説明

抗糖尿病化合物としてのオキサジアゾールベータカルボリン誘導体

構造式Iのベータカルボリン誘導体は、ソマトスタチンサブタイプ受容体3(SSTR3)の選択的アンタゴニストであり、2型糖尿病、及びこの疾患にしばしば随伴する高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害及び高血圧を含む症状の治療に有用である。該化合物はまた、抑うつ及び不安の治療にも有用である。式(I)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソマトスタチンサブタイプ受容体3(SSTR3)の選択的アンタゴニストである置換ベータカルボリン誘導体に関するものであり、これらは2型糖尿病、及び、この疾患にしばしば随伴する高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害及び高血圧を含む症状の治療に有用である。該化合物はまた、抑うつ及び不安の治療にも有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、多くの原因因子に由来する疾患であり、絶食状態にあるか又は経口グルコース耐性試験の間のグルコース投与後の、高い血漿グルコースレベル(高血糖)によって特徴づけられる。糖尿病には一般的に認識された2つの型がある。1型糖尿病又はインスリン依存型糖尿病(IDDM)では、患者はグルコースの利用を調節するホルモン、インスリンをほとんど又は全く産生しない。2型糖尿病又はインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)では、インスリンは膵臓の島細胞によってなお産生されている。2型糖尿病の患者は、筋肉、肝臓及び脂肪組織を含む主要なインスリン感受性組織において、グルコース及び脂質代謝の刺激におけるインスリンの効果に抵抗性をもつ。こうした患者はしばしば、正常なインスリンレベルをもち、かつ、インスリンの有効性の減少を、インスリンを多量に分泌することで補っていることから、高インスリン血症(血漿インスリンレベル上昇)をもつ場合がある(ポロンスキー(Polonsky)、「Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.」、2000年、第24巻、付録2、S29−31)。膵島内のベータ細胞は、最初は、インスリン生産量を増大することで、インスリン抵抗性を補う。インスリン抵抗性は元来、インスリン受容体の数の減少によって引き起こされるものではなく、むしろ、まだ完全には理解されてはいないインスリン受容体結合後の欠陥によるものである。インスリンに対するこの応答性の欠如は、結果として、筋肉におけるグルコースの取込み、酸化及び貯蔵のインスリン媒介性の不充分な活性化と、脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコースの産生及び分泌の、インスリン媒介性の不適切な抑制とを生じる。最終的に患者は、インスリン抵抗性を適切に補い得ないことから、糖尿病となる可能性がある。ヒトでは、ベータ細胞塊の不充分な増加(又は実際の減少)に起因する2型糖尿病の発現は、明らかに、非糖尿病インスリン抵抗性の個体に比較して増大したベータ細胞アポトーシスによるものである(バトラー(Butler)ら、「Diabetes」、2003年、第52巻、p.102−110)。
【0003】
糖尿病に付随して起こる持続的な又は管理されない高血糖は、増大した及び早発の罹患率及び死亡率に関連する。異常なグルコースホメオスタシスは、しばしば、直接的及び間接的に、肥満、高血圧、及び脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、並びに代謝及び血行動態疾患に関連する。2型糖尿病の患者では、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含む、大血管及び細小血管合併症のリスクが有意に増大する。それ故、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満及び高血圧の有効な治療的制御は、糖尿病の臨床管理及び治療において非常に重要である。
【0004】
インスリン抵抗性をもつ患者はしばしば、総じてシンドロームX又はメタボリックシンドロームと称されるいくつかの症状を示す。広く用いられている定義によれば、メタボリックシンドロームの患者は、以下の5つの症状群から選択される3つ以上の症状をもつものとして特徴づけられる:(1)腹部肥満、(2)高トリグリセリド血症、(3)低レベルの高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)、(4)高血圧、及び(5)高い空腹時グルコース(これは、患者が糖尿病でもある場合には、2型糖尿病に特徴的な範囲内であってもよい)。これらの症状の各々は、成人高血中コレステロールの検出、評価及び治療に関する全米コレステロール教育プログラム専門委員会の第3報告(Adult Treatment Panel III又はATP III)、国立衛生研究所、2001年、NIH出版、No.01−3670において、臨床的に定義されている。メタボリックシンドロームの患者では、顕性の糖尿病をもつか又発症しているかにかかわらず、アテローム性動脈硬化症及び冠動脈性心疾患などの2型糖尿病に付随して起こる大血管及び細小血管合併症を発症するリスクが増大する。
【0005】
2型糖尿病にはいくつかの利用可能な治療法があるが、その各々には特有の限界と潜在的なリスクとがある。身体の運動及びカロリー摂取量の低減は、しばしば糖尿病の症状を劇的に改善し、かつ2型糖尿病及びインスリン抵抗性に付随する糖尿病前症の、通常推奨される第一選択治療である。この治療に関するコンプライアンスは、充分に確立された殆ど身体を動かさない生活様式及び過度の食物消費、特に多量の脂肪及び炭水化物を含有する食物のため、一般的に非常に芳しくない。薬物治療は主として、病態生理学の3つの領域に焦点を合わせてきた:(1)肝臓のグルコース産生(ビグアナイド類)、(2)インスリン抵抗性(PPARアゴニスト類)、(3)インスリン分泌(スルホニル尿素類);(4)インクレチンホルモン疑似体(GLP−1誘導体及び類似体、例えばエクセナチド及びリラグリチド(luraglitide))、及び(5)インクレチンホルモン分解の阻害剤(DPP−4阻害剤)。
【0006】
ビグアナイド類は、2型糖尿病の治療に広く使用されている薬剤のクラスに属する。フェンホルミン及びメトホルミンは、2つの最もよく知られたビグアナイドであり、高血糖症の一部に修正をもたらす。ビグアナイド類は、主として、肝臓グルコース産生を阻害することによって作用し、またインスリン感受性を穏やかに改善するとも考えられている。ビグアナイド類は、単一療法として又は、インスリン若しくはインスリン分泌促進薬などの他の抗糖尿病薬と組合せて、高血糖症のリスクを高めることなく使用し得る。しかしながら、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス、悪心/嘔吐及び下痢を誘発することがある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用のリスクが低く、2型糖尿病の治療に広く処方されている。
【0007】
グリタゾン類(例えば、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン類)は、高血糖症及び2型糖尿病の他の症状を改善し得るクラスの化合物である。現在市販されているグリタゾン類(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ガンマサブタイプのアゴニストである。PPAR−ガンマアゴニストは、2型糖尿病のいくつかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織のインスリン感受性を実質的に増大し、結果として、高血糖症を発症させることなく、上昇した血漿グルコースレベルの部分的又は完全な修正をもたらす。PPAR−ガンマアゴニズムは、グリタゾンで治療されたヒト患者において観察されているインスリン感受性改善の原因であると考えられる。新規なPPARアゴニストが、現在開発中である。新しいPPAR化合物の多くは、PPARアルファ、ガンマ及びデルタサブタイプの1つ以上のアゴニストである。現在市販されているPPARガンマアゴニストは、血漿グルコース及びヘモグロビンA1Cの低減において、若干の有効性がある。現在市販されている化合物は、脂質代謝を大きく改善することはなく、脂質プロフィールに対し、実際にはネガティブな効果をもつことがある。したがって、PPAR化合物は、糖尿病療法における重大な進歩を象徴するものである。
【0008】
別の広く用いられている薬物治療は、スルホニル尿素類(例えば、トルブタミド、グリピジド及びグリメピリド)などのインスリン分泌促進薬の投与を包含する。これらの薬剤は、膵臓β−細胞を刺激してさらにインスリンを分泌させることにより、血漿インスリンレベルを上昇させる。膵臓β−細胞におけるインスリン分泌は、グルコースと、代謝、神経及びホルモンシグナルのアレイとによる厳密な制御下にある。グルコースは、ATP及び他のシグナリング分子を生成するその代謝を通して、インスリンの産生及び分泌を刺激するのに対し、他の細胞外シグナルは、細胞膜上に存在するGPCRを介したインスリン分泌の増強剤又は阻害剤として作用する。スルホニル尿素類及び関連するインスリン分泌促進薬は、β−細胞のATP−依存性K+チャンネルをブロックすることにより作用し、それによって細胞の脱分極と、電位依存性のCa2+チャンネルの開放とが、インスリン放出の刺激と共に引き起こされる。このメカニズムは、グルコース非依存性であり、それ故インスリン分泌は周囲のグルコースレベルに関係なく起こり得る。これは、たとえグルコースレベルが低い場合でもインスリン分泌を引き起こしうるものであり、結果として高血糖症をもたらし、重症な場合には致命的となり得る。それ故インスリン分泌促進薬の投与は、注意深く管理しなければならない。インスリン分泌促進薬は、しばしば2型糖尿病のための最前線の薬物治療として用いられる。
【0009】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン及びアログリプチン)は、食物消費に応答してインスリン分泌を増大するための、新規な経路を提供する。グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)レベルは、摂食後に存在するグルコースの増加に応じて上昇し、グルカゴンがインスリンの産生を刺激する。多くの細胞表面に存在するセリンプロテアーゼ酵素DPP−4は、GLP−1を分解する。DPP−4阻害剤は、GLP−1の分解を低減し、したがってその作用を活性化し、摂食の間のグルコース増加に応じてより多くのインスリンを産生させる。
【0010】
グルコース依存性インスリン分泌により制御される、膵島を主体とするインスリン分泌が、新たな焦点となってきている。このアプローチは、β−細胞機能の安定化及び回復の可能性をもつ。この観点から、本出願は、ソマトスタチンサブタイプ受容体3(SSTR3)のアンタゴニストである化合物を、摂食の結果生じるグルコースの上昇に応じてインスリン分泌を増大するための手段としてクレームする。これらの化合物はまた、ベータ細胞の量及び島機能を評価するための、イメージング(例えば、PET、SPECT)用のリガンドとしても使用し得る。β−細胞の量の減少を、特定の患者について経時的に測定することができる。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本発明は、構造式I:
【0012】
【化1】

の化合物及び薬学的に許容されるその塩に関し、これらの二環式ベータ−カルボリン誘導体は、SSTR3のアンタゴニストとして有効である。故にそれらは、2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム性動脈硬化症、メタボリックシンドローム、抑うつ及び不安などの、SSTR3の拮抗作用に応答する疾患の治療、管理又は予防に有用である。
【0013】
本発明はまた、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0014】
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、それらを要する患者において、SSTR3の拮抗作用に応答する障害、疾患又は症状を、治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0015】
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを、治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0016】
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、抑うつ及び不安を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0017】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、肥満を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0018】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、2型糖尿病を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0019】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、アテローム性動脈硬化症を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0020】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、脂質障害を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0021】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、メタボリックシンドロームを治療する方法にも関する。
【0022】
本発明はまた、本発明の化合物を、症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療有効量と組合せて投与することによる、抑うつ及び不安を治療、管理又は予防する方法にも関する。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明は、SSTR3のアンタゴニストとして有用な、ベータ−カルボリン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式I:
【0024】
【化2】

