説明

抗菌ペプチド隔離化合物を用いた皮膚疾患および皮膚障害の処置のための組成物および方法

本発明は、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を含有する組成物、ならびに、ヒトにおける酒さなどの皮膚疾患および皮膚障害を処置するための、皮膚へのそのような組成物の局所適用のための方法を提供する。皮膚疾患または皮膚障害に罹患した患者に、有効量の1つまたは複数(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の抗菌ペプチド隔離化合物を投与することによって、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害を処置するための方法が、本発明において提供される。皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害を処置するのに使用するための、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を含有する組成物もまた、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離(sequestering)化合物を含有する組成物、ならびにヒトにおける酒さなど、皮膚疾患および皮膚障害を処置するための、皮膚への局所適用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酒さは、1400万人をはるかに上回るアメリカ人を冒していると推測される、一般的であるが、よく理解されていない、顔の皮膚の障害である。酒さは、潮紅、紅斑、丘疹、膿疱、毛細血管拡張症、顔の浮腫、眼病変、ならびにその最も進行型で重症の形態では、鼻瘤に至る、組織および脂線の過形成によって特徴付けられる。それは、発赤、目立つクモ状の血管、腫脹、またはざ瘡に類似している皮疹として現れ得る。鼻瘤は、血管過多およびモジュール性(modularity)を伴う鼻の先端の鮮紅色の肥大であり、原因不明の、酒さの異常な進行である。軽症の結膜炎、熱傷(burning)、および異物感(grittiness)を含めた眼病変は、一般的である。最も一般的な目の症状である眼瞼炎は、眼瞼縁の非潰瘍性の状態である。典型的に、4つの一般的なサブタイプに区別される:(I)紅斑毛細血管拡張型酒さ(erythematotelangiectatic rosacea)、(II)丘疹膿疱型酒さ(papulopustular rosacea)、(III)瘤腫型酒さ(phymatous rosacea)、および(IV)眼型酒さ(ocular rosacea)。
【0003】
潮紅および血管の調節メカニズムは、酒さの病変形成において重要である。潮紅と関連する段階は、潮紅のエピソードから持続性の毛細管拡張症に進行する。毛細管および小さな血管の拡張である毛細血管拡張症は、赤外線写真を使用して研究され、結果は、以前に進展した理論と一致して、酒さにおける変色(つまり、皮膚は赤色に見える;発赤としても記載される)が、非筋性の内皮の毛細管および細静脈の拡張によるものであることを示した。
【0004】
酒さの症状は、日光暴露、暑い天気、湯への浸水、多湿、発汗、運動、情動ストレス、スパイシーな食べ物、血管拡張性の刺激、アルコール飲料によって悪化する。
【0005】
酒さの原因はよく理解されていないが、多数の理論が提示されてきた。たとえば、そのような仮説は、胃腸の、心理学的な、感染の、気候の、および免疫学的な原因を含む。ある一般に提唱される病因学の理論は、酒さを有する患者におけるDemodex folliculorumの存在に基づく。この生物は、皮脂を摂取し、ある場合には、Demodex寄生の処置は、酒さにおける改善に至った。しかしながら、生検材料の調査では、Demodex folliculorumは、少数の検体のみで示された。同様に、その疾患についての細菌性の原因もまた、仮定されたが、ある細菌の一貫した発見は、まだ実証されていない。
【0006】
気候、特に、太陽および寒さへの極端な暴露は、その疾患の経過に影響を有し得るが、気候の正確な役割は、明らかではない。同様に、自己免疫プロセスが示唆され、酒さの慢性炎症を有する患者において組織に定着した免疫グロブリンが報告されているが、他の証拠は、見つかっていない。他のある実験的な証拠は、酒さが、一種の過敏性反応に相当するかもしれないことを示唆した。
【0007】
したがって、単一の仮説が、酒さを有する患者で見られる血管の変化および炎症反応の両方について十分に説明するように思われないので、この疾患の病変形成は、不明瞭である。
【0008】
酒さならびに酒さの処置および可能性のある療法は、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;および非特許文献8など、多数の総説において広範囲に記載されてきた。
【0009】
現在、酒さのための処置は、経口的にまたは局所的に適用される抗生物質(テトラサイクリン、クリンダマイシン、エリスロマイシンなど)およびビタミンA、サリチル酸、酸化亜鉛、抗真菌剤、またはステロイドとすることができる。酒さのための他の公知の処置は、単独でまたは経口13−シス−レチノイン酸(イソトレチノイン)を伴って、メトロニダゾール(抗原虫剤および抗菌剤)ならびにペルメトリン(ピレスロイド)である。(非特許文献9を参照されたい)。しかしながら、メトロニダゾールは、皮膚発赤、毛細管拡張症、および潮紅に対して無効であるとして報告されている。
【0010】
潮紅を阻害するのに有用な薬剤は、たとえばメチルセルギド、インドメタシン、クロニジン、アスピリン、プロメタジン、プロプラノロール、ジアゼパム、およびシメチジンを含む。(非特許文献10を参照されたい)。さらに、米国特許第5,952,372号は、イベルメクチンの経口のまたは局所使用により酒さを処置するための方法を開示し、米国特許第5,932,215号は、離散性の紅斑および酒さにおける皮膚発赤を処置するための組成物における、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、サブスタンスPアンタゴニストの使用を開示する。
【0011】
しばしば、酒さに罹患した患者の皮膚は、過敏性であり、そのため、酒さのための処置は、皮膚に対して特に刺激的であるまたは刺激的な感じがする。実際、酒さを有するほとんどの患者は、彼らの顔の皮膚が化学的および物理的な刺激を異常に受けやすいので、処置組成物、化粧品、香水、または日焼け止めの適用後にひりひりし、焼けつくように痛み、かゆみを起こす敏感肌について不満を訴える。(Plewig, G.およびKligman, A. M.、「Acne and Rosacea」、435頁(第2版 1993年)を参照されたい)。石けん、アルコール性洗剤、チンキ剤、および収れん剤、研磨剤、ならびにピーリング剤はすべて、可能性のある刺激物であり、回避されるべきである。
【0012】
そのため、酒さを処置するために設計された組成物と関連する刺激を低下させることは、大事な問題である。扱うのがさらに困難であるのは、尋常性ざ瘡により複雑にされた酒さについて皮膚を処置する場合に経験する刺激である。典型的に、産物は、活性剤(active)、界面活性剤、乳化剤、および香水など、刺激成分がないように処方される。しかしながら、このアプローチが採用される場合、それらの所望の活性に関しての成分の効能において妥協がある場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Scheinfeldら、A review of the diagnosis and treatment of rosacea. Postgrad Med 122巻:139〜43頁(2010年)
【非特許文献2】Webster、Rosacea.Med Clin North Am 93巻:1183〜94頁(2009年)
【非特許文献3】Kennedy Carneyら、Rosacea: a review of current topical, systemic and light−based therapies. G Ital Dermatol Venereol 144巻:673〜88頁(2009年)
【非特許文献4】Culpら、Rosacea: A review. P&T 34巻:38〜45頁(2009年)
【非特許文献5】Barcoら、Rosacea. Actas Dermosifiliogr 99巻:244〜56頁(2008年)
【非特許文献6】Van Zuurenら、Systematic review of rosacea treatments.J Am Acad Dermatol 56巻:107〜15頁(2007年)
【非特許文献7】Buechner、Rosacea: an update. Dermatology 210巻:100〜108頁(2005年)
【非特許文献8】Bikowskiら、Rosacea: where are we now? J Drugs Dermatol 3巻:251〜261頁(2004年)
【非特許文献9】Signore、Cutis、56巻:177〜79頁(1995年)
【非特許文献10】Guarreraら、Arch Dermatol Res、272巻:311〜16頁(1982年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
その結果、効率的、十分に許容的、または非刺激的であり、安定しており、かつざ瘡形成性の/面ぽう形成性の応答を引き起こさない、局所適用に適した組成物およびこの疾患を処置するための方法についての必要性がある。本発明の組成物および方法は、当技術分野において長い間感じられてきた必要性について検討する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
皮膚疾患または皮膚障害に罹患した患者に、有効量の1つまたは複数(たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、またはそれ以上)の抗菌ペプチド隔離化合物を投与することによって、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害を処置するための方法が、本明細書において提供される。皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害を処置するのに使用するための、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を含有する組成物もまた、提供される。使用のためのこれらの方法または組成物のいずれかにおいて、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害は、酒さ、乾癬、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、メラノーマなどの皮膚がん、皮膚創傷、および潰瘍を含むことができるが、これらに限定されない。当業者らは、本発明の使用のための方法および組成物が、あらゆる皮膚疾患および皮膚障害を処置するために使用することができ、疾患または障害に罹患した個人は、正常な皮膚と比較して、皮膚中にまたは皮膚表面上に異常なレベルまたは濃度の抗菌ペプチドを有することを認識するであろう。
【0016】
1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物によって隔離される抗菌ペプチドは、陽イオン抗菌ペプチド、皮膚、エクリン汗腺、毛球、および皮脂腺細胞中に、汗および皮脂中に、もしくは皮膚の表面上に存在する内在性プロテアーゼによってタンパク質分解処理された陽イオン抗菌ペプチド、またはその任意の組み合わせであってもよい。
【0017】
好ましい一実施形態では、化合物によって隔離される抗菌ペプチドは、ヒト陽イオン抗菌ペプチドである。適したヒト陽イオン抗菌ペプチドは、ヒトカテリシジンポリペプチド(たとえばhCAP18、LL−37)、ヒトデフェンシンポリペプチド(たとえばアルファデフェンシン、ベータデフェンシン(たとえばベータデフェンシン1、ベータデフェンシン2、ベータデフェンシン3))、および/またはヒトダームシジンポリペプチドを含むが、これらに限定されない。いくつかの好ましい実施形態では、カテリシジンは、hCAP18である。他の好ましい実施形態では、カテリシジンは、LL−37である。他の好ましい実施形態では、カテリシジンは、皮膚中にまたは皮膚表面上に存在する内在性プロテアーゼによって処理されるタンパク分解性であるLL−37および/またはhCAP18である。カテリシジン、デフェンシン、およびダームシジン(dermicidin)など、抗菌ペプチドならびにヒトにおけるそれらの形成および代謝は、Dombrowskiら、Arch Dermatol Res、302巻:401〜08頁(2010年);Metz−Boutigueら、Curr Pharm Des、16巻:1024〜1039頁(2010年);Buckiら、Arch Immunol Ther Exp (Warsz)、58巻:15〜25頁(2010年);Pericら、Dtsch Med Wochenschr、134巻:35〜38頁(2009年);Hataら、Semin Cutan Med Surg、27巻:144〜150頁(2008年);Schittekら、Infectious Disorders − Drug Targets 8巻:135〜43頁(2008年);Schauberら、J Allergy Clin Immunol、122巻:261〜266頁(2008年);Schauberら、Hautarzt、59巻:72〜74頁(2008年);Braffら、Curr Top Microbiol Immunol、306巻:91〜110頁(2006年);Durrら、Biochim Biophys Acta、758巻:1408〜1425頁(2006年);Niyonsabaら、Crit Rev Immunol、26巻:545〜576頁(2006年);Barakら、Adv Dermatol、21巻:357〜374頁(2005年)を含むいくつかの総説において記載されてきた。今日の時点で、20を上回るヒト抗菌ペプチドが、ヒト皮膚および汗において同定されており、より多くのヒト抗菌ペプチドが、今後、皮膚において、おそらく発見されるであろう。
【0018】
好ましくは、抗菌ペプチド隔離化合物は、ポリアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、免疫コンジュゲート、または抗体ではない。同様に、本発明によれば、抗菌ペプチド隔離化合物は、抗菌ペプチドの形成を阻害しない。さらに、本発明の方法および組成物において使用される化合物は、抗菌ペプチド(つまりカテリシジン)活性インヒビターまたは発現インヒビターではなく、セリンプロテアーゼ活性および/もしくは発現を阻害することによってまたは抗菌ペプチド(つまりカテリシジン)ポリヌクレオチドの転写および/もしくは翻訳を低下させることによって機能しない。同様に、本明細書における使用に適した抗菌ペプチド隔離化合物はまた、抗菌ペプチド(つまりカテリシジンポリペプチド)を不活性なペプチドに分解しない。さらに、本明細書において使用されるように、抗菌ペプチド隔離化合物は、ビタミンD3アンタゴニストまたはビタミンD受容体インヒビターではない。
【0019】
むしろ、本明細書において開示される使用および方法のための組成物のいずれかにおいて、ヒトで陽イオン抗菌ペプチド隔離化合物は、静電的相互作用によってヒトで陽イオン抗菌ペプチドを隔離するかまたはそれに結合する陰イオン化学物質である。たとえば、陰イオン化学物質は、以下の対イオン:アルカリ金属(たとえばLi、Na、Kなど)、アルカリ土類金属(たとえばCa、Mg、Baなど)、遷移金属(たとえばZn、Cu、Zr、Ti、Bi、Mn)のイオン;アンモニウムイオン(NH);四級アンモニウム陽イオン;および/または炭水化物もしくはアミン基による炭水化物誘導体のプロトン化形態のうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。その代わりに(またはさらに)、陰イオン化学物質は、好ましくは、ポリアミノ酸(つまりペプチド、ポリペプチド、タンパク質)以外の陰イオンポリマーである。
【0020】
適した陰イオンポリマーの例は、硫酸化またはポリ硫酸化単糖ならびにその塩および複合体;硫酸化またはポリ硫酸化二糖ならびにその塩および複合体;硫酸化またはポリ硫酸化多糖ならびにその塩および複合体;デキストランサルフェート(たとえばデキストラン硫酸ナトリウム)ならびにその塩および複合体;コンドロイチンサルフェートならびにその塩および複合体;ペントサンポリサルフェートならびにその塩および複合体;スクロースサルフェート(たとえばアルミニウムスクロースサルフェート以外のスクロースオクタサルフェートなど、任意のスクロースサルフェート)ならびにその塩および複合体;フコイダン(たとえば藻類抽出物または処理された藻類抽出物)ならびにその塩および複合体;硫酸化ガラクタンならびにその塩および複合体;カラギナン(たとえばChondrus Crispus)ならびにその塩および複合体;硫酸デンプンならびにその塩および複合体;セルロースサルフェートならびにその塩および複合体;硫酸化グリコサミノグリカンならびにその塩および複合体;ヘパリン;ヘパランサルフェート;硫酸化グルカン;ならびに/または任意のその組み合わせ(複数可)を含むことができるが、これらに限定されない。
【0021】
当業者らは、所望の陰イオンポリマーが、化学的および/または酵素的合成によって硫酸化またはポリ硫酸化多糖ならびにその塩および複合体を調製することによって得ることができることを認識するであろう。
【0022】
抗菌ペプチド隔離化合物は、植物抽出物、藻類抽出物、アロエベラ(aloe vera)(barbadensis)抽出物、サボテン抽出物、またはサメもしくは魚の軟骨抽出物とすることができる。
【0023】
同様に、抗菌ペプチド隔離化合物は、硫酸化またはポリ硫酸化ポリマー(たとえばポリ(ビニル硫酸)、ポリ(アネトールスルホネート))とすることができる。
【0024】
抗菌ペプチド隔離化合物はまた、重合体スルホン酸とすることもできる。非限定的な例として、本明細書において記載される使用のための方法および組成物において使用することができるある適した重合体スルホン酸は、Aristoflex(登録商標)HMP(アンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマーとも呼ばれる;Clariantによって製造される)などの疎水性修飾重合体スルホン酸である。本明細書において記載される方法および組成物において使用することができる他の適した重合体スルホン酸は、Aristoflex(登録商標)AVC(アンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/VPコポリマーとも呼ばれる;Clariantによって製造される)である。
【0025】
その代わりに(またはさらに)、抗菌ペプチド隔離化合物は、リン酸(たとえばグリセロリン酸ナトリウムなど、グリセリンリン酸)またはポリリン酸(たとえば単糖リン酸、二糖リン酸、多糖リン酸、グリセロリン酸塩(つまりグリセロリン酸ナトリウム)、もしくはリン酸デンプン)とすることができる。リン酸デンプンの適した例は、ヒドロキシプロピルリン酸デンプン(つまりStructure XL(National Starch,LCC))を含むが、これらに限定されない。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗菌ペプチド隔離化合物は、ホスファチジルコリンまたはレシチンなど、リン脂質とすることができる。
【0027】
他の実施形態では、抗菌ペプチド隔離化合物は、カルボキシレート、ポリヒドロキシ酸、ヒアルロン酸、アルギネート、および/またはポリ乳酸とすることができる。
【0028】
当業者らは、本明細書において記載される抗菌ペプチド隔離化合物の任意の適した組み合わせ(複数可)は、本発明の使用のための方法および組成物において使用することができることを認識するであろう。どの1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を使用するのかを決定することは、当技術分野における技術のルーチン的なレベルの範囲内にある。
【0029】
好ましくは、抗菌ペプチド隔離は、1mol当たり少なくとも100g(好ましくは1mol当たり100〜100,000g;より好ましくは1mol当たり100〜25,000g;最も好ましくは1mol当たり100〜10,000g)の分子量である陰イオン化学物質である。
【0030】
本明細書において記載される使用のための方法または組成物のいずれかにおいて、抗菌ペプチド隔離化合物は、さらに、線維芽細胞増殖因子(たとえばbFGF)、血管内皮細胞増殖因子、およびその他同種のものを含むが、これらに限定されないヘパリン結合増殖因子および/またはサイトカインに結合するかまたはそれを隔離してもよい。
【0031】
好ましくは、本明細書において記載される使用のための方法および組成物において使用される1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物は、それらが局所適用または投与に適するように処方される。したがって、本明細書において記載される組成物は、安定しており、化粧用に洗練されており、かつ当該皮膚疾患および皮膚障害によって冒された対象に対して十分な耐性がある。非限定的な例として、本明細書において記載される組成物は、局所使用に適した溶液、懸濁物、ゲル、ヒドロゲル、クリーム、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ローション、スプレー、軟膏、パッチ、組織クロス、ワイプ、石けん、ペースト、エアロゾル、およびマスクとして処方することができる。
【0032】
