説明

抗糖尿病性オキサゾリジンジオン及びチアゾリジンジオン

ピリジニルオキシフェニル及びピリジニルオキシベンジルオキサゾリジン−2,4−ジオン及びチアゾリジン−2,4−ジオンは、PPARガンマの作動物質又は部分作動物質であり、II型糖尿病の徴候である高血糖、並びに2型糖尿病に付随することが多い異脂肪血症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症及び肥満の治療及び制御に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に2型真性糖尿病、並びに肥満及び脂質障害を含めて、この疾患に付随することが多い症状の治療において、治療用化合物として有用である、薬剤として許容されるその塩及びプロドラッグを含めた、ピリジニルオキシフェニル及びピリジニルオキシベンジルオキサゾリジン−2,4−ジオン及びチアゾリジン−2,4−ジオンに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、複数の原因から生じる疾患であり、絶食状態における、又は経口グルコース負荷試験中のグルコース投与後における、高血しょうグルコース濃度(高血糖)を特徴とする。一般に認知されている糖尿病の形態には2つある。1型糖尿病、すなわちインスリン依存性糖尿病(IDDM)においては、患者は、グルコース利用を調節するホルモンであるインスリンをほとんど、又は全く、産生しない。2型糖尿病、すなわちインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)においては、インスリンは体内で相変わらず産生される。2型糖尿病患者は、高インスリン血症(高い血しょうインスリン濃度)を有することが多いが、これらの患者は、インスリン抵抗性を有する。これは、主要なインスリン感受性組織、すなわち、筋肉、肝臓及び脂肪組織において、グルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの効果に対して抵抗性を有することを意味する。インスリン抵抗性は、主としてインスリン受容体の数が減少するためではなく、まだ完全には解明されていないポストインスリン受容体結合の欠陥に起因する。インスリンに対する応答性が欠如すると、筋肉におけるグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵のインスリンによる活性化が不十分になり、脂肪組織における脂肪分解のインスリンによる抑制が不適当になり、肝臓におけるグルコース産生及び分泌のインスリンによる抑制が不適当になる。インスリン抵抗性ではあるが、糖尿病性ではない患者は、より多量のインスリンを分泌することによってインスリン抵抗性を補う。その結果、血しょうグルコース濃度は上昇し得るが、空腹時血しょうグルコースに基づく、2型糖尿病の判定基準を満たすほどには上昇しない。
【0003】
糖尿病と同時に生じる、持続的高血糖、又は放置されている高血糖は、高い早発罹患率及び死亡率と関連がある。異常なグルコースホメオスタシスは、肥満、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質代謝の変化、さらには他の代謝病及び血行力学的疾患と直接的にも間接的にも関連することが多い。2型真性糖尿病患者は、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経障害及び網膜症を含めて、大血管及び微小血管の合併症のリスクがかなり高い。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満及び高血圧の治療による調節が、真性糖尿病の臨床管理及び治療に極めて重要である。
【0004】
インスリン抵抗性を有する患者は、X症候群又は代謝症候群と総称される幾つかの症候を有することが多い。広範に用いられている一定義によれば、代謝症候群患者は、以下の5つの症候群、すなわち、(1)腹部肥満、(2)高トリグリセリド血症、(3)低高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)、(4)高血圧、及び(5)患者が糖尿病性でもある場合には、2型糖尿病に特徴的な範囲であり得る高い空腹時グルコース、から選択される3つ以上の症候を有すると特徴づけられる。これらの症候の各々は、最近刊行されたThird Report of the National Cholesterol Education Program Expert Panel on Detection, Evaluation and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(Adult Treatment Panel III、すなわちATP III), National Institutes of Health, 2001, NIH Publication No. 01−3670に臨床的に定義されている。代謝症候群患者は、顕性真性糖尿病を有していても、有さなくても、又は発症していても、発症していなくても、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患など、2型糖尿病と同時に生じる上記大血管及び微小血管の合併症を発症するリスクが高い。
【0005】
2型糖尿病には幾つかの利用可能な治療法があるが、それぞれ制約、及び起こり得るリスクがある。運動、及び食餌によるカロリー摂取の減少は、糖尿病性症状を劇的に改善することが多く、2型糖尿病に最適な第一選択治療である。この治療のコンプライアンスは、座位の生活様式、及び特に多量の脂肪を含む食品の過剰摂食が定着しているので、極めて低い。広範に用いられている薬物療法は、インスリン分泌促進物質であるメグリチナイド又はスルホニル尿素(例えばトルブタミド又はグリピジド)を投与するものである。これらの薬物は、すい臓β細胞を刺激して、より多量のインスリンを分泌させることによって、血しょうインスリン濃度を増加させる。これらの薬物は、単体で使用されることが多く、又は2型糖尿病の第一選択薬物療法として使用されることが多いが、2型糖尿病に処方される他の薬物と併用することもできる。スルホニル尿素又はメグリチナイドの投与が無効になったときには、極めてインスリン抵抗性の組織さえも刺激するのに十分なほどインスリン濃度が高くなるように、体内のインスリン量をインスリン注射によって補充することができる。しかし、インスリン及び/又はインスリン分泌促進物質の投与によって、血しょうグルコースが危険なほど低濃度になる恐れがあり、更に高い血しょうインスリン濃度のために、高レベルのインスリン抵抗性が最終的に生じる恐れがある。
【0006】
ビグアナイドは、2型糖尿病治療に広く用いられている別のクラスの薬物である。最もよく知られている2種類のビグアナイドは、フェンホルミン及びメトホルミンであり、高血糖をある程度補正する。ビグアナイドは、低血糖症のリスクを増大させずに、単独療法として使用することができ、又はインスリン、インスリン分泌促進物質などの他の抗糖尿病薬と併用することができる。しかし、フェンホルミン及びメトホルミンは、乳酸アシドーシス及び悪心/下痢を惹起する恐れがある。メトホルミンは、フェンホルミンよりも副作用のリスクが低く、2型糖尿病の治療に広範に処方される。
【0007】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、高血糖、及び2型糖尿病の他の症候を改善し得るより新しいクラスの化合物である。これらの薬剤は、2型糖尿病の幾つかの動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織におけるインスリン感受性を実質的に増大させ、低血糖を起こさずに、高血しょうグルコース濃度をある程度又は完全に改善する。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ガンマサブタイプの作動物質である。PPARガンマアゴニズムは、一般に、グリタゾンによって認められるインスリン増感(sensititization)を向上させると考えられる。新しいPPAR作動物質が、2型糖尿病及び/又は異脂肪血症の治療用に開発されつつある。より新しいPPAR化合物の多くは、PPARアルファ、ガンマ及びデルタサブタイプの1種類以上の作動物質である。PPARアルファとPPARガンマの両方のサブタイプの作動物質である化合物(PPARアルファ/ガンマ二重作動物質)は、高血糖を抑制し、脂質代謝も改善するので有望である。
【0008】
現在市販されているPPAR作動物質は、グリタゾンであり、幾つかの欠点がある。トログリタゾンは、最初に市販されたグリタゾンであるが、肝毒性のために最終的に市場から撤収された。現在市販されているPPAR作動物質の別の弱点は、2型糖尿病のための単独療法がわずかな効力(約20%の平均血しょうグルコース減少、及び約9.0%から約8.0%のヘモグロビンA1C低下)しか示さないことである。現行の化合物は、脂質代謝も大きくは改善せず、実際には、脂質プロファイルに対して負の効果を有し得る。これらの欠点は、類似の作用機序によって機能する、より優れた2型糖尿病用インスリン抵抗性改善薬を開発する刺激になった。
【0009】
最近、PPARガンマ拮抗物質又はPPARガンマ部分作動物質である化合物が報告された。国際公開第01/30343号は、肥満及び2型糖尿病の治療に有用であるPPARガンマ部分作動物質/拮抗物質である特定の化合物を記載している。国際公開第02/08188号、同2004/020409号及び同2004/020408号は、インドール誘導体であり、2型糖尿病の治療において有用であり、体重及び心臓重量の増加に関して副作用の少ない、PPARガンマ作動物質及び部分作動物質を開示している。国際公開第2005/070905号は、PPARガンマ作動物質及び部分作動物質である、フェノキシフェニル及びフェノキシベンジルオキサゾリジン−2,4−ジオン及びチアゾリジン−2,4−ジオンを開示している。PPAR部分ガンマ作動物質は、選択的PPAR調節物質(SPPARM)と称されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本明細書に記載の化合物のクラスは、インビトロで一般にPPARγ作動物質又は部分作動物質である強力なPPARリガンドの新しいクラスである。これらの化合物は、PPARγ拮抗物質でもあり得る。一部の化合物は、PPARγ活性に加えて、PPARα及び/又はPPARδ活性も有し得る。これらの化合物は、2型糖尿病、高血糖及びインスリン抵抗性を含めて、PPARによって変調される疾患の治療に有用である。
【0011】
これらの化合物は、混合又は糖尿病性異脂肪血症、LDL−C及び/又は非HDL−Cの上昇によって顕在化し得る孤立性高コレステロール血症、高アポBリポタンパク質血症(hyperapoBliproteinemia)、高トリグリセリド血症、トリグリセリド−リッチ−リポタンパク質の増加、及び低HDLコレステロール濃度を含めて、1種類以上の脂質障害の治療にも有用であり得る。これらの化合物は、肥満の治療又は改善にも有用であり得る。これらの化合物は、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、炎症性症状、乾せん及び多嚢胞性卵巣症候群の治療又は改善にも有用であり得る。これらの化合物は、他のPPAR媒介性疾患、障害及び症状の治療にも有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、式Iの化合物、並びに薬剤として許容されるその塩及びプロドラッグを対象とする。
【0013】
【化11】

