説明

抗細菌治療剤

【課題】細菌との闘争において使用(前記細菌の不活性化および/または前記細菌による感染症の治療や診断を含む。)する製品の製造に用いるのに適した細菌結合コンポーネントの製造方法を提供する。
【解決手段】真核微生物の細菌結合コンポーネントを標的細菌に接触させて標的細菌を細菌表面コンポーネントと結合させる工程;真核微生物を溶解させる工程;細菌を分離する工程;前記細菌から細菌結合コンポーネントを解き放すように分離した細菌を処理する工程;および細菌結合コンポーネントを回収する工程を含む。細菌結合コンポーネントを組み込んだ治療用または診断用製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な抗細菌剤および製品並びに細菌との闘争におけるそれらの使用(診断システムを含む。)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数の細菌が抗生物質に対し抵抗性を増している。特に危険な細菌は黄色ブドウ球菌(SA:Staphylococcus Aureus)、中でも病院環境で益々広く見つかる傾向にある一般にMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれる菌株である。黄色ブドウ球菌は、身体の免疫系から「隠れる」その能力のために特に危険な病原体である。
【0003】
より詳細に言えば、通常、身体の免疫系は侵入細菌への抗体を作成し、そのFab端が細菌に結合し、次いで、体内の白血球が抗体の他方の(Fc)端に結合することで細菌の捕食が可能となる。しかるにSA細菌の認識は免疫系にとって問題である。この細菌は、抗体のFc部分(すなわち正反対の部位)に結合することによって、宿主自身の抗体で自らを覆い隠すことできるからである。白血球はもはや抗体のFc末端に結合できず、かくして細菌は白血球による食菌を回避する。この細菌の表面は実質的にアレルギー非誘発性であるため、免疫系がこれに対し良好な抗体を作り出せないという事情もあり、この問題はさらに複雑なものとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題あるいは不都合の一つ以上を回避もしくは最小化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ある種の真核微生物、特に細菌を捕食するタイプの微生物が捕食対象である細菌に結合可能な受容体コンポーネントを有し、これは真核生物微生物と他の生体分子またはその他の物質間にしばしば見出される非特異的結合とは異なり、高い特異性および高い結合性をもって結合するという事実を見出した。本発明者らはさらに、真核生物の一種である細菌捕食性微生物に由来するこのような細菌結合コンポーネントを識別して単離することが可能であり、身体本来の免疫系とともに働く新たなタイプの抗細菌性抗生物質の基礎として使用できることを見出した。より具体的に言えば、本発明者らは、これらのコンポーネントを細菌に結合してフラグとして機能させることにより、近くを通過した白血球の注意を細菌に向け、次いで、通常の態様による食細胞運動によって細菌を破壊できることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
1つの態様では、本発明は、標的細菌との闘争で使用される製品の製造に使用するのに適した細菌結合コンポーネントを調製する方法を提供する。この方法は次の工程を含む:
前記標的細菌との結合の候補となる真核微生物を用意する工程;
前記真核微生物の細菌結合コンポーネントを前記標的細菌の細胞表面コンポーネントに接触させて前記標的細菌表面コンポーネントを前記細菌結合コンポーネントの少なくとも1つと結合させて複合体を形成し、さらに前記真核微生物を溶解する工程;
複合体を前記溶解物から分離する工程;
複合体を処理して前記細菌表面コンポーネントから前記真核微生物の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを解き放す工程;および
前記真核微生物の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを回収する工程。
【0007】
好ましくは、本発明は、標的細菌との闘争(前記細菌の不活性化および/または前記細菌よる感染症の治療または診断を含む)で使用される製品の製造に使用するのに適した細菌結合コンポーネントを調製する方法を提供する。この方法は次の工程を含む:
前記標的細菌との結合の候補となる真核微生物を用意する工程;
前記真核微生物の細菌結合コンポーネントを前記標的細菌に接触させて前記標的細菌を前記細菌結合コンポーネントの少なくとも1つと結合させて複合体を形成し、さらに前記真核微生物を溶解する工程;
前記真核微生物の細菌結合コンポーネントを結合した細菌を前記溶解物から分離する工程;
分離された細菌を処理して前記細菌から前記真核微生物の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを解き放す工程;および
前記真核微生物の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを回収する工程。
【0008】
候補となる適当な真核微生物は、様々な土壌や細菌の他の生育環境に多かれ少なかれ広く見出される。本発明方法の好適態様では、前記細菌の生育環境から少なくとも1種類の真核微生物を回収する予備的工程を含む。一般に、本発明の方法は、さらに、複数の真核微生物をスクリーニングする予備的な工程をも含む。このスクリーニングは、栄養培地を実質的に用いずに前記標的細菌を前記真核微生物と接触させて培養させ、成長する真核微生物を選択することを含むように行なえばよい。
【0009】
適当な細菌結合タンパク質を検知し識別するためのスクリーンにおいて本発明者らが使用したアメーバは、世界中から採取された土壌試料から得られた、クローン培養の大規模コレクション(すなわち400)に由来する。後述の実施例1で使用した黄色ブドウ球菌結合ペプチド(そのアミノ酸配列については後述)を得るために用いたアカンソアメーバ(Acanthamoeba)株(「Ven」)は、1996年にベネズエラからの土壌から分離された。しかし、本発明者らはスコットランドのミッドロジアン(Midlothian)、ビルストン(Bilston);同じくスコットランドのグラスゴー(Glasgow)、ビアズデン(Bearsden);イングランドのグラストンベリー(Glastonbury)の土壌からも、いずれも黄色ブドウ球菌との結合および食菌能力に関しての同様の特性を持つアカンソアメーバ株を単離した。この短いリスト(それらは以下の点を除けば候補菌株として適当なものである)から「Ven」株を選択したのは、「Ven」株が無菌性培地で成長し、かつ維持される優秀な能力を有するためである。
【0010】
本発明者らはさらにエンテロコッカス(Entercoccus)捕食アメーバのスクリーニングを行ない、同様に多数の菌株を得た。この細菌を捕食するアメーバは黄色ブドウ球菌を捕食するものよりも多数存在するため、アメーバの全ライブラリーから非常に限定されたサブセットをスクリーニングする必要があった。適当であることが判明したアカンソアメーバの菌株の例は、ポートルイス(Port Louis)(モーリシャス);ボドラム(Bodrum)(トルコ);エデルストン(Eddleston)(スコットランド);ピーブルス(Peebles)(スコットランド)である。最終的には同様に無菌性培地で成長する能力に鑑みてモーリシャスで得られた株を選択した。候補となる真核微生物はその溶解前または溶解後、すなわち、細菌結合コンポーネントが未損傷の真核微生物上に存在する間、あるいはそれらが前記真核微生物の溶解物の大小断片の形で存在する間に、標的細菌結合コンポーネントと接触させる。標的細菌を真核微生物の細菌結合コンポーネントと接触させた後に溶解を行なう場合は、本発明の方法を用いる前に(予備的工程として)標的細菌を固定して、標的細菌を真核微生物の溶解時に耐溶解性とし、真核微生物の少なくとも1つの前記細菌結合コンポーネントを前記細菌から分離するために用いる解放剤に対して耐溶解性とするのが好ましい。この操作は、前記真核微生物から解き放された細菌結合コンポーネントを回収する作業が実質的に簡単になるという利点を有する。これは、細菌結合コンポーネントは細菌の溶解物から分離するよりも完全な細菌から分離する方がはるかに簡単なためである。
