩を、少なくとも一つの薬学的に許容可能な担体、補助剤、または希釈剤(本明細書ではまとめて「担体物質」と呼ぶ)、および望ましい場合には他の活性成分と共に含む。本発明の活性化合物は、当業者に知られる任意の好適経路から、好ましくはその経路に適合した薬学的組成物の形状、且つ目的とする処置に有効な用量で投与できる。活性化合物および組成物は、例えば経口、血管内、腹腔内、鼻内、気管支内、皮下、筋肉内、または局所(エアロゾルを含む)に投与できる。被験体によっては、全身投与ではなく局所投与が好ましいこともある。生体利用性を上げるために、脂質ビークル形状の製剤を用いてもよい。
【0028】
本発明の投与は、防止または処置目的のいずれでもよい。ここで使用する方法および組成物は、単独で用いても、または細胞の不要な、急激な増殖を特徴とする障害の防止または処置について当業者に知られているさらなる治療法と一緒に用いてもよい。あるいは、本明細書に記載する方法および組成物は、補助療法として用いることもできる。例を挙げると、本発明のアポトーシス誘導化合物は、単独で投与しても、または他の抗新生物剤もしくは他の増殖阻害剤、または他の薬物もしくは栄養物と一緒に投与してもよい。
【0029】
商業的に使用されている、臨床評価中、および前臨床開発中の多数の抗新生物剤が入手可能であり、これらは、癌または急激な細胞増殖を特徴とする他の障害の、併用薬物化学療法による処置のために選択できる。このような抗新生物剤は、複数の主要な分類、即ち抗生物質型製剤、アルキル化剤、抗代謝剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型製剤、その他の製剤分類に分けられる。あるいは、メタロマトリックスプロテアーゼ阻害剤(MMP)のような他の抗新生物剤を用いてもよい。併用治療に用いることができる好適な作用物質は、当業者により認識される。同様に、併用治療が望ましい場合、当業者に知られている放射線防護剤も用いることができる。
【0030】
句「補助治療」(または併用治療)は、本発明の化合物および一つもしくは複数の他の薬学的作用物質の使用を定義する場合、これら活性作用物質を一定の比率で含む単独の製剤、または各作用物質について、複数の別々の製剤の形で、薬物の組み合わせの有益な効果を提供するレジメンで、それぞれの作用物質を連続的な方法で投与することを包含すること、およびこれらの作用物質の、実質的に同時の方法である同時投与も包含することを意図するものである。
【0031】
経口投与では、薬学的組成物は、例えば錠剤、カプセル、懸濁液、または液体の形をとることができる。薬学的組成物は、特定量の活性成分を含有する投薬単位の形に作ることが好ましい。そのような投薬単位の例は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、または馬鈴薯デンプンのような通常の添加物;結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンのような結合剤;コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、またはカルボキシメチル−セルロース・ナトリウムのような崩壊剤;およびタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤を含むカプセル、錠剤、粉末、顆粒、または懸濁液である。活性成分は、例えば食塩水、デキストロースまたは水を好適担体として用いることができる組成物として注射によって投与することもできる。
【0032】
静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内投与の場合は、化合物は受容者の血液と等張であることが好ましい無菌の水溶液と組み合わせることができる。このような調合物は、固体の活性成分を、塩化ナトリウム、グリシン等のような生理学的に適合する物質を含有する水に溶解すること、および生理的条件に適合する緩衝化されたpHを有す水溶液を生成すること、および該溶液を無菌化することによって調製できる。調合物は、密封されたアンプルまたはバイアルのようなユニットまたは複数回投与容器の中にいれてもよい。
【0033】
不要の増殖細胞がG.I.(胃腸)管内に局在する場合は、化合物は当該技術分野で公知の、高pHの小腸内で溶解し始める酸安定、塩基易変性コーティングを用いて調合できる。局所薬理効果を高め、全身性の取込を下げる調合が好ましい。
【0034】
非腸管投与に好適な調合物は、等張にされることが好ましい活性化合物の無菌水性調製物を含むことが好都合である。注射用調製物は、化合物を植物油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステル、またはプロピレングリコールのような非水性溶媒中に懸濁または乳化することによっても調合できる。
【0035】
局所使用向け調合物としては、既知のゲル、クリーム、オイル等が挙げられる。エアロゾル送達では、化合物は、食塩水のような既知エアロゾル賦形剤を用いて調合でき、市販の噴霧器を用いて投与できる。生体適合性を上げるために、脂肪酸供給源の形をした調合を用いてもよい。
【0036】
直腸投与では、活性成分は、室温では固体であり、体温で溶融または溶解する基材を用いた座薬の形に調合できる。一般に用いられている基材としては、ココアバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、各種分子量のポリエチレングリコール、およびポリスチレンステアラートの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0037】
