説明

抗糖尿病二環式化合物

アリール基のうちの1つが、酢酸基が結合しているシクロアルキル又は複素環に縮合しているフェニルであるジアリールエーテルは、Gタンパク質共役受容体40(GPR40)のアゴニストであり、特に2型糖尿病の治療、並びにインスリン抵抗性、肥満及び脂質障害を含む多くの場合にこの疾患に関連する症状の治療において治療化合物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリール基のうちの1つが、酢酸部分に結合しているシクロアルキル又は複素環に縮合し、その薬学的に許容される塩及びプロドラッグを含む、ジアリールエーテル化合物に関する。この化合物は、Gタンパク質共役受容体40(GPR40)のアゴニストであり、特に2型糖尿病の治療、及びインスリン抵抗性、肥満及び脂質障害を含む多くの場合にこの疾患に関連する症状の治療において治療化合物として有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の原因因子に由来し、空腹時又は経口グルコース負荷試験の際のグルコース投与後の上昇した血漿グルコース濃度(高血糖)によって特徴づけられる疾患である。一般的に認識されている2つの糖尿病の形態がある。1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)では、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど又は全く産生しない。2型糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)では、インスリンは依然として体内で産生されている。2型糖尿病を有する患者は、筋肉、肝臓及び脂肪組織である主なインスリン感受性組織におけるグルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの効果に対して抵抗性を有する。これらの患者は、多くの場合に正常な濃度のインスリンを有し、増量したインスリンを分泌させることにより、インスリンの低減した効き目を補うため、高インスリン血症(高い血漿インスリン濃度)を有する場合がある。インスリン抵抗性は、主に、インスリンレセプターの数が減少することによって引き起こされるのではなく、むしろ、未だに完全に解明されていない、インスリンレセプター結合後の欠陥により引き起こされる。インスリンの反応性の欠如は、筋肉内へのグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵における不十分なインスリン仲介活性化、及び脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコース産生及び分泌の不十分なインスリン仲介抑制をもたらす。
【0003】
糖尿病で起こる持続的又は制御不能な高血糖は、増加した早期の罹患及び死亡に関連する。多くの場合に異常なグルコースホメオスタシスが、肥満、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、さらに、他の代謝及び血行動態疾患に直接的にも間接的にも関連している。2型糖尿病の患者では、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧症、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管及び微小血管合併症の危険性が有意に増加する。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満及び高血圧の治療によりコントロールすることは、臨床管理及び糖尿病の治療において極めて重要である。
【0004】
インスリン抵抗性を有する患者は、多くの場合、X症候群又は代謝症候群と呼ばれる幾つかの症状を有する。一つの広く使用されている定義によると、代謝症候群を有する患者は、以下の5つの群の症状:(1)腹部肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低い高密度リポタンパクコレステロール(HDL);(4)高血圧;及び(5)上昇した空腹時血糖から選択される3つ以上の症状を有すると特徴づけられ、これらは、患者が糖尿病でもある場合は、2型糖尿病の特徴の範囲内でありうる。これらの症状は、それぞれ、Third Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection,Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III,or ATP III),National Institutes of Health,2001,NIH Publication No.01−3670に臨床的に定義されている。代謝症候群の患者は、顕性糖尿病を有するか又は発症するかに関わらず、アテローム性動脈硬化症及び冠動脈性心疾患のような、2型糖尿病で生じる大血管及び微小血管合併症を発症する危険性が増加する。
【0005】
2型糖尿病のために幾つかの利用可能な治療があり、それぞれ独自の限界及び潜在的な危険性を有する。運動及び食事カロリー摂取量の低減は、多くの場合、糖尿病の状態を劇的に改善し、2型糖尿病及びインスリン抵抗性に関連する前糖尿病状態に通常推奨される最適な治療である。この治療のコンプライアンスは、十分に定着した座りがちな生活習慣及び過剰な食品、特に多量の脂肪及び炭水化物を含有する食物の消費のため、極めて不十分である。薬理学的治療は、3つの領域の病体生理学:(1)肝グルコース産生(ビグアナイド剤)、(2)インスリン抵抗性(PPARアゴニスト)及び(3)インスリン分泌に焦点を当ててきた。
【0006】
ビグアナイド剤は、2型糖尿病を治療するために広く使用されている種類の薬剤である。2つの最もよく知られているビグアナイド剤は、フェンホルミンとメトホルミンであり、高血糖をいくらか低下させる。ビグアナイド剤は、主に肝グルコース産生を阻害することにより作用し、また、インスリン感受性を若干改善すると考えられている。ビグアナイド剤を、低血糖の危険性を増加することなく、単剤療法として又はインスリン若しくはインスリン分泌促進剤のような他の抗糖尿病薬と組み合わせて使用することができる。しかし、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び嘔気/下痢を誘発する可能性がある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用の危険性が低く、2型糖尿病の治療において広く処方されている。
【0007】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、2型糖尿病の高血糖症及び他の症状を改善できる新しい種類の化合物である。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター(PPAR)ガンマサブタイプのアゴニストである。PPARガンマアゴニストは、幾つかの2型糖尿病の動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織でインスリン感受性を有意に増加させ、低血糖症を生じることなく、高い血漿グルコース濃度に部分的又は完全な修正をもたらす。PPARガンマアゴニズムは、グリタゾンで治療されるヒト患者において観察される改善されたインスリン感作の原因と考えられる。新たなPPARアゴニストが現在開発されている。多くのより新しいPPAR化合物は、PPARアルファ、ガンマ及びデルタサブタイプのうちの1つ以上のアゴニストである。PPARアルファ及びPPARガンマサブタイプの両方のアゴニストである化合物(PPARアルファ/ガンマデュアルアゴニスト)は、高血糖を低減し、また脂質代謝を改善するため、有望である。現在市販されているPPARガンマアゴニストは、血漿グルコース及びヘモグロビンA1Cの低減に若干有効である。現在市販されている化合物は、脂質代謝を著しく改善することはなく、実際には脂質プロフィールに悪影響を与える場合もある。したがって、PPAR化合物は、糖尿病療法における重要な前進を表しているが、更なる改善が依然として求められている。
【0008】
広く使用されている別の薬剤治療は、スルホニル尿素(例えば、トルブタミド及びグリピジド)のようなインスリン分泌促進剤の投与を含む。これらの薬剤は、膵臓β細胞を刺激してより多くのインスリンを分泌させることによって、インスリンの血漿濃度を上昇させる。膵臓β細胞におけるインスリン分泌は、グルコース、及び一連の代謝、神経及びホルモンの信号により厳密に調節されている。グルコースは、ATP及び他の信号伝達分子を生成するその代謝によってインスリン産生及び分泌を刺激し、一方、他の細胞外信号は、原形質膜におけるGPCRの存在によってインスリン分泌のポテンシエーター又はインヒビターとして作用する。スルホニル尿素及び関連するインスリン分泌促進剤は、β細胞においてATP依存性K+チャンネルを遮断するように作用し、それは、細胞の脱分極を引き起こし、電圧依存性Ca2+チャンネルの開放を引き起してインスリン放出を刺激する。このメカニズムはグルコース非依存性であり、したがって、インスリン分泌は、周囲のグルコース濃度に関係なく生じうる。これは、グルコース濃度が低くてもインスリン分泌を引き起こす可能性があり、低血糖症をもたらし、幾つかの場合には致命的になる可能性がある。したがって、インスリン分泌促進剤の投与は注意深く管理しなければならない。インスリン分泌促進剤は、多くの場合、2型糖尿病の最適な薬剤治療として使用されている。
【0009】
グルコース依存性インスリン分泌により制御されている膵島インスリン分泌が再び注目されている。この手法は、β細胞機能の安定化及び回復にとって潜在的な可能性を有する。これに関して、幾つかのオーファンGタンパク質共役受容体(GPCR)は、β細胞に優先的に発現すること及びグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)に関与していることが最近同定されている。GPR40は、ヒト(及び齧歯類)膵島並びにインスリン分泌細胞株に高度に発現している細部表面GPCRである。幾つかの天然の中鎖から長鎖の脂肪酸(FA)、並びにチアゾリジンジオンの部類のPPARγアゴニストの幾つかを含む合成化合物が、最近、GPR40のリガンドとして同定されている(Itoh,Y.et al.,Nature.422:173[2003];Briscoe,C.P.et al.,J.Biol.Chem.278:11303[2003];Kotarsky,K.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.301:406[2003])。高血糖条件下、GPR40アゴニストは、膵島細胞からインスリンの放出を増大させることができる。この反応の特異性は、siRNAによるGPR40の活性の阻害が、GSISのFA誘発増幅を減衰させることを示す結果から示唆される。これらの所見は、インスリン放出を促進すると考えられるFAの脂質誘導体の細胞内生成に加えて、FA(及び他の合成GPR40アゴニスト)は、FA誘発インスリン分泌の仲介において、GPR40に結合する細胞外リガンドとしても作用しうることを示す。2型糖尿病の治療における潜在的な標的としてのGPR40には幾つかの潜在的な利点がある。第1に、GPR40仲介インスリン分泌がグルコース依存性であるため、低血糖症の危険性はほとんど又は全くない。第2に、GPR40の限定された組織分布(主に膵島)は、他の組織におけるGPR40活性に関連する副作用の可能性が少ないことを示唆している。第3に、膵島において活性であるGPR40アゴニストには、膵島機能を回復又は保存する潜在的な可能性がありうる。長期間の糖尿病治療は、多くの場合、膵島活性の漸減をもたらし、そのため、長期間の治療の後では、多くの場合、2型糖尿病の患者を毎日のインスリン注射により治療する必要があるため、このことは極めて有益である。膵島機能を回復又は保存することによって、GPR40アゴニストは、2型糖尿病の患者において膵島機能の低下及び喪失を遅延又は防止することができる。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に記載されている化合物の種類は、新規な種類のGPR40アゴニストである。この化合物は、2型糖尿病、2型糖尿病又は前糖尿病インスリン抵抗性に関連しうる高血糖症を含むGPR40アゴニストにより調節される疾患の治療に有用である。
【0011】
本発明は、個別のジアステレオマー及び鏡像異性体、並びにジアステレオマー及び/又は鏡像異性体の混合物を含む、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を対象とする。
【0012】
【化1】

