説明

抗菌作用を有するポリペプチド、およびそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチド

本発明は、抗菌作用を有する単離されたポリペプチド、およびポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。さらに本発明は、ポリヌクレオチドを含む核酸構成物、ベクター、および宿主細胞、並びにポリペプチドの生成および使用するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌作用を有する単離されたポリヌクレオチド、およびポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関する。さらに本発明は、ポリヌクレオチドを含む核酸構成物、ベクター、および宿主細胞、並びにポリペプチドを生成し、それを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、改良した抗菌作用を有するポリペプチドを提供することである。ポリペプチドは、明らかに溶血作用の減少、そして/又は細胞毒性の減少を示している。さらにポリペプチドが、Ca2+,Mg2+,Na+などの陽イオンに対する感応性の減少を示する。さらにポリペプチドが、配列番号1と比較して異なる抗菌性スペクトルを明示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、アミノ酸配列で1乃至40のアミノ酸:
G-X1-C-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-C-H-X12-X13-C-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-G-G-X21-C- X22-X23-X24-X25-X26-X27-C-X28-C-X29;
【0004】
この配列において、
[ X1 = F,L,W又はI;好ましくはX1= F ;
X2 = N,R,Q,V,G,S,A,K,L,M,D,H又はY ;好ましくはX2 = N,R,Q,V,G,S,A,K 又はY ;,
X3 = G,R,A又はK ; 好ましくは X3 = G ;
X4 = P,A,L,V,K又はR ; 好ましくは X4 = P,K又はR ;
X5 = W又はR ;
X6 = D,A,G,K,L,T,N,F,H,M,P,Q,S,C,I,R,V又はY ;好ましくは X6 = D,A,G,K,L,T,N,F, H,M,P,Q,S,V又はR ;
X7 = E,G,A,L,C,Q又はS ;好ましくは X7 = E,G又はS ;
X8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L,P,S,T,W,I,M,A,C又はR ;好ましくはX8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L, P,S,T,W,I,M又はR ;
X9 = D又はP ; 好ましくは X9 = D ;
X10 = M,R,S,V,A,F,G,L,T,Y,W,E,又はK ;好ましくは X10 = M,R,S,V,G,Y,L,F,T,W又はK ;
【0005】
X11 = Q,R,L,F,G,H,S,A,C,I,K,M,P,T,V,W又はY ;好ましくはX11 = Q,R,L,F,G,H,S,K又はY ;
X12 = N,R,I,Y,V,K,T,Q,S,F,A,W,E又はH ;
X13 = H,A,F,Q,T,V又はL ;好ましくはX13 = H又はL ;
X14 = K,Q又はR ;好ましくはX14 = K又はR ;
X15 = S,A,V,N又はF ;
X16 = I,L,M,T,W又はV ;好ましくはX16 = I,L又はV ;
X17 = K,T又はR ;
X18 = G,H,K,A,P,F,I,Q,R,S,T,Y又はN ;好ましくはX18 = G,H,R,K又はN ;
X19 = Y,H,K,L,M,N,Q,S,V又はR ;好ましくはX19 = Y又はR ;
X20 = K,F,H,T,C又はR ;好ましくはX20 = K又はR ;
【0006】
X21 = Y,F,R,A,H,L,M,S又はW ;好ましくはX21 = Y,F,R又はW ;
X22 = A,K,N,Q,T,E,H,I,R,S,V,G又はY ;好ましくはX22 = A,K,N,Q,T,S又はY ;
X23 = K,R又はT ;好ましくはX23 = K又はR ;
X24 = G,K,Q.E,N,S,T,A又はR ;好ましくはX24 = G,K,Q,A,又はR ;
X25 = G,K,H,W又はR ;好ましくはX25 = G,K又はR ;F又はL ;
X26 = F,A,H,I,M,V,W,R又はL ;好ましくはX26 = F又はL ;
X27 = V,L,M,I,K,Q,R又はT ;好ましくはX27 = V,L,M又はT ;
X28 = K,H,N又はR ;好ましくはV28 = K又はR ;
X29 = Y,I,YRCG又はYR ;好ましくはX29 = Y又はYR ]、
であるアミノ酸と少なくとも80%の同一性を有し、そして配列番号1の1から40のアミノ酸と100%以下の同一性を有するアミノ酸を含み、好ましくはそのアミノ酸から成る、抗菌作用を有するポリペプチドを提供する。
【0007】
さらに本発明は、(a)ポリペプチドを産生させる条件に基づいて、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構成物を含む組み換え宿主細胞を培養する工程、そして(b) ポリペプチドを回収する工程を含む、抗菌作用を有するこうしたポリペプチドの産生方法に関する。さらに本発明は、本発明のポリペプチドの使用方法にかんする。
【0008】
定義
抗菌作用:
用語「抗菌作用」は、菌細胞を殺生又は増殖を阻害できる作用として、本明細書に定義されている。本発明の説明事項において、用語「抗菌」は、細菌の殺生、および/又は細菌の増殖阻害、および/又は真菌類の殺生、および/又は真菌類の増殖阻害効果、そして/又はウイルスの殺生効果の意味を意図し、ここで用語「細菌の殺生(bactericidal)」は、細菌の細胞を殺すことができるとして、理解する必要がある。
用語「細菌の増殖阻止(bacteriostatic)」は、細菌の増殖を阻害できるものとして、すなわち細菌細胞の増殖を阻害できるものとして理解する必要がある。
【0009】
用語「真菌類(カビ類)の殺生(fungicidal)」は、真菌類(カビ類)の細胞を殺すことができるとして理解する必要がある。用語「真菌類(カビ類)の増殖阻害(fungistatic)」は、真菌類(カビ類)の増殖を阻害できるとして、すなわち真菌類(カビ類)の細胞の増殖を阻害できるものとして理解する必要がある。用語「殺ウイルス(virucidal)」は、ウイルスを非活性化できるものとして理解する必要がある。用語「菌細胞(microbial)」は、微生物又は真菌類(カビ類)の細胞(酵母を含む)を示す。
【0010】
本発明に記載された事項で、用語「菌細胞の増殖を阻害」は、増殖のない状態、すなわち細胞の増殖ができないという意味を意図している。本発明の目的の抗菌作用を、Lehrerらによる、Journal of immunological Methods,vol.137(2)pp.167-174(1991)記載の方法により決定できる。選択肢として抗菌作用は、CLSIからNCCLS指針(Clinical and Laboratory Standards Institute;formerly known as National Committee for Clinical and Laboratory Standards)により決定できる。
【0011】
抗菌作用を有するポリペプチドが、抗菌作用を有するポリペプチドの25%(w/w)水溶液中で、好ましくは10%(w/w)の水溶液で、より好ましくは5%(w/w)の水溶液中で、さらにより好ましくは1%(w/w)の水溶液中で、最も好ましくは0.5%(w/w)の水溶液中で、そして特に0.1%(w/w)の水溶液中で20℃にてインキュベートし、24時間後(好ましくは12時間後、より好ましくは8時間後、より好ましくは4時間後、より好ましくは2時間後、より好ましくは1時間後、そして特に好ましくは30分後に大腸菌((Escherichia coli)(DSM 1576))の生存細胞の数を、1/100に減少させることができる。
【0012】
さらに抗菌作用を有するポリペプチドを、1000ppmの濃度にて加えた時、好ましくは500ppmの濃度にて加えた時、より好ましくは250ppmの濃度にて加えた時、さらにより好ましくは100ppmの濃度にて加えた時、最も好ましくは50ppmの濃度にて加えた時、特別に25ppmの濃度にて加えた時の細菌増殖基質中で、抗菌作用を有するポリペプチドが、25℃にて24時間大腸菌((Escherichia coli)(DSM 1576))の増殖を阻害することができる。
【0013】
抗菌作用を有するポリペプチドの25%(w/w)水溶液中で、好ましくは10%(w/w)の水溶液で、より好ましくは5%(w/w)の水溶液中で、さらにより好ましくは1%(w/w)の水溶液中で、最も好ましくは0.5%(w/w)の水溶液中で、そして特別には0.1%(w/w)の水溶液中で20℃にてインキュベートし、24時間後(好ましくは12時間後、より好ましくは8時間後、より好ましくは4時間後、より好ましくは2時間後、より好ましくは1時間後、そして特別に30分後)において、抗菌作用を有するポリペプチドが、バシラス・スブチリス((Bacillus subtilis)(ATCC 6633))の生存細胞の数を、1/100に減少させることができる。
【0014】
さらに抗菌作用を有するポリペプチドを、1000ppmの濃度にて加えた時、好ましくは500ppmの濃度にて加えた時、より好ましくは250ppmの濃度にて加えた時、さらにより好ましくは100ppmの濃度にて加えた時、最も好ましくは50ppmの濃度にて加えた時、特別に25ppmの濃度にて加えた時の細菌の増殖基質中で、抗菌作用を有するポリペプチドが、25℃にて24時間バシラス・スブチリス((Bacillus subtilis)(ATCC 6633))の生存細胞の増殖を阻害することができる。
【0015】
本発明のポリペプチドが、配列番号3から配列番号225のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかのうちで、1乃至40のアミノ酸として示されるアミノ酸配列から成るポリペプチドの抗菌作用を、少なくとも20%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、そしてさらに最も好ましくは少なくともほぼ100%有する。
【0016】
デフェンシン(defensin):
本明細書に使用されている用語「デフェンシン(defensin)」は、抗菌性ペプチドのデフェンシン(defensin)網に属するものとして当業者により認められたポリペプチドを指している。ポリペプチドが、本発明によるデフェンシン(defensin)であるかどうかを決定するために、アミノ酸配列を、自由に入手できるHMMERソフトウエア・パッケイジを使用し、PFAMデータベースのhidon markov model profiles(HMM profile)と比較することが好ましい。
【0017】
PFAMデフェンシン(defensin)のファミリーは、デフェンシン(defensin)1又は「哺乳動物のデフェンシン(defensin)」(アクセス番号PF00323)、デフェンシン(defensin)2、又は「Arthropodデフェンシン(defensin)」(アクセス番号PF01097)、デフェンシン(defensin)ベータ又は「ベータ・デフェンシン(defensin)」(アクセス番号PF00711)、デフェンシン(defensin) -propep又は「デフェンシン(defensin)・プロペプチド」(アクセス番号PF00879)、およびガンマー・チオニン又は「ガンマー・チオニン・ファミリー(Gamma-thionin family)( アクセス番号PF00304)を含む。
【0018】
デフェンシン(defensin)類は、アルファ・デフェンシン(defensin)クラス、ベータ・デフェンシン(defensin)クラス、シータ・デフェンシン(defensin)クラス、昆虫又は節足動物のデフェンシン(defensin)クラス、又は植物のデフェンシン(defensin)クラスに属し得る。1例において、本発明によるデフェンシン(defensin)のアミノ酸配列は、4,5,6,7又は8のシステイン残基、好ましくは4,5又は6のシステイン残基、より好ましくは4又は6のシステイン残基、そして最も好ましくは6のシステイン残基を含む。
【0019】
さらにデフェンシン(defensin)類は、デフェンシン(defensin)クラスの特異的な特徴を有する合成デフェンシン(defensin)であってもよい。こうしたデフェンシン(defensin)の例は、α-デフェンシン(defensin) HNP-1(ヒト好中球ペプチド)HNP-2およびHNP-3;β-デフェンシン(defensin)-12、ドロソマイシン(drosomycin)、ヘリオマイシン(heliomicin)、Y1-プロチオニン(Y1-purothionin)、昆虫デフェンシン(defensin)A、およびPCT出願 WO 99/53053,WO 02/06324,WO 02/085934,PCT/DK2005/000725,PCT/DK2005/000735、およびPCT/DK2006/000155において開示されたデフェンシン(defensin)類を含むが、それに限定されない。
【0020】
単離されたポリペプチド:
本明細書にて使用されている用語「単離されたポリペプチド」は、SDS-PAGEにより決定される場合に、少なくとも20%の純度、好ましくは少なくとも40%の純度、好ましくは少なくとも40%の純度、より好ましくは少なくとも60%の純度、さらにより好ましくは少なくとも80%の純度、最も好ましくは少なくとも90%の純度、そしてさらに最も好ましくは少なくとも95%の純度であるポリペプチドを指している。
【0021】
実質的に純粋なポリペプチド:
用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、本明細書においては天然で関連する別のポリペプチド物質を重量当り、多くても10重量%、好ましくは多くても8重量%、より好ましくは多くても6重量%、より好ましくは多くても5重量%、より好ましくは多くても4重量%、より好ましくは多くて3も重量%、さらにより好ましくは多くても2重量%、最も好ましくは多くても1重量%、そしてさらに最も好ましくは多くても0.5重量%含む、ポリペプチドの調製物である。
【0022】
従って、実質的に純粋なポリペプチドは、調製物中に存在する全ポリペプチド物に対して、好ましくは少なくとも92重量%の純度、好ましくは少なくとも94重量%の純度、より好ましくは少なくとも95重量%の純度、より好ましくは少なくとも96重量%の純度、より好ましくは少なくとも97重量%の純度、より好ましくは少なくとも98重量%の純度、さらに好ましくは少なくとも99重量%の純度、最も好ましくは少なくとも99.5重量%の純度、そしてさらに最も好ましくは少なくとも100重量%の純度である。
【0023】
本発明のポリペプチドが、実質的に純粋な形状であることが好ましい。具体的には、ポリペプチドが、「特に純粋な形状」であり、すなわちポリペプチド調製が、好ましくは天然に関連する他のポリペプチド物質が特に無いことである。このことは、たとえば、周知の組み換え方法の手段により、又は古典的な精製方法によってポリペプチドの調製を行うことができる。本明細書では、用語「実質的に純粋なポリペプチド」が、用語「単離されたポリペプチド」および「単離された形状におけるポリペプチド」と同義語である。
【0024】
変異物:
用語「変異物」は、ポリペプチドの1又は複数の特定位置で、1又は複数の特定アミノ酸残基の挿入、欠失、および/又は切り取りなどの1又は複数の変形を含む抗菌性ポリペプチドとして定義される。
【0025】
変異物の番号付け:
本発明において、抗菌性ポリペプチド変異物のアミノ酸残基の位置に付けられた特定番号が、用いられる。たとえば、周知の抗菌性ポリペプチドのアミノ酸配列をアラインメントすることにより、抗菌性ポリペプチドのいずれかのアミノ酸残基に、アミノ酸の位置番号を指定できる。
【0026】
配列番号1に開示された抗菌性ポリペプチドのアミノ酸配列を源とした番号付けの方式を使用し、他の抗菌性ポリペプチドのアミノ酸配列の多くをアラインメントすることで、構造的に相同する領域の抗菌性ポリペプチド内でアミノ酸残基の位置を明示できる。タンパク質配列の複数の位置合わせ(alignments)が、たとえば、「ClustalW」(Thompson,J.G.qnd Gibson,T.J., 1994,CLUSTAL:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,positions-specific gap penalties and weight matrix choice,Nucleic Acids Resear 22:4673-4680)を用いて行うことができる。DNA配列の複数の位置合わせ(alignments)が、タンパク質の位置合わせ(alignments)を用いてDNAから対応するコドンを、アミノ酸に置き換えて行うことができる。
【0027】
一般的に使用する塩基対ごとの配列比較アルゴリズムが、配列の同一性が約20-30%の位置を越えて分散していないタンパク質の配列間の類似(conservative)性を検出するには十分である(Doolittle,1992,Protrin Sci.1:191-200;Brennerら、1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95,6073-6078)。しかしながら、従来の配列による比較が、配列の相互関係を検出できない点として、同じ折りたたみと同様の生物的な機能を有する真の相同するタンパク質が、しばしば分散している(Lindahl and Elofsson,2000,J.Mol.Biol.295:613-615)。
【0028】
配列に基づいて検索により大きな感度を、データベースを検索するためのタンパク質ファミリーを表す確率(プロファイル)を利用する検索プログラムを利用し行った。たとえば、PSI-BLASTプログラムは、反復型データベース検索方法を介してプロファイルを生成し、そして遠隔により相同性を検出することができる(Atschulら、1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。
【0029】
興味あるタンパク質ファミリー又はスーパファミリーは、タンパク質構造のデータベースが1又は複数の表現を有する場合、さらに大きな感度を達成する。GenTHREADERなどのプログラム(Jones 1999,J.Mol.Biol.287:797-815;McGuffin and Jones、2003,Bioinfgormatic 19:874-881)が、照合配列の折り畳み構造を予測する神経ネットワークへ入力すると同様に、情報として、種々の情報源からの情報(PSI-BLAST、第二の構造的な予測、構造的位置合わせプロファイル、およびソルベーション・ポテンシャル(salvation potentials))を利用することができる。
【0030】
同様に、Goughら、2000,J.Mol.Bio.313:903-919の方法は、SCOPデータベースの中に存在するスーパファミリー・モデルと、未知の構造体の配列を位置あわせするために使用することができる。これらの位置合わせを順次行い、関心あるタンパク質に対する相同的なモデルを生成することができ、こうしたモデルが、その目的のため開発された種々のツールを使用し精度を評価することができる。
【0031】
周知の構造のタンパク質について、幾つかのツールおよび資源を、構造的配置(aligments)を回復し、生成させるために利用することができる。たとえば、タンパク質のSCOPスーパファミリーは、配列構造と照合(aligned)され、そしてこれらの配列(alignments)は、アクセスおよびダウンロードが可能である。これらの配列(alignments)を使用し、構造的に同じスーパファミリー中のタンパク質の中で、構造的および機能的に対応するアミノ酸残基を予測することができる。相同的モデリング(homology modeling)およびプロファイルの検索から誘導される情報と共に本情報が、1タンパク質から終了まで又は遠縁の相同部分(remote homolog)に関心のある移動変異である時に、変異する残基の場所を予測するために使用できる。
【0032】
本発明の種々の抗菌ペプチドの変異物を記載する場合、以下に記載の命名法が、文献を解り易くするために採用された。あらゆる場合に、受け入れられるIUPACの1文字又は3文字のアミノ酸省略文字を使用する。
アミノ酸の置換に対し、以下の用語:アミノ酸源、位置、置換されたアミノ酸を使用する。従って位置226でトレオニンをアラニンで置換することを、「T226A」として指定し、そして位置40でチロシンをチロシンおよびアルギニンで置換すること(チロシンの後アルギニンを効果的に加える)「Y40YR」として指定する。複数の変異を、符号(「+」)を加えることで分離し、たとえば「G205R + S411F」により、グリシン(G)をアルギン(R)にて、そしてセリン(S)を、フェニルアラニン(F)にて、205と411のそれぞれの位置で置換する変異物を表す。
【0033】
親の抗菌性ポリペプチド:
本明細書に用いられる用語「親(parent)」は、これに対してたとえば置換、挿入、欠失、および/又は切断などの修飾が行われ、本発明の抗菌性ペプチドの変異物を生成する抗菌性ペプチドの意味である。さらにこの用語は、変異物が、比較および整合されるポリペプチドを指している。親(parent)は、天然に存在する(野生型)ペプチドであってもよく、又はそれがその変異物であるとしてもよく、何か適切な方法により調製することができる。たとえば、親タンパク質が、アミノ酸配列内で修飾又は変更された天然に存在するポリペプチドの変異物であっても良い。さらに親(parent)ペプチドは、同じ染色体の遺伝子座を占める遺伝子の2以上のいずれかによりコードされるポリペプチドである対立遺伝子変異物で良い。
【0034】
同一性:
2のアミノ酸配列の間又は2のヌクレオチド配列の間の関連性は、「同一性(identity)」パラメータにより記載されている。本発明の目的のために、2のアミノ酸配列の間の同一性の程度は、バージョン2.0xのFASTAプログラム・パッケージに含まれるプログラム・FASTA(W.R.Pearson and D.J.Lipman(1988)、「Improved Tools for Biological Sequence Analysis」、PNAS 85:2444-2448;and W.R.Pearson(1990)「Rapid and Sensitive Sequence Comparison with FASTP and FASTA」Methods in Enzymology 183:63-98を参照)を使用することにより決定される。
【0035】
使用されるスコアリング・マトリックス(scoring matrix)は、BLOSUM50であり、ギャプ・ペナルティは-12、そしてギャプ・イクステンション・ペナルティは、-2であった。2つのヌクレオチド配列間の同一性の程度を、上記と同じアルゴリズムおよびソフトウエア・パッケージを使用し決定した。使用されるスコアリング・マトリックス(scoring matrix)が、同定マトリックスであり、ギャプ・ペナルティは-16、そしてギャプ・イクステンション・ペナルティは、-4であった。
【0036】
あるいは、2のアミノ酸のアライメント(alignments)を、EMBOSSパッケージ(http://emboss.org)version 2.8.0からニドル(Needle)プログラムを使用することで決定される。ニドル(Needle)プログラムを用い、needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol. 48,443-453に記載のグローバル・アライメント(alignments)・アルゴリズムを実行した。使用される置換マトリックスが、BLOSUM62であり、ギャプ・オープニング・ペナルティは10で、そしてギャプ・イクステンション・ペナルティは、0.5であった。
【0037】
本発明のアミノ酸配列(配列番号1の1から40のアミノ酸など)と異なるアミノ酸配列との間の同一性の程度が、本発明の配列の長さ(アミノ酸の残基数)で分割される、2の配列のアライメント(alignments)において実際に合っている数として計算される、あるいは選択肢として、「最も長い同一性」と標識化されたニドル(Needke)の出力が、同一性のパーセントとして使用され、そして以下のように((同定残基 x 100)/アライメント(alignments)の長さ-アライメント(alignments)中のギャプ数)(Identical Residues x 100)/(Length of Alignment-Number of Gaps in Alignment))として計算される。
【0038】
ポリペプチド断片:
用語「ポリペプチドの断片」は、配列番号2又はその相同配列からアミノ末端および/又はカルボキシ末端から1又は複数のアミノ酸が欠失されたポリペプチドで、ここでその断片が抗菌作用を有するものとして本明細書で定義される。
【0039】
部分配列(subsequence):
用語「部分配列(subsequence)」は、配列番号1又はその相同配列から5’および/又は3’末端から1又は複数のヌクレオチドが欠失されたヌクレオチド配列として、ここで部分配列(subsequence)が抗菌作用を有するポリペプチド断片をコードするものとして本明細書で定義される。
【0040】
対立遺伝子変異物:
本明細書において、用語「対立遺伝子変異物」は、同じ染色体の遺伝子座を占める遺伝子の2以上の別の形状のいずれかを示す。対立遺伝子変異物は、変異を介し天然に形成され、そして集団内で多型を形成することになる。遺伝子の変異は、沈黙状態(コードされたポリペプチドの変化がない)のこともあり、又は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることもある。ポリペプチドの対立遺伝子変異物は、遺伝子の対立遺伝子変異物によりコード化されたポリペプチドである。
【0041】
実質的に純粋なポリヌクレオチド:
本発明に使用される用語「実質的に純粋なポリヌクレオチド」は、他の外来からの又は要望されないヌクレオチドを伴わない、又は遺伝子操作によるタンパク質生成で使用するに適切な形状のポリヌクレオチドの調製を指している。従って実質的に純粋なポリヌクレオチドは、それが天然に関連する他のポリヌクレオチド物質をせいぜい10重量%、好ましくはせいぜい8重量%、より好ましくはせいぜい6重量%、より好ましくはせいぜい5重量%、より好ましくはせいぜい4重量%、より好ましくはせいぜい3重量%、さらにより好ましくはせいぜい2重量%、最も好ましくはせいぜい1重量%、そしてさらに最も好ましくはせいぜい0.5重量%を含む。
【0042】
しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、プロモータおよびターミネータなどの天然に存在する5’および3’の非翻訳領域を含むことができる。実質的に純粋なポリヌクレオチドは、少なくとも90%の純度、好ましくは少なくとも92%の純度、より好ましくは少なくとも94重量%の純度、より好ましくは少なくとも95重量%の純度、より好ましくは少なくとも96重量%の純度、より好ましくは少なくとも97重量%の純度、さらにより好ましくは少なくとも98重量%の純度、最も好ましくは少なくとも99重量%の純度、そしてさらに最も好ましくは少なくとも99.5重量%の純度であることが好ましい。本発明のポリヌクレオチドは、実質的に純粋な形状が好ましい。特に本明細書に開示されているポリヌクレオチドは、「特に純粋な形状」であり、すなわちポリヌクレオチドの調製物が、天然に関連する他のポリヌクレオチド物質のないことが好ましい。