【0011】
本発明の1つの好適態様では、細菌との闘争(前記細菌の不活性化および/または前記細菌による感染症の治療や診断を含む。)で使用するための製品の製造に使用するのに適した細菌結合コンポーネントを提供する方法(その方法は以下の工程を含む)が提供される:
前記細菌の生育環境から前記細菌を捕食する真核微生物を回収する工程;
前記捕食性微生物を溶解する工程;
溶解物を前記細菌と接触させ、これに前記捕食性微生物の少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを結合させる工程;
捕食性微生物コンポーネントを結合した状態で、前記溶解物から細菌を分離する工程;
前記捕食性微生物の少なくとも1つの前記細菌結合コンポーネントを前記細菌から解き放すように、分離した細菌を処理する工程;および
前記捕食性微生物の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを回収する工程。
【0012】
高い特異性および結合性を有する細菌結合コンポーネントを提供できる点は本発明の特に優れた利点である。従って、本発明方法の好ましい形態では、高い特異性および結合性を有するこの細菌結合コンポーネントを解き放す前に、特異性および結合性がより低い物質を解き放すように分離した細菌を処理する工程がさらに含まれる。本発明者らが見出したところによれば、一般に、高い特異性および結合性を有する好ましい細菌結合コンポーネントを得るためには、強力な界面活性剤を含む高イオン強度バッファーの使用が必要である。特に適する抽出ないし解放用のバッファーは当技術分野において周知なものとして、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、1%トライトン、l0mMトリス(pH8.0)、0.14MNaClおよび1mMNaN3を含み、RIPAバッファーとして当技術分野において一般に知られている。特異性および結合性の低い物質を最初に除去するためには、様々な解放用バッファーが使用可能であり、例えば、20mMトリス(pH8.0)などの低イオン強度バッファーや0.1%NP40の20mMトリス(pH8.0)溶液などの比較的弱い界面活性剤などが挙げられる。
【0013】
一般的に言えば、本発明の細菌結合コンポーネントは実質的にタンパク質性である。すなわち、様々な長さのペプチド鎖を含むが、糖などの他の部分がこれに結合していてもよい。当技術分野においてはポリペプチド長の差を示すため、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質など様々な異なる表現が用いられているが、これらの用語の正確な定義はない。文脈上特に別の用語を用いる必要がなければ、本願では便宜上、全ての鎖長のポリペプチド分子を示すために「ペプチド」という用語を一般に用いる。従って、疑問を避けるために述べておくが、文脈上特に別義に解釈する必要がなければ、「ペプチド」または「タンパク質」という用語の使用は、特定の鎖長や鎖長範囲も示すと解釈してはならない。従って、本発明による細菌結合コンポーネントは細菌結合ペプチドを含み、本願ではこれを便宜上BBP(bacterial biding peptide)と呼ぶこともある。
【0014】
本発明の上記方法で得られる細菌結合コンポーネントが、細菌への結合には特に関与しない不活性領域を含んでもよい。従って、活性な細菌結合コンポーネント領域を識別するためには、好ましくは、(最初に)回収される細菌結合コンポーネントをさらに分解し、前記細菌に対して再度スクリーニングを行なう。本発明で達成可能な比較的高い結合特異性および結合性は、一般に多かれ少なかれ細菌結合コンポーネントのペプチド鎖のコンホメーションに依存するという点が注意されるべきである。従って、比較的短いペプチド鎖でもある程度の結合は達成可能であるが、一般には、正常な生理学的条件下に安定したフォールディングユニットをもたらすのに必要な長さのペプチド鎖を用いるのが好ましい。典型的には、これは80個以上のアミノ酸、多数の場合100個以上のアミノ酸鎖長である。しかし、ある場合には、相当により短いポリペプチド鎖によって高い特異性および高い結合性を備えたBBPが構成できる。さらに、細菌結合ペプチドまたはタンパク質は、付加鎖部分(extraneous chain portion)、特に細菌の結合に関与する安定したフォールディングユニットから突出した部分を有しないことが望ましい。これは、細菌結合ペプチドまたはタンパク質の抗原性を最小限にし、治療を受ける患者の免疫系を不要に刺激することを避けるためである。
【0015】
本発明によれば、標的細菌の捕食者である微生物を識別するための実施が比較的容易であるが、標的細菌に対しこのように高い特異性および高い結合性を有する微生物の中には、何らかの理由により、細菌を(唯一の)栄養源として使用しては成長できず、または結合後に細菌を摂取できないという事態があり得る。しかし、そのような微生物は、以下に述べるように、細菌とアメーバとの共沈殿などの適当な技術によって過度な困難なしに識別可能であり、従って、このような微生物を細菌結合コンポーネント源として使用することも本発明に包含される。
【0016】
従って、本発明によって、既存の抗生物質治療等に抵抗性を示す細菌を含め、細菌と闘う様々な多様な方法で使用可能な細菌結合ペプチドを得ることができる。異なる細菌に結合するBBPが異なる微生物捕食者から得られ得ることは理解されるであろう。しかし、様々な多様な細菌に結合できる特定の個別BBPを得ることも可能である。この点で本発明者らは、以下のアミノ酸配列(配列番号1):
GSTGVHLDDVVIGSFQASPRQVSVSLSCFGDSGKPSGPMVHHVAGSELMAFSRIAFESASSQSHYLGAGFQRLRASGACPWGHGAWPCGPYLHPEGHCPGQVQHRMPVKAGVRLVDCPGRTGVVVGHRVPQVCPVQSIIGIAVPRTGRRHVVREWTMNIA
を有する活性な細菌結合領域を備えたアカンソアメーバのVen株から得たBBPが、7種類の異なる黄色ブドウ球菌菌株と結合することを見出した。
【0017】
さらに、この特定のBBPは他の細菌にも効果的に結合することが判明した。すなわち、同一のBBPがさらに、蛍光性シュードモナス菌(Pseudomonas fluorescens)、枯草菌(Bacillus subtilis)および大腸菌(Escherichia coli)と結合することが判明している。もっとも、同程度のサイズのBBPが、別の微生物捕食者、具体的には、アカンソアメーバ・パレスチネンシス(Acanthamoeba palestinensis)からも得られており、これは蛍光性シュードモナス菌(Pseudomonas fluorescent)に良好な結合性を示すBBPを産生する。また、エンテロコッカス・ファキアリス(Enterococcus faecialis)と結合する別のBBPがアカンソアメーバ株から得られた。実際上、アメーバのような真核微生物捕食者は様々な細菌をターゲットとする際に利用可能であり、本発明は、非常に広範囲の標的細菌(エンテロコッカス属や連鎖球菌、さらには病原性大腸菌O157などの医学的に興味のある他の細菌を含む。)に結合する高い特異性および高い結合性を有するBBPに提供する。一般に特に対象となる標的細菌は、人および/または家畜に対して病原性のもの、特に感染した対象の免疫系による食菌その他の無力化が困難なものである。
