説明

抗老化用皮膚外用剤及び抗老化用化粧料

【課題】コラーゲン産生を促進する物質を十分に皮膚に浸透・貯留させ、しわやたるみを根本的に改善する抗老化用皮膚外用剤及び抗老化用化粧料。
【解決手段】成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有する抗老化用皮膚外用剤及び抗老化用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化用皮膚外用剤及び抗老化用化粧料に関する。より詳細には有効成分として成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有する抗老化用皮膚外用剤及び抗老化用化粧料に関するものであり、皮膚内でのコラーゲン産生を促進することにより抗老化用を発揮する皮膚外用剤又は化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
老化に伴い皮膚にはさまざまな変化がおきる。その中でもシワやたるみは外見上目立つものであり、予防、改善することが強く求められているものである。この主な原因は真皮中にある細胞外マトリックス、中でもコラーゲンの減少によるものである。加齢に伴い皮膚のコラーゲン量は減少傾向にあり、20歳から80歳までの間に約65%もの減少が認められる。これは、老化に伴い線維芽細胞のコラーゲン合成量が減少することや、コラーゲン分解系が亢進することに起因している(非特許文献1)。
【0003】
これらの変化を抑制するためにさまざまな検討が行われている。コラーゲンそのものを外用、内服で適用する商品は以前より広く上市されている。また、例えば特許文献1ではコラーゲン分解に関与する酵素であるコラゲナーゼを抑制することでしわの発生や弾力の低下を防ぐことが行われている。近年ではより積極的な改善方法として皮膚内のコラーゲン産生そのものを促進する技術が開発されつつある。例えば、特許文献2では、ビタミンA類とビタミンD類とを併用してコラーゲン産生促進効果があることが開示されている。また、特許文献3には、花粉、花粉荷およびそれらの抽出物にコラーゲンまたはヒアルロン酸の少なくとも一方の産生促進効果があることが開示されている。
【0004】
【非特許文献1】皮膚科MOOK No.20 老化と皮膚 1995年 80−85
【0005】
【特許文献1】特開2000−26228号公報
【特許文献2】特開2004−175731公報
【特許文献3】特開2008−133270公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながらコラーゲンの外用、内服やコラゲナーゼを抑制することはしわやたるみの発生を抑えるものであり、根本的な解決手段ではない。また、コラーゲン産生を促進させる技術においては、例えばビタミンA類やビタミンD類は皮膚刺激性を生ずる場合があり、不安定な物質であるために特殊な製剤化技術を必要とし、十分な量を配合することが難しかった。また花粉やその抽出物などを投与する方法は、特殊な製剤化技術は必要としないものの、皮膚上での安定性や浸透・貯留性の観点から顕著な効果が期待されず、根本的な解決には至っていないのが現状である。すなわち、コラーゲン産生を促進する物質を十分に皮膚に浸透・貯留させ、しわやたるみを根本的に改善する抗老化用の皮膚外用剤や化粧料はなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、しわやたるみなどの皮膚における変化を予防、改善させる有効物質の探求を行った結果、成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体に着目し、これらを組み合わせることにより、コラーゲン産生促進効果を有することを具体的に確認し、しわやたるみを改善することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有する抗老化用皮膚外用剤を提供するものである。また、成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有する抗老化用化粧料を提供するものである。さらに、コラーゲン産生を促進することを特徴と前記抗老化用皮膚外用剤または抗老化用化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の抗老化用皮膚外用剤並びに抗老化用化粧料は、分子量が小さく、皮膚への浸透性及び貯留性に優れた有効成分を組み合わせることで、生体内の線維芽細胞に直接作用してコラーゲン産生を促すために根本的にしわ、たるみなどを予防、改善するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)の合成ペプチド又はその誘導体は、アミノ酸が3〜8個ペプチド結合で結合したオリゴペプチドである。構成アミノ酸の種類は特に限定されないがプロコラーゲンの構造に含まれるテロペプチドの連続したアミノ酸配列から選ばれるものが好ましい。また、成分(A)の合成ペプチドは、皮膚への浸透貯留性や安全性、安定性を向上させるために、アルキル化、アシル化、ホルミル化などで誘導体化したものを用いることも可能である。中でも炭素数5から20の分岐鎖または直鎖のアシル基を用いることが好ましい。
