説明

抗菌ポリペプチド

【課題】新規な抗菌性ポリペプチドの提供。
【解決手段】抗菌活性を有し、18アミノ酸からなる特定の配列を有するポリペプチド、及び前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。また、核酸構造体、前記核酸構造体を含んで成るベクター及び宿主細胞と、ポリペプチドの生成方法。さらに洗剤・医薬品・動物薬・動物試料等への、該ポリペプチド含有組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌ポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、抗菌剤の種類は、病原耐性微生物の同時増加と共に、実質的に上昇している。耐性は、すべての臨床学的に入手できる抗菌剤に対して、現在認識されている。医学界における抗菌耐性に対する応答は、耐性細菌に対してこれまで使用されていない新規の又は他の抗生物質を使用することであった。このアプローチは、現在存在する化合物の変性として、又は細菌耐性機構を阻害するか又は回避することができる化合物の組合せとして、新規抗生物質の連続した開発を必要として来た。
【0003】
改良された抗菌活性を有する新規ポリペプチド、及びそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを供給することが、本発明の目的である。
本発明のもう1つの目的は、低められた溶血活性及び/又は低められた細胞毒性を有する新規抗菌ポリペプチドを供給することである。前記ポリペプチドはまた、カチオン、例えばCa2+, Mg2+, Na+に対して低められた感受性を示すことができる。
【発明の概要】
【0004】
要約:
第1の観点においては、本発明は、下記配列番号2:
K-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17
[配列中、X1 = N, F, I, W, M, S, A, T, Y, V, H, L, C, K 又は G; X2 = L, I, F 又は W; X3 = R, I, F, L, Y, V, A, T,C,H, G, Q 又は P; X4 = R 又は C; X5 = I, L,W, M, V 又は F; X6 = I, L 又は W; X7 = R, L,T 又は C; X8 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; X9 = G, C, Y, L, F, W 又は V; X10 = I, W, F 又は R; X11 = H, K, C, A, S, I, N, L 又は Q; X12 = I, L, F 又は V; X13 = I, L, F, T 又は V; X14 = K, I, S, L 又は R; X15 = K, R 又は I; X16 = Y, I, L, F 又は K; X17 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチドに関する。
【0005】
もう1つの観点においては、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドに関する。
もう1つの観点においては、本発明は、適切な宿主においてポリペプチドの生成を方向づける1又は複数の制御配列に作用可能に連結される本発明のヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体に関する。
もう1つの観点においては、本発明は、本発明の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクターに関する。
【0006】
もう1つの観点においては、本発明は、本発明の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞に関する。
もう1つの観点においては、本発明は、本発明のポリペプチドの生成方法に関し、ここで前記方法は、
(a)本発明の組換え宿主細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けとなる条件下で培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の他の観点は、下記の記載及び付随する請求の範囲から明らかになるであろう。
定義:
本発明をさらに詳細に論じる前、次の用語及び慣例がまず、定義されるであろう:
抗菌活性:用語“抗菌活性”とは、微生物細菌を殺害するか、又はその増殖を阻害できる活性として本明細書において定義される。本発明においては、用語“抗菌”とは、殺細菌及び/又は静菌、及び/又は殺真菌及び/又は静真菌効果、及び/又はウィルス効果が存在することを意味し、ここで用語“殺菌”とは、細菌細胞を殺害できるものとして理解されるべきである。用語“静菌”とは、細菌増殖を阻害でき、すなわち細菌細胞の増殖を阻害できるものとして理解されるべきである。用語“殺真菌”とは、真菌を阻害でき、すなわち真菌細胞の増殖を阻害できるものとして理解されるべきである。用語“殺ウィルス”とは、ウィルスを不活性化できるものとして理解されるべきである。用語“微生物細胞”とは、細菌又は真菌細胞(酵母を包含する)を示す。
【0008】
本発明においては、用語“微生物細胞の増殖の阻害”とは、前記細胞が非増殖状態にあり、すなわちそれが増殖できないことを意味する。
本発明のためには、抗菌活性は、Lehrer など., Journal of Immunological Methods, Vol. 137 (2) pp. 167-174 (1991)により記載される方法に従って決定され得る。
【0009】
抗菌活性を有するポリペプチドは、抗菌活性を有するポリペプチドの25%(w/w)水溶液;好ましくは10%(w/w)水溶液;より好ましくは5%(w/w)水溶液;さらにより好ましくは1%(w/w)水溶液;最も好ましくは0.5%(w/w)水溶液;及び特に0.1%(w/w)水溶液における20℃での8時間(好ましくは、4時間、より好ましくは、2時間、最も好ましくは1時間、及び特に30分)のインキュベーションの後、E. コリ(DSM1576)の生存細胞の数を1/100に低めることができる。
【0010】
抗菌活性を有するポリペプチドはまた、1000ppmの濃度で添加される場合;好ましくは500ppmの濃度で添加される場合;より好ましくは250ppmの濃度で添加される場合;さらに好ましくは100ppmの濃度で添加される場合;最も好ましくは50ppmの濃度で添加される場合;及び特に50ppmの濃度で添加される場合、微生物増殖基質における25℃での24時間で、E. コリ(DSM1576)の増殖を阻害することができる。
【0011】
抗菌活性を有するポリペプチドは、抗菌活性を有するポリペプチドの25%(w/w)水溶液;好ましくは10%(w/w)水溶液;より好ましくは5%(w/w)水溶液;さらにより好ましくは1%(w/w)水溶液;最も好ましくは0.5%(w/w)水溶液;及び特に0.1%(w/w)水溶液における20℃での8時間(好ましくは、4時間、より好ましくは、2時間、最も好ましくは1時間、及び特に30分)のインキュベーションの後、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(ATCC6633)の生存細胞の数を1/100に低めることができる。
【0012】
抗菌活性を有するポリペプチドはまた、1000ppmの濃度で添加される場合;好ましくは500ppmの濃度で添加される場合;より好ましくは250ppmの濃度で添加される場合;さらに好ましくは100ppmの濃度で添加される場合;最も好ましくは50ppmの濃度で添加される場合;及び特に50ppmの濃度で添加される場合、微生物増殖基質における25℃での24時間で、バチルス・サブチリス(ATCC6633)の増殖を阻害することができる。
【0013】
本発明のポリペプチドは、好ましくは、配列番号5〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドの抗菌活性の少なくとも20%を有するべきである。特に好ましい態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号5〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドの抗菌活性の少なくとも40%、例えば少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、例えば少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、例えば少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、例えば約又は少なくとも100%を有するべきである。
【0014】
同一性:本明細書において、2種のアミノ酸配列間の、又は2種のヌクレオチド配列間の相同性は、パラメーター“同一性”により記載される。
本発明のためには、2種のアミノ酸配列間の同一性の程度は、FASTAプログラムパッケージのバージョン2.0×に包含されるプログラムFASTAを用いて決定される(W. R. Pearson and D. J. Lipman (1988), "Improved Tools for Biological Sequence Analysis", PNAS 85:2444-2448; 及び W. R. Pearson (1990) "Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA", Methods in Enzymology 183:63-98を参照のこと)。使用される評点マトリックスは、BLOSUM50であり、ギャップペナルティーは−12であり、そしてギャップ延長ペナルティーは−2であった。
【0015】
2種のヌクレオチド配列間の同一性の程度は、上記と同じアルゴリズム及びソフトウェアパッケージを用いて決定され得る。使用される評点マトリックスは、同一性マトリックスであり、ギャップペナルティーは−16であり、そしてギャップ延長ペナルティーは−4であった。
【0016】
フラグメント;本明細書において使用される場合、配列番号5〜114のいずれかとして示されるアミノ酸配列の“フラグメント”は、1又は複数のアミノ酸がアミノ及び/又はカルボキシ末端から欠失されているポリペプチドの副配列である。好ましくは前記1又は複数のアミノ酸は、カルボキシル末端から欠失されている。
【0017】
対立遺伝子変異体:本発明においては、用語“対立遺伝子変異体”とは、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の複数の他の形のいずれかを示す。対立遺伝子変動は、天然においては、突然変異を通して発生し、そして集団内の多形現象をもたらすことができる。遺伝子突然変異はサイレントであり得るか(コードされるポリペプチドの変化が存在しない)、又は変更されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることができる。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子によりコードされるポリペプチドである。
【0018】
実質的に純粋にポリヌクレオチド:用語“実質的に純粋なポリペプチド”とは、本明細書において使用される場合、ポリヌクレオチド調製物を意味し、ここで前記ポリヌクレオチドは、その天然の遺伝子環境から除去されており、そして他の外来性の又は所望しないコード配列を有さず、そして遺伝子構築されたタンパク質生成システム内での使用のために適切な形で存在する。従って、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、それが天然において結合される他のポリヌクレオチド材料を、多くとも10重量%含む(より低い%の他のポリヌクレオチド材料が好ましくは、例えば多くとも8重量%、多くとも6重量%、多くとも5重量%、多くとも4重量%、多くとも3重量%、多くとも2重量%、多くとも1重量%、及び多くとも0.5重量%の他のポリヌクレオチド材料が好ましい)。しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、天然に存在する5’及び3’未翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含むことができる。
【0019】
好ましくは、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、少なくとも92%の純度であり、すなわち前記ポリヌクレオチドは、調製物に存在する合計のポリヌクレオチド材料の少なくとも92重量%を構成し、そしてより高い%、例えば少なくとも94%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも96%の純度、少なくとも97%の純度、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、及び少なくとも99.5%の純度が好ましい。本明細書に開示されるポリヌクレオチドは好ましくは、実質的に純粋な形で存在する。特に、好ましくは、本明細書に開示されるポリヌクレオチドは、“実質的に純粋な形”で存在し、すなわちポリヌクレオチド調製物は、それが天然において結合される他のポリヌクレオチドは、用語“単離されたポリヌクレオチド”及び“単離された形でのポリヌクレオチド”と同じ意味である。
【0020】
修飾:本発明においては、用語“修飾”とは、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドのいずれかの化学的修飾、及び前記ポリペプチドをコードするDNAの遺伝子操作を意味する。修飾は、アミノ酸側鎖の置換、興味あるアミノ酸における又はアミノ酸での置換、欠失及び/又は挿入;又はアミノ酸配列における類似する特徴を有する異常アミノ酸の使用であり得る。特に、修飾は、アミド化、例えばC-末端のアミド化であり得る。
【0021】
cDNA:用語“cDNA”とは、本明細書において使用される場合、真核細胞由来の成熟した、スプライシングされたmRNA分子から逆転写により調製され得るDNA分子を包含する。cDNAは、その対応するゲノムDNAに通常存在するイントロン配列を欠いている。初期の一次RNA転写体はmRNAへの前駆体であり、そしてそれは、成熟したスプライシングされたmRNAとして出現する前、一連のプロセッシング現象を通過する。それらの現象は、スプライシングと呼ばれる工程によるイントロン配列の除去を包含する。従って、cDNAがmRNAから誘導される場合、それはイントロン配列を欠いている。
【0022】
核酸構造体:本明細粗において使用される場合、用語“核酸構造体”とは、天然に存在する遺伝子から単離され、又は他方では、天然に存在しない態様で核酸のセグメントを含むように修飾されている、一本鎖又は二本鎖核酸分子として定義される。用語“核酸構造体”とは、核酸構造体が本発明のコード配列の発現のために必要とされるすべての制御配列を含む場合、用語“発現カセット”と同じ意味である。
【0023】
制御配列:用語“制御配列”とは、本発明のポリペプチドの発現のために必要であるか、又はそのために好都合であるすべての成分を包含するよう定義される。個々の制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列に対して生来であっても又は外来性であっても良い。そのような制御配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネーターを包含するが、但しそれらだけには限定されない。最少で、制御配列は、プロモーター、及び転写及び翻訳停止シグナルを包含する。制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列のコード領域と制御配列との連結を促進する特定の制限部位を導入するためにリンカーを提供され得る。
【0024】
作用可能に連結される:用語“作用可能に連結される”とは、制御配列が、ポリペプチドの発現を指図するようDNA配列のコード配列に対する位置で適切に配置されている配置として本明細書において定義される。
【0025】
コード配列:本明細書において使用される場合、用語“コード配列”とは、そのタンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定するヌクレオチド配列を包含する。コード配列の境界は一般的に、ATG開始コドンにより通常開始する読取枠により決定される。
発現:本発明においては、用語“発現”とは、ポリペプチドの生成に包含されるいずれかの段階、例えば転写、後−転写修飾、翻訳及び後−翻訳修飾(但し、それらだけには制限されない)を包含する。好ましくは、発現はまた、ポリペプチドの分泌を包含する。
【0026】
発現ベクター:本明細書においては、用語“発現ベクター”とは、本発明のポリペプチドとコードするセグメントを含んで成り、そしてその転写を提供する追加のセグメントに作用可能に連結される線状又は環状DNA分子を包含する。
宿主細胞:用語“宿主細胞”とは、本明細書において使用される場合、核酸構造体による形質転換に対して感受性であるいずれかの細胞型を包含する。
用語“ポリヌクレオチドプローブ”、“ハイブリダイゼーション”、及び種々の緊縮条件とは、“抗菌活性を有するポリペプチド”の標題のセクションにおいて定義される。
発明を実施するための具体的な形態
【0027】
特定の記載:
抗菌活性を有するポリペプチド
第1の観点においては、本発明は、下記配列番号2:
K-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17
[配列中、X1 = N, F, I, W, M, S, A, T, Y, V, H, L, C, K 又は G; 好ましくは X1 = S, T, V, Y, W, I, G, F 又は L; X2 = L, I, F 又は W; 好ましくは X2 = W 又は I; X3 = R, I, F, L, Y, V, A, T,C,H, G, Q 又は P; 好ましくは X3 = F,I, V 又は L; X4 = R 又は C; X5 = I, L,W, M, V 又は F; 好ましくは X5 = L 又は I; X6 = I, L 又は W; 好ましくは X6 = I; X7 = R, L,T 又は C; X8 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X8 = Y, F, W, V 又は L; X9 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X9 = G 又は F; X10 = I, W, F 又は R; 好ましくは X10 = W 又は I; X11 = H, K, C, A, S, I, N, L 又は Q; 好ましくは X11 = I, S 又は K; X12 = I, L, F 又は V; 好ましくは X12 = L; X13 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X13 = L; X14 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X14 = I, R 又は L; X15 = K, R 又は I; X16 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X16 = L; X17 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X17 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチドに関する。1つの態様においては、アミノ酸配列は配列番号1に比較して、1,2,3,4,5,6,7又は8個(好ましくは、1,2,3,4,5又は6個;より好ましくは1,2,3,4又は5個;さらにより好ましくは1,2,3又は4個;さらにより好ましくは1,2又は3個;最も好ましくは1又は2個)のアミノ酸差異を有する。