[式中、
zは、単結合又は二重結合であり、ただし、R12がオキソである場合、zは単結合のみであり、かつさらに、zが二重結合である場合、Rは存在せず;
は:
(1)−C1−10アルキル−、
(2)C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、
(3)C3−10シクロアルキル、
(4)C3−10シクロヘテロアルキル、
(5)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)アリール、
(7)ヘテロアリール、及び
(8)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択され;
ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつアルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は、存在する場合には:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C2−10アルキニル、
(5)C3−10シクロアルキル、
(6)C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(7)C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、
(8)アリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、
(9)ヘテロアリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、
(10)C3−10シクロアルキル−X−C1−6アルキル−、
(11)C3−10シクロヘテロアルキル、
(12)ヘテロアリール、及び
(13)−C0−4アルキル−CO
からなる群より選択され、
ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C3−10シクロアルキル、
(4)C3−10シクロヘテロアルキル、
(5)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−6アルキル−、及び
(6)ヘテロアリール−C1−6アルキル−、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、及び
(2)−C1−8アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)
からなる群より選択され、
及びRは、各々独立して:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C2−10アルキニル、
(5)C3−10シクロアルキル、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)アリール、及び
(8)ヘテロアリール、
からなる群より選択され;
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−10シクロアルキル、及び
(5)C1−4アルキル−O−C1−4アルキル−、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)水素、
(2)−OR
(3)−NRS(O)
(4)ハロゲン、
(5)−S(O)
(6)−S(O)NR
(7)−NR
(8)−C(O)R
(9)−OC(O)R
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−OCF
(17)−OCHF
(18)C3−10シクロヘテロアルキル、
(19)C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
(20)C3−6シクロアルキル、
(21)アリール、及び
(22)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、及び
(4)C3−10シクロアルキル、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
10及びR11は、各々独立して:
(1)水素、及び
(2)−C1−4アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
からなる群より選択され;
12は:
(1)オキソ、
(2)−O−C1−10アルキル、
(3)−S−C1−10アルキル、
(4)−NH
(5)−NH(C1−10アルキル)、及び
(6)−N(C1−10アルキル)
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF、及び
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
(20)−C1−10アルキル、
(21)−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル、及び
(22)−C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;
及びRは、各々独立して:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(8)アリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)アリール−C1−10アルキル−、及び
(11)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択されるか、又は、
及びRは、それらが結合する原子(複数の原子)と一緒になって、独立して、酸素、硫黄及びN−Rから選択される0ないし2個の追加のヘテロ原子を含有する、4ないし7員の複素環を形成し、かつ、R及びRが、水素以外である場合、R及びRの各々は、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
各Rは、独立して:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(8)アリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)アリール−C1−10アルキル−、及び
(11)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択され、
ここで、Rが、水素ではない場合、各Rは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
各Rは、独立して:
(1)−C(O)R、及び
(2)−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)ハロゲン、
(2)C1−10アルキル、
(3)−O−C1−4アルキル、
(4)−S(O)−C1−4アルキル、
(5)−CN、
(6)−CF
(7)−OCHF、及び
(8)−OCF
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
(20)C1−10アルキル、及び
(21)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;
nは、1から4までの整数であり;そして
各mは、独立して、0、1又は2である]、及び薬学的に許容されるその塩によって記載される。
【0025】
本発明には、以下に要約されている多くの実施態様がある。本発明は、式Iの化合物を包含し、これは式Ia、Ib、Ic、Id、Ie及びIIの化合物を包含するものである。本発明はまた、本化合物の薬学的に許容される塩、及び該化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を包含する。本化合物は、2型糖尿病、高血糖症、肥満及び2型糖尿病に付随する脂質障害の治療に有用である。
【0026】
本発明の1つの実施態様においては、zは、単結合又は二重結合であり、ただし、R12がオキソである場合、zは単結合のみであり、かつさらに、zが二重結合である場合、Rは存在しない。この実施態様の1つのクラスにおいては、zは、単結合であり;R12は、オキソであり;かつRは、存在する。この実施態様の別のクラスでは、zは、二重結合であり、R12は:−O−C1−10アルキル、−S−C1−10アルキル、−NH、−NH(C1−10アルキル)及びーN(C1−10アルキル)からなる群より選択され;かつRは、存在しない。このクラスの1つのサブクラスにおいては、zは、二重結合であり、R12は:−O−CH、−O−CHCH、−S−CH、−NH、−NHCH及び−N(CHからなる群より選択され;かつRは、存在しない。
【0027】
本発明の別の実施態様においては、zは、二重結合又は単結合であり、ただし、R12がオキソである場合、zは単結合であり、かつさらに、zが二重結合である場合、Rは存在しない。この実施態様の1つのクラスにおいては、zは、単結合であり;R12は、オキソであり;かつRは、存在する。この実施態様の別のクラスでは、zは、二重結合であり、R12は:−O−C1−10アルキル、−S−C1−10アルキル、−NH、−NH(C1−10アルキル)及び−N(C1−10アルキル)からなる群より選択され;かつRは、存在しない。このクラスの1つのサブクラスにおいては、zは、二重結合であり、R12は:−O−CH、−O−CHCH、−S−CH、−NH、−NHCH及び−N(CHからなる群より選択され;かつRは、存在しない。
【0028】
本発明の別の実施態様においては、Rは、−C1−10アルキル−、−C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択され、ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつアルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、ただし、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピロリル、チエニル、1,3−ベンゾジオキソリル又はフラニルではない。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:フェニル、ピラゾール、テトラゾール及びオキサジアゾールからなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、ただし、ヘテロアリールは、ピリジニル、ピロリル、チエニル、1,3−ベンゾジオキソリル又はフラニルではない。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは:ピラゾール、テトラゾール及びオキサジアゾールからなる群より選択され、ここで、各ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは:ピラゾール及びオキサジアゾールからなる群より選択され、ここで、各ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、ピラゾールであり、ここで、ピラゾールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、テトラゾールであり、ここで、テトラゾールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、オキサジアゾールであり、ここで、オキサジアゾールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、アリールであり、ここで、アリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、フェニルであり、ここで、フェニルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0029】
本発明の別の実施態様においては、Rは、存在する場合には:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルキル−、C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、アリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、ヘテロアリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、C3−10シクロアルキル−X−C1−6アルキル−、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、ヘテロアリール及び−C0−4アルキル−COからなる群より選択され、ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−及び−C0−4アルキル−COからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−及び−C0−4アルキル−COからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、−C1−6アルキル、−C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−及び−C1−2アルキル−COからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、−CH、−CHCH、−CH(CH、−CH−シクロプロピル及び−CHCOCHCHからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このサブクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、存在する場合には:−CH、−CHCH、−CH(CH、−CH−シクロプロピル及び−CHCOCHCHからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、−CH、−CHCH、−CH(CH、−CHシクロプロピル及び−CHCOCHCHからなる群より選択される。このサブクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは:−CH、−CHCH、−CH(CH、−CHシクロプロピル及び−CHCOCHCHからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、存在する場合には:水素、−CH、−CHCH及び−CH(CHからなる群より選択される。
【0030】
本発明の別の実施態様においては、Rは:水素、C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−6アルキル−及びヘテロアリール−C1−6アルキル−からなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは:水素及びC1−10アルキルからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素である。
【0031】
本発明の別の実施態様においては、Rは:水素及び−C1−8アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは、水素である。
【0032】
本発明の別の実施態様においては、R及びRは、各々独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0033】
この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは、独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:水素、C1−10アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、独立して:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、独立して:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲン、メチル及びメトキシからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、フェニル及びピリジン−2−イルから選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲンから選択される1ないし2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:4−フルオロフェニル及び5−フルオロ−ピリジン−2−イルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、アリールであり、ここで、アリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、フェニルであり、ここで、フェニルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、ピリジンであり、ここで、ピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0034】
この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−10シクロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:水素、C1−10アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、独立して:フェニル及びピリジンからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、独立して:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:フェニル及びピリジン−2−イルから選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲン、メチル及びメトキシからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、フェニル及びピリジン−2−イルから選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは:4−フルオロフェニル及び5−フルオロ−ピリジン−2−イルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、アリールであり、ここで、アリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、フェニルであり、ここで、フェニルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは、ピリジンであり、ここで、ピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。
【0035】
本発明の別の実施態様においては、Rは:水素、C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、C2−10アルケニル、C3−10シクロアルキル及びC1−4アルキル−O−C1−4アルキル−からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは:水素及びC1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素である。
【0036】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:水素、−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−OCF、−OCHF、C3−10シクロヘテロアルキル、C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、C3−6シクロアルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:水素、−OR、ハロゲン、−NR、−C(O)R、−CO、−CN、−OCF、−OCHF、−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;又は、薬学的に許容されるその塩である。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、独立して:水素、−OR、ハロゲン、−NR、−C(O)R、−CO、−CN、−OCF、−OCHF、−C1−10アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;又は、薬学的に許容されるその塩である。このクラスの1つのサブクラスにおいては、アリールは、フェニルであり、かつヘテロアリールは、ピリジンであり、ここで、フェニル及びピリジンは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、独立して:水素、−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−OCF、−OCHF及び−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)からなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、独立して:水素、−OR、ハロゲン、−NR、−C(O)R、−CO、−CN、−OCF、−OCHF及び−C1−10アルキルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素、ハロゲン又はシアノである。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、水素である。
【0037】
本発明の別の実施態様においては、Rは:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル及びC3−10シクロアルキルからなる群より選択され、ここで、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは:水素及び−C1−10アルキルからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、水素である。
【0038】
本発明の別の実施態様においては、R10及びR11は、各々独立して:水素及び−C1−4アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R10及びR11は、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、R10及びR11は、−C1−4アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)である。
【0039】
本発明の別の実施態様においては、R12は:オキソ、−O−C1−10アルキル、−S−C1−10アルキル、−NH、−NH(C1−10アルキル)及び−N(C1−10アルキル)からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R12は:オキソ、−O−C1−6アルキル、−S−C1−6アルキル、−NH、−NH(C1−6アルキル)及び−N(C1−6アルキル)からなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R12は:−OCH、−OCHCH、−SCH、−NH、−NH(CH)及び−N(CHからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R12は:オキソ及び−O−C1−10アルキルからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R12は、オキソである。この実施態様の別のクラスにおいては、R12は、−O−C1−10アルキルである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、R12は:−OCH及び−OCHCHからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、R12は、オキソである。この実施態様の別のクラスにおいては、R12は:−O−C1−10アルキル、−S−C1−10アルキル、−NH、−NH(C1−10アルキル)及び−N(C1−10アルキル)からなる群より選択される。
【0040】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−CF、−OCF、−OCHF及びC3−10シクロヘテロアルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−CF、−OCF及び−OCHFからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、独立して:−OR、ハロゲン、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−CF、−OCF及び−OCHFからなる群より選択される。
【0041】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−CF、−OCF、−OCHF、C3−10シクロヘテロアルキル、−C1−10アルキル、−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:−OR、ハロゲン、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−CF、−OCF、−OCHF、−C1−10アルキル、−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:−CN、−C1−10アルキル、−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群より選択される。このクラスの1つのサブクラスにおいては、各Rは、独立して:−CN、−C1−6アルキル、−C1−6アルキル−O−C1−6アルキル及び−C3−6シクロアルキルからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Rは、独立して:−CN、−CH、−CHCH、−CH−O−CH及びシクロプロピルからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、各Rは:−CH、−CHCH及び−CHCOCHCHからなる群より選択される。
【0042】
本発明の別の実施態様においては、R及びRは、各々独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル−及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択されるか、又は、R及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、独立して、酸素、硫黄及びN−Rgから選択される0ないし2個の追加のヘテロ原子を含有する、4ないし7員の複素環を生成し、かつここで、R及びRが水素以外である場合、R及びRの各々は、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、R及びRは、各々独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル−及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択され、ここで、R及びRが水素以外である場合、R及びRの各々は、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R及びRは、各々独立して:水素及び−C1−10アルキルからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、R及びRは、各々独立して:水素及び−C1−10アルキルからなる群より選択される。
【0043】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、C3−10シクロヘテロアルキル、C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、アリール、ヘテロアリール、アリール−C1−10アルキル−及びヘテロアリール−C1−10アルキル−からなる群より選択され、ここで、Rが水素ではない場合、各Rは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:水素及び−C1−10アルキルからなる群より選択され、ここで、Rが水素ではない場合、各Rは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、独立して:水素及び−CHCHからなる群より選択され、ここで、Rが水素でない場合、各Rは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、水素である。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、−C1−10アルキルであり、ここで、アルキルは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換される。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、−C1−10アルキルである。この実施態様の別のクラスにおいては、Rは、−CHCHである。
【0044】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:−C(O)R及び−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)からなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)である。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、−C1−6アルキルである。
【0045】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:ハロゲン、C1−10アルキル、−O−C1−4アルキル、−S(O)−C1−4アルキル、−CN、−CF、−OCHF及び−OCFからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、各Rは、独立して:ハロゲン、C1−10アルキル、−O−C1−4アルキル、−CN、−CF、−OCHF及び−OCFからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、独立して:ハロゲン及び−C1−10アルキルからなる群より選択される。
【0046】
本発明の別の実施態様においては、各Rは、独立して:−OR、−NRS(O)、ハロゲン、−S(O)、−S(O)NR、−NR、−C(O)R、−OC(O)R、オキソ、−CO、−CN、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−CF、−OCF、−OCHF、C3−10シクロヘテロアルキル、C1−10アルキル及びC3−6シクロアルキルからなる群より選択される。この実施態様の1つのクラスにおいては、Rは:ハロゲン、メチル及びメトキシからなる群より選択される。この実施態様の別のクラスにおいては、各Rは、ハロゲンである。このクラスの1つのサブクラスにおいては、Rは:ブロモ、クロロ及びフルオロからなる群より選択される。このクラスの別のサブクラスにおいては、Rは、フルオロである。
【0047】
本発明の別の実施態様においては、mは、0、1又は2である。この実施態様の1つのクラスにおいては、sは、1又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0又は1である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、0である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、mは、2である。
【0048】
本発明の別の実施態様においては、nは、0、1、2、3又は4である。この実施態様の1つのクラスにおいては、nは、0、1又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、0又は1である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、1又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、0又は2である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、0である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、1である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、2である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、3である。この実施態様の別のクラスにおいては、nは、4である。
【0049】
本発明の別の実施態様においては、式I及び式II[式中:Rは:フェニル、ピラゾール、テトラゾール及びオキサジアゾールからなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;Rは、存在する場合には:水素、−C1−10アルキル、−C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−及び−C0−4アルキル−COからなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ水素であり;かつRは:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される]の化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0050】
本発明の別の実施態様においては、式I及び式II[式中:Rは:ピラゾール及びオキサジアゾールからなる群より選択され、ここで、ピラゾール及びオキサジアゾールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;Rは、存在する場合には:水素及び−C1−10アルキルからなる群より選択され、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ水素であり;Rは:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルは、未置換であるか又は:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;かつR12は:オキソ及び−O−C1−10アルキルからなる群より選択される]の化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0051】
本発明の別の実施態様においては、式I及び式II[式中:Rは:ピラゾールであり、ここで、ピラゾールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;Rは、−C1−10アルキルであり、ここで、アルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ水素であり;Rは、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジン−2−イルは、未置換であるか又は独立して:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;かつR12は、オキソである]の化合物又は薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0052】
本発明の別の実施態様においては、で印づけした不斉炭素原子において、指示したR立体化学的配置を有する構造式II:
【0053】
【化3】