【0018】
本発明の方法では、真核微生物細菌結合コンポーネントと結合する細菌全体を使用することが、(特に結合していない物質からの分離が容易であるという理由のために)一般に最も便利であるが、原理的には、分離された細菌の細胞壁または細菌細胞壁の断片であっても使用可能であることが理解されるだろう。細菌の細胞壁を分離し、細菌の細胞壁をその構成要素に分解する方法は、当技術分野において周知である。
【0019】
本発明の細菌結合コンポーネントの高い結合特異性および結合性は、その実質的にタンパク質的な性質によると考えられる。しかし、これらのコンポーネントは、さらにグリコシル化タンパク質に存在するグリコシド部分などの非タンパク質部分を含んでもよく、従って、本願において細菌結合ペプチドまたは細菌結合タンパク質と言うときは、こうした部分が結合したペプチドまたはタンパク質を含む趣旨である。
【0020】
本発明によって提供される細菌結合コンポーネントと関係する誘導体、アナログおよびペプチドの生産および使用も本発明の範囲内で考えられ、これも本発明に含まれる。細菌への結合活性を示すこうした誘導体、アナログおよびペプチドも細菌との闘争において有用である。このような誘導体、アナログまたはペプチドは、天然の細菌結合コンポーネントと比較して生物学的活性を増加させたものでも減少させたものでもよい。本発明のこうした誘導体、アナログおよびペプチドは当技術分野において既知の様々な手段によって生産できる。
【0021】
本発明の上記方法において細菌結合コンポーネントを回収するには様々な方法が使用可能であり、遠心分離、クロマトグラフィーおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)のうちの1種または複数など、生化学において一般に使用される方法を含む。使用されるクロマトグラフィー法は、(これらに限定されるものではないが)イオン交換、ゲル透過、疎水性、免疫親和性その他の結合相互作用に基づく親和性クロマトグラフィーの組み合わせを含む。クロマトグラフィー法はすべて低圧および高圧技術の両方を含むことができる。
【0022】
本発明の細菌結合コンポーネントは、組換えDNA技術または化学的合成方法を用いても生産できる。遺伝子組換え法によってそれらを生産するためには、細菌結合コンポーネントを生産する微生物からメッセンジャーRNA(mRNA)を得て相補的DNA(cDNA)を製造することができる。cDNAまたはゲノムのライブラリーのどちらも、当技術分野においてよく知られた技術を使用して生成されたDNA断片から製造することができるし、かつ/または、業者からの入手も容易である。細菌結合コンポーネントをコードする断片は、細菌結合コンポーネントのアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列をコードするヌクレオチドプローブによってライブラリーをスクリーニングするか、本発明によって提供されるその活性領域(例えば、これまでに述べてきたようなアミノ酸配列)によって識別できる。クローニングと発現のためにコード配列の一部を利用してもよいが、発現させるためには全長クローンが望ましいであろう。様々な方法によるDNAの分離や適当な断片の生成、クローンおよびライブラリーの構築並びに組換体のスクリーニングには当業者によく知られた技術が使用できる。例えば、"Molecular Cloning. A Laboratory Manual" Authors, Sambrook, Fritch & Maniatis. Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)に記載された技術を参照されたい。
【0023】
配列をコードするヌクレオチドには縮重があるため、本発明の実施において細菌結合コンポーネントをクローニングし発現させるためには、細菌結合コンポーネント遺伝子の類似のアミノ酸配列をコードする別のDNA配列を使用することもできる。こうした変更は、同一または機能的に等価な遺伝子産物をもたらす異なるヌクレオチド残基の削除、付加または置換を含む。遺伝子産物は、配列内のアミノ酸残基の削除、付加または置換(それらは変化としては表面に現れず、従って、生理活性産物を生じる。)を含んでもよい。この意味における生理活性は、遺伝子産物が標的細菌と結合する能力によって測定される。
【0024】
細菌結合コンポーネント中の任意のアミノ酸置換基は、含まれる残基の極性、電荷、溶解性、疎水性/親水性、サイズ、コンホメーションなどに基づいて行なうことができる。例えば、負に帯電するアミノ酸にはアスパラギン酸やグルタミン酸が含まれ;正に帯電するアミノ酸にはリジンとアルギニンが含まれ;同様な親水性値を有する非荷電な極性頭部を備えたアミノ酸には下記のものが含まれる:ロイシン、イソロイシン、バリン;グリシン、アラニン;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;フェニルアラニン、チロシン。
【0025】
生物学的に活性な細菌結合コンポーネントを発現するためには、それをコードするヌクレオチド配列(または機能的に等価なヌクレオチド配列)を適当なベクター(すなわち挿入コード配列の転写および翻訳に必要な要素を含むベクター)に挿入する。生成物の安定性、生産、精製、収率または毒性を改善するために配列を組み換えた修正版としてもよい。
【0026】
細菌結合コンポーネントをコードする配列と適当な転写および/または翻訳制御信号を含む発現ベクターを構築するためには、当業者によく知られた方法を用いることができる。こうした方法には、生体外でのDNA組換え法、合成法、生体内での組換体/遺伝子が含まれる。例えば、"Molecular Cloning. A Laboratory Manual" Authors, Sambrook, Fritch & Maniatis. Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989)に記載されている方法を参照されたい。
【0027】
細菌結合コンポーネントをコードする配列を発現するために様々な宿主発現システムを利用することができる。これらは、細菌結合コンポーネントコード配列を含む、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば大腸菌)のような微生物;コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えばPichia pastoris);組換えウィルス発現ベクターに感染させたか、Tiプラスミドなどのコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクターで形質転換された植物、動物および昆虫細胞システムを含むが、これらに限定はされない。
【0028】
好ましくは、リポ多糖(LPS:lipopolysaccharide)を含むことがない点で有利な酵母発現システムが利用される。LPSはポリクローナルな有糸分裂促進物質として機能する細菌構成部分であるが、非常に少量においても発熱源となるからである。細菌発現システムを利用する場合は、起こり得る免疫副作用を最小限にするために治療における使用に先立って細菌LPS生成物を精製(除去)することが望ましい。酵母発現システムを使用する場合は、沈殿、透析、クロマトグラフィーおよびゲルろ過などの概ね簡単な操作を使用により、タンパク質生成物を培地から簡単かつ確実に精製されるという利点がある。生じるタンパク質生成物が、多数の場合グリコシル化された形で生産される(これは、実質的に完全な天然の生物学的機能を備えたタンパク質生成物をもたらす可能性を増加させる。)という点で、酵母などの真核生物の遺伝子発現システムがさらに好ましい。
