説明

抗菌剤としてのキブデロスポランギウム(KIBDELOSPORANGIUM)由来抽出物

本発明は、ヒトおよび動物の細菌感染および関連する疾患および状態の治療および/または予防に有用な式(I)および式(II)の新規化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩;このような化合物を含有する組成物;発酵および単離、部分合成ならびに全合成によるこのような化合物の誘導;細菌増殖の阻害法;細菌感染の治療法、予防法または制御法;このような化合物が生成し得る細菌株の生物学的に純粋な培養物;ならびにこのような化合物を含有する組成物の調製法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物およびそれらの薬学的に許容される塩;このような化合物を含有する組成物;発酵および単離、部分合成および全合成によるこのような化合物の誘導;細菌増殖の阻害法;細菌感染の治療法、予防法または制御法;このような化合物が生成し得る細菌株の生物学的に純粋な培養物;ならびにこのような化合物を含有する組成物の調製法に関する。本開示の新規化合物、それらの薬学的に許容される塩、およびこのような化合物と薬学的に許容される塩とを含む組成物は、細菌感染ならびに関連する疾患および状態の治療および/または予防に有用である。
【背景技術】
【0002】
細菌病原体の多くが様々な汎用抗生物質に耐性となったため、細菌に起因する感染への医学的関心が高まっている。このような微生物は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリティクス(Staphylococcus hemolyticus)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、シュードモナス・エルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクテル・カルコアセチクス(Acinetobacter calcoaceticus)、エスチェリキア・コライ(Escherichia coli)、ステノトロフォモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)および他の病原細菌を含む。F.D.Lowy,Antimicrobial resistance:the example of Staphylococcus aureus,111(9)J.CLINICAL INVESTIGATION1265(2003);George Talbot et al.,Bad Bugs Need Drugs:An Update on the Development Pipeline from the Antimicrobial Availability Task Force of the Infectious Disease Society of America,42 CLINICAL INFECTIOUS DISEASES 657(2006);Brad Spellberg et al.,The Epidemic of Antibiotic−Resistant Infections:A Call to Action for the Medical Community from the Infectious Disease Society of America,46 CLINICAL INFECTIOUS DISEASES 155(2007)を参照のこと。このような多剤耐性生物に対して有効な新規抗菌化合物の必要性、および本分野への懸命な取り組みにもかかわらず、FDAに承認された新規な抗生物質化合物はほとんどない。
【0003】
従って、既知の抗生物質に耐性のある細菌を含む細菌の増殖を阻害する強力な抗生物質剤が依然必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】F.D.Lowy,Antimicrobial resistance:the example of Staphylococcus aureus,111(9)J.CLINICAL INVESTIGATION1265(2003)
【非特許文献2】George Talbot et al.,Bad Bugs Need Drugs:An Update on the Development Pipeline from the Antimicrobial Availability Task Force of the Infectious Disease Society of America,42 CLINICAL INFECTIOUS DISEASES 657(2006)
【非特許文献3】Brad Spellberg et al.,The Epidemic of Antibiotic−Resistant Infections:A Call to Action for the Medical Community from the Infectious Disease Society of America,46 CLINICAL INFECTIOUS DISEASES 155(2007)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式Iおよび式IIの化合物:
【0006】
【化1】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される化合物に関し、式中:
およびRは水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;
は水素およびC−Cアルキル基から成る群から選択される。
【0007】
これらの化合物は、広範囲の活性をもつ強力な抗生物質剤であり、ヒトおよび動物の細菌感染に関連する病原体に対して使用できる。
【0008】
本発明のさらなる態様は、本発明の化合物の混合物を含む組成物ならびに本発明の化合物を含む医薬組成物および製剤に関する。さらに、本発明の態様は、本発明の化合物の調製法、細菌増殖の阻害法、本発明の化合物を用いたヒトおよび動物の細菌感染の治療法および予防法、ならびに本発明の化合物を用いたヒトおよび動物の細菌感染の制御法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は化合物Aの13C NMRスペクトルである。
【図2】図2は化合物AのH NMRスペクトルである。
【図3】図3は化合物BのH NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一実施形態は、式I:
【0011】
【化2】

の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される精製化合物に関し、式中:RおよびRは水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;Rは水素およびC−Cアルキルから成る群から選択される。該実施形態のあらゆる態様において、全ての他の変形は一般式で上述される通りである。
【0012】
本発明の第二実施形態は、式II:
【0013】
【化3】

の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩から選択される精製化合物に関し、式中:RおよびRは水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;Rは水素およびC−Cアルキルから成る群から選択される。該実施形態のあらゆる態様において、全ての他の変形は一般式で上述される通りである。
【0014】
本発明の第三実施形態において、Rは水素および塩素から成る群から選択される。該実施形態のあらゆる態様において、全ての他の変形は一般式または第一および第二の1以上の実施形態で上述される通りである。
【0015】
本発明の第四実施形態において、Rは水素および塩素から成る群から選択される。この実施形態のあらゆる態様において、全ての他の変形は一般式または第一から第三の1以上の実施形態で上述される通りである。
【0016】
本発明の第五実施形態において、Rは水素、メチルおよびエチルから成る群から選択される。この実施形態の特定態様において、Rは水素およびメチルから成る群から選択される。この実施形態のあらゆる態様において、全ての他の変形は一般式または第一から第四の1以上の実施形態で上述される通りである。
【0017】
本発明の第六実施形態において、精製化合物は、
【0018】
【化4】


ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。
【0019】
本発明の第六実施形態の第一態様において、精製化合物は、
【0020】
【化5】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。この第一態様の第一例において、精製化合物は、
【0021】
【化6】

およびそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。この第一態様の第二例において、精製化合物は、
【0022】
【化7】

およびそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。
【0023】
本発明の第六実施形態の第二態様において、精製化合物は、
【0024】
【化8】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。この第二態様の第一例において、精製化合物は、
【0025】
【化9】

およびそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。この第二態様の第二例において、精製化合物は、
【0026】
【化10】

およびそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される。
【0027】
本発明の第七実施形態は、一般式または第一から第六の1以上の実施形態で上述した1以上の化合物を含む精製または部分精製の細菌抽出物を対象とする。
【0028】
本発明の他の実施形態は、下記を含む:
(a)一般式または第一から第六の1以上の実施形態で上述した1以上の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
(b)細菌増殖の阻害法であって、一般式または第一から第六の1以上の実施形態で上述した1以上の有効量の化合物を用いて治療する工程を含む方法。
(c)哺乳類被験体における細菌感染の治療法および予防法であって、一般式または第一から第六の1以上の実施形態で上述した1以上の治療有効量の化合物を該被験体に投与する工程を含む方法。
(d)上記(c)の方法であって、該細菌感染が、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ヘモフィルス・インフルエンザ、またはスタフィロコッカス・ヘモリティクス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、シュードモナス・エルギノサ、アシネトバクテル・カルコアセチクス、ステノトロフォモナス・マルトフィリア、もしくはクロストリジウム・ディフィシルを含む他の細菌により引き起こされる方法。
(e)哺乳類被験体における細菌感染の制御法であって、一般式または第一から第六の1以上の実施形態で上述した1以上の治療有効量の化合物を該被験体に投与する工程を含む方法。
(f)上記(e)の方法であって、該細菌感染が、バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・フェシウム、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエ、ヘモフィルス・インフルエンザ、またはスタフィロコッカス・ヘモリティクス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、シュードモナス・エルギノサ、アシネトバクテル・カルコアセチクス、ステノトロフォモナス・マルトフィリアもしくはクロストリジウム・ディフィシルを含む他の細菌により引き起こされる方法。
(g)ATCC特許寄託番号PTA−10354としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたシュードノカルディアシエ(Pseudonocardiaceae)科キブデロスポランギウム(Kibdelosporangium)属種(MA7385)の細菌株の生物学的に純粋な培養物、またはそれらに由来する生物学的に純粋な培養物。
(h)第六実施形態で上述した組成物を調製するプロセスであって、ATCC特許寄託番号PTA−10354としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたシュードノカルディアシエ科キブデロスポランギウム属種(MA7385)の細菌株の培養物またはそれらに由来する生物学的に純粋な培養物を培養および発酵する工程を含むプロセス。
【0029】
本発明は、(a)細菌増殖の阻害、または(b)細菌による感染の予防もしくは治療に、(i)使用するため、(ii)薬剤として使用するため、または(iii)薬剤の調製で使用するための本発明の化合物も含む。これらの使用において、本発明の化合物は、β−ラクタム類、キノロン類、オキサゾリジノン類、バンコマイシン、サルファ剤およびダプトマイシンなどの臨床上有用な剤から選択される少なくとも1つの独立的に選択される追加治療剤と組み合わせて使用してもよい。
【0030】
本発明のさらなる実施形態は、上記(a)から(h)に記載の医薬組成物、組み合わせ、および方法、ならびに前段落に記載の使用を含み、そこで使用される本発明の化合物は、上記化合物の実施形態、態様、種類、下位種類、または特徴の1つの化合物である。これらの実施形態の全てにおいて、化合物は、必要に応じて、薬学的に許容される塩の形態で使用されてもよい。
【0031】
上記で提供される実施形態において、式Iおよび式IIの化合物は、遊離塩基、遊離酸、薬学的に許容される塩、式Iおよび式IIの化合物の水和物または溶媒和物が安定化合物を提供し且つ実施形態の記載と一致する範囲で、該遊離塩基、遊離酸もしくは薬学的に許容される塩の形態で、または該水和物もしくは溶媒和物として提供されてもよいと解釈されるべきである。
【0032】
従って、本明細書の「式Iの化合物」および/または「式IIの化合物」についてのいかなる言及も、遊離塩基形態または遊離酸形態、ならびに任意の薬学的に許容される塩、水和物または溶媒和物が安定な化合物を表し且つ実施形態の記載と一致するという条件で、これらの形態についての言及も含む。それぞれの実施形態は、具体的に記載または列挙されていなくとも、1以上の他の実施形態との組み合わせが安定な化合物を提供し且つ実施形態の記載と一致する範囲で、該実施形態と組み合わせてよいとも解釈されるべきである。「安定な」化合物とは、その構造および性質が残存したまま調製および単離できる化合物、または本明細書に記載の目的で(例えば、被験体への治療投与または予防投与)化合物を使用できる十分な期間本質的に不変のままでいられる化合物である。
【0033】
さらに、上記(a)から(h)として提供される組成物および方法の実施形態は、実施形態の組み合わせによる結果としての実施形態を含む、化合物のあらゆる実施形態を含むと解釈されるべきである。
【0034】
本明細書で用いられるように、他に指摘がない限り、下記の用語は表示の意味を有する。
【0035】
本明細書で用いられるように、必ずしも明確に記載される必要なしに、全ての範囲は包括的であり、全ての下位範囲はこのような範囲内に含まれる。その上、本明細書で用いられるように、「または」という用語は、適切な場合には組み合わせてもよい選択肢を意味し、即ち、「または」という用語は、列挙される各選択肢を個別でも組み合わせでも含む。
【0036】
本明細書で用いられるように、「アルキル」という用語は、指定範囲で幾つかの炭素原子を有する任意の直鎖または分枝鎖のアルキル基を指す。従って、例えば、「C1−6アルキル」(または「C−Cアルキル」)とは、ヘキシルアルキルおよびペンチルアルキルのあらゆる異性体ならびにn−、イソ−、sec−およびtert−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルおよびメチルを指す。他の例として、「C1−4アルキル」とは、n−、イソ−、sec−およびtert−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルおよびメチルを指す。
【0037】
「ハロゲン」、「ハロゲン原子」および「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す(あるいはフルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードと呼ばれる)。
【0038】
置換基および置換様式の選択の結果として、本発明のある化合物は、不斉中心を有し、立体異性体の混合物として、または個々のジアステレオマーとして、またはエナンチオマーとして存在し得る。特許請求される化合物の全ての異性体形態は、単離または混合にかかわらず、本発明の範囲内である。
【0039】
式Iおよび式IIの化合物において、原子はその天然同位体存在度を示してもよく、または、同一の原子番号を有するが天然で主に見出される原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する特定の同位体が1以上の原子に人為的に濃縮されていてもよい。本発明は一般式Iおよび一般式IIの化合物のあらゆる適切な同位体変型を含むことを意味する。例えば、水素(H)の異なる同位体型はプロチウム(H)および重水素(H)を含む。プロチウムは天然で見出される主な水素同位体である。重水素の濃縮は、インビボ半減期の増加もしくは必要用量の減少など、特定の治療上の利点を提供し、または生体試料の特性化用の基準として有用な化合物を提供し得る。一般式Iおよび一般式IIにおける同位体濃縮化合物は、過度の実験を行うことなく、当業者に周知の従来技術により、または適切な同位体濃縮試薬および/または中間体を用いて本明細書の実施例に記載するプロセスと類似のプロセスにより、調製できる。
【0040】
当業者に認識されているように、本発明のある化合物は互変異性体として存在し得る。本発明の目的上、式Iおよび式IIの化合物についての言及は、該化合物それ自体、またはその互変異性体それ自体のいずれか1つ、または2以上の互変異性体の混合物についての言及である。
【0041】
本明細書で用いられるように、「組成物」という用語は、指定成分を含む製品、ならびに指定成分の組み合わせに直接的または間接的に起因する任意の製品を包含することを意図する。
【0042】
本発明の化合物は、以下に記載するように、生体試料から得られてもよく、生体試料から得られる化合物の化学修飾により生成されてもよく、または化学合成されてもよい。本発明の化合物は、天然に存在する化合物および化合物の混合物として提供されてもよく、または「精製」化合物を生成するために単離および精製されてもよい。本発明の化合物は、天然に存在する化合物および化合物の混合物を含有する組成物として提供されてもよく、または「精製」組成物を生成するために単離および精製されてもよい。
【0043】
本明細書で用いられるように、「精製」という用語は、最初または天然の状態で式Iおよび式IIの所望化合物に通常付随する1以上の成分を欠く環境の化合物または組成物を指す。「精製」についての言及は化合物の環境を指し、必ずしも精製を要しない。精製化合物または精製組成物は、例えば産生株からの単離により、合成手段により、精製段階により、または手段の組み合わせにより生成できる。例えば、式Iおよび式IIの化合物の混合物を含む組成物は、特許請求された混合物以外の任意の発酵成分を実質的に欠く形態で提供される場合には、「精製」組成物と呼ばれ得る。同様に、細菌株の生物学的に純粋な試料から単離される組成物は、1以上の成分が単離プロセスまたは精製プロセスにより除去される場合には、「精製」組成物であり得る。実施形態において、「精製」とは、存在する総質量に対して、所望する化合物または組成物の質量の百分率として定義される、50%〜99%の純度を有する化合物または組成物を指し得る。特定の実施形態において、化合物または組成物は、50%の純度、60%の純度、75%の純度、90%の純度、95%の純度、98%の純度または99%の純度を有し得る。
【0044】
本明細書で用いられるように、細菌株の「生物学的に純粋な試料」という用語は、天然で見出されない形態で提供される対象の細菌株試料を指し、即ち、細菌株の生物学的に純粋な試料は対象の細菌株を含有するが、細菌株、細菌物質および/または他の生体物質を実質的に欠く。
【0045】
本明細書で用いられる「被験体」(あるいは本明細書で「患者」と呼ばれる)という用語は、動物、好ましくは治療、観察または実験の対象であった哺乳類を指す。本明細書で用いられる「哺乳類」という用語は、最も好ましくはヒト、ならびにネコ、イヌ、家畜類などの家畜動物を含む温血動物を含むことを意図する。
【0046】
式Iおよび式IIの化合物ならびにそれらの薬学的に許容される塩は、本明細書で「活性成分」とも呼ばれ、従来の医薬配合技術に従って、薬学的に許容される担体を用いて組成物または製剤に調合される場合に最も効果的に利用される。「組成物」という用語は、「医薬組成物」と同様に、担体を構成する1以上の活性成分および不活性成分を含む製品を包含することを意図する。「組成物」という用語は、任意の2以上の活性成分および/または不活性成分の組み合わせ、錯体形成、凝集または他の相互作用に直接的または間接的に起因する任意の製品;1以上の活性成分および/または不活性成分の解離に直接的または間接的に起因する任意の製品;ならびに1以上の活性成分および/または不活性成分の反応の任意の他の型に起因する任意の製品を包含することも意図する。
