説明

抗腫瘍化合物

抗腫瘍剤として有用な式I:


の抗腫瘍化合物および薬学的に許容できるそれらの塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグまたは立体異性体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な抗腫瘍化合物、それらを含有する医薬組成物および抗腫瘍剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 95/27730において、Perez Bazらは、海洋生物ミクロモノスポラ(Micromonospora)種由来の新規な抗腫瘍剤チオコラリン(Thiocoraline)Aの単離および2次元構造の解明を開示した。
【0003】
【化1】

【0004】
1999年にErbaらは、この化合物の活性を、細胞の周期進行およびクローン形成能を阻害する濃度におけるDNAα-ポリメラーゼの阻害剤として報告した(Erba, E.; Bergamaschi, D.;Ronzoni, S.; Faretta, M.; Taverna, S.; Bonfanti, M.; Catapano, C.V.; Faircloth, G.; Jimeno, J.; D'Incalci, M.British J.Cancer 1999、80、971〜980頁)。
【0005】
WO 02/49577において、BogerおよびLewisは、チオコラリンAおよびBE-22179の全合成を開示した。この全合成は、チオコラリンAの相対および絶対立体化学の解明を可能にした。彼らはまた、2-ヒドロキシキノリル基が、他のキノリンまたはキノキサリンで置換されたチオコラリンAの類似体の調製を報告した。
【0006】
【化2】

【0007】
彼らはまた、高親和性ビスインターカレーションによる、認知できる配列選択性が殆どない、または全くない、チオコラリンA、BE-2179およびその類似体とDNAの結合を報告した。
【0008】
最近になって、Gagoらは、チオコラリンAのX線構造およびそのDNA結合特性を開示した(Negri, A.; Marco, E.; Garcia-Hernandez, V.; Domingo, A.; Llamas-Saiz, A.L.; Porto-Sanda, S.; Riguera, R.; Laine, W.; David-Cordonnier, M-H.; Bailly, C.;Garcia-Fernandez, L.F.; Vaquero, J.J.;およびGago, F. J. Med. Chem. 2007、50、3322〜3333頁)。
【0009】
チオコラリンAは、トリオスチン(Triostin)A(Shoji, J.ら、J. Antibiot. 1961、14、335〜339頁)、BE-22179(Okada, H.ら、J. Antibiot. 1994、47、129〜135頁)およびエキノマイシン(Corbaz, R.ら、Helv. Chim. Acta 1957、40、199〜204頁)を含む抗腫瘍性ペプチド抗体のファミリーと、幾つかの共通のモチーフ(motive)を共有する。
【0010】
【化3】

【0011】
二重対称または疑似対称(pseudosymmetric)二環式オクタペプチドのこの群は、a)逆平行態様の2つのペプチド鎖によって形成された二環式構造、b)ペプチド鎖の末端部分におけるエステルまたはチオエステル結合、c)ペプチド鎖の中央におけるジスルフィドまたは類似架橋、d)N-末端部分における挿入クロモフォア部分、e)幾つかのN-メチルアミノ酸の存在、およびf)D配置の非天然アミノ酸を含有する複雑構造を示す。
【0012】
BogerおよびLeeは、2000年に、アザトリオスチン(Azatriostin)Aの白血病細胞系L1210に対する合成および細胞毒性活性を報告した(Boger, D.L.; Lee, J. K. J. Org. Chem. 2000、65(19)、5996〜6000頁)。アザトリオスチンAは、ペプチド鎖の末端部分におけるエステル結合がアミド結合で置換されているトリオスチンA類似体である。アザトリオスチンAは、この細胞系に対してトリオスチンAよりも活性が2桁少なかった。
【0013】
従来技術において開示されている他のチオコラリンA類似体は、3.0E-7M〜4.62E-7Mの間のGI50値を伴う3つの細胞系に対して細胞毒性活性を示したオキサチオコラリン(Tulla-Puche, J.; Bayo-Puxan, N.; Moreno, J.A.; Francesch, A.M.; Cuevas, C.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. J. Am. Chem. Soc. 2007、129、5322〜5323頁)、ならびに5.67E-6M〜2.58E-7Mの間のGI50値を伴う複数の細胞系のパネルに対して細胞毒性活性を示したアザチオコラリン(Bayo-Puxan, N.; Fernandez, A.; Tulla-Puche J.; Riego, E.; Cuevas, C.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. Chem. Eur. J. 2006、12、9001〜9009頁; Bayo-Puxan, N. Ph. D. Thesis、University of Barcelona、2006)ならびにチオコラリンAのN-末端部分および/または環状アミノ酸における挿入クロモフォア部分が修飾されたアザチオコラリン類似体(Bayo-Puxan, N.;Fernandez, A.; Tulla-Puche J.; Riego, E.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. Int. J. of Peptide Research and Therapeutics.、2007、13、295〜306頁)である。
【0014】
【化4】

【0015】
【表1】

【0016】
化合物[NMe-Leu4、NMe-Leu8]アザチオコラリン、[2QXA、NMe-Ala4]アザチオコラリンおよび[2QXA、NMe-Ala4]アザチオコラリンを、9.99E-6Mよりも高いGI50値を伴うこの細胞パネルに対しても試験した(Bayo-Puxan, N. Ph. D. Thesis、University of Barcelona、2006)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】WO 95/27730
【特許文献2】WO 02/49577
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Erba, E.; Bergamaschi, D.; Ronzoni, S.; Faretta, M.; Taverna, S.; Bonfanti, M.; Catapano, C.V.; Faircloth, G.; Jimeno, J.; D'Incalci, M.British J.Cancer 1999、80、971〜980頁
【非特許文献2】Negri, A.; Marco, E.; Garcia-Hernandez, V.; Domingo, A.; Llamas-Saiz, A.L.; Porto-Sanda, S.; Riguera, R.; Laine, W.; David-Cordonnier, M-H.; Bailly, C.; Garcia-Fernandez, L.F.; Vaquero, J.J.;およびGago, F. J. Med. Chem. 2007、50、3322〜3333頁
【非特許文献3】Shoji, J.ら、J. Antibiot. 1961、14、335〜339頁
【非特許文献4】Okada, H.ら、J. Antibiot. 1994、47、129〜135頁
【非特許文献5】Corbaz, R.ら、Helv. Chim. Acta 1957、40、199〜204頁
【非特許文献6】Boger, D.L.; Lee, J. K. J. Org. Chem. 2000、65(19)、5996〜6000頁
【非特許文献7】Tulla-Puche, J.; Bayo-Puxan, N.; Moreno, J.A.; Francesch, A.M.; Cuevas, C.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. J. Am. Chem. Soc. 2007、129、5322〜5323頁
【非特許文献8】Bayo-Puxan, N.; Fernandez, A.; Tulla-Puche J.; Riego, E.; Cuevas, C.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. Chem. Eur. J. 2006、12、9001〜9009頁
【非特許文献9】Bayo-Puxan, N. Ph. D. Thesis、University of Barcelona、2006
【非特許文献10】Bayo-Puxan, N.; Fernandez, A.; Tulla-Puche J.; Riego, E.; Alvarez, M.;およびAlbericio, F. Int. J. of Peptide Research and Therapeutics.、2007、13、295〜306頁
【非特許文献11】Wuts, P.G.M.およびGreene T.W.、Protecting Groups in Organic Synthesis、第4編、Wiley-Interscience
【非特許文献12】Kocienski P.J.、Protecting Groups、第3編、Georg Thieme Verlag
【非特許文献13】Albericioら、Int. J. of Peptide Research and Therapeutics、2007、13、295〜306頁
【非特許文献14】Albericioら、Chem. Eur. J. 2006、12、9001〜9009頁
【非特許文献15】Albericioら、J. Am. Chem. Soc. 2007、129、5322〜5323頁
【非特許文献16】BogerおよびLee、J. Org. Chem. 2000、65、5996〜6000頁
【非特許文献17】Bogerら、J. Am. Chem. Soc. 2001、123、561〜568頁
【非特許文献18】LorentzおよびDiederichsen、J. Org. Chem. 2000、65、5996〜6000頁
【非特許文献19】DietrichおよびDiederichsen、Eur. J. Org. Chem. 2005、147〜153頁
【非特許文献20】Hae kimら、Bioorganic Med. Chem. Lett. 2004、14、541〜544頁
【非特許文献21】Malkinsonら、J. Org. Chem. 2005、70、7654〜7661頁
【非特許文献22】Olsenら、Tetrahedron、1982、38、57〜61頁
【非特許文献23】OlsenおよびDhaon、J. Org. Chem. 1981、46、3436〜3440頁
【非特許文献24】OlsenおよびChakravarty、Pept. Struct. Biol. Funct. Proc. Am. Pept. Symp.、第6版、1979、559〜562頁
【非特許文献25】Olsen、J. Am. Chem. Soc. 1978、100、7684〜7690頁
【非特許文献26】ChakravartyおよびOlsen、Tetrahedron Lett. 1978、19、1613〜1616頁
【非特許文献27】OlsenおよびCiardelli、J. Am. Chem. Soc. 1977、99、2806〜1807頁
【非特許文献28】Olsenら、J. Org. Chem. 1975、40、3110〜3112頁
【非特許文献29】Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1984、57、2203〜2210頁
【非特許文献30】Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1984、57、2211〜2215頁
【非特許文献31】Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1978、51、1501〜1506頁
【非特許文献32】Skehan Pら、J. Natl. Cancer Inst. 1990、82、1107〜1112頁
【非特許文献33】Fairclothら、Methods in cell science、1988、11(4)、201〜205頁
【非特許文献34】Mosmannら、Journal of Immunological. Methods、1983、65(1〜2)、55〜63頁
【非特許文献35】Boyd MRおよびPaull KD. Drug Dev. Res. 1995、34、91〜104頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
癌は、動物およびヒトの主な死因である。癌に罹患している患者に投与するのに活性であり、安全な抗腫瘍剤を得るために、多大な努力がなされ、また依然として行われている。本発明が解決すべき問題は、癌の治療に有用な化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一態様では、本発明は、一般式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を対象とする。
【0021】
【化5】