の化合物が提供される。
【0054】
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ia:
【0055】
【化4】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0056】
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ib:
【0057】
【化5】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0058】
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ic:
【0059】
【化6】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0060】
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Id:
【0061】
【化7】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0062】
本発明の別の実施態様においては、本発明は、構造式Ie:
【0063】
【化8】

の化合物又は薬学的に許容されるその塩に関する。
【0064】
SSTR3のアンタゴニストとして有用な本発明の化合物の、例示的であるが限定されない例は、以下のベータ−カルボリン:
【0065】
【化9−1】

【0066】
【化9−2】

【0067】
【化9−3】

【0068】
【化9−4】

【0069】
【化9−5】

及び、薬学的に許容されるその塩である。
【0070】
SSTR3の阻害剤として有用な本発明の化合物のさらなる例は、以下:
【0071】
【化10】

の化合物及び薬学的に許容されるその塩である。
【0072】
本明細書に定義されたSSTR3は、インスリン分泌に影響を及ぼすため及びベータ細胞の量を評価するための標的である。グルコース刺激によるインスリン分泌は、SSTR3の発現を止めることにより、またSSTR3選択的アンタゴニストの使用によって刺激されることが判明した。インスリンの重要な生理作用は、血糖グルコースレベルを低減することである。本出願に開示したように、SSTR3を標的とすることは、治療的応用、診断的応用及び可能な治療法の評価を含む異なった用途がある。
【0073】
ソマトスタチンは、7つの膜貫通型(TM)ドメインG−タンパク質結合受容体のファミリーによって媒介される広いスペクトルの生物効果を及ぼすホルモンである(ラルー(Lahlou)ら、「Ann.N.Y.Acad.Sci.」、2004年、第1014巻、p.121−131、ライジン(Reisine)ら、「Endocrine Review」、1995年、第16巻、p.427−442)。ソマトスタチンの主要な活性型は、ソマトスタチン−14及びソマトスタチン−28である。ソマトスタチン−14は、環式テトラデカペプチドである。ソマトスタチン−28は、ソマトスタチン−14の延長型である。
【0074】
ソマトスタチンサブタイプ受容体3(SSTR3)は、ソマトスタチン応答性の関連するG−タンパク質受容体サブタイプの5つのうちの3番目である。他の受容体は、ソマトスタチンサブタイプ受容体1(SSTR1)、ソマトスタチンサブタイプ受容体2(SSTR2)、ソマトスタチンサブタイプ受容体4(SSTR4)及びソマトスタチンサブタイプ受容体5(SSTR5)である。5つの異なるサブタイプは、異なる染色体上に分離された別々の遺伝子によってコードされている(パテル(Patel)ら、「Neuroendocrinol.」、1999年、第20巻、p.157−198)。5つの受容体サブタイプは全て、ソマトスタチン−14及びソマトスタチン−28に、低ナノモル親和性をもって結合する。ソマトスタチンへのリガンド結合ドメインは、TMsIII−VII中の残基からなり、2番目の細胞外ループによる位置的寄与がある。ソマトスタチン受容体は、多くの組織において、しばしば同一細胞内に共存する多数のサブタイプとして、広く発現される。
【0075】
5つの異なるソマトスタチン受容体は、全て、百日咳毒素(pertussin−toxin)感受性タンパク質(Gαi1−3)によるアデニル酸シクラーゼの阻害に機能的に共役している(Lahlouら、「Ann.N.Y.Acad.Sci.」、2004年、第1014巻、p.121−131)。ソマトスタチンに誘導されるペプチド分泌の阻害は、主として、細胞内Ca2+の減少から生じる。
【0076】
ソマトスタチン効果の広いスペクトルの中で、いくつかの生物応答が、様々な受容体サブタイプ選択性によって同定されてきた。これらは、SSTR2及びSSTR5によって媒介される成長ホルモン(GH)分泌、SSTR1及びSSTR5によって媒介されるインスリン分泌、SSTR2によって媒介されるグルカゴン分泌及びSSTR2によって媒介される免疫応答を含む(Patelら、「Neuroendocrinol.」、1999年、第20巻、p.157−198;クライダー(Crider)ら、「Expert Opin.Ther.Patents」、2003年、第13巻、p.1427−1441)。
【0077】
様々な生物からの様々なソマトスタチン受容体配列が、当該技術分野において周知である(例えば、Reisineら、「Endocrine Review」、1995年、第16巻、p.427−442参照)。ヒト、ラット及びマウスのSSTR3配列及びコードする核酸配列は、配列番号3(ヒトSSTR3 cDNA gi|44890055|ref|NM 001051.2|CDS 526..1782);配列番号4(ヒトSSTR3 AA gi|4557861|ref|NP 001042.1|);配列番号5(マウスSSTR3 cDNA gi|6678040|ref|NM 009218.1|CDS 1..1287);配列番号6(マウスSSTR3 AA gi|6678041|ref|NP 033244.1);配列番号7(ラットSSTR3 cDNA gi|19424167|ref|NM 133522.1|CDS 656..1942);配列番号8(ラットSSTR3 A gi|19424168|ref|NP 598206.1)に提供されている。
【0078】
SSTR3アンタゴニストは、SSTR3及びSSTR3をコードしている核酸を用いて同定し得る。適切なアッセイは、SSTR3への結合についてSSTR3アゴニストと競合する化合物を検出すること、及びSSTR3の細胞活性又は生理関連活性に対する、化合物の機能効果を測定することを包含する。SSTR3の細胞活性は、cAMP阻害、ホスホリパーゼC増大、チロシンホスファターゼ増大、内皮酸化窒素シンターゼ(eNOS)低減、Kチャンネル増大、Na/H交換低減及びERK低減を包含する(Lahlouら、「Ann.N.Y.Acad.Sci.」、2004年、第1014巻、p.121−131)。機能上の活性は、SSTR3を発現する細胞系を使用すること、及び、1つ以上のSSTR3活性に対する化合物の効果を測定することで測定し得る(例えば、ポワトゥ(Poitout)ら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000;ホカート(Hocart)ら、「J.Med.Chem.」、1998年、第41巻、p.1146−1154)。
【0079】
SSTR3結合アッセイは、ソマトスタチンを標識し、及び化合物のソマトスタチン結合阻害能を測定することにより実施し得る(Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000;Hocartら、「J.Med.Chem.」、1998年、第41巻、p.1146−1154)。化合物の受容体への結合を測定するためのさらなるフォーマットは、当該技術分野において周知である。
【0080】
SSTR3阻害についての生理関連活性は、インスリン分泌を刺激することである。インスリン分泌の刺激は、インビトロ又はインビボで評価し得る。
【0081】
SSTR3アンタゴニストは、実験的に又は入手可能な情報に基づき同定し得る。多種多様なSSTR3アンタゴニストが、当該技術分野において周知である。かかるアンタゴニストの例は、ペプチドアンタゴニスト、β−カルボリン誘導体及びデカヒドロイソキノリン誘導体を包含する(Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000、Hocartら、「J.Med.Chem.」、1998年、第41巻、p.1146−1154、ルービ(Reubi)ら、「PNAS」、2000年、第97巻、p.13973−13978、バンジガー(Banziger)ら、「Tetrahedron:Assymetry」、2003年、第14巻、p.3469−3477、Criderら、「Expert Opin.Ther.Patents」、2003年、第13巻、p.1427−1441、トロクスラー(Troxler)ら、国際公開番号WO02/081471、国際公開日2002年10月17日)。
【0082】
アンタゴニストは、SSTR3への結合能(Ki)及びSSTR3活性に影響を及ぼす能力(IC50)、並びに、SSTR3への選択的結合能及びSSTR3活性に選択的に影響を及ぼす能力に基づきキャラクタライズし得る。好適なアンタゴニストは、強力かつ選択的にSSTR3に結合し、かつSSTR3活性を阻害する。
【0083】
SSTR3結合に関する様々な実施態様において、アンタゴニストは600未満、好ましくは100未満、さらに好ましくは50未満、なおさらに好ましくは25未満又はなおさらに好ましくは10未満のKi(nM)を有する。Kiは、Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000によって記載されたように、また本明細書に記載されたように測定し得る。
【0084】
選択的SSTR3アンタゴニストは、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5に結合するよりも少なくとも10倍強くSSTR3に結合する。選択的SSTR3結合に関する様々な実施態様において、該アンタゴニストは、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5の各々に対し、1000より高く、好ましくは2000nMより高いKiで結合し、及び/又はSSTR3に対し、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5に結合するよりも少なくとも40倍、さらに好ましくは少なくとも100倍又はさらに好ましくは少なくとも500倍結合する。
【0085】
SSTR3活性に関する別の実施態様においては、アンタゴニストは、600未満、好ましくは100未満、さらに好ましくは50未満又はさらに好ましくは10nM未満のIC50(nM)を有する。IC50は、Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.29900−3000によって記載されたように、SSTR3を発現するCHO−K1細胞において、フォルスコリン(1μM)によるソマトスタチン−14誘導性のcAMP蓄積の低減の抑制を測定することにより定量し得る。
【0086】
好ましいアンタゴニストは、好ましいか又はさらに好ましいKi、好ましいか又はさらに好ましいIC50及び好ましいか又はさらに好ましい選択性を有する。さらに好ましいアンタゴニストは、25未満のKi(nM)を有し;SSTR3に対し、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5に比較して少なくとも100倍選択的であり;かつ50未満のIC50(nM)を有する。
【0087】
オキサジアゾール環系がR12置換基で置換されている本発明のβ−カルボリン化合物は、ナトリウム及び他のイオンチャンネルに対しより低い親和性をもつことが判明しており、したがって、SSTR3のより良好な選択的アンタゴニストである。この選択性は、本発明の化合物の、心臓血管系及び他の副作用の可能性を低減することが期待される。
【0088】
米国特許第6,586,445号は、β−カルボリン誘導体を、多くの疾患の治療に有用であることが示されたソマトスタチン受容体アンタゴニスト及びナトリウムチャンネル遮断薬として開示している。
【0089】
米国特許第6,861,430号はまた、β−カルボリン誘導体を、抑うつ、不安及び双極性障害の治療のためのSSTR3アンタゴニストとして開示している。
【0090】
別の一連の例は、Poitoutら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.2990−3000において提供された化合物をベースとするイミダゾリルテトラヒドロ−β−カルボリン誘導体である。
【0091】
選択的SSTR3アンタゴニストであるデカヒドロイソキノリン誘導体は、Banzigerら、「Tetrahedron:Assymetry」、2003年、第14巻、p.3469−3477に開示されている。
【0092】
「アルキル」並びに接頭語「alk」をもつ他の基、例えばアルコキシ、アルカノイルは、直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを包含する。
【0093】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、かつ直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどを包含する。
【0094】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、かつ直鎖若しくは分枝鎖又はそれらの組合せであってもよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを包含する。
【0095】
「シクロアルキル」は、それぞれが3ないし10個の炭素原子を有する、単環若しくは二環式又は架橋された飽和炭素環を意味する。この用語はまた、アリール基に縮合した単環式環を包含し、その結合点は非芳香族部分上である。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどを包含する。
【0096】
「アリール」は、炭素原子のみを含有する単環又は二環式の芳香環を意味する。この用語はまた、単環式シクロアルキル又は単環式シクロヘテロアルキル基に縮合したアリール基も包含し、その結合点は芳香族部分上である。アリールの例は、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニルなどを包含する。
【0097】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含有する、芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。したがって「ヘテロアリール」は、他種の環、例えばアリール、シクロアルキル及び芳香族ではない複素環へ縮合されたヘテロアリールを包含する。ヘテロアリール基の例は、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル(ピリジニル)、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、1,3−ベンゾジオキソリル、ベンゾ−1,4−ジオキサニル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどを包含する。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基については、3ないし15個の原子を含有し、1ないし3個の環を生成する環及び環系が包含される。
【0098】
「シクロヘテロアルキル」は、N、S及びOから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する、単環若しくは二環式又は架橋された飽和環を意味し、前記環の各々は、3ないし10個の原子を有し、その結合点は炭素又は窒素であってよい。この用語はまた、アリール又はヘテロアリール基へ縮合された単環式複素環も包含し、その結合点は、非芳香族部分上である。「シクロヘテロアルキル」の例は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリニル、2−H−フタラジニル、イソインドリニル、ベンゾオキサゼピニル、5,6−ジヒドロイミダゾ[2,1−b]チアゾリル、テトラヒドロキノリニル、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどを包含する。この用語はまた、芳香族ではない部分不飽和単環式環、例えば、窒素を介して結合した2−若しくは4−ピリドン又はN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)も包含する。この用語はまた、架橋環、例えば、5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル及び3−アザビシクロ[3.2.2]ノニル及びアザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルを包含する。シクロヘテロアルキル環は、環炭素及び/又は環窒素上で置換されてもよい。
【0099】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を包含する。
【0100】
「オキソ」により、官能基「=O」が意味され、これは、二重結合によって分子へ結合された酸素原子であり、例えば、(1)「C=(O)」、すなわちカルボニル基;(2)「S=(O)」、すなわちスルホキシド基、及び(3)「N=(O)」、すなわちN−オキシド基、例えばピリジル−N−オキシドなどである。
【0101】
「任意の変数(例えば、R、Rなど)が任意の構成成分において又は式Iにおいて2回以上出現する場合、その出現ごとの定義は、他の全ての出現におけるその定義とは独立している。また、置換基及び/又は変数の組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0102】
本開示全体を通して用いられる標準的な命名法のもとでは、指定された側鎖の末端部分が最初に記載され、続いて隣接する官能基が、結合点に向けて記載される。例えば、C1−5アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル置換基は、
【0103】
【化11】