投薬の形態および量は、既知の処置または予防レジメンを参考にすることで、容易に確立できる。投与する治療活性化合物の量、および本発明の化合物および/または組成物を用いた疾患状態を処置するための投薬レジメンは、被験体の年齢、体重、性別、および医学的状態、疾患の重症度、投与経路および頻度、ならびに用いる具体的化合物、不要な増殖細胞の場所、ならびに処置対象となる個体の薬物動態特性に依存し、かくして広範囲に変化することがある。投薬量は、化合物を全身ではなく局所投与する場合、および処置ではなく防止を目的とする場合は一般的に低くなる。このような処置薬は、必要なだけ、且つ処置を行う医師が必要と判断した期間投与できる。当業者は、投与される阻害剤の投薬レジメンまたは治療有効量は、各個体に合わせて最適化する必要があることを認識するだろう。薬学的組成物は、約0.1〜2000mgの範囲、好ましくは約0.5〜500mgの範囲、最も好ましくは約1〜200mgの範囲で活性成分を含むことができる。約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは約0.1〜約50mg/kg体重の日用量が適当であろう。日用量は、1日、1〜4回にして投与できる。
【0038】
(実験手順)
細胞培養 − LNCaPアンドロゲン−依存性(p53+/+)およびPC−3アンドロゲン−非応答性(p53−/−)前立腺癌細胞は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から得た。安定したBcl−xL−過剰発現LNCaPクローンB3(LNCaP/B3)の調製については以前に報告している(18)。PC−3、LNCaP、およびLNCaP/B3細胞は、5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター内、37℃で10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたRPMI1640の中で維持した。正常ヒト前立腺上皮(PrEC)細胞は、Cambrex Bio Science Walkersville, Inc.(East Tutherford、NJ)から購入した。細胞は、5%二酸化炭素を含む加湿インキュベーター内、37℃で、成長補助因子を加えたProstate Epithelial Cell Mediumの中で維持した。継代培養について推奨される接種密度は、2,500細胞/cmであった。継代培養から集密状態に達するまでに6〜9日を要した。
【0039】
試薬 − α−トコフェロール、α−トコフェリルスクシナート、2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノール、および各種類似体の合成に必要な他の化学薬品は、特に記載がない限りはAldrich Sigma(St.Louis、MO)から購入した。TS−1(コハク酸モノ−[2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−イル]エステル)、TS−2(コハク酸モノ−[2,5,7,8−テトラメチル−2−(4−メチル−ペンチル)−クロマン−6−イル]エステル)、TS−3(コハク酸モノ−[22,5,7,8−ペンタメチル−クロマン−6−イル]エステル)、TS−4(2−(4,8−ジメチル−ノニル)−2,5,7,8−テトラメチル−クロマン−6−オール)、およびTS−5(3−[2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8−ジメチル−ノニル)−クロマン−6−イルオキシ]プロピオン酸)の合成は、他所に公開する。これら合成誘導体の同一性、純度(≧99%)は、プロトン核磁気共鳴、高解像度質量測定法、および元素分析により証明した。細胞生存アッセイに用いるMTT[3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニル−2H−テトラゾリウムブロミド]は、TCI America,Inc.(Portland、OR)から購入した。Cell Death Detection ELISAキットは、Roche Diagnostics(Manheim、Germany)から購入した。Bcl−xL、Bax、Bak、Bid、PARP、および開裂カスパーゼ9に対するウサギ抗体は、Cell Signaling Technology,Inc.(Beverly、MA)より購入した。Bad、チトクロームcに対するウサギ抗体、およびマウス抗−Bcl−2は、Santa Cruz Biotechnology,Inc.(Santa Cruz、CA)から得た。マウスモノクローナル抗アクチン抗体は、ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa,CA)から得た。
【0040】