抗菌ペプチド隔離化合物は、0.01w%〜溶解性のその限界までの量で、これらの局所処方物中に組み込むことができる。たとえば、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物は、0.01w5〜25w%の量で、局所処方物の中に組み込まれる。好ましくは、抗菌ペプチド隔離化合物の量は、0.05w%〜25w%である。
【0033】
本発明の使用のための方法および組成物において使用される1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物は、キトサン、DEAEデキストラン、陽イオングアーガム、陽イオン多糖(たとえば陽イオンセルロース)、サッカリドおよび合成陽イオン単量体の陽イオンコポリマー、陽イオンポリアルキレン(polyakylene)イミン、ならびに陽イオンエトキシポリアルキレンイミンを含むが、これらに限定されない陽イオンポリマーを実質的に含まないべきである。同様に、組成物はまた、アルミニウムまたはアルミニウムイオンを実質的に含まないべきである。
【0034】
本明細書において記載される方法はまた、1つまたは複数のさらなる化合物または活性成分の投与を含むことができる。同様に、本発明の使用するための組成物はまた、1つまたは複数のさらなる化合物または活性成分を含むことができる。非限定的な例として、これらのさらなる化合物または活性成分は、酒さ阻害性作用物質(たとえばメトロニダゾール、スルファセタミド、ナトリウムスルファセタミド、硫黄、ダプソン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン(tetracylcline)、アゼライン酸、ドベシル酸カルシウム、マレイン酸、およびその任意の適合性の組み合わせ);α−アドレナリン作用性受容体アゴニスト(たとえばクロニジン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン(doxtroamphetamine)、アプラクロニジン、ジピベフリン、α−メチルドパ、オキシメタゾリン、塩酸オキシメタゾリン、メトキサミン、メタラミノール、メデトミジン、デクスメデトミジン、エチルノルエピネフリン、グアンファシン、酢酸グアナベンズ、フェニレフリン、塩酸フェニレフリン、エフェドリン、エピニン、エピネフリン、エチルノルエピネフリン、レバルテレノール、ロフェキシジン、ノルエピネフリン、ノルフェニレフリン、ノルエフェドリン、フェニルプロパノラミン、ペモリン、プロピルヘキセドリン(propylhexadrine)、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、α−メチルノルエピネフリン、メチルフェニデート、メフェンテルミン、ミドドリン、ミバゼロール(mivazerol)、モクソニジン、デスグリミドドリン、テトラヒドロゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、シラゾリン、アミデフリン、ブリモニジン、酒石酸ブリモニジン、ナファゾリン、イソプロテレノール、キシラジン、キシロメタゾリン、および/もしくはチザニジン);コルチコステロイド、エフェドリン、プソイドエフェドリン、カフェイン、および/もしくはエスチンを含むが、これらに限定されない血管収縮の特性を有する、化学物質および植物抽出物;マオウ、phedra sinica(ephedra sinica)、hamamelis viginiana、hydrastis canadensis、lycopus virginicus、aspidosperma quebracho、cytisus scoparius、raphanus sativus linn(ラディッシュ葉抽出物)、セイヨウトチノキ抽出物などおよびその任意の適合性の組み合わせ;ならびに/または鼻および/もしくは鼻腔うっ血除去薬を含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0035】
さらなる例は、抗炎症特性を有する化学物質または植物性抽出物(たとえばコルチコステロイド(短期使用用))、非ステロイド性抗炎症薬、リノール酸、リノレン酸、ビサボロール、グリシレチン酸、グリセリン、抗炎症特性を有する植物抽出物(つまり茶抽出物、カモミール抽出物)、抗炎症性インターロイキン(たとえばIl−1ra);イソプレニルシステイン(isoprenylcystein)類似体(つまりN−アセチル−S−ファルネシル−L−システイン)、抗炎症特性を有する芳香族アルデヒド(たとえば4−エトキシベンズアルデヒド)など、およびその任意の適合性の組み合わせ);抗ヒスタミン特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗菌特性を有する化学物質または植物性抽出物(たとえば、ゲンタマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、キノロン、シプロフロキサシン、および/またはノボビオシンを含むが、これらに限定されない抗生物質);抗真菌特性を有する化学物質または植物性抽出物(たとえばケトコナゾール、塩酸ナフチフィン、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、尿素、塩酸テルビナフィン、硫化セレンなど);抗ダニ特性を有する化学物質または植物性抽出物(たとえばクロタミトン、イベルメクチン、ペルメトリンなど);抗ざ瘡特性を有する化学物質または植物性抽出物(つまり過酸化ベンゾイル、サリチル酸、レチノイン酸、トレチノイン;アルファヒドロキシ酸;抗生物質など);抗寄生物特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗ふけ特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗脂漏特性を有する化学物質または植物性抽出物;角質溶解特性を有する角質溶解薬または植物性抽出物(つまりアルファヒドロキシ酸;ベータヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、尿素、サリチル酸など);抗アンドロゲン特性を有する化学物質または植物性抽出物;収斂性の特性を有する化学物質;セリンプロテアーゼインヒビター;飽和ジカルボン酸;アルファヒドロキシ酸(たとえばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸など);ベータヒドロキシ酸(たとえばカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシβ−メチル酪酸、サリチル酸など)を含むことができる。
【0036】
他の化合物または活性成分は、レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン、レチノール、および/または誘導体;過酸化ベンゾイル;ダプソン;キネチン(N−フルフリルアデニン)および誘導体(たとえばフルフリルアミノテトラヒドロピラニルアデニン);ナイアシンアミド(ニコチンアミド);日焼け止め;酸化防止剤;皮膚軟化薬;湿潤薬;皮膚モイスチャライザー;皮膚保護薬;皮膚バリアエンハンサー;皮膚浸透エンハンサー;化粧用の使用に適した無機質(たとえば滑石、雲母、酸化鉄など);化粧用の使用に適した化粧品;ペプチド、脂肪酸ペプチド、またはその組み合わせ;化粧用の使用に適した色添加剤;化粧用の使用に適した光学的ぼかし剤(blurring agent);ペプチドおよび/または脂肪酸ペプチド;リン脂質(たとえばホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、レシチン、リソレシチンなど);増殖因子および/またはサイトカイン(たとえばTGFベータ、EGF、PDGF、IL−10など)、細胞溶解物(たとえば皮膚線維芽細胞溶解物、幹細胞溶解物、processed skin cell proteins(PSP(登録商標))など)、細胞培養馴化培地(たとえば、皮膚線維芽細胞由来の細胞培養馴化培地、幹細胞由来の細胞培養馴化培地、Nouricel−MD(登録商標)など);細胞溶解物または細胞抽出物、幹細胞溶解物もしくは抽出物、幹細胞由来の構成成分、および/または細胞培養馴化培地;表皮または他のヒト幹細胞を刺激する成分;皮膚コンディショニング剤;皮膚を明るくするおよび/または輝かせる作用物質;抗しわおよび/または抗老化剤;酵母、醸造業者使用済み穀物(brewer spent grain)(ビール醸造の副産物)、オオムギ、ダイズ、豆乳、カラスムギ、ラベンダー、甘草、ショウガ、ニンジン、ウコン、リンゴ、ムチサンゴ、藻類、アロエベラ(barbadensis)の葉、サボテン、茶、カモミール、カバノキなど由来の植物および/または野菜抽出物(たとえば、凍結乾燥物(lyophilisate)、蒸発物(evaporate)、留出物、濾過液など、抽出物および/または濃縮物);植物油;シリコーン油;脂肪酸および/または脂肪酸エステル;ならびにその任意の混合物を含むことができる。例示的な脂肪酸および/または脂肪酸エステルは、リノール酸、リノレン酸、および/またはそのエステルを含むが、これらに限定されない。
【0037】
非限定的な例として、さらなる化合物または活性成分は、魚軟骨、サメ軟骨、またはナマコもしくはウニなど、海洋無脊椎動物由来の抽出物(たとえば凍結乾燥物、蒸発物、留出物、濾過液、超臨界流体(たとえば二酸化炭素)抽出物など、抽出物および/または濃縮物)をさらに含有していてもよい。
【0038】
本発明の方法のいずれもまた、1つまたは複数のメトロニダゾール、スルファセタミド、スルファセタミドナトリウム、硫黄、テトラサイクリン(tetracyline)、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、および/またはミノサイクリンの投与を含んでいてもよく、本発明の使用するための組成物のいずれも、それらをさらに含有してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法のいずれもまた、アゼライン酸の投与を含んでいてもよく、使用のための組成物のいずれも、それをさらに含有してもよい。いくつかの実施形態では、本発明の方法のいずれもまた、ドベシル酸カルシウムの投与を含んでいてもよく、使用のための組成物のいずれも、それをさらに含有してもよい。なおさらなる実施形態では、本発明の方法のいずれもまた、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、および/またはその誘導体(つまりキサンチン)の投与を含んでいてもよく、使用のための組成物のいずれも、それらをさらに含有してもよい。さらに、本発明の方法のいずれもまた、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、およびビタミンK、クレアチン、カルニチン、ならびにリノール酸および/またはリノレン酸など、必須脂肪酸の投与を含んでもよく、使用のための組成物のいずれも、それらをさらに含有してもよい。
【0039】
他の実施形態では、本発明の方法のいずれもまた、たとえば硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛グリシネート、グルコン酸亜鉛、亜鉛ヒスチジン、亜鉛L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート(亜鉛PCA)など、亜鉛塩、リノール酸の亜鉛塩、リノレン酸の亜鉛塩、アゼライン酸の亜鉛塩、亜鉛ペプチド、酸化亜鉛、またはその組み合わせの投与を含んでいてもよく、使用のための組成物のいずれも、それをさらに含有してもよい。
【0040】
さらに、本発明の方法のいずれもまた、硫酸銅、塩化銅、銅グリシネート、グルコン酸銅、銅ヒスチジン、銅L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート(銅PCA)を含むが、これらに限定されない銅塩、リノール酸の銅塩、リノレン酸の銅塩、アゼライン酸の銅塩、銅ペプチド、またはその組み合わせの投与を含んでいてもよく、使用のための組成物のいずれも、それをさらに含有してもよい。
【0041】
本明細書において記載される組成物のいずれも、状態を処置するために、皮膚状態または障害に罹患したあらゆる患者に投与することができる。たとえば、組成物は、酒さ、乾癬、ざ瘡、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、メラノーマなど、皮膚がん、皮膚創傷および潰瘍、ならびに/または皮膚の抗菌ペプチドの形成および/もしくはプロセシングの調節解除と関連する他の皮膚障害から選択される障害に罹患した患者または対象に投与することができる。
【0042】
本明細書において記載される方法のいずれかにおいて、本発明の組成物は、皮膚障害または疾患に冒されている対象に適しており、皮膚障害および疾患と関連する1つまたは複数の症状の減少を引き起こすのに十分である量(つまり当該組成物における当該抗菌ペプチド隔離化合物の強度または濃度)で;投与用量(つまり、皮膚表面当たりに局所的に適用される当該組成物の量(たとえば1cm当たりの0.2〜2mgの組成物の皮膚の表面上への投与用量)で;投与の度数(つまり、毎日、毎日2回、毎日3回、毎週1回、毎週2回など)で、および処置の期間(つまり少なくとも1〜2週間)にわたり、対象に投与することができる。
【0043】
当業者らは、酒さと関連した症状が、容易に紅潮するもしくは赤くなる傾向;顔のクモ状の血管の数の増加(毛細血管拡張症);慢性皮膚発赤もしくは紅斑;膿疱性のおよび/もしくは丘疹性の病変を含むが、これらに限定されないざ瘡様の皮疹;顔の熱傷もしくは刺痛感の感覚;赤い鼻およびふくらんだ鼻;ならびに/またはその任意の組み合わせを含んでいてもよいことを認識するであろう。
【0044】
当業者らは、ざ瘡(尋常性ざ瘡または嚢腫性ざ瘡とも呼ばれる)と関連する症状が、ざ瘡病変または皮疹、嚢腫、膿疱、黒色面皰、および白色面皰;また、皮疹の痂皮形成、炎症、および皮疹のまわりの発赤、ならびにそれらの病変および皮疹に関連する皮膚の瘢痕を含んでいてもよいことを認識するであろう。
【0045】
当業者らは、アトピー性皮膚炎(湿疹とも呼ばれる)と関連する症状が、かゆみ、乾燥またはかたい皮膚領域、皮膚発赤または炎症、発疹、滲出および痂皮形成を伴う水疱、ならびに引っ掻きによる皮膚の皮のむけた領域(raw areas of the skin)を含んでいてもよいことを認識するであろう。
【0046】
当業者らは、乾癬と関連する症状が、皮膚のひりひりする斑、発赤(肘、膝、および胴上に見られることが多いが、体のどこにでも現れ得る)、ならびに頭皮の薄片状の斑を含んでいてもよいことを認識するであろう。斑(またはしみ)は、色が淡紅色〜赤色(pink−red)(サケの色のような)で、乾燥しておりかつ銀色で薄片状の皮膚(鱗屑)により覆われ、および/またはふくれておりかつ厚くてもよい。
【0047】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物もまた、本明細書において提供され、組成物は、a)約60.30(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム(xantham gum)、約1.25(重量)%のアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー、および約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含有する第1の相;b)約14(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン;約0.1(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、約15(重量)%のグリセリン、および約1(重量)%のフェノキシエタノールを含有する第2の相;c)約1(重量)%のヒドロキシプロピル(hydroxylpropyl)リン酸デンプンを含有する第3の相;ならびにd)約3%のカプリリルメチコンを含有する第4の相から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である。
【0048】
他の態様では、本発明はまた、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物であって、組成物は、a)約60.30(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム、約1.25(重量)%のアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー、および約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含有する第1の相;b)約13.85(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン;約0.25(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、約15(重量)%のグリセリン、および約1(重量)%のフェノキシエタノールを含有する第2の相;c)約1(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含有する第3の相;ならびにd)約3%のカプリリルメチコンを含有する第4の相から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である組成物もまた、提供する。
【0049】
なおさらなる態様では、本発明は、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物であって、組成物は、a)約60.04(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム、約1(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプン、ならびに約1(重量)%のヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウリンコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート−60を含有する第1の相;b)約15(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン;約0.5(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、約0.2(重量)%のクロルフェネシン、約15(重量)%のグリセリン、および約0.5(重量)%のフェノキシエタノールを含有する第2の相;c)約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンおよび約0.41(重量)%のヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウリンコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート−60を含む第3の相;ならびにd)約2%のカプリリルメチコンを含む第4の相から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である組成物を提供する。
【0050】
様々な実施形態では、本発明はまた、本明細書において開示される組成物のいずれかおよび少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含有する薬学的処方物を提供する。同様に、本発明はまた、本明細書において開示される組成物のいずれかおよび少なくとも1つの化粧用に許容されるキャリアを含有する化粧用処方物を提供する。
【0051】
本発明はまた、1つまたは複数の容器中に、本明細書において記載される薬学的および/または化粧用処方物を含有するキットをも提供する。当業者らは、これらのキットが、皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害の処置における、薬学的および/または化粧用処方物の使用のためのさらなる説明書を含有してもよいことを認識するであろう。最後に、本発明は、本明細書において記載される、薬学的におよび/または化粧用に有効な量の組成物の単位投薬形態を提供する。
【0052】
その他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する当技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものに類似するかまたはそれと等価である方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、適した方法および材料は、下記に記載される。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、および、他の参考文献はすべて、それらの全体が参照によって組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が、管理することとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に例証であり、限定するものとして意図されない。
【0053】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書および添付の請求項において、文脈が明白にその他に指示しない限り、単数形は、複数形の意味を含む。便宜上、本明細書、実施例、および請求項において使用されるある種の用語をここにまとめる。
【0055】