と同等である。
【0104】
本発明の化合物を選択する際、当業者は、様々な置換基、すなわち、R、Rなどを、化学構造の結合性及び安定性についての周知の法則に準拠して選ぶべきであることを認識するであろう。
【0105】
用語「置換された」は、指名された置換基による複数の置換度を包含するものとする。多数の置換基成分が開示又はクレームされている場合、置換化合物は、独立して、1つ以上の開示又はクレームされた置換基成分により、単独又は複数で、置換されていてもよい。独立して置換された、により、(2つ以上の)置換基が、同一又は異なってもよいことが意味される。
【0106】
光学異性体−ジアステレオ異性体−幾何異性体−互変異性体
構造式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含有してもよく、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオ異性体混合物及び個々のジアステレオ異性体として存在してもよい。本発明は、構造式Iの化合物のかかる異性体型の全てを包含するものとする。
【0107】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶により、或いは光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーにより、個々のジアステレオ異性体へ分離してもよい。絶対立体化学は、必要に応じて、絶対立体配置が既知である不斉中心を含有する試薬を用いて誘導体化された、結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶解析によって測定してもよい。
【0108】
別法として、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体又は異性体を、絶対立体配置が既知である光学的に純粋な出発原料又は試薬を使用して、立体特異的に合成することによって得てもよい。
【0109】
所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーが単離されるようにしてもよい。分離は、当該技術分野において周知の方法によって行なってよく、例えば、化合物のラセミ混合物を、エナンチオマー的に純粋な化合物とカップリングさせてジアステレオ異性体混合物を生成した後、個々のジアステレオ異性体を、分別結晶又はクロマトグラフィーといった標準的な方法により分離してもよい。カップリング反応は、しばしば、エナンチオマー的に純粋な酸又は塩基を使用した塩の生成である。ジアステレオマー誘導体を、次に、付加されたキラル残基を切断することにより、純粋なエナンチオマーに変換してもよい。化合物のラセミ混合物はまた、キラル固定相を利用したクロマトグラフ法によって直接分離してもよく、この方法は当該技術分野において周知である。
【0110】
本明細書に記載された化合物のあるものは、オレフィン二重結合を含有しており、別段の指定がない限り、E及びZの双方の幾何異性体を含むことが意図されている。
【0111】
本明細書に記載された化合物のあるものは、1つ以上の二重結合のシフトに付随して異なる水素の結合点をもつ、互変異性体として存在してもよい。例えば、ケトン及びそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である、個々の互変異性体並びにそれらの混合物は、本発明の化合物に包含される。本発明の化合物に包含されることが意図されている互変異性体の例を、以下に例示する:
【0112】
【化12】

【0113】
構造式Iの化合物において、原子はそれらの天然同位体多数を呈してもよく、或いは1つ以上の原子を、同じ原子番号をもつが、原子質量又は質量数が自然界で主として見られる原子質量又は質量数とは異なる特定の同位体について人工的に増やしてもよい。本発明は、構造式Iの化合物の全ての適切な同位体変形物を包含するものとする。例えば、水素(H)の異なる同位体型は、プロチウム(H)及び重水素(H)を包含する。プロチウムは、自然界で見られる主な水素同位体である。重水素を強化することで、インビボの半減期が増加されるか又は必要投与量が低減されるといった、ある種の治療上の利点が得られることがあり、或いは生物試料のキャラクタリゼーションのための標準物として有用な化合物を提供し得る。構造式Iの範囲内で同位体を強化された化合物は、当業者に周知の通常の技術又は本明細書のスキーム及び実施例に記載されたものに類似のプロセスにより、適切に同位体富化された試薬及び/又は中間体を用いることで、過度の実験を伴わずに調製し得る。
【0114】