【0029】
さらに、酵母システムは、細菌発現システムのようなシステムと比較して、高収量をもたらし、所望の生成物の精製が容易である点で製造上、経済性に優れている。また、好都合なことに、酵母システム中の発現コンストラクトを酵母宿主ゲノム中に組み込むことで、実質的に遺伝学的に安定した宿主の資源が提供できる。これは発現システムが商業的な規模で実施する場合には、特に重要である。
【0030】
利用する宿主/ベクターシステムによっては、構成的または誘導的なプロモーター、転写増強因子要素、転写ターミネーターなどを含む、多数の適当な転写および翻訳因子のうちの任意のものを発現ベクター中に使用できる。
【0031】
組換えDNA技術によって細菌結合コンポーネントを生産することに加え、決定されたアミノ酸配列に基づく固相化学合成技術によって(例えば、Fmoc/tBu系を使用して)それらの全体または一部を生産することもできる。このアプローチは、1個または複数の生物学的に活性な領域に対応する細菌結合コンポーネントセグメントまたは断片を生成する際には特に有用である。
【0032】
本発明の上記方法は、さらに以下の工程を含むことが好ましい:回収した細菌結合コンポーネントペプチドの配列決定を行ないそのアミノ酸配列を得る工程;
細菌結合コンポーネントのアミノ酸配列をコードするDNA(例えばcDNA)を得る工程;
前記DNAを発現ベクター中に導入する工程;および
前記発現ベクターによって生産された組換え細菌結合コンポーネントペプチドを回収する工程。
【0033】
本発明はアメーバから分離され、上記のアミノ酸を有するタンパク質である活性細菌結合領域をコードするcDNA配列を提供する。このcDNAは以下のヌクレオチド配列(配列番号2):
ggctccacgggagtccatctggacgacgtcgtcatcggcagtttccaggccagccctcgtcaggtaagtgttagcctgagttgctttggagactcaggaaaacctagtgggcccatggtgcaccatgttgcaggctcagagttgatggccttctcccggatcgcgttcgaatcagcctcgagccagtcgcactacctgggtgcaggattccagaggttgagagcttccggagcttgcccttgggggcatggtgcttggccctgtggtccctacctgcacccagagggccattgcccgggacaggtccagcatcggatgcccgtcaaggcgggtgtcagactcgtcgactgcccgggccggactggcgtcgttgtgggccatcgggttccacaggtgtgtccggttcagtcaatcataggcattgctgttccaaggacaggacgccgccatgttgttcgggagtggaccatgaacatcgcc
を有する。
【0034】
一般に、所定の標的細菌の捕食者は、候補となる捕食性微生物を標的細菌中に導入し成長する捕食性微生物を選択することにより識別できる。上記のように、適当な細菌結合コンポーネントを有する真核微生物の中には細菌を消費できずこれに基づいて生育できないものもある。しかし、このような微生物は、分画遠心法のような比較的簡単な技術を使用して識別し得る。従って、典型的には、アメーバまたは他の細菌結合真核微生物を、標的細菌に接触させ、次いで、例えば適当な密度勾配および/または遠心分離速度を用いた分画遠心法にかけ、遊離の非結合を含まない真核微生物を選択的に沈殿させればよい。次いで、沈殿ペレットに細菌が存在するかを試験する(存在するのは細菌が微生物に結合している場合だけである。)。細菌の存在を試験するための適当な操作は、当技術分野においてよく知られており、稀釈計量後プレート上での培養または染色法の使用などがある。結合特異性および結合能力は、ペレット中に見出される(微生物に結合した)細菌の数を上澄みの中の数と比較することによって測定できる。
【0035】
適当な真核生物捕食者(および他の細菌結合性)微生物は一般にアメーバ、および繊毛虫や鞭毛虫などの原虫類を含み、土壌、特に比較的有機物に富んだ土壌など、典型的な細菌生息環境から採取できる。一般に特定タイプの土壌生息環境は、特定タイプの捕食性微生物に好まれる。本件の場合、液体培地中で無菌培養(axenic culture)し得るアメーバを使用することが特に便利であることを本発明者らは見出した。このようなアメーバは、一般に湿潤期と乾燥期に交互にさらされる生息環境を好む。
【0036】
適当な結合コンポーネントを有するアメーバとしては、多種多数な種が存在する。しかし、アカンソアメーバとネグレリア属が特に便利である。これらは比較的豊富に存在し市販の清澄なブイヨン中での培養が容易であり、従って、培養したアメーバに標的細菌を接種して適当な結合コンポーネントを捜索する研究に使用する実質的な量を生産するのが容易なためである。
【0037】
本発明の細菌結合コンポーネントは、本発明によってもたらされる治療活性および他の形での使用に関しての様々な利点(例えば、タンパク質分解酵素に対する実質的な抵抗性や好ましい結合特性等)を有する。結合特性に関して言えば、本発明のSA細菌結合コンポーネントペプチドがFc抗体断片配位子に結合した場合、細菌結合コンポーネントのペプチド部分は、SAとFc部分との間の競合的結合にも拘わらず、SAに著しく結合することが見出だされた。
【0038】
本発明の細菌結合コンポーネント(組換えによるもの、および細菌捕食者から回収されるか分離されたものの両者を含む。)は、一般に、細菌に対する直接的または間接的闘争における任意の態様(例えば、診断システムへの包含によって)で使用される他の基(部分)や配位子に結合される。
【0039】
別の態様では、本発明は、以下の工程を含む標的細菌の存在を診断する方法を提供する:
前記標的細菌に特異的に結合し得る細菌結合コンポーネントペプチドを準備する工程;
前記細菌を前記細菌結合コンポーネントペプチドに接触させる工程;
前記細菌に結合した細菌結合コンポーネントを結合細菌−細菌結合コンポーネント複合体において回収する工程;および
前記結合細菌−細菌結合コンポーネント複合体を検知する工程。
【0040】
試料中の標的部分の検知のために使用し得る、様々な多様なタイプの診断システムが存在することが理解されるであろう。一方では、試料細菌は基材に固定され、次いで、標的に特異的に結合し、測定可能な標識を備えた検知手段部分と接触させることができる。基材から非結合試料および検知用材料を取り除いた後に標識が存在すれば、試料中に標的細菌が存在するということになる。他方、検知手段部分を基材に結合させ、試料を接触させてから非結合物質を除去し、その後、基材に(間接的に)結合した細菌の存在を、例えば、細菌を視覚化する適当な染色法を使用することによりモニタリングを行なう診断システムを使用してもよい。
【0041】
基材はプレート、スライド、ストリップなどの固定基材でもよいし、試料培地からの回収が容易な例えば粒子状基材などでもよい。後者は、例えば、磁性材料にタグまたは標識として結合させ、磁気装置を近付けることにより基材を(それに付着した何らかの物質とともに)容易に捕捉できる。さらに、標識の含まない(つまり無標識の)細菌結合コンポーネントへの標的細菌の結合に起因する物理的性質の変化に基づく他の分離技術、例えば、ゲル電気泳動、クロマトグラフィー、質量分析、遠心分離などのような慣用の技術も、一般に利便性は劣るが、基本的には使用できる。
【0042】
従って、診断システムの場合には、一般的には、細菌結合コンポーネントペプチドには、概ね容易に検知できる標識を付けたものがよい。