【0013】
式Iの化合物において、Aは、−CH−、−CF−、−O−、−N(R)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択され;
Bは、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−から選択されるか:
又は、−A−B−は、−N(R)C(=O)−又は−C(=O)N(R)−であるか、又は−A−B−は、2個の原子を表し、それらは連結して、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員芳香族複素環の一方を形成し、ここで5員芳香族複素環は、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
Xは、=C(R)−及び=N−から選択され、Yは、=C(R)−及び=N−から選択され、但し、X及びYは、両方ともが=N−ではなく;
Zは、−CRCOであり;
複素環は、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和又は部分的に飽和した単環式複素環であり;
ヘテロアリールは、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環であり;
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−N(R)(R)、−N(R)C(=O)C−Cアルキル、−N(R)S(O)−Cアルキル、−C(=O)H、−C(=O)OH、−C(=O)OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)N(R)(R)、フェニルCH=CHC(=O)−、フェニルC(=O)CH=CH−、−C(=O)フェニル、−C(=O)ナフチル、−C(=O)複素環、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルからなる群から選択され;
ここで、−C−Cアルキル、及び−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−N(R)C(=O)C−Cアルキル、−N(R)S(O)−Cアルキル、−C(=O)OC−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキルのアルキル基は、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、又、−OH、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル、−NHC(=O)CH、−NHC(=O)OC−Cアルキル、−NHS(O)CH、−N(R)(R)、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく;
ここで、R、R、R、R及びR又はR、R、R、R及びRの置換基のいずれかとしてのフェニルCH=CHC(=O)−のフェニル、フェニルC(=O)CH=CH−のフェニル、−C(=O)フェニル、−C(=O)ナフチル、−C(=O)複素環、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、該−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキル置換基は、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく;
ここで、場合により、一対の置換基R及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合シクロペンチル、シクロヘキシル又はフェニル環を形成する、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−及び−CH=CH−CH=CH−から選択される3又は4炭素架橋基を表し、該架橋基は、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択され;
は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、−OH、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい−C−Cアルキル、及び1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、また、1つの基−C(=O)OR10で置換されていてもよい−OC−Cアルキルからなる群から選択され;
及びR10は、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は多数の実施態様を有し、それらを下記にまとめる。本発明には、提示の化合物が含まれる。また、個別のジアステレオマー、鏡像異性体、化合物のエピマー、ジアステレオマー及び/又は鏡像異性体の混合物、及びラセミ化合物が含まれる。本発明には、また、化合物の薬学的に許容される塩、並びに化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物が含まれる。化合物は、2型糖尿病及びインスリン抵抗性を治療するのに有用である。化合物は、肥満の治療又は制御にも有用でありうる。
【0015】
化合物の構造の記載において、アルキル基は、特に定義されない限り、直鎖又は分岐鎖のいずれかであってよい。
【0016】
式Iの化合物のサブグループは、R、R、R、R及びRが、(1)H;(2)ハロゲン;(3)−NO;(4)−CN;(5)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、また、−OH、−C(=O)C−Cアルキル、及び1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい−OC1−3アルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい、−C1−6アルキル;(6)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、また、1つのフェニルで置換されていてもよい−OC1−6アルキル;(7)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい−C(=O)C−Cアルキル;(8)−N(R)(R);(9)−C(=O)N(R)(R);(10)−C(=O)OC−Cアルキル;(11)−S(O)−Cアルキル;(12)フェニル(13)フェニルCH=CHC(=O)−;及び(14)フェニルC(=O)CH=CH−(ここで、使用されている全てのフェニルは、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの置換基で置換されていてもよい)から独立して選択される化合物を含み、その薬学的に許容される塩も含む。
【0017】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Rは、それぞれ、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択される。
【0018】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、R及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、ここで縮合フェニル環は、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの置換基で置換されていてもよい。
【0019】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、1〜5つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜5つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−CHOH、−CH(OH)CH、−CH(OH)CF、−C(=O)H、−C(=O)CH、−CN、−NO、フェニル、−OCHフェニル、−C(=O)OC−Cアルキル、−S(O)CH、−C(=O)N(R)(R)、−N(R)(R)、フェニルCH=CHC(=O)−及びフェニルC(=O)CH=CH−から選択され、ここでフェニルは、それぞれの場合において、ハロゲン、CH3、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよい。
【0020】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、R及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、ここで縮合フェニル環は、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい。
【0021】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Rは、それぞれ、H及びCHから独立して選択される。
【0022】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、R及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、ここで縮合フェニル環は、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの置換基で置換されていてもよい。
【0023】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Aは、−CH−、−CF−、−O−、−N(R)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−から選択される。
【0024】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Bは、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−からなる群から選択される。
【0025】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、−A−Bは、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、
【0026】
【化2】

【0027】
からなる群から選択される。
【0028】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Aは、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択される。
【0029】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、Zは、−CRCOHであり、ここで、
は、Hであり;
は、H、−OH、CH及び−OCHC(=O)OR10からなる群から選択され;
10は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択される。
【0030】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブグループにおいて、
Aは、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−から選択され;
Bは、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−から選択されるか:
あるいは−A−B−は、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、
【0031】
【化3】

【0032】
からなる群から選択され、
は、H、ハロゲン、1〜5つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜5つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−CHOH、−CH(OH)CH、−CH(OH)CF、−C(=O)H、−C(=O)CH、−CN、−NO、−C(=O)OCH、−S(O)CH、−C(=O)N(R)(R)、−N(R)(R)及び−OCHフェニルからなる群から選択され、ここでフェニルが、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
は、H、ハロゲン、1〜3つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜3つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、及びハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよいフェニルからなる群から選択され;
は、H、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから選択され;
は、H、ハロゲン、CH、CF、−OCH、−OCF、C(=O)H、−C(=O)CH、−C(=O)OCH、−C(=O)N(R)(R)、−CN、−NO、フェニルCH=CHC(=O)−及びフェニルC(=O)CH=CH−から選択され、ここでフェニルは、それぞれの場合において、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
は、Hであり;
は、それぞれ、H及びCHから独立して選択され;
ここで、場合によりR及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、前記縮合フェニル環は、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく;
Zは、−CRCOHであり;
は、Hであり;
は、H、−OH、CH及び−OCHC(=O)OR10からなる群から選択され;
10は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択される。
【0033】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブセットにおいて、存在する基R、R、R、R又はRのうちの少なくとも1つは、Hではない。式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブセットにおいて、存在する基R、R、R、R及びRのうちの少なくとも2つは、Hではない。式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩のサブセットにおいて、存在する基R、R、R、R及びRのうちの2〜3つは、Hではない。
【0034】
上述の特定の立体化学が活性であるが、ジアステレオマー、鏡像異性体、エピマー及びこれらの混合物を含む他の立体異性体も、ラセミ化合物を含めて、GPR40仲介疾患の治療において有用性を有しうる。不活性又は活性の低いジアステレオ異性体及び鏡像異性体も、レセプター及び活性化の機構に関する科学研究において有用である。
【0035】
特定の化合物の構造及び化合物を作製する合成方法が、実施例に開示されている。幾つかの場合において、実施例は、分析情報を伴うが、詳細な合成情報を伴わずに開示されている。そのような化合物は、本明細書の情報を使用して当業者によって容易に作製される。
【0036】
本発明の化合物は、(a)化合物又はその薬学的に許容される塩と、(b)薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物に使用することができる。本発明の化合物は、1つ以上の他の活性医薬成分を含む医薬組成物に使用することができる。本発明の化合物は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩が唯一の活性成分である医薬組成物に使用することもできる。
【0037】
式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩は、ヒト又は他の哺乳類の患者において2型糖尿病を治療する薬剤の製造のために使用することができる。
【0038】
2型糖尿病を治療する方法は、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩、若しくは化合物を含む医薬組成物の治療有効量を、治療の必要な患者に投与することを含む。式Iの化合物の他の医学的使用が以下に記載されている。
【0039】
定義
「Ac」はアセチルであり、それはCHC(=O)−である、
【0040】
「アルキル」は、炭素鎖が他に定義されていない限り、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであってよい飽和炭素鎖を意味する。アルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基も、炭素鎖が他に定義されていない限り、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであってよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。
【0041】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられる。
【0042】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、直鎖若しくは分岐鎖又はその組み合わせであってよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例には、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどが挙げられる。
【0043】
「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。この用語は、アリール基に縮合している炭素環を記載するためにも使用することができる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。シクロアルケニル環は、環に二重結合を含む。
【0044】
「アリール」は、炭素環式芳香族構造を意味するために一般的に使用される。最も一般的なアリール基は、フェニル及びナフチルである。フェニルは、一般に最も好ましいアリール基である。
【0045】
「複素環」は、N、S及びOから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む完全又は部分的に飽和している5員〜6員環を意味する。複素環の例には、テトラヒドロフラン、ピペラジン、ピペリジン及びモルホリンが挙げられる。
【0046】
「ヘテロアリール」は、N、S及びOから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を含む5員〜6員芳香族環を意味する。ヘテロアリールの例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル及びピラジニルが挙げられる。
【0047】
「ハロゲン」には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
【0048】
「Me」はメチルを表す。
【0049】
語句「薬学的に許容される」は、正しい医学的判断を使用し、全ての適用される政府規制に従って、ヒト又は動物への投与に安全且つ適切であるこれらの化合物、物質、組成物、塩及び/又は投与形態を意味するために本明細書において用いられる。
【0050】
医薬組成物のような用語「組成物」は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物を包含し、並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、錯化若しくは凝集、又は1つ以上の成分の解離、又は1つ以上の成分の他の種類の反応、若しくは相互作用により、直接的又は間接的にもたらされるあらゆる生成物を包含することを意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて調製されるあらゆる組成物を包含する。
【0051】
置換基「テトラゾール」は、2H−テトラゾール−5−イル置換基及びその互変異性体を意味する。
【0052】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単独の鏡像異性体、個別のジアステレオマー、並びにジアステレオマー及び/又は鏡像異性体の混合物として生じることができる。本発明は、式Iの化合物のそのような異性体形態を全て包含することを意図する。特に、本発明の化合物は、酢酸部分が結合している点でフェニル環に縮合している環において、少なくとも1つの不斉中心を有する。置換基に第2の不斉中心が存在する場合もある。そのような不斉中心は、それぞれ独立して、2つの光学異性体を生じ、混合物中の及び純粋又は部分的に精製された化合物として可能な全ての光学異性体、立体異性体及びジアステレオマー(すなわち、純粋な化合物として又は混合物における不斉中心の全ての可能な組み合わせ)は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0053】
本明細書に記載の幾つかの化合物は、特に指定のない限り、オレフィン性二重結合を含有することができ、それは、EとZの両方の幾何異性体を含むことが意図される。
【0054】
本明細書に記載の幾つかの化合物は、水素の異なる結合点で存在することができ、互変異性体と呼ばれる。例は、ケトン及びそのエノール形態であり、ケト−エノール互変異性体として知られている。個別の互変異性体、並びにその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0055】
1つ以上の不斉中心を有する式Iの化合物は、当該技術分野で周知の方法によって、ジアステレオ異性体、鏡像異性体などに分離することができる。
【0056】
あるいは、鏡像異性体及びキラル中心を持つ他の化合物は、光学的に純粋な出発原料及び/又は既知の構成の試薬を使用して、立体特異的な合成により合成することができる。
【0057】

