説明

抗精神病薬と組み合わせたカンナビノイドの使用

本発明は、精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための1つ又は複数の抗精神病薬と組み合わせた1つ又は複数のカンナビノイドの使用に関する。好ましくは、上記1つ又は複数のカンナビノイドは、群:カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビゲロール酸(CBGA)から選ばれる。好ましくは、上記抗精神病薬は、非定型抗精神病薬である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
精神病及び精神病性障害は、現実との接触が失われている患者について説明するのに使用される。
【0002】
精神病及び精神病性障害は、幻覚(患者が存在しない物事を感じる)、妄想(患者が現実に基づかない信念を持つ)、明快な思考の問題及びどこかおかしなところがあるということを自覚しないことを包含する多数の症状をもたらし得る。
【0003】
下記リストは、多数のこれらの疾患状態を示しており、その多くが、米国精神医学会(2000年)により公表された「精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)、第四版、改訂版」(DSM−IV−TR)で分類されている:統合失調症、統合失調症様障害(急性統合失調症エピソード)、統合失調性感情障害、双極性障害I型(躁病、躁病性障害、躁鬱病)、双極性障害II型、精神病性特徴を伴う大鬱病性障害(精神病性鬱病)、妄想性障害(パラノイア)、共有精神病性障害(共有パラノイア障害)、短期精神病性障害(他の詳細不明の反応精神病)、不特定の精神病性障害(詳細不明の精神病)、妄想性人格障害、統合失調質人格障害及び統合失調症性人格障害。
【0004】
統合失調症は、患者が実体験と非実体験との違いを理解することが困難である複雑な疾患である。統合失調症を患う患者はまた、社会的状況及び他の状況において論理的思考及び一般的な感情による応答が困難である。
【0005】
統合失調症は、種々の型を取り得る:患者が運動障害、昏迷、消極性、硬直、興奮並びに患者の個人的な必要性に配慮することができないこと及び疼痛性刺激に対する感受性の減少を患う緊張型、患者が被害妄想的思考又は誇大妄想的思考、不安、怒り、暴力及び理屈っぽさ(argumentativeness)を患う妄想型、並びに患者が支離滅裂であり、退行行動、妄想、幻覚、不適切な笑い、反復癖及び社会的ひきこもりを示す破瓜型。
【0006】
患者はまた、1つ又は複数のサブタイプの症状を患う場合があり、又は顕著な症状が軽減している場合があるが、幻覚のような幾つかの症状は残存したままであり得る。
【0007】
統合失調症様障害(急性統合失調症エピソード)は、妄想、幻覚、解体した会話、解体した行動又は緊張病性行動、及び陰性症状を包含する統合失調症の症状の幾つかの存在を特徴とする。該障害は、その前駆期、活動期及び残遺期を包めて、1ヵ月よりも長いが、6ヵ月未満持続する。
【0008】
統合失調症性感情障害の症状は、患者によって大いに変化し得る。多くの患者は、気分、日常機能又は侵入思考に関する問題を患う。他の症状としては、気分の高揚、増長又は落ち込み、短気及び感情抑制不良、食欲、活力及び睡眠の変化、幻覚(特に、幻聴)、関係妄想、パラノイア、衛生状態に対する関心の低下並びに解体した会話又は非論理的会話を挙げることができる。
【0009】
統合失調症性感情障害は、重篤な症状、続く改善のサイクルを特色とする。
【0010】
双極性障害I型(躁病、躁病性障害、躁鬱病)は、低(激しい抑鬱及び絶望の感覚)から高(「躁」と称される高揚感)に及び、混合する場合もある(例えば抑鬱気分は、不穏及び過活動と複合し得る)気分変動を特徴とする。多くの場合、鬱病エピソード及び躁病エピソードがともに体験される。
【0011】
双極性障害II型は、軽躁エピソード及び少なくとも1つの大鬱病エピソードを特徴とする。軽躁エピソードは、極度の躁病に進むことはない(即ち、社会的又は職業的障害を引き起こさず、精神病性特徴を伴わない)。双極性障害II型は、軽躁エピソードが首尾よい高い生産性の期間として単に出現する場合があり、且つつらい抑鬱よりもあまり頻繁に報告されないため、診断するのが遥かに難しい。精神病は、躁病エピソード及び大鬱病エピソードで見られ得るが、軽躁病では見られない。両方の障害に関して、「慢性」、「急速交代型」、「緊張型」及び「メランコリー型」を包含する障害の症状及び進行を示す多数の指示子が存在する。
【0012】
精神病性特徴を伴う大鬱病性障害(精神病性鬱病)は、患者が抑鬱症状を患うことに加えて、幻覚又は妄想を患うことを特徴とする。これらの患者は多くの場合、パラノイア患者となり、彼らの思考が彼等自身のものではないこと、及び他者が彼等の思考を「聞く」ことができることを信じ得る。
【0013】
妄想性障害(パラノイア)は、患者が他の物理的原因又は医療的原因を有しない長期持続性偏執性妄想を有する精神病の形態である。これらの妄想はまた、幻聴を付随し得る。
【0014】
共有精神病性障害(共有パラノイア障害)は、精神を患っている人と親密な人々が、その人の誤った思い込み(妄想)を共有する非常に稀な状態である。例えば、統合失調症を有する男性が、その子供が彼を殺害しようとしていると誤って確信している場合がある。彼の妻は、共有精神病性障害を発症して、同様にそのことを確信するようになる。この障害は通常、長期にわたる関係で起こり、2人の人々に関与する。しかしながら、この障害はまた、グループの成員間で(例えば、家族内で)発症し得る。それは、男性よりも女性に影響を及ぼす。
【0015】
短期精神病性障害(他の詳細不明の反応精神病)は、1日よりも長いが、1カ月未満持続し、且つ重要な生活上のストレス又は妊娠(産後発症を伴う)の直後に続き得るか、又は続き得ない急性精神病エピソードを体験する患者を特徴とする。この病気は通常、人が健康を害する可能性があるという予めの警告が存在しない場合に驚くべきこととして到来するが、この障害は、既存の人格障害を伴う人々においてより一般的である。
【0016】
偏執性人格障害は、拒絶、憤慨、不信並びに体験した事象を歪める傾向に対する感受性に関する認識モジュールの誇張を特徴とする。他人の中立的な行動及び親しみやすい行動は、敵対的であるか、又は軽蔑的であると誤解されることが多い。配偶者の性的忠義及び一般的な忠義に関する事実無根の疑惑、並びにヒトの権利が認識されていないという確信は、頑固に且つ理屈がちに強く主張される。かかる個人は、過剰の自信及び過度の自己指示に対する傾向を保有し得る。病的な嫉妬、本能的な攻撃的逆襲、他人を管理する欲求、及び嫉妬深い信念を支持するささいな「徴候」又は付随的な「徴候」の集まりもまた特色である。
【0017】
統合失調質人格障害(SPD)は、社会的関係における興味の欠如、孤独なライフスタイルに対する傾向、隠しだて及び感情の冷やかさを特徴とする。SPDは、他の人格障害と比較してかなり稀であり、その患者数は、一般集団の1%未満であると推定される。
【0018】
統合失調症性人格障害は、社会的孤立の欲求、奇妙な行動及び思考、並びに多くの場合超感覚的能力を有するとの確信のような型破りの信念を特徴とする。
【0019】