【0022】
式中、R1、R4、R6およびR9は、
それぞれ独立に、水素、置換または非置換C1〜C12アルキル、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択され、
R3およびR8は、それぞれ独立に、置換または非置換C1〜C12メルカプトアルキル基であり、該メルカプト基は、任意選択で保護されていてもよく、あるいはR3とR8は、基-CH2-S-S-CH2-を形成し、
R2は水素であり、
R7は水素であり、あるいは
対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、置換または非置換C1〜C12アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、置換または非置換C3〜C12シクロアルキルを形成し、
R5およびR10は、それぞれ独立に、アミノ保護基および-(C=O)R"から選択され、各R"は、独立に、置換または非置換複素環式基および置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択され、
各Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、それぞれ独立に、水素および置換または非置換C1〜C12アルキルから選択され、
Yは、S、OおよびNRiから選択され、
Rhは、置換または非置換C1〜C12アルキル、nが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択され、
Riは、水素、置換または非置換C1〜C12アルキル、nが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択される基である。
【0023】
別の態様では、本発明は、医薬品として、特に癌を治療する医薬品として使用するための式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を対象とする。
【0024】
さらなる一態様では、本発明はまた、癌の治療における、または好ましくは癌を治療する医薬品の調製における、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体の使用を対象とする。本発明の他の態様は、治療方法およびこれらの方法で使用するための化合物である。したがって本発明はさらに、癌に罹患している個体に、治療有効量の前述の化合物を投与するステップを含む、癌に罹患している任意の哺乳動物、特にヒトを治療する方法を提供する。
【0025】
またさらなる一態様では、本発明はまた、抗癌剤として使用するための式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を対象とする。
【0026】
別の態様では、本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体を、薬学的に許容できる担体または希釈剤と一緒に含む医薬組成物を対象とする。
【0027】
本発明はまた、式Iの化合物を得る方法およびこれらの化合物からの誘導体の形成に関する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、先に定義の一般式Iの化合物に関する。
【0029】
これらの化合物において、各基は、以下のガイダンスに従って選択することができる。
【0030】
アルキル基は、分岐または非分岐であってよく、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有することができる。より好ましいある種類のアルキル基は、1〜約6個の炭素原子を有する。さらにより好ましいのは、1、2、3または4個の炭素原子を有するアルキル基である。メチル、エチル、プロピル、イソプロピルならびにtert-ブチル、sec-ブチルおよびイソブチルを含むブチルは、本発明の化合物において特に好ましいアルキル基である。別の好ましい種類のアルキル基は、6〜約10個の炭素原子を有し、さらにより好ましくは7、8または9個の炭素原子を有する。ヘプチル、オクチルおよびノニルは、この種類の最も好ましいアルキル基である。
【0031】
本発明の化合物の好ましいアルケニルおよびアルキニル基は、分岐または非分岐であってよく、1つまたは複数の不飽和結合および2〜約12個の炭素原子を有することができる。より好ましいある種類のアルケニルおよびアルキニル基は、2〜約6個の炭素原子を有する。さらにより好ましいのは、2、3または4個の炭素原子を有するアルケニルおよびアルキニル基である。別の好ましい種類のアルケニルおよびアルキニル基は、4〜約10個の炭素原子、さらにより好ましくは6〜約10個の炭素原子、さらにより好ましくは7、8または9個の炭素原子を有する。
【0032】
アルキリデン基は、分岐または非分岐であってよく、好ましくは1〜約12個の炭素原子を有する。あるより好ましい種類のアルキリデン基は、1〜約6個の炭素原子を有する。さらにより好ましいのは、1、2、3または4個の炭素原子を有するアルキリデン基である。メチレン、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンならびにsec-ブチリデンおよびイソ-ブチリデンを含むブチリデンは、本発明の化合物において特に好ましいアルキリデン基である。別の好ましい種類のアルキリデン基は、6〜約10個の炭素原子、さらにより好ましくは、7、8または9個の炭素原子を有する。ヘプチリデン、オクチリデンおよびノニリデンは、この種類の最も好ましいアルキリデン基である。
【0033】
本発明の化合物の好ましいシクロアルキル基は、3〜約12個の炭素原子を有する。あるより好ましい種類のシクロアルキル基は、3〜約6個の炭素原子を有する。さらにより好ましいのは、3、4または5個の炭素原子を有するシクロアルキル基である。
【0034】
本発明の化合物の適切なアリール基には、分離および/または縮合アリール基を含有する多環化合物を含む、単環および多環化合物が含まれる。一般的なアリール基は、1〜3個の分離または縮合環および6〜約18個の炭素環原子を含有する。好ましくは、アリール基は、6〜約10個の炭素環原子を含有する。特に好ましいアリール基には、置換または非置換フェニル、置換または非置換ナフチル、置換または非置換ビフェニル、置換または非置換フェナントリルおよび置換または非置換アントリルが含まれる。
【0035】
適切な複素環式基には、1〜3個の分離または縮合環および5〜約18個の環原子を含有するヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式基が含まれる。好ましくは、ヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式基は、5〜約10個の環原子を含有する。本発明の化合物の適切なヘテロ芳香族基は、N、OまたはS原子から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有し、それには例えば、8-クマリニルを含むクマリニル、8-キノリルを含むキノリル、イソキノリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリミジニル、フリル、ピロリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ピリダジニル、トリアジニル、シンノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニルおよびフロピリジルが含まれる。本発明の化合物の適切なヘテロ脂環式基は、N、OまたはS原子から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有し、それには例えば、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキシル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプチル、3H-インドリルおよびキノリジニルが含まれる。
【0036】
ヘテロシクリルアルキル基は、複素環式基で置換されているアルキル基であり、該アルキルおよび複素環式基は、先に定義の通りである。
【0037】
前述の基は、1つまたは複数の利用できる位置において、OR'、=O、SR'、SOR'、SO2R'、NO2、NHR'、N(R')2、=N-R'、NHCOR'、N(COR')2、NHSO2R'、NR'C(=NR')NR'R'、CN、ハロゲン、COR'、COOR'、OCOR'、OCONHR'、OCON(R')2、保護OH、保護アミノ、保護SH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基などの1つまたは複数の適切な基によって置換することができ、R'基のそれぞれは、独立に、水素、OH、NO2、NH2、SH、CN、ハロゲン、COH、COアルキル、CO2H、置換または非置換C1〜C12アルキル、置換または非置換C2〜C12アルケニル、置換または非置換C2〜C12アルキニル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基からなる群から選択される。かかる基がそれら自体置換されている場合、置換基は、先の一覧から選択することができる。
【0038】
本発明の化合物における適切なハロゲン置換基には、F、Cl、BrおよびIが含まれる。
【0039】
適切な保護基は、当業者に周知である。有機化学における保護基の一般的な概説は、Wuts, P.G.M.およびGreene T.W.、Protecting Groups in Organic Synthesis、第4編、Wiley-InterscienceならびにKocienski P.J.、Protecting Groups、第3編、Georg Thieme Verlagによって提供されている。これらの参考文献によって、OH、アミノおよびSH基の保護基の選択肢が提供される。全てのこれらの参考文献は、参照によってそれらの全体が援用される。かかる保護OHの例には、エーテル、シリルエーテル、エステル、スルホネート、スルフェナートおよびスルフィナート、カーボネートおよびカルバメートが含まれる。エーテルの場合、OHの保護基は、メチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p-メトキシベンジルオキシメチル、[(3,4-ジメトキシベンジル)オキシ]メチル、p-ニトロベンジルオキシメチル、o-ニトロベンジルオキシメチル、[(R)-1-(2-ニトロフェニル)エトキシ]メチル、(4-メトキシフェノキシ)メチル、グアイアコールメチル、[(p-フェニルフェニル)オキシ]メチル、t-ブトキシメチル、4-ペンテニルオキシメチル、シロキシメチル、2-メトキシエトキシメチル、2-シアノエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、メントキシメチル、o-ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、フルオラステトラヒドロピラニル、3-ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1-メトキシシクロヘキシル、4-メトキシテトラヒドロピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル S,S-ジオキシド、1-[(2-クロロ-4-メチル)フェニル]-4-メトキシピペリジン-4-イル、1-(2-フルオロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル、1-(4-クロロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a-オクタヒドロ-7,8,8-トリメチル-4,7-メタノベンゾフラン-2-イル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-ヒドロキシエチル、2-ブロモエチル、1-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]エチル、1-メチル-1-メトキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシエチル、1-メチル-1-ベンジルオキシ-2-フルオロエチル、1-メチル-1-フェノキシエチル、2,2,2-トリクロロエチル、1,1-ジアニシル-2,2,2-トリクロロエチル、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニルイソプロピル、1-(2-シアノエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、2-(ベンジルチオ)エチル、2-(フェニルセレニル)エチル、t-ブチル、シクロヘキシル、1-メチル-1'-シクロプロピルメチル、アリル、プレニル、シンナミル、2-フェナリル(phenallyl)、プロパルギル、p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、p-ニトロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、3,4-ジメトキシベンジル、2,6-ジメトキシベンジル、o-ニトロベンジル、p-ニトロベンジル、ペンタジエニルニトロベンジル、ペンタジエニルニトロピペロニル、ハロベンジル、2,6-ジクロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、2,6-ジフルオロベンジル、p-シアノベンジル、フルオラスベンジル、4-フルオラスアルコキシベンジル、トリメチルシリルキシリル、p-フェニルベンジル、2-フェニル-2-プロピル、p-アシルアミノベンジル、p-アジドベンジル、4-アジド-3-クロロベンジル、2-トリフルオロメチルベンジル、4-トリフルオロメチルベンジル、p-(メチルスルフィニル)ベンジル、p-シルエタニル(siletanyl)ベンジル、4-アセトキシベンジル、4-(2-トリメチルシリル)エトキシメトキシベンジル、2-ナフチルメチル、2-ピコリル、4-ピコリル、3-メチル-2-ピコリルN-オキシド、2-キノリニルメチル、6-メトキシ-2-(4-メチルフェニル-4-キノリンメチル、1-ピレニルメチル、ジフェニルメチル、4-メトキシジフェニルメチル、4-フェニルジフェニルメチル、p,p'-ジニトロベンズヒドリル、5-ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、トリス(4-t-ブチルフェニル)メチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p-メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p-メトキシフェニル)メチル、4-(4'-ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル、4,4',4''-トリス(4,5-ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4',4''-トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4',4''-トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、4,4’-ジメトキシ-3''-[N-(イミダゾリルメチル)]トリチル、4,4'-ジメトキシ-3''-[N-(イミダゾリルエチル)カルバモイル]トリチル、ビス(4-メトキシフェニル)-1'-ピレニルメチル、4-(17-テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチル)-4,4''-ジメトキシトリチル、9-アントリル、9-(9-フェニル)キサンテニル、9-フェニルチオキサンチル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントリル、1,3-ベンゾジチオラン-2-イルおよび4,5-ビス(エトキシカルボニル)-[1,3]-ジオキソラン-2-イル、ベンズイソチアゾリルS,S-ジオキシドから選択することができる。シリルエーテルの場合、OHの保護基は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、2-ノルボルニルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリ-p-キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジ-t-ブチルメチルシリル、ビス(t-ブチル)-1-ピレニルメトキシシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、(2-ヒドロキシスチリル)ジメチルシリル、(2-ヒドロキシスチリル)ジイソプロピルシリル、t-ブチルメトキシフェニルシリル、t-ブトキシジフェニルシリル、1,1,3,3-テトライソプロピル-3-[2-(トリフェニルメトキシ)エトキシ]ジシロキサン-1-イルおよびフルオラスシリルから選択することができる。エステルの場合、OHの保護基は、ホルメート、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリクロロアセトアミデート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p-クロロフェノキシアセテート、フェニルアセテート、ジフェニルアセテート、3-フェニルプロピオネート、ビスフルオラス鎖種のプロパノイル、4-ペンテノアート、4-オキソペンタノアート、4,4-(エチレンジチオ)ペンタノアート、5[3-ビス(4-メトキシフェニル)ヒドロキシメチルフェノキシ]レブリナート、ピバロエート(pivaloate)、1-アダマントエート(adamantoate)、クロトネート、4-メトキシクロトネート、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、2,4,6-トリメチルベンゾエート、4-ブロモベンゾエート、2,5-ジフルオロベンゾエート、p-ニトロベンゾエート、ピコリネート(picolinate)、ニコチネート(nicotinate)、2-(アジドメチル)ベンゾエート、4-アジドブチレート、(2-アジドメチル)フェニルアセテート、2-{[(トリチルチオ)オキシ]メチル}ベンゾエート、2-{[(4-メトキシトリチルチオ)オキシ]メチル}ベンゾエート、2-{[メチル(トリチルチオ)アミノ]メチル}ベンゾエート、2-{{[(4-メトキシトリチル)チオ]メチルアミノ}-メチル}ベンゾエート、2-(アリルオキシ)フェニルアセテート、2-(プレニルオキシメチル)ベンゾエート、6-(レブリニルオキシメチル)-3-メトキシ-2-ニトロベンゾエート、6-(レブリニルオキシメチル)-3-メトキシ-4-ニトロベンゾエート、4-ベンジルオキシブチレート、4-トリアルキルシリルオキシブチレート、4-アセトキシ-2,2-ジメチルブチレート、2,2-ジメチル-4-ペンテノアート、2-ヨードベンゾエート、4-ニトロ-4-メチルペンタノアート、o-(ジブロモメチル)ベンゾエート、2-ホルミルベンゼンスルホネート、4-(メチルチオメトキシ)ブチレート、2-(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエート、2-(クロロアセトキシメチル)ベンゾエート、2-[(2-クロロアセトキシ)エチル]ベンゾエート、2-[2-(ベンジルオキシ)エチル]ベンゾエート、2-[2-(4-メトキシベンジルオキシ)エチル]ベンゾエート、2,6-ジクロロ-4-メチルフェノキシアセテート、2,6-ジクロロ-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4-ビス(1,1-ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート(monosuccinoate)、(E)-2-メチル-2-ブテノエート、o-(メトキシカルボニル)ベンゾエート、α-ナフトエート、ニトレート、アルキルN,N,N',N'-テトラメチルホスホロジアミデートおよび2-クロロベンゾエートから選択することができる。