説明

抗精子形成、殺精子および/または抗真菌組成物ならびに前記組成物の使用方法

精子形成を妨害することによって、殺精子剤もしくは精子移動阻害剤として作用することによって避妊薬として作用する、および/または抗真菌剤として作用するヘキサヒドロインデノピリジン化合物;この化合物を含む抗精子形成、精子移動阻害、殺精子または抗真菌組成物;ならびに前記化合物および組成物を用いた、精子形成を妨害する、精子移動を阻害する、運動精子を殺傷するまたは真菌類を処理する方法を開示する。また、避妊化合物の生体内での特定の部位への結合を研究するために使用することができる放射性化合物、および、このような目的のための前記化合物の使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精子形成を妨害することによって、殺精子剤もしくは精子移動阻害剤として作用することによって避妊薬として作用する、および/または抗真菌剤として作用するヘキサヒドロインデノピリジン(hyxahydroindenopyridine)化合物;この化合物を含む抗精子形成、精子移動阻害、殺精子または抗真菌組成物;前記化合物および組成物を用いた、精子形成を妨害する、精子移動を阻害する、運動精子を殺傷するまたは真菌類を処理する方法;ならびに、前記避妊薬の生物学的物質への結合を調べるための方法および物質を対象とする。
【背景技術】
【0002】
米国および多くの西欧諸国においては、避妊に対する高く増大している需要は、ライフスタイルの好みに関連しているのに対して、多くの発展途上国では、人口制御は、非常に緊急の衛生問題である。避妊は、全世界的な健康に関して必要であることを考慮すれば、世界の異なる地域では異なる理由があるにせよ、男性の避妊に関する全体的な市場は、米国単独の数値から計上した市場よりもはるかに大きいであろう。
【0003】
西欧諸国においては、1951年に「ピル」が開発され、避妊の大衆的な選択として比類なき地位を維持しており、避妊薬の市場は、過去50年間にわたって、比較的にわずかしか変化していない。避妊の研究の増進によって、たった一つか二つの更なる選択しか提供されず、全ては、歴史的に、避妊の責任、費用および健康上の危険性(具体的には、心臓血管疾患およびホルモンに基づく避妊薬の長期にわたる使用に関連したある種のガンの危険性)の矛先が向かう女性に対するのものであった。16世紀に発明されたコンドームは、(「膣外射精」および精管切除以外の)男性が利用できる唯一の重要な避妊薬の形態である。コンドームがもたらした唯一の本当の革新的な発展は、19世紀のゴムの加硫とともにもたらされた(New Scientist, 20 April 1994, Vol 142 No 1923)。
【0004】
製薬会社が、性機能不全のための化合物(例えば、勃起障害のためのバイアグラ)を開発したので、避妊に対する需要は増大すると予想される。米国でのコンドームの売り上げは、1999年の間に5.8%増加し、2億6千万ドルの収益を生み出し、新たなアメリカのセックス革命と呼ばれるほどの反響をもたらした(Drug Store News, Nov 29, 1999 v21 il9 p29)。子供を有する年齢の女性の大部分は、既に避妊を実施しているが(世界中の再生産年齢の全ての既婚女性の58%が、何らかの種類の避妊方法を使用している(The Population Division of the United Nations Department of Economic and Social Affairs 2000)))、全ての妊娠の半分が意図しないものである(NICHD, Contraception and Reproductive Health Branch: Report to the NICHHD Council September 1999)。より多くの代替手段についての、特に、男性が避妊の責任のより大部分を占めることが可能となる代替手段についての、健康および消費者団体から根強い懇願が存在している。世界的な関心により、世界保健機構およびファミリー・ヘルス・インターナショナルなどの組織は、男性用避妊薬の開発を働き掛ける狙いの構想を立ち上げた。少なくとも2つの会社ScheringおよびOrganonは、この10年間以内にホルモンによる男性用避妊薬を市場にもたらせるように、非常に努力している。
【0005】
安全で、効果的な経口の活性な男性用避妊薬は、何年間も追い求められてきた。しかしながら、性的衝動に影響を与えることなく、安全に精子形成を妨害し、男性用避妊薬として機能する薬剤の開発は、困難な仕事であることが証明されている。
【0006】
男性にとって理想的な避妊薬は、性的衝動または副性器およびその機能に影響を与えることなく、精子の産生を効率的に停止させ、受精能力を阻害する、ならびに/または運動精子を殺傷する薬剤であろう。加えて、有効量と毒性量が広く離れているべきであり、この方法は元に戻せるべきである。このような理想的な男性用避妊薬は、現在のところ利用することができない。
【0007】
抗ガン剤およびアルキル化剤などの幾つかの一般的な細胞毒性物質は、精子形成に影響を及ぼすが、避妊薬としては明らかに許容できない。精子形成をも妨害する、チオ糖などの細胞のエネルギー工程を妨害する化合物は、十分に選択的ではない。テストステロンおよびそのアナログなどのアンドロゲンは、十分に高い投与量で付与すると、視床下部-下垂体軸を含む機構を恐らく介して、精子形成を妨害する。これらのステロイド化合物は、臨床試験では成功裏に使用されていた。しかしながら、これらのステロイドの同化作用特性により、望まない副作用がもたらされる可能性がある。プロゲスチンは、また、恐らく、視床下部-下垂体軸を介して作用し、男性の有効な避妊薬であるが、アンドロゲンによる補充が必要である。
【0008】
ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)アナログは、精子形成を有効に阻害する化合物として、活発に研究されている。しかしながら、GNRHアナログは、内因性のテストステロン産生を妨害し、それ故、補足のアンドロゲンを投与しない限り、性的衝動を減じさせる。
【0009】
男性用避妊薬についての1つのアプローチは、男性の生殖工程における生理化学の同定および説明に基づくものである。睾丸は、3つの機能のコンパートメントからなる。精子の産生を担う第一のコンパートメントは、発生中の生殖細胞を含む細精管からなる。第二のコンパートメントは、細精管の内部に位置するセルトリ細胞であり、精子形成工程の組織的および機能的調整に寄与しており、恐らくは、傍分泌および自己分泌の役割を有する。セルトリ細胞と発生中の生殖細胞との間の複雑な組織的な関係、および、隣接するセルトリ細胞間のタイトな結合部の存在が原因で、血液精巣隔壁が形成され、細精管は、血液によって運ばれる化学物質または栄養素の直接的なアクセスから孤立した領域へと分割されてしまう。間質組織においては、幾つかの内分泌および機能を有するライディッヒ細胞が、細管の周りに存在し、そのテストステロンの産生が最も開示されている。
【0010】
生殖細胞は、漸次、分裂および分化し、成熟する際に、基底膜から細管腔へと移動する。精原細胞は、基底画分に存在し、選択的に補充された精原細胞は有糸分裂し、精原細胞としてあり続ける細胞か、精母細胞へと分化する細胞の、いずれかとなる。精母細胞は、セルトリ細胞の間の結合部を介して移動し、有糸分裂して第二精母細胞を形成する。第二精母細胞は分裂し、精子細胞を形成する。精子細胞は、その後、成熟した精子へと分化する。精子細胞の分化を、しばしば、精子形成と称する。しかしながら、本出願の目的においては、「精子形成」は、精子の形成および成熟(分化)の全工程を網羅するように定義され、「抗精子形成化合物」は、この工程の任意の部分を乱すものを指す。
【0011】
セルトリ細胞の機能の要約を以下に示す:(a)精上皮にサポートおよび栄養素を提供する、(b)後期精子細胞の細管腔への放出、(c)形態学的および生理学的な血液精管隔壁の形成、(d)変性した生殖細胞の食作用、および(e)精上皮のサイクルの調整。
【0012】
ライディッヒ細胞は、また、精子形成を支持する。下垂体に由来する黄体形成ホルモン(LH)は、ライディッヒ細胞によるテストステロン産生を刺激する。テストステロンおよびその代謝産物であるジヒドロテストステロンは、通常の精子形成を支持するのに必要である。テストステロン受容体は、様々なタイプの生殖細胞に存在する。テストステロンは、血液精管隔壁を介して、恐らくセルトリ細胞への移動を介して伝達され、そこで、エストラジオール、ジヒドロテストステロンへと代謝され、または、変化しないままでいる。
【0013】
全てのタイプではないにせよ、幾つかのタイプの生殖細胞は、ライディッヒ細胞および/またはセルトリ細胞と相互作用する。これらの相互作用は、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞および生殖細胞によって産生される化学伝達物質の形態である。例えば、パキテン期精母細胞は、ライディッヒ細胞によるステロイド産生を刺激するセルトリ細胞タンパク質因子(Sertoli cell proteinaceous factor)の分泌を調節する。精子細胞の結合は、提供されたコンパートメントであるか、FSHへの暴露によって機能的であるセルトリ細胞のみへと生じる。ラットのセルトリ細胞は、周期的に幾つかのタンパク質を分泌し、精上皮細胞の特定の段階で最大の産生が生じる;すなわち、生殖細胞の特定のグループと関連している場合である。クラスタリングは、精上皮が工程VIIまたはVIIIの形態である場合に、FSHの刺激とは独立して、セルトリ細胞によって最大限産生される。このことは、生殖細胞によるセルトリ細胞分泌機能の局所的な調節を示唆している。
【0014】
Sandoz, Ltd.(図1参照)によって開発されたヘキサヒドロインデノピリジン化合物no.20-438は、動物への経口投与で、精子形成の可逆的な阻害を提供されることが示されている。Toxicol. Suppl., 1984, 7:171-173; Arch. Toxicol. Suppl., 1978, 1:323-326; およびMutation Research, 1979, 66:113-127を参照。
【0015】
ラセミ混合物としての様々なインデノピリジン化合物の合成は知られており、例えば、米国特許第2,470,108; 2,470,109; 2,546,652; 3,627,773; 3,678,057; 3,462,443; 3,408,353; 3,497,517; 3,574,686; 3,678,058および3,991,066号明細書において、開示されている。これらのインデノピリジン化合物は、消炎および鎮痛特性を呈するセロトニンアンタゴニスト、血球母細胞凝集阻害剤、鎮痛剤、ならびに神経弛緩化合物としての用途だけでなく、潰瘍-保護、降圧および食欲抑制化合物としての用途をも含む、様々な用途を有する。
【0016】
米国特許第5,319,084および5,952,336号明細書には、図1における構造RTI-4587-056およびRTI-4587-073などのような、5位が、パラ位置換基を有するフェニル環によって置換された、抗精子形成活性を有するヘキサヒドロインデノピリジン化合物が開示されている。
【0017】
この分野の盛んな研究にも関わらず、副作用が制限された、活性で反転可能な男性用避妊薬についての需要が、存在し続けている。引き続き存在する問題は、副作用を誘発する可能性のある投与量で既知の化合物を投与する必要性である。この分野における更なる問題は、睾丸内または睾丸上に特異的な結合部位を有する適したイメージング剤が存在しないことである。睾丸の機能の研究および睾丸異常の診断において、イメージング剤として使用することができる化合物についての需要が、存在し続けている。
【0018】
男性用経口避妊薬に加えて、より有効な、従来の局所的/外付けの避妊用の殺精子組成物についての需要が存在する。
【特許文献1】米国特許第2,470,108号明細書
【特許文献2】米国特許第2,470,109号明細書
【特許文献3】米国特許第2,546,652号明細書
【特許文献4】米国特許第3,627,773号明細書
【特許文献5】米国特許第3,678,057号明細書
【特許文献6】米国特許第3,462,443号明細書
【特許文献7】米国特許第3,408,353号明細書
【特許文献8】米国特許第3,497,517号明細書
【特許文献9】米国特許第3,574,686号明細書
【特許文献10】米国特許第3,678,058号明細書
【特許文献11】米国特許第3,991,066号明細書
【特許文献12】米国特許第5,319,084号明細書
【特許文献13】米国特許第5,952,336号明細書
【非特許文献1】Toxicol. Suppl., 1984, 7:171-173
【非特許文献2】Arch. Toxicol. Suppl., 1978, 1:323-326
【非特許文献3】Mutation Research, 1979, 66:113-127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の1つの目的は、性的衝動に影響を及ぼさず、高い有効性および活性を有し、最小の副作用および毒性しか有さない、経口で活性な男性用避妊薬を提供することである。
【0020】
本発明の更なる目的は、精子形成を阻害する、経口で活性な男性用避妊薬、および、この薬を用いた精子形成を阻害する方法を提供することである。
【0021】
本発明の更なる目的は、殺精子剤、運動精子殺傷剤または精子移動阻害剤として作用し、それ故、外用の避妊薬として有効である組成物を提供することである。
【0022】
本発明の更なる目的は、身体(特に睾丸)の特定の部位への、避妊用インデノピリジンおよび他の化学物質の結合を調べるために有用な化合物;抗精子形成もしくは殺精子化合物または精子移動阻害剤が結合する部位を同定、決定および/または定量するための、このような化合物の使用、ならびに、新規の避妊化合物の開発を助けるために、構造活性相関を明らかにするのに使用することができるアッセイのための、このような化合物の使用を提供することである。
【0023】
本発明の更なる目的は、抗真菌組成物として作用する組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明のこれらの目的および他の目的は、本発明のヘキサヒドロインデノピリジン化合物の発見、および、これらの化合物が高い有用性を有し、精子形成を妨害し、移動精子に対する殺精子剤として作用し、そして有効な抗真菌特性を示すという発見によって達成された。
【0025】
本発明の化合物によって、1つまたは複数の前記した課題を解決することができる。本発明の化合物は、既知の化合物Sandoz20-438よりも想定的に低い投与量で高い有効性を示し、前記化合物で観察される鎮静作用などの副作用の発生を減少させる。更にその上、本発明の化合物は、睾丸における高分子部位(macromolecular site)と相互作用する。放射性標識などの標識を含む本発明の化合物は、睾丸の機能の研究および睾丸の機能不全の診断に有用なイメージング剤を提供することによって、不十分なイメージング剤の問題を克服する。このような化合物は、また、特定の受容体に結合する避妊化合物の相対的親和性をin vitroで評価し、それにより、適切なin vivoでの相対的な活性を評価する手段を提供する。本発明の化合物は、また、非常に有効で効率的な方法で、殺精子剤、移動精子殺傷剤として作用することができ、様々な殺精子組成物における使用が示唆される。本発明の化合物は、また、抗真菌剤として作用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
下記の構造1を有するヘキサヒドロインデノピリジン化合物およびその塩が、抗精子形成作用を有するだけでなく、移動精子を殺傷または精子移動を阻害する殺精子剤として作用し、更には、抗真菌剤としても作用することを発見した。
【0027】
【化1】

【0028】
[式中、R1は、(置換されていてもよい) C1-4アルキル、 C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、 C2-4アルケニルであり;
R2は、そのアルコール部位が極性置換基もしくは置換を有するカルボン酸エステル基であり;または
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、カルボン酸、カルボン酸エステルもしくはin vivoでカルボン酸へと変換可能な基(例えば、メチル、ヒドロキシメチル、ホルミル等)であり;