用語「薬学的に許容される塩」は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが含まれる。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。固体形態の塩は、1つ以上の結晶構造で存在することができ、また、水和物の形態で存在することもできる。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、塩素、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0058】
本発明の化合物が塩基性である場合又はその構造に塩基性置換基を有する場合、塩は、無機及び有機酸を含む薬学的に許容される非毒性の酸から調製することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいものは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸である。
【0059】
本明細書で使用されるとき、式Iの化合物への参照は、薬学的に許容される塩を含むことも意図されることが理解されるであろう。
【0060】
代謝産物−プロドラッグ
代謝産物それ自体が特許請求される発明の範囲内である治療活性代謝産物も、本発明の化合物である。患者に投与されているとき又は患者に投与された後で特許請求される化合物に変換される化合物であるプロドラッグは、本発明の化合物である。特許請求される本明細書の化学構造は、幾つかの場合において、それ自体プロドラッグであってよい。
【0061】
有用性
本発明の化合物は、GPR40レセプターの潜在的アゴニストである。本発明の化合物及びその薬学的に許容される塩は、GPR40リガンド及びアゴニストにより調節される疾患の治療に有効でありうる。これらの疾患の多くが以下にまとめられている。
【0062】
以下の疾患の1つ以上は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を治療の必要な患者に投与することによって治療することができる。また、本発明の化合物は、これらの疾患の1つ以上を治療する薬剤の製造のために使用することができる:
(1)インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病);
(2)高血糖症;
(3)代謝症候群;
(4)肥満;
(5)高コレステロール血症;
(6)高トリグリセリド血症(高濃度のトリグリセリドが豊富なリポタンパク);
(7)混合型又は糖尿病性脂質異常症;
(8)低HDLコレステロール;
(9)高LDLコレステロール;
(10)高アポBリポタンパク血症;及び
(11)アテローム性動脈硬化症。
【0063】
化合物の好ましい使用は、治療有効量を治療の必要な患者に投与することによって以下の疾患の1つ以上を治療することである。化合物は、これらの疾患の1つ以上を治療する薬剤の製造のために使用することができる:
(1)2型糖尿病、特に高血糖症;
(2)代謝症候群;
(3)肥満;及び
(4)高コレステロール血症。
【0064】
化合物は、糖尿病患者、並びに耐糖能障害を有する及び/又は前糖尿病状態にある非糖尿病患者において、グルコース及び脂質を低下するのに有効であることが期待されている。化合物は、多くの場合に糖尿病又は前糖尿病患者において生じる高インスリン血症を、多くの場合にこれらの患者において生じる血漿グルコース濃度の変動を調節することによって、改善することができる。化合物は、インスリン抵抗性の治療又は低減にも有効でありうる。化合物は、妊娠性糖尿病の治療又は予防に有効でありうる。
【0065】
本明細書に記載されている化合物、組成物及び薬剤は、代謝症候群に関連する有害な後遺症の危険性を低減すること、並びにアテローム性動脈硬化症を発症させる危険性を低減すること、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延すること、及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症の危険性を低減することにも有用でありうる。アテローム性動脈硬化症の後遺症には、アンギナ、跛行、心臓発作、卒中などが含まれる。
【0066】
高血糖症を制御下に置くことによって、化合物は、血管再狭窄及び糖尿病性網膜症の遅延又は予防にも有効でありうる。
【0067】
本発明の化合物は、β細胞機能の改善又は回復にも有用でありえ、これにより1型糖尿病の治療又は2型糖尿病患者においてインスリン療法の必要性を遅らせる又はなくすのに有用でありうる。
【0068】
化合物は、一般に、次の疾患:(1)2型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病又はNIDDMとしても知られている)、(2)高血糖症、(3)耐糖能障害、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDL濃度、(12)高LDL濃度、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)腹部肥満、(16)網膜症、(17)代謝症候群、(18)高血圧、及び(19)インスリン抵抗性の1つ以上を治療することに効果的でありうる。
【0069】
本発明の一つの態様は、式Iを有する化合物の治療有効量を、治療の必要な患者に投与することを含む、混合型又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDL濃度、高LDL濃度、高脂血症、及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び制御のための方法を提供する。化合物は、単独で使用することができるか、又は有利にはコレステロール生合成インヒビターと共に、特にロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン又はZD−4522のようなHMG−CoAレダクターゼインヒビターと共に投与することができる。化合物は、コレステロール吸収インヒビター(例えば、スタノールエステル、チクェシドのようなステロールグリコシド、エゼチミブのようなアゼチジノン)、ACATインヒビター(例えば、アバシミベ)、CETPインヒビター(例えば、トルセトラピブ)、ナイアシン及びナイアシンレセプターアゴニスト、胆汁酸吸収抑制剤、ミクロソームトリグリセリド輸送インヒビター及び胆汁酸再取込みインヒビターのような他の脂質低下薬剤と組み合わせて有利に使用することもできる。これらの併用治療は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL及び低HDLからなる群から選択される1つ以上の関連する状態の治療又は制御に有効でありうる。
【0070】
投与及び用量範囲
あらゆる適切な投与経路を用いて、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効用量を提供することができる。例えば、経口、直腸内、局所、非経口、眼、肺、経鼻などを用いることができる。投与形態には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などが含まれる。好ましくは、式Iの化合物は経口投与される。
【0071】
用いられる活性成分の有効投与量は、用いられる特定の化合物、投与様式、治療される状態及び治療される症状の重篤度に応じて変わりうる。そのような投与量は、当業者にとって容易に確認することができる。
【0072】
糖尿病及び/又は、高血糖症若しくは高トリグリセリド血症、又は式Iの化合物が指示される他の疾患を治療又は制御する場合、本発明の化合物が、好ましくは、単回1日用量で、又は1日2〜6回に分けた用量で、又は持続放出の形態で、動物の体重1キログラムあたり約0.1ミリグラムから約100ミリグラムの1日投与量で投与されるとき、一般に満足できる結果が得られる。ほとんどの大型哺乳動物では、1日の総量は、約1.0ミリグラムから約1000ミリグラムである。70kgの成人の場合、1日の総量は、一般に約1ミリグラムから約500ミリグラムである。特定の強力な化合物では、成人への投与量は0.1mgの低さであってよい。投与量レジメンは、最適な治療反応をもたらすために、この範囲内で又はこの範囲を越えて調整することができる。
【0073】
経口投与は、通常、錠剤又はカプセル剤を使用して実施される。錠剤及びカプセル剤の用量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg及び500mgである。他の経口形態も同じ又は同様の投与量を有することができる。
【0074】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、活性成分として式Iの化合物又は薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される担体及び場合により他の治療成分を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を意味する。医薬組成物は、プロドラッグ、又はプロドラッグが投与される場合はその薬学的に許容される塩を含むこともできる。
【0075】
組成物には、経口、直腸内、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、眼球(眼内)、肺(経鼻又は口腔吸入)、又は経鼻投与に適した組成物が含まれるが、ある特定の場合において最も適切な経路は、治療される状態の性質及び重篤度、並びに活性成分の性質によって決まる。これらは、単位投与形態で都合よく存在することができ、薬学の技術で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0076】
実際の使用では、式Iの化合物を活性成分として、従来の医薬配合技術に従って医薬担体とよく混合して組み合わせることができる。担体は、例えば経口又は非経口(静脈内を含む)の投与に望ましい調製形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。経口投与形態の組成物を調製するために、例えば、懸濁剤、エリキシル剤及び液剤のような経口液体調合剤の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコール、風味剤、防腐剤、着色剤などのような;又は、例えば、粉末剤、硬質及び軟質カプセル剤及び錠剤のような経口固体調合剤の場合には、担体、例えば、デンプン、糖、微晶質セルロース、稀釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような通常の医薬媒質のいずれかを用いることができ、固体経口調合剤が液体調合剤よりも好ましい。
【0077】
その投与が容易なため、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態を表し、この場合には、当然のことながら固体医薬担体が用いられる。望ましい場合には、錠剤を、標準的な水性又は非水性技術によって被覆することができる。そのような組成物及び調合剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有するべきである。これらの組成物中の活性化合物の率は、当然のことながら変わりえ、好都合には、単位重量の約2パーセントから約60パーセントであってよい。そのような治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量が得られるものである。活性化合物は、例えば液滴又は噴霧として鼻腔内に投与することもできる。
【0078】
錠剤、丸剤、カプセル剤などは、トラガカントガム、アカシア、トウモロコシデンプン又はゼラチンのような結合剤;リン酸二カルシウムのような賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;及びショ糖、ラクトース又はサッカリンのような甘味剤を含有することもできる。投与単位形態がカプセル剤である場合、上記の種類の材料に加えて、脂肪油のような液体担体を含有することができる。
【0079】
幾つかの場合、投与される化合物又は塩の溶解度に応じて、場合により、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエトキシル化トリグリセリド及び1つ以上の中鎖脂肪酸のモノ及び/又はジグリセリドのような1つ以上のイオン性又は非イオン性界面活性剤も含む、1つ以上の中鎖脂肪酸のトリグリセリドのような油、トリアセチンのような親油性溶媒、親水性溶媒(例えば、プロピレングリコール)又はこれらの2つ以上の混合物中の液剤として、化合物又は塩を配合することが有利でありうる。界面活性剤(特に、2つ以上の界面活性剤)を含有する液剤は、水と接触するとエマルション又はマイクロエマルションを形成する。化合物を、ホットメルト押出及び噴霧乾燥のような方法により非晶相として分散されている水溶性ポリマーに配合することもでき、そのようなポリマーには、HPMCAS、HPMCS及びポリビニルピロリジノンが含まれる。
【0080】
被覆として、又は投与単位の物理的形態を変えるために、多様な他の材料が存在しうる。例えば、錠剤を、セラック、糖、又はその両方で被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてショ糖、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素、及びチェリー又はオレンジ風味のような風味剤を含有することができる。
【0081】
式Iの化合物は、また、非経口的に投与することができる。これらの活性化合物の液剤又は懸濁剤は、ヒドロキシプロピルセルロースのような界面活性剤と水中で適切に混合することによって調製できる。分散剤も、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びこれらの油中混合物の中で調製することができる。通常の保存及び使用条件下では、これらの調合剤は、微生物の成長を防止するために防腐剤を含有する。
【0082】
注入用途に適切な医薬形態には、滅菌水性液剤又は分散剤、及び滅菌注入用液剤又は分散剤の即時調合用の滅菌粉末剤が含まれる。全ての場合において、形態は、滅菌でなければならず、容易な注入可能性が存在する程度に流体でなければならない。製造及び保存の条件下で安定していなければならず、細菌又は真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散体媒質でありうる。
【0083】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患又は状態の治療又は改善に有用でもありうる他の薬剤と組み合わせて、使用することができる。そのような他の薬剤は、それに一般的に使用される経路及び量によって、式Iの化合物と同時に又は連続して投与することができる。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、代謝症候群及びこれらの疾患を伴う共存症を有する患者を治療するには、2つ以上の薬剤が一般的に投与される。本発明の化合物は、一般に、これらの状態のために既に1つ以上の他の薬剤を摂取している患者に投与することができる。
【0084】
式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、そのような他の薬剤及び式Iの化合物を含有する単位投与形態の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物及び1つ以上の他の薬剤が異なる重複スケジュールで投与される療法も含まれる。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれ単独で使用されるときよりも低い用量で使用することができることも考慮される。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含有するものが含まれる。
【0085】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に投与する又は同じ医薬組成物で投与することができる他の活性成分の例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(a)グリタゾンと非グリタゾンの両方を含むPPARガンマアゴニスト及び選択的PPARガンマ部分アゴニスト(SPPARM)(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512及びLY−818、並びに米国特許第6,525,083号、WO2004/020409及びWO2004/020408に記載されているSPPARM);
(b)メトホルミン及びフェンホルミンのようなビグアナイド剤;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター;
(d)シタグリプチン、サクサグリプチン及びビルダグリプチンのようなジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)インヒビター;
(e)インスリン又はインスリン模倣剤;
(f)トルブタミド、グリメピリド、グリピジド及び関連する物質のようなスルホニル尿素;
(g)α−グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する作用物質、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン)、(ii)胆汁酸吸収抑制剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ナイアシンレセプターアゴニスト、ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブル酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)のようなPPARαアゴニスト、(v)例えばエゼチミブのようなコレステロール吸収インヒビター、(vi)アバシミベのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、(vii)トルセトラピブ及びWO2005/100298、WO2006/014413、WO2006/014357に記載の化合物のようなCETPインヒビター、並びに(viii)プロブコールのようなフェノール系酸化防止剤;
(i)ムラグリタザール、テサグリタザール、ファルグリタザール及びJT−501のようなPPARα/γデュアルアゴニスト;
(J)PPARδアゴニスト、例えばWO97/28149で開示されているもの;
(k)フェンフルラミン、デクスフェンフラミン、フェンチラミン、サビトラミン、オーリスタット、ニューロペプチドY5インヒビター、Mc4rアゴニスト、カンナビノイドレセプター1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト及びβアドレナリン作動性レセプターアゴニストのような抗肥満性化合物;
(l)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター;
(m)アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ2選択的インヒビターのような、炎症性条件で使用されることが意図される作用物質;
(n)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)エキセンディン、例えばエクセナチド(バイエッタ)のようなGLP−1類似薬;
(r)グルコキナーゼアクチベーター;
(s)GPR119アゴニスト;
(t)GPR120アゴニスト;及び
(u)ヒドロキシステレロールデヒドロゲナーゼ1(HSD−1)インヒビター。
【0086】
上記の組み合わせには、本発明の化合物と、1つの他の活性化合物ばかりでなく、2つ以上の他の活性化合物との組み合わせも含まれる。非限定例には、式Iを有する化合物と、ビグアナイド剤、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼインヒビター、他のPPARアゴニスト、PTP−1Bインヒビター、DP−IVインヒビター及び抗肥満化合物から選択される2つ以上の活性化合物との組み合わせが挙げられる。
【0087】
生物学的アッセイ
GPR40発現細胞の生成
ヒト及びマウスPGR40安定細胞株は、NFAT BLA(ベータ−ラクタマーゼ)を安定して発現するCHO細胞において生成された。ヒトGPR40安定細胞株は、エクオリン発現レポーターを安定して発現するHEK細胞において生成された。発現プラスミドは、リポフェクタミン(Life Technologies)を製造者の説明書に従って使用し、トランスフェクトした。安定した細胞株は、薬剤選択に従って生成した。
【0088】
FLIPRアッセイ
FLIPR(Fluorimetric Imaging Plate Reader,Molecular Devices)アッセイを、安定したクローンのアゴニスト誘発カルシウム動員を測定するために実施した。FLIPRアッセイでは、アッセイの1日前に、GPR40/CHO NFAT BLA細胞を、黒色壁透明底の384ウエルプレート(Costar)に1.4×10e4の細胞/20μlの培地/ウエルで接種した。細胞を、8μMのfluo−4,AM、0.08%プルロン酸を含有する20μl/ウエルのアッセイ緩衝液(HBSS、0.1%BSA、20mMのヘペス、2.5mMのプロベネシド、pH7.4)と共に室温で100分間インキュベートした。FLIPRを使用して、蛍光出力を測定した。化合物をDMSOに溶解し、アッセイ緩衝液で所望の濃度に希釈した。13.3μl/ウエルの化合物溶液を加えた。
【0089】
EC50活性を、化合物において、ヒトとマウス両方のGPR40細胞株を使用して測定した。本明細書の化合物の活性は、以下である:ヒトFLIPR EC50:0.012−40μM;マウスFLIPR EC50:0.39−40μM。好ましい化合物は、EC50<10μMを有する。
【0090】
イノシトールリン酸代謝回転アッセイ
アッセイは、96ウエルフォーマットで実施する。ヒトGPR40を安定して発現するHEK細胞を、72時間以内に60−80%のコンフルエントになるように平板培養する。72時間後、プレートを吸引し、細胞をイノシトール非含有DMEM(ICN)で洗浄する。洗浄培地を、150uLの3H−イノシトール標識培地(0.4%ヒトアルブミン又は0.4%マウスアルブミン、1×ペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質、グルタミン、25mMのヘペスを含有するイノシトール非含有培地に、充填培地で1:150に希釈して最終比放射能を1uCi/150uLにした3H−ミオ−イノシトールNEN #NET114Aの1mCi/mL、25Ci/mmoを加えた)に代える。あるいは、ヒト及びマウスアルブミンを、LiClの添加の前に、一晩標識化する工程の後で、加えることができる。
【0091】
このアッセイは、典型的には18時間の標識化の後、翌日に実施される。アッセイの当日、5uLの300mM LiClを全てのウエルに加え、37度で20分間インキュベートする。0.75uLの200×化合物を加え、細胞と共に37度で60分間インキュベートする。次に培地を吸引し、アッセイを、60uLの10mMギ酸の添加によって停止させる。細胞を室温で60分間溶解する。15−30uLの溶解物を70uL/1mgのYSi SPAビーズ(Amersham)と透明底Isoplate中で混合する。プレートを室温で2時間振とうする。ビーズを沈降させ、プレートをWallac Microbetaでカウントする。
【0092】
インビボ試験
雄C57BL/6Nマウス(7−12週齢)を、1ケージあたり10匹収容し、通常の食餌の齧歯類用固形飼料及び水を自由にとらせる。マウスを処置群に無作為に割り当て、4−6時間絶食させる。ベースライン血中グルコース濃度を、尾の切り傷からの血液でグルコメーターにより決定する。次に動物を、ビヒクル(0.25%メチルセルロース)又は試験化合物により経口処置する。血中グルコース濃度を、処置後(t=0分)の設定時点で測定し、次にマウスにはデキストロース(2g/kg)で腹腔内投与する。ビヒクル処置のマウス一群には、陰性対照として食塩水を投与する。血中グルコース濃度を、デキストロース投与の20、40、60分後に取った尾の血液により決定する。t=0−t=60分の血中グルコース変動曲線を使用して、各処置において曲線下面積(AUC)を積分する。各処置における阻害率値を、食塩水投与対照に対して正規化したAUCデータから生成する。
【0093】
実施例
以下の実施例は本発明を説明するために提供され、本発明をいかなる方法によっても制限するものとして解釈されるべきではない。本発明の範囲は添付の請求項によって定義される。
【0094】
本発明の化合物を調製する方法が、以下の実施例において説明される。例示された化合物を調製するのに使用された幾つかの中間体の合成も提供される。出発原料は、市販されているか又は文献における既知の手順により若しくは説明されているようにして調製される。本発明には、更に、上記に定義された式Iの化合物の調製方法が含まれる。幾つかの実施例は、詳細な合成情報なしに分析情報を提供する場合がある。これらの実施例は、本明細書に開示されている情報に基づき有機合成分野の当業者によって容易に実施することができる。
【0095】
中間体1
【0096】
【化4】

