説明

抗白癬菌剤組成物

【課題】白癬菌に対して有効な抗菌作用を示し、かつ安全性が高く、種々の工業製品に幅広く用い得る抗白癬菌剤組成物を得ることを目的とする。
【解決手段】プロクロラズ、フルシラゾールおよびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上を溶剤等の担体に含有させる。また、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、キノロン系化合物、およびそれらの塩、テトラサイクリン系抗生物質、ならびにピリチオンおよびその金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上を併用する場合にも、白癬菌に対し良好な抗菌活性を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロクロラズ、フルシラゾールおよびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する抗白癬菌剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロクロラズ(化学名;N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]−1H−イミダゾール−1−カルボアミド)は、下記式(1)で表される化合物である。また、フルシラゾール(化学名;メチルビス(4−フルオロフェニル)(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シラン)は、下記式(2)で表される化合物である。これらはともに、コメ、トウモロコシ、豆類等の穀物、リンゴ、モモ、ブドウ、バナナ等の果実、その他テンサイ、アブラナ、ヒマワリといった植物の病原体に対し、農薬として使用されることが知られている(特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
【化1】

【0004】
【化2】

【0005】
また、本発明者らは、上記化合物について、工業用抗菌剤としての有用性を見い出し、すでに開示した(特願2009−238744および特願2009−249449)。しかし、白癬菌といったヒトに感染する特定の病原菌に対する有効性については、全く知られていない。
【0006】
白癬菌は、白癬の原因となる皮膚糸状菌である。白癬菌は、家庭、学校、職場、宿泊・娯楽施設等において、患者の接したタオル、衣類、スリッパ、バスマット等の種々の物品や、床、壁、タイル等を介して感染することが知られている。また、通気性の悪い靴を長時間履くことによって、白癬の症状が悪化することも知られている。白癬の治療は抗真菌剤によるが、角質の肥厚した角化型や、爪白癬などは難治性であり、かかる白癬以外の白癬であっても、完治するには根気よく薬物治療を継続する必要がある。従って、白癬菌の感染を防止し得る抗白癬菌剤組成物の開発が望まれている。
【0007】
白癬菌に対し特異的な抗菌作用を示す抗真菌剤は医薬品であり、薬事法上の規制、副作用等の点から、上記のような感染防止用の抗白癬菌剤組成物に用いることは困難である。現在販売されている白癬用の製品においては、木酢液や有機酸等の角質溶解剤、ティーツリーオイル等の抗菌作用を有する精油などが使用されている。しかし、角質溶解剤は対症療法的に用いられるもので、白癬菌に対する感染防止効果を有するものではなく、皮膚刺激性を有するものも多い。また、精油等の抗菌性物質は、真菌である白癬菌に対して、十分な抗菌作用を示すものとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−101813号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】The Pesticide Manual Twelfth Edition (British Crop Protection Council) pp.460-461, pp.759-760 (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明においては、白癬菌に対して有効な抗菌作用を示し、かつ安全性が高く、靴下、タオル、マット等の繊維製品、皮靴製品、紙製品、プラスチック製品、ゴム製品などの他、床、タイル、建材等、住環境においても幅広く使用し得る抗白癬菌剤組成物を得ることを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明者らは、プロクロラズ、フルシラゾールおよびそれらの塩が白癬菌に対して良好な抗菌活性を有し、上記のような抗白癬菌剤組成物に適用した場合、良好な感染防止効果を発揮することを見出した。さらに、特定の抗菌性化合物を併用する場合にも、良好な抗白癬菌活性が見られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、次の[1]〜[14]に関する。
[1]プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する、抗白癬菌剤組成物。
[2]プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上と、式(3)で示されるイソチアゾリン系化合物、式(4)で示されるベンゾイソチアゾリン系化合物、式(5)で示されるベンゾイミダゾール系化合物、式(6)で示されるハロアセチレン系化合物、式(7)で示されるテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、式(8)で示されるキノロン系化合物、およびそれらの塩、テトラサイクリン系抗生物質、ならびにピリチオンおよびその金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する、抗白癬菌剤組成物。
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0015】
【化4】

【0016】
[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Yは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0017】
【化5】

【0018】
[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Zは−NHCOOR(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す。)で示される基または置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基を示す。]
【0019】
【化6】

【0020】
[式中、Xはハロゲン原子を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、mは0または1の整数を示す。]
【0021】
【化7】

【0022】
[式中、Y、Y、YおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0023】
【化8】

【0024】
[式中、A環は置換されていてもよく、1個または2個の炭素原子が窒素原子に置換された複素環であってもよい6員の芳香族環を示し、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。また、RはA環の置換基とともに環を形成していてもよい。]
【0025】
[3]イソチアゾリン系化合物が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[4]イソチアゾリン系化合物が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンより選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[5]ベンゾイソチアゾリン系化合物が、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびN−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンより選択される1種または2種である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[6]ベンゾイミダゾール系化合物が、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、および2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールよりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[7]ハロアセチレン系化合物が、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートである、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[8]テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物が、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドである、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[9]キノロン系化合物が、エノキサシン、トスフロキサシン、ノルフロキサシン、サラフロキサシン、ジフロキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、エンロフロキサシン、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、スパルフロキサシン、ダノフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、オルビフロキサシン、オキソリニック酸、ナディフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、パズフロキサシン、およびマルボフロキサシンよりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[10]テトラサイクリン系抗生物質が、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[11]ピリチオンの金属塩が、ピリチオンのアルカリ金属塩およびピリチオンの2価の金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上である、上記[2]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[12]ピリチオンのアルカリ金属塩が、ナトリウムピリチオンである、上記[11]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[13]ピリチオンの2価の金属塩が、亜鉛ピリチオンおよび銅ピリチオンよりなる群から選択される1種または2種である、上記[11]に記載の抗白癬菌剤組成物。
[14]上記[1]〜[13]のいずれかに記載の抗白癬菌剤組成物を含有する、工業製品。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、白癬菌に対して有効な抗菌作用を示し、良好な感染防止効果を有する抗白癬菌剤組成物が得られる。本発明の抗白癬菌剤組成物は、抗白癬菌活性、種々の有機溶媒に対する溶解性、安定性および安全性が高いことなどから、接着剤、消臭剤、除菌剤、洗浄剤、繊維製品、皮靴製品、紙製品、プラスチック製品、ゴム製品、建材等の工業製品に幅広く添加することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する。当該塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。本発明において、プロクロラズ、フルシラゾールおよびそれらの塩としては市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
【0028】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、上記のプロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上に加えて、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、キノロン系化合物、およびそれらの塩、ならびにピリチオンおよびその金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上の抗菌性化合物を併用してもよい。該抗菌性化合物を併用する場合にも、良好な抗白癬菌活性が見られる。
【0029】
イソチアゾリン系化合物は、次の式(3)で示される。
【0030】
【化9】