R3は、 H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5は、1つもしくは複数のπ結合によって特徴付けられる、C、H、N、OおよびSの組み合わせを含む基であり、この基は、C-8/R5結合の周りで回転する時に、x=y=z=7オングストロームの寸法の立方体の体積以下の体積を掃き、加えて、この基は、この体積を超えて広がることができるR7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5は、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5は、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、Cl、Brもしくは127Iである]
【0029】
好ましくは、本発明の化合物は、
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、そのアルコール部分がケタールおよび/もしくはヒドロキシル置換基を含むカルボン酸エステル、または、in vivoでヒドロキシルへと変換可能な基であり;または
(R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合) R2が、カルボキシルもしくはカルボン酸エステル基COO-CnH2n+1(式中、nは、0から4の整数である)、CH2OHまたはCHOであり;
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
{R2が、COOH、COOCnH2n+2(式中、nは1から4の整数である)、ヒドロキシメチルもしくはホルミルでない場合}R5が、ハロゲンであり、あるいは、R5が、アジドまたはシアノまたはC2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5が、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5が、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hである;
構造1およびその塩を有する。
【0030】
更により好ましくは、本発明の化合物は、
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、COOR8{式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができ;または、R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R8は、HもしくはCtHu(式中、tは1から18の整数であり、uは3から37の整数である)である}であり、
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5が、C2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5が、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5が、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iである;
構造1およびその塩を有する。
【0031】
より好ましい実施態様においては、本発明の化合物は、
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または、
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、COOR9(R9は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5が、アジド、シアノ、エチニルまたはC2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=1から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されており;または
R5が、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iである;
構造1およびその塩を有する。
【0032】
更なる実施態様においては、本発明の化合物は、
R1が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、アリルまたはシクロプロピルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または、
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、COOR8(R8は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、H、ハロゲン、CH3、CF3、CHO、COCH3、OH、OCH3またはOCF3であり;
R4が、CH3、CF3またはC2H5であり;
R5が、ハロゲン、アジド、シアノ、エチニル、プロピニル、エテニル、プロペニル、トリアゾール-4-イル、C2-4アルケニル、一環式アリールまたは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールであり、化学的に可能であれば、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iであり;または
R5が、125I、123Iもしくは131Iである;
構造1およびその塩を有する。
【0033】
更なる実施態様においては、本発明の化合物は、
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルまたはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SまたはR,Sとすることができる)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、ハロゲン、トリメチルスタニル、エチニルまたは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルである;
構造1およびその塩を有する。
【0034】
更なる実施態様においては、本発明の化合物は、
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、H、メチル、エチルまたはプロピルである)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、トリメチルスタニル、エチニルもしくは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルであり;または
R5が、125I、123Iもしくは131Iである;
構造1およびその塩を有する。
【0035】
本発明の最も好ましい実施態様においては、化合物は、
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または
R5が、127Iでない場合、R2は、COOR8(R8は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、トリメチルスタニル、123I、125I、127I、131I、エチニルまたは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルである;
構造1およびその塩を有する。
【0036】
この化合物は、動物またはヒトにおいて、特に哺乳類において、最も好ましくはヒト男性において、妊娠の調節のために使用することができる。代替的には、この化合物は、野生動物、家畜または野獣において、好ましくは、マウス、ラット、コヨーテ、ディンゴ、小型のロバ(burro)、シカ、ウッドチャック、コヨーテまたはウマから選択された動物において、妊娠の調節のために使用することができる。
【0037】
本発明においては、用語「殺精子剤」または「殺精子」は、受精することができなくなり、それ故、精子を有効に(または機能的に)殺傷するように、精子を殺傷する能力またはその移動を十分に阻害する能力のいずれかを指す。
【0038】
本発明は、更に、
- 精子を含む組成物を、構造1の化合物を含む殺精子組成物と接触させる工程;
を含む、移動精子の移動を妨害または阻害する方法に関する。
【0039】
更なる実施態様においては、本発明は、殺精子有効量の構造1の化合物および生理学的に許容可能な担体を含む殺精子組成物、ならびに、バリア型避妊具を含み、または含まない、殺精子有効量の構造1の化合物および担体を含む殺精子処理用避妊具の調製における、前記組成物の使用に関する。
【0040】
本発明の組成物は、
- 対象に、生理学的に許容可能な担体中に殺精子有効量の構造1の第1の化合物を含む組成物を、経口投与すること;
- 前記対象または前記対象の性的パートナーによって、殺精子有効量の第2の化合物および担体を含む殺精子処理避妊具を同時に使用すること;
を含む、避妊方法であって、
バリア型避妊具を用いる、または用いず、
前記構造1の第1の化合物および第2の化合物が、同一または異なっている、避妊方法において使用することができる。
【0041】
更なる実施態様においては、置換基が放射性原子である本発明の化合物は、ヘキサヒドロインデノピリジン化合物の作用機序を、生体内もしくはin vitroでの巨大分子化合物への結合により、研究するために使用することができ、または、他の薬を開発する手段として、他のヘキサヒドロインデノピリジンもしくは他の化合物を、このような結合について試験するためのアッセイにおいて使用することができる。例えば、R1、R2、R3、R4およびR5が前記で定義したものであり、放射性原子との置換によって放射性標識された本発明の化合物は、抗精子形成または殺精子化合物に結合する部位および分子を同定、決定および/または定量するために使用することができる。このような化合物は、また、抗精子形成または殺精子化合物である可能性のある化合物の間の構造活性相関を同定するためのアッセイにおいて使用することができ、そして、新規の抗精子形成または殺精子化合物の同定および開発だけでなく、受容体についての化合物の相対的親和性を測定するための結合アッセイにも役立つアッセイにおいて使用することができる。より好ましくは、このような方法において使用するための本発明の化合物は、R1がEtであり、R2がCOOMeまたはCOOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5123I、125Iまたは131Iであり、最も好ましくは、R5125Iである化合物である。試験した結合部位または受容体は、好ましくは、睾丸内またはその副画分(subfraction)内に存在する。副画分は、これらに限定されないが、睾丸ホモジネート(testicular homogenate)、睾丸の特定の細胞コンポーネント、または睾丸の特定の細胞成分の膜画分を含む。
【0042】
現在のデータは、ヘキサヒドロインデノピリジンの5-アリール基の4'-位のカルボン酸エステルは、in vivoで、精子形成に影響を及ぼす活性な部分となると考えられるカルボン酸へと加水分解することを示している。以前の研究では、エステルのアルコールコンポーネントとして、炭化水素部分(例えば、メチル、n-プロピル)を使用することは、抗精子形成において有効であると報告されていた(Structure-Activity Studies of 2,3,4,4a,5,9b-Hexahydroindeno[1,2-c]pyridines as Antispermatogenic Agents for Male Contraception, C. E. Cook, M. C. Wani, J. M. Jump, Y.-W. Lee, P. A. Fail, S. A. Anderson, Y.-Q. Gu, and V. Petrow. J. Med. Chem., 38(5), 753-763, 1995)。我々は、今回、アルコールコンポーネントへの極性基を導入することによっても、有効な抗精子形成剤が得られることを発見した。このような極性基は、可溶性特性を改善することができ、薬物への調合に役立ち、そして、in vivoでのカルボン酸への変換速度に影響を与える。メチルからn-プロピルへと炭化水素鎖が増加するにつれて、活性の保持がもたらされることが知られていた。我々は、RTI-4587-073に類似したn-ヘキシルエステル(RTI-4587-101)も、活性を有することを見出した。より極性のエステルは、全て活性であった。これらのエステルは、Solketal(登録商標)部分およびそれに由来するジオール加水分解産物、ならびに3-ヒドロキシプロピル部分に基づいていた。他の極性基も使用することができる。例えば、アミン基、カルボキシレート基およびこれらの塩を含むエステル基は、極性を増大するであろう。
【0043】
本発明においては、用語「抗精子形成」は、睾丸における精子の産生を妨害する能力に関するのに対して、用語「殺精子剤」または「殺精子」は、精子産生後に、より好ましくは射精後に、精子を殺傷または動けなくする能力に関する。
【0044】
前記で示した構造(I)を有する化合物の医薬的に許容可能な塩は、また、本発明に含まれる。医薬的に許容可能な塩は、これらに制限されないが、無機酸と塩基性基(例えば、制限されないが、アミン基)の塩、例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、臭化水素酸塩および硝酸塩、もしくは、有機酸と塩基性基の塩、例えば、酢酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パルモエート(palmoate)、サリチル酸塩およびステアリン酸塩;または金属イオン、例えば、Na、K、Ca(これらに制限されない)と酸性基の塩、もしくは、アンモニウムイオンと酸性基の塩、もしくは有機酸、例えば、アミンおよび四置換アンモニウムイオン(これらに制限されない)と酸性基の塩を含む。
【0045】
ヘキサヒドロインデノピリジンは、既知の命名法を使用して定義することができる3つの不斉中心を有する。代替的に、相対立体化学は、三環式系の4a、5および9b位の炭素系に結合した水素原子のシス-トランス関係によって、定義することができ、立体構造解析を導くことができる。本発明の化合物は、構造(I)に示された相対立体化学を有する。本発明は、両方の個々の鏡像異性体の形態(実質的に光学的に純粋)だけでなく、これらの形態の任意の混合物、例えば、ラセミ混合物を含む。
【0046】
構造1の化合物の抗精子形成活性は、典型的には、実質的に1つの光学異性体のみに依存する。しかしながら、立体化学における当業者に知られているように、これらの化合物の測定した旋光度は、測定の置換パターンおよび条件に依存して、(+)または(-)のいずれかであろう。一方、本発明の化合物の抗真菌特性は、立体特異的ではなく、その相対的活性が異なるであろうが、 (+)および(-)異性体の両方が活性である。
【0047】
本発明の化合物の殺精子効果は、抗精子形成異性体において見られ、他の異性体においても存在すると考えられる。
【0048】
投与は、任意の一般的な手段または経路によって行うことができ、これらに制限されないが、経口、腹腔内、血管内、皮下、筋肉内、吸入、口腔および皮膚浸透を含みうる。これらの同じ投与経路は、局所的投与とともに、殺精子および/または抗真菌処理について利用できる。
【0049】
Sandoz 20-438の抗精子形成活性は、ラットへの、30mg/kgの単回経口投与後に、観察され、24時間以内に睾丸の重量を劇的に減少させる。細精管の退行性変化が観察される。精子細胞は、核が空洞化し、時には、多核化凝集を形成した。セルトリ細胞は、組織学的に正常であるように見える。Sandoz 20-438は、精子細胞またはこれらの精子細胞と会合したセルトリ細胞を標的化すると思われる。なぜならば、組織学的変化は、これらの精子細胞において最初に観察されるからである。
【0050】
本発明の化合物は、以下のCook et al(J. Med. Chem., 38(5), 753-763,1995)に記載された方法によって、単回経口投与してから3日後に、精子形成に対する効果についてマウスで試験した。この試験で活性な化合物は、また、抗妊娠化合物であることが示された。