本発明の組成物および方法が記載される前に、本発明は、これらが変更されてもよいので、本明細書において記載される特定の組成物、プロセス、または方法論に限定されないことを理解されたい。説明において使用される用語は、特定のバージョンまたは実施形態のみを記載する目的のためのものであり、本発明の範囲を限定するようには意図されず、これは、添付の請求項によってのみ限定されるもまた、理解される。
【0056】
本明細書において記載される化合物は、不斉中心を含有してもよく、したがって、鏡像異性体として存在してもよい。本発明による化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合は、それらは、さらに、ジアステレオマー(diasteromers)として存在してもよい。本発明は、実質的に純粋な分割された鏡像異性体、そのラセミ混合物、およびジアステレオマーの混合物のような可能な立体異性体をすべて含む。本明細書において提供されるいかなる式も、ある配置での明確な原子配置を伴わないで示される。本発明は、そのような式の立体異性体および許容されるその塩をすべて含む。鏡像異性体のジアステレオマーの対は、たとえば分別晶出によって適した溶媒から分離されてもよく、このように得られた鏡像異性体の対は、従来の手段によって、たとえば、分割剤としての光学活性な酸もしくは塩基の使用によってまたはキラルHPLCカラム上で、個々の立体異性体に分離されてもよい。さらに、一般式の化合物のあらゆる鏡像異性体またはジアステレオマーは、公知の立体配置の光学的に純粋な出発物質または試薬を使用して、立体特異的合成によって得られてもよい。
【0057】
当業者らは、皮膚の抗菌ペプチドの産生およびプロセシングにおける機能不全(または調節解除)が、いくつかの皮膚疾患の病変形成において重要な役割を果たすことが最近実証されたこと認識するであろう。抗菌ペプチドの皮膚の産生は、微生物の侵入からの保護のための第一のシステムである。抗菌ペプチドは、上皮性関門を保護する先天性の免疫防御の重要なエフェクター分子である。現在まで、700を超える抗菌ペプチドが、植物、両生動物、昆虫、および哺乳動物など、種々の種から単離されてきた。
【0058】
抗菌ペプチドはすべて、プロ形態として合成され、これらは、続いて、様々な長さの成熟ペプチドに処理される。種々の構造モチーフにもかかわらず、これらのペプチドのほとんどの一般的な特徴は、それらが、陽イオンであり、両親媒性の構造を形成するということである。抗菌ペプチドは、細菌、菌類、エンベロープウイルス、および原生動物を含む、広範囲の病原体に対する広いスペクトルの抗菌活性を示し、そのため、先天性の宿主防御において重要な役割を果たす。ほとんどの抗菌ペプチドの作用様式は、十分に理解されていない。多くの抗菌ペプチドは、細菌の死滅メカニズムの一部として、細菌の細胞膜の透過性を増加させる。天然の抗生物質である以外に、最近の証拠は、抗菌ペプチドは、先天性および適応免疫反応を連結する際に、さらに、シグナル伝達分子として重大な役割を果たすことを示唆する。抗菌ペプチドは、樹状細胞およびT細胞の走化性ならびに樹状細胞の成熟および活性化を媒介し、この手段によって、感染病原体に対する獲得免疫反応を活性化することができる。
【0059】
ヒト皮膚では、ケラチノサイトは、抗菌活性ペプチドの主な供給源である。さらに、好中球、肥満細胞、T細胞、エクリン汗腺、毛球細胞、および皮脂腺細胞のように皮膚中に存在する細胞もまた、抗菌ペプチドを産生することができる。それらは、恒常的にまたは炎症性の刺激後に発現させることができる。
【0060】
皮膚において、カテリシジン、デフェンシン、およびダームシジンを含むが、これらに限定されない抗菌ペプチドの様々なファミリーが同定されてきた。RNアーゼ7、psoriasin(S100A7)、およびアドレノメデュリンは、皮膚における、記載される他の抗菌ペプチドである(Infectious Disorders − Drug Targets、2008年、8巻、135〜143頁を参照されたい)。
【0061】
カテリシジンファミリーは、プロテイナーゼによる切断後に前駆物質タンパク質から放出され得る保存N末端カテリン(cathelin)ドメインおよび多様なC末端抗菌ドメインによって特徴付けられる。LL−37は、ヒト陽イオン抗菌タンパク質(hCAP18)と呼ばれる、現在までに同定された唯一のヒトカテリシジンのC末端部分であり、これは、炎症性の刺激後にまたは炎症性の皮膚障害において好中球、肥満細胞、およびケラチノサイトによって主として発現される。カテリシジンhCAP18/LL−37は、殺菌作用、走化性、上皮細胞活性化、血管形成、上皮の創傷治癒、およびケモカイン分泌の活性化を含む様々な宿主反応を媒介し得る多機能性分子である。しかしながら、成熟LL−37ペプチドおよび前駆物質タンパク質のいくつかの抗菌活性切断型形態は、非常に低い量でのみ、汗において見つけられる。LL−37は、グラム陽性およびグラム陰性細菌に対して抗菌活性の広いスペクトルを有する。さらに、それは、β−デフェンシンなど、他の抗菌ペプチドと共に相乗効果を示す。
【0062】
デフェンシンは、3〜5kDaの分子量を有する陽イオンペプチドであり、分子内ジスルフィドブリッジの配置に基づいてアルファ、ベータ、およびシータサブファミリーに分けられる。ヒトでは、α−およびβ−デフェンシンのみが発現される。デフェンシンは、細菌、菌類、およびエンベロープウイルスに対して抗菌活性を示し、好中性顆粒、マクロファージ、および上皮細胞から単離されてきた。ヒト皮膚では、α−デフェンシンは、好中球において発現されるが、ヒト皮膚におけるケラチノサイトは、β−デフェンシン1、2、3、および4を発現する。ヒトβ−デフェンシン−1は、低い量で、表皮の基底上層において恒常的に産生される。ヒトβ−デフェンシン−1および−2の発現は、乾癬の鱗屑の損傷性皮膚においてのように、皮膚の外傷または炎症によって増加し、炎症誘発性サイトカインおよび細菌の接触によって誘発される。ヒトβ−デフェンシン−2は、表皮の上部のマルピーギ層および角質層に局在化し、ここで、それは、表皮の表皮有棘層の刺激されたケラチノサイトの層板小体において保存される。ヒトβ−デフェンシン−1および−2は、主として、グラム陰性細菌に対して抗菌活性を示すのに対して、ヒトβ−デフェンシン−3は、多耐性細菌を含むグラム陽性およびグラム陰性細菌に対して抗菌活性の広いスペクトルを示す。
【0063】
ダームシジンは、グラム陽性およびグラム陰性細菌ならびにC.albicansに対して活性を有する抗菌ペプチドである。ダームシジン発現は、ヒト皮膚に制限され、ここで、それは、エクリン汗腺において恒常的に発現され、汗の中に分泌され、表皮表面へ輸送される。汗において、ダームシジン−1L(48アミノ酸長、陰イオン)、ダームシジン−1(47アミノ酸長、陰イオン)、およびSSL−25(25アミノ酸長、陽イオン)のようないくつかのタンパク分解性処理N末端切断型ダームシジン由来抗菌ペプチドは、電荷および長さが異なっていることが分かった。ダームシジン由来ペプチドは、上皮の皮膚に重なる一定の障壁を構築することによって第1の防衛線に寄与する。ダームシジン−1は、ヒト汗に似ているin vitroにおける条件下で、S.aureus、E.coli、E.faecalis、およびC.albicansなど、病原微生物に対して抗菌活性を示す。
【0064】
酒さを有する個人において、異常に高度なレベルのカテリシジンが、彼らの顔の皮膚において見つけられる。さらに、カテリシジンペプチドのタンパク分解性処理形態は、正常な個人からの皮膚と比較して、酒さ皮膚において増加しているおよび/または異なる。これらのカテリシジンペプチドは、表皮におけるプロテアーゼ(つまり角質層トリプシン酵素)の増加と関連する翻訳後プロセシング異常の結果である。
【0065】
抗菌ペプチド発現の改変はまた、酒さ以外の他の皮膚障害および皮膚疾患において観察されてきた(Infect Disord Drug Targets 8巻:135〜43頁(2008年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。
【0066】
酒さなどで、抗菌ペプチドの過剰発現は、重感染をめったにもたらさない炎症性の皮膚疾患である乾癬を有する患者において見られるような皮膚感染に対する保護の増加に至り得る。乾癬において、LL37を含む抗菌ペプチド、ヒトベータデフェンシン2および3はすべて、アップレギュレートされ、炎症およびその疾患の病変形成に寄与すると考えられる(Curr Pharm Des 16巻:1024〜39頁(2010年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。乾癬において、カテリシジンペプチドは、自己のDNAを、自己炎症性カスケードにおける強力な刺激に変換する(J Allergy Clin Immunol 122巻:261〜66頁(2008年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。他の皮膚疾患において、たとえば、尋常性ざ瘡を有する患者において、抗菌ペプチドのレベルの増加は、炎症を起こしたまたは感染した皮膚領域において見つけられることが多く、感染からの保護におけるこれらのペプチドの役割を示す(Infect Disord Drug Targets 8巻:135〜43頁(2008年)(参照によって本明細書において組み込まれる))。
【0067】
アトピー性皮膚炎(湿疹)における抗菌ペプチドの発現は、なお明らかになりつつある。同様に、乾癬におけるように、皮膚障壁の障害が、アトピー性皮膚炎における抗菌ペプチド誘発を引き起こし得ると推測される(J Invest Dermatol 130巻:1355〜64頁(2010年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。しかしながら、他の研究は、アトピー性皮膚炎を有する患者の皮膚疾患変が、ベータデフェンシンおよびカテリシジンLL−37の発現の減少を有することを示した。(Semin Cutan Med Surg, 27巻:144〜50頁(2008年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。さらに、これらの患者は、in vivoにおいてヒト皮膚の損なわれた先天性の防御と相関するそれらの汗におけるダームシジンの量の低下を有することが示された。
【0068】
さらに、抗菌ペプチドのレベルの減少は、熱傷および慢性的な創傷と関連する。
【0069】
したがって、酒さ、乾癬、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、メラノーマなど、皮膚がん、皮膚創傷および潰瘍、ならびに/または皮膚の抗菌ペプチドの形成および/もしくはプロセシングの調節解除と関連する他の皮膚障害を含むが、これらに限定されない皮膚の疾患および障害の処置に有用な組成物および方法が、本明細書において提供される。そのような組成物は、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を含む。そのような化合物の使用は、抗菌ペプチドの産生およびプロセシングにおける機能不全を有する皮膚障害および皮膚疾患の有効な処置を提供する。
【0070】
好ましくは、抗菌ペプチド隔離化合物は、米国特許出願公開第20090318534号(参照によって本明細書において組み込まれる)において記載されるように、抗菌ペプチド(つまりカテリシジン)タンパク質分解を標的にせず、かつ阻害しないおよび/または抗菌ペプチド(つまりカテリシジン)産生もしくは活性における低下をもたらさない。むしろ、その適用は、カテリシジンのアップレギュレーションを低下させるために、ビタミンDまたはビタミンD受容体(ビタミンDインヒビターまたはビタミンD受容体アンタゴニストを使用して)の局所的な阻害を通してカテリシジン発現を阻害することによる、酒さの処置を開示する。US20090318534は、セリンプロテアーゼインヒビター(アプロチニンおよび4−(2−アミノエチル)−ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSF)など)を使用してカテリシジン前駆物質タンパク質を切断する酵素であるカリクレイン角質層トリプシン酵素(SCTE)を阻害することによる、酒さの処置をさらに開示し、また、抗体および小分子作用物質ならびにアンチセンス、リボザイム、および/または遺伝子療法技術を使用してカテリシジン発現または活性を阻害するかまたは低下させることによって、炎症性疾患および障害(酒さおよび/またはざ瘡を含む)の処置のための方法をも提供する。
【0071】
そのような処置方法は、ビタミンD活性の局所的な阻害、ビタミンD受容体活性の阻害、またはその活性な断片に完全長カテリシジンを切断するプロテアーゼのインヒビターの使用を通しての、炎症の部位での処置を含んでいてもよい。さらに、米国特許出願第20090318534号は、酒さの処置において使用される炎症阻害性組成物(たとえば酒さ阻害性組成物)が、(i)カテリシジン活性インヒビターもしくは発現インヒビター(つまり、たとえば、カテリシジンのN末端もしくはC末端ドメイン(たとえばLL37)を含む、カテリシジンポリペプチドの生物学的活性を低下させる任意の作用物質、(ii)セリンプロテアーゼ活性インヒビターもしくは発現インヒビター(つまり、SCTEインヒビターなど、セリンプロテアーゼポリペプチドの生物学的活性を低下させる任意の作用物質、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせを含むことができることをさらに開示する。
【0072】
例示的なカテリシジン阻害性作用物質は、カテリシジンポリペプチドまたはその機能的な断片に結合し、かつ阻害する抗体、不活性なペプチドにカテリシジンポリペプチドを分解する酵素、およびその他同種のものを含む。カテリシジン発現インヒビターは、たとえば、アンチセンス分子、リボザイム、およびカテリシジンポリヌクレオチド(たとえばDNAまたはRNA)の転写または翻訳を低下させる小分子作用物質(たとえばビタミンD3アンタゴニスト)を含むことができる。例示的なセリンプロテアーゼ阻害性作用物質は、セリンプロテアーゼポリペプチドまたはその機能的な断片に結合し、かつ阻害する抗体、不活性なペプチドにセリンプロテアーゼポリペプチドを分解する酵素、および同種のものを含む。セリンプロテアーゼ発現インヒビターは、たとえば、アンチセンス分子、リボザイム、およびセリンプロテアーゼポリヌクレオチド(たとえばDNAまたはRNA)の転写または翻訳を低下させる小分子作用物質(たとえばビタミンDアンタゴニスト)を含む。
【0073】
しかしながら、米国特許出願第20090318534号は、酒さ、ざ瘡、乾癬、アトピー性皮膚炎、メラノーマなど、皮膚がん、皮膚創傷および潰瘍、ならびに/または皮膚の抗菌ペプチドの形成および/もしくはプロセシングの調節解除と関連する他の皮膚障害を含むが、これらに限定されない皮膚の疾患ならびに障害の処置のために本発明の組成物において使用される抗菌ペプチド隔離化合物の使用を開示していない。
【0074】
具体的には、本明細書において使用されるように、「抗菌ペプチド隔離化合物」は、分子間引力(つまりクーロン力、ファンデルワールス力など)によって抗菌ペプチドに結合する能力を有する、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質(つまりポリアミノ酸)以外の化学化合物として定義される。より具体的には、カテリシジンなど、抗菌ペプチドへの結合によって、抗菌ペプチド隔離化合物は、抗菌ペプチドの拡散する能力(たとえば、水中で、体液中で、皮膚中で、皮脂中で、ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲルなど、人工マトリックス中で、など)、吸収されるその能力(たとえば、皮膚表面から表皮および真皮を含む皮膚組織のより深い層へ)、または吸着されるその能力(たとえば、皮膚表面への付着および/または他の生物学的組織の表面もしくは界面への付着)を改変することができる。さらに、抗菌ペプチド隔離化合物と抗菌ペプチドの間の相互作用は、抗菌ペプチド隔離化合物および抗菌ペプチドの間の分子間引力に干渉する、それを破壊する、および/または弱めるある種の化学物質(たとえば塩、陽イオン、ポリカチオン)によって逆転させることができる。
【0075】
本発明に従う、酒さならびに皮膚の抗菌ペプチドの産生およびプロセシングにおける機能不全と関連する他の皮膚障害および疾患の処置のための抗菌ペプチド隔離化合物の使用は、先行技術の教示に基づいて予測できるものではない。むしろ、本明細書において記載される抗菌ペプチド隔離化合物は、単に、抗原抗体複合体を形成する2つ(または2つ以上)のポリアミノ酸複合体(つまりペプチド、ポリペプチド、タンパク質)の間の相互作用と異なり、それほど特異的ではない非特異的な分子間力を通して抗菌ペプチドに結合することによって、それらの効能を示す。
【0076】
対照的に、抗体によって認識される抗原の特有の部分は、エピトープと呼ばれる。エピトープは、高度に特異的な相互作用においてそれらの抗体と結合し、これは、抗体がそれらの特有の抗原のみを同定し、結合するのを可能にする。したがって、当業者らは、米国特許出願第20090318534号において開示される抗体抗原相互作用によって形成される複合体は、本発明において開示されるように、ポリアミノ酸(つまりペプチド、ポリペプチド、タンパク質)以外の抗菌ペプチド隔離化合物によって隔離される抗菌ペプチドとは異なることを容易に認識するであろう。
【0077】
さらに、本明細書において開示されるように、抗菌ペプチド隔離化合物はまた、抗菌ペプチドの形成(つまり、抗菌ペプチドポリヌクレオチドの遺伝子発現および/もしくは転写もしくは翻訳の阻害を通して)または生物学的活性(つまり、抗菌ペプチドもしくはその機能的な断片に結合し、阻害する抗体の使用を通して)を阻害しない。同様に、それらはまた、抗菌ペプチドの分解(つまり、不活性なペプチドに抗菌ペプチドを分解する酵素およびその他同種のものの阻害を通して)を阻害せず、分解からのその保護(つまり、不活性なペプチドへのその分解から抗菌ペプチドを保護する酵素およびその他同種のものの保護または増強を通して)を増強しない。
【0078】
さらに、酒さならびに皮膚の抗菌ペプチドの産生およびプロセシングにおける機能不全と関連する他の皮膚障害ならびに皮膚疾患の処置における抗菌ペプチド隔離化合物の効能は、多くの理由で驚くべきものであり、先行技術の教示を考慮しても予想されない。第1に、抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの隔離は、環境(つまり、皮膚中におよび/もしくは皮膚表面上に天然に存在するイオン、塩、脂質、アミノ酸、タンパク質、細胞外マトリックス成分、糖、DNAなど、バイオ分子の存在;皮膚の水分含有量(水和);ならびに/または皮膚表面上に存在する皮脂の量(たとえば脂性))ならびに抗菌ペプチド隔離化合物および抗菌ペプチドの間の相互作用が起こる位置(つまり、皮膚表面を含む皮膚(真皮、表皮、付属器)組織における)を含む多くの因子に強く依存する、複雑で予測不能のプロセスである。第2に、抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの隔離は、抗菌ペプチドの隔離が、ヒト皮膚中の抗菌ペプチドの天然の形成に影響を与えない(つまり阻害しない)ので、皮膚中のもしくは皮膚表面上の抗菌ペプチドの含有量(つまり濃度)の低下をもたらさないまたはそれは、皮膚中でもしくは皮膚表面上でその濃度に最小限に影響を与えるのみである(たとえば、皮膚への当該化合物もしくは組成物の適用後の抗菌ペプチドの希釈に関して)。第3に、抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの隔離は、可逆的であり(たとえば、高い濃度の陽イオンの存在下において)、これは、抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの結合が、弱められまたは排除され、それによって、抗菌ペプチドの放出をもたらし得、これにより、皮膚疾患および皮膚障害をもう一度引き起こし、悪化させ得ることを意味する。
【0079】
本発明の組成物および方法はまた、先行技術の組成物および方法と比較して、いくつかの著しい利点をも提供する(たとえば、米国特許出願第20090318534号を参照されたい)。たとえば、抗体(つまり免疫グロブリン)もしくは抗体ミメティックペプチドまたは抗菌ペプチドに特異的に結合するタンパク質(たとえば抗カテリシジン抗体、抗LL−37抗体、または抗デフェンシン抗体)の使用は、様々な理由で局所的な投与に適していない。最も重要なことには、抗体は、一般に、不安定であり、自発的な加水分解、酸化、および/または立体構造変化(変性)を受け、これは、それらの結合活性の損失または低下をもたらし得る(つまり、抗体および抗原の間の高度に特異的相互作用は、改変され、そのため、より弱くなるまたは不可能となる)。さらに、それらの大きな分子サイズ(つまり分子量(1mol当たりのグラムで表現される)または分子の体積)のために、抗体は、皮膚組織において生物学的活性を示すのに十分な量で皮膚に侵入しない。結果として、抗菌ペプチドの抗体(または抗体模倣ペプチドもしくはタンパク質)(米国特許出願第20090318534号において開示される)は、局所使用に適していない。
【0080】
さらに、当業者らは、たとえば、米国特許出願第20090318534号において開示される抗体もしくは抗体ミメティックペプチドまたは抗菌ペプチドに特異的に結合するタンパク質など、化粧用のまたは薬学的使用のために作製されたタンパク質が、ヒトにおいて様々な副作用を誘発し得ることを認識するであろう。たとえば、免疫毒性の影響は、特別な考慮に値する(Expert Opin Drug Metab Toxicol 4巻:1537〜49頁(2008年)を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。
【0081】