【0012】
本発明に係る抗老化用皮膚外用剤並びに抗老化化粧料において、成分(A)の合成ペプチドおよびその誘導体の配合量は特に限定されず、目的に応じて自由に設定することが可能であるが、固形分としてそれぞれ0.0001質量%(以下、単に「%」と略す。)以上5%以下で含有させることが好ましく、0.001%以上3%以下含有させることがより好ましい。成分(A)をこの範囲内で含有させれば、有効成分を安定的に配合することができ、かつ高いコラーゲン産生促進効果を発揮することができる。
【0013】
本発明に用いられる成分(B)の加水分解コラーゲン又はその誘導体は、コラーゲンをプロテアーゼ酵素などにより分解し、分子量が500から5000に分画することによって得られたものである。コラーゲンの種類は特に限定されずI型からXIII型のいずれか、または混合型の物を用いることができる。コラーゲンの起源も動物(例えば牛、豚、鶏など)や魚類(例えばヒラメ、サケ、イワシ、マグロなど)の種類や抽出部位も骨、皮、腱、ウキブクロ(魚類)などから任意にから選ぶことが可能である。さらに、成分(B)の加水分解コラーゲンは、皮膚への浸透貯留性や安全性、安定性を向上させるためにアシル化やサクシニル化などの誘導体化したものを用いることが可能である。
【0014】
本発明における分子量とは、高速液体クロマトグラフィーを用いたゲルろ過法により測定されるもので、さらに詳しくはカラムとしてPeptide Columnを用いたときの平均分子量を指すものである。

【0015】
本発明に係る抗老化用皮膚外用剤並びに抗老化化粧料において、成分(B)の加水分解コラーゲン又はその誘導体の配合量は特に限定されず、目的に応じて自由に設定することが可能であるが、固形分としてそれぞれ0.0001%以上5%以下で含有させることが好ましく、0.001%以上3%以下含有させることがより好ましい。成分(B)をこの範囲内で含有させれば、有効成分を安定的に配合することができ、かつ高いコラーゲン産生促進効果を発揮することができる。
【0016】
本発明に係る抗老化用皮膚外用剤は、あらゆる剤型の外用剤に適用することができる。例えば、外用液剤、外用ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、スプレー剤、点鼻液剤、リニメント剤、ローション剤、ハップ剤、硬膏剤、噴霧剤、エアゾール剤、などの外用剤に適用することができる。
【0017】
本発明に係る抗老化用皮膚外用剤には、薬理学的に許容される添加剤を1種または2種以上自由に選択して含有させることができる。例えば、基剤、界面活性剤、保存剤、乳化剤、着色剤、矯臭剤、香料、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤、潤沢剤、溶解補助剤、懸濁化剤、油剤、増粘剤、キレート剤、酵素、pH調整剤などの、医薬製剤の分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【0018】
また、本発明に係る抗老化用皮膚外用剤は、既存のあらゆる薬剤や薬効成分を1種または2種以上自由に選択して、合剤とすることもできる。例えば、抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、紫外線防止剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、鎮痛剤、ステロイド剤、抗真菌剤、鎮咳剤、抗ヒスタミン剤、ビタミン剤、抗腫瘍剤など、あらゆる薬剤を配合することができる。
【0019】
本発明に係る抗老化化粧料は、あらゆる形態の化粧料に適用することができる。例えば、洗顔料、ローション、乳液、クリーム、美容液などのスキンケア化粧料、ファンデーション、コンシーラー、化粧下地、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナーなどのメイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料、ボディ用化粧料などに適用することができる。
【0020】
本発明に係る抗老化化粧料には、通常化粧料に用いることができる成分を、1種または2種以上自由に選択して配合することが可能である。例えば、基剤、保存剤、乳化剤、着色剤、防腐剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、紫外線吸収剤、香料、防腐防黴剤、体質顔料、着色顔料、アルコール、多価アルコール、水、油剤、増粘剤、粉体、キレート剤、酵素、pH調整剤などの、化粧料分野で通常使用し得る全ての添加剤を含有させることができる。
【0021】
これらの薬剤や薬効成分中、代表的なものについて、具体的に以下例示する。なお、ここでは、「誘導体」とは形成可能なエステルや塩を含む概念である。また、同一成分が複数の薬効を有する場合があるため、その場合には、複数の薬剤や薬効成分に同一名を記載している。植物の場合、かっこ内に別名の生薬名等を併せて記載した。