【0051】
コントロールベヒクル、ポジティブコントロール(化合物1)または本発明の化合物の強制投与により、1日目に雄マウスに投与することによって、化合物を、抗精子形成活性についてスクリーニングした。投与後72時間で、動物を屠殺し、睾丸を切除し、脂肪を切り取り、重さを測定した。1つの睾丸を組織学的に調べ、精子形成インデックス(Spermatogenic Index)[J. M. Whitsett, P. F. Noden, J. Cherry and A. D. Lawton, J. Reprod. Fertil., 72, 277 (1984)]を使用して、精子形成の可能性についてレーティングした。これは、睾丸の精子産生能力の半定量的な推定値である。このインデックスは、細精管の精子形成細胞の組織学的外観に基づく。1から6の階級を使用し、5から6が正常な状態である。第二の評価は、睾丸の重さに基づいた。
【0052】
表1は、投与ベヒクルのみを含み、インデノピリジンを含まないコントロールと比較した、睾丸の重さ(TW)および精子形成インデックス(SI)に対する効果に関する生物学的結果を示す。
【0053】
図2は、表1の化合物の構造を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
射精のための組成物の単回投与のみで、本発明の化合物の殺精子活性は、好ましくは、存在する。本発明の殺精子組成物は、受精を誘導するのに不十分なレベルにまで精子の移動を低下させるのに十分な任意の濃度、好ましくは、1から500μM、より好ましくは、3から300μM、最も好ましくは、10から200μMの濃度を有しうる。殺精子活性は、以下に記す方法によって測定した。
【0056】
[精子移動に対する化合物の直接的な効果の測定方法]
精子の移動に対する化合物の直接的な効果を、以下のプロトコールに従って測定する。基本的には、精子は、ラットの場合は、精巣上体尾から得て、または、ウサギの場合は、人工腔を使用して回収した射精した精子から得る。精子の最初の移動は、手動で測定、または、Hamilton Thorn IVOS精子分析機を使用することによって測定する。精子を、その後、34℃の一定の温度に保ち、10×106/mlの一定の濃度に希釈し、約3mlのバッファーまたは培地へと加える。移動をこの時点で再度測定し、変化を記録する。その後、異なる濃度の試験化合物を、精子調製物に加える。精子サンプルを、その後、1時間、同じ温度で保ち、移動を測定する。結果を、サンプル中の運動精子の割合として記録する。
【0057】
[精子移動に対する化合物の直接的な効果の測定のためのプロトコール]
(概要)
精子を、実験期間を通じて、34℃に保つ。精子の濃度は、約10×106/mlである(注意:サンプルを、この濃度にするために、バッファーまたは培地を用いて希釈する必要があると思われる)。
【0058】
(ラット実験について:精巣上体尾に由来する精子を使用)
HBSSバッファー+BSA中の1mMストックのインデノピリジン(10ml中5mg=0.5μg/μl;0.5μg/ml=1μM)を調製し、以下のように加える:
1μM=1μlのストック+949μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
3μM=3μlのストック+947μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
10μM=10μlのストック+940μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
30μM=30μlのストック+920μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
100μM=100μlのストック+850μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
300μM=300μlのストック+650μlのHBSSバッファー+BSA+50μlの希釈した精子
1000μM=1000μlのストック+50μlの希釈した精子
精子の移動を1時間後に測定する。
【0059】
(ウサギ実験について:射精した精子を使用)
BSAを用いたM-199培地の1mMストックのインデノピリジン(5ml中2.5mg=0.5μg/μl;0.5μg/ml=1μM)を調製し、以下のように加える:
1μM=1μlのストック+949μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
3μM=3μlのストック+947μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
10μM=10μlのストック+940μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
30μM=30μlのストック+920μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
100μM=100μlのストック+850μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
300μM=300μlのストック+650μlのM-199培地+BSA+50μlの希釈した精子
1000μM=1000μlのストック+50μlの希釈した精子
精子の移動を1時間後に測定する。
【0060】
形態学的変化を測定するためにスライドを作成し、細胞死を求めるためにエオシンを加える。
【0061】
本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳類の妊娠を調節するための男性用避妊剤として有用である。家庭計画における潜在的な使用に加えて、本発明の化合物は、また、死に至る手段は実際的ではなく、望ましくない場合における、家畜、野生動物または野獣において妊娠を調節するためにも有用である。例えば、シカの数の制御は、米国の幾つかの地域で問題となっている。本発明の化合物を含む餌を用いた、適切な時点での、シカなどの季節繁殖動物への本発明の化合物の経口投与によって、実質的に、生殖能力を減少させるであろう。他の標的動物としては、マウスまたはラットなどのげっ歯類、プレーリードッグ、コヨーテ、オオカミ等だけでなく、野生のヤギ、ブタ、ウマ等が含まれる。捕獲された動物園の動物への本発明の化合物の投与によって、過剰になった種における生殖の調節の手段が提供される。
【0062】
本願明細書で使用される「妊娠を調節する」とは、処理した動物または人間の生殖能力または妊娠が減ずることを意味する。本発明の化合物は、単回投与または複数回(二回以上)の投与で、動物またはヒトの精子産生能力(精子形成インデックス)を不妊のレベルまで減ずるのに十分な投与で与えられる。すなわち、本発明の化合物は、精子を再生産するのに不十分なレベルにまで減ずるのに十分な量および期間で投与する。不妊の長さは、投与量と関係し、十分な投与では、不妊の期間が長くなり、その結果、不妊を実施するために本発明の化合物を本質的に使用することができる;それ故、本発明の化合物は、男性用の不妊の手段として、手術による精管切除に取って代わるであろう。
【0063】
前記した使用について、本発明の化合物の投与量は、必然的に、使用する特定の化合物、投与形式および望む不妊の期間に依存して変化するであろう。しかしながら、一日当たり約0.01から約100mg/kg(体重)の、好ましくは約0.1から25mg/kg(体重)の経口投与量で、動物において、満足な結果が得られる。より大きな動物については、約10から500mgの一日当たりの投与量を、単回経口投与単位、または、約5から250mgの本発明の化合物を含む分割投与単位として与える。単一の活性な光学異性体を投与する場合、一般的に、ラセミ化合物を投与する場合よりも、より少ない投与量で与えることができる。望むならば、または、必要であるならば、本発明の化合物は、固体もしくは液体担体もしくは希釈剤とともに、または、徐放形態で投与することができる。これらの医薬形態の調合は、この業界でよく知られており、本発明の化合物を用いて、固体、液体および徐放調合物を調製する任意の一般的な方法を使用することができる。本発明の化合物は、また、この業界でよく知られた一般的なインプラントまたは皮膚パッチによっても投与することができる。
【0064】
本発明の化合物は、精子形成を可逆的に阻害することによって、または、非手術的な不妊のいずれかにおいて、男性におけるヒトの避妊法として使用できる。後者の使用においては、適切に多い投与量を与えることによって、手術の必要無しに、そして、精管除去の潜在的な副作用をもたらさずに、精管除去の効果を実現する。
【0065】
本発明の化合物は、また、家畜、野生動物、野獣または動物園の動物において生殖を制御するのに有用である。例えば、本発明の化合物は、動物園の動物の生殖を調節しうる。ヒトの住居の近くに存在する野生動物および野獣群、例えば、シカもしくはコヨーテ、または、自然生態系に強く影響を及ぼす動物群、例えば、ムスタングおよび野生のブタは、銃殺または毒説などの死に至る手段を使用することなく、選択的に餌付けすることによって、制御することができる。動物の行動は、この工程においては影響を受けず、唯一、繁殖力のみが影響を受ける。
【0066】
R5が放射性標識である場合、本発明の化合物は、睾丸の機能を研究および睾丸の機能不全を診断するのに有用である。0.1から10,000μCi、より好ましくは1から100μCiでの投与量の本発明の化合物の投与により、睾丸組織への結合がもたらされ、この業界で知られた放射線を検出する様々な方法によって、検出することができる。
【0067】
その抗精子形成特性において、性的衝動などに対する一般的な効果の欠落とともに、本発明の化合物の化学-、立体-および光学選択性が高いことは、睾丸の特定の巨大分子と相互作用することを示唆する。睾丸または睾丸フラクションの、本発明の化合物の放射性活性な誘導体を用いた処理に続く、放射化学の分野において良く知られた方法による放射線の検出によって、抗精子形成効果に関与する睾丸の部位および巨大分子の位置を求めて同定することが可能となる。この手法は、睾丸の重要な構成要素を検出および同定するのに使用することができ、この構成要素の破壊によって、避妊効果を誘導することができる。他の化合物(例えば、現在の化合物のアナログ等またはコンビナトリアルライブラリーから得られた化合物)の、放射性標識した本発明の化合物の結合を阻害する能力を比較することにより、更により選択的で有効な抗精子形成化合物を誘導することができる。更にその上、動物またはヒト対象へ、放射性標識した本発明の化合物を少量投与(少量すぎて妊娠に対する臨床上の効果を有しない)し、その後、睾丸または睾丸の特定の領域における放射性の量を測定することによって、不妊の問題が、この巨大分子の欠如に関連しているかどうかを求めることができる。放射性は、生きた動物またはヒトにおいて、生物学的組織のイメージングの分野において良く知られたPETおよびSPECTなどの方法によって測定することができる。
【0068】
本発明の化合物は、また、米国特許出願第10/350,232号にも開示されているように、分析目的の内部標準としても有用である。この出願の中身は、参照により本願明細書に組み込まれる。
【0069】
殺精子剤としての使用のために、本発明の化合物は、様々な投与形態で調製することができる。一般的な殺精子組成物の形態は、既知の方法を使用して容易に調製される。このような殺精子組成物は、ゲル、泡、ゼリー、クリーム、軟膏、塗り薬等の形態をとることができる。一般的な担体を、組成物を調製するために使用する。本発明の殺精子組成物は、単独で、または、一つもしくは複数のバリア型避妊方法(例えば、ペッサリー、スポンジもしくはコンドーム)とともに投与することができる。本発明の組成物は、ペッサリー、スポンジもしくはコンドームに直接、使用直前に塗布することができ、または、スポンジもしくはコンドームと一緒に予めパッケージすることができる(あるいは、大部分のペッサリーは複数回使用され、使用の間に洗浄するにもかかわらず、ペッサリーでさえ用いることができる)。
【0070】
殺菌剤としての使用のために、本発明の組成物は、必要とする領域へと投与するのに適した任意の形態で調製することができる。投与の形態には、これらに制限されないが、殺精子組成物について前記した形態だけでなく、液体混合物も含まれる。また、殺菌および殺精子特性は、1つの共通した投与形態を用いた組み合わせで、使用することができる。
【0071】
本発明の化合物の前駆体は、米国特許第5,319,084および5,952,336号明細書に開示された方法によって、そして、米国特許第3,678,057号明細書に開示された方法の改変によって、調製することができる。これらの特許は、参照により、その全体が本願明細書に組み込まれる。C. E. Cook et al, J. Med. Chem., 38:753 (1995)に記載されているように、この方法によって産生される光学異性体の混合物は、塩形成に続く選択的な結晶化またはクロマトグラフィーによって、純粋な光学異性体へと分けられる。代替的に、米国特許第5,952,336号明細書に開示された方法の改変を使用することができる。光学純度は、CHIRACEL−ODカラムを備えた高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、定められる。
【0072】
本発明の化合物は、一般的なスキームAに示すように、より具体的には実施例の方法によって、構造A3(R2がCOOHまたはそのエステルの1つであり、R5がヨウ素などのハロゲンである)から開始して、調製することができる。A3のような化合物は、米国特許第5,319,084および5,952,336号明細書に開示されているように調製される。カルボン酸は、塩化チオニルの使用またはこの業界で知られた他の反応によって、塩化カルボニルへと転換することができる。4-N,N-ジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下でのアルコールを用いた塩化カルボニルの反応により、エステルA4へと誘導される。エステルA4は、更に、ヒドロキシ保護基の脱保護などの反応、および、この業界で知られた他の反応によって、修飾することができる。
【0073】
A3のR5がハロゲン(最も有効にはヨウ素)であり、R3がエステル(好ましくはメチルエステル)である場合、構造A1の化合物は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのPd触媒の存在下で、エチニルジンク ブロマイド(ethynylzinc bromide)を用いた反応によって得ることができる(Negishi et al., J. Org. Chem. 62:8597 (1997)の方法)。エチニル基は、この業界で知られた多くの方法によって修飾することができる。それ故、エチニル基は、1,3-シクロ付加反応によって反応し、様々な複素環式化合物が得られることが知られている。例えば、有機アジド化合物との反応により、トリアゾールが誘導される(Rostovtsev, V. V.; Green, L. G.; Fokin, V. V. ; Sharpless, B. K. Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41 (14), 2596-2599参照)。PdおよびCu触媒の存在下での、ハロゲン化またはトリフルオロメタンスルホン酸アリールまたはヘテロアリールを用いた末端エチンの反応(薗頭反応)により、アリールエチン、例えば、(置換されていてもよい)アリール基である化合物A5が誘導される。エチンのアルキル化は、また、この業界で知られた方法によっても達成することができる。A3のR5がハロゲンである場合、新規の金属触媒の存在下での、アリールボロン酸との反応により、A7のタイプの8-アリール化合物が誘導される。
【0074】
メタル化されたアナログの合成は、8-ヨード化合物の、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下でのヘキサメチルジチンを用いた反応によって例示され、構造A6の化合物を産生する。このタイプの化合物は、結合研究、診断および代謝および薬物動態学的な研究における使用のための放射性ヨウ化物質の合成に関する特別な関心の対象である。クロラミン-Tの存在下での放射性ヨウ素を用いた単純な反応により、迅速に、高い比活性を有する標識された化合物が誘導される。また、様々な対象化合物の他の放射性アナログも得ることができる。トリチウム標識した本発明の化合物は、例えば、パラジウムまたはプラチナなどの新規の金属によって触媒される、8-ヨード化合物のトリチウムガスを用いた反応によって得ることができる。炭素-14アナログは、例えば、合成中に14C標識中間体を使用することによって調製される。放射性化学合成の業界において一般的に使用される化合物の同位体標識のための他の方法も、適用することができる。