【0047】
医薬組成物は、少なくとも活性成分の治療上有効な抗生物質量を含有する。本明細書で用いられる「治療有効量」とは、所望する治療効果を生じるのに十分な活性成分の量を指す。例えば、化合物の治療上有効な抗生物質量とは、抗生物質活性を立証しならびに/または1以上の細菌株の増殖を阻害するのに十分な量である。医薬組成物における活性成分の治療上有効な抗生物質量は、患者の体重1kg当たり約10mgの活性成分から患者の体重1kg当たり約1000mgの活性成分までの範囲で提供されてもよい。
【0048】
「薬学的に許容される」とは、医薬組成物の成分が互いに適合性でなければならないこと、およびその服用者に有害でないことを意味する。
【0049】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与されてもよい。「薬学的に許容される塩」という用語は、親化合物の有効性を所有する塩、および生物学的にまたは他に有害ではない塩(例えば、その服用者に毒性でもなく、さもなければ有害でもない)を指す。式Iおよび式IIの化合物の適切な薬学的に許容される塩は、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩およびカリウム塩)などの無機塩基塩、アンモニウム塩、および有機塩基塩を含む。適切な有機塩基塩は、アミン塩、例えばテトラ−アルキル−アンモニウム塩(例えば、テトラブチルアンモニウムおよびトリメチルセチルアンモニウム)、トリアルキルアミン塩(例えば、トリエチルアミン)、ジアルキルアミン塩(ジシクロヘキシルアミン)、置換されていてもよいベンジルアミン(例えば、フェニルベンジルアミンおよびパラ−ブロモベンジルアミン)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルグルコサミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、置換ピリジン(例えば、コリジン、ルチジンおよび4−ジメチルアミノピリジン)、ならびにトリ(ヒドロキシメチル)メチルアミン塩;ならびにアミノ酸塩(例えば、リシンまたはアルギニン塩)を含む。
【0050】
本発明の化合物に関して「投与」という用語およびその変形(例えば、化合物を「投与する」)は、治療の必要性がある個体への化合物、または化合物のプロドラッグの提供を意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが1以上の他の活性剤(例えば、細菌感染の治療に有用な剤)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびその変形はそれぞれ化合物、塩、水和物または溶媒和物、および他の剤の同時供給および連続供給を含むと解釈される。
【0051】
本明細書で用いられる「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医により探求されている組織、系、動物またはヒトの生物学的応答または医薬応答を引き起こす活性化合物または医薬剤の量を意味する。一実施形態において、有効量は治療される疾患または状態の症状緩和に「治療有効量」である。他の実施形態において、有効量とは、発生の可能性または重症度が減少する疾患または状態の症状予防に「治療有効量」である。該用語は本明細書において細菌増殖を阻害することにより探求されている応答を引き起こすのに十分な活性化合物の量も含む(即ち、「阻害に有効な量」)。活性化合物(即ち、活性成分)が塩として投与される場合、活性成分の量についての言及は化合物の遊離酸または遊離塩基の形態についてである。
【0052】
医薬組成物は、1以上の活性成分と担体とを念入りに混合することにより調製してもよく、担体の成分は所望の媒体を提供するように選択してもよい。例えば、調合されたクリームまたはローションは、約0.01%から約99%の活性成分濃度を提供するために、活性成分を適切に選択されたクリームまたはローション成分に混合することにより提供され得る。
【0053】
本発明の態様による医薬組成物は、経口、局所、非経口(腹腔内(I.P.)、皮下、筋内および静脈内(I.V.)を含む)、鼻腔および坐薬投与、または吹送による投与に適した組成物として製剤されてもよい。
【0054】
経口投与用に、実施形態の医薬組成物は液体または固体の組成物として製剤されてもよい。液体組成物は、活性成分と薬学的に許容される液体担体、例えば水、グリコール、油、アルコール等と組み合わせることにより調製してもよい。固体組成物用に、活性成分は、薬学的に許容される固体担体、例えば、デンプン、糖類、カオリン、エチルセルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、タルクおよびラクトースと組み合わせてもよい。これらの固体担体は、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤と、および/または結合剤−崩壊剤などと組み合わせてもよい。錠剤およびカプセルは投与し易いため、これらの剤形はある状況では最も有利な経口剤形を表し得る。単位剤形の組成物は、本発明の態様も構成する。
【0055】
注射による投与用に、実施形態の医薬組成物は、懸濁液、溶液または乳濁液として製剤されてもよい。注射組成物用に薬学的に許容される担体は、油性賦形剤または水性賦形剤、例えば0.85%塩化ナトリウム水または5%デキストロース水であってもよい。さらに、注射組成物は、配合剤、例えば緩衝剤、可溶化剤、懸濁剤および/または分散剤を含んでもよい。緩衝剤、ならびに生理食塩水またはグルコースなどの添加剤は、溶液を等張にするために添加してもよい。点滴用に、活性成分はアルコール/プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールに可溶化され得る。注射組成物は、液体組成物として、アンプルの単位剤形または複数回用量の容器で提供されてもよく、添加保存剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は粉末形態で提供されてもよく、投与前に適切な液体賦形剤で再構成してもよい。
【0056】
明細書および特許請求の範囲で用いられる「単位剤形」という用語は、物理的に個別の単位を指し、それぞれが、許容される担体とともに、所望する治療効果を生じるように計算された所定量の活性成分を含有する。このような単位剤形の例としては、錠剤、カプセル、ピル、粉末包、ウェハース、アンプルまたは複数回用量の容器の測定単位などが挙げられる。
【0057】
本明細書に記載される化合物は、シュードノカルディアシエ科キブデロスポランギウム属種(MA7385)の細菌株、またはそれらに由来する細菌株およびそれらに由来する細菌株の生物学的に純粋な培養物の発酵、ならびに溶媒抽出により調製してよい。具体的には、本発明の化合物は、キブデロスポランギウム種(MA7385)の発酵またはキブデロスポランギウム種(MA7385)の子孫、後代もしくは突然変異体の細菌株の発酵により調製してもよい。実施形態において、細菌株の発酵および溶媒抽出により得られる化合物はさらに合成修飾され、追加の本発明の化合物を得てもよい。さらに、本発明の化合物は合成で調製してもよい。
【0058】
キブデロスポランギウム種(MA7385)は、当初はストレプトマイセス株として同定されていたが、現在はキブデロスポランギウム株であると確認されており、中央アフリカ共和国の森林で収集された土壌試料から単離された。キブデロスポランギウム種(MA7385)は、ブダペスト条約の下、2009年9月23日にバージニア州20110−2209マナサスのブールバード大学10801でアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションの培養株保存施設に寄託され、ATCC特許寄託番号PTA−10354と指定された。
[実施例]
【実施例1】
【0059】
発酵手順
キブデロスポランギウム種(MA7385)の発酵は、菌糸の付いた幾つかの寒天プラグをシード・ブロス・フラスコ(250mLバッフル・フラスコ中50mL培地)に植菌することにより遂行した。シード・ブロスの製剤は下記の通りである(指定しない限り、1リットル当たりのgm)。
【0060】
可溶性デンプン 20.0
デキストロース 10.0
NZアミンE型 5.0
牛肉抽出物 3.0
ペプトン 5.0
酵母抽出物 5.0
CaC0 1.0
蒸留H0 1リットルまで
pHは、CaC0の添加前にNaOHで7.0に調整する。フラスコは、28℃、80%相対湿度でインキュベートし、回転式振とう機で220rpmで振とうした。
【0061】
種段階(seed stage)フラスコを3日間増殖する場合、1mLのアリコートは、各フラスコのFR23産生培地(250のバッフル付でない(unbaffled)フラスコ中50mL培地)に植菌するために用いる。配合は:
グルコース 5.0
可溶性デンプン 30.0
甘蔗糖蜜 20.0
ファルマメディア(Pharmamedia) 20.0
蒸留H0 1リットルまで
から成る(1リットル当たりgm)。
【0062】
pHは、滅菌前にNaOHで7.0に調整した。フラスコは、28℃、80%相対湿度、回転式シェーカーで220rpmで7日間インキュベートした。
【0063】
単離手法
12Lの発酵培養液は、往復シェーカーで1時間有余振とうすることにより12Lのアセトンで抽出した。菌糸内容物はセライト(CELITE)で濾過し、濾過物は減圧下で濃縮し、大半のアセトンを除去した。水性抽出物(12L)は、それぞれ12Lのメチルエチルケトン(MEK)で3回抽出した。MEK抽出物は混合し、減圧下で濃縮し、乾燥し、ゴムを得た。これは少量のメタノール(〜20mL)に溶解し、450ccセファデックス(SEPHADEX)LH20カラムでクロマトグラフを行った。カラムはメタノールで溶出し、化合物を含有する画分は収集し、減圧下で濃縮し乾燥した。LH20画分の3分の1部分は、最小体積のメタノールに溶解し、90部の塩化メチレンと10部のメタノールの割合で塩化メチレンで希釈した。次いで、この溶液は、35cc(10g)のシリカゲル・カートリッジに充填し、3〜4カラム体積で10、20、30%メタノールを含む塩化メチレンを用いて洗浄した。対象の化合物は10〜20%メタノール画分に溶出した。このプロセスは残りの材料を用いて2回反復し、3カラムから収集した画分は減圧下で濃縮し、茶色のゴムを得た。シリカゲルからの濃縮物質は10mLのメタノールに溶解した。5分の1(2mL)は、1インチ逆相PRP−1(ハミルトンのpH安定HPLCカラム、250×21.5mm)で60:40から80:20のメタノール:0.25Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)の勾配溶出を用いて、40分間10mL/分の流速でクロマトグラフを行った。クロマトグラフィーは残りの材料を用いて4回反復した。5回のクロマトグラフ走行のそれぞれから35〜38、39〜40および41〜44で溶出する画分が収集された。これらの画分は4〜6mLメタノールで3回粉砕した。該溶液は該化合物を含有し、緩衝液の大半は固体として残った。35〜38および41〜44の画分からのメタノール溶液は濃縮し、ゾルバックス(ZORBAX)RX C8(250x21.5mm)カラムで再クロマトグラフを行い、50分の50〜100%水性メタノールの直線勾配で溶出した。各クロマトグラフィーからの主成分は凍結乾燥し、無色の粉末として下記の組成物を得た。
【0064】
組成物A
式Iの化合物A−I
【0065】
【化11】