【0028】
第2の観点においては、本発明は、下記配列番号3:
K-R-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16
[配列中、X1 = L, I, F 又は W; 好ましくは X1 = W 又は I; X2 = R, I, F, L, Y, V, A, T, C, H, G, Q 又は P; 好ましくは X2 = F, I, V 又は L; X3 = R 又は C; X4 = I, L, W, M, V 又は F; 好ましくは X4 = L 又は I; X5 = I, L 又は W; 好ましくは X5 = I; X6 = R, L, T 又は C; X7 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X7 = Y, F, W, V 又は L; X8 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X8 = G 又は F; X9 = I, W, F 又は R; 好ましくは X9 = W 又は I; X10 = H, K, C, A, S, I, N, L 又は Q; 好ましくは X10 = I, S 又は K; X11 = I, L, F 又は V; 好ましくは X11 = L; X12 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X12 = L; X13 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X13 = I, R 又は L; X14 = K, R 又は I; X15 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X15 = L; X16 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X16 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜90%の同一を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチドに関する。1つの態様においては、アミノ酸配列は配列番号1に比較して、2,3,4,5,6,7又は8個(好ましくは、2,3,4,5又は6個;より好ましくは2,3,4又は5個;さらにより好ましくは2,3又は4個;さらにより好ましくは2又は3個;最も好ましくは2個)のアミノ酸差異を有する。
【0029】
第3の観点においては、本発明は、下記配列番号4:
K- X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-R-X11-X12-X13-X14-X15-X16
[配列中、X1 = N, F, I, W, M, S, A, T, Y, V, H, L, C, K 又は G; 好ましくは X1 = S, T, V, Y, W, I, G, F 又は L; X2 = L, I, F 又は W; 好ましくは X2 = W 又は I; X3 = R, I, F, L, Y, V, A, T, C, H, G, Q 又は P; 好ましくは X3 = F, I, V 又は L;X4 = R 又は C; X5 = I, L, W, M, V 又は F; 好ましくは X5 = L 又は I; X6 = I, L 又は W; 好ましくは X6 = I; X7 = R, L, T 又は C; X8 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X8 = Y, F, W, V 又は L; X9 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X9 = G 又は F; X10 = I, W, F 又は R; 好ましくは X10 = W 又は I; X11 = I, L, F 又は V; 好ましくは X11 = L; X12 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X12 = L; X13 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X13 = I, R 又は L; X14 = K, R 又は I; X15 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X15 = L; X16 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X16 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜90%の同一を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチドに関する。
【0030】
1つの態様においては、アミノ酸配列は配列番号1に比較して、2,3,4,5,6,7又は8個(好ましくは、2,3,4,5又は6個;より好ましくは2,3,4又は5個;さらにより好ましくは2,3又は4個;さらにより好ましくは2又は3個;最も好ましくは2個)のアミノ酸差異を有する。
1つの態様においては、本発明のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して、少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、又は少なくとも80%の同一性を有する。
もう1つの態様においては、前記ポリペプチドは、配列番号5〜114のいずれかのアミノ酸1〜18を含んで成り、好ましくはそれらから成る。
【0031】
用語“配列番号5〜114のいずれか”とは、配列番号5, 配列番号6, 配列番号7, 配列番号8, 配列番号9, 配列番号10, 配列番号11 , 配列番号12, 配列番号13, 配列番号14, 配列番号15, 配列番号16, 配列番号17, 配列番号18, 配列番号19, 配列番号20, 配列番号21 , 配列番号22, 配列番号23, 配列番号24, 配列番号25, 配列番号26, 配列番号27, 配列番号28, 配列番号29, 配列番号30, 配列番号31 , 配列番号32, 配列番号33, 配列番号34, 配列番号35, 配列番号36, 配列番号37, 配列番号38, 配列番号39, 配列番号40, 配列番号41 , 配列番号42, 配列番号43, 配列番号44, 配列番号45, 配列番号46, 配列番号47, 配列番号48, 配列番号49, 配列番号50, 配列番号51 , 配列番号52, 配列番号53, 配列番号54, 配列番号55, 配列番号56, 配列番号57, 配列番号58, 配列番号59, 配列番号60, 配列番号61 , 配列番号62, 配列番号63, 配列番号64, 配列番号65, 配列番号66, 配列番号67, 配列番号68, 配列番号69, 配列番号70, 配列番号71 , 配列番号72, 配列番号73, 配列番号74, 配列番号75, 配列番号76, 配列番号77, 配列番号78, 配列番号79, 配列番号80, 配列番号81 , 配列番号82, 配列番号83, 配列番号84, 配列番号85, 配列番号86, 配列番号87, 配列番号88, 配列番号89, 配列番号90, 配列番号91 , 配列番号92, 配列番号93, 配列番号94, 配列番号95, 配列番号96, 配列番号97, 配列番号98, 配列番号99, 配列番号100, 配列番号101 , 配列番号102, 配列番号103, 配列番号104, 配列番号105, 配列番号106, 配列番号107, 配列番号108, 配列番号109, 配列番号110, 配列番号111 , 配列番号112, 配列番号113, 又は 配列番号114を意味する。
【0032】
興味ある態様においては、アミノ酸配列は、多くとも5個のアミノ酸(例えば、5個のアミノ酸)により、例えば多くとも4個のアミノ酸(例えば、4個のアミノ酸)により、例えば多くとも3個のアミノ酸(例えば、3個のアミノ酸)により、特に多くとも2個のアミノ酸(例えば、2個のアミノ酸)により、例えば配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18からの1つのアミノ酸により異なる。
【0033】
好ましくは、本発明のポリペプチドは、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸配列より;又は抗菌活性を有するそのフラグメントを含んで成る。
用語“配列番号2〜114のいずれか”とは、配列番号2,3,4又は配列番号5〜114のいずれかを意味する。
本発明のポリペプチドを製造するアミノ酸は、D又はL形から独立して選択され得る。
【0034】
本発明のポリペプチドは、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18に比較して、多くとも3個、例えば多くとも2個、例えば多くとも1個のアミノ酸の置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含んで成り、好ましくはそれらから成る人工変異体であり得る。そのような人工変異体は、当業界において知られている標準技法、例えば配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列を含んで成るポリペプチドの特定部位/ランダム突然変異により構成され得る。
【0035】
本発明の1つの態様においては、タンパク質の折りたたみ及び/又は活性に実質的に影響を及ぼさない保存性アミノ酸置換;典型的には1〜約5個のアミノ酸の小さな欠失;小さなアミノ−又はカルボキシル−末端延長、例えばアミノ末端メチオニン残基の延長;約10〜25個までの残基の小さなリンカーペプチドの延長;又は実効電荷又は他の機能、例えばポリヒスチジン系、抗原性エピトープ又は結合ドメインを変えることにより精製を促進する小さな延長であるマイナーな性質のものである。
【0036】
保存性置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン及びメチオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小さなアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、及びトレオニン)のグループ内である。一般的に、非活性を変更しないアミノ酸置換は当業界において知られており、そしてたとえば、H. Neurath and R.L. Hill, 1979, The Proteins, Academic Press, New York により記載されている。最も通常生じる交換は次のものである: Ala/Ser, Val/Ile, Asp/Glu, Thr/Ser, Ala/Gly, Ala/Thr, Ser/Asn, Ala/Val, Ser/Gly, Tyr/Phe, Ala/ Pro, Lys/Arg, Asp/Asn, Leu/Ile, Leu/Val, Ala/Glu及びAsp/Gly並びにそれらの逆。
【0037】
本発明の興味ある態様においては、アミノ酸変化、ポリペプチドの生理−化学性質が変更されるそのような性質のものである。例えば、ポリペプチドの熱安定性を改良し、基質特異性を変更し、pH最適性を変更し、そして同様のものであるアミノ酸変更が実質され得る。
もう1つの態様においては、アミノ酸変化は、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列における第1のアミノ酸(リシン)の後への小アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、セリン又はトレオニン)の挿入である。
【0038】
N−末端延長
本発明のポリペプチドのN−末端延長は適切には、1〜50個のアミノ酸、好ましくは2〜20個のアミノ酸、特に3〜15個のアミノ酸から成る。1つの態様においては、N−末端ペプチド延長は、Arg(R)を含まない。もう1つの態様においては、N−末端延長は、下記にさらに定義されるように、kex2又はkex2−様分解部位を含んで成る。好ましい態様においては、N−末端は、少なくとも2個のGlu(E)及び/又はAsp(D)アミノ酸残基を含んで成るペプチド、例えば次の配列:EAE、EE、DE及びDDの1つを含んで成るN−末端延長である。
【0039】
ken2部位
kex2部位(例えば、Methods in Enzymology Vol 185, ed. D. Goeddel, Academic Press Inc. (1990), San Diego, CA, "Gene Expression Technology"を参照のこと)及びkex2−様部位は、プロペプチドコード領域といくつかのタンパク質の成熟領域との間に見出される二塩基性認識部位(すなわち、分解部位)である。
【0040】
kex2部位又はkex2−様部位の挿入は、ある場合、高められたタンパク質分泌レベルをもたらすプロペプチド分解部位での正しいエンドペプチダーゼプロセッシングを改良することが示されている。
本発明においては、kex2又はkex2−様部位の挿入は、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示される成熟ポリペプチドに比較して、延長される抗菌ポリペプチドをもたらすN−末端延長における一定の位置での分解を得るための可能性をもたらす。
【0041】
融合されたポリペプチド
本発明のポリペプチドはまた、もう1つのポリペプチドが本発明のポリペプチド又はそのフラグメントのN−末端又はC−末端で融合されている、融合されたポリペプチド又は分解できる融合ポリペプチドを包含する。融合されたポリペプチドは、本発明のヌクレオチド配列(又はその一部)に、もう1つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその一部)を融合することにより生成される。融合ポリペプチドを生成するための技法は、当業界において知られており、ポリペプチドをコードするコード配列を連結することを包含し、その結果、それらは読み取り枠を整合し、そして融合されたポリペプチドの発現は、同じプロモーター及びターミネーターの制御下にある。
【0042】
ポリヌクレオチド及びヌクレオチド配列
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにも関する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列から成るポリヌクレオチドに関する。遺伝子コードの縮重のために、当業者は、本発明のポリヌクレオチドの個々をコードするいくつかのヌクレオチド配列が調製され得ることを容易に認識するであろう。ヌクレオチドが本発明のポリペプチドのアミノ酸をコードするコドンを構成することは、当業界において良く知られている。
【0043】
本発明はまた、抗菌活性を有する、配列番号2〜114のいずれかとして示されるアミノ酸のフラグメントをコードするポリヌクレオチドにも関する。ポリヌクレオチドの副配列は、その5’及び/又は3’末端からの1又は複数のヌクレオチドが欠失されているヌクレオチド配列である。
【0044】
ヌクレオチド配列は、それが再生されるであろう異なった部位に、1つの位置からのヌクレオチド配列を再配置するために遺伝子工学において使用される標準のクローニング方法により得られる。クローニング方法は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る所望するフラグメントの切除及び単離、ベクター分子中へのフラグメントの挿入、及びヌクレオチド配列の複数コピー又はクローンが複製されるであろう宿主細胞中への組換えベクターの組込みを包含する。ヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA, RNA, 半合成、合成起源のものであり得るか、又はそれらのいずれかの組合せのものであり得る。
【0045】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾は、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18に比較して、少なくとも1つの置換、欠失及び/又は挿入を有するアミノ酸配列を含んで成る、ポリペプチドの合成のために必要である。それらの人工変異体、例えば比活性、熱安定性、pH最適性又は同様のことにおいて異なる変異体は、その天然源から単離されたポリペプチドとは、いくらかの構築された手段において異なることができる。
【0046】
そのような修飾は、分子の機能に対して決定的である領域外で行われ、そしてさらに活性ポリペプチドをもたらすことは、当業者に明らかであろう。本発明のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドの活性に必須であり、そして従って、好ましくは置換を受けやすくないアミノ酸残基は、当業界において知られている方法、たとえば特定部位の突然変異誘発又はアラニン−走査突然変異誘発に従って同定され得る(たとえば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照のこと)。
【0047】
後者の技法においては、突然変異は分子における正に荷電された残基ごとに導入され、そしてその得られる変異体分子は、分子の活性に対して決定的であるアミノ酸残基を同定するために酵素活性について試験される。基質−酵素相互作用の部位はまた、核磁気共鳴分析、クリスタログラフィー又は光親和性ラベリングのような技法により決定されるように、立体構造体の分析により決定され得る(たとえば、de Vos など., 1992, Science 255: 306-312; Smith など., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver など., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照のこと)。
【0048】
さらに、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、そのヌクレオチド配列にコードされるポリペプチドのもう1つのアミノ酸配列を生ぜしめないが、しかし酵素の生成を意図された宿主生物のコドン使用法に対応するヌクレオチド置換の導入により修飾され得る。
【0049】
1つのヌクレオチドをもう1つのヌクレオチドにより交換するためにヌクレオチド配列中への突然変異の導入は、当業界において知られているいずれかの方法を用いての特定部位の突然変異誘導により達成され得る。興味ある挿入体及び所望する突然変異を含む2種の合成プライマーを有するスーパーコイル二本鎖DNAベクターを用いる方法が特に有用である。ベクターの反対鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーは、Pfu DNAポリメラーゼによる温度環化の間、延長する。
【0050】
プライマーの組込みに基づいて、付着ニックを含む、突然変異誘発されたプラスミドが生成される。温度環化に続いて、生成物は、親DNA鋳型を消化し、そして突然変異−含有の合成されたDNAを選択するために、メチル化され、そして半メチル化されたDNAに対して特異的であるDpnIにより処理される。当業界において知られている他の方法がまた、使用され得る。ヌクレオチド置換の一般的な記載に関しては、例えばFord など., 1991, Protein Expression and Purification 2: 95-107を参照のこと。
【0051】
核酸構造体
本発明はまた、適切な宿主細胞においてコード配列の発現を方向づける1又は複数の制御配列に作用可能に連結される本発明のヌクレオチド配列を、制御配列と適合できる条件下で含んで成る核酸構造体にも関する。