細胞生存分析 − 個々の試験作用物質の細胞生存率に及ぼす作用は、MTTアッセイを用いて、6〜12重試験で評価した。PC3、LNCaP、およびB3−LNCaP細胞を、ポリ−p−リジンをコーティングした96ウエルの平底プレート中の10%FBS培地を加えたRPMI 1640培地に接種し、24時間インキュベーションした。PrEC細胞は、96ウエルの、平底プレートの増殖補助物を加えた前立腺上皮細胞培地(Prostate Epithelial Cell Medium)に推奨密度で3日間接種した。全ての細胞を、PC3、LNCaP、およびLNCaP/B3の場合は最終濃度0.1%の無血清RPMI 1640培地中、PrEC細胞の場合は最終濃度0.1%の増殖補助剤入り前立腺上皮細胞培地(Prostate Epithelial Cell Medium)中で、エタノール(α−トコフェロール、α−トコフェリルスクシナート、およびTS−3の場合)またはDMSO(他の使用した全ての試験作用物質)に溶解した様々な濃度の試験作用物質に暴露した。コントロールには、薬物処理細胞と等濃度DMSOまたはエタノールビークルを与えた。培地を取り除き、0.5mM MTTの10%FBS含有RPMI1640培地200μLと交換し、細胞を37℃のCO2インキュベーター内で2時間インキュベーションした。ウエルから上清を取り除き、還元MTT色素を200μL/ウエルのDMSOに溶解した。570nmの吸収を、プレートリーダーで測定した。
【0041】
ELISAによるアポトーシス検出 − アポトーシスの誘導は、Cell Death Detection ELISAキット(Roche Diagnostics)を製造元指示書に従い用いて評価した。この試験は、アポトーシス誘導後にヌクレオゾームおよびオリゴヌクレオゾームの形をした細胞質ヒストン関連DNA断片を定量化することに基づく。簡単に説明すると、5×106細胞をT−25フラスコの中、10%FBS含有培地で24時間培養した後、無血清培地の中で、様々な濃度の試験作用物質で24時間処理した。浮遊細胞および接着細胞の両方を集めた;ELISAでは、5×105細胞に相当する細胞溶解物を使用した。
【0042】
細胞質内へのチトクロームc放出の右ウェスタンブロット分析 − 細胞質特異的なミトコンドリアを含まない溶解物は、確立された手順に従って調製した(18)。簡単に説明すると、24時間別個に処理した後、T−75フラスコの中のインキュベーション媒体と付着細胞両方を集め、600xgで5分間遠心分離にかけた。沈殿分画を回収し、氷上に置き、冷やした100μlの低張溶解溶液[220mMマンニトール、68mMショ糖、50mM KCl、5mM EDTA、2mM MgCl、1mMジチオスレイトール、ならびに100μMの4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフロリド、80nMアプロチニン、5μMベスタチン、1.5μMのE−64プロテアーゼ阻害剤、2μMのロイペプチン、および1μMペプスタチンAを含むプロテアーゼ阻害剤混合液を含む50mM PIPES−KOH(pH7.4)]と一緒に破砕した。氷上で45分間インキュベーションした後、混合液を600xg、10分間の遠心分離にかけた。上清を微量遠心チューブに集め、14,000rpm、30分間の遠心分離にかけた。各上清からの等量のタンパク質(50μg)を15%SDS−ポリアクリルアミドゲルで分離した。バンドをニトロセルロース膜に移し、以下記載の抗チトクロームc抗体を用いた免疫ブロッティングにより解析した。
【0043】
免疫ブロッティング − 細胞を10%FBS含有RPMI−1640培地に24時間接種し、前記の様々な作用物質で処理した。個別に24時間処理した後、T−25またはT−75内の付着細胞を剥がし取り、培地と一つにして、2200rpm、10分間の遠心分離にかけた。上清を回収し、氷上に置き、1%のプロテアーゼ阻害剤カクテル(set III;EMD Biosciences, Inc.、San Diego、CA)を加えた、20〜50μLの冷溶解バッファー(M−PER Mammalian Protein Extraction Reagent;Pierce、Rockford、IL)を用いて粉砕した。氷上で30分間インキュベーションした後、混合液を16,100xg、3分間の遠心分離にかけた。懸濁液2μLを取り、Bradfordアッセイキット(Bio−Rad、Hercules、CA)を用いたタンパク質分析にかけた;残りの溶液には同量の2xSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動サンプルローディングバッファー(100mM Tris−HCl、pH6.8、4%SDS、5%β−メルカプトエタノール、20%グリセロール、および0.1%ブロモフェノールブルー)を加えた。混合液を10分間沸騰させた。等量のタンパク質を8〜12%SDS−ポリアクリルアミドゲルにかけた。電気泳動後、タンパク質のバンドは、半乾燥転移セルの中でニトロセルロース膜に移した。トランスブロッティングした膜は、5%の脱脂乳を含むTris−緩衝化食塩水/0.1%Tween20(TBST)で90分間ブロッキングし、次に膜を適切な一次抗体のTBST/5%脱脂乳液と一緒に、4℃で一晩インキュベーションした。TBSTで3回、合計45分間洗浄した後、トランスブロッティング膜をヤギ抗ウサギまたは抗マウスIGG−西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗体(希釈率1:1000)と1時間、室温でインキュベーションしてから、TBSTで4回、合計1時間洗浄した。イムノブロットは、増強化学発光により視覚化した。
【0044】
競合蛍光変光アッセイ − 試験作用物質のBcl−XLへの結合親和性は、作用物質のBcl−2またはBcl−XLのどちらかに対するBak BH3−ドメインペプチドの結合を置き換える能力を決定する競合蛍光偏光アッセイにより分析した。NH末端をフルオロセインで標識したBak−BH3ペプチドであるFlu−BakBH3は、Genemed Synthesis(San Francisco、CA)から購入した。COOH末端が切り取られたHisタグBcl−XLは、EMD Bioscience(San Diego、CA)から購入し、可溶性グルタチオンS−トランスフェラーゼ融合Bcl−2は、Santa Cruz Biotechnologyから得た。結合アッセイは、確立された手順に従って(19)、化学発光分光光度計を用いて、室温で、デュアル−パスレンスクオーツセルの中でλem480nmおよびλex530nmで測定を行い、実施した。