【0014】
式Iの化合物において、
基J、K及びLの1個はNであり、基J、K及びLの他の2個はC(R)であり、
AはO又はSであり、
Xは、結合又は−C(R−であり、
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、C−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、
【0015】
【化12】

からなる群から選択され、
Yは、=O及び=N−OHからなる群から選択され、
D及びZは、C(R)及びNからなる群から各々独立に選択され、
Bは、−N(R)−、−O−及び−S−からなる群から選択され、
各Rは、ハロゲン、−OH、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、1−5個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、H、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、C−Cアルキル、−CHシクロプロピル、C−Cシクロアルキル、−OC−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキルからなる群から選択され、前記R置換基は1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、H及びC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
mは0−4の整数であり、
nは0−5の整数であり、
qは0−2の整数である。
【0016】
上記定義及びそれに続く定義において、基J、K又はLの1個はNであり、他の2個のJ、K及びL基はC(R)である。ここで、N及びC(R)は、J、K及びLを含むピリジン環の窒素及び一置換炭素である。N及びC(R)は、=N−及び=C(R)−と記述することもできる。基D及びZは各々独立にC(R)又はNであり、その各々は、上記芳香環の窒素又は一置換炭素であり、=N−又は=C(R)−と記述することもできる。
【0017】
上記定義及びそれに続く定義においては、アルキル基は、別段の記載がない限り、線状でも、分枝状でもよい。
【0018】
これらの化合物は、耐糖能障害を有する、及び/又は前糖尿病性症状にある、糖尿病患者及び非糖尿病患者において、グルコース、脂質及びインスリンを低下させるのに有効であると予想される。これらの化合物は、ヒト及び他のほ乳動物の患者におけるインスリン非依存性糖尿病(NIDDM)の治療、具体的には、高血糖の治療、並びに高脂血症、異脂肪血症、肥満、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、血管再狭窄、炎症性症状、他のPPAR媒介性疾患、障害及び症状を含めて、NIDDMに付随する症状の治療に効果的であると予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、以下に要約する多数の実施形態を有する。これらの実施形態は、化合物、薬剤として許容されるこれらの化合物の塩、及びこれらの化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物を含む。これらの実施形態は、インスリン抵抗性、2型糖尿病、並びに2型糖尿病及びインスリン抵抗性に付随する異脂肪血症の治療に特に有用な諸特性を有する。
【0020】
本発明の一実施形態は、
Xが、結合又はCHであり、
が、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、C−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
各Rが、F、Cl、CH、CF、−OCH及び−OCFからなる群から独立に選択され、
各Rが、ハロゲン、−OH、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
各Rが、H、F、Cl、CH、−OCH、CF及び−OCFからなる群から独立に選択され、
が、C−Cアルキル、−CHシクロプロピル及び−C(=O)C−Cアルキルからなる群から選択され、前記R置換基の任意のアルキル又はシクロアルキル基は、1−3個のFで置換されていてもよく、
が、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、
mが0及び1から選択される整数であり、
nが0−3の整数である、
式Iの化合物を含む。
【0021】
本発明の別の実施形態においては、式Iの化合物は、以下の基を有し、他の基は、上で定義されている。
【0022】
AはOであり、
Xは、結合又はCHであり、
は、H又はCHであって、好ましくはCHであり、
各Rは、F、Cl、−OH、CH、CF、−OCH、−OCF、−OCHCH、−OC(=O)CH、−OCHF及び−S(O)CHからなる群から独立に選択され、
各Rは、H、Cl又はFであり、
は、n−C、−CHシクロプロピル及び−C(=O)Cからなる群から選択され、
は、H及びCHから選択され、
mは0であり、
nは0−2の整数であって、好ましくはl−2である。
【0023】
式Iの化合物の他の実施形態においては、RはH又はCHであり、他の基は上記の通りである。多数の好ましい実施形態においては、RはCHである。
【0024】
多数の好ましい実施形態においては、AはOである。他の基は上記の通りである。
【0025】
他の好ましい実施形態においては、AはSである。
【0026】
本発明の別の実施形態は、Rが、F、Cl、−OH、CH、CF、−OCH、−OCF、−OCHF、−OC、−OC(=O)CH又は−S(O)CHであり、qが0、1又は2であり、nが0、1又は2である、式Iの化合物を含む。これらの実施形態のサブグループにおいては、nは1又は2である。他の基は上記の通りである。
【0027】
本発明の多数の上記化合物においては、Xは結合である。
【0028】
本発明の多数の上記化合物においては、XはCHである。
【0029】
上で定義した有用な化合物亜群は、F、Cl、CH、CF、−OCH及び−OCFから選択されるR基を有し、mは1である。他の有用である化合物亜群においては、mは0である。
【0030】
上で定義した化合物の好ましい実施形態においては、Rは、n−C、−CHシクロプロピル及び−C(=O)Cから選択される。多数の好ましい化合物及び化合物群においては、Rはn−Cである。
【0031】
好ましいR基は、H、F、Cl、CH、−OCH、CF及び−OCFから選択される。多数の好ましい実施形態においては、1個のR基はHであり、他のR基はH、F、Cl、CH、−OCH、CF及び−OCFから選択される。多数の好ましい実施形態においては、RはHである。
【0032】
オキサゾリジンジオン及びチアゾリジンジオン環の5位における両方の鏡像異性体(すなわちRとS)は、活性なPPARガンマ作動物質及び部分作動物質であり、本発明の化合物である。R鏡像異性体の方が一般に活性が高い。
【0033】
具体的化合物の構造、及び該化合物を製造する合成方法を実施例で開示する。本発明の具体例の構造を、化合物の薬剤として許容される塩を含めて、下記表1に開示する。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の化合物は、化合物、又は薬剤として許容されるその塩と、薬剤として許容される担体とを含む、薬剤組成物に使用することができる。本発明の化合物は、1種類以上の他の活性な薬剤成分を含む薬剤組成物に使用することができる。本発明の化合物は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩が唯一の活性成分である薬剤組成物に使用することもできる。
【0036】
本発明の化合物、及び薬剤として許容されるその塩は、ヒト又は他のほ乳動物の患者における、2型真性糖尿病の治療用医薬品の製造に使用することができる。
【0037】
本明細書で定義する化合物は、以下の方法に従って疾患の治療に使用することができ、以下に示さない他の疾患の治療に使用することができる。
【0038】
(1)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、インスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)の治療方法、
(2)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、高血糖を治療又は管理する方法、
(3)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、代謝症候群を治療又は管理する方法、
(4)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、肥満を治療又は管理する方法、
(5)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、高コレステロール血症を治療又は管理する方法、
(6)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、高トリグリセリド血症を治療又は管理する方法、
(7)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、混合又は糖尿病性異脂肪血症、低HDLコレステロール、高LDLコレステロール、高脂血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症を含めて、1種類以上の脂質障害を治療又は管理する方法、
(8)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト又は他のほ乳動物の患者における、代謝症候群に付随する有害な続発症のリスクを低減する方法、
(9)式Iの化合物の治療有効量を患者に投与することを含む、かかる治療を要するヒト若しくは他のほ乳動物の患者における、又はアテローム性動脈硬化症若しくはアテローム性動脈硬化症の続発症を発症するリスクがあるヒト若しくは他のほ乳動物の患者における、アテローム性動脈硬化症を治療する方法、アテローム性動脈硬化症を発症するリスクを低減する方法、アテローム性動脈硬化症の発症を遅延させる方法、及び/又はアテローム性動脈硬化症の続発症のリスクを低減する方法。アテローム性動脈硬化症の続発症としては、例えば、アンギナ、は行、心臓発作、脳卒中などが挙げられる。
【0039】
本化合物は、治療を要する患者に治療有効量を投与することによって、以下の疾患の治療に特に有用である。
【0040】
(1)2型糖尿病、具体的には高血糖、
(2)代謝症候群、
(3)肥満、
(4)高コレステロール血症。
【0041】
定義
「Ac」はアセチル、すなわち、CHC(=O)−である。
【0042】
「アルキル」とは、炭素鎖を特に定義しない限り、線状でも、分枝状でも、これらの組合せでもよい飽和炭素鎖を意味する。アルコキシ、アルカノイルなどの接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基も、炭素鎖を特に定義しない限り、線状でも、分枝状でも、これらの組合せでもよい。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。
【0043】
「アルケニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む、線状でも、分枝状でも、これらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルケニルの例としては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどが挙げられる。
【0044】
「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む、線状でも、分枝状でも、これらの組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキニルの例としては、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−へプチニルなどが挙げられる。
【0045】
「シクロアルキル」とは、別段の記載がない限り、各々3から10個の炭素原子を有する、単環式又は二環式飽和炭素環を意味する。この用語は、アリール基と縮合した単環も含む。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。
【0046】
「アリール」(及び「アリーレン」)とは、構造中の置換基又は基を記述するのに使用するときには、すべての環が芳香族であり、炭素環原子のみを含む、単環式、二環式又は三環式化合物を意味する。「アリール」という用語は、シクロアルキル又は複素環と縮合したアリール基も意味し得る。「ヘテロシクリル」、「複素環」及び「複素環式」とは、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、完全又は部分飽和単環式、二環式又は三環式環構造であって、前記環の各々は3から10原子を有する。アリール置換基の例は、フェニル及びナフチルである。シクロアルキルと縮合したアリール環としては、インダニル及びテトラヒドロナフチルが挙げられる。複素環式基と縮合したアリールの例としては、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニルなどが挙げられる。複素環の例としては、テトラヒドロフラン、ピペラジン、ピペリジン及びモルホリンが挙げられる。好ましいアリール基は、フェニル又はナフチルである。フェニルは、一般に最も好ましいアリール基である。
【0047】
「ヘテロアリール」(及びヘテロアリーレン)とは、(SO及びSOを含めて)N、O及びSから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、単環式、二環式又は三環式芳香環を意味し、各環は、5から6個の原子を含む。ヘテロアリールの例としては、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、(Sオキシド及びジオキシドを含めた)ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル、キナゾリニル、ジベンゾフラニルなどが挙げられる。
【0048】
「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0049】
「Me」はメチルを表す。
【0050】
薬剤組成物などの「組成物」という用語は、活性成分と、担体を構成する不活性成分とを含む生成物を包含し、任意の2種類以上の成分の組合せ、複合若しくは集合から、1種類以上の成分の解離から、又は1種類以上の成分の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的又は間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。したがって、本発明の薬剤組成物は、本発明の化合物と薬剤として許容される担体とを混合することによって製造される任意の組成物を包含する。
【0051】
置換基「テトラゾール」とは、2H−テトラゾル−5−イル置換基及びその互変異性体を意味する。
【0052】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一鏡像異性体、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、式Iの化合物のかかる全異性体を包含するものとする。
【0053】
本明細書に記載する化合物の一部はオレフィン二重結合を含むことができ、特に指定しない限り、E幾何異性体とZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0054】
本明細書に記載する化合物の一部は、異なる水素結合点を含むことができ、互変異性体と称される。例は、ケト−エノール互変異性体として知られる、ケトンとそのエノール形である。個々の互変異性体及びその混合物は、式Iの化合物に包含される。
【0055】
1個以上の不斉中心を有する式Iの化合物は、当分野で周知の方法によって、ジアステレオ異性体、鏡像異性体などに分離することができる。
【0056】
或いは、鏡像異性体、及びキラル中心を有する他の化合物は、光学的に純粋な出発材料、及び/又は立体配置が既知の試薬を用いて、立体特異的合成によって、合成することができる。
【0057】