【0052】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、ポリペプチドの発現を提供するために種々の手段で操作され得る。ベクター中へのその挿入の前、ヌクレオチド配列の操作は、発現ベクターに依存して、所望されるか又は必要とされる。組換えDNA方法を用いてヌクレオチド配列を修飾するための技法は、当業界において良く知られている。
【0053】
制御配列は、適切なプロモーター配列、すなわちヌクレオチド配列の発現のために宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列であり得る。プロモーター配列は、ポリペプチドの発現を仲介する転写制御配列を含む。プロモーターは、宿主細胞において転写活性を示すいずれかのヌクレオチド配列、たとえば変異体の、切断された、及びハイブリッドのプロモーターであり得、そして宿主細胞に対して相同であるか又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られる。
【0054】
特に細胞宿主細胞において本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、E.コリlacオペロン、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)Lバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ遺伝子(amyL)、Bチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)マルトゲン性アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliguefaciens) α−アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニホルミスペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・サブチリスxylA及びzylB遺伝子及び原生動物のβ−ラクタマーゼ遺伝子から得られるプロモーター(Villa−Kamaroffなど., 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75: 3727-3731)、及びtac プロモーター(De Boer など., 1983, Proceedings of the National Academy of Science USA 80: 21-25)である。さらなるプロモーターは、“Useful proteins from recombinant bacteria” in Scientific American, 1980, 242: 74-94; 及びSambrookなど., 1989, 前記に記載される。
【0055】
糸状菌宿主細胞における本発明の核酸構造体の転写を方向づけるための適切なプロモーターの例は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー酸安定性α−アミラーゼ、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・アワモリグルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコル・ミエヘイリパーゼ、アスペルギラス・オリザエ アルカリプロテアーゼ、アスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアセトアミダーゼ、及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ(WO96/00787号)をコードする遺伝子から得られるプロモーター、並びにアスペルギラス・ニガー中性α−アミラーゼ及びアスペルギラス・オリザエトリオースリン酸イソメラーゼをコードする遺伝子からのプロモーターのハイブリッド、及びそれらの変異体の切断され、及びハイブリッドのプロモーターである。
【0056】
酵母宿主においては、有用なプロモーターは、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシアエガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)、及びサッカロミセス・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼから得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romunosなど., 1992, Yeast8:423−488により記載される。
【0057】
制御配列はまた、適切な転写ターミネーター配列、すなわち転写を終結するために宿主細胞により認識される配列でもあり得る。ターミネーター配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’側末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのターミネーターが本発明において使用され得る。
【0058】
糸状菌宿主細胞のための好ましいターミネーターは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、アスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼ及びフサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼについての遺伝子から得られる。
【0059】
酵母宿主細胞のための好ましいターミネーターは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ、サッカロミセス・セレビシアエチトクロムC(CYC1)、及びサッカロミセス・セレビシアエグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼについての遺伝子から得られる。酵母宿主細胞のための他の有用なターミネーターは、Romanosなど., 1992, 前記により記載される。
【0060】
制御配列はまた、適切なリーダー配列、すなわち宿主細胞による翻訳のために重要であるmRNAの非翻訳領域でもあり得る。リーダー配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に作用可能に連結される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダー配列が、本発明において使用され得る。
糸状菌宿主細胞のための好ましいリーダーは、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニジュランストリオースリン酸イソメラーゼについての遺伝子から得られる。
【0061】
酵母宿主細胞のための適切なリーダーは、サッカロミセス・セレビシアエエノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセル・セレビシアエ3−ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセス・セレビシアエアルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)についての遺伝子から得られる。
【0062】
制御配列はまた、ポリアデニル化配列、すなわちヌクレオチド配列の3’末端に操作可能に連結され、そして転写される場合、転写されたmRNAにポリアデノシン残基を付加するためにシグナルとして宿主細胞により認識される配列でもあり得る。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのポリアデニル化配列が,本発明において使用される。
【0063】
糸状菌宿主細胞のための好ましいポリアデニル化配列は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、アスペルギキラス・ニジュランスアントラニル酸シンターゼ、フサリウム・オキシスポラムトリプシン−様プロテアーゼ及びアスペルギラス・ニガーα−グルコシダーゼについての遺伝子から得られる。
酵母宿主細胞のための有用なポリアデニル化配列は、Guo and Sherman, 1995, Molecular Cellular Biology 15: 5983-5990により記載されている。
【0064】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、そしてそのコードされたポリペプチドを細胞の分泌路中に方向づけるシグナルペプチドコード領域でもあり得る。ヌクレオチド配列のコード配列の5’側末端は、本来、分泌されたポリペプチドをコードするコード領域のセグメントと翻訳読み取り枠を整合して、天然において連結されるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。他方では、コード配列の5’側末端は、そのコード配列に対して外来性であるシグナルペプチドコード領域を含むことができる。そのコード配列が天然において、シグナルペプチドコード領域を含まない外来性シグナルペプチドコード領域が必要とされる。他方では、外来性シグナルペプチドコード領域は、ポリペプチドの増強された分泌を得るために、天然のシグナルペプチドコード領域を単純に置換することができる。しかしながら、分泌路中に発現されたポリペプチドを方向づけるいずれかのシグナルペプチドコード領域が、本発明に使用され得る。
【0065】
細菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、バチルスNCIB11837マルトゲン性アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィラスα−アミラーゼ、バチルス・リケニホルミススブチリシン、バチルス・リケニホルミスβ−ラクタマーゼ、バチルス・アステロサーモフィラス中性プロテアーゼ(nprT, nprS, nprM)、及びバチルス・スブチリスprsAについての遺伝子から得られるシグナルペプチド領域である。追加のシグナルペプチドは、Sinomen and Palva, 1993, Microbiological Reviews 57: 109-137 により記載される。
【0066】
糸状菌宿主細胞のための効果的なシグナルペプチドコード領域は、アスペルギラス・オリザエTAKAアミラーゼ、アスペルギラス・ニガー中性アミラーゼ、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼ、リゾムコル・ミエヘイアスペラギン酸プロテイナーゼ、ヒューミコラ・インソレンスセルラーゼ及びヒューミコラ・ラヌギノサリパーゼについての遺伝子から得られたシグナルペプチドコート領域である。
【0067】
酵母宿主細胞のための有用なシグナルペプチドは、サッカロミセス・セレビシアエα−因子及びサッカロミセル・セレビシアエインバーターゼについての遺伝子から得られる。他の有用なシグナルペプチドコード領域は、Romanos など., 1992, 前記により記載される。
【0068】
制御配列はまた、ポリペプチドのアミノ末端で位置するアミノ酸配列をコードするプロペプチドコード領域であり得る。得られるポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は多くの場合、チモーゲン)として知られている。プロポリペプチドは一般的に不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒分解により成熟した活性ポリペプチドに転換され得る。プロペプチドコード領域は、バチルス・サブチリスアルカリプロテアーゼ(aprE)、バチルス・サブチリス中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビシアエα−因子、リゾムコル・ミエヘイ アスパラギン酸プロテイナーゼ遺伝子、及びミセリオプソラ・サーモフィリア ラッカーゼについての遺伝子から得られる(WO95/33836号)。
【0069】
シグナルペプチド及びプロペプチド領域の両者がポリペプチドのアミノ末端に存在する場合、そのプロペプチド領域は、ポリペプチドのアミノ末端の次に位置し、そしてシグナルペプチド領域は、プロペプチド領域のアミノ末端の次に位置する。
【0070】
宿主細胞の増殖に関して、ポリペプチドの発現の調節を可能にする調節配列を付加することがまた所望される。調節システムの例は、調節化合物の存在を包含する、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現の開始又は停止を引き起こすそれらのシステムである。原核生物系における調節システムは、lac, tac及びtrpオペレーターシステムお包含する。酵母においては、ADH2システム又はGAL1システムが使用され得る。糸状菌においては、TAKAα−アミラーゼプロモーター、アスペルギラス・ニガーグルコアミラーゼプロモーター及びアスペルギラス・オリザエグルコアミラーゼプロモーターが、調節配列として使用さえ得る。調節配列の他の列は、遺伝子増幅を可能にするそれらの配列である。真核システムにおいては、それらはメトトレキセートの存在下で増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、及び重金属と共に増幅されるメタロチオネイン遺伝子を包含する。それらの場合、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、調節配列により作用可能に連結される。
【0071】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクターにも関する。上記の種々のヌクレオチド及び制御配列は、1又は複数の便利な制限部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にするためにそれらの部位を含むことができる組換え発現ベクターを生成するために一緒に連結され得る。他方では、本発明のヌクレオチド配列は、前記ヌクレオチド配列又は前記配列を含んで成る核酸構造体を、発現のための適切なベクター中に挿入することによって発現され得る。発現ベクターを創造する場合、そのコード配列はベクターに位置し、その結果、コード配列は発現のための適切な制御配列により作用可能に連結される。
【0072】
組換え発現ベクターは、組換えDNA方法に便利にゆだねられ得、そしてヌクレオチド配列の発現をもたらすことができるいずれかのベクター(たとえば、プラスミド又はウィルス)であり得る。ベクターの選択は典型的には、ベクターが導入される予定である宿主細胞とベクターとの適合性に依存するであろう。ベクターは、線状又は閉環された環状プラスミドであり得る。
【0073】
ベクターは自律的に複製するベクター、すなわち染色体存在物として存在するベクター(その複製は染色体複製には無関係である)、たとえばプラスミド、染色体外要素、ミニクロモソーム又は人工染色体であり得る。
【0074】
ベクターは自己複製を確かめるためのいずれかの手段を含むことができる。他方では、ベクターは、糸状菌細胞中に導入される場合、ゲノム中に組み込まれ、そしてそれが組み込まれている染色体と一緒に複製されるベクターであり得る。さらに、宿主細胞のゲノム中に導入される全DNA又はトランスポゾンを一緒に含む、単一のベクター又はプラスミド、又は複数のベクター又はプラスミドが使用され得る。
【0075】
本発明のベクターは好ましくは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする1又は複数の選択マーカーを含む。選択マーカーは、1つの遺伝子であり、その生成物は、殺生物剤又はウィルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求性に対する原栄養要求性、及び同様のものを提供する。
【0076】
細菌選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス又はバチルス・リケニホルミスからのdal遺伝子、又は抗生物質、例えばアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール又はテトラサイクリン耐性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞のための適切なマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1及びURA3である。糸状菌宿主細胞に使用するための選択マーカーは、次の群から選択されるが、但しそれらだけには限定されない;amdS (アセトアミダーゼ)、argB (オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar (ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph (ヒグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD (硝酸レダクターゼ)、pyrG (オロチジン−5’−リン酸デカルボキシラーゼ)、sC (硫酸アデニルトランスフェラーゼ) 及びtrpC (アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの同等物。
【0077】
アスペルギラス・ニジュランス又はアスペルギラス・オリザエのamdS及びpyrG遺伝子及びストレプトミセス・ヒグロスコピカスのbar遺伝子が、アスペルギラス細胞への使用のために好ましい。
本発明のベクターは好ましくは、宿主細胞ゲノム中へのベクターの安定した組み込み、又は細胞のゲノムに無関係に細胞におけるベクターの自律的複製を可能にする要素を含む。
【0078】
宿主細胞のゲノム中への組み込みのためには、ベクターは、相同又は非相同組換えによるゲノム中へのベクターの安定した組み込みのためのベクター中のポリペプチド、又はいずれか他の要素をコードするヌクレオチド配列に依存する。他方では、ベクターは、宿主細胞のゲノム中への相同組換えによる組み込みを方向づけるための追加のヌクレオチド配列を含むことができる。その追加のヌクレオチド配列は、染色体における正確な位置での宿主細胞ゲノム中へのベクターの組み込みを可能にする。
【0079】
正確な位置での組み込みの可能性を高めるために、組み込み要素は好ましくは、相同組換えの可能性を高めるために対応する標的配列と高い相同性を示す十分な数のヌクレオチド、たとえば100〜1,500個の塩基対、好ましくは400〜1,500個の塩基対、及び最も好ましくは800〜1,500個の塩基対を含むべきである。組み込み要素は、宿主細胞のゲノムにおける標的配合と相同であるいずれかの配列であり得る。さらに、組み込み要素は、非コード又はコードヌクレオチド配列であり得る。他方では、ベクターは非相同組換えにより宿主細胞のゲノム中に組み込まれ得る。
【0080】
自律複製のためには、ベクターはさらに、問題の宿主細胞においてのベクターの自律的な複製を可能にする複製の起点を含んで成る。複製の細菌起点の例は、E.コリにおける複製を可能にするプラスミドpBR322, pUC19, pACYC177及びpACYC184, 及びバチルスにおける複製を可能にするpUB110, pE194, pTA1060及びpAMβ1の複製の起点である。酵母宿主細胞への使用のための複製の起点の例は、複製の2ミクロン起点、すなわちARS1, ARS4, ARS1及びCEN3の組み合わせ、及びARS4及びCEN6の組み合わせである。複製の起点は、宿主細胞においてその機能を感温性にする突然変異を有する起点である(例えば、Ehrlich, 1978, Procedings of the National Academy of Sciences USA 75: 1433を参照のこと)。