【0075】
本発明の化合物についての特定の結合部位(「受容体」)の位置を求め同定するための、放射性原子で置換した本発明の化合物の使用は、多くの場合において、例示されている。一般的に、放射性化合物(放射性リガンド)は、受容体を含む疑いのある組織に由来するホモジネートまたはホモジネートの副画分(例えば、膜、細胞質ゾルまたは核)と、通常0から37℃で数分から24時間の範囲の間、インキュベートする。その後、混合物を処理して、放射性物質が結合した受容体を、非結合の放射性リガンドから分離する。この工程は、遊離の放射性リガンドまたは結合した放射性リガンドを有する受容体の沈殿、濾過、吸着、および受容体研究の分野において知られた他の手法を含む。受容体に結合した放射性物質は、その後、ガンマ線測定装置などの標準的な手法または液体シンチレーションスペクトロメトリーの使用によって、測定する。受容体への非特異的な結合は、過剰な非標識化リガンドを添加し、同じ手法を行うことによって測定する。トータルの結合から、非特異的に結合した放射性物質を引いた値が、放射性リガンドの受容体への特異的な結合を示す。放射性リガンドの非標識リガンドによる置換を測定することによって、リガンドについてのKdの測定が可能となる。放射性リガンドの、その非標識isotopologによる置換を、放射性リガンドの、他の活性な化合物による置換と比較することによって、結合およびin vivoでの有用性を比較することができ、これらが合理的に一致するならば、このことは、更に受容体の同定を支持する。新規の化合物の結合を測定することによって、類似の活性を有し、それ故、薬の開発の候補となりうる化合物が同定される。
【0076】
放射性リガンドのin vivo分布および結合、ならびに、病気の進行の変化を研究するための、放射性標識した化合物の使用は、例えば、Fischman et al. の論文(Fischman AJ, Bonab AA, Babich JW, Palmer EP, Alpert NM, Elmaleh DR, Callahan RJ, Barrow SA, Graham W, Meltzer PC, Hanson RN, and Madras BK (1998). Rapid detection of Parkinson's disease by SPECT with altropane: a selective ligand for dopamine transporters. Synapse 29:128-41)に記載されているように、パーキンソン病の患者における研究および有用な診断についてのI-123アルトロパン(コカインアナログ)の使用によって例示される。
【0077】
本発明の他の特徴は、本発明の例示のために提供され、制限することを意図するものではない、以下の例示的な実施態様の開示において明らかになるであろう。
【実施例】
【0078】
実施例中の特定の製品、指示、クロマトグラフィーに関する物質、化学物質の提供者等の指定は、例示のためのみであり、他の類似の品目の使用を除外するものではない。
【0079】
[選択したヘキサヒドロインデノピリジン化合物の精子形成インデックス試験]
化合物を、8週齢のオスのCD-1マウスに、単回投与で、経口で与えた。72時間後に、マウスを屠殺し、睾丸の重量を測定した。1つの睾丸を組織化学的分析に供し、Failの精子形成インデックス(SI)に従ってスコア付けした(方法については、Cook et al., J. Med. Chem. 38(5), 753-763, 1995を参照)。全ての新規のエステルは、ラセミ体である8-ヨード化合物RTI-4587-073から調製し、それ故、ラセミ4aSR、5RS、9bSR立体化学を有している。化合物RTI-4587-107から-110は、鏡像異性化合物RTI-4587-073(1)から調製し、それ故、4aS、5R、9bS立体化学を有する。比較のため、第一の標準グループに、8-ヨード4'-メトキシカルボニルアナログであるRTI-4587-073(1)を与え、第二の標準グループに、4'-メトキシカルボニルアナログであるRTI-4587-056(1)を与え、ベヒクルコントロールグループも分析した。データを以下の表に示す。
【0080】
【表2】

【0081】
[125I-(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボニルメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン(125I-RTI-4587-074(d))の睾丸膜への結合および置換]
〈1.0 睾丸膜の調製〉
〈1.1 組織バッファー〉
10mM TRIS-HCL、pH 7.2
1mM MgCl2
1mM CaCl2
(注意:全ての化合物は、Sigma Chemical Co., St. Louis, MOから得たものであり、試薬用または組織培養用のグレードである。バッファーおよび組織は、実験の間、氷上で冷却し続けるべきである)
【0082】
〈1.2 組織の調製〉
1. 冷凍のラットの睾丸(Sprague-Dawleyオスラット、7-8週齢、Pel-Freez Biologicals, Rogers, ARに由来)を溶かし、切除の間に除去できなかったならば、被膜を除去した。
2. 組織の重量を測定し、ビーカー内に入れ、組織重量の5倍のmlの前記の冷却した組織バッファーを加えた。
3. 20秒間、Polytron組織ホモゲナイザー(probe no. PTA 10S, 12mm)を用いて、中間のセッティングで(10のレオスタットスケールで4-6)または円滑な懸濁物が得られるまで、組織をホモゲナイズした。
4. ホモジネートを、冷却した50mlの遠心管に入れ、0-4℃で500xg(IEC CENTRA-7Rで〜1540rpm)で10分間遠心した。
5. 上清を、新しい10mlの遠心管にデカンテーションし、必要であれば、複合管を使用した。
6. デカンテーションした上清を、0-4℃で、17000xg(Sorvall SS-34ローターで〜11900rpm)で12分間遠心した。
7. 上清をデカンテーションし、捨てた。ペレットを、元のウェット組織重量の1.5倍(ml)の前記バッファー中で、再懸濁して組み合わせた。再懸濁したペレットについて、総タンパク質アッセイを行った。
【0083】
〈2.0 Biorad Total Protein Assay〉
ウシ血清アルブミン(BSA、カタログ#A-3294または相当物、Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)に由来する標準タンパク質を、以下のように調製した:
A. 20mg BSA + 10mL バッファ-3 = 2.0mg/mL
B. 0.75mL A + 0.25mL バッファ-3 = 1.5mg/mL
C. 0.50mL A + 0.50mL バッファ-3 = 1.0mg/mL
D. 0.25mL A + 0.25mL バッファ-3 = 0.5mg/mL
E. 0.05mL A + 0.95mL バッファ-3 = 0.1mg/mL
(標準を-20℃で保存)
1.Bio-Rad Protein Assay染色試薬(カタログno.500-0006、Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)を、1部の染色剤を4部のDI/DS H2Oで混合することによって調製した。ろ過した。
2.40μLの各標準を、標識した13×100mmのガラス試験管に加えた。ブランク試薬を、40μlの組織バッファーを試験管に加えることによって、調製した。
3.5-20μLの組織調製物を、適切な試験管に加えた。2サンプルずつアッセイを行った。
4.2mLの染色試薬を、各試験官に加え、ボルテックスに供した。
5.反応混合物を、室温で、5から60分間インキュベートした。
6.再度ボルテックスに供し、595nMでブランク試薬を用いて、分光光度計をゼロ補正した。標準および試験サンプルの吸光度を測定し、記録した。
7.標準の吸光度から、回帰曲線を作成し、標準曲線から組織の濃度を求めた。得られた組織の濃度を、使用した40μL中の割合に基づいて、適切な希釈係数でかけた。
8.一回のアッセイセットを実施するのに十分な組織が存在するように、試験用組織調製物を、クリオバイアル(cryovial)へと小分けした。組織を-70℃で保存した。
【0084】
〈3.0 スキャッチャード受容体結合アッセイ(Scatchard Receptor Binding Assay)〉
スキャッチャードアッセイにより、広い濃度範囲にわたる放射線標識した試験化合物の、非-放射性化合物の非存在下(トータルの結合)および存在下(非特異的結合)の両方における、膜受容体への結合を測定した。得られたアッセイデータの計算により、試験化合物のKdが求まった。
【0085】
〈3.1 試薬〉
・アッセイバッファー: 10mM TRIS-HCL、pH 7.2
1mM MgCl2
1mM CaCl2
5mg/mL BSA
・洗浄バッファー: 50mM TRIS-HCL、pH 7.2
【0086】
〈3.2 アッセイ手順〉
1.1.2mLのポリプロピレンチューブを、2つずつ、それぞれ、[125I]074(d)標準のトータルの結合測定および非特異的な結合(NSB)測定のためにラベルし、96穴マトリクス試験管ラックに置いた。フリーの放射性素測定のために、液体シンチレーションバイアルをラベルした。
2.約1から200nMの濃度の範囲または他の望む濃度範囲の[125I]074(d)の希釈液を調製した。NSB測定のために、最も濃度の高い放射線標識標準(例えば20-40□M)の少なくとも100倍の濃度の、冷やした試薬を調製した。
3.アッセイを以下のようにセットアップした。
【0087】
【表3】

【0088】
4.アッセイバッファーで試験調製物を、2mg/mLのタンパク質の濃度に希釈した。0.1mL(200μg)を、各アッセイチューブに加えた。ボルテックスして混合した。
5.25℃で2時間、30-35rpmで穏やかに攪拌しながら、インキュベートした(例えば、Precision Scientific Reciprocal Shakerまたは相当物)。
6.GF/C 96穴フィルタープレート(ガラス繊維フィルタープレート カタログno.6005174、Plerkin Elmer LAS, Shelton, CT)を、アッセイバッファーに入れ、少なくとも30分間浸した。
7.インキュベーション時間の最後近くに、ブランク洗浄プレートをセルハーベスター(model MPXR-96T, Brandel Scientific, Gaithersburg, MD)に入れた。冷やした洗浄バッファーを、ハーベスターを供給するリザーバーに入れた。バッファーを用いて、ハーベスターを準備した。ダミーフィルタープレートを、予め浸しておいたプレートと交換した。
8.インキュベーション時間の最後に、チューブをインキュベーターから外した。ハーベスターのプラグをチューブに入れ、反応混合物をフィルタープレートへと移すためにバキュームした。反応チューブを、冷やしたバッファーを用いて3から4回リンスし、フィルタープレートを介してバキュームした。
9.フィルタープレートをハーベスターから取り出し、必要であれば温かいオーブンを用いて、完全に乾燥させた。
10.プレートの底をシールした。プレートを、カクテルディスペンサー(cocktail dispenser)へと入れ、カクテル(Micro-Scint 20, Perkin Elmer LAS, Shelton, CT)を各ウェルへと加えた。
11.プレートの入り口をシールした。プレートを少なくとも1時間または一晩静置させ、その後カウントした。
【0089】
〈3.3 計算〉
1.各濃度の標準について、フリーの化合物のCPM(基本的には、トータルの加えた放射性に相当する)、トータルの結合した化合物のCPM、および非特異的に結合(NSB)した化合物のCPMを求めた。
2.各標準濃度について、NSBのCPMを対応するトータルのCPMから引き、各標準濃度についての特異的な結合を求めた。
3.同位体についての比放射能、カウンター効率(counter efficiency)(Packard Model 1900TR Liquid Scintillation Analyzerでは125Iについては〜70%)および標識した物質のアッセイ希釈因子を利用して、フリーの場合のCPM、特異的に結合した場合のCPMおよび非特異的に結合した場合のCPMを、質量ベース(例えばpM)へと変換した。
4.各標準濃度については、特異的に結合した化合物の濃度を、対応する加えたフリーの化合物の量で割った。
5.スキャッチャード分析については、直線回帰分析(x = 特異的に結合した化合物、y = 対応する特異的に結合した化合物/加えたフリーの化合物の比)を実施した。
6.「Kd = -1/得られた直線の傾き」とした。
7.例示の目的で、結合等温線(x = フリーの化合物、y = トータルの結合した化合物、非特異的に結合した化合物および特異的に結合した化合物)を作成することができた。
【0090】
〈4.0 置換アッセイの手順〉
置換アッセイを用いて、試験受容体に結合した既知の放射性標識した一定量の薬物と競合し、この薬物を置換する、試験薬物の能力を、広い濃度範囲にわたって測定した。得られたアッセイデータの計算により、試験薬物のKiが求まった。
【0091】
〈4.1 試薬〉
・アッセイバッファー: 10mM TRIS-HCL、pH 7.2
1mM MgCl2
1mM CaCl2
5mg/mL BSA
・洗浄バッファー: 50mM TRIS-HCL、pH 7.2
【0092】
〈4.2 アッセイ手順〉
1.1.2mLのポリプロピレンチューブを、2つずつ、それぞれ、標準薬物濃度、トータルの結合および非特異的な結合(NSB)測定についてラベルし、96穴マトリクス試験管ラックに置いた。
2.約10から200mMの濃度の範囲または他の望む濃度範囲の試験置換薬物の希釈液を調製した。
3.約20nMの濃度の[125I]074(d)を調製した。非特異的な結合測定のために、40μMの非標識の074(d)を調製した。
4.アッセイを以下のようにセットアップした。
【0093】
【表4】

【0094】
5.アッセイバッファーで試験調製物を、2mg/mLのタンパク質の濃度に希釈した。0.1mL(200μg)を、各アッセイチューブに加えた。ボルテックスして混合した。
6.25℃で2時間、30-35rpmで穏やかに攪拌しながら、インキュベートした(例えば、Precision Scientific Reciprocal Shakerまたは相当物)。
7.96穴GF/Cフィルタープレートをアッセイバッファーに入れ、少なくとも30分間浸した。
8.インキュベーション時間の最後近くに、ブランク洗浄プレートをセルハーベスターに入れた。冷やした洗浄バッファーを、ハーベスターを供給するリザーバーに入れた。バッファーを用いて、ハーベスターを準備した。ダミーフィルタープレートを、予め浸しておいたプレートと交換した。
9.インキュベーション時間の最後に、チューブをインキュベーターから外した。ハーベスターのプラグをチューブに入れ、混合物をフィルタープレートへと移すために、反応液をバキュームした。反応チューブを、冷やしたバッファーを用いて3から4回リンスした。
10.フィルタープレートをハーベスターから取り出し、必要であれば温かいオーブン(〜55℃)を用いて、完全に乾燥させた。
11.プレートの底をシールした。プレートを、カクテルディスペンサーへと入れ、適切な量のカクテルを各ウェルへと加えた。
12.プレートの入り口をシールした。プレートを数時間または一晩静置させ、その後カウントした。
【0095】
〈4.3 計算〉
1.各濃度の標準について、以下の式から、特異的に結合したCPMを計算した。
【0096】
【数1】

【0097】
2.結合%と標準濃度を、GraphPad Prism(商標)ソフトウェアまたは他の適したグラフプログラムを使用してプロットした。非直線回帰から、一部位競合フィット式(one-site competition fit equation)により、各試験化合物のKiを記録した。