それらの構造および起源のために、化粧用のまたは薬学的使用のために作製されたタンパク質は、本質的に免疫原性である。免疫原性に関与する重要な因子に関する一般的な概念を描写するのに役立つ、広範囲な実験室での研究および臨床研究にもかかわらず、そのようなタンパク質がどの程度までヒトにおいて免疫原性であるかを予想するのは現在不可能である。特異的な抗体は、処置された患者の血清において検出されることが多く、それらは、取るに足らないものであることが多いが、それらはまた、効能を中和し、効能の減少をもたらし得る。さらに、そのようなタンパク質によって誘発されるアナフィラキシー反応は、まれに、また、真の血清病と同様に、報告されてきた。そのため、化粧用のまたは薬学的使用のために作製されたタンパク質の免疫毒性の影響は、頻繁であり、時に重く、さらに、可能性として生命を脅かすかもしれない。
【0082】
対照的に、本発明の組成物では、抗菌ペプチド隔離化合物は、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質ではなく、そのため、抗菌ペプチド隔離化合物は、米国特許出願第20090218534号において開示されるものなど、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質について典型的な不安定性および免疫毒性の影響を受けにくい。さらに、抗菌ペプチド隔離化合物は、一般に、抗体(典型的に1mol当たり100,000グラムを超える)よりも分子サイズが小さい。好ましくは、抗菌ペプチド隔離化合物は、1mol当たり100〜100,000グラムであり、より好ましくは、1mol当たり100〜25,000グラムであり、最も好ましくは、1mol当たり100〜10,000グラムである。したがって、これらの化合物は、抗菌ペプチドの抗体(または抗体模倣ペプチドもしくはタンパク質)(たとえば米国特許出願第20090318534号において開示される)よりも効率的な方法で皮膚に浸透することができる。
【0083】
さらに、本発明の抗菌ペプチド隔離化合物は、ビタミンD3アンタゴニストでもセリンプロテアーゼインヒビターでもない。カリクレインSCTEを含むビタミンD3およびセリンプロテアーゼインヒビターは、抗菌ペプチドと関連しない皮膚および他の器官(たとえば骨)における多くの機能の調節にとって不可欠であるので、ビタミンDおよびセリンプロテアーゼの本質的な生物学的経路への干渉は、長期間(たとえば2週間以上)にわたりビタミンD3アンタゴニストおよび/またはセリンプロテアーゼインヒビターを使用する場合、望まれない副作用をもたらし得る。
【0084】
本発明の一態様では、抗菌ペプチド隔離化合物は、皮膚においておよび皮膚の表面上で抗菌ペプチド(つまりカテリシジン)の利用可能性を低下させ、抗菌ペプチドの利用可能性における低下は、皮膚におけるまたは皮膚表面上の「遊離」抗菌ペプチドの存在の低下として理解することができる。「遊離」抗菌ペプチドのみが、抗菌ペプチドの生物学的シグナル(応答)の特徴を引き起こすことができ、これは、最終的に、当該皮膚障害/皮膚疾患(たとえば酒さ)に至る。本発明については、当該抗菌ペプチド隔離化合物によって隔離される抗菌ペプチドは、「遊離していない」ものとして定義され、そのため、抗菌ペプチドの生物学的シグナル特徴を引き起こすのに利用可能ではない。さらに、述べられるように、この低下は、(i)カテリシジン活性もしくは発現の阻害、(ii)セリンプロテアーゼ活性もしくは発現の阻害、(iii)カテリシジンポリヌクレオチドの転写もしくは翻訳の阻害、(iv)カテリシジンポリペプチドの発現の阻害、(v)不活性なペプチドへのカテリシジンポリペプチドの分解、(vi)ビタミンD3アンタゴニスト活性もしくはビタミンD受容体インヒビターとして、または(vii)その任意の組み合わせを通して達成されない。
【0085】
むしろ、抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの隔離は、(i)抗菌ペプチドの移動性(つまり拡散および/もしくは運搬)を制限する、(ii)抗菌ペプチドを変換する(つまりセリンプロテアーゼによる)ための到達性を低下させる、(iii)抗菌ペプチドの透過性を減少させる(つまり皮膚を通して、細胞壁から細胞質へ、皮膚の細胞外空間内でなど)、(iv)抗菌ペプチドがその受容体に結合する能力もしくは抗菌ペプチドに特徴的な他のリガンド受容体相互作用を制限する、または(v)その任意の組み合わせである。さらに、当該抗菌ペプチド隔離化合物による抗菌ペプチドの隔離は、抗菌ペプチド(たとえばカテリシジン)および抗菌ペプチド隔離化合物の間の非特異的な物理的相互作用(つまり静電力、ファンデルワールス力)の結果である。
【0086】
重要なことには、本発明の組成物は、緩やかで、実質的に非刺激的であるはずである。本発明は、酒さ、乾癬、ならびにヒトにおける抗菌ペプチド発現の機能不全と関連する他の皮膚疾患および皮膚障害を処置するための皮膚への局所適用のための、安定しており、十分に耐性のある組成物を提供する。(つまり、組成物は、顔など、皮膚への局所適用後に、刺痛感、熱傷、およびかゆみなど、皮膚刺激もしくは皮膚不快感をもたらさないまたは低い許容される皮膚刺激もしくは皮膚不快感のみもたらす)。
【0087】
安定した組成物は、(1)抗菌ペプチド隔離化合物作用物質に適切な濃度(複数可)を選択すること、(2)組成物について適切なタイプ(複数可)の処方物を選択すること(たとえば、液体、泡、ムース、スプレー、エアロゾル、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、3重エマルジョン、ナノエマルジョン、マイクロエマルジョン、ヒドロゲル、溶液、ペースト、ゼリー、パッチ、ワイプ、クロス、および/または分散液もしくは懸濁物)、(3)抗菌ペプチド隔離化合物および組成物を安定に保つ適切な成分(複数可)を選択すること、(4)局所的な投与に適した組成物に適切な容器(複数可)を選択すること(たとえばチューブ、エアレスポンプ、ジャー、バイアル、単一用量など)、ならびに/または(5)組成物の調製を可能にする適切な条件(複数可)を選択すること(たとえば、半固形処方物の調製に適したホモジナイザーによる組成物の調製、抗菌ペプチド隔離化合物および他の成分が化学的に安定したままである適切な温度の範囲内での組成物の調製、不活性ガス下での組成物の調製など)によって得ることができる。
【0088】
用語「安定した」または組成物の安定性は、物理的な安定性(たとえば粘性、香り、外観、テクスチャーなど)を含み、また、抗菌ペプチド隔離化合物および組成物の選択される他の成分(つまり薬剤活性剤(たとえばメトロニダゾール))の化学的安定性を含んでいてもよい。化学的安定性は、HPLCまたは他の適切な分析方法を使用して評価することができる。組成物が、適した容器(たとえばチューブ、ポンプ、ジャーなど)の中に配置される(たとえば充填される)場合、組成物中の薬剤活性剤は、通常の保存条件下で(つまり室温;または住宅/居間/バスルームにおいて生じる一般的な温度変化)、少なくとも6か月間、化学的に安定しているはずである(つまり、ベースラインの値と比較して±10%未満の含有量の変化)。安定性はまた、通常の保存条件下での組成物の安定性を推定するために、高温(たとえば40℃またはそれ以上)での加速条件下で試験されてもよい。
【0089】
本発明の組成物に適用される場合の用語「安定した」は、組成物が、室温(約25℃)で、少なくとも1か月間、通常の環境空気および光条件(つまり、家の居間において通常存在する空気および光条件)下で、平面で不活性の表面に配置される(つまり、その容器から取り出される)場合に、変色がないまたはわずかな変色のみあるとしてさらに定義されてもよい。
【0090】
先行技術の組成物とは対照的に、本明細書において開示される組成物における活性化合物(複数可)は、抗菌ペプチド隔離化合物である。好ましくは、この化合物は、1mol当たり少なくとも100グラムの分子量の陰イオン化学物質である。様々な実施形態では、陰イオン化学物質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属(たとえばNa、K、Ca、Mg、Ba、Zn、Cu、Zr、Ti、Bi、もしくはMn)のイオン;またはアンモニウムイオン(NH)、四級アンモニウム陽イオン、および/または炭水化物もしくはアミン基による炭水化物誘導体(たとえばアミノ酸、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、2−アミノペンタンなど)のプロトン化形態を対イオンとして含んでいてもよい。
【0091】
陰イオン化学物質は、ポリアミノ酸(つまりペプチド、ポリペプチド、タンパク質)以外の1mol当たり100,000グラムまでの分子量の陰イオンポリマーであってもよい。好ましい一実施形態では、化合物は、硫酸化もしくはポリ硫酸化単糖、硫酸化もしくはポリ硫酸化二糖、硫酸化もしくはポリ硫酸化多糖(たとえばデキストランサルフェート、コンドロイチンサルフェート)、ならびに/またはその塩および複合体である。他の好ましい硫酸化サッカリドは、ペントサンポリサルフェート、スクロースサルフェート、スクロースオクタサルフェート、フコイダン、硫酸化ガラクタン、ヘパランサルフェート、硫酸化グルカン、硫酸デンプン、セルロースサルフェート、硫酸化グリコサミノグリカン、ならびに/またはその塩および複合体を含むが、これらに限定されない。特許請求される本発明の組成物において使用される好ましい陰イオン化学物質は、アルミニウム塩および複合体を包含しない。
【0092】
本明細書において開示される方法および組成物における使用に適した他の化合物は、硫酸化サッカリド(モノ、ジ、ポリ)が豊富なカラギナン(Chondrus Crispus)、藻類抽出物、アロエベラ抽出物、サボテン抽出物、サメまたは魚軟骨抽出物、植物抽出物、ならびにその塩および複合体を含むが、これらに限定されない。
【0093】
適した化合物は、化学合成によって硫酸化またはポリ硫酸化ポリマーを調製することによって得られてもよい。化学合成によって得ることができる合成化合物は、硫酸化またはポリ硫酸化多糖を含むが、これらに限定されない。硫酸化またはポリ硫酸化ポリマーは、多糖およびポリグリコールを含むが、これらに限定されないポリマーの硫酸化(sulphationとも綴られる)によって得られてもよい。硫酸化は、硫酸(サルフェート)のエステルまたは塩が形成されるいくつかの方法によって達成することができる。エステルは、硫酸、三酸化硫黄、塩化スルフリル酸、またはスルファミン酸によりアルコール基を処理することによって一般に調製される。
【0094】
いくつかの実施形態では、ポリ硫酸化ポリマーは、重合体スルホン酸、ポリ(ビニルサルフェート)、またはポリ(アネトールスルホネート)であってもよい。例として、「Aristoflex(登録商標)HMP」(Clariantによる)は、重合体スルホン酸である。
【0095】
さらに、抗菌ペプチド隔離化合物はまた、単糖リン酸、二糖リン酸、および多糖リン酸を含むが、これらに限定されないリン酸またはポリリン酸であってもよい。例として、当該抗菌ペプチド隔離化合物は、グリセロリン酸塩である。適したリン酸またはポリリン酸の他の例は、リン酸デンプン、ヒドロキシプロピルリン酸デンプン(たとえば、National Starch,LCCによる「Structure XL」)を含む。リン脂質、レシチン(たとえばダイズ由来の)を含むホスファチジルコリンは、使用に適した抗菌ペプチド隔離化合物の代表的なさらなる例である。
【0096】
同様に、抗菌ペプチド隔離化合物は、ヒアルロン酸、ポリ乳酸、アルギネート、ならびに/またはその塩および複合体を含むが、これらに限定されないカルボキシレート、ポリヒドロキシ酸をさらに含む。
【0097】
本発明に従って使用される抗菌ペプチド隔離化合物はまた、ヘパリン結合増殖因子ならびにサイトカイン(つまり線維芽細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、およびその他同種のもの)にさらに結合するかまたはそれを隔離する化合物を含んでいてもよい。たとえば、デキストランサルフェートは、そのような化合物である。デキストランサルフェートは、任意の供給源のもの、たとえば、Dextran Sulfate 10 sodium saltという商標の下でPharmacia Biotech/Amersham Biosciencesによって販売されるデキストランサルフェートとすることができる。たとえば、デキストランサルフェートの他の供給者は、Sigma−Aldrich(つまり製品番号D7037、D4911、D6924、D3257、D8787、D6001、およびD8906;デキストラン硫酸ナトリウム塩は、Leuconostoc mesenteroides、株B 512に由来する)、MP Biomedicals(つまりカタログ番号101518)、ならびにSpectrum Chemical Manufacturing Corporation(つまりカタログ番号DE131またはDE136)である。
【0098】
当技術分野に公知でありそれを化粧用組成物にとって好都合な化合物にするデキストランサルフェートの物理化学的特性に加えて(たとえば、水および食塩水中での好都合な溶解性、室温で4〜10の範囲のpHの溶液中での高度な安定性)、デキストランサルフェートはまた、特に局所適用において、水分吸収の特性、フリーラジカルによって誘発される損傷に対する保護効果、タンパク質または不安定な種および物質の安定化、ならびにその優れた親水性の特性による加湿をも有する。抗凝固効果、ヒアルロニダーゼ、グルコシダーゼ、エラスターゼ、またはさらにトロンビンなど、酵素に対する阻害効果、および抗ウイルス活性など、デキストランサルフェートの生物学的特性もまた、公知である。
【0099】
皮膚および皮膚保護に関して、デキストランサルフェートは、その抗しわ、抗炎症、抗アレルギー、および抗加齢特性についてならびに荒れた薄片状の皮膚を処置する際のおよび加湿におけるその役割について公知である。
【0100】
エスチン(またはエシン(aesin))は、グルクロン酸およびアグリコンに連結された2つの糖(グルコース−キシロース)からなる化学分子、1mol当たり約1131グラムの分子量を有するデグルコエスチンである。これは、たとえば、植物抽出物中に、特に一般的なセイヨウトチノキの抽出物中に存在する分子である。先行技術では、エスチンは、減量組成物において、血液循環を促進するための組成物において、真皮および表皮の間の密着を改善するための、抗炎症剤など、皮膚を処置するための組成物において、ならびに皮膚を明るくする化粧用組成物において記載されている。エスチンはまた、目の下のたるみおよびしわを処置するための組成物に処方されてきた。
【0101】
米国特許第6,562,355号は、発赤/浮腫および/または敏感肌の処置のための、生理学的に許容される媒体に処方されるデキストランサルフェートおよびエスチンのコミクスチャーの使用を記載する。このコミクスチャーは、血管拡張を阻害するおよび/または抗浮腫効果を及ぼすおよび/または敏感肌を鎮静させることによって作用する。対照的に、本発明の組成物は、酒さなど、皮膚疾患および皮膚障害を処置するために局所的に適用される抗菌ペプチド隔離化合物を利用する。
【0102】
米国特許第6,562,355号において記載されるコミクスチャーは、好ましくは、デキストランサルフェートをそのナトリウム塩の形態で含む。たとえば、デキストランサルフェートは、2×10〜5×10、および好ましくは5×10〜10の範囲の分子量を有する。対照的に、本発明の組成物では、デキストランサルフェートの分子量は、優先的に、1mol当たり10グラム未満のままである。
【0103】
好ましくは、本明細書において記載される組成物は、局所的な投与に適している(つまり、皮膚表面の上、粘膜表面の上、手指の爪または足の爪表面の上、毛の上)。本明細書において使用されるように、局所的な投与は、皮膚、頭皮、毛、目、粘膜、舌下、膣、および/または外陰部の投与を含むが、これらに限定されない。
【0104】
本発明の組成物は、酒さならびに皮膚の抗菌ペプチドの産生およびプロセシングにおける機能不全と関連する他の皮膚障害および皮膚疾患の1つまたは複数の症状を低下させる際に臨床効果を示すのに十分な濃度で抗菌ペプチド隔離化合物を組み込む。たとえば、本発明の組成物は、組成物中に、0.01w%〜抗菌ペプチド隔離化合物の溶解性の限界の濃度で抗菌ペプチド隔離化合物を含有する。好ましくは、抗菌ペプチド隔離化合物の量は、0.05w%〜25w%である。植物または野菜抽出物(つまりアロエ、サボテンなど)のいくつかの場合では、抗菌ペプチド隔離化合物の量は、25w%超であってもよい。
【0105】
これらの組成物は、好ましくは、局所適用(たとえば溶液、懸濁物、ゲル、ヒドロゲル、クリーム、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ローション、血清、スプレー、軟膏、パッチ、組織クロス、ワイプ、棒状石けん、マスク、エアロゾル、ペースト、イオン導入パッチ、皮膚送達増強システムまたはデバイスなど)に適した処方物中にある。他の適した処方物は、当業者らに容易に知られるであろう。
【0106】
抗菌ペプチド隔離化合物は、組成物が、局所的な投与のための組成物の製品化にとって適切な期間(つまり、6〜36か月間の有効期間)にわたり安定したままであることを保証するように、組成物の中に組み込まれる。
【0107】
本明細書において開示された組成物のいずれも、たとえば、コルチコステロイド(短期使用用)、非ステロイド性抗炎症薬、抗炎症性インターロイキン(つまりIL−1ra)、抗炎症性の脂肪酸(つまりリノール酸、リノレン酸)、抗炎症特性を有する芳香族アルデヒド(つまり4−エトキシベンズアルデヒド);アルファヒドロキシ酸(つまりグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸など);ベータヒドロキシ酸(つまりカルニチン、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシβ−メチル酪酸、サリチル酸など);キネチン(N−フルフリルアデニン)および誘導体(つまりフルフリルアミノテトラヒドロピラニルアデニン)、ビサボロール、グリシレチン酸、抗炎症特性を有する植物抽出物(つまり茶抽出物、カモミール抽出物)、イソプレニルシステイン類似体(つまりN−アセチル−S−ファルネシル−L−システイン)、ナイアシンアミド(ニコチンアミド);2,5−ジヒドロキシベンゼンスルフォネートの塩(たとえばドベシル酸カルシウム);ならびに/または1つもしくは複数のメトロニダゾール、スルファセタミド、ナトリウムスルファセタミド、硫黄、ダプソン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、およびアゼライン酸、ならびにマレイン酸を含むが、これらに限定されない酒さ阻害性作用物質を含むが、これらに限定されない抗炎症剤をさらに含んでいてもよい。
【0108】
さらに、これらの組成物はまた、1つまたは複数のさらなる作用物質、化合物、および/または活性剤もしくは非活性成分を含んでいてもよい。非限定的な例として、組成物はまた、その全体が参照によって本明細書において組み込まれるWO 2009/065116において開示されるα−アドレナリン作用性受容体アゴニストを含むが、これらに限定されないα−アドレナリン作用性受容体アゴニスト(たとえばクロニジン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アプラクロニジン、ジピベフリン、α−メチルドパ、オキシメタゾリン、塩酸オキシメタゾリン、メトキサミン、メタラミノール、メデトミジン、デクスメデトミジン、エチルノルエピネフリン、グアンファシン、酢酸グアナベンズ、フェニレフリン、塩酸フェニレフリン、エフェドリン、エピニン、エピネフリン、エチルノルエピネフリン、レバルテレノール、ロフェキシジン、ノルエピネフリン、ノルフェニレフリン、ノルエフェドリン、フェニルプロパノラミン、ペモリン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、α−メチルノルエピネフリン、メチルフェニデート、メフェンテルミン、ミドドリン、ミバゼロール、モクソニジン、デスグリミドドリン、テトラヒドロゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、シラゾリン、アミデフリン、ブリモニジン、酒石酸ブリモニジン、ナファゾリン、イソプロテレノール、キシラジン、キシロメタゾリン、チザニジン);および/またはコルチコステロイド、エフェドリン、プソイドエフェドリン、カフェイン、エスチンを含むが、これらに限定されない血管収縮の特性を有する化学物質;マオウ、phedra sinica、hamamelis viginiana、hydrastis canadensis、lycopus virginicus、aspidosperma quebracho、cytisus scoparius、raphanus sativus linn[ラディッシュ葉抽出物]、セイヨウトチノキ抽出物など由来の抽出物を含むが、これらに限定されない血管収縮の特性を有する植物抽出物);鼻および/または鼻腔うっ血除去薬;出血(紫斑)皮膚疾患変の外観を改善する化学物質または植物性抽出物;抗ヒスタミン;抗菌薬および/または抗生物質(ゲンタマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、キノロン、シプロフロキサシン、および/またはノボビオシンを含むが、これらに限定されない);抗真菌特性を有する化学物質(ケトコナゾール、塩酸ナフチフィン、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、尿素、塩酸テルビナフィン、および/または硫化セレンを含むが、これらに限定されない);抗ダニ特性を有する化学物質(クロタミトン、イベルメクチン、および/またはペルメトリンを含むが、これらに限定されない);抗ざ瘡特性を有する化学物質または植物性抽出物(過酸化ベンゾイル、サリチル酸、硫酸、レチノイン酸、トレチノイン;アルファヒドロキシ酸;抗菌薬などを含むが、これらに限定されない);抗アンドロゲン特性を有する化学物質または植物性抽出物(たとえばアンドロゲン受容体遮断薬、卵巣の機能に影響を与えることによる循環アンドロゲンのインヒビター(つまり経口避妊薬)、脳下垂体に影響を与えることによる循環アンドロゲンのインヒビター(つまり生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストおよびドーパミンアゴニスト)、副腎機能のインヒビター、ならびに末梢アンドロゲン代謝のインヒビター(たとえば5−リダクターゼインヒビター));抗寄生物特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗ふけ特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗脂漏特性を有する化学物質または植物性抽出物;角質溶解特性を有する角質溶解薬または植物性抽出物(アルファヒドロキシ酸;尿素、サリチル酸などを含むが、これらに限定されない);セリンプロテアーゼインヒビター;収れん剤;抗ざ瘡化学物質;日焼け止め;酸化防止剤(ビタミンC、ビタミンE、フェルラ酸、ポリフェノール、緑茶抽出物、コーヒーの実の抽出物、ポリフェノールを有する植物抽出物、および/またはリポ酸を含むが、これらに限定されない);毛成長調節因子;抗萎縮活性剤、抗セリュライト活性剤、油制御因子;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEおよびビタミンK、クレアチン、カルニチン、ならびにリノール酸およびリノレン酸など、必須脂肪酸;ならびに抗菌特性を有する抗菌保存剤または植物性抽出物(たとえばパラベン(parben)、フェノキシエタノール、安息香酸、ソルビン酸、エチルヘキシルグリセリンなど)を含有してもよい。