【0031】
[式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0032】
式(3)中、Rで示される置換されていてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜14の炭化水素基がより好ましく、たとえば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基およびアリール基等が挙げられる。
【0033】
アルキル基としては、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルブチル、1−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
【0034】
アルケニル基としては、たとえば、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−へキセニル、2−へキセニル、3−へキセニル、4−へキセニル、5−へキセニル等の炭素数2〜6のアルケニル基が挙げられる。
【0035】
アルキニル基としては、たとえば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−へキシニル、2−へキシニル、3−へキシニル、4−へキシニル、5−へキシニル等の炭素数2〜6のアルキニル基が挙げられる。
【0036】
シクロアルキル基としては、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等の炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
【0037】
アリール基としては、たとえば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル等の炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
【0038】
で示される置換されていてもよい炭化水素基の置換基としては、水酸基;塩素、フッ素、臭素およびヨウ素のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;カルボキシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フェノキシ等の炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;フェニルチオ等の炭素数6〜20のアリールチオ基等が挙げられる。当該置換基は同一または異なっていてもよく、1〜5個、好ましくは1〜3個が置換していてもよい。
【0039】
で示される置換されていてもよい炭化水素基としては、無置換の炭化水素基が好ましく、その中でもアルキル基またはシクロアルキル基が好ましい。当該アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基およびn−オクチル、イソオクチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル、1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、2−エチルヘキシル等の炭素数8のアルキル基がより好ましく、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチルがさらに好ましい。シクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、シクロヘキシルがより好ましい。
【0040】
としては、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基、およびn−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル(1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、1−プロピルペンチル等)、tert−オクチル(1,1−ジメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル等)、2−エチルヘキシル等の炭素数8のアルキル基がさらに好ましく、メチル、エチル、n−ブチル、n−オクチルが特に好ましい。
【0041】
式(3)中、RまたはRで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の各原子が挙げられ、これらの中でも塩素原子が好ましい。
【0042】
また、RまたはRで示される置換されていてもよい炭化水素基としては、上記したRで示される置換されていてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、中でも無置換の炭化水素基が好ましく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
【0043】
およびRとしては、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子が好ましく、水素原子または塩素原子がより好ましい。
【0044】
イソチアゾリン系化合物の具体例としては、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−エチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−シクロヘキシル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。これらのうち、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが好ましく、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。上記イソチアゾリン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0045】
ベンゾイソチアゾリン系化合物は、次の式(4)で示される。
【0046】
【化10】

【0047】
[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Yは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0048】
式(4)中、A環で示される置換されていてもよいベンゼン環の置換基としては、上記したRで示される置換されていてもよい炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができ、中でも、ハロゲン原子およびメチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、ベンゼン環に1〜4個、好ましくは1個または2個置換されていてもよい。なお、A環で示される置換されていてもよいベンゼン環としては、無置換のベンゼン環が好ましい。
【0049】
式(4)中、Yで示される置換されていてもよい炭化水素基としては、上記したRで示される置換されていてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、中でも無置換の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)が特に好ましい。
【0050】
Yとしては、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)が特に好ましい。
【0051】
ベンゾイソチアゾリン系化合物の好適な具体例としては、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。上記ベンゾイソチアゾリン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0052】
ベンゾイミダゾール系化合物は、次の式(5)で示される。
【0053】
【化11】