【0098】
〈5.0 結果〉
幾つかのヘキサヒドロインデノピリジン化合物についての、平均Kiに関する結合アッセイの結果の例を、表2に示す。これまでのところ最も有用な化合物であるRTI-4587-074(d)は、0.027マイクロモーラー(μM)のKi(この場合はKd)を有するのに対して、8-ヨード置換基が存在しないアナログであるRTI-4587-054(d)は、0.54μMのKiを有していることが求まった。この結合親和性のオーダーは、Cook, et al., J. Med. Chem., 1997, 40, 2111-2112に記載された、著しくより大きな-074(d)のin vivoでの活性と一致した。また、-054(d)の光学異性体であり、in vivoでマウスで不活性であるRTI-4587-054(l)は、より大きなKi(330μM)を有していた。これは、-002(d)(生物学的に活性、6.1μMのKi)に対する-002(l)(生物学的に不活性、66μMのKi)の場合でもそうであった。-002(d)のKiは、そのin vivo活性に基づいて予測されるよりもはるかに大きく、このことは、有効なカルボン酸種へと代謝されるという仮説を支持するものである。カルボン酸エステルは、そのカルボン酸アナログと比較して穏やかな結合を有し、このことは、その酸へのin vivoでの代謝と一致するものである。
【0099】
【表5】

【0100】
[合成の実施例]
〈一般的な実験の条件〉
特定の製品、指示、クロマトグラフィーに関する物質、化学物質の提供者等の指定は、例示のためのみであり、他の類似の品目の使用を除外するものではない。一般的な試薬および溶媒を購入し、更なる精製無しに使用した。ヘキサメチルジチン、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、およびクロロアミン-T(N-クロロ-p-トルエンスルホンアミドナトリウム塩、水和物)を、Aldrich Chemical Companyから購入し、メタ重亜硫酸ナトリウムを、Fisher Scientific Companyから購入した。担体-フリー[125I]NaIを、0.1N NaOHの溶液として、NEN(登録商標)Life Science Product, Inc.から購入した。水を蒸留し、使用前に逆浸透圧精製に供した。NMRスペクトルを、Bruker Avance装置を用い300MHzで求めた。マルチプレットの位置を、マルチプレットの適切な中心とした。全てのピークが、各化合物について得られたというわけではなかった。正確な質量についてのマススペクトルを、University of Michigan Instrument Servicesで、葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレーの使用により測定した。TLCを、シリカゲル60 F254プレート(EM Separations Technology)を用いて実施した。攪拌は、Teflon(登録商標)-コーティング・マグネティックスターラーバーを用いて実施した。構造については図3を参照。
【0101】
〈実施例1:(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-8-エチニル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン [A1a (R1 = Et、R2 = COOMe、R3 = H、R4 = MeであるA1)]>
(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジンの塩酸塩 [A3a HCl, (R1 = Et、R2 = COOMe、R3 = H、R4 = Me、R5 = IであるA3 HCl)] (1.1g) (Cook, C. E.; Jump, J. M.; Zhang, P.; Stephens, J. R.; Lee, Y.; Fail, P. A.; Anderson, S. A. J. Med. Chem., 1997, 40, 2111-2112; U. S. Patent No. 5,319,084)を、重炭酸ナトリウム水溶液(50mL、5重量%)と塩化メチレン(3×30mL)との間で分配した。抽出物を、水(30mL)およびブライン(30mL)で洗い、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。ろ過および溶媒のエバポレーションにより、遊離塩基A3a(1.0g、収率98%)を得た:TLC Rf 0.21, Whatman(登録商標) LK C18F, メタノール-水 (9:1, v/v), 可視化について, TLCプレートを短い波長の紫外線下で可視化し、その後、ヨウ素で染色した;1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.12 (t, 3, J = 7.2 Hz), 2.33 (s, 3), 2.43 (q, 2, J=7.2 Hz), 3.92 (s, 1), 4.17 (d, 1, J = 9.78 Hz,), 6.78 (s, 1), 7.22 (d, 2, J = 8.2 Hz), 7.71 (s, 1, 9-H), 8.04 (d, 2, J = 8.2 Hz)。
【0102】
8-エチルアナログA1aを、A3aから、Negishi, E.; Kotora, M.; Xu, C. J. Org. Chem., 1997, 62 (25), 8957-8960に記載された方法と類似の方法の使用により、調製した。臭化亜鉛(1.0933g, 4.86mmol, 無水, Aldrich catalog no. 45,139-8, 不透明なビーズへと清澄化)を、乾燥窒素雰囲気下で秤量し、オーブン乾燥した三口丸底フラスコ中に、室温で、乾燥アルゴン雰囲気下で入れて、テトラヒドロフラン(THF, 8.05mL, Aldrich 99.9%, 無水, 阻害剤フリー, catalog no.186562)中に溶かした。臭化エチニルマグネシウム(4.86mmol, THF中0.54Mの溶液を9.71mL, Aldrich catalog no. 346152)を、早い滴下速度で、室温で加え、反応混合物を攪拌して臭化エチニル亜鉛の乳白色の懸濁液を得た。十分に攪拌した懸濁塩の一部(11.33mL)を、気密性のシリンジを用いて、三口丸底フラスコへと移した。乾燥アルゴン雰囲気下で、THF(15mL)に溶かしたA3a(0.979g, 2.06mmol)を、一度に加え、その後、5mLのTHFで洗い、反応混合物を混合した。5分後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (118mg, Aldrich catalog no. 02105PS, 99%, 明るい黄色)を、一度に加えた。ワークアップした反応液が著しい開始物質の残存を示す場合は、更なる臭化エチニル亜鉛調製物(4.8mL)を加え、反応を一晩続けた。翌朝、残った反応混合物を、重炭酸ナトリウム水溶液(100mL, 5重量%)へと注ぎこみ、塩化メチレンを用いて抽出した(3×50mL)。抽出物を、水(50mL)およびブライン(50mL)を用いて洗い、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。ろ過および溶媒エバポレーションにより、粗精製生成物(0.98g)を得た。TLC分析によっては、開始物質A3aが検出されなかったが、3時間後よりも多くの不純物(極性および非極性)が観察された。粗精製生成物を、連続して、2つの異なるカラムを用いてカラムクロマトグラフィーに供した。Whatman(登録商標)LRP-2(7g, RP-18, 37-53μ, catalog no. 4776-005)を、メタノールを用いて平衡化し、直径1cmのフラッシュクロマトグラフィーカラムに詰めた。粗精製生成物を、メタノール-塩化メチレン(12ml:3mL)中に溶解し、カラムにアプライし、メタノールを用いて溶出した。TLC分析に基づいて、不純物を含む望ましい生成物(0.72g)が、0-50mLのフラクション中に溶出された。カラムクロマトグラフィー用のシリカゲル60(15g, 230-400mesh, Merck KGaA)を、塩化メチレンで平衡化し、直径2.5cmのフラッシュクロマトグラフィーカラムに詰めた。Whatmanカラムから得られた不純物を含む生成物を、最小量の塩化メチレンに溶かし、カラムにアプライし、ステップワイズのグラジエント(塩化メチレン(100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン(5:95, v/v, 100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン(1:9, v/v, 100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン(2:8, v/v, 100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン-エタノール(2:8:0.25, v/v/v, 100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン-エタノール(2:8:0.5, v/v/v, 100mL)→酢酸エチル-塩化メチレン-エタノール(2:8:1, v/v/v, 100mL))をかけて、溶出した。TLC分析に基づいて、4つのフラクションが、望む8-エチニルアナログA1aを含んでいた:500から520mLフラクションに123mg;520から600mLフラクションに173mg;600から700mLフラクションに54mg;700から740mLフラクションに48mg(トータル398mg, 収率22%)。1H NMR分析により、中間のフラクションは高い純度を有し、残りは更なる精製および合成に適していることが示された: TLC Rf 0.5, Whatman LK C18F, メタノール-水 (1:9, v/v); 1H NMR (CDCl3, 300 MHz) δ1.12 (t, 3, J = 7.2 Hz), 2.35 (s, 3), 2.42 (q, 2, J = 7.2 Hz), 3.25 (s), 3.92 (s, 3), 4.21 (d, 1, J = 9.9 Hz), 6.74 (s, 1), 7.23 (d, 1, J = 8.2 Hz), 7.38 (s, 1), 8.00 (d, 2, J = 8.2 Hz); MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー[M+H]+ 374.2131, C25H27NO2は、[M+H]+ = 374.2120であることを要求する。
【0103】
<実施例2:(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-(1-(2-ピペリジン-1-イル)エチル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン [A2a (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = Me, ABG = N-N=N, R7 = 2-(N-ピペリジノ)エチル)であるA2)]>
1-(2-アジドエチル)ピペリジンを、Converso, A.; Burrow K.; Marzinzik, A.; Sharpless, B. K.; Finn, M. G. J. Org. Chem. 2002, 66 (12), 4386-4392に記載された方法と類似の方法によって得た。N,N-ジメチルホルムアミド(DMF, 30mL)に溶かしたアジ化ナトリウム(2.00g, 30.8mmol, MW 65.01)に、1-(2-クロロエチル)ピペリジン塩酸塩(3.77g, 20.4mmol)および水酸化カリウム(1.38g, 24.6mmol)を加えた。攪拌した反応混合物を、2時間還流し、室温に冷却し、0-5℃で水に注ぎこみ、エチルエーテル(50mLおよび4×20mL)で抽出した。抽出液をブライン(50mL)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥させた。ろ過および溶媒エバポレーションにより、開始物質を含む粗精製生成物(2.77g)を得た。DMF(30mL)に溶かした粗精製生成物の、アジ化ナトリウム(2.00g)を用いた72時間の室温での処理、および、前記したワークアップにより、中間体として使用するのに十分な純度を有する1-2-(アジドエチル)ピペリジンが得られた:1H NMR (CDCl3, 300Mz) δ1.43 (m, 2), 1.59 (m, 4), 2.42 (apparent br t, 4, J = 5 Hz), 2.55 (t, 3, J = 6.3 Hz), 3.34 (t, 3, J = 6.3 Hz)。
【0104】
トリアゾールアナログA2aを、Rostovtsev, V. V.; Green, L. G.; Fokin, V. V. ; Sharpless, B. K. Angew. Chem. Int. Ed., 2002, 41 (14), 2596-2599に記載された方法と類似の方法の使用によって調製した。エチニルアナログA1a(45mg, 0.12mmol)を、1-(2-アジドエチル)ピペリジン(15.4mg, 0.12mmol, 4.3mg/0.14ml溶液の0.5mL)を含むt-ブタノールおよび100μlずつ加えた水(0.5mL)に溶かし、琥珀色の反応混合物を得た。硫酸銅(II)の水溶液(0.15mmol/mL溶液の8.0μl)を加え、その後、L-アスコルビン酸ナトリウムの水溶液(1M溶液の12.04μl)を加えた。反応混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で20時間攪拌し、メタノール(1mL)で希釈し、Sep-Pak(登録商標)Plus C18カートリッジ(Water's part no. WATO20515, メタノール、水およびメタノールで連続して予め平衡化)にアプライして、メタノール(6mL)で溶出した。ろ液を4mLに濃縮して、最初にメタノールでその後メタノール-水(9:1, v/v)で平衡化したRediSep(商標)C-18逆相カラム(43g, ISCO catalog no. 68-2203-030)にアプライした。カラムを、30mL/minの流速でメタノール/水(9:1, v/v)で溶出し、溶出液を240nmでモニターした。フラクションを組み合わせて、望むA2aを含むと考えられるピークについて、前半部分、中間部分および終了部分を得た。終了部分の1H NMR分析により、望むA2aおよび開始物質A1aの混合物であることが示された。前半および中間部分には、TLCおよび1H NMR分析によって、高い純度であることが確かめられ、これらを組み合わせた(35.9mg, 収率56%):TLC Rf 0.42, Whatman LK C18F, メタノール-水 (9:1, v/v); 1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ1.11 (t, 3,J = 7.1 Hz,), 1.455 (m, 2), 1.58 (m, 4), 2.36 (s, 3), 2.46 (m), 2.81 (t, 2, J = 6.2 Hz), 3.92 (s, 3,), 4.27 (d, 2, J = 9.9 Hz), 4.52 (t, 2, J = 6.2 Hz), 6.80 (s, 1, 6-H), 7.28 (d, 2, J = 7.2 Hz), 7.77 (s, 1), 7.87 (s, 1), 8.01 (d, 2, J=8.05 Hz); MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 528.3330, C32H41N5O2は、528.3339であることを要求する。
【0105】
<実施例3:(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-(2-フェニルエチニル)-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン [A5a (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = Me, R7 = フェニルであるA5)]>