「薬剤として許容される塩」という用語は、無機塩基又は有機塩基及び無機酸又は有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)塩、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。特に好ましい塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。固体の塩は、2つ以上の結晶構造で存在し得、水和物の形でもあり得る。薬剤として許容される無毒の有機塩基から誘導される塩としては、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの第一級、第二級及び第三級アミン、天然置換アミンを含めた置換アミン、環式アミン並びに塩基性イオン交換樹脂の塩などが挙げられる。
【0058】
本発明の化合物が塩基性であるときには、塩は、無機酸及び有機酸を含めて、薬剤として許容される無毒の酸から調製することができる。かかる酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。特に好ましい酸は、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸である。
【0059】
本明細書において使用する、式Iの化合物という表記は、薬剤として許容される塩も含むことを理解されたい。
【0060】
代謝産物−プロドラッグ
代謝産物自体が本発明の範囲内である、治療上有効な代謝産物も、本発明の化合物である。患者に投与したときに、又は患者に投与した後で、特許請求の範囲の化合物に転化される化合物である、プロドラッグも本発明の化合物である。
【0061】
効用
本発明の化合物は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体サブタイプの1種類以上、特にPPARγに対して、作動、部分作動又は拮抗活性を有する強力なリガンドである。一部の化合物は、PPARγサブタイプと同様に、PPARαサブタイプの作動物質、部分作動物質又は拮抗物質でもあり得、混合PPARα/γアゴニズムを生じ得る。(一般にさほど好ましくない)一部の化合物は、PPARδリガンドでもあり得、PPARγ活性に加えてPPARδ活性も有し得る。本発明の化合物は、個々のPPARサブタイプ(例えばγ)又はPPARサブタイプの組合せ(例えばα/γ)の1種類以上のリガンドによって媒介される、疾患、障害又は症状の治療又は制御に有用である。
【0062】
本発明の一態様は、2型糖尿病など、PPARガンマ作動物質又は部分作動物質の投与によって媒介され得る疾患を治療及び制御する方法を提供する。本発明の一態様は、治療を要するほ乳動物又はヒト患者において、式Iの化合物の治療有効量をかかるほ乳動物に投与することを含む、かかる疾患、障害又は症状を治療及び制御する方法を提供する。本発明の化合物は、(1)(インスリン非依存性糖尿病又はNIDDMとしても知られる)2型糖尿病、(2)高血糖、(3)低耐糖能、(4)インスリン抵抗性、(5)肥満、(6)脂質障害、(7)異脂肪血症、(8)高脂血症、(9)高トリグリセリド血症、(10)高コレステロール血症、(11)低HDLレベル、(12)高LDLレベル、(13)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(14)血管再狭窄、(15)過敏性大腸症候群、(16)クローン病及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性腸疾患、(17)他の炎症性症状、(18)すい炎、(19)腹部肥満、(20)神経変性疾患、(21)網膜症、(22)乾せん、(23)代謝症候群、(24)卵巣アンドロゲン過剰症(多嚢胞性卵巣症候群)、並びにインスリン抵抗性が構成要素である他の障害を含めて、ただしこれらだけに限定されない、多数のPPAR媒介性疾患及び症状の治療又は管理に有用であり得る。本発明の化合物は、高血圧、腫よう性症状、脂肪細胞腫よう、脂肪肉腫などの脂肪細胞癌腫、前立腺癌並びに胃癌、乳癌、ぼうこう癌及び結腸癌を含めた他の癌、血管新生、骨粗しょう症、アルツハイマー病の治療にも有用であり得る。
【0063】
本発明の化合物は、骨粗しょう症の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、骨粗しょう症患者、又は骨粗しょう症を発症するリスクがある患者において、骨密度の減少を遅延させる、又は停止させることによって、骨粗しょう症を治療することができ、又は骨粗しょう症を発症するリスクを低下させることができる。本発明の化合物は、骨量が既に減少し始めた患者において、骨量の減少を逆転させることもできる。
【0064】
本発明の一態様は、式Iの化合物の治療有効量をかかる治療を要する患者に投与することを含む、混合若しくは糖尿病性異脂肪血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症及び/又は高トリグリセリド血症を治療及び制御する方法を提供する。本化合物は、単体で使用することができ、又は有利には、コレステロール生合成阻害剤、特にロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522などのHMG−CoA還元酵素阻害剤と一緒に投与することができる。本化合物は、有利には、コレステロール吸収阻害剤(例えば、スタノールエステル、チクェシドなどのステロールグリコシド、及びエゼチマイブなどのアゼチジノン)、(アバシミベ(avasimibe)などの)ACAT阻害剤、CETP阻害剤、ナイアシン、胆汁酸捕捉剤、ミクロソームトリグリセリド輸送阻害剤、胆汁酸再取り込み阻害剤などの他の脂質低下薬と併用することもできる。これらの併用療法は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、高脂血症、高トリグリセリド血症、異脂肪血症、高LDL及び低HDLからなる群から選択される、1つ以上の関連症状の治療又は管理にも有効であり得る。
【0065】
本発明の別の態様は、治療を要する患者に本発明の化合物の有効量を投与することによって、炎症性腸疾患、クローン病、及び潰よう性大腸炎を含めた炎症性症状を治療する方法を提供する。本発明によって治療することができる更に別の炎症性疾患としては、痛風、リウマチ様関節炎、骨関節炎、多発性硬化症、ぜん息、ARDS、乾せん、血管炎、虚血/再潅流傷害、凍そう、関連疾患などが挙げられる。
【0066】
投与及び用量範囲
ほ乳動物、特にヒトに、本発明の化合物の有効投与量を投与するために任意の適切な投与経路を使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼球、肺、経鼻などを使用することができる。剤形としては、錠剤、トローチ剤、分散液剤、懸濁液剤、液剤、カプセル剤、乳剤、軟膏剤、エアゾール剤などが挙げられる。式Iの化合物は、経口投与することが好ましい。
【0067】
使用する活性成分の有効投与量は、使用する具体的な化合物、投与形式、治療する症状、及び治療する症状の重症度に応じて変わり得る。当業者は、かかる投与量を容易に確認することができる。
【0068】
真性糖尿病、及び/又は高血糖、又は高トリグリセリド血症、又は式Iの化合物が必要である他の疾患を治療又は管理するときには、本発明の化合物を約0.1ミリグラムから約100ミリグラム/キログラム動物体重の1日用量で、好ましくは1日1回、1日2回から6回、又は徐放形式で、投与すると一般に満足のいく結果が得られる。大部分の大型ほ乳動物では、1日の総用量は、約1.0ミリグラムから約1000ミリグラムであり、好ましくは約1ミリグラムから約50ミリグラムである。70kgの成人の場合には、1日の総用量は、一般に約1ミリグラムから約500ミリグラムである。特に強力な化合物では、成人に対する投与量が0.1mgと低い場合もある。投与計画は、この範囲で、さらにはこの範囲外でも、調節して、最適な治療反応を得ることができる。
【0069】
経口投与は、通常、錠剤を用いて実施することができる。錠剤の用量の例は、0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg及び250mgである。他の経口剤形も同じ投与量を有し得る(例えばカプセル剤)。
【0070】
薬剤組成物
本発明の別の態様は、式Iの化合物と薬剤として許容される担体とを含む薬剤組成物を提供する。本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物、又は薬剤として許容される塩を活性成分として含み、薬剤として許容される担体を含み、他の治療成分を含んでいてもよい。「薬剤として許容される塩」という用語は、無機の塩基又は酸及び有機の塩基又は酸を含めて、薬剤として許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。薬剤組成物は、プロドラッグ、又はプロドラッグを投与する場合には、薬剤として許容されるその塩も含み得る。
【0071】
組成物としては、経口、直腸、局所、(皮下、筋肉内及び静脈内を含めた)非経口、眼球(眼)、肺(鼻又は口からの吸入)又は経鼻投与に適切な組成物が挙げられるが、任意の所与の症例において最も適切な経路は、治療する症状の性質及び重症度、並びに活性成分の性質に応じて決まる。組成物は、好都合には単位剤形とすることができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。