【0054】
[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Zは−NHCOOR(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す。)で示される基または置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基を示す。]
【0055】
式(5)中、A環で示される置換されていてもよいベンゼン環の置換基としては、上記したRで示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものを挙げることができ、中でも、ハロゲン原子、およびメチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。これらの置換基は同一または異なっていてもよく、ベンゼン環に1〜4個、好ましくは1個または2個置換していてもよい。なお、A環で示される置換されていてもよいベンゼン環としては、置換されていないベンゼン環が好ましい。
【0056】
式(5)中、Zで示される−NHCOORにおいて、Rで示されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−へキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル等の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、それらのうち、メチル、エチル、n−プロピル等の炭素数1〜3のアルキル基が特に好ましい。
【0057】
また式(5)中、Zで示される置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基としては、1〜4個の窒素原子を環構成原子として含有するか、あるいは1〜2個の窒素原子に加えて酸素原子および硫黄原子から選ばれた1個のヘテロ原子を環構成原子として含有する5または6員の単環式複素環基や、この5または6員の含窒素複素環にベンゼン環または5員環が縮合した縮合複素環基が挙げられる。5または6員の含窒素単環式複素環基としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル等のピリジル基;2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル等のチアゾリル基;3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル等のイソチアゾリル基;1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル等のイミダゾリル基;1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル等のピロリル基;2−ピロリニル、3−ピロリニル等のピロリニル基;フラザニル基;1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル等のピロリジニル基;2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル等のイミダゾリジニル基;1−ピラゾリジニル等のピラゾリジニル基;5−ピラゾリル等のピラゾリル基;2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル等のオキサゾリル基;3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル等のイソオキサゾリル基;1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリル等のテトラゾリル基;2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル等のピリミジル基;3−ピリダジニル、4−ピリダジニル等のピリダジニル基;2−ピラジニル、3−ピラジニル等のピラジニル基;1,2−チアジン−3−イル、1,2−チアジン−4−イル、1,3−チアジン−2−イル、1,3−チアジン−4−イル、1,4−チアジン−2−イル、1,4−チアジン−3−イル等のチアジニル基;1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、3−ピペラジニル等のピペラジニル基;1,2,3−チアジアジン−4−イル、1,2,3−チアジアジン−5−イル、1,2,3−チアジアジン−6−イル、1,2,4−チアジアジン−3−イル、1,3,4−チアジアジン−2−イル等のチアジアジニル基;1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル等のオキサジアゾリル基;1,2,3−チアジアゾール−4−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル等のチアジアゾリル基;1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル等のトリアゾリル基;2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、5−チオモルホリニル、6−チオモルホリニル等のチオモルホリニル基;2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、5−モルホリニル、6−モルホリニル等のモルホリニル基;2−オキソイミダジニル等のオキソイミダジニル基;1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−1−イル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−2−イル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジオン−4−イル等のジオキソトリアジニル基;1−ピペリジル、2−ピペリジル、3−ピペリジル、4−ピペリジル等のピペリジル基等が挙げられる。上記縮合複素環基としては、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル等のキノリル基;3−イソキノリル、4−イソキノリル等のイソキノリル基;2−インドリル、3−インドリル等のインドリル基;1H−イソインドール−3−イル等のイソインドリル基;8−キノリジニル等のキノリジニル基;1H−プリン−6−イル、3H−プリン−6−イル等のプリニル基;3−シンノリニル、5−シンノリニル等のシンノリニル基;3−インダゾリル等のインダゾリル基;2−プテリジニル等のプテリジニル基;4−フタラジニル等のフタラジニル基;2−キナゾリニル、4−キナゾリニル等のキナゾリニル基;2−キノキサリニル、3−キノキサリニル等のキノキサリニル基;2−インドリジニル等のインドリジニル基;2H−1,3−ベンゾオキサジン−2−イル等のベンゾオキサジニル基;2−フェノチアジニル、3−フェノチアジニル等のフェノチアジニル基;2−フェナジニル、3−フェナジニル等のフェナジニル基;2−フェノキサジニル、3−フェノキサジニル、4−フェノキサジニル等のフェノキサジニル基等が挙げられる。上記複素環基のうち、5員含窒素複素環基が好ましく、特にチアゾリル基が好ましい。
【0058】
上記複素環の置換基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;水酸基;アミノ基;ニトロ基;メルカプト基等が挙げられる。
【0059】
Zで示される置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基としては、無置換の5または6員の含窒素複素環基が好ましく、無置換の5員の含窒素複素環基がより好ましく、チアゾリル基が特に好ましい。
【0060】
Zとしては、−NHCOOR(式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である。)で示される基または無置換の5または6員の含窒素複素環基が好ましく、−NHCOOR(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)で示される基または無置換の5員の含窒素複素環基がより好ましく、−NHCOOR(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。)で示される基またはチアゾリル基が特に好ましい。
【0061】
ベンゾイミダゾール系化合物の好適な具体例としては、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール等が挙げられる。上記ベンゾイミダゾール系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0062】
ハロアセチレン系化合物は、次の式(6)で示される。
【0063】
【化12】

【0064】
[式中、Xはハロゲン原子を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、mは0または1の整数を示す。]
【0065】
式(6)中、Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特にヨウ素が好ましい。
【0066】
式(6)中、RまたはRで示される置換されていてもよい炭化水素基としては、上記したRで示される置換されていてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。中でも無置換の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数3〜8のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらにより好ましく、n−ブチルが特に好ましい。
また、RおよびRの一方が置換されていてもよい炭化水素基であり、他方が水素原子であることが好ましく、RおよびRの一方が炭素数1〜10のアルキル基であり、他方が水素原子であることがより好ましく、RおよびRの一方が炭素数1〜4のアルキル基(特にn−ブチル)であり、他方が水素原子であることが特に好ましい。
【0067】
式(6)中、mは0または1の整数を示し、mが0のとき、ハロアセチレン系化合物は酸アミド誘導体となり、mが1のときは、ハロアセチレン系化合物はカルバメート誘導体となる。これらのうち、mが1であるハロアセチレン系化合物のカルバメート誘導体が好ましい。
【0068】
ハロアセチレン系化合物の具体例としては、mが0である場合のハロアセチレン系化合物(酸アミド誘導体)として、3−クロロプロピオール酸アミド、N−メチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−エチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−クロロプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−クロロプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−クロロプロピオール酸アミド;3−ブロモプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ブロモプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ブロモプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−ブロモプロピオール酸アミド;3−ヨードプロピオール酸アミド、N−メチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−エチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−プロピル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−ヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−オクチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、N−シクロヘキシル−3−ヨードプロピオール酸アミド等の(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドなどが挙げられる。これらのうち、(N−置換−)3−ヨードプロピオール酸アミドが好ましく、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミドがより好ましい。
【0069】
また、mが1である場合のハロアセチレン系化合物(カルバメート誘導体)として、3−ヨード−2−プロピニル N−メチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−エチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−プロピルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−ヘキシルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−オクチルカルバメート、3−ヨード−2−プロピニル N−シクロヘキシルカルバメート等の3−ヨード−2−プロピニル N−アルキルカルバメートなどが挙げられ、中でも3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートが好ましい。
上記ハロアセチレン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0070】
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物は、次の式(7)で示される。
【0071】
【化13】