【0043】
ここに用語「実質的に純粋なポリヌクレオチド」は、用語「単離されたポリヌクレオチド」および「単離された形状でのポリヌクレオチド」と同義語である。ポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、RNA、半合成のオリジン、合成オリジン、又はその何れかの組み合わせにて良い。
【0044】
cDNA:
用語「cDNA」は、真核細胞から得られる熟成しスプライスされた、mRNA分子から逆転写することにより、調製することができる。cDNAは、通常相当するゲノムDNAに存在するイントロン配列が欠落している。最初プライマリーRNA転写物は、成熟し、スプライスされたmRNAとして存在する前の、一連の過程を介して処理されたmRNAに対する前駆物質である。これらの過程は、スプライシングと称する処理によりイントロン配列を除去することを含む。そのため、mRNAから誘導されるcDNAは、いずれのイントロン配列も無くなっている。
【0045】
核酸の構成物:
本明細書に使用される用語「核酸の構成物」は、天然に存在する遺伝子から単離されるか、又はさもなければ天然に存在しない態様で、核酸のセグメントを含むよう修飾された、単一鎖又は2重鎖のいずれかの核酸分子を指している。用語「核酸の構成物」は、本発明のコード配列の発現に必要とされるコントロール配列を含む。
【0046】
コントロール配列:
用語「コントロール配列」は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な又は有利な全ての成分を含むものとして、本明細書に定義されている。各コントロール配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に対し、生来的でも外来性であっても良い。こうしたコントロール配列は、リーダ、ポリアデニール化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナル・ペプチド配列、および転写ターミネータを含むが、それに限定されない。最少コントロール配列が、プロモータ、および転写シグナルや翻訳停止シグナルを含む。コントロール配列には、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列のコード領域と、コントロール配列の結合を容易にする特異的な制限酵素部位を導入する目的で、リンカー(linkers)を提供することができる。
【0047】
作用可能に連結された:
用語「作用可能に連結された」は、本明細書においては、コントロール配列が、ポリペプチドのコード配列の発現を指令するようにポリヌクレオチド配列のコード配列に対して適切な位置で、配置された配置を意味する。
コード配列:
用語「コード配列」は、タンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に特定するヌクレオチド配列の意味である。コード配列の境界は、オープン・リーデングフレームによって決定され、通常ATG開始コドンあるいはGTGおよびTTGなどの開始コドンにより通常開始する。コード配列は、DNA、cDNA,又は組み替え形ヌクレオチド配列であっても良い。
【0048】
発現:
用語「発現」は、転写、転写後の修飾、翻訳、翻訳後の修飾、および分泌などを含むがそれに限定されないポリペプチドの生成に関連するあらゆる過程を含む。
発現ベクター:
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、その発現のために設けられた追加ヌクレオチドに遺伝子操作により結合された、直鎖、又は円形鎖のDNA分子として、本明細書に定義される。
【0049】
宿主細胞:
本明細書に使用される用語「宿主細胞」は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構成物にて、形質転換、トランスフェクト、形質導入などである何れかの細胞型を含む。
【0050】
修飾:
用語「修飾」は、本明細書において、配列番号2乃至配列番号225のいずれか又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかのアミノ酸1乃至40から成るポリペプチドの何らかの化学的修飾、およびそのポリペプチドをコードするDNAの遺伝子操作の意味である。修飾は、アミノ酸の置換、欠失、そして/又は挿入、並びにアミノ酸側鎖の置き換え、又はアミノ酸配列において類似の特徴を有する非天然アミノ酸の使用を意味する。特に修飾は、C-末端のアミド化などのアミド化であることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
発明の詳細な説明
最初の観点において、本発明は、
アミノ酸配列(1)の1から40のアミノ酸:
G-X1-C-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-C-H-X12-X13-C-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-G-G-X21-C- X22-X23-X24-X25-X26-X27-X20-C-X28-C-X29;
【0052】
この配列において、
[ X1 = F,L,W又はI;好ましくはX1= F ;
X2 = N,R,Q,V,G,S,A,K,L,M,D,H又はY ;好ましくはX2 = N,R,Q,V,G,S,A,K 又はY ;より好ましくはX2 = N,R,S又はG;
X3 = G,R,A又はK ; 好ましくは X3 = G ;
X4 = P,A,L,V,K又はR ; 好ましくは X4 = P,K又はR ;
X5 = W又はR ;
X6 = D,A,G,K,L,T,N,F,H,M,P,Q,S,C,I,R,V又はY ;好ましくは X6 = D,A,G,K,L,T,N,F, H,M,P,Q,S,V又はR ;より好ましくは X6 = D,S,A,G又はN;
X7 = E,G,A,L,C,Q又はS; 好ましくは X7 = E,G又はS ;
X8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L,P,S,T,W,I,M,A,C又はR ;好ましくはX8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L, P,S,T,W,I,M又はR ;より好ましくは X8 = D,G又はN;
X9 = D又はQ ; 好ましくは X9 = D ;
X10 = M,R,S,V,A,F,G,L,T,Y,W,E,又はK ;好ましくは X10 = M,R,S,V,G,Y,L,F,T,W又はK ;
【0053】
より好ましくはX10 = M,L,G又はV;
X11 = Q,R,L,F,G,H,S,A,C,I,K,M,P,T,V,W又はY ;好ましくはX11 = Q,R,L,F,G,H,S,K又はY ;
より好ましくはX11 = Q,K,R又はF;
X12 = N,R,I,Y,V,K,T,Q,S,F,A,W,E又はH ;より好ましくはX12 = N,R,V又はQ;
X13 = H,A,F,Q,T,V又はL ;好ましくはX13 = H又はL ;
X14 = K,Q又はR ;好ましくはX14 = K又はR ;
X15 = S,A,V,N又はF ;
X16 = I,L,M,T,W又はV ;好ましくはX16 = I,L又はV ;
X17 = K,T又はR ;
X18 = G,H,K,A,P,F,I,Q,R,S,T,Y又はN ;好ましくはX18 = G,H,R,K又はN ;
より好ましくはX18 = G又はR;
X19 = Y,H,K,L,M,N,Q,S,V又はR ;好ましくはX19 = Y又はR ;
X20 = K,F,H,T,C又はR ;好ましくはX20 = K又はR ;
【0054】
X21 = Y,F,R,A,H,L,M,S又はW ;好ましくはX21 = Y,F,R又はW ;
X22 = A,K,N,Q,T,E,H,I,R,S,V,G又はY ;好ましくはX22 = A,K,N,Q,T,S又はY ;
より好ましくはX22 = A,S又はT;
X23 = K,R又はT ;好ましくはX23 = K又はR ;
X24 = G,K,Q.E,N,S,T,A又はR ;好ましくはX24 = G,K,Q,A又はR ;
より好ましくはX24 = G又はA;
X25 = G,K,H,W又はR ;好ましくはX25 = G,K又はR ;
X26 = F,A,H,I,M,V,W,R又はL ;好ましくはX26 = F又はL ;
X27 = V,L,M,I,K,Q,R又はT ;好ましくはX27 = V,L,M又はT ;より好ましくはX27 = V又はL;
X28 = K,H,N又はR ;好ましくはV28 = K又はR ;
X29 = Y,I,YRCG又はYR ;好ましくはX29 = Y又はYR、
【0055】
であり、少なくとも70%の同一性(好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも85%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性、そして特異的には100%の同一性)を有し、そして配列番号1の1から40のアミノ酸と100%弱の同一性を有する、アミノ酸配列を含み、好ましくはそのアミノ酸配列から成る抗菌作用を有するポリペプチドを提供する。
【0056】
その例において、本発明のポリペプチドが、
アミノ酸配列(1)の1から40のアミノ酸:
G-F-G-C-X1-G-X2-X3-X4-X5-X6-D-X7-X8-C-H-X9-X10-C-X11-S-X12-X13-X14-X15-X16-G-G-X17-X18-K-X19-X20-X21-X22-C-K-C-X23;
この配列において、
【0057】
[ X1 = N,R,Q,V,G,S,A,K又はY;好ましくはX1= N,R,S又はG;
X2 = P,K又はR;
X3 = W又はR ;
X4 = D,A,G,K,L,T,N,F,H,M,P,Q,S,V又はY ; 好ましくは X4 = D,S,A,G又はN ;
X5 = E,G又はS ;
X6 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L,P,S,T,W,I,M又はR ;好ましくは X6 = D,G又はN;
X7 = M,R,S,V,G,Y,L,F,T,W又はK; 好ましくは X7 = M,L,G又はV ;
X8 = Q,R,L,F,G,H,S,K又はY ;好ましくはX8 = Q,K,R又はF ;
X9 = N,R,I,Y,V,K,T,S,Q又はH ; 好ましくは X9 = N,R,V又はF ;
X10 = H又はLK ;
【0058】
X11 = K又はR ;
X12 = I,L又はV;
X13 = K又はR ;
X14 = G,H,R,K又はN ;好ましくはX14 = G又はR ;
X15 = Y又はR ;
X16 = K又はR ;
X17 = Y,F,R又はW ;
X18 = A,K,N,Q,T,S又はY ;好ましくはX18 = A,S又はT ;
X19 = G,K,Q,A又はR ;好ましくはX19 = G又はA ;
X20 = G,K又はR ;
【0059】
X21 = F又はL ;
X22 = V,L,M又はT ;好ましくはX22 = V又はL ;
X23 = Y又はYR ]、
であり、少なくとも70%の同一性(好ましくは少なくとも80%の同一性、より好ましくは少なくとも85%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも95%の同一性、最も好ましくは少なくとも97%の同一性、そして特異的には100%の同一性)を有し、そして配列番号1の1から40のアミノ酸と100%弱の同一性を有する、アミノ酸配列を含み、好ましくはそのアミノ酸配列から成る抗菌作用を有するポリペプチドである。
【0060】
別の例において、アミノ酸配列(1)および/又は(II)は、配列番号1のアミノ酸配列と比較して異なる1,2,3,4,5,6,7又は8のアミノ酸を有する。好ましくは、1,2,3,4,5又は6;より好ましくは1,2,3,4又は5;さらにより好ましくは1,2又は3;および最も好ましくは1又は2のアミノ酸が、配列番号1のアミノ酸配列と比較して相違する。
別の例において、アミノ酸配列(1)および/又は(II)は、配列番号1の1乃至40のアミノ酸と、少なくとも60%の同一性を、好ましくは少なくとも65%の同一性、少なくとも70%の同一性、少なくとも75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも85%の同一性、少なくとも90%の同一性、又は少なくとも95%の同一性を有する。
【0061】
別の例において、アミノ酸配列(1)および/又は(II)は、配列番号1又は配列番号3から配列番号225のいずれか、配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかと比較して、0,1,2,3,4又は5の挿入、好ましくは0,1,2又は3の挿入;より好ましくは0,1又は2の挿入;および0,1,2,3,4又は5の欠失,好ましくは0,1,2又は3の欠失、より好ましくは0,1又は2の欠失を有す。
【0062】
別の例において、本発明のポリペプチドは、配列番号3から配列番号225のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれか、好ましくは配列番号3から配列番号117のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかの1乃至40のアミノ酸と、少なくとも60%の同一性(好ましくは70%の同一性、より好ましくは80%の同一性、さらにより好ましくは85%の同一性、さらにより好ましくは90%の同一性、さらにより好ましくは95%の同一性、そして最も好ましくは100%の同一性)を有するアミノ酸を含み、好ましくはそのアミノ酸配列から成る。
【0063】
用語「配列番号3から配列番号117の何れか」は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号46、配列番号47、
【0064】
配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号91、配列番号92、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、配列番号98、配列番号99、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、配列番号106、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号112、配列番号113、配列番号114、配列番号115、配列番号116、配列番号117の意味を意図している。
【0065】
用語「配列番号118から配列番号225の何れか」は、配列番号118、配列番号119、配列番号120、配列番号121、配列番号122、配列番号123、配列番号124、配列番号125、配列番号126、配列番号127、配列番号128、配列番号129、配列番号130、配列番号131、配列番号132、配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152、
【0066】
配列番号153、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167、配列番号168、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173、配列番号174、配列番号175、配列番号176、配列番号177、配列番号178、配列番号179、配列番号180、配列番号181、配列番号182、配列番号183、配列番号184、配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211、配列番号212、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、配列番号222、配列番号223、配列番号224、配列番号225の意味を意図している。
【0067】
用語「配列番号226から配列番号251の何れか」は、配列番号226、配列番号227、配列番号228、配列番号229、配列番号230、配列番号231、配列番号232、配列番号233、配列番号234、配列番号235、配列番号236、配列番号237、配列番号238、配列番号239、配列番号240、配列番号241、配列番号242、配列番号243、配列番号244、配列番号245、配列番号246、配列番号247、配列番号248、配列番号249、配列番号250又は配列番号251の何れかの意味を意図している。
【0068】
用語「配列番号252から配列番号274の何れか」は、配列番号252、配列番号253、配列番号254、配列番号255、配列番号256、配列番号257、配列番号258、配列番号259、配列番号260、配列番号261、配列番号262、配列番号263、配列番号264、配列番号265、配列番号266、配列番号267、配列番号268、配列番号269、配列番号270、配列番号271、配列番号272、配列番号273又は配列番号274の何れかの意味を意図している。
【0069】
用語「配列番号3から配列番号225の何れか」は、配列番号3から配列番号117の何れか、又は 配列番号118から配列番号225の何れかれかの意味を意図している。
用語「配列番号2から配列番号225の何れか」は、配列番号2又は 配列番号3から配列番号225の何れかの意味を意図している。
本発明のポリペプチドを構成するアミノ酸を、D型又はL型から独立して選択することができる。好ましくは、本発明のポリペプチドが、デフェンシン(defensin)・ポリペプチド、好ましくはアルファ・デフェンシン(defensin)、ベータ・デフェンシン(defensin)、又は昆虫(節足動物)デフェンシン(defensin)である。
【0070】
本発明のポリペプチドは、配列番号1のポリペプチドと比較して抗菌作用をより高いか又は少なくとも等しく、好ましくはより高く明示することができ、それが、NCCLS/CLSI guidelines,protocol M7-A6,vil.20,No.2:Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobicallyによるブドウ球菌カモサス(Stahylococcus camosus)ATCC51365、ブドウ球菌アウレウス(Stahylococcus aureus)ATCC29213、又はブドウ球菌アウレウス(Stahylococcus aureus)ATCC25923に対して、最低阻害濃度(Mimimum Inhibitory Concentration(MIC))として決定される。
【0071】
1例において、本発明は、配列番号2から配列番号225のいずれか、配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかの1又は複数のアミノ酸の保存的置換、欠失、および/又は挿入を含む人為的な変異物に関する。好ましいアミノ酸の変化は、特徴的に小さなもので、それはタンパク質の折りたたみ、および/又は作用を有意に影響しない保存的アミノ酸の置換、又は挿入;典型的に1から約10のマイナーなアミノ酸の欠失;アミノ末端のメチオニン残基などアミノ末端又はカルボキシ末端の小さな拡張;最大約20乃至25残基の小さなリンカーペプチド;あるいはネット・チャージ又はポリヒスチジントラクト、抗原エピトープ、又は結合ドメインなど別の因子を変化させることにより、精製を容易にする小さな拡張などである。
【0072】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸 (アラギニン、リシンおよびヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸およびアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミンおよびアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、およびバリン)、芳香族アミノ酸(フェニールアラニン、トリプトファン、およびチロシン)および小分子アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、およびメチオニン)の群内にある。特異的活性を通常変化しないアミノ酸置換が、技術的に周知であり、そしてたとえば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkにて記載されている。最も一般的に発生する置換が、Ala/Ser,Val/Iie, Asp/Glu,Thr/Ser,Ala/Gly,Ala/The,Ser/Asn,Ala/Val,Ser/Gly,Tyr/Phe,Ala/Pro,Lys/Arg,Asp/Asn,Leu/Ile,Leu/Val,Ala/Glu,およびAsp/Glyである。
【0073】
標準的な20のアミノ酸に加えて、非標準アミノ酸(4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチル・リシン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、およびアルファ・メチルセリンなど)が、野生型ポリペプチドのアミノ酸残基に対し置換することができる。限定された数の非保存的(non-conservative)アミノ酸が、遺伝子コードによりコードされないアミノ酸、および非天然のアミノ酸を、アミノ酸残基の代りに使用することができる。
【0074】
「非天然のアミノ酸」は、タンパク質合成後に修飾され、そして/又は標準的なアミノ酸の測鎖と異なる側鎖の化学構造を有する。非天然アミノ酸を化学的に合成することができ、そして好ましくは商業的に入手することが出来、そしてピペコロリック酸、チアゾリジン・カルボン酸、ジヒドロプロリン、3-および4-メチルプロリン、および3,3-ジメチルプロリンを含む。あるいは、アミノ酸の置換は、ポリペプチドの天然の化学的特性を変化させるようなものである。たとえば、アミノ酸の変化により、ポリペプチドの熱安定性の改良、基質特性の変化、最適なpHへの変化などが可能となる。
【0075】
親ペプチド中の必須のアミノ酸は、部位特定変異誘発、又はアラニン・スキャニングによる変異(Cunnigham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)など技術的に周知の方法に従って同定することができる。後者の技術において、単一のアラニン変異が、分子中の残基ごとに誘導され、そしてその結果得られた分子中の変異を、生物活性(すなわち抗菌作用)に対し試験し、分子の活性に必須であるアミノ酸残基を同定する。さらに、Hiltonらの1996,J.Biol.Chem.27:4699-4708を参照。生物的相互作用は、予想されるアミノ酸の接触部位の変異化に関連する場合、核磁気共鳴(NMR)、結晶学、電子回折、又は光親和性の標識などの技術にて決定されるように構造体の物理分析により決定される。たとえば、de Vosら、1992,Science 255:306-312;Smithら、1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaverら、1992,FEBS Lett.309:59-64を参照。さらに必須アミノ酸の同定は、本発明によるポリペプチドに関係するポリペプチドであると同定する分析から推定することができる。
【0076】
突然変異、組換え、及び/又はシャフリング(shuffling)する周知の方法、及びそれに続く関連スクリーニング方法を使用して、単一又は複数のアミノ酸置換体を作成し、そして試験することができる。たとえばRridhaar-Olson and S auer,1988、Science 241:53-57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:2152-2156;WO 95/17413;又はWO 95/22625により開示されている。使用可能なその他の方法は、エラー・プロン(error-prone)PCR、ファージ表示(たとえば、Lowmanら、1991,Biochem.30:10832-10837;米国特許番号5,223,409;WO 92/06204)および領域特異的突然変異の誘発(Derbyshireら、1986,Gene 46:145;Nerら、1988,DNA7:127)を含む。
【0077】
突然変異誘発(mutagenesis)/シャフリング(shuffking)法を、高スループットの自動スクリーニング法と組合わせて、宿主細胞により発現され、クローン化され、突然変異を形成したポリペプチドの活性作用を検出することができる。活性ポリペプチドをコードする突然変異を形成したDNA分子を、宿主細胞から回収し、そして技術的に標準的な方法を用いて迅速にシーケンス化することができる。これらの方法により、関心のあるポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性を迅速に決定することができ、そして未知の構造のポリペプチドに適用することができる。
【0078】
配列番号2から配列番号225アミノ酸のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274の、1乃至40のアミノ酸の置換、欠失、および/又は挿入の置換の総数が10であり、好ましくは9で、より好ましくは8で、より好ましくは7で、より好ましくはせいぜい6で、より好ましくはせいぜい5で、より好ましくは4で、さらにより好ましくはせいぜい3で、最も好ましくは2で、そしてさらに最も好ましくは1である。
【0079】
別の観点において本発明は、親の抗菌性ポリペプチドの変異物を提供し、ここで親の抗菌ポリペプチが、アミノ酸配列1のアミノ酸配列と少なくとも50%の同一性を有し、ここでその変異物が抗菌作用を有し、そして1又は複数の部位の置換を含み、そしてその置換が、以下の置換:
【0080】
F2L,F2W又はF21;
N5R, N5Q, N5V, N5G, N5S, N5A, N5K, N5L, N5M, N5D, N5H又はN5Y;
G6R,G6A,又はG6K;
P7A,P7L,P7V,P7K,またはP7R;
W8R;
D9A, D9G, D9K, D9L, D9T, D9N, D9F, D9H, D9M, D9P, D9Q, D9S, D9C, D9I, D9R, D9V又はD9R;
E10G, E10A, E10L, E10C, E10Q又は, E10S;
D11F, D11G, D11N, D11V, D11Y, D11H, D11K, D11L, D11P, D11S, D11T, D11W, D11I, D11M, D11A, D11C又はD11R
D12P;
M13R, M13S, M13V, M13A, M13F, M13G, M13L, M13T, M13Y, M13W, M13E又はM13K;
【0081】
Q14R, Q14L, Q14F, Q14G, Q14H, Q14S, Q14A, Q14C, Q14I, Q14K, Q14M, Q14P, Q14T, Q14V, Q14W又はQ14Y;
N17R, N17I, N17Y, N17V, N17K, N17T, N17S, N17Q, N17F, N17A, N17W, N17E又はN17H;
H18A, H18F, H18Q, H18T, H18V又はH18L;
K20Q又はK20R;
S21A,S21V,S21N又はS21F;
I22L,I22M,I22T,I22W又はI22V;
K23R又はK23T;
G24H, G24K, G24A, G24P, G24F, G24I, G24Q, G24R, G24S, G24T, G24Y又はG24N;
Y25H, Y25K, Y25L, Y25M, Y25N, Y25Q, Y25S, Y25V又はY25R;
K26F, K26H, K26T, K26C又はK26R;