【0072】
実用においては、式Iの化合物を活性成分として、従来の薬剤配合技術に従って、薬剤担体と十分混合して、組み合わせることができる。担体は、投与、例えば、経口又は(静脈内を含めた)非経口投与に望ましい剤形に応じて多種多様な形態をとり得る。経口用組成物を調製する際には、例えば、懸濁液剤、エリキシル剤、液剤などの経口液体製剤の場合には、例えば、水、グリコール、オイル、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤などの通常の薬剤媒体のいずれかを使用することができ、例えば、散剤、硬及び軟カプセル剤、錠剤などの経口固体製剤の場合には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体を使用することができる。経口固体製剤は、液体製剤よりも好ましい。
【0073】
錠剤及びカプセル剤は、投与が容易なので、最も有利な経口投与単位剤形であり、その場合には、固体薬剤担体が使用されることは明白である。所望であれば、標準の水系又は非水系技術によって錠剤を被覆することができる。かかる組成物及び製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含むべきである。これらの組成物における活性化合物の割合は当然変動し得るものであり、好都合には、単位重量の約2パーセントから約60パーセントであり得る。治療上有用であるかかる組成物中の活性化合物量は、有効投与量が得られるような量である。活性化合物は、例えば、液滴又は噴霧剤として鼻腔内投与することもできる。
【0074】
錠剤、丸剤、カプセル剤などは、トラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチ、ゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及びスクロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味剤も含むこともできる。投与単位剤形がカプセル剤であるときには、単位剤形は、上記タイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含むことができる。
【0075】
種々の他の材料が、剤皮として、又は投与単位の物理的形態を改変するために、存在し得る。例えば、錠剤をシェラック、糖又はその両方で被覆することができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性成分に加えて、甘味剤としてスクロース、防腐剤としてメチル及びプロピルパラベン、色素、並びにサクランボ、オレンジ風味などの香味剤を含むことができる。
【0076】
式Iの化合物は、非経口投与することもできる。これらの活性化合物の液剤又は懸濁液剤は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤が適切に混合された水中で調製することができる。分散液剤は、グリセリン中で、液状ポリエチレングリコール中で、オイル中のそれらの混合物中で調製することもできる。通常の貯蔵及び使用条件下では、これらの製剤は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含む。
【0077】
注射用に適切な剤形としては、無菌水溶液剤又は分散液剤、及び無菌注射液又は分散液を即座に調製するための無菌散剤などが挙げられる。いずれの場合においても、剤形は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流体でなければならない。剤形は、製造及び貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌、真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール及び液状ポリエチレングリコール)、これらの適切な混合物、及び植物油を含む、溶媒又は分散媒とすることができる。
【0078】
併用療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善にやはり有用であり得る他の薬物と併用することができる。かかる他の薬物は、そのために一般に使用される経路及び量で、式Iの化合物と同時に、又は連続して、投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に使用するときには、かかる他の薬物と式Iの化合物とを含む単位剤形の薬剤組成物が好ましい。しかし、併用療法は、式Iの化合物と1種類以上の他の薬物とを異なる重複スケジュールで投与する療法も含む。また、1種類以上の他の活性成分と併用するときには、本発明の化合物と他の活性成分とを各々単体で使用するときよりも低用量で使用できると考えられる。したがって、本発明の薬剤組成物は、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分を含む薬剤組成物を含む。
【0079】
式Iの化合物と組み合わせて投与することができ、別々に、又は同じ薬剤組成物として、投与することができる、他の活性成分の例としては、以下のものが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0080】
(a)グリタゾンと非グリタゾン(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン、ネトグリタゾン、T−131、LY−300512及びLY−818の両方を含めた、他のPPARガンマ作動物質及び部分作動物質、
(b)メトホルミン、フェンホルミンなどのビグアナイド、
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、
(d)シタグリプチン、サクサグリプチン、ビルダグリプチンなどのジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(e)インスリン又はインスリン模倣物、
(f)トルブタミド、グリピジドなどのスルホニル尿素又は関連材料、
(g)(アカルボースなどの)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(h)(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、イタバスタチン、ZD−4522及び他のスタチン類)、(ii)胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)フェノフィブリック酸誘導体などのPPARα作動物質(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)、(v)例えばエゼチマイブなどのコレステロール吸収阻害剤、(vi)アバシミベ(avasimibe)などのアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(vii)CETP阻害剤、(viii)プロブコールなどのフェノール系抗酸化剤など、患者の脂質プロファイルを改善する薬剤、
(i)KRP−297、ムラグリタザール、テサグリタザル、ファルグリタザル、JT−501などのPPARα/γ二重作動物質、
(j)GW−501516、国際公開第97/28149号に開示のものなどのPPARδ作動物質、
(k)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンチラミン(phentiramine)、サビトラミン(subitramine)、オーリスタット、ニューロペプチドY5阻害剤、Mc4r作動物質、カンナビノイド1(CB−1)拮抗物質/逆作動物質、βアドレナリン受容体作動物質などの抗肥満化合物、
(l)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(m)アスピリン、非ステロイド抗炎症薬、グルココルチコイド、アザルフィジン、シクロオキシゲナーゼ2選択的阻害剤などの炎症性症状用薬剤、
(n)グルカゴン受容体拮抗物質、
(o)GLP−1、
(p)GIP−1、及び
(q)エキセンディン、例えばエクセナチド(Byetta)などのGLP−1類似体。
【0081】
上記組合せは、本発明の化合物と、1種類の他の活性化合物との組合せだけでなく、2種類以上の他の活性化合物との組合せも含む。非限定的例としては、式Iの化合物と、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoA還元酵素阻害剤、他のPPAR作動物質、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤及び抗肥満化合物から選択される2種類以上の活性化合物との組合せが挙げられる。
【0082】
バイオアッセイ
A)PPAR結合アッセイ
組み換えヒトPPARγ、PPARδ及びPPARαの調製の場合:ヒトPPARγ、ヒトPPARδ及びヒトPPARαは、E.コリ(E. coli.)中でgst融合タンパク質として発現された。PPARγ用の完全長ヒトcDNAをpGEX−2T発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。PPARδ及びPPARα用の完全長ヒトcDNAをpGEX−KT発現ベクター(Pharmacia)にサブクローニングした。それぞれのプラスミドを含むE.コリを増殖させ、誘導し、遠心分離によって収集した。再懸濁させたペレットをフレンチプレスによって破砕し、破片を12,000×gで遠心分離して除去した。組み換えヒトPPAR受容体を、グルタチオンセファロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。カラムにかけ、1回洗浄した後、受容体をグルタチオンで溶出させた。グリセリン(10%)を添加して受容体を安定化し、一定分量を−80℃で保存した。