【0097】
50mLのジクロロメタン中の、公開された手順(WO2004/011446)に従って調製した〔(1S)−5−メトキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル〕酢酸エチル(2.34g、10mmol)の冷却した(−78℃)溶液に、ジクロロメタン中の三臭化ホウ素(1.0M、35mL、35mmol)の溶液を加えた。次に反応物を30分間室温に温め、次に氷水で急冷した。生成物を酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。残渣を高真空下で乾燥して、所望の化合物を得、それを更に精製することなく次の工程に使用した。LC−MS:C13H16O3の計算値:220;実測値:221(M+H)。
【0098】
中間体2
【0099】
【化5】

【0100】
工程A:
【0101】
【化6】

【0102】
1500mLのアセトン中のラセミ体〔6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル〕酢酸(69.4g、公開された手順(WO2004/011446)に従って調製)の撹拌した溶液に、38.7mLの(S)−アルファ−メチルベンジルアミンを一度に加えた。混合物を室温で30分間撹拌し、次に1500mLのヘキサンを加えた。混合物を1時間撹拌した。得られた固体を濾去し、ヘキサン/アセトン(4:1v/v)で洗浄し、次に風乾して、固体の第1のバッチを得た。合わせた母液を0−5℃で一晩保存した。得られた固体を濾過により収集して、固体の第2のバッチを得た。塩の2つのバッチを合わせ、次に温アセトン(500mL)に溶解した。750mLのヘキサンを加え、混合物を室温で1時間撹拌した。得られた固体を濾過により収集し、ヘキサン/アセトン(4:1)で洗浄し、風乾して、オフホワイトの結晶の(R,S)−塩を得た。
【0103】
工程B
【0104】
【化7】

【0105】
上記工程Aの全ての母液を合わせ、濃縮して、明褐色の固体を得た。3N HCl水溶液を加えて、pHを<3に調整した。混合物を酢酸エチル(500mL)で撹拌し、層を分離した。有機層を3N HCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、明褐色の固体(32g、145mmol、S体が豊富な酸)を得た。この固体を500mLのアセトンに溶解し、(R)−(+)−アルファ−メチルベンジルアミン(16.6mL、145mmol)を加え、混合物を全ての固体が溶解するまで還流し、次に室温に冷却した。得られた沈殿物を濾過により収集し、アセトンで洗浄して、白色の固体の塩(S,R)を得た。酸の(S)絶対配置は、上記の塩をN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC)で処理することにより形成したアミドのX線結晶学によって確認した。
【0106】
工程C:
【0107】
【化8】

【0108】
上記工程Bの(S,R)塩(23.2g)を、200mLの3N HCl及び200mLの酢酸エチルで1時間撹拌した。有機層を分離し、3N HCl水溶液(2×100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させて、所望の(S)−酸を明褐色の固体として得た。
【0109】
工程D:
【0110】
【化9】

【0111】
上記工程Dの(S)−酸(14g)を150mLのエタノールに溶解し、19mLの塩化トリメチルシリルを加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、次に蒸発させ、酢酸エチル(100mL)と混合した。有機層を水及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、所望の(S)−エステルを無色の油状物として得た。1HNMR(400MHz,CDCl)δ7.04(d,J=7.7Hz,1H),6.67(m,1H),6.60(m,1H),4.14(m,2H),3.74(bs,3H),3.26(m,1H),2.80−2.40(m,4H),1.90−1.60(m,4H),1.24(m,3H)。
【0112】
工程E:
【0113】
【化10】

【0114】
25mLのジクロロメタン中の上記工程Dの生成物(1.22g、4.92mmol)の撹拌した冷(−78℃)溶液に、ジクロロメタン中の三臭化ホウ素(1.0M、20mL、20mmol)の溶液を加えた。反応物を2時間かけて0℃に温め、0℃で40分間放置してから、EtOAc(100mL)と水(100mL)に分配した。水層をEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせたEtOAc層を、水(100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、油状物にした。この物質をEtOH(10mL)に溶解し、4N NCl/ジオキサン(4mL)を加えた。溶液を一晩還流し、次に真空下で濃縮した。残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、NaHCO(50mL)、水(50mL)及びブライン(50mL)で連続的に洗浄した。有機層を分離し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗物質をそのまま使用した。Rf=0.85(50%のEtOAc/ヘキサン)。
【0115】
中間体3
【0116】
【化11】

【0117】
工程A
【0118】
【化12】

【0119】
DMF(600mL)中の6−ヒドロキシル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−オン(30g、200mmol)に、KCO(220mmol、30.4g)、続いて臭化ベンジル(BnBr)(200mmol、24mL)を加えた。室温で3時間撹拌した後、反応混合物をメチルt−ブチルエーテル(MTBE、500mL)と水(1L)に分配した。水層を分離し、MTBE(2×500mL)で更に抽出した。有機層を合わせ、水(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の化合物を得た。C15H13O3〔M+H〕で計算したLC−MS:241;実測値:241。
【0120】
工程B
【0121】
【化13】

【0122】
無水THF(900mL)中のNaH(鉱油中60%、381mmol、15.2g)の懸濁液に、ホスホノ酢酸トリエチル(381mmol、76mL)を、氷浴にて滴下した。添加後、反応物を、明澄な溶液が得られるまで室温で20分間撹拌した。次に、THF(100mL)中の工程Aのケトン(45.7g、190mmol)の溶液を反応物に加えた。反応物を室温で一晩撹拌し、次に0.1N HCl(1L)で停止させた。水層を分離し、EtOAc(2×500mL)で抽出した。有機層を合わせ、水(500mL)、次にブライン(500mL)で洗浄し、次に無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10%−30%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、所望の化合物を得た。C19H19O4〔M+H〕で計算したLC−MS:311.1;実測値:311.3。
【0123】
工程C
【0124】
【化14】

【0125】
エタノール(75mL)及びEtOAc(75mL)中の工程Bの不飽和エステル(6.6g、21.3mmol)の溶液に、10%Pd/C(2g)を加えた。混合物を、Parr振とう機により50psiで2時間水素化した。次に混合物をセライトで濾過した。濾液を真空下で濃縮して、所望の化合物を得た。C12H15O4〔M+H〕で計算したLC−MS:223;実測値:223。
【0126】
中間体4
【0127】
【化15】

【0128】
工程A
【0129】
【化16】

【0130】
乾燥した三頚の2L丸底に、新たに共沸した7−(ベンジルオキシ)クロマン−4−オン(287g、1.13mol、J.Med.Chem.1998,41,1172−1184に従って合成)及び2Lの無水THF(抑制剤なし)を加えた。次に亜鉛(124.9g、1.92mol)及びCuI(10.7g、56.5mmol)を反応溶液に急速に加えた。N雰囲気下で30分間還流した後、81mLのブロモ酢酸エチル(必要とする総量の1/2、F.W.167.01、d 1.506、0.7mol)を還流混合物に滴加した。次に加熱を止めて、反応物を周囲温度で4−5時間撹拌した。次に別の81mlのブロモ酢酸エチル(F.W.167.01、d 1.506、0.7mol)を滴加し、反応物を、反応温度が周囲温度に戻るまで加熱することなく撹拌した。固体を、セライトを通して真空濾過により除去し、濾液をロータリー蒸発により約800mLに濃縮した。次にこれを、1000gの氷を有する1Lの1N HCl(水溶液)に注ぎ、混合物を30分間激しく撹拌した。混合物をEtOAc(1×2L、2×1L)で抽出した。合わせた有機層を、HO(1×3L)、ブライン(1×2L)で洗浄し、NaSOで乾燥し、真空下で濃縮した。粗化合物を更に精製することなく使用した。
【0131】
工程B
【0132】
【化17】

【0133】
THF/MeOH/HO(2:2:1、2.5L)中の工程Aの粗生成物(約356g、1.1mol)の溶液に、LiOH一水和物(92.4g、M.W.41.96、2.2mol)を加えた。反応物を周囲温度で一晩撹拌した。有機溶媒を真空下で除去し、残渣を水で3Lの容量に希釈した。この水溶液をジエチルエーテル(2×500mL)で洗浄し、次に水層を10N HCl(水溶液)でpH=1に酸性化した。固体を真空濾過により単離し、EtOAcで洗浄し、真空下で乾燥した。濾液をEtOAc(2×500mL)で抽出した。合わせた有機物をブライン(400mL)で洗浄し、真空下で濃縮した。全ての固体を合わせ、最小量のEtOAcで粉砕し、高真空下で乾燥して、2つの異性体の混合物を得た。
【0134】
工程C
【0135】
【化18】