精神病及び精神病性障害は、非定型抗精神病薬として既知の薬剤の種類で一般的に治療される。
【0020】
非定型抗精神病薬はまた、第二世代又は第三世代の抗精神病薬としても既知であり、そのうちの幾つかは、統合失調症、双極性障害、躁病及び他の適応症を包含する精神病性障害の治療における使用に関してFDAにより承認されている。
【0021】
非定型抗精神病は、それ自体他の典型的な抗精神病薬と異なる様式で作動するという事実に起因して分類される、他の点では未関連の薬物の異種群である。多くの(全てではない)非定型抗精神病薬は、脳中のセロトニン受容体系及びドーパミン受容体系に作用することにより作動する。
【0022】
非定型抗精神病薬の例としては、アリピプラゾール、リスペリドン、パリペリドン、ジプラシドン、オランザピン、クエチアピン、クロザピン、スルピリド、アミスルプリド、イロペリドン、カリプラジン、アセナピンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
アリピプラゾールは、第三世代抗精神病薬である。アリピプラゾールは、セロトニン受容体及びドーパミン受容体でアゴニストとして活性を有し、セロトニン5−HT1A受容体ではアゴニスト又は部分的アゴニストとして、またドーパミンD受容体ではアゴニスト又は部分的アゴニストとして作用する。アリピプラゾールは、ドーパミン−セロトニン系安定剤である。
【0024】
抗精神病薬剤は、子供において使用されることはほとんどないが、近年リスペリドン及びアリピプラゾールは共に、子供及び若者における統合失調症及び躁病又は双極性障害の混合エピソードの治療におけるそれらの使用に関してFDA承認を受けた。
【0025】
非定型抗精神病薬種の薬剤はほとんどの場合、統合失調症のような精神病性障害の治療において医師に好まれ、それらの使用は、フルフェナジン、ハロペリドール及びクロルプロマジンのような典型的な抗精神病薬の使用と徐々に置き換わっている。
【0026】
非定型抗精神病薬の特徴の1つは、これらの薬剤の、プロラクチン上昇の非存在下で錐体外路系副作用を引き起こす傾向の減少である。
【0027】
非定型抗精神病薬として既知である薬剤の種類に関して報告されている副作用は、薬物間で様々である。
【0028】
薬剤オランザピン及びリスペリドンは、脳卒中の危険性の増加に起因して、認知症を伴う高齢患者では禁忌となっている。
【0029】
非定型抗精神病薬は、睡眠パターンの異常なずれを引き起こすことにより、極端な疲労感及び衰弱をもたらし得ることもまた既知である。
【0030】
他の副作用としては、遅発性ジスキネジア(無意識の痙攣及び顔の歪み)、及びジストニア(無意識の筋収縮)が挙げられる。更に、幾つかの非定型抗精神病薬は、典型的な抗精神病薬により引き起こされるものに類似して、重症の代謝障害を引き起こし得る。
【0031】
かかる代謝障害としては、高血糖症及び糖尿病が挙げられる。
【0032】
抗精神病薬物が、代謝に関連した多数の副作用を招くという多くの報告も存在する。
【0033】
抗精神病薬剤を摂取している患者が報告する代謝関連副作用としては、例えば、体重増加、インスリン抵抗性、1型糖尿病及び2型糖尿病、高脂血症、高プロラクチン血症及び心血管疾患である。
【0034】
明らかに、副作用をもたらすことなく精神病若しくは精神病性障害を予防又は治療することが可能である有効的な治療に関して有意な要件が存在する。特に、代謝関連副作用の発生の低減は、これらの疾患及び状態は、患者が副作用を軽減するためにその薬剤を摂取するのを停止するほど、身体に障害を来す場合があるため、非常に重要である。
【0035】
この目的で抗精神病薬と組み合わせたCB1アンタゴニストの使用に焦点を当てる多数の文書が存在する。
【0036】
特許文献1及び特許文献2は、リスペリドンのような抗精神病薬とのピラゾールベースのカンナビノイド受容体(CB1)アンタゴニスト(具体的にはリモナバン)の使用について記載しており、その結果かかる抗精神病薬の使用に関連した体重問題、肥満症及び代謝性障害に対抗する。換言すると、薬物は共に、それらの自然機能を個々に実施する。
【0037】
特許文献3は、抗精神病剤と組み合わせたCB1アンタゴニスト及び逆作動薬の使用に関する。
【0038】
特許文献4は、抗精神病剤と組み合わせてCB1受容体モジュレータを使用することを含む躁病に関する治療について開示する。
【0039】
特許文献5は、従来の抗精神病薬物と組み合わせてCB1受容体モジュレータを使用することを教示している。
【0040】
特許文献6は、カンナビノイド受容体モジュレータとしてアゾ二環式複素環について記載しており、これらの化合物は、抗精神病剤と組み合わせて使用され得ることを示唆する。
【0041】
特許文献7は、CB1アンタゴニストを同時投与することにより多くの非定型抗精神病薬に関連した体重増加の問題に対抗することを示唆する。
【0042】
概して、これらの文書は事実上推論であり、ほとんど支持なしで又は全く支持なしで多くの種々の合成化合物の組合せを示唆している。しかしながら、抗精神病薬と組み合わせてフィトカンナビノイドを使用することを具体的に研究をした人はいない。
【0043】
特許文献8は、フィトカンナビノイドTHCVが(構造的に類似するが、CB1アゴニストであるTHCに対比して)中性CB1アンタゴニストであるという驚くべき発見に基づいてCB1カンナビノイド受容体に関連する疾患徴候の治療においてフィトカンナビノイドTHVCを使用することを開示する。特許文献8は、例えば肥満症及び統合失調症の治療のためにTHCVを使用することを示唆するが、他の薬物と組み合わせてTHCVを使用することを示唆しない。
【0044】
カンナビノイドは、細胞におけるカンナビノイド受容体を活性化することで知られている化学物質の群である。これらの化学物質は、大麻植物で見出され、ヒト及び他の動物においても内因的に生産される。これらは、エンドカンナビノイドと称される。合成カンナビノイドは、植物カンナビノイド又はエンドカンナビノイドに類似した構造を有する化学物質であり、当然のことながら、同様にこれらの植物カンナビノイド又はエンドカンナビノイドの合成版を作製することも可能である。
【0045】
カンナビノイドは、例えば血液脳関門を容易に横切ることができること、弱毒性及び僅かな副作用のような特定の特性を示す環状分子であるという特徴を保有する。
【0046】
植物カンナビノイド又はフィトカンナビノイドはまた、それらが「本質的に純粋な」化合物であるように単離することができる。これらの単離カンナビノイドは、他の少数派カンナビノイド及び分子(例えば、テルペン)のような他の天然に存在する化合物を実質的に含まない。
【0047】
本質的に純粋な化合物は、総重量に基づいて少なくとも95%までの純度を有する。幾つかの本質的に純粋なカンナビノイドは、(合成であろうと、又は単離されたものであろうと)NMDA受容体の直接的な拮抗作用により、或いはカンナビノイド受容体との結合のような別の手段により細胞へのカルシウムイオンの流入を低減させることにより、神経保護剤であると示唆されている。
【0048】