【0083】
PPARγと結合させるために、Berger等(Novel peroxisome proliferator−activated receptor(PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects. J. Biol. Chem. (1999), 274: 6718−6725に記載のように、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び10nM[]AD5075、(21Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセリン、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミジン及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした。アッセイを最終体積150μLで4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆チャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpmで4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0084】
PPARδと結合させるために、Berger等(Novel peroxisome proliferator−activated receptorγ(PPARγ) and PPARδ ligands produce distinct biological effects.1999 J Biol Chem 274: 6718−6725)に記載のように、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び2.5nM[]L−783483、(17Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセリン、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした。(L−783483は、3−クロロ−4−(3−(7−プロピル−3−トリフルオロメチル−6−ベンズ−[4,5]−イソオキサゾロキシ)プロピルチオ)フェニル酢酸、国際公開第97/28137号実施例20である。)アッセイを最終体積150μLで4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆チャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpmで4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0085】
PPARαと結合させるために、一定分量の受容体を、0.1%脱脂粉乳及び5.0nM[]L−797773、(34Ci/mmole)、±試験化合物を含むTEGM(10mM Tris、pH7.2、1mM EDTA、10%グリセリン、7μL/100mL β−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸Na、1mMジチオスレイトール、5μg/mLアプロチニン、2μg/mLロイペプチン、2μg/mLベンズアミド及び0.5mM PMSF)中でインキュベートした。(L−797733は、(3−(4−(3−フェニル−7−プロピル−6−ベンゾ−[4,5]−イソオキサゾロキシ)ブチルオキシ))フェニル酢酸、国際公開第97/28137号実施例62である。)アッセイを最終体積150μLで4℃で約16時間インキュベートした。デキストラン/ゼラチン被覆チャコール100μLと一緒に氷上で約10分間インキュベートして、結合していないリガンドを除去した。3000rpmで4℃で10分間遠心分離後、上清画分50μLをTopcountで計数した。
【0086】
B)Gal−4 hPPARトランス活性化アッセイ
キメラ受容体発現構築体のpcDNA3−hPPARγ/GAL4、pcDNA3−hPPARδ/GAL4、pcDNA3−hPPARα/GAL4を、それぞれhPPARγ、hPPARδ、hPPARαのリガンド結合ドメイン(LBD)に隣接して酵母GAL4転写因子DBDを挿入することによって調製した。レポーター構築体のpUAS(5X)−tk−lucを、GAL4応答エレメントの5コピーをヘルペスウイルス最小チミジンキナーゼプロモーター及びルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流に挿入することによって作製した。pCMV−lacZは、サイトメガロウイルスプロモーターの調節下にあるガラクトシダーゼZ遺伝子を含む。COS−1細胞を、96ウェル細胞培養プレート中で、10%チャコール精製(stripped)ウシ胎児血清(Gemini Bio−Products、Calabasas、CA)、非必須アミノ酸、100単位/mlペニシリンG及び100mg/ml硫酸ストレプトマイシンを含む高グルコースダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に12×10細胞/ウェルで、10%COの加湿雰囲気中で37℃で蒔いた。24時間後、Lipofectamine(GIBCO BRL、Gaithersburg、MD)を用いて製造者の指示に従って形質移入を実施した。手短に述べると、各ウェルの形質移入混合物は、Lipofectamine 0.48μl、pcDNA3−PPAR/GAL4発現ベクター0.00075μg、pUAS(5X)−tk−lucレポーターベクター0.045μg、及びトランス活性化効率の内部標準としてpCMV−lacZ 0.0002μgを含んだ。細胞を形質移入混合物中で10%CO雰囲気中で37℃で5時間インキュベートした。次いで、細胞を、5%チャコール精製ウシ胎児血清、非必須アミノ酸、100単位/mlペニシリンG及び100mg/ml硫酸ストレプトマイシン±漸増濃度の試験化合物を含む新しい高グルコースDMEM中で約48時間インキュベートした。化合物はDMSOに可溶化されるので、対照細胞を等濃度のDMSOと一緒にインキュベートした。最終DMSO濃度は≦0.1%であった。この濃度は、トランス活性化活性に影響を及ぼさないことが判明した。Reporter Lysis Buffer(Promega、Madison、WI)を製造者の指示に従って用いて細胞溶解物を製造した。細胞抽出物におけるルシフェラーゼ活性を、Luciferase Assay Buffer(Promega、Madison、WI)を用いてML3000照度計(Dynatech Laboratories、Chantilly、VA)によって求めた。βガラクトシダーゼ活性をβ−D−ガラクトピラノシド(Calbiochem、San Diego、CA)を用いて求めた。
【0087】
ロシグリタゾンなどの完全PPAR作動物質と最大トランス活性化活性を比較することによってアゴニズムを求めた。一般に、トランス活性化の最大刺激が、完全作動物質を用いて認められる効果の50%未満である場合には、化合物は部分作動物質と呼ばれる。トランス活性化の最大刺激が、完全作動物質を用いて認められる効果の50%を超える場合には、化合物は完全作動物質と呼ばれる。本発明の化合物は、1nMから3000nMの範囲のEC50値を有する。
【0088】
C)インビボ試験
オスのdb/dbマウス(10−11週齢C57B1/KFJ、Jackson Labs、Bar Harbor、ME)を5匹/おりで飼育し、粉末のPurinaげっ歯類固形飼料及び水を自由に摂れるようにする。マウス及びその食物を2日ごとに計量し、ビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース)±示した用量の試験化合物を胃管栄養法によって毎日与える。薬物懸濁液を毎日調製する。血しょうグルコース及びトリグリセリド濃度を試験期間中3−5日間隔で尾部から採血した血液から求める。グルコース及びトリグリセリドの測定を、Boehringer Mannheim Hitachi 911自動分析器(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)によって、等張食塩溶液で1:6(v/v)希釈されたヘパリン処置血しょうを用いて実施する。やせたマウスは、同様に維持された同齢のヘテロ接合体マウスである。
実施例
以下の実施例は、本発明の認識及び理解をより深めるように本発明を説明するためのものである。実施例は、本発明を限定するものと決して解釈すべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0089】
以下のスキームによって、明確に開示されていない化合物、又はその合成が十分に記述されていない化合物を当業者が製造することのできる方法を更に教示する。出発材料を公知の手順によって調製し、又は説明の通りに調製する。一部の出発材料は、商業的に入手することもできる。
【0090】
【化13】