あるいは、複合体が複合体化していない細菌とともに回収されるのではない場合には、メチレンブルーなどの染色手段やDAPI(4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)などの蛍光染色手段を用いた適当な概ね非特異性な染色法を使用して細菌を検知してもよい。
【0043】
本発明の方法で使用するのに適した様々な標識付与システムは当業者にはよく知られており、P32またはP33などの放射性標識、フルオレセインやローダミンなどの蛍光性標識、およびビオチニル化の後、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体とペルオキシダーゼ基質で発色させるなどの有色染料標識システムを含む。
【0044】
従って、ある場合には、例えば、放射性標識が使用される場合、結合標識の存在はシンチレーション計数器などの適当な装置で検知できるが、その他の場合に、単純な視覚的検査によって、および/または適当な装置(例えば分光器)の支援によって検知できる形式に結合標識を「現像する」現像試薬システムの使用が必要になることもある。
【0045】
このような診断方法が、人間、動物および植物の細菌感染症の診断において特に有用であることが認識される。人間と動物の伝染病において検査される細菌は、一般には、血液、リンパ液、尿、分泌液などの体液または、流体もしくは組織断片などの固体の形式で適当に調製された組織試料などのキャリアーで見出されるであろう。
【0046】
本発明の診断方法は、細菌結合コンポーネントペプチドを組み込んだ治療処置に先立って使用してもよい。伝染病を予備診断することにより、特定の細菌に感染していない患者に治療形態の細菌結合コンポーネントペプチドを不要に投与することが避けられる。
【0047】
本発明の診断の方法は、水、食物および飲料製品、産業流体、換気装置などの汚染を診断するために使用してもよい。
【0048】
活性な創傷被覆材の場合、細菌結合コンポーネントは、一般には、スルフヒドリル誘導基を介しまたはヨードアセトアミド結合を用いた共有結合によって、被覆材織布の傷と接触物部分に結合固定した形で用いられる。これにより、傷中に存在する細菌が被覆材に結合し、このため被覆材をを取り替える際に傷口から除去される。
【0049】
細菌結合コンポーネントは、一般に、これに結合する部分を有する本発明の細菌結合コンポーネントを含有する治療用活性形として使用される。ここで、活性部分は、標的細菌の直接的または間接的不活性化をもたらし得る物質である。従って、本発明の1つの好適態様では、細菌結合コンポーネントはそれに連結したFc抗体断片を有し、これにより、細菌結合コンポーネントペプチド部分が細菌に結合した場合、これを体内の白血球によって認識させ、然るべく食菌させることもできる。このようなキメラタンパク質は、標的細菌を不活性化するための別ルートとなる補体反応経路補体カスケード(complement cascade)をさらに活性化するものでもよい。細菌結合コンポーネントがペプチドである場合、細菌結合コンポーネントペプチドをコードする捕食者の遺伝子断片をFc抗体断片をコードするヒト遺伝子断片上にスプライシングし、このキメラ遺伝子を発現ベクターに導入し、次いで発現されたキメラペプチド産物を回収することにより、前記ペプチドをFc抗体断片と連結するのが便利である。
【0050】
有利には、Fc抗体断片に対する細菌の結合親和性を減少させるために、Fc抗体断片は、前記細菌への結合親和性が選択的に低減された変種(但し、その免疫学的活性(白血球への結合親和性)は実質的に維持されているもの)が好ましく使用される。適当な変種は部位特異的突然変異生成によって得ることができる(例えば、P. Carter et al (1985) "Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors." Nucleic Acids Res 13, 4431-4443参照)。
【0051】
あるいは、細菌結合コンポーネントは、生理学上に受容可能な溶菌性部分に連結することができる。
【0052】
本発明により生理学的に受容可能な毒素として使用するのに適した適当なリゾチーム状(細胞溶解性)タンパク質は、Drozanski,W (1969)."Bacteriolytic enzyme produced by Acanthamoeba castellanii." Acta. Microbiologica Polonica SerA 1(18), 155-168などの文献に報告されているアメーバのある種から得ることができる。また、本発明者らは、黄色ブドウ球菌を溶解するのに有効な同様のリゾチーム状のタンパク質をアカンソアメーバのVen株(これから本願に記載するアミノ酸配列を有するBBPを回収した)を発見した。
【0053】
本発明の細菌結合コンポーネントは、生理学的に受容可能な毒素および他の抗菌性毒素と連結させることにより、抗生物質剤を提供するために使用してもよい。これは、洗浄液などの洗浄材料や抗微生物性の清掃用布帛など、一般用途、および特に病院や他の医療施設のようなハイリスクなエリアで使用することができる。
【0054】
化学的な結合方法としてはの多数の方法が当技術分野においてよく知られており、例えば、スルフヒドリル誘導基を介しまたはヨードアセトアミド結合を用いた共有結合によって連結される。
【0055】
また、このような抗細菌剤は組換え技術によって生産することも可能であり、このような組換剤は、化学的な操作で得られた結合体に比べて製造が容易であり、薬剤分子の均質な集合物が生産できるという長所を有する点で有利である。
【0056】
本発明の治療用製品は任意の適当な形式で患者に投与できる。本発明の様々な治療剤は慣用の投与方法を用いて投与でき、こうした方法には、静脈内、腹腔内、口頭、リンパ内または疾病部位への直接投与が含まれるが、これらに限定されない。敗血症のような全身的な感染症やより局所的な感染症に対して使用するのには静脈内投与が一般に好ましいが、傷の処置には局部処方を使用してもよい。一般に、局部処方は、石油ゲルまたはラノリンのような不活性なキャリアーを利用する。
【0057】
本発明の組成物は、様々な投薬形式を含み、その中には、液体の溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、粉剤、坐薬、重合体マイクロカプセル、マイクロベシクル(microvesicle)、リポソームおよび注射可能または注入可能な溶液がが含まれるが、これらに限定されない。好ましい形式は、投与方法および治療態様による。
【0058】
こうした組成物は、医薬組成物などの安定化のために通常行なれる例に従って、様々なバッファー、賦形剤、添加剤、保存剤その他の物質を含むこともできる。
【0059】
本発明の組成物の投与および投薬計画法の最も有効な方法は、疾病が重篤であるか否か、その進行具合、患者の健康状態および治療に対する反応、ならびに治療する医師の判断に依存する。
【0060】
一般的には、本発明の組成物は、本発明の細胞結合コンポーネントをその生理学的に受容可能なキャリアーとの緊密混和物として含む。
【0061】
SAは例えば乳腺炎などの症状を生じさせることから畜産業においても問題であり、従って、本発明は、生理学的に受容可能なキャリアーとの緊密混和物に、本発明の細胞結合コンポーネントを治療上活性な形式で含有させた獣医処方物にも及ぶ。
【0062】
また別の態様では、本発明は、本発明の医薬上または獣医学的処方物を治療上有効な量の投与を含む細菌感染症患者または動物の治療方法を提供する。
【0063】