【0136】
無水メタノール(800mL)中の工程Bの生成物(20g、67.6mmol)の溶液を、Nで1時間泡立たせることにより脱気した。(R)−BINAP RuCl(1.11g、F.W.794.65、1.4mmol)及び950μLの新たに脱気したトリエチルアミン(F.W.101.19、d 0.72、6.76mmol)を、N雰囲気下で急速に加えた。混合物をH下(50psi)で4日間水素化した。次に混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(70%ee)を得、出発原料を回収した。生成物を最小量のEtOAc(約20mL)及び石油エーテル(約20mL)に溶解し、再結晶させて、キラル酸(約95%ee)を得た。
【0137】
工程D
【0138】
【化19】

【0139】
100mLの6N HCl/EtOH中の工程Cのキラル酸(6.5g、21.8mmol)の溶液を室温で5時間撹拌した。次に反応物を真空下で濃縮して、所望のキラルエステルを得た。1HNMR(400MHz,CDCl3)δ7.5−7.25(m,5H),7.0(d,J=10Hz,1H),6.55(m,1H),6.44(s,1H),5.01(s,2H),4.20−4.12(m,4H),3.34−3.28(m,1H),2.78−2.73(m,1H),2.51−2.45(m,1H),2.18−2.10(m,1H),1.85−1.78(m,1H),1.30−1.24(m,3H)。
【0140】
工程E
【0141】
【化20】

【0142】
エタノール(10mL)中の工程Dで得られた化合物(450mg)に、10%Pd/C(500mg)を加えた。混合物をH(1気圧)で1時間水素化し、次にセライトパッドで濾過した。濾液を真空下で濃縮して、所望の生成物を得た。C13H16O4のLCMS:計算値236.1、実測値237.4〔M+H〕。
【0143】
中間体5
【0144】
【化21】

【0145】
工程A
【0146】
【化22】

【0147】
DMF(40mL)中の3−メトキシベンゼンチオール(5.6g、40mmol)の冷却(0℃)溶液に、NaH(1.76g、鉱油中60%、44mmol)を加え、混合物を30分間かけて室温に温めた。4−クロロアセト酢酸エチル(6.58g、40mmol)を室温で滴下し、反応混合物を室温で17時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の化合物を得、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0148】
工程B
【0149】
【化23】

【0150】
無水トルエン(300mL)中のセライト(18g)、五酸化リン(3.6g)及びポリリン酸(35g)の混合物を、120℃で30分間撹拌した。この混合物に、トルエン(5mL)中の工程Aで得られた物質を加え、混合物を120℃で70分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(5−25%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C13H14O3SのLCMS:計算値250、実測値251〔M+H〕。
【0151】
工程C
【0152】
【化24】

【0153】
工程Bで得られた(6−メトキシ−1−ベンゾチエン−3−イル)酢酸エチル(4.95g、19.8mmol)を、トリエチルシラン(9.5mL)及びトリフルオロ酢酸(23mL)と一緒に75℃で4時間加熱し、一晩続けた。全ての揮発物を除去し、残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(5−25%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C13H16O3SのLCMS:計算値252、実測値207〔M−OEt〕。
【0154】
工程D
【0155】
【化25】

【0156】
所望の化合物は、工程Cで得られた物質を使用し、中間体1と同様の手順に従って得た。C12H14O3SのLCMS:計算値238、実測値193〔M−OEt〕。
【0157】
中間体5a
【0158】
【化26】

【0159】
工程A
【0160】
【化27】

【0161】
EtOH(120mL)中の中間体5の工程Cで得られた化合物(4.76g、18.87mmol)の溶液に、NaOH溶液(22.6mL、2.5N、56.6mmol)を加え、混合物を室温で22時間撹拌した。反応混合物を2N HClで酸性化し、酢酸エチル(2×)で抽出し、合わせた抽出物をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の化合物を得た。C11H12O3SのLCMS:計算値224、実測値225〔M+H〕。
【0162】
工程B
【0163】
【化28】

【0164】
THF(120mL)中の工程Aで得られた物質(3.99g、17.79mmol)の溶液に、EtN(7.5mL、53.37mmol)及びtert−ブチルアセチルクロリド(2.79g、23.13mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。LiCl(1.13g、26.69mmol)を混合物に加え、続いて(S)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(4.73g、26.69mmol)を加え、混合物を室温で3日間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(5−10%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C21H21NO4SのLCMS:計算値383、実測値384〔M+H〕。
【0165】
工程C
【0166】
【化29】

【0167】
THF/水(36mL、3/1)中の工程Bで得られた低Rf異性体(1.5g、3.91mmol)の冷却した(0℃)溶液に、LiOH(3.91mL、2N、7.82mmol)を加え、続いてH(0.56mL、30%、5.87mmol)を滴下した。混合物を0℃で更に70分間撹拌した。水(20mL)中のNa(1.85g)を加え、混合物を15分間撹拌してから、酢酸エチルで希釈した。水層をHCl(2N)でpH約2に酸性化し、酢酸エチル(2×)で抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をEtOH(10mL)に溶解した。ジオキサン中のHCl(0.5mL、4N)の溶液をこの溶液に加え、混合物を85℃で3時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(10−40%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C13H16O3SのLCMS:計算値252、実測値207〔M−OEt〕。
【0168】
工程D
【0169】
【化30】

【0170】
中間体5aは、上記の工程Cで得られた物質から、中間体5を調製する工程Dにおいて使用されたものと同様の手順を使用して調製した。C12H14O3SのLCMS:計算値238、実測値193〔M−OEt〕。
【0171】
中間体5b
【0172】
【化31】

【0173】
所望の化合物は、中間体5aの工程Bで得られた高Rf物質を使用し、中間体5aと同様の手順に従って得た。C12H14O3SのLCMS:計算値238、実測値193〔M−OEt〕。
【0174】
実施例1
【0175】
【化32】

【0176】
工程A
【0177】
【化33】

【0178】
中間体5(350mg、1.47mmol)を、10mLのN,N−ジメチルホルムアミド中の3−クロロ−4−フルオロベンゾトリフルオリド(349mg、01.76mmol)及びCsCO(1.20g、3.68mmol)と合わせた。反応混合物を110℃で2時間撹拌し、次に溶媒を除去し、水及び酢酸エチルを加えた。水層を2N HCl水溶液でpH約2に酸性化した。酢酸エチル層を分離し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(5−20%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C19H16ClF3O3SのLCMS:計算値416、実測値417〔M+H〕。
【0179】
工程B
【0180】
【化34】

【0181】
工程Aで得られた物質を、中間体5aを調製する工程Aにおいて記載されたものと同様の手順に従って加水分解し、所望の酸にした。C17H12ClF3O3SのLCMS:計算値388、実測値387〔M−H〕。
【0182】
実施例2
【0183】
【化35】

【0184】
工程A
【0185】
【化36】

【0186】
2−メチル−4−トリフルオロメトキシアニリン(1.0g、5.23mmol)、15%硫酸(10mL)及びエタノール(2mL)の混合物を0℃で撹拌した。亜硝酸ナトリウム(397mg、5.75mmol)をこの反応混合物に0℃で加え、混合物を同じ温度で5時間撹拌した。次にヨウ化ナトリウム(1.02g、6.80mmol)を0℃で加えた。混合物を室温に温め、室温で16時間撹拌した。次に反応混合物を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(0−2%)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって、所望の生成物を得た。
【0187】
工程B
【0188】
【化37】

【0189】
中間体1(25mg、0.11mmol)を、1.2mLの無水N,N−ジメチルホルムアミド/ジオキサン(3/1)中の1−ヨード−2−メチル−4−トリフルオロメトキシベンゼン(51mg、0.17mmol)、ヨウ化銅(I)(5.3mg、0.028mmol)、N,N−ジメチルグリシン塩酸塩(11.9mg、0.085mmol)及びCsCO(111mg、0.34mmol)と合わせた。反応管を密封し、脱気し、窒素を2回充填し戻して、混合物を110℃で24時間撹拌した。溶媒を除去し、水及び酢酸エチルを加えた。水層を2N HCl水溶液でpH約2に酸性化した。酢酸エチル層を分離し、水層を酢酸エチル(2×)で抽出した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(25%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C21H21F3O4のLCMS:計算値394、実測値395〔M+H〕。
【0190】
工程C
【0191】
【化38】

【0192】
工程Bで得られた物質を、実施例1の調製の工程Bにおいて記載されたものと同様の手順に従って加水分解して、所望の酸にした。C19H17F3O4のLCMS:計算値366、実測値365〔M−H〕。
【0193】
以下の実施例は、対応するハロゲン化フェノール及びアリール前駆体から、実施例1及び実施例2の調製に使用されたものと同様の手順に従って調製した。これらの実施例を表1に示す。
【0194】
【表1−1】

【0195】
【表1−2】

【0196】
【表1−3】

【0197】
【表1−4】

【0198】
【表1−5】

【0199】
【表1−6】

【0200】
実施例49
【0201】
【化39】

【0202】
工程A
【0203】
【化40】

【0204】
ジクロロメタン(2mL)中の実施例1の工程Aで得られた物質(51mg、0.12mmol)の溶液に、メタ−クロロ過安息香酸(82mg、0.366mmol)を加えた。混合物を室温で5日間撹拌した。次に混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO水溶液及び水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤としてジクロロメタン/メタノール(30/1)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C19H16ClF3O5SのLCMS:計算値448、実測値449〔M+H〕。
【0205】
工程B
【0206】
【化41】

【0207】
工程Aで得られた物質を、実施例1の調製の工程Bにおいて記載されたものと同様の手順に従って加水分解し、所望の酸にした。C17H12ClF3O5SのLCMS:計算値420、実測値421〔M+H〕。
【0208】
実施例50
【0209】
【化42】

【0210】
実施例20(46mg、0.139mmol)をEtOHに溶解し、続いてNaOMe(11.3mg、0.209mmol)を加えた。次にアセトフェノン(16.7mg、0.139mmol)を滴下し、反応物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を1N HClで酸性化し、次に有機溶媒を真空下で除去した。水層を酢酸エチル(2×)で抽出し、合わせた抽出物を無水NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤として酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C26H21ClO4のLCMS:計算値432、実測値431〔M−H〕。
【0211】
実施例51
【0212】
【化43】

【0213】
化合物は、実施例21及びベンズアルデヒドから、実施例50に記載されたものと同様の手順に従って調製した。C27H24O4のLCMS:計算値412、実測値411〔M−H〕。
【0214】
実施例52
【0215】
【化44】

【0216】
実施例31(20mg、0.05mmol)をMeOH(1mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却した。NaBH(5.8mg、0.15mmol)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温にゆっくりと温め、更に2時間撹拌した。反応を、HOの添加により停止させ、続いてMeOHを真空下で除去した。水層を1N HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の化合物を得た。C20H19F3O5のLCMS:計算値396、実測値395〔M−H〕。
【0217】
実施例53
【0218】
【化45】

【0219】
化合物は、実施例33から、実施例52に記載されたものと同様の手順に従って得た。C20H19F3O4のLCMS:計算値380、実測値379〔M−H〕。
【0220】
実施例54
【0221】
【化46】

【0222】
実施例52(13mg、0.03mmol)を、蓋をした管の中で、TFA(0.2mL)及びトリエチルシラン(0.1mL)と混合し、反応混合物をマイクロ波反応器により75℃で1時間加熱した。揮発物を除去し、残渣を、溶出剤としてメタノール/ジクロロメタン(10%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C20H19F3O4のLCMS:計算値380、実測値379〔M−H〕。
【0223】
実施例54A
【0224】
【化47】

【0225】
実施例32(23mg、0.06mmol)を、トリフルオロメチルトリメチルシラン(0.18mL、0.5M、0.09mmol)の溶液と混合し、混合物を0℃に冷却した。テトラブチルアンモニウムフルオリド(0.18mL、THF中1.0M、0.18mmol)の溶液をこの混合物に徐々に加えた。温度を室温に戻し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。過剰量の1N HClを加え、混合物を更に1時間撹拌した。揮発物を真空下で除去し、残渣をEtOAcで抽出した。有機抽出物を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣を、溶出剤としてジクロロメタン/メタノール(10/1)を使用する分取シリカゲル薄層クロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C20H16F6O5のLCMS:計算値450、実測値449〔M−H〕。
【0226】
実施例54B
【0227】
【化48】