【0022】
抗酸化剤の一例としては、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、カロチノイド、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ルチン及びその誘導体、グルタチオン及びその誘導体、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、ケイケットウ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、サンザシ抽出物、シャクヤク抽出物、イチョウ抽出物、コガネバナ(オウゴン)抽出物、マイカイカ(マイカイ、ハマナス)抽出物、トルメンチラ抽出物、ブドウ抽出物、ヤシャジツ(ヤシャ)抽出物、ユキノシタ抽出物、ローズマリー(マンネンロウ)抽出物、茶抽出物(烏龍茶、紅茶、緑茶等)などが挙げられる。
【0023】
抗炎症剤の一例としては、ステロイド及びその誘導体、インドメタシン、アズレン及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、イオウ及びその誘導体、アロエ抽出物、アシタバ抽出物、イラクサ抽出物、インチンコウ(カワラヨモギ)抽出物、ウコン抽出物、キハダ(オウバク)抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、コンフリー(ヒレハリソウ)抽出物、スイカズラ(キンギンカ)抽出物、クレソン抽出物、サルビア(セージ)抽出物、ワレモコウ(ジユ)抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ニワトコ抽出物、ガマ(ホオウ)抽出物、ムクロジ抽出物、ユーカリ抽出物、ヨモギ抽出物、レンゲソウ抽出物、クマザサ抽出物、酸化亜鉛などが挙げられる。
【0024】
細胞賦活剤の一例としては、ビタミンA及びその誘導体、アスパラガス抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ(タイソウ)抽出物、ニンニク抽出物、ニンジン抽出物、ブナノキ抽出物、ローヤルゼリー、酵母抽出物、微生物醗酵代謝産物、霊芝抽出物などが挙げられる。
【0025】
紫外線防止剤の一例としては、パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン及びその誘導体、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛及び微粒子酸化亜鉛などが挙げられる。酸化チタン、酸化亜鉛などの無機粉体は、微粒子のものを用いるとより高い効果が発揮される。
【0026】
保湿剤の一例としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、タンパク質又はそれらの誘導体もしくは加水分解物並びにそれらの塩(本発明の成分(A)及び(B)以外のコラーゲン、エラスチン等)、ヒアルロン酸及びその塩、アミノ酸及びそれらの誘導体、糖類、D−パンテノール及びその誘導体、糖脂質、リン脂質、セラミド、尿素、ムチン、アーモンド抽出物、アボカド抽出物、アルテア抽出物、温泉水、アロエ抽出物、ウスベニアオイ抽出物、オノニス抽出物、カラスムギ抽出物、グラブリジン、グラブレン、リクイリチン、イソリクイリチン及びこれらを含有するカンゾウ抽出物、クインスシード抽出物、クララ(クジン)抽出物、クチナシ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレソン抽出物、ゲンチアナ抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ゴボウ抽出物、コムギ抽出物、サイシン抽出物、サボテン抽出物、サボンソウ抽出物、サンザシ抽出物、ジオウ抽出物、シモツケ抽出物、ショウガ抽出物、ゼニアオイ(ウスベニタチアオイ)抽出物、クワ(ソウハクヒ)抽出物、タチジャコウソウ(タイム)抽出物、冬虫夏草抽出物、ドクダミ抽出物、ハッカ抽出物、ハトムギ抽出物、ハマメリス抽出物、バラ抽出物、ヒノキ抽出物、フキタンポポ抽出物、ブドウ抽出物、プルーン抽出物、ヘチマ抽出物、ボダイジュ抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、マルメロ抽出物、マロニエ抽出物、メリッサ抽出物、ヤグルマソウ抽出物、ユリ抽出物、ライム抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、コメ及びコメヌカ抽出物、ブラックカラント抽出物、イブキトラノオ抽出物、ノイバラ(エイジツ)抽出物、エゾウコギ抽出物、海藻抽出物などが挙げられる。また、皮膚表面のシーリングによる保湿(エモリエント)剤の一例としては、ホホバ油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、杏仁油、桃仁油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボカド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ(ルリジサ)油、カカオ脂、シア脂などが挙げられる。