【0081】
本発明のヌクレオチド配列の1以上のコピーが、遺伝子生成物の生成を高めるために宿主細胞中に挿入され得る。ヌクレオチド配列のコピー数の上昇は、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1つの追加のコピーを組み込むことによって、又はヌクレオチド配列と共に増幅可能な選択マーカー遺伝子を含むことによって得られ、ここで細胞は選択マーカー遺伝子の増幅されたコピーを含み、そしてそれにより、ヌクレオチド配列の追加のコピーが、適切な選択剤の存在下で前記細胞を培養することによって選択され得る。
本発明の組換え発現ベクターを構成するために上記要素を連結するために使用される方法は、当業者に良く知られている(例えば、Sambrookなど., 1989, 前記を参照のこと)。
【0082】
宿主細胞
本発明はまた、ポリペプチドの組換え生成において都合良く使用される、本発明の核酸配列を含んで成る組換え宿主にも関する。本発明のヌクレオチド配列を含んで成るベクターは、そのベクターが染色体組み込み体として、又は前記のような自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞中に導入される。
宿主細胞は、単細胞微生物、例えば原核生物、又は単細胞微生物、真核生物であり得る。
【0083】
有用な単細胞は、細菌細胞、たとえば次のグラム陽性細菌バチルス・アルカロフィラス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・ブレビス、バチルス・サーキュランス、バチルス・クラウシ、バチルス・コアギランス、バチルス・ラウタス、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・メガテリウム、バチルス・ステアロサーモフィラス、バチルス・スブチリス及びバチルス・スリンギエンシス、又はストレプトミセス細胞、たとえばストレプトミセス・リビダンス又はストレプトミセス・ムリナス、又は次のグラム陰性細菌:E.コリ及びプソイドモナスsp.(但し、それらだけには限定されない)である。好ましい態様においては、細菌宿主細胞は、バチルス・レンタス、バチルス・リケニホルミス、バチルス・ステアロサーモフィラス又はバチルス・サブチリス細胞である。もう1つの好ましい態様においては、バチルス細胞は、好アルカリ性バチルスである。
【0084】
細菌宿主細胞中へのベクターの導入はたとえば、コンピテント細胞(たとえば、Young and Spizizin, 1961, Journal of Bacteriology 81: 823-829, 又はDubnau and Davidoff-Abelson, 1971, Journal of Molecular Biology 56: 209-221 を参照のこと)を用いてプロトプラスト形質転換(たとえば、Changand Cohen, 1979, Molecular General Genetics 168: 111-115)、エレクトロポレーション(たとえば、Shigekawa and Dower, 1988, Biotechniques 6: 742-751を参照のこと)又は接合(たとえば、Koehler and Thorne, 1987, Journal of Bacteriology 169: 5771-5278を参照のこと)によりもたらされ得る。
【0085】
宿主細胞は、真核生物、たとえば哺乳類、昆虫、植物、又は菌類細胞であり得る。
好ましい態様においては、宿主細胞は菌類細胞である“菌類”とは、本明細書において使用される場合、門アスコミコタ(Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、キトリジオミコタ(Chytridiomycota)及びヅイゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworth など., Ainsworth and Bisby’s Dictionary of the Fungi, 8th edition, 1995, CAB International, University Press, Cambridge, UKにより定義される)、及びオーミコタ(Oomycota)(Hawksworth など., 1995, 前記、171ページに引用される)、並びに栄養胞子菌(Hawksworh など., 1995, 前記)を包含する。
【0086】
より好ましい態様においては、菌類宿主細胞は酵母細胞である“酵母”とは、本明細書において使用される場合、子嚢胞子酵母(Endomycetals)、担子胞子酵母、及び不完全菌類(Blastomycetes)に属する酵母を包含する。酵母の分類は未来において変化し得るので、本発明のためには、酵母は、Biology and Activities of Yeast (Skinner, F.A., Passmore, S.M., and Davenport, R.R., eds. Soc. App. Bacteriol. Symposium Series No. 9, 1980) に記載のようにして定義されるであろう。
【0087】
さらにより好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hunsenula)、クレベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロウィア(Yarrowia)である。
【0088】
最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyses cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイビリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensisi)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、来るべろミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)である。もう1つの最も好ましい態様においては、酵母宿主細胞は、ヤロウィア・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0089】
もう1つのより好ましい態様においては、菌類宿主細胞は糸状菌細胞である。“糸状菌”とは、ユーミコタ(Eumycota)及びオーミコタ(Oomycota)のすべての糸状形を包含する(Hawksworthなど., 1995, 前記により定義されるような)。糸状菌は一般的に、キチン、セルロース、グルカン、キトサン、マンナン及び他の複合多糖類から構成される菌子体壁により特徴づけられる。成長増殖は、菌子拡張によってであり、そして炭素代謝は絶対好気性である。対照的に、酵母、たとえばサッカロミセス・セレビシアエによる成長増殖は、単細胞葉状体の発芽によってであり、そして炭素代謝は発酵性である。
【0090】
さらにより好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギラス(Aspergillus)、フサリウム(Fusarium)、ヒューミコラ(Humicola)、ムコル(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliophthora)、ネウロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicilium)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコダーマ(Trichoderma)の種の細胞であるが、但しそれらだけには限定されない。
【0091】
最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、アスペルギラス・アワモリ、アスペルギラス・ホエチダス、アスペルギラス・ジャポニカ、アスペルギラス・ニジュランス、アスペルギラス・ニガー又はアスペルギラス・オリザエ細胞である。もう1つの最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、フサリウム・バクトリジオイデス、フサリウム・クロックウェレンズ 、フサリウム・セレアリス、フサリウム・クルモラム、フサリウム・グラミネアラム、フサリウム・グラミナム、フサリウム・ヘテロスポラム、フサリウム・ネグンジ、フサリウム・オキシスポラム、フサリウム・レチキュラタム、フサリウム・ロゼウム、フサリウム・サムブシウム、フサリウム・サルコクロウム、フサリウム・ソラニ、フサリウム・スポロトリキオイデス、フサリウム・スルフレウム、フサリウム・トルロサム、フサリウム・トリコセシオイデス又はフサリウム・ベネナタム細胞である。
【0092】
さらに最も好ましい態様においては、糸状菌親細胞は、フサリウム・ベネナタム(Nirenberg sp. nov.)細胞である。さらに最も好ましい態様においては、糸状菌宿主細胞は、ヒューミコラ・インソレンス、ヒューミコラ・ラヌギノサ、ムコル・ミエヘイ、ミセリオプソラ・サーモフィリア、ネウロスポラ・クラサ、ペニシリウム・プルプロゲナム、チエラビア・テレストリス、トリコダーマ・ハルジアナム、トリコダーマ・コニンギ、トリコダーマ・ロンジブラキアタム、トリコダーマ・レセイ又はトリコダーマ・ビリデ細胞である。
【0093】
菌類細胞は、プロトプラスト形質転換、プロトプラストの形質転換、及びそれ自体知られている態様での細胞壁の再生を包含する工程により形質転換され得る。アスペルギラス宿主細胞の形質転換のための適切な方法は、ヨーロッパ特許第238023号及びYeltonなど., 1984, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81; 1474-1874に記載される。フラリウム種を形質転換するための適切な方法は、Malardierなど., 1989, Gene78: 147-156, 及びWO96/00787号により記載される。
【0094】
酵母は、Becker and Guarente. In Abelson, J.N. and Simon, M.I., editors, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Methods in Enzymology, Volume 194, pp 182-187, Academic Press, Inc., New York; Ito など, 1983, Journal of Bacteriology 153: 163; 及びHinnen など, 1978, Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75; 1920により記載される方法を用いて形質転換され得る。
【0095】
生成方法
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成を助ける条件下で宿主細胞を培養し;そして(b)ポリペプチドを回収することを含んで成る、本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0096】
本発明の生成方法においては、細胞は、当業界において知られている方法を用いて、ポリペプチドの生成のために適切な栄養培地において培養される。例えば、細胞は、ポリペプチドの発現及び/又は単離を可能にする、適切な培地において、及び条件下で行われる実験室用又は産業用発酵器において、振盪フラスコ培養、小規模又は大規模発酵(連続、バッチ、供給バッチ、又は団体状態発酵を包含する)により培養され得る。培養は、炭素及び窒素源及び無機塩を含んで成る適切な栄養培地において、当業界において知られている方法を用いて行われる。適切な培地は、市販されているか、又は公開されている組成(例えば、American Type Culture Collection のカタログにおける)に従って調製され得る。ポリペプチドが栄養培地に分泌される場合、ポリペプチドは培地から直接的に回収され得る。ポリペプチドが分泌されない場合、それは細胞溶解物から回収され得る。
【0097】
ポリペプチドは、そのポリペプチドに対して特異的である、当業界において知られている方法を用いて検出され得る。それらの検出方法は、特定の抗体、酵素生成物の形成、又は酵素基質の消出の使用を包含する。例えば、酵素アッセイは、本明細書に記載されるようなポリペプチドの活性を決定するために使用され得る。
得られるポリペプチドは、当業界において知られている方法により回収され得る。例えば、ポリペプチドは、従来の方法、例えば遠心分離、濾過、抽出、噴霧−乾燥、蒸発又は沈殿(但し、それらだけには限定されない)により、栄養培地から回収され得る。
【0098】
本発明のポリペプチドは、当業界において知られている種々の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマトフォーカシング及びサイズ排除)、電気泳動方法(例えば、分離用等電点電気泳動)、示差溶解性(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS−PAGE又は抽出(但し、それらだけには限定されない)により精製され得る(例えば、Protein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publlishers, New York, 1989を参照のこと)。
【0099】
植物
本発明はまた、ポリペプチドを、回収可能な量で発現し、そして生成するために、本発明の抗菌活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列により形質転換されている、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞にも関する。ポリペプチドは、植物又は植物部分から回収され得る。他方では、組換えポリペプチドを含む植物又は植物部分が、食品又は飼料の品質を改良するために、例えば、栄養価値、味のよさ及び流動性質を改良するために、又は抗栄養因子を破壊するために使用され得る。回収されたポリペプチド、植物、又は植物部分はまた、動物又は家畜において消化フロラを改良するか又は変更するためにも使用され得る。
【0100】
トランスジェニック植物は、双子葉植物又は単子葉植物であり得る。単子葉植物の例は、草、たとえば湿地帯を好む草(イチゴツナギ属の草、イネ科)、飼草、たとえばウシノケグサ・トボシガラ、ドクムギ、温帯性草、たとえばヌカボ、及び穀草類、たとえば小麦、カラスムギ、ライ麦、大麦、イネ、モロコシ及びトウモロコシである。
【0101】
双子葉植物の例は、タバコ、ジャガイモ、テンサイ、マメ科植物、例えばハウチワマメ、エンドウ、豆及び大豆、並びにアブラナ科(ブラシカセアエ科(Brassicaceae))、たとえばカリフラワー、ナタネ及び密接に関連するモデル生物アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis Thaliana)である。
【0102】
植物部の例は、茎、カルス、葉、根、果物、種子、及び塊根である。現在、また特定の植物組織、たとえばクロロプラスト、アポプラスト(apoplast)、ミトコンドリア、液胞、ペルオキシソーム、及び細胞質が植物部分であると思われる。さらに、いずれの植物細胞でも、その組織起源が何であろうと、植物部分であると見なされる。
また、そのような植物、植物部分及び植物細胞の子孫も、本発明の範囲内に包含される。
【0103】
本発明のポリペプチドを発現するトランスジェニック植物又は植物細胞は、当業界において知られている方法に従って構成され得る。手短には、植物又は植物細胞は、本発明のポリペプチドをコードする1又は複数の発現構造体を植物宿主ゲノム中に組み込み、そしてその得られる修飾された植物又は植物細胞をトランスジェニック植物又は植物細胞に生長せしめることによって構成される。
【0104】
便利には、核酸構造体は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を、選択の植物又は植物部分において前記ヌクレオチド配列の発現のために必要とされる適切な調節配列と共に操作可能的に関連して含んでなるDNA構造体である。さらに、発現構造体は、その発現構造体が組み込まれている宿主細胞を同定するために有用である選択マーカー、及び問題の植物中への前記構造体の導入のために必要なDNA配列を含むことができる(後者は、使用されるDNA導入方法に依存する)。
【0105】
調節配列、たとえばプロモーター及びターミネーター配列、及び任意には、シグナル又は遷移配列の選択は、ポリペプチドがいつ、どこで及びいかにして、発現されるかの所望に基づいて決定される。たとえば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現は、構造的又は誘発的であり、又は進行的、段階的又は組織特異的であり、そして遺伝子生成物は特定の組織又は植物部分、たとえば種子又は葉に標的化され得る。調節配列は、たとえばTague など., Plant Phys., 86: 506, 1988により記載されている。
【0106】
構成的発現のためには、35S−CaMVプロモーターが使用され得る(Franck など., 1980, Cell 21:285-294)。器官−特異的プロモーターは、貯蔵組織たとえば種子、ジャガイモ塊茎、及び果物(Edwards & Coruzzi, 1990, Annu. Rev. Genet. 24: 275-303)、又は代謝組織、たとえば分裂組織(Ito など., 1994, Plant Mol. 24: 863-878)からのプロモーター、又は種子特異的プロモーター、たとえばイネからのグルテリン、プロラミン、グロブリン又はアルブミンプロモーター(Wu など., Plant and Cell Physiology Vol.34, No.39, No.8, pp.885-889 (1998))、Conrad U. など, Journal of Plant Physiology Vol. 152, No.6, pp.708-711 (1998)により記載されるビシア・ファバ(Vicia faba)からのレグミンB4及び未知の種子タンパク質遺伝子からのビシア・ファバプロモーター、種子油本体のタンパク質からのプロモーター(Chen など., Plant and Cell Physiology Vol.39, No.9, pp.935-941 (1998))、ブラシカ・ナパス(Brassica napus)からの貯蔵タンパク質napAプロモーター、又はたとえばWO91/14772号に記載のような当業界において知られているいずれか他の種子特異的プロモーターであり得る。
【0107】
さらに、プロモーターは、葉特異的プロモーター、たとえば株又はトマトからのrbcsプロモーター(Kyozuka など., Plant Physiology Vol.102, No.3, pp.991-1000 (1993))、コレラウィルスあでのメチルトランスフェラーゼ遺伝子プロモーター(Mitra, A. and Higgins, DW, Plant Molecular Biology Vol.26, No.1, pp.85-93 (1994))、又はイネからのaldP遺伝子プロモーター(Kagayaなど., Molecular and General Genetics Vol.248, No.6, pp.668-674 (1995))、又は創傷誘発性プロモーター、たとえばジャガイモpin2プロモーター(Xuなど., Plant Molecular Biology Vol.22, No.4, pp.573-588 (1993))であり得る。
【0108】