【0109】
より具体的には、酒さ阻害性作用物質、抗炎症剤、抗菌作用物質、および/または血管収縮薬との当該抗菌隔離化合物の組み合わせは、単独での当該抗菌隔離化合物の使用または単独での酒さ阻害性作用物質の使用または単独での抗炎症剤の使用または単独での抗菌作用物質の使用または単独での血管収縮薬の使用と比較して、効能の増強に至り得る。効能の増強は、相加的なものとすることができる(個々の作用物質単独の効能の合計)またはそれは、相乗的なものとすることができる(個々の作用物質単独の効能の合計よりも大きい)。たとえば、酒さの処置についての効率における相乗効果は、メトロニダゾール、ナトリウムスルファセタミド、リン酸クリンダマイシン、またはアゼライン酸と当該抗菌隔離化合物を組み合わせる場合に期待される。
【0110】
これらの組成物は、1つまたは複数の以下のものをさらに含んでいてもよい:カフェイン;テオブロミン;テオフィリン;グリセリン;亜鉛塩(硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛グリシネート、グルコン酸亜鉛、亜鉛ヒスチジン、亜鉛L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート[亜鉛PCA]、リノール酸の亜鉛塩、リノレン酸の亜鉛塩、アゼライン酸の亜鉛塩、亜鉛ペプチド、および/または酸化亜鉛を含むが、これらに限定されない);銅塩(硫酸銅、塩化銅、銅グリシネート、グルコン酸銅、銅ヒスチジン、銅L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート[銅PCA]、リノール酸の銅塩、リノレン酸の銅塩、アゼライン酸の銅塩、銅ペプチドを含むが、これらに限定されない);抗しわおよび/または抗老化剤;レチノイン酸;トレチノイン;イソトレチノイン;レチノール;ビタミンA;脂肪酸および/または脂肪酸エステル(リノール酸およびリノレン酸を含むが、これらに限定されない);植物および/もしくは野菜抽出物またはその凍結乾燥物、蒸発物、濾過液、超臨界流体(たとえば二酸化炭素)抽出物、および留出物など、濃縮物(酵母(たとえばパン酵母)由来の抽出物、醸造業者使用済み穀物(糖化および麦汁濾過プロセス後にマッシュ釜中に残る麦芽および穀物の残渣からなるビール醸造の副産物)、オオムギ、ダイズ、豆乳、カラスムギ、ラベンダー、甘草、ショウガ、ニンジン、ウコン、リンゴ、ムチサンゴ、藻類、aloe barbadensisの葉、サボテン(たとえば葉、茎)、緑茶、紅茶、白茶、カモミール、カバノキ、ミント、ボスウェリアなど);植物油;飽和ジカルボン酸;皮膚軟化薬、湿潤薬および/または皮膚モイスチャライザー;皮膚保護薬;皮膚バリアエンハンサー;皮膚浸透エンハンサー;皮膚コンディショニング剤;化粧用の使用に適した無機質および/または化粧品化合物;化粧用の使用に適した光学的ぼかし剤(つまり雲母、滑石、特殊ポリマー球体、蛍光団など);化粧用の使用に適した色添加剤(たとえばFD&C Green No.3、D&C Green No.5、クロロフィル、銅クロロフィリンなど);皮膚を明るくするおよび/または輝かせる作用物質;アミノ酸;ペプチド;ポリペプチド、TGFベータ、EGF、PDGF、およびIL−10を含むが、これらに限定されない増殖因子および/またはサイトカイン;細胞溶解物(たとえば皮膚線維芽細胞溶解物、幹細胞溶解物、processed skin cell proteins(PSP(登録商標))など);細胞培養馴化培地(たとえば、皮膚線維芽細胞由来の細胞培養馴化培地、幹細胞由来の細胞培養馴化培地、Nouricel−MD(登録商標)など)、幹細胞溶解物を含む幹細胞由来の幹細胞抽出物および/または構成成分;表皮幹細胞または他の幹細胞を刺激する成分;ならびにその任意の誘導体、組み合わせ、または混合物。
【0111】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、広範囲のさらなる成分を含んでいてもよい。2010 International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, 13版および2009 Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients(Cosmetics & Toiletries; ISBN−13: 978−1−932633−43−6によって発表される)は、本発明における使用に利用可能である、スキンケアおよび皮膚科学産業において一般に使用される種々様々の非限定的な化粧用成分および薬学的成分を記載する。例示的な機能的なクラスは(2009 Cosmetic Bench Reference;37〜86頁を参照されたい)、研磨剤、粉末吸収剤、吸収基剤、酸味料、活性化体、接着プロモーター、AHA、アルコール、アルコールエステル、鎮痛薬、麻酔薬、制酸薬、抗ざ瘡、抗老化、抗細菌、抗ひび割れ、抗セリュライト、抗ふけ、抗泡、抗炎症、抗刺激、抗菌、酸化防止、制汗、抗そう痒、防腐、静電気防止剤、収れん剤、保護剤、結合剤、毛髪脱色剤(hair beaching agent)、植物性薬品、緩衝剤、鎮静剤、キャリア作用物質、キレート剤、循環刺激剤、クレンジング剤、共乳化剤作用物質、着色剤、コンディショニング剤、制御放出作用物質、冷却剤、共溶媒、カップリング剤、変性剤、脱臭剤、脱毛剤、ディタングラー剤、界面活性剤、消毒剤、分散剤、染料安定剤、皮膚軟化薬、乳化剤、乳化安定剤、酵素、精油、剥離剤(exfoliant)、繊維、塗膜形成物、固定剤、香料、起泡力増進剤、泡安定剤、発泡剤、芳香剤、殺菌剤、ゲル化剤、つや出し用化粧品、頭髪着色料、ヘアコンディショナー、ヘアセットポリマー、湿潤薬、疎水性作用物質、屈水性作用物質、中間体作用物質、起泡剤、潤滑剤、防湿剤、モイスチャライザー、中和剤、芳香マスキング剤、油吸収剤、軟膏基剤、乳白剤、有機シリコーン、酸化剤、酸素キャリア、パーラント剤(pearlant agent)、芳香溶媒、芳香安定剤、過酸化物安定剤、色素、可塑剤、光沢作用物質、ポリマー、ポリマーフィルム形成物、粉末、保存剤、噴射剤、タンパク質、還元剤、リファッティング剤、リジェネレーター、樹脂、スクラブ剤、セボスタティック剤、隔離剤、シリコーン、シリコーン置換、皮膚鎮静剤、皮膚清澄剤、皮膚洗剤、スキンコンディショナー、皮膚治癒剤、スキンライトニング剤、皮膚保護剤、皮膚清浄剤、スキンスームスニング剤、皮膚無痛化剤、皮膚処置剤、可溶化剤、溶媒、SPFブースター、展着剤、安定剤、刺激剤、サンレスタンニング剤、日焼け止めUVA、日焼け止めUVB、過脂肪剤、界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、沈殿防止剤、甘味料、日焼け促進剤、増粘剤、チキソトロープ(thixotrope)、トーナー、強壮剤、局所的送達系、植物油、粘性安定剤、ビタミン、防水剤、ろう、湿潤剤、美白剤、および創傷治癒剤を含む。2009 Cosmetic Bench Reference(37〜86頁)は、機能的なクラスについての成分の例を提供する。この情報もまた、入手可能であり、http://dir.cosmeticsandtoiletries.com/search/cbr_ing.htmlで新しい成分(および機能的なクラス)の追加によって定期的に更新される。
【0112】
皮膚コンディショニング剤は、たとえば、乾燥している、老化した、または損傷を受けた皮膚の外観を良くする物質および皮膚に付着して剥離を低下させ、しなやかさを回復し、一般に皮膚の外観を改善する物質を含む。使用されてもよい皮膚コンディショニング剤の代表的な例は、アセチルシステイン、N−アセチルジヒドロスフィンゴシン、アクリレート/ベヘニルアクリレート/ジメチコンアクリレートコポリマー、アデノシン、アデノシン環状リン酸、アデノシンリン酸、アデノシン三リン酸、アラニン、アルブミン、藻類抽出物、アラントインおよび誘導体、aloe barbadensis抽出物、アミログルコシダーゼ、アルブチン、アルギニン、ブロメライン、バターミルク粉末、ブチレングリコール、グルコン酸カルシウム、カルボシステイン、カルノシン、ベータカロテン、カゼイン、カタラーゼ、ケファリン、セラミド、chamomilla recutita(マトリカリア)花抽出物、コレカルシフェロール、コレステロールエステル、ココベタイン、修飾コーンスターチ、クリスタリン、シクロエトキシメチコン、システインDNA、シトクロムC、ダルトシド、デキストランサルフェート、ジメチコンコポリオール、ジメチルシラノールヒアルロネート、エラスチン、エラスチンアミノ酸、エルゴカルシフェロール、エルゴステロール、フィブロネクチン、葉酸、ゼラチン、グリアジン、ベータグルカン、グルコース、グリシン、グリコーゲン、糖脂質、糖タンパク質、グリコサミノグリカン、スフィンゴ糖脂質、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、水素と化合したタンパク質、加水分解されたタンパク質、ホホバ油、ケラチン、ケラチンアミノ酸、キネチン、キネチンエステル、ならびに/またはその誘導体を含む。組成物中に含まれてもよい皮膚コンディショニング剤の他の非限定的な例は、ラクトフェリン、ラノステロール、レシチン、リソレシチン、リノール酸、リノレン酸、リパーゼ、リシン、リゾチーム、麦芽抽出物、マルトデキストリン、メラニン、メチオニン、ナイアシン、ナイアシンアミド、カラスムギアミノ酸、オリザノール、パルミトイル加水分解タンパク質、パンクレアチン、パパイン、ポリエチレングリコール、ペプシン、リン脂質、植物ステロール、胎盤酵素、胎盤脂質、ピリドキサール5−リン酸、ケルセチン、酢酸レゾルシノール、リボフラビン、サッカロミセス溶解物抽出物、絹アミノ酸、スフィンゴリピド、ステアラミドプロピルベタイン、ステアリルパルミテート、トコフェロール、トコフェロールアセテート、トコフェロールリノレエート、ユビキノン、vitis vinifera(ブドウ)種子油、小麦アミノ酸、キサンタンガム、および/またはグルコン酸亜鉛を含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0113】
本明細書において記載される組成物における使用に適した皮膚保護剤は、たとえば、有害なまたは刺激的な外部の化合物から損傷したまたは暴露した皮膚または粘膜の表面を保護する化合物を含む。代表的な例は、藻類抽出物、アラントイン、camellia sinensis葉抽出物、セレブロシド、ジメチコン、グルクロノラクトン、グリセリン、カオリン、ラノリン、麦芽抽出物、鉱油、ペトロラタム、白色ワセリン、グルコン酸カリウム、コロイド状のオートミール、カラミン、ココアバター(coca butter)、デンプン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、および/または滑石を含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0114】
適した、スキンライトニング剤は、アスコルビン酸およびその誘導体;麹酸およびその誘導体;フェニルエチルレソルシノール、L−ロイシン、グリシン、二ナトリウムグリセロリン酸、ウンデケノイルフェニルアラニン、アルブチン、ヒドロキノン;アゼライン酸;レスベラトロール、オキシレスベラトロール、ポリフェノール、甘草、ブドウ種子、および/もしくはクマコケモモ由来のものなど、様々な植物抽出物;ならびに/またはWO 2010−083368特許出願(参考文献として本明細書において含まれる)から得られる任意の成分もしくはその組み合わせを含むが、これらに限定されない。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0115】
1つまたは複数の皮膚軟化薬もまた、本明細書において記載される局所的な組成物中に含まれてもよい。皮膚軟化薬は、一般に、皮膚を、柔軟で、滑らかで、しなやかな外観に維持するのを支援することができる成分を指す。皮膚軟化薬は、典型的に、皮膚表面上にまたは角質層中に残り、モイスチャライザーまたは潤滑剤として作用し、剥離を低下させる。皮膚軟化薬のいくつかの例は、アセチルアルギニン、アセチル化ラノリン、藻類抽出物、杏仁油ポリエチレングリコール−6エステル、アボカド油ポリエチレングリコール−11エステル、ビスポリエチレングリコール−4ジメチコン、ブトキシエチルステアレート、グリコールエステル、乳酸アルキル、カプリリルグリコール、セチルエステル、セチルラウレート、やし油ポリエチレングリコール−10エステル、アルキルタルトレート、セバシン酸ジエチル、酪酸ジヒドロコレステリル、ジメチコノール、ジミリスチルタルトレート、ジステアレス−5ラウロイルグルタメート、アボカド脂肪酸エチル、エチルヘキシルミリステート、イソステアリン酸グリセリル、グリセリルオレエート、ヘキシルデシルステアレート、ヘキシルイソステアレート、水素化パームグリセリド、水素化ダイズグリセリド、水素化脂肪グリセリド、イソステアリルネオペンタノエート、イソステアリルパルミテート、イソトリデシルイソノナノエート、ラウレス−2アセテート、ラウリルポリグルセリル−6セテアリールグリコールエーテル、メチルグルセス−20ベンゾエート、鉱油、パーム油、やし油、ミレス−3パルミテート、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、odontella aurita油、2−オレアミド−1,3オクタデカンジオール、パームグリセリド、ポリエチレングリコールアボカドグリセリド、ポリエチレングリコールヒマシ油、ポリエチレングリコール−22/ドデシルグリコールコポリマー、ポリエチレングリコールシアバターグリセリド、フィトール、ラフィノース、ステアリルシトレート、ヒマワリ種子油グリセリド、ペトロラタム、カプリリルメチコンを含むが、これらに限定されないシリコーン油、および/またはトコフェロールグルコシドを含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0116】
湿潤薬は、皮膚における水分量を維持するのを支援する成分である。湿潤薬の例は、アセチルアルギニン、藻類抽出物、aloe barbadensis葉抽出物、2,3−ブタンジオール、キトサンラウロイルグリシネート、ジグリセレス−7マレート、ジグリセリン、ジグリコールグアニジンスクシネート、エリトリトール、フルクトース、グルコース、グリセリン、ハチミツ、加水分解小麦タンパク質/ポリエチレングリコール−20アセテートコポリマー、ヒドロキシプロピルトリモニウムヒアルロネート、加水分解タンパク質、イノシトール、ラクチトール、マルチトール、マルトース、マンニトール、マンノース、メトキシポリエチレングリコール、ミリスタミドブチルグアニジンアセテート、ポリグルセリルソルビトール、カリウムピロリドン(pyrollidone)カルボン酸(PCA)、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ナトリウムピロリドンカルボン酸(PCA)、ソルビトール、スクロース、デキストランサルフェート(つまり任意の分子量の)、ヒアルロン酸、および/または尿素を含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0117】
本明細書において開示された組成物は、エマルジョンとして処方することができる。油中水型または水中油型エマルジョンのいずれかが、処方されてもよい。適した界面活性剤ならびに乳化剤の例は、非イオンエトキシ化および非エトキシ化界面活性剤、アビエチン酸、扁桃油ポリエチレングリコール、みつろう、ブチルグルコシドカプレート、グリコールエステル、アルキルリン酸エステル塩、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドポリエチレングリコール4エステル、セテアレス−7、セチルアルコール、セチルリン酸、コーン油ポリエチレングリコールエステル、デキストリンラウレート、ジラウレス−7シトレート、ジミリスチルリン酸、グリセレス−17ココエート、グリセリルエルケート、グリセリルラウレート、硬化ヒマシ油ポリエチレングリコールエステル、イソステアレス−11カルボン酸、レシチン、リソレシチン、ノノキシノール−9、オクチルドデセス−20、パームグリセリド、ポリエチレングリコールジイソステアレート、ポリエチレングリコールステアラミン、ポリキサミン、リノール酸カリウム、ラフィノースミリステート、ナトリウムカプロイルラクチレート、カプリル酸ナトリウム、ナトリウムココエート、ナトリウムイソステアレート、ナトリウムトコフェロールリン酸、ステアレス、ならびに/またはトリデセスを含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0118】
さらに、本明細書において記載される組成物または処方物への包含に適した増粘剤は、スキンケア調製物中に一般に使用される作用物質を含む。(たとえば、参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第6,444,647号を参照されたい)。より具体的には、そのような例は、アクリルアミドコポリマー、アガロース、アミロペクチン、ベントナイト、アルギン酸カルシウム、カルシウムカルボキシメチルセルロース、カルボマー、カルボキシメチルキチン、セルロースガム、デキストリン、ゼラチン、水素化脂肪、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、アルギン酸マグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ペクチン、様々なポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、様々なポリプロピレングリコール、ナトリウムアクリレートコポリマー、ナトリウムカラギナン、キサンタンガム、および/または酵母ベータグルカンを含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0119】
カルボン酸ポリマーは、アクリル酸、置換アクリル酸、ならびにこれらのアクリル酸および置換アクリル酸の塩およびエステルから誘導される1つまたは複数の単量体を含有する架橋化合物であり、架橋剤は、2つ以上の炭素−炭素二重結合を含有し、多価アルコールに由来する。本発明において有用なポリマーは、それぞれ、参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第5,087,445号;第4,509,949号;第2,798,053号;およびCTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary、4版、1991年、12頁および80頁においてより十分に記載される。本明細書において有用な市販で入手可能なカルボン酸ポリマーの例は、スクロースまたはペンタエリトリトール(pentaerytritol)のアリルエーテルと架橋されたアクリル酸のホモポリマーであるカルボマーを含む。カルボマーは、B.F.GoodrichからのCarbopol(登録商標)900シリーズとして入手可能である(たとえばCarbopol(登録商標)954)。さらに、他の適したカルボン酸重合体作用物質は、アクリル酸、メタクリル酸、またはそれらの短鎖(つまりC1−4アルコール)エステルのうちの1つの1つまたは複数の単量体とのC10−30アルキルアクリレートのコポリマーを含み、架橋剤は、スクロースまたはペンタエリトリトールのアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマーとして公知であり、B.F.GoodrichからCarbopol(登録商標)1342、Carbopol(登録商標)1382、Pemulen TR−1、およびPemulen TR−2として市販で入手可能である。いくつかの実施形態では、本明細書において有用な好ましいカルボン酸ポリマー増粘剤の例は、カルボマー、アクリレート/C10−30アルキルアクリレートクロスポリマー、およびその混合物から選択されるものを含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0120】