【0027】
血行促進剤の一例としては、ビタミンE及びその誘導体、ユズ抽出物、アルニカ抽出物、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、ショウブ抽出物、γ−オリザノールなどが挙げられる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
【0029】
<実験1:コラーゲン産生促進効果>
本実験1では、特定の分子量の合成ペプチドおよびその誘導体と特定の分子量を有する加水分解コラーゲンおよびその誘導体のコラーゲン産生促進効果について検討を行った。
【0030】
(1)成分(A)の合成ペプチド
コラーゲンのC末端のテロペプチドから選ばれる連続した5つのアミノ酸配列を合成し、このペンタペプチドにパルミトイル基を導入した固形物を使用した。
【0031】
(2)成分(B)の加水分解コラーゲン
魚由来のコラーゲンをプロテアーゼで分解し、その分解物をカラム精製し、分子量が約700の分画物の凍結乾燥品を使用した。
【0032】
(3)細胞の培養条件
正常ヒト新生児線維芽細胞を前培養後、培地に対して0.01w/v%の前記合成ペプチドおよび0.05w/v%の前記加水分解コラーゲンを添加し、それぞれの培地条件でシャーレに同数播種した細胞を、高湿度、5%CO、37℃の条件下、無菌的に一週間培養した。陽性対照としては、コラーゲン産生を促すことが知られているビタミンCの誘導体であるアスコルビン酸リン酸マグネシウム0.1w/v%、相乗効果の比較対照として、0.01w/v%の前記合成ペプチドだけを添加したもの、0.05w/v%の前記加水分解コラーゲンだけを添加したもの、陰性対照として培地のみで生育したものを用いた。
【0033】
(4)コラーゲン産生量の測定
培養後、シャーレ中の培地を取り除きPBS(−)で1回洗浄してから細胞を4%パラホルムアルデヒドで室温にて1時間固定した。固定した細胞をPBS(−)で十分に洗浄した後、室温で1時間、1%スキンミルクを含んだPBS(−)でブロッキングを行い、PBS(−)で1回洗浄してからプロコラーゲンの一次抗体(CHEMICON社製)をPBS(−)で1/200に希釈して添加した。室温で1時間抗体反応を行い、PBS(−)で十分に洗浄後、蛍光物質で標識された二次抗体(Invitrogen社製)をPBS(−)で1/1000に希釈して添加した。室温で1時間抗体反応を行い、PBS(−)で1回洗浄した後、蛍光顕微鏡にて観察を行い、得られた蛍光画像を取り込み、画像解析ソフトを用いて、取り込んだ画像の蛍光強度を、コラーゲンの産生量として算出した。
【0034】
(5)結果
それぞれの培養条件で生育させた線維芽細胞におけるコラーゲンの蛍光画像より算出されたコラーゲン産生量を表1に示す。前記合成ペプチド単独では、ほとんどコラーゲン産生促進効果はなく、前記加水分解コラーゲン単独でも、陽性対照のアスコルビン酸リン酸マグネシウムとほぼ同程度だったのに対し、前記合成ペプチド及び前記加水分解コラーゲンとを組み合わせたものは、それぞれ単独でのコラーゲン産生をはるかに超えたコラーゲン産生を促進させることが分かった。
【0035】
【表1】

【0036】
[実施例1:抗老化用親水性軟膏]
以下の製法により抗老化用親水性軟膏を調製した。
(製法)
A.下記成分(3)、(4)および(10)の一部を加熱混合し、75℃に保った。
B.下記成分(1)、(2)および(8)を加熱混合し、75℃に保った。
C.AにBを徐々に加え、これを冷却しながら成分(9)の残部で溶解した成分(5)、(6)および(7)を加え、実施例1に係る抗老化用親水性軟膏を得た。
【0037】
成分 %
(1)ステアリン酸 18.0
(2)セタノール 4.0
(3)トリエタノールアミン 2.0
(4)グリセリン 5.0
(5)前記合成ペプチド 1.0
(6)前記加水分解コラーゲン 1.0
(7)グリチルリチン酸ジカリウム
(日本ロシュ株式会社製) 0.5
(8)酢酸dl-α-トコフェロール(エーザイ株式会社製)0.2
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)精製水 残量
【0038】
(効果)
実施例1に係る軟膏は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるものであった。
【0039】
[実施例2:ハップ剤]
以下の製法により抗老化用ハップ剤を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)、(3)、(4)、(7)〜(9)および(11)を混合し、70℃に保ちながら、撹拌した。
B.下記成分(2)及び(10)を混合した。
C.上記Bを先のAに加え、混合した後、冷却して成分(5)および(6)を均一に分散して実施例2に係るハップ剤を得た。
【0040】
成分 %
(1)ポリビニルアルコール 20.0
(2)エタノール 20.0
(3)グリセリン 5.0
(4)カオリン 6.0
(5)前記合成ペプチド 0.05
(6)前記加水分解コラーゲン 0.05