スルホネート、スルフェナートおよびスルフィナートの場合、OHの保護基は、サルフェート、アリルスルホネート、メタンスルホネート、ベンジルスルホネート、トシラート、2-[(4-ニトロフェニル)エチル]スルホネート、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-モノメトキシトリチルスルフェナート、アルキル2,4-ジニトロフェニルスルフェナート、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-3-オン-1-スルフィナート、ボラートおよびジメチルホスフィノチオリルから選択することができる。カーボネートの場合、OHの保護基は、メチルカーボネート、メトキシメチルカーボネート、9-フルオレニルメチルカーボネート、エチルカーボネート、ブロモエチルカーボネート、2-(メチルチオメトキシ)エチルカーボネート、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカーボネート、2-(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2-[ジメチル(2-ナフチルメチル)シリル]エチルカーボネート、2-(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、2-(トリフェニルホスホニオ)エチルカーボネート、cis-[4-[[(メトキシトリチル)スルフェニル]オキシ]テトラヒドロフラン-3-イル]オキシカーボネート、イソブチルカーボネート、t-ブチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネート、シンナミルカーボネート、プロパルギルカーボネート、p-クロロフェニルカーボネート、p-ニトロフェニルカーボネート、4-エトキシ-1-ナフチルカーボネート、6-ブロモ-7-ヒドロキシクマリン-4-イルメチルカーボネート、ベンジルカーボネート、o-ニトロベンジルカーボネート、p-ニトロベンジルカーボネート、p-メトキシベンジルカーボネート、3,4-ジメトキシベンジルカーボネート、アントラキノン-2-イルメチルカーボネート、2-ダンシルエチルカーボネート、2-(4-ニトロフェニル)エチルカーボネート、2-(2,4-ジニトロフェニル)エチルカーボネート、2-(2-ニトロフェニル)プロピルカーボネート、アルキル2-(3,4-メチレンジオキシ-6-ニトロフェニル)プロピルカーボネート、2-シアノ-1-フェニルエチルカーボネート、2-(2-ピリジル)アミノ-1-フェニルエチルカーボネート、2-[N-メチル-N-(2-ピリジル)]アミノ-1-フェニルエチルカーボネート、フェナシルカーボネート、3',5'-ジメトキシベンゾインカーボネート、メチルジチオカーボネートおよびS-ベンジルチオカーボネートから選択することができる。またカルバメートの場合、OHの保護基は、ジメチルチオカルバメート、N-フェニルカルバメート、N-メチル-N-(o-ニトロフェニル)カルバメートから選択することができる。
【0040】
保護アミノ基の例には、カルバメート、尿素、アミド、複素環系、N-アルキルアミン、N-アルケニルアミン、N-アルキニルアミン、N-アリールアミン、イミン、エナミン、N-金属誘導体、N-N誘導体、N-P誘導体、N-Si誘導体およびN-S誘導体が含まれる。カルバメートの場合、アミノ基の保護基は、メチルカルバメート、エチルカルバメート、9-フルオレニルメチルカルバメート、2,6-ジ-t-ブチル-9-フルオレニルメチルカルバメート、2,7-ビス(トリメチルシリル)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2-スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9-(2,7-ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、17-テトラベンゾ[a,c,g,i]フルオレニルメチルカルバメート、2-クロロ-3-インデニルメチルカルバメート、ベンズ[f]インデン-3-イルメチルカルバメート、1,1-ジオキソベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチルカルバメート、2-メチルスルホニル-3-フェニル-1-プロプ-2-エニルオキシカルバメート、2,7-ジ-t-ブチル-[9,(10,10-ジオキソ-10,10,10,10-テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート、2,2,2-トリクロロエチルカルバメート、2-トリメチルシリルエチルカルバメート、(2-フェニル-2-トリメチルシリル)エチルカルバメート、2-フェニルエチルカルバメート、2-クロロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2-ハロエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2,2-ジブロモエチルカルバメート、1,1-ジメチル-2,2,2-トリクロロエチルカルバメート、2-(2'-ピリジル)エチルカルバメート、2-(4'-ピリジル)エチルカルバメート、2,2-ビス(4'-ニトロフェニル)エチルカルバメート、2-[(2-ニトロフェニル)ジチオ]-1-フェニルエチルカルバメート、2-(N,N-ジシクロヘキシルカルボキサミド)エチルカルバメート、t-ブチルカルバメート、C8F19CH2CH2C(CH3)2-カルバメート、1-アダマンチルカルバメート、2-アダマンチルカルバメート、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチルカルバメート、1-メチル-1-(4-ビフェニリル)エチルカルバメート、1-(3,5-ジ-t-ブチルフェニル)-1-メチルエチルカルバメート、トリイソプロピルシロキシルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、プレニルカルバメート、1-イソプロピルアリルカルバメート、シンナミルカルバメート、4-ニトロシンナミルカルバメート、3-(3'-ピリジル)プロプ-2-エニルカルバメート、ヘキサジエニルオキシカルバメート、プロパルギルオキシカルバメート、ブト-2-イニルビスオキシカルバメート、8-キノリルカルバメート、N-ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート、3,5-ジ-t-ブチルベンジルカルバメート、p-メトキシベンジルカルバメート、p-ニトロベンジルカルバメート、p-ブロモベンジルカルバメート、p-クロロベンジルカルバメート、2,4-ジクロロベンジルカルバメート、4-メチルスルフィニルベンジルカルバメート、4-トリフルオロメチルベンジルカルバメート、C8F17CH2CH2-カルバメート、(C8F17CH2CH2)3Si-カルバメート、2-ナフチルメチルカルバメート、9-アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、4-フェニルアセトキシベンジルカルバメート、4-アジドベンジルカルバメート、4-アジドメトキシベンジルカルバメート、m-クロロ-p-アシルオキシベンジルカルバメート、p-(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5-ベンズイソオキサゾリルメチルカルバメート、2-(トリフルオロメチル)-6-クロモニルメチルカルバメート、2-メチルチオエチルカルバメート、2-メチルスルホニルエチルカルバメート、2-(p-トルエンスルホニル)エチルカルバメート、2-(4-ニトロフェニルスルホニル)エチルカルバメート、2-(2,4-ジニトロフェニルスルホニル)エトキシカルバメート、2-(4-トリフルオロメチルフェニルスルホニル)エチルカルバメート、[2-(1,3-ジチアニル)]メチルカルバメート、2-ホスホニオエチルカルバメート、2-[フェニル(メチル)スルホニオ]エチルカルバメート、1-メチル-1-(トリフェニルホスホニオ)エチルカルバメート、1,1-ジメチル-2-シアノエチルカルバメート、2-ダンシルエチルカルバメート、2-(4-ニトロフェニル)エチルカルバメート、4-メチル-チオフェニルカルバメート、2,4-ジメチルチオフェニルカルバメート、m-ニトロフェニルカルバメート、3,5-ジメトキシベンジルカルバメート、1-メチル-1-(3,5-ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、α-メチルニトロピペロニルカルバメート、o-ニトロベンジルカルバメート、3,4-ジメトキシ-6-ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o-ニトロフェニル)メチルカルバメート、2-ニトロフェニルエチルカルバメート、6-ニトロベラトリルカルバメート、4-メトキシフェナシルカルバメート、3',5'-ジメトキシベンゾインカルバメート、9-キサンテニルメチルカルバメート、N-メチル-N-(o-ニトロフェニル)カルバメート、N-(2-アセトキシエチル)アミンカルバメート、t-アミルカルバメート、1-メチルシクロブチルカルバメート、1-メチルシクロヘキシルカルバメート、1-メチル-1-シクロプロピルメチルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p-デシルオキシベンジルカルバメート、ジイソプロピルメチルカルバメート、2,2-ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o-(N,N-ジメチルカルボキサミド)ベンジルカルバメート、1,1-ジメチル-3-(N,N-ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、ブチニルカルバメート、1,1-ジメチルプロピニルカルバメート、2-ヨードエチルカルバメート、1-メチル-1-(4'-ピリジル)エチルカルバメート、1-メチル-1-(p-フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、p-(p'-メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、p-(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6-トリメチルベンジルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、4-(トリメチル-アンモニウム)ベンジルカルバメート、p-シアノベンジルカルバメート、ジ(2-ピリジル)メチルカルバメート、2-フラニルメチルカルバメート、フェニルカルバメート、2,4,6-トリ-t-ブチルフェニルカルバメート、1-メチル-1-フェニルエチルカルバメート、およびS-ベンジルチオカルバメートから選択することができる。尿素の場合、アミノ基の保護基は、フェノチアジニル-(10)-カルボニル、N'-p-トルエンスルホニルアミノカルボニル、N'-フェニルアミノチオ-カルボニル、4-ヒドロキシフェニルアミノカルボニル、3-ヒドロキシトリプタミノカルボニル(hydroxytryptaminocarbonyl)およびN'-フェニル-アミノチオカルボニルから選択することができる。アミドの場合、アミノ基の保護基は、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3-フェニルプロパンアミド、ペント-4-エンアミド、ピコリンアミド、3-ピリジルカルボキサミド、N-ベンゾイルフェニルアラニル、ベンズアミド、p-フェニルベンズアミド、o-ニトロフェニルアセトアミド、2,2-ジメチル-2-(o-ニトロフェニル)アセトアミド、o-ニトロフェノキシアセトアミド、3-(o-ニトロフェニル)プロパンアミド、2-メチル-2-(o-ニトロフェノキシ)プロパンアミド、3-メチル-3-ニトロブタンアミド、o-ニトロシンナミド、o-ニトロベンズアミド、3-(4-t-ブチル-2,6-ジニトロフェニル)-2,2-ジメチルプロパンアミド、o-ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミド、2-(アセトキシメチル)ベンズアミド、2-[(t-ブチルジフェニルシロキシ)メチル]ベンズアミド、3-(3',6'-ジオキソ-2',4',5'-トリメチルシクロヘキサ-1',4'-ジエン)-3,3-ジメチルプロパンアミド、o-ヒドロキシ-trans-シンナミド、2-メチル-2-(o-フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4-クロロブタンアミド、アセトアセトアミド、3-(p-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、(N’-ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、およびN-アセチルメチオニンアミドから選択することができる。複素環系の場合、アミノ基の保護基は、4,5-ジフェニル-3-オキサゾリン-2-オン、N-フタルイミド、N-ジクロロフタルイミド、N-テトラクロロフタルイミド、N-4-ニトロフタルイミド、N-チオジグリコロイル、N-ジチアスクシンイミド、N-2,3-ジフェニルマレイミド、N-2,3-ジメチルマレイミド、N-2,5-ジメチルピロール、N-2,5-ビス(トリイソプロピルシロキシ)ピロール、N-1,1,4,4-テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加体、N-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシライソインドリン、N-ジフェニルシリルジエチレン、N-5-置換-1,3-ジメチル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、N-5-置換-1,3-ベンジル-1,3,5-トリアザシクロヘキサン-2-オン、1-置換3,5-ジニトロ-4-ピリドン、および1,3,5-ジオキサジンから選択することができる。N-アルキル、N-アルケニル、N-アルキニルまたはN-アリールアミンの場合、アミノ基の保護基は、N-メチル、N-t-ブチル、N-アリル、N-プレニル、N-シンナミル、N-フェニルアリル、N-プロパルギル、N-メトキシメチル、N-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル、N-3-アセトキシプロピル、N-シアノメチル、2-アザノルボルネン、N-ベンジル、N-4-メトキシベンジル、N-2,4-ジメトキシベンジル、N-2-ヒドロキシベンジル、N-フェロセニルメチル、N-2,4-ジニトロフェニル、o-メトキシフェニル、p-メトキシフェニル、N-9-フェニルフルオレニル、N-フルオレニル、N-2-ピコリルアミンN'-オキシド、N-7-メトキシクマル-4-イルメチル、N-ジフェニルメチル、N-ビス(4-メトキシフェニル)メチル、N-5-ジベンゾスベリル、N-トリフェニルメチル、N-(4-メチルフェニル)ジフェニルメチル、およびN-(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチルから選択することができる。イミンの場合、アミノ基の保護基は、N-1,1-ジメチルチオメチレン、N-ベンジリデン、N-p-メトキシベンジリデン、N-ジフェニルメチレン、N-[2-ピリジル)メシチル]メチレン、N-(N',N'-ジメチルアミノメチレン)、N-(N',N'-ジベンジルアミノメチレン)、N-(N'-t-ブチルアミノメチレン)、N,N'-イソプロピリデン、N-p-ニトロベンジリデン、N-サリチリデン、N-5-クロロサリチリデン、N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)フェニルメチレン、N-シクロヘキシリデン、およびN-t-ブチリデンから選択することができる。エナミンの場合、アミノ基の保護基は、N-(5,5-ジメチル-3-オキソ-1-シクロヘキセニル)、N-2,7-ジクロロ-9-フルオレニルメチレン、N-1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル、N-(1,3-ジメチル-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオキソピリミジン-5-イリデニル)メチル、N-4,4,4-トリフルオロ-3-オキソ-1-ブテニル、およびN-(1-イソプロピル-4-ニトロ-2-オキソ-3-ピロリン-3-イル)から選択することができる。N-金属誘導体の場合、アミノ基の保護基は、N-ジフェニルボリン酸、N-ジエチルボリン酸、N-9-ボラビシクロノナン、N-ジフルオロボリン酸、および3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸;ならびに以下も含む:N-[フェニル(ペンタカルボニルクロム)]カルベニル、N-[フェニル(ペンタカルボニルタングステン)]カルベニル、N-[メチル(ペンタカルボニルクロム)]カルベニル、N-[メチル(ペンタカルボニルタングステン)]-カルベニル、N-銅キレート、N-亜鉛キレート、および18-クラウン-6-誘導体から選択することができる。N-N誘導体の場合、アミノ基の保護基は、N-ニトロ、N-ニトロソ、N-オキシド、アジド、トリアゼン、およびN-トリメチルシリルメチル-N-ベンジルヒドラジンから選択することができる。N-P誘導体の場合、アミノ基の保護基は、N-ジフェニルホスフィンアミド、ジメチルチオホスフィンアミド、ジフェニルチオホスフィンアミド、ジアルキルホスホルアミデート、ジベンジルホスホルアミデート、ジフェニルホスホルアミデート、およびイミノトリフェニルホスホランから選択することができる。N-Si誘導体の場合、NH2の保護基は、t-ブチルジフェニルシリルおよびトリフェニルシリルから選択することができる。N-S誘導体の場合、アミノ基の保護基は、N-スル
