説明

抗真菌性ペプチド模倣物

本発明は、抗真菌活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物を単独で含む化合物、ならびに抗真菌活性を有する他の薬剤と組み合わせて含む化合物に関する。本発明は、抗真菌剤(例えば、抗真菌薬)としての細胞周期G2チェックポイント抑止因子の使用を包含する。本発明の抗真菌化合物は、真菌の処理(例えば、酵母、カビ、粘菌を殺傷すること、またはこれらの増殖を阻害すること)に有用である。これらの化合物は、所望されない真菌の接触、混入、増殖、成長、または感染を有するか、またはこれらの危険がある任意の対象物または生物を処置するために使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2003年4月7日に出願された、出願番号60/461,109(本明細書中に参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、抗真菌性活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物を単独でを含む化合物、ならびに、抗真菌活性を有する他の薬剤を組み合わせて含む化合物に関する。本発明は、抗真菌医薬のような、抗真菌剤としての、細胞周期G2チェックポイント抑止剤(abrogator)の使用を含む。
【背景技術】
【0003】
(背景)
細胞周期は、S期(DNA複製)、M期(有糸分裂)、およびS期とM期との間の2つのギャップ期(G1期およびG2期)を含む。細胞周期におけるチェックポイントは、例えば、DNAの完全性、DNA複製、細胞の大きさおよび周囲の環境のモニタリングの、正確な進行を保証する(Maller,J.L.Curr.Opin.Cell Biol.,3:26(1991))。ゲノムの完全性を維持することは多細胞生物に特に重要であり、ゲノムの状態をモニターする複数のチェックポイントが存在する。これらの中でもとりわけ重要なのが、それぞれ、DNAの複製および有糸分裂の前に存在する、G1チェックポイントおよびG2チェックポイントである。多細胞生物がS期に入る前にDNA損傷を補正することが重要である。なぜならば、一旦損傷を受けたDNAが複製されると、これは、しばしば、変異を生じるからである(Hartwell,L.Cell,71:543(1992))。広範なDNA損傷を修復することなくG1チェックポイントおよびG2チェックポイントを進行することは、アポトーシスおよび/またはカタストロフィーを誘導する。
【0004】
大部分の癌細胞は、G1チェックポイント関連タンパク質(例えば、p53、Rb、MDM−2、p16INK4およびp19ARF)に異常を有する(Levine,A.J.Cell,88:323(1997))。抑止されたG1チェックポイントは、癌細胞のより高い変異率および癌細胞において観察される多くの変異に寄与する。結果として、大部分の癌細胞は、広範なDNA損傷に対して生存するために、G2チェックポイントに依存している(O’ConnorおよびFan,Prog.Cell Cycle Res.,2:165(1996))。この状態は、厳密な細胞周期G1チェックポイントを有さず、厳密なG2チェックポイントを有する酵母および真菌のような単細胞生物と同様である。単細胞生物は、その1つが、有利な変異を獲得することによって、環境の変化に適合することができさえすれば、1つの種として生存し得る。特にDNA損傷に対するG1チェックポイントにおける低いストリンジェンシーは、都合のよい変異を獲得するのに有利である。
【0005】
DNA損傷後の細胞周期G2停止を促進する機構は、酵母からヒトにわたる種の間で保存されていると考えられている。損傷を受けたDNAの存在下で、Cdc2/サイクリンBキナーゼは不活性なままである。これは、Cdc2キナーゼ上のスレオニン−14残基およびチロシン−15残基の抑制性のリン酸化、またはサイクリンBのタンパク質レベルが減少するからである。有糸分裂が開始すると、二つの部分からなるホスファターゼCdc25がこれらの抑制性ホスフェートを取り除き、それによって、Cdc2/サイクリンBキナーゼを活性化する。Cdc2/サイクリンBの活性化は、M基の開始に相当する。
【0006】
分裂酵母において、損傷を受けたDNAに応答する細胞周期の停止に、プロテインキナーゼChk1が必要とされている。Chk1キナーゼは、いくつかのrad遺伝子産物(rad3(ヒトATMのオルソログ)を含む)の下流で作用し、DNA損傷の際のリン酸化により修飾される。発芽酵母のキナーゼRad53および分裂酵母のCds1は、複製されていないDNAからシグナルを伝導することが知られている。Chk1とCds1との間にいくらかの重複性が存在するようであり、これは、Chk1およびCds1の両方の排除が、損傷を受けたDNAにより誘導されたG2停止の崩壊に至るからである。Chk1およびcds1の両方がCdc25をリン酸化し、Rad24(ヒト14−3−3のオルソログ)のCdc25への結合を促進し、これが、Cdc25をサイトゾルから隔離し、Cdc2/サイクリンBの活性化を防ぐ。Cdc25は、これらのキナーゼの標的であるようである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
本発明は、抗真菌化合物(ペプチドおよびペプチド模倣物を含む)、およびこの抗真菌化合物の使用方法を提供する。本発明の抗真菌化合物は、真菌の処理(例えば、酵母、カビ、粘菌を殺傷すること、またはこれらの増殖を阻害すること)に有用である。これらの化合物は、所望されない真菌の接触、混入、増殖、成長、または感染を有するか、またはこれらの危険がある任意の対象物または生物を処置するために使用され得る。例えば、この化合物は、真菌の増殖または真菌感染を有するか、またはこれらの危険がある、ヒトのような哺乳動物を含む被験体を処置するために使用され得る。
【0008】
本発明の化合物は、抗真菌処置および他の処置方法を含む、他の処置または薬剤と組み合せられ得る。抗真菌処置の特定の非限定的な例としては、例えば、抗真菌剤または核酸損傷処置が挙げられる。本発明の組成物および抗真菌剤を含む併用組成物は、真菌の接触、混入、増殖、繁殖または感染を減少、低下、または阻害するために使用され得る。従って、本発明の化合物は、本明細書中に示される方法に従って、単独でか、または他の抗真菌処置と組み合せて使用され得る。
【0009】
従って、本発明は、真菌感染または真菌増殖を阻害または減少する方法を提供する。一実施形態において、方法は、真菌感染または真菌増殖を阻害または減少するのに充分な量のペプチドまたはペプチド模倣配列と、真菌、または真菌と接触している対象物とを接触させる工程を包含する。
【0010】
本発明はさらに、対象物または生物の真菌混入を阻害または減少する方法を提供する。一実施形態において、方法は、対象物の真菌混入を阻害または減少するのに充分な量のペプチドまたはペプチド模倣配列を含む化合物と、この対象物または生物とを接触させる工程を包含する。
【0011】
本発明はまた、真菌増殖または真菌感染を処置する方法を提供する。一実施形態において、方法は、真菌増殖または真菌感染を処置するのに充分な量のペプチドまたはペプチド模倣配列を含む化合物を、真菌増殖または真菌感染を有するか、またはこれらを有する危険がある被験体に投与する工程を包含する。
【0012】
本発明はさらに、真菌の増殖、混入または感染を有するか、またはこれらを有する危険がある植物、植物の一部、または種子の、真菌の増殖、混入または感染を処置する方法を提供する。一実施形態において、方法は、真菌の増殖、混入または感染を処置するのに充分な量のぺプチドまたはペプチド模倣配列と、真菌の増殖、混入または感染を有するか、またはこれらを有する危険がある植物、植物の一部または種子とを接触させる工程を包含する。
【0013】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣配列は、以下に規定される配列と、90%以上の同一性を有する配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6またはP6,P5,P4,P3,P2,P1;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、または、P3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpもしくはl−TrpがP4における一例である)である場合とほぼ同じ距離であり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNOであるか、任意のアミノ酸、およびd−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)であるか、任意のアミノ酸+d−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であるか、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。
【0014】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣配列はさらに、以下に規定される配列と90%以上の同一性を有する配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6またはP6,P5,P4,P3,P2,P1;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpもしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNOであるか、任意のアミノ酸+d−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)であるか、任意のアミノ酸+d−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であるか、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。
【0015】
種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−11−アミノウンデカン酸もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−10−アミノデカン酸もしくはl−10−アミノデカン酸、d−9−アミノノナン酸もしくはl−9−アミノノナン酸、d−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−7−アミノヘプタン酸もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−6−アミノカプロン酸もしくはl−6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である。
【0016】
本発明の局面は、ペプチドおよびペプチド模倣物と、抗真菌処置または抗真菌剤との併用組成物を含む。一局面において、抗真菌処置または抗真菌剤は、核酸損傷剤または核酸損傷処置である。特に、ペプチドまたはペプチド模倣物は、被験体または他の生物もしくは対象物への投与または送達のために、核酸損傷剤、核酸損傷処置、抗真菌剤、または抗真菌処置と組み合わせられ得る。
【0017】
本発明のさらなる局面は、ペプチドおよびペプチド模倣物と、抗炎症性および抗菌性の処置または薬剤との併用組成物を含む。特に、ペプチドまたはペプチド模倣物は、被験体または他の生物もしくは対象物への投与または送達のために、抗炎症性または抗菌性の処置または薬剤と組み合わせられ得る。
【0018】
薬剤および処置としては、化学療法薬のような薬物、または抗真菌活性または抗真菌機能を有する薬物が挙げられる。薬剤および処置としては、全身用薬物、ならびに限局性薬物または局所薬物が挙げられる。
【0019】
薬物の特定の例は、以下を含む化合物分類に入るものである:アリルアミン、アゾール類、ポリエン類(polyense)、ポリミジン類、テトラエン類、チオカルバメート類、スルホンアミド類、グルカン合成インヒビターおよび安息香酸化合物。このような薬物の特定の例としては、以下が挙げられる:アムロルフィン(amrolfine)、ブテナフィン(butenafine)、ナフチフィン、テルビナフィン(terbinafine)、ケトコナゾール、フルコナゾール(fluconazole)、エルビオール(elubiol)、エコナゾール、エコナキソール(econaxole)、イトラコナゾール(itraconazole)、イソコナゾール、イミダゾール、ミコナゾール、スルコナゾール(sulconazole)、クロトリマゾール、エニルコナゾール(enilconazole)、オキシコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール(terconazole)、ブトコナゾール、チアベンダゾール、ボリコナゾール(voriconazole)、サペルコナゾール(saperconazole)、セルタコナゾール(sertaconazole)、フェンチコナゾール(fenticonazole)、ポサコナゾール(posaconazole)、ビフォナゾール(bifonazole)、フルトリマゾール(flutrimazole)、ナイスタチン、ピマリシン、アムホテリシンB、フルシトシン、ナタミシン(natamycin)、トルナフテート、マフェナイド、ダプソン、カスポフンジン(caspofungin)、アクロフニコン(actofunicone)、グリセオフルビン、ヨウ化カリウム、ゲンチアナバイオレット(Gentian Violet)、シクロピロックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン(haloprogin)、ウンデシレン酸塩(undecylenate)、スルファジアジン銀、ウンデシレン酸(undecylenic acid)、ウンデシレン酸アルカノールアミド(undecylenic alkanolamide)、Carbol−Fuchsin、およびこれらのプロドラッグ。このような薬物のさらなる例としては以下が挙げられる:5−フルオロウラシル(5−FU)、レベッカマイシン(rebeccamycin)、アドリアマイシン(ADR)、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン(pepleomycin)、シスプラチン誘導体、カンプトテシン(CPT)およびこれらのプロドラッグ。
【0020】
真菌は、対象物または生物(例えば、ヒト被験体または植物)の中またはその上に存在し得る。上記対象物は、生存していなくてもよい。この対象物は、無機物質であっても有機物質であってもよい。真菌または対象物は、環境中、居住環境、商業環境、産業環境もしくは共同体(community)環境、または、農業環境もしくは園芸環境に存在し得る。上記生物は、単細胞であっても多細胞であってもよい。この細胞は、培養細胞であっても、インビボもしくはエキソビボの細胞であってもよい。
【0021】
真菌としては、酵母、カビまたは粘菌が挙げられる。特定の酵母属としては、カンジダ属(Candida)およびサッカロミセス属(Saccharomyces)が挙げられる。特定の酵母としては、皮膚糸状菌、Coccidioides immitis、Histoplasma capsulatum、Candida albicansおよびAspergillus fumigatusが挙げられる。
【0022】
真菌増殖または真菌感染は、被験体上に存在し得る。真菌の増殖、感染、接触または混入の領域としては、例えば、皮膚、足指、爪、毛または粘膜組織が挙げられる。真菌の増殖、混入または感染に供される粘膜組織の例としては、例えば、胃腸管、口、肺、気管支経路、鼻腔経路、および副鼻腔、尿生殖路および膣が挙げられる。
【0023】
本発明の組成物および方法は、局所投与、限局投与または全身投与され得る。本発明の組成物は、真菌の接触、混入、増殖または感染の前、実質的に同時、または後に投与され得る。本発明の組成物は、皮膚、足指、爪、毛または粘膜組織に投与され得る。
【0024】
真菌増殖または真菌感染は、種々の疾患または症状を生じ得る。特定の例としては、以下が挙げられる:爪真菌症;たむし、または汗疱状白癬;パラコクシジオイドミコーシス;ブラストミセス症;ムコール症;クリプトコックス症;コクシジオイデス真菌症;ヒストプラスマ症;カンジダ症;およびアスペルギルス症。
【0025】
組成物および処置方法は、真菌の増殖、混入、生存度または感染の減少、低下、または阻害を生じ得る。組成物および処置方法は、真菌の増殖、混入または感染の感受性または再発の減少を生じ得る。組成物および処置方法は、真菌の増殖、混入または感染の悪化または進行の阻害を生じ得る。
【0026】
本発明の組成物および方法は、処置される被験体の状態の改善をもたらし得る。改善としては、例えば、刺激、かゆみ(itching)、炎症、焼灼感、蕁麻疹、湿潤(weeping)、掻痒(pruritus)、過剰分泌(excess discharge)、退色、頭痛および疲労の減少;真菌増殖または真菌感染の感受性または再発の減少;ならびに被験体の状態の悪化または進行の阻害が挙げられる。
【0027】
処置が、植物、植物の一部または種子に対するものである場合、接触は、局所的、限局的または全体的であり得る。植物、植物の一部または種子に対する処置は、真菌の増殖、混入または感染の、前に、実質的に同時に、または後に、上記配列に接触させる工程を包含する。植物、植物の一部または種子は、環境、産業環境、共同体環境、住居環境、商業環境または農業環境もしくは園芸環境に存在し得る。
【0028】
真菌の増殖、混入または感染の例としては、黒斑病、炭疽病(glomerella)。晩腐病(ripe spot)、煤斑病(sooty blotch)、セプトリア斑点病(leaf spot)、セルコスポラ斑点病、さび病、べと病、褐色腐敗病(brown rot)、葉腐病(brown patch)、黒穂病(a smut)、イボ症(verrucosisl)、枝枯れ病(dead arm disease)、マイコスフェレラ斑点病、バラ黒点病(black spot (roses))、花枯れ病(flower blight)、セプトリア葉枯れ病(leaf blight)、輪紋病および疫病(early and late blight)、葉かび病(leaf mould)、黒痘病(anthracnose)、輪紋病(ring spot)、ダラースポット病(dollar spot)、煤紋病(northern leaf blight)、アルタナリア斑点病(alternaria)およびリースポラ斑点病(leaspora spot)が挙げられる。
【0029】
植物、樹木、低木などに関する組成物および方法と組み合わせられ得るか、または組み合せて使用され得る薬剤および処置の特定の例としては、バナーマックス(Banner Maxx)、コンパスクリアリーズ(Compass Cleary’s)、ファンジネクス(Funginex)、イムノックス(Immunox)、ダイセン、イーグル(Eagle)、フォア(Fore)、シスサン(Systhane)、トップジン、カプタン(captan)、チラム、カルボキシン、メフェノザン(mefenozan)、PCNB、フルジオキソニル、チアベンダゾール、銅ベースの殺真菌剤(例えば、オキシ塩化銅)、硫黄化合物、柑橘類油およびBacillus subtilisが挙げられる。