3−O−アセチル−1,5アンヒドロ−4−0−カルバモイル−6−デオキシ−1−[(4Z)−4−[(5−{[2,6−ジデオキシ−3−C−(l−{[(3,4−ジクロロ−5−メチル−lH−ピロール−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ヘキソピラノシル]オキシ}−2−メチル−8−メチリデン−1,2,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン−1−イル)(ヒドロキシ)メチリデン]−5−オキソ−6−(プロパン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン−2−イル]−2−0−メチルヘキシトール。
【0066】
式IIの化合物A−II
【0067】
【化12】

5−[(Z)−[l−(3−O−アセチル−4−0−カルバモイル−6−デオキシ−2−0−メチルヘキソピラノシル)−2,4−ジオキソ−5−(プロパン−2−イル)ピロリジン−3−イリデン](ヒドロキシ)メチル]−6−メチル−4−メチリデン−l,2,3,4,4a,5,6,8a−オクタヒドロナフタレン−l−イル2,6−ジデオキシ−3−C−(l−{[(3,4−ジクロロ−5−メチル−lH−ピロール−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ヘキソピラノシド。
【0068】
組成物Aの物理特性は下記の通りに測定した:
図1は組成物Aの炭素−13(13C)核磁気共鳴(NMR)スペクトルである;特性ピークは表1に要約するように観測される。13C NMRスペクトルはヴァリアン・イノヴァ(VARIAN INOVA)500または600MHz分光計のいずれかで収集し、13C原子核については125または150MHzのいずれかで操作した。化学シフトは残留CDOD(δc49.0ppm)を参照した。データは25℃で3mmNMR管で均一に収集した。ノルラック(NORLAC)3mmH{CN}間接Z勾配プローブが全試料に用いられた。ヴァリアン標準パルス系列は全てのデータ収集に用いた。
【0069】
図2は組成物AのH NMRスペクトルである;特性ピークは表1に要約するように観測される。H NMRスペクトルはヴァリアン・イノヴァ500または600MHz分光計のいずれかで収集し、H原子核については500または600MHzのいずれかで操作した。化学シフトは残留CHDOD(δ3.30ppm)を参照した。データは均一に25℃で3mmのNMR管で収集した。ノルラック3mmH{CN}間接Z勾配プローブが全試料に用いられた。ヴァリアン標準パルス系列は全てのデータ収集に用いた。
【0070】
組成物Aの紫外線(UV)吸収スペクトルは、MeOHで採取し、λmax(logε)=248nm(sh)および276nm(4.42)の特性吸収帯を示した。UVスペクトルはパーキン・エルマー・ラムダ(PERKIN ELMER LAMBDA)35UV/Vis分光計で記録した。
【0071】
組成物Aの赤外(IR)吸収スペクトルは、ZnSeを用いて採取し、vmax=3417,2932,1732,1611,1537,1454,1376,1313,1233,1159,1079,1004,893,830,789,745cm−1の特性吸収帯を示した。IRスペクトル・データは、パーキン・エルマー・スペクトラム・ワン(SPECTRUM ONE)分光計を用いてメタノールに溶解した少アリコートの組成物AをZnSeプレートに移すことにより得られた。
【0072】
組成物Aの高分解能質量スペクトルはHRESIFTMS(m/z)を生成した:M+Hの観測値=939.3562、C4460Cl14Hの計算値=939.3561。高分解能質量スペクトルは、サーモ・フィニガン(THERMO FINNIGAN)LTQ−FT分光計で、エレクトロスプレー・イオン化および18ボルトに相当するソース・フラグメンテーションを備えたフィニガン・イオン・マックス(FINNIGAN ION MAX)源を用いて得られた。
【0073】
組成物B
式Iの化合物B−I
【0074】
【化13】