しかしながら、現在の見解は、大麻及び暗にフィトカンナビノイドは、使用者(特に、年少者)が精神病を発症する原因となり得ると一般的に信じられているようである。これは、主として大麻精神病として既知の状態に起因する。大麻の使用は、幾つかの専門家に論評される研究により精神病に関連付けられている。1987年のスウェーデンでの研究は、大麻使用と統合失調症との間の関連性を主張した。より最近では、Dunedin Multidisciplinary Health and Development Studyは、集団の25%が保持する或る特定の遺伝的素因による大麻使用者に関する精神病の危険性の増加を示す研究を公表した。2007年には、ランセットで公表される研究及び精神保健専門家の世論調査は、大麻の使用が、英国の精神病事例の14%の割合を占め、精神病に対する感受性を増加することをますます多くの医療保険医が確信しているということを示した。
【0049】
大麻の使用と精神病との間の関連性は、最も娯楽的な大麻で見出される高濃度の精神活性カンナビノイドテトラヒドロカンナビノール(THC)の結果としてである可能性が高い。
【0050】
大麻に対する強い偏見にも関わらず、出願人は、非定型抗精神病薬物と組み合わせた或る特定のフィトカンナビノイドベースの薬剤の使用を支持する有意な確かな証拠が存在すると信じている。これに関する論理的根拠を以下で概要する。
【0051】
幾つかの植物カンナビノイドは、精神病又は精神病性障害の治療において有効な作用物質であることがわかっている。例えば、出願人は、その同時係属特許出願である特許文献9において、気分障害の治療におけるカンナビクロメン(CBC)型化合物及び誘導体の使用を実証した。治療される気分障害は、群:病的鬱病又は臨床的鬱病、単極性気分障害、双極性気分障害、症候性(syndromal)鬱病、パニック障害及び不安神経症から選ばれる。
【0052】
更に、出願人はまた、その同時係属出願である国際出願PCT/GB2007/0020216号明細書において、気分障害の治療におけるカンナビゲロール(CBG)型化合物(カンナビゲロールプロピル類縁体(CBGV)を包含する)及びそれらの誘導体の使用について記載した。同様に、治療される気分障害は、群:病的鬱病又は臨床的鬱病、単極性気分障害、双極性気分障害、症候性鬱病、パニック障害及び不安神経症から選ばれる。
【0053】
精神病性障害の治療における特定のカンナビノイドの使用を支持する証拠に加えて、非定型抗精神病薬の使用が禁忌である、例えば、脳卒中、糖尿病及び他の代謝障害のような多数の疾患又は状態を治療するための特定のカンナビノイドの使用を支持する確かな証拠も存在する。
【0054】
従って、単一のカンナビノイドは非定型抗精神病薬と組み合わせて使用され得る一方で、好ましいアプローチは、大麻植物抽出物として存在しても又は存在していなくてもよいカンナビノイドの組合せを使用することであり得る。選択される抽出物に応じて、抽出物から全ての又はある割合のTHC又はTHCAを選択的に除去することが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】国際公開第2006/097605号
【特許文献2】米国特許第2008/0015186号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/136571号
【特許文献4】国際公開第03/087037号
【特許文献5】米国特許第2007/0105914号明細書
【特許文献6】国際公開第2005/063761号
【特許文献7】国際公開第2005/020992号
【特許文献8】国際公開第2006/054057号
【特許文献9】国際公開第2005/000830号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0056】
本発明の第一の態様によると、精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物の製造における1つ又は複数の抗精神病薬との1つ又は複数のフィトカンナビノイドの使用であって、該1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される、使用が提供される。
【0057】
好ましくは、1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、群:カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビゲロール酸(CBGA)から選ばれる。
【0058】
好ましくは、複数のフィトカンナビノイドは、大麻植物抽出物の形態で存在し、該抽出物の組成に応じて、全て若しくはある割合のTHC又はTHCAが選択的に除去され得る。
【0059】
より好ましくは、少なくとも1つの大麻植物からのカンナビノイド抽出物は、植物性薬品物質である。
【0060】
好ましくは、少なくとも大麻植物からのカンナビノイド抽出物は、超臨界CO又は亜臨界COを用いた抽出により生産される。
【0061】
或いは、少なくとも1つの大麻植物からのカンナビノイド抽出物は、植物材料中のカンナビノイドの1つ又は複数を揮発させて、それにより蒸気を形成させるのに十分な100℃を上回る温度で植物材料を加熱ガスと接触させること、並びに蒸気を凝縮させて、それにより抽出物を形成することにより生産される。
【0062】
或いは、フィトカンナビノイドを包含する1つ又は複数のカンナビノイドは、実質的に純粋な形態又は単離形態で存在し得る。
【0063】
カンナビノイドの「実質的に純粋な」調製物は、HPLCプロフィールの面積標準化により確定される場合に90%を上回る、より好ましくは95%を上回る、より好ましくは96%を上回る、より好ましくは97%を上回る、より好ましくは98%を上回る、より好ましくは99%を上回る、最も好ましくは99.5%を上回る(所望のカンナビノイドの)クロマトグラフィ純度を有する調製物として定義される。
【0064】
好ましくは、本発明で使用される実質的に純粋なカンナビノイドは、任意の他の天然に存在するカンナビノイド、又は大麻植物中で天然に存在するカンナビノイドを包含する合成カンナビノイドを実質的に含まない。この状況では、「実質的に含まない」は、標的カンナビノイド以外のカンナビノイドがHPLCにより検出可能でないことを意味すると解釈することができる。
【0065】
実質的に純粋なカンナビノイドは、植物性薬品物質から調製することができる。技法は出願人により確立されており、その登録英国特許第2393721号明細書で記載されている。
【0066】
本発明の別の態様では、カンナビノイドは合成形態である。
【0067】
特に治療上の使用に関するカンナビノイドへの言及は、カンナビノイドの薬学的に許容可能な塩も同様に包含することが理解されよう。「薬学的に許容可能な塩」という用語は、当業者に既知であるように、無機塩基又は無機酸及び有機塩基又は有機酸を包含する薬学的に許容可能な無毒性塩基又は酸から調製される塩又はエステルを指す。多くの適切な無機塩基及び有機塩基は当該技術分野で既知である。
【0068】
本発明の範囲はまた、所望の活性を保持するカンナビノイドの誘導体にまで及ぶ。出発材料と実質的に同じ活性を保持するか、又はより好ましくは改善された活性を示す誘導体は、当該技術分野で既知である医薬品化学の標準的な原理に従って生産され得る。かかる誘導体は、それらが治療上有効であるのに十分な活性を保持する限りは、出発材料よりも低い活性度を示してもよい。誘導体は、例えば溶解度の改善、毒性の低減、取込みの増強等のような薬学的に活性な作用物質において望ましい他の特性における改善を示してもよい。