本明細書で用いる場合、構造式Iの化合物についての記載はまた、薬学的に許容される塩も包含し、また薬学的に許容されない塩も、それらが遊離化合物若しくは薬学的に許容される塩の前駆物質として又は他の合成操作において使用される場合には包含することが理解されるであろう。
【0115】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与し得る。用語「薬学的に許容される塩」は、無機又は有機塩基及び無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。用語「薬学的に許容される塩」の範囲に含まれる塩基性化合物の塩は、一般に遊離塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより調製される本発明の化合物の非毒性の塩を指す。本発明の塩基性化合物の代表的な塩は、これに限定されないが、以下を包含する:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオダイド及び吉草酸塩を包含する。さらに、本発明の化合物が酸性基をもつ場合、適切な薬学的に許容されるその塩は、これに限定されないが、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む、無機塩基から誘導される塩を包含する。特に好適であるのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される非毒性有機塩基から誘導される塩は、第一級、第二級及び第三級のアミンの塩、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0116】
本発明の化合物中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、カルボン酸誘導体の薬学的に許容されるエステル、例えばメチル、エチル又はピバロイルオキシメチル、或いはアルコールのアシル誘導体、例えば、O−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシルを使用してもよい。含まれるのは、徐放又はプロドラッグ製剤としての使用に向けて溶解性又は加水分解特性を修飾するための、当該技術において公知のエステル及びアシル基である。
【0117】
酢酸エチル溶媒和物を含み、これに限定されない溶媒和物、特に、構造式Iの化合物の水和物も同様に本発明に包含される。
【0118】
本発明を例示するのは、実施例及び本明細書において開示された化合物の使用である。
【0119】
有用性
本明細書に開示された化合物は、ソマトスタチンサブタイプ受容体3(SSTR3)の強力かつ選択的なアゴニストである。該化合物は、一般にはアンタゴニストであるSSTR3リガンドにより調節される疾患の治療において有効である。これらの疾患の多くは、以下に要約される。
【0120】
以下の疾患の1つ以上を、治療有効量の式Iの化合物又は薬学的に許容されるその塩の、治療を要する患者への投与によって治療し得る。また、式Iの化合物を、これらの疾患の1つ以上を治療するための薬剤の製造に使用してもよい:
(1)非インスリン依存型糖尿病(2型糖尿病);
(2)高血糖症;
(3)メタボリックシンドローム;
(4)肥満;
(5)高コレステロール血症;
(6)高トリグリセリド血症(トリグリセリドリッチリポタンパク質のレベル上昇);
(7)混合型又は糖尿病性脂質異常症;
(8)低HDLコレステロール;
(9)高LDLコレステロール;
(10)高アポBリポタンパク質血症、及び
(11)アテローム性動脈硬化症。
【0121】
該化合物の使用の1つの実施態様は、治療を要する患者へ治療有効量を投与することによる、以下の疾患の1つ以上を治療することに関する。化合物は、これらの疾患の1つ以上を治療するための薬剤の製造に使用してもよい:
(1)2型糖尿病;
(2)高血糖症;
(3)メタボリックシンドローム;
(4)肥満、及び
(5)高コレステロール血症。
【0122】
該化合物は、糖尿病患者及びグルコース耐性に障害がある、及び/又は前糖尿病状態にある非糖尿病患者において、グルコース及び脂質の低下に有効であることが予想される。化合物は、糖尿病又は前糖尿病患者においてしばしば発生する高インスリン血症を、これらの患者においてしばしば発生する血清グルコースレベルの揺れを調節することによって改善し得る。該化合物はまた、インスリン抵抗性の治療又は低減に有用であり得る。化合物は、妊娠性糖尿病の治療又は予防に有用であり得る。
【0123】
本明細書に記載された化合物、組成物及び薬剤はまた、メタボリックシンドロームに付随する有害な後遺症のリスクを低減することにおいて、またアテローム性動脈硬化症を発症するリスクを低減すること、アテローム性動脈硬化症の開始を遅らせること及び/又はアテローム性動脈硬化症の後遺症のリスクを低減することにおいても有用であり得る。アテローム性動脈硬化症の後遺症は、アンギナ、跛行、心臓発作、卒中などを包含する。
【0124】
高血糖症を管理下で維持することにより、化合物はまた血管再狭窄及び糖尿病性網膜症
の遅延又は予防にも有効であり得る。
【0125】
本発明の化合物はまた、β−細胞機能を改善又は回復させることにおいても有用であり得ることから、1型糖尿病の治療において又は2型糖尿病の患者のインスリン療法の必要性を遅らせるか又は予防する上でも有用であり得る。
【0126】
化合物は一般に、以下の疾患の1つ以上の治療において有効であり得る:(1)2型糖尿病(非インスリン依存型糖尿病又はNIDDMとしても知られる)、(2)高血糖症、(3)グルコース耐性障害、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)脂質異常症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(14)血管再狭窄、(15)腹部肥満、(16)網膜症、(17)メタボリックシンドローム、(18)高血圧、及び(19)インスリン抵抗性。
【0127】
本発明の1つの態様は、混合型又は糖尿病性脂質異常症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症の治療及び管理のための方法であって、式Iをもつ化合物の治療有効量をかかる治療を要する患者に投与することを含む方法を提供する。化合物は、単独で用いてもよく又はコレステロール生合成阻害剤、特にHMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えば、ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン又はZD−4522と共に都合よく投与してもよい。化合物はまた、他の脂質低下薬、例えばコレステロール吸収阻害剤(例えば、スタノールエステル、ステロールグリコシド(例えばチクエシド)及びアゼチジノン(例えばアゼチミベ))、ACAT阻害剤(例えばアバシミベ)、CETP阻害剤(例えばトルセトラピブ及び出願公開WO2005/100298、WO2006/014413及びWO2006/014357に記載されたもの)、ナイアシン及びナイアシン受容体アゴニスト、胆汁酸金属イオン封鎖剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤及び胆汁酸再取り込み阻害剤と組合せて都合よく使用してもよい。これらの併用治療は:高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高LDL及び低HDLからなる群より選択される1つ以上の関連症状の、治療又は管理に有用であり得る。
【0128】
投与及び投与範囲
任意の適切な投与経路を用いて、本発明の化合物の有効量を、哺乳類、特にヒトへ与えてよい。例えば、経口、経直腸、局所、非経口、経眼、経肺、経鼻などを用いてもよい。剤形は、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどを包含する。好ましくは、式Iの化合物は、経口投与される。
【0129】
使用される活性成分の有効薬量は、用いる特定の化合物、投与の様式、治療される症状及び治療される症状の重篤度に依存して変更し得る。かかる薬与量は、当業者により容易に確認し得る。
【0130】
糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症又は式Iの化合物が適応される疾患を治療又は管理する場合、一般的に満足の行く結果は、本発明の化合物を、動物の体重キログラム当たり、約0.1ミリグラムないし約100ミリグラムの一日用量で、好ましくは、単回の一日用量として又は1日2ないし6回の分割用量で、或いは徐放性の形態で投与される場合に得られる。ほとんどの大型哺乳類では、合計一日用量は、約1.0ミリグラムないし約1000ミリグラムである。70kgの成人の場合、合計一日用量は、一般に約1ミリグラムないし約500ミリグラムであろう。特に強力な化合物では、成人への投薬量は、0.1mgのような低さでもよい。ある場合には、日用量は1グラムの量でもよい。投与レジメは、この範囲内で調整されるか又は最適な治療応答を得るためには、この範囲外であってもよい。
【0131】
経口投与は通常、錠剤又はカプセルを用いて行なわれるであろう。錠剤又はカプセル中の薬量の例は、0.1mg、0.25mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg及び750mgである。他の経口製剤もまた、同じか又は同様の薬用量でよい。
【0132】
医薬組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、式Iの化合物又は薬学的に許容される塩を活性成分として、並びに、薬学的に許容される担体及び代用しないか又は他の治療成分を含む。用語「薬学的に許容される塩」は、無機塩基又は酸及び有機塩基又は酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩を指す。プロドラッグが投与される場合、医薬組成物はまた、プロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を含んでもよい。
【0133】
組成物は、経口、経直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)、経眼(眼内)、経肺(経鼻又はバッカル吸入)又は経鼻投与を包含するが、いかなる所与の場合においても、最適な経路は、治療される症状の性質及び重篤度、及び活性成分の性質に依存するであろう。それらは、単位剤形の状態で便利に提供してもよく、調剤の分野で周知の任意の方法によって調製される。
【0134】
実際の使用では、式Iの化合物は、均質な混合物中の活性成分として、通常の製薬調剤技術に従って薬学的に許容される担体と合わせてもよい。担体は、投与、例えば、経口又は非経口(静脈内を含む)のために所望される製剤形態に依存して、広く多様な形態をとってよい。経口剤形としての組成物の調製においては、任意の通常の薬学的媒体を用いてよく、例えば、懸濁液、エリキシル及び溶液といった経口用液体製剤の場合では、例えば、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、着色剤などが;又は、粉末、硬及び軟カプセル及び錠剤といった経口用固形製剤の場合では、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などといった担体を用いてもよく、液体製剤よりも固形経口製剤が好ましい。
【0135】
投与しやすさという理由から、錠剤及びカプセルが最も有利な経口用の単位剤形であり、この場合、明らかに固体の薬学的担体が使用される。所望であれば、錠剤を標準的な水性又は非水性の技術によってコートしてもよい。かかる組成物及び製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有するべきである。これらの組成物中の活性化合物のパーセントは、当然のことながら異なってもよく、単位重量の約2パーセントないし約60パーセントが便利であろう。かかる治療に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な薬量が得られるような量である。活性化合物はまた、例えば、点鼻液又はスプレーとして鼻腔内に投与してもよい。
【0136】
錠剤、ピル、カプセルなどはまた、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤;リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤及びスクロース、ラクトース又はサッカリンなどの甘味剤を含有してもよい。単位剤形がカプセルである場合には、上記のタイプの物質に加えて、脂肪油などの液体担体が含まれていてもよい。
【0137】
ある例では、投与される化合物又は塩の溶解性に依存して、化合物又は塩を、1つ以上の中鎖脂肪酸のトリグリセリドなどの油、トリアセチンなどの親油性溶媒、親水性溶媒(例えば、プロピレングリコール)又はこれらの2つ以上の混合物中の溶液として、また代用しないか又は1つ以上のイオン性若しくは非イオン性界面活性剤を含むもの、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリエトキシル化されたトリグリセリド、及び、1つ以上の中鎖脂肪酸のモノ及び/又はトリグリセリドと処方することも有利であろう。界面活性剤(特に2つ以上の界面活性剤)を含有する溶液は、水と接触してエマルジョン又はマイクロエマルジョンを生成する。化合物はまた、水溶性ポリマー中に製剤されてもよく、これにおいて化合物は、ホットメルトエクストルージョン及び噴霧乾燥といった方法により、アモルファス相として分散されており、かかるポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCS)及びポリビニルピロリドンを、ホモポリマー及びコポリマーを含めて包含する。
【0138】
様々な他の物質が、コーティングとして又は単位剤形の物理的形態を修飾するため存在し得る。例えば、錠剤を、セラック、糖又はその双方でコートしてもよい。シロップ又はエリキシルは、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロースを、保存剤としてメチル及びプロピルパラベンを、色素及び着香剤、例えばチェリー又はオレンジフレーバーを含有してもよい。
【0139】
式Iの化合物はまた、非経口的に投与してもよい。これらの活性化合物の溶液又は懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリソルベート80及び中鎖及び長鎖脂肪酸のモノ及びトリグリセリドなどのような界面活性剤又は界面活性剤の混合物と適宜混合されて水中で調製し得る。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの油中混合物中に調製してもよい。通常の貯蔵及び使用条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するため、保存剤を含有する。
【0140】
注射用の用途に適した薬剤形態は、無菌の水溶液又は分散剤、及び無菌の注射用溶液又は分散剤の即時調製のための無菌の粉末を包含する。あらゆる場合に、形状は無菌でなければならず、注射容易性(easy syringability)が存在する程度に流体でなければならない。それは、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌といった微生物の汚染作用に対抗して保存されねばならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、それらの適当な混合物及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であってよい。
【0141】
併用療法
式Iの化合物を、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善にも有用であってよい他の薬剤と、組合せて使用してもよい。かかる他の薬剤は、それらについて一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時又は逐次に投与されてよい。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、メタボリックシンドローム及びこれらの疾患に付随する並存疾患をもつ患者の治療では、一般に2つ以上の薬剤が投与される。本発明の化合物は、一般に、これらの症状用に既に1つ以上の他の薬剤を取り入れている患者へ投与してもよい。化合物はしばしば、既に1つ以上の抗糖尿病化合物、例えばメトホルミン、スルホニル尿素及び/又はPPARアゴニストで治療されている患者に、患者の血糖レベルが治療に対し適切に応答しない場合に投与される。
【0142】
式Iの化合物が1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、かかる他の薬剤と式Iの化合物とを含有する単位剤形の医薬組成物が好ましい。しかしながら、併用療法はまた、式Iの化合物と1つ以上の他の薬剤とが、重複する別々のスケジュールで投与される療法も包含する。また、1つ以上の他の薬剤と組合せて使用する場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれが単独で使用される場合よりも低用量で使用し得ることが予想される。しがたって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物に加えて1つ以上の他の活性成分を含有するものを包含する。
【0143】
式Iの化合物と組合せて投与してもよく、また別々か又は同じ医薬組成物中のいずれかで投与される他の活性成分の例は、これに限定されないが:
(a)グリタゾン類及び非グリタゾン類双方を含む、PPARガンマアゴニスト及び部分アゴニスト(例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512、LY−818及びWO02/08188、WO2004/020408及びWO2004/020409に開示された化合物)、
(b)ビグアニド類、例えばメトホルミン及びフェンホルミン;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤、例えば、シタグリプチン、サキサグリピン、ビルダグリプチン及びアログリプチン;
(e)インスリン又はインスリン疑似物質;
(f)スルホニル尿素、例えば、トルブタミド、グリメピリド、グリピジド及び関連物質;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボース);
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤、例えば(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン類)、(ii)胆汁酸金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体);(iii)ナイアシン受容体アゴニスト、ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブロン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)、(v)コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミベ、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、例えばアバシミベ、(vii)CETP阻害剤、例えばトルセトラピブ、及び(viii)フェノール系酸化防止剤、例えばプロブコール;
(i)PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、ムラグリタザール、テサグリタザール、ファルグリタザール及びJT−501;
(j)PPARγアゴニスト、例えば、WO97/28149に開示されたもの;
(k)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デキシフェンフルラミン、フェンテルミン、スビトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY Y5阻害剤、MC4Rアゴニスト、カンナビノイド受容体1(CB−1)アンタゴニスト/インバースアゴニスト(例えば、リモナバント及びタラナバント)及びβ3−アドレナリン受容体アゴニスト;
(l)回腸胆汁酸輸送阻害剤;
(m)炎症性症状における使用を意図した薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド抗炎症剤、グルココルチコイド、アズルフィジン及びシクロオキシゲナーゼ(COX−2)選択的阻害剤;
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)GLP−1類似体及び誘導体、例えばエキセンジン(例えば、エクセナチド及びリラグリチド(liruglatide)、及び
(r)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ−1(HSD−1)阻害剤、
を包含する。
【0144】
上記の組合せは、本発明の化合物と、他の1つの活性化合物のみならず、2つ以上の他の活性化合物との組合せも包含する。限定されない例は、式Iの化合物と、ビグアニド類、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、他のPPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DPP−4阻害剤及びカンナビノイド受容体1(CB1)インバースアゴニスト/アンタゴニストから選択される2つ以上の活性化合物との組合せを包含する。
【0145】
生物学的アッセイ
ソマトスタチンサブタイプ受容体3産生
SSTR3は、化学合成を含むもの及び組換え産生を含むものを包含する、当該技術分野において周知の方法を用いて産生し得る。(例えば、ビンセント(Vincent)、「Peptide and Protein Drug Delivery」、New York,N.Y.,Decker、1990年;「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley、1987−2002及びサンブルック(Sambrook)ら、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual」第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989年を参照)。
【0146】
タンパク質を産生するための組換え核酸技術は、タンパク質をコードしている組換え遺伝子を細胞内で導入すること又は産生すること及びタンパク質を発現させることを包含する。精製されたタンパク質を、細胞から取得し得る。別法として、細胞又は細胞抽出物中のタンパク質の活性を評価し得る。
【0147】
組換え遺伝子は、タンパク質をコードする核酸を、タンパク質発現のための調節エレメントと共に含有する。組換え遺伝子は、細胞ゲノム中に存在してもよく又は発現ベクターの一部であってもよい。
【0148】
組換え遺伝子の一部として存在し得る調節エレメントは、タンパク質コード配列に天然に結合しているもの及びタンパク質コード配列に天然には結合していない外来の調節エレメントを包含する。外来プロモーターなどの外来の調節エレメントは、組換え遺伝子を特定の宿主内で発現させるため又は発現レベルを増大するために有用であってよい。一般に、組換え遺伝子中に存在する調節エレメントは、転写プロモーター、リボソーム結合部位、ターミネーター及び代用しないか又は既存のオペレーターを包含する。真核細胞におけるプロセシングに好適なエレメントは、ポリアデニル化シグナルである。
【0149】
細胞内での組換え遺伝子の発現は、発現ベクターの使用により促進される。好ましくは、発現ベクターは、組換え遺伝子に加えて、宿主細胞内での自律的複製のための起点、選択可能なマーカー、数の限定された有用な制限酵素部位及び高いコピー数のための潜在能力も含有する。発現ベクターの例は、クローニングベクター、修飾されたクローニングベクター、特別に設計されたプラスミド及びウィルスである。
【0150】
所望であれば、特定の宿主細胞中での発現を、コドン最適化によって増強し得る。コドン最適化は、より好適なコドンの使用を包含する。様々な宿主におけるコドン最適化のための技術は、当該技術分野において周知である。
【0151】
単離されたマウス島細胞におけるSSTR3アンタゴニストによるグルコース依存性インスリン分泌(GDIS)の増強:
膵臓のランゲルハンス島を、正常なC57BL/6Jマウス(Jackson Laboratory,Maine)から、コラゲナーゼ消化及び不連続なフィコール勾配での分離、すなわちラシー(Lacy)及びコスチアノフスキー(Kostianovsky)の方法(Lacyら、「Diabetes」、1967年、第16巻、p.35−39)の原法の修飾法によって単離した。島は、GDISアッセイに先立ち、RPMI1640培地(11mM グルコース)中で一晩培養した。
【0152】
GDISを測定するためには、島をまず、2mM グルコースを加えたクレブス−リンガー重炭酸(KLB)バッファ中で、30分間プレインキュベートした(ペトリ皿で)。KRB培地は、143.5mM Na、5.8mM K、2.5mM Ca2+、1.2mM Mg2+、124.1mM Cl、1.2mM PO3−、1.2mM SO2+、25mM CO2−、2mg/mL ウシ血清アルブミン(pH7.4)を含有する。次に、島を96ウェルプレートに移し(1島/ウェル)、2又は16mM グルコース及び検査するべき他の薬剤、例えばオクトレオチド及びSSTR3アンタゴニストを加えたKRBバッファ 200μl中で、37℃で60分間インキュベートした(シュウ(Zhou)ら、「J.Biol.Chem.」、2003年、第278巻、p.51316−51323)。インスリンは、インキュベーションバッファのアリコート中で、ELISAにより、市販のキット(ALPCO Diagnostics,Windham,NH)を用いて測定した。
【0153】
SSTR結合アッセイ:
SSTRの全5種のサブタイプについての受容体−リガンド結合アッセイは、クローンされたヒトソマトスタチン受容体を安定に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)−K1細胞から単離した膜を用いて、96ウェルフォーマットにおいて、先に報告されたように実施した(ヤング(Yang)ら、「PNAS」、1998年、第95巻、p.10836−10841、ビルジン(Birzin)ら、「Anal.Biochem.」、2002年、第307巻、p.159−166)。
【0154】
SSTR1−SSTR5用の安定な細胞系は、全5種のSSTRのDNAで、リポフェクタミンを用いて安定にトランスフェクトすることにより発生させた。ネオマイシン抵抗性クローンを選択し、400μg/mLのG418を含有する培地中に維持した(ローラー(Rohrer)ら、「Science」、1998年、第282巻、p.737−740)。結合アッセイは、(3−125I−Tyr11)−SRIF−14を、放射性リガンド(0.1nMで使用)として、またPackard Unifilterアッセイプレートを使用して実施した。アッセイバッファは、1mM EGTA、5mM MgCl、ロイペプチン(10μg/mL)、ペプスタチン(10μg/mL)、バシトラシン(200μg/mL)及びアプロチニン(0.5μg/mL)を加えた50mM トリスHCl(pH7.8)から構成した。CHO−K1細胞膜、放射標識されたソマトスタチン及び未標識の試験化合物を、このアッセイバッファ中に再懸濁又は希釈した。未標識の試験化合物は、0.01から10,000nMまでの濃度範囲にわたって調べた。化合物のKi値は、チャン(Cheng)及びプルソフ(Prusoff)、「Biochem Pharmacol.」、1973年、第22巻、p.3099−3108によって記載された通り測定した。
【0155】
本発明の化合物、特に実施例1−59の化合物を、SSTR3結合アッセイにおいて試験し、表1に示したように、SSTR3に対し600nMないし0.1nMの範囲のKi値をもつことが判明し、また、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5受容体に対し100nMより大きいKi値をもつことが判明した。本発明の好適な化合物は、SSTR3に対し100nMないし0.1nMの範囲のKi値をもつことが判明し、また、SSTR1、SSTR2、SSTR4及びSSTR5受容体に対し100nMより大きいKi値をもつことが判明した。
【0156】
SSTR3媒介サイクリックAMP産生の阻害を評価するための機能アッセイ
様々な親和性をもつヒト及びマウスSSTR3に結合する化合物の受容体の機能活性に対する効果を、SSTR3発現性のCHO細胞において、フォルスコリン(FSK)のみ又はFSKプラスSS−14の存在下でcAMP産生を測定することにより評価した。FSKは、アデニル酸シクラーゼを活性化することによりこれらの細胞内でcAMP産生を誘導するべく作用するのに対し、SS−14は、SSTR3に結合すること及びそれに続き、GTP結合タンパク質のαサブユニット(Gαi)を介してアデニル酸シクラーゼを阻害することにより、SSTR3安定細胞においてcAMP産生を抑制する。
【0157】
化合物のアゴニズム活性を測定するため、本発明者らはヒト又はマウスのSSTR3安定CHO細胞を、化合物と共に15分間プレインキュベートし、続いて3.5μM FSKと共に細胞を1時間インキュベートした(化合物は継続して存在)。インキュベーションの間に産生されたcAMPの量を、Lance cAMPアッセイキット(PerkinElmer,CA)により、製造業者の指示に従って定量した。本出願において記載された化合物の大半は、全く又は殆どアゴニズム活性を示さない。それ故本発明者らは、各化合物のアゴニズム活性を表わすため、%活性化を用いた。%活性化は、以下の式を用いて計算した:
【0158】
【数1】