【0072】
[式中、Y、Y、YおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【0073】
式(7)中、Y、Y、YまたはYで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられ、特に塩素が好ましい。また、Y、Y、YまたはYで表される置換されていてもよい炭化水素基としては、上記したRで示される置換されていてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、中でもメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
【0074】
、Y、YおよびYとしては、Y、Y、YおよびYのすべてがハロゲン原子であるか、Y、YおよびYがハロゲン原子でかつYが水素原子であるか、YおよびYがハロゲン原子でかつYおよびYが水素原子であることが好ましく、Y、Y、YおよびYのすべてがハロゲン原子であることがより好ましく、Y、Y、YおよびYのすべてが塩素であることが特に好ましい。
【0075】
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物の具体例としては、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラブロモテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,4−ジクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4−トリブロモテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等が挙げられ、これらのうち、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドが特に好ましい。上記テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0076】
キノロン系化合物は、次の式(8)で表される。
【0077】
【化14】

【0078】
[式中、A環は置換されていてもよく、1個または2個の炭素原子が窒素原子に置換された複素環であってもよい6員の芳香族環を示し、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。また、RはA環の置換基とともに環を形成していてもよい。]
【0079】
上記式(8)中、A環で示される「置換されていてもよく、1個または2個の炭素原子が窒素原子に置換された複素環であってもよい6員の芳香族環」のうち、前記複素環である6員の芳香族環としては、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン等が挙げられ、前記複素環ではない6員の芳香族環としては、ベンゼンが挙げられる。これらの中でも、ベンゼン、ピリジン、ピリミジンが好ましく、ベンゼンまたはピリジンが特に好ましい。
【0080】
環で示される「置換されていてもよく、1個または2個の炭素原子が窒素原子に置換された複素環であってもよい6員の芳香族環」の置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよいアミノ基、アルキレンジオキシ基等が挙げられる。
【0081】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子または塩素原子が好ましい。
【0082】
「置換されていてもよいアルコキシ基」のアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。「置換されていてもよいアルコキシ基」の置換基としては、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;炭素数1〜4のアルコキシ基;フェニル、ナフチル等、炭素数1〜14のアリール基などが挙げられる。
【0083】
「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基としては、上記したRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の炭化水素基と同様のものが挙げられる。「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基としては、水酸基;塩素、フッ素、臭素およびヨウ素のハロゲン原子;シアノ基;アミノ基;カルボキシル基;アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;フェノキシ、ナフチルオキシ等の炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜10のアリールオキシ基;ベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ等の炭素数7〜14のアラルキルオキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ等の炭素数1〜4のアルキルチオ基;フェニルチオ等の炭素数6〜20のアリールチオ基等が挙げられる。上記炭化水素基は前記置換基を2個以上有していてもよく、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0084】
「置換されていてもよいアミノ基」のアミノ基には、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタニル、オクタヒドロピロロピリジニル、イソインドリニル、アザスピロ[2.4]ヘプタニル等の環状アミノ基も含まれる。「置換されていてもよいアミノ基」の置換基としては、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、アミノ基等が挙げられる。
【0085】
上記アルキレンジオキシ基としては、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等の炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基が好ましいものとして挙げられる。
【0086】
環は、2〜4個の置換基により置換されていることが好ましい。また、前記置換基としては、ハロゲン原子;アミノ基により置換された炭素数3〜6のシクロアルキル基;ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、オクタヒドロピロロピリジニル、イソインドリニル、アザスピロ[2.4]ヘプタニル等の環状アミノ基;水酸基、アミノ基または炭素数1〜6のアルキル基により置換された前記環状アミノ基;炭素数1〜4のアルコキシ基;ハロゲン原子により置換された前記アルコキシ基、メチレンジオキシ基などが好ましい。
【0087】
式(8)中、RまたはRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、上記したA環の「置換されていてもよい炭化水素基」と同様の基が挙げられる。また、Rで示される基は、A環の8位の置換基とともに、環を形成するものであってもよい。かかる環としては、ヒドロピリジン環、ヒドロオキサジン環、ヒドロオキサジアジン環等が例示される。
【0088】
本発明において、キノロン系化合物としては、式(9)および式(10)で示される化合物が好ましく用いられる。
【0089】
【化15】

【0090】
[式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子またはアミノ基、R10は水素原子またはハロゲン原子、R11は置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい環状アミノ基を示す。]
【0091】
【化16】