【0069】
好ましくは、抗精神病薬と組み合わせたカンナビノイドは、1つ又は複数の薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤又は希釈剤を更に含む薬学的組成物として配合される。
【0070】
本発明はまた、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤等のような適切な薬学的に許容可能なキャリアと一緒に薬学的投薬形態へ配合される、抗精神病薬と組み合わせたカンナビノイド又はその薬学的に許容可能な塩若しくは誘導体を含む薬学的組成物を包含する。投薬形態は、pH、モル浸透圧濃度、風味、粘度、滅菌性、親油性、溶解度等のような条件を変更させるための他の薬学的に許容可能な賦形剤を含有してもよい。希釈剤、キャリア又は賦形剤の選択は、所望の投薬形態に依存し、投薬形態は患者への投与の所定の経路に依存し得る。
【0071】
適切な投薬形態としては、持続放出配合物及び遅延放出配合物を含む固体投薬形態(例えば、錠剤、カプセル、粉末、分散性顆粒、カシェ及び坐剤)が挙げられるが、これらに限定されない。粉末及び錠剤は概して、約5%〜約70%の活性成分を含む。適切な固体キャリア及び賦形剤は当該技術分野で一般的に既知であり、例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース等が挙げられる。錠剤、粉末、カシェ及びカプセルは全て、経口投与に適した投薬形態である。
【0072】
液体投薬形態としては、溶液、懸濁液及びエマルジョンが挙げられる。液体形態調製物は、静脈内、脳内、腹腔内、非経口的に、又は筋内注射又は注入により投与され得る。滅菌注射用配合物は、無毒性の薬学的に許容可能な希釈剤又は溶媒中の活性剤の滅菌溶液又は懸濁液を含み得る。液体投薬形態としてはまた、鼻腔内、口腔内若しくは舌下投与用の溶液又はスプレーが挙げられる。吸入に適したエーロゾル調製物としては、溶液及び粉末形態の固体が挙げられ得る。これらは、不活性圧縮ガスのような薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせられ得る。
【0073】
また、クリーム、ローション、エーロゾル及び/又はエマルジョンを含む経皮投与用の投薬形態が包含される。これらの投薬形態は、当該技術分野で一般的に既知であるマトリックス型又はリザーバ型の経皮パッチ中に包含され得る。
【0074】
薬学的調製物は、薬学的配合物の標準的な手順に従って、単位投薬形態で利便性良く調製され得る。単位用量当たりの活性化合物の量は、活性化合物の性質及び対象とされる投薬計画に従って多様であり得る。概して、これは、単位用量当たり0.1mg〜5000mgの範囲内である。
【0075】
好ましくは、1つ又は複数の抗精神病薬は、非定型抗精神病薬である。
【0076】
より好ましくは、非定型抗精神病薬は、群:アリピプラゾール、リスペリドン、パリペリドン、ジプラシドン、オランザピン、クエチアピン、クロザピン、スルピリド、アミスルプリド、イロペリドン、カリプラジン、アセナピンから選ばれる。
【0077】
より好ましくは、非定型抗精神病薬はアリピプラゾールであり、これは、国際公開第2004/060374号に示されるその薬学的に許容可能な塩、適切な溶媒和物(水和物、エタノール付加物等)、代謝産物、無水結晶等の形態であり得る。
【0078】
7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロ−2(1H)−キノリノンとも呼ばれるアリピプラゾールは、カルボスチリル化合物であり、統合失調症を治療するのに有用である(欧州特許第0367141号明細書、米国特許第5,006,528号明細書)。アリピプラゾールはまた、7−{4−[4−(2,3−ジクロロフェニル)−1−ピペラジニル]ブトキシ}−3,4−ジヒドロカルボスチリル、エビリファイ、OPC−14597、OPC−31及びBMS−337039としても既知である。アリピプラゾールは、5−HT1A受容体アゴニスト活性を保有し、内因性鬱病、大鬱病、メランコリー等のような鬱病及び難治性鬱病のタイプを治療するための有用な化合物として既知である(国際公開第02/060423号、米国特許出願公開第2002/0173513号明細書)。アリピプラゾールは、セロトニン受容体及びドーパミン受容体でのアゴニストとして活性を有し、セロトニン5−HT1A受容体でのアゴニスト又は部分的アゴニストとして、またドーパミンD受容体でのアゴニスト又は部分的アゴニストとして作用する。アリピプラゾールは、ドーパミン−セロトニン系安定剤である。アリピプラゾールの代謝産物は、本発明の範囲内に包含される。アリピプラゾールのかかる代謝産物の1つは、デヒドロアリピプラゾールと呼ばれる。本発明内に包含されるアリピプラゾールの好ましい代謝産物は、以下の称号:OPC−14857、DM−1458、DM−1451、DM−1452、DM−1454及びDCPPにより示される。本発明で使用されるアリピプラゾール及びアリピプラゾール代謝産物は、任意の形態、例えば遊離塩基、あらゆる型の結晶の多型、水和物、塩(酸付加塩等)等であり得る。これらの形態の中でも、無水アリピプラゾール結晶Bは、好ましい形態である。無水アリピプラゾール結晶Bを調製する方法に関して、例えば、無水アリピプラゾール結晶Bは、アリピプラゾール水和物Aを加熱することにより調製される。その詳細は、国際公開第2004/060374号に示される。
【0079】
本発明で使用される薬物の投与量は、組み合わせられる各構成成分薬物の特性、薬物の組合せの特性及び患者の症状を考慮することにより決定される。
【0080】
アリピプラゾール又は代謝産物(例えば、デヒドロアリピプラゾール、DM−1458、DM−1451、DM−1452、DM−1454又はDCPP)は概して、約0.1mg〜100mg/1日1回(又は約0.05mg〜約50mg/1日2回)の量で、より好ましくは約1mg〜30mg/1日1回(又は約0.5mg〜約15mg/1日2回)の量で使用される。
【0081】
概して、カンナビノイド対抗精神病薬の重量比は、組み合わせられる各構成成分(constitute)薬物の特性、薬物の組合せの特性及び患者の症状を考慮することにより決定される。好ましくは、重量比は、カンナビノイド約1重量部対抗精神病薬約0.01重量部〜約500重量部、より好ましくはカンナビノイド1重量部対抗精神病薬約0.1重量部〜約100重量部の範囲内である。
【0082】
より好ましくは、カンナビノイドは、合成化合物、単離化合物として、或いは様々な量で1つ又は複数の他のフィトカンナビノイド及び他の植物構成成分を含有する抽出物として存在し得るフィトカンナビノイドである。抽出物は、個々のカンナビノイド(例えば、THC)が全体的に又は部分的に、選択的に除去されたものであってもよい。
【0083】
適切なフィトカンナビノイド抽出物の例は、以下の表1に示される。
【0084】
以下の実施例で使用されるTHCV植物抽出物及びCBD植物抽出物の成分を以下の表1に記載する。
【0085】
【表1】