【0082】
Y29F, Y29R, Y29A, Y29H, Y29L, Y29M, Y29S又は Y29W;
A31K, A31N, A31Q, A31T, A31E, A31H, A31I, A31R, A31S, A31V, A31G又はA31Y;
K32R又はK32T;
G33K, G33Q, G33E, G33N, G33S, G33T, G33A又はG33R;
G34K,G34H,G34W又はG34R;
F35A, F35H, F35I, F35M, F35V, F35W, F35R又はF35L;
V36L, V36M, V36I, V36K, V36Q, V36R又はV36T;
K38H,K38N又はK38R;および
Y40I,Y40YRCG又はY40YR;、
から選択される。
【0083】
好ましくは、親の抗菌性ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%の同一性、より好ましくは少なくとも80%の同一性、さらにより好ましくは少なくとも90%の同一性、そして最も好ましくは95%の同一性を有す。特に親の抗菌性ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列と相同することができる。
1例において、親の抗菌性ポリペプチドが、デフェンシン(defensin)・ポリペプチド;より好ましくはアルファ・デフェンシン(defensin)、ベータ・デフェンシン(defensin)、又は昆虫(節足動物)デフェンシン(defensin)である。好ましくは、親のアミノ酸配列は、抗菌作用を示す。
【0084】
別の例において、親の抗菌性ポリペプチドが、配列番号1のアミノ酸配列と比較して異なる1,2,3,4,5,6,7又は8のアミノ酸を有す。好ましくは1,2,3,4,5又は6のアミノ酸を;より好ましくは1,2,3,4又は5のアミノ酸;さらにより好ましくは1,2,3又は4のアミノ酸; さらにより好ましくは1,2又は3のアミノ酸、そして最も好ましくは1又は2のアミノ酸が、配列番号1のアミノ酸配列と比較して相違する。
【0085】
N-末端の拡張:
本発明のポリペプチドのN-末端の拡張は、1乃至50のアミノ酸、好ましくは2乃至20のアミノ酸、特に3乃至15のアミノ酸から成るのが適切である。1例において、N-末端ペプチドの拡張は、Arg(R)を含んでいない。別の例においてN-末端ペプチドの拡張は、さらに下記に明示されているような、kex2又はkex様の開裂部位を含む。好ましい例において、N-末端の拡張は、以下、EAE,EE,DEそしてDDの1を含むN-末端の拡張など、少なくとも2のGlu(E)および/又はAsp(D)を含むペプチドである。
【0086】
Kex2部位:
Kex2部位(たとえば、Methods in Enzymology Vol 185,ed.D.Goeddel,Academic Press Inc(1990),San Diego,CA,「Gene Expression Technology」)およびkex2-様部位は、幾つかのタンパク質のプロペプチドコード領域および熟成領域との間に見出される2塩基性認識部位(すなわち切断部位)である。特別な場合において、Kex2部位又はkex2様部位の挿入が、プロ・ペプチドの切断部位で正しいエンドペプチダーゼのプロセシングを改良を示し、その結果タンパク質の分泌水準が増大する。本発明の記載内容において、kex2又はkex2様部位に挿入が起こると、N-末端部の拡張において特定位置で切断の可能性が生じ、その結果、配列番号2から配列番号225のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、配列番号252から配列番号274のいずれかの1乃至40のアミノ酸と比較して、抗菌性ポリペプチドにおいて拡張することになる。
【0087】
融合されるポリペプチド:
さらに本発明のポリペプチドが、融合されたポリペプチド又は開裂可能な融合ポリペプチドを含み、そこに別のポリペプチドが、本発明のポリペプチド又はその断片のN末端又はC末端で融合される。融合されたポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配列(又はその1部)に別のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列(又はその1部)を融合することにより、生成される。融合ポリペプチドの生成技術は、技術的に周知であり、そしてこれらがフレーム内であり、融合ポリペプチドの発現が、同じプロモータおよびターミネータのコントロール下であるようポリペプチドをコードするコード配列を結合することを含む。
【0088】
抗菌作用を有するポリペプチドの資源:
本発明のポリペプチドが、どのような属の微生物からも得ることができる。本発明の目的として、与えられた資源に加えて本明細書の使用される用語「から得られる」は、ヌクレオチド配列によりコード化されたポリペプチドが、資源からのヌクレオチド配列を挿入している資源又は菌株により生成されることを意味する。好ましい観点において、所定資源から得られるペプチドが、細胞外に分泌される。
【0089】
本発明のポリペプチドが、細菌のポリペプチドで良い。たとえば、ポリペプチドが、たとえば、バシラス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サークランス(Bacillus circulans)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・ラウツス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis),又はバシラス・ツリンジエンシス(Bacillus thuringiensis)ポリペプチドなどのバシラス(Bacillus)ポリペプチド;あるいは、ストレプトマイセス・リビタンス(Streptomyces lividans)又はストレプトマイセス・モリヌス(Streptomyces murinus)ポリペプチドなどのストレプトマイセス(Streptomyces) ペプチド;又は大腸菌又はシュードモナス(Pseudomonas)菌種のポリペプチドなどのグラム陰性菌ポリペプチドで可能である。
【0090】
さらに本発明のポリペプチドは、真菌ポリペプチド、そしてより好ましくは、カンジタ(Candida)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、チゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)又はヤロイワ(Yarrowia)ポリペプチドなどの酵母ポリペプチド;又はより好ましくはアクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシジウム(Aurebasidiumu)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリバシデウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、メグナポルテ(Magnaporthe)、ムコア(Mucor)、ミセリオピソラ(Myceliophthora)、ニウロスポラ(Neurospora)、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシルリウム(Penicilliumu)、ピロミセス(Piromyces)、スキゾフィフィリウム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、ザモアスカス(Thermoascus)、チエラビア(Thielavia)、トリポクラジウム(Tolypocladium)又はトリコデルマ(Trichoderma)ポリペプチドなどの酵母ポリペプチドで可能である。
【0091】
別の好ましい観点において、ポリペプチドが、抗菌作用を有するポリペプチドとして、サッカロミセス・カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシー(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベン(Saccharomyces kluyven)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)である。
【0092】
別の好ましい観点において、ポリペプチドが、アスペルギルス・アクレオタス(Aspergillus aculeatus)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェチズス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、フサリウム・バクテリオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロクウエレンス(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レチクラツム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フサリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルコクロウム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリチオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フサリウム・ベネタツム(Fusarium venenatum)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコア・ミーヘイ(Mucor miehei)、ミセリオピソラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニウロスポラ・クロッサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プルプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、トリコデルマ・ハルチアヌム(Trichoderma harzianum)、トリコデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリコデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)又はトリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)のポリペプチドである。
【0093】
上記菌種に対し本発明は、完全な状態および不完全な状態と他の等価な分類体系との両方を、たとえ周知の種の名前と無関係なアナモルフ(anamorphs)を包含することが、理解されよう。当業者が、適切な同等物質の同一性を、容易に認識できるであろう。
これらの種の菌株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zelkulturen GmbH(DSM)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、およびAgricultural Research Service Patent Culture Collection,Northern Regional Research Center(NRRL)など、公共的な多くの培養収集施設より容易にアクセスすることができる。
【0094】
さらに本発明のポリペプチドは、他のポリペプチドが、ポリペプチド又はその断片のN末端又はC末端で融合される、融合ポリペプチド、又は切断可能な融合ポリペプチドを含む。融合ポリペプチドを、本発明のヌクレオチド配列(又はその部分)に別のポリペプチドコードするヌクレオチド配列(又はその1部)を融合させることにより生成する。融合ペプチドを生成する技術はそして技術的に周知であり、そしてこれらがフレーム内にあり、そして融合ポリペプチドの発現が、同じプロモータおよびターミネータの制御の下にあるようなポリペプチドをコードするコード配列を連結することを含む。
【0095】
ポリヌクレオチド:
さらに本発明は、本発明のポリペプチドとしてコードするヌクレオチド配列を有するポリペプチドに関する。具体的に、本発明は、本発明のポリペプチドとしてコードするヌクレオチド配列から成るポリペプチドに関する。遺伝子コードの変性により、当業者は、本発明のそれぞれのペプチドをコードする幾つかのヌクレオチド配列を調製できることを、容易に認識することができよう。ヌクレオチドが、本発明のポリペプチドのアミノ酸をコードするコドンを構成することが、技術的に良く知られている。
【0096】
さらに本発明は、抗菌作用を有する配列番号2から配列番号225のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかに示されるアミノ酸配列の断片をコードするポリヌクレオチドに関する。ポリヌクレオチドの部分的配列(subsequence)は、5’末端そして/又は3’末端から1又は複数のヌクレオチドが欠失されたヌクレオチド配列である。ヌクレオチド配列が、1の位置からそれが再生成され得る異なる部位にヌクレオチド配列を再配置するための遺伝子操作に使用される標準クローニング方法により、得ることができる。クローニング方法は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む所望の断片の切除および分離、その断片をベクター分子中に挿入、およびヌクレオチド配列の複数のコピー又はクローンを複製する宿主細胞に組み換えベクターを組み入れることを含む。ヌクレオチド配列は、ゲノム、cDNA、RNA、半合成オリジン、合成オリジン、またその何れかの組み合わせにて可能である。
【0097】
本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の修飾が、ポリヌクレオチドの合成に必要であり、それが、配列番号2から配列番号225のいずれか、又は配列番号226から配列番号251のいずれか、又は配列番号252から配列番号274のいずれかの1乃至40のアミノ酸と比較して、少なくとも1の置換、欠失、そして/又は挿入を含む。これらの変異物が、たとば特異的な作用、熱安定性、最適なpHなどで相違する変異物であり、その天然の資源から単離されたポリペプチドと特定の遺伝子操作方法で、相違していても可能である。
【0098】
こうした置換が、分子機能に対し外側の必須領域に行われ、そして活性なポリペプチドとなることが、当業者に明らかになるであろう。本発明の単離されたヌクレオチドによりコード化され、そのため好ましくは置換をうけていないポリペプチドの活性に必須のアミノ酸残基を、部位特異的変異誘発、又はアラニン・スキャンニング変異誘発など技術的に周知の方法により同定することができる(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085を参照)。
【0099】
後者の技術において、変異化は、分子中でそれぞれ陽イオンの荷電した残基で誘導され、そして得られた変異化した分子を、抗菌作用に対し試験し、分子の活性に対し必須であるアミノ酸残基を同定する。さらに相互作用する部位を、核磁気共鳴分析、結晶学、光親和性標識などの技術により決定される、3次元構造の分析により決定することができる(たとえば、de Vosら、1992、Science 255:306-312;Smithら、1992,Journal of Molecular Biology 224:899-904;Wlodaverra,1992,Letters 309:59-64を参照)。
【0100】
さらに、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチドの別のアミノ酸配列に生じないが、しかし抗菌性ポリペプチドを生成するために意図される宿主生体の使用コドンに相当するヌクレオチドの置換を導入することにより修飾することができる。
【0101】
核酸構成物:
さらに本発明は、コントロール配列と適合可能な条件下で、適切な宿主細胞におけるコード配列の発現を指令する1又は複数の配列に作用可能に連結される、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む核酸構成物に関する。本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドを、ポリペプチドの発現のために提供される種々の方法で操作することができる。ベクターに挿入する前にポリヌクレオチド配列の操作が、発現ベクターにより要望され、又は必要とされ得る。組み換えDNA法を使用してポリヌクレオチド配列を修飾する技術が、技術的に良く知られている。
【0102】
コントロール配列は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現するための宿主細胞により認識されるヌクレオチド配列としての適切なプロモータ配列であることができる。プロモータは、ポリペプチドの発現を媒介とする転写コントロール配列を含む。プロモータは、変異物、切断され、そしてハイブリットなプロモータを含む選択した宿主細胞における転写活性を示す何れかのヌクレオチド配列で良く、そして宿主細胞に相同性か非相同性のいずれかの細胞外又は細胞内のポリペプチドをコードする遺伝子から得ることができる。
【0103】
特定細菌の宿主細胞内に本発明の核酸構成物の転写を指令する適切なプロモータの例は、大腸菌lacオペロン、ストレプトミセス・コエリコラ(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ遺伝子(amyl)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子、およびプロカリオテック(prokaryotic)β-ラクタマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroffら、1978,Proceeding of the National Academy of Sciences USA 75:3727-3731)、並びにtacプロモータ(DeBoerら、1983,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 80:21-25)、から得られたプロモータである。
【0104】
さらにプロモータは、Scientific American,1980,242;74-94;and in Sambrookら、1989,supraにおいて、「組み換え細菌から有望なタンパク質」で、記載されている。特定の糸状菌宿主細胞内に本発明の核酸構成物の転写を指令する適切なプロモータの例は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコア・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性α-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)酸安定性α-アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)又はアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)グルコアミラーゼ(glaA)、リゾムコア・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)アルカリポロテアーゼ、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼ、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)アセタミダーゼ、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)アミログルコシダーゼ(WO 00/56900)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Daria (WO 00/56900)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)Quinn(WO 00/56900)、フサリウム・オキソスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ(WO 96/00787)、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)β-グルコシダーゼ、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)セロビオヒドロラーゼI、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼI、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼII、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIII、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼIV、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)エンドグルカナーゼV、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼI、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)キシラナーゼII、トリコデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)β−キシロシダーゼ、並びに次の遺伝子から得られるプロモーターのハイブリドプロモーターNA2-トリプロモーター:アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niiger)中性α-アミラーゼ及びアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)トリオースホスフェートイソメラーゼの遺伝子から得られたプロモータ、および変異物、切断され、そしてそのハイブリットの・プロモータである。
【0105】
酵母菌の宿主細胞における有望なプロモータは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1,ADH2/GAP)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)トリオースホスフェートイソメラーゼ(TPI)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)メタロチオニン(CUP1)およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)3-ホスホグリセレートキナーゼの遺伝子から得られる。酵母菌宿主細胞に対する有望な別のプロモータが、Romanosら、1992,Yeast 8:423-488に記載されている。
【0106】
さらにコントロール配列が、終決転写に対し宿主細胞により認識される配列である、適切な転写ターミネータ配列である。ターミネータ配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に連結される。選択した宿主細胞内で機能的である何れかのターミネータは、本発明に使用可能である。糸菌宿主細胞に対し好ましいターミネータは、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)アンスラニレートシンターゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α-グルコシダーゼ、およびフサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼに対する遺伝子から得られる。
【0107】
酵母宿主細胞に対する好ましいターミネータは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)チトクロームC(CYC1)、およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼに対する遺伝子から得られる。酵母宿主細胞として他の有望なターミネータは、Romanosら、1992,supraに記載されている。
【0108】
さらにコントロール配列は、宿主細胞によって翻訳するために重要であるmRNAの非翻訳領域である、適切なリーダ配列にて可能である。リーダ配列が、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の5’末端に作用可能に結合される。選択の宿主細胞において機能的であるいずれかのリーダ配列が、本発明において使用され得る。糸状真菌宿主細胞に対する好ましいリーダ配列が、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼおよびアスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)トリオースホスフェートイソメラーゼの遺伝子から得られる。
【0109】
酵母宿主細胞としての適切なリーダ配列は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO-1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)3-ホスホグリセレートキナーゼ、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α-因子、およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(ADH2/GAP)の遺伝子から得られる。さらにコントロール配列が、ヌクレオチド配列の3’末端に作用可能に結合され、そして転写される時、ポリアデノシン残基を転写mRNAの付加するためのシグナルとして、宿主細胞により認識される、ポリアデニール化配列で良い。選択の宿主細胞において機能的であるポリアデニール化配列の何れかを、本発明において使用され得る。
【0110】
糸状真菌宿主細胞の好ましいポリアデニール化配列は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae) TAKA アミラーゼおよびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)アンスラニレートシンターゼ、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)トリプシン様プロテアーゼ、およびアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)α-グルコシダーゼに対する遺伝子から得られる。酵母宿主に対し有望なポリアデニール化配列が、Guo and Sherman,1995,Molecular Cellular Biology 15:5983-5990にて記載されている。
【0111】
さらにコントロール配列は、ポリペプチドのアミノ末端に結合したアミノ酸配列をコードし、そして細胞の分泌経路中へコードされたポリペプチドを指令する、シグナル・ペプチドコード領域で良い。ヌクレオチド配列のコード配列の5’の末端部は、分泌されるポリペプチドをコードするコード領域の断片と翻訳リーデング・フレームとを天然に結合したシグナル・ペプチドコード領域を本質的に含んでいる。選択肢としてコード配列の5’の末端部は、コード配列に対し外来である。
【0112】