【0092】
[式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、R12は水素原子、ハロゲン原子またはアミノ基、R13は水素原子またはハロゲン原子、R14は置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい環状アミノ基を示す。また、R13はR14とともに炭素数1〜2のアルキレンジオキシ基を形成していてもよい。R15は水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルコキシ基または置換されていてもよい炭化水素基を示す。また、RはR15とともに環を形成していてもよい。]
【0093】
上記式(9)で示される化合物は、ナフチリジン骨格を有する化合物であり、上記式(10)で示される化合物は、キノリン骨格を有する化合物である。
【0094】
上記式(9)および式(10)中、RまたはRで示される基については、上記と同義である。RもしくはR10またはR12もしくはR13で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、R11またはR14で示される「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい環状アミノ基」についても、上記と同様である。なお、上記式(9)および式(10)中、Rで示される基としては、エチル等の炭素数1〜4のアルキル基;2−フルオロエチル等のハロゲン化された炭素数1〜4のアルキル基;シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜6のシクロアルキル基;フルオロシクロプロピル等のハロゲン化された炭素数3〜6のシクロアルキル基;フルオロフェニル、ジフルオロフェニル等のハロゲン化されたアリール基が好ましい。Rで示される基としては水素原子が好ましく、RまたはR12で示される基としては、水素原子、フッ素原子、アミノ基が好ましく、R10またはR13で示される基としては、水素原子またはフッ素原子が好ましい。R11またはR14で示される基としては、アミノシクロプロピル基;水酸基、アミノ基またはメチル、エチル等の炭素数1〜4のアルキル基により置換されたピロジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、オクタヒドロピロロピリジニル、イソインドリニル、アザスピロ[2.4]ヘプタニルが好ましい。
【0095】
さらに、上記式(10)中、R15で示される「置換されていてもよいアルコキシ基」および「置換されていてもよい炭化水素基」についても、上記と同様である。上記式(10)中、R15で示される基としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル等の炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ジフルオロメトキシ等のハロゲン原子により置換された前記アルコキシ基が好ましい。また、上記式(10)において、Rで示される基はR15で示される基とともに環を形成していてもよく、かかる環としては、ヒドロピリジン環、ヒドロオキサジン環、ヒドロオキサジアジン環等が挙げられる。それゆえ、上記式(10)において、Rで示される基とR15で示される基とが環を形成してなるベンゾキノリジン骨格、ピリドベンゾオキサジン骨格またはピリドベンゾオキサジアジン骨格を有するものも、好ましい化合物として例示される。また、R13で示される基およびR14で示される基により形成されるアルキレンジオキシ基としては、メチレンジオキシ基が好ましい。
【0096】
本発明においては、キノロン系化合物として、上記式(9)および式(10)で示される化合物よりなる群から、1種または2種以上を選択して用いることができる。
【0097】
本発明においてより好ましく用いられるキノロン系化合物としては、ナフチリジン骨格を有するエノキサシン(化学名;1,4−ジヒドロ−1−エチル−4−オキソ−6−フルオロ−7−(ピペラジン−1−イル)−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸)、トスフロキサシン(化学名;1−(2,4−ジフルオロフェニル)−6−フルオロ−7−(3−アミノ−1−ピロリジニル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,8−ナフチリジン−3−カルボン酸)、キノリン骨格を有するノルフロキサシン(化学名;1−エチル−6−フルオロ−7−ピペラジノ−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、サラフロキサシン(化学式;1−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−6−フルオロ−7−ピペラジノ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、ジフロキサシン(化学名;1−(4−フルオロフェニル)−4−オキソ−6−フルオロ−7−(4−メチルピペラジノ)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、フレロキサシン(化学名;6,8−ジフルオロ−1−(2−フルオロエチル)−1,4−ジヒドロ−7−(4−メチルピペラジノ)−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸)、ロメフロキサシン(化学名;1−エチル−6,8−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−7−(3−メチル−1−ピペラジニル)キノリン−3−カルボン酸)、エンロフロキサシン(化学名;1−シクロプロピル−4−オキソ−6−フルオロ−7−(4−エチル−1−ピペラジニル)−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、シプロフロキサシン(化学名;1−シクロプロピル−4−オキソ−6−フルオロ−7−(1−ピペラジニル)−1,4−ジヒドロ−3−キノリンカルボン酸)、ガチフロキサシン(化学名;1,4−ジヒドロ−1−シクロプロピル−4−オキソ−6−フルオロ−8−メトキシ−7−(3−メチルピペラジン−1−イル)キノリン−3−カルボン酸)、スパルフロキサシン(化学名;5−アミノ−1−シクロプロピル−6,8−ジフルオロ−1,4−ジヒドロ−7−(3α,5α−ジメチル−1−ピペラジニル)−4−オキソキノリン−3−カルボン酸)、ダノフロキサシン(化学名;1−シクロプロピル−6−フルオロ−7−[(1α,4α)−5−メチル−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル]−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、モキシフロキサシン(化学名;1,4−ジヒドロ−1−シクロプロピル−6−フルオロ−8−メトキシ−4−オキソ−7−[[(4aα,7aα)−オクタヒドロ−1H−ピロロ[3,4−b]ピリジン]−6−イル]キノリン−3−カルボン酸)、ガレノキサシン(化学名;1−シクロプロピル−8−(ジフルオロメトキシ)−7−(2,3−ジヒドロ−1β−メチル−1H−イソインドール−5−イル)−1,4−ジヒドロ−4−オキソキノリン−3−カルボン酸)、シタフロキサシン(化学名;1,4−ジヒドロ−1−[(1R,2S)−2−フルオロシクロプロピル]−8−クロロ−6−フルオロ−7−[(4S)−4−アミノスピロ[ピロリジン−3,1’−シクロプロパン]−1−イル]−4−オキソキノリン−3−カルボン酸)、オルビフロキサシン(化学名;1−シクロプロピル−7−(3α,5α−ジメチル−1−ピペラジニル)−5,6,8−トリフルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸)、オキソリニック酸(化学名;1−エチル−6,7−(メチレンジオキシ)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸)、ベンゾキノリジン骨格を有するナディフロキサシン(化学名;9−フルオロ−6,7−ジヒドロ−8−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5α−メチル−1−オキソ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−2−カルボン酸および9−フルオロ−6,7−ジヒドロ−8−(4−ヒドロキシピペリジノ)−5β−メチル−1−オキソ−1H,5H−ベンゾ[ij]キノリジン−2−カルボン酸)、ピリドベンゾオキサジン骨格を有するオフロキサシン(化学名;rac−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3α−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de]−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボン酸)、レボフロキサシン(化学名;[3S,(−)]−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de][1,4]ベンゾオキサジン−6−カルボン酸)、パズフロキサシン(化学名;(3S)−10−(1−アミノシクロプロピル)−9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−7−オキソ−7H−ピリド[1,2,3−de]−1,4−ベンゾオキサジン−6−カルボン酸)、ピリドベンゾオキサジアジン骨格を有するマルボフロキサシン(化学名;9−フルオロ−2,3−ジヒドロ−3−メチル−10−(4−メチル−1−ピペラジニル)−7−オキソ−7H−ピリド[3,2,1−ij][4,1,2]ベンゾオキサジアジン−6−カルボン酸)等が挙げられ、これらより1種または2種以上を選択して用いることができる。
【0098】
上記のイソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物およびキノロン系化合物は、塩基性化合物の場合は酸との塩として用いてもよく、また、酸性化合物の場合は塩基との塩として用いてもよい。
【0099】
酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩などが挙げられる。
【0100】
塩基との塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等の有機アミンとの塩などが挙げられる。
【0101】
イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、キノロン系化合物およびそれらの塩は、市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
【0102】
本発明に用いるテトラサイクリン系抗生物質は、抗菌スペクトルの広い静菌性抗生物質である。テトラサイクリン系抗生物質として、種々の化合物が製造されており、たとえば、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロルテトラサイクリン等が挙げられる。テトラサイクリン系抗生物質は塩の形態であってもよく、当該塩としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩などが挙げられる。本発明においては、これらより1種または2種以上を選択して用いる。
【0103】
本発明に用いるテトラサイクリン系抗生物質は市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
【0104】
本発明においては、テトラサイクリン系抗生物質として、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびそれらの塩よりなる群から選択した1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0105】
本発明の抗白癬菌剤組成物に含有させ得るピリチオン(化学名;1−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−チオン)は、下記式(11)で示される。
【0106】
【化17】