(7)レゾルシン ※注1 0.02
(8)リボフラビン ※注1 0.1
(9)トラネキサム酸 ※注1 0.5
(10)防腐剤 0.2
(11)精製水 残量
※注1:シグマ アルドリッチ ジャパン株式会社製
【0041】
(効果)
実施例2に係るハップ剤は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるハップ剤であった。
【0042】
[実施例3:抗老化用クリーム]
【0043】
【表2】

【0044】
(製法)
A.成分(1)〜(8)を加熱溶解し、70℃に保った。
B.成分(9)〜(13)を加熱溶解し、70℃に保った。
C.AにBを加え混合し、均一に乳化した。
D.Cを冷却し、成分(14)を加え混合し、実施例3及び比較例1、2の抗老化用クリームを得た。
【0045】
評価方法(しわ改善、たるみ改善)
上述した抗老化用クリームを用いて2ヶ月間の実使用試験を行った。パネルとして40代〜50代の女性30名を用い、実施例及び比較例をブラインドにて各10名に使用させた。使用試験開始前と使用試験終了後の皮膚の状態を観察し、しわ・たるみの各項目について著明に改善:3点 改善:2点 やや改善:1点 変化なし:0点 悪化:−1点の5段階で評価し、平均値を算出して結果を表2に一緒に示した。
【0046】
表2に示したように、有効成分をそれぞれ単独で加えた比較例より、本発明の実施例ははるかに優れたしわやたるみの改善効果を示した。
【0047】
[実施例4:化粧水]
以下の製法により、化粧水を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(9)を混合溶解した。
B.下記成分(10)〜(18)を混合溶解した。
C.AにBを加え均一に混合して実施例3に係る化粧水を得た。
【0048】
成分 %
(1)グリセリン 3.0
(2)1,3−ブチレングリコール 2.0
(3)プロピレングリコール 4.0
(4)オレイルアルコール 0.5
(5)モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 1.5
(6)ポリオキシエチレン(20)
ラウリルエーテル 0.5
(7)スクワラン 0.5
(8)エタノール 20.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)シャクヤク抽出物(稲畑香料社製) 0.5
(11)シラカバ樹皮抽出物(一丸ファルコス株式会社製)0.5
(12)ローズマリー抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(13)マツ抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.2
(14)ローカストビーンガム 1.0
(15)ヨクイニン抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(16)前記合成ペプチド 0.1
(17)前記加水分解コラーゲン 0.1
(18)精製水 残量
【0049】
(効果)
実施例4に係る化粧水は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲンを促進させることで、しわ改善、たるみ改善させる化粧水であった。
【0050】
[実施例5:クレンジングクリーム]
以下の製法によりクレンジングクリームを調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(9)を加熱溶解し、70℃に保った。
B.下記成分(10)〜(15)を加熱溶解し、70℃に保った。
C.AにBを加え混合し、均一に乳化した。
D.Cを冷却し、下記成分(16)を加え混合し、実施例5に係るクレンジングクリームを得た。
【0051】
成分 %
(1)パラフィンワックス 10.0
(2)ミツロウ 3.0
(3)ワセリン 15.0
(4)流動パラフィン 41.0
(5)セスキオレイン酸ソルビタン 4.2
(6)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 0.8
(7)水素添加大豆リン脂質 0.5
(8)メドゥホーム油
(日本サーファクタント工業株式会社製) 1.0
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)クインスシード抽出物(香栄興業株式会社製) 1.0
(11)サボンソウ抽出物(丸善製薬株式会社製) 1.0
(12)マルトース 1.0
(13)前記合成ペプチド 0.75
(14)前記加水分解コラーゲン 0.75
(15)精製水 残量
(16)香料 適量
【0052】
(効果)
実施例5に係るクレンジングクリームは、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるクレンジングクリームであった。
【0053】
[実施例6:乳液]
下記の製法により、乳液を調製した。
(製法)
A.下記成分(13)〜(24)を加熱溶解し、70℃に保った。
B.下記成分(1)〜(12)を加熱溶解し、70℃に保った。