【0091】
適切には、α置換フェニル酢酸塩又はその同族体Iをヒドロキシピリジンとカップリングさせると、ピリジニルオキシアリール誘導体IIが生成する。次いで、化合物IIのα置換エステル部分を1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン(OZD)又は1,3−チアゾリジン−2,4−ジオン(TZD)環に転化すると、所望の化合物IIIが生成する。
【0092】
中間体1
【0093】
【化14】

【0094】
段階1. 1−ブロモ−3−(2−プロペニル)ベンゼンの調製
NaHMDSのTHF溶液(1.0M、18.0mL、18.0mmol)を、氷浴で冷却した臭化メチルトリフェニルホスホニウム(6.4g、18.0mmol)のTHF(60mL)懸濁液に添加した。生成したオレンジ色の懸濁液を30分間撹拌し、次いで−78℃に冷却した。3−ブロモアセトフェノン(3.0g、15.0mmol)を滴下した。−78℃で30分後、反応混合物を25℃に加温し、酢酸(1.0mL)でクエンチした。溶媒を除去した後、残渣を酢酸エチル/ヘキサン(3:7、100mL)を用いてすりつぶし、短いシリカゲルカラムに通してろ過した。ろ液を濃縮して標記化合物を得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.62(t、J=2.5Hz、1H)、7.50(m 1H)、7.41(m、1H)、7.22(t、J=8.5Hz、1H)。
【0095】
段階2. (2R)−2−(3−ブロモフェニル)−1,2−プロパンジオールの調製
段階1から得られた1−ブロモ−3−(2−プロペニル)ベンゼン(2.9g、15mmol)とAD−mix−β(Aldrich、21.0g)の混合物のt−BuOH−HO(1:1、150mL)溶液を4℃で16時間激しく撹拌した。反応物(reaction)を固体NaSO(5.0g)でクエンチし、酢酸エチル(150mL)で希釈した。水溶液を分離し、酢酸エチルで抽出した。混合有機相を塩水で洗浄し、脱水し、短いシリカゲル経路に通してろ過した。溶媒を除去して、本質的に純粋な標記化合物を得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.63(t、J=2.5Hz、1H)、7.40(m、1H)、7.36(m、1H)、7.23(t、8.4Hz、1H)、3.75(d、J=11.8Hz、1H)、3.62(d、J=11.8Hz、1H)、1.50(s、3H)。
【0096】
段階3. メチル(2R)−2−(3−ブロモフェニル)−2−ヒドロキシプロパノアートの調製
段階2から得られたジオール(3.3g、15mmol)と炭素担持10%Pt(1.5g)を0.1M KHPO緩衝剤(300mL)中で混合した。反応混合物を80℃で加熱し、空気を6時間通気した。熱い反応混合物をセライトパッドに通してろ過し、ろ過ケーキを、5%酢酸を含む酢酸エチル(100mL)で洗浄した。水系ろ液を濃塩酸でpH2の酸性にし、酢酸エチル(3×80mL)で抽出した。混合有機相を塩水で洗浄し、脱水し、濃縮した。残渣を7:1(v/v)ベンゼン−メタノール(75mL)に溶解させ、ガスの発生が終わるまでトリメチルシリルジアゾメタン(1.Mヘプタン溶液)で処理した。揮発性物質を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、7:3(v/v)ヘキサン−酢酸エチルで溶出させて精製して、標記化合物を得た。
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.71(t、J=2.0Hz、1H)、7.49(dt、J=8.0Hz、1.0Hz、1H)、7.44(ddd、J=8.0Hz、2.0Hz、1.0Hz、1H)、7.26(t、J=8.0Hz、1H)、3.72(s、3H)、1.72(s、3H)。
MS(ESI、m/z): 281.0(M+Na−1)、241.0(M−18)。
【0097】
中間体2
【0098】
【化15】