【0030】
本発明はさらに、抗真菌活性を有する化合物(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)を同定およびスクリーニングするための方法を提供する。一実施形態において、上記方法は、G2チェックポイントを抑止または阻害する化合物を真菌に接触させる工程;上記真菌を上記化合物と共にインキュベートする工程;および上記真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程を包含する。上記化合物の存在下での上記真菌の生存度、増殖または繁殖の減少により、上記化合物が抗真菌活性を有するものとして同定される。別の実施形態において、方法は、G2チェックポイントを抑止または阻害する化合物を真菌に接触させる工程;上記真菌を上記化合物と共にインキュベートする工程;および上記真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
(詳細な説明)
本発明は、真菌の接触、混入、増殖、繁殖もしくは感染、ならびに、真菌の接触、混入、増殖、繁殖もしくは感染と関連するか、またはこれらにより引き起こされる障害または状態を処置するのに有用な化合物を提供する。従って、抗真菌活性または抗真菌機能を有するペプチドおよびペプチド模倣物を含む化合物、ならびに、真菌の接触、混入、増殖、繁殖もしくは感染を処置、減少もしくは阻害するため、真菌の接触、混入、増殖、繁殖もしくは感染への感受性もしくは再発を減少または低下させるための化合物の使用方法が提供される。いずれの理論にも束縛されることは望ましくないが、ペプチドおよびペプチド模倣物を含む本発明の化合物の、酵母および他の真菌の真菌接触、混入、増殖、繁殖または感染を阻害する能力は、細胞周期G2チェックポイントの抑止に少なくとも部分的に起因するようである。
【0032】
一実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む連続したペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6またはP6,P5,P4,P3,P2,P1;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpもしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、任意のアミノ酸+d−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸+d−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−11−アミノウンデカン酸もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−10−アミノデカン酸もしくはl−10−アミノデカン酸、d−9−アミノノナン酸もしくはl−9−アミノノナン酸、d−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−7−アミノヘプタン酸もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−6−アミノカプロン酸もしくはl−6−アミノカプロン酸、または1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である。
【0033】
別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む、連続するペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6;P6,P5,P4,P3,P2,P1;P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P1,P2,P3,P4,P5,P6,P12,P11,P10,P9,P8,P7;P6,P5,P4,P3,P2,P1,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P6,P5,P4,P3,P2,P1,P12,P11,P10,P9,P8,P7;P7,P8,P9,P10,P11,P12,P1,P2,P3,P4,P5,P6;P7,P8,P9,P10,P11,P12,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P1,P2,P3,P4,P5,P6;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P6,P9,P8,P7,P2,P1;P12,P11,P10,P6,P9,P4,P7,P2,P1;P1,P2,P7,P8,P9,P6,P11,P12;またはP1,P2,P7,P4,P9,P6,P10,P11,P12;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、または、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、または、P3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpもしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、任意のアミノ酸+d−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸+d−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)であり、そしてP7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−11−アミノウンデカン酸もしくはl−11−アミノウンデカン酸、d−10−アミノデカン酸もしくはl−10−アミノデカン酸、d−9−アミノノナン酸もしくはl−9−アミノノナン酸、d−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸、d−7−アミノヘプタン酸もしくはl−7−アミノヘプタン酸、d−6−アミノカプロン酸もしくはl−6−アミノカプロン酸、または、1つ以上の不飽和炭素結合を有する類似の構造である。
【0034】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む連続したペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P10,P6,P9,P4,P7,P2,P1;またはP1,P2,P7,P4,P9,P6,P10,P11,P12;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基もしくはキナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、類似する側鎖空間を占めるアミノ酸(例えば、d−Tyrもしくはl−Tyr、d−Pheもしくはl−Phe)、あるいは、側鎖中に、1つまたは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を有する任意のアミノ酸であり;P3、P4、P5は任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5の1つ以上は単純な炭素鎖であり、その結果、P2とP6との間の距離は、P3、P4、P5の各々がアミノ酸(d−Trpもしくはl−Trpが、P4における一例である)である場合の距離とほぼ同じであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、任意のアミノ酸+d−Tyrもしくはl−Tyr(例えば、d−Ser−d−Tyr)、任意のアミノ酸+d−Pheもしくはl−Phe(例えば、d−Ser−d−Phe)、任意のアミノ酸であるか、または存在せず;そして、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、塩基性アミノ酸であり、そして残りは任意のアミノ酸であるか、または存在しない。種々の局面において、単純な炭素鎖を有するアミノ酸は、d−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸またはd−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸である。
【0035】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む連続したペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6またはP6,P5,P4,P3,P2,P1;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheであり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheであり;P3は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、d−システインもしくはl−システイン、d−プロリンもしくはl−プロリン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンであり;P4は、d−トリプトファンもしくはl−トリプトファンであり、そしてP5は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンであるか;あるいは、P3、P4、P5は、単一のd−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸、または単一のd−もしくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)または(d−Ser−d−Phe)である。
【0036】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む連続したペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P1,P2,P3,P4,P5,P6,P12,P11,P10,P9,P8,P7;P6,P5,P4,P3,P2,P1,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P6,P5,P4,P3,P2,P1,P12,P11,P10,P9,P8,P7;P7,P8,P9,P10,P11,P12,P1,P2,P3,P4,P5,P6;P7,P8,P9,P10,P11,P12,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P1,P2,P3,P4,P5,P6;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P6,P9,P8,P7,P2,P1);P12,P11,P10,P6,P9,P4,P7,P2,P1;P1,P2,P7,P8,P9,P6,P11,P12;またはP1,P2,P7,P4,P9,P6,P10,P11,P12;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheであり;P2は、d−Chaもしくはl−Cha、d−Nal(2)もしくはl−Nal(2)、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−Pheもしくはl−PheNO、d−Tyrもしくはl−Tyr、またはd−Pheもしくはl−Pheであり;P3は、d−もしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、d−システインもしくはl−システイン、d−プロリンもしくはl−プロリン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンであり;P4は、d−トリプトファンもしくはl−トリプトファンであり;P5は、d−セリンもしくはl−セリン、d−アルギニンもしくはl−アルギニン、またはd−アスパラギンもしくはl−アスパラギンであるか;あるいは、P3、P4、P5は単一のd−アミノウンデカン酸もしくはl−アミノウンデカン酸、または単一のd−8−アミノカプリル酸もしくはl−8−アミノカプリル酸であり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−Ser−d−Tyr)、または(d−Ser−d−Phe)であり;そして、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つはd−Argもしくはl−Argまたはd−Lysもしくはl−Lysであり、残りは、任意のアミノ酸であるか、または存在しない。
【0037】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む連続したペプチドまたはペプチド模倣配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8,P9,P10,P11,P12;P12,P11,P10,P9,P8,P7,P6,P5,P4,P3,P2,P1;P12,P11,P10,P6,P9,P4,P7,P2,P1;またはP1,P2,P7,P4,P9,P6,P10,P11,P12;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Cha、またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)であり;P2は、d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)であり;そして、P7、P8、P9、P10、P11、P12の少なくとも3つは、d−もしくはl−Argであり、残りは任意のアミノ酸であるか、または存在せず;P3は、d−もしくはl−セリンであり;P4は、d−もしくはl−トリプトファンであり;P5は、d−もしくはl−セリン、またはd−もしくはl−アスパラギンであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa、d−PheNOもしくはl−PheNO、(d−もしくはl−Ser、またはd−Tyrもしくはl−Tyr)、または(d−もしくはl−Ser、またはd−Pheもしくはl−Phe)である。
【0038】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:P1,P2,P3,P4,P5,P6またはP6,P5,P4,P3,P2,P1;ここで、P1は、d−Chaまたはl−Chaであるか、あるいはd−Nal(2)またはl−Nal(2)であり;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−Fもしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d− Phe−3,4,5Fもしくはl−Phe−3,4,5F)または(d−Phe−4CF3もしくはl−Phe−4CF3)であり;P3は、d−Serまたはl−Serであり;P4は、d−Trpまたはl−Trpであり;P5は、d−Serまたはl−Serであり;P6は、d−Bpaもしくは1−Bpa、または(d−Serもしくはl−Serまたはd−Tyrもしくはl−Tyr)である。
【0039】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:
【0040】
【化1】

;ここで、P1は、d−Chaもしくは1−Chaであるか,またはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−Fもしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)、(d−Phe−3,4,5Fもしくはl−Phe−3,4,5F)または(d−Phe−4CF3もしくはl−Phe−4CF3)であり;P3は、任意のアミノ酸(例えば、d−Serもしくはl−Ser、またはd−Proもしくはl−Pro)であり;P4は、d−Trpもしくはl−Trpであり;P5は、任意のアミノ酸(例えば、d−Serもしくはl−Ser)であり;P7は、d−Argまたはl−Argであり;P8は、d−Argまたはl−Argであり;P9は、d−Argまたはl−Argであり;P10は、d−Glnまたはl−Glnまたはd−Argもしくはl−Argであり;P11は、d−Argまたはl−Argであり;P12は、d−Argまたはl−Argであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpaまたは(d−Serもしくはl−Serまたはd−Tyrもしくはl−Tyr)である。
【0041】
なお別の実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:
【0042】
【化2】

;ここで、P1は、d−Chaもしくはl−Chaまたはd−Nal(2)もしくはl−Nal(2)であり;P2は、(d−Phe−2,3,4,5,6−Fもしくはl−Phe−2,3,4,5,6−F)であり;P3は、d−Serまたはl−Serであり;P4は、d−Trpまたはl−Trpであり;P5は、d−Serまたはl−Serであり;P7は、d−Argまたはl−Argであり;P8は、d−Argまたはl−Argであり;P9は、d−Argまたはl−Argであり;P10は、d−Glnもしくはl−Glnまたはd−Argもしくはl−Argであり;P11は、d−Argまたはl−Argであり;P12は、d−Argまたはl−Argであり;P6は、d−Bpaもしくはl−Bpaまたは(d−Serもしくはl−Serまたはd−Tyrもしくはl−Tyr)である。
【0043】
なおさらなる実施形態において。本発明の化合物は、以下の構造を含む隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:
【0044】
【化3】



【0045】
なおさらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の構造を含む隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:(d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe−2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg)。
【0046】