ターミネータ(terminator)配列は、ポリペプチドをコードヌクレオチド配列の3’末端に、作用可能に 結合サレル。選択の宿主細胞中で機能するいずれかのターミネータ(terminator)配列が、本発明に使用され得る。糸状真菌宿主細胞の好ましいターミネータ(terminator)は、シグナル・ペプチドコード領域を含み得る。外来のシグナル・ペプチドコード領域は、コード配列が、シグナル・ペプチドコード領域を天然に含まれていない位置を必要とする。選択肢として、外来のシグナル・ペプチドコード領域が、ペプチドの分泌を高めるために、天然のシグナル・ペプチドコード領域を簡単に置き換えることができる。しかしながら、選択の宿主細胞の分泌経路に、発現されるポリペプチドを指令する何らかのシグナル・ペプチドコード領域を本発明において使用することができる。
【0113】
細菌宿主細胞に対して有望なシグナル・ペプチドコード領域は、バシラス(Bacillus)NCIB11837マルトース生成アミラーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼ、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)ズブチリシン、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)β-ラクタマーゼ、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)中性プロテアーゼ(npr T,nprS,nprM)、およびバシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)prsAに対する遺伝子から得られたシグナル・ペプチドコード領域である。さらにシグナル・ペプチドが、Simonen and Palva,1993,Microbiological Reviews 57:109-137によって記載されている。
【0114】
糸状真菌宿主細胞に対する有効なシグナル・ペプチドコード領域は、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)中性アミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼ、リゾムコア・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテアーゼ、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ、およびフミコラ・ラヌギノーサ(Humicola lanuginose)リパーゼに対する遺伝子から得られるシグナル・ペプチドコード領域である。酵母宿主細胞のため有益なシグナル・ペプチドが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α-因子およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)インベルターゼの遺伝子から得られる。
【0115】
さらにコントロール配列は、ポリペプチドのアミノ末端に位置付けられているアミノ酸配列に対しコードするペプチドコード領域にて可能である。得られたポリペプチドを、プロエンザイム、又はプロポリペプチド(又は幾つかの場合ズイモゲン(zymogen))として知られている。プロポリペプチドは通常不活性であり、そしてプロポリペプチドからプロペプチドの触媒又は自己触媒による切断により、熟成した活性ポリペプチドに変換することが可能である。プロペプチドコード領域が、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)アルカリプロテアーゼ(aprE)、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)中性プロテアーゼ(nprT)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α-因子、リゾムコア・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、およびミセリオピソラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(WO 95/33836)の遺伝子から得ることができる。
【0116】
シグナル・ペプチド領域とプロペプチド領域が共にポリペプチドのアミノ酸末端に存在する場合、プロペプチド領域が、ポリペプチドのアミノ末端の次の位置に位置付けられ、そしてシグナル・ペプチド領域が、プロペプチド領域のアミノ末端の次の位置に位置付けられる。さらに、宿主細胞の増殖に関するポリペプチドの発現を調節することができる調節配列を付加することが、望ましい。調節系の例としては、調節化合物の存在を含む、化学的又は物理的な刺激に応答し遺伝子発現を開始させるか又は止めさせることがある。
【0117】
原核系における調節系は、lac,tac,およびtrpのオペレータ系を含む。酵母菌において、ADH2系又は又はGAL1系を使用することができる。糸状真菌において、TAKAα-アミラーゼプロモーター、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼプロモーター、およびアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)グルコアミラーゼプロモーターを、調節配列として使用することができる。調節配列の他の例は、遺伝子増幅を可能にする配列である。真核系において、これらは、メトトレキセート(methotrexate)の存在下増幅されるジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子、および重金属で増幅されるメタロチオネイン遺伝子を含む。これらの場合、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が、調節配列と作用可能に結合することができる。
【0118】
発現ベクター:
さらに本発明は、本発明のポリヌクレオチド、プロモータ、転写シグナルおよび翻訳停止シグナルを含む、組み換え発現ベクターに関する。上記の種々の核酸およびコントロール配列を、1又は複数の従来の制限部位を含む組み換え発現ベクターを生成するために一緒に連結し、発現ベクターへの、こうした部位でポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入又は置換を可能にする。あるいは、本発明のヌクレオチド配列は、発現に適切なベクター中へヌクレオチド配列又は配列を含む核酸構成物を挿入することにより、発現させることができる。発現ベクターの生成において、コード配列を、発現に適切なコントロール配列にて作用可能に結合するように、コーデング配列がそのベクター内に配置される。
【0119】
組み換え発現ベクターは、組み換えDNAの進行に都合良く受け入れることができ、そしてヌクレオチド配列の発現をもたらすことができるあらゆるベクター(たとえば、プラスミド又はウイルス)であることができる。ベクターの選択は、ベクターが導入される宿主細胞と、ベクターとの適合性に典型的に依存している。
【0120】
ベクターが、線状形又は閉じた環状プラスミドであることができる。ベクターは、独立的に複製するベクター、すなわち染色体外物として存在するベクター、染色体の複製から独立した複製物質、たとえばプラスミド、染色体外の要素、小染色体、又は人工染色体などであることができる。ベクターは、自己複製を確かめる何らかの手段を含む。あるいは、ベクターは、宿主細胞中に導入された時、ゲノムに組み入れられ、そして一体化された染色体と共に、複製されるベクターであってもよい。さらに、宿主細胞のゲノムに導入される全DNA又はトランスポゾンを合わせて含む、単一のベクター又はプラスミド、あるいは2以上のベクター又はプラスミドを使用することができる。
【0121】
本発明のベクターは、好ましくは形質転換された細胞の選択が容易にできる1又は複数の選択可能マーカーを含む。選択可能マーカは、殺菌物質又はウイルス耐性、重金属への耐性、栄養要求体等に対する原栄養体を提供する遺伝子産生物である。細菌の選択可能なマーカの例は、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)又はバシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)からのdal遺伝子、またはアンピシリン、カナマイシン、クロラルフェニコール、又はテトラサイクリン耐性などの抗生物質の耐性を与えるマーカである。酵母宿主細胞に対する適切なマーカは、ADE2,HIS3,LEU2, LYS2,MET3,TRP1およびURA3である。
【0122】
糸状真菌宿主細胞に使用するための選択可能なマーカは、amdS(アセトアミダーゼ(acetamidase))、argB(オルニチン・カルバモイル・トランスフェラーゼ(ornithine carbamoyltransferase))、bar(ホスヒノチリシン・アセチルトランスフェラーゼ(phosphinothricin acetyltransferase)、hph(ハイグロマイシン・ホスホトランスフェラーゼ(hygromycin phosphotransferase)、niaD(ニトレイト・レダクターゼ(nitrate reductase)、pyrG(オロチジン-5’-ホスフェイト・デカルボキシラーゼ(orotidine-5-phosphate decarboxylase)、sC(サルファイト・アデニルトランスフェラーゼ(sulfate adenyltransferase))、およびtrpC(アントラニレイト・シンターゼ(anthranilate synthase)、並びにそれと等価な物質を含むがそれに限定されない。
【0123】
アスペルギルス(Aspergillus)細胞において好ましく使用されるのは、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)又はアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)のamdSおよびpyr遺伝子、およびストレプトミセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子である。本発明のベクターは、好ましくは宿主細胞ゲノムにベクターを組み入れ、又はゲノムの独立した細胞中にベクターの自発的複製を可能にする要素を含む。
【0124】
宿主細胞のゲノムに組み込むため、ベクターが、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に、あるいは相同又は非相同の組み換えによりゲノムに組み込むためのベクターの何れかの要素に依存することになる。あるいは、ベクターは、宿主細胞のゲノムへ相同的組み換えによる組み込みを、染色体中の正確な位置に指令する追加ヌクレオチド配列を含むことができる。正確な位置での組み込みを可能性を増大させるための組み込み要素は、好ましくは十分な数の核酸、たとえば100乃至10,000の塩基対、好ましくは400乃至10,000の塩基対、そして最も好ましくは、800乃至10,000の塩基対を含み、そして相同性組み換えの確率を高めるために、相当する標的配列と同一性の高い核酸を有すべきである。
【0125】
組み込み要素は、宿主細胞のゲノムの中に標的配列と相同であるいずれかの配列であることができる。その上組み込み要素は、非コーデンク又はコーデンク・ヌクレオチド配列で良い。他方ベクターを、非相同性組み換えにより宿主細胞のゲノムへ組み込むことが可能である。
自発性複製のため、ベクターは、問題の宿主細胞中でベクターを自律的に複製できるよう、複製の開始点(origin)を含むことができる。複製の開始点(origin)は、細胞内で機能する自律的複製を介在するいずれかのプラスミド複製物であることができる。用語「複製の開始点」又は「プラスミド複製物」は、プラスミド又はベクターをin vivoにおいて複製できるようなヌクレオチド配列として、本明細書に明示されている。
【0126】
細菌の複製起点の例は、大腸菌中で複製することができるプラスミドとしてpBR322、pUC19、pACYC177およびpACYC184、そしてバシラス(Bacillus)中で複製することのできるpUB110、pE194、pTA1060、およびpAMβ1の複製起点である。酵母宿主細胞中で使用するための複製起点の例は、ARS1、ARS4、ARS1とCEN3との組み合わせ、およびARS4とCEN6との組み合わせの2ミクロンの複製起点である。糸状真菌細胞に有効な複製起点の例は、AMA1およびANS1である(Gems ら、1991,Gene 98:61-67;Cullenら,1987,Nucleic Acids Research 15:9163-9175;WO 00/24883)。
【0127】
本発明のポリヌクレオチドの2以上のコピーを、宿主細胞中に挿入し、遺伝子産物の生成を増大させることができる。ポリヌクレオチドは、宿主細胞ゲノム中に配列の少なくとも1の追加コピー組み込むことにより、又はポリヌクレオチドを伴い増幅可能に選択できる標識遺伝子を含むことにより得ることができ、ここで選択可能な標識遺伝子の増幅されたコピー、そしてこれによりポリヌクレオチドの追加コピーを含む細胞が、適切な選択可能な薬剤の存在下で細胞を培養することにより、選択することができる。本発明の組み換え発現ベクターを構成するために、上記要素を結さつするための方法は、当業者に良く知られている(たとえば、Sambrookら、1989,supraを参照)。
【0128】
宿主細胞:
さらに本発明は、ポリペプチドの組み換え生成物において都合よく使用される、本発明のポリヌクレオチドを含む、組み換え宿主細胞に関する。本発明のポリヌクレオチドを含むベクターは宿主細胞に導入される、したがってそのベクターが、最初に記載したように染色体組み込み物として、又は自己複製の染色体外ベクターとして保持される。用語「宿主細胞」は、複製中に発生する変異化により親細胞に対し同一性のない親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドをコードする遺伝子およびその資源に大幅に依存することになる。
【0129】
宿主細胞は、単細胞の微生物、たとえば原核生物又は非単細胞の微生物、たとえば真核生物であることができる。有望な単細胞微生物は、バシラス(Bacillus)細胞、たとえばバシラス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サークランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウシー(Bacillus clausii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・ラウツス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、バシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)、およびバシラス・ツリンジエンシス(Bacillus thuringiensis);又はストレプトマイセス(Streptomyces)細胞、たとえばストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)およびストレプトマイセス・ムリヌス(Streptomyces murinus)などを含むがそれに限定されないグラム陽性菌など、又は大腸菌、およびシュウドモナス(Pseudomonas種)などを含むがそれに限定されないグラム陰性菌などの細菌細胞である。
【0130】
好ましい観点において、細菌宿主細胞は、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothemophilus)、又はバシラス・ズブチリス(Bacillus subtilis)細胞である。その他の好ましい観点において、バシラス(Bacillus)細胞は、アルカロフィリック・バシラス(alkalophilic Bacillus)である。
【0131】
ベクターを細菌宿主細胞に導入することは、原形質を形質転換させ(たとえばChang and Cohen,1979,Molecular General Genetics 168:111-115を参照)、有効な細胞を使用し(たとえば、Young and Spizizin,1961,Joumal of Bacteriology 81:823-829,or Dubnau and Davidoff-Abelson,1971,Journal of Molecular Biology 56:209-221を参照)、エレクトロポレーション(たとえば、Shigekawa and Dower,1988,Biotechniques 6:742-751を参照)、又は接合(たとえばKoehler and Thorne,1987,Journal of Bacteriology 169:5771-5278を参照)により行うことができる。さらに宿主細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞で良い。
【0132】
好ましい観点において、宿主細胞は真菌細胞である。本明細書に使用される「真菌(Fungi)」は、フィラ・アスコミコア(Phyla Ascomycota)、バシジオミコタ(Basidiomycota)、チトリジオミコタ(Chytridiomycota)、およびジゴミコタ(Zygomycota)(Hawksworthら、In,Ainsworth and Bisby’s Dictionary of The Fungi,8th edition,1995, CAB International,University Press,Cambrige,UK)、およびOomycota(Hawksworthら、1995,supra,page 171にて引用)、および全てのミトスポリック・フンギ(mitosporic fungi)( Hawksworthら、1995,supra)を含む。
【0133】
より好ましい観点において、真菌宿主細胞は酵母細胞である。本明細書に使用される「酵母」は、アスコスポロゲナス酵母(ascosporogenous yeast(Endomycetales))、バシジオスポロゲナス酵母(basidiosporogenous yeast)、およびフンキ・インパーフェクト(Fungi Imperfecti (Blastomycetes))を含む。酵母の分類は将来において変化する可能性のあることから、本発明の目的として、酵母は、Biology and Activities of Yeast(Skinner,F.A.,Passmore,S.M.,and Davenport,R.R.,eds,Soc.App.Bacteriol.Symposium Series No.9,1980)に記載されているように定義すべきである。さらに好ましい観点において、酵母宿主細胞は、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピキア(Pichia)、サッカロミセス(Saccharomyces)、スチゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、又はヤロウイア(Yarrowia)細胞である。
【0134】
最も好ましい観点において、酵母宿主細胞は、サッカロミセス・カルスベルゲンシス(Saccharomyces carisbergensis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ジアスタチクス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロミセス・ドウグラシ(Saccharomyces douglasii)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ノルベンシス(Saccharomyces norbensis)、又はサッカロミセス・オビホルミス(Saccharomyces oviformis)細胞である。その他の好ましい観点において酵母宿主細胞は、ヤロウイワ・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。別の最も好ましい観点において、酵母宿主細胞は、クルイベロミセス・ラシース(Kluyveromyces laciis)細胞である。別の最も好ましい観点において、酵母宿主細胞は、ヤロウイワ・リポリチカ(Yarrowia lipolytica)細胞である。
【0135】
別のより好ましい観点において、真菌宿主細胞は、糸状真菌細胞である。「糸状真菌(Filamentous fungi)」は、すべて糸状の形体の亜門としてエウミコタ(Eumycota)およびオオミコタ(Oomycota)を含む(Hawksworthら、1995,suraにて明示)。糸状真菌は、通常キチン、セルローズ、グルカン、キトサン、マンナン、および他の複合多糖類から構成される菌糸体壁により特徴付けられる。栄養型増殖は菌糸の拡張により、そして炭素の分解代謝は、真性の好気性による対照的に、サッカロミセス(Saccharomyces)cerevisiaeなど酵母による栄養型増殖は、単細胞の葉状体の発芽することにより、そして炭素分解代謝は発酵性で可能である。
【0136】
さらにより好ましい観点において、糸状真菌宿主細胞は、アクレモニウム(Acremonium)、アスペルギルス(Aspergillus)、アウレオバシデウム(Aureobasidium)、ビジェルカンデラ(Bjeykandera)、セリポりオプシス(Ceriporiopsis)、コルプリナス(Coprinus)、コリオラス(Coriolus)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、フィリベシデウム(Filibasidium)、フサリウム(Fusarium)、フミコラ(Humicola)、マグナポルテ(Magnaporthe)、ムコア(Mucor)、ミセリオプソラ(Myceliopthora)、ネオカリマステクス(Neocallimastix)、ニウロスポラ(Neurospora)、パエシロミセス(Paecilomyces)、ペニシリウム(Penicillium)、パネロカエテ(Phanerochaete)、フィレビア(Phlebia)、ピロミセス(Piromyces)、プレウロタス(Pleurotus)、スキゾピリウム(Schizophyllum)、タラロミセス(Talaromyces)、テルモアスカス(Thermoascus)、チエラヴィア(Thielavia)、トリポクラデウム(Tolypocladium)、トラメテス(Trametes)又はテリコデルマ(Trichoderma)細胞である。
【0137】
最も好ましい観点において、糸状真菌宿主細胞は、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フェツズス(Aspergillus foetidus)、アスペルギルス・ジャポニクス(Aspergillus japonicus)、アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)細胞である。別の最も好ましい観点において、糸状真菌宿主細胞は、フサリウム・バクテリオイデス(Fusarium bactridioides)、フサリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)、フサリウム・クロックウエレンス(Fusarium crookwellense)、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、フサリウム・グラミヌム(Fusarium graminum)、フサリウム・ヘテロスポルム(Fusarium heterosporum)、フサリウム・ネグンジ(Fusarium negundi)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)、フサリウム・レチクラム(Fusarium reticulatum)、フサリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、フサリウム・サンブシヌム(Fusarium sambucinum)、フサリウム・サルココルム(Fusarium sarcochroum)、フサリウム・スポロトリキオイデス(Fusarium sporotrichioides)、フサリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)、フサリウム・トルロスム(Fusarium torulosum)、フサリウム・トリコセシオイデス(Fusarium trichothecioides)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)細胞である。
【0138】
別の最も好ましい観点において、糸状真菌宿主細胞は、ベジェルカンデラ・アドスタ(Bjerkadera adusta)、セリポリオプシス・アネイリナ(Ceriporiopsis aneirina)、セリポリオプシス・カレギエア(Ceriporiopsis caregiea)、セリポリオプシス・ギルベセンス(Ceriporiopsis gilvescens)、セリポリオプシス・パンモシンタ(Ceriporiopsis panmnocinta)、セリポリオプシス・ビルロサ(Ceriporiopsis rivulosa)、セリポリオプシス・スブルファ(Ceriporiopsis subrufa)、又はセリポリオプシス・スブベルミスポラ(Ceriporiopsis subvermispora)、コピリナス・シネレウス(Coprinus cinereus)、コピリナス・ヒルスツス(Coprinus hirsutus)、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、フミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)、ムコア・ミーヘイ(Mucor miehei)、ミセリオプトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ネウロスポラ・クラサ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・プロプロゲヌム(Penicillium purpurogenum)、パネロチアエテ・クリソスポリウム(Phnerochaete chrysosporium)、ピレビア・ラディアタ(Phlebia radiata)、プレウロタス・エリンギ(Pleurotus eryngii)、チエイラビア・テレストリス(Thieelavia terrestris)、トラメテス・ビロサ(Trametes villosa)、トラメテス・ベルシコラ(Trametes versicolor)、トリケオデルマ・アルジアヌム(Trichoderma harzianum)、トリケオデルマ・コニンギ(Trichoderma koningii)、トリケオデルマ・ロンギブラキアツム(Trichoderma longibrachiatum)、トリケオデルマ・レーセイ(Trichoderma reesei)、又はトリケオデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)菌株細胞である。
【0139】
真菌細胞を、原形質体の生成、原形質体の形質転換、そしてそれ自体知られた方法で、細胞壁の再生を含む過程により、形質転換することができる。アスペルギルス(Aspergillus)およびトリコデルマ(Trichoderma)宿主細胞を形質転換するための適切な方法は、EP 238 023およびYeltonら、1984,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 81:1470-1474に記載されている。フサリウム(Fusarium)種を形質転換するための適切な方法は、Malardierら、1989,Gene 78:147-156,and WO 96/00787に記載されている。酵母菌を、Becker and Guarente,In Abelson,J.N. and Simon,M.I.editor,Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymology,Volume 194,pp 182-187,Academic Press,Inc.,New York;Itoら、1983,Journal of Bacteriology 153:163;and Hinnenら、1978,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 75:1920に記載された方法を使用して、形質転換することができる。