本明細書において記載される組成物のいずれもまた、任意選択で、架橋ポリアクリレートポリマーをも含有することができ、これらは、陽イオンおよび非イオンポリマーを含む増粘剤またはゲル化剤として有用であり、陽性イオンが一般に好ましい。有用な架橋非イオンポリアクリレートポリマーおよび架橋陽イオンポリアクリレートポリマーの例は、それぞれ、それらの全体が参照によって本明細書において組み込まれる米国特許第5,100,660号;第4,849,484号;第4,835,206号;第4,628,078号;第4,599,379号、およびEP 228,868において記載されている。
【0121】
さらに、本発明の組成物はまた、任意選択で、置換分岐または非分岐ポリマーを含むポリアクリルアミドポリマー、とりわけ、非イオンポリアクリルアミドポリマーをも含有することができる。これらのポリアクリルアミドポリマーの中でより好ましいのは、Seppic Corporation(Fairfield、N.J.)から商標Sepigel 305下で入手可能である、CTFA名称を与えられた非イオンポリマー、ポリアクリルアミドおよびイソパラフィンおよびラウレス−7である。本明細書において有用な他のポリアクリルアミドポリマーは、アクリル酸および置換アクリル酸とのアクリルアミドおよび置換アクリルアミドのマルチブロックコポリマーを含む。これらのマルチブロックコポリマーの市販で入手可能な例は、Lipo Chemicals,Inc.(Patterson、N.J.)からのHypan SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hを含む。
【0122】
さらに、種々様々の多糖は、増粘剤として本明細書において有用である。多糖ゲル化剤の非限定的な例は、セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートカルボキシレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、ナトリウムセルロースサルフェート、およびその混合物から選択されるものを含む。アルキル置換セルロースもまた、本明細書において有用である。これらのポリマーにおいて、セルロースポリマーのヒドロキシ基は、ヒドロキシアルキル化され(好ましくはヒドロキシエチル化されまたはヒドロキシプロピル化され)、ヒドロキシアルキル化セルロースを形成し、これは、次いで、エーテル結合を通してC10−30直鎖または分枝鎖アルキル基により修飾される。典型的に、これらのポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロースとのC10−30直鎖または分枝鎖アルコールとのエーテルである。本明細書において有用なアルキル基の例は、ステアリル、イソステアリル、ラウリル、ミリスチル、セチル、イソセチル、ココイル(つまりやし油のアルコールに由来するアルキル基)、パルミチル、オレイル、リノレイル、リノレニル、リシノレイル、ベヘニル、およびその混合物から選択されるものを含む。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいのは、CTFA名称を与えられた物質、セチルアルコールおよびヒドロキシエチルセルロースのエーテルであるセチルヒドロキシエチルセルロースである。この物質は、Aqualon Corporation(Wilmington、Del.)から商標Natrosol(登録商標)CS Plusの下で販売されている。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0123】
他の有用な多糖は、スクレログルカンを含む。3単位ごとに(1−6)結合グルコースを有する、直鎖の(1−3)結合グルコース単位であり、この市販で入手可能な例は、Michel Mercier Products Inc.(Mountainside、N.J.)からのClearogel(商標)CS11である。
【0124】
本明細書において有用な他の増粘剤およびゲル化剤は、天然の供給源から主として由来する物質を含む。これらのゲル化剤ゴムの非限定的な例は、アラビアゴム、寒天、アルギン、アルギネート、アルギン酸アンモニウム、アミロペクチン、アルギン酸カルシウム、カルシウムカラギナン、カルニチン、カラギナン、デキストリン、ゼラチン、ゲランガム、グアーガム、ガウアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヘクトライト、ヒアルロン酸(hyaluroinic acid)、珪酸、ヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシプロピルガウア、カラヤゴム、ケルプ、ローカストビーンガム、納豆ガム、アルギン酸カリウム、カリウムカラギナン、アルギン酸プロピレングリコール、菌核ガム、ナトリウムカルボキシメチル(carboyxmethyl)デキストラン、デキストランサルフェート、ナトリウムカラギナン、トラガカントガム、キサンタンガム、および/またはその混合物を含む。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0125】
本発明の好ましい組成物は、カルボン酸ポリマー、架橋ポリアクリレートポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、およびその混合物から選択される増粘剤、より好ましくは、カルボン酸ポリマー、ポリアクリルアミドポリマー、およびその混合物から選択される増粘剤を含む。
【0126】
本明細書において使用されるように、本明細書において使用される用語「実質的に遊離した」は、対象の組成物が、0.1重量%未満、好ましくは、0.05重量%未満、最も好ましくは、0.01重量%未満の量で組成物中に存在することを意味する。
【0127】
好ましくは、本発明の組成物は、多糖主鎖上に陽イオン成分を移植することによって陽イオンにされた、5または6炭素糖および誘導体をベースとするポリマーなど、陽イオンポリマーを実質的に含まない。それらは、1つのタイプの糖または1つを超えるタイプ、つまり、上記の誘導体および陽イオン物質のコポリマーから構成されてもよい。単量体は、直鎖または分枝鎖の幾何学的配置をしていてもよい。
【0128】
本発明の組成物から除かれる例示的な陽イオンポリマーは、キトサン;DEAE−デキストラン;陽イオングアーガム;陽イオン多糖(たとえば陽イオンセルロース);サッカリドおよび合成陽イオン単量体の陽イオンコポリマー;陽イオンポリアルキレンイミン;陽イオンエトキシポリアルキレンイミン;ヒドロキシエチルセルロース;陽イオンデンプンおよびヒドロキシアルキルデンプン;アラビノース植物ガムに由来し得るものなど、アラビノース単量体をベースとする陽イオンポリマー;木、わら、綿実の殻、およびトウモロコシの穂軸など、物質において見つけられるキシロースポリマーに由来する陽イオンポリマー;海草における細胞壁の構成成分として見つけられるフコースポリマーに由来する陽イオンポリマー;ある種の植物において見つけられるイヌリンなど、フルクトースポリマーに由来する陽イオンポリマー;ガラクツロン酸およびグルクロン酸など、酸含有糖をベースとする陽イオンポリマー;ガラクトサミンおよびグルコサミンなど、アミン糖をベースとする陽イオンポリマー;5および6員環多価アルコールをベースとする陽イオンポリマー;植物ゴムおよび粘液中に存在するガラクトース単量体をベースとする陽イオンポリマー;植物、酵母、および紅藻類中に見つけられるものなど、マンノース単量体をベースとする陽イオンポリマーを含むが、これらに限定されない。さらなる例は、United States Pharmacopeia(USP)およびNational Formulary(NF)によって提供される本であるThe International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、the Cosmetic Bench Reference − Directory of Cosmetic Ingredients、ならびに当技術分野において公知である化粧用および薬学的成分についての他の参考文献において見つけることができる。
【0129】
さらに、組成物はまた、アルミニウムまたはアルミニウムイオンを実質的に含まない、実質的に遊離した組成物である。
【0130】
本明細書において記載される実施例は、本発明を実行する様々な態様を例示するのが目的であり、決して、本発明を限定するようには意図されない。別段の定めがない限り、本発明の組成物における構成要素の成分の濃度は、組成物の全重量に基づいて、%、w/wであることを理解されたい。
【実施例】
【0131】
(実施例1a)
1mol当たり約8000グラムの平均分子量のデキストランサルフェートの0.1w%ナトリウム塩を有する局所適用に適した組成物の調製
本実施例において、組成物は、ヒドロキシプロピルリン酸デンプンおよびAristoflex HMBをさらに含有する。組成物はまた、局所使用に適した組成物を形成する他の成分と一緒にグリセリン、カフェイン、および亜鉛PCAをも含有する。この組成物では、以下の成分は、局所使用に適している安定した組成物を得るために、下記に述べられるように、ともに混合される。
【0132】
【表1−1】

【0133】
【表1−2】

相A:撹拌している相Aの水にNa2EDTAを溶解する。均一になるまで混合する。バッチの中にKeltrol CG−SFTをゆっくり混ぜ入れる。十分に水和されるまで混合する。撹拌している相AにAristoflex HMBを混ぜ入れ、十分に水和されるまで混合する。撹拌している相AにStructure XLを混ぜ入れ、十分に分散するまで混合する。
相B:別々の容器中で相Bを合わせる。混合しながらバッチに相Bを追加する。
相C:混合しながらバッチに相Cを追加し、均一になるまで混合する。
相D:別々の容器中で相D成分を合わせ、均一になるまで混合し、ゆっくりバッチに追加し、均一になるまで混合する。pH4.6および11000cps粘性の最終組成。
【0134】
(実施例1b)
1mol当たり約8000グラムの平均分子量のデキストランサルフェートの0.25w%ナトリウム塩を有する局所適用に適した組成物の調製
本実施例において、組成物は、ヒドロキシプロピルリン酸デンプンおよびAristoflex HMBをさらに含有する。組成物はまた、局所使用に適した組成物を形成する他の成分と一緒にグリセリン、カフェイン、および亜鉛PCAをも含有する。この組成物では、以下の成分は、局所使用に適している安定した組成物を得るために、下記に述べられるように、ともに混合される。
【0135】
【表2−1】

【0136】
【表2−2】

相A:撹拌している相Aの水にNa2EDTAを溶解する。均一になるまで混合する。バッチにKeltrol CG−SFTをゆっくり混ぜ入れる。十分に水和されるまで混合する。撹拌している相AにAristoflex HMBを混ぜ入れ、十分に水和されるまで混合する。撹拌している相AにStructure XLを混ぜ入れ、十分に分散するまで混合する。
相B:別々の容器中で相Bを合わせる。混合しながらバッチに相Bを追加する。
相C:混合しながらバッチに相Cを追加し、均一になるまで混合する。
相D:別々の容器中で相D成分を合わせ、均一になるまで混合し、ゆっくりバッチに追加し、均一になるまで混合する。pH4.5および10000cps粘性の最終組成。
【0137】
(実施例1c)
1mol当たり約8000グラムの平均分子量のデキストランサルフェートの0.5w%ナトリウム塩を有する局所適用に適した組成物の調製
本実施例において、組成物は、ヒドロキシプロピルリン酸デンプンをさらに含有する。組成物はまた、局所使用に適した組成物を形成する他の成分と一緒にグリセリン、カフェイン、および亜鉛PCAをも含有する。この組成物では、以下の成分は、局所使用に適している安定した組成物を得るために、下記に述べられるように、ともに混合される。
【0138】
【表3−1】

【0139】
【表3−2】

相A:撹拌している相Aの水にNa2EDTAを溶解する。均一になるまで混合する。バッチにKeltrolをゆっくり混ぜ入れる。十分に水和されるまで混合する。撹拌している相Aの水にStructure XLを混ぜ入れる。十分に分散するまで混合し、5〜6分間、3500RPMでホモジナイズする。Simulgel INS 100を追加し、均一になるまで混合し、次いで、3500RPMで約4分間、ホモジナイズする。
相B:50〜53セルシウス度(55セルシウス度よりも高くない)に加熱しながら、別々の容器中で一つずつ相B成分を合わせる。
相B1:別々の容器中で相B1成分を合わせ、40セルシウス度まで加熱する。粉末が分散するまで混合する。相Bに相B1を追加し、透明になるまで混合する。30セルシウス度まで冷却し、合わせた相B/B1をバッチに追加する。均一になるまで混合する。
相C:粘性を増すために相Cを一つずつバッチに追加し、Structure Xlを追加した後にホモジナイズし、Simulgel INS 100を追加した後にもう一度ホモジナイズする。
相D:相D成分をバッチに追加し、均一になるまで混合する。
【0140】
(実施例2)
酒さ患者による臨床研究
研究設計&方法:
12〜85歳の酒さ患者は、約8週間の期間にわたり、やさしい皮膚洗剤により顔を洗浄した後に顔の上にデキストランサルフェートを含有する組成物(つまり実施例1cにおいて記載される組成物)を毎日2回(午前および午後)適用した。処置前に(Visit1)ならびに約2週間(Visit2)、約4週間(Visit3)、および約8週間(Visit4)後の処置期間の間に以下のアセスメントまたは評価を実行した。
【0141】
調査者の耐用性アセスメント:
熱傷/刺痛感/ピリピリ感、そう痒症、乾燥、剥れ/ピーリング、および萎縮を含む耐用性について、調査者(つまり皮膚科医)が以下のスケールに従って顔を評価した:0=なし、1=軽度、2=中程度、3=重度。
【0142】
さらに、研究期間の間に対象が経験したいかなる有害事象も、処置に関連づけられたかどうかに関わらず、記録した。
【0143】
丘疹膿疱型酒さについての調査者のグローバルなアセスメント(IGA):
顔の全体的な皮膚状態のアセスメントを、以下のスコアリングシステムに従って調査者(つまり皮膚科医)によって実行した。
【0144】
【表4−1】

【0145】
【表4−2】

丘疹膿疱型酒さについての炎症性病変のカウント:
調査者(つまり皮膚科医)による顔上の炎症性病変(丘疹および膿疱)の総数のカウント。
【0146】
発赤/紅斑および毛細血管拡張症の調査者のアセスメント:
以下のスケールによる調査者(つまり皮膚科医)による顔上の発赤/紅斑および毛細血 管拡張症の両方の重症度の評価:
【0147】
【表5−1】

【0148】
【表5−2】

全体的な改善についての調査者の評点:
以下のスケールによる調査者(つまり皮膚科医)による、疾患徴候および症状のクリアランスの程度を反映する7ポイントのスケールを使用する、ベースラインからの酒さ重症度の比較に基づく、酒さの全体的な改善の評点からなるアセスメント:0=完全寛解、1=優れた改善(75〜99%)、2=著しい改善(50〜74%)、3=中程度の改善(25〜49%)、4=わずかな改善(1〜24%)、5=変化なし、6=悪化。
【0149】
臨床写真撮影:
臨床写真は、すべての対象について統一した条件を利用してすべての訪問時に撮った。皮膚は、粉末化粧品、口紅/グロス、およびマスカラなど、いかなる局所的な産物も除去するために写真撮影前に洗浄しなければならない。暴露、照明、フラッシュ、および焦点距離についての設定は、研究の間、一定に維持した。対象は、変わらぬ姿勢で臨床写真システムを使用して撮影した。ある期間にわたって比較を可能にするために、中立の表現および中立の角度を利用して(たとえば、首の低または過伸展を回避して)、制御された条件下で領域をとらえることもまた重要であった。それぞれの写真を撮ったら、写真が、焦点が合っており、照明、距離、および角度を含むすべての技術的側面においてそのベースラインの対応物に類似していることを確実にするために写真を調べた。写真は、改善がはっきり認められることを可能にするために3つの角度から撮った:正面全体(0°)ならびに左側(45°)および右側(−45°)からの側面で。写真は、標準的な部屋照明下で、制御された距離で撮った。可能である場合には、交差偏光、平行偏光(parallel−polarized)、および可視光線画像を、青色蛍光および紫外線蛍光画像の両方と共に得た。
【0150】
研究結果:
1mol当たり約8000グラムの平均分子量のデキストランサルフェート(たとえばデキストランサルフェートのナトリウム塩)を含有する組成物(つまり実施例1cにおいて記載される組成物)を、紅斑毛細血管拡張型酒さ(サブタイプI酒さとも呼ばれる)を有する14人の対象および丘疹膿疱型酒さ(サブタイプII)を有する2人の対象による臨床研究において評価した。研究は、男性および女性の対象を含んだ。対象はすべて、顔の発赤およびまた毛細血管拡張症を経験していた。
【0151】
組成物は、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後に27%、約4週間後に42%、および約8週間後に43%、顔の発赤(または紅斑)を低下させることが示された。
【0152】
さらに、組成物はまた、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後に21%、約4週間後に26%、および約8週間後に34%、毛細血管拡張症をも低下させることを示した。
【0153】
組成物はまた、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後に23%、約4週間後に43%、および約8週間後に42%、丘疹膿疱の全体的な重症度もまた、低下させることをも示した。
【0154】
同様に、組成物はまた、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後に12%、約4週間後に72%、および約8週間後に44%、炎症性病変の数をも減少させることを示した。
【0155】
調査者によって評価されるように、酒さの症状における少なくとも中程度の改善が、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後の対象の31%、約4週間後の対象の60%、および約8週間後の対象の64%において観察された。さらに、酒さの症状における少なくとも著しい改善が、処置前と比較して、顔への組成物の毎日2回の局所適用の約2週間後の対象の13%、約4週間後の対象の13%、および約8週間後の対象の29%において観察された。
【0156】
さらに、組成物は、十分に耐性があり、少数の対象だけが、組成物を用いる処置期間の間にいくらかの軽微な熱傷および乾燥を報告した。どの対象も、アレルギーまたは接触アレルギーを報告せず、組成物またはナトリウムデキストランサルフェートまたは他の抗菌隔離剤(つまりStructure XL)に対する免疫毒性の影響の証拠はなかった。
【0157】
(実施例3a)
乾癬患者による臨床研究
12歳よりも年上の乾癬患者は、約4〜16週間の期間にわたり、罹患皮膚領域上に、デキストランサルフェートを含有する組成物(つまり実施例1において記載される組成物のいずれか)を毎日1回〜2回(午前および/または午後)適用した。臨床徴候の評価は、徴候/症状なし(スコア0)〜非常に重度の徴候/症状(スコア4)の範囲の5つのカテゴリースケールを使用する、発赤、厚み、および薄片状の徴候のそれぞれについての病変の重症度のアセスメントを含んだ。これらの3つのスコア(発赤、厚み、および薄片状)の合計により、0(症状なし)〜12(非常に重度の症状)の範囲の総徴候スコアを示した。
【0158】
調査者のグローバルなアセスメント(IGA)に基づいて、疾患重症度は、6つのカテゴリースケール(「不在」、「非常に軽度」、「軽度」、「中程度」、「重度」、「非常に重度」の疾患)を使用して評価した。「疾患の不在」または「非常に軽度の疾患」として分類された疾患重症度を有する患者は、「落ちついた疾患」を有するとして評点した。患者は、「さらに悪い」〜「きれいになった」の範囲の7つのカテゴリースケールを使用して、処置に対する患者らの全体的な反応を評価した。「著しい改善」、「ほとんどきれい」、または「きれいになった」として分類された処置反応を有する患者は、「処置成功」を達成したとして評点した。
【0159】
組成物は、乾癬によって冒された顔および他の身体領域上の罹患皮膚部位への組成物の毎日1回〜2回の局所適用の約4〜16週間後に、乾癬病変の発赤、厚み、および薄片状を低下させ、IGAによって評価されるように全体的な疾患重症度を低下させることが示された。
【0160】
組成物は、十分に耐性があった。どの対象も、アレルギーまたは接触アレルギーを報告せず、組成物またはナトリウムデキストランサルフェートまたは他の抗菌隔離剤(つまりStructure XL、Aristoflex HMB)に対する免疫毒性の影響の証拠はなかった。
【0161】
(実施例3b)
尋常性ざ瘡患者による臨床研究
6歳よりも年上のざ瘡(つまり尋常性ざ瘡)患者は、約4〜16週間の期間にわたり、デキストランサルフェートを含有する組成物(つまり実施例1において記載される組成物のいずれか)を毎日1回〜2回(午前および/または午後)適用した。以下のアセスメントを、処置の前に、処置期間の間に、および終了時に実行した:IGA(きれい、ほとんどきれい、軽度、中程度、重度、非常に重度)、全体的な疾患重症度、病変カウント(炎症性、非炎症性、合計)、病変の重症度のアセスメント(Journal of Drugs in Dermatology 9巻:131〜36頁(2010年)において記載される(参考文献として本明細書において組み込まれる))。
【0162】