さらなる実施形態において、本発明の化合物は、以下の隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:X、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11、ここで、Xは、L、F、W、M、R、I、V、Y、K、であるか、もしくは存在せず、Xは、Y、F、A、W、SまたはTであり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、S、A、N、HもしくはPであり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であり、Xは、任意のアミノ酸であるか、もしくは存在せず、X10は、N、G、L、S、M、P、N、Aであるか、もしくは存在せず、そしてX11は、Lであるか、もしくは存在しない。多様な局面において、Xは、L、F、W、M、Rであるか、もしくは存在せず、またはXは、L、FもしくはWであり、;Xは、Y、F、Aであり;Xは、R、T、S、H、D、G、A、L、K、A、N、QもしくはPであるか、Xは、R、T、S、H、D、G、AもしくはLであるか、またはXは、R、T、SもしくはHであり;Xは、S、T、G、A、L、R、I、M、V、Pであるか、または、Xは、S、T、G、A、L、Rであるか、またはXは、Sであり;Xは、P、A、G、SもしくはTであるか、またはXは、Pであり;Xは、S、N、H、P、A、GもしくはTであるか、Xは、S、NもしくはHであるか、Xは、Sであり;Xは、M、F、Y、D、E、N、Q、H、G、I、L、V、A、P、NもしくはWであるか、またはXは、M、F、Y、D、E、N、QもしくはHであるか、またはXは、M、F、Y、QもしくはHであり;Xは、P、F、Y、W、L、G、M、D、E、N、Q、H、I、V、AもしくはPであるか、またはXは、P、F、YもしくはWであるか、またはXは、Yであり、Xは、E、G、L、S、M、P、N、D、A、T、Pであるか、もしくは存在せず、そしてX10は、存在せず;X11は、存在しない。なおさらなる実施形態において、Xは、Yであり、Xは、Pであり、そしてX10は、Nであり;Xは、Rであり、Xは、Pであり、そしてX11は、Lであり;そしてXは、Sであり、Xは、Pであり、Xは、Sであり、Xは、Eであり、X10は、Nであり、そしてX11は、Lである。
【0047】
代替の実施形態において、本発明の化合物は、隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:
【0048】
【化4】



【0049】
代替の実施形態において、本発明の化合物は、隣接するペプチド配列またはペプチド模倣物配列を含む:
【0050】
【化5】



【0051】
本発明の化合物は、必要に応じて細胞膜浸透剤を含む。この細胞膜浸透剤は、TATタンパク質変換ドメインのようなポリペプチド(例えば、配列YGRKKRRQRRR(配列番号115))を含み得る。
【0052】
本発明の化合物は、プロドラッグを含む。本明細書において使用される場合、「プロ後ラッグ」は、活性化形態(例えば、インビボで、抗真菌活性または機能を有するペプチド模倣物のペプチド)に代謝されるか、転換されるか、または修飾される化合物である。プロドラッグは、しばしば有用である。なぜなら、プロドラッグは、親薬物よりも容易に投与され得るか、または親薬物と比較して増加したバイオアベイラビリティーまたは可溶性を示し得るからである。プロドラッグの特定の非限定的な例は、本発明のペプチドまたはペプチド模倣物にアミノ末端基またはカルボキシ末端基を介して結合されるポリペプチドである。このポリペプチドは、活性ペプチドまたはペプチド模倣物を放出するように、インビボで加水分解するか、または代謝される。従って、本発明の化合物および方法には、このペプチドまたはペプチド模倣物の活性形態にインビボで代謝、転換または修飾されるペプチドまたはペプチド模倣物のプロドラッグが含まれる。
【0053】
本発明の化合物は、抗真菌機能またはG2抑止活性もしくはG2阻害活性を有する。本明細書中で使用される場合、用語「抗真菌活性」および「抗真菌機能」は、インビトロ、エキソビボ、インビボ、環境、農業環境もしくは園芸環境、または商業環境、産業環境、居住環境もしくは共同体環境における、真菌の接触、混入、成長、生存度、増殖または感染の、任意の検出可能または測定可能な低減、減少もしくは抑制を意味する。殺真菌剤である化合物は、真菌を典型的に殺傷し、そして静真菌剤である化合物は、成長、生存度または増殖を典型的に低減または抑制する。
【0054】
真菌の接触、混入、成長、生存度、増殖または感染の減少、低減もしくは抑制は、真菌の混入、成長、生存度もしくは感染の量を減らし得るか;あるいは、真菌の接触、成長、混入、感染もしくは増殖と関連する、急性または慢性の症状、状態もしくは障害を予防するかまたはそれらの進行もしくは悪化を抑制し得る。例えば、動物において、真菌感染に関連するか、または真菌感染によって引き起こされる、低減または抑制され得る1つ以上の症状または状態としては、刺激、かゆみ(itching)、炎症、焼灼感、蕁麻疹、湿潤(weeping)、掻痒(pruritus)、過剰な分泌物(excess discharge)、退色(discoloration)、頭痛および疲労が挙げられる。この環境、あるいは農業環境、園芸環境、産業環境、共同体環境もしくは居住環境において、真菌の接触、混入、成長、生存度、増殖または感染の低減、減少または抑制は、真菌の接触、混入、成長または増殖の量を減らし得る。
【0055】
抗真菌活性および抗真菌機能は、真菌の接触、混入、成長、生存度、増殖もしくは感染に対する感受性の低減もしくは減少、または真菌の接触、混入、成長もしくは感染の再発の低減もしくは減少を含み得る。抗真菌活性および抗真菌機能は、この環境であろうと、産業環境、商業環境、居住環境、共同体環境または農業環境もしくは園芸環境であろうと、真菌の混入、成長もしくは感染に対して感受性の、任意の生きた生物もしくは生きていない対象物(例えば、ヒト被験体もしくは脊椎動物被験体のような哺乳動物)においてか、あるいは無機物質もしくは有機物質(例えば、生きているかもしくは死んでいる有機物、生体液、細胞、器官もしくは組織、または任意の植物、木、潅木、または園芸品もしくは農業製品(例えば、花、草、木材、ナッツ、農産物、穀類など))において生じ得る。
【0056】
本明細書において使用される場合、用語「対象物」は、一般的に、生きていないか、もしくは以前は生きていた物理的実体をいう。対象物は、有機物質または無機物質、またはそれらの組み合わせから構成され得る。生きていない生物は、本明細書で使用される場合、用語「物質」の意味の範囲内である。真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染に影響を受けやすい対象物としては、機械類、機械、装置、デバイス、道具、設備(例えば、食品加工用)、コンテナ、包装材料、表面が挙げられる。対象物としては、医院および病院のような保健医療施設に見られる医療材料がさらに挙げられる。真菌の接触、混入、成長、増殖および感染に影響を受けやすい対象物としては、さらに、例えば、布、皮、靴、ソックス、手袋、帽子、カーペットおよびラグ、花、木材、ウォールボードならびに家庭の埃が挙げられる。本質的に有機物質から作られるものは、真菌の接触、混入、成長、増幅および感染に対して影響を受けやすい。
【0057】
用語「真菌」およびそれらの文法的なバリエーションは、真菌界内の任意の生物を意味する。具体的な例としては、酵母、カビ、粘菌、マッシュルームおよび地衣が挙げられる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「G2」および「G2/M」は、細胞周期G2期からM期へのチェックポイントをいう。用語「G2抑止」活性および「G2阻害」活性は、細胞周期のG2チェックポイントが混乱されて、その結果、細胞がG2チェックポイントなしでM期に進行するか、またはG2チェックポイントが、細胞が通常G2期に存在する時間と比較して短期間になることをいう。従って、例えば、G2チェックポイントを抑止または阻害するペプチドまたはペプチド模倣物は、G2期からM期への移行を促進させる。この移行の促進は、細胞がM期に入る前または後に、順々に、細胞死を誘導または刺激し得る。G2チェックポイントを抑止または阻害する化合物は、細胞がG2チェックポイントにある時間を、検出可能または測定可能に減少させる任意の化合物をいう。
【0059】
本明細書において、用語「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」は、交換可能に使用され、アミド結合または非アミドの等価物によって共有結合された2つ以上のアミノ酸をいう。本発明のペプチドは、任意の長さであり得る。このペプチドは、例えば、約5〜100またはそれ以上の残基、例えば、5〜12、12〜15、15〜18、18〜25、25〜50、50〜75、75〜100、またはそれ以上の長さを有し得る。わずか5残基のペプチドは、活性を有する。例えば、(Bpa)(X)(Trp)(X)(Bpa)は、(Bpa)(X)(Trp)(X)(PheF5)(Cha)とほとんど同じ活性を有する。本発明のペプチドは、l−異性体およびd−異性体、ならびにl−異性体とd−異性体との組み合わせを含む。このペプチドは、タンパク質の転写後プロセシングに関係する典型的な修飾、例えば、環化(例えば、ジスルフィド結合またはアミド結合)、リン酸化、グリコシル化、カルボキシル化、ユビキチン化、ミリスチル化または脂質化を含み得る。
【0060】
本明細書において開示されるペプチドは、アミノ酸構造および機能的アナログ(例えば、模倣物が1つ以上の機能もしくは活性(例えば、抗真菌活性)を有する限り、合成もしくは非天然アミノ酸のアミノ酸もしくはアナログを有するペプチド模倣物)を有する化合物をさらに含む。従って、本発明の化合物は、「模倣物」形態および「ペプチド模倣物」形態を含む。
【0061】
本明細書において使用される場合、「模倣物」および「ペプチド模倣物」は、合成化合物をいい、本発明のペプチドと実質的に同じ構造的特徴および/または機能的特徴を有する。模倣物は、合成アナログ、非天然アミノ酸アナログから完全に構成され得るか、または1つ以上の天然ペプチドアミノ酸および1つ以上の非天然アミノ酸アナログを含むキメラ分子であり得る。模倣物はまた、このような置換が、模倣物の活性を破壊しない限り、任意の数の天然のアミノ酸保存的置換を組み込み得る。日常的な試験は、模倣物が必要な活性を有するか否か(例えば、検出可能な抗真菌活性を有すること)を決定するために使用され得る。句「実質的に同じ」は、模倣物またはペプチド模倣物を参照して使用される場合、模倣物またはペプチド模倣物が、参照分子の1つ以上の活性または機能(例えば、抗真菌活性)を有することを意味する。
【0062】
ペプチド模倣物組成物は、非天然構造的成分の任意の組み合わせを含み得、これは、代表的に以下の3つの構造群からなる:a)天然アミノ結合(「ペプチド結合」)連結以外の残基連結基;b)天然に生じるアミノ酸残基に代わる非天然残基;あるいはc)二次構造模倣物を誘導または安定化する残基、すなわち、二次構造(例えば、βターン、γターン、βシート、αヘリックスのコンフォメーションなどを誘導する残基。例えば、ポリペプチドは、残基の1つ以上が、アミド結合以外の化学的手段によって結合された連結された場合に模倣物として特徴付けされ得る。個々のペプチド模倣物残基は、アミド結合、非天然の化学結合および非アミド化学結合、他の化学結合またはカップリング手段(例えば、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、二官能性マレイミド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)によって連結され得る。アミド結合に代わる連結基としては、例えば、ケトメチレン(例えば、−C(=O)−NH−に代わるC(=O)−CH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、もしくはエステル(例えば、Spatola(1983)Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides and Proteins、Vol.7、pp267−357、「Peptide and Backbone Modifications」、Marcel Decker,NYを参照のこと)。
【0063】
考察されるように、ペプチドは、天然に存在するアミノ酸残基の代わりに1つ以上の非天然残基を含むことにより模倣物として特徴付けられ得る。非天然の残基は、当該分野において公知である。天然のアミノ酸残基の模倣物として有用な、非天然残基の特定の非限定的な例は、芳香族アミノ酸の模倣物であり、これらとしては、例えば、以下が挙げられる:D−ナフチルアラニンまたはL−ナフチルアラニン(naphylalanine);D−フェニルグリシンまたはL−フェニルグリシン;D−2チエニルアラニンまたはL−2チエニルアラニン;D−1,−2,3−,もしくは4−フェニルアラニンまたはL−1,−2,3−,もしくは4−フェニルアラニン(pyreneylalanine);D−3チエニルアラニンまたはL−3チエニルアラニン;D−(2−ピリジニル)−アラニンまたはL−(2−ピリジニル)−アラニン;D−(3−ピリジニル)−アラニンまたはL−(3−ピリジニル)−アラニン;D−(2−ピラジニル)−アラニンまたはL−(2−ピラジニル)−アラニン;D−(4−イソプロピル)−フェニルグリシンまたはL−(4−イソプロピル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルグリシン;D−(トリフルオロメチル)−フェニルアラニン;D−p−フルオロ−フェニルアラニン;D−p−ビフェニルフェニルアラニンまたはL−p−ビフェニルフェニルアラニン;K−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニンまたはL−p−メトキシ−ビフェニルフェニルアラニン;D−2−インドール(アルキル)アラニンまたはL−2−インドール(アルキル)アラニン;ならびにD−アルキルアラニンまたはL−アルキルアラニン(alkylainine)、ここでアルキルは、置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、iso−ペンチル、または非酸性アミノ酸であり得る。天然の芳香環の代わりに使用され得る非天然のアミノ酸の芳香環としては、例えば、チアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、ベンゾイミダゾリル、ナフチル、フラニル、ピロリル、およびピリジルの芳香環が挙げられる。
【0064】
酸性アミノ酸の模倣物は、非カルボキシレートアミノ酸;(ホスホノ)アラニン;および硫酸化スレオニンによる置換により生成され得るが、負電荷は維持している。カルボキシル側鎖基(例えば、アスパルチルもしくはグルタミル)はまた、カルボジイミド(R’−N−C−N−R’)(例えば、1−シクロヘキシル−3(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミドもしくは1−エチル−3(4−アゾニア−4,4−ジメトールペンチル)カルボジイミド)との反応によって選択的に修飾され得る。アスパルチル基もしくはグルタミル基はまた、アンモニアイオンとの反応によってアスパラギニル基およびグルタミニル基に転換され得る。
【0065】
塩基性アミノ酸の模倣物は、例えば、リジンおよびアルギニンに加えて、アミノ酸オルニチン、シトルリン、または(グアニジノ)−酢酸、もしくは(グアニジド)アルキル−酢酸との置換により生成され得る。ここで、アルキルは、置換または非置換のメチル、エチル、プロピル、ヘキシル、ブチル、ペンチル、イソプロパン、iso−ブチル、sec−イソチル、iso−ペンチル、もしくは非酸性アミノ酸であり得る。ニトリル誘導体(例えば、COOHの代わりにCN−部分を含む)は、アスパラギンもしくはグルタミンで置換され得る。アスパラギニル残基およびグルタミニル残基は、対応するアスパラチル残基もしくはグルタミル残基に脱アミノ化され得る。
【0066】
アルギニン模倣物は、必要に応じてアルカリ条件下で、1つ以上の試薬(例えば、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、もしくはニンヒドリン)と、アルギニルとを反応させることによって生成され得る。チロシン残基模倣物は、芳香族ジアゾニウム化合物またはテトラニトロメタンと、チロシルとを反応させることによって生成され得る。N−アセチルイミジゾールおよびテトラニトロメタンが、O−アセチルチロシル種および3−ニトロ誘導体のそれぞれを形成するために使用され得る。
【0067】
リジン模倣物は、リジニルと、コハク酸無水物もしくは他のカルボン酸無水物とを反応させることによって生成され得(そして、アミノ末端残基は変更され得)る。リジンおよび他のα−アミノ含有残基模倣物はまた、イミドエステル(例えば、メチルピコリニミデート、ピリドキサルリン酸、ピリドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチルイソウレア、2,4,ペンタンジオン、およびトランスアミダーゼ触媒反応物)と、グリコキシレートとの反応によって生成され得る。
【0068】
メチオニン模倣物は、メチオニンスルホキシドとの反応により生成され得る。プロリン模倣物としては、例えば、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボン酸、3−もしくは4−ヒドロキシプロリン、デヒドロプロリン、3−もしくは4−メチルプロリン、および3,3,−ジメチルプロリンが挙げられる。ヒスチジン模倣物は、ジエチルプロカルボネートもしくはパラ−ブロモフェンアシルブロミドと、ヒスチジルとの反応によって生成され得る。他の模倣物としては、例えば、プロリンおよびリジンの水酸化;セリル残基もしくはスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化;リジン、アルギニンおよびヒスチジンのα−アミノ基のメチル化;N末端アミンのアセチル化;主鎖アミド残基のメチレン化もしくはN末端アミノ酸との置換;またはC末端カルボキシル基のアミド化によって生成される模倣物が挙げられる。
【0069】
1つ以上の残基はまた、反対の鏡像異性のアミノ酸(もしくはペプチド模倣物残基)により置換され得る。従って、L−立体配座で天然に存在する任意のアミノ酸(これはまた、化学的実体の構造によって、RもしくはSとも称され得る)は、同じアミノ酸もしくは模倣物であるが、反対の鏡像異性(D−アミノ酸と称される)で置換され得るが、これは、さらにR−形態もしくはS−形態と称され得る。
【0070】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、さらに、本明細書中に記載される配列の修飾された形態を含む。ただし、この修飾された形態は、修飾されたペプチドもしくはペプチド模倣物または参照ペプチドもしくはペプチド模倣物の少なくとも一部分の機能を保持する。例えば、修飾されたペプチドもしくはペプチド模倣物は、抗真菌活性の少なくとも一部分を保持するが、参照ペプチドもしくはペプチド模倣物と比べて、増加もしくは減少した抗真菌活性またはG2抑止活性を有し得る。
【0071】
修飾されたペプチドおよびペプチド模倣物は、1つ以上の、別の残基で置換されたアミノ酸残基、配列が付加されたアミノ酸残基もしくは配列が欠損したアミノ酸残基を有し得る。1実施形態において、修飾されたペプチドもしくはペプチド模倣物は、1つ以上のアミノ酸置換、付加もしくは欠損(例えば、1〜3残基、3〜5残基、5〜10残基もしくはそれ以上の残基)を有する。1つの局面において、置換は、側鎖が、参照アミノ酸もしくは模倣物(置換されているアミノ酸もしくは模倣物)で類似の空間を占領するアミノ酸もしくは模倣物での置換である。なお別の局面において、ヒト残基と実質的に類似する非ヒトアミノ酸での置換である。特定の局面において、この置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0072】