フェニルまたはN-スルホニル誘導体から選択することができる。N-スルフェニル誘導体は、ベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロベンゼンスルフェンアミド、2,4-ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2-ニトロ-4-メトキシベンゼンスルファンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、1-(2,2,2)-トリフルオロ-1,1-ジフェニル)エチルスルフェンアミド、およびN-3-ニトロ-2-ピリジンスルフェンアミドから選択することができる。N-スルホニル誘導体は、メタンスルホンアミド、トリフルオロメタンスルホンアミド、t-ブチルスルホンアミド、ベンジルスルホンアミド、2-(トリメチルシリル)エタンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、アニシルスルホンアミド、2-ニトロベンゼンスルホンアミド、4-ニトロベンゼンスルホンアミド、2,4-ジニトロベンゼンスルホンアミド、2-ナフタレンスルホンアミド、4-(4',8'-ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド、2-(4-メチルフェニル)-6-メトキシ-4-メチルスルホンアミド、9-アントラセンスルホンアミド、ピリジン-2-スルホンアミド、ベンゾチアゾール-2-スルホンアミド、フェナシルスルホンアミド、2,3,6-トリメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド、2,4,6-トリメトキシベンゼンスルホンアミド、2,6-ジメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド、ペンタメチルベンゼンスルホンアミド、2,3,5,6-テトラメチル-4-メトキシベンゼンスルホンアミド、4-メトキシベンゼンスルホンアミド、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホンアミド、2,6-ジメトキシ-4-メチルベンゼンスルホンアミド、3-メトキシ-4-t-ブチルベンゼンスルホンアミド、および2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホンアミドから選択することができる。かかる保護SHの例には、チオエーテル、ジスルフィド、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネートおよびチオカルバメートが含まれる。チオエーテルの場合、SHの保護基は、S-アルキル、S-ベンジル、S-アセトアミドメチル(Acm)、S-p-メトキシベンジル、S-o-ヒドロキシベンジル、S-p-ヒドロキシベンジル、S-o-メトキシベンジル、S-p-メトキシベンジル、S-p-ニトロベンジル、S-o-ニトロベンジル、S-2,4,6-トリメトキシベンジル、S-4-ピコリル、S-2-ピコリル-N-オキシド、S-2-キノリニルメチル、S-9-アントリルメチル、S-9-フルオレニルメチル、S-キサンテニル、S-フェロセニルメチル、S-ジフェニルメチル、S-ビス(4-メトキシフェニル)メチル、S-5-ジベンゾスベリル、S-トリフェニルメチル、4-メトキシトリチル、S-ジフェニル-4-ピリジルメチル、S-2,4-ジニトロフェニル、S-2-キノリル、S-t-ブチル、S-1-アダマンチル、S-メトキシメチルモノチオアセタール、S-イソブトキシメチルモノチオアセタール、S-ベンジルオキシメチル、S-1-エトキシエチル、S-テトラヒドロピラニルモノチオアセタール、S-ベンジルチオメチルジチオアセタール、チアゾリジン誘導体、S-アセトアミドメチルアミノチオアセタール、S-トリメチルアセトアミドメチルアミノチオアセタール、S-ベンズアミドメチルアミノチオアセタール、S-アリルオキシカルボニルアミノメチル、S-N-[2,3,5,6-テトラフルオロ-4-(N'-ピペリジノ)-フェニル-N-アリルオキシカルボニルアミノメチル、S-フタルイミドメチル、S-フェニルアセトアミドメチル、S-(2-ニトロ-1-フェニル)エチル、S-2-(2,4-ジニトロフェニル)エチル、S-2-(4'-ピリジル)エチル、S-2-シアノエチル、S-2-(トリメチルシリル)エチル、S-2,2-ビス(カルボエトキシ)エチル、S-(1-m-ニトロフェニル-2-ベンゾイル)エチル、S-2-フェニルスルホニルエチル、S-1-(4-メチルフェニルスルホニル)-2-メチルプロプ-2-イル、およびS-p-ヒドロキシフェナシルから選択することができる。ジスルフィドの場合、SHの保護基は、S-S-tBu[S-(tert-ブチルスルファニル)システイン,S-S-tブチル)およびS-Npys(S-3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル)から選択することができる。シリルチオエーテルの場合、SHの保護基は、OHの保護とシリルエーテルに関して先に列挙した群の一覧から選択することができる。チオエステルの場合、SHの保護基は、S-アセチル、S-ベンゾイル、S-2-メトキシイソブチリル、S-トリフルオロアセチル、S-N-[[p-ビフェニリル)イソプロポキシ]カルボニル]-N-メチル-γ-アミノチオブチレート、およびS-N-(t-ブトキシカルボニル)-N-メチル-γ-アミノチオブチレートから選択することができる。チオカーボネートの場合、SHの保護基は、S-2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、S-t-ブトキシカルボニル、S-ベンジルオキシカルボニル、S-p-メトキシベンジルオキシカルボニル、およびS-フルオレニルメチルカルボニルから選択することができる。チオカルバメートの場合、SHの保護基は、S-(N-エチルカルバメート)およびS-(N-メトキシメチルカルバメート)から選択することができる。これらの基の列挙は、OH、アミノおよびSH基の保護基を単に例示するものとして列挙されているため、これらは本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないが、前記官能基を有するさらなる基は当業者に公知であり得、それらはまた本発明によって包含されると理解すべきである。
【0041】
「薬学的に許容できる塩」、「誘導体」、「プロドラッグ」という用語は、患者への投与時に、本明細書に記載の通りの化合物を提供できる(直接的または間接的に)任意の薬学的に許容できる塩、エステル、溶媒和物、水和物または任意の他の化合物を指す。しかし、薬学的に許容できない塩は、薬学的に許容できる塩の調製に有用となり得るため、それらも本発明の範囲に含まれることを理解されよう。塩、プロドラッグおよび誘導体の調製は、当技術分野で公知の方法によって実施することができる。
【0042】
例えば、本明細書で提供される化合物の薬学的に許容できる塩は、塩基性または酸性部分を含有する親化合物から、従来の化学法によって合成される。一般に、かかる塩は、例えばこれらの化合物の遊離酸または塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水または有機溶媒またはこの2つの混合物中で反応させることによって調製される。一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。酸付加塩の例には、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などの無機酸付加塩、および例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩およびp-トルエンスルホン酸塩などの有機酸付加塩が含まれる。アルカリ付加塩の例には、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアンモニウム塩などの無機塩、および例えばエチレンジアミン、エタノールアミン、N,N-ジアルキレンエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび塩基性アミノ酸塩などの有機アルカリ塩が含まれる。
【0043】
本発明の化合物は、遊離化合物または溶媒和物(例えば水和物)のいずれかとしての結晶形であってよく、その両方の形態が本発明の範囲に含まれることを企図する。溶媒和の方法は、一般に当技術分野で公知である。
【0044】
式Iの化合物のプロドラッグである任意の化合物は、本発明の範囲および精神に含まれる。「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、in vivoで本発明の化合物に変換するような誘導体を包含する。かかる誘導体は、当業者であれば容易に思いつくはずであり、それには、例えば遊離ヒドロキシ基がエステル誘導体に変換する化合物が含まれる。
【0045】
本明細書で言及した任意の化合物は、かかる特定の化合物ならびに幾つかの変化または形態を表すものとする。特に、本明細書で言及した化合物は不斉中心を有し、したがって様々な鏡像異性体として存在することができる。本明細書で言及した化合物の全ての光学異性体および立体異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明の範囲に含まれるとみなされる。したがって、本明細書で言及した任意の所与の化合物は、ラセミ体のいずれか1つ、1つまたは複数の鏡像異性体、1つまたは複数のジアステレオマー形態、1つまたは複数のアトロプ異性体、およびそれらの混合物を表すものとする。特に、前述の式Iによって表される本発明の化合物は、それらの不斉またはジアステレオ異性体に応じた鏡像異性体を含むことができる。二重結合周りの立体異性も可能であり、したがって幾つかの場合、その分子は(E)-異性体または(Z)-異性体として存在し得る。分子が幾つかの二重結合を含有している場合、各二重結合は、それ自体の立体異性を有することになるが、これはその分子の他の二重結合の立体異性と同じであってよく、または異なっていてもよい。単一の異性体および異性体の混合物は、本発明の範囲に含まれる。
【0046】
さらに、本明細書で言及した化合物は、幾何異性体(即ちcisおよびtrans異性体)、互変異性体またはアトロプ異性体(atropoisomer)として存在することができる。特に互変異性体という用語は、化合物の2つ以上の構造的異性体の1つを指し、これは平衡状態で存在し、ある異性体から別の異性体に容易に変換する。一般的な互変異性体の対は、アミン-イミン、アミド-イミド、ケト-エノール、ラクタム-ラクチム等である。さらに、本明細書で言及した任意の化合物は、水和物、溶媒和物および多形体を表し、かかる形態が媒体として存在する場合にはそれらの混合物を表すものとする。さらに、本明細書で言及した化合物は、同位体標識された形態として存在することができる。本明細書で言及した化合物の全ての幾何異性体、互変異性体、アトロプ異性体、水和物、溶媒和物、多形体および同位体標識された形態、ならびにそれらの混合物は、本発明の範囲に含まれるとみなされる。
【0047】
より正確に説明するために、本明細書で与えられた量的表現の幾つかは、「約」という用語では修飾されていない。「約」という用語が明確に使用されようとされまいと、本明細書で与えられた全ての量は、実際の所与の値を指すことを意味し、また「約」という用語は、かかる所与の値に関する実験および/または測定条件による当量および近似を含む、当業者によって合理的に推測され得るかかる所与の値の近似を指すことを意味すると理解されたい。
【0048】
一般式Iの化合物では、特に好ましいR1およびR6は、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルであり、より好ましいのは、それぞれ独立に、水素またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルならびにイソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを含むブチルから選択される置換もしくは非置換アルキル基である。特に好ましいR1およびR6は、それぞれ独立に、メチル、メチルチオメチルまたはイソプロピルであり、最も好ましいR1およびR6はメチルチオメチルである。
【0049】
特に好ましいR4およびR9は、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルであり、より好ましいのは、それぞれ独立に、水素またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルならびにイソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを含むブチルから選択される置換もしくは非置換アルキル基であり、最も好ましいR4およびR9は水素である。
【0050】
特に好ましいR3およびR8は、それぞれ独立に、メルカプト基が保護されているメルカプトアルキル基であり、またはR3およびR8は、基-CH2-S-S-CH2-を形成する。好ましくは、R3およびR8は基-CH2-S-S-CH2-を形成する。
【0051】
特に好ましいR2およびR7は、水素である。
【0052】
特に好ましいR5およびR10は、それぞれ独立に、アミノ保護基または-(C=O)R"であり、各R"は、独立に、置換または非置換ヘテロ芳香族基である。より好ましいR5およびR10は、それぞれ独立に、-(C=O)R"であり、各R"は、独立に、置換または非置換シンノリニル、置換または非置換キノリル、置換または非置換イソキノリル、置換または非置換ナフチリジニル、置換または非置換キノキサリニルおよび置換または非置換キナゾリニルから選択されるヘテロ芳香族基であり、さらにより好ましいのは、それぞれ独立に、置換または非置換キノリルおよび置換または非置換キノキサリニルである。置換または非置換キノリルは、最も好ましいR"である。前記基の好ましい置換基は、OR'、=O、SR'、SOR'、SO2R'、NO2、NHR'、N(R')2、=N-R'、NHCOR'、N(COR')2、NHSO2R'、NR'C(=NR')NR'R'、CN、ハロゲン、COR'、COOR'、OCOR'、OCONHR'、OCON(R')2、保護OH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基であり、R'基のそれぞれは、独立に、水素、OH、NO2、NH2、SH、CN、ハロゲン、COH、COアルキル、COOH、置換または非置換C1〜C12アルキル、置換または非置換C2〜C12アルケニル、置換または非置換C2〜C12アルキニル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基からなる群から選択される。かかる基が、それら自体置換されている場合、置換基は前述の一覧から選択することができる。前述の基のさらにより好ましい置換基は、OH、SCH3、SH、NH2、NHC(=NH)NH2、CONH2、COOH、フェニル、p-、m-またはo-ヒドロキシフェニル、1-、2-および3-インドリルを含むインドリル、ならびに4-および5-イミダゾリルを含むイミダゾリルである。
【0053】
特に好ましいRa、RbおよびRcは、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルである。より好ましいRa、RbおよびRcは、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C6アルキルであり、さらにより好ましいのは、それぞれ独立に、水素またはメチルである。特に最も好ましいRaはメチルであり、Rbはメチルであり、Rcは水素である。
【0054】
特に好ましいRd、ReおよびRfは、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルである。より好ましいRd、ReおよびRfは、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C6アルキルであり、さらにより好ましいのは、それぞれ独立に、水素またはメチルである。特に最も好ましいRdはメチルであり、Reはメチルであり、Rfは水素である。
【0055】
特に好ましいRhは、置換もしくは非置換C1〜C12アルキル基またはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。より好ましいRhは、置換または非置換C1〜C6アルキルまたはnが1〜15である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。さらにより好ましいRhは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基である。最も好ましいRhはメチルである。
【0056】
特に好ましいYは、SまたはNRiであり、最も好ましいYはNRiである。
【0057】
特に好ましいRiは、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルまたはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。より好ましいRiは、置換もしくは非置換C1〜C6アルキルまたはnが1〜15である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。さらにより好ましいRiは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基である。最も好ましいRiはメチルである。
【0058】
本発明の別の実施形態では、対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、置換または非置換C1〜C12アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、置換または非置換C3〜C12シクロアルキルを形成することも好ましい。より好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、C1〜C6アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを形成する。さらにより好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、C1〜C4アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3〜C5シクロアルキルを形成する。最も好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、メチレンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3-シクロアルキルを形成する。
【0059】
本発明の好ましい化合物は、一般式IIの化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体である。
【0060】
【化6】