【0086】
好ましくは、治療される精神病又は精神病性障害は、群:統合失調症、統合失調症様障害(急性統合失調性エピソード)、統合失調性感情障害、双極性障害I型(躁病、躁病性障害、躁鬱病)、双極性障害II型、精神病性特徴を伴う大鬱病性障害(精神病性鬱病)、妄想性障害(パラノイア)、共有精神病性障害(共有パラノイア障害)、短期精神病性障害(他の詳細不明の反応精神病)、不特定の精神病性障害(詳細不明の精神病)、妄想性人格障害、統合失調質人格障害及び統合失調症性人格障害から選ばれる。
【0087】
本発明の第二の態様によると、子供及び年少者における精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物の製造における1つ又は複数の抗精神病薬との1つ又は複数のフィトカンナビノイドの使用であって、該1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される、使用が提供される。
【0088】
本発明の第三の態様によると、精神病若しくは精神病性障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体へ、1つ又は複数の抗精神病薬と組み合わせて治療上有効な量の1つ又は複数のフィトカンナビノイドを投与する方法が提供される。
【0089】
被験体は、成人、子供又は年少者であり得る。
【0090】
本発明の第四の態様によると、精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物であって、別個に、順次又は同時に投与するための1つ又は複数のフィトカンナビノイド及び1つ又は複数の抗精神病薬を含む、薬学的配合物が提供される。
【0091】
本発明の或る特定の態様は、以下の実施例及びデータを参照して更に説明される:
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】非定型抗精神病薬であるアリピプラゾールAPZとともにカンナビノイドCBDを使用する条件回避実験における投与計画を示す図である。
【図2】非定型抗精神病薬であるアリピプラゾールとともにカンナビノイドTHCVを使用する条件回避実験における投与計画を示す図である。
【図3】個々に有効用量より低い用量でのTHCV、APZ並びにTHCV及びAPZの組合せの効果を示す図である。
【図4】個々に有効用量でのTHCV、APZ並びにTHCV及びAPZの組合せの効果を示す図である。
【図5】それぞれCBD及びTHCVを用いたカタレプシー及び眼瞼下垂の試験で使用される投与計画を示す図である。
【図6a】アリピプラゾール単独の作用を示す図である。
【図6b】CBDとの組合せ効果を示す図である。
【図6c】THCVとの組合せ効果を示す図である。
【図7】アリピプラゾール誘発眼瞼下垂に対するアリピプラゾール及びCBDの組合せ効果を示す図である。
【図8】アリピプラゾール誘発眼瞼下垂に対するアリピプラゾール及びTHCVの組合せ効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
国際公開第2005/000830号及び国際出願PCT/GB2007/0020216号明細書で提示されるデータ(或る特定のカンナビノイドがそれ自体抗精神病薬として作用することを示す)に加えて、非定型抗精神病薬剤と組み合わせた1つ又は複数のカンナビノイドの使用が非定型抗精神病薬単独よりも有益である可能性が高い理由を支持するさらなる証拠が、本明細書中で提示される。
【0094】
実施例1及び実施例2は、カンナビノイドの代謝効果を実証するための食餌誘導性肥満マウスモデルにおけるカンナビノイドであるテトラヒドロカンナビバリン(THCV)及びカンナビジオール(CBD)の組合せの使用、並びに暗に非定型抗精神病薬の使用に起因する幾つかの一般的な副作用に対抗することにおける潜在的な有益性について記載する。
【0095】
実施例3は、カンナビノイドCBDがどれほどPPARγアゴニストであるかについて記載し、PPARγリガンドが、2型糖尿病及び心血管系において有益な効果を有することを実証することにより非定型抗精神病薬の使用に起因する幾つかの一般的な副作用に対抗することにおける潜在的な有益性の更なる証拠を提供する。
【0096】
実施例4〜実施例5は、in vivoでの薬理学的試験から得られる結果である。
【0097】
実施例4は、有効性に関する動物モデルであり、アリピプラゾールとTHCVとの組合せを考察した条件回避応答試験である。
【0098】
実施例5は、錐体外路系副作用に関する動物モデルであり、アリピプラゾールとCBD(5a)及びTHCV(5b)との組合せを考察したカタレプシー原性(cataleptogenicity) 試験である。
【実施例】
【0099】
実施例1
急性単回投与試験を行い、ここでは食餌誘導性肥満マウスに下記のいずれかを投与した:
純粋なTHCV(0.3mg/kg)+CBD BDS(0.3mg/kgでのCBD)又は
純粋なTHCV(3.0mg/kg)+CBD BDS(3.0mg/kgでのCBD)。
【0100】
食餌誘導性肥満マウスは、肥満症、1型糖尿病又は2型糖尿病及び脂質異常症を包含する代謝症状に影響を及ぼす可能性が高い作用物質を評価するのに使用される標準的なモデルである。
【0101】
CBアンタゴニストは、潜在的な抗肥満症剤として研究されており、リモナバンが認可されている。リモナバンは、ヒトモデル及びげっ歯類モデルで抗肥満症効果を示す。げっ歯類モデルでは、リモナバンは、最初の数日にわたって食物の摂取量を低減させるが、長期にわたる抗肥満症効果は、脂肪組織からのアディポネクチンの放出の増加を介して媒介されると思われるエネルギー消費量増加との関連性がより大きいと思われる。
【0102】
THCV及びCBDは、CB受容体で有意な活性を有する天然産物である。本明細書で記載する実施例は、カンナビノイドの組合せの単回投与後の食物の摂取量及び体重の変化の測定により、抗肥満症及び結果として起こる代謝効果を探索するように設計された。
【0103】
動物には消灯直前に投与して、2時間、4時間及び24時間に食物の摂取量を測定した。
【0104】
結果:
単回投与後の対照動物と比較して、THCV及びCBDの組合せを投与した研究動物の体重に対する単回投与後の効果の差は見られなかった(データは示さず)。
【0105】
しかしながら、以下の表2に示されるように、THCV及びCBDの組合せで処理した動物において、24時間にわたって消費される食物の量の減少が見られた。
【0106】
【表2】