C.AにBを加え混合し、均一に乳化した。
D.Cを冷却し、下記成分(25)および(26)を加え混合し、実施例6に係る乳液を得た。
【0054】
成分 %
(1)モノステアリン酸ソルビタン 0.3
(2)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)
ソルビタン 0.1
(3)親油型モノステアリン酸グリセリル 0.2
(4)ステアリン酸 0.5
(5)セタノール 0.5
(6)スクワラン 3.0
(7)流動パラフィン 4.0
(8)トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
(9)ジメチルポリシロキサン 1.0
(10)水素添加大豆リン脂質 0.1
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(12)カルボキシビニルポリマー 0.1
(13)水酸化ナトリウム 0.05
(14)グリセリン 5.0
(15)1,3−ブチレングリコール 7.0
(16)前記合成ペプチド 0.25
(17)前記加水分解コラーゲン 0.25
(18)精製水 残量
(19)エタノール 5.0
(20)酵母抽出物(BIO−DELL社製) 0.5
(21)加水分解黒豆抽出物(テクノーブル社製) 0.5
(23)ホップ抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(24)エゾウコギ抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(25)多孔質シリカ 3.0
(26)香料 適量
【0055】
(効果)
実施例6に係る乳液は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させる乳液であった。
【0056】
[実施例7:パック]
以下の製法により、パックを調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(7)を混合し、70℃にて加熱溶解した。
B.下記成分(8)〜(12)を混合溶解した。
C.下記成分(13)〜(18)を混合溶解した。
D.AにBを加え混合し冷却後、Cを加え混合し、実施例7に係るパックを得た。
【0057】
成分 %
(1)ポリビニルアルコール 15.0
(2)無水ケイ酸 0.5
(3)ポリエチレングリコール 0.5
(4)ホホバ油(高級アルコール工業社製) 0.2
(5)ポリオキシプロピレン(10)メチルグルコシド 5.0
(6)グリセリン 5.0
(7)精製水 残量
(8)エタノール 15.0
(9)米ヌカ抽出物(香栄興業株式会社製) 1.0
(10)ハマナス抽出物(丸善製薬株式会社製) 1.0
(11)無水カフェイン(純正薬品工業株式会社製) 1.0
(12)リン酸−L−アスコルビルマグネシウム
(日光ケミカルズ株式会社製) 3.0
(13)前記合成ペプチド 0.2
(14)前記加水分解コラーゲン 0.2
(15)精製水 5.0
(16)エタノール 15.0
(17)パラオキシ安息香酸エチル 0.1
(18)香料 適量
【0058】
(効果)
実施例7に係るパックは、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるパックであった。
【0059】
[実施例8:クリームファンデーション(O/W型)]
以下の製法により、クリームファンデーションを調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(11)を加熱混合し、70℃に保った。
B.下記成分(12)〜(18)を加熱混合し、70℃に保った。
C.AにBを加えて混合し、均一に乳化した。
D.Cを冷却後、下記成分(19)を加え混合し、実施例8に係るクリームファンデーション(O/W型)を得た。
【0060】
成分 %
(1)セスキオレイン酸ソルビタン 3.0
(2)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 2.0
(3)ステアリン酸アルミニウム 0.5
(4)セレシンワックス 5.0
(5)スクワラン 10.0
(6)流動パラフィン 15.0
(7)ワセリン 5.0
(8)酸化チタン 8.0
(9)タルク 4.0
(10)着色顔料 適量
(11)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(12)プロピレングリコール 5.0
(13)ツキミソウ抽出物(一丸ファルコス社製) 1.0
(14)カカオ抽出物(丸善製薬株式会社製) 1.0
(15)マロニエ抽出物(香栄興業株式会社製) 1.0
(16)前記合成ペプチド 0.05
(17)前記加水分解コラーゲン 0.1
(18)精製水 残量
(19)香料 適量
【0061】
(効果)
実施例8に係るクリームファンデーションは、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるクリームファンデーションであった。
【0062】
[実施例9:日中用美容液]