プロモーターエンハンサー要素は、植物において、より高い酵素の発現を達成するために使用され得る。たとえば、プロモーターエンハンサー要素は、プロモーターと本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に配置されるイントロンであり得る。たとえば、Xuなど、前記は、発現を増強するためにイネアクチン1遺伝子アクチン1遺伝子の第1イントロンの使用を開示する。
選択マーカー遺伝子、及び発現構造体のいずれかの他の部分は、当業界において入手できるものから選択され得る。
【0109】
核酸構造体は、当業界において知られている従来の技法、たとえばアグロバクテリウム−介在性形質転換、ウィルス−介在性形質転換、マイクロインジェクション、粒子衝撃、バイオリスティク形質転換、及びエレクトロポレーションに従って、植物ゲノム中に組込まれる(Gasser など., Science, 244, 1293; Potrykus, Bio/tech. 8,535,1990; Shimamoto など., Natune, 338, 274, 1989)。
【0110】
現在、アグロバクテリウム・ツメファシエンス介在性遺伝子トランスファーは、トランスジェニック双子葉植物を生成するための好ましい方法(Hooykas & Schilperoort, 1992, Plant Mol. Biol. 19: 15-38を参照のこと)であるが、しかしながら、それはまた、他の形質転換方法が一般的に、それらの植物のためには好ましいけれども、単子葉植物を形質転換するためにも使用され得る。現在、トランスジェニック単子葉植物を生成するための好ましい方法は、胚カルス又は成長する胚の粒子衝撃法(形質転換性DNAにより被覆された微小金又はタングステン粒子)である(Christou, 1992, Plant J. 2: 275-281; Shimamoto, 1994, Curr. Opin. Biotechnol. 5: 158-162; Vasil など., 1992, Bio/Technology 10: 667-674)。単子葉植物の形質転換のための他の方法は、Omirulleh B, など., Plant Molecular Biology Vol. 21, No.3, pp.415-428 (1993) により記載されるように、プロトプラスト形質転換に基づかれている。
【0111】
形質転換に続いて、発現構造体を組み込んでいる形質転換体が、当業界において良く知られている方法に従って、選択され、そして完全な植物に再生される。
本発明はまた、(a)ポリペプチドの生成のために適切な条件下で、本発明の抗菌活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成るトランスジェニック植物又は植物細胞を培養し;そして(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る本発明のポリペプチドを生成するための方法にも関する。
【0112】
組成物
さらなる観点においては、本発明は、本発明の抗菌ポリペプチドを含んで成る組成物、例えば医薬組成物に関する。
組成物は、主要ポリペプチド成分、例えば一成分組成として、本発明のポリペプチドを含んで成る。
【0113】
他方では、組成物は、複数の酵素活性体、例えばアミノペプチダーゼ、アミラーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキシトリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、β-グルコシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、酸化酵素、ペクチン分解酵素、ペプチドグルタミナーゼ、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、又はキシラナーゼを含んで成ることができる。
【0114】
組成物はさらに、もう1つの医薬的活性剤、例えば追加の殺菌剤、例えば上記に定義されるような抗菌活性を示すもう1つの抗菌ポリペプチドを含んで成ることができる。殺菌剤は、当業者において知られているような抗生物質であり得る。抗生物質の種類は、ペニシリン、例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、等;β−ラクタマーゼインヒビターと組合してのペニシリン、セファロスポリン、例えばセファクロール、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、等;カルバペネム;モノベクタム;アミノグリコシド;テトラサイクリン;マクロリド;リンコマイシン;ポリミキシン;スルホンアミド;キノロン;クロラムフェニコール;メトロニダゾール;スペクチノマイシン;トリメトプリム、バンコマイシン、等を包含する。
【0115】
殺菌剤はまた、抗−真菌剤、例えばポリエン、例えばアンフォテリシンB、ナイスタチン;5−フルコシン;及びアゾール、例えばミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール及びフルコナゾールであり得る。
1つの態様においては、殺菌剤は、非酵素化学剤である。もう1つの態様においては、殺菌剤は、非ポリペプチド化学剤である。
【0116】
殺菌剤は、殺菌剤の25%(w/w)水溶液;好ましくは10%(w/w)水溶液;より好ましくは5%(w/w)水溶液;さらにより好ましくは1%(w/w)水溶液;最も好ましくは0.5%(w/w)水溶液;及び特に0.1%(w/w)水溶液における20℃での8時間(好ましくは、4時間、より好ましくは、2時間、最も好ましくは1時間、及び特に30分)のインキュベーションの後、E. コリ(DSM1576)の生存細胞の数を1/100に低めることができる。
【0117】
殺菌剤はまた、1000ppmの濃度で添加される場合;好ましくは500ppmの濃度で添加される場合;より好ましくは250ppmの濃度で添加される場合;さらに好ましくは100ppmの濃度で添加される場合;最も好ましくは50ppmの濃度で添加される場合;及び特に50ppmの濃度で添加される場合、微生物増殖基質における25℃での24時間で、E. コリ(DSM1576)の増殖を阻害することができる。
【0118】
殺菌剤は、殺菌剤の25%(w/w)水溶液;好ましくは10%(w/w)水溶液;より好ましくは5%(w/w)水溶液;さらにより好ましくは1%(w/w)水溶液;最も好ましくは0.5%(w/w)水溶液;及び特に0.1%(w/w)水溶液における20℃での8時間(好ましくは、4時間、より好ましくは、2時間、最も好ましくは1時間、及び特に30分)のインキュベーションの後、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)(ATCC6633)の生存細胞の数を1/100に低めることができる。
【0119】
殺菌剤はまた、1000ppmの濃度で添加される場合;好ましくは500ppmの濃度で添加される場合;より好ましくは250ppmの濃度で添加される場合;さらに好ましくは100ppmの濃度で添加される場合;最も好ましくは50ppmの濃度で添加される場合;及び特に50ppmの濃度で添加される場合、微生物増殖基質における25℃での24時間で、バチルス・サブチリス(ATCC6633)の増殖を阻害することができる。
【0120】
組成物は、適切なキャリヤー材料を含んで成る。組成物はまた、それが医薬として使用される場合、所望する遺伝子座に、本発明の抗菌ポリペプチドを供給できる適切な供給ビークルを含んで成ることができる。
組成物は、当業界において知られている方法に従って調製され、そして液体又は乾燥組成物の形で存在することができる。例えば、ポリペプチド組成物は、当業界において知られている方法に従って安定化され得る。
【0121】
本発明のポリペプチド組成物の好ましい使用の例は、下記に与えられる。本発明のポリペプチド組成物の用量及び組成物が使用される他の条件は、当業界において知られている方法に基づいて決定され得る。
【0122】
方法及び使用
本発明はまた、本発明の抗菌ポリペプチドの種々の使用を包含する。抗菌ポリペプチドは、典型的には、細菌、菌類、酵母又は藻類による汚染にさらされるいずれかの遺伝子座で有用である。典型的には、遺伝子座、微生物が殺害される必要があり、又はそれらの増殖が制御される必要がある、水性システム、例えば冷却水システム、洗濯すすぎ水、油システム、例えば切削油、滑剤、油田及び同様のものにおいて存在する。しかしながら、本発明はまた、既知の抗菌組成物が有用であるすべての用途、例えば木材、ラテックス、接着剤、グルー、紙、厚紙、布、革、プラスチック、コーキング及び飼料に使用され得る。
【0123】
他の使用は、食品、飲料物、化粧品、例えばローション、クリーム、ゲル、軟膏、石鹸、シャンプー、コンディショナー、制汗剤、デオドラント、マウス洗浄剤、コンタクトレンズ製品、酵素配合物、又は食品成分の保存を包含する。
従って、本発明の抗菌ポリペプチドは、例えばアクネ、眼又は口における感染、皮膚感染の処理において;足浴用塩において;コンタクトレンズ、硬質表面、歯(経口ケアー)、創傷、挫傷及び同様のものの清浄及び殺菌のために、消毒薬として有用である。
【0124】
一般的に、本発明の抗菌ポリペプチドは、いずれかの硬質表面上での微生物をも、清浄し、消毒し、又はその増殖を阻害するために有用であることが企画される。本発明の抗菌ポリペプチドと都合良く接触せしめられ得る表面の例は、使用される加工装置、例えば酪農、化学又は医薬加工プラント、水衛生システム、オイル加工プラント、製紙加工プラント、水処理プラント及び冷却塔の表面である。本発明の抗菌ポリペプチドは、問題の表面上での微生物の清浄、消毒又はその増殖の阻害のために有効である量で使用されるべきである。
【0125】
さらに、本発明の抗菌ポリペプチドは、いずれの種類の加工装置の清浄のためにクリーニング−イン−プレス(cleaning-in-place)(C.I.P.)システムにおいて都合良く使用され得ることが企画される。
さらに、本発明の抗菌ポリペプチドは、食品加工プラントにおいて、及び食品が調製されるか又は加工されるいずれかの領域、例えば病院、老人ホーム、レストラン、特にファーストフードレストラン、デリカテッセン及び同様の場所における表面及び調理用品の清浄のために使用され得る。それは、食品における抗菌剤としても使用され得、そしてサラダバー上のチーズ、果物及び野菜、及び食品における表面抗菌剤として特に有用である。
【0126】
それはまた、水性ペイントにおける保存剤又は消毒剤としても使用され得る。
本発明の抗菌ポリペプチドはまた、水ラインの微生物制御のために、及び水の消毒、特に産業用水の消毒のためにも有用である。
本発明はまた、本発明の抗菌ポリペプチド又は組成物の薬剤としての使用にも関する。さらに、本発明の抗菌ポリペプチド又は組成物はまた、微生物、例えば菌類又は細菌、好ましくはグラム陽性細菌を制御するか又は攻撃するための薬剤の製造のためにも使用され得る。
【0127】
本発明の組成物及び抗菌ポリペプチドは、微生物感染、例えば細菌又は菌類感染、好ましくはグラム陽性細菌感染の処理のための獣医又はヒト治療剤又は予防剤の調製に使用される。特に、微生物感染は、肝疾患、例えば結核、肺炎及び嚢胞性線維症(但し、それらだけには限定されない);及び性的に伝達される疾病、例えば淋病及びクラミジア(但し、それらだけには限定されない)に関連している。
【0128】
本発明の組成物は、有効量の本発明の抗菌ポリペプチドを含んで成る。
用語“有効量”とは、本明細書において使用される場合、配列番号2〜114のいずれかのアミノ酸1〜18として示されるアミノ酸配列、又はそれらのフラグメント又は変異体を含んで成る、問題の微生物の増殖を阻害するのに十分である抗菌ポリペプチドの量を意味する。
本発明はまた、創傷治癒組成物又は製品、例えば包帯、医療装置、例えばカテーテル、及び抗−フケ髪用製品、例えばシャンプーにも関する。
【0129】
本発明の抗菌ポリペプチドの配合物は、微生物感染を有するか又はその素因を有する宿主に投与される。投与は、好ましくは局在化されるであろう特定の微生物に依存して、局部的であるか、局在化されるか、又は全身性であり得る。一般的に、本発明の抗菌ポリペプチドの用量は、微生物集団を、少なくとも約50%、通常少なくとも1対数、低めるのに十分であり、そして2又はそれ以上の対数、微生物を殺害することができる。本発明の化合物は、いずれの副作用も最少にすると共に、微生物集団を低める用量で投与される。
【0130】
組成物は、インビボ使用のためには、医者の案内下で得られ、そして使用されるであろうことが企画される。本発明の抗菌ポリペプチドは、グラム陰性細菌、例えばシュードモナス・アエルギノサ及びクラミジア・トラコマチス;及びグラム陽性細菌、例えば種々のストレプトコーカス、例えばS.プネウモニア、S.ウベリス、S.ヒオインテスチナリス、S.ピオゲネス又はS.アガラクチアエ;及びスタフィロコーカス、例えばS.アウレウス、S.エピダーミヂス、S.シミュランス、S.キシロサス、S.カモサスを殺害するために特に有用である。
【0131】
本発明の抗菌ポリペプチドの配合物は、微生物肺感染、例えば肺炎;又は微生物創傷感染、例えば細菌創傷感染を有するか、又はその素因を有する宿主に投与され得る。
本発明の抗菌ポリペプチドの配合物はまた、皮膚感染、例えばアクネ、アトピー性皮膚炎又は脂漏性皮膚炎を有するか、又はその素因を有する宿主に投与され得;好ましくは、皮膚感染は、例えばスタフィロコーカス・エピダーミヂス、スタフィロコーカス・アウレウス、プロピオニバクテリウム・アクネス、ピチロスポラム・オバレ又はマラセジア・フルフルにより引起される細菌皮膚感染である。
【0132】
本発明の抗菌ポリペプチドはまた、特に従来の量の抗菌物質を導入することを所望しない場合、微生物を殺害するためにインビトロ配合物において有用である。例えば、本発明の抗菌ポリペプチドは、動物及び/又はヒト食品調製物に添加され得るか;又はそれらは、組織培養物における微生物の過剰増殖を妨げるために、細胞のインビトロ培養物のための添加剤として含まれ得る。
【0133】
本発明の抗菌ポリペプチドによる殺害に対する特定の微生物の感受性は、実験セクションに詳細されるように、インビトロ試験により決定され得る。典型的には、微生物の培養物が、タンパク質の作用を可能にするのに十分な時間、通常約1時間〜1日間、種々の濃度で抗菌ポリペプチドと組み合わされる。次に、生存微生物が計数され、そして殺害レベルが決定される。
【0134】
興味ある微生物は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:グラム陰性細菌、例えばシトロバクターsp.(Citrobacter sp.); エンテロバクターsp.(Enterobacter sp.);エスシュリシアsp.(Escherichia sp.), 例えばE. コリ;クレブシエラsp.(Klebsiella sp.); モノガネラsp.(Morganella sp.); プロテウスsp.(Proteus sp.); プロビデンシアsp.(Providencia sp.); サルモネラsp.(Salmonella sp.)、例えばS. チピ(S. typhi)、S. チビムリウム(S. typhimurium);セラチアsp.(Serratia sp.); シゲラsp.(Shigella sp.); シュードモナスsp.(Pseudomonas sp.), 例えばP. アエスギノサ(P. aeruginosa);エルシニアsp.(Yersinia sp.), 例えばY. ベスチス(Y. pestis)、Y. シュードツベルクロシス(Y. pseudotuberculosis)、Y. エンテロコリチカ(Y. enterocolitica);フランシスセラsp.(Franciscella sp.);パスツレラsp.(Pasturella sp.); ビブリオsp.(Vibrio sp.), 例えばV. コレラ(V. cholera)、V. パラヘモリチカス(V.parahemolyticus);カンピロバクターsp.(Campylobacter sp.), 例えばC. ジュジュニ(C.jejuni);ヘモフィラスsp.(Haemophilus sp.), 例えばH. インフルエンザ(H.influenzae)、H. ダクレイ(H. ducreyi);ボルデテラsp.(Bordetella sp.) 、例えばB. ベルツシス(B. pertussis)、B. ブロンキセプチカ(B.bronchiseptica)、B. パラペルツシス(B. parapertussis);ブルセラsp.(Brucella sp.); ネイセリアsp.(Neisseria sp.), 例えばN. ゴノルホエアエ(N. gonorrhoeae)、N. メニングチジス(N. meningitidis)、等。
【0135】
興味ある他の細菌は次のものを包含する:レギオホラsp.(Legionella sp.), 例えばL. プネウモフィラ(L. pneumophila);リステリアsp.(Listeria sp.), 例えばL. モノシストゲネス(L.monocytogenes);マイコプラズマsp.(Mycoplasma sp.), 例えばM. ホミニス(M. hominis)、M. プネウモニアエ(M. pneumoniae);マイコバクテリウムsp.(Mycobacterium sp.), 例えばM. チュベルキュロシス(M. tuberculosis)、M. レプラエ(M, lepra);トレポネマsp.(Treponema sp.), 例えばT. パリダム(T. pallidum);ボレリアsp.(Borrelia sp.), 例えばB. ブルゴドルフェリ(B.burgdorferi);レプトヌピラエsp.(Leptospirae sp.); リケツシアsp.(Rickettsia sp.), 例えばR. リケッシ(R.rickettsii)、R. チビ(R.typhi);クラミジアsp.(Chlamydia sp.), C. トラコマチス(C. trachomatis)、C. プネウモニアエ(C. pneumoniae)、C. ピシタジ(C.psittaci);ヘリコバクターsp.(Helicobacter sp.), 例えばH. ピロリ(H. pylori)、等。
【0136】
興味ある非細菌性病原体は、次のものを包含する;菌類及び原生動物病原体、例えばプラスモジアsp.(Plasmodia sp.), 例えばP. ファルシパラム(P. falciparum)、トリパノソマsp.(Trypanosoma sp.), 例えばT. ブルセイ(T.brucei);シストゾーム(shistosomes); エンタエモエバsp.(Entaemoeba sp.), クリプトコーカスsp.(Cryptococcus sp.), カンジダsp.(Candida sp.), 例えばC. アルビカンス(C.albicans);等。
【0137】
投与のための種々の方法が使用され得る。ポリペプチド配合物は、経口投与されるか、又は静脈内、皮下、腹膜内注射されるか、エアロゾル、眼内、膀胱内、局部、等により投与され得る。例えば、吸入による投与方法は、当業界において良く知られている。治療配合物の用量は、投与されるべき特定の抗菌ポリペプチド、疾病の性質、投与の頻度、投与の態様、宿主からの剤のクリアランス、及び同様のものに依存して、広く変化するであろう。初期用量は大きく、続いて少量の維持の用量が続く。用量は、まれに、毎週又は二週ごとに投与されるか、又は少ない用量に分けられ、そして毎週1度又は数回、1週2度、等で投与され、効果的用量レベルが維持される。多くの場合、経口投与が、静脈内投与される場合よりも高い用量を必要とするであろう。アミド結合、及びアミノ及びカルボキシル末端が、経口投与に基づいて高い安定性のために修飾され得る。例えば、カルボキス末端がアミド化され得る。
【0138】
配合物
本発明の化合物は、治療投与のために種々の配合物中に組込まれ得る。特に、本発明の化合物は、適切な医薬的に許容できるキャリヤー又は希釈剤と組合すことにより医薬組成物中に配合され、そして固体、半固体、液体又は気体形、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、クリーム、発泡体、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、微小球、ローション及びエアロゾルでも調製物中に配合され得る。化合物の投与は、種々の手段、例えば経口、頬内、直腸、非経口、腹膜内、皮膚内、経皮内、鞘内、等の投与で達成され得る。本発明の抗菌ポリペプチドは、投与の後、全身性であるか、又は移植の部位で活性用量を保持するように作用する移植物又は他の配合物の使用により局在化され得る。