【0061】
式中、R1、R2、R5、R6、R7、R10、YおよびRh基は、前述と同じ意味を有する。
【0062】
一般式IIの化合物では、特に好ましいR1およびR6は、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルであり、より好ましいのは、それぞれ独立に、水素またはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルならびにイソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルを含むブチルから選択される置換もしくは非置換アルキル基である。特に好ましいR1およびR6は、それぞれ独立に、メチル、メチルチオメチルまたはイソプロピルであり、最も好ましいR1およびR6はメチルチオメチルである。
【0063】
特に好ましいR2およびR7は水素である。
【0064】
特に好ましいR5およびR10は、それぞれ独立に、アミノ保護基または-(C=O)R"であり、各R"は、独立に、置換または非置換ヘテロ芳香族基である。より好ましいR5およびR10は、それぞれ独立に、-(C=O)R"であり、各R"は、独立に、置換または非置換シンノリニル、置換または非置換キノリル、置換または非置換イソキノリル、置換または非置換ナフチリジニル、置換または非置換キノキサリニルおよび置換または非置換キナゾリニルから選択されるヘテロ芳香族基であり、さらにより好ましいのは、それぞれ独立に、置換または非置換キノリルおよび置換または非置換キノキサリニルである。置換または非置換キノリルは、最も好ましいR"である。前記基の好ましい置換基は、OR'、=O、SR'、SOR'、SO2R'、NO2、NHR'、N(R')2、=N-R'、NHCOR'、N(COR')2、NHSO2R'、NR'C(=NR')NR'R'、CN、ハロゲン、COR'、COOR'、OCOR'、OCONHR'、OCON(R')2、保護OH、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基であり、R'基のそれぞれは、独立に、水素、OH、NO2、NH2、SH、CN、ハロゲン、COH、COアルキル、COOH、置換または非置換C1〜C12アルキル、置換または非置換C2〜C12アルケニル、置換または非置換C2〜C12アルキニル、置換または非置換アリールおよび置換または非置換複素環式基からなる群から選択される。かかる基が、それら自体置換されている場合、置換基は前述の一覧から選択することができる。前述の基のさらにより好ましい置換基は、OH、SCH3、SH、NH2、NHC(=NH)NH2、CONH2、COOH、フェニル、p-、m-またはo-ヒドロキシフェニル、1-、2-および3-インドリルを含むインドリル、ならびに4-および5-イミダゾリルを含むイミダゾリルである。
【0065】
特に好ましいRhは、置換もしくは非置換C1〜C12アルキル基またはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。より好ましいRhは、置換もしくは非置換C1〜C6アルキルまたはnが1〜15である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。さらにより好ましいRhは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピル基である。最も好ましいRhはメチルである。
【0066】
特に好ましいYは、SまたはNRiであり、最も好ましいYはNRiである。
【0067】
特に好ましいRiは、水素または置換もしくは非置換C1〜C12アルキルまたはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。より好ましいRiは、置換または非置換C1〜C6アルキルまたはnが1〜15である-(CH2-CH2O)n-CH3基である。さらにより好ましいRiは、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。最も好ましいRiはメチルである。
【0068】
本発明の別の実施形態では、対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、置換または非置換C1〜C12アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、置換または非置換C3〜C12シクロアルキルを形成することも好ましい。より好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、C1〜C6アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3〜C6シクロアルキルを形成する。さらにより好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、C1〜C4アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3〜C5シクロアルキルを形成する。最も好ましい対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、メチレンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、C3-シクロアルキルを形成する。
【0069】
本発明の特に好ましい化合物は、以下のものである。
【0070】
【化7】