本発明において使用される場合、用語「類似する空間」は、参照部分に大きさが類似する三次元構造空間を占領する化学的部分を意味する。代表的に、類似する空間を占める部分は、参照部分に大きさが類似する。「類似する側鎖空間を占める」アミノ酸もしくは模倣物は、参照アミノ酸もしくは模倣物に大きさの類似する三次元空間を占領する側鎖を有する。d−(Phe−2,3,4,5,6−F)、l−(Phe−2,3,4,5,6−F)、d−(Phe−3,4,5F)、l−(Phe−3,4,5F)、d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3)についての具体的な例は、(lもしくはd−Phe−2R1,3R2,4R3,5R4,6R5)であり、ここで、R1、R2、R3、R4、R5は、塩素、臭素、フッ素、ヨード、水素、酸化水素であるか、もしくは存在しない。低分子(例えば、約1Åのサイズ有するフッ素)について、類似の空間は、部分の非存在であり得る。
【0073】
用語「保存的置換」は、生物的に類似する残基、化学的に類似する残基もしくは構造的に類似する残基による1つのアミノ酸の置換を意味する。生物学的に類似とは、生物学的活性(例えば、抗真菌活性)と両立し得ることを意味する。構造的に類似とは、アミノ酸は、類似の長さを有する側鎖(例えば、アラニン、グリシンおよびセリン)を有するか、または類似の大きさを有する側鎖を意味する。化学的に類似とは、残基が同じ電荷を有するか、または親水性もしくは疎水性の両方を有することを意味する。具体的な例としては、別の残基の、1親水性残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニン)への置換、別の残基の、1極性残基への置換(例えば、リジンのアルギニンへの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への置換、アスパラギンのグルタミンへの置換、スレオニンのセリンへの置換など)が挙げられる。
【0074】
従って、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、表1に記載され、そして本明細書に例示されているペプチドおよびペプチド模倣配列と同一でない配列を有するペプチドおよびペプチド模倣物が挙げられる。1つの実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣物は、本明細書に記載される配列と、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上同一である配列を有する。
【0075】
本発明のペプチドおよびペプチド模倣物は、本明細書に記載される配列と実質的に同一であるペプチドおよびペプチド模倣物を含む。用語「実質的に同一である」は、本明細書でペプチドもしくはペプチド模倣物を参照して使用される場合、その配列が、参照配列に対して少なくとも75%もしくはそれ以上(例えば、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%)の同一性を有することを意味する。比較配列の長さは、一般的に少なくとも5アミノ酸であるが、より代表的には、少なくとも6〜10、10〜15またはそれ以上の残基である。1局面において、この同一性は、規定された配列領域(例えば、アミノ末端3〜5残基もしくはカルボキシ末端3〜5残基)にわたる。
【0076】
本発明の化合物(ペプチドおよびペプチド模倣物を含む)は、当該分野で公知の任意の方法を使用して生成および単離され得る。ペプチドは、当該分野で公知の化学的方法(例えば、Caruthers(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.215−223;Horn(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.225−232;およびBanga,A.K.,Therapeutic Peptides and Proteins,Formulation,Processing and Delivery Systems(1995)Technomic Publishing Co.,Lancaster,PAを参照のこと)を用いて、全体的もしくは部分的に合成され得る。ペプチド合成は、種々の固相技術(例えば、Roberge(1995)Science 269:202;Merrifield(1997)Methods Enzymol.289:3−13を参照のこと)を使用して実行され得、そして、例えば、製造業者の指示に従って、ABI 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いることにより、自動合成が達成され得る。
【0077】
個々の合成残基およびポリペプチド組み込み模倣物は、当該分野で公知の種々の手順および方法論を用いて合成され得る(例えば、Organic Syntheses Collective Volumes,Gilmanら(編)John Wiley&Sons,Inc.,NYを参照のこと)。ペプチドおよびペプチド模倣物はまた、コンビナトリアル方法論を用いて合成され得る。ペプチドおよびペプチド模倣物のライブラリーを生成するための技術は、周知であり、これらの技術としては、例えば、マルチピン、タグバッグ、およびスプリット−連結−混合技術が挙げられる(例えば、al−Obeidi(1998)Mol.Bioteclinol.9:205−223;Hruby(1997)Curr.Opin.Chem.Biol.1:114−119;Ostergaard(1997)Mol.Divers.3:17−27;およびOstresh(1996)Methods Enzymol.267:220−234を参照のこと)。改変ペプチドは、化学修飾法によってさらに生成され得る(例えば、Belousov(1997)Nucleic Acids Res.25:3440−3444;Frenkel(1995)Free Radic.Biol.Med.19:373−380;ならびにBlommers(1994)Biochemistry 33:7886−7896を参照のこと)。
【0078】
本発明の化合物および組み合わせ組成物は、インビトロで、エキソビボで、およびインビボ(例えば、全身組織、局所的組織、局部的組織または粘膜組織)での真菌の接触、混入、成長、生存、増殖または感染を阻害するために有用である。よって、真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染、または真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染により引き起こされるか、これらと関連する損傷または状態を有するか、あるいはその危険性がある、任意の生存しているものまたは生存していないものが、本発明の化合物で処置され得る。
【0079】
従って、本発明に従って、インビトロでの、エキソビボでの、およびインビボでの真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染を阻害するか、低下させるか、減少させるための方法が提供される。このような方法は、真菌との接触を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程;真菌の成長または増殖を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程;真菌による感染を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程;真菌による混入を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程;真菌の生存を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程;および真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染に対する感受性またはこれらの再発を阻害するか、減少させるかまたは縮小する工程を包含する。
【0080】
一実施形態において、方法は、生存している生物または生存していない対象物(例えば、任意の材料)と、その生物、対象物またはその対象物の近くにある対象物における真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染を減少するか、縮小するかまたは阻害するのに十分な量の、本発明の化合物とを接触させる工程を包含する。一局面において、その生物は動物(例えば、哺乳動物(例えば、ヒト))である。別の局面において、その対象物は、有機材料または無機材料を含む(例えば、構造材または医療用材料)。なお別の実施形態において、その対象物は、器具、機械、装置、デバイス、ツール、医療用材料または表面を含む。種々のさらなる局面において、その対象物は、環境もしくは産業環境、居住環境、商業環境、共同体環境、農業環境もしくは園芸環境において存在する。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「対象物」とは、真菌と接触し得るか、真菌が混入し得るか、または真菌に感染し得るか、あるいは真菌の接触、混入、生長、生存、増殖もしくは感染を可能にするか、支援するか、または促進する、任意の生存していない物理的実態、または以前は生存していた物理的実体を意味する。従って、対象物とは、真菌の接触、混入、生長、生存もしくは感染に感受性の任意の有機材料または無機材料(例えば、生存していない生物物質、生物学的流体、細胞、器官もしくは組織)、または以前は生存していた生物の一部(例えば、園芸製品もしくは農産物(例えは、植物、草および花、野菜、果実、堅果および穀物、これらの一部など))を含む。生物とは、任意の生きているもの(例えば、ヒトまたは脊椎動物被験体のような哺乳動物、植物、草、木、灌木、植物、野菜、果実など)をいう。植物の一部分としては、葉、茎、根、花、種子、幹および枝が挙げられる。なぜなら、真菌の成長、混入または感染が、葉、茎、根、花、種子、幹および枝の少なくとも一部に存在し得るからである。
【0082】
対象物は、任意の装置、器具、デバイス、ツール、機械、装備(例えば、食品加工のため)、容器、梱包材、または表面をさらに含む。その対象物は、真菌に接触しやすい表面または材料(例えば、木材、繊維または他の有機材料もしくは無機材料)を含む、居住環境、商業環境または共同体環境(例えば、家、アパートメント、コンドミニアム、ホテルもしくはモーテル、病院もしくは診療所、学校、公会堂または会社)、あるいは換気システムにおいて存在し得る。対象物は、産業環境(例えば、チーズ、乳、または任意の飲料もしくは食品製品、未加工、熟成、培養、加工または醗酵される食品が、製造され、加工され、配送され、貯蔵されるか、または販売される場合)において存在し得る。これらの状況は、真菌の接触、混入、成長、生存、増殖または感染を受けやすい、例えば、機械もしくは装備、または有機物(例えば、食品もしくは飲料)を含む、例えば、製造、加工、貯蔵または配送の建物または施設である。その対象物は、農場もしくは飼育場のような環境、または農業環境もしくは園芸環境(例えば、温室もしくは苗床(nusery))において、あるいは収穫もしくは栽培が生じる他の分野において存在し得る。その対象物はまた、天然の環境(例えば、木材の伐採搬出が生じる場所)において存在し得る。
【0083】
さらに提供されるのは、被験体が、真菌に接触、混入または感染した後またはその前(例えば、予防)に、その被験体における真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染、あるいは被験体における関連した障害(真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染によって引き起こされるかまたはこれらと関連した状態を含む)を処置する方法である。一実施形態において、方法は、真菌の感染を有するかまたはその危険性のある被験体に、その真菌感染を処置するに有効な量の本発明の化合物を投与する工程を包含する。一局面において、その量は、その被験体の状態を改善するに十分である。さらなる局面において、その改善は、真菌成長もしくは真菌感染によって引き起こされる1以上の症状の重篤度または持続期間の減少、真菌成長もしくは真菌感染に対する被験体の感受性の縮小もしくは減少、または真菌成長もしくは真菌感染の再発における縮小もしくは減少を包含する。なお別の局面において、その被験体は、別の処置(例えば、抗真菌処置または抗真菌剤)を施す前、これと同時またはこの後に本発明の化合物を投与される。さらなる特定の局面において、その真菌感染は、皮膚(例えば、頭皮、脇の下、足、鼠径部)、足指もしくは爪、毛もしくは粘膜組織(例えば、口、鼻咽頭、呼吸器、胃、生殖器もしくは腺(例えば、胃腸管、口、肺、気管支経路、鼻経路および洞、尿生殖器経路、膣など)に存在する。
【0084】
処置に敏感に反応する感染または関連する障害としては、任意の真菌感染、または真菌感染によって引き起こされるかもしくは真菌感染と関連する障害が挙げられ、その処置としては、予防(真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染の再発もしくはこれらに対する感受性の予防または減少)が挙げられる。本発明に従って処置され得る真菌の特定の非限定的な属としては、例えば、以下:
【0085】
【表10】

が挙げられる。
【0086】
動物における、本発明に従って処置可能な真菌の特定の非限定的な例としては、例えば、白癬、爪真菌症、たむし(Jock−itch)および汗疱状白癬;パラコクシシジオイドミコーシス;ブラストミセス症;ムコール症;クリプトコックス症を引き起こす皮膚糸状菌;コクシジオイデス真菌症を引き起こすCoccidioides immitis;ヒストプラズマ症を引き起こすHistoplasma capsulatum、カンジダ症を引き起こすCadida albicans;ならびにアスペルギルス症を引き起こすAspergillus fumigatusが挙げられる。本発明の化合物の特定の適用は、皮膚(例えば、頭皮、脇の下、足または鼠径部)、粘膜(口、鼻咽頭、呼吸器、胃、生殖器、腺(例えば、胃腸管、口、気管支、肺、鼻経路および洞、膣など))、毛、爪および足指の処置が挙げられる。
【0087】
農業環境または園芸学環境における本発明に従って処置可能な真菌の特定の非限定的な例としては、例えば、黒点病、炭疽病、晩腐病(ripe spot)、煤斑病(sooty blotch)、セプトリア斑点病(septoria leaf spot)、セルコスポラ斑点病(cercospora leaf spot)、さび病(rust)、べと病(downy mildew)、褐色腐敗病(brown rot)、葉腐病(brown patch)、黒穂病(smut)、イボ症(verrucosisl)、枝枯れ病(dead arm disease)、マイコスフェレラ斑点病(mycosphaerella leaf spot)、黒点病(バラ)、花枯れ病(flower blight)、セプトリア葉枯れ病(septoria leaf blight)、輪紋病および疫病(early and late blight)、葉かび病(leaf mould)、黒痘病(anthracnose)、輪紋病(ring spot)、ダラースポット病(dollar spot)、煤紋病(northern leaf blight)、アルタナリア斑点病(alternaria)およびリースポラ斑点病(leaspora spot)が挙げられる。
【0088】
産業的状況、商業的状況または住宅状況での糸状菌(真菌)の特定の非限定的な例としては、例えば、Stachybotrys chartarum(Stachybotrys atra)が挙げられ、これは、動物およびヒトのマイコトキシン症を引き起こし、「シックビルディング」症候群に関連していた。一般的な室内の糸状菌としてはまた、例えば、penicillium、aspergillus、fusarium、cladosporiumおよびalternariaが挙げられる。木材中の乾燥腐敗真菌は、多くの種(例えば、Meruliporia incrassata、Serpula lacrymansおよびSerpula lacrymans)により引き起こされ得る。
【0089】
用語「被験体」とは、動物、代表的には、哺乳動物(例えば、霊長類(ヒト、サル、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカーク)、飼い慣らされた動物(イヌ、猫、トリ)、家畜動物(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)ならびに実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)をいう。被験体としては、動物疾患モデル(例えば、真菌疾患動物モデル)が挙げられる。
【0090】
本発明に従う処置に適切な被験体としては、抗真菌処置を現在受けている被験体かまたは抗心筋処置の候補が挙げられる。候補被験体としては、例えば、真菌の接触、混入の危険性がある被験体または真菌感染に罹った被験体が挙げられる。本発明の方法は、従って、真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染の危険性があるが、明らかな症状をまだ示していない被験体の処置に適用可能である。危険性のある被験体は、再発するまたは頻繁な真菌感染を有すると同定され得るか、または真菌感染の増大した危険性を有する被験体(例えば、免疫抑制された被験体(HIV))であり得るか、免疫抑制(臓器移植または組織移植)治療もしくは抗細胞増殖(例えば、抗癌)治療を受けるかもしくはその候補である被験体であり得るか、あるいは真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染が存在するかまたは存在する可能性がある環境に曝された被験体であり得る。危険性のある被験体としては、1本以上の指の爪にアクリルの爪を用いている(これは、爪真菌症、ネイルプレートの真菌感染を引き起こす)被験体が挙げられる。従って、被験体としては、免疫能力のある被験体および免疫が損なわれた被験体が挙げられる。
【0091】
本発明の化合物(ペプチドおよびペプチド模倣物を含む)は、薬学的使用に適したキャリア、賦形剤および希釈剤と合わせられ得る。従って、本発明は、例えば、真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染を処置するための薬学的組成物および薬学的処方物、ならびに使用方法を提供する。
【0092】
本明細書で使用される場合、「薬学的組成物」または「薬学的処方物」とは、本明細書に記載の1種以上の本発明の化合物、またはその生理学的に受容可能な塩もしくはプロドラッグと、1種以上のさらなる化学成分(例えば、薬学的に受容可能なまたは生理学的に受容可能な、キャリアおよび賦形剤)との混合物を意味する。用語「薬学的に受容可能な」および「生理学的に受容可能な」は、薬学的投与と適合性の、溶媒(水性または非水性)、溶液、エマルジョン、分散媒体、コーティング、等張化剤および吸収を促進または遅延させる薬剤、を包含する。従って、「薬学的組成物」または「薬学的処方物」とは、被験体への投与に適した組成物をいう。「薬学的に受容可能な塩」とは、対イオンと一緒になった荷電形態にある化合物を意味する。
【0093】