【0228】
工程A
【0229】
【化49】

【0230】
封管の中に、4−フルオロ−3−アセチルベンゾトリフルオリド(500mg、2.43mmol)、フッ素化剤のDeoxofluor(1mL)及び一滴のHF−ピリジンを入れた。室温で16時間撹拌した後、NaHCO水溶液を加え、混合物をジクロロメタン(2×)で希釈した。合わせた抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗物質を更に精製することなく次の工程に使用した。
【0231】
工程B
【0232】
【化50】

【0233】
化合物は、中間体1及び工程Aで調製したハロゲン化アリールから、実施例1の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C20H17F5O3のLCMS:計算値400、実測値399〔M−H〕。
【0234】
実施例55
【0235】
【化51】

【0236】
工程A
【0237】
【化52】

【0238】
ジクロロメタン(20mL)中の中間体1(1.9g、8.5mmol)の撹拌した溶液に、3−ヨードフェニルボロン酸(3.0g、12.1mmol)、酢酸銅(II)(2.0g、11mmol)、ピリジン(3.2mL、40mmol)及び4Aモレキュラーシーブ(約2.5g)を加えた。得られた混合物を酸素バルーン下、室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過し、ジクロロメタンで洗浄し、濃縮した。緑色を帯びた粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(20−50%)で溶出するシリカゲルカラムにより精製して、所望の生成物を得た。C19H19IO3のLCMS:計算値422、実測値423〔M+H〕。
【0239】
工程B
【0240】
【化53】

【0241】
テトラヒドロフラン(2mL)中の上記のエチルエステル(45mg、0.1mmol)の撹拌した溶液に、2N LiOH(0.5mL、1.0mmol)、続いて数滴のメタノールを加えた。加水分解が完了した後(約3時間、TLC)、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液で停止させ、粗生成物を、シリカゲル分取TLC(ジクロロメタン中10%のメタノール+0.5%酢酸)により精製して、所望の生成物を得た。C17H15IO3のLCMS:計算値394、実測値395〔M+H〕。
【0242】
実施例56
【0243】
【化54】

【0244】
テトラヒドロフラン(2mL)中の実施例55(45mg、0.1mmol)の撹拌した溶液に、m−トリルボロン酸(15mg、0.1mmol)を加え、続いてdppf(ジフェニルホスフィノフェロセン、10mg、0.01mmol)及びLiOH(0.5mL、2N、1.0mmol)水溶液を加えた。反応管を窒素でフラッシュし、密封し、40℃で一晩撹拌した。室温に冷却した後、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液で停止させた。有機層をシリカゲル分取TLCプレート(1mm)に直接装填し、約0.5%酢酸を有するジクロロメタン中の10%メタノールに展開させて、所望の生成物を得た。C24H22O3のLCMS:計算値358、実測値359〔M+H〕。
【0245】
実施例57
【0246】
【化55】

【0247】
化合物は、実施例55から、実施例56の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C23H19FO3のLCMS:計算値362、実測値361〔M−H〕。
【0248】
実施例58
【0249】
【化56】

【0250】
工程A
【0251】
【化57】

【0252】
クロロジフルオロ酢酸ナトリウム(1.091g、6.94mmol)及び炭酸セシウム(1.357g、4.16mmol)を、10容量%の水(0.55mL)を含有する2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェノールのN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液に加え、反応混合物を100℃で3時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水(3×)、ブライン(1×)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、所望の生成物(650mg)を得、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0253】
工程B
【0254】
【化58】

【0255】
化合物は、中間体1から、中間体5aの工程Aに記載されたものと同様の手順に従って調製した。C11H12O3のLCMS:計算値192、実測値191〔M−H〕。
【0256】
工程C
【0257】
【化59】

【0258】
工程Aで得られた3−ジフルオロメトキシ−4−フルオロベンゾトリフルオリド(360mg、1.56mmol)及び炭酸セシウム(1.02g、3.12mmol)を、封管の中で、工程Bで得られたフェノール(200mg、1.04mmol)と混合した。次に無水DMF(5mL)を加え、反応混合物を脱気し、窒素(2×)でフラッシュし、次に120℃で3時間加熱した。次に溶媒を除去し、反応混合物を2N HClで酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、それを、溶出剤としてメタノール/ジクロロメタン(6%)を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を得た。C19H15F5OのLCMS:計算値402、実測値401〔M−H〕。
【0259】
実施例59
【0260】
【化60】

【0261】
化合物は、対応する物質から、実施例58の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C20H17F5O4のLCMS:計算値416、実測値415〔M−H〕。
【0262】
実施例60
【0263】
【化61】

【0264】
化合物は、対応する物質から、実施例58の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C19H15F5O5のLCMS:計算値418、実測値417〔M−H〕。
【0265】
実施例61
【0266】
【化62】

【0267】
工程A
【0268】
【化63】

【0269】
DMF(2mL)中の2−フルオロ−5−トリフルオロメチルフェノール(100mg、0.55mmol)の溶液に、2−ブロモ−1,1−ジフルオロエタン(121mg、1.11mmol)及び炭酸セシウム(543mg、1.67mmol)を加えた。反応混合物を70℃で一晩加熱してから、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗生成物を得、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0270】
工程B
【0271】
【化64】

【0272】
化合物は、工程Aで得られた物質及び実施例58の工程Bで得られた対応するフェノールから、実施例58の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C20H17F5O4のLCMS:計算値416、実測値415〔M−H〕。
【0273】
実施例62
【0274】
【化65】

【0275】
化合物は、対応する物質から、実施例61の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C25H21F3O4のLCMS:計算値442、実測値441〔M−H〕。
【0276】
実施例63
【0277】
【化66】

【0278】
化合物は、対応する物質から、実施例61の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C22H23F3OのLCMS:計算値408、実測値407〔M−H〕。
【0279】
実施例64
【0280】
【化67】

【0281】
化合物は、対応する物質から、実施例61の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C21H21F3O4のLCMS:計算値394、実測値393〔M−H〕。
【0282】
実施例65
【0283】
【化68】

【0284】
工程A
【0285】
【化69】

【0286】
1−ブロモ−4−フルオロナフタレン(1.3g、5.78mmol)、CuI(275mg、1.44mmol)、ラセミ体−トランス−N,N′−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(424mg、2.89mmol)及びNaI(2.16g、14.4mmol)を封管に入れ、脱気し、次にジオキサン(10mL)を加えた。反応混合物を再び脱気し、窒素でフラッシュし、110℃で24時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、酢酸エチルで希釈し、固体を濾取した。濾液を濃縮して、粗生成物を得、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤として10%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、所望の化合物を得た。
【0287】
工程B
【0288】
【化70】

【0289】
工程Aで得られた1−ヨード−4−フルオロナフタレン(2.89g、10.640mmol)、CuI(5.07g、26.5mmol)、(フルオロスルホニル)ジフルオロ酢酸メチル(13.5mL、106.4mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(18.5mL、106.4mmol)を封管に入れ、脱気し、次にDMF(10mL)を加えた。次に反応混合物を脱気し、窒素でフラッシュし、75℃で12時間加熱した。次に反応混合物を水で洗浄し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を水及び重炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、それをカラムクロマトグラフィー(溶出剤として10%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、所望の化合物を得た。
【0290】
工程C
【0291】
【化71】

【0292】
化合物は、工程Bで得られた物質及び実施例58の工程Bで得られた対応するフェノールから、実施例58の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C22H17F3O3のLCMS:計算値386、実測値385〔M−H〕。
【0293】
実施例66
【0294】
【化72】

【0295】
化合物は、対応する物質から、実施例65の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C22H17F3O4のLCMS:計算値402、実測値403〔M−H〕。
【0296】
実施例67
【0297】
【化73】

【0298】
工程A
【0299】
【化74】

【0300】
ホスホノ酢酸トリエチル(0.85mL、4.26mmol)を、無水THF(10mL)中の水素化ナトリウム(148mg、3.69mmol)の溶液に0℃で滴下した。混合物を0℃で15分間撹拌し、この混合物に2−メチル−5−メトキシインダノン(500mg、2.84mmol)を加えた。反応混合物を室温に徐々に温め、窒素下、室温で一晩撹拌した。次に反応混合物を70℃で30時間環流した。次にそれをNHCl水溶液で停止させ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤として0−10%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。C15H18O3のLCMS:計算値246、実測値247〔M+H〕。
【0301】
工程B
【0302】
【化75】

【0303】
工程Aで得られた物質(310mg、1.26mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、パラジウム炭素(300mg、10重量%)を溶液に加えた。溶液を水素(バルーン)下で2時間撹拌した。触媒を濾取し、濾液を濃縮して、生成物を得た。C15H20O3のLCMS:計算値248、実測値249〔M+H〕。
【0304】
工程C
【0305】
【化76】

【0306】
工程Bで得られた物質(266mg、1.07mmol)を無水ジクロロメタン(DCM)(5mL)に溶解し、0℃に冷却した。次にBBr溶液(DCM中1M、2.14mL、2.14mmol)を加え、反応混合物を0℃から室温に温め、室温で3時間撹拌した。反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して、粗酸を得、それを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0307】
工程D
【0308】
【化77】

【0309】
化合物は、工程Cで得られた物質から、実施例58の調製において使用したものと同様の手順に従って調製した。C20H17F5O4のLCMS:計算値416、実測値415〔M−H〕。
【0310】
実施例68
【0311】
【化78】

【0312】
工程A
【0313】
【化79】

【0314】
実施例58(219mg、0.54mmol)を無水メタノール(5mL)に溶解し、次にジオキサン中の4.0M HClの触媒量を加え、反応混合物を、蓋をした管の中で1時間加熱した。粗メチルエステルを、溶媒を除去することによって得、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出剤として20%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。C20H17F5OのLCMS:計算値416、実測値417〔M+H〕。
【0315】
工程B
【0316】
【化80】

【0317】
工程Aで得られた物質(65mg、0.16mmol)をトルエンで共沸し、無水THF(2mL)に溶解し、−78℃に冷却した。次にナトリウムビス−トリメチルシリルアミド(0.2mL、0.188mmol)を加え、反応混合物を−78℃で5分間撹拌し、0℃に温め、ヨウ化メチル(14.6μL、0.234mmol)を加えた。反応混合物を室温にゆっくりと温め、室温で1時間撹拌した。反応混合物をNHCl水溶液の添加により停止させ、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、組成生物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィー(溶出剤として10%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製した。得られた物質の1HNMRは、2つの異性体の混合物(約1:5)を示した。C21H19F5OのLCMS:計算値430、実測値431〔M+H〕。
【0318】
工程C
【0319】
【化81】

【0320】
工程Bで得られた物質(12mg、0.0279mmol)をエタノール(1mL)に溶解し、5N NaOH溶液(0.03mL、0.14mmol)を加えた。次に反応混合物を、蓋をした管の中、80℃で2時間加熱した。反応混合物を、2N HClを使用して酸性化し、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、粗生成物を得、次にそれをシリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン中6%のメタノール)により精製して、所望の化合物を2つの異性体の混合物(1HNMRにより約1:5)として得た。C20H17F5OのLCMS:計算値416、実測値415〔M−H〕。
【0321】
実施例69
【0322】
【化82】

【0323】
工程A
【0324】
【化83】

【0325】
物質は、対応する物質から、実施例1の工程Aに記載されたものと同様の手順に従って得た。C21H20ClF3O3のLCMS:計算値412、実測値413〔M+H〕。
【0326】
工程B
【0327】
【化84】

【0328】
無水THF(30mL)中の工程Aで得られた物質(1.9g、5.85mmol)に、ナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)(6.43mL、1M溶液、6.4mmol)を−78℃で加えた。30分後、トリメチルクロロシラン(TMSCl)(6.4mL、THF中1M溶液、6.43mmol)を加えた。反応物を一晩かけてゆっくりと室温に温めた。次にTHFを真空下で除去し、残渣をヘキサンに懸濁した。ヘキサン懸濁液を濾過した。この濾液を、ヘキサン(30mL)中のメタ−クロロ過安息香酸(mCPBA)(1.31g、最大77%、5.85mmol)の懸濁液にゆっくりと加えた。添加後、混合物を室温で更に1時間撹拌してから、CHCl(50mL)を加えた。次に、この明澄な溶液に、テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(1M THF溶液、15mL)を加えた。1時間後、反応物を濃縮し、シリカゲルカラム(20%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、所望の生成物を明黄色の油状物として得た。C21H20ClF3O4のLC−MS:計算値428、実測値451〔M+Na〕。
【0329】
工程C
【0330】
【化85】