【0107】
上記の結果から理解され得るように、THCV及びCBDの組合せの単回投与は、投与の4時間以内に食品の摂取量の低減をもたらした。この低減は、投与後24時間でも依然として観察された。食品の摂取量の低減は、より高い用量群においてはより顕著であった。
【0108】
実施例2
28日間の慢性投与試験を行い、ここでは食餌誘導性肥満マウスに強制経口投与により、毎日09:00に下記のいずれかを投与した:
純粋なTHCV(0.3mg/kg)+CBD BDS(0.3mg/kgでのCBD)又は
純粋なTHCV(3.0mg/kg)+CBD BDS(3.0mg/kgでのCBD)。
【0109】
動物は、試験の1日目〜2日目の間中、気候順化させて、3日目に投薬を開始した。
【0110】
測定は、下記に関するデータを提供するために行われた:
食品及び水の摂取量(毎日)、
体重(週に二度)、
24時間エネルギー消費量(3日目及び10日目)、
5時間絶食マウスにおける経口的ブドウ糖負荷試験(OGTT、グルコース負荷3g/kg)(7日目及び21日目)、
混合食餌に対する熱応答(17日目)、
麻酔をかけたマウスにおけるデキサスキャンによる身体組成(体脂肪%)(28日目)、
鼻−肛門長測定(28日目)、
グルコース、乳酸、インスリン、トリグリセリド、コレステロール、HDL−コレステロールの測定のための摂食マウスからの血液サンプル(28日目)、
グルコース、遊離脂肪酸、インスリン及びアディポネクチンの測定のための絶食マウスからの血液サンプル(30日目)、及び
投与の2〜3時間後の薬物レベル&エンドカンナビノイドレベル(30日目)。
【0111】
任意の抗肥満症効果が、脂肪塊の減少(望ましい)であるか、又は脂肪組織及び非脂肪組織の比例した減少(望ましくない)であるかどうかを知ることは有利である。これらのデータは、デキサスキャン測定、及び脂肪組織塊と相関することが既知である血漿レプチン濃度の測定を介して達成された。
【0112】
エネルギー消費量は、耐性又は誘導プロセスのいずれかが存在するかどうかを確かめるために間接的熱量測定法により2回測定した。24時間の代謝率に加えて、混合食餌に対する熱応答を求めた。リモナバンに関する試験は、脂肪組織におけるアディポネクチンmRNAのアップレギュレーションを示している。このサイトカインは、ここではエネルギーバランス制御システムの重要な構成要素とみなされる。更に、アディポネクチンノックアウトマウスは肥満であり、インスリン耐性であり、遺伝的肥満マウス及び食餌誘導性肥満マウスに対する組換えアディポネクチンの投与は、脂肪塊を低減させて、インスリン作用を改善させる。したがって、アディポネクチンは、エネルギー消費プロセスの媒介因子であり得る。
【0113】
体脂肪の減少及びエネルギー消費量の増加は共に、インスリン感受性を改善させる。これは、5時間絶食マウスにおいて、耐糖能の測定を通じて、グルコース濃度及びインスリン濃度から求めた。
【0114】
血漿脂質に対する潜在的な効果も求めた。
【0115】
結果:
【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
THCV+CBDの低用量組合せ及び高用量組合せは共に、投薬の24時間後に動物のエネルギー消費量を増加させた。
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
THCV+CBDの低用量組合せ及び高用量組合せは共に、投薬の3時間後にエネルギー消費量を有意に増加させた。
【0122】
【表7】