本明細書で使用される場合、「キャリア」および「賦形剤」とは、溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、等張化剤および吸収を遅延させる薬剤、緩衝化剤、キャリア溶液、懸濁液、コロイドを包含する。ただし、それらは、活性成分の活性または機能を破壊しない。「賦形剤」とはさらに、代表的には、薬学的組成物に添加されて、化合物の投与をより容易にする不活性物質を意味する。賦形剤の特定の非限定的例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖および種々の型の澱粉、セルロース誘導体、ゼラチン、植物性油およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0094】
薬学的組成物は、特定の投与経路(すなわち、全身、局所的または局部的)に適合するように処方され得る。従って、薬学的組成物は、種々の経路による投与に適したキャリア、希釈剤または賦形剤を含む。
【0095】
経腸的(経口)投与のための処方物は、錠剤(コーティングまたは非コーティング)、カプセル剤(硬質または軟質)、マイクロスフェア、エマルジョン、散剤、顆粒剤、結晶、懸濁剤、シロップ剤またはエリキシル剤に含まれ得る。従来の非毒性個体キャリアとしては、例えば、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムが挙げられ、これらは、固体処方物を調製するために使用され得る。補助的な活性化合物(例えば、防腐剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、および抗真菌剤)もまた、この処方物中に組み込まれ得る。液体処方物はまた、経腸的投与のために使用され得る。このキャリアは、石油、動物、植物または合成(例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油)を含む種々の油から選択され得る。適切な薬学的賦形剤としては、例えば、澱粉、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦、白亜、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、粉末スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールが挙げられる。
【0096】
経腸的送達、非経口的送達、または経粘膜的送達のための薬学的組成物は、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、ハンクス溶液、リンゲル溶液、デキストロース/生理食塩水、およびグルコース溶液を含む。この処方物は、生理学的条件に近づくための補助物質(例えば、緩衝化剤、張度調節剤、湿潤剤、界面活性剤など)を含み得る。添加物はまた、さらなる活性成分(例えば、殺菌剤)または安定化剤を含み得る。例えば、この溶液は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレートまたは、トリエタノールアミンオレエートを含み得る。さらなる非経口的処方物および方法は、Bai(1997)J.Neuroimmunol.80:65−75;およびWarren(1997)J.Neurol.Sci.152:31−38;ならびにTonegawa(1997)J.Exp.Med.186:507−515に記載される。非経口的調製物は、ガラスまたはプラスチックで作られた、アンプル、使い捨てシリンジまたは複数用量バイアル中に封じ込められ得る。
【0097】
皮内投与または皮下投与のための薬学的組成物は、滅菌希釈剤(例えば、水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌剤(例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベン);抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、グルタチオン、または次亜硫酸ナトリウム);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸);緩衝化剤(例えば、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩)、および張度を調節するための薬剤(例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロース)を含み得る。
【0098】
注射用の薬学的組成物は、水溶液(この場合、水に可溶性)または滅菌注射用溶液もしくは分散液の即時調製のための分散剤および滅菌散剤を含む。静脈内投与に関しては、適切なキャリアとしては、生理食塩水、静菌水、Cremophor ELTM(BASF,Parsippany,NJ)またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。このキャリアは、溶媒または分散媒体(例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなどを含む)、およびこれらの適切な混合物であり得る。流動性は、例えば、コーティング(例えば、レシチン)の使用によって、分散物の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持され得る。抗菌剤、抗真菌剤としては、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸およびチメロサールが挙げられる。等張化剤(例えば、糖、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)、塩化ナトリウム)は、組成物中に含まれ得る。得られた溶液は、そのまま使用するために包装されてもよいし、凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製物は、後に、投与前に溶液と合わせられ得る。
【0099】
薬学的に起用可能なキャリアは、吸収またはクリアランスを安定化するか、増大させるかまたは遅延させる化合物を含み得る。このような化合物としては、例えば、炭水化物(例えば、グルコース、スクロース、またはデキストラン);低分子量タンパク質;クリアランスを短くする組成物またはペプチドの加水分解物;または賦形剤もしくは他の安定化剤および/あるいは緩衝化剤が挙げられる。吸収を遅延させる薬剤としては、例えば、アルミニウムモノステアレートおよびゼラチンが挙げられる。界面活性剤もまた、薬学的組成物の吸収を安定化させるために使用され得るか、または増大させるか、もしくは減少させるために使用され得、界面活性剤としては、リポソームキャリアが挙げられる。消化から保護するために、その化合物は、酸加水分解および酵素的加水分解に対して耐性にする組成物と混合され得るか、またはその化合物は、適切に耐性のキャリア(例えば、リポソーム)中で複合体化され得る。消化から化合物を保護する手段は、当該分野で公知である(例えば、Fix(1996)Pharm Res.13:1760−1764;Samanen(1996)J.Pharm.Pharmacol.48:119−135;および米国特許第5,391,377号を参照のこと)。
【0100】
経粘膜投与または経皮投与に関しては、浸透されるべき障壁に適した浸透剤が、処方物中で使用される。このような浸透剤は、一般に当該分野で公知であり、例えば、経粘膜投与に関しては、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体、が挙げられる。経粘膜投与は、鼻スプレーまたは坐剤を介して行われ得る(例えば、Sayani(1996)「Systemic delivery of peptides and proteins across absorptive mucosae」Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.13:85−184を参照のこと)。経皮投与に関しては、化合物は、当該分野で公知の、軟膏、軟膏剤、ゲル、泡沫体、スプレー、またはクリーム剤に処方され得る。皮膚用の用途のための任意のクリーム基剤が、使用され得る。坐剤に関しては、グリセリンまたはパラフィンが、粘度を調節するために、従来通りの濃化剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)とともに使用され得る。経皮的送達系はまた、パッチを用いて達成され得る。
【0101】
吸入送達に関しては、薬学的処方物は、エアロゾルまたはミストの形態で投与され得る。エアロゾル投与に関しては、処方物は、界面活性剤およびプロペラントとともに、細かく分割された形態で供給され得る。別の実施形態において、処方物を呼吸器組織に送達するためのデバイスは、処方物を気化するものである。当該分野で公知の他の送達系としては、乾燥粉末エアロゾル、液体送達システム、吸入器、空気ジェット噴霧器およびプロペラント系(例えば、Patton(1998)Biotechniques 16:141−143;Dura Pharmaceuticals,San Diego,CA;Aradigm,Hayward,CA;Aerogen,Santa Clara,CA;およびInhale Therapeutic Systems,San Carlos,CAを参照のこと)が挙げられる。
【0102】
生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得、例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸が挙げられる。このような処方物を調製するための方法は、当該分野で公知である。その材料はまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Incから市販されているものから入手され得る。リポソーム懸濁液(抗体またはウイルスコートタンパク質を用いて、細胞または組織に標的化されたリポソームを含む)はまた、薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。これらは、当該分野で公知の方法(例えば、米国特許第4,235,871号;同第4,501,728号;同第4,522,811号;同第4,837,028号;同第6,110,490号;同第6,096,716号;同第5,283,185号;同第5,279,833号;Akimaru(1995)Cytokines Mol.Ther.1:197−210;Alving(1995)Immunol.Rev.145:5−31;およびSzoka(1980)Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467)において記載されるような方法)に従って調製され得る。低分子(ペプチドを含む)の持続性送達が可能な生分解性マイクロスフェアまたはカプセルまたは他の生分解性ポリマー構成は、当該分野で公知である(例えば、Putney(1998)Nat.Biotechnol.16:153−157を参照のこと)。本発明の化合物は、ミセル内に組み込まれ得る(例えば、Suntres(1994)J.Pharm.Pharmacol.46:23−28;Woodle(1992)Pharm.Res.9:260−265を参照のこと)。ペプチドは、脂質単層または脂質二重層の表面に結合され得る。例えば、ペプチドは、ヒドラジド−PEG−(ジステアロイルホスファチジル)エタノールアミン含有リポソームに結合され得る(例えば、Zalipsky(1995)Bioconjug.Chem.6:705−708を参照のこと)。あるいは、脂質膜の任意の形状(例えば、平坦な脂質膜またはインタクトな細胞膜(例えば、赤血球)が使用され得る。リポソームおよび脂質含有処方物は、任意の手段(例えば、静脈内投与、経皮投与(例えば、Vutla(1996)J.Pharm.Sci.85:5−8を参照のこと)、経粘膜投与、または経口投与を含む)によって送達され得る。
【0103】
薬学的に受容可能な処方物は、約0.11%〜約99.9%の活性成分(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)を組み込み得る。この薬学的組成物は、従来の周知の滅菌技術により滅菌され得るかまたは滅菌濾過され得る。
【0104】
さらなる薬学的処方物および送達系は、当該分野で公知であり、本発明の方法および組成物において適用可能である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA;The Merck Index(1996)第12版,Merck Publishing Group,Whitehouse,NJ;Pharmaceutical Principles of Solid Dosage Forms,Technonic Publishing Co.,Inc.,Lancaster,Pa.,(1993);ならびにPoznanskyら,Drug Deliverv Svstems,R.L.Juliano,編,Oxford,N.Y.(1980),pp.253−315を参照のこと)。
【0105】
薬学的処方物は、投与を容易にし、投薬量を均一にするために、単位投薬形態に包装され得る。「単位投薬形態」とは、本明細書で使用される場合、処置されるべき被験体に投与するための物理的に別個の単位投薬量をいい;各単位は、所定の量の化合物を、望ましい効果をもたらす薬学的キャリアまたは賦形剤と組み合わせて含む。「複数単位」投薬形態とは、所望の効果をもたらす処置プロトコルに従って、単位投与のために各々が包装された、複数の物理的に別個の単位をいう。
【0106】
本発明の化合物はまた、抗真菌活性または抗菌機能を有する任意の処置と組み合わせて使用され得る。それにより、本発明の化合物を、直接的にせよ間接的にせよ、真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染を阻害する処置と組み合わせることにより、抗真菌活性は、増大され得るか、強化され得るか、または相乗作用がもたらされるか、または延長され得る。本発明の化合物を、真菌の接触、混入、成長、生存、増殖もしくは感染を阻害または抑制するか、または真菌の接触、混入、成長、増殖もしくは感染に対する感受性を縮小させる処置と組み合わせることにより、このような処置が核酸に損傷を与えるか否かに拘わらず、抗真菌活性はまた、増大され得るか、強化され得るか、または相乗作用がもたらされるか、または延長され得る。本発明は、従って、本発明の化合物(例えば、ペプチドまたはペプチド模倣物)および抗真菌処置または薬剤(例えば、核酸損傷薬剤)を含む、組成物および使用方法をさらに提供する。
【0107】
本明細書で使用される場合、用語「抗真菌処置」および「抗真菌剤」とは、真菌の成長、混入もしくは感染、または真菌の成長、混入もしくは感染と関連した症状もしくは状態を、直接的にせよ間接的にせよ、阻害または縮小するか、あるいは作用の様式に拘わらず(例えば、その処置または薬剤が、核酸に損傷を与えるか否かに拘わらず)、真菌の成長、混入もしくは真菌による感染の再発もしくはこれらに対する感受性を減少または縮小する、任意の処置レジメンまたは薬剤を意味する。抗真菌剤の特定の例としては、細胞増殖を阻害する薬物が挙げられる。具体的な例としては、とりわけ、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、シトシンアラビノシド、タキソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ミトーテン、プロカルバジン、デカルバジンおよびジブロモマンニトールが挙げられる。核酸複製エラーを引き起こすかまたは核酸複製を阻害する抗増殖剤としては、ヌクレオシドアナログおよびヌクレオチドアナログ(例えば、AZTおよび5−AZC)が挙げられる。
【0108】
動物(例えば、ヒト)用用途または農業用用途のための適切な抗真菌剤としては、アリルアミン(アモロルフィン(amrolfine)、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン)、アゾール(ケトコナゾール、フルコナゾール、エルビオール(elubiol)、エコナゾール、エコナキソール(econaxole)、イトラコナゾール、イソコナゾール、イミダゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、クロトリマゾール、エニルコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チタベンダゾール、ボリコナゾール(voriconazole)、サペルコナゾール、セルタコナゾール、フェンチコナゾール(fenticonazole)、ポサコナゾール、ビフォナゾール、フルトリマゾール)、ポリエン(ナイスタチン、ピマリシン、アンホテリシンB)、ピリミジン(フルシトシン)、テトラエン(ナタマイシン)、チオカルバメート(トルナフテート(tolnaftate))、スルホンアミド(マフェニド、ダプソン)、グルカン合成インヒビター(カプソフンジン(caspofungin))、安息香酸化合物、その複合体および誘導体(アクトフニコン(actofunicone))ならびに他の全身用薬物または粘膜用薬物(グリセオフルビン、ヨウ化カリウム、ゲンチアナバイオレット)、および局所用薬物(シクロピロックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、ウンデシレン酸塩、スルファジアジン銀、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸アルカノールアミド、カルボール−フクシン(carbol−fuchsin))が挙げられる。動物における使用に適切な他の抗真菌剤は、例えば、Physicians Desk Reference,第57版、2002年11月、Medical Economics Companyに記載される。
【0109】
農業用途または園芸用途に適切な抗真菌剤としては、マンコゼブ、マンゼート、バナーマックス(Banner Maxx)、コンパスクリアリーズ(Compass Cleary’s)、ファンジネクス(Funginex)、イムノックス(Immunox)、ダイセン、イーグル(Eagle)、フォア(Fore)、シスサン(Systhane)、トップジン、カプタン(captan)、チラム、カルボキシン、メフェノザン(mefenozan)、PCNB、フルジオキソニル、チアベンダゾール、銅ベースの殺真菌剤(例えば、オキシ塩化銅)、硫黄化合物、柑橘類油およびBacillus subtilisが挙げられる。農業用途に適切な他の抗真菌剤は、例えば、Fungicides in Plant Disease Control、第3版、Nen and Thapliyal、1993、Science Publishers Incに記載される。
【0110】
産業用、住居用、共同体用および商業用の用途に適した抗真菌剤としては、例えば、界面活性剤、漂白剤、OMACIDE(登録商標)IPBC(3−ヨードプロピニルブチルカルバメート)、ファンジトロール(登録商標)、Nuocept(登録商標)、マイクロバン、柑橘類油およびヒ酸クロム酸銅(木材防腐剤)が挙げられる。