本発明の細菌結合コンポーネントの別の用途としては、浄水システムに関連した用途も挙げられる。この場合、細菌結合コンポーネントペプチドは、適当な任意の手段によってシリカビーズなどの実質的に不活性な基材上に結合固定した形式で使用する。固定は、スルフヒドリル誘導基を介しまたはヨードアセトアミド結合を用いた共有結合によって行なわれ、図1に模式的に示すように、水路内部の照射ゾーン、好ましくは紫外線照射ゾーンに固定する。なお、図1は水殺菌装置1を示し、これは紫外線照射線透過材料でできた壁面3を有する導管2、および壁面のすぐ近くに設置された紫外線照射線源4を含む。導管にはシリカビーズ5が満たされており、後述する実施例2に示すように、その上に細菌結合コンポーネントペプチド6が固定された基材を構成している。導管2は、処理が必要とされる水8が流入してくる入口7および処理済の水10を送り出す出口9を有する。
【0064】
水中に存在する細菌は、固定化された細菌結合コンポーネントペプチドに概ね結合し、これによって、放射ゾーン内のそれらの滞留時間は実質的に増加し、細菌の不活性化処理の効率が著しく増大する(例えば、より大きな流速が使用できる。)。水および他の流体を処理するための様々な紫外線照射システムは当業者にはよく知られており、商業的に入手可能である。
【0065】
従って、別の態様では、本発明は、
紫外線照射を透過する材料でできた壁を有する導管;
前記壁と対向する外部紫外線照射線源;
前記導管内に前記壁と対するように備えられ、水と細菌結合コンポーネントペプチドとの接触領域を広げるべく細菌結合コンポーネントペプチドをその上に固定した基材であって、前記導管を通る水流がその上を流れるように形成配置された基材を含む水殺菌装置も提供する。
【0066】
水流を過度に妨げないように維持しつつ水流との接触面積を最大化するのに適した基材については、様々な形式が当技術分野でよく知られていることが認識されるであろう。従って、例えば、「シグマ化学社(The Sigma Chemical Company)」や「ファルマシア(Pharmacia)」(ウプサラ(スウェーデン))から市販されているようなシリカビーズを用いることができる。
【0067】
必要であれば、標的細菌に対するペプチドの結合能力を実質的に減少させない限りにおいて、少なくとも芳香属基(トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニンなど)を含むいくつかのアミノ酸を他のアミノ酸で置換することにより、本発明の水殺菌装置で使用する細菌結合ペプチドの紫外線安定性を改善してもよい。たとえ細菌不活性化効力をある程度犠牲にしても感受性の高いBBPへの損害を低減するように異なる紫外線照射線源(UVA、UVBおよびUVCランプなど)を使用し得ることも理解されるであろう。
【0068】
好適態様では、本発明は、黄色ブドウ球菌(SA)上に結合するとともに治療上活性な形式の細菌結合ペプチド、および前記治療上活性な形式を含む医薬処方物を提供する。また、標識に結合させたSA細菌結合ペプチド組成物を含む診断分析法、および創傷被覆材に適した形に固定された細菌結合コンポーネントペプチドおよび浄水システム等が提供される。
【0069】
本発明の別の好適態様では、SA細菌結合コンポーネントペプチドは、これまでに述べてきたアミノ酸配列を有するペプチドである。本発明の別の好適態様では、これまでに述べてきた核酸配列を有するcDNAが提供される。
【0070】
本発明はまた、これまでに述べてきたアミノ酸配列を有するSA細菌結合コンポーネントペプチドを含み、C末端でFcペプチド、好ましくはヒトFcペプチドに結合されたキメラペプチドも提供する。
【0071】
さらに、本発明の好ましい特徴および利点は、以下の詳細な実施例から明らかになるであろう。但し、これらは例示であって本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0072】
実施例1:標的細菌用のBBPを備えたアメーバの識別
A.アメーバライブラリーの製造
(主として)アカンソアメーバ株のライブラリーは、多数の土壌試料から以下のように確立された。土壌試料(約0.05g)は塩溶液10mlを用いて採取し、これを0.01%のマルトースおよび0.01%の酵母抽出液を含む寒天プレートに置いた。プレートを2〜3日インキュベートし、土壌試料からともに得られた細菌上でアメーバを増殖させた。
寒天プレート表面からブロック(約1cm2)を切り取り、大腸菌(YM109)層を形成しておいた寒天プレート上にこれを戻した(大腸菌はアカンソアメーバを含む大多数の食細胞の微生物に栄養を供給する)。
【0073】
アメーバは、ブロックの下から成長して寒天プレート表面上に這い出して増殖した。これらは顕微鏡で観察することができた。アメーバはその外観によって分類した(アカンソアメーバは視覚的にはネグレリアと同様の特徴を有する)。次いで、アメーバが観察された寒天ブロックを熱殺菌した大腸菌層を含むプレート上に引っくり返して置いた。今回もアメーバは逆様にした寒天ブロックから這い出して成長し、後には生きている大腸菌が残った。次いで、アメーバが生きている唯一の生物である培養物を確立するために、アメーバを含む無菌寒天ブロックを無菌培地上に置いた。希釈して培養物を成育させた後、細胞をクローン化した。
【0074】
B.アメーバ・ライブラリーのスクリーニング
ブドウ球菌(Staphylococcus)または腸球菌(Enterococcus)の層を形成した寒天プレート(複数)の中心に各100μlのアメーバ培養液滴を接種した。2日〜2週間(アメーバおよび細菌によって異なる)おいた後、アメーバの成長がプレート上の透明領域として観察された。これらのプレート上で最も速く成長したアメーバをBBPの単離用に選択した。
【0075】
実施例2:黄色ブドウ球菌結合ペプチドの単離
アカンソアメーバVen株(ベネズエラの山の山腹由来の土壌試料から得られた)の培養物2.5リットルを培地(ペプトン、酵母エキスおよびグルコース)において成育させ、離遠心分離によって回収し、プロテアーゼ阻害剤を含むバッファー中にホモジナイズした。核を含む大きな断片は、遠心分離によって除去した。次いで、抽出物に、ホルムアルデヒドで固定(Kessler, S.W. (1981) Methods Enzymology 73, 442-458によるケスラー法)された洗浄済み黄色ぶどう球菌を添加した。次いで、細菌およびアメーバ由来の結合した細菌結合タンパク質またはペプチド(BBP)を遠心分離によってペレット化した。上澄みは捨て、細菌ペレットをバッファー中で洗浄した。アメーバ由来のタンパク質は、1%のデオキシコレートナトリウム、0.1%のSDSおよび1%のトリトンX−100界面活性剤中で剥離させるまで、使用したアメーバに特異的に結合していた(これらの粗い条件にも拘わらず、固定細菌を使用したため、細菌のタンパク質は全く存在しなかった。)。次いで、12%SDSページ・ゲル(Laemmli, (1970) Nature 227, 680-685)を実行し、BBPの純度を分析し、これらをサイズ排除クロマトグラフィー(スウェーデン、ウプサラのファルマシアS−300を使用したゲルろ過)によってそれらの分子のサイズによってさらに精製した。次いで、BBPをcentricon 10(米国マサチューセッツ州Beverly所在のアミコン(Amicon)社)フィルターユニットを使用して濃縮した。
【0076】
実施例3:黄色ブドウ球菌結合ペプチドの配列決定
実施例2で得られた純粋なBBPから臭化シアンで消化してペプチド断片を生成し、その後、ペプチドをSDS−Pageによって単離し、フィルター上にブロッティングした。次いで、ペプチドをクマシーブルー染料で染色し、ペプチドを含むバンドを切り出して市販装置で配列決定した。
配列番号3:PQLGDNVEKA
および
配列番号4:DRSWGWSPSN
の2つのアミノ酸配列が得られた。
【0077】
実施例4:黄色ブドウ球菌結合ペプチドのクローニング
A.アカンソアメーバVen株からのcDNAライブラリーの構築
