説明

抗糖尿病性三環式化合物

二環式環に縮合したシクロプロパンカルボン酸を含む三環式化合物及び薬学的に許容される塩は、G−プロテイン結合受容体40(GPR40)のアゴニストであり、治療用化合物、特に2型糖尿病、並びに肥満及び脂質障害などこの疾患としばしば関連する症状、例えば、混合又は糖尿病性脂質異常症、高脂血症、高コレステロール血症及び高トリグリセリド血症などの治療における治療用化合物として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は置換インダン核に縮合したシクロプロパンカルボン酸を含む新規三環式化合物及び薬学的に許容されるその塩に関し、該化合物はG−プロテイン結合受容体40(GPR40)のアゴニストであり、治療用化合物として、特に2型糖尿病、並びに肥満及び脂質障害などこの疾患としばしば関連する症状の治療における治療用化合物として有用である。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は多様な原因因子に由来する疾患であり、空腹状態にあるか又は経口グルコース負荷試験に際してのグルコース投与後の血漿グルコース(hyperglycemia)レベルの上昇により特徴づけられる。糖尿病には一般に認知された2つの形態がある。1型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病(IDDM)において、患者はグルコースの利用を調節するホルモンであるインスリンを殆どあるいは全く産生しない。2型糖尿病又は非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)においては、なおインスリンが体内で産生される。2型糖尿病の患者は、筋肉、肝臓及び脂肪組織などの主要なインスリン感受性組織において、グルコース及び脂質代謝を刺激するインスリンの作用に抵抗性を有する。これらの患者ではしばしばインスリンレベルは正常であり、インスリン量を増量して分泌することにより低下したインスリンの有効性を補うため、高インスリン血症(血漿インスリンレベルの上昇)となり得る。インスリン抵抗性は、インスリン受容体数の減少を主要原因とするものではなく、未だ完全には理解されていないが、むしろインスリン受容体結合後の欠陥を原因とするものである。このインスリンに対する応答性の欠落は、筋肉中のグルコースの取り込み、酸化及び貯蔵の不十分なインスリン介在活性化を生じ、また脂肪組織における脂肪分解及び肝臓におけるグルコース産生と分泌の不適切なインスリン介在の抑制を生じる。
【0003】
糖尿病により発症する永続的又は非制御性の高血糖症は、予想外に上昇した、そして早期の罹患率及び死亡率と関連している。しばしば異常となるグルコース恒常性は、直接及び間接的に、肥満、高血圧、及び脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質新陳代謝の改変、並びに他の代謝性及び血行動態疾患と関連している。2型糖尿病の患者は、巨大血管及び微小血管合併症、例えば、アテローム性動脈硬化症、環状動脈心疾患、卒中、末梢血管疾患、高血圧、腎症、末梢神経障害及び網膜症の危険が有意に増加している。従って、グルコース恒常性、脂質代謝、肥満及び高血圧の治療制御は、糖尿病の臨床管理及び治療において決定的に重要である。
【0004】
インスリン抵抗性をもつ患者は、しばしば、あわせてX症候群又はメタボリックシンドロームと呼称される数種の症候を有する。広く使用されている1つの定義によると、メタボリックシンドロームを有する患者は以下の5種の症候の群から選択される3種以上の症候を有することで特徴付けられる:(1)腹部肥満;(2)高トリグリセリド血症;(3)低高密度リポタンパクコレステロール(HDL);(4)高血圧、及び(5)空腹時グルコース上昇(患者が糖尿病でもある場合、2型糖尿病の特徴の範囲であり得る)。これらの症候のそれぞれは、成人の高血中コレステロールの検出、評価及び治療に関する国立コレステロール教育プログラム専門家小委員会(成人処置小委員会III又はATPIII)の第三回報告書に臨床的に定義されている;米国立保険研究所、2001、NIH公報No.01−3670。メタボリックシンドロームの患者は、かれらが顕在性糖尿病を罹患又は発症しているか否かに関わらず、アテローム性動脈硬化症及び環状動脈心疾患など、2型糖尿病とともに生じる巨大血管及び微小血管合併症を発症させるリスクが高くなっている。
【0005】
2型糖尿病には利用可能な数種の治療法があり、その方法のそれぞれがそれ自体限界及び潜在的なリスクを有する。運動と食事によるカロリー摂取の減少は、しばしば糖尿病症状を劇的に改善し、2型糖尿病の、またインスリン抵抗性と関連する前糖尿病症状の通常推奨される最も重要な治療法である。この治療法のコンプライアンスは、習慣づいてしまったデスクワークのライフスタイルと過剰な食事の消費、とりわけ、多量の脂肪と炭水化物を含有する食事の消費のため、非常に難しい。薬理学的治療法は3領域の病態生理学に焦点が絞られている:(1)肝臓グルコース産生(ビグアニドによる;メトホルミンなど)、(2)インスリン抵抗性(PPARγアゴニストによる;ピオグリタゾン及びロシグリタゾンなど)、及び(3)インスリン分泌(スルホニルウレアによる)。
【0006】
ビグアニド類は2型糖尿病の治療に広く使用されている薬物の1分類である。2種の最もよく知られたビグアニド類、フェンホルミン及びメトホルミンは、ある程度、高血糖を修正する。ビグアニド類は主として肝臓のグルコース産生を阻害することにより作用するが、それらもインスリンの感受性を緩やかに改善すると信じられる。ビグアニド類は単一療法として又はインスリン若しくはインスリン分泌促進物質など他の抗糖尿病剤と組み合わせて、高血糖症のリスクを高めることなく使用することができる。しかし、フェンホルミン及びメトホルミンは乳酸アシドーシス及び悪心及び/又は下痢を誘発し得る。メトホルミンはフェンホルミンよりも副作用のリスクが低く、2型糖尿病の治療に広く処方されている。
【0007】
グリタゾン(すなわち、5−ベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン)は、高血糖症及び2型糖尿病の他の症候を改善し得るより新しい分類の化合物類である。現在市販されているグリタゾン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾン)は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)ガンマサブタイプのアゴニストである。PPAR−ガンマアゴニストは、2型糖尿病の数種の動物モデルにおいて、筋肉、肝臓及び脂肪組織のインスリン感受性を実質的に増大させ、その結果、低血糖症を生じることなく、上昇した血漿グルコースレベルを部分的に又は完全に調整する。PPAR−ガンマアゴニズムは、グリタゾンで処置したヒト患者で観察される改善されたインスリン増感に関係していると信じられる。新しいPPARアゴニストが現在開発されつつある。新規のPPAR化合物の多くは、1種以上のPPARアルファ、ガンマ及びデルタサブタイプのアゴニストである。PPARアルファ及びPPARガンマサブタイプ両方のアゴニスト(PPARアルファ/ガンマ二重アゴニスト)である化合物が創製され、試験されたが、これまでに管轄官庁により承認されたものはない。現在市場に出ているPPARガンマアゴニストは、血漿グルコース及びヘモグロビンA1Cを低下させる上で、適度に有効である。現在市場に出ている化合物は脂質代謝を著しく改善することはなく、実際に、脂質プロフィールに対しネガティブな作用を示す。選択的PPARガンマ部分アゴニスト(SPPARM)は現在開発されつつあり、体重増加及び浮腫などの副作用がより少なく、同等に有効であり得る。従って、PPAR化合物は糖尿病治療における重要な進歩の代表である。
【0008】
別の広く使用されている薬物治療法は、スルホニルウレア(例えば、トルブタミド、グリピジド及びグリメピリド)など、インスリン分泌促進剤を投与することを含む。これらの薬物は、さらにインスリンを分泌させるために、膵臓のβ−細胞を刺激することにより血漿インスリンレベルを上昇させる。膵臓のβ−細胞におけるインスリン分泌は、グルコース及び一連の代謝性、神経性及びホルモンのシグナルによる厳しい制御下にある。グルコースはその代謝を介してインスリンの産生と分泌を刺激し、ATP及び他のシグナル伝達分子を生成するが、一方で、他の細胞外シグナルは血漿膜上に存在するGPCRを介して、インスリン分泌の増強剤又は阻害剤として作用する。スルホニルウレア及び関連する分泌促進剤は、β−細胞においてATP−依存性K+チャンネルを遮断することにより作用し、細胞の脱分極と電位依存性Ca2+チャンネルの開放を惹き起こし、それとともにインスリン放出を刺激する。このメカニズムは非グルコース依存性であり、従って、インスリン分泌は外界のグルコールレベルに関係なく起こり得る。このメカニズムは喩えグルコースレベルが低い場合でもインスリン分泌を惹き起こし、結果として低血糖症となり、重症の場合には致命的でさえあり得る。それ故、インスリン分泌促進剤の投与は、注意深く制御しなければならない。インスリン分泌促進剤はしばしば2型糖尿病の最も重要な薬物療法として使用される。
【0009】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デナグリプチン及びサキサグリプチン)は、摂食量に応答してインスリン分泌を増加させる新しいルートを提供する。DPP−4は広範な組織に分布する細胞表面タンパク質であり、広い範囲の生物機能に関与している。DPP−4はT−細胞活性化マーカーCD26に一致し、インビトロで多くの免疫調節性、内分泌性及び神経性ペプチドを切断することができる。インクレチンGLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)及びGIP(グルコース依存性インスリン向性ペプチド;胃抑制ペプチドとしても知られる)は、インスリン分泌を刺激し、DPP−4によりインビボで急速に不活性化される。これらのペプチド性ホルモンは小腸の上皮に局在する内分泌細胞により分泌される。これらの内分泌細胞が消化管の内腔において、グルコース濃度の上昇を感知するとき、それらはインクレチン放出の引き金として作用する。インクレチンは循環を経て膵臓のベータ細胞に搬送され、消化する食餌に由来する血中グルコースの増加を予測して、ベータ細胞にさらにインスリンを分泌させる。DPP−4(−/−)−欠損マウスによる研究及びDPP−4阻害剤での臨床治験は、DPP−4阻害がGLP−1及びGIPの定常状態濃度を上昇させて、改善されたグルコース耐性を生じさせることを示す。DPP−4によるこれらペプチドの不活化は、グルコースの恒常性に役割をも果たし得る。それ故、DPP−4阻害剤は2型糖尿病の治療に、また2型糖尿病にしばしば伴う様々な症状、例えば、メタボリックシンドローム、反応性低血糖症及び糖尿病性脂質異常症などの治療と予防に用途を有する。GLP−1は血中グルコースを低下させるのを助け、グルコース定常性に寄与する他の作用を有する。GLP−1は肝臓からのグルカゴン分泌を阻害する。グルカゴンは、肝臓においてグリコーゲン貯蔵庫からのグルコース産生を刺激することにより、血中グルコースレベルを上昇させるホルモンである。GLP−1はまた胃が空になるのを遅延させ、グルコース吸収の時間を引き延ばし、結果として高血糖を制限する助けとなる。また、動物での研究は、GLP−1が増殖の促進を経て又はアポトーシスを阻害することによりベータ細胞数を増加させることができることを示している。従って、GLP−1の分解を防止することによりその作用を増強すると、2型糖尿病と関連する高血糖症を減弱させる幾つかのメカニズムが明らかとなる。
【0010】
更新された焦点は、グルコース依存性インスリン分泌により制御される膵島に基づくインスリン分泌に向けられてきた。この方法はβ−細胞機能の安定化と回復の潜在能力を有する。この観点において、数種のオーファンG−プロテイン結合受容体(GPCR)は、優先的にβ−細胞内で発現し、またグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)に関与していることが最近発見された。GPR40は、ヒト(及びげっ歯類)のランゲルハンス島並びにインスリン分泌細胞株にて高度に発現される細胞表面GPCRである。数種の天然産の中鎖ないし長鎖脂肪酸(FA)並びに合成化合物は、数種のチアゾリジンジオン類のPPARγアゴニストを含め、最近、GPR40に対するリガンドとして同定された[Itoh,Y.et al.,Nature,422:173(2003);Briscoe,C.P.et al.,J.Biol.Chem.,278:11303(2003);Kotarsky,K.et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,301:406(2003)]。高血糖症状下、GPR40アゴニストはランゲルハンス島細胞からのインスリンの放出を増加させることが可能である。この応答の特異性は、siRNAによるGPR40活性の阻害が、GSISのFA−誘発増幅を減弱させることを示す結果により示唆される。これらの知見は、インスリン放出を促進すると考えられるFA類の脂質誘導体の細胞内生成に加えて、FA類(及び他の合成GPR40アゴニスト)が、FA−誘発インスリン分泌を介在する際に、GPR40に結合する細胞外リガンドとしても作用し得ることを示している。GPR40には、2型糖尿病の治療のための有力な標的として幾つもの有力な利点がある。第一に、GPR40−介在インスリン分泌はグルコース依存性であるため、低血糖症のリスクは僅かであるか全くない。第二に、GPR40の組織分布が限られていること(主としてランゲルハンス島に)は、他の組織においてのGPR40活性と関連する副作用のチャンスが少ないであろうことを示唆している。第三に、ランゲルハンス島にて活性であるGPR40アゴニストは、ランゲルハンス島の機能を回復又は保存する潜在力を持ち得る。このことは非常に有益である;その理由は、長期間の糖尿病治療がしばしばランゲルハンス島活性の漸進的減少に導き、結果として、長期に渡る治療の後に、2型糖尿病患者に毎日インスリンの注射処置をする必要がしばしば生じるからである。ランゲルハンス島機能を回復させるか又は保存することにより、GPR40アゴニストは、2型糖尿病患者のランゲルハンス島機能の低下及び喪失を遅延するか又は防止し得る。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本発明は、新規の置換縮合シクロプロパンカルボン酸及び薬学的に許容されるその塩、並びにその単体のジアステレオ異性体及び鏡像異性体及びそのジアステレオ異性体及び/又は鏡像異性体の混合物に向けられており、これらはGPR40受容体のアゴニストであり、またGPR40アゴニストにより調節される疾患、例えば、2型糖尿病、2型糖尿病と関連する高血糖症、インスリン抵抗性及び肥満の治療に有用である。
【0012】
発明の詳細な記載
本発明はGPR40受容体のアゴニストとして有用な以下の構造式を有する新規の置換縮合シクロプロパンカルボン酸に関する:
【0013】
【化1−1】