以下の製法により、日中用美容液を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(9)を混合溶解した。
B.Aに下記成分(21)〜(23)を加え、均一に混合し、70℃に保った。
C.下記成分(10)〜(20)を均一に溶解し、70℃に保った。
D.CにBを添加して乳化した。
E.Dを冷却後、下記成分(24)を加えて混合し、実施例9に係る日中用美容液を得た。
【0063】
成分 %
(1)液状ラノリン 2.0
(2)流動パラフィン 5.0
(3)ステアリン酸 2.0
(4)セタノール 1.0
(5)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 1.0
(6)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 8.0
(7)4−tert−ブチル−4'−メトキシ
ジベンゾイルメタン 2.0
(8)パルミチン酸レチノール(日本ロシュ株式会社製) 0.2
(9)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(10)グリセリン 5.0
(11)トリエタノールアミン 1.0
(12)カルボキシメチルセルロース 0.2
(13)ベントナイト 0.5
(14)シラカンバ抽出液(丸善製薬株式会社製) 5.0
(15)精製水 残量
(16)グリコシルトレハロース
(林原生物化学研究所社製) 5.0
(17)アスパラガス抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(18)甘草抽出物(丸善製薬株式会社製) 0.5
(19)前記合成ペプチド 0.2
(20)前記加水分解コラーゲン 0.4
(21)微粒子酸化チタン 2.0
(22)微粒子酸化亜鉛 5.0
(23)ナイロン末 1.0
(24)香料 適量
【0064】
(効果)
実施例9に係る日中用美容液は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させるものであった。
【0065】
[実施例10:日焼け止め乳液(W/O型)]
以下の製法により、日焼け止め乳液を調製した。
(製法)
A.下記成分(1)〜(10)を混合し、70℃に保った。
B.下記成分(11)〜(13)および(14)の一部を混合し、70℃に保った。
C.AにBを添加して、均一に乳化した。
D.Cを冷却後、成分(14)の残部および下記成分(15)〜(20)を加えて混合し、実施例10に係る日焼け止め乳液(W/O型)を得た。
【0066】
成分 %
(1)ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン 1.0
(2)ジメチルポリシロキサン 5.0
(3)オクタメチルシクロテトラシロキサン 20.0
(4)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(5)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 5.0
(6)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(7)シリコーン処理微粒子酸化チタン 10.0
(8)シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 10.0
(9)ポリスチレン末 3.0
(10)トリメチルシロキシケイ酸 0.5
(11)ジプロピレングリコール 3.0
(12)エタノール 10.0
(13)塩化ナトリウム 0.2
(14)精製水 残量
(15)β−カロチン 0.01
(16)カミツレ抽出物(丸善製薬株式会社製) 1.0
(17)ワレモコウ抽出物(丸善製薬株式会社製) 1.0
(18)前記合成ペプチド 0.5
(19)前記加水分解コラーゲン 1.0
(20)香料 適量
【0067】
(効果)
実施例10に係る日焼け止め乳液は、経時安定性に優れ、皮膚に適用することにより、皮膚内のコラーゲン産生を促進させることで、しわ改善、たるみ改善させる日焼け止め乳液(W/O型)であった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有することを特徴とする抗老化用皮膚外用剤。
【請求項2】
成分(A)アミノ酸が3個から8個で構成される合成ペプチド又はその誘導体と、成分(B)分子量が500から5000の範囲にある加水分解コラーゲン又はその誘導体とを含有することを特徴とする抗老化用化粧料。
【請求項3】
コラーゲン産生を促進することを特徴とする請求項1記載の抗老化用皮膚外用剤。
【請求項4】
コラーゲン産生を促進することを特徴とする請求項2記載の抗老化用化粧料。


【公開番号】特開2011−42613(P2011−42613A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191241(P2009−191241)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】