【0159】
化合物のアンタゴニズム活性を測定するため、本発明者らはヒト又はマウスのSSTR3安定CHO細胞を、化合物と共に15分間プレインキュベートし、続いて3.5μM FSKと+100nM SS−14の混合物と共に細胞を1時間インキュベートした(化合物は継続して存在)。インキュベーションの間に産生されたcAMPの量をも、Lance cAMPアッセイにより定量した。各化合物のアンタゴニズム活性を、%阻害(SS−14作用を阻止するその最大能力)及びEC50値(100nM SS−14の作用を50%まで抑制するのに要する試験化合物の濃度)の双方で表わした。各化合物の%阻害は、以下の式を用いて計算した:
【0160】
【数2】

【0161】
ある場合には、20% ヒト血清を、機能アッセイのアンタゴニズム様式の間のインキュベーションバッファ中に含ませて、能力についての血清シフトを推定した。
【0162】
本発明の化合物、特に実施例1−59の化合物を、SSTR3機能アンタゴニストアッセイにおいて試験し、表1に示したように、2.5マイクロモル未満のEC50値をもつことが判明し、かつ80%を超える阻害であることが判明した。本発明の好ましい化合物は、SSTR3アンタゴニストアッセイにおいて、0.5マイクロモル未満のEC50値及び80%を超える阻害をもつことが判明した。本発明のさらに好ましい化合物は、SSTR3アンタゴニストアッセイにおいて、0.1マイクロモル未満のEC50値及び85%を超える阻害をもつことが判明した
【0163】
マウスにおけるグルコース耐性試験:
オスのC57BL/6Nマウス(7−12週齢)を、ケージ当たり10匹収容し、通常のげっ歯類用固形飼料及び水は自由摂取とする。マウスを、無作為に処理群に振り分け、4ないし6時間絶食させる。ベースライン血中グルコース濃度を、尾の切り傷の血液から、グルコメータにより測定する。次に動物を、ビヒクル(0.25% メチルセルロース)又は試験化合物で経口的に処理する。血中グルコース濃度を、処理(t=0分)後の設定された時間において測定し、次いでマウスにデキストロースを、腹腔内(2−3g/kg)又は経口的(3−5g/kg)に負荷する。ビヒクル処理マウスの1群には、食塩水をネガティブコントロールとして負荷する。血中グルコースレベルは、デキストロース負荷の20、40、60分後の尾出血から測定する。t=0からt=60分までの血中グルコースの排出プロフィールを用いて、曲線下面積(AUC)を各処理について積分する。各処理についてのパーセント阻害値を、食塩水を負荷したコントロールに対し標準化したAUCデータから作成する。同様のアッセイを、ラットにおいて行ない得る。本発明の化合物は、0.1ないし100mg/kgの範囲内の経口投与の後に活性がある。
【0164】

以下のスキーム及び実施例において使用される略語:
aq:水性;API−ES:大気圧イオン化−エレクトロスプレー(質量スペクトル用語);Ac:酢酸塩;AcCN:アセトニトリル;Boc:tert−ブチルオキシカルボニル;CeliteTM:珪藻土;CDI:カルボニルジイミダゾール;d:日;DCM:ジクロロメタン;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシラート;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン(ヒューニッヒ塩基);DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩;EPA:エチレンポリアクリルアミド(プラスチック);eq:当量;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;g:グラム;h又はhr:時間;Hex:ヘキサン;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC:高圧液体クロマトグラフィー;HPLC/MS:高圧液体クロマトグラフィー/質量スペクトル;in vacuo:減圧下でのロータリーエバポレーション;IBX:2−ヨードソ安息香酸;iPrOH又はIPA:イソプロピルアルコール;IPAC又はIPAc:酢酸イソプロピル;KHMDS:カリウムヘキサメチルジシラジド;L:リットル;LC:液体クロマトグラフィー;LC−MS:液体クロマトグラフィー−質量スペクトル;LDA:リチウムジイソプロピルアミド;M:モル濃度;Me:メチル;MeCN:シアン化メチル;MeI:ヨウ化メチル;MeOH:メタノール;MHz:メガヘルツ;mg:ミリグラム;min:分;ml又はmL:ミリリットル;mmol:ミリモル;MPLC:中圧液体クロマトグラフィー;MS又はms:質量スペクトル;MTBE:メチルtert−ブチルエーテル;N:規定:NaHMDS:ナトリウムヘキサメチルジシラジド;nm:ナノメーター;NMR:核磁気共鳴;NMM:N−メチルモルホリン;PyBOP:(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサヒドロホスファート;R:保持時間;rt又はRT:室温;satd:飽和した;SFC:超臨界液体クロマトグラフィー;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;TFAA:トリフルオロ酢酸無水物;THF:テトラヒドロフラン;TLC又はtlc:薄層クロマトグラフィー;Ts:トルエンスルホニル及びTsOH:トルエンスルホン酸。
【0165】
本発明の化合物を調製するためのいくつかの方法を、以下のスキーム及び実施例に例示する。出発原料は、市販されているか、或いは文献において公知の方法又は例示の通り調製される。本発明はさらに、上記記載の構造式Iの化合物を調製するためのプロセスを提供する。ある場合には、上記の反応スキームを実施する順序を変えて、反応を促進するか又は不要の反応生成物を回避してもよい。以下の実施例は、例示のみを目的として提供するものであり、開示された発明に対する限定として解釈されるべきものではない。すべての温度は、別に表示されない限り、摂氏温度である。
【0166】
【化13】

【0167】
スキーム1では、N−保護されたトリプトファン誘導体を、塩基の存在下でハロメチルケトンと反応させて、ケト−エステルを得る。Bを、酢酸アンモニウムと反応させることで、置換されたイミダゾールへ環化させる。次に、保護基を除去し;この例では、N−Boc基をトシル酸で除去して、ビス−トシラートを生じる。ケト−エステルを、Picter−Spenler反応においてと反応させて、テトラヒドロ−β−カルボリンを生成し、続いてこれをヒドラジン及びカルボニルイミダゾールと反応させて、1,3,4−オキサジアゾール−2−オンを生成する。を、塩基の存在下でハロゲン化アルキルと反応させて、N−置換1,3,4−オキサジアゾール−2−オンを得る。
【0168】
中間体1
(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート
【0169】
【化14】

【0170】
工程A2−クロロアセチル−5−フルオロピリジン
2−ブロモ−5−フルオロピリジン(50.0g、284mmol)(THF 200mL中)を、イソプロピルマグネシウムクロリド(THF中2M、284mL、568mmol)に、室温で25分間にわたり滴下添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。2−クロロ−N−メトキシ−N−メチルアセトアミドのTHF 150mL中の溶液を、室温で30分間にわたり、反応混合物に滴下添加した。混合物を、室温で一晩攪拌した。次に混合物を、2N HCl 500mLを加えた2000gの氷へ注入した。混合物をエーテル中に抽出し、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮して残渣とし、これを温かいヘキサン 1L中に溶解し、数グラムのシリカゲルで処理して、着色された不純物を除去した。次いで、混合物を濾過した。濾液を濃縮し、氷温で30分間冷却した。得られた固体を、濾過により単離して、2−クロロアセチル−5−フルオロピリジンを得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ8.53(d,1H),8.19(dd,1H),7.60(td,1H),5.09(s,2H).
【0171】
工程Btert−ブチル2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルカルバマート
2−クロロアセチル−5−フルオロピリジンを、ゴードン(Gordon,T.)ら、「Bioorg.Med.Chem.Lett.」、1993年、第3巻、p.915;Gordon T.ら、「Tetrahedron Lett.」、1993年、第34巻、p.1901及びポワトウ(Poitout,L.)ら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.2990に記載された方法を用いて、tert−ブチル2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルカルバマートへ変換した。
LC−MS:m/e422.4(M+H)(2.49min)
【0172】
工程C2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミン
tert−ブチル2−(1−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルカルバマート(100g、237mmol)を、CHCNへ添加し、5分間攪拌した。追加のCHCNを、全体積が1.6Lになるまで徐々に添加し、続いてp−トルエンスルホン酸一水和物(149g、783mmol)を添加した。混合物を60℃で1時間加熱し、室温に冷却した。固体を濾過により分離し、CHCNで洗浄し、空気乾燥して、2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンを得た。
LC−MS:m/e322.4(M+H)(1.92min).H NMR(500MHz,CDOD):δ8.54(s,1H),8.05−7.97(m,2H),7.89(td,1H),7.69(d,4H),7.43(d,1H),7.31(d,1H),7.18(d,4H),7.10−7.03(m,2H),6.95(t,1H),5.03(dd,1H),3.70−3.59(m,2H),2.32(s,6H).
【0173】
中間体2
(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート
【0174】
【化15】

【0175】
工程Atert−ブチル(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルカルバマート
標題化合物は、N−Boc−D−トリプトファン及び2−ブロモ−4’−フルオロアセトフェノンから、文献に記載された方法(Gordon,T.ら、「Bioorg.Med.Chem.Lett.」、1993年、第3巻、p.915;Gordonら、「Tetrahedron Lett.」、1993年、第34巻、p.1901;Poitout,L.ら、「J.Med.Chem.」、2001年、第44巻、p.2990)によって調製した。
【0176】
工程B(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート
標題化合物は、tert−ブチル(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルカルバマートから、中間体1の工程Cに記載した方法に従って、p−トルエンスルホン酸で処理することにより調製した。
【0177】
実施例1及び2
(3R)−3−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−フェニル−1−(3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A及びB)
【0178】
【化16】