【0140】
生成方法:
さらに本発明は、
(a)野生型において、ポリペプチドを生成するために行われる条件の下、ポリペプチドを生成できる細胞を培養する工程;そして、
(b)そのポリペプチドを回収する工程、
を含む本発明のポリペプチドの生成方法に関する。
さらに本発明は、
(a)ポリペプチドを生成するために行われる条件の下、宿主細胞を培養する工程;そして、
(b)そのポリペプチドを回収する工程、
を含む本発明のポリペプチドの生成方法に関する。
【0141】
本発明の生成方法において、細胞を、技術的に周知の方法を用いて、ポリペプチドを生成するために適切な栄養培地中で培養した。たとえば、細胞を、適切な培地中でそしてポリペプチドが発現および/又は単離できる条件下で、実験室又は工業的な発酵槽において、振盪フラスコ培養、および小規模又は大規模な発酵(連続、バッチ、フェド(fed)バッチ、又は固体状態の発酵)により培養することができる。培養が、技術的に周知な方法を用い、炭素及び窒素源および無機塩を含む適切な栄養培地において行う。適切な培地は、商業的な供給品から、又は公開されている組成物(たとえば、American Type Culture Collectionのアタログ)により調製することができる。ポリペプチドが栄養培地中で分泌されれば、ポリペプチドを培地から直接回収することができる。ポリペプチドが分泌されない場合、細胞の溶解質から回収することができる。
【0142】
ポリペプチドに対し特定する技術的に周知の方法を用いて、ポリペプチドを検出することができる。これらの検出方法は、特異的抗体の使用を含むことができる。たとえば、抗菌作用法は、本明細書に記載されているように、ポリペプチドの抗菌作用を決定するために、使用することができる。得られたポリペプチドを、技術的に周知の方法を用いて回収することができる。たとえば、ポリペプチドを、遠心分離法、濾過法、抽出法、スプレイ・乾燥法、蒸発又は沈殿法を含むがそれに限定されない従来の方法により、栄養培地から回収することができる。
【0143】
本発明のポリペプチドは、クロマトグラフ(たとえば、イオン交換、親和性、疎水性、クロマト・フォカシング、およびサイズ排除(size exclusion))、電気泳動法(たとえば、調製用等電点ホーカシンク)、溶解性の相違(たとえば、アンモニウム・硫酸沈殿法)、SDS-PAGE 又は抽出(たとえば、Protein Purification,J.-C.Janson and Lars Ryden,editor,VCH Publishers,New York,1989)を含むがそれに限定されない、技術的に知られた種々の方法により精製することができる。
【0144】
植物:
さらに本発明は、ポリペプチドを回収可能な量にて発現および生成するように、本発明の抗菌作用を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列で、形質転換された遺伝子導入植物、植物の1部、又は植物細胞に関する。ポリペプチドを、植物又は植物の1部から回収することができる。選択肢として、組み換えポリペプチドを含む植物又は植物の1部を、食物又は飼料を改良するため、たとえば、栄養価、味覚、そしてレオロジカルな特性、又は抗栄養因子の破壊を改良するためになどに使用することができる。
【0145】
遺伝子導入植物は、双子葉植物(a dicot)又は単子葉植物(a monocot)にて可能である。単子葉植物(a monocot)の例は、牧草(ナガハグサ、Poa)、フェスツカ(Festuca)、ロリウム(Lolium),アグロステス(Agrostis)など溶原性グラス、およびオートムギ、ライムギ、オオムギ、稲、モロコンおよびトウモロキシ(corn)などの穀草などの草類である。双子葉植物(a dicot)の例は、タバコと、ルピナス、ポテト、糖ビート、えんどう豆、マメ、およびダイズなどの豆類、およびカリフラワー、レイプ・シードなどの十字花科植物(アブラナ科ファミリー)、および密接に関連した代表的生物アラビドピシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)である。
植物の1部分の例は、茎、カルス、葉、根、果物、種子、及び塊茎、並びにたとえば表皮、葉肉、柔組織、維管束組織、分裂組織などの植物の1部分を含む個々の組織である。
【0146】
さらに葉録体、アポプラスト、ミトコンドリア、液胞、ペルオキソーム、および細胞質などの特定の植物細胞の仕切りが、植物と1部分と考えられる。さらに組織の源がどのようであっても、植物細胞のいずれも、植物1部分と考えられる。同様に、本発明の利用性を容易にするために、さらに単離された特異的組織および細胞などの植物の1部分が、胚位、内胚乳、糊粉、および種皮などを植物の1部分と考えられる。
【0147】
さらに本発明の範囲に含まれるものとして、植物、植物の部分、および植物細胞の子孫がある。本発明のポリペプチドを発現する遺伝子導入された植物又は植物細胞は、技術的に周知の方法に従って構成される。簡潔にいうと、植物又は植物細胞を、植物宿主ゲノムへ本発明のポリペプチドをコードする1又は複数の発現構成物を組み込み、そして遺伝子導入された植物または、植物細胞の中に得られた修飾植物又は植物細胞を繁殖させることにより、構成される。
【0148】
発現構成物は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む従来の核酸構成物であり、本発明のポリペプチドが、選択可能な植物又は選択した植物部分におけるヌクレオチド配列の発現に必要な、適切な調節配列と作用可能に結合したポリペプチドである。さらに発現構成物は、発現構成物が組み入れられる宿主細胞を、そして問題の植物中に構成物を導入するために必要とするDNA配列を同定するために有効で、選択可能なマーカーを含むことができる(後者は使用されるDNA導入方法に依存する)。
【0149】
プロモータおよびターミネータ配列などの調節配列、および所望によりシグナル又はトランジット配列などじゃらの選択は、たとえば、ポリペプチドの発現が、何時、どこで、如何にしてされるこのが、望ましいかに基づいて決定される。たとえば、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の発現が、構成的又は誘発的で良く、あるいは、発生、ステージ(stage)、又は組織に特異的でも良く、しかも遺伝子生成物が、種子や葉などの特異的組織又は植物部分へ標的としても良い。たとえば、調節配列は、Tagueら、1988,Plant Physiology 86:506により記載されている。
【0150】
構成発現として、35S-Ca、Maize ubiquitin 1,およびrice actin 1プロモータが、使用される(Frangら、1980,Cell21:285-294,Christensenら、1992,Plant Mo.Biol.18:675-689;Zhangら、1991,Plant Cell3:1155-1165)。器官特異的プロモータは、たとえば種子、ポテト塊茎および果物などの貯蔵シンク組織(storage sink tissues)からの(Edwards & Coruzzi,1990,Ann. Rev.Genet24: 275-303)、又は分裂組織(meristem)などの代謝シンク組織からのプロモータ(Itoら、1994,Plant Mol.Biol.24:863-878)、グルテリン、プロラミン、グロブリンなどの種子特異的プロモータ、また稲からのアルブミンプロモータ(Wuら、199,Plant and Cell Physiology 39: 885-889)、レグミン B4からのVicia fabaプロモータおよびVicia fabaから未知の種子タンパク質遺伝子(Conradら、1998,Journal of Plant and Cell Physiology 152: 708-711)、種子油ボデイ・タンパク質からのプロモータ(seed oil bbody protein)(Chenら、1998,Plant and Cell Physiology 39: 935-941)、Brassica napusからの貯蔵タンパク質napAプロモータ、又はたとえばWO 91/14772に記載されているように技術的に周知なその他の何れかの種子特異的プロモータにて可能である。
【0151】
さらにプロモータは、稲又はトマトからrbcプロモータ(Kyozukaら、1993,Plant Physiology 102: 991-1000)、クロレラ・ウイルス・アデニン・メチルタランスフェラーゼ遺伝子プロモータ(Mitra and Higgins,1994,Plant Molecular Biology 26: 85-93)、又は稲からaldp遺伝子プロモータ(Kagayaら、1995,Molecular and General Genetics 248: 668-674)、又はポテトPin2プロモータなどの傷をつけた誘発性プロモータ(Xuら、1993,Plant Molecular Biology 22:573-588)にて可能である。同様にプロモータを、温度、渇水、又は塩分の変化など非生物的な処置により誘発可能であり、あるいはたとえばエタノールとエストロゲンと、エチレン、アブシジン酸、およびジベリン酸などの植物ホルモン、および重金属など、プロモータを作用する外因的に適用する物質によて誘発することができる。
【0152】
さらに植物中に本発明のポリペプチドをより強く発現させるように、プロモータのエンハンサー要素を用いることができる。たとえば、プロモータのエンハンサー要素は、プロモータと本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列との間に位置するイントロンにて可能である。たとえば、Xuら1993,supra.が、発現を強化するためにrice action 1遺伝子の最初のイントロンの使用を、開示している。発現構成物の選択可能な標識遺伝子および他のいずれかの物質の部分が技術的に利用可能な物質から選択することができる。
【0153】
核酸構成物は、アルゴバクテリウム(Agrobacterium)媒介形質転換、ウイルス媒介形質転換、顕微注射、粒子ボンバードメント、ビオレステック形質変換(biolistic transformation)、およびエレクトロポレーション(electroporation)(Gasserら、1990,Science 244: 1293; Potrykus,1990,Bio/Technology 8:535;Shimamotoら、1989,Nature 338: 274)を含め、技術的に知られた従来の技術により、植物ゲノムへ組み入れられた。
【0154】
現在、他の変換法がこれらの植物に対ししばしば使用されているが、アルゴバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)媒介遺伝子形質転換が、遺伝子導入の双子葉植物(a dicots)を生成するための選択方法であり(検討する場合、Hooykas and Schilperroot,1992,Pkant Molecular Biology 19:15-38を参照)、そしてさらに単子葉植物(a monocots)の形質転換に対しても使用されている。遺伝子導入した単子葉植物(a monocots)を生成する選択方法は、胚種コーリ(embryonic calli)又は形成胚種の粒子ボンバードメント(微細な金又はタングステンを形質転換したDNAにて被覆)である(Christou,1992,Plant Joumal 2:275-281;Shimamoto,1994,Current Opinion Biotechnology 5:158-162;Vasilら、1992,Bio /Technology 10:667-674)。単子葉植物(a monocots)を形質転換するための別の方法は、Omirullehら、1993,Plant Molecular Biology 21:415-428により記載されている。
【0155】
形質転換にしたがって、発現構成物に組み込まれた形質転換物質が、技術的に周知な方法により全植物中に、選択されそして再成される。形質転換方法が、特異的な組み換え酵素により2に分離するT-DNA構成物、又は部位特異的に切除した選択遺伝子のいずれかを同時形質転換法を使用することで、しばしば選択的遺伝子を選択的に除去するよう設計された。
【0156】
さらに本発明は、
(a) ポリペプチドの産生のための実施条件の基、本発明の抗菌作用を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子導入植物、又は植物細胞を培養する工程;および、
(b) ポリヌクレオチドを回収する工程、
を含む、本発明のポリペプチド含む、本発明のポリペプチドを生成するための方法に関する。
【0157】
組成物:
さらに本発明は、本発明のポリペプチドを含む医薬組生物などの組生物に関する。好ましくは、組生物が、こうしたポリペプチドにおいて増強(enriched)されている。用語「増強された(enriched)」は、組生物の抗菌作用が、たとえば1.1の強化因子を用いて増大してきたことを示す。さらに組生物が、上記抗菌作用剤を示す別の抗菌性ポリペプチドなど、付加的な殺生剤又は生物スタテック薬剤など別の医薬作用剤を含むことができる。
【0158】
殺生剤は、技術的に周知の抗生物質にて可能である。抗生物質の種類は、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリンなどのペニシリン;ベータラクタマーゼ阻害剤としてセファロスポリン(cephalosporins)と組み合わせたペニシリン、たとえばセファクロア(cefaclor)、セファゾリン(cefazolin)、セフロキシム(cefuroxime)、モクサラクタム(moxalactam)など、カルバペネム(carbapenems);モノバクタム(monobactams)、アミノグリコシド(aminoglycosides)、テトラサイクリン(tetracyclines);マクロリデス(macrolides);リンコマイシン(liincomycins);ポリミキシン(polymyxins);スルホンアミド(sulfonamides);キノロン(quinolones);クロラムフェニコール(cloramphenical);メトロニダゾル(metronidazole);リンコマイシン(lincomycins)、トリメトプリム(trimethoprim);バンコマイシン(vancomycin);などがあげられる。
【0159】
さらに殺生剤は、たとえばアンフォテリシン B(amphotericin B)、ニスタチン(nystatin)などのポリエン、5-フルコシン(5-flucosyn);ミコナゾール(miconazol)、ケトコナゾール(ketoconazol)、イトラコナゾール(itraconazol)およびフルコナゾール(fluconazol)などのアゾレス(azoles)を含む抗カビ剤にて可能である。1例において、殺生剤は、非酵素化学薬剤である。別の例において、殺生剤は、非ポリペプチド化学薬剤である。組生物は、適切な担体物質を含み得る。組生物が薬剤として使用される時、さらに本組生物が、所望の遺伝子配座に、本発明の抗菌性ポリペプチドを輸送できる適切な輸送担体を含むことができる。
【0160】
ポリペプチド組生物が、技術的に知られた方法に従って、調製することができ、そして液体又は乾燥組生物の形状にて可能である。たとえば、ポリペプチド組生物が、顆粒物又は微小顆粒物に形状にて可能である。組生物中に含まれるべきポリペプチドを、技術的に周知の方法に従って安定にする。例が、本発明のポリペプチド組生物好ましい使用の下に、実施例が与えられる。本発明のポリペプチド組生物の投与量および組生物を用いる他の条件を、技術的に周知の方法の基づいて決定することができる。
【0161】
方法および使用:
さらに本発明は、抗菌作用を有するポリペプチドを使用する方法を対象としている。抗菌作用は、典型的に細菌、真菌(fungi)、酵母、又は藻類により感染を受ける遺伝子座にとって有効である。典型的に遺伝子座が、冷却水系、洗濯リンス用水などの水溶性系に、そして切削油、潤滑油、オイル分野などのオイル系などにあり、こうした系は、微生物を殺生する必要性か又は増殖を制御する必要性のいずれかである。しかしながら、本発明は、周知の抗菌性組成物が、木材、ラテックス、接着剤、クルー、紙、ボール紙、織物、レザー、プラスチック、コーキング、および食物の保護などに有効である。
【0162】
その他の使用は、食物、飲料物、ローション、クリームなどの化粧品、ゲル、軟膏、石鹸、シャンプー、コンデショナー、発汗抑制剤、デオドラント、口洗浄液、コンタクトレンズ製品、酵素剤形又は食物成分の保存を含む。従って本発明の抗菌性ポリペプチドが、たとえば目や口の感染治療に、皮膚の感染治療において;発刊抑制剤又は脱臭剤において;コンタクトレンズおよび歯(経口ケヤー)の清浄および殺菌用に、殺菌剤として有効である。
【0163】
一般的に、本発明の抗菌性ポリペプチドが、いずれかの表面の清浄、殺菌、および細菌の増殖を阻害するために有効である。本発明の抗菌性ポリペプチドと都合よく接触できる表面の例は、たとえば、乳製品の製造、化学又は医薬品処理プラント、水衛生系、オイル処理プラント、水処理プラント、および冷却塔などに使用される、処理装置の表面である。本発明の抗菌性ポリペプチドが、問題の表面上の清浄、殺菌、および細菌の増殖を阻害するために有効である量にて、使用することができる。
【0164】
さらに本発明の抗菌性ポリペプチドを、食品処理プラントにおいて、および病院、保育園、およびレストランなど、食料を調製しそして配るいずれかの領域で、表面および料理器具を清浄にするために使用することができる。さらに、塗装に基づく水中における保存剤又は殺菌剤としても使用することができる。
【0165】
さらに本発明は、医薬剤として本発明の抗菌性ポリペプチド又は組成物に使用に関する。さらに、本発明の抗菌性ポリペプチド又は組成物は、真菌性微生物、又は細菌、好ましくはグラム陽性菌などの微生物を制御し又は攻撃するための医薬剤の製造のために使用することができる。本発明の抗菌性ポリペプチド又は組成物は、家畜又はヒトの抗菌性治療剤又は予防剤として、使用することができる。したがって本発明の抗菌性ポリペプチド又は組成物は、細菌、又は真菌の感染、好ましくはグラム陽性菌の感染など、微生物感染を処置するための家畜又はヒトの治療剤又は予防剤の調製において、使用することができる。特に細菌の感染は、結核、肺病、および嚢胞性線維症を含むがそれに限定されない肺疾患;淋病およびクラミジアを含むがそれに限定されない、性交渉による疾患と関係付けられる。
【0166】
本発明の組生物は、本発明の抗菌性ポリペプチドの有効量を含む。本明細書に使用される時、用語「有効量」は、本発明の抗菌性ポリペプチドの量を意味し、それが問題の微生物の増殖を阻害するに有効である量を意図している。さらに本発明は、傷を治療する組成物、又は包帯などの製造品、たとえばカテーテルなど医薬器具、さらにシャンプーなどの抗フケ・ヘアー製品に関する。本発明の抗菌性ポリペプチドの成形物が、細菌感染に罹っているか、又は感染し易い宿主に投与される。投与は、局在化して局部にまたは全身的に行われ、それは特異的な微生物に依存し、好ましくはそれを局在的に行うことである。一般的に抗菌性ポリペプチドの投与量が、少なくとも約50%、通常少なくとも1ログ(log)にて細菌集団を減少させるに十分であり、そして2以上のログ(log)で殺菌することができる。
【0167】
本発明の化合物を、微生物の集団を減少させるが、どの副作用も最低にする容量にて投与する。組生物が、in vivo使用のため生理的指針に従って、得られ、そして使用されると考えられる。本発明の抗菌性ペプチドが、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、およびクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を含むグラム陰性菌;およびストレプトコックス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)、ストレプトコッカス・ウベリス(S.uberis)、ストレプトコッカス・ヒオインテスチアリス(S.hyointestinalis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)およびストレプトコッカス・アガラクチア(S.agalactiae)などのストレプトコクシ(streotococci);スタフィロコッカス・アウレウス(Stahylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(S.epidermidis)、スタフィロコッカス・シムランス(S.simulans)、スタフィロコッカス・キシロサス(S.xylosus)およびスタフィロコッカス・カルノサス(S.carnosus)などのスタヒロコクシ(staphylococci)などを含むグラム陽性菌を殺菌するために特に有効である。
【0168】
本発明の抗菌性ポリペプチドの成形物は、肺疾患など肺への細菌感染に罹ったか、又は細菌感染に感染し易い又は傷による細菌感染などの宿主細胞に投与することができる。酵母さらに本発明の抗菌性ポリペプチドの成形物は、好ましくは、皮膚感染が、細菌による皮膚感染、たとえば、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Stahylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Stahylococcus aureus)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ピチロスポルム・オバレ(Pityrosporum ovale)、又はマラセジア・フルフル(Malassezia furfur)が原因となるニキビ、アトピー性皮膚炎又は脂漏性皮膚炎など皮膚への感染に罹ったか、又は皮膚感染に感染し易い宿主細胞に投与することができる。
【0169】
さらに本発明の抗菌性ポリペプチドが、殺菌するためのin vitroでの形成物として有効であり、一方で、従来の所定量の抗生物質を導入することを望んでいない。たとえば、本発明の抗菌性ポリペプチドが、動物および/又はヒトの食物の調製に添加することができ、あるいは組織培養における細菌の過剰増殖を防止するため、in vitro培地へ細胞の添加物として含むことができる。
【0170】
本発明の抗菌性ポリペプチドにて殺菌すべき特定細菌の感染性が、実施例の部分で詳細に記載されているように、in vitro試験により決定される。典型的に細菌の培養物を、タンパク質が作用できるために十分な時間、通常約1時間と1日との間の時間で、濃度を種々変えて抗菌性ポリペプチドと結合させた。
【0171】
興味ある細菌は、グラム陰性細菌、たとえば:シトロバクター(Citrobacter)sp.;たとえば エンテロバクター(Enterobacter) sp.;たとえばエスケリキア(Escherichia) sp.;たとえば大腸菌(E.coli);クレブシエラ(Klebsiella)sp.;モルガネラ(Morganella)sp.;プロテウス(Proteus) sp.;プロビデンシア(Providencia)sp.;サルモネラ(Salmonella)sp.たとえば S.チピイ(S.typhi)、S.チピムリウム(S.typhimurium);セラチア(Serratia) sp.;シゲラ(Shigella) sp.;シュウドモナス(Pseudomonas) sp.;たとえばシュードモナス・アエルギノサ(P.seruginosa);イエルシニア(Yersinia) sp.;たとえばイエルシニア・ペスチス(Y.pestis)、イエルシニア・シュードツベルクロシス(P.seudotuberculosis)、イエルシニア・エンテロコリチカ(Y.enterocolitica);フランシスセラ(Franciscella)sp.;パスツレラ(Pasturella)sp.;ビブリオ(Vibrio)sp.、たとえばビブリオ・コレラエリ(V.cholerae)、ビブリオ・パラヘモリチカス(V.parahemolyticus);カンピロバクタ(Campylobacter) sp.;たとえばカンピロバクタ・ジェジュニ(C.jejuni);ヘモピルス(Haemophilus) sp.;たとえばヘモフィルス・インフルエンザ(H.influenzae)、ヘモフィルス・ドクレイイ(H.ducreyi);ブロデテラ(Bordetella) sp.;たとえばブロデテラ・ペルツスシス(B.pertussis)、ブロデテラ・ブロンキセプテカ(B.bronchiseptica)、ブロデテラ・パラペルツスシス(B.parapertussis);ブルセラ(Brucella)sp.、ナイセリア(Neisseria) sp.;たとえばナイセリア・ゴノルホエアエ(N.gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギチヂス(N.meningitides)などを含むがそれに限定されない。
【0172】
他の関心のある細菌は、レジオネラ(Legionella)sp.、レジオネラ・ニウモフィラ(L.pneumophila)、リステリア(Listeria) sp.;たとえば、リステリア・モノサイトゲネス(L.monocytogemes);ミコプラズマ(Mycoplasma) sp.;たとえばミコプラズマ・ホミニス(M.hominis)、ミコプラズマ・ニウモニア(M.pneumoniae);ミコバクテリウム(Mycobacterium) sp.;たとえば、ミコバクテリウム・ツベルクロシス(M.tuberculosis)、ミコバクテリウム・レプラエ(M.leprae);トレポネマ(Treponema) sp.;たとえばトレポネマ・パリダム(pallidum);ボレリア(Borrelia) sp.;たとえばボレリア・ブルグドルフェリ(B.burgdorferi);レプトスピラエ(Leptospirae) sp.;リケツシア(Rickettsia) sp.;たとえばリケツシア・リケツシイ(R.rikettsii)、リケツシア・チピ(R.typhi);キラミダ(Chlamydia) sp.;たとえばキラミダ・トラコマチス(C.trachomatis)、キラミダ・ニウモニアエ(C.pneumoniae)、キラミダ・ピジタシ(C.psittaci);ヘリコバクター(Helicobacter) sp.;たとえばヘリコバクター・ピロリ(pylori)などを含む。
【0173】
関心のある非細菌の病原菌が、真菌および原生動物の病原菌、たとえば、プラスモジア(Plasmodia) sp.;たとえばプラスモジア・ファルシパルム(P.falciparum)、トリパノゾーマ(Trypanosoma) sp.;たとえばトリパノゾーマ・ブルセイ(T.brucei)、シストソム(shistosomes)、エンタエモエバ(Entaemoeba)sp.、クリプトコッカス(Cryptococcus)sp.、カンジタ(Candida) sp.;たとえばカンジタ・アルビカンス(C.albicans)などを含む。
【0174】
投与するための種々の方法を用いることができる。ペプチド成形物を、経口より与えることができ、又は静脈内、腹腔内に、噴霧式、オプサルミカリー(opthalmically)、膀胱内、局部的により注入することができる。たとえば、吸入物による投与法は、技術的に周知である。治療用成形物の投与量は、投与される特異的抗菌性ポリペプチド、疾患の性質、投与する頻度、投与方法、宿主の薬剤許容性などに依存することで、幅広く変化する。