【0123】
THCV+CBDの低用量の組合せも高用量の組合せも、対照群と比較して体重増加の量を低減させた。
【0124】
【表8】

【0125】
累積的な食物の摂取量は概して、全ての群において28日の投薬期間にわたって増加した。THCV+CBDのより低用量の組合せは、最少の摂取量をもたらした。
【0126】
【表9】

【0127】
【表10】

【0128】
THCV+CBDの組合せはいずれも、試験した動物の耐糖能を改善させなかった。
【0129】
【表11】

【0130】
血漿インスリンレベルは、THCV+CBDのより高い用量の組合せにより改善された。
【0131】
【表12】

【0132】
【表13】

【0133】
摂食血中グルコース濃度及び絶食血中グルコース濃度は、対照と比較して両方の試験群で増加した。
【0134】
【表14】

【0135】
THCV+CBDの組合せで処理した動物における体脂肪の量は、特により高い用量で低減する傾向があった。食物の摂取量の増加により、任意の効果が隠蔽されている可能性があることに留意すべきである。
【0136】
【表15】

【0137】
【表16】

【0138】
トリグリセリドレベルは、低用量THCV+CBD及び高用量THCV+CBDの両方でわずかに増加した。
【0139】
【表17】

【0140】
上記で理解され得るように、血中の総コレステロールの濃度は、THCV+CBDのより高い用量の組合せにより大きく低減した。
【0141】
【表18】

【0142】
上記の表は、血中のHDLコレステロール濃度が、THCV+CBDの低用量及び高用量の両方の組合せによりどれほど劇的に増加したかを実証する。
【0143】
結論:
純粋なTHCV+CBD BDSは、体脂肪パーセントを低減させる。
純粋なTHCV+CBD BDSは、エネルギー消費量を有意に増加させる(低用量及び高用量)。
純粋なTHCV+CBD BDSは、総コレステロールレベルを大きく低減させた(高用量)。
純粋なTHCV+CBD BDSは、HDLコレステロールレベルを大きく増加させた(低用量レベル及び高用量レベル)。
【0144】
実施例3
以下に記載する実施例では、カンナビノイド、カンナビジオール(CBD)及びテトラヒドロカンナビバリン(THCV)が、Δ−テトラヒドロカンナビノールにより活性化されることが既知であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ(PPARγ)を介して作用するかどうかを調査した。
【0145】
PPARγアイソフォームのアゴニストは、インスリン感受性を改善させて、多くの場合2型糖尿病の管理において使用される。更に、PPARγアゴニストは、in vitroでの一酸化窒素(NO)の利用能の増加の徴候、並びにin vivoでの血圧の低減及びアテローム性動脈硬化症の減衰を包含する正の心血管効果を有することが示されている。
【0146】
PPARγリガンドの有益な効果の幾つかは、炎症誘発性サイトカインの阻害、抗炎症性サイトカインの増加及び誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)発現の阻害を包含するPPARγ活性化の抗炎症作用により引き起こされる。したがって、PPARγリガンドの使用は、メタボリックシンドローム又はメタボリックシンドロームの危険性の増加に関連した疾患及び病態の薬学的管理における有用な治療選択肢となる可能性があるため、非定型抗精神病薬の使用に関連した副作用に対抗し得ると考えられる。
【0147】
in vitroでの血管試験は、ワイヤミオグラフィによりラット単離大動脈において実施された。PPARγ活性化は、レポーター遺伝子アッセイ、PPARγ競合結合アッセイ及び脂肪生成アッセイを使用して調査した。
【0148】
THCV及びCBDは共に、10mMのストック濃度になるようにエタノール中に溶解し、更なる希釈液を蒸留水を使用して作製した。
【0149】
結果:
大動脈におけるCBD及びTHCVの経時的効果
CBD(10μM)は、2時間にわたって全ての時点でビヒクル対照と比較して、ラット大動脈の有意な経時的弛緩を引き起こした(2時間、ビヒクル 19.7%±2.4% 比較 CBD 69.7%±4.0%弛緩、n=13、P<0.001)。2時間後、残留弛緩(CBDの血管弛緩効果−ビヒクルの血管弛緩効果及び時間)は、50.1%±3.3%弛緩であった。
【0150】
CBDは、経時的な初期張力に対する効果を持たなかった(2時間、ビヒクル−0.02g±0.01g 比較 CBD −0.03g±0.01g、n=7)。
【0151】
予め収縮させた大動脈では、THCV(10μM)は、105分後まで張力に対して効果を持たず、120分後、THCVの血管弛緩は、対照動脈における15.1%±4.6%(P<0.01)と比較して、28.7%±4.6%弛緩であった(n=10)。
【0152】
PPARγ受容体アンタゴニストGW9662(1μM)の存在下では、CBDの残留血管弛緩効果は、インキュベーションの1時間後に有意に低減した。CBDの血管弛緩効果は、内皮細胞剥離大動脈及び対照大動脈で類似していた。同様に、一酸化窒素合成酵素阻害剤であるL−NAME(300μM)の存在下では、CBDの残留血管弛緩効果は、対照条件で観察されるものと異ならなかった。
【0153】
CB受容体アンタゴニストAM251(1μM)は、CBDに対する経時的血管応答に有意に影響を及ぼさなかった。CB受容体アンタゴニストSR144528(1μM)は、45分〜90分の間にCBDの残留血管弛緩効果を有意に阻害した。PTX(200ng・ml−1、2時間)又はカプサイシン(10μM、1時間)による動脈の前処理は、経時的なCBDに対する血管応答に対して効果を持たなかった。
【0154】
動脈を高カリウム緩衝液で収縮させた場合、対照と比較して、CBDの血管弛緩効果における差異は見られなかった。対照的に、カルシウムを含まない緩衝液中でU46619により張力が誘導された血管では、CBDの血管弛緩効果は、対照と比較して著しく減退した。
【0155】
カルシウムを含まない高カルシウムクレブス・ヘンゼライト溶液中でのカルシウムの再導入に対する効力及び最大収縮応答は、1μM〜30μMのCBDの存在下で濃度依存的に有意に低減した。カルシウムチャネルブロッカーであるベラパミルは、より迅速な発生を伴うが、CBDと同様に予め収縮された血管の有意な血管弛緩を引き起こした。
【0156】
単離動脈における血管応答に対するCBDによるラットの慢性処理の効果
動物をビヒクル又はCBDで2週間処理して、動脈機能を調査した。
【0157】
小抵抗性腸管膜血管では、メトキサミンに対する最大収縮応答は、ビヒクル処理動物よりもCBD処理動物において有意に低かった(Rmax 1.56g±0.13g対CBD 2.20g±0.13g 張力増加、n=7、P<0.001)。CBD処理は、メトキサミンの効力の更なる減少を引き起こした(pEC50 veh 5.94±0.08対CBD 5.79±0.10、P<0.05)。
【0158】
大動脈におけるメトキサミンに対する最大応答もまた、CBD処理動物(1.63g±0.21g 張力増加、n=7、P<0.001)に比較してビヒクル処理動物(2.32g±0.20g 張力増加、n=6)で有意に高かった。
【0159】
CBDによる反復処理は、小抵抗性腸管膜血管ではアセチルコリンに対する血管弛緩応答に影響を及ぼさなかった。しかしながら、大動脈では、CBD処理は、アセチルコリンの効力を有意に減少させた(pEC50 対照 6.17±0.31対CBD処理 5.37±0.40、n=6、P<0.01)。
【0160】
転写トランス活性化アッセイ
CBDがPPARγを刺激するかどうかを判定するために、ルシフェラーゼレポーター遺伝子と組み合わせてPPARγ及びRXRαを一過的に過剰発現する同種細胞(3×PPRE TK luc)においてトランス活性化アッセイを実施した。
【0161】
これらのアッセイでは、合成PPARγアゴニストであるロシグリタゾン(10μM)は、全てのDNAでトランスフェクトしたビヒクル処理細胞と比較してPPARγの転写活性を有意に刺激した(148±7 比較 319±7 相対ルシフェラーゼ活性(1ng・ml−1タンパク質当たり)、P<0.01)。
【0162】
同様に、CBDはまた、10μM(305±18 相対ルシフェラーゼ活性、P<0.01)及び20μM(470±37 相対ルシフェラーゼ活性、P<0.01)で濃度依存的に、未処理細胞と比較してPPARγの転写活性を有意に刺激した。
【0163】
THCVは、試験した任意の濃度でPPARγ転写活性に対して効果を持たなかった。
【0164】
脂肪細胞分化の誘導
3T3L1細胞を集密になるまで培養した後、CBD又はロシグリタゾンのいずれかで8日間処理した。細胞を固定して、オイルレッドOで染色して、脂肪滴を同定し、その存在が、脂肪細胞への線維芽細胞の分化を示す。未処理細胞は、分化の幾らかの徴候を示したが、細胞の大部分が、オイルレッドOでほとんど染色されずにそれらの紡錘形状を保持した。ロシグリタゾンは、大量のオイルレッドO染色で明らかなように、脂肪細胞への3T3 L1細胞の分化を誘導し、細胞質内での脂肪滴蓄積を示した。CBDの存在下では、脂肪滴蓄積の徴候は、試験した全ての濃度において濃度依存的に明白であった。
【0165】
結論:
これらのデータは、CBDがPPARγアゴニストであるという強力な証拠を提供し、CBDの効果がもたらされ得る新規手段を示唆する。PPARγリガンドが2型糖尿病、心血管系において、また潜在的に多種多様の他の障害(癌、胃炎症性障害及び多くの皮膚障害を含む)において有益な効果を有するという新たな証拠を鑑みて、これらのデータは、カンナビノイドが、とりわけ抗精神病薬物の使用に関連した代謝症状の予防において有用であり得るという証拠を提供する。
【0166】
実施例4
方法
それぞれ防音室中に置かれた2つの自動シャトル箱(幅46cm×奥行19.5cm×高さ20cm、BIO MEDICA, Ltd)を使用して、条件回避行動を評価した。各試行は、条件刺激(cs)としての10秒の警告音(105dBトーン)、続く非条件刺激(US)としての10秒のフットショック(1mA)及び15秒〜75秒(平均45秒)の試行間の間隔から構成された。USは、動物がある区画から他の区画へとハードルを越えて飛び跳ねたとき、又は10秒のカットオフ時間後に終結させた。ラットはそれぞれ、シャトル箱の区画の1つに入れて、第1の試行の前に1分間、シャトル箱を自由に探検させた。トレーニングセッション中に、3種類の応答が記録された:
CS単独に応答して飛び越えが起きた場合、CARが記録された。
USが付与される期間中に飛び越えが起きた場合、逃避応答が記録された。
ラットが反応しなかった場合、逃避失敗(EF)が記録された。
【0167】
動物
種/系統:ラット/ウィスター
供給業者:Japan SLC, Inc
性別:雄
年齢(トレーニングセッションの開始時):6週
【0168】
動物が、3回の連続したトレーニングセッションに関して75%を上回る回避率(CAR 15回/試行20回)を首尾よく完了した場合、それを良くしつけられたCARと定義して、翌日に化合物の効果を評価するのに使用した。
【0169】
CBDに関する投与計画は、図1に示される通りであり、THCVに関する投与計画は図2に示される(ビヒクル1:5%アラビアゴム、ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18)。
【0170】
CBD及びTHCVは合成して、この実施例で使用した。
【0171】
結果
実施例4
i)有効用量より低い無効用量レベル(単独で使用される場合)でのアリピプラゾールAPZ(7.5mg/kg po)及びTHCV(60mg/kg ip)の効果
結果は図3に示され、図3は、下記の効果を示す棒グラフである:
ビヒクル1及びビヒクル2、
APZ及びビヒクル2、
THCV及びビヒクル1、並びに