【0179】
工程Aメチルフェニル(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−オキシ)アセタート
マンデル酸メチル(3.32g、19.98mmol)のTHF(40mL)中の溶液に、ジヒドロピラン(3.5mL、38.3mmol)及びp−トルエンスルホン酸(0.4g、2.103mmol)を添加した。反応を加熱還流した。一晩加熱した後、反応を冷却し、飽和NaHCOでクエンチし、エーテルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、5−20% EtOAc−ヘキサンを用いてクロマトグラフ処理し、標題化合物をジアステレオマーの混合物として得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ1.4−2.0(m,6H),3.73(s,3H),3.4−4.0(m,2H),4.60及び4.91(2t,1H),5.26及び5.35(2s,1H),7.2−7.6(m,5H).
【0180】
工程B5−フェニル(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−オール
メチルフェニル(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル−オキシ)アセタート(3.1g、12.39mmol)のメタノール(20mL)中の溶液に、ヒドラジン(0.45mL、14.34mmol)を添加した。溶液を一晩加熱還流し、次に冷却し、約10mLに濃縮した。残渣をエーテル−EtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、アシルヒドラジドを油として得た。油を、アセトニトリル(20mL)中に溶解し、CDI(2.5g、15.42mmol)を添加した。1時間攪拌した後、反応をエーテル−EtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、10−50% EtOAc−ヘキサンを用いて精製し、所望の生成物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ1.4−2.0(m,6H),3.4−4.0(m,2H),4.15及び4.17(2t,1H),5.66及び5.7192s,1H),7.3−7.6(m,5H).
【0181】
工程C5−ヒドロキシ(フェニル)メチル−3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン
5−フェニル(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−オール(315mg、1.140mmol)のDMF(3mL)中の溶液に、粉砕したKCO(200mg、1.447mmol)及びヨウ化メチル(100μl、1.599mmol)を添加した。1.5時間攪拌した後、反応をエーテル−EtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、油を得た。油をTHF(2mL)中に溶解し、HCl水溶液(2mL、4.00mmol)を添加した。3時間後、反応をEtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、10−50% EtOAc−ヘキサンを用いて精製し、所望の生成物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ3.39(s,3H),5.65(s,1H),7.3−7.5(m,5H).
【0182】
工程D5−ベンゾイル−3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン
5−ヒドロキシ(フェニル)メチル−3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン(189mg、0.917mmol)のDMSO(3mL)中の溶液に、IBX(350mg、1.250mmol)を添加した。反応を、60℃の浴中で加熱した。1時間後、反応を冷却し、エーテル−EtOAcで希釈し、濾過した。濾液を水、NaCO水溶液、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、標題化合物を得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ3.61(s,3H),7.5−7.8(m,3H),8.26(d,1H).
【0183】
工程E(3R)−3−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−フェニル−1−(3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン
(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート(300mg、0.451mmol)のDMSO(1.5mL)中の溶液に、5−ベンゾイル−3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−(3H)−オン(90mg、0.441mmol)、酢酸ナトリウム(35mg、0.427mmol)及びテトラエトキシシラン(0.1mL、0.446mmol)を添加した。90℃で27時間加熱した後、反応を冷却し、NaCO水溶液とエーテル−EtOAcとの間で分配した。有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、40−60% EtOAc−ヘキサンを用いて精製したが、ジアステレオマーは分離しなかった。このジアステレオマー混合物を、Chiralcel(商標)ODカラム上で、30% iPrOH−ヘプタンを用いて分離し、高速異性体(異性体A)及び低速異性体(異性体B)を得た。分析用ODカラムで:高速異性体はRt=10.09分であり、低速異性体はRt=13.46分であった。
異性体A:LCMS m/e=506.93,1.58min;1H NMR(500MHz,CDOD):δ3.18(m,2H),3.4(s,3H),4.64(m,1H),7−7.8(m,14H).異性体B:LCMS m/e=506.92,1.62min;H NMR(500MHz,CDOD):δ3.18(m,2H),3.36(s,3H),4.20(m,1H),7−7.8(m,14H).
【0184】
実施例3
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A)
【0185】
【化17】

【0186】
工程Aエチル(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−オキソアセタート
N−エチルピラゾール(20g、208mmol)を、3当量のクロロオキソ酢酸エチル(71mL、624mmol)と混合し、混合物を90℃で1日加熱した。さらに2当量のクロロオキソ酢酸エチルを添加し、加熱をさらに1日継続した。次いで、反応混合物をEtOAcで希釈し、1N NaOH及び食塩水で連続して洗浄した。EtOAc層を乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、標題化合物を淡黄色の油として得た。
H NMR(CDCl,500mHz)δ8.28(1H,s),8.17(1H,s),4.39(2H,q,J=7Hz),4.22(2H,q,J=7.3Hz),1.54(3H,t,J=7.3Hz),1.41(3H,t,J=7Hz).
【0187】
工程Bエチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート(異性体A及びB)
エチル(1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−オキソアセタート(5.8g、29.6mmol)のEtOH(75mL)中の溶液に、(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート(20g、30.0mmol)及び酢酸ナトリウム(2.46g、30.0mmol)を添加した。混合物を、85℃の浴中で加熱した。反応を一晩(22時間)加熱した後、冷却し、約30mLに濃縮した。得られた残渣を、NaCO水溶液とEtOAcとの間で分配した。有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。残渣を、2つのフラッシュカラム(Biotage(商標)−65)上で、10−30%の溶媒B(CHCl中)(ここで、溶媒Bは、78:20:2 CHCl/MeOH/NHOHである)の勾配を用いて精製したが、異性体は分離しなかった。異性体の混合物を、Chiralpak(商標)IAカラム上でのSFCにより、40% i−プロパノールを用いて分離し、高速異性体(異性体A)及び低速異性体(異性体B)を得た。40% IPAで溶出する分析用SFC Chiralpak(商標)IAカラム上で、高速異性体はRt=4.58分であり、低速異性体はRt=5.51分であった。
異性体A:LCMS m/e=500,1.44min;H NMR(500MHz,CDOD):δ1.28(t,3H),1.42(t,3H),3.07(m,1H),3.18(m,1H),4.14(q,2H),4.30(m,2H),4.58(m,1H),7.0−8.4(m,10H).異性体B:LCMS m/e=500,1.43min;H NMR(500MHz,CDOD):δ1.31(t,3H),1.40(t,3H),3.12(m,1H),3.19(m,1H),4.10(q,2H),4.26(m,1H),4.40(q,2H),7.0−8.4(m,10H).
【0188】
工程C(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A)
エチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート(異性体A;3.7g、7.41mmol)のエタノール(20mL)中の溶液に、ヒドラジン(1.5mL、47.8mmol)を添加した。溶液を加熱還流した。1.5時間後、さらに1.5mL(47.8mmol)のヒドラジンを添加し、加熱を一晩継続した。反応を冷却し、約10mLに濃縮し、次いでEtOAcで希釈した。反応混合物を水(2x)、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して残渣を得た。残渣を、MeCN(30mL)で希釈し、40℃の浴中で加熱した。この溶液に、DCI(1.3g、8.02mmol)を添加し、混合物を30分間攪拌した。反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、CHClで希釈し、一晩静置した。固体が生成され、これを濾過し、冷CHClで洗浄し、乾燥させて、標題化合物を得た。
LCMS m/e=512.01,Rt=1.18min;H NMR(500MHz,CDOD):δ1.44(t,3H),3.15(m,1H),3.24(m,1H),4.17(q,2H),4.60(m,1H),7−8.4(m,10H).
【0189】
実施例4
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A)
【0190】
【化18】

【0191】
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A、実施例3:1g、1.955mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、粉砕したKCO(0.325g、2.352mmol)を添加した。5分後、ヨウ化メチル(0.16mL、2.56mmol)を添加し、反応を60分間攪拌した。次に反応を、エーテル−EtOAcで希釈し、水(2x)、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、10−30%の溶媒B(CHCl中)(ここで、溶媒Bは、78:10:2 CHCl/MeOH/NHOHである)の勾配を用いて精製し、所望の生成物を得た。
LCMS m/e=526.03,Rt=1.37min;H NMR(500MHz,CDOD):δ1.42(t,3H),3.20(m,1H),3.339m,1H),3.37(s,3H),4.15(q,2H),4.59(m,1H),7−8.4(m,10H).
【0192】
実施例5
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体B)
【0193】
【化19】

【0194】
標題化合物は、エチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート(異性体B、実施例3、工程B)から、以下の実施例3工程Cの方法によって調製した。
LCMS m/e=512.00,Rt=1.34min,H NMR(500MHz,CDOD):δ1.40(t,3H),3.21(m,2H),4.11(q,2H),4.35(m,1H),7−8.4(m,10H).
【0195】
実施例6
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(3−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体B)
【0196】
【化20】

【0197】
標題化合物は、エチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−エチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体B、実施例5)から、実施例3の方法によって合成した。
LCMS m/e=526.03,Rt=1.38min,H NMR(500MHz,CDOD):δ1.41(t,3H),3.18(m,1H),3.22(m,1H),4.12(q,2H),4.37(m,1H),7−8.4(m,10H).
【0198】
実施例7
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A及びB)
【0199】
【化21】

【0200】
工程Aエチルヒドロキシ(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)アセタート
5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−カルボキシアルデヒド(2g、17.84mmol)のCHCl(40mL)中の懸濁液に、シアン化トリメチルシリル(2.6mL、19.39mmol)及びヨウ化亜鉛(0.57g、1.786mmol)を添加した。混合物を一晩加熱還流した。次に混合物を、CHClで希釈し、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し、濃縮して、暗色の油を得た。HClガスを、EtOH(25mL)中へ約45秒間バブリングした(EtOHは、2.9gのHClを吸収して、エタノール中10%のHCl溶液を得た)。このEtOH/HCl溶液を、上記で得た暗色の油に添加した。6時間攪拌した後、反応を濃縮し、得られた残渣をEtOAcで希釈し、再度濃縮した。得られた暗色の液体を、フラッシュカラム上で、30−70% EtOAc−ヘキサンを用いて精製し、標題化合物を得た。
【0201】
工程Bエチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート
エチルヒドロキシ(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)アセタート(270mg、1.450mmol)のDMSO(3mL)中の溶液に、IBX(Acros;0.81g、2.89mmol)を添加した。反応を、60℃の浴中で加熱した。30分後、反応を冷却し、EtOAcで希釈し、Celite(商標)のパッドを通して濾過した。濾液を濃縮して、液体を得た。この液体に、(1R)−2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−エチルアミンジトシラート(0.8g、1.202mmol)及び酢酸ナトリウム(0.1g、1.219mmol)を添加し、続いてEtOH(1mL)を添加した。混合物を、80℃の浴中で2時間加熱した。次いで反応を一晩冷却させ、NaCO水溶液でクエンチした。混合物を、エーテル−EtOAcで抽出した。有機層を分離し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、フラッシュカラム上で、10−30%の溶媒B(CHCl中)(ここで、溶媒Bは、78:10:2 CHCl/MeOH/NHOHである)の勾配を用いて精製し、所望の生成物を2つの異性体の混合物として得た。
LCMS m/e=488.00;Rt=1.38.
【0202】
工程C(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A及びB)
エチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート(552mg、1.132mmol)のEtOH(3mL)中の溶液に、ヒドラジン(Aldrich;0.4mL、12.74mmol)を添加した。反応を、80℃の浴中で加熱した。2時間後、反応を冷却し、EtOAcで希釈し、濾過し、得られた固体をさらにEtOAcで洗浄した。濾液を水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して残渣を得た。残渣を、MeCN(4mL)で希釈したが、溶解はしなかった。混合物を、80℃の浴中で加熱し、CDI(150mg、0.925mmol)を添加した。反応を30分間攪拌し、次に冷却し、EtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、分取用TLCにより、89:10:1 CHCl/MeOH/NHOHを用いて精製し、2つのジアステレオマーを得た:高Rf異性体(異性体A)LCMS m/e=499.95、Rt=1.33分、H NMR(500MHz,CDOD):δ2.62(s,3H),3.2(m,2H),4.6(m,1H),7−8.4(m,8H)及び低Rf異性体(異性体B)LCMS m/e=499.93、Rt=1.28分、
H NMR(500MHz,CDOD):δ2.61(s,3H),3.2(m,2H),4.60(m,1H),7−8.4(m,8H).
【0203】
実施例8
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(3−エチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A)
【0204】
【化22】

【0205】
標題化合物は、(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A、実施例7)及びヨウ化エチルから、実施例4の方法により調製した。
LCMS m/e=527.93,Rt=1.37 H NMR(500MHz,CDOD):δ1.26(t,3H),2.60(s,3H),3.20(m,1H),3.25(m,1H),3.71(q,2H),4.64(m,1H),7−8.4(m,8H).
【0206】
実施例9
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(3−エチル−1,3,4−オキサジアゾール−3H−2−オン−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体B)
【0207】
【化23】

【0208】
標題化合物は、(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1−(2−ヒドロキシ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体B、実施例7)及びヨウ化エチルから、実施例4の方法により調製した。
LCMS m/e=527.93,Rt=1.43 H NMR(500MHz,CDOD):δ1.29(t,3H),2.62(s,3H),3.17(m,1H),3.26(m,1H),3.75(q,2H),4.64(m,1H),7−8.4(m,8H).
【0209】
表5に示した実施例は、置換された2−(1H−インドール−3−イル)−1−(4−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−エチルアミン誘導体及び置換された複素環又はヘテロアリールケトンから、実施例1−9及び50−51に記載した方法に従って調製した。
【0210】
【表1−1】