3−O−アセチル−1,5−アンヒドロ−4−O−カルバモイル−6−デオキシ−1−[(4Z)−4−[(5−{[2,6−ジデオキシ−3−C−(l−{[(3,4−ジクロロ−lH−ピロール−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ヘキソピラノシル]オキシ}−2−メチル−8−メチリデン−1,2,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン−1−イル)(ヒドロキシ)メチリデン]−5−オキソ−6−(プロパン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−4H−l,3−オキサジン−2−イル]−2−O−メチルヘキシトール。
【0075】
式IIの化合物B−II
【0076】
【化14】

5−[(Z)−[l−(3−O−アセチル−4−0−カルバモイル−6−デオキシ−2−0−メチルヘキソピラノシル)−2,4−ジオキソ−5−(プロパン−2−イル)ピロリジン−3−イリデン](ヒドロキシ)メチル]−6−メチル−4−メチリデン−l,2,3,4,4a,5,6,8a−オクタヒドロナフタレン−l−イル2,6−ジデオキシ−3−C−(l−{[(3,4−ジクロロ−lH−ピロール−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)ヘキソピラノシド。
【0077】
図3は組成物BのH NMRスペクトルであり;特性ピークは表1に要約するように観測される。H NMRスペクトルは、ヴァリアン・イノヴァ500または600MHz分光計のいずれかで収集し、H原子核については500または600MHzのいずれかで操作した。化学シフトは残留CHDOD(δ3.30ppm)を参照した。データは均一に25℃で3mmのNMR管に収集した。ノルラック3mmH{CN}間接Z勾配プローブが全試料に用いられた。ヴァリアン標準パルス系列は全てのデータ収集に用いた。
【0078】
組成物Bの高分解能質量スペクトルは、HRESIFTMS(m/z)を生成した:M+Hの観測値=925.3410、C43581214Hの計算値=925.3405。高分解能質量スペクトルは、サーモ・フィニガンLTQ−FT分光計で、エレクトロスプレー・イオン化および18ボルトに相当するソース・フラグメンテーションを備えたフィニガン・イオン・マックス源を用いて得られた。
【0079】
【表1】