【0107】
本発明の抗白癬菌剤組成物には、ピリチオンおよびその金属塩より1種または2種以上を選択して用いることができるが、抗菌活性に優れる点で、ピリチオンの金属塩を用いることが好ましい。ピリチオンの金属塩としては、アルカリ金属塩および2価の金属塩が好ましく用いられる。
【0108】
ピリチオンのアルカリ金属塩は、たとえば下記の式(12)で表される。
【0109】
【化18】

【0110】
[式中Mはアルカリ金属を示す。]
【0111】
ピリチオンのアルカリ金属塩としては、ナトリウムピリチオン(上記式(12)においてM=Na)が挙げられる。
【0112】
また、ピリチオンの2価の金属塩は、たとえば下記の式(13)で表される。
【0113】
【化19】

【0114】
[式中Mは2価の金属を示す。]
【0115】
式(13)中Mで示される2価の金属としては、ピリチオンと錯体を形成し得る亜鉛等の第12族の金属や、遷移金属が好ましい。ピリチオンの2価の金属塩の好ましい例としては、ジンクピリチオン(M=Zn)および銅ピリチオン(M=Cu)が挙げられる。
【0116】
上記のピリチオンおよびその金属塩は、市販品を用いてもよく、あるいは公知技術に従って製造したものを用いてもよいが、市販品を用いるのが便利である。
【0117】
本発明の抗白癬菌剤組成物におけるプロクロラズまたはその塩の含有量は、白癬菌に対する十分な抗菌活性を得るためには、0.1重量%〜100重量%が好ましく、1重量%〜100重量%がより好ましい。また、本発明の抗白癬菌剤組成物におけるフルシラゾールまたはその塩の含有量は、0.1重量%〜100重量%が好ましく、1重量%〜100重量%がより好ましい。プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から2種以上を選択して併用する場合には、それらの合計量で0.1重量%〜100重量%とするのが好ましく、1重量%〜100重量%とするのがより好ましい。
【0118】
プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上と、上記したイソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、キノロン系化合物、およびそれらの塩、テトラサイクリン系抗生物質、ならびにピリチオンおよびその金属塩よりなる群から選択される抗菌性化合物を併用する場合において、良好な抗白癬菌活性を得るためには、プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上と、それ以外の抗菌性化合物(2種以上を用いる場合は各化合物の合計量)との含有重量比は、9:1〜1:9(重量比)とすることが好ましく、8:2〜2:8(重量比)とすることが特に好ましい。また、剤形、適用対象、使用環境等にもよるが、プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上の総含有量としては、0.01重量%〜90重量%が好ましく、0.1重量%〜90重量%がより好ましい。前記以外の抗菌性化合物の含有量(2種以上を用いる場合は各化合物の合計量)としては、0.01重量%〜90重量%が好ましく、0.1重量%〜90重量%がより好ましい。
【0119】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上、または前記と前記以外の抗菌性化合物とを、液状担体、固体担体等の種々の担体に溶解、分散、吸着等させることにより、種々の剤形とすることができる。たとえば溶剤に溶解させ、または界面活性剤もしくは溶解助剤等を用いて懸濁もしくは分散させて、溶液剤または懸濁剤もしくは分散剤として、あるいは界面活性剤により乳化して乳剤として提供することができる。また、界面活性剤やゲル化剤、固体担体を加えて、水和剤、ゲル剤、フロアブル剤、粉剤、顆粒剤、錠剤等としても提供することができる。その他、液化石油ガス等の噴射ガスとともに耐圧缶に充填したエアロゾル剤としても、提供することができる。
【0120】
本発明において用い得る溶剤としては、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルカルビトール)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルカルビトール)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネート等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、イソプロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン、エチルビフェニル、ジエチルビフェニル、ソルベントナフサ等の芳香族系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン等の極性有機溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これら溶剤の中では、水、低級アルコール類および多価アルコール類が好ましく用いられる。
【0121】
本発明において用い得る界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチエンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の非イオン性界面活性剤;アルキル硫酸エステル塩、アルキル(アリール)スルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0122】
本発明において用い得る溶解助剤としては、カプリン酸、アジピン酸等のカルボン酸類;アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル等のエステル類;オクチルドデカノール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン類などを挙げることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0123】
本発明において用い得る固体担体としては、カオリンクレー、アッタパルジャイトクレー、ベントナイト、モンモリロナイト、酸性白土、パイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石等の鉱物質;トウモロコシ穂軸粉、クルミ殻粉等の天然有機物;尿素等の合成有機物;炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の塩類;合成含水酸化珪素等の合成無機物の微粉末あるいは粒状物などを挙げることができる。
【0124】