【0045】
IC50値の決定 − 細胞生存アッセイおよび蛍光偏光アッセイからのデータを、CalcuSynソフトウエア(Biosoft、Ferguson、MO)を用いて分析してIC50値を決定したが、この時の計算は培地効果方程式[即ちlog(fa/fu)=mlog(D)−mlog(Dm)で、式中のfaおよびfuは影響を受けた分画と影響を受けない分画をそれぞれ意味する;mは用量−効果曲線のS字性を意味するHillタイプ係数を表し;DおよびDmは、それぞれ使用した用量およびIC50を表す]に基づいている。
【0046】
共免疫沈降 − 40μMのα−トコフェリルスクシナートまたは10μMのTS−1で24時間処理したPC3細胞をフラスコから剥がし取り、遠心分離チューブに移し、2200rpmで10分間遠心分離して細胞を沈殿させた。沈殿物を氷冷した放射免疫沈降アッセイバッファー(50mM Tris−HCl、pH7.4、1%Nonidet P−40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、150mM NaCl、1mM EDTA、および1%プロテアーゼ阻害剤カクテル)0.5mLに再浮遊させ、オービタルシェーカーを使って4℃で15分間穏やかに混合し、続いて14,000xgで15分間遠心分離し、細胞溶解物を得た。これら細胞溶解物をプロテインA−アガロースビーズのスラリー100μLで処理した後、短時間遠心分離にかけて、非特異的に結合しているタンパク質を取り除いた。これら溶解物から、Bradfordアッセイで測定して得た等量のタンパク質を抗−Bcl−2またはBcl−XL抗体とオービタルシェーカーにかけながら、23℃で2時間混合し、続いてプロテインA−アガロースビーズのスラリー100μLと4℃で12時間混合した。免疫複合体を、短時間遠心分離にかけて集め、氷冷した放射免疫沈降アッセイバッファー800μLで4回洗浄し、2xSDSサンプルローディングバッファー50μLに懸濁した。懸濁液を10分間沸騰させ、短時間遠心分離にかけてビーズを取り除いた。Bakに対する抗体を用いたウエスタンブロット分析は、上記した通りである。
【0047】
分子モデル化 − Brookhaven Protein Data Bankから得たヒトBcl−xL結晶構造(登録コード1R2D)(20)から水分子を削除し、全ての水素を付加し、Gasteiger電荷(21)を割り当て、次に非極性水素を加えた。Bakペプチド結合部位に中心を置く、0.375Å間隔の3−D親和性グリッドを、以下の原子タイプのそれぞれについて、Autogrid4を用いて計算した:a)タンパク質:A(芳香族C)、C、HD、N、NA、OA、SA;b)リガンド:C、A、N、NA、OA、S、SA、HD、Br、e(静電)およびD(脱溶媒)。ドッキングシミュレーションにはAutoDockバージョン4.0.0を用いた。出願人はリガンドの立体構造探索にはLamarckian遺伝的アルゴリズム(LGA)を選択したが、それはシミュレーションされた親和性または単純な遺伝的アルゴリズムに対し性能が高いからである。リガンドの並進、回転、および内回転は、その状態変数として規定され、各遺伝子はある状態変数を示す。LGAは遺伝的アルゴリズムに部分的な最小化を加え、遺伝子集団を変更することができる。各化合物のドッキングパラメータは次の通りである:ドッキング施行回数100回、集団サイズ 150、任意の開始位置および立体構造、2.0Åの並進ステップ範囲、回転ステップ範囲 50°、エリティズム(elitism) 1、変位率 0.02、交叉率 0.8、局所探索速度 0.06、およびエネルギー測定回数 1億回。最終的なドッキングした立体構造は、許容誤差2.0Åの二乗平均平方根偏差(RMSD)を用いてクラスター化した。
【0048】
ここで図面を参照すると、図1は本明細書に記載した化合物を調製するための合成の概略を示す。図4は、α−トコフェリルスクシナート誘導アポトーシスに対するPC−3、LNCaP、およびBcl−xLを過剰発現しているLNCaP(LNCaP/B3)細胞の感受性差を示す。(A) 無血清RPMI 1640培地中に24時間暴露した後の、PC−3、LNCaP、およびLNCaP/B3細胞の生存率に対するα−トコフェリルスクシナートの用量依存的作用。点は平均値;バーはSDを表す(n=6)。(B)α−トコフェリルスクシナートー処理PC−3細胞に於けるアポトーシス死の証拠。上パネル、指示濃度のα−トコフェリルスクシナートで24時間処理されたPC−3細胞内のヌクレオソームDNAの形成。DNAの断片化は、細胞死検出ELISAキットによって定量的に測定した。カラム、平均値:バー、SD(n=3)。下パネル、各種用量のα−トコフェリルスクシナートによってPC−3細胞に誘導された、チトクロームcの細胞質内放出およびPARP切断。PC−3細胞は、無血清RPMI1640培地中で、指示用量により24時間処理された。ミトコンドリアを含まない細胞溶解物から得た等量のタンパク質を電気泳動にかけ、各抗体を用いたウエスタンブロットにより探索した。
【0049】