APZ及びTHCV。
【0172】
驚くべきことに、組合せ効果が検出された。
【0173】
両側ダネット検定(n=9〜10)によるp<0.05、**p<0.01(組合せ群に対して)
ビヒクル1:5%アラビアゴム
ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0174】
ii)有効用量レベル(APZが単独で使用される場合)でのアリピプラゾールAPZ(15mg/kg po)及びTHCV(60mg/kg ip)の効果
結果は図4に示され、図4は、下記の効果を示す棒グラフである:
ビヒクル1及びビヒクル2、
APZ及びビヒクル2、
THCV及びビヒクル1、並びに
APZ濃度及びTHCV濃度。
【0175】
ここでも、CARに対してこれらの用量で組合せ効果が観察された。
【0176】
両側ダネット検定(n=12)によるp<0.05、**p<0.01(組合せ群に対して)
両側ダネット検定による#p<0.05(ビヒクル1+2群に対して)
ビヒクル1:5%アラビアゴム、
ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0177】
実施例5
カタレプシー(5a)及び眼瞼下垂(5b)に対するCBD及びTHCVの効果
方法
動物
種/系統:ラット/ウィスター
供給業者:Japan SLC, Inc
性別:雄
年齢(実験日にて):6週〜7週
【0178】
動物を図5に示されるようなプロトコルに付した。
【0179】
ビヒクル1:5%アラビアゴム、
ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0180】
実験の前日の午後6時から屠殺するまで、ラットを絶食させた。ラットを秤量して、アリピプラゾールを経口(PO)投与した。続いて、アリピプラゾールの投与の1時間後に、ラットにカンナビノイド(CBD及びTHCV)を腹腔内(IP)に注射した。カタレプシー及び眼瞼下垂が、アリピプラゾールの投与の2時間後、4時間後、6時間後及び8時間後に観察された。カタレプシーの測定に関して、観察は、各観察時点で3回実施した。動物を、スチール缶(直径6cm、高さ:10cm)の上縁上に強制的にそれらの右前足でつるした。動物が30秒間又はそれ以上の間、不自然な垂直位置で留まった場合、それらをカタレプシーに関して陽性応答を示す動物であると判断した。
【0181】
下垂症の測定は以下の通りに実施した。各動物をホームケージから個々に取り出して、実験者の手の上に置いて、目を観察した。眼瞼下垂スコアは、以下に記載するように両目に関して判定され、両眼に関するスコアを足して、総スコアを得た(最大スコア、8)。
【0182】
0:正常
1:軽度の下垂症(上眼瞼が目の1/4を覆っていた)
2:中等度の眼瞼下垂(上眼瞼が目の1/2を覆っていた)
3:重度の眼瞼下垂(上眼瞼が目の3/4を覆っていた)
4:完全な眼瞼下垂(上眼瞼が目全体を覆っていた)
【0183】
結果
実施例5a
種々の用量での結果は、図6a/図6b(APZ/CBD)及び図6a/図6c(APZ/THCV)に図示される。
【0184】
図6aと図6bとの比較により、CBD(120mg/kg、ip)が、ラットにおいてアリピプラゾール誘発カタレプシーを有意に減少させたことが明らかである(総計、p=0.0286、8時間、p=0.0339、一般化推定方程式による)。即ち、組合せ効果が検出された。
【0185】
n=8、
ビヒクル1:5%アラビアゴム、ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0186】
同様に、図6aと図6cとの比較により、THCV(60mg/kg、ip)が、ラットにおいてアリピプラゾール誘発カタレプシーを有意に減少させたことが明らかである(総計、p=0.0073、8時間、p=0.0060、一般化推定方程式による)。即ち、組合せ効果が検出された。
【0187】
n=8、
ビヒクル1:5%アラビアゴム、ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0188】
CBD及びTHCVは合成して、この実施例で使用した。
【0189】
実施例5b
結果は同様に図7(CBD)及び図8(THCV)に図示される。
【0190】
図7から、CBD(120mg/kg、ip)が、ラットにおいてアリピプラゾール誘発眼瞼下垂を有意に減少させたことが明らかである(薬物(CBD)、p<0.01;相互作用、p<0.01、二元ANOVAによる)。即ち、組合せ効果が検出された。
【0191】
ボンフェローニの補正を伴うウィルコクソン順位和検定(n=8)により**p<0.01、
ビヒクル1:5%アラビアゴム、
ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0192】
同様に、図8から、THCV(60mg/kg、ip)が、ラットにおいてアリピプラゾール誘発眼瞼下垂を有意に減少させたことが明らかである(薬物(THCV)、p<0.01;相互作用、p<0.01、二元ANOVAによる)。即ち、組合せ効果が検出された。
【0193】
ボンフェローニの補正を伴うウィルコクソン順位和検定(n=8)により**p<0.05、
ビヒクル1:5%アラビアゴム、
ビヒクル2:EtOH:クレモホール:生理食塩水=1:1:18
【0194】
CBD及びTHCVは合成して、この実施例で使用した。
【0195】
これらの実施例は、先に報告された証拠とともに、抗精神病薬と組み合わせた多数の種々のフィトカンナビノイドの使用が、それらが抗精神病薬物の望ましくない副作用の低減又は除去を可能にし得るため、また更なる抗精神病効果を更に提供し得るため、抗精神病薬剤単独の使用よりもどれほど有益な処理であり得るかを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物の製造における1つ又は複数の抗精神病薬との1つ又は複数のフィトカンナビノイドの使用であって、該1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される、使用。
【請求項2】
前記1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、群:カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCVA)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビゲロール(CBG)及びカンナビゲロール酸(CBGA)から選ばれる、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、大麻植物抽出物の形態で存在し、該抽出物の組成に応じて、全ての若しくはある割合のTHC又はTHCAが選択的に除去され得る、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記フィトカンナビノイドは、植物性薬品物質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記植物性薬品物質は、前記植物中の天然に存在するフィトカンナビノイド全てを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記フィトカンナビノイドは、実質的に純粋な形態である、請求項1に記載の使用。
【請求項7】
前記フィトカンナビノイドは、単離形態である、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
前記フィトカンナビノイドは、合成形態である、請求項1に記載の使用。
【請求項9】
前記抗精神病薬と組み合わせた前記フィトカンナビノイドは、1つ又は複数の薬学的に許容可能なキャリア、賦形剤又は希釈剤を更に含む薬学的組成物として配合される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記1つ又は複数の抗精神病薬は、非定型抗精神病薬である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
前記非定型抗精神病薬は、群:アリピプラゾール、リスペリドン、パリペリドン、ジプラシドン、オランザピン、クエチアピン、クロザピン、スルピリド、アミスルプリド、イロペリドン、カリプラジン、アセナピンから選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記非定型抗精神病薬はアリピプラゾールである、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
治療される精神病又は精神病性障害は、群:統合失調症、統合失調症様障害(急性統合失調性エピソード)、統合失調性感情障害、双極性障害I型(躁病、躁病性障害、躁鬱病)、双極性障害II型、精神病性特徴を伴う大鬱病性障害(精神病性鬱病)、妄想性障害(パラノイア)、共有精神病性障害(共有パラノイア障害)、短期精神病性障害(他の詳細不明の反応精神病)、不特定の精神病性障害(詳細不明の精神病)、妄想性人格障害、統合失調質人格障害及び統合失調症性人格障害から選ばれる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
子供及び年少者における精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物の製造における1つ又は複数の抗精神病薬との1つ又は複数のフィトカンナビノイドの使用であって、該1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される使用。
【請求項15】
精神病若しくは精神病性障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体へ、1つ又は複数の抗精神病薬とともに治療上有効な量の1つ又は複数のフィトカンナビノイドを投与することを含み、該1つ又は複数のカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される、方法。
【請求項16】
子供及び年少者における精神病若しくは精神病性障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体へ、1つ又は複数の抗精神病薬と組み合わせて治療上有効な量の1つ又は複数のフィトカンナビノイドを投与することを含み、該1つ又は複数のフィトカンナビノイドは、該1つ又は複数の抗精神病薬に対して別個に、順次又は同時に投与される、方法。
【請求項17】
精神病若しくは精神病性障害の予防又は治療における使用のための薬学的配合物であって、別個に、順次又は同時に投与するための1つ又は複数のフィトカンナビノイド及び1つ又は複数の抗精神病薬を含む、薬学的配合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−508765(P2011−508765A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541094(P2010−541094)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004217
【国際公開番号】WO2009/087351
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(508368987)ジーダブリュー・ファーマ・リミテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】GW PHARMA LIMITED
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【Fターム(参考)】