【0014】
【化1−2】

【0015】
本発明は以下に要約する多くの実施態様を有する。本発明は上に示した化合物とともに、個々の化合物のジアステレオ異性体、鏡像異性体及びそれら化合物のエピマー及びラセミ体混合物を包含するそのジアステレオ異性体及び/又は鏡像異性体の混合物をも包含する。本発明の一実施態様において、該化合物は以下に示す3個の立体形成性炭素中心にて絶対立体化学を有する化合物及び薬学的に許容されるその塩を包含する:
【0016】
【化2−1】

【0017】
【化2−2】

【0018】
本発明はまた、該化合物の薬学的に許容される塩、及び該化合物と薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物をも包含する。該化合物は、とりわけ、インスリン抵抗性、2型糖尿病、高血糖症、並びに2型糖尿病及びインスリン抵抗性と関連する脂質異常症などの治療に有用である。該化合物はまた、肥満の治療にも有用である。
【0019】
上記の特定の立体化学が好適ではあるが、ジアステレオ異性体、鏡像異性体、エピマー及びそれらの混合物を含め、他の立体異性体もGPR40の介在する疾患の治療に用途を有し得る。
【0020】
該化合物を調製するための合成法を下記の実施例に開示する。合成の詳細が実施例に提供されていない場合、該化合物は本明細書に提供する合成情報を適用することにより、医化学若しくは合成有機化学の当業者により容易に調製される。立体化学中心が明示されていない場合、該構造はその中心での立体異性体の混合物を表わす。かかる化合物の場合、個々の立体異性体は、鏡像異性体、ジアステレオ異性体及びそれらの混合物をも含め、本発明の化合物である。
【0021】
本発明化合物は、(a)該化合物又は薬学的に許容されるその塩、及び(b)薬学的に許容される担体とを含有してなる医薬組成物として使用し得る。本発明化合物は、1種以上の他の活性医薬成分を含有する医薬組成物において使用し得る。また、本発明化合物は、本発明化合物又は薬学的に許容されるその塩が唯一の有効成分である医薬組成物としても使用し得る。
【0022】
本発明化合物又は薬学的に許容されるその塩は、ヒト又は他の哺乳動物患者の2型糖尿病の治療のための医薬の製造において使用し得る。
【0023】
2型糖尿病の治療方法は、治療有効量の本発明化合物又は薬学的に許容されるその塩又は該化合物を含有してなる医薬組成物を、治療の必要な患者に投与することを含む。本発明化合物の他の医学的使用を以下に記載する。
【0024】
定義:
本明細書にて使用する場合、以下の定義を適用する。
【0025】
「Ac」はアセチルであり、CHC(=O)−である。
【0026】
「アルキル」は、その炭素鎖について特段の断りがない限り、直鎖又は分枝鎖又はその組み合わせであり得る飽和の炭素鎖を意味する。接頭辞「アルク(alk)」を有する他の基、例えば、アルコキシ及びアルカノイルは、その炭素鎖について特段の断りがない限り、直鎖又は分枝鎖又はその組み合わせであり得る。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどを含む。
【0027】
「アルケニル」は、他に特段の断りがない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、直鎖又は分枝鎖又はその組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルケニルの例は、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニルなどを含む。
【0028】
「アルキニル」は、他に特段の断りがない限り、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、直鎖又は分枝鎖又はその組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニルなどを含む。
【0029】
「シクロアルキル」は、特定数の炭素原子を有する飽和の炭素環状環を意味する。この用語はまた、アリール基に縮合した炭素環状環を記載する場合にも使用し得る。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどを含む。シクロアルケニル環は、環内に二重結合を含んでなる。
【0030】
「アリール」は、炭素環状芳香族構造に言及するために通例使用する。最も一般的なアリール基は、フェニル及びナフチルである。フェニルは一般に最も好適なアリール基である。
【0031】
「ヘテロシクリル」とは、N、S及びOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和又は部分不飽和の環又は環系を意味し、その場合のヘテロ原子の数、環サイズ及び不飽和度(もしあれば)は本明細書にて定義する。ヘテロシクリルの例は、テトラヒドロフラン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、オキセタン(4員環式エーテル)及びテトラヒドロピラン(6員環式エーテル)を含む。
【0032】
「ヘテロアリール」とは、本明細書により具体的に定義するように、N、O及びS(SO及びSOを包含する)から選択される少なくとも1個の環へテロ原子を含むヘテロ芳香環を意味する。ヘテロアリールの例は、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(S−オキシド及びジオキシドを包含)、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル、キナゾリニル、ジベンゾフラニルなどを含む。
【0033】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素である。
【0034】
「Me」はメチルを表わす。
【0035】
「薬学的に許容される」という文言は、適切な医学的判断を用い、全ての適用可能な政府規制に従って、人間又は動物への投与に安全かつ適当であるそれらの化合物、材料、組成物、塩及び/又は投与形態に言及するために本明細書にて使用する。
【0036】
医薬組成物における用語「組成物」とは、有効成分及びその担体を形成する不活性成分を含む生成物、並びに任意の2種以上の成分の組み合わせ、錯体形成又は凝集から、1種以上の成分の分離から、又は1種以上の成分の反応若しくは相互作用のその他の型から、直接又は間接に生じる任意の生成物を包含することを意図する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体を混合することにより調製される任意の組成物を包含する。
【0037】
用語「%鏡像体過剰率(エナンチオエクセス」(「ee」と略記)とは、主要鏡像異性体%から少ない方の鏡像異性体%を差し引いたものを意味するものとする。従って、70%鏡像体過剰とは、一方の鏡像異性体85%及び他方の15%の形成に相当する。用語「鏡像体過剰」は、用語「光学純度」と同義である。
【0038】
光学異性体−ジアステレオ異性体−幾何異性体−互変異性体:
本発明化合物は1個以上の不斉中心を含み得、従って、ラセミ体、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、個々のジアステレオ異性体及びジアステレオ異性体及び/又は鏡像異性体の混合物として存在し得る。本発明は、本発明化合物のかかる異性体形状のすべてを包含するものとする。具体的には、本発明化合物は少なくとも3個の不斉中心をもつ。さらなる不斉中心は、当該分子上の種々の置換基の性質に応じて存在し得る。意図することは、可能な光学異性体、立体異性体及びジアステレオ異性体のすべてが、混合物中及び純粋な又は部分的に精製した化合物として、本発明の範囲内に含めることである(すなわち、純粋な化合物として又は混合物中の不斉中心のすべての可能な組み合わせ)。
【0039】
本明細書に記載した化合物の一部は、オレフィン性二重結合を含み得るので、他に特段の断りがない限り、それら化合物はE及びZ幾何異性体の両方を含むものとする。
【0040】
本明細書に記載した化合物の一部のものは、水素の結合位置が異なって存在する可能性があり、それを互変異性体という。一例はケトンとそのエノール型であり、ケト−エノール互変異性体として知られる。個々の互変異性体並びにその混合物は、本発明化合物に包含される。
【0041】
光学異性体及びジアステレオ異性体の独立した合成又はそれらのクロマトグラフィーによる分離は、当該技術分野にて既知の、本明細書に開示した方法論の適切な修飾により達成し得る。それらの絶対立体化学は、要すれば、既知絶対配置の不斉中心を含む試薬により誘導される結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶解析により決定し得る。
【0042】
所望により、該化合物のラセミ混合物は、個々の鏡像異性体が単離されるように分離し得る。当該分離は当該技術分野で周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物を鏡像異性体として純粋な化合物にカップリング結合させてジアステレオ異性体の混合物を形成し、次いで、標準的な方法、例えば、分別結晶若しくはクロマトグラフィーなどにより、個々のジアステレオ異性体に分離することにより実施し得る。カップリング結合反応は、しばしば、鏡像異性体として純粋な酸又は塩基を用いる塩の形成である。該ジアステレオ異性体は、次いで、付加したキラル残基の開裂により、純粋な鏡像異性体に変換し得る。該化合物のラセミ混合物は、当該技術分野で周知のキラル固定相を利用するクロマトグラフィー法により直接分離することもできる。
【0043】
別法として、化合物の任意の鏡像異性体は、当該技術分野にて周知の方法により、光学的に純粋な出発原料又は既知の立体配置を有する試薬を用いて、立体選択的合成により取得し得る。
【0044】
塩:
本明細書にて使用する場合、本発明化合物への言及は、その薬学的に許容される塩、並びにそれら塩が遊離の化合物又はそれらの薬学的に許容される塩への前駆体として又は他の合成操作に使用される場合には、薬学的に許容されない塩をも包含するものとする。
【0045】