図5は、α−トコフェリルスクシナートが、BH3ドメインが仲介するヘテロダイマー形成を阻害することによって、Bcl−xL/Bcl−2の機能を遮断することを示す。(A)α−トコフェリルスクシナートは、PC−3細胞では、Badを除くBcl−2ファミリーメンバーの発現レベルについて明らかな作用を有していない。PC−3細胞を、無血清RPMI1640培地の中で様々な用量のα−トコフェリルスクシナートに24時間暴露した。細胞溶解物から得た、等しい量のタンパク質を電気泳動にかけ、各抗体を用いたウエスタンブロットで探索した。(B)α−トコフェリルスクシナートによる、Bak BH3ペプチドとBcl−xLおよびBcl−2のBH3ドメインが仲介するタンパク質相互作用の用量依存的な阻害。曲線は、実験手順に記載した濃度のα−トコフェリルスクシナートによる、Bcl−xLまたはBcl−2からのFlu−Bak BH3ペプチドの置換を表す。(C)α−トコフェリルスクシナートは、BakによるBcl−xLおよびBcl−2のヘテロダイマー形成を阻害することによって、カスパーゼ依存的なアポトーシス死を始動させる。上パネル、PC−3細胞におけるBcl−xL/Bak(左)およびBcl−2/Bak(右)相互作用の動態に対するα−トコフェリルスクシナートの作用。PC−3細胞を40μMのα−トコフェリルスクシナートまたはDMSOビークルに12時間暴露し、細胞溶解物を抗−Bcl−xLまたは抗−Bcl−2抗体を用いて免疫沈降させた。免疫沈降物を、抗−Bak抗体を用いたウエスタンブロット(WB)分析により探索した。下パネル、PC−3細胞に於けるカスパーゼ−9活性化に対するα−トコフェリルスクシナートの用量依存的作用。PC−3細胞を指示濃度α−トコフェリルスクシナートで24時間処理した。カスパーゼ−9抗体は、大型サブユニット(39および37kDa)を認識する。
【0050】
図6は、α−トコフェリルスクシナート(上パネル)およびBcl−xLのBak BH3ペプチド−結合部位へのTS−1のドッキングモデルを示す。図7は、α−トコフェリルスクシナートおよびTS−1〜TS−5の構造、およびBcl−xLへのBak BH3ペプチド結合を阻害する効力、ならびにPC−3およびLNCaP細胞の生存能力を抑制する効力を示す。α−トコフェリルスクシナートおよびTS−1〜TS−3の一般構造、ならびにTS−4およびTS−5の構造を上部に示す。Nは、脂肪族側鎖中のイソプラニル単位の数を表す。報告したIC50値は、無血清RPMI 1640培地中で24時間暴露した後にBak BH3ペプチド結合が50%阻害されるか、またはPC−3もしくはLNCaP細胞死がDMSOコントロールと比較したときに50%となる濃度である。
【0051】
図8は、TS−1の抗癌作用の機械論的な検証を示す。(A)薬物処理したPC−3細胞でのアポトーシス死を示す証拠。左、指示濃度で薬物処理したPC−3細胞に於ける細胞質ヌクレオソームDNAの形成。DNAの断片化は、細胞死検出ELISAキットによって定量的に測定した。カラム、平均値;バー、SD(n=3)。右、様々な用量のTS−1がPC−3細胞に誘導したチトクロームcの細胞質内放出およびPARP切断。PC−3細胞は、無血清RPMI 1640培地中で、指示用量により24時間処理した。ミトコンドリアを含まない細胞溶解物から得た等量のタンパク質を電気泳動にかけ、各抗体を用いたウエスタンブロットにより探索した。(B)PC−3細胞に於けるBcl−xL/Bak(左)およびBcl−2/Bak(右)相互作用の動態におよぼすTS−1の作用。PC−3細胞は、20μMのTS−1またはDMSOビ−クルに12時間暴露し、細胞融解物を抗−Bcl−xLまたは抗−Bcl−2抗体で免疫沈降(IP)させた。免疫沈降物を、ウエスタンブロット分析(WB)により、抗−Bak抗体を用いて探索した。(C)PrECの生存率に及ぼすα−トコフェリルスクシナート、TS−1、およびTS−5の用量依存的な作用。細胞は、増殖補助物を加えた前立腺上皮細胞基礎培地(Prostate Epithelial Cell Basal Medium)中で、指示濃度の試験作用物質に24時間曝された。コントロールのPC−3細胞にはDMSOまたはエタノールビークルを与えた、細胞生存率は、MTTアッセイにより分析した。
【0052】
α−トコフェリルスクシナートに対するLNCaPおよびPC−3前立腺癌細胞株の感受性の差 α−トコフェリルスクシナートの作用形式を理解する出願人の活動の一環として、出願人は二種類のヒト前立腺癌細胞株、LNCaPおよびPC−3に対するその抗増殖作用を調べた。これら二種類の細胞のうちLNCaP細胞は、PC−3細胞よりも増殖阻害に対しより感受性であり、IC50値はそれぞれ15μMおよび40μMである(図4A)。この細胞生存率の低下は、少なくとも一部は、DNA断片化、チトクロームc放出、およびPARP切断によって証明されるように、ミトコンドリア依存的なアポトーシス誘導によるものである(図4B)。LNCaPおよびPC−3細胞は共にPTEN機能の消失によって、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)/Aktシグナル伝達のアップレギュレーションを示すことから、この感受性の差は、アポトーシスシグナルへの反応に於けるミトコンドリアの完全性維持に関するそれぞれの能力の差によるものと思われる。このデータおよび他の研究室からのデータは、PC−3細胞が多くの治療薬のアポトーシス誘導作用に対し、Bcl−xLの過剰発現によって抵抗性であることを証明している。
【0053】