【0111】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸損傷処置」および「核酸損傷剤」とは、直接的または間接的に核酸(例えば、DNA、cDNA、ゲノムDNA、mRNA、tRNAもしくはrRNA)を損傷する任意の処置レジメンを意味する。このような薬剤の具体的な例としては、アルキル化剤、ニトロソ尿素、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、植物抽出物、および放射性同位体が挙げられる。具体的な薬剤の例としてはまた、核酸を損傷する薬物が挙げられる(例えば、5−フルオロウラシル(5−FU)、カペシタビン、S−1(テガファー(Tegafur)、5−クロロ−2、4−ジヒドロキシピリジンおよびオキソニン酸(oxonic acid))、5−エチニルウラシル、アラビノシルシトシン(ara−C)、5−アザシチジン(5−AC)、2’,2’−ジフルオロ−2’−デオキシシチジン(dFdC)、プリン代謝拮抗剤(メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン)、塩酸ゲムシタビン(ゲムザー(Gemzar))、ペントスタチン、アロプリノール、2−フルオロ−アラビノシル−アデニン(2F−ara−A)、ヒドロキシ尿素、サルファマスタード(ビスクロロエチルスルフィド)、メクロレタミン、メルファラン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、AZQ、マイトマイシンC、ジアンヒドロガラクチトール、ジブロモダシトール(dibromoducitol)、アルキルスルホネート(ブスルファン)、ニトロソ尿素(BCNU、CCNU、4−メチルCCNU、もしくはACNU)、プロカルバジン、デカルバジン、レベッカマイシン、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン;ADR)、ダウノルビシン(セルビシン(Cerubicine))、イダルビシン(イダマイシン(Idamycin))およびエピルビシン(エレンス(Ellence)))、アントラサイクリンアナログ(例えば、ミトキサントロン、アクチニマイシンD、非インターカレート性トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エピポドフィロトキシン(エトポシド=VP16、テニポシド=VM−26)、ポドフィロトキシン、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、核酸とともに付加体を形成する化合物(白金誘導体(例えば、シスプラチン(CDDP)、シスプラチンのトランスアナログ、カルボプラチン、イプロプラチン、テトラプラチンおよびオキサリプラチン)が挙げられる)、カンプトセシン、トポテカン、イリノテカン(CPT−11)、ならびにSN−38)。核酸損傷処置の具体例としては、放射線(例えば、紫外線(UV)、赤外線(IR)、またはα線、β線もしくはγ線)および環境的ショック(例えば、高体温)が挙げられる。
【0112】
ペプチドおよびペプチド模倣体を含む、本発明の方法ならびに本発明の組成物は、利益を提供し得る他の薬剤または処置と組み合わせられ得る。例えば、真菌の接触、混入、増殖、成長または感染は、多くの場合、他の病原体(例えば、細菌、ウイルスおよび寄生生物)と関連する。特に、免疫無防備状態の患者のような真菌の日和見感染の危険性のある被験体(例えば、器官もしくは組織の移植またはHIV感染に起因する)はまた、ウイルス、細菌、寄生生物および他の感染症の危険性がある。したがって、抗菌剤または抗菌処置(抗ウイルス剤もしくは抗細菌剤もしくは抗寄生生物剤)は、本発明のペプチドもしくはペプチド模倣物と組み合わせられ得る。したがって、本発明は、細菌、ウイルスおよび寄生生物用の処置および薬剤との組合せを含む方法および組成物を提供する。
【0113】
さらに、真菌の接触、混入、増殖、成長または感染は、炎症を生じ得る。したがって、抗炎症剤または抗炎症処置は、本発明のペプチドもしくはペプチド模倣物または方法と組み合わせられ得る。真菌の接触、混入、増殖、成長または感染はまた、疼痛または腫張を生じる。したがって、鎮痛用または痛み軽減用の薬剤または処置は、本発明のペプチドもしくはペプチド模倣物と組み合わせられ得る。
【0114】
抗炎症剤または抗炎症処置としては、例えば、ステロイドベースおよび非ステロイドベースの薬物および治療が挙げられる。ステロイド性抗炎症剤としては、糖質コルチコイドが挙げられる。ステロイドの非限定的な例としては、以下が挙げられる:フルオシノロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ベタメタゾンジプロプリオネート、ジフルコルトロン、フルチカゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、モメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベクロメタゾンジプロプリオネート、クロベタゾール、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、ブデソニド、デキサメサゾンなど。非ステロイド性抗炎症剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:セロコキシブ(celocoxib)、ニメスリド、ロフェコキシブ、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、フルニキシン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、エトドラク、フェノプロフェン、フェンブプロフェン(fenbuprofen)、ケトプロフェン、スプロフェン、ジクロフェナク、ブロムフェナクナトリウム、フェニルブタゾン、サリドマイドおよびインドメタシン。
【0115】
鎮痛用または痛み軽減用の薬剤または処置(これらのいくつかは、抗炎症活性を有する)としては、以下が挙げられる:アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、ジブカイン、ベンゾカイン、p−ブチルアミノ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチルエステルHCI、メピバカイン、ピペロカイン、およびジクロニン。他の鎮痛剤としては、オピオイド(例えば、モルフィン、コデイン、ヒドロコドンおよびオキシコドンなど)。が挙げられる。
【0116】
抗ウイルス用の薬剤または処置は、ウイルスの複製、増殖、またはウイルスの複製もしくは増殖に関連するかそれらにより引き起こされた症状もしくは状態を、阻害、減少または排除する。したがって、抗ウイルス用の薬剤または処置としては、ウイルスの生活環の任意のステップもしくは段階(例えば、細胞表面レセプターを介するかまたは細胞表面レセプターに依存しない、ウイルスの細胞への融合;その細胞へのウイルス核酸の侵入;ウイルス核酸の逆転写;逆転写されたウイルス核酸の細胞ゲノムへの組み込み;プロウイルス核酸の転写もしくは複製;成熟ウイルスタンパク質の翻訳もしくは形成;感染性ウイルス粒子の形成/アセンブリ;成熟ビリオンの細胞からの出芽もしくは放出)で、ウイルス感染もしくはウイルス産生を阻害、防止または調節し得るあらゆる薬剤または処置が挙げられる。
【0117】
抗ウイルス剤の特定の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ウイルス融合インヒビター(例えば、T20およびT20アナログ(Trimeris、Inc.);非ヌクレオシド逆転写酵素インヒビターインヒビター(例えば、ネビラピン、デラビルジン、エファビレンズ);プロテアーゼインヒビター(例えば、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アムプレナビル;チミジンキナーゼインヒビター;糖合成インヒビターもしくは糖タンパク合成インヒビター;構造タンパク質合成インヒビター;ヌクレオシドアナログ(例えば、ジドブジン(AZT)、スタブジン(d4T)、ラルニブジン(larnivudine)(3TC)、ジダノシン(DDI)、ザルシタビン(ddC)、アバカビル、アシクロビル、ペンシクロビル、バラシクロビルおよびガンシクロビル);ならびにウイルス成熟インヒビター(例えば、「ジンクフィンガー注入剤」、これは、適切なウイルスのα核カプシドタンパク質アセンブリを阻害し、それによって感染性ウイルス粒子の形成を防止する)。
【0118】
本発明に従う処置に適切な、産業環境、居住環境、共同体環境、商業環境、農業環境、園芸環境および環境状況、特定の状況中の真菌の存在を検出することによって同定され得る。例えば、真菌が構造中に存在するか否かを決定するため、サンプリングは、室内と室外との両方で行われ得る。室内の真菌の量が室外の量を超える場合、真菌の混入が存在する可能性が高い。例えば、建物もしくは他の構造物の内部の空気を、カビについて調べることができる。カビ粒子(胞子および分生胞子)の数および種々の型のおおまかな見積もりは、フィルターもしくは顕微鏡スライド上に衝突した粒子の顕微鏡試験によって行われ得る。あるいは、空気中のあらゆる真菌が増殖媒体に影響を与え得る。研究室中での増殖は、サンプルが採取された空気中に生存する真菌の正確な同定を可能にする。視覚的検査もまた、真菌の存在を明らかにする。例えば、建物もしくは他の構造物上またはそれらの内部のカビの増殖について観察することができる。掃除機のバッグの内容物を検査することも、標本を表面からふき取ることもでき、または切り出して、真菌が増殖しているように見える物質の断片を同定することもできる。
【0119】
本発明の化合物は、真菌の感染、混入もしくは増殖の前、同時、または後に、以下の他の処置プロトコールまたは薬剤の前、同時、または後に投与され得る。したがって、予防処置方法の組み合わせ、および真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染の再発を減少もしくは阻害するために望ましい方法が、提供される。
【0120】
したがって、本発明は、インビトロ、エキソビボおよびインビボにおける真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長および感染を、阻害、低下ならびに減少させるための組み合わせ方法と組み合わせ処置とを、さらに提供する。本発明の化合物と組み合わせて使用するための処置としては、本明細書中において開示されるかまたは当該分野で公知である、任意の抗真菌処置、核酸損傷処置もしくは抗腫瘍処置、または抗真菌剤、核酸損傷剤もしくは抗腫瘍剤が挙げられる。例えば、化学療法剤処置は、外部放射線供給源もしくは放射性同位体の内部移行を介した放射線処置を、必要に応じて薬物処置と組み合わせて、含み得る。したがって、この処置は、化学物質(例えば、放射線同位体)、または薬物(例えば、化学療法剤)の投与を含み得る。
【0121】
処置のために投与される量は、代表的に、「有効量」または「十分な量」(すなわち、所望の影響を生じるのに十分な量)である。したがって、有効量としては、以下の1つ以上が挙げられる:真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染に対する感受性または真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染の再発を、阻害もしくは減少させる量;真菌の混入、増殖、生存度、成長もしくは感染を減少、低下もしくは阻害する(例えば、真菌細胞を減少または消失させる)量;ならびに、真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長もしくは感染に関連するかまたはそれらによって引き起こされる1つ以上の症状を、適切なコントロールに対して減少もしくは低下させる量。したがって、この量は、感染を減少させるのに、あるいは感染を安定化させる(例えば、真菌の混入、増殖、成長もしくは感染、または真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染に関連するかもしくはそれらによって引き起こされる1つ以上の症状の進行または悪化を、阻害または防止する)のに十分であり得る。したがって、有効とみなされる量は、感染または関連する状態もしくは障害の進行を防止または阻害し得る。
【0122】
有効量は、真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長もしくは感染に関連するか、またはそれらによって引き起こされる1つ以上の症状、または関連する障害もしくは状態の重症度、頻度、または期間を、客観的または主観的に減少または低下させ得る。例えば、かゆみ、炎症、疼痛、分泌過剰(discharge)もしくは任意の他の症状または関連する状態の重症度、頻度または期間を減少させる本発明の化合物の量は、満足できる臨床的指標である。有効量はまた、組織学的改善をもたらし得る。
【0123】
有効量はまた、別の抗真菌処置による処置量(例えば、投薬量)または処置頻度の量の減少を包含する。これは満足できる臨床的指標であると見なされる。例えば、本発明の化合物で処置された被験体は、真菌感染を処置するために、より少ない核酸損傷処置しか必要としない可能性がある。有効量は、本発明の化合物による処置なしで投与された投薬頻度もしくは投与量と比べての、組み合わせて投与された抗真菌処置の投薬頻度もしくは投与量の減少を包含する。
【0124】
「治療有効量」とは、真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長もしくは感染に関連するか、またはそれらによって引き起こされる1つ以上の症状を、減少または回復させる(すなわち、被験体の状態の「改善」する、または被験体に治療上の利益のある)量を意味する。
【0125】
「予防有効量」とは、以下を意味する:真菌の混入、増殖、成長もしくは感染に対する感受性を低下または減少させる量;または、抗真菌処置もしくは抗真菌剤の投与によって達成された真菌細胞の増殖もしくは成長の阻害を維持する量を意味する量;または、抗真菌処置もしくは抗真菌剤の投与によって達成された真菌感染の蔓延もしくは悪化の阻害を維持する量;または、真菌の混入、増殖、成長もしくは感染によって引き起こされるか、またはそれらに関連する1つ以上の症状の減少を維持する量。予防的有効量はまた、感受性の対象物(例えば、生体)に、真菌が、接触、混入、増殖、成長もしくは感染することを阻害または防止する量を意味する。用語「軽減」は、真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染を有する被験体、または真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染の危険性を有する被験体をいう場合、同義的に使用される。
【0126】
CBP501についての例示的な量は、インビトロで約1〜20μMもしくは約2〜40μg/mlである。CBP501についての例示的な全身用の量は、約1〜10mg/kgもしくは約3〜30mg/mm(静脈内(iv));または、約5〜50mg/kgもしくは約15〜150mg/mm(腹腔内(ip))である。mmでの量は、ほとんどの動物でほぼ等しい。したがって、ヒトにおいて、例えば、量は、注入により約3〜30mg/mmである。局所用途のためには、皮膚1平方cmについて約20μgで十分であるはずである。
【0127】
被験体の状態の改善または治療上の利益をもたらす本発明の方法は、比較的短い期間であり得る(例えば、この改善は、数分間、数時間、数日間、もしくは数週間で終わる)か、またはより長い期間(例えば、数ヶ月間もしくは数年間)に及び得る。従って、有効量は、真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染、または真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染と関連するかまたは真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染により引き起こされる症状のいずれかもしくはすべてを、完全に排除する必要も、完全に除去する必要もない。従って、有効量についての満足のゆく臨床指標は、上記の基準のいずれかを使用してか、または真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染、または真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染に対する感受性もしくは真菌の接触、混入、増殖、生存度、成長、もしくは感染の再発の状態もしくは程度を決定するために適切であることが当該分野で公知である他の基準を使用して決定した場合の、短期間または長期間にわたっての被験体の状態の主観的改善または客観的改善である。
【0128】
被験体を処置するための本発明の化合物の有効量は、動物において、所定の濃度もしくは投薬量で活性を有することが公知である抗真菌剤の量との比較に基づいて、インビトロで決定され得る。例えば、感受性テストは、以下のような化合物の最小濃度を決定するために使用され得る:真菌の増殖もしくは成長を阻害もしくは減少させる最小濃度;真菌の量を阻害もしくは減少させる最小濃度(最小阻害濃度、MIC、μg/ml)か、または真菌を殺す最小濃度(最小殺真菌濃度、MFC、μg/ml)。あるいは、ヒトの治験を含む動物研究が、有効量を決定するために使用され得る。
【0129】
当業者は、特定の被験体を処置するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得る種々の要因(例えば、被験体の全体的な健康状態、年齢もしくは性別、障害もしくは状態の重症度もしくは段階、以前の処置、望ましくない副作用に対する感受性、所望される臨床的結果、および他の障害もしくは状態の存在)を理解する。このような要因は、治療上の利益のために十分な量を提供するために必要な投薬量およびタイミングに影響を及ぼし得る。
【0130】
被験体を治療するための本発明の方法において、本発明の化合物は、所望の効果を達成する任意のプロトコールもしくは経路にしたがって、全身に、局部に(例えば、器官もしくは組織に向けて)または局所に(例えば、体腔内もしくは皮膚上に局所的に)投与され得る。上記化合物は、処置医療の専門家によって決定されるのにしたがって、単回投与または複数回投与として毎日(例えば、低用量で)投与され得るか、断続的に(例えば、より高用量で、一日おき、週一回など)投与され得るか、または連続的に投与され得る。上記化合物、および上記組成物のうちの1種以上を単独または組み合わせて含む薬学的組成物はまた、吸入(例えば、気管内)を介してか、経口投与、静脈内投与、動脈内投与、血管内投与、鞘内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、体腔内投与、経皮(例えば、局所)、経粘膜(例えば、口腔粘膜、膣、子宮、直腸、もしくは鼻)投与、複数回投与、徐放(例えば、連続的注入、長期にわたる段階的灌流もしくはカプセル)、または単回のボーラス投与によって、投与され得る。
【0131】