本発明化合物は薬学的に許容される塩の形状で投与し得る。用語「薬学的に許容される塩」とは、無機若しくは有機の塩基及び無機若しくは有機の酸を含む薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩をいう。用語「薬学的に許容される塩」に包含される塩基性化合物の塩は、遊離の塩基と、適当な有機又は無機の酸との反応により一般に調製される本発明化合物の非毒性塩をいう。代表的な本発明の塩基性化合物の塩は、限定されるものではないが、以下のものである:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、二酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カムシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸、エジシル酸塩、エストール酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、スバセチン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラット酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び酪酸塩。さらに、本発明化合物が酸性部分を担持する場合、適切な薬学的に許容されるその塩は、限定されるものではないが、無機塩基、例えば、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などから由来する塩である。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基に由来する塩は、一級、二級及び三級のアミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩であり、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩である。
【0046】
また、本発明化合物にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、例えば、メチル、エチル若しくはピバロイルオキシメチルなどの薬学的に許容されるカルボン酸誘導体のエステル又はO−アセチル、O−ピバロイル、O−ベンゾイル及びO−アミノアシルなどのアルコールのアシル誘導体を使用し得る。包含されるエステル及びアシル基は、持続性放出又はプロドラッグ製剤として使用するために、溶解性又は加水分解の特性を修飾する当該技術分野で既知のものである。
【0047】
本発明化合物の溶媒和物、とりわけ水和物も同様に本発明に包含される。
【0048】
用途:
本明細書に記載した化合物は、GPR40受容体の強力なアゴニストである。該化合物及び薬学的に許容されるその塩は、GPR40リガンドが調節する疾患の治療に有効であり得、それらは一般にアゴニストである。これらの疾患の多くを以下に要約する。
【0049】
以下の疾患の1種以上が、本発明化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を治療の必要な患者に投与することにより治療し得る。また、本発明化合物はこれらの疾患の1種以上を治療するための医薬の製造にも使用し得る:
【0050】
(1)非インスリン依存性糖尿病(2型糖尿病);
(2)高血糖症;
(3)インスリン抵抗性;
(4)メタボリックシンドローム;
(5)肥満;
(6)高コレステロール血症;
(7)高トリグリセリド血症(高トリグリセリド・リポタンパク質レベル上昇);
(8)混合又は糖尿病性脂質異常症;
(9)低HDLコレステロール;
(10)高LDLコレステロール;
(11)高アポBリポタンパク質血症、及び
(12)アテローム性動脈硬化症。
【0051】
該化合物の好適な使用は、治療有効量を治療の必要な患者に投与することにより、以下の疾患の1種以上の治療である。該化合物はこれらの疾患の1種以上の治療のための医薬を製造するために使用し得る。
【0052】
(1)2型糖尿病、とりわけ、2型糖尿病と関連する高血糖症;
(2)メタボリックシンドローム;
(3)肥満、及び
(4)高コレステロール血症。
【0053】
当該化合物は、糖尿病患者、及びグルコース耐性が悪化しているか及び/又は糖尿病の前症状のある非糖尿病患者において、グルコース及び脂質を低下させる上で効果があると期待される。該化合物は糖尿病患者又は前糖尿病患者にしばしば発生する高インスリン血症を、これらの患者でしばしば起こる血清グルコースレベルの変動を調節することにより、改善し得る。該化合物はまた、インスリン抵抗性を治療又は低下する上でも有効である。該化合物は妊娠糖尿病の治療又は予防に有効であり得る。
【0054】
本発明化合物はまた、β−細胞機能を改善又は回復する用途を有し、結果として、1型糖尿病の治療に又は2型糖尿病の患者のインスリン療法の必要性を遅延させるか又は予防する上で有用であり得る。
【0055】
投与及び投与量範囲:
投与の任意の適当なルートは、哺乳動物、とりわけ、ヒトに本発明化合物の有効な投与量を提供するために採用し得る。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼内、肺内、鼻腔内などを採用し得る。投与形態は、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム、軟膏、エアロゾルなどである。好ましくは、本発明化合物は経口投与する。
【0056】
GPR40受容体活性のアゴニズムを必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与量レベルは、一般に、1日あたり患者の体重1kgにつき約0.01ないし500mgであり、これを単回又は複数回投与で投与する。好ましくは、投与量は1日あたり約0.1ないし約250mg/kg;より好ましくは、1日あたり約0.5ないし約100mg/kgである。適当な投与量レベルは1日あたり約0.01ないし250mg/kg、1日当たり約0.05ないし100mg/kg又は1日当たり約0.1ないし50mg/kgでもよい。この範囲内で、投与量は1日あたり0.05ないし0.5、0.5ないし5又は5ないし50mg/kgであるとよい。経口投与の場合、該組成物は、治療すべき患者に対し症候により投与量を調整して、好ましくは、1.0ないし1000mgの有効成分、とりわけ、1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの有効成分を含有する錠剤の形状で提供する。該化合物は1日に1回ないし4回、好ましくは1日1回又は2回の投与計画に基づき投与し得る。
【0057】
糖尿病及び/又は高血糖症若しくは高トリグリセリド血症若しくは本発明化合物が治療対象である他の疾患の治療又は予防の場合、一般に満足すべき結果は、本発明化合物を動物の体重1キログラムあたり約0.1mgないし約100mgの1日投与量で、好ましくは1日あたり単回日用量又は2ないし6回の分割用量で又は持続性放出の形状で投与するときに得られる。殆どの大型の哺乳動物の場合、合計の日用量は、約1.0mgないし約1000mg、好ましくは約1mgないし約50mgである。70kgの成人の場合、総日用量は一般に、約7mgないし約350mgである。この用法用量は最適の治療応答を得るために調整し得る。
【0058】
しかし、理解すべきことは、任意の特定の患者に対する具体的な用量レベルと投与の頻度は、様々な因子、例えば、使用する具体的化合物の活性、当該化合物の代謝安定性と作用の長さ、年齢、体重、身体の健康状態、性別、食事、投与方式と回数、排泄速度、薬物組み合わせ、特定症状の重篤度及びホストが受けている治療などを含む多様な要因により変化し、依存する。
【0059】
医薬組成物:
本発明の別の態様は、本発明化合物及び薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、有効成分としての本発明化合物又は薬学的に許容される塩、並びに薬学的に許容される担体及び場合により他の治療成分を含有してなる。用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される非毒性塩基又は酸、例えば、無機の塩基又は酸及び有機の塩基又は酸から調製される塩をいう。また、医薬組成物は、プロドラッグを投与する場合、プロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を含有してなる。
【0060】
それらの投与が容易であることから、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投与単位形状であり、その場合には、固形の医薬担体を使用する。所望により、錠剤は標準的水性又は非水性方法により被覆してもよい。かかる組成物及び製剤は、少なくとも0.1パーセントの活性化合物を含有すべきである。これらの組成物中の活性化合物のパーセントは、単位重量の約2パーセントないし約60パーセントの間で変動し、便宜上この範囲にあるのがよい。かかる治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、有効な投与量が得られるようなものである。
【0061】
当該錠剤、丸剤、カプセル剤などは、トラガカントガム、アラビアゴム、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、バレイショデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤及びスクロース、ラクトース又はサッカリンなどの甘味剤をも含み得る。投与単位形態がカプセルである場合、カプセルは上記のタイプの材料に加えて、液状担体、例えば、脂肪油、溶媒及び/又は溶解度を上げる1種以上の界面活性剤を含んでもよい。
【0062】
併用療法:
本発明化合物は、本発明化合物が有用である疾患又は症状の治療又は改善にも有用であり得る他の薬物と組み合わせて使用してもよい。かかる他の薬物はそのものについて一般に用いられるルート及び量で、本発明化合物と同時に又は連続的に投与し得る。2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、メタボリックシンドローム及びこれらの疾患を伴う共存症の患者の治療においては、1種を超える薬物を一般に投与する。本発明化合物は一般にこれらの症状のために、すでに1種以上の他の薬物を服用している患者に投与し得る。しばしば該化合物は、1種以上の抗糖尿病性化合物、例えば、メトホルミン、スルホニルウレア及び/又はPPARγアゴニストでの治療をすでに受けている患者に、患者の血糖レベルがその治療に適切に応答していない場合に、投与する。
【0063】
本発明化合物を1種以上の他の薬物と同時に使用する場合は、かかる他の薬物と本発明化合物とを含有する単位投与形態の医薬組成物が好適である。しかしながら、併用療法はまた、本発明化合物と1種以上の他の薬物とを異なって重なり合うスケジュールで投与する治療法をも包含する。さらに、1種以上の他の有効成分と組み合わせて使用した場合、本発明化合物と他の有効成分は、それぞれを単独で使用した場合よりも低い用量で使用し得ることも意図する。従って、本発明の医薬組成物は、本発明化合物に加えて、1種以上の他の有効成分を含有する組成物である。
【0064】
本発明化合物と組み合わせて投与可能であり、別個に又は同一の医薬組成物として投与し得る他の有効成分の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:
【0065】
(a)他のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;
(b)インスリン増感剤:(i)PPARγアゴニスト、例えば、グリタゾン類(例:トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)及びその他のPPARリガンド:PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、ムラグリタザール、ナベグリタザール、テサグリタザール及びTAK−559;PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベンザフィブラート、)及び選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM)、例えば、WO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408及びWO2004/066963に開示されたもの;(ii)ビグアニド、例えば、メトホルミン及びフェンホルミン、及び(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(c)インスリン又はインスリン模倣体;
(d)スルホニルウレア及び他のインスリン分泌促進剤、例えば、トルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びメグリチニド(例えば、ナテグリニド及びレパグリニド);
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボーズ及びミグリトール);
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト;例えば、WO97/16442;WO98/04528;WO98/21957;WO98/22108;WO98/22109;WO99/01423;WO00/39088及びWO00/69810;WO2004/050039及びWO2004/069158;に開示されているもの;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣体及びGLP−1受容体アゴニスト;例えば、エクセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161及びWO00/42026及びWO00/59887;に開示されているもの;
(h)GIP及びGIP模倣体、例えば、WO00/58360に開示されているもの、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣体及びPACAP受容体アゴニスト、例えば、WO01/23420に開示されているもの;
(j)コレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン及びその他のスタチン類);(ii)金属イオン捕獲剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体);(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩;(iv)PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート);(v)PPARα/γ二重アゴニスト、例えば、ナベグリタザール及びムラグリタザール;(vi)コレステロール吸収阻害剤、例えば、ベータ−シトステロール及びエゼチミブ;(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アバシミブ、及び(viii)抗酸化剤、例えば、プロブコール;
(k)PPARδアゴニスト、例えば、WO97/28149に開示されているもの;
(l)抗肥満化合物、例えば、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体逆アゴニスト及びアンタゴニスト、β3アドレナリン受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、とりわけ、メラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(例えば、ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)、コレシストキニン1(CCK−1)受容体アゴニスト及びメラニン−濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)炎症症状に使用することを意図した薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
(o)降圧剤、例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬;
(p)グルコキナーゼ活性化因子(GKA)、例えば、WO03/015774;WO04/076420及びWO04/081001に開示されているもの;
(q)11β−ヒドロキシステロイド・デヒドロゲナーゼ1型の阻害剤、例えば、米国特許第6,730,690号明細書;WO03/104207及びWO04/058741;に開示されているもの;
(r)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤、例えば、トルセトラピブ、及び
(s)フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤、例えば、米国特許第6,054,587;6,110,903;6,284,748;6,399,782及び6,489,476号明細書に開示されているもの。
【0066】
構造式(I)の化合物と組み合わせ得るジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤は、米国特許第6,699,871号明細書;WO02/076450(2002年10月3日);WO03/004498(2003年1月16日);WO03/004496(2003年1月16日);EP1258476(2002年11月20日);WO02/083128(2002年10月24日);WO02/062764(2002年8月15日);WO03/000250(2003年1月3日);WO03/002530(2003年1月9日);WO03/002531(2003年1月9日);WO03/002553(2003年1月9日);WO03/002593(2003年1月9日);WO03/000180(2003年1月3日);WO03/082817(2003年10月9日);WO03/000181(2003年1月3日);WO04/007468(2004年1月22日);WO04/032836(2004年4月24日);WO04/037169(2004年5月6日)及びWO04/043940(2004年5月27日)に開示されている阻害剤を含む。具体的なDPP−4阻害剤化合物は、イソロイシン・チアゾリジド(P32/98);NVP−DPP−728;ビルダグリプチン(LAF237);P93/01及びサキサグリプチン(BMS477118)を含む。
【0067】
構造式(I)の化合物と組み合わせ得る抗肥満化合物は、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、とりわけ、メラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト及びメラニン−濃縮ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストである。構造式(I)の化合物と組合わせ得る抗肥満化合物の概要については、以下の文献を参照されたい:S.Chaki et al.,“Recent advances in feeding suppressing agents: potential therapeutic strategy for the treatment of obesity(給餌抑制剤の最近の進歩:肥満治療のための有力な治療戦略),”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,“Emerging antiobesity drugs(存在感を増す抗肥満薬),” Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003)及びJ.A.Fernandez−Lopez,et al.,“Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity(肥満治療の薬理学的方法),”Drugs,62:915−944(2002)。