【0071】
また、前記化合物の好ましい立体異性体は、以下のものである。
【0072】
【化8】

【0073】
本発明の化合物は、関連化合物の合成に関する公知の手順に従う合成によって得ることができる(Albericioら、Int. J. of Peptide Research and Therapeutics、2007、13、295〜306頁;Albericioら、Chem. Eur. J. 2006、12、9001〜9009頁;Albericioら、J. Am. Chem. Soc. 2007、129、5322〜5323頁;BogerおよびLewis、WO 02/49577;BogerおよびLee、J. Org. Chem. 2000、65、5996〜6000頁;Bogerら、J. Am. Chem. Soc. 2001、123、561〜568頁;LorentzおよびDiederichsen、J. Org. Chem. 2000、65、5996〜6000頁;DietrichおよびDiederichsen、Eur. J. Org. Chem. 2005、147〜153頁;Hae kimら、Bioorganic Med. Chem. Lett. 2004、14、541〜544頁;Malkinsonら、J. Org. Chem. 2005、70、7654〜7661頁;Olsenら、Tetrahedron、1982、38、57〜61頁;OlsenおよびDhaon、J. Org. Chem. 1981、46、3436〜3440頁;OlsenおよびChakravarty、Pept. Struct. Biol. Funct. Proc. Am. Pept. Symp.、第6版、1979、559〜562頁;Olsen、J. Am. Chem. Soc. 1978、100、7684〜7690頁;ChakravartyおよびOlsen、Tetrahedron Lett. 1978、19、1613〜1616頁;OlsenおよびCiardelli、J. Am. Chem. Soc. 1977、99、2806〜1807頁;Olsenら、J. Org. Chem. 1975、40、3110〜3112頁;Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1984、57、2203〜2210頁;Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1984、57、2211〜2215頁;Shinら、Bull. Chem. Soc. Japan、1978、51、1501〜1506頁;Bayo-Puxan、N. Ph. D. Thesis、University of Barcelona、2006)。
【0074】
例えば、化合物2の合成について、2つの異なる戦略を使用することができる。
【0075】
両方の戦略は、樹脂に結合したテトラペプチドの調製で出発し、これはスキーム1に示した通りに得られる。
【0076】
【化9】

【0077】
戦略I
この戦略では、テトラペプチド樹脂を、その末端アミノ基において選択的に脱保護し、独立には、樹脂からテトラペプチドを開裂し、続いて両方のフラグメントをカップリングして、脱保護の後にスキーム2に従って直鎖オクタペプチドを得る。
【0078】
【化10】

【0079】
-S-S-架橋形成によって直鎖オクタペプチドを固相環化し、続いてスキーム3による開裂によって、単環式オクタペプチドを得る。
【0080】
【化11】

【0081】
単環式オクタペプチドを溶液環化し、続いてスキーム4による3-ヒドロキシキノリン-2-カルボン酸での脱保護およびカップリングによって、化合物2を得る。
【0082】
【化12】

【0083】
戦略II
この戦略では、末端保護基の除去後に、-S-S-架橋形成によってテトラペプチド樹脂における2つのテトラペプチド鎖をワンポット環化し、続いて樹脂から開裂して、スキーム5に従って直鎖テトラペプチド二量体を得る。
【0084】
【化13】

【0085】
2つのアミド結合の形成によってこの直鎖二量体をbis-環化し、続いて3-アミノ-2-キノリンカルボン酸での脱保護およびカップリングによって、スキーム6に従って化合物2を得る。
【0086】
【化14】

【0087】
化合物1および2の類似体は、化合物2について記載した方法と同等の方法により、各場合において中間体化合物の適切な置換基を選択することによって合成することができる。
【0088】
必要ならば、適切な保護基を置換基に対して使用して、確実に反応基が影響を受けないようにすることができる。合成は、適切な段階で所望の置換基に変換できる前駆体置換基を用いるように設計することができる。環構造内の飽和または不飽和は、合成の一部として導入または除去することができる。出発材料および試薬は、所期の化合物の合成を確実にするために、所望に応じて改変することができる。さらに類似体は、当業者に公知の合成有機化学における通常の手順によって、化合物1および2から合成することもできる。
【0089】
前述の合成経路は、立体特異的化合物ならびに立体異性体の混合物を得るために、所望に応じて改変することができる。特異的立体異性体または特異的混合物は、立体特異的試薬の使用を含む様々な方法によって、または合成中に不斉中心を化合物に導入することによって合成することが可能である。合成中に、1つまたは複数の立体中心を導入し、また既存の立体中心を反転することが可能である。さらに、化合物が合成されたら、当業者に公知の標準の分解技術によって立体異性体を分離することが可能である。
【0090】
式IおよびIIの前述の化合物の重要な特徴は、それらの生物活性および特にそれらの細胞毒性である。これに関して、本発明者らは驚くべきことに、本発明の化合物は、実施例5に示すように、親化合物であるアザチオコラリンの活性と比較して強化された抗腫瘍活性を示すことを見出している。本発明を用いて、本発明者らは、細胞毒性を有する一般式IおよびIIの化合物の新規な医薬組成物およびそれらの抗腫瘍剤としての使用を提供する。したがって本発明はさらに、本発明の化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体と、薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物を提供する。
【0091】
医薬組成物の例には、経口、局所または非経口投与に合わせて適切に処方された、任意の固体(錠剤、丸薬、カプセル、顆粒等)または液体(溶液、懸濁液またはエマルジョン)組成物が含まれる。
【0092】
本発明の化合物または組成物の投与は、静脈内注射、経口製剤ならびに腹腔内および静脈投与などの任意の適切な方法であってよい。最大24時間の注射時間を使用することが好ましく、より好ましくは1〜12時間、最も好ましくは1〜6時間である。入院なしに治療を実施可能にする短時間注射が特に望ましい。しかし、注射は12〜24時間であってよく、または必要に応じてさらに長時間であってもよい。注射は、例えば1〜4週の適切な間隔で実施することができる。本発明の化合物を含有する医薬組成物は、徐放製剤としてのリポソームまたはナノ粒子カプセル化によって、または他の標準の送達手段によって送達することができる。
【0093】
化合物の正確な用量は、特定の製剤、適用の態様、ならびに治療を受ける特定の位置、宿主および腫瘍に応じて変わることになる。年齢、体重、性別、食事、投与時間、排出率、宿主の状態、薬物の組合せ、反応感度および疾患の重篤度などの他の因子も考慮されるべきである。投与は、最大耐量以内で連続的または定期的に実施することができる。
【0094】
本発明の化合物および組成物を他の薬物と共に使用して、併用療法を提供することができる。他の薬物は、同じ組成物の一部を形成することができ、または同時もしくは異なる時間に投与するための、即ち、単独、同時または連続投与するための別個の組成物として提供することができる。
【0095】
本発明の化合物の抗腫瘍活性には、それに限定されるものではないが、肺癌、結腸癌および乳癌が含まれる。
【0096】
(実施例)
概要
保護アミノ酸誘導体PyBOPは、Applied Biosystems(Framingham、マサチューセッツ州)、Bachem(Bubendorf、スイス)、Albatross(Montreal、カナダ)およびNovaBiochem (Laufelfingen、スイス)から得た。2-クロロトリチル樹脂は、Iris Biotech(Marktredwitz、ドイツ)から得た。DIEA、DIPCDI、ピペリジン、TFA、アンモニア、ヨードメタン、アリルクロロホルメートおよびp-ニトロベンジルクロロホルメートは、Aldrich(Milwaukee、ウィスコンシン州)から得、EDC・HClおよびHOAtは、Luxembourg Industries(Tel Aviv、イスラエル)から得た。DMF、CH2Cl2、アセトニトリル(HPLCグレード)、メタノール(HPLCグレード)、ジオキサン、Et2O、TBME(t-ブチルメチルエーテル)およびEtOAc(酢酸エチル)は、SDS(Peypin、フランス)から得た。(R)(-)-チアゾリジン-4-カルボン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、N-ヒドロキシアセトアミドメチルおよびN-ヒドロキシスクシンイミドは、Fluka(Buchs、スイス)から得た。全ての市販の試薬および溶媒は、DMFおよびCH2Cl2を除いて受け取った通りに使用し、DMFおよびCH2Cl2は、窒素で発泡させて、揮発性汚染物質(DMF)を除去し、4オングストロームの活性分子ふるい(Merck、Darmstadt、ドイツ)上で保存し、THFは、ナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留した。
【0097】
溶液反応を、丸底フラスコ中で実施した。有機溶媒の抽出物を無水MgSO4上で乾燥させ、その後減圧下において40℃未満の温度で溶媒を除去した。
【0098】
固相合成は、ポリエチレンの多孔質ディスクを嵌めたポリプロピレンシリンジ(2.5mL)中で実施した。溶媒および可溶性試薬を、吸引によって除去した。Fmoc基の除去は、ピペリジン-DMF(1:4、v/v)(1×1分、2×5分)で実施した。
【0099】
脱保護、カップリングおよび最終脱保護ステップの間の洗浄は、各洗浄につき樹脂1g当たり溶媒5mLを使用して、DMF(5×1分)およびCH2Cl2(5×1分)で実施した。ペプチド合成変換および洗浄は、25℃で実施した。
【0100】
HPLCカラム(Symmetry(登録商標)C18逆相分析カラム、5.0μm×4.6mm×150mmおよびSymmetry(登録商標)C18逆相セミ分取カラム、5.0μm×7.8mm×100mm)を、Waters(アイルランド)から得た。分析用HPLCは、分離モジュール(Waters 2695)、自動注入装置、フォトダイオードアレイ検出器(Waters 996)およびシステムコントローラー(Millenium login)を含むWaters装置で実施した。UV検出を220nmおよび254nmにおいて実施し、CH3CN(+0.036%TFA)のH2O(+0.045%TFA)への線形勾配を1.0mL×毎分の流量で15分かけて実施した。セミ分取HPLCは、分離モジュール(Waters 1525バイナリポンプ)、自動注入装置および二波長吸光度検出器(Waters 2487)を含むWaters装置で実施した。UV検出を220nmおよび254nmにおいて実施し、CH3CN(+0.036%TFA)のH2O(+0.045%TFA)への線形勾配を3.0mL×毎分の流量で、各場合につき特定の条件下で実施した。
【0101】
ペプチド試料のMALDI-TOFおよびES(+)-MS分析は、Applied Biosystems VoyagerDE RPで、ACH行列を使用して、Waters Micromass ZQ分光計およびAgilent Ion Trap 1100 Series LC/MSDTrap中で実施した。
【0102】
(実施例1)
Boc-D-Dap(Me)-Gly-O-CTC-PS
【0103】
【化15】