【0139】
1つの態様においては、局部使用のための配合物は、二価のカチオン、特にカルシウム及びマグネシウムの効果的濃度を低めるキレート化剤を含んで成る。例えば、剤、例えばシトレート、EGTA又はEDTAが包含され、ここでシトレートが好ましい。シトレートの濃度は通常、約1〜10mMであろう。
【0140】
本発明の化合物は、単独で、お互い組合して投与されるか、又はそれらは、他の既知化合物(例えば、ペルホリン、抗−炎症剤、抗生物質、等)と組合して使用され得る。医薬投与形においては、化合物は、それらの医薬的に許容できる塩の形で投与され得る。次の方法及び賦形剤は単なる例示であり、制限するものではない。
【0141】
経口調製物に関しては、化合物は、錠剤、粉末、顆粒、又はカプセルを製造するために、単独で、又は適切な添加剤、例えば従来の添加剤、例えばラクトース、マンニトール、コーンスターチ又はジャガイモ澱粉;結合剤、例えば結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン;砕解剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモ澱粉又はナトリウムカルボキシメチルセルロース;滑剤、例えばタルク又はステアリン酸マグネシウム;及び所望により、希釈剤、緩衝剤、保湿剤、保存剤及び風味剤と組合して使用され得る。
【0142】
化合物は、水性又は非水性溶媒、例えば植物油又は他の類似する油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル又はプロピレングリコールに、それら;及び所望により、従来の添加剤、例えば溶解剤、等張剤、沈殿防止剤、乳化剤、安定剤及び保存剤を溶解し、懸濁し、又は乳化することにより注射用調製物に配合され得る。
化合物は、吸入を通して投与されるエアロゾル配合物に使用され得る。本発明の化合物は、加圧された許容できる噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素及び同様のもの中に配合され得る。
【0143】
化合物は、従来の添加剤、例えば溶解剤、等張剤、沈殿防止剤、乳化剤、安定剤及び保存剤との配合により、熱傷の感染を防ぐために、ローションとして使用され得る。
さらに、化合物は、種々の塩基、例えば乳化塩基又は水溶性塩基と共に混合することにより、坐剤に製造され得る。本発明の化合物は、坐剤を通して直腸投与され得る。坐剤は、ビークル、例えば体温で溶解し、室温で固化される、コアアバター、カーボワックス及びポリエチレングリコールを含むことができる。
【0144】
経口又は直腸投与のための単位用量形、例えばシロップ、エリキシル及び懸濁液が供給され得、ここで個々の用量単位、例えば錠剤又は坐剤は、本発明の1又は複数の化合物を含む、予定された量の組成物を含む。同様に、注射又は静脈内投与のための単位用量形は、無菌水、通常の塩溶液又はもう1つの医薬的に許容できるキャリヤーに溶液としての組成物に本発明の化合物を含んで成ることができる。
【0145】
持効性配合物のための移植体は、当業界において良く知られている。移植体は、生分解性又は非生分解性ポリマーと共に、微小球、スラブ、等として配合される。例えば、乳酸及び/又はグリコール酸のポリマーは、宿主により十分に許容される侵食できるポリマーを形成する。本発明の抗菌ポリペプチドを含む移植体は、感染の部位に接近して配置され、その結果、活性剤の局部濃度は、身体の残りに比較して高められる。
【0146】
用語“単位用量形”とは、本明細書において使用される場合、ヒト及び動物対象のための単位用量として適切な、生理学的に別々の単位を言及し、個々の単位は、医薬的に許容できる希釈剤、キャリヤー又はビークルと共に、所望する効果を生成するのに十分な量で、計算された予測される量の本発明の化合物を含む。本発明の単位用量形についての規定は、使用される特定の化合物、達成されるべき効果、及び宿主における化合物に関連する薬力学に依存する。
【0147】
医薬的に許容できる賦形剤、例えばビークル、アジュバント、キャリヤー又は希釈剤は、公的に容易に入手できる。さらに、医薬的に許容できる補助物質、例えばpH調節及び緩衝剤、張度調節剤、安定剤、湿潤剤及び同様のものは、公的に容易に入手できる。
【0148】
全身性投与のための典型的な用量は、投与当たり0.1pg〜100mg/kg体重である。典型的な用量は、毎日2〜6度、摂取される1つの錠剤であり得るか、又は1日1度、摂取され、そして比較的高い量の活性成分を含む1つの持効性カプセルであり得る。持効性効果は、異なったpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧によりゆっくり開放するカプセルにより、又は調節された開放性のいずれか他の既知手段により得られる。
【0149】
当業者は、用量レベルが特定の化合物の機能、徴候の重症度及び副作用に対する対象の感受性として変化することができることを容易に理解するであろう。特定の化合物のいくつかは、他の化合物よりもより有能である。所定の化合物についての好ましい用量は、種々の手段により当業者により容易に決定できる。好ましい手段は、所定の化合物の生理学的能力を測定することである。
【0150】
供給ビークルとしてのリポソームの使用は、1つの興味ある方法である。リポソームは標的細胞と融合し、そして内腔中の内容物を細胞中に供給する。リポソームは、接触を維持するために種々の手段、例えば単離、結合剤及び同様のものを用いて、融合のための十分な時間、細胞と接触して維持される。本発明の1つの観点においては、リポソームは、膜の融合に介在する精製されたタンパク質又はペプチド、例えばセンダイウィルス又はインフルエンザウィルス、等により調製され得る。脂質は、既知のリポソーム形成脂質、例えばカチオン性又は両性イオン性脂質、例えばホスファチジルコリンのいずれかの有用な組合せであり得る。残る脂質は通常、中性又は酸性脂質、例えばコレステロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール及び同様のものであろう。
【0151】
リボソームの調製に関しては、Kato など. (1991) J. Biol. Chem. 266: 3361により記載される方法が使用され得る。手短には、ペプチドを含む、脂質及び内腔組成物が、適切な水性媒体、便利には、合計固形物が約1〜10重量%の範囲で存在する塩溶液媒体において組み合わされる。約5〜60秒の短時間の強い攪拌の後、管を約25〜40℃で暖かな水浴に配置し、そしてこのサイクルを、約5〜10回、反復する。次に、組成物が便利な時間、一般的に約1〜10秒間、音波処理され、そしてさらに、かき混ぜることにより攪拌される。次に、その体積が、水性媒体を添加し、一般的には、体積を約1〜2倍に増加することにより拡張され、続いて振盪され、そして冷却される。この方法は、高分子量分子の内腔中への組込みを可能にする。
【0152】
他の活性剤を有する配合物
本発明の方法への使用に関しては、本発明の抗菌ポリペプチドは、他の医薬的活性剤、特に他の抗菌剤により配合され得る。興味ある他の剤は、当業界において知られているような広範囲の種類の抗生物質を包含する。抗生物質の種類は、ペニシリン、例えばペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリン、等;β−ラクタマーゼインヒビターと組合してのペニシリン、セファロスポリン、例えばセファクロール、セファゾリン、セフロキシム、モキサラクタム、等;カルバペネム;モノベクタム;アミノグリコシド;テトラサイクリン;マクロリド;リンコマイシン;ポリミキシン;スルホンアミド;キノロン;クロラムフェニコール;メトロニダゾール;スペクチノマイシン;トリメトプリム、バンコマイシン、等を包含する。
【0153】
抗−真菌剤、例えばポリエン、例えばアンホテリシンB、ナイスタチン;5−フルコシン;及びアゾール、例えばミコナゾール、ケイコナゾール、イトラコナゾール及びフルコナゾールはまた、有用である。抗結核薬剤は、イソニアジド、エタムブトール、ストレプトマイシン及びリファンピンを包含する。サイトカイン、例えばインターフェロンγ、腫瘍壊死因子α、インターロイキン12、等はまた、本発明の抗菌ポリペプチドの配合物に含まれ得る。
【0154】
インビトロ合成
本発明の抗菌ペプチドは、当業界において知られている従来の方法を用いて、インビトロ合成により調製され得る。種々の市販の合成装置、例えばApplied Biosystems Inc., Beckman, 等による自動化された合成機は市販されている。合成機を用いることにより、天然に存在するアミノ酸は、不自然なアミノ酸、特にD−異性体(又はD−形)、例えばD−アラニン及びD−イソロイシン、ジアステレオ異性体、異なった長さ又は官能性を有する側鎖、及び同様のものにより置換され得る。特定の配列及び調製の態様は、便利性、経済性、必要とされる純度及び同様のものにより決定されるであろう。
【0155】
化学結合は、結合のための便利な官能基、例えばアミド又は置換されたアミン形成、例えば還元性アミノ化のためのアミノ基、チオエーテル又はジスルフィド形成のためのチオール基、アミド形成のためのカルボキシル基、及び同様のものを含んで成る種々のペプチド又はタンパク質に供給され得る。
【0156】
所望には、種々の基が、他の分子又は表面への結合を可能にする、合成の間又は発現の間、ペプチド中に導入され得る。従って、システインが、チオエーテルを製造するために使用され、金属的複合体への結合のためにヒスチジンが、アミド又はエステルの形成のためにカルボキシル基が、アミドの形成のためにアミノ基が使用され、そして同様のことが行われる。
【0157】
ポリペプチドは、組換え合成の従来の方法に従って単離され、そして精製され得る。溶解物は、発現宿主から調製され、そして溶解物は、HPLC、排除クリマトグラフィー、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー又は他の精製技法を用いて精製される。ほとんどの場合、使用される組成物は、生成物の調製方法に関する汚染物及びその精製に関して、少なくとも20重量%、より通常には少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、及び治療目的のためには、通常少なくとも約99.5重量%の所望する生成物を含んで成るであろう。通常、%は、合計タンパク質に基づかれるであろう。
【0158】
動物飼料
本発明はまた、動物飼料への抗菌活性を有するポリペプチドの使用方法、及び本発明の抗菌ポリペプチドを含んで成る飼料組成物及び飼料添加物にも向けられる。
【0159】
用語、動物とは、ヒトを包含するすべての動物を包含する。動物の例は、非反芻動物、及び反芻動物、例えば、動物、例えば牛、羊、ヤギ、及び馬である。特定の態様においては、動物は非反芻動物である。非反芻動物は、単一の胃を有する動物、例えばブタ又はイノシシ(子ブタ、成長しているブタ及び雌ブタを包含するが、但しそれらだけには限定されない);家禽類、例えば七面鳥、及び鶏(ブロイラー鶏、産卵鶏を包含するが、但しそれらだけには限定されない);子牛;及び魚(サケを包含するが、但しそれだけには限定されない)を包含する。
【0160】
用語、飼料又は飼料組成物とは、動物のために適切な、又は動物による摂取のために意図された、いずれかの化合物、調製物、混合物又は組成物を意味する。
本発明従っての使用においては、抗菌ポリペプチドは、食事の前、後又は同時に動物に供給され得る。後者が好ましい。
【0161】
特定の態様においては、抗菌ポリペプチドは、それが飼料に添加される形において、又は飼料添加物に含まれる場合、良く定義されている。良く定義されたということは、抗菌ポリペプチド調製物がサイズ排除クロマトグラフィーにより決定される場合、少なくとも50%の純度であることを意味する(WO01/58275号の例12を参照のこと)。他の特定の態様においては、抗菌ポリペプチド調製物は、この方法により決定される場合、少なくとも60、70、80、85、88、90、92、94又は少なくとも95%の純度である。
【0162】
十分に定義された抗菌ポリペプチド調製物が好都合である。例えば、干渉性又は汚染性の他のプロテアーゼを実質に有さない抗菌ポリペプチドを、飼料に正しく適量に分けることがより容易である。用語“適量に分ける”とは、一貫した及び一定した結果を得ることの目的、及び所望する効果に基づいて用量を最適化する能力を正しくは言及する。
しかしながら、動物飼料への使用に関しては、純粋である抗菌ポリペプチドは必要ではなく;それは他の酵素を含むことができ、この場合、それは抗菌ポリペプチド調製物と呼ばれる。
【0163】
抗菌ポリペプチド調製物は、(a)飼料に直接的に添加され得(又は植物タンパク質の処理工程に直接的に使用され得る)、又は(b)1又は複数の中間体組成物、例えば続いて飼料に添加される(又は処理工程に使用される)飼料添加物又はプレミックスの生成に使用され得る。上記純度の程度は、上記(a)又は(b)のいずれに従って使用されても、元の抗菌ポリペプチド調製物の純度を言及する。
【0164】
この高さの程度の純度を有する抗菌ポリペプチド調製物は特に、組換え生成方法を用いて得ることができ、ところがそれらは、抗菌ポリペプチドが従来の発酵方法により生成される場合、得るにはそんなに容易ではなく、そしてより高いバッチからバッチへの変動を受けやすい。
そのような抗菌ポリペプチド調製物はもちろん、他の酵素と共に混合され得る。
【0165】
用語“植物タンパク質”とは、本明細書において使用される場合、植物由来の又は植物起源の少なくとも1つのタンパク質、例えば修飾されたタンパク質及びタンパク質誘導体を含む、いずれかの化合物、組成物、調製物又は混合物を言及する。特定の態様においては、植物タンパク質中のタンパク質含有率は、少なくとも10、20、30、40、50、又は60%(w/w)である。
【0166】
植物タンパク質は、植物タンパク質源、例えばマメ科植物及び穀物、例えばマメ科(Leguminosae)、アブラナ科、アカザ科及びイネ科、例えば大豆粉、ルピナス粉及びナタネ種子粉由来のものである。
特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のマメ科植物、例えば大豆、ルピナス、エンドウ又はインゲン豆からの材料である。
【0167】
もう1つの特定の態様においては、植物タンパク質源は、1又は複数のアカザ科植物、例えばビート、砂糖大根、ホウレンソウ又はキノアからの材料である。
植物タンパク質源の他の例は、ナタネ種子、及びキャベツである。
大豆は、好ましい植物タンパク質源である。
植物タンパク質源の他の例は、穀物、例えば大麦、小麦ライ麦、オート麦、トウモロコシ、イネ、ライコムギ及びモロコシである。
【0168】
抗菌ポリペプチドは、それが比較的純粋な抗菌ポリペプチドとして存在する場合、いずれかの形で、又は動物飼料への添加のために意図された他の成分との混合物の形で、すなわち動物飼料添加物、例えばいわゆる動物飼料のためのプレミックスの形で、飼料に添加され得る。
さらなる観点においては、本発明は、動物の飼料への使用のための組成物、例えば動物飼料及び動物飼料添加物、例えばプレミックスに関する。
【0169】
本発明の抗菌ポリペプチドとは別に、本発明の動物飼料添加物は、少なくとも1つの脂溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの水溶性ビタミン、及び/又は少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は少なくとも1つのマクロ鉱物を含むことができる。
さらに、任意の飼料添加物成分は、着色剤、;芳香化合物;安定剤;及び/又は中でも、フィターゼ(EC3.1.3.8又は3.1.3.26);キシラーゼ(EC3.2.1.8)、ガラクタナーゼ(EC3.2.1.89);及び/又はβグルカナーゼ(EC3.2.1.4)から選択された少なくとも1つの他の酵素である。
【0170】
特定の態様においては、それらの他の酵素は、十分に定義されている(抗菌ポリペプチド調製物について上記に定義されるように)。
抗菌ペプチド(AMP)の例は、CAP18, Leucocin A, Tritrpticin, Protegrin-1, Thanatin, Defensin,及び Ovispirin 、例えば Novispirin (Robert Lehrer, 2000)、及び抗菌活性を保持するそれらの変異体又はフラグメントである。
【0171】
他の抗真菌ポリペプチド(AFP)の例は、WO94/01459号及びWO02/090384号に開示されるように、アスペルギラス・ギガンテウス(Aspergillus giganteus)、及びアスペルギラス・ニガー(Aspergillus niger)ペプチド、並びに抗真菌活性を保持するそれらの変異体及びフラグメントである。
【0172】
通常、脂−及び水−溶性ビタミン、及び微量鉱物は、飼料への添加のために意図された、いわゆるプレミックスの一部を形成し、そしてマクロ鉱物は通常、別々に飼料に添加される。それらの組成物のいずれかは、本発明の抗菌ポリペプチドにより富化される場合、本発明の動物飼料添加物である。
【0173】
特定の態様においては、本発明の動物飼料添加物は、0.01〜10.0%、より特定には0.05〜5.0%;又は0.2〜1.0%(%は、100gの飼料当たりの添加物g数を意味する)のレベルで、動物規定食又は飼料への包含を意図される(又は包含すべきより意図される)。これは、特に、プレミックスのためである。
次のものは、それらの成分の例の非制限的列挙である:
脂溶性ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE及びビタミンK、例えばビタミンK3である。
【0174】
水溶性ビタミンの例は、ビタミンB12、ビオチン及びコリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸及びパントテネート、例えばCa−D−パントテネートである。
微量鉱物の例は、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、セレン及びコバルトである。
マクロ鉱物の例は、カルシウム、リン及びナトリウムである。
それらの成分(家禽、及び子豚/豚により例示される)の栄養必要条件は、WO01/58275号の表Aに列挙される。栄養必要条件とは、それらの成分が示される濃度で規定食に供給されるべきであることを意味する。
【0175】
他方では、本発明の動物飼料添加は、WO01/58275号の表Aに特定される、少なくとも1つの個々の成分を含んで成る。少なくとも1つとは、1、又は2、又は3、又は4及び等〜すべての13個、又はすべての15個の個々の成分の1又は複数の成分のいずれかを意味する。より特定には、この少なくとも1つの個々の成分は、表Aの縦列4、又は5又は6に示される範囲内の飼料中濃度を提供するような量で本発明の添加物に包含される。
【0176】
本発明はまた、動物飼料組成物にも関する。動物飼料組成物又は規定食は、比較的に高いタンパク質含有率を有する。家禽及び豚規定食は、WO01/58275号の表B、縦列2−3に示されるように特徴づけられ得る。さらに、そのような魚規定食は通常、200−310g/kgの粗脂肪含有率を有する。
本発明の動物飼料組成物は、50−800g/kgの粗タンパク質含有率を有し、そしてさらに、本明細書に請求されるように、少なくとも1つの抗菌ポリペプチドを含んで成る。
【0177】
さらに、又は他方では(上記に示される粗タンパク質含有率)、本発明の動物飼料組成物は、10−30MJ/kgの代謝可能エネルギー含有率;及び/又は0.1−200g/kgのカルシウム含有率;及び/又は0.1−200g/kgの利用できるリン含有率;及び/又は0.1−100g/kgのメチオニン含有率:及び/又は0.1−150g/kgのメチオニン及びシステイン含有率;及び/又は0.5−50g/kgのリシン含有率を有する。