アルゴン雰囲気下の無水条件下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.8mg, 0.005mmol)を、マグネティックスターラーバー、ストッパー、還流冷却器および乾燥アルゴンのための注入チューブを装着した二首フラスコに加えた。CuI (2.9mg, 0.015mmol)、0.5mLの乾燥ベンゼンおよび75μLのヨードベンゼン (137mg, 0.67mmol)を、連続して加え、混合物を5分間攪拌し、その後すぐに、Et3Nを加えた。エチニル化合物A1a(70.2mg, 0.19mmol)を、1mLの乾燥ベンゼンに溶かし、反応混合物に、0.3mLの乾燥ベンゼンと一緒に加えた。混合物を攪拌し、45℃で1時間加熱した。90(MeOH:Et3N, 100:1):10 H2O (v/v)を用いて展開したTLC(Whatman(登録商標) LK C18F 逆相プレート)によりモニターすることによって、反応が完全であることが示された。混合物を、7.5mLの飽和NH4Cl水溶液および22.5mLのH2Oに加えて、CH2Cl2で抽出した(3×12mL)。組み合わせた抽出液を、連続して、H2O(30mL)および飽和NaCl水溶液(30mL)で洗い、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒エバポレーション(ロータリーエバポレーション)の残渣を、5mLのMeOHに溶かし、連続して接続した2つの逆相カートリッジ(Waters Sep-Pak(登録商標) Plus C-18, MeOH、H2OおよびMeOHで予め洗浄)に通した。メタノールを用いた溶出により、最初の15mLに生成物が得られた(前記のTLC系により分析)。この溶液を、5mLまで濃縮し、43gの逆相(C18)カラム(Isco Redi-Sep(商標) C-18 RPカラム)を用いて、オートマチッククロマトグラフィーシステム(Isco Flash Chromatography Companion, MeOHで平衡化し、その後、MeOH:H2O(9:1, v:v)で平衡化)の使用により、クロマトグラフィーに供した。240nmでUV吸収をモニターしながら、8カラム容量分についてMeOH:H2O(9:1, v:v, 溶媒B)を用いて最初に溶出し、その後、4.4カラム容量分にわたって、80%の溶媒Aおよび20%のMeOHへとリニアグラジエントをかけることにより、7−10カラム容量において、望む生成物が溶出された。このフラクションの真中の画分には、溶媒エバポレーション後に、38.6mgの生成物が得られた(収率46%):1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ1.12 (t, 3, J = 7 Hz), 1.64 (m, 2), 1.90 (m, 2), 2.20 (m, 1), 2.42 (m, 5), 2.52 (m, 1), 2.76 (m, 1), 2.94 (m, 1), 3.92 (s, 3), 4.23 (d, 1, J = 10 Hz), 6.77 (s, 1), 7.25 (d, 2, J = 8 Hz, 部分的にCHCl3ピークと重複), 7.35 (m, 3), 7.42 (s, 1), 7.52 (m, 2), 8.01 (d, 2, J = 8 Hz)。 MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 450.2427, C31H31NO2は、450.2433であることを要求する。
【0106】
〈実施例4:(4aS, 5R, 9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-{2-[4-(N-ピロリジノニル)フェニル]エチニル}-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン [A5b (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = Me, R7 = 4-(N-ピロリジノニル)フェニルであるA5)]>
アルゴン雰囲気下の無水条件下で、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.1mg, 0.0044mmol)を、マグネティックスターラーバー、ストッパー、還流冷却器および乾燥アルゴンのための注入チューブを装着した二首フラスコに加えた。CuI (2.5mg, 0.013mmol)および0.5mLの乾燥ベンゼンを連続して加え、その後、1-(4-ヨードフェニル)ピロリジン-2-オン[M. S. Manhas and S. J. Jeng, J. Org. Chem. 32:1246 (1967)](エタノールで結晶化し、真空下で乾燥させた。175mg, 0.61mmol)および0.5mLのベンゼンを加えて、混合物を攪拌し、大部分のヨード化合物が溶解するまで穏やかに加熱した。エチニル化合物A1a(61mg, 0.16mmol)を、1mLの乾燥ベンゼンに溶かし、0.3mLの乾燥ベンゼンとともに、反応混合物に加えた。混合物を5分間攪拌し、その後すぐに、1.3mLのEt3Nを加え、その後、45℃で1時間加熱した。その一部をワークアップした(以下参照)。90(MeOH:Et3N, 100:1):10 H2O (v/v)を用いて展開したTLC(Whatman(登録商標) LK C18F 逆相プレート)によりモニターすることによって、反応が完全であることが示された。混合物を、10mLの飽和NH4Cl水溶液および30mLのH2Oに加えて、CH2Cl2で抽出した(3×10mL)。組み合わせた抽出液を、連続して、H2O(10mL)および飽和NaCl水溶液(10mL)で洗い、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒エバポレーション(ロータリーエバポレーション)の残渣を、一晩、真空下で乾燥させ、その後、5mLのMeOHに溶かし、連続して接続した2つの逆相カートリッジ(Waters Sep-Pak(登録商標) Plus C-18, MeOH、H2OおよびMeOHで予め洗浄)に通した。メタノールを用いた溶出により、最初の15mLに生成物が得られた(前記のTLC系により分析)。この溶液を、5mLまで濃縮し、43gの逆相(C18)カラム(Isco Redi-Sep(商標) C-18 RPカラム)を用いて、オートマチッククロマトグラフィーシステム(Isco Flash Chromatography Companion, MeOHで平衡化し、その後、MeOH:H2O(9:1, v:v)で平衡化)の使用により、クロマトグラフィーに供した。240nmでUV吸収をモニターしながら、MeOH:H2O(9:1, v:v)を用いた溶出により、望む生成物が得られた(TLC分析)。溶媒エバポレーションおよび真空乾燥により、50.9mgの生成物が得られた(収率59%):1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ1.12 (t, 3, J = 7 Hz), 1.64 (m, 2), 1.91 (m, 2), 2.18 (m, 3), 2.43 (m, 5), 2.53 (m, 1), 2.64 (t, 2, J = 8 Hz), 2.76 (m, 1), 2.94 (m, 1), 3.34 (m, 1), 3.89 (m, 5), 4.23 (d, 1, J = 10), 6.76 (s, 1), 7.25 (d, 2, J = 8 Hz, 部分的にCHCl3のピークと重複), 7.41 (s, 1), 7.51 (d, 2, J = 9 Hz), 7.64 (d, 2, J = 9 Hz), 8.01 (d, 2, J = 8 Hz)。 MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 533.2797, C35H36N2O3は、533.2804であることを要求する。
【0107】
〈実施例5:(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-トリメチルスタニル-1H-インデノ[1,2-c]-ピリジン [ラセミ体A6a (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = R = MeであるA6)]および(4aS,5R,9bS)-5-(4-カルボキシメチル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-トリメチルスタニル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン [鏡像異性体A6a (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = R = MeであるA6)]>
Zhong D, Pravin K, Wyrick, CD, Seltzman HH, Kepler JA, Boja JW, Kuhar MJ, Carroll FI. J Label Compd Radiopharm 1999; 42:281-286に記載された方法と類似の方法において、トルエン(2mL)に溶かしたラセミ体A3a(35mg, 0.074mmol)に、アルゴン雰囲気下の無水条件下で、ヘキサメチルジチン(62mg, 0.19mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1mg)を加えた。反応混合物を6時間還流した後に、週末にかけて室温で攪拌した。シリカゲル60カラムクロマトグラフィー[10g, 230-400メッシュ, E. Merck, 直径2.2cmのカラム, メタノール-クロロホルム(5:95, v/v)]による精製により、ラセミ体A6aが得られた(25mg, 収率66%):1H NMR (CDCl3) δ0.34 (s, 9), 1.16 (t, 3, J = 7.2 Hz), 2.35 (s, 3), 2.47 (q, 2, J = 7.2 Hz), 3.94 (s, 3), 6.76 (s, 1, 6-H), 7.28 (d, 2, J = 8.2 Hz), 7.33 (s, 1, 9-H), 8.02 (d, 2, J = 8.2 Hz);MS m/z 513 (82), 511(64), 72 (100), C26H35NO2Snは、重量513であることを必要とする。Waters Radial Pak A columnを用いたHPLC分析[C-18, 8x100 mm, 10μm, 240nmでのUV検出器, 1mL/min メタノール-トリエチルアミン(100:1, v/v)]によって、ラセミ体A6aは95%のAUC純度であり、開始ラセミ体A3a(主な副産物)を有していた:A6aについてはtR 7.09分、A3aについてはtR 6.22分。
【0108】
残ったA3aを取り除くために、シリカゲル60カラムに由来する物質を、メタノールに10mg/mLで溶かし、0.2mLずつを、25x10mm Guard-Pak(商標) μBondapak(商標) (C-18, 125Å, 10μm)カラムを装着した25x100mm Prep Pak μBondapak(商標) (C-18, 125Å, 10μm)カラムにインジェクトし、メタノール-トリエチルアミン(100:1, v/v, 7ml/min)で溶出した;240nmでのUV検出器。クロマトグラフィーシステムは、Thermo Separations(Spectra Physics)P100ポンプ、Rheodyne 7125インジェクター、および240nmでのThermo Separations(Spectra Physics)UV100可変波長検出器から構成されていた。ラセミ化合物A6(17.8mg, 収率47.3%)が、約10分間で溶出した。A3aは、通常のHPLCセッティングでの分析用HPLCによっては、この物質中に検出されなかったが、A6のピークが目盛りから外れた時に、tR 6.22分でピークの形跡を観察することができた。
【0109】
同様に、光学的に純粋な光学異性体(4aS,5R,9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5, 9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン(A3a, 22.8mg, 0.048mmol)を、光学異性体トリメチルスタニル誘導体A6a[(4aS,5R,9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-7-メチル-8-トリメチルスタニル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン]を合成するのに使用したところ、同等な結果が得られた(10.2mg, 収率42%)。
【0110】
<実施例6:(4aS,5R,9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-[125I]ヨード-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン(光学異性体[125I]-A3a)および(4aSR,5RS,9bSR)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-8-ヨード-7-メチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン(ラセミ化合物A3a)>
数μgの物質を含む反応中に使用した全てのガラス製品は、トルエン中のジクロロジメチルシラン(5:95, v/v)をガラス製品に加え、10分後に、メタノールで一回、トルエンで二回リンスし、その後、ガラス製品を120℃でオーブン内で乾燥させることによって、シラン化した。
【0111】
Zhong D, Pravin K, Wyrick, CD, Seltzman HH, Kepler JA, Boja JW, Kuhar MJ, Carroll FI. J Label Compd Radiopharm 1999; 42:281-286に記載した方法に類似した方法によって、60μlの0.1N NaOH中の、20ミリキュリーの、比放射能17.4Ci/mg(0.0092μmol)の担体-フリー[125I]NaIを、シップメントバイアル(shipment vial)内でボルテックスし、40μlの0.1N NaOHでのリンスとともに、1mLコニカル反応バイアルへと移した。30μlのメタノール-酢酸(95:5, v/v)中の光学異性体A6a(30μg, 0.0585μmol)を加え、その後、70μlのメタノール-酢酸(95:5, v/v)を加えた。クロロアミン-T水和物(4μlの28.2mg/10mL水溶液, 0.05μmol)を加え、キャップした(Teflon(登録商標)ライナー)反応混合物を、ボルテックスミキサー上で2-3分間混合した。メタ重亜硫酸ナトリウム[4μlの38mg/10mL水溶液(0.08μmol)]を加え、反応混合物を、ボルテックスミキサー上で更に2-3分間混合した。放射性化合物の分取用HPLCを、Beckman model 110A HPLCポンプ、Waters U6Kユニバーサルインジェクター、および240nmでのThermo Separation(Spectra Physics)可変波長モニターから構成されるシステムを用いて実施した。標準曲線を、2サンプルずつ、メタノール中のA3a(ラセミ化合物遊離塩基)の0.5mg/mL溶液を、5、7.5、10、12.5および15μlインジェクトすることによって作成した:Y = -1.78 x 10-4 + 2.78 x 10-10 (A)(式中、 Y = A3aのμmol、A = ピーク面積); r2 = 0.994。可能な限り多くの反応混合物を、YMC RP-18カラム(4.6 x 150mm, 5μm, 240nmでのUV検出器, 1mL/min, 10% H2O-90%[メタノール-トリエチルアミン (100:1, v/v)])へと、約5μgのA3aを容易に測定するための標準曲線の作成によって求まったアテニュエーションセッティングを用いて、インジェクトした。標準曲線から、6.67分でのピーク(6.38から7.97分を回収)は、5.34μgすなわち1.12×10-2μmolの望む[125I]-A3aを含んでいることが求まった(これらのクロマトグラフィー条件下においては、トリメチルチン(trimethyltin)誘導体A6は、11.4分のリテンションタイムを有していた)。ピークのフラクションを、無水エタノールを用いて、2mLに希釈した。その20μlを、エタノールを用いて、10mLに希釈し、希釈サンプルの20μlを、3サンプルずつガンマカウンターで測定した(75%の有効性)。比放射能は、1496mCi/μmolであると計算された。この値と、担体フリー125Iについての理論値の値との差異は、HPLCシステムへ非標識物質が混入してしまったことが原因であると思われる。