組成物は、ざ瘡病変によって冒された顔または他のおよび他の皮膚領域への組成物の毎日1回〜2回の局所適用の約4〜16週間後に、炎症性および非炎症性の病変の数および重症度を低下させ、全体的な疾患重症度を低下させ、IGAを改善することが示された。
【0163】
組成物は、十分に耐性があり、少数の対象だけが、組成物を用いる処置期間の間にいくらかの軽微で一時的な熱傷および乾燥を報告した。どの対象も、アレルギーまたは接触アレルギーを報告せず、組成物またはナトリウムデキストランサルフェートまたは他の抗菌隔離剤(つまりStructure XL、Aristoflex HMB)に対する免疫毒性の影響の証拠はなかった。
【0164】
(実施例3c)
アトピー性皮膚炎(湿疹)患者による臨床研究
12歳よりも年上のアトピー性皮膚炎患者は、約4〜16週間の期間にわたり、罹患皮膚領域上に、デキストランサルフェートを含有する組成物(つまり実施例1において記載される組成物のいずれか)を毎日1回〜2回(午前および午後)適用した。以下のアセスメントを、処置の前にならびに処置期間の間におよび終了時に実行した:IGA(きれい、ほとんどきれい、軽度、中程度、重度、非常に重度)および全体的な疾患重症度。
【0165】
組成物は、アトピー性皮膚炎(湿疹)によって冒された顔または他のおよび他の皮膚領域への組成物の毎日1回〜2回の局所適用の約4〜16週間後に、全体的な疾患重症度を低下させ、IGAを改善することが示された。組成物は、十分に耐性があった。どの対象も、アレルギーまたは接触アレルギーを報告せず、組成物またはナトリウムデキストランサルフェートまたは他の抗菌隔離剤(つまりStructure XL、Aristoflex HMB)に対する免疫毒性の影響の証拠はなかった。
【0166】
(実施例4a)
化学合成による硫酸化多糖の調製
硫酸化多糖は、以前に記載されるように合成することができる。(Trends in Glycoscience and Glycotechnology 15巻:29〜46頁(2003年);Angew. Chem. Int. Ed.43巻:3118〜33頁を参照されたい(参照によって本明細書において組み込まれる))。たとえば、スルホン化試薬として、クロロスルホン酸ピリジン複合体、ジシクロヘキシルカルボジイミドによって媒介される硫酸(J. Carbohydr. Chem.15巻:449〜57頁(1996年)を参照されたい)、三酸化硫黄トリメチルアミン複合体(Thromb. Res.59巻:749〜58頁(1990年)を参照されたい)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中のピリジン三酸化硫黄複合体を伴う多糖の水酸基のスルホン化のための様々な方法が、報告されている。
【0167】
その他に、脱重合および副反応をそれほど引き起こさないDMF中のピリジン三酸化硫黄複合体は、十分に硫酸化された多糖を調製するために使用することができる(Med. Res. Rev.20巻:323〜49頁(2000年)を参照されたい)。例として、多糖は、乾燥DMF中で十分に増大させ、次いで、室温で14時間、撹拌した。過剰な三酸化硫黄ピリジン複合体(多糖における15mol/等価物の利用可能な水酸基)を必要とした。過スルホン化(persulfonation)反応は、40℃で6時間、N2ガス下で撹拌しながら実行した。結果として生じる無機硫酸は、NaOHの水溶液によって中和した。硫酸化多糖は、冷エタノールにより沈殿させ、水に対して透析し、水中で再び溶かし、凍結乾燥した。セルロースの場合には、この多糖の非常に高度な分子量のために、試料は、緩やかな酸加水分解下で部分的に脱重合し、スルホン化は、十分に硫酸化されたセルロースをもたらすために繰り返した。他の十分に硫酸化された多糖を得、様々なレベルの硫酸化を有する過剰硫酸化多糖を調製するために、様々な条件もまた調査した。
【0168】
(実施例4b)
酵素的合成による硫酸化多糖の調製
ヘパランサルフェート生合成のための「経路における」酵素は、クローニングされ、発現させ、ヘパランサルフェート多糖の合成において用いられてきた(BalagurunathanらNat. Biotechnol.21巻:1343〜46頁(2003年);Kuberanら J. Am. Chem. Soc.125巻:12424〜25頁(2003年);Balagurunathanら J. Biol. Chem.278巻:52613〜21頁(2003年)を参照されたい)。例として、米国特許出願第20090197308号において記載されるように、多糖を硫酸化するための方法は、(a)少なくとも1つのO−スルホトランスフェラーゼ(OST)酵素および3’−ホスホアデノシン5’−ホスホ硫酸(PAPS)を含む反応混合物を提供するステップ、(b)反応混合物と多糖基質をインキュベートするステップであって、多糖基質からの硫酸化多糖の産生は、アデノシン3’,5’−二リン酸(PAP)へのPAPSの変換を伴って、OST酵素によって触媒されるステップ、ならびに(c)多糖硫酸化に対するPAPの阻害効果を低下させるためにPAPを修正する反応条件を提供するステップを含む。
【0169】
(実施例5)
フコイダン(参照によって本明細書において組み込まれるAppl Microbiol Biotechnol 82巻:1〜11頁(2009年)、Molecules 13巻:1671〜1695頁(2008年)を参照されたい)
フコイダンは、いくつかの藻類またはナマコ(Carbohydr Res 255巻:225〜240頁(1994年)を参照、もしくはウニ(J. Biol Chem 269巻、22113〜22123頁(1994年);Glycobiology 9巻:927〜933頁(1999年)を参照されたい)のような海洋無脊椎動物から得られてもよい。フコイダンの用語は、硫酸化複合多糖について一般に適用され、他の多くの単糖に加えて様々な量においてフコース残基を含有する藻類から抽出されることが多いのに対して、硫酸化フカンという用語は、海洋動物から抽出されることが多い、大多数のフコースを含有する規則的な構造を有する硫酸化多糖について用いられる。しかしながら、すべての著者が、この慣例を守るとは限らず、したがって、フカンサルフェートまたは旧式のフコイジンのような語を使用することによって混乱を増加させている(Glycobiology 13巻:29R〜40R(2003年)を参照されたい)。
【0170】
近年、Pelvetia canaliculata(Mar Biotechnol 8巻:27〜39頁(2006年)を参照されたい)、Fucus vesiculosus(J Nat Products 56巻:478〜488頁(1993年);Nantes Proceedings、122〜133頁(2002年);Khimiko−Farmatsevticheskii Zhurnal 38巻:323〜326頁(2004年)の翻訳を参照されたい)、Sargassum stenophyllum(Carbohydr Res 333巻:281〜293頁(2001年)を参照されたい)、Chorda filum(Microbiology(Moscow, Russian Federation)(Mikrobiologiyaの翻訳)71巻:41〜47頁(2002年)を参照されたい)、Ascophyllum nodosum(Carbohydr Res 59巻:531〜537頁(1977年)を参照されたい)、Cladosiphon okamuranus(Mar Biotechnol 5巻:536〜544頁(2003年)を参照されたい)、Dictyota menstrualis(Braz J Med Biol Res 37巻:167〜171頁(2004年)を参照されたい)、Fucus evanescens(Microbiology(Moscow, Russian Federation)(Mikrobiologiyaの翻訳)71巻:41〜47頁(2002年);Bull Exp Biol Med(Byulleten Eksperimental’noi Biologii i Meditsinyの翻訳)136巻:471〜473頁(2003年);Carbohydr Res 341巻:238〜245頁(2006年)を参照されたい)、Fucus serratus(Carbohydr Res 341巻:238〜245頁(2006年)を参照されたい)、Fucus distichus(Carbohydr Res 339巻:511〜517頁(2004年)を参照されたい)、Kjellmaniella crassifolia(Mar Biotechnol 4巻:399〜405頁(2002年)を参照されたい)、Hizikia fusiforme(Carbohydr Res 341巻:1135〜1146頁(2006年)を参照されたい)、およびAnalipus japonicus(Russ J Bioorgan Chem 33巻:38〜46頁(2007年)を参照されたい)を含む様々な褐藻が、フコイダンのそれらの含有量について分析された。
【0171】
適した量のフコイダンを得るために、物質は、収集され、洗浄し、乾燥させ、抽出し、凍結乾燥させる必要がある。これらの抽出法が、荒すぎる場合、硫酸化パターンは、破壊されるかもしれず、したがって、生物活性は失われ得る(Carbohydr Polym 63巻:224〜228頁(2006年)を参照されたい)。適した抽出法および抽出物の分析の例は、Cryptogam Algol 4巻:55〜62頁(1983年);Carbohydr Res 194巻:315〜320頁(1989年);Pharm Chem J(Khimiko Farmatsevticheskii Zhurnalの翻訳)38巻:323〜326頁(2004年);Glycobiology 17巻:541〜552頁(2007年)(参考文献として本明細書において組み込まれる)において提供される。フコイダン抽出物はまた、以下の例において例証される種々の市販の供給源から得ることができる(Bot Mar 43巻:393〜398頁(2000年);Am J Hematol 78巻:7〜14頁(2005年);Eur J Neurosci 21巻:2649〜2659頁(2005年);Synapse(Hoboken, NJ, United States)60巻:456〜464頁(2006年)を参照されたい)。
【0172】
(実施例6)
硫酸化ガラクタン:不均一性はほとんど複雑な硫酸化パターンにより生じる。(参照によって本明細書において組み込まれるGlycobiology.18巻(12号):1016〜27頁(2008年)を参照されたい)
海洋硫酸化ガラクタンは、紅藻類において広く豊富である。カラギナンおよびアガランは、大型藻類由来の最も一般的な硫酸化ガラクタンである。カラギナンという名前の起源は、アイルランドの海岸上の小さな村、Carragheenから来ており、そこでは、カラギナンを有する海藻Chondrus crispusまたは「アイルランドゴケ」が生えている(Brit Food J 96巻:12〜17頁(1994年)を参照されたい)。アガランという語(Knutsenら(Bot Mar 37巻:163〜169頁、1994年)によって提唱された名前、J Appl Phycol 13巻:173〜184頁(2001年)もまた参照されたい)は、もともと、語「寒天」に由来し、これは、マレー語(agar−agar)でゼリーを意味する。これらの紅藻類の多糖の両方は、通常、動物のグリコサミノグリカンに類似する二糖の「マスクリピート」単位を示す、交互の3−結合β−D−ガラクトピラノースおよび4−結合α−ガラクトピラノース残基からできた直鎖状主鎖を有する。β−ガラクトースは、常にD鏡像異性体であるのに対して、α−ガラクトース残基は、DまたはL立体配置で存在し得る(Food Hydrocolloids 12巻:301〜308頁(1998年)を参照されたい)。実質的な部分はまた、3,6−無水誘導体の形態で存在してもよい。褐藻由来の硫酸化フカンのように、紅藻硫酸化ガラクタンにおける重要な構造的変異が、様々な種の中におよび様々な環境でまたは年の様々な季節において収集された試料中に存在する(Carbohydr Res 340巻:2015〜2023頁(2005年)を参照されたい)。さらに、様々な水酸基は、硫酸エステル、メチル基、またはピルビン酸によって置換されてもよい(Food Hydrocolloids 12巻:301〜308頁(1998年)を参照されたい)。これらの多糖における主な構造的変異は、硫酸化パターンである。
【0173】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と共に記載してきたが、先の説明は、添付の請求項の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではなく、例証するように意図される。他の態様、利点、および修飾は、以下の請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患および皮膚障害を処置するのに使用するための、1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物を含む組成物。
【請求項2】
前記皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する前記皮膚疾患および前記皮膚障害が、酒さ、乾癬、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、皮膚がん、メラノーマ、皮膚創傷、および潰瘍からなる群より選択される、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記化合物によって隔離される前記抗菌ペプチドが、陽イオン抗菌ペプチド;皮膚、エクリン汗腺、毛球細胞、および皮脂腺細胞中に、汗および皮脂中に、もしくは皮膚の表面上に存在する内在性プロテアーゼによってタンパク質分解処理された陽イオン抗菌ペプチド;またはその組み合わせである、請求項1または請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記化合物によって隔離される前記陽イオン抗菌ペプチドがヒトカテリシジンポリペプチドである、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記化合物によって隔離される前記抗菌ペプチドがヒトデフェンシンポリペプチドである、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記化合物によって隔離される前記抗菌ペプチドがヒトダームシジンポリペプチドである、請求項3に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記ヒトカテリシジンポリペプチドが、カテリシジンポリペプチドhCAP18およびカテリシジンポリペプチドLL−37からなる群より選択される、請求項4に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記カテリシジンがLL−37である、請求項7に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記ヒトデフェンシンポリペプチドが、アルファデフェンシンおよびベータデフェンシンからなる群より選択される、請求項5に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記抗菌ペプチド隔離化合物が、静電的相互作用によって前記抗菌ペプチドを隔離するかまたはそれに結合する陰イオン化学物質である、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記陰イオン化学物質が、ポリアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質以外の陰イオンポリマーである、請求項10に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記陰イオン化学物質が、以下の対イオン:アルカリ金属、アルカリ土類金属、もしくは遷移金属のイオン;アンモニウムイオン;炭水化物もしくはアミン基による炭水化物誘導体のプロトン化形態;第四級アンモニウムイオン;またはその任意の組み合わせのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記陰イオンポリマーが、硫酸化またはポリ硫酸化単糖ならびにその塩および複合体;硫酸化またはポリ硫酸化二糖ならびにその塩および複合体;硫酸化またはポリ硫酸化多糖ならびにその塩および複合体;デキストランサルフェートならびにその塩および複合体;コンドロイチンサルフェートならびにその塩および複合体;ペントサンポリサルフェートならびにその塩および複合体;スクロースサルフェートならびにその塩および複合体;フコイダンならびにその塩および複合体;硫酸化ガラクタンならびにその塩および複合体;カラギナンならびにその塩および複合体;硫酸デンプンならびにその塩および複合体;セルロースサルフェートならびにその塩および複合体;硫酸化グリコサミノグリカンならびにその塩および複合体;ヘパリン;ヘパランサルフェート;硫酸化グルカン;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記デキストランサルフェートがデキストラン硫酸ナトリウムである、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記スクロースサルフェートが、アルミニウムスクロースサルフェート以外の任意のスクロースサルフェートである、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記スクロースサルフェートがスクロースオクタサルフェートである、請求項15に記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記カラギナンがChondrus Crispusである、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記フコイダンが、藻類抽出物および処理された藻類抽出物からなる群より選択される、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記抗菌ペプチド隔離化合物が、植物抽出物、藻類抽出物、アロエベラ(barbadensis)抽出物、サボテン抽出物、およびサメまたは魚の軟骨抽出物からなる群より選択される、請求項1から10のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項20】
前記抗菌ペプチド隔離化合物が、硫酸化またはポリ硫酸化ポリマー;重合体スルホン酸;ホスフェートまたはポリホスフェート;リン脂質;カルボキシレート;ポリヒドロキシ酸;ヒアルロン酸;アルギネート;ポリ乳酸;およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項1から11のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項21】
前記硫酸化またはポリ硫酸化ポリマーがポリ(ビニルサルフェート)またはポリ(アネトールスルホネート)である、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
前記ホスフェートが、グリセロリン酸ナトリウムなどのグリセリンリン酸である、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項23】
前記重合体スルホン酸が、Aristoflex(登録商標)HMPおよびAristoflex(登録商標)AVC(Clariant)からなる群より選択される、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項24】
前記ホスフェートまたはポリホスフェートが、単糖リン酸、二糖リン酸、多糖リン酸、グリセロリン酸塩、およびリン酸デンプンからなる群より選択される、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項25】
前記リン酸デンプンがヒドロキシプロピルリン酸デンプンである、請求項24に記載の使用のための組成物。
【請求項26】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリンおよびレシチンからなる群より選択される、請求項20に記載の使用のための組成物。
【請求項27】
前記陰イオン化学物質が、1mol当たり少なくとも100gの分子量を有する、請求項10から18のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項28】
前記陰イオン化学物質が、1mol当たり100g〜100,000gの分子量を有する、請求項27に記載の使用のための組成物。
【請求項29】
前記陰イオン化学物質が、1mol当たり100g〜25,000gの分子量を有する、請求項28に記載の使用のための組成物。
【請求項30】
前記陰イオン化学物質が、1mol当たり100g〜10,000gの分子量を有する、請求項29に記載の使用のための組成物。
【請求項31】
前記抗菌ペプチド隔離化合物が、線維芽細胞増殖因子および血管内皮細胞増殖因子からなる群より選択されるヘパリン結合増殖因子およびサイトカインにさらに結合するかまたはそれを隔離する、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項32】
前記1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物が局所投与される、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項33】
前記1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物が、局所使用に適した溶液、懸濁物、ゲル、ヒドロゲル、クリーム、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョン、ローション、スプレー、軟膏、パッチ、組織クロス、ワイプ、石けん、ペースト、エアロゾル、またはマスクとして処方される、請求項32に記載の使用のための組成物。