【0068】
構造式(I)の化合物と組み合わせ得る神経ペプチドY5アンタゴニストは、米国特許第6,335,345号明細書(2002年1月1日)及びWO01/14376(2001年3月1日)に開示されているものを包含する;また、具体的化合物は、GW59884A;GW569180A;LY366377及びCGP−71683Aとして特定されている。
【0069】
式(I)の化合物と組み合わせ得るカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストは、PCT公開WO03/007887;米国特許第5,624,941(リモナバントなど);PCT公開WO02/076949(SLV−319など);米国特許第6,028,084;PCT公開WO98/41519;PCT公開WO00/10968;PCT公開WO99/02499;米国特許第5,532,237;米国特許第5,292,736;PCT公開WO05/000809;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO04/048317;PCT公開WO03/007887;PCT公開WO03/063781;PCT公開WO03/075660;PCT公開WO03/077847;PCT公開WO03/082190;PCT公開WO03/082191;PCT公開WO03/087037;PCT公開WO03/086288;PCT公開WO04/012671;PCT公開WO04/029204;PCT公開WO04/040040;PCT公開WO01/64632;PCT公開WO01/64633及びPCT公開WO01/64634に開示されたアンタゴニストを包含する。
【0070】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストは、限定されるものではないが、米国特許、US6,294,534、US6,350,760、US6,376,509、US6,410,548、US6,458,790、US6,472,398、US5837521、US6699873(これらはその全文を参照により本明細書の一部とする);米国特許出願公開番号US2002/0004512、US2002/0019523、US2002/0137664、US2003/0236262、US2003/0225060、US2003/0092732、US2003/109556、US2002/0177151、US2002/187932、US2003/0113263(これらはその全文を参照により本明細書の一部とする)及び国際特許出願WO99/64002、WO00/74679、WO02/15909、WO01/70708、WO01/70337、WO01/91752、WO02/068387、WO02/068388、WO02/067869、WO03/007949、WO2004/024720、WO2004/089307、WO2004/078716、WO2004/078717、WO2004/037797、WO01/58891、WO02/070511、WO02/079146、WO03/009847、WO03/057671、WO03/068738、WO03/092690、WO02/059095、WO02/059107、WO02/059108、WO02/059117、WO02/085925、WO03/004480、WO03/009850、WO03/013571、WO03/031410、WO03/053927、WO03/061660、WO03/066597、WO03/094918、WO03/099818、WO04/037797、WO04/048345、WO02/018327、WO02/080896、WO02/081443、WO03/066587、WO03/066597、WO03/099818、WO02/062766、WO03/000663、WO03/000666、WO03/003977、WO03/040107、WO03/040117、WO03/040118、WO03/013509、WO03/057671、WO02/079753、WO02/092566、WO03/093234、WO03/095474及びWO03/104761に開示されているアゴニストを包含する。
【0071】
糖尿病治療のためのグルコキナーゼ(GKA)の安全かつ有効な活性化因子の有力な用途については、文献(J.Grimsby et al.,“Allosteric Activators of Glucokinase:Potential Role in Diabetes Therapy(グルコキナーゼのアロステリック活性化因子;糖尿病治療における有力な役割)”,Science,301:370−373(2003))にて考察されている。
【0072】
上記の組み合わせは、本発明化合物と、他の1種の活性化合物のみならず、2種以上の他の活性化合物との組み合わせも包含する。限定するものではないが、その例は、ビグアニド、スルホニルウレア、HMG−CoA還元酵素阻害剤、PPARγアゴニスト、DPP−4阻害剤、抗肥満化合物及び降圧剤から選択される2種以上の活性化合物との化合物の組み合わせを包含する。
【0073】
バイオアッセイ
GPR40発現細胞の生成:
ヒト及びマウスGPR40安定細胞株をNFAT BLA(ベータ−ラクタマーゼ)を安定に発現するCHO細胞で生成させた。ヒトGPR40安定細胞株を、エクオリン発現レポーターを安定に発現するHEK細胞にて生成させた。発現プラスミドは、リポフェクタミン(ライフテクノロジーズ)を用い、製造業者の説明書に従って、形質移入した。安定な細胞株を薬物選択に従って生成させた。
【0074】
FLIPRアッセイ:
FLIPR(蛍光画像プレートリーダー;モレキュラーディバイス)アッセイを実施し、安定クローンのアゴニスト−誘発カルシウム動態化を測定した。FLIPRアッセイのため、アッセイの1日前に、GPR40/CHO NFAT BLA細胞を黒壁透明底384穴プレート(コースター)に、1.4×10e4細胞/20μL培地/ウエルで播種した。細胞は、8μMフルオ−4,AM、0.08%プルロン酸を含有するアッセイバッファー(HBSS、0.1%BSA、20mM−HEPES、2.5mMプロベネシド、pH7.4)の20μl/ウエルにより、室温で、100分間インキュベートした。蛍光出力はFLIPRにより測定した。化合物をDMSOに溶かし、アッセイバッファーにて希釈して所望の濃度とした。化合物の溶液13.3μL/ウエルを添加した。
【0075】
これら実施例化合物のすべてが、上記の機能的アッセイにおいて、100ナノモル(nM)未満のEC50値を有する。
【0076】
イノシトールリン酸代謝回転アッセイ:
本アッセイは96穴フォーマットにて実施した。ヒトGPR40を安定に発現するHEK細胞を72時間以内に60〜80%周密となるように塗布した。72時間後、このプレートを吸引し、その細胞を無イノシトールDMEM(ICN)で洗浄した。洗浄媒体は150μLの3H−イノシトール標識培地(0.4%ヒトアルブミン又は0.4%マウスアルブミン、1Xペニシリン/ストレプトマイシン抗生剤、グルタミン、25mM−HEPES(3H−ミオイノシトールNEN #NET114A 1mCi/mL添加、最終比放射能1μCi/150μLで、負荷培地中、1:150に希釈した25Ci/mmol)含有イノシトール不含培地)と置き換えた。あるいは、ヒト及びマウスのアルブミンを、LiClの添加前一夜の標識工程の後に加えることもできる。
【0077】
アッセイは一般に18時間の標識化の翌日に実施する。アッセイ当日、5μLの300mM−LiClをすべてのウエルに加え、37度で20分間インキュベートする。200X化合物(0.75μL)を加え、37度で60分間、該細胞とインキュベートする。次いで、培地を吸引除去し、60μLの10mMギ酸を加えてアッセイを終了する。細胞を室温で60分間溶解させる。15〜30μLの溶解液を透明底のアイソプレート中、70μL/1mgのYSi SPAビーズ(アマシャム)と混合する。このプレートを室温で2時間振盪する。ビーズを静置安定させ、ワラック・マイクロベータにてプレートを計数する。
【0078】
インビボでの検討:
オスC57BL/6Nマウス(7〜12週令)を1ケージに10匹ずつ収容し、通常の飲食物げっ歯類食と水に自由に近づけるようにする。マウスは無作為に処置群に割り振り、4ないし6時間絶食させた。ベースラインとなる血糖濃度を尾部切り込み血液について糖測定器により定量する。次いで、動物に媒体(0.25%メチルセルロース)又は試験化合物を経口投与する。血糖濃度は処置(t=0分)後の所定の時点で測定し、次いで、デキストロース(2g/kg)を腹腔内に投与する。媒体処置マウスの1群に陰性対照として生理食塩水を投与する。血糖レベルは、デキストロース変換の、20、40、60分後に採取した尾部血液で定量する。t=0からt=60分までの血糖変位プロフィールを用いて、各処置についての曲線下面積(AUC)を積分する。各処置についてのパーセント阻害値は、生理食塩水投与対照に標準化したAUCデータから作成する。
【0079】
以下の実施例は本発明を説明するために提供するものであり、如何なる方法でも本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明の範囲は添付の請求項により限定される。
【0080】
本発明化合物の合成方法:
本発明化合物は以下の実施例の手順に従い、適切な原料を用いて調製し得る。しかし、該実施例にて説明する化合物は、本発明と考えられる唯一の属を形成するものと解釈すべきではない。当該実施例はさらに本発明化合物の調製についての詳細を説明する。当業者は保護基について、また以下の調製手順の条件及び工程について、これらの化合物を調製するために、既知の変法を使用し得ることを容易に理解しよう。また、理解すべきは、ホウ酸又はホウ酸塩などの化学試薬が市販品として入手し得ないとしても、かかる化学試薬は文献に記載された多くの方法の一つに従って容易に調製し得ることである。温度は全て、特に断りのない限り、摂氏である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレーイオン−質量分析(ESMS)によるか又は大気圧化学イオン化質量分析(APCI)により測定した。
【0081】
【化3】