【0099】
段階1. エチル(E)−2−エチル−3−(3−ベンジルオキシフェニル)プロペノアートの調製
3−ベンジルオキシベンズアルヒデド(10g、50mmol)と(1−カルボエトキシエチレン)トリフェニルホスホラン(20g、55mmol)のTHF(200mL)溶液を2時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、残渣を7:3酢酸エチル:ヘキサンを用いてすりつぶし、短いシリカゲル経路を通してろ過した。ろ液から溶媒を除去して、標記生成物を得た。
【0100】
段階2. エチル(2R,3R)−3−(3−ベンジルオキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパノアートの調製
段階1から得られた生成物(5.9g、20mmol)、AD−mix−α(Aldrich、28.0g)の混合物を1:1 t−BuOH:HO(200mL)と混合した。生成した混合物を4℃で2日間撹拌し、NaSO水溶液(2N、20mL)を添加してクエンチした。混合物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、塩水(2×100mL)で洗浄し、脱水した。溶媒を除去して、標記化合物を得た。
【0101】
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.46(m、2H)、7.41(m、2H)、7.36(m、1H)、7.29(t、J=8.4Hz、1H)、7.09(t、J=2.4Hz、1H)、7.01(d、J=8.4Hz、1H)、6.96(dd、J=8.4、2.4Hz、1H)、5.1(s、2H)、4.8(d、J=7.1Hz、1H)、4.3(m、2H)、3.50(s、1H)、2.70(d、J=7.1Hz、1H)、1.35(t、J=7.5Hz、3H)、1.22(s、3H)。
【0102】
段階3. エチル(2R,3R)−3−(3−ベンジルオキシフェニル)−2,3−ジヒドロキシ−2−メチルプロパノアート 2,3−カルボナートの調製
段階2から得られた生成物(6.6g、20mmol)とカルボニルジイミダゾール(6.5g、40mmol)のトルエン(100mL)溶液を60℃で1時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を短いシリカゲルカラムに通してろ過した。ろ過ケーキを3:7酢酸エチル:ヘキサンで洗浄して、標記環式カルボナートを得た。
【0103】
段階4. エチル(2R)−2−ヒドロキシ−3−(3−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパノアートの調製
段階3から得られた生成物(7.1g、20mmol)のエタノール(100mL)溶液を、10%Pd/C(1.4g)と一緒に水素(1atm)下で16時間撹拌した。触媒除去後、溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー法によって、3:7酢酸エチル:ヘキサンで溶出させて分離して、中間体2を得た。
【0104】
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.16(t、J=8.4Hz、1H)、6.76(m、3H)、4.80(br.s、1H)、4.20(m、2H)、3.08(d、J=15.0Hz、1H)、2.91(d、J=15.0、1H)、1.54(s、3H)、1.31(t、J=7.2Hz、3H)。
MS(ESI、m/z): 247.1(M+Na)。
【0105】
中間体3
【0106】
【化16】

【0107】
−75℃に冷却した、中間体2(2.2g、10mmol)とエチルジイソプロピルアミン(3.5mL、20mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液に、トリフリック酸無水物(1.77mL、10.5mmol)を添加した。−75℃で30分間撹拌後、反応混合物を水(50mL)に注ぎ、ジクロロメタン(1×20mL)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、濃縮した。残渣をエーテルにとり、短いシリカゲル経路に通してろ過して、中間体3を得た。
【0108】
H NMR(500MHz、CDOD) δ 7.05(t、J=8.5Hz、1H)、6.62−6.69(m、3H)、4.13(m、2H)、2.95(d、J=13.5、1H)、2.86(d、J=13.5Hz、1H)、1.38(s、3H)、1.23(t、J=7.5Hz、3H)。
MS(ESI、m/z): 379.0(M+Na
【0109】
中間体4
6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−オール
【0110】
【化17】

【0111】
段階1. 2,6−ジクロロニコチン酸メチルの調製
2,6−ジクロロニコチン酸(52g、0.27mol)のベンゼン:MeOH(7:1、1.0L)溶液に、(トリメチルシリル)ジアゾメタン溶液(1Mヘプタン溶液)をガスの発生が終わり、黄色が残るまで滴下した(約320mL、1.2当量)。揮発性物質を除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、7:1ヘキサン:酢酸エチルで溶出させて精製して、生成物を白色固体として得た。
【0112】
段階2. 2−クロロ−6−(4−クロロフェノキシ)ニコチン酸メチルの調製
段階1から得られた生成物(54g、0.26mol)、p−クロロフェノール(31.7g、0.25mol)及び炭酸セシウム(101.4g、0.31mol)の混合物の無水DMF(1.0L)溶液を、25℃で約2時間、又は出発物質(starting)が5%未満になるまで、撹拌した。次いで、反応混合物を水(2.5L)に注ぎ、酢酸エチル(2×800mL)で抽出した。有機層を水(2×300mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて脱水した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、7:1ヘキサン:酢酸エチルで溶出させて精製して、標記生成物を得た。
【0113】
段階3. 6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルニコチン酸メチルの調製
−30℃に冷却した、段階2から得られた生成物(73.0g、0.245mol)とFe(acac)(4.3g、12.2mmol)のTHF(1.2L)溶液に、反応温度を−30℃未満に維持しながら、塩化n−プロピルマグネシウム(2M EtO溶液、245mL、0.49mol)溶液を45分間添加した。暗色反応混合物を更に15分間撹拌し、NHCl飽和水溶液(1.5L)に注いだ。有機層を分離し、塩水(1×250mL)で洗浄した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、100%ヘキサン、次いで15:1ヘキサン:酢酸エチルで溶出させて精製して、標記生成物をオイルとして得た。
【0114】
段階4. [6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]メタノールの調製
−75℃に冷却した、段階3から得られた生成物(48g、157mmol)のトルエン(500mL)溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム溶液(1.0Mトルエン溶液、314mL、314mmol)を45分間添加した。−75℃で更に30分後、反応混合物を1N塩酸氷冷溶液(1.5L)に注ぎ、混合物を室温で30分間撹拌した。生成物を酢酸エチル(2×500mL)で抽出し、有機抽出物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液及び塩水で洗浄した。溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、7:1ヘキサン:酢酸エチルで溶出させて精製して、標記生成物をオイルとして得た。
【0115】
段階5. 調製6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルニコチンアルデヒド
段階4から得られた生成物(30.5g、110mmol)、N−メチルモルホリン−N−オキシド(19.3g、165mmol)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(1.9g、5.5mmol)及び4Åモレキュラーシーブ(55g)の混合物のジクロロメタン(500mL)溶液を水浴で20℃に冷却し、1時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(1.5L)で希釈し、15分間撹拌し、短いシリカゲル経路を通してろ過した。溶媒を除去して、標記生成物を淡黄色オイルとして得た。
【0116】
H NMR(500MHz、CDCl) δ 10.30(s、1H)、8.18(d、J=8.5Hz、1H)、7.42(d、J=9.0Hz、2H)、7.16(d、J=9.0Hz、2H)、6.84(d、J=8.5Hz、1H)、3.06(t、J=7.5Hz、2H)、1.72(m、2H)、0.97(t、J=7.5Hz、3H)。
MS(ESI、m/z): 276.1(M+1)。
【0117】
段階6. 6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−オール。
【0118】
段階5から得られたアルデヒド(2.3g、10mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解させ、m−クロロ過安息香酸(70%、5.0.0g、20mmol)及び炭酸水素ナトリウム(2.5g、30mmol)を添加した。生成した不均一混合物を撹拌し、2時間加熱還流し、次いで亜硫酸ナトリウム水溶液(0.5M、100mL)でクエンチした。25℃で30分間撹拌後、有機相を分離し、水相をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。混合有機相を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(2×100mL)で洗浄し、脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー法によって、ヘキサンと酢酸エチルの8:2混合物で溶出させて分離して、標記フェノールを固体として得た。
【0119】
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.31(d、J=8.8Hz、2H)、7.27(m、1H)、7.01(d、J=8.8Hz、2H)、6.60(d、J=8.5Hz、1H)、2.75(t、J=7.6Hz、2H)、1.73(m、2H)、0.98(t、J=7.3Hz、3H)。MS(ESI、m/z) 264.2(MH
【実施例1】
【0120】
(5R)−5−(3−{[6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]オキシ}ベンジル)−5−メチル−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン
【0121】
【化18】