【実施例2】
【0080】
組成物Aは、バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびヘモフィルス・インフルエンザの株に対する抗菌活性について試験し、組成物AおよびBはカンジダ・アルビカンスの制御に対して試験した。組成物Bはスタフィロコッカス・アウレウス株に対する抗菌活性について試験した。
【0081】
培地および培地調製
下記の材料は組成物AおよびBの試験に使用した:MICサブロー(SABOURAUD)デキストロース寒天プレート(BBL);マイクロバンク・ビーズ(MICROBANK Beads)クレイマー・サイエンティフィック(KRAMER SCIENTIFIC);2000マイクロタイター(MICROTITER)プレート接種器;96−ウェル・マイクロタイター・プレート、蓋、接種トレー(ダイネックス・ラボラトリーズ(DYNEX LABORATORIES);および8−チャネル・フィン・マルチチャネル・ピペッター(8−CHANNEL FINN MULTICHANNEL)、0.5〜10μL体積。全ての寒天プレートは製造業者から調製されて受理した。
【0082】
下記の培地は組成物AおよびBの試験に使用した:陽イオン調整ミューラー・ヒントン・ブロス(CATION−ADJUSTED MUELLER HINTON BROTH)(MH;BBL);50%溶解ウマ血(LHB;BBL)(凍結保存);RPMI1640(バイオウィッタカー(BIO WHITTAKER));ヒト血清(ペル−フリーズ(PEL−FREEZ));RPMI1640(バイオウィッタカー);ヘモフィルス試験培地(HTM、レメル(REMEL));トリプチケース・ソイ・ブロス(TRYPTICASE Soy Broth)(TSB、5mL/管;BBL);0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水;バクスター(BAXTER));トリプチケース・ソイ+5%ヒツジ血寒天プレート(TSA;BBL);チョコレート寒天プレート(BBL);2Xスキムミルク(レメル);および2Xトリプチケース・ソイ・ブロス(TSB、BBL)+15%グリセロール/50%ウマ血清。培地は下記の通りに調製した:
陽イオン調整ミューラー・ヒントン・ブロス:製造業者の取扱説明書(22gを1000mLの水に溶解;22分オートクレーブ)に従って調製した。冷凍保存した。使用前にコーニング(CORNING)0.45Tm酢酸セルロース・フィルターを用いて濾過滅菌した。
【0083】
50%溶解ウマ血:ウマ脱線維素血は滅菌蒸留水で1:1に希釈し、凍結し、解凍しおよび再凍結し(少なくとも7回)、次いで遠心分離した。−20℃で凍結保存した。
【0084】
陽イオン−調整ミューラー・ヒントン+2.5%溶解ウマ血:5mLの50%溶解ウマ血を100mL陽イオン−調整ミューラー・ヒントン・ブロスに無菌で添加した。使用前にコーニング0.45Tm酢酸セルロース・フィルターを用いて濾過滅菌した。
【0085】
陽イオン−調整ミューラー・ヒントン+50%ヒト血清:50mLのヒト血清を50mLの2X陽イオン−調整ミューラー・ヒントン・ブロスに無菌で添加した。使用前にコーニング0.45Tm酢酸セルロース・フィルターを用いて濾過滅菌した。
【0086】
ヘモフィルス試験培地:製造業者から調製され受理した。使用前にコーニング0.45Tm酢酸セルロース・フィルターを用いて濾過滅菌した。
【0087】
0.9%塩化ナトリウム:製造業者から調製され受理した。
【0088】
2Xスキムミルク:製造業者から調製され受理した。
【0089】
分離株の選択および維持管理
使用する株は、メルク・カルチャー・コレクション(Merck Culture Collection)からの分離株である;これらの培養物は、−80℃の凍結保存として、a)マイクロバンク・ビーズまたはb)2Xトリプチケース・ソイ・ブロス+15%グリセロール/50%ウマ血清で保存する。具体的には、株は下記の通りであった。
【0090】
使用したバチルス・サブチリス株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、MB964として同定される。培養物は−80℃でマイクロバンク・ビーズに凍結保存した。
【0091】
使用したスタフィロコッカス・アウレウス株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、MB2865およびMB5957として同定される。培養物は−80℃でマイクロバンク・ビーズに凍結保存した。
【0092】
使用したエンテロコッカス・フェカリス株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、CL8516として同定される。培養物は−80℃でマイクロバンク・ビーズに凍結保存した。
【0093】
使用したエスチェリキア・コライenvA1 tolC株は、メルク・カルチャー・コレクションから入手した細胞壁透過性株であり、ΜB5746として同定される。培養物は−80℃でマイクロバンク・ビーズに凍結保存した。
【0094】
使用したストレプトコッカス・ニューモニエ株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、CL2883として同定される。培養物は−80℃で2Xトリプチケース・ソイ・ブロス+15%グリセロール/50%ウマ血清に凍結保存した。
【0095】
使用したヘモフィルス・インフルエンザ株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、MB4572として同定される。培養物は−80℃で2Xトリプチケース・ソイ・ブロス+15%グリセロール/50%ウマ血清に凍結保存した。ヘモフィルス・インフルエンザの株はメルクのインビボ試験に使用されるマウス病原体である。
【0096】
使用したカンジダ・アルビカンス対照株はメルク・カルチャー・コレクションから入手し、MY1055として同定される。培養物は−80℃でマイクロバンク・ビーズに凍結保存した。
【0097】
接種材料の調製
選別された分離株は、トリプチケース・ソイ+5%ヒツジ血寒天プレート(バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライおよびストレプトコッカス・ニューモニエ)、チョコレート寒天プレート(ヘモフィルス・インフルエンザ)またはサブロー・デキストロース寒天(カンジダ)のいずれかで継代培養し、35℃でインキュベートした。ストレプトコッカス・ニューモニエおよびヘモフィルスは、5%COでインキュベートし;他の全ての分離株は大気中でインキュベートした。分離株は検定前に2回継代培養した。
【0098】
コロニーはプレートから選別し、トリプチケース・ソイ・ブロスの0.5Mcファーランド(Farland)標準と同等の密度を有する接種材料を調製するために使用した;1.0Mcファーランド標準と同等の密度の接種材料はストレプトコッカス・ニューモニエ用に調製した。全培養物の接種密度は、〜10CFU/mL・TSBであった。このTSB接種材料は、滅菌食塩水(4mL接種材料+36mL生理食塩水;〜10CFU/mLと同等)で1:10に希釈し、マイクロタイター・プレートに植菌するために使用するまで氷上で保った。
【0099】
プレート充填
薬剤の原液および希釈
試験プレートはそれぞれの株について下記の通りに調製した。96ウェル・プレート(1−12縦列およびA−H横列)の各ウェルに、100μLの適切な試験培地(バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライ−陽イオン調整ミューラー・ヒントン・ブロス・プレート;ストレプトコッカス・ニューモニエ−陽イオン調整ミューラー・ヒントン・ブロス+5%溶解ウマ血プレート;ヘモフィルス・インフルエンザ−ヘモフィルス試験培地プレート;カンジダ・アルビカンス−RPMI1640)をサーマル・ラボシステムズ・マルチドロップ(商標)ディスペンサーを用いて添加した。臨床検査標準協会(CLSI)(以前は国立臨床検査標準委員会(NCCLS))の公式は、標準溶液に必要な希釈量を計算するために用いた。
【0100】
組成物調製
試験組成物は重量ベースで調製した。試験組成物は、2mg/mLを含む100%DMSOに調製した後、DMSO/2xCAMHB(最終濃度=50%DMSO/50%CAMHB)の1:1希釈で1mg/mLに希釈した。試験組成物は50%DMSO/50%CAMHBで1:1にBDバイオサイエンス・ディープ・ウェル・ポリプロピレン96ウェル・プレート(出発濃度1mg/mL)に下記の通り連続希釈した:
各横列の第一ウェルに、100μLの化合物原液(1mg/mL)をマルチチャネル・マトリックス・ピペットで添加した。化合物は、パーキン・エルマー・セタス・プロ/ペッテ(CETUS PRO/PETTE)(商標)希釈装置またはテカン(TECAN)(商標)で2倍に連続希釈し(各横列の第一ウェルから100μL採取し、第二ウェルに入れて混合し、各横列の第二ウェルの100μLを採取し、第三ウェルに入れて混合する等)、縦列11までプレートを横切って(縦列12は増殖対照ウェル−無薬剤であった)、最後の100μLは廃棄し、64〜0.00004ug/mL濃度の化合物を得た。対照化合物のペニシリンGおよびクラリスロマイシンは10mg/mLのDMSO原液として調製し、マイクロタイター・プレートで上記のように試験化合物について調製した。シプロフロキサシンは対照として血清タンパク質結合アッセイに含まれた。
【0101】
微量液体(Microbroth)希釈検定
フィン自動マルチチャネル・ピペットを用いて、6.4μLの試験溶液(0.5〜10μL体積)を充填マイクロタイター・プレートのウェルに添加した(第一ウェルの抗菌剤濃度=64μg/mL;DMSO濃度=3.2%)。抗菌剤はこの様式で添加し、各ウェルのDMSO量を一定に保った(化合物を可溶化に保ち、DMSOによる非特異的殺菌の可能性を説明するため)。最後の横列は3.2%DMSOの増殖対照を含んだ。
【0102】
プレート植菌および活性測定
マイクロタイター・プレートの全てのウェルは、1ウェル当たり1.5TLの接種材料を送達する自動プレート植菌装置であるMIC2000システムを用いて、(生理食塩水で希釈した)培養物で植菌された。プレートは35℃で環境大気中でインキュベートした。未植菌プレートも無菌検査としてインキュベートした。結果は18〜24時間のインキュベーション後に記録した。プレートは無増殖と読み取られた。
【0103】
全化合物の最小阻害濃度(MIC−100)は、22から24時間のインキュベーション期間後に測定されるように、薬剤を含まない増殖対照と比較して可視増殖のない化合物の最低濃度であると決定された。MICはCLSIガイドラインに従って得られた。
【0104】
組成物Aは、バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエおよびヘモフィルス・インフルエンザの様々な株に対する抗菌活性を立証した。組成物Bはスタフィロコッカス・アウレウスの様々な株に対する抗菌活性を立証した。最小阻害濃度(MIC)値は、0.1から64μg/mLまでの範囲にわたり、組成物Aおよび組成物Bについて下記の通りに観測された。
【0105】
【表2】