【0104】
(a) CTC樹脂(400mg、1.6mmol/g)を、2枚のポリエチレンフィルターディスクを取り付けた、10mLポリプロピレンシリンジに入れた。樹脂を、DMF(5×1分)およびCH2Cl2(3×1分)で洗浄し、Fmoc-Gly-OH(118.8mg, 0.4mmol)およびDIEA(474μL、2.66mmol、6.6当量)のCH2Cl2中溶液を添加した。10分後に、さらにDIEA(237μL、1.33mmol、3.3当量)を添加し、混合物を室温で、50分間撹拌した。
(b) 反応を、MeOH(320μL)の添加により停止し、混合物を、さらに10分間撹拌した。
(c) 濾過後に、ペプチド樹脂を、CH2Cl2(3×1分)、DMF(3×1分)、ピペリジン-DMF(1:4;2×1分, 2×5分)で洗浄した。290nmでの吸光度を測定して計算された負荷量は、0.93mmol/gであった。
(d) 次に、Boc-D-Dap(Fmoc)-OH(682mg、1.6mmol、4当量)を、DMF中で、カップリング試薬としての、HATU(456mg、1.6mmol、4当量)、HOAt(218mg、1.6mmol、4当量)およびDIEA(570μL、3.2mmol、8当量)と一緒に導入した。
(e) 35分間撹拌し、濾過した後に、ペプチド樹脂を、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、ピペリジン-DMF(1:4;1×1分;3×5分, 1×10分)、ピペリジン-DBU-トルエン-DMF(1:1:4:14;2×5分)および、再度、DMF(5×0.5分)およびCH2Cl2(3×0.5分)で洗浄した。
【0105】
(f) 2-NBS-Cl(354mg、1.6mmol、4当量)およびDIEA(0.726μL、4mmol、10当量)のCH2Cl2中溶液を添加し、混合物を、90分間撹拌した。
(g) 濾過し、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)およびTHF(3×0.5分)で洗浄した後に、PPh3(524mg、2mmol、5当量)およびMeOH(160μL、4mmol、10当量)のTHF溶液およびDIAD(404μL、2mmol、5当量)のTHF溶液を混合し、ペプチド樹脂へ添加した。1時間撹拌し、濾過した後に、ペプチド樹脂を、THF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)で洗浄した。
樹脂のアリコットを開裂して、Boc-D-Dap(Me)(o-NBS)-Gly-OHを得た:
HPLC 条件:tR= 10.0分(勾配:15分中0:100〜100:0(ACN/H2O);純度90%。
HPLC-ES 条件:tR= 10.0分(勾配:15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。m/z:C17H24N4O9Sの計算値:460.13;実測値[M+H]+、460.10。
【0106】
(h) DMF中で、DBU(300μL、2mmol、5当量)および2-メルカプトエタノール(280μL、4mmol、10当量)で処理(2×15分)した後に、樹脂を、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)およびDMF(3×0.5分)で洗浄した。
樹脂のアリコットを開裂して、Boc-D-Dap(Me)-Gly-OHを得た:
HPLC 条件:tR= 4.23分(勾配:15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 3.87分(勾配:15分中5:100〜100:0(ACN/H2O)。m/z:C11H21N3O5の計算値:275.15;実測値[M+H]+、276.73。
【0107】
{[Alloc-NMeCys(Acm)-NMeCys(Me)&][Boc-D-Dap(Me&)-Gly-O-CTC-PS]}-保護テトラペプチド
【0108】
【化16】

【0109】
(i) ペプチド鎖の伸張を、DMF中で、HATU(456mg、1.6mmol、4当量)、HOAt(218mg、1.6mmol、4当量)およびDIEA(570μL、3.2mmol、8当量)の存在下で、Alloc-NMeCys(Me)-OH(373mg、1.6mmol、4当量)を添加して、35分間実施し、濾過後に、DMF(3×0.5分)およびCH2Cl2(3×0.5分)で洗浄した。カップリングの完了を示すために、デクラーク(De Clercq)テストを使用した。
(l) 次に、ペプチド樹脂を、CH2Cl2中で、Pd(PPh3)4(46mg、0.04mmol、0.1当量)およびPhSiH3(292μL、4mmol、10当量)で処理し(3×15分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)で洗浄した。
(m) Alloc-NMeCys(Acm)-OH(464mg、1.6mmol、4当量)の導入は、工程(i)で用意されたものと同じ条件で、カップリングの繰返しを必要とした。
【0110】
ペプチド樹脂を2つの画分に分割した:3/4を、4+4計画で使用し;1/4を、二量体計画のために保存した。
【0111】
(実施例2)
4+4アプローチ
{[Boc-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(Acm)-NMeCys(Me)&2][Alloc-NMeCys(Acm)-NMe-Cys(Me)&1][Boc-D-Dap(Me&2)-Gly-O-CTC-PS]}-直鎖保護オクタペプチド
4+4アプローチのためのペプチド樹脂を2つの画分に、さらに分割した:
【0112】
【化17】

【0113】
1/3を、実施例1で記載したように、CH2Cl2中で、Pd(PPh3)4およびPhSiH3で処理した(HPLC条件:6.7分(主要)、6.9分(少量);0:100〜100:0(ACN/H2O));
樹脂の2/3を、TFA/CH2Cl2溶液(2:98, 5×1分)で処理し、濾液を、H2O(樹脂の1g当たり12mL、60mL)の存在下で集め、乾燥し、凍結乾燥した。
HPLC 条件:tR= 9.3分(少量)、9.7分(主要);15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 9.7分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C27H46N6O10S2の計算値:678.27;実測値[M]+、677.91。
【0114】
【化18】

【0115】
凍結乾燥したテトラペプチドを、DMF中で、PyAOP(94mg、0.18mmol、負荷されたペプチドに基づき計算された2当量)およびDIEA(94μL、0.54mmol、6当量)と一緒に、ペプチド樹脂画分へ添加した。pHを、DIEAで8まで調整した。混合物を室温で一晩中撹拌した。濾過なしで、反応の完了を示すために、デクラークテストを利用した。ポジティブテスト後に、同量のPyAOPおよびDIEAを添加し、混合物を、さらに3時間撹拌した。ポジティブテスト後に、さらにPyAOPおよびDIEAを添加した。2時間後に、テストは、ネガティブを示し、濾過後に、ペプチド樹脂を、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)およびDMF(3×0.5分)で洗浄した。
HPLC-ES 条件:tR= 10.3分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C50H86N12O17S4の計算値:1254.5;実測値[M]+、1254.32。
【0116】
{[Boc-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&3][NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&1][Boc-D-Dap(Me&3)-Gly-OH]}-ジスルフィド架橋形成
【0117】
【化19】

【0118】
Alloc基を、CH2Cl2中で、Pd(PPh3)4(46mg、0.04mmol、0.1当量)およびPhSiH3(292μL、4mmol、10当量)で処理して(3×15分)開裂し、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、およびDMF(3×0.5分)で洗浄した。ジスルフィド架橋を作製するために、I2(127mg、0.5mmol、5当量、2.5当量×Acm)のDMF(0.01M)中溶液を、ペプチド樹脂へ添加した。混合物を室温で、10分間撹拌し、濾過後に、処理を繰返した。次に、樹脂を、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、およびCH2Cl2(3×0.5分)で洗浄した。開裂したペプチドアリコットのHPLC-MS分析は、反応の完了を示した。ペプチド開裂は、TFA/CH2Cl2溶液(2:98, 5×1分)での処理で達成され、濾液を、H2O(樹脂の1g当たり6mL、60mL)の存在下で集め、乾燥し、凍結乾燥した。
HPLC 条件:tR= 9.0;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 7.5分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C40H70N10O13S4の計算値:1026.40;実測値[M]+、1026.45。
【0119】
{[Boc-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&3][Boc-D-Dap(Me&3)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&1]-溶液中での環化
【0120】
【化20】

【0121】
CH2Cl2/DMF(9:1, 100mL、1mM)に溶解した環状ペプチド(0.1mmol)を、HOAt(54mg、0.4mmol、4当量)の可能な限り最少量のDMF中溶液に添加した。DIEAを、中性PHまで添加し、EDC・HCl(77mg、0.2mmol、2当量)が添加された時に、環化反応が開始した。混合物を5時間撹拌し、HPLC-MS分析が、反応の完了を示した。有機層を、NH4Clの飽和水溶液(2×50mL)およびブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。
HPLC 条件:tR= 12.3;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 12.2分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C40H68N10O12S4の計算値:1008.4;実測値[M+H-Boc]+ 908.49、[M+H-2Boc]+ 807.45。
【0122】
{[3-HQA-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&3][3-HQA-D-Dap(Me&3)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&1]-化合物2
【0123】
【化21】