本発明の抗白癬菌剤組成物の調製は、5℃〜40℃にて行うことが好ましい。溶剤等への混合は、0.5時間〜5時間程度の混合、撹拌処理により行うことが好ましい。界面活性剤、溶解助剤または固体担体を用いる場合、これらの組成物全量に対する添加量は、それぞれ0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜10重量%、および30重量%〜95重量%程度である。
【0125】
本発明に係る抗白癬菌剤組成物には、組成物の抗菌活性や安定性に影響を与えない範囲で、他の防菌防黴剤の他、賦形剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、pH調整剤、酸化防止剤、光安定化剤、消泡剤、着香剤、着色剤等の、一般的に製剤化に際して用いられる添加剤を添加することができる。
【0126】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、白癬菌に対して良好な抗菌活性を有する。白癬菌としては、体部白癬(たむし)、股部白癬(いんきん)、足白癬(水虫)、爪白癬(爪水虫)等の主な原因菌であるTrichophyton rubrumおよびTrichophyton mentagrophytes、頭部白癬(しらくも)、ケルズス禿瘡の主な原因菌であるTrichophyton verrucosumMicrosporum canis、近年10代の柔道やレスリング選手を中心に流行している白癬の原因菌であるTrichophyton tonsurans、土壌に寄生し、土いじりを好む小児への感染が見られるMicrosporum gypseum、ウシに寄生し、酪農業を営むヒトへの感染が報告されているTrichophyton verrucosum等、Trichophyton属およびMicrosporum属の真菌が挙げられる。
【0127】
本発明の抗白癬菌剤組成物において、プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上と、前記以外の抗菌性化合物を併用した場合、白癬菌に対する抗菌活性の向上が認められる。
【0128】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、白癬菌に対する抗菌活性に優れるため、白癬感染者と接触した場合や、衣類、家具、住居等に付着する等して環境中に存在する白癬菌と接触した場合に、白癬菌に感染するのを良好に防止することができる。従って、本発明の抗白癬菌剤組成物は、タオル、靴下、足袋、下着等の衣類、フトン、ベッドパッド等の寝具、靴、ブーツ、サンダル、ぞうり、スリッパ、インソール等の履物類、バスマット、カーペットなどの繊維・皮革製品;タイル、床材、壁材等の建材;その他家庭用の紙製品、プラスチック製品、ゴム製品など、種々の工業製品に対して使用することができる。また、本発明の抗白癬菌剤組成物を前記工業製品に添加し、もしくは前記工業製品を、本発明の抗白癬菌剤組成物により加工して、白癬菌に対する抗菌活性を付与することができる。
さらにまた、本発明の抗白癬菌剤組成物は、一般的な処方の消臭剤、除菌剤、洗浄剤等に添加することもでき、種々の接着剤や改質剤、コーティング剤等に添加することもできる。
【0129】
本発明の抗白癬菌剤組成物による工業製品の加工は、本発明の抗白癬菌剤組成物を原料に添加、混合もしくは混練した後、製品とする方法、本発明の抗白癬菌剤組成物を接着剤や改質剤に添加して、工業製品の加工、組み立て等を行う方法、本発明の抗白癬菌剤組成物を被覆材またはコーティング剤に添加して、工業製品表面を被覆する方法、本発明の抗白癬菌剤組成物を溶剤に溶解または分散し、製品原料または工業製品を浸漬して含浸させる方法等が挙げられる。また、本発明の抗白癬菌剤組成物を添加した消臭剤、除菌剤、洗浄剤等を噴霧または塗布する等によっても、行うことができる。
【0130】
本発明の抗白癬菌剤組成物は、剤形、添加または加工の対象となる工業製品の種類および材質、添加または加工方法等に応じて、添加量を適宜選択すればよいが、たとえば、液剤に添加して用いる場合には、該製剤1kgあたりに対し、プロクロラズ、フルシラゾール、その他の抗菌剤成分の総量として、通常5mg〜50,000mg、好ましくは、10mg〜10,000mg、成形品に混錬して使用する場合には、該製品1kgあたりに対し前記抗菌剤成分の総量として、通常5mg〜100,000mg、好ましくは、10mg〜50,000mg、工業製品の表面被覆、含浸に用いる場合には、該製品1kgあたりに対し前記抗菌剤成分の総量として、通常5mg〜50,000mg、好ましくは、10mg〜10,000mgを用いる。
【実施例】
【0131】
以下に本発明について実施例により詳細に説明する。
【0132】
[実施例1]
プロクロラズ標準品(N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]−1H−イミダゾール−1−カルボアミド98.0重量%含有、和光純薬工業株式会社製)を、10重量%となるようにメチルカルビトールに添加して、室温にて30分間撹拌混合し、溶液剤である抗白癬菌剤組成物を得た。
【0133】
[実施例2]
フルシラゾール標準品(メチルビス(4−フルオロフェニル)(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シラン98.0重量%含有、和光純薬工業株式会社製)を、10重量%となるようにメチルカルビトールに添加して、室温にて30分間撹拌混合し、溶液剤である抗白癬菌剤組成物を得た。
【0134】
[実施例3、4]
上記のプロクロラズおよびフルシラゾールのそれぞれについて、そのまま粉体状の抗白癬菌剤組成物とした。
【0135】
[抗白癬菌活性の評価]
実施例1〜4の各抗白癬菌剤組成物を、それぞれ滅菌精製水にて順次希釈(10倍、20倍、40倍、80倍、160倍、320倍、640倍、1,280倍、2,560倍、5,120倍、10,240倍)し、各希釈液の1.0mLをグルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)に添加して10.0mLとし、平板培地を調製した。前記平板培地上に、試験菌として白癬菌(Trichophyton mentagrophytes NBRC32409)1白金耳を接種し、28℃で3日間培養した。なお、対照として、グルコースブイヨン寒天培地(pH6.0)10.0mLにより調製した平板培地に白癬菌(Trichophyton mentagrophytes NBRC32409)を接種し、28℃で3日間培養した。
【0136】
培養後、各平板培地上における白癬菌の生育の状況を観察し、最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration;MIC)(ppm)を求め、表1に示した。
【0137】
【表1】