組成物Aも組成物Bも、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(MRSA)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス種(VRE)、多剤耐性エンテロコッカス・フェシウム、マクロライド耐性スタフィロコッカス・アウレウスおよびスタフィロコッカス・エピデルミディス、ならびにリネゾリド耐性スタフィロコッカス・アウレウスおよびエンテロコッカス・フェシウムなど、多数の既知抗生物質に耐性のある様々な種に対する抗菌活性を立証した。
【実施例3】
【0106】
組成物Aはクロストリジウム・ディフィシルの株に対する抗菌活性について試験した。薬剤希釈および薬剤補給寒天プレートは手動で調製した。
【0107】
培地及び培地調製
増殖培地および試験培地は、臨床検査標準協会(CLSI)により推奨される嫌気性生物の増殖試験および感受性試験用の培地であった。臨床検査標準協会(CLSI)を参照のこと。Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria;Approved Standard−Seventh Edition.CLSI document Ml1−A7[ISBN1−56238−626−3]。Clinical and Laboratory Standards Institute,940West Valley Road,Suite1400,Wayne,Pennsylvania19087−1898USA,2007。
【0108】
寒天希釈MIC検定に使用した培地は、ヘミン(シグマ(Sigma)#H9039−1G、Lot#039K1121)、ビタミンK(シグマ、Lot#106K1523)および5%溶解ヒツジ血(クリーブランド・サイエンティフィック(Cleveland Scientific)、Lot41113−6)(1)を補足したブルセラ寒天(ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson)、スパークス(Sparks)、MD#211086、Lot#9020009)であった。この培地は補足ブルセラ寒天(SBA)と称する。
【0109】
培地は下記の通りに調製した:ブルセラ寒天は重量を量り、ヘミン、ビタミンKおよび溶解ヒツジ血の体積を差し引いた最終体積まで水を添加した。寒天は煮沸により溶解した。ヘミン(5μg/ml)およびビタミンK(1μg/ml)を寒天に添加し、121℃で23分間オートクレーブした。寒天は50℃まで冷却し、18.5mlを滅菌ガラス管に分注した。プレートに注ぐ直前に、1mlの溶解ヒツジ血および0.5mlの適切な薬剤希釈を該管に添加した。管の反転により管の内容物を静かに混合し、薬剤を補足した寒天をペトリ皿に注いだ。該薬剤を補足したプレートは、固体になるまで実験台で静置させた後、バクトロン(Bactron)II嫌気性チャンバー(シェルダン製作所(Sheldon Manufacturing Inc.)、コルネリウス(Cornelius)、OR;5%水素の大気、5%二酸化炭素、90%窒素)に移し、植菌前の2時間前還元させた。
【0110】
分離株の選別および維持管理
使用する株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手した臨床分離株または対照株である。具体的には、株は、クロストリジウム・ディフィシル4381(ATCC700057)およびクロストリジウム・ディフィシル4822(ATCC43596)であった。培養物は、−80℃で、5μg/mlのヘミン、1μg/mlのビタミンK、5%溶解ウマ血、および20%グリセロールを含有するブルセラ培養液に凍結保存した。
【0111】
接種材料の調製
分離株は、補足ブルセラ寒天(SBA)プレート(レメル、カンザス州レネキサ;カタログ番号R01255)でバクトロンII嫌気性チャンバー(シェルダン製作所、コルネリウス、OR)で継代培養し、MIC検定で使用する前に35〜36℃のバクトロンIIインキュベーターで48時間インキュベーションした。
【0112】
プレート充填
薬剤の原液および希釈
試験プレートはそれぞれの株について下記の通りに調製した。96ウェル・プレート(1−12縦列およびA−H横列)の各ウェルに、100μLの適切な試験培地をサーマル・ラボシステムズ・マルチドロップ(商標)・ディスペンサーを用いて添加した。臨床検査標準協会(CLSI)(以前は国立臨床検査標準委員会(NCCLS))の公式は標準溶液に必要な希釈量を計算するために用いた。
【0113】
組成物の調製
試験組成物は重量ベースで調製した。組成物Aは、DMSOに溶解し、保存濃度は2560μg/mLであり、試験に用いた。メトロニダゾールおよびバンコマイシン(両方ともシグマ社、セントルイス、MO)、対照化合物は、1280μg/mLの保存濃度で100%DMSOに調製した。
【0114】
プレート植菌および活性測定
検定は、CLSIにより記載される参照寒天希釈法によって行った。臨床検査標準協会(CLSI)を参照のこと。Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria;Approved Standard−Seventh Edition。CLSI document M11−A7[ISBN1−56238−626−3]。
【0115】
試験および参照の分離株は市販のSBA寒天プレート(カタログ番号R01255;レメル、カンザス州レネキサ)でバクトロンII嫌気性チャンバーで継代培養し、35℃で48時間(バクトロンII嫌気性チャンバー内で)インキュベーションした。
【0116】
MIC検定の接種材料はバクトロンII嫌気性チャンバー内で下記の通りに調製した。コロニーを綿棒で集菌し、細胞懸濁液は、0.5Mcファーランド標準の濁度と等しくなるよう前還元ブルセラ培養液で調製した。それぞれの細胞懸濁液は接種複製装置(メルロース・マシン・ショップ(Melrose Machine Shop)、ウッドリン、PA)のウェルに充填し、該装置は1スポット当たり約10から10のコロニー形成単位を接種するため、1スポット当たり約1から2μLを寒天表面上に送達する。接種複製装置の充填、およびプレートの植菌は嫌気性チャンバー内で行われた。植菌された寒天プレートは、接種材料が寒天内に吸収されるまで寒天を上に向けて静置させた。次に、プレートは反転させ、35℃で48時間バクトロンIIの嫌気性環境(5%水素、5%二酸化炭素、90%窒素)でインキュベーションした。MICはCLSIガイドラインによって読み取られた。
【0117】
植菌後、薬剤を補足したプレートは、35℃で48時間バクトロンIIの嫌気性環境(5%水素、5%二酸化炭素、90%窒素)でインキュベーションした。プレートは無増殖と読み取られた。
【0118】
全化合物の最小阻害濃度(MIC−100)は、22から24時間のインキュベーション期間後に測定されるように、薬剤を含まない増殖対照と比較して可視増殖のない化合物の最低濃度であると決定された。MICはCLSIガイドラインに従って得られた。
【0119】
MIC検定手順
組成物Aはクロストリジウム・ディフィシルの様々な株に対する抗菌活性を立証した。表3に示されるように、組成物Aについて0.12μg/mlのMIC値が観測された。CLSI品質管理基準が存在する生物−薬剤組み合わせについて、導き出されるMIC値は公開された品質管理範囲内であった。
【0120】
【表3】