【0175】
初期の投与量は多く、有効な投与水準を維持するため毎週か隔週の頻度にて、又は投与量を少量に分割して、および1日、半週に1回乃至数回の頻度で投与することができる。多くの場合、経口投与が静脈内投与より多くの投与量を必要とする。アミド結合並びにアミノおよびカルボキシ末端を修飾し、経口投与に関しより安定化させる。たとえば、カルボキシ末端をアミド化しても良い。
【0176】
成形:
本発明の化合物は、治療として投与するために種々の成形物に組み入れることができる。より具体的には、本発明の化合物が、医薬的に適切に受け入れ可能な担体、又は希釈材と組み合わせることにより、医薬組生物に成形され、そして錠剤、カプセル、粉末、顆粒物、軟膏、クリーム、フォーム(forms)、溶液、座薬、注入液、吸気、ゲル、微小球、ローション、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体又は気体の形状に調製し、成形することができる。このようにして、化合物の投与が、経口、直腸、非経口、腹腔、皮内、経皮的に、きょう膜内(intracheal)などの投与を含む、種々の方法にて行われる。本発明の抗菌性ポリペプチドは、投与後に全身作用が可能であり、又は移植部位で作用する投与量を保持するように作用する、移植物又は他の成形物を使用し局在化することができる。
【0177】
1例において、局部的に使用するための成形物を、二価の陽イオン、特にカルシウムおよびマグネシウムの有効濃度を減少させるキレート剤を含む。たとえば、クエン酸、EGTA又はEDTAなどの薬剤が含まれ、この場合クエン酸が好ましい。クエン酸の濃度が、通常約1乃至10mMで成る。本発明の化合物が、単独、互いに組み合わせて投与することができ、この化合物を、別の周知の化合物(たとえば、パーフォリン、抗炎症剤、抗生物質など)と組み合わせて使用することができる。
【0178】
医薬的な投与量の形状において、化合物を、医薬的に受け入れ可能な塩の形状にて投与することができる。以下の方法および賦形剤を、簡単に例示しているが、方法を限定するものではない。経口調製物に対し、化合物を、単独、又はラクトース、マニトール、コーン・スターチ又はポテト・スターチなどの従来の添加物のうち適切な添加物と組み合わせ;結晶セルローズ、セルローズ誘導体、アカシア、コーン・スターチ、又はゲラチンなどの結合剤;コーン・スターチ、ポテト・スターチ、又はカルボキシメチルセルロース・ナトリウムなどの崩壊剤;タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;および所望により希釈剤;緩衝剤、湿潤剤、保存剤および香味剤;と共に錠剤、粉末、顆粒、又はカプセルを生成する。
【0179】
化合物を、植物油又は他の同様のオイル、合成脂肪酸グリセライド、高級脂肪酸エステル、又はプロピレングリコールなどの水溶性溶媒又は非水溶性溶媒中で、そして所望されれば、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの従来の添加剤を伴い化合物を溶解、懸濁、又は乳化することにより、注射用調製物に成形することができる。化合物を、吸気を介し投与できるように、噴霧形状にて使用することができる。本発明の化合物を、ジクロロヂフルオロメタン、プロパン、窒素などを加圧され受け入れ可能な推進薬(propellants)に形成することができる。
【0180】
化合物を、可溶化剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの従来の添加剤を伴い成形することにより、たとえば火傷による感染を防止するためのローションとして使用することができる。さらに化合物を、乳化した塩基又は水溶性塩基などの種々の塩基と混合することにより、座薬に成形することができる。本発明の化合物は、座薬を介して直腸から投与することができる。座薬は、生体温度にて溶けるが、室温では固形化するココア・バター、カーボワックス、エチレングリコールなどの担体を含む。
【0181】
シロップ、エレキシル、および懸濁物などの経口、直腸からに投与するための投与量をユニットにした形状が、提供され、たとえば、それぞれの単位投与量、たとえば茶さじ1杯量、大サジ1杯量の錠剤又は座薬が、本発明の1又は複数の化合物を含む所定量の組成物を含む。同様に、注射又は静脈注による投与するための単位投与量の形状が、滅菌水、生理食塩水、またはその他に受け入れ可能な担体に、水溶液としての組生物中に本発明の化合物を含む。
【0182】
徐放性成形物の移植は、技術的に良く知られている。移植が、生物分解ポリマー又は生物非分解ポリマーを用い、微小球、粘着物(slabs)などとして規定されている。たとえば、乳酸および/又はグリコール酸は、宿主により十分許容される侵食可能なポリマーを形成する。本発明の抗菌性ポリペプチドを含む移植物が、感染部位に近接して配置され、したがって作用剤の局在濃度が、生体の休止に関連し増大する。明細書に用いられている用語「単位投与量の形状」は、ヒトおよび動物の対象物に対し、単位投与量として適切な物理的に分離している単位を指しており、それぞれの単位投与量は、医薬的に受け入れ可能な希釈剤、担体又は賦形剤(vehicle)と関連し、所望の効果を作り出すに十分な量で、計算された本発明の所定量の化合物を含む。
【0183】
本発明の単位剤形に対する詳細は、用いられる特定化合物、達成される効果、および宿主細胞中の化合物と関連した薬力学に依存している。賦形剤(vehicles)、アジュバント、担体又は希釈剤などの医薬的に受け入れ可能な添加剤は、公共的に容易に利用することができる。さらに、pH調節剤および緩衝剤、緊張調節剤、安定剤、加湿剤などの医薬的に受け入れ可能な補助剤が、公共的に容易に利用することができる。
【0184】
全身的に投与する典型的な投与量が、投与量に対する対象物の、重量kg当りの0.1pg乃至100mmgの範囲である。典型的な投与量が、1日に2回乃至6回服用されるもの、又は1日1回服用される時間放徐のカプセル又は錠剤による容量、および比例的に含有量が高くなる作用成分を含む容量にて可能である。時間放徐の効果が、異なるpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧によりゆっくり放徐されるカプセル、又は調節されて放徐する他の周知の手段により、得ることができる。
【0185】
投与量の程度が、特異的化合物の機能、症状の重篤度、および副作用にかかる感受性として変化し得ることが、容易に理解できるであろう。ある種の特定化合物が、他の化合物より効力がある。所定化合物として好ましい投与量は、種々の手段にて当業者により容易に決定することができる。好ましい手段は、所定化合物の生理的効力を測定することである。輸送半蔵搬送剤としてリポソームの使用が、興味ある方法の1つである。リポゾームが、標的部位の細胞と融合し、そして細胞内のルーメンの内容物(contens of the lumen)を輸送する。単離、結合剤など接触を維持する種々の手段を用い、リポソームが、細胞と融合するに十分な時間接触することで、維持される。
【0186】
本発明の1の観点において、リポゾームは、肺性投与のために噴霧化できるように設計された。リポゾームは、センダイ・ウイルス(Sendai virus)又はインフルエンザ・ウイルスなど、膜融合に介在する精製タンパク質又はペプチドで調製することができる。脂質が、ホスファチジルコリンなどの陽性脂質(cationic lipids)又は双極子イオン脂質(zwitterionic lipids)を含む周知のリポゾーム形成脂質の有効な組み合わせの何れかにて良い。残っている脂質は、通常コレステロール、ホスファチジル・セリン、ホスファチジル・グリセロールなどの中性又は酸性脂質であり得る。
【0187】
リポソームを調製するために、Katoら(1991)J.Biol.Chem.266:3361に記載された方法を使用することができる。簡潔にいえば、ペプチドを含む脂質およびル-メン(lumen)を、適当な水溶性培地に、通常は全固体が約1乃至10重量%の範囲である食塩水培地にて結合する。約5乃至60秒という短時間激しく振盪した後、管を約25乃至40℃の温湯バス中の置き、そしてこのサイクルを5乃至10回繰り返した。次に組成物を従来行われる期間、通常約1乃至10秒間超音波にかけ、さらに振盪攪拌することができる。次に容積を、水溶性培地を加えることで大きくし、通常1乃至2倍の容量の増大し、その後振盪しそして冷却する。この方法は、高分子量のル-メン(lumen)分子に組み込むことが可能である。
【0188】
別の作用剤を伴い成形物:
本方法に使用するために、本発明の抗菌性ポリペプチドが、他の医薬剤としての作用剤と、具体的には抗菌剤を伴い生成することができる。関心のある他の作用剤は、技術的に知られた多彩な抗生物質を含む。抗生物質の分類は、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、カルベニシリン、ナフシリン、アンピシリンなどのペニシリン;たとえばセファクロア(cefaclor)、セファゾリン(cefazolin)、セフロキシム(cefuroxime)、モクサラクタム(moxalactam)などのベータラクタマーゼ阻害剤としてセファロスポリン(cephalosporins)と組み合わせたペニシリン;カルバペネムス(carbapenems);モノバクタムス(monobactams)、アミノグリコシドス(aminoglycosides)、テトラサイクリン(tetracyclines);マクロリデス(macrolides);リンコマイシン(liincomycins);ポリミキシン(polymyxins);スルホンアミド(sulfonamides);キノロン(quinolones);クロラムフェニコール(cloramphenical);メトロニダゾル(metronidazole);リンコマイシン(lincomycins)、トリメトプリム(trimethoprim);バンコマイシン(vancomycin);などがあげられる。
【0189】
さらに抗カビ剤は、たとえばアンフォテリシン B(amphotericin B)、ニスタチン(nystatin)などのポリエン;5-フルコシン(5-flucosyn);およびミコナゾール(miconazol)、ケトコナゾール(ketoconazol)、イトラコナゾール(itraconazol)およびフルコナゾール(fluconazol)などのアゾレス(azoles)などを含んでおり、有効である。さらにサイトカインを、インターフェロンγ、腫瘍壊死因子α、インターロイキン12などの、本発明の抗菌性ポリペプチドの生成に誘発することができる。
【0190】
In vitroにおける合成:
本発明の抗菌性ペプチドが、技術的に知られた従来の方法を使用し、In vitroの合成により調製することができる。種々の商業的合成装置が、たとえば、Applied Biosystems Inc.Beckmanらにより自動化されている合成装置を利用することができる。合成装置を使用することにより、天然に生成するアミノ酸が、非天然のアミノ酸、具体的にはたとえば、D-アラニンおよびD-イソロイシンなどのD-異性体(又はD-型)、ジアステロイソマー、異なる長さや機能性を有する側鎖と置換することができる。具体的な配列および調製方法が、有用性のある、経済的で、要求される純度どにより決定されることになる。
【0191】
還元性アミン化などのアミド又は置換されたアミン形成に対するアミノ基、チオエーテル又はジスルフィド形成のためのチオール基、アミド形成のためのカルボキシル基など、結合するための有用な機能性を含む種々のペプチド又はタンパク質に対し化学結合が行われる。所望される場合、種々の反応基が、合成中又は発現中のペプチドに導入され、それが別の分子又は表面へ結合することができる。さらのポリペプチドが、組み換え合成の従来の方法に従い、単離および精製することができる。溶菌液を、発現した宿主細胞から調製することができ、そしてその溶菌液を、HPLC、排他クロマトグラフィ、ゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィ、又はその他の精製技術を使用して精製した。
【0192】
大部分に対し、使用される組成物が、所望される生成物の少なくとも20重量%、より一般的には少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%を含み、そして治療目的として、生成物の調製およびその精製方法に関するその汚染物質に対し通常少なくとも約99.5重量%を含む。通常パーセントは、全タンパク質を基礎としている。
【0193】
動物の飼料:
さらに本発明は、動物の飼料中に抗菌作用を有するポリペプチドを使用するための方法、および本発明の抗菌性ペプチドを含む食物組生物および食物添加物を対象とする。用語「動物」はヒトを含む全ての動物を含む。動物の例は、牛、ヒツジ、およびウマなどの非反芻動物、および反芻動物である。非反芻動物が、単一胃の動物で、たとえば、ブタ又はイノシシ(子ブタ、成長したブタ、およびメスブタを含むがそれに限定されない)、七面鳥およびトリなどの家禽類(ブロイラー・トリ、レイアーを含むがそれに限定されない)、子牛、および魚(サケを含むがそれに限定されない)を含む。
【0194】
用語「食物又は食物組成物」は、動物により摂取するに適切か、又は摂取のために意図される化合物、調製物、混合物、又は組成物のいずれかの意味である。本発明による使用において、抗菌性ポリペプチドを、食事の前後又は食事と同時に動物に食餌することができる。後者が好ましい。具体的な例において、抗菌性ポリペプチドを、食物に添加された形状、又は添加食餌中に含まれていた時の形状における抗菌性ポリペプチドが、十分に定義されている。十分に定義されているとは、抗菌性ポリペプチドの調製物が、サイズ・排除クロマトグラフィにより決定されるように、少なくとも50%の純度があるという意味である(WO 01/58275の実施例12。を参照)。他の具体的な例において、抗菌性ポリペプチドの調製物が、この方法により決定されたように、少なくとも60%,70%,80%,85%,88%,90%,92%,94%又は少なくとも95%の純度である。十分に定義されているとは、抗菌性ポリペプチドの調製物が好都合である。たとえば、他の抗菌性ペプチドからの干渉又は汚染が特にない抗菌性ペプチドを、食物対し正しく投与することが、極めて容易である。
【0195】
用語「正しい投与量」は、特に一貫し且一定の効果が得られ、そして所望する効果に基づいて投与量を最適にすることができる特定の対象物を指している。しかしながら、動物の飼料に使用するために、抗菌性ペプチドが、そうした純度にする必要がない、すなわち、他の酵素を含んでも良く、この場合抗菌性ペプチド調製物と称することができる。抗菌性ポリペプチドは、
(a) 食物に直接添加する(または栄養タンパク質の処理過程に直接添加)、又は
(b) 後に食物に添加する(又は処理過程において使用)食物添加物又は食物混合物など1又は複数の中間組生物の生成に使用、
を可能にする。上記の純度は、上記の(a)を用いても(b)を用いたとしても、元の抗菌性ポリペプチド調製物の純度を指している。
【0196】
この桁の規模にある純度を有する抗菌性ポリペプチド調製物は、特に生成物の遺伝子組み換え法を用いて得ることができ、これに対して、抗菌性ポリペプチドが、従来の発酵法にて生成した時、容易に得ることができず、バッチからバッチの変動が極めて高い。もちろん、こうした抗菌性ポリペプチドが、別の酵素と混合することができる。本明細書に使用される用語「栄養タンパク質」は、修飾されたタンパク質およびタンパク質誘導体を含む、栄養物から誘導されるか又は栄養物を起点とする少なくとも1のタンパク質を含む化合物、組生物、調製物又は混合物の何れかを指している。
【0197】
特定例において、栄養タンパク質のタンパク質含量が、少なくとも10%,20%,30%,40%,50%,又は60%(w/w)である。栄養タンパク質は、たとえばマメ類、および穀草類などの栄養タンパク質源、たとえばダイズ・ミール、ルピナス・ミール、およびナタネナ・ミールなど、ファバセアエ(Fabaceae)ファミリー(Leguminosae)、クルシフェラセアエ(Cruciferaceae)、ケノポジアセアエ(Chenopodiaceae)、およびポアセアエ(Poaceae)の植物の物質から誘導することができる。
【0198】
具体的例において、栄養タンパク質源が、ファバセアエ(Fabaceae)ファミリー(Leguminosae)、ダイズ、ルピナス、ピー又はビーンの1又は複数の植物からの物質である。
具体的例において、栄養タンパク質源が、ビート、糖ビート、ほうれん草又はキノアなどのクルシフェラセアエ(Cruciferaceae)ファミリーの1又は複数の植物からの物質である。栄養タンパク質源の別の例は、ナタネナ、およびキャベツである。ダイズが好ましい栄養資源である。栄養タンパク質源の別の例は、大麦、小麦、ライ麦、カラス麦、ロウモロコシ(cor)、稲、およびモロコシなどの穀物である。
【0199】
抗菌性ポリペプチドが、それを比較的純粋な抗菌ポリヌクレオチドとして、又は動物の飼料に添加すると考えられる他の成分を混合したいずれかの形状で、すなわち動物の飼料のための、いわゆる混合物など、動物の飼料添加物の形状で、添加することができる。さらなる観点において、本発明は、動物の飼料、および動物の飼料の添加物、たとえば前もって添加した混合物に使用するための組生物に関する。
【0200】
本発明の抗菌性ポリペプチドと別にして、本発明の動物の飼料は、少なくとも1の脂肪可溶性ビタミン、および/又は少なくとも1の水溶性ビタミン、そして/又は少なくとも1の微小鉱物、および/又は少なくとも1のマクロな鉱物を含む。さらに所望による食物添加成分は、アロマ化合物、安定剤、および/又はフィターセス(phytases)EC 3.1.3.8 又は3.1.3.26;キシラナーゼス(Xylanases) EC 3.2.1.8;ガラクタナーゼス(galactanases) EC3.2.1.89;そして/又はベータグルカナーゼス(beta-glucanases)EC3.2.1.4.から選択される少なくとも1の別の酵素を含む。
【0201】
具体的な例において、これら別の酵素が、十分に明示されている(抗菌性ポリペプチド調製物として上に明示されている)。別の抗菌性ポリペプチド(AFPs)の例は、Novispirrin (Robert Lehrer,2000) などの、CAP18、Leucoin A、Tritrpticin,Protegrin-1,Thanatin,Defensin, Ovispirin、および抗菌作用を保持する変異物およびその断片である。別の抗真菌性ポリペプチド(AFPs)の例は、アスペルギルス・ギガンテウス(Aspergillus giganteus)およびアスペルギルスニガー(Aspergillus niger)ペプチド、およびWO 94/01459およびWO 02/090384に記載されたように、抗真菌作用を保持する変異物およびその断片である。
【0202】
通常脂質可溶ビタミンおよび水溶性ビタミン、ならびに微小鉱物が、食物に添加するために意図されるいわゆる混合物の1部分を形成し、これに対しマクロな鉱物が食物に対し通常別々に添加される。本発明の抗菌性ポリペプチドにて強化された時に、組生物の種類のいずれかが、本発明の動物の飼料添加物である。具体的な例において、本発明の動物飼料の添加物を、動物の飼料又は食物において、0.01乃至10.0%;より好ましくは0.05乃至5.0%;又は0.2乃至1.0%(%は、100gの食物に対し添加物のグラム数の意味)の程度で、含まれていると考えられ(含まれる必要があるものとして規定)。
【0203】
こらは混合物に対し特定するものである。以下の項目はこれらの成分の例の非排他的リストである。脂質溶解性ビタミンの例は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、およびビタミンK、たとえばビタミンK3である。水溶性ビタミンの例は、ビタミンB12、ビオチンおよびコリン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、葉酸、およびパントテンサン塩、たとえばCa-D-パントテンサン塩である。微細鉱物の例は、マンガン、亜鉛、鉄、銅、ヨウ素、セレニウム、およびコバルトである。マクロミネラルの例は、カルシウム、燐酸、およびナトリウムである。
【0204】
これら成分の栄養要件は、これらの成分を、食餌中指示された濃度で提供すべきであることの意味である。選択肢として、本発明の動物飼料添加物が、WO 01/58275の表Aに記載された個々の成分の少なくとも1を含む。少なくとも1とは、個々の成分において、1つ、又は1、又は2、又は3、又は4、などより多く、最大13まで又は最大15までの何れかの意味である。より具体的には、この少なくとも1の個々の成分は、飼料中における濃度において、表Aのカラム4、又はカラム5、又はカラム6に指示される範囲内の量にて提供するように、本発明の添加物の中に含まれる。
【0205】
さらに本発明は、動物飼料成分に関する。動物飼料組生物又は食物が、比較的高い含量のタンパク質を有する。子ブタおよびブタの食物が、WO01/58275の表Bで、カラム2乃至3に指示されているように、特徴付けすることができる。魚の食餌が、表Bでカラム4に指示されているように、特徴付けすることができる。さらにこうした魚の食餌は、通常粗脂肪含量が200乃至310g/kgを有する。本発明による動物飼料組成物が、粗タンパク質含量を50乃至800g/kg有し、そしてさらに本明細書にクレームされているように少なくとも1の抗菌性ポリペプチドを含む。さらに、又は選択肢において(上記指示された粗タンパク質含量に対し)、本発明の動物飼料組成物が、10乃至30MJ/kgの代謝エネルギー含量;そして/又は0.1乃至200g/kgのカルシウム含量;そして/又は0.1乃至200g/kgの利用可能なリンの含有量、そして/又は0.1乃至150g/kgのメチオニン+システイン含有量;そして/又は0.5乃至50g/kgのリシンの含有量を有する。
【0206】
具体的な例において、代謝エネルギー、粗タンパク質、カルシウム、リン、メチオニン、メチオニン+システイン、および/又はリシンは、WO 01/58275(R.2-5)の表Bの範囲2,3,4又は5のいずれか1の範囲内である。粗タンパク質が、因子6,25と乗じたチッソ(N)、すなわち粗タンパク質(g/kg) = N(g/kg) x 6.25として計算される。チッソの含有量が、Kjeldahl methodにより決定される(A.O.A.C.,1984,Offical Methods of Analysis 14th ed.,Association Official Analytical Chemist,Washington DC)。
【0207】
代謝エネルギーが、NRC publication Nutrient requirements in awine,ninyh revised edition 1988,subcommittee on swine nutrition,committee on animal nutrition,board of agricuiture,national research council.National Academy Press,Washington,D.C.,pp. 2-6,and the European Table of Energy Values for Poultry Feed-stuffs,Spelderholt center for poultry research and extension,7361 DA Beekbergen,The Netherlands.Grafisch bedrijf Ponsen & looijen bv,Wageningen.ISBN 90-71463-12-5、に基づいて計算することができる。
【0208】
完全な動物飼料における食物のカルシウム、利用可能なリン、およびアミノ酸の含有量が、Veevoedertabel 1997,gegevens over chemische samenstellig,verteerbaarheid en voederwaarde van voedermiddelen,Central Veevoederbureau,Runderweg 6,8219 pk Lelystad ISBN 90-72839-13-7などの飼料表(feed table)に基づいて計算される。具体的な例として、本発明の動物飼料組生物が、上記のように少なくとも1の栄養タンパク質又はタンパク質源を含む。なをさらに具体的な例において、本発明の動物飼料組生物が、0乃至80%のトウモロコシ;そして/又は0乃至80%のモロコシ;そして/又は0乃至70%の小麦;そして/又は0乃至70%の大麦;そして/又は0乃至30%のカラス麦;そして/又は0乃至40%のダイズ;そして/又は0乃至10%の魚肉;そして/又は0乃至20%の乳漿を含む。
【0209】
動物飼料は、たとえばマッシュ飼料(非ペレット状)又はペレット状飼料にて良い。すりつぶされた飼料材料(feed-stuffs)を混合し、そして十分な量の必須ビタミンおよび鉱物を、問題の種のために明細書に従い添加する。酵素を固体又は液体の形状にて加えることができる。たとえば、固体形状の酵素が、典型的に混合工程前、又は工程中に加えられ、そして液体酵素の調製がペレット成形工程の後に加えられる。さらに酵素を、飼料添加物又は混合物中に組み込むことができる。
【0210】
最終的な飼料中の酵素濃度が、飼料kg当りの酵素タンパク質で0.01乃至200mgの範囲内であり、たとえば、動物飼料kg当りの酵素タンパク質で5乃至30mgの範囲である。抗菌性ポリペプチドを、1又は複数の以下の量(投与量の範囲):0.01-200;又は0.01-100;又は0.05-100;又は0.05-50;又は0.1-10(これらの範囲全てが、飼料kg当り抗菌性ポリペプチドタンパク質mg)、にて投与することができる。
【0211】
飼料kg当り抗菌性ポリペプチドタンパク質mgを決定するために、抗菌性ポリペプチドを飼料組成物より精製し、そして精製された抗菌性ポリペプチドの特異的作用を、関係法(under antimicrobial activity,substrates,and assaysを参照)を用いて決定する。このような飼料組成物の抗菌作用は、同様の方法を用いて決定され、そしてこれら2の決定に基づいて飼料当り抗菌性ポリペプチド・タンパク質mgの投与量が計算される。同じ原理により、飼料添加物中の抗菌性ポリペプチド・タンパク質mgの決定が適用される。もちろん試料が、飼料添加物又は飼料を調製するために使用される抗菌性ポリペプチドを利用できれば、特異的作用は、本例から決定される(飼料組生物又は添加物から抗菌性ポリペプチドを精製する必要がない)。
さらに本発明は以下の実施例により記載され、本実施例が、本発明の範囲を限定するものとして構成されたものではない。
【実施例】
【0212】
緩衝液および基質として使用した化学物質は、少なくとも試薬級の商業的製品である。
【0213】
実施例1:最少有効濃度の評価
配列番号1の変異物である3種の抗菌性ポリペプチドの抗菌作用を試験した。異なる微生物に対し最少有効濃度法(MEC、μg/mLとして表現される)を、3つのプレクタシン(plectasin)の変異物であるY40YR,N17R,およびY25Rを使用し、the book of Methods in Molecular Biology、Vol78,Antibacterial peptide protocol William M,Human Pressに記載された手順に従って行った。プレクタシン(plectasin)の変異物「Y40YR」が、プレクタシン(plectasin)アミノ酸配列の末端で、アルギニン残基を付加することで構成されている。得られた結果は、細菌であるバシラス・スブチリス(Bacillus subtilis)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)およびブドウ球菌・エピダミデス(Staphylococcus epidermidis)に対抗する野生型プレクタシン(plectasin)(配列番号1)と比較された3種の抗菌ペプチド全てに、改良された作用を示した。
【表1】