局所的に投与される化合物は、代表的に、1mg/mL〜1gm/mLの範囲の単位用量、または1mg/mL〜100mg/mLの範囲の用量で適用される。静脈内(IV)投与される化合物は、数時間(代表的に、1時間、3時間、または6時間)にわたって約0.01mg/時間〜約1.0mg/時間にわたり、これは断続的周期で1週間以上繰り返され得る。1以上の一日用量は、代表的に、1日当たり0.1mg/kg〜100mg/kgの範囲であるか、1日当たり0.1mg/kg〜20mg/kgの範囲であるか、または1〜20mg/kg/日の範囲である。かなり高い投薬量(例えば、約10mg/mlまでの範囲)が、特にその薬物が局所的または局部的に投与され、そして血中ではなく、例えば、体腔内もしくは器官(例えば、膣)の管腔内に投与された場合に、使用され得る。当業者は、治療上の利益を達成するために有効な投薬量および投与プロトコールを、容易に確認することができる。
【0132】
上記化合物は、徐放性系(例えば、固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックス)を用いて送達され得る。徐放性系および徐放性の方法(持続的な内部送達のための微小加工デバイスが挙げられる)は、当該分野で公知である。
【0133】
本発明はさらに、本発明の化合物およびその薬学的処方物(必要に応じて適切なパッケージ用材料に包まれる)を含むキットを提供する。キットは、代表的に、その成分の説明、またはインビトロ、インビボもしくはエキソビボ、環境中、農業環境もしくは園芸環境において、または商業環境、工業環境、居住環境もしくは共同体環境におけるキット中の成分の使用についての指示書を含む、ラベルもしくはパッケージ挿入物を備える。そのラベルは、必要に応じて、処置に適切な真菌の詳細な属または種のリストを含む。キットは、例えば、2種以上の本発明の化合物かまたは抗真菌剤と組み合わせた本発明の化合物のような、成分の集合物を含み得る。
【0134】
用語「パッケージ用材料」とは、キットの成分を収納する物理的構造を意味する。このパッケージ用材料は、上記成分を滅菌状態に維持し得、そしてこのような目的のために一般的に使用される材料(例えば、紙、ボール紙繊維、ガラス、プラスチック、金属、ホイル、アンプルなど)から作製され得る。ラベルまたはパッケージ挿入物は、適切に記載された指示書を含み得る。したがって、本発明のキットは、さらに本発明のいずれかの方法においてこのキットの成分を使用するための、ラベルもしくは指示書を含み得る。指示書は、本明細書において記載される本発明の方法のいずれかを実施するための指示を含み得る。したがって、例えば、キットは、本発明の処置方法において本発明の化合物を投与するための指示ともに、包装もしくはディスペンサー中にその化合物を含み得る。指示書はさらに、満足できる臨床的指標もしくは起こり得る有害な症状の指示、またはヒト被験体における使用のために、監督官庁(例えば、米国食品医薬品局)によって要求される追加情報を含み得る。
【0135】
この指示書は、キット内にあるかもしくはキットに添付された「印刷物」上(例えば、紙もしくはカードボード上)、またはキットもしくはパッケージ用材料に貼り付けられたラベル上に存在し得るか、あるいはキットの成分を含むバイアルもしくはチューブに添付され得る。指示書はさらに、ディスク(フレキシブルディスクまたはハードディスク)、光学CD(例えば、CD−ROM/RAMもしくはDVD−ROM/RAM)、磁気テープ、電気的記憶媒体(例えば、RAMおよびROM)、ICチップならびにこれらの混成体(例えば、磁気/光学的記憶媒体)のような、コンピュータで読み取り可能な媒体上に含まれ得る。
【0136】
本発明のキットはさらに、薬学的処方物中に、緩衝剤、保存剤または安定剤を含み得る。キットの各成分は、個別の容器内に封入され得、そして種々の容器の全ては、単一のパッケージ内に含まれ得る。本発明のキットは、低温保存のために設計され得る。
【0137】
本発明はさらに、本発明の化合物およびその薬学的処方物を含む、製品を提供する。本明細書中で定義される場合、用語「対象物」は、製品を含むことが意図される。
【0138】
製品としては、機械、機器、器具、デバイス、パッケージ用材料、または真菌と接触する状態になる可能性のある任意の有機物質もしくは無機物質(例えば、構築物材料もしくは医療用材料)が挙げられる。
【0139】
本明細書中で使用される場合、用語「医療用材料」とは、医療場面で使用される任意の対象物を指し、検査、診断もしくは処置過程の間、この対象物に患者もしくは被験体が曝され得る。医療用材料の特定の非限定的な例としては、縫合糸、創傷包帯(閉塞性および半閉塞性の織物、例えば、ガーゼパッドもしくは絆創膏)、局所用パッチ、接着性フィルム、ギプス、テープおよびファスナーが挙げられる。医療用材料のさらなる非限定的な例としては、検査用のグローブ、ガウン、およびマスク、シリンジおよび針が挙げられる。
【0140】
本発明はさらに、真菌の接触、混入、増殖、成長もしくは感染を阻害、減少または予防するために十分な医薬の製造のための、本発明のペプチドおよびペプチド模倣物(例えば、本明細書において示される配列と90%以上の同一性を有する配列)またはそれらのプロドラッグの使用を提供する。この医薬は、必要に応じて、他の薬剤(例えば、抗菌剤、抗炎症剤、もしくは鎮痛剤)、または薬学的に受容可能もしくは生理的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤を含む。
【0141】
抗真菌活性もしくは抗真菌機能を有する化合物を同定およびスクリーニングする方法が、提供される。この同定およびスクリーニングの方法は、溶液中または固相で、インビトロ(細胞培養物もしくは細胞培養物)、エキソビボ、またはインビボ(動物中)で実施され得る。
【0142】
一実施形態において、方法は、以下を包含する:G2チェックポイントを抑止もしくは阻害する化合物と真菌とを接触させる工程;この真菌をこの化合物とともにインキュベートする工程;および、この真菌の生存度、増殖もしくは成長を決定する工程。この化合物の存在下における真菌の生存度、増殖もしくは成長の減少は、この化合物を、抗真菌活性を有するものと同定する。別の実施形態において、方法は、以下を包含する:G2チェックポイントを抑止もしくは阻害する化合物と真菌とを接触させる工程;この真菌をこの化合物とともにインキュベートする工程;および、この真菌の生存度、増殖もしくは成長を決定する工程。さらなる実施形態において、方法は、以下を包含する:ペプチドもしくはペプチド模倣物と真菌とを接触させる工程;この真菌をこのペプチドもしくはペプチド模倣物とともにインキュベートする工程;および、この真菌の生存度、増殖もしくは成長を決定する工程。このペプチドもしくはペプチド模倣物の存在下における真菌の生存度、増殖もしくは成長の減少は、このペプチドもしくはペプチド模倣物を、抗真菌活性を有するものと同定する。なお別の実施形態において、方法は、以下を包含する:ペプチドもしくはペプチド模倣物と真菌とを接触させる工程;この真菌をこのペプチドもしくはペプチド模倣物とともにインキュベートする工程;および、この真菌の生存度、増殖もしくは成長を決定する工程。
【0143】
以下は、本明細書において使用される略語である:
Cha:シクロヘキシル−アラニン
Phe−2,3,4,5,6−F:フェニルアラニンのフェニル残基上の2位、3位、4位、5位、6位に位置するフッ化物
F:フッ化物
Bpa:ベンゾイル−フェニルアラニン
Nal(2):2−ナフチル−アラニル
Ala(3−Bzt):(3−ベンゾチエニル)−アラニン
Nal(1):1−ナフチル−アラニル
Dph:ジフェニル−アラニン
Ala(tBu):t−ブチル−アラニル
Cys(tBu):t−ブチル−システイン
Phe−3,4,5−F:フェニルアラニンのフェニル上の3位、4位、5位に位置するフッ化物
Phe−4CF3:フェニルアラニンのフェニル残基上の4位に位置するCF3
Phe−3Br、4Cl、5Br:フェニルアラニンのフェニル上の3位に位置する臭化物、4位に位置する塩化物、および5位に位置する臭化物
Phe−4Cl:フェニルアラニンのフェニル上の4位に位置する塩化物
P1、P2、P3、P4、P5、P6など、および(P1、P2、P3、P4、P5、P6、など);ならびにP7、P8、P9、P10、Pll、P12など、および(P7、P8、P9、P10、Pll、P12など);ならびにX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11:それぞれ、連続配列P1、P2、P3、P4、P5、P6など;およびP7、P8、P9、P10、P11、P12、およびX、X、X、X、X、X、X、X、X、X10、X11
X:任意のアミノ酸。
【0144】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書において記載された方法および材料と類似するかまたは等価である方法および材料が本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、本明細書に記載される。
【0145】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。対立する場合、本明細書(定義を含む)が支配する。
【0146】
本明細書において使用される場合、単数の形態「a」、「an」、「the」および「is」は、文脈により明らかに他のように示されない限り、複数対象物を包含する。したがって、例えば、「化合物」への言及は、複数の化合物を包含し、そして「ペプチド」もしくは「アミノ酸」への言及は、必要に応じて、1つ以上のペプチドおよび1つ以上のアミノ酸への言及を包含する。
【0147】
本発明の複数の実施形態が記載されている。それでもなお、本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが、理解される。したがって、以下の実施例が、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を説明するが、限定はしないことが意図される。
【実施例】
【0148】
(実施例1)
この実施例は、材料およびいくつかの方法を記載する。
【0149】
(化学物質および試薬)
アンホテリシンBを、Sigma−Aldrich Co.(St.Louis、MO)より購入し、DMSO中に溶解して10mg/mlとした。ボロマイシンおよびL,L−D42067αは、北里大学のH.Tomoda教授のご好意により提供を受けた。
【0150】
(細胞培養)
Saccaromices cerevisie AH109を、CLONTECH(Palo Alto、CA)より購入した。CLONTECHより購入したYPD寒天およびSigma−Aldrich Co.より購入したアデニンを用いて、YAPDプレートを調製した。上記細胞を、30℃で培養した。
【0151】
(実施例2)
この実施例は、本発明の種々の化合物の構造を記載する。表1は、CBP501((d−Bpa)(d−Ser)(d−Trp)(d−Ser)(d−Phe2,3,4,5,6−F)(d−Cha)(d−Arg)(d−Arg)(d−Arg)(d−Gln)(d−Arg)(d−Arg))を含む、種々のペプチド/ペプチド模倣物を示す。
【0152】
(表1.例示的ペプチド/ペプチド模倣物の配列および対応するコード名)
【0153】
【表1】

(実施例3)
この実施例は、CBP501のリン酸化阻害活性を示す。図1に示されるように、CBP501は、他のセリン−スレオニンキナーゼ(例えば、サイクリン依存性キナーゼ、PKAおよびPKC)と比較して、細胞周期のG2チェックポイントに関与するキナーゼ(例えば、ATM、ATR、CHK1、CHK2、PLK1、およびWee1)の活性を強力に阻害する。
【0154】
キナーゼの供給源、測定法、基質、第一の抗体、第二の抗体、反応緩衝液、反応容量、ATP濃度および反応時間は、以下の通りである。ATMおよびATR:全長組み換えヒト、293T細胞、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、GST−p53(aa1−99)、抗p53−リン酸化Ser15、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識抗ウサギIgG、1×Mg/Mnキナーゼ緩衝液(20mM Hepes−KOH(pH7.5)、1mM DTT、80μg/ml BSA、10mM MgCl、l0mM MnCl)、50μl、100μM、および60分間。Chk1、Chk2およびc−Tak1:それぞれ、Chk1についてはSF−9細胞由来の全長組み換えヒト、Chk2についてはE.coli由来の全長組み換えヒト、およびc−Tak1についてはSF−9細胞由来の全長組み換えヒト、ELISA、GST−Cdc25C(aa167−267)、抗Cdc25C−リン酸化Ser216、HRP標識抗マウスIgG、1×Mgキナーゼ緩衝液(20mM Hepes−KOH(pH7.5)、1mM DTT、80μg/ml BSA、l0mM MgCl)、50μl、50μM、および60分間。PLK−1:ヒト全長GST融合、E.Coli、ELISA、GST融合タンパク質Y、抗リン酸化Ser/Thrモノクローナル、HRP標識抗マウスIgG、1×Mgキナーゼ緩衝液、30μl、50μM、および60分間。Wee1:GST融合を伴うヒト全長組み換え、E.coli、ELISA、抗Cdc2−リン酸化Tyrl5、HRP標識抗ウサギIgG、1×Mgキナーゼ緩衝液、50μl、100μM、および60分間。DNA−PK:ヒト精製HeLa細胞、ELISA、GST−p53(aa1−99)、抗p53−リン酸化Serl5、HRP標識抗ウサギIgG、1×Mgキナーゼ緩衝液、50μl、100μM、および60分間。Cdk2−サイクリンA、Cdc2−サイクリンB、Cdk2−サイクリンE、およびCdk4−サイクリンD1:全長ヒト組み換え、SF−9細胞、サンドイッチELISA、それぞれ、抗RB−リン酸化Thr356、抗RB−リン酸化Ser612、抗RB−リン酸化Thr356および抗RB−リン酸化Thr356、HRP標識抗RBマウスモノクローナル、1×Cdk/サイクリン反応緩衝液(50mM Hepes−KOH(pH7.5)、1mM EGTA、1mM DTT、200μg/ml BSA、15mM MgCl、0.02% Tween−20、10%グリセロール)、50μl、100μM、および30分間。Cdk5−p25:GST融合を伴うヒト全長組み換え、E.Coli、γ−32ATPを用いたガラスフィルター捕捉アッセイ、ヒストンH1、1×Mgキナーゼ緩衝液、30μl、25μM、および60分間。PKA:ヒト組み換え触媒サブユニット、E.Coli、ELISA、PSペプチド、ビオチン化マウスモノクローナル抗体2B9、HRPストレプトアビジン、1×PKA反応緩衝液(20mM Tris HCI(pH7.0)、3mM MgCl)、50μl、100μM、および30分間。PKC:精製ラット、ラット脳、ELISA、PSペプチド、ビオチン化マウスモノクローナル 抗体2B9、HRP結合ストレプトアビジン、1×PKC緩衝液(20mM Tris HCl(pH7.0)、3mM MgC1、2mM CaCl、50μg/ml ホスファチジルセリン)、50μl、l00μM、および30分間。
【0155】
全て30℃でインキュベーションした。以下のようにリン酸化阻害分析を行った。各キナーゼ、ATPおよび基質を、CBP501(0.5μM、5μM、50μM)ありもしくはなしで、30℃で、上記の緩衝液中で上記の時間インキュベートした。リン酸化された基質を、上記のように、ELISAまたはRIAのいずれかを用いて検出した。基質リン酸化のパーセントを、反応液中のCBP501濃度に対してプロットした。CBP501を含まない各キナーゼ反応液についてリン酸化された基質の量を、100%として正規化した。
【0156】
(実施例4)
この実施例は、YAPDプレート上での酵母AH109増殖の、CBP501による増殖阻害を示す(図2)。
【0157】
液体培地(YAPD)中で対数的に増殖する酵母を、CBP501および/もしくはアンホテリシンBを上記の用量で含むかまたは含まない温めた液体YAPD培地で、1〜10倍希釈した。30℃での1時間のインキュベーションの後、全溶液をYAPDアガロースプレート上に注いだ。ついで、このプレートを3日間インキュベートし、そしてサンプルを、撮影した(図2)。
【0158】
(実施例5)
この実施例は、CBP501による、Candida albicans、Candida glabrata、Cryptococcus neoformans およびTrichophyton mentagroohytesの増殖阻害を示す。
【0159】
Candida albicansを、ATCC(ATCC 10231)より入手し、液体サブロー培地中において37℃で培養した。接種およびCBP501(0.03μg/ml、0.1μg/ml、0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、10μg/ml、30μg/ml、100μg/ml)処置の1日後に濁度を測定した。Candida glabrataを、ATCC(ATCC 36583)より入手し、液体サブロー培地中において28℃で培養した。接種およびCBP501(0.03μg/ml、0.1μg/ml、0.3μg/ml、1、3μg/ml、10μg/ml、30μg/ml、100μg/ml)処置の2日後に濁度を測定した。Cryptococcus neoformansを、ATCC(ATCC 24067)より入手し、液体サブロー培地中において37℃で培養した。接種およびCBP501(0.03μg/ml、0.1μg/ml、0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、10μg/ml、30μg/ml、100μg/ml)処置の2日後に濁度を測定した。Trichophyton mentagroohytesを、ATCC(ATCC 9533)より入手し、ジャガイモデキストロースブロス中において28℃で培養した。接種およびCBP501(0.03μg/ml、0.μg/ml1、0.3μg/ml、1μg/ml、3μg/ml、10μg/ml、30μg/ml、100μg/ml)処置の3日後に濁度を測定した。最小増殖阻害濃度を、濁度が上昇しなかった最小CBP501濃度として決定した(表2)。
【0160】
(表2:種々の真菌に対するCBP501の抗真菌活性)
【0161】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、種々のセリン−スレオニンキナーゼに対するCBP501のインビトロリン酸化阻害活性を示す。Y軸は、所与のキナーゼによる基質のリン酸化を示す。100%は、化合物なしでのキナーゼ活性である。
【図2】図2は、抗真菌剤アムホテリシンB有りおよび無しでのCBP501の抗真菌活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真菌感染または真菌増殖を阻害もしくは減少するための方法であって、該方法は、
該真菌または該真菌と接触している対象物を、真菌感染または真菌増殖を阻害もしくは減少するために十分な一定量の(i)ペプチドもしくはペプチド模倣物、または(ii)それらのプロドラッグと接触させる工程;
を包含し、該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列を含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ペプチドもしくはペプチド模倣物は、表1に示される配列のうちのいずれか1つの配列を含み、かつ抗真菌活性を有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記真菌または対象物を、核酸損傷剤もしくは核酸損傷処理に接触または暴露させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記真菌または対象物は、被験体中に存在する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記真菌は、酵母、カビ、または粘菌を包含する、