上記および他の様々な特性および機能、またはそれらの代替手段は、望ましくは、多数の他の異なるシステムまたは適用と組み合わされてもよいと理解される。上述した内容および本明細書で請求される内容について、現在予見または予期せぬ様々な代替手段、改変、変形または改良も後に当業者によってなされてもよく、下記の特許請求の範囲に包含されることも意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iおよび式IIの化合物:
【化1】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される精製化合物であって、式中:
およびRが水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;
が水素およびC−Cアルキルから成る群から選択される化合物。
【請求項2】
前記精製化合物が、式I:
【化2】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中:
およびRが水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;
が水素およびC−Cアルキルから成る群から選択される、請求項1に記載の精製化合物。
【請求項3】
前記精製化合物が、式II:
【化3】

またはその薬学的に許容される塩であって、式中:
およびRが水素およびハロゲンから成る群から独立して選択され;
が水素およびC−Cアルキルから成る群から選択される、請求項1に記載の精製化合物。
【請求項4】
が水素および塩素から成る群から選択される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の精製化合物。
【請求項5】
が水素および塩素から成る群から選択される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の精製化合物。
【請求項6】
が水素、メチルおよびエチルから成る群から選択される、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の精製化合物。
【請求項7】
が水素およびメチルから成る群から選択される、請求項6に記載の精製化合物。
【請求項8】
前記精製化合物が、
【化4】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項1に記載の精製化合物。
【請求項9】
前記化合物が、
【化5】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項8に記載の精製化合物。
【請求項10】
前記化合物が、
【化6】

またはその薬学的に許容される塩である、請求項9に記載の精製化合物。
【請求項11】
前記化合物が、
【化7】

またはその薬学的に許容される塩である、請求項9に記載の精製化合物。
【請求項12】
前記化合物が、
【化8】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される、請求項8に記載の精製化合物。
【請求項13】
前記化合物が、
【化9】

またはその薬学的に許容される塩である、請求項12に記載の精製化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化10】

またはその薬学的に許容される塩である、請求項12に記載の精製化合物。
【請求項15】
前記化合物がC4460CI14の分子式、約939.35の分子量を有し、ならびに前記化合物の13C NMRスペクトルが152.2;35.6;35.3;79.6;49.9;126.5;133.7;32.1;48.0br;39.5;198.0br;105.2br;196.6br;69.7br;32.0br;17.8;17.7;106.1;18.9;178.1br;77.5br;75.6;69.9;69.8;71.4;14.5;96.8;38.5;76.4;74.9;71.7;18.5;52.4;16.2;161.7;120.0;112.4;110.6;129.4;10.8;158.4;172.0;21.0;および57.5の特性ピークを有し、ならびに前記化合物のH NMRスペクトルが、2.26,m(eq);2.12,m(ax);2.25,m(eq);1.26,m(ax);3.56,dt,4,11;1.82,dt,2.5,11;5.92,dt,10,2;5.62,ddd,10,4.5,3;2.65,m;4.33,m;2.26,m;3.52,d,2.5;2.14,m;0.97,d,7;1.07,d,7;4.57,s;4.44,s;0.80,d,7;5.02,brd,9;4.33,m;5.88,t,3;4.91,dd,6,3;4.30,pent,7;1.39,d,7;4.94,dd,10,2;1.79,dd,13.5,2(eq);1.57,dd,13.5,10(ax);3.17,d,9;3.67,dq,9,6;1.26,d,6;4.37,q,7;1.24,d,7;2.21,s;2.11,s;および3.28,sの特性ピークを有する、請求項1または請求項8に記載の精製化合物。
【請求項16】
前記化合物がC4358Cl14の分子式、約925.34の分子量を有し、ならびに化合物のH NMRスペクトルが2.26,m;2.15,m;2.25,m;1.28,m;3.56,m;1.79,m;5.93,dt,10,2.;5.62,ddd,10,4.5,3;2.65,brm;4.36,m;2.26,m;3.52,d,2.5;2.15,m;0.98,d,7;1.07,d,7;4.58,brs;4.44,brs;0.80,d,7.5;5.01,brd,9.5;4.33,m;5.89,t,3;4.91,dd,6,3.5;4.30,pent,7;1.39,d,7;;4.95,brd,10;1.80,brd,13.5;1.58,dd,13.5,9.5;3.18,d,9;3.67,dd,9,6;1.27,d,6;4.38,q,6.5;1.25,d,7;6.98,s;2.10,s;および3.34,sの特性ピークを有する、請求項1または請求項8に記載の精製化合物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物の群から選択される1以上の化合物を含む精製または部分精製の細菌抽出物。
【請求項18】
前記抽出物が、
【化11】

ならびにそれらの薬学的に許容される塩から成る群から選択される1以上の化合物を含む、請求項17に記載の抽出物。
【請求項19】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の1以上の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項20】
細菌の増殖を阻害する方法であって、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載される1以上の有効量の化合物で治療する工程を含む方法。
【請求項21】
哺乳類被験体の細菌感染を治療または予防する方法であって、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載される1以上の治療有効量の化合物を前記被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項22】
前記細菌感染が、バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエまたはヘモフィルス・インフルエンザにより引き起こされる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記細菌感染がクロストリジウム・ディフィシルにより引き起こされる、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
哺乳類被験体の細菌感染を制御する方法であって、請求項1から請求項16のいずれか一項に記載される1以上の治療有効量の化合物を前記被験体に投与する工程を含む方法。
【請求項25】
前記細菌感染が、バチルス・サブチリス、スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・フェカリス、エスチェリキア・コライ、ストレプトコッカス・ニューモニエまたはヘモフィルス・インフルエンザにより引き起こされる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細菌感染がクロストリジウム・ディフィシルにより引き起こされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ATCC特許寄託番号PTA−10354としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたシュードノカルディアシエ科キブデロスポランギウム属種(MA7385)の細菌株の生物学的に純粋な培養物、またはそれらに由来する生物学的に純粋な培養物。
【請求項28】
請求項14から請求項17のいずれか一項に記載の組成物を調製するプロセスであって、ATCC特許寄託番号PTA−10354としてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに寄託されたシュードノカルディアシエ科キブデロスポランギウム属種(MA7385)の細菌株の培養物、またはそれらに由来する生物学的に純粋な培養物を培養および発酵する工程を含むプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−515727(P2013−515727A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546069(P2012−546069)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/060923
【国際公開番号】WO2011/079034
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【出願人】(512163565)
【Fターム(参考)】