【0331】
THF(3mL)、MeOH(2mL)及び水(0.5mL)中の工程Bで得られた生成物(20mg)に、LiOH一水和物(5mg)を加えた。反応物を、室温で2時間撹拌してから、AcOH(0.2mL)で停止させた。混合物を濃縮し、残渣を逆相HPLC(YMC−Pack Pro C18 5ミクロン、0.1%のTFAを有する20%−80%のCHCN/HO)により精製して、所望の生成物を得た。C19H16ClF3O4のLC−MS:計算値400、実測値401〔M+H〕。
【0332】
実施例70
【0333】
【化86】

【0334】
工程A
【0335】
【化87】

【0336】
THF(2mL)中の実施例69の工程Bの生成物(176mg、0.411mmol)に、NaHMDS(1M THF溶液、0.411mL)を−20℃で加え、続いてt−ブチルブロモアセテート(0.616mmol、0.091mL)を加えた。反応物を−20℃で更に20分間撹拌してから、飽和NHCl水溶液(20mL)で停止させた。混合物をEtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、生成物を得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0337】
工程B
【0338】
【化88】

【0339】
工程Aで得られた粗生成物(物質の半分、約0.2mmol)に、THF(12mL)、MeOH(8mL)及び水(2mL)を加え、続いてLiOH一水和物(25mg)を加えた。反応物を室温で2時間撹拌し、次にAcOH(0.5mL)で停止させた。混合物を濃縮して油状物にし、次に逆相HPLC(YMC−Pack Pro C18 5ミクロン、0.1%のTFAを有する20%−80%のCHCN/HO)により精製して、所望の生成物を得た。C25H26ClF3O6のLC−MS:計算値514、実測値457〔M−Bu〕。
【0340】
実施例71
【0341】
【化89】

【0342】
CH12(5mL)中30%TFA中の実施例70(10mg)の溶液を室温で1時間撹拌した。次に反応物を真空下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(YMC−Pack Pro C18 5ミクロン、0.1%のTFAを有する20%−80%のCHCN/HO)により精製して、所望の化合物を得た。C21H18ClF3O6のLC−MS:計算値458、実測値457〔M−H〕。
【0343】
実施例72A及び72B
【0344】
【化90】

【0345】
工程A
【0346】
【化91】

【0347】
35mLのDMF中の6−(ヒドロキシ)インダン−1−オン(5.0g、34mmol)の溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁、1.62g、40mmol)により0℃で処理した。室温で30分間撹拌した後、臭化ベンジル(4.8mL、40mmol)をゆっくりと加え、溶液を12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウムで停止させた後、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた固体を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶させて、生成物を得た。C16H14O2のLC−MS:計算値238、実測値239〔M+H〕。
【0348】
工程B
【0349】
【化92】

【0350】
14mLのTHF中のジイソプロピルアミン(2.94mL、21mol)の溶液に、−78℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、12.1mL、19mmol)を加えた。−78℃で30分後、14mLのTHF中の6−(ベンジルオキシ)インダン−1−オン(2.0g、8.4mmol)の溶液をカニューレにより加えた。溶液を−78℃で1時間撹拌し、次に4時間かけてゆっくりと室温に温めた。溶液を−20℃に冷却し、臭化アリル(1.22g、10mmol)で処理し、1時間かけて0℃に温めた。反応物を飽和塩化アンモニウムで停止させ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。精製を、ヘキサン中の酢酸エチル(2−20%)で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより実施して、所望の生成物を得た。C19H18O2のLC−MS:計算値278、実測値279〔M+H〕。
【0351】
工程C
【0352】
【化93】

【0353】
水(180ml)中のKMnO(2.59g、16.4mmole)の溶液を、アセトン(60ml)及び酢酸(60ml)中の3−アリル−6−(ベンジルオキシ)インダン−1−オン及びNaIO(4.49g、21mmole)の急速に撹拌している混合物に室温で滴下した。赤色を帯びた褐色沈殿物(MnO)が形成された。1.5時間後、追加のNaIO(1.3当量、13.6mmole、2.8g)を加え、続いて、1.5時間後、NaIO(0.5当量、5.3mmole、1.13g)を最終的に加えて、混合物を室温で18時間撹拌した。エチレングリコール(43ml)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をセライトプラグ+シリカゲル層で濾過した。フィルターケーキを10%のMeOH/CHCl(750ml)で洗浄し、濾液を分液漏斗に移し、層を分離した。水層をpH2にし、EtOAcで3回抽出した。全ての有機層を合わせ、乾燥し(MgSO)、濃縮して、ねっとりした油状物にした。油状物をEtOAcに溶解し、飽和NaHCOで2回抽出した。合わせた水性抽出物をpH2にし、EtOAcで3回抽出した。合わせた抽出物を乾燥し(MgSO)、濃縮し、トルエンと共沸して、所望の生成物を得た。濃厚な油状物を含有する元のEtOAc溶液を、更なるNaHCOによる抽出、酸化、抽出、乾燥及び濃縮に再度付して、さらに〔5−(ベンジルオキシ)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル〕酢酸を得た。C18H16O4のLC−MS:計算値296、実測値297〔M+H〕。
【0354】
工程D
【0355】
【化94】

【0356】
TMS−ジアゾメタン(2.0M/ヘキサン)の溶液を、塩化メチレン(25ml)及びメタノール(15ml)中の〔5−(ベンジルオキシ)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル〕酢酸(1.4g、4.72mmol)の溶液に、黄色になるまで滴加した。これには3mlを超える量が必要であった。15分間の撹拌後、反応物を濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物を、5−40%のEtOAc/ヘキサン勾配のシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付して、所望の生成物を得た。C19H18O4のLC−MS:計算値310、実測値311〔M+H〕。
【0357】
工程E
【0358】
【化95】

【0359】
エタノール(30ml)中の〔5−(ベンジルオキシ)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル〕酢酸メチル(1.0g、3.22mmol)及び1−メチルシクロヘキサ−1,4−ジエン(10ml、89mmol)の溶液に、10%Pd/C(0.686g、0.644mmol)を加え、混合物を55℃で撹拌した。1時間後、混合物を、エタノールで洗浄しながらセライトベッドで濾過した。濾液を濃縮し、残渣をエーテル−ヘキサンから濃縮して、(5−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸メチルを得た。C12H12O4のLC−MS:計算値220、実測値221〔M+H〕。
【0360】
工程F
【0361】
【化96】

【0362】
炭酸セシウムを、DMF(3ml)中の(5−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)酢酸メチル及び2−クロロ−1−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)ベンゼンの溶液に加え、混合物を80℃で3時間撹拌した。反応物をEtOAcで希釈し、1N HCl、水(2×)、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。粗生成物を、5−40%のEtOAc/ヘキサン勾配のシリカゲルカラムによるクロマトグラフィーに付し、シリカゲル分取薄層クロマトグラフィー(7:3のヘキサン/EtOAc)により更に精製した。鏡像異性体を、10%のEtOH/ヘプタンで溶出するChiral Pak 2cm×23mm IAカラムにより分離した。C19H14ClF3O4のLC−MS:計算値398、実測値399〔M+H〕。
【0363】
工程G
【0364】
【化97】

【0365】
水酸化リチウム(1M、0.188ml)の溶液を、メタノール(1ml)中の、5−〔2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル}アセテートの2つの異性体それぞれの25mgの溶液に加え、混合物をそれぞれ室温で撹拌した。反応完了後(5−9時間)、混合物を濃縮し(冷)、残渣を水に溶解し、pH1にし、酢酸エチルで3回抽出した。2つの生成物のそれぞれからの合わせた抽出物を、乾燥し(MgSO)、濃縮して、所望の酸を得た。C18H12ClF3O4のLC−MS:計算値384、実測値385〔M+H〕。
【0366】
実施例73
【0367】
【化98】

【0368】
実施例73は、対応する物質から、実施例72A及び72Bに記載されたものと同様の手順に従って得た。C19H13F5O5のLC−MS:計算値416、実測値417〔M+H〕。
【0369】
実施例74
【0370】
【化99】

【0371】
工程A
【0372】
【化100】

【0373】
化合物は、実施例72A及び72Bの工程Fで得られた物質から(キラル分離前)、実施例52に記載されたものと同様の手順に従って得た。C19H16ClF3O4のLC−MS:計算値400、実測値401〔M+H〕。
【0374】
工程B
【0375】
【化101】

【0376】
化合物は、工程Aで得られた物質から、実施例72A及び72Bの工程Gに記載されたものと同様の手順に従って調製した。C18H14ClF3O4のLC−MS:計算値386、実測値385〔M−H〕。
【0377】
実施例75
【0378】
【化102】

【0379】
工程A
【0380】
【化103】

【0381】
10mlのメタノール中の(5−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル)酢酸(0.45g、2.2mmol)の撹拌した溶液に、0℃で、塩化チオニル(0.16mL、2.4mmol)を加えた。反応混合物を室温に温め、2時間撹拌した後、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(10−100%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。C11H11NO4のLC−MS:計算値221、実測値222〔M+H〕。
【0382】
工程B
【0383】
【化104】

【0384】
5mlのDMF中の(5−ヒドロキシ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル)酢酸メチル(0.33g、1.6mmol)の撹拌した溶液に、3−クロロ−4−フルオロベンゾトリフルオリド(0.40g、2.0mmol)及び炭酸セシウム(0.782g、2.4mmol)を加えた。反応混合物を80℃で12時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチル及び飽和重炭酸ナトリウムで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水(2×)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(5−30%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。C18H13ClF3NO4のLC−MS:計算値399、実測値400〔M+H〕。
【0385】
工程C
【0386】
【化105】

【0387】
MeOH(0.5mL)中の{5−〔2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル}酢酸メチル(20mg、0.050mmol)の撹拌した溶液に、1N LiOH(0.5mL)を0℃で加えた。反応混合物を4時間撹拌し、室温に温め、次に濃縮し、水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を捨て、水層を0.5N HClでpH約2に調整し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、所望の生成物を得た。C17H11ClF3NO4のLC−MS:計算値385、実測値384〔M−H〕。
【0388】
実施例76
【0389】
【化106】

【0390】
工程A
【0391】
【化107】

【0392】
1mLのDMF中の実施例75の工程Bで得られた{5−〔2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル}酢酸メチル(26mg、0.065mmol)の撹拌した溶液に、0℃で、水素化ナトリウム(鉱油中60%懸濁、3.5mg、0.087mmol)を加えた。室温に温め、30分間撹拌した後、反応混合物をヨウ化メチル(0.005mL、0.078mmol)により0℃で処理した。反応混合物をゆっくりと室温に温め、12時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウムで停止させ、酢酸エチルで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水(2×)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(10−80%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。C19H15ClF3NO4のLC−MS:計算値413、実測値414〔M+H〕。
【0393】
工程B
【0394】
【化108】

【0395】
MeOH(0.5mL)中の{5−〔2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル}酢酸メチル(26mg、0.063mmol)の撹拌した溶液に、1N LiOH(0.5mL)を0℃で加えた。反応混合物を2時間撹拌し、室温に温め、次に濃縮し、水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を捨て、水層を0.5N HClでpH約2に調整し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、生成物を得た。C18H13ClF3NO4のLC−MS:計算値399、実測値398〔M−H〕。
【0396】
実施例77
【0397】
【化109】

【0398】
塩化メチレン(0.5mL)中の実施例75の工程Bで得られた{5−〔2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−1−イル}酢酸メチル(30mg、0.075mmol)の撹拌した溶液に、0℃で、メールワイン塩(Meerwein’s salt)(13mg、0.090mmol)を加えた。室温で12時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を1mLのアセトニトリルに溶解し、アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール(10mg、0.075mmol)で処理し、4時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃塩酸(0.5mL)で処理し、1時間加熱還流し、その後、室温に冷却し、濃縮した。得られた残渣を水及び酢酸エチルで希釈し、最初の有機層を捨て、水層を0.5N HClでpH約2に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。逆相HPLC(0.1%TFA/HO/アセトニトリル勾配)により精製することによって、所望の生成物を得た。C19H12ClF3N2O3のLC−MS:計算値408、実測値409〔M+H〕。
【0399】
実施例78
【0400】
【化110】