【0082】
中間体1
【0083】
【化4】

【0084】
(1S,1aS,6aR)−4−ヒドロキシ−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0085】
工程A:5−ヒドロキシインダン−1−オン
【0086】
【化5】

【0087】
5−メトキシインダン−1−オン(200g、1.235mol)の無水ジクロロメタン(2L)の混合物に、BBr(234mL、2.469mol)を−78℃にてゆっくり添加した。この混合物を室温までゆっくりと加温し、一夜攪拌した。次いで、この混合物を30分間激しく攪拌しながら、氷水(2L)にゆっくりと注入した。得られる混合物を濾過し、固形物を得た。濾液を分離し、水層をEtOAc(2×500mL)で抽出した。併合した有機層を食塩水(1L)で洗い、NaSOで乾燥し、濃縮乾固してさらなる固形物のバッチを得た。併合した固形物を減圧乾燥し、標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,MeOD):δ7.55(d,J=8.1Hz,1H),6.78−6.84(m,2H),3.03−3.06(m,2H),2.60−2.63(m,2H)ppm.
【0088】
工程B:1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルベンゾエート
【0089】
【化6】

【0090】
工程Aの生成物(121g、0.818mol)、トリエチルアミン(99.1g、0.982mol)及び触媒量のDMAP(1g、8.18mmol)のジクロロメタン(1L)中の攪拌混合物に、室温、窒素気流下に、塩化ベンゾイル(126.9g、0.900mol)をゆっくりと加えた。混合物を一夜攪拌し、ジクロロメタン(1L)で希釈した。次いで、この溶液を水、塩酸(0.5M、2×1L)及び食塩水で洗った。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣を減圧乾燥し、標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.19−8.22(m,2H),7.83(d,J=8.1Hz,1H),7.65−7.69(m,1H),7.52−7.55(m,2H),7.37(s,1H),7.22(dd,J=8.1Hz,J=2.0Hz,1H),3.17−3.20(m,2H),2.73−2.76(m,2H)ppm.
【0091】
工程C:1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルベンゾエート
【0092】
【化7】

【0093】
工程Bの生成物(195g、773.8mmol)の無水THF中の攪拌混合物に、BH・THF(1M/THF溶液、773.8mL、773.8mmol)を窒素気流下に0℃で滴下し、その反応混合物を室温で一夜攪拌した。この混合物を0℃に冷やし、メタノール(500mL)を注意深く加えて反応停止した。冷却浴を除き、その溶液を泡立ちが停止するまで攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(EtOAc:PE=1:10)により精製して、標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.19−8.22(m,2H),7.62−7.66(m,1H),7.52(t,J=7.6Hz,2H),7.45(d,J=8.1Hz,1H),7.06−7.10(m,2H),5.25(t,J=6.1Hz,1H),3.05−3.12(m,1H),2.81−2.89(m,1H),2.49−2.58(m,1H),1.96−2.04(m,2H)ppm.
【0094】
工程D:1H−インデン−6−イルベンゾエート
【0095】
【化8】