アメーバを上記のように培養し、「Stratagene Poly(A)quikキット」(カリホルニア州La Jolla)によって細胞から全RNAを単離した。mRNAを全RNAからpolyT親和性クロマトグラフィ(米国カリホルニア州Stratagene社製Poly(A)Quikキットを用いた。)によって単離した。次いで、mRNAテンプレートを用いて逆転写酵素(Gibco(スコットランド))によってcDNAを生産した。次いで、cDNAsをEcoR1腕にライゲートし、次に、Bluescript(米国カリホルニア州Stratagene社)ベクターに一団としてライゲートした。
【0078】
B.cDNAライブラリーのスクリーニング
cDNAライブラリーを、BBPのEdman分解配列決定法によって生じた2つの短いアミノ酸配列に基づくオリゴヌクレオチドプライマーを設計してスクリーニングした。使用したオリゴヌクレオチドは以下のヌクレオチド配列
配列番号5:ccccagct(c/g)gg(c/g)gacaacgt(c/g)gagaaggc(c/g)、
配列番号6:gaccg(c/g)tc(c/g)tgggg(c/g)tggtc(c/g)ccctc(c/g)aac
を持っていた。
cDNA断片の関係を確認するためPCRも標準操作で使用した。
【0079】
C.大腸菌中の中のBBP cDNAsの発現
T7系ベクター、pMW172(Way他、EMBOJ 9, 4103-4109)を使用して、大腸菌(BL21−de3)中でcDNA断片(他のタンパク質との相同性に基づいて1つの領域を構成するか否か判断した。)を発現させた。黄色ブドウ球菌結合タンパク質の単離に関して記載した方法(以下を参照)を使用して、得られたタンパク質が黄色ブドウ球菌に結合することが判明した。
【0080】
実施例5:黄色ブドウ球菌結合ペプチドの細菌への結合
これは、実質的には実施例2に記載したのと同様のSA結合タンパク質の同定に関するが、固定細菌にアメーバ溶解物を加える代わりに、実施例4で得られた結合タンパク質と推定されるものを発現する細菌の溶解物を加えた。次いで、実施例2と同じバッファーを用いてBBPを固定細菌から溶離し、結果物をSDS−PAGEによって分析し、これにより、SA−BBPが細菌に強く結合していることを示す明確な可視バンドが得られた。
【0081】
実施例6:黄色ブドウ球菌結合ペプチドに対する抗体の調製
実施例4由来のタンパク質を発現させるために用いた細菌の溶解物からBBPを精製した。精製され濃縮されたBBPを専門業者に送り鶏卵を介してニワトリ抗体を作成した。鶏卵から抗体を回収し結合能力を試験で使用すべく精製し、本来単離された天然BBPとの免疫学的同一性が維持されていることが実証された。
【0082】
実施例7:治療用途に適した黄色ブドウ球菌「抗体」の調製
N−末端がSA結合タンパク質でありC−末端がFc領域である連続的なタンパク質を生産させるべく、SA結合タンパク質をコードするcDNAをヒト抗体のFc領域をコードするcDNAにライゲートした。次いで、このコンストラクトを、キメラタンパク質のN−末端にOMPA分泌コードシグナルを配置するべく修正されたpMW172ベクター(Way他、EMBOJ 9, 4103-4109)にライゲートした。このシグナルは、未完成なアミノ酸鎖を細菌の内膜を通してペリプラズマ間隙内に輸送させるものであり、Fc領域のフォールディングに必要なジスルフィド結合領域(Ghrayeb他、1984 EMBOJ 3, 2437-2442)と互換性をもつ。キメラタンパク質コンストラクトを用いて大腸菌(JM109 de3)を形質転換し、TB培地において成育させた。ペリプラズマから得られた可溶性タンパク質を標準の方法(Neu & Heppel, 1965 J.Biol.Chem. 240, 3685-3692)によって精製した。
【0083】
実施例8:治療用途に適した黄色ブドウ球菌「抗体」の調製
実施例7の操作の代わりに、キメラタンパク質コンストラクトをpPIK9ベクターにライゲートし、これを用いてPichia pastorisを形質転換し、酵母ゲノムに統合した。形質転換したPichia pastorisをBMMY培地(市販品)上で成育させ、VenアメーバcDNA特異的プライマーを使用して、PCRによって統合体をスクリーニングした。酵母炭素源をメタノール(市販のBMMY培地)に切り替え、キメラタンパク質生成物を培地に分泌させ、タンパク質産生能力に基づいて酵母コロニーを選択した。
【0084】
硫酸アンモニウム(50%w/v)による沈殿、広範囲な透析、DE52(Whatman)を使用したクロマトグラフィー、およびS−200(Pharmacia)を用いたゲルろ過によって培養培地からタンパク質を精製した。次いで、生成物を凍結乾燥した。生理的食塩水で戻すと生成物は十分な活性を有することが示された。
【0085】
実施例9:シュードモナス蛍光菌結合ペプチドの単離
黄色ブドウ球菌の代わりにシュードモナス蛍光菌を用いた他は実施例2と同様にして、ホモジナイズしたアカンソアメーバ調製物を探索し、精製されたシュードモナス蛍光菌−BBPを得た。
【0086】
実施例10:腸管外処方物の製造
実施例8で得られた生成物を生理的食塩水(10mg/ml)に溶解し、注入用バイアルに充填した。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】図1は、本発明の細菌結合コンポーネントを利用した浄水システムを示す模式図。
【符号の説明】
【0088】
1 水殺菌装置
2 導管
3 壁面
4 紫外線照射線源
5 シリカビーズ
6 細菌結合コンポーネントペプチド
7 導入口
8 水
9 出口
10 水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細菌との結合の候補となる前記細菌を捕食するアメーバまたは原虫類を用意する工程;
前記アメーバまたは原虫類を前記標的細菌の細胞表面コンポーネントに接触させて、前記標的細菌表面コンポーネントを前記アメーバまたは原虫類の表面上の細菌結合コンポーネントの少なくとも1つと結合させて、複合体を形成し、さらに前記アメーバまたは原虫類を溶解する工程;
複合体を前記溶解物から分離する工程;
前記標的細菌の前記細胞表面コンポーネントから前記アメーバまたは原虫類の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを解き放すように複合体を処理する工程;および
前記アメーバまたは原虫類の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを回収する工程を有する、前記標的細菌の不活性化および/または前記標的細菌による感染症の治療や診断を含む標的細菌との闘争で使用される製品の製造に用いるのに適したアメーバまたは原虫類由来の細菌結合コンポーネントを回収する方法。
【請求項2】
前記細菌の生育環境から少なくとも1種類のアメーバまたは原虫類を分離する予備的工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
多数のアメーバまたは原虫類の中から前記標的細菌と結合する少なくとも1種類のアメーバまたは原虫類をスクリーニングする予備的工程を含み、前記スクリーニング工程が、栄養素を含まない培地において標的細菌を前記アメーバまたは原虫類と接触させて培養する工程、および前記細菌を捕食して成育する捕食性アメーバまたは原虫類を選択する工程を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的細菌にその細菌結合コンポーネントを接触させる前に前記アメーバまたは原虫類を溶解する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記標的細菌の前記細胞表面コンポーネントをそれが標的細菌細胞の一部をなす形態において使用する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記標的細菌の不活性化および/または前記標的細菌による感染症の治療や診断を含む標的細菌との闘争で使用される製品の製造に用いるのに適した細菌結合コンポーネントを提供する以下の工程を含む方法:
前記細菌の生育環境から前記細菌を捕食するアメーバまたは原虫類を回収する工程;
前記捕食性アメーバまたは原虫類を溶解する工程;
溶解物を前記細菌と接触させ、これに前記捕食性アメーバまたは原虫類の少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを結合させる工程;
捕食性アメーバまたは原虫類コンポーネントを結合した状態で、前記溶解物から細菌を分離する工程;
前記捕食性アメーバまたは原虫類の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを前記細菌から解き放すように分離した細菌を処理する工程;および
前記捕食性アメーバまたは原虫類の前記少なくとも1つの細菌結合コンポーネントを回収する工程。
【請求項7】
回収された細菌結合コンポーネントをさらに分解し、前記細菌に対して再度スクリーニングを行なう活性な細菌結合コンポーネント領域を識別する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
さらに以下の工程:
回収した細菌結合コンポーネントペプチドの配列決定を行ないそのアミノ酸配列を得る工程;
細菌結合コンポーネントのアミノ酸配列をコードするDNAを得る工程;
前記DNAを発現ベクター中に導入する工程;および
前記発現ベクターによって生産された細菌結合コンポーネントを回収する工程
を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
標的細菌に結合するアメーバまたは原虫類に由来する細菌結合コンポーネントのアミノ酸配列をコードするDNAを発現ベクター中に導入し、前記発現ベクターによって生産された、標的細菌に特異的に結合する細菌結合コンポーネントを回収する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
標的細菌に結合するアメーバまたは原虫類に由来しアメーバまたは原虫類を含まない細菌結合コンポーネントのアミノ酸配列をコードするDNAを発現ベクター中に導入し、前記発現ベクターによって生産された、標的細菌に特異的に結合する細菌結合コンポーネントを回収する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ブドウ球菌(Staphylococcus)、腸球菌(Enterococcus)および連鎖球菌(Streptococcus)種から選択される標的細菌の捕食者であるアメーバまたは原虫類に由来する標的細菌に特異的に結合する細菌結合コンポーネントを回収する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アメーバ類と原虫類から選ばれる真核微生物がアカンソアメーバ(Acanthamoeba)とネグレリア属(Naegleria)の種から選択されるアメーバである請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
組換えDNA法または化学合成法の少なくとも1つの手段によりアメーバまたは原虫類から得られる標的細菌に特異的に結合する細菌結合コンポーネントであって、標的細菌の捕食者でありかつ前記標的細菌に結合するアメーバまたは原虫類に由来しアメーバまたは原虫類を含まない細菌結合コンポーネントから組換えDNA法または化学合成法の少なくとも1つの手段により得られる標的細菌に特異的に結合する細菌結合コンポーネント。
【請求項14】
ブドウ球菌(Staphylococcus)、腸球菌(Enterococcus)および連鎖球菌(Streptococcus)種から選択される標的細菌に特異的に結合する請求項13に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項15】
標的細菌に特異的に結合する活性細菌結合領域を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを含む請求項13または14に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項16】
活性な細菌結合領域を有する配列番号1に記載のアミノ酸配列を備えた黄色ブドウ球菌への結合に使用する請求項15に記載のペプチド。
【請求項17】
黄色ブドウ球菌に結合する配列番号1に記載のアミノ酸配列からなり、配列番号2に記載の塩基配列によりコードされている、請求項15または16に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項18】
前記細菌結合コンポーネントがそれに結合された標識を有する、検査で使用される請求項13乃至17のいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項19】
前記細菌結合コンポーネントが、液体培地からのその回収が容易であるように、固定基材および粒子状基材から選択される基材に結合される検査で使用される請求項13乃至17のいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項20】
感染した患者における細菌感染症の治療または予防で使用され、前記細菌結合ペプチドが、直接または間接にそれと連結した認識要素を有し、この認識要素は患者の免疫系によって認識されてこれを活性化させるものである請求項13乃至17のいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項21】
前記認識要素がFc抗体断片を含む請求項20に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項22】
感染した患者における細菌感染症の治療または予防で使用され、前記細菌結合ペプチドは、生理学的に受容可能な抗細菌毒素を直接または間接にそれに結合している請求項13乃至17のうちのいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネント。
【請求項23】
生理学的に受容可能なキャリアーと共に、請求項20乃至22のうちのいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネントを含む医薬組成物。
【請求項24】
紫外線透過材料で形成された壁を有する導管;
前記壁と対向する外部紫外線照射線源;
前記導管内に前記壁と対向するように設けられ、水と細菌結合コンポーネントペプチドとの接触領域を広げるべく請求項13乃至17のうちのいずれか1項に記載の細菌結合コンポーネントペプチドをその上に固定した基材であって、前記導管を通る水流がその上を流れるように形成配置された基材
を含む水滅菌装置。
【請求項25】
配列番号2の塩基配列を含み、細菌結合コンポーネントペプチドの活性細菌結合領域をコードするcDNA。

【図1】
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【公開番号】特開2009−50255(P2009−50255A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183317(P2008−183317)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【分割の表示】特願2002−552959(P2002−552959)の分割
【原出願日】平成13年12月24日(2001.12.24)
【出願人】(503223957)アミービックス・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】