異所性のBcl−xL発現はα−トコフェリルスクシナート誘導アポトーシスからLNCaP細胞を保護する Bcl−xLの高発現レベルがPC−3細胞の抵抗性の基礎を成している可能性を検証するために、出願人は安定形質導入LNCaPクローン(LNCaP/B3)に強制的に発現させたBcl−xLがα−トコフェリルスクシナート誘導細胞死に及ぼす影響について評価した。B3細胞での異所性Bcl−xLの発現レベルは、PC−3細胞の内在性の発現レベルの約5倍であったが(図4A、挿入図)、Bcl−2の発現レベルはLNCaP/B3細胞では若干低かった。LNCaP/B3細胞での高レベルの異所性Bcl−xLの発現は、α−トコフェリルスクシナート誘導細胞死に対するLNCaP細胞の抵抗性を、PC−3細胞の抵抗性より高くした(図4A)。
【0054】
α−トコフェリルスクシナートは、Bcl−xL機能の阻害剤である 上記の発見は、α−トコフェリルスクシナートが仲介するアポトーシスが、Bcl−xLおよび/または他Bcl−2メンバーの機能の変更に関係することを示唆している。それ故に出願人は、転写および翻訳の両レベルについて推定されるこの関連性について調べた。最初に出願人はBcl−xL、Bcl−2、Bax、Bak、Bad、およびBidを含む各種Bcl−2ファミリーメンバーのPC−3細胞における発現に及ぼすα−トコフェリルスクシナートの用量依存的作用を、ウエスタンブロッティングを用いて評価した。図5Aは、Badの発現低下を除き、α−トコフェリルスクシナートへの暴露はBcl−2メンバーの発現レベルに大きな変化を起さなかった。第二に出願人は、競合蛍光偏光分析を用いて、フルオロセイン標識Bak BH3ドメインペプチドのBcl−xLおよびBcl−2への結合に及ぼすα−トコフェリルスクシナートの影響を調べた。図5Bは、Bcl−xLおよびBcl−2とのBH3ドメイン仲介相互作用を破壊するα−トコフェリルスクシナートの能力を示したものであり、能力は等しく、IC50値は26±2μMであった。
【0055】
α−トコフェリルスクシナートの作用様式を確認するために、出願人はPC−3細胞内でのBcl−xL/BakおよびBcl−2/Bak相互作用の動態に及ぼす細胞内の作用について評価した。α−トコフェリルスクシナート、またはDMSOビークルで12時間処理したPC−3細胞の溶解物をBcl−xLまたはBcl−2に対する抗体で免疫沈降させた。ウエスタンブロッティングを用いた免疫沈降物の抗−Bak抗体による探索から、Bcl−xLおよびBcl−2に結合するBakのレベルは、DMSOコントロールに比べて有意に低下することが示された(図5C、上パネル)。この細胞内結合性の低下は、上記のin vitro結合データからも証明された。Bcl−xLおよびBCL−2は、BH3ドメインが仲介するヘテロダイマー形成を通してBakおよび他の前アポトーシス性のBcl−2メンバーの作用を無効にしたことから、出願人は薬物処理した細胞では、このBak結合の低下には用量依存的な様式のカスパーゼ−9の活性化が伴うことも示した(図5C、下パネル)。
【0056】
まとめると、これらのデータは、前立腺癌細胞のアポトーシスに対するα−トコフェリルスクシナートの作用が、少なくとも一部は、BH3ドメイン介在ヘテロダイマー形成を妨害することによるBcl−xL機能の阻害を通して伝えられることを証明している。別の見方をすれば、この機械論的な発見は、この作用物質を構造的に最適化して、強力なBcl−xL/Bcl−2結合阻害剤を開発するための分子的な基礎を提供している。
【0057】
Bcl−xLのBakペプチド結合部位内へのα−トコフェリルスクシナートの分子ドッキング α−トコフェリルスクシナートは、Bcl−xLのBH1、BH2、およびBH3領域が結合する疎水性クレフト内に位置するBakペプチド結合部以内にドッキングした。ドッキング分析は、α−トコフェリルスクシナートがこの疎水性ポケットと相互作用する固有のヘアピン型の立体構造を採ることを示している(図6A)。図示したように、ヘミスクシナートのカルボキシル末端は、Arg100のグアニジノ側鎖と静電的相互作用および水素結合を形成した。クロマン芳香族環は、π−π相互作用を通してTyr101およびPhe105とπ−π相互作用している間に、フィチル鎖は巻き戻されて、Leu108、Leu130、およびAla142の疎水性側鎖にアクセスできるようになる。しかしながら、脂肪族長鎖末端にあるイソプラニル単位は、大型の螺旋双極子の開始末端に位置するAsn136、Trp137のアミド主鎖、Gly138、およびArg130、ならびに溶媒から成る極性領域内にオーバーハングしていた。
【0058】
切断された側鎖を持つα−トコフェリルスクシナート誘導体は、より高いBcl−xL阻害能を示す このコンピュータモデルは、Bcl−xLへのα−トコフェリルスクシナートの結合様式を明らかにし、構造最適化の分子的な基礎をもたらした。出願人は、ヘミスクシナートおよび側鎖の基部側にある二つのイソプラニル単位が、リガンドの固着およびタンパク質−リガンド複合体の安定化にそれぞれ重要な役割を果たすと、合理的に解釈した。しかしながら、遠位側のイソプラニル単位が極性環境に暴露すると、α−トコフェリルスクシナートの結合親和性は低下し得る。このことは、フィチル側鎖からイソプラニル単位を一つ取り除いた類似体であるTS−1をBcl−xL結合ドメイン内にドッキングさせてみることによって裏付けられた(図6B)。この切断方類似体の結合様式は、α−トコフェリルスクシナートの結合様式に似ていたが、極性環境との望ましくない相互作用はなかった。理論値ΔGbindingは、α−トコフェリルスクシナートおよびTS−1それぞれについて−7.5kcal/molおよび−8.1kcal/molと計算されたが、この差は、結合親和性にすると3倍の差になる。
【0059】