【0096】
1−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−イルベンゾエート(120g、472.441mmol)及びMgSO(113.4g、944.882mmol)のトルエン中の攪拌混合物に、室温、窒素気流下で、TsOH(850mg,9.449mmol)を加え、その反応混合物を90〜100℃で一夜攪拌した。固形物を除去し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(PE)により精製して、標題化合物を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.22−8.24(m,2H),7.62−7.66(m,1H),7.50−7.54(m,2H),7.42(d,J=8.1Hz,1H),7.34(d,J=1.2Hz,1H),7.12(dd,J=8.1Hz,J=2.0Hz,1H),6.88−6.90(m,1H),6.57−6.59(m,1H),3.44(s,2H)ppm.
【0097】
工程E:(1S,1aS,6aR)−4−(ベンゾイルオキシ)−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0098】
【化9】

【0099】
工程Dからの1H−インデン−6−イルベンゾエート(30g、127.119mmol)及びCu(I)トリフラート(657mg、1.271mmol)のジクロロメタン(300mL)の攪拌溶液に、室温、窒素気流下で、(+)−2,2′−イソプロピリデンビス[(4R)−4−フェニル−2−オキサゾリン(849mg、2.542mmol)を加えた。この溶液を室温で4時間攪拌した。ジアゾ酢酸エチル(29g、254.237mmol)のジクロロメタン(100mL)の溶液を、シリンジポンプにより、室温で72時間かけて添加した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(PE)により精製して、標題化合物(約50%鏡像体過剰)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.18(d,J=7.1Hz,2H),7.63(t,J=7.6Hz,1H),7.51(t,J=7.1Hz,2H),7.37(d,J=8.1Hz,1H),6.96−7.02(m,2H),4.16(q,J=7.1Hz,2H),3.29−3.35(m,1H),2.95−3.10(m,2H),2.46−2.50(m,1H),1.261.33(m,4H)ppm.MS:m/z323.2(M+1)
【0100】
工程F:(1S,1aS,6aR)−4−ヒドロキシ−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0101】
【化10】

【0102】
工程Eからのベンゾイルエステル(30g、93.168mmol)を無水エタノール(300mL)に溶解し、窒素気流下で0℃に冷却した。EtONa/EtOH溶液(46.6mL、93.200mmol)をゆっくりと加えた。得られる溶液を室温で4時間攪拌した。溶媒の殆どを除去し、残渣を酢酸エチル(200mL)とHCl(水性、0.5M、300mL)に注意深く分配し、酢酸エチル(200mL)で抽出した。併合した有機溶液を食塩水(200mL)で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させた。粗生成物をシリカゲルカラム(EtOAc/PE=1:20)上、次いで、キラル分取−HPLCにより精製して、純粋な標題化合物(鏡像体過剰率:>95%)を得た。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.16(d,J=8.4Hz,1H),6.60−6.65(m,2H),4.14(q,J=7.2Hz,2H),3.19−3.25(m,1H),2.87−2.99(m,2H),2.39−2.43(m,1H),1.26(t,J=7.2Hz,3H),1.17−1.19(m,1H)ppm.MS:m/e219.0(M+1)
【0103】
実施例1
【0104】
【化11】

【0105】
(1S,1aS,6aR)−4−[(2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸
工程A:3−ブロモ−2−メチル安息香酸メチル
【0106】
【化12】

【0107】
3−ブロモ−2−メチル安息香酸(26g、121mmol)の20%メタノール含有ベンゼン(合計:300mL)中の攪拌溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン溶液(2M/ヘキサン)(60.5mL、121mmol)を、溶液が黄色となるまで、室温で滴下した。混合物を濃縮して有機溶媒を除去した。残存する油を、60mL濾過フリット漏斗中のシリカゲルプラグ上に注ぎ、10%酢酸エチル含有ヘキサン(500mL)により溶出した。次いで、濾液を濃縮乾固し、標題化合物を明るい黄色油として得た。
【0108】
工程B:2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−カルボン酸メチル
【0109】
【化13】

【0110】
磁気攪拌バーを容れた二頚丸底フラスコに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(120mg、0.131mmol)、テトラフルオロホウ酸トリ−t−ブチルホスホニウム(76mg、0.262mmol)、フッ化セシウム(2.65g、17.5mmol)、2,6−ジメチルフェニルホウ酸(1.3g、8.73mmol)及び工程Aからの化合物(1g、4.4mmol)を加えた。フラスコの一方の頚部を真空ラインに結合し、他方の頚部にアルゴン風船を装着した。次いで、フラスコに8〜10回アルゴンを流した。真空ラインをセプタムに置き換え、無水THF(10mL)をシリンジにより加えた。この混合物を70℃の油浴中、16時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲル・バイオテージ(Biotage)40STM上のカラムクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン(10:1)で溶出して精製し、標題化合物を澄明な油として得た。
【0111】
工程C:(2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−イル)メタノール
【0112】
【化14】

【0113】
工程Bからの生成物(1g、3.93mmol)のジエチルエーテル(20ml)中の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(1.5g、3.93mmol)を注意深く加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を、水素ガスが発生しなくなるまで滴下した。さらに数滴の飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、その混合物を室温で30分間攪拌し、濾過した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固して標題化合物を無色油として得た。
【0114】
工程D:(2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−イル)メチルメタンスルホネート
【0115】
【化15】

【0116】
工程Cからの生成物(1g、4.42mmol)のジクロロメタン(10mL)の溶液に、トリエチルアミン(0.54g、5.3mmol)を加え、次いで、塩化メタンスルホニル(0.6g、5.3mmol)を滴下した。この混合物を室温で3〜4時間攪拌した。次いで、これを水及び食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固して、標題化合物を無色油として得た。
【0117】
工程E:(1S,1aS,6aR)−4−[(2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0118】
【化16】

【0119】
工程Dからの生成物(0.95g、3.12mmol)及び中間体(1)(0.68g、3.12mmol)の無水DMF(5mL)の溶液に、炭酸セシウム(2.01g、6.24mmol)を加えた。この混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を併合し、水(10mL)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲル・バイオテージ(Biotage)40STM上のカラムクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン(10:1)で溶出して精製し、標題化合物を結晶性固体として得た。
【0120】
工程F:(1S,1aS,6aR)−4−[(2,2′,6′−トリメチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸
【0121】
【化17】

【0122】
工程Eからのエステル(0.98g、2.3mmol)のTHF(4mL)、メタノール(4mL)及び水(2mL)中の攪拌溶液に、窒素気流下、室温で、水酸化ナトリウム溶液(10N、0.69ml、6.9mmol)を加えた。混合物を60℃で一夜攪拌した。この溶液を濃HCl(0.57mL)で中和し、濃縮して有機溶媒を除去した。残渣を加温したエタノール/水(10mL、1:1)に溶かし、澄明な溶液を得て、これを次いで冷蔵庫中で冷却して沈殿を生成させた。固形物を濾取し、空気乾燥して標題化合物を白色結晶性固体として得た。
H NMR(500MHz,CDCl):δ7.44(1H,d,J=7.5Hz),7.29(2H,m),7.20(1H,dd,J=6.5,8.5Hz),7.15(1H,s),7.14(1H,d,J=7.5Hz),7.05(1H,7.5Hz),6.87(1H,s),6.85(1H,dd,J=8.5,2,0Hz),5.05(2H,s),3.31(1H,dd,J=18,6.5Hz),3.07(1H,d,J=18Hz),3.00(1H,d,J=6.5Hz),2.53(1H,m),1,99(3H,s),1.97(6H,s),1.25(1H,t,J=2.5Hz)ppm.MS:m/e399(M+1)
【0123】
実施例2
【0124】
【化18】

【0125】
(1S,1aS,6aR)−4−[(2′,6′−ジクロロ−4−フルオロ−2−メチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸
工程A:6−フルオロ−3−ヨード−2−メチル安息香酸
【0126】
【化19】