【0211】
【表1−2】

【0212】
【表1−3】

【0213】
【表1−4】

【0214】
【表1−5】

【0215】
【表1−6】

【0216】
【表1−7】

【0217】
【表1−8】

【0218】
ODカラムは、イソプロパノール/ヘプタン溶媒系を使用したChiralcel(商標)ODカラムを指す。
ADカラムは、イソプロパノール/ヘプタン溶媒系を使用したChiralPak(商標)ADカラムを指す。
【0219】
実施例50及び51
(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−メチル−ピラゾール−4−イル)−1−(2−アミノ−1,3,4−オキサジアゾール−5−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン(異性体A及びB)
【0220】
【化24】

【0221】
エチル(3R)−3−(4−(5−フルオロピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)−1−(1−メチル−ピラゾール−4−イル)−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−1−カルボキシラート(異性体の混合物、132mg、0.272mmol)のエタノール(1ml)中の溶液に、ヒドラジン(100μl、3.19mmol)を添加し、溶液を加熱還流した。2時間後、さらに50μlのヒドラジンを添加し、加熱を一晩継続した。溶液を冷却し、EtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、メタノール 2mL中に溶解し、さらに35mgの臭化シアン及び50μlのEtNで、30分間処理した。反応をEtOAcで希釈し、水、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、分取用TLCにより、89:10:1 CHCl/MeOH/NHOHを用いて精製し、標題生成物を混合物として得た。この混合物を、ChiralPak(商標)ADカラム上で、40% iPrOH−ヘプタンを使用して分離し、高速異性体(異性体A、LCMS m/e=496.89、Rt=1.23min)及び低速異性体(異性体B、LCMS m/e=496.97、Rt=1.23min)を得た。
【0222】
医薬製剤の実施例
本発明の化合物の経口用組成物の具体的な実施態様として、任意の実施例の化合物 50mgを、サイズOの硬ゼラチンカプセルを充填するのに充分な微粒子状のラクトースと共に製剤して、総量を580ないし590mgとする。
【0223】
本発明の化合物の経口用組成物の第2の具体的な実施態様としては、任意の実施例の化合物 100mgを、微結晶セルロース(124mg)、クロスカルメロースナトリウム(8mg)及び未粉砕の無水第2リン酸カルシウム(124mg)をブレンダー内で充分に混合し;次にステアリン酸マグネシウム(4mg)及びステアリルフマル酸ナトリウム(12mg)をブレンダーに添加し、混合し、混合物を直接圧縮用の回転式錠剤圧縮機へ移す。得られた錠剤は、代用しないか又は味マスキング用にOpadry(登録商標)IIフィルムでコートする。
【0224】
本発明を、その具体的な実施態様について記載及び例示してきたが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から離れることなく、種々の変更、修飾及び置換が行なわれてよいことを理解するであろう。例えば、上記に示した好適な用量以外の有効薬用量を、特定の症状について治療されているヒトの応答性の変動の結果として適用してもよい。同様に、観察される薬理応答は、選択された特定の活性化合物又は薬学的担体が存在するか否か、並びに、用いる製剤のタイプ及び投与様式に従い若しくは依存して変動してもよく、結果におけるそのような予想される変動又は差異は、本発明の目的及び実施に従って検討される。それ故本発明は、以下のクレームによってのみ限定され、そしてかかるクレームは合理的である限り広く解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
zは、単結合又は二重結合であり、ただし、R12がオキソである場合、zは単結合のみであり、かつさらに、zが二重結合である場合、Rは存在せず;
は:
(1)−C1−10アルキル−、
(2)C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、
(3)C3−10シクロアルキル、
(4)C3−10シクロヘテロアルキル、
(5)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)アリール、
(7)ヘテロアリール、及び
(8)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択され;
ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつアルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は、存在する場合には:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C2−10アルキニル、
(5)C3−10シクロアルキル、
(6)C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(7)C1−6アルキル−X−C1−6アルキル−、
(8)アリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、
(9)ヘテロアリール−C1−4アルキル−X−C1−4アルキル−、
(10)C3−10シクロアルキル−X−C1−6アルキル−、
(11)C3−10シクロヘテロアルキル、
(12)ヘテロアリール、及び
(13)−C0−4アルキル−CO
からなる群より選択され、
ここで、Xは:酸素、硫黄及びNRからなる群より選択され、かつここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C3−10シクロアルキル、
(4)C3−10シクロヘテロアルキル、
(5)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−6アルキル−、及び
(6)ヘテロアリール−C1−6アルキル−、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、及び
(2)−C1−8アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)
からなる群より選択され、
及びRは、各々独立して:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C2−10アルキニル、
(5)C3−10シクロアルキル、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)アリール、及び
(8)ヘテロアリール、
からなる群より選択され;
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロヘテロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され、かつアリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−10シクロアルキル、及び
(5)C1−4アルキル−O−C1−4アルキル−、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)水素、
(2)−OR
(3)−NRS(O)
(4)ハロゲン、
(5)−S(O)
(6)−S(O)NR
(7)−NR
(8)−C(O)R
(9)−OC(O)R
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−OCF
(17)−OCHF
(18)C3−10シクロヘテロアルキル、
(19)C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
(20)C3−6シクロアルキル、
(21)アリール、及び
(22)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、
ここで、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
は:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、及び
(4)C3−10シクロアルキル、
からなる群より選択され、
ここで、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
10及びR11は、各々独立して:
(1)水素、及び
(2)−C1−4アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
からなる群より選択され;
12は:
(1)オキソ、
(2)−O−C1−10アルキル、
(3)−S−C1−10アルキル、
(4)−NH
(5)−NH(C1−10アルキル)、及び
(6)−N(C1−10アルキル)
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF、及び
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
(20)−C1−10アルキル、
(21)−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル、及び
(22)−C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;
及びRは、各々独立して:
(1)水素
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(8)アリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)アリール−C1−10アルキル−、及び
(11)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択されるか、又は、
及びRは、それらが結合する原子と一緒になって、独立して、酸素、硫黄及びN−Rから選択される0ないし2個の追加のヘテロ原子を含有する、4ないし7員の複素環を形成し、かつ、R及びRが、水素以外である場合、R及びRの各々は、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
各Rは、独立して:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C2−10アルケニル、
(4)C3−6シクロアルキル、
(5)C3−6シクロアルキル−C1−10アルキル−、
(6)C3−10シクロヘテロアルキル、
(7)C3−10シクロヘテロアルキル−C1−10アルキル−、
(8)アリール、
(9)ヘテロアリール、
(10)アリール−C1−10アルキル−、及び
(11)ヘテロアリール−C1−10アルキル−、
からなる群より選択され、
ここで、Rが、水素ではない場合、各Rは、未置換であるか又はRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
各Rは、独立して:
(1)−C(O)R、及び
(2)−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)ハロゲン、
(2)C1−10アルキル、
(3)−O−C1−4アルキル、
(4)−S(O)−C1−4アルキル、
(5)−CN、
(6)−CF
(7)−OCHF、及び
(8)−OCF
からなる群より選択され;
各Rは、独立して:
(1)−OR
(2)−NRS(O)
(3)ハロゲン、
(4)−S(O)
(5)−S(O)NR
(6)−NR
(7)−C(O)R
(8)−OC(O)R
(9)オキソ、
(10)−CO
(11)−CN、
(12)−C(O)NR
(13)−NRC(O)R
(14)−NRC(O)OR
(15)−NRC(O)NR
(16)−CF
(17)−OCF
(18)−OCHF
(19)C3−10シクロヘテロアルキル、
(20)C1−10アルキル、及び
(21)C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択され;
nは、1から4までの整数であり;そして
各mは、独立して、0、1又は2である]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
、R、R、R、R、R10及びR11が、それぞれ水素である、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
が、独立して:
(1)水素、
(2)−OR
(3)ハロゲン、
(4)−NR
(5)−C(O)R
(6)−CO
(7)−CN、
(8)−OCF
(9)−OCHF
(10)−C1−10アルキル(未置換であるか又は1ないし5個のフッ素で置換される)、
(11)アリール、及び
(12)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項2に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
が、独立して:
(1)水素、
(2)ハロゲン、及び
(3)CN、
からなる群より選択される、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
が、水素である、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
が、独立して:
(1)アリール、及び
(2)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
ヘテロアリールがピリジンであり、ここで、ピリジンが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし2個の置換基で置換される、請求項6に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
が:
(1)フェニル、及び
(2)ピリジン−2−イル、
からなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルが、未置換であるか又は独立して:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される、請求項6に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
が:
(1)4−フルオロフェニル、及び
(2)5−フルオロ−ピリジン−2−イル、
からなる群より選択される、請求項8に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
が、存在する場合には:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、及び
(4)−C0−4アルキル−CO
からなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
が:
(1)アリール、及び
(2)ヘテロアリール、
からなる群より選択され、ここで、アリール及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項3に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
が:
(1)フェニル、
(2)ピラゾール、
(3)テトラゾール、及び
(4)オキサジアゾール、
からなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換される、請求項11に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
各Rが、独立して:
(1)−CN、
(2)−C1−10アルキル、
(3)−C1−10アルキル−O−C1−10アルキル、及び
(4)−C3−6シクロアルキル、
からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
が:
(1)フェニル、
(2)ピラゾール、
(3)テトラゾール、及び
(4)オキサジアゾール、
からなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、存在する場合には:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、及び
(4)−C0−4アルキル−CO
からなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;そして
が:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルが、未置換であるか又はハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
が:
(1)ピラゾール、及び
(2)オキサジアゾール、
からなる群より選択され、ここで、ピラゾール及びオキサジアゾールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、存在する場合には:
(1)水素、及び
(2)C1−10アルキル、
からなる群より選択され、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;
が:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルが、未置換であるか又はハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が:
(1)オキソ、及び
(2)−O−C1−10アルキル、
からなる群より選択される、請求項14に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
zが、単結合であり;
が:
(1)水素、及び
(2)C1−10アルキル、
からなる群より選択され、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジン−2−イルが、未置換であるか又は独立して:ハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が、オキソである、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】
zが、単結合であり;
が、ピラゾールであり、ここで、ピラゾールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、C1−10アルキルであり、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;
が、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジン−2−イルが、未置換であるか又は独立してハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が、オキソである、請求項15に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】
で印づけした不斉炭素原子において、指示したR立体化学的配置を有する構造式II:
【化2】

の請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
が:
(1)フェニル、
(2)ピラゾール、
(3)テトラゾール、及び
(4)オキサジアゾール、
からなる群より選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、存在する場合には:
(1)水素、
(2)C1−10アルキル、
(3)C3−10シクロアルキル−C1−10アルキル−、及び
(4)−C0−4アルキル−CO
からなる群より選択され、ここで、アルキル及びシクロアルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;そして
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;
が:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルが、未置換であるか又はハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換される、請求項18に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項20】
が:
(1)ピラゾール、及び
(2)オキサジアゾール、
からなる群より選択され、ここで、ピラゾール及びオキサジアゾールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、存在する場合には:
(1)水素、及び
(2)C1−10アルキル、
からなる群より選択され、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;
が:フェニル及びピリジン−2−イルからなる群より選択され、ここで、フェニル及びピリジン−2−イルが、未置換であるか又はハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が:
(1)オキソ、及び
(2)−O−C1−10アルキル、
からなる群より選択される、請求項19に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項21】
zが、単結合であり;
が:
(1)水素、及び
(2)C1−10アルキル、
からなる群より選択され、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジン−2−イルが、未置換であるか又は独立してハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が、オキソである、請求項20に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項22】
zが、単結合であり;
が、ピラゾールであり、ここで、ピラゾールが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
が、C1−10アルキルであり、ここで、アルキルが、未置換であるか又は独立してRから選択される1ないし3個の置換基で置換され;
、R、R、R、R,R、R10及びR11が、それぞれ水素であり;
が、ピリジン−2−イルであり、ここで、ピリジン−2−イルが、未置換であるか又は独立してハロゲンからなる群より選択される1ないし2個の置換基で置換され;そして
12が、オキソである、請求項20に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項23】
【化3】

からなる群より選択される、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項24】
【化4】

からなる群より選択される、請求項23に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
【化5】

からなる群より選択される、請求項23に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項26】
【化6】

からなる群より選択される、請求項23に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項27】
【化7】

からなる群より選択される、請求項23に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩を、薬学的に許容される担体と組合せて含む医薬組成物。
【請求項29】
ソマトスタチンサブタイプ受容体3の拮抗作用に応答性の障害、症状又は疾患を、それらを要する哺乳類において治療するための、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項30】
前記障害、症状又は疾患が:2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、肥満、脂質障害、メタボリックシンドローム及び高血圧からなる群より選択される、請求項29に記載の化合物の使用。
【請求項31】
2型糖尿病、高血糖症、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、メタボリックシンドローム及び高血圧を、それらを要する哺乳類において治療するための医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。

【公表番号】特表2012−515204(P2012−515204A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546294(P2011−546294)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/020695
【国際公開番号】WO2010/083136
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】