【0178】
特定の態様においては、前記代謝エネルギー、粗タンパク質、カルシウム、リン、メチオニン、メチオニン+システイン、及び/又はリシン含有率は、WO01/58275号(R. 2−5)の表Bにおける範囲2,3,4又は5のいずれか1つの範囲内である。
粗タンパク質は、係数6.25により掛け算される窒素(N)、すなわち粗タンパク質(g/kg)=N(g/kg)×6.25として計算される。窒素含有率は、Kjeldahl方法 (A. O. A. C. , 1984, Official Methods of Analysis 14th ed., Association of Official Analytical Chemists, Washington DC)により決定され得る。
【0179】
代謝可能エネルギーは、NRC publication Nutrient requirements in swine, ninth revised edition 1988, subcommittee on swine nutrition, committee on animal nutrition, board of agriculture, national research council. National Academy Press, Washington, D. C. , pp. 2-6、及びthe European Table of Energy Values for Poultry Feed-stuffs, Spelderholt centre for poultry research and extension, 7361 DA Beekbergen, The Netherlands. Grafisch bedrijf Ponsen & looijen bv, Wageningen. ISBN 90-71463-12-5に基づいて計算され得る。
【0180】
完全な動物規定食におけるカルシウム、利用できるリン及びアミノ酸の含有率は、飼料表、例えばVeevoedertabel 1997, gegevens over chemische samenstelling, verteerbaarheid en voederwaarde van voedermiddelen, Central Veevoederbureau, Runderweg 6,8219 pk Lelystad. ISBN 90- 72839-13-7に基づいて計算される。
特定の態様においては、本発明の動物飼料組成物は、上記に定義されるような少なくとも1つの植物タンパク質の又はタンパク質源を含む。
【0181】
さらなる特定の態様においては、本発明の動物用飼料組成物は、0-80%のトウモロコシ;及び/又は0-80%のモロコシ;及び/又は0−70%の小麦;及び/又は0-70%の大麦;及び/又は0-30%のオート麦;及び/又は0-40%の大豆ミール;及び/又は0-10%の魚ミール;及び/又は0-20%ホエーを含む。動物用規定食は、マッシュ飼料(ペレット化されていない)又はペレット化された飼料として製造され得る。典型的には、微粉砕された飼料材料が混合され、そして十分な量の必須ビタミン及び鉱物が、問題の種についての規定に従って添加される。酵素は、固体又は液体酵素配合として添加され得る。例えば、固体酵素配合物は典型的には、混合段階の前又はその間に添加され;そして液体酵素調製物は典型的には、ペレット化段階の後に添加される。酵素はまた、飼料添加物又はプレミックスにも組込まれ得る。
【0182】
規定食における最終酵素濃度は、0.01−200mgの酵素タンパク質/kg規定食、例えば5−30mgの酵素タンパク質/kg動物規定食の範囲内である。
抗菌ポリペプチドは、1又は複数の次の量(用量範囲)で投与される:0.01-200 ; 又は0.01-100 ; 又は0.05-100 ;又は0.05-50; 又は0.10-10−すべてのそれらの範囲はmgプロテアーゼタンパク質/kg飼料(ppm)である。
【0183】
kg飼料当たりmg抗菌ポリペプチドタンパク質を決定するために、抗菌ポリペプチドは飼料組成物から精製され、そして精製された抗菌ポリペプチドの非活性が適切なアッセイ(抗菌ポリペプチド活性、基質及びアッセイを参照のこと)を用いて決定される。飼料組成物の抗菌ポリペプチド活性はまた、同じアッセイを用いて決定され、そしてそれらの2種の決定に基づいて、mg抗菌ポリペプチドタンパク質/kg飼料での用量が計算される。
【0184】
同じ原理が、飼料添加物におけるmg抗菌ポリペプチドタンパク質を決定するために適用される。もちろん、サンプルが飼料添加物又は飼料を調製するために使用される抗菌ポリペプチドのために利用できる場合、比活性はこのサンプルから決定される(飼料組成物又は添加物から抗菌ポリペプチドを精製するために必要でない)。
【0185】
洗剤組成物
本発明の抗菌ポリペプチドは、洗剤組成物に添加され得、そして従って、洗剤組成物の成分になることができる。
本発明の洗剤組成物は、手動又は機械洗濯用洗剤組成物、例えば染色された布の前処理のために適切な洗濯用添加剤組成物及びすすぎ用布ソフトナー組成物として配合され得、又は一般的な家庭用硬質表面洗浄操作における使用のための洗剤組成物として配合され得、又は手動又は機械皿洗い操作のために配合され得る。
【0186】
特定の観点においては、本発明は、本発明の抗菌ポリペプチド及び界面活性剤を含んで成る洗剤添加剤を提供する。前記洗剤添加剤及び洗剤組成物は、1又は複数の他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、カーボヒドラーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼ及び/又はペルオキシダーゼ、例えばハロペルオキシダーゼを含んで成ることができる。
【0187】
一般的に、選択された酵素の性質は、選択された洗剤と適合できるべきであり(すなわち、他の酵素及び非酵素の成分、等とのpH−最適適合性)、そして酵素は効果的な量で存在すべきである。
【0188】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼは、動物、植物又は微生物起源のそれらを包含する。微生物起源のものが好ましい。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ又は金属プロテアーゼ、好ましくはアルカリ微生物プロテアーゼ又はトリプシン−様プロテアーゼであり得る。アルカリプロテアーゼの例は、スブチリシン、特にバチルスに由来するそれらのもの、例えばスブチリシンNovo、スブチリシンCarlsberg、スブチリシン309、スブチリシン147及びスブチリシン168(WO89/06279号に記載される)である。トリプシン−様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)、及びWO89/06270号及びWO94/25583号に記載されるフサリウムプロテアーゼである。
【0189】
有用なプロテアーゼの例は、WO 92/19729号, WO 98/20115号, WO 98/20116号, 及び WO 98/34946号に記載される変異体、特に次の位置:27,36, 57,76, 87,97, 101,104, 120,123, 167,170, 194,206, 218,222, 224, 235 及び 274の1つ又は複数の位置に置換を有する変異体である。
【0190】
リパーゼ:適切なリパーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なリパーゼの例は、ヒューミコラ(別名、サーモミセス)、例えばヨーロッパ特許第258068号及び第305216号に記載のようなヒューミコラ・ラウギノサ(T.ラウギノサ)、又はWO96/13580号に記載のようなヒューミコラ・インソレンス、P.アルカリゲネス又はP.プソイドアルカリゲネス(ヨーロッパ特許第218272号)、P.セパシア(ヨーロッパ特許第331376号)、P.スツゼリ(P.stutzeri)(イギリス特許第1,372,034号)、P.フルオレセンス、プソイドモナスsp. SD705株(WO75/06720号及びWO96/27002号)、P.ウイスコンシネンシス(WO96/12012号)からのリパーゼ、バチルスリーパーゼ、例えばB.スブチリス(Dartoisなど. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、B. ステアロサーモフィラス(日本特許64/744992)又はB.プミラス(WO91/16422号)からのリーパーゼを包含する。
【0191】
他の例は、リパーゼ変異体、例えばWO92/05249号、WO94/01541号、ヨーロッパ特許第407225号、ヨーロッパ特許第206105号、WO95/35381号、WO96/00292号、WO95/30744号、WO94/25576号、WO95/14783号、WO95/22615号、WO97/04079号及びWO97/07202号に記載されるものを包含する。
【0192】
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(α−及び/又はβ)は、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。アミラーゼは、バチルス、例えばイギリス特許第1,296,839号により詳細に記載される、B.リケニルホルミスの特定株から得られるα−アミラーゼを包含する。
【0193】
有用なアミラーゼの例は、WO94/02597号、WO94/18314号、WO96/23873号及びWO/43424号に記載される変異体、特に1又は複数の次の位置での置換を有する変異体である:15, 23, 105, 106, 124, 128, 133, 154, 156, 181, 188, 190, 197, 202, 208, 209, 243, 264, 304, 305, 391, 408及び444。
【0194】
セルラーゼ:適切なセルラーゼは、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。適切なセルラーゼは、バチルス、ヒューミコラ、フサリウム、チエラビア、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えばアメリカ特許第4,435,307号、アメリカ特許第5,648,263号、アメリカ特許第5,691,178号、アメリカ特許第5,776,757号及びWO89/09259号に開示されるヒューミコラ・インソレンス、マイセリオプソラ・サーモフィラ/オキシスポラムから生成される菌類セルラーゼを包含する。
【0195】
特に適切なセルラーゼは、色彩保護有益性を有するアルカリ又は中性セルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、ヨーロッパ特許第0495257号、ヨーロッパ特許第0531372号、WO96/11262号、WO96/29397号、WO98/08940号に記載されるセルラーゼである。他の例は、WO94/07998号、ヨーロッパ特許第0531315号、アメリカ特許第5,457,046号、アメリカ特許第5,685,593号、アメリカ特許第5,763,254号、WO95/24471号、WO98/12307号及びPCT/DK98/00299号に記載されるそれらのものである。
【0196】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ:適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は菌類起源のそれらのものを包含する。化学的に修飾された又はタンパク質構築された変異体が包含される。有用なペルオキシダーゼの例は、コプリナス、例えばコプリナス・シネレウス、及びWO93/24618 号、WO95/10602号及びWO98/15257号に記載されるそれらのようなそれらの変異体からのペルオキシダーゼを包含する。
【0197】
洗剤酵素は、1又は複数の酵素を含む別々の添加剤を添加することにより、又はそれらの酵素のすべてを含んで成る組合された添加剤を添加することにより洗剤組成物に包含され得る。本発明の洗剤添加剤、すなわち別々の添加剤又は組合された添加剤が、例えば粒質物、液体、スラリー、等として配合され得る。好ましくは洗剤添加剤配合物は、粒質物、特に非−ダスチング粒質物、液体、特に安定された液体又はスラリーである。
【0198】
非−ダスチング粒質物は、アメリカ特許第4,106,991号及び第4,661,452号に開示のようにして生成され得、そして任意には、当業界において知られている方法により被覆され得る。蝋被覆材料の例は、1000〜20,000の平均モル重量を有するポリ(酸化エチレン)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50の酸化エチレン単位を有する、エトキシル化されたノニルフェノール;12〜20個の炭素原子を有するアルコールを有し、そして15〜80の酸化エチレン単位を有する、エトキシ化された脂肪アルコール;脂肪アルコール、脂肪酸;及び脂肪酸のモノ−、ジ−及びトリグリセリドである。流動層技法による適用のために適切なフィルム形成被覆材料の例は、イギリス特許第1483591号に与えられている。例えば、液体酵素調製物は、確立された方法に従って、ポリオール、例えばプロピレングリコール、糖又は糖アルコール、硫酸又は硼酸を添加することによって、安定化される。保護された酵素は、ヨーロッパ特許第238,216号に開示される方法に従って調製され得る。
【0199】
本発明の洗剤組成物は、いずれかの便利な形、例えば棒状、錠剤、粉末、顆粒、ペースト又は液体の形で存在することができる。液体洗剤は、水性であり、典型的には、70%までの水及び0〜30%の有機溶媒を含み、又は非水性であり得る。
洗剤組成物は、非イオン性、例えば半−極性及び/又はアニオン性及び/又はカチオン性及び/又は両性イオンであり得る1又は複数の界面活性剤を含んで成る。界面活性剤は典型的には、0.1〜60重量%のレベルで存在する。
【0200】
そこに含まれる場合、洗剤は通常、約1%〜約40%のアニオン性界面活性剤、例えば線状アルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルフェート(脂肪酸スルフェート)、アルコールエトキシスルフェート、第二アルカンスルホネート、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニル琥珀酸又は石鹸を含むであろう。
【0201】
そこに含まれる場合、界面活性剤は通常、約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化された脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(“グルコサミド”)を含むであろう。
【0202】
洗剤は、0〜65%の洗剤ビルダー又は錯生成剤、例えばゼオライト、ジホスフェート、三リン酸、ホスホネート、カーボネート、シトレート、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン六酢酸、アルキル−又はアルキニル琥珀酸、可溶性シリケート又は層化されたシリケート(例えばHoechstからのSKS−6)を含むことができる。
【0203】
洗剤は、1又は複数のポリマーを含んで成る。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート(例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーを含んで成る。
【0204】
洗剤は、H2O2源を含んで成る漂白システム、例えば過酸形成漂白活性化剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミン又はノナノイルオキシベンゼンスルホネートと共に組合され得る過硼酸塩又は過炭酸塩を含むことができる。他方では、漂白システムは、例えばアミド、イミド又はスルホン型のペルオキシ酸を含むことができる。
【0205】
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール又はグリセロール、糖又は糖アルコール、乳酸、硼酸又は硼酸誘導体、例えば芳香族硼酸エステル又はフェニル硼素酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニル硼素酸を用いて安定化され得、そして前記組成物は、例えばWO92/19709号及びWO92/19708号に記載のようにして配合され得る。
【0206】
洗剤はまた、他の従来の洗剤組成物、例えば布コンディショナー、例えばクレー、泡増強剤、石鹸泡抑制剤、抗腐蝕剤、土壌懸濁剤、抗−土壌再沈着剤、染料、殺菌剤、蛍光増白剤、ヒドロトロープ、曇りインヒビター、又は香料を含むことができる。
洗剤組成物においては、いずれかの酵素、特に本発明の酵素は、洗浄液体1L当たり0.01−100mgの酵素タンパク質、好ましくは洗浄液体1L当たり0.05−10mgの酵素タンパク質、より好ましくは洗浄液体1L当たり0.1−5mgの酵素タンパク質、特に好ましくは洗浄液体1L当たり0.1−1mgの酵素タンパク質に対応する量で添加され得ることが、現在企画される。
【0207】
本発明の酵素はさらに、WO97/07202号(引例として本明細書組み込まれる)に開示される洗剤配合物に導入され得る。
本発明はさらに次の例により記載されるが、それらは本発明の範囲を制限するものではない。
緩衝液及び基質として使用される化学物質は、少なくともし試薬品種の市販の製品であった。
【実施例】
【0208】
例1:抗菌活性の評価
配列番号1の変異体である、広範囲の合成抗菌ポリペプチドを、国際特許出願WO00/73433号の例1に開示されるようにして(少々の改良を伴う)、インデューサーとしてアラビノースを用いて、E. コリTOP10(Invitrogen)において発現した。本発明の抗菌ポリペプチドの発現は、宿主細胞の増殖阻害をもたらした。
【0209】
手短には、0.2%グルコース及びアンピシリン(100μg/ml)を含むRM培地において増殖された、新鮮な一晩の増殖物を、0.2%のグリセロール及びアンピシリン(100μg/ml)、及び0.01%のアラビノースを含むRM150μlによりマイクロタイタープレートにおいて300倍に希釈し、そして激しく振盪しながら37℃でインキュベートした。増殖曲線を、14時間、30分間隔で、Bioscreen C Microbiology リーダー (Thermo Electron Corporation)を用いて、OD450で測定することによりモニターした(緩衝液及び培地組成に関しては、pBAD/glll A, B and C ベクターカタログ番号 V450-01のInvitrogenプロトコールを参照のこと)。
【0210】
増殖阻害の%を、対照ベクターを含む細胞から得られたエンドポイントOD測定値により割り算された個々のサンプルのエンドポイントOD測定値×100として計算した。この式は次の通りである:
(1−(サンプルOD−ブランク0D)/(対照ベクターOD−ブランクOD))×100
ここで、“ブランクOD”は空のウェルのODに対応する。
配列番号1に比較してのアミノ酸置換、及びその対応するポリペプチドの抗菌効果が、表1〜表3に列挙される。野生型は、個々の標準として包含された。
【0211】
【表1】

【0212】
【表2】

【0213】
【表3】

【0214】
表1〜表3に示される結果は、すべての試験される抗菌ポリペプチドが強い抗菌活性を示すことを、確かに示す。
【0215】
例2:QSARにより企画された抗菌活性を有するポリペプチド