【0122】
段階1. エチル(2R)−3−[4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピル−ピリジン−3−イル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオナートの調製
中間体3(3.6g、10mmol)、中間体4(3.9g、15mmol)、酢酸パラジウム(90mg、0.04mmol)、ジ(t−ブチル)(2−ビフェニル)ホスフィン(179mg、0.06mmol)及びリン酸(phophate)カリウム(4.2g、20mmol)の混合物のトルエン(30mL)溶液を脱気し、N下で100℃で16時間加熱した。反応混合物をエーテル(50mL)で希釈し、短いシリカゲル経路を通してろ過して、粗製標記生成物を得た。これを次の段階に直接使用した。
【0123】
段階2. (2R)−[3−(4−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパミドの調製
段階1から得られた粗生成物のメタノール(35mL)溶液を0℃に冷却し、アンモニアガスで飽和させた。溶液を密封容器中で55℃で2日間維持し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー法によって、まず3:7酢酸エチル:ヘキサンで、次いで100%酢酸エチルで溶出させて分離した。酢酸エチル画分を濃縮して、標記化合物を得た。
【0124】
段階3. (5R)−5−(3−{[6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]オキシ}ベンジル)−5−メチル−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオンの調製
段階2から得られたアミド(2.7g、6.0mmol)を炭酸ジエチル(30mL)に溶解させた。1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.9g、18mmol)と水素化ナトリウム(60%鉱油分散液、0.72g、18mmol)を連続添加した。生成した反応混合物を50℃で2時間撹拌し、氷水に注いだ。混合水溶液を濃塩酸でpH2の酸性にし、酢酸エチルで抽出した。混合有機相を塩水で洗浄し、脱水し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、1%酢酸を含む3:7酢酸エチル:ヘキサンで溶出させて精製して、標記化合物を得た。
H NMR(500MHz、CDCl) δ 7.70(s(br)、1H) 7.36(d、J=8.7Hz、2H)、7.25(m、2H)、7.13(d、J=8.7Hz、2H)、6.94(d、J=7.8Hz、1H)、6.86(m、1H) 6.77(m、1H) 6.71(d、J=8.7Hz、1H) 3.17(d、J=14.2Hz、1H) 3.09(d、J=14.2Hz、1H) 2.65(t、J=7.5Hz、2H)、1.67(m、5H)、0.91(t、J=7.5Hz、3H)。
MS(ESI、m/z) 467.2(MH
【実施例2】
【0125】
(5R)−5−(3−{[6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]オキシ}フェニル)−5−メチル−1,3−オキサゾリジン−2,4−ジオン
【0126】
【化19】

【0127】
標記化合物を、実施例1の場合と同じ手順に従って、段階1の中間体3の代わりに中間体1を用いて調製した。
【0128】
H NMR(500MHz、CDCl) δ 8.00(s(br)、1H) 7.37(m、3H)、7.29(m、2H)、7.21(m、1H) 7.13(d、J=8.7Hz、2H)、6.85(m、1H) 6.77(m、1H) 6.71(d、J=8.7Hz、1H) 2.66(t、J=7.5Hz、2H) 1.94(s、3H) 1.67(m、2H)、0.91(t、J=7.4Hz、3H)。
MS(ESI、m/z) 453.1(MH

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【化1】

(式中、
基J、K及びLの1個はNであり、基J、K及びLの他の2個はC(R)であり、
AはO又はSであり、
Xは、結合又は−C(R−であり、
は、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、C−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、
【化2】

からなる群から選択され、
Yは、=O及び=N−OHからなる群から選択され、
D及びZは、C(R)及びNからなる群から各々独立に選択され、
Bは、−N(R)−、−O−及び−S−からなる群から選択され、
各Rは、ハロゲン、−OH、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、1−5個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、H、ハロゲン、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル及び−OC−Cアルキルは、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
は、C−Cアルキル、−CHシクロプロピル、C−Cシクロアルキル、−OC−Cアルキル及び−C(=O)C−Cアルキルからなる群から選択され、前記R置換基のアルキル、シクロプロピル及びシクロアルキル基は、1−3個のハロゲンで置換されていてもよく、
各Rは、H及びC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
mは0−4の整数であり、
nは0−5の整数であり、
qは0−2の整数である。)
【請求項2】
Xが、結合又はCHであり、
が、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、C−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
各Rが、F、Cl、CH、CF、−OCH及び−OCFからなる群から独立に選択され、
各Rが、ハロゲン、−OH、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルからなる群から独立に選択され、C−Cアルキル、−OC−Cアルキル、−OC(=O)C−Cアルキル及び−S(O)−Cアルキルは、1−3個のFで置換されていてもよく、
各Rが、H、F、Cl、CH、−OCH、CF及び−OCFからなる群から独立に選択され、
が、C−Cアルキル、−CHシクロプロピル及び−C(=O)C−Cアルキルからなる群から選択され、前記R置換基の任意のアルキル又はシクロアルキル基は、1−3個のFで置換されていてもよく、
が、H及びC−Cアルキルからなる群から選択され、
mが0及び1から選択される整数であり、
nが0−3の整数である、
請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項3】
がH又はCHである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項4】
がCHである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項5】
AがOである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項6】
各Rが、F、Cl、−OH、CH、CF、−OCH、−OCF、−OCHF、−OC、−OC(=O)CH及び−S(O)CHからなる群から独立に選択され、qが0、1又は2であり、nが0、1又は2である、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項7】
Xが結合である、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項8】
XがCHである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項9】
が、n−C、−CHシクロプロピル及び−C(=O)Cからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項10】
がn−Cである、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項11】
AがOであり、
Xが、結合又はCHであり、
がCHであり、
各Rが、F、Cl、−OH、CH、CF、−OCH、−OCF、−OCHCH、−OC(=O)CH、−OCHF及び−S(O)CHからなる群から独立に選択され、
が、H、Cl又はFであり、
が、n−C、−CHシクロプロピル及び−C(=O)Cからなる群から選択され、
が、H及びCHから選択され、
mが0であり、
nが0−2の整数である、
請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項12】
がHであり、
nが1又は2である、
請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項13】
が、
【化3】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項14】
が、
【化4】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項15】
が、
【化5】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項16】
が、
【化6】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項17】
が、
【化7】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項18】
が、
【化8】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項19】
が、
【化9】

である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項20】
LがNであり、J及びKが各々C(R)である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項21】
JがNであり、L及びKが各々C(R)である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項22】
KがNであり、L及びJが各々C(R)である、請求項11に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩と、薬剤として許容される担体とを含む、薬剤組成物。
【請求項24】
請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量の投与を含む、治療を要する患者における2型糖尿病を治療する方法。
【請求項25】
2型真性糖尿病の治療用医薬品の製造のための、請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用。
【請求項26】
下記化合物からなる群から選択される、請求項20に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩。
【化10】

【請求項27】
(1)請求項1に記載の化合物、又は薬剤として許容されるその塩と、
(2)
(a)PPARガンマ作動物質及び部分作動物質、
(b)ビグアナイド、
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、
(d)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤、
(e)インスリン又はインスリン模倣物、
(f)スルホニル尿素、
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤、
(h)患者の脂質プロファイルを改善する薬剤であって、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)胆汁酸捕捉剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARα作動物質、(v)コレステロール吸収阻害剤、(h)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(i)CETP阻害剤及び(j)フェノール系抗酸化剤からなる群から選択される薬剤、
(i)PPARα/γ二重作動物質、
(j)PPARδ作動物質、
(k)抗肥満化合物、
(l)回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤、
(m)抗炎症薬、
(n)グルカゴン受容体拮抗物質、
(o)GLP−1、
(p)GIP−1、及び
(q)GLP−1類似体
からなる群から選択される1種類以上の化合物と、
(3)薬剤として許容される担体と
を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2009−502783(P2009−502783A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522831(P2008−522831)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/027233
【国際公開番号】WO2007/018956
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】