【請求項34】
前記1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物が、0.01w%から25w%の量で局所処方物中に組み込まれている、請求項32または33に記載の使用のための組成物。
【請求項35】
前記1つまたは複数の抗菌ペプチド隔離化合物が、キトサン、DEAE−デキストラン、陽イオングアーガム、陽イオン多糖、陽イオンセルロース、サッカリドと合成陽イオン単量体との陽イオンコポリマー、陽イオンポリアルキレンイミン、および陽イオンエトキシポリアルキレンイミンからなる群より選択される陽イオンポリマーを実質的に含まない、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項36】
前記1つまたは複数の抗菌隔離化合物が、アルミニウムまたはアルミニウムイオンを実質的に含まない、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項37】
酒さ阻害性作用物質;α−アドレナリン作用性受容体アゴニスト;血管収縮特性を有する化学物質または植物性抽出物;鼻粘膜うっ血除去薬、鼻腔うっ血除去薬、またはその組み合わせ;抗炎症特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗ヒスタミン特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗菌特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗真菌特性を有する化学物質;抗ダニ特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗ざ瘡特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗寄生物特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗ふけ特性を有する化学物質または植物性抽出物;抗脂漏特性を有する化学物質または植物性抽出物;角質溶解特性を有する角質溶解薬または植物性抽出物;抗アンドロゲン特性を有する化学物質または植物性抽出物;収斂特性を有する化学物質または植物性抽出物;セリンプロテアーゼインヒビター;飽和ジカルボン酸;アルファヒドロキシ酸;およびベータヒドロキシ酸;レチノイン酸、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン、レチノール、またはその誘導体;過酸化ベンゾイル;ダプソン;キネチン(N−フルフリルアデニン)、およびフルフリルアミノテトラヒドロピラニルアデニンなどのその誘導体;ナイアシンアミド(ニコチンアミド);日焼け止め;酸化防止剤;皮膚軟化薬;湿潤薬;皮膚保護薬;皮膚バリアエンハンサー;皮膚浸透エンハンサー;化粧用の使用に適した無機質;化粧用の使用に適した化粧品;化粧用の使用に適した光学的ぼかし剤;ペプチド、脂肪酸ペプチド、またはその組み合わせ;リン脂質;増殖因子、サイトカイン、またはその組み合わせ;細胞溶解物もしくは細胞抽出物、幹細胞溶解物もしくは抽出物、幹細胞由来の構成成分、細胞培養馴化培地、またはその組み合わせ;表皮幹細胞または他の幹細胞を刺激する成分;皮膚コンディショニング剤;スキンライトニング剤、スキンブライトニング剤、またはその組み合わせ;抗しわ剤、抗老化剤、またはその組み合わせ;植物または野菜抽出物;植物油;シリコーン油;脂肪酸、脂肪酸エステル、またはその組み合わせ;ならびにその任意の混合物またはその組み合わせからなる群より選択される1つまたは複数のさらなる化合物または活性成分をさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項38】
前記酒さ阻害性作用物質が、メトロニダゾール、スルファセタミド、ナトリウムスルファセタミド、硫黄、ダプソン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、アゼライン酸、ドベシル酸カルシウム、マレイン酸、およびその任意の適合性の組み合わせからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項39】
前記α−アドレナリン作用性受容体アゴニストが、クロニジン、アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、アプラクロニジン、ジピベフリン、α−メチルドパ、オキシメタゾリン、塩酸オキシメタゾリン、メトキサミン、メタラミノール、メデトミジン、デクスメデトミジン、エチルノルエピネフリン、グアンファシン、グアナベンズ、フェニレフリン、塩酸フェニレフリン、エフェドリン、エピニン、エピネフリン、エチルノルエピネフリン、レバルテレノール、ロフェキシジン、ノルエピネフリン、ノルフェニレフリン、ノルエフェドリン、フェニルプロパノラミン、ペモリン、プロピルヘキセドリン、プソイドエフェドリン、メタンフェタミン、α−メチルノルエピネフリン、メチルフェニデート、メフェンテルミン、ミドドリン、ミバゼロール、モクソニジン、デスグリミドドリン、テトラヒドロゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、シラゾリン、アミデフリン、ブリモニジン、酒石酸ブリモニジン、ナファゾリン、イソプロテレノール、キシラジン、キシロメタゾリン、およびチザニジンからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項40】
前記血管収縮特性を有する化学物質または植物性抽出物が、コルチコステロイド、エフェドリン、プソイドエフェドリン、カフェイン、エスチン;マオウ、phedra sinica、hamamelis viginiana、hydrastis canadensis、lycopus virginicus、aspidosperma quebracho、cytisus scoparius、raphanus sativus linn(ラディッシュ葉抽出物)、セイヨウトチノキ抽出物およびその任意の適合性の組み合わせからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項41】
前記抗炎症特性を有する化学物質または植物性抽出物が、コルチコステロイド(短期使用用)、非ステロイド性抗炎症薬、リノール酸、リノレン酸、ビサボロール、グリシレチン酸、グリセリン、茶抽出物などの抗炎症特性を有する植物抽出物、Il−1raなどの抗炎症性インターロイキン、N−アセチル−S−ファルネシル−L−システインなどのイソプレニルシステイン類似体、4−エトキシベンズアルデヒドなどの抗炎症特性を有する芳香族アルデヒド、およびその任意の適合性の組み合わせからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項42】
前記抗菌特性を有する化学物質または植物性抽出物が、ゲンタマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、キノロン、シプロフロキサシン、ノボビオシン、およびその組み合わせからなる群より選択される抗生物質である、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項43】
前記抗真菌特性を有する化学物質または植物性抽出物が、ケトコナゾール、塩酸ナフチフィン、硝酸オキシコナゾール、硝酸スルコナゾール、尿素、塩酸テルビナフィン、および硫化セレンからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項44】
前記抗ざ瘡特性を有する化学物質または植物性抽出物が、過酸化ベンゾイル、サリチル酸、レチノイン酸、トレチノイン;アルファヒドロキシ酸;および抗生物質からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項45】
前記角質溶解特性を有する角質溶解薬または植物性抽出物が、アルファヒドロキシ酸、ベータヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、尿素、およびサリチル酸からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項46】
前記アルファヒドロキシ酸が、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、および酒石酸からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項47】
前記ベータヒドロキシ酸が、カルニチン、3−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、β−ヒドロキシβ−メチル酪酸、およびサリチル酸からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項48】
前記化粧用の使用に適した無機質が、滑石、雲母、および酸化鉄からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項49】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、レシチン、およびリソレシチンからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項50】
前記増殖因子またはサイトカインが、TGFベータ、EGF、PDGF、processed skin cell protein(PSP(登録商標))、Nouricel−MD(登録商標)、線維芽細胞溶解物などの細胞溶解物、および細胞培養馴化培地からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項51】
前記植物または野菜抽出物が、酵母;醸造業者使用済み穀物(ビール醸造の副産物);オオムギ;ダイズ;豆乳;カラスムギ;ラベンダー;甘草;ショウガ;ニンジン;ウコン;リンゴ;ムチサンゴ;藻類;アロエベラ(barbadensis)葉;茶;カモミール;およびカバノキからの凍結乾燥物、蒸発物、および留出物などの抽出物または濃縮物からなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項52】
前記脂肪酸または脂肪酸エステルが、リノール酸、リノレン酸、およびそのエステルからなる群より選択される、請求項37に記載の使用のための組成物。
【請求項53】
メトロニダゾール、スルファセタミド、ナトリウムスルファセタミド、硫黄、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、クリンダマイシン、リン酸クリンダマイシン、エリスロマイシン、ミノサイクリン、およびその組み合わせのうちの1つまたは複数をさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項54】
アゼライン酸、カフェイン、テオブロミン、テオフィリン、キサンチン、グリセリン、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、クレアチン、カルニチン、リノール酸およびリノレン酸を含めた必須脂肪酸、亜鉛塩、銅塩、またはその任意の組み合わせをさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項55】
前記亜鉛塩が、たとえば、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛グリシネート、グルコン酸亜鉛、亜鉛ヒスチジン、亜鉛L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート(亜鉛PCA)、リノール酸の亜鉛塩、リノレン酸の亜鉛塩、アゼライン酸の亜鉛塩、亜鉛ペプチド、酸化亜鉛、およびその組み合わせなどからなる群より選択される、請求項54に記載の使用のための組成物。
【請求項56】
前記銅塩が、硫酸銅、塩化銅、銅グリシネート、グルコン酸銅、銅ヒスチジン、銅L−2−ピロリドン−5−カルボキシレート(銅PCA)、リノール酸の銅塩、リノレン酸の銅塩、アゼライン酸の銅塩、銅ペプチド、およびその組み合わせからなる群より選択される、請求項54に記載の使用のための組成物。
【請求項57】
前記皮膚疾患または皮膚障害に罹患した患者が、正常な皮膚と比較して、皮膚中にまたは皮膚表面上に上昇したレベルのカテリシジンを有する、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項58】
前記皮膚疾患または皮膚障害に罹患した患者が、正常な皮膚と比較して、皮膚中にまたは皮膚表面上に上昇したレベルのデフェンシンを有する、前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項59】
前述の請求項のいずれかに記載の使用のための組成物であって、該組成物は、前記皮膚疾患または皮膚障害に罹患した患者に適切、かつ該皮膚障害または皮膚疾患と関連する1つまたは複数の症状の減少を引き起こすのに十分である量、投与用量、投与の頻度、および処置の期間において、該患者に投与される、組成物。
【請求項60】
皮膚の表面上への前記投与用量が、1cm当たり0.2〜2mgの組成物である、請求項59に記載の使用のための組成物。
【請求項61】
前記投与の頻度が、毎日、毎日2回、毎日3回、毎週1回、または毎週2回である、請求項59または請求項60に記載の使用のための組成物。
【請求項62】
前記処置の期間が少なくとも1〜2週間である、請求項59から61のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項63】
酒さと関連する前記症状が、容易に紅潮するかもしくは赤くなる傾向;顔のクモ状の血管の数の増加(毛細血管拡張症);慢性皮膚発赤もしくは紅斑;膿疱性病変、丘疹性病変、もしくはその組み合わせなどの、ざ瘡様の皮疹;顔の熱傷もしくは刺痛感の感覚;赤い鼻およびふくらんだ鼻;ならびにその任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項59から62のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項64】
ざ瘡と関連する前記症状が、ざ瘡病変または皮疹、嚢腫、膿疱、黒色面皰および白色面皰、皮疹の痂皮形成、皮疹のまわりの炎症および発赤、ならびにそれらの病変および皮疹に関連する皮膚の瘢痕からなる群より選択される、請求項59から62のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項65】
アトピー性皮膚炎と関連する前記症状が、かゆみ、乾燥またはかたい皮膚領域、皮膚発赤または炎症、発疹、滲出および痂皮形成を伴う水疱、ならびに引っ掻きによる皮膚の皮のむけた領域からなる群より選択される、請求項59から62のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項66】
乾癬と関連する前記症状が、皮膚のひりひりする斑、発赤、および頭皮の薄片状の斑からなる群より選択される、請求項59から62のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項67】
前記斑が、濃いピンク色であるか、乾燥しておりかつ銀色で薄片状の皮膚(鱗屑)により覆われているか、ふくれておりかつ厚いか、またはその組み合わせである、請求項66に記載の使用のための組成物。
【請求項68】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物であって、該組成物は、
a)約60.30(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム、約1.25(重量)%のアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー、および約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含む第1の相;
b)約14(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン、約0.1(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、約15(重量)%のグリセリン、および約1(重量)%のフェノキシエタノールを含む第2の相;
c)約1(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含む第3の相;ならびに
d)約3%のカプリリルメチコンを含む第4の相
から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である、組成物。
【請求項69】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物であって、該組成物は、
a)約60.30(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム、約1.25(重量)%のアンモニウムアクリロイルジメチルタウリン/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー、および約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含む第1の相;
b)約13.85(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン、約0.25(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、約15(重量)%のグリセリン、および約1(重量)%のフェノキシエタノールを含む第2の相;
c)約1(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプンを含む第3の相;ならびに
d)約3%のカプリリルメチコンを含む第4の相
から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である、組成物。
【請求項70】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害を処置するための組成物であって、該組成物は、
a)約60.04(重量)%の水、約0.1%の二ナトリウムEDTA、約0.25(重量)%のキサンタンガム、約1(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプン、ならびに約1(重量)%のヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウリンコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート−60を含む第1の相;
b)約15(重量)%の水、約1.5(重量)%のカフェイン、約0.5(重量)%のデキストラン硫酸ナトリウム、約1(重量)%の亜鉛PCA、0.2(重量)%のクロルフェネシン、約15(重量)%のグリセリン、および約0.5(重量)%のフェノキシエタノールを含む第2の相;
c)約1.5(重量)%のヒドロキシプロピルリン酸デンプン、ならびに約0.41(重量)%のヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウリンコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート−60を含む第3の相;ならびに
d)約2%のカプリリルメチコンを含む第4の相
から調製され、すべての相の合計重量は、100(重量)%である、組成物。
【請求項71】
請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物および少なくとも1つの薬学的に許容されるキャリアを含む薬学的処方物。
【請求項72】
請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物および少なくとも1つの化粧用に許容されるキャリアを含む化粧用処方物。
【請求項73】
1つまたは複数の容器中に請求項71に記載の薬学的処方物を含むキット。
【請求項74】
1つまたは複数の容器中に請求項72に記載の化粧用処方物を含むキット。
【請求項75】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害の処置における、前記薬学的処方物の使用のための説明書をさらに含む、請求項73に記載のキット。
【請求項76】
皮膚の抗菌ペプチドの形成、プロセシング、またはその両方の調節解除と関連する皮膚疾患または皮膚障害の処置における、前記化粧用処方物の使用のための説明書をさらに含む、請求項74に記載のキット。
【請求項77】
請求項68から70のいずれか一項に記載の組成物を、薬学的にまたは化粧用に有効な量において含む、単位投薬形態。

【公表番号】特表2013−521300(P2013−521300A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556198(P2012−556198)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026804
【国際公開番号】WO2011/109469
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504305809)
【Fターム(参考)】