【0112】
同時に、放射性サンプルをインジェクションする前に、反応条件およびHPLCシステムを確認するために、ラセミ化合物A6aを、非標識ヨウ化ナトリウムの使用により、ラセミ化合物A3aへと変換した。
【0113】
>99%の放射線化学純度は、Bioscan AR-2000 Radioactivity Imaging Scannerの使用による、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって求めた。[125I]-A3aを、非標識A3aとともに、Whatman KC18Fプレート上に同時にスポットし、メタノール-トリエチルアミンで展開した(100:1, v/v, Rf=0.46)。同時にスポットした非標識A3aを、単波長UV光下で、可視化した。Packard Auto-gamma Scintillation Spectrometer 5135を使用して、標識生成物の放射性を測定した。
【0114】
[125I]-A3aを含む残りのクロマトグラフィーフラクション(1.96mL)を、無水エタノールを用いて10mLに希釈し、-78℃で保蔵用の[125I]-A3a希釈溶液を得た。
【0115】
〈実施例7:(4aS,5R,9bS)-5-(4-カルボメトキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-[125I]ヨード-7-メチル-1H-インデノ[1,2-c]ピリジン ([125I]-A3b)>
[125I]-A3aの10mL溶液の1mlを、Teflon(登録商標)-コーティングの三角スターラーバーを備えたコニカルバイアル中の0.25mLの1N水酸化ナトリウムへと加えた。反応バイアルを、Teflon(登録商標)で裏打ちしたキャップで蓋をし、60℃±5℃で18時間、攪拌しながら加熱した。混合物を室温へ冷却後に、0.25mLの1N塩酸を加え、その後、反応混合物のpHが約6になるまで(EM Science pH 0-14 stripで測定)、5μlの1N塩酸(トータルで15μl加えた)を加えた。反応混合物の一部を、Whatman KC18F TLCプレートに、非標識A3bと重ねてスポットした。プレートを、30%(v) H20-70% [メタノール-トリエチルアミン(100:1,v/v)]で展開させた後に、同時にスポットした非標識A3aを、単波長UV光下で、可視化した(Rf 0.35)。Bioscan AR-2000 Radioactivity Imaging Scannerを用いた分析により、>99%の放射性純度が示された。[125I]-A3bの溶液を計算したところ、1.04mCi/mLを含んでおり、[125I]-A3aと同じ比放射能を有することが推測された。
【0116】
〈実施例8:(4aRS, 5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン n-ヘキシルエステル 塩酸塩 [A4a (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = n-ヘキシルであるA4)]>
(4aRS, 5SR, 9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン メチルエステル 塩酸塩 (A3a HCl (R1 = Et, R2 = COOMe, R3 = H, R4 = Me, R5 = IであるA3 HCl) (米国特許第5,319,084号明細書)を、酢酸:6N HClの1:1混合物とともに、一晩還流し、溶液を濃縮し、生成物を結晶化することによって、(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン 塩酸塩 (A3b HCl (R1 = Et, R2 = COOH, R3 = H, R4 = Me, R5 = IであるA3 HCl)を調製した。カルボン酸(75mg, 0.15mmol)を、SOCl2(2mL)および8μlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)で処理し、無水条件(アルゴン雰囲気)下で、24時間還流した。SOCl2を、蒸発させた(ロータリーエバポレーター)。CH2Cl2(3mL)を加え、蒸発させた。その後、残渣に、2mLのCH2Cl2中の2.52mgの4-N,N-ジメチルアミノピリジンの溶液を加えた後、49μlのピリジンおよび105μlのn-ヘキサノールを加えた。混合物を24時間、アルゴン雰囲気下で還流し、その後、15mLのCH2Cl2および25mLの5%(w/v)KHCO3を加えた。有機相を分離し、CH2Cl2を用いて更に2回の抽出を行った。組み合わせた有機相を、水(2×15mL)および飽和NaCl(15mL)で洗い、Na2SO4で1時間乾燥させた。固体をろ過して取り除き、ろ液をエバポレーションに供した。残渣を、2回、トルエン(5-10mL)とエバポレーションに供し、その後、5-10mLのCH2Cl2とエバポレーションに供した。残渣を、2mLの酢酸エチル/CH2Cl2(2:8, v:v)中に溶かし、酢酸エチル/CH2Cl2(2:8, v/v)を用いてスラリーとして詰めたシリカゲル(36g, 230-400メッシュ)のカラム(直径1.4cm)にアプライし、連続して、酢酸エチル/CH2Cl2 (2:8, v:v, 16 mL)、酢酸エチル/CH2Cl2/EtOH (20:80:5, v:v:v, 16 mL)、および酢酸エチル/CH2Cl2/EtOH (20:80:10, v:v;v, 16 mL)を用いて溶出した。フラクションを回収して、TLC(シリカゲル, 酢酸エチル/CH2Cl2/EtOH (20:80:10, v:v:v)によって分析した。似たフラクションを組み合わせ、エバポレーションにより生成物を得た。残渣を1mLのCH2Cl2に加え、Et2O中の無水HClの1M溶液を0.2mL添加し、十分に混合し、窒素流の存在下でエバポレーションに供することによって、HCl塩へと変換した。穏やかな加熱および超音波処理により、0.5mLのCH2Cl2に、HCl塩を溶かした。一晩室温に保った後で、冷凍庫に数時間置き、酢酸エチル(0.25mL)を加えた。5日後に、A4a HClの結晶が、遠心分離によって得られ、50℃で一晩乾燥させたところ、28.3mg得られた(収率32%):1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ0.9 (t, 3, J = 7 Hz), 1.14 (t, 3, J = 7 Hz), 1.26-2.03 (m, 8), 2.27 (m, 1), 2.33 (s, 3), 2.48 (m, 3), 2.76 (m, 1), 2.95 (m, 1), 3.37 (m, 1), 4.16 (d, 1, J = 10 Hz), 4.31 (t, 2, J = 7 Hz), 6.75 (s, 1), 7.22 (d, 2, J = 8 Hz), 7.71 (s, 1), 8 (d, 2, J = 8 Hz); MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 546.1850, C28H36INO2は、[M + H]+ = 546.1869であることを要求する。
【0117】
<実施例9:(4aRS, 5SR, 9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン 3-ヒドロキシプロピルエステル 塩酸塩 [A4b HCl (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = 3-ヒドロキシプロピルであるA4 HCl)]>
実施例8の化合物についての方法と類似の方法であるが、450mgの化合物A3b HClを用いて開始し、1,3-プロパンジオールをヘキサノールに置き換え、応じて試薬を増加させた方法によって、表記化合物を得た(収率65%):1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ1.2 (t, 3, J = 7.2 Hz), 1.66 (m, 1), 2.03 (m, 3), 2.33 (s, 3), 2.39 (m, ), 2.58 (m, 4), 2.92 (m, 1), 3.07 (m, 1), 3.46 (m, 1), 3.78 (t, 2, J = 6 Hz), 4.16 (d, 1, J = 10.2 Hz), 4.5 (t, 2, J = 6 Hz), 6.77 (s, 1), 7.22 (d, 2, J = 8.1 Hz), 7.73 (s, 1), 8 (d, 2, J = 8.1 Hz); (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 520.1360, C25H30INO3は、[M + H]+ = 520.1349であることを要求する。
【0118】
<実施例10:(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン ((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル) メチルエステル [A4c (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = ((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であるA4)]>
実施例8の化合物についての方法と類似の方法であるが、225mgの化合物A3b HClを用いて開始し、S-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール[S-(+)-Soketal(登録商標)]をヘキサノールに置き換え、応じて試薬を増加させたが、HCl塩へは変換しなかった方法によって、表記化合物を得た(100mg, 収率38%):1H NMR (CDCl3, 300 Mz) δ1.12 (t, 3, J = 7 Hz), 1.39 (s, 3), 1.46 (s, 3), 1.65 (m, 2), 1.87 (m, 1), 1.95 (t, 1, J = 11 Hz), 2.21 (m, 2), 2.33 (s, 1), 2.42 (q, 3, J = 7 Hz), 2.52 (m, 2), 2.74 (m, 1), 2.9 (m, 1), 3.33 (m, 2), 3.85 (m, 1), 4.38 (d, 1, J = 5.4 Hz), 4.39 (s, 1), 4.46 (m, 1), 6.77 (s, 1), 7.23 (d, 2, J = 8 Hz), 7.71 (s, 1), 8.02 (d, 2, J = 8 Hz), MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 576.1601, C28H34INO4は、[M + H]+ = 576.1611であることを要求する。(エステル部分の不斉中心の立体配置は、置換の手順の順番が変化するので、開始物質の立体配置から変化することに注意せよ)。
【0119】
〈実施例11:(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン (R)-2,3-ジヒドロキシプロピルエステル 塩酸塩 [A4d HCl (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = ((R)-2,3-ジヒドロキシプロピル)であるA4 HCl)]〉
実施例10の化合物を70-75mg、2mLのジオキサンに溶かし、その後、0.2mLの水および1mLのEt2O中の1M HClに溶かした。反応混合物を、2時間アルゴン雰囲気下で、コック付きフラスコ中で攪拌した。溶媒をエバポレーションに供し、残渣を真空下で室温で乾燥させた。CH2Cl2を加え(5mL)、エバポレーションに供した。残渣を、2-3mLの水に溶かし、溶液を凍結乾燥させて、65mg(基本的には定量的収率)の表記化合物を得た:1H NMR (CDCl3/CD3OD (9:1, v:v),300 Mz) δ1.48 (m, 3), 1.85 (m, 1), 2.34 (s, 3), 2.58 (m, 2), 2.75 (m, 1), 2.97 (m, 1), 3.14 (m, 2), 3.67 (m, 4), 3.96 (m, 2), 4.17 (d, 1, J = 10.7 Hz), 4.34 (d, 2, J = 5.4 Hz), 6.76 (s, 1), 7.27 (d, 2, J = 7.7 Hz), 7.8 (s, 1), 8.06 (d, 2, J = 7.6 Hz), MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 536.1277, C25H30INO4は、[M + H]+ = 536.1298であることを要求する。
【0120】
<実施例12:(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン ((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル) メチルエステル [A4e (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = ((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であるA4)]>
実施例10の化合物についての方法と類似の方法であるが、150mgの化合物A3b HClを用いて開始し、S-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール[R-(-)-Soketal(登録商標)]をそのR-異性体に置き換え、応じて試薬を増加させた方法によって、表記化合物を得た(109mg, 収率63%):1H NMR (CDCl3/CD3OD (9:1, v:v), 300 Mz) δ1.12 (m, 3), 1.39 (s, 3), 1.46 (s, 3), 1.62 (m, 1), 1.93 (m, 3), 2.22 (m, 1), 2.33 (s, 3), 2.42 (q, 2, J = 7 Hz), 2.51 (m, 1), 2.7 (m, 1), 2.89 (m, 1), 3.33 (m, 1), 3.87 (m, 1), 4.15 (m, 2), 4.38 (d, 1, J = 5.3 Hz), 4.39 (s, 1), 4.46 (m, 1), 6.77 (s, 1), 7.23 (d, 2, J = 8.2 Hz), 7.71 (s, 1), 8.01 (d, 2, J = 8.2 Hz), MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 576.1590, C28H34INO4は、[M + H]+ = 576.1611であることを要求する。(エステル部分の不斉中心の立体配置は、置換の手順の順番が変化するので、開始物質の立体配置から変化することに注意せよ)。
【0121】
<実施例13:(4aRS,5SR,9bRS)-5-(4-カルボキシフェニル)-2-エチル-2,3,4,4a,5,9b-ヘキサヒドロ-8-ヨード-7-メチル-1H-インデノ-[1,2-c]ピリジン (S)-2,3-ジヒドロキシプロピルエステル 塩酸塩 [A4f HCl (R1 = Et, R3 = H, R4 = Me, R5 = I, R8 = ((S)-2,3-ジヒドロキシプロピル)であるA4 HCl)]>