上記モデル化データを評価するために、出願人はイソプラニル単位をそのフィチル側鎖から少しずつ除去してTS−1、TS−2、およびTS−3を作ることによって、α−トコフェリルスクシナートの構造に変更を加えた(図7A)。これに加えて、それぞれヘミスクシナートを除去したもの、およびエーテル結合プロピオナートと置換したTS−1類似体であるTS−4およびTS−5も合成し、末端のカルボキシル機能がリガンドの固着に果たす役割について検証した。
【0060】
機能アッセイは、Bakペプチド−Bcl−xL結合の阻害に関するこれら誘導体、またはα−トコフェリルスクシナートの効力と、細胞生存能力の抑制に関する効力とが平行関係にあることを示している(図7B)。該効力はTS−1、TS−5>TS−2>α−トコフェリルスクシナートの順であり、TS−3およびTS−4は100μMでも評価できる活性を認めなかった。Bcl−xLへのBakペプチド結合の遮断に関しては、TS−1とα−トコフェリルスクシナートの間でIC50に3倍の差があったが、これは理論計算の差と同じである。
【0061】
α−トコフェリルスクシナートとその切断型類似体間の阻害活性の差は、Bcl−xL結合に疎水性側差の長さが微妙に影響することを裏付けている。しかしながら、TS−3の側差を完全に取り除くと結合親和性は無効になることは、タンパク質−リガンド複合体の安定化に、この疎水性の相互作用が役割を持つことを裏付けている。これに加えて、スクシナートをエーテル結合プロピオナートに交換してもBcl−xL結合および抗増殖活性に影響はなかった。この発見は、ヘミスクシナートエステル結合のカルボニル基が、リガンド結合には関与していないことを示唆しており、これはモデル化された認識様式にも一致する(図6)。
【0062】
証拠は、TS−1がα−トコフェリルスクシナートと同じメカニズムを通して、PC−3細胞において、抗増殖作用を媒介することを示している。TS−1誘導アポトーシス死は、DNA断片化、チトクロームc放出、およびPARP切断から証明された(図8A)。さらには、10μMのTG−1は、PC−3細胞に於けるBcl−xLおよびBcl−2へのBakの細胞内結合を完全に無くした(図8B)。LNCaPおよびPC−3細胞とは対称的に、正常の前立腺上皮細胞(PrEC)は、α−トコフェリルスクシナートについて観察されたのと同様に、TS−1およびTS−5の抗増殖作用に対し抵抗性であった(図8C)。この感受性の差は、TS−1およびTS−3のアポトーシスに及ぼす作用が腫瘍細胞特異的であることを示している。
【0063】
本明細書に記載した実施例は、例示のみを目的としており、特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1は、本明細書が記載する化合物を調製するための第一の合成の概略を示す図である。
【図2】図2は、本明細書が記載する化合物を調製するための第二の合成の概略を示す図である。
【図3】図3は、本明細書が記載する化合物を調製するための第三の合成の概略を示す図である。
【図4】図4は、α−トコフェリルスクシナートー誘導アポトーシスに対するPC−3、LNCaP、およびBcl−xLを過剰発現しているLNCaP(LNCaP/B3)細胞の異なる感受性を示す図である。
【図5】図5は、α−トコフェリルスクシナートが、BH3ドメイン介在のヘテロダイマー形成を阻害することによって、Bcl−xL/Bcl−2の機能を遮断することを示す。
【図6】図6は、Bcl−xLのBak BH3ペプチド−結合部位内へのα−トコフェリルスクシナート(上図)およびTS−1のドッキングのモデルを示す。
【図7】図7は、α−トコフェリルスクシナートおよびTS−1〜TS−5の構造、ならびにBak BH3ペプチドのBcl−xLへの結合を阻害する効力、ならびにPC−3およびLNCaP細胞の生存率を抑制する能力を示す。
【図8】図8は、TS−1の抗腫瘍作用の機械作用の有効性の証明。(A)薬物処理したPC−3細胞のアポトーシス死の証拠。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1の化合物であって、
【化1】

式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;
は、水素、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;
は、アルキルおよび置換アルキルから成る群より選択される化合物;
または、その誘導体もしくは薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
XはOである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
X−Rは、水素およびカルボン酸から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、あるいはそれらの誘導体または薬学的に許容される塩から成る群より選択される、化合物。
【請求項5】
被験体内の細胞増殖性疾患の処置のための方法であって、そのような処置を必要とする被験体に、
【化2】

ここでXは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;
は、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;
は、アルキル、置換アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、スルホニル、スルホンアミド、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される化合物I、またはその誘導体もしくは薬学的に許容可能な塩を、薬理学的有効用量投与することを含む、方法。