【0214】
実施例2:抗菌作用の評価
配列番号1(プレクタシン(Plectasin))の変異物である、一連の抗菌性ポリペプチドは、S.cerevisae中で発現させることにより、そしてブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus) ATCC51365に対する抗菌作用には、酵母の形質転換物の上澄みを選別することにより、抗菌作用を試験をした。
【0215】
増殖培地および溶液を、Sambrook,Fritsch and Maniatis(1989),Molecular cloning,Cold Spring Harbou,Laboratory Press,New Yorkに記載されたように調製した。放射散乱法(Radial Diffusion Assay)を、Method in Molecular Biology,vol 78,Antibacterial peptide protocol、William M.Shafer,Human Pressに記載されたように行った。200乃至300の酵母の形質転換物のコロニーを、1.5%のガラクトース、0.5%のグルコース、および1.5%のアガロースにて補給される、25mlのSC増殖培地を含む14cmの丸型プレート上に置いた。プレートを、25mlの同じ増殖培地で重層し室温にて3時間インキュベートし、そして30℃にて3日間増殖できるようにした。
【0216】
次にそのプレートを、1.5%のグルコースおよび指標菌株としてのブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus)の105の細胞を含む25mLのLB増殖培地を重層し、細菌細胞が増殖できるように、30℃にて1昼夜インキュベートした。翌日、プレートを、透明領域(clearing zones)の視覚を容易にするために、1.5mMのMTTにて着色した。透明領域(clearing zones)を形成する酵母コロニーを、2%のグルコースおよびアンピシリン(ampicillin)(100mg/L)にて補給した200μLのSC増殖培地含むマイクロタイター・プレートに移し変えた。こうした「マスター・プレート」と指定したプレートを、酵母の増殖ができるように450rpmにて攪拌して30℃にて2日間インキュベートした。
【0217】
マスター・プレートの各ウエルから10μLのSC増殖培地を、1.5%のガラクトースおよび0.5%のグルコースを伴う、200μLのSC増殖培地を含む新しいマイクロタイター・プレートに移し変えた。これらのプレートは、娘プレートと呼ばれ、そして酵母の増殖およびペプチドの合成ができるよう、450rpmにて攪拌しながら30℃にて3日間インキュベートした。最終的に放射散乱法(Radial Diffusion Assay)を、ブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus )に対する酵母の上澄み液の抗菌作用を分析および定量するため、分子生物による方法(Methods in Molecular Biolory)に記載の手順にしたがって行った。
【0218】
簡単にいうと、1%のアガロースおよび5x105のcfu/mLのブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus)を含む最少重畳培地30mLを、オムニトレイ(omnitray)プレート(Nunc,242811)に入れた。Nunc TSPプレート(#445497)を、96ウエルのパターンが形成されるよう、プレート上に直ちに挿入した。一旦培地が固形化すると、TSPプレートを移動し、さらに10μLの酵母の上澄み試料を、ホール(holes)上に付加した。プレートを37℃にて3時間インキュベートし、そして15mLのLB寒天増殖培地にて重層した。最終的にプレートを、37℃にて1昼夜、インキュベートし、そして透明領域(clearing zones)を視覚できるように1.5mMのMTTで着色した。透明領域(clearing zones)の検査および測定を、プレート上で行った。
【0219】
野生型プレクタシン(plectasin)をコードするクローンと類似した、又は増大した大きさの透明領域(clearing zones)となっている相当する酵母のクローンを、マスター・プレートから取り出し、そして2%のグルコースおよびアンピシリン(100mg/L)にて、SC増殖培地を含む寒天プレートに移した。こうしたプレートを、酵母を増殖させるためにさらに30℃にて2日間インキュベートした。
【0220】
次に、コロニーPCRを配列分析に従い行って、プレクタシン(plectasin)配列のアミノ酸の変化を同定した。プレクタシン(plectasin)作用に関連した突然変異および相当する抗菌作用を、一覧表2に示す。2の作用は、プレクタシン(plectasin)の作用に相当し、3の作用は、プレクタシン(plectasin)の作用より良好であり、1の作用はプレクタシン(plectasin)の作用より悪い。
【0221】
【表2】