実施例11の方法と類似の方法であるが、62mg(0.11mmol)の実施例12の化合物A4eを用いて開始した方法によって、51mgの表記化合物を得た(収率88%):1H NMR (CDCl3/CD3OD (9:1, v:v), 300 Mz) δ1.48 (m, 3), 1.85 (m, 1), 2.34 (s, 3), 3.14 (m, 2), 3.96 (m, 3), 4.17 (d, 1, J = 11 Hz), 4.39 (d, 2, J = 5.4 Hz), 6.76 (s, 1), 7.27 (d, 2, J = 7 Hz), 7.8 (s, 1), 8.06 (d, 2, J = 7 Hz), MS (葉酸を加えた陽イオンエレクトロスプレー) [M+H]+ 536.1290, C25H30INO4は、[M + H]+ = 536.1298.であることを要求する。
【0122】
明らかに、本発明の多くの修正および変化が、前記の教示に照らし合わせて可能である。それ故、添付の請求項の範囲内において、本発明は、具体的に本明細書に開示された以外でも実施できることは理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1は、幾つかの既知の抗精子形成性のヘキサヒドロインデノピリジン化合物の構造を示し、これらの化合物の立体化学およびナンバーリングシステムを記す。
【図2】図2は、生物学的データにおいて論じたヘキサヒドロインデノピリジン化合物の構造を示し、これらの化合物のナンバーリングシステムを記す。
【図3】図3は、本発明の化合物を調製する方法の一般的なアウトラインを示す(スキームA)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造1:
【化1】

[式中、R1は、(置換されていてもよい) C1-4アルキル、 C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、 C2-4アルケニルであり;
R2は、そのアルコール部位が極性置換基もしくは置換を有するカルボン酸エステル基であり;または
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、カルボン酸、カルボン酸エステルもしくはin vivoでカルボン酸へと変換可能な基であり;
R3は、 H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4は、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5は、1つもしくは複数のπ結合によって特徴付けられる、C、H、N、OおよびSの組み合わせを含む基であり、この基は、C-8/R5結合の周りで回転する時に、x=y=z=7オングストロームの寸法の立方体の体積以下の体積を掃き、加えて、この基は、この体積を超えて広がることができるR7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5は、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5は、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、Cl、Brもしくは127Iである]
の化合物およびその塩。
【請求項2】
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、そのエステルのアルコール部分がケタールおよび/もしくはヒドロキシル置換基を含むカルボン酸エステル、または、in vivoでヒドロキシルへと変換可能な基であり;または
(R5が、F、Cl、Brもしくは127Iでない場合) R2が、カルボキシルもしくはカルボン酸エステル基COO-CnH2n+1(式中、nは、0から4の整数である)、CH2OHまたはCHOであり;
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
(R2が、カルボン酸、カルボン酸エステルもしくはin vivoでカルボン酸へと変換可能な基でない場合)R5が、ハロゲンであり、あるいは、R5が、アジドまたはシアノまたはC2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5が、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5が、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項3】
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、COOR8{式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができ;または、R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R8は、HもしくはCtHu(式中、tは1から18の整数であり、uは3から37の整数である)である}であり、
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5が、C2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R5が、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルもしくはC2-6アルキニルである)であり;または
R5が、125I、123I、131I、76Br、77Br、18F、19Fもしくは3Hであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項4】
R1が、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または、
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、COOR9(R9は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、H、ハロゲン、(置換されていてもよい)C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニル、C2-4アルケニルまたはOR6{式中、R6は、H、C1-4アルキル、ペルフルオロアルキルもしくはCnH1〜2n+1CO(フッ素で置換されていてもよく、n=1から8である)である}であり;
R4が、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルキニルまたはC2-4アルケニルであり、これらは、フッ素で置換されていてもよく;
R5が、アジド、シアノ、エチニルまたはC2-4アルキニル、C2-4アルケニル、一環式アリールもしくは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールを含む基であり、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=1から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されており;または
R5が、125I、123Iもしくは131Iであり;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項5】
R1が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、アリルまたはシクロプロピルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または、
R5が、Cl、Brもしくは127Iでない場合、R2は、COOR8(R8は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、H、ハロゲン、CH3、CF3、CHO、CH3CO、OH、OCH3またはOCF3であり;
R4が、CH3、CF3またはC2H5であり;
R5が、ハロゲン、アジド、シアノ、エチニル、プロピニル、エテニル、プロペニル、トリアゾール-4-イル、C2-4アルケニル、一環式アリールまたは5もしくは6員環の一環式ヘテロアリールもしくはジヒドロヘテロアリールであり、化学的に可能であれば、この基は、R7基{R7は、炭素、水素、窒素、酸素および硫黄原子の組み合わせCmHoNpOqSr(式中、m=0から12、o=0から25、p=0から5、q=0から5およびr=0から2)である}で置換されていてもよく;または
R2が、COOH、COO-CnH2n+1(式中、nは1から4の整数である)、CH2OHもしくはCHOでない場合、R5は、F、Cl、Brもしくは127Iであり;または
R5が、125I、123Iもしくは131Iである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項6】
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルまたはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SまたはR,Sとすることができる)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、ハロゲン、エチニルまたは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項7】
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、H、メチル、エチル、プロピル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルまたはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SまたはR,Sとすることができる)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、123I、125I、127I、131I、Me3Sn、エチニルまたは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項8】
R1が、エチルであり;
R2が、COOR8(式中、R8は、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピルもしくはCH2-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)であり、R8は、不斉中心が存在する場合、R、SもしくはR,Sとすることができる)であり;または
R5が、127Iでない場合、R2は、COOR8(R8は、H、メチル、エチルもしくはプロピルである)であり;
R3が、Hであり;
R4が、メチルであり;
R5が、トリメチルスタニル、123I、125I、127I、131I、エチニルまたは(1-(2-(N-ピペリジノ)エチル))-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イルである、
請求項1に記載の化合物およびその塩。
【請求項9】
哺乳類への有効量の請求項1に記載の化合物の投与による、前記哺乳類の妊娠の調節のための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
前記哺乳類が男性のヒトである、請求項9。
【請求項11】
前記哺乳類が野生動物または野獣である、請求項9。
【請求項12】
前記哺乳類が、マウス、ラット、コヨーテ、ディンゴ、小型のロバ、シカ、ウッドチャック、コヨーテまたはウマである、請求項11。
【請求項13】
- 精子を含む組成物を、請求項1に記載の化合物を含む殺精子組成物と接触させること;
を含む、移動精子を殺傷および/または移動精子を動けなくする方法。
【請求項14】
殺精子有効量の請求項1に記載の化合物および生理学的に許容可能な担体を含む、殺精子組成物。
【請求項15】
殺精子有効量の請求項1に記載の化合物および担体、ならびにバリア型避妊具を含む、殺精子処理した避妊具。
【請求項16】
- 対象に、生理学的に許容可能な担体中に殺精子有効量の請求項1に記載の第1の化合物を含む組成物を、経口投与すること;
- 前記対象または前記対象のパートナーによって、殺精子有効量の第2の化合物および担体を含む殺精子処理避妊具、ならびに、バリア型避妊具を同時に使用すること;
を含む、避妊方法であって、
前記式I(a)の第1の化合物および第2の化合物が、同一または異なっている、避妊方法。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物[R5が、R11R12R13Sn-(式中、R11、R12およびR13は、それぞれ、独立して、C1-6アルキル、C2-6アルケニルまたはC2-6アルキニルである)であり、R1、R2、R3およびR4が、請求項1で定義したものである]の、構造1の化合物(R5が、放射性原子であり、R1、R2、R3およびR4が、請求項1で定義したものである)の調製のための使用。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物(R1がEtであり、R2が-COOMeまたは-COOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5 がMe3Sn-である)の、構造1の化合物(R1がEtであり、R2が-COOMeまたは-COOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5123I、125Iまたは131Iである)の調製のための使用。
【請求項19】
抗精子形成化合物または殺精子化合物を結合する部位および分子を同定する、位置を求めるまたは定量するための、放射性原子による置換によって放射性を持たせた、請求項1に記載の化合物(R1、R2、R3、R4およびR5が、請求項1に定義したものである)の使用。
【請求項20】
潜在的な抗精子形成化合物または殺精子化合物の構造活性相関を同定し、新規の抗精子形成化合物または殺精子化合物の同定および開発に役立たせるアッセイのための、放射性原子による置換によって放射性を持たせた、請求項1に記載の化合物(R1、R2、R3、R4およびR5が、請求項1に定義したものである)の使用。
【請求項21】
R1がEtであり、R2が-COOMeまたは-COOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5123I、125Iまたは131Iである、請求項19。
【請求項22】
R1がEtであり、R2が-COOMeまたは-COOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5125Iである、請求項20。
【請求項23】
前記部位が、睾丸またはその副画分に存在する、請求項19。
【請求項24】
前記部位が、睾丸またはその副画分に存在する、請求項21。
【請求項25】
前記部位が、睾丸またはその副画分に存在する、請求項22。
【請求項26】
放射性原子による置換によって放射性を持たせた、請求項1に記載の化合物(R1、R2、R3、R4およびR5が、請求項1に定義したものである)を使用する、受容体についての化合物の相対的親和性を求めるためのアッセイ。
【請求項27】
前記受容体が、睾丸に位置している、請求項26。
【請求項28】
前記受容体が、睾丸ホモジネートの膜画分または睾丸の特定の細胞コンポーネントに存在する、請求項26。
【請求項29】
R1がEtであり、R2が-COOHであり、R3がHであり、R4がMeであり、R5125Iである、請求項26。
【請求項30】
前記受容体が、睾丸に位置している、請求項29。
【請求項31】
前記受容体が、睾丸ホモジネートの膜画分または睾丸の特定の細胞コンポーネントに存在する、請求項29。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−534416(P2009−534416A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506774(P2009−506774)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/066956
【国際公開番号】WO2007/124353
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(500240896)リサーチ・トライアングル・インスティチュート (36)
【Fターム(参考)】