Error Prone PCRにより創造された、野生型遺伝子におけるランダム突然変異を含む50個のクローンを、E. コリTOP10ライブラリーからランダムに採取した。それらのクローンを、Bioscreen ODリーダーにより分析し、アラビノースの存在下での野生型に比較して、異なったクローンの増殖阻害の程度を定量化した(詳細には、例1を参照のこと)。すべてのクローンを配列決定し、突然変異の性質を決定した。得られるデータを、QSARモデルのために使用した。
【0216】
QSARモデルに基づいて、いくつかの変異体を、野生型に比較して、改良された抗菌活性を有することを測定し、それらの変異体の15個を、pBADベクター中にクローン化し、そして自殺発現システム(例1を参照のこと)における改良された活性について試験した。
【0217】
野生型をコードし、そして異なった突然変異K9V, N2F, N2I, N2I+K9L, N2W, R4I, G18I, H12K, H12R, K9F, K9L, N2L, N2A, N2M, K9Yを含むオリゴヌクレオチドを、アニーリングし、そして、Sambrook J., Fritsch E. F and Maniatis,T (Molecular cloning, a laboratory manual, second edition. Cold spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されるプロトコールに従って、クレノウ(Boheringer, DNA pol I, Large Fragment)を用いてフィルインした。
【0218】
次に、二本鎖オリゴヌクレオチドを、NcoI/XbaIにより消化し、そしてpBAD gIII 中に直接的に挿入した。すべての構造体を配列決定し、突然変異を確認にした。次に、それらの構造体を用いて、E. コリTOP 10細胞を形質転換し、そして得られる形質転換体を、Bioscreen ODリーダーによりアッセイし、自殺発現システム(例1を参照のこと)を用いることにより、増殖阻害の程度を定量化した。
【0219】
定量的構造活性関係(QSAR)モデルを確立するために、自殺発現システムにより単離された変異体の構造をシリコ(silico)において設計した。ペプチドの部分表面積及び分子相互作用フィールド(MIF)に基づく生理化学的パラメーターを推定し、そして生物学的活性に関係づけた。このQSARモデルから、すべての可能な単一残基の突然変異体の推定活性を提案した。異なった突然変異K9V, N2F, N2I, N2I+K9L, N2W, R4I, G18I, H12K, H12R, K9F, K9L, N2L, N2A, N2M, K9Yを含む15種の変異体を試験し、そして自殺発現システム(SES)を用いて評価した。
自殺発現システムを用いて、野性型及び異なった変異体により得られた増殖阻害を、下記表に示す:
【0220】
【表4】

【0221】
例3:抗菌ポリペプチドのクローニング、発現及び評価
野生型をコードする合成遺伝子のクローニング
抗菌活性アッセイのための野生型(配列番号1)を生成するために、合成遺伝子を製造し(下記を参照のこと)、そして発現ベクターpET31b+(Novagen Inc.)中に挿入した。合成遺伝子を、特別に企画されたオリゴヌクレオチド(プライマー1及び2)により構成した。
【0222】
【化1】

【0223】
フランキング制限エンドヌクレアーゼ部位(AIwNI/AvaI)の酵素消化は、pET31b+における融合構造体としてこの合成遺伝子のクローン化を可能にした(構造業者New England Biolabs Inc. により記載されるような標準方法)。すべての標準プロトコールは他の部分に記載されてきた(Sambrook, Fritsch, and Maniatis, 1989)。
【0224】
E. コリにおける形質転換
組換えpET31b+を用いて、製造業者(Novagen)により記載のようにして、E. コリNovablueを形質転換した。プラスミドを、QlAprep Mini Columns(QIAGEN Inc.)により調製し、そしてプラスミド特異的プライマー(プライマー3及び4)を用いて自動配列決定により配列決定した:
プライマー3(配列番号119):TGCTA GTTAT TGCTC AGCGG
プライマー4(配列番号120):ACCGT AGTTG CGCCC ATCG
【0225】
変異体のクローニング
直接的プラスミド増幅の方法を用いて、SES、QSAR及び合理的企画からの提供される変異体のさらなる確認のために配列における特定された位置での野生型の単一突然変異をコードするプラスミドを生成した(上記例を参照のこと)。
【0226】
例として、野生型の第4位置にアルギニンからバリンへの突然変異を有する変異体をコードするプラスミドを生成するために、プライマー5及びプライマー6を企画した。ポリメラーゼ鎖反応、DpnIによる処理及びE. コリHovablueにおける形質転換によるプラスミドの直接的な増幅により、位置4に定義された突然変異を有する変異体を回収することができた。
【0227】
【化2】

【0228】
E. コリにおける発現
プラスミドを用いて、E. コリBLR−DE3を、その製造業者(Novagen)に従って形質転換した。細菌を、LB培地において約0.8のOD600まで培養し、そして組換えタンパク質合成を、1mMのIPTG(イソプロピルβ−E−チオガラクトピラノシド)により開始した。3時間の誘発の後、細菌を収穫し、1/10体積の緩衝液A(50mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、100mMのNaCl、pH8)に再懸濁し、そして圧力破壊(1500mバール)により溶解した。得られるペレットを、緩衝液B(50 mM のトリス-HCI, 10 mMの EDTA, 0.5%のTritonX-100, 100 mMのNaCl, pH 8)により2度、洗浄した。すべての標準プロトコールは、他の場所に記載されてきた(Sambrook, Fritsch, and Maniatis, 1989)。
【0229】
E. コリ封入体からの抗菌ペプチドの精製
上記精製に起因するペレットは、精製された封入体を含んだ。KSIパートナーからペプチドを開放するために、酸化加水分解を、野生型をコードする遺伝子のN−末端側に導入され、構築されたAsp-Pro部位に対して行った。封入体を、100mMのリン酸ナトリウム(pH2.3)に再懸濁し、そして85℃で一晩インキュベートした。得られる上清液はペプチド(Pro-Arg-Glu-野生型)を含んだ。サンプルを、100mMのリン酸ナトリウム(pH12.3)の添加により中和した。ペプチドを成熟せしめるために、ペプチドを、グルタミルエンドペプチダーゼI(B. リケニホルミスからの)により処理した。成熟したペプチドは、質量−分光計により確められ、そしてさらに、標準クロマトグラフィー方法により精製された。
【0230】
例4:抗菌ポリペプチド変異体の生成
上記例をまた用いて、ランダムコドン(NNN)により特定コドンを置換する、変性プライマーを用いての位置2及び4でのランダム突然変異を生成した。これは、下記プライマー7+8により示され、位置4でのランダム変異体を製造する。位置2でのランダム変異体をまた、プライマー9+10を用いて生成した。
【0231】
【化3】

【0232】
個々のクローンの突然変異を、DNA配列決定により確認した。変異体を、例3に記載のようにして、発現し、そして精製した。
精製された変異体の直接的な抗菌活性を、下記のようにして評価した(例5)。次の4種の変異体は、スタフィロコーカス・アウレウスに対して、野生型よりも良好であることを現出された(MICはμg/mlにより表される)。
【0233】
【表5】

【0234】
例5:マイクロブイヨン希釈アッセイ(MIC)による選択された抗菌ポリペプチドの抗菌活性
抗菌ポリペプチドの最少阻害濃度(MIC)の測定を通しての直接的抗菌活性を、マイクロブイヨン希釈アッセイを用いて評価した。変異体を、上記例に示されるようにして、又は化学合成を通して生成した。使用されるプロトコールは、カチオン調節されたMueller hintonブイヨンを用いて、NCCLS(www.nccls.org)による推薦に従う。スタフィロコーカス・アウレウス(ATCC29737)及びスタフィロコーカス・エピターミジス(DSM1798)からの細菌単離物を用いて、ペプチドの活性を特徴づけた。MICは、μg/mlで表される。
下記表は結果を示す。
【0235】
【表6】

【0236】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記配列番号2:
K-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16-X17
[配列中、X1 = N, F, I, W, M, S, A, T, Y, V, H, L, C, K 又は G; 好ましくは X1 = S, T, V, Y, W, I, G, F 又は L;
X2 = L, I, F 又は W; 好ましくは X2 = W 又は I;
X3 = R, I, F, L, Y, V, A, T,C,H, G, Q 又は P; 好ましくは X3 = F,I, V 又は L;
X4 = R 又は C;
X5 = I, L,W, M, V 又は F; 好ましくは X5 = L 又は I;
X6 = I, L 又は W; 好ましくは X6 = I;
X7 = R, L,T 又は C;
X8 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X8 = Y, F, W, V 又は L;
X9 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X9 = G 又は F;
X10 = I, W, F 又は R; 好ましくは X10 = W 又は I;
X11 = H, K, C, A, S, I, N, L 又は Q; 好ましくは X11 = I, S 又は K;
X12 = I, L, F 又は V; 好ましくは X12 = L;
X13 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X13 = L;
X14 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X14 = I, R 又は L;
X15 = K, R 又は I;
X16 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X16 = L;
X17 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X17 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜100%の同一性を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチド。
【請求項2】
下記配列番号3:
K-R-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12-X13-X14-X15-X16
[配列中、X1 = L, I, F 又は W; 好ましくは X1 = W 又は I;
X2 = R, I, F, L, Y, V, A, T, C, H, G, Q 又は P; 好ましくは X2 = F, I, V 又は L;
X3 = R 又は C;
X4 = I, L, W, M, V 又は F; 好ましくは X4 = L 又は I;
X5 = I, L 又は W; 好ましくは X5 = I;
X6 = R, L, T 又は C;
X7 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X7 = Y, F, W, V 又は L;
X8 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X8 = G 又は F;
X9 = I, W, F 又は R; 好ましくは X9 = W 又は I;
X10 = H, K, C, A, S, I, N, L 又は Q; 好ましくは X10 = I, S 又は K;
X11 = I, L, F 又は V; 好ましくは X11 = L;
X12 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X12 = L;
X13 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X13 = I, R 又は L;
X14 = K, R 又は I;
X15 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X15 = L;
X16 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X16 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜90%の同一を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチド。
【請求項3】
下記配列番号4:
K- X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-R-X11-X12-X13-X14-X15-X16
[配列中、X1 = N, F, I, W, M, S, A, T, Y, V, H, L, C, K 又は G; 好ましくは X1 = S, T, V, Y, W, I, G, F 又は L;
X2 = L, I, F 又は W; 好ましくは X2 = W 又は I;
X3 = R, I, F, L, Y, V, A, T, C, H, G, Q 又は P; 好ましくは X3 = F, I, V 又は L;
X4 = R 又は C;
X5 = I, L, W, M, V 又は F; 好ましくは X5 = L 又は I;
X6 = I, L 又は W; 好ましくは X6 = I;
X7 = R, L, T 又は C;
X8 = K, V, F, L, C, Y, I, R, N 又は W; 好ましくは X8 = Y, F, W, V 又は L;
X9 = G, C, Y, L, F, W 又は V; 好ましくは X9 = G 又は F;
X10 = I, W, F 又は R; 好ましくは X10 = W 又は I;
X11 = I, L, F 又は V; 好ましくは X11 = L;
X12 = I, L, F, T 又は V; 好ましくは X12 = L;
X13 = K, I, S, L 又は R; 好ましくは X13 = I, R 又は L;
X14 = K, R 又は I;
X15 = Y, I, L, F 又は K; 好ましくは X15 = L;
X16 = G, I, S, L, R, F, T, C 又は V; 好ましくは X16 = I, F 又は L]
で表される、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して55%〜90%の同一を有するアミノ酸配列を含んで成る、抗菌活性を有するポリペプチド。
【請求項4】
前記アミノ酸配列が、配列番号1のアミノ酸1〜18に対して、少なくとも60%の同一性、好ましくは少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、又は少なくとも80%の同一性を有する請求項1〜3のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項5】
配列番号5〜114のいずれかのアミノ酸配列を含んで成る請求項1〜4のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項6】
配列番号5〜114のいずれかのアミノ酸配列から成る請求項1〜4のいずれか1項記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド。
【請求項8】
適切な宿主においてポリペプチドの生成を方向づける1又は複数の制御配列に操作可能的に連結される請求項7記載のヌクレオチド配列を含んで成る核酸構造体。
【請求項9】
請求項8記載の核酸構造体を含んで成る組換え発現ベクター。
【請求項10】
請求項8記載の核酸構造体を含んで成る組換え宿主細胞。
【請求項11】
請求項1〜6のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法であって、
(a)請求項10記載の組換え宿主細胞を、前記ポリペプチドの生成の助けとなる条件下で培養し;そして
(b)前記ポリペプチドを回収することを含んで成る方法。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドを含んで成る組成物。
【請求項13】
追加の殺生物剤をさらに含んで成る請求項12記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドと、微生物細胞とを接触することを含んで成る、微生物細胞の増殖を殺害するか又は阻害するための方法。
【請求項15】
界面活性剤、及び請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドを含んで成る洗剤組成物。
【請求項16】
薬剤としての使用のための請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチド。
【請求項17】
家畜又はヒト治療又は予防抗菌剤としての使用のための請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチド。
【請求項18】
微生物感染の処理又は予防使用のための家畜又はヒト治療剤の調製への使用のためへの請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドの使用。
【請求項19】
微生物細胞を殺害するか又はその増殖を阻害するための請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドの使用。
【請求項20】
請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列により形質転換されている、トランスジェニック植物、植物部分又は植物細胞。
【請求項21】
動物飼料への少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドの使用。
【請求項22】
動物飼料への使用のための組成物の調製への少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドの使用。
【請求項23】
(a)少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチド;及び
(b)少なくとも1つの脂溶性ビタミン、及び/又は
(c)少なくとも1つの水溶性ビタミン、及び/又は
(d)少なくとも1つの微量鉱物、及び/又は
(e)少なくとも1つのマクロ鉱物、
を含んで成る動物飼料添加物。
【請求項24】
フィターゼ、キシラナーゼ、ガラクタナーゼ及び/又はβ−グルカナーゼをさらに含んで成る請求項23記載の動物飼料添加剤。
【請求項25】
1kg当たり50〜800gの粗タンパク質、及び少なくとも1つの請求項1〜6のいずれか1項記載の抗菌ポリペプチドを含んで成る動物飼料組成物。

【公開番号】特開2012−147783(P2012−147783A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−10444(P2012−10444)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2007−511863(P2007−511863)の分割
【原出願日】平成17年5月3日(2005.5.3)
【出願人】(510062398)ノボザイムス アデニウム バイオテック アクティーゼルスカブ (8)
【Fターム(参考)】