【請求項6】
XはOである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
X−Rは、水素およびカルボン酸から選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、およびそれらの組み合わせ、あるいはそれらの誘導体または薬学的に許容される塩から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、アポトーシス、細胞周期停止、細胞分化、またはDNA合成停止を含む抗増殖作用を示す、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記被験体がヒト被験体である、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
薬学的組成物であって、
【化3】

式中Xは、酸素、窒素、およびイオウから成る群より選択され;
は、水素、アルキル、カルボン酸、カルボキシラート、カルボキサミド、エステル、およびそれらの組み合わせから成る群より選択され;
は、アルキルおよび置換アルキルから成る群より選択される式Iの化合物;
または、その誘導体もしくは薬学的に許容可能な塩を一つまたは複数含む、薬学的組成物。
【請求項12】
一つまたは複数の補助剤を更に含む、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
一つまたは複数の希釈剤を更に含む、請求項11に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
XはOである、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
X−Rは、ヒドロキシおよびカルボン酸から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酢酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−プロピオン酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−酪酸、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−メチルペンチル)クロマン−6−グルタラート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−スクシナート、2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4,8−ジメチルノナニル)クロマン−6−グルタラート、2−カルボキサミドブチル)クロマン−6−酪酸、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(4−シアノブチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(7−シアノヘプチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(9−シアノノニル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−メチルスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−メチルスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−メチルスルホンアミドデシル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(5−アミノスルホンアミドペンチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(8−アミノスルホンアミドオクチル)クロマン、6−スクシナート−2,5,7,8−テトラメチル−(2R−(10−アミノスルホンアミドデシル)クロマン、およびそれらの組み合わせ、あるいはそれらの誘導体または薬学的に許容される塩から成る群より選択される、請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
一つまたは複数の補助剤を更に含む、請求項16に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
一つまたは複数の希釈剤を更に含む、請求項17に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
一つまたは複数の希釈剤を更に含む、請求項16に記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−538823(P2009−538823A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556382(P2008−556382)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/004337
【国際公開番号】WO2007/098139
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(504325287)ザ オハイオ ステート ユニバーシティー リサーチ ファウンデーション (24)
【Fターム(参考)】