【0222】
【表3】

【0223】
【表4】

【0224】
【表5】

【0225】
【表6】

【0226】
【表7】

【0227】
実施例3:改良した抗菌作用を有する抗菌性ペプチドの同定
配列番号1の変異物である一連の抗菌性ポリペプチドを、TAP方法で試験した。TAPS法の使用は、標的細胞を殺生するか又は増殖を阻害できるペプチドをコードする新規又は改良した遺伝子を同定することができる(PCT出願 WO 2004/033715を参照)。Tans Acting Peptide Systemの頭文字であるTAPS法は、指示菌株に対しその作用をトランス(trans)にスクリーニングすることに基づいている。この方式の利点は、抗菌ペプチドを、グラム陰性菌の大腸菌中で発現させ、そしてその抗菌作用を、グラム陰性菌、グラム陽性菌、又は真菌類(fungi)を含む異なる菌類上にて、モニターすることに基づいている。さらにTAPSが、宿主細胞中でジスルフィド結合を含む正しく折りたたまれたAMPsを生成し、これにより抗菌作用を保持する確率を提示する。
【0228】
第一にTAP手法は、第一にペプチドの発現が、しっかりした調節に伴い誘発可能なプロモータを制御下にある必要があり、その理由は宿主細胞が、それを生成する時にペプチドに感受性であるという理由である。第二に生成されたペプチドを、標的細菌と相互作用ができるように、培地に放出する必要がある。
【0229】
TAPSスクリーニング法が、固体培地か液体培地中のいずれかにて行うことができる。固体培地の場合、最初プラスミド・ライブラリーが、大腸菌宿主細胞中に導入される。形質転換物は、LB培地上に置かれた酢酸セルロース・フイルターの表面上にて培養されることが重要であり、そのLB培地が、誘発剤(アラビノース)がないと抗菌ペプチドの発現を回避し、従って増殖を阻害できないような培地である。
【0230】
次の段階において、コロニーを含むフイルターを、ペプチド合成ができるような、誘発剤(0.1%のアラビノース)を含むLB増殖培地に移す。次に標的菌株、例えばブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus)を、プレート上に重層し、そして37℃にて12乃至16時間増殖することができる。最後に標的細胞の増殖を減少し得る宿主細胞の視覚検査を行い、そして抗菌ペプチドをコードするヌクレオチド配列を、宿主細胞から回収する。ペプチドの特性を明きらかにするために、変異物のDNA配列の分析値が得られた。
【0231】
さらに上記のようなTAPSスクリーニングを、液体培地を使用し行うことができる。この方法は、多数のコロニーを分析するため、ロボットを使用する必要がある。この方式にて宿主大腸菌オリガミ細胞(host E.coli origami cells)を、プラスミド・ライブラリーと共に形質転換し、そしてLB培地+0.2%のグルコース+アンピシリン(200mg/L)上にプレート・アウトした。次に独立したコロニーを、200μLのTB培地+アンピシリン(200mg/L)を含む96又は384のウエル・プレートでインキュベートし、そして37℃で1昼夜培養した。これらの培養物を、自動的(robotically)に複製し、そして誘発剤(0.1%のアラビノース)が、ペプチド合成の引き金になるよう添加されるまで、これらの培養物を、自動的(robotically)に複製し、そして指数的段階に増殖した。つぎの工程は、ペプチドが、熱酸の加水分解により培地に放出されるように、細胞を加水分解することから成る。この処理は、1Mの燐酸ナトリウム緩衝液pH2.3を加えて約2.3の最終pHを得て、そして80℃にて1昼夜培養物をインキュベートすることから成る。
【0232】
翌日、所望の標的生体対し作用試験を行うために、加水分解した培養物の等分量25μLを使用する。行われた作用試験は放射散乱法(RDA)であり、ここで加水分解した等分量の培養物を、標的菌株のブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus)RDAsにて接種されたアガロース培地へ添加し、この標的菌株が、抗菌作用を示すクローンに相当する透明領域を含むスクリーニング・プレートから得られ、そしてそれが容易に同定された。透明領域の直径の測定が、ペプチドの抗菌作用の効能を定量するために行われた。
【0233】
試験されたプレクタシン(plectasin)の変異物で、TAPS法を用い測定された抗菌作用(ブドウ球菌・カモサス(Staphylococcus camosus))を、一覧表3に示す。抗菌作用が透明領域の大きさに相当し、そして野生型の作用が1に相当し、4が1より良好であるように、4 > 3 > 2 >1として分類されている。
【0234】
【表8】

【0235】
実施例4:抗菌作用の評価
TAP方法において、および/又は酵母菌方式において改良された作用を示した、プレクタシン(plectasin)の野生型(配列番号1)およびプレクタシン(plectasin)の5種の変異物が、発現および精製された。最少阻害濃度(Minimal Inhibitory Concentration(MIC,μg/mL)を、NCCLSの指針(Clinical and Laboratory Standards Institute;Formerly known as National Committee for Clinical and Laboratory Standards)に従って抗菌作用に対する試験を決定した。その結果を、ブドウ球菌アウレウス(Stapylococcus aureus)、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)およびバシラス・スブチリス(Bacillus subtilis)に対し野生型プレクタシン(plectasin)と比較すると、プレクタシン(plectasin)変異物全てが、作用を改良したことを示した。
【0236】
【表9】

【0237】
実施例5:抗菌作用の評価
プレクタシン(plectasin)の野生型(配列番号1)およびプレクタシン(plectasin)のいく種類かの変異物を発現させ、そして精製した。最少阻害濃度(Minimal Inhibitory Concentration(MIC)を、CLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute;Formerly known as National Committee for Clinical and Laboratory Standards)からNCCLSの指針に従って抗菌作用に対する試験を決定した。
【0238】
ペプチドを以下の菌株対して試験した:
A: スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 29213
B: スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 25923
C: スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 29737
D: スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、MRSA ST5(2001)、multi-resistant clinical human isolate from Statens Serum Institut,Denmark;
E: スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、MRSA ST80(2003)、multi-resistant clinical human isolate from Statens Serum Institut,Denmark;
【0239】
全てのMIC値は、2の独立した実験の平均値を表し、そして一覧表5における全ての結果は、野生型プレクタシン(Plectasin))に関係して発現された。
0:>100%のプレクタシン(Plectasin))野生型MIC;
1:80-100%のプレクタシン(Plectasin))野生型MIC;
2 : 50-80%のプレクタシン(Plectasin))野生型MIC;
3 : < 50%のプレクタシン(Plectasin))野生型MIC;
【0240】
【表10】

【0241】
【表11】

【0242】
実施例6:抗菌作用の評価
本発明の多数の抗菌ペプチドを、以下に記載されたスタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)の異なる6種の菌株に対し試験した。
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 29213、MSSA、NCCLS標準菌株
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 25923、MSSA、NCCLS標準菌株
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、ATCC 29737、MSSA;
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、E33235、MSSA;
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、698-01、MRSA ST5, Str, Kan,Oxa;
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、566-03、MRSA ST80、Oxa,Tet,Fus,Kan;
【0243】
スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、E33235、スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、698-01、およびスタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus)、566-03は、Statens Serum Institut,Denmarkから入手することができる。スタヒロコッカス(Staphylococcus)を、以下のペプチド濃度:(32;16;8;4;2;1;0.5;0.25;0.13;0.6;および0.03μg/mL)
にて暴露した。すべてのペプチドを精製し、HPLCにて定量化し、そして濃縮されたペプチド(>160μg/mL)を、ペプチド希釈緩衝液(0.1%BSA,0.01%の酢酸)中で160μg/mLに希釈した。
【0244】
特にMICの決定を、caMHBを使用してNCCLS/CLSIの指針により記載されたように行った。MICsが、37℃のインキュベーションで、18乃至24時間後に読み込まれ、そして以下の一覧表においてCFUと共に記録された。本発明の総数95の抗菌性ペプチドを、上記6種の細菌株対し2重に評価した。大部分の2重決定(93%)で、MICの変化が2倍より低かった。平均MICは、下記のように要約される。MICが、32μg/mlより多い場合、64の値が用いられ平均値を計算した。
【0245】
【表12】

【0246】
【表13】

【0247】
【表14】

【0248】
【表15】

【0249】
実施例7:デフェンシン(defensin)を同定するためにPFAMデータベースからHMMファイルを使用
隠れマルコフモデル・プロファイル(HMMプロファイル)を使用する配列の分析は、自由に入手可能で、良く知られたソフトウエア・パッケイジであるHMMERを使用し、インターネットにおけるオンラインか又は、構内コンピュターのいずれかで行うことができる。最新版は、2003年10月よりのHMMER2.3.2である。
【0250】
HMMプロファイルは、周知のPFAMデータベースから得ることができる。最新版は2004年11月からのPFAM16.0である。HMMERとPFAMの両方は、たとえばWashington University in St.Louis(USA),School of Medicine (http://pfan.wustl.edu and http://hmmer.wustl.edu)から、全てのコンピュター・プラットフォームに対し利用することができる。
【0251】
問い合わせアミノ酸配列又はその断片を、以下のPFAMファミリー:
[・デフェンシン(defensin)・ベータ又は「ベータ・デフェンシン(defensin)」アクセス番号:PF00711;
・デフェンシン(defensin)・propep「デフェンシン(defensin)・プロペプチド」アクセス番号:PF00879;
・デフェンシン(defensin)・1又は「哺乳動物のデフェンシン(defensin)」アクセス番号:PF00323;
・デフェンシン(defensin)・2又は「節足動物のデフェンシン(defensin)」アクセス番号:PF01097
・ ガンマー・チオニン又は「ガンマー・チオニン・ファミリー」アクセス番号:PF00304.]
の1に属する場合、アミノ酸配列は、本発明によるデフェンシン(defensin)である。
【0252】
PFAMデータベースを、オンラインで使用した時、又はhmmpfamプログラム(HMMERソフトウエア・パッケージ)を、端末で使用した時、0.1より大きなE値、およびゼロ以上の得点を生成したなら、アミノ酸配列が、本発明によりPFAMファミリーに属する。
配列の分析が、端末でhmmpfamプログラムを使用し実施された時、PFAMデータ・ベースからHMMプロファイルを得ること(ダウンロード)が必要である。2のプロファイルは、それぞれのファミリーに対し存在する;xxxが総合検索に対し.hmmであり、そして局所検索に対しxxx fs.(「xxx」はファミリーの名称)である。それは、上記5つのファミリー対して総計10個のプロファイルを作成する。
【0253】
これら10個のプロファイルを、たとえば、デフェンシン(defensin).hmmと名称を付けることのできる単一プロファイル(テキスト・エデターを使用して、プロファイルはASCIIファイルである)を、個別に又は連結(追加結合(appended))して使用することができる。次に問い合わせアミノ酸配列を、以下のコマンド・ライン(command line):hmmpfam-E0.1 defensin.hmm sequence fileを用いることで評価することができ、ここで「配列 ファイル」は、HMMERソフトウエア・パッケージにより認識される何れかのフーマットにおいて、問い合わせアミノ酸配列を伴うファイルである。
【0254】
もし得点がゼロ(0.0)以上で、E値が0.1より大きい場合、問い合わせアミノ酸が、本発明によるデフェンシン(defensin)である。さらにPFAMデータ・ベースが、Batemanら(2004)「The Pfam Protein Families Database」、Nucleic Acids Research、Vol.32(database Issue)PP.D138-D141に記載されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2の1から40のアミノ酸:
G-X1-G-C-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-C-H-X12-X13-C-X14-X15-X16-X17-X18-X19-X20-G-G-X21-C- X22-X23-X24-X25-X26-X27-C-X28-C-X29;
と少なくとも80%の同一性を有し、
ここで、
[ X1 = F,L,W又はI;好ましくはX1= F ;
X2 = N,R,Q,V,G,S,A,K,L,M,D,H又はY ;好ましくはX2 = N,R,Q,V,G,S,A,K 又はY ;,
X3 = G,R,A又はK ; 好ましくは X3 = G ;
X4 = P,A,L,V,K又はR ; 好ましくは X4 = P,K又はR ;
X5 = W又はR ;
X6 = D,A,G,K,L,T,N,F,H,M,P,Q,S,C,I,R,V又はY ;好ましくは X6 = D,A,G,K,L,T,N,F, H,M,P,Q,S,V又はY ;
X7 = E,G,A,L,C,Q又はS ; 好ましくは X7 = E,G又はS ;
X8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L,P,S,T,W,I,M,A,C又はR ;好ましくはX8 = D,F,G,N,V,Y,H,K,L, P,S,T,W,I,M又はR ;
X9 = D又はP ; 好ましくは X9 = D ;
X10 = M,R,S,V,A,F,G,L,T,Y,W,E又はK ;好ましくは X10 = M,R,S,V,G,Y,L,F,T,W又はK ;
X11 = Q,R,L,F,G,H,S,A,C,I,K,M,P,T,V,W又はY ;好ましくはX11 = Q,R,L,F,G,H,S,K又はY ;
X12 = N,R,I,Y,V,K,T,Q,S,A,W,E又はH ;
X13 = H,A,F,Q,T,V又はL ;好ましくはX13 = H又はL ;
X14 = K,Q又はR ;好ましくはX14 = K又はR ;
X15 = S,A,V,N又はF ;
X16 = I,L,M,T,W又はV ;好ましくはX16 = I,L又はV ;
X17 = K,T又はR ;
X18 = G,H,K,A,P,F,I,Q,R,S,T,Y又はN ;好ましくはX18 = G,H,R,K又はN ;
X19 = Y,H,K,L,M,N,Q,S,V又はR ;好ましくはX19 = Y又はR ;
X20 = K,F,H,T,C又はR ;好ましくはX20 = K又はR ;
X21 = Y,F,R,A,H,L,M,S又はW ;好ましくはX21 = Y,F,R又はW ;
X22 = A,K,N,Q,T,E,H,I,R,S,V,G又はY ;好ましくはX22 = A,K,N,Q,T,S又はY ;
X23 = K,R又はT ;好ましくはX23 = K又はR ;
X24 = G,K,Q,E,N,S,T,A又はR ;好ましくはX24 = G,K,Q,A又はR ;
X25 = G,K,H,W又はR ;好ましくはX25 = G,K又はR ;
X26 = F,A,H,I,M,V,W,R又はL ;好ましくはX26 = F又はL ;
X27 = V,L,M,I,K,Q,R又はT ;好ましくはX27 = V,L,M又はT ;
X28 = K,H,N又はR ;好ましくはV28 = K又はR ;
X29 = Y,I,YRCG又はYR ;好ましくはX29 = Y又はYR ]、
であり、そして配列番号1の1から40のアミノ酸とほぼ100%の同一性を有する、
アミノ酸配列を含む抗菌作用を有するポリペプチド。
【請求項2】
アミノ酸配列が、配列番号2の1から40のアミノ酸と少なくとも85%の同一性、好ましくは少なくとも90%の同一性、又は配列番号2の1から40のアミノ酸と少なくとも95%の同一性を有する請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
配列番号2のアミノ酸配列を含む請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
配列番号3から配列番号225の何れか、若しくは配列番号226から配列番号251の何れか、又は配列番号252から配列番号274の何れかのアミノ酸配列を含む、請求項1乃至3の何れか1項記載のポリペプチド。
【請求項5】
抗菌作用を有しそして6個のシステイン残基を含む、配列番号2のアミノ酸配列、又はその断片から成る、請求項1乃至3の何れか1項記載のポリペプチド。
【請求項6】
抗菌作用を有しそして6個のシステイン残基を含む、配列番号3から配列番号225の何れか、若しくは配列番号226から配列番号251の何れか、又は配列番号252から配列番号274の何れかのアミノ酸配列、又はその断片から成る請求項5記載のポリペプチド。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項8】
発現する宿主細胞中でポリペプチドの産生を指令する1又は複数のコントロール配列に、作用可能に結合した請求項7記載のポリヌクレオチドを含む核酸構成物。
【請求項9】
請求項8記載の核酸構成物を含む組み換え発現ベクター。
【請求項10】
請求項8記載の核酸構成物を含む組み換え宿主細胞。
【請求項11】
(a)ポリペプチドを産生するための実施条件下で、請求項10記載の組み換え宿主細胞を培養し、そして(b) ポリペプチドを回収することを含む、請求項1乃至6記載のいずれか1項記載のポリペプチドの生成方法。
【請求項12】
請求項1乃至6のいずれか1項記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換された遺伝子導入の植物、その植物の部分、又はその植物の細胞。
【請求項13】
請求項1乃至6のいずれか1項記載にて明示された抗菌性ポリペプチドを含む組成物。
【請求項14】
請求項1乃至6のいずれかで明示された抗菌性ポリペプチドと菌細胞とを接触させることを含む、菌細胞の殺生又はその増殖の阻害方法。
【請求項15】
家畜又はヒトの治療の薬剤若しくは抗菌剤、又は予防剤として使用する、請求項1乃至6の何れかで明示された抗菌性ポリペプチド。
【請求項16】
細菌感染の治療又は予防として使用する、家畜又はヒトの治療剤を調製する請求項1乃至6の何れかに明示された抗菌性ポリペプチドの使用。
【請求項17】
動物の食餌に請求項1乃至6の何れかに明示された少なくとも1の抗菌性ポリペプチドの使用。

【公表番号】特表2008−545425(P2008−545425A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514121(P2008−514121)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062884
【国際公開番号】WO2006/131504
【国際公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】