【0401】
工程A
【0402】
【化111】

【0403】
5mLのエタノール中の(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル)酢酸(0.221g、1.0mmol)の溶液に、0℃で、塩化チオニル(0.35g、3.0mmol)を滴下した。室温で2時間撹拌した後、反応混合物を濃縮した。残渣を塩化メチレンに溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。ヘキサン中の酢酸エチル(10−100%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって、中間体エステルをもたらし、それを塩化メチレンに溶解し、三臭化ホウ素(塩化メチレン中1.0M、3.0mL)により0℃で処理した。反応物を室温に温め、12時間撹拌した。飽和炭酸ナトリウムで停止させた後、反応混合物を分液漏斗に移し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して、生成物を得た。C12H13NO4のLC−MS:計算値235、実測値236〔M+H〕。
【0404】
工程B
【0405】
【化112】

【0406】
1.5mlのDMF中の(6−ヒドロキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル)酢酸エチル(0.061g、0.26mmol)の撹拌した溶液に、3−(ジフルオロメトキシ)−4−フルオロベンゾトリフルオリド(0.065g、0.28mmol)及び炭酸セシウム(0.129g、0.38mmol)を加えた。反応混合物を80℃で12時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を酢酸エチル及び飽和重炭酸ナトリウムで希釈した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水(2×)及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の酢酸エチル(8−100%)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。C20H16F5NO5のLC−MS:計算値445、実測値446〔M+H〕。
【0407】
工程C
【0408】
【化113】

【0409】
1.5mLの塩化メチレン中の{6−〔2−(ジフルオロメトキシ)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−3−イル}酢酸エチル(65mg、0.274mmol)の溶液に、0℃で、メールワイン塩(Meerwein’s salt)(41mg、0.090mmol)を加えた。室温で12時間撹拌した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。得られた残渣を2mLのアセトニトリルに溶解し、ホルミルヒドラジン(10mg、0.164mmol)で処理し、12時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。逆相HPLC(0.1%TFA/HO/アセトニトリル勾配)により精製することによって、所望の生成物を得た。C21H16F5N3O4のLC−MS:計算値469、実測値470〔M+H〕。
【0410】
工程D
【0411】
【化114】

【0412】
MeOH(0.5mL)及びTHF(0.5mL)中の{6−〔2−(ジフルオロメトキシ)−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ〕−9H−〔1,2,4〕トリアゾロ〔4,3−a〕インドール−9−イル}酢酸エチル(26mg、0.063mmol)の撹拌した溶液に、1N LiOH(0.5mL)を0℃で加えた。反応混合物を2時間撹拌し、次に濃縮し、水及び酢酸エチルで希釈した。有機層を捨て、水層を0.5N HClでpH約2に調整し、次に酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、生成物を得た。C19H12F5N3O4のLC−MS:計算値441、実測値442〔M+H〕。
【0413】
実施例79
【0414】
【化115】

【0415】
工程A
【0416】
【化116】

【0417】
化合物は、実施例78の工程Aで得られた物質及び3−クロロ−4−フルオロベンゾトリフルオリドから、実施例78の工程Bに記載されたものと同様の手順に従って調製した。C19H15ClF3NO4のLC−MS:計算値413、実測値414〔M+H〕。
【0418】
工程B
【0419】
【化117】

【0420】
化合物は、工程Aで得られた物質から、実施例78の工程Dに記載されたものと同様の手順に従って調製した。C17H11ClF3NO4のLC−MS:計算値385、実測値386〔M+H〕。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

〔式中、Aは、−CH−、−CF−、−O−、−N(R)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択され;
Bは、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−からなる群から選択されるか:
あるいは、−A−B−は、−N(R)C(=O)−及び−C(=O)N(R)−からなる群から選択されるか、又は−A−B−は、2個の原子を表し、それらは連結して、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5員芳香族複素環の一方を形成し、ここで該5員芳香族複素環は、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
Xは、=C(R)−及び=N−から選択され、そしてYは、=C(R)−及び=N−から選択され、但し、X及びYは、両方ともが=N−ではなく;
Zは、−CRCOであり;
複素環は、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の飽和又は部分的に飽和した単環式複素環であり;
ヘテロアリールは、O、N及びSから独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を有する5〜6員の単環式芳香族複素環であり;
、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、ハロゲン、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−N(R)(R)、−N(R)C(=O)C−Cアルキル、−N(R)S(O)−Cアルキル、−C(=O)H、−C(=O)OH、−C(=O)OC−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−C(=O)N(R)(R)、フェニルCH=CHC(=O)−、フェニルC(=O)CH=CH−、−C(=O)フェニル、−C(=O)ナフチル、−C(=O)複素環、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルからなる群から選択され;
ここで、−C−Cアルキル、並びに−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−N(R)C(=O)C−Cアルキル、−N(R)S(O)−Cアルキル、−C(=O)OC−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキルのアルキル基は、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、−OH、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル、−NHC(=O)CH、−NHC(=O)OC−Cアルキル、−NHS(O)CH、−N(R)(R)、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルから独立して選択される1〜2つの基で置換されていてもよく;
ここで、R、R、R、R及びR又はR、R、R、R及びRの置換基のいずれかとしてのフェニルCH=CHC(=O)−のフェニル、フェニルC(=O)CH=CH−のフェニル、−C(=O)フェニル、−C(=O)ナフチル、−C(=O)複素環、複素環、ヘテロアリール、C−Cシクロアルキル、フェニル及びナフチルは、ハロゲン、−CN、−NO、−OH、−C−Cアルキル、−C(=O)C−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及び−OC−Cアルキルから独立して選択される1〜4つの置換基で置換されていてもよく、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキル置換基は、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく;
ここで、場合により、一対の置換基R及びRは、一緒になって、R及びRの位置で縮合シクロペンチル、シクロヘキシル又はフェニル環を形成する、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−及び−CH=CH−CH=CH−から選択される3又は4炭素架橋基を表し、該架橋基は、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
は、それぞれ、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択され;
は、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択され;
は、H、−OH、1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい−C−Cアルキル、及び1〜3つのハロゲンで置換されていてもよく、また、1つの基−C(=O)OR10で置換されていてもよい−OC−Cアルキルからなる群から選択され;
及びR10は、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択され、ここで−C−Cアルキルは、1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい〕
で示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
、R、R、R及びRが、(1)H;(2)ハロゲン;(3)−NO;(4)−CN;(5)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、また、−OH、−C(=O)C−Cアルキル、及び1〜3つのハロゲンで置換されていてもよい−OC1−3アルキルから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい、−C1−6アルキル;(6)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよく、1つのフェニルで置換されていてもよい、−OC1−6アルキル;(7)1〜5つのハロゲンで置換されていてもよい、−C(=O)C−Cアルキル;(8)−N(R)(R);(9)−C(=O)N(R)(R);(10)−C(=O)OC−Cアルキル;(11)−S(O)−Cアルキル;(12)フェニル(13)フェニルCH=CHC(=O)−;及び(14)フェニルC(=O)CH=CH−から独立して選択され、ここで使用されている全てのフェニルは、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
が、それぞれ、H及び−C−Cアルキルからなる群から独立して選択され;
ここで、場合によりR及びRが、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、前記縮合フェニル環が、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
、R、R、R及びRが、それぞれ独立して、H、ハロゲン、1〜5つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜5つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−CHOH、−CH(OH)CH、−CH(OH)CF、−C(=O)H、−C(=O)CH、−CN、−NO、フェニル、−OCHフェニル、−C(=O)OC−Cアルキル、−S(O)CH、−C(=O)N(R)(R)、−N(R)(R)、フェニルCH=CHC(=O)−及びフェニルC(=O)CH=CH−から選択され、ここでフェニルが、それぞれの場合において、ハロゲン、CH3、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
が、それぞれ、H及びCHから独立して選択され;
ここで、場合によりR及びRが、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、前記縮合フェニル環が、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
が、それぞれ、H及びCHから独立して選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、前記縮合フェニル環が、ハロゲン、−OH、−CN、−NO、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−SC−Cアルキル、−S(O)−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜3つの置換基で置換されていてもよい請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記縮合フェニル環が、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよい
請求項5記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Aが、−CH−、−CF−、−O−、−N(R)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択され;
Bが、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−からなる群から選択されるか:
あるいは−A−B−が、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、
【化2】

からなる群から選択され;
が、それぞれ、H及びCHから独立して選択される請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Aが、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択され;
Bが、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−からなる群から選択されるか:
あるいは−A−B−が、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、
【化3】

からなる群から選択され;
が、それぞれ、H及びCHから独立して選択される請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
Zが、−CRCOHであり;
が、Hであり;
が、H、−OH、CH及び−OCHC(=O)OR10からなる群から選択され;そして
10が、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択される請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
Aが、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(=O)−及び−CH(OH)−からなる群から選択され;
Bが、−CH−、−CHCH−及び−CH(CH)−からなる群から選択されるか:
あるいは−A−Bが、−N(R)C(=O)−、−C(=O)N(R)−、
【化4】

からなる群から選択され;
が、H、ハロゲン、1〜5つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜5つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、−CHOH、−CH(OH)CH、−CH(OH)CF、−C(=O)H、−C(=O)CH、−CN、−NO、−C(=O)OCH、−S(O)CH、−C(=O)N(R)(R)、−N(R)(R)及び−OCHフェニルからなる群から選択され、ここでフェニルが、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
が、H、ハロゲン、1〜3つのFで置換されていてもよいC−Cアルキル、1〜3つのFで置換されていてもよい−OC−Cアルキル、及びハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよいフェニルからなる群から選択され;
が、H、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFからなる群から選択され;
が、H、ハロゲン、CH、CF、−OCH、−OCF、C(=O)H、−C(=O)CH、−C(=O)OCH、−C(=O)N(R)(R)、−CN、−NO、フェニルCH=CHC(=O)−及びフェニルC(=O)CH=CH−からなる群から選択され、ここでフェニルが、それぞれの場合において、ハロゲン、CH、CF、−OCH及び−OCFから独立して選択される1〜3つの基で置換されていてもよく;
が、Hであり;
が、それぞれ、H及びCHから独立して選択され;
ここで、場合によりR及びRが、一緒になって、R及びRの位置で縮合フェニル環を形成する4炭素鎖−CH=CH−CH=CH−を表し、前記縮合フェニル環が、ハロゲン、−C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−CF及び−OCFから独立して選択される1〜2つの置換基で置換されていてもよく;
Zが、−CRCOHであり;
が、Hであり;
が、H、−OH、CH及び−OCHC(=O)OR10からなる群から選択され;
10が、H及び−C−Cアルキルからなる群から選択される請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
下記の化合物からなる群から選択される、請求項10記載の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【請求項12】
請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
2型糖尿病の治療のための薬剤の製造における、請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項14】
2型糖尿病を、その治療が必要な患者において治療する方法であって、式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項15】
(1)請求項1記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と;
(2)
(a)PPARガンマアゴニスト及び部分アゴニスト:
(b)ビグアナイド剤;
(c)プロテインチロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)インヒビター;
(d)ジベプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)インヒビター;
(e)インスリン又はインスリン模倣剤;
(f)スルホニル尿素;
(g)αグルコシダーゼインヒビター;
(h)(i)HMG−CoAレダクターゼインヒビター、(ii)胆汁酸吸収抑制剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)コレステロール吸収インヒビター、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、(vii)CETPインヒビター及び(viii)フェノール系酸化防止剤からなる群から選択される、患者の脂質プロフィールを改善する薬剤;
(i)PPARα/γデュアルアゴニスト;
(j)PPARδアゴニスト;
(k)抗肥満性化合物;
(l)回腸胆汁酸トランスポーターインヒビター;
(m)抗炎症剤;
(n)グルカゴンレセプターアンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)GLP−1類似薬;
(r)グルコキナーゼアクチベーター;
(s)GPR119アゴニスト;
(t)GPR120アゴニスト;及び
(u)ヒドロキシステレロールデヒドロゲナーゼ1(HSD−1)インヒビター
からなる群から選択される1つ以上の化合物と、
(3)薬学的に許容される担体と
を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2010−508268(P2010−508268A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534659(P2009−534659)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/022650
【国際公開番号】WO2008/054675
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】