【0138】
表1において、プロクロラズおよびフルシラゾールは、白癬菌に対してそれぞれ低い濃度で抗菌活性を示すことが認められた。
【0139】
[実施例5〜34]
次に、プロクロラズまたはフルシラゾールと、イソチアゾリン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、ハロアセチレン系化合物、テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、キノロン系化合物、テトラサイクリン系抗生物質またはピリチオンの金属塩との併用についての実施例を示す。プロクロラズまたはフルシラゾールとしては、上記と同様に、それぞれN−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]−1H−イミダゾール−1−カルボアミドまたはメチルビス(4−フルオロフェニル)(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)シラン含有量が98重量%である和光純薬工業株式会社製の標準品を用いた。他の前記抗菌性化合物としては、表2に示すものを用いた。これら実施例は、表3、4に示す処方に従い、各抗菌性化合物をメチルカルビトールに溶解または混合して調製した。また、プロクロラズとフルシラゾールの併用についての実施例も、表3、4に併せて示した。
【0140】
【表2】

【0141】
【表3】

【0142】
【表4】

【0143】
上記実施例5〜34の抗白癬菌剤組成物について、実施例1〜4と同様に白癬菌に対するMICを求めた。各組成物についてのMIC値を、それらの剤形とともに表5に示した。
【0144】
【表5】

【0145】
表5より明らかなように、プロクロラズまたはフルシラゾールと他の抗菌性化合物を併用した場合や、プロクロラズとフルシラゾールを併用した場合においても、白癬菌に対して良好な抗菌活性が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によれば、白癬菌に対する抗菌活性に優れ、白癬菌感染者と接触した場合や、衣類、家具、住居等に付着する等して環境中に存在する白癬菌と接触した場合に、白癬菌に感染するのを良好に防止することのできる抗白癬菌剤組成物を提供することができる。従って、本発明の抗白癬菌剤組成物は、接着剤、消臭剤、除菌剤、洗浄剤、繊維・皮革製品、建材、紙製品、プラスチック製品、ゴム製品など、種々の工業製品に対して使用することができ、これらに、白癬菌に対する良好な抗菌活性を付与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する、抗白癬菌剤組成物。
【請求項2】
プロクロラズ、フルシラゾール、およびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上と、式(1)で示されるイソチアゾリン系化合物、式(2)で示されるベンゾイソチアゾリン系化合物、式(3)で示されるベンゾイミダゾール系化合物、式(4)で示されるハロアセチレン系化合物、式(5)で示されるテトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物、式(6)で示されるキノロン系化合物、およびそれらの塩、テトラサイクリン系抗生物質、ならびにピリチオンおよびその金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上を含有する、抗白癬菌剤組成物。
【化1】


[式中、Rは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【化2】


[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Yは水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【化3】


[式中、A環は置換されていてもよいベンゼン環を示し、Zは−NHCOOR(式中、Rは水素原子またはアルキル基を示す。)で示される基または置換されていてもよい5または6員の含窒素複素環基を示す。]
【化4】


[式中、Xはハロゲン原子を示し、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、mは0または1の整数を示す。]
【化5】


[式中、Y、Y、YおよびYは同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。]
【化6】


[式中、A環は置換されていてもよく、1個または2個の炭素原子が窒素原子に置換された複素環であってもよい6員の芳香族環を示し、RおよびRは同一または異なって、水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す。また、RはA環の置換基とともに環を形成していてもよい。]
【請求項3】
イソチアゾリン系化合物が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンよりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項4】
イソチアゾリン系化合物が、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンより選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項5】
ベンゾイソチアゾリン系化合物が、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびN−n−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンより選択される1種または2種である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項6】
ベンゾイミダゾール系化合物が、メチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンゾイミダゾールカルバメート、および2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾールよりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項7】
ハロアセチレン系化合物が、3−ヨード−2−プロピニル N−ブチルカルバメートである、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項8】
テトラヒドロチオフェンジオキシド系化合物が、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドである、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項9】
キノロン系化合物が、エノキサシン、トスフロキサシン、ノルフロキサシン、サラフロキサシン、ジフロキサシン、フレロキサシン、ロメフロキサシン、エンロフロキサシン、シプロフロキサシン、ガチフロキサシン、スパルフロキサシン、ダノフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、オルビフロキサシン、オキソリニック酸、ナディフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、パズフロキサシン、およびマルボフロキサシンよりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項10】
テトラサイクリン系抗生物質が、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンおよびそれらの塩よりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項11】
ピリチオンの金属塩が、ピリチオンのアルカリ金属塩およびピリチオンの2価の金属塩よりなる群から選択される1種または2種以上である、請求項2に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項12】
ピリチオンのアルカリ金属塩が、ナトリウムピリチオンである、請求項11に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項13】
ピリチオンの2価の金属塩が、亜鉛ピリチオンおよび銅ピリチオンよりなる群から選択される1種または2種である、請求項11に記載の抗白癬菌剤組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の抗白癬菌剤組成物を含有する、工業製品。

【公開番号】特開2012−153606(P2012−153606A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11339(P2011−11339)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】