【0127】
6−フルオロ−2−メチル安息香酸(5.12g、33.2mmol)のトリフルオロメタンスルホン酸(50mL)中の攪拌溶液に、N−ヨードコハク酸イミド(7.47g、33.2mmol)を室温で滴下した。混合物を室温で一夜攪拌し、氷/水中に注ぎ、固形物が生成するまで3時間攪拌した。沈殿を集め、水で洗い、空気乾燥し、標題化合物を黄色固体として得た。
【0128】
工程B:6−フルオロ−3−ヨード−2−メチル安息香酸メチル
【0129】
【化20】

【0130】
工程Aの生成物(7.3g、33.2mmol)の20%メタノール含有ベンゼン(合計:100mL)中の攪拌溶液に、室温で溶液が黄色となるまで、トリメチルシリルジアゾメタン溶液(2M/ヘキサン)(18mL、35mmol)を滴下した。混合物を濃縮して有機溶媒を除去した。残留する油を60mL濾過フリット漏斗中のシリカゲルプラグ上に注ぎ、10%酢酸エチル含有ヘキサン(200mL)により溶出した。次いで、濾液を濃縮乾固し、標題化合物を明るい黄色油として得た。
【0131】
工程C:(6−フルオロ−3−ヨード−2−メチルフェニル)メタノール
【0132】
【化21】

【0133】
工程Bからの生成物(5.5g、18.7mmol)のジエチルエーテル(20ml)中の溶液に、水素化リチウムアルミニウム(0.8g、18.7mmol)を注意深く加えた。混合物を室温で16時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を、水素ガスが発生しなくなるまで滴下した。さらに数滴の飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、その混合物を室温で30分間攪拌し、濾過した。濾液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固して標題化合物を無色油として得た。
【0134】
工程D:2−(クロロメチル)−1−フルオロ−4−ヨード−3−メチルベンゼン
【0135】
【化22】

【0136】
工程Cの生成物(4.01g、15.4mmol)の無水ベンゼン(40mL)中の溶液に、塩化チオニル(3.7g、30.8mmol)を滴下した。この混合物を80℃で一夜攪拌した。混合物を室温に冷却し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、水及び食塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固して、標題化合物を無色油として得た。
【0137】
工程E:(1S,1aS,6aR)−4−[(6−フルオロ−3−ヨード−2−メチルベンジル)オキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0138】
【化23】

【0139】
工程Dの生成物(3.7g、13.0mmol)及び中間体(1)(2.84g、13.0mmol)の無水DMF(20ml)中の溶液に、炭酸セシウム(8.5g、26.0mmol)を加えた。この混合物を室温で16時間攪拌し、次いで、水(30mL)で希釈し、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を併合し、水(10mL)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥して濃縮した。残渣をシリカゲル・バイオテージ(Biotage)40STM上のカラムクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン(10:1)で溶出して精製し、標題化合物を結晶性固体として得た。
【0140】
工程F:(1S,1aS,6aR)−4−[(2′,6′−ジクロロ−4−フルオロ−2−メチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸エチル
【0141】
【化24】

【0142】
磁気攪拌バーを入れた二頚丸底フラスコに、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(29.5mg、0.032mmol)、テトラフルオロホウ酸トリ−t−ブチルホスホニウム(18.6mg、0.064mmol)、フッ化セシウム(652g、4.29mmol)、2,6−ジクロロフェニルホウ酸(409mg、2.15mmol)及び工程Eからの生成物(500mg、1.07mmol)を加えた。フラスコの一方の頚部を真空ラインに結合し、他方の頚部にアルゴン風船を装着した。次いで、フラスコに8〜10回アルゴンを流した。真空ラインをセプタムに置き換え、無水THF(10mL)をシリンジにより加えた。この混合物を70℃の油浴中、16時間攪拌した。反応溶液を濾過し、濃縮した。残渣を精製することなく、次工程での加水分解を続けた。
【0143】
工程G:(1S,1aS,6aR)−4−[(2′,6′−ジクロロ−4−フルオロ−2−メチルビフェニル−3−イル)メトキシ]−1,1a,6,6a−テトラヒドロシクロプロパ[a]インデン−1−カルボン酸
【0144】
【化25】

【0145】
上記混合物のTHF(2mL)、メタノール(2mL)及び水(1mL)の攪拌溶液に、窒素気流下、室温で、水酸化ナトリウム溶液(10N、0.69mL、6.9mmol)を加えた。この混合物を60℃で一夜攪拌した。この溶液を濃HCl(0.57mL)で中和し、濃縮して有機溶媒を除去した。残渣をアセトニトリルと水に溶かし、分取HPLCにて精製した。生成物を含有するフラクションを併合し、凍結乾燥して標題化合物を白色結晶性固体として得た。
HNMR(500MHz,CDCl):δ7.44(2H,d,J=8.0Hz),7.29(2H,m),7.10(2H,m),6.88(1H,s),6.85(1H,d,J=8.5Hz),5.14(2H,s),3.31(1H,dd,J=18,6.5Hz),3.07(1H,d,J=18Hz),3.00(1H,d,J=6.5Hz),2.53(1H,m),2.11(3H,s),1.29(1H,brs)ppm.MS:m/e457(M+1)
【0146】
以下の表1中の実施例は、実質的に実施例1〜3について記載したのと同じ手順に従って調製した。
【0147】
【表1−1】

【0148】
【表1−2】

【0149】
医薬組成物の実施例
経口用医薬組成物の具体的実施態様として、100mg効力の錠剤を、実施例のいずれか1つの化合物100mg、結晶セルロース268mg、クロスカルメロースナトリウム20mg及びステアリン酸マグネシウム4mgから構成する。活性成分、微結晶セルロース及びクロスカルメロースを最初に混合する。次いで、この混合物をステアリン酸マグネシウムにより滑沢化し、圧縮して錠剤とする。
【0150】
本発明につき、ある特定のその実施態様を参照しながら記載し、説明してきたが、当業者は、その手順及びプロトコールについて、多様な改作、変更、修飾、置換、削除又は付加が、本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされ得ることを認識するであろう。例えば、本明細書にてすでに説明したように、特定の投与量以外の有効投与量が、上記の本発明化合物による適応症のいずれかについて、治療すべき哺乳動物の反応性の変動の結果として、適用されることもあり得る。観察される特異的薬理学的応答は、選択した特定の活性化合物により、又は医薬用担体が存在するか、並びに製剤の型及び採用する投与方式により、それらに依存的に変わり得るものであり、その結果におけるかかる予測される変動又は差異は、本発明の目的と実施に従って意図される。従って、本発明は以下の請求項の範囲によって限定されるべきであり、またかかる請求項は理に適う限り、広く解釈すべきであると思考する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1−1】

【化1−2】

からなる群より選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩及び薬学的に許容される担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項3】
2型糖尿病治療のための医薬の製造のための、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項4】
治療の必要な患者における2型糖尿病の治療方法であって、請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩の治療有効量を当該患者に投与することを含む方法。
【請求項5】
(1)請求項1記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩;
(2)
(a)PPARガンマアゴニスト及び部分アゴニスト;
(b)ビグアニド;
(c)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(d)ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;
(e)インスリン又はインスリン模倣体;
(f)フルホニルウレア;
(g)α−グルコシダーゼ阻害剤;
(h)患者の脂質プロフィールを改善する薬剤(ここで前記薬剤は、(i)HMG−CoA還元酵素阻害剤、(ii)胆汁酸金属イオン封鎖剤、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸若しくはその塩、(iv)PPARαアゴニスト、(v)コレステロール吸収阻害剤、(vi)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、(vii)CETP阻害剤、及び(viii)フェノール性抗酸化剤からなる群から選択される);
(i)PPARα/γ二重アゴニスト;
(j)PPARδアゴニスト;
(k)抗肥満性化合物;
(l)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(m)抗炎症剤;
(n)グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(o)GLP−1;
(p)GIP−1;
(q)GLP−1類似体、及び
(r)HSD−1阻害剤、からなる群より選択される1種以上の化合物、及び
(3)薬学的に許容される担体;
を含有してなる医薬組成物。

【公表番号】特表2011−502120(P2011−502120A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531064(P2010−531064)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/012181
【国際公開番号】WO2009/058237
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】