【0124】
二環式ペプチドを、TFA-CH2Cl2(1:1, 2mL)中に溶解し、混合物を室温で、1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留酸を、トルエンとの共蒸発で除去した。H2Oを添加し、生成物を、凍結乾燥した。それを、HCl(0.001M)に溶解し、再度、凍結乾燥した。
【0125】
非保護二環式ペプチドを、中性pHまで、CH2Cl2(300μL)およびDIEA中に溶解した。3-ヒドロキシキノリン-2-カルボン酸(37mg、0.2mmol、2当量)を、CH2Cl2(1mL)中EDC・HCl(38mg、0.2mmol、2当量)およびHOSu(22mg、0.2mmol、2当量)で予備活性化し、15分後に、この溶液を、先に調製したペプチド溶液に添加した。混合物を20時間撹拌し、HPLC-MS分析が、反応の完了を示した。有機層を、NH4Clの飽和水溶液(2×50mL)およびブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。
HPLC 条件:tR= 13.2;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 13.3分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。m/zC50H62N12O12S4の計算値:1150.4;実測値[M+H+] 1151.5。
【0126】
(実施例3)
二量体計画
{[NMeCys(&1)-NMeCys(Me)&2)][Boc-D-Dap(Me&2)-Gly-OH]}2-二量体
【0127】
【化22】

【0128】
ペプチド樹脂を、実施例1で記載したように、CH2Cl2中で、Pd(PPh3)4およびPhSiH3で処理した。二量体形成を、I2(126.9mg、0.5mmol、0.5当量)のDMF(10mL)中溶液での処理(2×10分)で達成し、次いで、DMF(3×0.5分)、CH2Cl2(3×0.5分)、DMF(3×0.5分)、およびCH2Cl2(3×0.5分)で洗浄した。開裂したペプチドアリコットのHPLC-MS分析は、反応の完了を示した。次に、ペプチドを、TFA/CH2Cl2溶液(2:98, 5×1分)での処理で樹脂から開裂し、濾液を、H2O(樹脂の1g当たり6mL、60mL)の存在下で集め、乾燥し、凍結乾燥した。
HPLC 条件:tR= 7.1;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 6.1分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C40H72N10O12S4の計算値:1044.4;実測値[M+H]+ 1043.49、[M+H]+2 522.49。
【0129】
{[Boc-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&3][Boc-D-Dap(Me&3)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&1]-環化反応
【0130】
【化23】

【0131】
ペプチド(0.05mmol)を、CH2Cl2/DMF(9:1)中に溶解し、HOAt(54mg、0.4mmol、8当量)のCH2Cl2/DMF(9:1, 50mL、1mM)中溶液に添加した。pH8までDIEAを添加し、PyBOP(208mg、0.4mmol、8当量)を添加して反応を開始した。混合物を12時間撹拌し、HPLC-MS分析が、反応の完了を示した。有機層を、NH4Clの飽和水溶液(2×50mL)およびブライン(2×50mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空下で蒸発させた。
HPLC 条件:tR= 12.1;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 12.1分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C40H68N10O12S4の計算値:1008.40;実測値[M]+ 1008.89。
【0132】
{[3-HQA-D-Dap(Me&1)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&3][3-HQA-D-Dap(Me&3)-Gly-NMeCys(&2)-NMe-Cys(Me)&1]-化合物2
【0133】
【化24】

【0134】
化合物2は、実施例2の最終工程に記載された同じ手順に従って得られた。
HPLC 条件:tR= 13.2;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
HPLC-ES 条件:tR= 13.3分;15分中0:100〜100:0(ACN/H2O)。
m/z:C50H62N12O12S4の計算値:1150.40;実測値[M+H]+ 1151.53。
【0135】
(実施例4)
化合物2の精製および特徴付け
実施例2および3で得られた化合物2の粗生成物を、HPLCで精製し、精製化合物2(952μg、収率1.0%)を得た。
精製のHPLC条件:30分で45:55〜60:40(ACN/H2O)の線形勾配;流量 3mL/分。
tR= 13.6分(4+4計画)
tR= 13.0分(二量体計画)
分析HPLC条件:tR= 13.0;15分中5:95〜100:0(ACN/H2O)。
MALDI-TOF:C50H62N12O12S4の計算値:1150.4;実測値[M+H]+ 1151.5;[M+Na]+ 1173.8
HRMS :C50H63N12O12S4の計算値:1151.3566;実測値1151.3573
【0136】
(実施例5)
抗腫瘍活性の検出のためのバイオアッセイ
このアッセイの目的は、試験する試料のin vitro細胞増殖抑制(腫瘍細胞増殖を遅延または停止する能力)または細胞毒性(腫瘍細胞を死滅する能力)活性を評価することである。
【0137】
細胞系
【0138】
【表2】

【0139】
SBR比色分析アッセイを使用する細胞毒性の評価
スルホローダミンB(SRB)反応を使用する比色分析タイプのアッセイを、細胞増殖および生存能の量的測定のために適用した(Skehan Pら、J. Natl. Cancer Inst. 1990、82、1107〜1112頁に記載の技術に従った)。
【0140】
この形態のアッセイは、SBS標準96ウェル細胞培養マイクロプレートを使用する(Fairclothら、Methods in cell science、1988、11(4)、201〜205頁;Mosmannら、Journal of Immunological. Methods、1983、65(1〜2)、55〜63頁)。この研究で使用した、様々な種類のヒトの癌に由来する全ての細胞系は、American Type Culture Collection(ATCC)から得た。
【0141】
細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)、2mMのL-グルタミン、100U/mLペニシリンおよび100U/mLストレプトマイシンを補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中、37℃、5%CO2および湿度98%で維持した。実験のために、トリプシン処理を使用してサブコンフルエントな培養物から細胞を回収し、新しい培地に再懸濁した後、計数およびプレート処理した。
【0142】
細胞を、96ウェルマイクロタイタープレート中、1ウェル当たり5×103個の細胞で、一定分量150μLで播種し、薬物を含まない培地中、18時間、プレート表面に接着させた。各細胞系の1つの対照(未処理)プレートを固定し(以下に記載の通り)、時間0の基準値のために使用した。その後試験試料を、一定分量50μL中、10〜0.00262μg/mLの範囲の10の連続希釈で培養物に添加した。48時間の曝露後、SRB法によって抗腫瘍作用を推定した。簡潔には、細胞をPBSで2回洗浄し、1%グルタルアルデヒド溶液中で15分間固定し、PBSで2回すすぎ、0.4%SRB溶液中、室温で30分間染色した。次いで、細胞を1%酢酸溶液で数回すすぎ、空気乾燥させた。次いでSRBを10mMのtrizma塩基溶液中で抽出し、吸光度を、自動化分光光度プレートリーダー中、490nmで測定した。細胞生存を、対照細胞増殖のパーセンテージとして表した。試験した試料の最終作用を、NCIアルゴリズムを適用することによって推定した(Boyd MRおよびPaull KD. Drug Dev. Res. 1995、34、91〜104頁)。
【0143】
3つの培養物の平均±SDを使用し、用量反応曲線を、非線形回帰分析を用いて自動的に作成した。3つの基準パラメータを、自動補間によって算出した(NCIアルゴリズム):GI50=50%の増殖阻害をもたらす濃度;TGI=総増殖阻害(細胞静止作用)およびLC50=50%の正味の細胞死滅をもたらす濃度(細胞毒性作用)。
【0144】
Table 1(表3)は、親化合物であるアザチオコラリンの活性と比較した、Bayo-Puxan、Nuria:Ph. D. Thesis、University of Barcelona、2006に開示の手順に従って得られた本発明の化合物の生物活性のデータを示している。
【0145】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物
【化1】

(式中、R1、R4、R6およびR9は、それぞれ独立に、水素、置換または非置換C1〜C12アルキル、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択され、
R3およびR8は、それぞれ独立に、置換または非置換C1〜C12メルカプトアルキル基であり、前記メルカプト基は、任意選択で保護されていてもよく、あるいはR3とR8は、基-CH2-S-S-CH2-を形成し、
R2は水素であり、
R7は水素であり、あるいは
対R1-R2および/またはR6-R7は、独立に、置換または非置換C1〜C12アルキリデンを形成し、あるいはそれらが結合している対応するC原子と一緒になって、置換または非置換C3〜C12シクロアルキルを形成し、
R5およびR10は、それぞれ独立に、アミノ保護基および-(C=O)R"から選択され、各R"は、独立に、置換または非置換複素環式基および置換または非置換ヘテロシクリルアルキル基から選択され、
Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、それぞれ独立に、水素および置換または非置換C1〜C12アルキルから選択され、
Yは、S、OおよびNRiから選択され、
Rhは、置換または非置換C1〜C12アルキル基、nが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択され、
Riは、水素、置換または非置換C1〜C12アルキル、nが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基、置換または非置換C2〜C12アルケニルおよび置換または非置換C2〜C12アルキニルから選択される基である)
または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体。
【請求項2】
R4およびR9が、それぞれ独立に、水素および置換もしくは非置換C1〜C12アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R4およびR9が、それぞれ独立に、水素ならびにメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルから選択される置換または非置換アルキル基から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R3およびR8が、基-CH2-S-S-CH2-を形成する、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R2およびR7が水素である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfが、それぞれ独立に、水素または置換もしくは非置換C1〜C6アルキルから選択される、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
次式IIを有する、請求項1に記載の化合物
【化2】

(式中、R1、R2、R5、R6、R7、R10、YおよびRhは、請求項1に定義の通りである)または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体。
【請求項8】
R1およびR6が、それぞれ独立に、水素および置換または非置換C1〜C12アルキルから選択される、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
R1およびR6が、それぞれ独立に、メチル、メチルチオメチルおよびイソプロピルから選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
R2およびR7が水素である、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
R5およびR10が、それぞれ独立に、アミノ保護基および各R"が置換または非置換ヘテロ芳香族基である-(C=O)R"から選択される、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
R5およびR10が、それぞれ独立に、各R"が置換または非置換キノリル基である-(C=O)R"である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
RhがC1〜C12アルキルまたはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
Rhが、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルから選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Yが、SまたはNRiであり、Riが、水素、置換もしくは非置換C1〜C12アルキルまたはnが1〜25である-(CH2-CH2O)n-CH3基である、請求項1から14のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
YがNRiであり、Riが、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルから選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
以下の式
【化3】

を有する、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体。
【請求項18】
以下の式
【化4】

を有する、請求項17に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩、誘導体、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体および薬学的に許容できる希釈剤または担体を含む、医薬組成物。
【請求項20】
医薬品として使用するための、請求項1から18のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体。
【請求項21】
癌の治療で使用するための、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
医薬品の調製における、請求項1から18のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容できるそれらの塩、誘導体、互変異性体、プロドラッグもしくは立体異性体の使用。
【請求項23】
前記医薬品が癌の治療に使用するためのものである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
癌に罹患している個体に、治療有効量の請求項1から18のいずれかに記載の化合物を投与するステップを含む、癌に罹患している任意の哺乳動物、特にヒトを治療する方法。

【公表番号】特表2011−506393(P2011−506393A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537432(P2010−537432)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067189
【国際公開番号】WO2009/077401
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(501440835)ファルマ・マール・ソシエダード・アノニマ (30)
【Fターム(参考)】