方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記酵母は、カンジダ属またはサッカロミセス属を包含する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記真菌または対象物は、環境中に、住居環境中、商業環境中、産業環境中、もしくは共同体環境中に、または農業環境もしくは園芸環境中に、存在する、方法。
【請求項8】
真菌を含む対象物の混入または真菌を含む生物の混入を阻害もしくは減少するための方法であって、該方法は、
該対象物または該生物を、該対象物の混入または該生物の混入を阻害もしくは減少するために十分な一定量の(i)ペプチドもしくはペプチド模倣物を含む化合物、または(ii)そのプロドラッグと接触させる工程;
を包含し、該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列を含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである、
方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記対象物または生物を、核酸損傷剤もしくは核酸損傷処理に接触または暴露させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記生物は、細胞を包含する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記細胞は、培養細胞である、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記生物は、ヒト被験体である、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記生物は、植物である、方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法であって、前記生物は、非生存生物である、方法。
【請求項15】
請求項8に記載の方法であって、前記対象物は、無機物質または有機物質である、方法。
【請求項16】
請求項8に記載の方法であって、前記真菌は、酵母、カビ、または粘菌を包含する、方法。
【請求項17】
真菌増殖または真菌感染を処置するための方法であって、該方法は、
該真菌増殖もしくは真菌感染を有する被験体または該真菌増殖もしくは真菌感染を有する危険がある被験体に、真菌増殖または真菌感染を処置するために有効な一定量の(i)化合物、または(ii)それらのプロドラッグを投与する工程、
を包含し、該化合物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列を含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記化合物は、表1に示される配列のうちのいずれか1つの配列を含み、かつ抗真菌活性を有する、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、前記化合物は、局所投与、限局投与、または全身投与される、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、前記化合物を、真菌との接触、真菌の混入、真菌の増殖、もしくは真菌の感染の、前に投与するか、実質的に同時に投与するか、または後に投与する、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、前記化合物を、皮膚、足指、爪、毛、または粘膜組織に投与する、方法。
【請求項22】
請求項17に記載の方法であって、前記真菌増殖または真菌感染は、前記皮膚、足指、爪、毛、または粘膜組織の少なくとも一部に存在する、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記粘膜組織は、胃腸管、口、肺、気管支経路、鼻腔経路、および副鼻腔、尿生殖路および膣から選択される、方法。
【請求項24】
請求項17に記載の方法であって、前記真菌増殖または真菌感染は、酵母またはカビを含む、方法。
【請求項25】
請求項17に記載の方法であって、前記真菌増殖または真菌感染は、皮膚糸状菌、Coccidioides immitis、Histoplasma capsulatum、Candida albicansおよびAspergillus fumigatusから選択される、方法。
【請求項26】
請求項17に記載の方法であって、前記真菌増殖または真菌感染は、爪真菌症;たむし、または汗疱状白癬;パラコクシジオイドミコーシス;ブラストミセス症;ムコール症;クリプトコックス症;コクシジオイデス真菌症;ヒストプラスマ症;カンジダ症;またはアスペルギルス症を引き起こす、方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、前記処置は、前記被験体の状態の改善をもたらす、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記改善は、刺激の減少、かゆみの減少、炎症の減少、焼灼感の減少、蕁麻疹の減少、湿潤の減少、掻痒の減少、過剰な分泌物の減少、退色の減少、頭痛の減少、または疲労の減少を包含する、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記改善は、真菌増殖もしくは真菌感染に対する感受性の減少、または真菌増殖もしくは真菌感染の再発の減少を包含する、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記改善は、前記被験体被験体の状態の悪化の阻害、または前記被験体の状態の進行の阻害を包含する、方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法であって、前記被験体に対して、核酸損傷剤、核酸損傷処置、抗真菌剤、または抗真菌処置を投与する工程をさらに包含する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記薬剤または処置は、薬物を包含する、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、化学療法剤を包含する、方法。
【請求項34】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、抗真菌活性または抗真菌機能を有する、方法。
【請求項35】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、全身用薬物または局所用薬物である、方法。
【請求項36】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、アリルアミン、アゾール、ポリエン、ピリミジン、テトラエン、チオカルバメート、スルホンアミド、グルカン合成インヒビター、および安息香酸化合物を包含する化学物質の種類から選択される、方法。
【請求項37】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、アモロルフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、ケトコナゾール、フルコナゾール、エルビオール、エコナゾール、エコナキソール、イトラコナゾール、イソコナゾール、イミダゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、クロトリマゾール、エニルコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チタベンダゾール、ボリコナゾール、サペルコナゾール、セルタコナゾール、フェンチコナゾール、ポサコナゾール、ビフォナゾール、フルトリマゾール、ナイスタチン、ピマリシン、アンホテリシンB、フルシトシン、ナタマイシン、トルナフテート、マフェニド、ダプソン、カプソフンジン、アクトフニコン、グリセオフルビン、ヨウ化カリウム、ゲンチアナバイオレット、シクロピロックス、シクロピロックスオラミン、ハロプロジン、ウンデシレン酸塩、スルファジアジン銀、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸アルカノールアミド、およびカルボール−フクシンから選択される、方法。
【請求項38】
請求項32に記載の方法であって、前記薬物は、5−フルオロウラシル(5−FU)、レベッカマイシン、アドリアマイシン(ADR)、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、シスプラチン誘導体、カンプトテシン(CPT)、またはこれらのプロドラッグを包含する、方法。
【請求項39】
真菌の増殖、混入、もしくは感染を処置するための方法であって、該方法は、
真菌の増殖、混入、もしくは感染を有する植物、植物の一部または種子、または真菌の増殖、混入、もしくは感染を有する危険がある植物、植物の一部または種子を、該真菌の増殖、混入、もしくは感染を処置するために有効な一定量の(i)配列、または(ii)それらのプロドラッグと接触させる工程、
を包含し、該配列は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列であり、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、前記配列は、表1に示される配列のうちのいずれか1つの配列を含み、かつ抗真菌活性を有する、方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法であって、前記植物、植物の一部または種子を、前記配列と、局所的にか、限局的にか、または全体的に、接触させる、方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法であって、前記植物、植物の一部または種子を、前記真菌の増殖、混入または感染の、前にか、実質的に同時にか、または後に、前記配列と接触させる、方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法であって、前記植物の一部は、葉、茎、根、花、種子、幹または枝を包含する、方法。
【請求項44】
請求項39に記載の方法であって、前記真菌の増殖、混入、または感染は、前記葉、茎、根、花、種子、幹または枝の少なくとも一部に存在する、方法。
【請求項45】
請求項39に記載の方法であって、前記真菌の増殖、混入、または感染は、酵母、カビ、または粘菌により引き起こされる、方法。
【請求項46】
請求項39に記載の方法であって、前記真菌の増殖、混入、または感染は、黒斑病、炭疽病、晩腐病、煤斑病、セプトリア斑点病、セルコスポラ斑点病、さび病、べと病、褐色腐敗病、葉腐病、黒穂病、イボ症、枝枯れ病、マイコスフェレラ斑点病、バラ黒点病、花枯れ病、セプトリア葉枯れ病、輪紋病および疫病、葉かび病、黒痘病、輪紋病、ダラースポット病、煤紋病、アルタナリア斑点病およびリースポラ斑点病から選択される、方法。
【請求項47】
請求項39に記載の方法であって、前記処置は、真菌の増殖、混入、生存性、もしくは感染の、減少、低下、または阻害をもたらす、方法。
【請求項48】
請求項39に記載の方法であって、前記処置は、真菌の増殖、混入、もしくは感染に対する感受性の減少、または真菌の増殖、混入、もしくは感染の再発の減少をもたらす、方法。
【請求項49】
請求項39に記載の方法であって、前記処置は、真菌の増殖、混入、もしくは感染の悪化の阻害、または真菌の増殖、混入、もしくは感染の進行の阻害をもたらす、方法。
【請求項50】
請求項39に記載の方法であって、前記植物、植物の一部または種子を、核酸損傷剤、核酸損傷処置、抗真菌剤、または抗真菌処置と接触させる工程をさらに包含する、方法。
【請求項51】
請求項50に記載の方法であって、前記薬剤または処置は、薬物を包含する、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、前記薬物は、化学療法剤を包含する、方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法であって、前記薬物は、抗真菌活性または抗真菌機能を有する、方法。
【請求項54】
請求項51に記載の方法であって、前記薬物は、バナーマックス、コンパスクリアリーズ、ファンジネクス、イムノックス、ダイセン、イーグル、フォア、シスサン、トップジン、カプタン、チラム、カルボキシン、メフェノザン、PCNB、フルジオキソニル、チアベンダゾール、銅ベースの殺真菌剤、硫黄化合物、柑橘類油およびBacillus subtilisから選択される、方法。
【請求項55】
請求項51に記載の方法であって、前記薬物は、5−フルオロウラシル(5−FU)、レベッカマイシン、アドリアマイシン(ADR)、ブレオマイシン(Bleo)、ペプレオマイシン、シスプラチン誘導体、カンプトテシン(CPT)、またはこれらのプロドラッグを包含する、方法。
【請求項56】
請求項50に記載の方法であって、前記植物、植物の一部または種子は、環境中、産業環境中、共同体環境中、住居環境中、商業環境中、または農業環境もしくは園芸環境中に、存在する、方法。
【請求項57】
抗真菌処置もしくは抗真菌剤と、(i)ペプチドもしくはペプチド模倣物または(ii)そのプロドラッグとを含む組成物であって、該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列を含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
組成物。
【請求項58】
抗炎症処置もしくは抗炎症剤、抗菌処置もしくは抗菌剤、または抗炎症処置もしくは抗炎症剤と、(i)ペプチドもしくはペプチド模倣物または(ii)そのプロドラッグとを含む組成物であって、該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1として定義される配列に対して90%以上の同一性を有する配列を含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
組成物。
【請求項59】
抗真菌活性を有する化合物を同定するための方法であって、該方法は、
(i)G2チェックポイントを抑止または阻害する化合物を真菌に接触させる工程;
(ii)該真菌を、該化合物とともにインキュベートする工程;および
(iii)該真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程であって、該化合物の存在下での該真菌の生存度、増殖または繁殖の減少により、該化合物を、抗真菌活性を有するものとして同定する、工程;
を包含する、方法。
【請求項60】
抗真菌活性を有する化合物をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(i)G2チェックポイントを抑止または阻害する化合物を真菌に接触させる工程;
(ii)該真菌を、該化合物とともにインキュベートする工程;および
(iii)該真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程;
を包含する、方法。
【請求項61】
抗真菌活性を有するペプチドまたはペプチド模倣物を同定するための方法であって、該方法は、
(i)ペプチドまたはペプチド模倣物を真菌に接触させる工程;
(ii)該真菌を、該ペプチドまたはペプチド模倣物とともにインキュベートする工程;および
(iii)該真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程であって、該ペプチドまたはペプチド模倣物の存在下での該真菌の生存度、増殖または繁殖の減少により、該ペプチドまたはペプチド模倣物を、抗真菌活性を有するものとして同定する、工程;
を包含し、
該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1を含み、またはそのプロドラッグを含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
方法。
【請求項62】
抗真菌活性を有するペプチドまたはペプチド模倣物をスクリーニングするための方法であって、該方法は、
(i)ペプチドまたはペプチド模倣物を真菌に接触させる工程;
(ii)該真菌を、該ペプチドまたはペプチド模倣物とともにインキュベートする工程;および
(iii)該真菌の生存度、増殖または繁殖を決定する工程;
を包含し、
該ペプチドまたはペプチド模倣物は、
P1、P2、P3、P4、P5、P6、もしくはP6、P5、P4、P3、P2、P1を含み、またはそのプロドラッグを含み、
P1は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、キナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P2は、d−Chaもしくはl−Cha;d−Nal(2)もしくはl−Nal(2);d−(Phe−2,3,4,5,6−F)もしくはl−(Phe−2,3,4,5,6−F);d−(Phe−3,4,5F)もしくはl−(Phe−3,4,5F);d−(Phe−4CF3)もしくはl−(Phe−4CF3);d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;類似する側鎖空間を占めるアミノ酸;または該側鎖中に1つもしくは2つの芳香族基、ピペリジン基、ピラジン基、ピリミジン基、ピペラジン基、モルホリン基、もしくはピリミジン基、または1つのインドール基、ペンタレン基、インデン基、ナフタレン基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、キノリン基、インドリン基、クロマン基、キノキサリン基、もしくはキナゾリン基を含む任意のアミノ酸であり;
P3、P4、P5は、任意のアミノ酸であるか、またはP3、P4、P5のうちの1つ以上は、P2とP6との間の距離が、P3、P4、P5の各々がアミノ酸である場合の距離とほぼ同じであるような単純な炭素鎖であり;
P6は、d−Bpaもしくはl−Bpa;d−PheNOもしくはl−PheNO;任意のアミノ酸およびd−Tyrもしくはl−Tyr;任意のアミノ酸およびd−Pheもしくはl−Phe、任意のアミノ酸、もしくは何もなしである;
方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−527852(P2007−527852A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506617(P2006−506617)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001523
【国際公開番号】WO2004/089396
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(504275568)株式会社 キャンバス (6)
【Fターム(参考)】